衆議院

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第3号 平成19年10月31日(水曜日)

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平成十九年十月三十一日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 下村 博文君

   理事 倉田 雅年君 理事 実川 幸夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 早川 忠孝君

   理事 水野 賢一君 理事 加藤 公一君

   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君

      阿部 俊子君    赤池 誠章君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      鍵田忠兵衛君    清水鴻一郎君

      七条  明君    杉浦 正健君

      武田 良太君    長勢 甚遠君

      丹羽 秀樹君    平口  洋君

      古川 禎久君    馬渡 龍治君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      柳本 卓治君    石関 貴史君

      小川 淳也君    河村たかし君

      中井  洽君    古本伸一郎君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   法務副大臣        河井 克行君

   外務副大臣        木村  仁君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   米村 敏朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    池田 克彦君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    藤田 昇三君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     平口  洋君

  馬渡 龍治君     丹羽 秀樹君

  柳本 卓治君     鍵田忠兵衛君

  枝野 幸男君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     柳本 卓治君

  丹羽 秀樹君     馬渡 龍治君

  平口  洋君     阿部 俊子君

  小川 淳也君     枝野 幸男君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     棚橋 泰文君

    ―――――――――――――

十月二十九日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(古屋範子君紹介)(第一七一号)

 同(仙谷由人君紹介)(第二九〇号)

 成人の重国籍容認に関する請願(古屋範子君紹介)(第一七二号)

 同(仙谷由人君紹介)(第二九一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

下村委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長米村敏朗君、警察庁刑事局長米田壯君、警察庁警備局長池田克彦君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局大谷人事局長及び小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。

武藤委員 おはようございます。自由民主党の武藤容治でございます。

 本日、敬愛する鳩山大臣に御答弁をいただく機会を賜りまして、まことに感謝申し上げます。これまで文部大臣、労働大臣を務められ、また、福田内閣にて国の骨格となるべき法務行政の長として改めて御指名を受けられましたこと、まことにおめでとうございます。目まぐるしく変化する時局の中で、さまざまな知見や弱き者の視線もお持ちになっている懐の大変大きな大臣でございます。国策としてふさわしい政策遂行に御手腕を発揮されるものと御期待申し上げております。

 先般、臨時国会に当たってのごあいさつで、我が国本来の和の文明という固有の伝統が危機に瀕しておると危惧されておられました。私も、聖徳太子の十七条憲法にありますように、和らぎをもってたっとしとした和をとうとぶ精神、これが現代の日本に失われつつある状態に憂いを持っております。

 大臣の御指摘にあったような残虐な忌まわしい事件が多い殺伐とした世相でございますけれども、刑事事件だけじゃなくて、例えば教育現場では、昨今、モンスターペアレンツなるものが幅をきかせて、子供のささいなことでも過剰反応し、学校にクレームが多発している状況でございます。この前、私の岐阜県でも報告がございました。五四%の小中公立学校がそのような苦情を受けた経験があるということでございます。

 また、医療現場でもございますけれども、例えば入院予定が一カ月ぐらい延びるとそれだけですぐ訴訟を起こしてくる、あるいはまた医療費が踏み倒される、また、御存じのとおりに、訴訟によって産婦人科医がやめ、小児科医が減り、そういう意味では、非常事態をこの我が国に起こしているというわけでございます。

 また、食や住という大変生活に密着したものにおきましても、私のすぐ近くの三重県の赤福さんもそうですけれども、食品偽装や、あるいは建築偽装、拝金主義というのがまかり通った昨今でございまして、国民生活を大変不安に陥れる案件が多い昨今でございます。

 和の文明という固有の伝統が危機に瀕しているというのか、もう人間同士お互いの信頼関係が全くなくなってしまったのではないか、この国は一体どこの国なんだ、最近そんなような感覚を受けております。

 我が国の秩序というものをどう保持していくか、これが大きな課題である。そんなことで、世界一安全な国日本の復活に、和の文明、美と慈悲の文明、これを大臣はおっしゃられましたけれども、この和の心をはぐくむ視点というものが法務行政の中でどう位置づけられていくのか、大臣の思いのたけを改めてお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 基本的に、武藤容治先生のおっしゃること、胸に響き、すべて同感でございます。

 私はそんな資格はないんですが、今、日本の政治、与野党のいろいろな論戦とか、さまざまな政権がこの十年の間にもできてきているわけですが、日本の政治の中で一番欠けてきているのが文明論とか哲学のような気がしてならないわけでございまして、私が師事した田中角栄先生とか、あるいはその当時の大平先生、福田赳夫先生、中曽根先生、皆さんいろいろな哲学や文明論をお持ちであったように私には思えるんです。それは、政治家がだめになったのではなくて、時代の波に押されて政治家が文明や哲学を語らなくなってきているのかなという部分があるんです。

 そして、確かに忌まわしいさまざまな経済事犯もありますし、例えば、批判するわけではありませんけれども、マネーゲームというのが人を狂奔させてしまう、拝金主義というんでしょうか。金さえもうかればいいというような考え方の中で、例えばTOBとか企業の合併とか、そこに人のエネルギーが集中し過ぎるというのは非常に危険だと思うわけでありまして、それは教育の問題も原点にあるのかもしれない。

 第二次世界大戦で日本が負けたときに、日本の失敗した部分は激しく糾弾されてこれを直すことは間違いではなかったと思うが、日本人の持っている美徳とか伝統のいい部分まで、教育の世界で、あるいはGHQの政策で破壊されてしまった。そして、経済的に立ち直った今、いいものを忘れたまま、本来の和の文明とか美と慈悲の文明のようないいものを忘れたまま拝金主義の方に突っ走るとすれば大変危険であり、そういう社会のよくない変化というものが殺伐な世相を生み、親殺しだ、子殺しだ、悲惨な事件を生む。だから、刑事事件というもの自体は平成十四年をピークにして減りつつはあるんですが、凶悪事件というのは全く後を絶たない。

 そういう意味で、諸先生方とともに政治の場から、日本のいい文明の復活ということは大きなテーマとして考えていただきたいな、そういうふうに思うのです。我が国には本来固有のすばらしい文化や伝統がある、これをよみがえらせることが治安の回復においてもとても大事ではないか、そういうふうに思います。

 例えば、私は宗教家ではありませんが、神道の世界では、すべてのものに神が宿るから、みんな大切で、共生していこうという考え方がある。仏教の世界では、山川草木悉有仏性とか悉皆成仏という、すべてのものが仏様になれる、あるいは仏様であるという考え方がある。そういうような美と慈悲の文明というのが日本には本来あるんだ。

 私は、そういう文明の危機感というものと今の治安の悪化というものを結びつけて、何とかこれをいい方向に導いていけないかと考えています。

武藤委員 ありがとうございます。

 やはり非常な見識の中で御意見をいただいて、大変ありがたく思っておりますけれども、せっかくの機会ですので、大臣の思いをまたさらにお聞きしていきたいと思っております。

 私も、やはり二千年の日本の歴史の中で、いわゆる戦争の敗戦というのが大きな節目であった、これはもう間違いないことだというふうに思っています。戦後六十二年になりましたけれども、今大臣のおっしゃった教育基本法も昨年改正されまして、ことし見直しに入ってやらせていただいているわけですけれども、ある意味では大変時間がかかる、失われたものを再生していくというのが、深いものだけに時間もかかるのではないかというふうに思っております。

 そしてまた、今おっしゃられた中で、やはり世界的な潮流、ある意味で、この数年間、小泉総理のもとで構造改革が進められ、また世界でも激変が起こって、あくまで垣根が取り除かれた世界の中で変わってきている、その中で対処してきているわけでございます。もう一つ、外国人労働者という問題も後で御質問させていただこうと思っておりましたけれども、私の選挙区においても求人倍率は二・〇を超えておりますので、そういう意味では外国人の労働力に頼らざるを得ない、そんなようなさまざまな世界の潮流が変化しているわけです。

 そういうことで、この法務行政に立って考えると、長い歴史の中で、やはり犯罪被害者に対する立場というものをここ最近非常に変えてきたわけでございますね。また、少年法も六十年ぶり以上の改正になりましたけれども、さまざまに法務行政も変わってきている。

 そんなことの中で、和をたっとぶ精神というのが、まだ司法制度改革も途中でございますので、特に裁判員制度等、これからまた導入していくわけでございますが、大臣のそういうお気持ちの中で、この司法制度改革をうまくやるために何かお心がけがあれば、つながるところがあれば、そんなようなお気持ちをぜひ生かしていただけると司法制度としてもよくなるのかなという思いでございますけれども、一言だけ、何かコメントがあればお願いいたします。

鳩山国務大臣 不易と流行という言葉を割かし好きで使ってしまいますが、時代が変わってきておりますから、当然、司法制度もより国民に身近なものに、あるいは裁判が迅速に行われるように、あるいは法テラスのような形でさまざまな人に対する支援をするというような形で、司法制度改革、もちろん法科大学院もそれに含まれると思っております。

 新しい需要にこたえていくということで、司法制度改革はきちんとやり遂げていきたい、そんな中でも、裁判員裁判というのは最もそのシンボルのような存在であるわけで、これを定着化、国民に理解していただける、うまくいくようになる、そうした中で、裁判と国民の間の距離が縮まる、あるいは国民の常識がより裁判に反映するという大きなねらいを達成していかなければならないと考えております。

 ただ、一つだけ申し上げたいことは、日本の国の和の文明というのは、世界の潮流がどういうものであれ、和の文明というのは何でも訴訟でという考え方とは対立概念だと思うのです。ですから、何かちょっとしたことがあっても、話し合いで解決できることも全部裁判でというような考え方は、私は和の文明には合わないような気がいたしまして、その司法制度改革をうまく進めていきながらも、過剰に訴訟が行われるような社会にはしたくない、そう思っております。(発言する者あり)

武藤委員 ありがとうございます。

 河村先生の話もようわかるんですけれども。今の和の文明、そういう意味では、裁判員制度、これもこれから日本が司法制度の中でどう変わっていくかという大変大きな節目になると思っています。

 私自身も、今まで裁判員制度の議論の中でいろいろとまだ納得いかないところも実はあるんですけれども、いずれにしましても、国民に開かれた、やはり司法制度を開く意味で、そしてある意味で私は生涯学習的な要素もやはりこの裁判員制度の中にはあるんじゃないかと思っております。指名された裁判員の方が司法に加わっていただいて、やはり大臣おっしゃられるような、再犯が防げるような新しい社会づくりがこれも進んでいくんじゃないかと思っておりますので、そういう意味では、また今後ともひとつ御指導のほどお願い申し上げたいと思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 外国人の方も大変日本にはふえておりまして、ある意味で、残念ながら、やはり処罰が抑止であるということについては、これは間違いないことだと思っております。そして、犯罪白書も見せていただきましたけれども、やはり今後の問題として最も気にしなきゃいけないのは再犯防止という観点でございます。

 これもいろいろありますけれども、やはり刑務所から出られた方が世間様へ迎え入れられる社会、これを育てていくというのが大変大事なことかというふうに思っております。ごあいさつの中にも職安所管の厚生労働省との連携もございましたけれども、やはりこれは民間、私も会社の経営をやっておりますのであれですが、やはり景気に左右されたり、やはり今みたいに求人倍率が高くなってくると、非常に経済的には厳しい中で勝ち抜いていきませんといけませんから、やはり雇用に対してはいい人間を採りたくなるとか、そういう形で雇用ができるのか、それはなかなかそうはいかないのが現実だというふうに思っています。

 再犯者の再犯率がまだ非常に高い形になっていると思います。犯罪白書ですと、三〇%の再犯者が全体の六〇%の犯罪を犯しているわけでございますので、この辺についてはやはり国が、例えば農林水産業もそうですけれども、耕作放棄地も大変多い、また高齢化による労働者不足という大変現実的な問題があるわけですので、何かそんなような形で、更生する中でそのような施設をやはり補完できるような形で考えられることがあってもいいんではないか、このような思いでございます。

 これは当局の方になるのかもしれませんけれども、お答えをいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 武藤先生御指摘のとおり、犯罪白書を読んでいただいたようですが、おっしゃるように、再犯による犯罪が全体の六割あるいは七割という状況であるということは大変悲しいわけで、再犯をどうやって防ぐかというのが最大の課題と言ってもいいわけでございまして、それが矯正あるいは保護の一番重要な仕事になってきていると思います。

 現に私も、これはそういう人を入れているんでしょうけれども、府中の刑務所に参りまして、ここにおられる二千人の方は、二千何百人でしょうか、平均何回目の刑務所暮らしですかと言ったら、大体四・五、六回でしょうというわけですから、再犯に次ぐ再犯ということになるわけです。

 景気が悪くなると、一般的に犯罪の件数がふえる。したがって、刑期を終えられた方が仕事につくことができなければ当然再犯率が上がる。そういう意味で、先生からのさまざまな御指摘をこれから実行していきたいと思っております。

 法務省におきましては、一つの試みとして、自立更生促進センター構想というのをつくりまして、基本的に、保護観察というような方、つまり仮釈放あるいは仮退院という方々が対象になると思いますが、この十月に、北海道雨竜郡沼田町において、国の施設に少年院を仮退院した少年などを受け入れて、町営の農場で農業実習を行わせるということで、まさに自然との共生の中で改善更生を目指す沼田町就業支援センターを開始したのです。

 国会の都合で私は行けなかったのですが、こうしたものをこれからどんどんつくっていきたいと思うし、先生がおっしゃったように、耕作放棄地等の再利用にも有効な方法ではないだろうか。

 なお、彼らにトマト等をつくらせるわけですが、この間ジュースをもらいましたけれども、沼田町のトマトは大変甘くて、北海道ではトマトが赤くなると医者が青くなるというぐらい健康にいいトマトが彼らの手によってつくられるというのはすばらしいことだと思っております。

武藤委員 ありがとうございます。

 これは当局の方にお聞きした方がいいかもしれませんけれども、これはたしか今保護局ですね、少年院の形で更生施設としてやっているわけで、これは、僕もちょっとあれですから教えていただければと思いますけれども、例えば少年院じゃなくて、いわゆる成人の犯罪者に対しても将来的には可能になっていくのでしょうか。

藤田政府参考人 ただいま大臣が指摘されました自立更生促進センター構想というものは二種類ございまして、一つが沼田町のような就業支援センターで、これは少年院を仮退院した者が中心になります。もう一つが自立更生促進センターという狭義の名前でございますけれども、こちらは仮釈放になった者を対象として濃密な指導をするというものがございまして、これは今年度の予算におきまして、施設整備費として予算が福島ほか二カ所において計上されております。

    〔委員長退席、早川委員長代理着席〕

武藤委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、日本の農業、これも大変な問題を今抱えておるわけでございますので、ぜひそういう形で、なかなか表に出ない話でございますけれども、積極的に、やはり我々としては、先ほどの大臣の話じゃありませんけれども、和の精神からすれば、日本の課題を解決していく意味で、いい意味でこれが効用していくんじゃないかというふうに思っております。御期待を申し上げております。

 それから、再犯防止の問題についてもう一つ続けさせていただきます。

 更生保護法が改正になりまして、保護観察プログラムが充実して、これが今施されることが期待をされておるわけでございます。これは、党内でもまだ議論をいろいろしておりますけれども、少年法の改正を今後さらにまたやっていかなきゃいけないのかなという思いでございます。被害者の権利、これがまだ十分に確保されていないのではないか。少年法と更生保護法、それから裁判員制度、いろいろな取り組みの中で、これからもう少し被害者の権利を拡充しておかなければいけないのではないかというようなこともあると思っております。また、贖罪のプログラム、これも刑務所、少年院でいろいろと今実施されておりますけれども、こういう形がさらに充足されていけば、やはり再犯防止にこれは非常に大きなつながりがあるのではないか、そういう思いでございます。

 この辺について、保護観察プログラムの進捗状況をちょっと教えていただければと思います。

藤田政府参考人 更生保護法におきましては、今御指摘のような専門的な保護観察プログラムを二種類規定いたしておりまして、一つが一般的な指導監督の方法としてのプログラム、もう一つは、特別遵守事項にできるようなより体系化したプログラム、この二つを規定しております。

 現在、そういうようなものの候補といたしまして、保護局関係で申しますと、性犯罪者処遇プログラム、それから薬物事犯者処遇プログラム、それから暴力防止プログラム、こういうものを実施に向けて取り組んでおりまして、性犯罪者指導プログラムは既に実施をいたしておるところでございます。

 御指摘の犯罪被害者の視点を取り入れたプログラムといたしましては、贖罪指導プログラムというものがございます。これは、今申し上げたようなほかのプログラムよりも専門性が若干現段階では低いものですから、そうしたものの一歩手前に位置しておりますけれども、成長株と考えておりまして、これをそうしたプログラムにまで高めていくように今後努力をいたしたいと考えております。

武藤委員 ぜひ前向きに御検討いただきたい。少年院でいろいろ聞いていますと、やはり贖罪プログラムをやっていらっしゃるところは効果がはっきり上がってくるということもお聞きしております。そういう意味で、少年法だけじゃなくて、ある意味では、再犯防止からいえば、仮釈の人も含めて、ぜひそういう形で取り組んでいただいた方がよろしいというふうに思いますので、もうありとあらゆることをやって再犯防止にとにかく尽力していただくように、よろしくお願いしたいというふうに思っております。

 お時間もあれでございますので、先に進ませていただきます。

 裁判員制度のことでございますけれども、政令案がこの前党内でも示されまして、辞退理由としての思想、信条に配慮されたようでございます。私も、裁判員制度、これからの話で、導入を円滑に進めるという意味で、辞退理由についてある意味で寛容なところもやはり残さなきゃいけないという思いでございます。

 ただ、導入した後にその辞退理由がどんどんそういう形で、経済的理由ですとかいろいろふえていって、これはもう制度そのものにやはり問題があったんじゃないかと逆に言われないように、ぜひやはり事前に、サンプリング調査もできるのであればそれもお願いした方がよろしいかと思いますし、円滑な導入をやるために、今まだ始まっていないわけですから、ぜひひとつ、随時御検討をいただきたいというふうに思っております。

 何か当局の方でコメントがあれば、今の進捗状況についてお答えをいただきたいと思います。

    〔早川委員長代理退席、委員長着席〕

大野政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、現在法務省では、政令の案を作成いたしまして、これをパブリックコメントにかけて御意見をお伺いしているところでございます。

 この政令の案でございますけれども、裁判員の辞退事由につきましては、裁判員法十六条に規定があるわけでありますけれども、そこに、やむを得ない事由により裁判員等の任務を履行することが困難なことを辞退事由として規定しております。そして、法律は、重い疾病、傷害や、同居親族の介護、養護の必要性など、幾つか典型的な例を挙げているわけでありますけれども、それでは尽くせませんので、「その他政令で定めるやむを得ない事由」ということで、政令でその内容を定めることにしているわけでございます。

 そこで、今回の政令は、この法十六条八号に列挙されていないけれども、しかし、裁判員としての職務を行わないことについて、法律に列挙された場合と同程度にやむを得ないと言える場合を辞退事由として規定しようというものでございます。

 このたびの政令案でありますけれども、例えば妊娠中あるいは出産直後など、類型的にやむを得ないと言える事由を掲げております。ただ、そのように類型化しても、なお個別具体的な事情によってやむを得ないと言える事由が残るわけでございます。

 そこで、政令案の第六号にいわゆる包括条項というものを設けておりまして、ここで「自己又は第三者に身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること。」というような形で規定をしているわけでございます。

 ただ、申し上げたいことは、これに当たりますのは、法律十六条八号あるいは政令案の一号から五号まで列挙されている類型があるわけでありますけれども、これらと同様に、あるいは同程度に裁判員としての職務を行わせることが困難であると認められた場合であるというふうに考えております。すなわち、政令案六号によって、辞退を認めるべき範囲が拡大するというものではないというように考えております。

 ところで、この包括条項の中に、自己の精神上の重大な不利益を生ずると認めるに足りる相当な理由があることというのが挙げられております。ただ、この条項を入れることによりまして、それでは、人を裁きたくないということで直ちにこの条項により辞退が認められるというものではございません。

 例えば、思想の関係で申しますと、裁判所を含めた国家権力がそもそも存在すべきではないという思想を持っておられ、かつ、これを実践する必要があると考えておられる方が裁判員として職務を行うということになりますと、これは裁判所の存在あるいはその権力を認めることにつながって、みずからの思想と両立し得ないというような場合がございます。あるいは、宗教の関係で申しますと、宗教上の教義の核心部分といたしまして、絶対に人が人を裁いてはならない、神のみが人を裁くことができるというような宗教を信じられておりまして、裁判員としての職務を行うことが、その教義に反する行為をすることによってみずからの信仰と両立し得ないというような方ということになりますと、これは大変例外的な場合になるかと思いますけれども、政令案六号に該当し得るのではないかというように考えております。

 るる申し上げましたけれども、今回の政令案によりまして、御懸念のように、辞退者が続出して制度が成り立たないというような事態には至らないだろうというふうに考えております。

 もちろん、法務省といたしましては、国民の皆様方に進んで裁判員となっていただけるよう、今後も広報啓発活動や環境整備に全力を尽くしてまいりたい、このように考えているところでございます。

武藤委員 ありがとうございます。

 事前のアンケート調査では、たしか裁判員制度で七〇%弱参加すると国民が答えられたというデータも報告を受けております。マスコミがいろいろと報道される中で、どうもこの裁判員制度というふうになってしまうと、大変またデータ的には悪い状態になってきます。

 先ほど申し上げましたとおり、やはり日本の国民が裁判に参加しながら、司法制度を見ながら、再犯といいますか犯罪に対する関心を持てば再犯防止にまたつながる、これも間違いない、大臣がおっしゃられるような和の精神というのが、ここに本当に生きてこなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

 告知は随分やっていらっしゃるようでございますけれども、なお継続して、さらにまた進めていただきながら、国民の理解を得ながら、ぜひしっかりとした制度導入をお願いしたいということで、本当はお友達のお友達の話もしたかったのでございますけれども、時間がなくなりましたので、ここで終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

