衆議院

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第15号 平成18年5月17日(水曜日)

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平成十八年五月十七日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 小野寺五典君 理事 谷本 龍哉君

   理事 土屋 品子君 理事 水野 賢一君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 山口  壯君 理事 谷口 和史君

   理事 丸谷 佳織君

      逢沢 一郎君    愛知 和男君

      伊藤 公介君    伊藤信太郎君

      宇野  治君    高村 正彦君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      鈴木 馨祐君    西本 勝子君

      三ッ矢憲生君  やまぎわ大志郎君

      山内 康一君    吉良 州司君

      篠原  孝君    田中眞紀子君

      津村 啓介君    松原  仁君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   外務大臣政務官      伊藤信太郎君

   厚生労働大臣政務官    岡田  広君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局次長)   金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  山内 正和君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 辻   優君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     西本 勝子君

  山中あき子君     やまぎわ大志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     中山 泰秀君

  やまぎわ大志郎君   山中あき子君

同日

 理事松野博一君同月十二日委員辞任につき、その補欠として谷本龍哉君が理事に当選した。

同日

 理事谷口和史君同日理事辞任につき、その補欠として丸谷佳織君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十七日

 米軍基地の再編・強化に反対し、最終報告の撤回、基地撤去に関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事谷口和史君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      谷本 龍哉君 及び 丸谷 佳織君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

原田委員長 次に、社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官梅本和義君、大臣官房審議官八木毅君、大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房参事官辻優君、大臣官房参事官梅田邦夫君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長河相周夫君、領事局長谷崎泰明君、防衛庁防衛局次長金澤博範君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、建設部長山内正和君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 きょうは、日加の社会保障協定に関する審議となりますけれども、日本はこれまで、ドイツ、そしてイギリス、アメリカ、韓国、フランス、ベルギーの六カ国との社会保障協定を締結しております。フランス、ベルギーについては後からまたちょっと御質問させていただきたいと思いますけれども、まだ発効されていないということであります。

 協定の締結に伴う日本の保険料負担の軽減額を見ますと、年間で、アメリカが約六百億円、それからフランスが約百十億円、英国が約五十億円、ベルギーが約四十億円、こういうふうになっております。これに比べて、厚生労働省の試算、在カナダ日本商工会の調査に基づく試算ということになりますけれども、カナダは約三億円というふうになっております。ただ、一人当たりの保険料の負担が大体三十四万円軽減されるということになるかと思います。

 実は、私のかつての職場の同僚も、昨年、かなりの人数がカナダの現地法人に移るということで、向こうでも年金保険料を払わなければいけない、日本に戻ってくるとすれば日本でも払っておかなければいけないということで、これはかなりきついねという話が、きついねというよりきついというお話が結構行く前に出ておりまして、そういう意味からも、私にとっては非常に喜ばしい協定であるわけなんですけれども、ただ、全体の額だけを見ると、カナダの規模というのは、これまでに比べると小さい感じがいたします。

 そこで、フランス、ベルギーに次いでカナダを締結国に選んだ理由をちょっと最初に確認させていただきたいと思います。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、御指摘のとおり、カナダで今回の協定が発効した場合の負担軽減効果というのは、額的には小さいところがございます。ただ、御承知のように、カナダは世界第八位の経済規模を持っている、また、日本との関係でいえば、G8、それからWTO、APEC等々、いろいろな場で、マルチの場でもパートナーという形で緊密な関係にあるわけでございます。

 こうした中で、御指摘のとおり、年金制度の二重加入、それから保険料掛け捨ての問題というのがカナダとの間でもあるわけでございます。カナダに長期滞在をしておる日本人の方は約二万人ということでございます。この中の派遣されている駐在員の数ということでいうと九百人程度になるわけでございますけれども、やはり、いろいろな観点から見た重要な日加関係というもの、そしてその人的交流、経済交流をさらに進めていくことが重要であるということから、いろいろ判断をいたしました。また、日本の経済界からもぜひ協定を締結してほしいという働きかけがございまして、そのもとで鋭意交渉をやって、今般、締結に向けて国会の御審議をいただいているという状況でございます。

谷口(和)委員 そこで、次に、今回の協定の中身を見ますと、日本とカナダの制度の加入期間を通算して、それぞれの国で加入期間に応じた年金額を支給する、通算ができるというところが大きなポイントだと思うわけですけれども、そういう中で、やはり大事なのは、過去に、また協定が発効する前にカナダにいて年金を払っていたという方が日本に戻ってきて、通算できるなんということを知らなかったということになると、それでもし年金が受給できない、二十五年に満たないというようなことになれば、本人にとっては大変大きな痛手というか、そういうふうになるかと思います。

 その辺の事業主それから年金の受給者への周知徹底ということが今後非常に大事になってくるかと思うんですけれども、具体的にどういった方法で周知徹底を図る御方針なのか、お伺いをしたいと思います。

青柳政府参考人 年金の保険料の徴収あるいは支払いの方を担当させていただきます社会保険庁の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 社会保障協定の実施に当たりましては、その内容を十分に事業主の方あるいは年金受給権者の方々に御理解をしていただくということが重要であるというのは、御指摘のとおりかと存じます。

 これまで、ドイツ、イギリス、韓国あるいはアメリカとの協定が発効しておりまして、その際に、その周知、広報につきましては、まず、それぞれの協定締結国ごとにその協定の概要等を説明いたしましたチラシあるいは小冊子を作成いたしまして、これを事業主等へ配布させていただいております。また、関係団体の御協力をいただきまして、国内の事業主のみならず現地の在留邦人等に対して説明会を開催させていただくというようなことに取り組ませていただいております。

 さらに、お尋ねございました年金受給権に結びつくかどうかというようなことにかかわる部分につきましては、年金の受給権者の方々に対しては、日本の国内で年金の裁定請求をいただく際に事前の御案内をするわけですが、その場合のはがきあるいは受給者あての封筒、こういったところに、例えばアメリカならアメリカの年金が、昔の期間がありませんか、こういう形で年金に結びつきますよといった形の情報提供も実施させていただいております。さらに、より一般的に申し上げれば、社会保険庁のホームページにこの協定の内容あるいは手続といったものを紹介するコーナーを設けるというようなことで取り組ませていただいております。

 今般、カナダとの協定の実施に当たりましては、特にカナダの年金を受給するためには最低一年のカナダの居住期間が必要であることや、カナダの国外にいる者がカナダの年金を受給するためには、日本期間と通算して二十年以上の加入期間が必要であるといったようなことをお伝えしなければなりませんので、この点につきまして、事業主、被保険者、年金受給権者の方々に対して必要な情報が提供されるように、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

谷口(和)委員 ぜひ、知らなかったという方がいないように、万全を尽くしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今回の協定では、先ほどからお話がありましたように、二重払いの解消とか、企業コストの削減、それから投資促進などが期待をされているかと思います。日本とカナダの直接投資というのを見ますと、日本からカナダへの直接投資では、一九九九年にチーム・カナダの訪日、これが大きな追い風というか背景となって、二千七百六十億円と、前年の八百三億円から大きく伸びたわけでありますけれども、直近の二〇〇四年度を見ますと百七十一億円にちょっと下がってきている。それから、カナダから日本への投資を見ますと、やはり一九九九年度は前年の十七億円から一千六百八十六億円、これも大幅に伸びている。ただ、二〇〇四年度は一億円を下回って一千三百万円という低い数字になっている。

 直接投資ですから年によって増減があるのは当然かと思うんですけれども、こういう状況の中で、今回の協定の締結によって、それぞれ、日本からカナダ、またカナダから日本への直接投資にどういった影響があるのか、どういうふうに政府は分析していらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思います。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とカナダの直接投資の関係でございます。

 御指摘のとおり、増減が結構ございます。政府としては、これをもっとふやしていきたい、双方向でふやしていきたいというのが基本的考え方でございまして、昨年の十一月、小泉首相とカナダの首相との間で日加経済枠組みというものに署名いたしました。これは、日本とカナダの経済関係、もっと拡大していく潜在的な力があるんじゃないか、そういうのをもっと引き出していこうということで、今後、日本とカナダの間でいろいろ研究をし、取り組んでいこうということでございまして、この中で、当然、日本とカナダの間の直接投資をいかにしてふやしていくかということを検討してきている中でございます。

