衆議院

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第22号 平成18年8月2日(水曜日)

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平成十八年八月二日(水曜日)

    午後一時五十五分開議

 出席委員

   委員長 原田 義昭君

   理事 小野寺五典君 理事 谷本 龍哉君

   理事 土屋 品子君 理事 水野 賢一君

   理事 渡辺 博道君 理事 武正 公一君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      逢沢 一郎君    井上 信治君

      伊藤 公介君    大塚  拓君

      北川 知克君    高村 正彦君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      中山 泰秀君    原田 令嗣君

      やまぎわ大志郎君    矢野 隆司君

      山内 康一君    吉良 州司君

      篠原  孝君    高井 美穂君

      松木 謙公君    松本 剛明君

      谷口 和史君    笠井  亮君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           香川 弘明君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長事務代理)        杉山 晋輔君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二日

 辞任         補欠選任

  愛知 和男君     矢野 隆司君

  伊藤信太郎君     北川 知克君

  宇野  治君     井上 信治君

  中山 泰秀君     やまぎわ大志郎君

  三ッ矢憲生君     原田 令嗣君

  山中あき子君     大塚  拓君

  田中眞紀子君     松木 謙公君

  津村 啓介君     高井 美穂君

  松原  仁君     松本 剛明君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     宇野  治君

  大塚  拓君     山中あき子君

  北川 知克君     伊藤信太郎君

  原田 令嗣君     三ッ矢憲生君

  やまぎわ大志郎君   菅原 一秀君

  矢野 隆司君     愛知 和男君

  高井 美穂君     津村 啓介君

  松木 謙公君     田中眞紀子君

  松本 剛明君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

六月十六日

 一、国際情勢に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

原田委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、ASEAN地域フォーラム等について政府から説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 私は、七月二十二日から二十八日まで、フィリピン及びバングラデシュを訪問し、またマレーシアでASEAN関連会議に出席し、二十九日に帰国をしました。

 フィリピンでは、日比国交正常化五十周年記念式典に出席したほか、アロヨ大統領表敬及びロムロ外務長官との会談を行い、種々の二国間協力や国際情勢について意見交換を行いました。

 十九年ぶりの外務大臣訪問となりましたバングラデシュでは、アーメド大統領、ジア首相への表敬、カーン外相との会談などを行い、二国間及び地域、国際社会での協力について意見交換を行いました。

 また、マレーシアでは、東アジア首脳会議参加国外相会合、ASEANプラス3外相会議、ASEAN拡大外相会議及びASEAN地域フォーラム閣僚会合に出席し、東アジア協力や北朝鮮、中東などの国際情勢について議論しました。

 特に、北朝鮮問題に関しては、これらの会議に加え、白南淳北朝鮮外務大臣が六者会合参加国による外相級協議に応じなかったために行われました十カ国外相会議(北朝鮮を除きます五カ国に加えて、豪州、ニュージーランド、カナダ、インドネシア、マレーシア)や個別の外相会談で、国際的な連携と協力を求め、安保理決議実施の重要性を強調しました。

 また、この機会に、ベトナム、韓国、中国、マレーシア、EU、米国、ロシア、イランの外相等と会談を行っております。

 日韓外相会談では、北朝鮮問題に関し、安保理決議の履行と拉致問題の早期解決に向けた連携を確認し、また、私から、海洋の科学的調査につき、日韓間の協力枠組みの早期構築が重要である旨強調しております。

 日中外相会談では、日中関係を世界で最も重要な二国間関係の一つであることを認識し、あらゆる分野での交流、協力の強化で一致するとともに、北朝鮮に関し、安保理決議成立のための互いの努力を評価し、北朝鮮の六者会合復帰に向け関係国間で協力していくこととしました。

 日米外相会談では、北朝鮮に関する安保理決議の履行が重要との点で一致しました。また、イラン、中東情勢について意見を交換し、日本の安保理常任理事国入りの実現に向けた協力でも一致をしました。

 以上です。

原田委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

原田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官木寺昌人君、大臣官房審議官長嶺安政君、大臣官房審議官八木毅君、大臣官房参事官梅田邦夫君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長河相周夫君、中東アフリカ局長事務代理杉山晋輔君、国際法局長小松一郎君、内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣府北方対策本部審議官香川弘明君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

原田委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。渡辺博道君。

渡辺(博)委員 自由民主党の渡辺博道でございます。

 外務大臣におかれましては、大変お忙しい中、閉会中審査に御出席をいただきました。まことにありがとうございます。

 今、国際情勢は日々動いております。外務大臣としての役割、大変重要な役割を担っているわけでありますが、その役割を担っている外務大臣に、質問の前に、ぜひとも私は確認をしたいことがございます。

 それは、自由民主党が、九月八日総裁選告示、そして二十日総裁選挙ということであります。この総裁選挙というものは、まさに日本の総理大臣を決める大事な選挙であります。

 そうした中で、もう既に谷垣財務大臣が表明をしております。そしてまた安倍官房長官も、それぞれ実質的な動きをしている。そういう中で、外務大臣、出るのか出ないのか、きょう、メンバーの皆さん方も大変その辺が興味のあるところというか、大変関心のあるところではないかというふうに思っておるんです。

 そこで、まず、大臣にひとつその意気込みを話していただければなということで、私の方からそれを質問させていただきたいと思います。

麻生国務大臣 自民党の外交部会に呼び出されたのかと思って、顔ぶれを見たら、ちょっと違う顔だなと今見ながら思っていましたけれども、外務大臣に就任をいたしました昨年の十月の三十一日でしたか、そのときの記者会見から、多分ずっと同じことしか申し上げていないと存じます。

 五年前も出ましたし、私としては、所属しております村が、派閥が、渡辺先生のように大きな派閥じゃありませんので、うちは二十人おりません。したがって、その二十人の推薦人が確実に集まるという条件は、私のところには条件がそろっているわけでありませんので、二十人の自由民主党の国会議員の方の推薦は確実になるということができた段階で、きちっと出馬表明をさせていただきますと申し上げたと記憶し、それ以後、この九カ月間、ほとんど同じことしか申し上げてきておりませんので、今も同じで、二十人集まった段階におきましては出るということを思っておりますので、ぜひ、お名前を拝借させてやろうというのであれば、まことにありがたくちょうだいをさせていただきたいと存じます。

渡辺(博)委員 大臣の今までの全く変わらない回答でございました。二十人、もうそろそろ集まっているんではないかな、私はそのように思っておりますけれども、まだその段階ではないということでございますね。

 それでは、これは自民党ではございませんのでこの辺にさせていただきますけれども、でも、私は常に頭の中にそれが残っておりますので、時々質問に出てくるかもしれませんので、ひとつよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 さて、外務大臣は、二十二日から二十八日まで、ASEAN諸国を歴訪し、それぞれの大統領や外相との会談が行われたわけであります。

 私は、今回、この外務委員会を開催するに当たって、一つのテーマを私自身設定しているわけであります。

 それは、実は、七月六日から十日まで五日間、ビザなし交流で、原田委員長とともに、択捉そしてまた色丹に行ってまいりました。この北方領土問題というものが私自身の意識の中に極めて低かったわけでありますが、現実に行ってみますと、これはやはり日本の領土だ、しっかりと確保していかなければならないなという思いを新たにしたわけであります。

 さらに、七月十九日から二十一日まで、外務委員会で北海道委員派遣に参加してまいりました。そのときにも、北海道の札幌でありますけれども、北方領土復帰期成同盟及び千島歯舞諸島居住者連名の方々とひざを交えて話し合った機会がございます。

 そういった人々の話を聞くにつけ、やはり北方領土の問題、今本当に固定化されて、ほとんど一般の国民の中の意識にはなかなか浸透していないのではないか、そんな危惧がしてなりません。

 そこで、中心的な議論としては、北方領土問題についてを中心的にさせていただきますが、先ほどの御報告の中にありましたけれども、たしか外相会談の中に、ロシアの外相との会談を行いましたというふうに記述されておりますが、このロシアの外相との会談、どのような内容であったのか、簡単に御報告をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 ロシアの外務大臣との会合というのをバイでやらせていただいております。四、五十分あったと存じます。

 我々として申し上げてきていることは、ロシアとの会談は、私がなりまして、この九カ月間、ほとんど基本的には出足の文句は全く同じ話をずっと繰り返し言い続けているところなんです。いわゆる一九五六年の日ソ共同宣言にさかのぼって以来のずっといきさつがありますので、これはもう確実に、これまでの経緯、何回かありますが、それを全部もう一回きちんと話をまず俎上にのせて、これを再確認した上で話をさせていただくというのが我々のこれまでのやり方というか、手法です。

 もう全く同じ話をずっと、九三年の東京宣言とか、二〇〇一年のイルクーツクの話とか、全部やって、その上で、択捉島、国後島、色丹島、歯舞島の帰属に関する問題を解決することによって平和条約を締結、もって両国間の関係を完全に正常化するというのが日ロ間の共通の指針というのが確立をされておりますでしょう、これは間違いありませんね、まずここから話を入らせていただかないと、話が非常に、いや、あれはなかったとか時々変わる可能性がありますので、そこで、ここのところを最初確認をさせていただいて、今回も同様に、まずそこからスタートをさせていただいております。

 また、サンクトペテルブルクにおいてのG8サミット、いわゆるロシアの中で初めて行われたG8サミットでしたけれども、この場において日ロ首脳会談が行われております。

 この席においても、北方四島を含む隣接地域において、隣接、近くにありますところにおきまして、地震とか津波対策等防災分野で協力をするということについては引き続いて協議していくということで一致をしておりますので、その話を持ち出して、そこで、協力の具体的内容について、一致しただけではだめで、具体的に詰めないかぬから、協議をするために、できるだけ早い段階で、これは専門家の会議で話さないと、大臣同士で話したって先へ進まないから、事務レベルの話をしようということで、この点でも一致をいたしております。

 ほかに幾つかございますけれども、そういったもので、あのクアラルンプールで、これでラブロフという人と会うのは四回目でしょうか、会うたびに、まず最初の出足のところは皆同じなんですけれども、あといろいろな話でやっております。この種の話は、今言われましたように、風化しないようにするためには、やはり粘り強くやり続けていくというのが非常に大事だと思っておりますので、基本的には、今言われたような問題点がどうかなと忘れられないように、平和条約を締結するに当たってはこの問題があるのよという話だけはきちんと向こうに言い続けてきておるというのが現状であります。

渡辺(博)委員 外務大臣として、ぜひとも北方領土の取り組みについては、今言ったような形で、帰属は日本にある、その前提として、帰属がない限り平和条約は結ばない、結べないんだということを常に言っていくことも大事なことだというふうに思っております。

 そこで、今回ビザなし渡航で行ってきたときに、択捉、大変すばらしい島です。散布山という約一千六百メートルぐらいの山がありますけれども、湖、港湾も大変きれいです。こういったきれいな島が一向に日本の領土として返ってこない、これはもう私としては大変残念でならないわけです。一方で、こんなきれいな風景でありながら、それぞれの砂浜には廃棄船がそのまま残っている、日本では考えられないような状態であります。

 そのような状況の中で、島は、全体として五千平方キロメートルでありまして、私の住んでいる千葉県が約五千平方キロメートルです。だから、千葉県と同じぐらいの面積が全体として北方四島にあるんです。この領土が返ってくることによって、日本というのは大きな大きな資源も確保することができますし、領土としての位置づけも大変意味があるというふうに思っているんですね。

 そこで、この北方領土の問題について、団員の皆さん方が一緒になってロシアの方と対話集会というものをやるんです。対話集会をやったときに、そのときには、これは日本の領土だから返してくださいよということを発言する人が日本でいますね。当然、そうしますとロシアの人は、いや、私はもう六十年住んでいるんです、私の子供はもうここに生まれ育って、ふるさとですと言っています。ある人は、私たちは侵略者ですかということまで言ってまいります。そのように、時間とともにこれはだんだんと固定化されていくというのもまた事実であります。これをぜひとも私は打開していかなければならないというふうに思っているんです。

 その中で、先ほど外務大臣は、事務方の方の、事務レベルにおいてお互いの共通認識を高めていくための作業も必要だという話がありました。その中に、私は初めて北方領土に行って気がついた、この北方領土問題の歴史に関する共同作成資料集、日本国外務省、ロシア連邦外務省、これは一九九二年九月の発行です。そしてまた、二〇〇一年一月十六日発行の同じ新版が出ております。これが、せっかくいいものをつくっていながら、我々国会議員に提出されたのは、私たちが言わなければこういうことは出てこないんですね。これまたおかしな問題なんですね。

 特に、私は、北方領土問題の歴史に関する共同作成資料集の中で、北方領土の問題の原点というものは何かということをちょっとよく読んでみますと、実はサンフランシスコ講和会議における吉田首相の演説にあるのではないかなと思っています。

 これは、正確を期するために、その演説の内容について読ませていただきます。

  千島列島及び南樺太の地域は日本が侵略によって奪取したものだとのソ連全権の主張は、承服いたしかねます。

  日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領であることについては帝政ロシアもなんらの異議を挿さまなかったのであります。ただ得撫以北の北千島諸島と樺太南部は、当時日露両国人の混住の地でありました。一八七五年五月七日、日露両国政府は、平和的な外交交渉を通じて樺太南部は露領とし、その代償として北千島諸島は日本領とすることに話合をつけたのであります。名は代償でありますが、事実は樺太南部を譲渡して交渉の妥結を計ったのであります。その後樺太南部は、一九〇五年九月五日ルーズヴェルト・アメリカ合衆国大統領の仲介によって結ばれたポーツマス平和条約で日本領となったのであります。

