衆議院

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第2号 平成14年2月27日(水曜日)

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平成十四年二月二十七日(水曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
   委員長 吉田 公一君
   理事 浅野 勝人君 理事 石破  茂君
   理事 小島 敏男君 理事 坂井 隆憲君
   理事 首藤 信彦君 理事 中川 正春君
   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君
      今村 雅弘君    小坂 憲次君
      高村 正彦君    中本 太衛君
      丹羽 雄哉君    原田 義昭君
      細田 博之君    水野 賢一君
      宮澤 洋一君    望月 義夫君
      伊藤 英成君    木下  厚君
      桑原  豊君    細野 豪志君
      前田 雄吉君    丸谷 佳織君
      松本 善明君    東門美津子君
      松浪健四郎君    鹿野 道彦君
      柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   外務大臣政務官      松浪健四郎君
   外務大臣政務官      水野 賢一君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            田中  均君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            重家 俊範君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           玉井日出夫君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     小坂 憲次君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 沖縄の新米軍基地建設反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四二四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国際情勢に関する件


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    ――――◇―――――
吉田委員長 これより会議を開きます。
 この際、川口外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣川口順子君。
川口国務大臣 今般、外務大臣に就任をいたしました川口順子でございます。吉田委員長を初め委員の皆様にごあいさつをさせていただきます。
 私は、外務大臣として、国民に理解され、支持される外交を実施していくため、改めるべき点は改め、国益を守る強靱な外交ができる体制を整えていくつもりです。そのためには、外務省の改革が急務です。私は、先般発表いたしました「開かれた外務省のための十の改革」をしっかりと実施していきます。
 同時に、山積する諸課題の解決に向けて、我が国は外交政策の推進に引き続き積極的に取り組む必要があります。我が国の安全と繁栄を確保するためには、その基礎となる国際社会の安定と繁栄を実現することが重要です。私は、外務大臣として、このような目標の実現に向け、全力で努力してまいります。
 具体的には、新たな脅威であるテロへの対策を講じていくとともに、米国や近隣諸国等との関係を強化し、さらに、軍備管理、軍縮、不拡散や環境といった国際社会の安定と繁栄の実現に不可欠である諸課題に積極的に取り組んでまいります。
 以上のような取り組みを進めていくためには、国民の皆様の御理解と御支援が不可欠であることは言うまでもありません。この点、本委員会での御議論が極めて重要であり、委員の皆様の御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
吉田委員長 次に、今村外務大臣政務官、松浪外務大臣政務官及び水野外務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。外務大臣政務官今村雅弘君。
今村大臣政務官 このたび、外務大臣政務官を拝命いたしました今村でございます。
 外務省の改革並びに信頼される外交の確立を目指して頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。(拍手)
吉田委員長 次に、外務大臣政務官松浪健四郎君。
松浪大臣政務官 おはようございます。
 今般、外務大臣政務官に就任させていただきました松浪健四郎でございます。吉田委員長を初め委員各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 我が国は、みずからの安全と繁栄を確保するため、平和で安定し、かつ繁栄した国際社会の実現を目指して、アフガニスタンの復興や地球規模の諸問題など、さまざまな外交課題の解決に向け積極的な外交を展開するとともに、国益を守るべく外務省改革を進めていく必要がございます。我が国がこうした外交を展開していくために、川口外務大臣の指導のもと、外務大臣政務官としての職務に全力で取り組んでいく考えであります。
 吉田委員長を初め本委員会の皆様方の温かい御指導と御協力をいただきますよう心よりお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
吉田委員長 次に、外務大臣政務官水野賢一君。
水野大臣政務官 このたび、外務大臣政務官に就任いたしました水野賢一でございます。吉田委員長を初め委員の皆様に一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 川口大臣の指導のもと、政務官としての職務に全力を尽くしてまいりたいと考えております。吉田委員長を初め本委員会の皆様方の御指導と御協力をいただけますように心よりお願いを申し上げます。よろしくお願いします。(拍手)
     ――――◇―――――
吉田委員長 続きまして、国際情勢に関する件につきまして調査を進めます。
 平成十四年度外務省関係予算について、その概要説明を聴取いたします。外務大臣政務官今村雅弘君。
今村大臣政務官 平成十四年度外務省予算重点事項を御説明いたします。
 平成十四年度一般会計予算において、外務省予算は七千四百六十五億八千九百万円が計上されております。これを前年度予算と比較いたしますと、二・二%の減となっております。
 我が国は、かつてなく厳しい財政事情のもとではありますが、流動化する国際情勢の中で、世界の平和と繁栄に向けて、諸外国政府、各国際機関、NGO等と緊密かつ適正な協力関係を進めていくとともに、国際社会における我が国の地位にふさわしい責務を果たし、我が国の国益の実現に向けて積極的な外交努力を重ねていく必要があります。
 特に、ODAについては、九月に発生した米国同時多発テロを受けてのアフガニスタン及びその周辺諸国に対する支援や、途上国の貧困問題等の解決のため、我が国の一層の貢献が期待されていることを十分認識し、その効果的かつ戦略的活用に努めていく所存であります。
 このような観点から、平成十四年度予算においては、外交施策の充実強化及び外交実施体制の強化の二点を最重点事項として、予算の効率的配分を図っております。
 まず、外交施策の充実強化に関する予算について御説明いたします。
 外交施策の充実強化の四つの柱は、アジア太平洋外交のさらなる推進、世界の安定に向けての貢献、二十一世紀の新たなODAのための改革推進、そして国際文化交流の推進であります。
 アジア太平洋外交のさらなる推進につきましては、ODAを活用した支援を積極的に展開するため、広域開発、紛争予防、平和構築のための無償資金協力、日ロ関係の進展のための経費、北東アジアにおける緊張緩和及び韓国との関係強化のための経費、日中国交正常化三十周年を初めとするアジア諸国との周年事業を通じた関係強化のための経費等に総額二百五十億二千八百万円を計上いたしております。
 次に、世界の安定に向けての貢献でありますが、紛争予防、軍縮・不拡散、環境、感染症等への取り組みに関し、我が国として積極的に貢献、支援していくため、人間の安全保障の一分野である感染症対策として世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対し拠出するための経費を初めとして、各分野にわたり総額四百二十八億三百万円を計上しております。
 また、二十一世紀の新たなODAのための改革推進でありますが、平成十四年度政府開発援助(ODA)につきましては、一般会計予算において、政府全体で対前年度比一〇・三%減となる中で、外務省のODA予算は対前年度比三・二%減の五千三百八十九億円となっております。このうち無償資金協力予算は、対前年度比二・一%減の二千三百二十一億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千八十六億円、食糧増産等援助費が二百三十五億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団につきましては、対前年度比五・〇%減の千七百一億円を計上しております。
 このようなODA予算のもとに、十四年度においては、ODAを通じた日本社会の国際化、活性化、評価、人材育成等を通じた実施体制の抜本的強化に努めてまいる所存であります。
 さらに、国際文化交流の推進でありますが、留学生、日本語教育支援の強化を目的として、留学生受け入れにかかわる施策の充実のための経費、海外における日本語教育に対する支援の継続、拡大等に八十一億二千八百万円を計上しております。
 次に、外交実施体制の強化に関する予算について御説明いたします。
 まず、外務省改革要綱の具体化につきましては、監察制度の創設、在外査察の抜本的拡充、領事業務の抜本的改革、国民との意見交換の機会の拡充や直接的な接点の拡充を軸とする情報サービスの拡充、要人の外国訪問業務の効率的実施等のための経費として総額四十九億三千五百万円を計上しております。
 また、統合情報通信システムの整備等につきましては、情報通信技術を利用した領事体制の強化、外務省及び在外公館のホームページの充実、外交通信に使用されている通信基盤の大幅な拡充とインターネットも活用し得る情報通信網の整備のための経費として百三十一億一千二百万円を計上しております。
 最後に、機構・定員の整備でございますが、まず機構面では、二〇〇五年日本国際博覧会政府代表、監察査察官、総括儀典官といった本省機構の設置、在外公館として国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部の新設等を予定しております。また、定員につきましては、本省及び在外公館合計で七十二名の増員を図り、平成十四年度末の外務省予算定員を合計五千三百六十三名といたしております。
 以上が、外務省の平成十四年度予算重点事項の概要であります。
 よろしくお願いいたします。
吉田委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、松本善明君の質疑に際し、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りをいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員石破茂君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君、アジア大洋州局長田中均君、北米局長藤崎一郎君、文部科学省大臣官房審議官玉井日出夫君、委員伊藤英成君の質疑に際し、外務省欧州局長齋藤泰雄君、委員中川正春君の質疑に際し、中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君、委員首藤信彦君の質疑に際し、中東アフリカ局長重家俊範君、経済協力局長西田恒夫君、委員土田龍司君の質疑に際し、外務省大臣官房長小町恭士君、海上保安庁長官縄野克彦君、委員松本善明君の質疑に際し、外務省欧州局長齋藤泰雄君、法務省刑事局長古田佑紀君、委員東門美津子君の質疑に際し、防衛施設庁長官嶋口武彦君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
石破委員 川口大臣、御苦労さまでございます。きょうは沖北と同時に審議をいたしておりますので大変お疲れのことかと思いますが、幾つか質問をさせていただきたいと存じます。
 主に、先般の本会議におきます大臣の外交演説に沿いまして質問をさせていただきます。
 まず冒頭に、これは質問通告をいたしておりませんが、川口外交というのは大体どのようなものを目指しておられるかということにつきまして、抽象的な質問で恐縮ですが、お尋ねをいたしたいと思います。
 歴代、いろいろな外務大臣がいらっしゃいました。きょうはここに柿澤元外務大臣、そして高村元外務大臣いらっしゃいます。私、いろいろな歴史上の外務大臣を思い起こしますときに、例えば、ポーツマス条約を結んだ小村寿太郎外務大臣というのがおられた。あのときには、日本はロシアに戦争に勝って、多くの領土がとれるであろうというふうに国民は大変に期待をしておった。しかし、外務大臣の小村寿太郎は、なかなかそれは難しいな、横浜を出るときに多数の人が見送ってくれたけれども、帰るときは多分だれも出迎えに来ないであろうというようなことを言った。その言葉どおりに、民衆は成果が得られなかったではないかというふうに大変激高したと伝えられておる。しかし、そのときの小村寿太郎の判断は極めて正しかったであろうと私は思っています。
 あるいは、国際連盟を脱退したときの外務大臣は松岡洋右であった。彼は、国際連盟における最後の演説の中で、十字架にかけられるキリストに日本国をなぞらえて演説をした。そして国際連盟を脱退した。私はそのときの新聞の縮刷版を見たことがありますが、我が代表、堂々退場すということで、国民全体が松岡洋右の決断というものを歓呼をもって迎えた。
 しかし、どちらの決断が正しかったか。国民が熱狂しなくても、人気がなくても、やらねばならない外交というのは世の中にあるだろう。しかし同時に、国民の支持ということが、大臣のお話にありますように外交の政策遂行には不可欠である。このあたりをどのようにとらえるかということであります。
 川口外交というのはかくありたいということにつきまして、大臣の御所見を承りたいと存じます。
川口国務大臣 初めから大変に根本的な御質問をいただいて、どうお答えしようかなと実は伺いながら思っておりましたけれども、私といたしましては、実は今、外務省の改革についていろいろなことを考えながら、あわせて、これからどういうことに焦点を当てた、あるいはウエートを置いた外交を私なりにやらせていただくのがいいかということは考え始めております。
 これについてはまだ結論が出たわけではございませんし、それから、外務大臣としての先輩を初め多くの方の御意見を伺いながら、まだ考えていかなければいけないと思っておりますけれども、当面、今の時点で私が考えておりますことは、一つは、私は過去において環境大臣もやらせていただきましたし、それから、その前、幾つかの、経済関係といいますか開発関係、世界銀行にもいたことがございますし、そういうことにおいては比較的土地カンはあるのではないかなと思っております。
 最近の問題として、グローバルなさまざまなイシューがある中で、貧困をなくす、あるいは環境ですとか、さまざまな地球レベルの問題があるわけでございまして、その点についてはひとつ考えてみたいと思っている分野でございます。
 それからもう一つは、今問題になっておりますテロですとか大量破壊兵器の不拡散の問題ですとかそういったことが、これからの世界の平和と安定を考える上で、あるいは新しい国家の間の枠組みに影響を与える要素として非常に重要なことだと思っておりますので、こういった点についてもまず勉強して、私なりにどういう取り組みができるかということは考えてみたいと思っております。
 いずれにしても、まだ就任して一カ月のことでございまして、いろいろなことをやりながらいろいろなことを考えているという段階でございますので、今申し上げたことについては、とりあえず、本当にきょうの時点で私の頭の中にあることであるというふうにお考えいただければ幸いでございまして、これから多くの方にお教えをいただきながら考えていきたいと思っております。
石破委員 外務省改革についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 前田中大臣が外務省改革ということを掲げて外務大臣をお務めになった。しかし、田中大臣御在任中に田中大臣が目指そうとされた外務省改革がどれぐらい目に見えて進んだか、国民に理解できるほど進んだかといえば、ここは本当に変わったなというような印象を国民の皆様方が持つには残念ながら至っていなかったのだろうと思っています。それにはさまざまな原因があろうと思いますが、外務省改革なるものが進んでいない、まだ道半ばであるとするならば、その原因はどのようなものであるか、それをどのように取り除き、外務省改革を推進していこうとしているか。
 報道によりますと、大臣はきのう、外務省職員に電子メールを送られて、これから先本当に改革をやっていくよということで協力を呼びかけられたというふうに承っております。外務省改革がまだ道半ばであり、これから先乗り越えていかねばならない課題、それはどのようなものだと御認識ですか。
川口国務大臣 これも非常に大きな基本的な御質問で、まとまって直ちに何を申し上げられるということではないんですけれども、私が今考えている点について申し上げます。
 幾つか申し上げたいんですが、外に余り見えていないかもしれないけれども、外務省の改革は実際ある程度進んでいるということをまず一つ申し上げたいと思います。それは、例えば会計の処理の話ですとか、物についてだけですけれども発注を一元化する、あるいは報償費についての決裁を副大臣、大臣のところでやるとか、幾つかのことは行われているわけでございます。
 その上で、それ以上進んでいないというのは、一つは時間の問題もあっただろうと思いますし、それから、私は改革をするについて最初に、スピード、透明性、実効性と申し上げましたけれども、やはりスピードというのは大事でございまして、今まで幾つか考えてきたことについて、何をいつまでにやる、やったかどうかの評価をする、企業ではPDCAを回すと言いますけれども、そういう仕組みがつくられていないということでございまして、私は、これについては、この間発表させていただきました十の改革で具体的に、獲得すべき目標と、それからそれをいつまでにやるというアクションプランというべきもの、工程表をつくってやるべきであるということと、それからそれをやったかどうかについてちゃんとチェックをする、PDCAのCですけれども、ということが大事であるということを考えておりまして、それは書かせていただきましたし、今後そういうことをやっていくつもりでございます。
 例えば、「変える会」のメンバーをきのう発表させていただきましたけれども、まず三カ月でとりあえずできることについての中間的な報告を出していただき、最後、その次には、夏までにその次の段階の報告を出していただくということを申し上げ、また、その報告を待たないで外務省としてできるものはどんどんやっていくということで、その幾つかについては先日発表させていただきました。
 外務省の職員の人の改革をどう考えるかということが私は非常に大事な要素だと思っておりまして、十の改革を発表する前に、本当に来ました直後に、外務省の方々から改革について何を考えているかということを聞かせてほしいというお願いをいたしまして、大変に多くの紙を送っていただきました。私は、これを読みまして心を打たれましたのは、外務省の職員の方がそれぞれのお立場で、改革、どういうことをすべきかということを非常に考えていらっしゃるということでございまして、実は、例示として挙げた中に、これはたまたま私の考えていたことと同じということでもあったんですけれども、そういった御意見を例示として盛り込ませていただいております。
 きのう私が外務省の職員の人にEメールを送らせていただきましたのは、やはり改革というのは、そういった中の人の考え方、中の人のサポート、やりましょうという気持ちが非常に大事でして、私が考えていることを外務省の職員の方にお伝えをして、それで外務省の職員の方からもまた折に触れ御意見をいただいて、そういう双方のコミュニケーションを図ることによって物事を進めていくことによって早くいい結果が出るのではないかと思ったから、そういうことをいたしました。
 私は、外務省の改革というのは、単に失われた信頼をもとに戻すということだけではなくて、むしろさまざまな今問題になっているようなことについて霞が関の中で新たなモデルをつくる、そういう意気込みでやるべきだと思っておりまして、そのようにきのうのEメールでは伝えさせていただきました。
石破委員 ありがとうございました。
 大臣は外交演説の中で、外交の任を担っていく上で重要なことは、外交が国民に理解され、支持されることであると述べられました。そして、それに続けて、何よりも外務省改革の実施が重要である、こうなさっておられます。その上で、外交に関する意見は、幅広く謙虚に拝聴するとともに、不当なものは受け入れず、外交への特定の圧力を排除する、こう述べておられる。実際にそのとおりであろうと私も思います。
 ただ、抽象的な言葉で言うとそのとおりですという話なのでありますが、では、何が不当で、何が特定の圧力なのかという具体論になると、これはかなり難しいお話になってくるのだろう。国会議員が外交について意見を述べるということは、これは当然議員の権利であり、義務であり、それは守っていかれねばならない。しかし、それが不当なものであったり特定のものであったりしてはならない。極めて難しいところだと私は思います。
 この判断基準は何なのかということなんですが、これも非常に抽象的なお話で恐縮ですけれども、先ほど大臣、ごあいさつの中で、国益という言葉をお使いになりました。結局、私の利益、私益であるとか、地域の利益、地域益であるとか、そういうものが国益に優先することがあっては絶対にならないのだ、こういう意識を外交に携わられる方すべてが持つことなんだろうと思っています。
 自分が今やろうとしていることは本当に国益にかなうものであるのか、あるいは私益や地域益、それに配慮をしたものなのか。要は、国益とは何かという、これもまた大変に抽象的なことなのですけれども、自分がやっておることが、自分の胸に手を当ててみて本当に国益にかなっておるかどうか、その気持ちを外交に携わる方が持つかどうか。不当か否かとか、特定の圧力か否かということは、すべからくそういうことにおいて判断をされるべきではないのかな。要は、外務省職員の、外交に携わる人の心構えの問題なんだろうと思っている。それで、幾ら改善策を出してみても、それぞれのマインドにそれがはっきりない限り、これはだめだ。
 私も十数年国会議員をやらせていただいて、外交官の方々、本省におられる方も、あるいは海外におられる方も、随分とお話をさせていただき、意見の交換もさせていただきました。圧倒的多数の外務省の職員は、国益というものを胸に秘めて、本当に一生懸命やっておられるのだろうと思います。一部の心ない人たちの、そういう意識が欠如する人の行為によって、この外務省全体、日本国全体の信頼が揺らぐことがあってはならないというふうに考えております。
 さて、鈴木代議士が昨日、外務省において行われております調査に関しまして、このようなことを述べておられます。私側を調査してもらえば、私側の関係者が業者の個別選定や入札に関与していないことが明白になる、私側の関係者も含めて調査をなし、公平かつ客観的な調査結果を出されることを希望する、このように鈴木議員は述べておられます。このことに対しまして、私は報道でしか存じませんが、外務大臣は否定的なコメントを出しておられたように承知をいたしております。
 公平かつ客観的な調査というものをなす場合に、一方の当事者である、今いろいろなことが喧伝をされておりますが、鈴木議員側の、これも国民によって選ばれた議員であります、国政の担当者としての議員であります。鈴木議員側のそういうような主張もあわせて聞くことが、公平かつ客観的な調査結果を導くことにこれはつながるのではないかという考え方もまたあろうと思います。大臣はこれについて否定的な御見解をお持ちのように承っておりますが、その理由はどのようなものでありますか。
川口国務大臣 これもまた非常に難しい御質問でございますけれども、調査というのは、何を対象にして何を範囲としてやるかというのがおのずから限定をされませんと、無限に広がっていってしまうという側面があると思います。それで、外務省という立場で、すなわち行政を担当するところであって、そこがやる調査というのはおのずから、外務省が外務省であるということによって制約をされざるを得ないというふうに私は考えております。すなわち、言葉をかえれば、外務省が国会議員の方を、立法府の方を行政府がお話を伺うということが適切かどうかということだと思います。
 いずれにいたしましても、外務省が外務省として今行おうと思っている調査は、行政を担当する外務省の職員がその業務の執行に当たってとった行動がいかなるものであったか、それが適切なものであったかということを外務省が調査をするという調査でございますので、その範囲において御協力をいただける方には、関係の業者の方にも若干お話を伺わせていただきますけれども、立法府の関係の方というのは、外務省が、行政の職員がどういうことをやったか、その行動が適切だったかということを議論するということでいうと、これは別なお話でございまして、そういう意味で、外務省はみずからやる調査をみずからやっている、そういうことでございます。
石破委員 これはちょっと私ひっかかるんですが、鈴木議員が立法府の人間であるから、こういうお話は、ちょっと論理的には整合しないような気が私はしているのですよ。
 すなわち、報道にあるような道東であるとか根室であるとかいうようなことが言われた、そのときに、一方の当事者は外務省の方なわけですね。外務省の方が、どのようなことにいたしましょうかと。それは道東でどうかとか、それでは広過ぎるとか、そういうようなやりとりがあった。つまり、一方の当事者が外務省の方であり、一方の当事者が鈴木議員であるということになれば、そのことが本当にどのように行われたのかということを公平かつ客観的に外務省として判断を下すときに、私は、鈴木議員が立法府の人間であるからということだけでは理由としてやや薄弱ではないかと思いますが、いかがですか。
川口国務大臣 立法府の方であるということを申し上げたのは、若干、むしろつけたりというか余計な部分でございまして、私が本来申し上げたかったのは、この調査は外務省が行う調査でありまして、したがって、外務省の職員が業務の執行に当たって適切な行動をとったかということを外務省として調べるということが目的である、そこにとどめておきます。
石破委員 いずれにいたしましても、本当にこの問題に国民も関心を持っている。外交の信頼性というものを確立する上で、だれが見ても公平であり客観的でありという調査結果がなされますように御努力をいただきたい。そしてまた、その解明が一日も早く行われることを心から希望いたしたいと存じます。
 それから、あと、これはこの問題と直接関係があることではないのですが、いわゆる外務省から出たと言われる文書ですね。「秘 無期限」、こういう文書が表に出ている。これは、出した方がいるから出たのでしょう。「秘 無期限」であるにもかかわらず出たのでしょう。それは、もうこれは出さなければ国益に反するというふうにその方がお思いになったのかもしれない。それは結果として後の歴史が正しかったことをあるいは証明するのかもしれない。具体的なこのケースに関しての議論はおきます。
 ただ、機密保全ということは外交において大変に重要なことであって、いろいろな関係国からの信頼を得るためにも、外務省内で機密がきちんと保全をされること、あるいは、これは秘密に指定する必要がないのにむやみやたらに秘密、秘密ということで指定してしまうことも、またいかがなものかということでありましょう。
 本当に何が秘密であるか、その基準はどのようにして決められるのか、そしてその保全体制は一体どうなっているのかという疑問も多くの国民は持っていると思います。その点につきましての御見解を承ります。
川口国務大臣 委員おっしゃられますように、外交の機密を守るというのは、相手国との関係においても、それからその他いろいろな考慮をした場合にも、大変に重要なことでございます。これを守れないということは、その信頼を失うということになると思っておりまして、私は、先ほど出させていただきました外務省の十の改革の中の四番目に実は「秘密保持の徹底」ということを入れさせていただいております。
 そこに書かせていただいたことを読ませていただきますと、「外交では、信頼が基本です。そのために、秘密保持を更に徹底し、それに反した場合には厳しく対応します。」どういうことを具体的にやるかというのを幾つか例示として挙げさせていただいていますが、一つは、「現在の文書管理規則を見直します。」それからもう一つは、「秘密を漏洩した場合の処分を厳格にし、人事に反映させます。」ということを例示として書かせていただいております。
 これは例示でございますので、このほかにもいろいろとるべき対策、対応策というのはあるかと思いますけれども、問題意識においては、委員がおっしゃった問題意識を全く私も持っております。
石破委員 官房長、この文書はなぜ「秘」になっているのか、だれがそのようなことを指定したのか、いかなる権限に基づいて、いかなる理由でこれを「秘」に指定したのか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省におきましては、今の秘密保全管理体制のもとでは、それぞれの局部におきまして基本的に「秘」云々の判断をしておるわけでございます。本件につきましても、その当時そのような判断がなされたということでございます。
 ただ、今大臣もおっしゃいましたように、この十の改革の中の四番目に「秘密保持の徹底」というのがございますので、今、文書管理規則を見直す作業を始めております。
 そういうことの中で、今御指摘の点を含めて事務的に議論を始め、その上で「変える会」の方々にもお示ししながら、大臣にもお諮りしながら検討していきたいというふうに思っております。
石破委員 本当に秘密保全体制というのは、この問題とは別にしてきちんと確立をしてもらわないと、「秘」なんていう文書が余りあちこちに出るようなことは外務省の見識を問われますよ、これは。この問題とは別の議論ですけれども。
 そしてまた、基準をどうするか。何でもかんでもこれを「秘」にするということは、これは犯罪構成と密接に関係することですからね。何でもかんでも「秘」にするという基準も、これはまたいかがなものかというふうに思われます。このことはきちんと見直して報告をいただきたい、このように思います。
 さて、テロとの関係について承ります。
 昨年の九・一一のテロが起きましたときに、ブッシュ大統領は、これは戦争である、こういうふうに叫びました。その後パウエルが、いやいや、これは戦争ではないんだ、このように言いました。これは戦争なのか犯罪なのかということについて、我が国としてきちんとした見解を確立しておかないと、この後、国際法の社会において非常におかしなことになるだろうと私は思っています。このことについてのきちんとしたアメリカの見解、そしてまた日本政府の見解、これを承っておかねばならぬだろうと思っています。
 御存じのとおり、戦争というのはこの世の中にないことになっておるわけですよね。戦争というのは違法化をされておる。しかし、国連憲章上認められた個別的、集団的自衛権であるとか、地域的取り決めであるとか、国連軍であるとか、敵国条項であるとか、そういうものに関して例外的に武力の行使が認められておる。
 では、今回のアメリカを初めとする多国籍軍の行動をどのように評価をするかというふうに考えてみた場合に、これは戦争ではない、しかし国連憲章によって例外的に認められた武力の行使である、しかし国際戦争法の適用は受けるというような、わかったようなわからないような話なんですけれども、正確に言えばそういうことになるのだろうと私は思っているのですね。もう一回申し上げます。これは戦争ではない、しかし国連憲章によって認められた武力の行使である、しかし国際戦争法の適用を受ける状態である。
