衆議院

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第5号 平成14年3月26日(火曜日)

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平成十四年三月二十六日(火曜日)
    午前十時十四分開議
 出席委員
   委員長 吉田 公一君
   理事 浅野 勝人君 理事 石破  茂君
   理事 小島 敏男君 理事 坂井 隆憲君
   理事 首藤 信彦君 理事 中川 正春君
   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君
      今村 雅弘君    小西  理君
      高村 正彦君    左藤  章君
      佐藤  勉君    中本 太衛君
      丹羽 雄哉君    原田 義昭君
      細田 博之君    水野 賢一君
      宮澤 洋一君    望月 義夫君
      伊藤 英成君    木下  厚君
      桑原  豊君    長妻  昭君
      前田 雄吉君    赤羽 一嘉君
      松本 善明君    東門美津子君
      松浪健四郎君    鹿野 道彦君
      柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   外務大臣政務官      松浪健四郎君
   外務大臣政務官      水野 賢一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  西田 恒夫君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           小島 康壽君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
 辞任         補欠選任
  今村 雅弘君     小西  理君
  小坂 憲次君     佐藤  勉君
  丹羽 雄哉君     左藤  章君
  細野 豪志君     長妻  昭君
  丸谷 佳織君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     今村 雅弘君
  左藤  章君     丹羽 雄哉君
  佐藤  勉君     小坂 憲次君
  長妻  昭君     細野 豪志君
  赤羽 一嘉君     丸谷 佳織君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 外務省機密費疑惑の徹底究明に関する請願(松本善明君紹介)(第一〇八七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第一四号)
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――
吉田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案及び在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りをいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として、委員前田雄吉君の質疑に際し、外務省経済局長佐々江賢一郎君、経済産業省大臣官房審議官小島康壽君、委員長妻昭君の質疑に際し、外務省大臣官房長北島信一君、欧州局長齋藤泰雄君、経済協力局長西田恒夫君、委員土田龍司君の質疑に際し、外務省経済局長佐々江賢一郎君、経済産業省大臣官房審議官小島泰壽君、委員松本善明君の質疑に際し、外務省大臣官房長北島信一君、経済局長佐々江賢一郎君、経済産業省大臣官房審議官小島泰壽君、委員東門美津子君の質疑に際し、外務省大臣官房長北島信一君、経済局長佐々江賢一郎君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田雄吉君。
前田委員 おはようございます。民主党の前田雄吉でございます。
 私の地元にも大きく関係します二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案、内閣提出第十四号について、私は、本日質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、私は川口大臣に、環境大臣時代にNOx・PM法案について御質問いたしまして、その折は、いわば町の運送屋さんが非常に困っている、激変の緩和措置を求めるといった質問をさせていただきました。しかし、本日は、外務省の問題で、国民全体が非常に迷惑をしているあるいは実害をこうむっているということがございます。こういうことをしっかりと御認識いただいて、御答弁いただきたいと思います。
 まず、私は思いますけれども、憲法十五条第二項に、すべての公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないということが書かれております。これに沿って私は質問を展開したいと思いますが、まず何といっても、昨今、外務省は、国政調査権を持つ衆議院の我々国会議員の質問請求に対して誠実に答えていただいてはいないと私は思うのですけれども、外務大臣はいかがでございますか。
川口国務大臣 誠心誠意お答えしていないというふうにごらんになられるようなことがあれば、これは外務省としては反省をすべきであると思っておりますけれども、さまざまな資料要求をいただいていまして、限られた定員の中で必要な仕事を誠心誠意やらせていただいているつもりでございますし、私もそういう観点で、常日ごろ部内でそう言っております。
前田委員 では、これもまた川口大臣にお尋ねしますけれども、先般、我が党の木下代議士が質問させていただきました鈴木特使に関することについては、相手があるので答えられないと。
 そして、私も野党の外務省疑惑解明プロジェクトチームの一員として、三月六、七日、根室にお邪魔いたしましたけれども、その折、私もいわゆるムネオハウスの受注者、JVの受注者であります渡辺建設工業さん、そして犬飼工務店さんを訪れましたけれども、そこの犬飼工務店さんで出た話で、いわば本体の仕事ではもうからない、設計変更で利益を出してくるんだという一つの形があらわれてきたわけであります。そのことに関して、北方支援委員会、これが、ほかの事業についても設計変更がかなりあるのではないか。我が党の木下代議士が質問いたしましたけれども、このことについて。
 あるいはまた、北方支援の燃料の還流問題について、大臣は園部参与に照会されるということでございましたけれども、これは先週の末の話で、まだ日にちが浅うございますけれども、実際にこれは照会なさいましたか。
川口国務大臣 ちょっと申しわけございません、幾つかのことをおっしゃられましたので、そのうちのどれを照会したかという御質問でございましょうか。
前田委員 まず、北方支援委員会の行った各事業についての、いろいろな事業がありますね、その事業についての設計変更についてでございます。
川口国務大臣 それにつきましては、今調査中でございます。
前田委員 では、燃料の還流問題についてはいかがですか。
川口国務大臣 外務省としてどこまでできるかはわからないけれどもというふうに申し上げたと思いますけれども、その範囲内で今調査はいたしております。
前田委員 では、ぜひこれを強硬に行っていただきたいと思います。やはり国民のだれもが出した、汗水垂らして働いた税金でこの行政は成り立っているわけでありますから、ぜひ調査のほどをお願いします。
 そして、私は、一月の終わりに外務省に対して資料請求を行いました。田中大臣時代の更迭者についての氏名、そして免官日、現在の職について伺っております。それに対して外務省は、三週間後に私どもに文書がA4一枚で返ってまいりました。これはどんなものかといいますと、氏名が書いてあって、免官日のみでありました。いつ免官されたかという日にちだけ書いてありました。今現在の職についての記載は全くありませんでした。これも引き続いて民主党としても資料請求いたしておりますけれども、出てきたものは過去五年間の課長以上の方の異動、職の異動に関するものでありました。
 やはりこうしたことについても、もうそれから二カ月近くたっているわけでありますから、私は、しっかりと調べていただいて、出せるものは出していただきたい。例えば民間企業に入られたんだったら、某何とかメーカーでも結構でございます。実際に公益法人等に入られたんでしたら、これは公のものでありますので、十分公のものでありますので、しっかりとそこまで記載していただきたいと思うんですけれども、このことについて大臣はどう思われますか。
川口国務大臣 その資料を要求をなさったそのもの、資料についてはちょっと私見ておりませんけれども、基本的な考え方といたしましては、これは情報公開法にもそうなっておりますが、個人のプライバシーの問題については、これはお出しをしないという考え方でおります。それで、その情報に非常に大きな公益性、それをお出しすることについてですね、ということがあった場合については個人名を、過去において、最近のことですけれども、管理職以上についてはお出しをしたということもございました。
 おっしゃった情報につきましては、そういったプライバシーを尊重しなければいけないという観点と、それから、それをお出しすることによって確保される公益とのバランスでどう考えるかということでございますが、その案件自体についてはちょっと私見ておりませんので、どういうことであったか聞いてみたいと思います。
前田委員 ぜひしっかり調べていただいて、本来だったら、ここで私、速記をとめていただいて、すぐにでも電話かけていただいて調べていただきたいところですけれども、とにかく、更迭された後でどのようにその方たちは動かれるのか。
 特に、私は思います。一般のサラリーマンの方でしたら、今この不況の中、もし職を失ったら、次にもう生活の当てがありません。しかし、外務省の高級官僚は、やめられた後にまだ外務省におられて、そして、それから大使、米国大使になられたり、あるいは財団の理事長とか役員になられたり、次の道が保障されているわけであります。このようなあり方では、国民の信頼がかち取れるとは私は思いません。今、これは国民の皆さんも同じように思われていると思いますけれども、更迭された方がそのまままだ外務省におられる、このことについてはどう思われますか。
川口国務大臣 更迭という言葉の定義でございますけれども、例えば、ある職、局長なら局長、次官なら次官、課長なら課長というポストを辞職するということ自体については、非常に重い行為だと思っております。
 その上で、その人間が国家公務員を辞すことが適切であるかどうかということについては、これは国家公務員法でどういう場合にそれをやめさせることができるという規定がございまして、それに反して国家公務員をやめさせるということはできないということでございますので、法律にのっとって、具体的なケースについてそれぞれ考えるということだと思います。
前田委員 では、大臣にお尋ねしますけれども、野上元次官は、今現在、外務省で個室を持たれて、公用車をあてがわれているということでございます。まず、こうしたことが国民に理解されるかどうか。世論の批判を受けて更迭されたわけであります。そして、鈴木宗男代議士は離党をされ、非常に政治家の方はつらい思いをされているわけでありますけれども、官僚の方はそうではなくて、特別の個室をもらって、そして公用車まで乗り回せる。これはどうも間違ったあり方ではないか。
 私は、昨日、今現在の野上さんに払われている俸給を伺いました。資料請求いたしました。個人のプライバシーということで出されないということではありますけれども、やはりこれも国民が出した税金でそういう方たちに俸給が払われているわけでありますから、これも間違ったことではないでしょうか。このことについて、大臣、どう思われますか。
