衆議院

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第13号 平成16年4月23日(金曜日)

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平成十六年四月二十三日(金曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 米澤  隆君

   理事 岩永 峯一君 理事 谷本 龍哉君

   理事 中谷  元君 理事 渡辺 博道君

   理事 末松 義規君 理事 武正 公一君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      今津  寛君    遠藤 武彦君

      小野寺五典君    河井 克行君

      木村  勉君    高村 正彦君

      鈴木 淳司君    田中 和徳君

      土屋 品子君    西銘恒三郎君

      松宮  勲君    宮下 一郎君

      阿久津幸彦君    泉  健太君

      加藤 尚彦君    今野  東君

      田中眞紀子君    中野  譲君

      中村 哲治君    松原  仁君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   外務大臣政務官      松宮  勲君

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局次長)   山内 千里君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 門司健次郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   政府参考人

   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  古田  肇君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 篠原 尚之君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  竹谷 廣之君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    金子賢太郎君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     今津  寛君

  前原 誠司君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     河井 克行君

  泉  健太君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 哲治君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 東南アジアにおける友好協力条約の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)

 欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一六号)


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     ――――◇―――――

米澤委員長 これより会議を開きます。

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、東南アジアにおける友好協力条約の締結について承認を求めるの件及び欧州復興開発銀行を設立する協定の改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官門司健次郎君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、外務省経済協力局長古田肇君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛施設庁長官山中昭栄君、財務省大臣官房審議官篠原尚之君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君、海上保安庁次長金子賢太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

米澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺博道君。

渡辺(博)委員 おはようございます。自由民主党の渡辺博道でございます。

 本日は、大臣がおみえにならないで委員会開催ということになりました。大臣におかれましては、人質解放に向けて大変御尽力なされ、そしてまた、過労のために体調を崩され、本日欠席ということになりました。この欠席を前提で委員会が開催することになりましたけれども、ぜひとも大臣におかれましては早く元気になられて、またこの国会で質問にしっかりとお答えしていただきたいな、このように思うわけであります。

 きょうは、大臣のいない中、副大臣が責任を持って御答弁をしていただけるということでございますので、私の方から、中心は逢沢副大臣の方にお話をお聞きするというふうに思います。

 とりわけ逢沢副大臣につきましては、今回の人質問題につきまして大変御苦労をおかけいたしました。副大臣、体調の方はいかがでしょうか。大丈夫でしょうか。ぜひとも副大臣におかれましては健康に御留意されて、しっかりと外交政策について実施方、よろしくお願いを申し上げる次第であります。また、外務省の職員の皆さん方におかれましても、徹夜で作業をして、無事に人質を解放された。皆さん方にも心から敬意を申し上げる次第でございます。

 続きまして、実は、イラクの状況は大変厳しい状況であるということでございます。オランダ軍の宿営地に迫撃砲が、砲弾があったというようなことでございますけれども、状況は刻々と変わりつつあるなというふうに思うわけであります。

 そうした中で、実は、私たち日本が、サマワの地で自衛隊がどのような活動をしているか、これをぜひとも多くの、全国そして全世界の国民に示してもらいたいなというふうに思います。それは、例えば、人質の問題がテレビに放映されたときに、自衛隊を撤退してほしいという世界への一つのメッセージがありました。これを私ども日本としては、逆に、自衛隊はイラクのために一生懸命人道復興支援、これをしているんだということをぜひとも示すような報道活動をしていただきたいな、そのように思います。これは私からの希望でございます。

 そしてまた、実は、このイラクの問題を取り上げている最中にでありますけれども、北朝鮮の金正日総書記が中国に訪問してまいりました。これは、新聞報道によりますと、六カ国協議推進合意をしたとか、中国側は食糧、重油を無償援助するというような取り決めもされたようでございますけれども、この問題は私ども日本にとって大変重要な問題であります。

 拉致の問題を含め、そして核開発の問題を含めて、しっかりと取り組んでいかなければならない問題でありますが、こういった中国訪問に対して、第三国での協議でありますから、具体的な内容にコメントできるかどうかは大変難しい点があろうかと思いますけれども、ぜひとも、この中国訪問に対する政府の意義、認識及び評価についてお伺いをしたいというふうに思います。

逢沢副大臣 渡辺先生御指摘のように、金正日総書記・国防委員長は、非公式に中国を訪問され、中国の要人の方々と会談をされたわけでございます。中朝双方が幾つかの点について明らかにしておられるわけでありますけれども、訪中時におきましては、中朝二国間関係あるいは懸案の核問題等について意見交換が行われたというふうに承知をいたしております。

 中朝双方は、六カ国協議プロセスを引き続き推進する、また朝鮮半島の核問題の最終的な解決に貢献することで一致したということでありまして、私どもとして、そのように承知をいたしているわけであります。また、会談におきまして、金総書記は、対話による平和解決の立場を模索する、そして引き続き六者会合のプロセスに積極的に参加をしていくことを表明された、そのように私どもは承知をいたしております。

 当然のことでありますけれども、北朝鮮がこのような首脳レベルの、いわば高いレベルで諸外国との意見交換を行うこと自体、好意的に解釈をすれば、北朝鮮も国際社会の中にあって責任ある一員になろうとする姿勢のあらわれではないか、そのようにぜひ受けとめたいわけでございますけれども、会談が行われたそのこと自体、私どもとして、好ましいことである、そのように考えております。

 特に注目すべきは、金総書記が六者会合のプロセスに積極的に参加をしていく旨を表明されたわけでありまして、ここのところに私どもとしても着目をいたしております。作業部会の早期開催を含め、核問題の解決、そして日朝間の最大の懸案でございます拉致問題の解決等々、日朝間の諸問題の解決にもよい影響がある、プラスの影響がある、そういうことを期待いたしているわけであります。

渡辺(博)委員 ありがとうございました。

 続きまして、条約関連の質疑に入らさせていただきたいと思います。

 本条約は、アジア関連という形で取りまとめて、三条約が審議に入っております。とりわけベトナムとの投資協定の問題、それと同時に、それを含みます東南アジア友好協力条約、この点についてまずお伺いをしたいというふうに思います。

 この条約を発効するに当たって、その大前提は、私は、アジアそのもの全体を見ていく必要があるんではないかというふうに思うんですね。とりわけ中国の動きというものは、大変注目していかなければならないというふうに思うわけであります。そして、東南アジア全体を見たときに、日本はその東南アジアそしてまたアジアのどのような位置を占めていくか、これは大変重要な問題だというふうに思うわけであります。

 そこで、事東南アジアとの関係におきまして、この条約以外にも経済連携協定など、またいろいろな条約が結ばれているというふうに思います。こういった条約そのものすべてを含めて、実は、東南アジア外交に対する戦略として一体どのような方向を見出していくのか、これは大変重要な問題だというふうに思うんですね。

 特に、東南アジアにつきましては、我が国の安全保障、経済、いずれの面においても日本の国益と密接に関係をしているわけであります。そうした東南アジア諸国において日本が一目も二目も置かれるような国でありたいな、私はそのように思うわけであります。こういった存在感を確保するためには、まず第一に必要なのは、私は、経済への投資、これが大変重要だというふうに思うんですね。

 これは、当然のことながら、これから審議されます日・ベトナム投資協定にもかかわる問題でございますけれども、実際にASEAN諸国を見ていきますと、経済格差というのは大変多うございます。ミャンマー、ベトナム、ラオスそしてまたカンボジア、こういった地域は後進ASEAN諸国というふうに言われておりますけれども、この地域間格差をやはりなくしていくことが大変重要ではないかな、そのように思います。

 そのためには、まずは日本は、ベトナムとの投資協定というものを一つの契機として、これらの国と密接な関係を結ぶような条約をさらに進めていく必要があると同時に、ODAを通じてさらにこの国の経済の発展に寄与することが大変重要ではないかな、そのように思います。

 さらにもう一点は、人への投資であります。

 すべては人との交流によって賄っていくのが社会の常、世界の常だというふうに思います。その中で、日本へは大学への留学やビジネス、こういった人たちが多く来ておりますけれども、さらに私が進めていく必要があるというのは、この人たちがもっと小さいときから、いわば小学生や中学生のときから日本に触れることが必要ではないかな。日本の伝統文化や、そしてまた社会、そして日本の技術、こういったものに触れていくことが必要ではないかというふうに思うわけであります。

 実は、私ども、国会議員になったときに、こういった地域に対して学校をつくろうということで、国会議員約四、五十名が集いまして、毎年学校をつくっていこうではないかということの活動をしております。現在、五校、東南アジアに学校を贈りました。毎月の積み立ての中でやってきている作業でありますけれども、一校つくるのに大体五百万から六百万かかります。日本の要するに学校に比べたら大変安くできるわけでありますが、私どもがカンボジアに四校、ラオスに一校今までつくっております。そのときに、贈呈式にあらわれた子供たちの目というのは大変輝いていて、本当にすばらしいなというふうに思います。

 私たちの夢は、アジアの国々に学校を一つ一つつくっていく、そしてそのアジアの学校に通っている子供たちを一つのネットワークをつくっていきたいなというのが我々の夢なんですね。でも、我々のできる範囲というのはごくごく限られています。そこで、やはり国としてしっかりとこの部分も取り組んでいくことが人への投資の大変重要な要素ではないか、そのように思うわけであります。

 とりわけ日本は、大きな戦略として、観光立国というものを目指していこうということであります。この観光立国を目指していくためには、少なくとも人の交流の障壁をなくしていくことが大事なんですね。

 一つの方向としては、ノービザ制度の拡充であります。これは現在、今回、韓国の修学旅行生に対しては三月一日からノービザで入れることができたというようなことも聞いております。また、香港に在住の人についてはやはりノービザで来られるというようなことも聞いております。さらに、まだ実際に実現しておりませんけれども、お隣の台湾についてもそういった要望も大変強いわけであります。

 そのように、アジア全体をとらえていったときに、やはり人との交流をいかに促進していくかという点が大変重要だというふうに思います。

 もう一つの点は、APECのビジネス・トラベル・カードというものの発給、これも現在確実に進められております。現在加盟しているのが十六カ国だというふうに聞いておりますけれども、こういった制度をさらに拡充していくことが大事ではないかな、そのように思います。

 そのように、東南アジア、いわゆるアジア全体の中における東南アジアというものを見たときに、投資、経済への投資そしてまた人への投資というものは、本当に二つの要素として私が大事だなというふうに思うわけでありますが、政府としては、この対東南アジア政策に対して、外交政策としてどのようにこの東南アジア友好協力条約というものを位置づけているのか、そしてまたこの地域とどのようにこれから日本との関係を結んでいくのか、その基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

逢沢副大臣 東南アジア地域が持つ大いなる可能性、また潜在力、引き続き我が国として着目をしていかなくてはならない、そのような認識を持っております。

 対東南アジア外交、我が国の外交の大切な、大きな柱の一つであることは言うまでもございません。また、委員が今御指摘のように、経済の関係また安全保障の関係、あるいは最近ではテロを封じ込めていく、そういったことにつきましても東南アジア諸国とは幅広く連携を強化していく、そういった必要性があろうかというふうに思います。

 東南アジアの安定と繁栄は、もちろん、我が国を含むアジア太平洋地域全体の安定と繁栄に密接に結びついている、こういった認識をお互いが共有したいというふうに思います。とりわけ東南アジア地域の牽引役であるASEANとの協力を通じてアジア太平洋地域全体の安定と繁栄を確保する、大変重要なことでございます。

 また、ASEAN自体がその内部の安定と連携を一層強化していただく。特に今、委員の方から、一口にASEANと言っても、先進的な所得の高い国、そしてラオス、カンボジア、ミャンマー等々挙げられましたけれども、後発のグループ、そういったものが内在をしているという御指摘でございましたが、そういった内部の安定と連携を一層強化し、アジア全体の安定と繁栄の強化の担い手となることを私どもは期待いたしておりますし、また日本の立場からもそのことを支援していかなくてはならない、基本的にそのような認識を持っております。

 もちろん、我が国と東南アジア、ASEANとは長い友好の歴史がございます。ASEANを、率直に話し合える、ともに歩み、ともに進むパートナーと位置づけておるわけでありますし、また、ASEANと、相互の利益のための協力の次元を超えて、アジア全体の繁栄と安定を目指した協力を健全に進めていく、ともに東アジアコミュニティーを構築していく、そういった構想を私ども念頭に置きながら、今後とも積極的な、対等なアジア外交、ASEAN外交を進めてまいりたい、そのように承知をいたしております。

渡辺(博)委員 ぜひとも積極的に取り組んでいただきたい、そのように思います。

 そこで、条約の関係において、東南アジア友好協力条約の関係の中に、実はこの条約は本来はASEAN10、十カ国の中で条約というのが締結されておりました。そうした中で、昨年、中国やインドが先に条約を締結したようでございます。その後を受けて今回の条約の審議というふうになっておりますが、こういった東南アジア外交について、中国やインドにおくれをとったのではないかという批判がございます。これに対してどのようにお答えになりますか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、先ほど逢沢副大臣の方から答弁がありましたとおり、東南アジア、特にASEAN諸国というのは、日本のアジア外交にとって一番大事なパートナーの一つでございます。それはまさに委員御指摘のとおりでございます。そして、ASEAN側も、まさに日本との協力関係、これは極めて大事であるということ、これは十分に認識しておりまして、今まで三十年余り、それ以上にわたる日本とASEANとのさまざまの関係、これは経済面そしていろいろの人の交流等々ございます。

