衆議院

メインへスキップ



第7号 平成28年3月30日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 吉野 正芳君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      あかま二郎君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大塚  拓君

      門  博文君    上川 陽子君

      今野 智博君    笹川 博義君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    武部  新君

      冨樫 博之君    藤原  崇君

      古田 圭一君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      若狭  勝君    階   猛君

      柚木 道義君    大口 善徳君

      吉田 宣弘君    清水 忠史君

      畑野 君枝君    木下 智彦君

      上西小百合君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         岩城 光英君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   最高裁判所事務総局総務局長            中村  愼君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           村田  隆君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          萩本  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  山尾志桜里君     柚木 道義君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     武部  新君

  辻  清人君     瀬戸 隆一君

  宮川 典子君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     石川 昭政君

  武部  新君     奥野 信亮君

  八木 哲也君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     宮川 典子君

  石川 昭政君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     辻  清人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 総合法律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十九回国会閣法第五七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 第百八十九回国会、内閣提出、総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。岩城法務大臣。

    ―――――――――――――

 総合法律支援法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩城国務大臣 おはようございます。

 総合法律支援法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。

 平成十六年六月に総合法律支援法が成立し、これにより、日本司法支援センターは、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要なサービス等の提供が受けられる社会の実現を目指すことを基本理念とし、資力の乏しい者に対する民事法律扶助業務、司法過疎対策業務等を推進してまいりました。そして、超高齢社会の到来を初めとする社会構造の変化や東日本大震災を初めとする大規模災害の経験などを背景に、法による紛争の解決に必要なサービスの提供を受けることが難しい方々の多様化に対応して、そのような方々が必要なサービスを受けることができるための施策を講ずることが強く求められています。

 そこで、この法律案は、支援センターの業務につき、高齢者、障害者で認知機能が十分でない者、大規模災害の被災者及びストーカー等被害者に対する援助を拡充するとともに、支援センターの職員である弁護士に関する支援センターの責務を明確化するため、総合法律支援法の一部を改正しようとするものであります。

 以下、その要点を申し上げます。

 第一点は、民事法律扶助事業を拡充し、高齢者、障害者で認知機能が十分でない者及び大規模災害の被災者に対する資力を問わない法律相談援助等を創設するものであります。

 第二点は、犯罪被害者支援の一環として、つきまとい等の侵害行為を現に受けている疑いがあると認められるストーカー等被害者に対する資力を問わない法律相談援助を創設するものであります。

 第三点は、支援センターの職員である弁護士の資質の向上等に関する支援センターの責務を明確化するものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行っております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官村田隆君、警察庁長官官房審議官露木康浩君、法務省大臣官房司法法制部長萩本修君、法務省刑事局長林眞琴君、文部科学省大臣官房審議官藤原章夫君及び厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長中村愼君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤委員 おはようございます。自由民主党の宮澤博行でございます。

 本日は、総合法律支援法の一部を改正する法律案、質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ただいま、大臣から趣旨の説明がございました。私、たまたま先日、福祉関係の方とお話をする機会がありまして、実は、この法テラスに関する法律、改正されるんですよというお話をしたら、非常に助かっています、法テラスの弁護士さんにはいろいろ協力させてもらっているんですよという話を聞きましたので、これはいいことだなと思ったんですね。

 しかし、今回出てきている法律改正、言ってみれば、障害者、高齢者、ストーカー被害者、そういった方に業務の対象を広げていくという内容、これは全く異論はありませんし、ぜひやるべきだというふうに思います。だからこそ気になるんですね、今までどうだったんでしょうということ。

 平成十八年十月からこの業務が始まったということでありますが、この改正までに十年ぐらいの時間がかかった。どういういきさつがあり、どういう状況でここにたどり着いたのかというのをまずはちょっと御説明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 総合法律支援法は、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要なサービス等の提供が受けられる社会の実現を目指すことを基本理念としておりまして、同法に基づき、資力の乏しい者に対する民事法律扶助業務や司法過疎対策業務等を推進してまいりました。

 今、委員からお話がありましたとおり、法テラスに対する実績等について評価があることは事実であります。おただしのとおりであります。

 ただ、他方、今日では、超高齢社会の到来による社会構造の変化、あるいは、東日本大震災を初めとする大規模災害の経験に加えまして、深刻な被害に進展するおそれの大きいストーカー犯罪等の被害者を法的手段により救済すべきとの要請の高まり、こういったものが見られるようになっております。

 こうしたことを背景としまして、法による紛争の解決に必要な援助を受けることが難しい者が多様化し、このような方々に対し、必要な法的支援を提供するための施策を講ずることが強く求められている状況にあります。

 そこで、総合法律支援の基本理念を実現する観点から、その実施主体であります法テラスの業務を一部拡充し、高齢者、障害者で認知機能が十分でない者、大規模災害の被災者、ストーカー等の被害者に対する資力を問わない法律相談援助制度などを創設する本改正法案を提出するに至った次第であります。

宮澤委員 確かにそうかもしれません。

 私が聞いているのは、実際、そういった要請、相談があったかどうか、そういう国民の皆さんのお声があったかどうか、やはりそこのところを押さえておかなくちゃいけないわけなんです。

 そして、それに対して、今までは対応できませんでしたよ、していませんでしたよでは、非常にこれはまずい対応だったわけですから、今までの相談内容、利用者数、そして、できれば国籍等々、さらには、公的給付に関する相談等が今まであったのかどうなのか、それへの対応はどのようにしてきたのか、ここのところを御説明していただきたいと思います。

萩本政府参考人 委員から御指摘がありました高齢者、障害者、あるいはストーカー等の被害者ですけれども、これまで全く対応してこなかったというわけではありませんで、法テラスでは、従前から行っている民事法律扶助業務、犯罪被害者支援業務を通じて、これらの業務の範囲でできる支援を行ってきたところでございます。

 幾つか例を申し上げますと、例えば六十五歳以上の高齢者につきましては、平成二十六年度の民事法律扶助の利用件数で、法律相談援助が約四万五千件、代理援助が約一万五千件、書類作成援助が約八百件になります。障害者につきましては、同じ平成二十六年度において、代理援助が約三千件、書類作成援助が二百四十件でございます。

 また、ストーカー等の被害者を含む犯罪被害者に対しましては、犯罪被害者支援業務により、損害の回復等に関する法制度の情報や犯罪被害者支援を行っている関係機関等の窓口の紹介、あるいは犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介などを行っているところでして、例えば、平成二十六年度のコールセンターへの問い合わせ件数を見ますと、ストーカーの被害に関するものは三百七十一件、DV被害に関するものが千六百十一件、児童虐待の被害に関するものが七十一件になっております。また、犯罪被害者支援に精通した弁護士の紹介件数ですが、ストーカー被害者について六十九件、DVの被害者について四百九十二件、児童虐待の被害者について二十件というような件数になっております。

 利用者の国籍のお話がありましたけれども、国籍別の統計はとっていないというように承知しております。

宮澤委員 御説明ありがとうございました。

 そういうふうに今まで対応してきているのでしたら、法改正をしてきちんと対応できるようにしていこう、今回の改正の趣旨には、そういった意味では私は賛成でございます。

 では、法律の条文といいますか、要綱に従って詳しくこれを質疑させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。改正条文よりもこちらの要綱の文言で質問させていただきますので、御承知おきください。

 まず、代理援助と書類作成援助についてお伺いいたします。

 こうやって書いてありますね。「必要な費用を支払う資力がない又はその支払いにより生活に著しい支障を生ずる国民等」とあります。

 まず、資力のことについては、誰がどのような基準でこれを判断することになるのか。そして次に、「国民等」とありますけれども、これは外国人も含むという解釈でよろしいのか。まずはこの二点をお願いいたします。

萩本政府参考人 まず、資力の要件ですけれども、資力の要件につきましては、法テラスが従前から行っている代理援助と同じ基準によって判断することになります。

 具体的に例を挙げて申し上げますと、資力要件は、手取りの月収が一定額以下であり、かつ保有資産が一定額以下であるという要件になっておりまして、例えば単身者であれば、月収が大都市で約二十万円以下であること、あるいは保有資産が百八十万円以下であることといった基準が定められておりまして、この基準に沿って法テラスが判断するということになります。

 それから、「国民等」という言葉ですが、これは法律の中で定義がありまして、日本国民のほか、我が国に住所を有し適法に滞在する外国人を含むということになっておりますので、全ての外国人ではありませんが、今申し上げた要件を満たす外国人は含まれることになります。

宮澤委員 ちょっと話は飛びますけれども、そうすると、そういう資力要件がある、審査をするといっても、ストーカー被害や児童虐待の場合にもこの資力というものはかかわってくるものなんでしょうか、お願いします。

萩本政府参考人 本改正法によって創設する、ストーカー等の被害者を対象とする法律相談援助につきましては、資力を問わない法律相談を行うことを内容としておりますので、法律相談を受けるに当たっての資力要件はありません。

宮澤委員 ありがとうございました。

 では、次ですけれども、「認知機能が十分でないために自己の権利の実現が妨げられているおそれがある国民等」とありますが、この認知機能が十分でない、これはどのように判断していくんでしょう。

 そしてもう一つ、「自立した生活を営むために必要とする公的給付」、これは、公的給付にはいろいろありますけれども、具体的に何を想定していらっしゃるのか。さらに、それに関して行政不服申し立て手続、これは具体的にどういうものを指しているのでありましょうか。こういうことが、給付に関して問題とか争いがあるようなことそのものがよろしいことではないように思えてならないんですけれども、一体何を想定しているのかを御説明していただきたいと思います。

萩本政府参考人 済みません、たくさんお尋ねをいただきましたので、どこからお答えしたらいいか……(宮澤委員「認知機能の判断」と呼ぶ)

 認知機能につきましては、言葉にありますとおり、認知機能が十分でないということを考えておりますので、法テラスが、その対象となりそうな人が日常生活においてどのような症状を示しているか、これに基づいて判断することになります。

 具体的には、福祉機関と連携して、高齢者、障害者に働きかけをした際に日ごろの症状を伺いまして、そこで、例えば、毎日同じことを繰り返して言っているですとか、きょうが何日かわからない、きょうが何曜日かもわからない、そういったような日ごろの症状を伺う中で、ここで言うところの認知機能が十分かどうかということを判断するということを想定しております。

 それから……

葉梨委員長 ほかにもあるでしょう。

萩本政府参考人 申しわけありません……(宮澤委員「公的給付は何か」と呼ぶ)

葉梨委員長 では、ちょっと、たくさんあるので、一つ一つ、一問一答で。

 宮澤君。

宮澤委員 申しわけありません、では、一問一答にいたしますね。

 確かに、認知機能が十分かどうか、それは接すればわかりますよ。でも、性善説に従ってそれでいいなら別にいいですよ。いいですけれども、厳格な要件は求めないということでよろしいですか。例えば、ほかの機関からの紹介、証明等々ではなく、法テラスさんの判断でいいのかどうなのか。

 これはやはり障害者や高齢者になるべく手を差し伸べる法律でありますので、厳格であるべきだという主張ではないというふうに御理解をいただきたいんですが、そこのところをはっきりさせていただきたいんですよ。どんな感じなんですか。

萩本政府参考人 判断に当たりまして、何らかの一定の証明書類などを求めることは考えておりません。今申し上げましたとおり、日ごろの症状などから法テラスが総合的に判断することを考えているものでございます。

宮澤委員 それで構わないと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 では次に、公的給付、これは一体何でございましょう、お願いします。

萩本政府参考人 今委員御指摘の公的給付というところで想定しておりますのは、例えば生活保護あるいは介護保険に係る保険給付など、援助対象者が自立した生活を営むための生活基盤を支えるような公的給付を想定しているものでございます。

宮澤委員 次に進みます。

 次に、代理人の報酬と書類作成の報酬の立てかえ。立てかえということなんですね、これは。ということは、後に返さなくてはいけないというふうに読めるわけなんですよ。まず、そういうことでよろしいのかということ。そして、今までも立てかえと返済があったでしょうから、本当にこれは返済というものがなされていたのかどうなのか、そこをちょっと説明してください。

萩本政府参考人 委員御指摘のとおり、民事法律扶助制度の中の代理援助は、あくまで必要な弁護士費用などを法テラスが立てかえるというものですので、立てかえた金額については返済していただくという仕組みでございます。

 実際の返済率ですけれども、ちょっと今、具体的な数字を持ち合わせておりませんが、かなりの割合で実際に償還されております。

宮澤委員 これは事前に通告させていただいておりますので、返済の状況というものは、かなりの割合、それでいいことはいいですけれども、ぜひちょっと、どのくらいのかなりの割合なのか説明をしていただきたいですが、いかがでしょう。

萩本政府参考人 平成二十六年度の平均になりますけれども、約八〇%ぐらいの返還率でございます。

宮澤委員 八〇%。ぱっと聞いて、あっ、高いなという感じを私は今持ちませんでした。

 では、二〇%の方は返せないということなんですね。それに対してどのように現場で対応していらっしゃるんでしょうか。返せないならいいですよなのか、それとも、やはりそれも、弱者であるから仕方ないにしているのか、ずっとこれから返済を求め続けるのか、その点、どのような方針で対応していらっしゃるでしょうか。

萩本政府参考人 法テラスの中に、民事法律扶助で立てかえた立てかえ金の償還を求めるための部署もきちっと設けておりまして、そこが適切に督促などを実際に行っているというように承知しております。

宮澤委員 状況がどうだかわかりません。返済を渋っている方もいるかもしれませんし、本当に困っていらっしゃる人もいるかもしれません。今後の対応として、ぜひ柔軟かつ厳格に対応していただければと思います。

 そして、公的給付に関しての行政不服申し立て手続ですね、これは、公的給付以外への拡大は今回検討されなかったのかどうなのか。そこのところはいかがでございましょうか。お願いします。

萩本政府参考人 法案の検討の過程で、どこまでの範囲を今回法テラスの業務として拡充するかについては、当然議論がございました。そうした議論の中で、この民事法律扶助事業というのは、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、あまねく全国において法による紛争の解決をより容易にすることを目的とするものでございますので、基本的に、法的な紛争に該当するものをまずは対象に考えるというように整理をいたしました。

 今回対象としております行政不服申し立て手続は、文字どおり行政機関との間で紛争が生じているということになるわけですけれども、単純な申請行為ということになりますと、それは、言ってみれば行政サービスを求めるということで、それ自体に法的紛争性は認められない、こういうような整理をいたしまして、御提案している今回の改正法案の中では、行政不服申し立て手続のみを代理援助の対象とし、それ以外の行政手続は代理援助の対象としないという整理をしたところでございます。

宮澤委員 今の御答弁と関連するかもしれませんけれども、「代理人が行う事務若しくは書類を作成する事務を取り扱わせるものとする」という一文もありますね。これは、立てかえという文言が入っていないものですから、これに関してはサービスとしてやりますよという理解でよろしいでしょうか。そして、これはどういう業務を想定しているのかも説明をしていただきたいと思います。

萩本政府参考人 今委員から御指摘のありました「代理人が行う事務若しくは書類を作成する事務を取り扱わせる」というところで想定しておりますのは、御指摘のとおり、法テラスが代理人に支払う報酬を立てかえるという枠組みではなく、単に取り扱わせるということを想定したものでございます。

 具体的には、ここで取り扱わせる相手が、条文上は「適当な契約弁護士等」となっているわけですけれども、実際には、法テラスの職員として勤務する常勤弁護士、いわゆるスタッフ弁護士を想定したものでございまして、スタッフ弁護士は給与を法テラスからもらって業務に当たっておりますので、そのスタッフ弁護士に事務を取り扱わせたことによって別途報酬が発生しませんので、そこは、報酬を立てかえるということではなく、あくまで事務を取り扱わせるという表現になっているということでございます。

