衆議院

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第4号 平成17年10月26日(水曜日)

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平成十七年十月二十六日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 谷本 龍哉君 理事 土屋 品子君

   理事 中谷  元君 理事 西銘恒三郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    猪口 邦子君

      宇野  治君    小野寺五典君

      越智 隆雄君    大前 繁雄君

      河井 克行君    高村 正彦君

      鈴木 馨祐君    鈴木 淳司君

      藤田 幹雄君    宮下 一郎君

      山中あき子君    篠原  孝君

      田中眞紀子君    津村 啓介君

      長島 昭久君    松原  仁君

      松本 大輔君    鷲尾英一郎君

      赤羽 一嘉君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   外務大臣政務官      河井 克行君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  猪俣 弘司君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題連絡・調整室長)

   (内閣府拉致被害者等支援担当室長)        江村 興治君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        岡田 眞樹君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (国際協力銀行理事)   岩下  正君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  三ッ矢憲生君     大前 繁雄君

  吉良 州司君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     三ッ矢憲生君

  松本 大輔君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     吉良 州司君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 沖縄の新基地建設中止、基地の全面撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六〇号)

同月二十六日

 核兵器の廃絶に関する請願(高木義明君紹介)(第一五九号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一六〇号)

 同(中川正春君紹介)(第一六九号)

 同(横光克彦君紹介)(第一七〇号)

 同(金田誠一君紹介)(第一八九号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一九〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第二五〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五一号)

 同(石井郁子君紹介)(第二五二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二五五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三二一号)

 同(石井郁子君紹介)(第三二二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三二三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三二四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三二八号)

 同(武正公一君紹介)(第三二九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三三〇号)

 同(末松義規君紹介)(第三七一号)

 核兵器完全禁止・核廃絶国際条約の締結に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三四号)

 同(石井郁子君紹介)(第二三五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三六号)

 同(五島正規君紹介)(第二三七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四一号)

 同(仙谷由人君紹介)(第二四二号)

 同(高木義明君紹介)(第二四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四四号)

 同(保坂展人君紹介)(第二四五号)

 同(三谷光男君紹介)(第二四六号)

 同(山田正彦君紹介)(第二四七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四八号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三三一号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第三三二号)

 同(松本大輔君紹介)(第三三三号)

 同(山井和則君紹介)(第三三四号)

 同(柚木道義君紹介)(第三七二号)

 沖縄の新基地建設中止、基地の全面撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四九号)

 核兵器廃絶国際条約の締結促進に関する請願(仲野博子君紹介)(第三六九号)

 核兵器廃絶国際条約の締結に関する請願(三井辨雄君紹介)(第三七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官鶴岡公二君、大臣官房審議官八木毅君、大臣官房参事官梅田邦夫君、大臣官房広報文化交流部長岡田眞樹君、北米局長河相周夫君、経済協力局長佐藤重和君、国際法局長小松一郎君、内閣官房内閣参事官猪俣弘司君、拉致問題連絡・調整室長兼内閣府拉致被害者等支援担当室長江村興治君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛施設庁施設部長戸田量弘君、環境省自然環境局長南川秀樹君、国際協力銀行理事岩下正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。猪口邦子君。

猪口委員 委員長、発言をお許しいただきましてありがとうございます。

 私は、昨年の春まで二年間にわたりまして、軍縮大使として活動する機会に恵まれました。外務委員会にて発言するこの最初の機会に、私は、そのような機会を与えてくださいましたことにつき、日本政府に心からのお礼を申し上げたいと思います。

 長年、国際政治学を専攻して、上智大学で教えてまいりました。研究者にとって、やはり実務の場において世界の議場において活動することは大変意義深いことでございました。必ず、国会議員としての私の活動にその経験を反映させたいと考えております。

 それで、まず最初の質問なんですが、日中関係についてでございます。

 今日、総理の靖国参拝のことばかりが内外から注目されているわけでございますけれども、私といたしましては、本日、やや別の観点から、総理の中国への対応が非常に前向きなものであって、かつ一貫してぶれがないということを議論していきたいと思います。

 まず、世論におきまして中国脅威論が非常に強かったころから、小泉総理は一貫して中国の経済発展を前向きにとらえてきたわけです。日本にとってもチャンスであるというような意味、何度も発言されておりますし、成長する中国に対する非常に温かい立場、これが一貫して出ている発言を繰り返してこられました。かつ、特徴としては、そのスタンスにぶれがないということであります。

 幾つか例を引用いたしますけれども、例えば、二〇〇二年の四月の時点で既にこう発言しておられます。「中国の経済発展を「脅威」と見る向きもありますが、私はそうは考えません。私はむしろ、中国のダイナミックな経済発展が日本にとっても「挑戦」、「好機」であると考えています。」これが二〇〇二年の時点です。

 二〇〇三年になって、五月に、サンクトペテルブルクの胡錦濤国家主席との首脳会談の場で、私はこのとき軍縮大使でしたのでちょっと思い出深いんですけれども、そこでこう述べておられます。「中国の発展につき、我が国の一部には警戒論あり。しかし、自分は、これを「チャンス」と捉え、互恵の関係を築いていくべきと考えている。」

 それから、昨年になりまして、十一月、ラオス、温家宝総理との首脳会談で、「自分は、三年前から中国の経済発展は「脅威」ではなく、「チャンス」であると言ってきたが、いま正にそのようになっており、嬉しく思う。」「相互依存関係は益々深まっている。」

 そして、一番最近、この四月にジャカルタにおいて、やはり胡錦濤国家主席との首脳会談ですけれども、こう述べておられます。「中国においては反日感情、日本においては嫌中感情をもつ向きも一部にあるが、責任ある指導者としては、これらに影響されることなく、日中友好の大局に基づいて関係を発展させていくべきである。」

 このように一貫したものがありますし、さらに中国側の挑発的な行為とも見えることがあっても、非常に冷静な一貫した態度が崩れることがなかったというのも特徴だと思うんです。

 例えば、五月に愛知万博賓客として訪日されました呉儀副総理が直前にアポをキャンセルされるということに対しても、小泉総理は決して怒ることなく、日中友好の立場で非常に冷静に対応しました。

 それから、昨年の十一月、中国原子力潜水艦によります我が国の領海侵犯といいますか潜没航行事案が発生しましたときも、中国側は遺憾の意を表し再発防止を約束して、小泉総理はその後の日中首脳会談におきまして再発防止の重要性を説くという非常に冷静な対応をしたわけです。

 つまり、総理は決して事態をエスカレートさせることはない外交対応をした、挑発的なことに乗るということはなく、かつそれは場当たり的なものではない、非常にそこには系統的な冷静な対応というものがあると思います。そのことは靖国参拝のことと比べると注目されないんですけれども、私は外交のあり方として特別に評価すべきと思って、きょうこのように発言しております。

 必要なことは、中国政府がこのような分析をしっかりと行って、そして小泉総理のそのような中国へのぶれない思いというものをしっかりと深く受けとめてくれるということであり、そのように働きかけていただきたいと思うわけです。

 それから、総理からのそのような一貫したメッセージが出ているわけですから、実務レベルにおいてどうそれを生かしていくか、そしてその意味を中国に理解させて、いかに中国から建設的な態度を引き出していくか、そういうことにおいて腐心する必要があると思うのですけれども、ぜひ外務大臣のお考えを伺いたく思います。

町村国務大臣 猪口委員には、軍縮大使として大変な御活躍を当時いただきましたこと、心から感謝をしているところでございます。

 今委員がお触れになりました小泉総理の、いわば外交スタイルとでも申しましょうか、考え方、終始冷静沈着、一貫している、ぶれない、それでいて主張すべきは主張する、私はこれは大変重要なことだと思っております。私自身、外交はとてもふなれなものでございますから、小泉総理のそうした一貫した姿勢というものについては大変多く学ぶべきものがある、こう思っているわけであります。

 特に中国との関係でいえば、今委員がまさに述べられましたように、何度となく、中国の発展は脅威だ脅威だという声がだんだん強まるわけでありますけれども、そうではなくて好機だ、チャンス、あるいはオポチュニティーという表現を使っておりますが、そういうものであるからして、むしろ中国の発展とともに日本もともに栄えていく、発展をしていく。その基本として、日中関係は二国間にとって重要なだけではなくて、アジア全体にとってあるいは世界にとって重要な二国間関係だから、この発展を図っていかなければいけないということも常に小泉総理が述べておられるところである、私もそう理解をしているところであります。

 そういう意味で、そうはいっても国と国の関係ですから、個々の案件で、靖国であれ、あるいは原潜の問題であれ、あるいは昨今の東シナ海のガス油田開発等であれ、それは常に同じ意見というわけにはいかない。それぞれの国益があったりそれぞれの意見があって相違があることは、それは現実にあると思います。それは、最も親しい関係である日米間においても、必ずしも常に全く同じ意見ということはございません。

 しかし、いかにそれを乗り越えていくのか、克服していくのかということが大切だろうし、その努力というものを、首脳レベルはもとよりですけれども、外交当局も全力を挙げてそうした問題点の克服に努めていくということが必要なんだろうと思います。

 そういう意味で、まず首脳レベルの対話あるいは外務大臣同士の対話というものも必要でありましょう。そういう意味で、私は、先般の訪中が先方によって受ける雰囲気にないということになったのは大変残念なことであり、実は遺憾なことだとは思っております。思っておりますけれども、そこで大声を立ててどなりまくってみても、これはしようがないことであります。

 やはり、国と国との関係はさっき申し上げた冷静かつ沈着でなければならないというようなことで、また今後いろいろなチャンスもあろうかと思いますので、いろいろな場を通じて日中間のしっかりとした建設的な話し合いをしていき、そして、中国がややもすると自国中心的になりがちなところがございますので、今まで以上にやはり国際社会で中国が建設的な役割を果たしていく、そういう方向に私どもも彼らが進んでもらうことを期待しておりますし、またそういう方向に彼らを持っていくような外交努力というものもやっていかなければいけないだろう。

 ごく最近の例でありますけれども、先週末、ソウルで日中韓の環境大臣会合というのがございました。果たして日本の環境大臣がソウルに行けるのかという心配をされる向きも一部ございましたが、全く問題なく、その環境大臣会合は開かれました。

 そこでアジアを中心とする環境問題、グローバルなそうした問題について真摯な話し合いが行われたということは、まさに中国が国際社会の中で責任ある重要な役割を果たしていくという姿勢の一つのあらわれだというふうに私も評価をしておりますし、そういう意味で、中国との関係をより前向きに積極的につくり上げていくように、実務を担当する外務省、外務大臣以下、懸命の努力をしていかなければいけない、かように考えております。

猪口委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。二国間関係の問題だけでなく、ぜひ、日中がともにより大きな世界システムの中でどういう役割を果たすのかというようなことも含めて、今後時間を十分にとって御議論していかれることを希望します。

 そして、次の質問に移ります。

 ODAと貧困、そして軍縮にかかわることですけれども、私のお願いは、日本のODAを軍縮の翼に乗せて拡大していただきたいということであります。

 まず、貧困についての根本原因の研究にはさまざまありますが、最近の大きな特徴は、やはり内戦の再発と連鎖による疲弊と荒廃、これが貧困の一つの大きな原因と考えられます。ですから、貧困問題を解決するには、まずは内戦を再発なき終結に導かなければならない、こう考えるわけですが、そのためには、内戦の直接的な手段となります小型武器でありますとか、そして例えば農村を復活させるためにも、対人地雷がそこに放置されていては人々が戻れないというような問題が多々あります。

 ぜひ、日本の主張として、軍縮は重要な分野であり、ODAの中で、日本のODAは軍縮の翼に乗せて拡大していくというようなメッセージを世界にも出し、またODA予算の拡充強化が難しいこの状況の中で国民の理解を得るためにも、軍縮のODAの中における重視ということを進めていただきたいと思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。

谷川副大臣 ただいま外務大臣にちょっと国際電話がかかっておりますので、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 今、猪口先生が御指摘のとおり、ODAにつきましては、いろいろな分野で日本が協力をさせていただいておるところでございますから、このODAを十分活用していくということがぜひ必要であろうと思いますし、それにつきましても、軍縮の翼に乗せるという先生のお考えは非常に私は有効な手段ではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、小型武器の除去だとか地雷の除去だとかという点については、これはやはり積極的に十分活用させていただきたいというふうに思っておるところでございます。

猪口委員 ありがとうございました。

 小型武器の分野では、ことしも日本を含めて小型武器の決議案を総会に提出する努力の中にあると思います。ことしは日本が調整国であると存じておりまして、ぜひこの決議案が全会一致で、第一委員会にて、そして続いて総会にて採択されますよう、よろしく大臣の御指導をお願いいたしたいと思います。

 この小型武器あるいは地雷のこととの関係におきましては、一つお願いだけさせていただきたいと思いますが、世界では、セキュリティー・アンド・ディベロプメントといいますが、安全保障と開発の問題を一つのパラダイムの中でとらえるという大きな政策論の流れがございます。希望といたしましては、世界銀行など開発銀行系のところにおいて、貧困の根本原因を退治していくという中で、もう少し地雷除去あるいは小型武器の除去ということを考える、視野に入れるということを積極的にやっていただきたいということでありまして、そういう方向に向けて日本から発信し、できれば働きかけていただきたいと思います。

