衆議院

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第3号 平成17年10月21日(金曜日)

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平成十七年十月二十一日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 谷本 龍哉君 理事 土屋 品子君

   理事 中谷  元君 理事 西銘恒三郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    猪口 邦子君

      宇野  治君    小野寺五典君

      越智 隆雄君    河井 克行君

      高村 正彦君    菅原 一秀君

      鈴木 馨祐君    鈴木 淳司君

      藤田 幹雄君    三ッ矢憲生君

      宮下 一郎君    山中あき子君

      泉  健太君    岡本 充功君

      吉良 州司君    篠原  孝君

      永田 寿康君    松本 大輔君

      赤羽 一嘉君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   外務大臣政務官      河井 克行君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         齊藤  登君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  鈴木 康雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    原田 親仁君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長谷川榮一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 細野 哲弘君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   本保 芳明君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   岡田 克行君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十一日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     菅原 一秀君

  田中眞紀子君     泉  健太君

  津村 啓介君     岡本 充功君

  松原  仁君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     鈴木 淳司君

  泉  健太君     永田 寿康君

  岡本 充功君     津村 啓介君

  松本 大輔君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  永田 寿康君     田中眞紀子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 万国郵便連合憲章の第七追加議定書、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)(参議院送付)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 万国郵便連合憲章の第七追加議定書、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件及び郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、参考人として日本郵政公社理事本保芳明君、理事岡田克行君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、北米局長河相周夫君、欧州局長原田親仁君、経済局長石川薫君、内閣府食品安全委員会事務局長齊藤登君、防衛庁防衛局長大古和雄君、運用局長山崎信之郎君、総務省郵政行政局長鈴木康雄君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、経済産業省大臣官房審議官長谷川榮一君、資源エネルギー庁次長細野哲弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 自民党の越智隆雄でございます。

 先日の総選挙で初めて当選をさせていただきました。そしてきょうは、この外務委員会で初めて質問に立たせていただく次第でございます。町村外務大臣初め、どうか皆様、よろしくお願いを申し上げます。

 私は、この条約の審議の衆議院におけるトップバッターでございますので、この万国郵便連合に関しまして、まずは基本的なところからお話をさせていただきたいというふうに思います。

 この万国郵便連合というのは、郵便物の国際交換制度を確立するために一八七四年に設立されて、我が国も三年後には加盟しているということを聞いております。

 その業務規定を定めました万国郵便条約、この三条においては、加盟国は、連合の単一の郵便境域という概念を強くするために、すべての利用者が、どこでも、いつでも適切な質の郵便サービスを適切な価格で享有すること、これを確保するものというふうにされております。

 私の理解では、具体的に申し上げますと、この条約があることによりまして、A国の差出人がB国の名あて人にあてた郵便物が、A国の郵政庁の責任におきまして、A国からB国の郵政庁まで送付されまして、今度は、B国の郵政庁の責任において、B国内でB国の名あて人に配達されることが可能となるというふうに理解しております。

 現在では百九十カ国が加盟をしていて、まさに郵便物の国際ネットワークのプラットホームではないかというふうに思います。

 ただ、このことに関しまして、一方では世の中の流れ、世界の動きというのが早く変化をしておりまして、近年の我が国の国際郵便物数を見ますと、外国あての郵便物も、また外国からの郵便物も、九〇年代をピークに減ってきているという傾向にあります。もちろんこのことは、全世界的なIT革命の進展、インターネットの普及などによって、国際郵便からインターネット、電子メールなどの新しい通信手段にシフトしているということが背景にあるというふうに思います。

 ただ、こうした中にあっても、世界にはいろいろな情勢の国がございますので、郵便という世界的に広く受け入れられた通信手段を確保することの意義は、依然として極めて重要なのではないか。その意味において、郵便物の国際ネットワークのプラットホームとなっているこの万国郵便連合に我が国が加盟して、そして、万国郵便条約を継続して締結していくということは極めて重要というふうに考えております。

 この点につきまして、まずは外務大臣に御所見をお伺いしたいというふうに思います。

町村国務大臣 越智委員にお答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、我が国は、明治十年、一八七七年、もう今から百三十年近く前ということになるわけでございますが、この万国郵便連合に加盟をして以来、その活動に積極的に参加をしておりますし、この連合での合意に従って国際郵便業務を実施してきているところでございます。また、郵便送金についても、これに関連する約定に基づいて継続的に業務を行ってきているわけでございます。

 今回提出をいたしました議定書、条約あるいは約定等でございますけれども、これらは二〇〇六年一月一日に効力を生ずるということになっているわけでございまして、今回これらの文書を締結することは、委員が御指摘いただきましたように、引き続き連合の加盟国として活動する上で、また、日本の国際郵便業務及び国際郵便送金業務の適切な実施の基礎として非常に重要である、このように考えているところでございます。

越智委員 町村大臣、ありがとうございました。

 それでは、ここで何点か、万国郵便条約の中身につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今特別国会では先週の十四日に郵政民営化関連六法案が可決、成立したわけでありますけれども、ここでは、万国郵便条約とこの郵政民営化との関係について、幾つか御質問をさせていただきます。

 まず一つ目が、万国郵便条約の義務を履行する主体がどこになるかという点なんですけれども、万国郵便条約の第二条では、この条約への加入から生ずる義務を履行する責任を負う機関の指定ということがうたわれております。

 ここでは、加盟国は、義務を履行するために正式に指定された事業体について、万国郵便連合の事務局に通報するというふうにされております。すなわち、各国政府がどこをその主体にするのかというのを決めて、それを事務局に通知するというふうにされております。

 郵政民営化の関連法案が成立したことによりまして、二〇〇七年の十月から郵便事業会社が設立されまして、今の日本郵政公社にかわって郵便事業を担うということになってまいります。ですので、二〇〇七年十月まではこの主体が日本郵政公社、それ以降が郵便事業株式会社、この郵便事業株式会社が万国郵便条約に規定する正式に指定された事業体になるというふうに理解しておりますけれども、この点について、まず外務省の政府参考人の方に御確認をさせていただきたいというふうに思います。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ございましたとおり、昨年のブカレストで採択されました万国郵便条約では、その第二条におきまして、「郵便事業を監督する責任を負う政府機関」と「郵便業務を運営し、及び自国の領域において連合の文書から生ずる義務を履行するために正式に指定された事業体」を「国際事務局に通報する。」と規定されております。

 我が国におきましては、万国郵便条約の義務につきましては、現在、委員御指摘のありましたように、日本郵政公社が履行しておりますので、正式に指定された事業体として日本郵政公社を通報することになります。

 他方、郵政民営化後は、郵便事業株式会社が日本郵政公社にかわって条約の義務を履行することになります。したがいまして、正式に指定された事業体といたしましては、郵政民営化後は、この郵便事業株式会社を通報することになると考えております。

越智委員 ありがとうございました。

 そうしましたら、万国郵便条約の改定のときに毎回議論になる点がございます。これは到着料についてでございますけれども、この点についてここで質問をさせていただきます。

 到着料というのは、郵便物の差し出し国の郵政庁が、配達国の郵政庁に対して配達コストを賄うために支払う費用であります。

 例えば、米国から日本に国際郵便が送付された場合に、日本国内の配達コストというものをアメリカ、米国の郵政庁が日本の郵政庁に支払う費用でありまして、我が国の場合には、外国から来る郵便物が外国あての郵便物を大幅に上回っている、いわば入超の状態にございます。したがって、外国から送られてくる郵便物について受け取る到着料の方は、外国に送る郵便物について支払う到着料よりも大きいという状態になります。

 本来であれば、この到着料によりまして日本国内の配達コストがすべて賄われるというのが最も理想的な姿だというふうに思いますけれども、しかし、現実的にはこのコストが賄われていないということから、この到着料率の問題が毎回この条約の改正のときに議論になるというふうに理解しております。

 ここで御質問をさせていただきたいんですけれども、一つ目は、本来補償されるべき配達コストというのがあると思います。その中のある部分が到着料という形で収受をして賄われているということになっていると思うんですが、最近の数字がございましたら、ぜひ実数でお示しをいただきたいというふうに思います。

 さらに、二点目としましては、今後どうなるかということなんですけれども、今回の万国郵便条約の改正の主な項目の一つがまさにこの新到着料制度の導入ということで、これから四年間かけて到着料率を上げていくということとなっておりますけれども、では、実際に改善がどのぐらい行われるのか、改善見込みについてお伺いしたいと思います。

 そして、それに関連しまして、先ほどの質問の回答で、万国郵便条約の義務履行主体が二〇〇七年から郵便事業株式会社になるということでございますが、そうした場合には、二〇〇七年以降は、本来獲得できる配達コストについて、実際には賄えていないという部分について、この負担が郵便事業会社にのしかかってくることと思いますけれども、この辺についてどう考えているか。

 この三点につきまして、総務省の政府参考人の方にお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 御質問の最初は、配達コストを賄えているかという御質問でございました。

 委員御指摘のとおり、海外から日本に到着する国際郵便物の国内配達コストは、現在では到着料によっても完全には賄われていない状況にございます。

 その金額がどのくらいかということは、平成十六年度の外国から来た通常郵便物と同じ部数の国内の郵便物の配達コストで、公社が受領した到着料を差し引いた金額を見ますと、百二億円ということでございまして、約百二億円が足りないということになります。

 御質問の二番目は、今後どうなるかということでございますが、委員御指摘のとおり、今回のブカレストの大会議におきまして、到着料金は、条約を発効します来年、平成十八年から二十一年まで、国内郵便料金の六二%から順次引き上げてまいりまして、六八%まで引き上げるということになっております。

 これによりましても完全にはカバーできていないわけでございますが、二〇〇七年以降、三番目の御質問にございました郵便事業会社が負うべき負担をどのようにするのかということは、まず、現在でも、足りない部分につきましては郵政公社の郵便事業財政全体の中で対応している、すなわち、これは最終的には郵便利用者全体で負担をしているということでございます。その点は、新体制になりまして郵便事業会社が行うことになった場合でも同様でございます。

 なお、今までは五年に一度の大会議を行っておりましたが、次回以降は四年で大会議を開催することになっておりまして、また四年後の大会議におきましてこの到着料の見直しを行うことが合意されておりますので、さらに国内配達料を賄うパーセンテージに近いものになっていくものと期待しております。

 以上でございます。

越智委員 ありがとうございました。

 この到着料収入については、大変難しい問題だというふうに思っております。

 世界各国の中ではさまざまな物価水準の国があるわけでございまして、特に発展途上国との関係において、この到着料をすべて賄えるような形にするというのはなかなか難しい問題だというふうに思っております。

 この点につきまして、四年に一回の更新があるというふうに今御説明がございましたけれども、中長期的な課題としてぜひ御認識をいただいて、今後の取り組みに臨んでいただきたいというふうに思います。