川口国務大臣 申しわけございませんが、何が間違っているという、たくさんのことをおっしゃったので、全部について間違っているとおっしゃったのか、ちょっとはっきりいたしませんでしたけれども、車の点につきましては、これは私もおかしいと思います。
 局長であったり次官であったり主要な課長であったり、仕事の上で車が必要で、例えば急いで芝の外務省の建物から国会あるいは議員会館に伺う必要があるとか、いろいろな状況があって、次にまたどこかに行く、それぞれ地下鉄に乗って行ったんでは時間がかかるというようなことはいろいろございますので、ラインで仕事をしている人間が仕事のために車を使うということは、これは適切なことだと思いますけれども、官房付であるということでございまして、ある一定の事務整理の期間以降につきましては、これは適切ではないと思います。
 したがいまして、野上前次官の専属車の配車というのはやめることにいたしました。
前田委員 では、支払われている俸給の方はいかがですか。これも、国民の批判を受けて更迭されているわけでありますから、私は、もう今外務省にいるべきではない、こう思いますけれども、この点についてはいかがでございますか。
川口国務大臣 国家公務員の給与につきましては、これも決まっておりまして、そういう、幾らということになっているわけでございますね。それにのっとって給与を払っている、そういうことでございます。
前田委員 決まっているんだったら、しっかりとこれは情報公開されていいと思います。
 きのう、私が十一時半に、各クラスの外務官僚の俸給額を伺った、資料提出を要求しました。また、便宜供与に関する取扱基準、これを伺いまして、これが私の手元に届くまで、何と五時間、六時間かかっている。どうしてこれはそんなに長く時間がかかるんですか。
 また、今、運転手の方はおやめになる、配車をやめるということでございますけれども、この運転手の月額給与は、年次に応じて約二十万円から約四十万円の間になっている。再三私が請求をして、やっとこのペーパー一枚が出てきたわけであります。
 これは、委員会あるいは衆議院の持つ国政調査権自体への挑戦であると私は思います。どうしてこんなことをすぐに外務省は出さないのか。川口大臣は、外務省の組織防衛に入っているのではありませんか。私は、非常にその点が懸念されてなりません。
 また、ひとつこれはまた伺いたいことでありますけれども、野上元次官に対して慰労金が払われているという報道がなされております。これは、よもや公金から払われているのではありませんか。
川口国務大臣 一度にたくさんの御質問がありますので、全部お答えできるかどうかわかりませんが、まず、資料の要求に五時間かかったということでございます。
 これは、お出しになられる側からは、その資料に基づいて例えば質問をつくろう、いろいろお考えでいらっしゃると思うので、どうしてこんなに時間がかかるか、非常に腹立たしい思いをお持ちになられたということはよく私も理解をいたしますし、時間がかかったことについては申しわけないと思いますけれども、ただ、私も組織の長として、ぜひお考えいただきたいと思うのは、幾つか委員会がございまして、国会の質問もたくさんございますし、いろいろな資料の御要求も、きょう、きのうの話ではなくて、もっと前からのものもございます。それぞれに精査をして資料をつくるというのは非常に時間がかかる仕事であるということを、ぜひこれは御理解いただきたいと思うわけでございます。
 それから、慰労金というお話ございましたけれども、これについては私は全く聞いたことがございません。
前田委員 では、外務大臣、この慰労金がどういった財源から払われているのか、実際にその慰労金がどのような形で幾ら払われているのか、ぜひ調査願いたいと思います。
川口国務大臣 慰労金というのがそもそも払われているのかどうかということについて調査をしたいと思います。
前田委員 では、ぜひしっかりした調査をお願いしまして、きょうの私の本題の質問に入らせていただこうと思います。
 まず、万国博覧会、特に愛知万博の政府代表設置法案についてですけれども、これについて質問させていただきます。
 この法案は、愛知万博に関して、国際博覧会条約に基づく政府代表の設置、当該任務、給与について定めることを目的としておりますけれども、政府代表の任務は、法案の第三条「二千五年日本国際博覧会に関する事項について、国際博覧会条約の定めるところにより、日本国政府を代表すること」と規定しているだけで、具体的な任務について規定されておりません。これについて御説明いただきたいと思います。
佐々江政府参考人 お答え申し上げます。
 先生が今おっしゃられましたとおり、この任務と申しますのは、博覧会において日本国政府を代表するということでございますが、具体的には、主として、外国からの参加について誘致するための働きかけ、折衝を外国政府等ハイレベルに対して行うことが主体でございます。そのほかに、博覧会開催中に、外国政府要人の接遇、あるいは参加者と博覧会事務局との円滑な関係を維持する、問題等が起こりますれば、それの解決のために努力するといったようなことがあるわけでございます。
 とりわけ最初の主要な任務、できる限りたくさんの外国からの参加を得るために、外国等に赴きましてハイレベルの人に働きかけるということが極めて重要な任務である、こういうふうに認識をしております。
前田委員 この国際博覧会条約に基づいて登録されました我が国の国際博覧会は、大阪万博、沖縄国際海洋博覧会、筑波万博、花と緑の博覧会と四回ほど開催されております。どの博覧会においても、博覧会政府代表はすべて外務省OBが任命されております。
 川口大臣は、外務省改革のその案の中で、人事制度の再構築を掲げられておられます。これは、主要国の大使を初め本省あるいは在外幹部ポストに民間を含む各界のすぐれた人材を積極的に起用すると具体的に指摘されておられます。この愛知万博においても、博覧会代表をやはり外務省OBではなくて民間から登用されるべきではありませんか。もちろん、外務省OBは海外との交渉等人脈を持たれているわけでありますから、それはそれでしかりかもしれませんけれども、よもやまた外務省OBを起用されるということはないのではありませんか。
川口国務大臣 民間の、あるいは外務省以外の人間を幾つかのポストに登用をするということは既に発表をさせていただいておりまして、この夏をめどに、十ぐらいの大使、局長、審議官、課長といったポストに民間の方についていただきたいというふうに私思っております。それから、それ以降も引き続き民間の方に入っていただきたいと思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、その場合のキーワードは、私は人事は適材適所であるということが必要であると思っております。ですから、適材適所ということを一番のキーワードに人事は考えたいと思っております。
前田委員 では次に、万国博覧会、これに関するお金の問題について質問いたします。
 財団法人二千五年日本国際博覧会協会によります二千五年日本国際博覧会基本計画によりますと、この博覧会の準備、運営に関する資金の総額、会場建設費千三百五十億、運営費が五百五十億円であります。そのうち、この会場建設費の支出は、会場計画に基づき博覧会協会の責任で整備する費用であり、日本政府の政府館建設費あるいは観客輸送のための整備費が除外されております。
 政府は、この会場建設費以外にかかる費用をどのように見積もられているのか、また、その根拠を御提示いただきたいと思います。
小島政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御質問は、博覧会協会が支出する会場建設費以外の費用としてどういうものがあるかということでございます。
 今御指摘がありましたように、会場建設費以外では、政府が出展する事業に関する経費、それから県、市の自治体の出展事業に係る経費、それから、博覧会会場を実証フィールドとして行います新エネルギーですとか省エネルギーですとかIT関連の実証試験事業が予定されておりますが、そういったものの経費、それから、博覧会を円滑に実施するために、交通アクセス等の交通網の整備、あるいは交通管制システム等の公共施設の整備、こういった関連公共事業にかかわる経費がございますけれども、現在、それぞれの事業につきまして関係の部署で検討、調整をしているところでございまして、現在、額は申し上げる段階にございません。
前田委員 では、会場建設費千三百五十億について、これは建設総額に占める補助対象事業の割合を三分の二として、残る三分の一に当たる四百五十億は民間からの寄附あるいは公営競技からの収入で対応するということでございますけれども、その四百五十億のうち、二百二十億は公営企業の収益金によります。残りの二百三十億、これは地元財界と中央財界で折半、百十五億ずつということでございますけれども、中部の方は何とかこれは見込みが立っているような状況であると思いますけれども、中央財界についてはどうなのか、寄附金は集まるのか、そして公営競技団体との交渉が進んでいるのか、万が一、もし寄附金が集まらなかったそのとき、博覧会が赤字になった場合に政府はどうされるのか、この点について御質問します。
小島政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がありましたように、博覧会の会場建設費に係る民間拠出分、四百五十億円分でございますけれども、現在、博覧会協会を中心といたしまして、地元及び中央の業界団体、企業等に広く寄附をお願いしているところでございます。
 現在までに、地元を中心といたしまして、多くの企業、団体等から内諾をいただいていると聞いておりますけれども、博覧会の円滑な実施のためには、さらに、中央経済界を初め、なお一層の資金協力が必要であると考えており、協会を中心として、引き続き企業、団体等への働きを強力に行っております。
 また、政府においても、民間の寄附金についての非課税措置を講ずるなどの支援を行っているところでございます。
 また、公営企業、競輪等の公営競技の関係団体からの寄附についての御質問がございました。
 これは、関係団体と協会が今鋭意調整を行っているところでございまして、できるだけ多くの額をお願いするということでございます。
 それから、もし民間寄附が集まらない場合はどうするかという御質問がございました。
 その場合、我々あるいは協会としましては、民間からの寄附あるいは公営企業の関係団体の寄附をできるだけ多く集めるということで最大限努力する、最後まで全力を尽くすということでございます。
 他方、支出につきましても極力経費の圧縮に努めるということで、赤字にならないよう会場建設を進めるということに万全を尽くしていく所存でございます。
前田委員 きょうはいろいろ伺ってまいりました。最初に、冒頭に申し上げた、とにかく公務員というのは国民全体の奉仕者であっていただきたい。外務省は、非常に外からの政治家による外圧にも弱い。そして、私は本来これから質問することを伺おうと思っていましたけれども、時間がありませんので、一つだけ伺います。
 外務省の内部に、日本の外交をゆがめるような形になるのではないかと危惧されるような一つの会があると私は思います。これは、九四年二月の二十一日に衆議院の予算委員会で遠藤乙彦通産政務次官が答弁で答えられましたけれども、鳳会、創価学会の信奉者であられる皆さんが外務省内で、二百人とも三百人とも言われておりますが、この鳳会をつくられている。これについて、外務大臣はどのように御認識されていますでしょうか。
川口国務大臣 私自身は、その会についてはどういうものなのかよく存じませんけれども、これは、いかなる組織においても、さまざまな組織の中で私的なグループということはあるわけでございますから、そういう会合であるということではないかと思います。
