衆議院

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第2号 平成18年10月25日(水曜日)

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平成十八年十月二十五日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山口 泰明君

   理事 小野寺五典君 理事 嘉数 知賢君

   理事 三原 朝彦君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 山中あき子君 理事 長島 昭久君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤 公介君

      宇野  治君    上野賢一郎君

      小野 次郎君    河野 太郎君

      高村 正彦君    新藤 義孝君

      鈴木 馨祐君  とかしきなおみ君

      松島みどり君    三ッ矢憲生君

      安井潤一郎君    山内 康一君

      山本ともひろ君    大串 博志君

      吉良 州司君    田中眞紀子君

      武正 公一君    長妻  昭君

      前原 誠司君    笠  浩史君

      高木 陽介君    笠井  亮君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  別所 浩郎君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事)         黒木 雅文君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     とかしきなおみ君

  篠田 陽介君     上野賢一郎君

  笹木 竜三君     大串 博志君

  長妻  昭君     武正 公一君

  笠  浩史君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     山本ともひろ君

  とかしきなおみ君   安井潤一郎君

  大串 博志君     笹木 竜三君

  吉良 州司君     笠  浩史君

  武正 公一君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     猪口 邦子君

  山本ともひろ君    篠田 陽介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案について御説明をさせていただきます。

 昨年来実施されてまいりましたODA改革につきましては、官邸に海外経済協力会議が、外務省に国際協力企画立案本部及び国際協力局が設置される等、ODAの企画立案部門におきましては改革が既に進められておるところです。

 この法律案は、実施部門においてもODA改革を実現し、戦略的かつ効率的なODAを早期に実現するものであります。この観点から、独立行政法人国際協力機構(JICA)を、ODAの三つの手法、すなわち技術協力、有償資金協力及び無償資金協力の一元的な実施機関とするため、独立行政法人国際協力機構法の一部を改正するものであります。

 次に、この法律案の主要点について御説明をさせていただきます。

 改正の第一は、JICAが、これまで国際協力銀行(JBIC)が行ってきた有償資金協力業務を承継することであります。

 改正の第二は、JICAが、これまで外務省が所掌してきた無償資金協力の実施業務の一部を承継することであります。

 改正の第三は、有償資金協力業務と他の業務の勘定を区分するとともに、有償資金協力勘定の財務及び会計については、現行JBICと同様の制度を維持することであります。

 改正の第四は、以上の改正に伴い、JICAの役員、主務大臣等について、所要の変更を加えることであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事黒木雅文君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官長嶺安政君、北米局長河相周夫君、国際協力局長別所浩郎君、防衛庁防衛参事官富田耕吉君、防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内康一君。

山内委員 自民党の山内康一です。

 私はもともとJICA職員でありまして、今回の法律で、円借款業務が新JICAに移行し、そして、無償資金が外務省からJICAに一元化されるということで、技術協力、無償資金、円借款、この三つのスキームが有機的に統合を図ることができる新しい組織の誕生を心からお喜び申し上げたいと思います。援助の実務の現場にいた者として、大変望ましい方向で改革が進んでいることを心強く思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今回、新しいJICAができます。円借款、従来からの技術協力、そして無償を含めると、世界最大級の援助機関になります。世界で二番目とか三番目とか、数字のとり方にもよりますが、新しくなったJICAが世界で有数の大きな、ずうたいのでかい援助機関になるということは間違いないと思います。そのずうたいの大きな援助機関をどのように統治していくか、そのガバナンスの面がこれからどのような方向に向かっていくかということが重要なポイントになってくるかと思います。

 特に、私がJICAの職員として働いていたとき、非常に持っていた問題意識としては、ちょっと外務省批判になりますが、外務省が余りにも援助の実務のマイクロマネジメント、細かいところまで、はしの上げおろしまで介入している、その点が現場と東京との意識の、コミュニケーションのギャップ、あるいはマネジメント上の問題をたくさん引き起こしてきた、そういう問題意識を持っておりました。