 もう一つ申し上げれば、犯罪というのは何を究極に置くかというと、要するに、オサマ・ビンラーディン、犯人、首謀者、これを捕らえ裁判にかけ処罰をする。これが犯罪だという場合に、断定したときに、これはもう、だれが犯人で、きちんと裁判にかけるということが犯罪なのだろうというふうに思っているのですね。
 戦争の場合にはそうではないだろう。デッド・オア・アライブという言葉を使いましたが、生きていようが死んでいようがという話ですよね。そういうような違いもあるいはあるのだろう。その辺について、我が政府はどのようにこれを分析し判断をしておられますか。
川口国務大臣 この点につきまして、私、まだこれからいろいろ勉強しなければいけないと思っておりますけれども、国連憲章のもとでは、自衛権の行使や安保理の決定に基づく行動などを別にいたしますと、武力の行使が一般的に禁止されていて、伝統的な意味における戦争は認められていないと理解をしております。
 それから、委員もおっしゃられましたように、九月十一日の米国におけるテロに関連したアメリカの武力の行使は、自衛権の行使として行われたものと考えていまして、これは国連憲章において加盟国の固有の権利として認められているというふうに理解をいたしております。
石破委員 結局、テロって何なんだという話なのですよね。これから先どのようなことが起こるかわからない。しかし、従来の伝統的な戦争の概念とは違うものがあらわれてきたのだろうと思いますよ。
 つまり、国対国の戦争ということから、今は、例えばサイバーテロなどというものは、ちょっとコンピューターの知識のある若者が、別に若者じゃなくたっていいですが、一人でコンピューターをいじることにより、ウイルスを潜入させることにより大変な被害を相手国に与えることができる。これは個人であって国でも何でもないわけですよね。
 今回の九・一一の場合には、アルカイーダであるとかタリバン政権であるとか、そういうものが後ろにあったと言われておりますので、何となく戦争みたいな構成をすることが可能であった。しかしそれが、今後予想される、アザー・ザン・ウオーと言われるサイバーテロであるとかBC兵器であるとか、そういうものを使って個人がやったときに、どのような法的な構成をするのかということは日本として考えておかないと、これは対応できなくなる。
 要するに、法のないところに何かやったらやった者勝ちというようなことになることだけは、これは絶対に避けておかねばならないことだと思います。この点において我が国としてきちんとした研究をなし、提言をしていかないと、これから先のテロの撲滅ということに法的な担保がないということを招きかねない。その御認識をぜひお持ちをいただきたいと存じます。
 それからもう一つ、巷間言われておりますのは、次はイラクだとか、フィリピンのアブ・サヤフに対してどうなんだとか、悪の枢軸とか、いろいろなことが言われております。
 これは報道で憶測として出てくるだけのことですが、しかしながら、私どもの国が、日本国として、では仮に、仮にの議論をしてはいけないといったらこんな議論は成り立ちませんので、仮にイラクを攻撃するということがあったといたしましょう。そうすると、今のテロ特措法というもので本当に対応ができるのか。そのときになってばたばた慌てて考えますでは、これは難しい。
 そうすると、対イラク、どこでもいいのですけれども、例えばオサマ・ビンラーディンがどこかへ逃げた、そのことが明白であるというような場合には、それでは国連決議を前提とするテロ特措法でいけるのか、それとも新たな新法が必要であるのか。どういう場合に日本は支援をすべきであり、どういう場合には支援をしないのか。そのことについての認識は今から持っておきませんと、何かが起きたときにあたふたあたふた、十分な議論もなされないままに決定がなされる、私はそれはあるべきではないと思っている。いろいろなシミュレーションをした上で、我が国がどのような対応をすべきか、テロ撲滅のために何をすべきか。
 このテロというものは、単にアメリカがやられたとかそういう話ではなくて、基本的な認識として、これは我が国にも向けられたものである、そういう認識を持ちませんと、これは世界の議論に対応できないと私は思っているんですけれども、その点につきましての御認識を承ります。
川口国務大臣 委員おっしゃられますように、将来起こるさまざまな問題についていろいろ考えておくということは、プロアクティブという言葉をよく使いますけれども、非常に大事なことだと思っております。
 ただ、それは政府の中ではいろいろ議論をすべきものでございましょうし、また政府の外においても、いろいろな有識者の方いらっしゃいますから、さまざまな形で議論を行われるということが、これは外交だけではなくて、経済の問題についてもその他の問題についても、日本がそういうふうになっていくということは非常にいいことではないかと私は個人的には考えております。
 イラクの問題につきましては、この間、日米首脳会談がございまして、ブッシュ大統領から、イラン、イラク、北朝鮮につきましては、その国々の行動パターンを変えるように国際社会として協力をする必要があるということをおっしゃいまして、米国はそのすべての選択肢は排除していない、けれども、平和裏に、平和的に解決をしたいと考えている、そしてこのための外交的な努力を続けるつもりであるというお話がございました。
 先ほど申しましたように、いろいろなことを考えておくということは大事なことだと思いますけれども、それを政府の立場としてこうだということを言うことについては、これはまたいろいろな影響があり得ると思いますので、イラクの問題について、こういうことに、戦争になるだろうということを予断してお答えをするということは、私はできないというふうに考えておりますけれども、イラクについては、大量破壊兵器をつくっているというその問題との関係で、イラクが国連の査察を受け入れることが重要であって、国際社会がこの点について協力して取り組むことは大事なことだというふうに考えます。
石破委員 基本的には大臣のおっしゃるとおりだと思うんですが、私は、日本国には抑止という考え方が大分欠落をしているような気がするのですよ。
 先にこういうふうに決めておく、こうしたらこうだということを決めておくのはいかがなものかという考え方はもちろん成り立ちます。しかし、こうなったらこうするということを明らかにすることによって、そんなことになったら大変である、したがって事を起こすのをやめようという抑止の意味も、あらかじめ決めておくということにはあるのだろうと思っているのですね。
 つまり、事前にイラクが、あるいは北朝鮮が、あるいはイランが暴発をすることをいかにして抑止するか、そのためには何をしておくべきか、そういう抑止という観念が大分この国の外交には欠落をしておるような気がするのですね。何か起こってからばたばたと慌ててどうしましょうかということを私も何度も経験してきた。そのときに十分な議論が詰まっているか、それではテロ特措法で十分な議論が詰まったかといえば、それは多くの課題を抱えたまま、とにかく急がなきゃということであの法律を通したのは、大臣もよく御案内のとおりであります。
 そういうような観点、抑止という観点から何をすべきかということも私どもは認識する必要があるのではないか、かように思っております。
 対米関係につきまして、幾つかお尋ねをしたい。
 歴代大臣が、日米安全保障体制の信頼性の向上に努め、日米同盟の一層の発展を図る、少しずつ表現は違いますが、日米安全保障体制の信頼性を高めるんだ、そしてまた同盟の一層の発展を図るんだというふうに、前大臣もおっしゃいました、川口大臣もおっしゃいました。それは、抽象的な言葉としてはそのとおりであります。
 私は、これは田中大臣にも御質問したことがあるのですが、では、信頼性の向上、同盟の強化とは具体的にどのようなものであるかということであります、抽象的な言葉ではなくて。お互いの協議を密にしましょうというのは、これは当たり前の話であって、そんなものは決定打にも何にもならない。そうすると、私どもが結んでおる日米安全保障条約というものと、例えば北大西洋条約、NATO条約というもの、アメリカと韓国との条約、アメリカとフィリピンの条約、そのようなものにどのような違いがあり、もし欠落している部分がありとせば、それを補完するために何をしなければいけないかということは具体的に議論をされなければいけないと思っているのです。そういう議論は最近余りしたことがない。
 では、信頼性を向上し、同盟の強化を図るために何が必要であるというふうに御認識になっておられますか。
川口国務大臣 日米同盟関係が日本の外交の基軸であるということは、この間外交演説でも申し上げましたし、私は本当にそう思っております。
 この信頼性の向上をどうやって行っていくかということは、多くのことが関係してくると思います。今、ブッシュ大統領と小泉総理との関係が個人的に非常にいいということを私は今まで伺っておりましたし、それから今回首脳会談に同席をさせていただいて、本当にそういうことであると思いました。これが二国間の関係、信頼関係の向上に非常に大事な要素であるということも、そういうことであると思います。
 具体的にというお話でございますので、例えば、緊急事態等における日米の協力及び調整のあり方について一般的な方向性をまとめた新日米防衛協力のための指針を策定していまして、さらに、これを踏まえまして、周辺事態における自衛隊の米軍に対する支援等を定めました周辺事態安全確保法を整備してございます。それから、緊急事態における日米間の調整メカニズムを構築しております。今後、引き続き、今申しました指針のフォローアップについては、日米が共同して取り組んでいくということだと思います。
 それから、テロ特措法でございますけれども、これは日米の安保体制とは直接関係するものではございませんけれども、この法律の規定に従って米軍を支援していくということは、結果として日米同盟の強化にも資すると考えております。
石破委員 これは北米局長にお尋ねしますが、日米安全保障条約の特色というのか独自性というのか何というのか、要するに、日本語で読んでいると余り感じないけれども、英語で読んでみるとNATO条約と大分違うなという感じはするのですね。
 つまり、条約を結んだ一方に対する攻撃をどうみなすかということについて表現が少し違うんだろうなというふうに思いますし、ヘア・トリガー条項があるかないかということも違いますし、適用範囲も、日米の場合には施政下というふうに限定をされているわけですね。
 だから、施政下にないところで日本の船が攻撃をされようが日本の航空機が攻撃されようが、これは理論的には日米安全保障条約の適用の範囲外になっちゃうはずですね。たしか、アメリカと韓国が結んでいる条約も、アメリカとフィリピンが結んでいる条約も、アメリカ本土の防衛まで義務づけてはいないけれども、アメリカの施政下にある太平洋の島々というのは適用範囲になっているはずであって、日本の施政下に限定をされる、一国の施政下に限定をされるというような安全保障条約というのは、恐らく世界に類を見ない特殊なものであろうと思っています。
 あるいは、戦争権限法の適用があるかないかということで、NATO条約などというのは戦争権限法の適用がないというふうに書かれています。だけれども、日米安全保障条約にはそんなことは書いていない。そういうふうに、随分と違ったことがあるのだろうと思っているのですよ。
 私たちは、これから先の日米関係というのは、日本の側から提案をしていくということが大事なのだろう。日米安全保障条約がほかの条約と比べてどこが違うか、それをどのように直していくべきか、それが信頼性の向上であり、実効性の確保であり、同盟の強化であると私は思っているのですね。
 もう一つ申し上げれば、共通の司令部というのはどこにもないわけですよ。随時協議する機関はあるけれども、理事会などというものもどこにもない、共通の司令部もどこにもない。それで、いざというときに一体どうやって動くんだということも何ら決められていない。これは本当に実効性があると言えるのか。そのことについて日本側からいろいろな提起をしていかないと、これは実効性の確保にならぬのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
藤崎政府参考人 今石破委員が御提起された点は、日米安全保障条約五条の「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」この規定に言及しておられるものというふうに承知しております。
 これは、昭和三十五年、一九六〇年に、我が国の憲法、国連憲章等を念頭に置きまして旧安保条約を改定いたしましたときに挿入した規定でございます。本件につきましては、今申しましたように、我が国の憲法の範囲内ということでございますので、おのずと他の国と異なってくることはそのとおりでございます。
 さて、それでは現下の状況に照らして、何か今私どもとしてできることがないかということで、これまで努力してまいりましたのが、今大臣からお答え申しましたような指針、いわゆるガイドライン等の合意でございまして、これに基づきまして、できる範囲のことを今の憲法、国連憲章の範囲内でやってきているということでございます。
 司令部ということでございますけれども、これにつきましても、もちろんそれぞれが独自の司令部を共同対処するときも持つわけでございますが、その間にきちんとした調整が行われるようにということで、先ほども大臣からも御説明しました調整メカニズム等を通じまして、十分な調整が図られるように進めていきたいというのが私どもの考え方でございます。もう十分委員御承知のところでございます。
石破委員 局長、今局長がおっしゃったように、本当に憲法上の制約から導かれるものとそうでないものが分けられると思うんですよ。憲法から導かれる制約とそうじゃないもの、それを分けて考えないといけないと思うんですよね。共通の司令部とか理事会とか統合軍とか、そんなものがない安全保障条約というのは、私の知る限りどこにもないですよ。本当にいざというときにそれが動かなければ、これは意味のないことになってしまう。
 そして、NATO条約によると、行動するという言葉がたしかウイル・アシストという言葉になっている。日米安保条約ではウッド・アクトという話になって、中学の英語の教科書みたいな話だけれども、かなりえんきょくな言い回しになっちゃっているわけですよね。そこのところをどういうふうに見ますかということは前の国会でも私は申し上げたつもりです。田中外務大臣に申し上げて、英語と日本語とどのようにニュアンスが違うか、ほかの条約との差はどこなのか、それが憲法に由来するものなのかそうでないのか、日本としてその信頼性向上のために何をすべきかということを考えてくださいねというお願いを一年近く前にしているのですよね。そのことについての議論をもう一度きちんとさせていただきたい、こういうふうに私は思っておる次第でございます。
 周辺事態法につきましても、前の国会で質問をしたことですが、要は、周辺事態が起こりました、アメリカの船に対して日本の船が後方支援をします。水であるとか油であるとか食料であるとか、そういうものを補給します。周辺事態ですよ。アメリカの船が日本の船を待っておって、ああ、やっと水が来た、ああ、やっと食料が来た、ああ、やっと補給が来たなというふうに思って、実際にその補給が始まった。そこへぽんとミサイルが一発飛んできたとしますね。そうすると、これは現に戦闘が行われている地域ということになっちゃって、いかに補給をしていようが何だろうが、それは打ち切って後方へ下がるというのが今の周辺事態法ですよ。そういうことになっている。
 政府のお話としては、だから、そんなことになりそうなところには行かないんだということになるわけですけれども、しかし、今ミサイルなんというのは本当にマッハ二とかマッハ三とかそんなもので飛んでくるのであって、常識的に、何が後方で何が後方じゃないかというような区別は極めてナンセンスな話であって、それは日本の国会の中でだけ通用する議論であって、実際に補給をしているときに何かが飛んできて、とにかく自分を守るための武器の使用もできません、個別的自衛権の行使もできなければ武器等防護もできなくて、何もアメリカの船を守るとかなんとか、そんなこと言っているんじゃない。そういうことをすれば集団的自衛権の議論に触れるということになるでしょうからね。しかし、実際に補給しているときに、自分を守る、そしてアメリカに対する補給というものをきちんとやるということが重要なことであって、このことは集団的自衛権の議論とも何とも関係ないと私は思っているのですよ。
 実際、大臣はアメリカの御赴任の経験も長くていらっしゃるわけだけれども、アメリカ国民がそういう場面を見たときに、本当に同盟というのはもつのかということであります。それは集団的自衛権の議論とは関係ないのではないかというふうに私は思いますが、いかがですか。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今、後方支援中に攻撃を受けるといった場合に活動を中断することになるんじゃないかという御指摘があったわけでございますけれども、これもガイドライン国会のときに当時の防衛庁長官からも答弁しているところでございますけれども、防衛庁長官は、自衛隊が収集した各種の情報等を総合的に分析することにより合理的に判断し、相手国からの攻撃が想定されるような区域で活動を実施することはない、万一不測の事態が発生するような場合には、実施区域の変更等を行うことにより、この活動は後方地域においてのみ実施されることを考えている、こういう説明をしてきていることはもう十分御承知のところでございます。
 アメリカとの関係でございますけれども、この周辺事態、ガイドラインをつくるときにも、これは十分アメリカ側と、もちろんガイドラインをつくりましたときには合意の上でつくっているわけでございますし、それから、テロ特措法につきましても十分説明をしてきているところでございます。これまでの会談等におきましても、ブッシュ大統領あるいは米国政府首脳から、日本国政府がみずからのできる範囲内のことを、最大限のことをしてくれていることを多とするというふうな評価を得ているところでございます。
石破委員 集団的自衛権の議論と武力行使の一体化の議論というのは分けないとおかしなことになると思いますよ。アメリカの側が理解をするというのは、それは結構でしょう。そんなものだろうな、日本の憲法の制約というのはそういうものなんだろうな、できることとできないところ、はっきりしてくれよということなんだろうと思いますよ、アメリカとしては。
 つまり、我が方として、本当に同盟がきちんと機能するかどうかというのは、アメリカの評価とは関係ないんですよ。私どもの国として、どうやってこの同盟の実効性を確保するか、本当にきちんと動くのか、それが抑止力たり得るのか。実際になってみれば動かないというようなことになれば、それは抑止力としての意味もないわけですよ。
 実際問題、同盟が使われるようになったらば、これはかなり相当のことでして、要は、抑止力としてどうなんだという観点から、アメリカが労を多とするとかなんとか、そんな議論じゃなくて、日本としてどうなんだという議論をしていかねばだめだろうというふうに言っておるわけであります。御答弁、結構。
 次に、ミサイルディフェンスとABMについてお尋ねをいたしたい。
 アメリカはABM条約からの離脱ということを言っているわけですね。つまり、ABM条約というのは何かというと、相互確証破壊の理論と対であったのだろうということだと思いますよ。MAD理論というのがあって、相互確証破壊という理論があって、実際にそれが道徳的にどうかという議論は別にして、相互確証破壊の中で、冷戦構造において平和はとにかく曲がりなりにも保たれてきたということなのでしょう。つまり、MAD理論、相互確証破壊の理論というものとABM条約というのはセットのものだったはずですよね。
 ところが、今相互確証破壊の理論というものがこの世界において実際に通用しているかというと、アメリカと相互確証破壊なんという国は、今やどこにもないわけですよね。相当に差が開いてしまった。ロシアしかり、そのほかの国もそうなんですよ。残っている危ないのは本当に冒険主義的な国のそういうミサイルであって、それに対応していこうと思えば、ミサイルディフェンスというのは当然の帰結として出てくるものだろうというふうに私は思っております。
 このABM条約から米国が離脱、もちろん米ロ間の条約ですから、私どもの国が入っているわけでも何でもないが、合衆国のそのような立場について、私は、それなりの評価というものをしていくことが必要なことなんだろうというふうに考えておりますが、いかがですか。
川口国務大臣 我が国といたしましては、冷戦後の安全保障環境の変化を踏まえまして、新たな戦略枠組みの構築を探求しようとするブッシュ大統領の姿勢は理解をいたしております。
 我が国としては、ABM条約そのものよりも、新たな戦略枠組みの構築が、軍備管理、軍縮、不拡散努力を含む国際の安全保障環境の向上に資する形で進められまして、世界の平和と安定が確保されることが大切であると考えております。
 このような観点から、我が国といたしましては、引き続き、アメリカを初めとする関係の国々と緊密に協議をしていきたいと考えております。
石破委員 北米局長にお尋ねしますが、CTBTについての合衆国の現在の立場、主張、このことについてどのように認識をしておられますか。つまり、全面的核実験禁止条約というものについて、アメリカとしてはどのように考えているか、あるいはフランスはどうなのかということなんですよ。前大臣のときに、このことについては積極的に推進していくというお立場だった。
 このことを何でここでお尋ねするかというと、今度パキスタンのムシャラフ大統領がやってくるわけですよね。その場合に、いずれにしてもCTBTのことについては言及をせざるを得ないだろうというふうに思っております。別にアメリカは軍拡をやりたくてCTBTというものについて言及をしておるわけではなくて、抑止力ということをきちんと担保するためには、核兵器の信頼性というものがなければ、これは抑止力としての機能を果たさない、したがってCTBTというものはいかがなものか、こういう非常にリアリスティックな議論なんだろうと私は思っているのですけれども。
 これについて日本は、とにかくCTBTを推進します、推進しますと言うことは大変結構なお話かもしれないが、そのことが本当に平和をもたらすものなのか、抑止力の強化につながるものなのか。そのこと自体、核兵器の削減とは関係のないお話ですからね。そのことにつきましての御認識を北米局長に承ります。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 CTBTにつきまして米国は、現在の行政府でございますが、米国議会に対し、CTBTの再検討を求める考えはない、しかし核実験のモラトリアムは継続する、こういうふうに言っているわけでございます。
 日本といたしましては、やはりこのCTBTは、米国のみでなく世界の各国が核実験をしないということは極めて重要であると考えておりますので、これまでも米国に批准を求めてまいりましたけれども、引き続き同条約の批准を求め、核軍縮の努力を働きかけていく。これは米国だけでなく、インド、パキスタン等を含めまして幅広くCTBTの批准ということを求めていくというのが日本政府の立場でございます。
石破委員 ミサイル防衛につきましては、とにかく我が国の安全を向上させるものには違いがないわけですよ。この構想は積極的に推進をしていかねばならないだろう。ただ、次にあるものは何なのかというと、ある冒険主義的な国がアメリカに向かってミサイルを撃ったときに、それを日本のミサイルディフェンスのシステムが撃ち落とすことは可能や否やということに次は必ず突き当たらざるを得ないわけですね。
 日本に向かってくるミサイルを撃ち落とすのはいいですよ、個別的自衛権だから。しかしながら、これは明らかにアメリカに向かっていますよ、そういうのはもう早期警戒衛星からすぐわかるわけですよね、何時何分、どこに向かっている、いつ落ちるかということは。それが、日本はこれは撃ち落としません、日本に向かってくるのだけ撃ち落としますということで本当にやれるのかという議論は、私は、いつの日か日本が直面をしなきゃいけないことだろうというふうに思っておりますので、指摘をしておきたいと思います。
 中国について承りたいと存じます。この中国に対してどのように相対していくべきか、ODAのあり方をどう見直すべきかということであります。
 中国が抱えている問題点はたくさんありますし、私ども日本の納税者の中には、もうオリンピックまで開けるほど発展をした国ではないか、それに対してODAというものを今までのように続けていいのかという議論があることは、これは事実であります。しかしながら我が国も、今日まで復興してきたときに、発展を遂げたときに、いろいろな国から援助をもらったのもこれまた明らかな事実であって、自分の国がお金がもうなくなっちゃったから外国に対しては援助しないよというような手前勝手なことは許されない。これはアフガニスタンでも一緒のことだろうと思っています。
 しかし、中国に対するODAをどうするかということについては、例えば、化石燃料をやたらと使うのはやめてもらいたい、環境汚染はやめてもらいたい、人口の爆発的な増加はやめていただきたい、あるいは砂漠化防止のためにODAを役立ててもらいたい、沿岸部と内陸部の格差是正のためにODAは役立ててもらいたい。道路であるとか空港であるとか地下鉄であるとか、そういうようなインフラの整備ではなくて、まさしく我が国の国益に直結をすると考えれば、ODAをどのような対象に向けるべきかという議論はきちんとなされなければいけないと思っております。これが一点。
 それから第二点は、台湾との関係であります。
 前大臣が台湾との関係について、これは一国二制度に基づき、香港であるとかマカオであるとか、そういうような関係になることが望ましいという旨、正確ではないかもしれませんが、概略そのように御発言になったと私は記憶をいたしております。川口大臣の御見解はいかがでしょうか。
 すなわち、私どもは中華人民共和国の主張を理解し、尊重はしておりますが、それをそのとおりであるというふうに言っていない。それは一つの守るべき一線なんだろう、日米との関係においても私はそうなんだろうと思っています。
 そして、あえて申し上げれば、蒋介石政権あるいは蒋経国政権の後半ぐらいまで、そのときに台湾と中国との関係は、一体どっちの政府が中国全体の正統な政府なんですかという争いであっただろうと思っています。共産党政権なのか国民党政権なのか、どっちが中国全体の正統な政府ですかという争いだっただろうと認識いたします。
 しかしながら、李登輝総統が直接選挙によって選ばれ、そして陳水扁総統が直接選挙によって選ばれ、そして議会が構成をされ、きちんとした手続によって政権交代というものが行われた。そういうような台湾というものを考えたときに、どちらが正統な政府ですかということはもうなくなったんだろうと思っている。これは、国際法的に一種の変質を果たしたんだろうというふうに考えています。
 台湾は、香港やマカオのように植民地だったわけではない、そこに排他的な領土があって、民主的な選挙が行われ、民主的な政府が確立をしておるということについて、私は、香港、マカオと同一に論じるのはいかがなものかというふうな認識をしておりますが、いかがですか。
川口国務大臣 中国に対するODAのお話と、それから台湾の問題についての二つのお尋ねであったと思います。
 中国のODAについて、私は実は一月の半ばに中国に環境大臣として参りました。中国の環境大臣を初め関係の方々とお話をさせていただきまして、中国における環境問題がいかに大きな問題であり、重大な問題であるかということは認識をいたしてまいりました。
 それから、委員おっしゃられましたように、中国国内における格差、それからWTOに参加したことによって今後起こるであろう中国の中のさまざまな調整の問題等、中国は今後大きな問題に直面をすることになるだろうと考えております。
 中国におけるODAについてさまざまな意見が国内にあるということは私も承知をいたしております。現に、日本のODAといたしましては、おっしゃったような方向で既に、環境ですとか砂漠化防止ですとか緑化ですとか、いろいろな中国にとって今必要な方向に移り始めていると私は認識をいたしております。
 日本についても、これは中国ODAだけではなくODA一般に、日本国内のさまざまな財政問題あるいは経済問題を背景に、特に中国に関連してはいろいろな議論がありますけれども、昨年、我が国としては対中国経済協力計画を作成させていただきまして、今後日本の、私どもとしてはこの計画に沿って、従来の支援額を所与のものとすることなく、環境や内陸部の民生向上といった、まさに委員がおっしゃられたような重点分野、課題を中心に、我が国の状況を勘案しながら、具体的に個別の案件を審査して実施する、いわゆる案件積み上げ方式に基づいて供与をしていく考えでおります。
 それから、台湾の問題でございますけれども、中台関係につきまして、依然対話再開のめどが立っていないわけですが、我が国といたしましては、台湾をめぐる問題が当事者間の話し合いを通じて平和的に解決されること、そのための対話が早期に再開をされることを強く期待しているわけでございます。
石破委員 台湾の問題をどう認識するかということがきちんと国会で議論をされたことがない、突っ込んだお話をしたことがない。しかし、我が国の安全保障を考える上において、本当に中台関係をどうするか。昨年、アメリカの電子偵察機が中国に不時着をしたときにもそういう議論がありましたが、どうも議論を詰めないままに終わってしまったという感じがしています。これは我が国の外交にとって極めて大きな問題であるというふうな認識をしておりますので、申し上げておきたいと存じます。
 朝鮮関係についてお尋ねをいたします。
 私ども自由民主党といたしましては、ブッシュ大統領が訪日をされたときに、拉致の問題というものを正式な議題として取り上げていただきたいというふうにお願いをいたしました。英文のパンフレットも作成をいたしました。他方、先般、拉致をされた御家族の皆様方がジュネーブの国連の人権委員会に訴えたその分が取り下げになったというか却下というのかな、そのような報道を拝見いたしております。
 私は思うんですけれども、この拉致の問題というのとテロの問題というのは、実は密接不可分のものではないのか、一体のものではないのかという認識を私どもは持つべきだと思っているのですよ。何のために拉致をされるのかということであります。それは、例えば大韓航空機事件、金賢姫、その先生であったと言われる李恩恵、それが日本から拉致をされたのではないかということが取りざたをされているわけですよね。拉致問題解決ということとテロの問題の解決ということは、実は我が政府としては一体のものとしてきちんと議論をしていかねばならぬのではないか。そして、国際社会に向けて訴えていかねばならぬのではないか。
 ジュネーブにおける人権委員会でそれが取り上げられない。考えてみれば、ジュネーブにはいろいろな手続がございますが、いわゆるよその国の人をさらってしまう、非自発的失踪というのですか、そういうものを本当にそもそも対象としているかといえば、これは相当に無理があるのではないかと思っているのですね。
 これは、人権の問題であると同時に主権の侵害、明らかな主権の侵害であって、今の人権委員会の仕組みがこういう場合に十分機能しないものであるとするならば、これは、大きなドナー国として、私どもは、新しい手続というもの、こういうものを出していかねばいかぬのではないか。北朝鮮がそんなことは知らないと言ったらば、それで仕方がないということで私どもとしては引き下がっていいのかということであります。
 米も送りました。KEDOに対する支援もしました。しかしながら、何が行われたかといえば、ミサイルが飛んでくる、拉致問題はもう、調べたけれども何もなかったというような返事が返ってくる、昨年の暮れは工作船がやってくるというようなことであって、本当に私どもとして、対北朝鮮外交、あわせてこの拉致の問題、それを国際社会にどう訴えかけるかということについて、もっと明確な、毅然とした方針が必要ではないかというふうに考えておりますが、御所見を承ります。
川口国務大臣 北朝鮮による日本人拉致問題につきまして、十八日の日米首脳会談で、朝鮮半島に関するやりとりの中で、小泉総理から、日朝間には拉致という問題があるということをお話しになられる形で拉致問題は取り上げております。
 それから、十八日の夕方、私がパウエル国務長官とお話をさせていただいたときにも、朝鮮半島についてのやりとりの中で、私から、拉致問題等の日朝間の問題の解決を目指したいということをお話をさせていただきました。