前田委員 今、その存在の話を認められたと思いますけれども、そういったグループに、あるいは外圧、内圧で日本の外交が曲げられないような、正しい外交が推進されますことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
吉田委員長 長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。大変時間も少ないものでして、端的にお答えをいただければ幸いでございます。
 本日の法案審査は、在外公館の名称、位置、給与法改正案というのがございます。在外公館は本当に必要なところから順番にきちんと設置をされるというのは、これはもう当たり前の話でございますけれども、この観点からひとつ質問をさせていただきます。
 今、資料をお配りさせていただいておるんですけれども、このお配りをした資料の二というところをごらんいただきます。これは、外務省が平成十三年度の機構要求、新たな在外公館の設置要求を概算要求でされた。総務省に機構要求はされるわけでございますけれども、概算要求というのは八月末までにされる。ところが、この資料二を見ていただきますと、これは、外務省の過去五年間を調べてもらって、概算要求を一回出したけれどもその後変更したというものをすべて出してくださいということを申し上げましたら、概算要求、機構要求は総務省にするわけですけれども、総務省からこの三つの事案が出てきたということであります。
 平成十四年度の事案は、これは変更しているのは、九・一一のテロが起こってテロ対応ということで変更した。これは理屈はわかるのでございますけれども、問題は平成十三年度のところでございまして、八月末の概算要求時点ではキルギスの在外公館を要求されていた。ところが、十月末にその変更をする。在タジキスタンの在外公館を要求ということで変更されている。
 これは、聞きますと、概算要求で一回出されて変更するというのは原則ないわけで、非常に異例なことであるというようなことを財務省からも総務省からもお伺いをしているわけでございまして、こういう異例なことがなぜ起こったのかということでございますけれども、この理由は何でございますか。
北島政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十三年度機構要求においては、今委員御指摘のとおり、平成十二年八月末の時点で在キルギス兼勤駐在官事務所の新設を要求していたわけですが、その後、中央アジアにおけるイスラム過激派の動向、さらにアフガニスタン情勢の予想を超える急激な展開にかんがみまして、中央アジア情勢の動向を見きわめるための情報収集の拠点としてタジキスタンに兼勤駐在官事務所を早急に開設する必要が生じたために、要求内容を外務省として変更したということでございます。
長妻委員 私もその説明を聞いたんですけれども、ちょっと納得ができない部分もありまして、外務省内からも、この変更というのは問題ありという声が漏れ聞こえてくるわけであります。
 このキルギスは、平成十一年に日本人のJICAの方四人が誘拐されたという事件が起こって、そういう情報収集ということでキルギスというのがここに入ってきたと思うんですけれども、それが、概算要求という公的なものをした後にタジキスタンに急に変更になったということで、それで、これは鈴木宗男議員から、タジキスタンにしなさい、変更しなさいという要望とか意見というのは、表裏含めて、あったのでございますか。
北島政府参考人 今委員御指摘のような事情もございまして、私ども、当時、キルギスにも館をつくりたいという希望を持っていたわけです。キルギス、タジキスタン、両方とも非常に重要であると。ただ、同時に、機構要求でございますので、査定当局の御意見もありますので、絞り込む必要があるということで、あの時点で両方とも非常に重要だというふうに考えていたわけですが、最終的にはタジキスタンを重視、キルギスについてはその次に要求をしたということでございます。
 要するに、あの時点でアフガニスタンの内政の状況等にかなりの変化がありまして、委員御案内のとおり、アフガニスタンのすぐ上が……(長妻委員「ちょっと質問に答えていただきたいんですが」と呼ぶ)外務省の基本的な判断ということでございます。
長妻委員 そうすると、ちょっと再度で恐縮なんですけれども、鈴木宗男議員から変更の要望とか意見というのは全くなかったということでよろしいんですか。
北島政府参考人 当時、自民党の外交部会での議論におきまして、鈴木議員より、タジキスタンが重要であるということを指摘された経緯はございます。ただ、いずれにしましても、外務省としての判断であったということでございます。
長妻委員 私も、十月ごろの自民党外交関係合同部会で鈴木議員が、タジキスタンの在外公館を先にしろというような話が強いトーンであった、それ以外にも、外務省の筋から聞いた話でございますけれども、タジキスタンというような話が何度かかなり強力にあったというようなことを聞いております。
 あと、もう一点お伺いするのでございますけれども、タジキスタンを調べますと、タジキスタンに要求をスイッチしたときの資料、外務省からいただいた内部の資料を拝見いたしますと、この時点では在留邦人がタジキスタンはたった一人であったということなんですが、過去、たった一人で在外公館を設置するという事例はありましたですか。
北島政府参考人 お答え申し上げます。
 一人というのは確かに希有の例でございますけれども、ほかの事例では、十人に満たない、五人程度とか、そういった前例はございます。
長妻委員 希有な例というのは、ないということですか。
北島政府参考人 すべてのケースについて厳密に調べたわけではございませんけれども、私が調べた限りでは、五人とかそういった前例はございます。一人というのは例外的なケースだと思います。
長妻委員 その一人というのも、お伺いしますと、要求をスイッチしたところのこの資料には在留邦人が一人ということが書いてございまして、その一人というのは二〇〇〇年の十月現在で一人ということなんですが、ちょうど二〇〇〇年の十月に、外務省の方が国連に出向してタジキスタンに赴任をされた。平成十二年十月一日から平成十三年の十一月末までちょうど一人、この方が、ぎりぎりセーフと言っていいんでしょうか、急に外務省から国連に出向して、タジキスタンに十月に行かれて、一人というふうにカウントになったと思うのですが、ちょうど概算要求をスイッチしたところのタジキスタンの資料にも辛うじて一人とある。これは、ゼロ人だとまずいと思われたのか、そうではないのかということも疑問には思うのです。
 もう一点でございますけれども、外務省からいただいた資料を拝見いたしますと、キルギスは中央アジアで最も親日的な国であるというような文言もこの外務省の文書にありまして、キルギスに対するODA、二国間ベースでは日本はキルギスに対する最大のドナー国であるということで、有償資金協力が九三年度以降累積二百五十七億円に上る、無償資金協力も六十億円、約二百人、我が国における研修員も受け入れている、同国への専門家の派遣も長短合わせて十七件、開発研究が十件、JICAも派遣している、こういうようなことが書いてあります。
 一方、タジキスタンを、外務省からいただいた資料を拝見しますと、タジキスタンは、無償資金協力が九八年度までで累積三千五百万円、技術協力が研修員受け入れで同二億一千百万円と、全然段違いの形でキルギスとの関係が強く、いろいろな交流があるわけでして、どう考えてもキルギスが先だと、外務省の中からもそういう意見が漏れ聞こえているわけでございますけれども、にもかかわらずタジキスタンに変更をしている。
 そして、鈴木宗男さんが、小泉総理の総理特使として二度任命をされてタジキスタンに行っているわけですけれども、ことしの一月の十六日にタジキスタンの在外公館の開館のセレモニーがあって、そこにも鈴木宗男さんは出席をした。これは、聞きますと、ウズベキスタンの中山大使が、本当は在タジキスタンの在外公館の開設のセレモニーは別の時期だったんだけれども、鈴木宗男さんが来るということで、急遽セレモニーの時期を、ことしの一月十六日、宗男さんが総理特使として来られるときと合わせてタジキスタンで在外公館の開設セレモニーを行った。そう見ると非常に話がつながるわけでありまして、川口大臣、これに関してもう一度調査をされるような御予定はありますか。
川口国務大臣 調査をしたらいいとおっしゃっていらっしゃるのは、キルギスタンではなくてタジキスタンに変更したその過程であるかと思いますけれども、今官房長の方からいろいろ御説明を申し上げましたけれども、再度私から官房長に対して、それ以外の資料があるかどうかということは聞いてみたいと考えております。
長妻委員 今法案審査で在外公館の法案をやっておりますので、そういう別の理由で在外公館がころころ要求が変わるということは絶対避けなければなりませんので、ぜひ調査をお願いしたいと思います。
 そして、鈴木宗男さんの件に関しましても、頼んだ方も悪いというのはあるんだと思うのですが、それを、全部とは言いませんけれども、これは今まだ疑惑の段階だと思うのですけれども、それを外務省が仮に聞いていたとしたら、それは変なことを頼んでくるんだから頼んだ人が悪いということもそうですけれども、やはりそれを受け入れる外務省も当然責任は問われなきゃいけないと思いますので、ぜひ調査をしていただきたいと思います。
 次に、同じ総理特使で鈴木宗男さんがことし一月に行かれた件でございます。一月の十六日に、鈴木宗男さん、総理特使と、あと、資料の八にございますけれども、このときは、ことしの総理特使は、資料の八にある「第二回目の派遣」というところでございますけれども、夏井室長、あと佐藤主任分析官、中野さん、この四人で行かれておられるわけですが、ラフモノフ大統領と九十分会談をされた。
 その中で、鈴木宗男議員から、水力発電所、道路建設、空港建設に対する日本の協力の申し出というのがなされているわけですけれども、これは、聞くところによると、外務省の内部で別にそういう検討がされた形跡はないというふうに聞いているんですが、勝手に、外務省の何の了解もなしに、総理特使というのは向こうの大統領と、水力発電、道路建設、空港建設で日本は協力しますよ、こういうことを言っちゃってよろしいんですか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 水力発電所の支援要請につきましては、昨年五月、ラフモノフ大統領が来日しました折に、国連大学におきまして行いました講演におきまして水力発電所建設について触れるという形で、タジキスタンが関心を持っているということは承知しておりました。
 ただし、外務省といたしまして、この第二回目の特使として行かれたときのラフモノフ大統領との会談においてこういう話が具体的に出るということを事前に承知していたわけではございません。(長妻委員「道路と空港は」と呼ぶ)道路と空港につきましては、具体的にそのときに出たということは、私、記憶しておりませんが。
長妻委員 これは、外務省が出してきている資料と今の答弁、全く違うんですね。これはどうなっているんですか。
 今お配りをしました資料の一というのがありますけれども、これは「貼り出し」といいまして、外務省が記者クラブに渡す資料でございまして、鈴木宗男議員と大統領と十六日に会談しましたけれども、ちょうどその十六日の日付で欧州局がマスコミに配付した資料です。
 その中の、下に線が引いてありますけれども、「問」「答」というのは、鈴木宗男議員がプレスに対して、当時一緒に同行していますから、「答」は鈴木宗男議員の答えということで、これは外務省が作成した資料です。「問」は、日本側から何らかの提案を行ったんですかということで、「様々な話が出た。タジキスタンでの道路建設、空港建設に対する日本側からの支援の話や、」ということで言っているわけでありまして、それを何か、出ていないというのは納得できません。
齋藤政府参考人 失礼いたしました。
