衆議院

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第13号 平成13年6月13日(水曜日)

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平成十三年六月十三日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 土肥 隆一君

   理事 河野 太郎君 理事 下村 博文君

   理事 鈴木 宗男君 理事 米田 建三君

   理事 安住  淳君 理事 桑原  豊君

   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君

      池田 行彦君    小島 敏男君

      高村 正彦君    桜田 義孝君

      下地 幹郎君    虎島 和夫君

      中本 太衛君    原田 義昭君

      宮澤 洋一君    望月 義夫君

      山口 泰明君    伊藤 英成君

      木下  厚君    首藤 信彦君

      中野 寛成君    細野 豪志君

      松原  仁君    丸谷 佳織君

      東  祥三君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君    柿澤 弘治君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   外務副大臣        植竹 繁雄君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   外務大臣政務官      小島 敏男君

   外務大臣政務官      山口 泰明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  古井 俊之君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長

   )            槙田 邦彦君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   外務委員会専門員     黒川 祐次君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  前田 雄吉君     松原  仁君

  土田 龍司君     東  祥三君

同日

 辞任         補欠選任

  松原  仁君     前田 雄吉君

  東  祥三君     土田 龍司君

同日

 理事土田龍司君同日委員辞任につき、その補欠として土田龍司君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件




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     ――――◇―――――

土肥委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員下地幹郎君の質疑に際し、外務省北米局長藤崎一郎君及び環境省総合環境政策局長中川雅治君の出席を、委員上田勇君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君の出席を、委員安住淳君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君及び外務省北米局長藤崎一郎君の出席を、委員木下厚君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君、外務省アジア大洋州局長槙田邦彦君、外務省北米局長藤崎一郎君、内閣官房内閣参事官古井俊之君、防衛庁防衛局長首藤新悟君及び防衛施設庁長官伊藤康成君の出席を、委員赤嶺政賢君の質疑に際し、防衛施設庁長官伊藤康成君の出席を、また、委員東門美津子君の質疑に際し、外務省大臣官房長飯村豊君及び外務省北米局長藤崎一郎君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土肥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。

下地委員 おはようございます。きょうは沖縄問題を中心に御質問させていただきたいと思っております。

 きょうの沖縄タイムス、琉球新報という新聞があるのですけれども、それの内容を見ますと、六月八日に普天間の移設の工法が発表になっているわけなんですけれども、地元、国、県に対して不信感というものが数多く出ているのですね。

 これは、両紙全部一緒なんですよ、何でこんなに不信感だとか、出ているかといいますと、基地問題をやる上で、一つの前提条件みたいなものを崩しちゃったところに沖縄の不満みたいなものが出ているのですね。使用協定をないがしろにしている、使用期限の問題の方向性が出てこない、環境問題がどうなっているのか、こういうふうなことがこの新聞に書かれているのです。

 大臣にもきのう、政府委員から、こういう普天間の移設についてという資料をお渡ししていると思うのですけれども、私は、普天間の移設の条件は大きく三つの柱があると思っているのですね。一つは基地問題、一つには経済政策、一つには環境問題、この三つが同時進行していかないとなかなかうまくいきませんよということをずっと申し上げてきました。

 基地問題は四つあります。基地の整理縮小がどうなるのかというのが一点、そして地位協定の問題がどうなるんですかというのが二点、そして使用協定、新しい基地ができたら、どこを飛ぶのですかとか、日曜日は休むのですかとか、そういうような使用協定の問題が三点、そしてもう一つは、今稲嶺知事が言っている十五年問題、使用期限の問題、この四つが基地問題の大きな課題になっている。

 経済政策としたら、沖縄県の経済、全体の経済、北部の経済、そして受け入れ先の経済、そして基地建設に伴う経済、この四つが枠組みになっている。そして、環境政策のところになると、ジュゴンの問題や騒音の問題や北部全体の環境問題。

 この十一項目といいますか、大きな三項目の中にある十一項目が同時に進行しないとだめですよという話をずっと内閣府を初め防衛施設局にもやってきました。

 しかし、六月八日に工法をどばんとお出しになるというから、おやめになった方がいいですよ、環境問題だとか基地の今の四つの項目なんかが全く解決していない中で、工法だけどばんと出るとこういう結果になりますよというふうなことをアドバイスしたにもかかわらず、どばんとお出しになる。結果はもう、不信感だとか、うまくいかないだとか、そういう話にどの新聞もなっているし、私が聞いている名護の反応もそういうふうな形になっております。

 なぜ、僕が六月八日をやらない方がいいですよと言ったのは、新しい政権になって、六月の三十日には総理が行くじゃないですか、初めてブッシュさんと会談するんじゃないですか、そして中谷元防衛庁長官も訪米するんじゃないですか、田中外務大臣も訪米をなされる、あのころ、決定はしていないけれども、訪米をなされるというふうなことがある。三人の大臣が訪米をされる中で、いろいろなことを、沖縄問題をおっしゃる。そういうことによって、この内閣が沖縄に対して真剣かどうかというのが沖縄県民にもわかってくる。そういうのは真剣にやってもらえると思っていますから、真剣だとわかっている中でこういうふうな話にいくとまだいいんだけれども、全くそういうのがわからない中でやるというのは少し問題がありますよというふうに僕は言ったわけです。

 だから、言えば、内閣の連携がとれていないというか、そういうふうなものがちょっと見え隠れしているなということをこの普天間の問題でも感じているのです。

 大臣、地位協定も簡単なんですよ。今、北米局長いますけれども、もう大体具体的なところまでいって、改定というのは簡単にいきませんから、その他事項の追加ということを真剣に考えていて、その方向でできるはずですよ。使用協定なんかも、いつごろまでにつくります、基地が建設されてできるまでの間、いつごろまでには使用協定をつくりますよというふうなことを決めれば大丈夫なんですね。だから、僕は、この二つは難しくなくて、わっとできると思うのですね。

 今度の訪米で大臣にやってもらわなければいけないのは、十五年問題、知事が言っている使用期限の十五年問題というのを、まず大臣がきちっと訴えなければいけないと思います。

 もう一つは、この前の委員会でも私が質問させていただいた、基地の訓練のローテーション、フィリピンとかグアム、それにおける訓練のローテーション。削減ということを言うと、今の海兵隊はなかなか受け入れない。今の状況の中で、プレゼンスだとかアジアの軍事バランスだとか、そういうふうなことを考えると、削減という表現はいかがなものかなと僕は思っておりますから、訓練による沖縄の基地の軽減、そういうふうなことだったらアメリカもできるというふうに僕は思っているものですから、まず一点目にお聞きをしたいのは、大臣が、この訓練のローテーションに関して、アメリカにこれをお話しする気持ちがあるのかということ、そしてそのことに関して強く訴えていこうという気持ちがあるのかというのが一点。

 それと、十五年問題について、パウエル国務長官とお会いになるわけですけれども、どれぐらいまで、稲嶺知事が真剣に考えている十五年問題をお話をしたいというふうに思っているのかという、この二点をまず御質問させていただきたいと思います。

田中国務大臣 沖縄の太陽でいらっしゃるそうですので、謹んでお答え申し上げますけれども、私は、再三再四、着任以来各委員会で申し上げておりますけれども、沖縄の県民の皆様が抱えておられる痛み、苦しみを日本国民みんながみずからの痛みとしてとらえるようでなければいけないというふうに思っていますし、私は、国会議員としても、この職と離れても、日本人が今後、受益と負担ということの意識をしっかり持つべきであるということをずっと感じてきております。

 それは、こういう安保の関係、安全保障に関することは言わずもがなですけれども、経済の問題にいたしましても、それから社会保障の問題にいたしましても、日本全体を見ますと、だれか一部の人だけに負担をしてもらって、そして自分だけ楽な思いをして人生を全うするということは、これは間違っていると思いますね。そういう意識をやはり各ジェネレーション、それぞれの立場で、自分なりにどのような受益と負担があるのかということを冷静に考えるというような、人づくりといいますか、そういうふうな社会をつくっていかなければいけないというふうに思っています。

 そうした発想に立脚しまして、この沖縄問題は、私はもちろん正面からとらえてまいります。相手があることではございますけれども、やはり日本の政府ですし、日本の外務大臣ですから、日本の声、それを私は伝えます。

 米軍の、主に海兵隊を言っていらっしゃるのでしょうけれども、移設ではなくて、要するに訓練のローテーションですよね。その問題も再三再四あらゆる政党の方から伺っておりますので、それについては必ず具体的にプロポーザルもいたします。それから、かねてから御熱心に言っていらっしゃるフィリピンやら、それからグアムですね、そういうところの訓練の問題も、それを絡めて確実に必ず発言をいたしますことをお約束いたします。

 それから、もう一点の問題の、使用期限の問題ですが、これは国対国が話し合い、契約をしているわけでございますから、それをもちろん発言をいたしますけれども、これはやはり現場の声とか、現場といいますとアメリカの方の意見もあると思いますので、ですから、使用期限についても触れますが、アメリカの意見、立場という問題も聞かざるを得ませんので、こちらが勝手に言いっ放しで、言いましたよ、終わりというわけにはいかないのですから、先方の御意見もしっかりと聞いてきてお答えをします。

 これで二つお答えは終わったのですが、トータルのことを少し申し上げますと、やはり日米安保という問題がまず基本にございますね。私は、日米同盟が大事である、基軸であるということは、私の信念で思っておりますので、ですから、そのことはもちろん話をいたします。

 それから、いつも言われているのは、外務委員会に関係ないとはいいますが、実際は密接不可分な問題として経済問題がありますので、新しい政権ができ上がって、どのような経済問題を外国との貿易で頭に描いておられるか。竹中大臣も一番にアメリカにいらっしゃいましたし、それから財務大臣もいらしていますので、そういう意見を閣内で聞いておりますけれども、それらもすべて勘案して、アメリカ側が、どういうスタンスで日本とつき合おうとしておられるか、ほかの国との経済でどのような展望を持っている内閣であるか、そういうものも確実に聞いていきたいと思います。

 それから、先ほど御指摘なさった地域情勢の問題、これは中国ですとかあるいは朝鮮半島の問題ですね、このアジア太平洋地域全体の問題。これについてもグローバルに、どういうようなストラテジーがあって、どういう最終的な決着点を見出そうとしておられるか、これも伺わなければいけないと思っています。

 それからあとは、環境問題として、いわゆる一般の環境もありますし、同時に、エイズでありますとか感染症の問題とか組織犯罪とか、そういうものも密接不可分の問題としてございますから、それらについても虚心坦懐に、聞く耳はしっかり持って、そしてこちらが申し上げるべきことははっきりと申し上げてきまして、そしてそれを国民の皆様、もちろん委員会を通じてになりますけれども、メディアを通じて、そしてもちろん小泉総理大臣に御報告をいたします。

 閣内で意見の疎通がないということは決してないのですけれども、閣議後の懇談会というのは全部の省庁にわたることをやりますので時間が限られております。したがって、先週と先々週でしたか、二回にわたって総理の執務室で、中谷長官と私が伺いまして、そして総理の基本的なお考え、我々の意見も率直に申し上げておりますので、そごを生じているとか、行き違いということは一切ございませんので、そこのところは御確認いただきたい、御認識いただきたい、かように考えます。

下地委員 大臣、今明確に訓練の問題はお話をするというようなことであります。グアムとフィリピンの問題ですね、それもしっかりと、私は御理解いただけるのではないかなと思っていますから、ぜひお話をしていただきたい。

 それで、十五年問題は一回行って解決できるような問題ではありませんので、まず、新しい政権も十五年問題、真剣にやりますよというふうなことをお話をするというのが一点あると思うのですけれども。アメリカは今拒否反応が強いのですよね、十五年問題には、実際的に。だから、拒否反応が強いということはわかっているのですけれども、この十五年問題をアメリカと協議をする場を設ける、このことも私は大事ではないかなと思っているのですね。一回、だから、事務的に積み上げる作業の中の、事務的に作業を積み上げましょうねというふうな、どこかに日米間でプロジェクトチームをつくるというふうなことをおやりになることも私は必要ではないかなと思っているのです。

 今トップ会談で、できる、できないという話ばかりをやっているわけですけれども、その中を、今度の外相会談の中でこれまでつくれるかどうか、このこともぜひ御協議をいただきたいなというふうに思っているのですけれども、いかがでしょうか。

田中国務大臣 協議の場をつくるということはちょっと難しいかと思いますが、取り上げるということはやぶさかではございません。

 それから、稲嶺知事がアメリカにいらしたばかりですので、私から、十五年問題、アメリカ側にお話しなさったのですか、どの場でどういうふうにそういう数字を出されましたかとお尋ねしてありますが、全部取りまとめてお返事くださることになっていて、まだ来ませんので、こちらは待っている状態でございますので、どうぞ沖縄県選出の議員の先生方、知事さんにお聞きいただきたい。(発言する者あり)これはあくまでも政府と政府の話でございますけれども、そこのところを申し上げたいと思いますが。

下地委員 赤嶺さんは知事に伝えられないので私が伝えますから。

 それで、ちょっと話がずれますけれども、環境問題で、環境省、来ているのでちょっと質問をさせていただきたいのですけれども、この普天間の問題は環境アセスをやるというのが内閣の閣議で決定されていますよね。

中川政府参考人 環境影響評価法におきまして、滑走路二千メートルの飛行場は第二種事業に、また五十ヘクタールを超える埋め立ては第一種事業に該当することから、第七回代替施設協議会で提示されました事業は、環境影響評価法が適用される事業ということでございます。

 それで、普天間の飛行場代替施設につきましては、平成十一年十二月の閣議決定によりまして、環境影響評価の実施が定められているところでございます。

下地委員 環境調査、それと環境影響評価法、環境アセスですね、これとの違い、環境調査をしましたというのと法律上にのっとった環境影響評価法との大きな違いというか、それは何でしょうか。

中川政府参考人 環境影響評価法では、事業者が法律に基づく手続に従いまして環境調査等を行い、これを踏まえて、評価書、つまりアセスの結果でございますが、これを取りまとめた場合、これに従って環境配慮をしなければならないことが法律上規定されております。

 なお、防衛庁による環境調査は、代替施設協議会における総合的検討に資するための調査であるというように理解をいたしております。

下地委員 重みはどこがあるのですか、重みは。

中川政府参考人 重みと申しますと、環境影響評価法上の環境影響調査というのは、これは法律上の調査ということでございまして、今先生おっしゃっております防衛庁による環境調査というのは、これは法律に基づく調査ということではなしに、協議会における検討に資するための調査、事実上の調査ということで、意味合いが違うというふうに思います。(下地委員「重みはどっちがあるのですか」と呼ぶ)その重みでございますけれども、法律上の調査というのが重いというふうに御指摘になるのであれば、それは法律上の調査というのが重いということだと思います。

下地委員 そうなのです。環境影響評価法の調査の結果の方が重みがあるに決まっているのですよ。それは法律上決められているわけですから、これは義務もあるわけですから、それは重いに決まっています。

 三番目の、私が言いました基地問題、田中外務大臣に質問させていただいて、基地の問題をやりますよという話をした。あと、経済政策は内閣府の中でいろいろとやられている。あと、沖縄の普天間の問題で一番不安に思っているのがこの環境問題なのですね。だから、今環境調査をしたという形でどの地域に決めるというのではなくて、評価法の環境アセスを、今おっしゃった、重いと言われる環境調査を入れるということ、これは非常に大きな意味があると僕は思うのですね。

 それで、今の段階で、一つに絞ってから環境アセスを入れるというのが防衛施設庁の考え方でありますけれども、そうではなくて、二つでも三つでも、多くて四つでもいいですよ、四つでもいいですから、位置も規模も決めて、それで環境アセスを入れる、そしてジュゴンの問題から藻場の問題から、いろいろな問題が出てきて、それの優しいのも一つの基準として、位置を決定するだとか工法を決めるだとかとやった方がいい。今言っているような、一本に絞ってから環境アセスを入れるのではなくて、三つのものを環境アセスを入れてやった方がいいというふうなことを私は申し上げさせていただいているのですけれども、環境アセスを三つの工法で入れる、やれるということは法律上大丈夫なんですよね。できますよね。

中川政府参考人 現在、第七回の協議会において提示されました複数案をもとに、地元及び代替施設協議会で総合的な検討が進められておりまして、今後、一つの事業案に関する基本計画が策定されるものというふうに考えておりますが、今御質問のとおり、基本計画が複数の事業案を定めた場合、これらを事業者が選択するならば、法律上、複数の事業案についての環境影響評価を行った上で一つの事業案を最終的に決定するということもあり得ると思いますし、また、これら複数の事業案をさらに検討した上で一つの事業案について環境影響評価法を適用する道筋をとるということもあり得ると思います。

 これは、いずれにいたしましても、基本的には事業者の御判断ということだと考えております。

下地委員 事業者がお決めになって、複数案を提示して、それで環境アセスをして、それから一つに絞り込むという作業は、法律上拒まれるものではないというふうな認識でよろしいんですね。

中川政府参考人 法律上、それを拒むというようなことにはなっておりません。

下地委員 大臣、お聞きいただきましたように、この沖縄の普天間の移設の問題、非常にデリケートな問題がいっぱいあるわけですね。環境の問題にしてもそうだし、先ほど私が大臣に御質問させていただきました四つの基地問題、使用協定や使用期限や地位協定の問題や、そして削減の問題、削減というかローテーションの問題というようなものがある。そういうふうな中で、この問題が一つに、流れになってくるわけなんです。

 私は、先ほども尾身大臣にもこのことをお話をさせていただいたんですけれども、慌てず、こういうふうな問題が一列に並ぶまで、今は経済政策ばかり突出して、基地のこの問題もおくれている、環境問題もなかなか理解が示されない、だから、今のようなことをやって、環境問題も挙げておく、そして、今大臣が言っているようなこともやりながら基地問題に対する政府の姿勢も見せる、経済政策も今までどおりやっていって、同列に並ぶような状況になってから、今の工法だとかなんとかの話がどんと出てくると、沖縄の人はすっとおりる。しかし、経済政策だけぽんと出て、あとの環境の問題は何をやっているかわからない、基地の問題も、国はどういうつもりなのか全くわからないで、こういう話ばかりどんと出ても、きょうのような結果になる。

 だから、大臣、この問題をぜひ内閣で、担当でお話しになる、基地問題は外務省、防衛庁、そして経済問題は内閣府、環境問題は環境庁、各省庁でもっと連携をとって、こういうふうなスキームをつくっておかないと、この問題はうまくいかないんですよ。そこをしっかりと御認識いただいてやっていただきたいというふうに思っているんです。

 だから、大臣のところでは今の基地問題をやっていただくんですけれども、全体としてそういう流れで進まなければいけないという沖縄の基地問題に対して、どういうお考えをお持ちなのか、ぜひお願いをしたいと思います。

田中国務大臣 今環境庁にお聞きになっていましたけれども、十日ぐらい前でしたか、一週間前でしたか、官邸の大食堂の方で、沖縄県の知事さん以下、町村長もお出になりましたし、それから我々関係の閣僚が小泉総理以下出まして、この移設についての話、プロジェクターを使って具体的なお話を伺いました。ケーソン工法があり、メガフロートがあり、そして埋め立てがあり、三つの工法があって、そしていろいろな組み合わせの方法、八つのプランニングがある、コストが幾らで、どのぐらいの費用がかかるかという問題がありました。

 その中で、私が挙手をして質問をいたしました。ほかの方は余り発言をなさらなかったんですが、私は新参者なものですから、いみじくも伺ったことが、今下地委員がおっしゃったことなんですね。すなわち、トータルで機能するように、例えば建設の入札の問題もあるでしょうし、今、藻場のことをおっしゃいましたけれども、これだって、藻というところは、海の生き物のえさでもあるけれども、また産卵の場でもあるわけですね。

 ですから、藻場の移殖ということは、これはぜひ環境庁にもお願いしたいと思いますが、簡単なことではなくて、関空のときに成功したからというお答えが環境庁からあったんですけれども、そうではなくて、あそこの地域の特殊性といいますか、そういうことをよく考えて、これが成功すれば大変な技術で、世界に喧伝できるものでもありますけれども、一度失敗してしまったら、もう取り返しがつかないわけですね。

 ですから、そういうことについてトータルでもって、どの工法をしてどうやればそこを傷つけないで、藻場一つをとりましても、移殖をしなくて済むかということをトータルで各省庁が協力しながらやらないと、縦割りでは立ち行かなくなりますよということのお話をいたしました。

 そしてまた、どの方法をとれば、どの部分はどうすることによって、地元の理解を得ながら、経済的にも、これは財務省とも関係あるわけです、予算出動が伴いますから。ですから、ただ、予算は財務省であって、建設は運輸省であるということではない。それらがトータルに有機的に機能して、そして少しでも被害を小さくするといいますか、あらゆる面で抑えていく、そして効率のいいものをつくっていくか。

 それには地元の方々の御理解と御協力がなければ立ち行かないわけですし、同時にまた、アメリカの考えもあると思いますので、その調整を有機的に各省庁が協力し合ってやろうという発言を私がいたしておりますので、また折を見て、もちろん御指摘の点は心得ながら進んでまいります。

下地委員 ぜひ所轄の大臣として、この三つのこと、基地問題、経済問題、環境問題、これは一体となってやらないとうまくいかないというだけの認識はしっかりと持っていただきたいなというふうに思っています。

 藤崎局長が来ていますので、ちょっと質問をしたいのですけれども、今、協議会が何回かやっていますけれども、地位協定のその他事項がありますね。その他事項に対して、もう相当煮詰まっているんじゃないかと思うんですけれども、それ、どうですか。

藤崎政府参考人 委員御指摘のその他事項というのは、平成七年十月二十五日の合同委員会合意におきまして、日米地位協定十七条五項につきましての合意をつくりました際に、殺人、強姦につきまして、起訴前の引き渡しの道を開いたわけでございますが、その他の特別の場合につきましても、米国が考慮すると言ったその他の特別な場合について具体的に例を示すということを、ことしの一月の放火事件を契機に前外務大臣から指示がございまして、これにつきましては、関係省庁と十分協議を重ねました結果、米側と五月に至りまして協議を開始したところでございます。

 本件につきまして、やはり米側のいろいろ立場もございますし、私どもの日本政府の中でも、司法当局、外務当局、防衛当局といろいろすり合わせが必要でございますので、まだ御報告できる状況にございませんが、引き続き鋭意努力してまいりたいと思っております。

下地委員 何か包まれてわからなくなってしまった。前向きに進んでいるんですか。いつまでに結論を出しますと、ばしっと。

藤崎政府参考人 今委員が御指摘のように、いつまでに結論を出すということがもちろん言えればいいわけでございますが、これは相手もあることでございますし、政府部内の調整もございますものですから、今私が具体的にいつということを申し上げられませんが、鋭意努力してまいりたい、かように思っております。

下地委員 もう時間がないんですけれども、もう少し、田中大臣の半分ぐらい答弁を勉強した方がいいんじゃないですか、明確に言った方がいいんじゃないですか。大臣はちょっと言い過ぎるところもあるかもしれないけれども。

 大臣、それで、訪米されますけれども、アーミテージさんと会ったら、何てお話ししようと思っていますか。

田中国務大臣 この間はお目にかかれなくて大変残念でございましたということを申しますけれども、そういうスケジュールは組んでいないと思いますが、またもごもご役所に聞いていただければ細かいことは、会えるかどうかわかっていただけると思います。

下地委員 アーミテージさんと必ず会った方がいいと思いますよ。あの人は日本ファンでもありますし、日程をキャンセルしたという話もありますから、会ってその真意を伝える方が国益のためにも僕はいいと思いますから、局長、これは絶対アーミテージさんとの日程は組んだ方がいいですよ。向こうが嫌がっても組んだ方がいいですよ。ぜひ、そういうふうにして、私は一つ一つ障害になっていたものを解決していくというのは非常に大事なことだと思いますから、ぜひ頑張っていただきたい。

 先ほど私の申し上げたフィリピン、グアムもきちっと言って成果を上げることは非常に大事だと思いますから、どうぞよろしくお願いします。

 頑張ってください。どうもありがとうございました。

土肥委員長 次に、河野太郎君。

河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 外務大臣の訪米も決まりまして、いよいよ日本の外交のかじ取りをきっちりと進めていただいて、いろいろと具体的な成果を上げていただきたいと思います。

 外務大臣ですから外交で成果を上げるのが一番大事なことで、ほかのことはささいな枝葉末節のことではあるわけでございますが、先般、外務委員会から外務省あてに資料提出の要求の件がございました。これは、外務大臣が他国の外務大臣と会談された際にそういう発言があったかどうか、マスコミがいろいろと報道をしているわけでございまして、この際、その件について、きょうここで外務大臣にお伺いをして、ぴしっとピリオドを打って、次のきちっとした外交課題に外務委員会も移っていきたいということでございます。

 まず一つは、中国のトウカセン外相に外務大臣が、電話会談をされたときに、李登輝さんの訪日の問題で、今後訪日は認めないというようなことを田中外務大臣がおっしゃったという報道がございました。しかし、小泉総理も外務大臣も一致して、そういう場合はケース・バイ・ケースで個別に判断をするんだということを明確にされておりまして、一部報道があったような閣内不統一というようなことはないというふうに私は認識をしておりますが、その点につきまして、外務大臣の最終的な御答弁を賜りたいと思います。

田中国務大臣 トウカセン外交部長とのお話は、今河野委員がおっしゃったとおりでございまして、個々の事態が起こったときに、すべての状況等を総合的に勘案して判断しなければならない立場であるということは申し上げております。

 その他の会話につきましては、これは外交の要諦でございまして、相手のお立場やら発言内容というものもありますので、公表することは、逐一御報告することは、勝手ですけれども、差し控えさせていただくということでございますので、よろしくお願いいたします。

河野(太)委員 外相会談の記録その他というのは、将来的に外交文書が公開されるときに、二十五年でしょうか二十年でしょうか、そのときにオープンにされるわけでございまして、そのときに、先の話ですから、生きていれば読んでみたいなというふうに思っているわけでございますが。

 今、外務大臣がおっしゃいましたように、報道を一つずつ、これを言いましたか、言いませんかということをやっていきますと、いやそこは言っていないよとか否定されなかったものはじゃ言ったんですねという話になってしまいますので、それを取り上げて一つずつ、ここはどうですか、ああですかというようなことは、そういう意味でいえばやるべきではないんだろうと。ただ、今大臣がはっきりおっしゃったように、こういう事態の場合にはケース・バイ・ケースでやられるんだ、そういうことを確認させていただきましたので、この件については特に問題はないんだろうと私は思います。

