衆議院

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第13号 平成17年7月15日(金曜日)

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平成十七年七月十五日(金曜日)

    午前九時四十五分開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      小野寺五典君    高村 正彦君

      鈴木 淳司君    土屋 品子君

      西銘恒三郎君    萩野 浩基君

      平沢 勝栄君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    稲見 哲男君

      田中眞紀子君    武正 公一君

      鳩山由紀夫君    藤村  修君

      古本伸一郎君    松原  仁君

      村越 祐民君    赤羽 一嘉君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十五日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     萩野 浩基君

  永田 寿康君     村越 祐民君

同日

 辞任         補欠選任

  萩野 浩基君     河井 克行君

  村越 祐民君     稲見 哲男君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     永田 寿康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)(参議院送付)

 社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告いたします。

 去る七月十三日、当委員会において町村外務大臣の答弁の中に、北朝鮮云々という不適切な部分がありましたので、理事会にて協議の結果、一部削除いたします。

 外務大臣におかれては、今後かかることのないよう発言には十分注意願います。

 ただいまの私の報告に対し、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。外務大臣。

町村国務大臣 ただいまの委員長の御発言の趣旨をしっかり受けとめて、今後適切に対処してまいりたいと思います。どうも恐れ入りました。

     ――――◇―――――

赤松委員長 社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省領事局長鹿取克章君、内閣府政策統括官山本信一郎君、警察庁交通局長矢代隆義君、法務省刑事局長大林宏君、厚生労働省労働基準局労災補償部長森山寛君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増子輝彦君。

増子委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの増子輝彦でございます。

 きょうは当委員会における条約関連の最後の質疑ということになっておりますので、私は、少し時間をかけて、この社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定、あわせて社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定について質問をさせていただきたいと思っております。

 ともすれば、条約はもう大丈夫だということで、質問の内容が比較的短時間で終わってしまうということを私も若干今まで心配いたしておりました。きょうは、少しこの社会保障協定について細かいところまで触れさせていただきながら真剣に質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 社会保障は我が国にとっても極めて重要な課題であることは言うまでもございません。これが国際的な関係になってまいりますと、企業等により相手国に一時的に派遣される被用者等については、両国の年金制度及び医療保険制度等への強制加入に関する法令が適用される二重適用の問題、並びに、就労期間が短いために保険期間が就労地国の年金の受給に必要な資格期限を満たさないことから、保険料が掛け捨てとなる問題が生じております。

 これらの問題が両国の企業及び国民にとって大きな負担になっていることを踏まえ、両国の関係をさらに増進する観点から、これらの問題の解決を図ることを目的とする協定を締結するということで、ベルギーとフランスとの間にこの協定が行われるわけであります。

 もう言うまでもなく、これまで我が国が社会保障協定を締結した国はドイツ、イギリス、韓国、アメリカの四カ国であります。今回署名に至ったフランス、ベルギー以外にも社会保障の締結が望まれている国が多数ある中で、今後どの国を優先して協定締結交渉を行っていくかが大変我が国にとっても重要になることだと認識をいたしております。

 政府は、社会保障協定締結国の選定基準の例として在留邦人の数や経済交流規模などを挙げておられます。現在それぞれの国とまた引き続き交渉されているというふうにもお聞きをいたしております。今後これらの交渉相手国としてどういう国があるのか、これについてまずお尋ねをしたいと思います。

鹿取政府参考人 今後についてでございますが、今、外務省としては、カナダとオーストラリアとオランダについて社会保障協定を結ぶことを検討しております。具体的には、カナダにつきましては、本年五月に第二回の協定締結交渉を実施いたしました。また、オーストラリアについては、本年六月に締結交渉を開始しております。また、オランダとの間では、現在、情報と意見交換、こういう段階でございます。

 また、そのほかの国々からも、私ども、社会保障協定締結についての打診が参っております。これらの国々との間では、二国間関係であるとか在留邦人の数、社会保障負担の状況、そういうものを総合的に検討しながら、順次優先度をつけてまいりたいと考えております。

増子委員 今、カナダ、オーストラリア、オランダ等がございましたけれども、それぞれ交渉に入っているということでありますけれども、この見通しはどういう状況になっておりますか。

鹿取政府参考人 まず、カナダと豪州については、交渉を開始しておりますが、まだいつごろということは残念ながら申し上げられません。また、オランダにつきましては、現在、交渉に先立つ意見交換を開始したばかりでございますので、まだしばらくは時間を要すると考えております。

増子委員 この社会保障問題、先ほど私が、今回の協定の目的、趣旨等についてはお話を申し上げました。できるだけ速やかに、やはりこれらの国々とも交渉を活発に進めながら、我が国の企業あるいは個人が安心してそれぞれの国で活動ができるような体制をとるべきだと思っております。

 それに加えて、もう一つお伺いしたいのは、イタリアという国があることはもう御存じのとおりであります。ここには約五千七百人の在留邦人がおられます。進出日本企業は約百七十社近くに上っているという、極めて大きな国であります。このイタリアからは平成七年に協定締結交渉開始の申し入れがあるというふうにお聞きいたしておりますが、イタリアとの協定締結交渉を検討しているのかどうか、あわせて、その現状がどういうふうになっているのか、これについてお伺いしたいと思います。

鹿取政府参考人 今委員御指摘のとおり、イタリアからは平成七年に交渉の打診が来ております。ただ、イタリアとの間では、まだ具体的な協議、検討等には入っておりません。

 私どもも、まだイタリアのほかにもいろいろ我が方に対して社会保障協定の締結の打診が来ておりますけれども、これら諸国について、先ほど申し上げましたように、在留邦人の数であるとか企業の数であるとか、社会保障の負担の程度、また二国間関係、こういうものを慎重に検討しまして、随時優先順位をつけてまいりたいと考えております。

増子委員 それに加えて、実は私が今大変心配していることは、中国、ロシア、この二大大国と言われる国々には我が国からたくさんの在留邦人あるいは企業が、特に中国には行っているわけであります。社会保障制度、年金制度に大きな違いがある、まだ中国にはそういうシステムが十分に整備をされていないという点がございますが、この中国あるいはロシア、この国についてはとりあえずどういうお考えをお持ちになっているか、簡単で結構でございますが、お答えを願いたいと思います。

鹿取政府参考人 今御指摘のとおり、中国にも在留邦人あるいは日本の企業が多数進出をしておりますけれども、中国については、まだ年金等の社会保障、こういう問題が必ずしも充実していないというか、我が方とは違いまして、中国に進出している邦人、企業の方々も、したがって年金を払っているということは基本的にはないものですから、二重払いという問題はまだ生じておりません。

 したがいまして、アジアの国々、あるいはロシアもそうでございますけれども、これらの国々については、それぞれの国々における社会保障制度の内容、今後の動向、こういうものを踏まえまして、もしも日本企業の負担が高まる、こういう状況が生じましたら、その段階でまたさまざまな検討を加えてまいりたいと考えております。

増子委員 それでは次に、これまで我が国が締結してきた社会保障協定は、年金制度や医療保険制度が対象になっていることはもう御案内のとおりであります。今回のフランス及びベルギーとの協定では、年金制度や医療保険制度に加えて、初めて労災保険制度や雇用保険制度も実は対象となっているということであります。

 社会保障制度は、先ほど申し上げたとおり各国でそれぞれ異なることから、各国との協定の内容が異なることは、これは当然だと思われます。しかし、今後政府として、協定に含めるべき項目として先ほど申し上げました労災保険や雇用保険を対象にしていく考えがあるのかどうか、いかがでしょうか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、各国さまざまに制度が異なっております。今回のフランス及びベルギーとの協定におきましては、年金制度、医療保険制度、ここが中核でございますが、フランスとの協定ではフランスの労災保険制度、ベルギーとの協定ではベルギーの労災保険制度及び雇用保険制度が協定の対象として取り上げられております。

 その事情は、両国の社会保障制度が、こうした労災やあるいはまた雇用保険制度、これが医療、年金と一体的な制度として仕組まれており、労災保険等を年金、医療保険から切り離して免除の可否を決めることがそれぞれの国において実務上できない、こういうような仕組みでありまして、そうした仕組みを背景とした強い御主張があったということがその背景でございます。したがいまして、取り込まざるを得ないというところでございます。

 しかしながら、社会保障協定が対象とすべき制度の範囲については、これまでのほかの協定を結んだ国々もそうでございましたが、相手国の社会保障制度の仕組み、それから相手国の要望や御意見、こういったところが異なっておりますので、今後締結する協定におきましても、そうした相手国の事情も含めて総合的に勘案し、かつ個別に対象範囲を検討し交渉していくという姿勢で臨んでまいりたいと思っております。

増子委員 既に締結をいたしておりますドイツ、イギリス、韓国、アメリカとの協定の中に、今のような労災保険制度等をこれから追加的に含めるお考えがあるかどうかについてお伺いをいたしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 背景その他は先ほども述べさせていただきましたが、若干繰り返しになりますけれども、相手国の仕組み、相手国の要望や御意見、こういったものによって異なってくる、こうした性質のもとで、ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国との協定も交渉し、成果を得てきたわけでございます。

 そういう意味では、現時点で、過去に協定を結んだ国々との間で労災保険、雇用保険を対象とするという予定や考えというのはございません。しかし、相手国からの要望等があったり事情が変更になってくるというようなときにどう考えるかというのは別問題でございまして、そういうときには個別に適切に対応してまいりたいと思っております。

 なお、日本の労災保険制度は、これも日本国の事情でございますが、個々の従業員について被保険者の管理を行っていない、そういう仕組みでございますので、外国人の従業員のみを対象外とするという実務的な切り分けが逆に難しい事情を抱えております。

 また、雇用保険につきましては、外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者については被保険者としないということで、二重負担の問題が発生しないような状況になっているという点も御留意賜りたいと思います。

増子委員 相手国からの要請ということではなくて、やはり私は、我が国から積極的に追加的なものをするべきではないだろうかというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に、年金制度の受給権の問題でありますけれども、御案内のとおり、我が国は二十五年になりませんとこの受給権が確立をいたしません。各国それぞれ、さまざまな加入期間によってこの受給権が確立されるわけであります。やはり、日本の二十五年というのは、締結をいたしているところ、あるいは今回締結をするベルギーやフランスと比較いたしましても極めて長い年数ということになっております。ですから、ここのところは、もう一度私どもはよく精査をしていかなければならない、今後の日本の社会保障制度、年金制度の中でも重要な課題なのかなというふうに認識をいたしているところであります。

 お伺いいたしますが、二十五年最低加入で確立される我が国、これは長過ぎないかというふうに私は思っておりますが、これについて、確立しやすくするような年限に変えてみたらどうかという考え方も持っておりますが、これについてはいかがでしょうか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国における公的年金制度の重要性は、少子高齢化の中でますます大きなものとなっておりまして、付言いたしますと、九十歳まで生存される方というのが男性で一九%、女性で四一・七%に及ぶということでございます。老後における所得保障の仕組みというのが極めて重要であるわけでございます。