 これからやはりあるべき方向性としては、外務省あるいはそのさらに上の官邸の海外経済協力会議が大きな方針を決めて、実施に関してはJICAにしっかりと権限を移譲し、そして事前規制というよりは事後のチェックをしっかり行っていく、そういった体制こそが望ましいと思います。

 具体的にどのような方向でJICAの統治のあり方、JICAに対する外務省のコントロール、あるいは政策を立案する外務省とそして実施するJICA、この二つの機関の関係、こういったJICAのガバナンスとあるいは外務省との関係について御説明をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 山内先生御指摘のありましたとおりに、基本的には今言われたとおりに、実施業務につきましてはJICAに任せていく、なるべくそういう方向で、政府全体としても、中央の権限を地方にとか、民間でできるものは民間にという流れに乗っておりますので、JICAでできることはJICAにというのを基本的な方針にいたしてまいりたいと思っております。

 今、御存じのように、海外経済協力会議というのがことし新たに総理のもとにスタートしております。無償とか有償とか技術協力というもの、三つありますので、今おっしゃったように大きなものになっておりますが、本省、外務省としては、いわゆる企画立案というものを根本機能に置いて抜本的な体制強化を行い、そしてそれに合わせて外務省の中の機構も、期の途中ではありましたけれども機構を変えさせていただいて、優先順位の高い外交政策順位というものと整合性のとれたODAをやっていかにゃいかぬというような話で、地域的なものは地域的、また全然別な緊急で出てくるものもありますので、そういったものと、いろいろな形で、我々としては有機的な連携というようなことが一番適切な表現かと思いますけれども、少なくとも、そういった形でJICAとの連携というものを図っていく、基本は最初に申し述べたとおりです。

山内委員 基本的な方向性としては大変正しいと思いますので、ぜひ、なるべく細かいことは外務省は手を出さず、企画立案だけに特化していただきたいと心よりお願い申し上げます。

 それから、新しい組織、JBICの一部、それとJICAが統合されるわけですが、この統合の進め方についてお伺いしたいと思います。

 国際協力銀行ができたとき、海外経済協力基金、それと輸銀が統合しました。この統合は、いろいろな意見がありますが、失敗した統合じゃなかったか、そういう意見が大変多く言われております。円借款と輸銀の国際金融業務、余り相乗効果、シナジー効果はほとんどなかったという意見もあります。また、人員削減は、実際のところ、JBICができたことによって削減された人員はほとんどいないというふうに理解しております。それから、甚だしきに至っては、給与水準は輸銀と経済協力基金、高い方の輸銀に合わせてしまって、結局、人件費は下がるどころか上がってしまった、こういった問題点が指摘されております。

 このような同じ過ちを繰り返してしまっては、もう国民の皆様に対しても申しわけができない、説明がつかない、そういった事態を招かないように、どのように今後新しい組織の給与水準を決めていくか、あるいは人事においても、どのようにこの二つの組織が合体し、そして一部外務省の業務がおりてくる、こういう新しい組織の給与水準である、あるいは人事である、こういったところを、どのようなお考えなのかをお聞きしたいというのが一つ。

 もう一つ、あわせて、技協、無償、円借款、相乗効果を発揮させるために、どのように組織の統合を図っていくのかというところで、その方向性だけでもお伺いできればと思います。

麻生国務大臣 今の点はすごく大事なところで、何となく前回の合併したときも、大蔵省だから一緒にしたからといったっていいことなんかないと言って当時私も反対した記憶がありますので、すごく印象があります。

 今回のこの話については、これはことしの初めから、外務省とJICAとJBICにおいて、新しいJICAというもののあるべき制度設計というものをずっと行ってきたところなんですが、これは異なる援助方法でもありますし、やり方も大分違う、もちろん給与も違っておりますので、基本的には地域別というものを中心にして、ここで有償、無償、技協と三つのものを地域別にということで、横断的な組織編成というものをやり直さないかぬということで、業務手順というものは、そっちの方で地域別が最もいいのではないかということで、それが基本。