 これも報道でございますが、イタリアのディーニ外務大臣とオーストラリアのダウナー外務大臣との会談において、田中外務大臣がアメリカのミサイル防衛計画について批判的な見解を述べた、そういう報道がされております。しかし、このお二人のディーニ、ダウナー両外務大臣は、日本の報道は歪曲されている、そういう立場を公にされておりまして、ダウナーさんもニュースリリースを出されておりますし、ディーニさんからは外務大臣あてにその旨の手紙が届いているはずでございます。私もその写しを拝見いたしました。

 ということで、この報道はやや歪曲された報道であって、事実はそういうことでないというのが私の認識でございますが、その了解でよろしいのかどうか、これも大臣の最終的な答弁をちょうだいしたいと思います。

田中国務大臣 まず、オーストラリアのダウナー外務大臣からのお手紙でございますけれども、これも、英語で言うと、英語に精通していらっしゃる河野太郎委員でございますから意味がよくおわかりになると思いますけれども、コンプリートファブリケーションという表現を使っておりまして、これは、あらゆる大辞典、英語辞典を調べましても、捏造、虚構、うそ、虚偽、こういう言葉なんですね。大変強い口調でおっしゃっております。

 それから、イタリアのディーニ外相の方は、これも、全く根拠のない独断的なものであるということ、根拠がないということを明言いたしますということをおっしゃっておられます。

 ですから、報道について今河野委員がおっしゃったように、報道されるものを一々モグラたたきをやっていたのでは、そちらばかりにエネルギーが行ってしまって本来の外交に力を注げませんし、また誤解が増幅されるということは決していいことではありません。また、先方も心を痛めておられるので、こちらがお願いしなくても、インターネットの時代ですから、先方が気づかれてこういうふうな連絡を下すっていることはありがたいと思います。

 ですから、こういうことがないように、私どもも注意しますけれども、これは、政界もメディアも役所もトータルでもう少し落ちついて、しっかりといい国づくりをするという視点を持って、それぞれの立場で参画していただきたい、かように思っております。

河野(太)委員 最後の問題が、これはドイツのフィッシャー外務大臣との会談の件でございます。

 これも報道でございますが、田中外務大臣は日米安保について批判的な見方を示し日本が自立していく必要性について述べたという報道がされております。

 実は、大臣がおっしゃられたという部分を私読みますと、私も、ああ、なるほど、そのとおりじゃないかというふうに思うところは多分にあるわけでございますが、これは、駐日ドイツ大使のケストナー大使からこれらの報道は事実と違うという書簡が出されているわけでございます。ある面、そういうことを大臣が考えていらっしゃるのであればこれはなかなかいいかなと私も思うところはあるわけでございますが、残念ながら、その報道は事実と違うという否定が先方からございました。

 そうしますと、このドイツ側のフィッシャー外務大臣との会談においても、今報道されている田中外務大臣の発言記録というのは、これも事実と違うという了解をして今後進めていかなければいかぬと思うわけでございますが、これにつきましても大臣の御答弁を賜りたいと思います。

田中国務大臣 在京ドイツ大使ケストナーさんから、同じものを今持っていらっしゃるんだと思いますけれども、早速こちらも連絡をいただきまして、そしてフィッシャー外務大臣と確認なすった後の言葉として、私と外務大臣との、複数で会合をやりました、バイですから、あちらも数人の役人とかおられます、こちらもいるわけですけれども、その複数の参加者が確認したところ、日本の安全保障にとって米国が有する持続的な重要性に疑問視を呈するような発言は行われていなかったということを複数の人間が確認しているということをおっしゃってくだすっています。

 細かい議事録とかそういうことではなくて、ASEMの大きな会合をやっていて、その間で機械の故障があったりとか休憩時間があったときに、お互いそれぞれの国が一対一の二国間の話し合いを、いすといすをそばにくっつけていって話をするという感じなわけでして、それぞれの国のメディアが入ったり、それから役人が立ち会うわけですけれども、そのときに要約したものがありまして、それを見ますと、むしろこういうことは全然言っていなくて、私があちら側に発言しているのは、その要約を私も確認してあるんですけれども、ユーロの問題、私、この辺にすごく関心があって、某紙にかつて投稿したこともあるんですけれども、ヨーロッパの経済問題というものは、ユーロの統合というのは極めて世界経済に与える影響は大きいと思っていますし、これがアメリカや、もちろん日本とか、ほかのアジア諸国に対する影響に関心があったものですから、そのこと。

 それから、フィッシャーさんは緑の党だと思うんですけれども、あの方の考えていらっしゃる環境問題トータル、こういう話をしていまして、アメリカのこの問題についてなんて記憶もないし、ペーパーの中にもほとんど――向こうが発言なすったこともありますし、それについてなるほどねということは言っていますが、主にユーロのことを話していまして、どうして日本のメディアで違うふうなことになったのか。そこのところ、よくわかりかねますが、いずれにしても、お答えとしては、ケストナー在京大使が言ってくだすっていることに尽きるというふうに思います。これが最終的なお答えです。

河野(太)委員 よくわかりました。外務委員会の方から資料提出の要求が外務省にありましたが、その資料が提出される前に、田中外務大臣が会談をされた相手側から、その報道は事実と異なるという確認が文書の形で出ているわけでございますから、それはなるほど、そのとおりなんだろうというふうに思うわけでございます。

 また、外務大臣の御答弁の中にありましたように、記録を一々広げて、これは言った言ってないということをすると、では言ったところはこれなんですねということが逆にあぶり出されてしまうわけでございますから、なかなかそういうやり方も、そうするとよくないのかなと。

 外務委員会としては、今大臣に最終的な御答弁をいただきましたように、こういう報道は事実と違うという前提で、これからいろいろ私は議論を進めていきたいというふうに思っているわけでございます。

 ただ、幾つかこれは外務省にお願いをいたしますと、まず外交文書の公開というのが、これはなかなかスピードがおくれております。前外務大臣のときにも私は、少しこのスピードが遅いのではないか、今ごろ四十年以上前の河野一郎農林大臣のヨーロッパ訪問の記録が公開されても、これはちょっと幾ら何でも遅いんではないかなという気がいたしますので、きちっと、期限が来たらタイムリーに外交文書の公開というのを、これはどの件でもしっかりと公開をしていただきたい。

 もちろん、その時点でいまだに公開すると外交に差しさわりがあるというものは、これはやむを得ないと思いますが、そうでないものも公開がおくれているケースが間々あるわけでございます。

 外務省の中で、外交文書の公開についてもっともっと努力をしていただいて、きちっとタイムリーに機密解除された文書が公開されてくる、そういう体制をつくっていただきたいというのが一つでございます。

 それからもう一つは、今、フィッシャー外務大臣との会談の中で安保体制について大臣が発言されたことは事実と違う、あるいはディーニさん、ダウナーさんとミサイル防衛について話をされたことも事実と違うということが確認されたわけでございますので、今度の訪米が終わった後にきちっとした形で、田中外務大臣は日米安保についてどういうことを考えられているのか、あるいはミサイル防衛計画について先方と話をして、それは政府の公式な立場は理解をするということであろうと思いますが、理解をしつつも、こういう問題点があるんではないか、こういうイシューが出てくるのではないか、そういうことをやはり大臣としてきちっと発言をされるべきだろうと思いますので、改めて、この訪米が終わりましたらば公式に、田中外務大臣が、こうした日米安保あるいはミサイル防衛計画あるいは日本とアメリカの関係について、きちっとした形で御発言をしていただきたいと思うわけでございます。

 この二点につきまして、外務大臣、いかがでございましょうか。

田中国務大臣 まず、外交文書の方でございますけれども、これにつきましては、私は、公開が余り――今河野農林大臣のころのお話が今ごろとおっしゃいましたけれども、やはりもう少しアクセレレートした方がいいというふうに、前向きに検討するべきだというふうに考えております。

 ただ、これに関連して、今北方領土問題もこの外交委員会でよく出てきますけれども、これにつきましても、五月十三日に前総理が発言なさったことについてすぐロシアの外務省がプレスリリースをやっていまして、その原本がここにございますけれども、それを見ましても、第一に、ロシア外交のプラクティスにおいては、首脳会談の秘密の内容は公にコメントすることはないということをまずおっしゃって、そして、事実はこうだと述べておられるので、やはり外交交渉というのは相手の方の立場もあるわけでして、そしてまた、政権が交代したり、あるいは体制がかわったり、ソ連からロシアになったり、それぞれ、また冷戦構造が崩壊していろいろあったりいたしますので、だから、そういうことを踏まえて、相手の国のお立場もあるということを考えないと、一方的に日本だけがどんどん公開できるという状態ではないということも御理解いただかなければならないと思います。

 二点目、私の訪米については、誠心誠意、冷静に発言もいたしますし、それから心耳を澄ませて先方の御意見もよく伺って、そしてこの場ももちろんでございますけれども、あらゆる機会をとらえまして御報告申し上げます。

河野(太)委員 これは、委員長に対してお願いでもございますし、また、後ほど理事会で協議をしていただきたいと思うわけでございますが、この外務委員会のこの通常国会の活動を考えてみますと、確かに外務省が提出した法案並びに条約の審議というのを粛々とやってきたわけでございます。しかしながら、よく考えてみますと、例えば北朝鮮の問題について、あるいはインドネシアの現在の状況について、この程度の外務委員会の活動で本当にいいのだろうか。あるいは、日米の安保体制について、あるいはミサイル防衛計画についてこの外務委員会が、我々がこの通常国会のさなか何をしてきたのかなということを考えると、本当に今のような外務委員会の活動のあり方でいいのか。私は、残念ながら疑問を持たざるを得ません。

 確かに、在外公館設置法の改正案、これは、やらなければ実務的な物事は進まないわけでございますから、やらなければいけませんし、いろいろな条約の審議をして批准をする、これも国会の役割でございますから、これをないがしろにするつもりは全くございません。

 しかしながら、この外務委員会の仕事の一つに、国際情勢の調査というのもあるわけでございますが、国際情勢の調査というのは、大臣に出席していただいて、大臣に質問をするだけで本当にいいのだろうか。

 田中大臣は、この一カ月、外務委員会を初め、参議院の委員会もございます、予算委員会その他ございますが、八十数時間の委員会に出席されて答弁をされているわけでございますけれども、その結果、国際情勢について何がわかったのかというと、どうも、大臣の発言の内容がどうだった、こうだったとか、だれが何をリークしたとか、そういう質問、答弁が非常に多かったように感ずるわけでございます。

 これだけ世の中が国際化し、日本もその国際化の要求にこたえなければ時代に取り残されていくという時代に、我が外務委員会のあり方というのももう少し考えていかなければいけないと思いますし、せっかく副大臣、政務官という制度をつくって、国会改革だと言っているわけでございますから、それぞれの条約、重要性その他あると思いますが、すべての条約審議に外務大臣に来ていただいて、大臣の答弁がなければ条約の審議が進まないというのも、そろそろ五五年体制のあしき慣行というのは一度ぬぐい去って、二十一世紀の日本の外交の中で、この国会、特に外務委員会がどういう役割、どういうかかわり方をしていったらいいのかということを、やはり外務委員会の委員一人一人、理事一人一人、そして委員長にもお考えをいただかなければいけないのではないかな。この通常国会、あと残りはわずかになりましたけれども、次の臨時国会からでも、もう少しこの外務委員会が、本当に日本の国際化に対応して日本外交にプラスの影響を与えている、そうだれからも思われるような活動に変えていく必要があるのではないかと私は強く思う次第でございます。

 そうしたことを委員長並びに各党の理事の皆様にもお考えをいただいて、きょうは日程もいろいろあるようでございますから、私の質問をここで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

土肥委員長 次に、上田勇君。

上田(勇)委員 どうもおはようございます。

 きょうは幾つかの項目について御質問をいたしますけれども、初めに、今イタリアの外務大臣あるいはドイツの外務大臣、オーストラリアの外務大臣、それぞれの会談について、会談内容と言われているものがいろいろと新聞に報道されておりまして、これについてはいろいろな議論があるのですが、これは、これまで大臣がもう何回も明確に否定されていることでありますので、その内容について再度お伺いをすることはいたしませんけれども、新聞にそれぞれ掲載された三回の会談のメモ、中に一部ちょっと不適切だなと思うようなものが、仮にそれが本当だとして、ありますけれども、全体からすれば、外務大臣が個人的な意見を言うことというのは、何も禁止されているわけでもありませんし、それほどバランスを欠いていることでもないというふうに私は思いますので、そういう意味では、これが事実ではないということでありますので、これ以上このことは申し上げません。

 ただ、大臣も多分、東京新聞ですか、この新聞の報道はごらんになったのだと思いますけれども、こういう報道を見ますと、我々もそうなんです、ほかに情報がありませんから。ましてや一般の市民の方々というのは、ここまで詳細に書かれていると、何かあたかも本当のことではないかというふうな誤解をする。大臣は明確に否定されておりますけれども、それはやむを得ないことなのじゃないのかなというふうに思います。

 そういう意味で、大臣は、行政のオープンさ、それからアカウンタビリティーということを非常に大切にされているという立場でありますので、この文書自体、今いろいろと差しさわりがあって公開できない、外交上の問題があるということはよく理解しますけれども、その上で、やはりできる限りこうした疑問に対しては大臣がみずから進んで解消に努めていただきたい。このことをぜひ御努力していただくことをお願いしたいというふうに思います。

 ただ、普通の人は、こうした一連の報道を見て、何でこういうものが、大臣が否定していることが記事になるのだろうと本当に疑問に思っているというのが正直なところだと思うのですね。やはりそれは、いろいろと私も地域の方々なんかとお話しすると、半信半疑だというのが実態です。

 それなので、ちょっと幾つかお尋ねさせていただくのですが、この三人の外国の外務大臣の方との会談のやりとり、これは、当然記録した外務省のいわゆる電報ですか、というような文書というのはあるのだというふうに思うのですけれども、大臣は御自身でこういう文書には目を通されたのでしょうか。

田中国務大臣 会談をやっていますときは、その後は、きのうの参議院の委員会でも同じような質問がございましたのですが、改めて申し上げますと、これはきっと官房長がお答えくださると思うのですけれども、もう事務的にそういう話は決裁で上がっていってしまうということで、私もこの週末の辺に、ああ、これは自分でもとのものをしっかり見ないと確認できなくなってしまうと思いまして、確認をいたしましたけれども、この会談直後というのは物理的に不可能でございまして、むしろそちらの伝達の方が先に走ってしまうというのが実態だと思います。

上田(勇)委員 今、後でごらんになったということでありますけれども、そこに記載されていた内容というのは、大臣、御自身で会談されていたわけでありますので一番よくおわかりなんですが、そのときの内容とは異なっていたものだったのでしょうか。正しく反映されていたのでしょうか。

田中国務大臣 こうした会談は、今ここに四人速記者がこの委員会におられますけれども、こういう速記者がおられて克明に速記をするということはありません。ですけれども、要点を取りまとめた記録というものはございますけれども、これはちょっとお出しできないと思いますが、何度も言いますが、やはり相手のいることですから。それがございまして、それは私は、きのうまた確認をいたしました。そして、概要につきましては、会談の直後にやっていますブリーフ等がありますけれども、そこで十二分に責任は果たして、説明はしているということになります。

 ただ、今お尋ねの新聞の記事、何日でございましたか、多分私がまた再確認をしているものだと思いますが、それはきのう副大臣とともに、当時の通訳の人が持っていた何種類かのものとそれを全部突き合わせてみましたけれども、違っております。

上田(勇)委員 というか、いわゆる会談のメモは、もう外務省としては出せないというのは、明確にたしか御回答いただいていることなんだというふうに思いますけれども、今の最後の方がちょっとわかりにくかった面もあるのですけれども、つまり、そのときの会談のメモ、それを大臣が後日ごらんになったものと、それから新聞とかに報道されているものとは違うということを今おっしゃったのですね。

 私がちょっとお尋ねしたかったのは、では大臣がそのときに会談された、一々全部正確なものではないということなんですけれども、大体そのときの、いわゆる趣旨というのでしょうか、内容を適正に反映されたメモというもの、文書ですか、電報かもしれませんが、であったのかどうか。それはもうその時点で異なっていたのでしょうか。それとも、それは適切なものだったのでしょうか。

田中国務大臣 逐一、細かいことにつきましては、もう再三再四申し上げているように、コメントはできません。できませんけれども、その会談の概要は会談の直後に説明をいたしておりますので、それと皆様が見比べていただけば、おわかりになるのじゃないでしょうか。

上田(勇)委員 いや、何回も同じことを聞いて恐縮なんですが、お答えいただけないものですから。

 私は、その会談を記したメモが、大臣が会談された内容と同じもの、逐一同じであったということを言っているわけではありません、同じことが感じられるものであったのか、その趣旨が正しく反映されたものであったというふうにお考えなのかどうか、そこをお聞きしたのですが。

田中国務大臣 そこのところは、同じでないという部分もあります。(発言する者あり)ですから、細かいところはお答えいたしません。

上田(勇)委員 今、そこが非常に重要なところだと思いますが、ただ、今大臣もおっしゃったように、そのメモ自体とまた新聞記事とは違うのだということでありますので、そこは、ではどこでどういうふうに歪曲されたかというのは、なかなかわからないことなんだろうというふうには思います。

 それで、大臣、今回のこうした一連の報道の情報源について、これまで大臣は、参議院とかいろいろなところで、おおむねいわゆる情報源について察しがついているかのような御発言をされております。それを踏まえて、先日の参議院の外交防衛委員会においては、法的措置を講じることを検討しているとの御発言があったというふうに承知をしております。

 法的措置というのを国会の場で言うのは、これは非常に重いことでありますので、具体的にどういうことを考えられているのか。情報を漏えいした、まあ外務省の職員というふうに想定されているのかどうかわかりませんが、一連の発言を見ていると、多分そういうふうに想定されているのだというふうに思います。これを、国家公務員法の百条ですか、守秘義務違反というのがございます、これに違反したということで告発をされるということなのか。

 ただし、これは本当のことではないので、リークということが適用される、いわゆる漏えいしたと思われるものというのが本当の文書でないので、果たしてそれが漏えいに当たるのかどうかという点もあろうかというふうには思います。むしろ、同じ国家公務員法の九十九条に信用失墜行為というのもございます。それに当たるのかななんというふうにも思いますが。

 ただ、事実でないものを報道したというところに問題があるとするのであれば、これは、報道機関を刑法の名誉毀損で訴えるということもあり得るのかなというふうに思いますが、これ以外のことをお考えなのかもしれません。むしろ、法的措置というのはどういうことをお考えなのか。お教えいただければというふうに思います。

田中国務大臣 これは、機密漏えいということは、絶対にあってはならないことです。まず、基本にそれがあります。それを踏まえた上で、ましてや、事実の会談内容と違うことを報道されるということは、これはもう違った情報を、議員の皆様はもちろんですけれども、国民の皆様に対して与えるということですから、このことはどういうことに当たるのか。しかも、メディアの方に伺うと、マスコミは情報源の秘匿ということをおっしゃいますけれども、マスコミがバイの会談に立ち会っていたわけではありませんから、ですから、そこのところに問題があって、こういうことを再発防止するということを考えましたときに、専門家と相談をし、アドバイスを私が個人的に仰ぐということはあるという意味でございます。

上田(勇)委員 大臣、やはり法的措置を講ずるということは、これは非常に重要なことだと思うのですね。しかも、それは国会で御発言されたわけでありますので、これはいわゆる大臣という立場のお方が、告訴する、あるいは告発するというようなことを含めておっしゃったわけなので、もうちょっと具体的にどういうことが念頭にあったのか、お答えいただく必要があるというふうに思いますが。

田中国務大臣 告訴、告発などという言葉は私は使っておりますか。私は、法的な手段というものも考えなければならないという趣旨を申し上げております。なぜならば、基本的に機密の漏えいということはあってはならないことなわけですから、ましてや、その中身の一部が違って伝えられるということについて、これについてどうすれば、マスコミ、メディア側は情報源の秘匿とおっしゃっていますし、その中間の欠落した部分、それをどうやって真っすぐにしていって、二度とこういうふうなことが起こらないようにすればよろしいのでしょうか。この委員会の中でちゃんといいアドバイスがあるのであれば、していただきたいと思いますし、先ほど理事さんがおっしゃっておられましたけれども。

上田(勇)委員 それは、我々は限られた情報しかないので、事の真意がわかりません。しかも、それは大臣もおっしゃっているように、大臣だってやはり一議員のときにはわからなかったことがあるというふうに、我々もわからないわけですね。だから大臣が、国会の場で法的措置を講ずる、告訴でも告発でもない、それでは何をお考えなのかというのを今お尋ねしたのであって、多分お考えがまとまっていないということであれば、それで結構でございますので、これ以上――それは大臣おっしゃるように、機密に関して情報を漏えいするというのは、国家公務員法だって守秘義務というのが課せられているわけですから、それに違反している。それはもうそれなりの対応をされなければいけないのは当然のことでありますので、もうおっしゃるとおりなのですね。

 ただ、大臣がおっしゃったように、マスコミが事実でないことを曲げて報道したのだということであれば、これはまた違うことになるし、情報源の秘匿というのはマスコミの原則でありますので、これはもう明かさないのは当然のことなんですけれども、ただ、そういったこと全体でいろいろ法的措置というふうにおっしゃったので、具体的に外務大臣として何か検討されていることがあるのかなというふうに思ったものですから、お尋ねしたまでです。

田中国務大臣 ですから、私も、法律家と法的手段についても相談をしてきていますということを申し上げております。

上田(勇)委員 わかりました。ちょっとこれ以上お聞きしても、これが御相談中ということでございますので、終わらせていただきます。

 次に、田中大臣は、先日の当委員会で、こういうような発言をされているのです。外交官が、家族を呼んで、公邸に泊めて、遊んで、食事して、公用車を使って、それは全部役所のお金で使ってと発言されております。ここで大臣の発言、これに報償費が充てられているのか充てられていないのか、ちょっとそこはよくわからない。ちょっと語尾が不明確だったのでありますけれども、これは大変なことだというふうに思うのですね。

 これまで、外務省の内部調査の委員会では、報償費に絡むそういった不正は認められなかったという報告があったわけであります。ところが大臣は、そうではない、こういうのがあるのだというふうにおっしゃったので、やはり国民はこうした疑問をずっと持ってきているわけですので、その具体的事実があるということですので、ぜひそれを公表していただきたいと思いますし、これはまさに公金横領だし、公金の不正使用なわけですから、ぜひこちらこそ告発をしていただきたいというふうに思いますけれども、よろしくお願いいたします。

田中国務大臣 これはあってはならないことであるという認識は、どなたも、国民の皆様、議員の皆様、持っておられることだと思います。公私の区別を峻別していくということを、これはもうみんな、この外務省だけではないと思いますけれども、殊にこれは公邸の話をいたしましたので、今後厳しく身を律していかれるというふうに期待いたします。

上田(勇)委員 これは公私混同とかというような簡単なことではなくて、まさに公金を不正に利用されているのでしょう。ですから、これはぜひ、そういう事実を御存じなんですから、公表、告発をしていただきたいというふうに思うのですが、そこはどうでしょうか。

田中国務大臣 個々の例をおっしゃっていらっしゃるのでしょうけれども、綱紀粛正に……(上田(勇)委員「私が言っているのではなくて、大臣がおっしゃっているのです」と呼ぶ)もちろんそうですよ。もちろんそうです。事実があるから申し上げているのですけれども、今後、綱紀粛正に努めていくということにいたしたいと思います。公私をしっかりと峻別するように指導いたします。

上田(勇)委員 私、そこは大臣に非常に御期待申し上げておるので、これは不正の事実があったわけですし、今までの外務省の調査報告とは違うわけですから、これはぜひ公表をし、告発をしていただきたいと思いますけれども、それについて御決意をお願いいたします。

田中国務大臣 そういうような場所を提供なさった方が個々のケースで世界じゅうのいろいろなケースがある、私が実際に目撃、あるいは聞いたりということ以外にもあると思いますね。私はあるのだろうと思っております、個人的に。

 ですが、それが、その方たちが自分の私費を投じてやったかどうか。それは、全部一〇〇%、過去のこと、何十年も全部の公邸についてフォローできるわけでもございませんので、やはり綱紀を粛正し、公私の混同が今度ないように、今後これを機会として、しっかりと指導していくということでございます。

上田(勇)委員 それは、まさに今までと同じなのではないですか。だから、大臣に私が期待していることも、それから国民の多くの皆さんが期待していることも、そうした事なかれ主義を排除して改革をしてほしいということなんだというふうに思うのですよ。

 大臣が具体的に、私が申し上げたわけではなくて、大臣がこの間そういう事実があるというふうにおっしゃったので、御存じならば、ぜひそれは、この際、外務省をきれいにするためにも公表し、告発をしていただきたいということを申し上げているのでありまして、どうぞ。

田中国務大臣 このことだけがつまびらかになれば、報償費のむだな間違った使い方がつまびらかになるわけではございませんので、これについては、これだけ先生方の関心もおありになる、国民的関心もある、報償費、機密費の使途についてでございますから、館員、特に在外公館に勤務の皆様は、きょうメモを回しても結構ですけれども、できるだけ公私の区別をしっかりするようによく指導いたします。

上田(勇)委員 これは指導するという段階のことではないのではないのかなというふうに思います。今すぐお答えが出ないということは承知をいたしますが、大臣が、こういう不正が行われているということを国会の委員会でおっしゃったわけでございますので、ぜひこれは不正を正していただきたいというふうに御要望申し上げます。

 次に、今度は、いわゆる外務省の改革要綱のことについて御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 四月の二十四日に機能改革会議が提言を出しまして、それを踏まえて、先日、六月の六日に外務省の改革要綱が発表され、私どもも外務省の方から御説明をいただいたところでありますが、私は、改革会議が提言を出した後この要綱に至るまで、外務省でどういう議論が行われているのか、また、この二つの文書というのはどういう関係にあるのかというのは正直言ってよくわからなくて困惑をしておりました。

