衆議院

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第7号 平成24年6月12日(火曜日)

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平成二十四年六月十二日(火曜日)

    午後五時十分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 黒岩 宇洋君

   理事 階   猛君 理事 辻   惠君

   理事 樋口 俊一君 理事 稲田 朋美君

   理事 棚橋 泰文君 理事 大口 善徳君

      井戸まさえ君    大谷  啓君

      大西 孝典君    大山 昌宏君

      加藤  学君    勝又恒一郎君

      川口  浩君    京野 公子君

      桑原  功君    小室 寿明君

      橘  秀徳君    玉置 公良君

      中屋 大介君    藤田 大助君

      皆吉 稲生君    河井 克行君

      城内  実君    北村 茂男君

      柴山 昌彦君    平沢 勝栄君

      森  英介君    柳本 卓治君

      園田 博之君    横粂 勝仁君

    …………………………………

   法務大臣         滝   実君

   法務副大臣        谷  博之君

   法務大臣政務官      松野 信夫君

   最高裁判所事務総長    大谷 直人君

   法務委員会専門員     岡本  修君

    ―――――――――――――

六月十二日

 法務局・更生保護官署・入国管理官署及び少年院施設の増員に関する請願(中島政希君紹介)(第一五九九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六六一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六六二号)

 同(京野公子君紹介)(第一六六三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六六四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六六七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六六八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六六九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六七〇号)

は本委員会に付託された。


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 この際、滝法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。滝法務大臣。

滝国務大臣 このたび法務大臣に就任いたしました滝実でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 昨年九月から法務副大臣として法務行政に携わってまいりましたが、今度は法務大臣としての重責を担うことになり、身の引き締まる思いでございます。

 法務行政は、社会の法的基盤を整え、国民の生活を支える重要な役割を担っており、法秩序の維持と国民の権利利益の擁護を通じて、国民が安心して生活できる社会をつくることが求められております。

 また、凶悪かつ重大な殺傷事案等が後を絶たず、社会の変化に伴う新たな不安要因も発生する中で、治安の維持に努めることは法務省の重要な役割であると考えております。

 法務行政はさまざまな分野で課題を抱えておりますが、国民の皆様からの御意見や国会等における御議論などを真摯に受けとめ、政務三役及び省内でも十分に検討した上で、政策に反映させていきたいと考えております。

 検察改革については、検察に対する国民の信頼を取り戻し、その再生を図るため、監察体制の構築や検察基本規程の策定など種々の具体策を策定、実施しているところであり、本年四月にはその進捗状況を取りまとめて公表したところでございます。刑事司法において重要な役割を担う検察がその使命を全うすることができるよう、引き続き検察改革を推進してまいります。

 被疑者取り調べの可視化を含む新たな刑事司法制度の構築について。

 我が国の刑事司法制度が抱える諸問題に向き合い、被疑者取り調べの可視化を含む新たな刑事司法制度の構築に積極的に取り組んでまいります。この点については、現在、法制審議会において幅広い観点から活発な審議が行われており、実証的な審議に資するよう、検察において被疑者取り調べの録音、録画の試行を行っているところでございます。今後とも、この試行を積極的に実施するとともに、現在進めているその検証作業等の取り組みを含め、時代に即した刑事司法制度の構築に向けて、充実した審議が行われ、できる限り早期に結論が得られるよう、引き続き尽力してまいります。

 司法制度改革の推進についてでございます。

 国民主権の理念に従い、国民にとってより身近で、より利用しやすい司法を目指した司法制度改革は、各制度の実施段階に入っております。今後は、その運用状況を見定めながら、さらに制度の成熟に向け努力してまいります。

 法曹養成制度の検討についてでございます。

 司法制度改革において新たに導入した法曹養成制度については、質、量ともに豊かな法曹を養成することを目指したものですが、各方面からさまざまな問題点が指摘されています。これまでも法曹の養成に関するフォーラムを開催して検討を進めてきたところであり、今後も、司法制度改革の理念を踏まえつつ、関係機関等と連携しながら、継続して検討を行ってまいります。

 今国会においては、司法の中核をなす裁判所の体制の充実強化を図るため、判事の増員等を内容とした裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を提出しているほか、外国法事務弁護士による法人の設立を認める外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を提出しています。十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いをいたします。

 日本司法支援センターの充実についてでございます。

 日本司法支援センター、愛称法テラスは、民事法律扶助業務や国選弁護等関連業務など、国民への法的支援の中心的機関として大きな役割を果たしています。また、東日本大震災の被災地に出張所を設置して現地のさまざまな法的ニーズに対応するほか、本年四月に施行された東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律に基づき、利用者の資力を問わず無料法律相談や弁護士、司法書士費用の立てかえを行うなど、被災者の法的支援業務にも精力的に取り組んでいます。今後も法テラスの業務体制の一層の充実に努め、法テラスが行う国民のためのさまざまな取り組みを支援してまいります。