 そして、一体感を醸成するために人事の交流というものをうまくやって、加えて給料というようなことも一致しておりまして、今、資金協力によって建設したい施設というものの運営とかノウハウというものは、技協、技術協力によって供与するといった形で有機的な連携が図られると思っております。援助の方法の枠によって効率的に実施ができるようなことが期待をされているという方向で考えております。

 給与の水準、コストの削減等々につきましては、副大臣の方から答弁させます。

岩屋副大臣 先生御指摘のとおり、ある意味で前回の反省に基づいて、給与水準についても今度は適切に対処をしていかなければいけないというふうに思っております。

 現在、援助手法をまたいで知見を有する人材を育成するにはどうしたらいいかという観点から検討が行われているところでございまして、その中において、先生の御指摘のありました給与水準についても、適切にこれが制度設計ができますように検討してまいりたい、こう思っております。

山内委員 今、地域別の体制をつくっていくという御説明でしたけれども、やはり前のJBICの大失敗は、円借款のラインと国際金融のラインが全く別組織のように動いていて、その横の行き来がなかったというのが最大の問題だったと思いますので、そういう地域別の体制をつくっていくというのがシナジー効果を出すために非常に重要だと思いますので、正しい方向に向かっているのかなという感じを受けます。

 それから、次の質問ですが、二つの組織が統合することによって、JBICとJICA、ある程度コストの削減が見込めるのではないかと思いますし、実際、民間企業が統合するときはほとんどの場合コスト削減が目的なわけであります。コスト削減できる項目なり、どれぐらいの金額というのは難しいかもしれませんが、どういった方向でコスト削減を進めていくべきかというその方向性についてお伺いをいたしたいと思います。

岩屋副大臣 ただいまのコスト削減をどうするかという先生の御指摘、極めて重要だと思っております。

 例えば、本部をどうするかという問題もございますし、それから、在外事務所、現JICAは五十六在外事務所、現JBICは二十七駐在員事務所があるわけですが、これらの事務所の統合をどうするかという問題がございますし、調査の一本化をどうするかということもございます。

 もちろん、それらを上手に行って一定のコスト削減効果を生み出さなければいけない、こう思っているわけでございますが、先生が今おっしゃいましたように、それがどのぐらいになるかということを算定することは現時点では困難だということをぜひ御理解いただきたいと思っておりますが、できる限りコスト削減ができますように努力をしてまいりたい、こう思っております。

山内委員 今回、JBICの円借款とJICAが統合されるわけですが、その二つの組織、それぞれ別のルールやガイドラインを持っているはずでありますが、これをどのように統合させていくかということも重要だと思います。

 特に、昨年はODAを受注しているコンサルタントが不正請求をしたり、あるいは最近読売新聞でも談合の疑惑があるといった報道がなされました。国民のODAに対する目は最近特に厳しさを増していると思いますので、入札や調達のガイドライン、こういったものをどのように統合していくのか、その方向性についてお伺いしたいと思います。

 また、例えば環境のガイドライン、JICAとJBIC、それぞれの組織が持っていますが、環境ガイドラインについてはJBICの方がすぐれているという意見が民間のNGO等から言われています。そういう場合、一足す一を二にするのではなく、よりよいものをこの機会につくっていただきたいと考えておりますが、そういった方向性についてお考えをお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 今、山内先生から御指摘のありましたように、JBICとJICAの援助手法に関しましては、環境のガイドラインに限らず、調達に対するガイドラインをいろいろ定めておりますけれども、これはいろいろ違っております。

 JICAに関しまして言わせていただければ環境社会的側面からの案件の審査は外部有識者に諮問、JBICの方は外部有識者への諮問はないというように、やり方が違っておりますのはもう御存じのとおりだと思いますので、ここのところは今両者で協議中、これはどっちかに一本化するようにした方がいいということで今やるか、これはきちんとして、ここまでは新JICAでやる、ただしその他の部分については外部委託とか、いろいろな基準を決めておく必要があるのかなということで、目下調整中であります。