 五月二十三日にこの委員会で、実は、私は、新聞報道、これは大臣がお嫌いのことかもしれませんが、新聞報道を引いて、こういうことで検討されているんですかと尋ねたら、そんなのは事実じゃないというふうに大臣に一蹴されたんですが、あけてみたら大体同じものが出てきたんですね。

 その後、外務省にこの間説明を聞いたときに、いやこれはまず事務局で素案をつくった上で、それに政務官や副大臣が検討をされて、その上で大臣の決裁をとられたということだったので、このときは事務局でつくられた素案の部分が何らかでリークされたんだなというのをようやくそこで何かプロセスがわかったんですけれども、これは、このときに新聞に掲載されていたものというのは、大臣とか副大臣や政務官が御検討される前の事務局のいわゆるたたき台みたいなものが、ここでもまた漏れること自体に問題があるというふうには思うんですけれども、そういうものだなというふうに理解をいたしました。

 率直なところ、この要綱、私は、もっと具体的なアクションプランみたいなものが提示されるのではないのかなというふうに期待をしておりました。というのは、提言を踏まえて、その上で外務省で検討するということでありましたので。一部非常に具体的なことも書かれてはおりますけれども、少々期待外れであったというのは正直な感想として申し上げたいというふうに思います。

 その上で、この中に含まれております何点かについて御質問をしたいというふうに思います。

 この外務省改革要綱の中には、「要人の外国訪問業務の国際標準化」というところがございまして、その中に、「儀典長の下に総理・外務大臣の外国訪問、外国要人の日本訪問に関連するロジ業務を一元化する。」というのがございます。これは改革会議の提言の中でもこうした趣旨のことは書かれていたんですが、ただ、これはちょっと、考えようによると、先般廃止されました要人外国訪問支援室も一元化して取り扱っていたところなのではないのかなというふうに思います。

 儀典長というのは、組織上、組織図を見てみますと大変偉い方なので、多分細かい中身のことまではごらんにはならないだろうというふうに思いますが、そうすると、支援室だって、官房長がおられて、官房総務課長がおられて、結果、何のチェックもできていなかった、それを官房長から儀典長のところに移したらチェックの機能が強化されるというのは、何かちょっと理解できないんですけれども。

 これは結局、組織をつけかえて目先を変えただけで中身が余り変わらない、従来に戻ってしまうというようなことにはならないのか、そのならないための方策というのはどういうことを具体的に書かれているのか、これは副大臣ですか、お答えいただけますか。

植竹副大臣 上田委員にお答えいたしますが、その前に、先ほど、いろいろな、前の素案がリークされたとかなんとかありましたが、そういうことは一切ございませんから、私どもも調べましたから、その点だけはちょっと言わせていただきます。

 さて、今お話しの外務省改革要綱の儀典長の件につきましては、今般の松尾元室長にかかわる事件の背景というものから考えまして、組織体制上は官房総務課長のもとにありながら、実際の業務に当たっては、例えば総理訪問を主管する担当課の連携のもとに活動するという要人外国訪問支援室の性格の結果、指揮系統が不明確となってしまったという問題が今回の事件から考えられるわけであります。したがいまして、儀典長のもとに要人往来のロジ業務を整理統合するに当たりましては、管理職である儀典官のもとでこれらの業務を一元化に所掌する予定でございまして、これによってロジ業務に関する指揮系統、責任の所在は明らかになるということから、こういうことになったものでございます。

 これに加えまして、さらに申し上げたいのは、外務省の省員の意識改革あるいは人事管理制度の強化、監察査察体制の強化拡充等、改革要綱に記載されましたその他の具体策をあわせて、今般の事件と同様の事件の発生の防止に万全を期するためにやったものでございます。

上田(勇)委員 わかりました。

 ただ、リークされたことは一切ないといっても、ほとんど同じものが、うり二つのものが出ていれば、これはリークされたというふうに考えるしかないんじゃないですか。そこはちょっと情報管理の甘さがあるんだというふうに思いますが、それをリークされていないというふうにおっしゃるということは。それは結構ですけれども。

 そこで、次に、この同じ要綱で、今度は監察査察官制度を新設することになっております。

 在外公館の査察、これは外国にあることでもあるし、今の人員の中では、私が伺ったところでは、これまで一つの公館に七、八年に一回程度の査察が行われていたというふうに承知をしております。今回は、この監察査察官業務には公認会計士等の外部の専門家も短期任用を活用して参加させるというようなことにもなっております。

 そこで、これから監察査察制度を強化するという場合には、特に在外公館にあっては頻度はどのぐらいのものを想定されているのか、また、この業務に携わる人員はどの程度で、外部の、特にこの「第三者の適任者」というのはその中でどのぐらいのことを想定されているのか、お考えを伺いたいというふうに思います。

植竹副大臣 今委員お尋ねの、従来は七、八年に一回というふうな委員からの御指摘もございましたけれども、この点につきましては、通常の査察につきましては、各在外公館に対しまして三年に一回の頻度で実施することを目標といたしております。また、その目標を達成できるように体制を整備していかなければならないわけであります。さらに、特別査察、抜き打ち査察も随時実行していきたいと考えておるところでございます。

 なお、その査察に当たっては、従来の査察担当大使というものではちょっと手薄な点もあるために、今後は数名置くことを検討いたしておるところでございます。

上田(勇)委員 同じ改革要綱の中に、今度は、報償費の支出については大臣決裁で行うというふうになっております。

 参議院での答弁の中では、これは当然案件が数千件や一万件に及ぶということなので、全部大臣が一人で目を通すわけにいかないじゃないかというような指摘に対しては、副大臣あるいは政務官を活用して実質的な審査をしてもらうんだというふうにおっしゃいました。

 これは、外務省のいわゆる職員だけに任せるんじゃなくて、国民の代表である政治家が実質的な審査を行う、このことは非常に重要な点なんだというふうに思うんです。私はそれは賛成なんですけれども、ただ、では、なぜ改革要綱の方にそういうふうにもうちょっと具体的に書かなかったのかなというのがちょっと疑問に思っています。

 というのは、ここに大臣決裁だけと書いちゃうと、今は大臣も副大臣も非常に意欲的に情熱を持って取り組んでいるのでいいんですが、大臣決裁というふうにだけ書いておくと、後々になったら、これは形式だけその大臣決裁が残っちゃって、本来国民の代表である政治家が実質的なチェックを行うという部分が形骸化されてしまうんじゃないか、そこは素通りしてしまうんじゃないかという懸念があるので、むしろここは、具体的にそういうふうな意図であるんだということを書いていただいた方がよかったのではないかというふうに思うんですが、なぜそういうふうに表現がならなかったのかということ。

 もう一つは、この報償費、その大半は在外公館で支出されておるわけですね。在外公館で支出するものについても、やはり、こういうような同じ、若干事務的には大変なシステムをとられるのか。

 この二つ、あわせてお答えいただければと思います。

植竹副大臣 今の大臣決裁ということにつきましては、これはやはり最終的には外務大臣の責任において行うということで、明確にこれをしたということでございます。

 ただ、今委員御指摘のように、今はいいけれども将来はどうなるかということでございますが、その決裁の当たり方は、全部外務大臣ができるということじゃなく、もっとさらにいろいろ対策を検討していかないと実際の業務に差し支えるという点があるので、今検討中でございます。

 しかし、その対策の中には一定の基準を設けたりしましてやって、あるいは、私ども副大臣以下、担当担当で、合理的なことが行われるように、不祥事が起こらないためにも、どうしてやったら効率的にできるかということを今検討しております。また、在外公館支出分も含め、具体的な決裁体制につきましても目下検討中でございます。

 いずれ、そういうのがはっきりいたしましたときには、またそれを発表させていただく予定でございます。

上田(勇)委員 この改革要綱について、私は正直、先ほど申し上げたように、まだ具体的なアクションプログラムというようなところまでは至っていない、今副大臣もお認めになったように、これから検討することがたくさんあるということなので、少々期待外れだったかなというのは再度申し上げますけれども、その上でまた、ぜひ田中大臣のリーダーシップのもと、この外務省改革に向けまして一丸となって取り組んでいただきますように御期待を申し上げまして、まだちょっと通告していた質問は残っておりますが、時間でありますので終わらせていただきます。ありがとうございました。

土肥委員長 次に、安住淳君。

安住委員 おはようございます。きょうは一時間にわたって質問させていただきたいと思っております。

 大臣、大丈夫ですか。(田中国務大臣「大丈夫です」と呼ぶ)

 河野議員からも最初に、冒頭、質疑がありましたが、私も外務委員会の筆頭理事として、大臣に対し資料の提出要求をいたしました。なぜ資料の提出を、外務委員会の理事会が委員長の名のもとに一致して資料要求をしたかというと、これは枝葉末節な話でないからであります。つまり、外交の、この外務委員会でこそまさにやらなければならない主要国の外相との会談の中身について今我が国で大きな問題になっているから質疑をしているのであって、それを枝葉末節で、それをクリアして本当の外交をやらせてほしいと言うのは、私はちょっと違うのではないかなという認識に立っております。

 そこでお伺いをさせていただきますが、外務委員会としての要求は、以下四点であります。

 一点は、五月七日のトウカセン外相との電話会談での田中大臣が李登輝前総統の来日に触れられた部分。

 さらに、五月二十五日にASEMの外相会合におけるドイツ・フィッシャー外相それからイタリアの、これはもう前外相になるのですか、ディーニ外相との会談の部分。特にここについては、ミサイル防衛等日米安全保障に触れた部分。我々は限定しているわけですね。

 なおかつ、五月の二十八日、日豪外相会談におけるダウナー豪外相との会談で、これも田中大臣がミサイル防衛等日米安全保障条約、日米安保の関係さらにブッシュ政権に触れた部分。

 そこの部分を、ぜひ記録を、田中大臣の発言部分に限り、理事会に提出するようお願いをいたしましたが、これについての御回答を、まず口頭でお伺いをしたいと思います。

田中国務大臣 相手国のあることでございまして、再三再四申し上げていますけれども、これはもう本当に信頼関係を損なってしまうということになりますので、長期的な国益等も考えまして、お出しするわけにはまいりません。

安住委員 私どもも、外交が相手のあることだということは、外務委員会のここにいる先生方全員わかっておられます。だからこそ、逐一のやりとりについて出してほしいという要求をしているのではございません。今、新聞等々で大きな問題となっている四点の限られた部分について、特に大臣が何を話されたか。つまり、相手国の外相の話のところはすべて我々は聞くつもりは全くございません。外務委員会の委員長名でお願いしたのはまさに外務大臣が限られた部分で話した発言でありますから、そこのことについて言いますと私は今の大臣の答弁は当たらないと思いますが、いかがでございますか。

田中国務大臣 会話というものは、対話というものはと置きかえても結構ですけれども、相手があって発生しているものでございますし、中身が違っているということを、あなた様の前の三人の質問者の中でも、オーストラリアもそれからイタリアもドイツも、事実が違うと否定なさっていますので、それは先方の各大臣のおっしゃっていることを信頼していただくしかないと思います。

安住委員 先方の言っておられることは、おられることであります。つまり、大臣もプレスの皆さんも、この場合は当事者になるわけです。当事者になられている方々からの言うことではなくて、我々外務委員会の各党の理事の先生方がみんなで、それでは第三者として、逆に言えば、大臣がおっしゃってないと言う以上、それが報道されているとすれば、大臣の名誉を守るためにも、我々は正規のこの衆議院の委員会でその部分を出してほしいというお願いをしているわけですね。これは私は決して理不尽な話でもないし、また他国に対してあしき影響を与えるとはとても思えないわけですけれども、いかがでございますか。

田中国務大臣 名誉の心配をしてくだすっておりますけれども、これは時間の経過とともに必ず守られることが証明されると思いますので、お出しするわけにはまいりません。

安住委員 御自身がみずから外務委員会の理事会に来られて趣旨弁明をなさるおつもりもございませんか。

田中国務大臣 各委員会等で、先ほど河野委員が時間まで披瀝してくださいましたけれども、河野委員でしたと思いますけれども、あらゆる場面で私は御回答も申し上げていますので、これ以上ほかの場に出ていって御説明をするという必要性はないというふうに考えます。

安住委員 私はこの後もこのことについては質問をさせていただきますけれども、やはり私は納得できません。

 委員長、ぜひこれは委員会終了後に理事会、正規に行われますけれども、各党と協議をして、国会法も含めて、今の発言については何らかの外務委員会としての対応をぜひとることを要求いたします。

土肥委員長 後ほど理事会もございますから、そこで協議をいたします。

安住委員 私は立法府の権威が問われていると思っております。

 なぜかというと、報道機関の皆さんも、この資料を持っていらっしゃるわけですよ、多分。うそだか本当だかわからないですけれども。資料を持っているから報道しているわけですね。国民の皆さん、これを読んでいると思うのです。しかし、我々ここにいる外務委員会のメンバーはだれも持っておりません。持っている方、いるかもしれませんけれども。

 つまり、事実関係を解明をしっかりしていって、日本の外交の中で何が発言されたかというのは極めて重要なんです。なぜかと申しますと、外務大臣は田中さんしかいらっしゃらないからです。日本の国を代表して、お話を他国となさっているわけですね。私は、発言の内容については、大変賛同するところもあるし、逆に言えばこれはどうかなと思うところもあるわけです。しかし、こういう形でこの質疑をこれ以上やるのは私も決してお互いにとってプラスだとは思えませんので、終止符を打つためには、我々としても何らかの資料が必要なんですよ。そこはわかっていただけないですか。そうでなければ、立法府として何をやっていいんだということになるんですよ。

 大臣は、今は行政府の長です。外交政策の最高責任者、行政府の長です、同僚議員ではありますが。我々は立法府の立場から行政府にこのことを要求しているのです。これを無視したら内閣としての声明までいくことになるかもしれませんよ。つまり、外務委員会の権威として、権威というのはつまり、これは国民に選ばれた立法府が行政府に対して、いわば調査をしたいからこそこういう要求をしているのを、国民から大きな支持を得ている大臣が突っぱねるというのはいかがかなと私は思っているのですけれども。

田中国務大臣 安住委員のおっしゃっていることも、あなた様の立場でおっしゃること、よくわかります。民主党さんの議員さんとしておっしゃっていることもよくわかります。

 ですけれども、やはり長い目で見て、この外務委員会の権威性ですとか、それから私自身のささやかでも名誉ですけれども、ささやかではありません、一国の、今おっしゃってくださったようにたった一人の、日本国の外交を担う立場にいる私でございますので、これらが確実に守られる、今一過性の、この時点も大切です、おっしゃる意味よくわかりますけれども、やはり外交というものは、基本は相手もあることでございますから、少し時間もかけて、落ちついて、長い目で見る、そして、今御質問なさったことが結果としてよかった、間違っていなかったということが証明されるような方向の委員会運営にもしなければいけないし、今おっしゃったこともしっかりと、委員がおっしゃったこともですよ、しっかりと私も胸に畳んで、今後頑張ってまいります。

安住委員 胸に刻んでいただくのはありがたいので、刻んでいただきたいのですが、今後頑張るのではなくて、今とにかく情報公開が問われている時代だからこそ、まして御当人でいらっしゃるから、私こういう質問をさせていただいているのですよ。

 質問に入る前に、私ちょっと気になることがあるので何点か聞きますけれども、大臣、発言録のテークノートがリークされたことは後でちょっと私もやりますが、リークされたことを契機に大臣が発言録についてチェックをなさっているということを、きのうの参議院の外交安保委員会を見ていたら、何かその旨の話をしていたのですが、今点検なさっていらっしゃるのですか。

田中国務大臣 こういう委員会とかあるいは宮中行事ですとかで拘束される時間が長いものですから、限られた短い時間ですけれども、できるものをやってはおります。できるものからやってはおります。

安住委員 それは、記録そのものをチェックなさって、メモといいますか要録を、それで自分がおっしゃったところとかおっしゃっていないところの削除とか、そういうことをやらせているということですか。

田中国務大臣 事務的になかなか手に、言っても出てこないものもまだ現段階でございますので、それらを出してほしいということも含めながら、手に入っているものもありますけれども、それらの突き合わせを限られた時間、限られたエネルギー配分の中でやっておりますので、非常に遅々として進まないと焦られるお気持ちもわからないではありませんけれども、今、国会も開かれている最中ですし、外務大臣職というのは大変いろいろな仕事がございますので、その中で最大限いたしております。

安住委員 大臣、私が伺っておりますのは、テークノートした記録のチェックをなさっていらっしゃるのですかということです。御自身がやっていらっしゃることだから。

田中国務大臣 この段階で詳細について申し上げることはできません。

安住委員 いやいや、そうでなくて、大臣、今、改ざん記録のチェックをなさって、言ったか言わないか、そこの部分を削除させたり、そういう作業をなさっているのですか。だから出せと言っているのじゃなくて、そこを。

田中国務大臣 おっしゃっている意味はよくよくわかっております。ですから質問者にはお答え申し上げているのですけれども、できる範囲でいたしております。

安住委員 やっていらっしゃるということですが、私は、これはちょっと疑問を呈したいと思うのですよ。

 なぜかというと、私は歴代外務大臣にもいろいろ聞いたのです、このことを。つまり、なぜテークノートしているか。そしていろいろなレベルの会談を、実は外務省は記録でとったりしているのですよ。だって、一日に、大きな会談ですと五人や六人の他国の外務大臣と会談することだってありますから、これから。それをなぜテークノートするか、大臣、どういうふうに認識していますか。外務省はリークするためにテークノートしているのでないのですよ。なぜ外相会談をテークノートなさっているか、御存じですか。

田中国務大臣 記録に残すためではないのでしょうか。

安住委員 おっしゃるとおりなんですよ。何十年かたって、公式文書として残さないといけないからですよ。だから、逆に言いますと、大臣みずからが公式文書を改ざんするおそれがあるのですよ。だから、実はチェックをしてはならない部分がかなりあると私は思うのですよ。つまり、歴代外務大臣は、この手の話でチェックをしたことは多分ほとんどないと私は思うのですよ、大臣。

 ですから、私は、テークノートをしているものを、例えば、言っているとか言っていないというのを付記するのはいいと思うのですよ。外務大臣、付記するのはいいと思うのですよ。例えば、それをチェックしたのを、私はここは言っていないとか。しかし、外務大臣という器、公の立場の人が発言したことを何年か先に日本の歴史にしっかり残すために記録していると私は思うのですよ。それを今回みたいに、実は気になったのは、記録を見てチェックをしているという、つまり、都合のいいところだけもし残すようなことはまずいなと私は思うから、事実関係はどうかということをだから聞いたのですよ。いかがですか。

田中国務大臣 外務大臣にある地位の人間が自分の発言を改ざんすることもあり得るというような発言は、まず訂正していただきたい、削除していただきたいと思います。

安住委員 そうではなくて、大臣、発言をきちっと残すためにこそ記録というものはとるべきであって、言った言わないの部分でいうと、そこは付記してしまう方がいいと私は思うのですよ。記録を見ることは構いませんが、記録を見ることは全然構いません、言っていないことを書いてあったら、これはもう大変な心外な話ですから。だから、じゃ、どこの部分を言っていないかということも実は記録にやはり残すべきだと思うのですね。何年か先には国民がそれを見れるというふうにした方がやはりいいんでないかなと私は思うから、こういう発言をしているわけです。そのことだけ今申し上げます。

 それで中身についてお伺いをさせていただきますが、五月七日のトウカセン外相との会談で、大臣は、新聞報道によりますと、前内閣が政権末期に国民の十分な合意を得ないまま入国を決めた、今後同じ申請があっても訪日は無理と言わざるを得ないということをトウカセン外相に日本語でお話しになったというふうに伝えられておりますが、改めてお伺いしますが、これは事実でしょうか、事実でないのでしょうか。

田中国務大臣 お答えをする前に、外務委員長に私からもお願いを申し上げたいと思いますが、先ほどの、外務大臣の地位にある人間が公式文書を改ざんすることができるというような、先ほどおっしゃった発言につきましては、民主党の委員の方の発言につきましてはぜひ削除していただきたいと思いますので、これを理事会でまずお取り上げていただきたいと思いますが。

安住委員 いやいや、私、大臣がそう言ったと申し上げているのではなくて、そういうふうにとられるおそれがあるので、歴代日本の外務大臣は公文書やテークノートされたものについて手をつけてこなかったということを私、申し上げているのです、大臣。理解していただけないですか。(発言する者あり)じゃ、そのことは私は構いませんから。私の発言の趣旨というのは実はそうだということを今申し上げているのです、大臣。

 だから、そこはぜひ、後で理事会で協議をしていただければ私の真意は伝わると思うのですね。

土肥委員長 前後の関係がありますから、理事会で取り寄せてみます。

安住委員 それはもうぜひ。それは誤解だと思いますから。

 そこで、今の質問についてお答えをいただきたいと思います。

田中国務大臣 私の考え方は、個々の状況に対応するしかないというふうな発言をいたしておりまして、総理等の発言と何らそごもございません。

安住委員 つまり、私が今、報道機関に言われたことをお話をしたことは事実ではないということですか。

田中国務大臣 個々の報道につきましては逐一お答えをいたしません。

安住委員 大臣、私はこのことで前も質疑をさせていただいたのですね。そのときに大臣は、実は、言えないとおっしゃっているのです。これは事実でないと事実であるかということではなくて、このことについて内容を申し上げることはできない旨の発言を私にしているのですけれども、じゃ、今の発言はそれとはちょっと違うということになるのでしょうか。

田中国務大臣 七日の日中外相電話会談におけるやりとりの逐一について明らかにすることは、先方との関係もあり、差し控えさせていただきます。

安住委員 逐一のところではございません。外務委員会の理事会がお願いをしているのは、李登輝さんの入国の問題の部分についてでありますから、その逐一というのは当たらないと私は思うんですね。

 ですから、その部分について、もう一度伺いますけれども、どういう発言をなさったんでしょうか。

田中国務大臣 七日の日中外相電話会談におけるやりとりの逐一について明らかにすることは、先方との関係もあり、差し控えます。

安住委員 私どもは、これは外交政策上極めて、もし言ったとすればゆゆしき事態だし、否定をなさるんだったら、これは明確に否定をしてもらいたいことなんですが、今のお話だけでは少し私は納得をしかねます。

 これは、その場でも私申し上げましたが、最後に一言だけ申し上げますと、やはり日本外交の拙劣な対応が台湾それから中国に対する関係をさらに悪くした、最もやってはならなかった対応だったと私は思うんですね。そのことに対してやはり反省をしていただかないといけない。結果的に入国問題を長引かせたことが、対中国、対台湾との関係をやはり悪い関係にしてしまったと私は思うんですね。

 ですから、会談の内容というか、これはどうも日本語でなさったということを前の委員会でもおっしゃっているんですが、言ってないんであれば、やはりしっかり言ってないということを早く国民に開示をした方が、収束をするのは非常に早くなるんでないかなというふうに私は思っております。今の答弁では、残念ながら納得いきかねます。

 そこで、五月二十五日のASEMの外相会談での、ドイツのフィッシャー外相、それからイタリアの前外相のディーニさんとの会談の内容についてお伺いします。

 先ほどからも何度も質問が出ておりますが、ミサイル防衛構想についての報道が大きくなされているわけですね。私は、個人的な感想を申し上げますと、もしこの報道が事実だとしてもさほど問題はないというふうに思っているんです。むしろ、こういう旨の発言をなさること自体は、私の感覚からいってもこれはそんなに問題ではないと思いますが、発言そのものも、大臣は実はこういう発言は行っていないというふうに述べられているわけですね。

 ミサイル問題についてのここでの発言の真意について、報道されていることが事実かどうかを確認させていただきたいと思っております。

田中国務大臣 先ほど来、委員が御出席のときにほかの委員とのやりとりの中でも御説明申し上げておりますが、あえて申し上げれば、相手国との関係もございますので細かいことは申し上げませんけれども、先ほど駐日大使からのお返事を読み上げましたので、それで御理解いただけると思います。

安住委員 六月二日に大臣みずからコメントを報道機関の皆さんに出されております。これは、大臣、実はこういうふうに書いてあるわけですね。ASEMの際の外相会談の報道は、このような発言は私は行っておりません、ダウナー・オーストラリア外務大臣との会談においてもミサイル防衛についての意見交換が行われたのは事実でありますが、あくまで豪州の考えにつき一般的な説明があったことに対し、我が国の立場を踏まえて発言を行ったものであると。これは大臣の出したコメントであるということでよろしゅうございますね。

田中国務大臣 はい。

安住委員 すると、大臣、これは大臣個人の出されたコメントですか。それとも外務省が出されたコメントですか。というのは、私はこのコメントを見てちょっと不思議に思ったんですが、全くクレジットがないんですよ。発がどこなのかよくわからないコメントなんで、そこだけちょっと確認させてください。

田中国務大臣 日本国の外務大臣としてでございます。

安住委員 大臣、外務大臣としてコメントを出されたということは、これは外務省としてコメントを出したというふうに考えてよろしいですか。

田中国務大臣 同じ意味だというふうに理解をしていただいてよろしいと思います。

安住委員 報道されている防衛構想についての大臣の所見と、ここでお話しになっておられる話は、極端なことを言うと百八十度違うわけです。

 ミサイル防衛構想について報道されている記事を、少し私も赤線を引いて読ませていただきましたけれども、これは非常に疑念を呈していると。私も実は、それはそれでそうだなと思うんですが、コメントで発表なさった文書を見ると、アメリカのミサイル防衛構想に関して、今までの政府の見解であると。そこにそごがあることが実は今問題になっているわけです。

 これは、言った、言わないの端っこの話だというふうに私は全然思っていません。先ほどから申し上げているように、外相会談ですから。そこで大臣がどういう発言をなさったかということですが、これ以上伺ってもなかなか、これは発言を繰り返されるということになるとすれば、我々としてはやはり、これは、全会一致というか、非公式、非公開でというか、そこでぜひ趣旨を説明してほしい。その真意を伺って、与野党ともに納得ができれば、私たちはそれは大臣の発言を了とするというふうな考えで、理事会としてはそこまで実は配慮させていただいて、我が党の桑原議員と自民党の河野太郎議員が中心になってこの文書をまとめたんです。

 しかし、これに対して今の答弁では、全く実態解明にならないし、理事会で与野党ともに努力してやってきたことに対して、回答としてはいかがなものかなというふうに私は思いますので、そのことだけ、最後に大臣、もう一度お話を聞かせてください。