 こういう状況のもとでこの協定が締結されれば、やはり二重課税の問題、掛け捨ての問題というものが解消されていくわけでございますので、人的交流、お互いに、カナダへ派遣する、日本へ来るという駐在員の交流がふえていくということによって、日本、カナダの経済関係はやはり一層活性化するだろうということでございます。

 この協定締結によって、では直接的に直接投資にどれだけ影響があるかというのはなかなか断定することは難しいのでございますけれども、全体としての日本とカナダの経済交流をふやす中で直接投資もふやしていこう、こういう考えで政府として臨んでいくところでございます。

谷口(和)委員 続きまして、ちょっと中国との関係についてお伺いをしておきたいんですけれども、中国との社会保障協定の締結に関する見通しについては、これまでも国会で何回か取り上げられております。例えば二〇〇四年の六月、それから二〇〇五年の七月等々、何度か取り上げられているわけでありますけれども、その際にも政府は、中国の年金制度上、外国人への適用について明文規定はなく、現在までのところ、中国に滞在している日本人から、日本人が中国政府から年金保険料の支払いを求められた、こういう報告はない、こういった説明になっているかと思います。

 一方、イギリスを見ますと、イギリスでは外国企業を誘致する誘致策の一環として年金の事業主負担を免除しておりましたけれども、一九九四年に急に方針が変わってこの免除がなくなったということで、日本商工会議所など経済界から、できるだけ早く協定を締結してほしいという要望が寄せられたという経緯があります。

 おとといですか、十五日の外務省の発表によりますと、海外の在留邦人が初めて百万人を突破したということで、その中でも大きく取り上げられているのが、中国の在留邦人が急激にふえているということで、例えばアメリカが三十五万人でトップ、中国は約十一万五千人ぐらいで、伸び率も一六%近くということが発表されているわけでありますけれども、こういう在留邦人も多く、急激にふえてきた、また進出企業も多い。急遽、では年金を日本企業も、中国にいる日本人も払ってくれということになった場合に、負担がかなり大きくなるだろう。そういう中で、一気にイギリスと同じように要望の声が上がってくる可能性というのも考えられると思うんですね。

 韓国は中国と社会保障協定を締結しております。どういうメリットがあるかというところもあるかと思うんですけれども、中国との協定についても日本もきちっと準備を進めておくべきである、こういうふうに考えるんですが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘がありましたように、中国の在留邦人、一昨年は約十万弱でございましたけれども、昨年は十一万五千人と急激にふえております。そういうこともございますので、政府としまして、今委員から御指摘があったように、やはり中国の年金の動きというのは非常に注意深くフォローしておりますけれども、今のところは法律に外国人への適用については明文規定もございませんし、それを何か動かそうというような動きがあるとも承知しておりません。また、在留邦人が支払いを求められたということもないと承知しております。

 ただ、いずれにしましても、これだけ多くの在留邦人が居住されている、在留邦人の方が年金制度に伴ってさまざまな不利益をこうむったりすることのないように、やはり政府としてもきちっと対応できる準備は進めておかにゃいかぬということは御指摘のとおりだと思いますけれども、現時点では引き続き中国の動き、情報をきちっと把握することに努めさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

谷口(和)委員 ちょっと関連いたしますけれども、中国も含め、今後ロシアとかインドなどとも経済交流、人の交流も活発になってくるかと思うんです。ロシアやインド、それからアジア、例えばフィリピンから社会保障協定の要望というのが来ているということも伺っておりますけれども、こういったロシアやそれからアジア諸国との協定締結に向けた見通しというか方針というか、そういうところをもう一度確認をしておきたいと思います。

麻生国務大臣 社会保障協定というのは、これは二国間関係というのを強化する上で非常に大きな道具になるんだ、私どももそう理解をしております。日本としては、いわゆる人的交流の幅とか、また社会保障制度のあるなし、ない国もありますし、整備がきちんとしていないところもありますので、そういった意味では、行っているけれどもそういった問題がないところ、また経済界で進出しているところからの要望等々を受けまして判断しているんです。

 一般に、アジアとの国々においてこの種の話がないというのは、前提となる年金制度が未成熟とか発達していないから、二重払いとかいう話が起きていないというところが大きな理由。また、欧米諸国は逆にそれができているところなんですが、欧米諸国と他のアジアの国がそこでやっているかというと、それも余りないというのが現状だと思いますので、今後いろいろやっていかないかぬと思っておりますけれども、今、特にアジアの諸国につきまして日本の経済界から要望が出ているかといえば、そういうことはないということが現状だと存じます。

 したがいまして、これは、社会保障制度の成熟とか要望とかいうのを今後見計らいながら、協定締結を視野に入れていかなければならぬのかなと思っております。

谷口(和)委員 相手先の国の制度がまだ未整備だということなんですけれども、準備だけはぜひ万全を期していただきたいと思います。

 続きまして、冒頭に話しましたフランスとベルギーなんですけれども、一応締結はしたということで、日本でも第百六十二回通常国会で承認をしております。ただ、フランス議会、ベルギー議会での承認がまだということで、協定未発効という状態になっております。フランスもベルギーも、それぞれ百十億円と四十億円の負担軽減になるということで、一刻も早い締結が望まれるかと思うんですけれども、現在の状況を御説明願いたいと思います。

八木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、フランスでございますけれども、フランスでは、協定の実施に関しますすべての関係の取り決めがそろっているということが協定の議会提出に必要でございまして、これらの取り決めが合意された後に、フランス政府内での審査手続を経た上で国会に提出されるというふうに承知しております。本年の二月にはこの協定実施のための細目を定める取り決めが両国の実施機関間で合意されておりますので、私どもといたしましては、協定が早期にフランス議会に提出されるということを期待しておるところでございます。

 それから、ベルギーでございますけれども、こちらの方は本年三月三十日に上院、それから四月二十日に下院の承認が得られておりまして、現在国王の署名を待つなど、国内手続の最終的な段階にあるというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、両協定の可及的速やかな発効を目指して、両国とも協力しながら作業を進めてまいりたいと考えております。

谷口(和)委員 時間もあと少しですので、一点だけ、最後、簡単にお伺いしたいと思います。

 今オーストラリア、それからオランダと交渉を行っているということで、実は、かつての同僚が冒頭話しましたカナダと、オーストラリアにも現地法人にかなり行っておりまして、ここもやはり年金の問題でかなり大変だという話が出ておりまして、簡潔にお伺いしたいんですけれども、オーストラリア、オランダとの交渉で残された問題点、それから締結の見通しについてお伺いしておきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 まず、豪州でございますけれども、昨年六月以来二回交渉をしておりまして、ことしの七月に次回の交渉を予定しておりますが、中身につきましてはほとんど両国間の合意に近いものができておりまして、今後は文言の調整に入っていくことになろうかと思っております。

 それから、オランダにつきましては、昨年十月以来二回交渉を行って、次回の交渉の日程を今詰めているところでございますけれども、こちらの方は、中身につきましてまだ調整中でございます。ちょっと、交渉中のことでもあり、どういう項目についてかということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、オランダにつきましても、できるだけ早期に締結できるよう頑張っていきたいと思っております。

 以上です。

谷口(和)委員 最後に、できるだけ早く締結、また発効になるよう要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介でございます。

 ただいま公明党の谷口さんからもるるお話がありましたように、私も、現在の日本外務省の社会保障協定締結に対する取り組みというのは、少しのんびりし過ぎているのではないかなというふうに考えております。と申しますのも、フランス、カナダ、ドイツ、イギリスといった欧米各国は、既に四十、五十といった相手国と社会保障協定を締結しているわけですけれども、我が国にとってはこれがまだ七カ国目ということでございます。在留邦人の利益、後ほど数字的なことも議論させていただきますけれども、かなり大きなメリットがあるはずのこの社会保障協定、締結を急ぐべきであると考えるわけですけれども、今後の政府の方針をまずお伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 今、津村議員から、交渉が遅いじゃないか、こういう話でありました。

 私も、実はずっと、新人時代から厚生委員会に入っていて、十年ぐらい前にこの問題を、全く同じように質問したことがあります。ただし、相手は厚生省でありましたが、ひょっとしたら小泉さんが大臣だったかもわかりませんが、その当時はまだ本当に遅くて、まだほとんど動いていないという状態でありました。