 すぐにはなかなか難しいと思います。しかし、例えばUNDP、国連開発計画などにおきましては、日本の働きかけのかいもあって、今日では、開発におきます小型武器の除去は非常に重点化されたプログラムとなっております。ですから、そのような効果もありますので、あきらめずに世界銀行系にもよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、次に移りたいと思います。次の私の質問は、多国間協議体におきます日本外交の存在感の向上にかかわることです。

 言うまでもなく、外交にはバイとマルチという二つがありまして、それは、二国間、日本と相手国の外交と、あともう一つは多国間外交と呼ばれまして、国連やジュネーブ、各種条約協議体などにおきます多国間の協議であります。

 マルチの外交の課題といたしましては、日本はそれを支える事務局の邦人職員の増加ということを目指してきたわけですけれども、あわせて、今後は、政府間の協議体の議場そのものにおきます議長職を奪取する、取得するというところを目指すべきではないかと思います。

 なぜならば、国際的なルールはまさに政府間の協議体において決まるわけで、議長職とは、今日におきましては非常に実質的な強い権限と情報収集力、大国も議長のところにはどんどん情報を持ってくる、そういうこともあります。そして、結果として、強い調整権限、議長総括を起案するあるいは議長裁定を行うというようなことがなされます。ぜひ日本として、そのような議長職をもっと積極的にとるということを一つの外交の目的にしていただければ、あるいは方法論としていただければ、どれほど日本外交の存在感が増すかわからないと思っております。

 しかし、つい最近非常にいいニュースがありまして、ひとつ私も軍縮の分野で仕事をしておりましたので心から喜ばしいと思うのですが、ウィーンに赴任されました天野大使がIAEA、国際原子力機関の理事会の議長に選出されました。それから、ジュネーブに行かれました藤崎大使が国連難民高等弁務官事務所執行委員会の議長に、つい最近ですが、選出されています。

 このような競争的にとる議長、場合によってはアルファベティカルオーダーに回ってくる議長職もあるんですけれども、競争的にとる議長というのはやはり非常に難しいのですね。その困難性ももっと国内で理解されるべきと思いますけれども、ぜひこのような流れが続くことを期待したいと思います。

 そこで二つ質問なんですけれども、まず、そういう外交を目指すためには、ある意味で何十年もかけて若い外交官の育成から腐心していかなければならないということであります。将来、多国間協議の場において日本議長が続々と誕生するように、若い外交官の志を励まし、そしてまた、そのような目的意識を持ってもらえるような省内での育成の仕方ということを副大臣にお伺いしたいと思います。

 それからもう一つは、バイの外交官が、もう少しマルチの目的、マルチ外交の場におきます日本の関心事項において、まず内容に精通していただき、そして赴任している先の先方政府にマルチの議場におきます日本の主張を常に働きかけるというような、連動性のある外交を一層展開していただきたいと思います。

 さきの国連安保理常任理事国を目指す外交においては、初めて本格的にそのような流れが、私は外部から見ておりましても感じられましたけれども、ぜひマルチの場におきます日本の主張を、バイの外交は日本の場合非常にすぐれた水準を維持しておりますので、それを動員して、マルチの外交におきますさまざまな成功をおさめるよう期待したいと思います。

 そのようなバイの外交におきます新しい方向性の拡充、もちろん二国間の外交処理というのは一番重要ですけれども、それとあわせて、そのような視点を拡充していくということについての副大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

谷川副大臣 委員が軍縮大使をしておられたときに、いろいろ議長をしておられて大変な成果を上げていただいたということは十分承知をいたしておるところでございます。そういう意味では、多国間の枠組みの議長を務めるということは、我が国の国際貢献を行っていく上でも、また我が国の国益を可能な限り反映させていくという上でも、大変望ましいことではないかなというふうに思っておりますし、また極めて重要な方策の一つであるというふうに考えております。

 したがいまして、このような考え方から、政府といたしましても、これまで数々の国際機関その他の多国間の枠組みにおきまして議長職を務めているところでございまして、今後とも、こうした外交努力も重ねながら、グローバルな課題に対しましても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 同時に、ただいまおっしゃいました今度の国連の常任理事国入りにつきましても、ちょっと私もG4に偏り過ぎたのではないかという考えも持っております。今委員のおっしゃったように、それぞれの国に対して、別の角度からいろいろな、外交、優秀な方々もおられるわけですから、そういうところの情報も十分とりながら、積極的に進めていくという面もこれから大いに取り入れていかないと、何となく、一極だけでやるとちょっと視野が狭いということになろうかというふうに思っておりますので、今後そういう方向にも努力したいし、また若い外交官をそういう形で育てていくということが大変重要ではないかなというふうに思っておるところであります。

猪口委員 どうもありがとうございました。

 質問を終えるに当たりまして、私は、この機会に一言、十一月十五日に予定されています紀宮内親王殿下清子様の御結婚、心からお喜び申し上げたいと思います。内親王様は、まさに人の和、平和の心、それを体現するかのようなお方でありまして、これまでの御貢献に感謝し、末永いお幸せをお祈り申し上げたいと思います。

 あわせて、皇后陛下が七十一歳のお誕生日の際に述べられましたお言葉なんですけれども、サイパンの両陛下の御訪問との関係でのお言葉、私は胸にとめたいと思います。「戦争と平和につき、更に考えを深めていかなければいけないとの思いを深くしています。」私も、一日本女性としてこの言葉を大事にこれから活動してまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

原田委員長 次に、鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐でございます。新人かつ若輩者ということでございますけれども、何分よろしくお願いいたします。

 まず、きょうは今週最初の外務委員会ということでございまして、本来であれば、日中首脳会談の成果などを伺えればと思っていたんですけれども、そうもいきませんので、本日は、対中政策、対中国外交というところに絞って質問を進めてまいりたいと思います。

 まず、外務大臣におかれましては、本当に、難局が続く中、難しい日本外交のかじ取り、日々激務をこなされていることに心より敬意を表したいと思います。

 さて、早速の質疑でございますけれども、まずは、十月の初めに行われました東シナ海等に関する日中協議の場におきましてなされました日本側の提案、これはたしか、記憶している限りでは次回の局長級会合において回答がなされる予定だったと聞いておりますけれども、その日本提案に対する中国側の回答の状況につきまして、現時点での事実関係を担当の方より伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今委員申されたように、九月の三十日、十月の一日に行われた日中協議におきまして、三点提案をいたしました。もう御承知だと思いますので省略させていただきます。

 これに対しまして、その会議の場で中国側は、日本側提案を真剣に検討し、次回協議で中国側の考え方を示したい旨回答がございました。次回協議につきましては、現在できるだけ早いタイミングで開催できるように調整を行っておりますが、まだ日程は確定できておりません。

 いずれにしましても、日本側としましては、次回協議におきまして、我々が先般行いました提案に対して中国側から前向きな回答があるというふうに期待をしております。

 以上でございます。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 ただ、東シナ海につきましては、胡錦濤主席初め中国政府は友好と協力の海にしていこうという話を常々されておりまして、日本政府としては、それに基づいた政策をとっているのかな、そういったふうにも見受けられるわけではございます。さはさりながら、最近の中国政府の動きを見る限り、協力の海といっても、それは日本が中国に協力していく、そういう海というのを向こうはイメージしているのではないか、そういった危惧を覚えるわけでございます。

 この点に関しまして、中国側が、彼らが言ういわゆる係争地域以外の東シナ海についても本当に日本側に協力していく意思を持っているというふうに外務省は本当にお考えなのか、そういったところについて、具体的な判断の材料とともに伺えればというふうに思っております。

町村国務大臣 先ほどは、鈴木委員から大変温かいお言葉をいただきまして、どうもありがとうございました。

 中国との関係における東シナ海のことでございますが、これは、累次の首脳間での話し合い、あるいは累次の外務大臣同士の話し合いで、文字どおり友好の海にしようということで、どうやったらこの共同開発、だけが唯一ではないと思いますが、基本的には共同開発の具体化というものを実現していくのかということで、大きな方向は双方共有している、こう私は受けとめております。

 今参事官がお答えをいたしましたように、真剣に受けとめて持ち帰って、次回回答するということを述べたことなども、先方がただ単に言葉の上だけで協力の海と言っているのではないだろう、こう私は受けとめているわけでございます。

 ただ、現状では中国側の主張と日本の主張が、全く重なる部分がないものですから、これでは、正直言ってどこかに接点を求めるといっても、現状、大変難しいわけでございまして、お互いの提案を出したところで、これからそのギャップをどう埋めていくのかということをそれぞれ具体の話としてやっていく必要があるんだろうと思います。

 係争地域以外の東シナ海についてもどうするのかということでございましたが、係争地域以外の部分についても、いずれの国もこうした石油あるいは天然ガスが必要であるということは、中国も必要だし日本も必要だし、またそれに一定の投資をし、技術的な面での努力をしながらやっていかなければならない。

 これはまさに、よく言われているウイン・ウイン、どちらも利益が上がるという関係を両立させることの可能な分野である、こう思っておりますから、そういう意味で、私は、真剣な話し合いを通じて一定の答えが得られるものだ、こう確信をしているところでございます。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 ただ、そうはいいましても、やはり最近の東アジア情勢、ラムズフェルド国防長官が中国に行き、また胡錦濤国家主席が北朝鮮に行く、そういったような活発な外交がされている中で、ただ日本だけが中国からいろいろと外交日程をキャンセルされている。ひとり日本だけが立場が悪い方向に追い込まれているのかな、そういったような懸念も持たざるを得ない状況であると思います。もちろん、両国間の関係、隣国同士でございますから、ここは滞りなく進んでいくのが最もよいとは思うのですけれども、不幸にして現状はそうではないのかなという認識を私個人としては持っております。

 ただ、このような状況におきましても、もし仮に、例えばこれは日中の間でございますけれども、そういった両国の間において、日本側が時間を味方につける。これは具体的にどういうことを意味するかというと、すなわち、早期に会談を行わなければ、テーブルに着かなければ中国側としても状況が不利になってしまう、そういったような判断を中国政府ができるような状況をつくり出せば、こういったスタックしている状況というのも改善されるのかな、そういったことを考えるわけでございます。

 すなわち、この認識といたしましては、現状で、やはり諸々の状況から判断いたしまして、中国政府として、日本との交渉のテーブルに積極的に着くインセンティブが実はないのではないか。靖国問題というのはそのテーブルに着かない格好の口実を提供してしまった、そういった口実とされているだけではないかというような認識も一部持たざるを得ないのかなという考え方もしてしまう次第でございます。

 例えば、そういった観点からいきますと、東アジアのガス田問題を例にいたしますと、ガスを実際に発掘して、採掘して生産するプロセスに今向かいつつある中国というところを見ますと、やはり彼らとしては、日中間の外交状況が非常に思わしくなくて、交渉のテーブルに着けない状況が続けば続くほどみずからに有利な状況が恐らく生まれてくるという一方で、日本は今まだ試掘もできていないという状況にある。そういった結果、いたずらに足元を見られてしまっている状況にあるのではないかな、そういった懸念も持つ次第でございます。

 春暁は非常に係争地域ではございますけれども、そのガス田では間もなくパイプラインが通じるのではないか、そういったような報道もございます。こういった状況であるからこそ、実は日本政府としては一刻も早くこのガス田の試掘というものも行って、実際に生産に向かい得るということを少なくとも国際的に見せつける。見せつけるという言い方はよくないですけれども、見せる、そういったスタンスも重要か、そういう考え方もあるかとは思うんです。

 その点につきまして、試掘を行うのであれば、そのタイミングというのをどういった基準で判断されるのか、そういった判断基準というものを伺えればというふうに思います。

町村国務大臣 この地域での試掘については、鉱業権者が帝国石油でございます。帝石がどういう判断をするのかということ、今急いでこれをやるということで具体的な話があるというふうには私は聞いておりませんけれども、主務官庁である経済産業省とこの鉱業権設定の許可を行った際には、試掘を実施する場合には前もって政府と相談をしていきます、こういう話になっているようでございます。したがって、今申し上げたように、鉱業権者である帝石から、試掘に関して具体的にどういう計画でやろうとしているのかということについては、まだ具体の御提案はないということのようでございます。

 いずれにしても、御相談がある場合には、私どもとしては、その時点での状況というのを見据えながら粛々とこれは進めていくべき分野の話であろう、私はこう考えているところであります。

鈴木(馨)委員 状況はよくわかりました。さはさりながら、中国の状況を見ていますと、やはり民主国家である日本とは異なって一党独裁、そういった不自然な、抑圧的な体制をとっている国でございます。そういった国の政府、その最大目標というとやはり権力の維持ということになるわけでございまして、そのリスクになるような世論の暴発、そういったものは無理にでも抑え込まなくてはいけない、そういった状況にあるのだろうと思います。

 こういった話をなぜするかといいますと、やはり国内の不満が限界値に達しないように常にコントロールせざるを得ない体制である中国というところを見ますと、今回の靖国の参拝に対する抑制された対応というのも、日本への配慮というよりも、どちらかというと国内のいびつな政治体制、そういったものの維持のために迫られたものであるということも言えるのかなという点を考えますと、ここはやはり靖国で状況が非常に悪化してしまった日中関係、こういったものを見ますと、逆説的に言えば、今このタイミングでこそ、ある意味一つのガス田の試掘を行うようなタイミング、外交的にいえばそういうタイミングにもあるのかなという考え方もどうしても出てくるのかなと思う次第でございます。