 時間ですので最後の質問をさせていただきますけれども、この万国郵便条約の改正に際しまして、今まではリメーリングの問題というのがよく出てまいりました。

 リメーリングというのは、国際郵便料金が国によって差があるということで、大量の郵便物を、ダイレクトメールを海外に国際貨物などで持ち出して、安価な国際郵便を使って自国に送り返す、そして郵便コストを節約するというものでございました。

 ただ、このことにつきましては、今回の条約改正の中では特に議論になっておりませんで、今までどおりのルールを適用するということになっておりますけれども、このリメーリングの問題というのは、国際的に見て、ある程度もう鎮静化したというふうに考えていいのか、この点につきまして、総務省の政府参考人の方にお伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたリメーリングは、万国郵便条約上、こうしたリメーリングという形で差し出されました郵便物は、配達国において配達する義務がないということになっておりました。

 そうはいっても、実際には、十年前の我が国におきまして約十八万通そうした郵便物があったということの記録が残っておりますし、他の先進諸国においても同様の例が数多く見られておりました。

 そこで、この万国郵便連合が、平成六年、一九九四年のソウルの大会議で二つのことを決定いたしまして、配達側の郵政庁は、従来から差出人に戻すことができておったわけですが、差し出した方の郵政庁、すなわち、今先生の御指摘でいえば途上国の郵政庁へ、料金の支払いを請求することができるということになったとともに、もう一つ、差し出し国にリメーリング郵便物を返送する際の費用も差し出し郵政庁に請求できるようになったということでございました。

 これを受けまして、さらにまた平成十一年の北京の大会議では、開発途上国と先進国あてのリメール郵便物を念頭に置いて到着料制度の改正を行いました。

 こうしたことから、いわゆるリメーリングによる郵便物は減少傾向にございまして、今回のブカレストの会議でもさらにまた到着料を改善いたしたこともございまして、今後はやや鎮静化するのではないかと思っております。

 今申し上げましたとおりで、直接的にリメーリングについての決議あるいは条約改正というものが行われたわけではございませんが、今後も国際的な協力が大事だと思っておりますので、UPUの加盟国とともに、状況を見きわめながら対処してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

越智委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

原田委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 おはようございます。公明党の丸谷でございます。

 ただいま議題となっております万国郵便条約及び郵便送金業務約定につきましては、それぞれ、切手、スタンプ、印影の偽造等への罰則等を規定し不正を防止すること、また、郵便為替、郵便振替等の郵便送金業務を適切に行うとの観点から、賛成の立場でございます。

 今回、改めて万国郵便条約をしっかりと読ませていただきました。その中で、私が取り組んできたものに関連するものとして、児童ポルノの郵送についての規定がございましたので、きょうは、今議題となっております議定書の内容とは違いますけれども、万国郵便条約の議論として質問をさせていただきたいと思います。

 この万国郵便条約第十一条の違反行為の中には、郵便物に入れてはいけないものとしまして、麻薬あるいは爆発物、そして小児性愛、小児ポルノの性質を有するものは郵送はしてはならないという規定がございます。

 この規定に基づいて各国の取り組みも必要になってくるわけでございますけれども、我が国には、御存じのとおり、いわゆる児童買春、ポルノ規制法というものがございまして、その七条には、児童ポルノの輸出入を禁じているところでございます。また、国内法の郵便法の十四条にも同様の規定があるわけでございます。

 このように、各国が批准をしているこの条約において、郵便物には入れてはいけないものが規定をされ、それが入れられないような仕組みを各国にとるように求めているところでございますけれども、実態はどうなっているのか、この点をまず郵政公社にお伺いをさせていただきます。

本保参考人 お答え申し上げます。

 お客様が外国へ物品を郵送するため郵便局にお持ちになった場合、児童ポルノを含めまして、今委員御指摘の郵便法第十四条に定める禁制品に該当するものにつきましては、これが入っているか入っていないかということを確認することになっております。

 禁制品の疑いがある場合には、同法の規定に基づきまして、差出人に内容品について申告を求めまして、あるいは開示を求めることができることとなっております。

 こういう手続を経まして、内容品が郵送できないものに該当するということがはっきりした場合には、その旨を説明いたしまして引き受けをお断りする、こういうような仕組みになっております。

丸谷委員 ただいま、その仕組みの御説明をいただきました。

 それでは、今まで、そのような仕組みを使って、内容物を聞いた、それによって、例えば郵送されるものに児童ポルノ、児童性愛に関するものが入っていて、それを輸出することを未然に防ぐことができたという例はあるのでしょうか。この点をお伺いいたします。

本保参考人 お答え申し上げます。

 具体的な数字につきましては、手元にございませんので申し上げることはできませんけれども、どういう形で判断ができるかというと、やはり外見等で判断せざるを得ないというのが実態でございまして、例えば、差出人がそのものずばりで、児童ポルノ出版とか、こう書いてある場合じゃないとちょっとわからないというのが実態だと思います。

 信書については中身が保護されることになっていますので、勝手に開示したりもできないということで、相当の制限があるというのが実態ではないかと理解しております。

丸谷委員 今いただきましたお答えには満足できません。

 というのは、昨日、この実態についてもお伺いしたいということで質問通告をさせていただいておりますので、数字を持ってきていませんという答弁は了承できません。把握していらっしゃらないのか、それとも何らかの落ち度によってきょう数字を持ってきていらっしゃらないのか、どちらでございましょうか。

本保参考人 お答え申し上げます。

 まことに申しわけないんですが、数字について持ってくるようにという指示は実は受けておりませんでして、何らかの連絡ミスがあったのかもしれません。もしそうでございましたら、後ほど資料で提出させていただきたいと思います。

丸谷委員 では、後ほど資料で提出をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 昨日、質問通告をしていく中で、お話を聞いた限りにおいては、例えば郵便物の中に児童ポルノ、児童性愛に関するものが入っていて、そして、窓口の中で未然にそれを防いだという例はありませんというお話を聞いております。

 確かに、そうだと思います。実際に私が児童ポルノあるいは性愛に関するものを輸出しようとして、これは明らかに違法であるとわかっていて輸出をしようとして、窓口で、例えば児童ポルノに関するものは入っていますかと聞かれて、入っていますというふうに答えるわけがないわけでございます。

 では、実際に、郵便物に入れてはいけないものを入れているものを輸出させないためにはどうすればいいのかということになると、非常に難しいということも十分に私は理解をしているつもりでございます。憲法上、検閲というものが許されておりませんので、実際には、今行っていただいているように、禁止されているものが入っていないかどうかを聞くというのが、やはり手順としては、今のところできる限りの、最大限の努力だと思うわけでございます。

 UPUという万国郵便連合ですか、これは一八七四年に創設されまして、世界でも、国際機関の中でも最古の機関だとも言われております。また、百九十カ国・地域が加盟をしている条約でございまして、その歴史も深く、また、五年に一度議論され、見直されてきた歴史を考えると、本当に国際郵便において、各国の取り組み、また国際協力というのは、今までいろいろな形で議論をされてきたのだと思います。

 この郵便物に入れてはいけないもの、爆発物であったり麻薬であったりとか、あるいは児童ポルノの問題、我が国だけが抱えている問題ではないと思います。輸出を未然に防ぐことができない、輸入を防ぐことができないというのは、各国、恐らく同様の問題を抱えていると思います。

 外務省に提案をさせていただきたいわけでございますけれども、こういった各国が抱えているであろう同様の問題について、ぜひ、次回の会議でも、日本から提案をするような形で、どのような形で国際協力をしていくべきなのか、国内法の整備は当然でございますけれども、どのように条約に沿った形で郵便物の輸出入を防ぐことができるのか、こういった議論を積極的に展開をしていただきたい、このように思います。

 外務省、いかがでございましょうか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、郵便につきましては、長い歴史の中でいろいろなものが入ってきております。例えば環境問題についてもそうでございまして、今、郵便条約の中で、環境につきましても周知を図るというところまで来ているわけでございます。

 したがいまして、ポルノにつきましても、これは先生いろいろと国内的あるいは選択議定書等で御尽力いただいているわけでございますけれども、ただいまいただきました御意見を参考に、これは恐らくほかの国も同様だと思うんです、信書の秘密との関係から、封筒に入れて送られてくるものを取り締まることが困難な状況はほかの国も同様だと思います。

 したがいまして、今後、四年に一回、いろいろ意見交換の場がございますし、大会、理事会もございます。そういう場を使いまして、あるいはまた委員会や検討グループもございますので、加盟国としての問題意識を踏まえながら、そういう議論を積極的にやってまいりたいと思っております。

丸谷委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 児童ポルノの問題だけに特化して言わせていただきますと、第一義的には、当然、日本国内ではつくらせない、製造させないというのが一番大事になってくるわけでございますけれども、国際協力のもと、各国同様の問題として抱えていますこの児童ポルノ、児童性愛等の性質を有するものの輸出入を防ぐための最大限の努力とお取り組みをぜひお願い申し上げまして、この条約に関する質問を終わらせていただきます。

 そして、あと時間が五分ございますので、アジア外交について質問をさせていただきます。

 小泉総理が靖国参拝をされ、先日のイラク問題特別委員会でも外務大臣には質問をさせていただいたわけでございますけれども、外務大臣の外交日程も含め、残念ながらなかなか計画どおりには事が進んでいない報道にも接しております。

 そこでお伺いいたします。

 外務大臣の二十三日の訪中というのはなかなか環境的に整わないようでございますけれども、十月中にもガス田に関する日中局長会議も予定されていたかと思いますし、また十一月のAPEC等いろいろな形で対話の場を設けられていると思いますが、この点について、今のところ日中あるいは日韓の会合、どのような形になっているでしょうか。

町村国務大臣 中国、韓国とも日本にとりましては大変重要な二国間関係の一つである、こういう認識のもとで、両国の関係をよりよいものにしていきたい、そのために今後とも最大限の努力をしよう、こう思っております。

 そういう前提で、まず韓国の方でありますけれども、潘基文外交通商部長官が来週お見えになるという予定であります。先方大臣の記者会見等によりまして少々先行き不透明になってきておりまして、多分きょうあたりにその辺が決まってくるのかなと思いますが、現時点ではまだ、訪日をやめるという連絡に接しているわけではございません。

 ちなみに、これはバイの関係ではありませんけれども、マルチの関係で言うならば、日中韓の環境大臣会合というのがあしたからソウルで開かれるということで、小池環境大臣が行かれるようであります。それは一応バイではなくてマルチということもあるんだろうと思いますけれども、それは予定どおり開かれるということになっているようでございます。

 中国との関係でありますけれども、東シナ海に関する日中協議、今月中に開催するという方向で調整をしてきた最中でございまして、これにつきましても、まだ現時点では引き続き調整中ということでございまして、まだ確たる状況が決まっておりません。

 この問題も、資源開発という面から大変重要な会議だ、こう思っておりますし、先方の開発がどんどん進んでしまうということは決して好ましいことではないわけでございますから、可能な限り早くこれを開催すべく、引き続き努力をしていこうと思っております。