 御案内のように、平成十一年にドイツとの間で初めて協定を締結したということでありますけれども、話し合い自体は、昭和四十年代から、米国などと年金制度への二重加入等の問題について話し合ってはきたのでありますけれども、その後、日本も急速な少子高齢化が進んで、財政再計算、五年に一遍、かなり大きな制度変更もやってまいりましたし、相手も同じような形でやっているというようなこともあって、なかなか交渉が進まなかったということはおっしゃるとおりで、御指摘のとおりだと思います。やっと平成十一年に、事の重大性をバックにドイツとの協定ができて、締結をしたわけで、それ以降、イギリス、アメリカ、韓国、フランス、ベルギー、そして今回カナダということになってまいったわけであります。

 先ほど、大臣からも答弁あったように、人的交流や経済交流を促進するためにも、極めて大事な、二国間関係としての社会保障協定でございますので、今後とも順次やっていかなければいけないというふうに思います。

津村委員 この社会保障協定の意味するところですけれども、もちろん二重負担をしている方、あるいは保険料の掛け捨てになっている方、個人の利益ということももちろん重要です。その一方で、我が国にとっての含意といいますか、そういう意味で考えてまいりますと、相手国から、外国人労働者といいますか、日本に来てもらうという側面も当然あるわけですから、そう考えますと、評価はともかくといたしまして、これからの日本が外国人労働者の方々をどう受け入れていくのか、そのための環境整備をどれだけ現在進めているのかということともかかわる、比較的すそ野の広い議論なのかなという気がするわけです。

 これは外務省にお伺いしたいんですけれども、我が国の社会保障協定の締結のおくれが外国人労動者受け入れ問題に与えている影響、あるいはその関係について、認識をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 外国人労働者受け入れの話というのは、津村先生、この話は、特に今回の二重払いの話と直接関係があるから多いとか少ないとかいう話ではないのではないか。もっとこの話は、今の少子高齢化の話から始まって、どうでしょう、貧しい国から豊かな国に人が流れ込んでくるというのは、ローマの時代からもうずっと変わらずというところだと思いますし、そういった意味では、日本でこの種の問題が顕著になってきたのは、多分、一九八六年の一ドル二百四十円が百二十円に暴騰した、あれぐらいからがこの種の話が顕著になってきたと思っております。

 そういった状況の中で、今、いろいろ検討され始めてかれこれ二十年ぐらいがたつんですけれども、その中で、景気がこの十年ぐらい余りよくなかったときは当然のこととして数は減った、入ってくる人の国別も随分変わった等々いろいろな問題があるんですが、これが直接、今回のいわゆる二重払いの話と関係しているかと言われると、それとこれと直接的には関係があるわけではないんだと思いますけれども。

 ただ、これも、一つの話のネタとしてはあるんであって、特にこっちのお話の方は、余り豊かじゃない国の方が、逆に言えばそういった年金制度が発達していない、十分に成熟していない国の方が多いということになろうと思いますので、今これを見ていただいてもわかるように、一つの検討課題の大きなものだということは私もそう思います。

 この直接関係あるなしは別にして、いずれにいたしましてもこの種の制度が一つできましたので、いろいろな形で平成十一年から以後、着実にでき上がりつつあるんだと思いますので、少し制度ができ上がってくれば、契約ができ上がってきてその結果も見ながら、波及効果の大きいところからやっていった方が効果は大きいんだと思っておりますけれども、いずれにしても、外国人労働者の問題というのは、この話とはまた別の意味で、広く考えねばならぬ大きな問題だろうと思っております。

津村委員 大臣、ぜひ認識を改めていただきたいんですが、外国人労働者の問題といいますと貧しい国から豊かな国へ、そういうのはあくまでも一面的な議論です。

 私は、本会議でこれまで何度か登壇をしたことがあって、そのときには必ずその話をするんですが、これは外交だけではないと思いますけれども、これからの日本の国の戦略として考えたときに、私は金融の話をよくするんです。アメリカあるいはイギリス、ウォールストリートとシティーがあるわけですけれども、日本が世界の三大金融マーケットの一つになっていくことは、これからの日本にとって非常に戦略的な意味がある。

 中国やあるいはシンガポール、そういったところよりも日本は明らかにその点ですぐれていますから、経済的な交流も大きいし、二十四時間、時差があることも考えれば、やはりこれは三極にそれぞれ金融センターというものは必要なことであって、円の国際化とかそういったことを日本はもう何十年取り組んできているわけですけれども、その中で大きな障害になっていることが、日本人は英語がしゃべれない。だから、海外からの優秀な、外国人労働者というとそういう方たちもいるわけです、外資系のビジネスマンたちですね、こういう人たちがなかなか、日本よりはシンガポールの方が働きやすい、香港の方が働きやすい、なぜなら英語が通じるからだ。少々取引が不便であってもそっちの方がいいといって、最近は、村上ファンドが何かシンガポールに行くだの行かないだのありましたけれども、そういうような、一歩間違えば日本からさえ流出している、そんなような状況にあって、これに何とか取り組んでいかなければいけないということで、極端な議論をする人は英語を第二の公用語にしたらどうかとか、あるいは極端とは思いませんけれども、小学校から英語をちゃんと教育しようとか、そういう議論もあるわけです。

 そういうことを考えたときに、こうしたまさしく外国からの、それこそアメリカからでもフランスからでもドイツからでもいいですけれども、そういうところから日本に来やすい環境をきちんとつくる。しかも、やろうと思えばできる努力なわけですから、こうしたことをしっかり整えておくというのは、外国人労働者という言葉を使うと違う連想をされたようですけれども、これは日本にとって非常に重要な国家的な課題であって、イギリスだって、ある意味百年前のシティーの遺産をいまだに、経済的には第二次産業が大分もう、イギリスという意味では以前の発展段階にはないわけですけれども、しかし、金融というものが国家的なインフラになってたくさん人が集まっていくし、日本からだって、第三位ですか、在留邦人がたくさんイギリスに今も行くような状況が生まれているわけですから、そういう意味での環境整備を進めるべきだ。そういうことをどうお考えになっているかと伺ったわけです。

麻生国務大臣 全く反対じゃありません。したがって、ここを見ていただいたらわかりますように、イギリスとかアメリカとかいう国とはきちんとしておるので、そういったところから入ってこられる方は、基本的にはアングロサクソンが大体多いんですけれども、そういったアメリカとかイギリスとか、金融とかファイナンスというビジネスをやっておられる国々というのは、これだけ、個人金融資産が千四百兆あろう国ですから、それはもう入ってくるのは当然。

 したがって、そういった国々の人たちに対しては、今言われたように、こういったものを含めていろいろな整備というものがされているのであって、外国人労働者の定義というのは幅広い。外国人労働者担当委員長を二年やらされましたので、もう死ぬほど味わわされましたので、この話は物すごく幅広いと最初に申し上げた理由がそれです。

津村委員 そういう御認識をお持ちいただいているというわけですけれども、そうした中、やはりそう考えてくるとなおさら、まだこの七カ国ですかという話になってくるわけで、ここで少し数字的なところから議論させていただきたいと思います。

 この二重負担の問題というのが一体どの程度の広がりを持った議論なのかということをまず最初に確認して、その中で、七カ国目というのはどのくらいまで作業が進んでいるかということを評価していきたいわけですが、現在、在留邦人について、年金の二重負担もしくは保険料の掛け捨ての問題が生じている国は何カ国あるんでしょうか。

塩崎副大臣 今、掛け捨て等の問題が起きている国は何カ国か、こういう御指摘だったと思います。

 この問題についてですが、御指摘の二重負担または保険料掛け捨ての生じている具体的な国の数というのは網羅的には把握をしておりませんが、これらの問題に係るニーズの所在については絶えず、先ほど経済界からの話、アジアの場合はどうなのかというお話がありましたが、経済団体あるいは関連団体からの要望を常に聞くという姿勢で臨んでいるということでございます。

津村委員 それは私、外務省の深刻な怠慢だと思うんです。掛け捨てがどれだけ生じているか、二重負担がどれだけ生じているか把握していないということですね、今の御答弁は。

塩崎副大臣 津村先生、網羅的には把握をしていないと。大体どの程度ありそうだとかいう話は、もちろん今、申し入れがある国などについて大体の感じはそれぞれわかっていますけれども、網羅的にということで、すべての国、どれだけあるのかということであると、ちょっとすぐには答えられない、こういうことであります。