 テロとの関係でございますけれども、テロというのは、国際法上確立された定義があるわけではありませんけれども、一般に、特定の主義主張に基づきまして、国家等にその受け入れを強要する、あるいは社会的に恐怖を与えるという目的で人の殺傷行為をするということをあらわすものだというふうに考えております。
 北朝鮮による拉致問題は、国民の生命にかかわる重大な問題であるという認識をいたしています。ただ、この間のアメリカに起こったような同時多発テロのようなテロ事件と、それから北朝鮮における拉致問題というのは、やはり解決方法についてのアプローチが異なるという意味では、性格が拉致問題とそれからテロと違うんではないだろうか。例えば、拉致問題の解決という意味では、何よりも生命が大事である、拉致された方の問題が大事であるということでございますので、違うところがあるのではないかと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、北朝鮮による拉致問題につきましては、日朝国交正常化交渉等の場におきまして、北朝鮮の真剣な対応を粘り強く求めていきたいと考えております。
 それから、お話しになられましたジュネーブの国連人権委員会の件でございますけれども、お話しになられた強制的失踪作業部会は、失踪者の家族と関係国の政府との間の連絡を行って、失踪者の所在確認を行うことを目的としているものでありまして、この作業部会は、個人的な資格で審議をする五人の専門家から構成されているというものでございます。
 この作業部会では、日本人拉致被害者の関係者の方々が昨年行った所在確認依頼を受理して作業を行っていましたけれども、今般、情報が十分でないということのために、本件について審議を継続していくことは困難である旨を決定したというふうに承知をしております。
 政府といたしましては、本件につきましては可能な限りの協力を行っておりまして、今般こういう決定になったということについては、大変に残念だと考えております。
 この決定の詳細な理由につきましては、この作業部会の審議の内容が非公開でございまして、具体的に確認をすることはできませんけれども、一般論として言えば、失踪者の所在が確認されるためには、この失踪者が所在をするとされている国から十分な情報が提供されることが不可欠でございまして、この件について北朝鮮当局から作業部会に対して十分な情報の提供が行われる必要があるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、拉致された方の御家族と連絡をとるというようなことをいたしまして、今後いかなる対応が可能かということについては検討をしていきたいというふうに考えております。
 それからさらに、新しい枠組みについての御指摘がございましたけれども、これにつきましては、いろいろな議論はあると思いますけれども、国際機関での手続は基本的には強制力を持っていないということがございまして、したがって、問題を直接解決するための制度をつくることは必ずしも容易ではないと考えております。
 いずれにしても、拉致問題につきましては日朝間の問題でございます。政府として、この問題を日朝間で話し合うことができるための本格的な協議の場を設定して、北朝鮮側の前向きな対応を強く求めていくことによりまして問題の進展の糸口を探求していくことが最も効果的であると考えておりまして、引き続き日朝国交正常化交渉等の場において北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めていきたいと考えております。
石破委員 最後に、有事法制について一言だけ承りたいと思います。
 ジュネーブ条約の追加議定書というものを、我が国は署名もしていなければ批准もしていません。
 つまり、何で朝鮮戦争がありベトナム戦争があって、その反省に基づいて追加議定書というものはできたかということであります。つまり、最近の戦争において犠牲者となるのは、軍務に服する人ではなくて民間人の方が圧倒的に犠牲になるのである。朝鮮戦争しかり、ベトナム戦争しかりであります。
 どうやって民間人というものを守っていくか。この追加議定書については、民間防衛条約とも呼ばれております。このことについて、今有事法制の議論がなされておりますが、我が国はこのジュネーブ追加議定書、民間防衛というものについてきちんと積極的に取り組んでいかなければ、国民に対する責務を果たしたことにはならないのではないか。
 それで、文部科学省においでいただいていると思いますが、ジュネーブ条約の中では、その国の教育においてジュネーブ条約というものをきちんと教えるということになっているが、我が国の義務教育の課程でジュネーブ条約のジュの字も一つも出てきてはいない。本当にこれで真剣に国民を守るということになっているのか。
 私どもは、国内法の整備が前提ではありますけれども、外務省として、このジュネーブ条約の追加議定書というものについて我が国の態度をはっきりさせるということが民間人を守っていく、それが、何度も同じことを申し上げますが、抑止力につながるんです。自衛隊がどのように十分に行動しようが、米軍がどのように行動しようが、民間人をどうやってきちんと責任を持って守っていくのかということがなければ、これは抑止力足り得ない。
 このことについては、私どもが署名もしていなければ批准もしていない、これは大いなる怠慢であるというふうに私は考えております。御認識を最後に大臣と文部科学省から承ります。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 子供たちが国際関係について理解することは重要でございますが、それは、それぞれ小学校、中学校、高等学校というような発達段階に応じて教えるということになっておりまして、御指摘の国際法に関連することは、高等学校の公民科において国際政治の動向や国際法の意義などについて教えるということになっておりますので、したがって、教科書におきましても、御指摘のジュネーブ条約というのは、主として高等学校公民科における国際法の意義に関して指導されるということで、幾つかの教科書でも国際人道法として関連する記述が見られるところでございます。
 あくまでも発達段階に応じて今は教えているということで御理解を賜りたいと思うわけであります。
川口国務大臣 このジュネーブ条約及び民間防衛についての追加議定書につきましては、委員もおっしゃられましたように、国際人道法の分野における主要な条約と考えております。
 有事法制につきまして、自衛隊の行動の円滑化という観点からだけではなくて、住民の避難誘導あるいは国民の安全を確保するためにどうしたらいいかという観点も含めて、現在、内閣官房を中心に議論が行われておりますけれども、この内容がジュネーブ条約及び追加議定書の諸規定に合致したものになるということが必要であるというふうに考えております。
石破委員 以上で終わりますが、先ほどの文部科学省の話は、発達段階かもしれませんが、義務教育においてきちんと教えないということは私は大問題だと思いますよ、それは。そのことは申し上げておきます。
 それから、今のは内閣官房を中心にしてやっていかれますが、外務省としてこのことはきちんとやらなければだめだということ。そうでなければ、本当に民間防衛というものはきちんとしなければ、諸外国の体制に大いに反していくということにつきましては御努力をいただきたい。
 以上、申し上げまして、質問を終わります。
吉田委員長 丸谷佳織君。
丸谷委員 大臣、大変な中での就任だというふうに思います。私も昨年政務官をさせていただきまして、一年間悲喜こもごもといいますか、悲の方が圧倒的に多かったような思いもあるんですけれども、就任早々、川口大臣の「開かれた外務省のための十の改革」、骨太の方針を打ち出すなど精力的に頑張っていらっしゃる姿を見て、私たちも支持をする立場から、まず外務省改革について幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず一番最初に、「不当な圧力の排除」というところがあるわけなんですけれども、国会議員から職員に伝えられた問題を書面で大臣を含む政治指導層に伝えて、そしてこれを情報公開していく、これは私賛成なんですけれども、実際、情報公開の対象とすること、情報公開自体は透明性を持って公正性を保つための外交には必要なんですけれども、情報公開自体が、外務省の中で非常に人手が足りなくて時間がおくれている。時間がおくれることによって、外務省は何か隠しているんじゃないか、そのような御意見が出るようなことも実際あるんですね。
 ですから、こういったことを行うに当たって、不当な圧力というのを、ある程度のガイドラインというか基準が必要だというふうに思いますし、この不当な圧力をどのように考えていらっしゃるか、また必要な人員確保も含めてお答えいただきたいというふうに思います。
川口国務大臣 「不当な圧力の排除」ということについては、私の「開かれた外務省のための十の改革」の中で一番目に挙げさせていただきました。
 委員おっしゃられますように、何が不当な圧力かというのは非常に難しい問題だと思います。例えば、国益という観点から照らしてどうかということもあるでしょうし、二つの国益観が異なる場合というのもあり得ると思います。
 私は、この「不当な圧力の排除」というのを十の改革のところに書かせていただいたんですけれども、まず、外務省は幅広く謙虚に外交や外務省に関する意見は拝聴いたしますということでございまして、国会議員の方を初め、国会議員の方は国民によって選挙をされた方々でいらっしゃるわけですから、多くの方の意見を伺うということはまず非常に大事なことでして、これを排除するつもりというのは私は全くございません。
 その上で、何が不当かということについては、これは外務省の考えるべきことでもありますけれども、外務省だけではなくて、ほかの官庁にも関係があるわけでございますし、それから政治の世界にいらっしゃる方にも関係があるお話でございまして、ただ外務省で考えるだけの話ではなくて、これは広く政と官の間の問題として、大勢の方に議論をしていただいて考えて、いい結論に達するというのが望ましいというふうに思います。
 したがいまして、私として何が不当な圧力かということだけではなくて、むしろ政治家の方がどういうふうにお考えになるかということについても、大いに御議論をいただいてお感じをお聞かせいただければ、私としては大変にありがたいと思っております。
 情報公開についての人員について、政務官をお務めになられた丸谷先生ならではの御指摘もいただきましたけれども、これはおっしゃるとおりでございまして、私も環境省におりましたけれども、なかなか、新しい行政需要でございますから人が足りなくて大変だということでございますし、外務省、一カ月見ていても、相当に人が少ない中で、みんな夜遅くまでというか朝早くまで仕事をしている状況ですから、改革全部について、これが大きな行政的な負担になって他の仕事に影響が及ぶようなことがあってはいけないだろうと思います。
 いずれにしても、人員の確保ということについては、むだな仕事を排除しつつ、やっている仕事をできるだけ効率的にやるということをやりながら、やはり必要な人員については、いろいろ御配慮をいただくための努力が必要だと思っております。
丸谷委員 改革の二点目なんですけれども、「誤ったエリート意識の排除」というふうにあるんですけれども、これが二点目に出てくる、誤ったエリート意識という言葉が使われること自体、もしかしましたら、大臣、通産省にもいらっしゃったこと、通産省と比べて外務省というところは誤ったエリート意識というものがあるんだなとお感じになったのかなというふうにも思うんですけれども、実際に外務省職員に今欠けているものはどのようなものだと思われるかというところが一点。
 この誤ったエリート意識ということで私が感じましたのは、例えば、大使のことを閣下というふうに呼ぶのはもうやめようということにはなっているというふうに思うんですけれども、依然としてお互いに閣下と呼び合うようなことがあったりするわけなんですね。自分が外務省に入って、将来は自分は閣下になるんだ、そういった意識の中では、幾らお客様志向を根づかせようとしても、発想の転換が大きくない限り、なかなか難しいのではないかなというふうに私は思います。
 外務省の今の職員の雰囲気と、また、大きな発想の転換を図るための努力としてどのようなことができるのかということをお伺いしたいと思うんですが、例えばG8など主要国の大使に赴任する際に国会の承認人事とするなど、こういった工夫、あるいは、実際にお客様志向を根づかせるためといえば、例えばデパートなどの接客業務を含むような民間企業の体験というものも有益なのではないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 閣下のお話がありましたけれども、実は、私が外務省の職員の方に、改革について考えていることを書いてくださいというふうにお願いをいたしましたら、その封筒に川口外務大臣閣下とお書きの方がいらっしゃいました。
 閣下という言葉は、一つ象徴的な言葉として一般に言われますけれども、これはTPOでございまして、日ごろ日常的に使うということでも恐らくないだろうと思いますし、英語でも、例えば手紙を書いてくるときにはそれなりの敬称をつけて、エクセレンシーとかいろいろ書いてくるわけでございますから、そういう状況に応じてはやはり使うこともあっていいのではないかと私は思っております。
 誤ったエリート意識をどういうふうに排除するかということですけれども、恐らく、ここに書かれた改革全部をやることによって外務省が変わるということと表裏一体の話だと思っております。
 職員の方に、どういうことが考えられますかということで伺った中には、こういうことに当てはまることも随分お書きでいらっしゃいまして、研修のことをお書きになられた方もいらっしゃいます。例えば海外協力隊、そこに行くというのもいいだろうということをお書きになられた方もいらっしゃいましたし、下からの評価、三百六十度評価、そういったことも、その人の仕事面での能力だけではなくて、人格、人物、そういったことに注目をしての評価ができるということでいいだろうとお書きの方もいらっしゃいましたし、これはさまざまな意見がありまして、むしろ、これから「変える会」で皆さんに御議論をいただいて、いい方策が見出せるのではないかと思っております。
丸谷委員 実際に国民の声が、昨年一年を通して見ても、外務省が本当に誠実に、一生懸命一丸となって頑張っているなというような印象は恐らくまだ持っていないんだろうというふうに思います。
 外務省と同様、不正経理が発覚しました雪印食品などの場合は、やはりこれは解散を強いられるわけです。民間企業というのは、やはり信頼がなくてはすぐ解散、職を失ってしまうところに緊張感とか危機感というのを持って仕事をなさっているわけで、そういった意味で、国民の怒りとまた外務省内での雰囲気というのはまだまだ温度差があるというふうに私は感じておりますので、どうか大臣がリーダーシップをとって、また省員の皆さんもしっかりと大臣のもとで大きな外務省改革を行っていただきたいというふうに思いまして、次の質問をさせていただきます。
 昨年のニューヨークの同時多発テロで流れました国連の子ども特総を、ことしは五月八日からニューヨークで開かれるというふうにも聞いているんですけれども、こちらは大臣は御出席の予定になっていますか。
川口国務大臣 今、国会もございますし、海外に仕事をしに行く必要のある事案というのがたくさんございまして、その中で、先のことについては今まだどういうふうにしようということについて決めておりません。
丸谷委員 ぜひ行っていただきたいと私は思います。
 というのは、今回の子ども特総で、昨年の十二月に横浜で開かれました第二回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議というのを、日本政府と、またNGOとユニセフが共催をして行ったわけなんですけれども、これは非常に多くの成果を残したというふうに私は理解をしております。この五月に開かれる予定であります子ども特総の方で日本代表がこのことについて報告をし、各国、意見の違いはあるにせよ、それを超えて、子供という本当に貴重な存在を守っていこうというアピールをする大事な場所でもあるわけです。ですから、ぜひ外務大臣に行っていただきたいなというふうに思うわけなんですけれども。
 この横浜会議の中でまとめられました横浜グローバル・コミットメント二〇〇一という宣言文の中に、これから児童の権利、人権を守っていくために各国がしていこうという項目がそれぞれ多く挙げられています。その中には、児童の権利条約の選択議定書の批准というのがございまして、日本の場合は、国内法との整合性もありまして、これはまだ署名、批准をしておりません。ただ、この子ども特総に行くまでに、また、この特総で我が国が子供の人権を真剣に考えているということを主張する前に、ぜひ署名という形で我が国の態度を示すのも一つ大きな形になるというふうに思うんですけれども、この署名についてはいかがでしょうか。
川口国務大臣 現在、二つの議定書の署名に向けまして、省内及び関係省庁との検討作業を加速化させております。
丸谷委員 例えば、ことしはいわゆる児童ポルノ買春防止法の見直し時期にも当たっておりますし、また新たに法を整備しなければいけない分野があるというふうには思っておりますけれども、ぜひ外務大臣、昨年十二月、一生懸命日本がリードをして、この子供の人権を守ろうという世界会議を開催して、そして大きな実績を残したわけです。これをまた子ども特総で報告するわけですから、国内法の整備というこの現実とまた署名をして各国が姿勢を示すという、この違いは私はあると思うんです。ですから、署名をすることで日本の態度を示すんだという姿勢を示していただきたいんですが、署名について再度お伺いします。
川口国務大臣 私といたしましては、国連子ども特総を目途に、この議定書について署名ができるように努力をいたしたいと考えております。
丸谷委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 時間もなくなってまいりましたので、子供という観点から一つだけ質問させていただきたいんですけれども、アフガンにおける米英の軍事行動によりまして、現地においては子供兵士の存在が報道でも伝えられております。日本において先月アフガニスタン復興会議が開催をされまして、人道支援ということが日本の外交の柱になっているというふうに思うわけですけれども、この子供兵士の問題。子供兵士をどのようにサポートをしていくかという点につきましては、普通の一般教育とかあるいは生活支援といったレベルでは済まないものがあるのではないかというふうに私は思っています。
 なぜなら、この中東地域という場所におきまして、武力というものがあるいは暴力が自分をあるいは国を正当化する手段である、正当化できる手段であるということを体験から学んでしまった子供たち、この考えをいろいろな方向に変えていくのは、なかなかこれは難しいというふうにも言われておりますし、国際NGOの調べによりますと、アフガニスタンという地域は子供兵士が一番多い地域であるというふうにも言われています。
 日本として、人道支援あるいは教育問題に一生懸命取り組む中で、子供兵士についての外務大臣の問題意識はどのようなものがおありか、あるいは、もし今後取り組んでいかなければいけないというふうに認識されている場合、どういうような支援が可能になってくるか、お答え願えますか。
川口国務大臣 委員おっしゃられますように、これは取り組んでいかなければいけない課題だと私は考えております。
 具体的に何をするかということですけれども、アフガニスタンについて、まず和平努力が必要であり、それと並んで復興の努力が必要であると思います。この二つが基本的に大事だと思います。
 それから、その復興への支援の中で、我が国としては、地域共同体を再建していくこと、あるいは再建をして教育をしていくということを重点分野に考えておりますけれども、子供たちに教育を与えて、国全体が復興する中で、地域共同体の一員として成長させていくことができるように取り組んでいくことが大事だと考えています。
丸谷委員 よろしくお願いします。
 我が国は支援国の約二割近い額の支援をしているわけで、その中で、暴力ということが自分を正当化させる手段というこの考えを変えていく方向性を見つけていかないことには、中東における和平や安定というのはなかなか将来にわたっても望めるものではないという観点から、ぜひ子供兵士問題についても精神的なサポートができるような体制をとっていただきたいというふうに思います。
 では、最後に捕鯨問題についてお伺いをさせていただきます。
 本年の四月二十五日から、日本の下関におきまして第五十四回の国際捕鯨委員会、IWCの年次総会が開催されるわけです。
 最近ではニュースなどで、鯨が浜に打ち寄せられて、それを子供たちとか町の人みんなで海に帰してあげるというような報道もされているわけなんですけれども、きっとこの捕鯨問題というのは、食文化面とそして歴史面、それから政治、科学という問題が微妙に複雑に絡まってしまっているというふうに思います。西側の方では、感情的な問題とか、あるいは捕鯨ということに関して非常に強い反発がある一方、我が国の捕鯨の政策のように、科学的に、また食文化という観点から取り組んでいる国もあるわけです。
 こういった対立がいたずらに大きくならないような科学的な確かな実績を持って、このIWCの総会に日本として臨んでいただきたいというふうに思いますし、また、毅然とした態度で臨んでいただきたいというふうに思いますが、この下関で行われるIWC、日本の外交姿勢というのはどのように示すおつもりでいらっしゃいますか。
植竹副大臣 日本の、捕鯨国といたしまして、今の委員の御質問、我が意を得たりというところでございます。
 特に、国際的には捕鯨をめぐる環境というものは大変厳しいものがございまして、特に欧米諸国では、鯨をとる国は徹底的にたたくというような、ある意味では動物愛護の点も必要でありますが、もっと幅広い観点から取り上げる方が将来に対してはいいんじゃないかと私は思います。
 例えば、反捕鯨が多数を占めております国際捕鯨委員会におきまして、我が国の主張、また我が国と一緒になっておりますノルウェーとか、そういう国の主張が認められることは本当に厳しい状態であります。ですから、今おっしゃるように、ことしの五月のIWC総会においては、やはり鯨も海洋生物資源の一つとして考える必要があると思います。
 今委員おっしゃられるように、科学的根拠、もっと数的に、どれだけふえることが必要か、あるいはふえないことが必要か、いろいろ鯨によっては、我々の海洋資源に対する影響も大であるところから、もっとこの問題を細かく考えていく必要があると思います。
 そして、この適切な保存のあり方ということを考えながら、持続的にこれが利用が認められてしかるべきような、そういった基本的な考え方を確立していくことが、そして、それを引き続きずっと継続して主張していくことが大変重要なことかと考えておるところでございます。
 その意味におきまして、この捕鯨に対する、ある意味では国民的な捕鯨に対する考え方をもうちょっと国内でPRしていく必要があるのではないかと考えておるところでございます。先般、鯨に対する非常な利用というものが、かつて五十年ぐらい前は非常に高かった、そして恩恵を受けたことを考えますと、もっとそういう意味のPRを含めましてやっていきたい。さらには、そういった国民的な高まりが、また日本の捕鯨立国としての立場を強固にするものだと思い、私は引き続き努力してまいります。
丸谷委員 どうもありがとうございました。
 IWCが下関で行われるということもあり、とかく、こういった捕鯨の問題につきましては、外務省と農水省と態度が違うんじゃないかというような指摘もあるんですけれども、今副大臣おっしゃってくださったように、しっかりと、毅然とした態度で臨んでいただきたいというふうに思いますし、また、副大臣が提案されました国民的なPRも含めて、今後とも頑張っていただきたいというふうに思います。
 今回予定しておりましてできなかった質問は、また次回にさせていただきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
吉田委員長 午後二時から委員会を再開いたします。二時まで休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時六分開議
吉田委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
 質疑を続行いたします。伊藤英成君。
伊藤(英)委員 初めに、外務大臣に期待とともにお願いを申し上げるのですが、昨年、ある人が私に言っていましたけれども、日本外交はストップしているのではないか、そういうことを言われました。私自身も、そんな感じもしたりしているのです。
 かつて私が、何年前だったでしょうか、イスラエルに行きましたときに、今外務大臣をやっておりますシモン・ペレスが、当時も外務大臣をしておりました。そして、ちょうど首相を終えて、すぐその後外務大臣になっていたのですが、彼と彼の部屋で話をしたときに、ペレスがこういうふうに言われたのですね。イスラエルの国家存亡は外交にかかっている、こういうふうに言われたのです。
 私は、日本も全くそうだと思うのですね。そんな思いで私自身も外交やら安全保障の問題について取り組んでいるわけでありますが、新しく外務大臣になられた川口外務大臣に、本当に日本の国家のためにあるいは国益のために、これからまさに全力で取り組んでいただきたい、このように私からもぜひよろしくお願いを申し上げます。
 まず最初にお伺いしたいのですが、先般、田中前外務大臣が、外交政策ということを考えたときにはいろいろ問題があった、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、ああいう形でいわゆる更迭をされた後に、田中前外務大臣の支持率といいましょうか、結構高いですね。高い。これはなぜ高いのだと外務大臣は思われますか。
川口国務大臣 田中外務大臣につきましては、多分、いろいろな方がいろいろなことをお考えでいらっしゃるのだろうなと思いますけれども、私は、個人的には田中大臣はすばらしいと思っておりまして、それは何についてそう思っているかといいますと、お考えになられたことを非常に、私にはまねもできないような表現ですぱっとおっしゃられる、その魅力はすばらしいと思っております。
伊藤(英)委員 私は、こういうことだと思っているのです。田中外務大臣は、よく言われるように、例えば外交そのものについて言えば、やはりなかなか問題があるのではないかという思いの人は結構多いのだと私は思うのですね。しかし、あのように人気があったのは、あるいは支持率も高いというふうなことは何かといいますと、その本質は、官僚、特に外務大臣という職責から考えますと、外務省の官僚に対する批判だと私は思うのです。国民の多くの人の批判だと思っているのです。紛れもないと私は思っています。いろいろな要因もあるかもしれない、いろいろなファクターはあるかもしれない、しかし、そこが一番の問題。
 だからこそ、今の外務省改革云々という話も、本当は外務省だけの問題じゃなくて、行政府と立法府の話、あるいは政治家の話もいろいろあるんだろうと思う。その点について、これからいろいろと取り組まなきゃならないんだろうと思っているんですが、まずは、外務省ということを考えたときに、外務省あるいは外務官僚に対する批判だと私は思うんですね。そこのところの認識がないと、これからのいろいろな外務省改革と言われることの問題について、私は、本当にちゃんとできるのかという気さえするんです。
 そういうことも含めてお伺いをするんですが、先般、外務大臣が「開かれた外務省のための十の改革」ということも掲げられた、そういうことも含めながらなんですが、もうちょっと言うと、本当は、外務省の信頼回復ということを考えたときには、いわゆる徹底的な情報公開、もっとも、すべきもの、すべきでないものといろいろあるんですよ。しかし、基本的には、情報公開ということを本当にちゃんとやらないとよくならない、私はこう思っております。そんなことも含めて、外務省の改革についての決意を改めてもう一度お伺いしたいと思います。
川口国務大臣 私は、外交への信頼というものの基礎には、それを担っていく外務省への信頼が必要だと考えております。
 残念ながら、一連の不祥事がございまして、外務省への信頼が失われてしまった。この失われた信頼を一刻も早く取り戻すことが、日本がいい外交、強靱な外交をやっていくために前提条件となるものだと考えておりますので、スピード、透明性、実効性というキーワードを三つ掲げましてこの改革をやっていきたいと考えておりまして、着任早々ではございましたけれども、この十の改革を出させていただき、それから昨日は、これを実際に御議論いただく「変える会」のメンバー、宮内オリックス会長以下十三名の方の「変える会」を発表させていただきました。
 この会の皆様に御議論をいろいろいただいて進めていきたいと思いますし、それから、その議論の報告を待つことなく、外務省としてやれることはどんどんやっていくべきであるというふうに考えております。
 委員が今情報公開というふうにおっしゃられまして、情報公開は非常に大事なことだと思いますし、それから、外務省がもちろん政策を実際に立案し、やっていきますけれども、それに当たって、大勢の方からの意見をいただいて、競争的な環境のもとで政策をつくり、打ち出していくということも大事だろうと思います。それから、その政策について外の方に評価をいただくということも大事だと思っております。
 そういった幾つかの事柄について、私は、外務省のこれからやる改革が、単に失われた信頼をもとに取り戻すということだけではなくて、霞が関とそれから国民の方々との関係について、あるいは霞が関と国会との間の関係についての新しいモデルとなるということを目標にして改革をしたいと思いますし、外務省の職員の人にはそう思って取り組んでいただきたいと私は考えております。
伊藤(英)委員 外務大臣が就任されたときに、職員の方々に訓示で、お金の問題で自己申告をしてくれ、後になって判明した場合には厳しく対応するからという趣旨の話があった、こう思うんですが、あの自己申告というのは期限はいつまでだったんでしょうか。そしてまた、これはもう終了したんでしょうか。
川口国務大臣 自己申告は、今のところ私のところには来ておりません。それにつきましては、期限はつけておりませんが、私のつもりとしては、速やかにというつもりでおりました。
 ちなみに、そのときにあわせて、改革について皆さんの考えていることについての提案を紙一枚に書いて私に出してきてくださいというお願いを、その週の金曜までという期限をつけてお話をいたしまして、今のところ千人ぐらいの方からいただいております。
伊藤(英)委員 朝、石破先生との話のときに、プラン・ドゥー・チェック・アクションの話をされていましたね。私からしますと、私がビジネスマンでやっているときもそうですが、まさに管理の一番のベースの物の考え方といいましょうか、基本的な考え方なんだと私は思うのですよ。
 プラン、ドゥー、チェック、アクションと、こうやるんですね。そのときに、最初の自己申告云々という話が、まさに金の問題、今いろいろ言われている中では非常に重要な部分ですよね。いつまでと期限を切っていない、速やかに。速やかにといえば、いつまでが速やかなのかなということなんですが、期限を切ってやるというようなことをしないと非常に問題だと私は思うのですが、そう思いませんか。
川口国務大臣 新しく改革を進めていくに当たって、PDCAを回していくということでやりますというお話はずっと申し上げております。
 お金についてのそのときの話というのは、もし今の時点で何かあったらばということでございまして、それは当然に、もし何かあればそんなに長くおかないで出してくるということでございますから、そういうことがなかったというふうに私は受けとめております。
 それについてプラン・ドゥー・チェック・アクションということのかかわり合いでいけば、私は、改革の中の一つに外務省の、ちょっと具体的な文言を今全部正しく覚えていませんけれども、予算の効率的な使用、効果的な使用ということで一項目立てておりますので、そこについてはPDCAでやっていきたいというふうに考えております。
伊藤(英)委員 このことの問題で時間を余り割きたくないのですが、大臣は、自己申告をしてください、後になってからこれが判明した場合には厳しく対応しますよ、こういう言われ方をされたといたしますと、私は、いつまでにやってください、そして、それまでにできなかった場合に、それまでの間に自己申告がなかったときに、その期限を過ぎて後になって判明したらどういう対処をするかというふうになるんだろうと思うんですよ。
