衆議院

メインへスキップ



第7号 平成16年3月16日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年三月十六日(火曜日)

    午後三時四十分開議

 出席委員

   委員長 米澤  隆君

   理事 岩永 峯一君 理事 谷本 龍哉君

   理事 中谷  元君 理事 渡辺 博道君

   理事 末松 義規君 理事 武正 公一君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    遠藤 武彦君

      小野寺五典君    河井 克行君

      木村  勉君    高村 正彦君

      鈴木 淳司君    田中 和徳君

      土屋 品子君    西銘恒三郎君

      宮下 一郎君    阿久津幸彦君

      加藤 尚彦君    今野  東君

      田中眞紀子君    中野  譲君

      平岡 秀夫君    前原 誠司君

      松原  仁君    漆原 良夫君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   北島 信一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房文化交流部長)          近藤 誠一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住部長)          鹿取 克章君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国際社会協力部長)     石川  薫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  古田  肇君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  松宮  勲君     宇野  治君

  阿久津幸彦君     平岡 秀夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     松宮  勲君

  平岡 秀夫君     阿久津幸彦君

    ―――――――――――――

三月十五日

 サイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

 武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)

同月十六日

 核兵器廃絶条約の締結に関する請願(岸田文雄君紹介)(第一〇八〇号)

 同(中川秀直君紹介)(第一〇八一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 サイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

 武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

米澤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長北島信一君、外務省大臣官房文化交流部長近藤誠一君、外務省大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君、外務省経済協力局長古田肇君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

米澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋品子君。

土屋委員 自由民主党の土屋品子です。

 昨年の九月まで外務大臣政務官をしていましたので、今回の機構改革には直接携わっておりました。きょうは、その当時議論されました改革の精神が今回の法律改正案の中に引き継がれているかの確認を含め、関連質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、外務省設置法の一部改正に関して、法律職の儀典長を廃止し政令職に変更するとのことですが、外交上の影響はどの程度あると想定されているのか、お伺いしたいと思います。

 儀典長は、外務大臣の代理として各種儀礼関係の行事に出席するなど外交における役割が大きいだけに、今回の改正が各国からどのように受けとめられるのかを懸念しております。こういう言い方をしていいのかどうかわかりませんが、ランクとしては下がるというような、マイナスに受けとめられることを懸念しております。また、儀典長の名称が残ることについてはほっとしているわけでございますが、その機能を維持できるかどうかが大変重要であると考えています。

 各国の大使が儀典長の職をかなり高く見ていること、皇室外交の重要性を考えたときに、宮内庁との関係を考えると、外務省としての各国政府や大使館への対応、国内各機関へ説明をどのように行う予定かに非常に関心がありますので、具体的にお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 この外務省の機構改革につきましては、当時の土屋政務官にも本当に加わっていただいて、ちょうど昨年の今ごろ、最後の段階の議論を一生懸命にみんなでしていたわけでございますけれども、おっしゃった儀典長を法律職から政令職にするということについては、おっしゃったようないろいろな考慮から、私としてはしなくて済むのであればしたくなかった、そういう意味では苦渋の選択でもあったわけでございます。

 今、外務省を機構改革して、新しい、例えば総合的な外交、戦略的な外交、そういった能動的な外交ということを考えてやろうとしますと、拡充をする部分がある。今の厳しい行財政の改革をしているというもとで、何かを拡大すれば別なことをやらなければいけないということがありまして、非常に、やむにやまれずということで、苦渋の選択として儀典長を政令職にしたということでございます。

 それで、ただ、おっしゃるように、儀典長というのは重要な仕事でありますから、それによって内容がないがしろにされるようなことがあってはいけないということは、私どもも強く思っておりました。それで、名前を維持するということはその一つでありますけれども、その機能も引き続きしっかりと維持をしたいというふうに思っています。

 儀典長にはどういう人を充てるかということが、この役割からいいますと大きな意味を持ってくるわけでして、これに、このポストにつきましては引き続き経験が豊富な者を充てて、そして大使の名称を付与するということを考えております。そのような必要な対策を講ずることによって、実際上今まで儀典長が果たしてきた役割が低下をするようなことがゆめゆめないようにしなければいけないと思っております。

 また、この点については、在京の大使あるいは各国の政府に対してそのことをきちんと説明していきたいと思っています。

土屋委員 どうもありがとうございます。私もあの当時、儀典長を何とか残したいという思いが非常に強かったわけでございまして、ぜひこの機能を低下させないようによろしくお願いしたいと思います。

 それに関連しまして、外務大臣の海外出張によるトップ外交がほかの先進各国に比べて日本は非常に少ないのではないかという点に関して、ちょっとお伺いしたいと思います。

 先進主要国における外交活動に関しては、調べましたところ、欧米外務大臣などは、国境が接しているということで非常に行き来がしやすい、そういう意味では数え切れないほどの行き来をしているようでございますけれども、これは守秘義務があってなかなか数字には出てこないということでございますが、日本に比較するともう本当に比較にならないほどの外交を展開しているという現実があります。

 我が国においては、近隣諸国は近いわけですから、もっと近隣諸国を中心に外務大臣みずから行ったらいいという意見も、かつて何か外務委員会でも出たと思いますが、そういう問題を含めてもっと根本的な解決をしていかなければなかなか難しいのではないかと考えています。外務大臣の海外出張に関する国会の取り決めをまず変えていかなければならないことであるというのが認識でございますが、外務大臣に限らず、我が国では国会会期中の出張に関しては我々国会議員も大変厳しい制限の中にあるわけでございまして、もっと欧米に比較してダイナミックな外交をしようと思っても、その点が難しいように思います。

 幾つかの国の事例を挙げてみますと、例えばアメリカなどでは、特にシステムとか手続上の規則はないということで、国務長官に公聴会や議会での答弁に関して要請があった場合にスケジュールを調整する程度です。このことは大統領制だからという指摘もありますが、じゃ、イギリスはどうかといえば、議院内閣制ですけれども、首相と女王陛下の許可があれば可能ということになっています。さらに、外交に関する審議が何と四週間に一回程度という頻度だそうで、十分に日程調整がつくということを聞いています。

 また、ドイツにおいては、スケジュールの調整はあるにはあるが、原則として必要があればいつでも出ていかれるというような状態で、国益のために活動することを最優先としているというようなことで、その間の国会の答弁は政務次官が行っているということでございます。

 このように考えますと、我が国の現状は大変お寒い限りではないかということを感じるわけでございますが、かつて副大臣制が導入されたときにこの点は大分議論されたと私は記憶しております。そして、副大臣、政務官の数がふえたことによって外務大臣がもう少し拘束をされないような、もっともっとダイナミックな外交ができるということを議論し、その中で導入されたと思っております。

 ですけれども、現実はなかなかそうはいっていないということでございますが、この意識改革、我々国会議員含めて、意識改革をする時期が来ているように思えてなりません。

 外務大臣は、国益のためにはカウンターパートが出席する会合にはすべて出られるぐらいの時間を確保するべきだと考えております。

 また、移動手段についても、欧米各国では、民間機だけでなく軍用機を使用する場合もあって、実に機動的に安全確保を図りながらスピーディーに移動できる環境があります。我が国においては、政府専用機の効率的運用に関して、もう少し考慮すべきではないかと考えていますが、例えば、パウエル国務長官は、必要に応じて政府専用機を使用して飛び回っていることがあるのは、皆さんも周知の事実であると思います。

 残念ながら、我が国では、過去に外務大臣が一人の出張で政府専用機を運航された実績は多分ないと思います。民間航空会社の基本的な利用というのはもちろんでございますけれども、どうしても時間がないときは、政府専用機を飛ばしても大事な外交をするぐらいの臨機応変というのが私はあってしかりだと考えております。

 国会のあり方を含め、議会がどのように変わっていくべきかについて、大臣にとって非常に答えにくいとは思いますが、お考えをいただければありがたいと思います。

逢沢副大臣 恐縮でございますが、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 柔軟かつ積極的な外交を展開させるという意味で、大変すばらしい視点から御指摘また御質問をいただいたものと承知いたしております。

 川口大臣は、平成十四年の二月一日に外務大臣に就任をされ、それ以来、文字どおり、日本外交の責任者として大変な努力を重ねてこられたわけでありますが、この在任二年一カ月の間に、合計三十回の海外出張をされまして、延べ五十六カ国を訪問されておられます。マルチの場、バイの場、さまざまな場があるわけでありますけれども、延べ五十六カ国、三十回、今委員御指摘のように、外務大臣同士の会談、あるいは首脳同士のトップ会談、外交を有機的に進めていく上で大変重要な場でございますが、これからも、国会とりわけ各党の国対関係者等々の御理解をいただいて、できる限り外務大臣の出張の日程を確保させていただくことができれば、私どもとしては当然そう願っておりますが、今後を展望いたしますと、四月上旬に外務大臣の中国訪問あるいはASEMの外相会合、G8の外相会合等々が予定をされているわけでありまして、いずれ手続を踏んで、ぜひ出張させていただきたい、そのように承知をいたしております。

 なお、抜本的に外交を強力に進めていく上で、外務大臣の出張のあり方について、これは、国会で各党間で十二分に御議論をいただく必要があろうかというふうに思います。各国さまざまな制度をお持ちのようでございますけれども、そういったものも私ども十二分に参考にしながら、役所の立場で国会にお願いをすべきことは率直にお願いをさせていただきたい、そのように承知をいたしております。

土屋委員 副大臣、どうもありがとうございます。副大臣も政治家ということでございまして、これは大きな課題であろうと思いますけれども、どうぞ一緒に改革をお願いしたいと思います。

 さて、次に、外務省機構改革に関して質問したいと思います。

 今回の改革の中に、領事移住部が領事局に改編されることがあります。局になって具体的に領事サービスがどう変わっていくのか、在外公館の領事事務の改善策についてお伺いしたいと思います。

 例えば、先般も、邦人が治安当局に拘束され釈放された事案が発生したイラクにおいて、今後の大使館警備を含む邦人保護やトラブルに関してどう対処できるようになるか等で結構ですから、具体例を挙げて説明していただければありがたいと思います。

 また、グローバル社会を迎え、国境の概念が変化していますが、各国の法律を熟知しないままに海外で非合法活動を行い治安当局に逮捕される事件や、営利目的での邦人誘拐事件が発生している中、海外における邦人の危機管理体制に関して、初動から省としての対応が決定するまでのマニュアルが存在するのか、お聞かせいただきたい。

 また、手順に関して、可能な範囲で具体的な流れをお聞かせ願えればありがたいと思います。

鹿取政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が今御指摘になりました、例えば海外で緊急事態が発生した場合、あるいは海外の邦人がいろいろな事件や事故あるいは誘拐、こういうことに巻き込まれた場合に、まずマニュアルがあるかどうかということでございますが、私ども、マニュアルはございます。このマニュアルをベースにいたしまして、その国あるいはその時々の状況を踏まえて対処するということで今やっておりますし、海外における緊急事態対処、あるいは邦人保護、これは非常に重要な問題でございますので、この分野についてはさらに強化していきたいと考えております。

 今、手順というお話がございましたけれども、例えば、最近邦人が犯罪容疑により拘束される、こういう事象がございました。こういう場合においては、マニュアルに、例えば、事実関係の確認と本省への報告、あるいは当該邦人への面会等、弁護士あるいは言葉の問題への対応、こういうことがマニュアルに書いてございます。このマニュアルを踏まえまして現場の領事が対応する、こういうことになっております。

 また、最近やはり緊急事態でハイチの問題がございましたけれども、例えば、ハイチにつきましては、二月十一日に在留邦人の安否確認を行う、あるいは二月十七日に在留邦人の安否確認を行うとともに事態の悪化に備えての退避勧告あるいは退避の意思の有無について確認、こういうことでその時々の状況に応じて現場の領事が対応しております。これは、若干の具体例でございます。

 先ほど先生から、今後、領事局をつくるに当たってどういう分野でさらに具体的に対応するのかという御指摘がございましたけれども、まさに先生御指摘の領事サービス、これは領事にとって極めて重要な分野でございます。

 例えば、領事サービスという場合、窓口業務がございますけれども、やはり窓口というのは、在留邦人との関係におきましても、また現地の任国の外国の方との関係におきましても、非常に重要な問題でございます。我々もう既に一部実施中でございますけれども、窓口の受け付け時間の調整をいたしまして、朝少し早める、あるいは夕方少し遅くする、それぞれの国において事情が違いますけれども、多くの公館において受け付け時間を延長いたしました。

 また、先生よく御承知のとおり、領事シニアボランティアというものを昨年の十二月から導入いたしました。このシニアボランティアの方々は、民間企業において長い実務の経験をお持ちの方でございますけれども、こういう方々が在外公館に配属されて、我々に対してさまざまな観点からアドバイスする、そういうことによって我々の在外における領事事務を一層改善していきたいと考えております。

 そのほか、研修等、意識を改革する、そういう分野についても今努力しているところでございます。

土屋委員 どうもありがとうございます。

 いろいろ細かい点をお話しになりましたけれども、最後の意識改革というのは非常に大事なことであろうと思います。

 私も在任中、いろいろな領事部の直接に窓口で受け答えをした国民の側からの意見を読ませていただきましたけれども、非常によくなっているというのを感じましたけれども、さらに皆様からいい答えが出てくるように今後とも頑張っていただきたいと思います。

 それから、同じく機構改革関連で、国際社会協力部を総政局から大臣官房に移しかえたことについて、なぜそうしたかの根拠を示していただきたいと思います。さらに、組織変更のメリットとしてどのようなことを想定しているかもあわせて御説明願います。多少時間がないので簡略にお願いいたします。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 国際社会のグローバル化が急速に進展する中で、地球規模の問題への対応というのがますます重要になっていると、政務官時代に御指導いただいたとおりでございますが、このような地球規模の諸問題に関する新たな国際的枠組みを構築するために、ルールづくり、こういったものを日本が率先してやっていく、こういうことが非常に大事であると思っております。そのために、全省的に取り組むことができる体制を整備したいと考えてまいりました。このような観点から、国際社会協力部長を本部長とし、関係部局から成る地球規模問題戦略本部をあわせ設置することとしております。

 この本部におきまして、地球規模問題についての基本戦略の策定、人間の安全保障の推進、国際機関の予算、あるいは邦人職員の問題、選挙の問題等々について調整、提言を行うということを考えておりまして、その事務局を担う国際社会協力部が官房的な側面の調整も有機的に行える体制が望ましいと考えております。

 また、国際社会協力部は、人権、保健、環境、経済、社会と幅広い案件を扱っておりますので、関係部局との緊密な連携がますます重要になっている、このように考えております。

 こうしたことから、総合調整の機能を有する大臣官房に移管するということを考えたわけでございますけれども、さらに、国際社会協力部を現在の三課体制から五課体制に強化するということで、一層の力をつけていきたいと思っております。

 一層努力してまいるつもりでございますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

土屋委員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、私も一緒に仕事をさせていただいて、非常に幅広い部であるということは認識しておりまして、やはりもう少し国民にこれだけ仕事をしているということがわかるためには、やっぱりルールづくりなんかを、本当に外務省がしっかりと諸外国に対して提言しているんだということがわかればいいなと思いますので、その点、国民にもうちょっとわかるように頑張っていただきたいと思います。

 それから、文化交流部の問題なんですけれども、文化交流部を広報文化交流部に部内改編と名称変更したことで、どのように対外活動が変わるのかということをお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、ちょっとお願いでございますが、多分、観光立国に関してはこの文化交流部が関係するのではないかと思いますけれども、小泉総理が観光立国を標榜していますが、この政策に関しては省をまたいで横断的に取り組まなければいけない問題でございますが、対外的な宣伝に関しては何といっても外務省がリードをしていかなければならない問題でございますので、ぜひ宣伝マンとしての大使や公使の意識などを高めていただいて、ぜひお願いしたいと思います。私も実は党の国土交通部会で観光立国を担当しておりまして専任部会長を仰せつかっておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから最後に、大臣や副大臣、政務官がお忙しいこととは十分承知の上で、もう十分になさっていると思いますし、十分にわかっていらっしゃると思いますが、私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 第一に、日本駐在の各国大使館に対するアプローチを大臣が先頭に立ってぜひとも活発にしていただきたいと思います。例えば、イラク開戦後に、我が国の立場を理解してもらうために、川口大臣が中東諸国の大使を招き懇談を行ったことは大変意義があったと思います。こういう時を得た対応というのが非常に大きいなというのを私は肌で、そばで感じたものですから、こういうことを言わせていただいております。

