衆議院

メインへスキップ



第3号 平成17年3月16日(水曜日)

会議録本文へ
平成十七年三月十六日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      河井 克行君    北川 知克君

      高村 正彦君    鈴木 淳司君

      竹下  亘君    土屋 品子君

      西村 明宏君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    大島  敦君

      今野  東君    田中眞紀子君

      武正 公一君    鳩山由紀夫君

      藤村  修君    古本伸一郎君

      赤羽 一嘉君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      河井 克行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           伊地知俊一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     西村 明宏君

  高村 正彦君     北川 知克君

  宮下 一郎君     竹下  亘君

  松原  仁君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     高村 正彦君

  竹下  亘君     宮下 一郎君

  西村 明宏君     小野寺五典君

  大島  敦君     松原  仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、外務省大臣官房審議官西宮伸一君、外務省北米局長河相周夫君、外務省経済局長石川薫君、外務省領事局長鹿取克章君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長外口崇君、農林水産省大臣官房参事官伊地知俊一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤村修君。

藤村委員 おはようございます。ちょっと変則な、一こまだけ午前中ということで五十分間の質問をさせていただきます。民主党の藤村修でございます。

 きょうは、ただいま議題となっております法改正についてを中心に質問したいと思います。

 まず冒頭、今起こっている喫緊の課題として、マラッカ海峡における日本船舶襲撃事件の件、大変困った事件だと思います。邦人二人とフィリピン人一人が拉致されていて、いまだよくわかっていないというきょうの朝の報道ではございましたが、この際、外務大臣から、現時点での被害の詳細それから政府においての対応等についての公式な見解を求めたいと存じます。

町村国務大臣 現時点で、連れ去られた二人の日本人、それから一人のフィリピン人の行方につきましては、残念でございますけれども、これまでのところ判明しておりません。

 他方、襲撃を受けたタグボートは、昨日、マレーシアの警察船の誘導によりまして、ペナン島に投錨したところであります。日本人六人を含む同タグボートの乗員の無事は、在ペナン総領事ほかが確認をいたしました。

 今回の事件に際しての政府の対応についてでございますけれども、十四日の事件認知後直ちに、マレーシア、インドネシア及びシンガポールの日本国大使館、総領事館において関連情報の収集に努めるとともに、それぞれの相手国政府に対して被害者の安全確保につき協力要請をしております。また、国内におきましては、官邸、外務省、国土交通省、海上保安庁にそれぞれ対策本部等が設置され、密接に連絡をしながら対応してきております。

 いずれにいたしましても、政府としては、安全かつ早期の解放に向けて、関係国等とも緊密に連携をしながら全力を尽くしてまいる所存でございます。

藤村委員 政府においては、四つのそれぞれ部署で連携をとりながらということでございましたが、本当に、縦割りにならないように、こういういわば危機対応ということでございますので、よろしくお願いしたいということと、それから、外務省においては、お伺いする範囲では、領事局長を長とする対策本部をオペレーションルームに立ち上げということでございます。外務省における対応、そして今後の対策等についてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 外務省内での対応でございますが、十四日夜、船会社から外務省への事件発生に関する第一報が寄せられたのを受けまして、先ほど申し上げましたような、三カ国の大使館、総領事館等に対しまして、関連情報の収集に努めるとともに、被害者の安全確保について協力を要請したところであります。

 領事局内に連絡室をすぐつくりましたが、続いてオペレーションルームに対策本部というものを設置いたしまして、関係省庁あるいは本件の船会社と密接な連絡を保ちながら情報収集するとともに、船会社側への情報提供等をしているところでございます。

 今後といたしましては、関係各国それから近藤海事という船会社と密接に連携をしながら、被害者の安全かつ早期解放のために全力を尽くしていくという方針で臨んでおります。

藤村委員 とりあえず、お伺いしました。

 今議題となっておる法案にもかかわりがあるのは、すなわち邦人保護という問題で、今回在外公館がそれぞれお働きになるんですが、私、きのうのお昼のテレビニュースでその船長さんの家族の方のコメントは、直接ではありませんが、とにかく新聞報道、テレビ報道などしか情報がなくて本当に不安ですというコメントでありました。

 この際、本当に、邦人保護という観点からいえば、外務省はできるだけそういう家族の方にも細かく情報を伝えてあげる、これは会社を通してということかもしれませんが、そういう努力をする中で、ぜひ、この後問題になりますけれども、外務省の邦人保護という領事局の大きな仕事の一つなんでしょうが、一生懸命やっていただくことが、本当にきょうまで三年余りやってきた外務省改革の一つのまた成果を発揮していただく、そういうことにもなろうと思います。お二人の日本人、そして一人のフィリピン人の方の一刻も早い解放、無事帰還を祈念申し上げる次第でございます。

 さて、議題となっております在外公館の位置、名称、給与関係の法律について御質問申し上げます。

 まず、これはこのところ毎年のように審議されております。私どもも、党内でも慎重に時間をかけてヒアリングをしたりしながら、この法律案については一応賛成しようという方向で今検討が進められております。

 言うまでもなく、外務省のさまざまな不祥事が何年か前、まだ記憶に新しいんですが、そういうことから外部の方による外務省を変える会というのが二〇〇二年三月にできて、いわゆる一般の外の人たちから非常にいろいろな意見が寄せられた。そして、その最終報告が二〇〇二年七月の二十二日に出た。その後において、外務省としては外務省改革行動計画を二〇〇二年八月二十一日に発表された。今二〇〇五年でございますので、三年ぐらい前のことからスタートしていると思います。

 そして、この行動計画、平成十四年、二〇〇二年の八月で、例えば、今回の議題の中でいえば、在外の公館を廃止したりということがございました。

 私、外務省については、何度もこの国会でも議論をされておりますが、先進各国と比べて非常に手薄ではないか、人の数が少ないのではないかという気がずっと前からしておりました。あるいは、その公館の数についても、アジア地域においても、日本が一番やはりアジアを重点化するにもかかわらずアメリカの方が公館が多いとか、いろいろ言われている中で、しかしこの平成十四年の時点で、今後三年間で七公館を廃止するとこの行動計画の中で決められました。やや、問題が起こったときに襟を正す、そういう意味はあるとは思いますが、ただ、ではなぜ七公館なのか、なぜ廃止なのか、こういう点がよくわからないんですね。

 そこで、三年前に戻って、そのときの行動計画における、今後三年間で七公館廃止という、七という数字とか廃止というこの内容について、きちんとここで説明をいただきたいと存じます。

逢沢副大臣 在外公館の新設、廃止のあり方について、大変重要な視点でございますが、御質問をいただきました。

 今藤村先生御指摘いただきましたように、二〇〇二年八月に策定いたしました外務省改革行動計画におきまして、御指摘のとおりでございますが、在外公館の新設、廃止については、その時点に立って、今後三年間で設置時の状況の変化を受け七公館を目途に廃止をする、そして新たな外交上、領事業務上の必要が生じている箇所については公館の新設をするということを決定いたしたわけでございます。

 さまざまな国際情勢、変化がございます。また、率直に申し上げて、限られた財政そして人員、それを駆使しながら外交上の成果を上げていかなくてはならない、国民の皆様の期待にこたえていかなくてはならないわけであります。そういった観点に立ちまして、この在外公館の七公館の廃止、そしてさまざまな新たな需要にこたえる必要がある、そのような判断に立った、新たな公館を新設する、七公館を新設するといったような対応をさせていただいたわけであります。

 確かに、先生御指摘のように、諸外国、とりわけG8の間でどのくらい在外にそれぞれの国が公館を持っているか、あるいは、もっと申し上げれば外務公務員を確保しているかということを比較いたしますと、我が国は大変下のレベルに現在位置しておる、率直にそういう状況があるわけでございます。

 国会の先生方の御理解、また広く国民の方々の支持、理解をいただきながら、世界の中の日本をよりよい状況に持っていく、また確保するための在外公館の増設あるいはまた人員の適切な確保、そういったことに引き続き努力をしてまいりたいと存じております。

藤村委員 ですから、今の御説明では七という数字の根拠というのは何もなくて、七増七減だというお話であったと思います。七つという目標数字を掲げてしまうことに若干私は無理があったように思います。しかし、その計画に基づいて、今回、これは三年目になりますので、一応仕上げの年になるんでしょう。

 今逢沢副大臣おっしゃっていたとおり、この十年だけ見ていても、外交案件というのが本当に日本の中での国政においても物すごくふえている、これは実感として多分皆さんおありだと思います。そういう案件はふえているし、いろいろなことに対処していかないといけないし、そして在外邦人などのいろいろな要請も数多くあるという中で、私は、いろいろな問題があったことで自粛し、そして日本の社会の中では行政改革という大きな流れの中でいたし方なかったという同情をしているわけであります。

 ただ、今後のこととしては、今逢沢副大臣もお話があって、私もきちんと調べてみたところ、外交官の人数ということで諸外国の比較をいたしましたら、人口一万人当たりの外交官人数、こんなことはどこにも出ていなかったので、計算上、ちょっと求めてみました。日本は〇・四一人であります。アメリカ合衆国〇・七五人、ドイツ一・一九、フランス一・五九、イギリス一・二六などなどで、実は、日本がこの国々の中でも最も人口一万人当たりの外交官人数が少ないんですね。

 地方議会でもよく人口の一万人当たりあるいは千人当たりでの議員数などと言われますが、これは議員の数とは違って、外交官は本当に外国に出て仕事していただかないといけない、そして外交案件はどんどんふえている、そういう中でこの数はちょっと本当にお寒い状況ではないかということで、数、やはりマンパワーという部分は今後充実していくべきだ、私はそのように考えております。

 しかし、一方で、きょう議題となっているのは、例えば在勤基本手当など給与の問題でありますけれども、これは後ほどやります。こういう私の考え方、例えば、もう一つ、予算で見ても、日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスあたりの比較でいいましても、外交予算というものが必ずしも日本が充実していないなという現状もございます。

 そういう意味では、日本が外交下手と時に言われるのは、こういうことからも生じている可能性はあるので、私は、これは少しきちっと国会の方でも、いろいろな行革の中で、人は減らせ、賃金はカットしろ、こういう声は声として聞きながらも、しかし必要なところに出していくという、それがやはり国政であろうと思いますので、こういう態度をぜひとも外務省が中心になって訴えていただきたいと思っております。

 それで、もう一つは、この公館の話です。七公館の廃止、さっき七という数字が余り私はよくわからなかったんですが、共通して、多分こういう基準だから、その基準に照らすと七つ浮かび上がってきたということは言えるのかもしれません。この七公館廃止となった共通する主要なポイントの基準というのはどういうことでしょうか。

逢沢副大臣 先ほども申し上げましたように、限られた財政そしてまた人員でできるだけパフォーマンスを上げていく、よりよい外交的アウトプットを確保していく、そのことに引き続き努めていかなくてはならないわけでありますが、外務省設置法の中にございますように、安全保障に関する外交、また経済外交、経済援助外交、文化交流外交、この四つの大きな柱を立て、私ども仕事をさせていただいているわけでございます。

 そういった観点の中で、具体的に申し上げるといたしますと、政治、経済、文化等の諸分野における当該国と我が国との関係の緊密度、あるいはまた総領事館におきますその当該地域における緊密度は、公館を設置するか、あるいはどうであるかという一つの大きな判断のポイントでございます。第二に、当該国の国際社会における政治的、経済的重要性、第三に、当該国における在留邦人の数あるいは日本企業の進出状況、そして第四に、当該国における第三国在外公館の設置状況、第五に、当該国からの要望がどれほど強いものであるか。

 五つのポイントを挙げさせていただいたわけでありますが、そういったものを総合的に勘案しながら、そして、もとより国会に対し、国民の皆様に対し、できるだけよい外交を適切に行うために、私どもとしては、在外公館は現在百八十九公館でございますが、諸外国に比べて確かに十分な数字ではございません。できるだけ数多くの設置がお認めをいただけるような努力をしてまいりましたが、今後もその努力を重ねながら、しかし生産性、効率、能率、そのことは引き続き追求をしてまいりたいと思います。藤村先生の御指導と御支援もどうぞよろしくお願い申し上げます。

藤村委員 私は昨年、この外務委員会で、対象となっていたブラジルの一番南の州にあるポルトアレグレの総領事館廃止については御意見を申し上げたところであります。結果、今回廃止といいながらも、やはり今おっしゃった幾つかの観点を考慮したら、母艦は別に置いて、出張駐在官事務所という形で必要な領事業務などを続けるということで、一つその点はそれでよかったと思っております。

 ただ、日本の国内の行革と違って、国際的に日本の外交をもっと強くしていきたいという中では、余り廃止あるいは削減、縮減というマインドだけでは本当に困るなという気がしておりますので、私も、そういう観点からは、ぜひとももう少し外務省のマンパワーのこと、それから在外公館のこと、それから、場合によっては本当にマンパワーを引き出すための予算手当てのことなども十分に考えていきたい、そう考えております。

 そこで、今の予算手当ての話で、これがきょうの多分中心的課題だと思っておりますが、在外勤務の職員に対する手当の問題が、外務公務員の給与に関する法律の一部改正という形でいわば毎年のように改定が出てきております。

 それで、在勤基本手当、それからその他幾つかの住居手当、配偶者手当、子女教育手当等。日本の国内で国家公務員として外務省なり国内出先で仕事をする場合は、日本の国内の国家公務員としての処遇が与えられていて、これは何ら他の公務員と変わりない。

 ただ、外国に行った場合にさまざま費用がかかる、これも当然のこととわかります。ですから、法律によって在外職員の手当を幾つか積み上げて手当てしている、これも理解できます。ただし、私は、手当が高いか安いかというよりは、その手当を決める仕組み、ここの部分が国会できちんと議論されないといけないと思っております。この中の一番中心的な在勤基本手当というものについて、まず少し詳しくお尋ねしたいと思うんです。

 在勤基本手当、今回、大使とか総領事とか、法律に表がずっと全世界のあれがついておりまして、その数字の羅列を見てもよくわからないので、幾つか調べてみました。

 きょう、ちょっと資料をお配りさせていただきました。これは私なりにです。やはり、在外の手当というものは、その国の生活レベル、物価水準、そして日本との為替の関係など非常に大きな変動要因がある中で、今資料、二枚紙をホッチキスでとめたものがございます。

 一枚目は、世界的にも有名なんですが、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングというところが毎年、世界生計費調査というものを出しております。実は、この生計費調査というのは、全世界百四十四都市で、それぞれ企業の海外駐在員が必要とされる衣食住、交通、娯楽など、幅広く二百以上の品目あるいはサービスの価格を調査、比較し、ニューヨークを一〇〇とした指数で各都市の生計費を順位づけている、こういう性格のもので、非常に伝統と権威のあるものであります。

 外務省の今回の法改正においては国別のIMF指数を使っているという説明を受けておりますが、国別では、その国の中で、日本だって東京と沖縄の那覇と比べても相当生計費が違うわけですから、特に総領事というのは各都市に散在します。総領事館の館員もそうです。となると、やはり都市別で見るべきではないか。

 これをちょっと見ていただくと、一ページ目で見ると、ニューヨークを一〇〇としております。そして、ニューヨークの現行総領事在勤基本手当は六十二万円である。今回の改定、右から二番目の箱ですね。今回、改定で六十二万円を六十万円に減らすとおっしゃっている。減らすことがいいのかどうかはまたその後の話です。

