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第10号 平成15年5月16日(金曜日)

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平成十五年五月十六日(金曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席委員
   委員長 池田 元久君
   理事 今村 雅弘君 理事 蓮実  進君
   理事 水野 賢一君 理事 森  英介君
   理事 首藤 信彦君 理事 土肥 隆一君
   理事 丸谷 佳織君 理事 藤島 正之君
      伊藤 公介君    植竹 繁雄君
      小池百合子君    高村 正彦君
      下地 幹郎君    新藤 義孝君
      武部  勤君    土屋 品子君
      中本 太衛君    松宮  勲君
      宮澤 洋一君    森田 健作君
      木下  厚君    今野  東君
      中野 寛成君    鳩山由紀夫君
      古川 元久君    白保 台一君
      松本 善明君    東門美津子君
      鹿野 道彦君    柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府参考人
   (防衛施設庁業務部長)  冨永  洋君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 篠田 研次君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 齋木 昭隆君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 長嶺 安政君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            西田 恒夫君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     石川  薫君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   政府参考人
   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  古田  肇君
   政府参考人
   (外務省条約局長)    林  景一君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         遠藤  明君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           石原 一郎君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房技術
   審議官)         矢部  哲君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          吉田 徳久君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  岩尾總一郎君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  小池百合子君     森田 健作君
  伊藤 英成君     古川 元久君
同日
 辞任         補欠選任
  森田 健作君     小池百合子君
  古川 元久君     伊藤 英成君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)(参議院送付)
 国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送付)
 生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
池田委員長 これより会議を開きます。
 二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件及び生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官篠田研次君、同じく大臣官房参事官齋木昭隆君、同じく大臣官房参事官長嶺安政君、同じく総合外交政策局長西田恒夫君、同じく総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、同じく中東アフリカ局長安藤裕康君、同じく経済局長佐々江賢一郎君、同じく条約局長林景一君、防衛施設庁業務部長冨永洋君、厚生労働省医薬局食品保健部長遠藤明君、農林水産技術会議事務局長石原一郎君、国土交通省大臣官房技術審議官矢部哲君、国土交通省政策統括官鷲頭誠君、環境省地球環境局長岡澤和好君、環境省環境管理局水環境部長吉田徳久君、環境省自然環境局長岩尾總一郎君、それに外務省経済協力局長古田肇君、それぞれの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
池田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小池百合子君。
小池委員 おはようございます。
 本日、三条約の審議ということでございますが、国際的にも重要な条約だと思いますので、速やかに承認がされますように、この審議を順調に進めさせていただきたいと思っております。
 今回、船舶防汚方法規制条約というのもございますけれども、海洋の環境、生物に関する環境、そういったことを守るという意味において重要ととらえておりますが、それにも関連すると思いますが、海洋の環境汚染の防止、そしてまた世界の平和安寧を守るということは極めて重要なことであります。
 昨年の十二月ですけれども、北朝鮮船籍のチルソン号が茨城県の日立港で座礁いたしました。これによって重油が流出いたしまして、その回収費用五億円ほどかかったのが、茨城県が結局、代執行という形で、県民のお金を使わざるを得なくなったという意味で、極めて、日本にとって、また茨城県にとって、環境問題そして財政問題にも結果的につながってきている。
 さらには、その際、このような不良船舶が日本に接岸し、そのような大きな問題をつくっていくことに対して、何か予防する方法はないのかということで、茨城県議会が大変頭をひねって、県の条例をつくったということがございます。
 逆に言えば、国にそういった取り締まりができるという法律がない。港湾法などを見ましても、どの船も一様にして港とすれば受け入れなければ、海洋国日本とすればこれだけはだめよというのはなかなか言いがたいというようなことから、国はそれまで放置をしてきたという責任があると私は思います。
 また、私の地元兵庫県では、全然別の例で、神戸方式なる奇妙きてれつなものがございまして、これは実際にはある国の船舶を排除しているというような状況が生じていて、何かちぐはぐな地方分権であるなというふうに思います。
 そういった意味で、不良船舶並びに昨今のテロの多発などを考えて、国際的にもいろいろなつながりを持って、こういった不良船舶、並びに我が国そして世界の平和を脅かす船舶の入港阻止であるとか、さまざまな問題の予防的な措置をとるべきであると私は強く思うわけでございます。
 今回の一連の流れの中において、担当当局、ここは国土交通省だと思いますけれども、いろいろ準備を始めておられるというのは聞いておりますけれども、その進捗状況はいかに、そしてまた、それに対しての決意のほどを聞かせておいてください。
鷲頭政府参考人 先生御指摘のとおり、関税法に基づきまして指定された開港につきましては、国際通商に開放された港ということになっておりまして、外国籍の船舶の入港を禁止するということを定めた法律は現在のところ我が国にはございません。そういう意味で、御指摘のような特定の国籍を旗国、あるいは不良な船について、それだけで入港を禁止するということは現行法上できないというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘のとおり、そういう点につきまして、国として、立法政策として、特定の船舶を対象とした寄港制限を行うということを政府全体で検討する必要があるという点につきましては、昨年の十二月六日でございますが、閣僚懇で扇国土交通大臣から問題提起を行っておりまして、私ども国土交通省におきましても、安全、環境、保安などの面で問題のある船舶に対しましてどのような対応が可能か、広範に検討を行っているところでございます。
 それからさらに、昨年十二月、国連の専門機関の一つでございます国際海事機関、IMOというところにおきまして、海事保安の確保に関して海上人命安全条約の改正が行われまして、来年の七月一日に海上セキュリティーに関する初めての条約が発効することになっております。現在、国土交通省におきましては、条約を国内法化するために部内で検討を鋭意進めておりまして、できるだけ早くこの条約の批准のための準備が整えられるように頑張っていきたいというふうに考えております。
小池委員 ありがとうございました。
 特に、テロ、我が国の安全保障という点では、昨今はやはり北朝鮮情勢ということが極めて重要な課題となっているわけでございまして、船舶、とりわけ万景峰号についての問題がクローズアップされることが多いわけでございますけれども、現実には、万景峰号のみならず、年間に一千三百ないしは一千四百隻の北朝鮮船籍の貨物船などの入港が認められているところでございます。
 これによって、さまざまなマテリアルというか物品の、これまた単に民生用だけではないと思われるような輸出入が行われているとなりますと、これは全く我が国の安全保障の点からも歓迎せざる状態ということでございまして、ちょっと万景峰号ばかりに目が行き過ぎているのではないかなというような思いもございます。
 その意味で、今のSOLAS条約の早期の批准並びにそれに対しての国内法を日本が早期に整えるという方向をぜひともおとりいただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 先ほど、ベーカー駐日大使との朝食会に私も出てまいりました。ベーカー大使もおっしゃいましたのは、最近の北朝鮮情勢はどうも不可解であるというようなこと、それから、米国はあらゆるオプションを廃棄するものではないということをおっしゃっておられました。
 北朝鮮に対しての制裁問題というのは、これは極めてセンシティブな問題であることは十分理解をいたしておりますけれども、しかしながら、遠くの国、アフリカであるとか中東であるとかそういったところの危機、今回のこの北朝鮮の危機というのは我が国は余りにも距離的にも至近であるということ、そしてまた、既に日本をターゲットになどという言葉が実際に出てきているわけでございますので、これは対岸の火事では絶対に済まされない、我が国がもっと当事国としての意識をより高く持つ必要があろうかと思っております。
 その意味で、外為法の改正という議員立法の準備をただいまいたしております。これは、いざとなったときに何も道具がないのに言葉だけでというわけにはまいりませんので、まさにオプションというものを十分に準備しておく必要があるという我々の危機感のあらわれでございますので、ぜひとも政府におかれましても、この点を理解されて、また議員立法で進めてまいりたいと思っておりますので、そういったオプションをただいま準備中ということを御理解いただきたいと思っております。
 この北朝鮮情勢に対して、また制裁に対してどのような取り組みを考えておられるのか、外務大臣の方からお答えいただきます。
川口国務大臣 ただいま委員から議員立法の動きのお話がございましたけれども、今、国際社会においてさまざまな脅威があり、テロですとか大量破壊兵器ですとか、いろいろある中で、我が国が問題を解決していくためにどういう可能な方法があるかという意味で、議員の方々の中でそういう御議論をいただいているということは私は有意義であるというふうに思っております。
 それで、北朝鮮についての考え方ということの御質問ですけれども、二つ。まず、平和的に解決をすることが必要であるということが一つです。それから二番目に、北朝鮮といいますか、朝鮮半島の核化ということは我が国としては許容できないということでして、それを踏まえまして、我が国としては、拉致問題も含め、いろいろな問題があるわけでございますので、こういった問題を平和的に、包括的に、そして、この地域の安全保障環境にプラスになるような形でこれを解決していきたいということが基本的な考え方でございます。
 それで、制裁についてという御質問が二番目の部分でございましたけれども、これについての考え方、これは北朝鮮全体を考えていくときに、今まで我が国は近隣の韓国や中国や、あるいは米国やロシアといったような関係と密接に連携をとりながら、また国際機関とも連携をとりながらこの問題に対応してきております。
 もちろん二国間での働きかけということもやってきておりますが、そういった中で、現時点では、我が国として経済制裁をやるということは具体的に検討しているわけではございません。それから、国際機関においても、具体的に北朝鮮についての経済制裁が検討されているわけではないわけでございます。
 ただ、今後いろいろな事態の進展ということはあるわけでございますし、非常に全体が不透明な国でもあるわけですので、具体的にといいますか、そういう今後の事態の展開を見ながら、各国と連携をしながら、何かその措置をとることが必要であるというふうに判断がされる、そういうことがある場合には、これは関係省庁と御相談をしながら現行法令でできることをやっていきたいというふうに考えております。
小池委員 日米首脳会談も迫っております。今回のテーマは、明らかにイラク復興であり北朝鮮情勢であるというのはもう今から見えているわけでございまして、その際に日本が何ができるのか、もしくは何をしなくてはならないのかという議論がある際に、全く検討していないということはあり得ないというふうに思います。
 北朝鮮側はあらゆる経済制裁は宣戦布告とみなすというような発言を早々に行ってきている、すなわち経済制裁をしないでくれというそういうメッセージであろうかというわけでございますけれども、さて、各国そろって経済制裁というようになったときに、日本の現行法で十分なのかどうかというのをチェックするのは当然危機管理として必要であろうと思います。されていないことはないと思いますけれども、足りない部分は私どもでやっていかなくちゃいけないのかな、そんな思いでおりますし、本来は、議員立法もさることながら、こういった準備というのはやはり国を挙げてやっておくべきではないかというふうに思う次第でございますので、ぜひとも外務大臣におかれましても、その点をリードしていただきたいと思っております。
 それからまた、北朝鮮側が宣戦布告とみなすというようなおどしでもって、それでいたしませんなどと言っていると全く話にならないわけでございますが、ちょっと話は違いますけれども、安全保障という意味では、既に死者数が六百人を超えたという例のSARSの問題も同じカテゴリーに入ってもいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 その中で、この外務委員会でも数日前にも御議論があったと思いますけれども、台湾のWHOへのオブザーバー加盟のことについても、何やら中国の方から日本に対して、それに対してストップをかけるような、そういう言葉があったというふうに報じられているわけでございます。
 私の知る限りでは、対アメリカには、かつてクリントン政権のときに対中の三つのノーというのがありましたけれども、ブッシュ政権でそれががらっと変わっちゃった。そして、そういう三つ目のノーが、たしか国連機関への加盟はノーだというのがクリントン政権のメッセージだったんですけれども、それも撤回ということで、ブッシュ政権になってがらりと変わっている。それで、アメリカに対してはどうせ言ってもだめだろうといって中国は何も言っていないと私は思います。少なくともそれは表には出てきていない。
 そういう意味で、日本はいつもこの問題で中国側から、あれだめ、これだめというようなことを余りにも受け過ぎるんじゃないか。もしくは、そうやってアメリカには言わないけれども日本には言ってやるというようなこと自体がそもそも問題だと思います。
 今回、外務大臣におかれましては、この件、積極的にむしろ発言されておられて結構だと思っておりますので、そのまましっかりとお進めいただきたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
川口国務大臣 アメリカに対して中国が何を言ったかということはよくわかりませんけれども、我が国の立場は、これは私もこの前中国政府に対してお話をしましたし、同じことをずっと言っておりますけれども、関係者の満足のいく形で台湾のオブザーバー参加、これはメンバーになるということは難しいと思いますけれども、オブザーバー参加をすることが望ましいと日本としては考えているということは言ってきております。今後、この立場に立って対応をしていきたいと考えています。
 それから、台湾のSARSの問題については、私も大変に懸念を持っております。日本に非常に近い国であり、人の往来が非常に多い国でございます。台湾からはSARSについて日本の支援が欲しいということを言ってきておりまして、これについては、交流協会のもとで、専門のお医者さんを送るということで今検討を進めております。
小池委員 このボーダーレスの社会でございます。そして、今回のSARSの問題が出てきてこのオブザーバー参加が前へ進んでいるのは余りにも政治的ではないかというような、いろいろな見方もあるようでございますが、私は、そもそもこのSARSの問題が起ころうが起こるまいが、こういったお互い共通の目的を達成するためには政治的云々もないんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひともお進めをいただきたいということを申し上げたいと思います。