下村委員長 次に、矢野隆司君。

矢野委員 自由民主党の矢野隆司でございます。

 まずは、鳩山大臣、そして河井副大臣、古川政務官、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは限られた時間でございますので、法務行政全般についてですが、少しずついろいろとお尋ねをしたいと思います。

 まず、先般の大臣のごあいさつの中にもございましたけれども、不法滞在者半減計画からお尋ねをしたいと思います。

 不法滞在者半減計画は、大臣のごあいさつの中にも数字がございますけれども、平成十六年にスタートされて、当初二十五万人で、平成十九年、ことしの初頭では二十万人にまで減少した、こういう文言がございます。私も二年ばかり法務委員をしておりまして、今ごろこんなことを聞くのもどうかと思いますが、二十五万人不法滞在者がいるという、その数字のそもそもの根拠というものをもう一度改めて教えていただきたいということと、結局これは、期間内に最終的には十二万五千人までのいわゆる半減、半分の人数まで減らすんだ、こういうことなのかどうか、数字的な根拠といいますか、概括的な数字の状況というものをまず教えていただきたいと思います。

稲見政府参考人 お答えいたします。

 不法滞在者半減計画、スタートした平成十六年、不法滞在者二十五万でスタートいたしました。この二十五万の内訳でございますが、そのうちの二十二万人は与えられた在留期間を徒過しまして不法に居残っている者、いわゆる不法残留者でございます。これが二十二万人。さらに、残りの三万人は、一切の手続を省略して、夜陰に乗じて不法に入国するいわゆる船舶密航者、こういう不法入国者でございます。

 このうち不法残留者につきましては、私ども、御案内のとおり、すべての入国記録を電算で管理しておりますので、電算上の計算によりまして、ある程度正確にその数を推計することが可能でございます。これまでも、従来から、毎年一月一日を基準日にいたしまして、毎年その数を計算し公表しているというものでございます。

 これに対しまして、いわゆる密航者、船舶密航に代表される密航者、これは科学的に類推をするデータが一切ございません。

 そこで、先ほど言いました三万人というのも、実は、大胆な推計のもと、計算上算出したものでございます。これにつきましては、現在もより正確な計算方法がないかということを研究しておりますが、先ほどの不法残留者のように、毎年これを発表するというようなことは行っておりません。

 したがいまして、五年で半減、不法滞在者の半減計画の進捗状況、これを御説明するに当たりましては、比較的正確な数字をつかんでおります不法残留者の推移ということで御説明させていただきたいと思います。

 スタート時、二十二万人でスタートいたしました。これが一年たった後には二十万七千人ということで、一万三千人一年間で削減し、二年目が終わった段階で十九万三千人、さらに一万四千人削減できました。ことしの一月一日、三年目が終わった今年の一月一日現在でございますが、十七万一千人ということで、さらに二万二千人の減少が図れたということでございます。

 さらに、四年目に今入っておりますが、十カ月経過しておるわけでございますが、ことしにつきましても、これまでのところは昨年と同じようなペースで推移している、確実に減少はしているというぐあいに推定しております。

 このように申し上げまして、確実に不法残留者は推定しているんですが、二十二万人でスタートしましたので、これを半減ということになりますと、十一万人にしなければいけないということになります。この最終目標の十一万人に対しまして、現時点では若干まだ距離があるなという状況にあるというのが現在までの進捗状況でございます。

 以上でございます。

矢野委員 今の数字を聞いて、大変しっかりやっておられるなというか、大変失礼な言い方かもしれませんが、やればできるんだなというような感じはしましたけれども。

 とはいえ、大臣のこのごあいさつの中では、要するに、達成期限は残り一年余りで目標の実現に向けた道半ばというような御表現もされておられます。ぞうきんで例えると恐縮ですが、最初は絞ればどっと水が出ますけれども、だんだんかたくなって水も出にくくなるということで、やはりだんだんこれから厳しくなるのかなと思ったりもしますが、そのあたりの推進状況といいますか、具体的な達成方法といいますか、その辺の御所見を大臣の方から承れればと思います。

鳩山国務大臣 不法滞在の中に不法残留と密航者と、これは推定値なんでしょうけれども、これがあるということは今御説明したとおりでございます。

 この不法滞在の問題は、一つは、外国人犯罪の問題につながっていくからこれはきちんとしなければならないということ、それからもう一つは、例えば、武藤先生から御質問があるかと思って用意はしておったんですが、研修生や技能実習生、この受け入れについてはさまざまな需要についてのお話もあるわけですね。これを労働力と見るか技術の移転と見るかという難しい問題はありますが。

 ただ、これをふやそうとした場合に、研修生、技能実習生が不法滞在になってしまった例がやはりあるわけですね。だから、優秀なしっかりとした人をなるべく多く入れようと思っても、この不法滞在、不法残留を解決しないとなかなか前に進めないという、何か足かせになっているようなイメージがあるわけでございます。

 半減という目標については、強力に進めていく以外にないというふうに思っております。今も御説明はしたかと思いますが、今度、指紋と顔写真のがありますね。そのことの例を説明している間で私ちょっといろいろ言い過ぎたのかもしれませんが。どうも、例えば五万人ぐらい退去強制させると、七、八千人はまた入ってきているらしいんですね、今までの例として、一三%とか。これをやりますと、それを防げるわけですね。日本で、お帰りくださいというときに指紋をとっておけばリピーターにならないわけですから、かなり効果があるのではないかというふうに思っております。

 今までは、大体首都圏中心に一どきに百人ぐらいの固まりで不法滞在者が住んでおられるというような例が多かったようですが、最近は小口、地方分散化という傾向がありますから、効率的な摘発がなかなか困難になっておりますので、余計警察等の関係機関と連携を密接にして、丹念に地方、隅々まで摘発をしなければいけないんだろう、そんなふうに思っております。

 また、円滑な送還のためには、収容施設が手狭という状況もありますから、大阪、名古屋、東京等の庁舎は新しくふやしていこう、新営していこうというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、法務省は全力を尽くしますが、水際対策とか摘発あるいは送還ということを全部やらなければなりませんから、警察庁、厚生労働省、外務省等と緊密に連絡をとって、何とか目標達成に頑張っていきたいと思っておりますが、道半ばであることは正直認めます。

矢野委員 大臣、ありがとうございます。

 今、大臣からいみじくもお言葉がございました上陸審査の関係のことについてちょっとお尋ねします。

 来年、我が国はサミットを控えておりまして、やはりますますそういう入国審査関係は厳しくしなければならないと思うのでございます。大臣のこのごあいさつの中にも、来月の二十日からですか、上陸審査を開始するということが触れられておりますけれども、具体的にどこの施設からどのような方法で開始するのかということを、改めて整備状況を教えていただきたいと思うんです。これは、河井副大臣、お願いいたします。

河井副大臣 矢野隆司先生には、この新しい個人識別情報の活用に御関心を抱いていただきまして、ありがとうございます。

 来月、十一月の二十日から始まりますので、もうあと三週間少しになってまいりました。外国人に対しまして、基本的には、両方の人さし指の指紋それから顔写真の提供が日本に入る際に義務づけられます。これと、先ほど大臣もお答えいたしましたとおり、過去に退去強制をされた者の情報と照合することによりまして、他人に成り済まし、あるいは偽変造旅券を使って再び入国を図ろうとする者の入国を確実に阻止することが期待されておりまして、先生御指摘のとおり、不法滞在者半減目標の達成にも役立つものだと考えております。

 現在の準備状況でございますけれども、各地方入国管理局等への関連機器の導入が始まっておりまして、もう間もなく、来月初めまでには、もうすぐでありますが、設置を終了する予定になっておりまして、また職員にもしっかりと習熟をしてもらわなくちゃいけないということで、本格運用に向けた研修を十月の九日から順次実施中であります。また、日本に入ってきていただく方々への周知広報、協力の広報活動も積極的に行わなくちゃいけないということで、八月の末には国際線運航航空会社への説明会を実施し、また九月には在日外国公館への説明会を実施しております。そして、大体日本に入る人の六割以上を占めると言われております中国、香港、それから韓国、そして台湾、それぞれの現地におきまして、海外での政府機関、旅行会社、マスコミに対する説明会を実施済みでございまして、円滑に始まる準備を今懸命にやっている状況でございます。

矢野委員 ありがとうございます。

 大変心強く思います。ちょっとここで通告にない質問ですが、一問だけ関連して。

 顔写真もともに撮るというふうに聞いております。これは、いわゆるバイオメトリックスといいますか生体認証の関係で、瞳といいますか虹彩も記録するようなことはないと思うんですが、その辺をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。

稲見政府参考人 ちょうだいいたします生体情報は指紋と顔認識情報でございまして、いわゆる写真でございまして、虹彩は対象に入っておりません。

矢野委員 ありがとうございます。

 続いて、やはり入国関係の質問になるんですが、そういう不法に滞在、残留といいますか、オーバーしたというような人を収容する施設が国内に三カ所ぐらいあると思います。私は吹田というところに住んでおりまして、隣に茨木という町がございます。そこに入国管理関係の施設がございまして、今月、そこの収容者がいわゆるハンガーストライキをしたというようなことがあったそうで、新聞に大きく出ておりました。

 例えば、食べ物に異物が入るということは、我々も時々というか、めったにない人もいるかもしれませんが、私は二、三回大きな虫が入っていたことがありますけれども、あることはあると思うんですが、ハンガーストライキにまではなかなかならないのかなと思うんです。新聞でおもしろおかしく書かれていたようなこともありますので、この際、経緯といいますか、それと再発防止みたいなものがあるなら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

稲見政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのハンガーストライキでございますが、これは、十月の八日の夕食時、私どもの西日本管理センター収容中の被収容者一人から処遇を担当しております入国警備官に対しまして、給食の御飯の中に虫が混入している、それで給食を交換してほしいという申し出があったことに端を発しております。

 この異物でございますが、これは後でいわゆる米粒大の野菜のかけらだということが判明しております。

 西日本センターでございますが、実は、本年度四月以降でございますが、給食に異物が入っているというクレームが被収容者の方からこの十月までに三十件以上出ておりました。これを受けまして、センターの方では、給食業者の方にも指導いたしまして、再発防止策といたしまして、給食を各被収容者に渡すときに、もちろん警備官立ち会いでございますが、給食業者が食器のふたをあける、御飯とおかずになっているんですが、二つございますが、あけて、被収容者に異物の混入がないということを確認させた上で渡すというような対応をこの十月一日から実施していたやさきでございます。

 この件も、対応した警備官、そういうぐあいに異物が混入していないということを確認した後のことであったこと、それからもう一つ、この被収容者からクレームが出たのが食事を渡した後の三十分後であったというようなことから、交換の要求にこたえなかったということでございます。この状況を見ておりましたほかの収容者が、同調いたしまして、翌日の朝食からハンガーストライキに入った、全員で約三十名ほどがハンガーストライキに入ったという事実でございます。

 その後、どうなったかといいますと、私どもの職員が、給食業者に対してさらに衛生管理を徹底するよう指導するというようなことを説明いたしまして、さらに、その翌日の昼食から全員が正常な状況、ハンストをやめて食事をとるという状況に戻っております。

 西日本センター、先ほども言いましたように、これまでの異物混入のクレームに対しまして、さまざまな対応策をやってきたんですが、十分ではなかったということでございます。もちろん、その被収容者に対する給食の給与というのは、健康管理の観点から当然適正にやらなければいけないというものでございます。

 今回の件を受けまして、まず、本省入国管理局から、すべての私どもの収容施設に対しまして、異物混入防止対策の強化というのをまず指示いたしました。さらに、本省にプロジェクトチームを設けまして、西日本センターだけではなくて、すべての私どもの被収容施設におけます異物混入事案の実態調査というものに着手しております。

 今後、その異物混入の原因の究明あるいは改善策の検討というふうなものを行いまして、異物混入の根絶を図ってまいる所存でございます。

 以上でございます。

矢野委員 新聞は、発生したことは大きく書きますけれども、その後どういう手当てをしたかということはなかなか書いてくれないものですから、今、懇切丁寧に御説明いただいて、安心された方も多いと思いますし、私も安心した次第でございます。

 次に、国籍関係の質問に移りたいと思います。

 かつて、党の部会で、無国籍といいますか、国家承認をしていないパレスチナ人の御夫妻が日本で子供を出産した場合、いわゆる国籍法の関係で、無国籍者の子供となって日本国籍が申請すれば与えられるという、両親ともパレスチナ人であるにもかかわらず、子供さんが日本人になるという仕組みが果たしていいのかどうかというようないろいろ議論がございました。

 その後、法務省と外務省さんとで大変よく御検討いただき、外国人登録法上はパレスチナ籍を認めるといいますか、そういう措置をするということで、先般、新聞にも報道されておったということで、御決断といいますか、措置に評価といいますか敬意を表したいと思いますけれども、かねて、私が一つだけこだわっておる問題がございます。

 それは、また別の問題でございますけれども、外国の元首までされた方、実はこの人は重国籍者、日本人と外国籍と両方持っておったということですけれども、その方が日本の国政選挙に立候補をされた経緯がございます。

 立候補できたんですから、当選すれば日本の国会議員になっておられたのかもわかりませんけれども、一方で、二重国籍者が外国の公職についたとすれば、日本の法務大臣は日本国籍の喪失を宣告できるという国籍法の仕組みがございます。ならば、この仕組みの中で、私は、今最初に申し上げた人物の場合、なぜ元首になった時点で国籍喪失の宣告がされなかったのか、国籍選択という問題も絡めて教えていただきたいと思います。

倉吉政府参考人 特定の個人を想定してということになりますと、プライバシーにかかわりますので差し控えさせていただきたいと思いますが、あくまでも一般論として申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、国籍法十六条二項という規定がございまして、委員はもう既に御承知のとおりと思いますが、簡単にその条文を申し上げますと、日本の国籍を選択する旨の宣言をしたものの外国の国籍を失っていない重国籍者が自己の志望によりその外国の公務員の職に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認められるときは、法務大臣は、その者に対し日本国籍の喪失の宣告をすることができる、こう定められておりまして、つまり、日本の国籍を選択する旨の宣言をしたということが、この規定の適用の前提になっております。

 さて、この規定は、国籍の選択に関する規定等とあわせまして、昭和五十九年の国籍法の改正により設けられたものですが、それまでは国籍の選択義務が課されていなかった、そういう改正法施行前の重国籍者については、この改正法に附則の三条というのがございまして、みずから国籍の選択をしない場合には、所定の期限が到来したときに日本国籍の選択の宣言をしたものとみなされる、こういうふうにされております。

 また話がもとに戻りますが、そうしますと、このような改正法施行時における重国籍者は、日本国籍の選択の宣告をしたものとみなされたということになるわけでありまして、自己の自発的な意思により選択の宣言をしたものではない、こういうことになります。

 そうしますと、先ほど申し上げました、国籍法十六条二項の適用の前提を欠くということになりまして、外国の公務員の職に就任した場合でも、その人に対して日本国籍の喪失宣告をすることはできないというふうに解釈されております。

矢野委員 大変ややこしくて、何回聞いてもよくわからないんですけれども、例えば、六十年一月一日というのが改正国籍法の一つの線引きといいますか、これをまたぐかまたがないかというのが一つあると思うんですが、では、改正国籍法が施行された後に重国籍者となって、かつ、外国の元首に就任された場合、日本の法務大臣は国籍喪失の宣告ができるのかどうか、教えてください。

倉吉政府参考人 それでは、先ほどの改正国籍法が施行された後はどうか、こういう御質問だと思います。

 この点につきましては、国籍の喪失を宣告するか否かということについては、もちろんこの十六条二項の規定に基づいて判断するということになるわけですが、先ほど申し上げました要件の中の最後の要件でございます。その者が外国の公務員に就任するということが、日本の国籍を選択した趣旨に著しく反することになるかどうか、これをあとは個別具体的な事案に即して判断するしかない、こういうことになろうかと思います。

矢野委員 大変悩ましい問題だと思います。

 この方のことばかり言うのもなんですけれども、恐らくこの方は、平成十二年に日本に亡命といいますか来られて、そして、これは野党のある先生の質問主意書ですけれども、平成十二年の十二月になって、これは政府の答弁ですが、「法的問題の整理の一環として日本国籍の有無の確認作業を行った結果、日本国籍を有していることを確認したものである。」と書いていますから、この時点で、私は日本国籍があったということが確認できたと。

 では、ずっと昭和六十年一月一日を遡及して、例えば、自分が日本人であるという意識が全くなく、それで日系であるということで日本に入ってきた、ずっと調べてもらったら、あるいは日本政府が調べたら、戸籍があった、国籍があったという場合に、今の局長がおっしゃったさまざまな条文、条項が当てはまるのかどうか、私はちょっと疑問に感じます。

 なぜならば、この方は、平成四年には国賓として日本に来日をされたり、その後も何度も日本に非公式ながら外国の元首として来日されたりしておる経緯もあるわけですから、そこで、あるときはペルーの、ペルーとは言っちゃいけませんけれども外国の元首、あるときは日本人ですという使い分けをしながら政治活動で太平洋を行ったり来たりしているというのもいかがなものかなというのを私は日本人として純粋に疑問に感じるということをちょっとここで申し上げたいと思います。

 何もこれ以上の質問はしていませんから、局長、もし何かありましたら。

 はい、わかりました。では、余り時間がありませんので、最高裁とかいろいろ来ていただいているんですが、一つだけになるかなと思いますけれども。

 実は最近、処遇施設の関係者が本をいろいろ出したりしております。どの本を出してどういう人が書いているかと言うと宣伝になりますから、私は言いませんけれども、その書の中で、死刑囚、死刑確定者というか、もう既に処罰を受けた方、その方のイニシャルを出して、その方がどういう犯罪事実でそういう刑になったかということが、ちょっと調べればわかるような表現で書かれている本があります。

 先般も、少年事件に関して、精神鑑定医のもとから調書や鑑定書が流出する事案もございました。そちらの方は現在捜査中でございましょうから、そのことについて私は伺いません。特定のそういう死刑確定囚の房の様子、いわゆるプライバシーの部分に属すると思うんですが、そういったものを、処罰された後に第三者に公にするということを処遇関係者が行っておる。

 これは、私は、死刑確定の方々といいますか、死刑確定囚の心情の安定に果たして寄与しているのかなと。例えば、私がそういう立場の人間であれば、私がもし何か処罰を受けた後に、ふだん接しているこの刑務官が何か本を書くんじゃないか、そう思えば、おちおちふだん使いの生活もできないと思います。

 そういう中で、わけても、公務員という立場もありましょうし、特に秘すべき内容も多々取り扱うであろう刑務官が、まあ刑務官と職業を決めちゃいけませんけれども、処遇関係者が、そういった職務上知り得た事柄を本人の了解なしに発表する、第三者に知らしめるというようなことについて、担当部局、どういうふうに考えておられるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

梶木政府参考人 刑事施設の職員が職務上知り得た特定の被収容者の生活状況等について、これを著作物に掲載するということは、これが仮に退職した後であっても、その内容いかんによりまして、国家公務員法上の守秘義務違反が問題となる場合が想定されるというふうに思います。また、当該被収容者のプライバシーの保護という観点から好ましくない、あるいは適当でないという場合があろうかというふうに考えております。

 委員が御指摘の死刑確定者につきましては、とりわけ、来るべき死刑の執行を待つという極限的な立場におられるわけでございまして、極めて大きな精神的な動揺あるいは苦悩のうちにあることが想像されるわけでございます。

 刑事施設におきましては、死刑確定者が心情の安定を得られるようにということを最大の眼目として処遇に心がけておるわけでございますが、この死刑確定者の心情の安定と申しますのは、立場こそ違え、その処遇に当たる職員とそして死刑確定者の間に信頼関係というものがそれなりに成立するということが非常に大事であろうと考えております。その意味で、委員が御指摘のような事柄はまさにこの信頼関係に傷をつけることであろう、そういうふうに考えております。

矢野委員 ありがとうございます。

 そういう局長のお気持ちがどれだけの刑務官に伝わるか、期待をしたいと思います。

 まだ、もうあと一、二分あるようですので、最高裁判所からせっかくお越しですから、ちょっと裁判員制度について最後に伺いたいと思います。

 裁判員制度、先日も私、大阪にキワニスクラブというクラブがありまして、そこで三浦大阪地検検事正が裁判員制度の講演、説明をみずからされておられたということで大変感心をいたしました。

 一方で、先週でしたか、テレビドラマをやっておりまして、裁判員制度が試験導入された、裁判員が殺されて、裁判員が総入れかえになって、危険防止のために裁判員が全員ホテルに缶詰になってという大変荒唐無稽な内容のテレビドラマをやっておりました。広報活動をあれだけ最高裁、法務省がやっておられて、あの程度のテレビドラマというと失礼かもしれませんけれども、およそ想定外の想定外のようなドラマができるというのもどうかなと私は個人的には思っておるんです。

 そういう意味で、これからの広報体制の強化充実というのをさらにやっていただかなきゃいけないと思うんですけれども、その点について一つ。

 それで、もし語っていただけるのであれば、例えば、平成十八年で見ますと、各都道府県の有権者数と事件数の割合から調べますと、東京、千葉等を抜いて、私の地元といいますか大阪がトップで、二百五人のうち一人は裁判員候補者になるという数字がございます。ですから、裁判員候補になるかどうかという濃淡の出る地域もあるわけですから、そこにやはり重点的に何か広報をするとかしないとか、そういったことも含めて、ちょっと最後にお話しいただければと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のテレビドラマは、委員御指摘のとおり、想定外のようなお話だと思いますが、裁判所といたしましては、法務省や日弁連とよく連携して、また協力しながら、裁判員制度の意義や内容を周知するとともに、制度に対する国民の皆様の不安とか疑問を一つ一つ解消して、参加意欲の向上を図るために、裁判員裁判の審理それから裁判員の役割、運用等の具体的イメージを伝える広報活動に努めてまいりましたけれども、制度施行まで約一年半となったことを踏まえまして、さまざまな機会をとらえまして、さらに積極的に広報活動を展開していきたいと考えております。