  千島列島および樺太南部は、日本降伏直後の一九四五年九月二十日一方的にソ連領に収容されたのであります。

  また、日本の本土たる北海道の一部を構成する色丹島および歯舞諸島も終戦当時会々日本兵営が存在したためにソ連軍に占領されたままであります。

という演説をしております。

 まさにこの北方領土の問題は、吉田茂首相が、原点として、これはもともと日本の領土であるということを言っているんです。大臣のおじいちゃんに当たりますけれども、こういう主張をしております。

 ぜひとも大臣においては、この演説の内容を今お聞きしたと思いますけれども、いま一度、北方領土解決に向けての意気込みについて、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今おっしゃられた部分というのは、あの当時、単独講和か多数講和かで国論が二分されている時代でした。したがって、サンフランシスコ講和条約にたしかソ連も中国もサインしなかったと記憶しますが、ちょっと小学校六年ぐらいの記憶なので余り正確な記憶じゃありませんが、とにかく国論が二分されておったことは間違いないんだと思います。

 日本はそのときに、多数講和をとることによっていわゆる国連加盟やら講和条約やらいろいろなものを締結していったんだと思いますが、その中でソ連との関係は、今言われたような経緯で、平和条約とか全面講和というわけにはいきませんでしたので、結果として、北方四島の問題は後に尾を引いたというか、今日六十年間、その問題は、平和条約という問題がなかなか締結しない、国境線の画定もできないというような、なかなか難しい問題が今日まで残っておるんだと思います。

 しかし、領土の境界線の問題を抱えている国は、世界じゅう、実は日本だけじゃなくていろいろな国でありますので、皆長い時間をかけてその問題の解決のためにいろいろ苦労をしておられるというのは日本だけではない。したがって、日本としても、この種の問題は相手のある話でもありますので、そんな簡単にいける話ではない。

 それぐらいのことは、もう六十年間やって十分できているところですが、少なくとも日本としては、こういった問題解決をするために、向こうのある程度、今、沖縄と違ってそこには人が、日本人は住んでおりませんので、したがって状況は沖縄とは大分話が違うと思いますけれども、いずれにしても、それが日本領土であったことだけは間違いないのであって、終戦の八月十五日、日本の全面降伏が終わった後、いわゆる北方四島というのは逆にソ連兵が入ってきてという形になったという事実があります。

 そういった意味からいきましても、今言われた一連の発言というのは間違いなく正しいということだと思いますので、この点は忘れず主張し続けるというのが大事なところなんだと思います。すぐ解決するような話とも思いませんけれども、こういったものは粘り強くやっていくということはもう間違いなく、何となく風化したり、どこか何となく忘れられないようにしておくという努力というものは今後ともやり続けていかないと、先に展望は開けない、そんなように考えております。

渡辺(博)委員 北方領土に行って、私はある学校の資料室を見学させていただいたんですね。そうしたら、そこの館長さんがこんなカードをくれました。日ロ有効関係万歳と書いてあるんですね。北方領土は、当然のことながら、歯舞、色丹、国後のここの境を、ちょっと見えないと思いますが、そこで、おもしろいことに、わざと間違っているんですかね、ユウコウというのは有効無効の有効と書いてあるんですよ。これで友好関係、本当にできるのかなと。フレンドシップになるわけじゃないですね。こんなことが、あそこの資料館の館長がこういうのを持って自慢げに私どもにくれたんですね。

 そして、その資料館の中には、ちょっとこれは小さくて見づらいんですが、実は八月十五日の記述が一切載っていないんですね。ロシアにおいては、日本の終戦というのは八月十五日じゃないみたいですね。そういう記述がないんです。したがって、教育の中においても、自分たちが違法にやってきた、そういう認識がないように私は思いました。

 そういったさまざまな問題が、現地に行くとわかります。私どもは国会議員として、やはり北方領土の実態を見るためにも、ビザなし渡航という一つの制度がありますから、これを活用して、ぜひとも多くの国会議員の先生方には行ってもらいたいなという実感をしたわけであります。

 その中で、択捉島には日本の建築物、約一九三〇年代につくられたというふうに言われておりますけれども、二つ残っています。択捉島に残っている建築物は、二つ残っています。水産会事務所、それと紗那郵便局という二つの建築物です。この建築物は、現地を行って見てきたんですが、もう大分壊れております。これを保存することは大変だと思いますが、これは私は歴史の生き証人だというふうに思っております。したがって、この日本の家屋をしっかりと保存していきたいなというふうに思っているんですね。

 この保存に関しては、実は、本年の二月七日に開催された北方領土返還要求全国大会の中でも、択捉島の紗那に残存する日本の建物保存に取り組みましょうというアピールもしております。

 さらに、二〇〇五年の三月二十二日でありますが、参議院の沖縄及び北方問題特別委員会においては、日本建築の保存問題について問われた小池百合子担当大臣が、当時をしのぶよりどころとなるので大変重要なものであるという認識を示しておりますし、北方領土問題を訴える際にこういった建物を有効に活用してまいりたいというふうに述べております。

 北方領土問題を日本国民全体の問題としてとらえるならば、残存日本建築物は、その一つのシンボルとして国が責任を持ってしっかりと守っていかなければならないのではないかというふうに私は思うんです。そこで、こういった日本の建築物についての保存、どのように日本政府は関与し、保存する努力をしていくのか、お伺いをしたいと思います。

塩崎副大臣 ただいま渡辺議員から御指摘ありましたが、そもそも戦前は三千二百五十棟の建物があったのが、今、御指摘のとおり二つしか残っていないという意味で、日本の領土であったということの証左であるわけであります。

 紗那郵便局それから択捉島水産会、この建物が二つ残っているわけでありますけれども、老朽化が激しいということで、向こうは解体をしたいということを言っていたわけであります。しかし、元島民の関係者の方々から、やはりこれは残してほしいということもございまして、外務省より、四島側、ロシア側に対して、解体を避けるようにということで強く働きかけをしてきたわけでありますし、また、四島交流の枠組みを利用して、現地で修復、保存作業に向けた調査というものを行ってまいりました。

 我が国としては、ロシア側の見解を認めるものではないわけでありますけれども、ロシア側からは、建物の修復、保存について、建物及び建物の所有や歴史的建造物管理の問題など、いろいろ検討すべき問題があるとの説明を今のところ受けているわけでありますけれども、さらに先方の考え方の詳細について調べてみたいということで、照会を今しておるところでございます。

 外務省としては、これらの建物の修復、保存に当たっては、北方領土に関する我が方の法的立場を害することのないように留意をして、内閣府それから元島民等の関係者の方々とも連携をしながら、本件に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

渡辺(博)委員 ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 時間がだんだん少なくなってきたので、ちょっと早目に進めます。

 ビザなし渡航によって、私どもは択捉そしてまた色丹に行ったわけでありますけれども、このビザなし交流の実際は、一九九二年に初めて開始されて、ことしで十五年目になります。延べ一万三千人が交流でそれぞれの北方四島の中に行っております。

 こういった意味では大変重要な役割を担っているなというふうに思うのでありますが、実は、行くに際しまして、乗っていった船が約四百八十トン、せいぜい乗っても八十人ぐらいの人しか乗れない、しかもかなり老朽化しているんです。さらに言えば、この元島民の皆さん方は、もう既に高齢化を迎えています。したがって、船の内容について、今のままではこれから高齢化した人たちがまず行けない、そういう事態が出てくるのではないかと思います。

 さらに、この交流をさらに拡充していくためにも、一般青少年や一般国民を、もっと多くの方に行ってもらう必要があるのではないか。今までのやり方を一歩前進させない限り、現状固定からの脱却はできない、私はそのように思うわけでありまして、ぜひとも、新しい船の造船について政府としてはどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

香川政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、現在、四島訪問に使用されております船は老朽化が進んでおりまして、今後の船のあり方につきましては、非常に重要な課題と私ども認識しているところでございます。

 内閣府におきましても、昨年度以来、この船舶の問題に対処するため調査を実施しておりまして、昨年の調査では、用船、すなわち既存の船舶のチャーターでございます、そして既存の船舶の購入、新船建造、この三つの選択肢につきまして、それぞれ課題等を取りまとめたところでございます。

 さらに、現在も引き続き所要の調査を行うなど、実現可能性、効率性、経済性等、さまざまな観点から検討をしているところでございます。

渡辺(博)委員 ぜひとも前向きに早く結論を出していただいて、これは解決するためには、やはり新しいステップを踏まない限りは私は進まないのではないかというふうに思います。

 その建造船は、夏場だけが北方領土の渡航に使うわけでありまして、冬はどうするんだということでありますが、冬こそ日本国内の一般の国民を啓蒙するための船となるべきでないかな、私はそのように思うんです。したがって、一年を通じて活用できる船ということを考えていかなければならない、そのように思います。

 さらに、元島民はますます高齢化してまいります。

 先ほど、対話集会の中でお話をさせていただきましたが、お互いの、ロシアと日本のそれぞれの国民の対話の中ではちょっと険悪なムードがあったんですが、その中に、それをとめる一つの大きな意見がありました。それは、元島民の意見であります。

 皆さん方は、それはロシアの人に向かってですが、皆さん方はここがふるさとになっているかもしれない、でも、私はもともとここに住んでいたんですよ、それがソ連兵が来て無理やりこの地を追い出されたんですよ、この点をしっかりと理解していただけませんかということを言った。その後は、お互いのそのムードというのは変わりまして、この元島民の言葉の重さというものをやはり私たちは理解しなければいけない。

 そこで、元島民の皆さん方のそういった体験、そしてまたいろいろな昔の状況とか、これをぜひとも映像で残してもらいたい。映像で残して、これを一つの啓蒙活動に進めていただきたいというふうに思います。とりわけ、例えばNHKが集中的にこの北方領土問題についての一つのシリーズ物をやるとか、こういったことを考えることによって国民の意識が変わってくるのではないかな、そのように思っておりますので、ひとつ御検討をしていただきたいというふうに思います。

 さて、この北方領土と直接にもかかわってきますが、私の方の手元に、「我が国の地理的環境及び国境地域の諸問題」という地図をお渡ししてございます。ここに書いてあるのは、納沙布岬と国後まで十六キロ、根室と歯舞水晶島まで七キロ、稚内からサハリンまで四十三キロ、そして対馬と韓国は四十九キロ、与那国、台湾まで百十一キロ、この国境に接する地域、今どうなっているか、ここを国はしっかりと目を光らせなければならないというふうに思います。

 そして、特にこの国境地域というのは、今、下に書いてありますけれども、人口がどんどん減っているんですよ。人口が減っているんです。この人口の減少を単に自治体の問題としてとらえて放置していくわけにいかないんです。

 そこで、この問題については国が総合的に考えていかなければなりません。例えば、自衛隊、海上保安庁、国交省、そしてまた経済産業省、それぞれ役割があるかもしれません、トータルでこの地域、いわば国境保全というものをどのように考えていくかという新しい仕組みをぜひとも考えていかなければならない、私はそのように思うのであります。

 時間が参りましたので、私はこれ以上申し上げませんけれども、ぜひとも、この国境保全という概念について大臣に答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 渡辺先生のつくられたこの資料、わかりやすくつくってあって、大変、いろいろな意味で資料で使えるものだと存じますが、基本的に、北方四島を含めましてこれは皆日本の領土です。例えば尖閣を含め、皆これは日本の領土でありますので、この領土というものの保全、領域の保全、いろいろな表現ありますけれども、日本の外交政策上極めて重要な課題であることはもうはっきりしております。近隣諸国との関係強化とかいろいろな表現をまたいろいろな人が使いますけれども、外交手段とか経済交流とかいろいろな形を通じて、領域の保全、領土の保全というものは断固今後図っていくべきところであります。

 加えて、今人口減少の話が出てきておりますが、離島やら何やらに住んでいただいているおかげで、少々不便でもそこに住んでいただいているおかげで領土が保全されている。これは外交上、国防上も極めて重要と思いますので、そこらの人に住んでいただいていなければ、だれかそこに住んでしまうかもしらぬといって、そのままそれが人様のものになったりするなんということは十分にあり得る話なので、そういった意味では、国境地域の人口減少やら何やらに合わせて、僻地とか離島の人口減少等々をいろいろな形で今、総務省でいえばそういう地域に対しての交付税、特別交付税、離島手当、いろいろなものがありますけれども、そういったものを使ってやっております。

 これは自衛隊を配備するとか海上保安庁を出すとかいろいろなやり方があろうと思います。ちょっと外務省の所掌じゃない話になりますので、なかなかお答えがしにくいところなんですけれども、いずれにいたしましても、これは国土とか領土の保全、また、領域の保全が正確ですかね、領域の保全というもの、領土の保全というものは非常に大事な問題でありますので、外務省は当然のことですけれども、これは他省庁ともきちんと連絡をとって、今御指摘の問題にいわゆる遺漏なきようにやっていかねばならぬ、そう思っております。

渡辺(博)委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いいたします。

 終わります。

原田委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日は、中東情勢からお伺いをさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 小泉首相は、G8に先駆けまして、首相としては実に十一年ぶりになることと思いますけれども、イスラエル、パレスチナを御訪問されました。このときに、イスラエル、そしてパレスチナ両国に対しまして、米欧諸国とはまた違った我が国の中東政策というものを提案してきたものというふうに存じておりますし、高く評価するところでございます。

 しかしながら、小泉総理がちょうどイスラエルの首相と会談をしているときに、イスラエルによりますレバノンの攻撃というのが始まり、それがもう二週間続いておりますが、連日報道されているように、レバノンでは犠牲者が四百人を超え、そしてイスラエルでも五十人以上の方が亡くなっております。本当に悲惨なことには、七月十二日に攻撃が開始されてから、UNIFILの国連監視要員も死亡するということが起こり、あるいは七月の三十日、レバノン南部のカナでは三十七人の子供たちを含む五十人以上の民間人が死亡するといった空爆も起きています。

