衆議院

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第4号 平成17年3月30日(水曜日)

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平成十七年三月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 渡辺 博道君 理事 大谷 信盛君

   理事 首藤 信彦君 理事 増子 輝彦君

   理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      木村 隆秀君    高村 正彦君

      佐藤  錬君    鈴木 淳司君

      土屋 品子君    寺田  稔君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      稲見 哲男君    今野  東君

      鈴木 康友君    鳩山由紀夫君

      藤村  修君    本多 平直君

      村越 祐民君    赤羽 一嘉君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 丸山 純一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中富 道隆君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     寺田  稔君

  河井 克行君     木村 隆秀君

  鈴木 淳司君     佐藤  錬君

  武正 公一君     本多 平直君

  古本伸一郎君     村越 祐民君

  松原  仁君     鈴木 康友君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     河井 克行君

  佐藤  錬君     鈴木 淳司君

  寺田  稔君     小野寺五典君

  鈴木 康友君     松原  仁君

  本多 平直君     武正 公一君

  村越 祐民君     稲見 哲男君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     古本伸一郎君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 劣化ウラン兵器の禁止等に関する請願(海江田万里君紹介)(第四七六号)

 同(阿部知子君紹介)(第五八四号)

 同(金田誠一君紹介)(第六〇六号)

 核兵器廃絶に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五一二号)

 米軍機飛行禁止と基地撤去に関する請願(穀田恵二君紹介)(第五一三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五一四号)

 同(山口富男君紹介)(第五一五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六三八号)

 同(石井郁子君紹介)(第六三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六四〇号)

 都市型戦闘訓練施設の建設中止・地位協定の改定に関する請願(阿部知子君紹介)(第五八一号)

 同(東門美津子君紹介)(第五八二号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第五八三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第五九〇号)

 同(横光克彦君紹介)(第五九一号)

 沖縄の新基地建設中止、基地の全面撤去に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省大臣官房審議官丸山純一君、外務省大臣官房審議官中富道隆君、外務省北米局長河相周夫君、外務省領事局長鹿取克章君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、法務省入国管理局長三浦正晴君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。首藤信彦君。

首藤委員 おはようございます。

 きょうは、町村大臣、大きな問題ということで、米軍の基地再編成の問題からお聞きしたいと思うんですね。

 この米軍基地の再編成の問題ですけれども、最近、二十八日に関係都道県知事と懇談をされたということでありました。これは都道県知事の方も大変緊張しまして、これは大変なことが出てくるんじゃないかということで、私たちも気にしていたわけですけれども。

 それに出席された方の記事が載っていますけれども、そうすると、ともかく関係都道府県の知事であって、五分ぐらいしかヒアリングのチャンスがなかった。五分ぐらい、十幾つもの箇所の知事さんが所信を述べて、それに対して政府から何らかの、どういう方向でいくかという話もなかったという話を聞いています。

 そうすると、一体、この会議というのは性格的にはどういうふうに位置づけられるのか、何のための会議であるのか、大変疑問を持つんですけれども、そこのところを、一体どういう目的で、どういうことを話されたのか、そこを説明していただきたいと思います。

町村国務大臣 かねてよりいろいろな県、都道府県の、府はありませんが、知事さん、あるいは市町村長さん、あるいは議会の方々が折に触れて大臣室等にお見えになるわけであります。その都度その都度今までも対応してまいりましたが、松沢知事の方から、松沢知事は渉外知事会の会長さんというお立場でありまして、一度まとめて各県の様子を聞く機会をつくってもらいたい、こういう御要請がありました。

 ちょうど今、国会は予算審議等の最中だから何とか時間をかいくぐって、それじゃつくりましょう、こんなことを申し上げ、いろいろ調整をして二十八日に開いた。あらかじめ、我が方からは余り述べるところは今のところ具体論についてはないわけだけれども、これまでの2プラス2のやりとり等を含めて現状で御報告できることはいたしましょう、主として今回は皆さん方のそれぞれの県で持っておられる問題について伺いましょう、こういうことでありました。

 例えば、松沢知事とは既に私も二度ほどお目にかかり、神奈川県の問題については相当程度詳しく伺っておりました。あるいは、特にいろいろな課題のある沖縄の稲嶺知事さんからも既に何度となくお話は聞いておりますし、最近時点でも、知事が訪米をされる前にお見えになって、三十分ほどでしたでしょうか、いろいろお話も伺っております。

 そういう意味では、主要なといいましょうか、大きな懸案のある知事さんからはいろいろな形で聞いておりますが、その他の、例えば北海道でありますとか、例えば青森でありますとか、そういう知事さんからはなかなか聞くチャンスも率直に言ってございませんでした。したがって、一通り全部伺いましょうということでこの知事会を開き、それぞれの知事からのお考えを伺ったということが、去る二十八日の渉外知事会の方々との懇談の内容でございました。

首藤委員 それでは大臣、今のお話だと、網羅的にいろいろ関係する箇所の、基地のある県の知事さんと懇談された、そこで話されたのは2プラス2の会談の内容の説明であった、こういうふうに解するわけですが、2プラス2の会談内容に関しては、その直後に行われた外務委員会で、私自身も一体どういうことを話されたのかということをお聞きしたわけですね。

 そこで大臣がお答えになったのは、具体的な話は一切していない、特に具体的な名前は出していない、唯一出したのは沖縄だと。後で訂正されて、横須賀ということも言われた。しかし、それ以外の話は一切されていないという話でした。

 そうすると、今回も各都道府県の方に、知事さん、首長さんに説明されるということですから、それはその域を一歩も出ないわけで、そうした漠然とした話だけをされた、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

町村国務大臣 そのとおりでありまして、先般の2プラス2で日米間で共通認識に立ちました戦略目標につきましては、こういうことで考え方がともに一致したということを申し上げましたが、それは第一段階と私どもは呼んでおります。

 第二段階の米軍あるいは自衛隊の役割、任務等に関する話、あるいは第三段階の米軍の区域・施設の具体の再編の話というものについては、これからより具体の議論をしていくのでということで、具体論については知事さんたちにもお話をできる状態にはないということで、主として皆さん方からのお話を聞くということにしたわけでございます。

首藤委員 いや、大臣、それはちょっと私は驚いたんですけれども、戦略目標について一致したというお話をされましたね。そんな話は今まで聞いたことがないですよ。どういう戦略目標について一致されたんでしょうか。いかがでしょうか。

町村国務大臣 これはもう既に何度も何度も申し上げていることでございまして、第一段階、第二段階、第三段階という説明をしております。それで、地域における共通戦略目標、それから世界における共通戦略目標ということで、これは二月十九日の2プラス2の日米の共同声明の中に触れてあるところでございます。

首藤委員 ということは、アメリカとグローバルな戦略目標についてもう合意した、そのように解してよろしいですか、外務大臣。

町村国務大臣 これは、日米安全保障協議委員会、二月十九日共同発表ということで、十数項目についての共同発表文が出されております。これは、もう委員も御承知のとおりのことでございますが。その中で共通戦略目標ということに触れられているわけでございまして、これについては、既に私、この委員会を含め、累次いろいろな、予算委員会等の場でもお話をし、御説明も申し上げているところでございます。

首藤委員 ということは、合意されて発表された分のところだけには戦略目標として合意したということでございますね。

 私がちょっと聞いて驚いたのは、グローバルな、アメリカがいろいろ考えていることに、戦略目標に全部合意したのかと思って驚いたわけですが、そこのところは私もちょっと驚いたわけですけれども、そういうことでございますね。では正確に確認させていただきました。

 そこで、もう何度も繰り返し大臣が述べられたことは、具体的な話はしていない、ともかく極東のやるべきことに協力するという意味での戦略目標については合意したけれども、具体的な話は一切何もしていないということですが、大臣とそのように話させていただいて、納得したと思って二、三日したら、朝の新聞をぱっと見ますと、読売新聞に、座間キャンプにアメリカ軍の陸軍の第一軍団が来るというようなことでしゃあしゃあと載っているわけですね。一体これはどうなのか。

 こんなことを今まで、例えば外務大臣として、こうした一番の責任者ですけれども、責任者が知らない、外務委員会で話しても、そんなことは一切ない、具体的な名前も一切出ていない、こういう話をされていて、では読売新聞が架空の記事を、日本を代表するような大手の新聞社が架空の記事をやるのか。外務省ではそんなこと全然討議していないのか、何も合意していないのかということになりますよね。

 そうすると、結局、もう二つしかないわけですよ、大臣。一つは、町村大臣はお忙しくて、外務省で下々がやっていることは何もわからない、おれは偉いんだから、下の人間が、局長がやっているとか課長がやっているのは、そんなものは知らないよというのか、あるいはよく知っているけれどもやはりそれは言えないから国民をだましているのか、どちらでしょうか。

町村国務大臣 申しわけありませんが、いずれでもございません。

 報道の一々について私がそれぞれコメントをすることは、これは差し控えたいと思いますし、また既に、例えば今具体の地名を先生は言われましたが、これについては昨年来からいろいろな報道がなされております。それらが正しいとか正しくないとか、どこから情報が出たのかとか出ないのかとか、捏造であるとかないとか、それぞれについてコメントすることは簡単かもしれませんが、一切それは私どもはやっておりません。

 しかし、現実問題としては、二月の十九日に行われた会議以降、先般も例えば審議官級の議論が行われました。そういう場で一切の地名が何の議論にも上っていないかといえば、それは違うわけでありまして、いろいろなそれぞれのアイデアを出し合いながら議論をする。

 議論をするに当たって、こういうことで日本政府は考えていったらどうかということを外務省、防衛庁等で話し合いをし、先方も、国防省あるいは国務省の中で多分話をしているんだろうと思いますけれども、そこでいろいろな意見交換をやって、次第に議論を煮詰めていくという作業過程に今あるわけであります。

 したがいまして、その過程の中でいろいろな地名が出てくるのもこれは当たり前のことだろう、こう思います。しかし、報道の一つ一つが正しいとか正しくないとか、あるいは記者がどこでどう取材したか、それは私どもも知る由もありません。したがって、一々これが正しいとか間違っているということは、私どもはあえて言わないようにしているところでございます。

 ただ、彼らも取材の自由というものがありますから、あるいは報道の自由というものがありますから、彼らだってもちろん情報源は秘匿するでありましょうし、そういう意味で、いろいろな報道が出てくるのは、率直に言って、それは私どもの情報管理が不十分であるというおしかりであれば、それは甘んじて受けなきゃならない部分もあろうかと思います。しかし、それを全部、私どもとしてきっちりと、取材があったかなかったかすらもよくわかりませんけれども、すべてについて私が一々コメントしないということに今しているところでございます。

首藤委員 町村大臣、ありがとうございました。問題が明確になりました。

 ですから、結局、大臣は2プラス2でそういう具体的な名前を話さなかった、地名も話さなかった、具体的な部隊の展開も話さなかったと。しかし、今おっしゃったように、審議官級の議論が行われているということですね。これは結局、外務省を挙げて取り組んでいるということじゃないですか。驚きますよ。

 一方では、まだそんな話は具体的に何も話されていない。大野防衛庁長官もそういうような話をされていますし、外務省でもそうおっしゃっていました。外務大臣もそうおっしゃいました。

 冗談じゃないですよ。審議官級の議論が行われていたら、要するに、外務省を挙げて取り組んでいて、具体的な話をしている、具体的なブループリントがつくられているということじゃないですか。

 ですから、一体どこまでその話は進んでいるんでしょうか。いかがでしょうか、外務大臣。

町村国務大臣 第一段階が一応完了したわけですから、第二段階、第三段階の議論を始めるのは、これは当然のことでございます。そういう意味で、審議官級であれ、いろいろなクラスでいろいろな議論をしていくということは当然のことでありましょう。

 しかし、現状でまだ、およそ両国間で合意、あるいは大体この線でいくかといったようなことについて一切のまとまったことにはなっていないわけでございまして、いつまでも抽象論だけをやっているわけにはまいらないわけでございましょうから、そういう意味で、どういう話が、これからまたどう変わっていくか。議論の結果、それぞれが考えていたことと違う答えになっていくことだって十分あるわけでありまして、その途中過程というものを逐一全部公にするということは、私は、いい成果を生まない。

 やはりある程度議論が、これでまず双方が合意できる案だというものができた段階で、私は、関係する自治体等の皆さん方に説明をし、その上でまた地元の皆さん方の反応も聞きながら、最終的な合意をまたその後につくっていこうというプロセスを踏んでいくというふうに考えているわけでございます。

首藤委員 外務大臣、結局、今、具体的な地域という話がありましたけれども、県知事さんに聞いてもしようがないんですよね。もちろんそれは、手続的には聞かなきゃいけない。しかし、例えば座間キャンプの問題であれば、大和市、座間市、相模原市と、本当に直結する広域の自治体が関係してきて、それがそれぞれ個別の課題を抱えていて、それぞれ異なった政治地図を持っています。ですから、そういう方に一応ヒアリングをしっかりされないと、この問題というのは一歩も先へ進まないと思うんです。

 先ほどのお話でしたら、この先これから進めるとして、一体、具体的にどのような手続で、どのようなタイムスパンといいますか時間の経過でそういう話をしていくのか、そこを御説明いただきたいと思うんです。

町村国務大臣 先般の各知事さんからのお話では、米軍が所在する市町村と十分なお話し合いをされた、あるいは日ごろからの情報交換をしておられる、そういった状況を踏まえてのお話を私どもは伺えたというふうに思っておりまして、そういう意味では大変に有意義であった、こう考えております。

 今後の作業の段取りについての今お尋ねでございました。私どもとしては、先般、2プラス2の場で、向こう数カ月間の中で集中的に議論をやっていこう、議論を加速化していこう、だらだらと一年も二年も三年も議論しているわけにはいかないだろうというようなことで、具体にいつまでということを決めてはおりませんが、おおむね数カ月程度の範囲でまず原案づくりに精力を上げようではないか、こういうことを2プラス2で合意をしたところでございます。

首藤委員 それは各自治体、いろいろ問題がありますから、大変なことがこれからあるんだと思いますけれども、そんな数カ月でとても済むような問題ではないと思います。

 それよりもう一つ大きな問題は、例えば、米軍の陸軍第一軍団が座間へ来るとなると、これはもう皆さん御存じのとおり、第一軍団というのは、当然のことながら攻撃性を持っていて、それから広域性を持っている。攻撃性というのは、ストライカー部隊とか、いろいろ持っているわけです。その意味で、もともと極東の安全、日本の安全ということを前提とした日米安保、それから我が国の、そもそも武力を持たない、他国を攻撃するための武力を持たないという我が国の憲法、これに抵触することは明らかなんです。

 しかし、もし第一軍団が来るとなれば、司令部が来るとなると、この日米安保それから日本国憲法に抵触しない形で、一体どういう条件で来る可能性があるのか、そこのところはいかがでしょうか。

町村国務大臣 米陸軍第一軍団の任務というのは、彼らのホームページを通じて情報が出されておりますが、太平洋地域における危機事態に早急に対処する任務を負っている、ワシントン州フォートルイスにある第一軍団の司令部はこういう部隊を指揮統制する役割を有する、こういうようなことでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、この米陸軍第一軍団司令部が座間にという報道があるのは私も承知をしておりますが、現実にそういう話がどういう、例えば米陸軍第一軍団司令部が現在持っているものが丸々座間に来るということを彼らが提案してくるのか、してこないのかということについては、私どもまだ承知をしておりませんし、米陸軍あるいはそれは海軍も空軍もすべてそうでしょうが、今まさに再編成をやろうとしているそういう過程であります。したがいまして、今委員が御指摘のような憲法云々というようなところの議論にはとても立ち入らないわけであります。

 ただ、私どもとしては、これまでも何度かこの委員会等でも申し上げてまいりましたけれども、既存の安保条約あるいは関連取り決めを全部変更してやろうという考えは持っていないわけでありまして、現在ある規定の中、もちろん憲法はもとよりでございますが、その範囲の中で作業を行うということを今回の出発点にしているという点だけは御理解をいただければ、こう思っております。

首藤委員 いや、外務大臣、やはり小泉政権そのものが国民に対しての説明責任を果たしていないという意見が国民の中に非常に強いわけですけれども、外務大臣も全くそうですね。

 この問題に関しては、報道は大したことないと否定されるかもしれませんけれども、例えば、外務省の中で条約局と北米の地域局との対立があって、条約局は、どう考えたって第一軍団が来るのは日本の安保に違反する、その範囲を超えているというふうに言っていたら、地域局の方あるいは総合政策の方が、いやそんなことないんだというふうに押し切っているという報道がたくさんありますね。ですから、この問題というのは、明らかに日本国の憲法そして日米安保に抵触するわけですよ。

 今おっしゃいましたけれども、司令部だけ来たらどうなるか。部隊は来ないから関係ない。冗談じゃないですよ。これは去年、国民保護法制でやったように、有事には我が国の軍隊はアメリカ軍の中に吸収されていくわけですよ。ですから、司令部は四百人来たというところに、この司令部は四百人で来るんですけれども、日本では十五万人の陸上兵力の大部隊となるということですよ。

 ですから、それはもう大変な問題であって、十五万人ということの意味はおわかりだと思いますけれども、それは日米安保それから日本国憲法に完全に抵触する問題ですから、そこをどうやって乗り越えていかれるつもりなのか、外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 したがって、仮定の問題を私が今ここでお答えをするつもりもございませんが、基本的な考え方については先ほど述べたとおりであります。

 何局と何局との対立、まことにマスコミ的にはおもしろい報道があることは私も承知をしておりますけれども、それはいろいろな議論のプロセスで、これからだって、ある時期、いろいろな議論を縦横無尽に役所の中でやるのは当然のことだろうと思います。

 しかし、だからといって、第一軍団司令部がそのままフォートルイスから日本に来るという前提で、それは頭の体操をやることは幾らやってもいいと思いますが、そこにはおのずと一つの限界といいましょうか一定の制約がかかる、それは当然のことだろうと思っておりまして、そういう意味で、私は、今第一軍団司令部が座間に来たらどうかというストレートな御質問には、そういう議論はまだ日米間で行われていないということを申し上げ、しかし共同作業ですから、お互いいろいろなアイデアを持ち寄る中で今後さらに議論をしていこうという現状にあるんだということを私は首藤委員にはお答えをさせていただきます。

首藤委員 外務大臣、大変ありがとうございました。問題がクリアになりました。

 私たちは、第一軍団司令部が来るというと、やはりすべての、コマンドセンターを含め、司令部そのものが来るんじゃないかと思っていましたけれども、日米でやっている議論というのは、フォートルイスにある司令部の一部が来るかもしれない、かもしれないという議論であるということは、外務大臣の口から言っていただいて、本当に、ある程度安心したわけですけれども。

 さて、米軍基地の再編問題というふうによく言われていますけれども、これは今までの議論でおわかりのように、基地の再編じゃないんですね。普天間基地をどうするかとか、どこへ機能を移転するかとかいう問題じゃなくて、米軍再編問題なんですよね。だから米軍が冷戦構造が終わった後に基地を縮小し、またテロとか新しい脅威、新しい地域的な脅威に対処するために米軍を再編するという総ぐくりの中において、その配下にある日本の基地をどうするかという問題ですよね。

 ようやくここで明らかになってきたわけですけれども、そうした大きな問題であるということで、これからも引き続き議論をさせていただきたいわけですが、ただ、それがゆえに、国民には早く内容を伝えていただきたい。

 これを、半年と言いましたけれども、もう一月たっているわけですね。ここで、例えば神奈川でいえば、これはいろいろな大変難しい政治的な問題もあります。これは私は、もし本当にそういう司令部が来るような事態があれば、これはまた六〇年安保の再燃じゃないかと思うわけですが、それぐらい大きな問題を抱えているんですよ。

 こういう問題を早く国民に提示してやっていただかないと、私は、もうあと数ヶ月しかありませんけれども、もしそういうことで具体的に、例えば座間へ来るということになれば、あるいはほかの地域でもそうですけれども、恐らくほとんどの二十八日に呼ばれた首長さんのところはリコール運動が起こると思います。私はそれが間違いなく起こると思いますね。

 ですから、そういう問題はやはり国民に早く全体のピクチャーを見せて、そして、こういう可能性があるんだ、やはり世界の脅威に対抗するにはこうしなきゃいけないんだということをしっかり見せていただかないと、これは少なくとも私のいる神奈川県に関しては全く認められない、その結果は大変恐ろしい結果になるであろうと言わせていただきます。

 さて、次の問題は、やはりそれとも関係あるわけですが、北朝鮮との問題です。

 北朝鮮の問題に関しては、言うまでもなく、六カ国協議というものが重要なんですね。この間、ライス国務長官、新任の国務長官が来て、各国を回られて、中国も回られて、六カ国協議をしようということを言っていました。

 六カ国協議は二〇〇三年からスタートしたわけですけれども、私は、六カ国協議というもののウエートというのは、もうはるかに、飛躍的に重くなったと言わざるを得ないと思うんですね。例えば、スタートしたときには今ほど東アジアにおける国際関係というのは緊張していなかったわけですよ。

 例えば、中国との関係であれば、靖国の問題はもちろんそうですが、尖閣諸島の問題とか、あるいは台湾ですね。台湾が、もし、例えば独自の憲法を持ったり独立の動きをとると、武力行使も辞さない、非平和的な手段も辞さないという声明まで出てくるようになってきている。

 それから、ちょっと北の方へ行って、北朝鮮の裏側にあるロシアの問題ですけれども、これも、プーチンさんが四月には来ると我々みんな期待して、私も昔の古いロシア語の教科書か何かを見て、ロシア語を片言でもしゃべろうかなと思って勉強していましたけれども、もう全く意味がない。これはやはり、北方四島の問題は全然動かなくなりました。

 それから、北朝鮮の問題で一番重要なのは韓国。韓国とはもう本当に二人三脚でいかなきゃいけないぐらい大きな問題ですよね。ですから、韓国とはもう共同歩調をとらなきゃいけないんですが、竹島の問題でこんなにぎくしゃくしてきた。もう冬ソナのあの大ブームを打ち消すぐらいの大きな問題になってきている。