宮澤委員 それでは、次のカテゴリーに行きたいと思います。法律相談についてです。

 「認知機能が十分でないために自己の権利の実現が妨げられているおそれがある国民等であって、近隣に居住する親族がいないことその他の理由により、」とありますけれども、「近隣に居住する親族がいないことその他の理由」、これは、親族がいても法テラスの利用は妨げられないのでしょうか。いないということが厳格な要件になってくるのかどうなのか、そこのところはどのようにこれを想定していらっしゃるでしょうか。お願いします。

萩本政府参考人 今委員御指摘の認知機能が十分でない高齢者、障害者につきましては、みずからが法的問題を抱えていること自体を認識することができないということから、司法アクセス上の問題がある、このように考えておりまして、そうした司法アクセス上の問題を取り除くために、今回新たな援助制度を設けようとするものでございます。

 今、近隣に親族がいる場合という話がありましたけれども、近隣に親族がいる場合には、その者を介して司法アクセスをすることが可能ですので、その場合には、近隣に居住する親族がいる場合には、今回新設する予定の新たな法律相談援助の対象にはならないという整理をしております。

宮澤委員 今、ずっと質疑をさせていただきましたけれども、一番の疑問は、認知機能が十分でない方がどのようにして法テラスにアクセスするのか。今までもさまざまな事例があったり要望があるからこそ、こういう法律改正になったんでしょうけれども、アクセスの間に立つ人が今までいたということなんでしょうか。そこら辺の事例等々がありましたら、御説明をいただきたいと思います。

萩本政府参考人 今おっしゃるとおり、認知機能が十分でない高齢者、障害者がみずから法テラスの方に法律相談などに来るということはなかなか期待しがたいと考えられますので、今、この法案で新しい法律相談援助事業を開始する場合にイメージしている具体的な手法がどういうものかということを御紹介しますと、例えばですけれども、連携している福祉機関の関係者が、みずから日ごろ接している高齢者、障害者に何か法的問題を抱えているような人がいたような場合に、それを法テラスに連絡してもらう、そして、連絡をもらった法テラスが、それを端緒に、契約している弁護士などを法律相談に赴かせる、このようなアプローチの仕方を考えているところでございまして、現行の民事法律扶助制度のもとでは資力要件がありますけれども、その資力要件を満たすような高齢者、障害者につきましては、実務の工夫として同じような取り組みをしているところでございます。

宮澤委員 ありがとうございました。

 では、大規模災害の方に移っていきたいと思います。

 大規模災害の被災者の援助、これもカテゴリーを広げる改正ということですね。ただ、政令で指定する著しく異常かつ激甚な非常災害、これは、要件、判断基準はどうなっているんでしょうか。

 もう一問、質問していいですか。民事上の法律関係に著しい混乱を生ずるおそれがある地区、これはどのように定められるのでしょうか。

 二点、お願いいたします。

萩本政府参考人 どちらも、大規模災害の被災者に対する法律相談援助の枠組みを創設しようとする趣旨から御説明するのがわかりやすいかと思いますけれども、この制度は、大規模災害の被災者が、多重的に、多くの法律問題を同時に抱えてしまう、それにもかかわらず、被災者自身、資産を失い、しかも行政的な援助を受けることも難しいといった状況に置かれることから、そうした被災者の司法アクセスを確保することにより、被災者の被害の回復や生活再建のより早期の実現につなげよう、こういう趣旨から提案させていただいているものでございます。

 このような趣旨に照らして、今御指摘のありました二つの要件のうち、一つ目の著しく異常かつ激甚な非常災害としましては、死者、行方不明者、負傷者など多数の被災者がいること、あるいは住宅の倒壊などの被害が多数発生していること、そうしたもとで、交通やライフラインが広範囲にわたって断絶し、これによって地域全体の日常生活や行政機能が破壊された状態になるような、そういう大規模な災害、具体的には、阪神・淡路大震災あるいは東日本大震災などのレベルのものを想定しているものでございます。

 また、もう一点の民事上の法律関係に著しい混乱を生ずるおそれがある地区も、同様ですけれども、大規模な災害により多くの被災者が収入を得ることができなくなったことに伴った金銭問題ですとか多重債務問題ですとか、そういう多くの問題を抱えたり、土地家屋の全部または一部を失って所有権あるいは境界に関する紛争を抱えたり、あるいは親族を失ったことに伴う相続問題を抱えたり、そうしたさまざまな法律問題を抱えてしまうであろうと認められる地区を想定したものでございます。

宮澤委員 では、その地区に絡んでもう一つお聞きしますけれども、「住所等」となっていますね。これは居所でもよろしいんでしょうか。そうすると、居所の場合は住民票がないわけですから、証明するのが難しいけれども、それでも相談を受け付けますよ、性善説に従ってこれは運営するんだということでよろしいでしょうか。

萩本政府参考人 今委員御指摘のありました「住所等」は、条文の中で、「住所、居所、営業所又は事務所」というようにしておりまして、居所が含まれることになります。

 そうなりますと、今回新設する法律相談援助を利用しようと考える被災者の方は、法テラスに対して、自分がその定められた地区に居所を有していたということを何らかの形で明らかにしなければいけないわけですけれども、御指摘のとおり、被災者ですから、居所を有していたという裏づけの資料を失っていることも十分考えられますので、そのような場合には、被災者の申告に基づいて判断するということも十分あるというふうに考えております。

宮澤委員 この要綱の中に非常に疑問な一文がありまして、これは、災害発生の日から起算して「一年を超えない範囲内において」とあるんですよ。いやあ、これは一年以上かかるでしょうという感じがするんですね、素直に読むと。

 どうしてこれは一年を超えない範囲というふうにしたのか、延長ということを想定しているのか、またまた別の何かを想定しているのか、ここのところを説明していただけないでしょうか。

萩本政府参考人 今御指摘がありましたとおり、この法律案では、大規模災害の被災者に対する法律相談援助の対象となる災害、地区、それから実施期間、いずれも政令で定めることにしているところでして、実施期間については、災害発生から一年の範囲で定めることとしております。

 一年ということにしましたのは、もともと本法律案が、大規模災害の被災者にとって災害発生後に最も需要が大きいと考えられる法律相談を無料で提供しよう、そうすることによって、当座の法律問題に対する司法アクセス障害を解消し、その間に、必要に応じて大規模災害の被災状況などを踏まえた特別措置法の制定などをしていただこう、こういう発想に立って定めたものでございます。

 したがいまして、一年以内でまだ残りの期間がある場合には期間の延長というのも考えられるわけですけれども、一年を過ぎてしまっている場合には、延長というのは想定されていない枠組みということになります。一年を超えてしまった場合には、今申し上げましたとおり、当座の無料法律相談でしのぐというよりは、別途、状況に応じた個別の立法措置で対応していただくことを想定したものでございます。

宮澤委員 特別措置法が制定されるであろうという想定のもとでこういう期間をつくったというふうに理解をさせていただきます。

 最後に、いろいろ御説明をいただきましたけれども、これからの法テラスのあり方、これは、国民の皆さんにどう御理解をいただいて、どう発展していくのか、この法改正を通じて、最後、大臣の所見を頂戴したいと思います。

岩城国務大臣 今回の法改正ですが、さまざまな背景事情のもとで、法による紛争の解決に必要な援助を受けることが難しい者が多様化している、そういったことを踏まえまして、法テラスの業務を拡充することにより、利用者のニーズに的確に応えていこうとするものであります。これにより、民事、刑事を問わず、全国において法による紛争の解決に必要なサービス等の提供が受けられる社会の実現を目指すという法テラスの使命がより一層果たせるものと認識をしております。

 そして、今後も、法テラスの業務が、これを必要とする者にとって利用しやすいものとなり、国民にとって司法へのアクセスがより容易となるよう、法務省としても法テラスを支えてまいりたいと考えております。

宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で宮澤博行君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、総合法律支援法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 我が党、公明党は、国会議員に占める弁護士出身の割合というのが他党の皆様に比べて突出している政党でございます。実に二割が弁護士出身ということで、代表も副代表も、また衆参の国会対策委員長等、さまざまな要職につかれている方も弁護士出身ということで、こういったことも背景にあって、我が党は、国民のための司法、この制度改革に向けて一貫して取り組んでまいりました。

 平成十二年に、国の責務で経済的に苦しい人の民事裁判費用を立てかえる民事法律扶助制度の法制化、また、この民事法律扶助の業務を引き継ぐ日本司法支援センター、法テラスの設立根拠法である総合法律支援法の制定についても、我が党はリードしてまいりました。

 また、平成二十六年六月五日、我が党は、当時の谷垣法務大臣でしたけれども、谷垣大臣に「これからの社会の要請に応える法曹の養成に関する提言」を申し入れまして、その中で、本改正案に関連する民事法律扶助の拡大、また新設、こういったものに関しても訴えてまいりました。

 今回の本改正案というのは、我が党の訴えも反映したものであり、評価はできると思っております。ただ、運用面において、確認、また留意してもらわないといけない事項、また、今後さらに必要に応じてしかるべき措置をとっていただきたい点がございますので、こういったものに関して、以下、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、認知機能が十分でない方に対する支援に関してお伺いいたします。

 この認知機能が十分でない人たちというのは、一般論として、法的トラブルに巻き込まれやすい、そういった問題が生じやすい傾向にございます。ただ、本人がそれを認識しにくい、法律問題が潜在化しやすいという特徴もございます。そこで、このような司法アクセスの障害の解消に多角的に対処していく必要がございます。

 そういった観点から、法テラスでは、いわゆる司法ソーシャルワーク、こうした者とかかわる福祉機関とか医療機関の職員等と弁護士等の連携によって法律問題を掘り起こして、それぞれのノウハウを活用して解決につなげる取り組みを進めております。このような取り組みをさらに進めていくという観点から、本改正案では、認知機能が十分でないために自己の権利が妨げられているおそれがある者に対して、資力を問わない法律相談を受けられるようにしております。

 こういった制度趣旨からしますと、認知機能が十分でないということについては、認知症の診断を受けているとか、また障害者手帳の交付等を受けているとか、こういったことで形式的に判断するのではなくて、ふだん、そういった方と接している支援者において、自発的に支援を求めることが難しそうだというふうに考える場合には対象とする、こういったように対象者をできるだけ幅広に考えていくべきだと思いますけれども、これに関する政府の見解をお伺いいたします。

萩本政府参考人 今委員から、法テラスが推進しております司法ソーシャルワークの御紹介をいただきましたが、今回の改正法案に盛り込んでおります認知機能が十分でない高齢者、障害者に対する資力を問わない法律相談制度は、司法ソーシャルワークの一環と位置づけられるものというように考えております。

 したがいまして、福祉機関が支援が必要そうな人を発見した場合に、法テラスに御連絡をいただき、それを端緒に法テラスがその人に働きかけるということを想定しておりまして、法テラスは、認知機能が十分でない疑いがある者を発見した福祉機関から提供されるさまざまな情報を基礎として、この要件を満たすかどうかを判断するということを考えております。

 したがいまして、先ほども御答弁しましたが、一定の証明書を要求するですとか、あるいは診断書、障害者手帳の有無だけにより形式的に判断することは想定しておりません。

國重委員 ぜひ柔軟な運用をよろしくお願いいたします。

 続きまして、これに関する資力基準についてお伺いいたします。

 本改正案では、そもそも資力を問わない法律相談にはなっている。ただ、後に資力があるとわかれば負担金を回収するということになっております。ただ、特定援助対象者というのは、この法文に書いてありますとおり、認知機能が十分でない方でございます。負担金を支払う可能性があるということをきちんと認識できるかどうかというのも極めて怪しい、不明でございます。

 実際に負担金の回収を行えばトラブルになりかねない、また、支援者や弁護士等にも資力基準の確認作業というのが生じます。そうすれば、弁護士等と特定援助対象者だけではなくて、それまで築いてきた支援者と特定援助対象者の信頼関係にも影響を及ぼしかねない、また事務処理も極めて煩雑になります。

 資力基準が現行の民事法律扶助と同様であれば、相当数の特定援助対象者が負担金を支払うことになると思われます。高齢者は、高齢者ですから当然、これまで働いてきて比較的貯蓄もある、また、扶助の資力基準を超える収入がある世帯も多いと思われます。

 ただ、今回の改正の趣旨、司法アクセスの障害をなくしていくんだということで、自発的にしない方にも、とにかくそこのすき間の部分にもしっかりと法の光を当てていくんだという今回の改正の趣旨からすれば、いわば中間層に当たるような方々の潜在ニーズを酌み上げることがポイントですので、後から資力があるとわかったら負担金を回収するというのであれば、利用しないという人が多くなってしまうという懸念もございます。

 そこで、この資力基準というのは、これをなしにしろと言っているわけではないんですけれども、できる限り、相当程度これを緩和して、負担金回収の範囲はごくごく限定して、支援者においてもちゅうちょなく申し込みができるようにすべきだと考えますけれども、これに関する政府の見解をお伺いいたします。

萩本政府参考人 委員の御指摘は、いずれも重要な御指摘だと認識しております。

 この制度が対象としますのは認知機能が十分でない者ですので、そのことを十分踏まえた上で、法律相談の開始時にトラブルにならないように、認知機能の程度に応じて丁寧に説明することをまず考えなければいけないと思っております。

 例えばですが、日ごろ接している福祉機関の担当者から、まずは頭出し的に説明をしてもらい、それからさらに、連絡を受けて赴いた法律家、弁護士などが重ねて丁寧な説明をするといったことも法テラスの方で検討しているというように承知しております。

 また、資力の審査ですけれども、審査に当たりましても、通常と同じような資料をいろいろ求めるというよりは、簡易な方法、いろいろ子細に資力の要件を尋ね、答えさせて判断するというのではなくて、例えばですが、通帳を見せてもらって、その記載内容から判断するなどの柔軟な方法も検討しているというように承知しております。

 では、具体的にどの基準でやるかということにつきましては、現在一定の金額を持っているわけではありませんで、既存の民事法律扶助制度の趣旨なども踏まえながら、施行までの間に検討していくことになりますけれども、委員御指摘のとおり、その負担があることによってせっかくの制度の利用がためらわれる、ちゅうちょされるということ自体にならないように検討を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 今、答弁も柔軟にいただいたと思いますけれども、ぜひ、制度趣旨を没却しないような、制度趣旨をしっかりと全うできるような柔軟な運用をしていただきますように、よろしくお願いいたします。

 続きまして、特定援助対象者に対する代理援助の拡大についてお伺いいたします。

 本改正法案では、現行法上、民事裁判等手続のみが対象となっている代理援助及び書類作成の対象範囲を、特定援助対象者については、その者が「自立した生活を営むために必要とする公的給付に係る行政不服申立手続」、ここにまで拡大することとしております。

 ここで言う「自立した生活を営むために必要とする公的給付」というのは、実務上、数多くございます。例えば障害年金や労災申請、精神保健福祉法上の退院請求等、これは特定援助対象者がみずから生活するために必要不可欠な給付と言えます。

 また、有識者検討会が取りまとめた報告書によりますと、そのような手続にも代理援助を拡大すべきなんだというふうにこの中で述べられております。

 そこで、岩城大臣にお伺いいたします。

 代理援助の拡大の必要性を検証する意味で、今後この法律が施行されれば、施行後の相談件数、また相談後に何らかの法的手続を必要とした事案がどの程度あったか等について実施状況を集計して、それを踏まえた代理援助の拡大等しかるべき措置を講じていくべきと考えますが、これに関する大臣の見解をお伺いいたします。