 特にこの環境ガイドラインにつきましては、途上国の側における環境関連の手続をきっちり明確化しておかないかぬということで、各援助手法にそれぞれ特性がありますので、その体系の一本化を進めるということで、一本化にこだわるために全部外部委託とか全部自分でやるとかいうことになると、これまたいかがなものか。そこらのところをきちんと整理するということで、パブリックコメントなどを付して、こういったところの透明性を確保したプロセスで行わなければならぬということで、その方向で今しております。

 他方、資金協力にかかわるこのガイドラインの件につきましては、御存じのように、無償資金協力に関しましてはタイドローン、そして有償資金協力の方はアンタイドローンになっております。こういったものをそれぞれ原則化しておりますので、こちらの方は一本化にはなじまぬかなとは思っておりますけれども、なるべく両者の間の特性が結果として、両方これまでやってきた経験がありますので、その経験を持ち寄って、どちらの方がより適正か、このときはどちらの方が適正かというような基準で選んでいくのがより効率的ではないかと思っております。

山内委員 ちょっと通告に漏れていたかもしれませんが、今回、そのガイドライン、ルールづくりに関してもそうですけれども、この巨大な新しいJICAのルールというのは世界じゅうの注目を浴びているわけでありまして、そのルールを外務省とかJICAとか内部の人間だけでつくるのは非常に問題があると思いますし、広く開かれた議論のもとに、一般の、パブリックコメントというお話が今ありました、そういったパブリックコメントを通じて民間の市民やNGOの意見も吸い上げるということも重要ですし、あるいはもう少し国会なりの関与というものがあってもいいのかなというふうに考えているんです。これからの新しい組織づくり、二年ほど時間をかけてやられると思うんですけれども、そういった外部の意見をどのように行っていくか、そのお考えをもう一度具体的にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、山内先生おっしゃるとおりに、大きな組織になりますので、組織というものをただただ二つ合併いたしますと、いわゆるシナジー効果どころか、逆に同じようなものばかり、名前だけ変えて同じようなことをやる、よくあるケースだと思います。今申し上げましたように、パブリックコメントも一つの方法だとも思いますし、また、いろいろな外部から広く意見を集める、また、やめられた方々で今別の現場にいらっしゃる方、いろいろいらっしゃいますので、そういった方々の意見を含めて、多く意見を集めるというのは非常にいい方法だと思っております。

山内委員 次に、ODAの戦略性、特に外交戦略とODA事業をどうやって整合性のあるものにしていくかということについてお伺いしたいと思います。

 今回、JICA法改正もやはりODAの戦略性の向上ということが書かれているかと思うんですけれども、ODAのうち、かなりの部分、外務省以外がコントロールしている予算があるかと思います。ついては、外務省以外の部分の技術協力の予算が一体どれぐらいなのか。それからJICA分の技術協力、そしてJICA以外の、ほかの省庁がやっている技術協力の予算が幾らぐらいなのか、それについてお伺いします。

岩屋副大臣 お答えいたします。

 先生お尋ねの件ですけれども、平成十七年度一般会計予算におけるJICA運営費交付金は約千六百一億円ですが、各省庁の技術協力予算の合計は約八百二十一億円でございます。

 以上でございます。

山内委員 済みません、もう一個聞き忘れておりました。

 そのうち対中分の、中国向けの技術協力、JICA分とほかの省庁分についてお伺いしたいと思います。

岩屋副大臣 中国向けでございますけれども、平成十六年の暫定的な実績ベースで、JICA事業費が約五十四億円、それから各省技術協力の合計額が約二百七十一億円でございますが、平成十七年度分については集計中でございまして、追って先生に御報告をさせていただきたいと思います。

山内委員 それでは、今特に中国の問題、JICAが千六百億、ほかの省庁が八百億ということは、各省庁、外務省がコントロールしていない部分のODAの技術協力というのはどのように外交戦略と整合性をとっているのかということをお伺いしたいと思います。