 裁判員制度の円滑な運用についてでございます。

 裁判員制度については、本年五月にその施行から三年が経過しましたが、裁判員の方々の誠実な取り組みにより、国民の間に定着しつつあります。今後もさまざまな課題に適切に対応し、引き続き、この制度が国民の御理解を得ながら一層円滑に実施されるよう、関係機関とともに尽力してまいります。

 法教育についてでございます。

 法的な物の考え方を身につけるための法教育は、自由で公正な社会の担い手を育成する上で不可欠なものであり、社会の複雑多様化に伴い、その重要性はますます高まっています。国民一人一人が法や司法に対する理解をさらに深めることができるよう、幅広く法教育を推進してまいります。

 再犯防止対策の推進についてでございます。

 犯罪対策の中で、刑務所出所者等の再犯を防止することは非常に重要な課題であり、政府の新成長戦略にも掲げる刑務所出所者等の社会復帰支援をさらに推進してまいります。

 具体的には、まず、刑務所等での改善指導や職業訓練、保護観察中のプログラム等の処遇や教育を一層効果的なものにするとともに、刑務所出所者等の住居、就労の確保等の社会復帰支援対策を充実させてまいります。また、そのための体制整備として、刑務所等の施設整備、保護司の方々の活動に対する支援の拡充を進めます。

 さらに、今後は、犯罪対策閣僚会議のもとに設置されている再犯防止対策ワーキングチームにおいて、関係府省との協力関係を密にしながら、中長期的な視点に立った総合的な再犯防止対策を検討、推進してまいります。

 なお、衆議院において継続審議中の刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について、十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いをいたします。

 少年矯正の基盤整備等についてでございます。

 少年矯正につきましては、社会に開かれ、信頼の輪に支えられる少年院、少年鑑別所を目指して諸改革に取り組んでいるところでございますが、少年の健全育成を図るという少年矯正の理念にふさわしい法的基盤を整備するため、少年院法案、少年鑑別所法案とそれらの整備法案について閣議決定し、今国会に提出いたしました。十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いをいたします。

 民事基本法等の整備についてでございます。

 まず、民事基本法の整備でございますけれども、民事基本法についても、国民の意識や社会情勢の変化に対応し、必要な見直しを進めてまいります。

 今国会においては、国際的な子の連れ去り問題に対処するため、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約、いわゆるハーグ条約を実施するために必要な法律案を外務省とともに提出いたしました。十分に御審議の上、速やかに成立させていただきますようお願いをいたします。

 また、現在、法制審議会においては、民法の債権関係及び会社法制について、それぞれ見直しに向けた審議が行われております。今後、これらの審議結果を踏まえて、必要な法整備を行ってまいります。

 登記、地図整備等の促進でございますけれども、東日本大震災からの復興のため、倒壊した建物の職権による滅失登記の実施や地図の修正等の施策を推進してまいります。また、全国的に取り組んでいる登記所備えつけ地図の整備についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 人権救済のための体制整備等についてでございます。

 政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置については、これまでの間、国民の理解を得られるような制度の構築を目指し、法案の作成作業を進めてきたところでございます。今国会での法案提出に向け努力してまいります。それとともに、国民の人権が保障され、安心して暮らせる社会をつくるため、引き続き、人権啓発活動の効果的な実施に努めるほか、人権侵犯事件の調査・救済活動を適切に行ってまいります。

 また、人権諸条約に基づく個人通報制度の導入については、通報事案への具体的対応のあり方や体制整備について、関係府省とともに検討を進めてまいります。

 北朝鮮関連動向、テロ行為等に関する情報収集についてでございます。

 北朝鮮については、核、ミサイルをめぐる動向や、金正恩体制発足後の国内情勢等の把握に努めるとともに、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。国際テロについては、調査を一層充実することにより、その防止に努めてまいります。また、オウム真理教については、引き続き、団体規制法に基づく観察処分を適切かつ厳格に実施することにより、公共の安全の確保に努めてまいります。

 適正な出入国管理の実現についてでございます。

 東日本大震災からの復興や我が国の経済成長のためにも、外国人観光客や我が国の活力となるべき外国人の円滑、適正な受け入れの促進が重要な課題であると認識し、適切な対応を進めてまいります。