 一番下の例えばマニラを見ていただくと、ニューヨークは生計費指数一〇〇、マニラは四八・八で半分以下ですね。それで、現行の総領事在勤基本手当は、ニューヨークは六十二万、マニラは四十五万という差になっています。在外勤務の種々の手当等については、私は、基本的にそこでの生活の指数が、もちろん住居費も含めて、やはり大きな都市による差であろうと思うんですね。

 では、在外基本手当というのは一体どういうふうに、この基本の部分ですが、算定されているのかということをしきりに事前に伺うんですが、どうもよくわからない。私は、在外職員の給与の中の特に在外基本手当については、大ざっぱなこんな箱でこう書いてあるんですが、通常経費それから特勤加算、これは途上国等非常に厳しいところに加算している、その二つで成り立っていると聞いているんです。それでは、我々にとっては、このニューヨークの六十万円というのは、一体どういう積算根拠でされているのかさっぱりわからないんですね。

 ですから、在勤基本手当のあり方というもの、ここには在勤基本手当の幾つかのことは書いてありますが、これでいいんだろうかということについて、今外務省は何か考えることがあるかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。

塩尻政府参考人 今委員から御指摘のありました点、我々も、常日ごろから非常にいろいろ悩み、いろいろ対応を考えているところでございます。在外職員の給与の決め方については、できるだけ我々もいろいろなところから、公平な目で見まして、材料を集めまして、決めております。

 先ほど御指摘がありましたように、在外基本手当というのは、通常経費と、それから途上国については特勤加算ということから成っております。通常経費につきましては、在勤、その地で勤務するのに必要な費用ということで、それぞれ計算をしております。そのほか、給与を決めるに当たって、為替の問題ですとか物価の問題があるということで、そういうものを総合的に勘案して給与を決めているということでございます。

 先ほど御提示のありましたマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングの指標、我々もこういうものも参考にさせていただいております。地域によって差があります。ニューヨーク、ロンドン、総領事の給与がどうしてこういうふうに違うんだということがあります。ここら辺の説明でございますけれども、一番大きな要因は為替の関係がございます。それから、物価もロンドンの方が米国よりも高いということがありまして、ロンドンでの手当が高い。ただ、総領事の給与となりますと、それにその公館の規模の問題だとかそういうような要素も入ってきてこういう数字になっているということでございます。

藤村委員 だから、何度聞いてもよくわからないのは、例えばニューヨークでも、外務省の場合はワシントンの一等書記官を基準にしているということは聞きましたが、どこかを基準にしたときに、まずその基準の額はどう決めるのか。今、官房長の説明は、特勤手当と通常経費だと。

 それでは、この通常経費は、しかし、いわゆる為替変動とか地元の生活費とかによってまさに大きく変動するし、都市別の差というのはそこから出てくるんだろうと思うんですね。特勤手当はちょっと差が出ないと思います、指定するわけですからね。だから、通常経費の差がこの差でいいのかということを、私、先ほど資料を提示しましたマーサー・ヒューマン・リソース。

 二枚目は、これはスイスのユニオン・バンク・オブ・スイスの物価所得調査で、ここも割に新しいデータをどんどんホームページなどでもアップしておりますが、例えば、家賃を含むものと含まないもので、ニューヨークと今のマニラのこの大きな差を見たときにも、マニラで現行総領事在勤基本手当四十五万円とするならば、ニューヨークは本当にこれは百万円ぐらいでないときついんじゃないか。逆を言えば、ニューヨークで六十二万でいくならマニラは三十万円でいいんじゃないかという話になるわけですね。

 だから、一体、在勤基本手当を、まさにそのレベル、基準になるものをどう決めているのかということをずばり伺いたいんです。

塩尻政府参考人 在勤基本手当の額でございますけれども、これは幾つかの要素で決めております。例えば、職員が海外で勤務生活を行うということで追加的に必要となる物品あるいはサービス、こういったものをベースにする、あるいは平均的な在任期間だとか償却率を勘案しまして計算する、物品・サービスの調達先を勘案して決めるというようなことがあります。

 いずれにしましても、それぞれの任地、為替の変動ということ、先ほどもお話し申し上げましたけれども、そういったものを勘案して在勤基本手当を決めるということでございます。

藤村委員 外務大臣、よくわかりましたか。

 外務省の説明によれば、この五年間ぐらいで大使は四割ぐらい在勤基本手当を減らしているんですね。総領事クラスでも二割五分ぐらい減らしている。一般の方も二割近く減らしている。日本の公務員で、確かに人事院勧告などで横ばいないし若干のマイナスというところはあるんですけれども、これは減らし過ぎだ、逆に言えば過去が高過ぎた、どっちがどっちかはわかりません。

 ただ、どっちかを判断するにおいても、一体この在勤基本手当というもののまさに基準額、ワシントンの一等書記官というところを基準にするなら、そこに対してどれだけ手当てすべきかの根拠というものをやはりきちんと我々に示していただいて、それが妥当なのか、適当なのか足りないのか、こういうことを審議するのがこの国会の場ではないかと思うんです。

 ところが、外務省も、自分たちで決めてはおりませんと。在勤基本手当は、外務人事審議会ですか、外人審と省略されておりますが、つまり外務省のいわゆる審議会、八条機関だったと思います、ここに勧告してもらう。それで、その勧告を受けて法改正をし、案をつくって国会に提出する、こういう一応の形式をとっていらっしゃいます。私は、よく言われる審議会行政に成り下がってはいないか。外人審のメンバーの方々はそれぞれ立派な方で、見識をお持ちの方で、それぞれ意見を言われるんです。ただ、この形が本当にいいのかということであります。

 この外人審は毎月のように開かれていて、私、去年の、つまり今回のこの外人審勧告、特に在勤手当等について決めたのはいつですかと聞きましたら、これは去年の十月の会議でありました。十月六日午後五時から六時四十分、一時間四十分ぐらいで。それで、では会議の、特に在勤手当の改定に関する件をもう少し詳しく、どういう議論があったんでしょうかと聞きましたら、記録はあるのかどうか知りませんが、いや、これは出せませんと。では概要ということで、こういう概要はいただいて、こう書いてありました。在外職員の手当につき、副幹事より在勤諸手当の改定に関する外務人事審議会勧告案が示され、右に関する議論が行われた。それだけを知りました。

 議論の中身、これは外交秘密ではないと思うんですね。給与の問題等、人事秘では確かにあると思います。しかし、外交機密などという案件ではないし、変える会が、外務省が情報を隠しているんじゃないかとかいろいろなことが言われた中で、情報を開示していくというのは行動計画にも大きく載っている案件であります。ですから、この外人審で、特に我々が在勤手当のことを審査するわけですから、その中身、どんな議論があったぐらいは当然開示すべきではないか。しかし、今のような内容の程度しか開示がされていません。

 ここで問題なのは、外人審勧告案が示されという、これはだれが示したかというと、ここは副幹事と書いています。実は、副幹事というのは、委員以外に、外務省の人事課長、会計課長、在外公館課長三人が副幹事です。このどなたかが示したわけです。すなわち、給与の改定はこうしたいというまさに事務局案を審議会の人にどうですかと。それで、たった一時間四十分で、その他の案件も幾つもやっていますから、はい、わかりました、ぱんと判を押しているという実態ではないか。

 本当に、私は先ほど、外人審のメンバーにかわってこの物価調査などちょっと世界的な数字を集めてみてやっただけでも、やはり幾つか矛盾はあるし、ここは足りないんじゃないかとか思う点はいっぱいあるわけです。外人審がこの在勤手当等を決めるきょうまで長年やってきたやり方、これで本当にいいのかどうか、この辺はちょっと外務大臣にもお伺いしたい点でございますが、御意見ありましょうか。

町村国務大臣 委員先ほど御指摘をいただいたように、大変に厳しい見直しが行われまして、過去五年で、大使で約四割、一等書記官で約三割の削減。

 私も、正直言って、大臣になってこれはびっくりいたしまして、何でこんなに減っておるんだと。これは今、国内全体でも厳しい経済雇用情勢が続いている、あるいは公務員給与も毎年若干ずつでも引き下げられている、そういう状況を加味して、在外職員についても一層の節減を求めたと。

 多分、この背景には外務省不祥事があり、バッシングと言ってはいかぬのかもしれませんが、外務省に対する全体としての厳しい雰囲気の中でみずから自粛をするというようなこともこれあって、こういう結果になったのではないだろうかと思います。外務人事審議会も、平成十三年、十四年、勧告の中で、厳しい国内状況というものを厳正に受けとめる必要があるというふうに述べているわけでございます。

 そういう中で、今委員から、この審議会の役割、機能はこれでいいのかという御指摘でありました。委員のこの表を見ると、仮にニューヨークが一〇〇が正しいとして、マニラが相対的に高過ぎるではないかと。確かに、この数字を見ると、なるほどそうかな、率直にそういう印象も持つわけであります。

 ただ、他方、全部が物価スライド、生計費スライドというわけにも多分いかないんだろうと思います。ある部分はそれぞれ共通の部分として持っており、ある部分は物価スライド的に考えてもいいという要素が多分あるんだろうと思います。私は、どういう方程式があってこういうものが今現実につくられているのか、実はまだ詳細には、申しわけありません、知らないのでありますが、一定のそういう何か公式に当てはめてやっているんだろう、こう思っております。

 実は、私も着任早々、昨年の十月、この審議会の高垣会長さんと直接お目にかかりまして、審議会の勧告を直接御提出をいただき、そしてそのとき若干の議論もしたことをよく覚えております。その中では、為替相場や物価の変動を十分反映された改定をすべきである、それから勤務環境が悪化した勤務地については加算額を拡充するように努力すべきであると。

 いずれにしても、近年非常に大幅に削減してきているなということを踏まえて、しっかりやってくださいということで、これは公表されていると思いますけれども、具体の勧告というものが出されているわけでございます。これを見ますと、昭和二十七年四月に設置をされているということで、大変歴史のあるものなんだなということがわかるわけであります。

 どこまで公開するかという今委員の御指摘がありました。この中には、外交機密漏えいを理由とする懲戒処分についての不服申し立てに係る事案の調査等々、こういう部分もあるもので、多分余り詳細にわたっての公表というのを差し控えているんだろう、こう思います。

 ただ、委員今お話しのとおり、在勤手当といったような部分は懲戒などとは違う部分でありますから、そういう意味では、どういう議論があったのか、どういう資料でやったのかというようなことなどについては、もう少しきちんと対外的な説明があってもいいのかなと思いますので、今後、その辺は、少しく公表のあり方については検討させていただきたいと思います。

 いずれにしても、基本的に、委員御指摘のとおり大幅にこれは下がってきておりまして、ことし十七年度予算で余り下がり続けると、やはり職員のモラールということにも影響が出てくるという思いも私はしたものですから、財務大臣とは何度か折衝いたしまして、ことしはとにかく下げどまるようにしたいものだということで、結果、大体そういう方向に落ちついたのかな、こう思っているところでございます。委員の御指摘、よく踏まえて今後対応していきたいと思います。

藤村委員 町村大臣、これは実は去年の三月に審議したときに、当時の川口外務大臣も、外務人事審議会という外部の人に来ていただいている審議会にそういったデータを報告しているということですけれども、このプロセスをより一層透明化するためにどうしたらいいだろうかということで検討してもらいました、ホームページ等を通じて公開していくという姿勢ですということを答弁しているんですよ。

 ですから、私も、当然、今回この案件を審議するんですから、さっきの副幹事が勧告案を示す、右に関する議論が行われた、内容全くなしの報告では、これはとても国会での審議に値しないと思っておりますので、本当に注意して、これは一年前にやっているんです。

 それからさらに、もっと昔に、さっき昭和二十七年とおっしゃいましたけれども、実は、この案件、特に外務人事審議会、外人審については人事院でやるべきでないかという議論は昔からあったようであります。これは昭和四十五年の決算委員会での質疑の中で、当時の愛知外務大臣が、一般職と同じように人事院の担当でやるべきではないか、そういう答弁もされています。

 だから、外人審は外人審で役割はほかにいろいろあると思うんですが、給与の問題というのはどうして人事院で、いや、人事院が大変だと言うのかもしれません。しかし今の外人審のメンバー、それほど多くはありません、七人ぐらいだと思います。まさに外務省の事務局案を、はい、これです、勧告案です、はい、わかりました、決裁という形の形式はぼちぼちやめた方がいい。

 本当に、今、私は大阪で、大阪市役所の公務員の給与の問題が物すごい問題になっていますけれども、本当に、国民、有権者の皆さんというのはそういう、いや、必要なところにはやはり使え、これは多分あると思うんです。ただ、きちっとわかるように説明をしろ、特に国会ではちゃんと議論をしろ、そういうことであろうと思いますので、この点、今過去の国会審議の例を挙げましたが、本当に公開されていておかしくない、そういうことだと思っています。

 それで、今外務大臣おっしゃったその外人審の勧告案、これも事務局でつくったのかもしれませんが、しかし、意見があったんでしょう。本当にこれだけ下がっていると、在外職員の職務の遂行と生活に及ぼしている影響を無視することはできないとおっしゃっています。

 これが、次の質問項目にもかかわるんですが、つい先日、外務省の行動計画三年、この評価を総務省行政評価局の方でされて、こんな分厚い報告書を出されて、これが出て、つい三月十一日の新聞報道、「昼休みなので閉めさせてもらいます 外務省在外公館 進まぬ意識改革」という見出しになってしまう。

 これは若干、私は、この新聞記事が一面、非常に小さい面しかとらえていないんでちょっと弁護しておこうと思うんですが、意識が相当変わっているという意味では、特に在外公館に来る邦人の方等の一般の方の意識は、非常に丁寧な対応あるいはどちらかといえば丁寧な対応というふうに評価するが八八%あります。その中に、聞いてみると、午前の業務が終了する十二時前に窓口を閉められるかと思ったけれども、パスポート、書類の更新手続、すべて終えるまで丁寧に対応してもらえたという答えもたくさんあるわけで、この見出しだけでけしからぬとは言いません。

 ただ、この中で問題になっているのは、在外公館に勤務する職員の三六%がいまだ意識は変わっていないという回答、これは問題だと思います。すなわち、何か在外勤務の手当等も減らされるし、そういうものが非常に間接的に影響していたら、これはゆゆしき問題であります。

 だから、手当については、本当にオープンにしながら、しかし、必要なものをきちっと手当てする。この姿勢を、外人審の勧告案を事務局でつくって出しました、そしてそれを議論しましたというだけの報告でこの国会での審議をしろというのは、本当にこの外務省の態度に対しては怒りを覚えておりますので、外務大臣は今そういうことで検討するとおっしゃったんで、本当に検討していただくと同時に、さらに、特に給与については、外人審が扱うのがいいのか。昭和四十五年当時の愛知外務大臣は人事院でという話もされているぐらいでありまして、それからずっと相変わらずやってきたわけですから、一度その原点に戻っていただきたい。

 といいますのも、外人審がやるのは変動だけをやるんです、変動だけを。去年がこうであって、ことしがこうなりますという変動だけやるんです。しかし、私さっき申しましたように、ワシントンにおける一等書記官を基準にしている。その基準そのものを一遍これはきちっと精査し、検討する。こういうことを、これは多分外人審でちょっと手に負えないかもしれませんので、本当に人事院に何なら手助けをしてもらうという考え方もないではないと思いますので、そこのところをぜひ検討いただきたいなと思っております。