岩屋副大臣 政府開発援助関係省庁連絡協議会というのがございますし、技術協力連絡会議というのもございます。こういった省庁間の連絡会議を積極的に開催いたしまして、総理大臣のもとに設置された海外経済協力会議の結果を共有する、それから、主要外交行事に係る結果や国別援助計画の共有というのを図るように努めているところでございます。

 個別の事業につきましては、各府省間で情報交換を行っておりますけれども、本年度からの新たな取り組みとしては、実施予定案件、これからやるという案件についての情報をデータベース化して全府省の間で共有するということを始めております。

 そういう作業を通じて、先生の御指摘の点にこたえられるような体制をつくっている、また、これからもつくっていきたい、こう思っております。

山内委員 関連の質問を続けさせていただきますが、今、中国向けの技術協力、外務省コントロール、JICA分が五十四億、その他の省庁が二百七十億、これはどう考えても外務省以外の省庁の方が圧倒的に比重が多いわけです。よく議論されるのは、外務省分のJICAの対中援助あるいは円借款はよく批判もされるし、国民の目というか、政治家の目も行っていると思うんですけれども、外務省、JICA以外の省庁がやっている技術協力というのは、余り、外から見てわかりにくい構造になっているのではないかと思います。国民の皆様から見ても、我々立法府の人間からしても、ほとんどコントロールがきいていないような印象すら受けます。

 この辺の、外務省は外交戦略にのっとってやっているかもしれませんが、ほかの省庁は、それと、本当に、今連絡会議という話がありましたが、どれぐらい整合性のある事業をやっているのか、大変心もとない気がするのであります。

 例えば、中国向け二百七十億円、ほとんどが文部科学省の留学生の受け入れだと思います。しかし、留学生の受け入れというのは、戦略的に使えば、外交戦略上、大変重要だと思うんですね。アメリカがフルブライトの留学生制度を使ってどれだけ優秀な人材を、親米的な世界じゅうのリーダーを育ててきたか。こういう観点からすると、ソフトパワーと言われる時代でありますが、こういう留学生の受け入れ、それも二百数十億という単位のお金を使っているのであれば、例えば官邸の海外経済協力会議にもうちょっと文部科学省が出てきて、しっかりと外交戦略の中で位置づけていく、あるいは、留学生を受け入れるにしても、数だけ、予算だけではなく、どういう分野を受け入れていくか、そういった観点での外交とODAとのリンクというものが必要なんじゃないかと思うんですけれども、その連絡会議だけで本当に担保できるものであろうかということを考えておりまして、ほとんど意見表明になってしまいましたが、御見解を再度お伺いしたいと思います。

岩屋副大臣 山内先生御指摘のように、留学生交流は、ある意味では外交戦略上も非常に有意義な事業だと思っておりまして、お金を使っている割にはそういう戦略ときちんとリンクしていないんじゃないか、こういう御指摘だと思いますが、先ほど申し上げたようなスキームを通じて、今後とも、外務省として、我が国の国益にのっとった、戦略にのっとった、そういう留学生交流事業というものがきちんとできるように引き続き努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

山内委員 今回の法改正に伴って、くどいようですが、JICAは世界で最大級の援助機関になりますので、国際社会、特に援助コミュニティーにおけるJICAの存在感というのは非常に大きくなると思います。

 その中で、これから大事なのは、予算の金額だけではなく、いかにして情報発信を行っていくか、あるいは知的な貢献を行っていくかというのが非常にこれから重要になっていくのではないかと思います。

 そして、この法改正の中でも、本来業務の中に調査研究という項目が新たに加えられることになりました。その調査研究をどのようにJICAとして行っていくか、そして、私、これからの外交はそういうシンクタンクとか知的な貢献というのが非常に重要になると思うんですが、JICAの行う調査研究をどのように外交政策に反映させていくか、そういった観点について御説明を願いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、山内先生、今からです、正直なところを申し上げて。これは、新たに調査研究をすることを明示規定にして規定をしておりますので、新たにこの規定を設けたということですけれども、目下検討中というのが正しいんだと思いますが、研究部門の統合というのを今進めておりまして、いわゆるODAに関します知的な拠点というものの確立を目指していくとともに、総合的な、大きな援助機関になっておりますので、それにふさわしい国際社会に対する知見のいわゆる発信力というものを醸成せにゃいかぬです。