 なお、APECについてもお話がありました。十一月十五、十六、外相レベル、それから十八、十九が首脳レベルということで、韓国の釜山において開かれるわけでございます。

 これも多くの国が集まるという意味でも重要でありますし、また、その場を活用しての二国間会談というのもしばしば行われてきているところでございます。現時点で、二国間首脳会談あるいは外相会談について、現状、実は全く何も決まっていない状況でございまして、今後日程調整をして、可能な限りそうしたいろいろなレベルでのバイの会談も開けるように努力をしてまいりたいと考えております。

丸谷委員 どうもありがとうございました。

 大臣もおっしゃっておりますけれども、本当に問題が山積している今だからこそ、大変なときだからこそ、対話の場を閉ざさないようにという姿勢で臨んでいていただいておりますので、また強く御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

原田委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。

 外務委員会では初めての質問となりますので、まず、本件について簡単に質問をさせていただきたいと思います。

 この案件につきましては、万国郵便連合の定期大会において、ある意味では現状に即して逐次改正されていくことを、加盟国の我が国としても、共同歩調をとるために承認せざるを得ないという内容、技術的な内容だと了解しますけれども、そういう了解でよろしいでしょうか。

町村国務大臣 吉良委員にお答えをいたします。

 技術的といえばそれは技術的かもしれませんけれども、何年かに一回、大会議というものが開かれ、そこでその後の運用について決まる大変重要なブカレストにおける会議の結果でございますから、私どもはこれは大変重要な条約等の改正だ、こう思っておりまして、御審議を煩わせているところでございますので、どうぞひとつ御理解の上、御賛同賜りますように、よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕

吉良委員 決して軽視をしているわけではございませんけれども、内容的に、それほど目くじらを立ててこれはおかしいというような内容ではないというふうな了解をしておりますので、我々も賛同の方向でもってこの内容を審議させていただきたいと思っております。

 私は、個人的でもありますし、かつ、今の日本にとって大変重要な問題と思われます経済の安全保障という観点で、外務大臣、副大臣、また参考人の方々にお伺いしたいと思っております。

 まず、経済の安全保障の中でも、とりわけ資源それからエネルギーの安定確保、この点について、昨今の世界情勢を見ておりまして、大変に危惧をしております。

 といいますのも、もう御承知のとおりでございますけれども、ことし二月に、日本の素材産業、鉄鋼業の重要な資源でございます鉄鉱石、これが七一・五%、特にブラジルのリオドセ社という世界最大の鉄鉱石鉱山の会社でございますけれども、こことの間で七割アップの価格で受けざるを得なかったというような状況がございますし、また、豪州の原料炭も、その前年度、十六年度からしますと二・二倍という極めて高い価格で妥協せざるを得なかったということがございまして、昨年、そういう鉄鉱石、原料炭、それからそれに付随する価格で総額一兆円に上るコスト増を鉄鋼業界は余儀なくされた、このような事実がございます。

 今現在の鉄鋼業を中心とする日本の素材産業というのは、中国向けの輸出を中心に潤ってはいるんですけれども、これは時が経過すれば、逆にその供給元からの値上げにより、そしてまた中国が、実は鉄鉱石につきましても、一九九〇年は日本の総輸入量の十分の一しか中国は輸入していなかったのに、二〇〇三年度につきましては日本の輸入量よりも中国の輸入量の方がふえたという事実がございます。

 そういうような中で、中国がある意味で、鉄鉱石、原料炭に限らず、世界じゅうの資源それからまたエネルギー資源を、言い方は悪いですけれども、買いあさっていく、その中で価格支配力を持ってしまう。今現在は日本が潤っているけれども、将来的に見たときに、ある意味で日本の供給の確保が難しくなってしまう、また非常に高いものを買わされることになって、結果的には日本の国際競争力を弱めてしまうんではないか、このような大きな問題意識を持っております。

 そういう中で、私自身はもともと、小さな、しかし温かい政府ということで、小泉首相じゃないですけれども、できるだけ官から民へと、小さな政府を志向するものではございますけれども、この日本の経済の安全保障という根幹にかかわる資源エネルギーの確保につきましては、官民一体となった国益追求というものが必要ではないか、このような問題意識を持っております。

 そこで、そういう問題意識の中で、まず町村外務大臣にお聞きしたいと思っています。

 多少これは経済産業関係に入ることかもしれませんけれども、もともと通産省御出身の大臣でもございますので、今申し上げました昨今の資源エネルギーの高騰につきましての現在の問題意識と、それから、それに対して今現在政府としてどういう取り組みをしているのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。

町村国務大臣 吉良委員から大変重要な御指摘また問題意識についてお触れをいただいた、こう思っております。

 私は、昭和五十七年に当時の通産省を退官いたしました。その前一年間は国際石油企画官というのを務めておりまして、原油の確保が仕事でありました。

 ちょうど第二次石油ショックの後でございまして、当時、原油の価格がバレル四十ドルを超える取引があった。これをいかに削っていくかというか、それを下げていくのかということが至上命題でありまして、余り極端に高い契約をしないように、ちょっと権限を越えていたことかもしれませんが、いわゆる行政指導のような形で、何とかこれを三十ドル台に持っていけとか、二十ドル台にならないのか、そんなようなことまでやった記憶もございます。

 しかし、今やその原油価格も七十ドルを超えるところまで行った。どうしてこんなことで国際経済が成り立つんだろうか、当時の常識からするとまことに不思議な気がいたしますが、しかし、それも、かつては二ドル、三ドルの時代があったわけでございますから、大変な高騰ぶりでございます。

 それらが全部ある意味では転嫁できていけばきっと経済はそれなりに回るんでしょうけれども、しかし、日本のように、ある意味ではまだ外貨のゆとりがあるところは幾ら上がっても買えますけれども、買いたくても買えない国が出てくる。これが製品価格に全部転嫁すると、必要な、例えば鉄鉱石製品であるとか鉄の製品とか、そういうものを買えない国々、発展途上国、貧しい国を中心に出てくるということになりますと、これはそれぞれの国の経済あるいは国際経済全体が破滅的なことになってくるかもしれない、大変大きな問題だろう。

 したがって、日本一国にとっても大切な重要な問題でありますが、世界経済が果たしてそれでうまく循環していくだろうかどうだろうかという、潜在的に大きな問題を抱えているテーマである、こんなふうに考えているわけであります。

 したがいまして、このエネルギーの安全保障という観点は国内的にも国際的にも非常に重要なテーマであるというふうに考え、これは外務省のみならず、関係省庁力を合わせて政府を挙げて取り組んでいかなければならない問題だろうと思います。

 一つは、資源外交という観点から、例えばIEAという場があるわけでございまして、今回も協調して備蓄を放出するという決定をし、それを日本は真っ先に実行したわけでございますが、こうした消費国の協調行動であるとか、あるいはOPEC等の産油国に対しての働きかけ等によって当面の価格高騰を防ぐといったようなこともやらなければいけないわけで、現にそういう形でやってきているところであります。

 また、これは石油のみならず、いろいろな資源の供給の確保ということであります。これは自主開発というものがあるわけで、それなりにやってきておりますけれども、なかなか現実には、石油などの自主開発、うまくいかないケースも多々あるわけでございまして、したがって輸入せざるを得ない。したがって、その輸入先の多様化ということに努めてきてはいるんですが、現実にはなかなか中東中心という体制が変わってこない。かつてはインドネシア等からも輸入していたものが、彼らも輸入国に変わっていく、中国もしかりでございます。

 そういう意味で、言うべくして多角化というのはなかなか難しいのでありますが、それでも中東との関係を強化しながらも、例えば今度はサハリンからの輸入といったようなものも可能になってくるというような新しい取引先といいましょうか、輸入先というものも開発をしていくということも重要なんだろうと思います。

 そうした供給面の取り組みと同時に需要面の取り組み、やはり例えば中国などの省エネといいましょうか、エネルギー効率が非常に低い、日本の十分の一ぐらいしかないというような状況でありましょうから、彼らがどんどん生産をすれば、いわば日本が一輸入すればいいところを彼らは十輸入しなければいけないということになって、現下の資源の価格高騰の大きな要因の一つになっている、こう認識をしておりますので、やはり中国などを含むインドであるとかブラジルであるとか、あるいはアメリカもそうでありますが、もっとエネルギー効率を高めるような国際協調、あるいは日本からすると技術協力、援助等もやっていかなければいけないだろう。

 需要、供給、両面にわたって、日本としてできる限りのことをやっていくことが、日本のためにもなるし、また世界経済のためにもなる、そういう意識で今後全力を挙げて取り組んでいかなければいけない、かように考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 国内問題のみならず国際的な問題というとらえ方をされて、取り組むべきという決意でございましたけれども、私としては、今後、この委員会また経済産業委員会等で、経済外交ということで日本の経済外交力を高めていくということの具体的な提案もさせていっていただこうと思っています。

 きょうはちょっと時間が限りがございますので、そのことだけ触れさせていただいて、中央アジアについての具体的な取り組みと、現在の政府の取り組み方針についてお伺いしたいと思っています。

 といいますのも、資源エネルギー供給元というのはいろいろございますけれども、ある意味で、CIS諸国といいますか中央アジア諸国というのは、近年脚光を浴びてきたところでございますし、まだ未開発の地でもございます。かてて加えて、今テロの温床となっているアフガニスタンの後背地にも当たる。そういう意味で、そういうところを開発しながら、かつ、貧困の撲滅といいますか、その中央アジア地域の開発を手助けする、経済発展を手助けすることによってテロとの闘いをある意味で経済面でバックアップしていける、このようにも思っております。

 もう一点、今、きょうまた詳しく触れませんけれども、東シナ海の油田開発、これは大きな政治課題でございます。例えばそこをいきなり中国とどうするああするという議論を、これも一方で大事でございますけれども、例えば中央アジアの油田を中国と共同開発しながら、中国、日本に持ってくるというような共同プロジェクトを推進していく中で歩み寄りも出てくるんではないか、このような問題意識を持っております。

 そういう中で、中央アジアについて、前川口外務大臣が訪問されて、中央アジアプラス日本という枠組みで中央アジアに対する取り組みが開始されておりますけれども、その目的、それから現在の具体的な取り組みについて簡単に答弁願えればと思っています。

    〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕

町村国務大臣 中央アジア地域は、カスピ海周辺ということで、原油であるとか天然ガス、大変豊富な埋蔵量があるということで、この地域からのエネルギーの供給がふえるということは、日本にとってもまた国際エネルギー市場の安定にとっても重要である、こんな認識もしております。また同時に、今、委員お触れになった広い意味のテロ対策という観点もまた重要であろう、こう思っております。

 そんなこともありまして、今、委員お触れをいただきました、昨年の八月にカザフスタンの方で中央アジアプラス日本、外相レベルの対話というのを第一回目開きました。その後、それを事務的にフォローアップするために、昨年十二月にはブルガリアの方で事務レベルの会合、それからことしの三月にはウズベキスタンの方で第一回高級事務レベル会合というのを開いております。