 さて、その日米首脳会談を前にいたしまして、大きなテーマの一つにもなりますイラクの復興問題でございます。
 このところの安保理での修正案の動き等々も出てきておりますし、またORHAのガーナー中将についての更迭の問題等、イラク国内のシーア派対スンニ派対クルドどころではなくて、まず国際社会の方での、またアメリカ国内でのそういった動きがあって、まだまだ定まらないというのはよくわかります。そしてまた、そこが定まらないと日本も動きがとれないということもわかるのですけれども、外務大臣は、このゴールデンウイーク中にもあちこちいろいろと説得して回られたとおっしゃっておられるのですけれども、国連を中心とした枠組みということをずっとおっしゃっている。
 そうすると、米英両国政府に対してどのような日本政府としての提案をなさってきたのか、また今後されるのか、それについての具体案を聞かせてください。
川口国務大臣 日本政府のイラクについての考え方は、私は四月の初めにヨーロッパに行きまして独仏英の外務大臣と会談をいたしましたけれども、その前に、イラクの復興についての五つの基本的な考え方、これは、主権はイラクのもとにあって、領土を分けてはいけないとか、天然資源はイラク人に属するとか、そういうことでございますけれども、その説明をし、そして、その当時はできるだけ早く国連の決議を、そういったどの国も賛成するような普遍的な概念を盛り込んだ決議を早く通して、委員が先ほど来おっしゃっている国際社会の亀裂、これを修復すべきであるということを申しました。
 その三人の方との会談を通じて、今から一カ月以上前ですけれども、その時点ではまだそういった形の決議を通すということは難しいので、今後、具体的な形、具体的な問題について国連の決議をやっていくことが必要であるというふうに考え方を変更いたしまして、それで、総理がゴールデンウイークのときにヨーロッパでいろいろお話をなさった。そういう形で、日本政府としては、国際社会の亀裂をなくすということについてさまざまな働きかけをヨーロッパに行い、そしてアメリカとも話をしております。
 この間、国連の決議についての共同提案があって、そしてまたその修正案が出まして、今いろいろな情報を我々が持っている範囲においては、そう簡単ではないにしても、恐らく国連決議はまとまるであろうという感じを持っております。国際社会がまとまるということになれば、日本として働きかけてきた意味もあったと私は考えておりまして、そういうことを期待しているわけです。
 イラクの中については、まだまだ委員がおっしゃったようなさまざまな問題がございます。これは、日本もさまざまな支援を行うということを決定いたしておりますので、そういったことを具体的にどんどん実施していきたいと思っております。
小池委員 これから、そういう国際社会での国際政治のパワーゲーム、駆け引き、そういったことが激しく行われるというふうに思いますが、今ここで我々がきっちりと押さえておかなければならないのは、これからのイラク復興に日本が関与していく、それが日本の責務でもある。一方で、その関与の仕方ですけれども、例えば国連なり、もしくは今後の石油生産を財源とするようなファンド、各国の拠出金もこれありというような形で進めていくことが必要だと思うんですけれども、例えばどのような受け皿で、また、日本としてもお金を出す際に、納税者のお金をどのように活用していくかというのは大変重要な話でございますので、どのような枠組み、どのような仕組みということを想定されておられるのか。
 例えば、朝鮮半島の場合のKEDOなどという組織がございますけれども、そういった枠組み等々、KEDOがいいとは私は全然思っていないんですが、それはおいておいて、まずその受け皿、仕組み、そういったことについてやはり真剣に考えておかないと、財源問題、日本国内の財政の話にも当然つながってくるところですから、国際的な駆け引きもさることながら、そういったことこそ今日本は準備をしておかなくちゃならないのではないか。それについての具体案を聞かせてください。
川口国務大臣 国際社会として最終的にどのような枠組みをつくっていくかということについては、今度の国連決議での議論も踏まえて今後決まっていくことになると思いますけれども、その中で、日本としては今まで幾つかの具体的な提案も働きかけも行って、そういった議論には寄与をしております。
 例えば、今度出た国連決議の案でございますけれども、その案をつくる段階でも、日本としては、こういう条項を入れるということがいいことだというようなことも言っておりまして、反映をされている部分もございます。
 お金の問題については、石油の代金を基金として置くということがこの決議案には入っているわけでして、十五日に出た決議の修正案ですけれども、ここではこの基金の部分についてもう少し透明性を持たせる形での修正がなされているというふうに承知をしております。
 それから、このほかにもいろいろな動きがありまして、そういった議論、国連の外での動きですね、そういったことも我が国としては積極的にかかわりを持ってきておりますので、また引き続きそういった努力はしていきたいと思っています。
 それから、我が国自身の支援の行い方ですけれども、これは、国際機関を通ずるもの、二国間のもの、そして草の根無償といった形、NGOを通じてのものというさまざまな形があると思います。それからさらに、例えば、私この間ヨルダンで、ヨルダンの財団が行っているイラクに対する医薬品の支援について、日本、ヨルダンが一緒になってイラクにやりましょうという話をして、きょう閣議で決定をしていただきましたけれども、そういった動きもいたしております。
 いずれにしても、日本が税金を使ってやる以上は、日本がやった、日本の旗が見えるといいますか日本の顔が見える、そういう形でイラクの国民のために支援をしていくことが、考え方の基本として大事だと思っています。
小池委員 先ほど私、一例としてKEDOを出させていただきました。それは、お金を出す際の根拠というか受け皿としてそういうものが必要だろうと。ただ、現実的には、KEDOの問題にしても北朝鮮からは全然相手にもされなかったということで、サンタクロース役をやらされていたというような現実がございます。
 そういったことがないように、そしてまた、そういった組織の中においてイラクの復興に何にプライオリティーを置くのか、そういったところの順序づけのできる、そういった人材を送り込むことが日本にとって重要なことであって、今のイラクの復興でハリバートン等々がばあんと最初の仕事をとって、それはアメリカがやることですから、私は、決してそこに対して云々ということではないのですけれども、そういう今後のイラク復興の際でも、下請、孫請のようなそういった状況にはならないようにしっかりとプレゼンスを示していただきたい。
 人道支援、これからもいろいろございますけれども、まず最初にやるべき支援は、私は、中枢の部分に人を送ることだということを提言をさせていただきたいと思います。
 時間が少ないので、あと、このイラク復興支援の具体策でございますけれども、きょうも、貿易保険、新規のものをこれからもやっていくというような報道ももう既にされておるわけでございますけれども、ただ、既存の債務問題が日本の場合は多々ございます。ドルにして六十億ドルぐらいには官民合わせてなるのではないかと思うわけでございますけれども、これまでですと、既存の債務問題の処理が行われなければ、その新規の支援は困難というような形であったわけでございますけれども、これについて日本政府としてどのような対応をされるのか。局長の方がよろしいですか。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 イラクに対する債権、あるいはイラクから見た債務の問題でございますけれども、日本の場合には、国際協力銀行の債権が昨年度末の残高で四百三十億円、貿易保険の債権が、一九九〇年の時点でございますけれども、約四千三百億円、これだけあるというふうに承知しております。民間債権を含めますと、必ずしも全体額を正確に把握することは不可能ですけれども、約六千億円を超える額になるというふうに承知しております。
 そこで、委員御指摘のとおり、この債務の問題が前進を見ませんと、なかなかイラクに対する本格的な経済協力を進めることは難しいということは御指摘のとおりでございまして、例えば円借款の供与につきましては、この問題がある程度片づきませんと前に進むことができないということがございます。
 それで、今後の処理ぶりでございますけれども、先般、四月二十四日のパリ・クラブで、今後のイラク債権に取り組んでいくというそのこと自体が合意されたわけでございまして、今後、さまざまな場でこのイラクの債務の取り扱いということについて国際的な枠組みの中で処理していくものというふうに考えております。
小池委員 パリ・クラブの中での話については承知をしておりますけれども、日本の対応として、既存の債務があるのに新規の支援というのは、本来ですとなかなかできなかったはずなんですね。ですから、そこら辺の仕切りは、むしろ国際問題ではなくて国内の姿勢の問題だと思いますけれども、その点をもう一度確認させてください。
安藤政府参考人 この債務の問題は、日本だけで処理できる問題ではないものですから、やはり国際社会全体として、債権国全体として足並みをそろえて対処していく必要があるということでございまして、そのことがパリ・クラブで合意をされております。
 したがいまして、財務当局を中心といたしまして、国際社会が一丸となって同じような方針のもとに今後進めていくということになっているわけでございまして、その中で我々としても、非常に大口の債権国でございますので、十分必要な発言を我が国としての独自の観点から行いながら対処していきたいというふうに思っております。
小池委員 ちょっと質問とちぐはぐで、日本として新規の部分とこれまでの部分とどういうふうな仕分けをするんですかということを私は伺ったので、その辺全然お答えになっておりません。
 もう時間が過ぎているんだけれども、これだけお答えいただいていいですか。
池田委員長 はい。
安藤政府参考人 恐らく、今後の道筋といたしましては、まず、債権あるいは債務の額というものを正確に把握して確定するということ、それからさらには、IMF等の国際機関を中心とした、いろいろな財政の出入りについての枠組みというかその仕組みというものを確定するということ、そして、その後に恐らくパリ・クラブで今後のいわゆるリスケみたいなものを行うというような手順になっていくかと思いますが、それに至る段階で新規の円借款をもし必要とするのであれば、それに対してどういう当面の策が講じられるかということについて、これは国際社会全体として話し合いをしていくということでございます。
小池委員 国際会議よりも難しくて、どうも日本語が通じていないような気がいたします。これについては、また別の場でもう一度しっかりと伺いたいと思っております。
 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
池田委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 本日は、非常に重要な、環境とそれから人間の健康に関する国際協力条約でございます。時間も少し余裕がありますので、この問題について詳細に、じっくり審議させていただきたいなと思います。ちょっと私の性格に合わない地味な問題ですが、大事な条約ですので、真剣にひとつ議論させていただきたいと思います。
 まず最初に、船舶防汚方法規制条約、これについて質問させていただきます。
 これまでの外務省の説明によれば、従来、世界的に使用されてきた船底塗料に含まれる有機すず化合物が海洋生物に悪影響を与えていることがわかり、このことが国際的に懸念されるようになったため、国際海事機関においてこの船舶防汚方法規制条約が作成されたということでございますが、有機すず化合物による海洋生物への悪影響について、現在世界的にどのような事態が引き起こされているのか、具体的に御説明をお願いしたいと思います。
岡澤政府参考人 御指摘の有機すず化合物の毒性でございますけれども、貝類あるいは藻類を初めとする海洋生物に対して強い毒性があり、人に対する慢性毒性等も確認されております。
 特に、有機すず化合物については、船底塗料として使用されているわけでございまして、水の中に溶けて海洋中での海洋生物に対する影響が心配されているわけですが、例えばカキ漁業の壊滅、あるいは貝類の奇形、特に雌の雄化というような影響が報告されております。
木下委員 我が国では、一九九〇年代初めより既に有機すず系塗料の使用を自主的に規制してきたということでありますが、有機すず化合物と海洋生物への悪影響の因果関係は完全に立証されているのでしょうか。
 また、過去十年の間に我が国の港湾区域における海洋環境は改善されているのかどうか、その点の御説明をお願いしたいと思います。
岡澤政府参考人 有機すず化合物の海洋生物への毒性につきましては、七〇年代から問題にされてきておりまして、世界各国でその影響に対する研究が行われまして、八〇年代には、ほぼ毒性、それから、船底塗料と海洋生物への影響の因果関係については解明されたというふうに考えております。
 それから、我が国の場合、八〇年代の後半からやはり問題になりまして、TBTが化審法等によって規制されて、我が国での使用が禁止されているわけでありますけれども、その結果、国内での海の水中の濃度につきましては、禁止以後非常に劇的に減少いたしまして、その後は横ばいで推移しているという状況にございます。
木下委員 本条約は、船底塗料として有機すず化合物系塗料の使用を禁止するというものでありますが、それでは、有機すず化合物系の塗料にかわる船底塗料として既に世界的に普及しているものがあるのかどうか、あれば、どのような船底塗料があるのか教えていただきたいと思います。
矢部政府参考人 ただいま、代替の船底塗料の普及状況についてお尋ねがございました。
 船舶の防汚塗料といたしましては、有機すず化合物系の塗料のほかに、亜酸化銅系の塗料が国際的に用いられております。したがいまして、この船舶防汚方法規制条約が発効いたしますと、有機すず化合物系の塗料の使用が禁止されますので、亜酸化銅系の塗料が広く用いられていくというふうに考えております。
 なお、我が国の船底塗料メーカーは、既に一九九七年から有機すず化合物系の塗料の生産を中止しておりまして、主として亜酸化銅系の塗料を生産しております。
木下委員 今の答弁では亜酸化銅系塗料ということなんですが、この塗料は、いわば船底塗料としては有機すず化合物系塗料が世界的に使われる前の国際基準であったと承知しているんですが、亜酸化銅系塗料の使用は、海洋生物への影響さらには人の健康への影響について、全く問題はないという結論の上でこういう形になっているわけでございますか。その点のところをちょっとお答えいただきたいと思います。
岡澤政府参考人 亜酸化銅は、もともと船舶の防汚塗料として使用されていたわけですから、毒性が全くないというわけではございません。それなりの毒性がないと、貝の付着だとか藻類の付着を防げないわけですので、そういうわけではございません。
 ただ、有機すず化合物と比較した場合に、同種の水生生物に対する毒性が数千分の一程度の低いレベルだということ、それから生物への蓄積性がないことが確認されております。さらに、かつて亜酸化銅が使用されていて特段の問題も生じていないというようなことから、海洋生物や人への健康影響についてははるかに少なくなるのではないかというふうに考えられているわけでございます。
木下委員 そうすると、なぜ亜酸化銅系の塗料から、今これから禁止される有機すず化合物系塗料に変わったのか、その辺の経緯というのは御存じでいらっしゃいますか。
岡澤政府参考人 亜酸化銅系の塗料というのは、水に溶けやすいものですから、どんどん溶けてしまう。それから、毒性が小さいですから、たくさん塗らないと、つまりどんどん溶け出させないと付着を防止できないというようなことになります。
 しかし、TBTのようなものですと、毒性が強いですから、わずかに溶出させれば効果があるということで、しかも長もちする、効果的だというようなことから、TBT、有機すず系の塗料が使用されることになったというふうに承知しております。それが、毒性の面でまたもう一回見直されて、効率は悪いけれども毒性の低いものに、もとへ戻していこうというふうな考え方でございます。
木下委員 そうすると、今の答弁によると、亜酸化銅系塗料、これも非常に問題があるということなんですが、本当にそれも含めて、問題があるとされる有機すず化合物系塗料が禁止されるというのは非常にいいことだと思うのですが、もう一つ、海洋環境をもっと積極的に保全していくという立場からは、これらにかわる代替の塗料に対する取り組み、これが少し甘いのではないかと思うんですね。
 名前はあえて出しませんが、ある日本の船舶用塗料企業は、海藻やフジツボなどを殺傷せずに付着を防ぐ、防汚剤を使用しない船底塗料を既に開発し発売していると聞いています。このような無公害防汚塗料の使用を一定の猶予期間の後義務づけるくらいの取り組みが必要ではないかと思うのですが、この船底塗料については承知しておりますでしょうか。
矢部政府参考人 ただいま代替の船底塗料の開発状況についてお尋ねがございました。
 我が国の海運、造船業界は、一九九〇年の初頭から既に有機すず化合物系の船底塗料の使用を自主的に中止しておりますが、これと歩調を合わせまして、我が国の船底塗料メーカーも代替塗料となります亜酸化銅系船底塗料の性能向上に積極的に取り組みまして、現在では有機すず化合物系の船底塗料と同等の性能を有する塗料を生産するに至っております。
 さらに、そのほかにもっといいものはないのかという質問がございましたけれども、有機すず化合物系の船底塗料というのは、微量の毒を溶出しながら海中生物が船底に付着することを防いでおりますけれども、最近は物理的な効果によって船底表面を防汚するシリコン系の塗料というものが、より環境に影響の少ない高性能な代替塗料として開発されていると承知しているところでございます。
木下委員 ぜひそういう無公害の塗料、これを積極的に試験運用しながら、できるだけ海洋汚染を防止してもらいたいなと思うのでございます。