 また、やはりその土地その土地の有権者の方々の数と、それからその土地土地に生じている裁判対象事件の数との関係で、裁判員候補者あるいは裁判員になられる方の割合というものがちょっと食い違うというところはどうしても出てまいりますけれども、幅広くいろいろな方に参加していただくということですので、どこかに重点的ということではなくて、全般的に押しなべて丁寧に広報活動をしてまいりたいと思っております。

矢野委員 ありがとうございました。終わります。

下村委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 鳩山大臣、御就任おめでとうございます。今、福田内閣で最もその発言が注目されている大臣なんだ、こう思っておりまして、ますます頑張っていただきたいと思います。ただし、発言には慎重な面もよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、まず裁判員制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 二〇〇九年五月までに実施されます裁判員制度でございますが、この裁判員制度を導入することによりまして、審理のあり方が変わっていくということが学者あるいは裁判官から言われております。従来の刑事裁判については、精密司法と評している。それは、被疑者の取り調べを中心とする徹底した捜査と、これを前提とする緻密な公判審理を特徴とするものであるわけでございます。

 これにつきまして、東大の名誉教授は、平野龍一教授、お亡くなりになりましたが、この裁判員制度導入の決まる以前に参審制の採用を提案して、核心司法へ転換を呼びかけておられます。その論文を引用いたします。

 現在のように、記録を自宅に持ち帰って読むというようなことはできなくなるであろう。公判廷での朗読だけから心証をとるようにするほかはない。そのためには捜査記録も、要を得た、そして事件の核心を突いた短いものにする必要があるであろう。それは、ひいては、取調べのやり方、身柄拘束の長さにも影響を及ぼすかもしれない。また公判での証人尋問、反対尋問も、精密なものではなく、核心的なものになるかもしれない。それは「ラフ・ジャスティス」ではない。あえていうならば「核心司法」である。

こういう平野先生の論文がございます。

 これにつきまして、また、裁判官もいろいろな論文を出されております。虎井寧夫氏、元福岡高裁の部総括判事、今は千葉簡易裁判所判事でありますが、

 いかに精密にできている調書であっても、それが究極的に審理の及びにくい捜査の密室で作られているということには納得いかないものが残ることは私にも理解できるところである。私は、国民の司法参加を得て、職人芸的な調書(書斎)型裁判から、国民の理解しやすい公判中心の裁判に引き戻すことは、その象徴的概念ともいえる直接主義、口頭主義を梃子にして、指摘される我が国の裁判制度の歪みを正すという意味で、それ自体有意義なことと考えている。しかし、刑事裁判のあり方は、被告人の人権、被害者の権利ひいては社会秩序に大きく関わる以上、裁判員制度においても、ラフな裁判が許されるものではなく、とくに有罪か無罪かの肝心な事実認定においては精密さを失ってはならないというのが大方の法曹の考えであろう。

 また、これは龍岡資晃元福岡高裁長官でありますが、

 裁判員に分かりやすい、迅速な審理という観点からは、これまでのような精密司法的審理は極めて困難であろう。いわゆる「核心司法」にシフトすることが必要であり、事件の核心的部分に審理を集中させ、基本的な構成要件事実さえ確実に認定できればよく、犯行の手段方法なども、細部についてまで一々認定できなくても、大まかな認定で足りるとすべき場合が多くなろう。

さらに、

 これまでの「調書裁判」と批判されるような、供述調書主体の証拠調べは相当ではなく、書証については、必要最小限のもの、あるいは証人尋問等を補うようなものに限っていくなど、発想の転換が必要であろう。

こういうように、有力な裁判官が論文を書いておるわけでございます。

 そこで、最高裁に、裁判員制度によって、従来の審理のあり方が、また証拠調べのあり方がどのように変わっていくのかということについて、お考えをお伺いしたいと思います。公判前整理手続に乗って、めり張りのある争点の明確化をしてやるわけであります。そして、そういう中で集中審理を行うわけですね。これは最大何日間ぐらいを予定しているのかもあわせてお伺いしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判員裁判におきましては、法律の専門家でない一般の国民の方々に参加していただきます。そういうことですから、審理に長時間をかけることはできません。そこで、今委員御指摘のとおり、公判前整理手続において争点及び証拠を整理し、証拠調べを効率的に行うための審理計画を立て、その上で、連日的な開廷による集中審理を行うことになります。

 また、一般の国民の方々には、これまでのように証拠書類を詳細に読み込んでいただくというようなことはできませんので、公判廷で、目で見て、耳で聞いて理解することができるようなわかりやすい審理に変えていく必要がございます。

 このように、裁判員制度の導入によりまして、刑事裁判の審理は争点を中心とした迅速でわかりやすいものになって、犯罪事実及び量刑に重要な事実の存否といった事案の核心、先ほど委員も御指摘になられたと思いますが、そうした核心に焦点を当てたものに変わっていくと考えております。

 それで、今私どもが、集中審理をするとどの程度になるだろうかということを見込んでおりますのは、おおよそ二割ぐらいの事件が二日以内で終えられるであろう、それから五割程度のものが三日以内。ですから、三日以内で終えられるものが約七割ぐらいと見込んでおります。あと、五日以内で終われるものは二割ぐらい。ですから、おおよそ九割ぐらいの事件は五日以内で審理が終えられるものと見込んでおります。

大口委員 裁判員、集中審理でございますので、本当にそんなに長い期間を集中しては参加できないわけなんで、この裁判員制度を成功させるには、いかに短期間で充実したものにするかということでございます。

 今、九割が五日以内ということでございますが、五日集中して一般の方が参加するというのは大変だと思うんですね。原則としては三日以内におさめるようにしないと、私は裁判員制度というのは成功しないと思います。そこら辺はよく考えていただきたいと思います。

 そういう中で、今崎幸彦司法研修所教官、判事でございますが、この方が二〇〇五年に、司法研修所において二つの研究会、一つは、特別研究会ということで裁判員制度実務研究というもの、三十二名の地裁の裁判長、高裁陪席、それから刑事実務研究会というもの、これは三十三名で、大体、それにプラス地裁の陪席、この二つの研究会のコーディネーターをやっておられた。そして、共同研究「裁判員制度導入と刑事裁判」ということで、判例タイムズに論文を書かれております。ここに非常に重要なことが書かれているんですね。この実務がこういう方向に行くんだろう、こう思うわけです。そこには、

 任意性が争われた場合については、刑訴規則百九十八条の四の趣旨にのっとって迅速かつ的確に立証してもらう必要があり、そのような立証がされない場合には、これまでのように水掛け論的な証拠調べにいたずらに時間を費やすべきでないという意見が大勢を占めた

こういうことでございます。ですから、水かけ論的な任意性についての議論はもうやらないということですね。そして、

 少なくない数の研究員から、これまでの実務の在りようについて、任意性を比較的緩やかに認めた上で、信用性の観点からの吟味に力点を置いてきた面がないとはいえないという認識を前提に、裁判員制度の下でこのような運用を続けた場合には、裁判員が自白調書で心証をとってしまうおそれもあるから、今後は、任意性のレベルできちんと勝負をつけていく必要があるなどの指摘や、今後は、明らかに被告人の主張が排斥できる場合を除き、客観的な証拠が提示されない場合には、任意性に疑いがあるとして却下する場面が増えていくのではないか

ということで、任意性を厳しく見ていく。そういう点では、検面調書、員面調書は任意性に疑いがあるということで、どんどんこれが却下されていく、こういう事態が予想されるわけでございます。

 この点につきまして、最高裁判所としてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、司法研修所の研究会などにおきまして、参加した裁判官の中から委員御指摘のような意見が述べられたということは、私どもも承知しております。

 しかし、自白の任意性の判断のあり方は、個々の事件における裁判事項でございますので、最高裁の事務当局として、委員御指摘の論文中に引用された意見に対する見解を述べるということは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、現在、任意性の問題を含め、裁判員に時間的な負担をかけることなくわかりやすい刑事裁判を実現する、こういう観点から、全国の裁判所におきまして模擬裁判を繰り返し実施しているところでございまして、今後も、検察庁及び弁護士会と協力しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

大口委員 いずれにしましても、司法研修所、そこで法曹は学ぶわけですね。そこで学んだ人が裁判の現場に出ていき、また検察庁あるいは弁護士、弁護人となるわけでございまして、ここにおける研究の成果というのは、私は、実務に大きな影響を与える、こういうふうに考えておる次第でございます。それに対応した形で我々は考えていかなきゃいけないということでございます。

 ここで、そういう裁判官から、裁判員制度の導入によって、取り調べの可視化ということについて、これをしなきゃいけないという非常に有力な意見が出ておりますので、御紹介したいと思います。

 虎井寧夫氏、これは先ほど引用しましたが、この方が、

 裁判員制度が創設され、審理の劇的な改革、審理期間の短縮の努力が求められている今日、捜査のあり方のみが従来どおりでよいということは考えられない。まして、そのために審理短縮が困難で、国民の代表である裁判員に大変な負担をかける事件があるとすれば、それは許されないことであろう。私は、被告人質問に長時間を費やされ、そのことも手伝って、審理が長期化している事件が数として決して少なくない現状を考えると、取調べの可視化が実現しない限りは、審理期間の大幅な短縮が困難な事件もあると考えている

こういう論文の記述でございます。

 また、龍岡資晃元福岡高裁長官は、

 被告人の供述については、これまで刑訴法三百二十二条、三百二十四条一項による採用に関して、供述の任意性の立証に相当の開廷数を要する事例が少なくなかったことに鑑みると、原則として被告人質問によるべきであろう。任意性の立証については、供述録取過程の可視化の論議を避けて通れないであろう。

こういうふうに論述しております。

 さらに、吉丸眞元札幌高裁長官は、

 公判の証拠調べにおいて、被告人に対する捜査段階の取調べの実態について捜査官の証言と被告人の供述が厳しく対立して水掛け論の様相を呈し、他に確実・有力な間接事実も乏しい場合、裁判員は取調べの実態について具体的・明確な心証をとるのに困難をきたすことが多いと思われる。また、その判断が個々の裁判員の主観に左右され、安定性を欠くおそれがある。このような事態を避けるためには、録音・録画記録制度を導入し、公判で自白の任意性及び信用性が争われたときは、問題の取調べを録取した録音・録画記録を法廷で取り調べ、裁判員が裁判官とともにこれを視聴して、取調べの実態について具体的・明確な心証を形成することができるようにする必要がある。これによって初めて、裁判員が自信をもって誤りなく自白の信用性を判断する体制が確立されるであろう。裁判員制度の実施に当たっては、裁判の素人である裁判員に分かりやすく、心証がとりやすいように証拠調べの方法を工夫する必要があり、これが運用でまかなえないときは、立法上の整備が要請されることになる。録音・録画記録制度の導入は、以上のような観点から立法上の整備が要請される最も重要かつ切実な課題であるといわなければならない。

さらに吉丸氏は、

 裁判員制度の下で、このような広範かつ詳細な証拠調べを行い、例えば三十回、四十回もの公判期日を重ねることは、裁判員に過大な負担を課することになる。このような事態は、できる限りの手段を尽くして避けなければならない。前記のような事件においてこれを避けるためには、録音・録画記録制度を導入して、自白の信用性に関する争点を絞り、広範・詳細な証拠調べを抑止するほかはない。

同じく、

 裁判員制度の下で自白の任意性及び信用性が争われた場合を想定し、その対策として録音・録画記録制度の導入の必要を論じたのであるが、それ以前の問題として、録音・録画記録制度の導入により、自白の任意性が争われる事件が著しく減少することが期待される。

 さらに、大谷剛彦最高裁判所事務総長は、「論座」十月、十一月号の鼎談の中で、

 現実に裁判員裁判の運営ということを考えた場合、自白の任意性は証拠能力の問題で訴訟手続事項ですから、裁判官の判断事項とも考えられますが、任意性の認められる自白調書は事実認定上、非常に重要な意義を持つので、裁判員の方にもその採否について意見を聞くという運用にならざるを得ないでしょう。自白の任意性の立証を裁判員が立ち会う公判廷でこれまでのように延々と続けるということは、裁判員にも耐え難い状況に成るので、検察官のほうで適切な立証方法を考えてもらいたいという強い願いがあります。そのなかで、取調べ状況の録音・録画、これがかなり有効で的確な立証手段として挙げられるということで、私どもとしても強い関心を持ったわけです。

ということで、相当、従来の最高裁の答弁等からして踏み込んだ発言をされております。

 以上のように引用させていただきましたが、裁判官の、有力な裁判官が裁判員裁判との関係で取り調べの可視化を求めている、こういうことについて最高裁判所としてどう考えるか、お伺いしたいと思います。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の論文にも触れられておりますけれども、これまでの刑事裁判におきましては、任意性の立証に長期間を要した事案もございました。

 任意性に関しましては、個々の事件においてどのような立証を行うべきかについては第一義的には立証責任を負う検察官が判断すべき事柄と考えておりますけれども、刑事訴訟規則百九十八条の四では、「検察官は、被告人又は被告人以外の者の供述に関し、その取調べの状況を立証しようとするときは、できる限り、取調べの状況を記録した書面その他の取調べ状況に関する資料を用いるなどして、迅速かつ的確な立証に努めなければならない。」と規定されております。

 こうしたことから、検察庁においても、裁判員裁判を念頭に置いて、検察官による被疑者取り調べのうち相当と判断した部分の録音、録画を試行しているものと承知しておりますけれども、このような取り調べの録音、録画は、任意性に関する有効な立証手段の一つと考えております。

 裁判所といたしましては、裁判員制度の導入までに裁判員にわかりやすい刑事裁判を実現できるよう、検察庁、弁護士会とも協力しながら具体的な検証を進めているところであり、こうした観点から、取り調べの録音、録画に関する今後の運用に強い関心を持って注目しているところでございます。

大口委員 大臣、今、現場の裁判官、しかも有力な裁判官のこういう論文を紹介させていただいたわけでございます。

 最高検も、試案という中で、事案の核心と全体像というものをしっかりとやっていくということで、事案の全容ではなくて、核心的なものに集中して証拠調べ等をやっていこう、こういうことであります。裁判員制度によって、審理のあり方が、またはその証拠調べのあり方がかなり劇的に変わるわけですね。ですから、これは捜査機関としてもやはり公判を維持して、そして正義を実現するために、相当対応を変えていかなきゃいけない、こう思うわけでございますけれども、御意見をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 大口先生と最高裁の専門家同士のやりとりで、とても私どもが入り込める状況ではないかなんと思って今聞いておったわけですが、大変難しい問題が提起されておられたようですね。

 要するに、裁判員裁判というものにするということは、劇的な変化ですから、当然、その裁判のありようが変わるだけでなくて、警察から検察から、取り調べ、証拠、捜索、全部が変化していくんだろうと思います。そして、素人である裁判員の皆さんにわかってもらう、理解してもらう必要が何よりも大事でありますから、さまざまな工夫が要るんだろう、そう思います。

 しかも、私は模擬裁判を見に行きましたけれども、三日間で終えるという案件で、その二日目なんですね。二日目の中間評議なども傍聴させていただいて、そして翌日、量刑まで含めて、有罪、無罪、判決を下すとなると、その後、評議を何回するのかはわかりませんが、十回も二十回もやるわけではない。とすると、その三日間の間に裁判員の皆さんが十分理解できる裁判でなければいけないと思うし、日本の今までの刑事裁判というのは、やはり自白というものに非常に頼ってきたというか、自白というものの重要性が高い裁判のあり方が続いてきたんだろう。それは、その自白の任意性というものがきちんとしていないと裁判員の方々は何とも判断のしようがない、こういう道筋だろうと思っております。

 可視化の問題がしばしば議論になりますが、有効な形での可視化は大いに結構だとは思いますが、では、警察で逮捕されたときから全部可視化かといいますと、幾つかの、またさまざまな問題点が出てくる。やはり、プライバシーに触れるようなことができなくなる、黙秘してしまって何もしゃべらなくなるとか、いろいろなことがあると思いますので、この辺の問題点をどうやってクリアしていくかはこれからも、始まってしまう裁判員制度ですが、大いに研究しなければならないと思っております。

大口委員 今、大臣から重要な御発言がございました。検察庁においても、この裁判員制度の導入に向けてしっかり検討すべきことは山ほどある、本当にそう思っております。

 特に、検察庁として、裁判員制度下において、自白調書の任意性が争われた場合の取り扱いについてどうなのかということをお伺いしたいんです。

 今、今崎幸彦さんの論文の中に、やはり任意性が争われた場合、水かけ論的な証拠調べにはいたずらに時間を費やすべきでない、これが裁判官の大勢だったということですね。そして、任意性のレベルできちんと勝負をつけていく必要がある、そして、明らかに被告人の主張が排斥できる場合を除いて、客観的な証拠が提示されない場合には、任意性に疑いがあるとして却下する場合がふえてくる、こういうことが論文に書いてあるわけですね。

 そういうことを踏まえまして、ちょっとお伺いしたいと思います。

大野政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、検察当局におきましても、裁判員裁判において、自白の任意性の立証というのは大変重要な問題であるというように考えております。

 そこで、まず、既に施行されております公判前整理手続、これを十分に活用していく必要があるだろうというふうに考えております。ここで、従来に比べまして飛躍的に証拠開示が拡充されているわけでありますけれども、そうしたことを通じて、争点を明確化し、迅速かつ的確な公判審理が実現される、これは自白の任意性についても同様でございます。

 したがいまして、検察当局におきましても、まず積極的にこの手続を活用し、その習熟に努めているというように承知しております。

 それから、捜査官は、身柄拘束中の被疑者、被告人の取り調べを行った場合に、取り調べ状況等報告書というものを作成することにしておりまして、これによりまして、取り調べの客観的な状況が明らかにされております。

 さらに、先ほど来御指摘のございました検察当局におきます取り調べ、検察官の取り調べの録音、録画の試行ということがございます。

 この関係につきまして若干申し上げますと、検察当局におきましては、現在、裁判員裁判対象事件につきまして、被告人の自白の任意性を効果的、効率的に立証するのに必要性が認められる事件について、取り調べの機能を損なわない範囲内で相当と判断された部分の録音、録画の試行を行っております。この試行は昨年の七月に開始されまして、当初は東京地検で開始いたしましたけれども、その後、ほかの検察庁に拡大しておりまして、本年九月末までには七十五件に達しているというふうに聞いております。

 こうしたいろいろな取り組みを通じまして、自白の任意性の効果的立証の検討を進めてまいりたい、このように考えております。

大口委員 そういう試行をされて、その中で、ことしの十月十日、東京地方裁判所では、DVDが証拠採用された事件について、全体で十分余りの間、被告人が自白した理由、心境などを簡潔に述べているものを撮影したものにすぎず、自白に転じる経緯を撮影したものではない、検察官の調書の任意性についての有用な証拠として過大視できず、警察官の証言の信用性を支える資料にとどまると判断して、その証拠価値を認めない判断がなされたわけでございます。

 そういうことで、可視化というものについては、部分的なものではなくて、全過程において録音、録画するということをこれから真剣に考えなきゃいけないんじゃないか、こういうことを問題提起しておきます。

 次に、警察庁、今までいろいろ、私と大臣あるいは最高裁とのやりとり、検察庁のやりとりを聞いておられたと思います。そういうことで、警察庁として、取り調べの録音、録画をするつもりがないのか。それから、警察庁は、取り調べの可視化が実現している諸外国の調査を実施している、こういうふうに聞いておりますけれども、その調査を実施した結果、どのように受けとめているのかということをお伺いしたいと思います。

 とにかく、任意性を却下、否定されて、員面調書、せっかく警察が調べたものが証拠として採用されないということがこれから頻繁に出てくる可能性があるわけですから、しっかりここは警察庁、お考えをお伺いしたいと思います。

米田政府参考人 裁判員裁判の実施もだんだん迫ってきておりまして、警察といたしましても、いわば法律の専門家でない、一般国民の方にわかりやすい立証という点で、本年の八月にも犯罪捜査規範を改正いたしまして、供述調書の作成をわかりやすくするとか、あるいは、任意性は、被疑者に供述調書を単に読み聞かせるだけでなくて、閲覧してもらって、そして、すべてのページに指印を押すとか、さまざまな取り組みは進めております。

 そういう中で、検察庁が録音、録画の試行をされているということでございますが、これは先ほど法務省の刑事局長からも御答弁がありましたように、そういう公判廷で供述の信用性が争われるであろうというような見込みのあるような事件で、そして、取り調べの機能を損なわない範囲で、有効な場面というか、必要な場面ということなんでしょうが、そういう三つの要件で行われているわけでございます。

 警察の捜査につきましては、それが一番最初の段階でございますので、なかなか事件の全体像も見えない、捜査の道筋もそれからいろいろ変わっていくという中でのことでございますので、これはやはり、検察と同じようなことを今すぐせよということはなかなか難しい面があろうかと思います。

 ただ、司法制度改革の中で、やはりわかりやすい立証が重要であるということは私どもも認識しておりまして、このたび、十月四日からでございますが、刑事手続の在り方等に関する協議会、いわゆる法曹三者協議会、これに私ども参加をいたしまして、新たな時代における捜査手続のあり方について議論をしていくということにしております。

 検察の試行の結果も見守りつつ、そういう議論を深めてまいりたいと思っております。

大口委員 本当に警察庁はよく考えてください。警察段階で否認して、また自白してというような調書は使えるのかどうか、こういう問題なんですから、しっかり検討してみてください。

 それから、冤罪事件についてちょっとお伺いしたいと思います。

 氷見事件あるいは志布志事件がございました。これは大変ゆゆしき問題でございます。最高検察庁は、平成十九年八月に、これにつきまして、いわゆる氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点等についての報告書を出しました。これは、いまだかつてないことで、やはり最高検察庁、そのことについて、これからしっかりこういうことがないようにしていこうということ、踏み込みは不十分であったけれども報告書を出されたということでございます。