 日本側から提案を行ったということではないようでございますが、先方の方からそういう支援の話があったということは、確かにこの会談後の「貼り出し」において御説明してあるとおりだと思います。
長妻委員 そういう重要な大統領と総理特使が交わした話、向こうは真に受けますよ、それは。そういう話を局長が全然知らない。では、向こうの大統領と話した話というのは、何かよもやま話なんですか。そんないいかげんなことで外交ができるんですか。まあ、非常に驚くわけですけれども。
 日本側から提案が出ていないというお話ですが、この日本語を読むと、これは外務省の資料ですけれども、「日本側から何らかの提案を行ったか。」という問いに対して、「タジキスタンでの道路建設、空港建設に対する日本側からの支援の話や、」ということで、文章がそういうふうに書いてあるんですね、外務省発表の文章で。どういうことですか。
 川口大臣、これも調査していただけますか。
川口国務大臣 私も、この資料は今初めて拝見をしているわけですけれども、この「答」のところを見ますと、自分が帰国してから検討をするというふうに鈴木特使がおっしゃっていらっしゃるので、恐らくこれについては、ここで話が向こうから出て、それを受けて検討をするというコンテクストで、文脈でおっしゃっているのではないかと推測をいたします。
長妻委員 まあ、この文章を読むと、そういう文章には読めない。今の「検討」を言えば、例えば、鈴木宗男さんからそういう話が出たけれども、詳細について検討するというようなふうに読めるわけでありまして、この文章自身、どう考えても日本側から持ち出したというふうに読めるわけですから、もし変更があるのであれば、記者クラブにも、これは違うというような訂正の文章を配付するべきだというふうに考えております。
 いずれにしても、外務省の中で、局長が、こういう話が総理特使と大統領との間で出たということ自身知らないということに対して、川口大臣、どう思われますか。
川口国務大臣 私もふっと物忘れをすることがございますので、そういうことではないかというふうに思います。
長妻委員 水力発電所に関しましても、朝日新聞、毎日新聞に出ております。毎日新聞の二月二十日の朝刊では、これは現地に行った記者の取材の記事でございますけれども、この二つの水力発電所の改修への協力を鈴木議員は約束をしたと。朝日新聞の一月十七日の記事では、水力発電所の経済支援を念頭に専門家を派遣して検討する、こういうふうに言い切ったというふうな記事が載っているわけでありますので、総理特使が、何にも裏づけなくそういうことをぼんぼん話して、外務省が知らないということは大変問題であると思いますので、ぜひ調査をしていただきたい。この件もお願いします。
 川口大臣、調査されるかどうかだけ御答弁いただきます。
川口国務大臣 恐縮でございます、何を調査するかということをもう一回おっしゃっていただきたいんですけれども。
長妻委員 ちょっとそれも驚くんですけれども、何しろ、総理特使で鈴木宗男議員が行って、向こうの大統領と、水力発電、道路建設、空港建設の話が出たと。特に外務省は、道路建設、空港建設の話というのは局長は聞いていないというような話ですから、どういう会話が交わされて、どういうところまで約束があったのかというのをきちんと掌握して、それで、調査団も派遣するというようなことを言っているとすれば、それをきちんと検討して、調査団を派遣しなきゃいけないですよ、相手の大統領と交わした約束ですから。それを調査してくれということです。
川口国務大臣 私は、けさの段階で、こういったプロジェクトについて日本側から提案をしたということはなかったというふうに聞いておりますけれども、再度確認をしたいと思います。
長妻委員 ぜひ確認いただきたいと思います。
 次に、これは、鈴木宗男議員が昨年の十月にも小泉総理の任命でタジキスタンに総理特使で行かれている。同じ国に短期間で行かれるというのは前例がないということを外務省からもいただいておりますけれども、このときに、鈴木宗男さんが大統領と会談したのが十月八日でございますけれども、その直後にタジキスタンに二百万ドルの緊急無償支援が決まった。まあ、鈴木宗男さんが会談したときに既に内定をしていたという話もあるんでございますけれども、決まった。
 それで、その無償支援の二百万ドルは、財団法人日本国際協力システム、通称JICSというところの財団法人を通じてテントが調達された。この財団法人のJICSは手数料を五%取るところでございまして、ここでテント百七十五張りが第一弾としてタジキスタンに送られたわけでございますけれども、このテント百七十五張り、落札したのは丸紅でございます。十四人から十五人用で、トータル二千百三万円、単価が十二万円だったということでございます。
 一方、パキスタンを見ますと、パキスタンにもテントを五百張り、これは十人用ですけれども、これを緊急に援助して譲渡している。パキスタンの分は、一千四百七十万円、単価で三万円、これも丸紅が落札をしているわけであります。パキスタンに上げたテントは単価が三万円、同じ丸紅。タジキスタンに渡ったテントは単価が十二万円です。四倍も違う。それも同じ丸紅で落札しているということでございます。
 パキスタンは、内閣府に所属するPKO事務局がテントを送ったということで、タジキスタンは外務省がおぜん立てをしたということでありますけれども、何でこんなに価格が違うのか。スキームが違うのですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 このような緊急無償としまして調達をする場合には、その時点における緊急性、それから調達する物資の性格等をかんがみまして、最も迅速な形で調達をすべく努力をしているわけでございますが、今の御指摘のテントにつきましては、御案内のように、タジキスタン、現地において調達することが不可能であったということ、それから、仮にパキスタンで調達をするとこれはまた輸送費がかかるということ、それから時間を急いでおったということからして、内容的にはかなり高品質の大型のテントを調達して先方に届けたという形になりましたので、結果としまして、値段について比較的高額になったということに承知しております。
長妻委員 別に、タジキスタンも、まだPKO事務局はテントが余っているというふうに聞いておりますので、在庫が日本にありますので、PKO事務局から支援をすればもっと安い形で迅速にできたのではないか、そういうようなことが考えられるということで、ちょっと時間もないので次の質問に行きますけれども、今の点もまだ納得はできません。
 次に、この資料六に、タジキスタンに支援をした二百万ドルの無償支援、この内訳がここにあります。JICSが指名競争入札をしたということでございますけれども、この落札企業が丸紅の部分、これが第一弾の入札ということなんですが、予定価格は幾らだったのですか。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 予定価格につきましては、先方政府の了解が必要でございますので、今この時点において公表することは差し控えたいと思います。
長妻委員 本当にきちんと入札がされたのかどうかということも、今の答弁だとちょっと疑問にならざるを得ないのですけれども、向こうの政府に、具体的な金額は全部公表していいわけですね。では、予定価格は公表してもこっちは公表するなというならまだ、理屈はそれでもわからないですけれども、これはもう全部公表して予定価格だけ公表しないというのは何でですか。理屈が通らないと思うのですが。
西田政府参考人 お答えをいたします。
 通常、入札の結果が終わりますと、落札した企業、落札価格、それからその契約の内容については、これを公表すべく努力をいたしてきております。他方、いわゆる予定価格というものにつきましては、一般的にこれは公表していないというのが通常の慣習だというふうに理解をしております。
長妻委員 それもちょっとなかなか納得ができないのですけれども、時間もないので最後の質問にさせていただきます。
 これは、鈴木議員が小泉総理の任命で二回タジキスタンに総理特使で行かれている、そのときに、二回とも、鈴木議員から自分が行きたいというような依頼があった、そういう答弁書をいただいておりますけれども、総理特使で派遣した方、その方本人から依頼があった事例というのは過去にあるのでございますか。
北島政府参考人 突然のお尋ねですので手元に資料がございませんけれども、総理特使という形で行かれたケースは非常に多いわけですが、政治家の場合もありますし、実は事務レベルの人間、外国で非常に大きな問題が起きて、例えば内閣の外政審議室長がレバノンに行ったとか、いろいろなケースがございます。非常に重要なミッションなので、自分が出ていくけれども、総理特使という扱いがいいというふうに外務省の方で判断した場合というのは随分多くのケースがあったと思いますが、その中には、委員が御指摘されたようなケースというのもあったと思います。
長妻委員 どのケース、どなたのケースですか。
北島政府参考人 済みません、今手元に総理特使の一覧表を持っていませんので……(長妻委員「では、後でいいです」と呼ぶ)はい、申し上げます。
長妻委員 では、後でいただくとして、ありがとうございました。
 タジキスタンに関しては、これ以外にもいろいろな話がありまして、総理の任命責任というのも重いと思いますので、その問題に今後とも取り組んでいきたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、この鈴木宗男さんの問題、鈴木議員の問題というのは、議員だけの話ではなくて、外務省がそういう要望を聞いたということは、当然外務省にもメリットがあるからそういう要望を聞いたわけでありまして、持ちつ持たれつの関係であって、片方を切ってそれで物事が済むということでは全くありません。
 野上元次官の話も含めて、ぜひ総ざらい、総洗いをして、徹底的にこういうことがないように、本当に無償支援で一生懸命現場の方はやられているというのは私も認識しておりますので、ぜひ幹部の方が一生懸命身を正していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
吉田委員長 次に、土田龍司君。
土田委員 愛知万博への参加要請をしたのが二百六十の国と機関だそうですが、この中で百ぐらいのところが参加するのではなかろうかという話を事務総長がされておりますが、大体このぐらいの数字を期待されているんでしょうか。
小島政府参考人 お答えします。
 できるだけたくさんのということで努力をしたいというふうに考えておりまして、必ずしも百というふうに決めておるというわけではございません。
土田委員 愛知万博の入場者数が当初四千万人ということでございましたが、下方修正して、最近では千五百万人が来るんじゃなかろうかというふうな考えを述べられております。
 ディズニーランドが二千五百万人、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンが一千万人を突破するだろうということで、半年間で千五百万人という見込みは達成できるんでしょうか。
小島政府参考人 お答え申し上げます。
 想定入場者数一千五百万人が達成できるのかという御質問でございますが、愛・地球博は、自然の叡智をテーマに、環境、高齢化など人類が直面し今後克服していかなければならない問題や、ITや生命科学等の新しい時代を開く技術課題など、二十一世紀に人類が共通して直面するテーマについて、万博という場を通じて問題を提起し、世界の一人一人に考えてもらう機会を提供するものであります。
 今後、展示、催事等の内容面を充実することにより魅力あるものとし、国内はもとより世界じゅうの国々からできるだけ多くの方々が来場するようさまざまな工夫を凝らし、目標を達成するよう努力していく所存でございます。
 また、今回の博覧会の会場は、地理的には、七百万人を有します愛知県、それから二千万人を超える人口を有します中部地域を背景にしておりまして、また、新幹線や高速道路、国際空港などの交通アクセスの整備も行いますので、全国からの入場者も十分期待できると考えております。