 これは一民間企業の判断ということでございますので、そこはそれを尊重してという外務大臣の御答弁でしたので、それはそういうことなのかなと思いますけれども、タイミングというのは常々、外交の話でございますので、そういったところも踏まえて考えていかなくてはいけないのかなというふうに考える次第でございます。

 次の論点に移りたいと思います。

 少し前になりますけれども、七月でございましたか、中国の人民解放軍の朱少将という方だったと思いますけれども、一つ非常にびっくりするような発言がございまして、これはたしか欧米のメディアに対しての発言ということでございました。

 台湾に関する紛争に米国が介入した場合、それは本土に対する攻撃であっても、また艦船に対する攻撃であっても、米国本土に対するミサイル攻撃というものを、核攻撃というものを選択肢として排除するわけではないと明言したということがあったと思います。

 非常にそれは国際的にも波紋を投じた発言ではございますけれども、その後のこの少将の軍内での取り扱い等を見ますと、この考え方というのは中国の政府の考え方とさほど違うものではないのかなというふうな分析をせざるを得ない次第でございます。であるとすると、このことがもしかすると日本の安全保障上に持つ意味というのは実は非常に重要なのではないかなという考え方も成り立つと思います。

 台湾の有事の際にという注釈つきではございますけれども、これは中国の考え方からしますと、もしかすると、この主体が日本ということであっても同じようなことが言えるのかなということを考えてしまうわけであります。もちろん、これは中国の対米の牽制でございますので、日本も尖閣列島を初めいろいろと、中国との間に軍事的な抗争が起き得る、そういったスポットというのを持っているわけでございますので、やはり日本としても全く他人事ではいられないのかなというふうなことを考えてしまうわけであります。

 例えば尖閣列島でそういった紛争が起こった際に、アメリカというものが、果たして自国が核攻撃にさらされる、そういったリスクを冒してまで日本を本当に守るのかなと。こういった発言があった後で、しかも中国の核戦略というのがそういった先制論に傾いているとすれば、非常にこれは憂慮すべき事態ではないかなと。

 米国といっても、究極目的は、日米同盟はございますけれども、やはり最終的には日本の安全保障でございます。そういったことを考えますと、日米同盟を守って日本を守るということと自国を核攻撃のリスクにさらすということ、どちらがアメリカの大統領が選択をするかということでございますと、やはりそれは自国を守ることにどうしても傾くというふうに考えるのが自然かなと思います。

 もちろん、こういった状況というのは望ましくないのでございますけれども、中国政府の核戦略の考え方というのがもし仮にそういう方向に向かうのであるとすれば、日本としても、これはやはり政府としては自国の安全は自国で、自分の手で守るという方向にどうしてもいかざるを得ないのかなという推論も出てくるわけでございます。

 もちろん、仮定の話で恐縮なのでございますけれども、仮に中国が本当にこういった戦略的な転換をしたというふうに考えられた場合には、今申し上げましたように、日本としても、アメリカに頼らずに独自に自国の安全を保障できるような能力を整備するということも国民を守るという政治の観点からは必要なのかなと、そういった検討も、これは中国への牽制という意味を含めて必要なのかなという考え方も出てくるのかと思いますけれども、この点について外務大臣の御見解を伺えればというふうに思います。

町村国務大臣 報道によりますと、今委員が言われた朱中国人民解放軍少将が、この七月の外国記者団との懇談で、アメリカが中国領土の標的にミサイルや精密誘導弾を発射すれば中国は核兵器で対抗しなければならない、あくまでも、中国が先に撃つというよりは、中国が攻められた場合には対抗手段をとりますよ、こういう発言をしたようでございます。

 これについて、その後、中国政府は、これは個人の考えで政府の立場ではないということを述べているようでございます。また、九月に中国政府が発表した軍備管理・軍縮・不拡散白書というものがあるようでございますが、これでも改めて、核の先制不使用ということを言っているようでございます。

 したがって、私は、この少将の発言が米中関係とか日米関係を取り巻く安全保障環境に大きな影響を与えるという考えは、率直に言って持っておりません。ただ、そういう考えが一部にはあるんだなということを発見したということは、それはそれなりに意味のあることだとしっかりテークノートしなければいけないんだろう、こう思っております。

 では、日本はどうか。例えば、これは仮定のお話で述べられたんでしょうが、尖閣をめぐって日中間で軍事的な紛争が起こった場合どうするんだ、日本の備えは十分なのか、あるいはアメリカは本当に日本を防衛するために来るのかというお尋ねでございました。

 これは仮定の問題ですからあくまで一般論でお答えをするしかないわけでございますけれども、例えば尖閣というのは、日米安保条約第五条で述べております我が国固有の領土、これは固有の領土であることはもうはっきりしているわけでございまして、日本の施政下にもあるということでございます。したがって、安保条約は、当然のことでございますけれども、この尖閣にも適用されるということは論をまたないところでございます。

 その上で、また一般論として申し上げれば、日米安保条約上、日本に対して武力攻撃がある場合には米国が防衛をする義務を負っている、そしてアメリカがその義務を遂行するということについて私ども日米の深い信頼のきずな、日米同盟というものがあるわけでございますので、米国がこの義務を履行しないということを想定することはできないわけでございます。

 もとより、しかし日本はみずからの適切な防衛力の整備に努める、みずからの国はみずからの手で守る、そういう気概がなければならないし、それにふさわしい防衛力の整備を進めるということは他方当然のことでございまして、そういう意味で、昨年の十二月、我が国の防衛に関する基本方針が決められたのもそういう考え方に基づいて決められている。

 いずれにいたしましても、このアジア太平洋地域は依然として不安定、不確実な状況があるわけでございますので、一方で日米安保条約をしっかりと機能できるようにしておくとともに、みずから自身の防衛力整備の努力というものも相まって、しっかりとした我が国の安全保障の確立に努めてまいらなければいけない、このように考えております。

鈴木(馨)委員 どうもありがとうございます。

 時間が参りましたので、最後に一言申し述べさせていただいて終わりたいと思います。

 町村外務大臣の御見識には常日ごろより本当に尊敬の念を抱くものでございますので、非常にこれは余計なおせっかいということになると思いますけれども、私個人、政治家として申し上げますと、やはり安全保障というものは、常々、各国のバランスによって変わってくるものであります。ですから、条約というものも絶対的なものではないというのは、これはある意味、言わざるを得ない、考えざるを得ないものだと思います。

 それを大前提とするのではなくて、やはり現実というもの、そういったものに柔軟に対応できるようなそういった安全保障政策、それを外務省としてはしっかりやっていっていただきたいと思いますし、そこはそういった御検討もなされていると思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

原田委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 おはようございます。公明党の丸谷でございます。

 本日は、幾つかお伺いしたい点がございますけれども、まず一点目は、パキスタン地震のその後についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 パキスタンで八日に発災いたしましたこの地震でございますけれども、本当に残念なことに、いまだ被害の全容、概要というものがつかめていない状況で、死者もふえております。復興というところまではまだまだ手が届いておりませんし、被災者の救済に向けては世界各国が努力をしているのにもかかわらず、毎日死者の数がふえている状況でございます。

 自民党さんも募金活動をされたと報道で見ましたけれども、私自身も、先日、札幌駅前で募金活動をさせていただきまして、本当に道民の皆様、また国民の皆様がパキスタンで被災された皆さんに対して真心を届けたいという日本国民の思いというのは、私たちも含めて、確かにしっかりと届けていかなければいけないなという思いがしております。

 今回のパキスタンの地震におきましては、国際緊急援助隊、また自衛隊、そしてNGOが日々救済に汗を流していらっしゃることに関して、心から敬意を表しております。

 例えば、人道復興支援活動をしていらっしゃいますNGO、JENという組織がございますけれども、この組織が行っているのは、実際には地震発生の翌日にパキスタン入りをいたしまして、カシミール地方山間部でありますバーグの方に向かったそうです。このバーグという地域は、標高約千八百メートルに位置をしておりまして、この時期には気温が十度以下になることから、このNGO、JENは、テント約二千張りを手配し、順次バーグに搬入をしていらっしゃる。これは一つの例でございます。

 また、NPO法人の日本レスキュー協会は、救助犬を使いまして生き埋めになった被災者を捜索し、今回の活動の中では十月十七日に既に帰国をされていらっしゃいます。

 こういったNGOの活動、日本が海外で行う被災者支援においては、自衛隊あるいは国際緊急援助隊はもちろんですけれども、こういったNGOの活動というのは重要であり、互いに補っていくことが必要であると私は考えております。このNGOの重要性について、政府の認識をまずお伺いさせていただきます。

町村国務大臣 委員御指摘のように、こうした災害の折にNGOの皆さん方が大変な活躍をするということについては、例えば先般のスマトラ沖大地震、その後の津波の復旧などを見ましても、そのことを私も強く感じております。日本国内のNGO、また国際的なNGO、それぞれの国の政府また国際機関、すべての協力のもとに、もとより現地政府なども当然でございますけれども、こうした緊急事態に対応していくということにはいろいろな方々の力が必要なんだなということを痛感いたします。

 特に、今回のパキスタンの災害における直後から、ジャパン・プラットフォーム傘下のNGO等による初動調査あるいは緊急人道支援活動に対しまして、資金供与を含めて日本政府も積極的に協力を行ってまいりましたし、今後もまたこういうケースにおいて、やはり政府が、自衛隊が行くというとどうしても準備に時間がかかったり、手続をきちんきちんと踏まなきゃならないということで、ややもすると初動がおくれてしまうこともございます。

 その点、NGOの皆さん方の非常に敏速なる行動というものに期待を寄せる部分もあるわけでございまして、いわば車の両輪といったような形で、NGOの皆さん方にも今後いろいろな活動をしていただきたいと私も心から期待をしているところでございます。

丸谷委員 先ほど御紹介させていただきました人道支援活動をしていらっしゃるNGOのJENの方とちょっとお話をいたしましたら、実際に彼らは翌日に現地入りをして、そこの現場に着いたときには彼ら以外にほかの国のNGOが見当たらなかったというぐらい迅速に現地に着くことができたということでございます。

 NGO自体にも到着時間においては若干温度差があるというのもまた事実でございまして、例えば日本レスキュー協会の皆様は、現地に到着をされたのが残念なことに被災されてから四日目だったということでございます。その理由としましては、日本レスキュー協会は救助犬を連れていくので、この犬の検疫に時間がかかったのかなと思いきや、逆にスタッフ、人間のビザの取得の方に若干時間がかかってしまって、それで、せっかく救助犬を連れていったんだけれども、四日目だったということで生存者を見つけることはできず、非常に残念な結果に終わりましたというお話をお伺いいたしました。

 阪神・淡路大震災からも、私たちはこの救助犬については学んだことがあると思います。救助というのは発災より七十二時間が大事であるということ、生存者を見つけるためにはどれだけ早く現場に着けるかということが大事になってくることは言うまでもございません。まず、この教訓からお伺いをさせていただきたいのですが、NGO、特に国ができないような活動をしていらっしゃるNGOが迅速な活動が展開できるように政府はなるべく便宜を図っていくべきだと考えます。

 例えば、国際緊急援助隊については公用旅券が日ごろから準備をされておりますし、ビザの取得も迅速にできる仕組みになっております。NGOも同様の手続にするとか、あるいは移動手段の確保として、政府が確保した民間機の座席を提供する、あるいは政府専用機への便乗もあわせて、いろいろな方法が考えられると思いますけれども、この点についてはどのようにお考えになるでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたとおり、NGOの方々がこうした支援活動に際しまして、とにかく迅速に現地に到着をして活動を開始されるということは極めて重要でございまして、特にこうした人命にかかわる活動ということであれば、まさに一刻を争うということだろうと思います。

 そのために私どもといたしても、今お話がございました旅券の問題であるとかビザの問題、こういった問題につきましては、側面的ではございますけれども、今回の場合もパキスタン国のパキスタン大使館等に連絡をとりまして、このNGOの方々の査証取得等についてはできるだけ速やかにやってほしいということで話をし、実際問題として、今回もそうした査証取得等については全体としては速やかに行われたものというふうに認識をいたしております。

 こういったNGOの方々の活動を支援し、特に速やかに現地に到着できるようにということにつきましては、私ども、今後ともこれは引き続きできるだけのことをしていきたいというふうに考えております。

 また、先ほど救助犬のお話もございましたが、これはまさに支援の際にこういった救助犬が必要になる場合もあるということで、例えば各国の検疫の情報であるとか、どういう体制で救助犬が入れるかといったような問題についても今後NGOの方々ともよく協議をしていきたい、我々として側面的に支援できることがあったらぜひ支援をさせていただきたいというふうに考えております。

 また、例えば、今回は政府専用機ということはなかったわけでございますが、仮に政府専用機を運航するというような場合には、可能な範囲内でNGOの方々が同乗をするということについても、政府内で協議の上検討していく、こういったことも考えていきたいというふうに考えております。

丸谷委員 今、救助犬について御答弁をいただいたので、ちょっと重ねて質問をさせていただきたいと思うわけでございますけれども、例えば阪神・淡路大震災のときには、イギリスから来た救助犬が検疫の関係で実際には日本で活動することができなかったという現状もございます。ですから、救助犬の問題に関しては、我が国がどう受け入れていくのか、あるいは国際社会に、被災された海外の国においてどう受け入れてもらうのかという相互の理解を政府レベルで行っておかなければ、NGOに幾ら情報を与えても、実際には迅速な入国そして救済というのが難しくなってくると思います。