田中国務大臣 委員長を中心として、理事会で検討してくださることを希望いたします。

安住委員 それでは、理事会の中でこのことについてはまた話をさせていただきたいと思っております。

 ところで、外務大臣、報道された内容について大変御不満を持っていらっしゃるということですが、例えば、アーミテージさんの問題なんか、本当にこれ、ディーニ外相のところで、この報道の中では、大臣が自分のカウンターパートでなかったから会わなかった旨の発言をしているように、会談録みたいにして出ているわけですよ。我が党もずっと国会の中でこの問題を質疑したときに、大臣の予算委員会での発言を私どもも聞かせていただいて、とまらない列車に乗っているような感じで、心身ともに非常に疲労こんぱいしていた、ですからいろいろなことを整理するために図書館に行っていて、あらかじめコンクリートされた会談でなかったから、これはキャンセルに当たらないという旨だったんですね。ところが、またこの会談の中で、ぼっとこういう話が出てきてしまうと、やはり我々としてはちょっと疑念を持つというか、事の真相は果たしてどちらなのだろうかというふうに思ってしまうんですね。

 ですから、このアーミテージ副長官とのことについて、個人的に、どういうふうに、この部分だけ、会議録とはまた別に、どれが真相なのかということをちょっとお話ししていただけないでしょうか。

田中国務大臣 会談は正式には、調整中でありまして、セットされていたものではありませんでした。そして、正式には、当方の外務省も事務方の方たちとの協議がありましたし、それから総理に対する親書、これは総理がお受けになっていらっしゃると理解しておりますし、それから官房長官、防衛庁長官、それから当方の外務副大臣お二方等がお会いになっておられまして、これはキャンセルとかそういうことではございません。

 なぜかといいますと、私とのスケジュールは調整中でありましたので、ですから会談の不成立などということも一切ございませんでしたし、先方も、アメリカにお帰りになってからそのように、別に私に会わなかったからどうだというふうなことは何もおっしゃっておられないというふうに理解しております。

安住委員 問題は、それだとこれは新聞が多分間違っているということになるのですが。つまり、大臣みずからが、私のカウンターパートでない、私のカウンターパートはパウエル国務長官だという報道がなされているというのは、そうであると、大臣、これは本当に大臣の名誉の問題になると思うのですよ。大臣みずからの名誉の問題になりますから、そうであれば、これは報道機関に対してしかるべく措置をとられた方がよろしいのじゃないですか。

田中国務大臣 再三再四申し上げておりますが、個々の報道についてはコメントはいたしません。

安住委員 それから、ダウナー・オーストラリア外相との会談で、大臣、大統領のことについて触れている部分が大きなニュースになっているわけです。

 私、なぜこういう話をするかというと、大臣がアメリカに行かれるということだから、大変心配をしております。つまり、アメリカ政府に我が国の外務大臣が……(発言する者あり)心配して質問をさせていただいているのですけれども、こういう旨の発言をしていないにもかかわらずこういう報道がされるとなると、アメリカ政府も非常に誤解をなさるのじゃないかと思うのですね。

 そこで、ダウナー氏との発言の部分について少しお話をさせていただきますが、ミサイル防衛構想自体はすぐに実現するものではないし、研究を続けていくことは理解できるが、ブッシュ大統領は父親が大統領だったころのアドバイザーや保守的な人々に周りを囲まれており、地元テキサスの石油業界関係者等々の支持母体の影響もあるのではないか、これを推進するのに。こういう話をして、ずっと続いてきたらば、大統領選挙でゴア氏が勝っていれば、このミサイルのことについて申し上げると、このような状況にはならなかったのではないかという会談メモが報道に出ております。

 これは大臣から見たらば、事実でないとすれば大変不愉快な話だと思うのですけれども、いかがでございますか。

田中国務大臣 報道については一つ一つコメントをいたしません。また繰り返して申し上げます。

安住委員 私は、いかなることがあっても、仮にこれが真実でなければ全くそのとおりなので、むしろ真実でないことを明らかにしてほしいと思っているのです。

 同時に、たとえアメリカ大統領であれどこの方であれ、他国の元首またはプライムミニスターに対して、個人的な批判を他国の外相にするというのは、外交儀礼上やはり大変ゆゆしいことだな、決していいことではないなというふうに思っております。それは常識の範囲の話です。

 心で何を思っても構いません。しかし、私もそうですが、選挙等々、最も触れてはならないことというか――なぜこの話をこれだけするかというと、先ほどから申し上げたように、我が国の外交を代表して他国の外相、他国の代表の方にお会いできるのは田中大臣だけでございますから、一億三千万人を代表して会談をなさっているというその重みを我々感じているからこそ、こういう質問をしつこいぐらいさせていただいているというのは、実は、その責任をぜひ感じていただきたいということなのですね。

 そのことをしっかりと踏まえていかないと、これからもいろいろな外相会談等で、個人の感想と国を代表して言われる外務大臣の発言というのはやはり違っていて、そのことに関して言うと、やはり政治がしっかりとした、小泉内閣の外務大臣として、それを踏まえた上での発言をぜひしていただきたいなというふうに私は思っております。

 何か御感想はございますか。

田中国務大臣 個々のいろいろ言われていることがアメリカとの信頼関係を損ねているという事実は一切ございませんので、これは杞憂であろうというふうに思いますし、職責の重さにつきましては、十二分に心得ております。

安住委員 私は、情報開示の問題について少し質問をさせていただきます。

 同じような例ではございませんが、実は、外務省というのは本当に秘密が多いところでして、私も大変不愉快な思いを随分しました。だけれども、いたずらに隠すという体質は、外務省とか外交というのは特別な人間がやればいいのだ、国民のそんなに多くがこんなことを知らなくてもいいのだという、どこかにおごりがあったと思うのですね。そのおごりといいますか、私は、その一例として、核の密約文書の問題について少し伺います。

 先日、朝日新聞が情報公開請求を行いました。中身は、安保条約の改定や沖縄返還に関連して、核の持ち込みをめぐる日米両国間の一連の秘密合意を公開するよう求めたわけですね。これに対して、外務省はどういうふうな回答をなさったですか。

藤崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御質問の新聞社からの情報公開でございますが、これにつきましては、かかる文書は存在していないという回答を行ったところでございます。

安住委員 不存在という答弁です。不存在。しかし、私は、このことは大変奇異でございます。密約の存在は、実はアメリカが既に公文書で、関係者の証言等も含めて、これは裏づけられている事実であります。しかし、外務省にこのことの開示を求めると、不存在という言葉が返ってきました。

 大臣、私は義務教育を受けていまして、小学校、中学校で少なくとも勉強しましたが、漢字で、国語で、日本語で不存在なんという言葉を聞いたことがございません。存在せずという言葉は聞きますけれども、不存在なんという文書を出してこういう回答をなさるというのは、これはまさに機密をいたずらに保持をし過ぎているというこの隠ぺい体質があらわれていることではないかなと思いますけれども、大臣、いかがでございますか。

田中国務大臣 不存在ではございませんで、核持ち込みに関する密約が存在しないことは、歴代の総理、外相が明確に答弁いたしておりますので、不存在という言葉については、また文部省にでも時間のあるときにどうぞ問い合わせてくださいませ。

安住委員 そうすると、不開示ということになりますね。不開示という言葉も私は変な言葉だと思いますが、つまりその理由が、こういう文書を保有していないというふうな形になるわけですね。

 しかし、これで本当に国民の皆さんは納得するでしょうか。相対のアメリカでは、もう既に秘密を守らないといけない期間が過ぎていまして、そこでの公開では、いろいろな公文書の中で、公電、つまり、ライシャワー大使と大平さんのやりとりを記した公電も公開をされているというふうな事実なんですよ。

 つまり、開かれた外務省にしてほしい、情報公開をしっかりしてほしい、だから機密費のことでも田中大臣頑張ってほしいと、国民の皆さんはみんなそう思っているのですよ。しかし、この問題に関して言うと、大臣のおっしゃっている答弁は、今の外務省の体質と同じであるということになると、私は非常に残念だと思うのですけれども、いかがでございますか。

田中国務大臣 御参考までに、情報開示法の第九条というもの、「開示請求に対する措置」というのがございまして、そのポイントだけをお読みしますと、開示請求に係る行政文書を保有していないときを含みますけれども、「開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。」というふうな九条があるということを御参考までにお知らせいたします。

安住委員 情報公開をできるだけさせないようにしようというのが官僚であって、やはり我々立法府に身を置いている者はできるだけ情報開示を進めていこう、つまり、国民の目線でというのは私はそういう政治だと思っております。ですから、出せるものはやはりどんどん出していくという姿勢を省内に徹底させたらよろしいと思うのですけれども、大臣、いかがでございますか。

田中国務大臣 おっしゃることの意味は理解いたしました。

安住委員 理解をして、ぜひやっていただきたいと思っております。

 さて、リークの問題について話を進めていきたいと思います。

 非常にこのリーク問題が出て、確かに、政治的にいろいろな背景や外務省と大臣の対立という問題が一部報道をされております。私もさっき上田委員の質問を聞いて、なるほどなと思いましたが、激しい言葉でいろいろこの問題、ニュースで私なども見ていて、本当にだれがリークをしたかということについて、大変核心に迫っておられるのかなという発言をなさっていらっしゃるので、大臣、ほとんどそれはルートとか特定はできつつあるというふうに我々は理解してよろしいのですか。

田中国務大臣 今の段階では発言を差し控えます。

安住委員 法的措置の問題は先ほど出ましたので思うのですけれども、この問題について、例えば省内に調査委員会を設けたり、別の何らかのチームをつくってそういう実態解明をなさるとか、何かそういうことを考えていらっしゃるということでございますか。

田中国務大臣 今でき得る範囲内のことは一生懸命いたしておりますけれども、何かまたアドバイスがございましたら、どうぞおっしゃってくださいませ。

安住委員 リークといいますか、やはり文書が流れた場所を徹底的に、これは決まっているでしょうから、流れた文書のところは全部、官房長来ていますから聞きますけれども、流れた文書の場所はわかるわけですよね、何カ所あって。大臣、それは普通であれば、一人ずつやはり事情を聞かないといけないと思いますよ。

飯村政府参考人 昨日、参議院の外交防衛委員会でも御説明させていただいたところでございますけれども、この種の記録は通常、公電の形で在外公館から本省へ、あるいは本省から在外公館へ連絡されて、関係者へ周知されるところでございます。本省においては、省幹部に加えて会談で取り上げられたテーマを所管する局部課、さらには、これらの内容を知るべき立場にある省外の責任ある政府関係者等にも周知されております。また在外の主要公館にも転電されているということで、したがいまして、配付先はかなり広範囲にわたっているというのが第一点でございます。

 第二点は、今回の一連の二国間会談につきましても、ある程度の関係者の方々の目に触れておりますけれども、これらの公電がリークされたのか、そうであるとすればどのような形で行われたのかを特定することは、公電のコピーをとることが可能であるということ、あるいはリークの特定にはマスメディア側の協力が必要なこともあって、容易なことではございませんけれども、外務省として秘密の保全体制がきちっと機能しているか、現在再チェックしているところでございまして、現段階で秘密漏えいがあったか否かについて具体的にコメント申し上げるのは困難な状況でございます。

安住委員 配付先は極めて多岐にわたるということで、なかなか実態解明をするのは困難だということでございます。

 大臣、こういう認識でよろしゅうございますか。

田中国務大臣 もう少し事務方に、知恵を絞って質問していただいた方がよろしいのじゃないでしょうか。

安住委員 大臣、これはやはり御自身の問題ですから、そう余り投げやりにならないで、ぜひやっていただきたいと思いますよ。(発言する者あり)私が軽く見られているというふうに今鈴木委員から言われましたが、格が違いますので。

 ただし、私あえて申し上げますと、ウォーターゲート事件だって漏れるし、私の取材経験からいったって、文書にしたならば、それが何十も流布されたならば、どこかで必ず報道機関の皆さんはそれをキャッチする網を持っているのは当然だと思うのですね。

 ですから、先ほど上田議員も言いましたけれども、法的なものを検討するとか、そこまで国会でおっしゃっている以上は、やはり何らかの核心的なものを大臣がつかんでいらっしゃるのかなと私は思っているから、こういう質問を実はしているんですよ。そうでなければ、例えば弁護士さんと相談するとか、そういう話も委員会での答弁で聞きましたけれども、そういう話に私はなかなか――委員会の、この国会の場でお話しするということは、どこまでその真相を大臣がおつかみになっていらっしゃるのかということが、国民の皆さん、やはり関心があると思いますから、こういう質問をなさっていらっしゃるのです、させていただいているのです。いかがですか。

田中国務大臣 自分に敬語をお使いにならない方がいいと思いますが。

 それよりも、解明作業というものは、外務省内にもたくさん協力者がおりまして、法律家だけではありませんで、法律家の資格を持っている外務省員もおられますし、いろいろでございまして、みんなが今回のことを契機にしてよくしよう、そして外交本来の議論を外交部会で、委員会でできるように早くしたいというために、鋭意、外務省は特に挙げて、一部の方を除いて頑張っていることを御報告申し上げます。

安住委員 大臣、その一部の方というのは具体的にどういう方でございますか。

田中国務大臣 すべて込みで今調査を進行しております。

安住委員 漏れているから、私は国会でこういう発言はふさわしくないと思いますけれども、おむつ発言というのがあって、漏れているのだからおむつが必要だと。つまりこのリークの問題というのは、私は、発言が真実だったかどうかということに関して外務委員会で実態解明をやはりちゃんとした上で、やってもらう。しかしもう一方で、リークの問題というのは、確かに、政治的な背景とかいろいろのことが推測されておもしろおかしく報道されていますけれども、私はこれは機密の漏えい――国会では言っていないんですよ、記者の懇談の中で出てそれが記事になっているわけですよ。つまり、発言でこういう話が躍ってしまうんですね。躍ってしまうと、お互いにとって決してよくない。

 つまり機密の保持のあり方について明確な考えを、やはり大臣御自身が出さないといけないんですね。今の犯人捜しも、確かにそれはできる範囲でぜひやられたらいいと思いますけれども、漏れないために何をするか、そのための手法というか、それを我々に納得いくような形でやはり示していただくということが大事だと思いますけれども、いかがでございますか。

田中国務大臣 鋭意作業を進めております。

安住委員 機密費の問題についてお伺いをさせていただきます。

 一言で言って、この問題の解明は基本的には全く進んでおりません。私ども民主党がこれまでずっとこの国会で要求してきたのは、これは松尾さん個人の問題なのか、それとも省の中に巣くう構造的な問題なのか、少なくとも、そのことに対しては実態解明をぜひしてもらいたいという話をしていました。

 私は今でも、国民の皆さんを含めて、松尾という、逮捕され、今起訴されているのですか、その人間個人の問題でこれを解決しよう、そして納得できないような処分をして、大臣も、関係者をいろいろ外国に飛ばしたり、どうも隠ぺいをしている可能性があるのじゃないかということをおっしゃっているわけです。それはわかるのですが、では、現実にはこれからどういうふうにして実態の解明をなさっていくおつもりなのかということについて、少しお話を聞かせていただきたいと思っております。

田中国務大臣 松尾事件に関しましては、警察当局の捜査に積極的に協力をいたしております。

 そして、いろいろな手法等がございますけれども、先般、改革につきましては、改革要綱というものを取りまとめまして、改革に向けて着実にこれを実施していこうというふうに思っております。

 また、報償費の適正な執行に対する国民の皆様の信頼が損なわれていることも重く受けとめまして、その目的に真にかなうような使用に、そして執行及び管理をするために、あらゆることを、省内はもとより外部の皆様のお知恵を集めて、今鋭意努力中、作業中でございます。

安住委員 今のお話を聞くと、河野前大臣の話をただ引き継いでいるだけで、実態解明に対する熱意というのはちょっと私には伝わってこなかったのですけれども。

 どうもお話を聞いていると、機密費関係の書類が、物すごく膨大なものがあって、今までの大臣の答弁を聞くと、見るのも大変膨大なのだけれども、それを今調べているのだという旨の話を私国会でちょっと聞いたのですけれども、現在進行形ではそういうことを今やっていらっしゃるのですか。

田中国務大臣 着任以来なかなか出てこない資料ばかりでございましたから、会計課に副大臣や警護官やほかの方と六人、複数で突然行きまして、そのファイルを二階の会計課及び地下の倉庫で見せていただきました。ところが、また、ペーパーがやっと出てきたのを見ましたらば、もっと一番枢要な、大事な書類もあるということがわかりましたので、それも出すように事務次官に申しまして、それもやっと出てまいりまして、大変スローモーションなものでございますから、こちらは急いでおりますけれども、そういうことをもとにしながら、あらゆる細かい作業も今取り組み始めているということでございます。

安住委員 それは大変結構なことでございますが、早く、外務省のこの一連の問題を解決するためには、そして国民の皆さんが本当に納得するような形でこれを名実ともに終わらせないと、実は、日本外交というのは立ち直っていかないと私は思うのですよ。省内には、多分外務省の職員の皆さんの中にだって、本当に嫌な思いをしている方も多いと思うのですよ。この問題に全然かかわっていないような方だってたくさんおられますからね、若い方の中には特に。

 ですから、どの部分までが、退職なさった方を含めて、また、今現在外国にいる方でもいい、つまり、この機密費をどういうふうに運用して、そしてどういうことをやっていたのかということに関しては、これは、スローだとおっしゃいますが、やり方によっては、きちっとした、例えば大臣が任命をしたチームで、外部の弁護士さんや公認会計士さんや何かいろいろ集めて、それでやって、実態を解明して、出せるものはどんどん出していくという強い姿勢が私は必要だと思いますけれども、いかがですか。

田中国務大臣 前内閣がもっと鋭意努力をしてくださっていれば、今ごろは、外交の中身について非常によく、具体的な効果のある進行があったであろうに、残念に思いますが、それは言っても仕方のないことですから。

 ですから、総合的な力を挙げて、特に不愉快な思いをしている方たちが、この内閣、小泉内閣によってここにメスが入ったことによって、大歓迎をして、協力している方がいっぱいおられますので、一々マスコミや皆様の目に触れないかもしれませんけれども、外務省の中は、今回を契機としてうみを出したいという機運がみなぎっておりますので、結果をしっかり待っていただきたい。きょう言ってあすというふうなせっかちなわけにはまいりません。

安住委員 大臣、それは今国会中にでも出せるぐらいのスピードでやっていらっしゃるということなんですか。

田中国務大臣 通さなければならない条約もございますし、本来の外務委員会の議論も並行しながらできれば、私、そちらの方のエネルギーを活力として、プラスのエネルギーとしながら、また役所の人たちも、そして私たちも頑張れるわけでございますから。

 今この問題だけにとらわって延々とやっていることは――機密費の問題は、私は積極的に切り込むと申しておりますし、現実に、短い期間の間よく、誕生後まだ二カ月にもならない内閣でここまで、省内の方も覚悟を決めて協力してくだすっていると思うし、閣内挙げて、自民党、特に与党の皆様が一生懸命やってくだすっているおかげでここまで来ていると思っておりますので、必ずや、国民の皆様が、やはりあの問題はやったんだと。そのことによってこの委員会の本来のことが動かなくなることの方がむしろ問題かもしれませんので、結果をしっかりと見ていただきたいと思います。

 いずれにしても、長い間の、積年の体質改善でありますので、この内閣は非常によくやっているわいと私は思っておりますけれども、時間が、すぐにできるものではないということぐらいは民主党の先生によくおわかりいただきたいと思います。

安住委員 別に、政党がどうのこうのと、我々の方がよほど熱心にこの話はやっていて、そういう話はちょっと当たらないと私は思いますよ。

 つまり、体質のことから言わせてもらうと、きのうだって、キューバの大使館での公金流用の問題というのが起きているわけですよ、大臣。三千万円公金を流用して、レストランか何か開こうと思って使い込みをしていたという話が出ているじゃないですか。

 つまり、松尾事件だけじゃないのですよ。こういう問題というのは、資料を調べれば、実態解明でどんどん出てこなければおかしいのです。それを大臣みずからの手でやっていらっしゃるのか。これは外に見えるようにちゃんと、例えば職員なり公認会計士なり弁護士なり、御自身が発令した人がしっかりやらないと、私は、そういう実態解明はできていかないと思います。そういうことが見えてなくて、とにかく頑張っているんだ、頑張っているんだと言われても、出てこないから、質疑のしようもない。

 このキューバの問題にしたって、こんなことを新聞に書かれて、私だって、初めて聞きましたけれども、これは本当に不愉快な思いをしているわけですね。これは事実ですか、事実でないですか。少なくとも、このことにだけははっきりしてください。報道されている、キューバの大使が三千万円流用しているのですよ。

飯村政府参考人 この件につきましては、実は、毎日新聞が取材されている段階で事前の照会を受けまして、当省としても、事実関係を確認し始めた段階でございます。

 十年前のことであって、報道の対象と考えられる関係者が既に亡くなっている、あるいは経理書類も残っていないということで、なかなか難しい状況でございまして、事実関係をきちっと把握できる状況にはございません。

安住委員 これですよ。機密の話になったり、職員の不正の問題になるとこれですよ、大臣。これを直さないとどうにもならないですよ。そして、そのことに対して不信を持っている国民の皆さんから見たら、何ぼ外交政策をやろうといったって、こんな連中に外交なんかできないというふうに国民の皆さんは思ってしまいますよ。だから、これは実態解明をしっかりやらないとだめだと私は思うのです。今の官房長の話でいうと、しかし認めている方もいらっしゃるじゃないですか。問題があったのは事実だが、きちんと組織で対応した、当時の同省官房長。質疑、これは本当にちゃんとやっているのですか。

飯村政府参考人 私どもとしては、新聞の報道の事実確認も含めて、無責任なことはできませんので、きちっと状況を把握したいというふうに考えておるところでございます。

安住委員 私は、組織の人間が、同じ省に勤めている人間を徹底的に糾明するなんということはできっこないと思っているのです。そんなことは、口では言うけれども、歴代、いろいろな役所で不祥事や何かを起こしていますけれども、その役所が設けた委員会なんというのは、実にいいかげんと言ったらあれですが、何かの形で国民の皆さんや我々が納得するような状況なんかは出さない。だからこそ、外部の人間をしっかりとつけて、大臣が任命すればできますから、この手の問題は全部そうやって洗い出しをしないといけないと思いますが、いかがでございますか。

田中国務大臣 ですから、先ほど来委員もおっしゃっているように、根深い外務省の体質がまた出てきて、もううんざりしているわけで、それはもう国民の皆様が、税金がむだ遣いされているではないか、懲りない外務省だ、どうやれば完全にうみが出し切れるのかと思っておられるでしょうし、同じ思いを私も、まともな、一部の人を除いた外交官は、在外であっても、それから本省にいても、皆さん思っているわけですよ。何党であっても、皆そう思っていますよ。

 したがって、そういうことについて、ただ、おざなりではなくて、今後については、この内閣は本当に、この問題だけではありませんけれども、ほかの社会保障制度にしても、景気の問題にいたしましても、公共事業もすべてそうだと思いますけれども、やはり国民からなぜ八〇%以上の支持があるかといったら、旧来の旧態依然としたやり方はもうだめだ、あれはノーなんだ、だから違った手法をとれということを言ってくださっているわけですから、このキューバの問題も、おっしゃるとおり、急場しのぎでなんてやろうと思っているわけじゃございませんで、そんなジョークの話ではなくて、本当に、これも、何かもう早速省内では、この人はもう亡くなっちゃって、十年前の話ですよというようなことを私にも即きのうの晩、新聞を見たときに言いましたので、このセンスじゃとてもじゃないけどだめだと私自身がだれより感じておりますので、個々のこうした問題、ほかの、オーストラリアでの問題、使い込み等もいろいろあるようですけれども、事務方任せにしないで、政治主導で、納税者の皆様に納得していただけるようなことにしなければならないというふうに思っています。

 したがって、法案も早く上げなきゃいけませんし、外務省本来の仕事もやりながら、この委員会はなぜこれだけマスコミが来ているか、注目されているわけでございますから、その中であらゆることを、オールラウンドでやっていかなきゃいけないと思います。

 要するに、時代の転換点、そしてこの委員会が中心に転換をしなければならないので、若い議員の皆様、またベテランの皆さんからも御指導を仰ぎたい、かように考えております。

安住委員 委員長、私は、外務委員会の理事会で要求した件について質疑をさせていただきましたけれども、残念ながら、我々が、皆さんも含めて、納得いただける答弁に多分なっていないと私は思います。私自身もちょっと納得しかねると思っておりますので、このことは理事会で再度協議をして、しかるべく、外務委員会としての責任を果たすようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

土肥委員長 理事会にかけて協議いたします。

 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。

    午前十一時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十一分開議

土肥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。よろしくお願いします。

 実は、これまで、田中大臣が外務大臣に御就任されてから約二カ月近くになりますが、さまざまな発言をめぐって国の政治あるいは外交が非常に混乱状態に陥っております。

 先ほど来、大臣は、何とか本来の外交業務をやりたいということをおっしゃっていたんですが、これは私どもも願うことでございまして、今、対米問題あるいは朝鮮半島情勢あるいは中国、台湾の問題あるいはインドネシア問題、ロシア問題等、日本を取り巻く外交案件は非常に山積しております。

 一刻の猶予も許されない。そういう中で、田中外務大臣の発言をめぐって外務委員会も紛糾する、あるいはいろいろな委員会もそれだけに問題が集中する。本当に悲しいことだし、私も外務委員会の一員として、こんな問題を再三取り上げなければならない、非常に残念な気がいたします。

 しかし、とはいっても、先ほど来、私どもの安住議員が疑問を呈しましたように、中国のトウカセン外務大臣あるいはドイツ、イタリア、オーストラリアの各外務大臣との会談内容、これは日本のこれからの安全保障政策、外交政策にとって欠かせない問題でありますだけに、この問題はやはりきちんと決着をつけなきゃいけない。言ったのか言わなかったのか、そこはやはりきちんと決着をつけないと、これは我々外務委員としてやはり議論できないと思うんです。やはり将来の外交政策の根幹にかかわることですから、これが単なる捏造であるとかあるいはマスコミが勝手につくったものであるとか、そういうような形で、多くの大部分のマスコミが同じ形でやはり報道しているわけです。

