衆議院

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第20号 平成16年6月2日(水曜日)

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平成十六年六月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 米澤  隆君

   理事 岩永 峯一君 理事 谷本 龍哉君

   理事 中谷  元君 理事 渡辺 博道君

   理事 末松 義規君 理事 武正 公一君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      遠藤 武彦君    小野寺五典君

      河井 克行君    木村  勉君

      高村 正彦君    鈴木 淳司君

      土屋 品子君    西銘恒三郎君

      松宮  勲君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    阿久津幸彦君

      加藤 尚彦君    今野  東君

      田嶋  要君    中川 正春君

      中野  譲君    松原  仁君

      室井 邦彦君    漆原 良夫君

      塩川 鉄也君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        阿部 正俊君

   外務大臣政務官      松宮  勲君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)  高部 正男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 門司健次郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 川田  司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住部長)  鹿取 克章君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)  西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)  薮中三十二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)  堂道 秀明君

   政府参考人

   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  薄井 康紀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)  青木 宏道君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  加藤 尚彦君     渡辺  周君

  赤嶺 政賢君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  周君     加藤 尚彦君

  吉井 英勝君     赤嶺 政賢君

同月二日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     山際大志郎君

  阿久津幸彦君     中川 正春君

  加藤 尚彦君     室井 邦彦君

  前原 誠司君     田嶋  要君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     田中 和徳君

  田嶋  要君     前原 誠司君

  中川 正春君     阿久津幸彦君

  室井 邦彦君     加藤 尚彦君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一八号)(参議院送付)

 社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一九号)(参議院送付)

 地中海漁業一般委員会に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)(参議院送付)

 千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書の締結について承認を求めるの件(条約第二〇号)(参議院送付)

 千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約を改正する千九百九十七年の議定書の締結について承認を求めるの件(条約第二一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

米澤委員長 これより会議を開きます。

 社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官門司健次郎君、外務省大臣官房参事官川田司君、外務省大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、厚生労働省年金局長吉武民樹君、社会保険庁運営部長薄井康紀君、経済産業省大臣官房商務流通審議官青木宏道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

米澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤尚彦君。

加藤(尚)委員 おはようございます。民主党の加藤尚彦でございます。

 両件に関して、若干お尋ねを申し上げたいと思います。

 アメリカとの協定についてはおくれ過ぎているな、おくれたなというふうな思いでこの協定案を、いわば個人的には、多分民主党もそうだと思うんですけれども、賛成の立場で発言をするんですけれども、まず、この社会保障に関して、日本政府は過去どういう国と協定を結んでいるかをお尋ねしたいと思います。

阿部副大臣 お答え申し上げます。

 社会保障協定につきましては、年金と医療中心でございますが、これまでに結んだ国はドイツとイギリスでございまして、今回御提出申し上げているのが米国と韓国で、それを合わせると四カ国ということになろうかと思います。

加藤(尚)委員 イギリスとドイツ、そして今度がアメリカと韓国、四カ国ですか。

 それで、イギリスとドイツについて、何か、簡単でいいんですけれども、問題は別になかったですか、今日まで。

阿部副大臣 ドイツとイギリスにつきましても、取りかかったのが十数年前でございますけれども、なかなか手続が面倒だとかいうこともございまして、これを結んだのが、二年前ですか、ということでございまして、平成十年度ドイツ、英国が十二年度でございまして、結構時間がかかりました。

 それで、特段の難しい問題、外交的な問題はございませんけれども、技術的な問題での時間がかかってきたということでございまして、米国とも取りかかったのが本当に十数年前からでございますけれども、ようやく今日に至ったということでございまして、特段、技術論でございましたので、政治的な問題は余りないと思います。

加藤(尚)委員 御苦労さまです。

 この後、ベルギー、フランス、あるいは豪州、カナダと続いていくんだろうと思いますけれども、既に、フランスでは五十一カ国、カナダでは四十五カ国、ドイツ三十八カ国、イギリス三十八カ国、アメリカが二十カ国ということで、日本はやっとという感じがするんですけれども、ドイツ、フランスは時間をかけていますけれども、今後、スピードを上げて欧米並みにということを強く要望しておきたいというふうに思います。

 日韓関係で一つだけ聞きたいと思います。年金加入問題なんですけれども、期間通算が盛り込まれていないということについてお考えをいただきたいと思います。

阿部副大臣 委員御指摘のとおり、日米につきましては年金の期間の通算もやるということになっておりますので、それとの対比からしますと、日韓はそれは入っておりません。保険料のいわば二重に掛けるということを防止するということの方が当面の効果でございますが、最大の理由は、韓国の年金制度はまだできて間もなくでございますので、年金通算というふうな意味での実質的な意味が余りないというようなことが最大の理由でございます。それが成熟してきましたら、具体的な課題として提起されるのではないかというふうに予想しております。

加藤(尚)委員 日韓というのは近くて近い国でますますなくちゃいけないと思います。その意味で、我が国の方で余裕を持った交渉が望ましいというふうに思っていますけれども、この先、ASEANともということになるんです。同じ理由でおくれていくだろうと思いますけれども、やはり、ASEANと日本との関係については殊のほか重要だと思っていますので、その意味で今後の努力を期待したいというふうに思っています。

 引き続き、在外投票について質問をするんですけれども、総務省の選挙部長高部さん、選挙の神様と言われていますね。ですから、そこでちょっと在外投票について、関心事ですので聞きたいんですけれども、いわゆる在外有権者総数、正確じゃなくてもいいんですけれども、大体どうでしょうか。

鹿取政府参考人 平成十五年現在で在留邦人の数が九十一万一千人でございます。有権者の方々については、我々、この約七五%と推定しておりまして、現在の推定では約六十八万三千人、こう考えております。

加藤(尚)委員 約七十万人ということですけれども、去年の衆議院選挙あるいはその前の衆議院選挙、いわゆる七月の参議院選挙がありますからこの問題を提起したいんですけれども、投票率ですね、非常に悪いんですけれども、高部さん、その理由について、どうしてだろうと思っているんですけれども、投票率はどういう結果が出ているか教えてください。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十二年六月に執行されました第四十二回衆議院議員総選挙におきます在外選挙人の投票者数は一万七千十三人でございまして、投票率は二九・〇七%ということになっております。

 また、平成十五年十一月に執行されました第四十三回衆議院議員総選挙における在外選挙人の投票者数は一万一千七百四十九人でございまして、投票率は一五・九%ということになっております。

加藤(尚)委員 計算の仕方はいいと思うんですけれども、有権者は約七十万人ですから、この今の投票率というのは、有権者数から割り出したということになるとうんと低いんですけれども、その数字は把握していますか、有権者総数からいうと。

高部政府参考人 ただいま手持ちにございます数字が、在外の有権者数の想定、十四年の十月現在のもので計算したものがございますので、それでお答えさせていただきたいと思いますが、十五年の衆議院選挙の際の海外の有権者数の推計数値が約六十五万人ということでございまして、これに対する在外選挙人の投票者数が、先ほど申し上げましたように一万一千七百四十九人ということでございますので、これに対する比率として見ますと一・三四%というような数字になるところでございます。

加藤(尚)委員 一・四%というのは異常な数字なんですけれども、結局、海外にいらっしゃる人たちが投票しやすいように。わずか三十分しかありませんので、質問通告を大分はしょります。

 一・四%というふうに私は理解するんです。先ほどおっしゃられたように、二〇〇〇年では二九%、二〇〇三年では一五・九三%という理解ではなくて、やはり二〇〇三年では一・四%、異常事態であると。これについて原因がいろいろあると思うんですけれども、海外にいらっしゃる有権者も当然日本国民で、しかもそれが六十五万、七十万ということになると、例えば、国会議員を複数当選させるだけの有権者数だと思います。

 この投票率をどうアップするかについて、相当努力されていると思いますけれども、改めてその努力ぶりをお聞かせください。

高部政府参考人 お答え申し上げます。

 投票率アップのためといいますと、先生の御指摘がございましたように、そもそも根っこからの話ということになりますと、まずは、国内と違いまして、在外選挙の場合には在外選挙人名簿の登録が必要でございますので、まず登録を実施していただくということで、できるだけ登録していただけるような周知啓発というのをまず努力することが必要だと思っておりまして、外務省の方で大変努力していただいて、いろいろな団体等も通じましてPRに努めているといったようなことがまず一点ございます。

 それから、制度的には、登録の促進という観点から、ことしの一月から、これまで本人確認をしっかりするという観点で必ず御本人が公館に出向いて本人確認できなければ登録できないという仕組みをとっておりましたが、同居の家族の方が申請できるような仕組みも制度的に改めたところでございまして、こういう制度改正と周知をあわせまして登録の促進をするというのが一つだと思います。

 それからもう一つ、投票への参加でございますが、投票そのものも、先ほど言いましたように、まだ低い数字にとどまっているということでございますので、この関係も、一つは、ともかく投票へ参加していただけるようなPRということで、これも同じように日本人会とかいろいろな機関を通じてのPR活動に努力するというのが一点でございます。

 それから、制度的な面での対応ということにつきましては、一つは、これまで郵便投票と公館投票の区分につきまして、公館投票を実施していない地域あるいは遠隔地だけが郵便投票できるという仕組みになっておりましたが、昨年の改正で選択できるようにするというのを、この参議院から施行されるようになっておりますので、これも少し投票しやすくなるんだろうと思っております。

 それからもう一つは、これも外務省さんに大変御努力いただきまして、公館投票について、在留邦人が多い地域では公館投票を実施しておらない地域もあったわけでございますが、今度の参議院選挙に際しましては、安全上の問題等々、特別な事情がない限り公館投票を実施していただけるといったようなことで、投票しやすい環境づくりにも努めておるところでございます。

 このような努力と相まちまして、できるだけ多くの方々が投票に参加していただけるように我々として最大限の努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

加藤(尚)委員 選挙人登録というものが、あれが一工夫も二工夫も必要だと私は思うんですね。国内並みにということをやはり前提で努力すれば、もっとうんと変わってくると思うんです。投票の仕方は、この国はITの国ですから、あらゆることを駆使して投票率のアップを図っていただきたいと思っております。

 特に投票所ですけれども、在外公館中心ですけれども、外務省関係だけでもJICAを初めいろいろある。あるいはジェトロがある。あるいは、例えば横浜市なんか、私は横浜市なんですけれども、姉妹都市が八都市あるわけですね。あるいは、全国四十七都道府県それぞれ姉妹都市を持っています。それから、三千市町村も、多くの市町村が姉妹都市を提携いたしています。

 だから、いわゆる投票所について、今回の参議院選挙では難しいでしょう。でも、やはり投票所が多くなれば投票率がアップする、これは当たり前のことなんです。もう国内でもいろいろな選挙で実証されていますけれども、今後お骨折りをしていただくよう要望いたしておきます。

 次に、質問に入りたいと思います。国連大学高等研究所であります。

 大臣、これが国連大学、(写真を示す)これは言うまでもないと思うんです。これは、僕は、渋谷区の青山通りを通るたびに何の建物だろうというふうに関心を持っていたんですね。それで、国会議員になってから、この建物について、国連大学という名前がついているということも知って、そして、知り合いに国連大学に入るにはどういう入学手続が要るんだということを聞きましたら、これはいわゆる大学であって大学でないということで、ますます興味を持ったんです。