津村委員 もう少し具体的に伺っていきますね。

 まず、これはもちろん調べていらっしゃるわけですけれども、既に締結をした六カ国、それから今回のカナダ、これは、それぞれ該当する在留邦人の人数、そしてその方たちがこの協定によってどの程度金銭的なメリットがあったのか、あるのか、その試算を教えてください。

塩崎副大臣 今、該当する在留邦人という話でありましたけれども、今回のこういうような締結がされる場合の人たちで、その家族とかいろいろいるわけですけれども、直接関係する人ということであれば、まず、今回のカナダにつきましては、約九百人が二重負担の対象になっているだろうということで、年間約三億円というふうに把握をしてございます。

 それから、これまで締結した国、六カ国ございますけれども、それぞれ申し上げますと、ドイツは三千人で三十億円、イギリスが二千五百人で五十億円、韓国が千六百人で六億円、それからアメリカが一番大きいわけでありますけれども、約四万人で六百億円、フランスが三千人で百十億円、そしてベルギーが千五百人で四十億円となっているわけでございます。

 それから、これまでの締結国については、相手国との経済活動が活発だということで、社会保障協定のニーズとか利益が合致している、そういう国々なわけですけれども、この我が国の締結の際にいろいろ考える考慮事項というのは、もう先生御案内のように、保険料の負担の規模とか、在留邦人の数とか、それから進出日系企業の数あるいは要望、先ほど来お話ありました。それから先方からの国としての要望があるのか、それから両方の社会保障制度の間というのも、いろいろ問題があるんですね。(津村委員「その話はいいです」と呼ぶ)

 それから、交渉中の国と、申し出のあった国についてどうなのかということでありますけれども、これは、協定によってカバーするどこまでの範囲と程度があるかということによって決まってくるわけであって、その具体的な数字については、明確に、今、言う段階ではないというふうに思います。

津村委員 交渉の程度によって違うというお話がありました。ちょっと私の質問、先取りしていただいていろいろお答えいただきましたけれども、締結した国六カ国プラス・カナダの七カ国については具体的な数字を先ほど挙げられた。

 今、締結の申し入れがあって、我が国としては検討中というのは八カ国あるはずで、その中の一番古いものでは十九年前のルクセンブルクということもありますし、また、既に協議中というところで、先ほど谷口さんの質問に答えられていたオーストラリアとオランダがある。とりわけ、オーストラリアは、先ほどの厚生省の方の御答弁によれば、もう既にほぼ相調って、最後の文言の調整までいっているというお話ですが、そういった国さえも試算はできていないんですか。

塩崎副大臣 さっき申し上げたように、どういう取り決めをするのかによって実際のカバーするべき金額というのは決まってくるわけなので、そこのところ、正確にまだ答える段階ではないということでございます。

津村委員 では、これを一つ先に関連してお聞きしますけれども、我が国から協定締結を申し入れた国というのは何カ国あるんでしょうか。

塩崎副大臣 基本的にはございません。

津村委員 私が問題にしているのは、すべて受け身でしか仕事をしていないということを言いたいんです。

 向こうからは、八つ、申し入れがあった。では、その効果はどれだけあるのかということを当然考えるべきなのに、交渉が、締結してその結果を見ないと、どれだけのメリットがあるかわからない。まして、向こうから申し入れがない、その他の何百カ国、百何十カ国については、これは、こちらから試算もしていないし、その結果、当然申し入れもしていない。この社会保障協定の締結というものは非常に重要だということをおっしゃっているにもかかわらず、向こうから言われないと何も作業をしない、どれだけ我が国にとってメリットがあるか試算もしない、在留邦人が何人いて、その中のどれだけが該当者であるかもここでお答えもできない。

 それは怠慢じゃないですか。外務省だけじゃなくて、厚生省かもしれませんけれども、全部受け身でしかこれは仕事をされていないということですか。こちらからのアクションというのは何もされていない、そういう理解でよろしいんでしょうか。

塩崎副大臣 何もやっていないというのは少し極端なお言葉ではないかと思いますが、先ほど来大臣からも答弁申し上げているように、人的な交流、それから経済交流、おっしゃるように、単純労働者を日本は受け入れているわけでは原則ありませんから、いろいろな形で労働の横の動きというのはあるわけですから、先生御指摘のような、この社会保障の協定というのがこれから必要になってくることは当然のことであって、絶えずそれらの問題については、政府の中で、厚生労働省そして外務省でも見ていることは間違いないということだと思います。

津村委員 何もやっていないというのは言葉が過ぎたかもしれません。申しわけありませんでしたが、これからどこと協定を締結していくのかをどういうふうに考えているか、どういう作業をしているかということはほとんどお答えがないということはやはり事実で、次にどこと締結をしていくのが我が国にとってメリットがあるのか。

 厚生省さんにしても外務省さんにしても、必ずしも多くない定員で仕事をされているわけですから、一度に何十カ国との協議もできない、一度に何十カ国との協定締結もできないわけですから、できるだけメリットの大きいものから順にやっていくことが我が国のメリットになる、我が国の国益になるわけです。

 そう考えると、戦略的に、次はどこ、その次はどこ、その次はどこというふうに、順序をつけてこの協定締結を進めていかないと、向こうから言われてから考えますというんでは、ちょっとそれは頼りないなということを申し上げているわけで、その次はどこ、次はどこというのを考えるときにどういう仕事をされているんですかということのお答えは事実上なかったので、それは何もされていないように聞こえますよということを申し上げています。

塩崎副大臣 いや、それは、先ほど途中まで言いかけたところで、そこはちょっとまだ聞いていないというか、そういう感じのことだったもので、途中でやめたんですけれども、どういう考え方でこれに臨んでいるのかというところをさっき申し上げようと思っていたんです。

 やはり相手国の社会保障制度でどれだけ在留邦人も負担をさせられているのかというような問題とか、在留邦人の数、日本の進出企業の数、経済界からの具体的な要望が多いか少ないか、そして相手の政府もそれを望んでいるのかどうか、それから、両国の間での制度の違いがどの程度あって、どのぐらい調整できるのか、こういうようなものを総合的に勘案して、なおかつ、今御指摘のように、どれだけの人的資源が政府部内にこっちにあるかという、その中で、順番を総合的に、優先度の高いものからやっていこうということで、今交渉しているのは二つでありますけれども、あと八つからきているという中で、次に大体どれをやろうかということは、もちろん政府部内で鋭意検討して、順番を何となくやはり考えながら、次、どこやるかということを今詰めている、こういうことでございます。

津村委員 今後、我が国から順番をつけて協定締結の申し入れをしていくというお考えはありませんか。

塩崎副大臣 それは、当然、経済は生き物ですから、そういうことは十分あり得ると思います。

津村委員 ありがとうございます。

 きょうは厚生労働省からも政務官に来ていただいておりますので、何点か、少し技術的といいますか実務的なことも伺っておきたいと思います。

 アメリカとの日米社会保障協定というのが昨年の十月に発効したということでございます。これまでアメリカで年金の受給資格を得るには十年の加入期間が必要であったものが、アメリカで一年半以上年金保険料を納付し、かつ、日本での年金加入期間との通算が十年以上になれば受給資格を満たすということだそうです。

 これによって、協定発効以降、これまでに一万一千件を超える申請が社会保険事務所に提出されているということですが、先ほどの数ですね、アメリカ、四万人の六百億円という話も先ほど塩崎副大臣からお聞きしましたけれども、潜在的には非常に大きな該当者がいる中で、一万一千件を超える申請が出され、さらに、その手続の完了にはかなり時間を要している、要するに追いついていないというふうな現場の事情があるというふうに聞いているわけですけれども、現状の社会保険事務所の事務処理体制で、今後増加が見込まれるこの申請手続にどう対処していくのか、それは可能なのか、お伺いしたいと思います。

岡田大臣政務官 お答えいたします。

 米国年金の裁定、支払いは米国政府において行われるものであり、我が国においては、社会保険事務所において米国年金の請求申し出書を受け付け、社会保険業務センターに進達をします。社会保険業務センターで日本の年金加入状況の証明書を作成し、米国の社会保障庁に送付をしているというところであります。

 社会保険事務所において受け付けた米国年金の申請件数は、議員今御承知のように、昨年十月から本年三月までの実績でありますが、一万一千四百三十九件。当初二、三カ月を要しておりましたが、協定開始後六カ月を経過した現在では一カ月程度に短縮されるなど、順調に推移していると考えているところであります。

