衆議院

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第3号 平成21年11月20日(金曜日)

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平成二十一年十一月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 滝   実君

   理事 阿知波吉信君 理事 石関 貴史君

   理事 辻   惠君 理事 樋高  剛君

   理事 山尾志桜里君          

      加藤 公一君    川口  浩君

      熊谷 貞俊君    桑原  功君

      坂口 岳洋君    高橋 英行君

      竹田 光明君    橘  秀徳君

      中島 政希君    永江 孝子君

      長島 一由君    野木  実君

      藤田 憲彦君    細野 豪志君

      牧野 聖修君   松木けんこう君

      本村賢太郎君    横粂 勝仁君

      和嶋 未希君    城内  実君

    …………………………………

   法務大臣         千葉 景子君

   法務副大臣        加藤 公一君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   法務委員会専門員     生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  石森 久嗣君     川口  浩君

  橘  秀徳君     松木けんこう君

  永江 孝子君     高橋 英行君

  山口 和之君     和嶋 未希君

  山崎  誠君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  浩君     石森 久嗣君

  高橋 英行君     永江 孝子君

  松木けんこう君    橘  秀徳君

  本村賢太郎君     山崎  誠君

  和嶋 未希君     山口 和之君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

同月十八日

 複国籍の容認に関する請願(神山洋介君紹介)(第一七五号)

 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(池田元久君紹介)(第二三〇号)

 同(川内博史君紹介)(第二七一号)

 同(郡和子君紹介)(第二七二号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第二六七号)

 同(伴野豊君紹介)(第二六八号)

 成人の重国籍容認に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第二六九号)

 同(伴野豊君紹介)(第二七〇号)

同月二十日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(古屋範子君紹介)(第三八八号)

 成人の重国籍容認に関する請願(古屋範子君紹介)(第三八九号)

 裁判所の人的・物的充実に関する請願(馳浩君紹介)(第四二〇号)

 同(大口善徳君紹介)(第四六九号)

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(大口善徳君紹介)(第四六八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

滝委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ及び公明党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

滝委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたしましたが、自由民主党・改革クラブ及び公明党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。千葉法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案

 検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案

 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

千葉国務大臣 おはようございます。

 まず、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。

 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改定する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりでございます。

 一般の政府職員について、平成二十一年の民間の賃金水準に合わせて俸給月額を引き下げることといたしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて引き下げることといたしております。

 また、今回の改定に伴い、平成十七年の改正法において定められた経過措置についても所要の改正を加えることとしております。

 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし公布の日が月の初日であるときは、その日から施行することといたしております。

 以上が、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

 続きまして、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 裁判官の育児休業について、配偶者が育児休業をしている場合にもこれをすることができるようにする等の必要があることから、この法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。

 第一に、配偶者が育児休業をしている裁判官について、育児休業をすることができるようにしております。

 第二に、子の出生の日から一定期間内に最初の育児休業をした裁判官について、再度の育児休業をすることができるようにしております。

 これらの改正は、平成二十二年六月三十日までの間において政令で定める日から施行することといたしております。

 以上が、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

滝委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

滝委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局大谷人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

滝委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

滝委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿知波吉信君。

阿知波委員 民主党の阿知波吉信です。

 本日、初めて質問いたします。千葉大臣、そして滝委員長、光栄です。よろしくお願いします。そして、加藤副大臣、中村政務官、よろしくお願いします。

 それでは、裁判官、検察官の報酬、俸給法のそれぞれの改正案について御質問いたします。

 この改正案、目的が官民の給与の格差の是正ということですので、この厳しい経済環境の中で、これは国民感情にかなった適切な措置である、このように思います。

 ところで、一方で、そもそも、公務員給与、公務に携わる者の給与というものは、上がりにくく下がりにくいという、これまでそういう性質がありました。これは、いわばビルトインスタビライザーとして、経済の安定装置、こういう役割を担ってきました。

 今般の改正の中で、デフレの深刻化ですとか景気の二番底、こういうことが国民の間で不安視されている中で給与を下げるわけですので、例えば今行われているデフレというこの悪循環をさらに進めてしまう、こういうおそれがないか。例えば、不景気が進む、給料が下がる、そうすると消費が減る、さらに不景気が進む、そしてまた給料が下がっていくというデフレの悪循環、こういう懸念を持ちます。

 今回のこの法案の改正の副作用、こういうものにつきまして、景気回復を目標とする鳩山内閣の一員としての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。お願いします。

千葉国務大臣 阿知波議員の御質問、ありがとうございます。

 今委員が御指摘をされましたように、今回の改正というのは、いずれも、人事院勧告に基づいて一般の政府職員の給与を引き下げることに伴って、それに準じて引き下げをするというものでございます。