岩城国務大臣 おただしの、将来的に代理援助の対象範囲のさらなる拡大の必要性、これにつきましては、今回の法改正により拡充されました業務の実施状況、そういったものを見た上で、利用者のニーズ、あるいは御指摘の行政サービスそのもののあり方等も踏まえつつ、必要に応じて適切に検討してまいりたいと考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、DV、ストーカー、児童虐待等の被害者に関する支援についてお伺いいたします。

 ストーカー案件またDV案件は、生命身体、性的自由等の重大な法益が侵害される、しかも、その後も継続し、より深刻な被害に進展する、こういった典型的な事案でございます。

 警察庁が把握したDV被害の認知件数は、平成二十三年は三万四千三百二十九件、平成二十七年、昨年は六万三千百四十一件。大幅にふえております。また、ストーカー被害の認知件数について見るに、平成二十三年は一万四千六百十八件、平成二十七年は二万千九百六十八件。これも大幅に増加しております。

 しかし、現在の法テラスでは、弁護士による無料法律相談は民事に限られていて、刑事事件となるDVやストーカー被害の場合、法テラスの制度を利用して弁護士に相談することはできない、このようになっております。このため、相談までに時間がかかることもあって、緊急対応が難しいというような現状もございます。

 そこで、初期段階において弁護士が適切に介入して、さらなる被害を防止できるようにしようということで、本改正案では、DVやストーカー、児童虐待の被害防止に関して、刑事も含めた相談を対象に含めて、また緊急性も考慮して、資力を問わない法律相談を受けられるようにしております。

 本改正法案では、法律相談の対象となる特定侵害行為として三つの法が挙げられておりますが、これらの類型に明確に当てはまるかどうか、実務上、微妙な事案も多数あると予想されます。

 また、これは特定侵害行為の被害者ですから、緊急で、もう急いでいて、法テラスへ駆け込んでくるという人もいるでしょうし、判断に余り時間がかけられないという事態も当然数多く想定されると思います。

 こういった状況のもと、申し込み受け付けの現場で、こういったものが形式的に判断されてはねられてしまうと、今回、制度を新設した趣旨というのが没却されてしまうということになってしまいます。

 法文の文言を見ますと、「特定侵害行為を現に受けている疑いがあると認められる者を援助するため、」と、「疑いがあると認められる者」となっております。このようなことからしますと、特定侵害行為に当たるかどうかについては、形式的、硬直的に判断するのではなくて、これについてもできるだけ柔軟に判断すべきと考えますけれども、これに関する政府の見解をお伺いいたします。

萩本政府参考人 ストーカー等の犯罪は、委員から御指摘がありましたとおり、深刻な被害へと急速に発展する危険性が極めて大きい、また、被害救済の必要性、緊急性が高い、こうしたことから、できるだけ早く弁護士の法律相談を受けられるようにする必要があると考えております。

 このような観点から、改正法案では、ストーカー等の被害者に対する法律相談援助につきまして、ストーカー等の侵害を現に受けている疑いがあると認められる者まで、言ってみれば援助の対象を広げたところでございまして、法律相談を受けた時点で、ストーカー規制法上の、法律上の要件該当性が明確でなくても、その疑いが認められさえすれば足りるというように整理をしたところでございます。

 法テラスにおきましては、このような制度趣旨を踏まえまして、まさに委員御指摘のとおり、制度を没却することにならないように、援助対象者の要件該当性につきまして適切に判断していただけるものと考えております。

國重委員 今の答弁のとおり、ぜひ運用の方もよろしくお願いいたします。

 続きまして、DV、ストーカー等被害者関係に関する資力基準についてお伺いをいたします。

 本改正案では、先ほどの認知機能が十分でない高齢者、障害者関係と同じく、これは資力を問わない法律相談にはしているんだけれども、後に資力があるとわかった場合には負担金を回収するということになっております。ただ、負担金が申し込みをちゅうちょする原因となりかねないということもございます。

 また、被害当事者には、加害者から隠れて生活したり、逃げ惑う人もいて、金銭的に余裕がないケースが多い、これはNPO法人全国女性シェルターネットの土方聖子共同代表の言葉でございます。

 被害者の中には、緊急的に避難をして、通常の民事法律扶助では資力があると考えられたとしても、例えば、貯金はあるけれども手元には数千円しかない、カードもないし、預金をみずからおろすこともできないというような方で、実際にお金が手元にないという方もいらっしゃいます。

 こういった観点から、資力基準については相当程度緩和して、負担金の回収は、これもごく限定的にすべきといった、柔軟な運用をすべきと考えますけれども、これに関する大臣の見解をお伺いいたします。

岩城国務大臣 ストーカー等の被害者に対する法律相談援助ですが、これは犯罪被害者支援制度の一環として位置づけられるものであります。

 したがいまして、その法律相談料を負担させるかさせないかの具体的な資力の基準についても、既存の犯罪被害者支援制度、具体的に申し上げますと、被害者参加人のための国選弁護制度における資力要件を参考としつつ、また、相談料の負担が被害者にこの法律相談援助制度の利用をちゅうちょさせることにならないよう十分に留意しつつ、施行までの間に適切に検討することとなるものと承知をしております。

國重委員 ぜひ、施行までにそういったところを整えていただいて、使い勝手のいいものにしていただきたいと思います。

 続きまして、DV、ストーカー、児童虐待等の被害者への支援に関する代理援助の拡大についてお伺いいたします。

 特定侵害行為に関して、本改正法案では、法律相談した後の代理援助については新たな規定はございません。現行の制度しか利用できないことになっております。もっとも、緊急対応として必要なシェルター入所等の民間支援機関や行政機関との交渉、また、身体の保護、被害届の提出等に関する捜査機関との交渉等は民事法律扶助の対象にはなりませんけれども、これらは初動の対応として極めて重要でございます。

 まず身の安全、これをしないと、法律相談なんというものはその後なんだということで、まずはしっかりと屋根のあるところにかくまわないといけないということがございます。私も弁護士時代、こういったものもやりましたけれども、これは現在、法テラスの対象にも入っておりません。弁護士の中には手弁当等でこういった活動をしている弁護士も数多くいると思います。

 有識者検討会の報告書でも、今言ったような支援も民事法律扶助の対象として拡大すべきだというふうにされております。

 顔が大きく腫れ上がって、命からがら逃げたお母さん、家や病院探し、子供の転校手続とあらゆる支援が必要となるけれども、法律に関する支援は本当に間口が狭い、これはDV被害者を守る活動に携わっている、ある女性の訴えでございます。

 そこで、代理援助の必要性を検証する意味で、施行後の相談件数、相談後に何らかの手続を必要とした事案がどの程度あったか、こういったものをしっかりと実施状況を集計して、必要に応じて代理援助の拡大等しかるべき措置を講じていくべきと考えますけれども、これに関する大臣の見解をお伺いいたします。

岩城国務大臣 ストーカー等の被害者に対する支援といたしましては、昨今の被害者が殺害されるような悲惨な事案の発生などから、法律事務を超えるような非常に幅広い支援を行うことが期待されるようになっております。

 このような状況のもとで代理援助に相当する援助を設けるためには、その担い手となる弁護士と他の関係機関等との役割分担や協力体制、それぞれの実施体制などを検討し、整備すべき事項が少なくないことから、本改正法案においてはこれを見送ることといたしたものです。

 まずは、今回の改正により新設されるストーカー等の被害者に対する資力を問わない法律相談援助を着実に実施し、御指摘がありましたとおり、その実施状況等を見た上で、関係機関との役割分担、犯罪被害者支援において法テラスが果たすべき役割等も踏まえつつ、必要に応じて適切に検討してまいりたいと考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 役割分担も確かにあるとは思うんです。弁護士以外のほかの方が本来的には適切な場合もあるかもしれませんけれども、でも、弁護士というのは、法律相談に来られたら、では相談だけで終われるかといったらなかなか難しくて、そこで、あなたはどこか行ってきなさいと言うよりは、そこへ一緒についていって交渉とか、シェルターを探したり、いろいろな活動をしていくものですので、そういった観点も含めて、さまざま、前向きに検討いただきたいと思います。

 では、先ほどの質問に関連してお伺いいたします。

 児童虐待、この案件に関しては、例えば未成年者から相談を受けた場合に、法律相談だけで終わるかといったら、いや、それだけでは終わらないという場合もございます。

 裁判所に対する親権喪失、親権停止等の申し立て、それに続く未成年後見申し立て、こういったものをして、その未成年者、お子さんの生命身体の危険、こういったものを、しっかりとその危機を脱するというようなことをしなければならない場合もございます。

 ただ、未成年者は、民法上の行為能力という観点から、親権者の同意がないと民事法律扶助制度を利用できないということになっております。債務負担行為になりますので、これは親権者の同意が要るということになります。ただ、児童虐待とかを受けている場合に、親権者の同意を得ろというのは余りにも酷でございます。

 そこで、このような事態を避けるために、これについてもぜひよくよく検証していただいた上で、必要に応じて、償還を要しない制度設計、こういったものをすることによって、児童虐待等の代理援助もできるように今後対応していくべきだと考えますけれども、これに関する大臣の見解をお伺いいたします。

岩城国務大臣 代理援助について、立てかえ制を前提とした場合には、未成年者である児童虐待の被害児童が立てかえ金の償還義務を負うことになるため、その法定代理人の同意がなければ、被害児童本人とは代理援助の契約を締結することはできません。

 そのため、現状では、そのような被害児童については、法テラスが日本弁護士連合会から委託を受けて行っております犯罪被害者法律援助制度により援助を行っているところです。

 御指摘のような立てかえ金の償還を要しない制度を導入すれば、法定代理人の同意なしに代理援助が可能となるものの、その弁護士費用を国が全額負担することとなりますので、そのような援助のあり方については慎重に検討されるべきものと認識をしております。

 今回の改正により、児童虐待の被害児童は資力を問わない法律相談を利用できることになりますことから、まずは、当該法律相談の実施状況等を見た上で、被害児童側のニーズ、児童虐待防止のためのさまざまな方策のあり方等も踏まえつつ、必要に応じて適切に検討してまいりたいと考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、大規模災害の被災者に対する支援に関してお伺いいたします。

 本改正法案では、「著しく異常かつ激甚な非常災害であって、その被災地において法律相談を円滑に実施することが特に必要と認められるものとして政令で指定するもの」が無料法律相談の対象となっております。

 東日本大震災については、東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律、いわゆる震災特例法が成立いたしました。

 ただ、その後も、各地で豪雨災害等がございます。例えば、平成二十六年八月、豪雨によって広島県で発生した土砂災害、また、昨年九月、豪雨で茨城県の鬼怒川の堤防が決壊した大規模な浸水被害、こういったものも今後対象となるよう、政令では広く指定していくことも考えるべきではないかと思っております。こういった災害においても、各地の単位会の弁護士の方が手弁当でさまざまな法律相談に乗っているというようなことも聞いております。

 ぜひ、こういったものについても今後しっかりと検証して適切な指定をしていただきたいと思いますけれども、これに関する政府の見解を伺います。

萩本政府参考人 今、委員から御指摘がありましたような広島あるいは茨城の災害につきましては、今回提案させていただいております法律案の「著しく異常かつ激甚な非常災害」には直ちには該当しないと考えているところでございます。

 もっとも、法テラスはこれまで、今回の法改正によって新設される大規模災害の被災者に対する無料法律相談制度の対象とはならないような災害につきましても、今御紹介ありましたとおり、地元の弁護士会などとの共催で無料の法律相談などを行うなどの取り組みをしてきたというように承知しております。

 また、そうした災害の被災者についても、資力の乏しい者につきましては、従来からの民事法律扶助制度の利用が可能なところでもございます。

 したがいまして、委員御指摘の今後の支援の拡大につきましては、災害の発生時における被災者のニーズ、あるいは法テラスにおけるそうした取り組みやその成果なども踏まえつつ、必要に応じて適切に検討してまいりたいと考えております。

國重委員 どうかよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で國重徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、総合法律支援法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 早速、私、昨日、法テラス東京を訪問し、スタッフ弁護士の方からもお話を伺ってまいりました。岩城大臣も法テラスへ行かれたということで伺っておりますので、認識を共通にしていただけるというふうに思っております。

 ここでは、常勤五十名、非常勤五十名、スタッフ弁護士十七名を擁し、私が伺ったときにも、相談室には既に相談者がおみえになられて、また、電話相談などについても活動されている様子が見てとれました。

 スタッフ弁護士の方に、なぜ事務所に勤めたり独立するんじゃなくてスタッフ弁護士を選ばれたのですか、こう伺いますと、やはり弁護士として、もうからない仕事であっても、人の悩みを解決するために力を尽くす仕事がしたかったというふうにおっしゃられまして、大変いい話を聞かせていただきました。

 法テラスでは、情報提供業務あるいは民事法律扶助業務、国選弁護にかかわる業務等々、民事、刑事を問わず、全国どこに住んでいても法律による紛争解決に必要な情報やサービスを受けられる、そういう社会を実現することを基本理念にしてつくられました。

 改めて伺いますが、今回、法律を改正する目的、この立法趣旨について簡潔にお答えいただきたいと思います。

岩城国務大臣 これまで法テラスは、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要なサービス等の提供が受けられる社会の実現を目指すことを基本理念とし、資力の乏しい者に対する民事法律扶助業務や司法過疎対策業務等を推進してまいりました。

 そして、今日、超高齢社会の到来を初めとする社会構造の変化や、東日本大震災を初めとする大規模災害の経験などを背景に、法による紛争の解決に必要なサービスの提供を受けることが難しい方々の多様化に対応して、そのような方々が必要なサービスを受けることができるための施策を講ずることが強く求められている状況にあります。

 そこで、この法律案は、法テラスの業務につき、高齢者、障害者で認知機能が十分でない者、大規模災害の被災者及びストーカー等被害者に対する援助の拡充等を図るため、総合法律支援法の一部を改正しようとするものであります。

清水委員 今述べられましたように、例えば、東日本大震災から得た教訓を生かして、被災者の方々の復旧復興を迅速化するために相談間口を広げるということはとても重要なことだと思いますし、やはり、法的手段による紛争解決を要求される全ての方々に法テラスへのアクセスがより容易にできるようにしていくという法律の立法趣旨は、そのとおり大切なことだろうと思います。

 今回、法改正を立案するに当たって、例えば、現場の声、法テラスだとか日弁連だとか、実際に高齢者や認知症の方々をサポートされている方々、あるいはDVやストーカー被害に遭われている方々の支援者等々の有識者の方々からお話を聞いてつくられたということでしょうか。

岩城国務大臣 立法に当たりまして現場や有識者の声を聞いたのかというおただしでありますが、法務省におきましては、平成二十六年の三月、有識者検討会を立ち上げまして、弁護士や司法書士などの専門家、自治体や福祉の関係者などさまざまな分野の有識者のほか、厚生労働省や警察庁などの関係機関の参画を得て、より充実した総合法律支援を実施するための方策について議論していただき、同年の六月にその結果が報告書として取りまとめられました。

 その後、報告書で指摘された内容も踏まえまして検討を進めました結果、総合法律支援の基本理念を実現する観点から、今般、総合法律支援法を改正し、その実施主体である法テラスの業務を一部拡充することとしたものでございます。

清水委員 それでは、各論を伺ってまいります。

 先ほど岩城大臣が述べられました法律案提案理由説明におきましては、高齢者、障害者で認知機能が十分でない方に資力を問わない法律相談援助を創設するとあります。

 資力を問わないこととした理由は何でしょうか。簡潔にお答えいただけますか。

萩本政府参考人 認知機能が十分でない高齢者、障害者につきましては、自己の法的問題を認識することができないことから、司法アクセス障害がありますので、みずから進んで法的援助を求めて民事法律扶助制度を利用することが期待できないという問題、法律専門家である弁護士などが、連携している福祉機関などからの連絡を受けて、高齢者、障害者に働きかけ、法的支援を行うことが有用だと言われているところでございます。

