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第6号 平成14年4月3日(水曜日)

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平成十四年四月三日(水曜日)
    午後一時五分開議
 出席委員
   委員長 吉田 公一君
   理事 浅野 勝人君 理事 石破  茂君
   理事 小島 敏男君 理事 坂井 隆憲君
   理事 首藤 信彦君 理事 中川 正春君
   理事 上田  勇君 理事 土田 龍司君
      今村 雅弘君    高村 正彦君
      佐藤  勉君    中本 太衛君
      丹羽 雄哉君    細田 博之君
      水野 賢一君    宮澤 洋一君
      望月 義夫君    伊藤 英成君
      木下  厚君    桑原  豊君
      細野 豪志君    前田 雄吉君
      丸谷 佳織君    松本 善明君
      東門美津子君    松浪健四郎君
      鹿野 道彦君    柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   外務大臣政務官      松浪健四郎君
   外務大臣政務官      水野 賢一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 原田 親仁君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   参考人
   (前コンゴー民主共和国駐
   箚特命全権大使)
   (支援委員会事務局長)
   (日露青年交流センター事
   務局長)         高野 保夫君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  小坂 憲次君     佐藤  勉君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤  勉君     小坂 憲次君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――
吉田委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として前コンゴー民主共和国駐箚特命全権大使・支援委員会事務局長・日露青年交流センター事務局長高野保夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りをいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長北島信一君、大臣官房審議官原田親仁君、欧州局長齋藤泰雄君、中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 高野参考人におかれましては、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、大変御苦労さまでございました。
 質疑の前に申し上げます。
 参考人には、委員の質問に対しお答えいただきますが、委員長の指名によりまして発言していただくようお願いを申し上げます。
 また、政府側の出席者におかれましても、委員長の指名により発言するようお願いを申し上げます。
    ―――――――――――――
吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。最初に、首藤信彦君。
首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 外務大臣、今世界は本当に戦争のふちに転がろうとしている。今、中東で起こっているパレスチナ問題というのは、九三年のオスロ合意やキャンプ・デービッドの合意、それがまさに踏みにじられて、もう相手の国の大統領府の、そして、やがては大統領になると言われた人の胸元まで戦車の大砲が突きつけられている、そういうような異常な事態です。そのことは外務大臣自身もよく知っておられて、シモン・ペレス外務大臣にも電話されている、そういうことも聞いています。シモン・ペレス外務大臣からもいろいろなメッセージがあるということも。
 昨日、民主党はこの問題に関して、伊藤英成議員と私とがイスラエル大使館に行きまして、大使に対して、情勢の鎮静化と対話路線へ即時に戻るということに関して強く申し入れを行いました。
 私は、その意味で、きょうはパレスチナ問題、これをほっておくと、イラクへの空爆とかいわゆる第二次湾岸戦争につながるかもしれない、あるいはまた、一たん火が消えたはずのアフガニスタンにおけるアルカイダやタリバンやこうした勢力がまた勢いを盛り返してくるかもしれない、こういうことから、きょうは、このパレスチナ問題に関して二十分きちっといろいろ御意見をお伺いしたい、そういうふうに思っておりました。
 しかし、昨夜、外務省の方から、今回の一連の外務省の不祥事に関して人事的な処分措置が発表されました。私にとってはこれは驚天動地といいますか、我々はこんなに一年間もわいわいわいわいやっていて、こんなにも世間から批判を受けて、こんなにも日本の社会の隅々から、一体政治は何をやっているんだ、政党は何をやっているんだ、こういうふうに言われながらきた。その結果がたったこれだけの処分かということで、私は愕然としたわけであります。何よりも、この処分の軽さに信じられない思いがいたします。こんなものに我々は何十時間も何十時間も貴重な時間を費やして、口角泡を飛ばして、人の人格まで批判しながらやってきたのか。
 処分を見れば、厳重訓戒、厳重訓戒、厳重注意、厳重注意、注意、注意、注意、注意、注意、注意、注意ですよ。注意なんというのは、僕だっていつでもやっているんだ。外務省の人にだって、あんただめじゃないかと言っているじゃないですか。これが注意ですよ。もちろん、そうじゃないと言われるかもしれない。官僚にとって注意とか訓告というのは重いんですよ、そういうふうに皆さん説明される。しかし、そんなことを市民がわかりますか。国民がわかりますか。これだけのエネルギーを使いながら、これだけの資源を使いながら、注意、注意、注意です。そして、一番重いはずの東郷さんだって、要するに依願退職。こんなことが民間企業で通ると思っていますか。日本の組織の中で通ると思っているんですか。
 最初に外務大臣にお聞きしたい。一体どういう基準に基づいてこの処分を行われたのか。私がなぜそれを言うかというのはおわかりだと思います。
 この問題に関しては、鈴木宗男議員が深く関与していた。この処分に関しては、鈴木宗男議員の不当な影響力を排除するために人事の刷新を行う、何度も何度もいろいろなところで報道されました。しかし、最近言われていることは、いや、そうした特定議員の問題ではない、人事の刷新である、こういうような意見すら外務省から出てくるではないですか。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 昨日、私から発表させていただきました人事上の措置につきましては、今委員は軽過ぎるとおっしゃられましたが、また同時に、重過ぎるというお立場の意見も私は伺っておりまして、これは、その方のお考え、お立場によってさまざまな思いがおありになると私は思います。
 そういったことは承知をいたしておりますけれども、私としては、人事上の措置というのは公正でなければいけないと考えておりまして、さまざまな過程を経まして私として公正な判断をした、その結果を発表させていただいたつもりでございます。
 それで、念のためにつけ加えさせていただきますけれども、今回の措置は、三月四日に発表いたしました北方四島住民支援に関する調査結果報告書及び在京コンゴー民主共和国臨時代理大使等を巡る諸問題に関する調査結果報告書、この二つを踏まえまして、それに基づきまして行ったものでございます。
 以上です。
首藤委員 外務大臣、ということは、まだ私たちが追っている多くの疑惑、例えばアフリカに関する、ケニアのソンドゥ・ミリウダムや、その他の疑惑に関する処分とか、また将来出てくるかもしれない、例えば今、北方四島だけではなくて、ロシアからの公電も実は流されていたというようなニュースもありますけれども、そうした問題に関してもきちっと処分されるおつもりでしょうか。いかがですか。
川口国務大臣 今までの調査におきまして、問題が存在をするということが確認されなかったものにつきましては、処分をする考えはございません。他方で、今後新たな御指摘がございまして、あるいは、現在既に調査中のものにつきまして問題があるということが確認された場合につきましては、それに基づいて私は人事上の措置をとるつもりでおります。
首藤委員 じゃ、アフリカに関してお聞きします。
 例えば、中東アフリカ局長の重家さん、この方の問題が、実は今回の外務省の一連のごたごたの最初の起点でありました。この方が、アフガニスタン復興会議において特定のNGOを呼ばなかった、差別した。このことが、日本の外交が空転し、我々の国際社会における名誉が失われた、私たちの憲法を否定した外交が行われた、そもそもの起点ではないですか。その重家さんがどうして注意なんですか。いかがですか。
川口国務大臣 NGOの問題につきましては、おっしゃるように、一連の国会の御審議に対して御迷惑をおかけしたと総理が判断をなさったことの原因になっているということでございますけれども、これにつきましては、国会の御審議にマイナスの影響を与えたということについては、総理の御判断がございまして、野上前事務次官がそれについては責任をとって事務次官の職を辞したということでございます。
 ということで、それについては、NGO問題につきましては既に処分は行っているということでございますけれども、重家局長につきましては、今回は別な理由で注意ということになっております。
 NGOの参加問題についてのその重家局長の責任ということで申し上げますと、今まで私は国会の場でも申し上げておりますけれども、一度これは不適切な判断をしたということでございます。それは不適切な判断であったわけですけれども、その後、田中大臣の御指導があって、判断を適切な判断に戻したということでございますので、それについては処分の対象にはならないと私は考えております。
首藤委員 外務大臣に、私は御注意申し上げます。そんなことを国民が本当に信じますか。そんなことで日本の外交が国民の支持を得られますか。我々の財産そして我々の生命がかかってくる外交が、そんなことで皆さん納得できますか。よく自問していただきたいと思いますよ。
 後段の、今言われた野上さんも厳重訓戒ですか、給与の二〇%、大臣もそうです。しかし、我々国会議員は、例えば今回の不況によって民間企業の方はこんなに苦労されているんですから、我々も一〇%減らしましょうということで、別に何もとががなくたって一〇%を減らしていますよ。どうして、こんな大きな問題が吹き出した人たちがたった二〇%しか給料が減らされないのか、これは全く理解に苦しむところであります。
 それから、いろいろな問題があります。例えば、鈴木さんのお金を、わざわざ鈴木さんがやるかわりに自分が、いや、私がやりますと言って銀行まで運んでいって、外貨送金をした。この人は、全体の奉仕者である公務員が、一部の人の、個人のためにお金を運んでいって銀行で手続をした。ここに使われた時間というのは、税金の中から返すべきじゃないですか。一円でも二円でもいい、一億二千万の人間に一円ずつでも返してほしい、そういうふうに思うわけであります。
 これに、厳重訓戒とかいろいろありますけれども、このことに関しては、私は、国民を代表しまして、川口大臣、あなたを厳重注意します。これ以上、こんな外務委員会の運営をやっていったら、もうこの国の外交はない。本当に今、グローバリズムの中で、ほんの世界の片隅で起こっていることが我々の生活に直結するような時代に、こんな官僚答弁を、組織の理由だけでの答弁を繰り返していったら、私は、外交はない。その意味では、きょうは厳重注意申し上げます。このことを重く受けとめて、ぜひ日本のための外交をやっていただきたいと思います。
 さて、もう時間が少なくなってきましたので、本論のパレスチナ問題に行きたいと思います。
 まず、日本政府はパレスチナを国家として承認しているのか、あるいは承認するおつもりなのか、いかがですか。
川口国務大臣 パレスチナの国家承認問題でございますけれども、これは幾つかのその経緯をたどって考えてみないといけないと思います。
 いわゆるパレスチナ解放運動におきまして、歴史的に見ましたときに、その目標についてはさまざまな議論があったわけですけれども、さまざまなその議論を経て、今日の時点では、アラファト議長の率いるパレスチナ解放機構が、PLOですが、西岸及びガザの地にパレスチナ独立国家を樹立しようと、これを望んでいるということはほぼ確かであるというふうに考えます。
 イスラエルとPLOは、九三年のオスロ合意によりまして、パレスチナ問題を交渉によって解決することに合意をしまして、それ以降、昨年の初めまで和平交渉を行ってきたわけでございまして、我が国としても、その和平交渉についてはプロセスを支持してきたわけでございます。
 したがいまして、我が国といたしましては、パレスチナ自治区において激化している暴力の悪循環が一刻も早く断ち切られるということが大事だと考えておりまして、このことにつきましては、ペレス外務大臣、アブ・アラ氏とパレスチナについてお話をしたわけでございます。
 したがいまして、そういった和平交渉を経てパレスチナが平和裏に国家独立を宣言する場合、この場合には、我が国として、その国家承認を速やかに検討をしたいと考えております。
首藤委員 ということは、イスラエルが認めて、和平裏に国家として成立したら、国家として声明を出したら、それは認めるということですね、国家として。いかがですか、外務大臣。
川口国務大臣 先ほど、和平交渉を経てということを強調させていただきましたけれども、パレスチナが国家である、あるいは国家の独立宣言をするとか、いろいろなプロセスが、いろいろな状況があり得ると考えております。
 したがいまして、我が国としては、和平交渉を経てパレスチナが平和裏に国家独立を宣言する場合、その場合には、我が国として、その国家承認を早急に、速やかに検討をするということでございます。
首藤委員 それでは、外務大臣にお聞きします。
 国家でもない、将来国家として認めるかどうかもわからないところに、一体どれだけ私たちの税金をつぎ込みましたか、どれだけの援助がパレスチナに流れていますか。いかがですか。
川口国務大臣 今までその地域にしてきた援助の金額、これは、パレスチナ人に和平の希望を与え、和平プロセスを側面から支援するという意味合いで行ってきたわけですけれども、六億ドル以上の支援を行ってきております。
首藤委員 その根拠は何ですか。国家でもない、それから紛争があるところ、承認されるかわからない、そんなところへどうしてそんな国民の税金を使うことができるんですか。いかがですか、外務大臣。
川口国務大臣 まさに、先ほど申しましたように、パレスチナは、オスロ合意に基づいた和平プロセスの片方の当事者でございます。そのパレスチナ人に対して和平の希望を与え、それによって和平のプロセスを側面から支援をするために、支援をしてきているわけでございます。
首藤委員 これは、私が二月の委員会で質問させていただきました。こうした日本あるいは諸外国からの援助に関して、イスラエル軍は、ミサイルを発射し、ロケット弾を発射し、砲弾を発射して、どんどん壊しています。ですから、それに対しては、イスラエルのそうした暴挙をヨーロッパ各国はとめようとして、ともかく、そんな勝手に壊すんだったら賠償しなさい、弁償しなさいということを要求しているんです。
 日本の援助の中で、壊されて破壊されたものは一体幾らぐらいになりますか。
川口国務大臣 現在起こっているイスラエルとパレスチナの衝突の中で、日本が支援をしました施設あるいは機材の一部に被害が及んでいるということは、大変に残念なことだと思います。
 それで、それは幾つか対象があるわけですけれども、例えば、視覚障害者訓練センター、パレスチナ放送公社、ガザ国際空港、学校建設現場への銃撃等々ございます。そのうちのどれぐらいが被害を受けているかということでございますけれども、視覚障害者訓練センター、これにつきましては、UNDP、それからUNRWA、これは国連難民救済事業機関ですけれども、ここを通しまして、現在、算定作業を行っているということでございます。
 これにつきましては、ここを通して行った国がたくさんありまして、それのうちのどの部分が我が国の援助に当たる部分で、どの部分がほかの国に当たるかということをきちんとしないといけないということがございまして、現在まだ結果が出ていないということです。