 ただ、これにつきましては、今御指摘がありましたように、給与の引き下げというのは、国民の感情からいえば大変かなったものではありますけれども、逆に景気の悪化を助長するのではないかという、そういうジレンマがあるということは、この間もやはり御指摘をいただいてきたということもございます。

 私もそこは大変心配をするところではございますけれども、景気の回復については、やはり今、鳩山内閣も、このような給与の問題とは別に、景気対策を目的としてのさまざまな施策を講じながら、何とか経済をしっかりと安定させていくということに全力を挙げております。そういう意味では、私も、その一員として、景気回復に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

 これ一つをもって景気回復が損なわれるということまでは言えないというふうに思いますので、全体としての景気回復、それに向けて、私もぜひ全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

阿知波委員 それでは、続きまして、裁判官の育児休業に関する法律の改正案、これについて御質問します。

 これは、この中に、配偶者が育児休業をしている裁判官についても育児休業をすることができるようにという拡充措置なわけなんですが、それでは、今の現行制度における男性の裁判官による育児休業の取得の実態、これを教えていただければと思います。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 過去三年間について見ますと、育児休業を取得した男性の裁判官というのはございません。

阿知波委員 なぜゼロなのかということなんですね。何か運用上問題がございますでしょうか。

大谷最高裁判所長官代理者 裁判所におきましては、裁判官の育児休業制度の発足以降、今日までの間、男女を問わず、すべて申し出のとおり育児休業を承認してきております。現在は育児休業を取得している男性裁判官はございませんが、過去には取得した例もございます。

 今回の改正法が成立した際には、この改正が目指す趣旨あるいは新制度の内容、こういったものも含めて改めて育児休業制度の周知に努めて、さらに育児休業が取得しやすい、このような環境整備を図っていきたい、このように考えております。

阿知波委員 それでは大臣にお尋ねしたいんですが、このように、制度を幾ら用意いたしましても、活用されないと意味がないわけです。ですから、大臣はこれまでの状況についてはどのようにお考えですか。

千葉国務大臣 今、最高裁の方からの報告を聞きまして大変残念な気持ちがいたします。いろいろな特別な事情が裁判官の場合にはあろうかというふうには思いますけれども、裁判官ばかりではなくて、社会全体としても、まだまだ男性の育児休業の取得というのは少ないというのが実情ではないかというふうに思っております。

 ただ、とりわけ裁判所、ここでも男性裁判官の育児休業の取得が、少しでもとりやすくなるように、こういう趣旨をもちまして今回の改正ということに至っているわけですので、ぜひこれを少しでも活用をいただいて増加をする、そういうことにつながればと私は願っております。

阿知波委員 それでは、今回の改正なんですが、これは、配偶者が育児休業をしている、そういう裁判官についても育児休業をとることができるということなんですけれども、これは、裁判官の任期が十年間であるということと臨時的な採用が難しい、そういう特殊性がある、こういうことがあるので、業務への支障が出ることなきようにという、そういうことがどうしても働きますので、結果的にこういう育児休業の取得というものが難しくなっているんじゃないか、そういう懸念があるんですが、今の準備状況としてどのようなことを予定されているか、お願いいたします。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今委員から御指摘のありましたとおり、下級裁判所の裁判官におきましては、育児休業の期間に限定した代替要員、こういった措置をとることができないわけでございます。

 そこで、育児休業で職務を離れました裁判官の業務につきましては、例えば、裁判所間の人事異動、所属裁判所内での配置がえあるいは事件の配てんがえ、こういったいろいろな措置を講ずることでこれまでカバーしてきたところでございます。

 これまでのところ、育児休業の利用というのは毎年三十人程度でございまして、他の裁判官への負担増ということも、全体として見ればそれほど大きなものではないということで、裁判等の事務に支障を来すことなく対処してきたところではございます。

 しかし、今回の改正によりまして、委員も御指摘のとおり、男性裁判官が育児休業をしやすくなった場合には、他の裁判官への負担が増してくるということも考えられるところではありますので、今後、これまでの措置で十分と言えるかということについて一層留意して、裁判運営に支障がないよう遺漏なきを期してまいりたい、このように考えております。

阿知波委員 では、大臣にお尋ねします。

 この新しい制度が定着していくために、特段、この法律改正外で大臣として何かされたいとか、考えているとか、そういうことはございますでしょうか。

千葉国務大臣 まずは、この制度を皆さんの御賛同をいただいて導入をすることによって、少しでも育児休業取得をしていただくような、それを目指していきたいというふうに思います。