 これは、もし大臣が言うようにマスコミがうそを書いているということであれば、先般もこの委員会で質問が出ましたが、一般国民の皆さんはやはりそういったマスコミから、大手新聞あるいは雑誌、テレビでしか情報を得られない。そういったものに対して、マスコミはうそを書いているということになれば、これは、私自身も二十数年間ジャーナリストとしてやってきました。これはマスコミに籍を置いてきた人間として、そういう形でマスコミにすべて責任を、事務方であるとかマスコミがうそを書いているという形で責任を転嫁されることに対して、私も実は我慢がならないところがございます。

 重ねてお伺いしますが、先ほど安住議員が請求しました、外務委員会の理事会で決定した、中国のトウカセン外相との会談、五月二十五日のASEMにおけるドイツ外相、イタリア前外相、日豪外相会談、このテークノート、これを、理事会で議論するということですが、これはもうこれをもとに議論しないと先に進みませんので、出していただけるのかどうか、もう一度重ねて大臣にお伺いします。

田中国務大臣 報道の一つ一つにつきましてはコメントはいたしません。これはもう二カ月間ずっといろいろな面でも申し上げてきて、委員会等の場で申し上げております。

 それから、機密費に端を発するいろいろな問題については、省内はもちろん、あらゆる方のお力をかりながら、少し時間はかかりますけれども、随分前進もしてきておりますし、御報告できるようにしなければならないというふうに思っております。

 それから、三つ目は何でございましたですか。(木下委員「そのテークノートを出していただける……」と呼ぶ)それは一切、相手国との関係もございますので、提出は残念ながらできません。

木下委員 先ほど飯村官房長の報告によれば、テークノートは、いわゆる外務省の幹部たち、あるいは在外公館、あるいは一部政府の高官にまで渡っているということです。

 大体、数はどのぐらいになりますか。お願いします。

飯村政府参考人 突然の御質問でございますので、ちょっときちっとした数字は現段階では申し上げられないことを御了解いただきたいと思います。

木下委員 百通以上はいっておりますか、百通以上は。

飯村政府参考人 数字について無責任に云々するのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

木下委員 私が外務省の皆さんからいろいろお聞きしたところ、百通以上は、先ほど言った幹部、在外公館、これは、外務大臣が他の国の外務大臣とどんな話をされたのか、それは、要するに、先ほど大臣は記録のためということをおっしゃいましたけれども、それだけではなくて、やはり、大臣の外交方針、外交政策が、外務省の担当幹部、あるいは担当の在外公館、あるいはその一部の政府高官、そこまで周知徹底させないと円滑な外交政策ができないということで、従来からそれだけの数の人たちがそのテークノートを見ているわけです。それによって外交の一体化、一元外交を遂行するわけであって、したがって、それがいろいろな形で漏れたことはあるだろうと思いますが、ただ、これが本当に、大臣が法的処置をとると、国家公務員の守秘義務違反に当たると。本当に当たるのかどうか。

 大臣、本当に法的処置をとられるおつもりでございますか。その関係をどのようにお考えですか。

田中国務大臣 今、それも含めていろいろと検討いたしております。

木下委員 実を言いますと、もう既に、先ほど来安住議員からも言われたように、ほとんどのマスコミがやはり同じ内容のものを公表しております。記事にしております。したがって、これは、先ほど来、公表することによって相手国に迷惑がかかるというお話でしたが、むしろ、一般国民を含めて、この報道の事実をみんなある程度知っているわけですね。

 したがって、もしこれが大臣が言うように捏造したものであれば、むしろ国益にかかわることでありますので、これは、やはり事実であるか事実でないのか、そこをきちんとしないと、一般の国民の皆さんは、じゃ、一体、日本の外交の真実はどこなんだ、マスコミはすべてうそを言っているのかという、政治不信はもとより、これは日本の外交に対する大変な不信になります。

 ですから、むしろ公表することによって国益を守る、私はこれが大事ではないかと。公表しないことによって国に対して不信感を持つ、あるいは外務大臣に不信感を持つ。それよりも、公表することによって中身を見ても、これは細かい条約とかそういう話だったら秘密保持は必要でしょうけれども、既にこれだけ流布されていることに対して、むしろ公表することによって国民の信頼を取り戻す方が、私ははるかに、外務大臣がいつも国益国益と言うのであれば、国益にかなうと思うんですが、外務大臣、いかがでございますか。

田中国務大臣 もう十二分におわかりになった上で聞いていらっしゃるんだと思いますけれども、報道の一つ一つについてはコメントいたしません。報道各社によって、テレビジョンというメディアもありますし、雑誌もありますし、週刊誌もありますし、新聞もあります。したがって、すべてについて私が全部正しく承知をしているわけでもございませんし、それについてはコメントいたしません。ただし、全部が同じように報道されていることがあるとすれば、そのニュースソースが同じところなんでございましょうということですから、ただ、情報源については語らないということであれば、それはそこでもって切れてしまう。

 ただ、私が個別の方とお話ししたことについては、相手との関係がありますから一々御報告はいたしません。それはまあ言ってみれば国際慣習ですから、日本がそんなことをやったら外交の信用を失ってしまいます、相手がありますから。

 ただし、ここからが大事なんですけれども、木下委員によく聞いていただきたいんですけれども、事実と違ったことが報道されているから、オーストラリアもイタリアもドイツも、はっきりと中身が確実に違っているということは、もう繰り返しませんけれども、もう文章を覚えていらっしゃると思いますけれども、そういうふうなことをおっしゃっているわけですから、発信したところが、本人同士が違うと確認をし合っていて、そして最後に出てきたものの真ん中でどういうことがあったかは私は存じませんので、そこをつまびらかに議員の立場でなさりたかったらば、そこの立場の方に徹底的にお聞きになることが正しい道じゃないでしょうか。

木下委員 いや、大臣が国家公務員の守秘義務を盾に、国家公務員の守秘義務を頼りに法的処置をとるということであれば、もし事実と違ったことが流布されているとすれば、これは秘密の漏えいではなくてむしろ違う形での法的手段をとるべきであって、あくまでも真実が流布されている、流されているということであれば、これは守秘義務違反ということもあり得ると思うんですが、違ったことが、捏造したことが流されているんだったら、それは秘密の漏えいでも何でもないと思うんですが、その点、大臣いかがですか。

田中国務大臣 ですから、結論からいきますと、御指摘の点も含めましてトータルで検討をしているということでございますけれども。

 あとはもう、とにかく外交は相手があることですし、相手も違うと言って確認していますので、これ以上明らかなことはありませんし、また報道も別に自分たちが捏造したとおっしゃっているわけでもないわけですから、どこで違うことが生じたかということでございますし、法的手段をとると決定はまだいたしておりませんで、そうしたことも勘案しながら、専門家の意見や省内の意見やあらゆる方の、こういう委員会での皆様の、いいアドバイスがあればですけれども、それもぜひ参考にさせていただきながら早く解決をするようにしているということでございます。

木下委員 しかし、大臣、先ほど来、会談の中身が、もちろんマスコミ含め、安住議員も詳しく申し上げました、これは、もし言っていないとすれば、言っていないことが捏造されたとするならば大変な問題ですし、ですから、もし事実言っているとすれば、これはもう明らかになっているわけですから、ましてや違ったことが国民に、あるいは相手国に対しても、それは当人同士はいいです、向こうの外務大臣ももし違ったことを言ってあるのならば。しかし、アメリカ国民も、もしそういった報道がなされているとすれば、これはお互いの、両国にとって大変なマイナスになる、そう思いますので、これはぜひ私どもに、秘密会でも結構ですので公開してほしいと思うんです。

 実は、これは御存じかどうかわかりませんが、六月六日の米国のタイム誌なんですが、オンライン・アジア誌に掲載された田中大臣の件なんですが、この中に大変な記事が出されております。ちょっと読ませていただきますが、日本人大リーガーのマナーのよさが米国で称賛を浴びているのに、日本の政治家、田中眞紀子外相の品の悪い発言が我々のまゆをひそめさせる、こんな記事が出ております。また、とどまるところを知らない発言の数々は日本を恥辱に陥らせ、特に外相になってからの言葉によるろうぜきはと書き、さらには、アーミテージ国務副長官との会談を突然キャンセルしたり、ブッシュ大統領を批判したことを念頭に、日本にとって最も重要な同盟国を侮辱した、こういうふうにタイム誌で書いてございます。

 これは雑誌の記事ですから、これもまたたかが雑誌だとおっしゃるかもしれませんが、アジア版ですので、これがもしアジア各国に行ってアジアの国民に読まれるとすると、これは大変、田中大臣の名誉だけじゃなくて、私たち国民の名誉を損なうことですので、これはぜひテークノートを出していただきたい。もう一度、重ねて。

 そうでないと議論が進まないんですよ。外交もやりたいんです。東南アジア情勢もやりたいです。朝鮮半島情勢、大変です。それから北方領土だって大変です。あるいは中国問題も大変です。ですから、これが結論が出ないと、これは十年たったらわかるとか、五年たったから真実が出るという話じゃないんです、これからの日米関係、安全保障政策の重要な問題ですから、この点をきちんとしてもらいたい。いかがですか、大臣。

田中国務大臣 世界じゅう、ほとんどの国は、よほどの国でない限り、特別な事情がない限り、報道の自由というものはありますので、それに対して、外国のメディアであっても、一々私はコメントをいたしません。

 それから、外交上の信義というものがありますので、ですから、浮き足立たないで、もっと落ちついて、しっかりと基本的な問題を、外交政策の話をしっかり、アメリカに行ってもしてまいりますし、この場でもそういうふうなことの討論をいたしたいと思っております。

木下委員 いや、浮き足立っているのは、むしろ大臣の方なんですよ。我々は冷静に、事実関係をとにかく煮詰めて、それできちんとこれから外交政策をやろうと。しかし、これは避けて通れない問題なんです。ましてや、これから外務大臣はアメリカに行かれるわけでしょう。やはり、それはこの辺もきちんとしてから、すっきりした気持ちで向こうで議論をしてもらいたい。重ねて。

 それからもう一つ、実は、六月一日のこの外務委員会において、同僚の首藤議員からこの問題について、英語で会話されているのでその英語の発言録を出してほしいということでお願いしたところ、こう答えています。

 通訳を使った国もおありになります、私も語学力がありませんから、わからないところは通訳の方に、テクニカルな専門語は何だろうかと、誤解をしてはいけませんから、聞いてもらったりも教えてもらったりもしていました、でも、それらの発言につきましては、英語のものがちゃんとございますからお届けいたします、御満足いただけるようにちゃんとお届けします、そうお答えになって、もう一回、同じ議論の中で、先ほど申しましたように、ASEMでの会議の英語のもの、御要望のものを、ちゃんと正確なものをお届けいたします、こう発言しております。

 首藤議員から聞いたら、まだ詳細なものが届いておりませんが、これはいかがでございますか。

田中国務大臣 質問の来たその六月一日にお出ししてございますので、御確認の上、御発言ください。

木下委員 私自身、今届けられたものを持っています。これです。これです。これで正確なものでしょうか。これは要約ですよ。大臣は、ちゃんと正確なものをお届けいたしますとおっしゃっているんです、御満足いただけるような正確なものをお届けしますと。

 しかし、これだけの発言ですよ。(発言する者あり)違いますよ。もっと正確なものがあるはずです。

田中国務大臣 これがあの発言でございます。これが正確でございます。

木下委員 これは要旨でしょう。これは私たちがいただいたものなんですよ。私もいただいています。外務省の事務方からこういう説明を受けました。それをただ渡しただけじゃないですか。そうでしょう。これは、私ども、部会で説明されたときいただいたものなんですよ。飯村さん、どうですか。

飯村政府参考人 申しわけございません。私、所管でございませんので、きちっと所管の者に照会いたしまして、お答えするようにいたします。

木下委員 これは、この前の私どもの外交・安全部会で全員に配られたものなんです。ただ、これは首藤議員にお持ちになったものですが、これは既にみんな知っています、我々、外交・安全部会に属している民主党の議員は。ですから、これを出されて、これが詳細です、これがすべてですということじゃ困るんです。満足いただけるものを出してくださいよ、出すと言ったんだから。

田中国務大臣 お出ししておりまして、御満足なさるかどうかはわかりませんが、これが公式な発言でございますと申し上げております。

木下委員 そうすると、大臣、先ほどからマスコミに出たのは一切コメントしませんとおっしゃっているんですが、あれだけ詳細なメモが出ているんです、各紙にきちんと。きちんと出ているんですよ、皆さんもお読みだと思うんですが。同じ出所かもしれない、あるいは別かもしれないけれども、そういうのがやはり配られているからこそ出てくるんです。どっちが正確なんですか。こっちが本当に全部言ったことですか、大臣。

田中国務大臣 配られているとおっしゃっているのと新聞に載っているということと、どう違うのか。何をおっしゃっているのか、もう少しわかりやすく。済みません。

木下委員 ですから、私どもがもらったもの、あるいは首藤議員に渡したのは発言の要旨だけなんですよ。発言の要旨だけなんです。発言の要旨だけじゃなくて――要するに、だって、新聞に漏れているのは新聞に出ているメモは全部、ほとんど一致していますよ。(田中国務大臣「何のメモ」と呼ぶ)だから、例えば、ASEMの三人の会談等についての発言の内容が各新聞にきちんと出ています。それをもちろんお読みになっていますでしょう。(田中国務大臣「外相会談……」と呼ぶ)外相会談です。それがきちんと出ているでしょう。

田中国務大臣 ちょっとこんがらがっていらっしゃるみたいなので整理いたしますけれども、一回しか申しませんからよく聞いていただきたいんですが、ASEMの会合というのは、中国を入れて二十六カ国だったと承知しておりますけれども、ヨーロッパの外務大臣とアジアの私を含む外務大臣が出て、そしていろいろなイシューについて討論をいたします。それがワーキングランチであったりワーキングディナーであったりいたします。

 最初のときにはアジアの外務大臣だけで、私たちでもって発言もいたしまして、その後、バスに乗っていって同じ会場で欧州の方たちとも合流をいたしまして、そこでいろいろなイシューについて、議長が中国でございまして、それで、このイシューについてというプロポーザルがあって、それぞれが手を挙げて、そのテーマについて関心のあることの発言をいたしております。それが数回行われて、集中的な議論をしております。これがASEMという会議でございます。

 その中間で、今度は一対一で、国対国で、希望をする場合には、休み時間ですとかあるいは会議の……(木下委員「それはわかっています」と呼ぶ)いや、わかっておられないんじゃないですか。どこの部分のどれを集めておっしゃったか、整理が……(木下委員「いや、いいですよ、それは」と呼ぶ)いや、ちょっとはっきりお聞きになった方がいいんじゃないですか。次また思い違いなさっても時間がもったいないから、よくお聞きください。それで、今度は、一対一で時間のあるときに、午前中の議論も聞いていらっしゃいましたよね、おわかりだと思うんですけれども、相手の国の役所の方とかメディアも立ち会うときもありますけれども、大体頭撮りしかいたしません、広い部屋の隅で、あちらで一固まり、こちらで一固まり、では、ドイツがあいたようだから今度は日本も行って話をしましょうかという形で、首脳にスタッフが両方の国が立ち会いまして、そしてお互いが通訳がつきまして、ですから、複数の人たちがお互いの国が立ち会った上で意見の交換をいたしております。これがバイの、英語がお得意でいらっしゃるんでしょうから、私よりよく御存じでしょうから申し上げますが、一対一でお話をさせていただくということでございます。

 そのほかに、会談中であっても、右や左の方たちとお話をすることもあります。家族やら個人の話、政策について、あるいは自分の国がどこそこの国とどういう話があったとか、こういう問題についてこう思うとか、そういうことについての話もいたしますし、それについて通訳をすることもあるし、しないこともあるしということでございまして、バスの中で要人と話すこともございますし、ですから、その中のどの部分をおっしゃっているのか。

 ただし、正式にきちっとやったASEMでの会合、それについての発言はしっかりとお渡しして差し上げてありますから、よくごらんになってください。中身、違っていません。

 それから、一対一の話につきましても、きちっと公式のものにつきましてはお互いの国が確認をしていて、このような発言はお互いがしていないということで、これが偽造である、捏造であると三つの国の外務大臣がおっしゃっているのに、なぜかメディアでは違うものが、物事によっては別々であったり、あるいは共通であったりして出ている。

 では、それはどういうことかといったら、先ほど来、事務方でも説明していますように、プレスにリリースしたものもありますし、テークノートしたものをきちっとまとめたものを何カ所か伝達しているということを官房長が言っておられましたけれども、そういう形でいっていますので、ねじれるとすればどこの辺でねじれるのか。

 私は、マスコミが捏造したなんということは一言も言ったことはございませんので、民主党さんはどうも捏造がお好きなようですけれども、ですから、結果が悪いんじゃないんでして、どこのところでどうなるかについては、私は誠心誠意申し上げているし、外国の外務大臣も責任を持って一国を代表している方がおっしゃっているわけですから、あとは私たちがあらゆる手段を使ってしっかりと調べる、今調べている最中であるということを申し上げています。

木下委員 今の、民主党は捏造が好きだ、それは撤回してください。それは大臣が言っているわけでしょう。

田中国務大臣 はい、では謝罪して撤回をいたします。

木下委員 いや、そんな問題じゃなくて、では、うそが伝わっているわけでしょう。どこかから、だれかが捏造して伝わってきたんでしょう。だれが捏造したか、それは見当ついていませんか。要するに、今マスコミに流れている二国間の外相会談のあれは、捏造された、どこかから漏れているわけでしょう。そうすると、だれかが捏造しているわけですか。テークノートが流れているわけでしょう。メモが流れているわけでしょう。では、あれはだれかが捏造しているわけですか。大臣、はっきり答えてください。

田中国務大臣 機密の漏えいということはあってはならないことですから、ですからそれについては厳しく指導をいたしますし、私のできる可能な範囲内で解明に努めているということを申し上げております。

木下委員 では、機密の漏えいということは、今流れているそれは事実だということですか。だれかが捏造したものなのか、機密の漏えいなのか、それをはっきり言ってください。

田中国務大臣 中身がどうであるは別として、機密を漏えいすることはあってはならないということを申しておりますし、それから、真相の解明についても今鋭意努力をいたしております。

木下委員 それは当然のことですよ。秘密を漏らしてはいけない、それは当然のことです。

 そうじゃなくて、今マスコミに報道されたことが、事務方が捏造したのか、マスコミが捏造したのか、事実なのか事実でないのか、それをはっきり言ってくださいよ。言っていないとすれば、事実でないということですよ。では、捏造でしょう。

田中国務大臣 それを今、一生懸命精査をいたしております。

木下委員 そんな答弁では納得できないですよ。これはここが基本ですから。(発言する者あり)いや、わかりやすくないんです。

 これは、大変なことをおっしゃっているわけです。今までの安保政策を変更するようなことをやはりおっしゃっているわけですから、また、対中国、あるいは対アメリカに対してもそれなりのあれがあるわけですから、ここは事実か事実でないかをきちんとしないと、これ以後の議論はできないですよ。

田中国務大臣 そういうことについて話し合いをしていないと先方がおっしゃっておりますので。

 それでは、また読ませていただきましょう。オーストラリアはコンプリートファブリケーションとおっしゃっておりますので、こういうふうな表現をほかの国もなさっていますので、話しているのかいないのかとおっしゃる前に、こういう発言を、これはお配りいたしませんでしたでしょうか。届いていますんでしょう。では、それをごらんくださいませ。

木下委員 よその外務大臣が言ったから、もちろんそれは事実でしょう、よその外務大臣はそれなりに言ってくれたわけですから。ですから、それはそれとして受けとめます、それは、外交案件、外交問題、いろいろありますから、それなりの発言として受けとめます。もちろん受けとめますけれども、どの部分が事実であって、どの部分を言っていないかを言っていない。これは、この前うちの細野議員も指摘したように、どの部分が真実で、どの部分が言っていない、これは全然わからないわけですよ。

 ですから、やはり国内で、外務大臣が責任者ですから、これをはっきりしてもらわないと、例えば外交機密費問題を私はやりたいです、しかし、お互いに、外務大臣と事務方と、言った言わない、漏れた漏れない、そんな話をして、私も本当に長いこと政治を見てきましたけれども、外交を預かる内部でもう本当にバトルを繰り返しているような、そんな状態では、これはまともな外交はできないですよ。だから、そこをきちんとやってください。質問できません。

田中国務大臣 とにかく、相手の国の立場がございますので、どうおっしゃられても、残念ですが、開陳するわけにはいかないということを御理解いただかざるを得ません。

 それから、外交につきましては、今後のアメリカにいたしましても、そのほかのイシュー、それから法案の問題等につきまして、毎日、極めて活発に省内では議論をいたしております。お目にはとまらないかもしれませんけれども、私ども、非常に外交について熱を持って、グローバルに、外国からも電話も来ておりますし、鋭意研さんを積みながら、勉強もいたしております。党内でも活発にやっていただいております。

木下委員 大臣、やはり大臣は、本当に、外交機密費の問題で、外務省を改革しようということで乗り込んできたわけです。これに対しては、国民の多くがやはり高い支持率を与えているんです。しかも、外務省の改革をやろうというのは、上から突然来て人事をいじる、あるいは伏魔殿だ、あるいは大掃除をするだ、では、外務官僚はごみか。大掃除をする、おむつが必要だの、委員会でばり雑言を繰り返しているわけですよ。これに対して、事務方も、それは心の中では大変な反発をしています。いやしくも伝統ある外務委員会で、日本の外交の責任者が事務方をそういう形で誹謗中傷すること、これは耐えられないです。もっときちんと、もっと言えば、やはり外務大臣と事務方の十分な議論がない、ここが最大の問題なんです。そうした努力をやられていますか、大臣。

田中国務大臣 私は、外務官僚がごみだなんて言ったことはございませんので、確認してください。

木下委員 大掃除というのは、何を大掃除するんですか。大掃除はごみでしょう。何をするんですか。

 だから、やはり外務官僚にだってプライドもあれば、一生懸命やってきているんですよ。それは、一部こういった問題があったし、あるいは外交機密費のような問題もあった。これは十分に、やはりきちんと改革してもらわなきゃ困る、それから責任者もきちんと処分してもらわなきゃいけない。しかし、こういった問題と、それから外務官僚を頭ごなしにそういう誹謗中傷をすることは、ぜひこの当委員会では、あるいはマスコミに向かってもやめてもらいたい。きちんと議論すれば、恐らく事務方の皆さんも、心の中では、やはり本当に改革をしなきゃならない、そういう思いだと思いますよ。

 ですから、改革は、やはり気持ちがある程度一致しないと、これは改革できないのです。上から来てやるやると言ったって、これは、やはり全員一丸となって、田中外務大臣の意図なり方針を十分事務方に説明して、納得した上でぜひやってもらいたい、そう思います。これは注文です。お答えは結構でございます。

土肥委員長 答弁、求めますか。

木下委員 はい。

植竹副大臣 委員がおっしゃった点につきまして、いろいろな問題が外に流れていますけれども、私ども、大臣以下、外務省の本来の外交ができるように、一生懸命、全員でそれをその方向へ向けてやっておりますので、そのためのいろいろな改革案も考えておったところでございますから、今後ともこの経過をごらんいただいて、また委員からも御支援いただきたいと思います。

木下委員 それから、この問題は、先ほど安住委員の方から、理事会の方で検討するということなんで、委員長、重ねてお願いしたいと思います。

土肥委員長 はい。

木下委員 それから、もう一つ、田中外務大臣を補佐する秘書官が今度何か七人体制ということになったという報道がありましたけれども、これはどうなんですか、事実なんですか。

植竹副大臣 七人体制というんじゃなくて、外務省の今までのいろいろな不祥事件とか何かありましたので、今後、二十一世紀の外務省にすべく、実は副大臣二人、それから三人の政務官との計五人でもって主体となってこれをやっているので、七人というのはちょっと違うかと思いますが、別な意味でございましょうか。(木下委員「秘書官」と呼ぶ)秘書官。省と間違えました。(発言する者あり)

田中国務大臣 御静粛にお願いします。

 秘書官は、従来どおり二人でございます。それで、官房長の御配慮で補佐が五人、これは何日からでございましたでしょうか、補佐の方がふえて来てくださったのは。ですから、私は基本的に二人でございますけれども、従来も二人です、前の大臣も。(発言する者あり)補佐でございます。

木下委員 そうすると、石井南東アジア二課長、それから平松北東アジア課長、兼原信克総合外交政策局企画課長、この三人はどういうお立場、補佐でございますか。

飯村政府参考人 現状を御説明申し上げますと、現在、国会が開会されているということもありまして、補佐体制を強化いたしまして、先ほどお話がありました兼原企画課長、それから石井南東アジア二課長の二人、さらに課長補佐クラスが二名、さらに、最近になりまして平松北東アジア課長が手伝い、補佐ということで入っておりますので、現段階では六人で補佐を申し上げておるというところでございます。

木下委員 どうなんですか。いずれも、例えば非常に流動化している朝鮮半島情勢とかインドネシア情勢とか、いわゆるアジア関係ですね。あるいは兼原さんはジェノバ・サミットの担当ということで、そういった問題に、いわゆる課長とかそれが今のところ空席でございましょう。それは外交に影響はございませんか。今、大変な問題ですので。

槙田政府参考人 今、インドネシアあるいは北朝鮮の情勢その他について支障が生じていないかという御質問でございましたので、私の所掌範囲ということでお答えをさせていただきます。

 今、確かに北東アジア課長あるいは南東アジア二課長が大臣の補佐に専念をしておるということは事実でございますけれども、その間は、私、当然局としての責任者でございますし、また各課に首席事務官がおりますから、ちゃんと問題のないように私ども仕事をさせていただいております。

木下委員 外交は大事ですから、田中大臣の補佐ももちろん大事ですけれども、やはりさまざまな問題を抱えていますので、そこはしっかり、大臣、御指導していただいて、おくれのないようにひとつお願いしたいと思います。

 それから、外交機密費流用問題についてお尋ねしたいんですが、先ほども安住議員の方から質問が出ましたが、松尾元室長の流用金額が約五億円、これは大変な金額でございます。重ねて大臣に伺いますが、この再調査、これはいつごろまでに結論を出していただけるんでしょうか。