 実は、この外務省改革、この三年の評価ということで幾つかの質問を用意しております。これは次の機会にちょっと回させていただいて飛ばします。

 どうしても最後の五分ぐらいで聞きたい点がございます。町村外務大臣の外交に対する基本姿勢の問題であります。

 私も、政治の世界に出るときに一番素朴な疑問として思ったのは、独立国日本にどうしてアメリカの軍隊が駐留しているんだろうか。これはずっと、ことしが戦後六十年と言われますけれども、いまだにどうしてかな。種々、地元の皆さんの声を聞きながら、意見交換をしながら、それなりに自分なりに現状はわかってまいりました。

 町村外務大臣、大臣自身はどのように、非常に素朴な疑問です。日米安保下において戦後六十年を経て現在も駐留米軍が存在することをどういうふうにお考えなのか、どういうふうにとらえていらっしゃるのか、お考えを聞きたいと思います。

町村国務大臣 藤村委員の率直な御疑問、私も理解をできる部分がございます。

 なぜ、全部自賄いというか、日本国ですべて自己完結的にできないのかというような御疑問であろうと思います。

 戦後の日本の敗戦の姿から今日に至るまで、自衛隊は自衛隊で、当初から自衛隊という姿ではなく発足をしたわけでございますが、自衛隊は自衛隊として年々整備されてきている、こう思っておりますし、昨年末新しい大綱を決めたように、時代に合った形での防衛力整備、これは私はしっかりと進んできている、こう思います。

 ただ、これは在日米軍がいるということを前提にした現在の防衛大綱であり自衛隊の姿であるということで、その根っこから全部見直す必要があるのではないかという御指摘だろうと思います。

 基本的には冷戦が終わったわけではありますが、しかしアジアの一角においては、一つには冷戦構造というものが依然としてまだ続いている。さらに、新しい要素として、大量破壊兵器の拡散でありますとか、あるいはテロの続発といったようなこともあります。また、北朝鮮における核開発、核保有宣言というものもつい先日あったばかりであります。

 そういった状況を考えたときに、本当に今、日本の自衛力のみで自国の安全を完全に達成することができるかというと、それは鶏と卵のようなところが確かに多少ありますけれども、私は、在日米軍の存在、そしてその根っこをなす日米安保条約というものがあるからこそ、日本の平和と安全、独立というものが今日まで保つことができたということは言えようかと思います。

 したがって、今積極的に、日米安保条約を廃止し、米軍の駐留をもう結構でございますと日本の方から言える状況かというと、やはりそれは違うんだろうな、こう思わざるを得ないのであります。

 特に、戦後の日本の憲法のもとで、専守防衛、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならない、非核三原則、核兵器は持たないというようないわば幾つかの原則のもとに日本の防衛力というものがあるわけでございまして、そういったことなどをすべて総合勘案したときに、現在の米軍が駐留をし、そしてその抑止力というものと、我が国がみずからの国はみずから守るという気概とそのための防衛力整備とが相まって今日の日本の平和と安全というものが保たれているということでございますから、この状態が果たして何十年も続いていいかどうか。

 それは私は、その都度その都度の判断がいいと思いますが、現状、今の日米安保体制、そして米軍の駐留というものを根っこから急いで変えなければならないという状況ではない、かように考えております。

藤村委員 時間が来てしまいましたので、今ちょっと言いっ放しで、お答えはまた次回にでもと思っております。

 町村大臣が昭和五十七年に、まだ選挙に出られる前に出された、町村信孝「熱闘の時代」という本をちょっと読ませていただきました。古い本です。ここに、例えば、「日本が自分自身で国を守る気概と相応の防衛力を確立することを前提として、日米同盟をはじめとして、西側諸国などとの連携を強化することによって、国の安全を図ることが重要である」など、今おっしゃっている、ほとんど変わっていないと思うんです。一貫していて、私は非常に重要なことだと思っております。

 ただ、今お話の中でおっしゃったのは、戦後の憲法下においてという前提ですね。しかし、今、憲法改正がもう、憲法調査会など衆参に置かれ、それが五年を迎え、そして自民党さんの中でも、あるいは我々鳩山元代表も私案を出しておりますが、そういう時代になってきたわけですから、いよいよ、現行憲法下でということでなしに、政治の世界ではその先どう考えるかということを本当に議論していかないといけないと思います。

 戦後六十年ずっと駐留米軍によって日本の安全保障が支えられてきたこと、このことは幾つもメリットがあって、それはそれで評価しようと思います。ただ、今後、さっき何十年とおっしゃったけれども、五年、十年の中で、本当にその状態でいくのか。

 いや、やはり、きちんとした日本の防衛力の整備をしながら、自国のことは自国で守る。これはきのうでしたか、本会議での新防衛大綱とか次期防の話の中でも、小泉総理も二度答えられていますね。これは気概だけでなしに、気概というのは気持ちの問題ですから、実行していくという、今まさに憲法改正をするというふうな状況の中では、そういうことを今後議論していきたい、いただきたいと考える次第であります。

 以上で終わります。ちょっと延びまして、失礼しました。

赤松委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として国土交通省大臣官房総合観光政策審議官鷲頭誠君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑を続行いたします。古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 大臣におかれましては、午前中から、途中参議院を挟んで大変お疲れさまでございます。

 私からは、議題となっております在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、関係の質問を申し上げたいと思います。

 まず、大臣も方針の中で、「我が国が平和国家として還暦を迎えた今、」「外交の真価が問われている」と御決意を述べておられますが、国際社会で平和的に外交を通じて貢献していく上で、外交チャネルとして大切なのは、在外公館であり、そこにいらっしゃる大使を初めスタッフの皆様ではないかと思います。

 その意味で、先日の本会議でも旅券法の絡みで質問申し上げましたが、いわゆる効用分ということで別途三百七十億円を徴収しているというようなことを伺えばこそ、やはりその費用対効果を感じるわけであります。その意味では、在外の公館が国民サービスあるいは国民の利益を守っていく上で、これは原資となるものは税でありますので、国民負担をもとに運営されているわけでありますので、その辺の観点から少しお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず、外務省全体の予算定員が五千名少しいらっしゃる中で、在外公館の皆様が今回の予算定員査定を受ける上で強化をするというふうに言われている分野はどのあたりになるでしょうか、お尋ねしたいと思います。

町村国務大臣 人員面と定員配置等が直結しているかどうか、本来はそれはそうであるべきかもしれませんけれども、まず基本的な在外公館の任務といたしまして、日本国及び国民の利益の増進を図るという、今委員が言われたことが一番の仕事であるわけでありまして、より具体に言うならば、安全保障の関係、対外経済の関係あるいは経済協力、あるいは文化交流、領事関係の仕事、いろいろな仕事があるわけであります。特にどれを伸ばすとかいうようなことではなくて、それぞれが率直に言って重要であり、なかなか重い軽いということをつけるのは正直言って難しゅうございます。

 限られた定員の中での、ある意味では苦しいやりくりをしなければならないということでございまして、それは、願わくば定員がもっと全体としてふえればいい。先ほど午前中の藤村議員の御指摘にもございましたが、イタリアを目標にしてまいりまして、ようやっとイタリアは何とか超えたけれども、まだまだそのくらいということでございます。

 したがって、その限られた人員のやりくりの中で、今申し上げましたような幾つかの課題に応じて一人で何役も兼ねていったり、あるいは、柔軟に一時的に人を動かしていったりというようなことで仕事の緊急性等に対応していかざるを得ないというのが現在の姿でございます。

古本委員 ただいま大臣から、あまたの業務の分野があって、それに濃淡、軽重をつけられず、すべてが大事だ、こういうことだったと思うんです。とはいえ、各国にいらっしゃる大使は体は一つでありますので、そういう意味では、いわば大使の一日ではありませんが、一体何を重点に置いていくか、これは、任地の国情や、あるいは我が国との経済、外交、さまざまな関係いかんによって若干その割合が変わってくるんじゃないかと思うわけです。

 その意味で、単刀直入にお伺いいたしますが、今百数十人大使がいらっしゃるんでしょうか、その中でランキングをつければ、どこの大使が重たいんでしょうか。

町村国務大臣 重い軽いという表現をしてしまいますと、仮に私が軽いと分類をした国に該当する国からは、いかばかりか外交的な波紋を呼びかねないところでございます。国連の投票というのは大きくとも小さくとも一票というのが原則であるわけでございまして、この辺が、例えば経済を主体にしたIMFあたりですと、出資額に応じた投票権というぐあいに変わっております。

 やはり国と国との関係というのは、もちろん密接なかかわりを持つし、重要な影響を持つという国々が大変大きな国としてあることは常識の範囲では言えるわけでございますが、特にどの国が重い、特にどの国が軽いということを明示的に申し上げることは、ひとつ差し控えさせていただきたいと思います。

古本委員 とはいえ、現実問題、我が国を取り巻くさまざまな政治課題を考えますと、例えば、直近でいけば、国民も大変関心の高いBSEの問題があります。この問題は、伺いますれば、昨年の九月、これは総理がブッシュ大統領と会談される中で、早期に日本への輸出再開を求めてくる中で、総理は立派だったと思うんですね、科学的知見に基づいてその判断をすると。

 そこでブッシュ大統領は当時、いや、技術的あるいは事務方の判断ではなくて、これは政治的に判断してくれと迫ったと報道されています。そのことからいえば、今回のBSE問題の直近の政府の足取りを追ったならば、総理が政治的に判断をしたというのはこの九月ではなかったかと思います。

 その後、実は昨年の十月、局長級協議というんでしょうか、これには外務はもとより農水、厚労の関係の部局も、合同のチームを組まれて、アメリカ側と協議をする中で声明の発表に至ったと伺っております。これは、特定部位の除去と二十カ月以下の証明を条件にいわゆる検査をしない、それによって、せずして輸入していいという、前提条件つきでその声明に至った。これは行政判断ではないんでしょうか。

 そういう意味では、総理は内閣の長でありますので、すべてが政治の判断であり、すべてが行政の判断である、そういう理解もあるのかもしれませんが、そういう経緯をたどっている。

 これを受けて、あろうことか、今年の二月、上院の二十人が駐米大使に対して報復措置をちらつかす、ほのめかす書簡を送った。それから、三月三日、米国下院で、この禁輸措置が続くならば対日制裁発動もあり得べしという決議をいたした。こういう経緯がある中で、政治的判断が要されるこの大変重要なテーマについて矢面に立っているのが駐米大使の加藤さんであるわけであります。

 そこでお伺いをするわけでありますが、大使というのは、どこまで政治的判断あるいは交渉窓口としての我が国政府を代表する権限が付与されているんでしょうか。

石川政府参考人 今お尋ねの件について御報告させていただきたいと存じます。

 先生御案内のとおり、アメリカと日本との関係ということを考えますときに、米国はもとより大統領制をとっておって、憲法によって、通商を規律する権限は議会に与えられておりまして、今御指摘賜りました米国産牛肉の対日輸出、この問題につきましても、こういった権限に基づいて発言力を有しておる次第でございます。

 我が国におきましては、これはもう私が申し上げるのは大変僣越でございますけれども、議院内閣制のもとで、内閣が緊密に連携協力して、我が国の消費者の食の安全、安心の確保を前提として、科学に基づいて適切に解決を図るという一貫した方針のもとで、一体となって、責任を持って対処しておる、かように理解させていただいております。

 そうした中で、御指摘賜りました駐米大使の役割でございますけれども、今申し上げさせていただきましたような本国政府の指示のもとで活動しておりまして、加藤大使が矢面に立っていると御指摘ちょうだいいたしましたが、それはいわば、本国政府の指示のもとでそういう役割を負っている、かように考えております。

 なお、委員から御指摘いただきましたように、本件は既に両国首脳及び閣僚といった高度の政治レベルで問題解決が図られているということは御承知のとおりでございます。念のために付言させていただきます。ありがとうございました。

古本委員 その高度な政治レベルで方向性が見出されている、解決がされていると今おっしゃられましたが、もしそうであれば、今アメリカ側が、早期の輸入再開をしないのはなぜか、上院の農業委員会を中心に、あるいは下院を中心に、声がアメリカ側議会でも上がっております。もし日本側と米国側が、これは政治的に解決しているんであれば、何をちゅうちょする必要があるんでしょうか。

 これは、政治的な判断をしたと思っていたことが、実は判断をし切れていなくてこじれているんじゃないでしょうか。もっと言えば、今アメリカ人は何を理由に日本側が輸入再開できないことをただしているんでしょうか。伺えば、我々が食べている牛肉をどうして食べられないんだという御意見もあると伺っております。

 したがって、当時の交渉経緯等々をひもといていったならば、私は、局長級協議、昨年の十月に行われたその場において参加をされておられた農水や厚労の、まさに食の安全を守っていく立場にある方々もその場には陪席をされていたと伺いますから、その辺の御意見を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省は、食品衛生法を所管しております立場から米国産牛肉の輸入再開問題に関与しております。日米局長級会議につきましては、輸入禁止措置を講じている担当省の一つとしての立場から食品安全部長が出席したところであります。

 なお、この協議に当たりましては、国民の健康保護を大前提とすること、科学的知見に基づいて対応すること、我が国と同等の安全性を確保することなどについて厚生労働大臣から指示を受けて対応しているところであります。

伊地知政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、米国産牛肉の貿易再開問題につきましては、一昨年十二月に米国でBSEの感染牛が確認されて以来、我が国と同等の措置を輸入条件として一貫して求めてきたところでございます。

 このような考えのもとで、昨年十月の日米局長級会合におきまして、農林水産省としても関係省庁と連携をいたしまして米国との協議を行い、特定危険部位をすべての牛から除去すること、それと牛肉は二十カ月齢以下と証明される牛からのものとすることなどで認識が一致をしたところでございます。

 いずれにいたしましても、BSEの問題につきましては、科学的知見に基づきまして、食の安全、安心の確保を大前提として、消費者の理解を得ながら対処することが重要であります。こうした考えのもとで、厚生労働省等の関係省庁と連携をして取り組んでいるところでございます。

古本委員 科学的知見に基づく、あるいは食の安全の確保を大変大事になさる、またそれを前提条件に話をした。にもかかわらず、なぜアメリカ側から今、早期に輸入再開を決めたんじゃないのかとのごとく言われなきゃいけないんでしょうか。

 これはむしろ、駐米大使が窓口となって上院の皆さんや下院の皆さんと話をするよりも、農水や厚労のその場にいた人たちも陪席をなさって、あのときの約束と違うじゃないかとはっきり言えばいいんじゃないですか。どうしておっしゃらないんですか。

石川政府参考人 アメリカのいら立ちと申しますかそういう理由についての私どもの分析を申し上げさせていただきたく思いますが、御指摘のとおり議会においてそういう声が高まっておるわけでございますが、アメリカで、特に議会におきましては、公衆衛生を守ることの重要性を認識しているとした上で、この牛肉貿易再開のめどが立たないことについて不満が高まっている、かように承知しております。

 今委員御指摘いただきましたような、例えば下院の動き、念のため申し上げさせていただきますれば、日本政府が牛肉貿易再開をおくらせる場合には、USTR、米通商代表が経済的報復措置をとるべきであるというのが下院の意思である旨の決議案が提出されております。