 それから、自分自身が海外で直接要人に会うことと同じぐらいに、各国大使とコミュニケーションをとることが大切であると感じています。私自身、可能な限り大使館のレセプションなどにも出席しておりますが、もっと国会議員が意識改革をして外交活動を活発化しようと思うくらいに、これまで以上に外務省の閣僚が先頭に立ってよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、第二に、外務省としても、組織機構改革ありきではなく、我が国を取り巻く国際環境の変化を敏感にとらえ、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返してほしいと考えております。今回の機構改革が十年も二十年も国際社会の中で通用するほど甘いものではないと思っております。それを認識していただいて、ぜひとも、常日ごろから見直しをかけて、それが実行できる柔軟な組織風土を持った外務省であり続けてほしいと思います。

 きょうはどうもありがとうございます。

米澤委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ただいま本委員会で審議になっております二法案及び関連事項について御質問させていただきます。

 まず、儀典長を現在の法律職から政令職の方に改正することとなっておりますけれども、儀典長の職務を考えますと、国公賓の接遇ですとか天皇あるいは皇族の方の海外訪問の際のハイレベルでの調整等、非常に重要な職務を担っております。今回、この改正によって法律職から政令職にすることで、相手国との職務序列の不均衡など懸念するところでありますが、本改正の必要性及び改正が与える外交上の影響についてお伺いをします。

川口国務大臣 改革によって外務省の機能をより戦略的でより能動的な外交にしていくためにさまざまな機構の拡充をやったわけですが、その過程で、本当に苦渋の選択として儀典長のポストを法律職から政令職にせざるを得なかったということですが、おっしゃるように重要なポストでございますので、実質的に内容がこれによって落ちていくということはゆめゆめあってはならないと思っておりまして、その意味で、今まで経験が豊富な者を大使として処遇してこのポストにつけるということも考えております。また、その他、儀典長という名前を維持したということも、そういうことでございます。

 相手国との関係も含めまして、十分に、実質的に何ら違いはないんだということについて説明をきちんとしていきたいというふうに考えております。

丸谷委員 私も儀典長の方の働きぶりを駐日大使館あるいは各種のレセプション等で拝見させていただきまして、非常に国内においても海外においても御活躍していただける方ですけれども、国内においても非常に精力的に外務省の代表として頑張っていらっしゃる姿を拝見しておりますので、ぜひ、その重要な職務を考えた上で、今後もより一層の儀典長としての役割を果たしていただきたい。この改正がその役割を果たす上で何ら支障がないものというふうに理解をしておりますけれども、より一層の儀典長の御活躍を希望するものでございます。

 続きまして、在外公館の名称変更についてお伺いをしたいと思いますけれども、今回、在カザフスタン大使館を現在大使館がありますアルマティの方から首都のアスタナへ移転することになります。そもそも、カザフスタンの首都移転というのは一九九七年に開始されておりまして、二〇〇四年のことし、当委員会で大使館の移転を審議することになった理由は何なのか、お伺いしたいと思います。

 同様の法改正が行われた例としまして思い出しますのは、ドイツの首都がボンからベルリンに移った際に、首都移転が開始されました九九年に、日本国内のこの委員会におきまして名称位置給与法を改正したと記憶をしておりますけれども、今回のカザフスタン大使館のアスタナへ移転することについては、七年以上経過しております。この理由についてお伺いします。

逢沢副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、一九九七年以降、カザフスタンの政府機関のアルマティからアスタナへの移転が開始をされたわけであります。当時、新しい首都アスタナには、首都ではございましたけれども、必要なインフラが十分整備をされていなかった。各国とも、アスタナの整備状況を見守ってきた、正直そういった状況がございました。しかし、最近になりましてアスタナの首都整備も本格化してまいりましたし、我が国も、また主要各国も、大使館の移転について、そのアスタナの整備状況と合わせる形で検討を開始がされたというふうに承知をいたしております。

 そして、我が国政府といたしましても、このたび移転に向けた環境が本格的に整ってきたということを判断させていただきまして、このたび御審議をお願いした、こういう経緯でございます。

 ちなみに、諸外国のことをちょっと御報告申し上げておきますと、ロシアは一昨年二月に大使館のアスタナ移転を完了されたわけでありますけれども、米国、英国、中国、EU各国につきましては、目下大使館のアスタナ移転に向けた準備を進めていらっしゃる、そのように承知をいたしております。

 なお、アスタナには出張駐在官事務所を設置いたしまして、アルマティにありながらアスタナとの連絡を十分今日までとってまいりましたということについても御報告をいたしておきたいと思います。

丸谷委員 続きまして、では、在勤手当の改正についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正に伴いまして、平成十六年度予算案では、在勤手当が約一億九千万円増、前年度に比べますと一・三%増となっております。為替の変動ですとかあるいは物価を勘案して決定することと承知しておりますけれども、一層の透明化を図っていくべきではないかと考えております。一般職の公務員の給与額の決定に際しては、人事院が研究調査を行いまして、その結果を国会及び内閣に報告するようになっており、在勤手当の決定におきましても、国民に対する情報発信をしていくことで、より一層の国民の理解が得られるものというふうに考えますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

川口国務大臣 在勤手当でございますが、これは今委員がおっしゃられましたように、この額の決定をするに当たりましては、在外公館長から、それぞれの任地の物価指数ですとか通貨についての為替相場、あるいは任地の勤務、生活環境等に関する各種のデータ、情報、これを定期的に、そして必要に応じて報告をさせているわけです。

 おっしゃった透明性の確保ということは、私も大変に重要な視点だというふうに思っています。今やっていることというのは、これは在外公館名称位置給与法に基づいて、法律に決まっているとおりやっているということでございます。そして、外務人事審議会という外部の人に来ていただいている審議会にそういったデータを報告しているということですけれども、このプロセスをより一層透明化するためにどうしたらいいだろうかということで検討をしてもらいました。

 そういう観点で、在勤手当に関する基礎資料となるデータ、情報、これについて、外務省のホームページ等を通じて公開をこれからしていくということで、今その細部について検討をさせております。

丸谷委員 ぜひ情報の透明化に努めていただきまして、国民の外交への理解、また外交官への、その仕事ぶりへの理解が進むように努めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 続きまして、関連事項としまして、ぜひ外務省改革についてお伺いをしたいと思います。

 今質問をさせていただきました内容についても、大臣の御答弁は、在勤手当についてより一層の透明化を図るためにホームページで情報を提供していくと、非常に改革について前向きでまた実効性のある御答弁をいただいたわけですけれども、実際に、報償費問題から始まりまして、本当に外務省改革が叫ばれている中、いろいろ紆余曲折がありながら、確かに外務省は変わってきているのだろうかというところを、外務省問題というのを風化させることなく、やっていることはやっている、まだこれからやることはこれからやるというふうに立て分けをしながら、着実に外務省改革を進めていく必要があるという認識に立ちまして、次の質問をさせていただきたいと思うんです。

 ちょうど私が外務政務官をさせていただいていた際にはその報償費問題が始まった時期で、本当に毎日毎日国民の皆様から外務省に対しておしかりのメールまたお電話、ファクスというのが本当に山のように届きまして、その声を十分に外務省改革に生かしていかなければいけないという非常に厳しい状況の中であったことが自分も記憶に新しいところでございますけれども、その後、外務省のホームページでも公開をされています、外務省改革の具体的な成果について、平成十四年には「変える会」の最終報告が出て、そして平成十四年の八月には行動計画を出していただいて、昨年の三月には進捗状況と総括を公表し、その中では「外務省は大きく変わりつつある。」というふうに外務省として評価をされているわけですけれども、国民の理解は得られているのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

 平成十五年の一月一日から広聴活動に専念する独立部門として広聴室を設置されていると思います。その総受け付け数も莫大なものがあると思いますけれども、数年前の九割九分九厘がおしかりだった時代に比べて、国民の、外務省は変わってきているなという声が少しでも出ていれば、国民の皆さんに理解が一歩ずつ深まっているものというふうに推測されますけれども、国民の理解、外務省としてどのようにとらえていらっしゃいますか。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、国民の皆さん方の理解と支持なくして外交は成り立たない、私どもも厳しくそのような認識を持っております。川口大臣を先頭に、中心に、外務省改革の実を上げるべく、省員一丸となって、もちろん国会の御指導をいただきながら、引き続き努力をさせていただいております。

 大臣は、口を開けば、外務省改革のキーワード、透明性、スピードそして実効性、この三つについて発言をなさっておられますけれども、「変える会」からの提言をもとに私どもが策定をいたしました外務省改革に関する行動計画、これに基づいて改革を鋭意進めてきているところであります。ホームページで広報するほか、節目節目で対外的な発表をわかりやすく行わせていただき、引き続き、国民の皆様方に理解をいただけるように、これからも懸命に取り組んでまいりたいと思います。

 委員御指摘のように、国民の方からさまざまな激励やまた引き続きのおしかりのメールをいただいているのは事実であります。しかし、国民の方々から、外務省頑張れ、外交は大事だ、そういう声が非常に真摯に寄せられている、そのことに私どもは大変励ましを受けているわけであります。

 二、三、御報告、御紹介をさせていただきますと、例えば、営繕関係の仕事をしている人たち、その他縁の下の力持ちになっている省員の声をホームページにもっと載せるべきではないか、こんな指摘もございました。あるいは、在外公館シニアボランティアを採用する、大変よい試みである、こういった主婦の声もございます。しかし、引き続き、外務省改革は進んでいるけれども、あからさまにエリート街道を邁進している人たちにしかスポットが当たっていないように見える、こういった厳しい御指摘もございますが、一つ一つの国民の皆様方の声を真摯に受けとめながら、今後の改革にぜひそういった国民の皆様方の思いを生かしてまいりたい、そのように承知をいたしておりますので、国会の先生方の引き続きの御指導と御叱正をあわせてお願い申し上げておきたいと思います。

丸谷委員 私もこれを外務省のホームページで見させていただいて知ったことでございますけれども、昨年一月一日に独立部門として設置をされました広聴室、一月から十一月の総受け付け数は、メールで五万四千件、ファクスあるいは手紙では一万三千二百件、電話が三千八百件と、やはり省庁の中でも非常に多い数字、多い数なのかなと、国民の意見が非常に多く寄せられている数なのかなと思います。

 その中で、本当に少しずつではありますけれども、外務省の改革について国民の皆さんが今の副大臣の御答弁から理解をしていただけているんだなというような印象を受けました。本当に数年前は九割九分九厘がおしかりの、また叱咤、叱咤、叱咤と、激励があったときは本当に珍しいぐらいでございましたけれども、今は随分と前向きに激励をしていただけるまでになったというところを、ぜひ省員の皆さんもそれをもとにしながら、より一層外交官としての役割を果たしていただきたいと思います。

 続きまして、報償費の問題が出たときにやはり一番大きな問題となりました在外公館のお金の使い方でございますけれども、この在外公館につきましてもっとしっかりと本省の中で監査をしていこうということで、監査、査察の充実ということが図られていると思います。

 監察査察官に現職の検事を採用されましたし、あるいは公認会計士の方を任期つきで三名採用されていらっしゃいます。また、特別集中査察を実施しまして、今までに百二十公館ほど査察が済んでいるものというふうに思いますけれども、そもそもがこの外務省不信の発端となりました在外公館等の報償費の扱いを調べるべく、この監査、査察の問題、その後どのように進捗されているのか、この点についてお伺いをします。

田中大臣政務官 お答えをいたします。

 丸谷委員が外務大臣政務官として当時から取り組んでおられましてお詳しいということは承知しておりますけれども、私の方から一応の御答弁をさせていただきたいと思います。

 外務省は、お話ありましたように、一連の不祥事を受けまして、外務省改革要綱で述べられているとおり、外部の専門家の参加を得て、中立性、公平性を確保しつつ査察を実施してきております。

 具体的には、平成十三年九月末から公認会計士、弁護士などの外部専門家の参加を得ております。また、一昨年四月に、お話ありましたように、現職の検事が監察査察官として任命された後は、協力を得て、集中的かつ広範囲にわたる特別集中査察を実施してまいりました。お話ありましたように、百八十九公館中、百二十公館が今のところ行われたところでございます。

 今後も、在外公館に対する特別集中査察をできるだけ早期にすべて終えてまいりたい、こういう思いでございます。

 あわせて、成果についても少し触れさせていただきたいと思っております。

 現在、査察使が在外公館の活動及び運営状況、経理状況、在外公館に勤務する外務公務員の能率、研修及び服務状態につきまして、すべてチェックをいたしております。その結果をまとめて、査察報告書を作成しております。

 報告書の中では、査察公館ごとに運営管理等についての問題点の指摘を個別に行っております。また、在外公館に共通する事項についても、必要な場合には対処方針を提言しております。右提言に関しては、必要な場合には改善策が種々講じられることになっておるわけでございます。

 順次、ひとつ改革ということで頑張ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

丸谷委員 本年度中に残りの在外公館についても査察を完了されるめどの中で集中的に行われているんだというふうに思いますけれども、その監察、査察の成果、情報公開できない部分は当然あると思います。

 警備の面ですとか、あるいは個人的な情報の面ですとか、そういったところから情報公開を詳しくはできないのは理解するんですけれども、それでは、この報償費の問題となった、発端となった在外公館のお金の使われ方、あるいはそれを是正するために査察をしますといった流れの結末を、どのような形で、全部査察が終わったときに国民に対して何かメッセージを出すのかどうか、あるいは何をもって査察をすべて完了して、外務省は報償費あるいは在外のあり方等で何一つ不正がございませんというところを何をもって国民に理解をしていただこうとするのか、この点がちょっとわからないんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

田中大臣政務官 今丸谷委員からもお話ありましたように、やる以上はしっかりとした成果を上げて国民の理解が得られる状況にしなければならないと思います、実際に報償費の問題があったわけでございますから。査察の中で具体にわかったものについて問題があればその都度ということでありますが、最後までやってみてまとめていかなければならないものもあると思います。

 具体に申し上げますと、提言または改善提案事項の例といたしまして申し上げます。出納官吏研修の充実、公私の基準の一層の明確化、指針の本省における作成、便宜供与の基準のさらなる明確化、在外公館内規の早急な整備、館員または館内の意思疎通の改善、館内の業務分担の改善等、具体的に指摘がございますし、また問題をその都度対応していきたいと思っております。

 以上でございます。

丸谷委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、具体的に、個別的に対応していただいたものに対して、どのような報告を、説明を国民に対して今後されていくつもりなのか、この点はぜひ今後の課題として考えていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 以上です。

米澤委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。

 案件となっております二法案につきまして簡単に質問をさせていただき、そして、時間がもう少し余裕があるようでしたら、外交面一般について質問をさせていただきたいと思います。

 それではまず、外務省の設置法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思うんですが、法律職である儀典長の廃止について、その経緯を含め、どのような議論があったのか、お答えいただきたいと思います。

北島政府参考人 お答え申し上げます。

 儀典長の廃止についての議論でございますけれども、外務省といたしまして、外務省を能動的、戦略的な外交を展開できる組織としたいということで、選択と集中をテーマとしまして省内で議論を重ねました。その結果、領事局の新設を初めとする大幅な機構改革をしたいということを決めたわけですけれども、その際に、行財政事情が全般的には非常に厳しいものですから、その中で、やむを得ない措置として法律職の儀典長の廃止を決めたということでございます。

 他方、その際に、儀典長の外交上の役割、これは、先ほども言及されましたが、引き続き非常に重要であるということで、私どもとしましては、政令で新たに儀典長という名称の職を置いて経験豊富な者を充てて、さらに大使の名称を付与するなど必要な策を講じることによってその機能については今後とも維持したい、そういう考えでございます。

阿久津委員 儀典長という役職が今度法律職から政令職になるということで、いわば格が下がるというふうに理解してもいいと思うんですけれども、官房内に置かれるということでありますから、バランスからいえば儀典長ではなくて儀典官とすべきという議論もあったんだと思うんですが、それについてお答えいただきたいことと、それからもう一つ、法律職が廃止されたということで、政令職としての儀典長の給与はどうなるのか、下がるのか、大体同じぐらいなのか、その辺についてもお答えいただきたいと思います。