 この認識は、ぜひ、もちろん政府も共有していただいていると思うわけでございますけれども、こういった日ごろからの政府間での議論というか話し合い、土台、すぐ入国できるような環境づくりというのを進めていただきたい、このように思いますけれども、この点について御答弁いただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 今御指摘をいただきました救助犬ができるだけ活動できるようにという問題につきましては、おっしゃられたように、まさに我が国の体制も関係をするというような問題でございます。先ほど私、情報収集ということを申し上げましたけれども、我が国の体制にも関係があるということで、そしてまた、それを相手国がどう受け入れてくれるかということにもかかわることでございますので、全体として、我々、先ほどNGOの方々といろいろ相談をしていきたいということを申し上げたんですが、むしろNGOの方々がよく御存じの点も多いということだろうと思いますので、こうした問題についてもよく相談をさせていただいて、ぜひ円滑な活動ができるだけ行われるようにという方向で検討を進めさせていただきたいと思います。

丸谷委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 災害というのは、当然、国、場所を問わず、時間を問わず起こるわけでございまして、そこに救済に向かう日本のNGOの数もふえています。また、そういった人材が育っていくことも日本の国益にかなっているものとして政府としては応援をしていただきたいと思います。

 また、NGOの皆様も、非常に本当に真心からの活動を一生懸命頑張っていただいておりますけれども、NGOの皆様自体も能力を高めていく努力もしていただくことも必要であり、そしてそれに必要な支援であれば政府は行っていくということも必要だというふうに私は感じておりますので、また政府として今後の取り組みのほどよろしくお願いいたします。

 では、時間が参りましたので、最後に、来月の二十日に来日を控えていらっしゃいますロシアのプーチン大統領でありますけれども、今回の来日が日ロ双方にとってそれぞれの国益にかなった会談と結果が出ることを期待してやみません。

 領土問題あるいはエネルギー安全保障の問題については、何回か委員会で質問をさせていただいておりますけれども、なかなか交渉事ということで、今どうなっているのか、あるいはこれからどうなっていくのかということに関しては、細かな御答弁というのはいただけていないのかなというのが実態でございます。それが交渉なのかなというふうにも思うわけでございます。

 今回のプーチン大統領訪日に際し、エネルギーの安全保障の観点から、太平洋パイプラインについての議論もされると思います。外交当局といたしまして、このエネルギー安全保障についてはどのような結果に導こうと思い、交渉をされるのか、この点について御答弁願えれば幸いでございます。

町村国務大臣 この太平洋パイプラインの話、私自身も、ラブロフ外務大臣あるいはフリステンコ産業エネルギー大臣と数次にわたって会うごとに、この話は議論をいたしております。また、中川経済産業大臣もフリステンコ大臣等との協議を意欲的にやっているところでございます。

 一番最近時点では九月の国連総会の際に日ロ外相会談をやりました。先方ラブロフ外務大臣からは、太平洋パイプラインの出口は必ず太平洋に持っていきたい、このプロジェクトを日本と協力していきたいという先方からの発言があったところでございますが、どういう時期、どういう段階でということについては必ずしもまだはっきりしていない部分もございます。

 その辺を今回のプーチン大統領の訪日の際にどこまで具体の話として煮詰めることができるか、その準備を今さまざまな専門家会合などを通じやっているところでございまして、久しぶりのロシア大統領の訪日でございますから、このエネルギー問題を含め、もとより日ロ間の最大の懸案であります四島の帰属に関する問題を解決して平和条約を早期に締結する、もって両国の関係を完全に正常化するという大目標に向けての確実な第一歩が何らかの形で示せるように努力していきたい、こう考えているところでございまして、今回の訪日の成功及びその後の交渉につなげていきたい、かように考えているところでございます。

丸谷委員 どうもありがとうございました。

 非常に現在の日ロ関係、期待していたよりは前進をしていないというのが実感でございます。この時期に、また原油高の国内産業に与える影響、経済に与える影響を見てみましても、エネルギー安全保障というのは非常に重要であり、それがまた太平洋パイプラインあるいはサハリン1、サハリン2プロジェクトにつながってきたものでございますけれども、ぜひ、このエネルギー安全保障の面でも実りのある結果が導かれるように政府として努力をしていただきたい。

 また、領土問題に関しても、本当に平均年齢八十二歳になられた旧島民の方も非常に熱いまなざしで今回の大統領訪日を見守っていらっしゃいます。

 外交努力、日ごろ重ねていらっしゃいますけれども、さらにさらに今回の大統領訪日時の結果が実り多きものとなりますように努力をしていただきたいと申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 中国の問題でありますが、中国に関して、例の、ことしの春先に反日デモが行われました。反日デモというよりは反日暴動ですね、あれはデモではなく暴動であります。この反日暴動による日本大使館の破壊活動、これに関して中国側から現在に至る間に謝罪があったのか、賠償があったのか、このことについてお伺いいたします。

町村国務大臣 この問題については、委員から既に何度かこの委員会でも御指摘をいただき、御質問もいただいております。

 四月それから五月の日中外相会談におきまして、私から、陳謝、損害の賠償等につき申し入れをいたしたことを初めとして、事務レベルでも数次にわたり中国側の責任ある対応を求めているところでございます。

 先方からは、国内法、国際法を尊重して責任ある対応をしていきたいという旨の表明があり、また、大使館、大使公邸等に生じた損害の原状回復についても誠意を持って対応するという意向が伝えられているところでございます。既に被害の修復が行われた部分もございますし、またその内容について、例えば材料とか仕様とか工事方法、こうしたことについての技術的な話し合いを最終的に詰めているという部分もございます。

 いずれにしても、この問題について多少のおくれがある部分もあるようでございますが、しっかりとした対応を先方に引き続き求め続けていこう、こう思っておりますし、その作業は既に始まっているということでございます。

 陳謝につきましては、委員御承知のとおり、中国側からその表明はなされていないわけでございますので、今後引き続き中国外務大臣等と会う機会が、本当は先週末あったはずでありますが、それができなかったわけでありますけれども、適切な対応が中国側から示されるように、そのことが日中の相互信頼を確立する上からも重要と私ども考えておりますので、引き続きこの点については求め続けていこう、かように考えております。

松原委員 中国側がこの上海の総領事館と北京の大使館は修復をする方向の意向であるということでありますが、それは物理的な議論でありまして、やはり本質論からいうならば、修復をして原状復帰すればそれでいいということではないと思うんですが、御所見をお伺いします。

町村国務大臣 ちょっと委員の言っている意味がよくわかりませんけれども、まず陳謝を求める、その上で原状復帰をするということで、前者の方はいまだなされておらず、後者については今その作業が進んでいるということを今御答弁したところでございます。

松原委員 言っている意味がわからないというのがどういうことか、こちらもわからないんですが。私は、中国が少なくとも原状復帰をして、陳謝ということはもうしないんじゃないかということを恐れているわけであって、大臣も先ほどこれは従来から議論があったというふうなことでありますが、私はやはりこの問題は中国側に陳謝を求めるという、このことは繰り返し繰り返し言っていかなければいけないと思うんです。

 のど元過ぎれば熱さ忘れるではいけない議論であって、したがって、中国側が陳謝をするまで私がこの外務委員会にいる限りは町村さんに何回も同じことを言わなきゃいけなくなってしまう。でありますから、これは陳謝を求めるという姿勢は、これは変わりなくこれからも続けていくということでよろしいわけですね、理解は。

町村国務大臣 そういう答弁を私は今したつもりであります。

松原委員 次に、先ほどもお話がありましたが、今月の、調整をなさっておられたということでありますが、訪中をする予定だったと。この訪中が中国から拒否をされたわけでありますが、中国から何ゆえ訪中が拒否されたというふうにお考えか、お伺いいたします。

町村国務大臣 この点につきましては、十八日の午後、中国外交部アジア司副司長より在中国大使館公使に対して、中国側としては当面の状況のもとでは雰囲気がふさわしくないため日本外務省、外務大臣の訪中は受け入れ困難である、こういう連絡があったというふうに報告を受けました。

松原委員 これは巷間伝わるところでは靖国の問題だろうと言われておりますが、私は近隣諸国と話し合うことは極めて大事だと思っております。それは日本が国際社会の中で孤立をしないためにも大事であります。

 しかし、そのことも大事だけれども、ある意味ではそれ以上に、日本の国内の私たちが自信を持った外交を見るということも同じぐらい大事だろうと思っておりまして、率直に言えば、靖国で中国が非常にそのことに対して日本に対しての反発を強める以上に、私は、冒頭申し上げた日本大使館に対する中国の暴徒による破壊活動の方がはるかにウエートは重いというふうに思っております。

 もし中国が小泉総理の靖国けしからぬというのなら、それ以上に中国のこの暴動による日本大使館の破壊等の方が私はより憤激をするべき内容だと思っておりますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

町村国務大臣 それは松原委員の貴重なお考えとして受けとめさせていただきます。

松原委員 次の質問に移ります。

 先般、これも委員会で、中国反日教育、私はここへ中国のティーチャーズマニュアルを持ってきて、中国の反日暴動の原因にはすさまじい反日教育がある、牢記という言葉を使って、日本に対する恨みを骨髄まで埋めるべきだ、こういう表現を中国は歴史教育の中のティーチャーズマニュアル、これは新しい改正版でもこういった内容が書いてあるわけでありますが、このことを指摘したわけであります。

 こういった指摘もあって、中国の反日教育のティーチャーズマニュアルの実態等を調査するというふうなお話があったわけでありますが、その成果はどうなっているか、お伺いいたします。

岡田政府参考人 お答えします。

 今先生の方から御指摘のあった教師読本でございますけれども、我々の今後の政策の参考とするために、中学一年から高校三年までに相当する学年で使用されている教科書に対応した十六冊の指導参考書について、日本関連の記述を取りまとめる作業を行いました。

 それで見ると、学年が上がるにつれてやはり日本関連の記述が増加する傾向があります。また、全体的には、抗日戦争の過程で中国人民がいかに愛国的に戦ったか、そういうことを強調するいわゆる愛国主義的な色彩が濃く反映されています。

 また、委員から、これは五月に御指摘のあった、いわゆる田中上奏文への言及とか、一八七四年の台湾出兵を、大陸政策の第一歩として台湾を侵略した、そういうような記述など、疑問を指摘されるようなものもございます。

 当省としては、記述内容についてさらに精査した上で、中国側にしかるべく提起することも含めて、適切な対応を検討したいと考えております。

松原委員 これはなるべく速やかにやらないと、その教育で学んだ中国の無辜な一般の善良の人たちがいつの間にか反日に染まっていく、こういった可能性があるわけでありまして、いつごろのめどでそれがまとめ上げられ、そしてそれをもってどのような抗議をするのか、この段階でお示しいただけるものがあればお示しいただきたい。

岡田政府参考人 私どもとしては、現在この教師用の指導マニュアル的なものの検討もしてございます。それからまた、民間の研究者にお願いして教科書の記述自体の分析もしていただきまして、それに基づく検討もしております。

 そういうものを踏まえまして、いわゆる中国の教育そのものが日本と中国との関係に与える影響を考えながら、日中関係の全体を見ながら、速やかに措置をとっていきたいと思っています。

松原委員 少なくとも今の見解としては、これはちょっと問題提起をして中国に何らかのことを言わなきゃいかぬなという箇所がある、こういう理解でよろしいですか。

岡田政府参考人 今現在については、今先生に申し上げましたとおり、私どもとしては内容について精査している段階なので、今の段階でその結論についてはちょっと申し上げるような状況にまだありません。

松原委員 いや、田中上奏文とか具体的なことを今おっしゃったわけだから、ああいったあり得ない文章を日本の侵略戦争の理由にするような、こういったことはきちっと、やはり我々の先祖に対しての名誉回復を含めて言っておかないと、さっきあなたがおっしゃったように、そういった箇所が散見されるわけだから、それはきちっと抗議を速やかに申し入れてほしい。中国側だって、一部の中国の学者の中では、こんなことまで載せていたらまずいんじゃないか、日本に文句言われたらどうするんだ、こう言っているんですから。

 私は、教科書は歴史用の教師教本だけではなくて、他の一般のものまで今いろいろと分析をしております。

 これは小学校の教科書で、現物はちょっと今持ってきておりませんが、その中に、いわゆるベトナムとの係争になっている、これは西沙諸島ですね、パラセル諸島。南シナ海に浮かぶ多数の小島、中華人民共和国、中華民国、ベトナムが領有権を主張している。島々は、フランスが、フランス領だったんでしょうね、去ってからベトナムの管理下にあったが、一九七四年一月十九日、中華人民共和国によって占領された。

 ここは、読売新聞などにも記述が載っていますが、中国は、尖閣諸島に関しては、あれは岩だ、こう言いながら、ここの方は島の上に堅牢な建物を建てて、満潮時に水没してしまう島であるにもかかわらずというのは、これは有名な話であります。もうダブルスタンダードな話をしているわけでありますが、それは今ここでは申しません。

 このことを中国の方の教科書の中でどう書いてあるか。教師用の教本ですね、これも。

 豊かな西沙諸島という記述がありまして、この教材を選んだ意図は、生徒に我が国の南海水域の広さと豊かさを理解させ、西沙諸島の風景と美しさを味わわせることにある。中国が一九七四年以降実効支配し、ベトナムから奪ったわけですが、こう書いてある。