 こういった報道を見るにつれ、もちろんヒズボラがイスラエルの兵士を拉致したということから今回のこの一件は始まっているということは承知するものの、人道的な観点から見てもイスラエルの攻撃というのは即時自粛されるべきだというふうに私は考えておりますが、現在、外務大臣から見て、このイスラエル、レバノン情勢、中東情勢についてはどのような思いでごらんになっているのか、そのお考えからお伺いをいたします。

麻生国務大臣 この種の話は両方の話を聞かぬといかぬところであることはもう間違いありません。したがいまして、イスラエルの話、レバノンの話、パレスチナの話、それぞれ皆言い分があるところなので、今おっしゃるように、もとのもとは二名の兵士の拉致から始まった話だとは思いますが、攻撃をした、それに対してランチャーミサイルで仕返しした等々、イスラエル側も六十何人も既に死亡が出ておりますので、そういった意味では、私どもとしては双方の言い分を公平に聞かないと、一方だけとんでもないと言っても、事は解決しないと思っております。

 したがって、小泉総理のイスラエル、パレスチナの訪問のとき、それとあとレバノンでもシリアでも、いろいろな形で首相との会談やら何やら、また、外務大臣との私どもいろいろな形でやる会談の中でも、少なくともこの種の話は、どっちが先にやったとか、メンツだとかなんとかだという話になると、これはエンドレスになって、両方とも正義がありますので、正義をかなり主張すればするだけなかなか解決は難しい、これは常にそういうものだと思っております。

 まずは、割を食うというか、巻き込まれる、いわゆる子供を含めて、無辜とは言わぬけれども、まあそうでしょうね、無辜の人ということになるんだと思いますが、そういった方々が被害に遭っていることは確かだと思いますので、そういう意味では、いわゆるシースファイア、停戦がまずは確実に行われるというのが大事だということで、これは外務省としての公式見解は三回出しておりますけれども、いずれも、最初と今と読み比べていただくとだんだんはっきりした表現になっていると思いますので、私どもとしては双方に対して自制を強く求めているというのが今の段階で、国連の安保理やら何やら今から事が進んでいくんだとは思います。

 いずれにしても、ちょっと戦闘状態になっていると思いますし、それに対してかなりの遠い距離からのロケットランチャーが撃ち込まれている。イスラエル側にしてみても、おれのところもやられておるという話で、おさまらないことになってきているので、これは基本的には自制というのしかなかなか話は進まないというのが現実問題なんだと思っております。

 私どもから見まして、まことに無益な話だとは思いますけれども、両方とも、この話になりますととてもじゃないという感じで、すごく熱くなっているなという感じの、これはBBCを見ましても、CNNを見ましても、皆そういう状況のように思われますので、どこかの間に入ってやる国がなかなか出てこないものですから、今話がさらに込み入って、私どもとしては、厳しく言ってもなかなか事はおさまらぬ。

 レバノンの方も、ヒズボラに対するコントロールは全然きいていない。しかも、それを後ろから支えて押している国もある。しかも、資金はそれによって、武器の供与もされているという状態が続いているという状況が事をさらに難しくしているという認識があります。

丸谷委員 実際に、現在、イスラエルまたはレバノン攻撃においては、本当に戦争状態だと言ってもいいと思います。国連からの勧告、あるいは勧告というか申し入れ、それから各国からの自制の申し入れ、日本からもレバノンあるいはイスラエルに対して自制を促すメッセージが出されておりますけれども、両方、聞く状況にない。まさしく大臣がおっしゃったように、戦争状態にあるんだと思います。

 ただ、この状況の中で、では日本としてどんな外交努力ができるのかということを考えたときに、我が国としましては、この紛争状態にある地域において停戦を促すといったようなことは我が国ができることではないと思います。どうしても我が国の憲法のもとにおいては、あるいは我が国の能力においては、復興というところでは非常に大きな力を発揮いたしますが、停戦合意に向けた外交努力、直接的なものは、やはり自制を求めていく以外にないという状況にあるというふうに私は考えております。

 この難しい状況において、自制を求めていくのは当然でございますが、今後、我が国が国連の安保理常任理事国入りを目指す国であり、そして今非常任理事国でもあるという中において、例えばレバノンの経済復興において外交努力をする、あるいは経済復興の援助をする、新たな先の先を読んでいった外交努力というものがもうちょっと見えてきてもいいのかなという思いが私はしておりますけれども、大臣がお考えになる我が国の中東安定化、復興、停戦がまず第一なんですけれども、に向けた外交努力、できる貢献というのは何だというふうにお考えになるのか、この点をお伺いします。

麻生国務大臣 日本という国は、先進国の中でこの地域に関して歴史上余り侵略とか搾取とか、また領土等々に関係をしたことのない数少ない先進国ということになろうと存じます。

 したがって、私どもの外務政務官をイスラエルとパレスチナの選挙監視団に出しましたが、そのときも、伊藤信太郎という、御存じかと思いますが、珍しい顔だものですから、本人の顔が日本人として珍しいと言っているんじゃありませんよ、東洋人を見たことがないせいです。だから、みんな寄ってくるわけですよ。それで本人はすごくもてたと思ったんでしょうけれども、いや、それは単に珍しい顔だから人が寄ってきただけなんですが、とにかく、アメリカ人じゃない、いわゆるあの辺の関係した国で、かつてはフランスとかイギリスとか、いろいろ関係した西洋人の顔ではない。かつ、先進国、G8の日本というのが出てきて、間に立ってくれ、選挙を公平にやってくれ等々はやたら人が寄ってくるというのが、現場に行ったことのある人なら皆知っている事実だと存じます。

 そういう意味では、七月の十三日以降、日本としてはいろいろ報道官の談話をこれまで数次に渡って出してきておりますけれども、G8の中でも、十六日でしたか、サミットで声明を出しているところなんです。

 日本としては、当面の緊急人道支援というのがかなり深刻で、レバノンから外に出る橋等々は一つを除いて全部壊されていますので、出るところは極めて限られている、空港も同じく使えない状況になっておる。

 そういった状況で、ピンポイントにきちんと全部つぶされているような形になっているのが今の現状ですから、そういった意味では、なかなかそこに行き着かない、届かないという状況でして、今の状況の中にあって、日本としては、フラッシュアピールというのが出されましたものですから、それに合わせて二百万ドルの緊急無償を出したところだ、緊急支援を行うことにしたということなんですけれども、正直申し上げて、今、両方ともすごく熱くなっている状況になっておりますので、この状況で日本として今後いろいろ努力をしていかないかぬところでしょうけれども、まずは、今申し上げたように、安保理等々での話からスタートさせないといかぬのじゃないのかな。

 幸いにして、今非常任理事国になっておりますので、過日の北朝鮮にも非常任理事国であったがゆえにいろいろできましたので、そういったことでこの問題に関して、非常に複雑な話ではありますけれども、いろいろ努力をするということは非常に大事なところだと思います。

丸谷委員 今大臣がおっしゃいましたけれども、まず安保理の方から、安保理は非常に重要な役割を担っていると思います。

 けさの報道でも、安保理による国際部隊の派遣についての議論について、米側の案も出てくるようだという報道がございました。フランスあるいはスペイン等々で、EUの中でもそれぞれ意見が分かれているような状況の中で、どういった決議にし、そして国際部隊というのをどういった形で派遣できるのか。これがまた非常に難しい問題だと思いますけれども、前提条件としまして、例えばスペインですとイスラエル、ヒズボラの停戦合意を求めたり、あるいはフランスですとヒズボラの武装解除というところの前提から入ってきているようでございます。

 我が国は非常任理事国として、北朝鮮の決議案に対して非常任理事国として非常に大きな成果をおさめた我が国としまして、同様にやはり国際社会を全会一致でまとめる決議案、意思を一つにするということがこのイスラエルあるいはレバノンの問題に対しても非常に重要なことなんだと思うんです。その意味におきまして、我が国は、例えば国際部隊の派遣についてはどういったスタンスで臨んでいくのか、この点はいかがでしょうか。

塩崎副大臣 御指摘の国際部隊の派遣の問題でございますけれども、まず我が国としては、先ほど来随分出ておりますが、今般のレバノン情勢の鎮静化に向けて、敵対行為の即時停止に加えて、レバノンの安定を実現するための、関連する安保理決議の履行が一番大事だというのが基本であるわけであります。

 御指摘の国際部隊の派遣につきましては、今のような観点から有効なものであるべきと考えておって、国連の場を中心に行われている関係国間、今議論が行われているわけでありますけれども、引き続き日本としても注視をしていきたいと思っております。

丸谷委員 もう時間がなくなってまいりましたので最後の質問になると思うんですけれども、七月の二十五日に、イスラエル軍によりまして国連の軍事監視要員の基地周辺の攻撃が行われました。午後一時半から七時半まで約六時間におきまして十六回の攻撃があったというふうに報道されております。

 攻撃中にはUNIFILの司令官がイスラエル側に砲撃中止の要請を行ったということと同時に、ニューヨークにおいてもイスラエルの国連代表部に要請があったという事実に反して攻撃が行われ、残念なことに四人が死亡しました。

 このUNIFILに対する空爆について、我が国としてはどういった認識を持っているのか、そして同時に、このUNIFILの空爆そして死亡ということに関して、国連あるいは国際社会は本当に緊張感を持って真剣に取り組まなければいけないと私は考えております。

 というのは、我が国もPKO要員を派遣しておりますし、自衛隊等も含めて、民間も含めて、これから国際社会の平和と安定のために寄与しようという思いで国際社会の舞台で活躍する人はどんどんふえてくるんだと思いますし、その範囲も憲法の枠内で広がっていくんだろうと思います。

 あるいは、今、コンゴでの大統領選も行われておりますけれども、ここにも選挙監視要員を派遣しているという中にあって、例えば国際部隊、国連の決議があって派遣をされているPKOなり部隊に対して攻撃が行われた場合、これが国連あるいは国際社会によってきちんと責任追及がなされなければ、我が国の国民をそういった国際社会の活躍の場に送り出すということは、とてもじゃないけれども無責任な行動になるんだというふうに私は考えております。

 このUNIFILへの攻撃につきまして、事実解明、責任追及をしっかりと行うべきだと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

塩崎副大臣 当然のことながら、今回の爆撃、空爆によって死者が発生をしてしまったということで、当然これは政府としても遺憾なことであり、また、外務報道官の談話を直ちに発出しているわけでありまして、特に、自制を求めている中でこういうことが起きたということでありまして、極めて遺憾だというふうに考えておりますし、即時停戦ということで先ほど来出ているとおりのことを言っているわけであります。

 それから、御案内のように、国連当局による関連情報を念頭に、包括的調査を実施するよう要請する議長声明というのも全会一致で採択をいたしたわけでありますし、我が国としては、特に非常任理事国として、関係各国と連携をしながら、安保理としてのしっかりとした声を出していかなければいけないと思っております。

 特に、議長声明を受けて、イスラエルが本件に対する包括的調査を迅速に実施することによって責任を明らかにしていくということをやらなければいけないというふうに考えております。

丸谷委員 国連の安保理議長声明、これは、当然、ここに至るまでにもいろいろな国際政治での駆け引きがあったんだろうと理解をしておりますけれども、実際にはこういった、イスラエル側は誤爆だといった主張をしているようでございまして、これも両方の意見を聞かなければわからないという話になってしまうのかもしれないんですけれども、非難をすることもできなかったというような議長声明に対して、私自身は満足をしておりません。

 国連自体が、イスラエルにこの事実解明を任せるのではなく、国連がしっかりと担保をとってこの事実解明を行わない限り、やはりこういった国際部隊への派遣というのはどうしても慎重にならざるを得ないということにもつながるという危惧も持っておりますので、非常任理事国としまして引き続きこのイスラエル、中東情勢に対しては、我が国独自の外交を貫いてきた中東外交戦略を持っている外務省ですので、しっかりやっていただきたいのと、あるいは、ヒズボラのバックにいると言われているイランに対しても、我が国は欧米諸国から見れば距離感が近いとされております。麻生外務大臣もモッタキ外相と近々話されたというふうにも聞いておりますので、こういったさまざまなチャンネルを使って、どうか中東情勢の安定に向けて、我が国しかできない外交をしていただけるようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

原田委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 たまたまで、打ち合わせたわけではないんですけれども、レバノン情勢について引き続きお伺いをさせていただきたいと思います。

 お伺いをしたいことの何点かは既に丸谷委員の方から御質問がありましたので、若干質疑をお聞きしていてお伺いしたい点を幾つかお聞きしたいと思います。

 一つは、大臣がおっしゃったように、双方の言い分を聞かなければいけない、これはおっしゃるとおりだろうというふうに思っておりますが、イスラエルは今、武力行使を自衛だと主張しているというふうに私は理解をしております。

 また、今、国でない組織もしくは国際的な法規を守ろうという意識がない組織は別かもしれませんが、国際的なルールのもとでは、国連の決議もしくは自衛、これは集団的自衛権を当然含むことになると思いますが、その場合にのみ武力行使が許されるというのが今の国際的な秩序だというふうに理解をしているんですが、イスラエルの主張、そして米国を含めて一部の国々は、この行動は自衛であるというふうに認識をしているようであります。

 我が国も、先ほどからもお話がありましたように、国連の安全保障理事会の理事国という状況では、これについても一つの認識、判断を示す必要があると思いますが、この点についてはいかがお考えになっていますか。