 しかし、現行の民事法律扶助制度におきましては、事前に資力の審査をしなければならないとされておりまして、そうしますと、認知機能が十分でない高齢者、障害者につきましては、その資力を迅速的確に把握するということが必ずしも容易ではありませんので、資力審査を要することがそうした有用な働きかけの妨げになっていると指摘されているところでございます。

 そこで、速やかに法律相談に応じられるようにするため、今回新設する認知機能が十分でない高齢者、障害者に対する法律相談援助につきましては、事前の資力審査を不要とし、資力の有無を問わずに法律相談を行うこととしたものでございます。

清水委員 岩城大臣の提案理由説明では、「第一点は、民事法律扶助事業を拡充し、高齢者・障害者で認知機能が十分でない者及び大規模災害の被災者に対する資力を問わない法律相談援助等を創設するものであります。」こう説明されたんですね。

 ここは、事前に資力審査をしないというふうには読めなくて、先ほど部長の答弁を聞きますと、事前にはしないけれども後からはするということだというふうに思うんですよね。ですから、説明だけを聞くと、いわゆる法律相談については無料でやりますよというふうにも聞こえるんだが、後で費用負担を求めるということは、非常にわかりにくいのではないかなというふうに思うんですよね。

 例えば、福祉関係者が、相談は無料なので法テラスにすぐ連絡しましょうねとなれば、迅速な対応ができると思うんですね。ところが、おじいちゃんでもおばあちゃんでもいいです、相談は無料だけれども後で調査をしてお金がかかるかもしれませんよ、こう伝えられると、それはちょっと待ってほしいというような話になってくるのではないかなというふうに考えてみたくもなるわけであります。

 それで、先ほど、この立法に当たっては、検討会の報告書に倣ってといいますか、つくられたということなんですが、その検討会の報告書を見ますと、何と書いているか。「資力を問わない無料法律相談を実施できる範囲を通常の利用者より拡大する方向での検討が必要」、また、「資力を問わない無料法律相談を導入することで、そのアクセス障害は解消できる」とありまして、事前にするか後でするかということではなく、とにかく相談については無料にすることによってアクセスを容易にするんだ、迅速に対応できるんだとこの検討会が書いているわけで、なぜそうした方針を今回取り入れることとしなかったのか、そのことについてお答えいただけますか。

萩本政府参考人 委員御指摘のとおり、有識者検討会の報告書では、高齢者、障害者に対する支援としまして、資力を問わない無料の法律相談ということがうたわれておりました。

 ただ、その後の検討におきまして、まず、一口に高齢者、障害者と言いましても、その中には資力を有する者もいるわけでして、そのような者に対してまで一律に法律相談料を無料とすることは、現在の財政事情に照らして、財政的側面から国民の理解を得られるかどうかという問題があるだろうというようにまず考えました。

 また、先ほど来、制度創設の趣旨を御説明していますけれども、この制度の大きな趣旨は、認知機能が十分でない高齢者、障害者に対し、事前の資力審査を不要とすることで、認知機能の問題を理由とする司法アクセス障害を解消しようというところにありますので、その司法アクセス障害が解消された後に、資力審査をして、資力のある者には法律相談料を負担していただくことも今回の制度創設の趣旨にもとるものではないというように考えるに至りました。そこで、資力のある者からは、事後的な資力審査を経て法律相談料を負っていただくという制度設計にしたものでございます。

清水委員 もともと認知機能の十分でない方に負担金を自覚してもらうことができるのかなという素朴な疑問がございます。

 今言いました認知機能が十分でない高齢者、障害者、特定援助対象者というふうにくくられておりますけれども、実際に負担金を回収するのは法テラスがやるわけで、御本人は支払うと約束したという自覚がないわけですから、無理やり財布からお金を取るわけにもいかないというふうにも思いますし、トラブルが生まれる可能性だって否定はできません。

 また、お金がかからないというふうに言われていたのに、法テラスにアクセスし、結果、法律相談したものの、その後、解決のための代理援助などに結びつかず、法的な支援をするまでに至らなかったという場合でも、資力があれば費用負担を求められるわけで、いわゆる福祉関係者と御本人や御本人の家族との間で気まずくなったりするということになると、余計にちゅうちょすることにつながったりするんじゃないかなと思うんですね。

 大規模被災者の場合は費用負担を求めないんでしょう。求めないですよね、うなずいておられますけれども。だったら、この法律の趣旨からいうと、法律相談についてはやはり無料にする、法案に書いているように資力を問わないというふうにした方が私はいいのではないかというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。

 それで、法テラスの東京地方事務所によると、民事法律扶助についていえば、二〇一五年度、援助件数がおよそ三万八千件あったということです。貧困や格差を反映してか、その相談の大半は、やはり多重債務の解決ということでありました。約五割が多重債務の解決ということでありました。

 今後、この法案のスキームの中で、法テラスが特定援助対象者のところへ訪問して相談をする中で、例えば生活保護の必要性を認知する場合というのは決して少なくないと思うんです。この方には生活保護が適当だというふうに法テラスが判断する、方向性を見定める、こういうことがあると思うんですね。

 今回の改正案では、弁護士費用等の立てかえ援助の対象を、生活保護給付に係る処分に対する審査請求など一定の行政不服申し立てに拡大しました。つまり、生活保護を申請したけれども却下された、では、不服申し立てについてはこの法律扶助制度を使ってやりましょう、ここを拡大されたわけなんですが、肝心の生活保護そのものの申請あるいは弁護士の同行、今回、こうしたものについては代理援助の対象とされていませんね。それはなぜでしょうか。

萩本政府参考人 民事法律扶助事業は、あまねく全国において法による紛争の解決をより容易にすることを目的とするものでございまして、今回、代理援助の対象に含めることとしました行政不服申し立て手続は、この名称から明らかなとおり不服申し立てですから、紛争案件という整理ができるというように考えております。

 それに対しまして、委員御指摘の法的給付の申請自体、これは、法律上の権利の発生、変更に関する行為ではありますが、その申請行為自体は、いわば行政サービスの適用というんでしょうか、発動を求めるものとして、それ自体に法的紛争性があるとは考えられないというような整理をした結果、行政不服申し立て手続のみを代理援助の対象にしたものでございます。

清水委員 ちょっと今の答弁は、私、実態に合っていないと思うんですね。

 紛争が起こらないようにあらかじめ援助を行うというのが私は非常に重要だと思うんですね。紛争ではないというふうにおっしゃるんだけれども、今の生活保護の申請の現場というのは非常に厳しくなっておりまして、例えば、稼働年齢を理由に申請書を出さない、あるいは親戚縁者の支援を前提として生活保護申請を拒む、こうした事例というのは、この間、全国的に報告され、問題になってきたわけなんですね。

 弁護士が同行することによって、つまり、この法律のスキームによって、アウトリーチ、法テラスが駆けつけ、相談をした結果、生活保護の申請が妥当だと福祉関係者とも合意した上で、では、その申請をしましょうと。だって、本人は認知機能が不十分ですから、みずから申請することができないわけじゃありませんか。それに対して弁護士が代理援助するということをこの法律のスキームの中に入れなくて、どうしてこれをよりよく運用することができるのかなというふうに私は思うわけなんですね。

 部長、一つ報告したいことがあるんですよ。実は、京都の弁護士の方が法テラスから出張依頼を受けたそうなんですよ。同じ京都市でも結構地方の方でして、かなり遠いところのデイサービスへ赴いたと。依頼主は、既に七十歳を超えた高齢者、脳梗塞を患ったため、体も言語も不自由な方です。そして、法テラスも弁護士会も、本人に来てもらうのは難しいので弁護士の方に行ってほしいと出張依頼を受けて行ったということなんですね。

 その依頼者の方は、七十歳の方は、生活保護を既に受けておられます。相談の中身は何かというと、三十年も昔の借金の催促を、いわゆる債権を譲り受けた業者から、時効の援用をさせないための裁判を起こされたということなんですね。金額にして五万円なんですけれども、裁判を起こされた。放っておくと大変だということで、この弁護士は相談に乗り、十年間何も取引がないので消滅時効の援用ができる、だから安心してくださいということで、相談者やあるいはデイサービスの職員の方に説明し、安心してもらったということなんですね。

 一般的に、こうした事例というのはこのスキームの中で今後も起こり得ることですよね。別に難しいひっかけ問題じゃないので、お答えいただいたらと思います。

萩本政府参考人 あくまで一般論ですが、一般論として起こり得ることはもちろん否定できないと思います。

清水委員 まさしくアウトリーチという形で、法テラスは、そういう法律的な紛争解決を望んでおられる方々を積極的に掘り起こすというかかかわっていくというのがこの法律の趣旨なわけで、今私が述べたようなことも今後多く発生するというふうに思うんですね。

 ところが、ここからが問題なんですが、法テラスでやはり審査をしないといけません、この弁護士費用については。しかし、その弁護士費用の審査を待っていたのでは、いわゆる相手方の訴訟との関係で答弁書を早く出さないといけないという関係がありますので、消滅時効の援用を求める答弁書を出した。すると、相手方は、それをしっかりと受け取って訴訟を却下した。まあ、めでたしめでたしですよね。

 ところが、法テラスの審査が返ってきて、この弁護士は目を疑ったというんですね。援助不相当と判定された。つまり、民事扶助の対象にしないということなんですね。その理由が、費用対効果に合わないというんです、たかが五万円だと。弁護士費用を法テラスが払うよりも、五万円を当人が払った方が安いということの関係なんでしょうか。

 つまり、私は何が言いたいかというと、やはり申請行為も含めて、代理援助や書類作成援助、こうしたものまで全体的にサポートしていくという法の枠組みがあってこそ、今回、いわゆる特定援助対象者と言われる方々や、あるいはその周りをサポートされている方、法テラススタッフ弁護士、もっと言えば契約弁護士としておられる各弁護士会の方々も、安心して、後で、これは委託事務だから実費だけでごめんなさい、手弁当になるというよりは、ちゃんと保全されている、こういう形で行っていくということが何よりも重要だというふうに思うんですね。

 ですから、これらの申請行為も含めて、岩城大臣、今、私は具体的な例も述べさせていただきましたけれども、やはりそうした方向によりよくしていくということが重要だと思うんですが、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 将来的に代理援助の対象範囲のさらなる拡大の必要性について、いろいろ御指摘がございました。

 まず、今回の法改正により拡充された業務の実施状況、これらを見た上で、利用者のニーズ、行政サービスそのもののあり方等も踏まえつつ、必要に応じて適切に検討してまいりたいと考えております。

清水委員 必要に応じて適切に検討するということですので、お願いしたいと思います。ぜひ、代理援助だけじゃなく、申請行為についてもやはり認めていただきたいと思います。

 次に、ストーカー被害、DV被害、また児童虐待を受けた特定被害者への法律相談について質問をさせていただきたいと思います。

 ここでも、先ほどと同じように、資力を問わないと言っておきながら、後で、お金があるんだったら費用負担を求めるというたてつけになっておりまして、着のみ着のまま逃げてきた方に費用を払えというのはどうなのかなと。このことによって、やはりアクセスの障害を生み出したり、通報や相談をちゅうちょしたりするということになってはいけないというふうに思います。

 それで、例えば未成年の場合は、民法上の規定によりまして、本人が代理援助の契約を結ぶことができない。先ほど大臣も答弁しておられましたが、結局、接近禁止命令を弁護士が出すとか、あるいはシェルター入所の交渉、警察や児童相談所への同行、こうしたことを、例えば法定代理人、親にそういう同意が得られない場合は、未成年者に対しては今回の法律の規定が使えないということになります。

 先ほどおっしゃられたように、日弁連の委託事業などを活用してというふうに言われますが、やはりこの法律の中で一元的に解決していくということが私は非常に重要だというふうに思っております。

 それで、親から虐待を受けている場合、そして法定代理人の合意が得られないといった場合について、やはりこれも適切な対応が必要だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

萩本政府参考人 先ほど来、大臣からも答弁がありますけれども、ストーカー等の被害者につきまして、資力を問わないということで、アクセス障害を解消するということにまず今回は重きを置いているわけですけれども、その先、代理援助などにまで広げるかどうかにつきましては、まずは法律相談の実施状況等を見た上で、被害者のニーズ……

葉梨委員長 親から虐待を受けている未成年の話ですよ。(清水委員「もう一回言いましょうか」と呼ぶ)

 もう一回どうぞ、清水君。

清水委員 もう一度わかりやすく質問します。

 つまり、今回の法律のスキームの中、特定被害者の中で、未成年、例えば、ストーカー行為を受けている女子高生だとか、あるいは児童虐待も未成年です、民法上、法定代理人という親の同意がなければ代理援助を受けられない、弁護士と契約できないということになっています。だから、こうした場合どうするのかということをお伺いさせていただきました。

萩本政府参考人 御指摘のとおりでして、法定代理人の同意がなければ、被害を受けた未成年の児童との間では代理援助の契約は締結できないということになります。

 ですから、その場合に、どのような対応策を講ずれば代理援助に結びつけられるかということになるわけで、先ほど國重委員からは、返還を要しないことにすれば債務を負担しないことになるので問題が解消するではないか、そういうことも将来的には検討すべきではないかという御指摘があったところでして、それらにつきましては、ここから同じことの繰り返しになってしまうんですが、まずはこの法律相談援助の実施状況等を見ながら、将来の課題として検討していくということにせざるを得ないかなと考えております。

清水委員 この法律が始まって随分長いわけで、検討会の報告を受けながらずっとやってきたわけです。検討会の報告書でも、DVやストーカー等々については資力を問わない、無料でやりなさい、こう言われているわけなんですよね。償還義務がなければ民法上の規定も外れますから、法定代理人の合意がなくても代理援助や書類作成援助を受けられるわけです。ぜひそれを検討していただきたいと思います。

 最後になりますけれども、これは大臣にお伺いして、質問を終えたいというふうに思います。

 総合法律支援法第十一条におきましては、政府が、法テラスの施策を実施するための法制上、財政上の措置を講じなければならないとされております。この制度が、先ほどおっしゃられました立法の趣旨に照らして、その役割がしっかりと果たされるように、費用負担のあり方、代理援助の範囲、あるいは申請行為に対しての扶助の適用等々を含めて検討していくということが大切だというふうに思っています。

 そこで、提案なんですけれども、実施状況を踏まえてという部長の答弁も何度もありました。ぜひ、相談件数、代理援助の件数等々につきましては、その実施状況を把握して、例えばこの法務委員会に報告をしてもらう、そしてしっかり議論をしていく、改善点は改善していく、このことが何よりも大事だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

岩城国務大臣 今回の改正法案が成立、施行された場合には、法テラスが実施することになる新たな法律相談援助等の利用状況や法律相談援助後の代理援助等の状況につきましては、基本的には、法テラスにおいて把握し、必要に応じて運用上の工夫等も行っていくものと承知をしております。

 法務省としましても、この法律の第十一条により、政府は、総合法律支援の実施及び体制の整備に関する施策を実施するため、必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならないとされていることに鑑みまして、新しい法律相談援助等の実施状況等を踏まえ、必要に応じて適切な措置を講ずるよう努めてまいりたいと考えております。

 そして、おただしの実施状況にかかわります件数等につきまして報告することにつきましては、検討していきたいと考えております。

清水委員 終わります。

葉梨委員長 以上で清水忠史君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦です。本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょう、所定の質問をしようと思ったんですけれども、朝から聞いていたら、大体皆さん同じようなことを言われているんだと思うんですね。大臣、ずっと聞いていらっしゃったと思うので、一番大きなところは何かというと、どうしても、認知機能が十分じゃないような人はどうやって判断するのか、もしくは、資力を有さない人というのはどういう人なのか、それから、ストーカー被害等々を受けているというふうに認められる人はどうなのかとか、大規模災害に罹災された人というのはどういう判断基準なのかというところが、いろいろお話がありました。