 実は、本当は八月に予定をしておりまして、私も計画をして行こうと思っていたやさきの解散・選挙ということで、残念ながらこの第二回会合が飛んでしまいまして、今のところ次いつ開けるかというめどがちょっと立っておりませんが、私は、この国会が終われば、可能な限り早くこの第二回の中央アジアプラス日本対話というものを開いていきたい、こう思っております。

 その際に、今後の協力の対象として五つの分野があるのではないかということが合意をされております。

 一つは政治レベルの対話の活発化、二番目は地域内協力、これは、テロとか麻薬とか地雷とか貧困撲滅とか、あるいは、資源エネルギー問題、こうした協力関係を増進していこう。三番目がビジネスをより活発にしていこうではないか、これは投資等の問題があろうかと思います。四番目が知的対話の推進、五番目が文化交流、人的交流ということで、幅広く協力を進めていこうという合意ができておりまして、これに沿って今後とも積極的な中央アジア外交を進めていきたいものだ、かように考えているところでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 今、五つにわたって幅広い分野での協力提携関係ということを模索されているというか合意されているということなんですけれども、先ほど私が申し上げたような観点からいきますと、地政学的には非常に難しい地域ではございますけれども、やはり資源エネルギー源の安定供給元という位置づけでもっと経済関係を強化していかなければならない、このように思っております。

 そういう中で、釈迦に説法とはなりますけれども、ある意味で、日本としては、BTC石油パイプライン、アゼルバイジャンのバクーから黒海ではなく地中海にパイプラインをつなげるというBTCパイプラインにつきましても、日本の企業も参加してのプロジェクトが実際に実現をしているということでもありますし、また、カスピ海の油田開発プロジェクトについても、これまた日本の企業が参加をし、それを日本政府といいますか、実質的には国際協力銀行がバックアップしながらプロジェクトを推進している、このような事実があって、このことについては私は非常に高く評価をしておるんです。

 一方、外務省として中央アジア各国に大使館を設置した、このことについては評価をするんですが、いわゆる経済外交という観点で、先ほど三番目に出たビジネス、投資、こういうことを専門に扱える方々がこの大使館に勤務をしておられないという了解なんです。

 トルクメニスタン、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、それからアゼルバイジャン、ウズベキスタンに、大使館または駐在、出張所ですか、あるようですけれども、ここの陣容はどうなっているのかということと、通常、経済協力関係とかODA関係、またはビジネスが非常に盛んな地域には経済産業省出身の一等書記官が駐在していることが多いんですけれども、この地域の陣容が一体どうなっているのか、その辺についてちょっとお伺いできますでしょうか。

塩尻政府参考人 中央アジア諸国あるいはコーカサス諸国における陣容でございますけれども、先ほど委員御指摘のとおり、全部で八カ国ございますけれども、そのうち三つの国に大使館を置いております。それから、あと、御指摘のありましたように、三つの国に駐在官事務所というものを置いておりまして、常駐の職員を配置しているということでございます。

 経済産業省のアタッシェの御質問でございますけれども、御指摘のとおり、確かに経済産業省のアタッシェの方、この地域には配置されておりません。他方、いずれの公館におきましても、大使あるいは次席、それからそのもとに経済班を置きまして、数人、二人ないしは三人の人員を配置して、関連の業務をやっているということでございます。

吉良委員 先ほど申し上げましたように、きょうはちょっと時間がないこともあって深くは突っ込めないんですけれども、今後経済外交というときに、外務省がどうだ、経済産業省がどうだというのではなくて、本当に一体化、国益、まさに経済の安全保障を追求する一番大事な分野でありますので、ここについての対応のあり方について私自身提案をさせていただきたいと思っておりますが、先ほど町村外務大臣も、資源エネルギーの安定確保というのは非常に大事だ、こういう問題認識をされておられる。

 そういう中で、先ほども言いました、オーストラリアだ、ブラジルだとか中東というのは古くから大使館を配置し、また経済担当官、それなりに充実したものがありますけれども、こういう新しい地域、そして、地政学的にもまた生活面でも非常に難しい地域ではありますけれども、こういうところに選択と集中ということでやはりシフトしていかなければいけないんじゃないか。

 町村大臣もそうだったかもしれない、もちろんニューヨークのジェトロに出向するようなことも大事かもしれませんけれども、もうこれから先は、こういうまさにフロンティアに外務省そしてまた経済産業省の、特に経済、ビジネスがわかる人を配置していくというような姿勢こそが、言い方は失礼ながら、口だけで大事だということではなくて、実質的にその重要さをあらわすことである、このように思っております。

 私ごとで恐縮ですけれども、私もこの地域等でもビジネスをやっていたことがあるんですけれども、やはり外務省プロパーの方に、例えば、ある契約が成立しているんだけれども、これに日本の当時の輸出入銀行、今国際協力銀行の融資がつけば成立するというような場面があったときに、当然ながら官対官の話もかなり出てくるわけですね。ただ、なかなか経済がわからないということで、ちょっとそういうような細かい話は勘弁してよということで逃げられてしまうというケースが実際あるわけですね。ですから、こういうような地域こそ、ある意味で、専門家を育てる意味もあって配置をしていかなければならない。

 特に、先ほど申し上げましたけれども、国際協力銀行が官民一体となった資源開発プロジェクトの一つの大きなツールだ、私はこのように思っておるわけですけれども、中身というのは非常に複雑になっております。

 特に、いい意味で円借款と、それから輸出金融、そしてプロジェクトファイナンス、投資金融の供与というかなり複雑な様相を呈したプロジェクトが資源開発にはつきものでございますので、そういう専門の人間をぜひこの地域に配置して強化していただきたい、このように思っておりますけれども、いかがでしょうか。

町村国務大臣 人の問題、それから取り組む姿勢の問題、両方あるんだろうと思います。

 外務省職員五千数百人ということで、本省入れてでありますけれども、やっとイタリアを今超えた状態ということで、早くドイツ、フランス並みの七、八千人ですかの規模にしたいものだ、こう思っておりますけれども、今、国全体は公務員削減計画ということであります。そこは総理にもあるいは担当麻生大臣にもお願いをしておりますが、めり張りでひとついってください、外務省は今後ぜひ定員の拡充をしていかなければならない数少ない行政分野ではないか、こういうことでお願いをしているところでございます。そういった、少し全体のパイをふやさないとなかなか思うところに配置できないということもございます。

 それから、今までの在外公館のアタッシェについては、各省庁の希望をもとにして配置をするということをやっているわけでありますが、今委員御指摘ありまして、なるほどなと思いましたが、そういう受け身ではなくて、こちらから積極的にこの地域にどうですかということを、むしろ外務省から関係省庁に働きかけをするというような積極的な姿勢というものが必要なんだろう、こう思いますので、今後そういう方向で各省庁と折衝をし、努力をしていきたい、こう思います。

 それから、私は外務省の職員だからビジネスの細かいことはわからないというようなことを言う人がいる、まことに情けない話でありまして、しかし、現実はそういうところも多分あるのかもしれません。

 ことし五月に、全世界の大使を集めていろいろな話を私の方からしましたが、その一つの大きなテーマは、個別の企業、個別のビジネスについても大いに外務省は協力をすべきであるということを申し上げました。そして、日本経団連でありますとか、あるいは商工会議所、同友会のしかるべき方にも来ていただいて、各国大使と率直な意見交換をしてもらいまして、どういう面で外務省の協力というものを今後強化していったらいいだろうか、そんなことについても意見交換をし、貴重な御意見もいただいたところでございます。

 ぜひ、そういう意味で、私は、今までも心がけてきたつもりではあっても、取り組みが弱かったんだろうと思います。多分、何だ、個別企業の応援をするのかという批判が怖いから、余り個別のビジネスにはタッチしない、こういう姿勢でやってきたんだろうと思いますが、そうではなくて、そんな批判は恐れずに、どんどん積極的に、例えば日本の資源外交ということに役に立つというちゃんとした大義名分があれば、どんどんそういう面で積極的に取り組んでいく、こういう姿勢で今後外務省も出先あるいは本省挙げて取り組んでいくということを決めておりますので、今後とも、そういう心がけといいましょうか、行政に取り組む姿勢の面からもしっかりとしたことをやっていきたい、こう思っているところであります。

吉良委員 私の問題意識からも、そういう経済安全保障にかかわる陣容の強化というのは大事だと思っています。もう非常に安定した先進国でちょっと過剰じゃないかというような陣容をそういうフロンティアに振り向けるということで、いたずらに組織そのものの肥大ではなくて、まさに選択と集中というところでフロンティアの方に陣容を割いていただきたいということと、今、町村外務大臣の方から非常に心強い答弁をいただいたんですけれども、諸外国の大使館というのは、ある意味で、その国のビジネスマンが大使館に陣取ってその国の国益を追求して回っているというのが実態でございます。

 そういう意味で、外務省の方も、今おっしゃられたような意識改革の中で、特に国益に資すると思われるビジネスといいますか企業支援については積極的に行っていただきたい、またそのための人材養成、また選択と集中としてのシフトをお願いしたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

原田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 本日は、万国郵便連合憲章にかかわる条約、そして約定の締結ということで二件一括での審議ということでございます。民主党は、両条約、約定については、技術的なものということで、賛成の方向で今この審議を行っておりますことをまず申させていただきます。

 そこで、私からは、この条約、約定、広くそれにかかわるというところで、前国会からこの委員会で提起をさせていただいている交換公文からまず入らせていただきたいと思っております。

 前国会でも、条約にかかわる交換公文を条約締結後国会に提出すべきであろうということでやりとりをさせていただいておりまして、きょう理事会のお許しを得て資料を提出させていただいたのは、過日、外務委員会理事会に外務省から、このお手元の、当時の大平外務大臣の大平三原則に基づくアンダーライン部分、そしてまた丹波説明員による同じく平成二年のコメント、こうしたものを踏まえて、二ページ目、外務委員会に過去この「重要な」という交換公文はどのぐらい提出されているんですかということで資料を出していただきました。

 そうしますと、二ページ目に見ていただきますように、平成五年十二月二十四日分までは提出をしておりますが、要は、平成六年から十二年間にそろそろなりますが、外務省の認識としては、重要な交換公文はないという御認識のもと、外務委員会には提出がゼロである。年間七百本外交公文があるとすれば、八千本あるいは九千本という交換公文の中で国会に提出をする重要な交換公文がないという御認識なのかということで、甚だ目を疑うところでありますが、そのような御認識で国会に臨まれていたのか、外務大臣の御答弁をお願いいたします。

町村国務大臣 今委員が言われた「重要なもの」に該当し、外務委員会に資料を提出すべきか否かということにつきましては、政府としては、国会としてその締結につき承認をした条約のその後の実施、運用を把握する上での必要性という観点から、個別具体的な事案ごとの重要性の判断をしているところであります。