 国民皆年金、皆保険制度が昭和三十六年にスタートをいたしましたが、その当時から、いわゆる職場で給与と一緒に納めていただくことのできない農林漁業、あるいはその他さまざまな事情におありの方々について、どのようにこうした老後保障の仕組みに取り込むのかというのは重要な課題であり、一方において、長い老後の中で十分な老後保障の機能を果たすにはどうしたらいいか、その両面から検討され、また制度がつくられ、運営されてまいりました。

 一言で申しますと、本当に短い加入期間で年金がつくというのは、年金権を得られるという意味ではよろしいのですが、逆に、低額の年金者を大変にふやす。現在の基礎年金は平均が月額五万二千円でございますが、一万円とか二万円とかという年金の方々をふやすという効果を及ぼします。

 また、今日、普通徴収、職場で納めてもらえない、個別に徴収をお願いしなければならない国民年金の部分における未納問題が大変深刻ということで、さまざまに御議論をいただき、社会保険庁の改革その他の努力をさせていただいておりますが、こうした未納問題という部分を考えますと、今二十五年という納付期間を、この際ということで仮に二十年とか十年とか、こういうように短くした場合に、ああ、もう年金がついたのでいいやということで、ある時点から一気に収納率が下落するという心配はないのか、こういうような御指摘も受けておりまして、さまざまな観点から、しかし制度体系の根幹にかかわる問題でございますので、慎重に幅広く検討していくべきものと考えております。

増子委員 若干見解を異にするのは、二十年にした場合に、ああ、もう受給資格ができたからその後は納付しなくていいなということでは私はないと思うんですね。やはり、年金制度そのものが非常に複雑でわかりにくい。さらに、将来に対する不安がある。ですから、二十三年納付をしたけれども、結果的にはもらえない、確立ができないというようなこともあるわけであります。

 ですから、昨年の国会でも大変大きな課題となりました年金問題、これは、きょうは詳しくは申し上げませんが、やはり今後の課題として、十分これらの問題は検討していかなければならない課題だと私は思っております。

 もう一つだけこの年金確立のことについてお伺いしますが、今回のこの交渉の中で、相手国から、日本の二十五年は長過ぎないかというような話は出ませんでしたか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの制度をお互いにつぶさに検証し合う会議を積み重ねておりますので、先方から我が国の二十五年ルールということについて、自国より長いとか、そういうようなことについては十分御認識いただいた、そういう経緯もありますが、先方からの御主張、御要望として、これについて手直しをすべきではないかという御意見を承った経緯はございません。

増子委員 そこで、次にお尋ねしたいことは、この年金の関係で、これまでは、年金制度へ二重加入しながら、受給に必要な期限が満たされずに保険料が掛け捨てになるというケースが大半だと思われています。別な言い方をすれば、保険料だけ徴収して年金は支給しないということにもなるわけであります。ある意味では、年金財源にとってはこれは純粋なプラスであったということになります。

 今回、日仏社会保障協定で、フランスの立場からすれば、フランス在留の邦人についての保険料が約百十億円も入ってこなくなる。逆に、日本の立場からすると、在日フランス人から徴収する保険料が減り、新たにフランス人に年金を支給するというふうなことになってくるわけであります。

 こういう点から考えて、この二重加入回避等による年金財源への影響というものがどのような形で出てくるのか、お伺いをいたしたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、それぞれの在留の自国の国民というのがあるわけでございまして、それぞれにそれぞれの国に対する年金制度の加入と財政への影響ということは論理的にあるわけでございます。我が国に在留しておられる民間企業関係者の数でフランスの方はどのぐらいかと申し上げれば、約五百人弱、こういうように言われております。また、ベルギーについても、五十人程度というふうに推測されております。

 この人数につきまして、我が国の公的年金制度を支える被保険者数七千万人という数と対比いたしますと極めて規模が小さく、我が国の年金制度の財政に与える影響としては、極めて小さく、ほとんどないというふうに見ております。

 どんな形で影響が出てき得るか、そういう要素が発生し得るかという点は、先生御指摘のように、これまで給付の支給要件を満たしていなかったフランス人、ベルギー人の方について新たに受給権が発生して支給が出る、こういう支出が発生する、こういうような形でそれは出ますが、今申し上げましたように、極めて微々たる数というふうに考えております。

増子委員 今回のこの社会保障協定は、大変私はよかったなと思っております。過去の四カ国との協定も、やはり同じように我が国にとっては大変プラスの面が多いわけであります。ですから、基本的には私どもはこれは賛成をいたしているわけであります。

 ただ、一つお聞きしたいことは、せっかくこの社会保障協定が締結されても、国民がどの程度知っているかという問題になってまいりますと、果たして十分なのかなと。発効すれば自動的に相手国の年金制度加入が免除されたり、年金加入期間が通算されるわけではなくて、協定の締結国に進出する企業なり個人が社会保険事務所を通じて手続を行って初めて適用されることになるわけであります。

 ですから、意外と、せっかくいい協定が結ばれた割には、この協定が十分知られていないという面が今後さらに発生してくるんではないだろうかというふうに私は実は心配をいたしているわけであります。国民へこの社会保障協定といういい制度の周知徹底を図る必要があるのではないかと思っておりますが、これについてはどのように周知徹底をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。

青柳政府参考人 協定の実施につきましての周知、広報のお尋ねがございました。

 この社会保障協定の実施に当たりましては、ただいまも御意見にございましたように、その内容を十分に関係者を初め広く国民の皆様に御理解をいただくことが重要であるというふうに私どもも認識をしております。これまでも、ドイツ、イギリス、韓国等と協定を実施してきておりますけれども、その周知、広報に当たりましては、一つは、協定の締結国ごとにその協定の概要等を説明したチラシあるいは小冊子というものを作成いたしまして、配布をさせていただいております。

 また、関係団体、これは御協力をいただきまして、国内の団体のみならず現地での対応もさせていただいておりますが、説明会という形で十分にこの周知を図らせていただいております。

 また、二重加入のみならず、期間通算をするような場合については、年金の受給権者に影響が出てくるわけでございますので、年金の受給権者に対しましては、毎年、受給者のしおりというようなものを配布させていただいているわけでございますが、こういったものを活用させていただきまして、情報提供をさせていただいております。

 また、より一般的な広報の手段といたしましては、私どもの方にホームページを設けさせていただきまして、ここに協定の内容あるいは手続を紹介するコーナーを設けております。

 今回のフランス、ベルギーの協定につきましても、その実施に当たりましては、こうした周知、広報につきましては積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

増子委員 今いろいろなことの話をされましたが、それでもう十分であるかどうかということについてはやはり今後検討していかなければならないと思っておりますので、十分周知徹底ができるようにお願いを申し上げたいと思います。

 と同時に、実は、社会保険事務所、これは昨年来の大きな、やはり社会保険事務所等の、社会保険庁も含めてですが、問題となっているところであります。その後どういうふうに改善をされてきたのか、我々にはまだ十分目に見える形では行われていないような気がいたしております。

 しかし、社会保険事務所がこの対応をしなければなりません。そういう意味で、これから、今はまだ今回の二カ国を含めて合わせて六カ国でありますけれども、将来的には、先ほどの話のとおり、さらに多くの国々との締結というものがなされてくるわけでありますから、そのときに社会保険事務所に十分これらに対応できる体制ができているかどうか、そこはやはり大きな課題になってくると思います。

 この件については、どういう対応をとるための体制づくりをしていくのか、簡単で結構ですのでお答えを願いたいと思います。

青柳政府参考人 社会保障協定を実施するための社会保険庁における業務処理の体制ということについてのお尋ねでございます。

 まず、今もお尋ねにございましたが、社会保険事務所が全国に三百十二ございますが、これを窓口といたしまして、二重加入防止のための適用証明書の発行、あるいは外国の年金との通算に係ります給付の申請書の受け付け、こういったことをまず行わせていただいております。そして、年金の給付を行うために、例えば相手国との記録確認、それから、こういったものに基づきまして日本の年金を裁定、支払いをするということ、これは、社会保険業務センターという、全国オンラインで結んでおります専門の機関においてこれを行わせていただいております。

 私ども社会保険庁におきましては、協定の締結国ごとに事務処理要領という形でその仕事のやり方について事細かにこれを定めまして、これをまた研修を実施する形によりまして、社会保険事務所における協定事務が円滑に行われるようにということで努力をさせていただいているつもりでございます。

 また、その結果といたしまして、適用証明書については、平成十一年から十六年の間に日独の関係でおよそ八千件、それから日英の関係では、平成十二年から十六年度の間におよそ一万件を既に事務処理させていただいております。

 また、期間の通算によるところの年金の裁定につきましても、この間、およそ九十五件既に裁定をさせていただいておりますので、そういう意味では十分に対応させていただいているかというふうに認識をしている次第でございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、協定の締結状況も踏まえつつ、事務処理体制に万全を期してまいりたいと考えております。

増子委員 ぜひ、この社会保障協定、しっかりとしていっていただきたいと思います。また、外務省としても、今後多くの国々との締結というものが当然必要になってまいりますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、我が党はこの社会保障協定については賛成という立場でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 大臣、よろしいでしょうか。

 それでは、年金について若干大臣にお伺いしたいことがございます。

 大臣、現在の日本の年金制度の中で、果たして今のような年金制度についてどのような見解をお持ちになっているのか、なかなか聞く機会がございませんでした。昨年来、我が国においても、政治家の年金未納、未加入ということが大変大きな問題となって発生したわけであります。今、両院からの代表者が集まってこの問題についても協議がなされていますが、なかなか入り口で進んでいかないということも踏まえて、むしろ、郵政民営化も大事なのかもしれませんが、それ以上に社会保障制度、年金制度というのが我が国にとっては最も重要な課題ではないのかなというふうに私も思っておりますし、国民もそう思っているんですね。

 ですから、大臣がこの日本の年金制度のあり方について、私どもが主張いたしております年金の一元化という形の中でこれからの日本の年金制度を確立していく、当然、社会保障全体の中の枠組みの中でも考えていかなければなりません。そういう年金一元化という私どもの主張、あるいは、今、与党といいますか自民党は、共済年金と厚生年金をとりあえず一本化して、その後に国民年金という考え方もあるようでありますが、大臣が考えられる年金制度、どのような形が望ましいかということを、ひとつ政治家という立場、一国民という立場からも御見解をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 増子委員から、今るる今回の社会保障協定につきまして貴重な御意見、また御指摘をいただきましたことをまず感謝申し上げます。

 二重負担の回避、保険料掛け捨ての解消ということによって、両国間のいろいろな交流、人的交流、経済交流が活発になるという目的に合致したものだと私ども考え、御提案をしているわけでございますが、今後ともまた御指導を賜りたいと存じます。

 年金改革についてどう考えるのか。もとより、これは私、年金担当の大臣ではございませんけれども、一議員としてあるいは一個人としての考え方、大した考えは持っているわけではございませんけれども、とにかく国民の最大の関心事項の一つが年金であるということは間違いなく委員の御指摘のとおりであろう、こう私も受けとめております。

 一元化というお話もありました。こうした具体の問題については、今各党の協議会で御議論をしておられることと思いますので、ぜひその成果を期待するわけでございますけれども、将来的には、幾つもの制度が併存するよりは、わかりやすい一つの姿になっていた方がいいんだろう、こう思います。

 ただ、結局、すべての制度がそうでありますけれども、自分たちにはこういう既得権があるんだと、必ず既得権という言葉がこの年金制度では出てまいります。それにこだわっていると、これはなかなか一元化はできない。