 ただ、私、思うんですけれども、この法律案自体は、困っている人を助けよう、困っていることを自分でわかっていない人も含めて困っている人を助けていこうというふうなことでは、私は、すごく筋はいいのかなと思いつつも、きょうのお話を聞いていると、お答えになられている事務方の方々も聞いていると、決まっていない部分が多過ぎるんじゃないかなと。大臣も先ほど、何か運用上で措置をしていくんだというふうに言われているんですけれども、もう少しその辺もしっかりと決めなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っているんです。

 多分、お答えは同じことになるかと思うんですけれども、まず最初に、大臣、その辺も含めて、この法律、今からだったらもうここは法律案に加えられるかどうかという部分もありますけれども、どういうふうに実際回していこうと思われているかというところを一言お話しいただければと思います。

岩城国務大臣 立法の趣旨等については先ほど来述べさせていただいたとおりでありますが、そこで、とりあえず、法的な支援を必要としている人たちが、今一番大切な部分といいますか、本当に必要としている部分を優先的に取り組む、そういうことにしておりますので、今後の状況等を見ながら適宜適切にこれからも検討を加えていきたい、そのように考えております。

木下委員 そういうお答えをされるのはしようがないのかなとは思うんですけれども、やはりここは、相当しっかり決めていかなければならないと思うんです。今さらというところもあるのかもしれないですけれども、明確に、全てのことをこういう基準でやるんだということをやはりしていかなきゃいけないのかなと思うんですね。

 きょうはちょっとそういうお話をさせていただいていないんですけれども、短いので、一つ、事務方の方にもう一度お話しいただきたいんです。

 資力のある者については、お金、相談料は負担してもらうんだというふうにしているんですけれども、これはどういう判定で決めているのかということなんですけれども、それをもう一度ちょっとお話しいただければと思います。大体は決まっているように私にも見受けられたんですけれども、もう少し詳しくお話しいただければ。

萩本政府参考人 資力を問わない法律相談をした上で、事後的な資力審査の結果、資力ある者からは相談料を負担いただくという仕組みで、その負担いただく資力基準がどこにあるかというお尋ねと理解しましたけれども、その基準につきましては、この新設する法律相談制度も民事法律扶助制度の一環と整理をしておりますので、既存の民事法律扶助制度の趣旨なども踏まえながら、施行までの間に検討することになると考えております。

 これまでずっとそう答弁してまいりましたので、もっと決めるべきではないかと今御指摘をいただいたところですが、現在の総合法律支援法自体が、例えば、資力のない者に民事法律扶助制度を提供しているわけですが、その資力のないという基準も法律には書き込んでおりません。具体的には、民事法律扶助事業の実施主体である法テラスが、業務を行う基準を業務方法書という形で定めることになっておりまして、その業務方法書の中で資力の基準も書くことになっております。

 そのような総合法律支援法全体のたてつけの中で、今回新たに導入した制度につきましても、そうした相談料を負担させるかさせないかの基準も、法律には書き込まずに、抽象的な要件にとどめる形で御提案しているということでございます。

木下委員 そうなんですよね。だから、やはりそこが私は大きな問題なんじゃないかなと。認知機能も恐らくそうだと思います。それぞれのこういう困っている人たちというのをどう判断するかというところは、やはり法律の中にしっかり書き込まれていない、運用上でやっていくんだという話なんですね。では、どうやって僕らは判断すればいいのかということなんですよね。

 趣旨はすごくよくわかります。困った人を助けていく、これが法律の役割だというふうな意味では、非常に評価できるところ。方向性はわかるんですけれども、わざわざ法律にする、形にするんだったら、では、今まで何がだめだったからこうするべきなんだとか、こういう基準があるようにしなければ本当に困っている人が助けられないからだ、そうあるべきだと思うんですね。これがちゃんとやっていかなきゃいけないところなんじゃないかなと思うんですけれども、きょう朝から聞いていても、どうしてもそういう感じに聞こえないんですよね。

 私、きょう、本当は何を話そうと思っていたかというと、今言われました、法テラスの中で基準を設けてやられると。ということは、同じように民間の法律事務所が、こういうことを法テラスと同じような基準でやりますというふうに言ったら、これはできるということですよね。民間の法律事務所が、法テラスと同じような基準もしくは同じようなやり方で無料の法律相談をやりますよ、ただし、資力のある人にはお金をもらいますよと。ほかにもいろいろありますけれども、そういうふうなことをやることは、できるというふうに言っていいですかね。

萩本政府参考人 法テラスを離れて、今委員がおっしゃる民間の一般の弁護士ということになりますと、どのような依頼者との間でどのような契約を結んでどのような法律事務を提供するかは、それは契約の内容次第で、個々の弁護士の判断に委ねられるところになりますので、結論としては、できるということになります。

木下委員 ということですよね。理屈から言ったら、それは普通じゃないかと思うけれども、よく考えていただきたいんです。

 というのは、政府がこういうふうにして今回法律を決めました、法テラスがこういうふうなことをします、だから普通の民間の法律事務所が同じようにやりますよと言ったって、法テラスは、今言っていたとおり、きちっとした基準がまだ決まっていない、中で決めるんだと。だから、民間のところも、資力を問わないと言いながら、その資力がどれぐらいなのかというのを自分らで決められるということになっちゃうんですよね。

 本当に、認知機能がどうだという人も、大体、お年寄りの方々が、何か言ってきたときに、いやあ、俺、ようわかってんねん、物事は一応わかっているつもりやけど、法律のことに関してはもうろくしてもうて全然わからんわ、そやから、無料でできるんやったらちょっとお願いするわと言ったら、はいはいと言って法律事務所の弁護士がやります。でも、後で見てみたら、後で見てみたらというのは、その弁護士が気づいているかもしれないですし、どうかわからないけれども、いや、あなたは資産をたくさん持たれていますよね、この相談は、ここに書いてあるとおりお金をもらうべきですというふうに言われてしまう。そういうことだって法律の範囲内で可能になるわけですよね。

 これを、全部に同じように、そういう基準がちゃんと決まっていないけれども、一応政府がやることと同じようにしてやるんだ、だからうちもやりますよというふうにしてばんばんやって、言えば一種の民間の営業活動が行われることが僕は想定できるんじゃないかなと。

 皆さんもよく御存じだと思いますけれども、テレビなんかで、大手の法律事務所が物すごい宣伝をされています。最近、芸人さんなんかを使って、何かスーパーのホールみたいなところで法律相談を無料でやられたりとかして、ああいうところでたくさん法律相談をやられたりとかして、そうやってやっていると、これがいいか悪いかは別ですけれども、この間も裁判所職員定員法のところでありましたけれども、裁判官が訴訟事件を物すごく抱えている、弁護士の数がばっとふえている、彼らも生き残りですから、同じようにこんなことをやっていく可能性があるんですよね。これを防ぐか防がないか。これは、ちゃんと法律の範囲内だったらいいと言いながら、政府がやるところは、ちゃんと基準を明確に決めなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。

 大臣、もう一度、そういうところも踏まえて、これはやはり基準をはっきり決めていくべきだと思うんですけれども、どう思われますか。いかがですか。

岩城国務大臣 この法案の立法趣旨につきましては、何度も申し上げますが、超高齢社会の到来を初めとする社会構造の変化や東日本大震災を初めとする大規模災害の経験などを背景に、法による紛争の解決に必要なサービスの提供を受けることが難しい方々の多様化に対応して、本当に必要なサービスを受けることができるための施策を講ずる、こういった一環として改正案を出させていただきました。

 その中で、御指摘のような御懸念、あるいは御指摘のようなことがおありだと思いますけれども、基本的にはこういった考えで、とにかく、あまねく、広く多くの方々に利用していただけるような、そういったサービスを目指すということでありますので、御理解いただければと存じます。

木下委員 ありがとうございます。多分、それしか言えないと思うんですね。

 ただ、今、大臣の御答弁の中にもありましたとおり、やはり超高齢化社会が来ている、それから、こういう大規模災害の人もいれば、ストーカーの被害を受けている人たちも多くなっている、これを助けるんだという意味でやるのはいいんです。ただ、そういう人たちがたくさんふえればふえるだけ、言っちゃ悪いですけれども、ある意味、弁護士からするとビジネスチャンスにもなっているわけですよ。これは、ビジネスチャンスと言ったら本当に失礼な話だと思うんですけれども、要は、特にお年寄りの人なんかは、それだけ数が多くなってきたら、そういう人たちからお金をうまく取ろうと思う人がたくさん出てくるわけです。

 だから、こういうところをちゃんと手当てしてやるためには、きょうも朝から聞いていたとおり、繰り返しになりますけれども、やはり基準をちゃんと決めないと悪用される可能性があると思うので、その辺をしっかりと大臣としてウオッチしていただき、御指導いただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

葉梨委員長 以上で木下智彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 法テラスの問題に早速入りたいんですけれども、その前にちょっと、一昨日でしたか、最高裁判所の事務総局から一つの文書が届けられまして、これについて最高裁の方にお伺いしたいんです。

 「不適切な郵便切手管理に関する全国調査結果と今後の対応」とする文書なんですが、これを読ませていただきますと、「東京地簡裁を含む十八部署において、」「事件処理の便宜のために、当事者に返還すべき予納郵便切手をそのまま記録外で保管する不適切事務が行われていたことが分かりました。」「全国を通じて、由来が特定できないまま記録外で保管されていた郵便切手が約九百万円確認されました。」ということでありますけれども、この不適切事案の概要と今後の対応について、簡潔に、短い時間で説明をお願いします。

中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今御指摘のありました全国調査でございますが、その契機となりましたのは、内部の検査に基づきまして、東京地裁の執行部におきまして、書記官が、書類の送付を効率的に行おうとする意図のもとに、別々の事件の書類を同一の宛先に送る際に、まとめて送付などいたしました。その結果、当事者から納付された郵便切手の一部が使用されずに余りましたけれども、その郵便切手を当事者に返還しないまま保管していたということが発覚したところでございます。このように保管されていた郵便切手は、東京地裁等で百六十一万円でありました。

 このような事態を受けまして、平成二十七年七月から最高裁におきまして全国調査を行ってきたところでございまして、今、先生の方で読んでいただきましたとおり、その結果、十八部署、これは執行部署がほとんどでございますが、これらの部署を含めまして、客観的に由来が特定できず、当事者に返還すべきものである可能性が否定できない郵便切手が、先ほどの百六十一万円分を含めまして約九百万円あったということでございます。

 このように、当事者に返還しなければならない郵便切手を返還しないままに保管しているというずさんな郵便切手の管理については、不適切であることはもとより、当事者、関係者の信頼を損ねるものと言わざるを得ないと思っておりまして、この点、深くおわびを申し上げたいというふうに思っております。

 既にこのような不適切事務については改めているところでございますが、裁判所といたしましては、今後、これらの郵便切手相当額につきまして、不適切事務処理の対象となった可能性の高い方々にできるだけ公平に返還を行いますとともに、監督体制の整備等、そのような再発の防止に努めてまいりたいと思っております。

 この概要につきましては、裁判所のウエブページにも、報告書を含めて公表させていただいているところでございます。

 以上でございます。

逢坂委員 このことで、私は、悪いとかなんとかということをあえて無理をして言うつもりはないんですけれども、債権執行の流れの中で、当事者に費用を負担してもらおうという原則的な考え方は、それはそれで私は大事なことだと思うんですよ。ただし、五百円の切手をやりとりして、そのことによって費用を負担してもらう、それは確かに大原則なんだけれども、それを実務上やることによって逆にコストがかかっているんじゃないですかということだとか、五百円の切手を預かったけれども、最終的には三百円しか使わなかったので二百円戻すなどということがもし場合によってはあるならば、その費用を負担してもらう行為そのものが実は裁判所の費用の増大につながっていっているのではないかという気がしないでもないんですね。

 そして、お聞きしましたところ、今回の事案に、不適切事務が考えられる事件類型の中で、申し立てをした当事者等の中で、切手について変なことがありますよという申し出があった方は最大で数十万人おられるということなんですよね。そのうち、四月の末ごろまでに七千人について個別に連絡をするということをやらざるを得ない状況になっているわけですが、そもそもこういう事務をやっていることそのものが経費の増大につながっているというふうに思うので、当事者に費用を負担してもらう原則は原則でいいんですけれども、余りにも微に入り細に入りやっている事務そのものに非効率なところがあるのかないのかというところは、やはり裁判所といえども、逆に費用がかかっているわけだから、これはチェックをしてみる必要があると思いますので、今後しっかりそういう面からも検討してもらいたいと思います。答弁はよろしいです。

 では、この問題は以上で終わりますので、今後またよろしくお願いします。

 どうぞ、退席なさって結構です。ありがとうございます。

 それでは、今回の法テラス、総合法律支援法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいんですけれども、もう既にきょうの質疑の中で、先ほど木下委員も指摘をしておりましたけれども、相当問題点が浮き彫りになったというふうに思います。

 一つは、認知機能が十分でないという問題について、この対象範囲をどうするかとか、誰がどのように判断をするかといったような問題点があるのだろうというふうに思います。

 それから、資力を問わない法律相談であるということは、非常にこれは歓迎すべきことなんだろうと基本的には思うわけですが、その資力の判断をどの時点でどうするのか、仮に資力があるとした場合にその資力の基準をどうやって確認するのかといったようなことも、これは問題になるだろうというふうに思うわけです。

 さらにもう一つ、代理援助の関係で、行政不服申し立て手続の対象について、「自立した生活を営むために必要とする公的給付」という法文上の言葉がございますけれども、これの範囲ですね、これは、今までの指摘によれば、やはりもっと広くとるべきではないかといったような話もあるということだというふうに思います。

 それから、DV、ストーカー等被害の関係については、三類型といいましょうか、三つの事柄が特定侵害行為として挙げられているわけでありますけれども、これらに該当するかしないかというのは非常に微妙な案件も多いというふうに思いますので、要件の判断というのはやはり柔軟にやらなきゃいけないんじゃないかという点も、これら今までの指摘の中であったのかなというふうに思います。

 それから、特定侵害行為の代理援助についてですけれども、これは、代理活動についても対象とすべきであるというような指摘も先ほどもあったというふうに思います。

 それからもう一つが、著しく異常かつ激甚な非常災害、このときの対応についても法の規定があるわけでありますけれども、この著しく異常かつ激甚な非常災害というのはどの程度の規模のものであるのか、ここについてもさまざま議論があるんだろうというふうに思いますし、加えて、政令で指定される災害の発生の日から一年を超えない範囲内で法律相談を実施するというふうにありますけれども、本当にこれが一年でいいのかというような指摘もあるんだろうというふうに思います。

 私は、今回の法律の全体的な方向性としては悪くはないというふうに思うんですけれども、今指摘したようなことが必ずしも十分ではないのかなというふうに思いますので、これから法を施行するまでの間、しっかりこれへの対応をしてもらわなきゃいけないというふうに思います。

 その上で、まず一つ、資力の乏しい者のことでありますけれども、これはどの時点で誰がどういう手順によって判断するのか、これはこれから考えますということなのかもしれないんですけれども、現時点で考えられていることをもう少し詳しく教えていただけますか。資力の基準はいいです。基準はいいですけれども、どういうプロセスで判断をしていくのかというところをもう少し詳しく教えていただけますか。

萩本政府参考人 逢坂委員御指摘の資力に乏しいというのは、民事法律扶助一般のことを今お尋ねいただいたのか、それとも、今回新設する……(逢坂委員「新設するです。よろしいですか、委員長」と呼ぶ)