 学習目標、これは課文の主要な内容を理解させ、西沙諸島が美しく豊かな場所であることを理解させ、生徒の祖国を熱愛する思想感情を養う。熱愛というのは、祖国愛とかが中国は好きでありますから。

 そして、教学上の提案、生徒に文章を読んでポイントをしっかり把握させ、以下のキーワードをしっかり理解させることが必要である。西沙諸島は南海に浮かぶ島々であり、我が国の海防上の前哨基地である。地図を利用して生徒に西沙諸島を探させ、西沙諸島の地理的位置を確認させる。また、祖国の全体の地図と関連づけ、海防の前哨基地という意味を理解させ、西沙諸島の地理的重要性を了解させなければならない。

 これは、そもそも中国とベトナムの係争地域であったものを、今言ったように一九七四年に中国が武力によって制圧をし、そして、そこに対して、もうこれは中国の既得権だと。ほかの箇所でも、こういう領有権を争ったところに関してこういう記述を強く出している。これは海防上の前哨基地であると。

 私は、こういったところも分析して、やはり外務省としては、中国がどういうふうな対応で領域拡張しているのか。これは、西沙諸島は当初はフランスであり、フランスが植民地としていたところの場所であり、それがベトナムになった。フランスからベトナムになって、今中国になった。

 私は尖閣が、アメリカがそれは戦後一時尖閣を持っていた、日本の領有だと今言っている。しかし、日本は、尖閣に関してはヘリポートの補修をこれからするかどうかという議論でしょう。そこに人がいるわけじゃない。中国はあの場所まで日本のものだとはっきりと認めているわけではないでしょう。中国は、尖閣が日本のものだと認めていますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 中国は、日本の領土とは認めておりません。

松原委員 尖閣を中国が日本の領土と認めていないとするならば、ベトナムとの間に起こったようなことが私は当然起こり得るだろうと思うんですよ。起こった瞬間、彼らが尖閣を自分の領土であると、そして私が今、この小学校三年生の教師用のマニュアルですよ、教科書の、こういう記述が例えば今から十五年後のマニュアルに出てきたりしたら、これはどういうことになるか。

 私は、そういったところで、我々日本の国は毅然として主張することは主張していかなければいけないと思っているわけでありますが、そういう流れの中で、さらに伺っていきたい。今の中国の東シナ海のガス田開発に関してどんな状況になっているか、お伺いしたい。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 議員よく御承知のとおり、九月の末、十月の一日に第三回の交渉が行われました。その際、日本側から三点の提案を中国側にしております。その詳細については省略させていただきます。

 それに対しまして中国側からは、その協議の場におきまして、提案のあった点については真剣に検討して、次回の会合におきまして回答をさせてもらいたいという回答がございます。次回の会合につきましては、できるだけ早く会合を持ちたいということで現在調整中であり、中国側の返事待ちの状況になっております。

松原委員 中国側の天外天のいわゆる試掘といいますか、こちらの中国側の作業は今どんなふうになっていますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 天外天、日本語名で樫でございますが、このガス田につきましては、地下構造が中間線をまたがっている可能性があるわけでございますけれども、九月十九日現在、海上構築物上におきまして天然ガスの燃焼によると思われる炎を確認しております。このことは、天然ガスまたは石油の産出が行われ始めたという可能性があるものと考えております。

松原委員 パイプラインの敷設も含めて、どんどんと話が進んでいるようでありますが、これに対して我が方は、試掘の話が先ほどもちょっと出ておりましたが、これはなかなか現実は進んでいない。

 先ほど大臣の答弁で、これは帝国石油ですか、そちらの方から試掘をするという相談がまだないというふうな話がありましたが、それは丸腰で行って何かあったらできないわけですから、簡単に環境は整わないと思っているわけでありますが、中国のこの海域における、例えば海軍の動きとか、この周辺の地域であるんですか、今までのこの一カ月、二カ月の間。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 九月の九日に、海上自衛隊の哨戒機が、中国海軍所属のソブレメンヌイ級の駆逐艦一隻ほか五隻の船が、日本名白樺、中国名春暁でございますけれども、のガス田の付近を北西の方向に比較的高速で航行するのを確認しております。

 これにつきましては、日本側から、抗議とともに、どういう目的で航海しているのかということを確認しましたところ、中国側からは、それは通常の航行であるというふうに回答がありました。また、先般の第三回の協議におきましても、日本側からは、このような航行の中止を強く求めているところでございます。

 以上でございます。

松原委員 問題は、試掘を中国がやっていて、先ほどお話しのように、その資源は日本の領海を過ぎてこちらにも来ている可能性がある。それに関しても、油から出る火が燃えているわ、これは、現実は向こうにエネルギーが供給をどこまでされているか、まだ試掘段階なのか、これもわからないわけですよ。それはわかっていますか。試掘段階だと今断言できますか、中国は。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 断定的な情報は持ち合わせておりません。中国側に対しましては、委員御承知のとおり、当方から何回も情報の提供を求めておりますけれども、非常に残念かつ遺憾ながら、中国からの情報提供はない状況でございます。

松原委員 非常に外交上、こけにされているというふうに言って構わないと私は思っているわけであります。ちょっと今、大臣が官房長官と電話をするというので席を外したので、本当はその辺を大臣に聞いてほしいわけでありますが。

 この中で、先ほどから議論があった、我々もついに民間で試掘を、試掘権を付与してやろうじゃないかと。なかなか民間から相談がないと言うけれども、民間としては、危険があったらなかなかできないわけですよ。中国の軍艦がその辺をうようよしていて。それは民主主義じゃない国ですから。

 私は、この段階において、日本の民間会社が試掘を行う場合、当然外務省だっていろいろと検討しているでしょう。中国の妨害というものの可能性はゼロだと思いますか、ゼロではないと思いますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 まさしく委員御指摘の点は、我々としても非常に心配をしております。

 具体的に、それではその心配にこたえるためにどういうことをしているのかという点につきましては、今政府の部内でいろいろな可能性をも念頭に協議をしておる、いろいろ考えておるというところでございます。

松原委員 率直にお認めになったわけでありますが、中国側の海軍による不測の事態もあり得る、こういうことだろうと私は理解をしております。

 防衛庁がきょうはいらっしゃっていると思うんですが、この中国側の妨害等の不測の事態に備え、海上自衛隊はどのような行動がとれるのか、お伺いします。

山崎政府参考人 お答えをいたします。

 防衛庁といたしましては、平素、東シナ海等におきましてP3Cによる警戒、哨戒を行っておりますが、この手の航空機による情報等につきまして関係省庁等に適切に情報を提供する等、行動をふだんから行っております。

 中国側の妨害行動等がどういうものかということについて具体的に想定されておりませんが、我が方としては、仮にそのような事態が生じた場合には、まず、やはり航空機による警戒監視による情報の収集、それから適切にその情報を関係省庁に提供するということが考えられます。

 そのほかに、状況に応じて、当然、警戒監視のために艦艇を増派する。あるいは、私どもはこの手の事態に対しては海上保安庁さんが第一義的に対応するものと考えておりますが、海上保安庁さんが対処困難な場合には、海上警備行動を発令して自衛隊が対処するという法的な枠組みはそろっているというふうに考えております。

松原委員 さっきの議論の中で、民間の帝石から試掘の相談がない。いや、それは相談できるはずないわけですよ。つまり、不測の事態に備えてのさまざまな議論があって、バックアップ体制が整わない限り、民間会社が行けるはずないんですよ。

 今官房の方、お答えいただきましたが、いつになったらさまざまなシミュレーションができて、いつになったら民間会社に大丈夫だよとゴーサインが出せるんですか。教えてください。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 中国との関係で一番重要な点は、当然のことながら、共同開発に関連しまして、今行っている議論をできるだけ早急にまとめることであることは論をまたないと思います。

 それから、先ほど私、言葉足らずの面もありましたけれども、やはり不測の事態が起こらないように、これは中国側に対しましても、我々もいろいろな形で、軍の動きも含めまして、自制ある行動を求めているのも事実でございます。

 それから、そういうことを申し上げた上で御質問の点にお答えするとしますと、先ほど大臣がお答えしましたように、そういう帝国石油から試掘の申請があった場合には粛々と対応させていただくということだと思います。

 以上でございます。

松原委員 共同開発の話は話で、それは必ずそうなるかどうかはわからないわけですから、私は、外交的には、こちらの方の単独の試掘の話はどんどん進める、そういうプレッシャーを加えながらいかない限りにおいて、共同の試掘の話も、共同でこれをやろうという話も、なかなか進まないだろうというふうに私は思っております。

 我が民主党は今月の二十一日に海洋権益保護法案を単独で衆議院に提出したところでありまして、こういった議論は我々野党も出しているわけでありますから、お互いに切磋琢磨して、本当の国益を守ることのために全力で取り組んでいきたいと思っております。

 そうした中で、実は民主党の中で我々は国防省設置議連というのを、私が個人的にというか有志でやっております。これは民主党の議員が約二十人ぐらい参加しているわけでありますが、その国防省設置議連で先般話が出まして、やはり同じように、国を守る、国益を守る、領海を守る、国の資源を守る、こういうふうな発想から、天外天を日本の領空から見ようではないか、こういう話で我々は企画を練ったわけであります。

 これは、きょうは本当は杉浦官房副長官がいらっしゃれば、きょうはどこか地方にいらっしゃっているようであります、徹底してこのことは言ってやろうと思ったわけでありますが、御本人がおられませんから言いっ放しになるかもしれません。

 我々はこの国防省設置議連で、今月の十三日から後でありますが、海上幕僚監部監理部と打ち合わせをいたしまして、実務的な話でありますが、それで、基本的に天外天の空中視察はいいだろうと。これは、国益のために国会議員が十人ぐらいで行こうじゃないか、こういう意識でありました。日本の領土であり日本の領海内における資源の状況を見に行く。当然、外交的なアピールになるわけでありますが、こういうことは国益上必要だろうと。非常に具体的な話なんですよ。

 向こうからは、P3C、今お話があったP3Cですよ、毎日一回回っています。では、それに乗りましょうと。それは、シートがいいか、床に座るのがいいか、こういう具体的な話まであって、シートの方がいいんじゃないか、極めてリアルな話に進んできた。これがうそじゃなかったということで私は具体的な話をしていますよ。

 実は、これの事務局になっている私の事務所が、東シナ海ガス田上空視察の御案内、こういうビラを使って、会員の皆さんに配って皆さんから出席の返事をもらいながら、ところが途中から状況が変わった。

 時間がないので途中若干省略いたしますが、某審議官が来られて、当初はそういう話ではなかったわけでありますが、部隊の運用に支障を来す、訓練に支障を来す、油が高い、中国を刺激したくない、これが一番本音でしょう。結果として、今回の我々のこの東シナ海ガス田上空視察というのは、案内文までできて具体的な作業としては進んでいたけれども、内閣官房主導なので、防衛庁は単独で判断できないというのが最終的な結論でありました。大変残念ながら、これは実行できなかったわけであります。

 私は、なぜ日本の領海、領空の上から日本の国会議員が、これだけ国際社会の中で大ごとになっているというか、我々にとってはまさにこれは針の一穴になるような話でありますから、これを空中から見に行こうと。防衛庁も、最初はそれはいい話だと。P3Cは毎日出ていますから。ところが、内閣官房の方から、事実関係はちょっと今精査させてもらっていますけれども、恐らく、ちょっとそれはまずいよ、中国を刺激するよと。中国は日本を刺激しまくっているんですよ、九月九日に駆逐艦かなんか出てきたりして。

 我々は、そんな国益をないがしろにしてまでお人よし外交をする必要性はないと思っているんですよ。大臣の御所見として、国益を守るためにこういった行動を、私は、大臣の立場からいえば、硬軟使い分けていいんですよ、ああいうふうな強硬派もいるよ、違うのもいるよ、その中で中国も考えてくれよと言えばいいんですよ。我々の行動を使えばいいんですよ。

 こういった国益を考えて行動しようとする、こういう考え方というのに対して、本当は官房副長官がいたらきょうやるつもりだったんだけれども、おられないから、所見をお伺いします。

町村国務大臣 大変興味深いお話を今初めて伺うわけでありまして、どういうやりとりがあったか、私も内閣官房の方からも聞いておりませんので余り具体のことを申し上げるのは不適切なのかもしれませんが、一般論で言えば、日本の国会議員の皆さん方が、自国の様子がどういうぐあいになっているのか、島であれどこであれ、行って視察をなさることをとめなければならない理由というのは、一般的に言えばないのだろうなと私も思います。

松原委員 非常にいい御答弁だと思いますので、再度計画を練って、外務大臣もそう言っているから大丈夫だと内閣官房の方と話をしたいと思っております。

 最後に、時間が大分なくなってまいりましたが、拉致の問題に触れていきたいと思います。

 拉致の問題で、日朝対話再開はいつごろできるのか、六者協議の再開の見込みはいつなのか、あわせてお答えいただきたい。

町村国務大臣 日朝対話につきましては、いろいろ事務的なやりとりを何往復かやっております。その中で、そろそろ六者協議、十一月上旬ということを前提にした上で、できればその前に日朝間の話し合いは再開したい、こういうことで基本的な合意が北京でできているわけでございますから、これを実行に移すべく今最終的なやりとりをやっている最中でございます。