首藤委員 このガザの視覚障害者訓練センター、私も行きました。かなり危険があるときでした。昨年、行きました。しかし、本当に心温まるのは、そこに、日本からの支援でこういうものができているんですと大きなプレートで書いてあります。そして、私が行ったら、目の見えない子供たちが私に歌を歌ってくれました。今でも、その瞬間を思い出しますよ。そこが、今聞くところによると、ロケット弾によって完全に瓦れきの山となった、そういうふうに聞いております。
 一体なぜ、このUNRWAがやって、UNDPを経由して我々がお金を、我々の税金を使ったものが壊れて、どうしてそれをイスラエル軍は壊したか、その説明をどのように求められましたか。いかがですか。
川口国務大臣 これも先ほど申しましたように、イスラエルの砲撃によって、こうした我が国が援助した施設あるいは機材が破壊をされているということは大変に問題があると私どもは考えておりまして、今までも、被害を受けたことにつきまして、外交ルートを通じまして、イスラエルに対して遺憾の意を伝えてきております。また、事実についての調査、再発防止というのも要請をしてきているわけでございます。
首藤委員 それはもう随分前に起こったんですから、どのような返事をいただきましたか。
川口国務大臣 イスラエルからの返事でございますけれども、我が国のパレスチナ支援プロジェクトの破壊に関しては、日本の援助対象物への被害は、テロへの危険から国民を守るためにとった行動の一環で、意図せざる結果として発生してしまったことを理解してほしい、この件で、良好な日本・イスラエル関係が影響を受けないことを期待しているという返事をイスラエルからもらっています。
首藤委員 残念ながら時間がないです。世界が戦争に転がり落ちるかもしれない、日本が戦争に巻き込まれていくかもしれない、そんなことに、たった二十分の時間しかないのは、十分しかないのは残念です。しかも、そのほとんどを外務省のスキャンダルに使ってしまった。本当に残念です。
 しかし、ぜひ外務大臣、真剣に考えてください。この問題は、本当に日本が乗り出すべき問題なんです。そしてまた、日本が乗り出せる問題なんです。世界の中でいろいろな国はあるけれども、多くの国は、イスラエル側だけか、あるいはパレスチナ側だけかを支援しています。日本は両方とも支援し、両方ともに人脈を持っている。だから、日本が、ばかなことをするな、なぜ盲学校を破壊するんだと言えば、とまるんです。しつこく、どうしてですか、どうしてですかと聞くことによって、ああ、日本がこういうふうに聞いてくるのならやっちゃいけないんだなとわかるのですよ。
 今イスラエルがやっていることは、国際法にも戦争法にも、ジュネーブのさまざまな協定にも反しているのですよ。私は、イスラエルに正しい道を進めと言うことが、日本にとっての、イスラエルの友好国としての日本の責務である、そうした思いを持って、きょうは質問させていただきました。
 事態は簡単には済まない。これからも、機会があるたびにこのことをしっかり質問していきたい。そしてまた、外務大臣もこのことを真摯に受けとめて、真剣に受けとめて、しかも機敏に動いて、国際社会の中で名誉ある外交を確立していただきたいと思います。
 以上で終わります。
吉田委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 ただいま首藤委員の方から、昨日処分された外務省の職員の問題について質問がございましたが、続けて私も質問させていただきます。
 確かに、今首藤議員がおっしゃったように、非常に処分が甘い、これはもう言うまでもない、私も同じ思いでございます。ただ、きのうの川口大臣の記者会見を聞いていて、もう一つしっくりこなかったのは、もし鈴木議員の外務省への関与が今回の処分の背景にあるならば、一人のそういった鈴木議員という政治家にその関与を許した、その外務省の体質なり、あるいはそれを知りながら放置してきた歴代大臣の責任、さらにはその政治家と官僚との関係、これをどうしたらいいのか、どこに問題があったのか、これを何ら指摘していない。この点についてどうお考えなのか、お伺いします。
川口国務大臣 今御指摘のお話についてでございますけれども、これは、鈴木議員及び政治家の方々との外務省の不適切な関係、報告書には社会通念から見て異例な関係というふうに書かせていただいておりますけれども、そこにつきまして問題があるということで処分をしたということも入っているわけでございます。
 今、歴代の外務大臣というふうにおっしゃられましたけれども、私よりも前の外務大臣につきましては、これは政治家の方でいらっしゃいますので、外務省として、この歴代の外務大臣、政治家の方に処分をさせていただくという立場にはないということで、これについては見送らせていただきましたけれども、監督責任という意味で、歴代の次官それから官房長につきましては、これは処分の対象にしております。
 なお、歴代の事務次官のうち、実は現在、柳井元次官、川島元次官につきましては外務省の人間ではございませんので、その監督責任につきましては、その記者発表をさせていただいたときに口頭で触れさせていただいたわけでございます。
 それから、現在の外務大臣、副大臣、事務次官、官房長につきましては、その監督責任ということで、それぞれ処分の対象にいたしております。
木下委員 今大臣が、鈴木議員と不適切な関係があったという指摘がありましたが、そうした一人の議員に対して不適切な関係をつくらざるを得なかった外務省というところは何なんですか。その体質についてどう判断されていますか。
川口国務大臣 一つ申し上げたいのは、外務省のそういったことを招いた、政と官の不適切な関係あるいは社会通念から見て異例な関係を招いたということにつきまして、外務省には当然責任があるわけでございます。そこについて、例えば外務省の信用を失墜したとか、あるいは責任を持って職務の遂行に当たらなかったとか、あるいはその指導監督の責任を果たさなかったとか、そういう理由で処分を今回しているわけでございます。
 さらに、今後そういうことが起こらないということからいいますと、私は、外務省の職員に対しては、特に幹部に対して、何でこういうことになったかということをきちんと総括をして反省をするという過程を経なければいけないということは言っております。
 なお、外務省の中に、これは今「変える会」という形で外部の方に集まっていただいて改革を考えておりますけれども、中で、さまざまなグループが、一部自発的に、こういった問題に対して対応しなければいけない、どういう改革を考えるべきか、あるいはどういったことが問題であったかということを議論しようという動きがございまして、私はそれは非常にいい動きだと思っておりまして、きちんと総括をして、反省をして、それに立って改善策を実施していくということが大事だと考えております。
木下委員 今大臣は個人の監督不行き届きだとかそういう問題にすりかえていますが、私が見るところ、外務省の職員の皆さんに、要するに、国益は何か、この感覚がないんじゃないですか。だから、例えばチャイナグループとかロシアングループとか、そういった形、人たちが暗躍する。ですから、本来の日本の外交はどうあるべきか、この姿勢が完全に希薄化している。だから、例えば北方人道支援についても、本当に北方四島が返ってくるための支援なのか、そのために例えば鈴木さんが本当にいろいろな圧力なりしているのか、あるいは単に利権絡みで言っているのか、その辺の判断が外務省の皆さんにできていない。要するに、国益というものを考えていないからじゃないですか。
 その辺、体質というのはまさにそこだと思うんですが、大臣は御認識いかがでございますか。
川口国務大臣 私は、そういう御批判をいただいたとしても、それを決して否定をすることができない状況に外務省は、あるいは外務省の職員はあると思っております。全員がそうであるということを申しているわけでは決してありませんけれども、組織全体としてそういうふうになってしまったということは事実でございますので、そこは、先ほど申しましたように、きちんと総括をして、反省をして、その上に立って改善策を実行していくことが大事だということを思っております。
 委員が、国益をきちんと考えることができたかどうかということをおっしゃられましたけれども、四月の一日に入省式がございまして、私は新しく入りました外務省の職員に対して話をしたわけですけれども、委員が今おっしゃられたことは、私がそのときに言ったことと全く同じでございます。
木下委員 国益について十分考えていなかったという大臣の答弁がございましたので、問題をちょっと個別に移らせていただきます。
 一つ、東郷和彦オランダ大使を厳重訓戒処分にしましたが、その具体的な処分理由、この訓戒処分が重い軽いと私は言いませんが、その具体的な処分の理由は何なのか。
 外相は、特定職員の役割を過度に重視した、あるいは政策決定ラインの混乱をもたらしたと、きのうの記者会見で述べているようですが、その辺は間違いございませんか。そういう理由でということでよろしゅうございますか。
川口国務大臣 東郷大使につきましては、きのう記者会見で三つのことを申しました。
 一つは、鈴木議員や特定の外務省職員の役割を過度に重視をしたため、省内のロシア関係専門家を事実上分断をし、彼らの士気を低下させた、また、その過程で同僚や部下に対して外務省幹部としてふさわしくない言動があった、さらに、対ロ外交の推進に係る省内の政策決定のラインを混乱させたということが具体的なことでございますけれども、そういったことで、対ロ外交を推進する省内体制に混乱をもたらした結果、外務公務員の信用を著しく失墜させたということでございます。
木下委員 その対ロ外交に混乱をもたらした、具体的に言うとどういうことになりますか。具体的に言ってください。
川口国務大臣 それを具体的に申しましたのが、最初に三つ申し上げました、鈴木議員や特定の外務省職員の役割を過度に重視をしたというようなことでございます。
木下委員 対ロ交渉に混乱をもたらしたということは、要するに、これまで政府が一貫してきた四島一括返還論に対して、鈴木宗男議員や東郷オランダ大使が二島先行返還論で、例えば対ロシアと二元外交をやっていた、そのことを指しているんじゃないですか。
川口国務大臣 二島先行返還論につきましてですけれども、これまで我が国としてそれをロシア側に提案をしたということは全くございません。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという我が国の対ロ基本方針、これは堅持をしてきておりますので、それが揺らいだということではございません。
木下委員 いや、そんなことを聞いているんじゃないです。だから言っているでしょう。政府は一貫して四島一括返還を言ってきたけれども、東郷オランダ大使あるいは鈴木宗男さんは、二島先行返還論でロシアに行き、そして、さまざまな形で交渉していたわけでしょう。そのことを言っているんじゃないですか。
川口国務大臣 申し上げていることが、二島先行返還論ということに、具体的にそういう形であらわれたということは全然ございません。
 申し上げているのは、先ほど来の繰り返しになりますけれども、対ロ外交を推進する省内体制に混乱をもたらしたということでございます。その結果として、外務省の職員に対する信用を失墜させたということです。
木下委員 そんなことじゃ処分理由にならないんですよ。国民の皆さんはそんなことを聞いていないんです。なぜこれほど問題になったのか。そのために彼は処分され、その処分理由がそんなあいまいなことじゃ東郷さんだって納得できないですよ。きちんと言ってください、国民に納得できる形で。そんな、対ロ政策に影響を与えた。だから、どういう影響を与えたのか具体的に言ってください。省内の混乱を招いたなんて、そんな話じゃないですよ。
川口国務大臣 なかなか、これで御納得いただけない、こうおっしゃられても困ってしまうんですけれども、それが二島先行返還論を政府として言ったことにつながったということかというと、全然そんなことはないわけですね。二島先行返還論は、一言もそういうことは提案をしていないわけでございます。
 申し上げているのは、対ロ外交を推進する省内体制に混乱をもたらしたということでして、余り、具体的な個人のその際の言動なりといったことをここで私が申し上げることについては、これは個人のプライバシーの問題でもございますので、差し控えたいと考えますけれども、例えばロシアの政策を考えるという意味で、これは大事なところですけれども、ロシア課というところがこの政策のかなめになる課であるわけですけれども、例えばその課の存在をバイパスする形で政策を議論されたとか、いろいろ細かい例を挙げればそういったことでございます。
木下委員 大臣、そんな官僚答弁じゃだめなんですよ。
 要するに、省内にはさまざまな意見があっていいんです。これはけんけんがくがくやって、例えば二島先行返還論があってもいいし、四島一括返還があってもいい。しかし、一歩外へ出て外交をやるときは、やはり政府の方針と一致した外交をやってもらわなきゃいけない。
 ですから、それは今、省内での議論がいろいろあったというだけの話じゃないですか。そんなことで混乱なんて言っていたら、議論できないじゃないですか。そうじゃないでしょう。省内でいろいろな考えがあって議論する、これは大いに結構、やればいいんです。そんなことで混乱しますか。我が民主党だって、党内では政策決定までにはさまざまな議論があります。しかし、決定したらそれに従う、これが政治のあれじゃないですか。それで、それに従わなければ処分する、これは当然のことです。
 だから、混乱をもたらしたというのは、要するに、政府の考えと一致しない交渉をやっていたから混乱させたんでしょう。そうじゃありませんか。具体的に言ってください。そんなことじゃ納得できません。
川口国務大臣 私は、省内でさまざまな政策論議が行われるということは当然だと思っておりますし、むしろそれはいいことだと思っております。したがいまして、それがあったからといって、それで処分をしたということでは全くありません。
 ただ、委員が今おっしゃられるように、東郷局長が局長として二島先行返還論を推進した、したがって処分をしたということでおっしゃっていらっしゃるんでしたら、そういうことではないわけでございまして、したがって、例えば、鈴木議員や特定の外務省職員の役割を過度に重視して省内のロシア関係専門家を事実上分断したとか、それから、ふさわしくない言動があった、あるいは省内の政策決定、これは、政策決定のラインにのっとって政策というのは決定されなければいけないわけですけれども、そのラインに混乱をもたらした、そういうことが処分の対象となった問題点でございます。
木下委員 私も、二島先行返還論を言ったから、それが責任のすべてだと言っていないんです。その一部も入っているんでしょう。そんな、今大臣がお話ししたようなことで省内が混乱するようだったら、そんな外務省やめちゃえばいいんです。けんけんがくがく議論あるし、あるいは多少逸脱するところもある、しかし、一歩国外へ出たらまとまる、これが国益を守る上で一番大事なことじゃないんですか。
 鈴木さんは何回もロシアへ行っています。旧ソ連へ行っています。だから、私も前々から、外務委員会で、前の大臣の時代から、二島先行返還論をやっているんじゃないかと言ってきたんですよ。そうじゃありませんか。一部入っているんでしょう、そういった問題も。全部だとは言いません。どうですか。
川口国務大臣 先ほど、省内でさまざまな政策論議があって当然だ、それはむしろ望ましいと私は考えるというふうに申しましたけれども、当然に、論議があるということは、さまざまな考え方があるということでございます。
 ただ、そういった意見の違いが省内にあったということがこの処分の対象になっていることではございませんで、繰り返し申し上げていますように、対ロ外交を推進する省内体制に混乱をもたらした、その結果として、外務公務員に対する信用を著しく失墜させたということが処分の理由でございます。
木下委員 何を言っているかちょっとよくわかりませんけれども、そんな官僚答弁じゃしようがない。時間のロスですので、はっきり言っておきます。
 やはり、省内を混乱させた、これは、東郷さん、鈴木さんが二島先行返還論でさまざまな形で対ロシア支援も考えた、だからこそ混乱を招いたんです。そのことをぜひ認めてもらいたい。
 もう一つ。けさの朝日新聞に、「鈴木氏に公電連日配達」という新聞報道がありましたが、これは大臣ごらんになっていますか。
川口国務大臣 新聞の記事は承知をいたしております。
 これにつきましては、私はまだ具体的なことを聞いておりませんのでよくわかりませんが、一般的に申し上げますと、今まで、外務省が外交政策を遂行する上で有益と判断される場合には、鈴木議員を含む国会議員の方、あるいは外務省外の方に対して、情報を随時提供してきているということはございます。こうした情報提供に際しまして、どの部分が実質的な秘であるかということを精査して、守秘義務上の問題が生じないように判断をしてきているわけです。要するに、守秘義務上の問題があればそういった情報は提供しないということでございます。