塩崎副大臣 御指摘のイスラエルによる軍事行動というのはイスラエルのとった行動であって、なかなか法的評価を行う立場にはないわけでありますが、一般論として申し上げれば、政府答弁で従来から申し上げてきているのは、ある国及びその国民を標的として、組織的、計画的にテロ活動などが継続して行われる際に、これを総じて急迫不正の侵害と位置づけることはあり得るわけであって、しかし、そのような場合でも、あくまでも自国に対する侵害を排除するために必要最低限の実力行使にとどまらなければならないというのが自衛の当然の前提だと思います。

 ただ、我が国は先ほども申し上げたように当事者ではないので、現時点で確定的な法的評価を行うというのは難しいわけでありますが、今後、安保理の一員でもございますので、このような点も含めて積極的に安保理でこういった議論を重ねた上で、どういう行動を国際社会として、そしてまた日本としてとるべきなのかということを決めていかなければならないというふうに観念しております。

松本(剛)委員 先ほどもお話がありましたように、我が国は中東地域ではいわば歴史の負債がない、もしくは少ないという御認識は、私もそのとおりだろうと思っております。ただ、イラクへの自衛隊派遣というのは、場合によっては評価がそういう点では難しいのではないかなというふうに我々は主張しておるところであります。

 その上で、今お話がありましたし、それからまたUNIFILの問題についても先ほど指摘がありました。双方の言い分はあるだろうというふうに思いますが、一つは、今お話を申し上げたように、自衛ということが本当にこれで国際的に納得できるのかどうかということ、それからもう一つは、対国連に対する武力行使とも言えるもの、これは、場合によっては、例えば我が国の法律であれば、過失であっても罪に問われる場合はあるわけですね。そういうことを考えたときには、これから、先ほどあったように、国連に対するものというのは、誤爆だからしようがないというようなニュアンスで我々には聞こえますけれども、それであってですら、原因究明を求めるぐらいのことが必要だと思います。

 双方の言い分は恐らく、大臣は先ほど両方が非常に熱くなっているという表現をとられましたけれども、こういうときはなかなか難しいと思いますが、逆に、だからこそ、本当に自衛なのかというきちっとした定義のもとで判断をするということ。また、対国連に対しては、これは誤爆であっても許されるもの、許されないものがあるということで、やはり幾つかの手がかりを持ってスタートをしないといけないと思っているんです。

 双方への自制を求める、また安保理、ちょっと私、言葉じりをとらえるようで申しわけないんですが、先ほど部隊派遣について塩崎副大臣は議論を注視していきたいというようなペーパーをお読みになったような気がするんですが、理事国ですから、注視ではなくて、やはりしっかりと、注視したいという文章そのものが我が国の外交のスタンスをあらわしているような気がしてならないわけで、ぜひ将来、私どもも常任理事国入りは残念ながら常任理事国入り騒ぎに終わってしまったのは我が国外交の大きな汚点だというふうに思っていますけれども、やはりこういう一つ一つの国際的な発想でどういう役割を果たせるのかというのが問われている。

 その意味では、政治的に、先ほどの自衛の問題であるとか対国連の問題で議論を見守る、もしくは議論に加わってその結果を受けとめるのではなく、やはりメッセージをしっかり発していただくことが必要だと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

塩崎副大臣 おっしゃるとおりで、今回の北朝鮮のミサイル発射に際する国連の安保理決議に際しても、同様に、明確なスタンスを持つということが大事であって、日本の立場というものを明確にしながら、国際社会の調和も同時に考え、そして国益を実現していくというのが当然のことだろうと思いますので、今議員がおっしゃったような姿勢は極めて大事だというふうに私も思っております。

松本(剛)委員 関連して、中東情勢についてはこれを最後の質問にしたいと思いますが、メッセージをそれぞれに対して発しているというお話でしたが、具体的にどのような形で発しておられるのでしょうか。

 私どもがいただいたのでは、先般の総理の中東訪問において、オルメルト首相に訪日を招請したのではないかというふうに理解しております。また、ビジネスフォーラムであるとかビジネス上の行き来、または政策対話、そういったものを提唱されていると思いますが、現状を認識して、この訪日招請であるとかそういう政府間の対話、または民間の対話といったようなものについて、いわば総理が行かれて呼びかけられたものはそのまま生きているという状況なのか、それとも、今の状況にかんがみて、何か私どもとしてこういう状況ではできないというようなメッセージを届けているのか、その点をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 たまたま七月十二日に行かれているときから事がスタートして話がややこしくなったんだと存じますが、あれ以後、外務報道官談話というのを三回外務省としては出しておりますのはもう御存じのとおりで、政府の立場をそのままそのとおり述べております。

 そこで、今どんなことをやっておるかというと、三時ですからもうちょっとですね、今、伊藤大臣政務官はイスラエルにいる、無事に行っていれば、いるということになろうと存じます。正確に言わないと、今状況としてはかなり厳しいことになっておることは覚悟しておかないけませんので、伊藤政務官を現地に送っております。

 その上で、問題解決に向けて、これは最大限努力ということを我々としてもきちんと示しておく必要があろうと思いますので、リブニという女性の外務大臣と、きょう働きかけを行う予定にいたしております。今緊急支援やら何やらいろいろ、まだ多分現場にいませんけれども、BBCやらCNNで見る範囲ではかなり混乱しているような状況が続いていると思われますので、そういった状況の中にあって、ぜひ、武力だけを見ますと圧倒的にイスラエルの方が強い形に見えますので、どうしても強い方が自粛しろという話になるということは、この種の話は皆そうなんです。

 いずれにいたしましても、日本としては、全然関係ないところが、誤爆とはいえ、いろいろなったりするというのは、これは国連とかいう機関、第三者機関に出向している人、例えば中国人もこの中で亡くなっておりますし、いろいろな形で話が変な方向にどんどん拡大していって、本来の停戦というのとは別の方向に話が行くのを最も避けたいと思っておりますので、ぜひ、ここの自粛は一番大切なところなんで、もうそこそこ報復というような感じのものを超えつつあるのではないかという国際世論というものを考えてもらわないかぬところ、これが我々がイスラエルに言うところだと思っております。

松本(剛)委員 ぜひそのようなメッセージをしっかり発していただいて、二カ国間のことですから、対外的にお話しいただけること、いただけないことがあるということは承知をしておりますけれども、同時に、日本のここでの行動というものの存在感がこれからの国際社会の中においてのまた信頼というものにつながってくると思いますので、しっかりと、言葉があれですけれども、アピールをしながら、かつ意義のある活動をしていただきたいということを私からも強く要請しておきたいと思います。

 特に、先ほど答えられましたように、中東でせっかく負債がないと言ってきているんですから、米国との距離をどの程度とって中東において物を言うかというのは非常に大きなポイントになってくるというふうに思っております。現段階では、残念ながら、私ども日本国民また国際社会にはまだそこまで日本政府の認識、スタンス、メッセージは届いていないというふうに思います。先ほど、与党でありますけれども、丸谷委員もほぼ似たような認識に基づいてかなりおっしゃったのではないかというふうに思います。

 それでは、次の問題をお伺いしたいと思います。

 イラクの航空自衛隊のことについて何点かお伺いをさせていただきたいと思っています。

 いよいよバグダッド空港への運航が行われたというふうに、七月三十一日ですか、防衛庁の方から発表があったというふうに思っております。

 これについては、もう非戦闘地域、戦闘地域の議論をここで繰り返すのは時間の無駄だと思いますので、我々はこういう虚構の仕組みというのを解消する、やはり憲法の改正なのか解釈なのかを含めてきちっとやるべきだというふうに思っていますけれども、今バグダッド、それから基本計画が変更されて、さらに拡大をされる可能性もあるようにお聞きをしています。これは危険性等がまだ随分とあるんではないかというふうに思いますが、そこの評価はどういうふうにされたかどうかというのをお伺いしたいと思います。

木村副長官 お答え申し上げます。

 これまでイラク国内における事例等を考えますと、一般的に地対空ミサイルあるいは対空機関砲等の危険性があり得るというふうに考えております。空自のC130はこれまで必要な防護装置を装備しておりまして、安全な飛行方法を採用し、そして、日々安全に関する情報を踏まえ運航しているところでありまして、引き続き安全確保に万全を期してまいりたいと思います。

松本(剛)委員 多分副長官もごらんになったと思いますけれども、アメリカの空軍のホームページには、日本の航空自衛隊はコンバットゾーンに一九五四年以来初めて配備をされたというふうに書いてあります。それが非戦闘地域、戦闘地域とかいう話はもうしませんけれども、こういう危険性その他、現場の自衛官のためにも、虚構とまでは言いませんが、そういうガラス細工のようなものを積み重ねたもので派遣をし続けるということのリスクというのを、特に副長官初め政治家の皆さんはきちっと認識をしていただきたいというふうに思っております。

 今回の陸上自衛隊は、ある意味では、サマワの選択から含めて、慎重にも慎重を期して選択をされただろうというふうに思いますけれども、このサマワからの撤退と、私どもから見れば、引きかえの航空自衛隊の拡大というもののリスクの評価というのが非常に懸念されるということを申し上げておきたいと思っております。

 それからもう一点、今回のも、多国籍軍の輸送、バグダッドへの運搬、というふうにお聞きをしていますが、これはイラク特措法に言うところの安全確保支援活動であるという理解でよろしいんでしょうか。

井上政府参考人 航空自衛隊の活動がイラク特措法による人道復興支援活動か安全確保支援活動かということでございますけれども、今後、航空自衛隊の活動につきましては、国連や多国籍軍への支援を行いますために活動を継続するものでございます。

 まず、このうち、国連でございますけれども、イラクにおける国連の活動……(松本(剛)委員「どちらか答えだけおっしゃっていただいたらいいので、全部わかっていますから」と呼ぶ)はい。UNAMIの活動でございまして、それがまさに人道復興支援活動であるわけでございます。

 また、多国籍軍でございますけれども、引き続き一部の地域におきまして安全確保、安全回復の活動に従事する一方におきまして、国内各地でPRT、地方復興チームでございますけれども、それを展開いたしまして、地方政府の能力向上など、復興支援の活動にも重点を置くことが見込まれているところでございます。

 したがいまして、航空自衛隊の今後の活動を引き続き、安全確保支援活動が含まれるわけでございますけれども、国連や復興支援を行う多国籍軍に対して行う空輸の活動は人道復興支援活動になるものと考えております。

松本(剛)委員 人道復興支援活動になるんですか、今の法律上、基本計画の定義上。よその国が行う人道復興支援の輸送とかを支援するのも人道復興支援だということでいいんですか、基本計画の定義を見ると、人道復興支援を行う国を応援することは安全確保支援活動の中に入っているというふうに私は理解していましたけれども。

井上政府参考人 イラク特措法三条におきまして人道復興支援活動の定義があるわけでございますけれども、イラクの復興を支援するために我が国が実施する医療、輸送等の措置をいうということでございますけれども、この中には他の国連加盟国等が行います復興支援の活動に協力支援として実施する輸送等の措置も当然に含まれているものと考えております。

松本(剛)委員 それでは、今回のは人道復興支援かそれとも安全確保支援活動か、法律で定義がきちっと二つに分かれているんですから、そのどちらとも言えるから、まあ適当にやっているんだ、こういうやり方でいいわけですか。

井上政府参考人 先ほど御指摘がございました、七月三十一日にC130によりまして多国籍軍の人員等の輸送を行ったところでございます。先ほど申し上げましたけれども、多国籍軍の活動に対する支援は、当該支援の対象でございます活動の内容いかんによって、安全確保支援活動にも人道復興支援活動にも当たり得るというふうに考えているところでございますけれども、他の多国籍軍の部隊の活動に関するものにつきましては、これまでも活動の安全の確保、相手方との関係といった観点から申し上げておりませんでしたので、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

松本(剛)委員 人道復興支援活動にも安全確保支援活動のどちらにも当たらなければ、これは法律違反ということになりますよね。どちらかに当たるということはきちっと判断をされていないといけないということになりますが、その判断をきちっと責任を持ってどなたがされたのかだけお聞きをします。多国籍軍の任務や何かをお聞きをしていません。

井上政府参考人 イラク特措法におきまして、自衛隊は人道復興支援活動また安全確保支援活動を行うことができるということでございますけれども、こうしたイラク特措法に基づいて空輸の活動を行っているというものでございます。

松本(剛)委員 法律に適合しているかどうかの判断をどなたが行ったんですかという答えがないということは、判断をしないままに、イラクで頼まれたことは何でも行っているということになったということの理解でよろしいですね。

井上政府参考人 政府におきまして、イラク特措法に基づく活動であるという認識のもとに活動を行っているものでございます。

松本(剛)委員 解釈、運用、こういうやり方をしていて、自衛官の一人一人の命がかかわっている中で、権限をどう与えるかということもおざなりの議論のまま行われているということは極めて大きな問題だというふうに申し上げざるを得ないと思っています。

 そもそも、今まで、この法律では人道復興支援が主で安全確保支援活動は従だという仕組みの中で、ほとんど政府側からは、人道復興支援をしているという言葉一言で全部片づけてこられました。そして、その人道復興支援で見える映像は、ほとんどサマワの陸上自衛隊の映像を見せてこられたわけであります。

 そこがなくなって、今回、航空自衛隊を、しかも、我々から申し上げれば、陸上自衛隊と引きかえに、イラクでいわば全土のどこへでも飛ばそうということになってくる。そして、これが本当にイラク特措法にきちっと合致をしたものであるのかどうか。これはどこを見ても、特措法を見ても、基本計画を見ても、人道復興支援をやって、そのいわばおまけで安全確保支援活動をすると書いてあるわけですけれども、今のお話ではほぼ並列です。どちらかには当たるから大丈夫だというようなことを言われているわけであります。