 また、米国行政府の中について検討してみたわけでありますけれども、御承知のとおりブッシュ政権が二期目を迎えております中で、例えば中米自由貿易協定の発効あるいはWTOのドーハ・ラウンドの推進といった貿易の自由化に向けた取り組みを行っています。そうした中で、アメリカ国内の支持を得るためにもこのBSE問題の早期解決が重要であるとの考えを有していることも一つの要素であると考えております。

 以上を踏まえまして、関係省庁一丸となって説明に当たれという御指摘でございます。

 もとより、アメリカ側に対しては、例えば在京大使館において、関係省庁局長クラスとお話しいただいておりますし、また我が方在外公館にありましても、関係省庁から人がいらしてくださっている、そういう方たちとも一緒になって事に当たっているということを御報告させていただきたく存じます。

古本委員 昨年の九月からの日米首脳会談でもこの議題を取り上げて以降、数々の場面が加藤大使とアメリカ側とあったと理解しておりますが、再度伺います。

 加藤大使は町村外務大臣の指揮命令のもとでお話をなさったわけでありますが、その際に、どの程度のタイムラグといいますかタイミングで大使とのやりとりが本国に、打電というんでしょうか、公電されていたんでしょうか。

町村国務大臣 私もすべてを正確に今記憶しているわけではございませんけれども、要所要所、例えば、今度議会の議員が大使のところに来る、あるいは大使がどこどこに呼ばれて行くといったようなケース、あるいは、例えば近いうちにライス国務長官と会う、あるいはその前のパウエル長官と会う、当然この問題が議論になるであろうといった折につけて、私のところで会議を開き、そこで、ではこういう説明にしよう、ここを強調しよう等々の方針を決めて大使館の方に電報を打ち、それに基づいて大使が発言をし、行動するというのが通常でございまして、これはBSEにかかわる駐米大使の案件ばかりではなくて、他の重要案件は大体同じような方法でやっているところでございます。

古本委員 ただいま大臣がおっしゃったような事案の処理に当たるということは、これは政治的な判断を要するものなんでしょうか。

町村国務大臣 何をもって政治的と定義をするかという問題であろうかと思いますが、やはり重要な案件につきましては、これは一大使の判断ですべてのことを仕切るわけにはいかないということでございまして、やはりこれは、私一人がまた独断専行で決めるわけでもございません。関係する役所の諸君、関係局長等が集まり、そこで議論をして大使等に伝えていくという形をとるわけでございます。

古本委員 大臣を支えるスタッフとして逢沢副大臣初め政務官もいらっしゃいます。この人々がまさに満を持して構えておられて、どうしてこういう有能なスタッフをそういう場において使われないんですか。

町村国務大臣 二人の副大臣、三人の政務官、それぞれ一応の持ち場といいましょうか分担を決めておりますので、そうした重要会議には必ず参画をしてもらうようにしております。

 また同時に、副大臣あるいは大臣政務官も、これも国会のお許しを得てでございますが、いろいろな機会に、海外の会議、あるいは二国間の訪問、特に昨今は常任理事国入りということも外務省にとっては一つの大きなテーマでございますので、なかなか外務大臣が全部回り切るわけにもいかない、そういう国々に、例えばそこにおられる河井大臣政務官も今精力的に各地を飛び回っていただく等々の対応をしておりまして、それぞれ、これも限られた、大臣一人、副大臣二人、政務官三人、ここでできる限りうまい分担といいましょうか役割分担をしながら、チームとしての総合力を少しでも高くなるようにということで、工夫、努力もしているところでございます。

古本委員 加藤大使は国民に選ばれたわけではありません、大臣に選ばれました。大臣に選ばれ、内閣で承認を得て、天皇陛下の認証を賜って任につかれる、これは承知しているつもりです。しかしながら、今話題となっています例えばBSEの問題や、あるいは今韓国大使が一時帰国していると伺っておりますが、竹島の領有権問題を初めとする我が国の国益をまさに分けるような大変大きな議論の任に当たるのは、私は政治家が政治として責任を負うべきじゃないかというふうに思うんですね。

 その意味で、例えば諸国を見れば、内閣といいますか議会の承認を得て大使を任命しているような国はあるんでしょうか。

塩尻政府参考人 お答えいたします。

 議会の承認を要するという国は、主要国で申し上げますと、アメリカそれからロシアでございます。

古本委員 全部が必要だとは思わないんですね。ですから、案件にもよるでしょうし国にもよる。今話題となっているこの領土、領海の問題やら、あるいは国民の大変な関心事であります食の安全の問題が絡むこのBSE問題やらについて、大使が矢面に立つにはいささか任が重いんじゃないかと思うんですね。その意味で今こだわって質問をするわけです。

 時に、大臣、三月の十一日、我が国の食品安全委員会、棚橋大臣の所管だと思いますが、ここでの二十カ月以下の検査を除外してもそう問題じゃないんじゃないかという一定の方向が出される前に、九日の日に大統領から電話がありました。この電話会談のおぜん立てをしたのはどなたですか。

町村国務大臣 この電話会談の申し入れは先方からございました。

古本委員 それにしてはタイミングがいいですね。アメリカもその辺は承知した上でかけてこられたんだと思いますが、そこでまた総理は立派ですよ。これらは科学的知見に基づいてということで踏ん張っておられる。

 したがって、今我が国が国益を守るために、食の安全という意味ですよ、なすべきことは、例えば在外公館に関して言えば、大使がやるべき分野は、なぜ日本人が今アメリカ牛が、NHKの調査によれば実に八割近い人が不安を訴えておられるんじゃないですか。今まさにそれが国民世論として出ていますよ。

 生後二十カ月以下の牛に限りBSE検査をせずに輸入再開することへの賛否、NHK調べ、三月十一日。賛成なさる方はわずかに一六%。安全性重視のために専門家の議論が、方向がまとまるのを待つべきだと答えておられる方が実に八割を超えています。まさにそういう中にあって、踏ん張るべき、あるいは在外公館がやるべきことは、どうしてこういう国民世論があるかということを理解してもらう、あるいは広報する、そういうチャネルが外交を通じてまさに求められているんじゃないですか。

 大臣も大分子育て世代から離れているかもしれませんが、最近の若い奥様方を御存じですか。どこかのレストランに行って、店員さんがテーブルをふいた後もさらに除菌クリーナーでふいてから赤ちゃんの御飯を用意しますよ、子供のテーブルとか。便座除菌クリーナーなんか持っているのは我が国国民くらいじゃないですか。そのくらいきれい好きなんですよ。

 したがって、アメリカ牛が憎いとかアメリカ牛がけしからぬじゃないんです、不安だと言っているんです。そういう国民性を説明することこそ、中立といいますか、政治じゃない行政の立場である大使がまさに前面に立ってそういうことをすべきじゃないんでしょうか。

 この件発生以来、駐米大使がアメリカ国内で一体何回マスコミに露出してそういう日本の国民感情について説明してくれましたか。

石川政府参考人 対米広報の重要性は御指摘のとおりだと存じます。

 加藤大使は、いわば、もう常日ごろから、米国における日本に対する理解の増進や日米関係の総合的な強化のため、全米各地において講演活動を行う等、精力的に広報活動を行ってきております。

 御指摘いただきました米国産牛肉の輸入再開問題につきましても、例えば米国政府、議会関係者を中心として、この問題に対する日本政府の取り組みについて、米側関係者にできるだけ詳細かつ正確な理解を得るべく説明に努めてきておる次第でございます。

 具体的には、例えば閣僚レベルで申しますれば、先方農務長官や通商代表や、この問題に先ほど来御指摘をいただいております上下両院の議員の方々を初めとして幅広い層に、この問題は通商問題ではないんですと、この問題は通商問題ではなくて食の安全の問題なんですということを極めて明確に述べた上で、この二〇〇一年九月に我が国において初めてBSE感染牛が発見され、食品安全委員会が設立された経緯、そういった経緯を含むBSE問題をめぐる国内の状況、それから本件に関する国内手続の仕組み、そして食の安全なんですよということを畳みかけながら、正確かつ詳細に説明させていただいておる次第でございます。

古本委員 大臣、大使がそうやって大変尽力をなさっているということを伺えばこそ、今度十八日にライス長官がいらっしゃいますね、来日なさる。これは通商問題じゃなくて食の安全で日本人がこだわっているんだ、これは明確に言っていただけるんでしょうか。

町村国務大臣 食の安全の問題、それは国により若干程度の違いはあるのかもしれません。しかし、アメリカ人が逆にその食の安全のことを全く考えない国民かといえば、それはそんなことはないわけでありまして、どの国だってやはり、例えば食中毒が起きたら大変だとか、そういうプリミティブな段階に始まって、やはりそれは食の安全というのは、かの国においても当然、僕はある意味で世界じゅうどこの国でもそうだろうと思います。

 そういう意味で、私はこの問題についてライス長官との間で多分話し合いになるだろうと思いますけれども、当然これは食の安全の問題だ、そのために今安全委員会が慎重審議をやっているんだということを、それはもうはっきりと言うつもりにしております。

 ただ、委員にあえて一言申し上げたいのは、私も正直言って驚いて、ちょっと説明を求めているので、必ずしも明確な説明がないのでありますが、従前四週間に一回しかこのプリオン専門部会を開かれないという話がありまして、確かに忙しい委員の方々かもしれないし、テーマが難しいのかもしれないが、しかし、この忙しい時代に四週間に一度しかそうした部会が開かれないというのは、正直言って、私もいろいろな審議会であるとか研究会であるとかいろいろなものに携わってきた経験もございますが、それは余りにも間隔があき過ぎているのではないだろうかと、率直に、まず素人的に思いました。

 そこで、どうしてそんなにかかるんですかという質問をしたところ、しばらくしてから、いや、四週間ではなくて、今度三週間に一回開くように努めておりますと、こういう返事が返ってきて、また実は唖然としたのであります。本当に四週間かかるという説明ならば、それはそれでいいんです、僕は納得するんです。ただ、どうも説明が、そういうところが安全委員会の方からない。

 多分、僕は、アメリカの方も、それは食品の安全問題だということは彼らだってわかっているはずであります。ただ、その検討のタイミングといいましょうか、検討の時間のかかり方というのが、少々、僕が直観的にそう思ったほど、時間がある意味ではかかる。かかるなら、なぜそれだけの時間がかかるのかということを、やはりそこはきちんと食品安全委員会の方も説明をしてもらわないと、もしかしたら意図的に引き延ばし作戦をやっているのではないかという疑念をアメリカに生じせしめないようにするためにも、そこはそこできちんと説明をしてもらいたい。

 私は一定の結論を早く出せと言っているわけではございません。ただ、もし作業が効率的にスピードアップできる部分があるならば、それはひとつ努力していただきたいということは、私自身申し上げたことはございます。

古本委員 では、私も大臣にあえてもう一点だけ確認をいたすわけですが、局長級協議で確認をしたポイントというのは、特定部位を除去して、並びにアメリカ側は二十カ月以下の証明をこれはきちっとつける、これを条件にのんだわけですね。そのときには、科学的知見を必ず徴取して裏づけをとってやるということを確認したわけでありまして、まさにその科学的知見に基づいて二十カ月の線引きをして、我が国については、国内の牛についても同様に検査を今しているわけですよね。

 したがって、ポイントは、これは実は内外無差別の原則でありまして、アメリカ牛だから差別しているんじゃないんですよ、国内牛も同等に扱っているわけですよ。したがって、そのことは大臣、しっかり言ってもらいたいんですね。

 並びに、先ほどの国民性といいますか、食の安全に対するこだわり度合いというんでしょうか、あるいはそういう部分はなかなかわかっていただきにくい部分かもしれませんので、再度ライス長官にはその旨は伝えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

町村国務大臣 委員のおっしゃる意味はわかります。ただ、余り食のこだわりの日本人特殊論みたいなことを言うことが、それが本当にいいことかどうか。非常に日本の消費者はそういうことに関心が強いということは説明してもいいかもしれませんが、そこは上手に言わないと、あんた方は無神経だなと言わんばかりの表現にならないようにはよく注意をしながら、必要な話をきちんとしたいと思っております。

古本委員 では、ぜひ、今度のライス長官との会談は期待を申し上げますし、応援を申し上げたいと思います。

 その際に、先ほども経済局長が加藤駐米大使の奮闘ぶりを説明してくださいましたが、この問題が発生以来、この当委員会、まさに窓口になっている外務委員会に、例えば加藤大使が一度でも来て何か報告をするという仕組みになっているんでしょうか。

逢沢副大臣 そういった御質問をいただいたわけでございますけれども、国会におきます説明あるいは答弁、これは大臣、副大臣また関係する局長が責任を持って答弁をさせていただくという仕組みがワークしていると承知をいたしております。

 もとより非常に大切な日米間の懸案事項でもございます。ワシントンの大使館と克明な情報交換、また連絡のやりとり、当然のことでありますが行っておるということについては重ねて申し上げておきたいと思います。

古本委員 逢沢副大臣ほどのエキスパートを前に私も僣越ですが、だからこそ皆様方が前面に出張っていって関与した方が、より生の声なり、生の交渉実態なり、その場の雰囲気なりが我々にも伝わるし、もしかしたら我々も誤解をせずに済む部分もあるのかもしれない。

 したがって、今、議員でもないし、政治家でもない、官僚のようで、実はあれは特別職公務員というんですか、行政職じゃない。まさによくわからない位置づけの大使というポジションを隠れみのに、国会での報告義務を怠るという仕組みをつくっていることを是認しているのではないですか。逢沢副大臣にもう一度聞きたいです。それを変えたいという御意思があるんじゃないですか、実は。本音を述べられた方がいいと思いますよ。

逢沢副大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、与野党合意の上で、国会におきます答弁また説明、これは大臣、副大臣、担当の局長がさせていただくということになっておる、そのように承知をいたしております。

 しかし、政策をつくり上げていく、どういう対処方針で問題解決に臨むか、その一番大切な部分につきましては、例えばこのBSEの問題、私自身も北米を担当している、あるいは経済も同時に担当させていただいております。日常的に、頻繁に大臣のもとに関係者が集まり、ワシントンからの報告を受け、分析をする。そして、必要ならば、農水省あるいは内閣府、官邸等々とも連絡をとりながら、責任を持って大臣のもとに対処方針を組み立てる、それをワシントンに伝える。そういった作業を日常的に、当然のことでありますが克明にやらせていただいているわけであります。

 その上で一つの政治判断になるわけでありますが、政治家が、大臣があるいは副大臣が出張をし、その現場に出ていって、ある行動をとるということが必要であるというふうに判断がされる、そういう場合も恐らくあるでしょう。そのことも含めて、大臣のもとで的確に、適正に判断をさせていただいている、かようなことでございます。

古本委員 お話は伺いました。ありがとうございました。

 先ほどのライス長官との話、今後控えている話にもう少し戻りたいんですが、国民感情的にいいますと、これはやはり、ブッシュ大統領の政治的な資金の支援の団体であるいろいろな諸団体の中で、実に食肉業界の八割がブッシュ陣営をさきの大統領選でも応援したというリポートもあるわけであります。したがって、いかにも直截でいかにもわかりやすい事案なんですね、これは。もう連日の報道の中で国民世論もわかっています。したがって、そういう中にあって確かな判断をしないと、これは外務大臣、後世まで判断を誤ったという可能性を含んでいるんですね。