 他方で、鈴木議員に対しまして情報提供を行うに当たって、このような判断が個別に十分になされていなかったのではないかという御批判でございますので、具体的な御指摘があれば、私としては話を聞いてみたいと考えております。
木下委員 この新聞報道によると、そんな生易しいものじゃないんです。極めて機密性の高いものまで連日配達されていた、それから、「秘密指定の解除などの手続きを経ていないことが多く、」ということまで書いてあります。
 これを今言ってもしようがないんで、事実関係をきちんと調べて御報告していただけますか、大臣。
川口国務大臣 これは、鈴木議員の事務所に伺って、そういうことがありましたかということを私として申し上げるわけにいきませんので、外務省のサイドで何がわかるかということについては聞いてみたいと思います。
木下委員 いや、そんな、何も鈴木議員に聞けなんて言っていないですよ。東郷元局長が出したと言っているんだから、東郷さんに聞けばいいじゃないですか。東郷さんに聞いてくださいよ。確認してください。できますか。
川口国務大臣 聞いてみたいと思います。
木下委員 それから、東郷オランダ大使の処分というのは、これは事実上罷免なんですか。どうなんですか。そこら辺がちょっとはっきりしないのですが、大臣はどういう形での処分ということですか。
北島政府参考人 お答え申し上げます。
 東郷大使につきましては、きのう付で帰朝命令を出しております。その帰国を待って、これは内閣の手続ですが、官を免ずるという手続をとることになります。
木下委員 何ですか。もう一度説明してください。
北島政府参考人 もう一度申し上げます。
 外務公務員法第八条一項というのがございまして、「大使及び公使の任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。」という手続がございますけれども、きのう付で帰朝命令を出しまして、その帰国を待って、大使を免ずるための今申し上げた所要の手続を進めるということでございます。
 ちなみに、帰国及び職務を免ずるタイミングについては、任国政府との関係も勘案の上、今後調整していくということになります。
木下委員 要するに、大使を免ずるだけで、あとはおとがめなしということですか。罷免とは違うわけですね。
北島政府参考人 単に大使をやめるということにとどまらず、外務公務員としてもやめるということでございます。
木下委員 そうすると、罷免ととらえていいわけですね。よろしいですね、罷免と。わかりました。
 それから、川口大臣は当初、三月末までにはその処分を発表したいと言っていたんですが、きのうまでおくれた。新聞報道によると、東郷オランダ大使が今回の処分に納得しなかった、帰国命令に従わなかったという報道があるんですが、これは事実ですか。
川口国務大臣 まず、後の方から申し上げますと、私はそういう事実は聞いておりません。
 それから、三月三十一日までに発表できなかったということは二つございまして、一つは、事実上、三月三十日、三十一日が土日でございまして、その分時間がかかったということと、これは人事上の話でございまして、公正を期すという必要がございましたので、きちんと私として納得のいくまで、この判断が適切であるかどうか、正しいかどうか、公正であるかどうかということについて判断をする時間が必要であったということでございます。
木下委員 東郷さんは、マスコミを通じて、自分の局長在任中に何も悪いことをしていないんだということを再三言っているんですが、これについて、弁明なり、何か東郷さんから直接聞いたことはありますか。
川口国務大臣 私は、東郷大使が書かれたものは読ませていただきました。それから、東郷大使がお話しになったことについても内容は聞いております。
木下委員 つまり、大臣、東郷さん自身も、要するに、何で罷免されるのかわかっていない。わかっていないのですよ。だから、はっきり、こういう理由で国益を損ねた、こういう理由で省内を混乱させたと。理由づけがあいまいだからなんですよ。さっき私が言ったように、はっきり国益に背いた、国益を損ねたというような形が出てこないから、東郷さんはこう言っているのです。
 これは指摘するだけにしておいて――どうぞ。
北島政府参考人 委員、再度、今罷免というお言葉を使われたわけですが、厳重訓戒、これは外務省の内規に基づく処分でございますが、特別職の国家公務員については国家公務員法上の処分が適用されないということで、内規処分に基づく厳重訓戒という処分なわけですけれども、御案内のとおり、国家公務員法上の処分につきましては、懲戒免職から始まりまして、戒告という……(木下委員「わかっています、そんなことは」と呼ぶ)もし、懲戒免職に当たるかということであれば、そうではないということでございまして、罷免という言葉の意味がよくわかりませんが、国家公務員についてもおやめになるということでございます。
木下委員 そんな説明聞いてないですよ。そんな言いわけ、聞くつもりはありません。そういうことを言っているんじゃないのです。
 それでは、ちょっと話を違う問題に移します。
 ちょっと北方四島支援事業についてお伺いしたいのですが、私、三月二十二日の本委員会で、各事業にわたって追加契約がある、これの資料を出してもらいたいとお願いしました。しかし、いまだこの資料について提出されていません。私が何回も聞いたら、ロシア支援室の方では全部資料をそろえました、今、上の方から許可をもらうよう交渉していますと言って、それからもう二週間もたっているのです。どうなっていますか。大臣、出していただけますか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 時間がかかっていること、恐縮に存じますが、ディーゼル発電施設につきましては、ほぼ省内の手続を了しつつあるところでございますので、近々出させていただけると思います。
 その他の御指摘のありました案件につきましては、現在鋭意手続を進めているところでございまして、なお数日の猶予をいただきたいというふうに考えております。
木下委員 何をもたもたしているのですか。この前も言いましたけれども、ムネオハウスのこれについては一晩で出てきたのですよ、三枚。何でこれが出て、違うのが二週間も三週間も手続にかかるのですか。すぐ出してください。どんな手続をやっているのですか。もうロシア支援室ではそろえたと言っているのですよ。
齋藤政府参考人 資料を取りまとめて、それをお出しするための所要の手続をとっているところでございまして、いずれにいたしましても、出させていただく方向で急いでおるところでございます。
木下委員 では、それは必ず、必ず出してくださいよ。
 それから、せっかく高野さんがお見えでございますので、その問題について。もう時間がないので。
 高野さんと鈴木議員とのそもそもの最初の出会いというのは、これは何年ごろか。それから、その後どういうおつき合いをされてきたか。その辺、まずお伺いしたいと思うのですが。
高野参考人 お答え申し上げます。
 最初のつき合いがどこから始まったかといいますと、実は、私は官房総務課におりまして国会担当企画官をしていたことがございます。八十何年でしたか、そこからのおつき合いで、既に十数年たっております。
木下委員 高野さんは平成十二年三月から支援委員会の事務局長に就任されています。それまでのコンゴ大使の時代のことについては後で同僚の中川議員の方から質問させていただきますが、その事務局長になられて、前事務局長さんからは、これは末澤昌二さんとおっしゃるのですか、北方支援事業について、具体的に鈴木さんとの関係について何かアドバイスなり注意を受けた経緯はございますか。
高野参考人 二〇〇〇年の三月に私が引き継ぎましたときに、末澤事務局長からは、これこれこういう案件がありましてということは聞いております。つまり、そのときに、今問題になっているのはちょうど、私が行ったときには、国後のディーゼル案件、これは既に入札の前段階まで終わっておりまして、そういう案件についてのあれは聞いています。
 鈴木先生との関係ということは特に、まあ、鈴木先生の関係につきましては聞いておりませんというか、北方四島の支援の事業で関心をお持ちだということは聞いておりました。
木下委員 高野さんが平成十二年三月に支援委員会の事務局長に御就任されているんですが、これまで事務局長は、いわゆるアフリカ諸国の大使をやられた方が直接事務局長になられた経緯はないわけですね。初めてですよね。一説によると、鈴木さんから相当強い後押しがあったという報道等もあるんですが、事務局長に就任するに当たって、鈴木さんから何らかのアシスト、あるいは御本人が何らかの形でこの件に関して鈴木さんと接触したことはございますか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 特に鈴木先生との関係におきまして後押しがあったというようなことは聞いておりません。
 いずれにしても、帰りましてすぐに事務局長の仕事を引き受けてくれという外務省サイドのお話がございましたので、お引き受けした次第でございます。
木下委員 事務局長に就任後、実際には、平成十二年ですから、高野さんが直接判断された事業というのは国後島へのディーゼル発電ですね。それから、燃料、食料品、医薬品等それ以後の案件になりますが、これについて鈴木さんから特別、何らかの指示なりアドバイスなり、あるいは強い働きかけというものはありましたですか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 特別に指示があったということはございません。
木下委員 支援委員会の設置に関する協定の改正に関する議定書、この第一条には、「食糧の購入」「医薬品及び医療機器の購入」「受益諸国が現在置かれている困難な状況の中でこれらの諸国の国民の相当な生活水準を確保するために必要なその他の物品であって委員会が適当と認めるものの購入」「緊急人道支援の実施のために必要な機材、車両等の購入」となっているんですが、ディーゼル発電機、これを供与するについて当然この協定、議定書を十分お読みになったと思うんですが、何ら違和感は感じなかったんですか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 今のディーゼル発電の件について申し上げますと、私がもちろん就任する以前から政府の間で意思決定がなされておりまして、そういう事業を実施するということが決まって、委員会の既に指示があった案件でございます。
吉田委員長 木下厚君、もう時間がありませんから。
木下委員 はい。
 高野さんは日露青年交流センターですか、この事務局長も兼ねておられたわけですので、今この問題をめぐってさまざまな鈴木議員との疑惑が指摘されていますが、一言だけ、振り返ってどんな思いでございますか、鈴木議員との関係について。
高野参考人 振り返ってどう思われるかということでございますので、お答え申し上げますが、事実そういうことがあったということであれば、不適正なことがあったかなという感じはしないでもないですけれども、実は、それは私どもが判断できるような話ではないことでございまして、センターの関係からいえば、センターの仕事が日露交流委員の指示に基づいて我々は実施しているということでございますので、それ以上のことはちょっと申し上げかねます。
木下委員 済みません。以上で質問を終わります。ありがとうございました。
吉田委員長 次に、中川正春君。
中川(正)委員 続いて、民主党の中川正春でございます。先ほどに関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、先ほども出ましたけれども、「鈴木氏に公電連日配達」というこの記事に関連して、この中身を見ていると、ただ調査をするということだけにとどまらず、これは刑事訴追というか、守秘義務、同時に、極秘や秘指定のものを解除せずに、その手続をとらずにそのまま届けていた、そういう報道がなされているんですね。ここまで来ると、大臣、ただ省内の者に聞くということだけでおさまらずに、これは刑事事件になるんですよね。法に違反しているんですよ。そういう問題意識があるかどうかということ、これをお尋ねします。
川口国務大臣 これは新聞報道でございますけれども、これも含め、それから外務省で最近かなりの頻度で起こっております漏えい、機密漏えい事件、秘文書の漏えい事件につきましても、これは私は非常に大きな問題であるというふうに考えております。したがいまして、漏えいにつきましては、ただいま調査を省内で厳しくやっているところでございます。
 その中で、この新聞報道につきましては、まず事実関係を調査するということが大事でございますので、まずそれをやる必要があると考えます。
中川(正)委員 的確にお答えください。その事実関係があったということになれば刑事訴追もやる、そういう前提ですね。
川口国務大臣 まず調査をして、その上で何がわかるかということをはっきりする必要があると思っております。例えば、だれが漏えいをしたのかということが特定をされることが大事だというふうに思っております。
 そういった意味で、さまざまな調査をした上で、どういう情報が利用可能なのか、要するに、何がわかって何がわからないのかということを踏まえて判断をしたいと考えます。
中川(正)委員 いや、話をすりかえないでください。
 私、今言っているのはこの話なんです。これは漏えいでも何でもない、ちゃんと配達されていたという話なんですよ。組織的にやられていたということなんですよ、これ。
川口国務大臣 それを含めて申し上げたわけでございます。
中川(正)委員 かなり問題は深刻なところまで来ておるということ、これを指摘しておきたいのと同時に、実は、この委員会でも情報開示について、先ほどもお話が出ましたが、さまざまな形で要求をしております。中には国家的に守秘をしていくべきものというものもあるんでしょう。しかし、今それで紛糾しているんですよね、この委員会。結局は、それはなぜ紛糾しているかというと、外務省のサイドから納得のいく説明が出てきていないんですよ。
 ある特定のものは、例えばさっきのような形で漏えいして、鈴木議員のそれが、追い落としというふうな解釈をされるまでも外務省の体質が言われ、あるところでは、私たちが本来追及をしていかなければならない、例えばさっきの北方領土の関係の交渉過程なんかを、やはりこれは外部チェックを一遍入れなきゃいけないなという問題意識、あるいは、その中で外務省の官僚がどういう形でかんで曲げられてきたかという、そのプロセスというのはやはり国会としてもチェックをする必要がある、そういう問題意識に対しては何も答えてこないということですね。
 こういうことからいうと、ちまたに言われているように、どうも外務省は情報操作をやっている、自分たちに都合のいい、自分たちが導いていきたいような形で意図的に漏えいをさせて、中の体質がえぐり出されるような、本来の意味から改革を求めていくための総括という議論をしなければならない情報に関しては秘匿をしているということ、この疑いが消えないということなんです。
 改めて申し上げますが、そこのところをぴしっとした整理をしないと、この先なかなか、具体的な条約であるとか、あるいはこれからの外務省改革であるとか、あるいはまたこの国の外交施策、戦略そのものに対しての議論というのは宙に浮いちゃうわけですよ、そこまで情報操作されているということになると。という問題意識がありまして、ここについて速やかに整理をした上で私たちに説明をすること、このことを改めて求めたいということであります。
川口国務大臣 外務省の情報を、あるいは文書をお出しするかどうかということにつきましては、考え方の整理は私どもはきちんとやらせていただいているつもりでございまして、間違っても情報操作をするという意図で何事もやっていないということは前にも申し上げたとおりでございます。
 まず、漏えいをした者、これについては非常に問題があると私は思っておりまして、これにつきましては、省内で調査を現在厳しくやっているところでございます。
 それから、国会等の場で資料を出すようにという御要求をいただいたものにつきまして、本来、外務省として秘扱いになっているもの、これは例えば外交上の相手国の立場等があってお出しできないもの、あるいは個人の情報、プライバシーにかかわることであってお出しできないもの、これは情報公開法でもそのように扱われているわけですけれども、そういったものについては秘扱いで、もともとお出しできないということでございます。
 その中で、今国会において、国会でいろいろ提供をするようにということがございましたものにつきましては、これは国政調査権をお持ちの国会の立場、公益性といったことを一件一件につきまして判断いたしまして、判断をした結果として、物によりましては秘を解除してお出しをしているわけでございます。