田中国務大臣 現在、司直の手にゆだねておりますので、見守る状態でおります。

木下委員 私も実は民主党の外交機密費真相究明プロジェクトの事務局長をやってきました。私どもは、ずっといろいろ資料等を再三外務省に出すようにお願いしたんですが、本当に何も出していただけない。ほとんど出していただけない。真相は全くよくわからない。

 そういう意味においては、確かに松尾元室長は警察で取り調べ、それはそれとしてやってもらう。しかし、それとは別にやはり外務省独自にきちんとした対応をしてもらいたい。この前も外務省の独自調査を出しましたけれども、これも中身が全くない。こんなことでは、ある程度自浄作用が働いて調査をきちんとやった上で改革するというならわかりますけれども、それが具体的にどういう問題があったのかわからないまま改革しようと思ったって、これは無理だと思うんです。

 ですから、どこにどういう形で金が流れたのか、幾らぐらい流れたのか、あるいは本当に松尾個人の問題なのか、あるいは、先ほど安住議員が言ったように構造的な問題なのか、これをやはりきちんと外務省独自で調査して、結論を出して、その上できちんとした改革をしてほしいんですが、これは出す気はございますか、大臣。外務省独自の調査結果。

田中国務大臣 今、警察の捜査が入っておりますので、司直の手にゆだねているところでございます。

木下委員 では、すべて警察にお任せと、外務省はやる気がないということですね。

田中国務大臣 司直の手によって解明されておりますが、その捜査の中でお尋ねや資料要求があれば、もちろん外務省は積極的に協力はするのは当然のことでやっております。

木下委員 大臣、その辺が、外務省改革をやろうと思って――あるいは、国民の多くがやはり機密費はおかしいよと。警察だけじゃなくてやはり独自に外務省で調査しよう。これまでも何回か調査結果をいただきました。しかし、もちろん限界もあるでしょう。限界もあるでしょうけれども、大臣は国民の期待を背負ってきたわけですから、そこはきちんと、警察とは別な形、司直とは別な形での調査結果、あるいは場合によっては、これはもともとが官房機密費ということですので、官房とも連携しながら、ぜひ調査結果を出してもらいたい。独自に出す気はございませんか。

植竹副大臣 改革の関連から私が申し上げますが、今、外務省は外務省の調査をやっていますが、それは全部捜査、司直の手で今やっておりますので、捜査の協力の意味から私どもは今司直の方にゆだねておりますので、これ以上は申し上げられません。

木下委員 それから、これはちょっと外交機密費の問題にかかわるものなんですが、要人外国訪問支援室の設置に対する平成二年三月三十日付の官房総務課の内部通達によれば、具体的な体制として、当面、総務課の下に高裁案ベースでロジ室を設置する、その後、業務が円滑に機能し始めた段階で儀典官室の下に移管するということになって、外務省からいただいたこの資料なんですが、平成二年の支援室のときの通達でそうなっていましたが、以後六年間ずっとこれがそのままきたということでございますか。これはどうなっているんですか。

飯村政府参考人 結局は、要人訪問室は廃止に至るまで総務課のもとに置かれておりました。

木下委員 そうしますと、通達に対する違反ということになるわけですね。

 これは何のための通達ですか。六年間も七年間も放置しておいた、これはだれの責任ですか。

飯村政府参考人 今、私の手元に通達自身がございませんので、あるいは不正確かもしれませんけれども、通達ということではなくて、たしかロジ室の設置の決裁書という内部の決裁の文書であったと記憶いたします。それが一点でございます。

 それからもう一点は、もちろん、こういった室をつくる場合、人的体制だとか省内のサポート体制とかいろいろな要素を勘案してやる必要がございますので、恐らく最初の段階ではそういったことを検討の対象としていたのではないか、もし間違っていたらおわび申し上げますけれども、心はそういう心でございまして、最終段階まで総務課にあった。

 しかしながら、今般、田中外務大臣のもとで発表されました改革要綱では、指揮系統を一元化してきちっと要人の来往訪を実施する、そういう観点から、儀典長のもとにそういった組織を置くということを決定したわけでございます。

木下委員 もう一点、伺います。

 外務省訓令第七号、平成十年九月三十日付の外務省における文書決裁基準等に関する訓令、これによりますと、第三条に「次の各号に掲げる文書は、原則として、大臣の決裁を受けなければならない。」こうなっていて、その四番目に「重要な制度又は組織の変更に関する文書」、それから六番目に「会計に関する重要文書」、これは大臣の決裁を得なければいけない、こう決められているんですが、これは守られてこなかったわけですか。きちんとやられましたか。

飯村政府参考人 今、御質問の趣旨、必ずしも私明確に理解できませんでしたが、何についてでございますか。ロジ室の……(木下委員「外務省機密費」と呼ぶ)ロジ室のあれでございますか。(木下委員「はい。ロジ室の」と呼ぶ)

 この文書自身が大臣の決裁を得ていなかったという点でございますか。

木下委員 もう一度言います。

 ロジ室を設置したこと、「重要な制度又は組織の変更に関する文書」ですね。ですから、そういう意味では、ロジ室を新たにつくった、あるいは外国訪問に対しての経費、「会計に関する重要文書」、これはすべて「大臣の決裁を受けなければならない。」となっていますが、これは決裁を受けて今までやられてきましたか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御質問の外務省訓令第七号、これは平成十年九月三十日に施行されているものでございまして、ロジ室が設置された時点以降に施行されているものでございます。

木下委員 では、要人の外国訪問のときの経費、これは、平成十年以後、大臣の決裁で行われていましたか。

飯村政府参考人 御質問の趣旨は要人の外国訪問のときの支出経費ということでございますけれども、これは当然ケース・バイ・ケースでございまして、場合によっては大臣の御決裁、場合によっては代理決裁で済ませている場合もあろうかと考えます。

木下委員 そうすると、大臣の決裁も行われたし、行われなかった場合もあるということでよろしいわけですね。それ以上の細かいことは時間の都合でちょっとあれなんですが。

 それから、もう一つ、この外交機密費の流用問題。やはり上納があったかなかったか、これが非常に大きな問題だと思うんですが、塩川財務大臣がテレビでそんなような発言をして、後で取り消した、忘れた。ですから、むしろ上納問題は歴代の、大臣、あくびなんかしていないで、上納問題は、実はこれは官僚、事務方の問題ではなくて、あったかなかったか、歴代の官房長官が必ず知っているはずですから、塩川大臣はそう発言しているんです、後で取り消したり忘れたと言っていますが。ですから、事務方に出せ、出せと言うんじゃなくて、むしろ御自分のところの自民党の歴代の官房長官に十分お話を聞いてください。そうすると必ずわかるはずです。やっていただけますか、大臣。

田中国務大臣 上納問題についてお答えいたしますけれども、外務省の報償費が内閣官房に上納されているということはないということを確認いたしております。それは、私は、現官房長官にももちろん、諸先輩にも伺っておりますが、これまでも国会において官房長官や外務大臣経験者、ここにもいらっしゃいますけれども、累次述べておられるとおりでございます。

木下委員 同じことを何回棒読みされても困るんですけれども。これは塩川さんが言っていらっしゃるわけですから、もう一度その公式の、聞いたからなかった、最初は随分意気込んで、調べる、何かあると言っていながら、途中から、みんながないと言っているからない、そういう話になっちゃったんですが、これはもう一度重ねて、この問題を、むしろ知っているのは、やはりずっと政権を担ってきた、あるいは官房長官をずっと続けてきた自民党の皆さんが御存じなわけですから、ここはじっくり自民党の皆さんに確認してください。もう一度要請しておきます。

 それから、もう時間もあれですので、最後にちょっと、これは私の地元で大変恐縮なんですが、実は、私の住んでいる埼玉県の所沢市なんですが、所沢市は首都東京の三十キロ圏に位置し、昨年の平成十二年で市制五十周年を迎えました。三十三万人の人口を有する埼玉県南西部の中心都市であります。

 ちょっと資料をお配りしていただきたいんですが、この所沢市に今米軍通信施設が、基地がございます。市の中心部に七十二ヘクタールという大変広大な基地がございます。これは、最近人口が非常に所沢市も急増しておりまして、住宅あるいは学校建設その他、場所が市の行政区の近くでございます。市役所の近くであったり、あるいは警察署の近くであったり、交通渋滞が大変激しい、そこを迂回しなければならないということで、これまで随分返還要求を市民全体で一丸となってやってきまして、これまで二回ほど返還がございましたが、あと七十二ヘクタールが残っております。

 この米軍通信施設の役割というのを、実際、市民も全く知らないわけですね。もちろん機密もあるでしょうから、大体どんなことをやっているのか、簡単にちょっと御説明いただければと思いますが。

伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、なかなか通信施設というものの役割を御説明することは難しいわけでございますが、現代の軍におきまして情報の伝達というのは非常に大事なということは御理解いただけると思います。そして、この施設は、まさにその役割を担いますところの送信施設として使われているというふうに承知をしているところでございまして、横田に第五空軍の司令部があるわけでございますが、こことの関係において非常に重要な施設であると認識をしております。

木下委員 この問題につきましては、去る二月に私どもの所沢市長を中心に東京防衛施設局に要望書を出しております。全面返還もしくは一部返還をお願いする。四月には、埼玉県の土屋義彦知事がアメリカに参りまして、やはり返還を要請しております。

 実際、地図でこういうあれなんです。こちらに市がありますが、大臣、ちょっと見ていただけますか、これが基地なんです。ですから、できれば全面返還。これは市の中心で、本当に住宅、あるいは迂回しなければなりませんので、大変交通渋滞。ですから、町づくりの大変な障害になっております。

 ですから、全面返還、もしくは、赤線を引いてあるような道路を拡幅あるいは東西を横切る道路、この一部だけでも結構でございますので、早急に何らかの結論あるいは方針を示していただきたいと思うんですが。

伊藤政府参考人 地元の先生でございますので十分御承知のことと存じますが、この施設はもともとは所沢補給廠ということで、三百四ヘクタールという広大な施設を持っておったわけでございます。その後、昭和三十六年から、特に昭和四十六年が大きかったわけでございますが、五十七年にかけまして、およそ二百七ヘクタール、およそ三分の二以上が返還されて現状に至っているということでございます。

 そして、御指摘のとおり、市あるいは県からいろいろな、さらに道路用地等々の返還の御要望があることは私どもよく承知しておりますし、私あての文書もいただいております。さりながら、先ほど申し上げましたように、大変重要な通信施設であるということ、そして何らかの施設を設けますとその送信の機能に障害を及ぼす影響があるということで、今までも米側は大変難色を示しているところでございます。

 私どもといたしましては、特に今御指摘の東西の道路、これをつなぐ道路につきまして、確かに長期間市民の方々にも御不便をおかけしているということは承知しておりますので、ただいま申し上げましたように、困難な問題はございますけれども、何とか県あるいは市と調整をしながら、米側の施設とどうやって両立させていくことができるのか、いろいろと勉強しているところでございます。

木下委員 大臣、最後にお伺いします。

 私ども基地を抱えた住民、これは本当に基地がさまざまな形で、安全その他、日本の安全ということを考える場合ある程度は受容しなければいけないと思うのですが、やはり市民、住民にとっては、この基地の存在というのは町づくりその他で非常に障害になっております。沖縄の問題あるいは各地の基地の問題、これは大変深刻な問題を抱えておりますものですから、とりわけ私どもの所沢だけということじゃなくて、日本の今ある米軍基地につきましては、大臣、訪米されるという予定でございますので、沖縄の問題も含め、日本の安全保障、コストとの関係、その辺もぜひ向こうで外務大臣を含めて議論をしていただきたいと思うのです。

 何か報道によると、日米外相会談が終わった後、マスコミへの記者会見を行わないというような話が伝わってきているのですが、ぜひ記者会見をやっていただきたいと思うのでございますが、その点は。大臣。

藤崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 大臣の訪米につきましては、現在日程を調整中ということでございます。そういうことで、もし御了承が得られて訪米ができる場合の日程についてまでまだ詳細を詰めさせていただいているわけではございません。

木下委員 まだ日程は決まっていないということですね。行くことは間違いないわけですね。

藤崎政府参考人 御答弁させていただきます。

 ただいま申し上げましたのは、大臣の訪問につきまして日程を調整中ということで、もし御了承が得られれば訪米ということだろうと存じますが、まだそういうことで調整中ということでございまして、決まっているわけではございません。

木下委員 わかりました。では、もし実現したら、会談後明快な形で記者会見を開いて、広く国民の皆さんに成果なり外交方針をぜひ発表してもらいたいと思いますので、大臣、ひとつよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

土肥委員長 次に、東祥三君。

東(祥)委員 外務大臣、こんにちは。

 前回の外務委員会に続きまして、また質問させていただきたいと思うのです。

 前回の委員会におきまして、日本の安全保障政策にかかわる憲法問題との関連についてお話をさせていただきました。外務大臣の方から、今いろいろと検討しているということであるのですが、さきの外務委員会でも申し上げたとおり、五十五年間積み上がってきているものがいろいろあります。そうすると、虚心坦懐に安全保障という日本の国民の生命と財産を考えるという基本的な部分において、結局、いろいろな解釈の問題だとか今までの委員会における内容だとか、そういうものが入ってきて、本質的な部分がどうしても見失われてしまうのではないのかと、私は、政治家になってこういう議論をしているときにずっと思っております。

 そこで、それを受け入れられるかどうかは別として、前回の外務委員会において、憲法九条の文理上の視点からいくならば、そこには集団的自衛権というものが行使できないということは導き出されないという角度でお話をさせていただいたわけであります。

 結論として、国民の皆さん方にもわかるようにいえば、結局、日本の憲法九条の解釈というのは、自分は守るけれども他人、他国は守らない、そういう前提に立って安全保障政策というものができ上がっているのではないのか、こういうふうに思うわけであります。

 その点について、外務大臣、いろいろとテレビ等を見ている限り、土曜日、日曜日、若干の休みもとれたというふうに言っていて、いろいろなことを考えられたと思うのですが、少なくとも、さきの外務委員会においていろいろ話をしているこういう問題についても頭をめぐらせていただける時間があったのかなと。いろいろな議論がかまびすしくされておりますけれども、事安全保障の問題という本質的な問題ですから、基本的に、日本の憲法解釈上、自分は守るけれども他人は守らない、また自分が窮地に追い込まれたときには守ってもらう、そういう体系が前提になっている、この点についていかがですか。

田中国務大臣 前回も委員とこのお話をさせていただきまして、その後また、内閣自体が発足してから、従来から内閣というのはそういう形で進むのかと思いますが、大変忙しくて、つい最近も、御案内だと思いますけれども、二回ほど総理の執務室で、総理と防衛庁長官と私と意見の交換をさせていただきまして確認したことでもありますけれども、委員が一番関心がおありになるこの集団的自衛権の問題と憲法九条の問題ですが、基本的には、前回と同じことになって恐縮でございますけれども、日本は国際法上この集団的自衛権を有しているということは、主権国家である以上当然であります。しかし、九条というものがあるわけでございまして、そこにおいては、許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるということできております。そして、集団的自衛権を行使するということは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないというふうに解釈されてきているわけですよね。

 ですから、それを超えて、踏み出してもう少し考えていこう、いろいろ検討していこうといいますか、前広に議論をいたしましょうというのがこの小泉内閣の考えでございまして、その中には、護憲派も、ほかに護憲という従来の方もおられますし、もう改憲しようという方もおられるでしょうし、解釈論でいこうという方もおられると思いますが、小泉内閣の私どもの考えは、こういうことについていろいろと意見を聞いて研究してまいりましょうということでございます。

 したがって、現在、御案内のとおり、衆参両院で憲法調査会もございますし、いろいろな意見も出ておりますので、そういう御意見もよく聴取しながら、私の記憶違いでなければ前回たしか委員はあの調査会の意見については少し疑問を呈されたか、そのように思っておりますけれども、そういうスタンスで進んでまいります。

東(祥)委員 外務大臣、研究はどんどんやっていただいていいのです、もう何十年とやってきているわけですから。

 ただ、僕が申し上げているのは、外務大臣個人に申し上げているのですが、現行の憲法解釈というのはそういうふうになっているのです。みんな、それはそれとして、共有しているのですよ。ただ、問題は、もう一度虚心坦懐に戻って、その当時、そういう現行の憲法解釈が行われる背景というのがあるわけです。

 小泉総理も言われているとおり、国際事情は激変しているのですよ。当時はまだソ連からひょっとして日本に侵攻してくるかもわからない、そういう状況下で、いろいろ国際状況も全く違ったわけです。今は、もう私が申し上げるまでもなく、世界に冠たる第二位の経済大国になった。国際社会に対してもそれなりにちゃんとした、国際の平和活動に対しても参加、協力していかなくちゃいけない、また、そういう息吹というのは国民の中からどんどんわき起こってきている。また、ミサイルが飛ぶ時代、必要最小限度云々という、もう既に何十年前にでき上がったその解釈で、本当に日本の安全保障というのは守れるのですか。そういう時代に入ってきているのですよ。

 そのときに、改めて、息子さんにぜひ憲法九条を見させてあげてくださいよ。そのときにどういうふうに読むかということですよ。どこに自衛権、自衛権というのはこれは当然の権利ですから、やられたらやり返す、それに対して、集団であるいはだれかに手をかしてやっちゃいけないとどこに書いていますか、どこから引き出されるのですか。

 自衛権は認められるのは当然だ、しかし、集団的自衛権は行使することができない、憲法上。私は、それは政策的判断でそういうことをやっているんだろうというふうにとらえるわけですよ。もう一度虚心坦懐に考えて、憲法上、自衛権は認められるんだ、自分自身が攻撃されたときに反撃することができる、でも、自分の極めて緊密な関係にある国が攻撃されたときにそれはやっちゃいけないとどこから引き出されるのですか。

 そういう前提のもとで、今日もう一度改めて考え直してみたときに、私は、憲法解釈、つまり憲法で許されるものと、それから政治的、政策判断としてできるもの、これが常に一緒になって動いているんです。こんなばかなことはないと思いますね。憲法上できるというふうにしておいて、日本の政治判断としてやらないということはできるわけですよ。やるものはこれですということはできるわけですよ。

 そういう考え方というのは、外務大臣、外務大臣は極めて頭が柔軟だというふうに僕自身、他人はどうであれ、私はそういうふうに思っているんです。したがって、周りのいろいろな――まさにそこに、僕は本来の、官僚がつくり上げてきた本質的な安全保障問題における骨幹があるんだと思うんですよ。政治家が真正面からそれに対してメスを入れていないんですよ。小泉内閣が本当にこの問題に対してやるというならば、それこそ過半数を制しているわけですから。他の連立政権政党は知りませんけれども。

 それから、自民党内においてもこの問題というのはまだまとまっていない。何十年議論するのですか、何十年研究するのですかと。それはまさに内閣における最大の、国民の生命と財産を守る、それは官僚との戦いになってきますよ。ぜひ外務大臣、そこで僕は頑張ってもらいたいという秋波を送っているのですよ、その意味で。できるかどうかは別ですけれども。

 でも、普通に考えたときに、虚心坦懐に考えたときに、憲法九条を読んで、どこから文理上そういうものが出てくるのですか。内閣法制局長官を呼んでくれば、何百時間にわたってずっと言いますよ、積み上げられてきたことを。そんなこと聞いたとしても、国民は全然わからないはずです。なぜ私たちは個別的自衛権だけ認められていて、集団的自衛権を行使することができないのですかと。

 やるやらないは別ですよ。できるというふうにしておいて、前に、わかりやすい例でお話ししました。人間関係でいくならば、だれかがやられている、僕は、他人であったとしても助ける権利、あると思いますよ。行使する行使しないというのは僕自身が決めます。相手が強過ぎる、僕もずたずたにやられてしまう、出ない方がいいかな。しかし、ひょっとして本当に、殴られっ放しで、この人を助けないと大変なことになってしまう、助ける権利、あるはずですよ。

 そこまで私は集団的自衛権の論理を拡大するつもりはありませんけれども、基本的に、憲法九条というのを虚心坦懐に読んだときに文理上、法学者に聞いてもいいですよ、どこに文理上明確な根拠があるんですかと。だれも答えられないと思います。それは政治の判断で、官僚がそのように決めてきた、それを追認してきただけですよ。

 やるやらないは別として、憲法上ちゃんと認められる、内閣がそういう判断をすることによって、もし内閣法制局長官が、おかしい、今までの積み上げによってそれを変更することはできないと。首をかえればいいじゃないですか。まさに新内閣、聖域なき改革断行をやろうとしているわけでしょう。それこそまさにタブーなんですよ。

 だから、そこまでいっちゃうと外務大臣には重荷になるかわかりませんけれども、僕が申し上げていることというのは、これは不自然ですか、論理的におかしいですか。外務大臣個人として、それによって、それがまた報道されるということはないと思います。

 つまり、改革しようとしているのですから、そこにメスを入れない限り、個別具体的なところに何かいったとしても、もとを正していかなくてはいけないわけですから。その部分について、外務大臣、どのようにお考えですか。

田中国務大臣 とにかく、戦後五十年以上もこの問題について、第九条について触れることがあたかもタブーであるような状態で続いてきているということ、それは本当に残念なことだと思いますし、おっしゃったような法制局が出てきて研究するというところ、研の字に二十五年、究という字をやるのに二十五年というようなことであって決していいわけじゃないというふうに思う。

 それは国民のどなたも思っておられると思いますが、価値観が多様化していまして、その中で、世の中でいろいろな情報も入ってきている。それで、自由党さんのお考えもあれば、多分共産党の先生は、この後質問なされば、きっともう百八十度違うことをおっしゃるのかもしれませんし、やはりいろいろな意見があるわけですよね。

 ですから、前広に、こういうことを今まで余り議論もしなかったのに、研究をしながら、たくさんの意見を吸い上げていきたいということを、それは研究しようということを、この内閣は踏み出したわけでございますから、活発な議論があるということは歓迎をいたしたいと思います。

東(祥)委員 こういう問題になると俄然、外務大臣は極めて優等生的発言をされるのですが、外務大臣はどのようにお考えになりますかと、個の発言ですよ。

 政治主導だとおっしゃっているんでしょう。政治主導というのは、まさに政策面において、私はこういうふうに思うと。外務省の官僚に言ってあげてくださいよ、私はこういうふうに思うんだと。それが政治的にいろいろな問題が出てくれば私はちゃんとやります、これが政治主導ですよ。官僚をいじめることは政治主導じゃないですよ。政策面で外交を動かしてもらわなくちゃ困るわけだから。私はこういうふうに思う、それで知恵をかしてくれと。有能な人たち、いっぱいいるじゃないですか。知恵を出させなくちゃいけないわけですよ。方向性を示してあげてないんですよ、日本の政治というのは。

 それはなぜかというと、今外務大臣がいみじくもおっしゃったとおり、広く議論をしてください、研究してください、検討の結果を待ちましょうと、ずっときているのですよ。だから、そのときに足りない、欠落している部分は何かといえば、外務大臣は、私はどういうふうに思う、それができるできないは別として、どのように思われるのかということを僕は聞いているのです、外務大臣。私は個人の意見を答えることはできませんなら、できないでいいですよ。それを言ってくださいと言っているんです。

田中国務大臣 ですから、私も閣内の一員として意見を申し上げておりまして、価値観が多様化していて、そして、今まではこういうことについて議論することもタブーのようであったのに、いろいろな意見が前広に、憲法調査会もでき、いろいろな意見を皆様がおっしゃる。それは極めていいことで、これが最終的にはどこかのところで結実していくであろうということを思っております。これが私の意見です。

 こういうふうに研究をしていくこと自体が一つ吹っ切ったことで、大変歓迎すべきことであるというふうに考えております。これは私の意見でもありますし、閣内でもそうです。

東(祥)委員 それは僕の申し上げていることに対しての意見ではなくて、東さんには東さんのそういう考え方がある、別の人には別の人の考え方がある、その考え方に私の意見は申し上げることはできないけれども、そういう意見がいろいろ出ているんだから、それをどのようにマネージしていくかという問題のすりかえですよ。私が言っていることに対してどのように思われますかと言っているんです。それをどのようにまとめてくださるんですかと聞いているんじゃないんです。問題をすりかえないでください。

 私は憲法九条に関して今そういうふうにとらえております、外務大臣はどのようにお考えなんですかと言っているのです。

田中国務大臣 申し上げれば、自衛権の行使をするのであれば最小限度であるということでございますし、それが基本ですし、またやはりみんなで議論をしていく、今まで議論すらしなかったわけですから、それができることは極めて歓迎すべきことで、皆様の熱意によって方向性が決まっていくということではないでしょうか。

東(祥)委員 自衛権の行使に関しては最小限であると。そうすると、じゃ、個別も集団的にもないというお考えをとれる立場にいらっしゃるんですね。

 外務大臣の個人のお考えを聞いているんです。後半の問題は、問題のすりかえですから、僕には関心ないですよ。

田中国務大臣 ですから、自衛権の行使は最小限であるということを申し上げます。

東(祥)委員 じゃ、それには個別も集団的にも、その差はないんですね。

田中国務大臣 ですから、これはまた同じことになりまして、聞き飽きていらっしゃるんだろうと思いますが申し上げますけれども、我が国は国際法上は、また、もううんざりなさって申しわけないのですけれども、集団的自衛権は有していることですけれども、主権国家である以上は、第九条という憲法があるわけですから、そのもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するための最小、一番最低限ですよね、必要最小限度の範囲にとどめるべきものである。必要最小限度の範囲にとどめるべきものであるというふうに思っております、私自身の認識も。

東(祥)委員 外務大臣、また議論しましょうね。全然議論かみ合いませんから。(発言する者あり)外野は黙っていてください。あなたとやっているのではないのだから。外務大臣とやっているのだから。やるときは二人で一生懸命やりましょう。

 次に、いわゆる集団安全保障体制という、そういう話があります。

 また、小泉総理が、国際協調システム、国際社会のシステムを新たなるものを構築していく。湾岸戦争のときに、国際社会が一致団結してイラクの侵攻、これに対して反撃しよう、こういう決断をした。そのときに、またここですごい議論されたわけですね。そこでの議論の前提になっているのは何かというと憲法第九条なのですよ。自衛権の延長線上で言っているのですよ。

 国際社会の集団安全保障体制というシステムはまだ完備されていません。一九四五年に国連憲章ができ上がったときに、本来ならば、国連軍をつくって、国際社会のシステムの一員であるある国が何らかの秩序違反を起こしたときに、日本で見られるような警察機構ですね、それによって制裁を加える。しかし、そういう形はまだできていない。