北島政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 まず、儀典長が法律職から官房の中に政令職として来るのであれば、当然名称が変わってしかるべきではないか、そういう議論があったのではないかというお尋ねですが、確かにございました。霞が関の一つの考え方としまして、ポストが変われば、法律職から政令職に変われば、名前が変わって不思議ではないのではないか、そういう議論も確かにあったんですが、同時に、先ほど来答弁していますように、儀典長については非常に大事な役割があるものですから、在京外交団等との関係で、私ども、名前についてはこれをぜひ維持させてくださいということを関係当局にお願いしまして、それが認められたということでございます。

 二つ目のお尋ねの予算、人件費ということでございますけれども、法律職から政令職に変更することに伴いまして、人件費の予算額、これは確かに減少をいたします。念のために申し上げますと、法律職の場合には、人件費としては一千三百万円強だったものが、政令職になると一千百万円程度になる、そういうことがございます。

阿久津委員 私は、結論から言えば、今のでよかったのかなと思うんです。儀典長という名前を維持してよかったのかと思います。それはやはり、名前で、肩書で相手を見てくださるわけですし、むしろ給料がふえないのであれば、そういった肩書を十分に生かしていただいて、今までと変わらぬ活動をしていただきたいというふうに思っております。

 その中で、官僚の世界の場合、事務次官になるまでに、ピラミッドのように、だんだんやめていって、事務次官と同期の方、それより若い方がすべて職員という形になると思うんですけれども、なかなかその慣例を破るというのは難しいと思うんです。ただ、私は、儀典長のような職については、たとえ事務次官よりも年長の者であっても、どんどん働いてもらって、採用していただいていいんではないかと思うんです。今回、外務省における法律職が政令職に変更されたという改革は初めてだと聞いています。初めてのことができるわけですから、その辺も思い切ってぜひ検討していただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 今回の機構改革によって具体的に何がどう強化されるのか。領事局の強化とか、危機管理体制の強化とか、情報収集、分析力の強化とか、いろいろとうたわれていますけれども、特に情報分析体系の強化について伺いたいと思います。

川口国務大臣 今回の外務省の機構改革については、幾つかの目玉といいますか、重点事項がございます。今おっしゃった情報収集の強化もその一つですけれども、幾つか、どういうものがその重点かということで申し上げたいと思います。

 まず、総合外交政策局の改編による外交戦略策定機能の強化ということが一つございます。それから、先ほど来申し上げています領事局及び危機管理の体制の強化、これは参事官を新設しますが、それによって日本国民の保護と危機管理の強化をするということです。それから、国際情報統括官の新設を行いまして、情報収集、分析能力の強化を行います。四番目に、国際社会協力部の改編によりまして、いわゆるルールづくり、マルチの国際的な枠組み、これを構築するための取り組みを強化するということです。そして五つ目に、平和構築、定着ということをずっと言ってきておりますけれども、これを切れ目なくやるという意味で、委員会を設置して行って、この面でのイニシアチブを強化するということが重点です。

 それで、委員が御関心の情報収集、分析機能の強化ですけれども、まず、組織的に考えていますのは、局長から局長級の分掌職の体制に移る国際情報統括官ということで、専門性の高い組織にするということであります。そして、政策部門との連携も強化をするということでございます。課の体制も、今三つあるわけですけれども、これを課長級の職を一つふやしまして四つにいたしまして、多層、重層的な意思決定にならないように、フラットな組織にして、専門性と同時に機動性をあわせ持つ組織にしていくということでございます。それから、複眼的な、そして分野横断的な、また中長期的な視点に立った情報収集と分析を強化するという観点で、分野ごとに深い知見を持っている専門家、これを配置しまして、そしてまた組織の中で人的な資源、これを充実していくということを考えているわけです。

 ということでございまして、国際情報統括官というものを設け、その下に課長級の人たちを四人置くということで、フラットな組織にして、刻々変わる国際情勢に対応していきたいと考えております。

阿久津委員 組織体系の改編はよくわかったんですけれども、先ほども指摘がありましたけれども、私は、率直に言って、日本の外務省の情報収集、分析力というのはまだまだ弱いというふうに考えております。

 特に、一番の問題点は、私は、米国の情報に負い過ぎているんではないか。米国の情報一極集中的で、かつ間接情報、米国を通じて何の情報も得てしまう。もちろん友好国米国からの情報は最重要なものであります。しかし一方で、もっと多角的に直接情報をとれるような努力をもっともっとしていただきたい。アジアの情報、ヨーロッパの情報、そのほかさまざまな情報があると思いますので、ぜひそこをお願いしたいというふうに思います。

 続けて、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思うんですが、こちらの方は、大体ばあっと見ますと納得いく点が多いんですが、二つほどちょっと伺いたいことがあります。

 一つは、在重慶日本国総領事館の設置に関して、その選定理由を伺いたいと思うんです。利便性とか交通とか在留邦人の数とかいろいろあると思うんですけれども、その辺についてお答えをいただきたい。なぜここを選んだのかということです。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 重慶でございますけれども、これは一九九七年に直轄市というふうになってございます。これは、北京、上海、天津に次いで四番目の直轄市ということで、州と同じ扱いをする、それだけやはり重要な都市ということ、特に地理的でございますけれども、中国の内陸部における中心的な都市であるということでございます。

 そして、これは、今まさに委員御指摘のとおり、利便性というか、交通ということからいいますと、私も参りましたけれども、上海から飛行機で二時間半以上かかるという非常に離れた場所にございます。また、この地域というのは西部開発ということでこれから非常に重要になってくる地域でございまして、そうした中で、在留邦人の数も、過去四年間で三七%増という、比較的に、分母はそれほど大きゅうございませんですけれども、伸びている。進出企業の数も伸びております。

 この地域、特に地理的に申し上げまして非常に西側にありますけれども、今回予定させていただいていますのは、この重慶市、そしてまた四川省、貴州省、雲南省、チベット自治区ということで、従来これは大使館から見ておりましたけれども、北京からですと非常に遠いところにございます。

 そういう意味で、日本企業との関係もございますが、全体的な、地理的な重要性、そして利便性等々を考えますと、やはりここにぜひ総領事館が必要だと。実は九八年から駐在官事務所というのは置いておりましたけれども、ますますその業務がふえてきているということで、きちんとした総領事館として体制を組んで事務に当たる必要がある、こういう判断でございました。

阿久津委員 別にそこをやめろと言うつもりはないんですけれども、私、個人的には、お隣の四川省の成都に、同じ新設するならそちらの方がいいんではないかというふうに思ったんです。といいますのは、四川省の成都の方が治安が少なくとも格段にいいんではないかというふうに思うんですが、こういった議論はなかったのか。簡単に一言で結構です。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、成都か重慶かというのは我々も検討いたしました。しかし、やはり先ほど来申し上げましたように、邦人、企業の数、そしてまた、最近においてまさに直轄市になるということで、全体としてはここの戦略的な重要性というのを非常に我々としてはより重要視したということでございまして、今御指摘のように、そういう比較考量というのは我々もした結果でございます。

阿久津委員 結構でございます。

 もう一つ、気になる点について伺いたいと思います。

 在外公館に勤務する子女教育手当の加算限度額の改定について、その根拠は何か伺いたいと思うんです。これは、私は細かいことを余り言うつもりはないんですけれども、国民から見ると、今どきに引き上げるという部分については、ある種しっかりした説明がなければ納得ができないというふうに思いますので、伺わせていただきます。

北島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、子女教育手当の考え方でございますけれども、在外にいる職員の子女が海外で教育を受けるに際しまして、国内での経費よりも追加的に必要となる経費に充当するために支給されるということでございますけれども、各在勤地において子女を就学させることが可能な学校の中で、授業料等が最も低廉な学校を基準校として選定して、同基準校の授業料等が定額を超過する場合に、この定額というのは一万八千円なんですが、それを超える場合に、その超過分について一定限度まで加算支給するという考え方でございます。

 この加算限度額なんですが、実は、平成四年度、今から十二年前ですが、平成四年度に現行の六万三千円に改定されて以来、引き上げが行われてきていなかったということですが、最近の状況を見ますと、十二年前と比べて現地の学校の授業料等が相当程度上昇しているということがございまして、この限度額を大幅に超過する基準校が年々ふえてきているということがございます。

 そのために、こうした学校に子女を就学させている在外職員は現在平均で約四万一千円の自己負担を強いられているということで、このような負担を緩和するために、今般、加算限度額を九千円増額することとしたいということでございます。

 ただし、日本国内においても、子女を私立の学校に就学させるということが一般化しているわけですし、今度、加算限度額を引き上げる対象は、日本国内であれば無償で教育を受けることが可能な小学校、中学校課程に相当する教育機関に就学する子女に限定するということにしまして、高等学校に相当する教育機関に就学する子女については、これまでの加算限度額のままというふうに考えております。

阿久津委員 引き上げられたとしても、全体で千六百五十万円ほどの負担だというふうに聞いております。ただ、平成四年度、前回の引き上げというのは、これは一九九二年ですか、バブル直後ですよね、もちろん日本を中心に考えた場合ですけれども。日本でいえば、バブルのころのものから引き上げられているものというのはほとんどないというふうに理解しているものでございます。

 それから、今の御説明の中で、為替相場や物価水準の変動状況等を勘案した結果として在勤基本手当が改定されるわけですけれども、この改定を超える著しい変化が子女教育の中で出ているのかというと、ちょっと納得がいかないところもあります。今回の場合はともかく、今後改定される場合は、ぜひその辺を慎重にしていただきたい。

 やはり日本もだんだん二極化しております。上流階級というか、上の方々の教育がそういう形でやられている一方で、本当に食べることにさえ厳しい状況の方々も日本の中には大勢いらっしゃるということです。ただし、海外において、ある種、学校の選択がその子女の安全につながるということは私も理解しておりますので、その点は申し上げておきます。

 次に、ちょっと時間がまだございますので、外交全般について質問をさせていただきたいと思うんですが、まず初めに、日本外交を展開していく上での愛国心についてどう考えるか、ちょっと私、大臣に伺いたいと思うんです。

 といいますのは、先日、同僚の松原委員が、外交とは何か、外交をどのようなものと認識しているかという質問をされました。そのとき、大臣は、国益の確保と日本の繁栄が大事で、それをやるためにも日米同盟、国際協調が大事だ、国際社会で自分の国のことだけ考えるということではなくて、世界が課題としていることに対して、我が国としてそれに対して積極的に取り組んでいく、それをやっていくための枠組みを世界でつくっていく、そのためのリーダーシップをとり、実際にそれを実行していく、そういうことが大事だと、すらすらすらと答えられたんです。私は、実は、何か胸にすとんと落ちないなというふうに思っておりました。

 そうしましたら、恐らく松原委員もそういうふうに感じたんだと思うんですけれども、松原委員が、繁栄の概念というのは物質的な部分の繁栄だけではない、日本人の精神的な部分において、ある種のプライドを持って、自負心を持って日本人が生活をする、そのことを外交をもって検証していくということだというふうに述べておりまして、私もそのとおりだというふうに感じております。

 外交の起点には、私は、愛国心というものが必ずあって、愛国心はもちろん人に強要するものでもないし、秘められたものであるかもしれないんですけれども、日本外交を展開していく上で愛国心についてどう考えるのか、大臣にとって愛国心とは何であるのか、お考えを率直にお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 大変に大きな御質問であって、どのようにお答えをするのが一番いいかなと、今ここに立ちながらちょっと考えておりますけれども、私が愛国心という言葉を聞くときに真っ先に思い浮かべることというのは、ケネディ大統領の、ちょっと言葉は正確ではありませんが、国が自分のために何をするのか、してくれるのかということではなくて、あなたが国のために何をすることができるのかということを考えるべきだということを、就任演説だったと思いますが、言われたわけでございます。

 当時、私は大学生でございましたけれども、その言葉を聞いて、すとんと、本当にそうだと思うところがあったわけでございまして、愛国心というのは、これは外交との関係はちょっとまたその後でも言いたいと思いますけれども、自分が国のために何をすることができるかということであると私は思っています。

 もちろん、そのベースとして、自分の国が本当に好きだ、自分の国を愛している、誇りに思っている、自分の郷土を愛している、さらにそのベースに、自分の家族を愛している、自分自身を愛しているということがずっとあって、その上に自分の国を愛する心があり、その国を愛する心というのは何かというと、それは国をよくするために自分がいかなる犠牲を払い、何をできるかということを常に考え行動していくということであると私は思っております。

 それを育てていくものというのは、基本的に言えば、まずスタートは自分を愛するところから始まらないといけないと思いますので、家庭の教育であり、学校の教育であり、あるいは社会から学ぶものでありといった全部が関係をしてくるということだと思います。

 それで、外交との関係で愛国心がどういう役割を果たすかということですけれども、私は、愛国心を持つ国民というのが、外交の舞台といいますか、外交の背景、外交のベース、どういう言葉を使っていいかわかりませんけれども、そういうものであると思います。

 そして、これは松原議員のときにも申し上げたという記憶がございますけれども、そういったものを育てること、それが外交と表裏一体、それがあっていい外交ができるということであり、また、そのいい外交をやるということが、さらに自分の国を愛する心、それにフィードバックをされていくといいますか、それにまた流れていく、お互いに影響し合っていくということであろうと思います。

 ただ、外交がそもそもの愛国心をつくるわけではない。愛国心というのは、そもそも存在をしている。それは、家庭であり、社会であり、教育であり、いろいろなところから、まさに国を愛する国民が大勢いる、そこに外交が働きかけるということであると思います。そして、外交がそれをますますレベルの高いといいますか、強いものにしていく、幅の広いものにしていく、そういう役割を外交は持っているというふうに思います。

阿久津委員 今大臣の答弁を聞いていて、客観的に、冷静な方なんだなというふうに私は思いました。

 実は、私、JFK、ジョン・F・ケネディというのは、私にとりましても政治のある種の原点で、小学校四年生のときにケネディの伝記を読んで政治家になりたいと私も志したものでございます。私にとっての愛国心というのは、もうちょっと魂に近い部分からわき出るもので、血が体じゅうをめぐって、そこから何か発散されるような形でわき上がってくる愛国心、そこからボランティア精神とかいうものが生まれてくると思うし、外交においても、あるいは世界で活動するにおいても、毅然とした態度で、プライドを持って、日本人としての誇りを持って礼儀正しく生きる云々というようなことは、そこからわき出てくるのかな、内面からわき出てくるのかなというふうに思っているんです。

 ちょっと一つ、別に嫌みではないんですけれども、感じたのは、やはり本当は、私は、外務大臣というのは選ばれた議員、民間人ではなくて政治家がなるべきだというふうに今答弁を聞いていて思いました。

 というのは、やはり選ばれた政治家は有権者をバックにしているわけで、その有権者の熱い思いが何かの愛国心みたいなものとシンクロして、そこからわき出るところがエネルギーとしてすべての問題に突っ込んでいく、取り組んでいくというところ、その何か情熱みたいなものがちょっと大臣に感じられないときがあるんです。

 次の質問に私移りたいと思うんですが、その質問というのは、イラクにおける日本人外交官の襲撃事件なんです。

 これは、実はもう四カ月たっている、四カ月たっているけれども真相究明がなされていないんですね。私は、奥大使も井ノ上書記官も、外交官として本当に愛国心を持った、ボランティア精神も含めて、熱いものを持った青年だったのかなと思っていて、その本当に前途有為な青年が亡くなったと。川口大臣からすれば部下を亡くしたということだと思うんですけれども、真剣にやっていらっしゃるのかもしれない、あるいは表面的に冷静さがあるから冷たく見えるのかもしれないんですけれども、何か、もっともっとこの問題について情熱的に取り組んでいただきたいなという思いがあるんです。

 そこで、ちょっと伺いたいんですけれども、イラクにおける日本人外交官襲撃事件について、現時点での真相究明結果について、知り得る限り簡潔にお話をいただきたいと思うんです。

 それで、テロではなくて、米軍による誤射ではなかったのかという説もあります。それがそうではないというのであれば、そうではない根拠も示して真相を語っていただきたいというふうに思います。