 そういう意味では、国民はブッシュさんの政治的な影響力を行使する上での背景を承知した上で注目しているんですよ。このことについてコメントをいただけますか。

町村国務大臣 これは、日本であれ、あるいはまたアメリカであれ、それぞれ政党なりあるいは政府なりを支持したりあるいは反対したり、いろいろな力関係が働いてその中から政策が決まってくる場合もしばしばあります、すべてがそうだとはあえて申し上げません。

 そういう際でありますから、私は、確かにアメリカの畜産業界が大きな政治力を持っているということもそれは事実でありましょうし、しかし同時に、この畜産業界というのは、私の知り得る限りでは、アメリカの貿易政策、なかんずく自由化を進めるといういわばグループリーダーなんですね。

 したがって、このグループがしっかりと、今ブッシュ政権が進めようとしている貿易自由化に向けた、先ほど政府委員が申し上げました中米自由貿易協定の発効とか、あるいはこれからだんだん大詰めに入っていきますWTOドーハ・ラウンドの締めくくりでありますとか、こうした問題を推進するに当たりまして、やはりこの人たちの支援がバックにあるとないとでは、大分彼らの貿易、ブッシュ政権の貿易政策のやりやすさとでもいいましょうか、進めやすさというものが変わってくるという背景もこれまた一つあるんだろうと思います。それは、直截的に選挙の応援をした、政治資金を出した、そういうこと以上に、やはりそういった政策を推進する力がそのグループにはあるといったようなことも多分配慮要因としてあるのではないかと推察をされるところでございます。

 いずれにいたしましても、この問題が大変重要な問題であることはよく承知をいたしておりますし、そういう意味で、科学的知見にという一貫した日本政府の方針は変わっておりません。

 ただ、同時に、やはり私も考えなきゃならないのは、これも先般総理が電話会談でブッシュ大統領に申し上げましたように、このことで日米関係がおかしくなるといったようなことがないような、そうした十分な配慮というものは、やはり我々外交面で努力をしていかなければいけない、かように考えているところであります。

古本委員 まさにそんなもろい関係だったんだろうかと思うわけなんですね。対日制裁を示唆しているのは具体的ですよ。品目まで挙げられていますよ。矢面に立ちそうなのがタイヤじゃないんですか。したがいまして、WTOの手続を経ないそういった報復措置というのはWTO違反になりますよね。こんなことはわかっている、百も承知の中でブラフをかけているのか、本気でそう思っているのか、これはぜひライス長官に確認してください。

石川政府参考人 アメリカの議員方と加藤駐米大使とのやりとりの中で、議員方も自分たちは公衆衛生の維持の重要性を理解していますということを前提として発言しておるようでございますが、その報復云々ということについても、自分たちはそういうことを望んでいないということが現段階での彼らの意思表示であるというふうに理解しております。

 ただ、三日の下院に出された決議案の文言では、日本政府が牛肉貿易再開をおくらせる場合にはということで、先ほど大臣から答弁ございましたように、あらぬ誤解によって引き延ばしてきたんじゃないか、あるいは引き延ばしているんじゃないかというような誤解を解いていくことによって、私どもとしては引き続き努力をしていきたい、かように考えている次第でございます。

古本委員 大臣にお尋ねいたします。

 まさにそういう日米通商摩擦のごとく、もはや両国間においては死語となりかかっているとさえ受けとめてもいいこのテーマが再度惹起されるに至っていることについて、総理は何かお考えをお持ちなんですか。それを受けて町村大臣は、いわば交渉の当事者であり最大の窓口の責任者でありますから、どのようにこの制裁をちらつかせているということについては対処するおつもりですか。大臣の御所見を求めます。

町村国務大臣 まだ彼らが具体の制裁手続に入った、私はそう思っておりませんし、また彼らがそういうアクションをとることはないであろう、こう思っておりますし、またそういう事態にならないようないろいろな活動というものが今まさに必要なんだろう、こう思っております。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、在外公館法の一部改正に関する質疑、これに関連をしまして、在外公館の現地採用職員の問題について聞いていきたいと思います。

 現地採用職員の身分などをいろいろ伺いたいんですが、まず最初に、在外公館の現地採用職員は現在何名なのか、そのうち日本国籍を有する職員は何名なのか、この点についてお答えをお願いします。

塩尻政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年度、在外公館における現地職員数の合計は五千七十三名でございます。

 邦人保護等の領事業務あるいは日本文化に関する広報活動等の業務に際しまして、日本語を解しかつ現地の言語や事情にも明るいことが期待される場合があるということで、その現地職員の約一五%の方が日本国籍を有しておるということでございます。

赤嶺委員 日本国籍を有している現地採用職員というのは、大体各国押しなべているわけですか、それともどこかの国が特に多いとか、そういう事情もありますか、いかがですか。

塩尻政府参考人 地域によってそういう日本の方がなかなかおられないというところもありますけれども、基本的には各地でございます。

赤嶺委員 私は、日本国籍を有する職員、この職員について実は国公労連の方からもいろいろお話がありまして、その身分、地位についてちょっと調べる機会がありました。

 皆さんの説明その他を読んでいきますと、在外公館の現地職員は、国家公務員法第二条七項及び外務公務員法第二十五条二項に基づき、在外公館の長が外務大臣の許可を得て採用している、採用の具体的な手続は現地職員給与規程に規定されている、このようにお答えしているわけですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

塩尻政府参考人 今の委員のお話のとおりでございます。

 在外公館に勤務する現地職員は、御指摘いただきましたように、国家公務員法第二条第七項並びに外務公務員法第二十五条第二項に基づきまして、在外公館長が外務大臣の許可を得て採用しております。

 それから、現地職員の採用、解雇、給与、諸手当、休暇等、具体的な内容は、それぞれの公館にて規定を設けております。

赤嶺委員 私、その国家公務員法第二条七項、それから外務公務員法第二十五条二項を見てみますと、現地採用職員は、規定が外国人ということになっているわけですね。それで今、先ほどの説明だと、日本国籍を有する職員も五千人の中で約一〇%から一五%いらっしゃるということだったんですが、外国人と規定しているわけですので、この日本国籍を持った日本人を外国人という規定、これは、どんなふうに扱われておりますか。

塩尻政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御説明申し上げましたように、いろいろな業務について、日本人の現地職員に頼らざるを得ないという場合がございます。その場合には、外国人の現地職員に準ずる者として、必要最小限の範囲で日本人の現地職員を採用しているということでございます。日本人現地職員の採用に当たっては、できる限りその国の、任国の永住権を有するとか、あるいは現地性の強い方を採用するということで、今御指摘いただきました法令の趣旨に沿った形で対応させていただいているところでございます。

赤嶺委員 外国人という趣旨を生かしながら、日本国籍を持った現地職員も採用している、それぞれの在外公館で運用を行っているということでありますけれども、そういう中で、いろいろ各地、労働の条件も違いますし、社会保障のいろいろな違いもあります。しかし、外国にいらっしゃる日本国籍を持った日本人というのは、それなりの日本社会の水準というのがまだあります。

 そういう中で、その日本国籍を持った日本人の採用に当たって、あるいは採用後、いろいろな意見が出ると思うんですが、そういう意見については外務省はどんなふうに掌握しておられますか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館におきましては、在外公館長がそういった現地職員の管理をする責任者を指名しております。大使館におきましては次席でございます。それから、総領事館におきましては総領事がみずからそういう立場になっております。そうした現地職員、我々現地職員管理官というふうに呼んでおりますけれども、その者が窓口になりまして、現地職員のいろいろな声をお聞きしている、逐次東京の方にも連絡、報告をもらっているという体制になっております。

赤嶺委員 ですから、そういう日本国籍を持った現地採用職員の待遇だとか身分だとかいろいろなことについて、意見なんかは出てきませんか。いかがですか。逐次報告されているのであれば、どんな問題を抱えているのかもちょっと御報告いただきたいんですが。

塩尻政府参考人 現地の方からいろいろな意見が参ります。特に多いのは給与の関係でございます。給与が低い、もう少し上げてくれないかという意見等々が参ります。

赤嶺委員 やはり法的な身分がなかなか不安定、何しろ法的な身分というのがまだきちんと定まっていない状況で、必要に応じて、在外公館の必要があって採用している、こういう実態になっているわけですから、インターネット上でも現地職員の要望というのがいろいろ出ているんですね。賃金や休暇、社会保障、あるいは厚生年金に入りたい、あるいは中にはセクハラの問題等も出たりするわけです。

 私は、そういう日本国籍を持った現地雇用の職員について、きちんと身分上も、いろいろな労働組合や、あるいはその経験者やいろいろな人たちの意見をよく聞いて、一定の基準をきちんと設けていくということは必要じゃないかと思いますが、それはいかがでしょうか。

塩尻政府参考人 今御指摘がありましたとおり、現地職員の方々のいろいろなそういう困っている声とか、そういう御意見を大切にしなければいけないというのはそのとおりでございます。そういうことで、外務省の中にも現地職員管理官室という組織を設けまして、そういう声が吸い取られる形にしております。

赤嶺委員 ですから、もうちょっときちんと一定の基準を、いろいろな方々の意見も聞いてやっていくということにぜひ取り組んでいただきたいと思うんですよ。

 それで、次の問題ですけれども、その現地職員の社会保障制度の問題です。

 外務省から提出してもらった現地職員給与規程を見ましたら、社会保障の規定が第十二条にありまして、四つの基準があります。その中で、強制社会保障制度のある国にあってはこれに加入するという基準があるわけですが、日本国籍を持った職員を含む現地採用職員の社会保障について、外務省の考えを聞かせてください。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 日本人を含む現地職員に対する社会保障でございますけれども、これにつきましては、各任国の制度や状況に合わせまして対応させていただいているところでございます。

 具体的には、在外公館として、任国の社会保障制度への加入義務がある場合には、当該制度に加入し、所定の掛金負担を行うこととしております。それから、そのような義務がない場合であっても、現地の状況に応じまして、在外公館が所定の掛金を負担するということにしております。現地職員のこうした社会保険制度等の扱いでございますけれども、各在外公館においても、現地職員の採用に際しまして十分に説明しておるところでございます。

赤嶺委員 今十分に説明しておられるというお話をなさっておりましたが、実態では社会保障に入っていない、そういう方々もいらっしゃるということを聞いているんですが、その辺はいかがなんですか。実際、全員がそういう社会保障に入っておいて、きちんとしているという状態になっているんですか。

塩尻政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、その地域の状況によりまして、義務的な場合には大使館の方、在外公館の方で負担をする、それから義務的でない場合でも、現地の状況に応じて、必要がある場合には在外公館が所定の掛金を負担することを認めることができるという状況になっております。

赤嶺委員 そういう決まりについて改めて現地職員について徹底をしていく、そして漏れがないようにしていただきたいという希望なんですが、その点はいかがですか。

塩尻政府参考人 御趣旨はよく承りました。

 いずれにしましても、今でも契約時あるいは時期に応じてそこら辺をはっきりさせているということでございます。

赤嶺委員 過去にも現地雇用、日本国籍を持つ人たちについて、いろいろな外務省としての役割その他が語られている、その必要性についてるる述べられている事例がありますけれども、身分においても遺漏がないような形できちんとしていただくということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門です。よろしくお願いします。

 まず、沖縄に外務省の沖縄事務所があるわけですが、沖縄担当大使のことからお伺いしたいと思います。

 一九九七年二月に初代の外務省沖縄担当大使が就任してから現在で五代目を数えていますが、沼田前大使が昨年十二月の離任会見の際、八月のヘリ墜落事故を初め、相次ぐ事件、事故の対応を踏まえて、県民への要望としてこうおっしゃったんですね。米軍に常に抗議するのではなく、双方通行の対話をしていただきたいという気持ちを持っている。在日米軍人は日米安保条約のもと、日本とアジアの平和と安全を守る使命を持っており、必要が生じればみずからの命を危険にさらすことを覚悟している。彼らの立場に思いをいたしてほしいと発言をされたわけです。

 県民がこの前大使の発言をどのように受けとめたかは想像にかたくないと思いますが、大臣としてこの沖縄大使の発言をどのように受けとめられるか、まずそこから伺いたいと思います。

町村国務大臣 今私の手元に沼田大使記者会見のもう少し長い抜粋があります。確かに、今委員が御指摘のような発言もあったようでございますが、その前段階として沼田大使は、沖縄戦の惨禍を経験された沖縄県民が平和と安全を何よりも大事にされるという気持ちは非常によくわかるということも言っておりますので、一方の部分だけを挙げてこういうことでいいのかというのは、少々沼田大使の真意とは違うところに話が行ってしまうのではないかな、こう私は今委員の発言を聞いて受けとめたところでございます。

東門委員 沼田大使は沖縄県民にこう望むということをおっしゃったわけですね、先ほども申し上げました。確かにそれより少し長いこと、その前段もありますね、とげとげしい態度でどうのこうのというのもいろいろあったと思います。もちろん、今大臣がおっしゃった部分もあるのも私もよく存じております。しかし、米軍が日本の平和と安全を守る使命への県民の理解を強調したということは、私は間違いないと思います。

 ですが、米軍が日本の平和と安全を守る使命というのを強調されるのであれば、本当に在日米軍専用施設の七五%が集中という事態、そしてそれ以外にももろもろの過重な負担を背負っている沖縄の負担軽減をいかに図っていくか、それにまず私は目を向けることが先決であって、今大臣もおっしゃいましたけれども、長年米軍基地を押しつけられて苦しんでいる沖縄県民に、アメリカのそういう人たちに理解をしてくれというのは筋違いだと思うんです。

 いかがですか、沖縄大使は、そういう目的で、どっちに立つんですか。アメリカの側に、米軍に寄って立っているんですか。それとも沖縄県民の立場ですか。政府の立場であるのはわかるんですが、もともとはやはり米軍と沖縄、そういう基地問題をいろいろ調整していく橋渡し役というのが大使の任務として与えられたものだったと私は思うんですが、いかがでしょうか、沖縄担当大使のあり方について。

町村国務大臣 沼田大使また現在の宮本大使もそうでございますが、沖縄の状況は今こういうことでございます、沖縄県民の希望はこの辺にあります、これに対して米軍はこういうふうに言っております等々、折に触れて、上京のときなど、あるいは私が沖縄を訪問したときはちょうどまだ沼田大使でございました。あるいは手紙、あるいは書簡で、いろいろな形で私のところに報告をしてまいります。

 どちらかの一方の側に立って物を言っているということでは決してございません。今委員は、橋渡し役、こういう話でございました。まさにそういう意識で大使の職務を果たしているんだ、このように私は理解をいたしております。

東門委員 県民への要望という形で、ぜひ理解をしてほしい、アメリカ軍の立場も理解してほしいとおっしゃったわけですが、米軍への要望もあったんでしょうか。そういうことが大臣のもとへ来ていますか、沼田大使から。

町村国務大臣 それはもちろん沖縄県民の、例えばこういうヘリの事件があった、事件があったときは私はまだ大臣じゃございませんでしたが、そうしたときなどを含めて、県民の意向はここにあるんだということを当然のことですが我々にも伝え、同じような趣旨のことを沖縄にいる米軍のトップの方々に伝えているということでございます。

東門委員 いや、同じことになるのか、沖縄県民には理解をしてほしい、アメリカの人たちは命をかけてここで守っているんだという要望をした、そういうようなことを沖縄県民の立場に立って、それではアメリカ側にこういうことをやってくれと強く要望していますかということを伺ったんです。