 それで、建物が物すごくおもしろい。丹下さんですって、この設計は。そして、この建物に興味を持ちながら中身についても興味を持ち始めたというのが実態なんですけれども、国連大学の今のファン・ヒンケル学長を先週お訪ねしました。そして、二時間ばかり懇談してまいりました。相当な人物だという印象を受けました。

 ヒンケル学長にお会いになったことはありますか。

川口国務大臣 お会いしたことは何回かあります。

加藤(尚)委員 大臣も、多分、何回もお会いされたから、この方の人格とか識見についてとか把握されていると思いますけれども、経歴書も実はいただいて、わずか二ページの紙ですけれども、中身を見ると、やはりさすがに国連大学の四代目学長にふさわしい人だということと、さらに国連の中での立場と、そして自分たちの役割についても、任務についても、使命感についても十二分に聞かされたわけでございますけれども、この国連大学の誘致の経緯についてちょっとお答えを、どなたでもいいんですけれども、お願いします。

川田政府参考人 お答えいたします。

 国連大学は、ウ・タント国連事務総長の、国際的規模の大学を創設するとの提案に端を発するものでありますけれども、一九七二年の国連総会において設立が決定されました。

 当時の佐藤栄作総理が、国連の枠組みを利用して国際社会に応分の貢献をするためには国連機関の本部を誘致することが国益に合致すると判断されまして、国連大学の我が国への誘致を働きかけたという経緯がございます。

 こうした経緯を受けまして、一九七三年の国連総会で、本部を東京首都圏内に設置するという内容の国連大学憲章が採択されました。

加藤(尚)委員 よって、大変な歴史の中で日本に誘致されたわけですけれども、手短でいいんですけれども、誘致して本部ができて、そしてその成果について、いわゆる国連のシンクタンクだという大変大きな目標があるんですけれども、またその役割を担っているわけですけれども、その長い間の中で、日本に本部が移って以来どういう成果があるか、ちょっと聞かせてください。

川田政府参考人 お答えいたします。

 国連大学は、人類の存続それから発展、福祉にかかわる緊急かつ世界的な問題の解決に資する研究を行うということになっています。

 こういった研究を盛んに行っていることに加えまして、世界的な研究ネットワークというのを構築しております。そのネットワークには途上国から学者、研究者を参加させるということで、シンポジウム、それから途上国からフェローの方を呼んだりというさまざまな活動を行っております。

 まさに、こういった活動は我が国の国際社会への貢献の重要な部分をなしている、このように考えております。

加藤(尚)委員 ヒンケル学長も、いろいろなペーパーもいただきましたけれども、中身が非常に難しい、シンクタンクと言うぐらいだから、なかなか専門的ですから。

 それで、私も率直に、せっかく日本にいて私もやっとわかった程度だ、だから日本の国民もあるいは東京都に住んでいる人も、建物はわかっていても中身のことについてはわからないんじゃないか、広く東京の人とか日本の人にこの大学の意味を理解してもらえるような努力をなさったらどうでしょうか、もちろん我々の責務もありますけれどもという問いに対しては、明快に、そのとおりですと。

 研究者だけじゃなくて、一般の人もどんどん出入りするような国連大学であった方がいいと思いますし、同時に、国連大学の今おっしゃられた成果についても、インターネットその他で、あるいはホームページで知らしめているけれども、まださほどの大きな関心が寄せられたというふうには思っていないと。

 僕は学長室で二時間ばかり懇談したんですけれども、この学長室で懇談した国会議員は私が最初なんだそうですよ、長い歴史の中で。意外に思いました。とはいえ、国会議員の中で大勢の人が、この国連大学あるいは高等研究所ができて以来、興味、関心があって、定期、不定期に会合を持っている、大変勇気づけられるということも言っていらっしゃいました。

 その中で、この見せました国連大学本部なんですけれども、ヒンケル学長が最も望んだことは、一、二階の、僕も入ってみて、わかりづらいし、入りにくいし、つまり、はいいらっしゃいという感じが全くないという、シンクタンクだからそういう建物をつくったかもしれませんけれども、やはり、この国連大学の威容、そしてその役割を考えれば考えるほど、同時に国連の本部機関ですから、これは本部機関ということになると、アジアでほかにどういうものがありますか。

川田政府参考人 国連機関の本部としては、アジアで唯一のものでございます。

加藤(尚)委員 唯一のものであると。これはもう大変僕はそこが大きな意味があるというふうに思っています。

 その意味で、この国連大学、そしてこの四月に高等研究所が横浜のみなとみらいに移設された。このみなとみらいの高等研究所の所長はマレーシアの方なんですけれども、日本人の渡邉次長にもお目にかかりました。そして、その高等研究所そのものの役割と国連大学本部の役割と、そういった相乗関係、相互関係についても熱っぽくお話ししていらっしゃいました。

 それで、これのもともとの原資、つまり、この国連大学そのものを、あるいは高等研究所を運営するための原資はどうなっていますか。

川田政府参考人 お答えいたします。

 国連大学の運営に関しては、まず基金というのがございます。この基金は、日本政府も約一億ドル拠出しておりますが、世界各国から拠出を受けておりまして、今、約二億ドルの基金がございます。一つはこの利子で運営されております。

 そのほかに、各国政府から拠出をしているわけですけれども、この点につきましては、外務省より、平成十六年度の予算ですと約五・六億円拠出しております。承知する限り、文部省もほぼ同程度の拠出を行っていると承知しております。

加藤(尚)委員 一億ドルの拠出をして日本に誘致した、その後二億ドルということなんですけれども、そのプラスされた一億ドルについては、日本もそうでしょうけれども、百カ国で一億ドルをプラスしたというふうに聞いております。

 二億ドルの原資における利息、果実、そして文部省、外務省がこの運営費を負担していらっしゃるというんですけれども、その総額は幾らですか、外務省及び文科省で運営費を負担する額ですけれども。

川田政府参考人 先ほどちょっと触れましたけれども、平成十六年度予算ですと、外務省の拠出は五・六億円になっております。文部省の拠出も、平成十六年度、五・三億円ほどの拠出になっております。

加藤(尚)委員 僕がお伺いしたのは三億ぐらいというふうに聞いたものですから、結局それは、両方合わせると約十一億ということですか。そういうことですね。それでいいですね。それはちょっと聞き間違いをしたかもわかりません。私は、外務省と文科省で三億一千万ぐらいというふうに……。どうぞ。

川田政府参考人 失礼いたしました。ただいま申し上げましたのは、国連大学全体に対する拠出額でございます。

 横浜にございます高等研究所だけを取り上げますと、外務省は一億四千六百万円、文部省は一億五千九百万円です。約三億円の拠出ということになります。

加藤(尚)委員 先ほどもこの写真をお見せしたんですけれども、この一、二階の使い勝手が、正直言ってヒンケル学長が、非常に悪いんだと。これは四年前にも国の方に、四年前だからもう財務省ですか、陳情したんだけれども、かなわなかったと。建ててまだ六年だからというふうな答えだったそうです。

 もうそれから十年になりました、この二〇〇四年で。だから、十年たつと、どの建物もどの普通のお宅も少し改修するという時期になると思うんですけれども、この改修について、国連本部のアジア唯一の機関という御説明でもありましたので、このアピールをする意味でも、そこにいらっしゃる職員の人たち、国連大学本部に八十名、それから高等研究所には四十名ということですけれども、この本部の改修についての強いお気持ちがあるんです。

 そして、ヒンケル学長は、地理学者でもあると同時に都市プランナーとしても世界有数の方で、後でこれは大臣に見てほしいと思うんですけれども、これはヒンケルさんからいただいたんですけれども、都市プランナーとしてこういう建物の中の改装についても名人だそうですよ、ほかの人から聞いた。それで、これは、先ほど申し上げましたように、国連本部を知ってもらって、だれもがここに友情を感じる、親しみを感じる、そういう建物に変えられる、そういう機会を望んでいらっしゃいますけれども、大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 この本部ですけれども、これは、国連大学の要望があるということはちゃんと認識をいたしておりますけれども、まず建物を変えることありきかどうかという、何分にも建てたばかりの建物でございますので、そういう意味で、活動をまた同時に開かれたものにしていくということも大事であるのではないか。そういうことによって親しみを持てるものになって、そういうことをやりながら、改修なりなんなりということはその後考えていくことなのかなと今感じております。

加藤(尚)委員 大臣、お答えは、その先はよろしいんですけれども、十年たったということでそろそろ見直してもいいのかもしれない。

 もちろん、今は日本の財政も厳しいわけですから、その財政の厳しい中で、方法はなくはないんです。やはり、企業もそうですけれども、国民一人一人もそうですけれども、国連大学そして高等研究所、その意味合いがわかれば、あるいは税の優遇とか、そういうことがあれば寄附はいとわないという人たちも個人的にも聞いているんですけれども、そういったものも含めて、働いていらっしゃる人たちが使い勝手が悪いなということじゃ一〇〇%の能力を発揮できないようになってしまいますので、これは今後の課題としていきたいと思います。

 時間が余りありませんので、次に横浜の国立国際会議場についてお伺いしますけれども、国立横浜国際会議場、これは五千人収容ということで物すごい大きな施設であります。これについては、横浜市が一九八〇年から誘致運動をやっております。

 私は、個人的に誘致提唱者でありましたから殊にこの国立国際会議場に関心があるんですけれども、その後の使い方をずっと見てくると、あるいはここに投入した横浜市の意気込みというのは、国立国際会議場部分については六十八億円、これは旧大蔵省が負担したんですけれども、あと、全体的なホテル部分とか、国際会議場部分とか、展示場部分とか、駐車場部分でいうと、一千百億円規模なんです。ですから、物すごく横浜市は国立国際会議場の意味合いを理解して、その上で周辺整備、みなとみらい整備をそこからスタートしたと言ってもいいんです。

 そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、大臣じゃなくてもいいんですけれども、この国立国際会議場、五千人ということが大き過ぎちゃって一般的な国際会議ではなかなか使いづらい。しかも、八カ国の同時通訳を備えた世界第一級の国立国際会議場なんです。そうはいっても、累積赤字九十五億円とか悩みもいっぱいあるんです。

 しかも、余りにも大きいものですから、年間使われているのは、歌謡ショーみたいなものとか、あるいは大学の入学式とか、目的とは違う使い方をせざるを得なくて、横浜市としては維持しなくちゃならぬから、だからそのほとんど九九%、国立国際会議場という中身以外の使い方をしながら、一生懸命頭をひねって横浜市は努力いたしております。

 とはいえ、東京では国際会議がしょっちゅう行われております。そういう国際会議がこの国立国際会議場で工夫して行われるようになることを望んでいるんですけれども、これはやはり外務省は、我が国における国際会議というのは北海道から沖縄までたくさんあります、各都市あります、市町村もある、二カ国以上の国際会議ということは。

 そういうことを、全体的に日本で行われる国際会議を掌握しているところというのはどこでしょうか。これは、百九十ある大使館、公使館、在外公館から情報が入っていると思うんですけれども、それは外務省できちっと掌握しているかどうか、領事部長。

