衆議院

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第12号 平成13年6月6日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月六日(水曜日)

    午前九時二十四分開議

 出席委員

   委員長 土肥 隆一君

   理事 河野 太郎君 理事 下村 博文君

   理事 鈴木 宗男君 理事 米田 建三君

   理事 安住  淳君 理事 桑原  豊君

   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    北村 直人君

      小島 敏男君    高村 正彦君

      桜田 義孝君    下地 幹郎君

      虎島 和夫君    中本 太衛君

      原田 義昭君    宮澤 洋一君

      望月 義夫君    山口 泰明君

      伊藤 英成君    木下  厚君

      首藤 信彦君    中野 寛成君

      細野 豪志君    前田 雄吉君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君    保坂 展人君

      柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   外務大臣政務官      小島 敏男君

   外務大臣政務官      山口 泰明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房文化交流

   部長)          横田  淳君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長

   )            谷内正太郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長

   )            槙田 邦彦君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    田中  均君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省条約局審議官)  林  景一君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    寺澤 辰麿君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    溝口善兵衛君

   外務委員会専門員     黒川 祐次君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  池田 行彦君     北村 直人君

  東門美津子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 直人君     池田 行彦君

  保坂 展人君     東門美津子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 二千一年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 文化交流に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改正議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

土肥委員長 これより会議を開きます。

 二千一年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、文化交流に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改正議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、委員木下厚君の質疑に際し、外務省大臣官房文化交流部長横田淳君、外務省経済局長田中均君及び外務省条約局審議官林景一君の出席を、委員赤嶺政賢君の質疑に際し、外務省大臣官房文化交流部長横田淳君、外務省経済局長田中均君、外務省条約局審議官林景一君及び財務省関税局長寺澤辰麿君の出席を、また、委員東門美津子君の質疑に際し、外務省経済局長田中均君及び外務省条約局審議官林景一君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下厚君。

木下委員 おはようございます。民主党の木下厚でございます。田中大臣には、さまざまなあつれきの中で御心労も大変だと思いますが、きょうはきちんと御答弁をお願いしたいと同時に、外交に悪影響が出ないように、ひとつさらなる御努力をお願い申し上げて、質問に移らせていただきます。

 まずは、二千一年の国際コーヒー協定についてお伺いします。

 コーヒー協定の当初の目的は、世界のコーヒー価格の安定とコーヒー需給の均衡を図ることを目的としたものであり、何らかの経済的な統制が不可欠であったと思います。しかし、八九年に輸出割り当て制度が廃止され、前回の九四年の協定以後は価格安定のための条項を欠いております。今回議題となっている二〇〇一年の協定でも、このようないわゆる経済条項についての言及はなされておりません。

 その一方で、ブラジルあるいはコロンビアなどのコーヒー生産国側は、九三年九月に消費国を排除した形でカルテル、いわゆるコーヒー生産国同盟を結成し、輸出割り当て等の価格安定のための方策を行っており、コーヒー機関の最も重要な機能は既に国際コーヒー協定とは別の組織によって担われている、そう考えざるを得ません。

 このような状況から、もはや国際コーヒー機関というものは本来の役割を終えたのではないか。あるいは、このように役割を終了したと思われる協定に我が国が加盟し、国民の税金から毎年分担金を支払うことにどんな意義が見出せるのか。あるいは、設立当初の目的から考えて、今コーヒー機関を存続させることの意義をどのように考えておられるのか。田中大臣の御見解を伺いたい。

 また、毎年の分担金を支払いながら、このコーヒー協定に我が国が加入することによって我が国にどんなメリットがあるのか、その点をあわせて大臣にお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 木下委員にお答え申し上げます。

 もう御存じだと思いますけれども、コーヒーは、日本は世界で第三番目の輸入国でございます。消費が大変拡大しているということです。そして、これは、日本にとりまして極めて効率的な開発途上国を支援するというような意味もあると思います。

 私自身、具体的な例ですけれども、ジャマイカに数年前にODAの見直しでもって参りましたときに、ブルーマウンテンコーヒーが大変良質なものとして有名ですが、本当にブルーマウンテン、夕方になると水色の霧がかかってくるような美しいところですが、そこに行ったことがございます。そこは今日本の関西のメーカーがほとんど買い取って支配しているような状態なんですけれども、周りは大変貧しいところでございまして、一般の方たちの暮らしぶりを見まして、本当に気象環境も厳しゅうございますし、ハリケーンなんかも来ますし、大変なところなんですけれども、そういう方たちが、良質なコーヒーを日本に買い上げてもらうことによって大変喜んでいるという実態を私自身が見た経験もございます。ですから、役割が終わったということでは決してないというふうに思います。

 それから、メリット等のことをお尋ねがございましたけれども、やはり先ほど言ったような需要が高くありますので、したがって、我が国の利益を考えましても、安定的な供給というものがなされることは理にかなったものであるというふうに考えております。

木下委員 今価格安定というお話でしたが、既に先ほど申しましたように、消費国を排除した形でカルテルを結んで、もう価格はほぼ安定してきているわけですね。ですから、価格安定という大臣のお話ですが、ちょっと違うのではないか。

 さらに、本協定による我が国の分担金は、平成十三年度予算で約二千四百万円、これは国際コーヒー機関全体約四億円のうちの約五・五%を我が国が負担する、そういうふうな形状になっておりますが、これは言うまでもなく私たちの税金なわけですね。

 一方、この協定締結による利益はだれが受けるのか。本協定の主な役割はコーヒーに関する研究や統計の収集というようなことをうたわれていますが、しかし、そのような情報を消費者が直接に利用することは考えにくい。むしろコーヒー産業あるいは先物取引業者、そういった事業者が主な受益になっているのではないか、そんなふうな思いがします。

 とすれば、むしろそういったコーヒー業者が分担金を払うべきであって、国民の税金で分担金を払う必要はないのではないか。むしろ利益をこうむっているのはコーヒー業者であって、一般の私たち消費者がそれによって安定的なという形ではないと思うのですが、国民の税金を使うことに非常に疑問を感ずるのですが、その点はどんなふうなお考えでございますか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今度のコーヒー協定には、いわゆる経済規制というものがないわけでございます。

 ただ同時に、今の新しい協定の中で、一つには、今大臣から御指摘がありましたように、コーヒーは非常に天候に左右されやすいということもありまして、市場のいろいろな統計を収集して、それを関係者に明らかにすることによって市場の透明性を担保するということがございます。それからもう一つには、やはり害虫の駆除とか、そういう形でのプロジェクトを進めていっている。それから、いろいろなマーケットリサーチをやることによって、ロシアとか中国とか、いろいろな意味で市場の開拓をする。こういう三つの目的を持っているわけでございます。

 それで、一体国民にどういうメリットを与えるのかということでございますが、これも一つには、大臣言われましたように、このコーヒー協定に現在加入している輸出国側の三十九カ国のうちの二十五カ国は非常に所得が低い国々でございます。そういう意味で、コーヒーの安定的な輸出が彼らの外貨の獲得に多大の寄与をしているというのは、私たちが開発途上国に対する援助という形でできる一つの援助の形態であろうと思います。

 それからもう一つは、先ほど民間の話をされました。これは実は、民間の企業、団体も自発的な拠出をして、個々の具体的なプロジェクトについて寄与をしていっているということがございますし、日本がこれだけ消費国でございますから、安定的なコーヒーの輸入は国民生活上もメリットであろうというふうに思います。

木下委員 それでは次に、日ロ文化交流協定についてお伺いします。

 私は、両国政府が文化を通じて交流を図るということは非常に意義あることだと思うのですが、本協定に新たに著作権等の保護についての規定が盛り込まれております。新聞報道によりますと、ロシアでは、コンピューターソフトあるいはビデオの海賊版が多数出回っており、ロシアで出回っているソフトの約九割が海賊版だと言われております。ロシア国内では、著作権を保護するための法整備はできていると思うのですが、その執行体制は本当に十分なのか。また、海賊版の横行する背景にはマフィアの存在も指摘されております。

 そこで、次の二点をお伺いします。

 ロシアにおける海賊版の普及状況について、我が国政府の認識、及びロシアにおいて多数の海賊版が出回っていることで我が国にとって具体的にどのような影響が出ているのか、これがまず第一点。第二点は、我が国の影響の大小にかかわらず、今後この協定の実効性を確保するために、著作権の保護に関する分野での協力を積極的に進めていくことが必要だと思うのですが、それについて何らかの具体策等ありましたらお答えいただければと思います。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシア連邦は、著作権関連の条約といたしましては、ベルヌ条約、万国著作権条約及びレコード保護条約を締結しているところでございます。したがいまして、条約の締約国といたしまして、これらの条約に従い著作権及び著作隣接権の保護に努めているものと承知しております。ただ、先生御指摘のように、ロシア国内における著作権及び著作隣接権の保護が不十分であるというふうな指摘があることも、政府といたしましては十分に認識しているところでございます。

 今後の方策につきましては、この協定に基づきまして設置されますところの日露文化交流委員会という場がございますけれども、その場における意見交換などを通じまして、御指摘の問題を含め、著作権及び著作隣接権の保護の現状、さらには関係法制度の整備につきまして協議や協力等を行ってまいりたいと思っております。

木下委員 この日ロ文化交流協定がもし締結されれば、今懸案になっている北方四島の問題等、さまざまなところでもいい影響が出るのではないかと私は期待しているのですが、田中大臣、この協定についての御見解をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 青少年の交流の重要性は日ロだけに限られたことではないというふうに思いますけれども、現在は、東京に日露青年交流センターというところがあるのは御存じでいらっしゃいましょうか、そういうところの活動も通じたり、それから、外国語教育としてJETプログラムというものもございますので、今後とも青少年間での交流を盛んにしていく、そういうことがまたお互いのいろいろな過去からの複雑な問題の解決にもつながればいいというふうに考えます。

木下委員 時間がありませんので、最後の、税関手続の簡易化に関する改正議定書についてお伺いします。

 本議定書の交渉においては、一時、台湾の加盟に関連した改正内容をめぐって米国と中国が激しい対立をする場面がございました。まず、本議定書における台湾の参加問題についてはどのような決着が図られたのか、御見解を伺いたいと思います。

植竹副大臣 今木下委員御質問の点につきましては、台湾の参加問題については、御指摘のように、いろいろな議論がこれまでも行われてまいりました。今後、関連協定に基づきまして、台湾が世界貿易機関に加盟した場合には管理委員会のオブザーバーとして参加する資格が与えられますので、本改正議定書によって改正されます規約に参加することが可能となってまいります。

 なお、オブザーバーの地位及び権利につきましては、現在、関税協力理事会において検討されておるところであります。

木下委員 最後に、昨年六月、米国のシャーク国務省副次官補は香港の講演の中で、台湾の市場経済は非常に重要であり、主権国家を加盟条件にしない国際的な経済専門組織への加盟は認めるべきだとの立場を表明しております。地域として台湾が国際機関に参加することは我が国にとってもメリットが大きいと思いますが、日本政府の立場について、大臣、最後にお答えをいただきたいと思います。

田中政府参考人 ちょっと技術的な御説明だけ先にさせていただきます。

 台湾につきましては、例えばWTOへの加盟、独立関税地域としての加盟ということについて、既に、日本もそうでございますけれども、主要国の間で二国間の交渉がほとんどまとまっております。ですから、中国がWTOに加盟が実現した暁には、台湾も独立の関税地域として入っていくということでございますし、現にAPECにも台湾が加入をしておるという状況でございます。

田中国務大臣 台湾のWTOとの関係でございますけれども、台湾が世界貿易機関に加盟した場合には、管理委員会にオブザーバーとして参加する資格が与えられるという状態でございます。

木下委員 わかりました。

 以上で質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

土肥委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 我が党も、二千一年の国際コーヒー協定、それから日ロ文化交流協定、税関手続の簡易化等に関する規約の改正議定書、いずれも賛成であります。その立場に立った上で、一、二疑問点を問いただしていきたいと思います。

 先ほども木下委員の方から質問がありましたが、日ロ文化交流に関する問題です。日本が海外から受け入れている留学生は二〇〇〇年五月現在で六万四千十一人、しかし、ロシア側からの留学生は少ないという現状で、私たちの認識によりますと、八六年の日ソ文化協定のもとでソ連からの国費留学生はゼロであったというぐあいに認識しております。現在の日本とロシアの留学の状況についてちょっと説明をいただきたいんです。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の国費留学生受け入れ実績は、日ソ文化交流協定締結、これは昭和六十二年でございますけれども、その当時には御指摘のとおりゼロでございました。その後、平成元年になりまして受け入れを開始いたしました。その平成元年五月一日時点では十名となっておりました。その後、平成十二年に至りまして、五月一日現在の数字でございますけれども、ロシアから百五十五名の国費留学生を受け入れているところでございます。ついででございますけれども、一方、我が国からは、日本政府派遣留学生として九名、これは平成十一年度の数字でございます。ロシア連邦政府奨学金留学生として十四名、これは同じ年度でございますけれども、それがロシアに行っているところでございます。

赤嶺委員 次に、日ソ文化協定のときでは、テレビ、ラジオ出演にしても、出演する機会を与えるとか、あるいは図書館、公文書館などの利用についても、施設を利用する機会を与えるなどと規定されていたわけですが、それが今回、奨励すると規定されたことが一つの特徴になっております。今後はロシアの中央レベル、地方レベルでの図書館や公文書館などは自由に日本人が利用できることになるのか、ソ連時代の制約がどういう状態であったのかその具体例と、今回の文化協定によって改善される意義について少し皆さんの御意見を聞かせていただきたいと思います。

横田政府参考人 ソ連邦という政治体制からロシアという体制に移行した後、ロシアにおける文化活動に関するさまざまな規制は全くなくなったかあるいは大幅に軽減されたというふうに認識しております。今日におきましては、テレビなどへの出演や図書館などの施設利用につきましても、既に基本的に自由にできることになっていると承知しております。しかし、本協定第五条に規定されておりますように、両方の政府として一層良好な条件の創出に努めることとなるわけでございます。

 そこで、その良好な条件の例として一つだけ申し上げたいと思いますが、現在のところロシア政府は、通常であれば外国人は借りることのできない書籍、それの貸し出しなんかを本協定に基づきまして特別に許可することを検討しておるようでございます。この協定が結ばれた暁には、今後、ロシア側とこの点につき詳細を詰めることを予定しております。

赤嶺委員 それでは次に、コーヒー協定に関する問題について少しお伺いしたいと思います。

 これも先ほどの質問と若干重なるわけですが、外務大臣の答弁にもありましたが、コーヒー生産国ではコーヒーが輸出収入の柱となるべきでありますけれども、それが天候に左右される生産物である、農産物の一つの特殊性でもありますけれども、価格の低迷などもあって、実際には所得拡大に大きく貢献するような状況ではないわけです。これは、商品協定になっているココアを初めとした生産物も同じです。それは、商品協定から経済条項、いわゆる価格帯をなくして市場任せにしたからだと私たちは考えておりますけれども、こうした商品は多くは植民地支配が生んだ政策の遺物であり、国際的には配慮すべきものであると思います。

 価格帯が商品協定から削除されるようになってから二十年近くたつわけですが、発展途上国の経済発展のために日本政府が関係の国際機関で商品協定にいま一度価格帯を盛り込むよう提案していくべきだと思いますけれども、検討するおつもりはないでしょうか。

田中政府参考人 いわゆる価格安定等のための経済条項をいろいろな商品協定に盛り込むべきではないかという御指摘でございます。

 今、御提案申し上げているコーヒー協定におきましては、そういう価格条項が存在しない。これは御指摘のとおり以前あったわけでございますが、それは、やはり過剰な市場介入ということが必ずしも得策ではない、どちらかというと市場の条件をよく整備するような形での活動を支援していくべきではないかというのが国際的な議論でございまして、私どもといたしましても、そういう形で、例えば先ほど申し上げましたように、市場の透明性を図るためにデータをきちんと整備してそれを提供する、害虫駆除その他天候に左右されやすいものについてそういう研究を進めていく、あるいはマーケットリサーチ等を通じてより市場機能が働くようにする、こういった形での支援が適当ではないかということでこの協定ということになったわけでございます。

赤嶺委員 生産国の立場という問題については今後も一層注意を払っていただきたいと思います。

 最後に、税関手続に関する問題です。

 国際貿易の飛躍的発展に見合った税関管理の必要性、あるいは税関手続の迅速化、利便性の向上ということは、一般的にはそのとおりであり、だれもが否定できないことだと考えています。しかし同時に、手続の簡素化、合理化ということが、水際における社会悪の流入阻止あるいは適正な課税という税関制度の空洞化につながりはしないかという懸念が残る、これもまた常識だと思います。

 それで、今回の規約によって、この社会悪の流入阻止あるいは適正な課税という問題がどのようにきちんと担保されようとしているのか、この点での皆さんのお考えを聞かせてください。

林政府参考人 協定の仕組みにかかわりますので、御説明申し上げます。

 規約の本体の第三条に、この規約は、税関管理の対象となる物品の禁止または制限のいずれに関する国内法令の適用も妨げるものではないということが明記されてございます。このように、いわゆる社会悪物品等の禁制品の国内への持ち込みを防止することなどを目的としまして、さまざまな国内の法令がございますけれども、この法令の適用については今回の規約は何ら妨げるものではないということになっております。したがいまして、この規約に基づきました措置をとることによりまして禁制品の流入防止等の措置をとることが困難となることはないというふうに理解しております。

 なお、これは税関当局の方から申し上げるべきかもしれませんが、我が国の場合、国内法上も、関税関係法令以外の法令の規定によりまして、一定の貨物の流入に際しまして関係当局から許可、承認等、特定の措置を受けることが義務づけられているわけでございますけれども、こういった義務が果たされたということを税関が確認しない限り、税関は輸入の許可をしないということが定められております。関税法上、そうなっております。したがいまして、社会悪物品が流入して適正な税関手続が、空洞化とおっしゃいましたけれども、そういうことはないというふうに確信しております。

赤嶺委員 国内法がきちんとしているから今の条約によって社会悪の流入が防げなくなることはないということなんですが、それでは、その国内法という問題でどういうことなのかということで若干伺いたいのです。

 危険度に応じた税関管理というのは、既に国内では実施されているわけですね。その場合に、ハイリスク貨物を重点的に検査をして、ローリスク貨物の検査は極力省略するというのが基本になっています。そういう仕組みをつくって、本当にハイリスク貨物の流入を抑えるという点で実績が上がっているのか、また、ローリスクということで見逃していることはないのか、今の国内法での運用状況をどのように皆さん認識していらっしゃるのか、この点について伺います。

寺澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のように、現在、税関の現場におきましては、輸入申告、輸出申告につきまして、適正な申告が行われていない可能性が高い貨物、これをハイリスク貨物といたします、適正な申告が行われていると考えられる貨物についてはローリスク貨物というふうに区別をいたしまして、ローリスク貨物については、検査を極力省略しつつ迅速通関を図ることを進める一方で、ハイリスク貨物については重点的かつ深度の高い検査を行うことによりまして、適正な通関と迅速な通関という税関の二つの使命の実現を図っているところであります。年間約二千万件を超えます輸出入申告がございますが、これを限られた人員で適正かつ迅速に処理するために、現在こういう体制をとっているわけでございます。

 その評価でございますけれども、最近におきましては、審査、検査段階で年に一万二千件を超えます非違を発見してございます。また、最近の覚せい剤、大麻等の不正薬物の国内押収量に占めます水際での押収割合が大体四分の三になっているということでございまして、この体制でかなり成果を上げているというふうに評価をしておりますが、関税局、税関といたしましては、より適正な通関の確保にも今後努めていく必要があると考えておりまして、これから一層の情報の収集に努めるということとともに、分析手法にもさらなる検討を加えまして、リスク管理の高度化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

赤嶺委員 実績、効果も上がっているということなのですが、激増する輸入量、それに追いつかない職員の体制、そういうところから、実際はいろいろな問題が起きているのじゃないかと思っているのです。職員の体制が弱いために、勢いコンピューター処理に頼りがちになってくる。ところが最近の状況というのは、社会的に名の通った業者、新聞報道によりましても、マルハだとか丸紅だとか豊田通商だとか、関税をめぐる不祥事件というのは非常にその報道が目立っているわけですね。

 どうしても、社会悪の流入を阻止するという点では、ローリスク、ハイリスクという考え方に基づいて関税体制をとるということも一つの流れだと思うのですが、根本はやはり職員を強化する、現場になれた職員体制を強化していくということが必要なのではないかと思います。この点、いかがでしょうか。

寺澤政府参考人 お答え申し上げます。

 税関の輸出入貨物のリスクの審査に当たりましては、輸入者の通関実績、これは一つのポイントではございますが、それだけではなくて個別情報や貨物の内容、それから仕出し国、仕向け国に関する情報、こういったものを総合的に勘案いたしまして、過去の実績等をすべてコンピューターの中で分析をして審査する、判断するという判定をしているわけでございます。

 御指摘のように、現場における実態を見ますと、輸出入や関税逋脱の手口はますます組織化、巧妙化しておりまして、適正な通関を確保していくためには、税関職員の審査、検査能力をさらに向上させる必要があると存じております。その中で、職務を通じて得ました税関職員の知識経験、これを組織全体で共有化していくことが重要であるというふうに考えておりますが、そのためにも職員の研修等に力を入れますとともに、事務処理の効率化を図るためには、やはり有効な手段でございますコンピューターを活用していかざるを得ないというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 最後に、今の答弁は答弁ですけれども、適正な関税あるいは輸出入という点で、社会的責任を果たすべき企業が不祥事を起こしているというこの事態について、それは決して淡々と仕組みが機能しているわけではない。一層の改善を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

土肥委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。

 まず最初に、二千一年の国際コーヒー協定についてお伺いいたします。

 コーヒーの生産国は途上国がはるかに多いわけですが、途上国からの輸入品が安価であるのは劣悪な労働条件によるものとして、欧米諸国からは非難が出ています。本協定によりまして、自国のコーヒー産業に従事する人々の生活水準と労働条件に考慮が払われることが定められたわけですが、我が国においても、輸入国の責任として、コーヒー産業はもちろん、他の産業に従事する途上国の人々の労働条件についても注意をするべきではないかと思われます。我が国が、今後、途上国の労働条件の向上へ向けてどのような努力を行おうとしているのか、御説明願いたいと思います。

田中政府参考人 御指摘の点、大変重要な点だと思います。

 このコーヒー協定におきましても御指摘のとおりでございますし。ただこれは、まさに一つの循環的なもの、トータルで考えなきゃいけない面もございます。こういうコーヒー協定における活動を通じて、途上国から先進国へのコーヒーの輸出をより安定させるということによって、生産国の所得が向上していくということもございますし、私どもも、コーヒー協定を離れても、援助の大きな枠組みの中で、先生御指摘の点は十分勘案をしながら援助をしていくということでございます。

東門委員 本協定の第三十四条は、「加盟国は、コーヒーの消費を促進し、奨励し及び増大させる必要性を認識し、そのための活動を奨励するよう努める。」こととなっています。先ほども申し上げましたように、コーヒー生産国には途上国が多くて、外貨収入をコーヒー輸出に依存している国も多いことから、コーヒー消費の振興というのは、途上国の経済発展を助けて、そしてコーヒー産業に依存する多くの人々の生活を安定させることにつながるものであります。

 我が国政府としては、この消費振興のために、その活動として具体的にどのようなことを考えておられますか。

田中政府参考人 この協定の目的の一つの大きな柱でございます消費振興でございますけれども、これは、一つには、消費に関連する調査研究ということを実施していこう。これは時々議論になりますけれども、一体コーヒーというのが健康にどういう影響があるのか、そういうことも含めてきちんとした調査をやっていくことがむしろコーヒーの消費拡大ということにつながるのではなかろうかという観点もございます。

 それから、具体的に国別に消費をさらに拡大していく余地がないか、例えばロシアとか中国とか、人口も多い、これから経済発展がされていく国等につきまして、コーヒーの消費振興という観点から、どういうスタディーが適当なのかという形でのプロジェクトをやっていくということでございます。

東門委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 次に、日ロ文化交流協定についてお伺いいたします。

 異なる文化を理解し、そして尊重することが、人と人、そして国家間の信頼を醸成し、本当の意味での、真の意味での友好関係を築く上で重要であり、その手段としての文化交流の重要性はだれもが認めているところです。文化交流は最大の安全保障であるという考え方はかなり徹底していると思いますが、平和外交を推進する我が国においても、外交における文化交流の果たす役割、それはますます高まってきているのではないかと思われます。

 本年度の外務省予算を見ますと、文化交流部の予算は全体の四%にすぎません。そこで、我が国外交における文化交流の位置づけ、そして文化交流体制強化の必要性について、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

田中国務大臣 委員御指摘のとおり、文化交流は、相互の理解を増進するために極めて重要なことだというふうに思いますけれども、やはり予算というものも限られておりますし、また、この内閣も聖域なき改革を目指しておりますので。

 ただ、私は個人的には、文化とか若い世代の方たちの交流とか、そういう民間レベルでの、政治マター的なこと以外の面でお互いに交流が深まるということは、とても大事なことだと思います。それが、今委員もおっしゃったような、安全保障というほど難しい言葉を使わなくても、平たく言いますと世界平和につながると思います。予算なんか余り組まなくてもむしろ逆に個人的にできるようになってきたり、国が予算を組まなくても民間ベースでもっとそういうふうなことが進行すれば、さらによろしいというふうに存じます。

東門委員 確かに、民間ベースでの交流というのはすごく大事だと思います。しかし、政府が、それを推進していくために、民間の交流をさらに深めていくために、あるいは広げていくために、聖域なきと今おっしゃいましたけれども、むしろ交流、そういう部分を大きくしていくことはこれから必要ではないかと思われますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 それから、今年度の外務省の予算の重点事項には対ロシア政策の推進が挙げられておりまして、特に、日ロ間の文化交流にはまだまだ発展の余地があるとの見地から、日ロ間の文化交流の推進が盛り込まれています。