 最後にアメリカ。アメリカでは今、御存じのとおりBSEの問題があって、非常に大きな問題を抱えている。

 何のことはない、六カ国協議といったって、日本を取り巻く環境は、みんな日本に向かって、きばをむいているとは言わないけれども、要するにある程度の緊張関係にあるわけですよ。ですから、この六カ国協議というのは、単なる北朝鮮の問題を超えて、東アジアにおける安全保障システム、それ自体をどういうふうにつくり上げていくかという大問題に今発展しているわけですね。

 では、その六カ国協議、ライスさんが各国を回られて、一体どのような進展があって、いつごろにそれが再開される可能性があるのか、その見通しをお聞かせ願いたいと思います。

町村国務大臣 この六カ国協議のメカニズム、日本としても大変重要なものである、こういう位置づけで臨んでいるところでございます。

 北朝鮮によります核保有宣言といったような声明もある中で、今、私どもとしては、他の五カ国とここは意見のまさに一致を見ているところでございますけれども、核のない朝鮮半島というものをつくらなければいけない。そのためには、平和的な手段で、六カ国協議という平和的な話し合いの場を通じて北朝鮮に核兵器の保有を断念させるということを迫っていく、あるいはミサイルの問題等もそこで扱っていく、日本からは拉致の問題もそこで提起をするというような大変重要な場であるということは委員の御指摘のとおりである、こう私も考えております。

 北朝鮮側が早期にまた無条件で再開に応ずることの必要性、このことについてはすべての関係五カ国が一致をしております。日米間でも日中間でも、あるいは日韓間でも日ロ間でもそのことは全く一致をしているわけでありまして、それらの国々と共同しながら、今外交的な調整をいろいろやっているということでございます。

 特に、中国の役割の重要性、これは歴史的にも地理的にも、また経済的にも大変北朝鮮とのかかわりが最も深い国ということでありまして、私どもは、中国にただ単に調停者という役割ではなくて積極的な問題の解決者としての役割を果たしてもらいたい、こういうことを私も中国外交部部長にお話を電話でしたところでございます。

 あるいはライス長官もそういう話をされたということで、二月に王家瑞中国共産党中央対外連絡部長が訪朝され、さらに先日、北朝鮮の朴奉珠総理が訪中をするというような往復もあったわけでございまして、こうしたさまざまな働きかけをしておりまして、中国も熱心に取り組んでもらっていると私は評価をしております。

 ただ、報道されているところによりますと、北朝鮮側の発言によれば、六者会合を早期、無条件で再開すべきという関係国の求めにこたえるという姿勢では今のところないということを承知しておりますけれども、今後とも関係国と緊密に連携をとりながら、彼らが、今申し上げたように、早期に再開できるように、そういう話を、外交努力を、今後とも日本としても傾注をしていきたい、かように考えているところでございます。

首藤委員 そういう話は我々はもう新聞でも何でも読んでいるわけですけれども。

 では、何で障害になっているのかというと、それはやはり日本と北朝鮮との関係ですよね。障害になっているのは二国間の関係なんですよ。その二国間の関係のどこが起点かというと、それは昨年に外務省が派遣団を送って、そこで横田めぐみさんの遺骨と称されるものが送られてきた、それを科学分析に回したらにせものだった。そういうことで十二月から一挙に緊張感を強めて、日本は小泉さんが約束した人道支援まで打ち切っちゃったわけですね。

 では、そのもととなった、横田めぐみさんの遺骨がにせものだった、かくも不誠実な国だ、かくも私たちをばかにしている国だ、こういうふうに一方的に言っているわけですけれども、では、その科学的分析というのは、これはもう前回言わせていただきましたこのネイチャーで、いや、そんなことでは、火葬になった骨の断片からは、今の技術ではミトコンドリアのDNAは発見されないというのが科学的知見であり、発見されたとしても科学的にそれを確証できないという記事が出ました。

 私は、世界を代表するような科学雑誌のネイチャーがそういうことを発表したのは驚いたんですけれども、さらにまた、それの継続でネイチャーは、日本政府をもう一度、日本政府のやっていることは科学を政治でゆがめているとエディトリアルで書いているわけですよ。

 このネイチャーは、御存じのとおり、何か趣味の人が見るのではなくて、世界を代表するような科学者、何十万人の大科学者がそれを見ているわけですよ。だから、もしそういうことで、ネイチャーの言っていることに日本も反論できなければ、これはもう本当に日本の科学の水準、そしてまた科学を日本が悪用しているんじゃないかという批判にこたえられないわけですよ。

 これは既にもうネイチャーだけではなくて、韓国でも大変強烈な批判があって、韓国は日本と違って、例の有名な地下鉄の火災事件というのがあって、地下鉄で犯人がガソリンをまいたために百人を超える人が焼死体になっている。本当にたくさんのサンプルがあるわけですよ。そこでも、こんなに限られた空間で、こういう火葬とかシステム的に高温の熱を与えるんじゃなくて、火葬というのはばらばらな条件があって、靴を履いていれば温度が下がったりいろいろなことがある。それにもかかわらず、韓国では、その焼死体の中の焼けた骨からは一切DNAが発見されなかったということなんですよね。

 それから、九・一一のアメリカのテロの中でも、あれも本当に限られた、しかも火葬とかいうんじゃなくて本当にいろいろな条件があって、もっと検査という点ではよりDNAが残りやすい状況にあったにもかかわらず、何と四割が確定できなかったというように言われているんですよ。

 どうしてそれが日本で認められるのか。そんなだったら、日本の科学的水準が本当に怪しいものだ、しかも、それを政治がゆがめているという評価が定着していきますと、例えばBSEの問題に関しても、日本がこういう科学的な成果があるからアメリカじゃなくて日本はこちらへ行くんだと言っても、世界で通らないじゃないですか。

 ですから、そうしたネイチャーの第二回のものが、エディトリアルが出て、世界じゅうから日本のこの検査に関しては大変な批判がある、これに対して日本政府はどういうふうに対応しようとしているんでしょうか。いかがでしょうか。

町村国務大臣 ネイチャーが立派な雑誌であるということは私も承知をしておりますが、一々の報道等には、それは必要があれば反論してもいいのですが、私どもは一々それについて言う必要はない、こう考えております。

 御指摘の取材を受けた関係者に対しても、これは私ども、直接というよりは捜査当局の方から事実関係を確認したわけでございますけれども、その関係者は取材の中で、焼かれた骨によるDNA鑑定の困難性一般論を述べたにとどまっておりまして、当該鑑定結果が確定的ではないんだという旨を言及したことではないということをその方が言っておられると私どもは聞いております。

 いずれにいたしましても、この当該報道が今回私どもがやったこの鑑定結果に何らの影響を及ぼすものではない、私どもはそう判断をいたしております。

首藤委員 違いますよ、外務大臣、これは日本の、あるいは東アジアの安全が絡むかもしれない大きな問題なんですよ。いろいろ緊張関係があって、もっと大きな深刻な問題になったとき、あるいは日本が国際社会で拉致問題を解決するために訴えて、その起点がどこにあるか論争になったとき、日本の態度というものが、こんなに非科学的なことで日本が主張してきたということが明らかになれば、我が国は再度、私たちの名誉を失っていくわけですよ。ですから、このことは本当にそんな一雑誌の問題ではないんですよ。

 私自身も、その雑誌の記事を書かれたシラノスキー記者にインタビューして詳しく聞きましたよ。そうすると、やはりこれは、それを分析された吉井講師自身が、これは驚いた、自分でもまさか出てくるとは思わなかったというぐらい、彼らにとってもたまたま出てきたことなんですね。

 しかし、問題は、それがうそだとかいうんじゃなくて、明らかに、吉井講師自身が認めているように、骨というものはまるでスポンジのようにいろいろなDNAを吸収してしまう。そこで人が話していて、例えばつばが飛んでいったり、あるいはそういう何か生体の微妙な飛沫、汗とか空気の中の湿気とか、そういうものでもDNAというのは吸収されていくわけですね。

 そこで、例えば、違うというならば、ほかの人のDNA、ミトコンドリアが出るというならば、例えばそこの研究室にいるすべての女性のDNAをチェックしたか、そういうことが本当は必要となるわけですが、この問題がどういうふうにされたかは大変疑問なまま、あたかも科学的な証拠だとして外交の関係を断絶するぐらい大きなことをやり、それが六カ国協議の障害になっているんですね。この責任というのは、やはり政府の責任というのは余りにも大きいと思うんですね。

 問題なのは、ではもう一回骨を出してくださいと言ったら、それは実験の過程で粉砕しちゃってなくなっちゃいましたと。証拠がなくなったら、これは反論しようがないじゃないですか。いかに北朝鮮のいわゆる備忘録がインチキだとかいったって、こちらも立証できなければいけない。

 そこでお願いしたいのは、分析ですけれども、クローン化していくわけですね。ただその骨からDNAを取り出すんじゃなくて、それを、そのミトコンドリアのDNAをクローン化していく、いわゆるネステッドPCRという方式で吉井講師が独自にやられるわけですけれども、当然のことながら、その結果として出たものは何かの形で残っているんです。

 骨自体は、粉砕しそれを溶液に浸して溶かしてしまったかもしれない。しかし、その結果を遺伝子に写したプライマーや、あるいは、もし細菌とかそういうものに写したら、それはそこのコロニーには当然のことながら残っているわけですね。それは果たして残っているのか。もし残っていなかったら、私は、それは証拠を隠滅したことになる、そうじゃないでしょうか。警察の御意見をお聞きしたいと思いますが。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 本件鑑定は、まず申し上げますと、横田めぐみさんの遺骨であるとして北朝鮮側から提供があったものにつきまして、刑事訴訟法の規定に基づきまして、厳格な手続によりまして、国内最高水準の研究機関であります帝京大学及び科学警察研究所でDNA鑑定を実施したものでございます。

 今御質問の中で、いわゆるコンタミネーション、汚染の可能性ということも御指摘をされましたけれども、そういった問題については、鑑定人において十分考慮され、骨片をまず十分に洗浄した上で鑑定を行ったものと聞いております。その表面を洗浄した液からはDNAは全く検出されていないということでございまして、骨表面の汚染物質によるDNA鑑定の結果ではないということが鑑定書の中においても明らかになっているところでございます。

 それから、お尋ねの鑑定に供したDNAの増幅物は保存されているのかということでございますが、具体的な鑑定の内容につきましては捜査上の問題でございますので差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、こういった鑑定に際しましては、鑑定の客観性を確保するために、可能な範囲で再鑑定のための考慮というものが払われているものであるということは申し上げておきたいというふうに思います。

 ただ、本件の鑑定は、事の重大性、重要性を十分考慮しまして、鑑定人において二度にわたって行われました。二度とも同様の結果が出たものであるということを申し上げておきたいというふうに思います。

首藤委員 いや、局長、それはおかしいですよ。刑事訴訟法でこういうような手続で、例えば人の罪科が決まり、警察は柏に巨大な科学警察研究所、科警研を持っていて、にもかかわらず一私学の一講師がやっている研究機関が日本の最高水準というんだったら、それなら科警研は廃止したらいいじゃないですか。膨大な人間がいて。そんなことで有罪、無罪の証拠が出たら、科学警察じゃないし、近代警察じゃないですよ、それは。

 それは、当然のことながらクロスチェックをして、もしこういうような国際的な問題だったら、国際機関にも頼んでやって、それから例えば先ほど言っていたネステッドPCRの結果、サンプルが残っているならそれを今提示されたらどうですか。我が国も吉井講師以外にもいろいろな法医学の専門家がたくさんいて、その方たちが見て、ああ、それは間違いない、これは確かにそういうことがあって、コンタミネーションじゃないということがわかれば、それはそれでまた一つの外交をバックアップする事実になっていくわけです。ですから、どうしてそういうことをされないかですよ。

 私は、吉井講師に会う必要はもちろんあると思いますけれども、それはまたこれからの話題として、その吉井講師が何と警視庁の科捜研の研究科長になっちゃった。これ、職員ですよ。科学警察の研究所へ出向されるとか、そういうことならともかく、一民間人のおよそ警察的な訓練を受けていない人が警視庁の科学捜査の、捜研の、それの職員になってしまう。それは、多くは今既に言われているように、証人隠しじゃないですか。

 こんなことをやっていては日本がやはり世界から認められるわけないですよ。こんなこと、分析結果、私は北朝鮮の今までやったことも言っていることもでたらめだと思いますよ。しかし、相手がでたらめだからといってこちらがでたらめをやっていいということは何もないんですよ。やはりきちっとやっていかなければいけないんだと思うんですよ。

 そうした問題に関して大臣にお聞きしたいんですよ。ですから、客観的に言うと、これは韓国でもアメリカでも、このネイチャー誌を見た人からもうぼろくそに言われています。それならば、なぜこんなインチキなものをやったか。二つしかないんですよ。

 一つは、もういいから、北朝鮮との間はもう完全に国交を断絶するつもりでばんとぶつけてやる、もう言い言葉に返す言葉でぶつけてやると。あるいは、横田めぐみさんが本当にどこかで生きていると確証を持っていて、だから遺骨なんというのは全部うそなんだということを考えておられるのか。どっちのケースでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 委員から我が方の科学的な鑑定のその信憑性をまことに疑わしめるような、そういう御発言があったのは、私は大変残念なことだと思います。私どもは、何の予断も持たずに、あらかじめどういう結論を引き出そうということで警察の鑑定を受けたわけではございません。あくまでも鑑定は鑑定として、客観的、第三者的なものに答えを出してもらおうということで警察の方がなさったわけであります。

 それについてまことに今の委員の発言は、何かあたかも結論を持ってそういう結果をもうどんどん書いたと言わんばかりの御発言は、ぜひこれは、私どもがこの問題に真剣に取り組んでいるということに対する半ば侮辱ともとれるような御発言でありますから、ひとつ私は、その辺はよく慎重に言葉を選んで御発言をいただきたいとお願いをいたします。

首藤委員 いや、外務大臣、今おっしゃった言葉はそっくりお返ししますよ。私は、こういうことを言えば、私のところにはたくさんの抗議メールが来て、いろいろな電話がかかってきて、大変な思いをしているんですよ。しかし、私は、日本の名誉のために、国会議員として真実を明らかにしなければいけないと。

 私は、別に政府を批判しているんじゃないんですよ。真実はどこにあるのか。真実を確証できるならば、証拠があるなら、もう一度確証したらどうですか、そういうことを言っているわけですよ。それは、ですから外務大臣、まさに同じ言葉をお返ししたいと思います。

 残念ながら時間になりましたけれども、私は、この問題を明らかにしなければ必ず国際社会の場で日本が再度たたかれることになる、したがってやはりこの問題はしっかりして先へ進んでいきたい、そういうことを切に切にお願いして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、大谷信盛君。

大谷委員 民主党、大谷信盛でございます。

 きょうは、FTAを中心に四つのテーマについて御質問させていただきたく思っております。あのスマトラの新たに現地時間三月二十八日に起こりました地震について、そして春暁のガス油田、日中関係について、そしてもう一つが今開催中でございます愛知万博について、簡単に質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、新たに発生いたしましたスマトラ沖の大地震について、新聞報道ですと、きのうは二千人の方が被害に遭った、きょうの新聞ですと四百人の方が死亡されたというような報道になっておりますが、現状をどんなふうに把握されておられるのか。

 また、きのうの新聞ですと、邦人は四十七名中四十六人、アチェですけれども安否が確認されておる、また一番被害の多かったインドネシアのニアス島においては、二名の日本人がおり、日本人二名の安全が確認されたというような報道がきょうの朝ございましたが、今どのような状況で、どのように把握されて、どのような邦人保護をされているのか、教えていただけますでしょうか。

鹿取政府参考人 まず、邦人の安否状況について御説明いたします。

 地震発生後、直ちにアチェにあります在インドネシア大使館臨時事務所を通じまして安否確認に努めてまいりました。臨時事務所の方で我々が把握している、すなわち届け出のある邦人の方々は四十九名おられます。その四十九名のうち四十八名については安全を確認しております。あと一名の方については、そもそもまだアチェにおられるかどうかも我々として必ずしも十分に把握しておりませんけれども、いずれにいたしましても、これからも鋭意、安否確認のための努力を行いたいと思います。

 また、今委員御指摘の新聞報道の件に関しまして、私どもも、実際に個人の旅行の方々がどの程度おられるかというのは十分把握できないんですが、邦人の旅行者が例えば島で一人発見されて、その方から無事であるという連絡を受けたという情報は我々も受けております。こういう情報についても、引き続き鋭意確認に努めてまいりたいと思っております。

町村国務大臣 以上のような状況でございまして、これに対して、政府として千五百万円相当の毛布、テント等を送るということを決めて、これはシンガポールの方に私どもストックを持っておりますので、多分そこから持っていくと思います。

 それから、国際緊急援助隊医療部隊を本日中に現地に、たしか十一名だったと思いますが、これを派遣して取り急ぎ対応していこう、今後さらにどういう対応が必要なのかということは、現地の状況を見ながら、また先方の政府等と話し合いをしながら、またさらに必要な対応はしていこう、こう思っているところであります。

大谷委員 ありがとうございます。四十九名中四十八人の安全が確認された、また、ほかにおられるかどうかということをしっかりと把握するよう努力されているということでございますので、ぜひともそこは努力していただきたいというふうに思います。

 この四十八人の方々、そんな被害に遭っていないから大丈夫なのか。被害に遭っていて、前回のスマトラ沖大地震のときのように、海岸ですから、海辺で、海水パンツ一丁、水着一丁でということで避難された方も多く、そんな中、お金も持っていなければ身分を証明するものもないというような状況で在外公館に助けを求めても、なかなか連絡がうまいこといかなかったりとかというようなことも聞きましたので、そんなことがないようにしていただきたいというふうに思っておりますが、その辺はどうですか、四十八名について。

鹿取政府参考人 私どもが今まで得ている情報に基づいて申し上げますと、四十八名の方々が特に困難な状況に陥っているということは承知しておりません。

大谷委員 大臣に要望したいんですけれども、今先ほど、十一名の医療チームそれから一千五百万円分の毛布が救援として送られる、その後、現地の政府とやりとりしながら支援を考えていくということでございますけれども、何か聞いていますと、津波の警報が非常に遅かったというようなことがありまして、日本ですと、諸外国に比べてどれぐらい津波の警報体制というものが進んでいるのかわかりませんが、そんな警報体制のノウハウを意見交換し提供できるようなこととか、そんなにお金をかけなくても済むけれども、しかしながら非常におくれているようなところで、お互い切磋琢磨して、お互いの安全性を高められるような協力、研究というようなことができるというふうに思うんです。

 そんな、きめ細かなというか、象徴的な支援というか協力体制をぜひつくっていただいて、しっかりと末長く地域の復興に関与していただきたいというふうに思うんですけれども、何か町村外務大臣的なリーダーシップを発揮しようと思っているようなところはございますでしょうか。

町村国務大臣 気象庁の方からは、地震発生後約一時間たったところで、我が方出先大使館、あるいは先方のインドネシア等の関係国政府に対しても、津波に関する情報は提供したと聞いております。

 また、津波の早期警戒システムというものを、太平洋地域の方はあるんですがインド洋地域にないということで、これは一月十九日から神戸で開かれました国連防災世界会議の場等を通じまして、関係国がいろいろ集まって、どういう形でそれをつくるのかという議論が既に相当始まっております。

 そのようなことで、タイとかあるいはインドとかあるいはインドネシア、こういう国々を中心に、そういった新しいシステムをインド洋の方でもつくろうではないか、もちろん私どもそういうノウハウの蓄積も相当あるわけでございまして、最大限そういったことに協力をしようということで、今専門家同士の議論がかなり進んでいる、このように聞いておりますので、そういった方面でもできる限りの協力をしてまいりたいと考えております。

大谷委員 新聞報道によりますと、これからもまだ、余震というか、マグニチュード七以上の地震が地域において発生するような可能性もあるということでございますので、ぜひとも抜かりなく日本の役割を果たしていただきたいというふうに思います。

 それでは、FTAについての質問に移りたいというふうに思います。

 いよいよ、あしたあさって、四月一日からメキシコとのいわゆるEPA、FTAが発効いたします。日本国にとっては二つ目のFTA、EPAの条約の開始でございます。そんな中、今週初め、先週末、新聞報道を見ておりますと、日本とタイとの貿易自由化、FTA交渉というものが膠着状態であるとかというような報道がなされております。

 それの中身を紹介いたしますと、砂糖やでん粉というタイ側が望んでいた自由化の物品というものを譲歩したということで、日本側が自由化を望んでいる工業品目、例えば鉄鋼であったり自動車であったりするようなものも譲歩をしてもらわなければというような背景の中で、なかなか交渉が進んでいないというふうに聞いております。

 それで、きのうは次官級の協議があったそうでございますが、今どんな状況で進んでいるのか、簡単に御説明いただけますでしょうか。

中富政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、今までタイとは六回の協議を行い、また今週タイにおきましてハイレベルの協議を行っているところでございます。

 日タイのEPA交渉におきましては、それぞれの関心項目が当然違っておりまして、日本側は鉄鋼、自動車等の鉱工業品や、それからハイレベルな投資サービスのルール等に関心がございます。タイは、今農産物の御指摘ございましたが、農水産品やそれから人の移動に関心を有しております。現在、精力的に交渉が進んでいるところでございます。

 交渉中の事項につきまして詳細に申し上げることはできませんけれども、解決すべき点がまだ多く残されております。いずれにいたしましても、我が国といたしましては、この協定が日本、タイ双方にとりまして利益のある協定となるよう、引き続き交渉を通じまして努力をしたいというふうに考えております。そのような精神で、今交渉を行っております。

大谷委員 今粘り強く交渉とおっしゃいましたが、そこの部分をきょうは強調させていただきたいというふうに思っております。自由化度の低いEPA、FTAであったならば、僕はやらない方がましだというふうに思っています。

 それで、今粘り強く交渉している中身、具体的には交渉中であるからということでございますけれども、最終的な交渉のあるべき姿として、では、鉄鋼や自動車なんかが自由化をされていなかったら、自由度の低いものであって、余り意味のないような交渉になってしまうということをおっしゃったんですか。

中富政府参考人 交渉の具体的な詳細について申し上げるわけにはいきませんが、鉄鋼や自動車の分野、それから投資サービスのルール等が日本の主要な関心項目であることは間違いございません。そうした項目について、できるだけ日本の主張を通せるように交渉を進めていくというのが必要でございます。