 委員御指摘のとおり、投資の重要性あるいは貿易そしてまたODA、さまざま、いずれをとっても、日本はASEANを非常に重視してまいりました。そうしたあらわれとして、ASEAN側においても、やはり日本との関係が大事であると。これがまさに昨年の十二月、日・ASEANの特別首脳会合が、初めてこれはASEANの域内を超えて、ASEANの域外で対話等を行う首脳会談として初めて日本で行われた。これはまさにASEANが日本のことを非常に重視しているということのあらわれであろうというふうに思っております。

 そして、この条約でございますけれども、そうした中で我々としては、そういう意味では日本とASEANとの関係というのは非常にもう進んでいるということで認識しておりましたけれども、そうした中で、昨年の十月、ASEANの首脳の側から、日本もやはりこの条約に入ってほしいという強い要望がございました。

 私どもといたしまして、やはりいろいろと確認すべきことがございました。それがまさに昨年の十二月の日・ASEAN特別首脳会合において東京宣言という形で発出いたしましたけれども、民主主義であるとかあるいは人権の尊重であるとか、そうしたことをきちんと確認した上で東京宣言を発出する。

 そしてまた、昨年の十月、ASEAN側においても、この条約が、改めて、今後ASEANが二〇二〇年に向けて共同体づくりをやっていく、そういう中で新たな位置づけを、重要な役割をこの条約が担ったということもございます。そして、先ほど申し上げましたように、ASEAN側の首脳からも、やはり日本にもこの条約にも入ってほしいと。

 そうしたこと全体を受けて総合的に判断をして、そしてよい東京宣言もできたということを踏まえて、この条約に入るということにしたわけでございまして、やはりそこにはしかるべきプロセスが必要であったというふうに考えております。

渡辺(博)委員 プロセスも大事ですが、即効性も大事なので、その辺もひとつ考えていただきたいんですよ。

 実は、中国という国は今どのような動きをしているか。一つの方向を示すデータとして、ちょっと読まさせていただきますが、これはことし三月五日に中国の全国人民代表大会、このときに北京で温家宝総理が政府の活動報告を行いました。既に御案内だと思いますけれども。その中で、ことしの主要任務というものをうたっているんですね。その中の第七番目の項目、対外開放レベルを引き上げるという項目がございます。

 これはどういうことかといいますと、その中の一文を読まさせていただきますが、海外進出の政策の実施を加速させ、境外、自分たちの外ですね、境外における投資の調整と指導を強化し、さまざまな所有制企業がさまざまな方法を利用して境外で投資し、事業を興し、国際市場を開拓することを奨励しなければならない。多国間、二国間、地域経済協力を積極的に展開しなければならない。こういうふうにうたっております。そのように明確な形で、外に向かって投資活動を積極的にやっていこうということをうたっているんですね。

 そういうふうに考えますと、それでは実際に、日本の、今おっしゃいましたけれども、自由貿易協定とか経済連携協定の交渉など、今はいろいろな形で行われております。でも、これを、我が国のASEANとの関係において、もっと明確な形で方向性を示していただきたいんですよね。そのときに、少なくとも中国に負けないぐらいの速い行動力を持って示していただきたいというふうに思うんです。

 私は、この中国の問題は大変これから大きな意味を持っている、常にウオッチしていく必要があるというふうに思います。経済成長はことしは七%を目指している、そのような形で経済の発展が著しい中でありますから、その中国が東南アジアに大きな影響力を持ってしまったときに日本は逆に影が薄れてしまうのではないか、そういった危惧を持つわけでありますので、ぜひともASEANとの交渉の方針やこれからの方向性について明確にちょっとお答えいただきたいと思います。

逢沢副大臣 中国の動向について委員の方から御指摘がございました。大きな人口を擁する中国、しかも急速な経済の成長を遂げている中国でございますが、大前提として、中国の成長、発展は、我が国にとってそのこと自体が好機であり、挑戦の機会というふうに位置づけております。

 しかし、その中国が、とりわけ対東南アジア外交、対ASEAN外交をどのように進めようとしているのか、我が国は我が国として、その中国の対外政策に引き続き注目、注視をしておかなくてはならない、基本的にその立場にございます。

 一方、そういった状況の中、我が国は我が国として、先ほど薮中局長からも申し上げましたように、去年の暮れの日・ASEAN特別首脳会合、そしてそれを受けた形で今回この条約の締結に踏み切る、こういうことでございますが、なお、そういったことを前提にし、既にシンガポールとはFTAが結ばれているわけでありますが、対フィリピン、マレーシアとの経済連携協定締結交渉を既にスタートさせております。

 積極的にこのことに相対応してまいりたいと考えておりますし、また同時に、インドネシアやASEAN全体との間でも協議を行っているわけでありまして、委員におかれましても、御理解の上、御支援を賜りますようにお願いを申し上げたいというふうに存じます。

渡辺(博)委員 ぜひともそのような形で進んでいただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと時間がなくなってしまいまして、人への投資の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほども私は人との交流というのは大変重要だということの話をさせていただきました。特に、この問題につきましては、同じような気持ちを持って活動してきた仲間であります田中政務官にお伺いしたいんです。

 今日本がいろいろな形で海外との交流を進めているんですが、実際にデータから見ますと、まだまだ少ないですね、日本に留学生が来ている数というのは。

 このデータを見ますと、実は高校生の三カ月以上の受け入れ状況でございますけれども、ASEAN諸国からは百三十七名ですね、全体でも千四百七十八名、大変少のうございます。そしてまた、三カ月未満の状況でありますけれども、いわゆるASEAN諸国においては三百七十三名、全体で四千九百八十六名、そういったデータがございます。こういったデータを見ますと、やはり日本というのは極めて人の交流に対して閉鎖的ではないかというふうに思われるわけであります。

 したがって、その交流を促進するためには、私は、逆に言いますと、この友好条約、東南アジアにおける友好条約第三条の中に、「締約国は、締約国間の一層緊密な理解を促進するため、締約国の国民の間の接触及び交流を奨励し及び容易にする。」という項目がございます。これをいかに具体的に実現していくかということが大変重要だというふうに思うんですね。

 そこで、田中政務官にお伺いしますが、日本のこういった現状を踏まえて、これから外務省として、また国として、どのように人との投資に対して取り組んでいくのか、お話を聞きたいと思います。

田中大臣政務官 留学生問題やまた東南アジアに学校等をつくっていかれる民間人としての活動を積極的にしておられる渡辺議員の今のお話というのは、非常に重みがあったと思っております。

 留学生に関して申し上げてまいりますと、中曽根内閣のときに、十万人を早く日本に受け入れの実現をさせたい、こういう思いを表明されて、政府としても取り組んできたわけでございますが、先般、十万を超えてきた、こういう状況にあります。

 しかし、委員御指摘のとおり、欧米の国々に比べてどうかといえば、まだまだやはり日本の留学生の数は少ない、また交流関係につきましてももっと政府が積極的に対応すべきだ、このように認識しております。

 御指摘が先ほどありましたので申し上げておきますけれども、ASEANとの相互理解と友好親善促進には、高校生交流も意義深いため、平成十六年度においては、外務省は、ASEAN諸国から、約十一カ月日本に滞在させる長期プログラムを受け入れております。また、日本、ASEAN双方の高校生をお互いの国に約一カ月滞在させるという短期のプログラムを準備しておりまして、対応をしてまいりたいと思います。

 人数等については、まだまだ数が少ない状況にございますので、積極的な努力もしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

渡辺(博)委員 ぜひとも積極的に進めていただきたいと思います。

 実は、私の地元にマブチモーターという会社がございます。この会社は、ベトナムに投資をしてございます。私は、何回かベトナムにも訪問させていただきました。そのときに私は、企業が海外進出するためにどういう要素が必要なのかなということをお伺いしたんですね。そうしますと、まずは対象となる地域を三十ぐらいリストをつくっていく、それがロングリストというふうに言われておりますけれども、ロングリストをつくった後、次は三つぐらいに絞り込むショートリストをつくっていく、その中で最終的に決めていくというような話がありました。

 その要素として、まず労働力が廉価であり、そして良質であるということが第一点、それを言われておりました。さらには、やはり政府のビジネスに対するフレンドリーな姿勢が必要だというふうなことを言っておりました。

 そうした中で、今回、日・ベトナムの投資協定というのは、その役割は逆に本当に大きいのではないかというふうに思うんですね。ぜひともこれからも、ベトナムとの、友好関係も当然必要でありますが、投資協定を締結することによる双方のメリットというのはどのようにお考えなのか、それをお聞かせいただきたいと思います。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、ベトナムの持つ大きな可能性、潜在力、また、域内においては比較的人口も多いマーケットとしての魅力、さまざまな意味で大変重要な国であるというふうに承知をいたしております。

 この日・ベトナム投資協定によりましてさまざまなメリットが双方にもたらされる、そういうふうに認識をいたしているわけでありますが、相手国の投資家との関係では、原則として、内国民待遇及び最恵国待遇の供与、並びに特定措置の履行要求の禁止を義務づけられております。

 したがいまして、こういうことでございますので、投資家の権利保護、また良好な投資環境整備のための法的な枠組みが提供されるということになるわけであります。そういった意味からいたしますと、投資家の法的地位が一層安定をする、つまり、お互いの投資が促進をする非常によい環境が整うということで、大いなる活性化が期待をされるものと承知をいたしております。

渡辺(博)委員 ありがとうございました。時間が来たので、終わりにします。

    ―――――――――――――

米澤委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、政府参考人として防衛庁防衛局次長山内千里君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

米澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 次に、松原仁君。

松原委員 まず冒頭、この東南アジア友好協力条約に関して御質問いたしますが、この条約の実効性というのは具体的にどういうものがあるのか、またその具体的な影響はどういうものがあるのか、御答弁をお願いいたします。

逢沢副大臣 東南アジア友好協力条約、その本質について御質問をいただいたわけでございますが、先ほどにも御答弁申し上げましたように、日本にとりまして東南アジアは、政治的にも、経済的にも大変重要な地域であります。日本の基本的な姿勢としては、ともに歩み、ともに進むパートナーというふうに東南アジア、ASEANを位置づけているわけでございます。ASEANプラス3を活用しながら、東アジア全体の反映と安定を目指した協力を進めることを通じて、東アジアコミュニティーの形成を図ってまいりたい。

 そういった認識の中でこの条約を、東南アジアにおける友好協力へのコミットメントを象徴する基本文書としてASEAN各国も重視をいたしておりますし、また、我が国もそういったASEANの姿勢を評価いたしているわけであります。

 この条約を締結することによって、ASEANとの友好協力関係の一層の強化に向けた日本のコミットメントが改めて象徴的に示されるということになるわけでありまして、私ども、そこのところに意義、評価を置いているわけであります。

松原委員 実効性よりはそういったシンボルというふうなイメージであろうかというふうに思っているわけでありますが、既に渡辺議員の質問にもあって同じ質問になってしまうわけでありますが、なぜこの条約締結が中国よりおくれたのか。私は、このことは一つの日本外交の行動のシンボルになってしまうのではないかと。

 つまり、本来であれば中国が昨年にこの条約に加盟をした段階、もしくは日本の国のまさに国益を考えるならば、それに先んじて入るはずであると私は思っておりますが、昨年、中国がこの条約に加盟する段階において、そのことに対して外務省としてはどのような認識をお持ちだったか、お伺いいたします。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 この条約でございますけれども、委員御承知のとおり、一九七六年にでき上がった条約でございますけれども、そしてその後、域外国に開放するということになって、二〇〇〇年以降、ASEAN側からも話があったわけでございます。そして、インドと並んで中国が昨年入ったというのは、委員御承知のとおりでございます。それは、昨年の十月のバリの会議でございました。

 我々といたしましては、当然のことながら、日・ASEANは非常に重要な関係でございますけれども、そうした中で、我々としていろいろと検討すべき問題はきちんとある。それは、先ほど申し上げましたように、結実いたしましたのが、日・ASEANの特別首脳会合におきまして東京宣言という形で発出いたしましたけれども、そこにおいて日本とASEANとの基本的な協力の原則というのを打ち立てるということをまず行ったわけでございます。

 そしてまた、その中で、昨年の十月、ASEAN側においても、本条約が今後のASEANの共同体づくりの重要な位置づけを行われた。そういうことを踏まえて、我々として、またASEAN側からも、ぜひこれは日本にも入ってほしいということ、そういうことをもろもろあわせて、昨年の十二月の日・ASEAN特別首脳会議において、日本側からもこれへの加入の意思を表明し、そしてASEAN側からも非常に高く評価されたというのが経緯でございます。

松原委員 今、逢沢副大臣が、極めて東南アジアの、日本との関係を含め地域的なコミュニティーや経済圏における、具体的なものというよりはシンボルであるというお話をいただいたわけでありまして、シンボルであるならば、諸般の状況が云々ということではなくして、すぐに昨年の段階でそこに加盟することが可能であったというふうに私は思っているわけであります。シンボルであるならば。

 日本の行動をどのようなメッセージとして東南アジアの諸国が受け取るかといえば、インドや中国に対して、日本は、それは形から見れば不熱心であるというふうに受け取ることも可能であると思っておりまして、その辺について、もう一回、薮中さん、実務的な部分でお話しください。

薮中政府参考人 委員がよく御承知のとおり、日本とASEANとの関係、これは先ほども申し上げましたが、三十数年にわたる日本の対ASEAN重視政策、これは実態がある話でございます。

 そしてまた、ASEANの首脳がこもごもに昨年の十二月の首脳会議で言っておられましたけれども、まさに我々としては、こうして初めて域外にやってきたのが日本である、それは我々としても非常に日本を重視しているという証左であると。その実態というのがまさに行動計画、昨年の十二月の首脳会議で発出されました東京宣言、そしてそれに附属する百項目以上にわたる行動計画というのがございます。