 今後とも、事務処理の実施状況を適切に把握し、国内における事務処理体制に万全を期するとともに、必要に応じ、米国の社会保障庁に対しても、米国年金の裁定等の事務手続の迅速な実施を要請するなど、社会保険庁において関係機関と連携を図りながら、協定事務が円滑に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

津村委員 カナダとの協定について一点伺います。

 我が国の年金制度に加入をし続けた方とカナダの年金制度に加入をされた方で、これは五年以内か五年を超えるかということで機械的に区分けされるようですけれども、年金受給額の差異が生じるということですけれども、それは具体的にはどの程度の差が生じるんでしょうか。

岡田大臣政務官 御質問の派遣期間が当初から五年を超えると見込まれる者については、カナダ滞在中は相手国制度のみに加入することになります。

 今の御質問の差異でありますが、一つ例を挙げますが、日本の年金に二十五年加入継続した場合と、カナダで十年就労そして日本の年金に十五年加入した場合の受給額の比較でありますが、日本における平均標準報酬額三十六万円、カナダにおける年収は四万カナダ・ドル、一ドル八十五円として換算しますと、日本において二十五年終了した場合の年金月額は、約十万四千百円ということになります。一方、カナダにおいて十年就労し、加えて日本の年金に十五年加入の年金月額は、合計額は約九万三千六百円ということになります。

 議員御指摘のように、ここで差異が生じるわけでありますが、しかし、相手国の年金制度いかんでは、我が国の年金制度に加入し続けた場合と比べて特定個人の受給額が少なくなることもあり得ますが、全体として見れば、協定締結により二重負担が解消されることや、通算により保険料の掛け捨てがなくなるなど、協定のメリットは大きいものと考えているところであります。

津村委員 最後に、この協定に関連してといいますか、日本とカナダとの関係、外交問題で、一点だけ大臣にお伺いしたいと思います。資源外交についての御質問です。

 対カナダということでは、これまで余り資源外交という点が注目をされてこなかったように思いますが、昨今の報道では、オイルサンドあるいはウランの鉱山、こういったものがカナダにあるということで、中国などは何か資本提携をしてその開発にコミットを始めているということですけれども、日本はこのカナダの天然資源についてどういう展望といいますか外交戦略をお持ちなんでしょうか。最後にこれだけお伺いします。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、バレル六十八ドル、きょうは六十九ドルでしたか、上がってきていますので、化石燃料、石油、約九〇%前後を中近東から輸入しております日本にとりましては、これが今後とも今の高値でとまるという、この世界は余り当てにならぬ世界ですけれども、なるという前提になりますと、いわゆるタールサンドとかオイルシェールとかオイルサンドとか、そういったような種類のものを、シェールとサンドから分離して、いわゆるタールにして石油にというようなものをやっても採算が合う可能性が出てきますので、供給する側からすれば、これは結構重要性が高まりつつある、高まったとは言いにくい、高まりつつあるというところなんだと思っております。

 これは主に経済産業省がやっておられると記憶しますけれども、一月ぐらいから官民合同の調査団をカナダに既に派遣をしておられると思いますが、そういった意味で、この開発というものの可能性を検討すべき、この方がエネルギー供給源の多元化ができますので、その方向で検討をしていくべきだと考えております。

 ウランの話は、今、年間、ウランの輸入量の約三〇%ぐらいがカナダから輸入されていると思いますので、そういった意味では日本にとりましては大きな資源国で、ウランの価格というのは今御存じのように高騰しつつありますので、この鉱山の開発の権益というものに対して参加をしようということをやろうとしているのを承知いたしております。

 いずれにいたしましても、エネルギーというものが、将来、水素が全部取ってかわるというものになるぐらいまであと何十年かかるかわかりませんけれども、そういったまでの間は化石燃料に頼らざるを得ない部分というのがかなり多くあろうと思います。中でも石油の部分は大きいと思いますので、そういった意味では、今後とも、こういったような問題、今御指摘のあった問題については丁寧に対応していかねばならぬと思っております。

津村委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党、武正公一です。

 日加社会保障協定について質疑を行わせていただきます。

 もう既に同僚委員から同様の質問が出ておりますが、まず一問目は、社会保障協定締結の迅速化、これは私も求めておきたいというふうに思っております。特に、既に結びましたベルギーからの申し入れから署名に至るまで十九年ということで、もう既にひな形もできておりますので、迅速な締結を、これは要望として、もう既に各委員取り上げて、質疑で外務省もお答えをいただいておりますので、要望とさせていただきたいと思います。

 そこで、外務副大臣にお答えをいただきたいんですが、我が国が本来締約国になっていない多数国間条約、国会の承認を必要とすると思われるもの、これがどのぐらいあるのか、未署名あるいは未批准の条約数、そのうち特に人権関係、ILO関連、それぞれ幾つなのか、お答えをいただけますでしょうか。

塩崎副大臣 我が国が締結をしていないというジャンルに入る条約の数、全体を幾つか、こういうお尋ねであるとするならば、全世界に存在している多数国間条約というので我が国が未締結のものということになると、全体をすべて網羅的に把握をすることはなかなか難しいのかなという感じがいたします。

 人権、それからILOの御質問でありますけれども、人権関係の条約については、これまた網羅的に全部ということになるとなかなか難しいんですけれども、国連の事務総長が寄託者になっているものに仮に限定をしてみると、全体で二十二本ある中で、日本がまだ締結をしていないものは十二本ございます。ですから、二十二分の十二ということになります。

 それから、ILOにつきましては、これまで採択された条約数全体が百八十六ありまして、その中で既に日本は四十七批准をしておりますので、マイナスすると百三十九なんですけれども、既に八十五本についてはILOとしてももう批准を促進しないということになっている、古くなった、オブソリートになったものがある。それを除くと、我が国が批准をする可能性がある条約として五十四本あるということになろうかと思います。

武正委員 ILOが五十四本で人権が十二ということでございます。既に、国会図書館が、先ほど私、質疑でちょっと限定させていただいたんですが、二〇〇三年七月現在、我が国が締約国となっていない多数国間条約のうちで国会の承認を必要とすると思われるものという限定で、二百三十五件未批准のものがある。そのうち、人権関係が十七件、ILO関係が八十五件ということでございます。

 条約締結は内閣の専権事項でありますが、その条約締結が国内法にやはり影響を与える。これは、ちょうど今、国会で審議中のいわゆる共謀罪がまさにそれでございます。テロ防止ということでの条約締結に伴って国内法を規定するということでありますが、本来であれば、私は、条約の承認、国会の時点において、国会も、特にマルチの、多数国間条約であれば、その本条約に影響を与えない範囲で国会としての意思を表明できる、例えば留保などが我が国の国会でもっともっと検討されてしかるべきと、今回の共謀罪の今の国会の状況を見るにつけて思うわけでございます。

 あわせて、人権、ILO関連ということがまだまだ十二本あるいは五十四本未批准という状況について、私はやはり批准を促進すべきであろうというふうに考えるわけです。

 麻生外務大臣、この間、日米外相会談で、たしかサミットで拉致の問題を取り上げるというようなやりとりをライス国務長官と合意をしたような、そんな記事も見たわけなんですけれども、過日は、日本が人権理事会の理事に当選をいたしました。民主党の国会議員も、このゴールデンウイーク中にはニューヨークなどに行く機会があればそういった働きかけをしようということで進めてきたわけで、私は大変喜ばしいことだというふうに思っております。

 人権理事会の理事国に当選をし、そしてまたサミットで拉致問題、拉致事件の解決も主張していく、こういった話もあるわけですので、そういった我が国が、人権あるいはILOに関連する条約がまだ未批准のものが十二本あるいは五十四本あるというのは、私はやはり積極的な対応、批准促進があってしかるべきと思うんですが、今のやりとりをお聞きになって、外務大臣としての御所見はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 武正先生、組合の話を含めて、これはもう長い長い昔からの話で、官公労の話やら何やら含めまして、たしかいっぱい複雑な話が絡み合った話なんであって、日本が非常に人権無視なような雰囲気というものでやれていないというような感じを私自身も思っておりませんし、世界からもそういうぐあいに思われているというわけではない。

 ただ、これまでの官公労の話のスト権の話やら何やらを含めて、これはILOの話とは、これまでの経緯がいろいろありますので、いろいろ話し合いがついたところ、折り合いがついたところ、時代が大分変わりましたので、そういったところも含めて、やれるものに関しましては今後ともきちんと対応すべきものだと考えております。