 政府は、日ロ間の文化交流において、具体的にはどのような分野での交流を推進していく必要があると考えておられるのか、御説明をお願いします。

林政府参考人 従来の旧ソ連との間の日ソの文化協定にかわりまして、この協定が全面改定という形で締結されるわけでございますけれども、その背景になりますのが、民間レベルにおきます文化交流の拡大ということでございます。

 旧ソ連との協定の場合には、非常に政府が規律する、政府が特に許可するという形での交流というものだったわけでございますけれども、その後、ロシアになりましてから、いわば民間レベルでの自発的な交流というものが非常に盛んになっている。そういう実態を踏まえまして、今回、政府の役割としては、そういう民間レベルの交流というものを奨励し、促進していくという形の枠組みを新たに設けたわけでございます。

 具体的な予算どうこうということは別にいたしまして、現に民間レベルにおきます相当の拡大が見られております文化交流というものを、この新しい枠組みが発足いたしますれば、さらに政府として奨励し、促進していく。いろいろな障害等がある場合には、設けられます文化交流委員会等におきまして協議をして、その促進を図っていく、こういう仕組みを設けることになっておるわけでございます。

東門委員 お話はわかる。具体的にどのような分野での交流を推進していかれるかということです。よろしくお願いします。

横田政府参考人 ロシアにおきましては、私どもの認識といたしましては、広くロシアの日本に対する理解の促進、それから良好な対日世論の形成というものが大事だというふうに認識しております。

 そのような観点から、日ロ関係というものの将来を見据えた場合に、それを担うことになる青年層を特にターゲットといたしまして、幅広い日本文化紹介を行ってまいりたいと思っています。特に、例えば出版とか映像の分野での交流、それから日本研究とか日本語教育を通じました対日理解層の形成などに重点を置いていきたいと思っております。

 さらには、モスクワだけではなくて、ロシアは広いわけでございますけれども、モスクワ以外の都市においてもそのような活動を展開していきたいというふうに思っております。

東門委員 モスクワ以外のところでもという御発言、ぜひよろしくお願いします。

 時間がないようですから急ぎます。

 最後に、税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改正議定書についてお伺いいたします。

 我が国は、税関分野の技術協力として、関税協力基金に対する拠出のほか、二国間協力の形で、財務省関税局と国際協力事業団がそれぞれ研修員受け入れ等の技術協力を実施しています。税関分野の技術協力がこのような形で実施されるようになった背景には相応の経緯があることは一応理解しておりますが、外務省のODA改革懇談会や経団連等、九七年から九八年にかけてさまざまな方面から提出されましたODA改革についての報告書は、複数の国の機関が似たような援助をばらばらに行うことの非効率性を指摘しております。これらの報告書の中には、実施機関を一元化するべきだと提言しているものもあります。また、九七年の十二月にまとめられました行革会議最終報告も、「技術協力の実施については、JICAを中心とする」とまとめています。

 税関分野におけるJICAと財務省の技術協力は一元化するべきではないのかというのが私の思いですけれども、一元化する方向にあるのかどうか、そしてもし一元化できないとすればなぜなのか、お伺いできたらと思います。よろしくお願いします。

田中政府参考人 特に薬物対策、麻薬対策についての二国間の技術協力のお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、何よりも、確かにこれは国際場裏でもそうでございますけれども、いろいろな機関が違った形で、情報をシェアしないで援助をするというのは不効率である、したがって、国際分野できちんとした情報交換をしましょうと。これは、G8とか国連とか、そういう形でやっておりますし、国内におきましても、二国間技術協力の枠内で、同じ薬物対策、そういうことについてどういう技術協力をするかというのは、いろいろな意見の調整、それから考え方のすり合わせというのはやっていくことにしております。

東門委員 わかりました。

 質問を終わります。ありがとうございました。

土肥委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。

 まず、二千一年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土肥委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、文化交流に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土肥委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改正議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土肥委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

土肥委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員中本太衛君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君及び外務省アジア大洋州局長槙田邦彦君の出席を、委員前田雄吉君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君の出席を、委員赤嶺政賢君の質疑に際し、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君及び外務省北米局長藤崎一郎君の出席を、また、委員保坂展人君の質疑に際し、外務省経済協力局長西田恒夫君及び財務省国際局長溝口善兵衛君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中本太衛君。

中本委員 おはようございます。自由民主党の中本太衛でございます。今話題の外務委員会にて質問させていただきますことを、大変光栄に思います。

 連日、田中大臣には、本当に御苦労さまでございます。きょうも朝四時起きだそうで、本当にお疲れさまでございます。

 田中大臣の外務省改革に対する熱い思い、私も感銘するところでございます。しかし、田中大臣、大臣は外務省の体質ばかり言及されておるようでございますが、私自身、体質と同様に、外務省の能力、そして外務省職員の責任感に対しても問題があると思っております。

 そこで、まず初めに、田中大臣には、外務省職員の能力評価についてお尋ねしたいと思います。

 今年度から外交官の採用試験が国家公務員1種試験に統合されるということでありますが、採用方式の変更だけでは、キャリア官僚の中でも特にエリート意識が強いとされる外務官僚の特別意識は打ち砕けないと思います。

 採用方式の変更が単なる制度上の手直しに終わることなく、国益及び国際社会のために貢献するという強い使命感と熱意を持った人材の登用、そして日本外交にふさわしい情報収集能力と捜査能力を兼ね備えた人材の育成を望みます。外務省改革要綱が出されるようでございますが、徹底的な意識改革が必要だと私は思います。

 大臣、実際この一カ月を振り返ってみて、職員一人一人の能力、また我が国の外交に対する熱意などに関し、一体どのようにお考えになっているか、お聞かせください。

田中国務大臣 中本委員にお答え申し上げます。

 省内には五千人もの人がおられますので、一部上場企業に比べてももう少し規模が大きいのではないかと思うほど、役所の中には省員がおられるということをまず最初に御認識いただきたいと思うのですね。

 そうしますと、民間企業と役所というところはいろいろの違いがもちろんありますけれども、上級国家公務員試験を受かって来ておられるわけですから、やはりそれなりの自負が、プライドというよりも自負心があるのは当然でございますし、そうした能力を邦家のために大いに引き出して、いい方向で、ポジティブにといつも私は申しますのですけれども、いい方向に役立ててもらう。それはもう昔からそういうふうな伝統もあるし、非常にいい人材がおられると私は思いますが、結構世間知らずな人が多いなという印象も持っております。

 それは外務省だけではございませんで、議員歴八年ではありますけれども、私は十四、五歳のときから、家に役所の方が出入りなさっていたりとか、家族じゅう政治家だらけなものですから、いろいろな機会がありまして、そういうときに接触していて、よく言えばとても純粋ではありますけれども、世事に疎いというか、私の科学技術庁での経験もそうですけれども、よくこのまま大人になっちゃったものだなというような思いをする方もおられます。

 ですけれども、能力をそちらの方角に向けてなさるときは本当にすばらしいものを持っておられて、ああ、これは国家の宝だというふうに思います。

 全容がわかったわけじゃございませんので、また短期間でもございますが、例えばきのう、今ネパールの問題がございますけれども、大変憂慮すべき、お気の毒な事態だと思いますけれども、そういうネパールを扱っている課でございますとか、本当に短い時間ですけれども、あるいは中国課とかロシア課もそうですけれども、今現在紛争の起こっている地域、紛争といいますか、いろいろと懸案を抱えていると言いかえた方が正しいかと思いますが、そういうところでもって働いている方たちがどういうようなお仕事をなさって、何を喜び、何に苦しんでおられるかという現場第一主義。

 私は、政治家になって、ずっと現場現場現場と思っていますから、自分で時間のあいたときにぱっと行きます。事務次官の部屋にも突然行きましたら、名簿か何かを見ていて、これやって遊んでいるんだなんて言っておられたので、悪巧みしちゃだめよなんて冗談を言ったのですけれども、そこでいろいろと個人的にお話をしたりして結構時間を過ごさせていただいたのですが、やはり突然行くことによって現場がわかるのですね。議員視察なんていって行くと、みんなだあっと準備しちゃいますから。

 ですから、そういう中でもって現場の声を聞いて、なるほど、大臣室は広過ぎてどうしようもないのに、冷房もきかないところで、冷房は何か温度が一定にならないと上がらないそうなんですけれども、そういう中でもって大勢の人がパック詰めになって仕事をしておられて、しかも時差を超えて仕事をやって、かなりハードだと思います。

 その中で、ある程度上に上がった方は楽々、昔苦労なさったとおっしゃりたいんでしょうけれども、若い方たちの職場環境をよくすること、そういう方々にいいモチベーション、インセンティブを与えて、やってもらうというような環境づくり、それは物理的な面だけではありませんで、精神的な面でも時間的な面でもそうですけれども、そういうものが求められているのではないかというふうに思っています。

 今回のことは、時間がないでしょうから私も早くしゃべりますけれども、やはり機密費のことがあって皆さん結構シュリンクアップしちゃっているところがあると思うんですけれども、それを早く超えて、今の改革案も御苦労いただいていまして、三党連立の中でもってお気に召すかどうかわかりませんけれども、また私の英語がいけないと英語の先生に怒られちゃいそうですけれども、とにかくここで一度やはり大掃除をする、そしてまた改めてやる、改めて出直すというような機会にしてほしいという声が、省内でも多いですし、世間からも届いてきます。ですから、そのために一生懸命、寝不足でも頑張りたいと思いますので、ぜひいろいろとお力添え賜りたく存じます。

中本委員 大変慎重な、御配慮あるお答えありがとうございます。

 しかしながら、ここ数日の他国の外相も巻き込んだ一連の騒動を見る限り、私は本当に、外務省の職員の皆様が一体となって国益のために取り組んでいらっしゃるかということについては疑問であります。

 そもそも外交には機密上の事項がたくさんあるということでございますが、どうも外務省幹部の一部の人間にしかわからないような問題、それもなぜか田中大臣の発言に関するものばかりがマスコミを通じて流れているように思います。これは外務省側からのリークだと疑われてもしようがないことだと思います。田中大臣が就任されてから、今まで世間一般の人が知らなかった状況が明らかになって、外務省の皆様にしてみたら、メンツがつぶされたり、また非難の対象となったのは事実だと思います。

 省内での足の引っ張り合いが対外的にもどれだけ我が国の国益を損ねているかということを考えて、私は、やはり外務省側に反省していただきたいと思います。一番大切なのは、外務省の誇りでもプライドでも何でもなく、我が国の国益なんです。いいかげんに外務省がこの立場を変えないのであれば、また、もし外務省側がリークしたのであれば、やはり省益優先の考え方は変えていただきたいと思います。このことに関して、外務省側、お答えください。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省事務方として、外務大臣を全力でお支えし、大臣の御指導のもと、我が国の国益を守る、国際社会の平和と安定を確保していくことは当然の私どもの重い責務であるというふうに考えております。

 今委員御指摘の外務省内の秘密保全に関しましては、昨日、大臣の御指示を受けまして、臨時幹部会を招集いたしました。事務次官から、改めて秘密保全の重要性につき省員に周知徹底を図ったところでございます。秘密保全は外交の生命線でございまして、これまでも十分に意を用いてきたところでございますけれども、この機会に改めて徹底を図りたいと思っております。

 いずれにしても、委員御指摘のとおり、今後とも引き続き、外務省全体として、外務大臣を中心に一体感を持って外交に取り組んでいく所存でございます。

中本委員 今回のマスコミの報道ぶりを見ると、大変ひどい部分があると思います。

 そこで、私、官房長に聞きたいんですけれども、本当は外務大臣にやめていただきたいと思っているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

飯村政府参考人 繰り返しでございますけれども、私ども外務省事務方としては、外務大臣を全力でお支えして、日本の国益を守っていきたいというふうに考えております。これは最大の責務であると考えております。

中本委員 それでは大臣、今回のマスコミに報道された一連の記事を見て、どう思われるでしょうか。

田中国務大臣 やはり、ああいう松尾事件というんでしょうか、四億七千万かなんか、詐欺罪で四回だそうですが、あれで一件落着なんかにはできないという国民の皆様の声、これは正しいというふうに思います。

 だれがどうとは申しませんけれども、外国まで巻き込んで、これはオーストラリアのダウナーさんがおっしゃった、これまた英語の先生にしかられそうでございますが、これは英語でオーストラリアから来た、コンプリートファブリケーションだという言い方をしておりまして、かなり強い表現で抗議をしておられます。これは完全に作り話、捏造、虚構である、そういうようなことをオーストラリアの方がおっしゃっている。現役の外務大臣です。そして、きのうはイタリアのディーニという、これも外務大臣ですけれども、今度政権交代になるかもしれませんが、その方も、記事は私たちの会話を全く反映しておらず、全く独断的であるということをおっしゃっています。

 ですから、ほかの国もいろいろ今、これは向こうから下さったわけで、今インターネットの時代でございますから、こちらで情報を発信したり、物が起こると、アクションを起こせば即リアクションが起こるという時代なんです。ですから、次が終わると、ではドイツはどうだ、アメリカはどうだ、どこはどうだと言われますが、極めて不思議な事態だと私は思っています。

 やはり今、つかさつかさあるので、官房長も苦しいと思いますけれども、すべての情報というものは、だれが大臣であろうとなかろうと、どこの役所もそうです、官房長と事務次官に上がっていくんです。ですから、その中でいかようにも、機密保持が一番の――私は別に官房長とぶつかる気なんて毛頭ありません、立場が全然違いますので。そんな気は毛頭ないんですけれども、やはり、なぜぽろぽろと、しかもすべてだけではなくて、違ったことまでが、外国にまでこんなことを言われながら、これこそ日本の恥ではないんでしょうか。日本の外交も国益も恥ではないんでしょうか。そういうことはどういうふうに思っているか。私は、個人の問題ではなくて、まだ外務省は懲りない人がいる。全員じゃないんです。そのことを指摘している若い方たちもいるんです。それを幹部の方たちは極めて履き違えていると思いますよ。

中本委員 私自身考えますのは、仮に外務大臣が李登輝にビザを出さないとか、またNMDだとかTMDに対して批判をされたとしても、これは大臣の首が飛ぶならまだしも、日本の国益を危うくする重大な問題だと思います。

 そこで、副大臣にも質問させていただきたいと思います。以前から副大臣には大変お世話になっております。

 小泉総理の適材適所の人事ということで、内閣府副大臣がいつの間にか外務省副大臣になられたようでございますが、この一カ月の外務省の印象、そして田中大臣の御活躍ぶり、また、外務省はこの一カ月でどのように変わったか、それをお聞かせください。

植竹副大臣 一番難しい問題であると思いますが、今、中本委員お話しのとおり、認証式がある前々日の夜、突然内閣府副大臣から外務副大臣に変わった経緯から考えまして、本当に私は驚いておるところでございます。

 しかし、今、日本が置かれている立場、そういうことを考えますときに、二十一世紀の日本の進むべき道、それは外交がその基盤であるという点を考えますと、本当に、小泉総理が指針とされております聖域なき構造改革、これに向かって全力を傾注することが必要だと思っております。

 そういう意味におきまして、田中大臣が就任されまして、これからどうやるかという点を考えますと、今おっしゃるように、適材適所といいますから、私は本当にいいことだと考えておるところでございます。そういう中におきまして、私におかれたる責務というものもありますが、また一方では、今お話のございましたとおり、新しい改革のために大臣のとられる政策、そして外務省のあり方というものの問題についていろいろと、いわばおか目八目的なところも感じることは事実でございます。そして、いかにこれを正しい方向に持っていくか、そして外交の基本を崩さないながらやっていくか、それが私ども副大臣に課せられたる責務だと思っております。

 政治は、政は人なりということもございますが、まさにそういう意味ではキャラクターの問題でありますし、田中大臣は本当に、言葉は立て板に水を流すがごとくあれで、私は東北でございますのでどうも舌が短い点があると思います、そういう点がございますが、心は一致しておるわけであります。

 そして、大変なことは、田中大臣の、言葉はちょっと新幹線的なところはありますけれども、しかし、そのおなかの中というのは真っ白である。私心を忘れて日本のためにどう考えるか、それが基盤であると考えるときに、またそれを肌で感じるときに、やはり我々は、副大臣以下政務官、踏まえまして、一致結束してこれをやっていくということです。(発言する者あり)それは感想で求められたものですから、そのことを申し上げております。

 したがいまして、私は、今後の問題につきましては、一番困っておるのは、国際情勢と国内の乖離ということを恐れるわけであります。そして、その原因は何かというと、本当の、真実なる情報というものが那辺にあるか。それはいろいろマスコミにおいて曲解されるところもあり、私は、マスコミのあり方も、真実の事実を報道していただきたい。今大臣からお話がありましたとおり、週刊誌的と、不適切な言葉かもしれませんが、いろいろそういうようなことがあってこれが停滞するようでは、大変に国益にマイナスだと思っております。そういう意味におきまして、私は、こういうものを本当に、外国から指摘されるようなことであったら日本のマイナスだと思っておるところでございます。

 したがいまして、これからは本当に、総理以下大臣及び外務省が一つになって、その進むべきところをよく理解して進むことが肝要かと思っております。

 そして、改革の問題がございましたが、これは大臣からの御下問によりまして、副大臣二人と政務官と中心になって、いろいろな第三者の提言も踏まえ、また外務省の皆さんの意見も踏まえまして、これを今進行しておるところでございます。

 そして、なぜこの五人が中心になってやっているかといいますと、いわゆる官主導型でなくて、私どもは、副大臣、政務官ということでございますが、これは国会議員でございます。ですから、これは政治が主導になってこういうことを直さなくちゃならない、これは非常に必要だと思って進めておるところでございます。したがいまして、私は、これは必ずできる問題と思っております。

 それに加えまして言いたいのは、委員長以下野党の皆様の委員が本当に支えてくれる、これは大事なことです。これは与野党を超えた、日本をどうするかということを言われるときに、私どもの、心は非常に熱いものと思い……(発言する者あり)甘えてません。真摯に受けとめております。ということでございますので、私の心境はそういうことで、今後とも、大臣を支えて、小泉内閣を支えていくつもりでございます。

 委員長初め委員の方々のさらなる御支援、御協力をお願い申し上げまして、私の感想といたします。

中本委員 大答弁ありがとうございました。

 質問を進めさせていただきます。

 大臣は先日の訪中の際に、宿泊費の高額さに御立腹をされておりました。そんな小さな話、どうでもいいじゃないかとおっしゃられる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、私は決してそうは思いません。これからの政治というのは、やはりコスト感覚がなければ国民から見放されてしまうと思います。

 昨年、初めて国のバランスシートというものが発表されました。外交は成果が具体的に見えにくく、そして長い年月の積み重ねによって結果があらわれるため、コストと結果の一致性はなかなか見えないことは十分理解できます。しかしながら、今一般的にコストパフォーマンスという言葉があるように、二十八万円の部屋に泊まった方が九万円の部屋に泊まるよりもよりよい外交結果が出るのであれば、二十八万円の部屋に泊まった方がいいと思いますし、そうでないのならば意味のないことだと私は思います。外務省報償費についても、何に使ったのかを公表できないのであれば、それはそれとして、コストと結果が結びつくような使い方をしていただきたいと思います。結果が見えない分、他の省庁よりも甘えがあったのではないでしょうか。

 田中大臣、引き続き、機密費の問題、また在外公館費の流用事件についても、恐れず、ひるまず、とらわれず、果敢に立ち向かってほしいと希望しております。

 今年度計上されました報償費五十五億七千万円については、効率的に使用する、また節約をするということで聞いておりますけれども、今までどおり、予算が決まりさえすればもう役人も政治家も使い方を余り気にしない、そんな風潮は、外交にもやはりやめていただきたいと私は思います。

 主婦の感覚を持たれているという外務大臣、御意見をお聞かせください。

田中国務大臣 予算でありますとか報償費、いろいろと費用、経費に関することがございますけれども、委員が最初この間の北京の貴賓楼というホテルのことからひも解かれましたけれども、要は、私は費用対効果ということがあると思います。

 ただし、問題は、この貴賓楼の問題、細かい話では決してないんですね。これにつきましても私は外務省との問題について委員が御関心おありになると思いますので、トータルで、外務省マターとしてこれは極めて典型的な例だから申し上げますけれども、たしかその部屋をかえました。

 ところが、外務省の中で、普通役所の費用というものは、まさしく今、北京にきょう朝七時からかけていまして、時差で一時間向こうがあれなんですが、今調べに行っていますが、もうじき結果が来るはずです。キャンセルではなくてほかの部屋に取りかえたわけですが、そのことによって差額が出たので、それの分の請求が来ている。私はそれを聞いていませんでした。

 ところが、きのうでしたか、車の中で役所の方に、差額が出ているけれども、その分については予算の性格上払えない、したがって外務省の人が払わせられるのかという話が出ていると聞いたので、私はびっくり仰天しまして、どういうことなのかと聞いたら、二十万円だと。どこから聞いたのかと。会計課であり、官房長なんですね。出どころははっきりわかっているんです、すべては。

 それで、そんな話は聞いたことないので、これは払わざるを得ないと朝日新聞等に書いてあるそうですね。そういう記事も実はあると言われてびっくりしまして、払わざるを得ないのだったらおかしいじゃないかと。私一人じゃないんですよ。二十人ぐらいが泊まっているんですから、ほかの部屋も。少しは安い部屋かもしれません。全部で宿泊費幾らかかったか、何だったらどうぞ聞いていただきたいと私はむしろ思います。二泊したんですから。

 ですから、それだけの効果が政治的にあって、将来もそれであれば、やはり日本の権威性ということもあるでしょうからよろしいんですが、私はただ、怖くてあんな広いところとてもじゃないけれどもいられないと思ったのが基本なんですが、一番申し上げたいことは、そこで予算の切り込みというよりかも、そういうことの費用を自分たちが払わせられるんだってさ、ぶつくさぶつくさと、私にも言わずにマスコミへ、どこから出たかと、官房から出ているわけですよ。私は言いました。二十万円、困ったけれども、私、では払いますと言いましたよ。だって、そんなことによってそういうことを政治家が外国に行ったらやっているんだと言われたら、もう名誉は吹っ飛んじゃいますよ。信頼の喪失どころじゃないです。

 そして、私がけさ北京に電話をかけていますのは、これは私費でかけているんですけれども、そんなことを本当に貴賓楼が言っているかどうかです。私が聞きましたときに、秘書の人が言ったのは、ここは格が低いんだ、外務省がとったところはもっと高いところだと言ったんです。ただ、私が昔から行ったことがあるところで、便利だからいいかなと思ったんですけれども、どちらでもいいですよと言いましたので。レベルは最初に役所がとったより安いんです。それは間違いないんです。本人たちが言ったんですから。それでも部屋が大きいからかわったんであって、キャンセルになるのかどうか。これは中国方に聞いてもらわなきゃわかりません。うちの方、結論出ましたか。まだ出てませんか。私が中国に今問い合わせている最中です。

 ですから、国の権威とか、今回の外務省改革案もそうでしたけれども、何もそんな報償費でもって切り込むことはないという意見が自民党内でございました。それは、日本はそれだけの国なんだから。それでもって何に使っているかわからぬ。それは皆様方に、ぜひ先生方に御議論いただきたいところですけれども。むだになんか使ってはいないのだから、日本は大国なんだからいいじゃないかということをおっしゃる方もいます。

 ただ、私の意見を申し上げさせていただきたいんですけれども、しかし、今までの項目の中で、報償費という中で、外務省が扱っている中で、例えば天皇陛下のお誕生日でありますとか公のレセプションの費用、これがなぜ交際費という費目の中に、項や目の中に入れなきゃいけないのか。これは、国民、納税者の皆さん納得なさる経費なんですから、それは外交上の必要経費ですから、何も機密費に入れる必要はないんじゃないでしょうか。

 そういうものが幾つかあります。そういうものをはっきり出して、そして機密費をぎっちり締めろとは私は言っていないんです。主婦感覚とはいいますけれども、これは世界じゅうでシークレットファンドというものがあるんです。それは、国が円滑に、それこそ国益を守り、外国とつき合うために必要とされているものですから。緩みが必要なんです。バッファーが必要なんです。主婦が家計できっちりつけているように、大根が一本幾ら、カブが幾ら、白菜が幾ら、お肉が百グラム幾ら、それじゃないんです。政治は家計とは違うんです。

 ですけれども、完全にゆるゆるにしちゃって、外交官の方たちが、大使になり、領事になって、自分の家族を呼んで、公邸に泊めて、遊んで、食事して、公用車を使って、それは全部役所のお金で使って、そして国会議員が来たときに接待で使わせられた。それはもちろんありますよ。行き過ぎがたくさん過去にあったと思います。ですけれども、国会議員がみんないろいろなことを言ってくるからそのお金がかかるんだといって、自分の、外交官の家族の分はいいのかということです。そこまで会計がしっかりしているかということです。

 ですから、私は、過日会計課に行きました。突然行きました、現場第一主義ですから。慌てふためいていました。そして、副大臣も、警護官も、六人で行きました。複数で見ました。そして、帳面を見せてくれと言ったら、目の前にあるんです。だっとありまして、二階に会計課があります。地下の部屋も見ました。

 ところが、この機密費の中でもって一番アバウトな部分があって、その項目だけは最後まで、六月一日まで出さなかったんです。事務次官がどうしても出さないんです。そして、会計課長に私が持ってきてくださいと言ったら、あの在外公館課長さんが亡くなったじゃないですか、あの日ですよ、そういう何かがあるときにひっかけて、お葬式があるから、おときがあったから。会計課長は夜中の一時まで携帯を切っていたんです。そして、それは次官の命令で携帯は出ないで、夕方六時、次官から電話が来て、そして、自分は、電話で報告するなと。一番大事な項目です。そこを出すように朝に晩に、朝に晩に言っているんです、私は。六月一日です、やっと次官が持ってきたのが。

 一人でもって私が査察やったり、答弁やったり、パーティーやったり、宮中へ食事に行ったり、とてもじゃないけれどもやっていられません。でも、やっています、私は。なぜかといったら、これをはっきりしなかったらならないからです。このことを国民の皆様が求めておられるんじゃないんですか。このことをはっきりしないで、台湾問題、外交問題、将来のこと、いっぱいあります、ですけれども、このことをまずクリアしなきゃならないし、それが私が課せられた職務だと思っているんです。