 いよいよにっちもさっちもいかなくなって、例えば国鉄の年金制度のようにいよいよ一体化するかというようなケースは今まであったわけでございますが、それは厚生年金なり大きな受け皿があったから可能であったわけでございますが、なかなか今までの既得権、しかし、それはその権利を害していいのかというまた別途の問題もあるものですから、そこらあたりの調整がまことにこれは難しいんだろうと思います。

 しかし、マクロで見た場合には、私は、確かに、国民年金と、共済年金、厚生年金の使用者負担の問題等々違いがあるので、これも簡単な問題ではないと思いますが、長い目で見たときには、最終的には一元化していくということが大切なことであろう、私も個人的にはそう思っているところであります。

増子委員 大臣の今の答弁の中で極めて重要な部分がありました。既得権という問題。これは非常に悩ましい問題なんですね。そこで、大臣の将来的には一元化が望ましいという言葉でありますが、その既得権という観点から、もう一つだけこの問題について触れさせていただきたいと思います。

 私ども国会議員の互助年金、これは極めて特権的であり、国民の目から見れば非常にかけ離れた実は年金制度である。私ども、国会議員を十年務めれば、何と四百十二万円もの年金が実はもらえるという、まさに特権、既得権というものがここにあるんだと思っております。

 私は、今民主党の中で百三十五名の仲間と一緒に、国会議員年金を廃止しようという議連の、微力ながら会長を務めさせていただいております。特に、若い人たちの考え方は極めて特徴的であり、はっきりいたしておりまして、もう直ちにこれは撤廃すべきだ、無条件撤廃すべきだと。これが国民と同じ目線であり感覚であり、なおかつ特権、既得権をなくすことに、一番大事な問題であり、国民の信頼をかち得るべき問題だということで、頑張ってくれております。

 そういう意味で、やはり私は、大臣がこの国会議員互助年金、もう既に受給資格はあります。ただ、年齢がまだでございますので、これからどのぐらい務められるかわかりませんが、国会議員互助年金を私は直ちに廃止すべきという考え方に立っておりますが、今の既得権あるいは特権的なという形からすれば、大臣がこの国会議員互助年金についてどのようなお考えを持っているか、簡単で結構でございますので、御所見をお伺いいたしたいと思います。

町村国務大臣 これも今、もしかしたら違っているかもしれませんが、議長のもとで関係者が集まって議論をしていただいていると聞いておりますので、その結論に従いたい、こう思っております。

 率直に言って、こういうことを言うとおかしいんでありますが、国全体の年金の問題のことはいろいろ考えるのでありますけれども、自分自身の年金ということは余り考えてこなかったので、何か当たり前のごとく国会議員互助年金制度というのに加入をしてきた。いろいろな問題が起きて初めて、ああ、こういう制度であったのかということを改めて勉強したという、まことに恥ずかしい話でございますが、不勉強であったなあとこれまでの議員活動の中で反省もしているところでございます。

 確かに、先輩あるいはもう既に議員互助年金を受けておられる方々、OBの方々とたまにいろいろな機会でお目にかかりますと、町村さん、よもやこれを廃止しないでしょうねといって、強い強い御要請を受けたりすることもございまして、なるほど、こういう意見もあるのかなと思ったりもいたします。

 しかし、結論はどうかといえば、これは年金なのかある種の退職金の変形なのかという議論ももともとあるんだろうと思いますけれども、国民の一般的な感覚からかけ離れた、例えば公費負担の割合がたしか相当、一般のものより国会議員互助年金は高いという知識がありますので、やはりそういう明らかにかけ離れたものを国会議員にのみ特段に適用されているということは、これは国民の理解が得られないものであろう、こう思っております。

 国民一般が受けるであろう公的な負担の上に成り立つ特別の制度がいいのか、あるいは一般の制度に加入をするのか、そこは私自身もまだちょっとよく頭の整理ができておりませんが、いずれにしても、例えば今申し上げた、公的負担が余りにも他の制度よりは過大であるという部分は、これはやはり早急に是正をしなければならない、その結果として給付の額が下がることがある、それはやはりやむを得ないんだろう、かように考えております。

増子委員 大臣、私どもの国会議員の互助年金は七割が国庫負担である、三割が自分たちで月十万何がしかの掛金を払っているということでありますけれども、実はこの私どもが掛けているお金は、国民の皆さんの税金から報酬という形でちょうだいしているんですね。ですから、私は、実は一〇〇%税金で私たちの国会議員互助年金というのが成り立っているという立場に立っているわけであります。

 ですから、ここはできるだけ早く廃止をして、先ほどの、退職金がいつの間にか年金に変わってしまったという点もありますが、ここはやはり廃止をすべきということで私は考えておりますので、ぜひ大臣にもそういう観点から、今後とも一議員として、一国民として、この国会議員の特権的な年金問題についてもお考えをいただきたいと思います。

 さて、問題を変えさせていただきたいと思います。

 大臣、昨日、拉致被害者家族の皆さんとお会いになったというふうに報道されておりますし、テレビでも少しお姿を拝見いたしました。

 昨日の、拉致被害者家族の皆さんとお会いになったときのいろいろなやりとりがあると思いますが、先般もこの問題についてお話をさせていただきました。久しぶりに拉致被害者家族の皆さんとお会いになったと思いますが、率直にどういう感じをお持ちになったか、お伺いいたしたいと思います。

町村国務大臣 昨年十月、外務大臣就任直後に、家族の皆さん方とお目にかかりました。その後、非公式の場でまた会ったことはございますが、改めて外務省の中で久しぶりにまたお目にかかって、御要請をいただいたところであります。

 先日、二、三週間前でしたでしょうか、暑い日差しの中で国会の前、議員会館の前でしたですか、皆さん方が座り込みまでなさって意思表示をしておられる姿を私も拝見いたしまして、まことに胸が締めつけられるような思いを持ったところでございます。

 大変な憤り、大変な苦しみを味わいながら、その悲しみ、苦しみを乗り越えて、自分たちの家族を取り戻したいという、その思いに改めて深く心を動かされましたし、改めて、皆さん方のお気持ちを体して何とか拉致の問題を幅広く、またかつ御高齢の御家族の方もたくさんいらっしゃった、早く解決をしたいものだな、かように思っているところでございます。

 昨年の十二月の日朝間の協議以降、公式の接触がとれていない状態が続いておりまして、そういう中で、別途、六者協議の動きがあるというような中で、まことに、皆さん方の期待に直ちに沿えるようなことには全くなっていないわけでございまして、そういう意味での申しわけないという気持ちの中で、今般、六者協議が一年一カ月ぶりに再開をされるという状況でございます。

 確かに、すべての国の関心は核でございますが、同時に日本としては、ミサイルの問題、そしてこの拉致の問題もあわせて、この六者協議の場で、あるいは六者協議の中で行われるであろう二国間の協議の場でこの問題をしっかりと取り上げ、先方の誠実な対応を促し、解決を図る最大限の努力をしなければいけない、こうした決意をまた昨日の会合の中で新たに持ったところでございました。

増子委員 大臣、やはりこの問題は六カ国協議の中でとおっしゃいますが、基本的には、やはりなかなかこの場で拉致問題を取り上げるということは、従来からも難しいことでありましたし、今後もそうなんだろう。それを、二国間でという形になってしまうわけでありますし、また二国間の中でもなかなかこれが進まないということになれば、拉致被害者家族の皆さんたちの思いというのはもう本当に時間がない、時間がないという思いがあるわけであります。その気持ちは十分伝わったと思うんですね。

 ですから、もし今回、この六カ国協議あるいはそれの中の二カ国間協議の中での話し合いとしても、なかなか十分な方向性が見出せないときには、これはわかりません、報道の範囲内でしか私はわかりませんので大臣に直接お伺いしたいと思うんですが、そういう場合には、拉致被害者家族の皆さんを初め、多くの国民が求めている経済制裁の発動というものは、やはり断固やるということをお考えになって、そういうことも暗に示唆されたんでしょうか。

町村国務大臣 これは累次お答えをしておりますとおりでありまして、制裁を前提にすべてを考えているというわけではございません。小泉内閣の一貫した方針で、対話と圧力ということでやってきております。公式の対話がなかなか持てない状況の中で一つの可能性が出てきたということかな、今回の六者協議再開をそのように位置づけております。

 圧力を何もかけていないではないかという御指摘も昨日の会合で家族の方々から出されました。確かに直接的な制裁という形はまだ発動していないわけでございますけれども、やはり一つの大きな国際世論というものをつくる、それもまた一つの圧力だ、私どもはこう考えております。

 国連の人権委員会において、昨年よりはことしの人権委員会の決議の方が一段と強化された内容になっておりますが、これは我々の外交努力の結果、皆さん方が賛同してくれたというようなこと、あるいはこの六者協議再開にしても、実際にこの五者以外の国々でも在外公館を平壌に持っている国々もございます。そうした国々にも働きかけをして、機会があればぜひこういう働きかけを先方政府にしてもらいたいというようなことで、随分多くの国々が大変好意的にこの問題にも取り組んでもらっているという実態もあります。

 そうした努力の積み重ねというものが例えば六者協議再開にもつながった、こう受けとめてもいるわけでございまして、そうした外交的な努力、圧力というものもまた一つの大きな要素であろう、こう思っております。

 またさらに、これはもちろん直接的に北朝鮮をどうこうしようということではないにしても、改正油濁防止法の施行といったようなこともある意味での間接的な効果というものをもたらしているんだろう、こう思っております。

 では、今後どうするのかというお尋ねでございました。

 今、どういうタイミングでどういう制裁を発動するということを私ども決めているわけではございませんが、これも従来からお答えをしているとおり、必要なタイミングで最も適切な手段を講じて先方の対応を促すという基本方針は変わっておりませんで、きのう、家族の会の方々からは、小泉総理は制裁の発動というのを一切やらないんだということを既に言明しているではないかという御発言があったわけでございますが、それは私は事実誤認であるというふうに思っております。

 内閣としては、粛々と必要な手だてを打てる準備だけは万端整えてやっているんだ、あとはどういうタイミングでどういう手段がいいかということは、必要に応じてこれは考えなければならない。ひとえに北朝鮮の誠実な対応が今後どのような形で行われるかということにかかっているということが現在の状況であろうと思っております。

増子委員 それから、大臣、もう一つ。

 先日の私の質問に対して、この拉致被害者家族に対する支援ということについてお願いを申し上げました。その際、大臣は、では考えてみますということでありましたが、端的にお答えをいただきたいと思いますが、その後、お考えになっていただいているんでしょうか。

町村国務大臣 増子委員の御提言でもございましたので、省内でも議論をしております。また、これは外務省だけで決まる性格のものでもないので、政府全体でどうするかということを考えなければならない、こういうことであります。

 さまざまな家族の皆さん方と、例えば先般お目にかかる、またこういう方々に必要な情報提供をするということも幅広い支援の一環であろうかと思いますが、より直接的にどういう支援があるかというと、例えばこの法律、現在あります被害者等の支援に関する法律の第五条に、拉致被害者等給付金等の支給という制度があって、これは被害に遭われた方々が日本で永住をする場合に、それらの方々の自立を促進し、生活基盤の再建または構築に資するため、五年を限度として支給をするという制度があるわけであります。