 実態がそこにあるわけでございまして、ASEANの首脳も、そういう意味で、まさに日本というのは格別の国であるということを十分認識し、そしてそうした国が今回この条約に加入してくれるということ、これはますますそうした関係を強化する上で非常に結構なことである、こういう評価がございました。

松原委員 であるならばこそ先に入るべきだと私は思っておりまして、ここに加盟をするのに何か慎重だった理由というのはあるんですか。

薮中政府参考人 当然、日本でございますから、条約というものについては重い外交文書であるということを我々は常々考えております。そうした中で、一項目一項目やはり吟味をするということも、先ほどからお話のありますスピードということとあわせて大事である、そういう意味での検討を行ってきたということでございます。

松原委員 この問題は、もちろん条約であるから慎重であるというのは大事でありますが、それよりは、日本が先んじて入るということが、私は、日本の国益上そういったことが、今までの経緯を踏まえればこそ逆に必要だったという認識を申し上げたいと思っております。

 そして、この条約関係は以上にいたしまして、これからさらに、ほかの質疑も含めてしていきたいと思っております。

 先ほどお話がありましたが、金正日氏が中国を訪問したわけでありますが、このことに関して、既に逢沢副大臣の御答弁は先ほど渡辺委員に対してなされましたので、薮中さんがこのことに対してどのような所見を抱いているか、御答弁できるならば御答弁をいただきたいと思います。

薮中政府参考人 まさに先ほどの逢沢副大臣の御答弁のとおりでございます。

 私としても、六者会合のプロセスについて、これに積極的に参加していくという意思表明が行われたということは重視しておりまして、今まで中国側から伺っていること、そして発表されたこと、北朝鮮側から発表されたこと、全体を見ますと、全体として、この核問題の解決について積極的に対話をしていこうという意思が改めて確認されたということは、私にとっても非常にこれは結構なことであるというふうに考えております。

 ただ、問題は、それがこれからの具体的な六者会合のプロセスにおいて、実際に核廃棄に向けて北朝鮮がきちんとした対応をするということが大事だろうと思っております。

松原委員 これに付随する形で、薮中局長は当然ごらんになっていると思いますが、昨日のTBSの報道で、鄭泰和氏がテレビのインタビューに答えて、対日の極めて強硬的な議論をしているわけでありまして、無条件で戻すことはないということも含め、また日本の経済制裁的なものに対して我々は大砲を用意している、こういうふうなことを言っているわけでありますが、これについてはどのように御所見を持っておられるか。

薮中政府参考人 委員よく御承知のとおりだと思いますけれども、きのうの鄭泰和大使のあの発言というのは、私もテレビを通じて、あるいは報道で十分承知しておりますけれども、基本的には、従来からの考え方というか立場、また、特に最初に会った人には必ずああいうふうに言うだろうというふうに受けとめております。

松原委員 それでは、尖閣諸島の問題をお伺いしたいと思っております。

 この尖閣諸島は日本固有の領土であるというふうに認識をしているわけでありますが、その歴史的経緯についてお伺いいたしたいと思います。

薮中政府参考人 尖閣諸島の歴史的経緯ということでございますけれども、御承知のとおり、まず基本は、尖閣諸島が日本、我が国の固有の領土であるということ、これが歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、かつ、現に我が国はこれを有効に支配しているということでございます。

 そして、歴史的ということでございますけれども、一八九五年、明治二十八年でございますけれども、一月の十四日に我が国の領土として沖縄県に編入するという決定を行ったわけでございます。

 これを行うに当たりましては、一八八五年以降、当時のさまざまな調査を行い、第一の要件として、この土地が無主地である、どの国もこれを占有していないということ、この確認を十年以上にわたって行ってまいりました。そしてまた、同様に、第二の要件でございますけれども、いずれの国家も領有意思を持ってこれを行うことがあるかどうかということでございまして、そして、その一連の経緯の中で日本政府として、これは一八九五年の一月十四日でございますけれども、閣議決定を行い、我が国の領土として沖縄県に編入するということを行ったわけでございます。

 それ以降、当然、サンフランシスコ平和条約等々の経緯がございますが、我々といたしましては、国際法に基づいてもきちんとした経緯においてこれが日本の領土として編入されたということでございます。

松原委員 この尖閣諸島は、琉球王国の時代は琉球王国の領土であったという議論もあるわけでありまして、日本のまさに歴史的な正当性を持つ領土であるということだと思いますが、この尖閣諸島について、台湾、中国が領有権を主張するということが今日起こっているわけでありますが、その経緯についてお伺いいたします。

薮中政府参考人 中国、台湾の双方がこの尖閣諸島について占有権を主張し始めたのは一九七〇年代以降でございます。我々の承知しておるところでは、中国につきましては、中国の外交部が一九七一年の十二月三十日に出した声明において、彼らが言います釣魚島について、昔から中国の領土であったということを言っております。そしてまた、台湾につきましては、一九七一年の六月十一日に出した声明において、これは中華民国外交部という当時の形での声明でございますけれども、尖閣諸島は台湾省に附属して中華民国領土の一部を構成しているというのを当時言ってございます。その中において、台湾側の理解としての歴史的な問題についてを言っているということでございます。

 繰り返しになりますけれども、先ほども申し上げましたように、きちんとした、十分に確認を行って、一八八五年以降、この尖閣諸島が無主地である、当時の清国を初めとするいかなる国の支配下にもないということ、これをきちんと調査して、そして一八九五年に閣議決定を行ったということでございまして、いささかも我々の立場がこれによって、中国あるいは台湾の主張によって揺るがされるものではないというのが我々の考えでございます。

松原委員 通告していないので、お答えができなければ結構でありますが、尖閣諸島に大変ないわゆる天然資源があるというふうなことがあります。中台の主張も、その天然資源というものが起こってから、調査によって存在が明らかになってから主張が行われたという議論もあるわけでありますが、どのような天然資源があるのか、もし御答弁が可能であればお伺いしたいと思います。

薮中政府参考人 私どもも、尖閣諸島、その周りにおける天然資源ということで、民間でも幾つかの調査がなされているということは承知しておりますけれども、具体的にどれだけの形での資源がそこにあるかということについては必ずしも明確になっていないというのが私の理解でございます。

松原委員 御案内のとおり、十四日に明らかになったということでありますが、台湾が、中国、台湾も領有権を主張する尖閣諸島のうち五島を台湾内政部が中華民国の領土として正式に土地登記簿に記載したことが十四日明らかになった、このように伝わっているわけであります。台湾当局は、これまで同諸島の領有を法的に証明する地理的資料を持っていなかったが、初めて台湾の主権を主張する具体的事実が整ったとしているということであります。

 このことに対して、日本政府はどのように対応しているのか、どのような抗議をしているのか、このことをお伺いいたしたいと思います。

薮中政府参考人 今委員御指摘の点というのは、最近において、台湾がこれの土地登記という行動をとったということであろうというふうに思います。

 これにつきましては、四月の十四日でございますけれども、交流協会、亜東関係協会のルートを通じまして、台湾側に対しまして尖閣諸島に関する我が国の立場を改めて表明する、まさに尖閣諸島というのは日本の領土であると。これは、先ほど申し上げましたように、歴史的にも国際法的にも全く疑いのないところであるということで、我が国の領土であるということを改めて表明いたしまして、そして我が国の領土である尖閣諸島を台湾が地籍登記するということは全く認められない、取り消しを行うよう強く要請したということでございます。

松原委員 日本政府は取り消しを要請した、これに対して台湾政府からの何らかの返答等があればお伺いしたい。なければ、黙殺されているのか、これもお伺いしたいと思います。

薮中政府参考人 これに対しての具体的な反応ということでいいますと、それは、台湾は台湾としての立場というか、自分たちとしての主張がございますので、それ以上に反応というのはございませんでした。

松原委員 日本政府のこのことに対しての行動は、今言った抗議をする、それ以上の何か具体的な措置というものはお考えでしょうか。

薮中政府参考人 こういう一件一件について、我々は当然しかるべき抗議ということ、あるいは取り消しを要請するということ、これを毎回やることは大事だとは思っておりますけれども、基本として、まさに、先ほど申し上げましたように、これは日本固有の領土である、そして我が国が有効に支配をしている、そのことをきちんと確保しておくことが何よりも大事であり、それで十分であるというふうに思っております。

松原委員 きょうの産経新聞に「中国、太平洋に拡大」という海洋調査のことが載っているんでありますが、その中で中国が、ちょっと尖閣とは離れますが領有権のそういった同じようなたぐいでありますのであえて申し上げたいわけでありますが、この沖ノ鳥島について、これは中国側が、同島は日本の領土に属することは認めるが、岩礁であって島には当たらないとして、同島周辺の日本側の排他的経済水域は必ずしも成立しないという立場を言っている、こういう記事が産経新聞に報道されておりますが、この中国のこのことに対して外務省としてはどういう対応をしておりますでしょうか。

薮中政府参考人 四月の二十二日でございますけれども、まさに日本と中国の間で、中国の海洋調査船活動に関する日中協議というのを行いました。その場所におきまして、中国側は、今委員御指摘の点でございますけれども、沖ノ鳥島について、中国の考え方ということを言いました。それは、中国側としては日本側と立場に相違がある、沖ノ鳥島については中国側としてはこれが日本の領土であるということは認めている、そしてしたがって領海の十二海里を有することは認めているが、周辺の排他的経済水域の設定というのは認められない、具体的にはこれは国連海洋法条約上の岩であって、したがって排他的経済水域の設定は認められないという主張を行いました。

 我々としては、当然のことながらそうした主張は全く受け入れられない、これはきちんとした島であって、排他的経済水域を持つものであるという日本の確固とした立場を先方にも改めて強く確認し、主張した次第でございます。

松原委員 強く主張して確認をするわけでありますが、プラスして、具体的なこのことに対しての何らかの行動、アクションプログラムというものは考えておられますでしょうか。

薮中政府参考人 まさに排他的経済水域でございまして、当然、国連海洋法条約上の排他的経済水域ということにつき、この水域に外国の船が入ってくるときには、当然のことながら事前の申請が必要であるということ、今後ともそうしたことで仮に中国から改めてまた中国の考えに基づいてこうした水域に日本に通報することなく入ってくる場合には、当然それに対して強く抗議もし、そういう再発がないようにということを繰り返し繰り返しこれは粘り強く求めていくということであろうと思います。

松原委員 そういったことを含め、日本の排他的経済水域、EEZの中は、特に尖閣諸島周辺も含め、中国の漁船によってさまざまな被害が発生しているというふうな話も仄聞しているわけでありますが、実態について、これは水産庁になるのですか、お伺いいたします。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、水産庁の取り締まり船が、この尖閣周辺に取り締まり船を派遣しておりますけれども、そういった中で、中国漁船がどのように活動しているかという状況でございますけれども、現認したところによりますと、昨年一年間で二百六十八隻の中国漁船が来ております。これらは主として底びき網の漁船でございまして、これらにつきましては、尖閣諸島の北側の水域におきまして操業しているという実態にございます。

 このほか、台湾漁船が来ておりまして、これらにつきましても昨年一年間で二百四十四隻を現認しておりますけれども、これらにつきましての水域は、主としてこれは八重山諸島の周辺の水域におきまして、五、六月ごろに小さな小舟でマグロのはえ縄をやっております。あるいはまた、十月ぐらいから年末にかけての漁期にサンゴ関係の漁船がやってきているといったような実態にございます。

 それらの漁船がやってきておりますが、それらとの関係において、日本の沿岸漁業者等との関係において、中国漁船との関係では、操業地域が違いますので特段の大きなトラブルがあるというふうには聞いておりませんが、台湾漁船との関係におきましては、はえ縄の漁具が絡まるといったような被害が若干見られるという状況と承知しております。これらにつきましては、私ども、今後とも取り締まり船を派遣いたしまして、監視をするあるいは警告をするといったような対応をしているところでございます。

松原委員 これだけ、二百六十八隻、二百四十四隻という数値を今挙げていただいたわけでありますが、これだけのいわゆる日本のEEZの中における操業が行われている。

 今それを取り締まるように鋭意やっているようなお話でありましたが、これは、現状のようなイタチごっこというか、イタチごっこになっているのかすらわかりませんが、それをこれから継続するというだけでいいとお考えか、それとも、もうちょっとこれは厳しく対応するというふうにお考えか、この辺の御答弁をお願いいたします。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 これらの水域につきましては、水産庁は取り締まり船、全部で三十八隻を用いておりますけれども、そのほか、海上保安庁あるいは沖縄総合事務局とも連携をして取り組んでおりますが、そこにおきまして、この水域においては、近年そういったようなトラブルが見られるということもございますので、昨年に比べましても強化した体制において、特に五、六月の漁期におきましては、昨年に比べまして一層強化した体制で取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

松原委員 強化するということは、来たら追い払うのか、来たら捕まえるのか、どういうことでしょう。

竹谷政府参考人 強化するということは、当然、まず違法操業している漁船に対しましては警告を発し、退去を促すといった形がまずとられ、さらに悪質なものにつきましては厳正に対処しようということで、現に、ことしの二月におきましても、日本の排他的経済水域に入ってまいりました台湾漁船あるいは中国漁船といったようなものを拿捕しているというケースがございます。そういったことで厳しく厳正に対応しているところでございます。

松原委員 これは、厳しく厳正にさらに対応していただくべきだと思うのです。

 実は、尖閣に中国人不法侵入者が上陸をしたわけでありますが、この上陸も、日本がこういった日本の経済水域の中における中国漁船また台湾漁船の活動に対してより厳しく対応していなかったということも一つの遠因ではないかと私は思っているわけであります。