 そこで、警察庁において、例えば本年五月、漆間巌警察庁長官が全国刑事部長会議において、このことについて訓示をしたり、あるいは通達を全国の警察本部に出したと聞いておりますけれども、警察庁にお伺いするのは、このような訓示や通達だけではなく、例えば最高検察庁が行ったような、両事件の捜査のあり方を検証し、報告書を作成すべきではないか、その場合、最高検ではなされなかった、外部の有識者等を入れて徹底的な検証を行うべきではないか、このことを私は警察庁に考えをお伺いしたいと思います。

 こういうことを二度と起こさないためには、これぐらいやらなきゃだめですよ。そのことをお伺いしたいと思います。

米田政府参考人 確かに委員の御指摘のように、これはやはり二度と起こしてはならないということでございます。

 それで、最高検の検証結果というのがことしの八月に出されまして、数カ月間の綿密な検証を経て出されたと思いますが、警察庁の最大の問題関心は、あの二つの判決を受けまして、ともかく緊急に、警察は大きな組織でございますので、これを全国に徹底して、二度と起こさないように緊急の対策を講じるということでございます。

 そこで、もちろんあの判決の内容は精査し、分析をいたしまして、そして、先ほど御指摘がありました緊急通達を出し、そして、全国に刑事局の幹部を派遣して、それでその施策を徹底してまいったということでございます。

 現在まで、そういうように緊急の対策の浸透を図るというところが今の段階でございます。今後、さらに強力な対策をとっていかなければならないと考えておりまして、当然、その過程で、さらに突っ込んだ検証もしなければならないというように考えております。

大口委員 必ず報告書を出すということだけ言ってください。

米田政府参考人 そういう検証の結果ということで、まとめて報告書を出すかどうかということにつきましては、現在のところ、これはちょっとお答えはできません。

 ただ、一生懸命検証してまいりたいと思っております。

大口委員 以上で終わります。

下村委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。

 久しぶりに法務委員会に戻ってまいりまして、最初の質問でございます。

 大臣に冒頭お願いをしておきます。ここのところの質疑を承っておりますと、大変教養の深いところをお示しいただいておりまして、若干答弁が長いんじゃないかというふうに感じておりますので、私のレベルに合わせて、わかりやすく、端的にお答えをいただきたいとお願い申し上げておきます。

 では、まず冒頭、大臣のここのところの発言につきまして、幾つか伺いたいと思います。

 まず最初は、十月の九日火曜日の閣議後の記者会見の御発言であります。

 大臣が、政治団体陸山会所有の不動産について、今後精査し、追及していかなければならないという旨の御発言をされました。これは、法務大臣として検察にそのような指示をされるということを意味していらっしゃるのかどうか、明確にお答えいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 そういう意味ではございません。

 私の問題意識は、政治資金というものは政治に必要なので、浄財を集めてこれを正しく使うということで、今、使う方については領収書等いろいろと議論が進んでいるわけですが、当然、入りの方もこれからいろいろと制度を変えていかなくちゃならないだろうと。

 不動産がここまでたまるというのは、それだけの政治資金が集まりながら使っていなくて、不動産になっている。それをしかも運用して、益が出ているということであるならば、追及というのは、政界としてみんなで、これはきちんと追及していくというのかな、検察とかという意味では全くありません、政界として、あるいは党として、そういうような意味でございます。

加藤(公)委員 政治資金規正法のあり方を議論するということであれば、そのように日本語を使っていただいた方がよろしいかと思いますので、その点だけ御指摘をしておきたいと思います。

 続いて、直近の話であります。十月の二十九日月曜日の外国特派員協会における大臣の御発言です。

 私の友人の友人がアルカイダなんです、こういう御発言をされました。その後、幾つかまたこれに関連してお話をされているようでありますので、若干情報がふくそうしておりますから、この場をおかりして整理したいと思います。

 まず、鳩山法務大臣のお友達のお友達はアルカイダのメンバーでいらっしゃるんですか。本当なのかうそなのか、正確にお答えいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 私はアルカイダの定義はわかりませんが、少なくともアルカイダと極めて関係の深い過激派の幹部であり、アルカイダに対して資金や情報を提供しているぐらいの関係の方であります。

加藤(公)委員 アルカイダのメンバーかどうかはわからないけれども、少なくともテロ組織の支援をしている可能性が極めて高い人物……(鳩山国務大臣「幹部」と呼ぶ)幹部だ、こういう認識だというふうに理解いたします。

 では、もう一点伺います。

 その友人の友人という方はいろいろなパスポートで日本に入国をしてきておった、二年、三年前何度か日本に来ていた、こういうお話がありましたが、これは確かでいらっしゃいますか。

鳩山国務大臣 私は、彼が日本に何回も入国をしているということは、入管から聞いたのではありません。現実に彼と会った人間が、何回も来ているということを言うものですから、ああ、そういう人物がどうして入国できるんだろうかといって、当時の入管を呼びました。

 何回も何回も、そういうアルカイダのメンバーと言ってもいいぐらいの関係の深い人間がなぜ入国できるんだと言いましたら、それは、パスポートの偽造だとか、変装とかあれば、とても膨大な量の中からそれらを選別して見つけるというのは難しいと言うから、そんないいかげんな入管でいいのかと厳しくしかった記憶がございます。

加藤(公)委員 今の大臣のお話でありますと、そのお友達のお友達という方は、かなりの確率で我が国の出入国管理法違反を犯している、法に触れた状態で日本に入ってきているということが推察されます。それは、大臣もおわかりのことと思います。だからこそ、入管当局をお呼びになったんだと思います。

 刑事訴訟法では、国家公務員は法に触れるという事実を認めたときにはそれを告発しなければならない。これは、一般人とは違います、国家公務員は告発の義務を負っています。私の知る限り、この法律では、大臣であっても国会議員であってもこの義務はかかると考えております。告発されましたでしょうか。

鳩山国務大臣 してはおりません。

 実は、友人の立場というのもあるかと思いますが、したがって、大っぴらに発言できることではないと思いましたが、衝撃的な話を聞いたものでありますから、今から五年近く前です、前に申し上げたようなことですが。私は、警察にも入管にも防衛庁にも、公安調査庁に言ったかどうかはよく覚えておりませんが、かなり厳しく言いました。言っていろいろと、こういう手がかりできちんと調査できないのか、危ないじゃないかと。

 ただ、友人の立場とか友人の身の安全というものは少々気になりましたが、私はテロに関係することでございますから真剣に訴えましたが、各政府機関すべて動きが極めて鈍かったと記憶しております。

加藤(公)委員 今のお話ですと、重大な事実は認識をしたが、告発はしなかったと。この段階で、刑事訴訟法の二百三十九条には触れていらっしゃると私は思います。

 それに加えて、政府の各当局に調査を依頼したけれども全く動かなかった、こういうお話を今おっしゃいました。(鳩山国務大臣「返答がなかった」と呼ぶ)返答がなかったというのは、実際動いていないということだと思います。

 本当に、それだけアルカイダに近いと考えられる人物が日本に何度も入国をしているという情報をお持ちでありながら、政府各部局当局が本当に調査をしなかったというのであれば、これは大変ゆゆしき事態であります。

 もう一度伺います。どこに調査を依頼して、どういう返事があったのかなかったのか、もう一回明確にお答えください。

鳩山国務大臣 二段階に分かれるんです。

 つまり、バリ島中心部、クタでしょうか、ディスコでしょうか、爆発が何カ所か起きて大変多くの犠牲者が出た忌まわしい事件がありました。その数カ月後に私がバリ島に参りましたときに、私は友人から、実は事前に、時期は示されていないが、バリ島の中心部で事件が起きる可能性が強いから中心部に近づかないようにという話があったんだと。

 彼は、彼はというのはその過激派の人は、かつては一緒に事業をやっておったが、アンボン島というところはクリスチャンとイスラム教徒の殺し合いが非常に激しくて、身内あるいは仲間が命を落とすようなことがあって、いわゆるイスラムの過激派の方に走っていって、パキスタン等にいるのか、連絡がつかなくなっていると。その連絡がつかなくなっている人間から久しぶりに連絡があって、バリ島のクタの中心部に近づかない方がいいという話を受けて、本当にそういうことがあるのかなと思っておったら実際事件が起きた、こういうふうに話を聞いたわけであります。

 その段階で私も、古いことですから、また友人の身の安全も考えたものですから、日本に帰っていろいろな方面に話をしたと思います。マスコミにも随分話をしました。どういうふうにやったらいいのだろうねとマスコミの方にも相談をしました。ですが、なかなか取り合ってくれないというのが実態だったと思います。

 まだ整理していないのですが、それから二年とかそういう月日がたって、その過激派の男が日本に二回も三回も来ているということを聞いたわけでありまして、その段階でまた各方面にお話ししましたし、特にそのときは入管に、どうしてそういうのが入ってきてしまうんだということを厳しく言った記憶がございます。

加藤(公)委員 入管のどなたにどんなお話をされましたですか。

鳩山国務大臣 それは、私の記憶にはありません。事務所で調べて、当時の名刺等が残っておれば明らかになると思います。

加藤(公)委員 今の大臣の御答弁ですと、今まで御発言になっていた以上に、時間軸も含めて、すべて事実だとすれば、事実関係が明らかになってまいりました。聞けば聞くほど、極めて重大な情報だと思います。場合によっては、アルカイダにつながるテロ組織あるいはテロ支援者、しかも、その組織の幹部たる人物を特定して、身柄を拘束することもできるかもしれないほどの極めて大きな情報であります。それを本当に当時法務省の入管当局が当時の鳩山議員から聞き及んで何も動かなかったとしたら、これは、当時の政府は大変な責任問題だと思います。だからこそ、私は正確に教えていただきたいということを申し上げております。

 だれにどういう話をされたのか、もう一度伺います。

鳩山国務大臣 それは、事務所へ行って、その記録が残っているかどうかわかりませんが、基本的な意識は同じなんです。私は、外国人特派員協会でも、指紋の件は不要なのではないかという質問に対して答えて、やはりテロとの闘いが現実の脅威としてある以上は、これは徹底してやる、アメリカや各国際機関で情報を持っているところと連携をして防がなければならない、日本の国を守らなくちゃいけない、世界を守らなければならないと。

 私は、正直言って、当時、それは、本当に申しわけないけれども、申しにくいけれども、友人との関係があるでしょう、日本人なんですが、その彼の身の安全とかそういうことを正直言って考えました。どこまで言っていいのかわからない、しかし、事柄は重大だと思いました。まさに、テロとの闘いというのは最も重要ですから。だから、私はいろいろなところに真剣に話しているんですよ、何とか調査する方法はないか。しかし、わからない、わからないというのがほとんどの答えでした。

加藤(公)委員 今のわからない、わからないという答えがあったということでありますが、それはどなたがおっしゃったことでありますか。

鳩山国務大臣 少なくとも、私が記憶を頼りに申し上げれば、防衛省には話しました。それは、私は事態特の委員長を、そのときにやっていたか、その後やったかわかりませんが、やはり武力攻撃事態とテロというのは非常に密接不可分ですから、話しました。それから、警察にも話しました。ただ、いつ、何月何日にだれに話したかという記録は、今ここでお示しすることはできないし、記録が残っているかどうかわかりません。いろいろな方に話しました。それで、返事がないか、わからないか。

 実は、はっきり申し上げますが、アルカイダの周辺居住者なのか本体なのかわかりませんが、過激派に走った人は、我々、昆虫の世界では極めて有名な方であります。私は見たことも会ったこともありませんが、少なくとも十五年ぐらい前から名前は聞いていました、すごい標本商がいるんだということを。その彼が身内を殺されたか何かして過激派に走っていくというプロセスがあったわけですね。

 だから、そういう状況の中で、その人間がわかりますかと言って、調べても、そういう人間が出てこないという返事があったような気もします。つまり、テロリスト一覧みたいなものに入っていないという返事があったような記憶があります。

加藤(公)委員 いいですか、整理をしますが、大臣のお友達である日本人の方、そのさらにお友達の方が、今焦点になっているアルカイダもしくはその極めて近いところにいらっしゃる、しかも幹部とおぼしき方だ、こういう話です。その方が昆虫に詳しいかどうか私は存じ上げませんが、間一人、お友達の方は、相当な情報を鳩山大臣以上にお持ちのはずであります。その方の身の安全を守ることはもっともですし、極めて重要なことでありますが、その身の安全を確保しつつも、その先にあるテロ組織の情報をその方から聴取する、その情報を得るということは、これは国家として極めて重要な仕事のはずであります。それが当時なされていなかったというのは、政府が怠慢だったのか、それとも鳩山さんがそれをきちんと当局に伝えなかったのか、どちらかしかないわけであります、今。

 仮に、今、事務所に帰ればわかるかもしれないとおっしゃったのであれば、いつ、だれに、どんな話をしたのか、御自身でその情報を整理していただくのと同時に、お話をされたのであれば、各省庁必ずその情報は残っている話でありますから、その記録をすべて提出していただきたいと思います。いかがですか。

鳩山国務大臣 私が議員会館ですべて来ていただいて話をしたことばかりだったと思います。それは、友人の関係がありますから、むやみやたらとありとあらゆるところに声をかけたというわけではございませんが、先ほど申し上げたようなところには、わからないか、こういうような話で、友人に迷惑をかけてはならないが、危険人物の存在がわからないかということを問いただしたのは事実でございます。

 ただ、しつこいようですが、五年前にクタで事件が起きて、そしてその何カ月後かに私がその話を聞いて、えらいショックを受けて、こういう人物、有名な人間ですから、名前は有名なんですけれども、こういう人物は危険人物に入っていますかというようなことはいろいろなところに言いましたが、入っていないとかわからぬということであった。

 それと、その二年後ぐらいに、その人物が日本国内を歩いておる、三回は入国しているんじゃないかという話を聞いたものですから、今度は入管に徹底して調べるように言ったわけですが、どうして何回も入れるんだということを問いただしたら、毎回いろいろなパスポートで入ってくるとしたら、手の打ちようがなくて調べるのはなかなか大変なんですよという返事であって、そんな無責任なことで国を守れるかというふうに言ったのを覚えております。

 なお、お言葉を返すわけではありませんが、刑事訴訟法上の問題でございますが、職務の過程で知ってそれをやらないといかぬということなんじゃないでしょうか。私が、国会議員という仕事ではありますが、職務上で当時、五年前知ったという……(発言する者あり)五年前の話です、知ったということではないかと思います。

加藤(公)委員 二つ問題があります。

 まず、委員長にお願いします。

 鳩山大臣がきちんと政府当局に極めて重大な情報を伝え、調査を依頼したのかどうか。今のお話ですと、鳩山先生の議員会館の部屋に各役所が来て話をされたということのようでありますから、事実であれば、確実に各省庁に記録があるはずであります。これをこの委員会、当委員会に提出していただくようにお取り計らいをいただきたいと思います。いかがですか、委員長。

下村委員長 後ほど理事会で協議させていただきます。

加藤(公)委員 これは極めて重要な話であります。

 鳩山大臣が、今、刑事訴訟法二百三十九条のお話をされました。確かに、職務に関してという解釈もあります。しかし一方で、何人も告発することができるというのも二百三十九条の第一項では書かれている、皆さん御存じのとおりであります。

 これだけ重大な事実を知ったら、たとえ国会議員であろうがなかろうが、良識と正義感があれば、このままほうっておけないと考えるのが当然ではないかと思います。

 私は、その状況の中で、それほど重い情報だということを認識した上で、長年我々の大先輩として国会で御活動の先生ですから、当然、国会議員として告発をされたのではないか、だからこれを伺ったわけであります。(発言する者あり)

 ちょっと静かにさせてもらえませんか。

下村委員長 どうぞ、続けてください。

加藤(公)委員 では、大臣、もう一回伺います。

 事務所に帰れば記録がわかるかもしれない、こうおっしゃいました。きちんと調べていただいて、いつ、だれに調査の依頼をしたのか、明らかにしていただけますか。

鳩山国務大臣 できるだけ努力しますが、少なくとも、五年前のこと、それから入国しているということを人から聞いたのが、二年前か三年前か、これも調べればある程度わかると思いますから、できる限りのことは調べてみます。

加藤(公)委員 では、委員会にきちんとその御報告をいただきますようにお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、冒頭申し上げましたが、大臣、今までのその事実関係云々の話とは別に、少なくとも外国特派員協会において、一度は友人の友人がアルカイダなんだということを明言されて、それが世界各国に配信をされております。私も、決して外国語が得意な方ではありませんけれども、海外メディアでも大きく報じられました。テロとの闘いを進めていると政府が宣伝をしている我が国において、これは明らかに国益を損なったことであります。

 この件について、実際にアルカイダのメンバーかどうか、その事実関係とは別の意味で、日本国の法務大臣はアルカイダの友人の友人だったという報道が世界じゅうに流れたということは、これは一つ大きな責任があると思います。どうお考えになりますか。

鳩山国務大臣 私の申し上げたことがすべて正しく報道されていればいいわけですが、報道というものには、それはなかなか我々の言うことを聞かない部分もありますから、私は、友人の友人という言い方が、友人が一緒に会社を経営していた男というふうに言えばよかったのかなとか、今はそういうふうにも思いますが、表現とかタイミング、報道の仕方によって、そういうことがあれば大変残念でありますが、私としては、ありのままの事実を申し上げた。そして、それがテロとの闘いに非常に重要で、身近にもこういうことがあるんだから、とにかく指紋、顔写真等はきちんとやらなければならぬ、そういう例で、テロとの闘いへの決意を示す意味でそう言いました。

加藤(公)委員 テロとの闘いが重要なのはそのとおりであります。治安の維持は法務大臣の極めて重要な職務でありますから、それはおっしゃるとおりです。

 しかし、私が言ったのは、大臣が軽々しく発言をしたことにおいて、国際社会で日本の信用を失墜させたんじゃないですか、そのことについて責任を感じませんかということを伺いました。これは、極めて重い話でありますので、ぜひ、みずからの責任について明確に御発言をいただきたいと思います。

 もう一度伺います。いかがですか。

鳩山国務大臣 私は、みずからの知り得ている事実を物事の説明の中で使わせていただいたわけでございますから、正しく聞いていただければ、本来は問題がないと思います。

加藤(公)委員 当時、外国特派員協会でお話しになった内容と今ここで御説明のあった内容とは、かなり違います。一般的に聞けば、随分状況が違うように受け取れるわけでありまして、私はそのことを申し上げています。

 どっちが本当、どっちが事実ということではなく、少なくとも、日本国の法務大臣はアルカイダの友達の友達だ、それを知っていたのに今まで黙っていた、これを世界じゅうに報じられてしまったという事実があるんです。そのことが国益を損なっている、こう指摘をさせていただいています。だから、この責任についていかがお考えかと伺っているんです。

 もう一回だけ伺います。いかがですか。

鳩山国務大臣 私が非常に悔しく思うのは、私は、そういうショッキングな情報を得た、ありとあらゆるマスコミ関係者にも言った、こういうのは記事にならないのかとさえ何度も言った、ある雑誌には、一つのきっかけ、手がかりを与えるから調査したらどうだと、それはどこの雑誌だったかは覚えておりませんが、雑誌のジャーナリストに言った記憶もある。先ほど申し上げたように、幾つかの省庁の方に来ていただいて、その時点で、重大な問題だから精力的に調査をしてほしい、調べてほしいと頼んだ、結果が出てこなかった。

 私、非常に悔しい思いをしているんです、この問題では。だから、それは、当時の政府への批判のような形になるから言いにくいことではありますが……(発言する者あり)

下村委員長 発言中ですから、静粛にお願いします。

鳩山国務大臣 私が、友人の立場を守ろうとする余り、やや奥歯に物が挟まったような言い方をしたかもしれませんが、その外国人の名前をはっきり言い、出身地も言い、こういう実態があるということを随分説明したんですが、政府は余り反応が活発ではなかった。これは、私、非常に悔しい思いをしています。

加藤(公)委員 そこまで大臣がおっしゃるわけですから、当時の政府が一体、どういう反応をしたのか、どういう行動に出たのか、どういう判断をしたのか、これを検証するのは物すごく大事なことだと思います。

 私が申し上げるのは大変僣越でありますけれども、国会というところは、立法府として法律をつくると同時に、行政の監視をするというのが極めて重大な使命、責務でございます。その意味において、この問題は決して看過できません。先ほど申し上げた情報をきっちり出していただきたいと思いますし、委員長には、後ほど理事会で御協議をいただくときにも、今の私のこの質疑を踏まえて、ぜひ、各省庁から情報を出していただくように、その方向で御協議をまずお願いしておきたいと思います。

 では、この問題、大臣にきょうの御答弁の中から私が疑問に思ったことを二つだけ伺います。

 先ほどのバリ島での爆破事件、大変凄惨な事件でございましたが、これは、大臣は事前に御存じだったのかどうか、そしてもう一点、お友達のお友達という方がなぜアルカイダのメンバーだとわかったのか、この二点を教えてください。

鳩山国務大臣 私は、もちろん、事件の数カ月後にそれをバリ島の友人から聞かされて初めて知るわけで、大変ショッキングであった、こういうことでございます。彼が一緒にその外国人と会社を共同経営しておったようでありまして、それが、いわゆる過激派に走って行方知れずになっていった、そういう話を聞いただけで、それ以上のことはわかりません。

 つまり、彼からも連絡がとれない状況になっておった中で、突然連絡があって、クタの方には近づかないようにという連絡があったと。

加藤(公)委員 今のお話ですと、そのお友達のお友達という方が、アルカイダのメンバーもしくはそれに極めて近い方だということは認識できないことになってしまいますが、なぜそれを理解されたのか。そのお友達の方から聞かれたのか、あるいは別の情報でそう御判断をされたのか、その点を教えてください。