大谷委員 大臣、今交渉中だということで、中身を具体的にはという話でございましたが、私の感じているところによりますと、農業でタイ側が自由化できなかったから工業品目でもなかなか日本が望むような自由化はできないんじゃないかというような状況にあるというふうに思うんです。

 そんな中、取りまとめ官庁が外務省でございますので、いろいろな官庁が絡んでいる中で、ひとつリーダーシップを発揮していただかないといけないというふうに思うんですが、どんなふうにこの交渉経過を見、どのようにしていこうと思っていらっしゃるんでしょうか。

町村国務大臣 昨年の十二月の二十一日に経済連携促進関係閣僚会議というものを開きまして、改めて今後の経済連携協定の推進についての基本方針というものを決めたわけであります。これも外務省が原案を書き、各省と協議をして取りまとめたものでございまして、その中にもやはり、WTOを中心とする自由貿易体制を補完するものとしてのEPA、FTAの交渉である、そして、それはお互いの、それぞれの国の構造改革の推進にも資するものでなければならないという基本的な考え方が述べられている。ほかにも幾つかの点が、東アジア共同体等々、書いてございます。

 そういう観点からいたしますと、今委員御指摘の、農業で、言葉はなんでございますが低いレベルで妥結したんだから、工業製品も低いレベルでいいのではないかということになるかというと、それは違うと思います。やはり、もちろん、タイのお米など、日本にとっては最もセンシティブな品目というものはありますから、すべてというわけにはそれはなかなかまいりません。ただ、できる限り農産品についても今精力的に交渉しておりまして、先日の、今行われております会議でもかなり農産物分野の議論が進展を見た、こう私は聞いております。

 それとともに、今、一部工業品の関税、投資ルールにつきましても、やはり私どもとしては、それらについてかなり大きな進展がなければいけないだろう、こう思っておりまして、願わくは春ごろまでにとか、目標はあるわけでございますけれども、余りその目標期限にとらわれずに、じっくりと腰を据えて交渉をすべきであろう、かように考えております。

 また同時に、今タイはアメリカともFTAの交渉をやっております。そんな中身も横目で見ながら、十分に日本にとって、またタイにとって、双方が満足し、納得し得るものに仕上げるように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

大谷委員 四月末までにまとめるようなつもりで頑張るんだという新聞報道ですけれども、今大臣おっしゃったように、僕は焦っちゃいけないというふうに思うんですよね。中国におくれをとるなとかいろいろな言われ方がされておりますけれども、中身が大事だというふうに思いますので、ぜひとも、五月になろうとも六月になろうとも、自由度の高いものをつくるというところで尺度を持っていただいて、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。

 続いて、このFTAの交渉をしていく順番ということ、もっと言いかえるならば戦略性ということについて議論をさせていただきたいというふうに思います。まさに、どこの国と交渉し、どこの国と先に結んでいくか。

 例えばタイですと、自動車産業が向こうでもそれなりに盛んです。そして、日本の部品もたくさん輸出し、日本の自動車を世界に輸出するときタイというような場所を経由してやっていくとか、いわゆる産業の集積地にしていくとかというような経済戦略もそこには絡まれてきます。すなわち、順番が非常にFTAの交渉の中では重要なんだということなんです。

 今、スイスとの交渉が始まるや始まらないとかというようなことを聞くんですが、これはどういう戦略に基づいて話が出てきたんですか。一度、予算委員会で先月大臣とやらせていただきましたけれども、残念ながら時間切れでしっかりとただすことができませんでしたので、もう一度教えていただきたいと思います。

町村国務大臣 スイスとのお話は、昨年十月に、スイスのダイス大統領、当時でございますけれども、訪日をされたときに、先方から、これまで両国で行われた研究がFTA交渉につながることを期待する、こういう発言があったわけでございまして、これに対して小泉総理の方からは、双方の貿易・投資拡大のために何ができるかを考えていきたいということで、これを受けて現在政府部内で検討しているという状況でございます。したがって、スイスとFTA交渉を開始するか否かについて現時点で決定をしていないわけでございます。

 それでは、どういう基準で、どういう考え方で今後進めていくのかということでございます。

 これは、先ほど申し上げました昨年十二月の関係閣僚会議の基本方針というものの中にそこの大筋の考え方が載っているわけでございまして、特に地域的なことを言うならば東アジア共同体、特に経済面でのつながりを深めていこうという、アジアの国々を中心にやっていこうではないかということで、現在もフィリピン、タイ、マレーシア、韓国、まあ韓国はちょっと今の状況ではなかなか進めない状況がございますが、さらにこの春からはASEAN全体、それからインドネシア、こういうところがこれから作業が始まっていくということで、基本的には、今、東アジアの地域を中心としてやっていこうではないか、こういう考え方でいるわけであります。

 そういう意味で、私どもとしてはそこを中心にいたしますが、ただ、その他の地域については一顧だにしないかというと、それはちょっとしゃくし定規過ぎるのかもしれないな。相手側からの強い要望というものもありますし、ただそれは要望だけではなくて、その国の持っている日本との関係、あるいは、例えばなぜメキシコをやったかというと、一つの大きな理由は、メキシコの場合は、国連に、日本とメキシコで協定を結ばないと著しく日本が貿易・投資の局面で不利になってしまうという、メキシコは大変FTAに世界じゅうの国と熱心でありますので、そういったことを考慮したものですから、メキシコともやろうではないかというようなことも決めたわけであります。

 したがって、余りしゃくし定規に、アジア以外一切やりませんというわけにもいかない。ただ、スイスについてはそういう意味ではまだまだFTA交渉を始めるという前段階の勉強をしている段階だ、こんなふうに御理解をいただければ、結果としてFTAに進むのかどうかということも含めて、まだそういう意味では何ら決まっていないという状態にございます。

大谷委員 なるほど。やる、やらないじゃなくて、やるのがいいのか、いつがいいのか、一体順番的にはどれぐらいお互いのメリットがあるのかということを今検討しているという段階だということですね。

 これは、万博が始まっていてナショナルデーというのがあって、毎日各国から閣僚級の方が来られるわけですよね。日本と有利な条件で貿易をしたいとか、日本からの投資を招きたいなんというような諸国の方々はきっとたくさん来られるというふうに思うんです。

 それで、多分、成田か関空か中部空港かに着陸をされて、東京に一度足を運んだとしたら外務大臣なり総理なりと表敬訪問ということでお話しになるというふうに思うんですよね。それでやりたいと言ったら毎回やるんですかという話になっちゃうわけなんですけれども、そこはどうなんですか。(発言する者あり)

赤松委員長 私語を慎んでください。

町村国務大臣 確かに、数多くの国々のVIPの方がいらっしゃる、もう既に相当数多くの方々が外務省にもお越しになるという話もいただいて、日程調整にも苦慮をしているところでございます。来られた方すべてと、いい顔をしたい一心でFTA交渉をやりましょうやりましょう、なかなかそれはそうはまいらぬわけでありまして、私どももさっき申し上げた考え方というのがありますから、御希望されるすべてとやろうということには相ならないわけでございます。

 特に、余りこういうことを言っていいのかどうかよくわかりませんが、結構事務作業が大変なんですね。昨年、メキシコの協定でしたか、御審議いただいたときも、書類がこんなに、もう何十センチも委員の先生方のテーブルに積んでありまして、とても、そんなことを言ってはなんですが、見るとげんなりするほどのボリュームの資料が積んでありました。

 あれを書いていく作業というのも結構大変でございますが、何しろ数多い品目について一つ一つ先方と詰めた結果なものですから、ああなってしまう。もう少しそういった事務作業が簡単にできるといいのですけれども、なかなかそうもまいらないというところもあります。できるだけ今それを簡素化する努力も試み始めているところでございます。

 したがって、我が方の人員も限られているものですから、そう幾つも、十も二十も一遍にだあっと走るということは物理的にも作業的にも不可能でございますから、ある程度やはり絞って、重点を限ってやっていかなきゃならない。そんなこともあるものですから、さっき申し上げました、当面は優先度を東アジアに置く。また、それはそうしないと物理的にも作業的にもやれないという要素も一つはあるんだということも御理解をいただければと思います。

 いずれにしても、どんどん向こうから来たからどんどんやりますという対応をするわけではないという点は、御理解を賜りたいと存じます。

大谷委員 全くそのとおりでございまして、マンパワーには限界がございまして、使える資産というものを上手に振り分けていく、そこが戦略だというふうに思うんですよね。先ほどから再三、東アジアを中心にして、しかしながら、しゃくし定規にそこ以外のところは全く話をしないよじゃないということでございますけれども、そこで二つ質問がございます。

 韓国なんかはスイスとも話をしているんですけれども、EFTAという、ノルウェーやアイスランド、リヒテンシュタインなんというような国と、スイスを中心として地域的連携の強い国なんかと一緒にまとめてやっているんですよね。だから個別にスイスとやるのだったら、そうやってまとめてやったことの方が戦略性が高いんじゃないかというのが一個。

 それともう一個。東アジアというのだったら、これはやはり、一度議論しましたが、どこからどこまでが東アジアなんだというとそこは難しいところであって、オーストラリアが含まれるのか含まれないのかというのがあるんですけれども、予算委員会で先月大臣にお聞きしたときは、オーストラリアとは現段階においては考えておりません、しかしながら、この四月を目途にして、貿易自由化をするとどういうお互いのメリットがあるのかという一段階目の研究発表がございます、それを踏まえて考えるということでございますけれども、先週、オーストラリアの外務大臣が来られたとき総理とお会いになられて、勉強することはいいことだというふうにおっしゃっておりまして、これは非常に前向きな発言ではないかというふうにとられているんですが、僕は前向きであるべきだと思っている方でございますので、その辺はどうなったのかということを、まず二つたださせていただいてから次に移りたいと思います。

中富政府参考人 お答えいたします。

 まず、EFTAとのFTAの可能性の検討でございますが、まずこれは経緯から申し上げますと、日本に対するコンタクトは、やはり圧倒的にスイスが熱心でございました。二〇〇三年の一月から、日・スイスFTA勉強会ということで、日本側はジェトロ、スイス側はSECOという組織で検討を行ってきた経緯がございます。その上で、また、ダイス・スイス大統領が昨年訪日時に関心を示したというようなことがございまして、スイスとそれからEFTA全般とでは、向こう側の熱心度ということにおきまして差があるということかと思います。

 先ほど大臣からお答えございましたように、スイスとのFTAにつきましては、昨年十月の大統領の発言を受けて、小泉総理が、双方の貿易・投資拡大のために何ができるかを考えていきたいということで、現在、政府の中で対応を検討しているところでございます。その際の軸は、今後の経済連携協定の推進についての基本方針、先ほどから大臣が何度か御説明している基本方針でございまして、それに即しまして、経済外交上の視点、相手国の状況等を総合的に勘案し、検討していくということでございます。

 EFTAでございますけれども、EFTAとのFTA交渉の可能性につきましては、現時点でそういう状況でございますので、具体的に検討を行っているわけではございません。しかしながら、今後、仮にEFTA全体として正式に関心表明があるようなことがあれば、基本方針に基づき、経済外交上の視点、相手国の状況等を総合的に勘案し、検討していくことになると考えられます。

 それから次に、豪州との関係でございますが、委員御指摘のとおり、豪州は我が国と基本的な価値を共有しておりますし、経済的にも重要なパートナーであるというふうに認識をしております。二〇〇三年の七月にハワード首相が訪日した際に合意した日豪貿易経済枠組みのもとで、現在、貿易・投資の自由化の得失を検討するための共同研究を行っているところでございます。今後、四月に予定されるハワード豪首相の訪日も踏まえまして、こうした共同研究の作業を加速化する予定であり、また日豪間でいかなる経済連携の強化が可能かについて真剣に検討しているところでございます。

 先般、御指摘のように、ダウナー豪外相が訪日されました際に、豪州側からFTAの関心が表明をされまして、小泉総理、それから町村大臣からも、日豪FTAのフィージビリティースタディーを立ち上げたいとの要望に対しまして、農業の問題はあるけれども、FTAのメリット、デメリットを検討することは意味があるというふうにお答えされております。

 日豪のFTAにつきましては、農業のような困難な分野があり、実際に交渉を立ち上げるか否かは別といたしまして、そのメリット、デメリットを検討することは有意義というように考えているところでございます。

町村国務大臣 今、審議官が御説明をしたとおりであります。特にオーストラリアにつきましては、先般、ダウナー外務大臣ともかなりの時間を使っていろいろな議論をいたしました。もちろん、このFTA以外のことでも、ちょうどこれからイラクでの先方の地上軍の活動もありといったようなことも幅広く議論したわけでありますが、大変ダウナー外相は、日本とのFTAということに並々ならぬ関心を示されたところでございます。結論は、さっき申し上げたように、それぞれFTAのメリット、デメリットがあるので、よくお互いに研究を進めようではないか、こういうことでございました。

 しかし、今度ハワード首相もお見えになって、小泉総理との間でどういうお話になるのか、結果はまだよくわかりません。しかし、別の考え方をすると、特にFTAというものがなくたって、今、日豪の貿易関係は非常にうまくいっているじゃないか、何も事改めて協定を結ばなくても、今のままで何か問題があるんだろうか、こういう見方も特に農業関係者の方からは強く示されているのも事実でございます。そういったことなどを踏まえながら総合的に判断をしなければならないテーマであろう、こう考えているところであります。

 ただ、東アジアかどうかという観点からすると、やはりオーストラリアは、まあ東という言葉がつくのが適切かどうかわかりませんが、実は、ことしの年末に東アジア・サミットというものが予定をされておりますが、それにオーストラリアも強く参加をしたいという希望が各方面に表明をされております。そんなことも私ども頭の中に置いておかなければならないな、かように考えています。

大谷委員 オーストラリアは今うまいこといっているということでございますけれども、日本が輸出しているものは、自動車が四〇%、これも全体で一・二兆円で、大体五千億円ぐらい日本の自動車はオーストラリアに輸出をしている。向こうから輸入しているのは一・七兆円ぐらいなんですけれども、我々が輸出しているものの七七%は有税でございまして、うまいこといっているんだけれども、もしFTAなりなんなり自由化が進むと、もっとうまいこといく。

 あしたあさってから始まるメキシコですとGDPが〇・〇六%上がる、三千億円、それからトンカツなんかも安くなるんだというような報道がきょうの日経新聞にございましたけれども、十分、まだまだ日豪貿易関係、また人等の移動、サービスの移動ということでもよくなる可能性がございますので、ぜひとも御認識をお持ちいただきたいというふうに思います。

 整理をいたします。スイスも大事な国、オーストラリアも大事な国、そして日本の国益、外交戦略上どっちも大事だけれども、マンパワーが限られているから、どうしても配分は考えなければいけない。大事な国だから、両方可能性を見出す勉強会はやる、しかしながら人の配分は考えなければいけない。

 イラク等々の問題、オセアニアにあるけれども、東アジアではないとしてもアジア、そしてこのアジア地域における日本と同じ民主主義国家であり、日米関係そして日・オーストラリア関係を結ぶと、同盟関係にある大切な国、安保上考えてもやはり重要な国だなと。そこで、どこかで、マンパワーをどう振り分けていくか、順番ですね、決めていかなきゃいけないという、判断をしていかなければいけないということなんですね。

 それと、そのことは、今スイスの話も出ているけれども、オーストラリアの話も出ていて、同じぐらいのレベルの土俵に立っているんですねというふうに私は理解したんですが、それでよろしいんですか。やる、やらないじゃなくて、可能性をお互い探ろうとしているステージに立っているということでいいんですね。もう短くていいです。

町村国務大臣 今、委員にまことに手際よく現状をまとめていただきました。そのとおりでございます。

大谷委員 ありがとうございます。

 非常にやゆした、皮肉的な言い方を評論家と称する人たちが書いているもので読んだことがあるんですけれども、今、日本のFTA戦略をつかさどっているのは農林水産省であるみたいなことを言っている人がおられました。そんなことにならないようにしていただきたいというふうに思いますし、リーダーシップを発揮してほしい。

 もしかしたら、この前議論をしましたように、一種、各省庁を調整できるような、経済外交戦略を立案し、そして実行していくような別の機関が、内閣、官房なのかどこかわかりませんけれども、そのような機能を持ったものが必要ではないかなというふうに私は思っているんですけれども、その辺、主観で結構でございますので、大臣、どのようにお考えでしょうか。

 アメリカのNSC的なものですよね。安保会議というものがありますけれども、これは形骸化しています。それの経済版みたいなものを官邸の中につくっていく必要があるんじゃないかと私はずっと思っているんですけれども、どうでしょうか。

町村国務大臣 今、FTA、EPAに関して言うならば、先ほどの関係閣僚会議、これは官房長官が主宰をするという形になりますが、私どもは、それで事足りているかどうかはわかりませんが、一応それで機能しているのではないか、こう思っております。

 ただ、それをさらに超えてより広い立場でのいわば経済に関する安全保障会議といったようなものも内閣に首相直属で持つべきではないか、一つの参考事例としてアメリカといったようなものもあるのかもしれません、そういうお考えがあるのはよく承知をいたしております。したがって、私もそれを一概に否定するつもりもございません。ただ、よく考えないといけないのは、ややもすると屋上屋を重ねてしまうことになりはしないだろうかという面もありますので、そこは最終的には総理大臣がどう御判断をされるのかなというテーマにもなります。

 いずれにしても、最近見ておりますと、官邸が主宰をする会議といいましょうか、官房長官が、あるいは総理が主宰をする会議が物すごく多いなと思います。かつてそんなに、何々会議というのは確かに昔からありますけれども、こんなに最近多いのはどうしてなんだろうかとちょっと考えることがあります。

 各省みずからの調整力が落ちているのかもしれない、これは我々反省しなきゃならない。他方、いろいろな省庁にまたがる案件が非常に多いんだろうなと。テロ対策にしても、犯罪にしても、いろいろな問題について各省庁にまたがる案件が非常にふえてきたという事象のあらわれかもしれない。どちらかよくわかりませんが。

 いずれにしても、政府全体としてしっかりとした対応がとれなければいけないだろうと思いますので、今後、今委員の御指摘なされた点については行く行く政府全体でも考えていかなければならないテーマだ、私は個人的にはこう考えているところであります。

大谷委員 これからも引き続き、その点については議論をさせていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってまいりましたので、手短に日中関係、その中でも東シナ海における、中国が今ガス油田開発をしている春暁の油田開発の状況について教えてほしいというふうに思います。

 二十八日、日中で局長級会議があってこのことも議題に上ったというふうに聞いております。話し合いで解決というふうにおっしゃっているそうでございますけれども、その話し合いとは一体何を意味しているのか。今、日本はこの硬直、局長級会議は平行線というような報道でございましたけれども、本当に平行線だったのか、それとも、いやいや、こういう形で歩み寄りをしてお互いに納得いく形でこの油田問題について解決できそうなのかということを簡単にちょっとブリーフィングしていただけますでしょうか。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 三月の二十八日に行われました日中のアジア局長協議でございますけれども、日本側から佐々江アジア大洋州局長、それから中国側からは崔天凱中国外交部アジア局長ほかが出席いたしました。いろいろな話題について議論をした中で、今委員御指摘の東シナ海における中国による資源開発問題についても議論を行ったわけでございます。双方とも今回の局長協議を非常に重視いたしまして、特にこの東シナ海の油ガス田開発問題については日中それぞれの立場を述べ合ったわけでございます。

 日本側からは中国側に対して、改めて、我々が要求している十分な関連情報を早急にこちらの方に提供するように、それからまた今中国側が行っている開発作業の中止、これについても早急な対応をするようにということを求めたわけでございます。これに対しまして、中国側からも中国側の立場の表明がございましたけれども、日本側から提起した関心についてはきちんと留意しておるということを述べながら、この問題については引き続き協議を通じて解決していきたいということを述べたわけでございます。

大谷委員 ポイントは、油田開発を我々の引いた中間線の中国側の方でやっておられる、しかしながら海底の油田では資源がつながっていて、日本の分の資源もとられてしまうんじゃないかと。いやいや、そんなことはありませんよというんだったら、そのデータ、証拠を見せてくださいよ、だけれども、それが見せてもらえないというのが現状でございます。

 大臣、どうも、去年の十月にやって、きのう、おとといやって、見せてくれなさそうな感じでございまして、日本の方では、それだったら試掘権を設定して日本も掘らざるを得ないんじゃないか、そういうオプションは持っておかなきゃいけないんじゃないかというような意見も出てきています。

 そんな中で、どのようにこの問題、中国全体では、日中関係はウイン・ウイン関係であらなければいけないというふうに思っていますけれども、個別の案件をどう全体とつなげて解決していくのか。もしくは、この案件を個別で一つのエネルギー政策の中に入れて解決していこうとしていくのか。どのような位置づけ、どのような戦略を持って日中関係とこの問題を解決していくのか。方針を教えていただけますでしょうか。

町村国務大臣 一昨日の局長級協議は先ほどの報告のとおりであります。

 確かに委員御指摘のように、昨年十月の東シナ海に関する日中協議でこの春暁のことについての議論があり、その後、引き続きデータを得て協議をしていこう、十分情報提供を求めて解決を話し合いでやっていこうということであったんですが、それから約半年近くたって、いまだに何ら情報提供がないまま協議だけはやろうというのは、どうも理解に苦しむところでございます。

 協議協議と言いながらいたずらに時間がたつ、その間にどんどん開発行為が先方だけ進むということはバランスを失した現状ではないか、私もそう思っております。したがいまして、具体的にいつごろまでにその協議会を開くか、その際にはどういうデータを先方が提供すべきかということをさらに詰めていかなければいけない、こう考えております。

 試掘権の設定の話も確かにあるわけでございまして、まだ現時点でこの試掘権設定という話を先方にしたわけではございません。しかし、いつまでもこういうことで先方のみが現実の作業をやっていくという状態が続くならば、それは早晩、我が方も一定の行為に出ていかざるを得ない、こう私も思っております。