 そういう意味で、その判断をそれぞれについて申し上げているということでございますので、決して何らかの恣意的な意図を持ってお出しをしたりお出しをしなかったりということではないということを申し上げたいと思います。
中川(正)委員 大臣、今国民が大臣に求めているスタンスというのはそうじゃないんですよ。いかにして外務省の信頼を取り戻すかという、その再生の中で大臣の役割というのを求めているんです。それが完全に官僚のシステムだけを説明するような答弁になってしまっては、これはその後が、やはりもう改革はこの大臣では無理だなという話につながってくるんです。
 だから、今大臣が見ていただかなければならないのは、今結果として何が外務省から出てきたのかということ、この情報の質なんですよ。これを、いわゆるポリティカルアポイント、普通なら政治家としてと言いたいところなんですが、そこが政治がやる役割なんですよ。そこのところを議論しないと、このままでいったら私たちの委員会もここで立ち往生して審議が進まないということ、このことを改めて通告を申し上げます。どうぞひとつ、そこのスタンスを切りかえてください。そのことをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 それから次に、処分について。東郷さんやそれから佐藤優さん、これも私たちの委員会で、きょうの高野さんのように直接ここに出てきていただいて、何が一体あったのかということを私たちもチェックをしていきたいということで、参考人の呼びかけをしております。大臣としては、どうですか、これ。こういう人たちがやはり前に出てきてオープンに議論をするということの中で、外務省の中で何が起こっていたのかというのは当然整理をされていくべきだということを期待していられるんだろうと私も思うんです。そこのところを大臣、どう思われますか。
川口国務大臣 私は、国会で参考人として話を聞きたいという御要請があるものについては、それについては重く受けとめるべきであると思いますけれども、具体的にどういう人間に、だれについて、どういうテーマについてという御要求なのかちょっとよくわかりませんので、一般論としては、国政調査権というのは重く受けとめるべきものであると考えております。
中川(正)委員 東郷さんにしても佐藤さんにしても呼ぶべきだと大臣言っていられますから、重く受けとめていただきたいというふうに思います。
 その上で、さっきの東郷さんの話なんですが、これは国内問題にとどまらないと思うんです、今度の人事というのは。この東郷さんから佐藤さんから、いわば、さっきのお言葉でいくと、ロシアの外交政策の中で一派をつくってそのラインを乱していたという、それは国内の議論でしょう。ところが、そういう人たちがすべて一つのラインとして処分をされたということなんですよね。それが外交的にロシアにどういうようなメッセージを送っているのかということは、これはやはり大臣として、はっきりとここで整理をすべきだと私は思うんですね。さっきの官僚答弁ではそこのところがまたあいまいになって、結局、北方四島の議論は一体何だったんだと。ここで何が起こっていて、それを総括した上で、日本の外交戦略というのはどんな形で今スタンスとしてまとめられているのかという、そこら辺を向いてまた話が戻っていかなければならないということになるんですよ。
 そういう意味で、今回のこの処分というのは外交的にどういう意味合いを持っているんですか。
川口国務大臣 これは外務省としての人事上の措置でございまして、外国との関係において考慮されたものでは一切ございませんし、このことが外交に何らの影響を与えるというふうには、少なくともその相手国の立場については、相手の立場から見た場合には影響を与える問題だとは考えておりません。
中川(正)委員 それは相手国を惑わすことになると思います。
 もっと具体的に聞いていきます。東郷さんと鈴木宗男さんが進めようとしていた話というのは、これまでの四島一括返還というスタンスだけでやってきた日本の議論というのを、二島ずつ切り離して、二島については帰属の問題を、あとの二島については返還のプロセスをという形で、いわゆる並行議論にしていこうという、これは国のスタンスの中で森さんのときに表明された話ですけれども、それをもう一歩も二歩も進めて、ちまたに理解をされている中身というのは、二島返還を密約しながら、二島返還だけで日本はもうあきらめるんだというようなメッセージをロシアサイドに与えた、そこのところが問われるんだというふうに私は理解をしているんです。
 その意味での、いわゆる日本の返還交渉の中の政策的なラインの混乱ということであったのかどうかということ、そこはどうなんですか。
川口国務大臣 一連のことにつきましては、ロシア側も、これは日本の国内問題であるというふうに述べているわけでございます。
 それから、我が国として、二島先行返還論についてきちんとそういう主張をしたということは全くございませんで、二島先行返還論について全く提示はしていないわけでございます。
中川(正)委員 それは、実際の交渉の中を見てみないと私たちも信用できないんですよ。それであるとすれば、わざわざ政策決定ラインの混乱があったというふうな記述はなくてもいいはずなんです。そこがポイントだと思うんですよ。
 私は、ここでやはり日本のスタンスというのは、そういうような交渉というのが、だれによって、どんな形でなされていたのかというのをはっきりさせるというその前提があって、もう一回ロシアとの間の仕切り直しがあるのだろう、そういう想定をしていたのです。だから、これは処分をして、処分をすると同時にそうしたことが明記されて、日本のスタンスがはっきりここで出てきて次の交渉に入っていくんだ、こういう期待をしていたのです。
 ところが、そこのところを、大事なところをぼかされてしまうと、私たちとしても、一体これは何だったのだという話にしかならないということでありますから、もう一度はっきりさせてください。
川口国務大臣 ロシア側といたしまして、イワノフ外務大臣が下院で演説をいたしておりまして、鈴木議員をめぐる問題については、ロシア側としては、基本的に日本の国内問題であり、平和条約交渉が影響されるものではないという認識を示しております。
中川(正)委員 外交というのはそんなレベルの話じゃないと思うんですよ。現にロシアでは、サハリンでは以前に決議をしておりますが、そのサハリンの決議をもって国会まで行って、下院で公聴会をやって、二十人も三十人もみんなしゃべらせて、二人以外はみんなこの問題に対してゼロベースの演説をしているんですよね、向こうの関係者が。
 そういうような形で、今回の日本の失態といいますか、こうしたパワーの空白に対してつけ込んできている。そういう戦略がもう向こうにあるんですよ。それに対してしゃくし定規に、ただそんな、向こうの公式の話を繰り返して、そうなんだそうなんだと言って、日本の国民は理解できますか。
 そこのところをもう一回指摘をして、かつ、この問題についてはもう一度整理してください、外務省として。一体何が起こっていたんだ、何をとがめているんだということを。これでははっきり出てきていない。そこのところを改めて答弁してください。もう一度整理してください。どうですか。
川口国務大臣 東郷大使にやめていただくという判断をなぜしたかということについては、御説明を申し上げておりますけれども、対ロ外交を推進する省内体制に混乱をもたらして、外務省の職員について、外務公務員への信用を失墜させたということでございます。
 それでは、具体的にはそれがどういうことかということでお話をいたしますと、一つは、鈴木議員や特定の外務省の職員の役割を過度に重視をしたため、省内のロシア関係専門家を事実上分断し、士気を低下させたということでございます。それから二番目に、その過程で、同僚や部下に対して外務省の幹部としてふさわしくない言動があったということです。三番目に、対ロ外交の推進に係る省内の政策決定のラインを混乱させたということでございます。それが処分の理由でございます。
中川(正)委員 どうぞ、大臣としての意思を持ってください。なかなか説得力がないですよ、さっきの話では。本当はこれは会議をとめたいところなんですが、まだまだこういう議論を金曜日にも続けていきたいという私たちの意思もありますので、金曜日までには、この辺、改めてちゃんと整理をした上で、外務省の意思というのをはっきりさせてください。でないと、これはとまりますよ。一番大事なところですから、これ以上審議は進みません。そのことを、これもまた通告をしていきたいというふうに思います。
 それからもう一つ付言すれば、さっきの厳重訓戒の話ですが、これで自主的にやめるという話になるのですけれども、自主的にやめたら退職金はふえるんですよね、一般より。そういうことも指摘をしておきたい。警察の不祥事のときもいろいろこうした問題で議論しましたけれども、こんなものは退職金返還、このことを外務省の方から本人に申し渡すべきだというふうに思いますよ。どうですか。
川口国務大臣 結論から申しますと、これは、刑事上、東郷大使がやったことに問題があったということではございません。東郷大使のおやめいただく理由というのは、まさに省内体制を混乱させて、結果として外務省の信用を失墜させたということでございます。ということで、特別公務員としての彼の立場を踏まえた、要するに国家公務員法の範囲内で退職金については判断をしたいと考えております。
中川(正)委員 同じような問題が警察であったのですよ、警察の不祥事で。そのときに、特別職は、世論の重さに耐えられずに、みんな退職金は返しなさいという話になっているのですよ。
 そういうことも頭に置いていただいて、これは東郷さんだけじゃないと思うんですよ。その中で、さまざまに処分されている人たちに対して、世論が非常に厳しい見方をしている。そこが本当に本気になって、その処分をするのかしないのかという外務省の体質を見ているのですよ。そのことを注意を喚起させていただいて、私たちはじっとこれからの大臣の判断を見守っていきたいというふうに思います。答弁は結構です。
 それからもう一つ。今高野さんに来ていただいたわけでありますが、こうして一つ一つ処分を官僚の方はしていくのですけれども、さっき話の出ました歴代の大臣、あるいは副大臣も含めてかもしれませんが、これは外務省としては処分できない、これはわかります。しかし、外務大臣としては、私は意思を持つべきだと思うんですよ、これは。本当は、川口大臣だとか今の現職の大臣の人たち、あるいは外務次官であれば竹内さんあたりは、処分の対象にしたらおかしいような話なんです。
 不祥事があったからちゃんと、しっかりこっちへ乗り込んできて、それを整理した上で外務省の再生にかかっていこうと頑張っている人たちだと私は理解している。その人たちがこんなふうに処分されて、過去にそれに携わって、そのときに現職の大臣だった人たちというのは何も問われない、こんなばかな、常識外れた話はないというのが一般の見方だと思うんですよね。
 そこについて、これは小泉総理のところまで持っていくのか、あるいは大臣の意思として、それぐらいの話をしてもいい、当然のことだと思うんですが、それはどうですか。大臣の立場としてどのようにこれは考えられますか。
川口国務大臣 歴代の事務次官、歴代の官房長につきましては、おやめになった、要するに外務省をやめた歴代の事務次官も含めて、私は監督責任を問わせていただきました。問わせていただきましたという意味は、やめた事務次官については監督責任があるということを申し上げさせていただきました。
 政治家の方につきましては、これは外務省の立場で、それについて今申し上げる立場にはないということで申し上げませんでしたけれども、私の考えは、歴代の事務次官、歴代の官房長の監督責任を問うたということから推量をしていただきたいと思います。
中川(正)委員 推量していただきたいというのは、えらい遠慮しているんですね。やはり、はっきり物申すということが、これは国民の大臣に対する理解にもつながってくるんですよ。そこがもうひとつ踏み込んでやってもらっていいところだと思うんですよ。やるべきだ、こう言いなさい。どうですか。
植竹副大臣 今の委員のお尋ねでございますが、私は、副大臣として前回も、前回は自主返納じゃございませんでしたけれども、自分のこの問題についての、私も同じ外務副大臣としての自分自身の意思をこの改革に傾ける気持ちから、前回も難民の、UNHCRの方に献金させていただきましたし、今回も、前のことはいざ知らず、現在の立場から、大臣を補佐してやっていく、それから議員としても、心を引き締めて外務省改革に当たるという気持ちから自主返納を杉浦副大臣とともに申し入れさせていただいたわけでございます。
中川(正)委員 その辺の整理も、これはじっと見ています。官僚に終わらず政治家がどう責任をとるかということ、これも問われている問題でありますから、そのことをまた申し上げておきたいというふうに思います。
 高野さん、御苦労さんでございます。
 なぜ、最初からここへ来るという気持ちにならなかったのですか。
高野参考人 この前、委員長の方には申し上げましたけれども、まず、私自身、外務省をやめているということが一つ、それから二番目に、政府間でやられている仕事といいますか、政府間でいろいろ決められてやっている仕事について私が本来コメントする立場に本当にあるのかなという思いから、当初は、委員長からの御出席いただけますかという御質問に対するお答えとして、遠慮させていただきますと申し上げました。
中川(正)委員 高野さんのポジションというのは、コンゴでしょう、それから支援委員会でしょう。これ、今回、両方とも鈴木宗男さんの関連で、一番大きく癒着が取り上げられて、さまざまな問題が吹き出したところなんですよね。そこに折よくというか、きれいにはまっている。それで、はまっているということは、これはよほど鈴木さんとの関係が濃かったのだろう。
 さっき話が出ましたが、官房でやっておられたとき以来目をかけられて、私も、周辺の、外務省の職員に聞き取りをしました。高野さんというのは非常にまじめな方なんだ、まじめな方だけに、そういう権力をどうコントロールしていくかということに弱かったのかもしれない。その中で、やはり鈴木さんの後ろ盾があって、引っ張りがあって、コンゴというポジションがあり、それからこの支援委員会の事務局長というポジションがありということだと。そういうことが、やはり周りの目から見ていても鈴木グループ一派なんだ、こういうことなんですよね。これについてどう思われますか。
高野参考人 委員御指摘の、鈴木一派だということで周りは見ているとおっしゃいますが、私自身として、特定の議員から特に目をかけられて云々という話は聞いておりませんし、通常の先生方とのおつき合いの程度ということで普通にやっておりますので、それ以上のものではございません。
中川(正)委員 具体的にお聞きをしたいと思うんですが、ザイールのころに向こうへ行かれて、政権交代があって、二〇〇〇年まで滞在されたということでありますが、その過程の中で、そのころから見ていると、もともとのンガンバニというこちらの大使ですね、これをザイールの体制からコンゴに変えるのに、コンゴ政府というのは何回も何回も口上書で新しい大使を派遣したということを意思表示しているんですよ。これ、一回、二回、三回、四回。最初のングウェイ氏の場合ですね、ダンボさんの話ですね。それから、ムキシ氏にかわっても、これまた一回、二回、三回。こういう形で、何回も何回もコンゴは意思表示しているんですよ、この人だって。それに対して、何やかんやと理屈をつけてIDの発行をしないで、日本のサイドが受け入れなかったというのがこれの構図なんです。その中にムルアカさんがかんでいたということですね。
 このムルアカ氏を通して、あるいは鈴木宗男さんを通して、日本の意思としては、これは調査結果で出ているのは、前のザイール時代の大使をそのまま置いてほしいということがもともとのゆがみの始まりである、こういうふうにこの調査結果では出ているんですが、私は、どうも精細に見ていけばいくほど、これは鈴木宗男あるいはムルアカ氏自身の話だけじゃなくて、外務省そのものも、あるいはこれに関連している、それこそ鈴木一派と言われている人たちの意思も、そのままンガンバニ氏の日本への大使としての資格を続けさせたいというものがこれはあったと。これは鈴木さんのせいにしているけれども、どうも本命は外務省の中にもあるというようなことが読み取れるんです。
 そういう意味で、高野さんが大使をしているときにこれはどういう議論を、本省からの指示と、それから高野さん自身の物の考え方と含めて、どういう議論をしていたのですか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 先ほど委員がおっしゃられました私の在任の期間ですが、最初ザイールのときに行って、その後また政権がかわったとおっしゃいましたけれども、そこは事実は違います。
 私が任命された九七年の秋、具体的には九七年九月でございますけれども、既に新しい政権、カビラ政権というのができた後で、つまりコンゴ民主共和国になっておりました。ですから、その点、まず御指摘させていただきたいと思います。