 今回の尖閣の問題に入っていきたいと思うわけでありますが、この全体のてんまつについて、どういう流れであったのか、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 これは、三月二十四日の早朝でございますが、尖閣諸島の魚釣島に中国人七人が上陸をするという事案が発生いたしました。

 これを受けまして、沖縄県警察では、同日、海上保安庁の協力を得まして所要の人員を現地に派遣をし、上陸をしておりました中国人被疑者七名全員を出入国管理及び難民認定法違反の容疑で現行犯逮捕いたしました。

 二十五日午前中までに沖縄県下の那覇警察署ほか三警察署に留置をした後、所要の捜査を行い、二十六日、この七人全員を入国管理局に引き渡す手続をとったものでございます。

松原委員 この七人の不法侵入者についてでありますが、この不法侵入者がどのようなグループに属していたのかというふうなことを含め、背後関係を、もし、わかる範囲でおっしゃっていただければと思います。

瀬川政府参考人 取り調べの状況の内容等につきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、中国語のインターネットあるいは報道におきまして、この七名は中国民間保釣連合会の構成員ではないかというふうに見られておりまして、インターネット等におきまして、この中国民間保釣連合会の構成員が尖閣諸島に対する領有権を主張する目的で上陸を敢行したという記載があるというふうに承知をしているところでございます。

松原委員 その中国の中国民間団体でありますが、これはまさにボランティア的に集まっているグループなんでしょうか、どういう背景でいつごろできたものかまでわかれば御答弁をいただきたいと思いますが。

瀬川政府参考人 この中国民間保釣連合会につきましては、私ども、インターネット等で承知をしているという範囲で申し上げたところでございまして、それ以上の詳細については現在承知をしておりません。

松原委員 やはり、これは日本にとってまさに犯罪行為を犯した人間でありますので、中国の国に対して、この尖閣に上陸したことは当然強く抗議をすると同時に、この七人の母体である組織が具体的にどういうふうな活動をしてきたのか、そして再犯のおそれがあるのか、こういったことについて、日本の国としてはさまざまな確認をする必要があると思っているわけでありますが、この点について御所見をいただきたいと思います。

薮中政府参考人 まさに、こうした七人の今回の上陸ということ、これは、今御答弁ありましたように絶対に許されないことでございます。

 そして、きちんと法執行が行われたということで、それがまさに日本が有効支配をしているということでございますけれども、外交上も、これはそれまでも、事件が起きてからすぐに中国側にはさまざまのルートでこの問題についての抗議をし、またこうしたことの再発防止をするようにということは強く申し入れてございましたけれども、先般の川口外務大臣の訪中の際にも、中国側との間ではっきりと日本側の立場を主張し、そして再発防止を強く求めることをしたわけでございます。

 そしてまた、今委員御指摘のとおり、こうした活動家について、それについての背景ということについても、我々も引き続き関心を持ってもちろんフォローはしていくということで作業を行っているところでございます。

松原委員 今回の事案は、書類送検するということが事前にマスメディアに随分と流れた経緯がありますが、最終的には強制送還という形になったわけであります。

 この間の経緯というのは非常に国民にとってわかりづらいわけでありまして、なぜ書類送検という手続を踏まずに超法規的に中国に戻してしまったのか、この経緯についてちょっと御説明をいただきたいと思っております。

瀬川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この七名の被疑者につきましては、現行犯逮捕、あるいは留置をした後、入国管理局に引き渡す手続をとったわけでございます。

 この七名につきましては、不法入国及び不法在留という、いわゆる入管法七十条の罪に当たるわけでございますが、この七十条の罪に当たる者に関する手続としては大きく二種類ございまして、一つは、通常の刑事訴訟法の手続に従って検察官に送致をする、普通の犯罪の処理の仕方でございます。

 それからもう一つは、この入管法の六十五条に刑事訴訟法の特例という定めがございまして、「司法警察員は、」ということで、若干中略いたしますけれども「その者が他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、刑事訴訟法第二百三条の規定にかかわらず、」「入国警備官に引き渡すことができる。」こういう手続がございます。

 私どもといたしましては、現在、外国人犯罪が非常に多発をする、あるいは不法残留の外国人が非常に増加をしている、こういう情勢の中で、この入管法の六十五条というものを活用して、できるだけこういった不法滞在外国人等について迅速に処理をする。入国管理局に引き渡した後は、これは国外退去という手続にすぐ移るわけでございまして、速やかに国外退去をさせていくということが望ましいというふうに考えているところでございます。

 本件につきましても、この二つのルートといいますか、処理の仕方については十分検討いたしました。法務当局とも検討しました結果、今回の事案につきましては、この六十五条を適用することができるという一般的な解釈と具体的な解釈というものを、それぞれ法務当局それから現地の検察、入官当局と県警の間でいたしました。その結果、六十五条による入国管理局への引き渡しということとなったものでありまして、決して超法規的な処理ということではなくて、入管法の規定に基づいた措置をしたということでございます。

松原委員 この間の質疑は、先般、我が党の前原委員と局長の間でも既にしてありますので、こちらがあえて矛盾点をついたりすることはいたしませんが、私たちは、この強制送還ということが、もし、中国側の強い尖閣諸島に対してのさまざまな意思の中で、結果として強制送還が行われたとするならば、それは日本の国権をないがしろにしたとんでもない行為であるということを申し上げたいわけでありまして、ただ、そのように見ようによって見えるのではないかということに対して、私は非常な危惧の念を持っております。

 そういった意味では、この強制送還については私は非常に疑義があるということを申し上げたいわけでありますが、ここで、その段階の前でありますが、その中国の不法侵入者の乗ってきた漁船、この漁船が、結局、日本の方の海上保安庁がそれを追っ払ったということでありますが、これはむしろ、犯罪を構成する組成物件として拿捕するべきであったのではないかという議論がありますが、これについてはどのようにお考えか、お伺いいたします。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり七名の中国人の上陸を許したわけでございますが、百トンと言われております母船には何人ものまだ乗船しておる者がございまして、私どもといたしましては、引き続く不法上陸を防止する観点、それから事案対応時の気象、海象などの現場状況などを総合的に判断いたしまして、捕捉は行わなかったものでございます。

松原委員 それは余り説明になっていないと思うのでありまして、あの段階で七人を逮捕したわけでありまして、その不法侵入者が乗ってきた船というのは、その背後関係を明らかにしたりする上で極めて重要なものであることは当然であります。

 なぜこれを拿捕しなかったのかというのに対して、今の御答弁では全く説明になっていないというふうに思っておりますが、これに対して薮中さん、何かありますか。所管外ですか。

薮中政府参考人 今回非常に大事だったことというのは、我々まさに、申し上げていますとおり、これを有効支配している、実効支配しているということでございまして、そこにおいてこの法律、日本の国内法が適切に実施された。これはまさに実効支配、我が国が今までからもちろん、説明しておりますけれども、実効支配をしているということの最大の証左であるというふうに私は考えております。

松原委員 逮捕したということ自体はそういう証左と言えるかもしれませんが、その船をやはり拿捕するというのが当然の捜査手続であるべきだというふうに私は思っております。

 瀬川さん、もし御所見があればお伺いいたしたいと思いますが、無理ですか。

瀬川政府参考人 一般論で申し上げまして恐縮でありますけれども、犯罪捜査に関しましては、刑事訴訟法の規定に基づきまして、必要があるときに必要な証拠物を押収するということでございます。

 今回の事件につきましては、出入国管理及び難民認定法違反ということで現行犯逮捕をしておりまして、私ども、事件の捜査としてはこれは適切に行ったものというふうに考えております。

松原委員 これはぜひ拿捕するべきだったと申し上げたいわけであります。

 もしその拿捕できない理由が海上保安庁の方にあるかどうかということでありますが、例えば、かつての不審船を引き揚げる場合に、中国の経済水域内に沈んでいた不審船を引き揚げるということで、その協力金を報償費から出したというふうな経緯があって、こういったことで結局そこの所管の予算が極めてなくなってしまうというようなこともあって拿捕できなかったのかどうか、この辺お伺いいたしたいと思います。

金子政府参考人 確かに、御指摘のとおり、北朝鮮の工作船の関係では、海上保安庁の捜査活動に協力した部外者に対する協力金として私ども海上保安庁の方の報償費から支出いたしましたことは事実でございますが、今先生がおっしゃられましたような、それがあったから今回のような中国船につきましての拿捕に至らなかったのではないかというふうには私どもとしては認識をしておりません。

松原委員 それは当然そうでありますけれども、本当に私は、これを拿捕しなかったことは、極めてやはり国際的に日本の、見ようによっては日本が弱腰であるというふうに映るのではないかということを危惧するわけであります。

 そういう中において、時間も余りなくなってきたわけでありますが、実際の尖閣諸島、竹島はもう既に韓国に昭和二十九年から実質支配されてしまっているわけでありまして、尖閣諸島に対しても非常に風雲急を告げてきているというふうな気が私はしているわけであります。

 やはりそこに人が住む、人がそこに居住するということは極めて重要なことだと思っておりますが、きょうは防衛庁からも御出席をいただいておりますが、物理的にこの尖閣諸島というのは自衛隊が、物理的にですよ、駐屯することが可能かどうか、この点を御答弁いただきたい。

山内政府参考人 お答えいたします。

 尖閣諸島に自衛隊の部隊を駐屯させることができるかというお尋ねですけれども、率直に申し上げまして、今まで部内において本格的なあるいは具体的な検討をしたことはございません。したがいまして、幾つか仮定の前提で申し上げますけれども、尖閣諸島、特に大きい魚釣島でございますが、広さが大体四・三平方キロぐらいありまして、かつて住民の方もいらっしゃったということであります。

 現在問題になっておりますのは、恐らく陸上自衛隊の部隊を駐屯させることができるかということだと思いますが、御案内のように、自衛隊の部隊、一番大きいものが方面隊で約九千から、あるいは一番下が三十人ぐらいまでいろいろあります。北海道の場合に、離島で厳しい状況で幾つかの部隊が三十名ほどで、沿岸監視隊ですが、頑張っている部隊があります。したがいまして、一般論としては、物理的に駐屯することは不可能ではないと思います。

 ただ、一つ御理解いただきたいのは、御案内のように、最寄りの沖縄本島から四百キロであるとか、あるいは石垣島から約二百キロであるとか、かなり遠隔地で離れておりまして、結局、常駐させるという場合に、その目的との関係でありまして、いかなるものを持たせて常駐させるかということになると思います。

 つまり、丸腰あるいはそこで自給自足する程度のものでよろしいのか、あるいはそれ以上のものか。そうすると、結局、今の時代ですから、一番問題なのは補給の問題がありますので、したがいまして、これはこれから具体的に検討するものだと思います。

 繰り返しになりますけれども、本格的な検討はしておりません。

松原委員 これはちょっと言っている意味が政治的な意味ではなくて物理的ということだから、そういうしゃくし定規の答弁なのかもしれませんが、どちらにしてもやはり常駐するべきだと私は結論的に申し上げたい。

 したがって、部内で検討していると思うんですよ、私は。さすがに日本の防衛庁はしていないはずがない。表面上、今していないと言っているだけであって、していると信じていますから、きちっとその検討をしているのを実行に移す第二段階に上げてもらいたいと思います。

 そこで、薮中さんに聞きたいんですが、前回私この委員会で、薮中さんに自衛隊の駐屯というのはどうだということを聞いたら、あのとき、検討しますというふうな御答弁をいただいたような気もするんですが、何カ月前か、このいわゆる不法侵入者が出る前ですよ。あのときは、不法侵入が余りないだろう、こう胸を張っておられたけれども、その後一週間ぐらいで起こったわけですよ、事案が。私はすぐ質問したかったんですが委員会がちょっとなかなかとれなかったという中で、きょうもう一回確認しますが、実際杞憂が現実になった。自衛隊が駐屯するべきだと私が言ったら検討しますと言っていましたが、この点について御所見をお伺いします。

薮中政府参考人 今まさに委員御指摘のとおり、この尖閣諸島の問題ということで、我々としては非常に重大にとらえているところでございます。何より大事なことは、まさに、何度も申し上げておりますように、歴史的にも国際法的にも我が国の固有の領土である、それを有効、実効支配するということでございます。

 今回、申し上げましたように、そうした七人の中国人が上陸するという、あってはならないことがあったわけですけれども、これについて逮捕する、そしてきちんと国内法を実施するということは私は非常に大事なことであったというふうに考えておりますし、その後の対応について、こうしたことの再発防止ということをどうしていったらいいのか、これについては全体的に非常にさまざまの角度から考えていく必要があると思いますけれども、大事なことは、実効支配ということを揺るぎないものにすることであるというふうに考えております。

松原委員 実効支配を揺るぎないものにするというのは、自衛隊の駐屯しかないだろうと私は申し上げたいわけでありますが、同時に、日本というのは、アメリカと日米同盟、極めて強い同盟関係にある。先般も西銘さんの質問の中であったわけでありますが、アメリカが、この領土問題、尖閣諸島のこの問題については日米安保の範囲内というふうな発言もしているというふうに聞いております。

 時間がありませんので簡潔に申し上げますが、アメリカは領土に関しては日中で話し合え、こういう話のようでありますが、やはりアメリカに、あれはやはり歴史的経緯、日本のものなんだ、なかなかそれは中国を気にして言わないのはわかりますが、日米関係というのは極めて重要なあれがあるわけでありますから、アメリカがこの尖閣諸島に対して日本の領有権であるという共通認識をとってもらうような具体的な行動を今とっているのか、それから、これからとるおつもりがあるのか、お伺いいたします。