 こういう運用の仕方というのを、もう井上審議官にお聞きをしてもしようがないかもしれませんけれども、それでは本当に合法なのかそうでないのか。そして、我々は、法律で認められているのはこれだから、これは受ける、受けられないということをきちっとやっていかないと、こういう特措法で出した以上は、やはりその法律の範囲でやっていただかないとならないわけでありまして、今のお答えで本当に合致しているということを、私もまた国民も、とても納得できないという状況を御指摘しておきたいと思います。

 きちっとこれから改めて説明をいただかないと、来週ですか、イラク特別委員会も衆議院で開催を予定されていると思います。引き続き、この点についてもしっかりと議論をさせていただきたいということを強く申し上げたいと思っております。

 それでは、麻生大臣、総裁選に出馬されるかどうかを私は聞く立場にありませんのでお聞きをいたしませんけれども、お出になるものと思って大きくお聞きをしたいと思います。

 これから、活動範囲は、とりあえずバグダッドまで飛んだということでありますが、今回の基本計画で、ほかのバスラであるとか北東、北西の方の空港の名前もありましたけれども、さらに求められれば拡大をしていくのかどうか。それから、十二月に期限が来ますけれども、そのときはどういうふうにされるのかどうかということを、むしろ政治家として、これは十二月の期限の対応をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

木村副長官 活動の拡大についての御指摘ですので、私の方からお答えした方が適当かと思います。

 委員御承知のとおり、国連等のニーズにこたえるべく航空自衛隊の活動を継続しているわけでありますが、国連が活動しております今お話があったバグダッドあるいはエルビルに対する空輸も含めて、国連や多国籍軍への支援を実施していく方針でありまして、現時点において、それ以上何ら決定しているわけではありません。

松本(剛)委員 もう時間がないのでお聞きをしませんが、やはりこういうイラク、十二月に期限が切れることに対してどう対応されるかということは、ぜひお考えをまとめておいていただいて、また改めて機会をいただいてお聞きをしたいと思います。

 最後に、北朝鮮のことについて少しお伺いをしたいと思って用意をしておりましたけれども、一点、これから北朝鮮に対する政策ということで、ミサイル発射以降、当面の対応というのを出されましたけれども、これをさらに強めたものを、例えば国会で法律が通ればそれ次第でいくということなのか、それとも、何かの動きがあればさらに強めるぞという形でいかれるのかどうかという、この辺の方針。

 そして同時に、平壌宣言に基づいてというふうにずっと政府は言っておられますけれども、これについては少し通告が不足をしている点があるかと思いますが、平壌宣言、私が理解する限りでは、もう残っているものはないんじゃないかというふうに思うんです。

 国交正常化、そして向こうがおわびと経済支援を求め、さらには拉致の問題、そしてミサイル、核の問題の大きく言うと四項目だったと思いますが、拉致の問題はいまだ解決をせず、核、ミサイルの問題はこういう形であれば守っているとは到底言えない状況になり、今度残るのは経済支援、我が国のおわび、そして国交正常化ということであれば、平壌宣言に我々が拘泥をするということはどういうふうにお考えになっているのか。今後の北朝鮮政策の方針ということでお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 国連において松本先生御存じのように全会一致で通っておりますので、少なくとも参加加盟国というものに関しましてはこの決議案を遵守してもらう、これは百九十二カ国か、それは遵守していただくというのが大前提になろうと存じます。

 御存じのように、国連安全保障理事会で決議がなされて、四十五分後に北朝鮮は承服できないという発言をしておりますので、この種のものにこれだけ短い期間で決議ができないと言った例は過去にないと思いますが、それぐらい向こうの反応はもうはっきりしておると存じます。したがいまして、言ったこととやることとどれくらい違うかは、ちょっと今後見てみないとわからないところではあろうと思います。

 ただ、基本的には、この案に対して中国も乗ってきた、いずれも皆この種の案に、レバノンの話にも同様に中国もG8の拡大で乗ってきておりますので、いろいろな形で今後この北朝鮮に対して、どういう反応が向こうからこれから出てくるかというのをよく見ないと、これ以上たらたら圧力だけ高めていっても話にならぬと思います。

 ただ、これは圧力と対話と両方なんであって、対話が全然ゼロでは全く話が進みません。私どもは、圧力がない限りは対話が進まないという国だということもこの何年間かの経験ではっきりしたんだと思っていますので、今回、万景峰号を初めいろいろな制裁と言われるものをやっておりますが、あの国連決議の中に書いてありますのは、基本的にはミサイルに関する部品の売買の禁止、これが一番大きなポイントですから、その他の話につきましては、今後対応を見ながら、さらに制裁のレベルを上げるか、金融等々、今情報というのを金融庁が集めてやっているところだと存じます。

 国連の決議で決まった以上、それを遵守してもらうのは当然、その上で、さらなる対応を考えざるを得ないということにならなければいいがなと思っていますけれども、極めて可能性としては、レベルを上げていかないけなくなる可能性は否定できない、上げる可能性はある、私どもはそう思っております。

松本(剛)委員 とりあえず、国連の決議に対してはノーだ、世界新記録だか何だかわかりませんけれども、という話がありましたけれども、これに対してすぐに今ということではない、当面の対応をまず見ていく、こういう理解でいいんですね。

 当然、中国の問題についても幾つか御議論させていただきたいと思いましたが、時間が参りましたので、また改めてさせていただきたいと思います。

 それでは、質疑者を交代したいと思います。

原田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。質疑を行わせていただきます。

 まず、今の北朝鮮のミサイル発射に関する質問でございます。

 民主党も、この発射を受けて、七月五日そして七月六日と、党の北朝鮮ミサイル発射対策本部、役員会あるいは会合を開き、政府に対して、迅速かつ強力な行動というものを鳩山幹事長名でメッセージを出す、そしてまたそうした会合を開くということで対応をしてまいりました。

 私もちょうど発射二日後、北京におりました。これは超党派というか、未来政治研究会というグループによる訪中団でありましたので、私も中国側には、やはり日本側が受けたこのたびのショック、九八年のテポドンの発射とは比べ物にならない今回の七発の発射、しかも七発目は、日本側が抗議をした後、十二時間近くたってからまた発射をする、とても許せない、こういったことを中国側に強く、制裁を含んだ決議案賛同を求めてきたわけでございます。

 そこでまたお伺いをしたいんですが、これの発射に至るまで、政府もその情報を衛星写真等でつかみ、それへの対応をしてきたと思っておりますが、今回のミサイル発射の可能性を、七月五日ということで、どのぐらいの確度で外務大臣は得ていたのか。この点について、まず冒頭お触れいただけますでしょうか。

塩崎副大臣 この情報につきましては、当然のことながら、ふだんからあらゆる情報源を使ってとってきているのはもう言うまでもないわけでありまして、今回の発射の兆候というものも、事前に我が国政府としては押さえていたことはもう言うまでもないわけであります。

 ただ、その確度という点では、それはもう判断に属することでありますので、あえて具体的なことは申し上げるべきでもないし、当然のことながら、どういうところからというのもなかなか申し上げにくいということは御理解をいただけるところだと思っております。

武正委員 どういうところからというのは、日米同盟を結んでいるわけですので、米軍からも当然情報は得ていたということでよろしいんでしょうか。

塩崎副大臣 それを含めて、いろいろなところからとっているということでございます。

武正委員 そこで、当日、外務大臣、防衛庁長官、それぞれ官邸に参集をされたわけですが、これは内閣官房の方から伺いましたのでお聞きはせずに、私の方からお話しいたしますが、四時半に官房長官、三十五分に防衛庁長官、そして外務大臣は四時五十分ということでありますので、三時半にミサイル発射から、非常に素早く参集ができたというふうに考えるわけですね。

 これはやはり、今回のミサイル発射事案については、衛星写真での確認あるいは燃料の注入、こういったことが事前から確認をされ、それへの備えということができたために、その発射から一時間内外で参集ができたのではないかな、こういうふうに私は見るわけです。以前起きました中国原潜の領海侵犯事案とは官邸への参集の時間というものがやはり格段に違うといったことも、この弾道ミサイル発射という事案の一つ特徴ではないかというふうに考えるわけであります。

 そこで、報道が、ここのところに来て急にまた出てきた件が、お手元の方に資料が用意されておりますように、七月五日、七月六日の時点で、ミサイルの落下地点について防衛庁からお手元のような資料が、二枚目でございますが、出されました。

 いわゆる三発目がテポドン二号である、そして残りの六発がスカッドあるいはノドンということでありまして、このテポドン二号の落下地点、これが当初から、ロシア沿海州南方の日本海である、落下推定地域はいずれもということで発表があったわけですが、どうやらそのテポドン二号の落下地点が、もうそれこそ発射地点から数十キロのところに落下したのではないか、こういったことが報道されております。そして、これが米国政府から、米側から、独自情報を加味して、約四十秒で失敗したとの見方を示したとされているわけですけれども、こういった事実があるのかどうか。あるいは、テポドン二号の落下場所の特定というものをどのように当初行って、そして、これが実際のところ、ここで示した落下推定地点ではないのか。この点について防衛庁からお答えいただけますでしょうか。

木村副長官 テポドン2の落下推定地域というのは、米軍の早期警戒情報に基づくものであります。

 私ども、今御指摘があったテポドン2と見られる三発目につきましては、いろいろな情報を収集し、また総合的に勘案して、失敗したものととらえておりまして、また米側も、初期段階で失敗したと説明しているわけであります。

 この詳細につきましては、引き続き分析を継続しているところでありまして、現時点で個別具体的な情報についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 北朝鮮のミサイル発射についての調査報告というものを政府として取りまとめている、こういうような報道もあるんですが、そうしたことを取りまとめて、今の点も含めて報告をする、こういう御予定はあるんでしょうか。

木村副長官 今後、いろいろ分析する中で新たに判明する事実などが出てまいりましたら、その公表の要否について適切に判断していきたいと考えております。

武正委員 外務大臣、この報道は、新聞は余り読まないというふうに言われた外務大臣ですけれども、今言われた米側もすぐ失敗したというふうに副長官も言われたように、すぐ失敗したとすれば、当然、落下地点が当初の発表よりもかなり近いというようなことがわかるわけでして、これがどの時点で日本側に伝えられたのか、あるいは日本政府としてどういうふうに分析したのか、私は、やはりこうした情報こそ正確を期していくべきだろうと思いますし、もちろん国会あるいは国民に対しては正確な情報を政府は伝えていくべきだと思うんですね。

 それはやはり民主主義国としての国民の世論、これがあって政府が成り立っているという確からしさになるからでございますので、もしこうしたことが政府として早い段階でわかっていたとすれば、公表をやはり急ぐべきではなかったのかな。まあこれは、まだ正確なことは答えられないということなんですが、この点については、外務大臣としてはこういう情報を既に得ていたのかどうか、お答えをまずいただけますでしょうか。

木村副長官 現在も分析をいろいろしておりますが、決してこの時点で結論じみた分析を得ているという状況ではありませんので、その分析を防衛庁としても今全力で行っているということを御承知いただきたいと思います。

武正委員 先ほど、すぐに失敗したと言いましたよね。米側もすぐに失敗したというふうにおっしゃられましたよね。これでいきますと、発射して十分後に落下をしているわけですから、当然ここの場所でないということですよね、すぐにというのは。すぐにというのは、十分というのはすぐにとは言わないと思うんですよ。ということは、当初発表したこの地図が違っていたということでよろしいんでしょうか。

木村副長官 日本防衛庁側の分析も続いておりますし、米軍側の分析も続いておりますので、今委員が御指摘したように、それが失敗であるというのはこれは共通の認識でありますが、今御指摘のあったような結論をまだ持っている段階ではないということであります。

武正委員 先ほどすぐにというふうに言われましたので、今のような形で伺っているわけでありまして、私は、やはり説明責任をきちっと正確に果たしていくということが、こうした安全保障、防衛にかかわる議論、あるいは国民に対しても冷静な判断を促す、そのためにも必要だというふうに思っておりますので、間もなくまた政府から報道のとおり発表があるものと思われますが、速やかに報告をいただきたいということをお願いしておきます。

 そこで、外務大臣、どうでしょうか。日本の情報収集の主体性というものが、やはり私はこの一事をもっても問われるのかなと思っているんですね。というのは、今回の最初の発表も、米側の早期警戒情報に基づいての資料でありますので、早期警戒情報とは精度などに限界がある、こういう注釈つきで資料も提出されております。ですから、やはり日本としての情報収集の主体性、これを高めていく必要があると思うんですが、外務省として、いかがでしょうか、外務大臣。

塩崎副大臣 一般的にインテリジェンスの重要性というのは、日本の予算面から見る限りは、望むべく姿とは全く及びもつかないような状態であるということを私も考えているところでありますが、今、外務省の情報収集は、当然のことながら、在外公館を使いつつ、なおかつ、先ほどお話があったような米軍等々、あらゆる情報を持っているわけでありますけれども、先生おっしゃるように、情報収集能力はさらに向上してしかるべきということはいつも考えていることでもございますし、より正確に情報を事前にとらえることによって国民の生命財産を守れるようにする能力を高めるというのが極めて大事であるわけでありますので、これはもう民主党の皆さんにも武正先生にも御理解をいただいて、できる限り予算配分においても配慮をいただけるようにお願いをしたい、このように考えております。

武正委員 情報収集衛星の三基目も間もなく打ち上げる、そして四基目、来年ということで、四基体制というお話もあります。また一方、前々から早期警戒衛星の話も出ている。そしてこのたびミサイル防衛構想、前倒しで、後で触れる嘉手納配備ということでありまして、今外務副大臣言われたように、まさにすべてお金のかかることなんですね。