葉梨委員長 では、逢坂さん。

逢坂委員 今回の法律相談の三十条の一項二号、三十四条の二項一号、こういったところです。要するに、資力を問わない法律相談でもオーケーですよということで来る、でも、その後に資力があれば負担をしてもらうよということなので、その際のことです。

萩本政府参考人 先ほど来、趣旨の説明をさせていただいておりますが、認知機能が十分でない高齢者、障害者に対して、今、事前の資力審査をせずに法律相談を実施し、相談を受けたということで司法アクセス障害は解消したと見ることができますので、その段階で資力審査を行い、資力があるという場合には、法律相談料を負担していただくというお願いをするということを考えているところでございます。

 例えばの流れですけれども、先ほど来、生活保護の話が出ていますが、ある人が生活保護の申請をしたけれども、どうも認められなかったみたいだということで、何とかならないだろうかという話がある中で、そういう情報を得て、法律相談を受けた。受けて、その後の不服申し立てなどの代理をするけれども、資力があるので、そこは負担を求める、こんなような流れを想定しているところでございます。

逢坂委員 相談をしたいと思う者があらかじめそのスキームを知っていた場合に、今は、自分は資力がないということで相談をしに行く、ところが、後で調べられたら資力があると判断されて、場合によっては負担金を求められるかもしれないというふうになった場合に、一つの問題は、そういうことがあるんだったら俺は相談に行かないよということでちゅうちょするということが一つ考えられはしないかということが一つと、もう一つは、もっと踏み込んだケースとしては、そういうプロセスの中で、自分は資力がないと思って相談をした、でも、負担金の請求が来たというときに、俺はお金を払わないよというようなことだって考えられるような気がするんですよね。

 この二つについて、今後どう対応するつもりでおりますか。

萩本政府参考人 まず、資力の基準を定めるときに、そもそも民事法律扶助の一環ですので、既存の民事法律扶助制度との整合性なども考えながら基準を考えることになるわけですけれども、先ほど来御質問の、負担させられることによって相談をちゅうちょするということになればそもそもこの制度の趣旨が没却されるのではないかという指摘を複数いただいているところですので、その点も十分考慮した上でまず基準を定める、施行までの間に検討する必要があるだろうというように、改めてこの委員会の質疑で認識をいたしました。

 プラス、後から、話が違うではないか、こういうことになって、またトラブルになるのではないかという御指摘もいただきましたけれども、それにつきましては、やはり、相談をする方がもともと認知機能が十分でない方であるということを十分踏まえた上での丁寧な説明を心がける。丁寧なと抽象的に言っているだけではなかなか心もとないということになりますので、具体的な説明のプロセスあるいは説明の仕方などについても、その後のトラブルを十分防ぐことができるような具体的な手法を検討していく必要があるだろうというふうに考えております。

葉梨委員長 払わなかった場合はどうだと聞かれているんですが。

萩本政府参考人 ですから、まずは、事前にそういうトラブルにならないように丁寧な説明を心がけるということですけれども、にもかかわらず、払っていただかなければいけない人に払っていただけない場合には、それは必要な請求をするということになります。

逢坂委員 いずれにしても、ちゅうちょすることのないように、せっかくの制度がそれによって使われなくなるというようなことのないように、これは、先ほど来、みんながるる指摘していることでありますので、そこの制度設計をしっかりやっていただきたいと思います。

 それからもう一つですが、今回の対象、サービスの提供を自発的に求めることが期待できないものを援助するというのが今回の法の一つの趣旨になっているんですけれども、自発的に求めることができない人に対してどうやって法的な課題があるということを掘り起こすのかというのは、これは非常に重要なポイントだと思うんですが、その際に、福祉関係者とかいろいろな方と連携をしてやるということも一つ大事になるんだと思うんですよね。

 ただし、その際に、その途中で、本当は本人は生活保護の申し出をしたかったんだけれども、いろいろな福祉関係者との話し合いの中でというか、そのプロセスの中で、いや、それはやらない方がいいよとか、それは問題じゃないよということになると、またそれは問題が隠されてしまうわけですよね。こういうことに対して、どう具体的に対応しようというふうに思っておられますか。

萩本政府参考人 もし今委員御指摘のような事態になると、制度がつくられても、そもそも、そういう人がいるからぜひ相談に乗ってやってくれという声がかからないということになってしまいますので、そのようにならないように、福祉機関との間で連携のあり方について事前に十分協議をし、必要な情報が法テラスの方に上がってくるようにしなければいけないと考えております。

 そこは、今後法律が成立した暁の運用の問題になりますけれども、委員の御懸念のような事態にならないように、運用上のしっかりしたプロセスの構築に法テラスに努めていただく必要がありますし、法務省としましても、それをしっかりバックアップしていきたいと考えております。

逢坂委員 この法律が施行されて、政省令が決まった段階で、多分、相当これはしっかり周知をして皆さんにこの法の趣旨を認識してもらわないと、全国でそれぞれ違った運用がされるようなことでも困りますし、あるいは、今言ったようなことで、問題があるのにそれが表へ出てこないというようなことでも困りますので、周知とか皆さんへの理解の徹底をするということも十分にやっていただきたいというふうに思います。

 それから、三十条の一項四号、大規模災害被災者の関係ですけれども、「著しく異常かつ激甚な非常災害であって、」ということでありますけれども、この事例としては何なんだというお尋ねをしたら、これまでの答弁の中では、東日本大震災とか阪神・淡路大震災のようなものということでございました。

 私は、確かに東日本や阪神・淡路というのはとんでもない災害だというふうに思うんですが、ある程度災害の規模が小さくても、個人の立場に立ってみると、災害の規模が小さかろうが大きかろうが、被災の程度というのは実は一緒なんですよね、言っている意味はわかると思いますけれども。だから、そういう観点からいうと、災害の範囲というのは、必ずしも阪神・淡路とか東日本ということに限定しなくて、もう少し現実的な対応をすべきではないかなというふうに思うんですが、このあたりはどうでしょうか。今後、これは検討の余地はあるでしょうか。

 私は、自分の経験の中で、それぞれの被災者の皆さんの困り度合いが、大規模だから物すごく困っていて、小規模な災害だから、個々人で見ればですよ、困り度合いが違うのかというと、そんなことはないと思うんですよ。だから、そういう観点からいうと、少しこの範囲を狭くしていくというか、もうちょっと小規模なものにまで持っていくという必要があると思うんですけれども、その検討の余地はありますか。

萩本政府参考人 今回提案させていただいている改正法案がこのような要件を課している趣旨は、これまでも御説明させていただきましたが、大規模な災害で被災者が複数の法律問題を同時的に抱えてしまう、また資産なども失う、あるいは行政的な援助を受けることも難しい、そういった状況に置かれるということを踏まえて設けたものでして、交通やライフラインが広範囲にわたって途絶し、これによって地域全体の日常生活や行政機能が破壊されたような状態になるということを想定したものでございます。

 委員御指摘のとおり、災害が大きかろうが小さかろうが、被災者の被害の大きさ、苦しさが変わらないというのはもう御指摘のとおりだと思います。それを踏まえた上で検討したんですけれども、やはり、行政機能がなお生きていて、それなりの行政的な支援なりが受けられる場面と、例に挙げました阪神・淡路大震災、東日本大震災のように、面的に非常な広範囲で行政機能そのものもダメージを受け、そこからの支援にもやはりちょっと問題が生じてしまっているというような場面を想定して設計したということは御理解いただきたいと思います。

 その上で、今後、もう少し規模の小さいものまで同じような無料の法律相談援助を広げられるかは、ちょっと他の答弁とも重複してしまいますけれども、まずはこの法律相談、災害が起きないことには適用されませんけれども、不幸にして災害が起きてしまった場合には、その災害におけるこうした法律相談援助などの実施状況などを踏まえながら検討していくことになると考えております。

逢坂委員 災害の範囲については、ぜひ実態を見て検討していただきたい、そのことを要望したいと思います。

 それから、以前の震災特例法では、広くADR一般に震災特例法の中で広げているわけですが、今回の改正にはADRというのは入っていないわけですが、この理由はどういうことでしょうか。

萩本政府参考人 繰り返しになりますが、本改正法案による大規模災害の被災者に対する無料の法律相談は、災害発生後、特に需要が大きいと考えられる無料法律相談を迅速に実施可能にすることを趣旨にするものでございます。

 それに対しまして、ADRを含めた代理援助などにつきましては、法律相談に比べますと、直ちに資力審査を不要とし、無料で提供しなければいけないような緊急性、必要性が一概に認められるものではないと考えられますことから、今回の改正法案には盛り込まなかったものでございます。

逢坂委員 ADRに関して、確かに、震災特例法施行後も相談という点でいうと必ずしも多くはないと思うんですけれども、事件別の内訳で見ると、ADRに関する事件というのは結構多いんですよね。だから、その点も頭に置いて、今回は盛り込まなかったということでありますけれども、実際、ADRの需要は私、高いと思うんですよ。これは検討の余地があると思いますので、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 あわせて、これもほかの委員からも指摘がありましたけれども、今回の改正案で、政令で指定される災害の発生から一年を超えない範囲で法律相談を実施するというふうにあるんですけれども、先ほども東日本大震災に大きくかかわった方からお話を伺ったら、被災をしてから、ある種、気持ちが平常になって、法律相談とかに行こうかなと思うような気持ちになるまで、半年とか、場合によっては十月(とつき)とか、そのぐらいかかってやっと、そういえばこんなこともあったな、あんなこともあったなというのが例えば東日本大震災の実態だという話も、先ほど、かかわった方から聞かせていただきました。

 そうした観点でいえば、この一年というのは私は短いような気がする、実際の被災者からしても。(発言する者あり)吉野筆頭からも短いというやじが飛びましたけれども、これもぜひ検討いただきたいというふうに思います。答弁はよろしいですけれども、この二点、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっと私が気になっていることがありまして、この法テラスなんですけれども、現在、法テラスにかかわっている契約弁護士さんの数というのが、例えば民事法律扶助業務あるいは震災法律援助業務、これで二万人余り、あるいは受託業務、一万九千人余り、これぐらいの弁護士さんがかかわっているわけですね。これは、いわゆる職員や役職員ということではなくて、契約弁護士さんの数ですね、二万人とか、このぐらいの方がかかわっている。

 片や一方で、今、日本全体で弁護士さんがどれぐらいいるかというと、三万六千人余りということだと認識をしておりますけれども、このときに何の問題が出てくるかというと、これは先ほどの木下先生の問題意識とも多少通ずるんですが、法テラスというのは法務省所管の独立行政法人、そこでいろいろな無料の相談とかをやる範囲が広がってくる。多分、今回の法律が改正されて二年後に施行されたら、もっと今よりもその守備範囲が広がってくるわけですね。

 国民の法のもとでの平等という観点でいえば、それはそれで悪くはないのかもしれないんですけれども、片や一方で、弁護士さんには、弁護士の自治といいましょうか、あるいは、弁護士さんも民業としてのなりわいという側面もあります。だから、弁護士の自治の観点と、法テラスによって公的にいろいろな法のもとの平等を保障するということの、ある種の摩擦みたいなものは出てこないのかなという気が私はするんですね。

 単純に民業圧迫と言うつもりはないんですけれども、法テラスのウエートが高くなれば高くなるほど、個人の弁護士としての自治、これが損なわれていくということはないのか、それによる不都合は出てこないのかという気がするわけですが、この点、政府の考え方はいかがですか。

萩本政府参考人 法テラスと弁護士との関係についての御指摘をいただきました。

 法テラスは、御指摘のとおり、職員として常勤の弁護士を雇っているわけですけれども、法テラス、とりわけ常勤の弁護士が扱っている仕事は、救済の必要性が高いものの事案の解決に相当の時間と労力を要する、かつ、それに見合っただけの経済的な対価を得るのがなかなか難しい、それゆえ、一般の弁護士ですと受けるのがそんなに簡単ではない、こうした事案を主に取り扱うということで、それには、一般の弁護士と十分すみ分けもできているし、相互に補完し合う関係にもあると思っておりますので、今、民業圧迫、あつれきというか摩擦という御指摘がありましたけれども、必ずしもそういう関係には立たないというふうに考えております。

逢坂委員 今の答弁の中でちょっと気になる言葉があったんですけれども、すみ分けができている、あるいは事件の振り分けというような言葉があったかと思うんですが、それでは、相談に来たものについてどう対応するかということは、法テラスでそのまま引き受けていくのかどうか、あるいは、これは法テラスじゃないですよというようなことで、法テラス以外の弁護士にもそれは振り分ける、そういうイメージなんでしょうか。

萩本政府参考人 御指摘のとおりでして、実際に法テラスで相談を受けますけれども、一般の弁護士、契約弁護士などに十分受けていただける事件であれば、そちらの方に事件を依頼していただくということは現に行われております。

逢坂委員 これから多分、法テラスの役割が今回の法改正によって大きくなってくる。例えば、契約弁護士さんの数も、今は民事法律扶助業務、震災法律援助業務などで二万人余りということですが、これが仮に、三万六千人、弁護士さんの全てがこれにかかわるんだということになったときの姿を考えてみたら、必ずしも私は健全な姿ではないのではないかなという気もするんですね。

 それはなぜか。

 法務省所管の独立行政法人がそういうことをやっていることは必ずしも悪くはないんですけれども、どちらかというと政府の意向に沿ったことをやっているわけですよね。でも、国民の法のもとでの平等、自由というのは、政府の意向に対しても、いや、これはおかしいですよ、個人の権利の侵害ですよというようなことも場合によっては出てくるわけですので、ここの関係は、これからもう少し冷静に考えてみる必要があるのではないかなという気がするんですね。

 個人の保護は必要なんだけれども、保護をどういう仕組みでどうやってやるのかということについては、法テラスのウエートが高くなれば高くなるほど悩ましい問題が出てくる、特に弁護士さんの自治との関係で、私はそういう問題が出てくるような気がいたします。

 事務方に最後、もう一点だけ、念押しの確認ですが、法律相談案件があったときに、政府にとって、あるいは法務省にとって不都合な案件について排除するなどということはないでしょうね。

萩本政府参考人 結論として、それはございません。

 総合法律支援法の中でも、事件についてはそういう取り扱いをしてはいけないということで、第三十三条になりますけれども、「契約弁護士等の職務の独立性」という条文がありまして、法テラスが業務として取り扱わせた事務については、独立してその職務を行うということが明文でうたわれているところでして、その点はきちっと手当てがされているということでございます。

逢坂委員 私自身も、弁護士さんがいない、いわゆるゼロワン地域と言われるものの対応について、弁護士会の皆さんと協力をしながら、その解消に向けて過去に幾ばくかの取り組みをしたことがあります。それらの取り組みを踏まえて、平成十六年ですか、法律ができて、十八年から法テラスが具体的に動いてきたということは、私自身としてはこれは悪くないことだというふうに思っているんですが、政府がかかわる範囲が大きくなればなるほど、弁護士さんとのすみ分けというか、ここのところが難しくなる。現時点では、多分、弁護士会の皆さんも、今回の法律改正については納得をされているんだと思うんですが、今後、場合によっては、摩擦というのかフリクションというのか、何かが出てくるような気もしないでもない。

 このあたりを、本当の意味で国民の法のもとでの平等、権利を守るという観点から、少し、そういう問題も出てくるんじゃないかなということについて考察の余地を残しておくべきだと私は思っているんですが、大臣、最後にいかがでしょうか。

岩城国務大臣 さまざまな御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 法テラスにおいては、従前から、その業務の運営に当たりまして各弁護士会と連携をとっており、今回の法改正による新たな業務につきましても、同様に連携が図られているものと承知をしております。

 法の施行までに、先ほど御指摘のありました周知徹底等も図りながら、皆様方に御理解をいただく努力をこれからもしていきたいと考えております。

逢坂委員 終わります。

葉梨委員長 以上で逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野の井出庸生でございます。ちょっとバージョンが変わりましたが、よろしくお願いいたします。