鳩山国務大臣 私の知り得ている情報はそれほど多くありませんが、要するに、アルカイダの周辺居住者か本体かわからないけれども、そういう方向に走っていってしまったんだというふうに私は聞きました。

加藤(公)委員 その聞いたというのは、では、間に立っていらっしゃるお友達の方から聞いたということですね。一応、そこだけ確認させてください。

鳩山国務大臣 もちろん、それ以外情報源はありません。

加藤(公)委員 では、先ほどの資料の御提出を期待して、次のテーマに行きたいと思います。

 先ほど大口先生もおっしゃっていましたが、冤罪の件であります。これも、もちろん過去から冤罪事件、残念なことではありますが発生をしているわけであります。この現代の世の中においても、先般、鹿児島の志布志の事件あるいは富山の事件、考えられないようなことが発生をしております。

 富山における事件の被害者の方あるいは志布志の事件の被害者の方、せんだって直接お目にかかりました。どれほどつらい思いをされてきたか。先ほど来、さっき警察庁の方もいらっしゃいましたけれども、二度とあってはならない、口で言うのは簡単でありますが、本当に二度と起こらないように国会で議論することはより重要だと私は思います。

 その前提に立って、大臣に伺いますけれども、きょうは法務委員会ですから、警察のことは少しわきに置いて、検察について伺います。

 鹿児島の志布志の事件あるいは富山の事件、いずれも明らかな冤罪事件だということがわかっておりますが、これを担当した検察官について処分をされましたでしょうか。あるいは、処分をされていないとすれば、だれがどのように責任をとるおつもりでしょうか。お答えください。

鳩山国務大臣 氷見の事件について申し上げれば、検察官が職務上の義務に違反したとまでは認められないので、処分をする必要はないと今現在考えております。

 最高検では、富山の事件等の問題点を調査、検討し、本年八月、報告書を取りまとめましたことは先生も御存じだろうというふうに思っておりますが、今のところ、今のところというか、職務上の義務違反とは考えておりません。

加藤(公)委員 実は富山の事件においては、証拠がほぼ捏造されているわけであります。実際には通話記録からアリバイがあったにもかかわらず、それは無視をされ、あるいは被害者の方がサバイバルナイフが使われたとおっしゃっていたところ、果物ナイフにすりかえられ、あるいはチェーンで拘束されたという証言に対して、被害者の方、被害者というのは冤罪の被害者の方の自宅にあった作業用のビニールに差しかえられ、まさに捏造された証拠で冤罪が生み出されたわけであります。実際、実刑判決が下って、二年以上にわたって服役をされてしまっています。

 服役をされた御本人、もちろん、精神的な苦痛、経済的な損失だけではなく、いまだ、刑務所を出てこられて、そして冤罪だということがわかった後でも、大変な御苦労をされていらっしゃいます。お仕事を探すのも大変、地域とのきずなを取り返すのも大変、御家族との信頼関係を取り戻すのも大変、並大抵のことではありません。だからこそ、書類上判断をして、いやいや、責任があるとまでは言えないんだ、この一言で済ますということに私はどうしても納得がいかない。

 これは、大臣として政治的に御決断をいただいてもよろしいんじゃないかと思いますが、もう一度伺います。

鳩山国務大臣 これは氷見の事件でよろしいですね、服役までしたわけですから。

 本件では、被告人とされた方のアリバイを裏づける証拠が存在しておって、この点は、確かに、結果的に見れば、検察官の捜査が不十分であることは否めないわけですね。だから、そういう点は真摯に反省する必要があるんです。

 しかしながら、特段のアリバイ主張をなされなかったということなどから、検察官が電話発信履歴の確認を十分にしなかったこと、これをもって直ちに職務上の義務違反とまでは言えないわけでございまして、こういう冤罪は二度とあってはならないのでありますが、職務義務違反で処分というところまでは私は考えておりません。

加藤(公)委員 私は、明らかに責任があると思いますから、どなたかが責任をとられる、処分を受けるべきだと思いますが、ここで水かけ論をしていると時間がなくなりますので、別の観点から伺います。

 大臣は今、処分を科すほどの責任はない、こういう御判断だという答弁でしたが、では、せめて被害者の方に正面から謝罪をされるということがあってしかるべきだと思いますが、それはいかがですか。

鳩山国務大臣 これは昨日、参議院でも聞かれた点でございまして、富山地検において検事正及び次席検事がその元被告人の方に直接謝罪をいたしたわけでございます。その言葉は、このたびは誤った起訴をし、誤った刑の執行をしてしまい、大変申しわけないことをしました、謝罪いたしますという文言であります。

加藤(公)委員 では、そうおっしゃるのであれば、その謝罪の場所はどこで、どういう面会の仕方をされたのか、御存じですか、大臣。

鳩山国務大臣 それをきのうの質問で聞きまして、富山地検に来ていただいたような話でした。

加藤(公)委員 大臣のお立場だから来ていただいたとおっしゃるんだと思いますが、被害者の方がどう受け取られたかというと、見ず知らずの人がいきなりやってきて、車に乗せられて連れて行かれた、何だかわからない建物の二階だか三階だか四階だかに連れていかれたら、背広を着た人が何人か立っていて、名刺ももらえないから相手がだれだかわからない、もごもご言ってそれでおしまいだったと。御本人は、謝罪をされたというふうには全く認識をしていらっしゃいません。

 謝罪というのは、相手が、ああ、誠意を込めてわびてくれたと理解をしない限り成立しないものだと思いますが、特に和をたっとぶ大臣として、そう思われませんでしょうか。

鳩山国務大臣 それはおっしゃるとおりだと思いますよ。謝罪というのは本来そうすべきものだと思いますし、それは私も、富山に行く機会があれば直接頭を下げたいと思います。

加藤(公)委員 大臣ももちろんでありますが、その富山の地方検察庁で、わざわざ呼びつけて、呼びつけるというよりはほとんど連れてきて、もごもごもごっとしゃべって、はい、これでおしまい、謝罪はしていますという報告が大臣のところに行く、この体質自体が私は問題だろうと思います。

 これを、改めて大臣が富山に行かれるのであれば、一緒にその検察の幹部の方も、私は担当検事もそうだと思いますが、被害者の方に頭を下げに行かれるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 また反論されるかもしれませんけれども、例えば、刑事事件と思われるものが発生した、事件認知。日本は、慎重に証拠を固めてから公判請求しますね。だから、有罪率が九九・九%。ところが、諸外国では、ちょっと怪しいと、とりあえず起訴して公判請求して、ああ、無罪だったか、そういうようなシステムで裁判というのが行われている国もありますね。だから、裁判のありようというのはいろいろあると思うんですね。

 だから、冤罪という言葉も、無罪はすべて冤罪かというと、そういうわけではないと思いますね。だって、検察が公判請求して、無罪だったら全部冤罪かと言われたら、検察だって。

 そういう意味でいうと、冤罪という言葉は簡単に使いたくないんですが、富山の場合は完全な冤罪ですね。そういう意味でいえば、私が、加藤先生がおっしゃるような形で富山に行く機会があればと思います。

加藤(公)委員 行く機会があればではなくて、ぜひ行っていただきますように、この点はお願いを申し上げておきたいと思います。

 それともう一つ、これだけのひどい冤罪事件が発生をしたわけですから、二度と起きないようにするというのは極めて重要なことであります。国会で議論をして、仕組みをつくるなり、何か制度をつくるなりするべきだと思います。

 その中で、これは私の考え方でありますけれども、やはり今回の富山の事件あるいは鹿児島の事件もそうでありますが、自白に偏った取り調べが行われて、物的証拠が軽んじられてきた。しかも、その自白をとる段階では、うその誘導、例えば、お姉さんがもう好きにしてくれと言っているとか、考えられないようなことが実際に捜査員の方から発言をされているわけであります。これを防ぐためには、どうも聞くところ、大臣は若干お考えが違うようではありますが、私は、全面的に取り調べを録画、録音するべきだ、冤罪を防ぐにはこれしかないというふうに思います。

 改めて伺いますが、取り調べの可視化に取り組まれるおつもりはございませんでしょうか。

鳩山国務大臣 裁判員制度も始まりますから、わかりやすい裁判にするということもありますし、日本の捜査はやはり自白というものを非常に重視いたしておりまして、他の客観的な証拠や消極的な証拠をもっと見なければいけなかったという反省点が志布志の事件等ではあるんだろうと思っております。

 したがって、自白の任意性の確保ということは最重要の課題なのでございますが、逮捕のときから全部可視化ということになりますと、やはり、録音されている、録画されているということを意識して黙秘する、あるいはプライバシーに絡ませて質問をするということができないとか、そういう意味で供述がうまく得られない、そういう要因が生じるように思うわけでございまして、刑事手続全体における被疑者の取り調べということの持つ意味を十分考えながら、全面可視化、こう言われますと、ちょっと慎重にならざるを得ないと思います。

加藤(公)委員 今の大臣の御発言は、スタンスが調べる側なんですね、完全に。それは確かに、法務大臣で検察を所管していらっしゃるんですから、多少、善人的に考えればお気持ちはわからなくはありませんが、しかしそうじゃなくて、公正な取り調べが行われて、本当に罪を犯した人にはその罪を償ってもらう、そして今回のような冤罪は二度と起こさないという仕組みをつくることこそ、国会の議論として適切なんだろうと私は思います。だからこそ、私は、全面的に録音、録画をして、二度とこんな事件を起こさないという決断をするべきだと思います。

 恐らくこれは水かけ論になると思いますから、きょうはこのくらいにしておきますが、その点、強く申し上げておきます。

 それともう一つ、再発防止策として、実はこの富山の氷見の冤罪被害者の方はいまだに、社会復帰と言うのは大変失礼なんですけれども、被害に遭われた状況から回復をされていないと私には見受けられます。国賠で争っていらっしゃるからなかなか言いにくいとは思いますが、これ以上二次被害を生み出さないように、大臣には、御答弁は結構です、御配慮をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それからもう一つ、志布志の事件の件に関して言えば、被害者の方の中の一部では、この事実を自分があちこちへ行って話してもいいよ、例えば警察なり検察なりへ行って、現場の方に何でこんなことが起きたのかというのをきちんと話してもいい、こう言っていただいてもおります。適切な、公正な捜査あるいは取り調べをする上では非常に貴重な証言になると私は思いますので、このこともぜひ御検討をいただきたい、要望として申し上げておきます。

 では、続きまして、水戸少年刑務所における個人情報の流出事件について伺いたいと思います。

 ことしの四月に、水戸少年刑務所の庶務課長が使用していた公用パソコンが故障をした際、直属の部下ではない用度係長にそのパソコンのデータ修復を依頼されたそうであります。その係長は、パソコンのハードディスクを抜き取って、自宅に持ち帰ってそこで修復作業をした、うまくいかなかった、しかし、その自宅の私物のパソコンに極めて重要な個人情報のデータが残っていて、それがウィニーを通じて流出をしてしまった、こういう事件であります。

 この事件を調べると、どうも法務省がこれまで情報管理のために定めてきたルールを逸脱しているのではないかというふうに私は思います。この庶務課長もそうでありますし、用度係長もそうであります。情報管理のルールが当然設定されていたと思いますが、それをこの二人は遵守していたんだと言い切れますでしょうか。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 それは言い切れないんです。

 要するに、前にも京都でありましたよね、そういうことも絡んで情報セキュリティー対策、個人情報保護の規定というものをつくりまして、矯正局長の通達で、庁舎外への情報システムの持ち出し、庁舎外における情報処理、私物パソコンを使用しての情報処理を原則禁止、また、矯正局の総務課長通知により、保有個人情報が記録されている媒体の外部への送付または持ち出し、自宅での保有等を原則として禁止、こういうふうになっておったわけですが、反省に基づいて、今回、水戸においてこのような事案が生じた、まことに申しわけないことだと思っております。

 当初、用度係長が家に持って帰って、持ち出したのでこんなことになってしまったという報告を私は受けたわけで、でも、ちょっと待てよ、事情があるんじゃないかと聞いてみたら、庶務課長、上役から公用パソコンが故障したので何とか直してくれないかと頼まれて、家に持って帰っちゃったと。家に持って帰ったということはまさにルール違反なんでございますけれども、そう言われて得意だったんでしょうか、では家に帰ればできるかなというところに甘さがあったんですが、多少考慮してやる余地はあるような気がするんです。自分で何かの目的で勝手に持ち出したのではない。ルール違反であることは間違いありません。

加藤(公)委員 大変残念なことでありますが、過去にも情報流出事件が起きています、大臣御存じのとおりだと思いますが。私の知る限り、過去三回発生をしております。その都度、再発防止のためにということで何がしかの手だてを講じていらっしゃいました。法務省として再発防止策を講じてきた。しかし、それを拝見いたしますと、今回は過去三回の教訓がことごとく無視されています。全くその教訓が生かされていない。

 つまり、内部の規定、ルールも逸脱をし、過去三回の教訓も全く生かされていない。その意味でいえば、係長御本人が個人で悪用しようと思って持ち出したわけではないことはよくよくわかりますが、しかし、現実に定めていたルールから大きく逸脱をしたという意味においては、かなり罪の重い話だと思います。

 もちろん、持ち出した御本人だけの責任だとは思いません。修理を依頼した課長も、本当にそれが適切だったのか。その方個人に、パソコンのデータ修復をちょっと頼むよ、こういうことが本当に適切であったのかという問題もあります。あるいは、さらに上席の方の管理監督責任も当然問われる。しかし、だれも責任とりませんという話ではないはずでありまして、大臣、この問題、どのように処分をされるか、あるいは責任をとらせるおつもりか、明言していただけますでしょうか。

鳩山国務大臣 先生がおっしゃるとおりでして、過去三回、かなり大規模な流出、水戸刑務所よりも大規模な流出があったりしながらも、その教訓が生かされなかった。壊れた、ちょっと直してくれ、そこに油断があった。先生御指摘のとおり、直してくれと渡したものをどうしたか追跡しなかった上司にもいわゆる責任はあるでしょうし、さらにその上司も、その上司もあるかもしれない。

 そういう意味で、流出した情報の内容、経緯、情報管理の現在の具体的状況などについて現在も調査を継続中でございまして、調査結果を踏まえて対処したいと思っております。

加藤(公)委員 その調査というのは一体何を調査していらっしゃるんでしょうか、教えていただけますか。

鳩山国務大臣 これは確かに、法務省で用意した資料は、流出した情報がどういうものであるか、流出した情報の詳細な内容の解明あるいは被収容者、職員等を含めた対象者の数の特定、対象となる被収容者、職員等の現状の把握等について鋭意調査を進めている。

 例えば、既に仮釈放されている方の名前も入っているかもしれないし、面会に来た方の名前も入っているかもしれないし、名字だけの場合は、これは、それこそ年金ではありませんが、照合していかなくちゃならぬということで、そういうことを特に中心に調べておりますが、先ほど御答弁申し上げましたように、内容だけじゃなくて、どういう経緯で流出したかということもきちんと調査しなければ本当の調査になりません。

加藤(公)委員 個人情報でありますし、特に受刑者の方の情報も含まれておりますから、刑務官の方の情報ももちろんおありだということですが、受刑者の方の情報もあります。今後社会で更生をしていただく足かせにならないように、取り返しのつかないことにならないように、気をつけていただかなければならない。だから、私は強く申し上げております。

 その調査は、徹底してやっていただきたいのはそのとおりなんですが、いつ公表をしていただけるか、最後にこの点を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 これは役人答弁しかできないんですね。アズ・スーン・アズ・ポシブルということでしょうか、できるだけ急ぎます。

加藤(公)委員 本来納得したくないお答えではありますが、先ほど申し上げたもう一方の方の宿題を優先していただきたいものですから、きょうはこれぐらいにしておきます。

 もう一つ、残り時間で。

 では、京都地方法務局と民事法務協会、この両者における偽装請負、違法派遣問題についてお伺いをしたいと思います。

 鳩山法務大臣は、以前労働大臣もお務めでいらっしゃいましたので、細かな御説明を申し上げなくてもいかにひどい実態があったかということは容易に御理解をいただけていると思いますので、それを前提に承ってまいります。

 まず、京都地方法務局が職業安定法四十四条に違反をして十二年間にもわたって偽装請負を受け入れていた、そして、これをことし大阪労働局から是正指導を受けた、あわせて、法務省所管の財団法人民事法務協会がその京都地方法務局に十二年間も偽装請負を送り込み続けていた、さらに、その民事法務協会自身が民間企業から十二年間にもわたって、ここは偽装請負か違法派遣か微妙なところですが、いずれにしても、労働者供給を受け入れていた。

 三つの違法状態があり、これが大阪労働局から是正の指導をされました。これは事実でありますね。イエスかノーかでお答えください。

鳩山国務大臣 加藤先生御指摘のとおり、非常に複雑な、途中で、悪く言うとピンはねしかしないような会社が入っているのか、そういう状況の中で、結局、京都地方法務局がその労働者にほかの仕事もやらせるという、つまり、請負でなくて、実際に電話番をやらせたか何かわかりませんが、ほかの仕事をさせたという意味では、先生のおっしゃるとおりだと思います。

加藤(公)委員 京都地方法務局ももちろん問題でありますが、この財団法人民事法務協会というところは、みずからも、違法派遣か偽装請負か、これはちょっと微妙なところですけれども、いわゆる職安法四十四条で禁止をされている労働者供給事業の供給を受けて、さらに京都地方法務局に人を送り込んでいた、いわゆるピンはねをしていたという疑いがあります。極めて罪の重い話だと私は思っております。

 この民事法務協会は法務省の所管でございますから、当然法務大臣から指導あるいは改善命令をされたと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 これは、大阪労働局からの指導を受けて、当然改善しなくちゃならぬわけですが、その前に、その方、当該労働者の雇用の安定を図る。つまり、その図の中に出てくる、どこかに勤めたらどうだとか、いろいろやっているようですが、まだ結論が得られていないということで、大阪労働局からの是正措置の途中でございまして、この推移を確認した上で、きちんと指導をしなければならぬと思います。

加藤(公)委員 では、それにあわせて伺いますが、これは、民事法務協会ももちろんですし、京都地方法務局ももちろんでありますが、十二年間も違法な労働者供給事業を行っていたというのは相当悪質な話です、実際には。私もサラリーマン時代は人材ビジネスに携わっておりましたから、この分野は多少うるさく申し上げますけれども、世の中、民間企業であればあり得ない話です。それが十二年も続いていた。

 相当責任の重い話だと思いますが、この責任は一体どなたがどうとられるおつもりか、お答えいただけますでしょうか。

鳩山国務大臣 全くおっしゃるとおりで、十二年間続いておったわけですから、これは非常に大きな問題でございまして、先ほど申し上げたのと同じ答えになりますが、是正措置を受ける、その方の雇用の安定を図った上で、責任のとり方は検討をして決めていきたいと思っております。

加藤(公)委員 本来なら締め切りを設定したいところでありますが、先ほどと同じ理由できょうのところはやめておきます。

 実は、この京都地方法務局から財団法人民事法務協会への仕事の流れ、昨年までは請負契約がなされているわけですが、これは過去ずっと随意契約です。結局、法務省が所管の財団法人に随契を出し続けて、なれ合いで職安法に触れる人のやりとりをしていた、こういう話であります。この意味でも、非常に罪が重いと私は実は思っております。

 さらに、さすがに随契はまずいということで、直近の回から入札に変えられた。では、一般競争入札になって、少しは改善されたのかなと思って見たら、実はその入札に応札をしたのが民事法務協会だけでございます。これは、全国すべてそうです。

 つまり、そこしか受けられないような入札をしているんじゃないか、こう思わざるを得ないわけでありまして、これだけの事件が明るみに出たんですから、来年以降、この業務がもっと適切に、広く公正な競争にさらされるように、入札のあり方を変えるべきだと思いますが、大臣の御意思を伺いたいと思います。

鳩山国務大臣 おっしゃるとおりなんですが、これは、長年、登記簿の電子化という問題での請負だったわけですね。

 それで、随契を一般競争入札に変えたんですけれども、それだけの機械とかいろいろなノウハウを持っているところがなくて、こうなってしまった。ただ、これはことしで終わってしまうものですから、来年以降、ほかのいろいろな仕事がまたあると思いますので、一般競争入札でいろいろなところが入札してくるような仕組みをつくっていかなければならないと思っております。資格を絞りますと、また一社、二社ということになりますから。(発言する者あり)

加藤(公)委員 私もことしで終わりとはちょっと認識しておりませんが、それよりも、実は、この民事法務協会が請負を受けて、委託を受けた後に、民間企業に再委託しているわけですよ。その民間企業から人が来て、また京都地方法務局に送っているんですから、間に民事法務協会が入らなくたってでき得る仕事なんですね。実際、その再委託している民間企業にも天下りしています。

 民事法務協会は、職員の三分の一が法務省のOBです。さらに、再委託先の民間企業にも天下りをしている。まさに、天下りの癒着構造で、いいかげんな入札だったり、あるいは随意契約によって税金が使われているという典型的な例です。税金の無駄遣いだけじゃなくて、職安法違反までしていたという極めて重大な事件だから、きょう問題提起をさせていただきました。また次の機会に議論をしたいと思います。

 終わります。

下村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

下村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしでございます。

 まず、ちょっと初めに、加藤公一さんのを引き継いで。

 ということは、大臣は、友人の友人がアルカイダの幹部だということで、そのあなたの友人と会社を共同経営しておった。それで、会社の同僚であった人間であるということですから、当然よく知っておるわけですね。

鳩山国務大臣 いや、全然知りません。

 その人間は、非常に有名な人です。アルカイダ周辺居住者かアルカイダの仲間……(河村(た)委員「友人の友人ですか、それは」と呼ぶ)いや、私の友人……

下村委員長 河村君、挙手をしてから御発言をお願いいたします。

鳩山国務大臣 私の友人というのは、バリ島に住んでいる日本人でございまして、これも昆虫の世界では大変有名な、日本を代表する探検家だったんですね。それで、バリ島に定住して、現地に住んで、いわゆるバタフライパークをつくったりしている男なんです。その人とインドネシアの外国人とが会社を共同経営しているというのは、これも後から聞いた情報でございます。