 また、最高裁などの方でもやはりこのような問題があるということで措置をすることが必要だ、何か法整備をすることが必要だというようなこともございますれば、そのような状況もよくお聞きをして、また次の対応策というのを検討していかなければいけないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、やはり全体として、男性も女性も、ワーク・ライフ・バランスと言われておりますように、それぞれが仕事そして家庭、それを大切にできる、こういう意識をより一層広めていくような、そういうことにも私も努めてまいりたいと思っております。

阿知波委員 きょうは人件費のことが話題になっておりますので、大臣にお尋ねしたいんですが、国家公務員の総人件費を二割削減する、これが民主党のマニフェストの中に記されております。

 こういう中ですが、一方で、凶悪、組織犯罪等の多発化、裁判員裁判の実施など捜査、公判の業務量の増大、それに新たな業務への対応が法務行政で課題となっております。

 この法務行政を円滑に実施していくということと、一方でマニフェストを実現していく、この両方を両立させていく、この上で大臣はどのようにお考えになってみえるのか、大臣の御方針等々をお尋ねしたいと思います。

千葉国務大臣 これも今委員が御指摘をされましたとおり、マニフェストでは、公務員制度の抜本改革の実施の具体策として、総人件費の二割削減というのを打ち出しております。

 これがそのまま検察官等の削減ということに直結をするということではないかとは思いますけれども、やはり大変厳しいこういう枠の中で、一方で、凶悪な犯罪あるいはいろいろな難しい、困難な事件、こういうものも増大をしている、こういうことですので、国民の安心、こういう面からは、余り削減をするというようなことになりますと、これは皆さんの、ある意味では、国民全体の生活に大きくかかわってくるということになろうかというふうに思っております。

 そういう意味では、今後、できるだけ業務については合理化といいますか、そういうことも図りながら、そして国民の安心をしっかりと支えていく、こういうことは念頭に忘れることなく、体制のあり方についてこれからも適切に運用、そして考えていきたいというふうに思っております。

 多少ではございますけれども、この間、検察官の数、少しずつではありますけれども充実をさせていただいているということでございますので、これを基本にしながら、ぜひ、相矛盾をすることではありますけれども、どちらもきちっと満足できるような、そういう体制をつくるために私も努力を重ねてまいりたいと思っております。

阿知波委員 終わります。

滝委員長 次に、横粂勝仁君。

横粂委員 民主党の横粂勝仁でございます。

 このたびは、末席中の末席である新人議員の私に対しこのような質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。光栄の至りでございます。新人議員として、そして数少ない二十代議員として、一般的な感覚を持って、国民目線で率直に質問させていただきたいと思います。

 私からは、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案、この三つにつきまして、重複ではございますが、少々だけ質問させていただきます。

 では、まず前二つについてお聞きします。

 裁判官の報酬等と検察官の俸給等、これらを国家公務員の一般職の職員とは別に法律で定めている理由とは何でしょうか。お聞きいたします。

千葉国務大臣 最も若手の横粂委員から御質問をいただいて、大変私もうれしく思っております。

 今御質問をいただきました、本当にこれは基本の問題であろうというふうに思っております。

 裁判官の報酬は、裁判官は、国家公務員法上、特別職という位置づけにされております。また、特別職の国家公務員の中でもまた、裁判官というのは司法に属するということ、そして、その地位や職責に特殊性があり、さらに憲法の上で、すべて定期に相当額の報酬を受け、この報酬は在任中減額することができない、こういうふうにも規定されております。

 こういうことから、裁判官の報酬については、一般職の国家公務員はもとより、特別職の国家公務員の給与法とも別に、裁判官の報酬等に関する法律という形で定められているものと承知をいたしております。

 また、検察官、これは国家公務員法上は一般職の国家公務員ということになりますけれども、その職務と責任、この特殊性を考えたときに、いわば準司法官的とよく言われておりますけれども、検察庁法でいろいろな立場に即した特例が認められております。

 そういう意味で、検察官も司法権の発動を促していくという準司法的な立場を持っているということをもって、原則として裁判官と同一の、そして試験とか養成、こういうことにもかかってくることは横粂委員もよく御存じのことでございます。そういうことから、特段に、検察官の受ける俸給についても、検察庁法で、別に法律で定めるという形になっているところでございます。