川口国務大臣 イラクのことにつきましては、後で局長からきちんと話をさせていただきますけれども、一連の先生のディスカッションを伺って、先生はさぞかし情熱的な方でいらっしゃるんだろうというふうに思うに至っております。

 それで、外務大臣が政治家でなければいけないかどうか、これはさまざまな意見があると思います。世界の国を見渡したときに、政治家が外務大臣になっている国もあればそうでない国もあるわけで、外務大臣という仕事をする上で、例えばアメリカの例を見ても政治家ではないわけでございます。外務大臣という仕事、機能、それ自体が政治家であることを要求しているかどうかということを言えば、これは世界でいろいろな国があるわけですから、それはそういうことは言えないということは現実が証明をしていると思います。

 それから、日本において閣僚の半分までが民間出身でいい、二分の一未満ですけれども、というふうに憲法でされているときに、いろいろな大臣の職がある中で外務大臣が政治家でなければいけないか、それも私はそうではないというふうに思っております。これは、国民の意見を代表しているかどうかということで言えば、まさに国民の信頼の厚い総理が選んだというのが閣僚、政治家であれ政治家でなくても、ということでありますから、その点で全く問題がない。閣僚個人が国民によって選ばれているということは必ずしも必要ではないというふうに私は思っております。

 そういう意味で、私は、外交というものは冷静でなければいけない、パッションに押し流されて外交をやるということは一国の外交政策を誤るということになるというふうに思って、常に自戒をいたしております。

 それで、奥大使そして井ノ上書記官、この方々についてこういうことが起こったということは本当に痛恨のきわみでございますけれども、いろいろ今調査等を警察にもお願いしてやっているわけでございます。その詳細については堂道局長の方からお話をさせていただきたいと思います。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 この事件につきましては、私どもは引き続き現地の関係当局とも緊密に連絡をとりつつ真相究明に努めております。できれば犯人を捕捉したい、こういうふうに考えておりますが、残念ながらまだ犯人の捕捉には至っておりません。

 現在までに得られた種々の情報はございますが、それを勘案すれば、この事件はテロリストによる犯行の可能性が高い、しかも車の並走中に襲撃された可能性が高いということを判断しております。

 御指摘がございました米軍による誤射説、これにつきましては、どのような根拠に基づくものなのか、全く明らかでございませんが、私どもといたしましても、そのような説にくみするものではありません。この事件発生直後から、私どもとしましては、独自の情報収集を行うとともに、米軍、CPA、現地の警察などから情報提供を受けておりますが、米軍による誤射を示唆する内容のものは一切含まれておりません。

阿久津委員 要するに、走行中というか並走中に襲撃された、それは恐らく車の左側に銃弾が集中していたということからおっしゃっているんだと思うんですけれども、また警察の方からも補足があれば、後で伺う時間があれば伺いたいと思うんですが、私なりに、時間経過に基づいて、少し自分で推測のノートをつくらせていただいたんです。それで間違っているところがあれば逆に御指摘いただきたいと思うんです。

 私の考えを言えば、まず、二〇〇三年、昨年の十一月二十九日、現地時間十時ころですね、奥大使及び井ノ上書記官を乗せたランドクルーザー、これはレバノン登録の防弾車で、日の丸、ナンバープレートはなかったというふうに聞かれておりますが、それがイラク人運転手により大使館を出発しました。ティクリートで行われる復興支援会議に出席するため、昼過ぎくらいの現地到着を目指していたんだと思われますが、ほかの参加者である米軍、CPA、NGO等のバグダッド在住の関係者も、国道一号線を通って大体同じ時刻に向かっていたはずでございます。

 それで、十二時ころ、奥大使と上村イラク臨時大使が電話連絡をとっているということでありますので、それ以降に撃たれたんだろうと。それで、十二時過ぎ、奥大使と井ノ上書記官の乗った車が、ティクリートの南約二、三十キロ手前地点で襲撃される。第一発見者のハッサン・フセインさん、四十二歳、食料品スタンド店主と言われていますが、発砲音を聞いたのは十二時三十分ごろ、バグダッド方向から走ってきた車がスタンドの手前で右に大きくカーブを切り、路肩を外れて六十メートルほど畑に鼻先を突っ込むようにとまった、すぐ後ろから米軍の車列が通り過ぎていったと証言していると言われている。イラク警察が到着をして、ティクリート病院へ搬送された。十四時ごろ、ティクリートで行われた復興支援会議の冒頭で、広報官のマクドナルド大佐が、二人の日本人とレバノン人が、ムカイシファの南四キロの地点で銃撃され、ティクリート病院へ運ばれたと説明をしている。

 ここまでは私の推測で、念のため申し上げておきますと、私どもの同僚議員の若林参議院議員や首藤衆議院議員もさまざまな推測をしてありますけれども、細かい部分で私と若干異なるところがございます。ただ、この推測で明らかに間違っていると感じるところがあれば、その根拠を示してお答えいただきたいと思うんですが、いかがですか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の時間の経過でございますが、まず出発時点については、二十九日の午前十時ごろということでございます。レバノン登録車であったというよりもレバノン登録車の官用車で出発をいたしております。正午ごろ上村臨時代理大使と電話連絡をしたことが確認されております。事件はその以降に起こったということでございますが、時間についてまでは特定できておりません。

 会議につきましては、米軍の民間支援部門の主催で行われた会議でございますが、この会議は正午ごろ参加者が昼食会を行い、その後、ティクリート宮殿というところで開かれたわけでございますが、そこの視察等が予定されており、何時までに集合という特定の時間を決めていたわけではないということでございます。しかし、私ども承知しております限り、この会議には参加しておらず、ティクリート南方三十キロぐらいでその襲撃を受けたということでございます。

 先生がおっしゃった点で、目撃者の情報でございますけれども、この目撃者の情報については確認されておりません。目撃者については、私ども幾つかの証言について把握をしておりますが、そのうち明らかに間違ったものもある。例えば、米軍が最初に言及した、両名が道端で買い物をしているときに襲撃をされた、車をとめているときに襲撃をされたという目撃者情報があったわけでございますが、これについては明らかにおかしいというふうに私ども思いまして、確認しましたところ間違いの情報であった、こういうものも含まれてございまして、目撃者情報につきましては、先生先ほど御指摘の点、この点報道なされたことは私ども承知しておりますが、それが事実であるかどうかということについては確認をしておりません。

 また、マクドナルド大佐の発表でございますが、これは、私どもが承知しておりますのは、最初の米軍の発表は二十九日の夜だったと思います。マクドナルド大佐の、報道官と申しますか、この発表についてはAFPで報道がなされましたが、それは会議の二日目ではないかというふうに思っております。

阿久津委員 それでは、ちょっと細かい部分について確認をさせていただきたいと思うんですが、一つは、ランドクルーザーにナンバープレートがついていなかった、日の丸がついていなかったという部分なんですけれども、これは日本の常識でいえば非常に不思議で、いろいろな目的もあったと思うんですけれども、ナンバープレートと国旗を外していた理由は何か。なぜ外していたのか。それから、いつから外していたのか。いつからずっとつけないで行動をしていたのか。それからもう一つ、これは、遺留品というか、車の中にナンバープレートや国旗があったのかどうか。ナンバープレートに関する点についてお答えいただきたいと思います。簡潔で結構です。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 ナンバープレートについては、外しておりました。これは治安上の理由により外していたというふうに承知をしております。なお、すべての官用車がナンバープレートを外していたわけではなく、この被害に遭った車が外していたということでございまして、出発の前より外していたというふうに承知をしております。

 このナンバープレートは発見されておりますが、どこで発見されたかということについては必ずしも今申し上げることができないと思いますが、この点は、遺留品と申しますか、車の中で私ども回収しておりますけれども、その回収場所について、当初その身元が判明することがなかったという事情がございますので、回収場所がどこであったかということについて、現在、その地点まで特定することはできない、こういう状況でございます。

阿久津委員 私は、どこで発見されたというのは非常に重要なことだというふうに思っています。なぜそれが言えないのかというのが私には理解できないんですけれども。

 今、外していた理由というのは治安上ということですけれども、私は、治安上であるならば、これは、実際殺害されてしまったわけですから、むしろマイナスに働いていたとしか、結果からいえば言わざるを得ないと思うんですけれども。

 このナンバープレートと国旗を外していた事情をもっと詳細に調査していただいて、その調査結果について報告書を委員長に資料要求したいと思うんですが、いかがでしょうか。

米澤委員長 その件につきましては、理事会で議論をした上で、御要望に沿える場合は沿いたいと思います。

阿久津委員 続けて、ハッサン・フセインさん、第一発見者と言われる方について伺いたいんですけれども、私が事前に伺った外務省の方とのお話では、ハッサン・フセインさんの名前が確定されていない、そういう人物がいたのかどうかわからないということだったというふうに思うんですけれども、第一発見者に事情聴取するというのは鉄則ですし、川口大臣のお話でも、これはイラク人の専門家による調査団を送って十分に調査しているわけですから、氏名、イラク警察への通報時間とか目撃内容などをお答えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 このハッサン氏でございますけれども、これは報道によりそういう名前が出てきたということでございます。私どもの承知している限り、この人が第一発見者だったということを特定するものについては情報はございません。別途、目撃情報者、目撃者と名乗り出ている人がいるわけでございますけれども、この人はまた別の人でございまして、また別のことを言っているという事情にあります。

 このハッサンさんの話というのは、先ほど申しましたとおり、そういう報道があるということでございますが、この点について、私どもが調査をし、総合的に判断をする必要があるというふうに考えております。

阿久津委員 今の答弁でいえば、ハッサンさんに会っているのではないですか。つまり、ハッサンさんを含めて、ハッサンさんが第一発見者かどうかはわからないけれども、ハッサン・フセインさんを含めて何人かの人に一応は、川口大臣の命令で大使館を通じてイラク人の調査団が調査しているのではないんでしょうか。存在しているんですね、そのハッサンさんという方は。

堂道政府参考人 存在しているかどうかはわかりません。私ども接触をしているのは、接触と申しますか調査の対象としているのは、地元の部族の方々、地元の方々でございます。その中には一部名前が特定されている方もおられますけれども、多くの場合は名前は特定されておりません。この方については報道で知り得たわけでございまして、私ども、この人が第一発見者だというふうに認定はできない状況にございます。

阿久津委員 どうもわからないですね。ハッサン・フセインさんを含めて事情聴取をしているはずですから、そこのところをもう少し明らかにしていただきたいんですけれども。

 それでは、何か聞くところによれば、パスポートが後から出てきたというふうに聞いているんですけれども、まず、ティクリート病院に運ばれたときにパスポートは所持されていたのかどうか、それから、なかったのだとすれば、パスポートは車内にあったのかどうか、パスポートは一体どこからどういう経路で遺留品として私どもというか日本の手元に戻ったのか、その点についてお話をいただきたいと思います。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、第一報はまず米軍から受けたわけでございますが、その時点で受けた第一報は、日本人らしき者が殺害された模様である、運転手はレバノンの運転手であった、こういう情報でございました。しかしながら、私どもは、この亡くなられた両名がティクリートに向かっていることを承知しておりましたし、かつ、会議にも出ていない、連絡がつかないということで、何とかこれについては確認をしようという形で努力したわけでございます。その時点で早期に身元が発見できなかったのは、パスポートも含めて身元を特定するものが何もなかったという事情にあります。パスポートにつきましては、米軍が後で捜査の結果、地元民が保管をしていたというふうに承知をしております。

阿久津委員 米軍が後で回収した、パスポートを持ってきたということだと思うんですけれども、であるならばその時刻、それから、入手した現地人がわかるはずですから、その氏名を資料要求したいと思うんですが、委員長、お願いいたします。

米澤委員長 堂道局長、答えられますか。

堂道政府参考人 今幾つかの点をお答え申しましたけれども、事前に通告をいただいていたわけでもございませんので、改めて、私どもとしましては、この調査の結果についてきちっとした形で何らかの機会に御報告申し上げたいと思っております。

 幾つか、先生がおっしゃった点も含めて、私ども、疑問に思う点については多く同じのものがたくさんございますので、そういった点を踏まえて、私どもとして、断片的ではなく、しかるべき形で御報告を申し上げるように、引き続き調査等を行っていきたいと考えております。

米澤委員長 阿久津君、よろしいですか。

阿久津委員 はい。

 そうしたら、パスポートを回収した時刻、入手した人の名前、それから、今まで全貌がわかりませんので、それに加えてCPAから日本政府に送られた外交官殺害事件に関する報告書があると思うんですけれども、その報告書、さらに、これまでの議論の中で、今まで公開されていない未公開の八枚の被害車両の写真、これについて、ぜひ委員長に資料要求決議を求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

米澤委員長 理事会で協議の上、要求してみます。

阿久津委員 ありがとうございます。

 もうそろそろ時間になってきたんですけれども、私は、たまたまテレビをひねりましたら、「戦火の勇気」という映画をやっていまして、これは一九九六年のアメリカ映画で、デンゼル・ワシントンとメグ・ライアンが主演の映画なんですけれども、この映画を見て非常に感じた部分がありました。

 それは、実はこの映画の主人公の一人である将校が、戦場で誤って乱戦の中で味方の戦車を撃ってしまったんです。自分の同僚を殺してしまった。それをずっと言えずに悩んでいたんですけれども、最後、しっかりとした形でそのことを告白して、御両親におわびした。御両親はそのことを是として、報告してくれたことに感謝をしたという映画なんですけれども、私は米軍誤射にこだわるわけではないんです。むしろ心の中では、米軍誤射でなければいいな、それがこの場で明らかになればいいなという思いで質問させていただきました。しかし、恐らくこの委員会に出席していらっしゃる多くの方々は、米軍の誤射説というのを完全に否定する説明はなかったというふうにお感じになったと思うんです。

 私は、米軍が誤射をすることはやはり戦闘地ではあると思うんです。あるいはテロだったかもしれない。ぜひ、その真相究明を、まさに愛国心を傾けていただいて、全身全霊の最大出力でやっていただくことを川口大臣にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

米澤委員長 次に、中野譲君。

中野(譲)委員 民主党の中野譲でございます。きょうはよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、在勤手当も含めまして、外務省の特に在外公館のあり方についてお伺いをしたいと思います。

 まず、川口大臣にお尋ねをいたしますが、非常に素人っぽい質問で恐縮でございますけれども、大使館ないし在外公館の役割というものはどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。

川口国務大臣 一言で申しまして、在外において日本国を代表するということでございます。

中野(譲)委員 その際、よく問題になることが、在外公館がどれだけの情報収集力があるのかということでございますが、川口大臣は、在外公館の情報収集能力というものをどのようにとらえていらっしゃいますか。または、今在外公館の情報能力というものが全般的にどのくらいであるというふうに認識をされているか。ちょっとお尋ねをしたいと思います。

川口国務大臣 今、百点であるというふうには申しません。情報収集能力といっても、ただ存在するものをとってくる、聞いてくるということだけではない、問題意識を持って日本に必要な情報を必要な角度からとってくる、なおかつ、我が国が考えていることをきちんと相手に伝えて、それをその方向に動くように説得をする、そういうことが全部合わせて広い意味での情報を扱う能力であるというふうに私は思っております。

 そういう観点からいったときに、百点であるとは言いませんけれども、私はかなりいい線にいっているというふうに思います。もちろん、これは公館によって差があるということは否めませんけれども、大きな国にある大使館はそれなりに、また小さな国にある、発展途上国等にある大使館もそれなりの存在感を持って、私は、現地の国において政府との間であるいは広く社会において活動しているというふうに評価をしています。

中野(譲)委員 そうしますと、今百八十強の在外公館があると認識をしておりますけれども、その中で、例えばこの大使館はなかなか情報収集能力、または、大臣おっしゃったように、情報にもいろいろありますが、ただそこに転がっている情報じゃなくて、もう少し高度な情報をしっかりとこういう大使館なり在外公館はとっている、逆にこの地域のこういう大使館なり在外公館はちょっとその辺の情報の収集能力がほかに比べて劣っているんではないか、そういうような全般的な、在外公館を一つ一つ見たときに、本省として情報交換の評価というか、在外公館の評価の一つとしてそういうものをやられているのでしょうか。もしあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

川口国務大臣 大使館と直接に常に接触を持っているというのは地域局であります。あるいは、機能を担当している局にあっては、その内容について幾つかの大使館とコミュニケーションを持つというようなこともやっております。いずれにしても、それぞれの担当の局において、常にコンタクトを持ちながら、そういうことは評価をしながら仕事をしているということです。