河村(た)委員 しかし、会社を一緒に経営しておるというんだったら、それはわかりますからね、名前が特定できますから。

 とにかく、私は、余り形式にとらわれるより、率直に言うのがいいと思いますよ、正直言って。それが鳩山さんらしくていいんだけれども。

 そのかわり、大臣となった以上は、これは捜査するように、指揮というか、指揮と言うと感じ悪いかもわからぬけれども、検事総長があるじゃないですか。

 日本人が二人死んでいますからね、バリ島は。これは、検事総長並びにテロということになれば公安調査庁ですか、それから、あとは入管ですか、それぞれに今ここで、捜査をしてくれと言わないかぬじゃないですか。

鳩山国務大臣 五年前の海外での事件でありますから、それは国内での事件ではなくて、日本人が死んでいるわけですね。それは、省内でいろいろまたできるだけわかることは調べてもらうように言いますが、入管には特にもう既に話をしております。

河村(た)委員 何かわけのわからぬことを言っておるけれども、別にそう難しく考えないで。日本人が死んでおるわけでしょう、殺されておるわけでしょう。それは、あなた、職務として当然、検事総長に言わないかぬですよ。指揮するという条文もありますけれども、指揮という言葉を使わぬでもいいけれども、捜査してくださいと。一体、何をためらっておるんですか。

鳩山国務大臣 私は、俗に言う指揮権を発動する気持ちは全くありませんので、省内でいろいろ打ち合わせをいたします。

河村(た)委員 打ち合わせって、捜査に着手するようにします、そのぐらい言わなきゃ何のために法務大臣をやっておるのか。今ちょっと立場が違うからね、前の議員のときと。そうでしょう。そこだけ言ってくださいよ、捜査に着手しますと。

鳩山国務大臣 国外の事件でございますから……(河村(た)委員「いや、日本人が殺されておる。適用になりますよ」と呼ぶ)いや、それはそうですが、それは、外交ルートとかいろいろあろうかと思います。

河村(た)委員 ちょっと今、外国の事件だと言って、日本人が死んでおるのに、そんなわけのわからないことを言っちゃいかぬですよ。当然それは適用になるぐらいのことは知っておることは当たり前で、適用になるかならぬかというより、日本人が殺された事件だったら、直観的じゃないけれども、それは捜査しますと言わないかぬじゃないですか。(発言する者あり)何を言っておるんだ。人が殺されたら捜査するじゃないですか。

鳩山国務大臣 それは、国外犯という規定はありますけれども、しかし、私は今、個別の事件についてやるとかやらぬということは言えません。

河村(た)委員 ほかの質問があるので行きますけれども、それは鳩山さんらしくないよ。せっかく大臣になったんだから、そんな、いつも後ろの話を聞くとだんだん魅力がなくなるよ。何なんだ、一体。

鳩山国務大臣 立場が変わりましたので、魅力のない話をいたしております。

河村(た)委員 立場が変わったら、捜査せないかぬじゃないですか。法務大臣が日本人の、次のテロをストップすることになるかもわかりませんよ、きょうやれば、なるべく早く捜査に着手すれば。そうでしょう。そう思わぬですか。いつ起こるかわからぬわけでしょう。何ですぐやらぬのですか。

鳩山国務大臣 率直に申し上げまして……(河村(た)委員「率直じゃない」と呼ぶ)いやいや、率直ですが、バリ島爆破事件というのが、平成十四年の十月十二日なんですよ。それで、私が、今調べてみたんですが、多分その二カ月半後の年末に事情を聞いているんですね。そして、日本に帰ってきてからいろいろと、今調べて、加藤委員に調べますと言いましたが、いろいろ政府関係者に相談をしておるんですよ、調べてくれ、調べてくれと。

河村(た)委員 そのときじゃない、今あなたは法務大臣なんだから、日本じゅうの治安を守る最高責任者ですよ。この人が、とにかく一人でも日本人が、世界もそうですけれども、テロに巻き込まれぬように、それは守らないかぬ務めがあるでしょう。それならば、そんなときはどうだろうと、今直ちに捜査に着手します、そのぐらい言わないかぬじゃないですか。何が悪いんですか、そんなことが。

鳩山国務大臣 だから、気持ちは全く同じですが、指揮権は発動しませんので、私がいろいろ皆さんと相談をします。

河村(た)委員 指揮権を発動しなくてもいいけれども、それは先がた言ったでしょう、その条文を使わぬでもいいから、当然、捜査機関を持っておるんだから、捜査に着手しますよ、いろいろな手法がありますよ、それでいいじゃないですか。

鳩山国務大臣 日本人が亡くなったということですが、もちろん、日本人じゃなくて世界だれでもテロで一人でも亡くなることはいけないので、テロ撲滅のために我々は頑張らなくちゃいかぬと思っておりますから、私が絡んでいるこの問題についてもでき得る限りのことをいたします。

河村(た)委員 民間の場合は、やはり社長が責任を持って、倒産するからこうしますと言うんですよ。大臣が捜査に着手すると言って何が悪いんですか、一体。本当に一体何を考えているんだ、後ろの人も。当たり前だ。最低ですよ、そんなものは。いろいろな手法があるので、直ちにやると言って当たり前ですよ、本当に。権限があるときは、その義務があって、使わないかぬですよ。ちゃんとやらないと。

 ということで、何も言われませんので、次の問題に行きます。

 次は、例の公務員の、防衛省に絡んで、どうも贈収賄の疑惑があるということが言われておりますので、ちょっとこれに触れておきます。

 まず外務省さんに、これは、私がちょっと聞いたら、防衛省が、いわゆる駐在武官、これは昔の第二次大戦の前なんかの話によく名前が出てきたのですけれども、そういう方がいろいろな活動をするのに、お金が出ぬのだと。

 国土交通省の方が向こうに行ってもそれは仕事せないかぬし、それから厚生労働省の人も行っておられると思いますよ、外国に。それとはまた別に、防衛省は防衛省で、ちゃんとやってもらうことはちゃんとやってもらわないかぬのですよ、本当に。日本はやはりきちっとせないかぬ、私はそっちの主義者ですけれども。

 そういう立場からいったら、ちょっと聞いたら、残念ながら全然金が出ないと。いろいろな情報収集をしたりするのに、向こうの武器はどうなっておるとか、軍備はどうなっておるとかいうのに、全然金が出ぬから苦労するんだ、いろいろな人も来るので接待もせんならぬと。

 だから、その金を、ありゃせぬので、しようがないものだから、そういう商社から裏金つくってやっておるんだ、そういうふうに聞きましたけれども、まず外務省に、その駐在武官のお金はどうなっておるんですか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 駐在武官とおっしゃいましたけれども、正確には防衛駐在官というふうに我々呼んでおります。先生御指摘のとおり、防衛駐在官、在外公館におきまして、任国の情報収集あるいは分析、調査等々、非常に重要な活動をやっております。

 そういう中で、必ずしも必要な経費が防衛駐在官に渡されていないんじゃないかという御質問でございましたけれども、我々としては、そういう重要な活動、任務を全うしていただくというために、これは予算がありますけれども、予算の範囲内で適切にその任務を全うしていただくよう、適切な額を支給させていただいているということでございます。

河村(た)委員 ちょっと待ってください。適切な額といっても、それは一般のほかの省庁から行った人と同じということでしょう。普通の、何等書記官かわかりませんけれども、なっておりますね、それと同じだと。そういうことであって、防衛省だからという別の経費は計上していない、そういうことですね。

塩尻政府参考人 今委員御指摘のとおり、防衛駐在官、非常に活躍をしております。それに見合う必要な手当というのは支給させていただいているということでございます。(河村(た)委員「だから、別にはないの、別には」と呼ぶ)別に分けてということではございません。

河村(た)委員 何かというと、すぐ立場をかばうものだから。

 今の話を聞いておると、別にちゃんとしておるようだけれども、ほかの省庁と同じということですね、全部の方が同じと。それをもう一回言ってください。

塩尻政府参考人 これは、在外公館にはほかの省庁からも行っておられます。それぞれの任務を行っておりますけれども、それぞれの任務遂行に必要な額というのは、予算の範囲内でやっております。(河村(た)委員「同じだということ」と呼ぶ)ええ、そうです。(河村(た)委員「同じだと言ってちょうだい」と呼ぶ)基本的には同じですけれども、それぞれの任務遂行に当たって必要な額を支給しているということでございます。

河村(た)委員 ちょっと、相当必要なお金も、ちゃんとやることはやってもらわないかぬですよ、酒ばかり飲んでもらっておっては。だけれども、それはやはりきちっとやるべきだと思うけれども、どうですか、特に防衛省の方は。

塩尻政府参考人 これまでも適切に支給させていただいていたというふうに理解しておりますけれども、さらにそういうことをよく考えてやりたいというふうに思います。

鳩山国務大臣 私、思い出を語りたいんですが、田中角栄先生の私設秘書になったんですね、田中内閣のときに。そのときに、私のような何も知らないぺいぺいにも、毎月ペンタゴンがやってきて食事をごちそうしてくれて、大変おいしい食事を毎月ごちそうになっておった。私なんか、何もわからなくても一生懸命いろいろなことを聞いておりまして、やはりアメリカはすごいな、やはりペンタゴンなんかはそういう情報収集は物すごいなという思い出がございます。

河村(た)委員 では、せっかく言ったので、あなたが、自分のところが金を出したわけじゃないんだね。全部ペンタゴンが、向こうが出したと、そういう場で。

鳩山国務大臣 何でもいいというので、当時、私は金がありませんから、それは、ウナギがいいとか、てんぷらがいいとか、いつも言っておりました。全部向こうが……(河村(た)委員「金はどっちが出したのか」と呼ぶ)私は、一円も払ったことはありません。

河村(た)委員 まあ、そういう状況ですわ。だから、よく考えてやってちょうだいよ、外務省。それから防衛省も、そういう必要なことはちゃんと言ってもらわないかぬ。

 ということで、鳩山さんが、そんないろいろな話をするのに全部ペンタゴンに金を出してもらっておれば、日本がどっちの方向へ向いているか、全く危ないじゃないですか。そうでしょう。

 それでは、次は、資料を配ったと思いますけれども、私のところへ来ておらぬけれども、一部もらえますか。

 これは防衛省ですが、この資料の、主要な契約実績、それから、後で資料が着くと思いますので、これをずっと読み上げてもらうといいけれども、この契約相手方によっての金額は出ておるらしいですけれども、ここに、例えば地対空誘導弾ペトリオット、六百五十億ですか、こういう資料は初めてだと聞いておりますが、これは初めてですか、こういうのまで出たというのは。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 こういう様式にさせていただいて出したことが初めてかは、ちょっと私は把握しておりませんけれども、今おっしゃいました地対空誘導弾ペトリオット、この金額とか契約相手方、ここの部分は公開はしております。

河村(た)委員 公開しておる。それでは、そちらではなくて、もう一つの方、平成十八年度中央調達における一般輸入の契約金額上位二十社、こちらですね。

 これは、私が聞いた話では、いわゆる商社がようけかんでおって、五十社あるとか、百社とかなんとかある中で、きのう言いまして、せめて出せるものといったら二十社、これを夜中に出していただいた。ちょっと、順位の横の年度というのが、これは業者の間違い、間違えておったと電話連絡もいただいたんだけれども、これを理事会に出すのに時間がなかったのでこうなったんですが、これについては、余り見たことはないですけれども、これは初めてでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 これも同じようなお答えになるんですが、私自身は、この表は初めて見ましたけれども、ここの内容でございます、例えば、一番目の三菱商事株式会社、件数二十一件、金額七十八億二千九百万、こういったものは、そのものは公表しております。ですから、集計すれば出るものということでございます。

河村(た)委員 しかし、何か稟議をかけていただいて、こういう格好で出すということになったので、多分、この商社のものを。

 せっかくですから、政府高官に、申しわけないですけれども、ちょっとフルスピードで、議事に残りますから、一位から会社の名前と契約金額、億単位まででいいですから、二十、大至急で読み上げてもらえないですか。

小川政府参考人 先生の御指示のとおり、読ませていただきます。

 一位、三菱商事株式会社七十八億円、二位、伊藤忠アビエーション株式会社四十九億円、三位、兼松株式会社四十九億円、四位、株式会社山田洋行三十三億円、五位、双日エアロスペース株式会社二十三億円、六位、住商エアロシステム株式会社十九億円、七位、三井物産エアロスペース株式会社十二億円、八位、株式会社理経約九億、九位、住友商事株式会社約七億、十位、極東貿易株式会社約七億、十一位、日本エアロスペース株式会社約七億、十二位、新東亜交易株式会社約六億、十三位、双日株式会社約六億、十四位、富士重工業株式会社約六億、十五位、株式会社日本ユ・アイ・シ約五億、十六位、丸文株式会社約五億、十七位、地崎道路株式会社約五億、十八位、ユーロヘリ株式会社約四億、十九位、日本ポール株式会社約四億、二十位、伊藤忠商事株式会社約三億。

 以上でございます。

河村(た)委員 要するに、今問題の会社が一つ含まれておりますけれども、今御答弁いただいたのは小川参事官さんですね。小川さんは、ゴルフをやったことはありますか、こういう人たちと。

小川政府参考人 ございません。

河村(た)委員 ないですか。

 では、奥さんがゴルフバッグをもらったり、それからクラブで一緒に飲んだ、そういう体験はありませんか。

小川政府参考人 全くないと認識しております。

河村(た)委員 何ですか、認識というのは。

小川政府参考人 つけ加えます。私、妻ではないものですから、本人の行動の一〇〇%を把握しているわけじゃないんですけれども、そういうことで、ないと申し上げてよろしいかと思います。

河村(た)委員 それでは、きょうは長岡局長がお見えになっておりますが、長岡局長も、今言いました、二十社出していただきましたけれども、この方とゴルフをやったり、それからクラブで一杯飲んだり、そういうことはあったかなかったか、どうですか。

長岡政府参考人 私、ゴルフはやりませんし、御指摘のようなことはございません。

河村(た)委員 クラブで酒を飲んだこともないですか。

長岡政府参考人 ございません。

河村(た)委員 ほかの防衛省全体はどうなんですか。今後ともこういうことはないのかあるのか、防衛省全体はどうですか。

小川政府参考人 防衛省全体という御質問で、ちょっと私、その答えをするのに適当かということはございますけれども、自衛隊員の倫理規程におきまして、対象の関係者とともにゴルフをすることなどは禁じられておりまして、防衛省の幹部を含みます自衛隊員がここに書かれてございますような装備品調達の相手方となる企業とゴルフ等を行うようなことがあってはならないわけでございます。

 しかるに、今般、前事務次官によるこういった一部の企業との不適切な関係が発覚したということで、全体像を申し上げることはできませんけれども、いずれにせよ、自衛隊員の倫理規程の遵守の徹底、それからさらには、大臣の御指示に基づきまして、この倫理規程の遵守状況につき、現在、防衛監察本部が調査を行っておるということでございます。

河村(た)委員 まず、ありそうなのか、絶対ないか、では、絶対ないと言い切ってちょうだい。絶対ない、今後もありません、ゴルフをやったりすることはありませんと。過去もなかったし、将来もない、この二つ、言い切っておいてちょうだい、それでは。

小川政府参考人 私自身のことについては、過去にもありませんし、将来もいたしません。それは申し上げられますけれども、全体につきましては、私、ちょっと把握する立場にございませんし、今申し上げましたように、今、大臣の指示で防衛監察本部による特別防衛監察の実施を行っておるところでございます。

河村(た)委員 では、今後はない、これは断言しておいてちょうだい。

小川政府参考人 今後につきましても、先ほどお答えしましたように、自衛隊員の倫理規程というものがあるわけでございますので、やってはいけないということになっているわけですから、やるべきではない、やらないということでございますけれども、私、申しわけありませんけれども、事実を予測することはできませんので、倫理規程があれば、当然やらないということになっているということでございます。

河村(た)委員 ちゃんと断言していかないかぬよ、それは。やりません、それだけ言っておいてちょうだいよ。

小川政府参考人 当然あってはならないことですので、やらないという決意のもとに省全体を挙げて取り組んでおるところなわけでございます。

河村(た)委員 まあ、何かやりそうな気がするじゃないですか、今の言い方は、本当に。何ではっきり言わないのか。

 では、せっかくだから局長にも聞いておこうか、装備局長、実際の責任者ですから。こういうことはほかの人でもありませんし、私はないと言われたけれども、今後もやりませんと一言言っておいてちょうだい。

長岡政府参考人 防衛省職員、そういうことが一切ないようにという決意を新たにしていると思っております。

河村(た)委員 決意を新たにとか、何かよそごとみたいなもので、自分としては絶対、自分の意思としては絶対やらない、ないと断言せないかぬ。何か組織を守っておるような雰囲気がしてならぬ。何か出てくれば転勤すればいいものだから。民間の会社だったら倒産だから、えらいことですよ、これは。

 そうしたら、防衛省関係の方は結構でございます。ありがとうございます。

 それから、今度は最高裁ですが、資料がありましたね、これは。資料が行っておるでしょう。最高裁に、簡易裁判所の判事の任命問題につきまして、これは、鳩山さんは初めて聞くかもわかりませんけれども、ことし三月だったかな、二回質問しておるんですよ。

 要するに、試験をちゃんと受ける人と、選考組というのがありまして、選考組も試験を受けることになっておるのでいかぬ。この選考組の人たちが一〇〇%受かる、これは八百長だわな、はっきり言って。これがずっと繰り返されておるということでございまして、質問したら、それが終わってから、ことしもまた同じことをやったんです、同じ、一〇〇%受かったと。

 最高裁、ちょっと、法務委員会というか私をなめておるのかね。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 平成十九年度におきましては合計四十二名の者が簡裁判事選考に合格したわけですが、そのうち、委員のおっしゃる、いわゆる選考組の受験者それから合格者は九人ということで、合格率が一〇〇%ということは事実でございます。

 ただ、前にも御説明いたしましたけれども、この選考制度は法律及び規則に基づいて運用されているものであり、かつ、今回の結果につきましても、外部有識者に入っていただいている選考委員会、簡裁判事選考委員会で、この人たちについても合格だという結論を得たということでございます。

河村(た)委員 まず、ことしでいうと四十二名中の九名が、ある一定官職以上、書記官の。鳩山さん、ちゃんと聞いておる、これ、一〇〇%。

 こういうのは、確率論でいうとどのぐらいになるんですか、数学で。四十二名受かるうちの、一定の官職の九名が、これは少なくとも平成元年以来、全部、一〇〇%受かるわけですよ。あとの三十三名、常に四十二名のうち九名が三十三名より上位になる確率。ちゃんと試験をやっておるんでしょう。確率はどのぐらいになるんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 お尋ねの確率という趣旨がちょっとはっきりしないのですけれども、一〇〇%、とにかく、受けた、受かったということについては間違いございません。

河村(た)委員 だから、一〇〇%受かるんだから、ある試験をやって、四十二名受かる、そのうち、ある特定の官職をやっておる九名の人が必ずあとの三十三名より上位に行く、そういう確率はどのぐらいになるんですか。少なくとも、平成元年から十九年間、全部、同じだと言っておるじゃないですか、一〇〇%合格。

大谷最高裁判所長官代理者 御質問の趣旨を正確に理解していなければお許しいただきたいんですが、四十二人中九人が三十三人よりも上位にいたということではなく、四十二人が受かったということでございますので、それぞれについて、選考委員会で、いわゆる試験組という人たちがいいか……(河村(た)委員「間違えた、受験者のだ」と呼ぶ)

河村(た)委員 いわゆる受験者のうちということです。合格者はこの中にちりばめられておるわけで、受験者数、平成十九年五十五人のうちの四十二人の中に必ず入るということですね、特定の九人が。こういうことで、ちょっと間違えましたけれども、それはどうですか、確率は。

鳩山国務大臣 受験者数、これは、九人は五十五人の中に入っているんですか。(河村(た)委員「入っておらぬ」と呼ぶ)では、六十四人受けているわけですね。

 では、六十四分の四十二の九乗じゃないですか、確率としては。

河村(た)委員 n乗ですか。まあいい、ちょっとよくわかりませんので。

 とにかく、膨大な数字になります。大臣、わかるでしょう、これは。すごい天文学的な確率ですね。それだけ答えてください。

鳩山国務大臣 私、昔は数学が得意だったんですが、今は余り得意でないですけれども、多分、そういう、九乗すれば物すごく少ない確率になりますから、九人全員が合格するというのは極めて低い確率でしょうね。

河村(た)委員 これは違法性の認識はないんですか、最高裁は。

大谷最高裁判所長官代理者 この選考につきましては、前回の国会のときにも申し上げたとおりでございまして、試験としては法律及び規則に基づいて二つのやり方があるということが認められており、そして、その制度にのっとってそれぞれが、第一次選考を経た者と経ない者というものがございますが、最終的には、選考委員会の委員の先生方にきちんと見ていただいて、これは簡易裁判所の裁判官としてふさわしいという決定をいただいたということでございまして、適正にことしの選考も行われた、こういうふうに思っております。

河村(た)委員 選考なら選考とすればいいじゃないですか。選考といいながら試験をやるわけでしょう、面接試験を。ちゃんと試験なんでしょう、これは。問題を見せてもらいました。これは、単なる、どういう人生を歩んできたとか、そういうものじゃないんです、法律上の問題がちゃんと出ます。それで一〇〇%、ずっと、多分、これは制度創設以来の可能性がある。これは何なんですか、一体。試験じゃないと言ったらどうですか、はっきりと。

大谷最高裁判所長官代理者 選考と申しましたのは、法律用語として申し上げているのでありまして、委員御指摘のように、もちろんこれは試験ということでございます。試験に合格したかどうかということを選考委員会で判定していただいている、こういうことでございます。