 だから、普通だと、期限をいつまでにしてくださいと、若干のアローアンスはあるとしても、そういうようなことをすることがやはり管理の一歩ではないかなと思ったものですから、そういうふうに申し上げたんです。
川口国務大臣 どういう御趣旨の御質問か、ちょっとよくわからなかったのですけれども、私が申し上げましたのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、何かあれば出してください、そういうことがなくて、もし後で何かそういうことがあったということがわかった場合には、人事上でそれなりに厳しく対処をせざるを得ないということを言っておりますので、来なければ、何か外部からそれが出てきたということがあれば、それは当然にそういうことになるということでございますから、別に何月何日までと言わなくても、私が着任してできるだけ早くということを言っているわけですから、それで私は十分だと考えております。
伊藤(英)委員 私は、いつまでというふうに期限を切った方が、多分しっかりとできる話だろうというふうに思います。参考にしていただければ、このように思います。
 それで、お伺いするんですが、先般、鈴木宗男議員との癒着という形でいろいろ言われました佐藤優主任分析官が、二十二日に総務課外交史料館の課長補佐へ異動になられました。そのときに、その理由として、同一ポストに長くついていたからだというお話でありまして、鈴木議員との関係を考慮したものではない、そういう趣旨の発言をされた、こう思うんですが、私は、これからの外務省の信頼という意味でも、そしてまた、多くの外務官僚の皆さん方が一生懸命で、まじめに、フェアに仕事をされているんだろう、こう思いますし、そういうことのためにも、本当にいいことはいいこと、悪いことは悪いこと、処分すべきことは処分するという基本的なスタンスで今回いろいろな問題をやらないと、よくなっていかないんだろう、こう思ったりするんですが、そんな意味でも、改めて、この佐藤優主任分析官は、鈴木議員との関係ではなくて、同一ポストに長くいたからということだけで異動をされたんですか。
川口国務大臣 まず、委員が先ほどおっしゃられましたように、外務省の多くの職員、ほとんどの職員が非常に一生懸命に、まじめに、国益のために、本当に寝食を忘れて仕事をしているということだと私も思っておりまして、委員からそういうことをおっしゃっていただいたことについて、私は大変にうれしく思っております。
 それから、佐藤補佐の件でございますけれども、国際情報局分析第一課において、ロシア、中央アジア等の専門家としてすぐれた能力を発揮してきたということもございまして、七年近くこの課に配置をされてきたわけでございます。最長三年の任期にするという原則が昨年の十二月にできておりまして、十二月だったと思いますけれども、できておりまして、それに照らしてこれからどんどん異動をしていきたいと考えておりますが、その原則に照らして異動させることが適当と考えたということでございまして、鈴木議員との関係が異動の直接の理由というわけではございません。
伊藤(英)委員 この間、鈴木議員の北方四島支援などの疑惑の解明についてということで、十日間の間に調査をする、こういうふうになっていますね。この調査も、みんな同じなんですね。さっきの佐藤さんの話についても、私の印象からすれば、まあこれをかばっているのか、どういうことでしょうか、本当の真因を説明していないんじゃないか、私なんかはこう思うんです。
 今度、こういうことで今調査をしているわけですが、その調査をしていって、これから調査をしていく過程で官僚の皆さん方の進退にかかわるような問題が判明した場合には、もちろんこれは隠さずに、すべて国民に明らかにするということなんでしょうね。
川口国務大臣 調査結果については公表をさせていただくというのは、小泉総理が先日予算委員会でおっしゃったとおりでございます。
伊藤(英)委員 今、鈴木議員の問題が、まさに毎日のようにいろいろ言われたりしているわけでありますが、いわば自分の利権のためにこの北方四島支援事業を利用していたというふうにしますと、そういたしますと、いわゆるロシア外交についても、ロシアに対しても誤ったメッセージを与えているおそれもあるのではないか、こういう気さえいたします。
 そういう意味で、今こういう議論が本当に毎日のように交わされているわけでありますが、いわゆるロシア外交あるいは北方四島の交渉の問題について、今この場に立って見たときに、国益を損なっている部分がありはしないだろうか、北方四島問題に対する外交交渉の方針等は本当にいいかどうかという意味で、検証してみるというかあるいは見直しをしてみる必要があるかもしれない、こういう気持ちはお持ちですか。
川口国務大臣 政府といたしまして、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということは一貫した方針でございます。これは、政府としてずっとそういうことで確立した方針として考えておりますので、見直しを検討することは全く考えておりません。
伊藤(英)委員 また改めてこの問題については議論もしたい、こう思っております。
 それから、国後島の友好の家、通称ムネオハウス、この問題についてですけれども、この入札への鈴木議員の関与を示す文書というものが外務省の内部文書であるということも判明をいたしましたね。これによって鈴木議員の不正が明らかになってきていると思うんですが、これを受けて、鈴木議員の要望どおりの入札を実施した外務省の関係者の人たち、この人たちの責任というものも私は重要だ、こう思うんです。そして、この文書の真実というものが最終的に確定した場合には、これに関係をした外務省の官僚の責任追及ということはどういうふうにされるおつもりですか。
川口国務大臣 共産党から予算委員会に提出をされました文書につきまして、それが、一つは外務省の文書、もう一つは支援事務局の文書であるということについては、確認を先日させていただきました。
 それで、これにつきまして重要なことは事実関係がどうなっているかということでございまして、これについては園部参与が現在、週末を返上して、みずから資料を精査なさり、みずからヒアリングをなさりという形で、一生懸命に調査をしていただいています。したがいまして、この事実関係がどうであったかということは、この調査の中で明らかになる話であるというふうに思っております。
 したがいまして、現時点で責任のあり方云々ということについて、何か予断を持って申し上げることは適切でないと考えております。
伊藤(英)委員 それは、調査結果で重大な責任があるということになれば、もちろん相応の責任追及は厳しくやりますという意味ですね。
川口国務大臣 調査が終わりました時点で、その調査の内容を見まして、それで考えるべきことだと考えております。
伊藤(英)委員 もちろん私はそれを前提にして申し上げたわけでありますが、そのときはしっかりと対処しなければ、また一気に外務省の体質とかそういうことが言われるようにもなるし、信頼感を損ねる話になってくるということなんだろうと思いますので、ぜひそれはよろしくお願いをいたします。
 それから、今言われております支援委員会のことについてお伺いをしたいわけでありますが、この支援委員会は、この設立は、いわゆる行政協定といいますか行政取り決めで処理されているんですが、これはなぜ行政取り決めでつくられているんでしょうかね。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 支援委員会設立の根拠は、平成五年一月十二日にモスクワで署名されました支援委員会の設置に関する協定でございます。
 国会承認条約は、昭和四十九年の大平三原則として明らかにされましたとおり、一、法律事項を含む国際約束、二、財政事項を含む国際約束、三、国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされるもののいずれかに該当するものをいいますが、従来の憲法解釈及び慣行に照らしまして、御指摘の支援委員会の設置に関する協定は、国会承認条約のいずれにも該当しないと考えますので、行政取り決めとして締結したところでございます。
伊藤(英)委員 今の大平三原則の財政事項を含む国際約束云々という話、要するに、大平三原則のこの財政事項を含む国際約束だから、これは国会承認条約にしないといけないということなんだろうと思うんですよ。では、なぜこんなふうになっているか。
 そもそも憲法上も、憲法にありますよね、憲法第八十五条だったかな、そこには「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」と、ちゃんと憲法にもなっているではないか。そういうことを根拠にして、国会による承認条約にしないといけないとなっていると思うんですね。どうですか。
齋藤政府参考人 先生御指摘の点は、先ほど申し上げました大平三原則の二番目の点、すなわち財政事項を含む国際約束に当たるかどうかという点に関しての御質問と思いますが、この関連では、既に予算または法律に認められている以上に財政支出義務を負うものが国会承認条約に該当するものだと考えております。
 したがいまして、本件協定は、既に国会の議決を経た予算の範囲内で実施し得るものでございまして、そのような内容を含むものではないと考えております。
伊藤(英)委員 この協定の第三条に、資金をどういうふうに、幾らにどうのというふうな話をみんな決めておるわけですね。そういう意味で、私は承認条約にすべきだ。要するに、外務省がいわば勝手に、国会の承認というプロセスを経ずにやっているというような形になっているんじゃないか。そういう意味で、こういうことももっともっと見直しをしていかないといけないなということを思うんです。
 では伺いますけれども、この支援委員会の事務局について、これはどういうふうに採用されていて、現在どういう人が職員になっていますか。
齋藤政府参考人 現在の支援委員会事務局職員の構成について申し上げますと、事務局長は外務省OB、次長は国際協力事業団からの出向、職員一名は銀行からの出向、その他の職員は同事務局採用の職員となっております。
 事務局長につきましては、支援業務に関する理解や人格その他を総合的に判断いたしまして、外務省が人選を行っております。次長につきましては、経理、調達、案件形成等の知見にかんがみまして、国際協力事業団職員の中から同事業団が人選し、事務局に出向させております。また、一般職員につきましては、適宜公募等を行いまして、事務局長による面接試験の合格者を採用しているというふうに承知しております。
伊藤(英)委員 私も資料もいただきました。実際にこれを見ると、今言われたように、事務局長が外務省OBの方、事務局次長がJICAの方。それで、あと十何人いますね。その中で見ると、塾の講師というのはどういう方か知りませんが、塾の講師の方が何人か、アルバイトの人が何人か、大学生が何人かというような感じになっていますね。もちろん、それは優秀な方なのかもしれません。しかし、私から見ると、ひょっとしたら、素人かあるいは素人に近い人たちかもしれない。本当に責任を持って支援委員会の運営その他をやる立場にある人たちが運営しているのかしらんという気がするのですよ。いいですか。
 さっきのように、この委員会は国会の承認のもとではない委員会、行政の取り決めでやっているんだ、それはいいんだという話を言ったりしています。実際、事務局もこんな感じでやりますね。今もいっぱいいろいろな問題が起こっていますでしょう。だから、こんなことに、またさらになっていくという気がするんですよ。
 さらに聞きますけれども、この支援委員会は、中を見てみますと、締約国の要請に基づいて支援を検討するというふうになっているんですね。鈴木議員がロシア側の要請を伝える役を担ってきたというふうに報道もされております。何回もされていますね。
 では、鈴木議員はそのときにどういう立場でロシア側からの要請を受けたのでしょうか。
齋藤政府参考人 鈴木議員は、日ロ関係、北方領土問題に強い関心を有する議員として、ロシア側ないし四島側より直接要請を受け、あるいは外務省より要請内容の報告を受けることがあったというふうに承知しております。
 また、時点、時点によりますけれども、衆議院議員であることに加えまして、官房副長官ですとか、あるいは沖縄北海道開発庁長官であったときもあると承知しております。
伊藤(英)委員 では、聞きますが、副長官として、あるいは開発庁長官の立場で要請を聞いてきたんですか。
齋藤政府参考人 そのあたりのところはよくわかりませんが、現在行われております調査の結果を待ちたいと思います。
伊藤(英)委員 では、さらに聞きます。
 今の話で、例えば支援委員会がその支援の優先分野を決める、検討するということ、検討段階あるいは資金の使用決定段階で鈴木議員の介入はありませんでしたか。
齋藤政府参考人 御指摘のような鈴木議員の働きかけあるいは関与があったか否かにつきましては、現在園部参与が行っております調査の結果を待って判断したいと考えております。
伊藤(英)委員 では、この支援委員会の監査、これは会計検査院の対象となっていませんよね。どういうふうにしていますか。
齋藤政府参考人 支援委員会の監査につきましては、従来より監査法人による外部監査を受けていると承知しておりますが、現在園部参与が行っております調査の結果を踏まえまして、監査のあり方を含めて、改善すべき点があれば改善してまいりたいというふうに考えております。
伊藤(英)委員 私から見れば、まともな活動をしていると思えない、一つの委員会として。まともな監査をして、そして、だれがチェックするんだろうか。
 いいですか。委員会の事務局長もあるいは事務局次長も、いわば身内、そしてそこで監査をしてもらったとしましょう、仮に。それがそこに来る、それで終わっていますよね。公開されているわけでもない。これは、組織の運営ということにおいてとてもとても健全だと私なんかは思えません。
 だから、この支援委員会は、先ほど申し上げたように、設立のときから、そしてその組織の運営の責任者並びに職員からしても、そして具体的な活動するときの運営も、鈴木議員の関与のされ方を推測すれば、これも、本当にフェアなことがどこで行われているんだろうか。そして、さっき申し上げたように、監査の話も同じですよね。一体これは何が行われているんだろうかと私は思うんです。
 そういう意味で、この支援委員会も、まさにこの組織のあり方から抜本的に見直しをしなきゃいけない話だと思うんです。外務大臣、どうですか。
川口国務大臣 私は、「開かれた外務省のための十の改革」に「ODAの効率化・透明化」という項目は入れましたけれども、この北方四島の支援については入れませんでした。入れなかったのは、必要ではないということではなくて、これをつくった時点で私はそのことをよく知らなかったということが理由でございまして、いろいろな話がその後出てきておりますので、私としては、むしろ実質的に、この十の項目の一つという位置づけで、この枠組みは改革をしていく必要があるというふうに思っております。
 園部参与には、今いろいろ調査をしていただいていますけれども、調査の過程で、この組織の問題点あるいは改善すべき点ということについて、お気づきになられることがあったら後で教えていただきたいというお願いも私は既にいたしておりますので、そういった御意見も参考にしながら「変える会」の皆様に御議論をいただきたいと思いますし、外務省の中としても、どういうような改善策が可能か、透明性を増して、この大事な北方四島の支援に国民の御理解がいただけるように、どうしたらいいかということを考えたいと思っております。
伊藤(英)委員 これはもう本当に徹底的に調査をし、そして改善策、改革策をつくっていただきたい、このように思います。もちろん、関係する責任のある立場の人は、処分の必要な人はちゃんと処分するということをしっかりやっていただきたいと思います。
 それから、今ちょうど調査をしております不審船の話にちょっと移りますが、あの東シナ海の沖の不審船の話であります。
 実は、この不審船の問題について、今ちょうど調査をやっている最中、そしてさらにそれの引き揚げという話ももちろん今あるわけでありますが、外交的な側面から見たときに、中国との関係で、この問題について日本は中国には一体どのように説明をしているのか、そして中国のそれに対する態度といいましょうか、これは今はどういう状況になっているわけですか。
川口国務大臣 この不審船の事件につきましては、現在、関係の当局において鋭意捜査をしていただいているところでございまして、幾つかの新聞には写真も出ていましたけれども、今後、引き続き事実関係の解明に向けて全力を尽くしていただけるというふうに考えております。
 中国についてどういう関係でやってきたかということでございますけれども、事件の発生当初から、外交ルート等を通じまして随時情報提供は行ってきております。今般の調査につきましても、中国側に対しまして情報提供を行わせていただきました。
 今般の調査につきましては、その態様等からいたしまして、中国側の了解を得るという性質のものではないと考えております。
 日本からの情報提供に際しまして、中国側からは、この船舶が中国の排他的経済水域内で沈没したことにつきまして重大な関心を持っているとの従来の立場につきまして改めて説明がございました。事件処理の過程で中国側の関係権益と重大な関心を十分に尊重すべきであるという旨の表明がございました。
伊藤(英)委員 今調査もしていますが、引き揚げをしようとした場合に、それは、日本独自の判断で引き揚げはできるというふうに外務大臣は考えていますか。
川口国務大臣 おっしゃるように、今、船体の調査をしているところでございまして、船体の引き揚げにつきましては、こうした調査の結果等を勘案いたしまして、中国とも調整を図りつつ適切に対処してまいりたいと考えます。
伊藤(英)委員 あす、安保委員会がありますから、そこでこの続きはまたお伺いをいたします。
 それから、時間が余りありませんので、先般のブッシュ大統領の一般教書演説、それからその後の日本、韓国、中国訪問に絡んでちょっとお伺いをするわけでありますけれども、例の、イラン、イラク、北朝鮮、三国を名指ししての悪の枢軸発言がありましたですね。あの発言は、演説の前に米国側からは聞いておりましたか。
川口国務大臣 聞いておりません。
伊藤(英)委員 韓国の方は事前に通告を受けていたようでありますが、なぜ、日本は通告されなくて、韓国は通告されていいと思われますか。
川口国務大臣 韓国が通報を受けていたかどうかということについては、私は存じません。
 それから、一般的に言いまして、言ってみますと、これは日本になぞらえて考えますと、小泉総理のなさる施政方針演説ということでございます。それについて、例えば日本が事前にほかの国と相談をするということは考えられないと思います。
伊藤(英)委員 それでは、この三カ国を名指しして悪の枢軸というふうに呼ばれたことについて、外務大臣はどういうふうに考えますか。
川口国務大臣 一般教書演説におけるブッシュ大統領のこの発言でございますけれども、テロの支援と大量破壊兵器の開発は許さないという強い決意のあらわれであると理解をいたしております。
 それから、先般の日米首脳会談におきまして、ブッシュ大統領から小泉総理に対しまして、問題を平和的に解決していきたいと考えている、外交努力を続けるという旨の説明がございました。
伊藤(英)委員 実は先々週、ブッシュ大統領が日本に来られる直前の週なんですが、私はワシントンに行っていました。新聞にも報道されたので大臣も目を通してくださったのかもしれませんが、私は、アーミテージ副長官には、悪の枢軸ということで、この三国、特にイラン、北朝鮮を名指しするのは、やはりこれは言い過ぎではないかという話をいたしました。
 要するに、イランは、今のハタミ大統領はどういう政策をとっているか、改革派であり、あるいはアメリカとの関係等も含めていろいろやったりしている、アフガンとの関係もいろいろあったりする、そういう意味で、そういうふうに名指しする話が本当にいいのだろうか。あるいは北朝鮮は、まだいろいろな問題もある、それから韓国との関係あるいは日本との関係等を考えたときに、どういうふうにした方がいいだろうかというような側面もあると私は思うんです。だから、私はそういうふうに申し上げたりしたんです。
 もう一つ言えば、例えばテロの問題等についても、この悪の枢軸発言もそうなんですが、何となく、現在のアメリカのいわば一国主義的な外交が強く出過ぎていると思っている。ヨーロッパの方でも、それについての批判もしたりしております。日本から見ても、アメリカの現在のあの外交は、最近の状況を見てもこれは一国主義的過ぎるなと私は思うんです。外務大臣、どう思われますか。
川口国務大臣 米国が京都議定書を支持しないと言ったときから、国際的には、アメリカがそういう傾向を持っているのではないか、あるいはそうではない、そうであるというような意見がいろいろございましたけれども、私は、アメリカは、二十一世紀、国家の間の相互依存が非常に高まってさまざまな課題がふえてきた中にあって、日本を含む世界の国々と緊密に協議をしてきているというふうに思います。
 先般の日米首脳会談におきましても、極めて友好的な雰囲気の中で、テロとの闘い、経済、安保、環境あるいは地域情勢といったさまざまな幅広い問題につきまして率直に意見の交換が行われました。私とパウエル国務長官も、同じようにさまざまな問題について意見交換をさせていただきました。
 このような中で、私は、世界のほかの国々と相談をしながら、世界の国際的な平和、安定、発展といった問題について、さまざまな国と協議をしながらやっていこうというアメリカの姿勢を強く感じております。
伊藤(英)委員 それでは、ちょっとイラクの話。
 イラクに対してアメリカがこれから軍事行動を起こす可能性について、外務大臣はどんなふうに思いますか。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、イラクに対しても、すべての国について、北朝鮮、イラン、イラクに対してでございますけれども、米国は、平和的に解決をしたい、外交努力を続けるというふうに述べていまして、今後の米国の行動について何か予断を持って申し上げることは、今の時点で差し控えさせていただきたいと思います。
伊藤(英)委員 十日ほど前に、十一日前か、アーミテージに私が会ったときに、彼はこう言ったんですね。一般教書演説などの話をいろいろしながら、今のところブッシュ大統領はイラクに対する軍事行動の計画を受け取ってはいない、今、受け取ってはいない、しかし、ということで、いろいろ言われて、ブッシュ大統領の一般教書演説は、イラクに対しては時間はなくなりつつある、そういう警告を発したんだ、こういうふうに言われているんですよ。
 どういうふうに受け取りますか。
川口国務大臣 先ほどの繰り返しになりますけれども、アメリカは首脳会談の際に、平和的に解決する努力をする、外交努力を続けるということを言っています。
 今委員のおっしゃられたことについては、情報としてありがたくちょうだいをさせていただきます。議員の方のおっしゃることについては幅広く謙虚に伺わせていただきますと私は常日ごろ申し上げておりまして、情報として伺わせていただきます。
伊藤(英)委員 それはそういうふうに受け取ってくれてありがとうございます。感謝申し上げますが、実は現在の状況が、どんなふうに世界は動いているといいましょうか、アメリカを中心としてテロの問題というふうに考えてもいいんですよ、どのくらいの、何がこれから問題になるんだろうか。
 例えばイラクについて言えば、制裁の話にしても、それが五月末には切れたりする、そして査察の方はどうなっていくか。そういうものとの関連などということで、どういうことが起こるのかな、起こるかもしれないな、そうしたら、それに対して何をやっていくんだろうかということは当然考えなきゃいけませんよね。そういう意味でお伺いをしたわけであります。
 もう一つ、その悪の枢軸絡みで北朝鮮についてちょっと伺います。
 先般、日本経済新聞の元記者が解放されましたね。あれはどういうふうに、あれはなぜ解放されたと思いますか。あるいは、何らかのサインである、そういうようなことを思いますか。
川口国務大臣 御指摘の杉嶋岑さんとおっしゃる方につきまして、外務省は、事件発生当初から北朝鮮側に対してこの早期解決を求めるとともに、邦人保護の観点から、この方の解放に向けた協議等を静かに粘り強く行ってまいりました。今回の解放は、日本の粘り強い働きかけにこたえたものでありまして、さらに人道的な配慮もあったのではないかというふうに考えております。
伊藤(英)委員 今、日朝関係等も非常に厳しい状況にあると私は思うんですが、日朝交渉再開のための一つのステップということもあるかな、あり得るという見方があるんですか、今の話は。
川口国務大臣 今、日朝間にはさまざまな問題があるわけでございます。北朝鮮政策ということでは、日米韓の三カ国が緊密に連携をいたしまして、安全保障上あるいは人道上の問題の解決に向けて対話を推進していくことが重要だと考えております。
 この点につきまして、先般のアメリカとの会談においても、アメリカは、テロと大量破壊兵器の開発は許さないけれども、前提条件なく北朝鮮と真剣に協議を開始する用意があるというその立場には変更がないということを明らかにしています。それから、韓国の金大中政権は包容政策を推進しておりまして、我が国も米国もこれを支持しているわけでございます。
 日朝国交正常化交渉において、前回の会談、十二年の十月にございましたが、その協議を踏まえまして、さらによく検討を行い、双方の準備が整ったところで行うということになっていると承知をしております。
 そのような状況に変わりはありませんが、我が国としては、米韓両国と緊密な連携を維持しつつ、日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、そのような努力を通じ、安全保障上及び拉致問題を含む人道上の諸問題の解決を目指していく考えでおります。
伊藤(英)委員 もう時間が来ましたので最後の質問にいたしますけれども、実は私自身は、これは、中国に行こうがあるいは北朝鮮に行こうがあるいはアメリカに行こうが、日本としてもそうですが、それぞれの国もどうすべきではないかという話をいつもするようにしているんです。
 それで、外務大臣見られたかもしれませんが、これはニューズウイークですが、実は去年の十二月号です。このカバーストーリーは、「属国ニッポン アメリカ追従の「思考停止」から抜け出せるか」というのがこの特集です、ニューズウイークの。これについてどう思われるか、こういうことについて。
 その上で、ちょっと先ほど申し上げましたアメリカの現在の一国主義、もちろん私は、日本にとっても日米関係がどんなに重要かということは前提の上なんですよ。そうなんですが、世界をどういうふうに持っていくんだろうか、どういうふうに世界の平和をつくり上げていくんだろうかといったような意味でも、アメリカの一国主義的な傾向に対してははっきりと、もっとアメリカはこうした方がいいというふうに言うべきだろうと私は思っていますし、さっきの悪の枢軸の話も同じだと私は思っているんです。
 そういう意味で、最後に、こういう形で、これはアメリカの雑誌ですよ、クオリティーマガジンですよね、こういうことについてどんなふうに思うか。そして、先ほど申し上げた、日本から外交のあり方等についてももっともっといろいろ意見を言うべきだ、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
川口国務大臣 まず、ニューズウイークの日本版についてでございますけれども、私はその号を読んではおりません。その上で、ニューズウイークの日本版といいますのは、実はアメリカで発行されるニューズウイークのそっくりそのままの翻訳では必ずしもございませんで、時には表紙も異なっているということでございますので、その号に当たるアメリカのニューズウイークがどういうものであったかということについて私は存じません。同じものであったかもしれないし、全く違うものであったかもしれないと思っております。
 それから、日米両国の関係でございますけれども、これは先般の日米首脳会談でもわかりますように、相互に重要な同盟関係であるというふうに考えておりまして、どちらも日本がアメリカの属国であるということは全く考えていないというふうに私は認識をいたしております。
 いずれにいたしましても、日米両国は、世界でも大きな経済国あるいは世界の中でリーダーシップをとって、さまざまな問題を、地域の問題あるいはグローバルな問題を解決していかなければいけないパートナーとして、お互いにその重要性を認識し、緊密に連絡をとり合ってきていると思いますし、今後もそういうことで日本としても努力をし続けたいと考えております。
伊藤(英)委員 ありがとうございました。終わります。
吉田委員長 次に、中川正春君。
中川(正)委員 民主党の中川正春です。
 この一年ほど外務省は大混乱で、さまざまなその混乱の果てに川口大臣が誕生をしたということかと思うんですね。国民の方から見れば、何が今問われているかといったら、やはり信頼、いかにして外務省というのがその信頼を取り戻していくかということ。恐らく大臣自身も、そのために私はここに来たんだという気持ちで頑張っておられるんだということ、このことを信じたいと思うんですね。
 しかし、信頼というその言葉というのは何から生まれてくるかというと、ただ、改革をします、あるいはこんな調査機関をつくります、そういうことだけじゃないと思うんですよ。その後ろにある、今外務省というのはどういう状況になっているのか、何が起こっているのか。さまざまな疑惑があの一年の中で出てきた。それがODAであり、機密費であり、プール金であり、人事であり、あるいは政治家の関与であり、こういうものが今そのままになっているんですね、国民のサイドから見て。
 やはりそこから始める。何が本当に起こっていたのかということ、これを一つ一つ検証して、その上で、それを普遍的に、新しい組織改革としてあるいは精神的な改革として持ち上げていく、いわゆる蘇生をしていく、生き返っていく、そういうプロセスが大事なんだと思うんです。その思いを持って、私もきょうはその中の一つを取り上げていきたいというふうに思うんです。
 これは、既に予算委員会の中でたびたび大臣も答弁に立っておられますコンゴの大使の問題ですね。何回も何回も大使はかわっている、あるいはかわらされていると言った方がいいと思うんですが、そういうことでありました。予算委員会でもたびたび出た問題でありますので、現在の大臣のこの問題に対する認識をまず確認したいというふうに思います。
川口国務大臣 この問題につきましては、私、予算委員会で申し上げましたように、誠実に調査の上、御報告をさせていただきたいと考えております。
中川(正)委員 さっきから、この関連あるいは外務省改革の関連の答弁を聞いていると、みんな調査の上になんて逃げているんですよね。この辺をしっかりと答弁をしていただくということが、それこそ国民にとって今一番問われている問題ですから、調査で逃げないで、今から私も具体的にお話をしますから、じっと聞いていただきたいというふうに思うんですね。
 まず、この問題は、今臨時大使として日本におりますブノワ・ユルバン・ンブイ・ムキシ氏、厳密には、この人はもう召還されているんですが、それとかわって新しい大使が来るまで、まだ新しい大使が来てないものですから、来るまで今それを待っている状況の方でありますが、このムキシ氏に直接私インタビューをしまして、一体何が起こっていたんだということを聞いてきました。その聞き取った事実に基づいて、彼の話に基づいて、一つ一つ外務省の立場、関与を質問していきたいというふうに思うんです。
 まずその前に、ひとつ話の整理として皆さん方にも理解をしてもらわなければいけないのは、四枚ほどの資料をお渡しいたしました。ここでまず認識をしていただきたいのは、一番最後のページは、ジョン・ムウェテ・ムルアカ氏、駐日コンゴ民主共和国大使館通商代表機関の代表となっていますが、この通商代表機関、それからムウェテ・ムルアカ氏、この人なんですが、これまでたびたび出てきたように、ムウェテ・ムルアカさんというのは鈴木宗男議員の私設秘書という形で報道をされておる人であります。駐日コンゴの通商代表機関の代表もしておるということで、この名刺が存在をしております。
 この通商代表機関というのはどんな機関かというのを事前に理解していただきたいということで、あと三ページ分の資料があるわけでありますが、三ページ目を見ていただきたい。四人の人物がこれに署名をして、この人たちが実質の役員ということであります。
 一番目は小川範昭氏、これは私も知らないんですけれども、一般には新日本企画という会社の役員という方だということを聞いています。