 今委員御指摘のとおり、平成六年以降こうした行政取り決めは外務委員会に提出をされておりませんけれども、これは政府として、国会が締結につき承認した条約の実施、運用の把握という見地から個別具体的な事案ごとに判断をした結果こうなっているということでございまして、もう出さないということを決めたわけではもとよりないわけでございます。行政取り決めの国会御報告につきましては、引き続き、大平外務大臣答弁の趣旨を踏まえまして適切に対応していきたいと考えております。

 なお、国会承認条約を締結するに際して補足的に合意されたこの条約の実施、運用あるいは細目に関する行政取り決めにつきましては、当たり前でありますけれども、平成六年以降も国会に参考として随時提出をさせていただいているところでございます。

武正委員 これから出さないということはないということでお答えがあったわけですが、私がお聞きしたのは、この十二年間に交換公文を一切委員会に提出されなかったわけでございますので、その認識は、八千本を超えるこの十二年間の交換公文の中に国会に提出をするに値する重要なる交換公文はなかったという政府の認識ですかというふうにお聞きをしたんですが、それでよろしいでしょうか。

町村国務大臣 個別の事案ごとにその重要性を判断しているわけでありますので、そういう意味で、出していなかったというのはそういう判断をしたというふうに御理解をいただいて結構でございます。

武正委員 昨年十二月十四日のミサイル防衛構想にかかわる、日米間、その費用は折半だよ、それからMDに関する取り決め、協議については包括的に行おう、これも同じく委員会には提出をされていないわけであります。

 私は、やはり、この八千本の交換公文にはさまざまな、国会で議論をしてきた条約にかかわる、その後やはり議論に値をする、あるいはしっかりと行政の外交については行政が処理をしますよ、あるいは条約を締結しますよ、こうした、行政として国会に報告すべきものがかなりあるはずであるというふうに思うわけであります。

 それがなかったという今の外務大臣の答弁は、やはり行政が国会に対しての報告義務を怠っていると言わざるを得ないというふうに考えてございまして、これからもまた、具体的に事例を交えて指摘をしてまいりたいと思っておりますが、これからは提出をするのはやぶさかでないという外務大臣の御答弁をいただきましたので、ぜひ、これから積極的に御提出をいただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 それで、同じく、またこれは交換公文が三ページ目につけられておりますので、こちらをごらんいただきたいんですが、これは昭和四十年十二月十八日の官報告示でございます。締結が同年の六月二十二日ですから、官報に告示されるのは、このときもやはり半年ぐらいタイムラグがあったんですね。ですから、もうこれは戦後ずっとこういうような慣習だったのかなということで、これは外務大臣からも一カ月というようなルール、この間、イラク特でも官房長官からそのようなお話もありました。

 さて、これは、御案内のように日韓国交正常化にかかわる両国の交換公文でありまして、四十年前ですので大変古いコピーで、ちょっと見づらいところはお許しをいただきたいんですが、上から三段目、最初の三行は飛ばしましてちょっと読みますと、「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかつた場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によつて解決を図るものとする。」

 ここで、こうした交換公文、調停によって問題があった場合解決をするんだ、外交上の経路を通じてできなかった場合は、「両国政府が合意する手続に従い、調停によつて解決を図る」、ここにいわゆる竹島問題が含まれているのかどうかということでございます。

 これは竹島問題は含まれていますかどうかということで外務大臣にお聞きをしたいんですが、ただ、ことしの年初から韓国政府は日韓国交正常化交渉の補償などに関連した記録を一月に五件公開をし、そしてこの八月の時点で国交正常化交渉に関する外交文書がすべて公開されたのでございます。

 かねてより私は、三十年ルールに基づいて日本政府がなぜこの日韓国交正常化交渉の文書を公開しないんですかということを申し上げているところでありますが、そのときのさまざまな新聞記事の中で、当時のそうした交渉経過を知る呉在熙元駐日大使とのインタビューなども記事になっております。そこでちょっとこういうやりとりがございます。

 「公開文書には、佐藤首相は李外相との会談で、公文の解釈について韓国側が「紛争には竹島を含まない」と主張しても異議を唱えないと口約束したとの李外相の報告があります。」これは、今回公開された韓国政府の文書に、紛争には竹島を含まない、そう韓国側が主張しても異議を唱えないと口約束したと、それは佐藤当時の首相ですね、との李外相の報告が載っているんだけれどもこれは事実ですかということでありますが、これについて、呉在熙元駐日大使は、「私は会談の現場にはいなかったので、日本が文案から「竹島」の削除に同意したということ以外、口約束の件は分からない。」と答えています。

 そのほか、公開文書、これは竹島が明記されていない交換公文受け入れで署名ということになっているわけでありますが、このときのやはり公開された記録で、これは新聞の方で報道されているんですが、「六二年九月三日に東京で開かれた第六次会談の予備折衝記録によると、日本外務省アジア局長が「無価値な島で大きさも日比谷公園程度。爆発でもしてなくしてしまえば問題がない」と発言していたこともわかった。」このような記事があるわけですね。これはいずれも韓国政府の公開文書で、竹島にかかわる記載がこのような形で公開文書に載っているわけであります。

 これについて、やはり私は反論をしなければならないという当然日本側としての主張があろうかと思っておりますが、まず第一に、交換公文にこの竹島の問題、この紛争というところに竹島の問題は含まれるのかどうか、両国間の紛争に竹島の問題が含まれるのかどうか、これについて、まず外務大臣の御所見を伺います。

町村国務大臣 委員からお配りをいただいた資料、官報でございますが、ここには交換公文と書いてありますけれども、実態はこれは条約でございまして、これは条約そのものとして国会審議をいただいたものであります。ただ、交換公文という形はとっておりますが、中身は条約だという点だけはちょっと申し上げさせていただきます。

 今、委員お尋ねの竹島の領土権について、この紛争に含まれるかどうかということについてでございますけれども、これは現在もなお日韓間の争いがあるということはもう明白でありまして、本件、この交換公文にいう「両国間の紛争」という文言にこの竹島問題が含まれるということは極めて明白であると私どもは考えております。

武正委員 先ほどちょっと触れました新聞記事からの引用でありますが、その韓国側が公開した文書、「第六次会談の予備折衝記録によると、日本外務省アジア局長が「無価値な島で大きさも日比谷公園程度。爆発でもしてなくしてしまえば問題がない」と発言していたこともわかった。」ということをお聞きになっての御感想はいかがでございましょうか。こういったことが韓国側の公開している文書に載っているということについての御認識もお答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 先方が公開した資料について私どもがあれこれ言う立場にはございません。

 ことしの一月にこの請求権関連の文書五冊を公開した、さらにことしの八月末にそれ以外の百五十六冊の文書をすべて公開したということで、その中にそれが含まれているんだろうと思います。これは、韓国政府が、みずからの責任において、みずからの保有する公文書を公開したということでございます。

 したがって、彼らの持っている資料がすべて正しいかどうか、それについて、これは違っている、正しいということを一々コメントする立場にもございませんし、したがって、今言われたような、大使ですか、外務省の人間の発言がどうであったかということについて、私はあれこれをコメントするつもりもありません。ただ、竹島というのは大変重要な領土でありまして、もし爆破云々ということを、もしそれが事実だとすると、それはとんでもない認識だと私は考えております。

 ただ、いずれにしても、それが事実であるということを、今私の立場でそれを確認するしないという問題ではない、こう思います。

武正委員 私がこの問題を取り上げているのは、やはり日本の政府に外交文書の三十年を経過したものを公開するというルールがある、私は、こうした竹島問題は、やはりきちっとこうした韓国側の主張にこたえる責任が政府にあるというふうに思っておりますので、文書の公開を何ではばかるのか甚だ疑問がございます。

 ちょうどこの文書を公開するときの記事の中で、盧武鉉大統領が、やはり専門家の中には、韓国側とすればこの竹島問題は日本に押されて決着をつけられなかった、そういう批判もある中で、公開に懸念をする専門家もいたが大統領が却下した。韓国政府は公開の目的を、国民の知る権利にこたえ過去を透明にし未来につなげるためと話すということで、いわゆる未来志向という、今韓国政府の対応というか考え方の一つなのかもしれません。

 私は、今、私ども国会にかかわる者、あるいはこうした外務委員会にかかわる者、そして当然国民の皆様にも、やはり四十年前の日韓国交正常化交渉の当時において、さまざまな交渉の過程を乗り越える努力を双方の交渉担当者、当事者がされた。もちろん、そのときに日本の首相や外務大臣あるいは外交関係者がされているわけですので、それは、その当時の乗り越えなければならないさまざまな課題を外交交渉で乗り越えたその現実は、やはり重く受けとめるべきであろうというふうに思います。

 それをやはり後世の者がしっかりと認識をして、それを踏まえて外交に臨む、あるいは外交を理解する、そういったところから、私は、やはりこの日韓国交正常化交渉の文書を初めとして、三十年ルールに基づいて政府は積極的に公開をしていくということが必要だというふうに思いますが、まずはこの国交正常化交渉にかかわる文書の公開について、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。

町村国務大臣 外交記録の公開に関して申し上げれば、外務省のガイドラインがございまして、通常、作成から三十年たった文書について可能な限り公開をしていくという考え方が基本としてあるわけであります。

 その上に立って、この日韓国交正常化にかかわる外交文書の公開についてのお尋ねでございますけれども、政府の判断としては、今この文書を公開することは今後あり得べき日朝国交正常化交渉に与える影響というものがあるだろう、こう考えておりますので、その辺を踏まえながら適切に対応していかなければいけない、こう思います。

 国交正常化交渉、どういう分野のことが扱われるかというと、これは日韓交渉において日韓国交正常化交渉で議論をされたような財産及び請求権の問題、経済協力の問題、文化財の問題、あるいは在日朝鮮人の法的地位の問題、こうしたことなどを中心に日韓間で相当な議論があった結果、日韓国交正常化が行われたということでございます。

 他方、日朝国交正常化交渉、まだめどが立っているわけではございませんけれども、これもいずれの日にか行われるであろうということを考えたときに、そうした日朝交渉へ影響の及ぶ可能性がある部分については、やはり私どもとしては今これを公開しない方が適切ではないだろうか、こう考えているわけでございます。

武正委員 日朝国交正常化交渉に影響があるというのは、個人への補償、あるいは経済協力にかかわるところ、請求権についての放棄などのところだというふうに思いますが、これはかなり韓国側の文書で公開をされているという事実がございます。両国とも公開していないという事実、もう韓国が全部公開をしているといったところから状況は変化をしているというのがまず一点です。

 そしてまた、今のことを百歩譲ったとして、それであれば竹島問題にかかわるやりとりについては文書を公開できるのではないだろうか、それが日朝国交正常化交渉にいかなる影響を与えるのかといったところになろうかと思います。韓国側の文書で一方的にこのように、先ほどの外務省の局長のような発言を見るだけで、果たしてそれで日本側がどのように当時の正常化交渉を理解するのかといった意味からも、私は速やかに公開をすべきであろうということを申させていただきます。