 今後、さらにその展示、催事等にさまざまな工夫を凝らし、また広報活動も活発に行うことにより、多くの方々に来場していただけるよう最大限努力を傾注する所存でございます。
土田委員 今話がありましたように、一日平均八万人、多いときが十五万人のお客さんといいますか観光客が来るわけですが、この混乱に対して十分な対応をされているでしょうか。
小島政府参考人 ただいま申し上げましたように、全体で想定入場者数一千五百万人、ピーク時の平均で一日十五万人ということに対応できるように、今、交通アクセス、会場内の整理等の準備をいたしております。
土田委員 次に、外務大臣に伺います。
 昨年六月に発表された外務省改革の中で、領事業務の抜本的な改革をやりますというような項目がありました。これを受けまして改革案の検討を重ねて、順次改革を実行されているというふうに聞いているわけですが、やはり、経費削減の観点から考えまして、窓口サービスとかあるいは要人の送迎とか、そういった部分については民間委託をした方がいいだろうというふうに私も考えるんですが、この辺のことはどう考えておられますか。
植竹副大臣 領事業務の窓口を民間に委託ということのお尋ねだと思うのでございますが、その点については、大使館での業務、人員の見直し項目において、いかに海外への渡航者や在留邦人などのための領事サービスをやっていくかというのが基本でございまして、したがいまして、担当職員が民間業者と連携するということは、例えば休みとか休館時、そういうような対応につきまして非常に役に立っていくということでございます。
 また、そのほか、領事業務につきましては、在外選挙あるいは旅券、戸籍、国籍事務のような法令に基づく厳格な運用が求められているもの、邦人保護、危機管理というような国民の生命、身体の安全を確保する業務等がありますので、民間委託する場合でも、外務省、在外公館の責任ある体制のもとで進めてまいりたいと考えておるところでございます。
土田委員 答えがはっきりわからないんですが、いわゆる間違いがあっちゃいけないということはよくわかりました。
 経費節減ということを目的にして、いわゆる簡単なこと、今言った送迎とか窓口の業務でも簡単なところについては、民間に委託できるところはしていく考えがあるんですかという質問です。
植竹副大臣 その点につきましては、一部業務委託をもう始めておりまして、領事サービスの向上を図るために、業務の性格、効率などを総合的に勘案いたしまして、業務の外部委託についても積極的に進めていくという考えでおります。
土田委員 領事館の業務については抜本的に改革をしていくんだ、そういったことを公約したわけですから、やるべきことはちゃんとやっていただかないと、非常にわかりにくいという感じがしますよ。
 それから、機密費の流用事件あるいはプール金、こういった一連の不祥事が続いたわけでございますが、外務省に対して国民の皆さんが非常に大きな不信感を持っておられる。そこで、監察査察室をつくったわけですが、これを外務省の大臣官房の中に新設されるということになったわけですけれども、誤解を招くようなおそれがあると思うんですね。大臣官房の中に査察室をつくって、またあいまいにやるんじゃなかろうかと。外務省をみんな非常に疑っているわけですから、むしろ外につくった方がいいんじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
川口国務大臣 そういう御疑念をお持ちになる方がいらっしゃるということについては、外務省として反省をすべきだというふうに思いますけれども、監察査察というのは、これは例えばどの民間企業の例をお考えいただいても、監査部というような部は社内にあるわけでございます。それと同時に、外側で、例えば公認会計事務所といったようなところに監査をしてもらうという二重チェックシステムということに大体なっていると思います。
 外務省も、そういう意味で、昨年の九月一日に、園部元最高裁判事に監察査察担当の外務省の参与をお願いいたしております。さらに、ことしの四月一日から監察査察官ということで、これは新設ポストでございますけれども、法務省の北田検事を起用する方針で発表をさせていただきました。
 そういった内部の監察査察に加えて、外部という意味では、会計検査院の検査というのももちろんございますし、さらに、公認会計士を昨年の十二月一日から採用いたしておりまして、この方及び外部の事務所の方を加えて、全公館について外部の人を入れた査察、これをやっていくということで考えております。
 したがいまして、内部のと外部のと二本立てでやっていく、そういうことでございます。
土田委員 外務大臣から見ればそういうふうな答弁になると思うんですが、民間会社は大抵監察は内部に置いていると言いますけれども、周りから見れば、内部から独立させたところに置かないと、外務省はこれまでさんざん不祥事をやってきたんですよ、さんざん。もう言い出すと切りがないぐらいやってきたわけですから、国民の疑念というのはピークに達しているわけですね。だから、大臣官房の中に置くと、何かまた大臣や事務次官の影響下にあってあいまいにやられるんじゃなかろうかということが出てくるので、形の上でもやはり外務省から独立したところでやらせなきゃ非常にわかりにくいというふうに私は思っております。
 それから、この前の答弁の中では、在外公館については逐次査察をやっていくんだと言っていますけれども、百八十七でしたっけ、相当な数があるわけですから、あるいは本省の中でもまだ査察が済んだかどうかというのは疑わしいところもあるわけですので、早目にやっていかれた方がいいかなというふうに思います。
 それから、ユネスコの件について質問いたします。
 ユネスコの事務局長に松浦さんが就任されてから二年以上経過しているわけですね。ここに来て、なぜ今日本代表部を新設することにしたのか、その理由をお答えください。
川口国務大臣 ユネスコの関連業務でございますが、今までは、フランスにある日本の大使館が所掌をいたしてやっておりました。
 最近になりまして、冷戦後の地域紛争の発生、あるいはグローバリゼーションの進行がございまして、教育や文化を通じた国際平和を達成していくということが非常に重要なものだと脚光を浴びるようになったわけでございます。
 また、松浦事務局長が、九九年の十一月に事務局長になられてユネスコの改革の推進をやっていらっしゃいます。これについては、私も今までに外国の方から大変に大きな評価を聞いています。
 そういった意味で、我が国がユネスコについて行っていく活動が質的にも量的にも大変に増大をしてきたということでございまして、今後、ユネスコについて、より積極的な役割を我が国としても果たしていくということを念頭に置きまして、今度、ユネスコ日本政府代表部を設置するということにいたしたわけでございます。
土田委員 アメリカが一九八四年にユネスコを脱退しましたね。その理由が、ユネスコが第三世界に偏重している、あるいは放漫財政であるということで脱退して、今も入っておりません。その後、一九九九年に日本の松浦さんが事務局長に就任して、ユネスコの組織改革やいろいろな諸改革を進めて大きな評価を外国から受けていると私は思っております。
 そこで、松浦さんがこういうふうな活躍をされているわけでございますが、今こそアメリカに対して、ユネスコへ復帰するように、もう一回入るように日本政府としても働きかけをすべきであると思うんですが、どうでしょうか。
川口国務大臣 委員おっしゃるとおりだと思います。松浦事務局長は、ユネスコ改革を着実に進めていかれていまして、アメリカが脱退をすることになった原因については既に解決をしていると考えておりまして、米国の復帰がユネスコの活動のさらなる発展のためにも重要である、不可欠であると考えております。
 松浦事務局長自身も働きかけを行っていらっしゃいますし、私も、アメリカに対しましては、先般二月にパウエル国務長官とお話をさせていただいたときに、ユネスコの復帰に向けての働きかけをさせていただきました。
土田委員 在外公館のことでちょっとお尋ねしますが、昨年の本案改正時の為替レートと今回の為替レートを比較しますと、ドルとユーロともに円安となっているわけですね。この場合、常識的に考えれば、アメリカにおける在勤基本手当の基準額は増額されるはずですが、今回の改正案を見ますと、例えば在米国大使館に勤務する外務公務員の場合は、九号の在勤基本手当の基準額は二十三万五千八百円から二十五万八千二百円へ増額されているわけです。一方で、駐米大使の場合は、九十四万円から九十二万円に減額されている。
 上級者と下級者との間で取り扱いが異なっているわけですけれども、これは、為替の変動だけでなくて、昨今の外務省への批判等を考慮した結果というふうに考えていいんでしょうか。なぜこのようになったのか、御説明ください。
川口国務大臣 突然の御質問でございますので、政府参考人もいませんし、ちょっとどこまでお答えできるかわかりませんけれども、まず、おっしゃったように、在外公館の在勤基本手当の額を設定する場合には、物価あるいは為替相場及び生活水準等の状況をきめ細かく考慮して決定しているということだと思います。具体的には、かなり為替相場の変動や物価についての具体的な把握をしというようなことをやって決めているようでございます。
 今回の在勤基本手当改定を行うに際しましては、増額となる公館と減額となる公館と両方あるようでございます。中堅の館員のレベルの手当額で見た場合には、増額となる公館が百九十一、減額となる公館が七十八ということだそうですが、これはなぜそうなったかといいますと、任地ごとに物価や為替の変動がさまざまあるということから生じているということでございます。
 御指摘の、一般館員レベルと館長のレベルで増減に差があるということでございます。この理由といたしましては、今回の改定で、物価、為替相場の変動に伴う調整に加えまして、国内経済、雇用情勢等の厳しい諸情勢を踏まえまして、在外の職員に対して一層の節約、工夫を求めることとした。特に大使、総領事レベルについては、より大きな節約、工夫を求めることとした、そういうことから生じているわけでございます。
土田委員 物価変動、為替変動、それによって調整をする、大変結構です。
 今大臣もちょっと触れられましたけれども、今、日本が非常に不景気で、日本の国民は給料面で非常に困っているところもあるわけですね。だから、在外に勤務する方の給料についても、為替や物価だけでなくて、国内経済、国内に勤務している方の給料も勘案して、ぜひそっちの方も考えてもらいたいと思うんですが、どうですか。
川口国務大臣 どういう要素を勘案して給与の改定をしていくかということは、一応ルールがあって決まっているというふうに思います。
 今回、我が国において雇用情勢等を見ますと、まさに未曾有のことが起こっているわけでございまして、どういう状況になったらどの程度勘案するかということについては、基本的にはルールで行われるべきであると思いますし、今回のような特殊のことがあったとすれば、それはまたその時点で考えるのではないかというふうに思います。
土田委員 ということは、そのルールはまだ決まっていないということなんですね。そのルールを決めるべきだという答弁でございますので、そのルールはまだ決まっていないということですか。
川口国務大臣 ルールは決まっているわけでございます。どういう要素を勘案するかというのは、その任地の物価ですとか、それから為替レートというようなお話を先ほどさせていただきまして、そのルール、ちょっと今、私手元にございませんけれども、先ほど申し上げた我が国の経済の情勢、雇用の状況の勘案というのは、何らかの形でそういうことを勘案するというふうに恐らくルールではなっているだろうと思いますけれども、それをどの程度勘案するかというようなことについては、恐らく今回が未曾有の不況、失業率の高さということが反映しているということで、常にそれがこのレベルで反映されるかどうかということについては、それはそのときの状況で考えるべき問題ではないかというふうに申し上げたわけでございます。