 それから二番目、ンガンバニという人ですね。ンガンバニという人は、一九九八年以前、ザイールの時代から大使を務めていた人でありまして、一九九八年にザイールからコンゴに移った時点でこの人が召還をされておりまして、新しい大使が日本に赴任をしてきておるということ。実は、後で申しますが、その新しい大使というのに日本の外務省が外交官IDを渡さなかった、発給しなかったということ、そこで問題のあった方であります。
 それから、阪倉さんというのは、これは私、わかりません。知りません。
 四番目がムルアカ氏、これが鈴木宗男議員の秘書ということですね。こういう組み合わせの役員でできております。
 一ページ、二ページ目は、その中で特に、小川さんとンガンバニ前大使とそれからムウェテ・ムルアカ秘書ですね。この三人で、ここから利益が出たものをどう配分するかということを締結をしている契約書でしょう、中身は。ということなんですね。利益に対してそれぞれが給与を保証されておりまして、ボーナスも出ておりまして、その後、最終的に余った分といいますか、最終的にその経費を取り除いて出てきた分の二〇%を新日本企画に、それから八〇%をZAINIPがとる。このZAINIPというのが通商代表機関のことでありますが、こういう契約になっております。
 まず、この組織に対して、コンゴ政府の方から大使として日本に派遣をされたンブイ・ムキシ氏、私がインタビューを行った、実際に会った人がどういう定義をしているか、どういうことを言っているかといいますと、同組織は全く私的なもので、日本国、コンゴ民主共和国のどちらの利益にもなっていない、むしろ両国の正常な経済外交関係の構築を阻害している、こういうことであります。それから、同組織は、上記日系企業と組んで独自の活動により私利を得ている、ンガンバニ前臨時代理大使も便宜供与をした経緯がある、正式な外交機関でないにもかかわらず、大使印や紋章、便せん等を使うとともに、免税特権まで使わせていた様子がある、こういうふうにこの組織に対して定義をしております。
 次に、一九九八年、先ほど申し上げたように、これは時系列的に、彼が主張していること、それから質問をしていきます。それから以後、革命が起こってから以後、日本でも起こったことを時系列的にたどりながら質問をしていきたいと思うんです。
 二〇〇〇年の初めにンガンバニ氏が本国より帰国命令を受けて、そのかわりにさっきのクリストフ・ングウェイ・ダンボ氏、これはややこしいところなんですが、さっきの大使じゃないんです。また違う人なんです。また違う人で、クリストフ・ングウェイ・ダンボ氏という人、この人が大使で任命されて日本にやってきています。この人に対して外務省から、私の手元に来ていますいわゆるコンゴ政府からの口上書、これでは、はっきりとクリストフ・ングウェイ・ダンボ氏、この新しい大使、在東京コンゴ民主共和国大使館二等参事官が、ンガンバニ、これは前にいた大使、前大使ですが、これにかわり臨時代理大使の職務に従事することを伝達する、こうコンゴ政府からは言ってきています。
 ところが、それから以降一年間にわたり、日本政府は、外交官IDを申請してもこの新しい大使に対して発給をしなかったということなんですね。これはなぜか、何がそこに問題があったのかということをまず答弁いただきたいと思います。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 今の、なぜ認められなかったかという事情でございますが、本邦におきまして、それぞれ臨時代理大使ということを自称する二人の者がおりましたものですので、慎重にこれを確認するという作業を行っておりました。その間には、本国におきまして、いろいろとこの人事について意見が分かれているという話もございました。これを本国に確認するという作業も行っておりました。そのために時間を要した次第でございます。
中川(正)委員 わけのわからない答弁でありますが、それに対して、今のこの日本にいる大使、ムキシ氏は、そのころの経緯をこのように言っています。
 日本国外務省に外交官IDを申請するも発給されず、以降、再三外務省に発給を催促したが、コンゴ民主共和国政府も日本国外務省に対して発給しない理由をたびたび照会をしていたが、しかし、返事がなかったということなんですね。
 それで、二〇〇〇年十二月二十八日に、この新しく来たダンボ大使がID発行に関する通知書を外務省に送付しているんです。これをもって外務省も慌てまして、それで、さっきちょっと話が出ましたが、その当時の中東アフリカ局参事官、野川参事官ですね、彼が確かにコンゴに行っているんですね。そのときに何を具体的に話をしてきたか、これを聞き取っておいてください、あるいは報告書なり大使館からの公電なりで確認をしてくださいと事前に申し上げておきましたが、そのときの議論というのを改めてここでお聞きをしたいと思います。
小田野政府参考人 お答えいたします。
 当時の野川中近東アフリカ局審議官は、二〇〇〇年十月にコンゴ民主共和国を訪問し、先方政府関係者と二国間関係に関する意見交換を行ったと承知しております。
 東京にありますコンゴ民主共和国臨時代理大使をめぐる問題は基本的に先方政府内部の問題でございますが、本件に関し適切に対応することが二国間関係の良好な発展にとり重要との認識から、野川審議官出張の機会においても、先方政府との意見交換の機会に取り上げたものと承知しております。その際、先方政府に対しまして、東京の臨時代理大使をめぐる問題につき適切な解決を要請したと承知しております。
 本件内容につきましては、公電で報告されておりますが、先方の関係もございまして、詳細を述べることは差し控えたいと存じます。
中川(正)委員 先方の関係もあって差し控えたいというのはどういう意味ですか。これはこっちの問題でしょう。特に、コンゴ政府からは既に口上書で、新しい大使がコンゴの意思ですよ、かえますよということははっきりしているんですよ、これはもう。本来は確かめに行かなくてもいいものを確かめに行っているんですよ。
 そこに何があったかということだと思うんですが、さらにこの辺の状況をムキシ氏の供述によって続けますと、野川氏がコンゴに出張して、コンゴ民主共和国に対して、ンガンバニ前臨時大使の残留、だから、前からいる大使をそのままにしておいてくれ、もっと言えば、この商売をしなければいけないからというふうな、そういう背景があったわけですが、どっちにしても、これを残留さすか、ないしは新たな臨時大使を指名するようにということは、このダンボ氏以外の人を指名するように要請をしている。
 一年間の外交空白のために、コンゴ民主共和国政府は、ダンボ大使を今度は韓国へ回す。では、仕方がないからというので、ここで妥協して韓国へ回して、韓国にいたンブイ・ムキシ氏を日本に連れてきているわけです。このときのムキシ氏を新たな臨時代理大使に任命をしたということであります。
 このときの口上書もあるわけでありますが、これですね。二〇〇〇年十二月二十七日、コンゴ政府から出ていますが、ンブイ・ムキシ氏が他の職につくクリストフ・ングウェイ・ダンボ氏にかわり、この人はだから韓国へ行くわけですね、臨時代理大使として、在京コンゴ民主共和国大使館の管理者として指名されたことを伝達する、こういう口上書もしっかりと出ております。
 そして、その後、では、この新しいムキシ氏に対してすぐに外交官IDを発給したかどうか、こういうことなんですが、ムキシ氏は来日してから要請をしております。
 ところが、このときに、中東アフリカ局アフリカ第一課外務事務官伊藤雅通氏、私は、これは政府参考人としてきょうはここへ出てきてくださいとお願いをしたのです。それから、もう一人、大臣官房儀典官室の課長補佐の石岡計吾氏。この二人は東京にいるわけですから、出てこようと思ったら出てこられるんですね。それ以外にも、さきの野川保晶、あるいは、この間の援交ですか何かで捕まった佐藤利行儀典首席事務官。この辺が、実は寄ってたかってこのムキシ氏に対して、これはムキシ氏の言葉で言うと、外交官IDの発給を要請したけれども、上記組織、この組織というのは、さっきのいわゆる通商代表組織、チャンバー・オブ・コマースですね。この上記組織の関係者、それから外務省関係者ですね。外務省関係者というのは、このメンバーです。さっきお話ししたメンバーから、同組織に協力をするように要請があったと。ムキシ氏は、そんなものは約束できないんだということで拒否をし続けたということ。
 このことについては、さっき前段で出てきたダンボ氏、韓国へ行ってしまったダンボ氏も同じなんです。この人に対しても協力要請があったというふうなことでありますが、こういうことがあった。
 このことについて実際に本人に確かめたいということで参考人を呼んだんですが、残念なことに、皆さんに拒否をされてしまった。自民党のサイドで、だめだ、こういう話だったので、改めて、それを聞き取っておいてくださいという話をしたと思うんですが、本人たちはどう言っていますか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、かかる事実はなかったというふうに承知いたします。
 昨日夜及びけさ、私より、儀典官室石岡補佐、アフリカ第一課伊藤事務官に対しまして、それぞれ直接に事情聴取を行いました。両名から、指摘された内容の要請を行ったことはないという説明を得ております。
 なお、正確を期するために、両名が行った私に対する説明のポイントは、次のとおりでございます。
 まず、ングウェイ氏との接触に関する石岡補佐の発言のポイントでございます。
 二〇〇〇年八月八日、ングウェイ氏とムキシ氏両名を儀典官室ソファーで一度接遇した経緯があるそうであります。先方は二名、当方は石岡ほか一名。その際に、口上書に付されたIDカード発給申請がングウェイ氏から行われましたが、これは受領しませんでした。ングウェイ氏に対し、在京コンゴ民主共和国通商代表などの団体との関係で、いろいろと行うという――失礼いたしました。ングウェイ氏に対して、ムルアカ氏の在京コンゴ民主共和国通商代表としての地位を認め、仲よくすれば、IDカードを発給する等といった働きかけを行ったことはございません。
 伊藤事務官でございますが、ングウェイ氏とムルアカ氏との接触に関する伊藤事務官の発言ポイントは、次のとおりでございます。
 二〇〇〇年の八月中旬と八月十八日、それから十月に、ングウェイ氏と三回面会したと記憶しています。ングウェイ氏に対し、ムルアカ氏の在京コンゴ民主共和国通商代表としての地位を認め、仲よくすれば、IDカードを発給する等といった働きかけを行ったことはございません。自分はアフリカ第一課におけるコンゴ民主共和国の担当官であることから、ムルアカ氏からは月に一、二回程度、電話や来訪があった。接触の際には随時上司に相談、報告していた。
 これは、今御質問の範囲を超える部分ではございましたけれども、一括して本人に事情聴取いたしましたので、これを正確にここで御報告申し上げます。
中川(正)委員 どちらかがうそを言っているのでしょう。
 しかし、それにしても、さっきの答弁でも矛盾があるのですよ。なぜかといえば、ザイールのころの大使ですね。政権がかわって、コンゴになったわけでしょう。それを仲よくしろというのは、どういうことですか。新しい政権で派遣をされてきた大使に対して、このコンゴという国についても外務省は認めているわけですよ。承認しているわけですよ、新しい政府を。それが、はっきりと口上書で交代だと言っているのに、仲よくしろ、仲よくしろとは何事か。
 それと同時に、もう一ついえば、この最初のンガンバニ氏は、まだ今でもIDを持っているのですよ、身分証明書を持っているのですよ。こういう状況をどうしてつくり出したのかということですね。ここのところが、どう客観的に見ても説明がつかない。どうもあなたたちの方がおかしいぞと言わざるを得ないということ、こういうことだと思います。
 時間が迫ってきたので、ちょっと途中はしょりますが、これから後、このムキシ氏とそれからンガンバニ氏の抗争があるのですが、ンガンバニ氏というのはまだずっと日本にいまして、外交官IDを持ったまま。それで、大使館の方じゃなくて、大使公邸の方で生活をしているのです。明け渡せと言っても明け渡さない、こういう状況が続いているということなんですね。その人と大使公邸の明け渡しについて一悶着あって、警察ざたにもなったのですが、そんな過程の中で、こういうことを言っています。
 その後も数回にわたって、野川、伊藤、石岡、佐藤氏から同組織と一緒に仕事をするようにとの要請があったが断り続けた、会合の席に鈴木議員からその人たちに対して早くしろという電話があったこともあった、こういうような供述もあります。このことを念頭に置いておいていただきたいというふうに思うんです。
 さらにもう一つあるんですね。二〇〇一年八月のころですが、自民党の矢野哲朗参議院議員、それから山内参議院議員、この二人とムキシ氏が、これは引率をしてコンゴに行っております。そのときに新しいカビラ大統領との会見も行っておるんですが、その前後だと思うんですけれども、駐コンゴの福島大使が向こうの政府に対して、このンブイ・ムキシ氏を召還して新たな大使を指名すべきだということをコンゴ政府に要請したということがあるんです。なぜそんなことをこちらの大使が言いに行ったのか、これはどういうことがあったのかということですね。
 このことについて、これも調べておくようにということでお願いをしたので、回答をいただきたいと思います。
小田野政府参考人 矢野議員がその時期にコンゴ民主共和国を訪問したことは承知しております。
 ただ、事前にその御質問の趣旨をお聞きしてなかったものですので、手元にきちんとしたものを持ってきておりませんので、すぐにお調べ申し上げます。
中川(正)委員 これは事前に私、ちゃんと通知をしています。ひょっとしたら、その回答自体が隠さなければならないものなのかもしれないけれども、これはもう本人からしか調べられないんです。この野川さんにしても福島さんにしても、やはり本人をこちらへ呼ぶ、あるいはそれぞれ、石岡、伊藤さんにしてもこちらへ呼ぶ、そして改めて、このことについて本人からもう一回お話を聞きたいということ、これを申し上げておきたいのが一つ。
 それから、時間が来ましたのでここで締めくくりますけれども、もう一つは、こういう問題が出てきているわけでありますが、これは以前の問題じゃないけれども、どっちかがうそを言っているような話になってしまいました、そちらの返答で。ですから、これはムキシ氏の名誉のためにも、この委員会の席で、参考人として招致をさせていただいて、ここでみずからの言葉で語っていただくということ、このことが日本の外交としても筋だろうというふうに思うんですね。
 そこのところを、委員長、改めてひとつお願いを申し上げたいというふうに思います。
吉田委員長 理事会でお諮りをいたします。
中川(正)委員 この問題はこれからまだまだ続きますが、こうしたことを一つ一つはっきりとさせていって、これが本当であるとすれば、ムキシ氏の言っていることが本当であるとすれば、外務省は何という体質なんだという話になります。ただ表面的な改革だけではこれは終わっていかないんだということ、このことも指摘をさせていただいて、最後に、このことについて、外務大臣、改めて調査をしてください。
川口国務大臣 改めて調査をいたしまして、報告をいたします。
中川(正)委員 以上、終わります。
吉田委員長 首藤信彦君。
首藤委員 現在、アフガニスタンでは、暫定行政機構といいますか、暫定政権といいますかが、少しずつ国家としてのありようをつくっているという現状であります。しかし、そういったアフガニスタンの暫定行政機構あるいは暫定政権というものがともかくスタートできたというのは、この一月に東京で行われたアフガニスタンの復興支援会議であるということは世界の認めるところであります。
 また、多くの国際会議において、日本が本当のリーダーシップをとって主催したというのは、私の知る限り本当にこれが最初ではないか、そういうふうに思うほど立派な会議でございました。もちろんそれには、緒方貞子前UNHCR代表の活躍や、あるいは外務省の皆さん、そして関係者の皆さんの非常なる御努力があったということは、私もそういうふうに考えております。
 しかし同時に、この会議というものは、それまでに報道されたところによりますと、むしろ、どっちかというと事務局レベルの、二線級の会議であったというふうに私たちも解しておりました。その点においては、この会議の成功というものは、とりもなおさず、アフガニスタンのハミド・カルザイ議長が日本に来て、そしてここへ参加する、そこからこの会議がスタートしたんだ、そういうふうに解釈しております。
 その意味で、この会議の成功というものは、カルザイ議長の出席があってこそ、国連の事務総長も来て、そしてパウエルさんも来た、こういうふうに解しておりますけれども、そういうふうな認識を外務大臣もお持ちでしょうか、いかがですか。
川口国務大臣 この会議は、委員御指摘になられましたように、非常に成功した会議であったというふうに私は思っておりまして、これにはもちろん、そのカルザイ議長の出席ということもありましたし、それから緒方共同議長ということもございましたでしょうし、その他多くの国々の、アフガニスタンの復興及びその復興を支援することにかける熱意がここに一堂に会したという、さまざまな要因があったと思います。
首藤委員 ちょっと外務大臣は、私の言っていることを正確に聞いておられなかったと思うんですけれどもね。
 結局、こういう会議は、どこがスターティングポイントになるか、どこが起点になって大きな会議に膨れ上がっていくかということが重要だということを指摘させていただいたんですね。その考えでは、私は、やはりカルザイさんが、おれが行く、私が行きますというところが最大の眼目であった、そういうふうに思います。
 私は昨年末、民主党の鳩山由紀夫代表とともに、クリスマスの後に、もう西洋の関係者はほとんど去った後のカブールに入りまして、そしてカルザイ議長に会いました。その前に、アブドラ外務大臣にも会い、それから財務大臣にも、復興大臣にも、高等文部相にも会いました。そういう人たちが会って話をしていたのは、いや、東京会議にだれが行くかわからない、アブドラさん、外務大臣が行くんならおれは行かないよ、二人一緒に行くことはないよ、これが財務大臣の意見でありました。カルザイ議長に会ったときも、いや、それはどうしようかというような考えであったんですよね。
 しかし、私たちが四十分かけて、カルザイさん、あなたが来るべきだ、東京に来て、そしてアジアに向かって、アフガン復興への支援をアジアの諸国に呼びかけるべきだ、このように四十分にわたって説得した結果、最後にはカルザイさんが、ではおれが行くと。その瞬間から、いろいろな方がそれに参加するというふうになってきたわけですよね。
 そういったことを、果たしてそういうふうに認識されておられるのかどうかということをお聞きしたんですが、いかがですか、外務大臣。
川口国務大臣 そのころの経緯については、私は、申しわけありませんが、まだ勉強いたしておりませんので、今後聞いてみたいと思います。
首藤委員 それは結構です。
 なぜ私がそういうことを言ったかといいますと、現在の外交というものは、単に政府、あるいは外務大臣、あるいは政府関係者、大使だけがやるものではないわけですね。今のような非常に複雑化した世界の中では、いろいろな人たちがチャネルを持って行っている。そこで、今重要となってくるのは、セカンドチャンネルとかマルチトラック外交とかいうものなんですけれども、そういった外交に対して川口大臣はどういうふうにお考えですか。
川口国務大臣 私は、今の世界は、一口で言えば、八ケ峰みたいになっていると思います。いろいろな方々、その中には、市民グループの方もNGOの方も、あるいは地方公共団体の方も外国の方も、いろいろな人がかかわって物事が動くというふうになってきているというふうに認識しています。
首藤委員 ちょっと、理解されていないと思うんですけれども。
 それは、外交というものはいろいろな方が参加するのは当然なのですが、マルチトラック外交と言われるような外交やセカンドチャネルの外交手段というものに関して外務大臣はどのような御意見をお持ちですかということをお聞きしているのですが、いかがですか。
川口国務大臣 まさにそういうことを申し上げたつもりでおりますけれども、いろいろな方々が物事を動かすのにはかかわって動いていくというふうに考えております。
首藤委員 なぜそれを聞いたかといいますと、実は、帰国してから、私たちも微力ながらアフガニスタンの復興会議に貢献いたしました。ですから、私たちも、できれば復興会議では分科会の一つを、例えば議長をやらせていただくとか、あるいは、そんなことができなくても、せめてオブザーバーとして参加したいということを申し上げたわけですが、それが全く拒否されるわけですね。
 それからまた、なぜその問題を私が言おうとしているかというと、実はNGOもそうなんですよ。アフガニスタンの復興にはNGOが重要だということはみんなわかっている。多くのNGOが、私たちも参加したいということで外務省にもコンタクトしてきたわけですね。しかし、今回、図らずもピース・ウィンズあるいはジャパン・プラットフォームの参加拒否問題が問題になりましたけれども、実は私自身もNGOの代表なのですけれども、戦後の復興、紛争後の平和再建、こういうふうに私たちは活動しているわけですけれども、私たちのNGOを含めて多くのNGOが拒否されているのですね。
 一体どのような基準でNGOに声をかけ、そしてまたどのようなNGOがその結果選ばれてきたのか、その基準について御説明をお願いしたいと思います。外務大臣、お願いします。
川口国務大臣 具体的な選び方の基準については後で中東局長からお答えをさせていただきますけれども、NGOの方々と政府とのかかわり合いというのは、今後ますます、さまざまな意味で重要になってくると私は思っております。そういう意味では、環境大臣時代にはNGOの方々とのかかわり合いを私は大変に大事にしてきたつもりでおります。
 NGOの方々というのは、当然に、政府の見ていない部分も見ているわけでして、逆に政府の見ている部分を見ていないということで、お互いに補完関係にあるのではないかと思います。いずれにしても、環境だけではなくて、外交の分野でもあるいは開発の支援の分野でも、さまざまな分野でNGOの方々と政府との連携ということは大事であると私は考えております。
 細かい基準については中東局長からお話をさせていただきます。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 今回のアフガニスタン復興支援国際会議では、まず、共同議長国の間で、どういう会議にするかということを決めたわけでございますが、その合意によりまして、今回はアフガニスタンのNGOを中心にNGO会合を開くことにしようということが合意されました。そういうことを踏まえまして、我が国を含め、国際NGOの参加者の数をある程度、全体も考えまして、地理的なバランス等も考えまして、絞らざるを得ないという状況がございました。
 他方で、日本につきましては、約二十五程度の我が国のNGOから参加希望が寄せられました。それにつきまして、アフガニスタンの国内で十分な活動実績を有するかどうかといった考え方を中心に、当該地域での活動経験が少ない十程度の団体には参加申し込みを遠慮していただいたということでございます。
首藤委員 これは今お配りしたものですが、アフガニスタン復興支援国際会議の閉会セッション、二十二日ですけれども、オブザーバー参加したNGOのリストです。
 日本のNGOを見ますと、ここに、最後は認められたジャパン・プラットフォームもピース・ウィンズ・ジャパンもありますけれども、日本赤十字社、その他いろいろ入っております。ジャパン・プラットフォームの中の参加NGOも入っております。
 しかし、それを見ると、例えば医療というものに関して見れば、それほど歴史も深くなく、活動もそれほど世界的なレベルではないというようなNGOもたくさん入っているということですね。例えばメドゥサン・デュ・モンド・ジャパンというのは、これはMSF、国境なき医師団の対抗馬として出てきたわけですけれども、実際には、話を聞きますと、MSFの人もここへ参加しているということですね。
 ですから、これは中東二課から送られてきたものなのですが、一体どういう基準でこれをやったか。特に、アフガニスタン復興といいますと、ここの例えばジャパン・プラットフォーム、それに参加しているところは基本的に、御存じのとおり、これは復興支援ではなくて緊急援助なのですね。物を配るという援助なのですよ。復興支援ではないのですよ。
 また、医療はどうかといえば、では皆さん御存じのペシャワール会なんてどこへ行きましたか。中村哲医師がいて、皆さんに献金を呼びかけたら、六億円が集まった。それくらい日本の中で、アフガニスタンの支援といったらペシャワール会じゃないか、中村哲じゃないか。ここのどこにありますか。
 一体これはどういう基準で選んでいるのですか。アフガニスタンの復興とどういう関係があるのですか。物を配るのと復興とどういう関係があるのですか。
 私は何度も何度も電話したでしょう。十六日、十七日、十八日、十九日と宮原課長に電話したではないですか。あなたは最初に何て言ったのですか。毎回毎回、全然違うことを言っているではないですか。どういうフィロソフィーでこれを選んだのか、もう一回これは答弁してください。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 先生よく御存じのように、復興支援と人道支援というのは、シームレスといいますか、割れ目のない継続性でやっていくべきだということが非常に強調、特に東京会議で強調されたわけでございまして、そういう意味で、人道支援、復興支援、広い意味で活躍しておられるNGOの方々に参加していただいたということが基本的な考え方でございます。
 二番目に、基本的には、参加希望ということをいただきまして、その上で、アフガニスタンの国内で実質的な活動をしておられるかどうかというようなことを中心に判断をさせていただいたというふうに承知しております。
首藤委員 だから局長、うそを言わないでくださいよ。
 この中で、その時点で、アフガニスタンの内部で活動しているのはどれだけありましたか。うそを言わないでくださいよ。そんなにたくさんないでしょう。我々が行ったときだって、まだこの中にはほとんどなかったではないですか。ないのですよ、あのときには。御存じでしょう。十二月の終わり、一月の初めというのは、マザリシャリフからジャララバードで紛争があって入れなかったでしょう。うそばかり言わないでくださいよ。
 この問題をやれば、それこそ三十分ではなくて三時間も三日もかかる問題だから。私はなぜこの質問をしているか、外務大臣にお聞かせしたい。それは、NGOとこうした国際会議との関係はどうあるべきかという問題であります。
 大臣は、環境問題でNGOの重要性を十分御存じだと思うのです。今、世界の国際会議の中においてNGOをどういう形で使うか。それはNGOをまず第一に参加させる。それは、NGOは市民の代表だからです。もう一つ重要なのは、どの分野でNGOを呼ぶか、あるいはどのNGOを呼ぶかというのは、NGOに決めさせるということなのですよ。
 ですから、例えば既に外務省がやった九八年十月のTICAD2では、社団法人の日本アフリカ協会、NGOの日本アフリカ協議会、アフリカ平和再建委員会がACTという組織をつくって、そこでアフリカの平和再建に関する、世界と日本のほとんどのNGOに呼びかけて、そしてその中から、外務省と協議しながら、どのNGOを呼ぶかを決めたということなのです。
 ですから今後は、NGOを呼ぶときには、どのNGOを呼ぶべきか、どの分野で呼ぶべきかということを、きちんとNGOを入れてやっていただきたい。
 第二は、これから問題となりますが、NGOをただデコレーションで呼ぶのではなくて、装飾物として呼ぶのではなくて、NGO会議で決まったことは、やはり本流の、本チャンの本会議できちっとその問題に対して討議したり、あるいは採択したり、公文書に載せる、こういう世界でのNGOとのルールをきちっと守っていただきたいと思いますが、外務大臣、御意見、いかがでしょうか。
川口国務大臣 NGOの方々と政府の政策決定あるいは政策実施に当たっての役割分担については、これはさまざまに考えるべき問題があると思っておりまして、私自身、今の時点で、こうあるべきだということを言うにはまだ少し勉強が足りないと思っております。
 ただ、この問題の重要性は私は認識は十分にしているつもりでございまして、外務省を変える「開かれた外務省のための十の改革」の中に、一つの項目としてNGOの方々との関係については入れさせていただきました。
 私の経験からいきましても、これは環境の、例えば温暖化のための締約国会議等でNGOの方々の参加はあります。それで、NGOの参加はございますけれども、会議の内容によって、参加がある部分とない部分と分けられているわけです。それから、そこに参加をなさるNGOの方々の選び方、これは全員のNGOがすべて入れるということでもなかったという記憶がございます。
 そういったさまざまなあり方、やり方について私なりにもう少し勉強をしてみたいと思っていますけれども、とりあえず、このNGOとの新しい関係ということについては、これを考える懇談会を立ち上げたいと思っておりますので、その中でいろいろ勉強も皆さんにしていただきたいと思いますし、委員の御意見もまたその中で聞かせていただいたらというふうに思います。
首藤委員 外務大臣には、よろしくお願いいたします。
 次に、やはりこのNGOの問題とも関係があるんですけれども、アフリカが非常に今苦しんでいるということは明らかなんですね。アフリカには、いわゆる重債務国、非常に借金が多くなっている国が多い。そうした借金を軽くしてあげよう、あるいは放棄してあげようということで、ケルン・サミットの合意があったり、あるいはNGOのグループがジュビリー二〇〇〇といって、二〇〇〇年にそうした債務を取り上げよう、捨てよう、捨ててもらおうというようなものがあったり、あるいはHIPCというような債務の軽減プログラムがあったりするわけですね。
 最近問題となっていたケニアのソンドゥ・ミリウダム、鈴木宗男議員なんかが関係しているんではないかと言われることで、今でも疑惑追及でいろいろ問題になっておりますけれども、そうした、ケニアのように事実上借款が不可能なところに有償支援をしようとした、ここにやはり最大の問題があると思うんです。この問題は、もっと広範な問題として徹底的に追及しようと思うんですけれども、とりあえず外務大臣に関しては、ケニアのソンドゥ・ミリウダム疑惑は現在どのように調査されているか、それに対して本当に徹底した調査が外務省内で行われているかどうか、そのことをお聞きしたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 この件につきましては外務省の中で調査をさせていただいております。膨大な資料と取り組んでもらっています。
 これにつきましては、発表する前に園部参与にも見ていただいて、それで了解を得た上で発表させていただきたいと考えています。
首藤委員 それで結構でございます。よろしくお願いいたします。これは本当に日本のODAの転換点となるプロジェクトなので、徹底的に、いろいろな側面から考えていただきたいと思うんです。
 ちょっと一つだけ、技術的なことをお聞きしたいんですが、それに対して、当委員会での調査団がそこに昨年の八月に行きました。九月に到着したわけですが、その終わった後、鈴木宗男議員が独自に飛行機をチャーターして、タンザニア、ボツワナ、それから南アの方にも行かれたということを新聞報道されておりますが、驚いたことに、それに外務省の職員が同行されたというふうになっております。これは既にほかの委員会では回答されたのかもしれませんが、私は、そんなことは絶対あり得ない、外務省が便宜供与するんじゃなくて、政治家が便宜供与して、それに外務省の職員が乗っていくなんて絶対あり得ないと思いますが、現在の調査段階のことで言えることがありましたら、外務大臣、一言お願いしたいと思います。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 アフリカ審議官が直接所掌しておる問題でございますが、先日、別の委員会で、アフリカ二課長が同乗していたということをお答えしたかと思います。
首藤委員 この問題は、外務省の根本的なモラルに関する問題ですから、徹底的に調査していただきたい、そして、その結論を公開していただきたいと思います。
 それで、私はずっとアフリカに本当に三十年来取り組んでおりまして、非常な愛情を持っている地域です。しかし、残念ながらだんだん経済が難しくなってきている。多くの国では、有償支援はもうできませんというふうに外務省のホームページにも書いてあります。