 それからもう一点、先ほど小池議員の方からも質問がございましたが、今、日本沿岸に放置されている外国船舶に対し、政府はいかなる措置をとり得るのか、また、放置船の未然防止に向けて責任無能力船舶の入港を拒否するための法制上の手当てについてどの程度準備が進められているのか、その点をちょっとお伺いしたいと思うのです。
鷲頭政府参考人 お答えいたします。
 船舶の座礁等により被害が生じました場合には、その賠償責任あるいはその船舶の撤去費用についての責任というものは船主が負うことになっておりまして、外国の船主がそういうようなことをやってそのまま国に帰ってしまったというような場合には、政府としては、賠償の支払いや船舶の撤去を船主としてちゃんとするように外交ルートを通じて働きかけを行っているというのが実情でございます。
 しかしながら、先生御指摘のとおり、無責任な船主が対応を行わない場合とか、あるいは行き先がないので、やむを得ず地方自治体が座礁船を撤去したり、あるいはそのまま放置されているという事情があるのは御案内のとおりでございまして、現在、我が国沿岸には十二隻の放置座礁外国船がございます。
 このため、国土交通省としても、これは大変いけないという意味での強い問題意識を持っておりまして、現在、省内に放置・座礁船舶等に関する検討会というものを設置いたしまして、放置座礁外国船等による損害に船主が対応しなかった場合に、あるいは無保険、保険に入らないで入ってくるような船舶などについて、入港規制も含めて、国としてどういうことができるかということの幅広い検討を行っておりまして、できる限り早期に結論を得たいというふうに努力をしているところでございます。
木下委員 できるだけこういう環境汚染、あるいは、先ほどお話がございましたが自治体の過大な負担になっているということでございますので、早急に対応をしていただきたいと思います。
 それからもう一点、本条約が我が国について効力を生ずれば、我が国の港湾に寄港する外国の船舶が本条約に違反している場合、我が国政府は当該船舶に対し、警告、抑留、退去あるいは排除という措置を実施することになると思いますが、その措置を決める権限は港湾法に基づく港湾管理者としての地方公共団体の知事にゆだねられるのか。もし、知事に完全に権限をゆだねないなら、知事が政府とは異なった対応をとろうとする事態も想定されると思います。
 具体的には、条約違反船に対し、政府が警告で済まそうとしても知事は撤去させたいというような事態が考えられますが、このような権限の衝突が起こる可能性というのはあるのかないのか、政府はどのように考えておられますでしょうか。
矢部政府参考人 ただいま、条約違反船が存在する場合に、どういう措置がとられるのかというお尋ねであったかと思います。
 まず、基本的なところを御説明申し上げますと、この条約の締結に伴いまして、我が国として実施するための関係法令をまず整備いたします。そして、この法令に基づきまして、日本籍船舶につきましては有害な塗料を使用されていないということを国が確認をいたしまして、仮に違反があった場合には是正をさせる、こういうことになります。
 そして、外国の船舶につきましては、登録国でございます旗国がまず責任を持って条約を実施いたしますけれども、こういった外国の船が我が国の港に入った場合、これは我が国の港におきまして、外国船舶監督官という者が臨検をいたしまして違反の有無を確認し、違反があればこれを是正する、こういうことになっております。
 それで、御質問の中に知事との関係いかんということがございましたけれども、私どもは、この条約の違反に対する措置については、権限はすべて国にありまして、そういう形で実施しておりますので、衝突するといった問題は生じないというふうに理解をしております。
木下委員 こうした環境関連の国際条約は、一般的にできるだけ多くの国が参加し、世界的な取り組みを確保することが必要だと思いますが、本条約については、商船船腹量割合が二一%を超える世界第一位のパナマ、およそ九%で第二位のリベリアの早期加盟が条約の実効性の観点から必要であると考えられますが、それら二カ国の動向を含め、外務省は本条約の発効についてどのように見通しているのか、お答えいただきたいなと思います。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 商船船腹量世界第一位のパナマでございますけれども、三月に国会承認の手続を終え、近いうちに締結予定と聞いております。第二位のリベリアについては、現時点では締結に向けた作業が必ずしも進捗していないと承知しております。
 EU諸国を初めといたします主要海運国につきましては、その多くが締結の意向を既に表明しておりまして、締結に向けた作業を行っておりまして、こうしたことから、条約が早期に発効することを期待させていただいております。
木下委員 早期ということなんですが、見通しとしてはいつごろと見ておりますか、発効は。
石川政府参考人 第一位のパナマが三月ということで、実は私ども、秋までにはとパナマについて思っておりましたが、大分早まったということはよい知らせだと思っております。
 他方、御承知のとおり二十五カ国の締結等が必要でございまして、それぞれの国内手続につきまして照会をしておりますが、各国とも急いでいるという回答を今のところ寄せておりまして、現時点で、大変恐縮ですが、何月ごろということはなかなか申し上げにくい状況である点を御理解いただきたいと存じます。
木下委員 商船船腹量の割合第二位のリベリアがぜひとも一刻も早く加盟するように働きかけていただきながら、本条約が一日も早く発効するように期待しております。
 それでは次に、ロッテルダム条約について質問させていただきます。
 本条約は、有害化学物質から人の健康及び環境を保護するための国際協力を促進するための重要な条約の一つでありますが、先般、平成十五年四月十七日に参議院の外交防衛委員会において、私ども民主党の同僚議員が、本条約を実施するための我が国の関係法令がいずれも人の健康に着目し、環境への影響ということが十分配慮されていないのではないかと指摘したことに対し、外務省の石川国際社会協力部長は、「農薬の登録に当たり生態系への影響評価の観点から水産動植物への毒性につき検査を行っている」、こう答弁されております。
 農薬の登録段階の毒性検査だけでなく、農薬が市場に出回った後も、環境にどのような影響があるのか評価を行い、問題が発生しないよう十分な対策を講ずる必要があると思います。政府として、一たん安全とされた農薬等の環境への影響をどのように評価し、対策を講じているのか、お伺いしたいと思います。
吉田政府参考人 農薬に係る環境安全性確保措置についてのお尋ねでございますが、御承知のように、農薬の登録に当たりましては、環境大臣が定めます登録保留基準に従いまして、農薬の毒性等を検査いたします。それに照らして、人の健康影響のみならず、水産動植物に著しい被害が発生するおそれがございますときには、農林水産大臣は登録を保留する仕組みになっております。
 また、一たん登録された後におきましても、登録の有効期間は三年とされておりますので、再登録がいずれ必要になります。その再登録に当たりましても、最新の知見に基づきまして再度評価が行われる仕組みになっております。
 また、加えまして、登録をされております農薬が相当広範な地域においてまとまって使用される場合には、水産動植物に著しい被害が生ずるおそれということもあり得るわけでございますが、そういう事態が判明いたしました場合には、国が政令によりまして水質汚濁性農薬にこれを指定いたします。さらに、都道府県知事が当該農薬の使用地域を限定して、そして当該地域においては使用の許可制をしくといった措置が講ぜられることになっております。
 以上申し上げましたような措置を通じまして、農薬について、登録時のみならず登録後におきましても、水産動植物への被害防止に関する措置が講じられているところでございます。
木下委員 もう一点伺います。
 輸出後の監視体制、これについて伺いたいんですが、本条約が求める有害化学物質の環境上適切な使用に寄与するためには、輸出した後も、当該物質がいかに取り扱われているか監視の目を向けることが必要であると思います。
 本条約第六条では、「当該製剤によって生ずる問題に直面しているものは、当該製剤を附属書3に掲げるよう事務局に提案することができる。」と規定し、条約によって設けられる化学物質検討委員会や事務局は通報を受けて動く、いわば受け身の体制になっています。したがって、化学物質検討委員会や事務局が通報とは無関係に定期的に輸入国の現状を調査するなど積極的な監視ができる体制を導入することが必要だと思いますが、このような考え方について政府はどう考えておられるのか、伺いたいと思います。
石川政府参考人 委員御指摘のとおり、この条約は、有害化学物質の輸出入の手続について定めるものでございまして、これらの物質の輸出に際して、危険性または有害性に関する情報を提供するようなラベル等の添付や、安全性に関する情報を記載した資料を送付することを輸出締約国に義務づけております。また、輸入締約国間にあるこうした情報の入手を通じて、当該化学物質の適正な使用を支援していく枠組みとなっております。
 さらに、この条約は十四条におきまして、各国の有害化学物質の使用状況や規制措置、さらには予防方法等について、締約国間で情報交換を行うということを規定しております。これらの枠組みも、化学物質の環境上適正な使用に寄与するものと考えております。
 我が国といたしましては、こうした条約の規定を誠実かつ積極的に履行することにより、化学物質の適正な管理に貢献していきたい、こう考えております。
木下委員 それではもう一つ、平成十四年四月二十八日の読売新聞に、モザンビークで「在庫承知で農薬供与」、百トンが放置され土壌汚染、ずさんなODAというような新聞記事が出ています。これは現地にとっては大変な問題と思います。
 さらにその後、毎日新聞では、これは平成十四年十二月二十九日付なんですが、外務省は途上国に農薬あるいは農機具、化学肥料を現物供与する食糧増産援助を抜本的に見直し、農薬供与は原則中止を決定したとされています。ずさんな農薬等の管理についてNGOなどが批判を強めたため、外務省は、セネガル、タンザニア、インドネシアなど供与先六カ国について供与物品の管理実態調査を行った。
 これが昨年十二月の毎日新聞の報道でありますが、この報道では、昨年の十二月時点ではまだ公表できないということでございましたが、その後、調査結果がどうなったか教えていただきたいと思います。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘の食糧増産援助につきましては、実は平成十三年度の会計検査でも、モザンビーク、ベナンにつきまして、一部の資機材が売却されずに保管されたままであるという御指摘を受けておりますし、それから、今お話しのように、昨年「変える会」でも、廃止も念頭に抜本的に見直すということで御指摘をいただいておるわけでございまして、これを踏まえて、直ちに検討に着手したわけでございます。
 具体的には、お話ございましたように、昨年の十一月及び十二月に、東南アジア、中央アジア、アフリカ、それぞれ主な国を二カ国ずつ選びまして、計六カ国に調査団を派遣した次第でございます。
 その調査の過程で、途上国側からは、食糧生産能力の向上に大いに役立っているんだ、したがって存続してほしいという強い要望もあったわけでございますが、他方、調査を進めてまいりますと、必ずしも当初の計画どおりの保管でありますとか使用方法でありますとかといったことがきちっと行われていない事例が見られたわけでございます。
 例えば農薬につきましては、多くの被援助国の実施能力に限界があるために、FAO等の規定した農薬に関するガイドラインに沿った保管、使用が行われていない事例があるということもございますし、また、被援助国の多くのケースでございますが、実施体制が十分整備されておりませんで、特にモニタリングでありますとか評価体制が十分確立されていないといったようなことが指摘されるわけでございます。
 こうしたことを踏まえて、予算の時期にも当たりましたものですから、昨年の十二月に、とりあえず私どもの一つの結論といたしまして、第一に、農薬につきましては、適正使用、環境配慮の観点から、原則として供与しない。ただし、例外的に、FAO等の国際機関が責任を持って農薬を供与する場合には、我が国としてもこれに協力することを検討する。
 二番目に、農薬を除きます肥料あるいは農業機械等の農業資機材につきましては、ニーズあるいは実施体制についてより詳細な事前調査を行って、かつ先方政府のモニタリング、評価体制を十分確認した上で、その供与の是非を慎重に検討するということで対応しようという結論を得たわけでございます。
 これは「変える会」にも御報告したわけでございますが、その結果として、平成十五年度予算につきましては、昨年度比で六〇%の削減ということにしたわけでございます。
 今後とも引き続き、国際機関との協議あるいはNGOとの協議あるいは実施状況のモニタリング強化等を通じて、さらに見直しを進めてまいりたいということでございまして、御質問の報告書そのものについては、そういうことで少しおくれておりますが、近く公表の運びになろうかと思っております。
木下委員 これまで食糧増産援助という形で、農薬の供与については、実はアジア経済研究所のある研究員にも私は聞いてみたんですが、この援助方式というのは、いわば国内で不要になった農薬の処理先として使われた側面があるという指摘もありますものですから、もし供与するのであれば、相手国のニーズその他、本当にきちんと把握した上でやっていただきたいな。決して、国内の不要になった農薬の処理先としてというようなことが絶対あってはならないというところをきちんと指摘しておきたいと思いますが、答弁はありますか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘の点につきましては、従来から、各年度ごとに、被援助国に対しまして、具体的にどのような供与希望があるのか、どのような品目を要望するのかという要望調査をやってきております。それから、その要請ごとに、JICAの方で、価格でありますとか仕様でありますとか等々の分析調査もやっております。
 また、二、三年に一度という頻度で、被援助国における配付体制でありますとか農薬関連法令の整備状況とか、そういったことも現地調査をしておるわけでございますが、そういったことをやっても、なおかつこうした問題があったということについては、私どもも十分反省をし、さらに事前調査を強化しなければいけないというふうに思っております。
 ただ、本来、供与された資機材の配付や管理をどうするかというのは、第一義的には被援助国の責任でございまして、私どもとしては、年に一回、政府間の協議会というものをやっておりまして、これを通じて、さらに、実施状況の確認でありますとか問題点についての指導でありますとか、そういったことを徹底してまいりたいというふうに考えております。
木下委員 それではもう一本、生物多様性条約カルタヘナ議定書についてお伺いしたいと思うんです。
 近年、バイオテクノロジーの進歩は目覚ましいものがあり、医療、農業を初めとするさまざまな産業においてバイオテクノロジーを利用した研究開発が行われています。既に、遺伝子組み換えにより、病気や害虫に強い農作物や除草剤に耐性のある農産物などが実用化され、多くの国で栽培されています。
 他方、このような遺伝子組み換えにより生み出された生物が環境にどのような影響を与えるのか、食品となった場合に人体に影響がないのかなど、遺伝子組み換え生物の安全性を懸念する声も、我が国やヨーロッパを中心にふえてきております。遺伝子組み換え生物が人間のコントロールを超えるような事態になった場合の危険性については、必ずしも把握されていない状況にあると思います。
 そこで、バイオテクノロジーについては、我々に大きな利益をもたらす可能性を持つものであるとともに、大きなリスクをもあわせ持つものであると思います。政府としては、遺伝子組み換え生物を国内環境に放出することについてどのような立場をとるのか、遺伝子組み換え生物の利益と危険性のバランスをどのようにとっていくつもりなのか。
 その辺のところ、非常に難しいと思いますが、利益とリスクとのバランスをどのようにとっていくお考えなのか、その点をちょっと御説明いただきたいと思います。
岩尾政府参考人 お答えいたします。
 昨年の十二月に政府内のBT戦略会議が取りまとめたバイオテクノロジー戦略大綱において、バイオテクノロジーの発展には、産業への応用技術開発とその安全確保が車の両輪であるとされており、両者のバランスを図ることは重要という認識をしております。
 このため、バイオテクノロジーの安全性確保に関し、カルタヘナ議定書に対応する国内法であります遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律案を今国会に提出し、御審議いただいているところであります。
 この法案は、国内において遺伝子組み換え生物を環境中で利用する場合には、その利用により生物多様性への影響が生ずることのないよう、事前に承認を受けることを義務づけており、最新の科学的知見に基づき、生物多様性への影響を評価した上で、必要な場合には、生物多様性影響を防止する措置を講じながら、利用が図られることになります。
 また、この承認に際しては、学識経験者の意見を踏まえるとともに、必要に応じてパブリックコメントを行うこととしており、このような措置を通じて、国内における環境中での遺伝子組み換え生物の利用については、生物多様性への影響が生じないように努めてまいりたいと考えております。
木下委員 それともう一点、要は危険性の評価という点で伺いたいんです。