 広い意味では、監察、査察ということの一環として、大使館の運営の仕方、仕事の仕方、現地に対する影響力、かかわり合い方といったことをまとめて評価をしているということをやっております。

中野(譲)委員 今の御答弁で、とにかく大使館というのは国の最前線のところで活動をしている、そしてその中で情報を収集することというのも一つの大きな役割だというふうに私は理解をさせていただいたわけですけれども、そのときに、今回の在勤手当を含めます見直しなんですが、この在勤手当を見直すときに、毎年定期的に報告書というものが在外公館から出てくるということでございますが、川口大臣はこの報告書というものを過去ごらんになったことはございますでしょうか。

川口国務大臣 報告書そのものは見ておりません。これは、それを整理して外人審に報告をするということになっております。そういったまとめた形では見たことがあります。

中野(譲)委員 そうしますと、まとめた形の内容というものは主にどういうものであるか、今ここで大臣の方から御答弁をいただければと思います。

川口国務大臣 これは非常に細かい内容でございますので、官房長から答弁をさせます。

北島政府参考人 委員御指摘の点は、在外公館名称位置給与法第七条に言及されているものだと思いますけれども、在勤諸手当の額の改定、それから制度改正、こうしたものを検討する場合の基礎として、各在外公館に対しまして、任地の物価指数、任国通貨の為替相場、それから任地の勤務、生活環境等に関する各種のデータ、情報、そうしたものを定期的ないし必要に応じて随時報告させているということでございます。

 こうしたデータや情報を取りまとめて外務人事審議会に対して報告しているということでございまして、外務人事審議会に対しまして在勤諸手当の現状や課題について説明を行うことによって、この審議会が毎年勧告を策定するに当たっての判断材料にするようにしているということでございます。

中野(譲)委員 そうしますと、今の答弁でいいますと、在外公館から本省の方に資料が上がってくると。その中で、その資料を本省でまとめ上げたものには川口大臣はお目を通されているという認識でよろしいんでしょうか。

川口国務大臣 そういうものをまとめたものを見たことがあるというふうに申し上げたわけです。

中野(譲)委員 そうしますと、大臣がそういうものを見て、恐らく同じものを審議会の方にお出しになっている。ただ、まとめ上げたものは見ているんだが、そのまとめ上げる手前のものはどうやら見ていらっしゃらないし、外務審議会の方も見ていないというときに、実は私、今回、いろいろと資料をぜひ見せていただきたいということでお願いをしまして、今出ております、例えば物価ですとか為替レート、あとは現地の住居手当に関するそういった資料なんというのをいろいろ見せていただきましたが、例えば為替レートでいえば、これは別に現地でとらなくてもいいような一枚紙のものが毎週来ております。そして、物価指数にしましても、現地の細かい詳細というよりは大まかな詳細、これはやはり特に現地から上がってこなくてもとれるような情報、先ほどの大臣の言葉をかりて言うならばいわゆる基本的な、私の言葉で言えばその辺に転がっているだれでも安易にとれる情報であるというふうな認識をさせていただきました。

 そして、その中で、在住の住居手当というのがありまして、外務省から出していただいた資料で、例えば、アメリカ、中国、タイ、フランス、ブラジル、エジプトという六つが、今回のこの改定のサンプルというか、出ておりまして、一等書記官クラスは幾らから幾らになるよ、そして大使は幾らから幾らになるよということでその六つと、あと私がちょっと経験がある地域で、ほかにラオスやベトナムやカンボジアについて、そういった資料をちょっと拝見したいということでお願いをいたしました。

 そのときに、総じて言うならば、例えばアジア諸国でいえば、どうやら、正直な話、余り現地の状況をおわかりじゃないのかなという印象を受けました。というのは、例えば、カンボジアの例を一つ挙げさせていただきますと、カンボジアで住居手当というもので、上限はありますけれども、実際に幾らぐらい在外公館から支出をしているかというときに、一番安いところで大体四千ドル弱なんですね。

 それで、一番高いところで六千五百ドルでございますが、これは、カンボジアでいえば、大使館があるところはプノンペンでございますから、プノンペンという地域は二キロ四方ぐらいの大きさでございまして、その中で家を借りるときに、ここに部屋数や平米数や、またはアパート、または独立というふうに書いておりますが、逆に、四千ドルとか六千五百ドルとか、こういう金額で家を借りるというのは、これは非常に至難なわざでございまして、そういうものがあるという認識は私はないんです。

 これは、裏を返しますと、私たちがNGOでやっているときは、普通に活動していれば、どのくらいの大きさのところを、これは日本を除きますね、大使館の方がどのくらいの金額で借りているとか、NGOの人たちがどのくらいの金額で借りている、そういうものがこれは自然と情報として集まってくるわけですね。

 そうしますと、最低で例えば四千ドルというところですけれども、この平米数でいくと、大体千ドルから千五百ドルぐらいのところで非常に大きな家が借りられるわけでございます。それが最低四千ドルから始まって六千五百ドルまでというと、特にきらびやかなところに住んでいるわけではないわけでございますから、これは情報がいま一つとれていないのではないのかな、基本的な情報すらカンボジアの大使館がとれていないのではないかなというふうに感じているわけですが、こういった認識については川口大臣はどのように思われるでしょうか。

逢沢副大臣 委員、カンボジアの例を挙げて住居手当のことについて言及をいただいたわけでございますが、我が方といたしましては、住居手当の限度額でございますけれども、当然のことながら、各在勤地の住宅事情や家賃水準、とりわけ主要各国の外交官の方々がどういった家に住み、また家賃がどの程度であるか、同時に日本企業駐在員の方々の住居の家賃水準等々を十二分に調査をする、それを勘案しながら厳正に設定をしておるということを最初に申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 そして、その限度額の引き上げ、あるいはまた場合によっては引き下げられることもあるわけでありますが、ちなみに十六年度の限度額の改定におきましては、四公館において引き上げ、そして引き下げられたのは九つの公館でございますが、先ほど委員御指摘をいただきましたカンボジアにおきましては、平均七・五%の引き下げをさせていただいているところでございます。したがいまして、十二分に現地の水準を調査しながら的確に毎年対応していくということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

中野(譲)委員 今御答弁いただきましたけれども、今の答弁自体が現地のことが全然わかっていないということでございます。七・何%下がったとか下がらないとかという問題ではなくて、もともと基準額が高いときに、それがなぜ高いかということすらわかっていない。本省が、またはその在外で働いている方々がしっかりと地に根差して活動をしていれば、常識的にこんなに高くなるはずがないよということで、それは貸し主の方とネゴシエーションをするということはできるわけでございまして、私が言っているのは、同じ家を借りるのであれば、私たちなら千ドル、千五百ドルで借りられるものが、なぜ在外公館の職員だと四千ドルなり六千五百ドルにはね上がるか、この事実に対してどういうふうな認識を持っているかということを聞いているわけです。川口大臣、御答弁をいただけますでしょうか。

逢沢副大臣 現地の御事情に大変詳しい、またさまざまな情報をお持ちの委員からの御指摘でございますので、十二分に、特に御指摘をいただきましたカンボジア、また毎年見直しを行っているわけでありますけれども、厳正に審査をさせていただきたいと思います。

 なお、加えて申し上げさせていただきますと、平成十五年度より、家賃の一定割合をその家に実際に住む省員が自己負担をする、そういう制度を取り入れたわけであります。したがいまして、御理解をいただけると思いますけれども、より安価な家賃の物件を探す、そういうインセンティブをぜひドライブさせる必要があるという意味で、そういった制度を取り入れさせていただきました。

 いずれにいたしましても、適正な家賃水準の確保にこれからも努めてまいりたいと存じます。

中野(譲)委員 どうやら私の説明が悪いようで、なかなか議論がかみ合わないようですが。

 私が言っているのは、普通にAさんという方が、この家があいている、この家をお借りしたいんですけれども幾らですかというときに、千ドル、千五百ドルくらいで借りられるものが、外務省が、外務省というか在外公館の方が行かれると、それが三倍ぐらいにはね上がっているケースがありますよということなんですよ。

 ただ、はね上がっているときに、これはお金の問題じゃなくて、その地域の情報がわかっていれば、例えば四千ドルと言われたときに、四千ドルはちょっと高いんじゃないのかなというところが情報として得ているか得ていないかということを私は言っているわけでございます。

 そういう意味でいくと、大使館の情報の収集能力というのは非常にまだまだ低いのではないかというふうに私は思っておりますから、多少そこは川口大臣と認識が異なると思いますが、その辺のところも含めて、ぜひとも外務省には、大使館の機能も含めて、情報収集のそういった機能をもうちょっと充実をさせていただきたいと思います。

 続きまして、情報ということでちょっと関連をしてお聞きをしたいことがございまして、それは、まず一つ、イラクの問題なんですが、日本の援助の関係でございます。

 昨年、十五年度ですか、十五年度からスタートをしておりますイラクの支援でございますけれども、過去の答弁で川口大臣が、日本の援助でつくられた発電所がイラクに存在するという、そしてまた日本の援助でつくられた病院がイラクに存在をするという答弁をされておりますけれども、この発電所の名前と病院の名前をぜひとも教えていただきたいと思います。川口大臣。

川口国務大臣 まず、私は、基本的に手がけたという言葉を使っているつもりでございまして、日本がつくったということは意識としては言っていないつもりでございまして、注意をしているつもりですが、何かの関係でそういうことを言ったことがどこかであるかもしれませんけれども、基本的には手がけたと申し上げております。

 それで、名前についての御質問でございますので、これについては政府参考人から答弁をさせたいと思います。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、六つの発電所でございますが、順次申し上げますと、タジ・ガスタービン発電所、モスル・ガスタービン発電所、モスル水力発電所、ハルサ火力発電所、アルムサイブ火力発電所、ダーバンディカーン水力発電所ということでございます。

 それから、十三病院でございますが、ナシリヤ総合病院、ナジャフ教育病院、ディワニヤ総合病院、サマワ総合病院、サダール総合病院、ザハラ総合病院、カドミヤ教育病院、ラマディ総合病院、ティクリート総合病院、アザデ総合病院、リザガリ教育病院、アルラジ総合病院、アサデ総合病院。

 以上でございます。

中野(譲)委員 先ほど無意識のうちにというような感じのことをおっしゃっておりましたけれども、私、この間、イラクの特別委員会でも外務大臣に質問をさせていただきましたが、そのときに、過去の答弁で、外務大臣そして石破防衛庁長官そして谷垣財務大臣が、過去につくったという発言をしているということを申し上げたと思います。そして、この間のイラクの特別委員会におきましては、私は、つくったと手がけたというのは同じことでしょうかというふうに大臣にお聞きをしましたら、そうでございますというふうな答弁をいただいていると思いますが、それは違いましたでしょうか。

川口国務大臣 そうでございますというふうに申し上げたというつもりはございませんで、いろいろな意味でかかわっている、広い意味ではつくったということかもしれませんが、手がけたという言葉を使っているわけでございます。

中野(譲)委員 特別委員会での質問で、私は、「手がけたという言葉と、過去、つくったという言葉と、何かこれはごっちゃになっているようでございますが、政府がつくったものと政府がつくっていないものというのは、これはしっかりと理解をされているのかどうか」ということで、川口大臣にお伺いをいたしました。

 それに対しまして、大臣は、「手がけた、そしてつくった、そういうようなことで申し上げているということでございます。」ということでございますから、これは私の日本語の理解能力でいきますと、手がけたということはつくったということであるというふうに理解をしておりますので、ここのところはしっかりと、過去、つくったのかつくっていないとかというところをしっかりと答弁をいただかないと、これ以上私もちょっと質問をすることができないと思いますので、よろしくお願いします。

川口国務大臣 普通、日本語で手がけたと言ったときに、それは、つくったということを意味する場合もあるかもしれませんけれども、それを、イコールではないということだと思います。まあ、言葉の問題ですねというふうにそのときに私が申し上げたわけでございます。手がけたことはつくったという意味ですと申し上げたつもりはございません。

中野(譲)委員 我が国が、我が国がですよ、我が国がこれまでに手がけたと。これは私企業もみんな含めて我が国というふうにとるのかどうかという、これも私非常に理解に苦しむわけでございますが、私何が言いたいかといいますと、これも情報能力のことでございまして、最初は、これは正直言って、外務省は自分たちでつくったと思っていた部分があったわけですよね、発電所にしても。

 そして、病院にしても、病院自体を日本の援助でつくったというふうに最初は理解をしていたわけですよね。それが、実は病院の中の資機材は供与をしているんだけれども、病院自体は実は日本でつくっていなかったというのが後からわかったものだから、今そういう論理のすりかえをしているんではないんですか。

川口国務大臣 私は、十三病院について前から話がありましたので、日本がどのようなかかわり合いを持ったかということは大分前に質問をして、それは建物をつくったということではないということは、私自身は承知をいたしております。そういうことで、必ずしも、つくったという意味で、私は物事の言葉、手がけたという言葉を使っていたということではございません。

中野(譲)委員 これは、結局のところは、情報がとれていない。それで、つくった、手がけたという言葉のすりかえをしてやっておられるということでしょうが。

 これは、例えば、この間の古田経済協力局長の答弁でも、その前でも、我が国がかつて立ち上げた病院と言っているわけですよ。そして、この間も、最初に私はこの病院というのは十三カ所我が国がつくったんですかということを聞いたら、最初は我が国の援助でつくりましたという答弁をして、その後で、いや実は違いましたというような答弁で、中の資機材はやりましたけれども病院自体は日本の援助ではやっていないというふうに答弁をしている。この辺のところで、局長自体が大体そういうふうな認識をしていないということ自体が問題じゃないかと思うんですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えですか。外務大臣、答えてください。

川口国務大臣 私がどうしてこれについてお答えをするのかよくわかりませんけれども……(中野(譲)委員「トップリーダーでしょうが、外務大臣が」と呼ぶ)外務省の人間は、イラクの状況について、経済協力についてはきちんと、これはもうイラクにおいて武力行使が終了した後から、直後から、いろいろなことを勉強をし、話をし、これについて情報も持っているわけでございます。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 前回のやりとりについて、ちょっと私もドラフトを見ておるんでございますが、私の言い方は、手がけたという言葉を使っておりまして、そして、補足させていただきますが、十三病院については機器について円借の対象にしておるということを申し上げた次第でございます。それから、発電所につきましては、一カ所が円借款、それから他の五つの発電所は民間ベースのものであります。日本の企業が受注をしてつくったというふうに申し上げております。

中野(譲)委員 この間の委員会でも私申し上げましたけれども、古田局長が参議院のことしの二月五日の委員会で、我が国がかつて立ち上げた十三病院という話をしているわけですよ。そして、一月の二十九日は、これはイラク特で石破防衛庁長官が、「医療について申し上げれば、日本の援助でつくりました病院」というふうに言っているわけですよ。これは手がけたとかつくったという問題じゃなくて、病院をつくったというふうに答弁をしているわけですね。

 この情報自体は一体どこから出てきているんですかということを私は聞いているわけですよ。その情報が正確でないときに、いや、それは手がけたとか、いや、それはつくったとか、言葉のあやですみたいなことを大臣が答弁するというのは、私はどうかと思いますよ、それは。

 その辺について、私がなぜ川口さんに聞いているかというと、外務省のトップは川口さんじゃないですか、トップのリーダーシップとして、こういう問題については、しっかりと情報がとれていないんであれば、とれていないのかどうかということを精査するというのは、トップとしての仕事だと私は思っていますから、大臣にお聞きをしているわけです。

川口国務大臣 イラクの復興については、もう本当に時間、二十四時間以上、一日二十四時間以上を使って外務省は取り組んでいるわけでございます。情報収集ができていないというようなことは全くないということでございます。

中野(譲)委員 私は、情報が錯綜しているときには、その情報の精度をどういうふうに上げていくかということを聞いているわけですよ。イラクのサマワの評議会があったとかないとかという話も同じですけれども、そのときにとれた情報と後からとった情報が違う場合には、そのときに誤りだったら、誤りでも結構ですよ、誤りというのを認めたらどうですか、訂正をしてくださいよ、そこは。