 それから、当時、二〇〇〇年の三月ごろ、新しく臨時代理大使ですか、派遣したいというコンゴ政府からの依頼があったというのは、実は、御質問のところから伺っておりますが、当時向こうで何があったかと申しましても、新たな大使の任命とか、そういう場合にはアグレマンを求めるということもありますので、恐らくは駐在の大使に先方の外務省の方から話があるかと思います。
 私の在任中は、大変ですが、要するに混乱に明け暮れた、戦争に明け暮れたというような時代でございまして、外務大臣から、時々会いましていろいろなことをお話を伺いましたけれども、そのときに、日本にいる臨時代理大使ンガンバニという、彼を帰したいけれどもお金がない、日本政府、何か金を出してくれないかというようなお話は何度かありました。でも、私はその場で答えたのは、日本政府はそういうことについてお金を出すという立場にない、実際上そういうこともやっておりませんということで、残念ながらそれは御希望に沿いかねますということは言いました。
 その後、先生御指摘の新しく来るという、それは臨時代理大使を多分かえたいという意向だったと思うんです。いずれにしても、ちょうど二〇〇〇年の、私が帰ります前ぐらいにだんだん落ちついてまいりまして、それでも、停戦協定をどう実行するかという問題が残っておりまして、コンゴ国内では大変な問題があると思います。だけれども、そういう事態の中で新たにかえたいというのは、前から、前政権の臨時代理大使がずっと日本に居残っておるのでかえたいという意思は、私が先ほど申しましたように、聞いておりましたけれども、その新しく派遣するという人については、私は何の通告も受けていないし、相談も受けたこともございません。
 したがいまして、私が帰った後、二〇〇〇年の二月以降の話だと思いますので、その点だけははっきりさせておきたいと思います。
吉田委員長 中川さん、時間がありませんから。
中川(正)委員 はい。
 それだけ相手国の意思をはっきりと、ンガンバニをかえたいんだというふうに受け取っていながら、結局は日本の国内、外務省のサイドにそれが反映されていないということなんですね。
 それについて、また続いて質問があるというふうに思うんですが、なぜだったのかというふうなことを含めて、この機会によく説明をしていただきたいというふうに思います。
 以上、終わります。
吉田委員長 次に、土田龍司君。
土田委員 参考人にお尋ねしたいと思います。
 先月の三月二十七日の参議院の予算委員会で小泉総理大臣は、支援委員会というのはずさんな運営をされていたというふうに答弁をいたしました。どういった実態なのかわからないので、きょうは参考人にお見えをいただいたわけでございますが、まず、外務省を退職されましてから支援委員会の事務局長に就任されるに当たり、人事担当者からどういった話が参考人にあったでしょうか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 前任の人がおやめになるという事情があって、その後をどうしても引き受けてくれということがありまして、そういう考慮のもとになされたものと考えております。
土田委員 具体的にどういった話をされたのか。
 といいますのは、普通だったらば、ロシアの専門家といいますかロシアに詳しい人が事務局長になっていたわけですが、参考人はロシアの専門家ではなくて違うところから来たわけで、それについて何か話はありましたですか。
高野参考人 私は、確かにロシア専門家ではないということで何回かお断り申し上げたんですが、いずれにしても、すぐに、いろいろな案件が重なっておるところで、それを引き受けてくれる人がいないものですから、何とか引き受けてほしいということを言われて引き受けた次第であります。
土田委員 齋藤局長に伺うんですが、この件について、高野参考人が事務局長に就任するに当たり、鈴木議員からの何か話あるいは依頼かなんかあったんでしょうか。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 事務局長の問題につきまして、鈴木議員から幾つかコメントがなされたということはあったように聞いておりますけれども、具体的に、高野事務局長の件について何か働きかけたがあったというようなことは聞いておりません。
土田委員 状況証拠から察しますと、何かあった、あるいは鈴木さんが推薦したんじゃなかろうかというような話をよく聞くわけでございますけれども、なかったらなかったで結構なんですが。
 参考人にお尋ねします。
 まず支援委員会の方ですけれども、事務局の人事ですね、例えば職員を採用する方法あるいは基準あるいは待遇、そういったことについてちょっと簡単にお教えください。
高野参考人 お答え申し上げます。
 事務局長は政府の任命といいますか、委員会の任命によりますのであれですが、職員を任命するに当たって事務局長は責任を持つということになっておりますので、私どもは職員を採用するときには、選考により採用しております。
 それで、どういう方法かといいますと、やはり面接をしまして、必要に応じて、語学といいますか、そこら辺も含めて、やることをやっております。
 待遇と申しましたけれども、待遇につきましては、職員給与規程というのがございますので、それはもう既に、事務局が発足しました九三年以来、つくられたものに従ってやっております。
土田委員 支援委員会が一九九三年に設置されてから、委員会自体が余り開かれていない。いつごろから開かれなくなったんでしょうか。
齋藤政府参考人 この委員会は一九九三年にたしか二回開かれたと記憶しておりますけれども、その後は、委員会としては開かれておりません。
 また、九七年にロシアの組織変更がございまして、担当部局が廃止されました以降は、ロシア側の政府代表は任命されておらない状態が続いている、こういうことでございます。
土田委員 今度は参考人に伺うんですが、参考人が事務局長に就任されてから、委員会は一回も開かれていませんですね。なぜ開かれていないと思っておりましたですか。
高野参考人 委員会自体が先方の、ロシア側の代表がいないというようなこと、これはもちろん聞いておりまして、なぜ開かないのかというと、これはやはりロシアの国内事情及びこちらの体制といいますか、日本側の、要するに先方の人事異動による空席なものですから、これは実は事務局はそれについては、委員会そのものでございますから、事務局が直接タッチしなくてもいいことでございまして、私どもはその件については承知しないままずっと来ておりました。
土田委員 齋藤局長に伺いたいんですが、この委員会が開かれないまま、外交ルートを通じて合意をした上で運営されてきたというふうな答弁を前回されましたけれども、どういった外交ルートでやってきたんですか。相手の窓口が、代表者がいないわけですから、そういったことが実際にできたんでしょうか。
齋藤政府参考人 この委員会が開かれない状態が長い間続いてきたことは通常の姿でないということは全くそのとおりでございますが、それを申し上げた上で、あえて一点だけ御説明させていただきますと、この協定の仕組みは、日本政府が委員会におきます検討を考慮に入れて決定することができるということで、決定する権限は日本政府に与えられているわけでございます。その決定に先立ちまして委員会を開いて、委員会において検討してもらって、それを考慮に入れて日本政府が決定する、こういうメカニズムになっているわけでございますので、委員会が開かれること自体は、厳密に法律的に申し上げますと、必要不可欠な条件ではないということでございます。
 ただし、望ましい姿でなかったことは御指摘のとおりでございまして、そういう中にありまして、我々としては、対ロシア技術支援ですとか、あるいは対ロシア人道支援につきましては、ロシア側の外務省とか経済関係の機関ですとか、そういうところと連絡をとりながら、先方の要望も踏まえて実施してきた。また、対北方四島支援の関連では、現地の行政責任者、多くの場合それぞれの地区長でございますけれども、そういうところからの要請等を踏まえて日本政府として決定してきた、こういうことでございます。
土田委員 この協定で言う委員会が開かれて、ここで取りまとめをして日本政府に要請をする、決めるのは日本政府である、この委員会が開かれることは必ずしも必要なものではないという答弁ですが、本当にそんな答弁でよろしいのですか。
 ということは、この委員会がほとんど開かれていなかったというのに、そういったロシアとの議論がされない、あるいは国内的にも具体的な議論がされなくて、だれが日本政府にそういった具体的な金額まで上げていくんですか。委員会をやらなくて、では一体だれが責任を持ってやっていたんでしょうか、この問題は。委員会を開かなくてもいいということは協定違反じゃないですか。協定にのっとった運営がなされていないわけでして、それを必要ないことだとよく言えたものだと思うのですが、もう一回答弁お願いします。
齋藤政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたのは、この協定の規定に基づきますと、委員会の開催自体は日本政府が決定することの必要不可欠な要件とはされていないということでございます。
 これは、純粋に法律的な観点から申し上げているわけでございまして、それが望ましい姿でなかったということについては全く御指摘のとおりでございまして、我々としては今後この点を改善していきたいというふうに考えているわけでございます。
土田委員 参考人にお尋ねしますけれども、ロシア側の要望というのは事務局長も毎年つぶさに知っているわけでございますか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 つぶさに知っているかと言われますと、つぶさに知ってないと言わざるを得ないのかもしれません。つまり、支援委員会に対して先方からの、例えば北方四島の関連でいいますと、先ほど局長が答弁されましたように、その地区の地区長とか、いわゆる責任者から要望がございますね。それで、それらについて検討が行われるという段階で、つぶさに全部私の方も知っていたかというと、必ずしも知らない面もあったんではないかなという感じはします。
 でも、具体的な案件がありましたときに、支援委員会そのものから事務局に御相談もありますし、どういう形で実施したらいいかということの御相談をいただくわけですから、そこから先は、もし決定がなされれば、決定がなされた後では支援委員会事務局の方が責任を持って事業の実施に当たるわけでございますから、その段階で、すべて一応先方の意向が届けられて検討に付されたかというと、そこの点はちょっと自信ないと申し上げたいと思います。
土田委員 事務局長はつぶさに知らなかったわけですから、では、これは齋藤局長、具体的にはロシア支援室が窓口となって取りまとめをやって、具体的に細かく運営されていたんでしょうか。
齋藤政府参考人 日本政府の窓口はロシア支援室でございます。
土田委員 高野参考人に聞きたいんですが、ロシアからの要望を鈴木宗男議員からじかに聞いたことはございませんか。
高野参考人 私としてはございません。
土田委員 人道支援としまして昨年の一月に国後、択捉、色丹の三島に贈られた支援物資が現在も国後島に置かれたままであるという新聞報道がございましたですね。多分ごらんになっていると思いますけれども、その中には食料品もあったと。
 ということを考えますと、支援委員会の設置協定第二条(c)項では、委員会の役割として、実施された支援の進展を評価しなきゃならないとありますね。これはどういった形で評価されているんでしょうか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 北方四島につきましては、特殊な環境といいますか事情にありますので、本来やらなければならない支援の評価、実際上は必ずしもできておりません。四島交流の範囲内で行かれますときに、関係者、外務省なり支援委員会事務局の関係者が行きました際に、向こうに行ったときに、一応、評価といいますか、それを見ていることは事実でございます。
 ですから、適時に評価がなされたかというと、そこら辺は、多少時期的におくれるとかそういうことはございます。
土田委員 齋藤局長に伺いますが、この昨年一月の物資、ガソリンと小麦粉でしたか、このときは。これらについて、本当に具体的に要請があったんですか。要請があってこれを政府が決定して、お届けした、それがいいかげんに扱われている。支援委員会は、それについては最後まで確認はできていないというわけですね。これについてどう思いますか。
齋藤政府参考人 燃料と食料品については、要請があったというふうに理解をしております。それから医療機器につきましては、我が方から専門家を派遣して調査したときに、そういうニーズがあるというふうに状態を把握いたしまして、供与した、こういうふうに理解しております。
土田委員 高野さんにお伺いしますが、支援委員会で扱っているお金、通帳が個人名義になっていたということが参議院で指摘されて、銀行のルールとしてこれが普通なんだということで、それでもいいんですが。
 それから同時に、前回も私は質問したんですが、会計検査院の検査が入ってなかったという質問に対して外務大臣は、齋藤局長でしたか、監査法人の監査が入っているから大丈夫だというふうに言われますけれども、会計検査院の仕事と監査法人の仕事というのは全然違うわけですよね。どうやってこれにお金を払うか、あるいはこの品物を買うときに適正な値段であるかというのが、会計検査院が入ってないということはされていない。帳面は合っている、領収書も合っているわけですが、執行命令については検査がされてないわけですが、これについては高野さんが最終判断をされていたんですか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 支出の最終責任というのは私にある、これは事実でございます。ただ、案件の形成過程で、一応見積もりその他が出まして、それを適正な方法で、つまり入札にかけ、それで最終的に決める話でございますので。
 それに会計検査院が入ってこないのはなぜかとおっしゃいますが、多分おわかりと思いますけれども、国の機関ということでないものですから、事務局はいわゆる協定に基づく国際機関ということになっておりますので、会計検査院は入れないということだと思います。
 それで、では監査法人が入っておるじゃないかということで、まさにそれにかわるものとして監査法人に監査をお願いして、一応財務報告を委員会の方に提出しておるというのが実情でございます。
土田委員 ということは、支払われたお金が適正であったかどうかというのは、最終的には高野参考人の責任であるということなんですが、全部知っているわけじゃないという今の答弁でございますか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 ですから、事業を実施した限りにおいては私どもの責任でもありますし、ちゃんと全部把握しているつもりでございます。
土田委員 それから、消費税の問題なんですが、消費税はかからないということを承知の上で、まあ承知の上でということはないでしょうけれども、払ったというふうに報道されましたけれども、消費税の問題について、金額が非常に高額ですから、二億六千万円に上るという消費税ですから、これについてはちょっと説明してください。
高野参考人 お答え申し上げます。
 消費税につきましては、実は、正直に申し上げまして、私どもが知らなかったというのが状況です。
 なぜかといいますと、日本の業者をして相手に、相手というより特に北方四島の問題ですよね、北方四島に施設案件をやるときには、消費税法上、不課税の原則があるというのは、実は知らない、知らないといいますか、九六年当時、聞いたということはあるんですが、当時の人がちゃんときちんとして、そういうことであるよというのを残してくれなかったということもあって、また、恐らくははっきりしないまま来ていたんだと思います。そういう過程におきまして、消費税、払わなくてもいいものを払ってしまったということだと思うんです。
 私自身も、本当に率直に申し上げまして、これは自分の不明を恥じる以外にないんですが、消費税法に不課税の原則というか、不課税なんだというのをつい最近になって知ったものですから、私自身の……(発言する者あり)課税部長が答えた国会の記録はもちろん読ませていただきましたし、わかっておるんですが、その以前の段階で、要するに知らなかったというのが実情でございます。
土田委員 消費税を受け取った企業は税務署に消費税を払ったというふうに言っているんですが、これは確認されているんでしょうか。
高野参考人 今現在、調査を続けておりまして、いかなる方法があり得るやということで、弁護士その他の意見を聴取しつつ、最終的にどうしようかを決める段階にありますが、まだ最終結論になっておりません。