 では、これを家族の皆さん方に拡大をするのかどうなのかというようなところまで実は議論をしてみたわけでございますが、さらに議論をしなければならないテーマであろうと思いますが、なかなかこれは実は容易なことではないのかなというような議論もありまして、この辺はさらに慎重に検討をさせていただかなければならない、こう考えているところでございます。

 いずれにしても、家族の皆さん方とよくお話し合いをし、意見交換をし、またできる限りきめ細やかな、誠実なる対応を心がけていかなければいけない、かように考えているところであります。

増子委員 大臣、今お読みになった、帰ってこられた方々に対する支援という枠組みの中では、拡大ということは無理なんですね。ですから、もう時間がない、これは救出に対する時間もないということとあわせて、この御家族の皆さんに対しても、大分御高齢にもなってきておりますので、そこはやはり大きな決断が必要になってくるということで私は先般来お願いを申し上げているところでございますので、これは時間をかけずにさらに真剣に外務省内でも御検討いただきたいと思います。

 残念ながら、もう少し常任理事国の問題等も質問をしたかったわけでありますが、時間が参りましたので、きょうはこれにて終わりたいと思います。また次回、いろいろ質問をさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、村越祐民君。

村越委員 民主党の村越祐民でございます。

 本日は、まず最初に、今議題になっています社会保障協定に関して何点かお伺いをさせていただいて、その後、発効して十年ぐらいたっているそうですけれども、子どもの権利条約に関する国内での状況に関してお伺いをしていきたいと思います。

 まず、日本とベルギー、それから日本とフランスとの社会保障協定に関してなんですけれども、これらは、フランスとかベルギーに派遣されている日本のサラリーマンの人たちが両方の国に社会保険料を支払わざるを得なかったという二重加入の問題を解消するための取り決めだと伺っております。

 原則、大変結構なお話なんですが、今後、同種の協定をほかの国々と結んでいくときに、さらに交渉をスピードアップさせていっていただいて、次への反省の材料をいろいろ出して参考にしていかないといけないと思っておりますので、そういう観点から、三、四問質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、ベルギーに関してなんですけれども、これは、一九八六年に在日ベルギー大使館からこの協定を結ぼうじゃないかという申し出があってから、今回の署名に至るまで、二十年近くたっているわけですけれども、どうしてここまでこんなに時間がかかったのかということをお伺いしたいと思います。

 とりわけ、資料によりますと、一九八六年から二〇〇一年まで、交渉の経緯がおよそ見られないわけですけれども、その間何をされていたのかということをまず外務大臣にお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 村越委員御指摘のとおり、確かにかなり長い時間がたっているという印象はあるわけでございます。日本も、次第に昭和四十年代ごろから国際的な活動が活発になりまして、アメリカとドイツと、それぞれこの年金制度の二重加入問題について、当局間で意見交換が始まったというあたりが皮切りであったかと思われます。

 その間、特に、例えばベルギーについても、日本もそうですけれども、一つは、制度がどんどん変わっていくというようなことがあり、それはこちらにもあったし先方にもあったわけでありますが、平成十一年にドイツと協定が締結できると、これは平成十二年二月に発効して、これが初めてのケースということになったわけでございます。一つモデルができると、後はこのモデルに従ってということで、相次いでその後、イギリス、韓国、アメリカ、そして今回のケースというふうになっていったわけでございまして、なかなかこの最初のケースをつくるというところで相当時間がかかったということのようでございます。

 したがいまして、委員御指摘のように、これを一つの反省材料にしながら、今後、より積極的に、かつスピーディーに、いろいろな交渉をできるだけ早く取りまとめて、二国間の関係をより一層強化できるように心がけてまいりたいと考えております。

村越委員 今、制度が変わってきたのでなかなか交渉が大変だったというお話があったかと思います。先ほど大臣も一元化のお話なんかをされていましたけれども、あるべき制度を求めていろいろ変わっていくことは当たり前のことですから、制度が変わるから時間がかかったというのは、私はおよそ理由にならないのかなと思っておりまして、これからも変わっていくでしょうから、そのあたりは、ぜひ大臣、御答弁いただいたように、迅速に対応していただければなと思います。

 それと、先ほど増子委員の御質問の中で、PRをしていくというお話もされていました。私の友人でベルギーに四年間仕事に行っていた方がいまして、今回質問させていただくということで、その方といろいろお話をしたんです。

 こういうことになったということはどうも知っていたようですけれども、実際、自分が向こうで四年間、ある意味掛け捨てになっていたということの重大性とか、あるいは日本で四年間欠格期間ができていたということの重大性とかというのは余り認識されていないようでした。かなりのインテリの方なのに、非常に私は意外だったんですけれども、そういう方でもそういう程度なので、ぜひ一生懸命PRはしていただきたいと思います。

 ホームページに書いてあるというだけでは、なかなかそこに行かないとそういうことはわからないわけですから、ぜひ積極的なPRをしていただきたいと思います。

 それに関連して、ベルギーは十九年間かかったというお話でした。フランスに関しては、在仏の日本商工会議所から最初に要望が上がって、それから九年間かかっている。そういう時間がかかっているわけですけれども、この間に両国に在留していた民間人が負担したそれぞれの国に対する社会保障負担費の総額というのはどれぐらいになるんでしょうか。わかれば教えていただきたいし、わからなければわからないで結構です。どうしてわからないのかという理由も申し添えていただけるとありがたいです。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 フランスで就労する者につきましては、フランスの法律に基づきまして社会保険料の支払いが義務づけられておりまして、保険料の算出につきましては、保険料の賦課の基準となる年収の三八%ということになっております。

 今、過去のそれで負担をした額がどのぐらいであるかということでございますが、過去にどのような年収の方が何人ぐらいいらっしゃったかによるということがございまして、そういう意味から、正確な額は残念ながらお答えすることができないということをお許し願いたいと思います。

村越委員 手元の資料ですと、ベルギーに関しては、現在の千六百五十五人という在留の民間企業関係者数から、一人当たり二百四十五万円という数を掛けると、大体年間四十億円。同様の計算をフランスに関してすると、百十億円。これを十九年間、九年間掛ければそのままの数字になるわけではないでしょうけれども、非常に大きな額が損をしてきているんだと思います。こういうデータをできればとっていただいて、もうちょっと事の重大さというものをより数字で認識する必要が私はあると思っています。ちょっとその点をあえて申し添えておきたいと思います。

 次になんですが、ベルギーとフランス、今回の社会保障協定において、仲裁裁判所による紛争解決規定というものが盛り込まれていないと伺っています。過去に協定を結んだイギリスとドイツですかの社会保障協定にはこの規定が逆に存在するというふうに聞いているんですけれども、仮に紛争を交渉ベースで解決できなかった場合、問題が生じないのかどうか、あるいはどうやって解決をしていかれるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

小松政府参考人 委員の御指摘にございましたように、今まで四本の条約、まだアメリカは発効してございませんけれども、国会の御承認までいただいているということでございまして、御指摘のとおり、イギリスとドイツとの間の社会保障協定においては、紛争解決について、最終的には仲裁裁判所による強制的な紛争解決手続が定められている、ベルギーとフランスについてはそれが定められていないということは事実でございます。

 この理由ということでございますけれども、交渉事でございますので、相手の条約の締結の方針というようなこともございまして、日本といたしましては、社会保障協定というのは基本的に技術的な内容の協定でございますし、また、社会保険当局は、お互い先進国同士ということで、かなり共通の考え方、それから対照する基本的な方針というものはかなりございますので、いろいろな問題があっても、基本的には協議によって解決をできるというふうに考えてございます。

 そういう観点から、ベルギーとフランスとの交渉におきましては、先方が仲裁裁判所の規定について特に必要であるという強い主張を行わなかったこともございまして、こういうことになっているというふうに御理解をいただければと思います。

    〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕

村越委員 同様の社会保障協定の申し入れが既にあって、かつ現状で協議がまだ始まっていない国が、ルクセンブルクとかイタリア、フィリピン、ブラジル、チェコ、オーストリアとあるそうなんですが、これらの国々に対する今後の取り組みはどうなさっていくのかということをお伺いしたいと思います。

 とりわけ、フィリピンなんかは在外在留邦人数がランクで十四位、イタリアが十八位という意味で、プライオリティーが中でも高いと思いますし、逆に在日の外国人数でいうと、ブラジルなんかは二十三万千八百三十六人、中国の方に次いで二位と、これまたプライオリティーが高いと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

鹿取政府参考人 今委員御指摘のとおり、現在既に話し合いあるいは交渉を始めている国以外にも、我が国と社会保障協定の締結について打診をしている国はかなりあります。イタリーもそのとおりでございますし、フィリピンもブラジルもそうでございます。

 一般的に申し上げますと、私どもとしては、社会保険料の負担の規模であるとか、在留邦人数、企業数、それから二国間関係、経済界からの要望、それから両国の社会保障制度の実態、こういうものを総合的に勘案しながら考えていくということで、それによってプライオリティーづけを行ってまいっております。

 今先生から御指摘のあったフィリピンについてでございますが、フィリピンも我が方に対して打診をしておりますが、現在のところ、我が方企業あるいは企業関係者からは、フィリピンにおける負担が特に問題であるという要望あるいは話はまだ参っておりません。しかし、フィリピンについてもやはり今後検討はしてまいるつもりでございます。

 また、ブラジルについては、委員御指摘のとおり、今二十三万人、あるいはそれ前後の日系ブラジル人を中心とした方々がおられまして、ブラジルからは、この点を考慮して我が国と社会保障協定を結びたい、こういう話が来ております。

 ブラジルに関しては、我々、まず勉強しなくてはならないということで、これからブラジルと、それぞれの社会保障の制度とか、実際にどの程度の負担があるのか、こういう問題について意見交換をしていきたい、こう考えております。

村越委員 先ほど来、大臣も明確にスタンスをお示しになっていますけれども、ほかの主要先進国と比べて、我が国はこの種の協定の締結数が圧倒的に少ないわけでありまして、人が自由に行き来をして、自由な経済活動を世界じゅうで行う時代ですから、この種の協定の締結数というのは一つの国際化の尺度になるかと思いますので、ぜひ、コスト意識を持っていただいて、迅速な対応をしていただきたいと思います。

 次に、子どもの権利条約に関してお伺いをしたいと思います。

 この条約が効力を生じてから大体十年余りたっているかと思うんですが、私は、我が国政府が子供のことに関して、CRC、国連子どもの権利委員会からのもろもろの勧告を誠実に実行してきたという認識は、残念ながら持っておりません。

 十年たった後の国内における子供の権利保障の実態と、これに対応する国の取り組みをどう総括なさっているのか、外務省にお答えいただきたい。できれば、大臣も一言御答弁いただければと思います。

町村国務大臣 詳細については、また必要あらば、関係の方面、局長等から御答弁を申し上げますが、日本がこの権利条約を締結した後、条約の実施に努めてきているところであります。

 近年は、少子化が進行し、また社会が高度化、複雑化して、非常に子供を取り巻く環境が年々変化をしてきて、それも、いい方向に変化している部分もありますけれども、悪い方向に変化している部分も多々あるわけでございまして、児童買春、児童ポルノの問題、あるいはいじめ、不登校の問題、自殺、薬物乱用、児童虐待、さまざまな子供を取り巻く環境が深刻になってきているという認識は深く持っているところでございます。