町村国務大臣 だから、両方向のことを彼はやっているということを今申し上げたわけであります。

 そんなに、沖縄大使の発言が一方的に偏って、米軍の言っていることのみを沖縄県民の皆さん方に伝えている、もし委員がそういう受けとめ方をされたら、それはそうではございません。現に彼らも県民の意向、希望、もちろん知事さんや首長さんを初めいろいろな方々がそれは米軍に言うでしょうが、そういった意見を集約したり、あるいは直接県民のお声を聞く機会も大使として大変多いわけでございますから、そういう声を沖縄にいるアメリカの司令等にきっちり話をするということは大使としての当然の職務であって、それはしっかりやっているということであります。

東門委員 ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。

 大臣、そうおっしゃいますけれども、これまで結構いろいろ発言はあるんです。三代目の方もそうでした。調べてみてください。沖縄県民がどれだけ怒りを持って、本当に沖縄大使は必要なのかという疑問を持つくらいのところもあるんですよ。ですから、いや、大臣のお立場からはそうですとおっしゃるかもしれませんが、やはり県民にとっては、政府が大使として沖縄に送っている。そうすれば、やはり沖縄県民のことをしっかりと見てくれるんだという期待をしますね。当然あると思います。それが全然違う方向に行ってしまうということになると、やはり困るわけです。私たちはそういう大使は要らないと言わざるを得ないというところまで来ているということをお伝えしておきたいと思います。

 次に、法案との関係で、領事業務についてお伺いします。

 邦人の海外渡航者は年々増加をして、その数は毎年一千六百万人を超えるまでになっています。このため、渡航情報の提供、災害や事件発生時の安否確認や身柄の保護を行う領事業務の重要性は飛躍的に増大をしてきています。

 二〇〇二年に作成された外務省改革行動計画、特に領事業務の改善ですが、その実施の一環として、在外公館の領事業務を支援するために、現地事情に通じた、ボランティア精神と実務経験に富んだシニア世代を在外公館の領事窓口に配置する領事シニアボランティア制度が導入され、二〇〇三年の十二月以降、現在までにタイや韓国など十の公館へ十名が派遣されていると聞いております。

 派遣先の公館として特にこの十が選定された根拠、そして、そのシニアボランティアがそちらに行って働いているわけですが、その導入の効果をお伺いしたいと思います。

鹿取政府参考人 シニアボランティアの制度についてのお尋ねですが、どういう場所を選定したかということでございますが、まず在留邦人の数、あるいは領事業務の大小、それから一般の邦人からの照会であるとか、そういうところの多いところを選んで十公館選んだ次第でございます。

 そして、我々が効果として一番大きいと考えておりますのは、これらの方々は皆民間で長い経験を積んできた、そういう方が多いわけでございますけれども、我々の領事館、大使館に勤務していただいて、民間の経験あるいはこういうものを踏まえた視点から、我々に対していろいろ領事業務において感じたことあるいは提案、こういうものを一部いただいております。こういうものは我々にとって非常に新鮮かついろいろな面で我々の領事業務をさらに発展させていく上で有効である、こう考えております。

東門委員 時間が終了しましたとなっておりますので終わりますが、委員長にまたお願いいたします。ぜひ時間がとられるような御配慮をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、限られた時間でございますが、在外公館に関することについて大臣また副大臣とやりとりをさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、在外公館に関しては、日本の在外公館の数は他の諸外国と比べまして数もまだ大変少ないわけですし、日本の経済の低迷によって民間企業の世界におけるプレゼンスというのは低下している。そんな中で政府が在外公館の数をふやしていく、またその質を高めていく、こういったことは全く大事である、行政改革というような話の中で、サンセット方式ではないというふうな説明もありますが、何か行革の中で余り拡張できないというようなことというのは、この在外公館に関しては別にちゃんと考えるべきだ、私はそういった立場できょうは御質問させていただきたいと思います。しかしながら、項目によっては耳の痛いようなことを言うかもしれませんが、どうか御容赦していただきたいというふうに思うわけでございます。

 まず、在外公館の役割ということにも絡むんですが、ちょっと急遽で申しわけありませんが、マラッカ海峡における海上武装強盗事案について、三月十四日、マラッカ海峡で日本籍船が襲われた、日本人船員二名及びフィリピン人船員一名が拉致された、加害船はインドネシア方向に逃走中である、こういったことが起こっております。

 逃走した後どうなっているのかというのはまだ私たちにはつまびらかになっていないというわけでございまして、本件に関する情報収集ですとか折衝というのは、これは恐らく外務省が在外公館を通して当該関係国、恐らくインドネシアが中心になるかと思いますが、そういったところとの交渉をされていると思いますので、どのような状況でやりとりが行われているのか、また犯人側というか相手側からどんな要求が出ているのか、こういったことを御報告いただきたいと思います。

    〔委員長退席、増子委員長代理着席〕

町村国務大臣 この海賊事件の概要は、あらまし既に報道されているとおりですから、時間の関係もあり、細かい重複は避けたいと思いますが、在外公館との関係でいいますと、事件を私どもが知った後、直ちにマレーシア、インドネシア、シンガポールのまず我が方大使館、総領事館において関連情報の収集をするようにという指示をいたしました。また同時に、この三カ国の政府に対して、被害者の安全確保について協力要請をしたところでございます。

 国内では、外務省を初め、官邸にもあるいは海上保安庁においても所要の態勢がとられているところでございます。

 現時点でまだ新しい情報に残念ながら接することができませんで、海賊に遭った三人の方々の安否情報、今のところ新しいニュースを今ここで申し上げる状況にはないということで御理解を賜りたいと思います。

赤羽委員 一九九九年にも日本籍船の同種の事件が起こって、それで、私の認識では、当該国、関係国でアジア海賊対策チャレンジ二〇〇〇というようなテーブルもできた、こういうふうに聞いております。

 その成果がどう問われるのかということになると思いますが、要するに、日本籍船の事件だけではなくて、このマラッカ海峡というのは恐らく同種の事件が相当頻発しているのではないか。これをどう解決していくのかというのは、やはり国際社会、例えばASEAN地域フォーラムとかそういったようなところで一つのテーマとして各国の知恵というか能力を持ち寄って、同様の、何か今どき珍しい、海賊なんというのがまだやっているのかみたいな、こういった事件を阻止するようなシステムを当然つくるべきです。また、今回をきっかけに、この事件はまさに、事件自体を解決するということが最優先であろうと思いますが、この事件解決の暁には再発防止ということに国際会議のリーダーシップを日本がとるべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

町村国務大臣 実は、海賊問題は日本では余り報道されることが少ないのですが、私も昨年参加をいたしましたAPECあるいはASEANプラス3の会合でも必ずこの海賊問題というのは議題になっております。時として日本からは遠いところで起きるものですから、余り日本の報道等も少ない、我々も多少そういう面での対外広報ぶりが偏っていたのかなと反省もしておりますが、必ず議題になり話題になりしております。

 そんなこともあって、先ほど委員言われました海賊対策チャレンジ二〇〇〇、あるいは海賊対策モデルアクションプラン、これを平成十二年の四月に開催されました海賊対策国際会議の成果として決めたわけでございます。これを実行しております。

 また、日本はマラッカ海峡のいわば利用国でございます、ほかにも韓国、フィリピン等々あるわけでございますが。そういう利用国と、それからマラッカ海峡に面しているマレーシア、シンガポール、インドネシア等と一緒になって地域協力促進のための法的枠組みをつくろうということで、昨年十一月にアジア海賊対策地域協定というものが採択をされました。今各国でこれが了解を得るように、私どもはもうもとより受け入れているわけでございますけれども、それぞれの関係国に了解を得ながら、ぜひこれをやろうではないかということで働きかけもしているところでございます。

 そのほか、また今委員言われましたASEAN地域フォーラムでありますとかASEANプラス3、日・ASEAN協議といった枠組みでも、先ほど申し上げましたように引き続き海賊対策について国際社会と提携をして、連携を密にして取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

    〔増子委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽委員 アジアにおける日本のプレゼンスを高めていくという大変重要なテーマでもあると思いますので、ぜひ御尽力をお願いしたいと思うわけでございます。

 次に、在外公館について質問させていただきたいと思いますが、ちょっとそもそも論で恐縮でございますが、大使館と総領事館、領事館、こういったところのそれぞれ期待される役割の違いというのは、どのような認識、どのような違いがあるのかということをお答えいただけますか。

逢沢副大臣 在外公館は、大使館と総領事館に大別されるわけであります。また、国際機関態様の公館もございますが、大使館、総領事館も、いずれも日本国及び日本国民の利益増進を目的とし、任国、任地との間での政治、経済、文化面での関係の増進、そして任国、任地における邦人保護等を任務としております。

 そして、言うまでもないことでありますが、大使館は任国の首都に位置をいたしております。特命全権大使が公館長として日本国政府を代表して相手国政府と交渉を行うことを主要な業務としております。

 また、総領事館は大使館と違いまして任国の首都には位置をいたしておりません。しかし、判断の上、その地域に総領事館を置くことが必要である、適当であると判断する場所に総領事館を置いているわけでございます。邦人の保護はもとよりでありますけれども、経済面の情報の収集あるいはまたその当該地域に係るあらゆる情報の収集等、総領事館は総領事館として大変重要な任務を負っておるというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

赤羽委員 余り建前じゃなくて、実態としてお互いにこのやりとりの中で改善していきたいという前提で質問しているつもりですので、ぜひ率直な御答弁をいただきたいと思うんですが、総領事館の設置の、必要と認められると言われたのは、今の御答弁で類推しますと、在留邦人が多いところとか、また逆に言うと経済面での重要なところ、こういったようなところを勘案されて総領事館を設置するという理解でよろしいんでしょうか。

逢沢副大臣 基本的にはそのような理解をいただいて結構かと思います。

 邦人が比較的多いところ、あるいは邦人企業の進出が著しい場所、あるいは観光客が大変多いところあるいはまたふえてきたところ、そういったところにはやはり公館が必要であるといったような判断を一般的にはいたしております。当然のことでございます。

赤羽委員 私、外務省の方と話していると、大使館と総領事館の役割の違いというと、総領事館というのは邦人保護だ、こういうふうな御説明がまず初めにあることが多いんですが、それはそれで副大臣の御答弁ですのであれですが。

 例えば、しかし、私は世界の何カ国か行ったときに、果たして、大使館はそれなりの陣容が整っている、しかし、そこの総領事館が本当に今副大臣がおっしゃられたような形で体制がつくられているのかなとちょっと疑問に思うようなところも幾つかございました。

 具体的なことを言うのはどうかと思いますけれども、例えばイタリアの場合、ローマとミラノ、圧倒的に、ローマの大使館の陣容とミラノの総領事館の陣容というのは全く違うはずなんですね。各省庁からのアタッシェも全部ローマの大使館に集約されておりますし、ミラノは九人か十人前後の館員で、私が訪問したときは、率直にびっくりしたんですけれども、ここはイタリア語の専門官がだれもいないというような話だった。

 これは邦人保護だからいいんだみたいな話で、本当にそれでいいのかというようなこともあり、それはもちろん予算とか人材とか限りがあるわけですから、そういろいろなことは言えないにしても、例えばミラノとローマの位置づけというのは、やはり経済的にいうと、どう考えてもミラノに、集中しているとは言えないかもしれないけれども、自動車にしても繊維にしても、イタリアの企業もミラノに圧倒的に重点が置かれているし、日本から出ていっている企業も、恐らく在留邦人の数もミラノというのは相当多いはずなんですよ。

 そういったことというのは、イタリアだけではなくて世界じゅうで、これは固定的なものじゃないわけですから、いろいろな状況の流れの中でその位置づけというものを、首都が変わるわけじゃありませんけれども、総領事館の位置づけ、重要度というのは変化し得るものだと思うんですね。

 ですから、そういったところについて、私は、本当に在留邦人の保護という形だけじゃなくて、今副大臣の御答弁にあったような経済面での情報収集というようなことが戦略的にできるような体制をやはり丁寧につくっていくべきではないかということをまず御指摘したいというふうに思うんですね。

 その観点でちょっと御質問させてもらいたいんだけれども、人事の配置です。省庁再編成がありましたよね、数年前に。国土交通省でいいますと、運輸省と建設省が一つになって国土交通省になった。世界じゅうの派遣されているアタッシェの配置というのは、それまでは当然、運輸省でここの大使館、ここの領事館、建設省でここの大使館、ここの領事館と、それぞれ配置先が決まっていたはずなんですね。これは省庁再編になって、世界じゅうのこういった配置は見直しをされたのかどうか。ちょっとその事実関係を御報告いただけますか。

塩尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、時代のニーズに合ったものにしていくというのが非常に重要だということを我々も十分認識しております。そういう点から、適正配置を目指していくということで、いろいろ作業をさせていただきます。

 御指摘の、ほかの省庁との関係でございますけれども、そういう中で、現在、関係の省庁と協議をいろいろしておりまして、見直し作業を進めております。ただ、人員の配置がえ等につきましては、各省庁ともそれぞれ正直申しましていろいろ事情がございます。見直し作業というのが必ずしも容易でないという側面もございます。

 委員の御指摘、そのとおりだと思いますが、引き続きまして、そういう関係省庁ともお話し合いをし、適正な配置状況にさらにしていきたいというふうに考えております。

赤羽委員 多分、図らずも今官房長の御答弁で、なかなか各省庁との調整がうまくつかないというのが実態だと思うんですね。建設省に出した島、運輸省に出した島、それは役所が一つになったからといって、それぞれの業務があるんだ、こういうようなことで、国交省なんかは、ビジット・ジャパン・キャンペーンとかといって香港からをターゲットにしながら、香港にはだれも出ていないという、こんなことがいっぱい出てきちゃっているわけですよ。

 だから、もう一回やはりどこかで、本当に世界戦略というものをどこがリーダーシップをとってやるのかということは、まさに僕は、外務省がもう一度リセットすることが必要なんじゃないかと。

 私、率直に申し上げて、各省庁から出てきているアタッシェについては、大使館においての位置づけというのはお客さんですね。やはり、外務省プロパーの人に対しては大使も物も言いやすいだろうけれども、人事権も大使にあるわけじゃないわけですし、何となく外様というか、これはなかなか答弁しにくいと思いますけれども、私の率直な感想です。

 では、お客さんと僕が感じているアタッシェの仕事ぶりはだれがチェックしているのか。本来だったら各省庁で送り元がチェックしなきゃいけないはずだけれども、送ったら送ったで、あいつは二年間あそこに、海外で外の飯を食えばいいやみたいな、多分そういう乗りに近い状況があると思います。

 私、シンガポールに数年前に行って、そこに国交省のアタッシェがいた。それで通訳を頼んでくれと言うわけですよ、私たちの訪問団に対して。通訳はできませんと。ああ、そうか、君は英語の通訳ができないのだったら中国語を勉強しているのかと聞いたら、いや中国語もできませんと言うわけですよ。何だ、では来たばかりなのかと言うと、いやもう三年で、もうそろそろ帰るんですと。おまえな、いいかげんにしろ、何しに来たんだと。いや、私は何とか技官なので、船舶技官なのでと。そういう話じゃないだろう。三年もいて通訳もできないようなことを放置されているんですよ。現地語もできないでまともな情報収集なんかできるわけがないと私は率直に言って思いました。