 そして、では事務次官はどこへ行ったか。事務次官もいない、いない、いない。そして、全部、ここに局長の皆さんたちがいます、その方たちが言ったのは、一流企業の新聞社の社長さんたちが自分を主賓に呼んでくれているので電話には出られないからもうこれ以上かけるなと次官から局長たちに電話があったそうです。そして、私はかけました、私の知っている新聞社の社長たちに。そして秘書室にかけました。その方たちは行っていません。それで、翌日次官に、この名前、行っているか、行っているかと言ったら、全然違う名前を言いました。それも裏をとろうと思えばとれますが、私は検事じゃありません、探偵ごっこをやっているんじゃないんです。国会を、国民の皆様の方を役所の幹部が向いているかいないかです。

 それから、報償費が二〇%カットだとか一〇%カット、決めていません。いいですか、中本先生、今決まっていることは、十三年度予算なんです、今執行しているもの。これを、四半期に分けてやっていますから、各期ごとにむだ遣いをしないようにアラートになってしっかりと使ってくださいということを言っています。これは官房長官も、総理大臣も、財務大臣も御存じなんです。そして、残ったものは大蔵省に返納をいたします、今期については。

 次、十四年度予算につきましては、いろいろなことをがたがた――マスコミもただ映していないでちゃんと書いてください、記者さんも、何も決まっていないんですから。さっきも自民党の部会で何十%、あれも決めていません。これからなんです。予算は編成するときに切り込みますから。それがたくさんか少しかわかりません。そういうものじゃないですか、予算は。それがわからないで、マスコミがこう言ったから、だれがこう言ったとか、とんでもないことなんです。原点をしっかり見て、落ちついて冷静に正しい判断をしていかないと、外国に笑われるだけではなくて、役所の皆さんが笑うだけです。

 もう一つだけ言わせてください。

 ODAです。これが大変な問題があるんじゃないでしょうか。たまたまきのう、ODAの勉強会がございまして私行ってきました。これで勉強したいと思ったぐらいです。皆さんもぜひ参加できるように、皆さんなさった方がいいと私は思います。有識者なんといっても寝ぼけたのがいっぱいいますけれども、きのうはしっかりしていました。

 その皆さんたちが言ったことは、ODAは税金を使うことなんだ、説得力がなければならない、国益とのリンクがないODAなんかおかしいではないかということをおっしゃった方もおられますし、それから、日本も含めて、当然だけれども世界じゅうがODAをもう見直す方向に行っているんだ、それほど世界じゅう、アジアもアフリカもすべてだと思いますけれども、そういう中において、どういう表現を使いましたか、全く的確なことを言っておられるんです。

 そこにうちの局長たちもいるんです。いても、それがもっと皆様に反映して、国民の皆様にそういう声を還元するために諮問委員会をやっているんじゃないんですか。ほかの役所もそうです。ただ役人に都合のいいものを、単に、閉じ込めたところで、お利口さんか識者か何か知りませんけれども、その方たちにつくってもらって役所がオーケーと言って、実態は役所がつくったようなものじゃないですか、それを隠れみのにする、こんなことは許されません。

 極めていいことを言っています。やはりODAには戦略が必要、それからむだ遣いを、ODAをやめる方向だということ、世界じゅうということを多くの委員がおっしゃっておられたことを付言いたします。

 そういうことを役所の幹部の皆さんたちが、それぞれアジア局はアジア局で関係あるんです、アジア大洋州も、どう思っておられるかです。聞いてください。私が聞いても答えませんので。それで権限がないなんておっしゃらないでください。

中本委員 時間が参りましたけれども、田中大臣、とにかく改革をやめてはいけないと思います。最後まで戦っていただけますでしょうか。

田中国務大臣 皆様のバックアップさえあれば私は何でもいたします。

 さっきの言葉が出てきました。援助疲れが世界じゅうに出ている、日本もそうなると言っております。

 どうぞ、せっかくですから一人ぐらい、局長が来ておりますので、一言お聞きいただけますか。早口でしゃべってもらいますから。

土肥委員長 答弁を求めますね。

中本委員 はい。アジア局長お願いします。

槙田政府参考人 ODAの問題でございますけれども、私は、ODAが我が国の外交において極めて重要な役割を果たしていると思っておりまして、それがまた国民の皆さんの税金によって賄われてきていることも重々承知しております。したがいまして、これを活用するに当たりましては、その目的それから運用の仕方、そういうものについて役所としては重々心得ながらこれを進める必要があると思っております。

中本委員 ありがとうございました。

土肥委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時二分開議

土肥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 私は、本日六十分お時間をいただきまして、まず大まかなことについて伺い、それから外務省改革、あるいは田中眞紀子外交について伺っていきたいと思います。

 私は、昨年当選させていただきましてこちらに参りました一年生でございます。一年生で田中先生に御質問するというのはまことに御無礼なことかもしれませんけれども、私も、ごく普通の一般の国民の皆さんが外交に関して今何を考え、何を思っているかということで御質問を進めさせていただこうと思っております。田中外相を批判しますといろいろと非難が来るということでございますけれども、小泉総理に倣って、私もどんどん進めていこうと思っておりますので、よろしくお願いします。

 私は思いますのに、きょう午前中のこの外務委員会の雰囲気というのは非常にほんわかとしていて、それはそれでいいのかもしれませんけれども、私は、今日本の外交というのは危機的な状況にある、そういうふうに認識しております。そこに至って、いろいろと、その発言の内容が本当かどうかはわかりませんけれども、あと外務省の外務官僚の皆さんと外相との間のいろいろな一連の出来事があります。とにかく、それは外から見ていて、もちろんアメリカにとってもオーストラリア、イタリア、ドイツにとっても、非常に目を覆い隠せない出来事が続いていると思うのです。

 そこで、まず初めに外務大臣にお尋ねいたしますけれども、今の日本外交、そして日本の外務省はきちんと機能しているかどうか、この点について、概論で結構ですので、お伺いいたします。

田中国務大臣 前田委員にお答え申し上げます。

 外務省、今おっしゃったように、いろいろあるかと思うのですけれども、私は、二十一世紀になって、日本が古い今までの手法から、新しい、やはり国民の皆様の目線に合った、政治も経済ももちろんそうでしょうし、社会保障制度その他もそうだと思いますけれども、そうしたものに大きくかじを切っていく、今まさにその時代の変化の真っただ中に私たちはいるというふうに自覚をしています。

 たまたま外務省マターが、この間の報償費の問題ですとかそれから逮捕された人の事件等があって、それをきっかけに一番注目を浴びてしまっておりますけれども、そういう時代の中にあって、私たちが何をしなければいけないか。なぜこの小泉内閣が八〇%を超すような驚異的な支持を得ているか。それは、国民の皆様が今までのような手法、それは政治の側の意思決定の仕方の不透明さ、それから官僚の皆さんのあぐらをかいたというか、自己改革をしようともしない無気力さ、それは外務省だけじゃありません。霞が関も永田町もそしてメディアの皆さんも、安直にいっとき意図的にリークされる、それがたまには偉い人のときもあるのですね。であるのに、それをどんどんとメディアでもって国民の皆様に伝えてしまう。そのことによってあらゆる混乱が現在生じているというふうに思います。

 しかも、これが外国までも巻き込んでいる。それは、こちらの方が問題を、私自身がということもあるでしょうけれども、同時に、意図的に違ったように物事を仄聞して流すとかあるいは捏造して流すとか、そういうことによって起こっているということが大変私は恥ずかしいことでありますが、でも、これが日本の政と官とマスコミの実態なんですね。そのことは、私たちが新しくかじを切るために、皆様が新しい方向に変えてくれというので八〇%以上の支持をいただいているというふうに思います。

 そして、日本の官僚の皆さん、数が多過ぎると思います。これも永田町と同じ。永田町も私は衆参両院足して、三百人と二百人でいいのじゃないかと思っているぐらいですけれども、これはまた別のときに、機会があったらほかで議論なさればいいわけですが。とにかく霞が関も多過ぎますよ。

 しかし、変な人もいるけれども、すばらしい人もいっぱいいますね。変と言っているのはキャリアとか何かじゃなくて、本人の志と能力、資質においてすばらしい人、日夜を分かたず一生懸命邦家のために働いている方もおられるということです。ですから、私は、総じて六割ぐらいは機能していると思いますし、他国とは比較できませんけれども、よくやっているというふうに思います。

 ですけれども、やはりこういう改革のときには、一つこういうふうなことが起こるとみんなでもって右往左往する、その中でもって一つの方向性を見つけていくのがこの小泉内閣の命題であり、国民の皆様から期待されていることだと思います。

 ですから、それに沿って、私はうちの外務省はよくやってくださっていると思いますよ、そういう意味では。幹部の方皆と意思疎通がないとは申しません。日に日に皆さんが自覚をなさってきていますので、これは私が常々言っているポジティブないい方向に向かいつつあると思っていますし、それをやはり大事にしていきたいというふうに思っております。

前田委員 今述べられたこと、私も同感するところが数々ございますけれども。まず初めのころにロシア課長を呼び戻されるとか、あるいは大きく人事のことにさわられるというのは、私ども民主党としましても共感するところが非常にありました。しかし、これも余りにも長く、私もこの一カ月を振り返ってみまして、例えば外相と外務官僚の皆さんがこの一カ月何をやってこられたか、不毛な闘いによって日本外交の空白の時期を一カ月つくってしまったのではないか、私はそう思うのです。

 そしてまた、古来外交の古典的名著とされていますカリエールの「外交談判法」という本がございます。ここに、生来気性が激しく怒りっぽい人は重大な交渉を上手に行うには適しない、こういうことが書いてあります。これは私は学生時代に国際政治を勉強するときに読んだ本でございますけれども、外交に当たる者の心得が書かれている本であると思います。

 そこで、外国とのネゴシエーターとしての外務大臣に当たりましては、冷静で沈着で忍耐強さが必要であると私は思うのです。そうしたことをもろもろ考えますと、今確かに強力なリーダーシップを持って進まれるのも結構でございます、やはり、その中で周りを見回して、しっかりと沈着冷静に考えられるときが必要ではないでしょうか。

 私は、先ほども少し申し上げましたけれども、外務官僚との不毛な闘いがこの一カ月の空白を生んでいる、そう思うのです。日米関係をぐちゃぐちゃにし、あるいはイタリア、オーストラリア、ドイツまで巻き込んで、非常に周辺諸国にも御迷惑をかけているということで、私はそういうふうに思います。

 昔、外務大臣はおだぶつさんという言葉を使われましたけれども、私は、日本外交は今おだぶつさんである、非常に危機的な状況にある、この原因をつくったのは外務大臣であると思いますから、外務大臣はその責任をとられて辞任すべきではないかと思いますけれども、その辺をどうお考えになるのか、真剣にお答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 いろいろな意見があることは存じておりますけれども、そう簡単に物事を投げ出せばいいというものではありません。

 それから、空白のときとおっしゃいますけれども、塾の先生もやっていらっしゃったようですけれども、塾に行って浪人をする人に、一年人生がそこのところ、だめになってしまった、ストレートでなければすべてだめなんだというような指導をなさったのでしょうか。長い日本の歴史の中においては空白ではないんですね。足踏みして入院することもあるでしょうし浪人することもあるでしょうし、そういうことによって、そのときに学ぶことというのはあるんですよ。

 今、日本の、先ほど言ったじゃないですか、政界も官界もメディアも含めて、みんなが今まで気づかなかったことをここでとまって考えなければいけない。でも、とまらないで、私、言っているじゃないですか、突っ走ってとまらない列車に乗っているようなものだということを申し上げたのをお聞きになったことがあるかと思うのですけれども、走りながら、他国との関係がありますし、今こうやっているときも紛争が起こったりいろいろな事件が起こっているのです、それらを処理しながら、あなた様の質問にもお答えをさせていただいています。ですから、むだというものはありません。

 そういうお考えをなさるのは、こういう立場に、将来あなた様が多分外務大臣におなりになるでしょうから、民主党さんが与党になったときですね、そういうときには、きっと同じことを、多分もっといいことを感じられるかもしれませんけれども。

 それから、さっき何か本を、私が読んだことのない本で、怒りっぽい人と言われましたけれども、それは外交だけではなくて、政界には怒りっぽい人がすごく多いですよ。だから、あなた様も御自分がそうならないように、どうぞ御努力なさるようにと思っておりますけれども。

 ほかにいろいろ、たくさんおっしゃったので――まあそういうことでございます。

前田委員 では、こうした事態を引き起こした、諸外国にやはり御迷惑をかけておるわけでございます。これに対して外務大臣は、その責任というのはどうお考えでございますか。

田中国務大臣 一回目のお答えの中に全部入っていると思いますけれども、午前中の委員会でもお見せしましたけれども、こちらは何にもアクションを起こさなくても、今はインターネットの時代ですから。

 例えば、オーストラリアのダウナーさんは、多分次の質問の中に入っています日本の元首相の発言ですね、そういう方に対しても、自分はそういうことは言っていないと。要するに、私とダウナーさんが話したことを又聞きした人が、ダウナーさんがアメリカに言いつけると言った、こういう発言があったと言った。そういうことを、自分自身は非常に強い口調で否定しておられます、ダウナーさん自身が。

 それから、きのうはイタリアのディーニさんとも、政権がかわったから今現在外務大臣かどうかわかりませんが、あの方も御自分で気がついたと言って――午前中のこの委員会、ごらんになっておられましたか。(前田委員「おりました。傍聴しておりました」と呼ぶ)そうですか。いらしたのですか、ごめんなさいね。ですから、ディーニさんも、とんでもないことだと言って、連絡を下すっている。

 そうすると、では今度は、一つ二つ終わったら、三つは、次はドイツはどうかいなといろいろな方がおっしゃっていますから、ドイツについては、ケストナー大使、私も個人的によく存じ上げていますので、を通じて、あちらのフィッシャー外務大臣に、何かあったのでしょうかと伺っています。それは外交チャンネルを通じてやっていますけれども。

 ですから、こちらから聞かなくても、先方からそういうふうなアクションがありますので、日本の国というものが、総理大臣経験者であっても、後で言われたらノーコメントであるとか、そんなことを言ったことはないとか、そういうことをおっしゃっているんですね。多分、きっとお疲れだったのか、現場を離れられたからちょっと勘が狂われたのかもしれませんけれども、そういうことを現実に我々国会議員がやっているのですよ。

前田委員 そういうお考えをもしお持ちでしたら、これから改革にかける熱意ということでお示しいただきたいと思います。

 先に進みますけれども、外務省の改革について伺います。

 一カ月前にフリーズした人事について伺いたいと思います。

 初めに、外務大臣は十八人の大使人事を含む外務省幹部の人事についてフリーズされたわけでございますけれども、この凍結した理由について、まだ私は詳しく伺っておりません。元要人外国訪問支援室長の機密費をめぐる事件がその理由の一つに挙げられるでしょうけれども、ほかにもっと具体的に、私どもにわかりやすく御説明いただきたいと思います。

田中国務大臣 私はほかの省庁、わかっているところもありますし、そうじゃないところもあるのですけれども、外務省が一番得意わざとしているところはこれだなと思ったのがありまして、私はこれは初めて申し上げるのですけれども、異動ですね。それも外国に出しちゃう、隠しちゃうといいますか。あるいは一種の報復みたいな意味があるのかもしれませんし。もちろん普通の人事は九九%適正にやられているのですが、時として、次官ですとか官房長とか幹部の方の意向で、それに政治が絡んでいることもあるのでしょう、人をかえちゃうといいますか、それができるんですね。

 外国に在外公館もありますし、語学研修所もあります。そういう形で人を見えなくするというか隠すというか、そういうことがあるといけないので、赴任と同時に――そういうものがもう既に進行していました。私の前の状態で、それはもう完全に黙認というか無視というか、そういう状態でありまして、そして省内からも具体的な指摘がありました。うのみはしておりません、ちゃんと裏づけもとっております。

 そして、これは一人で、あるいは副大臣とか私たちのチーム、政治家だけでは、五千人の中でそれはもうできませんので、まず凍結、できるだけ早くその解除をする方がいいと思いましたけれども、凍結をしないとならない。それこそ国益を損なうし、外交関係も損なう。それでもって、まずとめるということをしたわけでございます。

 それで、その結果は、今おっしゃったように、先日、八名の大使を退官とか帰朝、そしてこれは幾日でしたかしら、六月四日だったと思います、朝九時十分だと思いますが、十八人の大使の赴任とか駐剳というものを決定いたしましたし、それにプラスして、きのう、追加二名ですけれども、その方々。お体が悪いとかいろいろおっしゃっているので、一々診断書も見ておりませんけれども、危険だということで、危険だったら外国なんか出したらもっと危ないんじゃないんですかということを私は言っているのですけれども、そうじゃないんだ、そうじゃないんだ、自分たちが責任をとるというふうにおっしゃるので、それまで言うとまた人事介入だなんて委員会で言われてもいけませんので。

 具体的には、私の最初の秘書官、今現在も秘書官と私は思っておりますので、その方もそうですけれども、いつの間にか病院に入ったことになりまして、急にいなくなりました。差しかえでいいじゃないかとか言っておりまして、全然差しかえということじゃなくて、大変御苦労を後任の方におかけしているわけですけれども、その方についても診断書も来ないので、人事課にさんざん、これも大変疲れて、仕事をこうやってやりながら、公務をこなしながら、診断書診断書と言ったら持ってきましたけれども、何か大分、私どもが、副大臣等が聞いた話とは違うんですね。

 本人のところにも私も電話を何度もしていますけれども、お出にならない。目の前で、局長のいる前で次官にかけてくださいと言ったり、ファクスを送っても、本人は出てこない。その後、何があったか知りたいんですよ。そうやって隠すことができるということは人権問題じゃないでしょうか。

 ですから、そのことも含めまして、私はこういうやり方はフェアではないと思うし、そういう命令一つで隠されたり転勤されたり、その方々のお子さんだっておられるのですよ。そういうことを考えたら人権問題だと思います。そういうことをやって、なれている幹部、それはよろしくないですよ。

 ですから、それがあなた様の次の質問にも、前田委員にもあることになりますけれども、今度、次きっとお聞きになるのでしょう、みんな誤解に基づいても、私はその一点ですから、すべて。

前田委員 官房長、言いにくいかもしれませんけれども、私はこの委員会で、今まで外務大臣と外務官僚との、いわゆる不毛の戦いだと私は思いますけれども、それが続いているわけであります。公平に、今のは外務大臣の御意見で、外務官僚の御意見も私は伺ってみたいと思います。

飯村政府参考人 大使の人事につきまして、今外務大臣から申し上げたことに尽きると私は思いますけれども、二点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 一つは、今お名前は出ておりませんけれども、恐らく、私が推測いたしますには、木寺前会計課長が海外に赴任するということについてのお話が出たというふうに理解いたしますので、申し上げます。

 それは衆議院の予算委員会でも私が申し上げた点でございますけれども、私自身、彼が病気で倒れたときにそばにおりましたのでわかりますけれども、彼は病気になって、大分回復してきたので、医者の方々と御相談して、転地療養も含めてパリに赴任していただきました。

 それから、秘書官につきましては、これも私どもは医師の診断書を持っておりますけれども、私どもは、彼は依然として病気療養中であるというふうに理解しております。

田中国務大臣 固有名詞を出すのは大変お気の毒で、私はそんなことを言っていません。

 官房長、まだフランスへ行っていないそうですよ。きのう言って、もうあなたが行かせたんですか。おかしいじゃないですか。後でお聞きください。

 きのうの午後ですよ。私、宮中行事が終わって、福祉施設に行って、夕方の四時半ごろですけれども、次官に言ったのは。何で私がわからないところでそういうことが起こるのですか。実際に行っているかどうか、聞いていただきたいと思います。

 それから、あの官房長自身も、私が赴任する前に、前任のときに、三人ぐらいが……(発言する者あり)じゃ、今のは飯村さんといいますから、しっかりと全国に報道していただきたい。この飯村さんも、あとの二名も、突然みんなが病気になりましたね。みんなが出てきましたね、なぜか。その病院も、何か官庁の病院なんですね。(発言する者あり)いや、違います、彼の前任者ですよ、前任者の阿部さん。そして出てきて、それで彼に差しかわったのです。そうすると、彼は今研修所に行っているわけですね。

 ですから、そういうふうな、人事課長とか会計課長とか官房長とか、それはもう次官の直結ラインですよ。そういう人たちがなぜかみんな、病院に入るか、外国に行っちゃうか、自宅でもって軟禁のようになっているか、私の秘書官とかですね。軟禁じゃないかもしれない。事実、行ってもらっているのです。(発言する者あり)軟禁という言葉は、じゃ、削除します。しかし、うちの役所から二名でもって会いに行ってもらっています。ところが、インターホン越ししかしゃべれない。出てこないんだそうですよ。そんな不自然なことがあるでしょうか。

 一体何が起こっているのか。(発言する者あり)軟禁という言葉は、じゃ、削除しますが、なぜ彼が出てこないのでしょうか。私は、お見舞いのお花も贈ったり、電話もしています。

 本当にこれは人権問題だと私は思いますよ。そして、阿部さんが病院から出てきて研修所に行って、後任が今度は飯村さんなんですよ。

 ですから、私は官房長に対して、しばらく大臣室には入らないでくれ、あなたがしっかりちゃんと我々国民の目を見てくれるのじゃなかったら困るということを申しましたのです。あとの方たちに対しては言っておりません。

土肥委員長 ただいまの大臣の軟禁という言葉は削除いたしますので、記録からも削除いたしますので、よろしくお願いします。

前田委員 私は、とにかく外務大臣はお声が大きい人で、本当に官僚の皆さんも萎縮しちゃっているかもしれないという思いで、お互いに公平にこういう場できちんと御発言いただけば、国民の皆さんも御理解いただけることだと思うのですよ。

 今大臣の言われたことに関して、官房長はまたどういうふうに思われるのですか。公の場ですから遠慮せずにしゃべってください。入院状態とか、あるいはインターホンで、会いに行っても会えないとか、本当にそういう状態なんですか。

飯村政府参考人 その点については、私、詳細をつまびらかにしておりません。

前田委員 つまびらかにという言葉、ちょっとはっきりわかりませんので、もっとわかりやすい言葉で言ってください。

飯村政府参考人 繰り返しになりますけれども、上村秘書官は現在自宅で療養中であるというふうに理解しておりまして、その状況の中で、今、二人の方をお見舞いで大臣が派遣されたこととか、そこら辺は私どもは直接存じませんので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。

前田委員 よくわからないところがあるということですね。でしたら、これも次回の委員会でしっかりとまた御報告いただきたいと思います。

 とにかく、私は思うのですけれども、人の目に当たらないところでいろいろな議論がされていても、あるいはいろいろな対立があっても、これはわからない。もっと国民の皆さんに開かれた外務省であり、外交のスタイルがあってしかるべきだと思うのですね。

 そのためにも、その点、一体どういう状況に外務省の中があって、今さっき言われた入院とか、あるいは自宅で待機されている方がどういう状況にあるかというのをこの委員会に次回ぜひ報告していただくことをお願いいたしまして、次に進みます。

 委員長、よろしいでしょうか。

土肥委員長 理事会とも相談して、その辺、検討いたします。

前田委員 外務官僚の皆さんも堂々とこういう公の場で言っていただければ、私たちも、正しいことは正しいと言って支援します。田中外務大臣間違っています、こうはっきりと申し上げます。ですから、なかなか言いにくいかもしれないですけれども、こういう場でぜひ言って、やっていただきたいと思います。

 また先へ進みますけれども、今度、六月四日に、先ほど大臣もちょっと触れられましたけれども、このフリーズを解除した理由を伺いたいと思います。

田中国務大臣 概要が判明しつつあるからということでございますし、もちろん外交に支障を来さないためです。それと、この問題は、機密費の問題と資料の提供と密接不可分だったのです。出さなかったのですから。そのことがあります。

前田委員 じゃ、その資料を今は大臣のところに出しているわけですね、官僚の皆さんが。それによって、大臣が一番、機密費のことについてわかったことで、今これだけは許せないということをちょっと言っていただけますか。

田中国務大臣 今進行形ですから、申し上げません。

前田委員 進行形ですからというお答えは、私は、これは答弁を逃げているというふうに思えて仕方がありません。例えば、こういうことがあるという、概略でも結構です、この点についてやはり許せないところがあるというふうな発言はできませんか。

田中国務大臣 今精査中でございます。

前田委員 わかりました。いろいろな場面場面で言えないということがたまたま出てきますけれども、先にどんどん進めさせていただきます。

 今外務省の改革について話を伺っているわけでございますけれども、確かに外務大臣は、例えば、新聞に外の外相との会談内容が載ったりしますと、それは一体どこから出たんだとマスコミをたたき、あるいはこれは外務官僚だと。いっぱい御自分で対象をつくって逃げておられるように思えてしようがありません。

 とにかく、もっと率直に、だれだれが悪い、だれだれが悪い、そういう考えではなくて、例えば、守秘義務をよく言われますけれども、守秘という言葉は、これは伝える内容が真実であるから守秘なんですね。もし伝える内容が真実でなければ、これは虚偽ですよ。そういう対象の問題がいろいろあると思うんです。そんなところを私は今強く感じましたので、その点だけはちょっと触れさせていただきました。

 また、対象として徹底的に悪者をつくり上げる、そういうスタイルというのは間違っていると私は思うんです。例えば、こうした外務官僚と外務大臣との抗争があり、そうすると、外から見ていて、どなたと交渉したらいいんだとか、そういう信頼性の問題、クレジビリティーの問題が出てくると思うんです。パニックな状態という言葉を外務大臣も使われたこともありますけれども、外務大臣と外務省、この抗争を見かねて、六月一日に小泉総理が田中外務大臣と会談をなさって、いろいろなお話をされたと思うんです。六月一日に、外務省と外務大臣とのいろいろないざこざの中でどういう御指示、お話が小泉総理からあったのか、これをちょっと伺いたいと思います。