 きょう、まずはけさの朝刊から、新聞の件で一点伺いたいことがあります。

 最高裁にお尋ねしたいんですが、けさの毎日新聞朝刊一面、「「最高裁隔離法廷は差別」 ハンセン病有識者委」という見出しがありまして、「ハンセン病患者の刑事裁判が裁判所外の隔離施設などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高裁の有識者委員会が「患者の裁判を一律に特別法廷で開いてきた最高裁の手続きは差別的な措置だった」と指摘する方針であることが分かった。最高裁はこの指摘を踏まえて四月にも検証結果を公表する予定」、そのような記載があります。

 まず、最高裁に、このハンセン病の患者の方の刑事裁判について、最高裁自身も今その検証をされている、その中で有識者に意見を聞いている、その一部がこの記事になってきたと思っているんですが、この件についての今の最高裁のスタンス、お考えを伺いたいと思います。

中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 平成二十六年の五月に最高裁事務総局に、司法行政事務として最高裁が行っておりましたハンセン病を理由とする開廷場所の指定の問題につきまして調査をするということで、調査委員会というのを設置いたしました。

 その調査委員会でこの問題について調査していたところでございますが、その中で、有識者からも広く意見を聴取して調査の参考にするということで、昨年の七月に有識者委員会を設置いたしまして、昨年の九月から昨日までの間、六回にわたり有識者委員会を開催させていただいたところでございます。

 この新聞記事に書かれております今後の見通しというところでございますが、我々調査委員会というか最高裁といたしましては、これまで有識者委員会の方からさまざまな意見をいただいているところでございます。これを参考にさせていただいて調査委員会としての報告書をまとめさせていただいて、これを早ければ四月中ということで、なるべく早い段階で公表させていただきたいということで、今作業をしているというところでございます。

 その中での有識者委員会での意見、どのような具体的な意見が出たかというところにつきましては、現在調査中というところもございまして、また、有識者委員会は非公開ということになっておりまして、議事要旨は公開しているところでございますが、第六回、昨日のものについてはまだ議事要旨も作成していないというところでございますので、議論の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

井出委員 これは言うまでもなく、裁判は原則公開の場でやらなければいけない。公開の場でやらなくていい特別法廷というものは、極めて例外的に、本来であれば、最高裁全十五人の裁判官で構成をする裁判官会議がその特別法廷を認めるかどうかを決めるという制度になっております。

 ハンセン病の患者の裁判については、その裁判官会議をしないで、ハンセン病伝染のおそれを理由に一律に特別法廷とする運用がなされていたのではないか、そういう指摘もされておりますし、実際、ハンセン病を理由とする特別法廷、過去に九十六件特別法廷開催の上申があって、九十五件が許可をされている、最高裁が却下した例はただの一例もない。

 まだ有識者委員会の議論それからその調査結果というものを取りまとめの最中だと伺っておりますが、これは、ハンセン病患者の裁判に対する過去の最高裁の取り組みが果たして適当だったのか、また、それに対して何らかの反省であるとか声明を、まず過去について私はきちっと出す必要があると思います。

 それから、裁判の公開ということですね。裁判の公開、今、刑事裁判は、被害者参加ですとか裁判員に対する配慮でさまざま法廷上の配慮がなされて、それが逆に傍聴人から、様子がわからぬ、一体何をもって公開というのか、そういう話も出てきておりますので、この機会に、裁判の原則公開そのものに対する、その原理原則に対する最高裁の見解も改めて出していただきたい。

 この二点を要望しますが、いかがでしょうか。

中村最高裁判所長官代理者 今御指摘いただいた点も含めまして、既に有識者委員会でも議論がなされているところでございます。

 この御意見を踏まえまして、我々としては、そういう問題を含めてどのような調査結果を出すかということは、今最後の作業中ということでございますので、公表までいましばらくお待ち願いたいというふうに考えているところでございます。

井出委員 調査結果を待ちますが、それまでに質疑の機会もありますので、また取り上げさせていただきたいと思います。

 そうしましたら、法案の方の質疑をさせていただきます。

 総合法律支援法ですが、もともとこの法律は、第一条の「目的」に、「裁判その他の法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするとともに弁護士及び弁護士法人並びに司法書士その他の隣接法律専門職者のサービスをより身近に受けられるようにするため」と目的が定められております。

 そしてまた、第二条「基本理念」のところは、「総合法律支援の実施及び体制の整備は、」以下「定めるところにより、」とあって、「民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指して行われるものとする。」と。

 この法律によりますと、体制整備については、情報提供の充実強化、民事法律扶助事業の整備発展、刑事の国選弁護人、また犯罪被害者の援助などが挙げられております。

 先ほど逢坂委員からも質問が出ておりましたが、認知の能力が低下をしてきている方をこれから救済する、また震災、それから今度、ストーカー、DV、児童虐待、そういうものに対して法テラスを拡充していくというのは、私も大変それは一面においては結構なことかなと思うんです。

 ただ、今までこの法律は、資力、要はお金のない人に対して法テラスというものが対象になってきて、過去のものを見てみますと、例えば、代理援助開始決定の事件別件数ですとか、書類作成の援助開始決定の事件別件数などを見ますと、実にその半数、また八割近くが多重債務事件となっております。

 これを考えますと、やはりお金のない人を対象に法テラスを今までやってきたから、そうすると、そこに相談に来る方はお金もないし、お金がなければやはり多重債務関係というものがふえるのもある程度自然なのかなと思っているんですが。

 この法律の基本理念で、「民事、刑事を問わず、」これは事件や相談内容は基本的には問わないということを想定していると思うんですけれども、やはり過去は多重債務が多い。これからは、今回あえて、DV、ストーカー、児童虐待、刑事分野の一分野を入れたと思いますし、内容の面から見て、この制度が国民に対してあまねく刑事参加の機会というものを果たして保障することになるのかどうか、そこをまず見解をいただきたいと思います。

萩本政府参考人 総合法律支援法は、今委員御指摘のとおり、「民事、刑事を問わず、あまねく」、こういうことになっておりますが、そこでまずスタートのときに設けられましたものは、民事につきましては、民事法律扶助ということで、情報提供、それから代理援助、書類作成援助ということがうたわれました。他方で、刑事につきましては、いわゆる国選弁護の事務を法テラスに担ってもらうことによって、やはり資力の乏しい人について刑事裁判できちっと弁護士が代理人としてつくように、まずここからスタートしたものです。

 民事、刑事、あまねくということで、では刑事関係の法律相談を扱っていたかといいますと、扱っていなかったからこそ、今回、ストーカー等の被害者に対する資力を問わない法律相談援助を創設するということになっているものでして、それが、刑事についても、やはり、基本的に刑事関係の事件であるストーカー等の被害などにつきましても法律相談援助をすることが今委員から御紹介のありました基本理念に合致するという観点から、今回御提案させていただいているものでございます。

井出委員 先ほど逢坂委員も指摘をされましたし、私の問題意識としては、ある一定の事件またお金がない人だけを対象にするということが、果たして本当に広く国民の、端的に言いますと、この案件は扱えますけれどもこの案件は扱えないというような、法テラスは無料ですけれども、これは対象外なので個人の弁護士さんに有料で行ってくださいと。そういう内容的な、国民が訴えたい中身によって最初の弁護士のアクセスのところで具体的にはコストが変わってくるのかなという懸念を持っております。

 先ほど逢坂委員が、政府に都合の悪いような話は受けないということは言わないでくれということで、そういう御答弁をいただいたと思うんです。大臣にも改めて伺いたいのですが、今、政治的中立性という言葉がよく使われておりまして、実際、一つの例を挙げますと、公共の施設で何か集会を開いたりするときに、政治的中立性ということを理由に断られるようなケースがある。それは個別個別のケースがあるのかなと思うんです。

 法テラスをさらに拡充していく、憲法で保障された全ての人が裁判を受ける権利、それに必要な弁護人、司法への最初のアクセスですね、弁護士への相談、そこを法テラスが担っていく、その業務を広げていこうというときには、やはり相談内容が、中には、いや、これは裁判でやる話じゃない、もう直接警察に行ってくれですとか、それは弁護士に相談しないで、まず二人で話し合ってくれとか、そんないろいろな問題もあるかと思うんです。

 ただ、やはり一義的に、第一次的な相談というものはまず聞くということ、はなから聞かないというような運用ではいけないと思いますが、それはいかがでしょうか。

岩城国務大臣 おっしゃるとおりに、さまざまな相談の内容があるんだと思います。個別ごとにケースが違うと思いますけれども、一般的に申し上げれば、どういった相談であれ、しっかりとお聞きして、その上で検討を加え判断をするものだ、そのように承知をしております。

井出委員 次に、弁護士への相談にかかるコストのことについて伺います。

 三十分五千円だとかよく言われましたが、最近はどうも変わってきているようです。

 平成二十六年八月七日の読売新聞によりますと、当時、札幌弁護士会が全国で初めて相談を無料化した、今まで一回五千円のところを無料にしたら、毎月数十件程度だった相談が約三倍にふえた。なぜ札幌弁護士会がこのようなことをしたのか。この記事を読みますと、法テラスが収入の少ない人向けに無料相談を始めると、相談の件数が半分以下に減った、そういうことを受けて札幌弁護士会は無料化をした。この記事によりますと、札幌弁護士会に続いて、追随した弁護士会はまだない。

 そうしたときに、今、私の知っている弁護士も、無料相談ならよく来る、だから最近は無料もよくやっているというような話を聞くんです。コストの面において、例えば、では、東京に行けば無料で相談をやってくれる弁護士さんがいるから東京に行こう、私の地元だと弁護士さんも少ないから、やはり三十分五千円のところが多い。そういうコストの地域格差というものについて、どのように今現状を捉えてお考えになっているのか、見解を伺いたいと思います。

萩本政府参考人 法律相談の料金の地域格差のお尋ねでしたけれども、もう御案内のとおり、法務省は、日本弁護士連合会を初め弁護士そのものを所管している立場にはありません。逢坂委員からも御指摘がありました、弁護士自治のもとで業務が行われておりますので、各地の弁護士会の法律相談の実施状況あるいは相談料を含めた内容も把握する立場にないということから、今お尋ねいただいた点について法務省としては承知をしておりません。

井出委員 法テラスが始まったことによって、札幌弁護士会がそういうことをした。弁護士への相談というものは有料であるべきだ、そういう意見もまだ強いんですが、弁護士の数もふえまして、かつてのように三十分五千円では行かない。相談料金が下がっていく傾向の一つの要因に法テラスがあるんだということを、この記事、札幌弁護士会は指摘をしていると思うんです。

 弁護士会、個人の弁護士さんと法テラスとはお互い別々にやっていますから、そこは今の答弁を理解はするんですけれども、ただ、そうはいっても、そこを情報共有なりなんなりをしておかないと、総合法律支援法の第二条の「基本理念」、「あまねく全国において、」というところが、この法律によって、法テラスによってコストの格差というものが私は出てきているんじゃないかなと。

 実際、この記事にも、これはおもしろいんですけれども、東京都内で弁護士が無料相談に応じる、千葉県の人が行く、千葉県弁護士会は対策を打って相談料を値下げした、東京から往復する交通費程度に下げた、そうしたら相談がまたふえたと。

 こういう実態を見ると、やはりコストの面というものに対して何らか手を打たなければ、もしくはきちっと現状を把握しなければ、せっかく「あまねく全国において、」という法テラスというものができたのに、それが今、もう少しわかりやすく言えば、価格競争の一因になっている。

 司法のアクセスを国民に担保していく、最初に弁護士に相談をするということは、司法アクセスという言葉は、たしか平成十三年六月、司法制度改革審議会が内閣に出している意見書の中で出てきた言葉なんですが、これは、コストの実態が今どうなっていて、国として何かやれることがあるのか、もうそこに向き合っていかなければいけませんし、ちょっと承知していないというところはもう卒業して、実態を調べる、対策を検討する、そういう方向に変わっていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩本政府参考人 今の委員の問題意識は理解いたしますけれども、先ほど来話が出ていますとおり、やはり弁護士自治との関係がありますので、弁護士あるいは個々の弁護士会などが、どのような内容の法律相談をどのような形で実施しているかについて、どこまで詳細に把握できるかあるいはすべきかについては、議論が分かれるのではないかというように思っております。

 委員御指摘のとおり、法テラスは無料の法律相談を提供しておりますので、それが何らかの形でそれ以外の弁護士が提供する法律相談の相談料に影響を与えているという指摘は出てき得るところだとは思いますけれども、今、司法アクセスという御指摘がありましたが、もともと法テラス自身は、その設立の当初、司法アクセスの障害を解消しよう、地域的な面での司法アクセスの障害、経済面での司法アクセスの障害、あるいは情報面での司法アクセスの障害を解消しようという観点から、その一つとして民事法律扶助事業というのを充実させるという観点でスタートしておりますので、ここではあくまで経済的な面での司法アクセス障害を解消するという意味で、一定の、資力の乏しい人たちに対して無料の法律相談を提供するという政策決定をしているということは御理解いただきたいと思います。

井出委員 もともと、お金のない方に対して無料でやることになった。それが、法テラスをきっかけに札幌弁護士会の動きがあり、それから弁護士の増加で価格競争というところも一つあると思うんです。

 弁護士の自治とおっしゃいましたが、それは確かに訴訟の中身ですとか弁護士さんの活動というところはあるんですが、ただ、法務省は、いろいろな政策、法律をつくるときに、弁護士会に意見を求めたり、場合によっては弁護士会がやってくれたアンケートをもとに政策をつくったりされているわけじゃないですか。そこは、コストに意識を持ってコストの実態調査をするというのは、私はこれは政策的な意義で弁護士会に協力を求めてもいいと思いますけれども、いかがですか。

萩本政府参考人 御指摘のとおり、法務省は、ある立法課題などにつきまして政策決定する際には、当然のことながら、立法事実を確認するという意味でさまざまな調査をいたしますし、その過程で必要があれば、弁護士会に協力を求めることはもちろんございます。

 ですから、今委員御指摘の視点から申し上げますと、仮に、法テラスが提供する民事法律扶助の一つとしての法律相談援助につきまして、無料にしない、無料というのをやめて一定の相談料を取る、そういう方向で検討するということであれば、ではその金額を幾らにするかなどという観点から必要な調査をし、では法テラスは幾らにしよう、こういうことを決定すべきということになろうかと思います。

 そこはそのとおりだと思いますけれども、先ほども申し上げましたが、法テラスにおいては、今、無料の法律相談を提供することによって経済面での司法アクセス障害を解消するという形をとっていますので、現時点で、それを変更する必要性があるとは認識しておりませんので、その意味で、何らかの形で弁護士会に協力を求めて、相談料を含めた法律相談の実施状況を調査しなければいけないとまでは認識しておりません。

井出委員 法テラスは、もともと、お金のない人、また、今回、震災とか特殊な事案ですとか、恐らく政府の方で、それは税金を投入してきちっと体制を整える必要性があるところを国の方でやろうということで始まっていると思うんです。

 今、弁護士会の無料相談ですとか、各弁護士さんがそういう料金を下げてくると、三十分五千円が大多数で、法テラスはお金のない人に無料ですとやっていたときの、それはお金のない人を救済するということでいいと思うんですけれども、それが、無料の人もいる、三十分二千円にしたところもある、その全体の価格が下がってくる中で、法テラスというものがどこに向き合っていかなきゃいけないのか、そういうことを考えていかなきゃいけないのではないかなと私は思うんです、お金がない人に対して救済をしていくということも引き続き必要かと思いますけれども。