鹿取政府参考人 一部主要な国際会議について情報を得ることはございますけれども、全体の国際会議については必ずしも把握しておりません。

加藤(尚)委員 外交というのは、国外との関係ばかりじゃもちろんないんですけれども、国内で行われている国際会議、これが意外に外交なんですよ。そのことが大変大きな意味があると思います。だから、今後の課題にしたいと思います。

 大臣にちょっとお伺いするんですけれども、今後の外遊日程を簡単にお願いします。

川口国務大臣 私は、国会の初めから、本年前半にもロシアに行って平和条約交渉等の仕事をやりたいということを申しておりまして、諸般の事情が許せば、六月の下旬、今二十三から二十五と考えておりますが、ロシアに行きたいというふうに考えております。

 それから、そのあたりで、六月の下旬から七月にかけて、これはASEANの会議ですとか、ACDと言われる、これもやはりアジアの会議ですとか、ARFというアジアの安全保障関連の会議ですとか、いろいろな会議がございますので、すべて事情が許せば出席をしたいというふうに考えております。

加藤(尚)委員 御苦労さまです。

 その中でロシアですけれども、これは領土返還決議について長い歴史があります。そして、最大の懸案事項だと思います。その中でロシアに行かれて、そして日ロの行動計画の中にもはっきりと、両外相が議長になって、そして平和条約早期締結、もちろん領土問題の解決の上でということで担当されていますけれども、両首脳がまたサミット、G8でお会いになるわけです。

 その意味で、委員長、時間がないようですので結論だけ申し上げますと、今までの領土決議は、国会での決議あるいは委員会での決議は、すべて領土という言葉が入っています。中身を見ると、もう既に昭和二十年代から平和条約締結という言葉が入っているわけです。昭和五十四年あたりから早期平和条約締結ということを強く訴えるようになった決議内容を知っております。

 その意味で、私は委員長に諮ってもらいたいと思うんですけれども、日ロの平和条約早期締結に関する決議をこの外務委員会で検討してもらいたいと強く願うものであります。

 それは、今までは領土返還に関する決議は領土問題が前面です。だけれども、相手もあることですから、相手の心をつかむためにも、日本政府もそうですけれども、我々国民もそうですけれども、国会もそうだけれども、いわゆる平和条約を願っているんだ、そのために領土問題を解決してくださいよ、こういう理解を得るためにも、平和条約の早期締結に関する決議を委員会でできるかどうか、御検討をお願い申し上げたいと思います。

米澤委員長 理事会で相談してみましょう。

加藤(尚)委員 よろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

米澤委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。お許しをいただいて質問をしていきたいというふうに思います。

 今議題に上がっています社会保障、アメリカあるいは大韓民国との関係につきましては賛成です。早くこんなものはどんどん整理をしながら前向きにいくということだと思っております。これについては以上であります。

 次に、もう少し日朝問題をこの場でひとつ整理をさせていただきたいということで、通告をさせていただきました。

 総理大臣があんな形で急遽訪問することになった。そして、それでなくてもということだったと思うんですが、五人の拉致被害者の家族が無事日本に帰ってきた。このことについては、よかったなという率直な気持ちで歓迎をしたいというふうに思いますし、これから残る懸案について精いっぱいの努力をしながら解決をしていくということだろうと思います。

 その上で一つ二つ端的に聞いていきたいんですが、あと残った事柄というのは、行方不明者の調査、これをどうしていくか、あるいはジェンキンスさんの問題、あるいは人道支援が向こうで約束してきた中身と違ってきている話、あるいは最終的には核、ミサイルの廃絶に向かっての六者協議との関連、さらにいけば北朝鮮国内での人権の問題、あるいは武器輸出から麻薬の製造、それが日本にしっかりと入ってきている。

 きのう、国土交通で船舶の規制についての議論をしたんですが、確実に、警察としては、北朝鮮でつくられた麻薬が日本に大量に入り続けてきているという事実の指摘がありましたが、こういう問題についてこれから対話をしていくんだろうというふうに思うんです。いくんだろうというよりも、していかなければならないということだと思うんですね。

 まず、行方不明者の調査の方から具体的にお話を聞きたいんですが、どんな形で、ただ向こうで調査をするということだけじゃないと思うんですよ。日本として積極的にこれに携わっていく。例えば、具体的には、国連機関なりあるいは二カ国間なりという形で調査の専門委員会をつくって、第三者的にあの国の中に入っていく、そういうスキームが必要であろうと思いますし、それをいつどのような形で交渉のテーブルにのせていくのか、その辺から聞かせていただきたいと思います。

川口国務大臣 この安否不明者の再調査、これは、総理が行かれて、それを白紙に戻して早期にやるということを金正日国防委員長が言われたということでございます。我々として、今、委員会をつくって等々というお話ございましたけれども、国内において、これのやり方についてのお考え、さまざまであるというふうに認識をいたしております。

 まず、日本側として、これについて必要であれば参加をする、することができるということになっているわけでございまして、北朝鮮側が調査をきちんとし、そして我が方としてそれについて十分に反論あるいは質問、質問を百五十既に出しておりますけれども、さらにそういった面での調査を、加速化を国内でさせる必要があるだろうというふうに考えております。

 具体的にどのように進めていくかということについて、今北朝鮮とコンタクトをとりつつございます。その内容、いろいろその他について、もし引き続き御関心がまだあるようでしたら、担当の薮中局長から御答弁をさせたいと思います。

中川(正)委員 向こうとの話し合いはわかるんですが、日本としてどういう主張をしているのかということですね。これをはっきり国民に対しても説明を今しておかないとだめだと思うんですね。そういう意味合いで詳しく説明してください。

 同時に、被害者の家族が帰ってきた。これまでは、人質という形で向こうにとられていて、なかなか微妙な心理の中で口を開くことができなかったということだと思うんですが、そういう人たちが実は最大の情報源なんだろうと思うんです。

 この間、韓国の拉致被害者が来たときにも質問がそこに集中しました。いわゆる日本の拉致被害者はほかにいなかったかどうか、行方不明者を見なかったかどうかというような。ところが、彼らから返ってきたのは、それは、一番身近にいる拉致被害の皆さんがどこまで勇気を出してもらえるかということ、それから、それを話ができる環境を国が保障してどこまでつくるかということ、そのことにかかっているんじゃないですかというふうな指摘があったぐらいに、一番期待できるところだろうと思うんです。

 そこを、日本のいわゆる調査機関としてどのようにプロテクトしながら情報源として活用していくのか、あるいは既にそれが始まっているのかどうか、そんなことも含めて、少し具体的な日程も前提にしながら話をしてください。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、安否不明の拉致被害者の方々の徹底した真相究明というのは非常に大事な問題でございます。特に、今まで北朝鮮側から日本側に通報のあった内容というのは、到底我々として納得いくものでは全くない。それがまさに百五十項目の質問事項にもあらわれたわけでございます。

 今回まさに、先ほど大臣の答弁にありましたように、総理の方から非常に強く、日本側として、家族の方々一人一人、皆さんまだ生きていると当然我々は思っているわけでございますから、そうした中での徹底した調査、日本側で納得のできる結果を我々として受ける必要がある。そういう強い働きかけに対して、金正日国防委員長の方から、改めて白紙に戻して今までの調査を命じたと。

 具体的に、今後、それについては先方がまず、直ちに行うと言っておりますから、まず先方できちんとした再調査、どういう格好で行うのか。これについて、今現在向こう側の態勢がとられると考えておりますし、我々としても連絡をとっている。そうした中で日本側としても、当然それについて、今委員御指摘のとおり、さまざまな方法で日本側の中でも情報をきちんと整えて、そして我々の方でも質問を投げかける。

 そういう意味で、日本側として、我々から向こうの調査に対して参加できるということで、それも加わっていきたいと思っておりますし、まさに国内での調査、そして新しいさまざまなデータを含めて、先方との間で連絡をとり合って、向こう側がきちんと早く徹底した調査を行うように、これは非常に強く我々から働きかけていく必要があると思っておりますし、今はまさに、先方の改めての立ち上がりの段取り、これについて我々として非常に強い関心を持っているということで、早く立ち上げるようにということを先方に求めているところですし、また国内的にもさまざまの調査を、今委員御指摘のようないろいろなやり方があると思います。これは関係当局とも相談をしながらやっているところでございます。

中川(正)委員 何も具体的な話になっていないですね。そこでとまっていたら、これはいつまでたっても受け身の形の話しかできないということを指摘しておきたいというふうに思っています。

 同時に、この拉致被害者からさらに広げていけば、これを、いわゆる人権を回復していくという枠組みでつかまえていく、そういうことがあると思うんですね。それは恐らく日本だけじゃなくて、今韓国も、同じような拉致被害者とともに、離散家族あるいは行方不明者、特に戦争中の行方不明者の探索といいますか、そういうことが行われておりまして、これは全体として多国的に組める中身なんですね。その努力が足りなかった、というよりも全くなかったということを指摘しておきたいと思うんですよ。

 それだからこそ、六カ国協議の中でこの問題が、メーンのテーブルに置かれるという形じゃなくて、隅の方に追いやられたり、あるいは時と場合によっては邪魔者扱いされたりというふうな結果になっているという、この交渉の仕組み、組み立て方、ここに問題が一つあるんだろうということ、これをもう一つ指摘しておきたいというふうに思うんです。

 そういう意味で、いわゆる強制収容所と、それから脱北者が中国から強制送還されて、拷問に遭いながら非常にひどい目に遭っていくという現実。その中に、在日の人たち、これは過去九万五千人、それから妻三千人も含めて、日本の国籍を持っている人たちも含めてこの収容所へ放り込まれて、残忍な形で拷問に遭ったという証言があちこちであるんですね。

 そういうところへもウイングを広げながら、これは韓国と連携をしていくという姿が当然あっていいんだろうというふうに思うんですが、このことについて、これから先の交渉過程の中でこの問題も含めて入れていく。この問題も含めて、北朝鮮の人権という状況をしっかりと糾弾していく。そして、日本に関係のある人たちが、あるいは日本の国籍を持った人たちがそこで苦しんでいるという事実に対してもしっかり対話をしていくということ、これが必要だと思うんですが、これについてはどうですか。

薮中政府参考人 まさに、北朝鮮の人権問題全般ということも含めて、そしてまた我が国の国民の問題でございます。

 国際的な広がりの中でということでいえば、今まで国連の人権委員会、ここでも随分と日本側は取り上げてございますし、あるいはまた六者協議の場でも、全体として、アメリカからもそして日本からもそういう問題についての提起というのを行っているわけでございます。

 もちろん六者協議は、全体としては、やはりまずは核の問題、これについて、どう核廃棄を実現するのかというのが中心課題でございますけれども、大きな意味での人権問題というのも今後の課題になっていく。そうした中での取り組みは、当然のことながら、日本としても非常に強い関心を持って進めていく必要があると考えております。

中川(正)委員 その中で、特に喫緊に対応が迫られていること、一つだけ具体的に聞いていきます。

 実は、難民救援基金から、中国に入って、脱北者の救援活動をしていた。脱北者は、在日朝鮮人と、それから一人はたしか日本の国籍を持った妻だったと思うんですが、そういう人たちを救援していた。その途中で、去年の十二月に中国当局に捕まりまして、残念なことなんですが、この脱北者の人たちは本国へ送還をされた。今、一人は収容所に入っているという情報が入っています。それで、野口さんの方は、普通であれば一週間ぐらいで、前の加藤さんの例からいくと解放されるんですが、いまだにもって拘束をされたまま裁判が始まっております。