 しかし、今の国際社会の現状というのは、アメリカも含めて、国際社会で、宗教的対立あるいはまた民族的対立、いろいろぼっこぼっこできてきている。そういう状況の中で、その国際社会のシステム、それ自体を覆そうとする、そういう国があらわれてきたときに、国際社会が一致団結してそれに対して制裁行動を加えようと。そのときに日本は、これはまさに発想の違いなのですけれども、発想の角度を変えればどのようにでも対応することができると思うのですが、現行の憲法解釈上でいくならば、憲法九条の延長線上で考えているのですよ。自衛権の問題として考えているのですよ。

 まず外務大臣にお聞きしたいのは、直接日本の生存にかかわらない、つまり自衛の問題ではない、国際社会で、ある国が、例えばユーゴスラビアでもいいですよ、まさに反人権的な活動を行って、その地域で何とかしてこれをたたき落とさない限り、そこでまさに人権侵害の最たるもので、婦女子がめちゃくちゃな暴行に遭っている、それに対して手をこまねいて、見ていればいいのかどうなのか。これは地域全体でたたかなくてはいけないのではないのか。

 こういうときに遭ったときに、日本はまたぞろ、一方においては平和を叫びながら、他方においては憲法九条を盾にして、そういうところには参加、協力していかない。協力するというのはただお金だけですよ。

 また、そういうところの中で、例えば戦争の被害者が出ている。前にも僕は予算委員会でお話ししたことがありました。ナイチンゲールですよ。まさにその戦闘部隊で犠牲をこうむっている方々がいたときに、日本の自衛医療官を、何というのでしょうか、その人を派遣することすらできない、こういう国ですよ。おかしいと思いませんか。外務大臣、いかがですか。

田中国務大臣 先ほど集団安全保障の問題、前回もこのことについてはおっしゃっていただきました……(東(祥)委員「前回は言っていませんよ。前回は集団的自衛権の話です」と呼ぶ)今は集団的安全保障のケースをおっしゃいましたけれども、これはもう何度もまた、これは耳だこでいらっしゃると思いますけれども、ある国が侵略等を行った場合には、国連自体の判断、国連の判断に基づいて鎮圧、あるいは侵略行為を鎮圧、除去することができるということですけれども、今おっしゃった具体的なケース等につきましては、おっしゃった例ですけれども、これは憲法の枠内において判断していくということになると思います。

東(祥)委員 外務大臣、本当にお願いしますよ。僕の言っていること、理解できないというなら理解できないと言ってくれていいのですけれども。

 憲法九条の延長線上、憲法九条というのは自衛権の問題でしょう。それと今話している集団安全保障体制、国際社会の中で、ある国が平和を破壊する行動を起こした、そのときに、当たり前ですよ、憲法の枠内でやるのは。そのときに、憲法九条ではなくて憲法の精神、それは国際協調主義でしょう。それに対して、自衛権とは違う考え方を通して、日本が国際の平和と安全に対して積極的に参加、協力していくのは当然ではありませんかと私は聞いているのですよ。

 外務大臣、後ろの優秀な官僚に御下問されなくても答えられるように僕は質問しているはずですよ、外務大臣の頭脳があるならば。どうだと聞いているのですよ。

田中国務大臣 いろいろなケースがあると思いますけれども、憲法上の問題に加えまして諸般の情勢を総合的に勘案して判断をすべきだというふうに思います。

東(祥)委員 官僚の皆さん、そういう大事なことは別に、大事なことというか、本当に事態を進展させよう、いい方向に持っていこうとするときに、それを押しとどめるような答案を出してはだめですよ。まさに無垢な外務大臣なのだから。新しいものを入れてあげなくてはいけないわけですよ。発想が硬直化していくではないですか。今までの現行解釈を乗り越えて、そして日本の外交政策をもっと柔軟に、さらにまた国際社会に対して積極的に貢献しようとしていることですよ。

 それを皆さん方が、現行の、今まではこうでした、外務大臣の潜在的な能力をまさに押しとどめるような、そういう逆行的な官僚の態度、それに対しては、外務大臣は厳しく責めなくてはいけないのですよ。私が決める、あなたにそういうことを言われたくないというふうにやっていけば、立派な外務大臣になる。歴史にさん然と輝きますよ。そういう外務大臣に僕はなってもらいたいと思うのですが、二回外務委員会で議論をしておりますけれども、残念ながらまだ全然びんびんと響いてこない。残念でなりません。

 これは幾ら続けてもだめですから。そういうことに関して外務官僚から言われても、現行はこうなんだな、ちょっと待ってよと。虚心坦懐に、息子さんと議論したっていいではないですか。(田中国務大臣「しています」と呼ぶ)していて、そのことを教えてください。そういうところから、国民は一体どういうふうに考えているのかというところから、本当に新しい息吹を入れていただければすばらしい外交になると思うのですよ。

 最後に聞きます。

 ミサイル防衛について外務大臣は一体どう思われているのですか。

田中国務大臣 いろいろな御意見があることも承知しておりますけれども、これは、ですから、訪米がもう近いと思いますし、まずアメリカの、どのようなプランニングがあるのかということをよく伺って、それでまた御報告できるように私なりによく勉強もしていきたいというふうに思っております。

東(祥)委員 外務大臣、ミサイルというのは日本というのは何にもないのですよ。ミサイル、これは石に例えられる。石がぽおんと飛んでくる。それをどういうふうに制御したらいいのか。当たり前ですよね。ミサイル兵器というのはどんどんどんどん拡大、拡散しているのですよ。北朝鮮にもそう。ノドン、テポドンがどれくらいになっているかわかりません。中国にもたくさんのミサイルがある。大陸間弾道弾が二十から二十数発ある。イランにもある。どんどん拡散しているのですよ。僕は外務大臣に聞いているのです。何を話しているの、外務大臣。

 そういうミサイル兵器に対して防御するというのは当然な考え方ですよね、技術的な問題はここに置いておいて、そう思われませんか、どうですか。

田中国務大臣 以前、科学技術庁長官も私がやっておりまして、ああいう技術の開発というもののプラスの面とマイナスの面、いろいろあるということも私は承知しておりますけれども、技術の研究というものは、研究をするということ、これをやることによって非常に違った研究の芽が、民用転用といいますかね、そういうふうなものを、この間もそういう議論が参議院でもございましたのですけれども、やはりいろいろな人類に貢献するような研究も出てくることもありますし、ですから、研究はともにやるということには何ら異存はございません。

東(祥)委員 さらにまた、矛じゃないですよね、盾と矛でいけば。矛で、相手の胸ぐらをつかんで、おまえ、やるかやらないか、これがまさにミサイル攻撃だと僕は思うのですよ。僕ら、何にも持っていないのですよ、日本というのは。一億二千七百万人、ぼおんとミサイルが来たならば、どうすることもできませんよ。それに対して、国民の生命と財産を守る。技術的な問題を横に置いておいて、当然ミサイル防衛というのを考えるのは、これはある意味で、倫理的でもありますし、道徳的でもありますし、文明的でもあると僕は思っているんです。

 そういう意味において、ぜひ、ミサイル防衛という、やはりこれも虚心坦懐に考えればいいんですよ。ミサイルをいっぱい持っているところがある。ないんですよ、日本は。対空ミサイル、飛行機を落とすものはあります。しかし、それ以外のものというのは日本は持っていないんです。したがって、ミサイルが飛んできたときに日本というのは防御不能になります。一億二千七百万人の生命財産が脅かされます。

 それに対して、今おっしゃったとおり、具体的にそれを考えていく。周りの状況、これからどういうふうになっていくかわからない。何もないんですよ、日本は。国民の生命と財産を守るという視点から考えれば、それを前向きにとらえていくというのは当然のことだろうと僕は思います。

 だから、アメリカへ行かれるかどうかは知りませんけれども、とにかく、日本はどういうふうにとらえているのかということを積極的に、余りお伺いばかり立てないで、日本のことを考えて、また集団的自衛権のことも考えて、また集団安全保障のことも考えて、それをぜひ頑張ってきていただきたい。行かれるかどうかわからないので頑張ってきてというのはおかしいですけれども、よろしく。

 以上でございます。時間が来ました。

土肥委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 午前中から外国政府首脳と田中外務大臣の会談内容についていろいろ議論がありました。私、この間の外務委員会でも議論をしましたが、その報道されている中で安保体制からの自立という言葉が使われていて、これは外務大臣が使ったかどうかというのは全く今やみの中なんですが、しかし、安保の舞台で自立という言葉が出てきた意義をとらえまして、それで外務大臣の外交の基本姿勢について伺いました。

 実は、同じような考え方を琉球新報の六月七日付の社説で展開をされているんです。こう言っています。「米軍基地問題に象徴される沖縄の不幸が解消されないのは、極度に米国に追随、硬直した日本外交に原因があることを私たちは、これまで何度も指摘してきた。」「「外交の自立」がなぜ悪いのか、これこそいま日本に必要なことではないか。」こう言って、「主張すべきは主張しないと、日本の外交は、特にアジアの仲間の信頼を得ることはできないだろう。 私たちは、沖縄返還交渉の過程で、そして一九九五年九月の不幸な事件以降も、外務省が問題の解決を先送りする役割しか果たしてこなかったことを知っている。」琉球新報の社説にこのように述べられているわけですね。

 それで、田中外務大臣の発言についての評価もありますが、これは、田中外務大臣みずからが発言したかどうか明らかにしていませんので、その評価の部分は割愛をいたしましたけれども、私たちは、日本共産党は、安保条約廃棄以前にも、アジア外交、自主外交という立場をとっております。これは、前回質問をしましたら、日本共産党との立場の違いも強調されておりましたけれども。

 ただ、自主外交というのは、沖縄県民の歴史的体験から、一番今日の日本の外務省に要求していることなんですよ。こういう県民の立場に立った自主外交を進めるおつもりがあるかどうか。つまり、沖縄県民が問題を提起している、これをやはりアメリカに対して主張し、解決をする、そういう意味での自主外交、これをとっていくおつもりがあるかどうか、基本姿勢として最初に伺いたいと思います。

田中国務大臣 委員御指摘の琉球新報は、この六月七日のことをおっしゃっていますんでしょうか。(赤嶺委員「そうです」と呼ぶ)

 これは私も目を通しておりますけれども、自主外交、外交の自立ということは、これは当然のことでして、それを私が言っていることの趣旨は、例えば日米の同盟、これはもう絶対基軸でございますから、基本です。基本でありますけれども、じゃ、アメリカに何も物を言わないのか、例えば沖縄の問題を。ずっと委員会で、この約二カ月近くいろいろな御意見を開陳されておりますし、御要望もあります。

 それらをこちらの立場として、日米同盟が基軸でありながらも、その中でもって出てきている、最初に下地委員からの御指摘もありました環境の問題もあるし、経済の問題もありますし、安保自体が持っている問題、その他いろいろはらんでおりますけれども、それらについて、今こちらの状態はこうであります、殊に沖縄問題について、先ほどほかの委員からほかの地域の問題もございましたけれども、そういうことも勘案しながら、きちっと言うべきことは意見を申し上げて、そして、先方の御意見も聞いてくる。そういう意味で自立なわけでして、これはアジアの国に対しましてもアフリカでも欧州に対しても、どこに対しても当然それは当たり前の基本だと思いますよ。

 ただ、相手があることであるということを毎回申し上げているわけでして、何もこちらが物を言わないなんていうような状態であっては決してならないと思っておりますから、それが私の言う自主、自立外交でございます。

赤嶺委員 答弁は、一応、今聞いておきます。そして、きょうの委員会の議論の中で、具体的な問題を通じて、どういうところで日本の外務省が自主、自立を発揮すべきかという議論を、沖縄の問題やNLPの問題の議論を通じてやっていきたいと思います。

 それで、その沖縄の問題で、きのう防衛施設庁は名護市で普天間代替基地について三工法八案の説明会を名護市議会とそれから地元辺野古、豊原、久志の皆さんに行いました。

 この問題の前提条件は全く何一つ解決していないということは、防衛施設庁の方が百も承知だと思います。名護市の代替基地受け入れの基本条件は、航空機騒音の解消、自然環境への配慮、キャンプ・シュワブの廃弾処理、飛行ルート、夜間飛行など、何も解決していない。廃弾処理も、処理場の移設をしたらそれに対して地元から物すごい不満が出てくる、こういう状況です。

 きょうの沖縄タイムス紙は、「米軍普天間飛行場代替施設の具体的な工法、規模が十二日、名護市に示されたが、地元ではむしろ国、県への警戒感と不信感が広がった。」「「工法以前に整理すべき問題があるはずだ。十五年、使用協定の方向性が示されないうちの工法決定は無理だ」。市議会では、移設容認の立場を取る与党会派の我喜屋宗弘市議が、厳しい口調でこう語った。」と防衛施設庁の姿勢に厳しい批判を浴びせています。

 もう名護市が出した前提条件は崩壊しているんです。崩壊しているということも、皆さんよく御承知だと思うんです。前提条件を詰めないで説明会をしたら、どんな意見が出てくるか、これは午前中も自民党の下地議員からも言われました。私は、そういうような前提条件が崩壊している以上、この三工法八案はまず撤回すべきだということを考えますが、いかがですか。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、三工法八案というものを先般、第七回の代替施設協議会におきまして御報告を申し上げました。これは、委員御承知のとおり、昨年来代替施設協議会というものを、地元の知事さんあるいは名護市長さん、隣接の二村長さんもお入りいただいて、継続してきておったわけでございます。その場は、まさに代替施設の基本計画をつくるための協議会ということでございます。

 そうした過程の中で、例えば二千メートルの滑走路を基本とすることとか、その他の条件を詰めた上で、技術的に可能な案ということでお示しをした次第でございます。

 名護市からの、例えば十五年問題と申しますもの、これは別途のところで御議論いただいておりますし、それから、今廃弾処理場の問題も御指摘ございました。これにつきましては、地元でのいわゆる実務者協議会というものの中で一応の解決策というものが出てきたわけでございます。今後、それに従いまして、私どもは誠実にその工事をやってまいりたいというふうに思っております。

 それから、飛行コース等の問題でございますが、これは、現実に代替施設ができたときにいわゆる使用協定なるものはできることになるだろうと思いますが、それに向けまして、これもまた実務者協議会におきまして、いろいろと市とも御議論を重ねております。

 いわばそういうもろもろの問題を並行的に作業しておるわけでございまして、また、今回の三工法八案と申しますものも、その代替施設協議会の中で御報告を申し上げ、それについて地元にも御説明を申し上げたという経過であることを御報告したいと思います。

赤嶺委員 防衛施設庁長官は、事柄の深刻さをわきまえていないと思いますよ。そういうような手続を経て決まりましたので、名護市に行って説明をしましたら、誘致派の議員の皆さん方からも不満が一斉に噴き出しているというこの実態、それから、辺野古、豊原、久志の住民との話し合いの中でも不満が噴き出しているという実態ですね。頭の中だけで、物事が解決している、前提条件がクリアしていると思ったら大間違いだと思います。ここを一つ指摘しておきたいと思います。

 それで、十五年使用期限の問題ですが、訪米なさると外務大臣の方から伺っています。

 それで、三月十九日に、ブッシュ大統領と当時の森総理との日米首脳会談がありました。この中で、十五年使用期限問題について、ブッシュ米大統領の発言が報道されておりますけれども、困難な問題だ、国際情勢に照らして考えないといけない、米軍のプレゼンスは重要だ、こう言っているわけですね。それで、米軍のプレゼンスは重要だという前提のもとに、しかし十五年の使用期限は県民としてぎりぎり耐えられる年限だというのが稲嶺知事の御説明だと思うのです。

 その点で、私、アメリカに行かれて、十五年使用期限、どのように御主張するおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 ことしの三月でございましたか、森前総理とそれからブッシュ大統領が会見なさった。そして、その使用期限の問題は困難である、ブッシュ大統領はかなり強い口調でおっしゃったというふうな話も聞いたように記憶をいたしております。記憶違いかもしれませんけれども。

 そういう中で、知事さんは、選挙公約としてずっと十五年十五年と言っていらっしゃったこともあると思いますし、なかなかこれは安易な問題ではなくて、年限よりも、やはり日米安保というものもありますし、そういう中で、基地問題についてアメリカが実際にどのように進めようとしているのかということを、私がお会いするのはパウエル長官でございますから、それで今鋭意詰めてくださっているわけですけれども、やはり兵力の構成の問題、午前中、下地幹郎、プリンス、太陽がおっしゃっていましたけれども、本当に地位協定の問題ですとかそれからSACOの問題もありますし、そのほかもろもろの要請があるわけでございますから、こういうことを、私はトータルでしっかりと、日本国の外務大臣は、それこそ自主的な自立した外交として、率直に目を見てお伝えをしてまいります。そして先方の御意見も聞かなければならないのですね。

 ですから、そういうふうなスタンスを私は申し上げていまして、この使用期限の問題というのは大変なかなか難しいなという思いはありますけれども、引き続きやはり協議できるように、そして少しでも日本の立場、気持ちを、沖縄県民の皆様の、赤嶺先生がこれだけ熱弁をいつも振るっていらっしゃる、その先生の思いも十二分に思いをいたしながら、微力ではございますけれども、私は一生懸命努力をしてきたいというふうに申し上げます。

赤嶺委員 外務大臣、これは言葉じりをとらえて言うことではなくて、沖縄で十五年使用期限が問題になるときに一番、日本の外務省の態度として問題になる、日本政府の態度として問題になるのは、沖縄県民の立場をアメリカに伝えてまいりますと。伝えるだけなのか、伝えるだけであれば問題は何も解決しないじゃないかということがいつも問題になるんです。ですから、伝える、でも、今の日本政府の外交のあり方として、伝えるのがぎりぎりだ、伝える以上のことはできないということが、やはり今までの経過の中でも見えてきているわけです。

 私は、十五年使用期限問題は、それ自身は破綻していると思います。今ここに来て、三工法八案が地元では出されているのに、十五年問題は何も解決していない、そして政府は今なお、伝えるという立場から一歩も出ていない、そしてブッシュ新大統領はかなり厳しい発言をしている。こういう十五年使用期限問題が破綻しているという認識を持って、やはり沖縄の普天間基地代替基地建設、これ自身も撤回を外務省にも強く求めておきたいと思います。

 それで、NLPの問題です。

 NLPは、本当に世界でもアメリカと日本以外ではやっていないという訓練であります。滑走路を空母の甲板に見立てて夜間に行うという訓練で、地元住民に本当に耐えがたい苦しみを与えています。厚木基地の周辺には百五十万人の市民が住んでいますけれども、この人口密集地でNLP訓練が行われているということは異常な事態だ、こういう認識が外務大臣におありでしょうか。

田中国務大臣 NLP、すなわちナイト・ランディング・プラクティスの問題だと思いますけれども、これについては、ナイトじゃなくても、私もキティーホークに、前これを言いましたら、東門先生から、何か思い違いなされたか、ちょっとしかられてしまいましたけれども、実態がどんなものと、騒音も含めてどれだけのものであるかと、そのトレーニングに、キティーホークが相模湾で訓練をしていますときに、タッチ・アンド・ゴーに参加といいますか、輸送機で厚木から飛んでいって、着艦して、そして発進するのも実際に自分でやってみましたけれども、大変な音です。すごい騒音です。

 したがって、夜間飛行訓練につきましては、これは本当に硫黄島で実施されるように、従来もそうであったかと思いますけれども、人口密集地の厚木ということがいいわけはありませんので、こういうこともただお伝えしますというだけと私申しておりませんので、政治家が言うからには少なくとも、今までの方はわかりませんよ、でも、やはり人がかわっているんですね、相手も。相手の国務長官も国防長官もかわっています、こちらもかわっていますし、総理もかわっているんですから、人がかわれば違う展開というのは期待していいじゃないですか。だから政治家は頑張るわけですから。こちらがすばらしくても向こうがだめかもしれぬし、わからぬですよ、やってみなきゃ。向こうがよくてもこちらがだめかもしれませんしね。

 ですけれども、やはりこういうことについて、少なくともNLPについて申し上げるのであれば、もっと硫黄島でやっていただきたいとかいうことを、ですから、どうぞ意見はおっしゃってください、それをお伝えしてきますと申し上げているのです。伝えるだけで何もしないなんて言っていませんから。

赤嶺委員 人口密集地でのNLPの異常さは認識しておられるということであります。本当に市民生活とは相入れない訓練です。

 それで硫黄島に移転をしたということですが、硫黄島での訓練が展開をされて、それじゃ厚木基地でのNLPは今後ゼロになるのかどうか、この点はいかがですか。

伊藤政府参考人 NLPでございますが、ただいま外務大臣からもございましたように、私どもも、防衛施設庁といたしましても、できる限り硫黄島でやっていただくようにということを再三米側にも申し入れているところでございます。

 ただ、米側の方も、これはパイロットの練度と申しますか、安全にかかわる問題でございます、したがいまして、一定のレギュレーションがあるようでございます。その中で、例えば硫黄島が天候不良であるとか、そういったような事情等々があります場合には、どうしても厚木あるいは三沢、岩国といった本土の飛行場を使わざるを得ないという場合もあるようでございます。

 私どもとしては引き続き、可能な限り、一〇〇%にできる限り近づけていく、できれば一〇〇%硫黄島でやっていただくようにこれからも申し入れていくつもりでございます。

赤嶺委員 天候不順やら、それから足の短い戦闘機だとかさまざまな理由をつけて、硫黄島に訓練場を思いやり予算でつくっても、結局厚木の訓練はゼロにならないというのが今の日本政府の外交の到達点なんです。人口密集地でのNLPは異常だとお認めになりながら、それをゼロにすることができないんです。そこは自主性、自立の問題として、極めて重要なことです。

 それでは、硫黄島に訓練を移したら騒音は減っているかといいますと、ちょっと調べてみましたら、大和市の騒音測定について、これは七十デシベル以上、五秒以上連続なんですが、一九八三年で三万七百七十回、そして去年が三万十一回。減っていないんですね。つまり、硫黄島に移したから問題が解決したように言われているけれども、しかしちっとも、厚木の周辺は、人口密集地のあの周辺は基地の爆音の苦しみから解放されていない。だから、硫黄島に移ったから解決しましたというのは、これは実に現状を見ていない態度なんです。

 それで、私はアメリカについても調べてみました。向こうはNLPとは言わずに、朝から深夜までやっているんですが、やっている基地が厚木基地との比較でいきますと大変な違いがあるんですね。

 東海岸のバージニア州のノーフォーク、ここを母港地にしている海軍のオセアナ基地で行われています。それから西海岸では、ここではウィッドベイ・アイランド基地でやられています。それからカリフォルニアでは、ここではミラマー基地で、いわばタッチ・アンド・ゴーを朝から晩までやっているんですが、厚木基地の大きさは五・一平方キロメートルです。オセアナ基地は厚木基地の四・七六倍です。それからウィッドベイ・アイランド基地は厚木基地の三・四七倍です。ミラマー基地は厚木基地の十九・八倍です。いずれも広大な基地でNLPの訓練を行っています。しかも、それらの基地の周辺には人家はほとんどありません。

 だから、アメリカの国内でも、厚木のような大都市で、人口が密集しているようなところでNLPなどの訓練をやっているというような事態はないわけですね。日本だけなんですよ、人口密集地でNLPの訓練を許しているのは。

 ここを異常と見て、そして、本当に人口密集地での夜間飛行訓練、これをやめるよう強く求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。いやいや、外交交渉で言うかどうかの話ですよ。

伊藤政府参考人 ちょっと事実関係だけ、私の方から先に御説明させていただきます。

 現に厚木で騒音がなくならないという御指摘でございますが、確かにそのとおりだろうと思います。ただ、硫黄島を平成三年以降使うようになりましてから、若干ではございますけれども、回数等は減っているという事実はございます。

 他方、硫黄島につきましては、先ほど来御指摘のように、非常に遠過ぎる等々の問題があることも事実でございます。そして、私どもといたしましては、かつて、例えば三宅島にNLP用の施設をつくってそちらでやっていただけないかというようなことを考えたこともございます。

 そういうことで、決して厚木をそのままの状況で置いておいていいということではなくて、別途、抜本策をなお追求してまいりたいというのが現状でございます。

赤嶺委員 防衛施設庁長官、やはり基地問題になってくると、沖縄でも神奈川でも同じような感覚でしか発言しないんだなと思いますよ。

 硫黄島に訓練が移った分、騒音は軽減されているのは事実だと言いますけれども、騒音で苦しめられている市民の立場からいえば、県民の立場からいえば、そんなこと言えないですよ。神奈川県の報告書でも体の不調について、耳鳴り、頭痛、目まい、血圧の上昇、吐き気、食欲不振、精神的に不安、寝つかれない、夜中に目を覚ますなど訴えているわけですから。

 だから、ゼロにならないことが異常であるという認識がない。人口密集地域でNLPの訓練を許しているのは世界で日本だけ、ここの異常さに気づかない。ここがやはり対米外交として非常に大きな問題があると思うんですよ。

 それで、外務大臣、最後に伺いますけれども、ことしの一月、NLPが行われている全国五市の市長が大和市役所に集まって、NLPの中止を求める共同声明を出すという事態も生まれています。

 私は、この問題の根本的な解決は、NLP訓練が行われる歴史にさかのぼって、当初、一九七三年、空母ミッドウェーの母港が横須賀になるという問題が決められたときは、そのときは、家族の居住地を新たな施設は求めません、母港化の期間は三年であるということが国会での答弁でありました。ところが、空母ミッドウェー、空母インディペンデンス、空母キティーホークと、今日まで二十七年以上にわたり続いているわけですね。そしてさらには、今度は原子力空母にかわろうとしている報道も出ています。

 また、母港化が三年が二十七年になり、母港化当時は、少なくともNLPをやるという約束はなかったわけですよ。十年間、NLPは行われませんでした。そして、厚木でNLPをやるということは念頭にないということまで国会で政府は答弁しているわけですね。

 だから、私は、三年で帰るといった空母ミッドウェーの母港化、ここに原点を戻しまして、横須賀の空母母港化をやめるということが問題の解決の一番大事な点じゃないかと思いますが、今度アメリカに行かれて、横須賀の空母母港化、これをやめない限り、異常な米軍の爆音のもとで国民の耐えられない苦しみは解決できないという立場を率直にそして自主的に発言するお気持ちはないかどうか、最後に伺います。