 六者協議につきましても、来月の中旬にはAPECの外相会談あるいは首脳会談というものが十一月中旬、釜山で開かれるということでありますので、その前に六者協議をやるんだろうなということは多分ある種の国際的な常識として関係国が共有をしていることだ、こう思っておりまして、まだ具体の話が議長格である北京の方から来ておりませんけれども、大体そういうことを前提にして、日米間、日韓間あるいは日中間で、どういうことを議題にし、どういう手順で次回以降の会合を進めていくのか、そんなことにつきまして話し合い、調整を今行っているという最中でございます。

松原委員 私は、これが近々行われるにおいて、我々の方がこれに対してどういう、我々というのは日本国民というか日本の国が、与党とか野党ではなくて日本の国がどう対応するかというのは大事なのでありまして、その際大事なのは、拉致問題を扱うためのいわゆる関係閣僚会議、もしくはこの問題を扱うためのいわゆる専門幹事会。

 これも本当は杉浦さんに聞きたかったわけでありますが、幹事会は昨年の十二月、横田めぐみにせ遺骨問題以来開かれていない、閣僚会議に至ってはこの二年ぐらい開かれていないんですが、事実関係はどうですか。

猪俣政府参考人 事実関係ですので、お答えいたします。

 御指摘のとおり、関係閣僚会議は平成十四年に二回開かれております。それ以降、幹事会というのが十七回ほど開かれておりますけれども、昨年十二月以降は開かれておりません。

松原委員 つまり、関係閣僚会議は平成十四年の十月九日が最後なんですよ、三年前にやったのが最後。拉致問題の専門幹事会は、去年の十二月の横田めぐみにせ遺骨問題、十二月二十八日が最後。これはやる気があるのかないのか、拉致問題解決のために本気でやる気があるかないか。

 私は、この場でけしからぬと言ってもしようがないので。けしからぬのはけしからぬのですよ。少なくとも、六者協も日朝の問題もバイの話し合いも近々行われるならば、即座にそれに対して、つまり、北朝鮮側だって、このことで日本が幹事会を一年間もやらない、三年間も関係閣僚会議をやらないで出てくるというのは、日本の少なくとも国民は解決したいと思っている、しかし小泉内閣は別に解決しなくてもいいと思っている、こういうメッセージを伝えることになるわけです。

 最後に言いっ放しで終わりますが、どうしてもこの関係閣僚会議や幹事会、これをバイの話し合いや六者協の前にぜひとも開催していただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 以上です。ありがとうございました。

原田委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 このところ、日韓関係でいろいろと動きが出ているようでございます。この問題に関連いたしまして町村外務大臣にお伺いいたします。

 報道によれば、現在、年に二回行われている日韓シャトル首脳会談の年末の国内開催につきまして、韓国側から、例の靖国問題のことに関連いたしまして、戦没者追悼施設の実現というのをいわば条件的に要求しているという報道がなされております。

 その一方で、これは昨日の報道ですが、自民党の山崎拓代議士、そして公明党の神崎代表、民主党の前原代表、鳩山幹事長を含む与野党三党の有志で、無宗教の新たな国立戦没者追悼施設の建設を求める超党派の議員連盟を設立し、あす幹事会を開いて、来年度予算案に追悼施設の調査費を計上するということを外務省に求める方針を決める、そういった報道も流れております。

 折しも、あす二十七日から韓国の潘基文外交通商部長官との会談が予定されていると思いますが、町村外務大臣の今後の日韓関係改善に向けての決意と、そして調査費計上についてのお考えもあわせてお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 日韓関係、これもまた日中あるいは日米等々と並んで大変重要な二国間関係である、この日韓関係をよりよいものにしていく、先人たちの営々たる努力を踏まえながら、私どももさらにこの関係をよりよいものにしていく最大限の努力をしていかなければいけない、こう思っております。

 幸いなことに、日韓間の経済関係も非常に緊密化し、貿易も増加をし、また人の往来も三百万人を超え四百万人になんなんとしているという状態でございまして、非常にそういう意味ではいろいろな諸条件がよく展開をしていると思っております。日韓友情年ということで、さまざまな文化交流を初めとする日韓交流活動も非常に活発に展開をされているという状況でありまして、こうした環境をよりよくするための努力をやっていかなければいけない、こう思っております。

 そういう中での日韓首脳会談あるいは戦没者の新しい追悼施設の実現のことについてのお尋ねが今ございましたけれども、次回の日韓首脳会談について、ことしの六月にソウルで行われました日韓首脳会談後の共同記者発表の中で、小泉総理からは、次回の首脳会談は本年度中に日本で行うことで合意をした、こういう発言があり、その後も含めて、何か前提条件を付して首脳会談を開催するという話を韓国側からあるいは日本側からしているということはございません。

 そういう意味で、私は当然、確かに靖国の問題等について韓国側にいろいろな意見があるということは承知をしておりますが、それはそれとして、やはり私は、あした日韓外相レベルの会談も行われる、同じように日韓首脳会議も行われるべきである、こういうふうに考えております。

 その前に、十一月中旬にAPECで首脳会議が行われます。当然釜山には小泉総理も行かれますので、私はその場で日韓首脳会談が行われるのは半ば当然のことではないかとさえ思っております。まだ具体にセットしたわけではございませんけれども、そういう場も活用していくということであろうと考えております。

津村委員 私、二つ質問を差し上げました。その二点目は調査費の計上についてでございます。

 今大臣のお話で、前提条件を付して年内の首脳会談開催を話し合った経緯はないという御説明がありましたけれども、合意はともかくとして、けさの報道によれば、韓国側が、今後の日韓の対話については最小限必要なものは粛々と進めていくが、それプラスアルファのものは当面凍結するというような姿勢を、これは韓国内でそういった意思統一を行っているという報道がありました。

 その中で、十一月には韓国がホスト国としてAPECを開催するわけですから、その環境整備ということも含めて、十月末の日韓外相会談はこれは必要最小限のものだと位置づける。しかし、その後の、本来であれば往復でシャトル首脳会談を行ってきたわけですが、自然にいけば十二月までに国内で行われるべき日韓首脳会談、日本での開催ということについては、これは必要最小限とは現時点で認められない、そういうような意向を持っている。

 これは報道ですから私も確かめようがありませんが、そういった報道もなされる中で、あすから折しもこの日本で日韓外相会談が行われ、それと平仄を合わせてかどうかはこれも推測にすぎませんが、与野党三党でこの議連が設立された、その中で一つの象徴的なメッセージとして調査費計上について提言が行われる。

 これはまさしく外務省が当事者として何らかの意思表示を示し得ますし、韓国に対して何かメッセージを発する非常に重要な機会になる、そういうふうに考えるわけですが、大臣の調査費計上に関するお考えを聞かせてください。

町村国務大臣 韓国内あるいは韓国議会内で、先方外交通商部長官が議員とのやりとりの中で、今委員が言われたような御発言をされたやには聞いておりますが、その辺のことは多分あしたの日韓外相会談の中で当然議論の対象になるであろう、どういう考えなのか私もその辺ははっきり聞かなければいけない、こう思っております。

 いずれにいたしましても、何が最小限であるかどうか、私もそれはよくわかりませんけれども、日韓首脳がいろいろな問題があるときこそ積極的な話し合いをするということが私は大切なことであって、問題がないから会う、問題があるから会わないというのでは、ある意味では外交は成り立たないんだろう、こう思っておりますので、そういうスタンスで先方側と話し合いをしたい、こう思っております。

 調査費のお話がございました。これにつきましては、六月の首脳会談で小泉総理が述べておりますけれども、日本国民の世論等諸般の事情を考慮して検討していくということを述べておられます。官房長官がこの問題の主たる担当大臣ではございますが、官房長官もまた世論の動向等を見きわめながら対応していくということでございまして、私もそのことを外相会談で引き続き述べていこうと思っております。

 議員連盟その他の動きは、これは議会の皆様方のなさることでありますから、政府の立場であれこれ申し上げることではなかろう、こう思います。

津村委員 ぜひ日韓外相会談でも中身の濃い議論をしていただきたいですし、その中でスタンスをしっかりと示していただきたいと思います。

 そうした中で、この日韓シャトル首脳会談に着目してお話を続けますが、昨年の指宿での首脳会談の例を見ても、開催時期としては大体二カ月ないし二カ月半程度の準備期間をもって開催地を決めて、そしてかなり周到に準備を進めて、かなり開催地選考については戦略的に行ってきたという経緯があるやに伺っております。

 もう少し敷衍して申し上げますと、指宿というのは言うまでもなく鹿児島県ですが、鹿児島県といえば征韓論で大変有名な西郷隆盛の出身地ということも、これは指宿の関係者の方か外務省の方から伺った話なんですけれども、そうした征韓論にゆかりのある西郷隆盛の出身地であえて日韓首脳会談を友好的に行う、そのことには言外の意味が、大変意義深い意味があったというお話を聞いたことがあります。

 このように、外交もさまざまなフェーズがあると思うんですけれども、両国の歴史的あるいは文化的な背景や、あるいは現在の民間レベルでの交流、外交といったものがこうした開催地の選考も含めていろいろと戦略的に考え得る一つの材料なのかなと思います。

 既に十月の末ですから、年内に喜んで盧武鉉大統領を日本に迎えたいというメッセージをしっかりと相手に伝えていくためには、開催地選考も含めて、決定時期や、あるいは決定に当たってどういうポイントを考慮されるのか、あるいは来年度以降の取り組みも含めて、外務省としてスタンスをお持ちだと思いますけれども、ぜひお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 今まで日韓首脳会談、東京以外の場所でも随分開催をされておりまして、九二年京都、九五年は大阪、APECの際の会談、九七年大分県別府、二〇〇〇年静岡県熱海、そして昨年の鹿児島県指宿、こういうようなことでありまして、東京以外でやるという意味は、お互いに胸襟を開いて、多少なりともリラックスした雰囲気で、お互いに思っていることを腹蔵なく話し合える、そういう環境ということでいろいろな場所が選ばれているようでございます。

 大体、小泉総理のお考えは、先方の希望があればよくそれを承って、その希望地にしたらどうだろうかというのが小泉総理の首脳会談に当たっての基本的なスタンスで、私もそれでいいんだろうと思います。ただ、先方から格段の意思表示がない場合には、こちらからこういう場所もあるかなということを提案することも私はあるんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、首脳会談成功のためにふさわしい環境の設定ということで、今後、場所の問題も含めて総合的に議論をし、判断をし、開催にこぎつけたいものだ、こう考えております。

 今、具体地名で言うならば、北海道、滋賀県、岡山県。先般も岡山の知事さんが、商工会議所の会頭さん等と一緒に、ぜひ岡山で開いてはどうかというような御提案もいただいたところでございます。こうした各地からの御希望なども勘案をしながら、今後、日韓間で調整をしていきたいと考えております。

津村委員 私のお尋ねの中で、もう十月の末ですので、開催時期をどの時点で判断されるのか。当面、外相会談もございますし、APECでの首脳会談も当然予想されるというお話がありましたけれども、ロジスティックスの面を考えると、直前に決めて、それで首脳会談ができるのか。あるいは、特に地方開催となれば、ある程度早目に、やるとしたらここかなというようなお話もあってしかるべきだと思うんですが、その辺の準備状況と決定時期について、現時点でお答えになれる範囲で結構です、お答えください。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 まず、決定時期に関連しましては、これは我が方が勝手に決めるわけにはいかないものですから、韓国側と、さまざまな外交日程を見つつ調整をしていくということになろうかと思います。

 それから、開催場所につきましては、先ほど大臣が申し上げたとおりでございます。これも時期がある程度固まった段階で、先方と調整をするということになろうかと思います。

津村委員 ちょっと済みません。登録をされていない方が答弁をされるのはルール違反だと思うんですけれども。政治家の方しか登録をさせていただいていないので、改めて大臣に御答弁いただけますか。大臣が御答弁いただくというふうに伺っております。(町村国務大臣「本当にそうなんですか」と呼ぶ)

原田委員長 登録はとりあえずされていません。

 町村外務大臣。

町村国務大臣 それはどうも失礼いたしました。

 場所、時期。時期について言うならば、十二月に入ってからということしかなかろうと思います。

 特に十二月は、中旬に東アジアサミットというものがマレーシアで開かれますので、それに韓国の大統領も行かれるし小泉総理も行かれるということになりますので、その時期を外すと、その前後というあたりしか多分なくなるんだろう、こう思っております。

 そこで、場所はどうするのかということになるわけでございますが、基本的には、先ほど申し上げたように、総理の考えは、先方の希望があればそれを尊重するということでございますので、今後、時期、場所を含めて、よく韓国側と調整をしていこう、こう思っております。

 確かに、地方で開く場合に、一定の受け入れ期間が要りますよという委員の御指摘は、これはまことに常識的でごもっともな御指摘であろうと思って、その辺も踏まえながら対応していきたいと思っております。

原田委員長 なお、政府参考人のことにつきましては、以後しっかり気をつけさせたいと思います。

 津村啓介君。

津村委員 この件については最後の質問にしますけれども、私が申し上げたかったのは、これから十二月に開催することになるだろうというお話が今出ましたけれども、開催時期の決定について、もし地方ですることに意義を見出されるのであれば早く決定すべきですし、どうしても、直前になって決定すると、恐らく東京なり、あるいは大阪もあるかもしれませんが、過去の受け入れ実績の多いところに自然となるだろうということは、外務省の方などとふだんお話しする中でそういうお考えを聞いたことがございます。