 これに対して、中国は国内法でやっているんだと言うんですが、国際法的に見ると、この脱北者を、経済難民ということだけではなくて、戻されたら確実に拷問に遭うんだということがはっきりしておれば、これは本来は難民扱いをしなきゃいけない人たち。それで、難民の救済をしているその日本のNGOのメンバーに対して、これを罪人扱いして中国の国内法で裁こうとしている。

 しかも、この裁判に対して私たちは傍聴を希望しているんですが、中国としては、その傍聴に対しても、あるいはいつ裁判が行われるかということに対しても、外に対して閉ざしたままである、こういう事実があります。これについて外務省の対応を聞きたいというふうに思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 今の野口さんの裁判の件でございます。もちろん、委員重々御承知のとおり、本件は基本的には中国国内法にかかわる問題でございますけれども、我が国として、さまざまな機会をとらえて、中国当局に対し、邦人保護の観点から、野口氏が可能な限り早期に帰国できるよう配慮を要請してきておりますし、また、昨年十二月十日の拘束以来、御家族と緊密な連絡を図りつつ、領事面会の実施、家族面会の実現に向けての働きかけ、弁護士のあっせん、御家族の嘆願書の伝達支援、御家族の差し入れ支援、そしてまた公判に館員を傍聴させる等の領事支援を行ってきております。

 領事面会も数度にわたって、また家族面会も数度にわたって実施してきているわけでございますけれども、今後とも、御家族との連携をとりながら、野口氏の可能な限り早期に帰国できるようということの努力は続けてまいる所存でございます。

中川(正)委員 私は、外務省として間違っているのは、中国がこれは国内法に違反した犯罪者だという定義でこの日本のNGOを扱っているわけですが、これに対して、それを前提にした対応しかしていないんですね。これは、アメリカについても、あるいは韓国についても、この人たちは、中にはブローカーがいますよ、金銭で動いている、これは捕まえていいでしょう。

 しかし、そうじゃなくて、NGOで人道的にあそこに入っている。それで、難民として本来は認定されなければならない人たちの救済をしている。外務省自体も、実際は、そういう人たちが領事館なり大使館なりに駆け込んだら、それなりの措置をしながら日本に連れてきているじゃないですか。それは、この人たちが本来は難民と認定されるべきものなんだということが前提にあってそういう対応をしているんだろうというふうに思うんですよね。そういうことであるにもかかわらず、そこのところには何も抗議をせずに、何とかして刑を軽減しながらそっと日本に戻してほしい、そういう外交姿勢でしかないということですね。

 これは日本の外務省の特徴なんですけれども、中国から、物事を荒立てないでほしい、騒がないでほしい、そうしたらうまいことやるからというと、そのように乗っていって、内々で事を済ませてしまう。それでいいんだという感覚、これが私は基本的には間違っているというふうに思います。

 そういう姿勢でやったら、人権問題は解決できないんです。人権というのは、やはりそれが侵されていることを表面に出して、世論に訴えて闘い取っていかなけりゃ、これは解決していかないんです。そういう切り口に日本の外交を堂々と変えてほしい。それが、私がこの問題に対してコミットしてきた、日本の外交姿勢そのものに対する疑念です、思いです。これではいけないという思いです。そこのところを理解していただきたいというふうに思います。

 少なくとも、この裁判が公開の席で、第三者がしっかり入って裁判が行われるということを保障する、これは当たり前の話なんだと思うんですが、日本の第三者がそこに入れるという環境を外務省は責任を持ってつくってください。どうですか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員の御指摘の中で、我々の外交の姿勢としてのお問いかけがございましたけれども、やはり基本としては、おのおのの国で行われる中でのおのおのの国の国内法の問題があるというのは、これは国際常識として当然あるところでございますし、その点は委員も重々御承知のとおりだというふうに私も考えてございます。

 そうした中での具体的な御質問でございますけれども、当然、中国側にはさまざまの働きかけを我々はしておりますし、そうした中で、裁判においても、領事館員の傍聴等きちんとした対応をとるようにということで、それはまた実現しておりますけれども、今後ともそういう努力はしてまいる覚悟でございます。

中川(正)委員 領事館員じゃないんですよ。普通の国であれば、だれでも裁判というのは傍聴できる。今回、特に、こうした関係で捕まった人たちの同僚の人たち、NGOのメンバーというのは、当然それに参加して、何が裁かれているかというのは確認をしていきたいというのは当然の話だと思うんですよ。それを保障していく交渉をするというのは、これは領事館員が中に入っていたからそれでいい、そういう姿勢が、外務省はどうなっているんだということにつながっていくんですね、NGOに対して。もう一回答弁してください。

薮中政府参考人 私どもは、御承知のとおり、御家族の方々と非常に緊密に連携をとりながらこの問題を取り扱っております。この外務省の姿勢が間違っているという御指摘があるのであれば、私は非常に、そうではないということをるる御説明申し上げたいと思いますけれども、今後とも、当然、公正な裁判が行われるように、我々はきちんと中国側には強く求めてまいる所存でございます。

中川(正)委員 次に、六カ国協議との関係を尋ねていきたいと思うんです。

 これは恐らく、核を中心にした六カ国協議というのは、大統領選挙、十二月が過ぎないとなかなかはっきりした結論が出てこないというのが一般的な観測だというふうに思うんですが、日本の、今回の総理の訪朝で、二国間で国交正常化に対する話し合いをしていこうということ、このことが同意をされたとされております。

 これはどういうことになるんですか。これは、この六カ国協議の、本来は、国交正常化であるとか、まあ今度の人道支援もその一部になっていくかもしれませんが、メリットがある、国交正常化で即問題になってくるのは戦後補償、これを経済との関係でどのように解決をしていくかという、具体的には北朝鮮に対する経済的なメリットということの方が非常に即の話では大きい。将来の展望の中で、北朝鮮を国際社会の中に引っ張り込んでいくという中でアジア全体の安定を図っていく、そのための国交正常化だというこの理屈はわかるんですが、現在の即の話でいくと、これは一番メリットが出てくるのは北朝鮮なんです。

 そのことがあるだけに、本来は、こうしたものも六者間の協議の進展を見ながら一つの外交カードに使う、その中で北朝鮮に説得をしていって、まず核を捨てなさいという足取りをつくっていく、こういうことだと我々は理解をしていました。

 その原則というのは今でもあるんですねという確認と、それからもう一つは、では、具体的に国交正常化交渉というのはどういう手順でテーブルにのせようとしているのか、これを説明してください。これは大臣だと思います。

川口国務大臣 国交正常化交渉の再開、交渉の再開ですけれども、これは、しかるべき時期にそれを再開したいというふうに考えておりますけれども、今の時点で、具体的にいつごろとか、そういうことが見えているわけではないということでございます。

 それで、核については六者会談で主としてやっていますし、その他の問題、二国間の問題、日本の、日本人の安全の問題、拉致の問題、あと麻薬の問題等々いろいろあると思いますけれども、そういった問題は、中心的には正常化交渉で議論されるということになるだろうというふうに思います。

 それで、ずっと申し上げているように、はっきりしていることは、我々は包括的に解決をするということであって、包括的な解決がなければ正常化はしない、正常化交渉は終わらないということを言っているわけであります。

 それで、先ほど委員の御指摘になられた経済的な北朝鮮に対するメリット、これは、正常化しなければ、すなわち包括的な解決の後、正常化があって、正常化があった後でなければ経済協力は行わないということを言っているわけでございまして、したがって、ほかの問題が解決をしないうちに正常化の交渉が先に動いてしまって、経済的なメリットが北朝鮮に行くということはあり得ないことであるということです。

 我々は、拉致の問題、核の問題、いろいろな問題を包括的に解決して正常化をするということをずっと申し上げていて、基本的な方針について何ら変更はないということです。

中川(正)委員 もう少し具体的に、いつからそのテーブルをつくる予定なんですか。

川口国務大臣 具体的に、今、いつということが見えているわけではないわけですけれども、今まで、例えば拉致の専門幹事会等でお話をしていたこと、合意されていたことというのは、八人の家族の方の帰国、そして行方不明者の方々の、安否不明者の方々の真相究明、これは正常化交渉の中で真相究明をやっていくという、これが専門幹事会の決定でございました。それで、今回、五人のお子さん方が戻ってこられたということです。三人の方と曽我ひとみさんの再会については、第三国でやりましょうということで今段取りが進められつつあるわけでございます。

 それから、先般総理がおっしゃいましたように、例えば行方がわからない人たち、安否が不明の人たちの調査、そういうことがきちんと進んでいるような状況でなければ再開交渉もうまくいかないでしょうねというふうに総理もおっしゃっていらしたわけでして、そういう総合的な問題、そういったことを踏まえながら交渉の再開ということが行われ、交渉が進んでいくんだろうというふうに考えております。

中川(正)委員 中身がなかなか見えてこない答弁なんですが。

 もう一つ言えば、今度の交渉も、もともと、この拉致問題の八人の家族の返還あるいは行方不明者も含めたはっきりした対応、この辺でひっかかって、それで正常化交渉はしばらくとんざをした、こういうシナリオだったわけですね。

 ところが、それはなぜそうなったかというと、恐らく、さっき申し上げたように、この交渉の中で本来のいわゆる目先のメリットが出てくるのは北朝鮮の方、そういう意味では、これはやはり日本の交渉カードなんだろうというふうに思うんですよ。

 小泉さんが今回訪朝して、これは外務省が恐らく下準備をしたとしたら、余りにも拙速だったというか、どんどんどんどん切らなくてもいいカードを切ってしまって、これからじっくりとそういう意味合いでお互いの力関係を見合っていく、そういうチャンスを全部吹き飛ばしてしまって、こういう形で進みますよというプロセスだけがすっと前へ向いてきてしまったというのが結果になっているわけであります。そういう意味では、恐らく担当者は非常に悔しい思いをしているんじゃないかと思うんです。

 それだけに、この問題は、やはり六者協議の進展、今のところ全く進展していません、全く動いていない。そういう中で、この進展を見るまで国交正常化にも入らない、テーブルをつくらないという日本の意思があってもいいと思うんですよ。どうですか。

川口国務大臣 この地域の平和と安全ということを考えますと、核の問題、委員がおっしゃるように、これをできるだけ早く進めていくということが大変に重要なことであると思います。

 早く進めるという観点からは、この間総理が行かれて、金正日国防委員長との間で、核の凍結には査察といいますか検証が伴うんだということを、金正日総書記の口からそれがあったというような幾つかの前向きの進展があったわけでございますし、国際社会もそれを評価しているということだと思います。

 それで、先ほど来、包括的な解決ということで申し上げているゆえんは、まさにその核の問題も進展をさせ、そして二国間の拉致等を中心とする問題も進展をさせ、その上で包括的に解決をする。そういう意味では、相互を引っ張っていく材料になっていく。要するに、二つが解決をしなければ、両方の分野で解決がなければ包括的な解決はありませんし、そうしなければ正常化はなく、経済協力がないということになっているわけですから、それぞれがお互いに引っ張っていく、そういう意味での状況になるというふうに考えております。