 ですから、やはり費用対効果というものをまず第一に考えなければならないこともありますので、やはりこうした、総合的に日本の防衛、安全保障、これを組んでいく必要があるというふうに思いますし、そうはいっても、例えば早期警戒衛星も米ロ二カ国しか持っていないという大変高いものでもあります。ですから、やはり日本の情報収集体制が、もっともっと多元的に行っていく必要があるだろうというふうに思うんですね。

 当然、そこには外交の、特に北東アジアにおける外交努力、これがやはり欠かせないというわけですので、まだまだそうした外交の多元性、あるいは、ある面したたかな外交というもの、これがもっともっと北東アジアで行われていくことが、やはり情報収集、日本の主体性が発揮できるのではないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、PAC3でありますが、先ほど来、外務大臣、お答えいただいていないんですが、ここでそろそろお答えをいただきたいんですが、PAC3嘉手納配備、要員六百名、家族九百名の移住。これは、過日の最終報告で八千名、隊員がグアムに移るんだ、沖縄の負担軽減ですよということになっていたわけですが、このPAC3の嘉手納配備によって、八月、九月に主要人員、機材がもう沖縄に配備になる。これは、そうすると、人員が減りますよ、グアムに移りますよ、負担軽減ですよといった最終報告からすると、順序が違うんじゃないかというふうに沖縄とすれば思うのではないのか。

 事実、沖縄知事も、遺憾であるということを、負担軽減が具体化しない段階でPAC3配備だけが先行するのはまことに遺憾、こういうふうに言っているわけなんです。これから米軍再編について沖縄に理解をしっかり求めていこうというところでありますけれども、こうした知事の発言、これについては外務大臣としてどのようにお考えになりますでしょうか。

麻生国務大臣 御存じのように、PAC3の話につきましては、嘉手納に配備されることになりましたのは、これはたしか、ことしの五月の2プラス2のときのロードマップで決められていると記憶をいたします。したがいまして、日本における既存の、既にあります米軍の施設とかまた区域に展開されて、可能な限り早い時期に運用可能になるということを踏まえたもので、基本的には北朝鮮からのミサイル等々、いろいろ関係した雰囲気もあったと思いますが、いずれにしても、私どもとしては、こういったものは、金はつけたが実用に資しなければ何の意味もありませんので、そういった意味では、これに伴って運用ができるように六百名の定員が配置される、家族約九百名でしたかね、そういうことだと記憶します。

 基本的には、これはいわゆる弾道ミサイルの脅威から日本の国民、沖縄等々を防御し、防護し、そして生命とか財産とかを守るための純粋な防御的なシステムであることははっきりしておりますので、そういった意味では、武力攻撃に対する可能性がつい七月五日はっきり見えた形になりましたので、そういったことが大きな背景なんだと思います。

 基本的には、御存じのように、家族含めて約九千名からのグアムへの移転というのははっきりいたしておりますので、私どもとしては、減らすのが先と言われる御意見は、沖縄の方の気持ちとしてわからぬではないところであります。しかし、国全体として考えますと、これは隣で北朝鮮のミサイル等々の話がすぐ現実の脅威となってきておりますという状況を踏まえますと御理解いただけるのではないか、そのような感じがいたしております。

武正委員 であるからこそ、正確な情報を、政府としては速やかに、わかった時点でやはり発表していくべきだ。もしこれから、先ほど触れた報道のように、落下地点が数十キロということを発表する、あるいはさらにそうした情報をもうかなり前の段階で、発射後すぐに得ていたとすれば、やはり私は、政府としてその対応いかにと後々指摘をされるに違いないというふうに思うわけであります。

 ちょっと時間の関係でイラクについては飛ばしまして、最後にサミットに関して、先ほど渡辺委員も指摘をしていたこの平和条約問題ということで、サミットの外務省の報告書の中で、日ロ首脳会談で小泉首相は両国外務大臣ほかに指示を出そうと述べた、こういうふうに言っているわけですけれども、どんな指示があったのか、外務大臣にそれをお答えいただきたいと思いますし、先ほど、ちょっと指摘をしておきますが、やはり、この五年間、北方領土の四島一括返還なりの交渉というものは、私は後退したと残念ながら言わざるを得ません。それは、二〇〇一年のイルクーツク合意で、先ほど外務大臣がいみじくも触れました五六年宣言、これをある面第一義に考えるというような形で、日ロが、首脳間の話し合いがされてしまったのが、やはりその間違いのもとがまずそこにあったんではないかなというふうに思います。

 これは、先ほど五六年宣言から外務大臣はひもとかれたようなお話をされましたが、やはり日本の立場、この九三年の東京宣言、この四島の帰属を確認し、平和条約の締結、これがまず日本の立場であるということを改めてきちっとロシア側にメッセージを出していく必要がある、このことも申し述べまして、今の、どんな指示があったのか、外務大臣からお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 十五日に行われましたサンクトペテルブルクにおきます日ロ首脳会談におきまして、今御指摘のありましたような、交渉を活性化させるよう指示を出すということで両者が一致をしておられます。その内容は、これまでの諸文書、今言われました文書を含めて、諸文書及び諸合意に基づいて、四島の帰属の問題を解決、平和条約を早期に締結するため、引き続き真剣な努力を継続することが両国政府の責務、そのためには、交渉を活性化させるため、両国の外務大臣に指示を出そうと小泉総理の方が述べられて、それに対してプーチン大統領は、自分も領土問題を解決して平和条約を結びたいと考えている、環境整備の重要性も理解をしている、これらに関しては両国間の協議を活性化させたい、自分からも協議を活性化させるよう担当者に指示をすると述べたということであります。

 それを受けまして、クアラルンプールで、この金曜でしたか、ラブロフ外務大臣と会談を行っておりますけれども、改めて、向こうも指示を受けてきていますので、この話は聞いていると言ったら、当然聞いていますので、聞いておるという話だったので、これは上の方でそうやれと言っておるんだから、少なくとも、平和条約の問題を含めて、締結もあるけれども、その前に、いろいろお互いさま問題を抱えているんだから、そういった問題を解決する方法の一つとして、例えば北方四島の防災の話、先ほど渡辺先生が聞かれた話を含めて、防災協力について、大臣同士で言っても下にはおりていかないしするので、ちょっと正直、事務官とか高級レベルとかそういったところで、具体的な内容を協議するために専門家の会合をやろうということをしないと、言っているだけじゃ前に進まないということを言って、専門家会合を開催するということでは一致をしております。

 引き続いてこの種の話は粘り強くやっていかないかぬということは確かでありますけれども、今、少なくとも、プーチン大統領の指示がセルゲイ・ラブロフ外務大臣の方に、下におりてきていることだけは間違いありませんので、かつて昨年の十一月でしたか、プーチン・小泉会談のときに出ていた、あのときの話から少しごちゃごちゃしましたけれども、今そういった指示がおりて、それを受けてロシア外務省側も少しは動きが出始めたという感じがいたしております。

武正委員 これで終わりますが、プーチンの発言、あるいはその周辺では、どうしても五六年宣言に基づいて二島でいい、それで平和条約をということであってはならないということを申し述べまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

原田委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 私は、きょうは、七月二十七日に決定されましたBSEの関係ですけれども、米国産牛肉の輸入再々開、これに絞りまして質問をさせていただきたいと思います。

 小泉政権、間もなく幕を閉じようとしているわけですけれども、この光と影とかいうことを言われていますけれども、私はいろいろな問題、解決していくんじゃないかと思う。格差社会というのが言われています。大問題ですけれども、一生懸命頑張れば格差社会はなくなっていくと思う。しかし、BSEのこの問題、簡単に再々開したということは、影の部分でも真っ黒々の影で、なかなか黒いのが消えない影になるんじゃないかと思っております。

 この点に関してでございますけれども、少なくとも私の記憶では、外務委員会で触れさせていただくのは麻生外務大臣になってからは初めてだと思いますので、外交にも深くかかわることなので、後でじっくり聞かせていただきたいと思います。

 その前に、赤松厚生労働副大臣、二泊四日ですか、日程を見ましたら非常に強行軍だったようですけれども、アメリカの食肉加工施設をごらんいただいたようですので、せっかくですので、その感想も踏まえてお答えいただきたいと思います。

 私は、今回の、またフライングだと思います。資料を例によってお配りしてありますので、じっくり見ていただきたいと思います。外務委員会の皆様方も、見て、こういう問題があるんだということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 今回のものに限って言えば、査察を六月から七月にかけてしているわけです。資料の一、カラー刷りにありますけれども、六月二十四日から七月二十三日まで現地調査をしているわけですけれども、これが終わる前に、総理がアメリカに行って、新聞報道されていますプレスリーの何とかかんとかというので、晩さん会でお土産を持ってきてくれたとか言われて、そして輸入再々開を決めてしまっている。本当は、査察をして、きちんとしてから決めなきゃいけないはずです。

 それから、査察というのは前のときもしているんですね。十一施設だけですけれども、十二月のときに。しかし、それでまた行っている。その査察を見ずに、結果を見ずに輸入再々開を首脳同士で決定するなんていうのは僕はあってはならないことじゃないかと思うんですが、この点について赤松副大臣はどのようにお考えでしょうか。

赤松副大臣 篠原委員からは二つ御質問があったと思います。

 まず最初に、ちょうど一カ月前、七月二日に、デンバー、スイフト社とカーギル社、二社の状況を見てきた、その感想いかんという話と、後段は、今回のことについて、査察以前の段階でもう日米間の大枠を決めてしまうのはどう思うのか、こういうお話だったと思います。

 感想の方は、簡単に申し上げますが、篠原委員たちもいらっしゃったその後だったわけですけれども、率直に申し上げまして、懸命にアメリカの側は、日本で起こした事案に対して日本の信頼を回復するために、本当に必死になって取り組もうとしている姿勢が伺われました。

 現場で作業しておられる人たちに直接聞いてみようとアタックを試みたんですが、なかなか、委員も御承知のように、向こうはやはりヒスパニックの人が多くて下手な英語も通じないという感じでございましたので、ほとんど聞くことはできなかったんですが、一部の英語が通じる人には聞いてみたら、日本の我々が来ている意味がわかるか、こういう聞き方をしましたら、来ていただいてうれしいと、ちょっととんちんかんな答えではございましたけれども、そういうふうな答えがあったりしました。アメリカ側が二度と再びこういう事態が起こらないように懸命になってやっているな、こういう印象を受けた次第でございます。

 何分私自身はそういうものを的確に見抜く力をそう持っておらないわけですけれども、農水また厚労、両方の専門家が懸命になって対米交渉をやっているその現場も見させていただいたりいたしました。

 後段の部分の査察前に決めてしまうということいかんということですけれども、私の認識ではそういうふうに決めたというふうには思っておりません。あくまで認識というものを一致させて、しっかりと査察をした後で輸出を再開するというのがあくまで大前提で、篠原委員が先ほどおっしゃったようなことは、そういうふうに見えたかもしれませんが、現実はそうじゃなくて、大体日米間、交渉をこれから始めるという状況の中での認識を一致させた、こういうことではなかったかな、そんなふうに思っております。

篠原委員 十五分じゃなくて十一分だけになって、ちょっと質問をスキップさせていただきますので、外務大臣の方にお伺いしたいと思います。

 資料の六です。八ページのところを見ていただきたいんですが、私は外務大臣にお伺いしたり問いただすのは余りしたくないんですね。これは、本当に総理とブッシュ大統領の間でどんどん決められていって、とばっちりを受けて各省がわたわたし、そして国民にも非常に悪い影響が出てくるんじゃないかと思うんです。

 一番最初、どこで狂ったかというと、大統領選挙の前、ブッシュ大統領が日本に輸入再開させると言って九月二十二日に日米首脳会談が行われてというのを、この一番最初の年表を見ていただくとわかると思います。まだ二十カ月齢以下の全頭検査を省いていいかとかいう議論をしているさなかに日米交渉が行われるわけです。日米局長級会合が行われるわけです。

 そして、その結果、アメリカ側は、ウイズイン・ア・マター・オブ・ウイークスというので、数週間のうちに日本は輸入を再開するであろうと言うんです。後々、このことの合意を守っていないといってさんざん言われるわけです。このときにアメリカの交渉相手のペン農務次官からは名指しで、外務省の佐々江経済局長は非常に熱心に交渉してくれて、おかげで早く輸入再開できるような合意にこぎつけたというようなことを言われているわけです。

 この日米間の局長級会合の交渉担当者というところを見ていただきたいんですが、左が日本で、右がアメリカで、保健福祉省は厚生労働省の右側に来るべきものがちょっと間違えて下にしてしまいましたけれども、あちらはUSTRだとか国務省とかいうのは入っていないわけです。

 つまり、どういうことかというと、これは食の安全の問題であって通商マターじゃないんですね。それをそんなようなふうに解釈して、日米同盟が大事だと。軍事的なこととかいうのは、私は、それはそういうのであっていいと思いますけれども、こんなことは純客観的にやらなければいけないにもかかわらず、もう最初から早く輸入再開しなければいけないんだというような交渉態度で臨んでしまったことが問題なんじゃないかと思っております。これは、麻生外務大臣であればこんなことはさせなかったんだろうと思いますけれども、前の外務大臣が軟弱だったんだと思いますけれども、この点について、麻生外務大臣、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 外務省としての姿勢がどうだったんだということだろうと思いますけれども、今御指摘の、二〇〇三年の十二月にBSE感染牛が確認をされた、それで直ちに輸入を停止して以降、基本的に、今外交というお話がありましたが、政府全体としては、外務省を含めて、やはりこれは食の安全、安心の確保ということが大前提であって、科学的見地に基づいて判断するということで取り組んできたということであって、今お話がございました外交で動いたということは、私どもとしてはそういう認識をしていないというところでございます。