 何もいたずらに対決ムードといいましょうか、対立をしようという意図では毛頭ございません。基本的には、総理がいつも言っておられるように、あるいは先方も言うように、これは対立の海ではなくて協調の海にしなければいけない。まことにそのとおりだろうと思いますが、そういうせりふのもとで何ら事態が改善をされないというのは、結果的には協調の海になってこなくなるわけでありますから、本当の意味での文字どおりの協調の海にするためにお互いどういうことが必要なのかということについては、今後より具体に議論をしていかなければいけない。

 それぞれの日程が合えば、私は四月中にも中国を訪問して、中国側とこうした問題も含めて、トータルで日中間にあるいろいろな課題について議論をしていきたいな、こう考えているところでございます。

大谷委員 日中間、日中関係をウイン・ウインにするためにも、言うべきことは個別のイシューにおいてはしっかりと言うことだというふうに思っています。ここを開発している中国の海洋石油という油田会社はきのう、八月か九月ごろを目途に開発で供給も始めるというようなことを言っていますので、しっかりと、おかしいじゃないかということを言っていただきたいというふうに思います。

 時間がないので、一つだけ質問して、もうこの場で答えてほしいんですけれども、平成十三年に、違法の海洋調査をしてはいけませんよ、事前通告してくださいよと日中間で取り決めをしました。その後、どれぐらいの違法の調査を中国がやっているのか、実態を把握しているのか、その分、どんなふうに抗議をしたのか。僕の問題意識は、その抗議の仕方が甘かったからずるずるここまで来てしまったんじゃないかなというふうに思っているんです。そこの実態だけこの場で教えていただきたいというふうに思います。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃる相互事前通報の枠組みというものが平成十三年にできたわけでございますけれども、それ以降、東シナ海における日本の排他的経済水域でこの手続に従わない中国の海洋調査は、平成十三年の場合には四件、十四年には二件、平成十五年にはゼロ件、平成十六年には四件確認されております。

 こういった事例につきまして、直ちに私どもの方からは、現場の水域、それから外交ルートで、そういった活動の即時中止をこれまでも申し入れてきております。また、そういう事態がたび重なることは極めて遺憾であると。

 例えば昨年十月の先ほど来出ております日中協議の場でも、その再発防止を徹底してやってもらいたいということを申し入れておりますし、また大臣レベルでもこういった申し入れを行っておりまして、町村大臣からも在京の王毅大使に対してこの種の申し入れを行っていただいておるわけでございます。

大谷委員 もうこれで終わりますけれども、約束したことを守っていないのですから、ここはしっかりと毎回毎回言っていただきたい。言っているというのだったら、多分声が小さくて聞こえていないからこんなことを何回もやっているのだと思いますので、大きな声で、外交はパーセプション、認識ですから、しっかりとやっていただきたいと思います。

 もうあと三十秒だけ。

 大臣、万博が始まっておりますが、この万博を通じてたくさんの要人が来られる中、日本のパブリックディプロマシーというものを発揮していかなければいけないというふうに思うんですけれども、どんな思いでこの万博に臨んでいらっしゃるのか、一言だけ言っていただいて、私の質問を終わりたいというふうに思います。

町村国務大臣 万博は万博としての大きな意義があるわけでございますが、たまさか例えばことしは国連の改革の年である、常任理事国入りを私どもも表明している、そのための外交努力をやっているわけでございまして、ある意味ではいいチャンスなものですから、これを大いに活用させてもらいたいと思っておりますし、また常任理事国以外の関係でも、二国間関係をよりよいものにするための大変いいチャンスだ、相互理解を深めるいいチャンスだと思っておりまして、これはとても中川経産大臣一人あるいは私一人では対応し切れませんので、副大臣、あるいは大臣政務官、あるいはその他関係する方々、多くの方々の御協力を得てよりよい二国間関係を築くいいチャンスとしてこれを活用したい、かように考えているところであります。

大谷委員 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、宇野治君。

宇野委員 自由民主党の宇野治でございます。

 外務委員会で初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。町村大臣は参議院の方に行かれたということで、逢沢副大臣、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、先ほどももう大谷さんからお話がありましたけれども、スマトラ沖の地震の関係で、もし若干答弁漏れ等があったら教えていただきたいですし、先ほどは邦人が四十八人中四十七名は無事だということと、千五百万円の供与、また援助隊をきょう出発させるんだというお話を聞かせていただきましたけれども、それ以外に何かあればということ。

 もう一つは、去年の地震からNGOが非常に活躍をしていただいているわけですけれども、NGOの皆さん方も相当お疲れになっているのではないかな、そんな中でまたこれが追い打ちをかけてきたということもあるので、この辺の対応についても少しお聞かせいただきたいと思います。

逢沢副大臣 委員御指摘のように現地時間で二十八日の深夜にインドネシアのスマトラ島沖で再び大きな地震が起こったわけでございます。

 まだ現地は相当混乱をしている状況も続いているようでございまして、正確な状況の把握に今懸命にインドネシア当局また国際社会とも取り組んでいる最中でございますが、私ども承知をしている範囲で申し上げさせていただきますと、インドネシア政府当局は、二十八日の夜までに、震源に近い同島西方のニアス、シムル両島で少なくとも計四百三十人の死亡が確認をされた、その旨、政府の立場から情報を発信しておられるようであります。しかし、刻々と新しい情報といいますか、そういうものももたらされている、現在進行形であるということを確認しておかなくてはならないと思います。

 先ほど大臣が答弁をさせていただきました邦人につきましては、一名の方と連絡がとれないという状況でございますが、概して邦人の方の安否については確認をされておるということでございますが、引き続き情報収集に懸命に当たってまいりたい、そのように思います。

 また、この際御報告を申し上げておきたいと思うわけでありますが、インドネシアに対しましては、小泉総理、町村外務大臣から、それぞれ大統領、外相に対しましてお見舞いのメッセージを発出いたしたわけであります。大臣が先ほど答弁をいたしましたように、国際緊急援助隊のチームが、きょうのお昼でありますからもう間もなくでございますが、成田を立ちますし、一千五百万円相当の緊急援助物資、これを早速生かしてまいりたい、このように存じます。

 また、NGO等についても御指摘をいただきました。さきの大きな地震また津波、その直後から献身的な日本のNGOの方々が現地において大変すばらしい活躍をしておられます。現地は大変気温も上がってきており、引き続き衛生状況、またある種、治安も大変厳しいということでありまして、より緊密にNGOの方々とも、バンダアチェにつきましては外務省の出張事務所を設けております。

 それは、当然のことでありますが引き続き機能をいたしているわけでございまして、その出張事務所を中心に、より一層NGOの方とも連携をとりながら、また今回の二回目の大きな地震に際しまして、緊急援助隊は援助隊として意味のある活動を早速展開をいたすわけでありますが、NGOの皆様とも連携をとりながら、よりよい日本全体としての対応を図ることができるように努力をしてまいりたいと存じます。

宇野委員 日本にとりまして大変重要な地域でもありますので、ぜひ今のお言葉どおりしっかりとした対応をしていただきたいなということを要望させていただきまして、また被災されました各国の皆様方にお見舞いを申し上げたいと思っております。

 続きまして、竹島の問題について少しお聞かせを願いたいと思います。

 島根県が竹島の日というものを制定するということで動き始めたわけでありますが、その前ぐらいから相当韓国側から強い圧力がかかってきているということが新聞等の報道でも大分あらわれてきております。そういう中で、その辺の歴史的いきさつというのは特に私は申し上げるつもりもございません。そしてまた、外務省も一貫した考え方を持っていますので、これは日本固有のものであるということはもう歴然としておりますので、ここについては言いませんが、今こういう形で問題になっていることに対して、では日本にどんな影響があるのかというところを少し申し述べたいと思います。

 今日本でも各地域の市町村で友好都市、姉妹都市というのをいろいろやっておるわけでありますが、ここの関係で、いろいろとまた今回の問題から姉妹都市の解消だとかいろいろな交流を中止するだとかという話があるように聞いております。ちょうど数年前でしたか、歴史教科書の問題のときにも同じようなことがあったわけであります。

 今回は私まだ十分調べていないのですが、私の地元、滋賀県の守山市がやっております公州市との姉妹都市の関係なんでありますが、ちょうど公州市の方から、ことしの初めに何かソウルで世界自治首長会議というような、そういう会議をやるということで招待状をいただいていた。そうしたところが、つい一週間ほど前になって、こういう問題があったのでこれはもうキャンセルしますよというようなことを言われてきた、こんな現実もあるわけであります。

 そんなことからして、今外務省が押さえている日本の各市町村等々での姉妹都市、友好都市の関係での何かいろいろな問題がどの程度あるのか、具体的な状況を報告してください。

逢沢副大臣 島根県議会で竹島の日制定以降、日韓間で若干懸念をされる動きがあるということについては、私どもも大変憂慮いたしているところでございます。

 今委員御指摘の、さまざまな提携関係、姉妹都市関係にどんな影響が出ているかということでありますが、現在のところ私どもが承知をいたしております範囲でお答えをさせていただきますと、まず韓国側におきまして姉妹都市関係の破棄を表明した例が、残念ながら二件報告をされております。また、韓国側におきまして日本側姉妹都市との今後の交流全般を中断するという旨を表明された例が六件あると理解をいたしております。

 また、特定分野におきます交流や個別事業が中止となった例が、大学サッカーもその一つであると理解をいたしておりますが、二十件と理解をいたしております。

 ただ、御承知のように、日韓関係には地方都市間の姉妹縁組また民間団体の交流で非常に幅広いものがあるわけでございまして、こういう状況だからこそ、我々の民間対民間、あるいは地方都市対地方都市の関係をより緊密にしていかなきゃいけない、積極的にしていかなきゃいけない、そういう動きも私どもは耳にさせていただいているわけであります。

 たまたま私の地元の話で恐縮でございますが、岡山市はソウル市のすぐ隣の富川市と、この四、五年、姉妹都市関係を結びまして積極的な交流をいたしておりますが、来る五月のゴールデンウイーク、岡山市の市長を団長とするかなり大規模な訪問団でございますが、これは予定どおり行おう、またこういう時期だからこそより一層今までよりも熱心にお迎えをいたしますよ、こういうやりとりもあるようでございますが、恐らく全国にもそういった動きがかなり顕在化してくるということを私どもとしても大変期待をいたしております。

 日韓友情年二〇〇五がいろいろな意味で意味のあるものになりますことを心から期待をいたしておりますし、政府としても最大限の努力を重ねてまいりたいと存じます。

宇野委員 今言われたように、やはり若干問題が出かかっている、出かかっているというかもう既に出ているわけでありますけれども、この辺のところをしっかりと外務省が見詰めていただいて、せっかくの交流というものがうまくいくように対応していただきたいということであります。

 それと同じようなことなのですが、修学旅行について少し聞かせていただきたいと思うのですが、今、日本の各高校、中学あたりでも、もう海外への渡航、修学旅行というのが盛んになってきております。こういうことがあって、九・一一だとかSARSの問題のときにも、結果として、直前になって楽しみにしていた修学旅行がキャンセルになって国内の修学旅行に切りかわったというようなことがよくあったと私も聞いておりますし、私の子供もそういう目に遭った一人でありますけれども、そんなことを考えると、今回のこの問題で修学旅行がキャンセルになるのではないかなという心配をしているお母さん方も多いやに聞いております。

 せっかく海外を目指して行こうと言っていたときに、韓国側の都合によってこういうことでできなくなる、こんなことがあってはいけないと私は思います。これはあくまで、招待とかそういうわけではありませんから、日本側が行けばいいんだということになるかと思います。韓国側から来るなと言うことはないと思いますけれども、そういうことがどんな状況なのか。さらには、向こうに行ったときの安全確保、例えば日本人に対する妨害等々について、この辺はどういうお考えを外務省として持っているのか、その辺も少しお聞かせ願いたいと思います。

逢沢副大臣 韓国におきます修学旅行、これは、日本から韓国に修学旅行に出かける、また韓国からも数多くの生徒の皆さんを日本にお迎えしているわけであります。ちょっと数字を申し上げさせていただきますと、昨年一月から十二月まで、日本から韓国に修学旅行で訪問された学生総数は二万八千二百七十四人、逆に韓国から日本、これは昨年の三月から十二月までということでありますが一万五千四百十六名。特に査免、査証の免除ということも大変この数字の増加、アップには寄与しているものと理解をいたしておりますが、大変大きな数字に今成長しつつあるわけでございます。

 竹島の日制定以降の動き、必ずしも詳細にわたって私ども掌握をしているわけではございませんけれども、韓国から我が国への修学旅行のピークは、夏休み期間中がその大半ということでありますし、また韓国側において日本からの修学旅行生の受け入れが困難であるとして修学旅行が中止となった事例が若干報道されているということは承知をいたしております。

 しかし、愛知県の東三河の看護専門学校を初め、島根県の採択以降、しかし予定どおり計画を実行に移したい、こういうことを決めていらっしゃるところも数校あるようでありまして、状況については今後も注視をしてまいりたい、そのように存じます。

 また、修学旅行に際しては、従来よりも学校側に対しまして、緊急連絡体制の整備を整えるということ、保険の加入等々、安全確保については十二分にということを指導してまいりましたが、より一層、その安全確保については、スポット情報の発出等も含めまして、万全を期してまいりたいと存じます。

宇野委員 ぜひ、楽しみにしている子供たちの夢でありますので、これがなくならないようにしっかりとした対応をしていただきたいなということと、ちょっと今お話が出ていなかったと思うのですけれども、向こうに行った際の保護態勢、学校側から行くときの態勢、保険だとか、そういうことは考えますけれども、向こうに行って何か事があったときに対応できるような、その態勢もしっかりとしたものにしておいてやっていただきたいなということと、安全情報を今外務省は出していますけれども、韓国においては安全ではないということは出ないと思いますけれども、今の状況をしっかりと文科省を通じて各学校に知らしめるということもぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そんな中で、ついせんだってですか、二、三日前に、竹島に韓国の側の観光団が上陸をしたというようなことが報道されました。これを見て、島根の方、また日本の国内の方々は、日本の領土に一般の方々が堂々と入る、日本は何にもできないままで入ってしまうということについて非常に憤りを感じているわけでありますけれども、この辺の事実関係と、その対応策がなかったのかどうか、その辺についてお聞かせください。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、先般二十四日、韓国政府は竹島への一般観光客の入島を許可したようであります。それを受けた二十八日、韓国人一般観光客の方々が竹島に入島したと承知をいたしております。政府といたしましては、このことは大変に遺憾である、まことに遺憾であるというふうに考えております。

 もとより、この竹島の領有権をめぐりましては両国間に立場の違いがあるわけでございますけれども、両国間の感情的対立をあおるといったようなことがあってはならない、日韓関係全体を大局的な見地からとらえ、積極的に対応をする姿勢がどうしても必要であると私どもは考えております。

 なお、観光客の竹島上陸についてでありますけれども、政府といたしましては、二十八日、佐々江アジア大洋州局長から在京韓国大使館公使に対しまして、竹島への一般観光客の入島を許可したことに対して強く抗議をいたしました。御報告を申し上げておきたいと存じます。

宇野委員 竹島にしても魚釣島にしても、いろいろと問題があったときには抗議ということを真っ先にやっていただく、これは当然の外交手段の第一歩だと思うのですけれども、事竹島については、完全に上陸をしている。日本側としては、日本固有の領土であると言っていながら、要は不法に入ってくるわけでありますので、抗議をするということ以上に何かこれからやっていかなきゃいけないかなという思いがしております。

 ただ、まだ具体的な話がないと思いますので、特にお話を聞くつもりはございませんけれども、ぜひ強い態度というのもこれから必要なのではないか。要は、やられっ放しでいいのかというのが一般の国民の方々の偽らざる気持ちだと思いますので、やられっ放しでいいのかということに対して何か突っ込んだお話があればちょっと教えていただきたいと思います。

逢沢副大臣 日韓関係については、言うまでもないことでありますが、東アジアまたアジアの中で大変重要な二国間関係であると承知をいたしております。日本の今日と未来にとって、韓国との良好な関係を抜きにして語ることはできませんし、また韓国にとりましても日本は大切な隣国である。盧武鉉大統領を初め韓国政府当局また多くの国会の皆さんも、日本との関係を建設的に発展させなくてはならない、そういった趣旨の発言を累次繰り返しておられますし、また我が方も同様な気持ちであるわけであります。

 特に、韓国との間では、FTAについて積極的な対応をしていこうではないか、そういった大切な動きのさなかにもございますし、また先ほど町村大臣から答弁もございました、ことしの暮れには東アジア・サミット、東アジア首脳会合がある。また、対北朝鮮を考えましても、日韓の協調、協力ということはまことに重要なポイントであろうかと思います。

 そういったアジア太平洋の今日の現状また日韓の未来を考えたときに、この竹島の問題だけが大きくクローズアップをされてその他の重要な問題が阻害をされてしまう、あるいは停滞をするということがあってはならない。また、仮にそういうことがあれば、お互いにとってこれは大変不幸なことであるという立場に立つべきであろうというふうに考えるわけでございます。

 領土ということになりますと、国民感情が非常にある意味では盛り上がる、先鋭化する、そういった色彩がどうしてもあるわけでありますが、ここは日韓の重要性、大局的な見地に立って冷静に対応するということが両国の共通の利益を拡大することに直結をする、私どもそのように理解をいたしております。

宇野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思うんですが、今ちょっとお話がありましたように、盧武鉉大統領との関係で、定期的に日韓首脳会談というのを今やっているわけでありますね。この日韓首脳会談、今回これがどのような形になってくるのかなという点で私ちょっと心配をしております。

 これはちょっと直前に通告させていただいたわけでありますけれども、とりあえず前半は韓国側でやり、後半は日本側でやるというのが一応ルールになっているわけですけれども、前半の韓国側との具体的なそういう話の詰めができているのかどうか、それから日本側についてはどうなのかということを少し教えてください。

    〔委員長退席、増子委員長代理着席〕

逢沢副大臣 日韓関係の重要性については先ほど申し上げたとおりでございますが、日韓首脳会談につきましては、御承知のように、昨年末には鹿児島県の指宿で行われました。その指宿で行われた首脳会談の際に、小泉首相、盧武鉉大統領両首脳は、シャトル首脳会談を継続していくということについて合意を首脳間で直接いたしているところであります。この合意はいささかも変更はされない、変更はあり得ないというふうに申し上げておきたいと存じます。

 韓国側も、盧武鉉大統領を含めまして、政治的、外交的交流は継続をしていく旨、対外的に累次発信をしておられることも申し上げておきたいと存じます。

宇野委員 具体的な話が出てこなかったんですけれども、首脳会談を継続的にやるということであります。一つお願いをしておきたいんですけれども、実は盧武鉉大統領が滋賀県の琵琶湖と非常に関係があるので、ぜひ次の首脳会談は琵琶湖で湖上会談なんというのもお考えいただければなということをお願いしておきます。よろしくお願いします。

 それから次に、普天間問題について、少し簡単にお話を聞かせていただきたいと思います。

 私も、この一月に、沖縄の米軍基地等々を八カ所ですか、ずっと回らせていただきまして、いろいろ勉強をさせていただきました。その際にも普天間を見させていただきましたし、今移設予定地であります辺野古沖のボーリング調査をやっているところ、またそれの妨害の状況をキャンプ・シュワブの方から見させていただいた。そんなことでいろいろと話をさせていただいたわけですが、そんな中で、今、例のトランスフォーメーションの問題が大分クローズアップされてきた。二月には2プラス2がありましたし、三月には審議官級協議というものも行われたということであります。

 そういう中で、日米の役割、任務、能力なり、また兵力の構成見直しを基本的に考えてやるんだということを言われているわけでありますが、端的に聞かせていただきますけれども、この中で、普天間にいる海兵隊の部隊が普天間の基地を使わないでどこかに行っていただくのが一番いいわけなんですけれども、そういうフォーメーションというのがあるのかどうか。また、あった場合に、沖縄として今辺野古沖で建設しようとしている基地をどういうふうに考えるのか。

 一つ私も初めて伺ったときに聞いたんですが、あの基地をつくるに当たって、民間航空とも共用するというような話もちょっとあるようなことを聞いていました。ということは、もしトランスフォーメーションの関係で普天間がもう必要なくなるんだということで、移設もしないでどこかほかのところへ行くんだというような話になったときに、民間空港がそのまま残るのか、要らないものになるのかというようなこともひっくるめて、もし、もしという言葉はよくないのかもわかりませんけれども、トランスフォーメーションの中で普天間外への移転ということの可能性があるのかどうか、少し教えてください。

逢沢副大臣 先ほど町村大臣からも答弁をさせていただきましたが、日米間で三段階に分けた重要な整理統合の問題について議論を重ねております。共通の戦略目標を確認させていただきました。それに基づいて、役割、任務、能力、このことについて、今まさに審議官級を初めあらゆるレベルで議論を行わせていただいているところでございます。

 普天間のあり方については大変国民の皆さんの関心が強いわけでございますが、私ども、累次答弁をさせていただいておりますように、いわゆる抑止力を適切に維持しながら、基地を抱えていらっしゃる地元の方々の、とりわけ沖縄の方々の負担の軽減、この両方を実現する、具現化をさせる、その大きな目標に向かって今鋭意努力をいたしているところであります。

 いわゆる在日米軍の兵力構成見直しの議論の中で、SACOの最終報告の内容と場合によっては接点が出てくる、そういう可能性は排除されないと申し上げておきたいというふうに思うわけでございますが、政府としては、基本的には、SACOの最終報告に基づいて、御承知のように平成十一年に閣議決定を行いました。

 随分いろいろな手続を経たわけでございますが、沖縄県等の地元の皆様ともいろいろなレベルで十二分に協議をした、整理をされたものと理解をいたしております。早期の移設、返還に向けて、基本的には普天間をやはり移さなければならない。いろいろな議論が今日も続いているということは承知をいたしておりますけれども、SACOの最終合意に基づいた辺野古沖、基本的にはこの方針を政府としても累次確認させていただいているところであります。

    〔増子委員長代理退席、委員長着席〕

宇野委員 なかなか具体的な話は出てこないと思いますけれども、基本的に、これは平成八年に当時の駐日大使のモンデールさんがお話しになって返還を確定したというのがスタートになったと私は理解をしております。