武正委員 昨日の教育基本法の改正案の国会審議でも、我が党の鳩山幹事長が、これは国際人権規約でしょうか、高等教育無償化条項、世界で日本を含めて三カ国だけが留保をしている、これを取り上げてもおりますので、今組合のことを取り上げられましたが、そのほか人権を含めて、まだまだ日本が対応について積極的にあってしかるべきというところはたくさんあるというふうに考えております。

 加えて、今後の国会では、たしか簡略化条約、IMOですね、国際海事機関、これは国会も承認をしたわけで、今衆議院から参議院に送られているんでしょうか、この条約も、IMOを調べてみると、十四本の条約のうち、ようやくこの一本が、これは二〇〇三年七月時点ですが、批准したということで、残り十三本はまだ未批准といったこともありまして、これは日本海の呼称問題にもかかわるIMOでありますので、私はやはり条約の批准、先ほど来、日加社会保障協定でもっと促進できないのかということがありました。これは、国会の条約の承認の仕組みも含めてこの外務委員会でもいろいろ御提起もいただいていますが、やはり外務省としての条約締結のスピードアップをどういうふうに図っていくのか、これは私は課題であろうというふうに思います。

 そして、お手元の方にきょうは資料を提出させていただいておりますのでごらんいただきたいんですが、これはもう既に本委員会で何度か取り上げておりますが、交換公文についてでございます。

 昭和四十九年の大平外務大臣の大平三原則という中で、条約締結に当たっては国会の承認を得る、ただ、承認を得た条約に関連してその後結んだ行政取り決めについては、重要なものは国会に、外務委員会に資料を提出する、こういう大平三原則、答弁があります。それを受けて、平成二年六月八日の丹波説明員は、与野党の理事の先生方に内々御相談してそういう処理の仕方をしておりますということでございますが、次をごらんいただきますと、平成五年の十二月に繊維製品の議定書が締結されて以来もう既に十三年を経過しておりますが、一本も外務委員会には交換公文が提出されていないというのが実態でございます。

 ちょうど昨年、町村前外務大臣にこのことを聞きまして、やはり十三年間重要な交換公文が一本もないというのは余りにもおかしいんじゃないですか、こういうやりとりをいたしましたところ、行政取り決めの国会御報告につきましては、引き続き、大平外務大臣答弁の趣旨を踏まえまして適切に対応していきたいと考えております、こういう答弁をいただいたわけでございます。

 また、三ページ目、四ページ目、外務省に資料を提出していただきまして、この町村答弁以降、五月十日までに外務省が結んだ行政取り決め、これが百七十六件ある。ただ、この百七十六件の主なものを列挙していただいておりますが、先ほどの丹波さんの説明にあるような与野党の理事への相談、少なくとも私の方にはございませんので、重要な交換公文はないという御判断だったと思うんですが、まず、外務大臣には、町村前外務大臣同様、やはり重要な交換公文については、大平三原則、大平元外務大臣の答弁のように国会に御提出をいただくということを改めて確認させていただきたいと思います。

麻生国務大臣 今の大平外務大臣、町村外務大臣等々のお話、これは私どもと同じ立場なんですが、今お話のありました百七十件の行政取り決めのうち、七件を除きますとすべて経済協力に関するものでありまして、これらはそもそも国会承認条約の実施に関するいわゆる行政取り決めではありませんので、そこのところは御存じのところと存じます。

 残り七件のうち四件というものは、行政取り決めにはなっておりますが、国会承認条約を締結するに際して補足的に合意された条約の実施、運用あるいは細目に関するものでありまして、既に国会に提出しておりまして、在日米軍駐留経費負担の特別協定とか、日本・マレーシア経済連携協定の実施取り決めとか、日英租税条約に関する交換公文とか、日・欧州原子力共同体原子力協定についての合意議事録等々であります。したがいまして、これは既に国会に提出をされております。

 七件の残り三件のうちの二件につきましては、いずれも、そもそも国会承認条約の実施に関します行政取り決めではありませんものですから、これは大平外務大臣答弁に従って提出されるべきものという範疇には当たらないと存じます。

 残りの一件につきましては、これは、国会承認条約である日米相互防衛援助協定、いわゆるMDA協定のことだと思いますが、実施細目の取り決めとして締結されたもので、この協定の実施、運用を把握しておく上で必要という見地から検討を行った結果、国会に資料提出されるべきものに当たらないという結論に至ったというのが今の御質問に対するお答えです。

 いずれにいたしましても、大平外務大臣のこの資料、武正先生、前にも御質問をいただいたことがあるんだと記憶しますけれども、私どもとしては、町村前外務大臣が御答弁を申し上げましたとおり、基本的にはこういった御意思というものを踏まえて対応してまいりたいと思っております。

武正委員 今一本についての判断をされましたが、金澤さん、もしお答えいただければお願いをしたいんですが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づく情報の保証及びコンピュータ・ネットワークの防衛に係る協力に関する交換公文、ちょっとこの中身、お答えいただけるとありがたいんですが。今外務大臣は、協議したけれども国会に提出するに及ばずということでございました。

 そもそも、昨年もこの交換公文の話を取り上げたのは、一昨年十二月、日米のミサイル防衛に関してその費用を折半しようという交換公文が締結され、半年後に官報に告示をされたわけなんですけれども、そうした重要な交換公文を、やはり今の、この後触れる、米軍再編にかかわる大変な巨額の費用を日本政府は拠出しようとしていることもかんがみて、私は先ほどの外務大臣の発言で、国会に提出するに及ばずと言ったことはいかがなものかというふうに思うからでございます。いかがでしょうか。

金澤政府参考人 突然のお尋ねでございます。

 この交換公文といいますかは所掌外でございまして、正確にお答えする知識を持ち合わせておりません。申しわけございません。

武正委員 外務省、いかがでしょうか。

梅本政府参考人 この交換公文でございますけれども、今御指摘ございましたように、御答弁ありましたように、MDA協定第一条に基づいて締結をされたものでございますが、その内容でございますけれども、情報の保証及びコンピューターの防衛に関する協力ということで、これは平成十五年以来、防衛庁及び米国防省の情報通信部局間の協議において話し合いが行われてきたものでございます。

 この協力は、情報、これはデータでございますが、その情報の保証、それからコンピューターネットワークの防衛に関しまして、防衛庁と米国防省との間の情報交換を促進するということを内容にしたものでございます。

武正委員 米軍再編に伴う最終報告でも、Xバンドレーダーの情報共有なども取り決められたわけでございます。日米間の情報をどう共有し、そして、総理に私も先週本会議で質問いたしましたが、情報の主体性をどう確保するのかという観点からも私は大変大事な交換公文だと思うゆえに、やはり外務委員会に提出が必要であったというふうに考えるわけでございます。

 そこで、米軍再編にかかわって、審議官級協議に御出席のお二方、お見えをいただいておりますので、それぞれ、まず、米軍再編に三兆円かかるというローレス発言について、こういった内容、費用を日米審議官級協議で協議してきたのかどうか。総理は既に、費用は合意はしていないというような言い方をしております、三兆円とか。ただ、こういった内容、費用を協議してきたのかどうかというのがまず一点。

 それから、お手元に、やはり資料の一番最後ないし最後から二枚目をごらんいただきますと、今回のグアムへの移転経費の、幾らかかるかという合意がされているわけでございます。一番最後のページには、ごらんをいただきますと、これは三月の末の報道、日経新聞からでありますが、自衛隊隊舎三億ドル、こういう記載、総合計九十八・一億ドル超の中で自衛隊隊舎三億ドルという記載があります。額賀防衛庁長官は、隊舎を今後グアムに建設することはないという本会議答弁をされておりますが、グアムに自衛隊隊舎あるいは自衛隊員の住宅などの建設、これを行おうという協議をこの日米の審議官級協議で行ってきたのかどうか。内容、費用、こうしたものを協議してきたのかどうか。これをそれぞれ、二問ずつになりますが、梅本外務審議官、金澤防衛局次長、お答えをいただきたい。

 とりわけ一問目については、ローレス国防副次官が先々週の日曜日、テレビのインタビューで、この三兆円という金額は日本側のパートナーから得た数字だと言っておられるわけで、日本側のパートナーというのはすなわち梅本さん、金澤さんというふうに当然審議官級協議ですから理解するわけなんですが、このことも含めてお答えをいただきたいというふうに思います。