 適正な出入国管理でございます。

 本年七月九日からは、新しい在留管理制度がいよいよスタートいたします。これまでも関係政省令の公布などその施行の準備を行ってまいりましたが、積極的な広報活動を行うなど、引き続きその円滑な施行に向けた準備を着実に進めてまいります。また、退去強制事由該当者については、その摘発の推進や自発的な出頭を促す等して一層の減少に努めてまいります。

 これまで新成長戦略にのっとり、観光立国の推進の観点から円滑な出入国管理を進めてまいりましたが、今後とも、クルーズ船に対する迅速な審査を試行するなど、さらにその取り組みを推進してまいります。

 他方、国際的に依然として脅威となっているテロを防止する等の観点から、バイオメトリクスの活用等により、違法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止してまいります。

 難民の保護についてでございます。

 さらに、昨年の第百七十九回国会では、難民の保護と難民問題の解決策への継続的な取り組みに関する決議が衆議院本会議及び参議院本会議において全会一致で採択されました。法務省としても、その趣旨を十分に尊重いたしまして、国連難民高等弁務官事務所や民間支援団体などとの連携の強化、本年三月に延長が決定されましたパイロットケースとしての第三国定住による難民の円滑な受け入れなど、難民問題への対応に引き続き積極的に取り組んでまいります。

 国際協力の推進についてでございます。

 国際貢献に関しては、現在、国際連合と協力し、我が国と関係の深いアジアの国々等の刑事司法実務家を対象とする国際研修等を行っています。また、開発途上国の基本法令の起草や法律家の人材育成等を柱とする法制度整備の支援も行っています。これらの国際協力は、各国における法の支配の実現に貢献するものとして関係諸国の期待も高まっておりますので、その期待に応えるため、より一層積極的に取り組んでまいります。

 結びといたしまして、委員長初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営に格別の御尽力を賜っております。安心、安全な社会の構築に向け、法務大臣として、谷副大臣、松野大臣政務官とも協力し、さまざまな課題に全力で取り組んでまいりますので、より一層の御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。

小林委員長 次に、谷法務副大臣及び松野法務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。谷法務副大臣。

谷副大臣 法務副大臣の谷博之でございます。

 滝法務大臣の御挨拶にありましたとおり、法務行政の諸課題については、いずれも国民生活の基本、根幹にかかわる重要なものばかりでございますので、松野法務大臣政務官とともに大臣を支え、精力的に取り組んでまいります。

 そして、委員長初め委員の皆様方から一層の御指導、御支援を賜りながら、法務副大臣としての職責を果たしていく所存でございます。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。

小林委員長 次に、松野法務大臣政務官。

松野大臣政務官 このたび法務大臣政務官に就任をいたしました松野信夫です。

 滝法務大臣、そして谷副大臣を支えて、しっかりと法務行政の推進に取り組んでいきたいと考えております。

 今までお話がありましたように、法務行政は国民の安全、安心、そして社会正義を実現するという極めて重要な行政でありますので、まさに日本の屋台骨だ、こういう認識のもとに、一生懸命取り組んでいきたいと思います。小林委員長、そして委員の皆様の格別なる御指導を賜りますよう、心からお願い申し上げます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小林委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所大谷事務総長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 大谷事務総長から発言を求められておりますので、これを許します。大谷事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 三月二十七日付で最高裁判所事務総長を命ぜられました大谷直人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員長を初め法務委員会の委員の皆様方には、平素から私ども司法権の立場につきまして深い御理解と格別の御配慮をいただいており、まことにありがとうございます。この場をおかりいたしまして、厚く御礼申し上げたいと思います。

 裁判所の役割は、これは申すまでもなく、適正かつ迅速な裁判を行うことにあります。その役割を十分に果たして、国民の期待と信頼に応えていけるように、さまざまな司法行政上の課題に取り組む所存でございます。

 昨年三月に発生いたしました東日本大震災とその後の原子力発電所の事故は、広い地域に甚大な被害をもたらし、今もなお多くの方々が困難な生活を強いられております。裁判所といたしましても、地域の司法機関としての使命を忘れず、被災地の方々のために、復興に関連して生ずるさまざまな法的紛争の解決に全力を尽くしたい、このように考えております。

 また、司法制度改革の最大の柱の一つでございました裁判員制度の施行から三年が経過いたしました。この間、国民の皆様方の協力と理解を得まして、制度はおおむね順調にスタートしたと言ってよいように思います。この制度が法律の趣旨に沿ってより一層適切に運営されますように、これまで以上に関係機関との連携を緊密にして、運用の改善に努める必要があると考えております。

 法務委員会の委員の皆様方には、今後とも裁判所の運営の充実強化のために一層の御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 以上をもちまして、簡単ではございますが、私の就任の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


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