 それからいろいろな問題があって、大田知事の問題だとかいろいろあって、やっとこさ昨年、一昨年あたりから本格的に辺野古沖という話になってきたわけでありまして、確かに、私は、平成八年から始まって、今平成十七年、もう九年もかかっている段階で、その平成八年のころにはトランスフォーメーションという言葉すらなかった、その見直しもなかった、何もそんな話はなかった。そういう状況で移設という話が出たわけですけれども、今はトランスフォーメーションという兵力の見直しということが出てきた。出てきたのであれば、その八年のときに出てきた話をまた覆すのではなく、新しい展開として基地のあり方というのも見直していいのではないだろうか。

 沖縄の先生方は、決めたことはそのまま進むんだということを言われております。しかし、今のこのトランスフォーメーションという問題をやはり頭に入れながら、決めたものでも破棄するものもあっていいのではないだろうかというような感覚を持っております。

 ぜひ、そういう柔軟な体制でこれからの日米協議も進めていただきたいですし、沖縄県としていい方向になるような交渉を進めていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、副大臣にちょっとお考えをお伺いしたいと思うんですけれども、ことしは日露修好百五十周年、また戦後六十周年、それから日韓友情年であり、また日・EU市民交流年であり、また愛知では愛・地球博、万博が行われ、私たち日本人にとっては一つの節目であったり、あるいは佳節という思いが非常に強くあるんだと思うんです。

 先日も、根室の方で北方領土返還実現大会をさせていただきまして、外務省の方からも政務官にお越しいただきまして、北方領土問題、何とかこの佳節に一歩動かしていきたい。あるいは、日韓友情年、これほど市民間で、映画交流ですとか、そういった市民感情が高まっている中で、より一層の前進を図っていきたい。

 こういった思いが重なっていく中、日中関係、あるいは日韓、そして北方領土も含めて日ロの問題等を見ても、さまざまな課題が山積している。この佳節、一つの節目に対する私自身の期待が大きいだけに、そのさまざまな起きてきている問題に対して非常に残念な思いとともに、これだけの節目にどうしてこんな問題がというような思いが、率直なところ非常に強くしております。

 外務副大臣は、こういったことも含めまして、長年外交の中枢にいられて、副大臣として各国の要人にも会われ、外交政策を決めてきたお立場でありますけれども、このいろいろな節目にある日本外交、最近どのような思いで見ていらっしゃるのか、この点についてぜひお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

逢沢副大臣 大変大きな質問をいただいたわけでございますが、丸谷先生御指摘のように、ことしは第二次大戦が終わって六十年目という節目の年でございます。そして、御指摘のように日露通好条約百五十周年。そして、韓国とは日韓条約を結んで四十周年、ことしは友情年にしようということで、先ほども答弁をさせていただきましたが、さまざまな交流事業を企画いたしているところであります。

 EUとの友情をさらにはぐくもう、そういったさまざまなプログラムも前進をし、そして愛・地球博が既に開幕をされたわけでありますけれども、各国から元首クラスを初め多くのお客様が日本に訪問をされる。そういう意味でも、ことしは大変重要な年であるというふうに理解をいたしております。

 日本といたしましては、近隣諸国との友好善隣を図りつつ、同時に、国際社会の中にあって、文字どおり責任ある立場として、世界の平和や安定、また繁栄に日本の持てる知見、能力、そういうものを発揮していく、日本の国の姿、日本人の気持ちや心、願い、夢、そういうものを正しく世界の国々、人たちにより一層理解をしていただく、そういう年にぜひしていかなくてはならないと理解をいたしております。

 ただ、委員御指摘のように、激動する国際社会の中にあって、日本を取り巻く環境、現実にはなかなか厳しいものがあるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。

 対北朝鮮外交、御承知のように去年の六月に開かれたまま事実上中断をいたしております六カ国協議、今国際社会挙げて、とりわけ当事者であります五カ国プラス北朝鮮でありますが、互いに力を合わせて、北朝鮮、朝鮮半島の非核化を実現するための六カ国協議の早期の再開、これに向けて全力投球をいたしているところであります。日韓間には御承知のような状況がある。また、日中間も、政治的には克服をしていかなくてはならない課題が文字どおり山積をいたしているわけであります。

 そういった課題を着実に乗り越えながら、日本としては、いついかなるときにも国民また国の安全を図っていく、平和を確保していく、そして経済をやはり成長させていかなくてはなりません。適切に繁栄というものを確保していく。安全、平和の確保、繁栄の確保、そのことを通じて国益をしっかり確保、拡大、増進をさせていく。節目の年に当たりまして、そういう強い決意のもと、外交を進めさせていただきたいと考えております。

 委員の御指導と御支援も、改めて心からお願い申し上げます。

丸谷委員 どうもありがとうございました。

 本当に問題が近隣諸国とも山積している節目の年であります本年が、後から振り返ったとき日本外交の本当の意味での節目だったなと後世の人たちに言っていただけるように、ぜひ外務省を挙げて、日中、日韓、また日・EUもそうですけれども、日米ともに、北朝鮮外交に対しても省を挙げてぜひ頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、日中関係についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。

 三月の十四日、中国の全国人民代表大会が行われ、その終了後の記者会見では、温家宝中国首相から、日中は最も重要な関係と位置づけられた上で、現在よく言われております、政治の間柄は冷たく経済は熱いと言われている、この政治関係が日中関係発展の障害であるといったような指摘もなされた上で、この政治関係の改善、日中関係の改善に向けて三つの提案もなされました。

 一つには、首脳相互訪問促進の環境づくり、二つ目には、外交当局による友好強化の戦略的な研究、そして三点目には、歴史が残した問題の適切な処理等、この三つの提案がなされたわけでございますけれども、日中関係の改善に向け中国側からこういったメッセージが投げられ、また四月には町村外務大臣が訪中されるというふうにも言われておりますけれども、訪中した際にこういったことも話題になるのであろうというふうに考えております。

 この三つの提案だけを切り取って見れば、特に一番目と三番目というのは非常に難しい、日本にとっては知恵の出しどころなのかなというふうにも思います。首脳相互訪問促進への環境づくり、これは、現在の状況から見ますと、今後どのような環境づくりをしていくべきなのか、非常に悩ましいところでございますし、また三点目の歴史が残した問題の適切な処理、これは日中間で一番しこりを残しているところでもございます。

 この解決に向けて、日本はどのような対応をとっていこうというふうにお考えになっているのか。町村外務大臣が四月にも訪中されるというふうに言われておりますけれども、この訪中の見通しとともに、ぜひお答えいただきたいと思います。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、温家宝首相が、御発言のように三つのいわば発言、提案をなさったわけでございます。これは、三月十四日に行われました全人代終了後の内外記者会見の場での発言でございますが、私どもといたしましては、この発言は全般的に日中関係の促進に向けた中国側の積極姿勢のあらわれであるというふうに理解をいたしております。また、そのように受けとめをいたしているところであります。

 温家宝総理は、記者会見におきまして、基本的な認識として、日中関係は中国にとっても最も重要な二国間関係であるということを改めて明言いたしております。我が方も同様な認識を持っているわけでございまして、この発言を一つのきっかけにし、日中関係、とりわけ両国間にまたがる政治的な課題の解決、あるいは解決に向けての努力を前進させる、そういう一つのてことしてぜひ生かしてまいりたい、そのように思います。

 今答弁をさせていただいたような内容を、去る十五日には町村外務大臣、李肇星中国外交部長との間でもそういった趣旨の会話を交わさせていただいたわけでございますし、四月の適当な時期にも町村大臣は訪中をされる、ぜひこれを実現したいというふうに私ども考えているところであります。今、中国側との事前の事務的な調整に入らせていただいているということをあえて御報告申し上げておきたいと思います。

 まさに、アジアの中のと申し上げるよりは世界の中にあって大切な日中二国間関係でございます。それを双方の建設的な姿勢の中で発展させていく、今大切な時期を迎えつつあると私ども理解をいたしております。

丸谷委員 ぜひ外務大臣の訪中が成功に終わりますように、ぜひ対話を重ねてきていただきたいというふうに思います。

 続きまして、日中間、先ほども質問に出ておりましたけれども、東シナ海におけるエネルギーの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 三月二十六日の報道で読みましたけれども、中国の海洋石油は、英国の石油会社などと東シナ海で原油そして天然ガスの共同探査をする契約に調印したというふうに報道をされております。この探査が実際に行われる海域というのは、上海市の南東約三百九十キロというふうにされておりまして、実は東シナ海の日中中間線の中国側というふうに見られておりますけれども、日本側がデータ提供などを中国に求めています春暁ガス田などの近くであるというふうにもされております。

 日中間でこれだけ開発探査について国会でも議論になり、また国民感情も高まっている中、新たな探査に着手した中国から日本に対して何らかの説明はあったのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、中国海洋石油公司と英国プライムライン社が東シナ海において資源探査のための契約を結んだ、そのことは報道等で私ども承知をいたしておりますが、遺憾ながら、本件について中国側より事前に日本側、我が方に対して説明があったという事実はございません。

 いずれにいたしましても、両者におきます資源探査については引き続き情報収集を行ってまいりたいと思います。また、このことにつきましても中国側に事実関係をぜひ照会してまいりたい、そのように承知をいたしております。

丸谷委員 今副大臣、事前に説明等がなかったというお答えをいただきましたけれども、この報道の後でも中国側から何らかの説明はないという理解でよろしいんでしょうか。

逢沢副大臣 おっしゃるとおりであります。

丸谷委員 それでは、今、外務省として、この探査の実態というのは把握をしていない、何ら把握をしていないという状況でしょうか。

齋木政府参考人 私ども、今、中国の海洋石油公司と英国のプライムラインが結んだ契約の内容も含めて、中国側に対して、どういうことになっているのか情報提供を求める考えでございます。向こう側からの説明を受けて、我々としてきちっと事実関係も把握して対応したいと思っております。

丸谷委員 これだけ議論されている地域であり、またテーマでもございますので、やはりこういったことは中国側から説明があってしかるべきであろうと思いますし、それが事前になかったということに関しては非常に残念なことであるというふうに私も考えております。だからといって対話を閉ざすことなく説明を求めていっていただきたいというふうに思いますし、またその後は私どもに対する説明もしていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど議論になりましたけれども、あと試掘権の設定ですね。この件に関しては、局長級協議がなされた後、実際にはこの試掘権の設定に対して明確な日本側の発言、示唆というものはなかったというふうに理解をしておりますけれども、例えば、試掘権の設定から実際に試掘を開始するまでというのはどの程度の期間が必要だというふうに考えておけばよろしいのでしょうか。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 試掘権を設定するまでは、大体二、三カ月ぐらいかかるというふうに承知しております。

丸谷委員 実際には、これから外相が訪中されるであろうというふうにされておりますし、そこでも当然議論になるでしょう。そういった議論の内容も踏まえて、今後、適宜判断をされていくものというふうに思いますけれども、試掘権設定まで二、三カ月かかって、それから試掘をされていく。

 実際に試掘が始まったとして、そのときにとても簡単に予想されるであろうことは、やはり中国側からの調査妨害等も、実際に以前、調査船に対してあったというふうに承知をしておりますし、今後、この試掘をした際にどのように日本船舶の安全確保等を行っていくかということも、試掘権の設定前に話し合っておく必要があるのかというふうに思いますけれども、この点については現在どのようにお考えになっていますか。

逢沢副大臣 先般、日中アジア局長級協議が行われました。既にこのことはプレスリリースもいたしているわけでありますけれども、日本側から中国側に対して改めて開発作業の中止を強く求め、同時に、十分な関連する情報の提供について、これまた強く要望をいたしたわけであります。それに対して中国側は、引き続き協議を通じてそういった日本側が提起をした問題の解決に努めていきたい、そういう趣旨の発言をされました。

 先ほど大臣が答弁をいたしたわけでございますが、協議といっても、いたずらにだらだら続けていくということでは、それはよくない。国連海洋法条約に基づく日本の海洋権益がしっかり守られるという状況を政府としては責任を持って確保していかなくてはならない。

 国会や国民の間にこの東シナ海の資源開発については中国側の対応、態度に大変強い不満、あるいはまた懸念、そういうものが寄せられている等々につきましても局長級会談の場を通じまして強く中国側に発言をし、日本が今どういう状況になっているかということについて申し上げたわけであります。また、同様な趣旨のことを、去る十五日の日朝外相電話会談におきましても改めて町村大臣の方から触れたということでございます。

 そういった状況の中、基本的には、大臣からも答弁がございましたように、あの東シナ海を争いの海にしてはならない、平和の海でなくてはならない、そういう基本的な考え方のもと、誠実な中国側の対応を強く求めるという姿勢を堅持してまいりたいと思います。

 しかし同時に、先ほど申し上げましたように、国連海洋法条約に基づく日本の権益が、やはりこれは侵されるということがあってはならないわけでございまして、そういったことも念頭に置きながら、政府として鋭意、積極的にこの問題に対応してまいりたいと考えております。

丸谷委員 実際に、今後、日本側が試掘権を設定して、そして試掘を行っていく、取りかかる前に日本船舶の安全確保等の十分な対応策というのはとっていただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次に、EUの対中武器禁輸解除問題について幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに考えております。

 EU自体は、一九八九年の天安門事件に対する制裁措置としまして、アメリカとともに中国への武器輸出禁止措置をとりました。しかしながら、時間の経過とともにと言ってもいいと思いますけれども、その後、EUにとっての中国の位置づけというのは変化をしてきたであろうというふうに承知をしております。一つには、中国という巨大市場でのビジネスチャンスということがあるでしょうし、またもう一つには、アメリカの一極支配体制からの脱却を目指す外交戦略ということも考えられるのではないかというふうに思います。

 その中で、昨年秋でしたか、ASEM、あるいは昨年末の中国・EU首脳会議の中で、EUは中国に対して武器禁輸解除への政治的意思があることを表明しております。また、先週末にフランスのシラク大統領が訪日をされまして、小泉総理とも会談をされたというふうに報道で伺っております。そのときにも、首相よりシラク大統領の方に対して、この武器輸出禁止解除について懸念をあらわしたわけでございますけれども、シラク大統領からは、実際にはことし上半期までに解除することを決めているということと、政治的な意思決定であって、EUの武器輸出はさまざまな制約やルールがある、解除によって武器輸出の状況が変化するものではないというふうに述べたと報道されております。

 実際に、このEUの武器輸出における制約あるいはルールがある、だから今後、解除によって武器輸出の状況が変化するものではないということは、これはどういった理解をすればいいのでしょうか。この点についてお伺いをします。

逢沢副大臣 EUの対中国武器禁輸解除、この問題には重大な関心を私ども持っているわけであります。重ねて日本政府の立場を表明いたしているわけでありますが、解禁には反対であるということを、あらゆる機会を通じて、EU側にも、また中国側にも申し上げているわけであります。

 丸谷先生御指摘のように、先般、シラク大統領が来られまして、小泉総理とも会談をされました。その際、シラク大統領からは、中国に対する武器や安全保障上機微な技術の輸出については一定の制約やルールが課されている、また禁輸解除の決定が仮に行われたとしても、輸出状況ひいては中国の軍備について実質的に変化があるわけではないんだ、これは政治的ないわば決定である、政治的な立場の表明である、そういった趣旨の発言があったというふうに承知をいたしております。

 それに対して、私どもの基本的な認識といたしましては、いわゆる東アジアの安全保障にやはり変化を及ぼす、そういう新たな事態を招来する、そのことを大変懸念している、したがってこの武器輸出解禁には反対であるという立場を改めて強く総理からも、また町村大臣からも表明をいただいたわけであります。

 私どもも、フランスを初めEUの方と数多く会談、この問題について意見交換をする機会がございます。仮に解禁をいたしましても、中国がみずから製造する、みずから生産をするその能力以上のものは我々は与えないんだ、そういった趣旨のことでありますとか、その他さまざま、東アジアの新たな緊張を惹起する、そういったことが起こらない、そのことについては私どもとしても十二分に留意をする、そういった趣旨の発言がたびたびEU側からは繰り返されるわけでございますが、必ずしもそのことが、ある種の国際約束、あるいは中国とEUとの間のいわば協定になるんでしょうか。そういうもので担保をし切れるものではないという意味で、私どもは大変強い懸念を持っているわけであります。

 私ども、機会を得て、今月上旬、EUのソラナ上級代表とも会談をいたしました。率直に今答弁をさせていただいたような趣旨を申し上げたわけでございますが、引き続きあらゆる機会を通じて、この問題についての日本政府の反対であるという立場を表明し続けてまいりたいと考えます。

丸谷委員 御答弁ありがとうございました。

 今御答弁をいただいた中で、実際に上半期に政治的なEUの意思により禁輸解除がなされたとしても、例えば中国が自分たちで生産できる以上のものは想定されないということは、実際にはEUの持つ軍事技術移転等の促進は行われないというようなEU側の意思が表明されたということになるのであろうというふうに思いながら聞いていたわけなんですけれども。

 例えばEUなりの制約やルールにのっとって今後やっていきますから安心してくださいねといったような趣旨の発言があったとしても、副大臣がおっしゃったように、例えばそれが第三国への移転につながらないこと、あるいは軍拡につながるような技術移転がなされないこと等、その行動規範というものがEUにはあるのであろうというふうに思います。

 ただ、行動規範であっても、実際にはこの行動規範は法的拘束力がないわけでありますので、そういった日本側の懸念というのは再度お伝え願いたいと思いますし、またアメリカとともに協調しながら、これはEUに対して強く求めていく必要があるのであろうと思います。この点についてアメリカとの協調というのは欠かせないものというふうに思いますが、この点はいかがでしょう。

逢沢副大臣 丸谷先生御指摘のとおりでありまして、アメリカもEUからの中国に対する武器輸出の解禁については明確に反対という立場であります。日米間でより一層この問題については協調をしていく必要があろうかと思います。

 また、中国におきまして、いわゆる反国家分裂法というのがさきの全人代におきまして制定をされたと承知をいたしております。このことはEU内でも議論の対象になっている、大変深刻な中国に対する認識を持たざるを得ないといったような議論もEU内で行われているということも我々は耳にいたしているわけであります。

 この東アジアの状況、あるいはまた変化しつつある情勢について正しくEUに理解をしてもらわなくてはならない。その正しく理解をしていただくという中に、中国は必ずしも十二分な説明責任を果たさない国である、また軍事を含め政治の透明度が西側諸国に比べれば著しく依然として低い国である、そういった認識を正しく持っていただく必要があろうかと思います。

丸谷委員 最後に、きょうは日中関係を中心にお伺いをいたしましたけれども、中国は国連安保理の常任理事国の一つであります。日本がこの常任理事国入りを目指している、外交政策として目指しているということは当然でございまして、アナン事務総長の方からA案、B案が先日出されたわけでございます。

 日本としては、全体で九枠ふやしていくというこのA案を目指して、今、各国において賛成を得るための外交活動を一生懸命されているというふうに思いますけれども、たとえ賛成国が百を超えても、実際には常任理事国を含めた三分の二の批准が必要であるということを考えると、常任理事国が一カ国でも反対をすれば日本の常任理事国入りというのは果たせなくなる。この観点から、どのような安保理の常任理事国入りを目指しての外交努力あるいは対応をとっていかれるのか、この点を最後にお伺いします。

逢沢副大臣 戦後六十年目のことし、国連改革はまさに待ったなしの最重要課題であると理解をいたしております。

 国連の信頼度を強化する、また国連の実効性をしっかり確保する、そのことを通じてより強い国連をつくっていく、そしてそのより強い国連で国際の平和や安定を確保する、貧困の撲滅や開発にもより意味のある活動を展開していく、そういう意味で大変重要な国連改革であろうかと思います。

 日本の常任理事国入りでございますが、このことについて、その課題を実現すべく最大限の努力を展開いたしております。百九十一カ国のうち百二十八カ国以上が賛成をしなくてはなりません。アフリカ、AU五十三カ国は、基本的には日本が主導するA案を支持する、そういった方向の意思決定をいただいたわけでございますが、引き続きいわば大票田でありますアフリカに対しても十二分な連携を働きかけてまいりたいと思います。

 そういった中、明日、三十一日でございますけれども、ニューヨークにおきまして、安保理改革に関心を有する諸国を集めたいわゆる改革二〇〇五会合を開催いたすわけでございます。先般のアナン事務総長のアナン試案、アナン発言を受けての最初の、いわば国連改革に弾みをつけるための二〇〇五の会合でありますが、今現在、一カ国でも多く、明日、三十一日の会合に出席が得られるよう、ドイツやインドやブラジル等々とも協力をし合いながら最大限の努力をさせていただいているわけであります。

 また、五月には全在外公館の大使を一堂に東京に集めて大使会議を開き、改めて国連改革、安保理入りについての強い決意を各大使に十二分に理解をさせる。それぞれの国において十二分な活動を今日まで行ってまいりましたが、よりそれを強化する等々の予定も持たせていただいておりますが、立法府、国会の先生方の御協力もいただきながら、戦後最大級の外交課題、安保理の常任理事国入りをぜひ実現してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

丸谷委員 ありがとうございました。

赤松委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時九分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。増子輝彦君。

増子委員 民主党の増子輝彦でございます。きょうの質問をさせていただきたいと思います。

 午前中の質疑の中でも、日韓関係あるいは常任理事国入りの問題等々いろいろ出てまいりましたけれども、私自身も日韓関係について、それに加えて、若干時間がありましたら日中及び日米関係等について少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日韓関係でございますけれども、ことしは日韓国交正常化四十周年という大変意義深い年になっておるわけであります。こういう中で、ことしに入りまして、何か日韓関係の中で非常に大きな動きがあるといいますか、大きな転換期のようなことが立て続けに実は起きているわけであります。

 まず第一番目に、ことしの一月初め、日韓国交正常化交渉等の外交文書が実は韓国側から発表されました。続いて、三月一日に三・一独立運動記念式典で盧武鉉大統領の発言というものが、大きな対日政策の転換ということで日本でも大きく取り上げられましたし、多分、我が国政府、外務省としても、一瞬、驚きやら、戸惑ったのではないかというふうに思っております。さらに、すぐ後の三月十七日には、対日政策が明確に変更だというような、実は声明もなされているわけであります。