 正常化をしたときのメリットが北朝鮮にあるというふうに委員おっしゃられて、確かにそういう考え方もなさる方はいらっしゃいますけれども、私どもの考えているのは、日本のメリット、あるいは近隣の諸国のメリット、世界のメリットという意味では、これはこの地域が、北朝鮮が国際的に開かれた、核のないところになって、この地域が平和であって安全になるということが最大のメリットであるわけです。

 総理が再訪朝なさったのは、まさにそういった大きな目標、それを頭に描いて行かれたというふうに私は考えております。

中川(正)委員 ちょうど総理が訪朝される前日まで私もアメリカにおりました。さまざまなリーダーの中でこの総理の訪朝というのがどのようにとらえられているかということも、聴聞といいますか聞いてまいりました。

 なかなか、日本で総理自身が説明されておられるような、あるいはまた先ほど外務大臣から説明があったような解釈にはなっていません。表面的には、それは外交辞令でよかったよかった、こういう話になるんでしょうが、実際に彼らが懸念しているのは、今回の話というのは、金正日がこの六カ国協議の連携というのを分断するというその戦略に小泉さんが乗ってしまったんだということ、そこを日本の方も根っこのところでしっかり考えてもらわないとだめですよ、そういうことだと思います。

 一番最初に小泉訪朝があったときに、思い出してみると、そこから正常化交渉が始まった。では、幾ら賠償を払うんだとか、あるいはそれを経済援助に変えていくんだとかなんとかというような議論をやり始めた途端に何が始まったかといったら、ケリーが北朝鮮に行って、核疑惑、核を持っているという話をほうり出して、そこでこの正常化交渉もストップをしていった。

 そういう過去の経緯があるだけに、今回の話も、やはりそこのところの歩調をしっかりそろえていく。さっき外務大臣が説明されたような、包括的なとか、あるいはお互いが刺激し合いながらとか、だれもそんなふうにとっていません、周辺は。そうじゃない。まず核が第一義的でしょう、これの放棄をさせないと次は話し合いができないんだというその意思を六カ国すべてがそろえて表明するということが大切でしょう、そういうことなんですよ。

 そこのところをいろいろな形で言いぬぐっても、これは金正日の手のうちで踊るということだけにしかならないんだ、そういう評価もあるんだということ、アメリカの国内にはそういう評価もあるんだということを肝に銘じて、ひとつこれからの対応を考えていただきたいというふうに思っております。

 言われるべきことがあったら、言ってください。

川口国務大臣 今委員がおっしゃられたことというのは、我が国として基本的に踏まえて行動をしていることでございまして、総理は、きっちりそこについては、完全な核放棄が必要だ、検証を伴う完全な核放棄が必要だということを金正日国防委員長に話を迫られたわけであります。

 そういった日米韓の連携、これをベースにしながら、そして現実問題として、私も先日韓国に参りましたけれども、米国、韓国、日本との間では非常に緊密な連携をやっております。それが揺るぐということでは全くないということは、我々の姿勢であり、我々の考え方の基本であるわけです。

 したがって、おっしゃったことについては、これは我々がまさに思っていることであるということをお話し申し上げたいと思います。

中川(正)委員 ちょっと時間が経過しますが、もう一つだけ。

 今、そういう中で、核のスペクトラムというか、核に対する許容性というのが六カ国で違うんですね。原子力発電所も含めてすべての核を廃棄すべしというふうに日本は今主張をしているのか、それとも、発電所はいいだろうと。これは、中国だとかロシアが、その辺の限定した形でのものは残していこうというスタンスにあるようですが、その点については、今、日本はどちらにくみして、日本の主張というのはどうなっているんですか。それだけちょっと確認したい。

薮中政府参考人 我々は、現在、もちろん六者会議において、完全な核廃棄、これが必要であるという立場でございます。それは、今ここで原子力の平和利用云々というよりは、まずは完全な核廃棄をなすべきであるという主張でございます。

中川(正)委員 もう一回許しを得て。

 そのことについて、ということは原子力発電所も含めてですね、日本の主張は。そのことも含めて、この間の総理訪朝でちゃんと金正日に伝えているんですか。どうですか。

薮中政府参考人 まさに完全な核廃棄ということで、総理の方から金正日国防委員長の方にこの必要性を迫っているということでございまして、そういう立場で臨んでおります。(発言する者あり)

中川(正)委員 もう一回、横から確認しろということですから。

 言ったのかどうか。迫っているじゃなくて、あのときの交渉で確実に言っているんですね。

薮中政府参考人 言っておられます。

中川(正)委員 ありがとうございました。

米澤委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 まず、今、薮中局長が御答弁されておりましたが、外務委員会、五月二十五日、これはこのように答弁がございます、これは増子委員の質問に対してですが。

 白紙に戻してという言葉というところでのやりとりなんですけれども、薮中さんが、

 まず、北朝鮮側が直ちに調査を再開する、白紙に戻って本格的な調査を再開するということでございます。したがって、これはまず北朝鮮側の調査が行われる。その間に日本側からも資料を出す。既にもう百五十項目の質問事項も出しております。そして、またそれ以降も新しい材料も出てきております。そうしたものも相手に突きつける。そういう意味で、日本側も必要に応じて、日本が判断すればその調査に加われるようにするということが今回一定の理解でございます。

こういうふうに答えておられます。

 きょうは条約の審議でございますので、条約もこの後聞くようになっておりますので、ちょっと順番が入れかわって恐縮でございますが、薮中さんはこういうふうに答えているんですけれども、一年半前に百五十項目の質問をして、その答えがないまま一年半経過をした。この今の御答弁を聞くと、白紙に戻って本格的な調査を再開すると北朝鮮側は言っている。そうすると、この百五十項目も白紙に戻ったということではないでしょうか。これは外務大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 そういうことではないということでございます。

武正委員 ただ、薮中局長の答弁では、「北朝鮮側が直ちに調査を再開する、白紙に戻って本格的な調査を再開する」、これはまず北朝鮮側の調査が行われる。その間に日本側からも資料を出す。既にもう百五十項目の質問も出しております。また、それ以降も新しい材料も出てきております。そうしたものも相手に突きつける。そういう意味で、日本側も必要に応じて、日本側が判断すればその調査に加われるようにするということ。

 つまり、先に北朝鮮が調査を再開する、しかも白紙に戻って本格的な調査を再開するということは、今までの一年半のやりとりはチャラになって調査をするということではないでしょうか。これはせっかく局長の御答弁ですので、局長、いかがでしょう。

薮中政府参考人 百五十項目の質問というのは、まさに北朝鮮側からあった報告書、その中がいかにも我々から見て不自然な、あるいは全く納得いかないというのが多々あったわけでございます。そういう中での質問事項というのを提出したのが百五十項目でございます。

 今回、まさに基礎は、今までの北朝鮮側の報告というのが我々から見れば全く納得がいかない、それを強く言って、そして先方は白紙に戻して調査をするということでございます。したがって、今までとは違った調査結果が当然出てくるものであるというふうに我々は確信しておりますし、いずれにせよ大事なことは、納得ができる調査結果が出てくるということでございます。

 そうした中で当然先方は、我々が出した百五十項目、これについて、ですから、どこが自分たちの報告としておかしかったのかということ、それについては、それを事実として承知していることは当然でございます。そうした中で、今後どういう先方の調査結果が出てくるのか、そしてまた我々から突きつけるべき事項というのは当然出てくるわけで、我々の調査も行う、そうした中での先方への調査に我々も加わる、こういうことでございます。

武正委員 やはり私は、白紙に戻って調査を行うと言われると、この一年半のやりとりはもうチャラになってしまうと。百五十項目の調査依頼項目については、もう一回これは、薮中さんの答弁のように、その後日本側から資料を出すときに改めて新しいものと一緒に出し直す、それからまたその調査項目についてのやりとりが始まる、こういうふうに理解するんですけれども、決してそういうことはない、百五十項目はまだ生きていると。

 白紙に戻った本格的な調査というのは、もう一回ゼロからやるということだから、これまでの一年半のやりとりや日本側からの百五十項目の質問はもうなきものとして、もう一回北朝鮮側が主体となって調査をするということではないんですか。

薮中政府参考人 少し御質問の趣旨と私の説明が食い違っていたのかもしれませんけれども、私が申し上げていますのは、今までの北朝鮮側の報告というのは全く我々として納得できないものである、そういう意味で徹底した再調査を求めているということでございます。

 そうした中で、今までの実務協議でも行っておりますけれども、日本側から出ている百五十項目の質問ということ、これについての答えというのも求めております。当然それは先方も承知しておるということでございまして、もともとが、基本が、もともとの向こうの、北朝鮮側の説明あるいは報告書が我々から見て全く納得のできないものである、ですからそれについての再調査を求めているということでございますから、委員と考えは同じではないかというふうに思います。

武正委員 当然向こうも承知しているというのは希望的観測であって、それでは、この総理のやりとりで、白紙に戻って北朝鮮側が直ちに調査を再開すると言ったときに、しっかりと畳みかけるように、今までの経緯、この一年半のやりとり、当然これは継承されている、これをちゃんと求めましたか、百五十項目のことを含めてですけれども。当然、今までのやりとりを含めて、日本側からの要求も含めて、それをチャラにしていないねということのやりとりはありましたか。

薮中政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、今までの先方の調査というのが我々にとって全く納得のいかないものである、我々の納得のできるような調査をということを言ってきているわけでございまして、何が希望的な我々の考え方かどうかというのはちょっと別問題といたしまして、我々としては常にきちんとした我々の納得のできる調査結果を求める、そして我々からも我々の調査、みずから行った調査に対しても先方にそれを突きつける、こういうことの作業をこれからやっていくわけでございます。

武正委員 これからやっていくんじゃ困るわけですよね、これまでも一年半やってきたわけですから。私は、この間の総理や外務大臣、皆さんの答弁、白紙に戻って、白紙に戻って相手がやるからいいじゃないかというのは、結局、では、この一年半の交渉は何だったのか、百五十項目は何だったのか。後でまた聞きますけれども、私は、やはりこの一年半前の日朝平壌宣言、そもそもこの再確認に何で首相が行かなきゃいけないのか。こういったことも含めて、大変疑問に思うこの訪朝のやりとりだというふうに思っております。

 ちょっと前後いたしますが、この条約、日米、日韓、それぞれによって条約が批准をされて実行になった場合に、それぞれどのぐらいの額がダブルアカウントから解消されるのか、これをお答えいただけますでしょうか。

阿部副大臣 額の前に形をちょっと申し上げますと、いわば社会保障の適用は、それぞれのその就労地でそれぞれ適用されるというのが原則でございます。ただ、長期に滞在するということが前提でございますので、そこに五年間の短期派遣者といいましょうか、という者については二重加入はやめましょう、もとの本国に帰るということを前提にしてやりましょう、そういう形でございますので、そういう意味での二重加入が防止される、こういうことでございます。

 その軽減額でございますが、日米協定につきましては、日本側にとりましては、向こうに行っている方が向こうの保険と日本の保険とを二重に払っているケースが多いわけで、それが向こうの、五年間の派遣に限られる方につきましての免除をされるということになりますと、大体六百億円と想定されます。