 きょうは、今津防衛庁副長官もお見えでございますので、それでは、SACO協議の中で、今の普天間の辺野古沖への移設の進捗状況とあわせて、今、日米間で進んでおります、これはまた民主党は、米軍再編とこの普天間は別である、あくまでSACOなんだということは前原代表と首相との党首討論でも指摘をしておりますが、今政府は、米軍再編も絡めてでしょうか、この辺野古移設を進めておられるようですので、二点について副長官からお答えをいただき、続いて外務大臣からも、今の日米間のこの辺野古への移設についての協議状況をお答えいただきたいと思います。

今津副長官 防衛庁副長官でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 昨年、沖縄の国際大学に米軍のヘリが墜落をいたしまして、大惨事にならなくてよかったなとほっと胸をなでおろすとともに、普天間の移転については一日も早く実現をしなければならない、そういう覚悟で今日まで臨んでまいりました。

 SACOの最終合意は辺野古沖でございますし、それを実現するべく私たちも頑張ってまいりまして、環境影響評価などの手続をとりながら、例えばボーリングの調査、そして地元の知事を初め行政あるいは関係団体との打ち合わせなどを進めてまいってきたところであります。ボーリング調査につきましては、先生御承知のとおり、台風十四号の接近によりまして、今全部外しまして、海上には何も浮いていないという状況でございます。

 それから、大臣にお会いをして、そして私のところにも、ジュゴンのことでありますとかサンゴのことでありますとか、辺野古沖について非常に慎重に進めていただくように、そういう陳情の方々も何回も私のところに来られました。また、沖縄県の方々の、やはり地元の同意を得て、そして初めて実現ができるんだということで、丁寧に話し合いを進めさせていただきましたが、実は、結果としてそのことにより建設がおくれているところでございます。

 また、基本計画の策定にも時間を要しましたし、また環境影響評価やボーリングなどについても時間を要しましたので、十年近くの年月がたってしまったわけでございます。

 今どういう状態になっているかということは、後で外務大臣の方からもお話があるかと思いますけれども、日米の担当者が調整を進めておりまして、そして辺野古沖というものを踏まえながらも、しかし、いろいろなアイデアが出ておりますので、そのアイデアを絞り込んで今調整をしているという段階であります。

町村国務大臣 SACOというのは大分前に決定をされ、さまざまな沖縄の基地のあり方について重要な決定をしているわけでございます。その中で、しっかりと進んでいるもの、なかなか進んでいないものがあるわけでございますが、これは全体として進めていくという姿勢には何ら変わりはございません。

 ただ、これは当初から米軍再編成の関係で国会でも申し上げてきたところでございますが、このSACOの話と再編成の話がどこかで接点があるかもしれないということもあわせて申し上げてまいりました。そのことが今まさに普天間飛行場の辺野古移設問題ということで一つの大きな接点になってきているのは事実でございます。

 今、日米間でどういう状況にあるかということにつきましては、詳細は今協議中ということで申し上げることを差し控えることをお許しいただきたいと思いますが、そう遠くないうちに中間的な取りまとめができるように、最終的な協議を精力的に進めているという段階でございまして、一定程度の方向が見えた段階で、地元の皆さん方、特に沖縄の皆さん方には大変な御負担をおかけしているわけでございますので、しっかりとした説明責任を果たしながら、できる限りの御理解を得つつ、これを進めてまいりたいと考えております。

武正委員 もう時間が来たので、最後に今の関連で一問だけ。

 十五年の返還という知事、市長からの要請、これを遵守するという閣議決定、それは協議の中で求めていくんだという閣議決定でありますが、当然、日米間のこの協議の中で、十五年返還についての付言をされて協議されているということでよろしいでしょうか。確認です。

町村国務大臣 この十五年問題、もとより認識をしているところでございます。

 ただ、今度移転をするものがどういう内容になるのかということによりまして、当時、稲嶺知事を含めて御要請のあった、全く同じ形になるのかどうか、その辺を含めて今幅広く議論しているところでございます。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

原田委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 私も、きょう初めて外務委員会での質問をさせていただきますが、まずは今回の議題でもあります万国郵便連合憲章の第七追加議定書並びに万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約そして約定について御質問させていただきたいと思います。

 今回は、二〇〇四年のブカレストの会議においての合意に基づいての条約変更だというふうに伺っておりますが、今後、これから三年後、次のケニアのナイロビに向けて、日本として、今回の条約変更を踏まえ、どういうふうな問題意識を持って次の大会議に臨まれるのか、その点について御答弁をいただければと思います。

町村国務大臣 今後の課題、次回に向けての取り組みということでございます。

 先ほど、たしか越智委員でございましたか、到着料制度というのがありますが、現行の到着料制度は必ずしも実際の配達費を賄う水準になっていないということで、先進国を中心に見直しの声がかなり強く上がっております。今回の改正においても一部引き上げが行われておりますけれども、まだまだ実際に費用を賄うものにはなっていないということで、この辺については引き続き議論の大きなテーマになるんだろうと思います。

 そのほか、民間業者との競合問題とか、民営化を含めて郵便事業の主体が加盟国間で多様化していることであるとか、あるいはITの普及等で通信手段が多様化、高度化しているということで郵便そのものの事業も国際的にも少し減少ぎみ、こういった環境の変化にどう対応していくのかという幅広い問題意識も持ちながら次回に向けて積極的に取り組んでいく必要がある、かように考えております。

岡本(充)委員 ありがとうございました。

 私は、それに加えて、日本の郵便技術をやはり発展途上国の各国にも供与をするとか、そしてまた、今後、世界での郵便の技術の促進に日本がどういうふうに役立てるかだとか、そういった部分についても日本としてぜひ提案をしていっていただきたいなというふうに意見を申し述べさせていただきまして、まずはこの問題はお話を一たん終了します。

 私は、きょう、特にもう一つお聞きをしたい重要なテーマとして、日米関係の中で大変重要な懸案となっておりますアメリカ産牛肉の輸入再開の問題について、外務省としての認識、そしてまた今後とるべき道のあり方について、きょう政府参考人で来ていただいております内閣府、厚労省、そして農水省のそれぞれの皆さん方にお答えをいただきたいというふうに思っております。

 まずは、BSEの問題です。

 日米間におけるさまざまな重要テーマがある中で、どのような重要度を占めると大臣はお考えか、またそこは類推になるかもしれませんけれども、逆に、大臣として、アメリカはどのような重要度だというふうに認識をしているとお考えか、大臣の御認識をいただきたいと思っております。

町村国務大臣 米国産牛肉の輸入再開問題、これは日本の消費者の食の安全の問題ということで、今、この食の安全についていろいろな問題が発生をしている中でございます。しかも、アメリカの主要な輸出品目の一つということもあるものですから、これは日米間で解決をしなければならない重要な問題である、ただ、あくまでも、日本の消費者の食の安全という基本的な視点を持った上で取り組んでいくテーマだ、こう考えております。

 アメリカではどうだろうかということでありますが、これはブッシュ・小泉会談でも、あるいはライス長官と私の話し合いの中でも、ほぼ必ず先方から提起される問題でございます。これは、政府自身はもとよりでございましょうが、米国議会、あるいはその背景にある関連する畜産業界、大変政治力も強いというような話も聞いておりますが、この問題のできるだけ早い解決という声が大変強く出されているということを私も承知をしております。

 したがって、アメリカ全体にとりましても大変これは大きな問題になっているんだ、かように認識をしております。

岡本(充)委員 そういった中で、大臣の御認識の中では、報道されているように、アメリカ側からの対日制裁が近々にもあるというふうな御認識をお持ちかどうか、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 幾つかの制裁の動きが米国の議会の中で既に起こっております。もうこれは春先からそうした議論、発言が行われ、現実に法案という形あるいは決議という形で出されております。今ちょっとその詳細は手元にございませんけれども。

 それでは、制裁の可能性がどうかという今お話でございますが、これは相手国議会の中の話でございますから、今、私が軽々に、制裁法案が通るであろう、通らないであろうということを申し上げるのは適切でないと思いますけれども、そうしたさまざまな決議案あるいは法案が出されているということからすると、米議会の中で大変大きな政治問題にもう既になっているし、今だんだんその緊張感といいましょうかテンションが高まってきている、そんな状態にあるというふうに私は受けとめております。

岡本(充)委員 大臣の認識は伺ったわけですけれども、時間の関係上、ちょっと幾つか伺いたいんですけれども、それほど多く聞けませんので、論点を絞ってお伺いしたいと思います。

 一つ目は、もうちょうど一年前になります、平成十六年の十月に日本政府と米国政府における牛肉及び牛肉製品の貿易の再開に係る共同記者発表というのがなされました。この中で、「日本への米国産牛肉の輸出」の「販売促進プログラム」という中に、特定危険部位、SRMの除去、それから二十カ月齢の月齢確認をした上での輸入再開の話が進むんだというような話が載っておりますが、例えば飼料規制の問題だとかトレーサビリティーの問題だとか、こういったものはこの中に上ってきておりませんけれども、外務省としては、この問題を提起しなかったのは、あくまで厚労省、農水省側からの話で載せなかったのか、それとも主体的に外務省がこのテーマを出さなかったのか、その点についてはどのように御認識をされているでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問の点でございますけれども、私ども外務省としましては、日米間の牛肉貿易再開をめぐる協議、昨年の話を今ちょうどいたしましたけれども、国内の関係省庁の皆様と密接に協力しながら、科学的知見に基づき、我が国の消費者の食の安全の確保を大前提にするという一致した基本方針で対応し、米側にもそのように申してきたところでございます。

岡本(充)委員 リスク管理官庁ではない外務省に聞くのは酷かとは思いますけれども、そういった中で、当時、実務者間の交渉の中でも既に飼料規制の話だとか、それから日本の国内ではトレーサビリティーの話だとかが出ていたわけですよね。科学的な結果というものが出ていない。

 同様に、SRMの除去だって、当時は食品安全委員会の最終的な答申が出ていたわけではないわけでありまして、そういった意味においては、当然、科学的な根拠に基づいて交渉を進めるのであっても、こういったテーマが議題に上ってこのペーパーの中に入ってもしかるべきだったのではないかと思うんですけれども、こう言ってはなんですけれども、日本側が譲歩をしてしまったわけではないですよねということの確認を外務省にぜひ。

 もう一点は、外務省としてこのテーマをあえて出さなかったのか、それとも、このテーマは出さないという農水省、厚労省からの御提案があったのか、その点について御確認をいただきたいと思います。

石川政府参考人 各論についてお尋ねをいただきまして、先ほど申し上げるべきだったと思います。

 もとより、私どもとしましては、知見を有していらっしゃる厚生労働省さん、あるいは農林水産省さんと緊密に協議してまいっておるわけでございますけれども、ただいまの御指摘の点を含めまして、私どもとしては、これは科学的知見に基づくというカテゴリーの中でアメリカとしっかりやっていきたい、このように考えておったわけでございます。