川口国務大臣 情報がたくさんあるということは、もちろん今もう情報過多の時代ですから、いろいろあるということであります。

 そして、情報がたくさんあるときには、おのずからぶつかる、違う、相矛盾する情報もあるかもしれない、それは精査をしてやっていくということであると思います。それから、情報がたくさんあるときには、おのずからプライオリティーをつけて重要なものからやっていくということであると私は考えております。

 そういった情報を扱うときの、あるいは仕事をするときの基本的なアプローチ、これを使って外務省の職員はやっているわけでございまして、手がけたということについては、これは手がけたということであるわけでございます。

中野(譲)委員 たかだかあの病院をつくったかつくらないかとか、あの発電所をつくったかつくらないか、これは最低限の情報ですよ、私に言わせていただければ。現地で活動していれば、どの病院がどういう背景でできているとか、そこにはどういう援助が入ってきたのかという経過というものは、大使館の職員だってわかっているはずですよ。私だってカンボジアでやっているときは、どの病院が、どういう背景である、いつぐらいに建ったというのは、それは自然と情報として上がってくるわけですよ。

 それが、こういうふうに、つくったかつくらないかもよくわからないという最低限の情報もとれないままにこういうプロジェクトを上げてくるということ自体、それを三日か四日ですかね、そういう短期間でこの予算を通していくということ自体が、これは外務省としては、プロジェクトの精度がなかなか上がらないということではないかということで、私は情報の精度はどうなんですかということを聞いているわけですよ。それに対して外務大臣はお答えになれないみたいですから、それは外務大臣のリーダーシップがないというふうに私は理解をさせていただきました。

 そうしますと、イラクのパトカーについてなんですが、これは、イラクのパトカー、これも似たような案件でございますけれども……(発言する者あり)いや、答えないですからね。お答えになれますか、それ。誤っていたのか、誤っていないのか。情報が錯綜しているという問題じゃないんですよ、プライオリティーとしてといったって、このプロジェクトを立ち上げてくる段階で、この病院はどういう背景の病院かという最低限のことも、じゃ、理解ができていないのかということですよ、私が言いたいことは。

川口国務大臣 日本語の問題だと思うんですけれども、手がけたということは手がけた、つくったということも、何もそのどんがらを立ち上げたということを一〇〇%意味するわけではない。そういう幅を持って日本語を使っているということであると思います。中には、勘違いをする、あるいは状況によって言葉を一瞬間違うということはあるかもしれません。それはそういうことが全くないということを申し上げているわけではなくて、私自身そういった中でつくったと言ったことはあったかもしれないということも前に申し上げているわけでございます。

 いろいろそういう中で、情報についてはきちんと持って、そして先ほど申しましたように、ぶつかる情報については整理をし、プライオリティーをつけてやっているということを申し上げているわけです。きちんとその手がけたという言葉あるいはつくるという言葉、それはいろいろ幅の広い言葉であると私は思っております。

米澤委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

米澤委員長 速記を起こしてください。

 中野君。

中野(譲)委員 答弁を訂正するんであれば訂正していただいても結構ですが、委員長もこれ以上簡単にと言うんですが、私たちの常識でいくと、この病院をつくったと言えば、それは建物をつくっているわけですよ。そういう答弁が過去にあった場合に、いや、それはつくった、手がけたどうのこうのみたいな言葉の問題ではないかと言っても私はこれは理解できませんので、逆に私にわかるようにぜひとも説明をしていただきたいと思います。

米澤委員長 川口大臣、わかるように説明してください。

川口国務大臣 古田局長の方から答弁をさせます。

古田政府参考人 先ほど前回の議事録について付言させていただきましたが、改めてこの発電所それから病院に関して申し上げますと、まず六カ所の発電所でございますが、これはいずれも日本の企業がかかわっておるわけでございますが、そのうち我が国の有償資金協力により援助を行ったものはハルサ火力発電所でありまして、残りの五カ所は、日本からの援助ということではなく、日本企業が受注したということでございまして、そういう趣旨で手がけたという意味で申し上げていると思います。

 それから、十三病院でございますが、これは医療機器については我が国が有償資金協力により供与いたしておりますが、建設そのものは有償資金協力とは別に我が国の企業が建設しておるということでございます。したがって、前回の私の答弁では、我が国が手がけたという言葉は、日本国政府の有償資金協力、それから日本企業もかかわっておるということで手がけた、かかわったという言葉を使わせていただきました。

中野(譲)委員 つくったは。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 前回のやりとりの中で、私自身つくったという言葉は、ざっと見る限り、手がけたとかいう言葉は使っておりますが、私自身でそういう言葉は使っておらないというふうに承知しておりまして、手がけた、あるいは円借款で何をした、こういう部分は民間ベースのものというような答弁をさせていただいております。(中野(譲)委員「立ち上げたは、病院を立ち上げた、立ち上げたというのはどうなんですか」と呼ぶ)今手元にあるこの前回の議事録では……(中野(譲)委員「参議院の二月五日」と呼ぶ)まず、前回の答弁では立ち上げたという言葉は使っておりませんが、私の言わんとする趣旨は、日本国政府の有償資金協力と日本の企業の受注ということを全体として日本が手がけた、あるいは立ち上げたという言葉を使っておったというふうに思っております。

中野(譲)委員 何度も時間稼ぎのように時間を使っていただきたくないんですが、古田局長も、かつて立ち上げたと二月の五日の参議院の委員会で話しているわけでしょう。そして、防衛庁長官も、医療については「日本の援助でつくりました病院」というふうに言っているわけですよ。これ、日本の病院をつくったと言っているんだったら、これは建物をつくったというふうに普通は理解するんじゃないですか。それを、言葉がどうのこうのと言うのは、これは答弁としては非常に誠実さを欠いておりますから、これ以上は僕は質問できません。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 二月の五日の参議院の財政金融委員会でございますか、そのときに私が使いました言葉は、「我が国がかつて立ち上げました」という言葉を使っておりまして、「我が国が」ということの意味は、日本国政府の有償資金協力とそれから日本企業の受注による建設、全体ということを意味して御答弁申し上げたつもりでございます。

中野(譲)委員 外務省は外交のプロなわけでしょう。そして、経済協力局というのはその中で援助をするプロですよね。プロが、その「我が国」という中に企業も全部含める、そういうようなでたらめを言うこと自体が、私はこれは納得できませんから、これ以上は質問できません。

米澤委員長 外務省、答弁されますか。古田局長。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 言葉の使い方、意味内容についての御質問でございますので、私の答弁の真意を先ほど来申し上げておるわけでございまして、私としては、我が国が立ち上げたということの意味として、我が国政府の有償資金協力と我が国企業ということを含めて、含意しておったということでございます。

 また、現実に、この十五億ドルの具体的な執行段階で個々のプロジェクトを洗っていく中で、そういった日本の有償資金協力、あるいは日本の企業が現実に建設を行ったという経験が、どこをリハビリしたらいいのか、どこに損傷を生じているのか、そういった議論に大変有効になってきておるわけでございますし、そういった意味で、日本がかかわった、あるいは我が国が立ち上げたということで、この分野についてできるだけ緊急に対応していきたいということで作業をしてきておるわけでございまして、そういった思いでこの言葉を使わせていただいておるわけでございます。

中野(譲)委員 そうしますと、一月二十九日の石破防衛庁長官の「日本の援助でつくりました病院」という、これは誤りというふうに理解してよろしいんですね。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 石破長官がどういう含意でどういう言葉をお使いになったか、私自身がここでコメントをするのは適当ではないと思います。

中野(譲)委員 これ以上やっても堂々めぐりであって、要は情報がとれていないということも私も十分にわかりましたので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 パトカーの供与なんですが、六百二十台のパトカーをまずは供与するということでこのプロジェクトを立ち上げて、それが一月の後半から二月にかけて実際に行われ始めているということでございますけれども、まず相手国との間に無償資金の協力を取りつける、その中でこのパトカーの供与に関しての書簡をつくるというところ、それから相手国に対して調達代理人を一つ選定して、その調達代理人を介してこのプロジェクトを行っていくというふうに理解をしているんですが、それでよろしいでしょうか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘の警察車両の供与計画でございますが、一月十六日に在イラク日本大使館とそれからイラク内務省との間で書簡を交換しておりますし、その附属文書、イラク復興支援のための二国間無償資金協力に関する実施要領もそこの一環としてございまして、これに基づいて実施されておるわけでございます。その中で、イラク内務省とそれから日本政府が推薦する調達代理機関の間で調達代理契約を行うことということもその書簡の中に書いてあるわけでございます。

中野(譲)委員 調達代理契約を結ばれている先が、財団法人の日本国際協力システムでしたでしょうか、いわゆるJICSというところだと思いますが、JICSが一月に入札を行って、住友商事と三菱だと思いますけれども、二社をその入札の業者として選んだ。そして、このプロジェクト全体の流れなんですけれども、確認をしたいんですが、日本で、価格が安いということで、六百二十台が千百五十台でしょうか、ふえた。これを日本で生産して、それをイラクに持っていってイラクの内務省に渡すところまでがこのプロジェクトの終着点でよろしいんでしょうか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 一般競争入札は先月行いまして、そして業者契約が締結されておるわけでございまして、現在生産を行っているところというふうに承知しております。最終的には、バグダッドの内務省に車両が納入されるということでございまして、納入した後のその車両の配付は内務省の責任において行われるということでございます。

中野(譲)委員 そうしますと、まず日本から車のメーカーに生産をお願いして、それを船積みして、それでバグダッドまで持っていく、ここの一連の流れは、これは商社がその流れを負う、責任を負うということでよろしいんでしょうか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 業者契約というものが締結されておりますので、それに基づいて業者が責任を持って納入するということになるわけでございます。

中野(譲)委員 そして今度、船積みで、向こうで、今度はイラクに着いた、イラクに着いてから引き渡しというところの段階では、責任はどちらが持ってこのプロジェクトを進めていくということになるんでしょうか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 内務省に引き渡しを行うところまでは、あくまでも業者契約に基づく業者の責任ということでございます。

中野(譲)委員 そうしますと、業者にお願いをすればそのまま内務省に持っていってくれると。内務省に行った時点で、その後、二十七都市には内務省が独自にそれを配付する。配付をしている先の、このプロジェクトのいわゆるモニタリングというのはどこがやるんでしょうか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 一つは、具体的にどこにどのように配付されたかということにつきましては、まずイラク内務省から報告書が提出されることになっておりまして、これを確認するということによるモニタリングというのがございます。

 それからもう一つは、このイラク内務省の代理として調達代理人が指定されておるわけでございますが、その調達代理人との契約に基づいて、現地での調達代理業務をクラウンエージェンツ、これはイギリスの機関でございますが、これが担当いたしておりまして、このクラウンエージェンツが配付先からの受領書のチェックを行う、あるいは幾つかの現地に赴く、これは全部の場所に行けるかどうかは必ずしも定かではありませんが、現地にも赴いてチェックをするということによるモニタリング、この大きく二つのことを想定しております。

中野(譲)委員 それをモニタリングとは私は呼ばないと思います。

 それで、今、クラウンエージェンツという話が出ましたけれども、じゃ、クラウンエージェンツとJICSとの間で、どこの地域にモニタリングで現場まで赴くのかということを、契約書の中にこれは入っていますか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 JICSとそれからクラウンエージェンツの間の契約書でございますが、具体的にどことどこの場所ということは指定してございませんが、ツー・コンファーム・ザ・デリバリー・オブ・ザ・グッズ・アット・ザ・サイトということで、サイトでデリバリーを確認するということで、具体的にどこをどうするかということは、契約書そのものには書いてございません。

中野(譲)委員 では、サイトと言いますけれども、このサイトというのは、二十七都市のサイトなのかそれともバグダッドの内務省なのか、どっちかというと、これはバグダッドの内務省という理解でクラウンエージェンツは契約をしているんじゃないんですか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 このサイトについて、私どもの理解しておりますところでは、これは現地ということでございます。

中野(譲)委員 外務省が理解している、理解していないじゃないんですよ。これはクラウンエージェンツがどこまで理解をしてこのコントラクトをJICSとの間に結んでいるかということでございまして、私もこれはいろいろと資料を見させていただきましたけれども、どこにもこのプロジェクトの内容が書いていない。内務省まで持っていくということはすべての業務の中で書いてあっても、その後二十七カ所にどういうふうに配備をしていくのか、そのときにどういうふうにどの業者、または調達代理人を含めましてどのエージェンシーがかかわっていくかということは一切書かれていないわけですよ。ということは、これは外務省からしてみると、とにかく車をつくった、それで向こうに持っていって、内務省に渡して、はい終わりというプロジェクトじゃないですか。

 もう一つお伺いしたいのは、現地ではクラウンエージェンツがこの業務のインフォメーションを集めてくる、そして現地に行くまでは商社がやる。では、このJICSという団体の存在意義は一体どこにあるんですか。

 このJICSがこのプロジェクトにおいては二億三千五百万円で契約を請け負っているわけですよね。そして、JICSからクラウンエージェンツに約一億八百万円。ですから、大体一億三千万円ぐらいですね。これは何で、一億三千万どこにかかるんですか。みんな、もとは全部商社に任せて、今度、後は内務省にお任せをすると。どこに一億三千万円もするような仕事が転がっているのかということをぜひとも教えていただきたいと思います。

古田政府参考人 まず、最初の点について御答弁申し上げますと、先ほど申し上げましたように、バグダッド以降の配付はイラク内務省の責任において行うということでございまして、これをJICSがフォローするということになるわけでございます。それから、先ほど申し上げましたように、内務省からの報告書も私どもとしては見せていただくことになっているわけでございますから、これもフォローアップの一環であるということでございます。

 それから、調達代理機関の費用でございますが、必要業務にかかわる費用を過去のいろいろな案件の例を踏まえまして計算しておりますが、特にJICSにつきましては、入札にかかわる一連の業務、国内での種々の調整業務等を行うわけでございまして、こういった過去のこれまでのJICSの経験を踏まえて積み上げたものでございます。

中野(譲)委員 その過去の経験に基づいたという積み上げで、この一億三千万というお金が適正かどうかというのは、これはどこが判断するかというのは、ひとつ、川口大臣、これは問題だと私は思います。

 あと、このJICSを選んだ背景としては、伺っているところによりますと、外務省がJICSに直接どうですかということで、特にそこの間で入札をしているわけでもなくてJICSを選んだというふうに伺っておりますけれども、これはそういうことでよろしいんでしょうか。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 財団法人日本国際協力システム、JICSでございますが、これは、我が国の経済協力分野のうち二国間贈与事業を中心とする事業の適正かつ効率的な実施に協力することにより、一層質の高い国際協力を推進し、もって世界経済の発展と友好に寄与することということを目的としてでき上がりました公益法人でございます。

 このJICSは、我が国では唯一の中立公正かつ能力のある調達代理機関というふうに私どもは認識しておりまして、そういった能力のある機関として、調達をめぐる被供与先とそれから我が国政府との間の連絡調整を円滑化することを期待して、イラクに対して本件についてJICSを御推薦申し上げたという次第でございます。

中野(譲)委員 唯一ということで一億三千万円、車を商社に運ばせて、向こうで内務省に渡して、中で一億三千万いただけるというのであれば、私もぜひこういう仕事をしたいなという気がします。

 川口大臣にお尋ねをしたいんですが、大臣もたしか民間の経験がおありだと思いますが、今の話の中で、入札をして、それで商社を選ぶ、その商社がバグダッド、内務省まで車を持っていく、その後は内務省引き渡しで、内務省に仕事をやってください、向こうの現地でのコーディネーションは別のエージェンシーにお金を払ってやってもらいますよということで、この全体的なコーディネーションをする中で、JICSという団体が一億三千万円で仕事を請け負うというのは、これは民間の考え方からいったら、これは高いと思いますか、安いと思いますか。わかりますか、これ。

川口国務大臣 一億三千万が高いか安いかということですけれども、これは、今イラクにおいては大変に、情報収集あるいは連絡、そして人をヨルダンまで派遣したり、いろいろなことがあるわけです。そういった……(中野(譲)委員「それはCAがやっているんですから、JICSがやっているんじゃないんですから」と呼ぶ)いや、JICSは、イラクの政府とそれから我が国の政府の間で円滑にこの作業を進めるということに役に立っているわけです。