 当然、食品安全委員会に諮問をして、科学的な議論を尽くした上で、国民の意見というのが日本の場合には安全、安心に対する意識が非常に高いわけであって、その意見を聴取した上で答申が出て、それで決定をされたということだと私たちは思っているわけで、決して外交問題で処理をされたというようなことはないというふうに思っております。

篠原委員 それは違うんであって、だから、資料の四、五も持ってきてよかったと思います。これはもう触れませんけれども、山内一也委員、プリオン専門調査会の委員です。これは、簡単に言うと頭にきてやめていますし、ほかの人たちも食品安全委員会を隠れみのに使っただけだということを盛んに言っておられて、六人は改選期に辞任されております。やはり、これは私はおかしかったんじゃないかと思います。

 それで、アメリカでも日本の姿勢を評価しているんですよ。資料のところで九ページ、十ページを見ていただきたいんですが、皆さんごらんになったかどうか、四月六日のニューヨーク・タイムズは、クリークストーン社というのが全頭検査をして日本の消費者の要望にこたえたいと言っているのを農務省がさせない、それに対して、おかしい、クリークストーン社に全頭検査させて、日本に輸出させたらいいじゃないかということを言っているわけです。アメリカでもこういう声が起きている。

 私自身がBSEの調査団として行ったときに、アメリカの消費者団体も、心ある下院議員ですけれども、日本がきちんとやっていることをアメリカのマスメディアにも言っていってくれ、日本の耳標をつけてやるアニマルIDシステムとか全頭検査というのはそのとおりなんだ、やってほしいんだ、アメリカにも知らせてほしいということを言っていました。

 外務省の大事な役割として、日本の消費者の懸念をアメリカに伝えるとともに、アメリカにだってこういう動きがあるんだというようなことを伝えて日本の主張を通すという努力をすることがあるんじゃないかと思いますけれども、そういうことを外務省はされてきたんでしょうか。

塩崎副大臣 今の全頭検査をすべきではないかというこのクリークストーン社の要望というのは、報道されていることは当然私どももよくわかっているわけでありますが、最終的に輸入をどう開始するのかということについては、両国政府間、そして、今御指摘のとおり、資料にもあるとおり、先方は農務省が交渉相手としてやってきたことで、輸入条件を定めてきたわけですね、この話し合いの中で。それは、一つは全月齢からの特定危険部位というものを除去するということであり、それから二十カ月齢以下の牛由来であるということが条件として出てきたわけであって、この条件を満たせば全頭検査をする必要はないということが結論として出てきたわけであります。

 したがって、日本は全頭検査をやり、またそういう声が強かったわけでありますけれども、農務省との間で話し合いとしてそういうふうになって、その中で、この全頭検査をやる必要はないというのは話し合いの中で決まって、政府ものんでいるということで決まったことであります。

篠原委員 最後に、資料をいっぱい用意したので、これを全部説明するだけでも時間がかかってしまうんですけれども、四ページをちょっと見てください。

 同じようにやっていても、韓国は、査察して、査察に問題があったから輸入再開していないんですよ。そのままなんですよ。非常にきちんとした態度をとっているんですよ。それから、台湾などは、仮に変なことがあったら全面停止するよと言っています。

 しかし、私は、川崎二郎厚生労働大臣、大変立派だと思います、七月の二十七日に、もしそういうことがあったら全面停止すると。そうしたら、下の事務方がそんなのじゃないとか言って、後の説明会のときに言っていましたけれども、私は、大臣のおっしゃっていること、図星だと思っております。

 そういう点では、日本は大事な、重要なポジションにあるんですね。

 外務大臣にお答えいただきたいんですが、日本は世界最大の輸入国です。そして、こんなに厳しい。アメリカも、日本にちゃんとしてほしいと言っている。これから変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が蔓延する可能性があるんです。これは総理にも申し上げました。そうすると、日本がきちんとした態度をとっていると、日本に合わせて全頭検査をしなくちゃいけないとか、二十カ月齢以下のはいいけれども、アメリカは三十カ月でやっているんですけれども、日本は二十カ月だ、それに合わされていく。そうすると、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の蔓延を防ぐことができたということで、後々も感謝されるんじゃないかと思います。

 外務大臣は非常に日本の安全を守るということでタカ派的な発言が多いわけですが、私はその点は十分支持しているつもりでございますけれども、それとパラレルに、食の安全についても厳然たる態度をとっていただきたいと思うんですが、この点について、これからもっともっとステップアップされる麻生外務大臣にお答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 食の安全を含めまして、この安全の概念というのは、いわゆる輸入される食料品に限らず、その他の物品でも、これが安全に動くか、安全に食べられるか、安全に飲めるかというのは、安全保障上これはみんな密接な関係があっておりますので、当然のこととして日本としてはこういったものに関心がある、当たり前の話だと存じます。

 ただ、今言われました、私、このBSEのことにそんなに詳しいわけではありませんし、これほど、何かプリオンやら等々、全部が全部詳しいわけではなくて、韓国の方が厳しいけれども、なぜ韓国が三十カ月、日本は二十カ月で、日本の方が甘いのかと言われると、そこのところも、この資料を見ただけで何となく私の知識ではちょっとついていっていないところは正直なところです。私がわからぬということは、多分普通の方は大体私とほぼ同じレベルだと思っていますから、先生の話は大体ついていく人の方が少ないだろうなと思いながら聞いていました、正直なところ。

 したがって、私どもとしては、国民の食の安全というのに対しては、これはすごい関心がありますのは当然のことなんであって、おかげさまで、この種の安全の話は国民の関心が高いから、安いけれども危ないとかいうものは輸入が何となく減って、高くても安全というものの方が売れるという実態がそれを証明しているというのが最近の傾向だと思っているんですが、ぜひともこういったものに関しては、これは科学的な話と外交交渉という話がきちんと表裏一体になっていないと話が込み入るので、科学的にはいいんだから買えと言われても、なかなかそうはいかないんですよ。傍ら、外交的にはいい、やれ、やれと言っても科学的にはだめだと言われりゃというのは、なかなか一致していないと話は難しくなると思います。

 したがって、今のこのBSEの話にしても、科学的なものがきちんと証明された上でやらないといかぬということなんだと思いますので、こういったものに関しましては、安全というものに関してはぜひ今後ともいろいろ詰めていかないかぬところだと思います。

 いずれにしても、長い時間をかけて、食の安全委員会とか厚生労働省やら何やら、みんないろいろ検討をされた結果、出された結論で、アメリカの三十五カ所でしたっけ、何かそれぞれ訪問をされたり、いろいろ現地で行かれてどれくらいのことがわかるかわからぬと御自分で言っておられましたけれども、そういった方含めて皆現地に足を運ばれる等、いろいろ努力はされたんだと思います。

 ぜひそういった意味で、食の安全というのを今後やっていかないかぬところでしょうが、もし仮に事件が起きたときは、その段階は、出したそこの屠殺場だか輸出したところというのは今は特定できるんでしょうから、そういったものに関して、そこは、ほかのところの三十四カ所はきちんとやっているのに一カ所だけそこができなかったら、それはそこのところはとめるとか、やり方はいろいろあるというような感じがいたしますので、こういったものは、基本としては国民の安全、食の安全が確保されるためにどのような話を今後詰めていくか、大事なところだと存じます。

篠原委員 終わります。

原田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。北朝鮮によるミサイル発射問題と我が国の対応について質問いたします。

 我が党は、今回の北朝鮮の行為が、国際ルールを破る無法行為であり、日朝平壌宣言など国際的取り決めにも違反すると厳しく批判してまいりました。そして、北朝鮮がミサイル発射を中止し、国際ルールと取り決めを遵守すること、六カ国協議に速やかに復帰して外交的解決を図ることを強く要求してまいりました。同時に、国際社会の対応としては、国連安保理が分裂してはならない、一致結束して問題解決に当たることが何よりも大切だということを主張してまいりました。

 そこで、まず麻生大臣に伺いたいと思います。

 七月十五日に、国連安保理において、北朝鮮のミサイル発射を非難するとともに、ミサイル開発計画の全面停止と発射凍結という従来の制約を復活させることを要求し、六カ国協議への即時無条件復帰と核開発計画の放棄を強く促す決議が全会一致で採択されたことは歓迎すべきことだと思います。さらに、去る二十八日、ARF、東南アジア諸国連合地域フォーラムの議長声明でも、六カ国協議の早期再開、北朝鮮のミサイル実験の凍結などを求める声明が発表されました。

 これらは、国際社会が一致結束をして、そして外交的に問題の解決に当たるという点で極めて重要だというふうに考えるんですけれども、大臣はどのようにこれらを評価されているか、改めて確認したいと思います。

麻生国務大臣 笠井先生御記憶と思いますが、一九九三年にノドン、九八年にテポドン1、そして二〇〇六年の七月にテポドン2としましょう、というのが発射されております。

 国連の対応はどうだったかということを思い出してみると、九三年のときは議長声明どころかプレスリリースもありません。九八年のテポドン1になって初めて国連安保理において議長声明の次のプレスリリースというのが出されました。出されるまで二週間かかったと記憶します。

 したがって、今回は、翌日に決議文が上程、そして、それにいわゆる同調したというか共同提案者になった国が日本のほか七カ国、合計八カ国です。賛成を表明した者がその他ございますので、国連の安保理十五名のうち、あそこは九が過半数としておりますので、九カ国の確保は確実という段階になりました。

 日本が隣国ですから、ほかの国にとっては遠い国であっても、私どもにとってはまことに直接の害が及ぼされる地域におりますので、直ちに日本が反応するのは当然。先ほど御質問がありましたように、あらかじめこういうのを予測しておりましたので、ちゃんと対応ができておったということだと思います。

 肝心なことは、約十一日間かけて交渉した間に、そこをどの程度のものにするかというのは、とにかく議長声明でやれ、議長声明をやってから二段階でやれ、いろいろな話がいっぱい出ましたけれども、日本は、終始一貫、拘束力のある決議文、これ以外だめというのを主張し続けてきたんですが、結果として、議長声明であれば中国は乗る、その他の国も乗るが、決議文だったら拒否権が出る、やれ退席する、棄権する、反対する、いろいろ出ました、確かに。出ましたけれども、最終的に、私どもとしては、全会一致というメッセージをなるべく速やかに出すということが北朝鮮に送るメッセージとしては最も正しいという結論に達しましたので、こちら時間の十六日の午前三時ぐらいに結論をおろして返答をしておりますけれども、全会一致というものが十日間で出せたというのが今回の影響力、効果としては最も大きかったところかなと思っております。

笠井委員 全会一致ということでメッセージを出したということでありますが、これに対して、ARFの問題もそうですが、いずれも北朝鮮側は拒否するという対応をとって発言し、誠実な対応はしていない、瀬戸際外交、武力の威嚇で要求を通そうとする態度でありますけれども、そんなことは通用しない。結局、より一層の深刻な国際的孤立を招くことを知るべきだと思います。北朝鮮が責任ある国際社会の一員になるためには、国際ルールの取り決めを遵守する立場の確立がどうしても必要であって、安保理決議に示された国際社会の総意に従って、そしてまた、ARFの議長声明に示されたアジアの声に真摯にこたえるべきだと。

 大臣としては、直接外交もそういう間でされてきましたけれども、北朝鮮に対する国際社会の対応として、今どういうことが大切だというふうに思われているか、端的にお答え願いたいと思います。

麻生国務大臣 白南淳という方が外務大臣なんですが、ほとんど、何でしょうね、二十何カ国からみんなで糾弾されているというときは、笠井さんでもちょっと何となく下を向いちゃうような雰囲気だと思うんですね。ばんばんやられるわけですから。全く表情なく、英語がだめそうなので、ここ、ずっとつけていましたけれども、一応、朝鮮語に、通訳になって出てきているんだと思いますけれども、別に音楽を聞いていたわけじゃないと思いますので、聞きながら全く表情の変わらないのがすごく印象に残りました。

 私は、この人は前に会ったこともありませんし、この種の会合に出てくるというのはめったにない人ですから、見ていたんですけれども、しかし全員であれだけ言うというのは、あの人はじかの声で聞いたのは多分初めてだと思います。あとは書類で読んだことがあるかもしれない。そういった意味では、私どもは、これが国際世論というものだということをあれだけはっきり、中国が隣の席に座っていますし、その人も名指しでこうやって言うわけですから、そういったことは、この人にとって、今の自分を取り巻いているアジアの状況もこうだということを知ったという意味では私は大きかったと思います。

 したがって、今後、北朝鮮に対しての一番の影響力は、六カ国協議の議長をやっております中国の影響力が最も大きいということは、貿易量を見ても、いわゆる石油のパイプラインの話にしても、これは最も影響力の大きいところだと思いますので、中国が議長国としてこの六カ国協議というものの再開に向けてどのようにやっていくか、私どもは忠実に国連決議文を履行しますというので、これはほかの国にも、きちんと書いてあるんだからちゃんと履行してよ、全会一致なんだからという話をいろいろな国にフォローしていかねばならぬ、まずはそこからだと思っております。

笠井委員 安保理の協議の過程で、当初は第七章の問題で言及すると言われましたが、それにかわって、事態の平和的、外交的解決、そして、対話による平和的、包括的解決が前文に明記されるなど、粘り強い努力の中で全会一致の決議が採択された。大臣も直後に拘束力のある強い決議だ、より強いメッセージは全会一致の方にあるということで強調されたのは印象に残りましたが、そうした決議の立場を堅持することがいよいよ重要だと私も思います。