 このカルタヘナ議定書第十条の規定により、環境への意図的な導入を目的とするバイオテクノロジーにより改変された生物の輸入を認めるかどうかを決定する際には、議定書第十五条に規定された危険性の評価を実施することになっております。この危険性の評価はだれがどのような方法で行うのか、また、危険性とは具体的にどのようなものであり、どのような場合に危険性があると判断されるのか、それを具体的にちょっとお話しいただきたいと思うんです。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 環境への意図的な導入を目的とする改変された生物の輸入の決定の際には、議定書第十五条に規定する危険性の評価は、輸入を行う側の締約国が、附属書3の規定に従って、科学的に適正な方法で実施するとされております。国によって遺伝子組み換え生物を受容する環境が異なるため、この議定書上、危険物の評価は輸入国が行うとされている次第でございます。
 ここで、議定書に言う危険性の評価とは、遺伝子組み換え生物が生物多様性に及ぼし得る悪影響を評価することを意味しております。具体的には、例えば、遺伝子組み換え生物が在来の生物を駆逐すること、在来の近縁植物と交雑すること、有害物質を産出すること等によりまして周辺の野生動植物の種や個体群の維持に支障を及ぼすことをいいます。
 このような危険性の評価により、例えば、遺伝子組み換え生物を実験的環境に植えることによって行い、このとき仮に周辺の在来の植物をすべて駆逐するといったような場合には、危険性があると判断されます。
木下委員 そうすると、これは、各国ごとに評価基準というのは違うわけでございますか。異なる場合もあり得るということですか。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げさせていただきましたように、在来の生物の駆逐とか在来の近縁植物との交雑、あるいは有害物質の産出等々といったことの評価があるわけでございます。
 生物多様性への影響が生じるおそれがあるか否かにつきましては、個別の事情や輸入国ごとに遺伝子組み換え生物を受容する環境が異なることもあり、議定書上、一律の数値による判断基準は設けられておりません。各国がそれぞれの責任において、科学的な観点から客観的かつ合理的に遺伝子組み換え生物の危険性の評価を行うこととなっております。
 我が国につきまして申し上げさせていただきますと、カルタヘナ議定書の実施法案により、主務大臣が、生物多様性に関する学識経験者の意見を聴取の上、種類ごとに個別に科学的な観点から判断することとしております。
木下委員 もう少し質問は通告してございますが、これだけじゃなくて違う話題に、大変申しわけないんですが、移らせていただきたいと思います。
 まず、北朝鮮の問題、拉致問題と核保有問題についてお伺いしたいと思います。
 北朝鮮をめぐる米国、北朝鮮、中国の三者協議の中で、北朝鮮が提案した寛大な解決策の中で、日朝国交正常化を核開発放棄の条件として挙げていたと伝えられていますが、このことを日本政府は承知しておりますか。また、それが事実ならば拉致問題が棚上げにされる可能性もありますが、日本政府の確固たる方針を改めてお伺いしたいと思いますが、大臣、一言お願いしたいと思います。
川口国務大臣 米国に対してといいますか、北朝鮮側が三者会談でなされた提案につきましては、そういったものがなされたというふうにもちろん聞いておりますけれども、具体的な提案の中身については、これは当事者の国がどこも表に出していないものですから、日本の立場で、我々はこういうことを聞いているということを申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、これについてはパウエル国務長官が上院で証言をしていらっしゃいますので、それを御参考にしていただければというふうに思います。
 それで、拉致問題ですけれども、これについての我が国の立場というのは全く変更はないわけでして、毛頭、これを棚上げにして国交正常化をするということはあり得ない。これは、ずっと申し上げていますように、拉致問題、そして核の問題を解決して、そして国交正常化をする。これが解決しなければ正常化交渉は妥結をしないということでございますから、方針は今まで申し上げていることを堅持してまいります。
木下委員 大臣の答弁として、拉致問題を解決なしには、並行して進めるということでございますが、これも何回も質問が出ていると思うんですが、改めてお伺いしたいんです。
 この拉致問題解決のために、アメリカに働きかけるとか、あるいは韓国に働きかけるとか、いろいろやっておると思うんですが、まさに閉塞感の中でどういったことが必要なのか。ですから、場合によっては、先ほども質問が出ましたが、もっと圧力をかける、例えば制裁をするなどの日本単独でも何らかのアクションを起こさないと、これは容易に解決がつかないと思うんですが、そういった考えのもとで政府が動いているとか、そういうことはないわけでございますか。
川口国務大臣 拉致問題については、最重要課題として我が国の政府としていろいろできることを全部やっておりますけれども、残念ながら、今の段階でまだ結果が出ていない。これは大変に残念なことでございます。
 そして、これをどうやっていくかということですが、二国間での働きかけ、これももちろんやっていますし、それから、国連等の国際機関を通じての働きかけ、これもやっております。また、三者会談においてもアメリカからこの拉致問題については提起をしてもらいましたし、例えば、私はきのう、オーストラリアとニュージーランドの外務大臣と会談をいたしましたけれども、そういう場でもこの話をいたしまして、解決に向けての協力を依頼いたしております。
 といった形でできることを全部やっておりますが、三者会談、これが今後どういうふうになっていくかということは、まだ米国も何も方針については決めていないということのようですけれども、この中に私たちは日本も韓国も入るべきであるということを言っております。例えばこういうことを通ずる場ということも一つのやり方であって、いずれにしても、我が国は、北朝鮮との間の拉致問題、そして核を含む安全保障問題ですが、こういったことについては平和的に、包括的に解決をしていくということが基本的な考え方でございます。
 それで、経済制裁についてですけれども、これは、現時点で経済制裁を我が国として具体的に検討しているということではございません。国際社会、国際機関、国連の場、これにおいてもこれを具体的に考えている国はないというふうに承知をいたしております。
 今後、いろいろな事態の進展があって、今まで行ってきたことと違うことを北朝鮮との間で考えなければいけない事態ということがあった場合には、関係国、関係省庁と密接に連携をとりながら、現行法の枠内でできることをやっていくということでございます。
木下委員 ただ、もちろん核、大量破壊兵器開発問題もあると思うんですが、拉致問題というのは、まさに我が国の主権が侵された犯罪でございますので、これは多国籍と協調してという、もちろんそれはあると思うんですが、主権を侵害されたことに対して日本独自に何らかのアクションを起こさないと、これはもう本当に国民の生命財産を守れないということでございますので、やはり、きちんと北朝鮮に日本側の行動のサインを送る。実際に主権が侵害されているんだ、犯罪であるという強いメッセージを送るためには何らかの行動を起こさなきゃいけないと思うんです。
 アメリカに頼んだから、あるいはよその国と多国籍で協議するからという、それも大事です。大事ですけれども、日本としてどうするのか、そこの具体的なアクションを起こすこと、これが必要だと思うんですが、重ねてお伺いしますが、大臣、その点のアクションについてお伺いしたいと思うんですが。
川口国務大臣 拉致の問題が、委員がおっしゃるように、我が国の領土主権を侵す問題であるということはそのとおりでございまして、そういうことについては、我が国は直接に北朝鮮にこの問題についての我が国の立場については何度も伝えているところでございます。北朝鮮に対しては、拉致の問題について、事実関係の解明とか、それから五人の日本にいる人たちの家族の日本への帰国については、北朝鮮にはそういうことをすべきであるということも強く伝えております。
 大事なことは、できるだけ早く問題を解決するということでございます。先ほど申し上げたように、さまざまなできることをやっているということでございまして、今後も、ありとあらゆる考えられることを、このために資するということであればやっていきたいと考えております。
 委員のおっしゃる強い行動ということが何であるかでございますけれども、我が国の態度については強い表明を、これは総理がピョンヤンに行かれたときからそういうことをずっとしているわけでございますし、それから具体的な対応については、先ほど申しましたように、今後、何か新たな進展があれば、そして違うことをやることが必要であるという判断がある場合には、その時点で関係国あるいは関係省庁と御相談をしていく、それで現行法の枠内でできることをやっていくということでございます。
木下委員 ちょっと大臣のお考えは甘いと思うんですよ。本当に、今北朝鮮が認めただけで十三人の拉致がある。しかも、現在五人の日本へ帰国した方々の家族もどちらかといったら向こうに拉致されているということですので、本来ならば、これはまさに戦争が起こってもおかしくない状況だと思うんですね。主権がこれだけ侵されたということであれば、もっと強い態度で行動を起こすことというのは当然です。これは当たり前の話ですが、やはり行動、何らかのアクションを起こすことが必要だろうと思うんです。
 これはこれまでも何回も質問に出ましたので、次に、イラク問題は先ほど質問に出ましたので飛ばさせていただいて、一つ、フィリピンへのODA、この疑惑についてちょっと質問させていただきたいと思うんです。
 これは、先般、五月十五日号の週刊新潮で報道された「日本大使も関与している 「フィリピンODA疑惑」の決定的な「証拠写真」」という非常に刺激的な内容のものになっております。これを読みますと、私もかつてジャーナリスト時代、フィリピンには随分、こういったODAの問題を含め、何回も行って調査をしております。マルコス疑惑等も私も随分追及させていただきましたが、またぞろ同じようなODAに絡むフィリピンの疑惑が出てきたかなという思いで、私もいろいろ調べさせていただきました。
 この報道あるいは私の調査によりますと、ネグロス島に建設予定の産業廃棄物処理場、予算規模約三十億円を初め、ガラガ州立病院、これは予算規模約十八億円、マラニヨン記念病院、同二十三億円、血液銀行センター、同二十九億円などの建設をめぐって、在フィリピン大使館の高野幸二郎全権大使が関与しているとの報道、これがこの中身なんですが、この報道の事実関係について、何らかの調査なり、あるいは高野全権大使にこの報道の事実関係について調査されましたでしょうか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘の報道については私どもも承知しておりまして、御質問の高野大使の関与につきましては、大使本人も含めまして直ちに調査をさせていただいた次第でございます。
 その結果、私どもとしては、高野駐フィリピン大使が本件に直接関与しているという事実はないものというふうに思っております。
 この記事の中で、西ネグロス州の朝食会について触れておりますし、写真もあるわけでございますが、私どもが調べましたところによりますと、西ネグロス州の発展に尽くした日本人を表彰する州主催の式典に出席するということで高野大使がこちらを訪問したということでございまして、この朝食会は州知事が私的に大使の訪問を歓迎するという趣旨で開いたものでございまして、出席者については知事側でセットをされたというふうに承知しております。
 ここに触れられておる人物につきましては、高野大使は全く、知り合いでもございませんし、それから朝食会の席上でこの人物と会話を交わした事実はございません、また、そもそもこの朝食会の場で特定の協力案件について州知事らとも話をしたような事実もございません、ということを承知しております。
 それから、今御質問にありました、特定のプロジェクトが挙げられておりますが、実はいずれも、その四件ともまだ正式に日本国政府に要請案件として出てきておらないものでございまして、そのうち血液銀行につきましては、アドバンスといいますか、参考情報ということで少し前に情報としてはこういう案件があり得るということは届いておりますけれども、まだ正式要請ではございませんで、内容について私どもの方で検討するとか判断をするという段階にはございませんし、フィリピン政府側でどのようにこれを評価しているかもまだ承知していないという状況でございます。
 ほかの三件でございますが、ネグロス島の廃棄物処理施設につきましては、これもこの記事が出た後、フィリピン政府に確認をいたしたわけでございますが、まだフィリピン政府としてもこの計画について確認をしておらないという状況でございます。
 残りの二つの案件につきましては、今回、フィリピン政府に確認をいたしましたところ、フィリピン政府部内での検討は行われているということが判明いたしておりますが、いずれにいたしましても、まだ私どものところにはこの話は到達していないということでございます。
木下委員 今の答弁だと、高野大使は何も知らないということなんですが、その問題はおいおい具体的に追及してまいりたいと思うんですが、まず基礎的なことをちょっとお伺いします。
 無償資金協力をする場合の手続はどうなっているのか、具体的に説明してもらいたいと思うんですが、私が通常に考えれば、まずフィリピン側が、必要とする施設に関する要請書を作成し、在フィリピン日本大使館を通じて日本の外務省に提出。日本側では、国際協力事業団、JICAが窓口になってその施設の建設を請け負う企業を入札で決定する、こういう仕組みになっているはずだと思うんですが、これは間違いございませんか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 おおむね、大きな流れとしては御指摘のとおりかと思いますが、若干付言させていただきますと、プロジェクトの要請が大使館の方に出てまいりまして、そしてそれを大使館として検討いたしまして、大使館としての意見を添えて要請書とともに外務本省に報告をしていただく。その報告書を踏まえて本省サイドで採択の是非について検討する。その間、フィリピン政府ともさまざまな協議が行われるということで、最終的に採択の運びになりますと、今度は実施段階に移るわけでございますが、交換公文を結ぶ等々の手続を経まして実施段階になるわけでございます。
 実際の実施は被援助国政府、例えばフィリピンでありますとフィリピン政府の責任によって行われるということでございまして、その際、入札、調達といったような手続も、これは被援助国政府の責任で行われるものでございます。
 私どもとしては、調達ガイドラインというのを設けまして、その過程で適正な事業の実施が行われるようにその遵守を被援助国政府に義務づけておるということでございます。その際、その実効性を担保するという観点が、先ほどJICAに触れておられましたんですが、そのプロセスの実効性を担保するという観点から、JICAが、事前調査をいたしますとかあるいは入札手続への立ち会いを行いますとか、そういったことを行うわけでございます。
 最終的に業者契約を結ぶに当たりましては、最終的には、私ども外務省による認証という手続を経て業者契約が発効する、こういう流れになるわけでございます。
木下委員 先ほど、高野全権大使に聞いたと。名前がこの雑誌に出ていますので申し上げますが、いわば現地のこういったプロジェクトのブローカーをしている水野株式会社の水野社長、現地に駐在しております。私も、水野さんについてはいろいろ調べました。こういった日本のODAに絡んで暗躍している、もう現地では大変有名な方でございます。その方を、高野全権大使が、四月三日、朝食会で会ったとき初めて知ったと。
 冗談じゃない。冗談じゃないんです。水野さんはフィリピンでは有名な人なんですよ。こういったプロジェクトの話のときには必ず暗躍している。これまでも幾つかのプロジェクトに関与しているじゃないですか。全権大使が知らないなんという、ぬけぬけとそういううそを言ってはいけない。もう一回答弁してください。本当にそう言っているんですか。
古田政府参考人 先ほど御答弁申し上げた点につきましては、高野大使本人から聴取した結果ということで申し上げた次第でございます。
木下委員 ことし四月二日に今おっしゃったフィリピン中部のネグロス島で式典が行われ、そこにアロヨ大統領とともに、在フィリピン大使館の高野全権大使も来賓として招かれ、その翌日の四月三日早朝、西ネグロス島にある西ネグロス州知事の私邸で非公式の朝食会が開かれた、そこで水野さんと高野さんは初めて会ったというのが今の御説明ですね。
 ところが、私も、水野さんと同行した日本人ブローカーの話を聞きました。ここにも出ていますが、この日の会合は、無償資金協力の要請書のたたき台がほぼ決定し、フィリピン側の根回しもでき上がり、おまけに日本の施工業者の紹介までした後のまさしく総仕上げの段階だった、同行したA氏はこう言っているわけです。
 先ほど、ここに出ている、私が指摘した四つのプロジェクト、これについてはまだ具体的になっていないという話なんですが、実はここに資料がございます。こういった資料がございます。ここには、きちんとこれからの事業について全部決められているんです。
 そしてしかも、ここに、いわばNEDAという、これはおわかりになりますか。NEDAリストと言っているんですが、NEDAは何だかわかりますか。ちょっと教えてください。
古田政府参考人 申しわけありません、確信はないのでございますが、恐らく先方の援助庁のことではないかと思いますが、申しわけありません、正確な御答弁にならないと思いますが。
木下委員 このNEDAというのはフィリピンの国家経済開発庁のことなんです。そこにちゃんと登録して、受付番号まで書いてあるんです。
 この中には、C州立病院外来棟新設案十八億円、要請書完了、という形で、NEDAリスト、これは十番。それから二番目に、S市立M記念病院百床新設案二十三億円、これも要請書完了。さらに、受付番号七十一番、国立KGセンター新設案二十九億円、要請書修正中。それから四番目、州立Zシティメデカルセンター外来棟新設案十八億円、要請書作成中。全部こうなっているんです。十三番まで、もう既にフィリピン、NEDAの方では、リストに挙げて、こういう資料を出しているんです。