土田委員 ありがとうございました。終わります。
吉田委員長 次に、松本善明君。
松本(善)委員 まず、在外公館の名称及び在外公館に勤務する外務公務員の給与の法律の改正についてお聞きします。
 我が党は、一般職の外務公務員の給与については、一般職の給与削減に対しては、三年連続の年収を下げるということになりまして、公務員の労働者の生活水準の悪化を強いるものとして反対であります。特に今回の法律で問題になっております在勤手当については、やはり今回は人事院勧告に沿って平均七・三%、額で平均四万八千円ぐらい差し引いている。私どもは、やはり在勤手当というのは少し性質が違うんじゃないか。非常に僻地の仕事であるとか、そういうようなものについては、現状、勤務状況を反映した給与にしなければならぬじゃないか。
 それで、最初にちょっと伺うんですけれども、外務大臣は、山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」というあの小説をお読みになりましたか。
川口国務大臣 本は承知しておりますけれども、読んではおりません。
松本(善)委員 あれは私も読みましたけれども、場所によって大変な負担といいますか、あれは航空会社、日航にかつていたところの職員が僻地に飛ばされて、それが不当労働行為になった、それが裁判にかかっているんですけれども、その小説なんです。外務省の中でも、僻地へ飛ばされるということは監獄行きだという言葉があるというぐらいなことです。
 私は、この在勤手当につきましては、その現状、過酷な自然環境とか、不十分な医療水準とか、おくれているインフラ整備とか、あるいは不足しがちな生活必需物資、こういうようなこと、物価指数や為替相場の変動状況はもちろんですけれども、そういう中で、やはり引き上げるところと下がってもいいところとあっていいんじゃないだろうか。あるいは、同じ国の中でも首都と地方ではうんと違うでしょうし、それから、どういう立場であるかということでも、外交官としてのいろいろな諸活動がありますし、違っていいんじゃないだろうかというふうに思うんです。
 そういう点で、外務大臣に、まず大きな考え方、それを伺って、必要ならば官房長にも聞こうかと思います。
川口国務大臣 在外公館における給与というものは、それぞれの地域で生活条件が異なりますし、それから、我が国の円とその国の通貨との為替レートも変わっていきますので、そういったものを反映するということだろうと思います。現在は物事の変化が速いわけでございますから、そういった変化を適切に反映できるような仕組みといいますか、そういう頻度で変えていくことが大事だろうと思います。
松本(善)委員 官房長に伺いますが、現状はどうなっているんだろうか。今、私一般的に言いましたそれらの勤務状況、それから、今度の法律で、全体としては下げるわけだけれども、それをどういうふうな形で在勤手当に反映するのか、そういうような方針について伺いたいというふうに思います。私どもは、やはり現状に本当に合うような、そういうものが必要なんじゃないかというふうに思っていますが。
北島政府参考人 委員の御指摘、ありがとうございます。
 在勤基本手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な経費に充当するために支給するということでございますけれども、通常の経費に充てる生計費の部分と、まさに委員が御指摘になった勤務、生活環境の厳しい任地に対する特定勤務地の加算部分から成っているわけです。どういう場所が非常に厳しい環境に置かれているかというのは、まさに我々定期的に見直しをするようにしているわけです。
 全体としましてはそういう考え方でやらせていただいているわけですけれども、新年度につきましては、円安基調が全般的にはあるということで円建てで増額をお願いしたいわけですけれども、同時に、先ほど御指摘になりましたような一般的な経済環境の厳しさ、そういったこともあるわけですから、それも踏まえてぎりぎりのところをお願いする、なおかつ、ランクによって、この際、工夫とか節約の努力、これは公館長、先ほど大臣申し上げました大使、総領事、そういった人については無理をお願いするというような考え方で今回お願いしております。
松本(善)委員 実例として、上がったところ、下がったところ、どういうことになっているかというようなことは、もしあればお聞きしたいと思います。
北島政府参考人 大きな数で委員の御質問に答えますと、これは名目ベース、すなわち単純な円建てベースでございますけれども、増額となる公館が百九十一、それから減額となる公館が七十八公館ということですけれども、具体的な中身といいますのは、要するに、任地ごとに物価及び為替の変動等がさまざまであるということで、そうした個々の状況を個別に考慮した結果、そういう姿になっているということでございます。
松本(善)委員 私ども、先ほど申しましたように、人勧に基づく今回の給与の切り下げは反対でありますが、これは、個人消費を一層低下させ景気回復の道を閉ざすだけでなくて、労働基本権剥奪の代償としての人事院の機能も放棄するものである、そういうことで反対であります。在勤手当については、そういうことの反映で一般的に下げるのも賛成できないんですけれども、この実情を反映するようにもっとやってほしいというふうに思います。
 ただ、今回の在外公館の新設でありますとか名称の問題であるとか、これはいずれも我が国の外交上必要な措置として賛成すべきものであるということを考えまして、総合的に判断をいたしまして、今回の法律案全体については賛成するということを明らかにして、次の質問に移ろうと思います。
 万博の問題なんですが、この政府代表設置法案について、我が党はこれまで、広範な住民とともに、環境、財政、住民合意など愛知万博の問題点を指摘して、万博計画の白紙撤回と開催中止を求めてまいりました。
 万博の経緯を見ますと、地元の愛知県において、環境の問題をめぐって計画の見直しや中止を求める住民や環境保護団体等による取り組みが大きな広がりを見せておりまして、開催予定地で絶滅危惧種のオオタカの営巣が確認されたことは、環境を破壊することへの懸念を大きく広げました。しかも、この批判は国内だけではありませんで、九九年十一月に調査のために来日をした博覧会国際事務局から、二十世紀型の開発至上主義とまで指摘をされた。
 外務大臣は環境大臣の経験をお持ちであることを踏まえて伺いますが、愛知万博の計画に対して、これまで住民や自然保護団体から反対や見直しを求める運動が大きく広がってきた事実、国際的に批判を受けた事実、これはもっと厳しく受けとめるべきではないかと思いますが、率直にどういうふうに考えておられるか、まず伺いたいと思います。
川口国務大臣 愛知万博につきましては、環境を配慮して、例えば海上の森の部分を非常に小さくするといったような配慮を、地元の方々、地域の方々を交えて、NGOの方々も交えて、環境について話し合いをしながら今まで進めてきていただいたというふうに私は理解をいたしております。
 環境は大事な問題でございますので、愛知万博が環境に配慮をしながら適切な形で運営されるのは非常に大事なことだと思いますし、また、自然の叡智というのがテーマでございますから、そういったテーマにふさわしい、いい形の万博をやっていただけるような、そういう仕組みといいますか、そういう中の運営の仕方もできているというふうに思っております。
松本(善)委員 これは愛知万博のパンフレットですが、「「自然の叡智」をめぐる多様な知恵と文化を持ち寄る「地球大交流」の場となること」などの、テーマそのものがやはり環境問題なんですね。今、計画は一部変更されましたけれども、しかし、やはり地元は反対がまだまだ強いですし、愛知県の青少年公園は、やはり絶滅のおそれがあるギフチョウが多く生息しているとか、オオタカの営巣もそのままというような点については変わらないというふうに思うんです。それで、私どもは、開催の中止をやはりすべきではないかと。
 これは政府参考人で結構ですけれども、国際博覧会の開催を予定している国で、博覧会の計画が住民の合意を得られない事例はこれまでもあったと思う。そういう場合に、計画を進める側がどんな対応をとるかということは、国際的にも非常に注目されると思います。それで、博覧会事務局への計画登録後、招請国の事情によって開催が中止に至ったケースがあるかどうか、あればどこか、伺いたい。
佐々江政府参考人 お答えします。
 過去の国際博覧会のうち、各国政府に対して正式な参加招請状が出された後にその博覧会が中止された例としては、一九九六年に開催が予定されていたブダペスト国際博覧会があるというふうに承知しております。
松本(善)委員 今、政府参考人が言われたとおりであります。
 それで、やはり決断をすべきではないか。国際的な批判もあり、そして、一部の計画変更がありましても、その批判がやまったわけではありません。国内でも地元でも、大きな反対運動がかつて見ないような形で動いております。
 日本が博覧会事務局に登録した一般規則において、開催中止についてはどういう要件を規定しているんでしょうか。これも政府参考人でいいでしょう。
佐々江政府参考人 お答えいたします。
 国際博覧会条約には、博覧会の中止に関する要件について特段の規定はございません。したがいまして、開催国において博覧会の中止を決定するかどうかということについては、それぞれ個別の事情を勘案して判断することになるというふうに承知しております。
 なお、九六年の博覧会国際事務局総会におきまして、一般規則のひな形という標準規則が採択されております。それによりますと、博覧会を中止した場合の補償に関する規定が設けられているということはございます。しかしながら、一般としては、各国がそれぞれ自分の判断で決めるということでございます。
 ちなみに、先ほど述べられましたブダペストの博覧会の例におきましては、政権の交代というものもありまして、経済状況を見て中止を決定したというふうに承知をしております。
松本(善)委員 愛知万博の一般規則三十七条の一で、「登録された博覧会の開催を取りやめた場合には、開催者は、参加契約書に署名した加盟国に対して、当該加盟国がその博覧会の参加のために直接要した費用であって正当と認められるものを補償しなければならない。」ということになっていると思うんですが、この補償をすれば中止をするということが事務的には可能なんですね。
佐々江政府参考人 中止するという決定をもしするのであれば、そのような手続を踏むことが必要だということでございます。
松本(善)委員 外務大臣に伺いたいと思うんですが、本来、環境影響評価法の規定に従いますと、変更の対象が市町村を超える場合、環境アセスメントの手続をやり直さなきゃならない。ところが、計画を進める国や県、博覧会協会が、住民が求める環境アセスメントの手続のやり直しを拒否して、環境影響評価書の修正で対応する態度でありました。
 愛知万博が、先ほど申しましたように、自然の叡智だとか、あるいは、ここにもありますが、循環型社会、これをテーマに掲げている。全くそのテーマと相入れないやり方で計画が進められ、それが実質的に変更されていない。やはりそれは環境保全を求める住民にも受け入れられませんし、国外からの、外国からの批判に対しても耐えられないというふうに私は思います。
 やはりこの時点で、可能でありますし、今の時点であればそんなに大きな被害も、被害といいますか、損失というか、補償も大きくないと思います、中止をするということの判断をすべきではないかというふうに思いますが、外務大臣の考えを伺いたいと思います。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、環境への影響についても協会において適切に処理をしていただいていると思っておりますし、また、その面で、地元の方あるいは国民の方の理解もこの点については深まっていると私は考えております。