 私も、かつて文部大臣を務めた経験から申し上げましても、本当にこれは大人の責任の大きさということをしみじみ感じておりまして、大人がしっかりすれば、子どもの権利条約といった条約など本当に不要であるのになとさえ思うほどでございますが、現実、こういう条約をつくってやらなければ、これは日本のみならず、特に発展途上国等においては、子供の売買とかそんなことが日常茶飯事的に行われているといったような実情を見たときに、日本も今、先ほど申し上げたような問題がありますが、世界的に見てもさまざまな問題があると思います。そういう意味で、この権利条約の重要性というものを私どもは認識いたしております。

 日本では、これまでもそうでしたけれども、今後も、内閣府が総合的な調整をするということで、これに関係省庁が一致協力していく、これによりまして、児童を含む青少年健全育成に関する幅広い施策を着実に実施をしていかなければならないだろう。本当に、数が少なくなった、少なくなりつつある子供たちが健全に育つということが何よりも今、日本の社会で求められていることである、こういう認識のもとにしっかりと取り組んでいかなければいけない、かように考えているところであります。

村越委員 大変力強い御答弁をいただいたと思っております。

 さらに掘り下げていきたいと思うんですけれども、少子化の問題、今大臣、いろいろとお話をされました。ただ、この問題はもう社会構造そのものに起因しているんだと私は思っています。そうである以上、やはり少子化の問題とあわせて、今既にいる子供たちをどう大切にはぐくんでいくかということが極めて大事な課題だと思うんですが、今いる子供たちに対する施策が十分に足りているのかどうか、その辺の御認識もお伺いできればと思います。

山本政府参考人 今委員お話しのとおり、我が国の出生率が非常に低下をしておりまして、非常にいろいろな観点から問題があるわけでございます。

 おっしゃいましたように、少子化対策という観点から見ましても、出生率の低下に歯どめをかけていくということも非常に大事なことでございますけれども、それにあわせて、今いる子供たちを大切に育てていく、育ってもらうというのが非常に重要な課題だというぐあいに考えておるところでございます。

 政府といたしましては、少子化の流れを何とか変えていきたいということから、子供が健康に育つ社会、あるいは子供を産んで育てることに喜びを感じることができる社会、そういったものをつくって、そういう社会へ変えていくということから、昨年の十二月に子ども・子育て応援プランということで、いろいろなステージでの子育て支援を、各省庁、力を合わせてやっていこうということで具体的なプランも策定いたしたところでございます。

 このプランに基づきまして、今委員御指摘のように、安心して子育てができる、子供が育っていく、そういったような社会が実現できますように、政府を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

村越委員 先ほど大臣、本来、大人がきちんと責任を持っていれば、子どもの人権条約なんかはあるいは不要なのかもしれないということをおっしゃいましたが、残念ながら、まだもろもろ課題が山積しているわけですから、子供をめぐる状況に関して先駆的な情報を発信している子どもの権利条約というものに我々が依拠して政策を遂行していく必要がまだまだたくさんあるんだと私は思っています。

 そこで、子どもの権利条約といっても、教育の現場であるとか、当の子供本人、あるいは子供を育てる親であるとか、余り認識が進んでいないような気がしております。

 子どもの権利条約の中に四十二条というのがございまして、締約国に対して、適当かつ積極的な方法で成人、児童のいずれにも広く知らせる必要があるというような義務を課しているというふうに書いてあると思うんですが、このある種の広報義務について、外務省としてこれまでどのような広報の実績があるのか。あるいは、実績に関しては参考人の方で結構ですが、今後の具体的な戦略に関して、今後どのような積極的な広報戦略をとっていくのか、この四十二条に基づいてどういうお考えがあるのか、ぜひ大臣から御答弁をいただきたいと思います。

    〔大谷委員長代理退席、委員長着席〕

町村国務大臣 児童の権利条約につきましては、リーフレットの作成、配布、外務省のホームページの掲載を通じまして広報を行ってきております。

 例えば本年も、児童権利条約及び選択議定書の条文を記したリーフレットを二万部作成して、関係団体等に幅広く配布したところでございます。また昨年は、日本が児童権利条約を批准して十年目に当たるということから、これを記念したシンポジウムを開催いたしました。

 こうした取り組みに加えまして、今後とも条約の周知を一層進めてまいりたいと考えております。

村越委員 リーフレットとか本とかホームページというのが適当、適当かもしれませんが、この四十二条の文言ですけれども、果たしてそれだけで積極的な方法かというと、私は十分じゃないような気がしております。

 リーフレットとか本とかで、あるいはもしかしたら、邪推ですけれども、監修料の問題とかなんとかまたあるかもしれませんし、あるいはホームページに書いてあるだけでしたら、そこに行かないと、子どもの権利条約に関して自分は知りたいという意思がないと、そのホームページにアクセスすることはないわけですから、積極的な方法とは言えないと私は思うんですね。

 ですから、何か具体的な戦略がまだないのであれば、それはそれで構わないんですが、今後、積極的にこれを広報していかれるという決意だけでも大臣から御答弁いただければと思います。

町村国務大臣 この手の政府広報の難しさといいましょうか、私は文部大臣をやっていたときに感じたことなんですけれども、学校の中でいろいろな催しをやる、こういうことを家庭で考えてもらいたい、こういうことを学校でやっているから関心を持って参加してもらいたい、そういうことをやって、参加してくださる親御さん、保護者というのは、実はもともとそういうPRが必要ないような方々なんですね。本当はこういう御家庭の保護者こそ、ぜひ、例えば講習会であれ何であれ参加してもらいたい、えてして、そういう保護者は来ないんですね。先生が頼みに行っても来られないという実に悩ましい問題があるわけであります。

 したがって、手とり足とり、こうですよ、ああですよとやらなきゃならない部分もそれはあると思うんですけれども、しかし、基本的に関心のない保護者に対してどうやって関心を持ってもらうのか。幾ら虐待をやってはいけないと権利条約に書いてあったって、それを、権利条約に書いてありますよということを知ったとしても、なおかつ平然として虐待をしている親がいるわけでありますね。

 したがいまして、本当にこの問題は、どうやったらいいんだろうかということが一番の悩みであります。これは何も子供の問題以外のことでも、いろいろな社会の問題、そうなんだろうと思います。非常にそこのもどかしさというものをいつも感じながら、でも、やれることはやらなければいけないという思いで、ホームページ、パンフレット等をやるわけでありますが、それにはどうしても常に一定の限界というものがあるんだなということを感じながらいるわけでありますが、いずれにしても、努力をしなければいけない、こう思っております。

 済みません、何か自問自答しているようなことを申し上げまして。

村越委員 大臣、もうよくおわかりになっていると思いますけれども、単にホームページをつくったとかリーフレットを配ったということではなくて、やはり本来の目的というのは、子供というのは国の宝であって、この子供たちが自由で責任ある環境の中ですくすく育っていかなければいけない。そして、その子どもの権利条約の中には、そのための普遍的な価値観がいろいろ織り込まれているんだ。それらを広く伝播することがやはり本来の目的だと思いますので、そのための努力をぜひしていただきたいと思います。

 次に、子どもの権利条約の中で、中核的な価値として、子供の意見表明権というのがうたわれているわけですけれども、この子供の意見表明あるいは子供の参加ですね。

 先日、ある中学校に、私、公民の授業に呼ばれて、たまたま国会の話をしていたので、実際、国会議員というのはこうなんだよという話をしてきたんです。例えば、その中学校というのは、できて二十年ぐらいしかたっていない比較的新しい学校なんですが、最初に、できたときに、制服をどうするかということを、ブレザーなのかセーラー服なのか詰め襟なのか、それとも私服なのかということを生徒で決めたというんですね。これはまさに子供の意見表明であり、子供の参加の具体化として非常に積極的に私は評価すべきだと思うんです。

 そういう子供の意見表明の機会の担保のための具体的な取り組みというのは、専ら今まで自治体であるとか、あるいはNPOやNGOによって引っ張られてきたというふうに私は理解しているんです。ここでやはり、国がさらにこの考え方を広めるために、積極的な施策をする必要があると思うんですけれども、何かお考え、今おありでしたら、ぜひ答弁いただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 子供の意見表明の機会を担保していくということが権利条約十二条でうたわれておるわけでございます。今委員御指摘のように、これをより進めていくということでございますが、先ほど来のお話の中にもございましたように、二つ、問題というか課題がある。

 一つは、児童自身、あるいは教職員だとか児童にかかわる人々に、その内容をしっかり周知、理解をしていただくということがまず大事だと思います。

 そういう意味で、先ほど外務大臣からお話がございましたように、いろいろなリーフレットだとか、そういう努力をしていくというのは大切でございます。あわせて、例えば教職員を対象とした研修会とか、そういった各種会議で、この条約の趣旨とか内容、今もいろいろなレベルの会議等でそういう周知に努めております。あるいは、これは委員からするとなかなかアクセスが難しいということかもしれませんけれども、内閣府で毎年まとめております青少年白書にもこの条約のポイントというものを掲載して、多くの人に見ていただくようにしております。これが一つ、広報啓発ということで、これはこれからももっと力を入れていきたい。

 それから、具体的に、では現場ではどうかということでございますけれども、先ほど制服のお話がございました。今、いろいろな地域の学校で、例えば校則の見直しをするというようなときに、学級活動とか生徒会活動で、生徒で大いに議論してもらう、そういうものを踏まえて、これは児童生徒の発達段階に応じてということでございますから、生徒が決めたそのとおりということではないかもしれませんけれども、そういったような工夫をして、それぞれ学校現場でも取り組んでいる。

 それから、先ほど来お話がございました、家庭教育の中でしっかりそういったような児童の権利というものについての取り組みを深めていただくために、いろいろな子育ての手帳なんかに、虐待の関係でございますとか、そういったことをきっちり書いて、保護者の方にも取り組んでいただくといったようなことを考えております。

 決め手というのはなかなか難しいわけでございますけれども、関係省庁とよくまた協議を進めながら、自治体での取り組みなんかも参考にして、取り組みを深めていきたいと思っております。

村越委員 ありがとうございました。

 次に、報告書の作成についてお伺いしたいと思います。

 五年置きにCRCに対して、国連子どもの権利委員会に対して、報告書を政府が提出することになっていると思います。次回は二〇〇六年だとお伺いをしていますが、この報告書に関して、どの省庁が中心になって取りまとめになるのかということをお伺いしたいと思います。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 報告書は五年ごとに出すものでございます。次回は二〇〇六年五月というふうになっておりますけれども、条約の内容が極めて多岐にわたるものですから、一応、外務省が中心になって、関係の各省庁と協力の上、作成いたすことになっております。

 すなわち、条約の実施を伴う施策に関しましては、内閣府、防衛庁、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省、総務省等関係各省庁がそれぞれの所掌分野に関して作成をいたしまして、条約の実施を所掌業務とします外務省がそれらを取りまとめて報告することになっております。