 これは恐らくJICAの資料かと思うんですが、こういう資料を見たことはありますか。
古田政府参考人 御指摘の資料につきましては、私どもとしてはまだ存じておりません。
木下委員 先ほど、まだこういった新たなプロジェクトについて決まっていないと言っていますが、これは決まっているはずです。必ずこの資料があるはずですから、どこにあるか、JICAなのか、あるいは外務省が持っているのか、これをぜひ提出してもらいたいと思います。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 先ほど、個々のプロジェクトについて御答弁させていただいたわけでございますが、これにつきましては、今月の上旬に先方の、まさに今御指摘になったNEDAでございますが、国家経済開発庁の方に照会をしたところを申し上げたところでございます。
 いずれにいたしましても、御指摘のリストについて改めて調べさせていただきたいと思います。
木下委員 要するに、こういうプロジェクトが着々と進んでいるわけですよ。そして、それを全部、先ほど、フィリピンの当局から要請があってという答弁でした。
 そうじゃないでしょう。これまでのODAを見たって、大体、日本側がこんなのをつくったらどうですかとやって、これまできたのがODAなんです。本当に現地のニーズに合わせたODAだったら、この場でこんな問題は起こらなかったですよ。私も、ジャーナリストとして、随分ODAを調べてきました。大体、日本側の企業とかあるいは現地の日本大使館が中心になって逆にフィリピン側へ働きかけて、こんな病院をつくりなさいと。
 私も、フィリピンへ随分行きました。近代的な病院はつくられましたよ。しかし、設備はない。設備はいいのは整っているけれども、それを扱う医者がいない。故障しても、それを直す部品がない。そういう大きなものをつくってほとんど使われていないのがこれまでのODA、とりわけフィリピンはほとんどそうだったんです。
 同じじゃないですか。結局だれがやっているかといえば、現地のそういった、水野さんのようなブローカーがいて、それから現地の大使館員と組んでいろいろな案件をフィリピン側へ働きかけて、それによって逆に日本側に協力させている。これが実態じゃないですか。どうですか、もう一度答弁してください。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 私どもとしては、具体的なプロジェクトを決めていく過程で、被援助国政府との政策協議を徹底化するとか、あるいは国別の援助方針についてきちっと議論をして、それに沿って対象を決めていくとか、そういった援助プロジェクトの採用については、相手国の要請を踏まえながら、かつ本当のニーズは何かということについて十分協議を尽くすという方針でやってきておるわけでございますし、この点については、引き続き、さらに強化してまいりたいというふうに考えております。
 一方、企業の方々が現地事情に詳しい方から情報収集を行うとか、あるいは企業がいろいろな形で、いろいろなところで現地でコンタクトをとって自分の企業の関心について意見交換をするというようなことは、一般論としてはあり得るのではないかと。
 大事なのは、そういう中でつくり上げられていくプロジェクトというものが本当にその国の発展にとって必要なものであるかどうか、重要なものであるか、そこのところをきちっと見きわめて、国別の援助方針というものをきちっとしながら援助を選定していく、また、その実施の手続についても適正なものであるように十分チェックしていく、こういうことではないかというふうに思っております。
木下委員 とにかく、どうしても日本の援助というのは、近代的な箱物で、ほとんどがそうなんですね。やはり、社会資本整備とかインフラ整備とかあるいは農業とか、もっと地道な、本当に現地のニーズに合わせたODAがなかなか行われていないということだと思うんです。
 しかも、今回の案件については、この雑誌でも指摘しております西松建設が関与している。ブローカー、間に立った水野さんによれば、工作資金として約三千万円を使ったと証言している。常にこういった話がODAには絡んでくるわけです。先ほども述べました。私もフィリピンを随分調べましたけれども、必ずその裏金として、工作資金として政官に使われているということなんです。
 実は、先ほど見せたこの資料も、私が得た情報によれば、十三件案件がございます。そのうちほとんどが西松建設で受注するというふうにもうでき上がっている。そのうち一件だけミンダナオ島、これはフィリピンのNEDA、国家経済開発庁のリスト七十四番になりますが、南ミンダナオ開発M機器供与案、これは約二十億円ですが、これについては違う商社と大阪の企業が受注する予定になっている。そのほかは全部西松建設が受注するという情報が流れているんです。どうですか。聞いたことはありますか。
古田政府参考人 御答弁申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、御指摘の個々のプロジェクトについては、正式要請として私どもいただいておりませんので、NEDAの中でいろいろな議論が行われていることはあり得るかもしれませんが、私どもとしては、むしろそういう要請をいただいたところで、先ほど申し上げましたような考え方に立って、真に必要なプロジェクトであるかどうか、十分先方とも協議をしながら検討していきたいということでございます。
 それから、高野大使についての御質問がございましたので、もう一点だけ御答弁させていただきますが、高野大使とそれから書かれております当該人物との関係につきまして、私どもとしては、先ほど申し上げましたように事実はないということで、新潮社に対しては厳重抗議をし、記事の訂正を求めております。
木下委員 それは、どうぞ自由に週刊誌とやっていただいても結構なんですが、そんなことを言って本当に大丈夫ですかね、証拠を出しますよ。きょうは時間ですので、次のときにはきちんと証拠をそろえて、ここにもきちんと、誓約書あるいは用紙に書かれた覚書があるとあります。私も持っています。次の質問のときにはこれを出しますので。
 そこに何が書いてあるか。今おっしゃったように、高野全権大使と水野さんがその朝初めて会ったなんて冗談を言っちゃいけないんです。その証拠を出しますので、そこはきちんともう一度高野さんに確認してください。変なことを言うとこれは責任問題になりますので、きちんとしていただきたいなと思うんです。この問題は、また次回必ずやりますので。
 もう一点、ちょっと一つだけ。
 前回、私は、イラクの問題について、茂木副大臣に質問させていただいたんです。あのとき、イラク人道、復興支援のために、自衛隊の派遣もあり得るのかどうかということで、茂木副大臣は、現地のニーズに合わせてということで答えていましたけれども、先般、茂木副大臣はイラクへ行きましたが、その報告はこちらに届いていますでしょうか。どういうニーズがあったのか、それをちょっとお答えいただきたいと思うんです。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 茂木副大臣は、十日から本日まで、バグダッドを訪問いたしまして、我が国がイラクの復興支援に本格的に取り組むに当たりまして、現地情勢の把握をするということを目的としていらっしゃいました。
 茂木副大臣は、本日帰国ということで、まだ十分な報告はいただいておりませんけれども、現在まで伺っているところでは、これまで日本が手がけてきたプロジェクトの復旧やライフラインの復旧を行っていく必要がある。また、現地のニーズの詳細な把握には、できるだけ早急に専門家から成るミッションを派遣することが必要と感じたというような報告をいただいております。
木下委員 五月七日の本委員会で、西田政府参考人は、現行のPKO協力法での自衛隊の派遣は難しいと答弁されましたが、例えばインフラ整備あるいはその他の復興で、もし現地で自衛隊あるいは医療も含めて医官、そういったもののニーズがあった場合、これは例えば国連決議があれば派遣可能なのかどうか。それともイラク新法、支援新法をつくる必要があるのかどうか。その辺について大臣、お答えいただければと思いますが、どうお考えでございましょうか。
川口国務大臣 きょう、茂木副大臣が帰国しますので、その後、ニーズについては直接に報告を受けたいと思っています。
 イラクの新法につきましては、そういったことも踏まえ、新たな法律がそもそも必要かどうかということについては、今の段階ではニーズもよくわかりませんし、確たることを申し上げるということはできませんけれども、仮にそういった法律が必要であるということになりました場合には、そのときには国会にお諮りをさせていただきます。
木下委員 これから帰ってきてニーズを調べて、それではもう間に合わないですよね。これから新法をつくってなんて言っているのでは、日本の対応はまさにおくれる。要するに、日本がどういう形で復興支援に貢献できるのか。もちろん相手側のニーズもあるでしょうが、どういう形で貢献したら本当にイラクの復興に役立つのか、イラクの国民を助けることができるのか、その辺をもっと主体的に考える、これが私は日本のあり方だと思うんです。
 その辺は、例えば国連決議だけでも自衛隊が派遣できるのかどうか、あるいは新法をつくらなければ自衛隊を派遣できないのかどうか、この辺をもう一度きちんと答弁をお願いしたいと思います。
川口国務大臣 イラクの復興に対して、人道支援も含めてですけれども、我が国としてどのような貢献をすることができるかどうか、可能かどうかということについて主体的に考えるというのは当然のことでございまして、それをずっとやってきている。
 また、その一環として、それがゆえに我が国として今の時期に、まだ各国のリーダーがそれほど多く入っていないときに、イラクの実情を調べるために茂木副大臣を派遣したわけでございます。したがいまして、そういうことは当然のことであると考えております。
 それで、自衛隊の派遣をするということにつきましては、これは今後の事態の推移をさらに見きわめて判断をする必要があると思っています。どういうような状況で派遣をすることが可能なのか、そしてそのために安保理の決議が必要なのか、そういったことについては、今、確たることを申し上げることができる段階ではない、そういうことを申し上げたわけです。
木下委員 時間がありませんので、もう一点だけ質問させていただきます。
 アメリカは、経済制裁の早期解除を求める一方、査察については、米軍は国連査察団から引き継いだ、こう言っておられるのがネグロポンテ国連大使でございますが、ロシアなどは、国連査察団によって大量破壊兵器の武装解除が確認されてからの経済制裁解除が筋だとして、国連査察団のイラク復帰を主張していると私は聞いておりますが、日本政府はどのような立場で対応しようとしているのか、それを最後にお答えいただきたいと思います。
川口国務大臣 査察でございますけれども、まず、経済制裁の解除については、我が国としては、イラクの早期な復興をぜひ早く進める必要があるということでございますので、経済制裁を解除するということについては賛成でございます。早期にそれが行われるということが望ましいと考えています。
 それで、査察ですけれども、これは、今のイラクの現状、まだ治安がああいう状況であるとか、そういったことを考えますと、現在、米軍を中心として連合軍が、査察といいますか大量破壊兵器の捜索を行っているということについては、これは現実的であると日本としては考えております。
 それで、今後、査察活動が可能になった、そういった状況になれば、少なくとも最終的に検証をする段階では、国連などの何らかの国際的な関与、これが重要であると我が国としては考えております。いずれにしても、国際社会、国連等の場における議論を注視していきたいと思います。
木下委員 時間ですので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
池田委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 まず、条約に入る前に、有事法制の問題について、一問質問させていただきます。
 この問題は二十年ぐらい前に起こったわけでありますが、当時、私は防衛庁におりまして、まさにこの研究の責任者に指名されまして、始まったわけであります。当時は、有事に際して自衛隊の行動の円滑化についてどんな問題点があるか、その問題点の洗い出しということで実は始まったわけでありますが、昨日、衆議院を通過しまして、参議院に送られ、まだ最終的に法律が成立したわけではありませんけれども、ほぼ目安がついた。もとより、内容についていえば、私が研究を担当して始めたころに比べれば格段の進歩があると思いますけれども、まだ必ずしも十分ではない、私はそんなふうに感じるわけです。
 いずれにしましても、衆議院を通過した、こういうことについて、外務大臣の所見をお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 この問題にずっと長いこと携わってこられた委員におかれましては、昨日の事態を受けて、いろいろな感慨をお持ちでいらっしゃると思います。
 むしろ、私の方がその感慨をお聞きしたいというふうに思うわけでございますけれども、我が国としては、武力攻撃に対処をする体制をつくっておくということは国として責務であると考えております。日米の安保体制の信頼性の向上を図ることができるということは重要なことでございます。また、武力攻撃事態対処法制が整備をされるということは、諸外国において、有事の際の我が国の行動に対して透明性を持たせるという意味でも意味があるわけでございます。
 それで、これは今後、参議院について御議論をいただくということになるわけでございますけれども、外務省としては、この法制につきまして、参議院でできるだけ早く成立をするということを希望いたしておりますし、また、今後の個人の、国民の保護の体制整備ですとか、外務省として担当することになる法制あるいは枠組みの整備、これにつきましては全力を尽くしていきたいと考えております。
藤島委員 これからまだ詰めなきゃいかぬ部分は十分あるわけですけれどもね。
 せっかく土屋政務官お見えですので、政務官はどういうふうに考えておられますか。
土屋大臣政務官 私にも答弁の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。
 今、大臣がお話しいたしましたように、まさにこの武力攻撃事態対処法制が整備できたということは、私、政治家といたしまして、よかったという感想でございます。
藤島委員 この問題は、本当に政治がやるべきことをやってこなかったということだろうとは思うんですね。遅まきながら、まだ本当に十分とは言えないと思うんですけれども、一つの成果を得たということを私は素直に喜びたい、こう思います。
 それでは、条約関係に入りたいと思いますが、まず、船舶の防汚規制条約に関係しまして、もう再々議論が出ましたけれども、放置船対策についてであります。これは国土交通省にお伺いしますけれども、今、現状はどんなふうになっているのか、ごく簡単にお答えいただきたいと思います。
    〔委員長退席、土肥委員長代理着席〕
鷲頭政府参考人 船舶が座礁した場合には、その賠償の責任とかあるいはその船舶の撤去にかかる費用は、船主がそれを処理するというのが原則でございまして、基本的には船主が対応しているわけですが……(藤島委員「そういうあれじゃなくて、今、現にどれぐらい船があるか、そっちの方について」と呼ぶ)はい、わかりました。
 それでは、現在、そういうことで放置されている船、我が国沿岸には十二隻、放置座礁外国船がございます。
藤島委員 先ほど来議論があったんですけれども、これの処理について、これまで処理した分もあるんですが、今十二隻ある、こういうことなんですけれども、これまではどういうふうに処理してきたのか、そして、この十二隻について、もうそのままほったらかしにしておくつもりなのか、どう処理しようとしているのか。その二点、まず伺います。
鷲頭政府参考人 船舶の保険に入っている船につきましては、座礁をしますと、その保険によって処理されております。そういうのが普通でございますが、今申し上げました十二隻というのは、保険に入っていないとか、あるいは船主がわからなくなっちゃったということで今あるものでございます。
 それは昭和六十一年からずっとあるものでございまして、中には、もう船舶の航行にも支障がない、あるいは魚礁として使われているといったようなものもございますし、非常に航行の障害になって、撤去をしなければならぬような状況のものがございます。
 それで、現在は、先ほど先生からお話がありましたとおり、地先の自治体が処理をしているというのが現状でございまして、それではやはりいけないということで、私どもの国土交通省の中に検討会を設けまして、国としてそういう船の撤去についてどのような支援ができるかということを現在検討しているところでございます。これも先ほども申し上げましたが、できるだけ早く結論を出したいということで作業をしているところでございます。
藤島委員 その十二隻のうち、魚礁として使えるからほっておく、これはそれなりに意味はあるんでしょうけれども、そうじゃないものもあるわけですね。それについて、そんな悠々と検討していていいんですか。これは全然害がないんですか。
鷲頭政府参考人 今、国として支援ができる、国費で支援ができる制度というのは、はっきり言って十分なものはございません。したがいまして、今、悠々ととおっしゃられたんですが、できるだけ早くそれをつくるべく、国土交通省の中で検討しているというのが現状でございます。
藤島委員 役所が検討しているというのは、なかなか言葉だけでちっとも進まないんですよね。現に、危険なものは地方自治体が税金で処理せざるを得ない、早い話。こういうのは、何億か出してやっておるわけですよね。こういうのは、国がそのまま黙って、検討している、検討しているじゃ私は済まないと思うんです。まあ、一生懸命やっているんでしょうけれども、これは本当に早く結論を出さにゃいかぬ、こう思うわけですけれども、その前に、今後は発生しないようにというものがあるわけです。