 ところで、そうした中で、日本の政界の一部に、この問題を利用して、軍事的対応論、これを強化するという強化論が起こっているのが私は極めて有害だというふうに言わざるを得ないと思います。特に、敵基地攻撃論というのが軍事的対応の悪循環を招くとともに、先制攻撃論という無法にみずから踏み込むものだというふうに思うんです。この点で、額賀防衛庁長官、安倍官房長官が、敵基地攻撃能力の保有と基地攻撃の可能性に言及をし、麻生大臣は、同じ言い方じゃなかったですが、NHKのテレビ討論、たしか九日だったと思いますが、私も拝見しましたが、問われる中で、被害を受けるまで何もしませんというようなわけにはいかないという形で答えられておりました。

 この問題、特に、アメリカを含めて、国際社会が一致して平和的、外交的に北朝鮮の無法行為をやめさせようとしているさなかにそういう発言が相次ぐということになりますと、そういう努力を台なしにすることになりかねない。そういう関係各閣僚の発言は私は重大だと思って聞きました。

 私は、そこで大臣に伺いたいんですが、今、日本がやるべきは、やはりああいう決議ができたわけですから、みずから賛成して全会一致で採択された、その安保理決議の立場をあくまで貫いて、平和的、外交的解決と対話による平和的、包括的解決に全力を挙げるという、そのメッセージを発信し努力することが一番大事だというふうに確信するんですけれども、外交を担う大臣としての見解をただしておきたいと思います。

麻生国務大臣 笠井先生よく御存じのように、外交というものは、交渉によって国家の危機というものを最小化するもしくは極小化するのをもって職業としております。したがって、まずは先制攻撃みたいな話にとられているようなお話ですけれども、基本的には外交というものは話し合いによって危機を最小化するのが目的でありますので、その点だけはまず最初に申し上げておかねばならぬところだと思っております。

 それから、先制攻撃という話があったという話ですけれども、私の話の中で先制攻撃という言葉を使っていないことだけは、調べてみましても出ておりませんので。

 武力攻撃というのは、相手が武力攻撃を着手するしないというのがありましたでしょうか、昭和三十何年の話ですけれども、大分前の話で、岸内閣だか鳩山内閣のころだったと記憶します。したがいまして、こちらが核を撃たれて、全部くちゃくちゃになってからでなければ攻撃できないというのは、それはちょっとおかしいでしょうという当時の議論だったと、大分前の話で、学生時代のことで余り正確な記憶じゃありませんけれども、そう思っております。

 そういった話がありましたので、多分、今の一連のほかの方の話、発言になったんだと思いますが、外務省として言えるのは先ほど申し上げたような立場でありますので、先ほど笠井先生が言われたように外交交渉をもってというのが基本であります。

笠井委員 私も当時のことを調べてみまして、五六年に鳩山答弁というのがあって、その後、五九年には、仮定の事態を想定して、平生から他国を攻撃する、脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨とはしていないという立場を表明して、敵基地を攻撃できる武器を保有してこなかったという経過があったのが、今の議論というのは能力として何が足りないかというところまで話が来ているので、これは日本は危険な方向に行くんじゃないか。着手という話がありましたけれども、着手した時点で攻撃するという話になると、どこで判断するかというと、結局、被害を受ける前に、相手より先にということになると、事実上の先制攻撃になって、これは国連憲章違反だということになります。

 山崎拓自民党安全保障調査会長自身が、こういう議論は大変に乱暴だ。そして、国是である専守防衛に反するし、重大な憲法違反だ。全面戦争になるという発言があるけれども、そのとおりだ。やっちゃえ、やっちゃえという戦前回帰の危険性を持っている。自民党全体が、戦後の軍事大国にならない、専守防衛、非核三原則という基本的な安全保障政策、原理原則を忘れたような感じがあると言われたんです。私は同感だというふうに受けとめたんです。そういう点でいうと、今大臣がやはり外交でやるという点を改めて強調されたので、その辺は重要だというふうに私は押さえておきたいと思います。

 麻生大臣、広島で七月八日に、北朝鮮のミサイル発射の動きが強まる中で、金正日に感謝しないといけないかもしれないということを言われて、慌てて冗談は抜きにしてというふうな形で言い直されたようですが、私は、ああいう発言というのはやるべきでない。まさに本音が出たというふうに言われても仕方ない話になるわけでして、この問題を軍事的対応の拡大の口実に使うようなことが到底あってはいけない。あくまで平和的、外交的解決、対話による平和的、包括的解決に全力を挙げると大臣は強調されましたけれども、そういう立場で、北朝鮮問題についてはあくまで冷静で道理ある外交的解決を図るべきということを重ねて強調して、質問を終わります。

原田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 北朝鮮が、去る七月五日、七発のミサイルを発射しました。これに対し、国連安全保障理事会は、去る七月十五日、北朝鮮に弾道ミサイル開発計画の全面停止を求める非難決議を全会一致で採択しました。私や社民党はこの国連決議を歓迎いたします。同時に、北朝鮮が、国連決議を真摯に受けとめて、六カ国協議に早急に復帰し、六カ国協議の枠内で諸問題が解決されていくことを望んでおります。

 私は、北朝鮮は怖い国だから先に攻撃をしてやっちまえという趣旨の敵基地攻撃論や敵基地攻撃能力保有論などの考え方はやめるべきだと思っております。北朝鮮のミサイル発射により、国民の不安や恐怖をいたずらにあおって日本の軍備力の強化につながるようなことがあってはなりません。

 そこで、外務省にお尋ねします。ミサイルの発射及び実験は国際法に違反をするのでしょうか。

塩崎副大臣 国際法と一口に言ってもいろいろとあろうかと思いますが、まず、慣習国際法といいましょうか、公海の自由との関係で申し上げますと、他国の利益等に妥当な考慮を払って行使するというのが公海の自由であって、今回のミサイルの発射は、漁業活動等が盛んに行われている水域でありまして、関係者への適切な事前通報なしに行われてしまったという意味において妥当な考慮を払ったとは言いがたいということで、国際法の精神に反しているというふうに言えると思います。

 それから、航空関係のシカゴ条約、これは北朝鮮は入っているわけでありますが、ミサイル発射に当たって何らの事前通報もなかったわけでありまして、我が国を含む民間航空の航行の安全に対する重大な危険を発生させるというおそれがあって、これはシカゴ条約の基本的な目的から見て問題があるということだと思います。

 それから、これも北朝鮮が入っていますけれども、国際海事機関条約、IMO条約、それから国際水路機関条約、IHO条約、これについては、共同で世界的航行警報サービスに関する指針というものを一九九一年に総会決議として採択しております。これは法的拘束力があるわけではないんですけれども、今回のミサイル発射が、ここに定めております船舶への安全情報や航行警報の伝達のために、各国の関係当局が、海上の安全に影響ある事態を、今申し上げた総会決議にのっとって、海域ごとに指定された調整者という国がありますが、そこに通報するということをやっていないということで、これにも問題があるね、こういうことだと思います。

照屋委員 現在、世界でミサイルを保有している国は何カ国ありますか。

中根政府参考人 お答え申し上げます。

 弾道ミサイルを保有しているすべての国が必ずしもこうした事実を対外的に明らかにしているわけではございませんので、確定的なことを述べるのは困難でございますけれども、いろいろな民間のシンクタンク等が情報を出しております。

 こうした公開されている情報によって、すべてが同じような内容ということではございませんけれども、大体、総合しますと、少なくとも三十カ国程度が弾道ミサイルを保有していると承知しております。

 また、ミサイル発射実験については、やはりこうしたミサイル発射の事実を必ずしも対外的に発表していない国が多うございますので、確定的なことを述べることは困難でございますけれども、いろいろ諸情報によれば、少なくとも十カ国程度がこれまで弾道ミサイル発射実験を行っているものと考えられます。

照屋委員 麻生大臣、私はミサイル開発規制や発射規制に国際的なルールがないことが大きな問題であって、条約の整備を急ぐよう日本政府としても各国に働きかけるべきだと思いますが、大臣の所信と見解を伺います。

塩崎副大臣 ミサイルの拡散防止に対して法的な拘束力を有する国際的な約束というのは今のところないわけでありますが、拡散の防止に取り組むために、これまでミサイル技術管理レジーム及び弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範といった枠組みが既にございまして、それぞれ我が国は、発足並びにその後の議論に積極的に関与をして貢献をしてきたところでございます。

 我が国としては、特に、ミサイル技術管理レジームを通じて輸出管理の強化に取り組むということと、今申し上げたハーグ行動規範の普遍化というものを促進するということで国際的にこれを広めるということで、ミサイルの拡散防止に向けた努力をやっていこうというふうに考えているところでございます。

照屋委員 私は、先制攻撃は何をもたらすのかということを真剣に考える必要があると思います。

 沖縄戦では、沖縄には四十二の島がありますが、日本軍が駐留し、軍事施設のある島のみがアメリカの攻撃を受けました。

 さて、パトリオットの配備の問題を聞きますが、パトリオットの配備は新たな沖縄への基地負担の強要であり、断じて容認できません。配備によって、嘉手納基地周辺住民はむしろ不安と恐怖を抱いております。なぜ嘉手納基地及び嘉手納弾薬庫の配備か。配備の目的は、住民の安全を守るためではなく、嘉手納基地の機能を守るためではないのか、外務省、防衛庁に尋ねます。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 パトリオットの配備につきましては、既に御説明していますとおり、五月の2プラス2の会合の際に、既存の米軍の施設・区域に、可能な限り早い時期に運用可能になるようにするということを一般的に決定しておるわけでございます。その後、この決定を踏まえまして、既存の米軍施設・区域の中で、地理的状況、後方支援の容易性、それから地域防衛の必要性、抑止力の維持等々を総合的に勘案いたしまして、嘉手納飛行場それから嘉手納弾薬庫に配備をするということを決定したわけでございます。

 特段、沖縄に対する新たな具体的な何か脅威があるということではございません。ただ、この配備、PAC3そのものは、弾道ミサイルの脅威から我が国、特に沖縄を防護するという能力を持つわけで、純粋に防護的なシステムでございます。

 そういう中で、沖縄を初めとする我が国の安全をより確たるものとするということを目的に配備が行われるということでございます。

照屋委員 北原長官に伺いますが、去る七月二十六日から三十日までの四日間、嘉手納基地所属のF15戦闘機などが未明の離陸を繰り返し、それによる殺人的な爆音は最高値百四・七デシベルにも達しております。周辺住民は、生活破壊、健康破壊に対する悲鳴を上げております。

 これは、嘉手納基地の騒音防止協定にも反するわけですが、騒音防止協定が有名無実化している。嘉手納町議会は、同協定の飛行制限を除外するただし書き条項の廃止を求めて決議し、要請しておりますが、政府にあっては、実効ある騒音防止策をどうとるのか、示していただきたい。

 ひどいんです。もう生活を切り裂くものだと言っている。このことを真剣に受けとめてほしいと思います。長官のお答えを願います。

北原政府参考人 照屋寛徳先生に御答弁申し上げます。

 先生がただいま御指摘をいただきました早朝離陸の点でございますが、先月の七月の二十六日水曜日、二十七日木曜日、そして二十八日金曜日と三十日の日曜日、四回にわたりまして早朝離陸が行われました。

 そのうち、二十六日、二十七日につきまして、それぞれF15が九機、それから空中給油機が二機、早朝に離陸したわけでございます。本来、途中で空中にて給油を受ける予定だったわけでございますが、二十六日につきましては、天候のぐあいが悪いということで、天候不良ということで空中給油が受けられず、また嘉手納基地に戻ってきました。それから、二十七日につきましては、今度はグアムから発進する予定だった空中給油機によって空中給油を受ける予定でございましたが、その飛行機のぐあいが悪いということで離陸できず、結果として給油も受けられなかったということで、また全機戻ってきたわけでございます。

 そして、米軍といたしまして、この飛行計画、これは本土で行われる演習に参加するということが目的でございましたが、飛行計画を見直した結果、また二十八日と三十日に同様の機数が離陸したということでございまして、地元住民の方々に与えました影響というものにつきましては、私どももこれを大変重大かつ深刻にとらえているところでございまして、私どもからその都度、米軍に対しまして、三回にわたりまして、必要最小限にしてもらいたい、最大限の配慮をしていただきたいという申し入れをしてまいりました。

 それから、天候のこともございましたので、離陸に際しては、天候を事前に十分見きわめる等の細心の注意を払っていただきたいといった申し入れも行ってきたところでございまして、これは、局から、また私ども本庁からも在日米軍司令部にやってきたわけでございます。

 その間、我々、二十八日、三十日につきましては、午前二時半から八時ころまで、現地の我々の職員を、安保の丘そして北谷の砂辺地区にも、現場に派遣いたしました。そして、実際にその状況も確認をいたしております。我々防衛施設庁の職員といたしましても、先ほど先生御指摘いただきましたが、基地問題をやっていく上で、やはり皮膚感覚で感じながら、そして安全保障と住民の皆さんの安心、安全の接点を本当に求めていきたいと思っているところでございます。

 ただ、大変長くなりましたが、地元の議会から、三十一日の日に、いわゆるただし書き条項について、これを削除するようにと御要請をいただきました。いただきましたが、御承知のように、この騒音規制措置というのは平成八年の三月につくっております。これは、地元の皆さんの御負担と、それからアメリカの運用といった両者をどう満たすかという観点からぎりぎり努力した結果、最大限努力した結果できたものでございます。

 したがいまして、さらにこれを変更して新たな制限を課すということは、米軍の運用との関係でなかなかこれは難しいと考えているところでございますが、さはさりながら、早朝からの離陸というものは大変影響がございますので、これからも、必要最小限となるよう、そして最大限の配慮をされるよう求めてまいりたい、そのように考えております。

照屋委員 終わります。

原田委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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