土田委員 いや、これは返してもらうのが当然ですよね。どんな調査をしているか知りませんけれども、そんなに時間がかかるはずないですね。納税されていたかどうかということがわかればいいわけでしょうし、あるいは、いろいろな方法があると思うんですが、その上で考えるのではなくて、これは必ず返してもらうというふうにしていただかないと、これもまた外務省のプール事件と同じでございまして、イカサマばっかりやっているわけですから、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 ちょっと大臣に伺いたいと思うんですが、この件に関しまして、二十七日の夜、支援委員会についてどうしたらいいか専門家会議を開かれたということですが、座長の弁護士が言うには、我々メンバーは必ずしも支援委員会のことをわかっているわけではない、内容を確認しながら提案に結びつけていきたいという決意表明といいますか、話をされているわけですね。ということは、専門家のメンバーは支援委員会に関することについて外務省から出される資料に基づいてよく勉強しながら、確認をしながら、最後に提言を出すわけですね。いろいろな資料を外務省は出すわけですが、出すと思うんですが、これまでみたいに、出すものと出さないのを分けてイカサマしてやるのか、それともこの専門家会議にはあらゆる情報をお出しになるつもりなのか、どちらでしょうか。
川口国務大臣 まず最初に、外務省としてイカサマをやっているつもりは全くございませんで、いろいろなことにつきまして誠心誠意対応させていただいているつもりでございます。
 専門委員会の御議論については、ここでいい考え方をお示しいただくことが非常に重要でございますので、私としては、できるだけ資料について、あるいは説明をしてほしいという御要求が、専門委員会の立場でその議論を進める上で必要であるということで要求があり、あるいは説明を求められた場合には、誠心誠意御説明をするということが大事だと思っておりますし、現にそうなっていると私は思っております。
土田委員 ということは、外務省に都合の悪い資料は出さなくて、都合のいい資料ばかり出すということはしませんということだと思うんですが。ということは、同じように国会に対しても、我々に対しても、資料要求があれば出していただけるわけですか。
川口国務大臣 専門委員会の委員の方に対しましては、契約によりまして守秘義務をかけさせていただいております。したがいまして、審議上必要だということで私どもが御説明をした場合には、それは、その秘密については守っていただくということになっております。
 国会の資料要求についてどのように対応させていただいているかということにつきましては、もし必要なら繰り返させていただきますが、ちょっと長くなってしまいますけれども、基本的にまず、個人情報あるいは相手の国があるといったような、情報公開法でもこれは資料をお出ししないとされているものについては、それは秘扱いになっているわけでございまして、それと、国政調査権をお持ちの国会の議論のために必要なことをどこまで御提供するかという公益性の観点、この二つの関係について一件一件判断をしながら、お出しをすることが必要であるということにつきましては、秘を解除させていただいてお出しをさせていただいているということでございます。
土田委員 ちょっと時間がなくなったので、高野さんにもう一、二問お尋ねするんですが、青年交流委員会の招聘するロシア人の選定、だれをお招きするかということについてはだれが決めていたんでしょうか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 これは、日露青年交流委員会の設立からいいまして、日本政府を代表する交流委員というのがいます、三人いるんですけれども、その指定に基づきまして、その方々が先方の委員会の方々とお話ししまして、二国間の話でございますから、そこで決められたことを言ってまいります。それは、ですから、案件の選定その他もすべてそこで決まったものと私どもは考えております。(土田委員「そこでというのは、ロシア側から来たということ」と呼ぶ)ですから、委員会の方、委員会そのものに。もちろん……(土田委員「委員会、開かれていないんだもの」と呼ぶ)その後ですか。最初開かれたということは聞いておりますけれども、その後はいろいろな事情から、二年目、三年目については開かれていないと聞いておりますけれども、案件の選定、つまりだれをどう呼ぶかとか、その辺は、日本の政府の代表である交流委員が最終的に決定して、こういうラインでやりたいということで、その事業の実施を承っているのが私どもの日露交流センターでございます。
土田委員 決めるのは日本の三人ですね。だれでしたか、三人います。これは、ロシア側からの推薦ではなくて日本側が勝手に決めている。では、その人たちに推薦する資料はだれがつくっているんでしょう。こういった方がどうでしょうかと推薦する資料。だって、七十九回やっているわけですからね。それはだれがつくっているんでしょう。
高野参考人 そこは外務省の、いわゆる日露交流委員会であります。外務省の方で決定するものですから、一応、すべて外務省の決定があるということでやっております。
土田委員 この七十九回の招聘プログラムのうちの八割に鈴木宗男さんが関与している。関与しているというか、鈴木宗男さんに表敬訪問に行ったり、鈴木さんに食事をおごってもらったり、あるいは鈴木さんと一緒に懇談をしたり。なぜ鈴木さんばかり、この七十九回のうちの八割が鈴木さんばかりに集中している。これは不自然だというふうに参考人は感じていませんでしたか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 不自然であるかないか、私はその当時判断しなかったです。つまり……(土田委員「今は」と呼ぶ)今ですか。今は、そういうふうに聞きますと、でも、不自然とは必ずしも言えない面があります。要するに、向こうから希望があって、それに基づいて表敬訪問するとかということはあると思いますので、その意向を最大限尊重した結果だと思っておりますけれども。
土田委員 随分あいまいな答弁ですね。僕はやはりおかしいと思いますよ、そういったことになってくると。特定の議員だけにそういったことが集中しているということはおかしいと思いますよ。
 さっき外務大臣から話がありましたように、専門家会議で、この支援委員会と青年交流委員会の存続を含めて見直すというふうなこと、答弁がありましたけれども、高野参考人は、これからその二つの委員会、どっちでもいいですよ、支援委員会、どういうふうに運営されるべきだと思いますか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 ここに来ていろいろな問題を指摘されていることも事実でございますので、改革のための専門家会議等の結果を尊重いたしまして、もう少し透明性のあるというか、少なくとも、そういう改革のその方針に従ってもちろんやりたいと思っています。
土田委員 私は、定年退職後の事務局長としての職務をされたという気持ちがあるかもしれませんけれども、やはりずさんだったと思いますよ。やはり事務局長という要職にある限りは、明確な方針あるいは改革精神とかでやっていかないことには、なかなか、こういった事態になってくると思うんですよ。
 私は、参考人の責任は重いと思いますよ。単なる、外務省におんぶにだっこで、外務省の支援室がやることについてだけやっている、言われたとおりやる、全部向こうが決める、責任はないということになるならば、こういった大きな事業に対してどこも責任をとる人がいなくなるということも想定されるわけですので、今おっしゃった、改革すべきものがあれば改革したいということならば、今からでも、きょうからでも遅くないわけですから、ぜひおやりになることを期待しています。
 これで終わります。
    〔委員長退席、首藤委員長代理着席〕
首藤委員長代理 次に、松本善明君。
松本(善)委員 私は、きょうは、今お話がありました日ロ交流事業について聞きます。高野参考人にも聞きますが、外務大臣にもそれに関連してまた聞きますので、外務大臣、そのやりとりをよく聞いていていただきたいというふうに思います。
 この問題はなかなか大きな問題で、御存じかもしれませんが、新聞の見出しだけでも紹介すると、「日露交流委も私物化 鈴木宗男氏 「呼びたい時に呼びたい人招待」 来日千二百人 大半が表敬」、鈴木さんのところへ行っているわけですよ。それから、「外務省職員、日ロ交流事業で 宗男氏と会食 報告せず 会計検査院、調査へ」。それから、青年交流委員会開催ゼロ、外務省実質運営、こういう報道のされている問題であります。外務大臣、よく聞いていてください。
 これは、私は調べてみて本当に驚きました。なぜかというと、交流事業が三つもあるんです。一つは、支援委員会の北方四島交流、いわゆるビザなし交流です。二つ目は、同じく対ロシア技術支援による交流事業。三つ目は、日露青年交流委員会の交流事業。いずれも、高野参考人が事務局長であります。そうでしょう。はいと、それだけ答えてください。
高野参考人 お答えを申し上げます。
 そのとおりです。
松本(善)委員 そうですね。
 それから、この実績を、事前に現在の時点での実績を外務省に資料として出せと言ったんですが、ついに現在まで出ていません。それで、私は、今まで外務省から回答されたものを集計して、今申します。それ以上であることは間違いないと思う。高野参考人、聞いていて、それでいいか、あるいはそれ以上か、実際に数を知っていればきょう答えてほしいんです。
 四島交流では、招聘した者が四千百十二人、派遣をした者は四千七百二十四人、費用は二十七億七千二百八十五万円。技術支援は、招聘した者、三千三百十七人、派遣した者、千二百五十二人、費用は九十四億六千七百万円。青年交流は、招聘した者、千百三十人、派遣した者は百四十七人、費用は八億六千百八十三万円。総計しますと、招聘した人が八千五百五十九人、派遣した者が六千百二十三人、費用は百三十一億百六十八万円というのが、外務省から今まで出た資料を集計したものです。
 高野参考人、どうですか、現在のあれは把握をしていますか。把握をしていれば言ってください。把握してなければ、それ以上か、その程度かでいいです。
高野参考人 お答え申し上げます。
 把握している数字は一部ございますが、今委員の申されましたすべてを記憶しておりません。申しわけありません。
 それで、先ほど申し上げましたけれども、四島交流につきましては……(松本(善)委員「もういいよ。時間がないから、聞いたことだけ」と呼ぶ)はい。
松本(善)委員 こういう無責任なことはないですよ。厳重に言ってあるんですよ、現在の時点でどうなのかと。それを全然調べてもこない。それは本当に、怠慢というか、国会軽視というか、とんでもないですよ。後から外務大臣に聞きますから。
 それで、現在までの、途中のものであるかもしれませんが、少なくも百三十億円以上の莫大な金がこれに使われているんですよ。しかも、交流といいながら招聘が圧倒的に多い。北方四島交流はほぼ同じですが、技術支援は派遣の約三倍、青年交流は五倍以上です。特に青年交流事業は、ロシア側には事務局もない。日本側が主体になっている。しかも、この間、千百人が日本を訪問している。報道では千二百人とか千三百人というのがありますが、私どもは外務省の提出したもので計算していますが、そのたびに鈴木議員を表敬訪問しているということが、先ほど紹介した報道でもありました。
 鈴木議員を表敬訪問した回数は何回か、なぜ鈴木議員の表敬訪問を日程に組み込んだのか、高野参考人、答えてください。
高野参考人 鈴木議員に対する表敬訪問というのはありますが、委員御指摘のとおり複数回、複数回といいますか相当多数ありますが、それはなぜ組み込んだかといいますと、これも日本政府の交流委員たる者からの指示というか、そういうことでありますが、やはり先方からの要望及び委員が適当と考えたものが入っているのかもしれません。
 私自身は、またおしかりをちょうだいするかもしれませんけれども、そこにつきましてはそれほど深く注意しておらなかったと思います。
松本(善)委員 今の答弁のとおりに、本当に無責任。鈴木議員が考えたものをやっているんですよ。事務局長は何にも考えてない。それで、出てきて答弁をするにも、あなた、本当に国会を何と考えているの、極めて無責任だよ。
 報道しているだけでも、七十九回のプログラムの実施中、四十九回表敬訪問しているのです。表敬訪問しているということは、鈴木議員も、二月二十日の予算委員会で、参考人として認めているんです。あなた、ぼうっと出てきているのかな。ここで呼ばれるということは、それは大変なことなんですよ。国会が、国権の最高機関が調べたいと言っているんだ。それを、いいかげんな態度で出てくる。これ自体が、私は、交流事業がいいかげんにやられているということの証拠だと思う。
 この状況はまことに異常で、交流事業といいながら、鈴木議員が私物化していると言わざるを得ません。今参考人が述べたことでも一部わかりますが、報道もされております。
 青年交流事業以外でも、北方四島交流、技術支援による交流事業も、日本訪問で鈴木議員の表敬訪問をしていると思うが、どうですか。
高野参考人 先ほど委員の御指摘の、三つの交流事業があるじゃないかと言われましたけれども、四島交流につきましては、実はうちの方の関係でございませんので、改めて訂正させていただきたいと思います。
松本(善)委員 四島交流も、さっき、あなたは全部事務局長しているんだろうと言ったら、そうだと言ったじゃない。(高野参考人「申しわけありません」と呼ぶ)何が申しわけないんだ。あなた、関係ないなんということはないよ。そういうようなことがやられている。
 それで、青年交流委員会が実施をしている、日本からロシアへの若手研究者の派遣、いわゆるフェローシップ事業というのがあります。その事業の派遣の人選に当たって、再々問題になっている佐藤優氏がメーンチーフとして参加していた事実がある。間違いありませんか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 一度だけ、私どもの選考の際に御出席いただいたことがございます。
松本(善)委員 一度だけかどうか。私は、この事業に実際参加した人から聞いて、ちゃんと調査をして質問しているんです。面接のときにメーンチーフとして佐藤優氏がやったということが、私どもの調査では出てきています。知っていますか。
高野参考人 まさに調査されました内容の中で、つまり二〇〇〇年のときだと思いますけれども、そのときに、佐藤分析官に委員に加わっていただきましてやったという経緯がございます。
松本(善)委員 メーンチーフとしてやっているか。
高野参考人 メーンチーフではございません。これは、私及び交流室長とその佐藤さん及び事務局……
松本(善)委員 では、どういう立場です。実質上中心になっていませんか。
高野参考人 一度だけお願いしましたけれども、その後はもちろんお願いしてございませんで、やっております。
松本(善)委員 何で佐藤優氏に頼むんです、そういうことを。どういう関係がある。
高野参考人 お答え申し上げます。
 フェローシップのことでございますので、ロシアの事情に詳しい人がある程度関与するのがいいだろうという判断でお願いしました。
松本(善)委員 そうなると、一回だけというのも疑わしいと思います。こういう、鈴木議員の片腕、秘書役として働いていることがもう公知の事実になっている佐藤氏がこういうことをやっているのは、極めて重大なことなんですよ。
 次の質問ですが、技術支援交流の中に、日露医学医療交流事業というのがあります。この事業の日本からの専門家派遣の予算実績、人数及び金額及び派遣の人選手続はどうなっているか。これはずっと聞いているのに、質問の直前になって、委託しているということを答えてきました。これが外務省の態度ですよ。外務大臣、よく聞いておってください。こんなことをやっているんですよ。
 それで、この委託をしているのはどこに委託をしているのか、高野参考人。
高野参考人 この委託事業につきましては、中山先生が主宰する団体――申しわけありません、正確な名前を存じません。
松本(善)委員 これはもう話にならないですよ。国会を何と考えているのかということです。
 これについては、本当は私どもはやはり公募すべきだと思います。何で公募をやらないんだ。全国に広く公開して募集すべきなんだ。文部科学省と厚生労働省に聞きました。先進国間でこうした交流はどこもやっていない。こんな恣意的なものは、どこもやっていない。これは本当に異常なことです。
 しかも、鈴木議員の医師関係からの献金は異常に多額になっています。この五年間で、日本医師連盟から千九百万円、北海道医師連盟から七百五十万円、北海道医師連盟釧路支部から三百五十万円、わかっているだけでも合計三千万円に上っております。
 鈴木議員から何か要望があったんじゃないですか。
高野参考人 その件に関しては存じません。
松本(善)委員 外務大臣、今お聞きになっているとおりです。これは重大なことだと思います。