田中国務大臣 騒音につきまして、私も、先ほど言いましたように、相模湾の、これは昼間ではあったんですけれども、キティーホークの着艦、実際に、パイロットが一分置きに一機ずつ、タッチ・アンド・ゴー、タッチ・アンド・ゴーをやっている中に輸送機でばっと入っていって、やはりタッチ・アンド・ゴーをやったわけですけれども、イヤカバーをやっていても乗っている方も大変でしたし、とても耐えられるような音ではないということはわかっています。ましてや、夜ですからね。

 ただ、この限られた中で防衛施設庁も防衛庁も大変御苦労なさっていると思いますけれども、これは国と国の関係ですから、外務省マターとして話をしたいと思います。

 今伺っているだけでもやはり何十もあって、なかなか限られた中では、あちらもおっしゃりたいことがいっぱいあると思いますね。安全保障の問題以外もあるわけですから。例えば、地球環境の問題もありましょうし、経済の問題もありましょうし、それから朝鮮半島の問題もありましょうし、これを通訳の方も入れながら、間違いのないように、何重にもしっかりと、また、言ったの言わないのとか、どうたらこうたらがあってはいけませんので、今度はもうしっかりと通訳も複数入ってもらってやるわけですから、時間の制限があるのですね。

 先方さんも、大変御多忙の中で時間を割いてくださっていますので、早口でしゃべればいいというものではないと思いますので、そこでよく、全部が全部言って、全部だめだったじゃないかとおっしゃられてもやむを得ませんけれども、私は、この厚木の周辺の住民の方、生活者の権利を守るということ、これは考えなきゃいけない。それぞれまた後からほかの先生がいろいろ御質問なさるように、山ほど抱えてつぶれてしまって何もできなかったということになっても困りますので、プライオリティーというものはありますので、それらも考えながら、おっしゃることをよく勘案しつつ、冷静にお話ができるように、少しでも時間を長く割いていただけるとありがたいがなと思いながら、お話を拝聴いたしました。最善の努力はいたします。

赤嶺委員 爆音の苦しみというのは、いつも嘉手納町長が申し上げているのですけれども、嘉手納は毎日が戦場だ、こういう発言をして、サミットのときに、夜、戦闘機が飛ばなかった、静かな夜があるとは知らなかった、しかし、サミットが終わるとまた戦闘機が夜飛ぶようになり、いわば爆音に支配された普通の夜が戻ってきた、こういうことをおっしゃるわけですね。それは嘉手納町長の発言なんです。

 それから、私、人口百万を超える地域でそういうNLPをやっているのは、世界の中で日本しかない。アメリカ本国では、そういう騒音被害のないような形でやっているのだと。ここの異常さですね。

 もう一つは、日米安保を重要だ、重要だと言って、アメリカが、最初は、三年間母港化、使わせてくださいと言って入ってきた。ところが、それがもう今日まで居座っている。そして、NLPをやらないと言ったけれども、途中でやり出した。いつでも日本政府は、アメリカのそういう安保条約に基づく訓練や安保条約に基づくいろいろな要求については、全部国民との約束を曲げて受け入れてきている国なんです。

 こういう国であるということをよく自覚をして、そして田中外務大臣が自主性、自立性と言うのであれば、私たち日本共産党の主張するとおりのことをやらなければ、自主性、自立性があるというような立場はとっていません。少なくとも、国民から見て、客観的に、ああ、これは本当に厚木の市民の立場に立って発言したな、沖縄の県民の立場に立って発言したなという評価を受けるように訪米していただきたい。その検証については、訪米後の外務委員会でまた議論をしたいと思います。

 以上です。

土肥委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時一分開議

土肥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。東門美津子君。

東門委員 ラストバッターです。済みません、おつき合いください。

 朝も下地さんから、そしてまた先ほど赤嶺さんからもありましたけれども、今、沖縄がかなり急ピッチで動いているような気もします。ぜひそこからスタートしたいと思います。

 本当は、今の発言問題を少し取り上げようかと思っておりましたけれども、それは時間がありましたら、最後にさせていただきます。(田中国務大臣「何のこと」と呼ぶ)外相の発言の問題で、いろいろあるじゃないですか、その件は後回しにして、まず、沖縄の基地の問題から入らせていただきます。

 昨晩、沖縄・名護市で普天間代替施設の候補あるいは場所についての説明会があったということは、朝、新聞記事で出ているということを見せておりましたけれども、その説明会でのことなんです。

 まず、政府の人と、地元と言っていますけれども、実際に地元の方で出席できたのは三区の行政委員のみで、そして反対派の住民は、発言をしない、質問をしないという条件で出席ができた。ですから、質問は許されなかったということをまず頭に置いておいていただきたいと思うのですけれども、その中で、三区から出てきました行政委員という方がおられますが、その方たちから相次いだ意見というのは、代替施設、今政府がSACOの最終報告の着実なということで一生懸命頑張っておられるその代替施設なんですけれども、基本的に建設してほしくないという考えを前提にしながら、どうしてもここ以外に建設場所がないというのであれば、リーフ内は絶対に認められないということがまず強かったようです。特に、反対派ではない移設容認派である、よく知られているある方、名前は伏せますが、その方が、私たちは、工法についてはどうでもいい、問題は建設場所だ、条件は、生活環境に影響があってはならないということであり、生命の安全が守られるということ、リーフ内などとんでもない、リーフなどという自然は人間がつくり出せるものではなく、子々孫々まで受け継いでいかなければならない、業者の利益を優先し地元の声を無視するようなことがあっては決してならないということを述べたというふうに聞いております。

 そういう中で、先ほど、朝は、三つの問題、基地問題、経済の問題、環境の問題、それはやはり同時並行的にしっかりと処理していかなきゃいけないと思うのですが、そういう中で、今政府は、十五年問題あるいは使用協定問題、そういうものもちゃんと解決が見られないままに、地元の県民の頭越しにそれを実行していこうとしておられるのかどうか、それが一点、ぜひお答えいただきたい。

 二つ目、工法については、最終的には、いつ決着をさせたい、いつ決着をしたいというふうにお考えなのか、シナリオがあるのかどうか、それもお聞きしたい。

 そして三つ目、どの段階で、何をもって一つの案に集約をしていくというふうにお考えか。

 その三点について、明確に御答弁をお願いしたいと思います。

田中国務大臣 東門委員にお答え申し上げますが、この間、八日の日だったと思いますけれども、朝早くに、総理官邸におきまして、この代替施設の協議会というものが行われました。そして、稲嶺知事さんを初め町村長さん、お出になりまして、私たち関連閣僚も出席をいたしまして話をいたしました。

 そこで説明がありましたのは、集会もあるし、委員御存じでしたと思いますけれども、要するに、やるという前提の場合、前提に立っておりますのでしょうと思いますが、メガフロートをやる場合と、ケーソン工法、箱埋めの方法、それから普通の埋め立て、三つの方法がある。そして、いろいろな案としては八つある。工法が三つであるということですね。そして、どのぐらいの期間で、幾らかかってというような説明がございました。

 その中でもって、私は初めて、何しろ新顔なものですからよく知りませんで、質問をというと、どなたも質問がなかったのですね。何で質問がないのだろう、これはいっぱい問題があるのにと。なぜかというと、一番沖縄県の皆様の思いを、もちろんその中でもそういうことが組み込まれていたのだと思うのですが、今言ったようなことの説明が主にございましたので、私は、挙手をして、発言をいたしました。

 それは午前中の委員会でも申し上げましたけれども、例えば環境の問題からいきましても、藻場を移す、移植を成功させられるという前提でお話があったのだけれども、私は、本当に沖縄というところは自然のパラダイス、宝庫だと思います。海だけではなくて、あらゆる面ですばらしい、世界の中であれほどすばらしい環境がそのまま残っているところというのは珍しいと思いますし、西表島も、私が学生のころでしたか、イギリスのフィリップ殿下が、自然のイリオモテヤマネコを見ながら、奄美大島に泊まりながら、飛行機で行かれたことがありますね。そういうのも私は関心がありますし、私自身海が物すごく好きで、家族じゅう好きなものですから、海洋の生物というものは非常に大事だと思っています。そして、自然によって我々人間が生かされているという思いがありますので。

 藻場について申しますと、本当にうまく移植ができるかどうか、これができれば、日本の技術のすばらしさというものは証明されますが、失敗は許されないわけじゃないですか。そのときの環境庁の説明が、たまたま関空をつくりましたときに、関西空港でもってそれをやっているからこれはできる、ちょっと早口にします、時間が惜しいので、そういうことの御説明がありましたけれども、失敗は許されないわけですよ、自然を侵すということは大事なことですから。藻というものは、産卵をするし、えさにも、ジュゴンだけではなくて、生き物の基本ですから、それが失敗したらすべての生態系が崩れる可能性があるという観点で、これはちゃんと担保できるかということを申しました。

 もう一つは、沖縄県の皆様の完全な全員の賛成はあり得ないと私は思います。すべてにベスト、最善はないのです。その中で、政治というものは、右か左か、自分の責任において決めていくのが政治です。したがって、沖縄の方の本当の理解、ある程度の理解、しっかりとしてもらうという前提、その努力をしっかりとやっていかなきゃいけませんよ、環境だけではなくてすべて、それを申しました。

 それから三点目、これが今三つ御質問のあったことの全部ですけれども、どの案を、いつ、幾らで、どういう組み合わせ方でやるのかと。プロジェクターを使って説明は聞きましたけれども、どこに、だれの責任で、しかも一番の問題は、沖縄県の方が知事さん以下おられて、沖縄県の要望もあるでしょうし、地元の地域振興という御発言もあったのですが、果たして、地域振興というときに、入札とか、どの業者を選定するのかという問題があるじゃないですか。これでトラブルが起こったら大変なことになりますよ、やる場合に。

 ところが、これは大変な技術がなきゃならないのですよ。ケーソン工法というのは、戦後すぐにうちの父がヨーロッパに視察に行ったときに初めて、私、小学校のときに、ケーソン工法というのがオランダ等である、オランダの堤防技術なんかで聞いたことがありますけれども、そういう最先端技術が沖縄県だけで本当にあるのかないのか、その場合どういうふうなことになるかということも含めて、トータルで情報を開示しながら、ベストな条件をそろえてできるかどうか。これは内閣の責任で早くに答えを出さなければいけないということを私は発言しておりますので、私の思いはわかっていただけるというふうに思います。

東門委員 思いの方は、確かにわかります。でも、私の質問にお答えいただきたいのは、十五年問題、朝もありました、これはどのように取り組まれるのか。

 十五年問題、これは県からも――済みません、最初に訂正しておきます。沖縄県は、つくるのに、知事は合意しました、名護市長も受け入れると言いました。しかし、その前の経緯は、御存じかどうかわかりませんが、市民投票では、名護市民は、地元は、はっきりノーを出してあるのです。よろしいですね、そこはしっかりとわかっていただきたい。ですから、受け入れる、つくるというのを前提でということは、ぜひそういうことを外していただきたいと思いますけれども、ただ、政府はシナリオどおり進めていると私は見ています。ですから、発言もなかったとおっしゃるんですけれども、多分そこにはいろいろあるでしょう。

 そこはこっちに置いておいても、いろいろと政府は、こういうふうに内閣府ではもう進めていると思いますが、そういう中で、本当に私はこれはぎりぎりの条件だと思います。知事もそれから市長も、十五年の使用期限は譲れませんよとはっきり言っています。名護市長は、前回の外務委員会でも私こちらで質問をしましたけれども、使用協定もちゃんと締結をするということが条件ですよと。この二つははっきり出ているはずなんです。それにどう取り組むかわからない、決着も見ないうちに、あるいは全然展望が開けない中でそこだけ進めていくというのは納得がいかないということなんですよ。そこをもう一度お答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 これは日米安全保障協定、安保というものがありまして、そして地元の声をよく聞きながら、国の責任において進めていくということが基本にございます。

 ですから、地元の皆様の御発言、これはずっと歴代内閣も言っているんだと思いますけれども、この要請を重く受けとめて、そしてこの問題の重要性というものは十二分に認識しながら、そして閣議決定等にも従いながら進めていくということで政府は考えておりますが、ただ、これから、この問題は大変アラートな問題で、地元がいかに真剣に思っておられるかということ、私は私なりにわかっておりますので、多分次の質問に出てくるんでしょうけれども、訪米の中で時間が限られていて、あれも言え、これも言え、あれも言え、米百俵内閣といっても二百俵も千俵も一人でしょえませんので、時間もあるし相手があることですから、どれかむしろプライオリティーをつけていただかなきゃいけないけれども、トータルでこの問題は極めて重要だと思います。それぞれの問題が重要なんですね。先ほど来言っておられる横田基地の問題その他全部あるわけですから、その中でもって、やはりスリム化して、どのような表現で相手から答えを引き出せるか、これは努力を最大限しなければというふうに思っております。

東門委員 先を行かれておっしゃっていただいて、アメリカで優先順位の中で前の方に持ってきていただいて、ぜひ提案をしていただきたいと思います、伝えるだけではなくて。

 それで、その関連で、次に地位協定についてちょっとお伺いしたいと思いますが、外務大臣、これまでのいろいろな委員会等、参議院も含めてですが、地位協定の問題については運用の改善、まずそれでいきたい、しかし、それが十分に効果的でない場合には改定も視野に入れていくという趣旨のことを答弁しておられますが、地位協定問題に対する外務大臣の方針、改めて確認したいと思います。

田中国務大臣 この地位協定の問題の基本にありますのは、どのようにして日米同盟関係を安定的にうまく発展させていくかということにあると思いますし、でも、そのベースにあるのは、やはり地元でこれだけの負担を、七五%以上の米軍のものを担っておられて、そして全体の面積の二〇%ですか、を提供しておられる、そういう一極集中している沖縄県の皆様の痛み、毎度毎度申しますが、これをやはり私たち国民一人一人が自分のこととして荷物を担って、一人二百俵、千俵しょわせるんではなくて、一人が一俵ずつしょってくれるように、そういうようなマインドセットアップができなきゃならないと思うんですよね。

 ですから、これは事が事ですので、やはり即応力、機敏に対応するということ、そういうことを一生懸命やっていかなきゃいけないし、では、改正しましょうなんて気楽に言っても、中身が空っぽで、ファンクショナルでなければ意味がないわけでございますから、やはり即応力というものをキーワードとして頑張っていくということをまず申し上げたいと思います。

東門委員 即応力とおっしゃいますけれども、朝の下地さんからの質問でもありました、その他の条項どうなっていますかということに対して、五月に協議を始めたという北米局長の御答弁があったようですが、すごい時間がかかるんですね、これだけスタート、持ち出すのにも。これを即応性があると言えるかどうか。それだけの時間をかけるならば、九五年に沖縄県から見直しに対する要請が出てからこれまで何も動いていない、一度も外務省の方からは申し出ていない、提案をしていないという御答弁がございました。そういう中で、本当に動く意思があるのかどうかさえわからない、運用の改善さえ時間がかかるということはどうなのかなと。これはぜひ北米局長の方から御答弁をお願いしたいと思います、担当者ですから。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地位協定の運用の改善でございますが、これは私ども、必要である場合にはできる限り機敏にこれに対応するべきであると考えております。

 他方、法律の問題につきましては、我が方政府部内での調整が必要な場合もございます。また同時に、相手方、米側との調整がございますものですから、本当に私ども、もっと早く進めばいいなと思いますけれども、そのスピードでは完全には進んでいないのは事実でございます。できる限り今後とも努力いたしまして、一生懸命、機敏に運用の改善ができるように、もし必要と判断した場合には対応できるように努力してまいりたいと思います。

東門委員 できる限り努力しますという御答弁なんですが、これは一年たっても二年たっても動かないということはあるわけですよ。事実、五年たっても何も変わっていないわけですから。運用の改善については一月からなんですけれども、機敏に、即応性を持たせてと言うんですけれども、全然動かないということ。頑張っています、頑張っていますと言っても、何も見えない。いつも同じことを繰り返すんですが、だから外務省は外から見えないので、かなり不信感を持たれているんですよと申し上げているんですよ。なぜ、国民に見える形で、こういうふうに動いています、そういう報告ができないのか、とても不思議なんです。私たちが、本当にその地位協定で苦しんでいる国民がたくさんいるということをわかっていただきたいんですよ。そうなんです、そこをぜひわかっていただきたい。

 それで、もうその件についてはいいんですけれども、先ほど私が大臣にお伺いした件で、済みません、一つだけ答弁がいただけなかった。運用の改善がもしだめならば改定も視野に入れてと前回いただいたと思うので、その確認だけさせてください。改定も視野に入れていきますねということを、大臣にお願いします。

田中国務大臣 改定、改正も視野に入れざるを得ない状態になりましたら、そういたします。

東門委員 北米局長にお聞きします。

 地位協定は、なぜなければならないのでしょうか。

藤崎政府参考人 御質問は、日米地位協定の存在の必要性でございますが、これは、日米安保条約に基づきまして駐在いたします米軍の我が国における法的な地位を定めるために米国と合意したものでございます。

 先ほどちょっとお言葉が足らなかったためか、御質問に加える形で申し上げさせていただきますが、地位協定の運用改善が一つも行われておらない、五年間何もないではないかというお尋ねがございまして、これにつきましては、事件、事故通報手続の整備、合同委員会合意の公表、施設・区域への立ち入り手続等、九項目のSACOにおきます日米地位協定の運用改善措置はすべて実施しております。また、本年一月より、緊急自動車の基地への立ち入りについても合意を見たところでございまして、私どもの広報努力の不十分さは御指摘のとおりでございまして、今後とももっとわかりやすい形で説明する必要があると思いますけれども、一切運用改善が進んでいないということではございません。申しわけございません。

東門委員 運用改善のことを私、改定とちょっと両方入れちゃったものですから、私の方がこれはちょっと説明不足だったと思います。それはそれでいいと思います。

 では、済みません。地位協定、なぜなければならないんでしょうか。はい、わかります。

 二つ目、次の質問。では、地位協定は協定どおり守られていますか。局長、お願いします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地位協定が協定どおり守られているかという御質問の趣旨、必ずしも私十分理解したかどうか存じませんが、これは両国間の合意でございますので、基本的に守られるべきものであり、守られているものと承知しております。

東門委員 守られていない点が結構あるのではないかと思うのですが、局長、そういうのはどうでしょうか。

 例えば、一番真っ先に出てくるのは二十四条だと思うのですが、それは一応は守られずに、後になって別の協定をつくりましたね、それが一点だと思います。それから、騒音の問題あるいは遊休地の返還の問題等いろいろあると思うのですが、それは守られていてここまで来ていますか、それをお願いします。

藤崎政府参考人 答弁申し上げます。

 地位協定二十四条、実は私、今ここに持っておりませんけれども、費用負担の問題であると存じます。

 この費用負担につきまして日米間で取り決めをいたしたわけでございますが、これに加えまして日本側が負担することとなった部分があることは事実でございます。これにつきましては別途、昨年の国会で御承認いただきました特別協定のように、きちんと国会の手続を経て御承認をいただいているあるいは予算措置を講じているということでございまして、これは地位協定違反であるあるいは地位協定に反しているということではございません。これはもう先生御承知のとおりでございます。

東門委員 それは、長いこと違反のままで置かれて、後になって特別協定という形で締結されたものですよね、それで五年ごとの改定をしているということですよね、それは間違いないですよね。最初からすぐ特別協定が結ばれ、駐留経費の――ごめんなさい、思いやり予算の部分です、それは違反であったということですよね、それをお願いします。駐留軍経費のあの部分ではなくて、思いやり予算と言われる部分です。

藤崎政府参考人 答弁申し上げます。

 先生の御質問の趣旨を十分理解しているかどうか存じませんが、地位協定二十四条の解釈上、米側が負担義務を負う経費でないと整理できるものにつきまして、日本側が段階的に負担をしてきたわけでございますが、これにつきましても、予算措置を講じるわけでございますから、国会の御承認をいただいてきたわけでございます。

 そういう予算に加えまして、さらに地位協定上米側が負担義務を負わない経費につきまして負うことになりましたのは昭和六十二年度以降でございまして、これについては、地位協定の特則といたしまして、特別協定を締結してきたわけでございます。したがいまして、六十二年度以降、国会に特別協定をお出しして、更新というか、新しい協定を重ねて締結してきた。そして一番新しい協定が、昨年国会に御承認をいただきました五年間の特別協定でございます。

東門委員 その六十二年にスタートした思いやり予算と言われるもの、これが米軍が日本に駐留していたい一番大きな理由かなと思うのです。居心地がいいのですね。

 ですから、日本政府は、米軍が必要である、要求してくる、それには応じるのです、応じてきたのです。県民が、国民が要求するもの、こうしてくださいということには応じない。アメリカの言うことには、お金をこれだけ負担します、二千七百億もの思いやり予算も出す、そういうこともしていくのに、なぜ沖縄県民あるいは基地を抱える県の皆さんが要望することにはこたえないのか。地位協定の見直しはできませんだとか、相手があることなのでなかなか難しいということ。相手がおっしゃることにはすぐ乗る、ここは何も言えないという状況だと思うのです。

 例えば、その件につきまして、よろしいです、米軍が、遊休地にしてもそうですね、上瀬谷などもそうです、あるいは池子の住宅地もそうです、長いこと遊休地で置かれていた。返還をしてほしいと言っても、それはできない。だから、私がこの間聞いたのは、使用協定もないから、締結されていないから、使用目的が違ってもそのまま置いておく、これが外務省なんですよ。その時点で本当は返還されるべきはずなんです。基地の縮小はできるはずなんです。今現在、上瀬谷の基地も同じだと思います、遊休化していますね、通信基地、何もありませんね。そこを返還してほしいという要望が毎年ありますね、それには耳を傾けられないで、アメリカの言うことには耳を傾ける。

 私は、大臣、今回アメリカへ行かれるときも、日本側からやはりおっしゃっていかなければいけないと思うのです。ただ伝えるだけ、大臣の性格上そういうことはなさらないと思いますが、やはりしっかりと提案をしていってほしいのですね。日本はこう思います、こういうことをしていきたいということをぜひおっしゃっていただきたい。何となく、アメリカの言うことはわかります、聞きます、でも沖縄県民の声は、いやこれは決まりましたからという形で丸めてしまう、そんなのは困ります。

 それで、どんどん時間がなくなりますから、大臣にお伺いしますけれども、なぜ普天間基地は沖縄県内への移設でなければならないと思いますか、なぜ沖縄県内への移設でしょうか。

田中国務大臣 これは私は、アメリカにとりまして、ストラテジーの面で極めて利便性がいいといいますか、そういう観点があるというふうに思います。

 けれども、駐留経費の七六%、二千七百五十ですか三十ですか、その辺の数字を日本が負担しているということは事実なんですね。このことは私はやはりもう一回――日本が負担をしているということは事実、そしてまた、この地域がいろいろな不透明性、不確実性、不安定性がある地域であるということも事実ですけれども、でも、思いやり予算と言われているこのホスト・ネーション・サポートのバジェットの問題は大変大きいと思いますので、こういうのが大事なので、本当は行く前に時間がもう少しあるときちっと、多分行きの飛行機の中で、今、上瀬谷もおっしゃったし、横田のこともおっしゃったし、いろいろポイントがあるので、イシューをきちっと整理して、それをブレークダウンして、どういうようなロジックで話をすることが、短い時間の中でパウエル長官にお伝えし、懐に飛び込めるか、そしてそれをブッシュ・アドミニストレーションの中で、小泉さんとお話をなさるときに生きたものになるか、これはすごく頭の整理をしなければならないというふうに思っています。

 私は、何度も言いますように、決して一極集中がいいとなんか思っていません。ですから、受益と負担ということを、午前中も発言したのを聞いていらっしゃったと思うのですけれども、これは社会保障制度もそうなんですよ、ここは外交だから関係ないと言うけれども、そんなことはありません。

 私は、政治家として一番の信念は、日本はどう変わるかと。日本の将来に対して思うことは、日本人一人一人がこの受益と負担の関係をどういうふうに感じていくか。税収の問題もそうなんですよ、国の財政再建の問題もそうです。それから社会保障制度をどうやって安定的なものにしていくか。それから安全保障です。この三つの面で、みんながこのベネフィット・アンド・バードンについて子供のころからしっかりわかって、憲法もしっかりわかって、自分の意見を持って、自分からメッセージを発信ができるような、自信を持った日本人をつくる、それが教育の基本だと思うのです。それを政治家がやるのじゃないでしょうか。それには政党がどうであるとか当選回数がどうだとかは関係ないのですよ。ですから、これがその基本なんですよ。

 ただ、時間が限られているし、行くなとか行くとかなんとか、いろいろなことをごちゃごちゃ、わけのわからないことがいっぱいありまして、私もなかなか時間がないので、時間が欲しい。自分でしっかり考える時間があれば最善を尽くせるのですけれども。帰ってきて、何もしなかったじゃないの、前の内閣と同じだなんて絶対言われたくないと思っていますけれども、ポイントはわかっておりまして、あとは時間との競争です。

東門委員 ありがとうございます。ぜひ、大臣のそのお気持ち、今お聞きしたものをそのままどんと、時間がある程度かかるのはわかります、ですけれども、やはり一歩一歩前に進めていっていただけたらと思います。

 ただ、やはり沖縄側からいいましたら、イナフ イズ イナフなんです、もう本当に。もうこれ以上はいいですとはっきり申し上げたい。そこのところははっきりわかっていていただきたいと思います。

 七五%。それであそこに移します、それが減ります、七〇%になります。確かに五%減ります。しかし、新たにできる基地は、できないことを期待しますけれども、予定されているものは、むしろ強化につながると。滑走路も二千六百、最初は千三百なんですよ。大きくなっている。こんな状態で、しかもジュゴンが、本当にあそこは北限地なんですけれども、ジュゴンのすむ海がつぶされていく。とてもたまらない思いです。ぜひわかっていていただきたいと思います。

 何か時間がないので、たくさん準備してきたのですけれども、次の機会にやりたいと思いますけれども、やはり私は同じ女性として、大臣にはとても期待ができるかなというのを思っていますので、頑張ってください。終わります。

     ――――◇―――――

土肥委員長 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土肥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に土田龍司君を指名いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十一分散会




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