 逆の方で、アメリカ人が日本に来て日本の企業で働いて、五年以内にお帰りになるようなケースについては適用を免除するということになりますので、その効果は十四億円程度ということで、相当の差がございますが、そんな予測が立ちます。

 日韓につきましては、同じような意味で、日本側にとりましては年間六億円、韓国側にとりましては約十五億円というふうなことが推定されます。

 以上でございます。

武正委員 私も、こうした条約については賛成ということを表明しておきたいと思います。

 それでは、もう一度この日朝間の問題に戻りますけれども、首脳会談の同席者、これは、齋木政府参考人として、同じく、二十六日の外務委員会で御答弁いただいておりますが、日本側からは、山崎官房副長官、田中外務審議官、薮中アジア大洋州局長、別所総理秘書官、伊藤北東アジア課長でございます。それから、通訳がもちろんおりますということであります。

 テレビでは、会談後、金正日国防委員長と握手をしている首相、そしてその後たしか山崎官房副長官、そしてその後たしか飯島首相秘書官が握手をされて、その後、田中外務審議官、薮中局長、そんな順番で並んでおられて握手をされたように私は記憶をしておるんですけれども、その飯島首相秘書官は首脳会談の同席者ではなかったんでしょうか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 首脳会談の出席者は先ほどのとおりでございまして、飯島秘書官の同席はございませんでした。

武正委員 別所総理秘書官が同席していますが、この理由はどうしてですか。

薮中政府参考人 別所総理秘書官、これはもちろん、日本側でこういう首脳会談における同席者ということで、外交問題についての補佐をする、首相官邸で補佐をする、そういうことでの役割を別所総理秘書官は担っておりまして、通常、別所総理秘書官がこうした首脳会談には出席しております。

武正委員 それが、会談が終わって、並んで握手をするときになると、突如飯島秘書官が出てきて、しかも官房副長官の後にいる。私はちょっと別所さんの顔がわからなかったんですが、多分、田中さん、薮中さんの後に並んでおられたのかなというふうに思いますけれども、なぜ突如こうやって飯島秘書官が、終わったら出てきて、そしてそういった場所にいて握手をするんでしょうか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 首脳会談は先ほど申し上げたとおりでございまして、その後のロビーでの出会いの中で、各総理秘書官、当時は四名、したがって、それは飯島秘書官を含め、そしてまた別所秘書官もおりましたけれども、そのすべての総理秘書官がロビーでの出会いの場ではそれに加わって、総理とともにおられたということでございます。

武正委員 総理とともにおられたというか、総理、官房副長官、そして田中審議官の間になぜ並んでいるんでしょうか。私は、まず、首脳会談にも同席していないのに何でそこにいるのかな、しかも三番目に並んでいるのは何でかなというふうに思うんですが、これはもうこうしたことが外交上通例になっているのか。首相のこうした外交では、飯島秘書官がそういったポジションにいて、会談が終わったら握手をするようになっているのか。この点はいかがですか。

薮中政府参考人 これはおのおの首脳会談、その時々のアレンジによっていろいろとさまざまな態様があるというふうに思いますけれども、すべての首脳会談を私は存じ上げているわけではございませんので。

 その当日のことについても私は余りよく覚えておりませんけれども、非常に忙しく首脳会談からロビーに出てくる、自然の中で握手がある、写真が撮られる、そういう状況でございまして、私自身は首脳会談の記録等々もあって少し出てくるのがおくれたとか、さまざまその時々の状況はございます。

武正委員 これはもう言うまでもなく、この握手をする順番とか並び順というのは、大変外交上は大事なものがあるというふうに私は思っていますよ。それだけ飯島秘書官がこの外交における、あるいは日朝交渉における重要な位置を占めたということ。外務大臣、私はそう思うんですが、いかがですか。御所見を伺います。

川口国務大臣 これは、今薮中局長が言いましたように、通常、真っ先にもちろん総理と握手をする、それから総理の一緒におつきの官房副長官と握手をする、そのあたりまでは割にきちんとするんですけれども、例えば、私がいろいろな国の外務大臣とお会いをして、大勢そこについていらっしゃいますけれども、そのあたりまではきちんと頭に入っていますが、後、どの方と次に握手をするか。それは、たまたまその辺の近くにいるかどうか……(武正委員「ちゃんときれいに並んでいましたよ」と呼ぶ)いえ、そういう状況であるわけですね。

 ですから、きちんと、大体、総理の官邸で総理がお迎えするときもそうですけれども、思っていらっしゃるほど一列にじっとこう並んでということでは必ずしもないというのが、実際の現場にいる人間の感覚でございます。

 ですから、それはたまたまそういうような状況であったということでありますし、会談には会談をするのに必要な人間が入ったということでございますし、総理の秘書官は総理の秘書官として全体的に総理を補佐する意味で大きな役目を果たしている。別所秘書官は、我々は秘書官と呼んでおりますけれども、基本的には、公式には秘書官事務取扱という名前でございます。

 いろいろなそういうことがあって、実際にはさまざまな状況であるということでございます。

武正委員 副大臣がさっきから首を振って、いや、そんなことない、そんなことないというふうにメッセージを出されておりますので、副大臣、ちょっと同じく御答弁いただけますか。

阿部副大臣 私もいわゆる事務取扱の秘書官の経験がございますけれども、やはり秘書官ではございませんということは大臣のおっしゃったとおりでございまして、私も外務省でいろいろな方とお会いしますけれども、そのときに、大臣が今申されたように、最初のワン、ツーぐらいまではよく覚えていますけれども、その場面場面で、行き帰りのことについて、いろいろなやり方があるし、失礼のないようにするというのが本来でございまして、順番を必ずしも全部あらかじめ決めるということは余りないんじゃないかなというのが現実の場面だと思っております。

武正委員 余りないということは、あるということだと思うんですね。あれだけ整然と並んでおられて、三番目にいらっしゃって、大変違和感がありました。

 まさに今回、日朝交渉において大変重要な役割を総理秘書官が果たしてきたことは、既に決算行政委員会等の、日テレの記者を第一回ロジから、外務省報道課作成資料にあるように外した。そのやりとりの中で、既に決算行政委員会でも、日テレが二十五万トン米支援、こういったことをすっぱ抜いたことによって、政府としても遺憾に思い、そして結果、日テレの記者を外した、そういった第一回のロジ資料になっているわけですけれども、これはちょっと、せっかく薮中さん、私、当委員会では、官房長官にぜひ来てくれという話をしているんですよ。

 というのは、この決算行政委員会でも、細田官房長官に、米二十五万トンって図星じゃないのということを聞いておりますと、こんなふうに答えているんですね。

 向こう側の希望の中身に近い中身であったとか、交渉上差しさわりがありますから細かく申しませんけれども、ちょうちょうはっしとやっているときに非常に大きな、日本側からそういうものが出るということは、やはりいろいろ、振り返ってみますと、あった面もあることだけは申し上げておきたいと思います。

まあ、言っていることはよくわからないんだけれども、最後はやはり何となく肯定したと。つまり、米二十五万トンというのは図星であった、すっぱ抜かれたということを、官房長官はこの決算行政委員会で答弁しているんですね。

 私は、この点というのは大変大事だと思いますので、委員長にも、ぜひ当委員会に官房長官をお呼びして、この食糧支援の実態について、あるいは事前の交渉について、特にまた日テレの、外したこともありますので、御出席をいただきたいと御要望を申し上げたいと思います。

米澤委員長 次回は、質問項目を通告した上で、ぜひ官房長官にお越しいただきたいという要請をいただきますと、自民党の理事さんが検討してくださるそうですから、また理事会で議論させていただきます。

武正委員 薮中さんにせっかくなので聞きたいんですが、これも外務委員会、五月二十八日。

 総理の御発言も我々の記者会見での発表も一貫してございまして、我が国としては、国連機関を通じ食糧二十五万トン及び一千万ドル相当の医薬品等の人道支援を行う考えであることを表明したということでございまして、米と言ったことはございません。

しかし、すぐ北朝鮮放送は米二十五万トンという放送を流し、日本の米はうまい、こう言ったことも伝わってくるんですけれども、日本側は言っていないけれども、この場で二十五万トンの食糧支援、それを日本側は申し入れた。一千万ドルも言ったわけですが、そのときに金正日国防委員長から、食糧は米にしてくれ、日本の米が欲しい、こういった発言はなかったんでしょうか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 ございません。

武正委員 今回、日朝平壌宣言の再確認の必要ということで首相は行っているんですけれども、私は、何で再確認しなきゃいけないのかなと不思議でなりません。一年半前に日朝平壌宣言を交わしているわけですから、何で一々再確認しなきゃいけないのか。逆にこっちは文句を言いたいぐらいなわけですよね。さっき薮中さんが言ったように、一年半、要求したって何も答えない。百五十項目どうなっているんだ、それを言ってもしかるべきなのに、わざわざ何で再確認しに行かなきゃいけないのか。

 再確認したということは、北朝鮮が、既に指摘されておりますNPTほか国際合意を破っていることを、本当はこっちは文句を言わなきゃいけないのに、これで再確認したがために、この一年半、あるいはこれまでに破ったことを突っ込む、これでもうこの日朝平壌宣言は無効じゃないかと言う日本の権利を放棄したことになるんじゃないかなと私は思うんですが、外務大臣いかがですか。

川口国務大臣 重要な原則あるいは考え方の再確認というのは、外交関係では本当にしょっちゅうやっていることでございます。日米関係、日米同盟関係は重要だ、当たり前であって当然のことですけれども、私はパウエル長官に会うたびにほとんどそれを言っていますし、先般、韓国に行きましたときにも、日米韓、この北朝鮮の問題について重要だということは、盧武鉉大統領との間でもそれを再確認しました。

 当たり前のことですけれども、それを常に再確認しながら前に進んでいくということが私は外交のやり方、お互いにそれをその時点時点で確認をするということはまた重要なことであると私は思っております。

 金正日総書記は、再確認をし、我々はそれにのっとって今後引き続き日朝平壌宣言の目的を達成するために相互に努力をしていこう、そういうことでございます。

武正委員 再確認のときに、国際合意が破られているということをきちっと言っていない。首相は言っていませんよね、金正日国防委員長に。言っていないことは再確認ではないですよ。

 この一年半、北朝鮮が核を持っているという疑惑が確実になって、さまざまな発言があり、この日朝平壌宣言の合意が破られている。再確認ということは、そのことを言うべきじゃないですか。そのことを言ったんですか。

薮中政府参考人 まさに核問題、ミサイル問題、総理の方からの発言の中で、日朝平壌宣言にあるとおりということでミサイルについての確認もいたしましたし、また核の問題についても、国際合意をきちんと守るべきである、そしてまたNPT体制に復帰すべきであると。いずれにせよ、核の開発というのは絶対認められないので、核廃棄に向けて、北朝鮮がまさに国際社会の中で受け入れられるようにということを非常に強く言われたということでございます。

武正委員 つまり、言っていないということなんですよ。破られているということは指摘していないんですよ。指摘していないまま再確認してしまったということは、これまでの国際合意が破られていることを指摘する権利を放棄した。本当に私は、とてもこれは正常な交渉とは思えないというふうにあえて言わせていただきます。