田中国務大臣 先ほど、真実だから守秘義務に相当するとおっしゃいましたけれども、それは間違っていると私は思いますけれども。

 私は、総理とは政策の話とかほかのことはしたりありますけれども、本件について総理からお言葉をいただいたことは一度もございません。

前田委員 では、外務省の機能改革会議の外務省改革案に基づく要綱を、きょう、先ほど私どもいただいたわけですけれども、総理が機能改革会議の最初の改革案に対して一部修正を言われたという報道がなされました。どの点を直せという御指示があったのか、それで、これについて具体的にどのように変わったのかということについて伺いたいと思います。

土肥委員長 訂正を入れた対象はだれですか。大臣ですか。

前田委員 大臣です。

植竹副大臣 ただいまの機能改革の問題は、実は、私ども副大臣二人、それから政務官三人から構成する検討委員会の中でやっております。その関係で、私が御答弁申し上げます。

 総理大臣から、これをこうだということは御指示はありませんが、ただ、総理大臣、それから田中大臣を交えまして、お話は申し上げました。しかし、こうあるべしとか、こういうことじゃなくて、私どもの意見についてよく御理解いただいたということで、委員お話しの御指示とか、そういうことは特にございませんでした。

前田委員 この要綱の事前に伝わった内容によりますと、機密費の二割削減が内容に入っていたと思います。これについて、今度この要綱では、まだまだ含まれていない、非常にトーンダウンした形になっていると思うんです。この点について、どういうふうに御説明いただけるんでしょうか。

植竹副大臣 今の数字の件ですが、数字の件は私ども一切関知しておりませんで、実はマスコミの方から二割という数字が出たのであります。ですから、私の方では、作成の委員会におきましても、また大臣からも、すべて、そういう数字的なものは出しておりません。

前田委員 わかりました。

 次の質問に行きますけれども、改革会議の中で議題に上がった問題で、外務省の高官、これは主に大使等を指しておられると思うんですけれども、そのわがままというものを問題点として挙げられたところがあると思うんです。一番外務省高官のわがままというものを問題点として取り上げている。私は、はっきり申し上げると、外務大臣もそうした傾向があるところがいろいろあるような気がしてしようがありません、非常に御無礼ですけれども。

 まず一つ伺いたいのは、女性通訳を禁止された。この女性通訳を禁止されたことについての理由が全く外に伝わっておりませんので、大臣、ひとつお答えください。

田中国務大臣 何を見てそういうことをおっしゃっているのかさっぱりわかりませんけれども、そんな事実はございません。

前田委員 とにかく、今、そういう事実はないというお話ですけれども、では報道が間違っているということですね。

 先へ進めます。今ずっと機能改革の話を続けさせていただきましたけれども、本当に、外務省の中を改革されるに当たって、すごい強いリーダーの田中外務大臣がいて、これは私は恐怖政治だと思うんですよ。例えば、強権的に……(発言する者あり)いや、私はこれは冗談じゃないと思いますよ。

 例えば、外務次官が本当に在外公館課長の葬儀に出たのかどうかという御確認の電話をお宅にかけられた。葬儀から帰られた悲しみに暮れられている御夫人に向かってそういう電話をかけられるというのは、私は非常に御無礼な点だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

田中国務大臣 私は電話をかけましたけれども、何を見てそういう発言をなさっているのか私はわかりませんけれども、委員がおっしゃっているようなことであったら、もう本当にマスコミに報道されていることだけでもってすべて世の中が正しいということになると思いますし、私は非力ながら小泉政権の一翼を担っておりますけれども、恐怖政治だというおっしゃり方は、国民の皆様が納得なさるかどうか。あなた様、前田雄吉さんがそうおっしゃったということはよくわかりましたけれども、これはちょっと行き過ぎだと私は思います。

 それは別として、お通夜の件ですけれども、これは御葬儀があった日にちが五月三十一日だったそうです。これは在外公館課長で、ここでもってまさしく報償費のことの調べが、現在も進行中らしゅうございますけれども、取り調べがあって、大変お若いのに亡くなられたわけでございます。もちろん会計課にもいろいろ入ったと思うんですけれども。そしてその中で、私は、その日にお悔やみに行きたいと思いました。役所から自動的に弔電とお花は行っております。しかし、こんな松尾事件もあって機密費の問題がある中で、御家族はどんなにかつらい思いをなさっていると思いました。したがって、私は、ただ役所から事務的にお花、弔電ではなくて、お悔やみに行きたいと思ったんです。

 その晩に私は、どこにお住まいで、どこで御葬儀があるんですかと何度か聞きましたが、忙しかったこともあって、大丈夫です、花は届けてあるということだったので、お花を届けてあるのならわかるはずだからと言いましたけれども、その場はわからないということでしたので、したがって、私は、では電話をかけさせてくださいと大臣秘書官室で言いました、複数の人がいる前で。それで、かけてくれました。

 それで、奥様に私はお悔やみを申し上げました、どんなにかお寂しくなられたでしょうと。そして、私は伺いたかったんですと。御葬儀はどこでおやりになったんですかと伺ったらば、千日谷会堂とおっしゃったんです。何時からなさったんですか。スケジュールで私が行けた時間帯じゃないかと思ったんです。そうしたらば、六時からで、外務省の方も来られたので七時半ぐらいまでかかったとおっしゃったんです。ああ、そうですか、私も本当だったら伺いたかったんですと。ただ、私はお悔やみを申し上げたかった。

 もう一つは、長いこと、四十代の課長さんなんでしょうか、後半か、私はお会いしていませんからよくは知りませんけれども、外交官は御夫婦でしょっちゅう役所に来られたり、一緒に外地にお出になりますから、ですから、御主人様のにおいのする、ぬくもりの感じられる外務省へいつでもいらしてください、大臣室でも私は歓迎いたしますと申し上げたのです。奥様は本当に喜んでくださったのです。電話はそれだけです。ましてや、何か書いてありますけれども、こんなことはありません。

 そして翌日、あなた、千日谷会堂だったそうじゃないですか、信濃町ですよ、信濃町の駅の後ろの坂道の下ですよ、何であなた言ってくれなかったのですかと言ったら、会堂を間違えていたと。どういう意味か、何のカイドウだと言いましたら、驚くべきことに、青梅街道とか四街道とかありますね、東海道とか、そういう街道かと思っていたので、どこか遠くの方へ行くのかと思ったので、翌日朝早く委員会もあったりしますので、それで、どこか自分がわからなかったとおっしゃったのです。私に千日谷会堂とじかに言ってくだされば、私は信濃町の駅の後ろとわかったのにということを申しました。

 ですから、私はお悔やみを申し上げただけでありまして、それ以上の何物でもありません。

前田委員 よくわかりました。

 今外務省の改革についていろいろ伺っている中で、今度、日本の外交について外務大臣の基本姿勢を伺っていきたいと思うのです。

 日本のとるべき外交戦略は、第一に対米重視、第二に中国の孤立意識の除去であると私は思うのです。外務大臣がこの一カ月間やられてきたことを考えますと、特に私が思うのは、プロチャイナじゃないか、親中国じゃないかと。確かにそれだったらそれで結構でございます、日米関係よりも日中関係を重視されるんだったらそれはそれで結構だと思います。それについて、はっきりと田中眞紀子外交の基本方針をひとつ御披露いただけませんでしょうか。

田中国務大臣 日米同盟が基軸でございますけれども、国益を守り、そして世界の平和と安定のために貢献する。

 以上です。

前田委員 今、この一カ月を振り返りますと、果たしてその対米重視の姿勢かどうかという点に問題があると私は思うのです。

 パウエル国務長官との電話会談が、日本側の事情により日時がずれ込んだことからパウエル長官の怒りを買って、十五分程度の予定だったのが三分で終わってしまった、これが第一。第二に、ブッシュ大統領の親書を持ったアーミテージさんが来られたときにいわゆるキャンセル問題が起きた。第三に、今度は各外相との会談内容が伝わり、ミサイル防衛についてのアメリカの姿勢に批判的であるのではないかということが伝わってしまった。この三点をずっと並べて考えますと、私は、これは意識的に、親中国、反米ではないかということを思うのです。

 この辺について、一度外務大臣の御意見を伺いたいと思います。

田中国務大臣 お尋ねにはありませんでしたけれども、あった方からお答えしますけれども、パウエルさんは世界じゅうを見ておられますし、時間も、先方さんが大変お忙しくて、その中で本当にこんにちはとお互いに言うだけで、これは外交儀礼というものなんですね。

 それからイギリスの場合は、こちらからかけてずっと待っていて、あちらがどうぞと言ってくださったのですけれども、私はずっと待っていたら、向こうがアイム ソーリーと言って、今来ると思ったら本人がもう次の用があって出かけちゃったのでとおっしゃったこともあります。そうしましたら、今イギリスは選挙中で、北京でのASEMという会議には女性の代理の方がいらっしゃいました。その方がわざわざイギリスの外務大臣からの親書を持たれて、あのときは電話がかかってきたのにさんざん待たせたあげく自分から出られなくて申しわけなかった、次の機会に早くお会いできることを楽しみにしていますと言って、自分の顔を覚えてほしいと言って写真まで添えて、これはユーモアなんですけれども、それを届けてくださったりしています。

 ですから、相手のあることなんですよ、外交というのは。こちらが一方的になんかできるものではないのです。そこをまずよくお考えください。

前田委員 いろいろ物議を醸している外相会談の内容が外に伝わってしまっているということなんですけれども、その内容が本当かどうか、それは間違っていると言われるのだったら、私は外務省に昨日資料要求をしましたけれども、会談の内容を非公開の理事会にでも、もしメモがあれば出していただきたいというふうにお願いしたのですけれども、いかがですか。

土肥委員長 そういう話は進んでおりまして、理事会でこれを取り上げるということになっておりますので、そのとおり御報告申し上げます。

前田委員 今度、ダウナー外相との話があったときに、それが伝わった日に、六月四日午前の福田官房長官の記者会見において、事実の確認がなされた、外務大臣はアメリカに対してしっかりと説明すべきだという内容がありました。午後の記者会見では、要は、こういう会談は一人一人のことなので私はよくわからないという発言に変わっております。

 これはどうしてこんなにトーンダウンした形になったのか、官房副長官にお尋ねしたいと思います。

安倍内閣官房副長官 委員御指摘の記者会見は六月四日の午前の官房長官の記者会見であったと思いますが、そのときに官房長官が述べられたことは、田中外務大臣とダウナー外相の間においてミサイル防衛構想についての話があったということについての事実を橋本元総理からの報告で知ったということでございます。

 官房長官は個々の会談の内容についてすべて把握をしているわけでもございませんし、またそれについてコメントを述べる立場ではございませんから、トーンダウンという御指摘は当たらないのではないかと私は思います。

前田委員 私はきのう官房の方に、実際の記者会見の模様を正確にあらわした文章をいただきたいというふうに要請しました。そうしましたら、そんなものはないというお答えが返ってきました。

 一九六〇年にケネディ大統領がしゃべったプレスコンファレンスは一字一句きちっと四十年も前でも出ているのに、今の日本の官房でそういう記者会見の記録が全くないというのはおかしなことではありませんか。官房副長官お願いします。

安倍内閣官房副長官 官房長官の記者会見は一日二回やっておりまして、その中で長官から発表されたものにつきましてはインターネットのホームページ等で紹介をいたしております。

 そしてまた、官房長官の記者会見自体は報道機関によって場合によってはライブで放映をされているわけでございまして、個々のやりとりにつきましてはホームページで今一々紹介をしておりませんが、これはスタッフ等の関係もございますので、今後課題としては考えていきたい、こう思っております。

前田委員 六月四日の午前中の記者会見の中にありました、橋本元総理に事実を確認したということが載っておりました。きょうの新聞報道で、橋本元総理はアメリカに伝えぬようにダウナーさんに言ったというところはなかったとされておりますけれども、その会談内容自体には触れられておりません。

 ということは、官房の方も、官房長官もそういう会談の内容があったという事実を認められているのでしょうか。

安倍内閣官房副長官 会談があったという事実そのものについては、当然それはもう知っているわけでございますが、中身について逐一述べることは、これは外交上も問題でございますし、相手があることでございますから、それについてはコメントできないということでございます。

前田委員 きのう外務大臣は記者会見で、こういう発言が出てくる背景には何か政治的な動きがあるのだと言われておりますけれども、こうした内容、あるいはいろいろ見ますと、非常にごちゃごちゃとしたものがあって、国民から見ると何が何だかわからないというところであると思うのです。

 外務大臣が、政治的な背景があるものではないかという指摘を記者会見でなさいましたけれども、まずその辺について伺いたいと思います。

田中国務大臣 それが、先ほど来申し上げている本当に二十一世紀の新しい曲がり角に差しかかっているところでございます。

前田委員 では今度は、先ほど官房副長官に六月四日の模様を伺っているわけでありますけれども、やはりこの件に関してちょっと伺いますが、外務大臣は昨日、橋本さんがどうしてそう発言なさったのか不思議だとおっしゃいました。もう少し詳しくこの件について伺いたいと思います。

田中国務大臣 不思議だと思ったから不思議だと申し上げたのです。

前田委員 ということは、全く外務大臣としては不可解だ、この会談内容とかそういったものについては間違っていると思われるのですか、外務大臣。

田中国務大臣 私は、元総理が、どういうお考えで、どういうふうな状況で、どういう御発言をなさったのか、直接自分で確認をしていません。したがって、そういうことについては、不思議だと思うことはあっても、それ以上はわからないのです。

前田委員 一連の発言を伺っていますと、これは今アメリカにとっても非常に大事な時期にある。この十六日にスロベニアでブッシュ・プーチン米ロ首脳会談が行われるわけですね。そこでロシア側が、これは田中さんはないと言われているのですけれども、いわゆる田中発言を利用してアメリカの孤立化を図る可能性もあるわけでございます。そうしますと、田中さんの発言自体が世界の政治をゆがめることにつながってしまうのではないかと思いますけれども、外務大臣の発言の重要性について少し伺います。

田中国務大臣 そういう推測に基づくことを、軽々にはお話ししたりお答えをするわけにはまいりません。

前田委員 では、昨日出てきたフィッシャー・ドイツ外相との会談の内容について伺いますけれども、ここで外務大臣は、いわゆる安保体制から自立をということを言われたということになっておりますけれども、この辺はいかがですか。

田中国務大臣 相手のあることでございますので、会話というものは生き物で、一人だけがしゃべっているわけではなくて、先方が話されたり、こちらがお返事したり、その逆もしかりでございます。したがって、中身については逐一申し上げません。

前田委員 重要な点になるとなかなか御発言いただけないわけですけれども、これは本当にアメリカ側にとっては非常に重要なことだと思うのです。

 この一連の発言の中で、例えば、アメリカはどう思われているか。朝日の文章の中に、六月五日、これは戦略国際問題研究所の副所長のカート・キャンベル前国防次官補代理が言われている話があります。外相の頑固さと予測できない言動は、日本に害を及ぼしかねない、こう批判されました。キャンベル氏は、内政干渉と受け取られてはならないとしながらも、政府当局者とも話し合ったが、米国政府も懸念しているという発言をされております。プーチン大統領との会談を控えられて、アメリカの方も静かにされておられるかもしれませんけれども、こうした一連の発言の疑惑が大きな影響を日米関係にも与えかねないと思うのです。こうしたことは言ったか言わないかという話になってしまうかもしれませんけれども、出てくること自体が大きな問題ではないでしょうか。

 そうした点で、外務大臣に、今の外務大臣のお立場からお考えになって、やはりこうしたことが大きく出てくるようでは日本外交はだめになる。もう一度最後に、私は辞任されるべきだと思うのですけれども、いかがでございますか。もう一度お答えください。

田中国務大臣 私の答えは、冒頭申し上げたことの中にすべて含まれております。

前田委員 では、これで質問を終わります。ありがとうございました。

土肥委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。

 田中外務大臣におかれましては、非常に長時間の御答弁、御苦労さまでございます。選挙区でも、いろいろな方に話をする中で、外務大臣の人気は抜群でございまして、褒め殺すわけでは決してございませんけれども、やはり明るくそしてわかりやすい言葉でしゃべる、このことの重要性を非常に私自身も強く感じております。きょうもその点をぜひ心がけていただきながら、なおかつ、できるだけ答弁は簡潔に短目に、ぜひ冒頭にお願いをさせていただきたいと思います。よろしいですか。

田中国務大臣 結構です。

細野委員 私の方からも、冒頭では少しやはりミサイル防衛に関する発言についてのことを聞かせていただきたいと思います。

 まず初めに、ダウナー外務大臣から来たファクスなのですけれども、私は田中外務大臣以上に英語力のない人間ではあるのですが、四パラグラフ目、このファーザモア以下の「コンプリートファブリケーション」、これが否定しているものというのは、これはあくまで橋本元総理に対して、ダウナー外務大臣が、そのインフォメーションをアメリカに伝えるという部分に限って否定したものと私には読めるのですが。

 外務大臣、この一文の解釈、果たしてその発言自体がなかったということを、つまり、ダウナー外務大臣と橋本元総理の話の中身を否定したものなのか、もしくは、それをアメリカに伝えるという部分を否定したものなのか、どちらというふうに解釈されていますでしょうか。

田中国務大臣 私の語学力では十二分にわかりませんけれども、この四パラグラフ目のところは、今おっしゃったコンプリートファブリケーションというのは全くの捏造、虚構、つくり話であるということで、それが何に係るかということなのでしょうけれども、それはなかなか私の語学力ではわからないので、御本人に聞いていただければいいと私は思いますが。

 ただ、その後のところで、田中外相との非常に建設的で親密な会談が最近のメディアの報道において歪曲され、誤報されているということについて、非常に自分は強く遺憾に思っているというふうに訳してよろしいのかと思うのですけれども、ですから、その中に、会談の中身について触れておられるのだというふうに思いますけれども。

細野委員 最後のパラグラフは、確かに総括的な部分で有益であったのに残念だということが書かれていることは私も認めます。ただ、その上のパラグラフに関して言うと、これはアメリカにこのことを伝えるよという部分に関してのみ否定したもの、これは間違いなく英文解釈上そういう結論に陥らざるを得ないと思うのですね。

 私がここで問題にしたいのは、田中外務大臣として、新聞にもかなり出てしまっています。このように、要はミサイル防衛に対して否定的な発言をしたという部分、さらにもう一つ大きな問題なのは、ゴアさんが当選したらもう少しよかったのではないかというような発言をされた部分、この中身についても否定されるのかどうかという点、これは簡潔にお答えください。

田中国務大臣 私は、アメリカのミサイル防衛計画に対して、特に核兵器の一層の削減ということにつきましては非常に歓迎しておりますので、この基本的なミサイル防衛計画というものの推進には、日本政府が研究をするということは私どもも理解するということは、もうずっと繰り返し、どこの国の方にも、それから委員会でも申し上げておりまして、そのほかは会話でございますから、否定的であるとか、だれがどうであるか、その会話の報道されていることにつきましては、逐一コメントはいたしません。

細野委員 日本の従来の解釈にのっとって発言をされているということですので、これは仮に、この外務委員会の理事会に出てきた文書がそれとそごを来すと解釈された場合、当然それは政治的な責任について、田中外務大臣自身が整理されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 それについては、仮定の問題ですのでお答えいたしかねます。

細野委員 田中外務大臣としては、当然、理事会に出てくる議事録は先ほどの答弁に沿ったものになるということを考えておられるということでよろしいでしょうか。

田中国務大臣 このことはまだ現在決まっておりません。

細野委員 外務省としては、理事会に議事録を出すことについて反対されるという意味でしょうか。

田中国務大臣 これは理事会でございますので、理事会マターですので、外務省ということではございません。

細野委員 理事会の方で出すという合意がされたわけですよね。あとは、外務省の方がそれにイエスかノーかということが問われているという解釈を私はしておりますし、今理事の方もうなずかれています。これは理事懇マターではなくて、外務省として出すか出さないかという点をお答えください。

田中国務大臣 相手方がある、二国間の問題、あるいは多国間でございますので、こういうことについては基本的にはお出ししない方向でございます。

細野委員 そこを配慮して秘密会にするということでございますが、それは信用しないということでしょうか。

田中国務大臣 まだ上がってきておりません。

細野委員 この点は、ぜひ出していただきたい。概略だけでも結構ですので、出していただきたい。外務大臣、先ほど外務大臣は、インターネットなんかで海外からどんどん情報が流れてきて、否定してくれているということをおっしゃいましたけれども、それは私は大きな間違いだと思いますよ。内閣で不一致があって、これが実は不一致ではなくてそういう発言はなかったのだと。この立証責任は当然我が国にあるわけですね。

 従来のように、メディアにぼんぼん話が出てしまって、そんなことに一々コメントできないというレベルの話と大きく違うのは、特に今回のこのケースは、福田官房長官が記者会見でそういう発言があったと認めた点にあるわけですよ。内閣の不一致が現実化しているという点にあるわけだから、いや、一致しているのですよ、従来の解釈と変わっていないのですよということを立証するのは、それは当然内閣の一員である田中外務大臣の責任だと私は思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 私は、何日前でございましたか、今おっしゃっている官房長官の記者会見での発言、それについては、自分がじかに見ても、またビデオを見てもおりませんのでわかりませんけれども、内閣の不一致とか、そういうことではありません。

細野委員 少なくとも、これだけ大きく報道されて、官房長官が記者会見をされていることは御存じですね。官房長官と直接話し合いを持たれましたか。

田中国務大臣 頻繁に連絡をとっておりますが、本件については話をしておりません。

 ただ、時系列的に、私がペーパーでちょっと役所から見たのでは、あの段階では、官房長官が元総理と確認をして、間違いがないというお返事を前の元総理からお聞きになって、それをおっしゃったのではないのでしょうか。それからまた状況は変わっているのではないのでしょうか。ですから、そこのところは、私が何とも申し上げるような立場ではないのですけれども。

細野委員 いや、申し上げるべき立場だと私は思いますよ。外交上の姿勢が大きくぶれていると少なくとも海外から見られていて、報道を見ても、これは日本政府内部のいろいろ争いがあるのだということは言われているわけですね。オーストラリアの外務大臣なんかも、相当これは当然立腹されている。少なくとも、そういうことではないのですよということを証明する責任が、外交の責任者の外務大臣になくてだれがやるのですか。

田中国務大臣 メディアの報道について、一々コメントはできません。したがって、あちらの外務大臣も、ここによく書いておられるのですけれども、結果的には、そのメディアをもとにしてこういう質問もされた話がどんどこどんどこ違う方に行ってしまうわけですけれども、私は、田中外相との非常に建設的で親密な会談が、最近のメディアの報道において歪曲され、誤報されていることを極めて遺憾に思うと。

 虚報だというような言い方をなさっているわけですから、批判をされているのは、ダウナー外相と私との関係は普通でございまして、メディア、そしてそのメディアについて、こういうことがまたこういう委員会でテーマになっているわけですから、ちょっと筋が違うのではないかと思うのですけれども。

細野委員 メディアの報道は結構です。メディアの報道はおいてください。それはリークする人もいて、それ自体問題ですけれども、それはおいて、福田官房長官の記者会見については否定をしないと、きちっと外務大臣との間が一致しているところを見せないといけない。これは内閣の責任だと私は思いますよ。いかがでしょうか。

田中国務大臣 これは元総理と福田官房長官がお話し合いをなさって、電話か知りませんけれども、それについての質問で、では、官邸での記者会見にいらっしゃったのでしょうか。どういう質問に対して、どのように答えられたか。どういう質問があったのかわかりませんよ、それは。

細野委員 橋本元総理と福田官房長官の中で話があったのは認めます。

 ただ、官房長官というのは内閣のスポークスマンなわけですね。外向けに発言する方が田中外務大臣と違うことをおっしゃっているのであれば、それは当然話をするべきだと私は思います。

 少なくとも、お二人でも、橋本元総理を含めて三人でも結構ですけれども、その辺、どういうことなのかというあたりはきちっと整理をしていただかないと、私は見ていません、話もしていませんでは、これは話にならないですよ。

田中国務大臣 それでは、どうぞ官房長官にお聞きください。

細野委員 それでは、外務委員会に福田官房長官もぜひ来ていただきたいと思います。これは野党サイドから、我々から要求して、今回かなわなかったことですので、委員長の方に、このことは私の方からお願いさせていただきたいと思います。(発言する者あり)二日前にということですね。二日前に申し上げますので、ぜひよろしくお願いいたします。

土肥委員長 理事会で後でお諮りして決めます。

細野委員 この件はここでおきます。

 あと一点、私の方から、どうしても確認をしたくて外務大臣にけじめをつけていただきたいことは、外務省から情報が漏れている、その問題です。

 これは明らかに意図的に、特に今回の報道に関しては、某新聞社に対していち早く情報が漏れているという現実があります。この繰り返しをもう一カ月やられてきているわけですね。特にこの件に関して、中で一体だれが情報を漏らしているのか。しっかり特定して、処分されたらいかがでしょうか。

田中国務大臣 証拠がないことはできませんので、どうぞ細野委員がなさってくださるように期待いたします。

細野委員 田中外務大臣、あなたが外交の責任者ですよ。外交においてこれだけ情報が漏れることに関して責任を持つべきは、この外務委員会にいる平の私のような委員ではなくて、田中外務大臣、あなたであるというその自覚が今の発言を聞くとやはり足りないですよ。調査すべきはあなただとは思いませんか。

田中国務大臣 これは中であるのか、外であるのか、まだ今の段階ではわかっておりません。

細野委員 田中外務大臣には被害者意識がおありになるのだろうとは思います。それは、心情的にはよくわかりますが、あなたは外交責任者である、その自覚をここでは持っていただかないと、外務省改革なんてできるのですか。少なくとも、情報のリークをさせないようにする調査は外務大臣御本人がやるべきです。やる気がないということをおっしゃるのか、やろうとおっしゃるのか、その辺ははっきりしていただきたいと思います。

田中国務大臣 被害者意識は、全然、毛頭持っておりません。

 必要でございましたらば、きょう、我が党でございますけれども民主党さんにも配付申し上げますので、外交関係合同部会で私が数ページのものを読み上げたのがございますので、これをごらんいただければ、客観的に、どういうことが起こっているか、私が外務大臣としてどのような覚悟を持って、本来の外交、そしてこうした機密費の問題ですとか、情報が漏えいしているのかどうか知りませんけれども、それらすべて、トータルで、外務省マターに取り組む私の心構えが書いてございますので、どうぞ時間をかけてしっかりと読んでいただきたい、かように考えます。