 アメリカは保険未加入の外国船の入港は拒否しているという話があるんですけれども、これは事実ですか。
鷲頭政府参考人 先ほどちょっとお話し申し上げました、来年の七月に発効いたします海上人命安全条約のセキュリティーにかかわる条約がございまして、その関係で、アメリカが、昨年の十二月から、そういう保険に入っていない船については入港を拒否できるという規定ができたというふうに承知しております。
藤島委員 拒否をしているんですか、していないんですか。
鷲頭政府参考人 アメリカでそういう規則ができました。実際、今それが施行されて拒否されたというのがあるかどうかは、申しわけございませんが、私は承知しておりません。
藤島委員 急いで検討しているのに、そんなことも調べないで、何を検討しているんですか。
鷲頭政府参考人 私ども、来年の七月にその条約が国内で発効するということで、それに向けて一生懸命準備をしております。
 ただいまの点については、今私は承知しておりませんが、早急に調べまして、またお答えさせていただきたいと思います。
藤島委員 だから、役所が検討しているというのは、何をやっているか。集まって話し合いだけしていたってしようがないでしょう。こんな重要なことを事実も知らないで、実際何を検討しているんですか。これは大事なことなんでしょう。実際だれの費用負担で撤去するか、まさに一番大事なことじゃないですか。
 放置船問題は二つあると思うんですよね。やはり保険というか、経済的にだれの負担でこれを撤去するか、これが一つ。それともう一つ、これも先ほど来議論になっていますけれども、安全基準の問題。安全基準をある程度満たしていない船が入ってくると、これは危険がある。これが放置船問題との関係で非常に問題になる。この二つのうち、一番でかい話がこの経済的な問題じゃないですか。どうなんですか。
鷲頭政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、経済的に今、放置船、具体的には、逃げちゃった場合には地元の自治体が処理をしている。それにつきましては、特別地方交付税という形で国からのてん補がある部分がございますが、国としての関与というものが強く求められておりますし、私どももそれを認識しております。
 それで、今できるだけ、先生、早くと言うけれどもちっとも進まぬじゃないか、こうおっしゃいますが、一生懸命努力はしているつもりではございますが、その検討というものを今やっているところでございまして、そういう意味では、国からの経済的な支援というのが一番であると思います。
 それから、二番目の、安全じゃない船につきましては、これは国際条約に基づきまして、従来からポートステートコントロールというのをやってございまして、そういう安全じゃない船が日本に入った場合には、是正命令を出す、あるいは直させるといったようなことを国際条約に基づいてやっているところでございます。
藤島委員 聞いていないのを答えて、聞いていることにきちっと答えていないんだな。
 国が負担すれば、地方自治体が一回負担してその後国が補てんすればいい、こういう問題じゃないですよね。国の金だって税金じゃないですか。本来払うべき人が払わないでほっぽらかしているのを何でも国の責任で最後はしりぬぐいすればいい、こういう問題じゃないんでしょう。
鷲頭政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、放置外国船につきましては、責任は船主にございます。ですから、外国の船主に対してかかった費用を求償するということはもちろん大前提でございまして、それを前提に私どもは制度の検討を行っているところでございます。
藤島委員 これは我が国だけの問題じゃないと思うんですよね。同じようなことがよその国だって起こり得るわけですね。大体、パナマ船籍とか、あとほかにもありますよね、タックスヘーブンとか何かで船籍だけそっちに置いているとか、そういうところは恐らく、船籍国といえども、無責任にやっていると思うんです。こういうのを、世界的に条約を結ぶ方向でやはり検討すべきだろうと私は思うんですよ。その辺はどういうふうに考えているんですか。これはそうなると、外務省の方にもかかわってくるわけですけれども。
鷲頭政府参考人 その点につきましては、国際海事機関というところがございまして、今、油タンカーにつきましては、既に強制保険制度になっておりまして、保険がないと走れないということになっておりますが、一般の貨物船につきましては、燃料油については保険を掛けなければならないという義務がございませんので、そういう貨物船についても義務をかけるという方向での条約をつくろうという動きがございます。それについては、私どもも積極的に参加をしているところでございます。
藤島委員 これについては、ぜひ積極的に議論をしてもらいたいと思うんですね。
 もう大体これで終わりますけれども、この件については国土交通委員会の方でもまたフォローを私もしていきたいと思いますので、ともかく急いで積極的にやってもらいたい、こう思います。この件はそれで終わります。
 あと、ロッテルダム条約の関係ですけれども、この条約によりますと、政府は国内当局として指定することになっていますけれども、これは一応どこを考えておりますか。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省、具体的な部局名は国際社会協力部地球環境課でございますが、これを我が国の国内当局として条約上指定することとしております。
藤島委員 外務省がいいのかどうかちょっとわかりませんけれども、きちっと職務を果たしてもらいたい、こう思います。
 それから、化学物質の関係では、四十八年九月十二日の商工委員会で、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の附帯決議で、「本法を含め、化学物質による環境汚染を防止するための諸法令の運用にあたつては、縦割り行政の弊害を排除して、有機的連繋を図るとともに、責任体制の確立に努めること。」こういうのがあるんです。
 私は、国内法整備との関係でこれは微妙な問題もあると思うんですけれども、今読み上げた縦割り行政、これを外務省は条約担当として、実際やるのは各省庁だから条約だけで知らない、これは外務省の仕事じゃないと思うんですよね。外務省は、やはり条約を担当しているからには、それに絡んで関係省庁を指導したりお願いしたり、いろいろする責務がある。
 条約を結ぶのは外務省で、あとは関係省庁にばらまいて関係省庁が勝手にしろというのなら、外務省なんて要らないんですよね。もうこれは何百人かいるだけで十分。やはりいろいろなことで、国内法制が不十分か十分かとか、あるいは関係省庁がきちっと責務を果たしているかいないかとか、そういったことをウオッチして、指導したり取りまとめたり、そういう必要がある、こう思うわけです。そうじゃないと、外務省は必要ない、領事事務だけやっておればいいということになる。
 そんなことで、この条約に絡んで国内法整備との関係をどういうふうに考えているのか。もう今で十分あると考えているのか、あるいは各省庁も十分もうやっていると考えているのか、その辺を伺いたい。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 前半のお励まし、ありがとうございました。心していきたいと思っています。
 国内法整備の話について御質問いただきました。
 この条約は、委員つとに御承知と存じますけれども、締約国の義務として、附属書3に掲げる化学物質の輸出について、輸入国の意思に従うことやラベル等の添付等を定めておりまして、また、輸入については、附属書3に掲げる化学物質についての輸入意思の回答を行うこと等を定めております。
 こうした条約上の規定につきましては、我が国におきましては、輸出に関する義務については輸出貿易管理令の輸出承認の対象とすることにより実施いたします。また、輸入意思の回答につきましては、政府として、該当する物質が関連する国内法により禁止または厳しく制限されているかを確認し回答することとしておりまして、こうした法令の枠組みによりこの条約上の我が国の義務を担保することとしております。
藤島委員 最初にあれしました、当局として指名されてそこがいろいろウオッチするわけですが、この条約自体は手続的な話なんですけれども、実態と中身が絡んできて、その辺を先ほど申し上げた外務省の今度指名された当局がしっかりウオッチしていかないと、また何のために条約に加盟するのかわからなくなるわけですから、しっかりやっていただきたい、こう思います。
 それからもう一つ、条約のカルタヘナ議定書の問題でありますけれども、遺伝子組み換え生物の技術について農林水産省の姿勢はどういうふうなものなのか、まずお伺いをしたいと思います。
石原政府参考人 遺伝子組み換え技術につきましては、一つは、従来の作物と異なる非常に高品質な作物あるいは低コストで生産できる作物をつくり出すということにより、豊かな国民生活の実現に大きく寄与する可能性を有した技術であるというふうに考えております。
 しかしながら、一方におきまして、この技術につきましては、大変新しい技術であるということもありまして、国民の中には組み換え作物につきまして懸念をお持ちの方もございます。したがいまして、遺伝子組み換え技術につきましては、一方で、国民の理解を得つつ、シンポジウムとかパンフレットを配るとか、いろいろなことをやっております。そういうことでの理解を求めつつ進めていくことが必要であるというふうに考えております。
藤島委員 ほかの役所も関係してくるわけですけれども、この遺伝子組み換え関係。この生物多様性条約なんですけれども、関係あるんですが、今、農水省の方から代表的に言っていただいたわけですけれども、この問題について、各国を見るに、米国、カナダ、オーストラリア、アルゼンチンなどの、要するに穀物等の農産物輸出国グループ、これをいわゆるマイアミ・グループというんだそうですけれども、これは遺伝子組み換え生物の利用には非常に積極的にやっているわけですね。それに対してEUは、御承知のように、非常に慎重な姿勢をとって安全サイドに立とうとしているわけです。
 先ほどの農水省の御意見はどっちなのか余りはっきりはしていないんですけれども、基本的なスタンスについて外務省は今まで各省と調整しているわけですけれども、どっちなのか、基本的なスタンスとして。考え方として、アメリカの、いわゆるマイアミ・グループ寄りなのか、あるいはEU寄りに考えているのか、その辺を、まずスタンスを伺いたいと思います。
石川政府参考人 あえてアメリカとEUとの比較ということですぱっと言うことをお許しいただくとすれば、その間というのが日本の立場でございまして、両方をにらんでおります。先ほど来答弁がございました、正の側面と負の側面がございますので、そのバランスをきっちりとっていきたい、そういうふうに考えております。
藤島委員 結構なんですよ。どっちに寄りなさいと言っているわけではないので、その辺は我が国の立場があるので、これはまさに外務大臣がいつも言っている、自主的な我が国の立場をわきまえてやっていっていただきたい。なまじ、あっちこっち、すぐ対米追随、そんなものじゃないので、やはりここはきちっと我が国の立場を踏まえてやっていっていただきたい、こう思います。
 それともう一つ、米国は参加していませんね、確認したいんですが。
石川政府参考人 米国は、現在のところ、カルタヘナ議定書を締結しておりません。
藤島委員 その場合に、この条約に我が国が加盟することによって、一番大きい穀物輸出国の米国が入っていないことによる効果、これについてはどういうふうに考えているのか、お伺いします。
石川政府参考人 我が国についてお答えさせていただきますと、この議定書の国内実施法案により遺伝子組み換え生物の生物多様性への影響を評価した上で、輸入される遺伝子組み換え生物の国内利用の承認等を行う制度を設ける予定でございます。この条約の非締約国から輸入される遺伝子組み換え生物につきましてもこの制度を適用することとなっておりまして、したがいまして、仮にアメリカがその時点でカルタヘナ議定書に参加していないとしても、アメリカからの輸入についてもこの制度が適用されます。
 したがいまして、我が国の国内については、米国がこの議定書に参加していなくとも議定書が実施されることになりますが、他方で、グローバライゼーションが進む今日におきまして、地球の貴重な生物の多様性を保護するべくこの議定書の実効性が十分発揮されるためには米国の参加が重要だ、かように認識しております。このため、我が国としてこれまでも働きかけてまいりましたけれども、今後ともそうしていきたいと思っております。
藤島委員 最後に、水際だけじゃなくて、入ってきた後のフォローも大事だと思いますので、外務省も関係省庁と連絡をとりながらきちっとフォローしてやっていっていただきたい、これを要請して、質問を終わります。
土肥委員長代理 次に、松本善明君。
松本(善)委員 環境に関する議題となっております三条約、賛成でありますが、ロッテルダム条約について若干質問をしたいと思います。
 ロッテルダム条約の目的は、特定の有害な駆除剤や化学物質の影響から、人の健康及び環境を潜在的な害から保護するということである。附属書3には、有害な駆除剤や化学物質、二十七品目が掲載されております。我が国では、これらのうち一品目を除いて、人や環境に有害だからという理由だと思いますが、製造、使用をされておりません。
 この条約では、附属書3に掲載されている有害化学物質であっても、輸入国が有害化学物質であることを承知の上で輸入することに対しては規制することにはなっておりません。有害を承知で農業や工業に必要だということで輸入しようとする政府であれば、輸入してもよいことになる。附属書3に掲載されている有害物質は、幾ら各国が独自に規制することが可能であっても、輸入の意思があれば輸入できるということになる。
 有害な駆除剤、化学物質から人間を守り、環境汚染を防止するための防護衣でありますとか防護のための器械装置を整備している国ならいいんですが、貧困にあえぐ発展途上国の多くがそうした防止策を完備する力を持ち得ない状況が多い。この状況では、輸入は汚染に直結する危険が極めて高くなる。その害から途上国の人や環境を守るためにも、将来的には、そうした有害な駆除剤や物質の製造、使用を全面的に禁止する方向の条約にしていくべきではないかというふうに思うのですが、外務省はどう考えていますか。
    〔土肥委員長代理退席、委員長着席〕
石川政府参考人 お答えさせていただきます。
 御指摘いただきました点につきましては、国際社会においてもまさに同様の問題意識がございまして、作業が進められてきております。御審議をお願いしておりますロッテルダム条約と、ロッテルダム条約の後に作成されました残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約とが相まって、有害化学物質の国際的に有効な規制が図られるものと考えております。
 ロッテルダム条約は、一定の有害性を有するものであっても、御指摘いただきましたとおり、適正な管理と使用方法に基づいて水際措置をしっかりと実施すれば、製造、使用等についてまで各国一律に規制する必要はないという考え方のもと、対象化学物質を広範なものとする一方で、それらの製造、使用までは規制せず、輸出入の手続のみを規定したものです。このため、我が国におきましても、ロッテルダム条約の附属書3に掲載された化学物質の大部分については、既にその製造、使用についても規制を行っていますが、一部品目については、製造、使用等が認められているものもあります。
 他方、ストックホルム条約でございますけれども、ストックホルム条約はロッテルダム条約を踏まえて作成された条約でございまして、ロッテルダム条約が対象としている幾つかの物質を含む化学物質の中でも、特に毒性が強い残留性有機汚染物質につき、製造、使用及び輸出入を原則的に禁止、制限することとしています。
 したがって、これら二つの条約を通じまして、化学物質の適正な使用を確保しつつ、毒性の強いものについてはより厳格な規制を行う国際的な枠組みが形成されるものと考えております。
松本(善)委員 この際、理事会の合意もありますので、民間航空機の軍事利用についてお聞きします。
 外務省は、米軍の管理のもとで運航される航空機、いわばチャーター機はシカゴ条約の適用外になることを、九九年の五月十一日ですが参議院ガイドライン特別委員会で、我が党の筆坂委員の質問に当時の高村外相が答弁をしております。米軍や自衛隊の管理のもとで運航される航空機、いわゆるチャーター機の場合はシカゴ条約の適用外になる、これは間違いありませんね。
林政府参考人 シカゴ条約につきましては、御指摘のとおり、民間航空機ということでございまして、国の航空機には適用はない。それから、国の航空機の定義ということについては、網羅的に定義されているわけではございませんで、「軍、税関及び警察の業務に用いる航空機は、国の航空機とみなす。」という定義がございますが、では、それ以外に国の航空機が存在しないのかどうかということについては、明確な定義が置かれているというわけではございません。
 シカゴ条約上、具体的にいかなる航空機が民間航空機で、あるいは逆に国の航空機に当たるかということについて明確な基準が設けられておりませんで、これはたしか先回も別の者から申し上げたと思いますけれども、具体的にいかなる航空機がシカゴ条約上の民間航空機に当たるか、あるいは逆に国の航空機に当たるかについては、所有形態、使用形態、使用目的等に照らして個別に総合的に判断されるべきものであると考えておりまして、今御指摘のようなチャーター機につきましても、基本的には国の業務に用いる航空機と観念されるようなものであるのかどうかということを具体的に判断していくということになろうかと思います。
松本(善)委員 条約局長は問いにちゃんと答えるはずなんだけれども、私の聞いているのは、要するに、簡単に言えば、九九年の五月十一日に筆坂委員に高村外相が答えた答弁は変わりませんねということを聞いているんですよ。長々と言われたことは前回でもいろいろ言われているので、やはり時間の節約をきちっと考えて、問われたことにちゃんと答えてもらいたいと思います。