 今まで、大分の別府なり、指宿なり、これは先ほど申し上げたとおり、外務省として戦略的にというか、どの程度意図していたかは別として、結果として非常にバランスよくいろいろなことを加味したシャトル会談開催が行われてきたことを私としては多としていて、そういった意味で、こうしたさまざまな動きがございますが、この流れというものをとめていただきたくないし、もし今回、開催場所の決定時期が直前になるのであれば、地方開催にこだわるのであれば、早目に、やるとしたらここだと決めておくべきだということと、あるいは、ことしやらないとすれば、来年以降、こういう姿勢だということは姿勢として示していただいてもいいのではないか、そういう御提案です。御意見というか、外務大臣のお答えを聞かせてください。

町村国務大臣 貴重な御意見として承らせていただきます。

津村委員 わかりました。

 時間がございませんので、次の質問に参りたいと思います。

 国際協力銀行の旧輸銀業務に関してお尋ねをいたします。

 国際協力銀行における旧輸銀と旧海外経済協力基金の両業務がどのようなバランスでされているかということについて、衆議院の財務金融委員会でことしの五月に議論された経緯がございます。当時、私も財務金融委員だったわけですが、我が党の野田佳彦議員から、旧輸銀も、単体だったらすぐ民営化できるのではないか、あるいは水と油のようなものをくっつけてしまったもので、一九九九年のあの改革というものは残念ながら評価に値しないという指摘がありました。

 それに対しまして、谷垣財務大臣から次のような発言がございます。「国際協力銀行については水と油とおっしゃいまして、確かに、かなり違うものを一緒にやっているというところはあろうかと、私も率直に言って思っております。」この後のくだりで多少フォローが入ったんですけれども、私もその場にいて、印象に残る御答弁だったなと思っております。

 報道によれば、これから郵政民営化に続く政府系の金融機関見直しをめぐりまして、経済財政諮問会議で、十一月半ばごろ、あるいはそれ以降をめどに、統廃合や民営化の議論が本格化するという報道もございますけれども、責任官庁の立場から、今後この議論にどのような姿勢で臨まれるのか、財務省のお考えを聞かせてください。

倉田大臣政務官 お答えします。

 国際協力銀行の国際金融等業務、旧輸銀業務につきましては、公益性があって、民間では対応できない事業に対する長期資金の供給等を行うことによって政策誘導を図るもの、こういうことを目的としているわけでございます。

 具体的には、経済とか金融市場が不安定である発展途上国向けの業務を主な対象としているわけでありますので、カントリーリスクが存在したり、あるいは途上国政府との交渉が非常に困難であるというようなこと、また一番大きなことは長期で巨額の大規模プロジェクトへの対応の必要性、こういうことにかんがみますと、こちらの旧輸銀業務の方も民営化にはなじまないもの、こう考えております。

津村委員 時間が押しておりますので、端的に伺います。

 国際協力銀行の年次報告書、アニュアルレポートの二〇〇五というものを私、今手元に持っております。これは国際協力銀行の方に、岩下理事にお答えいただければと思いますが、この百八十一ページに、「国際金融等勘定」としまして、貸出金残高が九兆四千四百十億円という数字がございます。これは、ソブリン、非ソブリン別の、債務者別の内訳を見るとどのようになっていますでしょうか。

岩下政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御引用なさった数字は、まさに私どもの昨年度版の年次報告書の数字でございまして、国際金融等勘定の数字、九兆四千四百十億円、これは保証等も含めたいわゆる与信残高、しかも民間財務諸表のベースに準拠したものということで御理解いただきたいと思います。

 そのうちソブリンに対するものが二兆四千九百四十億円、割合で申しますと二六・四%でございます。また、非ソブリンに対するものが六兆九千四百七十億円、割合で申しますと七三・六%ということになっております。

津村委員 非ソブリン向けのうち、中堅中小企業とそれ以外の内訳を教えてください。

岩下政府参考人 直接お答えいたしますが、その前に若干、一言……(津村委員「お答えだけで結構です」と呼ぶ)はい、承知しました。

 中堅中小企業向け貸付残高は、このうち一兆九百八十七億円でございます。

 なお、非ソブリン向けの中には、開発途上国の政府機関あるいは国際機関、海外企業向けのものが含まれておりますので、この一兆九百八十七億円という中堅中小企業向け以外のものはすべて大企業向けということでは必ずしもございません。その点を念のため申し添えさせていただきます。

津村委員 最後は必ずしも必要のないコメントだったと思いますけれども。

 ソブリン、非ソブリン別に見た開示債権、不良債権比率というのも教えてください。

岩下政府参考人 二〇〇五年三月末時点の数字でございますけれども、金融再生法上のいわゆる開示債権ということで申し上げます。

 ソブリン債権におきます開示債権の比率は九・三〇%、非ソブリン債権におきます開示債権の比率は五・二一%でございます。

津村委員 今の数字といいますのは、これはお手元にない方にはわかりにくいかもしれませんが、ソブリン向けの開示債権、つまり不良債権比率に当たるものですけれども、九・三〇%というのは実は大変高い数字でございまして、これは貸出先がソブリン向けですから大変格付は高い。ソブリンというのは海外の国ですけれども、大変格付が高いところに対して非常に不良債権比率が高いということを意味しています。これが意味するところは、一つは、審査あるいはモニタリングのあり方が果たして今のままで適当かというお話につながっていくかと思います。

 時間もありませんので、簡単に結論の方に参りますけれども、今般の政府系金融機関の見直しの議論の中で二つの要件が議論されます。公益性の問題、もう一つは金融リスク等の評価の困難性の問題でございます。

 この公益性の観点から、現在の旧輸銀業務の、いわゆる国金勘定の融資が公益性をしっかりと担保されているのかということが、例の、先ほども少し話題になっていたようですけれども、中国のガス田開発にも関連する平湖のパイプラインの問題、このJBICのアンタイドローンの公益性の議論、これがしっかりと今まで各関係省庁がコミットする形で、例えば閣議決定のような形でされてきたのかということがまず事実として恐らくない、ここが一つのポイントになろうかということ。

 そしてもう一つは、現在、ただいまお話に出ました、非常に不良債権比率が高いということが恐らく関係している、ここは今回の政府系金融機関の見直しの中でしっかりと議論されなければいけないポイントだということを、先ほどの数字のお話とあわせて強調しておきたいと思います。関連する議論がさまざまに広がり得る話だと思いますが、その件につきましては、一たんここでお話をとめます。

 最後に一点だけ、これは数字的なことをお伺いしたいと思いますが、国際協力銀行を過去三年間に退職された総合職の方々の人数、そしてその中で、大手五大商社、及び各社が一〇%以上出資する関連会社に再就職された方々の人数を教えてください。

岩下政府参考人 お答えいたします。

 過去三年間ということでございますので、平成十五年度以降の数字で申し上げますと、本行を退職いたしました役職員、いわゆる総合職の者の数字でございますが、人数は全体で七十九名でございます。

 それから、後段の御質問でございますけれども、本行を退職いたしました役職員の動向につきまして統一的に把握する立場ではございませんので、数字を持ち合わせておりませんことを御了解願いたいと思います。

津村委員 立場にないとおっしゃいましたが、そこは本当にそうなんでしょうか。

 といいますのは、いわゆる天下りについては、これはもちろん個人のプライバシー等のことはございます。しかし、各省庁がこの間、公務員制度改革あるいは行政改革の流れの中で、それぞれに汗と血を流して、みずからの退職者のその後の身の振り方について、場合によっては人事院に報告をし、世間に対しても公表しながら、そこら辺の、世間からのさまざまな、うがった見方も含めて、しっかりとこたえるという姿勢をこれは省庁が示しているわけですね、霞が関の各官庁の皆さんが。

 そうした中で、公益性が大変重視されるお立場にある国際協力銀行さんが、そういった、私は何も固有名詞を伺おうと言っているわけではないんです。(発言する者あり)会社名、そして大ぐくりにくくって、個別のどの社の名前も伺おうとはしていないわけです。大手五社というふうにくくってわざとお伺いしているにもかかわらず、そもそも答えがどうこう以前に把握する立場にないというのは、これは国際協力銀行さんのこの問題に対するスタンスというふうに理解してよろしいんですか。

岩下政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねて同じことを申し上げて恐縮でございますが、把握しておらないというのが実情でございますので、御理解のほどを願いたいと存じます。

津村委員 把握していないというのと把握する立場にないというのは全く別のことであります。

 現時点で把握していないというのは一つのお答えかもしれませんが、私は、これは霞が関の各官庁がみずからの退職者についてその後の動向を把握する努力を現にしていますし、それを人事院に対しても報告していますから、そういった努力を国際協力銀行さんにおかれてはする意思もないということを今明確に述べられた、そういう理解でよろしいですか。

岩下政府参考人 お答え申し上げます。

 また同じことで大変恐縮でございますけれども、把握する立場にございませんし、現実に数字も持っておらないということで御理解をいただきたいと存じます。

津村委員 把握する立場にないというのは本当に驚くべき御発言だと思いますし、そのほか、私も日本銀行出身ですが、政府系あるいは公的な金融に携わるお立場で、こうした問題についてほかの官庁や関係諸機関が努力をされている中で、その努力をする意思がないということを明確に述べられたのは大変驚きですけれども、そのことを御指摘しまして、時間が参りましたので、ルールにのっとって質問を終わります。

原田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 二十四日から、在日米軍再編に関する外務・防衛審議官級協議が開かれています。けさの報道では、昨晩も遅くまで協議したがまとまらず、結論は二十六日に持ち越したとなっています。

 先ほど、外務省の方からの連絡によりますと、北米局長もその任に当たっているようでありますが、今どんな協議を行っているんでしょうか。

町村国務大臣 さまざまな協議をやっているわけでございますが、幾つかの残された問題、特に普天間基地というものをできるだけ早く撤去するための、それをどこに移設するのかということが一番大きなテーマとして今議論されているところでございます。

赤嶺委員 それで、その普天間の問題というのはどうなりましたか。

町村国務大臣 今まさに議論の最中でございます。

赤嶺委員 けさの報道で、普天間について、また新しい問題が出てきております。

 普天間飛行場の移設見直しについて、滑走路の長さを当初予定の千五百メートルから千八百メートルに延長するようアメリカ側が求め、日本側も了承した、このような報道がありますが、この点はいかがですか。

町村国務大臣 現時点で具体のことをお答えすることは差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 そうすると、いよいよ2プラス2の話も出てくるわけですが、地元への説明、これはどうするんですか。

町村国務大臣 今、中間的な取りまとめをやる最終的な局面であろう、こう思っております。まだ日米双方で議論、意見が合意できていないものについて、地元の皆さん方に残念ながら御説明をできる状態にはまだございませんが、まとまり次第、地元の皆さん方にもよく御説明をし、御理解を得る努力をしていこう、こう思っております。

 また、中間的な取りまとめが行われた後、最終的な取りまとめもいずれかのタイミングで行うわけでございますが、その期間もまた、皆さん方、地元の方々によく御説明をし、御理解を得る努力をしていくのは当然のことでございます。

赤嶺委員 まだまとまっていないということだったんですが、報道では2プラス2の開催も言われております。普天間基地の問題が仮に先送りになったところでも2プラス2は開くのか、それともどうするのか、この点はいかがですか。

町村国務大臣 これは、先方、相手もあることでございますから、日本が勝手にどうこうするというわけにはまいりませんが、私は、ごく近々に一定の合意に達し、2プラス2は開く方向で今もろもろの作業を進めているわけでございまして、先方も開くことに応ずるであろう、こう考えております。

赤嶺委員 外務省、防衛庁の間の意見の違いだとか、報道はいろいろありますが、ただ、はっきりしていることがあります。それは、政府案に対しても、それからアメリカが出してきた案に対しても、地元は反発をしているということです。稲嶺知事は、これらの案は受け入れるわけにはいかないということを明言しております。

 今回、中間報告の内容あるいは皆さんが提案した中身について、地元が拒否した場合、政府はどうするんですか。

町村国務大臣 地元の皆さん方の御理解を得るべく最大限の努力をすることは当然のことであると先ほど申し上げました。

赤嶺委員 今皆さんが出している案について地元は反発しているんですよ、拒否しているんですよ。そういう地元の合意が得られなければ、2プラス2、中間報告の中には入らない、このように理解してよろしいですね。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、2プラス2の前であれ後であれ、地元の皆さん方によく御説明をし、御理解を得る努力をしていくということは当然のことだと考えております。

赤嶺委員 重ねて聞きますが、理解が得られない場合は、日米両政府の合意があったにしても、それは皆さんの合意にはなり得ない、地元の理解がなければなり得ない、このように理解してよろしいですね。

町村国務大臣 地元の皆さん方の御理解を得る最大限の努力をすると申し上げております。

赤嶺委員 まず理解は得られないと思いますよ。それは次のことにもかかわっているんです。

 今回の普天間基地の移設先にとどまらず、今度は北部に、普天間基地と一緒にほかの海兵隊の基地も移動させようという協議が行われている。これは、そういう協議が行われているということは前回の外務委員会で北米局長も認めておられます。防衛庁の守屋事務次官も記者会見で述べておられるわけです。