河村(た)委員 これは全く私は許しがたい。大臣、聞いておってわかるでしょう。試験なんですよ。試験に、ある特定のポストの人が全部受かる、あとの人は受からないということは、受からない人は大変ですよ。みんなとは言いませんけれども、私が聞いた人たちはみんな怒っていますよ。

 ざっと言っておきますと、上の連中というのは人事とかそういうことばかりやっておって、実際は法律を知らぬようになってきておる、だから本当に法律の判決を書ける人たちが意外と落ちるんだという状況になっちゃって、実際は、あなたたち偉い様がおって、その後に書記官がおって、そういう人たちに、ちょっと上へ来た人の天下りじゃないですか、簡易裁判所の判事になることが。サービスじゃないの、これは。

大谷最高裁判所長官代理者 筆記試験を経ないで第二次選考を行う者につきましては、これは、長年経験を積んで、その法律知識、実務能力が執務を通じて実証されていると認められる者を厳選しているわけでございます。

 その結果として、確かにことしも全員が合格となっていることは事実でございますが、先ほども申しましたとおり、その点については御説明をした上で、一般の、外部の有識者も入っていただいている委員会で承認いただいているということでございます。

河村(た)委員 時間がないもので、そんな変な話を聞いておれぬのですし、これはちゃんと委員会で調査せないかぬ。

 裁判官の任用ですよ、言っておきますけれども。ほかの裏口入学だって、やると、みんなやめないかぬですよ。この間の司法試験の人もそうでしょう。簡易裁判所の判事は逮捕状を書けるでしょう。人を逮捕できるものに任官するのに、これはどう見たって裏口入学としかとれないじゃないですか、確率論から見ても。何か特殊な操作がない限り、ならぬでしょう。

 だから、これはちょっと、委員長、前から継続になっていますけれども、甘く見ておったらいかぬですよ、本当に。ほかの、民間でもないけれども、役所でも裏口はだめなんですよ。裁判官の任用がこういう情実によって行われておったということでしょう、はっきり言えば。これはどうしましょうか、本当は裁判官を全部証人喚問するといいんですけれども、そこのところ、ちょっと取り計らいをお願いします。

下村委員長 理事会で協議させていただきます。

河村(た)委員 それでは、最高裁は結構です。

 次は、あれがありますけれども、その前にちょっと、名古屋の話がありまして、大相撲の話があるんですけれども、これをやっていかないかぬ。

 名古屋の、警察庁ですけれども、亡くなられましたけれども、大相撲の方、名前は虚血性心不全となっておりますが、あれはそんなことで判断しているんですけれども、何でわかるんですか、外見から見て。

米田政府参考人 この名古屋といいますか犬山の事案につきましては、結果として死因が違っておったということで、より慎重な判断が必要だと思っておりますけれども、虚血性心疾患と判断をいたしましたのは、現場の見分、死体の見分、関係者の事情聴取、それから医師によりますCTスキャンとかレントゲン検査を使った検案等々を総合的に勘案いたしまして、虚血性心疾患というふうに判断をしたものだと思っております。ただ、結果的にそれは間違っておりました。

河村(た)委員 一応、せっかく厚労省が来ていますから、虚血性心疾患というのは何ですか。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 虚血性心不全は、心臓の冠動脈の器質的変化、それから攣縮、塞栓等の病的変化に伴いまして、心筋への血流減少または途絶が起こり、心機能が不全となり、拍出と申しますが、心臓から全身へ送り出される血流が低下する病態でございます。

河村(た)委員 この方は十八歳だったですか七だったですか、学生時代もスポーツをしておって、前にも胸が痛いとか、そういう状況はないんですけれども、そういう人がこの虚血性心不全で亡くなるというのはあるんですか。

宮坂政府参考人 個別具体的に、いろいろな方がおられますので、一概には申し上げられませんが、一般的に、突然死の原因といたしましては、虚血性心疾患とか脳内血管の疾患の可能性が高いというふうに言われております。

河村(た)委員 ほとんどないんですよね、こんなものは。だから、これは何か警察は捜査せぬようにという働きかけがあったんじゃないですか。

米田政府参考人 そういう働きかけは全くなかったと承知をしております。

河村(た)委員 ちょっとこれはまた事案が異なるかもわかりませんけれども、かつてこの犬山署において裏金疑惑があり、会計検査院から調査を受けたことはありますか。

米村政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、毎年度、会計検査院の検査を受検しているところでありますが、私どもの方は検査を受ける立場でございまして、その立場から、お答えは、個別具体的な状況については差し控えさせていただきたいというふうに思います。

河村(た)委員 では、会計検査院に聞きましょうか。

 犬山警察を、一般的ではなくて、特定の裏金疑惑で調査したことはありますか。

諸澤会計検査院当局者 会計検査院といたしましては、お尋ねのような事案、個別具体的な検査の状況等につきましては、まことに申しわけございませんけれども、答弁を控えさせていただくことに御理解を賜りたいと存じます。

河村(た)委員 理解できないけれども、そういうことを言っておるということは調査があったということですわ、はっきり言いまして。私も何にもないことを言いませんよ、これははっきり言っておきますけれども。こういうことですので、それはしっかりやっていただくということです。

 それで、相撲をやられるところは、確かに、お寺がないものでみんな苦労しておるんですわ。そういうことで地域が苦労しておることはわかりますよ。だけれども、何か聞くところによりますと、署の人とちゃんこなべを一緒に食ったり、そうやって非常に仲よくしておったと。

 だから、ぱっと聞くと、何となく、まあまあ、内々でいこうではないかということを言っておるのではないかと思いますが、そういうつき合いはあるんですか。

米田政府参考人 そのちゃんこですが、正確に言いますと、時津風部屋ではなく、その宿舎であります成田山葉ぼたん寮というのがあります。そこからお招きを受けて、犬山署が四年ほど前から食事会をしておったという事実はあると聞いております。

 ただ、ことしはこういう死亡事案もございまして、それは行われていないということでございます。

河村(た)委員 いわゆる事件性なしとしたのは、だれが判断したのですか。

米田政府参考人 これは、その死体の見分の責任者でございました犬山署の刑事課の警部補でございます。

河村(た)委員 それは、自分で判断したのか、医師の診断書を見てか、どっちですか。

米田政府参考人 最終的な判断の責任は警察にございます。ですから、医師のいろいろな意見、診断書等も参考にいたしますが、判断をしたのは警察官でございます。

河村(た)委員 そこで、今回の場合はどうも、警察だといっても、わかりゃせぬわけでしょう、はっきり言えば。死体がある、これは虚血性何とかと言っておるけれども、別に法医学者でも何でもないから、わからぬわけでしょう。

 では、これは検察がやることになっていますね、刑事訴訟法だと。それで、代行者に警察はなっていますけれども、これはやはり御不満じゃないですか。ほとんど検察庁がやるんですか、実際に検視を。

米田政府参考人 確かに、いわば異状死体といいますか不自然死体が出てきましたら、警察が取り扱います。そのうちのいわゆる刑事訴訟法に基づく司法検視、これは、御指摘のように検察官の権限で、そして警察が代行するということになっておりますが、大半の死体は警察が代行してやっておるということでございます。

河村(た)委員 では、その刑事訴訟法、何か警察が補助みたいになっていますけれども、皆さんも、一項にちゃんと同列に入れろ、そう思わぬですか。

米田政府参考人 刑事訴訟法の制度の問題につきましては、私どもより法務省からお答えいただく方が適切ではなかろうかと思っておりますが、現行法も補助ではございませんで、代行検視というのはあくまで一種の委任のようなものでございまして、受けた警察の方はみずからの権限と責任において行うというものでございます。

河村(た)委員 私はちゃんと一項に入れた方がいいと思いますよ、警察も。実際、検事といったって何もやっておりゃせぬですよ。検事がたまたま検視に行って失敗したのが名古屋刑務所ですよ、要するに。結局、実況見分もやらずにめちゃくちゃなことを言うわけですよ。警察の方が実況見分をやるんです、その辺は。

 だから、法務大臣、そこのところを、立法政策ですけれども、一遍考えてちょうだい。

鳩山国務大臣 ゆっくり答弁いたしますが、要するに、広い意味での変死体とか異状な死体に出会った場合に、これは、検視をすべきであるものをしなかったり、そういうふうに間違ってしまうと大変なミスが起きますので、その辺は慎重にきちんとやらなくちゃいかぬ、こういうことだと思います。

河村(た)委員 余りよくわかっておらぬと思いますので。警察も主体的にやるようにしようということです、言いたいのは。検事が主体になっておるんですよ、今。警察は代行というふうになっている。だけれども、実際はほとんど警察がやっているんですよ。だから、そうしようということですが、一応言いっ放しにしておきます。

 それで、結局は法医学者が少ないわけだ、はっきり言うと。すべては、法医学者が決定的に少ない。外科とか産婦人科、小児科とか、そういう医者が少ないとよく言われますね、麻酔医も少ないと。だけれども、法医学者が決定的に少ない。そこは、法務大臣、ちょっと前向きなことを言っておいてください。

鳩山国務大臣 そもそも検視官の数が物すごく少ないということもありましょうし、そういった意味では、法医学の充実ということは考えなければなりません。

河村(た)委員 ありがとうございます。そうしたら、こちらの関係は結構でございます。

 最後に、ずっと私がなぜ法務委員会におるかという、非常にあれなんですけれども、名古屋の刑務官の話がありまして、先ほどから冤罪の話がよく出ていますけれども、下村委員長も一緒にチームをつくりまして、刑務官が暴行したというのは本当かどうかということをやってきましたので、御承知だと思います。

 冤罪と皆さんは軽く言っていますけれども、実は世間がつくるので、これは他人事じゃないのですね。意外と自分が関与しているんですよ。自分が関与したことはみんな言わないのですよ。人の冤罪のことだけは言うということでございます。

 ちょうど細川さんが見えますけれども、予算委員会の筆頭理事をやっておって、これはもう五年ぐらい前になるんですよ。予算委員会から始まって、刑務官が暴行したという話が出て、それで私もかかわっておるから法務委員になった。何十回となく質問しましたよ、皆さんで。

 とにかく、刑務官を殺人者呼ばわりしたということだけれども、この間、一人無罪になりました。一人は有罪が確定しております。ということで、私はこれは、普通のいわゆる無罪の事案ではなくて、明らかな、異常な経過をたどった冤罪事件だ、こういうふうに思っておって、本人から手紙が来たんです、無罪になった方から。

 きのう法務大臣にお届けして、それから下村委員長あてにも来ております。これは、本当は配らないかぬのだけれども、いかぬよ、こんなこと、配るのをストップしては、本当に。これは言っておきます。やはり、全部の手紙をやるというのではなくて、この委員会でこれだけ物すごくやったわけです、刑務官が暴行したと。それで無罪になった人の叫びですよ、これは。こういう人たちに反応しなければ、自分としてとらえなきゃだめですよ。

 ということで、大至急で読み上げますので、皆さんに本当は配りたかったんだけれども、何か知らぬけれどもやめてくれと言うものだから配りませんが、聞いていてください。若干、私の名前が出てきて、初めちょっと私のことが書いてありますけれども、それは御容赦いただいてということです。

  法務委員会委員長 下村博文様

  法務大臣 鳩山邦夫様

  衆議院議員 河村たかし様へ

  前略、日頃は大変お世話になっております。ところで、私は平成十九年四月十四日を持ちまして、名古屋刑務所へと復職することができました。それも全て河村たかし先生が事実調査に実直に打ち込んでくださったおかげでございます。心から感謝いたします。

  しかし、未だ無実の刑務官が地獄の生活を送っている状態は続いております。今後も河村たかし先生には真実追求をもって、無実の刑務官を救っていただきたくお願い申し上げます。本事案の真実の追究こそが今後の矯正界の発展への道だと確信しております。

  話を本題へと移させていただきますが、私は復職してから、自己の名誉回復とともに、私自身が関わった事案の真実を知りたいとの強い思いから、名古屋刑務所、名古屋管区、矯正局へと質問書として数度提出してきました。私は五月事案において、起訴されたわけでありますが、起訴されるまで、その後も、さらに起訴後半年が過ぎるまで名古屋刑務所はもとより、名古屋管区、矯正局などから一度も調査を受けておりません。そんな中私は名古屋管区長名において「告発」を受けたのです。調査も受けていない、事実も何も調査していない、それなのに私は告発されました。私は五月事案で亡くなったとされる、被収容者(村松正夫氏)について取調べを受けるまで名前も顔もわかりませんでした。いつ亡くなったかも知りませんでした。そして、私自身懲らしめ行為など一度も行ったことも、起こそうとも思っていませんし、また、名古屋刑務所で日常的に懲らしめ行為が行われていた事実など到底ありません。しかし、矯正局から法務委員会へ提出した「中間報告」の中には、私の懲らしめの意思があったことを明記してありました。この中間報告を見て、人間不信にまで陥りました。どこまで自分たちは傷つかなければならないのか、何が世の中の正義なのか、失意のどん底に追い散りました。恐ろしいことは、この中間報告が個人名をアルファベットにしているとはいうものの、インターネットに流れていたことです。事実と違うものが世界に向けて発信されている状態が私は悔しいです。また、革手錠の回数が名古屋刑務所は突出して多いと世間で批判されていましたが、その回数もきちんと管区、局へと報告されているのです。それに数が多くておかしいと思えば、所長なり、管区なり、局なりが調査をし、不必要に使用していれば是正していたはずです。このことから、名古屋刑務所の革手錠施用回数が多いといえども、その内容は適正であったことは明白です。それにも関わらず、当時法務大臣であった森山大臣は私たちのことを「あきれてものも言えない、個人の資質の問題がある」と国会答弁したのでした。今回の事案を全くの個人的なものへと置き換えたのです。拝命して二年足らずの私でも心をえぐられるような答弁でした。ましてや、心身を削って勤務されてきた先輩方はこの言葉を聴いてどれだけ心を痛めたのだろうと想像すると悔し涙が出てきます。

  先にも書きましたが、私は何一つ名誉回復をされておりません。無実の人間を告発して、全世界にインターネット発信している国会答弁で嘲笑しておきながら何の名誉回復もありません。私は起訴されて、刑事休職となり給与支給がゼロとなりました。ただゼロというわけではありません、保険代や税金、食費、光熱費などの生活費は今まで通りかかるわけで、大きな赤字の生活半年も続きました。半年後休職給が本俸の六割支給となりましたが、とてもそれだけでは生活していくことはできませんでした。夫として父として、家族を養えないのがどれほど苦しいか、私の心は全く晴れておりません。この五年間はなんだったのだろうと感じています。私は公判期間中に無実を訴え、復職願いも提出しております。このことからもわかっていただけると思いますが自分の意志で休職したわけではありません。それなのに、休職期間の残り四割分の給与を未だに支払って頂いておりません。私は無罪であり、この五年間地獄の拘束を受ける理由は無かったのです。在宅起訴といえども、生活費は当然かかります。裁判があれば何かと制限も受けます。体を拘束され心を拘束されているのとなんら変わりはありません。起訴を受けるということがどれだけ負担になるのか、皆様にはなんとかご理解いただきたいです。私、私の家族のためにも是非保証してください。

  私はこの起訴を受け、矯正界から迫害され、世間から犯罪者、それも殺人者扱いを受けました。死にたいと思うこともありました。力が抜け、立っていられないこともありました。私の味わったこの地獄の苦しみは何だったのでしょうか。未だ無実の罪を着せられて、地獄の苦しみと戦っている先輩たちは何のために戦っているのでしょうか。法務委員長様にはどうか本件の事実を見極めていただく機会を持っていただきたいと思います。そして、私の話を聞いてください。どうか証人として私の話を聞いてください。私たちは無実です。冤罪なのです。この事実を避けては今後の矯正の正しい発展は望めないのではないでしょうか。新法も発足しめまぐるしいスピードで矯正界は走っております。現場の刑務官がどれだけ死に物狂いで日々勤務を遂行しているか、私は復職して改めて実感しております。鳩山大臣のもと国のために、国民のために一人一人自分のもてる力を十二分に発揮し勤務しております。その気持ちは今、被告となっている刑務官についても全く同じで心に熱いものを持っております。何度も言いますがどうか真実を究明してください。本件は冤罪です。そして、ぜひ私の話を聞いてください。

  私は起訴を受けたということで、当然に取調べを受けております。地獄のような厳しい取調べを受けました。多数回の取調べを長時間受けました。体調不良を起こしたこともあります。家宅捜索も受けました。密室の中、検事と事務官のみ、本当に心細いです。本裁判でも問題となっておりましたが、黙秘権についても私は明確に告知を受けておりません。取調べ者の力が強すぎて取調べを受ける側の証言が通らないことがあるのも現実です。初めて取調べを受ける人間にとって、その空間は孤島に監禁された気分になります。取調べを受ける者の権利をもう少し明確に浸透させる必要があるのではないかと痛感しました。本件取調べにおいて、心を傷つけられた刑務官も本当にたくさんいます。精神的な病気に陥った方もいます。取調べを受けたことによって、職場の仲間に冷たい扱いを受けた人もいると聞きました。仲間同士疑心暗鬼になってしまいました。それほど取調べは厳しいものです。ですから正しい取調べが必要であると考えます。

  最後になりますが、名古屋刑務所に復職し、いかに刑務官の勤務が激務であるかを体感しております。日本の刑務官は本当に日々頑張っております。職員不足のために職員一人当たりの負担率の増加など厳しい状況が続いておりますが日々激務を忠実に遂行しております。名古屋刑務所も所長はじめ諸先輩方が一致団結して日々、日本の最後の砦を守っております。そんな施設に復職できたことを心から感謝いたします。

平成十九年、きょうの日付にしておきました、十月三十一日、名古屋刑務所佐藤孝雄ということで判が押してありますけれども、こういうお手紙をいただきまして、きのうは大臣にこれをお渡ししましたけれども、これを読まれて、佐藤さん、どうしたらいいですか、この状況で。

鳩山国務大臣 裁判を受けて、結果無罪になったわけですね。まだほかの方はさまざまに、五月事件、九月事件、十二月事件、裁判係属中だと思います。このお手紙を河村委員からいただいて読ませていただいて、それは、つらい目に遭ったし、無給になったり、六割だけもらったりというようなことも書いてありますし、そうした中でも、これは冤罪だと訴えながらも、みずからの仕事に誇りを持ち、来年度も刑務官の増員等は予算要求してまいりますけれども、激務の中でみんな頑張っているということを書いておられる。

 大変しっかりとした文章だと思っておりまして、この手紙を、これは委員長あてでもありますし、河村先生あてでもありますが、私あてでもございますので、さらに熟読していく中で、問題点、これからどうしたらいいか、いろいろ考えていきたいと思います。

河村(た)委員 佐藤さんから一遍ヒアリングはぜひしていただきたいんだけれども、やはり聞かないとわかりませんから。まず読んでいただくのは結構、そちらで調査していただくのはいいですけれども、ぜひ佐藤さんに聞いていただきたいと思うんです。どうですか。

鳩山国務大臣 お会いすることにやぶさかではございません。

河村(た)委員 僕は、そこはなかなか鳩山さんはいいと思うんですよ。今までの人はそこまで言わなかった、はっきり言いまして。すぐ法務省が嫌がるものだから、これは検察がやってしまっておるから、もう意地ですから。だから、ぜひそこは、鳩山さん、人権派とか、とかと言ってはいかぬけれども、言われましたね、和の精神だとか言われましたから、それと、新進党で一緒だったのでよくわかっていますけれども、非常に率直というか、からっとしたところがありますので、ぜひ話を聞いてやってくださいね。

 それと、お金のことなんですけれども、大体一千万ぐらい、四割もらえませんので。刑事補償というのは、あれは身柄拘禁されておるときだけなんですよね、条文的には。憲法もそういうふうに書いてあります。ただ、それは最低こうだという意味であって、大きくとらえることはできるのであって、これについてはひとつ、鳩山さん、考えてやってくださいよ。

鳩山国務大臣 これは憲法に書いてありますよね。(河村(た)委員「それは最低限なんです」と呼ぶ)いやいや、「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」こういうことなんですが、それで、これを受けて刑事補償となりますね。

 身柄が拘束されて拘置所に入れば、無罪になれば補償がありますね。ところが、在宅だと何もないわけですね。そこの違いというのは、ちょっと私にはやはり気の毒な思いはいたします。

河村(た)委員 では、法律がつくれればいいんだけれども、十万円ぐらいカンパしませんか、みんなで、これに関与した人たちは。私、しますよ、みんなでやれば。やはり、ここの委員会で一たびでも暴行だとか言った人たちは、この間、社保庁だって自分の退職金を返上したりするじゃないですか。どうですか、大臣。

鳩山国務大臣 いい案だと思います。

河村(た)委員 ぜひそうしたいと思います。

 あと、下村委員長に、本人が、ここへ来て、証人喚問というと変な話ばかりが多いんですけれども、本当のことをしゃべりたいから証人としてしゃべらせてほしいと言っているんですよね。

 ですから、今のテーマは、真相解明もあるけれども、今の非拘禁者の場合、いわゆる生活をどうするかということですね。これは大変らしいですよ。ここにいる偉い様は、四割になったって貯金分ぐらいあるんですよ。だけれども、彼は当時、二十五か六じゃないですか。子供が二人おって、ここに書いてあったように、まともに食い込むわけですよ、仲間で助け合っているようですけれども。そういうような話とか出てきます。それから、取り調べの状況とかありますので、ぜひ彼を証人として呼んで、みんなで話を聞きたいと思うんですが、どうですか。

下村委員長 理事会で協議いたします。

河村(た)委員 それでは、時間が参りましたので、ぜひ、鳩山さん、あなたの部下ですから、ひとつお願いします。

 以上で終わります。

下村委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 午前中から例のアルカイダに関する話題が出ていますので、私も冒頭ちょっと確かめておきたいと思います。