松本(善)委員 やはり、日本の外交が存在しているのかどうかというようなことがいろいろ言われている時期でありますし、それから、日本の外交を根本的に見直す必要があるんじゃないかという大きな議論が国民的に起こっているときであります。日本という国は自然を大事にする、そして環境もどこよりも大事にする、そういうような評価を受けるということが、日本の信頼を高めるという上でやはり非常に重要なことだと私は思います。外務大臣の考えとは違いますが、そのことを強調して、私は質問を終わろうと思います。
吉田委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社民党の東門美津子です。
 二〇〇五年の日本国際博覧会協会の事務総長は、本博覧会への参加国について、アジアを含めた多くの国に出てほしいと発言しておられます。しかし、現在、正式に表明しているのはシンガポール一国ということで、ほかに、韓国政府が三月三日に参加することを決めたということを発表したと報道されているわけですが、現在、政府は、参加表明をしていない中国、あるいはまたシンガポール以外のASEAN加盟国に対してどのような働きかけを行っているか、お伺いしたいと思います。
佐々江政府参考人 既に、百を超える各国政府、それから国際機関に対して招請状を出しまして、外交ルートで積極的な働きかけを行っております。それから、既にかなりの国から出席の表明の意向も寄せられております。たしか二十数カ国、寄せられていると思います。
東門委員 その二十数カ国は、もうほとんど参加をするという表明の段階まで行っているんでしょうか。
佐々江政府参考人 そのとおりでございます。正確には二十七カ国が表明をいたしておりまして、国際機関は五つの機関から参加の表明が来ております。
東門委員 はい、わかりました。
 在外公館の名称、位置、給与法改正案についてお伺いします。
 在東ティモール大使館に勤務します外務公務員の在勤基本手当、その基準額についてですが、それは、在インドネシア大使館に勤務する外務公務員の給与と比較して、大使を除いて、おおむね高目に設定されているというのがわかったんですけれども、一九九九年十月までは、東ティモールはインドネシアの一地方であったわけですよね。東ティモールの独立後も両国の物価水準、そういうものはほとんど違いはないと思われますけれども、その両国大使館における外務公務員の在勤基本手当の基準額に差がついているのはどういうことでしょうか、お聞かせください。
北島政府参考人 これは、ほかの国でもいろいろな例がございまして、例えば、アメリカの国内でもワシントンとニューヨークとでは在勤法が違う、それからベトナムでもハノイとホーチミンとで在勤法が違うということがございます。要するに、その場その場での物価水準、それから物をどれぐらい容易に調達できるか、そういったことを総合的に勘案するわけですけれども、東ティモールの場合ですと、現時点をとれば、ジャカルタと比べて生活のコストがそれだけ高い、そういうことを考慮したということでございます。
東門委員 在外公館との関連ですけれども、昨年の米国同時多発テロ直後、米国の在ニューヨーク総領事館、それは邦人保護をほとんど何もしなかったという批判が、指摘が結構なされていたと私は理解していますけれども、ニューヨーク総領事館のテロ直後の対応、それに対して外務省としてはどのように認識をされておられて、そして、それにどのように対応されたか、お聞かせいただきたいと思います。
北島政府参考人 私、当時ワシントンにおりまして、現地の情勢を非常に注意深くフォローしておりました。委員が御指摘のような御批判が一部報道にあったということも覚えております。当時、私、ニューヨークから離れたところではございますけれども、ワシントンでいろいろなことをしましたけれども、ニューヨーク総領事館も在留邦人支援、それからいろいろな問題があって、いろいろなことを誠心誠意やったわけですけれども、当時の総領事館の対応に問題があったというふうには見ておりません。一生懸命努めていたというふうに思っております。
東門委員 今の官房長のお話でしたら、私の手元にあるのは、SAPIOの「日本の国益を損なう「不適材不適所」の外交官たち」という記事の中なんですけれども、本当にニューヨーク総領事館のそのときの対応がいろいろ例示をされてここにあるのですよ。それからしますと、今の御答弁だと、いや、しっかりと対応していた、全然それは当たらない、正しくないということなんでしょうか。
川口国務大臣 この総領事館あるいは領事館、大使館のいろいろな事件が起こったときに対応がどうであったかということについては批判があり得ると思います。それは、具体的に何が問題であったかということを私が知っていてということではありませんで、中の人間はもちろん誠心誠意対応しているわけでございますけれども、外の目から見たときに十分でないという御指摘は当然にあり得ると思います。
 今、総領事館、領事館あるいは大使館につきまして、これは私は、日本の領事館であり、日本の、あるいは日本人のための、国民のための領事館、国民のための総領事館であるということを言っておりまして、こういう観点から「変える会」で議論をこれからしていただくことになっておりますので、私、その記事は読んでおりませんけれども、拝借をしまして読ませていただいて、その議論の過程で、何かそこから学び、今後の改善につなげることがあるということでしたら、それは大いに前向きに生かさせていただきたいと思います。
東門委員 今の大臣の御答弁、とても大事だと思います。やはり、こういう批判があるときに耳を傾けるということはとても大事で、いや、そういうことはない、一生懸命頑張ったというだけでしたら、外部から来るのは何なんだろうと思います。本当にこれ、読んでいますと、えっ、こういうふうな対応をしているのか、何のために総領事館はあるのだろう、そういう在外公館は存在するのだろうと思わざるを得ないようなものです。ですから、ぜひそういう批判には耳を傾けるという姿勢は持っていただきたいと思います。
 次に、沖縄担当大使についてちょっとお伺いしたいのですけれども、外務省には三月二十日現在、待命を含めて百二十四名の特命全権大使が任命されているわけですね。この中には、海外に派遣されて、現地における外務省所掌事務の責任者として在外公館の長の任務に当たる人のほかに、外務省本省に所属をして特定の外交問題における責任者の任に当たる特命全権大使も六名任命されている。その内訳はいろいろありますけれども、それらの分野及び地域で、いずれもそれぞれの職務に頑張っておられると思うのですが、その設置の意義ももちろん十分あると思われるのですが、私は、沖縄県民として、特に沖縄に設置されております沖縄担当大使、それについてとても関心がございます。
 沖縄担当大使、現在の大使で三代目だと思いますが、外務省が沖縄の問題について本当に取り組んでいこうという姿勢のあらわれであるとは思います。私も、その当時、最初の原島大使が任命されたときには県庁におりましたので、とても期待をいたしました。私は、今現在どうであるかということを、外務省の本省の方ではどのように評価されておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。沖縄担当大使についてお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 委員が、沖縄担当大使の官としての、あるいは職務としてのその内容について御意見がおありになるとおっしゃっていらっしゃるのか、あるいは具体的個人の仕事のやり方についておっしゃっているのか定かではございませんけれども、この沖縄大使の仕事といいますのは、外務省の沖縄の事務所というのがございますけれども、その事務を総括いたしまして、必要に応じて上京をして、これらの事項について外務本省に報告をする、官邸その他政府の関係者と話をするということを仕事といたしております。
 それから、あわせて、現地の在沖縄の米軍と話し合う、自治体と話し合う。議会、民間団体の方々の意見を聞いて政府に伝えたり、あるいはその逆の方向のお話を申し上げたり、それから沖縄県、国、米側の三者の代表が一堂に会して協議をする三者連絡協議会がございまして、その場を通じまして地元での問題解決に努力をするといったことが仕事でございまして、こういった職務を全うするように本人は一生懸命に仕事をしていると思っております。
東門委員 職務の内容、わかりました。
 それで、私が本当にお聞きしたいのは、沖縄担当大使が沖縄県に設置されて、これまで外務省の側から見て沖縄問題が進展した、解決に向けてこれだけ進んだということは実感としておありかどうか。あれば、どういう面で進んだかということをお聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 私、先日沖縄に参りまして、短い時間でありましたけれども、市町村長の方々とお会いをしていろいろなお話を伺わせていただきました。これは、私は一日伺っただけ、しかも市町村長の方とお話ができたのは、お昼を食べながらの一時間弱の時間でございましたけれども、やはり沖縄担当大使が現地にずっといて、それなりに人と人のネットワークをつくり、そういった沖縄の方々の考え方、御意見をくみ上げ、またこちらからお伝えをするということを日常ベースでやることができるということは、私は大変に大事なことであると思っております。
東門委員 大変に大事な任務であることはわかるんですが、私がお伺いしたいのは、大使がそこに行くようになって、設置されて、それからこれまで、それ以前と比較してこういうことが進展しました、沖縄の問題について、基地の問題についてこれだけ進展しましたよということがあれば、ぜひお聞かせいただきたい。通告がなかったので中身はないかもしれませんが、ぜひそれを私は知りたい。ですから、ぜひその資料、こういうことが変わりましたよということをお知らせいただきたい。後で結構ですからお願いしたいんですが、大臣、どうでしょうか。
川口国務大臣 沖縄で、例えばSACOの最終報告の実施等々、さまざまな動きがございますけれども、こういったことについて、これが一人の人間の仕事であるということで評価をしていくというのは難しいと思います。この問題については、在沖縄米軍も本省も、それから沖縄の県庁初め沖縄の県民の方々も、皆さんが関係し合っているということだと思います。
 したがいまして、日常ベースでコミュニケーションを積み上げていって、沖縄の県民の方の御負担を軽くするような、軽減するためのさまざまな努力、あるいは日常ベースでの在沖縄米軍の人たちとのコミュニケーションも含め、例えば、私がこの間沖縄に行って聞いたことの一つは、英語について理解を、文化的な理解も含め広める、あるいは沖縄の文化を広めるといったようなことについて一生懸命やっているという話もありましたけれども、そういった小さなことを積み重ねて一つの沖縄県という地域での相互の信頼関係を高めていく、そういったようなことが仕事であると思いますので、例えば普天間飛行場の返還、移設について、沖縄大使がどれぐらいの役割を果たしたかというような形で申し上げるというのは非常に難しいと思います。
 ただ、私は実感として、歴代の大使は日常ベースの信頼感の醸成には非常に心を砕いてきたというふうに思います。
東門委員 別に日常ベースでの御努力を否定するという意味ではないんですけれども、実は、大使が赴任されて、沖縄で、国と県と米軍との対話をよくしていくことによっていろいろなあれができるというお話はありました。県民がとても期待した部分もあったかと思います。ところが、実際に私たち県民の目にはそれが見えていないという部分は否めないと思います。
 その中に一つ、例を挙げますと、米軍人軍属による犯罪率は決して少なくはなっていない。国、県そして米軍、これは三者協ですか、そういう協議も行われておりますし、あるいはその根絶に向けてということで、基地の所在市町村のトップも含めた作業部会等が設置されまして、もうそこでは随分協議が重ねられておると思います。三者協も二十回を超えていると思いますし、ワーキンググループもかなりの頻度数でいろいろ協議がされていると思います。そこに国がどれくらいのコミットメントで、本当にコミットして沖縄問題の解決に向けているかというのが見えない。