 そういう国の一つがマダガスカルです。別なページを見ますと、あっと驚くのが、マダガスカルにJICAの事務所を新設するということが書いてあります。また別のページをめくります。それは海外安全のページです。マダガスカルの危険度、三ですよ。どうしてこんなところに、平成十四年度に予算案をつくって、JICAの事務所をつくらなければいけないのか。まさか、特定の議員が関係しているようなことはないでしょうね。特定議員が例えば議連の長をやっていたり、あるいは議連の事務局長をやっている、そんなことは全く関係ないでしょうね。外務大臣、いかがですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 来年度のいわゆる予算要求で、JICAの事務所について要求をしておりまして、これは、委員御案内のとおりに、従来の豪州それからサンパウロの事務所をいわばスクラップしまして、二つのビルド、具体的には、今御指摘のマダガスカルとモザンビークの二カ所に新たに事務所をつくるということでございます。
 それで、今委員の方から、重債務国になぜJICAなんだというお話がございましたが、重債務国であるがゆえに有償のお金を出すのは非常に難しい、御指摘のとおりでございますが、JICAは御案内のとおり、技術協力及び無償資金協力のお手伝いをする機関でございますので、その点、必ずしも矛盾はないというふうに理解をいたしております。
首藤委員 これから助けなきゃいけない、もっと上げなきゃいけないというんだったら、世界じゅう幾らでもありますよ。アフリカじゅう幾らでもありますよ。なぜマダガスカルなのか。だれが議連の事務局長をやっているのか。どうしてそういうところにわざわざやろうとしているのか。危険度が三であり、この二月二十四日には、ついにマダガス政府は非常事態宣言を行った。非常事態宣言をやるようなところに、どうしてJICAが事務所をつくらなければいけないか、どうしてそういうことに援助政策を向けなければいけないのか。いかがですか、もう一度。外務大臣、いかがですか。方針として、いかがですか。こういう危険なところになぜJICAが事務所をつくっていかなければいけないか。いかがですか。
川口国務大臣 私はマダガスカルの事情についてはまだよく承知しておりませんので、一般論でございますけれども、どこの国を援助しなければいけないかという援助のニーズ、それと、その時々の危険度というのは必ずしもパラレルではないというふうに思います。援助のニーズがあるということが恐らくその事務所の必要性ということでございましょうから、そういう観点もあるのではないかというふうに思います。
首藤委員 それは大臣、見解は、やはり就任後一月ということで、私はこれ以上この問題には突っ込みません。しかし、それはぜひ認識をもう一度、再考していただきたいと思います。ニーズのあるところであれば危なくてもいい、それはもう大変立派な考え方で、それは敬服に値する考え方ですが、一方で、これは税金が原資であります。NGOとは違うんです。君、危ないけれども行ってくれるかというのとは違うんです。
 ですから、そこのところをよく考えて、我々の税金がそこへ投入され、そしてそれが返ってくる、あるいは、そこで本当にその国のものになり、本当にその国の人から感謝される、そういうふうな状況にあるということが重要だということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 この問題も、本当に最初の序章だけで、また西田局長もこれから徹底的にいろいろお聞かせ願いたいと思いますが、時間がないので最後のテーマに移らせていただきます。
 今のテレビを見ていますと、日本のテレビを見るとそれほど感じませんが、例えばBBCとかCNNを見ますと、朝から晩までイスラエルのことをやっています。もう本当に心が痛む現状があるわけですね。そしてイスラエルは、確かにパレスチナから自爆テロをやるかもしれないけれども、どんどんミサイルを撃ったり、ロケットを撃ったりして攻撃している。あるいは、戦車が町中に入っていく。さらに、アラファト議長を軟禁している。そして、警察とか公的な建物を、どんどんロケットを撃って、ミサイルを撃って破壊している。こうした状況は本当に私の心を痛ませるわけですが、では、日本はなぜ何にもできないのか、なぜ何にもしないのかということであります。
 これは一つは、前外務大臣を取り巻くさまざまないきさつがあって、とてもそんなことまで余裕がないという日本の外交があったかもしれません。しかし、それこそまさに日本の外交の空白になっているわけでありまして、これは、新大臣になられましたら全力を傾注して、イスラエル側にもあるいはパレスチナ側にもチャネルを持っている日本が全力を傾注してこの問題を取り扱っていただきたいし、川口大臣には、ぜひとも早い時期に現地へ行って、日本のプレゼンスを見せていただきたいと私は思うわけであります。
 ただ、一つ、援助の関係で問題点としては、現在、いい建物が次々とミサイルの標的になって壊されていきます。それはイスラエル側としては、パレスチナの自爆テロをやっていた犯人を罰する、その社会を罰するという意味で、その社会のモニュメントとなっているような、あるいはその社会を代表するような建物を、ミサイルを発射して破壊していくんです。そういう建物は、実は外国の援助でできたものが多いんです。
 そこでお聞きしたい。一体どれだけの日本の援助の建物、例えばラマラの文化センター、私も行きましたよ。本当に建設途上で、もうパレスチナの人が、やがてラマラこそがパレスチナの新生国家の首都となって、そこの中心となるような文化センターだ、こういうふうに誇りを持っているようなところなんですけれども、こういうところが一体、あるいはここだけじゃなくてもいいんですが、日本の援助がどれだけイスラエルの攻撃によって傷ついているか、そのレベルを教えていただきたいと思います。外務大臣、いかがでしょうか。
重家政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国がパレスチナに援助しました案件で、いろいろなイスラエル側の攻撃によって被害を、いろいろ差はございますが、被害を受けているのは、数件、私どもも承知しております。
 特に最近では、一月の中旬にパレスチナ放送公社が被害を受けておりまして、我が方が支援しました機材が破損をしているということがございます。これにつきまして、私どもも非常に遺憾なことだと思っておりまして、イスラエル側に対しまして、これはイスラエル軍の関係者を含めてでございますが、強く我が国の懸念を申し入れたところでございます。今後とも、引き続き状況をよく注意していきたいというふうに思っております。
首藤委員 外務大臣、今お聞きになったとおりです。私がなぜここで立って今質問しているか、おわかりになったと思います。
 本当にこの問題に関しては、川の向こうで起こっている紛争じゃないんですよ。我々が、我々の税金から、パレスチナの人たちが、うれしい、ありがとう、そう言っている建物が壊されていくわけですよ。そして我々が、何といっても、みんな放送局で放送を見て、頑張ろう、パレスチナとしての一体性を持とう、こういうようなパレスチナ新生国家の中心となるような放送局、そしてどんどん連絡がなくなっていく中でみんなが必死に連帯を求めている、その中核となる放送局、まず第一に、そういうものを絶対に破壊してはいけないという強い抗議をどうしてなさらない。第二に、そこでそういうようなものが破壊されたならば、どうして即座に賠償要求をしないのかということです。
 それは、なぜそう言うかというと、実際にヨーロッパで、EUでは、欧州援助のパレスチナ施設が破壊されたときに、約二十億円相当が破壊されたということに関して、EU側は、直ちにこれに関して賠償要求を出しているわけですよ。どうして日本がしないのですか。そんなことをしなかったら、私たちは国民の負託を生かせないじゃないですか。国民はよかれと思って税金を払い、その中から私たちはパレスチナの人たちのために援助をしているんじゃないですか。それが、いろいろな理由で壊れるのかもしれないけれども、それなら壊した人にどうして賠償請求をしないのですか。
 外務大臣、最後に、もう時間がないので、こうした問題も含めて、新外務大臣としてのこの中東和平にかける御自分の見解をお聞かせ願いたい、そんなふうに思います。いかがでしょうか。
川口国務大臣 中東の和平というのは、歴史的にもいろいろな経緯があって、非常に難しい問題であるというふうに思いますし、同時に、これからの世界の平和の根幹にかかわる非常に重要な問題だという認識をしております。
 これについては私も非常に関心を持っておりますし、我が国も中東では今までそれなりの外交努力を積み重ねてきていると思いますので、こうした前任の方々の努力を踏まえて、私なりに取り組みたいと考えております。
首藤委員 どうもありがとうございました。新大臣にはぜひ頑張っていただきたいと思います。
    〔委員長退席、中川(正)委員長代理着席〕
中川(正)委員長代理 土田龍司君。
土田委員 まず、外務省の不祥事について幾つかお尋ねをしたいと思うのです。
 今回、官房長と重家さんと佐藤さんの更迭を発表されました。翌日の新聞では、どの新聞も、というよりもすべての新聞が、更迭だという表現を使っているわけでございますが、どうしたわけか外務大臣は、更迭ではありません、本人の自主的な申し出によってそういった処置をとったというふうに何回でも言い張っておられるのですが、むしろ、そういう言い方というのは、開かれた外務省といいますか、国民にとってはわかりにくいんだと私は思うのです。なぜ、そういった微妙な問題をそういうふうな表現にされるのでしょうか。
川口国務大臣 小町官房長と、それから重家中東アフリカ局長につきましては、外務省の改革を進めるという上での人事の刷新をし、私も次官も新しくなりましたので、新しい体制で臨むということが必要であるということで、御本人の申し出も受けまして、交代をしていただくということにしたわけでございます。
 前に国会でも問題になりました一月二十四日に会食をしていたという件、あるいは、鈴木議員の出張に関する資料についての打ち合わせのためにある官房の人間と面会をさせたという件、これにつきましては、それぞれその時点で私は、注意あるいは厳重注意という形で処分は、あるいは注意は行っておりますので、それについてはもう処分という意味での話は済んでいるというのが私の考えでおります。
土田委員 といいますのは、では、外務大臣から注意をした、そのことでその件は一件落着をして、あくまで、アフガン支援に関するNGOの問題、国会の混乱とは関係なくやった人事であるというふうにおっしゃるわけですね。
 だから、今申し上げましたように、それがやはりわかりにくいと思うのです。今、去年の一月一日以来、外務省の不祥事が続いている。いろいろな問題が多発をして、国民の中には、外務省に対する不信感がもういっぱい詰まっているわけですね。そこで、外務大臣が新たに就任をされて、開かれた外務省だというふうに言ってこられたのに、人事の面だけとってもこんな非常にわかりにくいことをなぜされるかと私は思うのです。
 やはり大臣が、前大臣もその前の大臣もそうだと思うのですが、幾ら訓示を言われて、意識改革が必要だ、外務省の職員の皆さん意識を変えてくださいと言っても、なかなか人の意識は変わらない。だから、制度を変えたり人事異動したり、あらゆる手段を使ってやるわけですけれども、今回も、開かれた外務省というふうに言っておきながら、そういった、その件は注意をしたと。その件とは全くかかわらないで、関係なく、事務次官がかわったから単なる異動だというふうにされると余計わかりにくいと私は思っているのですが、もう一回答弁をお願いします。
川口国務大臣 国民の方にあるいはその他よその方に一〇〇%こちら側の考えを理解していただくというのは、常に非常に難しいということは認識しております。したがいまして、十分に御理解がいただけないようでございましたら、これは御理解をいただくようにお話を申し上げて、わかっていただく努力を私どももしなければいけないというふうに思っております。
 先ほどおっしゃったNGOの件につきましては、これは野上前事務次官が、事務方のトップといたしまして、このNGO事件に起因する国会の混乱で御迷惑をおかけしたということについては、事務次官を辞任するという形で責任をとっているということでございます。
 先ほど私が申し上げた一月二十四日ですとか、あるいは鈴木議員の出張の資料の件は、またこれは別な話でございまして、これについては注意あるいは厳重注意をしたということでございます。
土田委員 野上さんと官房長と重家さん、この方々は一たん官房付にする。ちょっと時間的なことはありますけれども。外務省の省内で、私が全員に聞いたわけじゃないんですが、何人かに聞いたら、多分その方々は将来大使として赴任していくだろうというような話も外務省の中で言われているというふうに聞くのですが、この方々を、単なる注意で済ませて、そして一たん官房付にして、将来大使にするようなお気持ちもあるのでございますか。
川口国務大臣 これは人事のことでございまして、人事については私も今いろいろと考えておりますけれども、これについては、こういう公的な場で申し上げるべき筋合いの話ではないと考えております。
土田委員 もちろん、それで結構なんですけれども、やはり人事というのが役所にとっては極めて大事であるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、御自分でできることあるいはすぐにやることを、やはりやっていかなきゃならないという気が私はしております。
 それでは次に、外務省改革の中で、「開かれた外務省のための十の改革」というところに、国会議員から不当な圧力があった場合には、やりとりが文書化され、それを公開する対象にするというふうにおっしゃっているわけですね。しかし、実際として、現実問題として、外務省に関することだけじゃなくて他の省庁にも関係することということも出てくる、あるいは実際にやる場合に果たしていろいろな問題が出てくるわけですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでございますか。
川口国務大臣 このことにつきましては、私が外務大臣になりましたときに、小泉総理から、十分にこの点についてはきちんとやるようにという御指示をいただいております。それを受けまして、私は、「開かれた外務省のための十の改革」を発表させていただきましたときに、その一番上の項目として挙げさせていただきました。
 ちょっと、そこに私が書きましたことを読ませていただきます。「外務省は幅広く謙虚に外交や外務省に関する意見を拝聴しますが、不適切なものは排除します。」これは、国会議員からということだけを言っているわけではございませんで、一般に不適切な意見、一般に幅広く謙虚に御意見は伺いますけれども、不適切なものは排除をいたします、そういうことでございます。先ほど、国会議員からの不当なとおっしゃられたので、そういうことではないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 それから、おっしゃった、国会議員との関係ですけれども、このように書かせていただいております。「特に国会議員との間には新しい関係を築く必要があります。また、この問題は、外務省以外の官庁にも関係する、広く国会議員と官僚の関係の問題です。合わせてより広い枠組みで検討する必要があると考えます。」というふうに書かせていただいておりまして、前にも、この外務委員会の場できょう申し上げましたけれども、外務省としては、広く霞が関の、これは各官庁あるいは政治家の方々との間の大きな、重要な問題であるというふうに考えております。
 私は、個人的には、官僚と政治家の間には緊張のある関係があることが望ましいというふうに考えておりますけれども、これをどういう方法で、どういう考え方でやっていくかということについては、まさに広い枠組みで、大勢の方に、国会議員の方にも一般の国民の方にも、それから官僚自身も意見を出して、みんなで議論をして、いいあり方、いい考え方を、あるいはそのためのいい手法を考えていくべき話であろうというふうに考えております。
 以上です。
    〔中川(正)委員長代理退席、委員長着席〕
土田委員 具体的には、いわゆる外務省を変える会で検討してもらいたいという趣旨でございますか。その外務省を変える会でそれぞれ意見を出し合って決めていってほしいという意味ですか。
川口国務大臣 外務省としては、「変える会」の皆さんに御議論をいただきたいと思っておりますし、それだけではございませんで、まさにここに書かせていただいたように、広く内閣あるいはそういった場でこの問題を取り扱っていただくことがふさわしいというふうに考えております。
 また、自民党の外交部会ではこの問題についてお考えをいただけるようなことも伺っておりますので、その場でもまたお考えいただいて御意見を出していただけるということは、私にとっては非常に幸いなことだと思っておりまして、皆さんの意見をいろいろな場で出していただいて、話が煮詰まっていく、あるいはある種のコンセンサスができるということが望ましいと思っております。
土田委員 これまでの外務大臣もやはり同じような答弁をされていまして、いろいろな方からの意見を伺って総合的に判断していきたいと。
 今回、「変える会」ができたわけですね。三カ月後に中間報告をして、夏までには最終報告を出したいと。時間がかかり過ぎると思いませんか。こういった問題が国民の中に出てきて、外務省に対する不信感がますます高まっている。なぜ早くやらないのですか。こんな、六カ月も七カ月も、夏までにはやりますというようなことは、ちょっと悠長過ぎるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
川口国務大臣 「開かれた外務省のための十の改革」でも私書かせていただいたのですけれども、外務省はできることはどんどんやっていきますということを書かせていただきました。
 これは、「変える会」の三カ月後の報告を待つことなく、あるいは夏の報告を待つことなく、みずからできることはどんどんやっていくということを書いてございまして、現にどんどん話を進めております。例えば、先ほど別な方の御質問のときにお答えをいたしましたけれども、文書規則、これをどう見直すかというようなことも取りかかっておりますし、それから、昨年末までの間に既に進めた改革、例えば報償費の決裁の問題ですとかもございます。
 ということで、どんどんやることは今やっていっているつもりでございまして、大勢の方の御意見を伺ってやった方がいいということについては「変える会」で御議論をいただきたいと思いますけれども、通常、会を始めて三カ月後でというのは、むしろ非常に短い時間だと思っております。できるものからどんどんやっていくというのが方針でございます。
土田委員 それが短いかどうかわかりませんが、私は、ちょっと時間がかかるのかな。なぜかというと、透明性、実効性、スピードだとおっしゃっていますから、その三つが基本だと。その割には遅いのかなという感じが私はしたわけでございます。
 次に、予算の透明性についてということでお尋ねをしたいんですが、ことしの報償費から来年度予算の報償費が大幅に減額をされた。資料を見ればわかるんですが、ことしが幾らで来年が幾らになるか、正確に知りませんけれども、その報償費のどの部分がどこにつけかえられてそういった減額が可能になったのか、ちょっと概略をまずおっしゃってください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省の報償費は、委員御案内のとおり、情報収集や外国との関係を有利に展開するなどのために機動的に使用するものでございますけれども、近年、その使用が、報償費の趣旨、目的に沿ってはいるけれども、レセプション開催や要人外国訪問支援などに関連いたしまして、ある程度定型化、定例化しているものもございました。
 十四年度予算におきましては、予算執行の整理の観点から、こうした分野の経費につきまして、種々の想定を行いながら新たに庁費などで積算の上、包括的に予算計上することにいたしました。その際、平成十三年度外務省報償費予算額の約二五%、約十四億円でございますけれども、これを削減して、このような新たな予算計上に活用いたしました。また、あわせて、過去の報償費の費消実績を踏まえながら、報償費の効率化、節約を図ることといたしまして、平成十三年度報償費予算額の約一五%、約八億円を減額いたしました。
 この結果、十四年度の外務省報償費予算額は、平成十三年度の五十五・七億円と比較して約四〇%減の三十三・四億円となっております。
土田委員 そうした場合に、どの部分が幾らつけかえられたかというのは発表できるんですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、ある程度定型化、定例化しているものを種々の想定を行いながら新たに庁費などで積算したわけでございますけれども、例えば要人外国訪問関連経費につきましては、庁費として九・四億円、諸謝金として一・二億円、外国旅費三・六億円、その他を合わせまして合計十七・三億円ということでお願いをしております。それから各種レセプション経費は、全額庁費でございますけれども、六・四億円ということでお願いしております。
土田委員 何か一覧表みたいなもの、それはいただけるんでしょうか。何かちょっと聞いた感じでは余りぴんとこないといいますか、よくわかりにくいんですが、それは資料は出せますか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 今私が御説明いたしました区分についての資料は、後でお届けしたいと思います。
土田委員 次に、もう一度官房長にお尋ねするんですが、質問の内容は、私が去年の十一月に質問した内容と全く同じ質問をいたします。それは何かといいますと、いわゆるプール金の問題でございます。
 昨年の十一月、平成七年四月から昨年七月までにホテル代水増し請求などの手口でプールしていた裏金が二億二百三十八万円に上ると公表されましたですね。同時に、数百万円を私的流用していた二人が懲戒免職をされ、三百二十八人が処分をされた。裏金のうちの一億六千万円は既に流用されておって、OBを含む課長補佐以上が国庫に弁済をする、弁償をするといいますか、そういうふうにしたわけですね。
 そのときに、金額についても、事務次官、大使、外務審議官、官房長が五十万円、局長、総領事クラスが四十万円、課長が二十万から三十万円を弁済して、一億六千万プラス金利を入れて二億円を国庫に返すということを計画しましたですね。その状況をまずお話しください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 今土田委員御指摘のとおり、十一月三十日に今御案内のような数字を発表いたしました。そのときに、この費消額、使った額でございますけれども、一億六千万円、これにつきましては、全額につきまして、勤務地の内外を問わず外務省員が協力して国庫に返還すべく、職責に応じました負担を呼びかけました。それ以来、多数の省員の協力を得てきているところでございます。集まった金額につきましては、本年度じゅうにしかるべく国庫に納付する考えでございます。
 今委員御指摘のように、一億六千万円が費消額で、それに関連いたしまして利子の問題が出てまいりますので、その利子の額を、数千万円程度でございますけれども、これも今関係当局と協議中でございますけれども、それを合わせて約二億円程度になるのではないかというふうに見込んでおります。それにつきましては、今まだ完全な集計ができておりませんけれども、めどがつきつつある、こういう状況でございます。
土田委員 もう一つ同じ質問なんですが、その二億円を、集まり過ぎた場合はどうするか、足りなかった場合はどうするかという質問ですが、御答弁ください。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、ほぼめどがつきつつある状況でございまして、まだ最終集計はできておりませんけれども、最終集計ができた段階で改めて検討したいと思っております。
土田委員 改めて検討してほしいと思いますけれども、やはりそういったことが前例になってくるということが余りよくないことですし、外務省の職員の皆さんの中にも何か損したなという気持ちがどうもあるようなことでございまして、国民の皆さんの気持ちと随分離れている。
 国民の皆さんは外務省が着服したと思っているんです。その一億六千万のお金は、いわゆる公的に使われた部分が大部分だというふうに小町さんは前回答弁されておりましたけれども、国民はそう見ていない。そういったものに使ったかもしれぬけれども、自分たちの飲み食いに使ったのもたくさんあるんじゃなかろうか。だから、正規の手続を経ないで使ったわけですから、あるいはためておいたわけですから、これについては完全に返す。
 と同時に、やはり自分たちは悪いことをしたんだ、裏金をつくってしまったんだという反省を当然すべきだというふうに私は思いますので、ぜひ、今年度、三月三十一日が終わりましたら、明確な金額と同時に、どういった方々が返納して、だれがしなかったかということも含めて、私はやってほしいなというふうに思います。
 さて、次に、きょうは海上保安庁長官にお越しをいただいておりますので、不審船の引き揚げ問題について幾つか質問させていただきます。
 ちょうど今調査をやっておられるわけでございますが、まず、この調査が引き揚げに向けた事前調査であるのか、単なる捜査活動の一環であるのかということが一つと、それから、調査の状況について御説明をお願いしたいと思います。
縄野政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、現在行っております調査も含めて、不審船の、沈没をした船体の位置あるいは特定、その状況の調査を私どもはすべて犯罪捜査の一環として行っております。これは、巡視船という日本船の上におりました海上保安官に対する殺人未遂罪、これが犯罪でございますので、この捜査として行っておりますし、その事実あるいはその動機、そういうものについての捜査をするためには、沈没した位置あるいはあの船であることの特定、それから沈没した船の状況を、わかる範囲で私どもとしては調べるのが責務であろうというふうに思っております。
 それから、調査の状況でございますけれども、一昨日、二十五日から、私どもの測量船搭載のサイドスキャンソナー、これは超音波で位置を特定するものでございますけれども、それによりまして不審船の沈没位置、北に三百七十メートルずれておりましたけれども、そこにエコーを認めました。
 翌日、きのうでございますけれども、今度は自航式、自分で動く水中カメラを用いまして、船らしきものをカメラで写しました。そこに「長漁」、あのときの不審船の船体に書いてありました文字が読み取ることができました。
 そういうことで、きのう現在で、沈没している船はあの不審船であるという特定ができたというふうに考えております。きょう以降も引き続き、水中カメラによりまして船体の状況をわかる範囲で調査を継続しているところでございます。
 今後でございますけれども、これらの調査結果を踏まえまして、気象、海象状況次第でございますけれども、人によります潜水を行いまして、これによりまして、船体のさらに子細な状況、それから、引き揚げるときにどのような作業が可能であるか、引き揚げがそもそも可能であるかどうか、引き揚げられないとすればどのようなことで調査ができるのかという状況をさらに調査をいたしまして、引き揚げが物理的に可能であれば、これらについて判断をするということでございます。
 なお、これらにつきましては、私どもとしまして、中国のEEZというふうに扱っておる海域での作業でございますので、国際法上これらの作業を行うことについての制約はございませんけれども、外交ルートを通じ、中国に対し逐一説明をしているところでございます。
土田委員 捜査活動の一環で今はやっているけれども、もうこれからは引き揚げが可能かどうかの調査もあわせてやるということですね。今はそういう答弁だったでしょう。違うんですか。捜査活動ですと言っておきながら、あわせて、これから引き揚げが可能かどうかというのを潜水調査によってやると。
縄野政府参考人 先ほど申し上げましたように、捜査活動というのは犯罪の事実を特定し、犯罪の動機を解明することでございますので、物理的に可能であれば、引き揚げまで含めて犯罪捜査として私どもは行うということでございます。
土田委員 私はやはり引き揚げて調査をすべきだと思うんです。この船がどういった目的に使われていたのか、どういったのが可能な船なのかということをはっきりさせなきゃならないと私は思うんです。中国の経済水域内でございますけれども、どうも中国が難色を示しているというふうに報道されました。外務大臣、これについてはどのように認識しておられますか。
川口国務大臣 今お話がありましたように、沈没した不審船について船体の調査が行われているわけでございますけれども、この調査結果を見ながら次の段階については判断をすることになると考えております。
 したがいまして、今の時点において、不審船の引き揚げについての国際法上の扱い等につきましては中国側と具体的にやりとりをしているわけではございません。
土田委員 ということは、中国はそれについては反対しているとか難色を示しているとかということはないわけですね。何らそれについての打診も相談も連絡もしていないということでしょうか。
川口国務大臣 この調査につきましては、中国側の了解を得るという性格のものではないというふうに思いますけれども、情報は中国側に提供をいたしております。
 一般論で申し上げますと、この現場が我が国が事実上中国の排他的経済水域として扱っている海域でございますので、国連の海洋法条約上、中国が海洋環境に関する管轄権及び天然資源に関する主権的権利を有していることから、仮に船体を引き揚げる場合には、中国のこうした権利との関係が生ずるのであれば、中国側と必要な調整を図ることとなると考えております。
土田委員 中国側外務省の何とか報道局長、ちょっと字が読めないんですけれども、何とか報道局長は二十六日に、これについては中国の権益と関心が十分に尊重されなければいけないというふうに言ったと言われました。つまり、中国が何を言いたいかというと、中国の排他的経済水域内では、いわゆる単なる調査はいいけれども、資源探査に入るようなことは許さないよというふうに僕は読めるんです。あるいは、そういうふうに理解されるんです。
 と同時に、私が去年質問しました中国の海洋調査船の問題、日本の排他的経済水域の中で、中国の海洋調査船が来て、単なる海洋調査、海を調べるだけでなくて、日本側は中国に対して、ボーリング調査とかあるいはエアガンによる調査とか、そういったのを認めているわけですね。その違いというのは私は大きいと思うんです。中国は一切させないよという表明を、日本側からアプローチがある前にそういうふうに言ってくる。それに対して日本の外交態度というのは、ボーリング調査、エアガンによる調査まで既に認めてしまっているというような非常に大きな違いがあるわけですね。
 だから、このことは非常に問題でございまして、私は、去年も中国の海洋調査船については三回だったか四回だったか質問をいたしました。当時の外務大臣、余りいい答弁じゃなかったのですが、まあ何とか意識しているというような話をされたのですが、中国はそこまで敏感になっている。まだ日本が引き揚げさせてくれとも何も言っていないのに、中国はあらかじめ、勝手なことはやらせませんよと言ってきているわけですね。
 だから、日本も、海洋調査に関してはそういったことをやらせてはいけませんということを、去年この外務委員会で質問させていただいたという経緯でございまして、今回につきましても、やはりこういった引き揚げに関して、非常にいろいろな情報を積んだ船、あるいは亡くなった方もたくさんいるわけでして、これを引き揚げるということは大事なことだと思うのですが、大臣はどう考えられますか。
縄野政府参考人 私から答えるのはいかがかと思いますが、中国の今時点の言いぶりでございますけれども、先ほど大臣からお話がございましたように、私どもが承知しておりますのは、中国側の関係権益と重大な関心を十分に尊重すべきであるという趣旨のことを言っておるだけでございまして、それ以上でも以下でもございませんし、引き揚げそのものについての賛否、意見を言っておるということは承知しておりません。
土田委員 中国はそういった態度でしょうけれども、今私が聞いたのは、引き揚げる意思があるかどうかということを聞いているのです。海上保安庁長官がお答えになればそれでもいいですし、どなたか答えてください。引き揚げる意思があるかどうか。
縄野政府参考人 私どもとしましては、先ほど御説明申し上げました調査を行いまして、引き揚げが可能であるかどうかということを判断し、その過程において適切に中国側とも調整をしてまいりたいというふうに考えております。