 いずれにしても、財団法人としてこの仕事をしているわけでして、財団法人の仕事については、これは透明性を持ってきちんと監督をし、やっているわけであります。ですから、もしそれが非常に問題があるということであれば、それは表にさらされるということでありまして、その時点でまた御指摘をいただきたいと思いますけれども、JICSについて、特に何か不透明なことをやる、あるいはそういうことを考えているというふうには私たちは思ってはいないということです。

中野(譲)委員 きょうは時間が参りましたのでこの辺にさせていただきますが、今の答弁を聞きまして、非常に私は残念でなりません。この援助という枠組み自体がよくわかっていらっしゃらないということがよくわかりました。

 あともう一つ、ちょっとつけ加えですけれども、このJICSとCAの間で、今後とも、例えば病院のプロジェクトまたは救急車のプロジェクト等、五つ六つぐらい、恐らくこういうプロジェクトを外務省ではやるでしょう。やったときにはJICSにお願いをする、JICSにお願いをしたらCAにその一部をお願いしますよということを、これは前段階の契約である程度明記をしているわけですよ。

 としますと、この三十億のプロジェクトで二億三千万円ぐらいのエージェンシーのフィーがかかる。これが、では百六十八億の病院のプロジェクトだったら、一体JICSは幾らもうけるのか、一体クラウンエージェンツは幾らもうけるのか。その辺のところが適正かどうかも判断できないというのであれば、これが私たちの税金が本当にしっかりと使われていないという一つの証拠ですから、ぜひともこの辺のところは、経済局を含めて、そして大臣も、もうちょっと認識を持っていただきたいと思います。

 きょうは残念ながら時間が来ましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

米澤委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、在外公館の位置名称外務公務員の給与法の審議ということになっておりますが、最初に外務公務員の給与法についてお尋ねいたします。

 在外基本手当の基準額の改定について伺いたいと思います。

 今回、為替、物価の変動等により改定したというものですが、その基準額の平均改定率が二・四%増ということになっています。二〇〇四年度の予算でも一・三%増ということでありました。昨年の八月の人事院勧告では、国家公務員一般職給与は二・六%削減されているわけですね。外務公務員の職責と全く同じように考えるわけではありませんが、政府の財政状況をも勘案して、今回の改定に当たり、その点をどのように考慮されたのか、お聞きしたいと思います。

北島政府参考人 御答弁させていただきます。

 在勤基本手当の基準額でございますけれども、各在勤地における最近の為替、物価の変動や在外職員の生活事情の変化等を勘案しつつ改定を行うということで、これまでやらせてきていただいております。

 今次改定におきましては、委員御指摘の、現下の厳しい国内の財政事情、賃金、雇用情勢等を考慮して、在外職員に対しても一層の節約、工夫を求めることとして、全公館の標準点となる在米国大使館三号額、これは一等書記官クラスでございますけれども、物価、為替変動に伴う調整を行った上で、その上で委員御指摘の人事院勧告による国家公務員の年間給与減額と同率の二・六%の削減を行うこととしたということでございます。

 委員御指摘のとおり、在勤基本手当の予算額については対前年度比一・三%増となっておりますけれども、これは、在外勤務に必要な経費という在勤基本手当の性格から、主にユーロ高等の影響により、邦貨に換算すると若干の増額となったものでございます。同時に、在勤諸手当全体でございますね、住宅手当とか諸手当全体の予算額、これにつきましては対前年度比一・八%の減となっております。

赤嶺委員 今の点は理解できました。

 そこで、ちょっと外交問題についてお伺いいたしますが、日本の政府は外交の中心に日米外交を置いておられます。その日米外交の中心が沖縄問題であり、そしてSACO合意の問題です。そのSACO合意の問題について、特にきょうは北部訓練場のヘリコプター着陸帯移設に伴う問題について伺います。

 これは経過がありまして、その北部訓練場は、SACO合意でいいますと二〇〇三年三月までに返還をされるという合意事項でありました。ところが、これが一歩も動いておりません。その根底に環境問題があります。沖縄の環境というのは、島嶼性、そして亜熱帯、こういう意味では世界でも唯一の亜熱帯雨林地帯を抱えているという極めて自然に特徴的なところがあるわけですが、世界の遺産条約にも登録すべきという意見がありました。

 ところが、残念ながら、去年の十月、環境省は、その北部の訓練地帯を含む山原の森を世界の遺産条約に登録推薦しなかったという経過があります。その推薦をしなかった経過に、米軍基地を抱え、国内法で担保できない、環境保護について担保できないということが言われているわけですが、それは環境省、そのとおりでしょうか。

小野寺政府参考人 昨年、学識経験者等による検討会で、全国的かつ学術的な見地から、知床、小笠原諸島、琉球諸島の三地域について、世界遺産の候補地として選定いたしました。その後、ことしの一月、推薦条件が整った知床について、ユネスコの世界遺産センターに推薦書を提出したところでございます。

 世界遺産の登録に関しましては、まず世界的に見て貴重な自然であることというのが一つ。それから二番目に、その自然を将来にわたって守るために必要な措置がとられていることの二つが必要でございます。

 今御質問にありました奄美から沖縄にかけての琉球諸島は、固有な動植物が多く、独特の生態系を有していることは御指摘のとおりであります。世界的にも貴重であることは内外の専門家によって広く認識されていると我々も思っております。現在、沖縄、奄美、両地域ともに、海岸部を中心とした国定公園が指定されておりまして、陸上部については保護区の設定が十分ではないというのが我々の認識であります。

 今後、関係省庁、鹿児島県、沖縄県等との連携のもとに、山原地域を含む陸上部の保護区域の拡充に努め、世界自然遺産としての条件が整い次第、推薦手続を進めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 学術的には非常に価値の高い自然を維持している、しかし自然保護法の担保が十分でない。それは、先ほど言ったように、国内の自然保護のもろもろの法律が適用されない地域を山原の森において抱えている、こういう認識は間違いではないわけですね。

小野寺政府参考人 世界遺産の登録について、琉球諸島の中で具体的にどこをどう担保するべきかというふうに考えたときに、例えば奄美大島でクロウサギを中心とする非常に希少な動物が生息しているところも保護地域としては十分でありませんし、今御質問があったように、山原地域の北部訓練場は四千ヘクタール弱だと思いますが、四千ヘクタールだけでは少し保護地域の担保をするには少ないんではないかと思います。また、琉球諸島というときには、石垣、西表も含めて、八重山も要するに概念上の対象になっております。その全体が、世界遺産に推薦する場合に、現状ではまだ保護の担保措置、制度的対応が不十分だというふうに考えております。

赤嶺委員 北部訓練場というのは、すべての面積を合わせますと七千五百十三ヘクタールです。SACOで返還が予定されている地域が三千九百八十七ヘクタールです。恐らく、四千ヘクタールではまだまだ小さいということは、北部訓練場全体の面積の返還が世界の自然遺産の登録の上で不可欠なものだ、このように指摘されると思います。

 そこで、このような貴重な環境や自然を持った地域に、北部訓練場の過半を返還しよう、そのかわり、返還される地域にあるヘリコプター着陸帯を返還されない地域に移設を条件にしたわけですね。それで、移設を条件にして、防衛庁が環境調査をしてみたら、ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネなど山原にしか見られない貴重種、固有種がたくさん出てきた、環境に影響を与える、したがってヘリコプターの建設地帯としては不適当である、新たな地域を探さなければいけないということで環境の継続調査が始まったと思います。その環境の継続調査というのは、今どこまで来ているんでしょうか、どんな調査をしたんでしょうか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 北部訓練場につきましては、ヘリコプター着陸帯を、返還される区域から北部訓練場の残余の部分に移設することを条件に、過半の返還がSACOの最終報告で取りまとめられております。これを受けまして、日米合同委員会におきましては、七カ所のヘリコプター着陸帯を移設すること等を条件として、その過半返還が合意されたところでございます。

 この北部訓練場が所在します沖縄県北部地域、ここは山原特有の自然が残され、数多くの貴重な動植物が生息し、自然保護の観点から注目されている地域でございますので、私ども、北部訓練場におきますヘリコプター着陸帯の移設の際には、先般、調査を行いまして、その結果、先生御案内のように、さまざまな貴重種が散見されるところになりました。それを受けまして、現在、継続調査としまして、さらなる環境調査を行っておるところでございます。

 この環境調査は、一昨年、十四年十一月から開始させていただいておりまして、大体、現地調査といったようなところを終了したところでございまして、一部修正をしながら、現在取りまとめ作業を行っているところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 現地調査は終わりました。二回目の調査が終わったわけですね、新しい候補地を見つけるために。

 そこで、それの調査結果の公表はいつごろになりますか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、現地調査を踏まえまして、取りまとめ作業を行っておるところでございます。また、現地調査につきましては、一部補足的な調査も行っているところでございます。

 現時点で、この取りまとめ作業の終了時期、またこれをさらに公表する時期といったことについては、お答えできる段階までは至っておらないところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 調査は済んだけれども公表のめどは立っていないということでありましたが、今回の継続環境調査なるものは、第一回目の環境調査において、ヘリパッドの移設場所、七カ所の適当な場所が見つからなかった、みんな環境に重大な影響を与える場所だった。したがって、新しい候補地を探すというのが一つの目的だったと思うんですよね。

 ちなみに、北部訓練場にはヘリパッドは二十二カ所あります。沖縄の県民から見れば、七カ所の移設先を無理して探さずに、二十二カ所、あと残りの十五カ所という考えも、当然こういうのは自然の情として出てまいります。問題は、今度の継続環境調査で新しい場所が見つけられたかどうかなんですよ。その場合に、どういう場所を調査したのかということが問われるわけですね。

 今回の調査対象地域というのは、前回調査した七カ所の場所と重なっていたり、隣接していたり、そういう場所もあるんじゃないですか。むしろそういう場所の方が多いんじゃないですか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年十二月から十二年三月にかけまして過年度環境調査を実施しまして、また現在、平成十四年十一月からの継続環境調査を行っているところでございます。

 さきの過年度調査におきましては、五区域七カ所につきまして、約七百ヘクタールの範囲でございますけれども、ここの自然環境の調査等々をさせていただきました。また、現在行っております調査におきましては、六区域八カ所、約五百ヘクタールの広さの範囲を調査しておるところでございます。この五区域七カ所、また六区域八カ所の関係につきましては、基本的には分かれたところでございますが、一部重なったところもございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 新しい候補地を見つける調査と言いながら、前回の場所と重なったりしているところが多々あると。図も見せていただきましたが、何だこれは前回と同じ場所じゃないかと言われるようなところがありました。

 防衛施設局としては、今度、前回と変わらないような調査結果が出た場合、前回も貴重な固有種、希少種がたくさん見つかりました。今回もそういう場所で同じようなものが発見されるであろうということは、もう大体わかり切ったことであります、山原の生態系というのは一体のものですから。そういう場合には、再度また、三度別な場所を設定して調査をするということですか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 ヘリコプター着陸帯の移設に当たりましては、山原の自然環境への影響を最小限にとどめるように候補地を決定していくということは大変大事なことと存じております。現在までに、先ほど申し上げましたけれども、過年度調査におきまして約七百ヘクタールの広さの範囲を、また現在行っております調査におきまして約五百ヘクタールの範囲の調査を行っておるところでございます。また、それぞれ、七カ所あるいは八カ所という候補地を前提とした、その範囲の調査になっておるところでございます。

 私ども、現在行っておる調査を終了いたしますれば、ヘリパッドの移設七候補地につきましては、環境に与える影響が少ない地域を選定できるのではないかと考えておるところでございます。

赤嶺委員 では、今度の調査で場所は選定できるのではないかと、その根拠は何ですか。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、取り進めております調査でございますけれども、私ども、自然度の総合評価あるいは生息環境等の保全といった観点から、当該手法を用いまして、返還予定地を除いた北部訓練場全域の区域を抽出した上で、動植物の生息、生育環境や豊かな自然環境を形成する地形等の条件を基準として、一定の広さにメッシュ状に区分しまして、自然度の重要づけ等々を行って調査をしております。その結果、さまざまな観点から、環境に影響の少ない地域の選定が可能になってくるものと考えておるところでございます。

 いずれにしましても、候補地の選定に当たりましては、県あるいは環境省等々と調整しながら取り進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

赤嶺委員 実に答弁に窮したような答弁が続いておりますが、この問題の明確な答えは、あなた方が、山原の貴重な自然に影響を与えない候補地があるかどうかなんです。そのためには、貴重種や固有種は見つかっていない、住んでいない、そういうところでなければいけないんです。

 こういう世界自然遺産への登録の最大の障害が米軍基地ということもわかり切ったことであるわけですが、もともと、環境を守るということと今度のヘリパッドの未返還地への移設ということは両立しない。こういうことは、本当に大切な森を守ろうというのであれば、改めて対米交渉をやり直すべきだと思いますが、最後に外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 この北部の訓練場につきましては、SACOの最終報告におきまして、ヘリコプター着陸帯を残余の部分に移設するということなどを条件に、その過半を返還するということとされているわけでございます。そして、今までお話がありましたように、今、その移設をどのような場所にするか、環境にそれが最も優しいかということについての検討が進められているということでございます。

 沖縄の県民の方の御負担、これをきちんと踏まえまして、SACOの最終報告の着実な実施、これに最大限の努力を傾注していきたいと考えております。

赤嶺委員 SACOは着実には実施できない条件を抱えているということを指摘して、質問を終わらせていただきます。

米澤委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 今回の名称位置給与法の改正では、在カンザスシティー日本国総領事館を廃止して、同総領事館の管轄州、ミズーリ州等六州を、在シカゴ総領事館の管轄州、イリノイ州等の四州に含めるという在外公館の統廃合を行うことが予定されています。

 予算や人員の適切な配分から、在外公館を統廃合することは必要なことです。しかし、在外公館があることに対する在外邦人の安心感、当該公館が従来構築してきた情報網、現地との人的、文化的交流の維持、継続もまた重要です。

 この点、平成六年六月二十一日の衆議院内閣委員会における附帯決議は、在外公館の新設・統廃合については、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド方式を機械的に適用することなく検討することを要請しており、昨年三月の本委員会においても、外務省はこの附帯決議を踏まえる旨答弁しています。しかし、他方で、「平成十六年度機構・定員等の審査結果について」これは総務省の行政管理局ですが、は外務省の在外公館について、「機構の設置は肥大化しないよう、スクラップ・アンド・ビルドにより対応」と明記しています。

 この総務省行政管理局の審査結果と在外公館の統廃合についての外務省の方針との整合性について、外務省はどのように説明されるのか。また、在外公館の統廃合についての外務省の基本方針についてもあわせて御答弁をお願いします。

北島政府参考人 答弁申し上げます。

 私どもとしましては、平成十四年の八月に行動計画というものを発表してございます。その中で、外務省としまして、今後三年間で、設置時の状況の変化を受けて、七公館をめどに廃止する、その上で、新たな外交上、領事業務上の必要が生じている箇所については公館の新設を検討したいというふうに発表しました。

 これは、いろいろな事情を考えてそういうことを決めたわけでございますけれども、同時に、委員が御指摘の、平成六年の衆議院内閣委員会における附帯決議、要するに、在外公館の新設・統廃合については、積極的な外交を展開するとの方針のもとに、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドを機械的に適用することなく検討すべしという御指摘をいただいているわけです。

 外務省としましては、基本的にはそのような御指摘を踏まえて、今後とも、変動する国際情勢に我が国として的確に対応し得るよう、在外公館の着実な整備、これに取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。

東門委員 次に、イラク大使館の人員体制等について伺います。

 今回の改正によりますと、在イラク大使館員の在勤基本手当は前年度比一七・三%増、これは大使の場合ですが、一七・三%増でありますが、昨年の名称位置給与法の改正では八・五%の減でした。また、イラク周辺国在外公館である在ヨルダン大使館、在クウェート大使館の在勤基本手当はそれぞれ対前年度比で三・四%減、三・〇%減であり、これらの各公館は、昨年の名称位置給与法の改正の際にも対前年度比一二・〇%減、そして一〇・五%の減となっております。

 イラク周辺大使館の業務も、自衛隊や政府調査団の派遣受け入れ等増加していると思われるわけですが、イラク大使館員の手当とイラク周辺国大使館員の手当の改定率にかかる差が生じていることは、どのような判断によるのでしょうか。今般の改正案における在イラク及びイラク周辺国日本国大使館の在勤基本手当の額をこのように決定した、その根拠を御説明いただきたいと思います。