 そういう意味で、職務の特殊性あるいは三権分立の一翼である司法、こういうことからこのような形になっているということをぜひ御理解いただければというふうに思います。

横粂委員 ただいま大臣が言われたように、憲法上、裁判官の報酬は「在任中、これを減額することができない。」と定められております。

 では、このたび、このように報酬を下げてしまうことに関し、憲法上の問題は生じないのでしょうか。お答えください。

千葉国務大臣 これも今御指摘をいただきましたように、憲法におきまして、裁判官の報酬については減額をすることができないという旨規定がなされております。この規定というものの趣旨を考えてみますと、裁判官の報酬の減額というのは、個々の裁判官などに何らかの圧力をかけて裁判の判断をねじ曲げたりするようなことがあってはならない、あるいは司法全体に、やはりこれまた萎縮をさせるような効果をもたらしてはならない、こういう趣旨のもとに、減額をすることができない定めがされていると私は理解をいたしております。

 今回の引き下げというのは、民間の給与水準との均衡等の観点から公務員の給与引き下げということになるわけですけれども、これに準じて法律によって裁判官の報酬について引き下げをする。その趣旨から考えますと、個々の裁判官に圧力になるとか、あるいは司法全体に対して何らか、司法のいわば縮小、こういうことにつながるというものではございません。そういう意味では、今回の引き下げというのは憲法の趣旨等に反するものではないと理解をさせていただいているところでございます。

 なお、裁判官などにおきましては、全体の合意のもとにこれをきちっと受け入れる、こういう形になっているとも承知をいたしております。

横粂委員 それでは、今回、平均として年間どれぐらい下がるのでしょうか。お聞かせください。

大谷最高裁判所長官代理者 裁判官につきましては、諸手当を含む年間給与は平均約二・五%の減額ということになります。

横粂委員 検察官はどうでしょうか。

千葉国務大臣 これもほぼ同じく、平均ではございますけれども、約二・五%の減額ということになります。

横粂委員 裁判官や検察官にとって、報酬や俸給といったものは生活の礎だと思っております。そして、それを減額する以上は相応の理由が必要だと思います。そして、今回二・五%というとかなりの減額だと思うのですが、その相応の理由について、いま一度ではございますが、お聞かせください。

千葉国務大臣 これは先ほどの答弁と若干重なるところはあろうかというふうに思いますけれども、今回、一般の公務員、一般職の職員の給与改定、こういうことがございました。これを受けて、ほぼこれに沿った形でこの給与の引き下げということを行うということにしたものでございます。

 これが、先ほど言いましたように、裁判官の、確かにマイナスになるということはもちろんですけれども、裁判官だけに非常に特別な減額になるとか、検察官だけが非常に特別な減額になるとか、あるいはその地位を脅かすような、圧力になるような、そういう引き下げということとは私も理解はいたしませんので、引き下げというのは大変厳しいことではございますけれども、これが一定のふさわしい、適切ないわば基準であろうというふうに考えております。

横粂委員 それでは、次の、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案に移らせていただきます。

 先ほどと同様ではございますが、裁判官の育児休業に関する法律が国家公務員の育児休業に関する法律とは別に定められている理由についてお聞きしたく存じます。

千葉国務大臣 これは、先ほどの質問の中でいささか答弁があったかというふうに思いますが、私の方から改めて答弁をさせていただきます。

 裁判官の育児休業制度というのは、やはり裁判官の地位あるいは職務、これに特殊性がございます。これは先ほどのお話にもございましたように、裁判官というのは、例えば任期があるとか、臨時的にかわりの裁判官を雇用するという形にはならない、こういうような特殊性があろうかというふうに思います。そういう意味で、一般職の国家公務員とは別に、裁判官の育児休業に関する法律というのがつくられまして、そこに定められているということでございます。

 また、検察官については、一般職の国家公務員という立場でもございますし、国家公務員の育児休業法が適用されるということにされております。

 裁判官につきましては、やはり先ほどの、地位、職務の特殊性、こういうところから、別な形で法律が定められているというふうに理解をいたしております。

横粂委員 それでは、時間が近づいてまいりましたので、最後に一言だけ申し上げます。

 少子化が進む中、未来を担う子供たち、その希望という光をふやしていくためにも少子化対策は喫緊の課題であり、民主党による子ども手当がゴールではなくて、それ以上の追加的措置が必要なものだと思っております。その一環として、家庭生活において育児を男女が分担し、仕事と生活、その調和を図り得るような勤務環境を整備することは重要なことだと思っております。このような本法律案が早急に可決されることを強く求め、私の質問とさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

滝委員長 これより自由民主党・改革クラブ及び公明党の質疑時間に入ります。

 阿知波吉信君。

阿知波委員 動議を提出いたします。

 ただいま議題の三案の質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されることを望みます。

滝委員長 阿知波君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

滝委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

滝委員長 まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

滝委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

滝委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

滝委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成は、委員長に一任することに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

滝委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

滝委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十四分散会


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