細野委員 そうですね、配付していただいてもいいと思います。

 ただ、私が申し上げたいのは、田中外務大臣が総論でそういう方向性を持っているというのはもうみんなわかっているわけです。そうじゃなくて、事あるたびにこうしてだだだだ情報が流れることに対して、きちっとけじめをつけてくださいねということを申し上げているわけです。その点について後ろ向きの発言をされたということは、私は、しっかりこの場で記憶をしておきたい、皆さんも覚えておいていただきたいと思います。

 次に、通告と順番が違うのですが、オーストラリアの在外公館におけるA氏、ある方の金銭横領疑惑について少し話を伺いたいと思います。この点は、副大臣にまずお伺いをして、最後に田中外務大臣の方に御所見を伺います。

 荒木前副大臣の方から、それに関する調査報告が出ております。それは私も拝見いたしました。それによると、このA職員が私用車を買うのに利用したのは福利厚生用の積立金だということでありました。この福利厚生用の積立金というのは何でしょうか。

杉浦副大臣 公金ではなくて、大使館で、皆さんが認知しておるわけですが、例えて言えば、某代議士がお見えになって、使ってくださいと言って置いていかれたお金だとか、あるいは皆さんが会費のような形で福利厚生のために積み立てておられるお金であるとか、そういう公的といえば公的ではあるのですが、いわゆる公金ではない種類のお金だという調査結果が出ております。

細野委員 車の代金ということですので、このA氏が持ち出したお金、監査が入る直前か直後か知りませんけれども、返したお金というのは、恐らく数十万から百万、もしくはそれを超える程度のお金、それを把握できないということを回答いただきました。

 私は、この積立金というのは、外務省の官僚の方がいろいろなところに赴任されるわけですね、そういうときにある程度必要になってくる、例えば家具であるとかそういうものを買う積立金であったり、そういうものだという話も外務省の方から伺っています。であれば、これは外務省の任務に直接かかわる積立金なわけですね。くしくも、先ほど副大臣は公的と言えるかもしれませんということをおっしゃいましたけれども、それに少なくとも手をつけた人が今も外務省の現役にいるということを意味いたします。

 私も民間企業におりました。いろいろな活動をしてまいりまして、お金をいじることもいたしましたけれども、民間企業に勤める人間は、もし何らかの形でお金に手をつければ、当然解雇される、その緊迫感を持って会社に勤めているのですよ。私も民間企業におったときに、そういう事件が一回、福利厚生のお金に手をつけるというような疑惑を持たれる人がいました。そういうケースが発生した場合は、完全にその人間は信頼を失うのですよ。普通はやめざるを得ないような状況に追い込まれるのですよ。

 外務省で何でこの人がのうのうと今もい続けられるのか。公務員ですよ。この点は、外務大臣、お答えください。私の感覚からすると、民間の常識では、絶対この人はその会社に勤務し続けることはできません。しかし外務省にいるということをどうお考えになるか。これは大臣にお願いします。

田中国務大臣 民間だったら、私も同感です。公だからいいということは申しておりません、申しておりませんから、よく、また間違えないように。むしろ、今これは調査中で、副大臣を中心になさっていますので、どのように進行しているか、ぜひお聞きいただきたいと思います。

杉浦副大臣 おっしゃるとおり、公金ではありませんが、大使の了承のもと、大使館の館員とかもろもろの、半ば公的なお金を管理されていたわけですが、そこから一時的に流用したことは間違いないと荒木先生の報告に出ております。そして、調査が入る直前に全額返済されているということも確認されております。

 調査が始まったから返したんだろう、始まっていなければ着服したかもしれないということで、私は弁護士でありますから、盗む意思があったというのであれば、一たん人の物を盗んだ、だけれども発覚する前に返したからといっても、窃盗罪がなくなるわけではありません。だから、その荒木委員会、それからその前に査察使が行っておりますが、その点について非常に疑惑を感じられて、さまざまな調査をしておられます。査察使の報告書も、原本を拝見して、詳しく調べました。

 ただ、公的なといいますか、いわば積立金からの流用は現実に返済されておりますので、着服されてはいない。そして、それ以外に公金の着服の事実がなかったかどうかを徹底的に査察使も調査されております。荒木先生も調べておられますが、公金着服の事実は認められなかった。私も、私なりにまた調査しましたが、それは得ておりません。

 だから、処分するかどうかも、査察使を含めて外務当局で真剣に御検討なさったようですが、いわゆる懲戒処分の対象としてはこの程度のことでは不適当だということで、処分が見送られたのであろうというふうに私は拝察をしております。

細野委員 大臣、よろしいでしょうか。今調査中ということですので、最終的にはその結果を待ってで結構です。ただ、私の所見を申し上げますと、官僚というのは公金を扱います。民間企業とはそこで大きく性格が異なります。役所というのは、当然、民間企業以上にこういう問題に対して厳しくあるべきだと私は思いますが、大臣はいかがでしょうか。

田中国務大臣 公金イコール納税者の皆様の痛みを伴うものというふうに理解をしておりますので、おっしゃるとおりだというふうに思います。

細野委員 その解釈に従って、結論が出たときに、田中外務大臣自身でお決めをいただきたいと思います。

 この問題に関連してなんですけれども、私も、きょういただいた外務省の改革要綱、先ほどばっと読ませていただきました。いろいろもっともなことも書いてありますし、この方向でやっていただければいいと思うのです。ただ、大使館でのさまざまな金銭の疑惑、機密費に関するいろいろなうわさ、そして今国民が持っている、特に大使館で、それこそ宴会三昧なんじゃないかというふうに思われているこの意識からして、私は、もう少しドラスチックな改革があってもいいと思うのです。

 一つ御提案したいのですけれども、例えば、大使館の代表である大使に民間人を登用するであるとか、もしくは学者の方に入っていただくであるとか、政治家のOBでも結構です。(発言する者あり)既に少し行われているということですけれども、それをここでもっともっと積極的に進めていただくことを私からぜひお願いをしたいと思うのであります。あるということであればその部分は結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 改革の提言の中にも入っておりますけれども、また私ももちろん、適切な人材がいらっしゃれば細野委員からもぜひ御推薦いただいて、皆で検討させていただければというふうに思っております。

細野委員 ありがたいお答え、ありがとうございました。

 次に、細かい問題で恐縮なんですが、短目に一点だけ、ちょっと確認をさせていただきたいことがございます。

 あらかじめ外務大臣の方に私が前回三月に質問しましたときの資料を政府参考人の方を通じてお渡ししてあると思うのですが……(田中国務大臣「何でしょうか」と呼ぶ)今から御説明いたします。

 私が三月二十三日に河野前外務大臣に対して質問をいたしました。何の質問をしたか、概略だけ簡単に申し上げますと、松尾氏が一番最後に勤めていたのがサミットの準備室であった、そのサミットの準備室においていろいろな金銭疑惑などが実はうわさされておりまして、いろいろ聞いたのですが、その中の一つで、私は、フォーサイトという文房具業者との関係について伺いました。

 ちなみに数字を、前回の委員会の資料ではございますけれども申し上げますと、フォーサイトに関するものだけで、今回、外務省の契約が、これは文房具中心なんですが、一億七千万強契約をされています。一億七千万強。内訳を見ると、一般競争入札が二十四件、そして随意契約が百十二件という非常に膨大なものになっているのですね。

 これ自体はもちろんいろいろ問題があるのですけれども、私がそのとき一つ質問をしましたのが、実はこのホッチキスでとめてある資料の最後の部分なんですが、ちょっとごらんいただいてよろしいでしょうか、フォーサイトの入札に関して一般競争入札をしたもののリストが、一番最後に横の紙でついております。これの予定価格と落札価格が余りに近くないか。

 要は、予定価格というのは、この価格以下でないと落札させませんよということです。それに対して、業者が幾つか応札をしてきて、そして一番安い業者が落とせるわけですね。この予定価格と落札価格の割合を計算すると、最低で九六・四%、最大で九九・四%、ほぼイコールで落札しているわけですよ、すべて。極めて不自然であって、これは調査してくださいと河野大臣に申し上げたのですね。

 まず、では、この予定価格と落札価格の差、田中外務大臣はどのようにごらんになるか、一言だけお願いします。

杉浦副大臣 三月二十三日の本委員会での細野議員と河野前大臣とのやりとりを受けまして、外務省とフォーサイトとの契約についての調査が行われております。

 フォーサイトが一九九八年に設立されて以降、外務省とフォーサイトとの契約件数、金額は以下のとおりでございます。平成十年、三百九十四件、約七千二百万円。平成十一年、九百三十件、約二億九千万円。平成十二年、千百十七件、約二億七千二百万円。平成十二年度で見ますと、このうち随意契約によることができる少額なもの、これは予定価格が百六十万円以下でございますが、契約件数の九八・一%を占めております。いずれも適正に行われているものと思います。

 今御指摘の予定価格と落札価格が近接しているものは、これは一般競争入札に係るものでございまして、不特定多数の応札があったものであります。これは、今御指摘の点はフォーサイトの落札に係るものでございますが、それ以外の業者が落札したものもございますので、金額が近接しているのは一つの結果にすぎないというふうに思われるところでございます。

細野委員 私が何を申し上げたいかというと、私の質問に対する河野外務大臣の答弁をちょっと振り返りたいのですけれども、一般競争入札については、その手順、手続に不正がなかったかどうかきちっと調べます、随意契約については、どういう考え方でやるべきであったかなどについて私なりに調べてみたいと思いますが、これについて万が一不正があったならば、これは厳正に対処したいと思います。委員会の方でもとにかく資料を出すようにということをお願いして、委員長の方からもその許可をいただきました。

 私は待ったのです。これは質問をしたのが三月二十三日だった。私は、この資料をつくるのに十回ぐらいレクをしていただいて、担当の方とは顔なじみになったのですね。そうしたら、二カ月たって、五月二十五日になってお返事があった。来られたのは、私自身が前にレクチャーを受けてきた方とは全然違う方で、今まで私が外務省からもらった資料がこれぐらいあるのですね。その中からピックアップして、必死で調べた資料で委員会で聞いて、委員会の国政調査権をもって調べる、そういう話があった中で出てきたのは、この紙一枚、しかも二カ月たって。

 一応、平成十年度には何件あって幾らです、十一年度には何件あって幾らです、十二年度には何件あって幾らです、最後に、「チェックした結果、フォーサイトとの契約について会計法令上、問題となるような事実は認められなかった。」これで終わっているのですね。

 私は、ここに何か外務省の姿勢が一つ出ているのじゃないかと思うのですよ。(発言する者あり)わかりやすいのですが、何も言っていないに等しいような結果ですので。担当者がかわっていて、しかも、何か在外公館から一時的に帰ってこられた方が来たのですよ。紙一枚置いていって、二カ月もたっている。

 外務大臣も何度も、何か調べろと言うたびに紙が一枚ずつしか出てこないとお怒りになっていましたけれども、率直に言って、外務省の姿勢はまだ変わっていないと私は思いますよ。ちょっとこの部分をお答えいただきたいのですが。

田中国務大臣 おっしゃっている意味はよくわかりまして、予定価格と落札価格が同じであるというふうなことですね、なぜだろうかと。疑念を委員が感じられて、そして三月二十三日に言って、丸二カ月後に出てきたものが紙一枚であって、そして人がかわっていたと。

 朝からずっと議論を聞いておられたと思います、この会で。それを踏まえて、外務省の体質というのはよくおわかりになったと思いますし、今の細野委員の話を聞いていて、なるほど、外務省らしいわいというのが私の印象でございます。

 でありますが、調査を会計課がいたしまして、そしてその結果、このフォーサイト社、文房具屋さんだと思いますけれども、平成十二年度に二億七千二百万円の契約があった、これは間違いなくて、そして価格が百六十万円以下の随意契約可能なものが契約件数の約九八・一%であった、ほとんどですけれども。調達の結果、現在まで特段の問題はないということでございますので、その一枚紙も多分同じことが書いてあるのではないでしょうか。――では、そのとおりであると思いますが、また御疑念があるのであれば、何なりとおっしゃっていただければ、調査方を命じます。

細野委員 多分、外務委員会で配って、それをごらんになった方はみんな疑念を持ったと思うのですね。それに答えるぐらいの資料は少なくともいただきたい。こういう同じような質問を何回もするのは私も嫌ですので、外務省の方にぜひその回答をお願いして、この部分は終わりたいと思います。

 次に、あと半分ぐらいしか時間は残っておりませんが、ようやく、少し外交の中身について話を進めたいと思います。私の方から質問したいのは、経済外交についてでございます。

 田中外務大臣に関しては、過去の発言も含めて、いろいろ政治的な、特に外交の部分に関して発言をしてこられている、その記録は私も拝見いたしました。ただ、例えば経済外交についてどのようにお考えになるのか。WTOもAPECもあります。もちろん政治も議論されますが、経済が大きなテーマとなっていることは事実なんですね。この部分に関する外務大臣の所見というのはほとんどまだ出てきていないと私は思っておりまして、きょうはその部分を少し念入りにお話を伺えればというふうに思います。

 まず、セーフガードについて話を伺いたいと思います。

 もう外務大臣も承知されていると思いますけれども、ネギと生シイタケと畳表に関してセーフガードの発動が、緊急セーフガードということですけれども決定をいたしました。

 まず、ぜひ田中外務大臣に少し考えていただきたいことがございますので、ちょっと話が飛びますが、今、スーパーなんかでネギは大体幾らぐらいで並んでいるか、外務大臣、御存じでしょうか。

田中国務大臣 東京のスーパーと地方とは大分違いますけれども、最近家族が小さくなっていますから、三本とか二本で売っているところもありますし、多くて三本から、安売りのときは、うちのそばのは五、六本束になっています。値段の安くなっているときは二百円ぐらいのときもありますし、もっと高いときもございます。三百数十円のときもあります。もちろん本数とか時期にもよりますよ。

細野委員 大体それぐらいです。さすがに田中外務大臣、お答えになれないんじゃないかと心配しておりましたが、主婦感覚をしっかり持っておられるなというふうに思います。私は、今余り買い物をする時間がないものですから、価格は覚えていないんです。

 それで、きのうちょっと調べてみました。スーパーを二つ見たんですけれども、大体三本で百七、八十円で売っていました。私自身が実はネギを割と買っていたのは学生のころなんですよ。学生のときは野菜いためなんかを結構つくりますね。その買っていた時点の価格というのは、三本ぐらいで大体二百二、三十円だったんです。確かに価格は下がっているんですよ。これは、私なんかの貧乏学生だったころのことを思い出すと、結構うれしいことなんですね。五十円というのは結構大きいですよ、主婦にとっては。セーフガードの発動というのは、やはりこういう消費者の視線からも見ていく必要があるだろうということを私は申し上げたいと思うんです。

 その部分も含めて、外務大臣として、今回のセーフガードの発動、そして一般的なセーフガード発動に関して、どういう御所見を持たれているか、お聞かせください。

田中国務大臣 まさしく、ネギ、シイタケ、畳表というのは、私たち日本人の生活に密着した問題でございます。今おネギの値段をお聞きになったんですけれども、消費者の立場でいけば、何でも安くて物がいい方が、丸谷政務官もきょうお誕生日を迎えられて、うなずいておられるわけですけれども、本当にそう思います。

 けれども、今食料品は、申し上げるまでもなく、国内生産で賄えるもの、それからほかからも供給してもらっているもの。よく言われるのは、受験なんかでも、四谷大塚とかなんかでよく出るそうですけれども、てんぷらそばは全部国産か。てんぷらそばをつくるのに関係のあるものを挙げろと言われると、おしょうゆであっても、それが大豆からできていれば中国であるとか、上に乗っかっているエビはアフリカの方でとってきた、それから、包んであるてんぷら粉はカナダであるとか、おネギは中国であったりもするでしょう。したがって、世界じゅうの国が日本のてんぷらそばをつくっている。これは極めて象徴的な話だと私は思うんですけれども、そういう意味で、世界で食料品をお互いに供給し合っているわけです。

 たまたまきのう、もうお帰りになりましたけれども、メキシコのフォックスという大統領がいらっしゃって、そして宮中で、細野委員のきょうの御質問の中にもありますけれども、WTOの話、それからその他、貿易協定の問題について話し合いが総理との間でございまして、私も一部は立ち会って聞いてはおりましたけれども、やはりWTOの関税協定というのは、今は一時緊急的なものですけれども、たまたま我が家に農林副大臣という人がおりますものですから、家庭内にいながら、すき焼き等を食べながらも、このネギはどこなんだろうか、消費者から見れば安い方がいいわね、でもなぜ日本は買わなきゃいけないのかと。それから、商社の問題も出ていますね。それから、日本の生産者の問題があります、おネギにしろシイタケにしろ。その中でもって有機的に、やはりお互いに譲り合わなけりゃいけない時期もある、それが半永久的に続くのではなくて。これが今度は外交の話になるわけです。

 消費者として家族で食べているテーブルの中で、先ほどのてんぷらそばの話じゃないですけれども、外交上、私たちは新ラウンド交渉の立ち上げを目指しておりますけれども、やはりあらゆる意味で、総合的に世界が協力したり我慢したりしなければいけないという時期もあるわけでして、それは政府のアカウンタビリティー、すなわち説明責任でもあるし、それから政治の責任というものでもあるんですね。ですから、どうやって世界の人たちと一緒に幸せに、少しでもお互いの経済を振興し合いながら、冒頭申し上げました、私がきょう発言した、これにすべてあるんですけれども、世界の方々と平和に、そして安定に暮らしていくかという視点を欠くと、自分の国さえよければいい、自分の国さえ経済が安定すればいいという状態ではないんじゃないでしょうか。

 ですから、ネギ、シイタケ、畳表のセーフガードの問題というのは極めて象徴的な話である。したがって、こういうことを政治の外交委員会だけではなくて、閉じ込めることなく、国民あまねく、みんなで茶の間で議論するようになるということが外交にも資することであるし、国益にもまた貢献する、かように考えます。

細野委員 家庭内で外務省と農水省の話し合いができるということですので、ぜひそれはやっていただきたいと思うのですけれども。

 私の基本的な認識はちょっと違うんです。といのは、これは外交マターであるわけです。よろしいですか。今までの議論というのは、ひたすら国内で議論されてきていて、外交的な発言がされていないところに必要性を感じて外務大臣に伺っているんです。

 では、ちょっと田中外務大臣に所見として伺いたいんですけれども、今までなぜ日本はセーフガードを発動してこなかったのか。アンチダンピングはやったことがあるんです。アンチダンピングはやるんだけれどもセーフガードはなぜやらなかったのか。外交上の配慮、何があったのか、その辺、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 やはり、これはWTOの基本的な理念を守らなければならなかったというふうなことだと思います。

細野委員 そうなんです。要は、WTOの理念というのは自由貿易。アンチダンピングというのは、自由貿易の観点からすると少し外れるものなんですね。というのは、不当廉売をして、コスト割れのものを出して市場を席巻するような場合はアンチダンピング。いいですか、セーフガードは、輸出国側には何も瑕疵はないんです。輸入国側が、とにかく助けてくれ、一時的に勘弁してくれというのがセーフガードなんです。端的に言うと、これは輸入国側のわがままなんです。もちろんルール化されたわがままですけれども、この貿易黒字を抱えている日本がこのわがままを言った意味、それをぜひ外務大臣に考えていただきたいと思うんです。

 今回、自由貿易を守ってきた日本がセーフガードを発動したこと、改めてどのようにお感じになりますでしょうか。

田中国務大臣 これは、基本的には内閣でトータルでもってお話し合いをしなければならないというふうに思います。ですから、財務大臣もおり、農林大臣もおられて、外務大臣もいて、トータルでもって内閣としてやっているわけです。構造調整のための一時的な緊急避難として現在WTO協定上認められているということはもう御案内だと思いますけれども、これはトータルに内閣の問題として、国の方向性をどう持っていくか、世界との関係をどうするかという視点において、やはりこういうことが、今だけじゃなくて、今後もいろいろなファクターとしていろいろなイシューが上がってくる可能性がありますので、内閣全体で皆様のお知恵もかりながら解決していきたい、そういうふうにするべき性格のものであるというふうに考えます。

細野委員 実は、私の地元も、伊豆半島なものですから、シイタケが結構とれるんです。シイタケ業者の方から窮状はずっと聞いてきているんです。それで、セーフガードを発動したいという思いはあります。

 ただ、この場面においてセーフガードを発動することは何を意味するのか。それを外交的にもきちっととらえて発言できるのは、私は外務大臣しかいないと思うんですよ。経済産業大臣も無理です。農水大臣なんか、絶対できない。ましてや、自民党の農水部会なんて、絶対そんなこと、できるわけない。(発言する者あり)済みません。失礼しました。(発言する者あり)

土肥委員長 静粛に。

細野委員 民主党の中にもいろいろ異論はあります。

 やはり、この部分は、かなりねじ曲げられた部分があると私は思うのです。例えばネギ。確かに先ほど五十円下がったと言いましたけれども、国内市場における輸入品の占有率というのは何%か御存じですか。八・二%なんですよ。価格を動かすのに八・二%がいかほど影響があるかいろいろ判断はあると思いますけれども、国内の出荷も上がっているんですよ。価格は下がっていますけれども、出荷は上がっている。こういう状況の中で、三つまとめてやってしまえ、この決め方は相当問題になったと私は思いますよ。

 セーフガードは、ルールを見ても、書いてあるのが、重大な損害が与えられた場合に、いろいろ数値を見てそれぞれの政府が決めなさいとしか書いていないんですよ。要は、政府の恣意的な判断でできるようになっているんです。私は、これは相当恣意的にやり過ぎたと考える、特にネギについては感じておる一人なんですが、適切だったと本当にお感じになっていますでしょうか。

田中国務大臣 別に逃げるわけじゃありませんが、これはたしか前の内閣から引き継がれているというふうに思います。

 適切と思われる要件を満たしているということでこういう結論が導き出されたと思いますが、そういう農家の支持者の方たちの要望を担って静岡県からこうやって立候補していらっしゃって、私もお米の産地でございますので、農業問題苦しいなと思ったことはたくさんありますけれども、でも、やはりこういう決定というものは内閣がトータルで出します。先ほど、農林大臣だめ、通産大臣だめとおっしゃいましたけれども、そういうことはなくて、トータルでやはり議論をしながら内閣が方向性を決めている、いろいろな情報を分析しながらやっているということを御理解いただきたいというふうに思います。

細野委員 外交的な部分をきちっととらえてぜひやっていただきたいと思います。

 そこで、もう一点確認をしたいことなんですけれども、今、この三品の輸入元というのは大体中国です。中国から、木枠の検疫の問題であるとか日本車の輸入制限などで、実はもう制裁的なことをやられているんじゃないかという報道があるのですね。かつて韓国がニンニクで中国にセーフガードを発動したときは、こっぴどい目に遭っています。年間輸入額がニンニクの場合九百万ドルにすぎなかったのに、逆に制裁で携帯電話であるとかポリエチレン製品の約五億ドルの輸出をとめられた、こういう結果があるんですね。私、中国は別に嫌いでも好きでもないですけれども、やはりいろいろやってくる可能性があるわけです。

 加えて言うと、セーフガードというのは、輸入国側のわがままなので、極端な話、WTOに入っていなければ何をやっておられても無理は言えないわけですよ。何か、中国がわがままで悪いことをしているみたいな報道がされていますけれども、それは誤りです。わがままをやったのは日本なんです。むしろ、そのわがままに対して、中国にどういう部分で穴埋めしますかということを提案しなきゃならないような立場なんですよ。

 今後、中国の対応をどういうふうにお考えになるか、外務大臣お答えください。

田中国務大臣 事実関係につきましては、現時点では確認できずにおりますけれども、両国の立場がお互いに平行線であっても、またこういうことをお互いに踏まえながら成熟した話し合いができるようになる、そうした基盤づくりをするのが外交であろうというふうに思います。

細野委員 ここの制裁の部分で、セーフガードに関してはもう一度付言しますけれども、日本が経済大国でもあり貿易大国でもある、にもかかわらずセーフガードを発動して中国をターゲットにしてしまった。結果に関してはきちっと配慮をして対応していく必要がある。これからセーフガードを発動するときも、その辺のことはやはり考えなきゃならないということだけ申し上げておきたいと思います。

 今後の方針なんですけれども、これは私の個人的な見解ですけれども、農産品に関して言うと、やはり安全性の問題などが今非常にクローズアップされつつあると私は考えています。したがいまして、安易にセーフガードという手法に頼るのではなくて、例えば原産地がどこなのか、また検疫の部分で、どういう薬品を使っているのか、そういうことをきちっとチェックする枠組みをWTOにつくることによって、消費者が例えば安全な食品を選択できるように、輸入業者などがさまざまな要はミスリードな情報を流すようなことがないようにしていくことが唯一の道なのではないかと私は思っているのですが、外務大臣、セーフガードに絡めて、この辺どうお考えでしょうか。

田中国務大臣 今委員がおっしゃったのは大変重要な視点だというふうに思います。

 遺伝子組み換え食品の問題とか、そのほかいろいろなことが最近話題になっていますけれども、やはり健康とか環境問題とかいろいろ考えて、トータルでもって判断しなければならないので、今おっしゃったような視点は大変重要だと思いますので、そういうことも加味しながら、もちろん環境庁ですとかいろいろなところがトータルでやっておりますけれども、その視点を忘れずにやっていきたいと思います。

細野委員 時間も大分なくなってまいりましたけれども、セーフガードについてもう一点だけお伺いしたいと思います。

 今、タオルについてもセーフガードの検討が始まっていることは御存じだと思います。農産品とタオルというのは大分違うところがあると思うのです。

 といいますのは、日本も付加価値の非常に低いところから出発をして、タオルの中にも当然付加価値の高いものもあるんですけれども、相対的に見ると、産業としては付加価値が低いと言われています、そういう部分から出発して、今高度化したわけです。タオルでセーフガードを発動するということは、要は、まだ付加価値の低い製品をつくっているところに対する妨害になるんじゃないかという危惧を私は持つのですね。