 条約の実施に関しましては、関連するデータも大変多うございます。現在、そういったデータも幅広く収集、整理しておるところでございますけれども、関係省庁とも協力の上、また、NGOの意見も参考にしながら作成していくというふうに考えております。

村越委員 そうすると、子供の問題を外務省の中で専門的に扱っている部署が存在するということなんでしょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省の国際社会協力部人権人道課というのがございますけれども、そこは人権を含む社会分野についての外交政策を所掌しておりまして、その一環として、国際社会が協力して保護をすることが必要な子供に関する国際的な取り組みを担当しております。人権という観点から、そういう業務を担当しておるわけでございます。

 具体的に申しますと、この人権人道課におきましては、子供の権利の実現、子供の基本的ニーズの充足などを目的としまして、特に、紛争や災害によって被害を受けました子供たちを世界各地で支援します、例えばユニセフ、国連児童基金との協力、あるいは児童の権利条約の実施に関する事務などを行っております。

 もちろん、子供をめぐる問題は、一部局あるいは外務省の一課のみでカバーできるものではございません。関係省庁とも協力しながら、引き続き適切に取り組んでいきたいというふうに考えております。

村越委員 子供プロパーの部署ではないということだったと思います。

 実際に、この報告書の作成に関して何人で作業をされるのか、お伺いをしたいと思います。

神余政府参考人 先ほど申しましたように、児童の権利条約の実施に関するという観点から、外務省の人権人道課が行っておるわけでありますけれども、この人権人道課におきましては、課長の指揮のもと、児童分野専任の職員二人がおります。ただ、この二人だけでは当然十分ではございませんので、必要に応じまして、同課の職員、具体的に言いますと、課長、首席事務官、それから総務班におります二人などを合わせまして協力しながら、政府報告の作成についても、このスタッフでもって責任を持って取り組んでいるというところでございます。

 政府報告は、先ほど申しましたような広範な分野を対象としておりまして、内閣、関係部局あるいは各省、いろいろかかわってきます。さらにはNGOもかかわってきます。こういった観点から、人権人道課としては、少ない人数ながら、このような多数の関係者と密接に協力しながら報告書の作成業務を進めているというところでございます。

 一応、そういう体制でやっておりますので、御理解賜りたいと思います。

村越委員 大臣、先ほど来答弁があるように、これだけ広範で多岐にわたって、関係省庁がいっぱいあって、なおかつ、NGO、NPO、民間まで相手にしなければいけない。それなのに、専門で担当されている方が二人しかいらっしゃらない。

 僕は、これは、一国が国際的な取り決めだったりあるいは国際条約をどこまで誠実に考えているか、どこまでまじめに履行する覚悟があるのかということが、この人員の問題なんかでわかると思うんですね。二人でこれだけの大事な問題、これだけの内容のものを取りまとめていくのはなかなか困難だと思います。ぜひ、ちゃんと人数を拡充していただいて、CRCから評価されるような報告書を取りまとめていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

町村国務大臣 今、外務省の人員の全体に、それはもうまことに不足をしているわけでございます。国全体が厳しい予算制約のもと、また定員管理もあるという中でございますから、それは願わくは、何人、何十人というものがそれぞれの重要な仕事に充てられればいいわけでございますが、しかし、限られた定員の中で精いっぱいのやりくりをやっているという今の実情でございます。

 きょう、この機会でございますから、少しく、ひとつ先生方の御理解もいただきたいのでありますが、私ども、長年かかって、せめて外務省の定員をイタリア並みにといって、ようやっと二、三年前ですか、イタリアを超えたところでしょうか。しかし、まだまだ比べてみると、ドイツ、フランス等は八千人ぐらいの規模になっておりましょうか。

 今、日本が五千人をちょっと超えたぐらいだと思いますから、また少しく、今実は内閣全体では定員を向こう何年間で何%削減という目標を立てて、その実施にこれから当たるという方針があるわけでありますが、しかし、それはめり張りがあるんだという前提で、外務省は、全体が減る中にあっても外務省の職員の数だけは時間をかけてふやしていってもらいたいということで、今その計画を練っております。

 それをまとめた上で、まず当面、来年度の予算、定員要求でどうそれを反映させていくのかということで取り組んでいる最中でございますので、ぜひ村越委員にもお力添えをいただきまして、外務省職員の、もちろん質の問題もありますが、やはり数が足りないという問題もありますので、ひとつ量的拡充の面につきましても御支援を賜れば幸いでございます。

村越委員 公務員制度改革の問題が来年出てくるかと思います。一般論としては、大臣おっしゃるとおりなんでしょうけれども、政府お得意のスクラップ・アンド・ビルドというのがあるでしょうから、必要なところには必要な人員をぜひ配置していただきたいと思います。

 ちょっと数字だけお伺いしたいんですけれども、この報告書作成に関して、大体どれぐらいの予算がついているのかということをお伺いしたいと思います。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 この報告書を作成する予算というのは、なかなかどこまでとるかというのは難しい問題でございますけれども、先ほど申しましたような人員体制で作業をしております。その作業に係る人件費等々、これは外務省の所管業務でございますから、通常の業務の予算の中で、外務省の業務予算で行っております。

 したがいまして、それは、なかなか幾らなのかというのを算定するのは難しいんですが、他方で、外務省につきましては、今年度予算におきましては、児童の権利条約を含む主要人権条約の政府報告に関する直接的な経費といたしまして、例えば翻訳に係る経費などでございますけれども、約三百十万円を計上してございます。外務省としても、この報告書を大変重視しておりまして、今後とも適切に対応していく考えでございます。

村越委員 いろいろな部局と連絡をとりながらお仕事をされているということなんですが、外務省のホームページに、トップページから外交政策というところに行って、人権・人道というところに行って、そこから、Aからアルファベット順にいろいろな項目が並んでいて、Hというところに「児童の権利条約実施等のための国内機構」という項目があるかと思います。

 その中に、またさらに、「(a)児童の権利条約の各分野の所轄官庁及びその活動調整、進捗の監視」とありますが、この中に「現在、当該施策を調整する制度を新たに政府部内に創設する予定はないが、引き続き現行の制度の下で、関係行政機関の緊密な連絡を図りつつ、児童に関する施策を総合的に推進していく予定である。」というふうに書いてありますが、おっしゃるところの関係行政機関と緊密な連絡を図りつつというのは、緊密な連絡というのは具体的にどういう作業をされているんでしょうか。

神余政府参考人 委員御指摘のありましたとおり、関係行政機関の緊密な連絡を図りつつ、総合的な施策を推進していくというくだりがございます。先ほど答弁申し上げましたとおり、外務省は条約の実施について責任を持っておるわけでありますけれども、子供を取り巻くさまざまな問題に対処するためには、外務省ひとりでは十分ではございません。関係省庁が一致協力いたしまして、児童を含む青少年の健全育成に関する幅広い施策を実施していくということが必要でございます。

 したがいまして、関係行政機関、これは、例えば内閣府あるいは厚生労働省、文科省、法務省等々、多岐多様にわたる関係省庁との協力が必要なわけでありますけれども、これらの省庁の御協力も得ながら、例えばその報告書の作成、あるいは先ほどもございましたような広報につきましても御協力いただいているわけでございます。

 具体的には、青少年の育成に関します施策につきましては、全閣僚を構成員といたします青少年育成推進本部というのが設けられております。本部長は内閣総理大臣でございますけれども、そういう組織のもとで、児童の権利条約の趣旨も踏まえまして、幅広い分野にわたります施策を総合的かつ効果的に推進しておるところでございます。

 内閣の中にはまた、青少年育成推進会議というものもございますし、そういったところにも外務省は参加しておりますし、その会議も、報告書の作成等の前後に頻繁に接触をし、また会議を開いておるということでございます。

 また、次回の報告書の作成に向けても、もう既に作業が開始されているということでございますので、こういったことを踏まえて、こういったことを含めて、緊密な連携あるいは連絡ということをその意味でもしているということでございます。

村越委員 時間がなくなってしまいましたので、ちょっと急いで申し上げたい。

 最後に一つお伺いしたいんですけれども、青少年育成推進本部というものがありますよというお話でしたが、過去に二回しか開かれていないと伺っています。これは明らかに、省庁、部局横断的な統括部署として十分な役割を果たしていないと思います。

 とりわけ、子供に関するデータを網羅的、総合的に収集する機関が我が国にはないんだという指摘をこのCRCが第二回の政府報告書審査に基づく最終見解というものの中で明確に指摘しているわけです。

 例えば、子供の非行とか犯罪に関して、十四歳以下は厚生労働省がやるんだ、十四歳から一日でも過ぎたら警察庁がやる、あるいは、児童が学校に登校するときに、その途中の問題は警察です、学校の中に一たん入ってしまえば文部科学省ですというように、そのデータの収集の仕方あるいは加工の仕方、省庁への予算配分の仕方、極めて縦割りの行政が子供に関して行われている。子供を総合的に扱わなければいけないのに、子供をまさにその縦割りの中にはめて、縦に切っているような状況が非常にあると私は思います。子供の健全な育成にとって極めて不適切であり、改善が求められる観点だと私は思っています。

 この問題に関して、きちっと、やはりそういう勧告があるわけですから、差し当たって、省庁ばらばらですから、主管省庁と言っていいのかわかりませんが、外務省が責任を持ってこの条約を結んだわけですから、誠実にCRCの勧告を受けて実行していく必要があるんだと私は思います。

 ですから、そこで、およそ国際法あるいは国際的取り決めというものに関して、大臣がどこまで真剣に考えているのかということが、これをいかに実行するかで私ははかられるかと思うんですが、最後に、大臣、決意を聞かせていただきたいと思います。

町村国務大臣 先ほど冒頭に申し上げましたように、子供の健全育成、非常に大きな課題であるし、先ほど年金も大きな課題だと申し上げましたが、子供の問題、幅広い子供の問題というのは、まさに国が直面している最大の問題だと言っても決して過言ではない、私もそう思っております。

 ただ、なかなか難しいのは、例えば子供省というものをつくって、では、子供に関することを全部そこで担当できるか、その子供省に警察権限まで持たせますかというと、それはやはりできないんだろうと思うんですね。

 したがいまして、どこかで行政というのは責任を保つ体制というのがあるわけでありましょうから、そういう意味で、統計のとり方、では、子供省というのが仮にできたとして、子供に関する統計は一元的にそれがとるんだということになりますと、また今度は膨大な国内組織をつくらないと、データ一つとるにしても大変なことになってまいります。

 その辺をどこで接点を求めるのかなということになるわけでございますが、いずれにしても、それぞれの部署が責任を持って子供の健全育成のために最大限の努力をするということがあれば、仮に犯罪ならば警察であるとか、教育ならば文部科学省とか、そういうものは分かれていたとしても、私は、トータルの力でそれは解決し得る問題ではないだろうか、何か一つの役所をつくると、それですべてがうまくいくという問題でも必ずしもないのではないかとは考えております。

 ただ、健全育成、非常に重要な問題だということだけは、御指摘のとおりだと思っております。

村越委員 我々、子供省あるいは子供家庭省というものをつくりたい、でも、そこに別に警察権を持たせようとまでは言っていないわけでして、あくまで総合的、網羅的に子供の問題を考える必要がある。まさに、子供家庭省あるいは子供省というものをつくろうじゃないかという議論をぜひしたかったんですけれども、もう時間が来ましたのでやめます。