 私は、日露医学医療交流事業で専門家の派遣は、だれが、いつ派遣されたのか、これは資料として提出されるように求めます。こんなものは何の秘密もありません。直ちに提出してほしい。
 同時に、大臣に伺いたいのですが、日露青年交流事業についての鈴木議員の関与でありますとか技術支援の交流についての佐藤氏の関与など、私が今ずっとるる指摘をしてきましたけれども、交流事業全般のあり方が今厳しく問われています。抜本的に見直すべきであると思いますが、外務大臣、どう考えます。
川口国務大臣 日露青年交流事業につきましては、これは今調査中でございまして、何か問題があれば、あるいは問題がないとしても、その調査結果につきましては、これは私は発表をしたいと考えております。
 それから、先ほどの日露医学医療交流事業でロシアに行った方につきましては、これは、だれが行ったかということについて資料が欲しいとおっしゃられたということだと思いますので、これは、この委員会の事務局に出すように話をしたいと考えます。
松本(善)委員 では、別の問題に移ります。
 外務大臣は、二月二十七日の本委員会での私の質問に対して、北方四島支援事業での入札の公正さが極めて疑わしいということを、私は表にしてお配りをして質問をいたしました。覚えておられると思いますが、色丹島プレハブ診療所、色丹島プレハブ教室、択捉島レントゲン室、択捉島プレハブ診療所など、これらはいずれも鈴木議員が入札参加に制限を加えた、自分の後援会など特定業者が受注するように誘導した疑惑が持たれているものであります。川口外務大臣は私の指摘に対して、入札に加わろうと思ったとき、必ずしもやりやすいとは言えないと述べられ、必要であれば調査をしていくことになろうかと思います、こう約束されました。結果はどうですか。
川口国務大臣 入札の手続につきましては、今委員がおっしゃられたように、この期間が必ずしも十分に長くないのではないかという印象があるということは、私申し上げた記憶がございます。
 これにつきましては、何で短かったかということについてはよくわからないわけでございますけれども、今後、抜本的な改善策を行う過程で、その中で、改善策の一つとして、入札が適切に、多くの方の参加を可能にするような形で制度を改善していくということが必要だと考えております。
松本(善)委員 資料を配付してください。
 なぜそれを聞くかというと、この間のはこの資料なんですよね。これだけにとどまらない。この北方四島支援事業だけでなくて、対ロシア人道支援事業というのがあります。この入札についても、その公正さが疑わしい事例が多数あります。
 見ていただけばわかりますが、これは、ロシア人道支援事業にかかわる入札手続を一覧表にしたものであります。この資料は、外務省から提出してもらった資料と日刊工業新聞の入札の公告を調べて一覧表にしたものであります。極めて異常な入札のやり方になっています。
 それは、入札説明会というのを行っている、これに参加をしなければ、事実上、入札資格が得られない仕組みになっているということです。入札説明会に出席しなければ、必要とする物件が書いてある入札図書というものを購入できない、そういう仕組みなんです。しかも、入札公告日と入札説明会の期間が極めて短い。たった一日というのまであります。事実上、入札に値しないようなことが行われている。
 前回述べましたように、国土省の基準も入札説明会に参加することを入札条件にしていませんが、海外向けの物品や機器を調達する国際協力事業団について私は調べました。入札説明会は、業者が一堂に会して顔を見せ合うので談合を生みやすいということで行っていない、そのかわりに入札図書を希望業者に配付している。こういうふうにして、国土省にしても国際協力事業団にしても、こういうことをやっていないんですよ。それがやられている。これは非常に異常です。
 対ロシア人道支援事業については、表にずっと書いてありますが、入札説明会、これはやっていないのは十三件中一件だけです、見ていただけばわかりますが。それから、入札公告から入札説明会、一日が一件、二日後が二件、四日後が三件、五、六日というのが四件、一番長くてもたった九日です。
 こういう異常さは、先日質問をいたしました北方四島支援事業でも、この対ロシア支援事業でも同じなんです。入札を装ったとしか言いようがない。外務大臣、どう思いますか。
    〔首藤委員長代理退席、委員長着席〕
川口国務大臣 入札説明会に出席が必要であるということがほかに余り例がないということのお話がございましたけれども、この北方四島の関係の支援事業につきましては、ほかの件と違った特別な事情があるということでございまして、例えば、北方四島については、これは日本の主権のある領土である、そこからくるさまざまな条件あるいは制約について理解をしていただく必要があるというようなことがありまして、それからさらに、気候的にも非常に厳しい地域であるということについても理解をしていただく必要があるということで、直接に集まって説明をする必要があったということだと私は理解をいたしております。
 この点につきましても、専門委員の方々に、そういった状況を踏まえて、引き続き説明会という形でお集まりいただくことが適切なのか、あるいは違う方法で考えられるのか、そういったことについても御議論をいただいて、その上で役所としてどのような改善策があるか、きちんと考えたいと考えます。
松本(善)委員 外務大臣、さっきから官僚的な答弁だといってほかの同僚委員も言っておられましたけれども、外務大臣の考えが述べられないんですね。ほかに調査を調査委員会でやるとか、前半は擁護です、支援委員会のやっていることの。
 これは、入札妨害罪というのは、偽計を用いて入札を装って、それで実際上は指名発注する。それはもう典型的な入札妨害罪に当たる。私は、当然捜査当局が捜査をしなければならない、それを外務大臣が擁護をする発言をするとは夢にも思わなかった。それは、あなたは入札のことはよくわからぬと、この前言いましたけれども、これだけ入札のことが問題になっているのに真剣に考えていないという証拠だと私は思いますよ。入札妨害罪というのがあるんですよ、偽計を用いてやった場合はそうだという。
 それから、私は、そのことを指摘した上で、この北方四島支援問題、これは鈴木議員の関与は異常だとやはり外務省の報告書も指摘をしております。これはもう疑惑に満ちた入札条件です。鈴木議員が関与をしているから、私はこういうふうになっていると思います。こういうことを含めて調査をすべきだと思いますが、外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 具体的な問題の御指摘がありました場合には、常に調査をすると申し上げております。
松本(善)委員 今具体的にやっているんじゃないですか。この間のこれも、それからこれも、これだけ支援事業の、みんなおかしいですよ。それを具体的に指摘しているのに、あなたが擁護をしているというのは、到底私は許されないと思います。
 それは、ちょっともう一つ聞きますから一緒に答弁してもらって結構です。
 先ほど中山先生も関係していらっしゃるというふうに言われましたが、これは中山太郎議員のことですか。高野さんだね。
高野参考人 お答え申し上げます。
 と理解しております。
松本(善)委員 そういうことですね。中山太郎議員のことですね。これもなかなか重大なことですよ。
 外務大臣、どうぞ御答弁ください。
川口国務大臣 入札のことにつきましては、先ほど申し上げましたように、なぜその期間が短いかということについてはよくわからないけれども、今後、改善策を議論する中で、何が適切かということは考えたいということを申し上げたとおりでございまして、入札の点について、期間の点については、そういう意味で、調べたけれどもわからなかったということを申し上げておりまして、さらに、入札のほかの点について、何かここがわからないから調べろということであれば調べますので、そういう意味で、具体的な御指摘があればと申し上げたわけです。
松本(善)委員 しっかりとはやってほしいと思います。
 高野参考人、自航式のはしけについて聞きます。
 希望丸については、支援委員会の作成をした「北方四島住民向け「自航式はしけ」建造に係る競争参加資格審査結果について」という報告書があります。これは、齋藤欧州局長も支援委員会が作成したということを認めたものです。
 この審査結果の中には、「審査の過程において、当初の審査基準では根室造船が一部基準を充たさないことが判明したため、地元企業にも競争に参加させるべきとの政策的判断に基づき、審査基準を一部緩和した経緯がある。」つまり、根室造船が入札基準に満たないから審査基準を緩和したということが明確に書かれております。これは根室造船に受注させるためとしか考えられない。これがそうではないかということが一つ。
 これは希望丸のことだから、あなたが就任する前の問題です。だけれども、調査をするということについては事務局長が責任があるから、これが事実かどうかということを聞く。根室造船に受注させるためとしか考えられないが、そうではないかということ。
 もう一つは、あなたが就任した後の友好丸についてです。
 これは、何でこれだけ問題になっている、この報告書は九七年六月のものです、それを当然知っているはずのあなたが、なぜ希望丸の入札条件を踏襲して友好丸についてもやったんですか。その二つの点について聞きたいと思います。
高野参考人 お答え申し上げます。
 第一の点につきましては、先生御指摘のとおり、私が就任する以前の話でございまして、その詳細は明らかに、つまびらかにできません。いずれにしても、そういう書類があったことは事実ですし、手書きのものが入っているというのも事実でございますので、それはそのとおりだと思います。これは根室造船に受注させるための政策的配慮だとおっしゃいますが、私は、それについてはちょっと、どうかなと、私自身の判断はちょっと下せません。
 それから、二番目の友好丸につきまして、もちろん私が就任した後で話が、実際の契約は行きましたけれども、それ以前に既に友好丸を供与するという政策決定がございまして、それでコンサルを使ってやっていた後でございますので、そのときにどういう基準を使ったかということでございますので、私には、前にあった条件をそのまま使って悪かったかどうかというのは、そのときの判断ではありませんでした。
松本(善)委員 最後に外務大臣に聞きますけれども、さっき言ったように、希望丸については、何遍も取り上げられて、これは国会内では非常に有名な文書ですよね。それで私は、友好丸について、これと同じ調査をしているはずだ、出せと。それで、我々が要求してから、何と、昨日、晩の十時ごろでしたかな、夕方、ちょっと時間は正確ではありませんが、出てきました。約二十日かかっています。見たら、適正にやったという趣旨ですよ。これを二十日かかって出している。外務省、おかしいと思いませんか、これは。
 それは理由はどう言うかというと、決裁手続を経ていないからということでずっとやっている。決裁手続を全部変えた方がいい。これは何の秘密もないですよ。これは先ほど理事会で皆さんに見ていただいた。自民党の、与党の方も、これはひどい、こういうふうに言っておられました。
 外務大臣にお聞きをしたいのは、これについて鈴木議員の関与は確認されなかったというのが外務省の報告であります、今回の調査の範囲では。これを再調査すること。それからもう一つは、決裁手続。文書の提出についてこんなことが、外務省のなかなか出さないというのは、本当にここを、ここから改革しなければ話にならないですよ。この二点について外務大臣の見解を聞きたい。
吉田委員長 松本議員、もう時間が過ぎていますので、答弁でおしまいにさせてください。
 川口外務大臣。
川口国務大臣 まず、再調査の件でございますけれども、外務省は、この調査については、省内にある書類あるいはヒアリング等に基づきましてこの前調査をして、その報告を出させていただいたわけでございまして、この結果については、委員御案内のように、鈴木議員の関与は確認をされなかったということでして、これは調査について外務省としては別に強制的な捜査権を持っているわけでもございませんし、そういった中で、外務省としてどういう対応をしたかということを調べるということでやらせていただいたわけで、再調査をいたしましても結果的にはこれと同じ結果しか出てまいりませんので、再調査はこの際は必要ないと私は考えています。
 それから、書類の提出までに時間がかかっているということにつきましては、これは非常に申しわけないと思っておりまして、できるだけ早くできるように督促はいたしたいと思いますけれども、ひとつぜひ御理解をいただきたいのは、いまだにたくさんの調査、あるいはお出しする書類があるようでございまして、なかなかたくさんのことに今、これも外務省の責任だとおっしゃられればそういうことかもしれませんが、たくさんございますので、そこについてもぜひ御理解をいただきたいと思いますが、できるだけ早く御提出できるようにしたいと考えます。
松本(善)委員 納得できないということを申し上げて、質問を終わります。
吉田委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 まず、高野参考人にお尋ねします。私がラストバッターですのでよろしくお願いいたします。
 高野参考人は、大臣官房に所属していた約五年間でしょうか、海外での議員への便宜供与を手配するお仕事をされておりまして、それから、世界各地の在外公館に対して便宜供与を依頼できる立場におられたと思いますが、当時、鈴木議員から同議員の海外渡航について便宜供与依頼を受けたことはありませんでしたでしょうか。
高野参考人 大変申しわけありません。あったかなかったかよく覚えておりませんので、お答えしかねますが。申しわけありません。
東門委員 では、特に伺いますが、アフリカ関係では、ケニアだとか、後に大使として赴任されるコンゴ、そのときはザイールだったかもしれません、後のコンゴ民主共和国に対する便宜供与の依頼については、何か覚えていらっしゃいませんか。
高野参考人 現在のことか過去のことかよくわからない御質問だと思います。
 アフリカ関係、私が在任していたときにそういう依頼があったかといいますと、それは現地にいますのでわかりません。
 それから、過去十数年前にそういう仕事に携わったことはございますが、そのときにあったかなかったかということは、先ほど申しましたようによく覚えておらないので、申しわけないと思います。
東門委員 私は過去のことをお尋ねしました。大臣官房におられるときのお話がずっと続いているのです。全然御記憶にないということですか。
高野参考人 全然記憶にないとおっしゃられるとまたまさにあれですが、便宜を依頼する立場にあるというのは、実は、各主管課が、例えばアフリカですと、アフリカの関係をつかさどる局の者が起案しまして、官房総務課の方に回ってきて、ある意味でかち合わないようにとか、そういう配慮でもって見ていたことは事実なので、そのときに鈴木議員の名前があったか、恐らく、あの方は多分一年に一遍ぐらい来ていたかもしれません。しかし、そこのところは覚えておりませんので、御容赦ください。
東門委員 先ほどどなたか、委員のお名前は忘れました、どなたかの御質問の中で、高野さんは鈴木議員とはお知り合いになってから十年以上になるというお話でした。そういう中で、御記憶にもしあったら、何らかの形で記憶にあると思うし、全然ないのか、そこをちょっとお尋ねしたいと思っているのです。
高野参考人 お答え申し上げます。
 そういう意味では、覚えておりません、記憶にございません。
東門委員 参考人は、今支援委員会の事務局長を務めておられます。北方領土問題に深くかかわっているという立場から、支援委員会が我が国の北方領土政策にいかなる影響を与え、どのような貢献を行ってきたとお考えか、所見を伺わせていただきたいと思います。
高野参考人 お答え申し上げます。
 北方支援の仕事に携わって約二年でございますけれども、その間におきまして、幾つかの援助、支援をやってまいりました。それは、過去の前々代の事務局長からの申し送りといいますか、事業が実施されてその結果でございますけれども、これは北方四島住民にとっては大変必要な援助であったと考えております。現に、住民の方から感謝の気持ちが述べられたということを聞いております。
東門委員 そういう評価の中から、今後とも、支援委員会の仕事あるいは日本の北方領土政策、続けていくべきだという御見解ですか。
高野参考人 私自身は、当然だと思います。
 北方四島が返ることを願って、我々も、その環境醸成といいますか、そのためにやっている事業と確信しておりますので、それは十分そういうふうに思っております。
東門委員 事務局長の立場で、そういう御答弁かなとは思うのですが、今回のあのような不祥事が続いているのですけれども、その後でもやはりその確信は変わらないということでしょうか。
高野参考人 お答え申し上げます。