 高村外相の答弁は現在もちゃんと生きていますね、それは米軍も自衛隊も同じですねということです。
林政府参考人 従来の考え方、御答弁というものを特に変更したということはございません。
松本(善)委員 米軍がチャーターをした場合に、米軍は今戦争中でありますが、米軍の敵にとっては軍用か民間機かわからないので、極めて危険なことになる。いついかなるときでも安全を保障されるべき民間航空機の安全が保障されなくなるということになるのではないでしょうか、このチャーター機の場合。
林政府参考人 これも基本的には、その事態、状況、航空機の運用形態というものを見ずして確定的なことを申し上げることはできません。
 おっしゃっている意味は、チャーター機、米軍によってチャーターされた航空機というものが、いわば国の航空機あるいは軍用の航空機であるというふうにとらえられて、軍事目標として攻撃をされることがあり得るのではないかという点に集約されるかと思いますけれども、これにつきましても、その具体的な運用形態というものに応じて考えて判断していかざるを得ない、あらかじめ包括的にすべからく米軍によってチャーターされた航空機というものがあった場合に、それがすべて軍事目標になるというようなことは申し上げられないと思います。
松本(善)委員 軍が管理をしている航空機ですよ。国防省の命令のもとに動くんですよ。それは、日本の自衛隊がチャーターをすれば防衛庁長官の指揮のもとに動くんですよ。それが軍用でないということがあるんですか。
 一般的なことじゃない、具体的にちゃんと言っているんですよ、中身を。具体的な状況によって解釈は違う、それはそれでいいでしょうけれども、具体的にチャーターしている。これは、国防省やあるいは防衛庁長官の管理のもとに運航しているものが軍用でないという場合があるんですか。
林政府参考人 それは、おっしゃっております軍用という言葉、概念というものがどういう国際法との関係において用いられるかということによるかと思います。軍用という意味が、軍の管理のもとに運航されておるのかどうかということ。あるいは、軍の用務に供されておるのか。あるいは、シカゴ条約で言います軍の業務に供されているというふうに考えられるのか。あるいは、いわゆる戦時国際法上の軍事目標となり得るようなものであるということなのか。
 あるいは、さらに申し上げれば、軍用航空機ということにつきましては、必ずしも条約そのものとして発効したわけではございませんが、ハーグの空戦規則などがございまして、そこにおきます軍用航空機というのは一定の定義があるわけでございまして、そういうものに当たるかどうかということにつきましてはその具体的な状況に応じて判断されるべきものだろうというふうに考えております。
松本(善)委員 やはり、アメリカの国防省だとか防衛庁長官のもとに管理があって、そして軍人だとか自衛隊員だとか、それから武器や弾薬を輸送する、これは軍用以外にないじゃないですか。私は答弁をごまかしているとしか言いようがないんじゃないかと思いますが、恐らく別の答弁は期待できないと思いますので、次へ行きます。
 武力攻撃事態対処法では、民間航空事業者が指定公共機関に指定されることがあるということはこの委員会でも安倍官房副長官も認めましたが、そうなると、日本の民間航空機にも同じような問題が起こりまして、といいますのは、同じような問題というのは、米軍は今戦争中ですから、武力攻撃事態というのが起これば、これは敵を想定しているわけです。そうすると、日本政府のチャーター機あるいは軍用機というのはやはり攻撃をされる可能性が出てくるんじゃないですか。シカゴ条約の適用の有無はもうあいまいな答弁に終わっていますけれども、攻撃の対象になり得るんではありませんか。
林政府参考人 シカゴ条約との関係につきましては、あいまいという御指摘がございましたけれども、八十九条に、「この条約の規定は、戦争の場合には、」「関係締約国の行動の自由に影響を及ぼすものではない。」ということがうたわれておりますけれども、そういう意味で、一般に、戦争の場合にはシカゴ条約の規定は適用がないということでございます。
 この戦争の場合がいかなる場合かということについては個別具体的に判断する必要がございますけれども、あえて申し上げますれば、我が国が外国から武力攻撃を受けている、そういうような場合には、一般にそのシカゴ条約八十九条の戦争の場合に当たるというふうに想定されます。
 そこで、今松本先生御提起の指定公共機関ということに日本の航空運送事業者が指定された場合にどうなるのかということでございますけれども、一つ申し上げなければならないと思いますのは、指定航空業者の指定を受けたということのみをもって、その傘下にございます航空機のステータスといいますか、地位というものが網羅的に変更される、影響を受けるということではないと思います。先ほど来申し上げていますとおり、個々の具体的な航空機の運航形態というものを見ないといけないということでございます。
 それで、では、それが国の航空機、例えば、まさに平時であればシカゴ条約の適用がないような国の航空機であるということであれば、戦時国際法のもとにおきまして攻撃目標となってよいのかどうかということについては、それは直ちにはそういうことにはならない、これが軍事目標であるということが正当化されるようなものでなければならないということでございます。
松本(善)委員 指定公共機関になって、民間の乗客を運ばないなんということはないでしょうから、それは当たり前の話です。それが指定公共機関になって自衛隊員を運ぶとか、あるいは場合によっては米軍を運ぶとか、武器弾薬を運ぶとかいうときの話なんですよ。
 それで、戦時国際法上、軍事作戦の支援を行うものはすべて軍事目標とみなされる。一九七七年のジュネーブ条約の追加議定書は、武力紛争の際に文民を保護することを主な目的としてつくられ、この第五十二条の二項では、「攻撃は、厳格に軍事目標に限定する。」として、その目標とは、「その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に貢献する物」と定めておる。
 民間航空機であっても、指定公共機関に指定をされて軍事利用されれば、軍人だとかそれから武器弾薬なんかを輸送するという場合には、チャーター機であろうとなかろうと、戦時国際法では軍事目標とみなされるんではありませんか。
林政府参考人 御指摘のように、軍事目標であるか否かということについて、チャーター機であるかどうかということが決定的な意味を持つということではないと思います。
 いずれにしましても、軍事目標については、ただいま第一追加議定書を御引用になりましたけれども、その中におきましても、今御引用になったところの関連でございますけれども、物を運んでいるといった場合、その物について、この物は、航空機について当てはまると思います、「その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に貢献する物で、その全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時点における状況の下において明確な軍事的利益をもたらすものに限る。」ということでございます。
 物によって軍事目標に含まれるか否かということを具体的にリストを挙げて規定しているわけではございませんで、その時点における状況のもとにおいて軍事的利益というものが明確にあるのかないのかということを厳格に判断するということに相なっております。
松本(善)委員 それはそうでしょう。でも、アメリカの空軍省が一九八〇年に作成をいたしました「指揮官のための武力紛争法便覧」というのがありまして、その中で、何が軍事目標とみなしてよいかということが述べられております。そこでは、軍事作戦に用いられるものだけではなくて、「軍事作戦に対する行政上及び兵站上の支援を提供する建物及び対象物も攻撃を受ける。」というふうになっています。
 特に、航空機につきましては、そこに戦闘員がいて、付随的損害が当該状況のもとで過度とならないであろう場合には攻撃対象となり得る。だから、戦闘員が乗っているというだけで攻撃対象になり得る、米軍の規定ではそういうことになっている。民間航空機をチャーターするというのはもちろんあるんですが、そうでなくても、指定公共機関として軍事利用するのは、民間航空にそういう危険が出てくる。
 この間も問題にしましたけれども、自衛隊が迷彩服を着て一般乗客と一緒に乗っている。これはまさに、この場合に当たるんですよ。戦闘員が乗っているという場合には、こういうアメリカの「指揮官のための武力紛争法便覧」で言うならば攻撃対象になる、そういうことじゃありませんか。
林政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、あらかじめカテゴリカルに、こういうものであれば排除される、こういうものであれば必ず入るということは申し上げられないわけでございまして、今念頭に置いておりますといいますか、私どもお話をしている状況というのは、まさに我が国が武力攻撃を受けた状態、それはもう、だれにその攻撃が及ぶかわからないという状況のもとでの話をしているわけでございますけれども、そういう時点におきましても、その時点における状況のもとにおいて明確な軍事的利益をもたらすものに限定して攻撃しなければならないというのが軍事目標主義の考え方でございます。
松本(善)委員 武力攻撃事態になりますと、予測の場合、おそれの場合、みんな入るわけでしょう。しかし、それはもう既に敵を予想していることなんですよ。ですから、あなたが言ったことは、どちらの場合もあるということは、攻撃される場合もある、こういうことになるんです。
 さきの委員会でも問題になりましたが、自衛隊が部隊として利用している場合、迷彩服を着て、何人も、十回もあったということを問題にしましたけれども、そういう場合は同じ問題が起こる、武力攻撃事態にならなくても。特に、イラク戦争で日本政府がこれを支持し、有事立法も成立させるとすると、日本を敵とみなす勢力も生まれるかもしれない。
 民間航空機の軍事利用は、現在でも極めて危険なことになりかねない。自衛隊が部隊として利用している航空機に乗り合わせている乗客は、そのことを知らないでいる。私、聞きましたら、アナウンスなんか、そんなことしないですよね。非常なリスクを負っているんじゃないか。私は、民間航空機の軍事利用はやめるべきではないかと思いますが、これは外務大臣に聞きましょう。
林政府参考人 ただいま委員も冒頭ちょっと区分けしておっしゃいましたですけれども、いわゆる有事の話をしておられるのか、平時の話をしておられるのかでございますけれども、今の状況において危険であるということをもしおっしゃっているのであれば、それは民間航空機でたまたまいわゆる兵員であるとか物資が輸送されるということのみをもってその民間航空機を攻撃の対象にするということは許されない、これはもう明確なことでございます。
松本(善)委員 許される、許されないじゃなくて、そういう危険が生ずるじゃないかということを言っているんですよ。もうあなたはいいよ。
 外務大臣、あわせてお答えいただければいいです、これを聞きますから。
 私は、九日の質問でも言ったんですが、アメリカ国防総省の輸送資格を日本の航空各社に取得するよう防衛施設庁が要請していたという問題を取り上げました。各社からは二年以上たった今でも回答がないということなんで、これは直接的には防衛施設庁に聞いてから外務大臣に聞きますから、ということでした。
 私は、各航空会社に対して調査をいたしました。こういうことがわかりました。定期航空協会に初めてその話が来て、それを定期航空協会は、それはできませんということで投げ返した。二〇〇〇年の八月に防衛施設庁から、三社に直接、各社に要請があって、各社は合同で、当時の運輸省の航空事業課に行って、そのような資格を取るのは航空法の一部が適用除外になるので、安全が担保できないから、そのような資格を取得するのは困難だということを、航空事業課の方から施設庁に回答していただけないか、こういうふうに非公式に伝えたということなんです。それで、私どもは、定期航空協会と国土交通省の航空事業課に問い合わせたところ、記憶がないということなので、言わないわけです。これは、私は、航空三社の回答は極めてもっともなことだと思うんですが、しかし、定期航空協会も国土交通省も、記録がないということで、答えないわけなんですね。
 これはやはり、私は、そういう事情があって公式の返事が二年もないということは、事実上断られたということですよ。これはもう要請は撤回すべきじゃないか。
 有事特別委員会で、石破防衛庁長官は、我が党の児玉議員に対して、今後も取得を検討していただきたいと答弁しました。これは事実上、強制をしていることになるんじゃないか。防衛施設庁に聞きたいと思います。
冨永政府参考人 ただいまお話がありましたとおり、三社の方から……(松本(善)委員「強制じゃないかということです」と呼ぶ)まだ回答が得られていないということで、私どもの方としては、今後とも認可の取得を検討していただきたいというふうに考えております。それで、この……(松本(善)委員「ちょっと、委員長」と呼ぶ)
池田委員長 松本君。
松本(善)委員 強制ではないかというんです。これは事実上強制していることではありませんかと。どうですか。
冨永政府参考人 これについては、依頼しているものでありまして、強制しているとかそういうものではございません。
松本(善)委員 ジュネーブ条約の追加議定書の五十二条の三項では、礼拝所や学校のような通常民用に充てられるものについては、それがたとえ軍事活動に用いられている疑いがある場合でも、そのように用いられていないものと推定するとしているんですよ。ところが、民間航空会社が米軍の輸送資格を取得するようなことがあれば、通常民用に充てられるものとはみなされなくなってしまう。ジュネーブ条約追加議定書に照らして、軍事目標とみなされてしまう危険性が高まることになる。民間航空会社が事実上拒否回答をしている以上、米軍の輸送資格取得に関する要請はやめるべきだと思います。
 それで、私は、外務大臣にお聞きしたいのは、今までずっといろいろ、条約局長や防衛施設庁から答弁がありました。私は、民間航空機の軍事利用をするということは、その時によりますし、具体的な状況にもちろんよりますけれども、非常に危険なことを乗客にも強いる、それから乗務員にも強いる。民間航空機の軍事利用というのはやめるべきではないかと思いますが、外務大臣、どう思いますか。
川口国務大臣 シカゴ条約ではそういうことが禁止されているわけではない。それからまた、武力行使があるような事態においては、これは国際法においては、一般の国民を守らなければいけないということになっているわけでございますから、国際法にのっとって各国は行動をするわけでございまして、そういう意味で、特に問題はないと私は考えております。
松本(善)委員 外務大臣というのは、やはり日本の政治を動かす人なんですよ。条約上どうなっているかというのは、それはもう条約局長に聞いているんですよ。それはもう聞いたわけです。だけれども、こういう状況だから、民間航空機の安全を守るためにはそうすべきではないかということを聞いたわけです。それに対して、私は、外務大臣としての答弁としては大変物足りないといいますか、国民の安全を守るということについての立場が非常に少ないというふうに思います。
 もう時間でありますので、私は、こういう危険のある米軍の輸送資格の取得に対する要請、これはもう撤回すべきだ、そして有事法制の制定は、そういう国民の空の安全、移動の自由を脅かすもので、断じて許すことはできない、我が党はこの有事法制の衆議院通過強行に対して強く抗議をするものだということを申し上げて、質問を終わります。
池田委員長 次に、東門美津子さん。
東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。
 昨日、有事関連三法案が、九割近くの賛成で衆議院を通過しました。一九七二年五月十五日、沖縄県民の長年の悲願でありました本土復帰が実現しました。それから数えてちょうど三十一年目、同じ五月十五日、その日を迎えたときに、有事法案が衆議院を通過する、本当に残念のきわみです。
 日本は戦争ができる国へと大きくかじを切りました。ことしに入って、絶対にあってはならない、避けるべきだと思っていたイラク戦争、米英の先制攻撃でスタートしました。そして今、復興支援問題が起こっております。さらには北朝鮮問題、そういうのを抱える中で、有事法案衆議院通過、これから参議院で審議されるわけですが、今国会中には成立ということがもう報じられております。
 ということは、これまで以上に日米同盟、それはもう小泉内閣を挙げて強調していますが、それがさらにクローズアップされてくるということになると思います。そうすると、世界の目はこれまで以上に、日本の外交、安保政策に向けられることは間違いありません。
 そういう時期に、本外務委員会において、小泉総理大臣に御出席をいただき、外交政策、特に対米政策について、小泉内閣の外交方針をじかにお伺いすることが私は絶対に求められると思います。
 それで、委員長、来週には小泉総理とブッシュ大統領との会談も行われるということですから、ぜひ、それが終わった後で、総理には本委員会に出席をしていただく、それを実現していただくようお願いしたいと思います。
池田委員長 ただいまの委員の要求につきましては、理事会にて協議をいたします。
東門委員 よろしくお願いします。
 では、条約に入らせていただきます。船舶防汚方法規制条約について伺います。
 とても単純な質問です。私は、こういう条約ができて、これはしかも日本がイニシアチブをとっているということをお聞きしたときには、すごいことだと思いました。環境ホルモンの一つである有機すず化合物、それとの関連ということでしたが、条約を読んでみまして、これは三条の第二項でしょうか、「この条約は、軍艦、軍の補助艦又は締約国が所有し若しくは運航する他の船舶で政府の非商業的業務にのみ使用しているものについては、適用しない。」と。商業的業務に従事している、使用しているものについてということは、ちょっと聞いてはいたんですが、これをしっかり読んだときに、なぜ軍艦あるいは軍の補助艦等が適用除外されるのか。