 ことしのこのわずか三カ月の間だけでも、日韓関係が今までの未来志向型の関係から大変厳しい政策転換になってきたのではないかということが、私は強く感じられるわけであります。この変化は一体何を意味するのかということを中心に、これから外務大臣にお聞きをいたしたいと思っております。

 まず最初に、日韓の正常化交渉の過程の中における外交文書の公表につきましては、大臣がどのような見解をお持ちになっているか、お聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 韓国側は、いろいろな韓国側の事情によってそうした文書を公開する。特に、正確には彼らの意図というのはわからない部分もありますけれども、今、通説的に言われておりますのは、過去を見直すといいましょうか、特に今の盧武鉉政権になって、これまではいわば当たり前と思われていたようなことをもう一度見直して、歴史の再評価と言うとちょっとオーバーかもしれませんが、かなりそういう意識で、いろいろなことを全部洗い返してみようではないかという動きがいろいろあるようでございます。

 彼らなりの法律も既に昨年出されておりまして、例えば、ちょっと不正確かもしれません、間違っていたらごめんなさい、第二次大戦中あるいは第二次大戦後に何かいろいろな形で日本に協力をした人のいろいろな発言なりなんなりを洗い出して、それを再評価して云々というような、ちょっと名前は忘れましたがそういう法律を出すとか、全体として、そういったもろもろの歴史を見直してみるというような動きがある中の一環なのかな、こう思っております。

 それについて、私どもは日本の立場で、それがいいだとか悪いだとか、正しいとか間違っているとか言うつもりはありません。それは韓国側のみずからの判断でなさったことだ、こう思います。それに対応して、日本は日本独自のルール、考え方で外交文書の公開問題というのは取り扱っておりますから、必ずしも韓国と同じことをやる必要もないだろう、こう思っているところでございます。

 したがいまして、韓国政府のやっておられるそういった外交文書の公開については、余りあれこれコメントをすべき立場には基本的にはないんだろう、こう思っております。

増子委員 日韓基本条約の公式文書が公表されたということで、特に大事な点は、日韓間の請求権問題というものが大きな問題としてクローズアップされてきたんだろうと思います。外務大臣も、これは完全かつ最終的に解決されたというふうに御認識でしょうか。

町村国務大臣 この点につきましては、実は先般の三月の十七日に、先ほど委員お触れになりました、先方のナショナルセキュリティーカウンシルというんでしょうか、NSC、常任委員会声明文というものが三月十七日に出されました。それに対して外務大臣談話というものを出したわけでございますが、その中でも、六番目のポイントとして、日韓間の財産・請求権問題については国交正常化の時点において解決済みであり、その上に立って形成されてきた両国関係の歴史の歯車を戻すことは賢明とは言えない、こういうコメントを私どもはいたしました。

 ここに言っておりますように、私どもは、国と国との関係が完全に正常化の時点で、長い間、当時、何年も何年も関係者が議論をした結果ようやっとでき上がったこの日韓国交正常化の文書、条約でございますから、その時点で財産請求権問題は両国間においては解決済みという考えでございます。

増子委員 しかしながら、この問題が改めてぶり返されてきたという背景があるんだと思うのです。

 今回の、先ほど大臣もおっしゃいましたように、三・一の記念式典における大統領発言、あるいは三月十七日の先ほど申し上げました対日政策声明の発表という中で、この問題が大きくまたクローズアップされているわけですが、日本は済んだということであるにもかかわらず、韓国側が改めてこの問題についてこのような、いわば強硬と言ってもいいのではないんでしょうか、そういう発言を意識的にと言ってもいいと思うんですが、してきた背景には、どういう背景をお感じになっておられますか。

町村国務大臣 率直に申し上げまして、韓国側がどういう考えであるかということを余り私どもが推測して、こうではあるまいかという解説をすることが今の時点で適切なのかなと率直に思います。

 また、いやいや、日本の外務大臣がこう言っているのはまたこういう観点で問題だと、ことごとく今そういうような議論になってしまう傾向がありますから、やはりそれは、彼らがどう考えているのかということをみずからの口で語ってもらうしかないのであって、余りそれについて私どもが、日本はこう考えるということを言ってもいいんですけれども、相手側がこういう考えでやっているのではないかということを余り推測、そんたくして言うべきことではないのかな、こう思っております。

 ただ、彼らも韓日協定が全部だめだと断定をしているわけではないと思います。歴史の歯車を戻すべきではないということは彼らも言っているわけであります。

 多分、韓国政府として言いたいことは、国と国との関係はそれで済んだかもしれないけれども、韓国の個人に対して、いろいろな意味で被害を受けたであろう個人に対して、韓国は韓国政府として日韓で合意したものを受けて、韓国政府が韓国国民に対していろいろな対策を打つ、これはまた韓国政府のいわば義務として当然なんでしょうけれども、日本国政府がそうした個人に対して何もやらぬでいいのかという問題提起なんだろうと思います。

 そこは、私どもとしても、もう既に国と国との関係ということでは済んだということではありますが、しかしさはさりながら、日本国民のいわば誠意とか気持ちをあらわす方法はないんだろうかということを考えて、基金というものをつくったわけでございます。アジア女性基金というものをつくり、日本として人道的な観点から、いわゆる従軍慰安婦問題についてはアジア女性基金を通じて被害者支援というものをやって、この女性基金の事業も大体終了したのかなということで、先般、基金の皆さん方が集まられて、一定期間後にこれを終了させるということを決めているわけでございます。

 また、そのほか、在サハリンの韓国人の問題とか在韓被爆者問題についても、これまた人道的な観点ということで、日本としてもこれまで無為に見過ごしていたわけではなくて、政府として、あるいは民間としてやるべき対応というのはやってきている、こう私どもは思っているわけでありますが、韓国側にしてみると、そうした日本の取り組みをどこまで御存じかわかりませんが、不十分である、こういう認識なのではなかろうかなと。これは推測でございます。

増子委員 大臣、私があえて今の問題に触れさせていただいていますのは、日韓関係というものの前例が今後の日朝関係に大変大きな影響を及ぼすのではないだろうかというふうに私は認識しているんです。

 小泉総理が二〇〇二年に初めて訪朝されて平壌宣言をした。そのときの、実はこの宣言の中に今回と同じような賠償問題というものが当然、解決するかしないかというところで、実はこの日韓基本条約のときの賠償問題等と同類のことが出てくるんではないだろうかというふうに思っているわけであります。

 日本は経済支援とかさまざまな形の中で支援をしたいという形。韓国との間も多分そうだったと思います。ところが一方、向こう側は、いや、それはそれだと。しかし、賠償問題を含めて、さまざまな請求権等の問題があれば、それはそれということになってくるんだろうというふうに、私は、今回のこの盧武鉉大統領の大きな政策転換、国内、自分の政治基盤的なものもあるんでしょう、政権基盤的なものも。しかし、今回また日朝関係がどうなっていくかわかりませんけれども、これが締結されたときに同じようなことが将来に向けて起きてくるんではないだろうか。

 我々としては、やはり拉致問題、これが明確に解決をしなければ、当然私は、平壌宣言なんというものは、これは生かされもしなければ日朝正常化交渉もあり得ないと思っているわけですけれども、しかしそれはそれとして、交渉過程の中でこの問題、韓国の例をやはり教訓としてしっかりしていかなければならないんではないだろうかというふうに思っているわけであります。

 その対北朝鮮等に及ぼす影響は、今後極めて、今度の問題をまた本質的な問題であやふやにしていたのでは大きな問題が残ってくるんだろうと私は思うわけです。この件についての御見解をお伺いしたい。

町村国務大臣 日本政府の考え方というのは非常に明快である、こう思っておりますし、特に請求権問題等についてあやふやな点は、私どもはない、こう思っております。

 確かに委員御指摘のように、この日朝平壌宣言、二〇〇二年九月十七日の第二パラグラフを見たときに、双方は日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道的支援等の経済協力を実施し、また民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等の融資、信用供与等が実施されることがこの宣言の精神に合致する云々、こういうことであります。

 さらに、国交正常化を実現するに当たっては、一九四五年八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議するという基本的な考えがこの平壌宣言に触れられているわけでありまして、この考え方は、まさに日韓間で四十年前に合意をしたものと同じ趣旨のことがこの平壌宣言にも触れられている。そういう意味で、私は、国と国との関係で言うならば、そのいわゆるあいまいな部分というのはないんだ、こう考えているわけであります。

増子委員 大臣はそうおっしゃるんですけれども、やはり本質的な問題があいまいになってきたと思うんですね。これは、植民地統治とか戦争被害の責任をどういうふうに清算していくのかという問題が実はあるわけであります。そういう意味で、韓国と日本の中では、当時の朴政権は何よりも早く経済発展を望んだわけでありますから、そのために自分の国には自分の国に都合のいいようなある意味では解釈をしながら、資金導入を急いでこの条約が締結されたのかなというふうにも思えるわけであります。

 そうしますと、日朝関係の中においても、今の金正日政権ということになりますと、私が言うまでもなく、経済的に困窮し、食糧の問題、さまざまな、あの北朝鮮が今置かれている立場を見れば、これは限界というものがあるわけでありますから、日朝の関係がどういう形にせよ、本質的にはやはり彼らの望みは日本の経済力をどうして一日も早く導入するかということが私はあるんだと思うんです。

 また一方、小泉首相にとっても、自分の総理在任中の歴史的な外交成果として、どうしても日朝国交回復をしたいということが当然あると考えてもおかしくありません。

 そのときに、やはり経済協力支援というものを優先することによって、先ほど申し上げたとおり、拉致問題が解決もされないままにあやふやな形の中でこの日朝国交回復というものが行われるようなことになれば、これはやはり将来に禍根を残すんではないだろうか。

 私は、今ここで大臣に改めてきちんとお願いをして、また御答弁をいただきたいと思いますが、拉致問題解決なくして日朝国交回復はあり得ないということをどのようにお考えになっているか、これについての御見解をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 これは、今までもそういう趣旨の発言を政府としてはしてきた、こう思いますけれども、拉致問題が、私は、五人が帰ってきた、またその家族の方々も帰ってきたということで大きな前進を遂げた、ただ依然として安否不明の方々がいらっしゃるということがあるわけで、そういう意味ではまだ問題解決の道半ばであるというふうに受けとめております。

 したがって、その道半ばの状態で一挙に国交正常化交渉に入っていく段取りというのは、それは想定できないわけでありまして、やはり一つ一つ順を追って、解決すべきものを解決した上で、そしてその上で日朝国交回復ということに進んでいくということは、私は、この朝鮮半島の平和と安全、さらには核のない朝鮮半島というものを実現する上にとって、それは重要なことなんだろう、こう考えております。

 いずれにしても、拉致問題を中途半端な形で終えて、あるいは中途半端な状態のままに正常化交渉に入っていくということは、それはあり得ないということは委員も御指摘のとおりだ、私もそう考えております。

増子委員 次に、韓国の政策の中で問題になってまいりましたのは、歴史問題、あるいは竹島、尖閣の問題があるわけであります。

 最初に歴史問題についてお伺いいたしますが、再三この外務委員会でも大臣に私は、日中関係の問題の大きなとげといいますか最大の懸案は小泉総理の靖国神社参拝である、これはお互い認識は一致しているわけであります。韓国との関係は、比較的この問題については今までは盧武鉉大統領は寛容であった。

 しかし、今回の一連の、ことしに入ってからの政策の転換といいますか、対日政策ということを見れば、歴史問題で、やはり総理の靖国神社参拝問題、あわせて教科書等の問題が大きな影を落とすようになってくるんではないだろうかというふうに私は思っているわけであります。

 もちろんそれぞれの考え方はございますが、一つ靖国神社参拝、小泉総理の靖国神社参拝問題が、今後の日韓関係の中に大きなやはり影響が及ぶかどうか。私は、今までは寛容であったけれども、ことしに入ってから三回にわたる大きな韓国の声明とかいろいろなものがあれば、やはり強硬な姿勢に転じてくるんではないのかというふうに心配をしておるわけでありますが、小泉総理の靖国参拝については日韓関係について今後どのような影響があると思われるか、御見解をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 この三月二十三日付の日韓関係に関する国民への手紙というものが盧武鉉大統領から韓国国民に対して発出をされております。その中で、顧みるに、おわびと真の反省を前提とするものであり、これにふさわしい実践が伴われるべきであるため、小泉総理の神社参拝は以前日本の指導者が行った反省及びおわびの真実性を毀損するものである。非常にはっきりとこういう触れられ方をしております。

 私は、こういう意見が出される、そのほかにも日露戦争の位置づけ、教科書問題等々いろいろなことにこの手紙の中で盧武鉉大統領は触れておられます。率直に言って、こういうお考えがもしもとからあったのであれば、何で、例えば指宿のあの会談のときに率直に、まさに両国首脳がひざを突き合わせて率直に話し合いをする場で、しかも指宿は最初ではなくて、その前にもう何度も行われている。なぜそこで盧武鉉大統領は、自分たちはこういうことを考えているんだということを言われなかったのか。

 こういう形で表現をするということを、それは韓国サイドのやる方法ですから、それを別に私は批判するつもりもありませんが、ある意味では残念な思いがするのは、せっかく両国首脳が一晩かけてゆっくり話し合うという場があったときに、全くこういう靖国問題の提起などは私の記憶ではなかったと思うんですよ。

 そういう意味では、大変残念であったなという思いがありますし、今度、両国首脳会談は当然継続すべきと私は思っておりますし、また先方も、六月までにやる、ことし前半に行われるであろう首脳会談は継続する、こう言っておられますから当然開かれるものと期待をいたしておりますが、そういう折にもっと率直にこういうことを両国首脳の中で話し合われたらいいと思うんです。

 これは、いつか委員にもお答えをいたしました。中国との間でも靖国について大きな議論になっております。しかし、これとても、やはり去年二回、胡錦濤主席それから温家宝首相との間でかなり激しいやりとりをしたというのは、私はそれはそれで有意義だったと今でも思っております。

 私は、ぜひ両国首脳がこうした問題について率直に意見交換をする、お互いに誤解のないようにする。しかし、相手の言ったことを理解した上で、なおかつまた問題としてそれは残るかもしれません、それはよくわかりません。私どもとしては、そういう問題が拡大しないように、問題が縮小に向かうように外交的な努力をいろいろこれからやらなければいけない、こう思っておりますけれども、いずれにしても、この靖国問題というものが今まで余り大きく韓国サイドから取り上げられていなかった中で、今回、この国民への手紙の中で取り上げられたという事実は、私は改めて再認識をしなければいけない、このように考えております。

増子委員 今まさに大臣が、率直になぜ昨年の指宿会談で、あるいはその以前のという言葉にあらわれていると思うんですね。ですから、この靖国神社参拝問題を初めとして、韓国はこれから多分強硬な路線で来るんだと私は思うんです。それがことしに入ってからの、先ほど冒頭に申し上げました三つのことが立て続けに出てきているわけであります。

 ですから、ここは中国との関係、大臣は胡錦濤さんと言いますが、あれは正式な会談であっても、両国首脳が両国を訪問できないという変則的な首脳会談でありますから、やはり両国首脳が両国をそれぞれ相互訪問できるという形をつくっていかなければならない。それは、多分今のままでは対中国とも今後できないでしょう。

 ひょっとしたら、韓国との間でもそれが大きな障害となって相互訪問ができなくなる可能性も極めて強いのかなと私は心配しているんですね。首をかしげているけれども、御自分もやはり、指宿の会談のときになぜ率直におっしゃってくれなかったのかなというのは、大きなショックがある意味ではあるんだと思います。今の御答弁の中にも、そういうものが端々に感じられるわけであります。

 いずれにしても、中国、韓国、この東アジアの中で両国との関係をしっかりしていくことが日本外交上最も重要な、町村外交にしても、我が国の外交にしても重要なことでありますから、ここは改めて、外務大臣、率直に小泉総理と、この問題については、少なくとも総理大臣の間はというようなお話をされていくことが必要なのかなと私は思っているわけであります。

 次に、竹島問題でありますけれども、御案内のとおり、午前中もちょっと質問が出ましたけれども、竹島は、もう一九〇五年に竹島編入の閣議決定が行われて、島根県が告示されている、まさにこれは日本の固有の領土なんですね。それが今さまざまな問題となっていることは、甚だ私も遺憾であり、残念だと思っているんです。

 そこで、一つだけこの問題について、先般といいますか二十九日の参議院文教科学委員会で、中山文科大臣が、指導要領に竹島、尖閣をというような御答弁をされている。ちょっとこれは記事ですが、読んでみます。竹島と尖閣諸島について、日本の領土だということは学習指導要領にない、次回の指導要領できちっと書くべきだと述べ、指導要領に日本固有の領土と明示すべきだとの意向を示したというふうに書いてございます。

 これは単に教科書の問題だけではなくて、まさに日韓関係初め、日本の固有の領土であるかどうかという極めて重要な、我が国の主権やいろいろな問題が入っているわけでありますから、これは明確にしなきゃいけないと思うんです。これについて、外務大臣、やはり外務大臣としては、この文科大臣と同じように、教科書の中にとか指導要領の中にこれを記載すべきだというお考えをお持ちになっておりますか。お考えをお聞きしたいと思います。

町村国務大臣 元文部大臣としては、なかなか複雑な思いがあるところでございます。

 まず、尖閣は、これはもう別に議論の余地がありませんので、これをあえて学習指導要領で触れる必要は全くない、こう私は考えます。確かに北方領土と、私もちょっと正確には、手元に資料がございませんから何と学習指導要領に書いてあったか、今全く記憶にはないんですが、北方領土のことはたしか触れてあって、竹島という記述が学習指導要領にないではないかというお問い合わせに対する大臣の答弁であったという、けさの新聞を私も拝見いたしました。

 筋論として、私はあえてそれを否定するものではございません。ただ、どういうのでしょうか、すべての事象を、ありとあらゆること、まあ、これは国家の基本にかかわることですから、何も小さいことだと言うつもりもありませんけれども、すべての事象を学習指導要領に全部書かなきゃならないかというと、これは学習指導要領がもう膨大なものになってしまうおそれがあるという意味で、要するに、領土問題等、国家主権にかかわることはしっかり教科書で触れなさいよということが要約して指導要領にたしか書いてあったのではないんだろうか、そう思います。でありますから、後はそれをどう具体に、教科書作成者がそれを受けとめてどう書くかという問題ではないのかな、こう私は思います。

増子委員 大臣、私がお尋ねしていることは、外務大臣として、あえて言うと元文部大臣として経験もおありですが、やはり外交ですから、極めて重要なんです。指導要領に入れるといういわゆる行政の絡みの中ではなくて、日本の外交でこの竹島という問題が大きな我が国の問題となっているわけでありますから、この竹島を指導要領に入れるかどうかということを外務大臣がどう考えるかということは、この国のあるべき領土の問題について極めて重要なことでありますから、外務大臣としては、指導要領に入れるべきであるか、いや入れる必要はない、いや答えられない、さまざまなお答えがあるわけですが、どうでしょうか。そこをひとつお答えください。

町村国務大臣 よく考えてみたいと思います。

増子委員 よく考えてみたいは答弁になっていないと思うんですけれども、それ以上は申し上げません。時間が参りました。

 ただ、もう一つだけ、午前中の質問に関連してでございますが、公明党の丸谷委員が、中国が常任理事国入りについて反対をした場合にはという質問を逢沢副大臣の方に実はなされました。それについては明確なお答えがなかったんですね。実は、これもきょうの新聞の記事でございますけれども、日本の常任理事国入り、一千万人が反対署名、中国ネット上でと書いてあるんですね。

 ですから、これは何も中国政府が反対ということをあらわしているわけではありませんけれども、少なくとも中国の中でこういう運動といいますか、こういうものの署名が行われている。当然、中国政府としても、中国の国民の民意というものはこれは参考にしなければいけないんでしょう。

 我が国としても念願の常任理事国入り。世界じゅうにODAで経済援助をしながら、またさまざまな外交努力をされる。今回も六名でしたか、常任理事国入りのための臨時の担当者をお決めになった。さまざまな努力をされております。

 そこで大事なことは、ただ一点、午前中の質問、大臣がいらっしゃいませんでしたので逢沢副大臣から余り明確な答えがございませんでした。今度は大臣がおられますから、中国が日本の常任理事国入りに反対をしたとすればどうするんでしょうか。そのお答えをお聞きしたいと思います。これで最後の質問にいたしたいと思います。

町村国務大臣 万が一中国が本当に反対をすれば、これは常任理事国入りは今の国連の規約上、それは不可能でございます。現在の常任理事国五カ国を含む三分の二、したがって百三十二カ国ですか一カ国ですか、これらが賛成をしなければこれはできないということに相なります。

 私は、この問題について、先方外交部部長と国連改革そして常任理事国入りについて話を既にしております。まだ当然のことでありますが賛成とも反対とも言わない。ただ、国連改革が必要であるという総論においては、彼らとは意見が一致をしているところでございます。

 世界じゅうの数多くの国々が日本の常任理事国入りを仮に支持したという前提で、中国のみの反対でそれが不可能になったというような事態を私はちょっと想像することができないのでありまして、そうした国際社会の動きというものにも当然中国は考慮を払われるだろう、かように確信をしております。

 また、日中間でのさまざまな働きかけ、努力、これは当然やらなければいけないことであろう、その結果がどこかの時点で投票行動になって出てくるということであろうと思います。

増子委員 そうすると大臣、そこで大事なのは、やはり総理の靖国参拝という問題が大きな問題になってくるのではないでしょうか。それを私は以前から心配しておりますので、靖国神社参拝について外務大臣も明確に、日中間の大きな障害であり問題であるということは明確であるということをお答えになっているんです。

 ですから、この問題は悲願でしょう、外務大臣、常任理事国入りは。そのときに中国が反対をすればなれない。その障害は何か。これは言わなくても明確だと思うんです、靖国神社参拝問題。個人の政治家としてのお考えと、一国を代表する総理大臣としての立場というものは、明確にこれは違っても私は政治家としておかしくないと思うんです。

 ですから、この靖国神社参拝問題、これはやはり中国の反対を受ける大きな要因になるのではないかというふうに考えますが、最後にそこだけお聞きして質問を終わりたいと思います。