 経済の高度化ということを考えたときに、今検討されているようなタオルのセーフガードの発動、外務大臣としてはどのような方針で挑まれるでしょうか。

田中国務大臣 大変興味深いことで、タオルのこと、今付加価値とおっしゃいましたけれども、私も、日本がそこの段階で一緒にやっている、競合しているというのは余りよろしくなくて、例えば具体的に言うと、タオル地を使った、少しありますけれども、衣類にしましても、ほかのものの利用のしようがあると思うのですよ。簡単なおしぼりタオルだけではなくて、何かそういうもの、その段階とは超えたもの、おっしゃるとおりの付加価値ですよ。それをかなりつけたものを、特定の業者の名前を出してはいけないと思いますが、今ジーンズが二千円だとか、それからTシャツが、具体名を出しちゃいけないと思ったので、そっちが出そうになったので今値段の方を思い出しているんですけれども、そういうふうなものも工夫があるじゃないですか。日本はもうそちらに行っていなきゃいけないと思うのですね。

 ですから、そういうことを経済産業省も指導してもらわなければいけないと思っていますけれども、今後のセーフガード発動に当たりましては、この制度の趣旨でありますとかWTOの関連協定との整合性ですとか、輸入先の国との二国間の経済関係など、やはり総合的にあらゆる意味から検討しなければいけないと思います。

 ただ、日本は、技術力、創意工夫力、情報力が極めてある国ですから、それらをもう少し駆使して、今おっしゃったまさしく付加価値ですよ、それはもう絶対日本ができることですから、総合的にやっていくということに方向づけをしたいし、またそういうようなお知恵を拝借できれば、対立図式だけではなくて、政党間を超えて一緒にいい仕事ができると思いますので、よろしくお願いをいたします。

細野委員 セーフガードで何で私がこれだけ強調しているかというと、やはり私、WTOのラウンド交渉を心配しています。ことし十一月にドーハで閣僚会議が、これは二年に一回ですから、開かれることになっているんですね。一九九九年のシアトルが大失敗したことは、皆さんもよく御存じだと思います。

 今足元で日本がセーフガードを発動して、これを暫定から一般に移すのがちょうど十一月なんですよ。決定をしなければならない二百日が十一月なんですね。加えて言うと、きょう新聞報道などを見ておりますと、今アメリカでは鉄鋼でセーフガードを発動するという動きも出ています。もうアンチダンピングは何回となくやってきているんです。世界が大きく保護主義的な流れに向かっていることがやはり懸念されるわけです。

 二年に一回の閣僚会議で、前回失敗している、期限が来ているのにラウンドを開けなかった状態で、二年後、今回、この保護主義的な流れがどんどん加速をしてこの閣僚会議が失敗したら、WTOは歴史的な役割をもしかしたら終えるんじゃないかというぐらいやはり心配になるわけですよ。

 外務大臣としてもぜひその辺の認識を持ってやっていただきたいし、当然野党である我々も、保護主義的な党内の動きに対しては闘っていきたいし……(発言する者あり)ないことを願いつつ闘っていきたいし、ぜひ与党の皆さんにも私は頑張っていただきたいと思うのですが、ここでは、外務大臣の閣僚会議に向けての意気込みをぜひお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 私も、家族の中で、鉄鋼でアンチダンピングに、これはかなり前ですけれども、日本がシームレスパイプとかつくっていて、アメリカで、あるいはほかのところで、特にアメリカだったと思いますが、アンチダンピングにひっかかってかなり苦労したというふうなこともありまして、こういう貿易の問題というのは極めて、そのときによって変わっていきますけれども、WTOの将来についてもおっしゃいましたけれども、現在の新ラウンドは、要するに、我が国の国益にとって、多角的な貿易体制の維持とそれから強化をしていく、そのためにやはり重要な交渉であるというような基本的な認識を持っております。

 そして、途上国を含む各国の関心にもこたえるような、十二分に幅広い交渉をする必要があるというふうに考えておりますし、第四回になるんだそうですけれども、この十一月の閣僚会議での立ち上げに向けて、各国ともよく協力をして話し合いをしながら一層努力をしていきたいというふうに考えております。

細野委員 ちょっと官僚答弁がありましたけれども、そこは御自身の気持ちの部分できちっとやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたけれども、あと一点、自由貿易協定について少しお話を伺いたいと思います。

 日本は、自由貿易協定においてどういうスタンスをとるべきなのか。今、シンガポールと本格的な交渉に入っています。そしてきのうは、メキシコとの自由貿易協定についても研究会を設立する、そういう表明がございました。

 まず、このFTAに対して、外務省としてどういうスタンスで挑まれるのか、短くて結構ですので御所見をお伺いします。

杉浦副大臣 日本・メキシコ首脳会談においては、両国の経済関係強化のための方策全般について、日本・メキシコ・フリー・トレード・アグリーメントの可能性も含めまして包括的に議論するための、産官学から成る研究会の設置について合意されております。

細野委員 余りお答えになっていませんけれども、大臣にお答えいただきたいと思いますので結構です。

 私がなぜこれを聞いたかといいますと、外務大臣、FTAに対する認識が日本は大きく変わっているのです。ちょっと一つ読みますと、これは外交青書なのですが、一九九四年のウルグアイ・ラウンド成立直後の外交青書を読むと、地域統合、地域協力などの動きは、ともすれば域外国に対し透明性を欠きがちであり、特に関税同盟、自由貿易地域といった制度的な地域統合は、域内国と域外国の差別的扱いを必然的に生じさせると書いてあるのです。極めてネガティブに書いてあるのですね。

 それが最近のものですと、WTO協定に整合的な地域貿易協定や二国間自由貿易協定は、域外国、第三国に対する障壁とはならず、むしろ開放的な貿易を推進し云々かんぬんと、お褒めの言葉が書いてある。

 この政策の変更はなぜ行われたのですか。これは基本的な認識ですので、ぜひ外務大臣にお答えいただきたいのですが。

杉浦副大臣 御指摘の点は、確かに外務省の基本ポリシーについて、あると思います。

 我が国は従来、WTO、前はウルグアイ・ラウンドを中心とする多角的貿易体制の維持強化を我が国の対外政策の基本として考えてきたということは事実で、二国間の関係をないがしろにしておったわけではありませんが、そこに力点が置かれていたのは間違いないと思います。

 ところが、世界の大きな流れとして、NAFTAを初め二国間、多国間の自由貿易協定が締結されていく。それが、当初は自由貿易を阻害するのではないかというふうな危惧を持たれていたのが、実際にはそういう危惧が当たらなくて、全体の自由貿易を促進する方向に働いているという現実がずっと進んでおる状況があると思います。

 最近は、二国間の自由貿易協定は、むしろ多角的貿易体制を補完するものだ、これからしっかりやっていこうという方向に変わりつつございまして、シンガポールとの間では、貿易のみならず、サービスとかあるいは人的交流等も含めて経済協定を結ぶ方向で協議しておることは御案内のとおりでございます。今後とも、そういう方向で進めてまいることに相なると思います。

田中国務大臣 きのうも、先ほどちょっと触れましたけれども、フォックス・メキシコ大統領と小泉総理とのお話の中でも、このことについてはまさしくアップ・ツー・デートの話し合いがあったので、それも踏まえて私は申し上げたいと思います。

 多角的な貿易体制の維持強化、こういうことにつきましては、これはもうずっと対外経済政策の基本であったわけですけれども、事実それもそうなんですけれども、でもまた他方、二国間の自由貿易協定というもの、それはやはり多角的な貿易体制というものを補完する作用がある、二国間の問題。そういうふうになってきていますので、きのうも、具体的にメキシコの大統領から御提案がありました。具体的なことについては踏み込みませんけれども、自由貿易協定、FTAなど、地域の経済協定ということを検討していこう。まさしく、きのうもそういう会話が私の目の前で交わされていましたけれども、そういうことを具体的に検討するということには意義があるというふうに、私も内閣の一員として、外交を担う者として、その意義というものは認めております。

細野委員 自由貿易協定に関しては、従来の政府の一貫した見解は、これは最恵国待遇違反の可能性があるということだったのです。一国に与えた条件は他国にも適用しなければならない、自由貿易協定がその例外になるわけですね、だから踏み込まないという姿勢をずっととってきて、今足元で、大慌てで方向を変えたわけです。私は少なくともそう認識していまして、歴史認識からいうと、過去の経緯からすると、これはやはり大幅な方針の変換なんですね。

 ぜひお願いしたいのが、メキシコとは非常に難しい問題があって、例えば農産物の割合が、メキシコの場合は輸入において二五・五%なんですよ。要は、農産物を例外にしてしまうと非常に都合のいい自由貿易協定ができてしまって、多国的な枠組みを乱すことになるんですね。最恵国待遇の例外だからこそ自由貿易協定は例外なく全品目にわたらさなければならない。この原則をぜひ踏まえてやっていただきたいということ。

 さらには、日本がこれは大幅におくれているわけなので、もう少し大局観を持って、FTAに過度に依存することなく、国際的な枠組み、WTOの方が主なんだ、あくまでFTAは従なんだという優先順位をぜひ外務大臣に持って交渉に挑んでいただきたいと思います。

田中国務大臣 今、最恵国待遇についても触れられましたけれども、これは急にがくんと、ページをめくるように変わったということではなくて、私の認識では、これはやはり他の国々との経験でございますとか国際的な潮流というものがありまして、そして認識が変わってきているということでありますから、そこはちょっと、もう一回よくおさらいしていただいた方がよろしいのではないかというふうに思いますが。

細野委員 時間が来ましたので終わりますが、十一月に閣僚会議が行われます。外務大臣が主体になられると思います。ぜひ、そこで日本の前向きな姿勢を示していただきたい、このことをお願いさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

土肥委員長 次に、土田龍司君。

土田委員 質問通告いたしましたが、ちょっと順番を変えて質問させていただきます。

 それは、先ほどどなたかの質疑の中で、大臣が非常にODAについて自信を持ってお話をされていましたが、まずそこから入りたいと思うのです。

 その前に一つお願いがございます。それは、私の地元でもよく、日本はこんなに不景気なのに、なぜ外国に資金援助をしなければならないのかという疑問があって、そういう質問をされるのです。そのたびに私も答えるのですが、何かいいパンフレットはないかと思って外務省に聞きましたら、大変わかりやすく立派なパンフレットがあるんですね。ですから、国民の中に非常にODAに対する誤解があると思いますので、これは外務省の担当なのか政府広報の担当なのかわかりませんけれども、ぜひそういった紹介をしていただくようにお願いしておきたいと思います。

 小泉首相が、財政構造改革について二段階で実施する、第一段階が国債を三十兆円以下に抑えること、あるいは徹底して歳出を見直すというふうにおっしゃっています。当然、このODAについても見直しの対象となると思うわけでございますし、杉浦副大臣は、先月二十三日に開かれた第二次ODA改革懇談会の第一回会合においてあいさつをされて、小泉内閣は聖域なく見直すと、断固たる決意を表明しておられたわけです。

 そこで、大臣にODAについて、もちろん公共事業費の削減とともにいろいろな抵抗があるかもしれませんけれども、基本的にODAの見直しについて御見解を聞きたいと思います。

田中国務大臣 小泉内閣は、聖域なき改革ということも言っていますし、むだな歳出の削減ということは選挙のときからおっしゃっておられます。ですから、委員がおっしゃることに私も基本的に賛成ですし、この内閣の方向性もそこにあるというふうにも考えております。ですから、ODAの実施に当たりましては、援助の質も改善して、そして一層の効果的、効率的な実施をするということでございまして、見直すべきは見直していくということです。

 そして、先ほども触れましたけれども、第二次ODA改革懇談会というのがございまして、私もできるだけ、時間があったらそこでもって勉強させていただきたいと思っておりますけれども、世界的にODAというものはトータルで減っているそうで、多分委員の方が数を御存じかと思いますけれども、世界的に援助疲れが出てきているのであると。そして、どこの国も顔の見える援助をしている。すなわち、国益とつながったような援助じゃなければ意味がない。

 きのうの方は、例えば、日本で言ったら日の丸の鉢巻きをして、ここで私たちがやったんですよ、見てくださいという意味ではなくて、やはり本当に、目に見えない形であっても、自分の国と相手の国の国民同士のレベルでよくつながって、喜ばれるようなODAであるべきだと。

 ですから、私も今回大臣に着任してからまだ日も浅うございますけれども、あらゆる委員会で具体的なこれだのあれだのというお話も出ておりますので、そういうことも事務方に、具体的に、もう一回見直すように、それで必要なものは二重丸、一重丸、次は三角というように見てくださいということもお願いしてありまして、まだスタートしたばかりですけれども、一部報告が上がってきております。

土田委員 大体わかりました。我が国の外交目的を達成するために非常に重要な手段であるというふうなことを私も思っております。

 ODA予算の減額をしなきゃならない、世界的にもそういう方向にあるというふうに今おっしゃいましたし、二重丸とか丸とか三角とかをつけておやりになっているようですが、やはり減額をするに当たっては、その基本理念といいますか、それをあらかじめ明確にしなきゃならないと思うのですが、その辺の認識をお聞かせください。

田中国務大臣 メルクマールとしての数値目標を設定するということよりも、むしろ、委員がおっしゃったような、そのような視点で見ていくことが全く大事だろうというふうに私は思っています。

 それから、きのうもODAの委員会で私は発言したのですけれども、今見たら問題があっても、やはり長い目で見て、本当に喜ばれるものであれば、少し、いっとき大変なことがあってもそれはやらなければいけないけれども、どこから見ても評価されないで、何でこんなところにと思うものは即刻やめるという勇気、これも必要だろうというふうに思います。要するに、地球市民としてお互いが生きていくというような視点、そういうようなものが基本的な精神、バックグラウンドにあるとよろしいと思っております。

土田委員 一九九一年以来、我が国のODA予算は連続して世界一ということになっているわけですね。しかし、その質においては昔から議論があるところでありまして、政府は援助を一層効果的、効率的に実施するということをずっと言ってきておりまして、平成四年の六月、ODA大綱を閣議決定しているわけです。大綱では、「基本理念」として、「世界の平和を維持し、国際社会の繁栄を確保するため、」云々となっておりますが、さらに「重点事項」として、環境問題や基礎的な生活分野への取り組みを挙げておりますけれども、一方で、インフラストラクチャー整備も重点項目としているわけです。

 確かに、戦後のアジア経済を考えた場合に、経済のインフラ整備が果たした役割は非常に大きいわけでございますけれども、現状ではやはりハード面に偏り過ぎているのかなということも、私も思いますし、そういった指摘もたくさんされているわけでございます。

 二〇〇〇年のDACの議長報告によれば、二国間援助に占める経済インフラの割合が、DAC平均一七・二%に対して、我が国は三一・五%であるということですね。現在、新聞とか週刊誌などで指摘されているわけでございますが、本委員会でも取り上げられましたケニアの水力発電の問題など、我が国のODAにおけるインフラ重視の姿勢が出てきたものである。今大臣がおっしゃったように、日本の顔の見えないと批判されるのも、その辺にあるのかなというふうに思います。ODAが、途上国の住民の方を見ないでゼネコンなどの業者の方を見ているんじゃないかということも指摘をされているというわけでございます。

 そういうことで、これからのODAにおいてはソフト面の充実が重要であるというふうに私も思うわけでございますけれども、そこで大臣にお伺いしたいのですが、政府開発援助大綱の見直しについてです。前回の大綱の決定から約十年たっているわけでございますが、どういったお考えをお持ちでございますか。

田中国務大臣 おっしゃるとおり、ODAの大綱が決定して既にもう十年を経過しておりますわけですけれども、今まで、役割としてはかなり一生懸命果たしてきて、頑張ってやってきているのではないかなというふうな評価をいたしますけれども、今後は、先ほど申し上げた、第二次のODA改革懇談会というものが今まさしく行われておりますので、私も頻繁にそこに出席したいと思いますが、あらゆる側面から、見直すべき点、それから維持、継続していくべき点、そういうところを明確に、外部の方たちの御指摘も仰ぎながらやっていきたいと思います。

 ただ、日本の公共事業もそうですけれども、いわゆるインフラストラクチャー、インフラの整備ということですけれども、これはやはりアジアとかアフリカを中心にしまして、水とか発電とか道路とか橋をかけるとか、そういうものを必要としているところはたくさんございます。

 ですから、それをソフトの方に転化した方がいいところもあるでしょうし、むしろソフトだけを、環境問題ですとか教育とか、そういうところを希望なさっているところは、そのように結構対応していると思うのですけれども、世界じゅうを見ますと、まだまだそういうインフラの整備を求めておられるところもあるというふうには思います。

 ただ、そのやり方とか、費用のかけ方ですとか、長いこと時間がかかっているうちに何か利権に関係があるようになってしまうとか、そんなことがあってはいけませんので、それはやはり、見直しをするのには大変今は適切な時期だろうと私は思いますし、ぜひ先生方の英知を集めていただきまして、アドバイスもいただきながら、単に雑誌とか何かに載っていたということだけではなくて、やはり私たち議員は実際に行って見てくることもできるわけでございますから、それを踏まえて、いいアドバイスをいただいて、我々のODAが生きたもので、ポジティブなものになるように、納税者の皆様から、なるほどね、我が国もいいことをやっているんだなと思っていただけるようにしたいというふうに思います。

土田委員 大変立派な答弁でございます。私もそう思いますし、今大臣が幾つかおっしゃった内容、一般国民の方々が非常に不審に思っているようなこともございますので、やはり大事なことでございますので、大綱を見直しながら、具体論についてもやはりやっていくべきであるというふうに思います。

 次に、国際協力事業団、JICAのことでお尋ねするのですが、社会開発や農業、医療など、これまでセクター別に分かれていた部署構成から、国とか地域別に軸足を移して、対象国の援助を計画的、効率的に実施するための改革をJICAは行いました。改革された機構は二〇〇〇年の一月からスタートしているわけでございますけれども、監督官庁である外務省の体制は、依然昔のままといいましょうか、無償、有償資金協力、技術協力、開発協力といったスキーム別に分かれているわけですね。

 つまり、JICAが今回改革をした国、地域別体制をとっていないわけでございますけれども、外務省の経済協力局では、中央省庁再編に伴って省内の再編を検討していたようでございますけれども、今のところ、組織上の変化はないように思えます。国際協力が国や地域を対象に行っている以上は、国ごとの援助方針の一貫性を保つという観点からも、JICAと同じようなシステムにしたらどうかと思うのですが、どうでしょうか。

田中国務大臣 今までのODAのお尋ねと同じように、私も、特殊法人というものの見直しは、当省も絶対しなければいけないというふうにずっと考えておりまして、特にJICAについては、いろいろな御指摘が民間からもございます。ほかの省庁からもかつて私も聞いたことがございまして、今先生がおっしゃった御指摘というのは、極めて重要なポイントだというふうに思っております。

 したがって、なかなか一人じゃオールマイティーにできるわけじゃありませんので、副大臣や政務官や関係のこの委員会の先生方、皆様が一丸となって、ぜひ若いお力を出していただきたいというふうに感じておりまして、方向性は、各国ごとの援助計画を鋭意作成しておりますし、経済協力局と地域局が緊密な連携を図りつつ云々ということになっておりますけれども、実態としては、これはやはり古くて、評価されてもいますけれども、そうでもない面もあって、これは次官経験者が次々天下りをしたりしていまして、なかなか不透明なところもあるやに聞いております。

 したがって、本当に、国政調査権を持っておられるわけですから、ぜひ先生方にこの問題について関心を持っていただきたいと思いますし、よい御指摘ありがとうございました。

土田委員 今おっしゃったとおり、大臣お一人じゃ全部できるわけはございませんので、副大臣や政務官や、あるいは与党一体でございますので、皆さんと手分けしてやる……(田中国務大臣「野党も」と呼ぶ)こっちは違うんです。こっちだけの話ですけれども。与党・政府一体でそれぞれ分担してやることがやはり大事だというふうに思っております。

 次に、PKFの本体業務凍結解除問題について基本的なことをお尋ねしたいと思います。

 PKFの本体業務凍結解除については、自民党の幹部の中からも、できるだけ早期に凍結解除の手続をとったらいい、秋の臨時国会でもやったらどうかというふうに述べている方もいらっしゃいます。私たち自由党は、日本国憲法及び国際協調主義の理念に基づいて積極的に平和維持活動に参加すべきだという方針を前々から主張しているわけでございまして、その観点からも、PKFの凍結解除は早期に行う必要があるというふうに思っているんです。

 外務大臣は、この本体業務凍結解除に対してどういった見解をお持ちでございましょうか。

田中国務大臣 国際的な安全保障に我が国が貢献するということは、極めて重要な課題であるというふうに思っております。そして、本体業務の凍結解除のことをおっしゃっているわけですけれども、これについては、やはり国会で十二分に、前広に御議論していただきまして、それを踏まえて対処していくというのが姿勢でございます。

土田委員 国会の議論は当然だと思うんですが、やはり外務大臣として明確な姿勢を出すことが先だと僕は思うんです。

 米国のアーミテージ国務副長官が、我が国のPKO参加についてコメントされております。すばらしいことだが、参加形態が、一緒に参加している国の部隊から守ってもらうという状況にある、この点はかえって他国の部隊に迷惑をかけていることもあるのではないかと言っておられます。

 そこで、日本の自衛隊の武器使用でございますけれども、参加五原則があって他国との共同行動の制約になっているというふうに指摘をされているわけです。ですから、PKFの本体業務参加凍結が解除されれば、自衛隊に停戦監視や巡回などの任務が当然加わるわけでございますし、要員を守るための正当防衛、あるいは、緊急避難等の場合に限らず任務遂行のための武器使用ができるということになるんですが、この点は外務大臣、どう考えられますか。

田中国務大臣 私は自由党さんの主張は十二分によくわかっているつもりでおりますけれども、結論を一言で言えば、各党各会派でよく議論をしていただきたいということに尽きますが、あえて申し上げれば、武器使用の原則を含むいわゆるPKOの参加五原則でございますけれども、これは憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けないことを担保するという意味で策定されたものでございますので、国際平和協力法の重要な骨格をなすものと考えております。

 要するに、やはり各党各会派で十二分に御議論をしていただきたいというふうに考えております。

土田委員 次に、外交機密費の問題でございますが、きょう発表しました改革要綱についてでございます。

 この件、私も何回も質問しておりますし、前回、一日のときに、外務大臣は機密費の調査について随分トーンダウンしたじゃないかという質問をいたしました。それに対して、外務大臣は、そうじゃない、総合的に判断するんだということを何回も、繰り返しそういった答弁をされているんですが、先ほど、外務大臣の答弁といいますか大演説を聞いていまして、まだやる気だなという気がしましたので、少しほっとしているんです。

 そこで、今回発表された改革要綱でございますけれども、外務省に計上されている五十五億七千万円の報償費の減額について「一層の効率的使用と節約に努める。」ということをおっしゃっていますね。新聞報道では、二割削減を口頭で大臣が言うことになっているとか言っていましたけれども、さっきは、そんなことは言っていないということで、それはそれで結構なんです。

 しかし、報償費の問題は、その額の問題じゃないんですね。額が大きいから減らせという問題でなくて、使い道なんです。これが余りにも不透明じゃないですかということなんですね。ですから、この使い道について、やはりある基準をあらかじめ設ける必要があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

植竹副大臣 外務省改革要綱につきましては、私ども、前にもお答えいたしましたように、二人の副大臣、三人の政務官が中心になって改革要綱をつくりました。特に報償費の問題につきましては、もっと内部を精査してやったらいいんじゃないかと。ほかの先生方にも御答弁申し上げましたけれども、例えば天皇誕生日なんというものは、全世界の私どもの出先機関におきましてお祝いするわけですが、こういうものは今まで報償費に入っておりますが、こんなのは明確にして、オープンにすればいいんじゃないか。このことを初め、そういうふうに明確にできるものはしていくというようなことで、本当に外交上、情報あるいは対外的に折衝する場合に必要な経費、それが本来の機密費であるじゃないか。ですから、もっと公開できるところはしていくということでございます。

 なお、パーセンテージをどうするかということにつきましては、二〇%というのは先生方からしばしば御質問がございますけれども、私どもではそういうパーセンテージは一切申し上げているところでなくて、むしろ新聞あるいは先生方の御質問を通じましてそういうことを伺っておるところでございます。

 なお、二〇%削減とかいう点について、十三年度予算は既に決まっておりますので、終わりましてから、その結果、減額する場合、あるいは余った場合はこれは返すとか、そういったように対処していくわけでございます。

 ですから、数字のひとり歩きというものは私は大変危険だと思っております。むしろ、中身の濃い、そして情報を公開すべきところはすべきで今後もやっていきたいと考えておるところです。

土田委員 いや、私がそう言っているんですから、別に二〇%にはこだわりませんよと。ただ報道だけですから、それについては、さっき大臣からも、そんなことはないというふうにおっしゃって、それでいいと思うのです。

 だから、僕が今聞いた趣旨は、前段の方なんですね。額の問題でなくて、やはり使い道の基準をもっと明確にしておいた方がいいですよという話です。

植竹副大臣 再度申し上げますが、使い道の基準で、現在、その内容につきましては、今申し上げた例が一例でございますが、そのほか交通費の問題等もありますでしょうし、宮内庁関係の費用もあると思います。そういった問題とか、さらに、いろいろな要人の渡航の場合のオープンにできる点はオープンにしていくというようなことをさらに精査していく。

 ですから、その結果どうするかということは、委員御質問のとおりで、大変参考になりますものですから、それを踏まえましてやっていきたいと思っております。

土田委員 今の件はわかりました。

 今回の改革要綱の内容は、これまで事務方に任せられてきた支出の最終決裁を外務大臣の責任で行う、あるいは不正防止のために第三者機関を使って監察制度を置く、この辺はいいです。あるいは、人事については、ワンポストの任用期間を一定期間とする、交代をさせる、公募制をとるということも書いてございます。こういったものは当然のことであるかなと思うのですが、やはり改革要綱の大胆さという点については余りはっきり出ていないような気がするのですね。