梅本政府参考人 日米間では、昨年十月の2プラス2以降、同会合で出されました共同文書で示された兵力態勢の再編に関する案について、実施のための具体的な計画を最終的に取りまとめるべく、外務、防衛当局間の審議官級の会合などの場で調整を行ってきたところでございます。

 この中で再編案実施のための費用面についても協議をしてきたということはまさに事実でございますが、協議の詳細については、米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思うんですが、日本の国内で幾らかかるのかということについてローレスがああいう発言をしているようでございますけれども、御指摘のローレス副次官の発言の根拠となるような、そういう点については話し合われておりません。

 というのは、日本国内において日本がやることというのは、施設を建設して提供する、これはSACOのときにもそうでございますし、これまでやってきているわけでございまして、いわば日本が条約に基づいてやるということでございますので、そこについてアメリカと交渉するということではございませんので、日本の国内でどのぐらいかかるのかということについて議論をしたということはございません。

 また、これは先般の報告でも明らかになっておりますけれども、例えば嘉手納以南の施設・区域の整理統合ということについても、まさに来年の三月までに具体案をまとめるべくこれから協議をしていくということでございますので、そもそも積算のしようがないというところもあるわけでございます。

 また、グアムにつきましては、その費用を、それぞれどういうふうに寄与し得るかというようなことについて話し合いが行われてきたわけでございますが、まさにこれはグアムの話であって、日本国内で幾らかかるかという話ではないということでございます。

金澤政府参考人 まず、ローレス氏の三兆円の発言でございますけれども、在日米軍の再編に伴う措置につきましては、費用面も含めこれまで日米間のさまざまなレベルで協議をしてきたところでございますけれども、三兆円といったような金額を我が国が負担することを話し合ったといったようなことはございません。

 それから、グアムにおける自衛隊の隊舎の建設費についてのお尋ねでございます。

 今先生が御指摘されたような報道があったことは承知しておるわけでございますけれども、先般の日米の合意内容に自衛隊隊舎に係る経費は含まれておりません。また、合意に至るまでの具体的なやりとりや合意内容に含まれていないものにつきまして言及することは適当ではないと思いますので、差し控えたいと思います。

 なお、自衛隊の隊舎をグアムに建設する今後の予定というのもございません。

武正委員 先ほどの梅本さんの、日本国内のことは日本だから、これは日本のことなんだ、グアムのことは日本のことじゃないからというのは、答えになっていないなというふうに思います。

 時間も限られておりますので、金澤さん、隊舎じゃなくて自衛隊の隊員の住宅については協議したんですか。

金澤政府参考人 自衛隊のグアムにおける住宅についても、協議したということはございません。

武正委員 今後、日程として、審議官級協議の日程を決めているのかどうか、これを最後に一点お伺いしたいと思います。

梅本政府参考人 先般の合意を受けまして、これからいよいよ実施に入っていくということでございますので、しかるべき時期に審議官級協議を開いて今後の実施について話し合いを行っていくべきというふうに双方とも考えておりますけれども、まだ具体的な日時等は決まっておりません。

武正委員 具体的な日時も決まっていない、しかも、協議で合意した以外のことはしゃべれない、こういった政府の説明というのは大変遺憾であります。総理も丁寧な説明を国会に対して行うと言いながら、今の外務省、防衛庁の交渉当局者、ここで最終報告が決まったわけで、しかも、これから日米審議官級協議をやるとか、日程も決めていない。

 要は、やはりこれまでの協議の過程をつぶさに明らかにしていただかないと、国民に対して巨額の負担を求めるようなことをイエスと言うような説明を国会としてとてもできないわけでありますので、民主党とすれば、改めて、予算委員会や連合審査、あるいは本委員会、あるいは担当委員会での審議をより求めていくのはもちろんですが、やはり政府としての姿勢、合意事項以外答えられないということがあってはならないということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

原田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 グローバルな経済活動の展開を踏まえて我が国がカナダとの社会保障協定を締結する意義について先ほどから質疑がありましたが、私も、グローバル化の進展と比べますと、ようやく緒についた段階というふうに思います。

 外務省からいただきました最新の数字を私も計算してみましたが、海外の在留邦人の例えば上位二十五カ国というのを見ただけでも、合わせて九十五万六千八百九十七名、そして、そのうちいわゆる社会保障協定の対象になり得べき民間企業関係者本人は二十万八千九百三十八人ということで、相当な数がおられます。

 今後、これらの国々と社会保障協定を締結していくという上で、優先度ということもあろうかと思いますが、企業数や人数、あるいは金額の実際の効果の多寡ということと同時に、二重加入とか掛け捨てという問題は、個々具体的に、企業とかそこの駐在員等にかかってくる問題でもあると思うんですね。人数が少なくても、そこにかかってくるという問題がある。

 そういうことも踏まえてやはり今後検討していくということだと思うんですが、そういうことも含めて、改めてどのようなことを検討していく必要があると考えているのか、伺いたいと思います。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 社会保障協定でございますけれども、本来、これは保険料の二重負担を解消するということを目的としておりますけれども、相手国との人的交流や経済交流を促進するという効果が期待されておるわけでございます。

 ただいま御質問のありましたのは、その上で社会保障協定をどういう優先度でやるかということでございますが、基本的には次のような諸点を考えたいというふうに思っております。

 一つは、今御指摘の中にございましたけれども、在留邦人の数というのがございます。それから、どれだけ相手国の社会保障制度によって社会保険料が負担をこうむっているかという点が二つ目としてございます。さらには、我が国の経済界からの具体的要望がどれだけ優先度としてあるかということ、さらには相手国政府の方から基本的にこれをどれだけ重視しているかというような点についても、我が方としては優先度を考える上での基準にしたいというふうに考えております。

笠井委員 いずれにしても、個々具体的にかかる問題ですから、これはやはり検討も急いでやっていくということが必要だと思います。

 日本とカナダの協力関係の一環として対人地雷禁止条約がありますけれども、これをめぐって、一九九六年のオタワ宣言、それから九七年東京会議の開催を初めとして、協力した取り組みを進めてきたことは重要な意義を持つと思います。私自身も、参議院議員時代に議連の一員として推進の活動に加わってまいりましたし、その後、二〇〇一年秋に、米国によるアフガニスタン報復戦争のさなかに、イスラマバードで国連地雷除去行動計画の責任者から直接つぶさに実情も聞きまして、改めてこの条約の意義を痛感してまいりました。現在、百五十一カ国が加盟しているけれども、米国はいまだに締結をしていないということであります。

 これ以外にも、米国が加盟していない条約が幾つもあると思うんです。包括的核実験禁止条約、ジュネーブの追加議定書、それから京都議定書、国連海洋法条約、国際刑事裁判所規程、子どもの権利条約、女子差別撤廃条約などにも米国は加盟していないと思うんですけれども、これは事実ですね。

辻政府参考人 今先生の御指摘のあった条約については、事実だと思われます。

笠井委員 日本が重視している軍縮、環境、人権などの多国間条約の普遍化を図るという上でも、こうした米国の姿勢といいますか、はっきり言って国際ルール無視というか、そういう態度というのはいよいよ看過できないところまで今世界の状況は来ていると思うんです。

 そこで大臣に伺いたいんですが、政府として、例えば、幾つもあるのでそれぞれ事情があることはあるでしょうが、地雷禁止条約や包括的核実験禁止条約、CTBT、さらには京都議定書について、今後、米国に対してどう働きかける対応をするのかという点について、現時点で伺いたいと思います。

麻生国務大臣 対人地雷全面禁止というのを推進しておりますが、中国、ロシア、インド、韓国、これはいずれもアメリカと同様に批准をしていないというのは御存じのとおり。ほかの国の名前は言われませんでしたけれども、それらの国も批准をしておりませんので、米国に限らずというところが、このオタワ条約、対人地雷禁止条約未締結国ということになろうと思いますので、これは、当然のこととして日本としては締結を働きかけていかねばならぬところと思っております。

 それから、包括的核実験禁止条約というのにつきまして、いわゆるCTBTの件に関しましては、これはいわゆる不拡散体制というものの維持強化のためには極めて重要な意義を有しておりますので、これも、米国プラス中国、インド、イラン等々が、発効要件ということに対しまして、条約の早期批准、イランは特にそうですけれども、今そういうのをやらせていただいておる最中ということになろうと思っております。