町村国務大臣 それらをすべて含んで、総理としては適切に判断をし、適切に行動をされるであろう、こう思っております。

増子委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に、下地島空港の問題について防衛庁に伺います。

 米軍再編協議の中で、下地島空港は大変大きな注目を集めてきました。その空港のある伊良部町議会は、今月の十六日に自衛隊駐留の誘致決議を行って、早速その誘致決議を大野防衛庁長官や防衛事務次官に要請をいたしました。

 その要請から、東京から伊良部町に戻ってきた直後に、町議の皆さんと住民との説明会、これを求める動きが出まして、その晩、七千人の人口の島で三千五百人の住民が集まって説明会が開かれ、その説明会の中で、すべての町議が自衛隊の誘致決議は撤回をする、こういうことを合意いたしました。その合意に基づいて、翌日二十五日の臨時町議会で、これらの誘致決議を白紙撤回するという決議を行ったわけです。二〇〇一年にも誘致決議がありました。それらも含めてすべての決議は消滅をする、こういうことを町議会議長さんが発言をしておられます。

 防衛庁は一度誘致決議を受け取ったわけですが、今回の自衛隊誘致白紙撤回決議、これをどのように受けとめておりますか。

飯原政府参考人 今、御指摘のような事実がありましたし、また昭和四十年代からいろいろな経緯があったことは十分承知をいたしております。

 今回のいろいろな経緯につきまして、私どもとして、県の動きも含めまして、下地島空港をめぐる経緯を踏まえ今後とも慎重に動向を注視してまいりたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、防衛庁としては現時点においていわゆる自衛隊の移駐について具体的に検討しているわけではございません。

赤嶺委員 白紙撤回決議を行われたというのは認識しているわけですよね、当然のことながら。

飯原政府参考人 動きの詳細については承知しておりませんが、そういうような動きがあったということは報道等で承知いたしております。

赤嶺委員 防衛庁は、これまでのいろいろな経過や、そういう合意があったにもかかわらず、下地島空港について自衛隊を配置したいという動きが陰に陽に行われてまいりました。住民の意向は皆さんの立場を受け入れていないということをはっきり申し上げておきます。

 次に、同じ問題で外務大臣に伺います。

 下地島空港というのは、もう御承知のことですけれども、一九七一年に当時の琉球政府行政主席屋良朝苗氏と、当時の総理府総務長官山中貞則氏、運輸大臣丹羽喬四郎氏との間に、その空港については民間航空訓練及び民間航空以外に使用させる意思はないということ、そして政府も異存のないことを確認してきました。

 ところが、そういう確認があったにもかかわらず、政府は地位協定を盾にして、この下地島空港、米軍の利用を容認してきました。米比合同演習の際には下地島空港を使うということが繰り返され、島の人たち、それから宮古郡の人たちのたび重なる抗議を受け、沖縄県からも使ってほしくないということを言われながら、米軍の使用は容認をしてまいりました。

 今回起きているのは、これまでの米軍の使用に加えて、米軍の再編協議の中で下地島空港が普天間基地の代替施設として、その候補地として注目されるようになってきたという新しい問題が住民の前に生起しているわけです。住民の危機感が物すごく広がったわけです。そういう中で、人口の過半数の人たちがその住民説明会を決めてから三時間後に公民館に集まってくるという大がかりな動きになったわけですね。

 外務大臣、この米軍再編協議の中で、これらの地元の住民の意思は当然尊重されるべきだと思いますが、いかがですか。

町村国務大臣 午前中の首藤委員とのやりとりの中でもお答えをしておりますけれども、今、日米間で具体の地域の施設あるいは区域をどうするか、あるいは、この空港を、この場所をというような話がこれから議論として行われていくわけでありまして、現状、下地島について云々ということを今言われましたけれども、私どもとしては、もちろん今御指摘のような動きというものは私どもも報道を通じて知っておりますけれども、いずれにしても、まだそういった具体の話についていかなる決定も行われていないということを申し上げておきます。

赤嶺委員 米軍再編協議に日本政府が臨む基本として、当該地域の住民の意思は当然尊重されなければいけない、それは政府の方針としてどうですか。

町村国務大臣 住民の意思というものをどのように判断するかという問題もあろうかと思います。

 私どもとしては、沖縄等を初めとする基地の負担軽減、同時に抑止力の維持、この二つをどのように両立させていくのかということで今後の作業をやっていこうと思っておりますし、その過程にあって、必要な関係する自治体の皆さん方とは、ある程度案がまとまったところで御提示を申し上げ、そしてまた、いろいろな議論を経た上で最終的な日米両国間の政府の合意に持っていきたい、こういうことを考えているわけであります。

赤嶺委員 私は、住民の意思を尊重するというのは政府の基本姿勢にあるかないかを伺っているのです。

 伊良部町では、住民の過半数が集まった住民説明会で意思が確認されました。伊良部町長も反対です。そして、沖縄県知事も何度も町村外務大臣にそのことを申し入れているはずであります。あるいは意思表示をしているはずであります。住民の意思は明確なんですよ。

 私は、再編協議の中で住民の意思は尊重されなければならない、そのことを聞いているわけですが、その点はどうなんですか。

町村国務大臣 これは先般も渉外知事会の皆様方とお話をしたときに、各地域の意見はしっかり受けとめてくれということで、それはそのとおりだとお答えをいたしました。

 ただ、結局、この米軍の問題については、米軍の基地があり、そこで米軍がいろいろな活動をすることのメリットもまずあるんだということを御認識いただきたいということを申し上げました。

 なぜならば、そのことによって日本はかなり、最近は一%論というのはなくなりましたけれども、防衛予算を一定の水準以下に抑えていく、そしてその他の経済的な面に日本の資源を振り向けることによって、日本の経済発展、社会的な発展を達成できてきたんだという意味で日米安保体制がある。

 これは委員はお認めにならないだろうが、日米安保体制があることによる日本国の大いなる発展の基盤がそこでできてきたということもまず御認識をいただきたい。その上に立って、さあ、それではどのようにこの再編成問題を議論していくのかという際に、さっき申し上げた二つの論点がありますねということを申し上げた。

 ですから、沖縄の皆さん方、特に沖縄には七五%集中しているという事実は重い事実として私どももよく認識をしております。それでは、ほかの県の皆さん方に伺いますが、例えば普天間の県外移設ということを稲嶺知事が言っておられる。では、ほかの皆さん方、お受けをいただけますかと言ったら、皆さんだれも答えない。むしろ、みんな反対だ。それは国外も県外の中に含まれるから、それはそれで一つの答えかもしれませんけれども、要するに、皆さん、やはり自分の庭先はとにかくきれいにしておきたい、新しい負担は嫌だ、しかし沖縄は沖縄として考えなさいというのでは、ある意味ではこれは答えがないことになってしまうのですね。

 もちろん、私どもは、全体として、今、米軍が拡大の方向、海外に駐留する部隊が拡大する方向ではなくて、それはどちらかというとかなり本土の方に引き揚げるという意味では、在外にいる米軍が縮小するという方向だから、そういう中で抑止力の維持と負担の軽減というのは両立し得る。もちろんその背景には、いろいろな軍事技術の発展等々もある、輸送力の発展もあるということを前提にしての話であります。

 ただ、やはり私どもとしては、本当は日本国のすべての方々がいろいろな形で米軍の存在というものを認め、そしてみんなである意味では等しく負担をしようよ、そういう精神に基づいてこの問題が前向きに解決されるということが大切なんだろう。これはある意味では、ちょっと例えがいいかどうかわかりませんけれども、原発を受け入れるかどうかというようなときに、その小さな町とか村だけの住民投票でそもそも決めるべき性格のものなんだろうか、どうだろうかということもやはり考えなければならない、そういう問題だと私は思っております。

赤嶺委員 住民の意思を尊重するかどうかという問いには答えないで渉外知事会の話をなさる、そして安保条約を認めるべきだという議論しかできない。ここには本当に国民主権のかけらもない態度だというぐあいに指摘せざるを得ません。

 何で米軍に対していろいろな感情が起こるのか、そのことについて、普天間基地を例にちょっと議論してみたいと思います。

 今度、普天間飛行場からイラクに派遣をされていました第三十一海兵遠征部隊、31MEUの兵員約二千人が沖縄に帰還する、そして同部隊に普天間飛行場所属ヘリ約二十数機も含まれている、このようになっています。イラクからのヘリや兵員の帰還については稲嶺知事もそれから宜野湾の伊波市長も強く反対をしているわけですが、この兵員とヘリの帰還について、米軍からどのような説明を受けているんですか、そして外務大臣はどう対応しようとしているんですか。

河相政府参考人 イラクに派遣されていました海兵隊の帰還予定につきましては、現在、米側から随時情報を得ているところでございます。最終的な確定的なところはあれでございますが、今週後半、末にかけまして順次帰還をする、今御指摘のあったとおり二千名近くの海兵隊員が戻ってくるということで聞いておる次第でございます。

 これに対しましては、沖縄におきましていろいろな御懸念があるということは政府としても十分承知しております。それにつきましては、米側にもその状況というものは伝えて、これにいかに適切に対処するかということで、米側とは意思疎通を図っている状況でございます。

赤嶺委員 その帰還してくる海兵遠征部隊ですけれども、これはイラクでどういう作戦に従事していたか、外務大臣は御存じですか。

河相政府参考人 部隊の個々のオペレーションに関することでございますので、個々具体的なところまで我々として十分把握しているところではございませんが、イラクにおけるオペレーション、いろいろな地域に展開をしていたということで聞いております。

赤嶺委員 部隊のオペレーションを、オペレーションだから掌握していないということを、当たり前のような顔で言わないでくださいよ。海兵隊のホームページにちゃんと書かれているんですよ。彼らは、彼らの海兵隊のホームページに、一月の七日付です、イラク到着以降、安全と安定作戦を実施したり、ファルージャでの暴徒の拠点を攻撃したりした、このように言っているわけですよ。まさにファルージャでの中心部隊だったということを、随時、司令官も記者会見等で繰り返していますよ。知る立場にあるんですよ。そういうことについて外務大臣は御承知でしたか、ファルージャの作戦に従事していたことについて。

町村国務大臣 聞いたことはありますが、この目で確かめるまではできません。

赤嶺委員 そういう、イラクで人殺しに従事していた部隊が二千人も沖縄に帰ってくるわけです。戦地から帰ってきた兵隊が沖縄に戻ってきたときに、過去にどんなことが起きていたか、外務大臣は御承知ですか。

町村国務大臣 存じ上げません。

赤嶺委員 ベトナム戦争のころには、殺人や婦女暴行や幾多の沖縄の地域社会との矛盾とあつれきを生んでいたわけですよ。ですから、みんな心配している。二千人の兵士が帰ってくる、そういう場合にどうしても地域社会といろいろな摩擦が起きる、これについて不安を持っている。それについてどのように考えるんですか。

河相政府参考人 今御指摘のございました、部隊が帰ってくること、それから、そもそもそれ以外のことも含めまして、米軍関係者による事件、事故の発生というものは、政府としても極めて遺憾というふうに考えておるわけでございます。

 米側に対しては、そういう事件、事故の発生防止のための最大限の努力をするようにということで申し入れを随時やってきておる次第でございますし、今回についても同様の努力を行っていく所存でございます。

赤嶺委員 この部隊は、ファルージャの戦闘で五十人の兵隊が戦死をしているんですね。そういう部隊が平穏な地域社会に帰ってきたときに、どんな地域社会への影響を与えるのかということについて検討もしていない。起これば遺憾だし、起こらないように米軍に要請をする。

 起こしてはいけないんですよ。起こしていけないためには、この二千人のイラクからの兵士というのは沖縄に帰還してはいけないというのが知事や市長の要求であると思うんですよ。そこがあるから、それも安保条約だから引き受けて当たり前なんて、そんな安保条約は見直さなきゃいけないということは当然たどり着く議論だと思いますよ。きょうは安保条約の議論をしようとは思っていませんが。

 それで、兵士の問題に加えて、今度は、墜落事故を起こしたヘリが戻ってきます。このヘリが戻ることについても、墜落事故を経験した宜野湾市民の間にも大きな怒りの声、批判の声が起こっています。普天間飛行場の危険性はより悪化する、このように言っております。このヘリの帰還についても、政府はどのように対処しますか。

河相政府参考人 部隊とともに戻ってまいりますヘリにつきましても、先ほど申し上げたとおり、事故の発生防止のためのできる限りの最大限の措置を行っていくということで、米側と鋭意、現在意思疎通を図っているところでございます。

赤嶺委員 外務大臣、事故の発生を抑えるために最大限の努力を行っていくと今北米局長は答弁をなさいました。

 そこで伺いたいんですけれども、ヘリの墜落事故の後に事故の分科委員会がずっと開かれてまいりました。そして、事故分科委員会からの報告、勧告を含む報告が日米合同委員会で二月十七日に合意をされました。これはもうよく御承知だと思います。ヘリの墜落事故の教訓から、ヘリコプターの離着陸時の飛行経路やさらなる安全対策についての検討を求めるというような勧告が含まれておりますけれども、そして再発防止について、飛行経路の再検討も含まれているとなっています。ヘリの飛行について、今どんな再発防止策をとっているんですか。

河相政府参考人 御指摘の二月十七日の事故分科委員会の報告書、これの中にも二点ございまして、一つは整備の手順の話、それからもう一つは、御指摘のとおりの飛行経路の話がございます。この飛行経路を今後どういう工夫ができるのかということにつきましても、それも含めまして、現在米側と意思疎通を図っているところでございます。

赤嶺委員 昨年のヘリ墜落事故についても、まだ安全な飛行経路について日米間で合意もされていない。合意もされていないのにイラクからヘリが戻ってくる。それで安全ですよというような方針について政府は説明できますか。ヘリが戻ってきても安全ですよ、再発防止策もきちんととられていますと。どんな方針をとっていらっしゃるんですか。

河相政府参考人 繰り返しの御説明になりまして申しわけございませんが、二月十七日の合同委員会の決定にございますように、しかるべく事故原因の特定を行い、それに基づいた措置を行うということを決定しておりまして、それに基づいた措置を順次進めていく所存でございます。

赤嶺委員 どんな措置なんですか。飛行経路についてどうなんですか。どんな措置がとられたんですか。

河相政府参考人 飛行経路につきましては、どういう飛行経路がより安全なものとしてあり得るのかということについては現在検討中でございます。

赤嶺委員 より安全なものがあり得るのか検討中ですという、非常に、確たる方向性というのは国民に示せない、県民に示せない、こういう状況にヘリ墜落事故の到達点はあるわけです。

 それで、外務大臣、もう北米局長の説明はいいですから、そういう日米合同委員会の合意もよくわかりましたから、それで安全ですよと外務大臣として言えるんでしょうか。どうですか。

町村国務大臣 この事故分科委員会の報告書を受けた形で合同委員会に対して次の措置を勧告するというのが出されているわけでありますから、これをしっかりと誠実にやっていくことが再発防止につながるというふうに考えております。

赤嶺委員 勧告書の中では、ヘリの飛行経路については今後検討すると言っているんですよ。何も決めていないんですよ。実行するものが何もないんですよ。実行するものが何もないのにこれを進めていくことが何で再発防止策につながるんですか。

町村国務大臣 それは、飛行ルートのことばかりではなくて、アメリカ側がやらなければならない飛行・整備要員の教育訓練、機体の徹底整備等、いろいろ安全対策というのはこれはありますよということに触れられているわけであります。これらをしっかりやることも、飛行ルートのこと以外の面も含めてやっていくことが大切なんだという認識であります。

赤嶺委員 ですから、勧告は二つあるんですよ。一つは整備、もう一つは飛行の安全。飛行の安全については何も決まっていない。決まっていますか、北米局長。飛行の安全について新たに合意したものがありますか。

河相政府参考人 飛行ルートにつきましては、先ほど御説明申し上げたとおり、現在検討しておるというプロセスの途中でございます。

 それから、委員御承知のとおり、本件の事故は、整備不良、整備が必ずしも十分なされなかったというところにあって、ボルトを固定するためのコッターピンが正しく装着されなかったというところに原因があるわけでございます。

 これに基づきまして、既に米側としてとった措置というものはございます。二月十七日の合同委員会合意に先立って米側がとった措置がございまして、これは、飛行・整備要員の教育訓練、機体の徹底整備、こういう措置は既にとられているわけでございます。それに加えた措置として今後検討していくということがあるわけでございます。

赤嶺委員 同じ答弁の繰り返しであります。

 向こうでヘリが民間市街地上空で訓練を再開するとどんな危険になることか。これが住民からも強く言われ、皆さんも日米合同委員会で合意したことです。そこについては何も決まっていない。決まっていないけれども、イラクからのヘリの帰還についても認める、それからファルージャで戦闘に参加した兵士が沖縄に戻ってくることについての何の対策もとっていない。まさにあなた方は米軍基地を引き受けてくれという最低限の義務や責任感さえ持っていないと私は思いますよ。こんな姿勢で米軍再編協議に臨んで、抑止力だの負担の軽減と言っても、だれも納得しないと思います。

 もう時間がありませんので、最後に、金武町の伊芸区の都市型戦闘訓練施設の問題について伺います。

 町村外務大臣は二月十六日の予算委員会で、都市型訓練施設の問題については、何とかそのレンジを変更できないだろうかということについて、防衛庁と一緒になって、現場を見に行ったり、どういう答えがあり得るかというようなことに取り組んだりしていると述べています。

 レンジの位置の変更の検討について、今どのようになっていますか。

山中政府参考人 これは、一昨年の十一月に、米側がいわゆるキャンプ・ハンセンのレンジ4におきまして陸軍の複合射撃訓練施設の建設計画を公表して以降、地元はもとよりですが、県当局もいろいろ反対をされております。私どもは、米側がこれまでとってまいりました安全対策や環境対策、騒音対策、こういったものについて地元に御説明をしてきたわけでございますが、なお地元におきましては、居住区域に近接をしている、あるいは過去の流弾等の事故との関係もございまして、今なお御理解をいただけないという状況でございます。

 私どもの方は、何とか地元の御理解をいただき、なおかつ米軍の訓練の所要をどうやって満たすかというような観点から、手を決めてかかっているわけではございませんけれども、両者の要請をどうやって満たすことができるかというようなことにつきまして、県あるいは米軍関係者等と種々やりとりをしているという状況でございます。

赤嶺委員 移設を検討しているということでしか理解できないと思うんですが、その場合に、移設後の施設が完成するまでは、現在つくっているレンジ4内の訓練施設、これを新しい移設先の施設が完成するまでは何らかの安全対策をとった上で米軍に使用させるというようなことも出ておりますが、その点についてはいかがですか。

山中政府参考人 これは、レンジ4において今建設が進められております施設を完成後どうするか、あるいは代替的な機能を持つ施設をキャンプ・ハンセン内のどこにつくるかというようなことを含めまして種々やりとりをしているということでございます。具体的に何らかの方向性が定まっているというものではございません。

 先ほど申し上げましたように、地元におきましては、種々、過去のいろいろな事故等も想起されまして、いろいろな不安、御懸念がある。これをどうやって我々として払拭していくか。他方で、米軍の訓練の所要、これもやはり満たす必要がございます。両者の要請をどうやって満たしていくかということについて種々やりとりをしている、あくまでもやりとりをしている段階だということでございます。

赤嶺委員 この都市型戦闘訓練施設も、一年前に建設を始めるときは、当時の外務大臣は、絶対に安全だから建設をするんだ、安全確保について責任を持つということを言ってまいりました。地元住民は、安全性についての説明なら、基地から受けた被害の五十年間の体験が身にしみているわけですから、絶対に納得しませんでした。

 一年以上にわたる座り込み闘争が続いております。そして、県知事も現場に見に行き、県知事からも、この間の渉外知事会で、移設でもない、そして建設したところを使わせるというのもとんでもない、そもそも建設してほしくないというような申し入れがあったと思います。

 県民の願いはそこにある、キャンプ・ハンセン内へ移設すれば解決するというようなものでもない、建設するなということにあるということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

赤松委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子でございます。よろしくお願いいたします。

 私も、まず最初に、伊良部町下地島空港について、そして都市型訓練施設について、そして普天間と、かなり同僚委員と重なる部分があろうかと思いますが、なるべく重複を避けながら質問をさせていただきたいと思います。

 下地島空港をめぐる今回の混乱というんでしょうか、伊良部町議会での自衛隊誘致決議、そして一週間後の白紙撤回という動きについては、先ほど同僚委員から細かい経緯の説明がありましたのでそこは省きたいと思いますが、伊良部町ではこれまでに住民運動が盛り上がったことはない、だれも出てこないのが今までの伊良部町だった。しかし、今回の自衛隊誘致ということに対しては、すぐ反応しました。

 千二百人がまず最初に集まって抗議の行動を行いましたし、先ほども話がありました、住民の約半数に当たる三千五百人が住民説明会に参加をするという、これは本当に宮古の皆さん、すごく驚いておられたんですが、それはやはりこの下地島空港を軍事利用させてはいけないというのが住民の中に危機感として大きく広がったからだなということを私どもは感じております。

 そして、まず第一問ですが、下地島空港については、同空港の軍事利用は認めないという琉球政府時代の屋良確認書、そして復帰後の西銘確認書があります。大臣、両確認書の有効性についてどのような認識をお持ちか、まずお伺いいたします。

町村国務大臣 いわゆる屋良確認書につきましては、たしか先生からも質問主意書をいただいていたかと……(東門委員「別の人」と呼ぶ)違いますか、ほかの先生ですか。どうも失礼をいたしました。

 要するに、下地島空港の使用方法は設置管理者である現在の沖縄県の判断によるということでありまして、民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させることを、運輸省として、現在は国土交通省でありますが、義務づけることはしない、こういうことでございまして、こうした考え方に沿ってこれまで対処をされてきたということであろうかと思います。

 なお、米軍の航空機につきましては、これは日米地位協定第五条に基づきまして我が国の飛行場に出入りする権利を認められているところでありまして、実際の使用に当たりましては、米軍は民間機による空港使用への影響が最小限にとどめられますように空港管理当局と所要の調整を行うということになっております。米軍が下地島空港を使用する際には、空港設置管理者たる沖縄県に対して空港使用届け出書を提出している、このように聞いております。