 最近、世界じゅうの大使館の傾向で、行くたび、我々は政府じゃないから、行くと、ほとんどの国で通訳を雇ってくれと言うんですよ。委員会視察だって通訳を雇えということが去年ありました。それは、きょうのテーマになるんだけれども、総体的にやはり在外公館の政治経済における情報収集能力の低下につながっているのではないかというのを物すごい危惧しているんです。

 私たちの委員会視察に行った通訳なんというのは、変な話だけれども、観光ガイドのおばちゃんがずっとついていくような話なんですよ。それは余りに見識がない、冗談じゃない、やめてくれという感じだったですよ。何でこのおばさんがずっと我々の、何か教会のことはいろいろ詳しいんだけれども、国土交通行政のことは全く知らないような人が何日もついている。ローマにアタッシェがいるんだけれども、何か土日だから呼び寄せることができないみたいなやりとりがちょっとあったりして。これは、何となく僕はどこかちょっと違うんじゃないかと、すごく荒っぽい言い方なんだけれども。

 ですから、これはどこかが統治しないといけないと思うんですよ。一人一人、戦力にならないやつは帰すぐらいのことをやる。本当に必要なところは、僕は行革なんかということで遠慮しないで、どんどん在外公館もふやすことを外務省の立場で提案すべきだと思いますし、必要な人材は配置させるべきだというふうに私はすごく思います。

 今回、スマトラのことで十二月三十一日から一月三日までプーケットに行きました。プーケットは、毎年日本の観光客が二十万人前後行っているわけですね。しかし、ここには領事館もないわけですよ。今回デンパサールが、観光地ということで、在外公館としてできる。これは、新設されるということは、僕は大変正しいことだと思うんです。

 やはり在留邦人の数だけではなくて、観光客ほど事故に巻き込まれたときの対応ができないとか、リスクというのはやはりそちらの方が多いと思いますし、私は、ことしの予算としてどことどこと箇所が決まっているのかもしれませんが、今回のスマトラの日本の方が被害を受けた地域なんかは、やはり後づけでもいいから領事館の設置を求めるべきじゃないかと思うんですけれども。現地の日本人会も、それが一番強い要望なんですよ。この前会長が来られて、大臣にも多分会われたのではないかと思いますが。

 こういうことは、別に行政改革とかということじゃなくて、遠慮をすることではなくて、今本当に必要だからということで御提案をなされるべきではないかと思うんですが、この点についてはどのように思われますか。なかなか答えにくいかもしれませんが、思いということで御答弁いただければと思います。

町村国務大臣 今委員から数多くの御指摘をいただきました。それはもう本当に私ども、定員がもう少しあれば、もう少し各地区に大使館も新設し、領事館も新設しという思いは率直にございますが、なかなか現下の財政状況のもとでそれが容易でないということもまた委員御承知のとおりでございますが、引き続きこれは私どもとしては粘り強くまず努力をしていきたいと思います。

 そういう意味では、午前の質疑にもございましたけれども、限られた人材が一人で何役もやるという意味では、一人一人が、一騎当千とまでは言わないまでも、相当有能な方々であってもらいたい。しかるに、言葉一つ通じなかったというような御指摘はまことに、事実であればこれは耳の痛い話でもありますし、それはやはり問題だろうと思います。

 昨今、いろいろな役所に入省した後、人事院の制度などを使って海外に留学をするという人たちが非常にふえております。むしろ留学をした後、何か知らないけれどもぽっとすぐやめてしまうという人がいるのは問題ではないかという指摘が各方面からなされるほどでございまして、そういう意味では、かなり各方面に留学生の数もふえてきておりますから、どの言葉もしゃべれない、日本語だけしかしゃべれないというのではやはりまずいのであって、それは確かに、短期間ではありますけれども、赴任の前に外務省の研修所で語学をやったりする場合もありますが、現実にはなかなか仕事が忙しくて、本当に短い期間ですっと行ってしまうというケースも間々あるようでございます。

 その辺の研修のあり方、あるいは適性、それからもう一つは適正な配置が省庁再編後に行われたのかどうか、この点についても実は外務省改革の中で取り上げられたテーマではあるわけであります。では、本当にそれが抜本的に見直しが行われているかどうか。率直に言って、先ほど官房長が多少もごもごと言わざるを得なかったような各省との関係の実態もそれはあるんだろうと思いますが、この辺も、私もいずれ取り組んで、最適配置に向けて努力をするようにしていきたい、こう思っております。

 また、プーケットになぜ領事館を設置しないのかという御指摘がございました。

 委員お話しをいただいたように、今回のデンパサールはそういう意識でやったわけでございます。今後、プーケットを含めて、十八年度以降、どういうところにニーズが強いのかということをまたしっかり見きわめた上で対応を決めていきたい、かように考えているところでございます。

赤羽委員 お互い遠慮をしていてもしようがないわけですから、これは本当に国際社会における日本のプレゼンスを高める最先端だという位置づけで、ぜひ剛腕の町村大臣のときにきっちりと決着をしていただきたいな、こう思います。

 加えて、やはり大事なことは、各大使館のトップの初期動作というか、いざというときの危機管理対応、やはりこういったことが、世界においてすごくいろいろなことが起こるようになった、これまでの外務省のキャリアディベロプメントの中のトレーニングでは不十分な点があるのではないか。だから、こういったこともぜひ検討していただいて、危機管理ができるトップが立つということをやはりもう一回洗いざらい、根本的にぜひ見直しをしていただきたいな、こういうふうに思うわけでございます。

 各省庁についても、遊びに出すようなところだったら、その島は外す、そのくらいのことをきっちりやった方が、言葉もできないやつが三年間いても何の役にも立たないはずですよ、私に言わせると。外務省も、どんどん通訳をやらせる。私は商社で海外駐在やっていましたけれども、やはりオン・ザ・ジョブ・トレーニングなんですよ。恥をかきながらやらないと。それを、通訳を雇ってやらせているという、まずその根性がだめですよ。

 自分たちが外交官で出ていて、通訳は人にやらせていて、何をやっているんだと。まずそんなことは許さないと大臣が宣言するというぐらいに、在外公館に勤務している人間はみんな肝を冷やして緊張するぐらいの、やはりそのくらいのことが今のこれからの国際社会においては僕は当然あってしかるべしだと思いますし、強く期待申し上げますので、よろしくお願いします。

 時間も限られていますので、ちょっと一つ、日中関係の中で、最近の日中関係は私は大変心配をしているのですが、その中で北側国土交通大臣が先日訪中をされて、愛・地球博、この愛知万博の期間、中国国土のどこの地域でもビザがとれますよ、このような提案を中国側にされました。しかし、当初それは大変喜ばれるんだろうなと思っていたらしいのですが、中国の旅游局の大臣、観光大臣は、何か余りそれは期間限定はおもしろくない、こういった答弁で、そこで結論が出なかった。

 国交省に聞いていても、何とか善処したいみたいな話でずっと来ているんですけれども、これは三月二十四日から、もう来週始まるというような段階で、この中国のビザ問題についてどのような状況になっているのか。まず国交省から御答弁いただきたいと思います。

鷲頭政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生おっしゃったとおり、中国沿岸部の八地域に制限されております中国の団体観光ビザの発給対象地域につきましては、愛・地球博の成功と日中間の交流拡大を図るという観点から……(発言する者あり)

赤松委員長 ちょっと、静粛に願います。私語は慎んでください。

鷲頭政府参考人 三月二十五日から始まります愛・地球博の期間中に中国全土に拡大するということを、北側大臣が中国を訪問いたしまして、中国側に提案をいたしたところでございます。

 いろいろ先生がおっしゃったようなやりとりがございまして、現在調整をしているところでございますが、最近になりまして、中国側としては地域拡大を万博終了後も引き続き実施してほしいという意向を持っているというようなことがわかりまして、この点について、日本側としてどのようなことが可能なのかということを現在関係省庁とも相談をしているところでございます。

 先生がおっしゃられましたとおり、中国との調整を三月二十五日までに間に合わせるというのは大変厳しい状況であるとは思いますが、一生懸命努力をしていきたいというふうに考えております。

赤羽委員 鷲頭さんに聞くと、いつも一生懸命努力したいということなんだけれども、これはやはりオープンのときまでに何らかの答えを出さないといけないのではないか。このことについて、どこの役所が責任を持ってやるのか。

 外務省は、これは事実か何かわかりません、新聞報道で、余り深追いしなくていいんじゃないか、無理しなくていいんじゃないかというような大臣発言もあったという報道だったので、事実確認も含めて。

 外務省として、このことについて、私は、三月二十五日まで最大限中国とも交渉して、しかるべき結論を出すべきだ、こういうふうに強く思います。日中関係が今余り調子よくないときであるだけに、一つのいいきっかけにするべきだというふうに思いますが、このことについて外務大臣としての御見解と、これから、残り少ないですけれども、お取り組みについての御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

町村国務大臣 先ほど国土交通省審議官がお答えをしたとおりで、私どもとしても、ぜひ愛知万博に間に合わせたい、こういう思いで前向きの提案をしたわけでございますが、なかなか中国側と意見が合わないということは大変残念なことだと思っております。したがって、本当にもうすぐ始まってしまうわけでございますが、最大限の中国側との協議を進めたい、こう思っております。

 確かに、事案によりまして、関係する省庁は、外務省、国土交通省ばかりでなく、警察庁、法務省等とも関係をしてまいります。そんなこともありまして、それぞれの部署としてやはり責任を負わなきゃならないところがある。

 特にこれは、村田大臣も国家公安委員長としてことしの一月上旬に中国を訪問して、これは本件ということではなくて、このビザの問題ではなくて一般の問題として、中国人の日本における犯罪というものが社会不安を巻き起こしているということについて、もっと中国側もしっかりやってもらいたいということをかなりはっきり言われたようでございますし、先方も、それは自分たちも非常に気にしているんだという率直な発言もあったようであります。

 そのあたりも、今治安の低下ということに対する国民の不安も実は相当あるわけでありまして、なかんずくそれが外国人犯罪といったようなケースも折に触れて報道されるといったようなこともあるものですから、一定の、制度が乱用されないような仕組みもあわせて決めようという提案をしたわけでございますが、どうもこの辺がうまく先方と合意に至っていない一つの要因なのかなということでございます。

 いずれにしても、もうすぐ始まる愛知万博を成功させるように私どもも努力をしてまいりたいと思います。

 なお、新聞報道のような発言は私は一切しておりませんので、念のために申し添えさせていただきます。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 国内の各省庁のとりまとめとかということも大変大きな問題だと思いますが、日中両国間、お互いに知恵を出して、愛知万博、大変大きなイベントですから、ぜひいいイベントにできるように最大限の御努力をいただきますよう強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、竹下亘君。

竹下委員 自民党の竹下亘でございます。外務委員会で初めて質問させていただきます。

 先ほど赤羽議員もお話しになっておりましたが、在外公館、私も、観光地をさらに充実していただくという方向は大変すばらしいこと、まさにビジット・ジャパンの裏返しで、世界は一つとは言いませんが、そういう広がりのあるものであろう、その意味で、デンパサールに総領事館が設置をされるというのは評価をしたい、こう思っておるわけであります。

 しかし、現実には、二年前ですか、二〇〇二年、ディスコで爆破事件が起きて多数の死傷者が出たといったような状況もあります。また、インドネシア自身が、東ティモールの問題等々、治安の上で、それは日本と比べるのは酷かもしれませんが、決していい状況にないという話も伺いますので、そうした治安の問題も含めて、デンパサール周辺の状況、あるいは、なぜ数ある観光地の中からデンパサールを今回選ばれたのかといった点について、まず御説明をお願いいたします。

逢沢副大臣 竹下先生に御指摘をいただきましたように、デンパサールに総領事館を新設することといたしました。昭和五十五年に実はデンパサールには出張駐在官事務所を置きまして、今日まで運営をしてきたわけでございますが、実は、デンパサールが州都となってございますインドネシアのバリ州には、本当に邦人観光客またビジネスマンの訪問がふえてまいりました。年間三十万人以上の邦人がデンパサールを訪れるという状況になってまいりました。

 したがいまして、現行の出張駐在官事務所におきましては、恒常的に多数の領事関係の業務を実施せざるを得ない、そういった状況が発生をいたしております。

 また、今委員御指摘のように、平成十四年十月に爆弾テロ事件が発生をいたしました。実に二百二名が死亡するという大惨事であったわけでありますが、邦人二名も含まれておりました。

 インドネシアを初め同地域、比較的テロに対して脆弱な地域であるという厳しい認識を私どもも持たせていただいておりますが、いわゆるテロに対する、あるいはまた邦人保護に関する適切な情報収集を行う必要がさらにある、また同事務所の体制を強化して、あらゆる邦人保護を強化するという必要性を十分私ども認識をいたしたわけでございます。

 また、バリ島におきましては、近年、国際会議が多数開催をされるようになりました。実は、私自身も、昨年まさにバリで開かれましたテロに強い南東アジアをつくっていく国際会議に出席をさせていただいたわけであります。

 今後もこういった国際会議も多数開催されるということが想定をされますし、また我が国といたしましても、新しい国づくりに大変力を入れております東ティモールを訪問するケースがふえるわけでありますが、大概の場合はバリを経由して東ティモールを訪問するということでございます。したがいまして、その東ティモール訪問を含めた関連の支援業務も急増している、的確にデンパサールの総領事館がそれに対応していかなくてはならない、かようなことでございます。

 したがいまして、邦人観光客の急増あるいは国際会議等への対応、また東ティモールを訪問される方の支援等々、非常にニーズが高まっている。そのことを的確に踏まえ、出張駐在官事務所を総領事館にいわば格上げをする必要がどうしてもある、そのように判断をさせていただいたところでございます。

 御理解を賜りますように、どうぞよろしくお願いをいたします。

竹下委員 これからも豊かな国日本から世界を歩く人たちはたくさん出てくるであろうと思いますので、ますますそういった在外公館の任務というのは、現地での駐在だけではなくて、移動する日本人にどう対応していくかという意味で非常に大切な仕事になってくると思いますので、しっかりと力を入れてやっていき続けていただきますことをまず希望する次第でございます。

 さて、きょう十一時半過ぎでございますが、島根県議会におきまして、竹島の日を制定する条例が可決、成立をいたしました。条例そのものはわずか三条から成るものでございます。趣旨が書いてあり、竹島の日は二月二十二日とするという日にちが書いてあり、そして県は必要な施策を講ずるよう努めるものとするという県の責務が書いてある、この三条から成っておるものでございます。

 なぜ二月二十二日が竹島の日と島根県議会が設定したかということでございますが、今からちょうど百年前、一九〇五年二月二十二日に島根県告示において竹島を島根県の領土として公示をしたという、その日にちなんで竹島の日というものを設定した次第でございます。

 しかるに、韓国からの報道によりますと、その竹島の日の設定をめぐってさまざまな動きがある。デモが起きる、あるいはみずから指を切るという、自分を傷つけて抗議をする人まで出ておる状況でございます。

 しかし、日本と韓国の間には厳然として竹島をめぐる領有権の課題が残っております。日韓基本条約のときにもその議論があり、しかしその議論をおいて日韓基本条約を締結したという歴史的な経過もございます。

 竹島は、これまで政府が繰り返してまいりましたのは、歴史的な事実に照らしても、国際法上から見ても我が国固有の領土である、こう日本は言い続けてまいりましたし、私は、その思いに一点の曇りもない、変化はない、こう確信をするわけでございますが、外務大臣、それでよろしゅうございますか。