 船舶、海を考える、そこで環境ホルモンが大変だということであれば、すべての船舶がカバーされるべきだと私は思っていたものですから、そこからお答え願いたいと思います。
石川政府参考人 お答えさせていただきます。
 この条約は、国際海事機関、IMOにおいて交渉されてまいりましたけれども、伝統的に、海事の条約につきましては、今御指摘の軍艦等は除くということになっておる次第でございます。
東門委員 スタート時点から、もうこれは除くと決められるということですか。それとも、全然議題にも上がらない、日本がイニシアチブをとったときにも、それはもう最初から適用除外ですよというか、国際間の暗黙の了解ということなんでしょうか。
石川政府参考人 国際海事機関の条約ということで、今お答え申し上げたようなことなんですけれども、例えば、海洋法条約においても海軍の戦艦等は除外されておるという、伝統という言葉がよろしいかどうか、あれでございますけれども、そういうことがございます。
東門委員 一般的に、多数国間条約は、多くの加盟国が参加することがもちろん望ましいと思いますが、環境関連条約ほど加盟国の数が重要視されるものはないと思います。特に、近隣諸国が環境に関する国際規制に参加しているか否かは自国の環境に直接かかわる問題です。沖縄県からさほど離れていない台湾は、国際海事機関、IMOに加盟していません。また、SOLAS条約、これは海上人命安全条約やMARPOL条約、船舶汚染防止条約にも参加はしていません。
 それで、台湾が希望すればIMOに加盟することは規定上可能なのでしょうか。IMO未加盟の台湾がSOLAS条約だとか、あるいはMARPOL条約、そしてこの船舶防汚方法規制条約に加盟するということは可能なのでしょうか。
石川政府参考人 船舶防汚方法規制条約は、すべての国がその締約国となることができると定めており、非国家主体が締結することは想定されておりません。
 IMO設立条約である国際海事機関条約についても今申し上げましたような状況でございますが、御質問にございましたSOLAS条約、MARPOL条約、これらはいずれもすべての国が、ないしいずれの国もその締約国となることができると定めております。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、日中共同声明の立場を踏まえつつ対応することとなると存じます。
東門委員 次に、ロッテルダム条約について伺います。
 化学物質の危険性を考えるとき、その問題の難しさは、たとえ現時点で安全だとされても事後的に初めて危険性が明らかになる場合があります。しかも、PCBやDDTが、人間の生活とは無縁と思われる南極にいる鯨の組織からも検出されているように、化学物質がどのような形で影響していくのか、因果関係の確定は極めて難しいところです。他方、人間は食物連鎖の頂点に立っていることを考えれば、たとえ地球の果ての問題といえども真摯に向き合う必要があります。この意味で、途上国の問題も先進国自身の問題として考えなければなりません。
 例えば、先進国は、みずからがつくったDDTなどについて、代替物を開発することによって使用を禁止することができても、途上国ではマラリア駆除に安価なDDTを使わざるを得ない、そういう現実があります。このため、化学物質の取り扱いに関する国際会議では、有害化学物質を規制したい先進国と規制を避けたい途上国との間で対立が醸成されがちですが、やはり、途上国の置かれている現実を前提とした先進国の支援があって初めてこうした問題が解決できることを忘れてはならないと思います。
 ついては、途上国でマラリア駆除にDDTが使われている現状を政府はどのように認識しているのでしょうか。また、このような現状を改善するためには、政府は今後どのような努力を払っていく方針なのか、お伺いいたします。
石川政府参考人 委員御指摘のとおり、開発途上国におきましては、先進国で使用等が禁止された化学物質であっても、その代替物質の入手が容易でない等の理由から、一律に製造、使用や輸入を禁止することが困難な化学物質もあると理解しております。
 他方において、委員御指摘のございましたマラリアでございますけれども、二〇〇〇年には世界で二億七千二百万人が罹患し、百十万人が亡くなっているという事実がございまして、そうした中で、委員御指摘のとおり、DDTも開発途上国において安価なマラリア駆除剤として使用されており、先ほど申しましたような化学物質の一例かと考えております。
 ただいま御審議いただいておりますロッテルダム条約は、こうした各締約国の諸般の事情を勘案して、化学物質の輸出に際して相手国に化学物質の危険性、または有害性に関する情報を提供する等の制度を定める一方で、各国が適正な管理と使用方法に基づくことを前提に、こうした化学物質の製造、使用、輸入の可否は各締約国にゆだねるとしたことであります。
 したがいまして、この条約は、こうした化学物質の途上国における適正な使用に資するものと考えており、その早期発効に貢献するとともに、適切な運用に努めてまいりたいと思います。
 さはさりながら、途上国におけるマラリアとの闘いについて付言させていただきますと、我が国は二〇〇〇年の九州・沖縄サミットのときに沖縄感染症イニシアチブというものを打ち出させていただきまして、途上国におけるマラリアとの闘いということをその中の大きな柱にさせていただいたことがございます。
 具体的には、マラリアの早期治療のための検査技術の向上、それから衛生教育の普及、蚊帳あるいは医療器材の供与、それから蚊の発生源となります水の問題、安全な水の供給等を支援しております。一、二例を申し上げさせていただきますと、二〇〇〇年度におきましてガーナやケニアに対しまして、マラリア対策として十二億円、二〇〇一年度には同じくマラリア対策として十七億円、ODAを供与させていただいている次第でございます。
東門委員 次に、生物多様性条約、これはカルタヘナ議定書について伺います。
 遺伝子組み換えの技術は自然界に存在しない生物を人工的につくり出すものであります。そこで生み出された生物がどのような機能を持つのか、人体にどのような影響があるのかは理論的に考えられていても、意図していなかった危険が発生する可能性は常に存在するわけです。遺伝子組み換え生物のそのような側面に多くの人々が不安を感じているということもまた事実です。
 カルタヘナ議定書は、第一義的には生物の多様性の保全及び持続可能な利用など環境保全を目的とするものですが、人の健康に対する危険も考慮すると規定されています。議定書により人の健康に対する危険については、具体的にどのように考慮されるのでしょうか。
石川政府参考人 この議定書に基づきまして遺伝子組み換え生物の、例えば飲食による人の健康への影響につきましては、我が国におきましては、食品等として市場に出る遺伝子組み換え生物については食品衛生法により、また医薬品として市場に出る遺伝子組み換え生物については薬事法により人の健康への影響の防止が図られております。
 さらに、遺伝子組み換え生物から有害物質が環境中に放出されることにより環境を経由して人の健康に影響を与える場合が考えられますけれども、このような場合の影響については、別途国会で御審議いただいているこの議定書の国内実施法に基づき生物の多様性に対する影響の評価を行い、適切な措置を講ずることによって人の健康への影響の防止も図られることになると考えております。
東門委員 カルタヘナ議定書は、先ほどから議論されていますが、生物多様性条約に基づいて策定されたものです。そして、生物多様性条約の最も大きな目的は、その条約名が示すとおり、生物の多様性の保全です。遺伝子組み換えなどバイオテクノロジーは医療、農業、製造業など多くの産業で活用されている有用な技術でありますが、産業の利益を追求する余り、かけがえのない自然環境、生物の多様性を破壊することがあってはならず、その意味で遺伝子組み換え生物などの生物多様性への悪影響を防止しようとするカルタヘナ議定書の姿勢には賛成です。
 しかし、生物多様性に悪影響を与えるのは遺伝子組み換え生物だけではありません。むしろ人間の活動そのものが生物の多様性により大きな影響を与えます。
 現在政府が進めようとしています名護市辺野古の普天間飛行場の代替施設環境などはまさにその典型です。辺野古の海域には天然記念物であり、絶滅が懸念されているジュゴンが生息しています。それでも政府は、ジュゴンへの悪影響も顧みず、環境影響評価も行われていない段階でのボーリング調査を含む現地技術調査を行おうとしています。
 一方で生物多様性の保全のためのカルタヘナ議定書を提案しながら、なぜこのような生物多様性に大きな悪影響を与える現地技術調査を進めるのでしょうか。生物多様性条約やカルタヘナ議定書の精神を理解しているのならば、このような無謀な現地技術調査は即刻中止すべきではないでしょうか。これは大臣の御見解を伺います。
川口国務大臣 生物多様性条約というのは非常に重要な条約でございまして、委員がおっしゃるように、これは移入種とか人間活動とかさまざまありますけれども、生物の多様性が世界的に今失われてきているということは非常に残念でございまして、我が国としては、生物多様性条約を締結して、そしてこの多様性の保存にさまざまな努力をしております。
 それで、お尋ねのジュゴンのことでございますけれども、これは、普天間飛行場の代替施設の建設につきましては、委員も御案内のように、平成十一年末の閣議決定というのがございますし、また、昨年の七月の段階でできました普天間飛行場代替施設の基本計画というものがございます。これに基づきまして環境影響評価調査を行うということでございます。
 そして、環境への影響を最小限、あるいは最大限に環境への影響を小さくするということのために適切な対策を講ずるということで、ジュゴンの生息環境を含む、これは採餌をするための藻場も含みますけれども、そういった自然環境に悪い影響を及ぼさないように最大限の努力をしているわけでございます。
 それで、おっしゃった、ボーリング調査を含む現地の技術調査、これは防衛施設庁でやっていらっしゃるものでございまして、私どもとしては、防衛施設庁がこの技術調査を行うに当たっては、生活環境あるいはジュゴンの生息の状況あるいは藻場といった自然の環境に最大限の配慮をして、自然環境に及ぼす影響を最小限にするように注意を払いながら、また環境省や専門家といった方々の助言を求めながらこれを行っているというふうに承知をいたしております。
東門委員 確かにボーリング調査の所管は防衛施設庁かもしれませんが、しかしこれは政府が取り組んでいることですから、これは防衛施設庁です、これは外務省ですということではないと思うんです。
 私が申し上げたいのは、生物多様性ということを今大臣もかなり強調しておっしゃったと思います、環境大臣もされた方ですから。本当にそれが大事なら、本当に絶滅が恐れられて、絶滅の心配があるジュゴン、もしここで調査をすることによって、やはりジュゴンにとってこれはいけない、あるいは藻場が、もちろん、藻場がなくなるということはジュゴンがそこですめないということですから、そういうことになったらまずいということになれば、辺野古の代替施設の建設ということは撤回ということもあり得ますね、そういう観点からごらんになったときに。
川口国務大臣 これは、環境影響評価調査をこれからやるわけでございますけれども、政府としては、平成十一年末の閣議決定やこの間の基本計画、これにつきましては、地元の方も御一緒に、みんなで議論をしてできたものでございますけれども、それに基づいて今後の対応をしていきたいと考えております。
東門委員 その件については次のときにぜひ質疑をさせていただきたいと思いますが、地元の方も一緒になってとおっしゃったんですが、政府が押しつけてきたんですよ。そういう方向にぐいぐい押しつけていったということを大臣は御存じだと思います。
 SACOの最終報告とおっしゃる、これは閣議決定ですよね。そこに沖縄県民の意思が入っていますか。入っていませんでしょう。これはぜひ次の時間に――入っていますか。そこからお聞かせください。沖縄県民の意思がしっかりそこに反映されているというふうにお考えですか。
川口国務大臣 我が国において米軍の施設・区域の七五%が沖縄にあるということについては、大変な御負担を沖縄県民の方におかけしていると思います。
 それで、政府といたしましては、この御負担をできるだけ少なくしていくための努力が重要であると思っています。SACOの最終報告を実施することによって、できるだけ負担を減らしていきたいというふうに考えておりますし、また、さまざまな場で沖縄の地元の方々の御意見を、大使も現地におりますし、伺いながら、政府としては、負担を軽減するためのさまざまな考え方、あるいはできることを実施していきたいと考えています。
東門委員 私の質問には全然お答えにならなかった、いつもと同じような答弁が返ってきます。私は県民の意思が反映されていますかとお伺いしたんですよ。そこについてお答えください。
川口国務大臣 SACOの最終報告をつくりましたときに、これは地元の県民の方が負担が大きい、これをできるだけ減らしてほしい、そういう県民の方のお気持ちを受けて、政府として、アメリカ政府と話をし、SACOの最終報告にまとめ上げた、そういうことでございます。
東門委員 時間がないのでこの後の議論を次に回しますが、全然違います、その件に関しては、次回で。もう余りにも時間が押し迫っていますので、最後の質問をさせていただきます。
 北緯二十七度以南の排他的経済水域の問題についてですが、四月二十三日の委員会では、私は台湾との協議状況について伺いました。今回は、中国との間で日中漁業協定によって我が国の法令の適用が除外されている問題について伺います。
 ことし三月二十六日の参議院沖縄北方特別委員会での水産庁の答弁では、我が国の排他的経済水域は、北緯二十七度以南についても中間線までは既に引かれているが、中国漁船については、我が国の漁業関係法令の適用を日中漁業協定により除外している。協定の第六条で、沿岸国主義の管理を適用しないとされていますと。
 しかし、地元漁業関係者からは、中国漁船の乱獲による資源の枯渇も懸念されており、このような状況が放置されていることに対する強い不満があります。
 参議院沖縄北方特別委員会では、この問題への対応を問われた際に、水産庁の資源管理部長は、「これは、日中の漁業協定にそのような形のことが規定されておりますので、言わば中国との間の協定の改定交渉をするということになろうかと思います。」と答弁されています。
 外務省としては、北緯二十七度以南の排他的経済水域における我が国漁業者の権益確保についてどのようなスタンスをとっておられるのか。中国に対して日中漁業協定の改定を求めることも考えておられるのでしょうか。お伺いいたします。
齋木政府参考人 日中漁業協定ですけれども、一部の水域を除きますと、原則としては、沿岸国が、自分の国の排他的な経済水域で、相手国の漁船に対する操業条件を決定し、許可及び取り締まりを行う、そういう規定となっております。
 この協定が発効してから三年近くになります。日中双方の排他的な経済水域における漁業秩序、これは双方の努力で、私どもとしては、全体としては比較的良好に保たれてきているというふうに評価しております。したがって、私ども政府としましては、まず、この協定の円滑な運用、これに引き続き努めていくことが重要であろうと考えております。
 以上でございます。
東門委員 改定の意思はないというふうに私は今受けとめました。
 四月十六日の本委員会でですが、米国に対して排他的経済水域では水中爆破訓練を実施しないという取り決めを結べないかと伺いました。川口外務大臣の答弁は、「同盟国の関係といえども、そういった条約で認められている権利を使うことをしないという協定を結ぶということは困難」でありますと答弁されました。しかし、日中漁業協定では、我が国が、海洋法条約に基づく排他的経済水域の権利を中国に対しては行使しないということを約束しているわけです。
 外務大臣、これはどう説明なさるのでしょうか。「条約で認められている権利を使うことはしないという協定」、それを結んでいると言えるのではないでしょうか。我が国が譲歩するのはいいけれども相手国に譲歩を求めることはできないというのが外務省の姿勢なのでしょうか。これは大臣に伺います。
川口国務大臣 これは、この前申しましたように、海洋法に基づいて、排他的経済水域については、米国は、一定の条件はありますけれども、例えば天然資源に対する私権ですとか環境についての管轄権とか、これを侵すものでなければ、それを使う権利を持っているわけでございますね。したがって、その権利は権利として、それを使うということを我が国としてとめるということはできないということを申し上げたわけです。
東門委員 外務省の姿勢としてもう一貫して言えることは、本当に、要するに、県民、国民がどのような状況であるかということをしっかりととらえて相手国に対して交渉しているというのではなくて、まず相手国の顔色をうかがって、相手国がこういうふうに出るとまずいというところで、常に県民に、国民に犠牲を強いているというような態度だと私は思います。とても残念です。これで本当に、日本の外務省、日本のために、国民のためにやっているんだと言えるのかということを本当に常に疑問を感じておりますが、時間ですから、終わります。
池田委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
池田委員長 これより各件に対する討論に入る予定ですが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 次に、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求めるの件について採決をいたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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池田委員長 次回は、来る五月二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十四分散会


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