岡本(充)委員 答弁になっていないと思うんですよね。それは時間の関係上、また場を改めて伺います。またお越しいただいた場でお伺いします。

 私としましては、この危険の問題については、おっしゃるとおり、私も農水委員会で、もう本当に、きょうも政府参考人として来ていただいている中川局長さん初め、農林水産委員会では多くの皆様方にいつも御質問させていただいておりますけれども、決して僕もアメリカ産牛肉の輸入を再開するなと言っているわけではない。アメリカの側にもそれなりの対応、譲歩をしていただく中で日本としての外交交渉はあるべきじゃないかという趣旨での御質問をさせていただいておるわけでございます。

 そういった点も踏まえて、いよいよもう、月曜日にも食品安全委員会がまたあるようでございますけれども、きょうは、内閣府からも、そして厚労省、農水省からも来ていただいております。お越しいただいたのに時間の関係で余り深くお聞きすることができなかったことは申しわけありませんが、私としては、また場を改めてこの問題はお聞かせいただきたいと思います。

 改めて、今後の交渉に当たる御決意と、御自身の省庁、それぞれ管理省庁、そしてリスク評価の部署としての責任あるお答えと、さらには最後に大臣から、今後の日米交渉においても、引き続き日本の確固たる科学的知見に基づく主張をしていくんだという御決意をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

松本政府参考人 食品安全委員会には、米国が定めます牛肉の輸出証明プログラムというのが確実に実施されるということを前提として諮問しております。仮に米国産牛肉が輸入再開された場合には、この輸出証明プログラムの遵守の確保というのは一義的には輸出国政府の責任であると考えておりますけれども、厚生労働省といたしましては、リスク管理機関として、輸入再開後には我が国から定期的に担当官を派遣して査察を実施し、米国側の輸出証明プログラムが確実に機能し、仮に問題が発生した場合でも適切な改善が図られるシステムとなっているか否かを確認することとしております。

 厚生労働省といたしましては、食品安全委員会の意見を踏まえつつ、農林水産省と連携し、食品安全委員会のリスク評価の前提とされた条件が徹底されるよう対応してまいりたいと考えております。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省も、厚生労働省と一緒にリスク管理官庁でございます。しかも私は、平成十五年十二月にアメリカからの牛肉の輸入を停止して以来、この担当をしてきている者でございます。リスク管理官庁といたしまして、国民の食の安全を確保していくために、きちっとその決められたことが守られますように、責任を持ってきちっとした対応をしていきたいというふうに思っております。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 米国産牛肉等に関するリスク評価につきましては、本年の五月以来、諮問を受けてから既に八回にわたりまして精力的にプリオン専門調査会において御議論をいただいておるところでございます。御承知のように、来週二十四日には次の会合が予定されております。今までプリオン専門調査会では報告書を取りまとめるということで全般的な審議を行ってきたわけでございますが、次回におきましては結論部分を中心に議論がされるというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、食品安全委員会は国民の健康の保護を最優先として、中立公正の立場から科学的な知見に基づいた議論をするということで、プリオン専門調査会におきましてもその趣旨で精力的に引き続き御議論をいただけるというふうに思っております。

町村国務大臣 今それぞれ御担当の方がお話ししたとおりでありまして、食品安全委員会で相当長い期間精力的な議論が行われているということを承知しております。食の安全という観点で今まさに議論が行われておりますので、粛々とそうした今後の手続が進み、その結果として米国産あるいはカナダ産等も入るのかもしれませんが、そうした輸入牛肉問題が適正に解決されることを期待しております。

岡本(充)委員 どうもありがとうございました。

原田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私たち日本共産党も、今回出されております万国郵便連合の二つの条約については賛成であります。

 そこで、お伺いしたいんですが、今回、郵便連合の任務として、郵便境域における郵便物の自由な流れを保障すること、あるいは公平で共通の標準の採用及び技術の使用を奨励すること、利害関係者間の協力及び相互作用を確保すること、効果的な技術協力を促進すること、利用者の変化するニーズを確実に満たすことなどを具体的に明記しておられます。

 ところで、各国の郵便業務を国際的に比較した場合、いわゆる先進諸国と発展途上国との間では格差があることも事実であります。今回、到着料に関する規定を改定するなどの措置をとっておりますけれども、郵便連合の目的を具体化した内容を現実に実施していく上で、先進諸国と発展途上国における問題の克服、格差是正、これが大きなかぎになると思いますけれども、いかがですか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 万国郵便連合は、郵便業務の効果的運営によりまして、諸国民の間の通信連絡を増進することを目的としております。この目的を達成するために発展途上国の郵便業務を改善することは、委員御指摘のとおり大変重要なことでございます。

 このような考え方に基づきまして、今回ブカレスト大会議で採択されました万国郵便条約では、郵便の業務の質を改善するための基金に関する規定が第三十一条にあります。主に先進国が到着料の料率の一定割合をその基金に対して支払うということになっております。開発途上国はこの基金より資金の供与を受けることによって郵便業務の質を改善することができ、ひいては連合の目的の達成につながることが期待されると考えております。

 また、我が国はこれまでもさまざまな技術協力を行ってまいりました。例えば、開発途上国に郵便分野の専門家を派遣したり、あるいは開発途上国から郵便関係者を招待して我が国の郵便技術及び経験を伝達したりしております。さらに、アジア太平洋地域の国際郵便業務の充実のために資金の拠出、毎年一億八千万円行っておりますけれども、これも行ってございます。

赤嶺委員 それでは次に、米軍再編協議の問題に移らせていただきます。

 きょうは十月二十一日です。十年前の十月二十一日、米兵による沖縄での少女暴行事件に端を発して、八万五千人の県民が怒りの集会を開きました。そういう中で、当時県民が求めたのは、米軍人軍属の事故の根絶、そして被害の補償、基地の整理縮小、日米地位協定の抜本的見直しでありました。ところが、当時掲げた要求は何一つ実現されていない、基地の現状は十年たっても全く何も変わっていない、こう指摘せざるを得ないような状況であります。

 そこで、具体的に聞いていきますが、米軍再編について、今月末に中間報告が発表されると報道されております。防衛庁長官は、十八日の記者会見で、普天間基地の移設先を明記するかどうかと聞かれまして、問題があいまいでは解決できない、移設先をきちんと決め、そして中間報告に書きたいという目的を持って頑張っている、このように発言しているわけです。

 この普天間基地の移設先について、政府は、報道では、キャンプ・シュワブ陸上案を提案したけれども米軍から拒否をされた、今度はキャンプ・シュワブの兵舎地区沿岸案を提起したけれども、これもアメリカ側等から拒否をされた、アメリカは浅瀬案を提案している、そういう報道なんですが、これまでのアメリカ側との交渉経過について明らかにすべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

町村国務大臣 できる限り早く、できれば今月中に日米間で中間的な取りまとめをしたいということで、鋭意作業を詰めているところでございます。

 今委員お尋ねの点につきましては、それぞれの個々のやりとりにつきましては、現段階でお話しすることはできないことは御理解をしていただけると思います。

赤嶺委員 具体的な交渉経過について明らかにできない。しかし、なぜ明らかにせよと求めるかといえば、沖縄県民が一番危惧している方向に事態が進行しているからであります。その危惧、不安、懸念について全く説明しようとしないという態度は、私には納得がいきません。

 そこで、守屋防衛庁事務次官がきのうの記者会見で、もう既に防衛庁のホームページにも載っていることなんですが、日米両政府が日本側の案とアメリカ側の案の実現可能性を探るため現地調査に実質着手した、こういうことが記者会見で問われて、現地において調査を行っているということは事実でございます、守屋さんはこのように答えておられるわけですね。どんな調査を行ったんですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御説明申し上げたとおり、普天間の移設先、移設の問題につきましては、日米間で精力的な作業を継続しているところでございます。この中で日米が協力して現地の状況把握のための努力を行っているということは事実でございますけれども、その個々の内容についての御説明は差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 この調査というのは、防衛庁も外務省も防衛施設局も現地米軍も参加した、いわば日本側が提案をした沿岸案についてどうなのか、浅瀬案についてどうなのかということをしているわけですけれども、地元では、そういう皆さんのはっきり言わない態度に怒りがわき起こっているわけです。

 中間報告まで、報道されている限りでいっても、あと十日ですよ。それで、政府が県内移設の案を決めることに一番不安を持っている、一番不安を持っているのに、あなた方は何を調査しているか言わないまま、結局、県内移設、そういうような方向に流れている、流れているじゃないですか。

 あなた方は、県内移設以外に、普天間基地について、外務大臣に伺いますが、アメリカに提案したことはありますか。

町村国務大臣 個々のやりとりの内容についてお答えを申し上げることは差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 差し控えさせていただくと言いながら、今出ている沿岸案が拒否され、浅瀬案。浅瀬案については、例えば、一年間にわたり、移設先を決める沖縄県と政府との間でつくられていた普天間基地移設代替協議会の第三回で、防衛施設庁の施設部長はこのように言っているんです。「リーフ内の陸域近くには、約百二十六ヘクタールの海草藻場が確認されております。この藻場では、ジュゴンの餌となるリュウキュウスガモ、リユウキュウアマモなどの海草が確認されております。」「自然環境について、特に珊瑚や藻場への影響をできる限り小さなものとすることを念頭に置きつつ、具体的建設場所を見出していくことも重要であると認識いたしております。」こういう基本的な姿勢は変わりないわけですね。

河相政府参考人 繰り返し御説明申し上げているとおり、普天間の飛行場の移設の問題、これについては現在、精力的に日米間で作業、検討を行っている状況でございます。

 その検討に当たっては、いろいろな要素、考慮しなくてはいけない要素というのも含めて念頭に置きつつ、今置かれている普天間の飛行場をいかにして早く移設するのか、できるのかということで現在作業をやっているところでございますが、その具体的な個々の内容についての御説明は、現時点では差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 北米局長、おかしいですよ。今私が読み上げたのは、過去の日本政府と沖縄県の公式の協議機関の中で、防衛施設局の施設部長が、こういうやり方はいけませんとみずから否定した案なんですよ。そういう姿勢を今でも堅持するんですねということについては答えるべきじゃないですか。具体的に言えないというのはおかしいじゃないですか。

河相政府参考人 繰り返しの答弁になりまして申しわけございませんけれども、普天間飛行場の移設の問題、これに当たって考慮をしなくてはいけない問題、要素というのは多々あろうかと思いますが、現在、具体的に個々の事案について、個々の条件等々について御説明するのは差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 私、全く納得いかないんです。

 今、沖縄には、アメリカ政府高官が次々に来県をしております。十月の十五日にはアメリカ国務省の代表と知事が会談をしました。十月の十九日には、アメリカの国防総省のジョン・ヒル日本部長が来県し、ここで、普天間飛行場の県内移設を前提に、嘉手納基地以南の米軍基地の返還と在沖米軍兵力を大幅削減するパッケージ方式、これを提案しております。