町村国務大臣 議員御承知のとおり、この竹島問題に対する政府の立場、考え方は一貫をしておりまして、ここであえて繰り返しませんけれども、私自身も先方、潘基文外相との会談においてこの問題を提起し、主張したこともございます。今後とも毅然とした態度で努力を重ねてまいりたいと考えております。

竹下委員 今、なぜこの時期に島根県が動いたかという意味でございますが、私自身、島根に生まれ、島根に育ち、やがて島根の土となる一人でございます。そうしたふるさとへの思いの中で、一つは北方領土との関連とでもいいましょうか、実は、一九五二年に李承晩ラインが設定をされて以降、三百二十八隻の船が、漁船が拿捕をされ、三千九百二十九人が抑留をされております。このうち四十四人は死傷、亡くなったりけがをされたりいたしております。

 もちろん、北方領土でも旧ソ連の時代に抑留、拿捕という事件が頻発をしております。しかし、例えば、この島根県の竹島の問題がさまざまな議論になる中で、国会の中でも沖縄北方特別委員会があるという状況にある中で、竹島の問題というのはややもすれば忘れられているなと。正直に言いますと、与野党含めてだれか質問するかなと思ったらだれもしないから、島根県出身の私がやらなきゃならぬなという思いに至った次第であります。そうした、北方領土はきちっとした、あるいは外務省の中にも対応室ができて対応ができておるにもかかわらず、なかなか竹島のことを振り向いていただけないという島根県の思いがあります。

 また、漁民たちの思いもそこに込もっておるわけであります。といいますのは、一九九九年に新しい日韓漁業協定というのができまして、ここではEEZ、排他的経済水域というのは設けずに、いわば竹島の領有権を棚上げした形で両国が暫定水域というものを設定しておるわけでありますが、実際には日本の漁船は入れない。暫定あるいは共同水域とでもいいましょうか、という形にはなっておるんですが、実際には入れない。

 網を張っても韓国の船に、漁船に撤去をされるという状況が続いております。あの地域でとれるベニズワイガニは一番高価なものでありますが、十年前に比べますと、年によって違うんですが、二分の一から四分の一以下に日本でとれる量は減ってきておる、水揚げが減ってきておるという厳しい現実があります。そういう思いが重なって、私は、島根県がきょう竹島の日というものを設定する条例を制定したというふうに体で感じておる次第であります。

 そこで、まずお尋ねしますのは、特にこの漁業協定に関連をいたしまして、日本の船が入れないという実態をしっかりと把握されておるのか、そして、その上でどのような外交努力を今積み重ねておられるのかといった点について、まずお尋ねをしたいと思います。

町村国務大臣 島根県初め日本海側の漁民の皆さん方の御主張、私どももよく理解をしているつもりでございます。

 今委員御指摘の日韓北部、この暫定水域でございますけれども、一九九九年の一月に今委員お触れになった新しい漁業協定ができて、しかし実際は韓国漁船が主要漁場を占拠する形となっている、その結果としてズワイガニ等の漁獲を目指す日本の漁船が思うように操業できない状況がずっと続いているということで、皆様方からも常に強い懸念が表明をされているところでございます。

 こうした状況を踏まえて、私自身、昨年、二回日韓外相会談を持つ機会がございましたので、その折にこの暫定水域の問題を取り上げました。そして、暫定水域の資源状況がどんどん悪化している、したがいまして早期に政府間協議を開催するようにということを韓国側に強く申し入れたわけでございます。

 そうした経緯を踏まえて、ことしの二月に開催されました第七回日韓漁業共同委員会の第二回会合におきまして、この暫定水域を含む日本海水域の資源管理に関する政府間協議をことしの三月あるいは四月に開こうということで合意を見たところであったわけでございますが、昨今の状況もあり、この漁業に関する話し合いも果たして今後いつ開けるかということで、事態がまた変わってきてしまいました。

 しかし、私どもとしては、合意したことでもあるので、この漁業に関する政府間協議がきちんと行われるように、水産庁とも協力をしながら韓国側と引き続き話し合いをしていきたい、かように考えているところでございます。

竹下委員 日本海がまさにせめぎ合いの海ではなくて共有の平和な海になっていくこと、引き続き御努力賜らんことをお願い申し上げる次第でございます。

 さて、先日は韓国の高野大使が急遽日本に帰国をされまして、大臣とも打ち合わせをしたり情報交換をされたと思います。また、韓国の韓日議員連盟の幹部たちが数名来日をされまして、これも日本の日韓議員連盟の幹部の方々と意見の交換をされた。さまざまな形で、情報の分析、あるいは、ともすればエキサイトしそうな空気を、冷静に対応しようとしておられる努力を私自身も感じております。

 私は、領土問題は領土問題として厳然として存在をするものの、日韓の友好に大きなひびは入らない、あるいは入れてはいけない、あるいは日韓の友好を促進することは可能であると確信をいたしております。

 個人的なことを言って申しわけないとは思いますが、かつて竹下登が、日韓議員連盟の会長を務めるなど、日韓のさまざまなお世話をさせていただきました。その中で彼がいつも言っておりましたことの一つが、当時は中選挙区でありました。竹島は僕の選挙区なんだよ、島根県隠岐郡五箇村大字竹島というのが日本の住所なんだよということを、韓国の大統領や首相やあるいは向こうの韓日議連の幹部の方々とお話をするたびにそういう形で話をいたしておりました。

 ある大統領は、私もたまたま同席をいたしましたが、竹下登がそう言いましたら、そうですね、韓国では独島と言うんです、こう答えて、はっはっはと笑って終わる。私は、大人の対応、あるいは、まさに領土問題はあるということを双方が認識した上でのつき合い方、友好の深め方というのはあるなということをそのときにひしひしと感じたことを今でも覚えております。

 しっかりと物は言わなければいけない、しかし今すぐ解決の難しいものは大人の知恵をそこに働かせていかなければならない。あるいは、日本は、国際紛争を解決する手段としての武力の行使、交戦権は永久にこれを放棄するという憲法九条を持っております。その誇りを持って外交的に交渉を続けていかなければならない問題が領土問題である、私自身こう考えております。

 例えば、島根県は、韓国の住所でいえば独島が属しております慶尚北道と姉妹提携をもう十五年ばかり続けております。双方の県庁から役人を交流させたりいたしてやってきたわけであります。

 竹島を持つ島根県とそれを独島と呼ぶ慶尚北道が姉妹提携を結ぶというのも、人間の知恵というのはいろいろなところから出るものだな、そういうものを積み重ねることによってやっていける、私はこう思っておりますし、今は確かに一時的に韓国の世論はエキサイトをしておる部分はあるとは思いますが、時間がたてば、この日韓の友好関係というのはますますこれからも深まっていかなければならないものだ、私はこう確信をいたしておる一人でございます。

 何せ年間四百万人を超える交流が双方の国にございます。領土問題を抱えながら、そういうことはこれまでは少なくとも現実にいい形で来ていたわけであります。羽田―金浦間の直行便の設定もできました。愛知万博、先ほども話に出ておりましたが、それに関連をしてビザを免除するという話も、これも韓国との間ではすんなりまとまっております。さらには、百六組の姉妹都市交流というものがもう現実に日本と韓国の都市の間で行われておる。今またさらにFTA交渉が行われる。さらには、両国首脳のシャトル交流といいますか、毎年、ある年はソウルで、ある年は日本で首脳会談を行うというのも定着しつつある、こう思っております。

 そういう状況でありますので、私は、この領土問題というのは、確かに、正直言ってのどに突き刺さった骨であることは間違いがないと思いますけれども、しかしそれを乗り越えて友好関係をつくり上げていくということは可能である、しかも、その実績を、領土問題を抱えながらこれだけ友好関係を築き上げた二国間というのは世界の歴史にないケースであろう、私はこう思うわけであります。

 本当の意味で領土問題がすべて解決をするのはまだまだ時間がかかるかもしれませんが、その意味で、これからどういう努力をしていけばいいのか。あるいは、当面の竹島問題も含めまして日韓関係の向上にどういう対応をしていく御決意なのか、お伺いをしたいと思う次第でございます。

町村国務大臣 ただいま竹下委員から、大変思慮深い、また示唆に富む、貴重な日韓関係の重要性にわたる御指摘をいただきました。竹下登元総理が日韓関係改善のために大変な御努力をされた、私どもも、まだ駆け出しの議員でありましたころ、その姿を拝見したこともございます。

 そういう中で、昨今のこの竹島の日の制定の動き、あるいは、なぜこれがもう既に問題になるのか理解に苦しむわけでございますが教科書問題、これはまだ全く世の中に出ていないのに、なぜか先週末、韓国で記者会見をやった日本の学者がいるということを聞いて唖然としたわけでございますけれども、この二点について、今、大変韓国側が高揚をしているのも事実だと思います。

 先ほど委員がお触れになりました韓日議連の幹部がきのう数名大臣室の方にもお見えになりまして、じっくりお話を承りました。また、高野大使から直接韓国の今の状態を聞こうと思って、私、帰国するようにということで呼び寄せまして、これは外務省ばかりでなくて要路の方々に、今の日韓関係、現状、あるいは韓国の方々が今どういう気持ちでいるのか、どういう動きが出てきているのかということについてよく実情を説明するようにということで、関係方面を回っていることと思います。

 委員御指摘のように、やはりこういうときであればあるほど、日韓両国の関係の重要性というものに思いをいたして、それぞれの立場、考え方に違いはあるかもしれない、しかし違いはあっても、こういうときこそやはり冷静にそれぞれ努力をしていくということ、やはりそれぞれが冷静に対応していくこと、これが一番大切なのではないのかな、私はこう思っております。いたずらに感情的に対立を激化させるようなことはやはり私はそれぞれ控えることが必要なんだろう、こう思います。

 そして、この一年は、御承知のように、日韓友情年ということで、さまざまなプログラムが日本、韓国それぞれにおいて展開をされているのは委員御指摘のとおりであります。こうしたものを一つ一つ成功させていくこと、そして経済交流はもうますます活発になってきております。それをさらに促進するためのFTA交渉も早急に始めなければならない、こう思っております。

 また、先ほどお触れになった人と人との交流が昨年一年間で四百万人を超えた。昨年十二月の指宿の日韓首脳会談では、これを五百万人を超えるようにしようではないかという野心的な目標もそれぞれ出され、じゃ、そういうことで努力をしましょう、金浦空港と羽田のシャトル便の数ももっとふやすように早急にこの議論を詰めましょうなどなど、大変そういう意味での活発な日韓関係をよりよいものにする、より強固なものにするための努力が今展開をされているわけでございます。

 私は、そういったものを一つ一つ積み重ねること、なかなか、それぞれの国の国民が、特に領土といったような問題になると、どうしてもある種感情的にならざるを得ない。まして、韓国の場合は植民地支配を受けたという傷が、百年近くたっても、やはりそれはまだまだそう簡単にいやせるものではない。

 そういったこともやはり私ども日本人はしっかりと思いをいたしながら、村山談話、あるいは小渕・金大中会談における共同声明、あるいは小泉・盧武鉉間の共同声明、それぞれ日本側の深い反省といったようなものを踏まえながら、歴史をそういう形でしっかりと受けとめた上で、よりよい日韓関係を未来志向的に築いていこう、こういう意識で我々は今一生懸命取り組んでいるところであろうと思います。

 どうか、そういう意味で、竹下委員、これまでも大変な御尽力をいただいておりますが、さらにまた一層日韓関係改善のためにお力添えを賜りますように、我々政府はもとよりでございます、一生懸命努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

竹下委員 どうもありがとうございました。

 昨今は冬ソナブームという状況にありまして、韓流ブームとでもいいましょうか、経済関係、あるいは政治の関係、あるいはスポーツ交流、あるいは音楽の交流、あるいはまさにこういう大衆レベルの交流がここまでお互いに行き来をするようになりましたので、私は、長い目で見ますと、日韓両国の関係、心配はいたしておりません。

 しかし、こうした時々起こる問題をどう冷静に、まさに先ほど大臣おっしゃいましたように、冷静にお互いの国民が乗り越えていくか、それを積み重ねていくかが勝負ではないかな、こう思っておる次第でございまして、私も、今、日韓議連の一員に加えていただいておりますので引き続き努力をしてまいりますし、政府としても、まさに一番近い国、日韓の交流にさらに一層努力をしていただきますことを本当に心からこいねがいまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより本案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、原田義昭君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大谷信盛君。

大谷委員 民主党・無所属クラブの大谷信盛でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明とさせていただきます。

    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  昨年末のスマトラ沖大地震・インド洋大津波の被災は、死者がわが国国民三十二名も含め、二十八万人、行方不明者を加えると三十万人に及ぶとされており、家族や住む家をなくした多くの人々が発生するとともに、観光業に依存する地域に甚大な被害を与えるなど、未曾有の大災害となった。外務省は、被災各国の復興支援のために、アジア及び国際社会の一員として国連や関係各国と連携の上、最大限努力しなければならない。

  また、イラクにおける人質事件の頻発や殺害、マラッカ海峡における日本船舶襲撃拉致事件など、海外渡航者や在留邦人が飛躍的に増大していることに伴い、わが国国民が国際的なテロ・犯罪等に巻き込まれる危険性の増大も否定できない。外務省は、こうした災害やテロ・犯罪等の緊急事態におけるわが国国民の救援保護を含む危機管理体制の拡充を図るため、在外公館の警備及び外交官の治安対策を強化するとともに、迅速かつ適切な対応が取れるような体制を一層強化する必要がある。

  さらに、グローバル化の進展する今日の国際社会において、外務省は、わが国の安全と繁栄を確保するためにも、国際社会全体の平和と発展を目指した能動的かつ戦略的な外交を展開することが求められており、そのために外務省改革を不断に推し進め、早期に実現しなければならない。

  これらを踏まえ、政府は本法の施行にあたり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一、外務省は関係各省及び在外公館との連携のもと、テロや自然災害などの緊急事態時における海外渡航者及び在留邦人に対して「必要な保護扶助」を与えられるような実効的な体制作りを図ること。

 一、外務省は、在外公館の警備をはじめとする危機管理体制の強化に全力で取組むこと。

 一、国際社会のグローバル化による海外渡航者や在留邦人の増加とともに領事業務の重要性が高まっていることに鑑み、邦人の活動環境を向上させるための国民の視点に立った領事サービスの向上に努めること。

 一、外務省においては、総務省の行政評価・監視結果を踏まえ、不祥事の再発を防止し、信頼を回復するため、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。

 一、わが国の深刻な財政事情並びに民間の厳しい諸情勢を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるための具体的措置を講ずること。

 一、現下の厳しい国内情況に鑑み、在外職員の在勤基本手当並びに諸手当についても、各任地における諸外国外交官及び日本企業駐在員の給与制度及び水準も参考としつつ、勤務条件・現地の生活環境や物価水準、為替相場などを総合的に勘案し、適切な水準・内容となるよう努めること。

 一、在外公館における、監査・査察体制の一層の強化を図ること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村外務大臣。

町村国務大臣 ただいま在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。

 法律案と同時に可決されました附帯決議につきましては、これを厳粛に受けとめ、その御趣旨を踏まえて、今後とも外交実施体制の強化を図りつつ、種々の外交課題に全力で取り組んでまいります。

 どうぞ今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.