 警察庁もお見えでございますが、拉致問題の解決、特定失踪者は含まれないということで、私は、警察庁が認定しない限りということで、外務省から警察庁に、日朝国交正常化交渉に入るためにも認定はまだしないように、せめて交渉に入ってからにしてくれと要請しているのではないかというふうに思いますが、外務省からそのような要請はしておりますか。また、警察庁はそういった要請を受けておられますか。お答えいただきたいと思います。

 また、警察庁におかれましては、平成十四年十二月二日、予算委員会、警察庁答弁。これは谷垣大臣。相当これは北朝鮮の可能性があるなと思われるものもございます、これはやはりきちっと洗い直して、一年半前にこういった答弁をして、一年半の間なぜ十件十五名からふえていないのか。この点、この間何をやっていたのか。しかも、この認定がなぜふえないのか。もうこれからふえるようになっているのか。その点も含めて、その決意も御答弁いただきたいと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような要請を外務省から行っておりません。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点目の外務省からの要請でございますが、お尋ねのような要請はございません。

 それから二点目でございますが、平成十四年十二月二日の、当時の谷垣大臣の答弁、以下の状況でございます。

 十件十五名以外につきましても北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるというふうに私ども見ておりまして、鋭意、捜査、調査を行っております。

 その後何をやってきたのか、こういうお尋ねでございますが、一つは、一昨年の総理訪朝以来、北朝鮮による拉致ではないかということで非常に多くの相談や届け出が警察になされております。私どもとしては、こういった事案につきましても一つ一つ調査を進めているということでございます。

 しかし、この種事案は、発生から相当の年月が実は経過をしているというようなこと、あるいは、被害者の所在がもちろん不明ですから調べているわけでございますけれども、目撃者の発見等も非常に難しい、あるいは証拠も極めて限られている、こういう状況の中で、大変困難な調査でございます。

 発生当時にさかのぼって関係者を割り出す、あるいは当時の捜査担当者から事情を聞くといった、大変地道な捜査を現在各都道府県警察で進めているところでございます。同時に、国内外の関係機関とも情報交換を進めておりまして、海外の治安機関等の協力も得ながら鋭意努力をしているということでございます。

 残念ながら、十件十五名以上に現時点で拉致と認定判断するまでには至っておりませんが、ただ、一つは、拉致に関与した北朝鮮工作員等につきまして現在まで三名を国際手配しておりますが、そのうちの一名、宇出津事件の主犯格である北朝鮮工作員金世鎬、これにつきましては、まさに谷垣大臣の答弁以降の平成十五年一月に逮捕状を取得いたしまして、国際手配を行うなどの措置を講じているところでございます。

 今後とも、警察といたしましては、拉致の実行犯の特定に努め、北朝鮮による拉致ではないかという届け出があったものを含めまして、全容解明のため、引き続き懸命の努力を続けてまいりたいと思っております。

武正委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、ぜひ委員長にお願いをしたいんですが、百五十項目の内容、これはたしか三十項目は公開になっていますが、百二十項目は公開になっておりません。もう一年半を経過しておりますので、この百二十項目をあわせてどういうことを北朝鮮にこれまで要求をしてきたのか、その点をぜひ委員会に資料として御提出をいただきたいと思います。よろしくお取り計らいいただきたいと思います。

米澤委員長 理事会で相談します。

武正委員 ありがとうございました。終わります。

米澤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也でございます。

 本日の案件の社会保障に関する日米協定及び日韓協定は、日本企業からアメリカないし韓国の事業所などに赴任する社員などが余儀なくされている両国間の年金制度及び医療保険制度への二重負担を回避する措置を含んでおり、このような回避措置は、一時派遣と長期派遣のそれぞれについて適切な保険料負担を実現するものであり、我が党としても賛成であります。

 きょうは私、国民の暮らしや地域経済、町づくりにとっても大きな影響を与えている大型店の出店問題について、諸外国の現状がどうなっているのかについて少しお聞きをしたいと思っております。

 今、日本各地の中心市街地の空洞化や疲弊というのは目を覆うばかりで、全国の商店街、十年前は一万八千あったのが、今では一万三千というふうに大きく激減をしております。シャッター通りと言われるのが常套句になるような空き店舗の実態というのも大変深刻です。

 一方では、大型店の売り場面積というのが、全売り場面積に占める大型店の割合が、九〇年代の初めが三割台だったものが、今では六割近くまで、大きく大型店がシェアを占める、一方で中小小売店というのが減ってきているということがあるわけです。

 各地の実例も紹介しますと、例えば宮崎市、これは今、郊外に大型店が出店をするということで、優良農地にこういうのをつくってもいいのかという大きな議論の中で、反対のデモまで起こるような大きな運動というのがあるそうであります。

 高知市中心商店街、帯屋町なども、日商のホームページにも紹介されるようななかなか魅力的な商店街ですけれども、ここにも西武ですか、撤退をして、それが町並みを寂しいものにさせている、こういう現状というのもあります。

 あるいは長野市では、駅から善光寺に向かう通りにあった大型店が撤退をしている。どこへ行ったかというと、郊外に新しい店舗をつくった。そのために中心部に食料品を買うお店がなくなってしまって、お年寄りの方がリュックサックをしょって駅の反対側までバスで買い物に行く、こういう現状にある。暮らしにとっても大きな影響を与えるような事態というのが全国で広がっています。

 その背景に、やはりこの間の政権のもとでの規制緩和策があり、九〇年代に三回にわたっての規制緩和と、あわせて大店法の廃止と立地法を初めとした町づくり三法での規制緩和というのが今の事態につながっております。一部大型店の行動というのが、出店して、地元の商店がなくなっていく、もうからないと見ると撤退をするということで、いわば焼き畑商業だと言われるぐらい、そういう批判の声が上がっているような状況があります。

 そこでお聞きしたいのですが、フランスですとかイタリア、ドイツ、スイス、イギリスなどヨーロッパ各国の大型店の出店規制のルールというのはどうなっているのか、御紹介ください。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの点でございますが、欧州諸国においては、一定以上の規模を超える大店舗の出店に関する規制が存在しているわけでございますが、現時点で承知している範囲では以下のとおりでございます。

 まず、フランスにおきましては、大店舗の出店に関しまして直接規制する法律が制定をされておりまして、これは、数度の改正を経て、現時点においては商法において規制をされております。その内容は、売り場の面積三百平方メートル以上の店舗の開設について事前許可が必要であるということでございます。

 それから、イタリーにおきましては、それまでの商業に関する諸規制を廃止しまして、出店をより自由にするという基本的考え方のもとで、一九九九年に施行されました商業規制改革法によりまして、この場合は売り場面積百五十平方メートル以上の中・大規模店について新規開業の許可が必要であるということでございます。

 それから、ドイツ、イギリスにおきましては、大型店の出店につきまして直接規制する法律は存在いたしませんけれども、都市計画の観点から建設の許可制度がある、あるいは都市計画に係る法律等に基づく規制が行われているということでございます。

 スイスにおいても、大型店のみを対象とする規制はありませんが、店舗を建てる場合には各州の土地利用計画に沿う必要があるということでございまして、州ごとの建築法に基づく建築許可が必要であるというふうに承知をしております。

塩川委員 後でイギリスの事例も紹介していただければと思いますが、例えば都市計画のスキームを使うスイスなどでも、中小の小売店への影響をはかるような商業調整の側面というのを、影響を勘案するという形で行われているわけですね。イタリア、フランスにしてみても、地元の協議を踏まえた許可制という点でも、中小商店への影響を考慮した、自治体が大型店を規制するルールというのは各国で共通しているものであります。

 今、日本で起こっている大型店の出店で問題になっていることの一つに、二十四時間営業を含む深夜営業の問題があります。

 これは、日本経済新聞の調査でも、大手の四社、イオンとダイエーとイトーヨーカ堂、西友、大体一千店舗ぐらいあるんですけれども、そういう中に、夜十一時以降の深夜営業を行う店舗の割合が、一年前、昨年の二月の段階では四割でした。それがことしの二月の段階で七割、一年間で三割も激増するというのがこの間の大きな変化になっております。ですから、今、青少年の非行の問題、健全育成の問題ですとか、あるいは地域環境、防犯問題の立場から、この深夜営業の是正を求める声というのが広がっております。

 そこで、ヨーロッパ各国の大型店の営業時間についてのルールはどうなっているのか、御紹介ください。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 欧州諸国における大型店等の営業時間に関する規制について、現時点で承知している現状は以下のとおりでございます。

 まず、フランスでございますが、これは一九三七年行政立法によりまして、小売店は原則として一日当たり、食料品店では十三時間、非食料品店で十一時間を超えて開店してはならないとされているというふうに承知をしております。

 ドイツでは閉店法というものがございまして、小売店につきましては必ず閉店しなければいけないという時間帯を設けております。これにつきまして、例えば月曜から土曜は午前六時までと午後八時以降、日曜祭日は終日、クリスマスイブが平日に当たる場合には午前六時までと午後二時以降は必ず閉店しなければいけないというような規制がございます。

 それから、イギリスでは日曜営業法というのがございまして、大型店につきましては、月曜から土曜は営業時間の規制がないということでございます。日曜は、最近この禁止の解除が出まして、午前十時から午後六時までの間で最長六時間の営業が可能となったというふうに承知をしております。

 それから、イタリーでは、商業規制改革法によりまして、一日の営業時間は十三時間以内だということで、七時から二十二時の範囲で小売店が自由に営業時間を設定できることになっているというふうに承知しております。

 スイスにおいては、営業時間は州ごとにより規制されており、連邦法による規制はありませんが、州ごとにそれぞれ規制があるというふうに承知しております。

塩川委員 それぞれ営業時間のルールを持っているのが実態であります。日本でもそういう声が全国で広がってきています。

 例えば仙台市では今ちょうど、経済産業省が所管しています、生活環境への影響を勘案して大型店の立地について物申す仕組みとしての大店立地法というのがありますけれども、それの立地指針の見直しの時期がちょうどことしなものですから、それに合わせて仙台市が、全国十二の政令市と共同でこの立地指針の見直しを国に求めております。そこは、二十四時間営業を行う大型小売店の出店に際し、青少年非行の防止や防犯等に関する項目も、生活環境にかかわる事項として新たに指針に盛り込むよう国に提案をするということであります。

 大阪府の堺市も、住宅地での大型小売店の営業時間を午後十時までに規制する条例をつくるとのことで、市の担当者は、深夜営業による防犯や青少年の非行など、大店立地法が想定していない問題に対応したいと。こういう地方からの取り組みが始まっているところです。

 そこで、経済産業省にお聞きしますが、仙台などからも出されているこの深夜営業について、生活環境を守る立場から立地指針に追加することも必要ではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模小売店舗立地法でございますけれども、この法目的は、塩川委員おっしゃいますように、周辺地域の生活環境の保持ということでございます。そうした観点から、大規模小売店舗のいわゆる設置者、要するにお店でございますが、これに対してその施設の配置及び運営方法について適切な配慮を求める、そういったスキームをとっているところでございます。