 持っていくのが、いわばキャンプ・キンザーの海兵隊の支援兵たん基地、そして那覇軍港、これは高速船の展開もいろいろ言われている。かなりの強化になるわけですね。海兵隊の基地を、普天間基地だけのみならず、陸と空が一体し、海も一体になる、支援も一体になる。

 何でアメリカはこのような海兵隊の北部への集約を進めようとしているんでしょうか、どういう立場でそんな提案がなされたんでしょうか。

町村国務大臣 基地のいろいろな形での整理統合を進めていくということは、過去のSACOにおいてもやってまいりましたし、それ以前にもやっておりますし、またこれからもそれは必要なことだろう、こう思っております。

 そういう整理統合という観点で今具体の地名をお挙げになりましたが、それについては私は今申し上げませんし、そこのところがまだ十分煮詰まってきているとも思っておりませんが、いずれにしても、今後とも必要な整理統合をし、現実に使われなくなった分についてはできるだけ返還を進めていくということは、まさに沖縄の皆さん方の負担軽減にもつながる話であろう、こう考えております。

赤嶺委員 北部に海兵隊の基地を集約するのは、地元の皆さんの理解を得られないんですよ。理解を得られない整理統合を政府が進めようとしている。もう既に、北部統合案に対しては、金武町、東村、宜野座村の町長、村長、これは自衛隊がキャンプ・ハンセンで訓練することにもかかわっておりますが、北部への基地の集約は基地負担の増大につながり受け入れられない、こういう記者会見を行っています。

 また、北部の十二の市町村長にマスコミのアンケートがありましたが、そのアンケートの回答の中で、全市町村長が、こういう北部集約案は受け入れられない、反対という回答を示しております。それでも地元が理解される基地の整理縮小と考えているんですか。こういう市町村長の見解表明を外務大臣はどのように受けとめておられますか。

町村国務大臣 今、一括して北部集約案という言い方をされましたが、そういう案はございません。

赤嶺委員 北部に既に集約するということをジョン・ヒル日本部長が沖縄県の幹部に語り、そして県議会の与党幹部に語り、それがニュースになって流れ、守屋事務次官も、そういう米軍の基地を北部に集める、嘉手納基地以南の基地を北部に持ってくると認めていますよ。北米局長も認めておりますよ。

町村国務大臣 一括した北部集約案と今言われましたか、移転案と言いましたか、そういうものは存在しておりません。

赤嶺委員 それでは、大臣、そういう北部の市町村長が懸念しているような、北部に普天間基地以外の基地を集めてくるという計画はあり得ないというぐあいにこれも理解してよろしいですか。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろな移転をしたり集約をしたり整理統合をしていくということはあり得ると先ほど申し上げました。

赤嶺委員 その集約に対して市町村長は危惧を表明しているわけです。皆さんのやっている方向が根本から間違っているんですよ。間違っているから県民の理解を得られない。そういうような案を日米間でどんなに協議しても、これは絶対に成功しないと思います。

 それは、私、非常に不思議なのは、県民の七割は普天間基地の国外移設を求めています。あくまでも県内移設で処理しようというのが皆さんの態度ですが、何でそんなに県内移設にこだわっているんですか。

町村国務大臣 今のこの在日米軍の兵力構成の見直し、累次申し上げておりますように、抑止力の維持と、そして沖縄等の地元負担の軽減という観点からいろいろな議論をしているということは累次申し上げております。

 そういう前提のもとで申し上げますと、このアジア太平洋地域には、冷戦は終了したけれども、依然として複雑で多様で、かつ不安定、不確実な状況があるということは委員も御承知のとおりでございます。したがって、日本はみずからの自衛力だけでは自国の安全を確保できないという状況が続く以上、日米安保条約を堅持していく、そして米軍の前方展開能力というものを確保していく、その抑止力のもとで日本の平和と安全を維持していこうということが必要であると言えるわけでございまして、沖縄に駐留する海兵隊というものは、高い機動力もあり、また即応性もあるということで、在日米軍の重要な一翼を担っているわけでございます。

 したがいまして、この海兵隊が日本の、そして極東の平和と安全の維持に寄与している、こういう認識に立っているからでございます。

赤嶺委員 負担の軽減にならないことはもうはっきりいたしました。この外務委員会で何度も議論をしてきたことです。

 抑止力の維持と言いますが、実際沖縄に駐留している海兵隊、実際に動いているのはどういう動き方か。私、第三十一海兵遠征部隊、これの歴史と任務について同部隊はホームページを出しておりますので、そのホームページを調べてみたんです。

 そうしますと、第31MEUと呼ばせていただきますが、この31MEUがこれまでに参加した作戦についてホームページに挙がっております。沖縄に31MEUの部隊が配置された一九六七年から七五年まではベトナム戦争、九八年から九九年には米英軍によるイラク空爆等サザンウオッチ作戦、九九年の十一月には東ティモールの多国籍軍、その他ケニアやタイを含む各国軍隊との共同訓練、そして、これまでに実際に従事した任務としてホームページで挙げているのは、極東の枠を超えた部隊派遣ばかりですよ。

 抑止力の維持と言いますけれども、海兵隊が実際に行ってきたのは、日本の防衛とも、それから極東の平和と安全とも関係のない作戦ばかりじゃないですか。いかがですか、外務大臣。

町村国務大臣 海兵隊を含めて米軍の存在が、抑止力がある。だからこそ日本は、戦後六十年間、一度として戦争に巻き込まれることもなく平和を維持できてきた。抑止というものは具体にそういうものなんです。

 日本のどこか近くで海兵隊が活動すれば、それはそれでホームページに載るかもしれません。しかし、現実に日本が平和で今日まで来られた。それは海兵隊のためだけとは言いません。トータルの日本にいる米軍の存在があった、だから日本は、その抑止力もこれあり、日本が平和を保ってきた。その厳然たる事実を、どうぞ赤嶺委員はお認めいただかなければならないと思います。

赤嶺委員 米軍をトータルで見なきゃいけないなんと言いますけれども、海兵隊はみずからのホームページで自分たちの任務についてこう言っているのですよ。

 海兵遠征部隊は最も小規模の海兵空陸任務部隊である。海軍の同様の部隊とともに地球規模で多くの任務を遂行できる。国家の前方展開、緊急即応部隊としての任務を持つ第31MEUは、唯一恒久的に前方展開している海兵遠征部隊である。常に西太平洋とその周辺で作戦を遂行する体制を整えている。トータルで米軍を見て……

原田委員長 赤嶺君に申し上げます。時間が過ぎておりますので、結論をお願いいたします。

赤嶺委員 その中で日本の平和と安全に必要のない海兵隊は出て行くべきじゃないですか。そういうことを求めたいと思いますが、いかがですか。

町村国務大臣 御意見として承りました。

赤嶺委員 終わります。

原田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 きょうは、ロマンある話から始めたいと思います。

 最近、沖縄の大浦湾で、スイショウガイと共生したキクメイシモドキが発見され、歩くサンゴと話題になっております。貝もサンゴも両方が生きている状態で発見された例は大浦湾以外にはないと専門家は指摘しておりますが、歩くサンゴ発見の学術的な意義と保全の必要性について環境省の意見を伺います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 このキクメイシモドキでございますが、日本においては沖縄から、太平洋側では千葉県の館山まで、日本海側では能登半島まで広く分布しておりまして、比較的普通に見られるサンゴでございます。

 また、このキクメイシモドキがスイショウガイに付着する事例があるということは承知をしておりますけれども、環境省として詳細な情報は持っておらないところでございます。

照屋委員 この歩くサンゴが発見された大浦湾に普天間基地の代替施設を建設しようという、いわゆるキャンプ・シュワブ沿岸案を米軍再編協議の中で日本政府は提起をしているようでありますが、大浦湾を埋め立てる沿岸案が、大浦湾の生態系、キクメイシモドキの生態系に及ぼす影響について環境省はどう考えておるんでしょうか。

南川政府参考人 この移転先でございますけれども、現在、日本、米国で協議中と承知しております。したがいまして、その大浦湾の生態系に及ぼす影響について、現時点ではお答えの段階にないと思います。

 事業化となった際には、事業者が地域の環境状況等についても十分な調査をいただくことが必要でございます。私ども環境省といたしましては、事業化がいずれの場所となる場合であっても、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないような十分な配慮が必要だと考えておるところでございます。

照屋委員 ことしは戦後六十年の節目の年であります。普天間基地、嘉手納基地に接収されて消えた戦前の集落はそれぞれ幾つあると認識をしているのか、防衛施設庁の見解をお聞かせください。

戸田政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間また嘉手納基地に関連しまして、その建設に伴いまして集落の数がどの程度変化したのかというお尋ねでございます。

 私ども、残念ながら、そういった資料を持ち合わせているところではございません。当庁が持ち合わせておる最も古い資料で、若干土地所有者等についての情報を御説明させていただきますと、昭和五十七年度の資料でございますけれども、普天間飛行場、土地所有者千八百名ということでございます。また、嘉手納飛行場、土地所有者四千八百名といったような数字が残っておるところでございます。

 以上です。

照屋委員 防衛施設庁の今の答弁に驚いたんですが、沖縄では、普天間、嘉手納に限らず、戦後六十年たって、まだ自分たちのふるさと、戦前の村落、集落に帰れない人がいるんです。しかも、それは近代的な、民主的な法手続によって接収されたのではない。このことを踏まえないと、私は、新たな米軍再編協議の交渉には日本政府として臨めないと思う。

 防衛施設庁にもう一度伺いますが、嘉手納、普天間だけじゃないんですよ、そういう集落の存在はつかんでいないんですか。

戸田政府参考人 お答えいたします。

 当庁は、在日米軍施設・区域の提供等に関する事務を取り扱っているところでございます。こういった観点から、沖縄の米軍基地の歴史的経緯とかあるいは形成過程、こういったものについて申し上げさせていただきますと、その多くは昭和二十年の米軍占領後の接収に始まっておるものと考えてございますが、昭和四十七年五月の本土復帰時に、施設及び区域としてその多くが提供されたわけでございます。現在に至るまで、六十年の長きにわたりまして使用され続けているものと承知しております。

 私ども、沖縄本島にこういった米軍基地が大変集中的に存在しておるわけでございますので、これら施設の整理、統合、縮小、こういったことに全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

照屋委員 それでは、大臣と防衛庁の認識を伺いますが、沖縄の米軍基地形成過程について、今回は特に普天間基地と嘉手納基地に限定してお伺いをします。

 沖縄の米軍基地のほとんどは、沖縄戦が終了して後、占領軍としての米軍が、ハーグ陸戦法規に違反をして、布令、布告に基づく、銃剣とブルドーザーによって強制的に接収をしたものであります。アメリカ軍事基地に必要と思う地域を金網で囲い込んでしまったものです。

 ところが、去る十月十四日から来沖した米国務省東アジア太平洋局のキャサリーン・スティーブンス主席副次官補は、嘉手納、普天間基地の周囲は建設当時は農地で、住宅などがなかったと聞いた、移転先が住宅密集地となってはいけないという趣旨の発言をしております。

 同じように、去る七月、沖縄等米軍基地問題議員懇談会の視察に際し、これは私も視察に参加をしましたが、ロバート・ブラックマン元四軍調整官が普天間基地について、何もないところに空港をつくった、その周りに人が集まってきたとの発言をしています。

 このように、米軍関係者は沖縄米軍基地の形成過程について間違った認識をしていると言わざるを得ません。そこで、外務大臣と防衛庁は一体沖縄の米軍基地形成過程についてどのような基本認識をお持ちなのか、それを率直に伺います。

町村国務大臣 ブラックマン四軍調整官の発言、あるいはキャサリーン・スティーブンス首席副次官補の発言の内容については、私も報道で知った程度でございますから、どういう内容であるか、どういう文脈での発言かよくわかりませんから、これについてはコメントをすることは差し控えさせていただきます。

 今委員お尋ねの、嘉手納飛行場それから普天間飛行場をめぐる経緯についてでありますけれども、米軍が沖縄を占領した際に、嘉手納飛行場は、米軍が旧日本軍の飛行場、これは昭和十九年に日本軍が中飛行場として使用を開始されたもの、こういう資料がございますが、それを米軍が接収したということであろうと思います。また、普天間飛行場は、民有地を含めて土地を接収して建設したものであるということで、昭和二十年に使用を開始したものであるというふうに認識をいたしております。

 ただ、その当時の土地の利用状況、どのくらいの方々が住んでおられたかどうか、先ほど施設庁の答弁にあるとおり、申しわけありませんが、外務省の方にも、この二つの現在の飛行場は戦前の状態がどうであったかということを示す資料がございませんので、当時どうであったかなということについて申し述べることは大変難しゅうございます。

戸田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げた内容と重なるわけでございますけれども、米軍基地の多くは昭和二十年の占領時の接収に始まったものでございます。そして、その多くは、私ども、現在米軍の施設及び区域として提供をしておるという状況でございます。

 それぞれの施設及び区域につきましては、先ほど外務大臣から申し上げさせていただいた状況でございます。

原田委員長 照屋君、もう時間が過ぎております。

照屋委員 大臣、防衛庁に申し上げますが、時間がありませんので。

 私は、沖縄の米軍基地というのは、国際法にも違反をして、裸の暴力でもってこれは取り上げたものなんです。そういう認識がないと対米交渉で沖縄の米軍基地問題を解決することはできないということを申し添えておきます。

 時間ですので、終わります。

原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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