 大使の役割というのは、私は小さなものではないと思います。ですから、そういう意味で、やはり大使がそこに、場所が沖縄県にあるということはとても大きな意味があるし、やはり外務省もそれを期待したでしょうし、県民も期待している。そういう中で、米軍のそういうものも全然変わっていかない。
 もちろん、それは大使一人の力でどうしようもないことは重々承知しております。これは県の努力もありましょうけれども、私は、でも、何といっても国であり、米軍であると思うんです。県民はその後に来る、県は後に来ると思います。国と米軍がどのようにして米軍人の犯罪、被害者であるのは県民ですから、そこに対していくかということが見えてくるべきなのが、むしろ犯罪の検挙数は過去三年間連続で増加をしているという実態があるということですね。
 ですから、そういうことで先ほど大使について質問させていただいたんですが、具体的に伺います。
 夜間外出制限について、アメリカ側はすごく否定的なんですよ。大使からもいろいろ報告はあろうかと思います。外務省の方としては、夜間外出制限が犯罪防止にやはり有効だとの考えでそういうことを進めておられるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
川口国務大臣 米軍、米軍人あるいは軍属の方々の犯罪あるいは事故が沖縄県民の方の負担をさらに増しているということについて、私も認識をしております。
 実際、先週現地に参りまして思いましたのは、やはりこの問題の重さということでございました。特に、米軍人あるいは米軍属の家族の犯罪というのも最近ふえてきているというのも、私は認識をしております。この点につきましては、グレグソン四軍調整官とお会いをいたしましたときに、私の方からお話もさせていただきました。
 事故、事件の防止のための取り組みは、したがいまして、とても重要でございまして、現地の大使のみならず、国としても一生懸命にやっているところでございます。おっしゃったワーキングチーム等の努力というのもございますし、それからシンデレラタイムという、夜中になったら帰りましょうというキャンペーンでございますけれども、そういうこともやっているというふうに聞いています。
 こういったさまざまな努力が、委員がおっしゃられたように、県民の方に必ずしも見えてこないというのは一面残念なことでございまして、反省すべき点というのはあると思いますけれども、物事をやっている過程で必ずしも全部が見えるわけではございませんので、県民の方に努力について御理解をいただけるように努めながら、犯罪、事故の未然防止、再発防止については努力をしてまいりたいと考えております。
東門委員 やっている過程で見えないというのはわかるんですけれども、私たちに見えているのは、はっきりと犯罪がふえているということが見えているんです。それについてお伺いしているんですよ。どういう努力をしているかが見えない。だから、それは少し時間を待てとおっしゃるかもしれないが、犯罪数はむしろふえてきている、そういうことを私は申し上げているんですね。
 ですから、それに対して、例えば夜間外出制限、私は、それには外務省としてどういう姿勢で米軍に臨まれますかということを今お聞かせいただきたいということでございますので、ぜひお答えいただきたいと思います。
川口国務大臣 まず、事件、事故がふえているということは、私は、とても遺憾なことだと思います。
 これにどういうふうに取り組んでいくかということですけれども、まず、アメリカ側が自分たちの綱紀の粛正に取り組んでもらう必要があると思います。政府といたしましても、国、米軍、地方自治体の関係者と協力をしまして取り組んでいくことが大事だと思っておりまして、このための、事故防止のための、事件防止のためのワーキングチームをつくっておりまして、これを通じまして引き続き努力をしたいと考えております。
 それで、夜間外出制限につきまして、例えば、昨年の七月の十三日の事件・事故防止に関する臨時会合で合意をされましたシンデレラタイム、先ほど申しましたが、それに対する米軍の協力は、これは事件、事故の防止に効果があると私どもは考えておりまして、政府としてもその強化に引き続き努力をしたいと考えております。
東門委員 シンデレラタイムというのは、沖縄の地元で女性たちが中心になって始めた事業なんです。それをアメリカ軍の軍人の方にも適用しようということであるのはわかるんですけれども、実際に効果を上げていないということなんですよ。ですから、こういう事件は連続で増加をしている傾向にあるということを申し上げているのです。
 外務省の大使がおられるわけですよ、任務をそこでなさる方。外務省本省でも構いません。夜間外出禁止をシンデレラタイムでやりますということではなくて、はっきりグレグソン四軍調整官は、できません、それは言えませんというふうな表明をしているわけです。それに対して外務省はどのように対応されるのですかということをお聞きしているのです。その点をお聞かせくださいと申し上げているのです。
吉田委員長 もう時間が参っております。
東門委員 はい、わかります。いや、答弁だけ。
吉田委員長 では、外務大臣、一言答弁してください。
川口国務大臣 問題の大きさについての認識は、国としても、それから先般お話をした米軍のグレグソン調整官についても、全く同じ、非常に重大だと認識をいたしております。これについては努力を積み重ねて、話し合いを重ねていくということで、実際に犯罪がふえていかないように努力をしたいと考えております。
東門委員 終わります。
吉田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
松本(善)委員 私は、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案に反対する討論を行います。
 愛知万博は、開催地の愛知県において、計画への反対や見直しを求める広範な運動が展開されてきましたように、計画そのものに重大な問題があることは明白であります。我が党は、これを進める政府代表の設置には反対であります。
 第一は、環境保全の問題です。
 博覧会協会と国や県は、会場変更に伴う環境アセスメントのやり直しも行わず、環境影響評価書の修正で対応する態度をとるなど、住民要求を無視して計画を進めようとしております。この姿勢は、みずから掲げる万博のテーマとさえ相入れないものであります。
 第二は、莫大な財政負担の問題であります。
 愛知万博は、会場建設費と別枠の関連建設費を合わせますと千六百億円以上と言われております。地元自治体の負担割合は、これまでのどの国際博覧会よりも高く、赤字の場合、地元への一層の負担の押しつけが予想されるなど、財政の点でも重大な問題を持っております。
 万博計画の一般規則は、質疑でも言いましたように、開催中止の際の補償について定めており、開催中止は国際的に認められた正規の手続として理解をされます。
 我が党は、計画の白紙撤回と道理ある開催中止を図るべきことを主張して、反対討論を終わります。
吉田委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 これより採決に入ります。
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
吉田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、その申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
吉田委員長 この際、本案に対し、坂井隆憲君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。首藤信彦君。
首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  激変する国際社会にあって、わが国外交を担うべき外務省は、機密費問題に端を発した一連の不祥事、不適切な資金の流れ、政治家と官僚との不適正な関係、閉鎖的な組織など、極めて根本的な問題を抱えており、国民への説明責任も十分に果たしているとは言えない。外務省の人事面、組織面、会計面、意識面、政治家との関係などについて、一層抜本的な改善策を早急に実施することが、公正で透明な行政組織としての信頼を回復する上で不可欠である。これらを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
 一、外務省においては、日本外交の適切かつ効果的な展開を図り、不祥事の再発を防止し、信頼を回復するために、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組むこと。
 二、わが国の深刻な財政事情並びに民間の厳しい諸情勢を厳粛に受けとめ、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるための具体的措置を講じること。
 三、現下の厳しい国内情況に鑑み、在外職員の在勤基本手当並びに諸手当についても、各任地における諸外国外交官及び日本企業駐在員の給与制度及び水準も参考としつつ、勤務条件・現地の生活環境や物価水準、為替相場などを総合的に勘案し、適切な水準・内容となるよう努めること。
 四、在外公館が扱う報償費などの諸経費について、支出基準・決裁手続きなどを見直し、厳格かつ適正な支出が図られるよう具体的措置をとること。
 五、在外公館においては、犯罪・テロ対策など在外邦人に対する安全対策について一層の機能強化を図ること。
 六、項目二および四に関しては、公認会計士などの中立・公正な立場で専門知識を持った第三者の参加を得た査察を実施すること。
 七、以上の項目に関する具体的な実施内容・状況・結果などについて、当委員会の要請に応じて、随時報告を行なうこと。
  右決議する。
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
吉田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣川口順子君。
川口国務大臣 ただいま二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案及び在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。
 法律案と同時に可決されました附帯決議に関しましては、外務省は、これを厳粛に受けとめます。
 一連の不祥事や特定政治家との関係で不正常な事態を許していたことについて、外務省の責任を痛感し、組織として深刻に反省しなければならないと認識しています。
 二月に発表した「開かれた外務省のための十の改革」は、失われた国民の信頼を一刻も早く回復し、国益を増進する外交を行う体制を整えるためのものですが、同時に、外交の実施が国民の皆様の理解と支持なくして機能しないことを認識してのものであります。
 具体的にとるべき改革措置については、有識者による「変える会」において提言をいただく予定ですが、提言を待つことなく実施できることについては直ちに実施する考えです。
 外務省としては、附帯決議の御趣旨をも踏まえて、今後とも外務省改革に全力で取り組んでまいります。
 まことにありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
吉田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十分散会


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