土田委員 ちょっとよくわからないな。引き揚げられる可能性があるかどうか、技術的なものをおっしゃっているのですね。技術的に可能だったらば引き揚げたい、そのときには中国に打診するということでしょうか。うなずいてもらえば結構なんですが、違う意味ですか。
縄野政府参考人 引き揚げが可能であるかどうかを判断したいということでございます。
土田委員 その際に、この不審船がどこの船かというのはもちろんまだわかっていないのですが、どうも報道によったり、いろいろな人の話を総合すると、北朝鮮の船じゃないかというふうに思われるわけです。それに対して北朝鮮は、これは日本側の謀略であると言って、日本政府を非難しているわけですね。仮にこういった引き揚げを考えて実行に移そうとする場合は、北朝鮮からのまた妨害といいますか、いろいろなクレームがついたり、そういったのが想定されるわけですが、この点について日本政府はどういうふうに考えますか。
縄野政府参考人 現在の調査もそうでございますけれども、現在の調査も含めて、船体を調査する、あるいは引き揚げのための具体的な作業、そういう作業につきましては、関係機関とも十分連携を強化しまして、情報の収集、分析を行った上で、少なくとも私どもの巡視船、これは警備をするためにあるものでございますので、その態勢をきちんととりまして、必要な作業が妨害なくできるようにしてまいらなければならないというふうに考えております。
土田委員 次に、アフガン問題に少し入りたいのですが、時間もございませんし、どうも先ほどから幾つかこういった同じような質問が出されておりましたので、まず基本的な問題としまして、九月十一日のテロ行為を、アメリカはすぐに、これは戦争であるというふうに認識をしたと発表しているわけですね。日本も同じように、これは犯罪じゃなくて戦争行為であるという認識の出発点でよろしいのでしょうか。
川口国務大臣 九月十一日の同時多発テロでございますけれども、これについては、アメリカは国連安保理に、十月の七日にイギリスとともにアフガニスタンに軍事行動を開始いたしましたときに書簡を安保理議長に出しまして、国連憲章第五十一条に基づく個別的及び集団的自衛権を行使する行動を開始したという報告を行っております。
 我が国といたしましても、この米国及び英国の行動は、個別的及び集団的自衛権の行使であると考えております。
土田委員 ということは、アメリカの認識と同じように、これは戦争であったという認識でよろしゅうございますか。
川口国務大臣 戦争というふうにアメリカは言っている、称しているということですけれども、同時に、パウエル国務長官は、昨年の九月十三日の会見で、厳密な法的な意味での戦争ではないというふうにも述べています。
 これは、テロに対してどういうふうに対抗していくかということでして、アメリカ及び国際社会のエネルギーを駆り立てるために戦争と言っているというふうにパウエル長官は発言をしていらっしゃると理解しております。
土田委員 アメリカじゃないですよ、日本はどういうことかということです。日本は戦争という認識なんですかということです。
川口国務大臣 まず、このハイジャックをして大勢の民間人の方を死に至らしめたという行為が極めて重大な犯罪であるということについては言うまでもないと考えておりますが、この関連の国連安保理決議が先般のテロ行為を国際の平和及び安全に対する脅威であると認めているとおり、この行為は単なる犯罪としてはとらえ切れない側面を持っていて、米国及び人類の全体に対する極めて卑劣な攻撃であるというふうに考えております。
土田委員 ちっともわかりません。わからないね。私もわからなくなっちゃったので、やめます。
 十月八日にアフガンへの空爆を始めて今現在のようになっているんですけれども、日本政府としましてこういったアメリカのアフガンに対する軍事攻撃を支援してきたわけですが、これからもずっと、日本としましてはこの米軍の行動を正当であるとして支援を続けていきますか。
川口国務大臣 これからもとおっしゃられた、そのこれからもの意味でございますけれども、現在、日本は今いたしていることをやっていくということでございますけれども、新しい展開が何かあったということを想定して御質問をなさっているということでございましたら、アメリカの今後の行動について予断を持って述べるということは適切ではないと考えておりますけれども、我が国としては、国際的なテロの防止及び根絶に向けて、米国を初めとする国際社会の取り組みに主体的に、主体的な判断を持って積極的に寄与していく考えでおります。
土田委員 時間が来ましたのでやめますけれども、最後にもう一問。
 これもどなたか質問されていましたけれども、繰り返しになりますが、これからブッシュ政権はイラクに対して攻撃を加えるというような観測がされております。そうなったときは、日本政府はどういった態度をとりますか。
川口国務大臣 まずイラクにつきましては、ブッシュ大統領は先般、小泉総理に対しまして、テロ及び大量破壊兵器の問題を、外交努力を行っていきたい、平和的に解決をしたいということはおっしゃっているわけでございます。したがいまして、米国が今後どういう行動をとるか、その場合日本がどういうことをするか、米国の今後の行動に予断を持って何か申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
土田委員 主体的にやるということを連発されたので聞いたのです。今後、アメリカがどういった行動をとるか、予断を許さないからというふうにおっしゃるんだけれども、主体的になるならば、やはり今の時点でも、ああしたらこうしよう、こうなったら日本はこういった外交展開をしようというお気持ちを聞きたかったのですが、またの機会にお願いしたいと思います。
 以上、ありがとうございました。
吉田委員長 次に、松本善明君。
松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、外務大臣はきょうの委員会でも、予算委員会で我が党の議員が提出した北方四島に関する文書について存在を認められましたけれども、内容をお読みになりましたか。
川口国務大臣 ざっと読ませていただきました。
松本(善)委員 文書の性質上、中に書かれてあることが事実に反するということはないと思いますが、さっと読まれて、ここは違うなというふうに思ったところはありましたか。
川口国務大臣 あの文書が事実と照らしてどうであるかということにつきまして、今まさに外務省の園部参与に調査をしていただいておりますので、その調査の結果を拝見したいと考えております。
松本(善)委員 私が聞いているのは、書いてあること自体について事実でないということを感じましたかと言っているんです。書いてあること自体です。その周辺はいろいろ調べるということはあるでしょうが。
川口国務大臣 まさにそのおっしゃった点について、今、園部参与に調査をしていただいていますので、その調査の結果を待ちたいと考えております。
松本(善)委員 何でも園部さんということになりますと、私は、外務省のこの問題についての姿勢も問われるんじゃないだろうかというふうに思います。それじゃ園部さんに聞かなきゃならぬということになる。
 私は、そこで聞きたいのは、この資料を、外務大臣が予算委員会では、もしこれが事実であったとしたら言語道断であるというふうに答えられたことですが、どういう事実が事実であれば言語道断だというふうに理解をしておられますか。
川口国務大臣 例えば、その入札のやり方について影響力を行使しているように見受けられる点でございます。
松本(善)委員 入札のいわば公正が害されるようなことが行われていた場合は言語道断だ、そういうことだろうと思いますが、これは結局、鈴木議員がムネオハウスについて一社だけが受託できるように仕組んだものだというのが全体の趣旨である。そして入札の公正を害された。ところが、この問題は、ムネオハウスだけの問題にとどまらないで、北方四島支援事業全体に及んでおります。
 配付した資料をごらんいただきたいと思いますが、これは北方四島支援事業、十二件ある、これに対する異常な入札の状況を表にしたものであります。この資料は、外務省に提出していただいた資料とそれから入札の公告、北海道新聞、全部こういうふうに入札の公告が出るのですが、その入札の公告を詳細に調べて一覧をつくったものであります。
 正確さを確かめるために欧州局長に聞きますが、この「限定された入札条件」の一の「地域の限定」のところを確かめたいと思います。
 それで、九三年の国後、色丹、択捉のプレハブ倉庫事業は北海道全体になっておりますが、九五年の色丹プレハブ診療所は札幌、根室、釧路の三つの市に限定をしております。それから九六年の色丹プレハブ教室、九六年の択捉プレハブレントゲン室、それから九七年の択捉プレハブ診療所も同じであります。九八年の国後桟橋改修も、北海道東部周辺地域で十分な施工実績を有する者ということで限定をしているのですが、欧州局長、この点は間違いありませんね。
齋藤政府参考人 色丹島プレハブ仮設診療所でございますが、入札資格といたしまして、札幌、根室または釧路に本社……
松本(善)委員 きのう、時間の節約のために調べておけと言ったんだ。それは外務省の資料に基づいて全部やっているのですよ。一言で、間違いないかどうかということを答弁してください。時間を余りとらないで。
齋藤政府参考人 札幌、根室または釧路に本社、支社または出張所を有することということが入札資格の中に含まれておるわけでございます。
松本(善)委員 全体として私の言ったことを聞いていたでしょう。それは間違いありませんね。
齋藤政府参考人 もし委員御指摘の点が、札幌、根室、釧路に地域的に限定されているという意味であるとすれば、正確を期すために、先ほど申し上げたとおり、札幌、根室または釧路に本社、支社または出張所を有することとなってございますので、ほかのところに本社を持ちまして、当該地域に支社を持っているという場合もあろうかと思います。
松本(善)委員 そういうことなら、わかりました。
 その後、国後の桟橋もここに書かれているとおりですし、予算委員会で問題になりましたいわゆるムネオハウスは、国後島緊急避難所兼宿泊施設で、根室管内ということになっております。あとは一々確かめませんけれども、そういう資料でございます。
 これは、地域の限定をしているということも非常に重大であります。やはり九三年のように北海道全体を対象とすべきところが、結局、札幌、根室、釧路の三市に限定しているというのは異常でありますし、国後の桟橋の改修もそうです。
 この桟橋の改修では、三社以内のジョイントベンチャーの結成を認めたので、結局、鈴木議員の地元業者三社が受注することになりました。島田建設、真壁建設、濱谷建設のジョイントベンチャーですが、いずれも鈴木議員の地元選挙区にある、しかも後援会員である業者であります。
 それで、「入札参加業者」のところを見ますと、参加業者は、二社、三社、四社、一社というのも二つもあります。つまり、ムネオハウスと全く同様に、特定の業者に受注させるような入札条件になっているということは、素人でもわかると思います。
 川口大臣、今御説明申し上げましたけれども、これは異常と思われませんか。
川口国務大臣 私は、通常、入札が一般的にどういうふうに行われるかということについて全く詳しくないので、この例だけで一般的にどうだということは申し上げることはできませんけれども、私がこの資料を見て思いますことは、実際に入札にある企業が加わろうと思ったときに、必ずしもやりやすいとは言えないという印象は持ちます。
松本(善)委員 さらに言いますが、地域の限定ばかりでもありませんで、「限定された入札条件」の第二欄ですね、「入札説明会の制限」があります。入札説明会に参加しなければ入札資格がなくなるという事業は、色丹のディーゼル発電施設、択捉のディーゼル発電施設、それから国後の緊急避難所兼宿泊施設、いわゆるムネオハウスですが、それから国後のディーゼル発電施設の四件であります。
 これも異常ですし、国土交通省の基準については予算委員会で木島委員が質問をして、国土交通省の答弁もあったので、川口大臣はお聞きになっていると思いますけれども、入札説明会に参加することを入札条件にしていないということが国土省の基準であります。それは、入札の説明の資料を交付することで十分周知徹底が図られるからであります。説明会に行かなくても、入札の参加資格がなくなってしまうということは、国土交通省の基準ではあり得ません。
 そればかりではなくて、第三欄を見ていただきたい。「書類等提出期限」です。入札書類などの提出期限を制限している。例えばプレハブ施設関係で、入札公告日からわずか二日、三日、あるいは四日後が書類提出期限になっているのは、この表のとおりでございます。これは、予算委員会での建設省の答弁をお聞きになっていたと思いますが、少なくとも建設省の場合は三十日、あるいはそれよりも少し短いという程度であります。この北方四島支援事業については異常に短いわけであります。
 この表でわかりますように、十二件の事業のうち、これらの制限がないのはわずかに二件であります。あと十件はすべて何らかの制限が加えられている。だから入札参加業者が三社とか二社とか、ひどいのは一社ということにもなるわけです。これは、あらかじめ特定業者に受注させる意図があるからこういうことになっていると思います。
 きょう、沖縄北方委員会では、外務大臣、発電施設の入札についても調査をすることを認められたようですが、この十二のすべての北方四島支援事業について調査をして報告すべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
川口国務大臣 総理からは十日以内にというお話をいただいておりまして、私どもとしてはできるだけ多くのものをと思いますけれども、園部参与お一人で書類も精査なさり、ヒアリングもなさりといった形で調査を進めておりますので、おのずから時間的な制約はあるかと思います。
 したがいまして、十日でできるという観点から、これが大事でございますので、時間的な制約を見て、そのうちどこまで入れられるかということは考えたい。というか、園部参与に考えていただく必要があると思います。
松本(善)委員 十日ということで限定されれば、今川口大臣が言われたようなことになると思いますけれども、それで終わりというわけではないはずです。疑惑のあるものは全部調査をしなければならぬ。十日の期限に間に合うかどうかは別として、調査をすべきものであるというふうにお感じになりますか。
川口国務大臣 これは、その後のいろいろな調査の結果も見て、必要であれば調査をしていくということになろうかと思います。
松本(善)委員 それだけでは済まないんですよ。なぜかといいますと、こうした疑惑に鈴木議員が関与をしていたことは十分考えられるわけであるし、関与していたから異常な入札方法をとられたのだろうと思いますが、なぜこういう異常なことが起こるのかということでありますが、これは国の基準と違うわけですよ。
 それで、支援委員会の事務局の会計処理規則というのがありまして、それには「一般競争入札参加資格については、別に定める。」こうなっているんですよ。ところが、それが定められていないんです。それで勝手にできる、どういうふうにでもできるようになっている。だから、鈴木議員のような、ムネオハウスのようなことは起こり得るし、ほかでも起こり得るんです。
 この問題について、支援委員会の会計処理規則十一条の一の第二項というこの規則をやはりきちっと規定どおりに定める、そして、そのためにも全部調査をするということをお約束いただけないでしょうか。
川口国務大臣 今委員がおっしゃられましたその細かい細目が定められているのかいないのか、ちょっと私今確認をいたしておりませんので、それについてはわかりませんけれども、いずれにいたしましても、私は、必要なことは、この北方四島支援について、透明性のある、国民の税金を使わせていただくのにふさわしい仕組みを再構築することであるというふうに考えておりますので、それは改革の一環として進めたいと考えております。
松本(善)委員 これは、ないということは報道もされていますが、欧州局長、ありませんね、確かめますが。知りませんか。知らなかったら知らないと言ってください。(齋藤政府参考人「失礼いたしました、ちょっと」と呼ぶ)さっき言ったんですがね。ちゃんと聞いておいてもらわぬと困るな。支援委員会の会計処理規則十一条の一の二に「一般競争入札参加資格については、別に定める。」とありながら、まだつくっていないという状況であること、そうならそうだと。
齋藤政府参考人 内部規則としては存在してございます。
 なお、先ほど私、「地域の限定」のところで、正確を期すためにと申し上げましたけれども、この国後島緊急避難所兼宿泊施設につきましては、御提示の紙によりますと「根室管内」というふうになってございますが、実際は、北海道内に本社を有する者であって根室管内において施工実績を有するものという趣旨でございます。
松本(善)委員 これはちょっと省略して書いて、もうわかり切っているムネオハウスのことですから、省略して書いただけであります。
 そういうことで、これはやはり全体を徹底的に、この異常な入札状況について調べるべきだと思う。大臣の答弁はそういう方向のものと理解をいたします。
 次の問題は、前佐藤主任分析官と鈴木議員の出張の問題であります。
 佐藤前主任分析官が鈴木議員の外遊に平成八年以降十六回同行しております。旅費の支出は、外務省九回、支援委員会七回ということで、資料にも出してありますけれども、欧州局長、間違いありませんか。この資料の二枚目であります。二枚目の上の表です。間違いないかどうかだけお答えいただきたい。
齋藤政府参考人 佐藤課長補佐は、ロシア、極東、北方四島など、計七回出張してございます。
松本(善)委員 ここに、モスクワとテルアビブは一回とされています。そう書かれています。
 それで、なぜ佐藤前主任分析官がこんなに行かなきゃならぬのか。彼は国際情報局の人物であって、支援委員会の業務に何ら関係がない。なぜ支援委員会が旅費を出して、この佐藤分析官が七回も行かなければならぬのか。どういうわけでしょう。
齋藤政府参考人 この七回の出張は、支援事業の一環として、支援委員会からの要請を受けて出張したものというふうに考えております。
松本(善)委員 支援委員会の要請を受けて、どういう仕事をするのか。私が外務省から聞いたところでありますが、通訳及び現地事情の説明を行うということで、通訳といいますけれども、友好の家、いわゆるムネオハウスの式典セレモニーの出席とか、ここの四番目です、これなんかは外務省の職員が八人も参加をしています。通訳もついている。何も佐藤分析官が行かなければならぬという必要は全くない。支援委員会から要請があったら、丸のみで外務省はそれをさすのか。
 それから、この一番下の欄にありますディーゼル発電施設の完成式典も全く同じです。通訳の必要もありません、行っている人はいっぱいいるわけですから。現地事情の説明を行うというのもおかしいです。式典セレモニーなので、そんなことをする必要が全くありません。
 これは事前に聞いた範囲で聞いたんですが、今の外務省の欧州局長の話では、要請があれば何でも行くのか、調べもしないで。こういうことがやはり乱脈な行政なんですよ。川口大臣、それらの点もお調べになりますか。
川口国務大臣 このあたりも、園部参与の調査の一環としてお調べいただいているのではないかと思います。
松本(善)委員 それから、外務省の職員が北方四島へ非常に頻繁に出張している問題であります。
 資料の三枚目、ごらんになればわかりますが、九六年から二〇〇一年までの六年間に五十七回、参加職員九十九人。特に、九九年度は二十四回です。参加者は四十二人に及ぶ。一度に多数参加をしていますね。
 例えば、九八年の桟橋の目録贈呈式には七名、九九年の友好の家目録贈呈式に九名、同じく友好の家完成式に九名。なぜ九名も参加しなけりゃならぬか。これは外務省のお手盛りで、肝心の発注者の支援委員会からは事務局員が一人参加しているだけです。外務省のお金を使えば目立つから、暗やみにある支援委員会の資金を湯水のように使ったんではないかという疑惑もあります。
 これらの出張回数、出張の必要が本当にあったのかどうかというようなことも厳しく調べなければならないと思いますけれども、外務大臣、そういう点もお調べになりますか。――いや、外務大臣からお聞きします。いや、ちょっと待って、委員長。外務省の今調べていることは、今までの外務省がやっていることがいいのかどうかということなんですよ。それを川口外務大臣がただしていくかどうかということをお聞きしているんですよ。
川口国務大臣 調査につきましては、園部参与が、十日という期限の中で、本当に体力と時間との制約の中で一生懸命やってくださっておりますので、私は、園部参与が具体的にどこの項目について、ただいまおっしゃったようなことについても調査をしていただいているのかどうなのか、ここはもうお任せを申し上げておりますので、何を調査すべきである、あるいは何を調査するべきではないというようなことを申し上げるつもりは一切ございません。
 ということで、園部参与が、先ほどお話しになられたことも含めて御自分でお考えになられて調査をしていただいておりますので、その結果を見たいと考えております。
松本(善)委員 やはり主体は外務大臣ですよ。園部さんはそれは最高裁の裁判官だったかもしれませんけれども、やはり十日以内だったらそれは限界があります。すべてはできないだろうと思うし、行き届かないところはあると思います。だから、それは十日の期限が来たらもう一切やらないということであってはならぬと思うし、やはり外務省に対する国民の疑惑を全部晴らさなければならぬ。
 そういう点でいえば、素人でも、私は、九人も何回も何回も外務省から行く必要はない、それは国民の感情だと思いますよ。その感情を受けとめておやりになるかどうかということを川口大臣に聞いているんですよ。何でもかんでも園部さんといったら、外務大臣要らないですよ。そう思いませんか、その点に関して。
川口国務大臣 調査に外務大臣がどのように具体的にかかわるか、例えば今おっしゃったようなこの項目について調べてくださいというようなことを申し上げるかどうかということについては、松本委員がお考えのような考え方も確かにあると思います。あると思いますが、私は、そういった調査のディテールに外務大臣がかかわるべきではないというふうに考えております。これを調べてくださいと言う可能性もありますけれども、大臣がかかわることによって、これは調べるなというようなことになってしまう、あるいは外から見るとそういうふうに見えてしまうという可能性があると思っております。
 私は、いずれにしても、この園部参与の調査につきましては全面的に外務省として協力をするべきであるというふうに思っておりまして、園部参与にはそういうふうに申し上げてあります。何か問題があれば、不都合があれば、常に私に言ってきてほしいということも申し上げております。したがいまして、その調査自体には全面的に協力するということでやらせていただいておりますけれども、調査の細かい事柄について園部さんのお考えにどうこう言うということは、今の時点ですべきではないというふうに考えております。
 その上で、十日の期限が終わった後で、もし必要なことがあるという判断があるようでしたら、それはまた、時間の制約もあることですから、それはやることはやらなければいけないと思っておりますけれども、とにかく申し上げていることは、全面的に調査をしてくださいということでございます。
松本(善)委員 大臣、こんなにたくさん行くことはないんじゃないかぐらいのことも感じませんか、あなたは。――大臣にお聞きしています。こんなにたくさん行く必要がないんじゃないかというようなことさえ感じませんか。
川口国務大臣 実は私は、この中に盛り込まれているある案件について同じような質問を発したことがあります。そのときの答えは、ここは北方四島でございまして、ニューヨークで仕事をするというのとは話が違うということでございまして、現地の受け入れ体制なり、あるいは現地の問題、あるいはそこで全部、現地に例えば大使館があって、あるいは総領事館があって対応してくれるという情勢では全くないということを聞きまして、私は、そういうことだろうと思いました。
松本(善)委員 外務大臣御存じないのかどうかわかりませんが、私、外務省からとりました「園部外務省参与による調査」という文書によりますと、小泉総理の指示に基づいて園部外務省参与は以下の調査を行い、十日以内に報告書を取りまとめることになっている。北方四島住民支援に関する事実関係、案件選定、入札手続、支払い等の確認。その下には、国後島緊急避難所兼宿泊施設、その他国後島桟橋改修工事、自航式はしけ希望丸、友好丸等と、等ということまでついています。それから、ODAに関する事実関係の調査、ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所、タンザニアのキマンドル中学校に係る案件(ムネオ・ホール)。
 これをやるとしたら十日ではできないと思うけれども、しかし、そうだということで外務省から文書が来ている。それを外務大臣も知らないということは、私はそういうことがやはりだめなんだと思います。それで外務大臣、やはり、おかしいと思うところはどんどん園部さんに言って調べさせないと。それが外務大臣の主体性だと私は思います。
 そのことを申し上げた上で、鈴木さんの出張についてお聞きをします。
 この資料では二枚目の下にありますが、十年六月二十三日から二十六日まで、電力事情予備調査、桟橋目録贈呈の目的で出張しておりますが、やはり外務省から聞いたのですが、電力事情調査についての鈴木さんは顧問になっていると。この電力事情調査について行かれたのは、顧問として行かれたんですか、お答えをいただきたい。これは欧州局長でいいでしょう。
齋藤政府参考人 当時、そのような取り扱いをしたことがあるかもしれません。
松本(善)委員 顧問になっているというのは大変重大でありまして、支援委員会の規則によりますと、支援委員会事務局の専門家等旅費規則というのがあります。それによりますと、専門家には、事務局が調査業務または講座実施等のため海外へ派遣する、そういうときには旅費を支給するとなっていますが、鈴木議員のような専門家でもない、これが、そういう顧問というものがつくられて、そして旅費が支給をされて行っている。これも私はおかしいと思いますよ。そういうようなことを大臣はおかしいとお思いになりませんか。
川口国務大臣 今のことにお答えをする前に、先ほど委員がおっしゃられたことで、私が申し上げたことを若干誤解していらっしゃるのではないかと思いましたので、まずそれを申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほど委員がおっしゃられた、外務省の出したという、何を調査しているかという紙、これについて大臣が知らないのは問題であるというふうにおっしゃいましたけれども、これは私はきちんと見ておりまして、これでやるということを決めたのは私でございますが、私がお任せをしていると申し上げたのは、例えば、先ほど委員がおっしゃったような、ある出張について何人行くのが多かったとか、そういう細かいことを調べるということについては園部参与にお任せをしている、そういう意味で申し上げたということでございますので、誤解がないようにお願いを申し上げたいと思います。
 それから、今の御質問の、鈴木議員が顧問になるのがふさわしいかどうかということでございますけれども、私は、鈴木議員のこの問題についての、あるいはここについてのかかわり合い方に応じて顧問になっていただく場合もあるかと思いますけれども、いずれにしても、そのあたりは、園部参与が今調べていただく結果を拝見してというふうに思っております。
松本(善)委員 きょう午前の沖縄北方委員会でも、発電施設の入札が不透明だということで質疑が他の議員からありまして、外務大臣は調査中だとおっしゃった。やはり御存じだったということですけれども、それなら、先ほどからの私どもの質問に対して、これは園部さんにやってもらっている範囲だということをお答えになればいいと私は思います。
 それから、欧州局長に確かめますが、鈴木議員はそのほか三回、支援委員会の負担で行っていると思いますが、それは間違いありませんか。
齋藤政府参考人 そのとおりだと承知しております。
松本(善)委員 それから、私は、顧問になることはあり得ると言いますけれども、こういうような立場になっているから、いろいろな北方四島の問題についての、鈴木議員のいわゆる行政をねじ曲げているという問題が起こるんだと思う。それを川口大臣が、これはそういうこともあるんだということではいかぬと私は思うんですね。何でこういうことになったか、それが相当だったかどうかということを調べなきゃならぬ、そうでなければならぬというふうに思います。
 それで、外務省はこれで一応終わりましょう、会計検査院。
 これだけいろいろな疑惑のある北方四島の支援事業というのが行われているわけですが、会計検査院はこの問題についてこれから検査をしますか。
石野会計検査院当局者 検査院では、外務省の検査に当たりましては、その予算額が多額に上り、かつ国民の関心の高いODAというものにつきまして、発展途上国を中心に順次検査してきているという状況でございます。
 お話の支援委員会の北方四島人道支援事業ということでございますが、これも他の多くのODA案件と同様に、外務本省におきまする実地検査の際に、その事業の進め方といったことについての説明を受けているというところでございます。これまでのところでは、支援委員会は多国間の協定により設立されたものであるということもございますので、直接検査したという実績はございません。
 ただ、今後、御指摘の点はございますので、支援委員会での実施事業についてどういった検査を行っていくかということは検討してまいりたいというふうに考えております。
松本(善)委員 九三年から今まで行われているわけですが、この間一度もそれに関する報告が出ていませんが、検査をしたことがありますか、北方四島の支援事業について。
石野会計検査院当局者 今申し上げましたとおりで、そういった外務本省の実地検査の際に内容ということについては説明を受けておるということでございますが、支援委員会に直接赴いて検査したということはございませんということでございます。
松本(善)委員 これは、会計検査院の存在意義も問われるような問題だと私は思います。ODAについては毎年やっているんだから。それをほったらかしにしていた、事件が起こってから取りかかるというのでは、やはり会計検査院は相当厳しく反省をしなきゃならぬのじゃないかということを指摘して、法務省刑事局長に聞きます。
 時間が余りありませんので的確に答えてほしいんですけれども、今問題になっていることは、ムネオハウスもそうですが、いずれにしても、入札の形をとりながら制限条項をつくるとか何かをして、特定の企業にしか受注できないようにする、これは入札の公正を害するということになるのではないかと思いますが、いかがですか。
古田政府参考人 ただいまのお尋ねは、個別の案件についてということではないと理解しておりますが、一般論と考えます。
 委員御案内のとおり、競売入札妨害罪は、競売または入札におきます正当な判断を誤らせるような術策、つまり偽計でございますが、あるいは人の意思の自由を制圧するような手段、威力でございます、こういうものを用いて公の入札の公正を害する、これが犯罪とされているわけでございます。
 そこで、問題は、ある特定の行為がこういう偽計あるいは威力に当たるか、こういうことになっていくわけでございますけれども、率直に申し上げまして、それは、当該特定の行為が具体的にどういうものであるのか、そういう事実関係と非常に密接に関連することでございますので、一概に申し上げることはできないということを御理解いただきたいと思います。
松本(善)委員 では、もう一つ。適正な事業費積算よりも水増しされている、適正な価格よりは水増しして入札がやられた。これは、事実が明らかになれば入札の公正を害することは明白で、談合罪になるんじゃないかというふうに思いますが、これも一般論として聞きます。公正な価格に水増しをして、それで入札をした。
古田政府参考人 これまた、適正な価格に水増しをするということが具体的にどういうことなのか、ややわかりにくいところもあるところでございまして、承知しております限りは、通常、入札は最低落札価格と最高入札価格、この範囲で最も低い値段で決めるということになっていると思うわけでございます。
 したがいまして、その範囲の価格について、それが適正ではないというようなことというのは、場合によってはそれはあり得るのかもしれませんが、これも事実関係で、そういう価格がどういうふうにして決められたかということによることになろうかと思います。
松本(善)委員 普通は考えられないことですけれども、この件では内部資料でそういうことがありますので、一般論として聞きました。