北島政府参考人 イラクの近隣公館においても仕事が非常にふえているにもかかわらずという御指摘、ありがとうございます。

 私ども、在勤諸手当を決める場合に、これは実は在外勤務に必要となる追加的経費に充当するために支給されるというのが基本的な考え方なわけですけれども、具体的には、各在勤地における為替、物価の変動や勤務生活環境が特に厳しい在勤地において発生している追加的経費等を勘案しつつ決めるということでございます。

 イラクそれからイラク周辺国の大使館に勤務する在外職員の在勤諸手当についてもそのような観点から決定、支給しているということで、仕事の量が多い、少ないということはそのまま反映されるということではないわけでございます。

 委員御指摘の、今回、ヨルダン等イラク周辺国に所在する在外公館の中に在勤基本手当の額が減額となっているものが多いということで、幾つかの公館の名前に言及されましたけれども、その基本的な理由は、当該国の通貨が円に比べて下落したという為替要因が大きな理由でございます。

東門委員 仕事がふえたからかなりいろいろ厳しさがふえたということではないということなんですか。私はそこら付近は勘案されていいのではないかなという思いがあって質問したわけですが、わかりました。

 次に、沖縄担当大使について伺いたいと思います。

 外務省機構改革、これは最終報告ですね、平成十五年三月二十七日では、日本の安全と繁栄を実現するための能動的、戦略的な外交を展開する必要性及び外交実施体制の強化が明記されています。

 この関連で、沖縄担当大使のあり方について伺います。

 平成九年二月に、在沖縄米軍基地問題の処理を円滑に進めるため、政府が沖縄担当大使を新設して以来七年が経過しました。沖縄担当大使は、在沖縄米軍や自治体、議会、民間団体と意見交換をし、三者連絡協議会を通じて地元での問題解決に取り組んでおり、日常ベースでコミュニケーションを積み上げていって、沖縄県民の負担を軽くするような努力を一生懸命やっていると川口大臣は答弁しておられます。

 しかし、例えば基地の整理縮小について、大臣はSACOの着実な実施が重要であると繰り返し答弁するにとどまり、沖縄県民の望む目に見える成果は何らあらわれていません。普天間飛行場の返還、移設を含む今後の在沖縄米軍基地問題に関して、沖縄担当大使の存在がどのように県民の負担軽減につながったのでしょうか。私、いつもここを疑問を持って見ているんですけれども、今後のあり方も含めて、政府としての認識、考え方、ぜひ御説明いただきたいと思います。これは川口大臣にお願いしたいと思います。

川口国務大臣 これは、この前もう御答弁したかというふうに思いますけれども、今まさに委員が引用していただいたように、私は、沖縄の担当大使というのは大変に重要な役割を果たしていると思います。県を初めとした地方公共団体、米軍、それから地元の市民の方々、そういった方々との間に立って、大使であればこそ、ハイレベルのところとお話をさせていただいて意思の疎通を図るということは非常に重要な役割だというふうに思っております。

 なかなかそういった、いろいろ立場がお違いになる、案件によっては見方が違うという問題に対して調整をする、あるいは間に立って物事を処理し前に進めるという仕事というのは、大変に難しい仕事であると思います。どちらかに偏ってもいけない、皆さんに信頼をされ、そして話を打ち明けてもらい、あるいは聞いてもらえる、そういう関係でなければいけないという仕事は大変に難しい仕事であると思いますが、そういった仕事を歴代の沖縄担当大使はよくやってきているというふうに思います。

 具体的に、SACOを前に進めるということにどのように役に立っているかということでございますけれども、例えば、いろいろな例がありますけれども、事故があったときに、犯罪があったときに、そういったときにいち早く間に立って、相互の言い分、これをきちんと伝え、いい解決に向かうように進めていく、これはまさに地元に沖縄担当大使がいるからであると私は思っております。これは一例でございますけれども、そういった形で、大使及び大使の率いる事務所のメンバーはきちんといい仕事をやっているというのが私の認識でございます。

東門委員 要するに、今おっしゃったことは、話し合いはしている、しかし目に見える形での何も成果はないということに私は聞こえました。事実そうだと思うんですよ。本当に、沖縄担当大使が任命されて沖縄に来られるというニュースに接したときは、私たちは本当によかったと思いました、県民の立場で。きっと沖縄県民の声もしっかりと伝えてくれるだろうという期待があったからです。

 ところが、七年間たちましても何ら変わることはない。常に、私たちの目に見える大使、今の現大使だけではなく歴代ですね、本当に多くの意味では、米軍側に常に立っているという印象です。それは間違いないと思います。私だけが言っているのではなくて、県民のほとんどが感じていることだと思います。

 確かに、知事にお会いする、あるいは市町村長の何人かにお会いする、そういうことはあるかもしれませんが、本当の意味で県民の思いを受けとめる、そういう立場、お仕事をしておられるかというと、全然そういうことは見えない。もし本当にそういうことであれば、大使が今大臣がおっしゃるようにすばらしいお仕事をしているのであれば、沖縄問題は少しは変わっていくのじゃないか。

 いつも大臣がおっしゃる県民の負担、もう本当に何度聞いても全然うつろに聞こえるんですが、それが、負担の軽減というのは見えているはずだと思うんです。見える、あるいは感じられる。それがないということ、何一つ感じられないということは、本当に意味があるのかなという思いで私は今回も質問させていただきました。もっと県民の声を外務省に伝える、あるいはアメリカとの話し合いの中でしっかりと伝えていくという姿勢が必要なのではないかと思います。

 次に、外務省の情報公開制度について伺います。

 国の情報公開制度が平成十三年四月に開始された際に、外務省は、こういう法律ができたことを機会に、体制をしっかりつくって情報公開を積極的に行っていきたいと述べており、外務省改革のための行動計画にも、多くの国民やメディアが関心を有する外交方針、外交政策については一層積極的に説明すると明記されています。

 ところが、実態は、同法に基づく外務省の情報の非公開の多さが指摘され続けています。本年一月十三日の琉球新報で、昭和四十八年四月の「日米地位協定の考え方」と題する日米地位協定に関する外務省内マニュアルの存在が明らかにされましたが、当該文書の存否につき、外務省は保有していないと答弁しています。しかも、外務省によりますと、一九八〇年代の同文書の増補版については保有しているとのことであるものの、公開はできないと言っています。

 情報公開法第五条各号には、行政長が開示請求に対し不開示の決定ができる場合として、例えば第三号には国の安全等に関する情報、第四号には公共の安全等に関する情報と規定されていますが、この場合、どの不開示理由に該当するのでしょうか。条文の文言だけではなくて、開示した場合の具体的な不都合性についても御説明いただきたいと思います。具体的な不都合性でぜひ説明してください。

川口国務大臣 情報公開法のどの条文に当たるかというのは後で海老原局長から答弁をいたしますけれども、具体的にどのような不都合があるか、これは大きく言って二つあるというふうに考えています。

 一つは、これは増補版のお話ですけれども、一つは、これについては、部内のこの問題についての考え方が含まれている。これは、今後まだ運用の改善等々で米側と話をするということがあり得ますので、そのときに、どのように日本政府としては考えているということを表に出してしまったということであれば、そのときに交渉ができなくなるということがある。これが一つの具体的な不都合です。

 それから二番目ですけれども、これは日米の今までのやりとりが含まれているということでございます。外交上のやりとりが含まれているということでございまして、これを表に出すということは、米国と日本の間にある信頼関係を損なうということになるということです。

 この二つの不都合な点があるということをまず申し上げまして、後は海老原局長に譲りたいと思います。

海老原政府参考人 お答え申し上げます。

 理由につきましては今大臣から御説明をいたしましたとおりでございますが、文書公開法との関係で申し上げますと、五条三号におきまして、今大臣がおっしゃいましたような、外国との交渉上不利益をこうむるおそれ、あるいは外国との信頼関係を損なわれるおそれ等が挙げられているというふうに承知をいたしております。

東門委員 局長、五条三号、これは国の安全等に関する情報のところですか、そこですか。――はい、わかりました。

 それで、大臣、増補版は保有している、しかし、最初のものは、オリジナルは保有していないという外務省の答弁だったのですが、これは局長ですか、済みません。増補版は持っている、では、最初のものはない、その違いというのは、恐らく琉球新報全部お読みになったと思うんです。お読みになりましたか。まずそれから聞きます。

海老原政府参考人 琉球新報の記事につきましては、その考え方についての全文の掲載という記事がございましたけれども、それも含めまして一読をいたしました。

東門委員 その一読をした全文、かなり長いあれですが、その琉球新報に掲載されたもの、増補版、かなり似通っていますか、違いますか、そこを教えてください。

海老原政府参考人 これは、先ほど大臣が申し上げましたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、内容につきましては申し上げられないということでございますので、琉球新報に掲載されておりましたあの文章との相違ということにつきましても、御答弁を差し控えさせていただきます。

東門委員 時間が迫っています。あと一問、ぜひお聞きしたい。都市型訓練施設についてお聞きします。

 先日の予算委員会で、大臣と、金武町のキャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設建設について議論をしました。同施設が集落に近く危険なので、米側にレンジ16からレンジ4への移設を撤回するよう申し入れてほしいと要請しましたが、大臣は、地位協定第三条の管理権を盾に、米側が管理権のもとで自分の予算でつくることだとはねつけられました。しかし、第三条は、「公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」と規定しています。

 日本政府は、今回の都市型戦闘訓練施設の計画について、県民の安全に対する考慮が払われたと考えているのでしょうか。住民の安全を考慮するのは為政者として当然のことで、米軍が勝手にやっていることなので日本政府としては何もできないということでは決して済まされないと思います。御見解を伺います。

米澤委員長 北米局長、質疑時間が終わっておりますから、簡単に御答弁ください。

海老原政府参考人 今度の施設はレンジ4に建設を予定されているわけでございますけれども、先月、東門委員も現地を御視察になりまして、ヤウエル大佐からいろいろと御説明を受けたというふうに米側から聞いております。

 簡単に申し上げますけれども、そのときに、米側の方からは、例えば、流弾、跳弾対策としては、射撃用建物の中には標的の後方に高密度ゴム製の弾丸トラップ等を使用する、あるいは建物外につきましては、施設・区域の境界線とは反対方向に対してのみ射撃を行うというような措置、あるいは突破訓練につきましては、これは爆薬を使うけれども、六メートルから十二メートルの範囲内にとどまるものであるという種々の安全対策の説明があったというふうに承知をいたしておりまして、我が方としても、米側として安全策をとっているというふうに理解をいたしております。

米澤委員長 東門君、質疑時間は終了しております。

東門委員 はい、わかっております。しかし、最後に一言だけ。

 このレンジ4は本当に危険であると伊芸区の皆さんは異口同音に話しているんです。本当にそういう場所なんです。県民の安全に対する考慮ということをおっしゃるのであれば、やはりそこのところは、大臣、しっかりとアメリカ側に言っていただきたい、むしろ中止するべきだと。

 今の場所で、私は今の場所は見ていないんです、16の場所は本当は見てはおりません。レンジ4は視察させていただきましたけれども、どこがより安全かということはわかりませんが、少なくとも伊芸区の皆さんのところにとってはそうなのではないか、今現在の場所がいいのではないかという思いを持っておりますので、その点について、やはり外務省としては米軍とぜひ話し合っていただきたい。地位協定第三条があるから、いや、これはもうだめだということではなくて、県民の負担の軽減をいつもおっしゃるのであれば、私はそこもしっかりとやっていただきたいと要請をしまして、終わります。

米澤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、外務省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

米澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

米澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、渡辺博道君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡辺博道君。

渡辺(博)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  イラク戦争後の国家再建を支援するため、治安が極めて不安定な中で外交活動を続けていた日本人外交官二名が昨年の十一月二十九日、襲撃により志半ばにして殺害されるという痛ましい事件があった。戦後の復興支援のために生命を危険にさらしながら外交活動を続ける必要性は、冷戦後の新たな国際安全保障環境の中でますます増える傾向にあると指摘されている。わが国としても国際社会の責任ある一員としてこれを主体的かつ積極的に行うとの立場から、在外公館の警備をはじめとする危機管理体制の強化を急がねばならない。

  一方、外務省は、グローバル化する今日の国際社会にあって、わが国の国益を踏まえた能動的かつ戦略的な外交を展開することが求められており、そのために機構改革を含む外務省改革を早期に実現しなければならない。

  また、北朝鮮による日本人拉致事件の早期解決は、国民の総意であると認識し、最優先課題として取組む必要がある。

  これらを踏まえ、政府は本法の施行にあたり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一、外務省は、平和構築のための国際社会の取組に積極的に寄与できるよう、在外公館の警備をはじめとする危機管理体制の強化に全力で取組むこと。

 二、外務省においては、国民の生命財産を守り、領土領海を守り、国益を守るために、日本外交の適切かつ効果的な力強い展開を図り、不祥事の再発を防止し、信頼を回復するために、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取組むこと。

 三、わが国の深刻な財政事情並びに民間の厳しい諸情勢を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるための具体的措置を講ずること。

 四、現下の厳しい国内情況に鑑み、在外職員の在勤基本手当並びに諸手当についても、各任地における諸外国外交官及び日本企業駐在員の給与制度及び水準も参考としつつ、勤務条件・現地の生活環境や物価水準、為替相場などを総合的に勘案し、適切な水準・内容となるよう努めること。

 五、日本海呼称問題に関する誤った対応を二度と繰り返さないために、在外公館における訓令に対する履行、履行状況の本省への報告等の確実な実行を確保すると共に、在外公館における日本海呼称履行への取組を徹底すること。

 六、在外公館においては、犯罪・テロ対策など在外邦人に対する安全対策について一層の機能強化を図ること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

米澤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

米澤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣川口順子君。

川口国務大臣 ただいま外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。

 法律案と同時に可決されました附帯決議については、これを厳粛に受けとめます。

 在外公館の警備を初めとする危機管理体制の強化については、外務省機構改革の一環として、大臣官房に危機管理担当の参事官を新設するとともに、在外公館の警備についてはなし得る限りの強化を行い、安全確保に万全を期すよう努めてまいります。

 外務省の組織機構改革については、我が国が国際社会でリーダーシップを発揮し得る戦略的かつ機動的な体制を構築するため、領事局の新設や国際情報統括官の新設、国際社会協力部の改編等を行っていく考えです。

 在外公館に勤務する外務公務員の給与については、今後とも在勤諸手当の内容及び水準が適切なものとなるよう努めてまいる所存です。

 外務省としては、附帯決議の御趣旨をも踏まえて、今後とも種々の課題に全力で取り組んでまいります。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

米澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

米澤委員長 次に、サイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件及び武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣川口順子君。

    ―――――――――――――

 サイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件

 児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件

 武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川口国務大臣 ただいま議題となりましたサイバー犯罪に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、平成十三年十一月にストラスブールで開催された欧州評議会閣僚委員会において採択されたものであります。

 この条約は、サイバー犯罪から社会を保護することを目的として、コンピューターシステムに対する違法なアクセス等一定の行為の犯罪化、コンピューターデータの迅速な保全等に係る刑事手続の整備、犯罪人引き渡し等に関する国際協力等につき規定するものであります。

 我が国がこの条約を締結することは、サイバー犯罪に効果的に対処するための国際的な取り組みに寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成十二年五月にニューヨークで開催された国際連合の第五十四回総会において採択されたものであります。

 この議定書は、性的搾取等から児童を保護するため、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪人引き渡し、国際協力等について定めるものであります。

 我が国がこの議定書を締結することは、児童の権利の促進及び保護を図ることについての我が国の積極的な姿勢を国際社会に示すとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成十二年五月にニューヨークで開催された国際連合の第五十四回総会において採択されたものであります。

 この議定書は、武力紛争における関与から児童を一層保護するため、十八歳未満の自国の軍隊の構成員が敵対行為に直接参加しないこと、自国の軍隊に志願する者の採用についての最低年齢を引き上げること等について定めるものであります。

 我が国がこの議定書を締結することは、児童の権利の促進及び保護を図ることについての我が国の積極的な姿勢を国際社会に示すとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

米澤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日木曜日午後二時二十分理事会、午後二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.