 いずれにせよ、子どもの権利条約というものは、今盛んに小泉さん、官から民へとおっしゃっていますけれども、今まで民しかなかったわけです。NGOとかNPOがあくまで子どもの権利条約の理念を広めるための活動を担ってきたと私は思っています。ですから、今まで官がなかったわけですから、ちゃんと条約の理念を生かしていくための施策を、ぜひ行政府に、最後に切にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、フランス及びベルギーとの社会保障協定、これがかかっておりますが、その両条約については賛成であります。

 それで、今回の協定を見ますと、五年以内の派遣の場合には相手国の制度に加入せずに済むとなっておりますが、仕事や家族の事情などで何らかの理由で五年以上にわたって赴任が延びるケースも考えられるわけです。そういう場合はどういう措置をとるつもりなのかお答えください。

小松政府参考人 社会保障協定におきましては、大原則は、その国におります者については、その国の社会保障制度、強制加入に関する制度のみが適用される。ベルギーにおられる方についてはベルギーの、フランスについてはフランスの、日本については日本の制度というのが大原則でございます。ただ、今委員御指摘ございましたように、例えば日本の会社の方が駐在員としてベルギー、フランスに行かれる、それが、当初から五年を限度にして短期間いらっしゃるということが予定されている場合には、日本の制度のみを適用するということが定めてあるわけでございます。

 この派遣が当初から五年を超えるものと見込まれる場合には、原則に立ち戻ってその国の制度が適用されるというわけでございますが、今おっしゃいましたように、当初五年の計画で行っていた、ところが何かの事情で延長されるという場合には、両条約に延長できるという規定がございまして、両国の権限ある当局等が、引き続き派遣国の法令のみを適用することについて合意することができるという仕組みになってございます。

赤嶺委員 それでは、昨年の日米の社会保障協定、これについて伺いますが、この協定で保険期間の通算が認められるようになったわけです。ところが、受給権があっても、協定を知らなければ、申請しない人々も出てくるのではないかと思います。現在までに、その制度の周知徹底、どのように図っておられますか。

青柳政府参考人 日米の協定におきます周知徹底についてのお尋ねがございました。

 日米の社会保障協定につきましては、日米の年金加入期間の通算目的としておりますので、例えばアメリカの年金制度の加入期間が一年六カ月以上あるというような方につきましては、日米両国の年金制度の加入期間を通算して十年以上あれば、アメリカの年金を受けることができるという内容が特に特色となっております。これは、本年の十月の発効を予定しておりまして、対象となる方については、十月以降、社会保険事務所において申請手続を行うことができるという形になっております。

 私ども社会保険庁におきましては、この協定の発効に向けまして、一つは、この日米の協定の概要等を説明したチラシをつくりまして、広く配布をさせていただいております。あるいは、特に期間通算ということですので、年金受給権者の方々に対する働きかけが必要であろうということから、例えば年金相談の機会、あるいは毎年お送りをしております受給者のしおり、こういったものの中で情報提供を行わせていただいております。

 また、ホームページを活用した協定内容の詳細な紹介、こういったこともやらせていただいておりますが、特にこの協定につきましては、対象者数が非常に数多く見込まれるということとともに、さかのぼって年金を受けることができる期間が六カ月ということで、従来の協定等に比べて大変短い期間になっているというような事情もございます。こうした点にも十分に留意しつつ、きめ細やかな周知、広報に引き続き努めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 それでは次に、日米地位協定に関しまして、佐世保市で起こりました共同逮捕問題、これについて伺っていきます。

 六月三日に佐世保市で起こった米兵による追突事故、この事案について、その概要を説明していただけますか。

矢代政府参考人 御説明いたします。

 御指摘の事案でございますが、平成十七年六月三日午前零時三十分ころ、長崎県佐世保市におきまして、米軍人がその運転する普通乗用車を信号待ちのため停止中の普通貨物自動車に追突させ、加療一週間を要する傷害を負わせた交通事故に関しまして、日米両当局が、運転していた米軍人、三十九歳、上等兵曹でございますが、を逮捕した事案でございます。

 被疑者は、けがの治療のために一時的に米軍施設に搬送されまして、その後、治療が済んだ後の同日午後五時ころ、米軍当局者によりまして所轄警察署に連行され、警察署において所要の取り調べ等を行った後、被疑者を釈放し、米軍当局に身柄を引き継ぎました。

 その後、長崎県警察は、米側と連携しながら、被疑者の取り調べ、実況見分等、所要の捜査を行い、道路交通法違反及び業務上過失致傷害を立件し、送致したという事案でございます。

赤嶺委員 酒気帯び運転で追突事故を起こした米兵を日米両当局が逮捕した、こういう事案であるわけですが、日米両当局が逮捕したことをもって政府は共同逮捕という言葉をお使いですが、共同逮捕というのは何ですか。

矢代政府参考人 御説明申し上げます。

 いわゆる共同逮捕は実務上の用語でございまして、刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意第八(一)の「日米両国の法律執行員が犯罪の現場にあって、犯人たる合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族を逮捕する場合」における当該米国の法律執行員による逮捕を称するものと承知しております。

赤嶺委員 これを、日米合同委員会合意の八の(一)に基づいて、日米両当局が現場にいたので共同で逮捕した、実務上の用語だ、このような御説明でしたけれども、現場はそんなものじゃないんですね。

 現場では、米兵が酒気帯びで追突事故を起こした。日本の警察官が駆けつけた。事情聴取をしようとするけれども、米兵は車の中から出てこない。アルコール検査にも応じない。それで、日本側警察は、米側当局に連絡をし、通訳も来てもらってやった。いわば、取り調べそのものを一切犯人は拒否していたわけですね。

 そこに、通訳を通じて、それでも応じないので、日本側警察が米兵に手錠をかけた。手錠をかけてパトカーに乗せて連行しようとした。連行しようとしたら、それを米側当局が立ちはだかって、そして、犯人の腰をつかんで日本側警察から取り戻そうとした。日本側警察と米側当局との間にトラブルがあったわけです。トラブルどころじゃない。米側当局は、そのやりとりの中で、けん銃に手をかけて威嚇までしている。こういうような状態なんですね。共同で両方が逮捕したんじゃないんです。日本側が逮捕した米兵を米側が取り戻した。

 ですから、日本側警察は、相浦署ですか、当初、米軍側による公務執行妨害だと言っているわけですよ。共同逮捕ですか。日本側の手錠がかけられた米兵を米側が連れていった。それで手錠だけ後で返ってきた。基地の中に連れていって釈放しているようなものですよ。これが共同逮捕ですか。実務上の話だと言うけれども、こういうのを共同逮捕というんですか。いかがですか。

矢代政府参考人 御説明いたします。

 相浦警察署の警察官は、刑事訴訟法に基づきまして、これは現行犯逮捕をし、所要の手続を進めておるわけでございます。現場には、相浦警察署の署員のほか、米軍当局の法律執行員でありますMPが来ておりまして、本件の米軍人の逮捕、MPによります逮捕は、刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意第八(一)に規定されている事案ということで、その措置がとられておるわけでございまして、現場におきましては、この同合意の趣旨に沿った対応がなされたものと承知しております。

赤嶺委員 陳腐な話ですよ。日本側警察は、刑事訴訟法に基づいて現行犯逮捕をしました。アメリカは、地位協定の合同委員会合意に基づいて逮捕しました。何か手錠を一人の犯人に二つかけるようなものですよ。

 しかも、現場には最初から同時にいたわけじゃないんですよ。現行犯逮捕で日本の警察官が駆けつけた。取り調べに応じないから、通訳の必要もあり、米側に通報して、米側のMPも来た、通訳官も来た。そういう中で日本側警察は逮捕したんです。

 逮捕した上に、ですから、当初の相浦署の発表では、報道発表ですよ、MPが米兵を強引に基地に連れていったと米側の対応を批判しているわけです。捜査員の一人も、MP数人で抱えるようにして連れていった、公務執行妨害に当たる、このように言っているわけです。しかも、MPが犯人を連行しようとするのを日本側警察官は必死にとめようとしているんです。もみ合いになっているんです、現場で。

 それが、日本側は刑事訴訟法です、そして米側は日米合同委員会合意に基づくものです。こんなものが、そういう犯罪から日本の社会の秩序を保つ上で、どれが優先されるべきですか。この場合、日本側の警察であることは当然じゃないですか。日本の主権ですよ。

 何でそれが、共同逮捕なんて言えば聞こえはいいですよ。共同逮捕と言えば、日本側とアメリカ側が協力して一人の犯人を捕まえたという印象を持ちがちなんですが、皆さん、現場の逐一についてちゃんと押さえていらっしゃるんですか。押さえた上で共同逮捕という言葉を使っているんですか。

矢代政府参考人 御説明申し上げます。

 この日米合同委員会の合意でございますが、その第八の(一)に

  日米両国の法律執行員が犯罪の現場にあって、犯人たる合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族を逮捕する場合には合衆国軍隊の法律執行員が逮捕するのを原則とし、この被疑者の身柄はもよりの日本国の警察官公署に連行される。日本国の当局による一応の取調の後、当該被疑者の身柄は原則として引続き合衆国の当局に委ねられるが、当該事件が日本国の当局が裁判権を行使する第一次の権利を有する犯罪に係るものである場合には、日米の共同捜査のためいつでも取調の対象となる。

こういうことでございまして、現場には米軍当局の法律執行員もおりました。したがいまして、この合意に沿いまして措置されたということでございます。

赤嶺委員 今読み上げた文にも違反する行為が行われていたんですよ。現場には両当局がいた。米側が来たのは、MPが来たのは、日本側警察の通報である。そのときには現行犯逮捕していた。そして、そういう場合に、現場にMPがいた場合には「合衆国軍隊の法律執行員が逮捕するのを原則とし、」と今読み上げられましたが、「この被疑者の身柄はもよりの日本国の警察官公署に連行される。」とあります。

 最寄りの日本側警察署に連行したんですか。米兵が身柄を奪って、基地の中に連れていったじゃないですか。合意にも反するじゃないですか。皆さん、そういう現場で起こっている一つ一つについて検証しているんですか。これは、その事故現場で目撃者がたくさんいますから、ごまかしようがないんです。市民がたくさん目撃しております。いかがですか。言われているように、最寄りの日本側の官公署に連行したんですか。それだけ答えてください。

矢代政府参考人 御説明いたします。

 この米軍人、上等兵曹でございますが、事故の当事者でございましたので、けがをいたしておりました。したがいまして、被疑者は、けがの治療のために一時的に米軍の施設に搬送されまして、その治療が終わりました後、所轄警察署に連行され、警察署において所要の取り調べを行ったということでございます。

赤嶺委員 現場で何が起こったか説明できるかといえば、それは説明しないで、米兵がけがをしていたので基地の中で治療をさせたんだと。

 日本の警察は、犯人がけがをしていた場合、治療しないんですか。こんなばかな話がありますか。日本側警察の判断にそれまでをゆだねるべきじゃないですか。アメリカをかばうために、こんな現場の警察官は泣いていますよ。自分たちが犯罪を防ぐために一生懸命やった、それを、政府の方から圧力がかかって、共同逮捕だと言って説明してきている。実際、公務執行妨害だ。