 今回、国民の皆さんが非常に不審に思っているのは、やはり外務省の機密費だけではなくて、上納されたのじゃないだろうかと、否定をされておりますけれども、そういった疑惑がいつまでも消えないわけでございます。ですから、小泉内閣が、これまでの政治のあり方を否定して、改革はやるのだ、断行していくのだということになるならば、外務省を第一歩として内閣全体の報償費を見直すべきであると思うのですが、どう考えられますか。

植竹副大臣 内閣全体の報償費と申しますと、これは外務省ばかりじゃありませんし、内閣官房の問題もあるわけです。しかし、内閣官房の点につきましては、また外務省の機密費と同じように、やはりできるものとできないものがある、また、官房で対応しなければならないもの、そういうものはありますが、これは外務省というよりもむしろ内閣官房において精査し検討することだと思っております。

 なお、報償費のお話が出まして、また、委員から機密ということのお話がございましたので、その言葉も、報償費という言葉が国民の皆様に適切におわかりになるか、あるいは機密費の方がよりおわかりになるか、そういうことも今よく考えて、その言葉のあり方についてはやっていきたいと思います。

 したがいまして、官房費の点につきましては、どうぞそちらの方の担当で御質問され、お答えいただきたいと思います。

土田委員 大臣がいなくなってしまいましたので。(植竹副大臣「今ちょっと」と呼ぶ)いや、それはわかりますけれども、閣僚の一員として大臣にそれを今聞こうと思ったのです。ここで聞くのはお門違いだということでなくて、内閣全体として、この機密費のあり方、額の問題も入りますけれども、それをやはりやるべきだと思うのですね。

 先ほどの話にちょっと重複するのですが、やはり田中大臣が、松尾事件に関して、あるいは外務省の改革に対して、非常に熱意を持っておられることがわかりましたので少しほっとしたと申し上げたのです。確かにそのとおりなのですが、しかし、使い込み事件については松尾一人の責任じゃないというふうに国民はみんな思っている部分がある、あるいは、一月二十五日の外務省の処分についても軽かったという意識を持っている部分がある。そこで、公務員法の問題があって再処分までできないのだと言いますけれども、何か目に見える形で国民の皆さんに説明と結果を知らせないとやはり疑惑は消えないと思うのですね。

 だから、再処分はできないということでも結構ですけれども、大臣は、この前の答弁では総合的に判断したいというふうにおっしゃっているわけですけれども、少し国民から見てわかる形での処分というのかな、結論といいますか、そういったことはどう考えていますか。

植竹副大臣 委員お尋ねの処分の点につきましては、今の公務員法と照らし合わせましてもそうですが、なおわかりやすい形といいますと、単に外務省ばかりじゃなく、これはいろいろな基準がございますので、その点は、これは大臣の専任事項であり、また、場合によっては他の分野とも調整の上でやらなければならないと思います。

 しかし、これを二度と繰り返さないためにはどうするかといいますと、今回の改革要綱の中にも監察制度とかそういうものをいろいろ検討しておりますが、その処分云々につきましては、私は、ちょっと副大臣の立場からは確定的には申し上げられません。

土田委員 本当は大臣に申し上げたかったのです、大臣ちょっと中座されましたので。

 これは質問じゃなくて質問の繰り返しになるのですが、大臣が先ほど答弁の中で、外務省の機密費の問題については国民の目から見たら非常にわかりにくい、私は今でもそう思っているのだというふうな話をされたので、私は安心したという話をしていたのです。その話でした。ですから、ぜひその気持ちを持ち続けていただくとともに、できれば、国民の皆さんから見てわかりやすいような、再処分であってもいい、そうでなくてもいい、しかし、わかりやすい結論を示さないことには納得しないのじゃないかというふうなことを今申し上げたところですので、同じ質問でしたけれども、改めてやっておきます。

 時間がないので。どうも田中大臣を見ておりますと、報道に基づく質問について非常に批判的な雰囲気がするわけですが、我々議員にとりまして、これは大臣も就任当時の話をされておりましたけれども、報道からの情報、ほとんどそれしかないのです。まして一般国民の方々は、多分我々よりも情報は少なくて、新聞やテレビでの情報をそのまま信じるといいますか受け入れているわけでございまして、そういった面では、閣僚と、我々議員と、あるいはまた国民の皆さんと、やはりそれぞれ情報のレベルが違うわけでございます。

 今回、幾つかの問題がこの一カ月間に出てきました。その中でも、単なるメディアの報道じゃないか、それに基づいた質問はしてはいけないというようなことをおっしゃいますけれども、しかし、今回のオーストラリアの問題でも、イタリアでもそうですけれども、日本の主要な新聞社が一斉に同じことを報道しているわけでして、それに基づいて私たちは質問をするわけです。

 ですから、それはみんな間違いだということになりますと、やはりそれはまずいのじゃないかなという感じがするわけですね。特に、小泉内閣の方針として、信頼の政治を実現するのだ、国民との対話をするのだ、そういうことをやっているわけですから、マスコミからそういった間違った報道があったと思うのだったらば、やはり大臣みずから国民に向けてきちっとしたメッセージを発信しなければならないというふうに思います。

田中国務大臣 報道の信憑性というもの、これは大変大事だと思います。そして私たちは、国民のレベルであればいつも前から、この一カ月間質問に出ていますが、あなたの発言変わるじゃないかとか言われますが、就任した直後に、外務大臣を拝命してその数時間後に、このイシューはどう思うか、これはどうか、これはどうか、これはどうかといったら、私たちだって知り得る情報はほとんどメディアなのですね。今度大臣になって、その背景を聞いてみたり、資料をもらったりしてみますと、また少し違った判断の材料になるわけですね。それでいいますと、ですから、ポリシーがずれているということではなくて、まさしく今土田先生がおっしゃったのと同じことなのですけれども、だけれども、ふえてくるから必ずしもよくないこともあるのですよね。それらを取捨選択しながら形づくっているのです。

 ですから、私きのう閣議後の懇談で発言したのですが、こういうやり方ではなくて、アメリカもそうですが、そのポストが決まったらしっかりと、閣僚を指名する前に、どういう思想の持ち主か、この政策について、社会保障はどうなのか、安全保障はどうなのか、財政問題はどうかということをトータルで見て、自分が信頼できる人物をもちろん指名しているわけですけれども、そうであってもやはりトータルに、今度は役所の情報ですとか、メディアですとか、あるいは現場とかの声を踏まえて議論をするという場がなくて、ただぽんぽんぽんぽん、とにかくとまらない汽車でもって、新幹線に乗ってどんどんスピードがついてだあっと行くわけですから、これは厳しいので、内閣を守るとかそういう意味ではないですよ、やはり信憑性のある正しいメッセージを国民の皆様に発信するという視点からいっても、少なくともこの夏ぐらいはそういうイシュー別に話をさせていただきたい、勉強会といいますか意見交換をしたい、させてくださいということを申し上げましたらば、どの閣僚も、そうだとおっしゃっておられました。

 ですから、原点に返りますけれども、私は、報道だから全部悪いと言っているのではないのですけれども、次から次へとどこからそんなことが出るのかわかりませんけれども、とにかく後追い、私はもうモグラたたきを一人でやっていられませんよ、こちらがつぶれるのですから、モグラの数が多くて。ですから、その中にはかなり違うこともあるのですよ。それをもとにしてまた質問が出てくると、それはもうとても太刀打ちできません。この五人だけでもできません。

 ですから、私は昨日事務次官にお願いしたのですけれども、毎日毎日、朝刊も夕刊もどんどんどんどん新しいイシューが出て、これは一体何だと。これについてもう少し役所の士気をしっかりと高めて、守秘義務ということは何なのか、それから、事実じゃないことを捏造して流れているわけですよ、さっきのお葬式の話でもそうですが、そのほか。(土田委員「わかりました」と呼ぶ)ちょっと待ってください。ですから、それらについて聞かれたのでは時間のむだだと思いますので、もう一回、綱紀粛正で原点に戻るようにということを言っております。

 したがって、再処分というお話がありますけれども、再処分についても報道官か何かが、私がいない留守になると何か言ったようですけれども、再処分するともしないとも言っていないんですよ。やり方は、いろいろ知恵があるのですから、もう少し見てくださいということです。

土田委員 時間が来たので、一分間だけしゃべらせてください。

 今、再処分については、形をつくってほしいと言ったのです。再処分はしなければだめだというふうには言っていません。

 ただ、前回の僕の質問のときに、外務省の役人さんとはうまくいっていますかという質問に対して、大臣も副大臣も、非常にうまくいっていますというふうには答弁されておりますけれども、先ほどの官房長とのやりとりを見ていますと、それから大臣の答弁を聞いていますと、余りうまくいっていないのじゃないかなという気がするのですけれども、以上申し上げまして、私の……(田中国務大臣「一言しゃべらせてください」と呼ぶ)ではどうぞ、しゃべってください。

田中国務大臣 いや、トータルでうまくいっているのですが、一部の人とはうまくいかない、もう大体絞り込まれて二人ぐらいか三人ぐらいになってきましたので、あとはもう九十何%、九九・何%うまくいっております。

土肥委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時一分開議

土肥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 最初に、田中外務大臣の外交の基本姿勢について伺いたいと思います。

 いろいろな国際会議の舞台での発言が漏れ聞こえてきているわけですが、実は、けさの朝刊に、外相の発言要旨ということで、少しまとめられて記事になっておりました。読み上げてみたいと思います。これはドイツのフィッシャー外務大臣との会談であります。

 戦後、日米安保のもとで、日本は核の傘に保護されていたが、これはイージーな方法だった。日本はその後世界第二の経済力を持つようになり、より重い責任を担うようになった。それに見合って日本が自立していく必要があるが、古いメンタリティーが政治を支配しているので政治的にできない。誤解のないように言えば、日米関係は重要で、日本は戦後米国から多大の恩恵をこうむってきた。米国のプレゼンスは重要だ。自分は反米ではないし、米国が好きだが、日米関係はターニングポイントにあり、うまくスイッチできるために、もう一度考えていく必要があると考えている。

 このようにけさの朝刊に発言要旨というのが掲載されておりました。

 私は、これの中身について、外務大臣にこれがそうなのかどうかを聞こうとは思っていません。私が聞きたいのは、日米関係がターニングポイントにあるだとか、安保条約があったにせよもっと自主的な態度をとるべきだ、この見解は、私たち日本共産党が、安保条約反対以前にでも日本ができる外交の方向として機会あるごとに発言してきた中身でもあります。

 私は、今の日米関係は余りにも対米従属過ぎて、しかも、そのプレゼンスが重要だと言いながら、そのプレゼンスの陰で基地に苦しめられている沖縄県民を切り捨てるような安保、外交政策が、二十一世紀にも独立国として通用する外交だとは思っていません。今度のこの機会に、日米外交の基本的なあり方について、日本はもっと自主的な立場で、ターニングポイント、転換点と報道されているその立場で進むべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

田中国務大臣 今、読み上げられたことの中身については触れないとおっしゃいましたけれども、そういう報道をおっしゃっておられまして、それが共産党のかつてと今現在ですかの御発言と似ているというふうにおっしゃっておられますけれども、そのような理路整然とした共産党さんと同じような発言を私が某国の方と話をしたかどうかということにつきましても、そんなに私の頭は整理がついておりませんものですからあれですが、とにかく、外国の方と一対一で話をしたこと、毎回、いつもいつもお話ししていますが、だれがどう言ったからこちらがこう言う、会話というのは生き物でございますから、そういうものについて逐一私はコメントをいたしません。

 そして、私の基本的な考えは、着任いたしましたときから言っておりますが、日米同盟、日米関係、これが完全に基軸であるということはもう間違いございません。そして、個々に、いろいろ、時々、安保を結んだころやら時代の変遷やら、また、将来、時代というものは変わっていきます。国の状態とか関係も変わるかもしれませんけれども、毎回申しておりますように、世界の平和と安定、そして国益と、世界の皆様の、日本人はもちろん含めて、平和のためにどのようにして働いていくかということが思想の基本にありまして、安全保障につきましても、主体的に、内閣の皆様と相談をしながら考えていくということに尽きます。

赤嶺委員 ここに書かれている中身が私たち日本共産党と一致しているということではなくて、安保条約があったにしてももっと日本の外交は自主性を持つべきだ、こういうことを私たちは言い続けているわけです。現に、沖縄で少女暴行事件が起きたときに、沖縄県民は四項目の要求を自民党から共産党まで掲げましたけれども、その中には安保条約廃棄は入っていません。安保条約廃棄以前にやるべき外交の努力として、自主性をもっと発揮すべきだと。

 日米関係が基軸だと言いながら、米軍のプレゼンスが重要だと言いながら、実は、その重要性の陰で歴史的に泣かされている沖縄県民の存在を忘れ過ぎている。だから、日本の外務省は、沖縄の自民党の県会議員からも、どこの国の外務省だ、どこの国の外務大臣だと言われた経過もあるんです、これは。

 ですから、そういう意味で、もっと自主的な立場で日米同盟や安保の問題、沖縄県民の立場、国民の立場に立って臨んでほしいというぐあいに、これは私の希望ですが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 赤嶺先生には再三再四お話し申し上げていますとおり、沖縄県民の皆様の痛みは、私たち日本人みんなが分かち合わなければいけない自分の問題と思っていますし、沖縄県だけに一極集中で負荷をかけていいなどということは、一度も私は発言したことはございません。

 ただし、やはり日米の安全保障のこの関係というのは極めて大事な問題でして、自分の国をしっかりと守っていく、外国とうまくつき合っていく、どうやって世界の平和に貢献するかということは、国民みんなが考えなきゃいけない問題です。

 赤嶺先生がおっしゃっていらっしゃることは私も理解はできますし、沖縄だけに一極集中してよろしいなんていうことは申してはおりません。申しておりません。ですから、その辺のことをもう一回ちょっとよく、私がかつても申し上げていることも含めて、お考えいただきたいというふうに思っています。

 ですから、SACOの問題にいたしましても、そのほかいろいろなことについて、海兵隊の問題にしましても、前回の外防でございましたか、委員会のときに、アメリカに伝えるべきことはしっかりお伝えしなければいけないし、また、国内で対応できることは最善を尽くすということを繰り返し申し上げてきております。

赤嶺委員 アジアで、二十三カ国の中で米軍基地を駐留させているのは日本と韓国だけなんです。フィリピンやタイでは、やはり米軍基地は撤去されていったんですね。外国の軍事基地が半世紀以上にわたって置かれて、その基地で苦しめられているというのは、二十一世紀には通用しない話。こういうものを抱えて外交の舞台に出ていっても、日本の国はまともな国としては相手にされなくなるんじゃないか、こういうような心配も持っているわけです。そういう批判を私は今の政府の外交に対して持っているわけです。

 それで、今、沖縄の基地の一極集中は一度も発言したことはないんだ、県民の苦しみ、苦難の解消のために頑張っておられるんだという外務大臣の発言がありましたが、この間の外務委員会で、私の質問に対して、十五年使用期限を質問いたしましたら、何でそれが十四年なのか十六年なのか一議員のころはよくわかりませんでした、大臣に就任をしてから稲嶺知事にその質問を行いましたら、稲嶺知事もそれには答えませんでした、こういう答弁がありました。実は、私、稲嶺知事に確かめてみたんです。大臣からそういう質問をされた記憶はない、このようにおっしゃっているんですけれども、いかがですか。人違いじゃないですか。

田中国務大臣 二十六日に組閣があって、皇居へ行って、その夜国会へ行って、だから二十七か八でしょうか、とにかく着任後最初のお客様が稲嶺知事でございまして、それで、そのときに確かに私は、複数の外務省の幹部のおられる前でお目にかかって、一回目は就任なさったばかりに沖縄でお目にかかったんですが、二回目でして、私は間違いなくそういう発言をいたしております。

赤嶺委員 そこは沖縄の新聞でも、稲嶺知事がそういう質問をされたことはないということで報道されておりますので、私は念のためにと思って知事に伺いましたら、確認をいたしましたら、とても遠慮がちに、大変遠慮がちに、そういう質問をされた記憶はありませんということを、もしかしたら記憶違いであるかもしれませんという遠慮も含んでおりますが。しかし、私は、沖縄の知事と外務大臣の話し合いの場で十五年問題がどのようにけじめをつけられているかというのは大変重要な問題でありますので、ぜひそこのけじめはつけていただきたいと思うんです。そこのけじめをつける問題はいいですね。実際どんな話し合いがあってということで。

田中国務大臣 けじめとおっしゃいますが、それは事実でございまして、大臣室の隣の大きな応接間においでくださいまして、複数の幹部のいる前で、一人で入っていらっしゃったんです。お供の方は廊下の外におられました。そこで、えらく十五年とおっしゃったので、私はそのように問いかけました。ですから、稲嶺知事さんの思い違いか何かではないでしょうか。

赤嶺委員 六月四日のタイムスには、そんな話は出たことも、聞いたこともない、田中眞紀子外務大臣が普天間代替施設の使用期限の根拠を知事が説明できなかったと発言したことに関し、当の稲嶺恵一知事は一日の定例記者懇で全面否定。記者懇でも否定していることなんです。私には、もしかしたら私の記憶が、記憶にないことですととても遠慮がちに言っておられますから、そこはそこで整理をしていただきたい。

 それで、十五年使用期限問題について伺いますけれども、この十五年使用期限問題は、外務大臣になる前は、何で十四年や十六年でなくて十五年かとおっしゃいまして、外務大臣になったら、閣議決定の重みを、閣議決定を受けて県民の意見の重みを受けとめて努力したい、こういう答弁もこの間いただいているわけですが、沖縄県のあるいは名護市の十五年使用期限問題が移設に当たっての前提条件になっていることは外務大臣御存じですよね。十五年使用期限問題が普天間基地の名護市への移設の前提条件として何度も政府に提出されてきているということは御存じですよね。

田中国務大臣 はい。

赤嶺委員 一九九九年の十一月二十二日に沖縄県の方から移設に当たっての整備条件というのが出されまして、その中で、そのうちの一つとしてこのように言っています。米軍による施設の使用については、十五年の期限を設けることが、基地の整理縮小を求める県民感情からして必要であること。期限を設けることが基地の整理縮小を求める県民感情からして必要であること、このように知事は言っているんです。

 同じように、名護市は、九九年十二月二十七日に受け入れ基本条件というのを、これもたくさんあるんですが、その中で、当該施設の使用期限というぐあいに書きまして、当該施設の使用期限については、基地の整理縮小を求める観点から、十五年の使用について具体的な取り組みを行うものとする、このように言っているわけです。つまり、受け入れるにしても十五年使用期限が明確でない限りこれは受け入れられません、こういうことを知事も名護市長も申し入れているわけです。

 それで、この十五年使用期限について、いよいよ今月の八日には名護新基地の工法それから場所等について代替施設協議会で議論されるようになっているようですが、県民の一番の不満は、この十五年問題にけじめをつけないで、決着をつけないで粛々と前に進んでいる事態に大変な不満を持っているんです。私たちは違いますよ、私たちは期限をつけて基地を受け入れるような、日本共産党はそんな立場ではありません、基地はつくるべきでないと言っています。しかし、基地をつくることはやむを得ないと言っている人たちの間でもこういう前提条件がついているんですが、この前提条件というのは実現可能なんでしょうか。

田中国務大臣 先ほどの十五年にえらくこだわっていらして、共産党さんは年度は関係ないとおっしゃっていますけれども、これは今確認いたしましたら、四月の二十七日ですから、政権が発足した翌日に一番にいらしてくださっていまして、私を含めて五人がおりました。その席で先ほどのようなことがありましたので、知事さんが御都合が悪くなられたのか、あるいはお忘れになったのかよくわかりませんけれども、五人のところで、私そのときのシチュエーションもよく覚えておりますけれども、そういうことがありましたので、稲嶺知事がアメリカに行っていらしてからどういうことになったのかちょっとよくわかりません。

 そして、十五年の期限ということですけれども、沖縄県がそういうことを付しているという前提条件、いわゆるあらゆる前提条件ですけれども、そういうこと自体はずっと申し上げているとおり重く受けとめております。そしてまた、県知事の考え方ですけれども、それ自身はまたアメリカに対して今後ともずっと、今までもそうでございますけれども、取り上げていきたい、かように考えております。

赤嶺委員 私は受けとめ方を聞いているんじゃないんです。もういよいよそういう工法なども決まりつつあるんですが、知事の方から出された十五年の問題について、期限を決めてやるということは、県民の基地の整理縮小の願いにこたえるかどうかの試金石として問題を提起してきているわけです。

 それで、外務大臣は、沖縄県への基地の一極集中は、私は絶対にそういう立場はとらないんだということを先ほどおっしゃったんですが、それが言葉でなくて実際に外務大臣の仕事としてあかしを立てるためには、この十五年使用期限について明確な決着をつける必要があるんです。

 この点で、外務大臣は外務省の改革、外交の改革ということも言っているわけですから、今までの官僚の流れにとらわれないで、外務大臣がこのことをどうけじめをつけようとなさっているのか。重く受けとめるという話はもういいんです、この外務委員会で何度もやりました。でも、基地の整理縮小に政府がこたえるかどうかの試金石として提起されているこの十五年使用期限問題、見通しはあるんですか。解決できるんですか。

田中国務大臣 おっしゃっている基本的なことはそんなに私そごはないと思いますが、十五年、十五年と何度もおっしゃいますので、やはり知事さんがなぜそこのところをずっと、知事さんのサイドとは違うとおっしゃりながら赤嶺先生言っていらっしゃいますが、四月二十七日の稲嶺知事との私の会談には、北米局長、地位協定室長、それから、ノートテークをする担当官ですけれども、それと、秘書官と私と四人おりまして、そのことが現実にあったんです。ですから、そこのところをしっかり整理しないでおっしゃられても困るなというふうに思いますので、困るなと申しますのは、そんなに喜ばないでいただきたいんですが、稲嶺知事が大臣室にお見えになったときのことですが、それがもうのみ込んだという前提でお話をされると困りますということを申し上げております。

 そして、基本的には、私たちは、普天間の移設については、基本計画の策定、もうこれは耳にたこだと思われるかもしれませんけれども、その早期策定に向けて鋭意取り組んでおります。そして、平成十一年末の閣議決定に従いまして適切に努力をするということになります。

赤嶺委員 私、稲嶺知事の外務大臣との会談で十五年使用期限問題が出たかどうかということは、これは双方にきちんと詰めていく問題で、沖縄の新聞に外務大臣からそういう質問がなかったと言われて、そして私自身、どうだったんですかということを確認もして、ここはここで整理しておかぬといけないなと思いましたので大臣に伺いました。大臣の方から答弁がありました。私、その答弁でいいんです。その答弁を受けてまた次の機会に、新たな問題が起こりましたら聞きますし、問題が起きなかったら聞かないというだけで、そこはそれでもう了としているんです。

 ただ、私が十五年問題を持ち出していますのは、十五年問題というのは、沖縄に、沖縄県民に基地を一極集中させないという外務大臣の言葉が本物であるかどうかの試金石ですよ、基本計画をつくる前に解決しなければいけない問題ですよ、基地受け入れの前提条件になっているんですよ、これをやりますかということを聞いているんですよ。

田中国務大臣 ですから、SACOにも全力的に私たちは傾注してやる、やっていくということをずっと申し上げてきておりますし、それから、沖縄県の皆様の痛みをみんなで自分の痛みとして感じなければいけないということも言っています。そして、普天間飛行場の移設につきましては、アメリカと、米側と緊密に協議をしていく、そして基本計画の策定、早期策定に向けて一生懸命取り組んでいきますということを申し上げているわけでございますから、そこのところを私たちが堅実に着実に実施するように内閣挙げて取り組もうとしているわけでございますから。

 十五年、十五年と、新聞で、また前のほかのケースと同じじゃないですか。新聞でこう言ったから、新聞でこう言ったからということを余りこだわられるのもいかがかというふうに私は思います。

 要は、SACOの実施であり、沖縄県に負荷がかかり過ぎないように、そのためにもっと私たちが全力を挙げていくことが、共産党さんは気に入らないかもしれませんけれども、多くの沖縄県の皆様が待っておられることじゃないんでしょうか。

赤嶺委員 SACOには十五年の使用期限が明記されているんですか。(田中国務大臣「そんなこと言ってないじゃないですか」と呼ぶ)だって、さっきSACOがあるから大丈夫なんだと言ったんでしょう。(田中国務大臣「違います、そこは違います。じゃ、削除していただいて結構です」と呼ぶ)いや、あるんですか、ないんですか。(田中国務大臣「SACOをやると申し上げたんです」と呼ぶ)ですから、SACOの中に十五年はあるかと聞いているんです。質問に答えてください。

田中国務大臣 ありません。

赤嶺委員 ですから、十五年問題というのは、知事や名護市長が前提条件として出しているにもかかわらず、外務大臣、どこでもだれも努力していないんですよ。どこでもだれも努力していないのに、皆さん新しい基地だけはつくる計画を進めている。これは、基地の整理縮小に、一極集中させないために努力しているという言葉とは裏腹じゃないですか。十五年で本当に頑張るというようなことを言うべきじゃないですか。

田中国務大臣 ですから、小泉内閣は取り組むと言っているじゃございませんか。

赤嶺委員 小泉内閣になっても同じ答弁の繰り返しなんですよ。全く一歩も出ていないんですよ。この問題は、本当に皆さんの言っている改革が本物であるかどうかの試金石です。(田中国務大臣「見てください」と呼ぶ)それを答弁できなくて、見てくださいと言ったってしようがないんですよ。十五年が決まらない限り基地はつくりませんと外務大臣がそこで答弁するのであれば、私はその改革の問題についての姿勢を評価しますけれども、答弁席から離れて見てくださいと言われても、これは我々としては見るべき問題ではないというぐあいに指摘をして、次の問題に移りたいと思います。