薮中政府参考人 委員御承知のとおり、ことしの三月二十四日でございますけれども、国務省の報道官の発言といたしまして、尖閣諸島は一九七二年の沖縄返還の一環として返還されて以降、日本政府の施政のもとにある、そしてまた、これは日米安保条約第五条、これが尖閣諸島に適用されるということを明言したことは御承知のとおりでございます。

 当然のことながら、アメリカ政府として、日本の尖閣諸島に関する立場ということは十分理解しているというふうに考えておりますし、これについては随時アメリカ側とも話をしております。

松原委員 時間もあれなので、これはここで議論はやめますけれども、これはやはりきちっと詰めていかないといかぬ問題だと思っております。

 最後に、逢沢副大臣に、こういう全体の状況を総観して、やはり、一センチメートルの領土といえども、それをないがしろにした国は国が滅びると私は思っておりまして、そういう意味において、外務省の副大臣として、こういった領土問題、竹島もありますし、北方四島もあるわけであります。二〇〇九年五月の大陸棚の問題も含めると、六百五十キロの大陸棚時代を迎えるにおいて、これは断固として主張しなければいけないわけでありまして、御決意をお伺いいたします。

逢沢副大臣 日本固有の領土をきちんと実効支配する、大変重要なことであります。また、国境問題、国境線画定がいまだになされていない、残された問題についても、積極的にこの問題の解決に政府として取り組んでいく、当然のことであります。

 尖閣につきましては、累次、政府側から答弁をさせていただいておりますように、国際法上も、また歴史的にも日本固有の領土である、このことは間違いございません。一点の曇りもない問題であるというふうに私ども承知をいたしております。しっかりとした実効支配を確保する、そのことに今後も積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。

松原委員 終わります。

米澤委員長 次に、今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 私も、きょう、この三つの条約についてまず質問をし、後に、イラクで殺害された外交官の方々の問題についてお尋ねをしたいと思います。同僚議員もいろいろ質問をいたしておりますので、できるだけ重複は避けたいと思います。

 まず、日本とベトナムの間で投資の自由化、促進及び保護に関する協定の締結ですが、私はこれは結構なことだと思うんですけれども、一方で、日本とメキシコの経済連携協定というのは、外務省も一生懸命やっておられるようですけれども、これはどういうふうになっているんでしょうか。

 御存じのように、メキシコは既にアメリカやあるいはEUとFTAを結んでおりまして、これによって、例えばメキシコが自動車を輸入する場合、日本からの輸入ですと五〇%かかってしまう、アメリカ、EUだとかからないという、日本企業の不利益を一日も早く解消する必要があるんじゃないかと思いますけれども、ここのところの進捗状況についてお尋ねいたします。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とメキシコとの経済連携協定交渉につきましては、先生が今申されましたとおり、非常に早くやらなければいけないということで、今努力をしているところでございますが、交渉の実質、大枠につきましては、この三月の十二日に閣僚間で協議を行いまして、決着、合意が確認をされております。その結果を踏まえて、現在、協定文書の最終確定に向けて、日墨間で作業を行っているという状況でございます。

 我々としても、できるだけ早くこの協定の文書の確定作業というものを終了して、署名、さらにはこの国会の承認にお願いしたいというふうに考えているところでございます。そういう意味で、今全力を尽くして文書の詰めを行っているという状況でございます。

今野委員 先ほど申し上げましたように、日本企業がせっかくメキシコに行って、まあメキシコだけじゃなくて諸外国で頑張っているわけですから、そうした企業が不利益をこうむらないように、この日本とメキシコの経済連携協定を一日も早く進めていただきたいと思います。

 次に、東南アジア友好協力条約ですけれども、これについては私も同僚の議員と同じ意見を持っておりまして、どうも外務省の消極的な外交というものがここにあらわれているのではないか。ほかから言われて初めて、さあ、それじゃ入りましょうとゆっくり腰を上げるというような状況、これはいかがなものかと思うんですけれども、全体の東南アジアの友好協力関係についてどういうふうに考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、日本とASEAN諸国、東南アジアにありますASEAN諸国十カ国との関係というのは極めて大事な関係だと思っておりますし、そういう意味で、我々として、経済活動というのが民間ベースを中心に非常に幅広く行われていることはそのとおりでございますし、また政府としても、ODAの供与その他経済面での協力を行ってきております。さらには、政治面での一体感、そしてまたさまざまの人的交流ということを行ってきているということで、まさに日本の対アジア外交においてこのASEANというのを重視しているということは、我々の基本でございます。

 その上で、今の御指摘のこの条約でございますけれども、先ほども御答弁させていただきましたけれども、まさにASEAN側からも日本との関係を非常に重視しているんだ、そしてそれが、昨年の十二月に東京で、ASEAN域外で初めて、東京に来て首脳会議を行うということがございました。

 我々としては、その中で、一つ一つ非常に重要な物事が含まれております東京宣言、そしてまた共同行動計画ということ、これは百項目以上にわたっております。そうした実態がそこにあるということを踏まえながら、さらにこの条約につきましては、この条約の重要性が、二〇二〇年に向けたASEANの共同体づくりの中で新たな地位を持ったということも踏まえ、そしてまた立派な東京宣言ができたということ。

 そして、今委員御指摘のとおり、ASEAN首脳からもやはり日本にも入ってほしいんだという招請もあって、全体を踏まえて、そしてその間におきましては、スピードということがございましたけれども、他方において、やはり条約でございますからプロセスとして一つ一つきちんと踏まえることは踏まえながら、結論として、今回、昨年の十二月にこの条約に入ることを決めたというのが経緯でございます。

今野委員 それでは、次に、EBRD、欧州復興開発銀行の協定の改正についてなんですが、私はどうも、こうした国際金融機関は、プロジェクトのルールを決めていくときに、対象となる発展途上国の利益というよりも先進諸国の利益を考慮する傾向があるような気がしているんです。

 さらに、発展途上国に対するさまざまな情報も持ち得ていないのではないかという懸念もあります。このEBRDの内部からも、EBRDは日本やアジアに関する情報が少ない、商慣行を理解していないという弱点があるという指摘、意見もあります。

 EBRDは、発展していく国の市場指向型経済への移行を促進することを目的として設立をされているわけで、まさにそのねらいは、露骨に先進諸国の利益を追求していると言ってもいいぐらいなんじゃないかと私は思うんです。

 それで、このたび、モンゴルを支援国の一つとして加えていくということなんですけれども、御存じのように、モンゴルは日本のおよそ四倍の広さの土地、そして人口はというと、そこに二百五十万人。まあ日本から比べるとという表現ですけれども、四倍もの広さのところに二百五十万人しか住んでいない。

 人々は広く大きな大地で暮らしているわけでありまして、私は、こういうところにこのEBRDが何らかのプロジェクトで入り込むというときに、さまざまなそごが生じていくんじゃないか。例えば、自然環境をきちんと守らなければいけないとか、特殊な生物を守らなければいけないとか、いろいろなことが起きてくるんじゃないかと思います。

 地球全体の利益を考えた場合に、経済的な利益というよりも、むしろこれからの地球の利益ということを考えると、自然環境を優先すべき場合があるのではないかと思うんですけれども、これは、外務大臣が環境大臣もおやりになっていますから、ぜひ川口外務大臣にお尋ねしたかったんですけれども、きょうは副大臣に出ていただいておりますので、ぜひ副大臣にお答えいただきたいと思います。

逢沢副大臣 大変重要な点を委員から指摘をいただいたものと承知をいたしております。

 欧州復興開発銀行の支援対象国にこのたびモンゴルを加える、こういうことでございますけれども、実は、欧州復興開発銀行、その設立協定第二条に環境についての記述があるわけであります。銀行の任務遂行の方法の一つとして、銀行の活動のすべての範囲において、環境上健全かつ持続可能な開発を促進すること。環境上健全かつ持続可能な開発を促進することと第二条に規定がなされているわけであります。

 まさにその第二条において、環境政策を重視していく、そのことがうたわれているわけでありますけれども、例えば、プロジェクトサイクルにおける環境配慮の導入、環境に配慮した投資の促進、あるいは国別戦略を組み立てる場合に環境配慮の主流化を確保する、また地域的及び地球規模の環境問題に対処するためのパートナーシップ構築を基本方針とする、そういったことが明記をされているわけであります。

 実績としても幾つか上がっているわけでありますが、例えば、カザフスタンの首都アルマティでございますが、ごみ処理システムのリハビリを支援してまいりました。あるいは、リトアニアのカウナスでは、水ですね、水供給と排水処理施設改善のための支援等々、まさにこの第二条を体した支援ということが行われているわけでございまして、今回モンゴルを新たに支援対象国に加えるということでございますが、エネルギー、環境問題、廃棄物の問題、汚染地域の再開発あるいは資源の再利用、リサイクル等々、まさに環境を主流とする、そういう方針で臨むことが大いに期待をされるわけでございます。

今野委員 きょうは財務省から七条政務官においでいただいておりますので七条さんにもお尋ねしたいと思いますが、地球全体の利益を確保するためには、環境に配慮すること、それから貧しい人々が自分たちに影響を及ぼす決定に発言権を持てるようにすること、そして民主主義と公正な取引を堅持することが必要だ、これは恐らく同感していただけると思うんですけれども、これをこの欧州復興開発銀行の投資方法の中でコミットしていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、お考えをお聞かせください。

七条大臣政務官 今、今野先生の方から御発言いただいたとおり、このEBRDそのものができた経緯から考えてみましても、特にベルリンの壁が崩壊したとき、あの以後、今の旧社会主義国を特に支援しなければならない、そういう形の中から、いわゆる公的な部門ではなくして民間の部門について特に支援をしていく。先ほど先生が言われましたように、環境や自然のことも一緒になってやらなきゃならないけれども、これは先進国側の意見ではなくして、できるだけ開発途上国の意見を聞いていくというシステムをつくっておかなければならない。

 こういうような観点で、現在、EBRDにおいては、開発途上国に対する、いわゆる支援対象国に対する適切な反映をしていくために、理事会が今二十三名の理事で構成されておりますけれども、そのうち十名がいわゆる発展途上国側の理事でありまして、当然、その理事の会において、プロジェクトの承認だとかあるいは国別支援戦略だとかあるいはセクター支援の戦略や、いわゆる今先生がおっしゃっておられた環境政策等々の決定等、日々の業務のあり方を決定する理事会になっておるところでございます。

 そういう関係もございまして、できるだけ、私たちが所管する、今財務省が所管しておりますこれらの欧州復興開発銀行に対して、今後も先生の趣旨が徹底していくような形をしてまいるつもりでございますが、支援対象国内では、EBRDの融資等を行う場合には、設立協定上、その支援対象国の賛成が必要になる、賛成がなければできない、こういうようなことでもございます。

 なお、NGOについても、同じように広く意見を述べていただけるような機会をつくる、あるいは、それから伴います融資の事業だけではなくして、技術支援業務のようなことまでできないか、これの資金まで供与をできていけないか、こういうようなことで、今回、モンゴルも含めて中央アジアに対しても御指導いただける、こういうような形で私たちも考えておるところでございます。

今野委員 ぜひそのような方向で、その国の方々の意見を重視していただきたいと思います。

 さて、次に、昨年十一月二十九日に起きましたイラクでの日本人外交官殺害の事件についてお尋ねします。

 この件については、事件があって五カ月たってやっと、四月の五日になって警察庁から発表がありました。私もこの発表を見ましたが、わからないことが多過ぎる。どうも必要な情報が隠されているのではないかと思いたくなるほどなぞが多いんですね。

 外務省は、緊急対策本部を設置して、これは大臣が本部長になってさまざま調査をしていらっしゃると思いますけれども、そこで、何点かお尋ねしたいと思います。

 まず、四月二十日の参議院外交防衛委員会で、我が党の若林議員が、奥大使と井ノ上書記官はティクリートではなくてモスルに向かっていたのではないかという事実を明らかにしました。その際、四月四日放送のTBSの番組を見て、米軍の一〇一空挺師団長ペトレイアス少将の発言、これは奥大使らと親しい方で、大変二人の死を悼んで、モスルに行くというからヘリコプターを出すと言ったのに、車で行ったのは大変残念だとテレビの中でビデオで発言をしておりました。

 なので、これはモスルに行くんでしょうという確認をしたわけですけれども、そのときに答弁された堂道局長は、そのビデオを見ていない、御自分のところの外交官が殺害された、その方々の大いに関係するテレビ番組であるにもかかわらず見ていらっしゃらないということで、見て確認をするとおっしゃっておりましたけれども、これはその後確認をされましたでしょうか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のTBSの番組の中で、ペトレイアス第百一空挺師団長でございますけれども、あの日私たちはモスルまで来るならヘリを用意すると奥さんに伝えました、しかし彼らは車を選んだのです、私は悔やみました。これは日本語の吹きかえでありますけれども、そういう発言をしているのを確認してございます。

 この件についてでございますが、昨年の十一月二十九日、三十日の奥大使、井ノ上書記官の日程でございますが、ティクリートの国際機関・NGO復興会議に出席するべく二十九日午前にバグダッドを出発したということについては、既にイラクの日本大使館でも確認しておるところでございます。

 また、事件直後にティクリートでの会議の主催者側に確認をしてございますが、そのときにも、その両名が同会議に出席するという旨事前に連絡を受けていたということが判明しておりますし、また、奥大使が主催者側と、二十九日は井ノ上書記官並びにジョルジース運転手とともにティクリート宮殿内に宿泊することで事前にその主催者側と調整したことも確認しております。

 したがいまして、私どもとしましては、二十九日、両名は、モスルに向かっているということではなくてティクリートに向かっているということを確認しているわけでございます。