 こんな、主権が侵害されても、なお共同逮捕というような言葉をつくり出して、アメリカをかばうようなことはぜひやめてくださいよ。そういう特権的な地位を米兵に与えているから、事件、事故が繰り返されるんです。

 時間がありませんので、もう一つちょっと聞きますが、前回の外務委員会で法務省が、昭和六十一年から平成十六年にかけて公務中の米軍犯罪のうち軍事裁判を受けたのは一件と答えました。これはいつの事件か、どんな事件か、裁判の結果はどうだったか、説明してくれますか。

大林政府参考人 米軍当局が行った軍事裁判の内容についての報告は、日米合同委員会を通じて行われ、日米双方の同意なしには公表されないこととなっておりますため、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

赤嶺委員 ここでも答弁を控えるということで、米軍人犯罪というのはやみの中です。

 実際、日本の警察権が及ばないようになっている、こういうような地位協定を放置して、米軍犯罪は根絶されないということを強く外務大臣にも申し上げまして、時間がありませんので、質問を終わらせていただきます。

赤松委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 日本とベルギー、そして日本とフランスの社会保障協定については賛成でございます。

 一点だけ質問をさせていただきます。

 日本とベルギーとの社会保障協定については、今からさかのぼること約二十年近く前の昭和六十一年に、既にベルギー側から協定締結交渉開始の申し入れがあり、その後数次にわたり申し入れがあったにもかかわらず、長期間、政府間交渉さえも行われませんでした。確かに協定締結先の優先順位があることは理解しますが、約十九年というのはさすがに長く、相手国との友好関係に水を差すことになりかねないのではないかと思われます。

 今回ようやくベルギーとの社会保障協定の署名に至ったわけですが、交渉開始の申し入れから署名までにこれほど時間がかかった理由は何でしょうか、お伺いします。

 また、ベルギーの隣国であるルクセンブルクからも一九八七年に協定締結交渉開始の申し入れがなされているようですが、ルクセンブルクとの協定締結の展望についてもあわせてお伺いいたします。

小松政府参考人 ベルギーとの協定について時間がかかった理由でございますが、先ほど外務大臣からも御答弁申し上げましたけれども、経緯といたしましては、我が国の民間の方の国際的な活動というのが非常に盛んになっておりました昭和四十年代あたりから、特に日本と経済関係の緊密でございます米国それからドイツ、これは、ドイツの年金制度というのは非常に緻密にできている、日本と共通点も多いというようなことがございます。日本はいろいろな国から協定の締結について申し入れを受けておりましたけれども、経験がございませんでしたものですから、まず一つの国と協定をつくって、これをベースにしてやっていくのが適当ではないかということで、アメリカとドイツということを念頭に置きまして意見交換を進めてきたというところがございます。

 アメリカとドイツにおきましても、日本におきましても、社会保障制度の大きな変更等がございまして、なかなか協定を締結するに至らなかったという点がございまして、しかし、平成十一年にドイツと協定を締結することができた。これ以降、これを踏まえまして、以前に比べて順調に進んできているということがございまして、ベルギーにつきましては、確かに申し入れがございましたのは昭和六十一年でございますけれども、実質的に交渉を開始することができましたのはドイツとの協定を締結した以後というのが実態でございまして、これがおくれました理由でございます。

 ルクセンブルクでございますが、ルクセンブルクを含めまして複数の国から協定締結に向けた協議の申し入れを受けております。

 相手国の社会保障制度における社会保険料の負担の規模でございますとか、在留邦人、進出日本企業等の状況でございますとか、経済界からの具体的要望がどうなっているか、我が国と相手国の社会保障制度の違いはどういうところにあるかというようなことを総合的に考慮した上で、優先度の高いものから順次締結交渉を行っていくということを考えておりまして、ルクセンブルクについても、そういう観点から前向きに考えたいと思っております。

東門委員 はい、わかりました。ありがとうございました。

 それでは、私、一昨日の私が質問した件につきまして、関連して質問をしたいと思います。

 米兵のわいせつ事件についてでございます。

 私、一昨日の本委員会におきまして、約二十年前に米兵にレイプされた女性の稲嶺県知事あての公開書簡を読み上げて、大臣に質問いたしました。

 私の質問に対して大臣が、まず、被害に遭われた方々の心情、お気持ち、今でも大変つらいものがおありになる、率直に、今その方のお手紙を聞きながら、そのとおり受けとめなければならない、こう思っておりますと申されました。

 それにすぐ続けてです。

 人を殺す術をなりわいとする、職業とするというような表現がありましたけれども、私はやはり、軍隊というものの持つそれは一面であるけれども、同時に、その米軍あるいは日本の自衛隊があるからこそ日本の平和と安全が保たれているんだ、その側面をすっぽりと抜け落ちて、その部分には一切触れずに、ただある一面だけをとらえて物事を決めることというのは、私は、バランスのとれた考え方とは思えませんと発言されたことは、どうしても承服できません。

 手紙は、現実に米兵にレイプをされ、二十年が経過した今日でもいまだに心の傷がいえない女性の悲痛な心情であり、叫びです。

 大臣は、米兵による強姦という行為で女性の尊厳、人権をじゅうりんされた被害者に、大臣のお考えのようなバランスのとれた考え方を求めるということでしょうか。

 この間もお聞きしました。それに加えて、もし大臣の娘さん、あるいは身内の方が米兵の行為による被害者になっても同じようにお答えになるのでしょうか。

 二点、お聞かせください。

町村国務大臣 今委員が読み上げられました私の答弁の前段の部分は、まさにそういうつらいお気持ちについて私も、当然のことでありますけれども、理解をいたしますし、そういうふうにお思いになることは当然のことであるし、そのとおりに受けとめなければならないということを申し上げました。

 ただ、それ以下の、軍隊の意義といいましょうか役割といいましょうか、これについて、その被害者の方に対して申し上げたつもりはございませんで、これは、政策論として考えたときに、軍隊というものはそういうあれはあるけれども、しかし同時に、そうした世界の平和、日本の平和というものが保たれている、そういう面もやはり、政策論としてはそういうことも考えなければならないんだ、こういうことを申し上げたのであって、その方にそういう考えを持ってくださいということを私は言ったつもりはございません。

 もし、そういう趣旨でこの私の答弁がとられたとするならば、それは私の申し上げたかったこととは異なりますので、その点はひとつ東門委員にも御理解を賜れればと思います。

東門委員 いや、私は、この間もして、きょうもしました。本当に失礼な聞き方かもしれませんが、もし大臣のお嬢さん、あるいは身内の方がそのような被害に遭われても同じような御答弁をなさいますかということ、ぜひお聞かせください。

町村国務大臣 身内云々ということについては、その気持ちはわかりますということを申し上げた上で、この軍隊の役割というものについては、この御本人に対して申し上げたんじゃありませんよということを今申し上げたわけであります。

東門委員 この大臣の答弁をどんなに読み返してみても、それはやはり、その被害者に対する、被害者の手紙に対するコメントなんですよ。

 その側面をすっぽりと抜け落ちて、その部分には一切触れずに、ただある一面だけをとらえて物事を決めることというのは、私は、やはりバランスのとれた考え方だとは思われません、これは被害者の手紙に対するコメントではないんでしょうか。いかがですか。私にはそうしかとれないんですが。

町村国務大臣 この被害者の方への気持ちは、よく理解できますというのが、その方への私の手紙の受けとめ方はどうかという御質問だったと思いますので、そうお答えをしたのであります。

 ただ、ここはやはり政策を議論する委員会の場でございますから、軍隊というものについてこういうとらえ方、いわば、殺人をとか、人を殺すことをなりわいとする、職業とするという表現がありました。しかし、それはやはり政策論として、そういう一面はあるけれども、しかし、それによって平和が保たれている、抑止力があって平和が保たれている、そういうことも我々国会議員としては、あるいは外務大臣という立場としては考えなければならないんでないでしょうかということを申し上げたのであって、その当該被害に遭われた、大変つらい目に遭われた方にそういう考えを持つべきであるということを言ったわけではないということは御理解を賜りたいと思います。

東門委員 非常に理解に苦しみます。

 その女性は、もう悔しくて眠れない、多くのメールが入ってきているということで本当に話していらっしゃるんですよ。今の大臣のお話、私は逃げだと思います。

町村国務大臣 私は、その新聞報道も見ました。恐縮ですが、マスコミ批判をこの場でするつもりもございませんけれども、非常に私の言葉をつないで、いわば誘導的にと言ってはなんですけれども、決して私の答弁をバランスよくそこで報道していると私には思えなかった。

 そういう意味で、その新聞を読まれた被害者の方が非常に不快感を持たれたとしたらば、それは大変申しわけないし、そういうふうにとられてしまったのであれば、その被害者の方にも私はおわびを申し上げたいが、しかし、被害者の方もその報道を見て、町村はそう言った、こう受けとめられたんでしょう。メールを送った方もそう受けとられたんでしょう。

 私は、報道というものがある種の意図のもとに常に誘導的に報道される、まあ、いつもとは言いません、時としてそういうことがあるということは、大変、何も本件のみならず、いろいろなケースでそういうことがあるものですから、客観的な、公平な報道をしていただきたいということを常に望んでおります。

東門委員 報道のせいにしてほしくありません。確かに報道の仕方にはいろいろあるかもしれませんが、しっかりとこの委員会のやりとりを見て、聞いての報道なんです。大臣の言葉をつないだとは私は思いません。

 私も申し上げました。どこから読んでもこれは、私は、手紙に対してどうですか、もし大臣のお嬢さんにそういうことが起こったらどうしますかという問いだったんです。それを大臣は、理解します、心痛はわかると。それだけで済ませる、そんな軽いものですか。これは中を読んでいくと、バランスのとれた考え方が必要だということにしかとれないんですよ。いかがですか。

 その女性に対して、この女性一人だけではないんです。今現在、この間、小学生にもそういう事件がありました。この間申し上げました。毎年のように起こっている。その人たちに対して、大臣の今のお言葉はとても冷たいと思います。これだけで、いや、だから、これはこれで理解はしているけれども、軍隊というものはということではないのではないかと思いますが、いかがですか。もう一度お願いします。

町村国務大臣 同じことを何度もお聞きになるので同じことを何度も申し上げますけれども、私は、その被害に遭われた方のお気持ちというものについては、十分察するに余りがあるということを申し上げました。

 ただ、この場で議論をするに当たって、軍隊というものはそういういわば殺人の術を教える性格のものではないかという見方というのは、やはり政策論としてはいかがなものですかということを申し述べたのであって、その被害者の方について、その方がそういう考えを持ちなさいとかいうようなことを私は意図して言ったわけではないという点を、どうぞ御理解を賜りたいと思います。

東門委員 時間ですので終わりますが、やはり続けていきたいと思います。

 大臣は全然おわかりになっていらっしゃらない。軍隊をたくさん抱えている地元の人たちが、被害に遭った女性たちが、これから遭うであろうかもしれない人たちが、どのような思いで生活をしているのか、全然おわかりになっておられない。

 御自分の発言をしっかり読んでいただきたい。手紙も読んでいただきたいし、御答弁も読んでいただきたい。お願いをしまして、質問を終わります。

赤松委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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