 次に、国連アジア本部の問題について伺いたいと思います。

 この国連アジア本部問題について、これは三月一日の予算委員会の分科会での河野外務大臣の答弁ですが、沖縄で国連アジア本部をつくってほしい、こういう声がありまして、外務省にも要望が来ていると。これを受けて、河野大臣が、「国連のアナン事務総長が東京へお見えになりまして、私は荒木副大臣と一緒にお目にかかりまして、そして沖縄の今議員御提案の問題等についてアナン事務総長には申し上げました。アナン事務総長は十分理解をされたと思いますけれども、そのときにはまだ、今国連がそうしたニーズを持っていないということでございました。しかし、それは、それならニーズが出てくればいいのかなという感じを持って私はお別れをしたところでございます。」こういう河野外務大臣の答弁なんですね。

 それで、この答弁を聞きまして、つまり、今国連の機関の中には国連アジア本部というのはあるのかないのか、これはどなたか政府参考人で結構ですから答弁してくれますか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 国連アジア本部という言葉でございますけれども、そういう名称で呼ばれておる機関は存在しておりません。

赤嶺委員 そうすると、外務大臣はニーズが、アナン事務総長もニーズがないと。言葉どおり受け取ったら、アジアの人たちは今現在そういう国連機関を必要としていない、こういうぐあいにとらえられるんですが、いかがでしょうか。

谷内政府参考人 先生御承知のように、国連ジュネーブ事務局というのがございまして、これは一般に国連欧州本部、こういうふうに通称呼ばれておるわけでございます。

 今一般に、沖縄の方で国連を重視して、そういう国連アジア本部をつくれ、推進すべし、こういうお考えは私どもとして十分貴重な御意見として承っておりまして、恐らく、国連が新たに事務局をアジアに、すなわちもちろん沖縄につくってはいかがかという御意見だというふうに承っております。

 この点についてニーズがあるかどうか、こういう御質問でございますけれども、国連は、長年にわたる国際社会の強い意向のもとで行財政改革を推進しておりまして、新たな機関を設置することには一般には抑制が働いている、こういうふうに理解しておるところでございます。

赤嶺委員 そうすると、河野外務大臣がニーズがあればよいのかなと感じたと答弁している問題については、アジアに国連本部をつくれというニーズは、日本の外務省の側から働きかけていって、ニーズを、熟度を高めていこう、こういう立場なんですか。

谷内政府参考人 一般に、こういう国連の関係機関をあるところに設置しようという場合に、もちろん国連サイドでどういうニーズがあるかということ、それから現地の方でどれだけそれにふさわしいところであるか、こういうところ、それから現地の方でいろいろ今まで国連関係の、あるいは国際会議がいろいろ開かれて実績を積んでいる、こういうことも必要なわけでございます。そういうことを総合的に考えてニーズがあるかどうかというのを判断するということでございまして、私どもとしては、今、第三者機関にそういったニーズが客観的に存在するかどうかを調査しておるところでございます。

赤嶺委員 ですから、この国連アジア本部というのはアジアの国を束ねるかなり大きな機構で、そのニーズがあるかどうかというのは、アジアの国々と日常的に接触していらっしゃる皆さん方では直ちにわかることだと思うんですが、あるいは外務省としてそのニーズをつくっていこうという計画があるかどうかということを伺っているんです。

谷内政府参考人 私どもといたしましては、沖縄におきましてそういったアジアにおける中心的な存在として事務局が設けられるということは、沖縄県民の熱意という観点からも大変大事なことではないかと思っておりますけれども、やはりそのためには、いろいろな意味での実績をこちらサイドとしてはつくっていく必要があるんではないか、こういうふうに思っております。

赤嶺委員 今の答弁でも、いわゆる国連アジア本部というのはだれがつくるかな、アジアの国々じゃないか、今そのアジアの国々にそういうニーズがあるのかと聞いたら、ないとおっしゃる。こういう中で、この国連アジア本部というようなのはやはり慎重な検討がうんと必要じゃないかなということを考えています。

 もう時間がありませんので終わりますが、外務大臣、やはり私は、新聞に親中嫌米だとかいろいろな書き方をされているのを読んでいて、しかし、外務大臣が安保条約の問題について日本共産党と立場が違うとはいっても、日米外交において自主性を発揮するというのであれば、それは日本の政治の一つの理性の発揮だ、このように考えています。ですから、外国の外相と話し合った中身についても、私は国民の前に全部明らかにして、本当に理性ある外交とは何かということを示していくのも一つの外交改革の方向じゃないかということを申し上げて、もし、外務大臣の気持ちの中に自主的な外交を目指すという方向があれば、それはそれで大いにやってほしいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

田中国務大臣 どこの国も、やはり世界の平和、そして国益の追求をしながら、できるだけの範囲内でもって自主的に外交をやって世界の幸せ、幸福に貢献しようとしているということは何ら違いがないと思いますし、また、話を公開しろ、公開しろと皆様おっしゃいますけれども、外交というのは相手があるものでして、それを公開するというふうなことはまずあり得ないと思っていただいてよろしいと思います。

土肥委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 田中外務大臣、連日の断続的に出てくる報道に対しては私は疑問を持っています。やはり改革に取り組む、特に機密費の問題であるとかあるいはODAだとか、いわゆる利権の聖域的なところにタッチするということは非常に大変なことだと思いますけれども、まずは負けないで頑張っていただきたいと思います。そういう視点から、私はODAの問題を取り上げたいと思います。

 私、公共事業をチェックする議員連盟、この幹事をやっておりまして、全国各地でダムなどの現場、これを視察したり調べに行ったりします。ここの会に、ケニアの水力発電所について、もう参議院でもこの委員会でも議論されているし、御存じと思いますが、ソンドゥ・ミリウ水力発電所の問題、これを検証してくれと。でもケニアは遠いですから、なかなかこれは調べるのが難しい。そこで、質問主意書を出させていただきました。そして、これは小泉内閣になってから答弁書もいただきました。

 まず、事実関係を外務省の経済協力局長に確かめながら質問を進めていきたいと思います。

 まず、八九年の十月に、技術協力の最初の所要資金として六億六千万円の円借款が供与されたんですね。これは、事業実施に先立つ調査や設計や環境アセスや事業規模、あるいは事業費全体の確定、期間、どのぐらいかかるかなどの調査に使われたと答弁書にあるんですけれども、それぞれどのように使われたのか、概要を述べていただきたい。

西田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のように、八九年六月に交換公文が締結された円借款は、事業実施に先立つ環境の影響評価、それから事業規模等の調査、設計のために使いまして、六億六千八百万円でございました。

保坂委員 これは答弁になっていないんですね。つまり、六億六千万円かけて事前調査をやったんです。この事業、八五年にマスタープランが策定されて、随分後になってから始まった。これは税金ですよ。その六億六千万の使い道はどうだったんですか、公表されているんですか。はっきりしてください。

西田政府参考人 ただいまの調査の内容につきましては、環境評価につきましては公表いたしております。基本的には、ケニア側によって行われたものでございますので、いわばケニアのものということになっておりますので、我が方が一方的には公表できないという性格のものであるというふうに理解をしております。

保坂委員 公表しないと言うんですね。ケニア側によって行われたといっても、日本のコンサル会社を使ってこの調査は行われたものというふうに存じ上げています。

 そして、第一期工事、今度は六十九億三千三百万円、これは取水設備、導水路、アクセス道路の整備及びコンサルに対して払われたということですね。それぞれ幾ら払われたんですか。そのぐらい明かしたっていいでしょう。

西田政府参考人 ただいま手元に数字がありませんので、至急請求してお答えいたします。

保坂委員 手元に資料がないから言えない、後でなら言えるということですね。

 公共事業、日本国内のさまざまなところでチェックするといろいろ出てきますよ。畳一枚が何十万円という例も新潟でありました。では具体的にお聞きしたいんですが、この事業に伴って二つの小学校が移転をしたというふうに聞いています。その建設費用は日本円にして四億二千万円もかかっている。ところが、この小学校には電気も水道もまだ整備されていないと報告を受けています。しかも、この小学校に備えられた始業ベル、学校ですからベルが鳴ります、そのベルはドイツ製で九百五十万円。

 これはどうでしょうか。こういう事実、確認できますか。きちっと予算を管理して適正に支出しているかどうか、大いに疑念があるんです。調べてもらいたい。

西田政府参考人 ただいまのベルの件を含めて詳細を承知しませんので、事実関係を精査いたします。

保坂委員 さらに時間を追っていきますけれども、今度は一九九九年、今から二年前、第二期分の百六億円の円借款の供与に当たって、いわゆる自然環境や地域社会への影響について、答弁書にはこう書いてあるんですね。ケニア側の本件計画にかかわる環境影響評価書等を作成したことを受けて、海外経済協力基金がOECFガイドラインに照らして審査を行って確認をしたということなんですけれども、実は今、本件、この水力発電所問題でNGO側が問題にしているのは、あるいは住民の中から声が上がっているというふうに伝えられているのは、工事に伴っていろいろな自然環境へ影響が出たじゃないか。例えば泉がかれてしまっただとか、あるいは住民への説明不足、いろいろなことが言われていますね。

 このケニア側の環境影響評価書というのは、これは九六年以前に作成されたものじゃないですか。九六年以前に作成されたもので、九九年から始まった、そういう工事の影響をこれは反映されないですよ。その点はどうですか。

西田政府参考人 これは先生御案内のとおりに、第一期それから第二期と、いわば全体として一つのプロジェクトになっておりますので、第一期のときに行いました環境評価、それをまた、ただいま御指摘のとおり、JBIC、当時は旧輸銀、OECFでございますが、そのガイドラインに従いまして精査をした結果として認めたものでございます。

 なお、先般もいろいろ御指摘等ございました。NGO等からも御指摘がございまして、本年三月に、JBICから補足的に新たなミッションを出して、環境、社会問題について精査をいたしてきたところでございます。

保坂委員 先日も外務省とJBICから説明に来ていただきまして、随分聞きました。答弁書も、全部これは問題ないということなんですね。全然問題ないのだと。私が聞いていること、これはNGOからいろいろ出してもらって、私なりに整理をして質問主意書を出しているのですね。

 資料を配付しましたので、ちょっと見ていただきたいのですが、例えば一点目の資料に、これは一、二と一緒に刷ってありますけれども、二のところに、共同通信の配信記事なんですが、実は、地元の住民集会に参加をしていた日本人記者が、プレスカードも持っているのにケニアの警察当局から逮捕されてしまった、こういうことを配信しています。

 そして、このことについて、日本大使館はケニアの当局に対して抗議しているのですか、こういう事実を確認しているのですか、どうでしょう。

西田政府参考人 本件につきましては、累次の大使館――他の問題も含めまして、先方に対して照会をいたしております。

 それから、私たちの理解では、現在、ケニア側による司法手続の中でもって調査をされているというふうに伺っております。

保坂委員 現地の日本大使館は、取材中の記者が住民も含めて逮捕されてしまった、こういうことに対して抗議をしたのじゃないのですか。抗議をした結果、どういうふうにケニア当局から答えが返ってきたのか、簡潔に答弁してください。

西田政府参考人 当方からの照会に対しまして、先方は、本集会は州知事への事前の届け出をせずに行われたものであり、通報を受けた現地の警察当局が出動し、集会を解散させ、その間におきまして、記者七名を含む十七名が逮捕され、拘束をされた後、数時間後に解放されたという経緯があったということを述べたところでございます。

保坂委員 取材中の記者も逮捕されるということがあった。

 次の資料を見ていただきたいのですが、資料の三、四、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、写真をつけておきました。これは、昨年の十二月に、アフリカ・ウォーター・ネットワークというNGOのオデラさんという方が、囲まれて銃撃をされた。左側の方が、車がタンクローリーなどによって進路をふさがれて、とめられている様子。そして、右側の方が、サイドミラーがもぎ取れていますよね。銃痕も、コピーで見にくいかもしれませんが、見てとれる。

 こういうことが起きているではないかということを質問主意書で問うていますけれども、外務省、どうですか。やはりこういう銃撃の事実はあったのじゃないですか。このオデラさんは、おまえを殺せというふうに警官の上司が命令をしているのを聞いて、身震いをした、大変けがもして、負傷も負った、そういうふうに証言しているのですね。この点についてどうですか。

西田政府参考人 本年一月の住民集会におきましては、我が方からも、自由な意見交換が行われることを希望しまして、参加制限等を行わないよう、ケニア側に十分に申し入れをいたしました。その結果、ただいま委員の方から御指摘のありましたような事件があったということになっておりますが、まさにその事実関係を含めて、現在、ケニア側の司法手続の中で明らかにされるものというふうに理解をしております。

 また、同集会に関連しまして、問題点を指摘しようとする人々に対する脅迫があったという事実は、現時点では確認されていないというふうに私たちは承知をしております。

保坂委員 また次に、資料をつけておきました。ナンバー五ですけれども、この中で、オデラさんは、サイドミラーを壊されて、車からおりた警備員らに、おまえが事を荒立てた張本人だと叫ばれて、殴られた、そしてその後、その警官らに包囲され、発砲された、運よく一命は取りとめたが、こういう内容になっています。

 これは、事実は一つしかないだろうと思います。ケニア側の司法手続でそれはやられているのでしょう。しかし、日本は、ODAの四原則で、例えば、環境と開発を両立しようとか、あるいは開発途上国の民主化を促進させるということを前提に置こう、こういうことを原則として持っているわけですから、ダム建設に対する問題点を指摘するような方がこういう暴行に遭うというようなことは、これは許されないのじゃないか。

 これは、田中外務大臣、いかがですか、ここまで聞かれて。

田中国務大臣 私はいつも思うことなんですけれども、こういう事件、例えば誘拐事件とかなんかも、今それも私はチェックして、このとき大使館は何をやっていたのかと。最近、特にNGOが活発で、環境問題とかこうした開発問題でいろいろトラブルが起こるときに、NGOが前に出て大変よくやってくださっているということがあるのですが、そういうときに大体我が国の大使館というのは何をやっているのだろうといつも思うのです。

 別の点で時間をあれするといけませんけれども、基本認識に関連しますからお話しさせていただきたいと思いますけれども、前の科技庁長官のときだったのですが、ある会議で、国際会議なのに情報が入りませんで、役所は幾ら言ってもだめなんですね。私、知り合いの商社にばっと言ったら、だだだっと情報が来ましたよ。それで、それは正しかったのですね。

 ですから、ODAトータルですけれども、委員のおっしゃっている、この質問を見ましても大体論点はわかるのですけれども、きょう、午前中はお見えになったかどうか、私、ずっとODAについて言っていますけれども、聖域なき改革ということをこの内閣は言っておりますけれども、やはりこれは人間の言ってみれば安全保障みたいなものだという面もあると思うのですね。それは、地球上にともに生きる人間としての連帯感とか共生とか、そういうことでもって、我々の納得いくような税金の使い方をしなければいけない。

 ただし、それは、きょう言ってあしたというものじゃないのですね。ですから、長い目で見ていって、これの場合は何年と言われましたか、全部で十数年たっていますよね。(保坂委員「十六年」と呼ぶ)十六年目ですよね。ですから、そういう中でもって、しょっちゅう、やはり国が責任を持って、アラートになって、常時チェックをしてフォローしていく、何かがあったらそれを本国に言って、やはり見直しをするなり、適切なアドバイスをするなり、そして、どうしてもこれが必要であれば、さらに推進するためにどのような手だてがあるかというために、NGOでも、あるいは現地等のいろいろな方からの意見を聞きながら、ところが、政権がかわるとか、いろいろな政治的なファクターもありますから、すべてがすべて理想的にいくとは思いませんけれども、やはりそういうフォローアップといいますか、そういうことがなければいけないと思います。

 そして、やはり出先の大使館が何をやっているかということですよね。兼轄であれ何であれ、世界じゅうに日本は大使を送り込んでいますので、大使でなくても館員の皆様も御熱心な方もたくさんおられるわけですから、そういうような国民にかわったチェックというものをやっていくべきだというふうに思います。

 そして、このことも聖域なきでございますので、外務省がやる見直しの中でリストにもちろん含めますし、その結果、推進になるかもしれませんし、中止になるかもしれませんけれども、客観的な評価というものをしてまいりたいというふうに思っています。

保坂委員 はっきりした答弁だったと思います。そういう意味で、やはり今ターニングポイントで、ODAでこういう、一たん決まったら走り出して、もう全然チェックはされないということではやはり困ります。

 それで、人権上の資料をたくさんつけたのですけれども、その後についているのは、これは住民集会があったのですね、ことしの一月でしょうか。その住民集会の後に、三人の住民の方が工事関係者から暴行を受けた、このことについて抗議をする手紙とその診断書なんです。私は質問主意書を政府に出して、すべて問題ありませんというふうに回答が来たのです。そして、JBICの方も現地に行かれて、非常に平和的にやっていて、この事業は何ら問題ない、そういうふうに断言しているんですね。

 かなり詳細に、十項目にわたって質問をしたんですが、全部問題なしというふうに答えるに当たってはどういう調査を外務省はしたんですか。今、田中大臣もおっしゃいました、現地の大使館は何をしていたと。そして、どのような調査を踏まえてこういう答弁をしたのか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘のようなJBICのミッションでありますとか、累次にわたります日常的な大使館と先方政府及び事業主体との対話を通じまして、今委員の方から言及のございました環境、人権問題も含めて、これは非常に詳細にかつ厳しい形で我が方の考え方は提起をしてきておりまして、そのような結果を踏まえてそのような答弁書を、答えを書かせていただいた次第でございます。

 それから、その中でも私たちが指摘させていただいておりますのは、まさに今委員が御指摘の集会がございました後にできました技術委員会というものが、その中にはまさにNGOの代表の方も入っておられるわけでございますから、それらの中でもっていろいろな問題については継続的に取り上げて、必要なら対応措置をとっていくということが、ケニア側自身の努力がなされておりますので、その中での努力を尊重したいと思っております。

保坂委員 それでは、財務省、ちょっとお話し中のようですが、よろしいでしょうか、国際局長。

 大蔵省改革で当時議論させていただきました。今回は、財政構造改革が言われる中で、これは聖域はないんだ。これは二百億円近い、これから百億というのは、決して少ない額じゃなくて、大変大きなお金ですよね。これが、いろいろ懸念や指摘が、国会での議論もありました。その以前にNGOからもいろいろ指摘があったでしょう。そういう声が財政当局に届いているんでしょうか。

 そしてまた、今外務省がいろいろ答えられましたけれども、資料をごらんになって、やはり、こういうことを踏まえて、どのように今後いわば最終判断も含めて受けとめていくか。このことについてどうですか、財務省から。

溝口政府参考人 円借款の供与につきましては、JBICの調査とかを踏まえまして、政府の中で関係省庁幾つかございまして、まあ外務省中心でございますけれども、財務省あるいは経済産業省等で内容をよくチェックいたしまして最終的に結論を出しているものでございます。本件につきましても、ケニアの経済社会状況あるいはプロジェクトの内容、効果等々を慎重によく検討して、適切に対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。

保坂委員 外務大臣に再び伺いたいんですけれども、いろいろ細かなことは、もう時間がありませんから。

 これはケニアの中でも今大問題になっているようです。そして、これは、途中で工事がとまればそれは何の意味もないものが残るということになるでしょう。ですから、本当に必要なのは、こういう事実がどのようにあったのか、あるいは疑念が、いろいろ具体的に出しましたからね、こういうものをやはり客観的な立場できちっと調査をしていただきたい。

 それから、本当にこのような、威迫といいますか、脅迫的なことも含めて、いろいろデータを出していますから、調査をこれはもうきちっとするべきではないかと思うんですね。政府として再調査するべき案件だと思いますが、いかがですか。

田中国務大臣 ODAはたくさんのものがありまして、きのう、先ほど来申し上げている中でもたくさんのものがありますので、それらについてできるだけ精査をするようにということは言ってございますので。

 ただ、すべては、やはり初めは善意から始まっていまして、よかれと思って始めているわけでございますから、たくさんある中で今私はできるだけ評価をしてもらうようにしていまして、先ほどほかの委員にもお答えしたんですが、これは今うまくいっているし、二重丸とか、一重丸とか三角とかやっていただいております。それでもって、三角っぽいものについては、やはり全部行くわけにはいきませんから、これもまたコストがかかりますので。したがって、できるだけ現地に指示をして、こちらの段階で、今ある情報でもそれが三角であれば、もちろん現地で調査をするのは当然だと思います。

保坂委員 後ろで手を挙げておられるので外務省の局長にも伺いますけれども、これは答弁書の作成の時点ではこうだったでしょう。しかし、これはケニアでも大きな問題ですよね。そして、日本のODAの今後のあり方を問う意味でも、これはもう時を余りかけるわけにはいかないという段階だと思います。

 こうした疑問点についてきちっと答える、調査の必要はないと答えているわけですから、やはり調査をきちっとすべきだ。この点についてどうですか。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま大臣の方から御発言がございましたが、大臣は、五月二十九日、参議院の外交防衛委員会でまさにそのような趣旨のことをおっしゃいました。直ちに私たちは、五月の三十一日、在ケニア大使館青木大使より、先方財務省及び実施団体幹部に対して、詳細にわたる我が方の立場を、真剣な考え方というものを伝え、先方はそれに対して、先ほど申し上げました技術委員会等の場を通じ、それからさらに、政府としてもこれについては真剣に対応していく、ただし、ケニア政府としてはこれは非常にいいプロジェクトなのでぜひ進めてもらいたいというような趣旨のことを回答をいただいております。

 それからもう一つは、現地の報道ぶりも私たちも集めてもおりまして調査しておりますが、ぜひ案件を続けてもらいたい、いろいろな問題点についてはまさにそのような定期的な場を使って解決していくことが望ましいという意見がどちらかというと多かったように私たちは理解をしております。

保坂委員 外務大臣に伺いますけれども、先ほど、一番最初のやりとりの中で、工事に着手していくときのアセスだとか計画の策定だとか、六億何千万ですか、そういうものについては公表されていないんですね。どういう事業の見通しがあるのかということについて、これだけの巨費を投じるODAについて、やはり国会に情報が公開されるべきだろうし、そして、第一期のこの事業で六十九億ですか、そういう中で、先ほど一例ですけれども小学校のベルが九百五十万という話をしました。これは本当に確認をしていただきたいと思うんです、そのベルのことだけじゃなくて。

 これは、国際的に評価の高い監査法人などに、ちゃんとこの予算は本来の目的のもとに使われているかどうかということをやはりチェックする時期に入っているんじゃないでしょうか。そういうことについても、これは聖域じゃないと思いますが、いかがですか。

田中国務大臣 聖域であるとは思っておりません。要は、最近になってやっと日本も言われてきていることですけれども、アカウンタビリティーとディスクロージャーの問題なんですね。説明責任があって、そしてやはり開示していかなかったら、なかなか、国民の皆様が税金を納めている立場で得心のいってもらえるようなODAは、できると思っておりません。

 ですから、特殊法人もありますし、このODAの問題もありますし、聖域なき改革ということをこの内閣は言っておりますけれども、特に莫大な費用のかかるものにつきましては、私、午前中何度も言ったことの繰り返しになりますけれども、やはり世界じゅうで今ODAというものは減ってきていて、それは援助疲れが出てきているということなんですよね。日本もそれは含む。理念なき援助は不況になればもちろんだめになりますよと。しかし、理念があってスタートしていても、今おっしゃるような環境の問題があり、なおかつ、その途中でもって人命にかかわるような事故があったりする。それがあっても、さらに結果として、そういうものが遂行されてでき上がることが本当にその地域の方が喜ばれることになるのかどうか、これはなかなか判断が難しいですね。

 ですから、そういうことを含めながらしっかりと見直していく。そして、進めるものは進めます。それから、やはりカットオフするものはカットするということで、いずれにいたしましても、情報を開示しながら、全員の方の納得は無理だと思いますけれども、必要最小限、皆様の御理解を得ながら、政府の責任において遂行するべきものはするというスタンスでございます。

保坂委員 世界じゅうたくさんのODAが広がっています。ですから、すべてを洗いざらいというわけにいかないでしょう。

 ただ、このケニアの件については、いろいろ問題の指摘もあった、国会での議論もあった。そして、外務省は十分だというふうに言っていますけれども、しかし、実際に聞いてみると、調査に行かれたのはJBICの方で、いわば内輪です。そういうところで、具体的にだれに会ってどのようにインタビューして調査したのかということは、公平な立場で、むしろ事業に関与しない、第三者性を持っている、そういうところがきちっと調査をして――私はこれはケニアにとっても不幸な事態になっていると思うんです。だから、日本のODAの開発思想というものが、大きなものをどかんとつくる、こういう発想から、やはり地元の住民やその国の経済にとってもっと細かく寄与できるように、比較的小さなものを丁寧にたくさんつくっていく、そういうふうに転換をしていくいい機会なのかなというふうにも思っています。

 そこのODA改革に向けた決意を最後に伺っておきたいと思います。

田中国務大臣 第三者によるチェックということをおっしゃいました。私もまさしくそう思っています。ですから、やはり企業とか一般市民の参加といいますか、プレーヤーを広げるというか、国だけがやるのではない、そういうことが結果的には正しいチェックにつながると思います。

 ですが、その前に、私が先ほど来言っていますように、出先の大使館は大体何をしているのか。政府で決まったんであったらそのまま、ほい来たほいで認めていく、追認するのではなくて、もっとフットワークをよくして見ていく。そして、NGOであり、第三者からの指摘がなくても本来はポイントアウトできるぐらいな、そのぐらいの大使館であるということ、出先機関であるということが、自立した外交でもあるし、自立した日本の国家になると思います。そういうことによってどこの国に対しても直言もできるし、責任もとれる、それが私たちが目指す日本の外国とのかかわりのあり方でもあるんではないでしょうか。

 これをもってお答えといたします。

保坂委員 ODAの改革について、特にこのことは日本国内の構造的にゆがんでしまったものを輸出しているようなものもありますから、やはりそういうことを正していく、それでカットするものはカットしていく、おかしなものはやめていく。そして、特に現地の経済やそれから住民の人たちに余計な混乱を持ち込んだり、あるいは憎悪を増幅させていくというようなこともあるわけです。この工事がとまったらどうなるんだということは確かに大きな問題です。しかし、その過程で、十分な説明があり、そして予算がきちっと正確に使われているという検証があることが大事だと思っている。私たちも調査をしたいと思っています。

 ぜひ田中大臣にもその点頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

土肥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会




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