 幾つかの手続の不備とかそういう点で御指摘をいただいていますので、これはもちろん、改革のための専門家会議の結論、それから皆さん方の意見を十分拝聴した上で、改めるべきは改め、透明性を保ってやるのがやはり我々の義務であり、それから当然のことだと考えております。
東門委員 外務省側にお伺いいたします。
 人事を考慮していく場合、最も重要な判断基準は、当然のことながら適材適所だと思います。駐コンゴ大使であった高野参考人のいかなるところが適材であると判断をされて支援委員会及び交流委員会の事務局長に就任をさせたのか、説明を求めたいと思います。
齋藤政府参考人 お答えいたします。
 平成十二年三月、末澤初代事務局長の退職を受けまして、日本の対外政策及び国際交流に経験を有している高野前コンゴ大使を事務局長として日本政府が推薦し、その結果事務局長に任命された、こういうふうに承知しております。
東門委員 通常、対ロの関係ですから、やはりロシアに詳しい方がという、先ほど御指摘ありましたが、私も同じ意見なんですね。ところが、そのときに、ほかに全然適任者がおられなかった、高野さんが適材であるということを外務省は強く感じたということなんでしょうか。それとも、何かほかの理由もあったのでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
齋藤政府参考人 ちょっと、当時の詳しい状況について、私、お答えする立場にございませんが、私が聞いておりますところによりますと、もし先生が鈴木議員との関係を念頭に置いてお尋ねであるとすれば、高野事務局長について具体的に鈴木議員の方から言及がなされたということはなかったというふうに聞いております。
東門委員 その点もございましたが、私は、特にどの点を適材だと判断されたのかと申し上げたのです。この方以外にはもうおられなかったということなんですかとお伺いしたのです。
齋藤政府参考人 当時の大臣官房の方でこういった人選はなされたのだろうというふうに想像いたしますけれども、私、ちょっとその状況について責任を持ってお答えするだけの知識もございませんので、先ほどのような御答弁をさせていただいたわけでございます。
東門委員 高野さんに伺いますが、鈴木議員につきましては、北方領土問題をめぐって、島が返還されても国として何の利益にもならない旨の発言を行った疑惑が持たれております。
 参考人は、これまで同議員、鈴木議員から何か北方領土政策についての発言をお聞きになったことはありますでしょうか。お聞きになったのであれば、その内容についてお話をいただきたいと思います。
高野参考人 お答え申し上げます。
 鈴木議員から直接聞いたことはございません。
東門委員 鈴木議員と高野さんの間では、北方四島問題についていろいろお話し合いがある、あって当然だと思うのですね、支援委員会の事務局長ですから。そういう中で、じゃ、北方四島問題についていかような考えを持っておられるかというのはおわかりだと思います。その点、お聞かせいただきたいと思います。
高野参考人 お答え申し上げます。
 北方四島問題というのは、すぐれて対ロ外交の一環であると考えておりますので、事務局は、実を言いますと、ある意味で一応委員会の決定に従って事務的にその案件を処理するという機関でございまして、政策的な判断で、事務局長だから当然議論しているだろうとおっしゃる気持ちはわからないでもないのですが、私どもはそういうことまでやったことはございません。
東門委員 高野さんは、支援委員会とそれから交流委員会両方の事務局長を務めておられるわけですが、そういう中で、その両委員会、要するに支援委員会そして交流委員会、両委員会ともその設立根拠は協定に置いているわけですね。双方とも、行政協定として締結をされて国会での承認を受けていません。国会承認を受けていない行政協定で設立された国際機関が、人事問題あるいは不当な予算の執行、運営に当たっての協定からの逸脱、特定の政治家の介入を招いているというのが現実だと思います。
 こうしたことから、行政協定でこれら機関を設立したことの妥当性について、川口大臣はいかがお考えでしょうか。
川口国務大臣 国際約束を行政協定でやるか、あるいは国会承認条約でやるかということについて、どういう場合に国会承認条約でやるかというルールが、委員御案内と思いますけれども、ございます。
 これは昭和四十九年に大平三原則として明らかになっているわけでございますけれども、一つは、法律事項を含む国際約束。要するに、法律を国会で承認いただいてということが前提になっているという国際約束。それからもう一つは、財政事項を含む国際約束。それから三つ目が、国家間の一般の基本的な関係を法的に規定するという意味で政治的に重要な国際約束であって、発効のための批准が要件とされるもの。このいずれかに該当するものは国会承認条約でなければいけないということでございます。
 この支援委員会の設置に関する協定は、これのいずれにも該当しないということで、行政取り決めとして締結をされたわけでございます。
 今、私はちょっと具体的に例を挙げることはできませんけれども、行政取り決めというのは、それなりの数、存在していると考えます。
東門委員 その行政協定に基づいて設置された国際機関で今回このような不祥事を起こしているということは、行政協定という形での協定締結に問題があるのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか、大臣。
川口国務大臣 どういった国際約束を国会承認条約にするかという考え方についてお聞きでいらっしゃると思いますけれども、これについては、今あるのは昭和四十九年のそのルールであるということでございまして、これをさらに変える必要があるかどうかということについては、これは、国会として何を国会で承認をなさるというふうにお考えになるのか、それから政府としてはどう考えるのかということを、時間的に例えばどういう状況で、その国際的な置かれた問題と時間的にどれぐらい急ぐかとか、ほかのさまざまな要素があると思いますので、そういったことを総合的に考えるということだろうと思います。
 私としては、やはり、すべて国会の承認をいただくということだと、多分、相当な数の条約をお願いしなければいけないということになりますので、何らかのルールが必要だろうと思いますし、そういう意味でいえば、今のルールはそれなりに適切であるんじゃないかなと思っております。
東門委員 大平三原則のお話は今ありましたけれども、その中で、財政事項を含まない協定とおっしゃっていると思うんですが、しかし、現実には、形はどうあれ、相当な額の予算がつけられているわけですね。通常の予算に加えて、特に平成十年、十一年度ですか、通常の予算額を上回るような補正予算が組まれている。かなりの財政の支出があるというわけです。ですから、そういう意味で、いかがなものかなと思うのが一点。
 それからもう一つは、このような、これらと同じような協定、先ほど大臣は相当あると思いますというお話でしたけれども、どのくらいあって、それぞれの協定の予算額がどのぐらいになっているのか、わかりましたら教えてください。
川口国務大臣 まず、多額の予算がかかるというお話がございまして、それはそういうことでございますが、この協定に、利用可能な資金の範囲内でというふうに書いてございます。
 それで、利用可能な資金の範囲というのは、毎年毎年の予算で、これは国会で御審議いただいてお決めいただいているわけでございますので、そして、その範囲内で仕事をしているということでございますから、そういう意味では、国会にチェックをしていただいているということだと私は考えております。
 それで、ほかに行政取り決めに基づく国際機関をつくったということで申し上げますと、例えば、よく御案内の例ですと、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOでございますが、これもそういった行政取り決めに基づいて国際機関がつくられているということでございますし、ここに今挙げているものだけでもかなりございます。例えば、商品協定絡みで、国際砂糖機関、国際鉛・亜鉛研究会、国際ニッケル研究会、国際銅研究会、アジア生産性機構、その他かなりの数がございます。
東門委員 済みません、では、かなりの数のそういう行政協定があるというお話ですが、ぜひそれを後でまた文書でいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 この行政協定で締結をされております協定などにおける予算の執行状況及び会計監査はどのようになっているでしょうか。
川口国務大臣 国際機関ということで考えますと、これは、支出をする、したがって拠出金として国際機関に出すところまでが日本国の中のお話でございますので、そこまでが会計検査院の対象になっているということでございまして、それから先は、これはさまざまな国際機関がございますけれども、それぞれの国際機関においてきちんと、それなりのルールにのっとって、お金の使い方についてはチェックをされているということだと思います。
東門委員 ちょっと質問を変えますけれども、いわゆるプール金の問題なんですが、プール金の調査は外務省本省のみが対象であったと私は理解しております。松尾事件とかあるいはこのプール金のような公金流用というのは、支援委員会または交流委員会では存在しないと外務省は断定できますか。そういう事実は一切ないと断定できますか。
齋藤政府参考人 そのようなことはないと思います。
東門委員 公金を個人名義口座で管理するということが松尾事件だったわけですが、この支援委員会もそうだというふうに、今まで二例判明したわけですが、このような行為が外務省における慣習となっているのかなということも感じるのですが、いかがでしょうか。
齋藤政府参考人 この支援委員会の口座が個人名義でなされているという御指摘でございましたが、確かにこれは、支援委員会事務局長高野保夫という名義で口座が設けられている。そういう意味では個人名義といえば個人名義だと言えると思いますけれども、私的な個人名義の口座とは完全に峻別されているわけでございまして、なぜこういう形の名義の口座になっているかといいますと、日本の銀行におきまして、私ども調べたところによりますと、各銀行の内規のために、権利能力なき法人である支援委員会の名前で口座を設けることはできないということで、支援委員会事務局長、それからその当時の事務局長の名前をつけまして、口座を設けているということでございます。
 当然のことながら、個人の口座とは峻別されて管理されているわけでございます。
東門委員 では次に、通告してありましたので、地位協定について質問をさせていただきます。
 大臣は、これまで委員会等で、いろいろな方から質問をされて、その答弁に際して、地位協定に関しては、見直しというより、機敏に対応するために運用の改善の方がよいというような趣旨の発言をしておられると私は感じているんですが、協定の改定より運用の改善の方が機能するという御意見なのかどうか。よろしくお願いします。お答えください。
川口国務大臣 私が委員会等で申し上げておりますのは、日米地位協定については、その時々の問題について、運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるということを申し上げておりまして、その考えのもとで運用の改善に努力をしているということを申し上げております。
 それで、これが効果的でない場合には、相手の国もある、我が国だけで決定できる話ではないけれども、日米地位協定の改正も視野に入れていくことになるだろうということを申し上げております。
東門委員 先日、昨年ですね、あれは六月の二十九日だったと記憶しております。沖縄の北谷町で起きた米兵による女性のレイプ事件がございました。そのレイプ事件についての判決が出ましたが、そのケースについて運用の改善、それは米軍の好意的考慮というのかもしれませんが、そのケースについて運用の改善が本当に機能したとお考えでしょうか。
川口国務大臣 運用の改善につきましては、この刑事裁判手続につきましても、さらなる運用改善が必要であると考えております。このさらなる運用改善に向けて、現在、刑事裁判手続に関する特別専門家委員会等を通じて協議を行っております。先般二月にパウエル国務長官とお話をしましたときにも、この件についてお話をいたしております。
東門委員 いや、私はそのケース、特にこの昨年の六月に起こったレイプのケースについて、その犯人の、その当時は被疑者、もう今は被告の人ですけれども、被疑者の身柄の引き渡し、それについて、やはり運用の改善というのが本当にうまく機能したとお考えでしょうかという質問でございます。
川口国務大臣 引き渡しについて、今まで運用の改善の努力をしてきております。引き続き努力を重ねることが必要だと思っております。
東門委員 今回のケースは、逮捕状が出てから実際に身柄が引き渡されるまで、四日、五日かかっているんです。その間、基地の中でどういうようなことが行われていたか、大臣は御存じでしょうか。もちろん、その時点での被疑者は、基地の中に勾留されているわけですね。そこで、どのようなことが行われていたか御存じでしょうか、渡される前です。――審議官がおられますか。
原田政府参考人 具体的に、当時基地の中におきまして被疑者がどのような状態かは、私今承知しておりませんけれども、しかるべく被疑者として取り扱われていたというふうに理解しております。
東門委員 とても意外なことを伺います。これは、もういろいろなものに書かれているんですね。被疑者は、勾留されている間に、基地の中に沖縄の弁護士を呼び入れて、日本の法律についてレクをしているということがもう報道されているんですよ。
 それは、外務省、担当の方では、私きょう北米局長をお願いしたんですが、きょうは審議官でやってくれということでしたのでオーケーをしました。そのことについて全然御存じなかったということなんでしょうか。
原田政府参考人 当時、被疑者が米側のもとに拘束されていた間は、捜査協力に基づきまして、日本側の警察が米軍基地の中に行って捜査を行ったというふうに承知しております。
東門委員 済みません、ちょっと聞こえないところ、もう一回お願いします。
原田政府参考人 被疑者が日本側に引き渡される前に、米軍の基地の中で拘束されていたわけですけれども、その間は、捜査協力に基づきまして、日本の警察当局が米軍の基地の中に入って捜査を行ったというふうに承知しております。
東門委員 それに加えて、弁護士が呼び入れられて、そこで日本の法律について、どのように法廷で対応するかというレクが行われていたということはお聞きになっていないですか。
原田政府参考人 失礼いたしました。
 今、私の答弁、若干誤解を招くような言いぶりだったようで、当時、任意で被疑者が日本の警察の事情聴取を受けたということでございます。
東門委員 私の質問に全然答えておられない。三回同じ質問をします。
 基地の中に弁護士が呼び入れられて、その被疑者にレクチャーをした。日本の法律についてあるいは法廷での対応についてレクをしたということはどうなんですかと、三回同じ質問をしています。
原田政府参考人 失礼いたしました。
 今先生のおっしゃったような報道が当時行われていたことは承知しております。
東門委員 報道が行われたということは承知しておられる。しかし、外務省北米局としてはその事実は知らないということなんでしょうか。
原田政府参考人 お答えします。
 突然の御質問で、私、手元に資料を持ち合わせておりませんので、外務省として、当時その事実関係をきちっと把握していたかどうかというのは、今お答えを差し控えさせていただきます。
吉田委員長 時間がありませんから。
東門委員 はい、わかります。ですから、質問をしません。
 私は、きょう、時間があれば地位協定について伺いたいということを通告してありました。北米局長を出しましょうか、よろしくお願いしますと申しましたら、北米局長ができない、それで審議官をということでしたので、それもいいでしょうということでした。
 そういう中で、これは地位協定に関する大事なところなんですよ。運用の改善で事足れりとする外務省の姿勢に対して、私は、そこに住んでいる人間として、一番地位協定の被害を受けている側の人間として、しっかりただしていきたいという思いでここへ来ましたら、そういう答弁で話にならないということを、強く私は抗議をして終わります。
 済みません、委員長。ありがとうございました。
吉田委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
 委員長として一言申し上げますが、本日、参考人として高野保夫氏においでいただきました。大変御苦労さまでございました。
 次回は、公報をもちましてお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十九分散会


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