 ペトレイアス師団長がなぜそういう発言をなさったかという点については、調査を改めていたしましたけれども、これにつきましては、奥大使及び井ノ上書記官は、この二十九、三十日のティクリートでの会議の後の翌週の十二月四日でございますけれども、モスルでの草の根無償の署名式並びに支援プロジェクト発掘・形成のために赴くことを計画していたということがございまして、そのために、奥大使と師団長の双方の間でモスル行きについて話し合われていた可能性があると思います。

 例えば、奥大使は、モスルに行った後でございますけれども、モスルよりバグダッドまで米軍ヘリで帰還するという予定だったというふうに承知しておりまして、ペトレイアス師団長の発言もそのようなことが念頭にあったのではないかと考えております。

今野委員 そうすると、二人はモスルに向かっていたのではなくて、間違いなくティクリートに向かっていたのだということでいいんですね。

堂道政府参考人 そのように考えております。

今野委員 ティクリートの復興会議の案内状はありますか。

堂道政府参考人 この両名は、このティクリートでの会議に招待をされておりまして、事務局より発出された案内状というものがございます。(今野委員「どこから」と呼ぶ)この国際会議の事務局より発出された案内状がございます。

今野委員 それは今、お持ちですか。

堂道政府参考人 この案内状につきましては、先般の若林先生よりの御要求にもございまして、手続に従って提出するという形で答弁申し上げているところであります。

今野委員 それは、後に外務省でつくったものではなくて、ここの主催者が出した案内状ですか、間違いなく。

堂道政府参考人 そのとおりでございます。

今野委員 それでは、ぜひそれをお出しください。私にも見せてください。

 それから、このティクリートの復興会議の出席者名簿、これは、だれが出るようになっていたか把握していますか。

堂道政府参考人 把握しておりますけれども、現地の関係者につきまして、個人名も含む資料を提出することについては、改めて了解を求める必要があるというふうに考えておりまして、この点については、確認でき次第、回答を申し上げたいと思います。

 なお、個人名の確認でございますけれども、こういう情勢でございますので、個人名を出すということについては一定の配慮があるという考慮に基づくものである点、御理解をいただきたいと思います。

今野委員 これは復興会議ですから、秘密会議じゃないわけですから、どういう方々がメンバーに、もう既に終わっているわけですし、どういう方々が出ているかというのは当然出せるはずで、そんな個人の情報だからどうのこうのという問題ではないと思う。ぜひこれは出してください。委員長。

堂道政府参考人 どういう方が出席しているかということについては、私どもとしまして、先ほど申しましたとおり、一応の確認をさせていただいた上で、その提出を考えております。

 多くの方は問題ないというふうに言われると思いますけれども、一応、この情勢の中でいろいろな個人名が出てくることについては、やはりテロのターゲットになるとか、そういう危険もあると思いますので、そういう点については一応の了解を得る必要があるということについては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

今野委員 これは、奥大使、井ノ上書記官がこの会議に本当に出る予定であったのかどうかということの確認でありまして、ほかの方々の出席がどうこうと言っているわけではないわけでありますから、ぜひこれは、委員会としても出していただきたいと思います。

米澤委員長 理事会で協議します。

今野委員 次に、三十日に中東を歴訪する予定だった当時の岡本行夫首相補佐官、当初予定していたイラク入りを見送りましたね。これはなぜですか。

堂道政府参考人 岡本補佐官、当時でございますけれども、イラクでの現地の情勢の視察及び関係者とのイラク情勢についての意見交換のために、昨年の十一月三十日に日本を出発し、十二月上旬にイラン、シリア、イラクを訪問し、十二月の七日に帰国することを予定しておりましたけれども、この殺害事件が発生したことから、官房長官の指示により、予定を変更し、イラク訪問を取りやめて、イラン及びシリアを訪問することになったものであります。

 なお、岡本補佐官でございますけれども、先ほど申しましたとおり、十二月四日のモスルでの草の根無償案件署名式に立ち会う予定でありまして、シリアのダマスカスからモスルに行く予定であったというふうに承知をしております。

今野委員 奥大使と井ノ上書記官は、モスルで、これは確認なんですが、当時の岡本行夫首相補佐官と合流する予定だったんですか。

米澤委員長 堂道局長、ちょっと大きな声で答弁してください。

堂道政府参考人 その予定であったということでございます。合流する予定でありました。

今野委員 そのために、この車が必要だったんですか。

堂道政府参考人 そのために車が必要ということでは、御質問の趣旨が必ずしもわかりませんが、例えば奥大使は、ティクリートでの会合の後、一たんバグダッドに戻り、それからモスルに行くという予定でございましたので、それぞれの日程については陸路で移動するということを考えていたと思いますけれども、そのためにということではないと思います。

今野委員 戻る予定だったという行動日程表はありますか。

堂道政府参考人 これにつきましては、大使館より出張予定表というのを出しておりまして、それを作成するまでに、奥大使や井ノ上書記官が、みずからいろいろな打ち合わせをしていたというふうに承知をしております。

今野委員 今のはよくわからない。あるんですか、ないんですか。

堂道政府参考人 出張予定表はございます。

今野委員 では、それを出していただけますか。

堂道政府参考人 検討いたしたいと思います。

米澤委員長 これも理事会で相談したいと存じます。

今野委員 私は、岡本さんがモスルで行動するために車が必要だったんじゃないか、そのために、二人はこの車を使ってティクリートに行き、そしてモスルにこの車を持っていく必要があったんじゃないかという想像を、まあ想像ですけれども、するわけです。そこのところをぜひ明らかにしたいと思っておりまして、ぜひ、必要なものを出していただきたいと思います。

 さて、事件発生の後、川口外務大臣は、我が党の同僚の議員の質問に対して、たしか十二月だったと思いますけれども、専門的な知識を持っている人たちを現地に派遣しましたということを言っております。そして、その時点では、だれを派遣したかということについては、その人たちの安全があるから言えないということを言っているんですが、これはだれを、この時点でもまだ、もう多分お帰りになってきて安全は確保されていると思うんですが、だれを派遣したんですか、この専門家というのは。

堂道政府参考人 事件発生直後でございますけれども、大使館よりイラク人の専門家を現地に派遣しております。この名前を特定することについては、彼ら自身の安全にかかわる点がございますので申し上げることはできません。

 一点、敷衍させていただきますが、彼らは現地にも入りまして、現地よりかなりの外部の者に対する警戒心あるいは一部には敵意、そういうものが非常に強いということを認識しておりまして、そういう事情もありますし、そういう観点から、氏名を明らかにするということについては差し控えたいと考えている次第でありますので、御理解いただきたいと思います。

今野委員 それでは、イラク人専門家を派遣したそうですけれども、そのスペシャリストからの報告書は来ていますね。

堂道政府参考人 報告書は得ております。

今野委員 その報告書も出してください。

堂道政府参考人 これにつきましては、いろいろ調査及び捜査が行われている状況でございますので、現時点で詳細を申し上げることは差し控えたいというふうに考えておりますが、外務省としては、本件は捜査中の事案ではありますけれども、これまでに出ている情報について最大限可能な範囲で整理をし、今後の調査の進捗状況や警察当局の捜査との関連も踏まえた上で、しかるべく御説明できるように引き続き検討する旨は大臣からも答弁を申し上げたとおりであります。

今野委員 第一発見者からの証言、第一発見者ではなくてもいろいろな証言がありますね。道路わきの食料品スタンド店主は、バグダッド方向から走ってきた車がスタンドの手前で右に大きくカーブを切り、路肩を外れて六十メートルほど畑に鼻先を突っ込むようにしてとまった、すぐ後ろから米軍の車列が通り過ぎていった。しかし、米軍当局は、食料と水を買うために道路わきの売店に立ち寄った際に銃撃された。余りにも大きな違いがある。

 現地の目撃者は、そんなことはない、一行が乗用車に襲撃を受けた可能性があるというふうに言っているし、それから、道路わきでジュースを売る売店を持つ男性は、昼前に遠くで銃声が聞こえたので外を見ると、黒い四輪駆動車が道路からそれて、畑に突っ込んだ車の中に日本人二人がいたというような証言がさまざまあって、こうした証言も確認しなければならない。

 それから、事件直後の現場の様子、二人が移送された病院、診察し死亡を確認した医師、亡くなった時間、わからないことがたくさんあり過ぎます。四月五日に警察からの発表を見ても、これらの一切が明かされていない。

 よって、イラク人専門家を派遣したそうですけれども、この報告書をぜひ委員会としても出していただきたい。検討していただきたいと思います。委員長、お願いします。

堂道政府参考人 外務省としましても、そもそも、外務省、在外公館でございますけれども、現地の捜査を行う権限がないという前提ではありますけれども、最大限の調査を行い、その中におきましては、先生御指摘のとおり、現地の関係者よりの話も聞いているところであります。

 他方、先ほども申しましたけれども、現地の人々の外国人及び部外者への警戒心は非常に強く、また目撃者なる者より寄せられている情報につきましても、先生も一部御指摘ありましたけれども、中には信憑性を欠くものもあり、事実関係の確認については、なし得ることについては最大限の努力を行っておりますけれども、総合的にこれらの情勢を判断する必要があるというふうに考えております。

 なお、米軍の行動についてお話がございましたけれども、米軍よりは、この事件の目撃あるいは関与したということは一切ないということを米軍より確認しているところであります。

今野委員 こうしたさまざまな証言、何をもって信憑性を欠くものがあるとおっしゃっているのかわかりませんけれども、同僚の職員の方が亡くなっているわけですから、こういう証言があったら、新聞報道されているものでも一つ一つにすがりついて、それがあったのかどうなのか、だれが見たのか、そしてそういうことが本当に行われたのか、どういう車が走っていったのか、むきになって確認しなきゃいけないんじゃないですか、外務省としては。僕は、どうもそういう姿勢が足りないような気がしているんです。本当に真相を究明するつもりがあるんでしょうか。

堂道政府参考人 私どもとしましては、先ほども申しましたとおり、同僚を亡くしたことにつきましては痛恨のきわみでありまして、最大限の努力をしているつもりであります。

 先生が先ほど御指摘のとおり、例えば最初の米軍の情報につきましても、立ち寄って買い物をしていたというような話もございましたけれども、それにつきましては、私ども、御両名の日ごろの行動のパターンからしてそういうことはあり得ないんじゃないかということで、米軍に確認をし、この点については、何度も確認した結果、そういうことはない、目撃者の当初の情報が誤りだったということを確認している次第でありまして、その努力は一つ一つについて続けている次第であります。

今野委員 そうしたスペシャリストからの報告書が来ているということでありますから、改めて、二月二十九日に上村臨時代理大使も調査に行っていることがわかりましたね。この報告書、四月中に出ることになっているんですが、これはいつ出るんでしょうか。

堂道政府参考人 上村臨時代理大使は、二月二十九日に、今まで得たいろいろな情報の再確認をするために現地に参りました。その報告も得ております。他方、先ほど申しましたとおり、これらを改めてまとめてきちっと御報告ができるようにという形で、現在その作業をしているところであります。

今野委員 ですから、いつ出ますか。

堂道政府参考人 四月中にと先生おっしゃいましたが、これについて政府、外務省としまして確認したことはないと思いますけれども、なるべく早く、かつ警察で行われている作業とも連動しつつ、事件の経過、全容について御説明ができるようにしたいと考えているところであります。

今野委員 四月ももう後半であります。いつ出しますか。

堂道政府参考人 なるべく早く御説明できるようにしたいと考えております。

今野委員 なぜいつと言えないんですか。

堂道政府参考人 警察当局におきましても、先ほど発表がございましたけれども、さらに捜査を続けているということでありまして、また、現地におきましてもその犯人は捕まっていない。私どもとしましては、なるべくその犯人を捕まえたいということでやっているわけでございまして、まだ捜査を継続しておるという事情はあります。しかし、このように関心が高い中で、私どもとしましても、今までわかっていることについてまとめてきちっと報告ができるようにしたい、なるべく早くしたいと考えております。

今野委員 速やかに提出してほしいと思いますが、二人が乗っていた車に無線がついておりましたね。この車載無線の通信記録というのはありますか。

堂道政府参考人 無線がついていたかどうかという点については、私どもの方針としまして、この点について明らかにすることは差し控えるようにしておりますけれども、先生御指摘の通信記録でありますが、それはございません。

今野委員 行き先について無線の通信の過程で特定できるものがあるかどうかと思ってお尋ねをしたんですが、この車、数カ月を経て日本に来た車に無線がついていた、無線用のマイクがついているというのは明らかで、なぜそれを隠さなければいけない。そういうことを隠すから、本当に真相を究明するつもりがあるのかどうかとこっちは思うわけです。あるじゃないですか、車の中に。あるんですか、ないんですか、答えてください。

堂道政府参考人 大使館の警備の観点から、一般的な方針として、そういうことについてお答えするということはできないのでございますが、本件については、無線は搭載しておりました。

米澤委員長 搭載しておりましたと。

今野委員 搭載していたというのを、何で二回も三回も聞かないとおっしゃっていただけないのかなと非常に不思議な感じがするんですけれども。

 これまで、そろそろ時間も来ましたので、さまざま資料の提出をお願いいたしました。委員長、これまで出てきました資料の提出を、委員会としても求めていただきたいと思いますが。

米澤委員長 理事会で協議して、整理します。

今野委員 そして、さらにお尋ねしたいことがあるんですが、奥大使と井ノ上書記官が午前十一時ごろ連絡を大使館側にしました。これは上村大使がこの連絡を聞いたということは、外務省としては確認できていますか。