 特に私が心配しているのは、やはり地域格差です。法テラスの体制を見ますと、パンフレットを見させていただいたんですが、司法過疎地域事務所というものを三十五設けていただいて、そこは大変配慮があるな、私の地元にも一つぐらいあってもいいんじゃないかなと思ったんですけれども、そこはなるほどなということで。

 あと、もう一つ私が気になっているのは体制のところで、今、法テラスが百十カ所あって、全国五十の地方事務所ですね、これは都道府県の県庁所在地と北海道に三カ所、それから支部が十一カ所、規模がだんだん小さくなっていくんですが、出張所、地域事務所、法律事務所と。

 業務の中身を見ても、地方事務所、全国に五十あるものは法テラスが行うすべての業務を行う、その一ランク下の支部になると法テラスが行う主な五つの業務を行う、出張所になると民事法律扶助業務等を行う、地域事務所になると法律サービス全般と書いてあるんですが、事務所の規模によって、まず相談が受けられるところも違いますし、受けられる範囲も違います。

 あともう一つ、各事務所、出張所の常勤弁護士の配置数などを見ましても、要は、東京ですとか大阪ですとか名古屋ですとか、都市部に常勤の弁護士が多いというのは理屈としては理解をします。ただ、そうはいっても、高裁管轄ごとに振り分けられている常勤弁護士の数を見ていますと、私、福岡、広島、札幌、高松などと比べると、仙台高裁の管内に常勤で置かれている弁護士さんの数がほかと比べると少ないのではないのかなと。

 これは法務省の資料をもとに衆議院の調査室の方でまとめていただいている数字なんですけれども、そういう、できる取扱業務内容のばらつき、また常勤弁護士さんの数のばらつきといったところの現状の問題認識というものをきちっと持たれているかどうかを教えてください。

萩本政府参考人 法テラス各事務所にどれだけの常勤弁護士を配置する必要があるか、配置するとして、その人数は何人とするのが妥当かということにつきましては、法テラスにおきまして、事件数の動向などに照らして判断しているというように承知をしております。

 ただ、委員御指摘のとおり、では、単純に事件数などに応じた配置になっているかといいますと、必ずしもそうなっていないということがあることは認識しておりまして、どうしても、常勤弁護士の配置ということになりますと、地元の弁護士会との協議、調整を要するものですから、地元の弁護士会の意向などによっては多少のアンバランスが生じてしまっているということは認識しております。

井出委員 法テラスの理念というものは、刑事、民事問わず、全国あまねくということで大変結構だと思うんですが、やはり、制度を始めることによって、コストの面は影響が実際出てきているんだと思いますし、またその人員、事務所の体制、そういったものは日常的にきちっとよくチェックをしていただいて、法律事項でなければその場で改善していただきたいですし、法律事項であれば、またきちっと改正点が必要であれば改正をしていただきたいと思います。

 今回の法改正で、ストーカー、DV、児童虐待、そういったことも法テラスの方で扱っていくというような話になっているんですが、ことし、これは三月二十二日の読売新聞に出たんですが、相模原市の児童相談所で、両親から虐待を受けた、児童相談所が相談に乗っていた、その子を保護しない時期が続いていて、因果関係はまだ正式にはわかっておりませんが、その中学生が自殺をしてしまった、そういう案件がありました。

 読売新聞の報道を機に、かなりその後取り上げられたんですが、実際に、一三年の秋、一四年ぐらいから子供がSOSを出している。児相にも行ったし、警察にも行っていた。児相の方は、緊急性はないと。しばらくは両親も児相の指導を受けていたんだけれども、一四年十月に、両親が児相の指導を拒むようになって、男子生徒を児相に行かせなくなった。そうこうしているうちに、その半月後に、男子生徒が家からいなくなって、その後、自殺という大変痛ましい結果に至っているんです。

 今回の法律は、聞くところによりますと、児童虐待の被害を受けている子供が相談の対象になる。しかし、児童虐待を受けている子供は、よほど信用できる人にしか、まずそれを言えないだろう。例えば、親戚、友人の親、学校の先生、お医者さん。恐らく本人が自発的に、身の危険を感じて、中学生ぐらいであれば警察には行くと思いますけれども、私は到底、そこで中学生や子供がみずから法テラスに駆け込むとはちょっと思えないんですね。

 ですから、児童虐待の被害を受けている子供のやはりそういう周辺者からの相談、通報というものを、まず法テラスでも受けるべきではないかと思いますが、そのあたりのことについて教えてください。

萩本政府参考人 今御指摘がありましたとおり、今回の改正法案で導入することとしておりますストーカー等の被害者に対する法律相談援助の対象は、その被害を受けている本人という制度設計になっております。

 もっとも、委員から御指摘がありました、例えば学校の関係者などなど、そうした方々からの情報提供がよりその被害児童の早期の救済につながるということは十分考えられるところだろうと思います。

 ですから、法律相談そのものを対象にしているわけではありませんけれども、先ほど、福祉関係者から認知能力が十分でない高齢者、障害者の情報を提供していただくという話をしましたけれども、同じような文脈で、学校関係者などからの情報提供を受けられるような、そういうシステムづくりは非常に有効なものだと考えられますので、必要に応じて検討してまいりたいと思います。

井出委員 さっきの福祉施設の話もそうなんですけれども、大変重要なところだと思います。

 それで、厚生労働省にきょうは来ていただいておりますが、児童相談所は、別に、法律的には親の同意がなくても子供を隔離して保護することができる。この相模原の事例は、親がそれを認めなかった、あとまた、そこまで緊急性を要するという判断には至らなかったとあるんですけれども、法律上きちっと隔離ができる。ただ、それをやっていいものかどうか、親も怒っているし、判断に迷う、そういうときこそ法律家の出番なんじゃないかなとも思うんです。

 児童相談所と弁護士、児童相談所と法テラスの連携というものは、今ふだんからできているのかどうか、教えてください。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、児童が虐待をされているということで必要がある場合には、児童相談所長は職権をもって一時保護ができるといった仕組みでございます。

 そうした判断、あるいは、さらに施設に入所させるといった措置を行うときに親権者の同意がとれないような場合には、家裁の承認を得るといったことによる措置というようなこともございますので、そういう司法にかかわる専門的な知見ということで弁護士の活用を進めているところでございます。

 現在、常勤の職員とか非常勤の職員、あるいは契約といった形もございますが、全ての児童相談所において、何らかの形で弁護士の活用というのはしているところでございます。

 また、法テラスにつきましても、今回そうしたことが新たに盛り込まれるということでございますので、必要な連携を図っていきたいというふうに考えております。

井出委員 去年の九月二十四日の朝日新聞なんですが、児童虐待について「司法も防止の手助けを」という記事を書いておりまして、その中に、福岡市と和歌山県では児童相談所に常勤の弁護士を配置していると。

 そこは、置けるところと置けないところ、私の地元の児童相談所なんかはちょっと今の人員的にも難しいのかなと思うんですけれども、弁護士を置けないにしても、今回、法律が変わるのを機に、法テラスと、せめて日常的な、定期的なコンタクトぐらいはつくっていただいた方が、身の危険があれば本人や周りの人が警察に駆け込むと思います。

 身の危険がある一歩手前ぐらいのときに、私は、気づくのは周りの人が先に気づくんじゃないかと思うんですけれども、ただ、それを児童相談所も学校も判断に迷うときがある。判断に迷うときにやはり弁護士さんというものが必要だと思うので、児童相談所には、ぜひ、法テラスと日常的なコンタクト、連携がとれるような仕組みをこれを機に構築してほしいと思いますけれども、検討していただけませんでしょうか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 弁護士の配置につきましては、一つ補足させていただきたいんですが、ちょうど昨日閣議決定をいたしました児童福祉法の改正法案の中におきましては、弁護士の配置促進をするための規定を設けております。

 それに加えまして、実際、弁護士を配置するための費用についても、予算上、来年度の予算におきましては、現状を大幅に上回る予算を盛り込むというようなことをしておりまして、まず弁護士の配置というのを進めていきたいというのが一つでございます。

 あわせまして、今御提案のありました法テラスとの日常的な連携につきましても、よく法務省の方とも御相談して進めていきたいというふうに考えております。

井出委員 きょう、文部科学省の方も来ていただいたので、来ていただいたらちょっとお聞きした方がいいかなと思うんですけれども、学校ですね。

 最近、モンスターペアレンツ関係の本を一冊読む機会があって、本は端的に「モンスターマザー」というタイトルで、実際にあった、これも子供が自殺をしてしまった事件なんですけれども、この件についても、かなり児相と学校が、親から強制的に切り離そう、そういうことを考えていた、だけれども間に合わなかったというようなことがその本にも書いてあったんです。

 学校と弁護士というのは、特に子供の虐待の面において、ふだんからつき合いがあるのか。学校が何か訴えられたりしたら、それは弁護士がつくんでしょうけれども、虐待の兆候、事が大きくなる前に、やはりふだんから相談できる弁護士、そういう人たちとの連携というものがきちっと全国的にとれているのかどうか、教えてください。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 児童虐待への対応に関しましては、関係機関間の連携というのが大変重要だと考えております。日ごろより、要保護児童対策地域協議会といった枠組みなどを通じまして、さまざまな関係機関との連携を行っているわけでございますけれども、その中で、弁護士などの法務関係者との連携も図られているというふうには考えております。

 今回の改正なども踏まえまして、今後、法テラスや児童相談所の弁護士の方など関係機関との連携をさらに進めてまいりまして、児童虐待への対応をさらに充実させてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

井出委員 先ほど、福岡と和歌山県では児童相談所に常勤の弁護士を配置しているという記事には、捜査機関の方の話も出ておりまして、高松地検ですね。

 林さんに伺いたいんですが、高松の地検は、「昨年十二月」、だから平成二十六年の十二月からですが、児童虐待で親が送検をされたら、児童相談所や市町村の担当職員、学校の教師、医師ら事件の関係者に集まってもらう試みを始めた、起訴すべきか判断をする前に、どうすれば再発を防げるのか、意見を聞いてから決めるためだと。

 ただ、私が児童相談所や文部科学省、学校にお願いをしたいのは、事件になって、被害者が出て、加害者が各検察庁に行く前に弁護士さんともやっていただきたいんです。ですから、検察の側でも、事件になっても一度やはり関係者に話を聞いて、どうあるべきかということをこれは相談する仕組みだと思うんですけれども、林さんにちょっと教えていただきたいのは、少しずつ検察、捜査機関としてもこういう取り組みというのが広がっている流れなのか、それとも高松の独自の流れなのか、そこがもしわかれば教えてください。

林政府参考人 委員御指摘のように、高松地検、また、それを管轄します高松高等検察庁の管内におきまして、そういった児童虐待の防止と検察のあり方というものを内部で議論いたしまして、さまざまな取り組みをしているところでございます。

 その方向といいますのは、一つには、事件自体で被害児童側から供述を聞かなくてはいけない場面がございますので、そういった場合にいかにして被害児童の負担を軽減するか、これを検察のみならず、警察、あるいは児童相談所、そういった児童福祉の関係者も含めて、この取り組みについて議論していくということをやっております。

 また、実際の事件処理に当たりましては、虐待という行為が再度繰り返されないように、あるいは、逆に言えば再被害を受けないように、こういったものに対してどういった関係機関との連携が可能なのか、こういったことを取り組んでおるわけでございます。

 全国的に言いますと、やはり特に最初に申し上げました、被害児童からどのような供述を、どのようなやり方で事情を聞くのかという観点につきましては、全国に向けまして、警察もそうですが、厚生労働省もそうですが、法務省からも各検察庁に通知を出しておりまして、それについては関係機関とよく連携をするようにという通知を出しておりますので、実際に各検察庁におきましては、警察あるいは児童相談所等との連携のあり方をいろいろな形で取り組んでいるところでございます。

井出委員 実際に事件が起こった後に、捜査機関側でもそういう取り組みがあって、再被害ですとか再発防止に向けて関係者と話し合いをしている。

 ですから、その前の学校や児童相談所も、今回の法律を機に、ふだんからもう少し弁護士さんに入っていただいて、事件にならないようにするのが一番いいですし、ただ、事件になっても、今そうやってもう一度慎重に周りの人と相談してというような仕組みも構築をされているようですので、ぜひ法律家、弁護士を含めた連携というものも、児童相談所、学校の段階でも事件前から尽くしていただきたいと思います。

 一点、ちょっと残りの時間で別件、どうしても聞きたいことをお聞きします。

 警察庁に伺いたいのですが、最近の記事で、二〇〇八年に鹿児島市で起きた無理心中事件、息子が親を殺したという話なんですが、息子さんがけがをしていたこともあって、けがの回復を待っていたら、あろうことか、その事件を七年間放置してしまった。そして、息子を書類送検して、当時の捜査関係者を一定の処分をしたとありますが、当時の捜査担当者の訓戒という処分が本当に適正なのかということが一点。

 それから、無理心中とはいえ、殺人事件ですよね。殺人事件が今回、書類送検になる。一般的に言えば、被疑者がけがをしていたら回復を待って、ただ、重大な事件であればやはり逮捕に至るのかなというのが私の感覚なんですが、七年間放置してしまったということが一体この事件の刑事手続においてどのような影響を与えたのか、それについて教えてください。

村田政府参考人 お答えいたします。

 鹿児島県警察におきましては、当時、本件捜査に当たった警察署の捜査幹部及び捜査員につきまして、在職中の者に対し、平成二十八年三月二十八日付で本部長訓戒等にしたところとの報告を受けております。

 鹿児島県警察では、監察部門におきまして、必要な調査を尽くし、本事案の態様等を総合的に勘案したものと承知をしております。

露木政府参考人 捜査の点についてお答えをいたします。

 この事件につきましては、事件を認知した当初に必要な初動捜査は行ったわけでありますけれども、今委員お話しになりましたとおり、被疑者が犯行直後に自殺を図るなどして、七カ月間、長期間入院となってしまったということから捜査を中断して、そのままになってしまったというものでございます。

 二十七年の十月にそういう状態であるということを鹿児島中央警察署において認知いたしまして、以後、必要な捜査を行い、ことしの三月二十八日に在宅送致をしたというものでございますけれども、七年間にわたって、被疑者が逃走するとか罪証隠滅をするとか、そういったことはございませんでしたので、逮捕の必要性がないという判断をしたというふうに報告を受けております。

 その後につきましては、同日、三月二十八日でございますけれども、検察官により起訴され、現在、裁判が係属という状況にあるというふうに承知をいたしております。

 なお、初動捜査は、先ほど申しましたように、必要な事項はその時点で行っていたということでございまして、立証上の問題はないというふうに報告を受けております。

井出委員 今、立証上の問題はないというお話は、七年たって、現状、逃走するおそれがないから在宅でというのは、逃走するおそれ、証拠隠滅のおそれがなければ在宅というのは正しい判断かなと思うんですが、自殺をしようとしてけがをして、そのけがの回復を七年間待っていたというんだったら大変いい話かなと思いますよ。しかし、それは放置をしてきたわけであって、そのことが、あってはならないことですし、今、立証に影響はないというようなことをおっしゃいましたが、時間がたって、関係者のいろいろな思いや状況、いろいろなものが薄れていくというようなこともあるかと思います。

 事件に小さい大きいはないですけれども、こんなことは、ちょっと記事を見て、殺人事件で本当にびっくりしました。本当にあってはならないことだと思いますので、よくその原因の究明というものを尽くしていただきたい、最後にそのことだけ伺って、終わります。

葉梨委員長 こちらも時間が経過しておりますので、簡潔に。一言。

露木政府参考人 警察庁としても、まことに遺憾な事態であるというふうに認識をいたしております。再発防止に向けて、県警の指導に努めてまいる所存でございます。

井出委員 時間を超過して済みませんでした。終わります。

葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る四月一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.