東門委員 私は、両確認書の有効性ということを伺ったつもりですが、何かちょっと外されたかなという感じは禁じ得ません。

 日米地位協定によってという今御発言がございましたけれども、しかし、それに対して、空港管理者である県は常に自粛を要請しているというのがあるんです。しかし、それに本当に自粛を要請するにもかかわらず、米軍は使いたいときには使うという形で、これまで再三再四、フィリピンでの演習の往復のときでしょうか、そういうふうに使っているというのが現状です。ですから、それはやはり軍事利用ということとも私はつながってくると思うんですが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 最近時点でいいますと、昨年の二月及び三月にフィリピンでの演習に参加するに当たり、また昨年の十二月は台風等によって大きな被害を受けたフィリピンへの人道支援物資等を輸送するに当たりまして、給油を目的として米軍の航空機が下地島空港を使用したという実績があるということを聞いております。

 アメリカ側の説明によりますと、民間空港を使用せずに済むよういろいろ検討を行ったが、沖縄とフィリピンの間を移動するヘリと、これらヘリへの給油を行う給油機について、運用上、下地島空港を使用せざるを得なかったということでありまして、特に昨年十二月のフィリピン人道支援というものについて、これについて異議を唱えるという性格のものではもとよりないんだろう、こう思っております。

 いずれにしても、そう頻繁にどんどん使っているという状況ではなくて、下地島空港が現実にどこまでどう活用されているのかということは別にいたしましても、地元の県と相談をしてこれを決めているということであると私どもは理解をいたしております。

東門委員 今回、伊良部町議会が自衛隊が下地島空港に関心を示していると思い、またこのままでは米軍が下地島空港に駐留することになるのではないかという危機感を強めた理由の一つとして、昨年来、陸自及び米軍関係者が相次いで下地島空港を訪れ、視察していた事実があることが挙げられます。

 この視察につきましては、三月二十二日、私たち社民党調査団が下地島空港を視察した際、空港関係者が明らかにしたものです。

 陸自関係者が昨年六月以降に下地島空港を訪れたのは四回で、そのうち二回は不発弾処理と防災訓練のためということでした。しかし、九月十三日に二十五人が、同月十六日に四人が下地島空港一帯の地形の確認を理由に下地島空港を訪れています。また、宮古の水の供給状況はどうかということの調査に私服で入っているということも情報がありました。また、本年一月には、横田飛行場所属の米空軍中佐が、プライベートとしながらも、通訳とともに空港管理事務所を訪れたとのことがございました。

 下地島空港一帯の地形の確認の目的は何だったのか、防衛庁にお伺いいたします。

大古政府参考人 昨年の九月に、陸上自衛隊の関係者が二回下地島を訪問しております。第一回目につきましては、平成十六年九月十三日でございますが、約一週間の先島諸島の地形の視察の一環といたしまして、陸上自衛隊の運用関係者二十六名でございますが、これが下地島を訪問しております。二回目につきましては、九月十六日でございますけれども、十三日の視察に同行できなかった陸上自衛隊の運用関係者四名が下地島を訪問しております。

 ただ、この地形の視察につきましては、災害派遣や国民保護派遣などによりまして、平素から各種の地域において陸上自衛隊は活動することが求められますので、我が国の国土の状況に精通するために平素から全国的に行われている現地研究の一環のものでございます。

東門委員 昨年二回ということでしたけれども、先ほど申し上げました、私服で何度か入られて、そして水の供給状況とかなんとかいろいろ調べていたということもあるんですが、そういうことはどうなんでしょうか。

大古政府参考人 私服でいろいろ調査させていただいたのは事実でございます。

 それから、いろいろこの種の現地視察につきましては、例えば災害派遣のときなりに、自衛隊は自分で給水能力がございますけれども、やはり現地の状況を確認した上でそこら辺の手当てをする必要がございますので、そういう状況も調査しておるということでございます。

東門委員 私は給水能力だけを申し上げました。ほかにもこういう項目を特に調査しているというのはあるんでしょうか。

大古政府参考人 今回につきましては、例えば災害派遣のときにおきましてはヘリコプターなりが下地島飛行場を使わせていただくことがございますので、例えば飛行場の状況を確認するとか、あと車両が通れるかとか、そういうような状況を確認しております。

東門委員 このような調査は、これまでにどれくらい行われているんですか。特に、内容については今お話あったかと思うんですが、いつごろから始めて、どれくらい調査は行われているんですか。

大古政府参考人 基本的に、毎年度一回程度、全国の地域をかえてやってございます。昨年の例では先島諸島でございましたけれども、例えば平成十五年については青森地区、平成十四年については北海道地区ということで、毎年恒常的にやっている調査でございます。

東門委員 はい、わかりました。

 もう一点は、横田飛行場所属の空軍中佐が下地島空港をやはり訪れていたということなんですが、そのことに関しては、通訳を伴っていたこと、あるいは管理事務所にまで訪れていたことから、当人がプライベートとおっしゃったようですが、本当に事実なのだろうかと疑問を禁じ得ません。また、もし本人が言うようにプライベートであれば、何を目的に空港管理事務所を訪問したのかという疑問があるわけです。

 在日米軍の再編に絡んで下地島空港が注目を集めているこの時期に、米軍関係者がプライベートにしろ通訳を伴って管理事務所を訪問することは地元に誤解を与えかねないと思うんですが、大臣、米軍との間で下地島空港の利用だとか駐留について何か話し合いがなされているということがございますか。

河相政府参考人 在日米軍の再編につきましては、御承知のとおり、先月、二月十九日の2プラス2の会合を経まして、現在、日米のいろいろなレベルでアイデアの交換をやっている状況でございますが、従来より大臣からも御答弁申し上げているとおり、個々の施設・区域について何らかの具体的な決定が行われているというような状況には全くないのが現状でございます。

東門委員 個々の、個別具体的な基地についてはというのはわかるんですが、それは、ある日突然に一回でぽんと決まって出てくるものなんでしょうか。今、第二段階、第三段階、どの段階にいて、第二と第三の段階、この間の2プラス2の合意したことで、一緒に進んでいるのか。今、第二段階ですよと厳密に言える状態なんでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 第二段階は自衛隊及び米軍の任務、能力、それで第三段階が在日米軍の再編。これは、実質的には同時並行的に現在進んでいる状況でございますが、両者ともまだ非常に初歩的な状況というふうに御理解いただければと思います。

東門委員 都市型戦闘訓練施設について伺います。

 現在、キャンプ・ハンセン内レンジ4で建設が進められている都市型戦闘訓練施設は、本年四月の完成に向けて急ピッチで工事が進められている一方で、建設に反対する伊芸区民の早朝抗議行動は三月二十一日で三百日目を迎えました。

 考えてみてください。一県の中で、辺野古では三百日以上、やがて四百日にならんとする。人たちが座り込んでいる。一方では、三百日以上、人たちがここで座り込む。一県にこういうところがほかにありますか。ぜひそれは頭に置いていただきたいと思います。

 この都市型戦闘訓練施設について、大臣は、二月十六日の予算委員会で何とかレンジを変更できないのか取り組んでいると述べておられ、訪米直前の稲嶺県知事に対し、日米両政府がキャンプ・ハンセン内のレンジ8とレンジ16の間で代替施設を建設することを検討していると述べたという報道がございます。

 都市型戦闘訓練施設完成が目前に迫っているわけですが、レンジの変更について施設完成前までに米側と合意できる見通しはあるのでしょうか、お伺いいたします。

町村国務大臣 この問題につきましては、地元の皆様方の大変ないろいろな御懸念があるということは、知事さん初め関係する方々から伺っているところでございます。金武町の町長さんもたしか大臣室にお越しをいただいたかな、こう記憶をいたしております。

 アメリカ側に対しては、引き続き安全等への配慮を求めていくとともに、こうした地元の懸念に対してどういうことができるのかなということで検討しておりまして、建設地の変更も選択肢の一つかもしれないということで、いろいろ検討をしているわけであります。

 ただ、なかなか難しい点もありますので、今の時点で何かこれが結論になりそうだということをお話しする状況にはないわけでございます。いずれにしても、真剣に関係方面と議論をして検討をして、何かいい答えがあるかどうか、作業を進めていきたいと考えているところであります。

東門委員 では、米側と合意できる見通しというのは全然ないということなんでしょうか。

町村国務大臣 全然あるのかないのかと言われても、ちょっとこれは実際、いろいろな作業といいましょうか、検討作業をやってみないと、全然あるとも全然ないとも申し上げるのもちょっとまだ時期尚早なのかな、こう思っております。

東門委員 あると言うのもないと言うのも時期尚早ということは、これからずっと、私は、地元とか何とかではなくてアメリカ側としっかりと交渉していただきたいということを申し上げたいんですね。ぜひそれに向けて頑張っていただきたい。

 まず、大臣が知事におっしゃったように、レンジを変更していくということであれば、現在建設中の施設と同程度の代替施設を建設するとした場合、完成までどの程度の期間が必要となると考えておられるのか、これは防衛施設庁長官に伺います。

山中政府参考人 これは現状については先ほどお答えをしたとおりでございまして、具体的に何らかの決定がなされているということでもございませんので、今のお尋ねのような前提を置いた具体的な作業というものをやっておりませんので、これは、どこにどういう規模の施設を、どういう機能、構造を持ったものをつくるか、一定の前提が必要でございますので、そういう前提抜きに具体的に、仮に代替施設をつくった場合に何年というようなことは申し上げかねるところでございます。

東門委員 いや、場所ははっきりしているんじゃないですか。レンジ8とレンジ16の間につくる、しかも規模も今現在あるのと同じ程度と申し上げたんです。規模も場所も決まっていれば、ここにつくるのならば、環境影響評価も含めて何年くらいと言うことはできないんでしょうか。今の施設をつくり始めたのがたしか去年の五月ですよね。それからすると、どれくらいかかると言うこともできないんですか。

山中政府参考人 現在、レンジ4において米側が建設中の施設は、昨年、日本の会計年度が改まってから建設に着手して、一年程度ということでございますが、これはさっきお答えをいたしましたように、一定の仮定を置いて具体的な方向性を持った決定等がなされているわけではございませんので、今お尋ねのような仮定を持った見通しというものを具体的な作業として私どもはやっているわけではございませんので、何年かかるか、米側が一年だからその程度でできるのではないか、やはり報道等にございますように四年かかる、そういった具体的な数字を持ったお答えはいたしかねるところでございます。

東門委員 施設完成を目前にしているわけですが、いまだ地元住民の不安を解消できる有効な方策が見出せない現状では、建設中止しかないと思うんですね。建設中止を直ちに米軍に求めていくべきだと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

 米軍に対して、地元の不安、住民の不安、本当に大きいですね。そして、金武町長ももちろん反対です。県知事も中止をしてほしいと反対をしております。米軍に申し入れる、ぜひ求めていくというお考えはないでしょうか。

町村国務大臣 今申し上げましたように、種々の検討を、これは米軍とだけではなくて県も含めて、内々のいろいろな検討をやっているということでございますから、そういう作業をひとつ見ておいていただきたい、こう思います。

東門委員 県知事ははっきりと反対だということを示しておりますので、私は、当たるべきはアメリカと米軍だと思います。

 次に、SACO見直しについて伺います。

 三月十日付の毎日新聞、そして昨日の沖縄タイムスは、小泉総理がSACOの見直しを提案したと報じています。それは特に普天間の代替施設に関してですが、これは二月に行われた2プラス2の前に説明に訪れた外務省、防衛庁の幹部に対して、普天間飛行場の県外移設も検討するようにと指示したと、委員会の質問で御本人もそういうふうに述べておられるわけですが、そのような総理大臣の指示を受けて、外務省、防衛庁は、米側と普天間飛行場の県外移転を協議しておられるのか、伺いたいと思います。

河相政府参考人 先ほども答弁させていただきましたように、現在、在日米軍の再編、見直しにつきましては、いろいろな形でのアイデアの出し合いという初歩の段階でございまして、まだ個々具体的な決定がなされる、方向性が出てくるという状況にはないのが現状でございます。

東門委員 これは実務者のレベルというよりも、総理大臣が直に皆さんにおっしゃったんですよね。辺野古はやめろとおっしゃったんでしょう。どういう言葉をお使いになられたか、とにかく新聞の報道はそうなっていました。そして、もう見直すべきだ、これだけ待ってきた、それでも何も動かないじゃないかとおっしゃったわけですよ。それを皆さんは実務者として受けられたわけです。それをもって米側との協議に出ているわけですね。

 ですから、それはもう具体的に出ているはずなんです。しかも、しっかりと県外移設ということまでおっしゃっておられる。その件についてだけでもお答えいただきたいと思います。

町村国務大臣 これは民主党の齋藤勁議員が、参議院の予算委員会、三月十七日、小泉総理に対する質問に、まさにその三月十日付の毎日新聞に触れられて、これは事実ですかという御質問に対して小泉総理は、事実ではございません、こうはっきり言っておられます。もちろん、今の辺野古の状態、大分当初よりは時間がたって、なかなか順調に進展している状況にはない、それはだれが見てもわかるわけでございます。

 これをどうするかということについては、これは私どもが累次申し上げておりますとおりに、兵力構成の見直しの中でSACOとの接点というものが出てくる可能性がある、これがあえて普天間だけとは私は申し上げませんけれども、そういうことでありまして、そうした私どもの考え方を小泉総理も触れておられるということで、こうした端的な指示は事実ではございませんと総理みずからがはっきり否定をしているというところに御注目をいただきたいと思います。

東門委員 確かに、齋藤委員の御質問にはそういうふうにお答えでした。糸数議員の質問に、二十八日月曜日、総理御本人がお答えしているんですが、説明に訪れた外務省、防衛庁幹部に対して、済みません、私は新聞のコピーなんですが、これは議事録も同じように出ていると思います。地元で根強い反対運動などもあるとして、率直に今の全体の状況をにらんで、政府内はもとより日本全国の基地の受け入れ可能性のあるところも含めてよく考える必要があるのではないかとはっきりそういうふうにおっしゃっているんですね。ということは、県外移設も考えろという指示だったとしか思えないんですが、いかがですか。

町村国務大臣 私は何度か、この2プラス2の関係を含めて総理と話をしておりますが、総理からはそういう指示は出ておりません。

東門委員 しかし、これは総理がおっしゃっているんですよ、委員会で。

町村国務大臣 申しわけありませんが、総理がそういう形で、私はちょっと今議事録が手元にありませんから正確ではないわけでありますが、仮に今議員が言われたようなことであったとしても、それは、今、先ほど局長が答弁をしたようにいろいろアイデアを出し合う段階という意味でありますから、今後、そういう意味で、さっき接点があるだろうということは申し上げましたけれども、それが県外移設を示唆したとか、あるいは海外に移設を指示したとか、あるいはそれでアメリカ側と協議をしろというような具体の指示が総理からあったわけではございません。

 私どもは、従前から総理に、こういう方針で臨みますよ、しかし、その場合にSACO合意の最終報告との接点が出てくる可能性は否定しません、それでいい、こういう総理との話し合いになっていることでございます。

東門委員 これ以上言っても、もうこれ以上出てこないと思いますから移ります。

 二月十六日の予算委員会での普天間飛行場の基地機能についての私の質問に対して、大臣は、アメリカの従来の主張は、そうした今の新しい事態に対処するに当たっても米軍の海外前線基地、なかんずく海兵隊の基地というのは大変に有効な働きをしているんだという認識があると答弁されました。

 沖縄県の資料によりますと、二〇〇三年末現在で、沖縄に駐留する米軍人は二万六千二百八十二人、そのうち海兵隊員は一万六千十五人で、在沖米軍人の約六一%を占めています。この海兵隊の飛行場が普天間飛行場であり、訓練場が、実弾砲撃、射撃訓練で赤土の流出や山火事を起こしているキャンプ・ハンセンです。

 海兵隊をいかに削減するかが沖縄の負担軽減の成否を握るかぎであると言っても過言ではありません。現在、沖縄に駐留する海兵隊から、先ほども出ておりましたが、約五千人がイラクに派遣されていますが、四月二日には海兵隊がヘリとともに沖縄に戻ってくるとの報道があり、県民はかなり動揺しています。

 そこで伺います。

 まず、基地の機能ですが、三つある海兵師団のうち、沖縄には第三海兵師団が駐留しています。第一及び第二海兵師団は米国本土に駐留しております。大臣は海兵隊の基地の有効性を述べられましたが、それでは、米国本土以外では沖縄にしか海兵師団が駐留していないこと、それはどのように説明なさいますか。これは大臣がこの間お答えでしたから、普天間との関連で。

町村国務大臣 確かにこれは二月の十六日ですね。衆議院予算委員会での委員からのお尋ねに対して、私の方からお答えをしております。

 そこで私が言いたかったことは、日本あるいは極東の平和と安全のために海兵隊の持つ意味というのは大変大きい、それはなぜならば海兵隊の特色というのは大変機動性に富んでいる、あるいは柔軟に事態に対処できるという特色がある、したがっていろいろな事態、例えばテロ、ゲリラといったような事態に海兵隊というのは対処しやすい組織の特性を持っているのではないか、こういう答弁をして、私は今でもこれは正しいと思っております。

 ちなみに、今、海兵隊の大きな基地というのは、一つはカリフォルニア、一つはノースカロライナ州、いずれも米国内、一つはこの沖縄ということで、全世界に三つあるということであります。

 なぜアメリカに二つで沖縄に一つで、その他の地域にないのかということのお尋ねでありますが、私は、申しわけありませんが、米軍のすべてのこういう基地の展開あるいは作戦の必要性ということを知り得る立場にはございませんので、なぜ沖縄にだけ一カ所海兵隊があるのか、ほかに、どこでもいいんですけれども、例えばヨーロッパなりアフリカなりなんなりになぜないのかと問われても、それに私は今的確にお答えをする立場にはないわけでございます。

 ただ、やはり、極東の平和と安全というものを考えたときに、この海兵隊というのが大変有効であるということは間違いなく申し上げることができると思います。

東門委員 海兵隊が有効である、しかしそれは沖縄でなくてもいいんですね。駐留する場所は沖縄でなくてもいいわけですよ。極東の平和と安全、安定ということであれば、沖縄でなくてもいいと思います。

 事実、大野防衛庁長官は十八日のテレビ報道番組に出演されて、沖縄に米海兵隊が駐留するその意味を問われたときに、歴史的にあそこにいるからだ、しかし機動力があるからどこに置いてもいいじゃないかという議論は当然出てくると思うと述べられましたが、いかがでしょうか、その防衛庁長官の御意見に対して何かコメントがございましたら。なぜ沖縄か、なぜ沖縄でなければいけないかというところです。これはぜひ大臣から。

町村国務大臣 外務大臣が防衛庁長官の発言に余りコメントをするというのはいかがかと思います。それは、大野大臣は大野大臣のお考えでそう言われたんだろうと思いますので、私は、それにあえてコメントをすることは差し控えます。

東門委員 では、海兵隊がなぜ沖縄でなければならないのかという、それは、外務大臣として米側といろいろ交渉なさる、そこの立場から、ぜひお聞かせください。

町村国務大臣 ですから、これは極東の平和と安全のために極めて有効である、こういうことでございます。

東門委員 それは必ずしも沖縄でなくてもいいわけです。どこでもいいわけですよ、本土のどこでもということですね。沖縄でなければいけないというふうにはならないですね。

町村国務大臣 大変興味深いお尋ねでございますし、重要なお尋ねでございますから、そのうちに機会を得て、その辺はよく米軍に確認をしてみたいと思います。

東門委員 外務大臣として、私は、ぜひその点を御答弁いただきたかった。なぜ沖縄なのか。七五%といつも大臣もおっしゃる。それだけ過重な負担ですよ。なぜ沖縄だけなのかということ、私は、大臣としては本当に答えられる立場にあると思う。答えなければいけない立場にあると思うんです。強く、ぜひ次の機会には大臣のお考えが聞けることを期待して、終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、内閣提出、旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣町村信孝君。

    ―――――――――――――

 旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

町村国務大臣 ただいま議題となりました旅券法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。

 近年、旅券の不正取得や偽変造等の旅券犯罪が増加し、組織的な密入国などの組織犯罪にこれらの旅券が使用されているほか、国際テロリストによる不正旅券の使用も懸念され、旅券の不正取得や不正使用等に適正かつ厳格に対処する必要があります。また、国際社会においても、昨年のシーアイランド・サミットで渡航の安全性向上に関する行動計画が合意されるなど、旅券犯罪を防止し渡航の安全性を向上させるために、各国が協調して取り組むよう求められています。

 この法律案は、以上に述べた状況にかんがみ、旅券犯罪や不法な出入国の防止を強化し、渡航の安全を向上させ、海外に渡航する国民の便宜を図るため、旅券法等の一部を改正するものであります。

 次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。

 改正の第一は、電磁的方法による記録を行った旅券の導入であります。

 国際民間航空機関が定める国際規格に準拠した、生体情報を搭載した旅券を導入することとし、旅券の名義人の写真及び身分事項の一部を電磁的方法により記録した旅券を発給することができることとしました。

 改正の第二は、紛失または焼失した旅券の失効制度の導入及び旅券の再発給制度の廃止であります。

 現在は、紛失または焼失した旅券は、当該旅券にかわる旅券が再発行等されない限り失効しないこととなっていますが、紛失等した旅券の悪用防止を強化するため、紛失または焼失の届け出があった旅券は、当該旅券にかわる旅券の再発行等の有無にかかわらず失効させることとしました。これに伴い、紛失等した旅券の効力を継承する旅券を再発行する現行の再発給制度を廃止することとしました。

 改正の第三は、旅券法の罰則の整備であります。

 増加、深刻化する旅券犯罪に的確に対処し、また、国連国際組織犯罪防止条約を補足する密入国議定書の国内的実施を担保するため、旅券の不正取得、不正行使等の罪に係る刑の引き上げ、偽造旅券等を譲り渡し、譲り受け、所持等した者の処罰、営利目的事犯の加重処罰、これらの罪の未遂の処罰を行うこととしたものであります。

 改正の第四は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の整備であります。

 先ほど申し上げた密入国議定書の国内的実施を担保するため整備する旅券法上の罪を、同議定書の規定に従い、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の犯罪収益等隠匿罪等の前提犯罪に加えることとしたものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


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