 また、今よく話題になります地球温暖化対策の実効性というもののために、これまでも京都議定書への参加、地球温暖化対策等々いろいろ取り組みをやっておりますけれども、幸いにして意識が随分広まってきて、京都議定書以外の、参加はしなかったけれども、また別の、こういうのだったらどうだといういろいろな案が今出つつありますのは御存じのとおりなので、いずれにしても、結果が、効果が上げられなければ意味がありませんので、そういった効果あらしめるというもののためにどうやっていくかというのは、これは幅広く柔軟に対応せないかぬところだと思っております。

 いずれにいたしましても、こういった今御指摘のありました三つの点に関しましては、さらに批准等々を積極的に働きかけていくべきものだと思っております。

笠井委員 米国に対しても働きかけるということであります。

 私は、アメリカの条約締結状況を見ると、やはり多くの問題でやっていないというのがほかの国と比べても目立っているという点では、CTBTについても核兵器廃絶のためにも本当に大事なわけですから、そういうことでさらに強力にやるべきだと思います。

 最後になりますが、対人地雷の禁止条約、日本が締結する際に、我が国領土から対人地雷を全廃すべきであるということに対して、政府は、在日米軍による対人地雷の貯蔵及び保有までをも認めないとすることは適当でないという態度を当時とって問題になりました。

 その際に、当時の小渕総理は、朝鮮半島における安全保障上の理由等から米国は署名していないけれども、米国が二〇〇六年までに朝鮮半島での対人地雷の代替兵器の開発を目指すとしていること等も踏まえて、引き続き適当な機会に米側と話し合っていくというふうに答弁されております。

 さて、その二〇〇六年を迎えたわけでありますが、政府がとってきた立場からしても、米国に貯蔵及び保有も認めない、そのためにも速やかに締結せよというふうにはっきり日本政府は言うべきときが来ていると思うんですが、大臣、どういう話し合いになっているんですか、この問題。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、先ほど言ったいわゆる対人地雷禁止条約、これを通称オタワ条約と言っておりますけれども、これは先ほど、小渕総理のときに申し上げたとおり、我が国は、在日米軍による対人地雷に係る活動を防止及び抑止する条約上の義務は負っていないということになろうと思いますが、いずれにせよ、アメリカはもちろんですけれども、その他未締結国に対しても働きかけていかねばならぬということだと思っております。

 今御指摘のありましたように、二〇〇六年までに対人地雷の代替兵器の開発を目指し、対人地雷及び対戦車混合システムの開発、配備が成れば二〇〇六年までに対人地雷禁止条約に署名するとしていたけれども、ブッシュ政権になってから、この政策を見直すとしてきたというのはもう御存じのとおりであって、新しい発表というのは、二〇一〇年以降、永続性のある地雷の使用禁止、二〇一〇年以降、米国はいかなる永続的な地雷も使用しないというように、今ここは変わってきているというのが私どもの認識をしているところであります。

 いずれにしても、この対人地雷の話というのは、これは今かなり悲惨な例というのは、遺棄というか、戦闘が終結した後、そのままほうったままで、どこに埋めたかわからぬという対人遺棄の話でありますので、この種の話はかなり悲惨な話で、全く関係ない第三者が巻き込まれるというケースが圧倒的に多いというのは事実でありますので、こういったものに関しまして、日本としても、いろいろな形でこういったものの開発なり、人海作戦以外にないなんということじゃなくて、もっと科学的にやれるのかとか、いろいろな技術の開発等々、今後とも、これは今やっている最中でもあります。事実、日本のセンサーの技術によってこれを開発した部分もあったり、いろいろしているんです。

 私どもとしては、今後、こういった非人道的な話というのはなかなか、簡単なようでも、散発的に起きるものですから、余り大きな話題に取り上げられませんけれども、今は笠井先生に取り上げていただきましたけれども、こういった話というのは非常に大事な話だと思っております。

笠井委員 アメリカが方針を変えたということで、ブッシュ政権ということで言われましたけれども、私は、そのことによって日本国内における対応までおくらせてはいけないというふうに思います。そもそも、いかなる理由があろうとも対人地雷は全廃するというのが条約の趣旨であります。

 昨年七月の本会議でも、小泉総理が、我が国は、対人地雷の全面禁止を推進してきており、米国を含む未締結国に対して、条約の普遍化を図ることの重要性を訴えてきていると答弁されました。その姿勢を貫く上でも、在日米軍基地内の対人地雷の貯蔵とか保有についても全廃させるべきだ、そして、きちっと条約に入れということを言うべきだということを強調して、終わります。

原田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 日本とカナダの社会保障協定についてでありますが、本協定の締結によって、日本とカナダとの人的交流及び経済的交流が促進されるものと期待しており、本協定に賛成の立場であります。

 さて、カナダ在住の邦人数は、二〇〇四年十月現在、一万六千二百十一人との資料がございます。カナダ在住邦人のうち沖縄県人は何名か、沖縄からの進出企業はあるか、進出企業や在住沖縄県人の特徴的な就労職種はあるか、外務省に尋ねます。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御質問の第一点でございますけれども、沖縄県の推定によれば、カナダにおられる沖縄出身者は約千四百人ということでございます。

 また、第二点目の御質問でございますけれども、カナダの在留邦人の中で沖縄出身の方が幅広い分野で活躍しているということについては承知しておりますけれども、具体的に、それではどのような職種に従事しているかという点につきましては、資料を現在持ち合わせておりません。

照屋委員 次に、米軍泡瀬ゴルフ場の問題について尋ねます。

 これはキャンプ瑞慶覧にある施設でありますが、一九九六年、平成八年三月の日米合同委員会で返還が合意されたと理解をしております。問題は、SACO合意による返還でありますが、現在の四十七ヘクタールのゴルフ場施設が移設先では約三倍、百七十ヘクタールに拡大をされるんです。

 ここで尋ねますが、この移設工事は、すべて那覇防衛施設局の発注と理解してよろしいでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 泡瀬ゴルフ場の移設に係る建設工事等の発注は、那覇防衛施設局で行っております。

照屋委員 移設先における工事は、いつまでに完成する予定でしょうか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 キャンプ瑞慶覧に所在いたします泡瀬ゴルフ場の嘉手納弾薬庫地区への移設に関しましては、合同委員会合意に基づきまして、平成四年度から配置計画等の基本検討に着手いたしました。平成九年度以降、沖縄県環境影響評価条例に基づきます所要の手続を進めておりまして、平成十六年十一月に、環境影響評価書の縦覧及び工事着手前の環境影響評価手続を終えたところでございます。

 その後、平成十六年度から段階的に移設工事を実施しているところでございまして、現在のところ、平成二十年度末ごろに工事の完了を見込んでおりますので、その後、返還予定になるものと考えております。

照屋委員 この泡瀬ゴルフ場の移設先工事をめぐっては、地元では、政治家の介入があったんではないかといううわさがいっぱいあります。

 恐らく、私の知り得た情報によると、既に、官製談合事件とは別に、この問題も東京地検特捜部の捜査が始まったんではないかと思われますが、どのような工事、工事内容ですね、それが発注済みなのか、それを教えていただきたい。

 そして、私が入手した資料では、例えば平成十二年度の工事は落札率九八・九九五%なんです。ほとんどが一〇〇%に近い。平成十四年度の工事に至っては、九件のうち六件が落札率一〇〇%なんです。しかも、請負金額の大きい工事についてはほとんど県外企業が請け負っている。これについて、県内の関係者の間では、発注段階でいわゆる天の声と称してあらかじめ受注企業が決まっているんだ、そういう指図があったようなこともうわさされております。

 したがって、先ほど述べた、既に発注済みの工事内容だけでもお答えください。

原田委員長 予定時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンプ瑞慶覧に所在しております泡瀬ゴルフ場の嘉手納弾薬庫地区への移設に当たり、現在、会計書類の保存されております平成十二年度以降に発注した工事等について申し上げますと、総工事等の件数が八十八件、請負金額の合計額が約六十億二千八百万円、平均落札率が九二・二%となっております。

 また、県内企業の受注率につきましては、件数ベースで申し上げますと五三・四%、金額ベースで申し上げますと約六〇・八%が県内企業の受注というふうになっております。

照屋委員 時間ですので、終わります。

原田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

原田委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。

 社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

原田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

原田委員長 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十三分散会


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