 もう一つだけ聞きますが、談合だとか、そういう入札の公正を害する行為、刑法九十六条の三ですが、これに該当する行為をした者が、それによって利益を得たから者から対価として献金を受けた場合、これは加重収賄罪になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
古田政府参考人 これまた一般論というふうに理解をいたしますが、ただいまお尋ねの前提として、その対価を受け取ったというのは、恐らく公務員という前提でお尋ねがあるんだろうと思いますが、わいろ罪が成立するためには、公務員がその職務に関してわいろを受け取らなければならない、こういうことでございますので、ある特定のケースがそれに該当するかどうか、これまた、やはり事実関係のいかんによるとしか申し上げようがないわけでございます。
松本(善)委員 権限があればそうだということですね。
 もう一つだけ聞いて終わります。
 これを隠ぺいする、これが表ざたになることをしないようにする、しかも文書は秘匿するというような実態があるんですが、一般論として、そういう談合などを隠そうとしたというのは証拠隠滅罪に当たりますか。
古田政府参考人 いわゆる証憑隠滅罪につきましては、他人の刑事事件であるということを認識しながら、その証拠を隠したり、あるいは証拠を偽造したりするということが犯罪になるわけでございまして、それに当たるような行為かどうかということも、やはりこれは事実関係のいかんによるとしか申し上げようがないところです。
松本(善)委員 終わりますが、外務大臣、一言申し上げておきますが、これは鈴木さんだけじゃなくて、外務省自身も疑惑をかけられているケースだ。だから、やはりその疑惑を晴らすためにしっかりとやらなければならないんじゃないか。場合によっては、犯罪になる場合もあるということを申し上げて、終わりにしたいと思います。
吉田委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 川口大臣も御苦労さまでございます。朝から沖北、外務委員会と、本当にかけ持ちで大変ですが、あと、私が最後ですから、よろしくお願いいたします。
 まず第一問ですけれども、前回も、二月の二十一日、予算委員会でお伺いいたしました同じ質問をさせていただきます。
 沖縄の現状についての大臣の御認識をお伺いいたします。
川口国務大臣 沖縄には在日米軍施設・区域が集中をしている、日本の七五%が沖縄に集中をしているということがございまして、沖縄県の皆様には多大な御負担をおかけしていると私は思います。これは、SACOの最終報告の着実な実施等を通じまして、軽減に努めなければいけないと考えております。
東門委員 前回とほぼ一緒の御意見なんですが、SACOの最終合意の実施ということが沖縄県民の負担の軽減にかなりつながるというふうに大臣が御認識しておられるのでしょうか。その点もお聞かせください。
川口国務大臣 負担の軽減につながるというふうに認識をいたしております。
 例えば、私が知っております範囲では、沖縄に米軍の施設・区域があるという中で、SACOの実施後はこれが約二〇%分、面積にしまして五千ヘクタール余り返還をされるということでございます。例えばそういうことで、少し御負担が軽くなる結果は生むと思っております。
東門委員 確かに面積の面では少し小さくなります。二〇%ではなくて五%ぐらいですね。約七〇%はそのまま残る。それが今の計画では辺野古の方につくられる、そうすると必ずしも二〇%ではないかもしれません、大きさによりましては。そういうことをぜひわかっていただきたいと思いまして、同じ質問をいたしました。
 けさの大臣のごあいさつの中で、外交に取り組んでいく姿勢ということで、国益を守る強靱な外交を行いたいとおっしゃっておられましたけれども、大臣がおっしゃる日本の国益というのは何でしょうか。
川口国務大臣 これは大変に難しい御質問といいますか、単純にお答えするのが難しい御質問だと思います。
 国益が何かというのは、その時々の問題、事案によって異なるというふうに思います。一般的に言えば、もちろん、外務省の関係するところですと、日本国民の平和と安全ということで、これが非常に大事なことだと思いますけれども、政府が政策をつくっていく過程では、いろいろな状況についての、あるいはいろいろな事案についての政策があるわけでございまして、それが、どういうことが国益につながるのか、短期的にはどうなのか、長期的にはどうなのか、日本の一部の方にとってはどうなのか、全体にとってはどうなのか、いろいろな国益についての考え方があると思いますので、一概にこれが国益でございますということは非常にお答えが難しいと思います。
東門委員 私がお聞きしているものは、どなたの国益がどうかは聞いていません。大臣がおっしゃったんです、けさ。日本の国益を守る強靱な外交を行うとおっしゃったので、大臣御自身が見ておられる日本の国益というのは何ですかとお聞きしているということです。
川口国務大臣 まさに今申し上げたことでございまして、国益はAである、国益はBである、さまざまな事案がありますので、それぞれによって、これが国益である、こちらの話について言えば、こちらの問題に言えばこれが国益である、それはケースごとによって違います。基本的に、日本の平和と安全を守る、国民の生命を守るということが非常に重要だと思っております。
東門委員 大臣はそういうふうに思っておられると、今伺いました。私の方からは、国益とは余り使わない言葉なんですが、やはり国民の生活、基本的人権の尊重を確保するということかなと実は思っておりました。大臣からはそれが出てこなかったんですが。
 そういう中で、それでは国益と沖縄との関係についてどういうふうに見ておられるか、お聞かせください。
川口国務大臣 これも、どういう沖縄の側面についてお考えになっていらっしゃるかということで、一概にお答えをするのは非常に難しいと思います。
 例えば、私が環境大臣のときに携わっておりました沖縄の自然あるいは生物の多様性を守るということからいいますと、これを守るということが、沖縄にとってももちろん必要なことでございますけれども、これは私は国益だと思っております。
 したがいまして、いろいろな側面が、いろいろな事案が沖縄との関係でもございますので、具体的に何が国益かということが、まさに政策をつくっていく段階での基本的な、何が守るべき価値なのかということで考える問題だと思いますので、具体的な問題について、これもまたさまざまな立場が、意見の違いがありますから、そういうことを議論し合って、その結果、国としてこの政策をとるのがいいということで出てきて、そこで守られるのが国益だ、結果的にはそういうことだと思います。
東門委員 具体的な側面とおっしゃったので、では申し上げます。
 沖縄県民は、戦後五十七年、本当にこの長きにわたる五十七年間、そして復帰後三十年にわたって、先ほど大臣もおっしゃった、余りにも過重な日米安保政策を維持するための負担を強いられております。余りにも過重、現在七五%です。それがずっと続いているわけですね。そして、それがSACOの最終合意の実施で七〇%に減るかもしれません。まだわかりません。そう言われております。
 そういう中で、米軍軍属による事件、それも昨今増加傾向にあります。暴行、放火、強盗、器物損壊など、本当に頻繁に起こっております。航空機騒音、山林火災、そういう演習による被害、それも日常の風景である。
 そういう沖縄から、私は、大臣が言う国益というのは何ですか、その側面から見た場合、どういうふうにお答えになられるか、お聞きしたいと思います。
川口国務大臣 最初の御質問で申し上げましたように、沖縄に在日米軍の施設・区域が集中をしていて、そのことによって沖縄県の方々に多大な御負担をおかけしているということは、まさに私もそう思っているわけでございます。
 その上で、その御負担を減らすために何ができるかということが大事なわけでございまして、これは繰り返しになりますけれども、SACOの最終報告を着実に実行していくことであり、または、地位協定について運用の改善を極力図り、その効果が十分でない場合には改正も視野に入れていくということであり、あるいは、広く世界の国際情勢についてそれがいい方向に向かうようにあらゆる外交努力を尽くすことである、さまざまなことがこれに入ってくると思います。
東門委員 それでは、ちょっと質問を変えます。後でまた戻りたいと思いますが。
 地位協定についても、この間お尋ねしました。あれはたしか二十一日でしたので、もうこれまでにはきっと全文お読みになっておられると思いますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 あのとき、地位協定について全部読んだかという御質問があって、私としては、まだ読んでいないけれどもできるだけ早くというふうに申し上げましたけれども、それ以降ほぼ毎日、言いわけをするわけではございませんけれども、委員会、国会ですとかあるいは改革関係のことですとか、私、時間をとられておりまして、協定の全文は読んでおりませんけれども、それぞれの項目がどういうことについて、それぞれの条文が何についての条文であるかというところまでの勉強はいたしました。
東門委員 多分全部お読みになっていると私は思っておりました。前回も通告をしてありましたし、今回もしっかり日米地位協定について聞きたいと通告をしてありましたので、もう既に全部お読みになっておられると思っておりましたが、しかし、今のお話の中から、項目については大体わかっておられるということですので、それを通してお聞きしたいと思います。
 地位協定、その項目をいろいろごらんになって、それは対等、平等の日米関係に基づく協定と受け取られますか。受け取れると思いますか。
川口国務大臣 地位協定というのは、ほかの国においても同じようなことが存在をしているというふうに思っておりまして、これは、安保条約に基づいて、在日米軍の円滑な活動を確保するために、米軍の地位についてさまざまなことを規定しているものだと私は理解をいたしておりますけれども、アメリカと韓国、それからアメリカと豪州、あるいはNATO諸国との間では同じような協定があって、相当程度共通をしているというふうに考えております。
 私は、この日米の地位協定が日本にとって他国と比べて不利な規定ぶりになっているとは考えておりませんけれども、いずれにしても、実際にどういうふうに運用されているかということも考える必要がありまして、一概に議論をしていくということは難しいというふうに思っております。
東門委員 私がお尋ねしたのは、他国とどうのこうのじゃないんです。これは、日米地位協定について私はお尋ねしているんですよ。韓米は聞いていません。あるいはドイツとのことも全然聞いておりません。日米地位協定を、実際私たち日本はそれを使っているわけですね。それは対等、平等の日米関係に基づく協定だとお思いですか、内容に不平等あるいは不公平さを感じる部分はありませんかということをお聞きしているんであって、他の国の協定とは比較してほしくありません。
川口国務大臣 何をもって対等と言うかということも、非常にこれは難しい判断だと私は思っております。いろいろな、総合的にこれは考えなければいけないということだと思います。
 私が何でほかの国との例をお話し申し上げたかといいますと、おのずからそういったものの相場観というものがあって、それは一概に比較するのは難しいけれども、そういうことで特に日米の間の地位協定が問題であるという、ほかとの比較において相当共通をしているということでありますし、不利な規定ぶりにはなっていないということで、それは一つのメルクマールと考えてよろしいのではないか、そういう意味でほかの国との比較を申し上げたわけでございまして、それだけで平等か不平等かということについて一概にお話をすることは難しいと思います。
 ただ、再三再四、これは歴代の外務大臣が申し上げていると思いますけれども、その時々、いろいろな問題がありますから、これについては運用の改善によって機微な問題に機敏に対応していくことが合理的であるというふうに思っておりまして、これは今までも運用の改善に努力をしてきたところでございますし、私もこれについては運用の改善に努力をしたいと考えておりますし、さらに、この前申し上げましたように、これが十分に効果的でない場合には、これは日本だけで決められる話ではありませんけれども、相手がある話ではございますけれども、地位協定の改正も視野に入れていくことになるだろうと考えております。
東門委員 大臣のお話をお伺いしていますと、やはり大臣、まだ地位協定の本当のことはわかっておられないかと思います。地位協定が私たちの生活にどれくらいの影響を持っているかということをぜひわかっていただきたいと思うんですよ。これがあるために私たちがどういうことを強いられているかということ、特に沖縄県ではこれは顕著です。もちろん、よその県にも基地があるところはございます。同じような問題は抱えていると思います。しかし、圧倒的に集中している沖縄県。それで、私たち県民の生活というのは、本当に感じないで暮らせる日はないんです。ただ地位協定は相手があることなのでということで済まされるものではないんです。
 ですから、これまでも何度も私、ここでだけでもないんですよ。沖縄県から、県知事を筆頭に与野党の県議会議員一致してそれは決議をする、あるいは市町村からそういう決議が上がってくる。ぜひ見直しをしていただきたいと何度も上がっているんです。そういうことをやはり聞いていただきたい、聞く耳を持ってほしいという思いもあるものですから、毎回取り上げていかなければいけない。
 日米の安保体制と、いつも大事だとおっしゃいますが、私は安保体制がどうのこうのと申し上げる気はありません。しかし、それで地位協定はあるわけですね。そのために地位協定はちゃんとつくられてあるわけです。地位協定が不平等かどうかと言えないとおっしゃいましたけれども、本当に治外法権になっていて、そこからいろいろな事件、事故が発生しても、立ち入ることもできない。環境大臣であられたから、それもよくおわかりだと思います。環境条項も全然入っていません。
 そういうものが何か、いや、運用の改善でできるというふうにおっしゃるんですけれども、できないから協定の改定をしてくださいとお願いをしているんですよ。そのたびに合同委員会で協議をしてとおっしゃいますけれども、合同委員会の合意議事録はほとんど公表されません、ごくごく一部を除いては。どういうことがそこで議論をされて、国民のために本当に外務省が動いているかというのが見えないんですよ。それを見せていただきたいから常に申し上げているんです。ぜひわかっていただきたいと思います。ただ運用の改善でというお話は、本当に余り簡単にはおっしゃっていただきたくないなという思いを持って今申し上げました。
 また、地位協定の問題は毎度、私は委員会のたびに取り上げさせていただきますけれども、大臣には本当に協定をしっかり読んでいただいて、申しわけありません、そういう言い方をするのは。でも、地位協定が国民の生活に、特に基地を抱える市町村の、県民の生活にどれぐらいの影響を及ぼすかということもわかっていただきたいと思います。
 次に、辺野古への、環境大臣のころから辺野古ということはお聞きになっていたと思いますが、そこについてお伺いしたいと思います。
 辺野古の海は大変豊かで、本当に美しいと私も思います。私の住んでいるところからかなり遠い、北部の方にありますが、そこはジュゴンの住む海と象徴的に言われておりますけれども、そこで暮らす人々にとっても生活あるいは文化の源になっております。環境大臣としてごらんになったことはないかもしれません。しかし、お話は聞かれていると思います。
 そういうふうに思ってきた辺野古、その辺野古と今は外務大臣として向き合っていかなきゃいけないと思うんですが、それについて、外務大臣はどういうふうに思っておられるのか。ジュゴンのえさとなる藻場の重要性、環境の大切さを踏まえて、今、普天間代替施設の移設先候補として注目されております辺野古への外務大臣の、どういうふうに見ておられるかということをお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 辺野古につきましては、私も環境大臣のときからずっと関心を持ってまいりましたし、私は環境大臣として、環境問題が議論されますときに、協議会に出席をさせていただきまして意見を述べさせていただいてきておりました。環境影響評価を適切にやって環境への影響を最小限にするようにしなければならない、そのために適切な対策をとる必要があるということで申し上げてきたわけでございます。
 外務大臣といたしましても、私は環境の問題については引き続き関心を持っていきたいと思っておりますけれども、この代替施設の建設につきましては、これは先般、基本計画を策定するということが決定になりましたし、閣議決定が平成十一年にございまして、これによりますと、環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限にするための適切な対策を講ずる、自然環境に著しい影響を及ぼさないように最大限の努力を行うということ等書かれておりますので、私としても、この閣議決定をきちんと守っていきたいと考えております。
東門委員 十五年問題についてお伺いいたします。
 大臣、今回、外務大臣に任命されるに当たりまして、小泉首相から、十五年問題はやってほしいという指示はありましたでしょうか。
川口国務大臣 小泉総理から、外務大臣になることを依頼されましたときに、大きなお話はございましたけれども、個別の問題について、あるいは個別の事案について、特にこれにはこうしてほしいというレベルでのお話は特にございませんでした。
東門委員 個別でなければ、では大きなことで、沖縄問題について、何かこういうことをやってほしいとか、あるいは沖縄問題についてはどうしてほしいというようなお話はありましたでしょうか。――済みません、沖縄問題ではなく、沖縄の基地の問題です。
川口国務大臣 沖縄の基地というレベルについて細かくお話を伺ったわけではございませんけれども、今までの、私の前の方々の行っていらした外交を踏まえてきちんとやるようにというお話はございました。
東門委員 それでは、特に沖縄の米軍基地についてどうという御指示はなかったということですね。大臣、済みません、もう一度お願いします。確認だけです。
川口国務大臣 ある仕事を依頼されるときに、その時点ですべて細かいお話、そこまで細かいお話というのは通常ないということだろうと思います。
東門委員 何度もお伺いするようですけれども、その基地の使用期限問題の解決なくしては、現知事の稲嶺さんあるいは名護市長の、この間再選されました名護市長、そのお二人の公約も果たせないと思うのです。知事は、常におっしゃっているのが、着工前までには政府から何らかの方向性が示されなければならないと思うというような発言をしておられます。
 そういう意味で、十五年使用期限というのは、決して小さなことではなくて、これは私たちにとってはとても大きなことなんですね。新たな基地ができるということなんですよ。SACO合意から本当に五年以上過ぎております。土地の返還については、大部分が県内移設を前提としている。そして、実際に返還が実現したのは安波訓練場のみです。小泉首相の基地問題に対する熱意が、私たち沖縄県民には全然感じられません。日米トップの判断なくして問題は解決しないと思います。
 そういう意味で、私は、今回、外交の責任者として外務大臣に就任された川口大臣から、小泉総理に、そういう件についてぜひ提言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 小泉総理は、私が提言を申し上げるまでもなく、よくおわかりでいらっしゃると思います。
東門委員 先週の予算委員会での私の質問、同じような質問をしたときに大臣は、今後とも、平成十一年末の閣議決定に従いまして、適切に対処したいと考えておりますという御答弁がございました。
 この閣議決定では、「沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め」となっております。この「重く受け止め」という意味を大臣はどのように認識しておられるか。重く受けとめるとしている以上、この問題に何の道筋もつけないまま飛行場建設に着工するようなことは絶対に私はあり得ないと考えるべきだと思いますが、どうでしょうか。
川口国務大臣 まさに、この普天間飛行場代替施設の使用期限の問題につきましては、政府といたしましては、平成十一年末の閣議決定にございますように、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を持っておりますけれども、おっしゃったように、沖縄県知事及び名護市長からの要請があったことを重く受けとめ、これを米国政府との話し合いの中で取り上げてきたところでございまして、今後とも、平成十一年末の閣議決定に従い、適切に対処をしてまいる考えでございます。
 ということでございますので、先ほど「重く受け止め」ということの意味という御質問ございましたけども、先般、日米外務大臣会談の折にも、これについてお話をさせていただいたところでございます。
東門委員 今お話のありました外相会談のことですけれども、そのときには、たしか大臣は、地位協定の運用改善について、日米合同委員会の下部組織で協議が進む刑事裁判手続の問題について早期決着を図ることで一致しとおっしゃったかなと思います。そして、環境問題にも十分な注意を払うようパウエル長官に申し入れたということだったと思いますが、そうですか。今、そのパウエル長官との会談のことでしたので、済みません、ちょっと飛びましたけれども。
川口国務大臣 おっしゃったとおりのことでございます。
 刑事裁判の手続につきましては、この協議の決着が必要であり、また、環境問題について十分な注意を払い、個別の問題に関し緊密に協議をしていくということで意見の一致を見ているところでございます。
東門委員 環境問題に十分な注意を払うというところに私は注目したいと思うのですが、本当に環境問題というのは大きな問題になっております。
 今回、辺野古につくられる予定の飛行場、それも本当に環境破壊ですね。環境破壊という立場になっちゃうんですよ。それは海の生態系に大きな影響を及ぼしますし、ある意味では、日本の海域の中からジュゴンが絶滅してしまうかもしれない。そういうところにあるということ、そういう立場から、私は、環境問題に十分な注意を払うというところをぜひこれからの協議の中で強調していっていただきたいと思います。
 次に、北谷町の返還跡地からのドラム缶の発見について、嶋口防衛施設庁長官もおいでになっておりますので、一、二点質問させていただきます。
 沖縄は、本当に次から次、いろいろな事件が起こっております、あるいはいろいろなのが出てきておるということをお伝えしたいのですが、一月二十九日に、北谷町の美浜でコールタール入りの大量のドラム缶が発見されました。店舗をつくるために、基礎工事をするために掘っていたら、そこから出てきたんですよ。何と百四十六本というドラム缶です。それがもう一カ月にもなるわけですけれども、その間、この一カ月の間に、防衛施設庁は、事実それを片づけたというのも知っていますし、あるいは一カ所に保管しているということも知っておりますが、長官、それは原因者は特定されたのでしょうか。原因者が米軍であるかどうか、原因者がだれか、いつまでに、何を根拠に、だれが判断するのかということでお聞かせいただきたいと思います。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 一月二十九日にドラム缶が発見されたという報告を受けましたので、私は、直ちに部内の調査、当時の記録、それから米軍にも照会する。何分にもキャンプ瑞慶覧返還跡地ですから、やはり私も、そういう立場で調査すべきだろう。早速調査に着手しました。
 しかしながら、返還されたのは二十年前でございまして、なかなか記録も見つからない。米側の方も、せかしているんですけれども、記録がない。私どもも、関係者、資料と同時に職員にも聞いて、どういうふうな状況で返還されたか調べていますけれども、いまだわかりません。ただ、そういうことにかまけていますと、処理の方がおくれてしまう。もう何よりもあのドラム缶を早く処理するのが大事だろうと。
 他方において、どんな物質かわからない。今先生コールタールと言いましたけれども、実は、県の方の調査は、有害物質が入っているかどうかということで調査していただきました。県の方も急いでほしいと私は申し入れました。その結果、有害物質は入っていないと。でも、この調査は、実は有害物質があるかどうかという調査でございまして、どんなものかという調査はしていません。まだわかりません。
 それもありますが、並行して今後もやっていきますけれども、ああいうところから出た以上、また大量の、百四十六本出た以上、これはやはり米軍の可能性が高いな、そういう蓋然性のもとに、一刻も早く処理するということで、今、北谷町、県、協力して、この処理について最終的な取り組みを行っているという状況でございます。
東門委員 確かに長官おっしゃるように、一九八一年に返還された射爆場跡地であると私も聞いております。二十年以上も前に返還された施設・区域ですから、その汚染物質の除去、あるいは原状回復、あるいは地主や使用者への被害補償など、これはどうなるんでしょうか。国が行うのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
嶋口政府参考人 その法的な問題について言いますと、やはり、だれが原因者なのかということを特定しない限り、法的に正解はなかなか出ないと思います。ただ、それにかまけていますと時間がかかると思います。とにかく、それを置いておいて処理しよう、それで私どもが積極的に前へ出て処理いたしましょうと。あとは今後の調査を待って、見ながら、法的な問題を処理していけばいいということで今対応しているところでございます。
東門委員 私は、今後ともこのような事例が起こることは予想されると思います。あれだけの広大な基地があるわけですから。その都度、今回のように時間がかかるのかなと不安もあります。対症療法では、県民あるいは地主への影響、あるいは、被害が甚大で町づくりに不安がつきまとうということになってまいります。
 これは、今原因者は特定できないということですが、米軍が使用した施設・区域であることは間違いありませんから、その施設の返還に当たっては、事前に日米両政府が共同調査を行って、調査の結果、汚染物等が確認された場合、その除去、浄化などを政府の責任で行う、あるいは米国にもその負担を義務づけるようにするとか、そういう意味で地位協定を改定する必要もあるのではないかと申し上げておりますけれども、川口大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 私が理解をいたしておりますところでは、例えば土地に新たな汚染等が発見をされたということであった場合に、米軍の使用に起因するものであれば、原状回復義務の履行という観点で、国の責任において対処をするということであると理解をいたしております。
 それで、北谷町におけるこの事案につきましては、原因者が特定できない場合であったとしましても、政府として、沖縄県それから北谷町等と調整をしながら、早期に適切に対応すべく検討してまいりたいと考えております。
 地位協定については、その時々の問題について運用の改善によりまして機敏に対応することが合理的であるという考え方のもとで、運用の改善に努力をしているところでございます。
東門委員 私が申し上げておりますのは、確かに今回の事例はそうです。しかし、これからもこういう問題は起こり得ることなんですよ。そのたびに、一つ一つ今のように時間がかかってやるのですか。そうではなくて、しっかりと地位協定を見直して、そこに条文として明文化していれば、そんな、原因者がどうのこうのとか、とにかく、日本政府とアメリカが一緒になって共同で調査をする、そして、どちらが原状回復、まあ日本政府かもしれません、原状回復のその義務を負うという形で明文化することが必要ではないですかということなんです。その都度運用の改善を速やかにと言っても、結構時間がかかっているということを申し上げているんですよ。お願いします。――いやいや、今大臣です。この件については大臣です。地位協定の改定ですから。
川口国務大臣 私が理解をしておりますのは、日米地位協定の四条の一項において、米側が施設・区域の返還に際して、これを提供されたときの状態に回復をする、また、その回復のかわりに日本に対して補償する義務を負わないという規定があるというふうに聞いております。
 ということでございまして、その後、引き渡しの際に想定されなかった新しい問題が発見された場合でも、これが米軍の使用に起因するというものであれば、原状回復義務の履行という点で、国の責任において対処するのは当然であるということで整理ができていると考えます。
東門委員 今おっしゃったのは返還時にということで、返還後に今回見つかったわけですね。こういう事例があり得ますよということを申し上げているんです。こういう事例がこれからも出てくると思います。出てこないという保証はどこにもないと思います。これだけたくさんの基地があるわけです、施設・区域があるわけですから、そういうことをお話ししているわけです。
 ぜひ、そういう問題をしっかりととらえていただいて、本当に地位協定は今のように運用の改善だけでいいのだろうかということを、大臣が、これは大臣がかわられたときに、北米局ともしっかりと勉強会等持っていただいて、その件についてもアメリカに強く言って当たっていけるような、そういうシステムをつくっていただきたいと私は思います。
 対等なパートナーであると言われます。それにしては、どなたからも出てくる言葉ですけれども、外務省は常にアメリカの方ばかりを見ているのではないか、国民に目を向けているんではなくて、アメリカの方ばかりを向いている、アメリカ追随だと。先ほど私がお聞きしました国益というのもそこに入るんですけれども、沖縄県民がどんなにお願いをしても、整理縮小と口では言ってきますけれども、そういうところには実際に動いていかないんですよ。整理縮小だけではないということ、私たちが本当に望んでいるのは基地のない沖縄だということを踏まえていただきたい。
 私たちも、沖縄県も四十七都道府県の一県ですから、国民として、前回大臣は、それは沖縄の問題ではなくて日本国全体の問題だとおっしゃいました。そうであれば、本当にその視点で、言葉だけではなくて、どうすればそこに持っていけるかということを、対米交渉なさるのは外務省です。外務大臣がその先頭なんですよ。ぜひそこに立っていただいて、アメリカに対してはしっかり物申すと。もちろん相手があることです。私もそれはよくわかります。交渉事には常に相手があります。でも、相手のことばかりを考えて、では、ここはいいかというと、決してそうではない。
 私は、今の状況でしたら、何かあれば沖縄県民は本当に黙っていない。いつも稲嶺知事はおっしゃっています、マグマがたまっていると。そういう状況にあると思います。そういう状況がそのまま置いておかれるということは、決していい状況ではないということを強く申し上げたいと思います。
 私、川口大臣とは本当に初めてなんですが、これまでも何度も申し上げてきました。外務省の姿勢、沖縄からは全然見えません。恐らく国民だれも見えないのではないかと思います。皆さんは、一生懸命お仕事なさっていると、それはそうおっしゃると思いますし、そうかもしれません。でも、それが、やはり私たちはこのようにここまでやっていますよということを見せる、それも必要ではないかと思います。そうすれば、喜んで後押しもします。
 今のままだと、私なんかは本当に、外務省は本当に外務省なんだろうかと。外国のこと、ただアメリカの言うことを聞くだけ。あるいは、在外公館の、そういう問題はいろいろありましょう。外務省の皆さん、海外にも出ておられます。そういう中で、外務省として機能しているのかなという気持ちが強くなるんですよ。どっちかといえば、社交あるいは儀典省みたいなものになっているのではないか。もっとしゃきっと、外交をしっかりやってほしいと思います。国益を守る強靱な外交と、それを、言葉でおっしゃったものを実践していただきたいと思います。
 私たち、本当に沖縄県の県民の思い、百三十三万の県民の思いをぜひ聞き届けていただきたい。そして、決して今、全部撤去とは申し上げておりません、整理縮小、そして新たな基地の建設、そういうものはしっかりと見直していただきたいということも含めまして、ちょっと時間が過ぎましたので終わります。
 ありがとうございました。
吉田委員長 本日の質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせいたします。本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十一分散会


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