 これについて、外務大臣は知っておりましたか。

町村国務大臣 米国政府の方が沖縄に行っているということは報道で知りましたので、私どもとしては、だれがどういうことで行ったんですかと、今この日米協議が大詰めを迎えているときにかかる行動はいかがなものかということを在日米大使館に申し入れをしたところでございます。先方からは、国防省の方に伝達をするという回答がございました。

赤嶺委員 日本政府が、沖縄県に説明しない、そして具体的な内容を言えないということを繰り返すのみ。アメリカは、政府高官を送って県知事に会い、県の基地担当者に会い、浅瀬案でいきたいと、これを受け入れたら嘉手納基地以南の米軍基地を北部に移転しましょうと。これを何か負担の軽減というぐあいにアメリカは錯覚しているようですけれども、県内移設をはっきり明言しているわけですよ、アメリカ政府は。米国政府は明言している、日本政府は一切答えない、本当に異常な状態だと思います。

 私は、アメリカが提案したこの統合案、パッケージにする案、これは大変重大だと思うんですよ。これについても、これは守屋事務次官がやはりきのうの記者会見で、こういうことは当然日米間で議論していると、アメリカの政府高官が沖縄県に説明したような内容は議論しているということを記者会見で述べておられます。どんな案なんですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 守屋事務次官の記者会見の発言ぶりについて、私、現在手元に資料がございませんので、この場でその記者会見の内容の一々についてコメントすることは差し控えたいと思います。

 また、普天間飛行場の移設の問題とあわせて、沖縄の地元の負担軽減のためにどういうことがあり得るかということについては、現在日米間で鋭意協議をやっておるわけでございますけれども、現時点において日米間で一定の結論に到達したわけではないというのが現状でございまして、現時点においてその内容について御説明することは差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 結論が出ていないのは承知していますよ。

 ただし、日本政府が、結論を出す前に、県内移設以外の結論を出して米国と交渉すべきだというのが沖縄側の立場ですよ。県内移設の案を日本政府が決めてアメリカ政府と交渉する、そのための、県内移設反対と言っている沖縄の側には何の説明もない。こんなことを、対米交渉としても、外交交渉としても、国民の声を聞かない、当事者の声を聞かないという点は間違っていると、県内移設は、どんな案が出されてきても、県民から反対の声が広がり、また、失敗するということを警告いたしまして、私は質問を終わらせていただきます。

原田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 私は、議題となっております万国郵便連合憲章の第七追加議定書を初め、二条約の締結に賛成であります。それで、今度の万国郵便条約の締結と関連して、郵政公社にお伺いをします。

 我が国の郵便法第八十四条では、切手類を偽造する等の罪を規定しております。同八十四条違反の犯罪行為への対応、被害状況、それに対する対策について伺います。

岡田参考人 お答え申し上げます。

 今年度は、切手の偽造が一件発生しております。

 具体的に申し上げますと、本年五月に、埼玉県内におきまして偽造された普通切手約三十四万枚が発見されたところでございます。しかし、これは、本物と比較しますと、印刷が粗い、また切手には目打ちというものがございますけれども、この目打ちの位置が左右均等になっていない、またその一部が図柄にかかっているということでございまして、目視により偽造であることがわかりました。したがって、公社におきましては、具体的な被害は出ておりません。

 こういった犯罪の累計でございますけれども、平成十二年度から十六年度までの五年間の犯罪発生件数は、切手の偽造が十五件、はがきの偽造が十九件、切手の消印の跡を除去して再使用したものが二十一件となっております。

 こういった偽造に対する公社としての対策でございますけれども、郵便切手につきましては、スクリーン、インクのドットなんですけれども、このスクリーンが細密なグラビア印刷やオフセット印刷などによる偽造の防止をやっております。

 また、先ほど申し上げましたように、切手の周囲には目打ちというものがございますけれども、この目打ちを整然と設けるなど高度な技術を施して偽造防止を図っている。またさらに、消しゴム等で消印を消すという行為がございまして、これに対する対策といたしまして、摩擦に弱い特殊インクを使っておりまして、そういうことから使用済み切手の再使用の防止も図っております。

 以上、切手偽造対策でございますが、郵便はがきにつきましても、偽造対策といたしまして、郵便はがきとしてのみ使用されている特別な用紙を使用しているといったことで、偽造防止対策を講じております。

 今後とも、郵便切手類の不正使用等を防止するための必要な取り組みはしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 以上でございます。

照屋委員 大臣にお伺いするのは、三選出馬が確実視されておった岸本名護市長が、健康上の理由で出馬を断念しました。普天間飛行場の移設先をめぐって、米軍は、同市長の受け入れ表明を根拠に、辺野古浅瀬案を日本政府に強力に主張しているようであります。

 大臣は、この岸本名護市長の出馬断念をどのように受けとめたのか、率直にお聞かせください。

町村国務大臣 岸本市長は、平成十一年十二月に普天間飛行場の代替施設受け入れを表明され、以降、大変精力的に活躍してこられました。政府としても、岸本市長のこれまでの御尽力というものに大変感謝をし敬意もあらわしているところでございます。

 なお、来年の市長選挙不出馬の話は私も報道で承知をいたしましたが、これはいろいろな健康上の理由等々があるやに報道からも聞いておりますけれども、この点について、政府の一員として、出馬断念といった決断についてあれこれコメントをするのはいかにも不適切であろう、こう私は考えます。

照屋委員 日米両政府は、在日米軍再編協議で、陸上自衛隊第一混成団の訓練の一部をキャンプ・ハンセンに移動することに合意をしたとマスコミが報じておりますが、そのような事実はあるのか伺います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 在日米軍の兵力構成見直しにつきましては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を図る観点から、種々の具体的なアイデアについて検討しているところでございますけれども、御指摘の問題を含めまして、個別の問題に関しては、米側との協議内容について現在まだ申し上げる段階にないということで御理解いただきたいと思います。

照屋委員 局長、陸上自衛隊の恒常的な訓練を米軍基地内で実施しているケースがありますか。あれば、その基地名と部隊名を明らかにしてほしいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 恒常的に訓練を実施しているというところでございますが、陸上自衛隊はまず基本的に、通常、当然陸上自衛隊の演習場、駐屯地等で訓練を実施しているところでございます。陸上自衛隊の座間分屯地、これは日米地位協定第二条四項(a)の規定に基づきましてキャンプ座間の一部を共同使用しているものでございますが、同分屯地に所在する部隊、第四施設群の一部でございますが、その敷地内において通常の錬成訓練等を実施しているところでございます。錬成訓練というのは、基本教練とか体力錬成といった訓練でございます。

照屋委員 この陸上自衛隊のキャンプ・ハンセンへの訓練移転というのは、まさに基地の共同使用であり、基地の機能強化なんです。これは、基地負担の軽減には逆行するものであって、県民の不満や怒りは高まっております。

 それで、地元への説明や協議もないままに米軍と自衛隊の共同使用、一体化が進むことには私は反対であり、県民の強い怒りや不安を防衛庁はどう考えているのか、お答えください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 沖縄につきましては、全国の米軍専用施設・区域の七五%が集中しているということで、県民に多大な負担をかけていることについては十分認識しているところでございます。

 ただ、在日米軍兵力構成見直しにつきましては、先ほど述べましたように、具体的には今協議の内容を申し上げる状況にはございませんけれども、日本政府といたしましては、沖縄の負担を軽減するという観点から、アメリカと鋭意協議しているところでございます。

照屋委員 町村大臣、きょうは、くしくも九五年に発生したあの忌まわしい少女の暴行事件を契機に県民の怒りが結集した一〇・二一県民大会から十年目、こういう節目の年であります。私は、大臣はこの十年間、日米地位協定の改定問題を初め、沖縄の基地問題についてどのように受けとめておられるのか、大臣の所信を伺いたいことと、はっきり言って、町村大臣は北海道、私は沖縄、沖縄はアメリカの軍事植民地ではないんです、沖縄は無人島じゃないんです、百三十五万の人間が住んでいる。

 きょうは、その中で、山内徳信元県の出納長、県民会議の議長や、それから県会議員の瑞慶覧さん、こういった方々が、大臣にお会いをして、この米軍再編協議に当たって、浅瀬案、陸上案、沿岸、沖縄県民の頭越しで日米交渉や協議が進んではいかぬ、この思いを伝えたいということで傍聴しております。わざわざ沖縄から来て大臣に直接会えないのは残念、その中で、さっき言いました、十年たった現実をどう思っているのか、率直に所信をお聞かせください。

町村国務大臣 私が大臣に就任して一年余でございますが、その間、稲嶺知事を初め現地の方々といろいろな機会に東京であるいは沖縄で会い、御意見も伺い、お話も伺っているところでございまして、皆さん方のお声に耳を傾けながら行政を進めていくということは当然のことである、こう思っております。

 その上で、十年前の九月の少女暴行事件、沖縄県民の怒り、苦しみというものを、私どももその折、報道等を通じて強く受けとめ、感じたところでございました。

 それを受けまして、例えば、同年の十一月には刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意を作成して、これは世界の中でも日本だけでございますけれども、被疑者の身柄の起訴前の引き渡しを可能にする道を開くといったようなことで、日米地位協定の運用が改善をされているということもあるわけでございます。

 また、米軍の施設・区域の整理縮小が必要であるということで、SACOの合意ができ、その最終報告の実施ということで、実際に進んでいるもの、進んでいないもの、さまざまございます。全く進んでいないということはございませんが、地元の状況等からして、例えばこの辺野古沖移転というのも進んでいないわけでございますけれども、いずれにしても、こうした状況で意欲的に取り組んできたという思いは政府としてはございます。

 ただ、いずれにしても、現在なおかつ沖縄県に七五%の基地が集中しているという事実、また現実にいろいろな事故等が起きる。昨年のヘリ墜落事故もそうでございましょうし、またいろいろな人身事故も起きるといったようなことを考えながら、できるだけ地元の皆さん方の負担を軽減しつつ抑止力を維持するというこの二つのテーマを何とか実現するためにも、私どもとしては、今、米軍再編成問題、意欲的に、精力的に米軍と協議をしている最中でございます。

 また、事故、事件の発生防止ということにつきましても、累次の綱紀粛正措置、再発防止対策等に取り組んでおりまして、これにつきましても、アメリカに対して累次申し入れを行い、そしてアメリカ側もその努力をしているもの、こう理解をしているところであります。

 いずれにいたしましても、沖縄県民の気持ちというものを私どももしっかり受けとめてこれまでもやってきたつもりでありますし、これからもまたしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

照屋委員 終わります。

原田委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより両件を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 万国郵便連合憲章の第七追加議定書、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件及び郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件の両件を一括して採決いたします。

 両件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原田委員長 起立総員。よって、両件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原田委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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