 鳩山大臣の説明を聞くと、大臣の友人がバリ島に住んでいる日本人でいらっしゃって、その日本人の、仮にAさんとすると、そのAさんとまた友達であるこのBさん、外国人の方、このAとBというお二人が共同経営をして、昆虫ですか、そういう関係の事業をされていた。そして、そのAさんの方がバリ島爆破についての情報が耳に入っていて、大臣は事後的にそのことを聞いたという事実関係でよろしいですか。

鳩山国務大臣 ほとんどそのとおりだと思いますが、共同経営ということなんでしょうけれども、共同出資ということで、経営の方は専ら、今のお話でいうとAさんがやっておったのかもしれません。共同出資かもしれません。

保坂(展)委員 そうすると、大臣とAさんは友達で、AさんとBさんはまた友達である。大臣とBさんは直接面識がない。しかし、国際的なチョウのグループですか、そのグループの中のそれぞれメンバーだったということなんですが、このグループというのは、国際的な機関とか学会とか、あるいはもうちょっと小規模な、友人同士で運営しているような少人数のものなのか。例えば、そういった会員とか会費とか事務局員とかいるのか、その辺はどんなイメージなんでしょう。

鳩山国務大臣 日本の中には、いろいろなそういう公式の蝶類学会とか昆虫協会とかいろいろあります。Aさんがそういうグループに入っているかどうかはわかりませんが、我々のいろいろな形で酒を飲むようなグループがあるとすると、Aさんも日本に帰ってきたときにはそういうのに参加する、そういうような人ではあったと思いますが、外国人のBさんに関しては全く、この世界の人、昆虫を職業にしたり、大好きな世界の人という意味で、そういうグループとか会というのは全く存在しないと思います。ただ、かなり著名な貿易商であったということだと思います。

保坂(展)委員 それで、外国人プレスで、友達の友達がアルカイダということで、世界じゅうに報道が走ってしまったわけですが、今おっしゃったように、昆虫界では有名な人というふうに既におっしゃっているわけですね。そうすると、多分、このBさんについてはだれなのかということは、周辺の人だとか、捜すのにヒントはありますよね、鳩山大臣の発言自身に。

 確認なんですけれども、このバリ島爆破事件というのはアルカイダのしわざだったんでしょうか。多分違ったんじゃないかと思うんですね。とすると、ここなんです。要するに、Bさんというのがアルカイダのメンバーだ、あるいはアルカイダじゃないかもしれないけれどもテロリストにつながる人だと言ってしまう、その断定できる根拠というのはお持ちだったんですか。違っていたらどうするのかなと心配になります。

鳩山国務大臣 バリ島クタにおける事件は、ジェマー・イスラミアだというふうによく聞いております。アルカイダとは極めて緊密な関係にあって、それは何がアルカイダであるかというのは非常に難しいわけですが、アルカイダに資金協力したり、ジェマー・イスラミアのことだと思いますが、いわゆるアルカイダと極めて関係の深い過激派組織というふうに一般に聞いておりますので、そういう中からアルカイダあるいは周辺居住者という考え方をしておるわけです。

保坂(展)委員 世界じゅうにそれなりに有名な貿易商、昆虫の世界では余り知らない人はいないという方をアルカイダあるいはテロリストというふうに言ってしまった、そういう人が日本に入っているじゃないかということで入管行政について言いたかったというのはわかりますけれども、もしこの内容が鳩山大臣の思い込みや記憶違いだったとしても、その方周辺の、この御発言によって生じたいわば疑惑だとかいうことはもう取り消しようがないですよね。それについては、もし事実と違った場合は責任をとる覚悟はございますか。

鳩山国務大臣 名誉の問題になりましょうから、人の名誉を著しく傷つけるならば、それは私は何らかの責任をとらなければならないと思っておりますけれども、一般的な今までの感覚でいえば、かなり確度は高いのかなというふうに思っております。

 というのは、日本にも手書きの昆虫の週刊誌があるんです。ミニコミ誌というのか、手書きなんです。これにずっと前からその人の名前から出ているから、私は名前だけ知っておったわけです。すごい人がアンボン島におるんだなと。それが、アンボンの内戦の話もそのチョウの週刊誌で読み、すごい殺し合いをやっているんだなという話、そこから彼が過激派にどんどん入っていく様子等、折に触れてニュースで耳にいたしておりましたので、その辺からの総合的な結果が私の発言につながっているわけです。

保坂(展)委員 何らかの形で責任をとるとおっしゃいましたけれども、福田内閣の法務大臣として外国人記者の前で御発言されたわけですから、これが万が一間違えていたとしたら、それは法務大臣として責任をとるというふうに受けとめてよろしいですね。

鳩山国務大臣 それは私なりに考えます。

保坂(展)委員 それは、間違っていたでは取り消せないと思いますので。私、実は知り合いの方に、訪ねてこられた方に、アルカイダのメンバーだということで逮捕されて、捜査の中で実は違っていたという方がどれだけ大変な被害にその後遭ったかということを知っておりますので、聞きました。

 金大中事件についてお聞きしたいと思います。

 八月八日、七三年でしたが、白昼堂々拉致をされて韓国で見つかる、こういう事件でしたけれども、調査報告書が出されました。

 官房副長官に来ていただいていますが、この調査報告書、安委員長は、調査開始前には日本政府の支援を期待したが、調査結果を公表すれば捜査を再開するしかないなどと言われたというような旨のことをおっしゃっているそうですが、この調査報告書について、日本政府としてどう受けとめているのか、協力をしたのか、その点について伺っておきたいと思います。

大野内閣官房副長官 この調査報告書でありますけれども、昭和四十八年に発生したこの事件につきまして、韓国の中央情報部の部長の指示に基づいて行われたという内容のものでございました。

 それで、このことにつきましては、二十四日の日に木村外務副大臣から柳明桓駐日韓国大使に対しまして、この見解が韓国政府の見解であることを確認した上で、この当時の韓国当局が我が国の国内において公権力を行使したことについて遺憾の意を表明しております。

 これを受けまして、柳駐日大使からは、高村外務大臣に対しましても、我が国の主権を侵害したことに対する陳謝の意が表明されたところでございまして、これをもって韓国政府による我が国の主権侵害という国際法上の問題は処理された、こういう報告書と一連の流れの中で解釈をしているところであります。

 ただ、この委員会から説明を聞いたり、あるいは資料を求めたりといった、こういう予定は特にございませんが、我が国では既に国内の刑事事件としての捜査が現在も継続中であるというふうに承知をしております。ですから、こうした今後の取り扱いについては捜査当局が判断することではないか、この報告書の中からそのように解釈しているところでございます。

保坂(展)委員 法務大臣に伺いますけれども、実はきょうの新聞にも「高村外相は「外交決着」表明」と出ているんです。これが外交決着だとすると三回目ということになると思いますけれども、警察の方に聞いても、これは警察のみで捜査を独自に進行させるというのはなかなか難しいそうなんですね。いわゆる政治決着と今、そしてきのうのも、これは外交決着あるいは政治決着に近いものだとするならば、まことにおかしなことが生じてしまうんじゃないか。

 今、主権侵害が明らかであるということで遺憾の意を表明ということでしたけれども、韓国との間では引き渡し条約がある。珍しいあれですね、韓国と日本の間では。例えば、金東雲一等書記官などの指紋が既にあるわけで、時効は停止しているわけですから、捜査をしっかり行い、引き渡しを要求することも含めて考えるのかどうかという点はどうですか。

鳩山国務大臣 韓国との間には、捜査共助条約もありますし、逃亡犯罪人引き渡し条約がある。アメリカと韓国しかまだ日本は結んでいないと思いますが。

 具体的な金大中さんの事件という個別のことであれば、ちょっとお答えは差し控えなければならないわけですが、一般論として申し上げれば、韓国に対して逃亡犯罪人の引き渡しを請求するに当たっては、当該事案の事実関係の捜査結果はもとより、犯罪人引き渡しに関する日本国と大韓民国との条約に照らし、当該事案について、犯罪人の引き渡しを求めるための要件の有無等を十分に検討する必要がある、こう考えております。

 また、時効等の問題については、一般論ですよ、日本で犯した犯罪が、外国へ行っていれば時効は停止するけれども、その国でどう判断されるかというような問題も複雑に絡んでくるかと思います。

保坂(展)委員 警察庁に来ていただいていますけれども、捜査中ということですけれども、捜査中であるこの事件について報告書が出たわけですよね。報告をするに当たって、大統領の関与などはそこまでは言い切れない、しかし、KCIAの関与というか組織的な犯行だったことはこの報告書によっては明らかになっている。その報告書の中に、報告をするに当たっての原資料、証拠等々あるでしょう、恐らく。韓国に行って、この調査委員会に詳細を聞いたり、あるいはその原資料に当たったりして、さらに捜査を進める予定はありますか。

池田政府参考人 御指摘の事件につきましては、これまでの捜査から、少なくとも関係被疑者一名に対する公訴時効は完成していないものというふうに考えております。

 したがいまして、警視庁において引き続き事案の真相の解明に向けて捜査をしているところでございます。(保坂(展)委員「韓国に行くかどうか」と呼ぶ)個別の点につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいのでございますけれども、警察といたしましては、今回公表された報告書を精査した上、それをも踏まえて、本件に関する捜査を行ってまいりたいというふうに考えております。

保坂(展)委員 この件について、今、金大中さんは来日されているんですね。日本に来ておられるんですね。日本の警察当局の事情聴取要請をかつて断ったが、これは形式的な捜査ではだめだということだった、日本側が本当に進展させる気があるなら、いつでもどこでも証人として日本の警察を支援すると金大中さんはおっしゃっているわけですね。ということを法務大臣はどう受けとめるのか。

 もう一つ、政治決着というふうに言われましたけれども、その当時のかなり古い議事録をひっくり返してみますと、これは韓国の政府機関の関与、公的権力の関与が証明されていないということで実は政治決着しているんですが、今回証明されたということは、その前提が崩れるんじゃないかという点についても、法務大臣として金大中さんの思いを受けとめるという部分と、政治決着の、かつてのやはりやり直し、いわば政治決着に拘束されないでしっかり警察も捜査できるという関係にあると思うんですが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 政治決着につきましては、私はお答えする立場にはないと思います。

 ですが、捜査当局としては、これは時効は完成していないという思いで真相解明のための鋭意捜査を行っているわけでございますから、それは金大中さんがまたいろいろ御協力されるというのであれば、それも一つの有力な参考になってくると思います。

保坂(展)委員 時間になってしまいました。外務副大臣にわざわざ来ていただいたんですが、ちょっと時間切れで申しわけありませんでした。また次の機会にお願いいたします。

 終わります。

下村委員長 次に、滝実君。

滝委員 無所属の滝実でございます。

 十五分間でございますけれども、医療事故の刑事訴追につきましてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 時間が限定されておりますので、とりあえずは政府参考人から御意見をちょうだいして、最後に大臣から見解をいただければありがたいというふうに思っております。

 私どもの奈良県では、最近、産婦人科の事故が二件ばかり続きました。いずれも産婦人科の医者がいない、こういうことが原因の事件でございました。

 それに対して厚生労働大臣は、奈良県はどうもまずいんじゃないか、産婦人科の医者を確保するために奨学金制度とかそういうものを活用して医者を確保した方がいいんじゃないか、こういうようなことを知事におっしゃったそうでございますけれども、私は、そんなことで産婦人科の医者不足というか、これを確保するなんということは到底不可能のように思うんです。

 その一つは、産婦人科の医者というのは、二十四時間勤務体制みたいなことを強要されますから、なかなかなり手がない。そこへもってきて、昨今、産婦人科関係で医療事故があり、それに対して刑事訴追がある。こういうことで、産婦人科の医者のみならず、刑事訴追されるおそれのある外科の関係の医者、これはみんなもう恐れおののくというのが実態だろうと思うんですね。

 現在の刑事訴訟法の建前、刑法の建前からすると、医療事故は大体業務上過失致死ですから、問題になりますのは。そうすると、ここのところがある以上は、司法当局、捜査当局としては何らかの対応をせざるを得ないということもまた当然なんです。

 ところが、大きく分けて二つばかり、実は問題があるように思うんですね。

 一つは、業務上過失致死ということになりますと、その中身が必ずしもはっきりしているわけじゃないんです。一般的に、通常要求される能力以上の注意を払わなかった者は業務上過失致死、こういうような漠然とした定義でございますから、具体的なことになりますと、何が一般的に要求されるレベルを超える注意が必要なのかということになると、なかなか難しい。したがって、どこの国でも、罪刑法定主義とはいいながら、業務上過失致死のところになりますと、そこの判断がなかなか難しいんじゃないだろうかなというのが一つでございます。

 ですから、例えば、福島県の大野病院で起きた癒着胎盤に関する出血多量事故の問題でもそうだと思うんですよね。癒着胎盤なんというのは、専門家に聞きますと、二十年に一遍ぐらい遭遇する異常事態なんだそうですよ。そうすると、普通、医学部の講義なんかでこんなものの処理の仕方とかなんかはめったに出てこない。経験を積んでいると、その中で自分の見聞を広めて、たまたま出てくる問題。したがって、そういう二十年に一遍ぐらいしか遭遇しない、しかも大学の講義でも出てこない、あるいは臨床研修でも出てこない、そういうものにあるときぶち当たったときに対応できるだけの能力を、産婦人科の専門家といえども持っているかどうかということになると、なかなかこれは難しいんじゃないだろうか。

 そういう意味で、まず、これは法務省の刑事局長さんにお尋ねするんですけれども、業務上過失致死というようなものが日本の刑法では当然のこととされているんですけれども、こういう条文で何にもガイドラインも示さずに実際に刑事訴追をしているというような国は世界じゅうにあるのかどうか。そういうようなことも含めて、ちょっとその辺のところをお尋ねしたいと思うんです。

大野政府参考人 ただいまお尋ねのありました医療事故の取り扱いでございますけれども、諸外国における医療の過程における死傷事故の取り扱いにつきまして網羅的に把握してございませんけれども、調査しました限りでは、例えばドイツやフランスの刑法典には過失行為についての一般的な処罰規定が設けられておりまして、これでどうも対応しているようでございます。医療の過程において生じた死傷事故に特化した特別な規定はないものと承知しております。

 もっとも、文献によりますと、例えばアメリカですと、医療の過程において生じた死傷事故について刑事訴追がなされる事例は少数である、このようなことでございます。

滝委員 私も、今刑事局長さんがおっしゃったように、いわば余り条文主義じゃない英米法の系統でこの業務上過失致死なんというものは余りないんじゃないだろうかということを物の本で読んだものですから、今お尋ねしたわけでございます。これはやはり、大陸法みたいに条文主義をとっていても、ただ単に包括的定義だけでいけるのか。先ほども申しましたように、学校でも習わない、二十年に一遍ぐらいしか遭遇しない、それを普通の、一人でやっているような病院の産婦人科の医者が、おまえは自分の能力を超えたことをやったと言われても、これはしようがないんじゃないだろうかなという感じがするものですから。

 したがって、私は、医療事故に関して、今の建前からすると刑事訴追はやむを得ないと思うんですけれども、刑事訴追するまでに何かほかの方法をとるべきじゃないだろうか、こういうように感じるわけでございます。それをしませんと、先ほど申しましたように、幾ら厚生労働大臣が地方の産婦人科の医者を確保しろと言ったって、医者は怖くてできません。ある日突然、扱った子供が死産、子供が死んで生まれたとか、妊婦さんが死んじゃったら、途端にこれは刑事訴追を受ける、こういうふうになってくると、怖くてとてもじゃないけれどもできない。すべての外科手術には命の危険が伴うことはもう当然なんですから、ある意味では、いろいろな経験と近代的な設備、装置で死亡率をできるだけ抑えてきたというのが日本の医学の歴史でしょうから、それをある日突然、自分の患者さんが失敗したから御用と言われたら、これはしようがないですね。

 医師法によりますと、罰金以上の刑罰を受けると医師の免許の取り消しの対象になってまいりますから、そういう意味で、日本じゅうの外科と産婦人科と小児科、そういうところの医者がどんどん減ってきている、これが実態だろうと思います。減っているから刑事訴追を甘くしろと言うのじゃないですよ。それにかわるべき何らかのガイドラインというかそういうものがどうも必要じゃないだろうか、こういうような感じを受けるわけでございます。

 これについて、厚生労働省の方から何か意見がありましたら、お聞かせください。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 診療行為に関連をいたしました死亡等につきまして、その死因の調査とか臨床経過の評価、分析、再発防止策の検討を行う専門的な機関が現在日本では設けられていないということもございまして、結果として、委員御指摘のとおり、民事手続なり刑事手続にその究明が期待をされるという現状があるというふうに認識しております。

 この点につきまして、診療行為に関連した死亡が発生した際の真相究明等のあり方につきまして、厚生労働省におきましてこれまでも検討を進めてきたところでございますが、去る十月の十七日に、医学的な観点からの真相究明、それと医療事故の発生に至った原因分析等を行います医療事故調査委員会、あくまで仮称でございますが、こういうものを設けること等を内容とした第二次試案というのを公表したところでございます。

 もちろん、引き続き検討すべき課題は多うございますが、専門性の高い医療事故調査委員会が真相究明を行うということは、これまでよりも速やかな真相究明につながり得るとともに、同様の事態の再発を防止するという効果も期待できるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、診療行為にかかわる死因究明制度の構築など、医療リスクに対する支援体制の整備は、委員御指摘のとおり、医師確保対策におきましても重要な柱をなすものと考えておりまして、できるだけ早期に成果を得るように取り組んでまいりたいと考えております。

 以上であります。

滝委員 この件に関しまして、実は、福島県の大野病院事件、こういう事件を警察が担当して、起訴に持ち込むのはなかなか大変なんだろうと思うんですね、問題が医療問題に入るわけですから。それにいたしましても、この大野病院事件については、警察が逮捕し、そしてその後、地検が起訴した段階で、県警本部長が所管の警察署を表彰しているんです。

 それは、大変だったから表彰したんだろうとは思うんですけれども、地検が起訴した段階で捜査に当たったグループを表彰するというのは一体何なのかなと。それほど事件が難しかったから、御苦労さんという意味で表彰したのかとも思いますし、何となく、起訴した段階だけで表彰するというのはいかがなものだろうかと思うんですけれども、警察庁の方で意見があったらお聞かせください。

米田政府参考人 これは、この大野病院事件だけではなくて、一般的に警察の表彰というものは、警察の役割というのは一応公判請求、起訴をしたというところで一段落いたしますので、その時点で、捜査員にも大変苦労をかけたということで、表彰いたしているというものでございます。

滝委員 私もそうは思います。何といっても、医療事故の裁判で、一審が出るまでに、普通、大体二、三年はかかっているんです。二、三年かかって、別に殺人犯ではないから重大事件にはならない。したがって、裁判員制度の対象の事件ではないんですけれども、二、三年はかかる。

 したがって、この大野事件も、実はことしの一月から現在まで九回、公判を開いていると思うんです。一月に一遍ぐらい公判を開いているんです。公判の中身は、大体インターネットで出ていますけれども、学術論争なんです。専門家の間の学術論争。だから、一産婦人科の、一地域の病院の医者が手に負える話じゃない。そういうものが御用だ、御用だと言われたら、これは本当に医者のなり手がないんです。学会の最高水準の人間が、鑑定書をめぐって賛成、反対の議論をする。それも延々として、二年も三年もかかるんですね。

 一体全体、そういうものを刑事訴追の対象にすることがいいのかどうかということを、私は、法務省の刑事局がもうちょっときちんと整理していただく必要があるんじゃなかろうか。本当にミスがあって、人間の一般的に要求されるレベルを超えるミスだというなら、それは刑事訴追は当然なんですけれども、それにいたしましても、裁判員制度は大体五日間ぐらいの、五回ぐらいの公判で決着をしようといってやっているのに、こういう事件は二年も三年もかかるんですよ。

 日本医学界挙げての学術論争に、弁護士と裁判所と警察と地検が一緒になって闘うという異常な事態だろうと私は思うのでございますけれども、そういうことがいいのかどうか、最後に大臣から、御見解があったらお聞かせください。

鳩山国務大臣 物すごく難しい話だと思います。医療過誤というか、医師の行為が業務上過失致死に当たるかどうかというのは、非常に専門的な知識が要求されるし、一般的にガイドラインで、注意義務を果たしていなかったなんて簡単に片づけられるような話ではないだろうと思うのであります。

 私の父が、もう随分前でございますけれども、脳動脈瘤になりまして、延髄直下にゴルフボールぐらいの動脈瘤がある。これを、ある医者は、自分の技術で、多分、十分またゴルフができるぐらいの人間に戻すことができるだろうと。しかし、ほかのお医者さんに相談すると、やめた方がいいというか、何もしない方がいいのではないかと。結局、手術をしまして、これは一種のばくちで、手術をして、寝たきりになって死んでいったわけですね。

 だから、そういうようなケースでも、これは家族、本人含めて話し合ったケースだから、それを医療過誤とは言わないけれども、もし、何も知らないで、黙って手術されて、おやじが寝たきりになって死んじゃったじゃないかというとまた一悶着あるから、本当に、そういうことで医師が常に裁かれるようなもとにある場合、医師のなり手がなくなるから、そういう意味では、医療上の問題で裁判にかけられるというか、公判請求をされていくようなケースというのを十分に分析して、医師がびびって何もしなくなるということが最悪の部分でもありますから、これは大変難しい問題であるがゆえに、法務省の中でもできるだけ、整理が簡単にできるかどうかわかりませんが、大いに研究していかなければならない課題だと私はとらえました。

滝委員 時間が参りましたから、終わりますけれども、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、厚生労働省、第三者機関と言っていますけれども、真相究明のための機関の設立というものは、やはり一番、早急に望まれるところだと思いますので、この点についても、単純な第三者機関じゃなくて、真相究明ということも念頭に置いたものをぜひお願い申し上げたいと思います。

 終わります。

下村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会


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