 したがいまして、営業時間それ自体について直接規制するものではございませんけれども、生活環境の保持の観点から、場合によっては営業時間についても制約が加わるということはあり得ることでございます。

 例えば、これまでの法の運用におきまして、都道府県における大規模店舗立地法の運用で、都道府県が騒音抑制のために何らかの措置が必要であろうということで設置者に対応策を求めた、設置者の方でいろいろ対応策を検討した結果、それへの対応の一つとして営業時間の短縮を行ったといったような事例もあると聞いております。

 いずれにいたしましても、現行の指針におきまして、いずれ見直しを検討するわけでございますけれども、そうした場合に、現行の指針において配慮すべき事項として直接定められないような事項、こうしたものにつきまして、今後、関係者の意見を伺いながら、大店立地法の目的とします周辺地域の生活環境を保持すべきものは一体何なのか、時代の要請にきちんとこたえているのか、あるいは大規模店舗の施設の配置及び運営方法にやはり特有の問題であるのか、こういった点を踏まえながら幅広く検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 大臣、率直に、感想で結構ですけれども、お伺いしたいんですけれども、こういうように、大型店と既存の商店が共存共栄するようなルールというのがやはり今求められているときじゃないか、そのように思っています。深夜営業についてのルールづくりの問題を含めて、生活環境を守り、共存共栄が図れるようなルールづくりという点で大臣の率直な御感想をお聞かせください。

川口国務大臣 私は所管ではございませんので、全く個人的な感想ということにしかすぎませんけれども、私は閣僚になる前に民間企業に籍を置いておりました。そこで身をもって実感をいたしましたことは、やはり企業には何よりも自由を与えることが重要であるということであり、そこからさまざまな知恵がわいてくる、それが社会の活性化につながるということでございます。そういう意味では、私は基本的には規制緩和をすべしというふうに考えております。

 その上で、確かに、今都心から小さなお店がなくなったり、小さな商店がおじいさん、おばあさん二人の営業で、なかなか近くに便利なお店がなくなったという問題は、委員が御指摘のようにあるというふうに思います。

 そういったことをどうやって解決をしていくかということは、社会としていろいろ考えていかなければいけない問題であるというふうに考えておりますけれども、基本的に、それは規制をするということではなくて、そういった小さなところをどのように助けて魅力ある商売をやっていけるようなことにしていくのか、商店街をどうやって、活性化をしていくための知恵を出してそれを助けていくのか、そういう方向ではないかと思っております。

塩川委員 規制緩和が進んでいると言われてきているアメリカにおきましても、自治体レベルではいろいろな取り組みが始まっておりまして、バーモント州のバーリントン市ですとかカリフォルニア州のバークレー市など、経済環境、地域環境、生活環境を踏まえたルールづくりというのはいろいろなところで芽生えている。そういう地方自治体からの取り組みをやはりしっかりサポートしていくということが本当に求められている。この点を申し述べて、時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

米澤委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 済みません。通告はしていなかったんですが、二点ほどちょっと確認だけをさせていただきたいと思います。

 五月三十一日付の毎日新聞、それはトップの記事でございましたけれども「米軍再編 横田に空自司令部移転」という見出しで、そういう記事の中で、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題に関して「米政府は代替施設見直しを日本側に打診、日米間で協議が続いている。」とありますけれども、その報道のとおり協議は続いているのでしょうか。

川口国務大臣 毎日新聞の記事でございましたか、私も見たことを記憶いたしておりますけれども、米側から、米政府からそのような提案があったということはございません。

 それから、GPRといいますか、グローバルな米軍の展開の見直し、これに関連しては、いろいろな場で協議といいますか、情報について議論をしているということはございますけれども、何か決まったことがそういった過程であるとか提案があったとか、そういうことではございません。

東門委員 ちょっと私の理解不足かもしれないんですけれども、その中で、同じ記事の中で「ローレス副次官補は「外務省、防衛庁と精力的な協議をしており、その結果を公式な提案に持っていきたい」と打開への意欲も示した」というふうになっているんですね。

 それからすると、私は、米側、外務省、防衛庁、実務レベルででしょうか、そこでちゃんと協議が行われているというふうに理解しておりまして、アメリカ側からそういう提案がないということはちょっとよくわからないんですけれども、もう一度お答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 繰り返しになりますけれども、米側からそのような提案があったということはございません。

東門委員 そのような提案があったということはない、それはわかりました。

 協議は行われているんですか。提案ではなくて、協議は実際に行われているんですかということはどうでしょうか。

川口国務大臣 これも先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、いわゆるグローバルな軍事体制の見直し、それについてアメリカは作業を行っているということでございます。

 それで、日本、同盟国あるいは友好国、そういったところと緊密に話をしている、協議とおっしゃっても結構かもしれませんが、協議をしているということはございますけれども、今の時点で見通しが何かついている、そういうことではないというふうに承知をいたしております。

東門委員 もう一点、確認をさせていただきます。

 これはけさの琉球新報の中なんですが、多分お目にかけられたかもしれません、外務省の方からあったかもしれませんが、これは、住民の不安と怒りの中で米陸軍の都市型戦闘訓練施設の建設が進められている。それはもう外務大臣、よく御存じですね。金武町のキャンプ・ハンセン内のレンジ4の近くに、一九九三年以降、米軍が米国予算でヘリコプターの着陸帯を整備していたということが判明したとけさの琉球新報は報じています。

防衛施設局はその件に関して、設置時期や目的についても承知していない、設置に際して米軍から施設局に対して連絡はないと説明しているようですが、外務省には何かありましたでしょうか。

川口国務大臣 申しわけございませんが、けさの琉球新報を私は見ておりませんので、そういったことについて、これはどういうことなのと事務方に聞くということは今までの時点でやっておりません。

東門委員 私もファクスで取り寄せたので、ひょっとしたら新聞そのものは目にとまっていないかもしれませんが。

 私がお伺いしたいのは、一九九三年以降その建設が行われた、それで、これはしっかりと航空写真の方に出てきている、見えるということなんですが、その件に関して外務省の方に、これはレンジ4のかなり近くにできているんですね。それは、外務省に対しては、事前に米軍からこういうものをつくりますという通告なり何かあったでしょうか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、そのことについて、私はちょっと今の時点では何も聞いておりません。ですから、これは後で事務方に聞いた上で、また御連絡を差し上げたいと思います。

東門委員 わかりました。ぜひお知らせください。外務省には通告があったのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。

 では、条約について二、三質問させていただきます。

 今回、在外邦人の最大の居住国であるアメリカとの間で社会保障協定が締結されたということもさることながら、アジア諸国である韓国との間で初めて社会保障協定が締結されることになりました。これは、今後の社会保障協定締結を考えていく上で極めて意義のあることであると考えます。

 アジアの国々で生活する日本人の数は、中国の六万三千人を初めとしておよそ二十万六千人であり、海外在留邦人の二割以上を占め、北米に次ぐ規模です。また、在日外国人については、中国人の三十三万八千人を筆頭としてアジア出身者は百三十七万人に上り、全体の七四%を占めています。

 こういったことを考えますと、将来的には、アジア諸国との社会保障協定締結、特に中国との社会保障協定締結が問題として上がってくると思われますが、アジア諸国、特に中国との社会保障協定の締結についてどのように検討しておられるのか、お答えください。

阿部副大臣 アジア諸国との社会保障協定でございますが、いわば保険料の二重取りといいましょうか、二重支払いを防止するという意味の前に、先生御指摘のように、多数の日本の方々が中国を初めアジア諸国に行っておりますので、その国々がどういう社会保障制度なのか、医療についても年金についても、本来それが適用されるようになってほしいというのが念願でございます。

 ただ、残念ながら、目下のところ、中国を初めといたしまして東南アジア諸国については、そうしたふうな日本で考えられるような社会保障制度というのが正直できておりません。したがいまして、二重加入等々の問題も出ておりませんので、残念ながら今のところ交渉の舞台にのっているものはございません。いずれそういったふうな状況になれば、できるだけ手を打っていくようにしたいというふうに思っております。

東門委員 社会保険庁の調査によりますと、我が国の国民年金受給に二十五年の加入期間が必要であることを知らない国民が約四割いたとのことですよね。自国の制度について四割の国民が理解していないわけですから、外国との間の協定については多くの人が知らない可能性が大きいと思います。

 大きな企業から派遣される被用者であれば組織的に処理されるので問題はないと考えますが、中小の企業や自営業者の場合には、二重加入を回避する制度を知らないために不利益をこうむる可能性もあるのではないでしょうか。

 現在、社会保険庁でも年金に関するさまざまな制度について国民の理解を進める措置をとっているものと考えますが、今回の協定については、米国や韓国に居住する邦人、これから進出する企業等へ、この新制度を周知するためのどのような方策を講じていかれるのか、お聞きいたします。

薄井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の協定の内容につきましては、その施行ということで、十分な周知、広報ということが必要であると考えております。そういうことで、これは既に先行の協定でございますけれども、ドイツとの例、あるいはイギリスとの例、こういった際に講じましたことと同様に、在米、在韓の日本企業や日本人に対しまして積極的に周知、広報を行ってまいりたいと考えております。

 具体的には、これは国内の方でございますけれども、厚生年金の適用事業所あるいは社会保険事務所等でチラシなり小冊子等を配布する、あるいは海外進出企業の関係者を集めました説明会の開催、こういったことをやっていきたいと考えております。それからまた、現地、米韓両国におきましても、在米あるいは在韓の日本企業などを集めました説明会の開催などを予定いたしているところでございます。

東門委員 質疑時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

米澤委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

米澤委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

米澤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

米澤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

米澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

米澤委員長 次に、地中海漁業一般委員会に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件、千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約を改正する千九百九十七年の議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣川口順子君。

    ―――――――――――――

 地中海漁業一般委員会に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件

 千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書の締結について承認を求めるの件

 千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約を改正する千九百九十七年の議定書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

川口国務大臣 ただいま議題となりました地中海漁業一般委員会に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この改正は、平成九年十月にローマで開催された地中海漁業一般委員会の第二十二回会合において採択されたものであります。

 この改正は、地中海における海洋生物資源の保存、管理及び最適利用を促進すること等を任務とする地中海漁業一般委員会に自主的な予算を導入すること等を目的とするものであります。

 我が国がこの改正を受諾することは、同委員会の活動を資金面からも積極的に支援することを通じ、地中海における漁業に関する国際協力の促進に貢献し及び我が国の漁業の安定した発展を図るとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 次に、千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成十五年五月にロンドンで開催された国際海事機関の外交会議において採択されたものであります。

 この議定書は、千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金による補償が十分でない場合に補償を行う追加的な国際基金を設立すること等を内容とするものであります。

 我が国がこの議定書を締結してその早期発効に寄与することは、我が国における汚染損害の被害者の保護を一層充実させるとともに、我が国が世界有数のタンカー保有国及び石油輸入国である事実にかんがみ、汚染損害に係る国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約を改正する千九百九十七年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成九年九月にロンドンで開催された千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約の締約国会議において作成されたものであります。

 この議定書は、船舶による大気汚染の防止のための規則について定める附属書をこの条約に追加することを内容とするものであります。

 我が国がこの議定書を締結することは、海洋環境の保全等及びそのための国際協力の促進に資するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

米澤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十一分散会


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