堂道政府参考人 奥大使より大使館に電話があったのは十一月の二十九日の午後十二時八分でありましたが、これが最後の電話となっております。

今野委員 そして、CPAから事件の通報を受けたのが夕方の六時四十分ですね。この間七時間余り連絡が途絶えていたわけですが、これは不審に思わなかったんですか。こういう危険な地域に出張をさせて、連絡がなかった。不審に思わなかったんですか、何もしなかったんですか。そのあたりはどういうふうに把握していますか。

堂道政府参考人 奥大使に限らず、館員が地方に出張する際には、電話事情は非常に悪いわけでございますけれども、基本的に出張者の方から随時大使館に連絡を入れるということにしておりました。また、出張先での業務の関係で大使館に定時に連絡ができないこともあったということがございますけれども、基本的にはそのような体制で臨んでいたわけでございます。

 この事件当日でございますけれども、先ほど申しましたとおり、奥大使と上村臨時大使との間で最後に十二時八分に連絡があったわけでございますが、この事件について大使館が承知をしたのは同日の午後六時四十分でございます。これは、CPAの方から、日本人らしき者が殺害されているということで連絡があったわけでございまして、これから大使館としましては身元の確認等に向けて全力を尽くしたわけでございます。

 なぜこの間連絡がなかったかということにつきましては、大使館としましては、この二十九日のティクリートの会合に出ていたという認識でございまして、その会合に出ていたという認識で、特段、危険を感じたということはなく、六時四十分ごろに連絡があって初めて、巻き込まれた可能性が高いというふうに認識した、こういうことでございます。

米澤委員長 今野君、時間が来ております。

今野委員 時間が参りましたので、それでは最後に、いろいろお尋ねをしてもわからないことがたくさんあります。どんどんどんどん疑惑のやみの中に入っていくような気がいたします。

 私は、この委員会として、上村臨時代理大使の本国召還をした上で参考人として招致をするということをお願いしたいと思います。あわせて、岡本行夫氏、モスルで合流をする予定だったそうでありますが、岡本行夫氏の参考人招致、お二人の参考人招致を要求します。

米澤委員長 理事会で協議します。

今野委員 質問を終わります。ありがとうございました。

米澤委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、まず初めに、東南アジア友好協力条約の問題について質問をします。

 日本の過去の侵略戦争と植民地支配、こういうことを行ったわけですから、この反省を踏まえて、東南アジア友好協力条約、これをてこにアジアとの友好協力関係を強化する、本当に必要なことだと思いますし、この条約の締結を歓迎したいと思っています。

 そこで、去年の秋、中国とインドがこの条約に加入した際、日本は参加を拒否したわけですね。その拒否したこととの問題で関係国からも批判が出ました。

 ところが、きょうはちょっと体調を崩して外務大臣が御出席ではないんですが、その当時、川口外務大臣は、これは昨年の十月八日の参議院のテロ特別委員会で、ASEANとはこの条約に加入する以前から友好な関係にあるんだということを強調されて次のように述べているんですね。「ASEANと日本はそれぐらいの関係を持って既にいるわけですから、条約、この条約に日本が今の時点で加盟をするということの意味が何なんだろうかと、そういう条約がなくても十分に強い関係にある」「そういう条約がなくても十分に強い関係にある」と発言しているわけですけれども、今日この条約に加盟をする、こういう時点で、やはり一国の外務大臣の発言としては不適切だったのではないかと考えますが、副大臣、いかがですか。

逢沢副大臣 先ほどより政府側から累次答弁を申し上げておりますように、まさに日本と東南アジア、日本とASEAN、歴史的にも大変深いつながりがございますし、また日本の外交政策の中で最も大切な柱の一つが対ASEAN外交であるというふうに承知をいたしております。

 先ほど薮中アジア大洋州局長からも答弁を申し上げましたけれども、昨年の暮れ、日・ASEAN特別首脳会合が東京で開かれました。ASEANの首脳が域外に全員そろわれたというのは初めてのことでありまして、それだけASEAN各国、とりわけ首脳の方々が、日本とASEANとの関係の大切さ、重要さ、それを行動を通じて内外に示されたというふうに私どもも高く評価をいたしております。

 東京宣言、また行動計画が発出をされ、今までの本当に強い日本とASEANの関係を、より一層緊密なものに、より一層強固なものに、またより一層発展的なものにしていこうという大変すばらしい枠組みが確認をされ、世界に向かってそのことが情報発信をされたわけであります。そういった経緯を踏まえ、ASEAN側からも強く、この東南アジア友好協力条約に加盟をしてほしい、そういった改めての要請もあったのが事実でございます。

 私ども、そういった手続、手順を踏みながら、今回、この条約に加盟をするという決定をさせていただいたということでありまして、ぜひ委員の御理解を賜りたいと存じます。

赤嶺委員 積極的なアジア外交、ASEAN外交を進めていくという上では、改めての加盟を求められて入るというのは、日本の外交のあり方としては問題があったのではないかというぐあいに考えます。これは改めて、外務大臣の発言でもありますので、外務大臣にもただしていきたいと思います。

 ただ、この条約の第二条には六つの大事な基本原則が規定されていると思うんです。一が「すべての国の独立、主権、平等、領土保全及び主体性の相互尊重」であります。二が「すべての国が外部から干渉され、転覆され又は強制されることなく国家として存在する権利」であります。三が「相互の国内問題への不干渉」です。四が「意見の相違又は紛争の平和的手段による解決」。五が「武力による威嚇又は武力の行使の放棄」。六が「締約国間の効果的な協力」。こういう六つの原則があります。

 アジアはかつてベトナムの戦争のときに、二つの陣営にアジアの国々が分かれて対立をいたしました。この対立の後のアジア各国の友好の歴史の中でASEANでこういう六つの原則が打ち立てられたのは、非常に大事なことだと考えます。同時に、今、アメリカがイラクに先制攻撃戦略に基づいて、無法な侵略戦争、そして本当に不当な占領支配を続けている中で、世界が危機的状況に直面している、こういう時期だからこそ、この条約の六つの原則というのを改めて強調しておきたいと思います。

 そこで、もう一つ、このASEANの国々との関係で、日本が考えるべき問題があります。それは、条約の前文に「地域の平和及び安定を促進することを希望し、」と述べられています。ここには、ASEAN諸国の総意でつくられて、そして発効させたASEAN非核兵器地帯条約、この有効的な実施がこの前文の中には含まれていると思いますけれども、この点、いかがですか。

門司政府参考人 お答えいたします。

 東南アジア非核兵器地帯条約でございますが、これは一九九五年のASEAN首脳会議で採択されたものでございます。締約国による核兵器の開発、製造、取得、配備、輸送、実験などの禁止、また、締約国領域内において他国による核兵器の開発、製造、取得、配備、実験などを許容することの禁止、そういったものを内容としております。九七年三月に効力を生じておりまして、現在、締約国はASEAN十カ国となっております。

 今御指摘のこの東南アジア友好協力条約の文言でございますけれども、平和、安定の促進のためには、東南アジア地域の域内あるいは域外を問わず、関係国すべてが協力することが必要であるという認識を一般的に示したものでございます。

 非核兵器地帯条約と東南アジア友好協力条約との関係でございますけれども、非核兵器地帯条約は、内容におきましても、それから締約国の構成におきましても、東南アジア友好協力条約とは別個の異なるものでございまして、両者には直接の関係はないというふうに考えております。

赤嶺委員 今度の条約と非核兵器地帯条約と直接の関連はない、こういう余りそっけない態度はとられない方がいいと思うんですよ。ASEANにとっては、やっぱり重要な問題なんですよ。

 ASEANの、二〇〇〇年七月の第三十三回ASEAN外相会合の共同声明には、こう言っています。各国外相は、核兵器保有諸国が早期にASEAN非核兵器地帯条約に関する議定書に加盟するよう促した、このような強調をしているわけですね。やはりASEAN外交にとってこの問題も極めて大事であります。

 ところが、アメリカは、この条約が排他的経済水域にも適用するということで反対をしてきているわけですね。今度のアメリカの言い分を紹介いたしますと、九五年十二月のアメリカ国務省のプレスブリーフィングなんですが、非核兵器地帯の設立は、寄港や領空通過を含めて、非締約国の核能力艦船や航空機に対して、各国の領土、公海公空の他国の通航権を認める国際法に基づく諸国の現在の諸権利に影響を与えることがあってはならない、こういう反対の理由を述べているわけです。

 ASEANの領域やあるいは排他的経済水域での核を積んだ艦船や航空機の通過を妨げることになる、このように言って反対をしているんですが、逢沢副大臣、こういうアメリカの立場を日本は支持していくのですか。

逢沢副大臣 ASEAN各国自身が東南アジア非核兵器地帯条約をそれぞれ結び、大切に考えている、そのことは私どもとしても評価をいたしたいというふうに承知をいたしております。

 一方、我が国の安全またアジア極東の安全のために、アメリカはこの地域に深くコミットいたしております。日米安保条約もそのことに資するわけでございますが、私どもはそういった立場をとるわけでございまして、また、アメリカも同様に、このアジア太平洋地域の安定、あるいはまた非常な成長力、可能性、潜在力を秘めるこの地域の経済的な将来についても、アメリカの立場からも大変深い関心を寄せている、そのように承知をいたしております。

 いかにして平和や安定を確保するか、この方法論、具体論についてはさまざま議論があるところというふうに承知をいたしているわけでございますが、私ども、アメリカが主体的にそのような立場をとるということについて、特にコミットする立場にないということをあえて申し上げておきたいと存じます。

赤嶺委員 アメリカはASEANにコミットを求めている、それがアジア諸国にとっては、やはりあのベトナムでの侵略戦争がつらい記憶として残っているわけですね。

 アメリカがアジアに関与していきたい、それがこの条約で言う六原則の「相互の国内問題への不干渉」あるいは「すべての国が外部から干渉され、転覆され又は強制されることなく国家として存在する権利」、こういうこととのかかわりでもよくよく検討していかなければいけないと思うんです。

 ただ、私、何でこの問題を取り上げたかといいますと、この非核地帯の条約が作成されようとしていた時期に、日本の外交がこの問題でも厳しい批判をアジア諸国から浴びせられたことがあります。これは一九八七年の六月の話ですが、当時の外務大臣は倉成外務大臣、ASEANの拡大外相会議で、今の非核兵器地帯構想、そういう構想について、センチメンタルな意味での構想であってはならないとか、あるいは、公海における航行の自由という国際法の原則に合致するということも必要ではないかと言って、アメリカの立場からこの構想に水を差して、批判を浴びているわけです。

 私は、唯一の被爆国である日本が、しかも今回の条約を締結するのであるわけですから、ASEAN諸国の非核兵器地帯条約への理解を表明し、そして有効に実施されていく方向で日本が協力する方向に転換すべきだ、このように考えますが、この点、いかがですか。

薮中政府参考人 東南アジア非核兵器地帯条約につきましては、まさに今委員御指摘のとおり、ASEAN諸国の東南アジア地域における平和と安定の強化に向けての努力の流れであるというふうに我々も受けとめてございます。そしてまた、同条約におきまして、すべての核兵器国による同条約の尊重等を内容とする議定書もございます。

 今後とも、我々としましては、条約当事国と核兵器国との協議の動向を注視しながら、こうした努力についても、これを一つの前向きの努力として受けとめていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 核兵器保有国の立場に立つのではなくて、ASEANの国々が目指している非核地帯、これが広がっていけるように、被爆国の政府としてもその努力を当然続けていってほしいと思います。

 時間がちょっと迫っていますので、日本とベトナムとの投資協定に関する質問に移りたいと思います。

 ベトナムは、自国の産業経済を発展させるために、一九八六年代の後半からドイモイという改革・開放政策をとっています。経済のグローバル化を推進する、こういうことの方針であるわけですが、その立場から、外国からの投資も積極的に受け入れる立場であります。

 ベトナムの経済成長率が一九八六年の三・四%から九五年には九・五%と飛躍的に上がり、そして、過去十年間で年平均七から八%の経済成長を達成しています。一九八六年が八十八億ドルだったGNPも、二〇〇二年には三百四十億ドルになっています。

 ドイモイに表現されるベトナムのこうした経済政策、これについて政府はどのように見ておられますか。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、ドイモイ政策を積極的に取り入れ、ベトナムは大きくその姿を変えられたわけであります。まさにドイモイ政策はベトナムにおける改革・開放政策と言ってもよろしいのではなかろうかというふうに私は評価をいたしております。

 一九八六年から、対外開放と市場経済化を柱とする政策が積極的に展開をされ、外資の積極的な導入を初め種々の経済改革が力強く進められて、今日を迎えております。私自身も、八〇年代、九〇年代、それぞれ一度ずつベトナムを訪問した経験も持つわけでございますが、ベトナムの経済が強化をされる、それは、ASEANのみならず、このアジア太平洋地域にもよい効果をもたらすということは間違いがございません。

 積極的に、我が国としても、このドイモイ政策を評価しつつ、さらなる発展をサポートする、その立場にあることを申し上げておきたいと存じます。

赤嶺委員 今回の協定の大きな特徴の一つが、パフォーマンス要求禁止の規定について、ベトナムの側からの希望で、日韓投資協定のときの一定の水準の自国民を雇用するという規定が外された、こういう報告を受けています。

 ベトナムの現在の人口構成が、五歳から十四歳が全体の二二%以上、今後十年間に労働人口が大きくふえる可能性があるわけです。一方で、失業率は、ハノイやホーチミンでは全体として高い、このように言われています。

 投資協定がベトナムの雇用問題の解決にどのように役立つのか、これまでの実績なども含めて、今後の見通しについて政府の考えていることを報告していただけませんでしょうか。

薮中政府参考人 今委員御指摘のとおり、今回のベトナムとの協定におきましては、自国民雇用要求の禁止という規定は規定しておりません。これはまさに今委員御指摘のとおりでございますけれども、現在のベトナムにおいて、労働人口の増加に伴い、雇用創出というのが大きな課題になっているということが一つの背景にあるわけでございます。

 今後の見通しでございますけれども、まさに今回の投資協定につきまして、これが具体的にどうした、どのような投資の増大につながるかというのは、確実ではございませんけれども、我々の期待するところは、当然この投資協定というのが今後日本からベトナムへの投資の増大につながる、まさに日本の投資活動を非常に安定的なものにするということで、そうしたことから、これが投資につながり、具体的にベトナムにおいても雇用の創出に貢献するということを期待しているところでございます。

 定かな数字ということではなかなか申し上げられませんけれども、我々はそうした強い期待を持っております。

赤嶺委員 投資協定という形ではありますが、日本とベトナムの経済協力関係を通して、両国の経済もまた発展し、そして、ベトナムにおけるドイモイ、社会主義のもとでの市場経済も発展していく、そういう両国間の経済の発展を願って、質問を終わります。

米澤委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。

 まず、東南アジア友好協力条約について伺います。

 沖縄は地理的にも歴史的にもアジアの国々と近いことから、沖縄出身の私は、ASEAN諸国と友好協力関係を維持することが地域の安定と発展に欠かせないと考えております。琉球王国時代の琉球は、武力に頼らず万国津梁の精神で、アジアの国々と交流、交易を通して、平和で安定した国を築き繁栄していたことはよく知られていると思います。

 二十一世紀はアジアの時代ともよく言われますが、我が国は近隣諸国との文化的、人的、経済的交流等を強化し、活発に行っていくことを望むものです。その意味で、本条約加盟を名目に終わらせることなく、実効を伴うものとなるよう努めるべきであると考えますが、政府はこの点においてどのような具体的プログラムをお持ちでしょうか、お聞かせください。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに日本と東南アジア、ASEANとの関係を全体として非常に幅広いものとしてこれからも進めていくということは、非常に大事なことであると思っております。これはまさに委員御指摘のとおりでございます。

 今までも日本はASEANを非常に重視してまいりました。そうした中で、経済的なあるいは政治的そして人的交流は深まっておりますけれども、今後とも、昨年十二月の日・ASEAN特別首脳会議、そこで申し合わせた東京宣言、そして具体的に百項目以上に上る行動計画がございます。これを一つ一つ実行していく、これは非常に大事なことだと思っております。それがまさに肉づけになると思いますし、そしてこの条約というのはそうした全体の関係を象徴する、そうした重要性を持っているというふうに考えております。

東門委員 ぜひその行動計画をしっかりと実施していっていただきたいと思います。

 ASEANは、二〇二〇年までに人、物、金の移動を自由化する、経済共同体構想を打ち出しています。中国は、このような動きを見せるASEANと既に二〇一〇年までのFTA実現で合意していますが、さらに昨年十月段階で本条約に加盟し、一段とASEANとの関係を強化しています。これに対しASEANも、人口十三億という巨大市場を目の前に、中国に急接近しています。

 アジアで加速化する経済のボーダーレス化の流れの中で、我が国がその流れに乗りおくれかねない現状に対する外務省の認識をまずお聞かせください。

薮中政府参考人 今委員御指摘のとおり、中国の経済発展は非常に力強いものがございますし、そして周辺国との貿易関係も非常に増大している、それはASEANも同様でございます。日本とも中国の貿易関係は増大しておりますけれども、ASEANと中国の貿易関係も増大しているということ、したがって、当然のことながら、中国とASEANとの関係も緊密化を深めていることは間違いないところでございます。

 他方、日本とASEANとの関係と中国とASEANとの関係を比較しますと、それはまだ圧倒的に日本とASEANとの関係の方が深うございます。貿易額でも多うございますし、投資額では全く問題にならないほどでございますし、さらにはODAというツールもございます。そうした中で、やはり日本としては、そういう現状に甘んじることなく、さらにこれを進めていく。

 そしてまさに、それは、先般の日・ASEAN特別首脳会議の際に、FTA、我々はEPAと呼んでおりますけれども、経済関係を深めていくということで、日本・ASEAN全体、そしてまた個別の国ということで、既にシンガポールとはございます。これからマレーシア、フィリピン、タイとの間でも行っていく、こうしたことを行う。そしてまたさらに、開発がおくれておりますASEANの中、例えばラオスでありますとかカンボジアでありますとか、そしてベトナム、そうした国々に対する、やはり国づくり、これについてさらに積極的に日本として協力していく。

 そういう全体的な活動で行っていくということで、これはもうASEANから見ましても、やはり一番大事なのは日本との関係である、そこは間違いないところだと思います。

東門委員 わかりました。

 次に、日本・ベトナム投資協定についてですが、一九九二年の参議院外交委員会において、政府は、パキスタン、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ルーマニアと締結に向けて交渉を行っていると答弁しており、また、二〇〇二年四月二十六日の衆議院外務委員会においては、サウジアラビアと交渉中、インドネシアと予備協議中であると答弁しています。パキスタンに関しては既に投資保護協定が発効済みですが、それ以外のハンガリー、チェコ、ポーランド、ルーマニアについては、十年以上経過した現在も協定は締結されていないと思います。これらの国々との交渉経過はどうなっているのでしょうか。また、現在、世界のどの国との間で投資協定交渉を行っているのか、お聞かせください。

門司政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、平成四年前後には、中東の国、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ルーマニアと投資協定を交渉中であるということを国会の場でも答弁しておりますけれども、いずれの国とも、先方が将来の、これはもう来月実現いたしますけれども、EU加盟を念頭に置き、EU加盟国間で付与される特別な利益、すなわち地域的な経済統合によりEU加盟国の投資家に与える利益というものを、日本の投資家に均てんし得ない旨強く主張しました。したがって、その後交渉が中断して、現在に至っておるという状況でございます。

 それから、現在、投資協定ということで交渉しているところはございません。しかしながら、経済連携協定、これは、先ほどのASEANの国との関係では、タイですとかマレーシア、それからもう一カ所、済みません、言いましたけれども、その経済連携協定の中には、この投資協定に相当する投資の章というのがございまして、それがこの投資協定に代替するということになろうと思っております。

東門委員 投資協定に相当する、それを別の呼び方で経済連携協定とおっしゃったんでしょうか。それは何か二つのもののように、全然違うもののように一般の人は思うと思うんですが、どういうことなんでしょうか。その投資協定というのが使えない、できないということなんですか。済みません。

門司政府参考人 失礼いたしました、先ほどのもう一カ国はフィリピンでございます。

 経済連携協定といいますのは、一般にはよく自由貿易協定と呼ばれておりますけれども、関税といいます、貿易のみならず、例えば投資、そういったものを広く含む概念でございます。したがいまして、シンガポールとの間では経済連携協定が二〇〇二年に締結されておりますけれども、それは非常に幅広い分野を含んでおります。その中に投資という部分がありまして、その投資の部分は全く、ほぼ、例えばベトナムとの協定と同じような内容となっておるということでございます。

東門委員 私は、経済連携協定ときたもので、ちょっと外れてしまいました。わかりました。

 次に、欧州復興開発銀行設立協定の改正なんですが、これは、一点だけお聞かせください。

 市場経済化に伴って、モンゴルに、教育の混乱、貧富の拡大、犯罪の増大など社会問題が発生していると聞いています。計画経済から急激に市場経済に突入したことから、社会全般にさまざまな混乱が生じているのは無理もないものと考えられます。しかしながら、このような社会的混乱は、放置すると政治不安を惹起し、市場経済化、民主化そのものを阻害しかねません。

 このような問題解決に関し、我が国としてどのように協力を行う用意があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

薮中政府参考人 今委員御指摘のとおり、モンゴルの状況でございますけれども、まさに、一九九〇年以降、モンゴルは民主化及び市場経済化に移行する努力を続けているということでございまして、日本としても、そうしたモンゴルの努力、これを大いに助けていきたい、協力していきたいということでございます。

 このモンゴルの政治的な安定、経済発展というのは、北東アジア地域全体を見ましても我々としては非常に重要であると思っておりまして、具体的には、両国間において確認されました総合的パートナーシップというものがございます。このもとで、経済、文化、教育、人的交流等々さまざまな分野での協力を行っていこうというふうに考えております。

東門委員 短い時間ですが、防衛施設庁長官においでいただいていると思いますので、ちょっと御質問したいと思います。

 名護市辺野古沖に予定されている普天間飛行場代替施設建設のためのボーリング調査、それに反対をする住民あるいは市民団体が座り込みなどの抗議行動で、十九日に予定していた作業が進まない状態だとの情報が入っていますが、長官、どうでしょうか、現地からその報告はどのようになされていますか。

山中政府参考人 十九日に、現地技術調査の一環といたしましてボーリング調査等に着手を予定いたしておりました。潮位その他気象条件から、安全な調査の遂行に支障があるというようなことで、今日に至るまで実施をいたしておりませんが、その時々の状況については、逐一局の方から報告を受けております。

東門委員 きょう、現時点では、まだスタートはしていませんか。

山中政府参考人 まだ調査に着手というところまで至っておりません。

東門委員 沖縄の豊かな海を殺し、環境を破壊し、市民の生活を脅かす軍事基地建設のための工事が受け入れられるはずはありません。政府が口癖のように言う県民の負担の軽減どころか、負担はさらに大きくなっていくということは目に見えているのです。県民はそれを知っているんですよ。

 抗議の座り込み行動に参加をしている辺野古に住んでおられる七十代の女性は、海にこの身を投げてでも工事をとめたいと述べて、国への怒りをあらわにしています。戦後の苦しい生活を海の幸に支えられて、その地で生活をしてきた女性の正直な気持ちのあらわれだと私は思います。

 長官、ボーリング調査は中止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山中政府参考人 これはもうこれまでの経緯をるる御説明するまでもございませんが、普天間飛行場の移設、返還を実現するために、地元県、市を含めまして苦渋の決断がされ、御指摘の辺野古沖に代替施設を建設する、一連の経過の中で今日まで来ている事柄でございますが、外洋に面したところに代替施設、二千メーターの滑走路を建設するということになりますと、どうしても護岸工事が必要で、その護岸工事をきちんとしたものにするためには、海底の地質等の調査、これは不可欠なわけでございます。

 そういった普天間の移設、返還、今、大きな目的に沿う一環の調査でございまして、私どもとしては、今後整々と調査を進めていきたいというふうに考えております。

東門委員 その環境問題の専門家と言われる方たちがここを調査した結果、環境への影響は大したことはないということで調査を決断したということでしょうが、そう言われていますが、その人たちの名前を公表することすらしない。本当にその信憑性はあるのかないのか、それが県民にとっては何もわからない状況で、県民の生活を大きく変えていく、そういう工事に着手するということは私は絶対に許せないと思います。

 今、反対行動を続けている住民ですが、その住民排除に、今後、警察官の出動要請も考えているのでしょうか。

山中政府参考人 私どもといたしましては、天候状況あるいは現地のいろいろな情勢等を見て、整々と調査に入っていきたいというふうに考えております。

東門委員 という御答弁は、今、長官の中に、国として警察官の出動を要請するという考えはないということで受けとめてよろしいですね。

山中政府参考人 どういう状況に立ち至るかの予断を持って申し上げかねるところでございまして、私どもとしては、できるだけ円滑に、整々と調査が進捗するということを期待いたしております。

東門委員 それは、できるはずないんですよ。それだけの抵抗があるわけですから。本当に夜中じゅうずっと座り込んで、この海は絶対に守るぞという意識でみんな動いているんです。今、長官おっしゃるように、整々と進めていく、そんなことできるはずない。

 でも、強く申し上げておきます。警察官を出動させて排除するようなことはしないでほしいということを強く要請しておきます。

 副大臣にお伺いします。

 副大臣は、きのうもちょっと出たんですが、SACOは、私たちはもうずっとそう言っているんです。既に破綻しているんです。副大臣としては、表向きそれはおっしゃられないと思います。しかし、五年ないし七年が八年になっている。それでもSACO、SACOと言い続ける、これはおかしいと思われませんか。

 そのSACO、しかも、それが十五年の使用期限ということも解決されないままに、本当にこういうボーリング調査に着手をし、SACOを進めます、そう政府は言い切っている。その前に、十五年使用期限問題を解決すべきだと思いますが、いかがですか。

逢沢副大臣 日本にございます米軍施設・区域の七五%が沖縄県に集中している、その基地を抱える地域の中で、最も沖縄県の方々にさまざまな意味での御負担をかけていると承知をいたしております。

 この負担の軽減を実現していくために、やはり私どもとしては、SACOの最終報告を着実に前進させる、そのことを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 私自身、三月の上旬に沖縄県に参りました。知事あるいはまた名護市等もお伺いをいたしました。また、ブラックマン四軍調整官とも会談を行いました。

 沖縄の負担の軽減、これは日米が協力をしながら、また日本政府が責任を持ってこれを推し進めていく、その道は、SACOの最終報告にのっとった着実な事業の前進だということを私どもも主張させていただきましたし、またブラックマン調整官との間でも確認をさせていただいたところでございます。

米澤委員長 東門君。質疑時間が終了いたしました。

東門委員 はい。

 副大臣、現地、辺野古へはおいでになりましたか。それだけお聞かせいただいて、私は終わります。

逢沢副大臣 キャンプ・シュワブを訪問いたしました。またその際、辺野古沖を、見晴らしのよい場所から実際に視察をさせていただきました。

 事実関係として御報告をさせていただきます。

米澤委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会します。

    午後零時二十三分散会


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