 加えて、人材の育成機能を強化する。いろいろここに書いておりますけれども、今、私ども外務省でこれと直接脈絡があるわけではありませんが、将来これにつなげていく、例えばの例として、今、日本で平和構築のための人材育成というのを外務省でいろいろやっております。例えば、どうしてもこの種の話になりますと、何となく内乱が起きているとか混乱が起きているところに自衛隊の派遣という話ばかりが目につきますけれども、現実問題として、一応混乱が終わった後、その地域を再生していくに当たっては、その地域で税制は、その地域で行政は、役人も一人もいなくなっていますから、そういったところも一つ。

 また、中近東でいろいろ、私、総務大臣のときにも何回か陳情を受けましたけれども、総務大臣室に陳情に来る人は、地方行政というのは何、地方行政というのはどうやってやるの、地方行政法の写しを下さい、地方税はどうやって徴収するの、それはどうやって、だれが使うのという基本中の基本みたいなことは、中近東また東ヨーロッパの国々ではそういったことを過去やっておられませんから、そういった国々からの依頼がある。

 それに対して、当時は、経済統計のとり方がわからないと、経済企画庁に行って、人は借りて、そこに出向させる、地方自治に詳しいのをうちの方から出向させる、だんだん手間が回らなくなってきましたので、地方自治大学校に人を出してください、うちの方でまとめて教育しますというようなことも、今、地方自治大学校はやっております。これは、外務省とは関係なく、外のところでやっている一つの例です。

 そういったようなものを発信していくに当たっては、時間をかけますと間接的に非常に大きな意味になりますし、またJETプログラムなんかで海外から学生が年間二千数百人、ダブルになりまして四千人以上の人間が今いることになります。それが地方全体に散って、そしてアメリカでは、ウィスコンシンなんやらダコタやら、あの辺に行っても、JETプログラムOB組織というのが既に組織されておりますが、多分これはアメリカにおける最大の知日団体に今のし上がったと思います。

 これをきちんと組織するというようなことは、アメリカ側がやっておりますけれども、それに対して日本はどのようにアプローチをしているかといえば、文部省がしているより総務省がしている方が多いなんというのが幾つもありますので、こういったものをきちんともう一回整理してみる必要があろうかというように思っております。

山内委員 調査研究と情報発信の続きなんですけれども、日本の外交力強化のために在外公館をアフリカ地区でふやそうという方向性、それ自体は正しいと思うんですけれども、既にあるものをもう少し生かすという観点で、在外公館、大使館はないけれどもJICA事務所がある国、例えばマラウイ、あるいは、ブータンとかチャドみたいに、JICAの事務所はないんですが、協力隊、JICAの駐在員事務所みたいな小さな簡易事務所がある国というのはアフリカとかたくさんあるわけでありまして、そういった在外公館が存在しないような国における、JICAの出張所が唯一の日本政府機関の組織、出先である、そういった国の情報というのは非常に貴重な情報なのではないかと思います。その情報をいかに活用するかということも、これから新JICAの体制整備、あるいは外交に情報を生かしていくという観点から、大変重要なのではないかと思います。

 私は、私ごとで恐縮ですが、NGOに勤務しておりましたとき、アフガニスタンの北部で道路工事の作業監督、現場監督をやっていました。アフガン北部の治安情勢というのは日本大使館もほとんどつかんでいないということがあって、たまたまパキスタンに行ったときに、大使館の政務官の人に御飯をおごってもらいながら現地の情報をブリーフィングしたりということがありました。

 そういう援助の現場、最前線にいる人間というのは、政治情報をすごく勉強するんですね。なぜかというと、紛争地で活動している人道援助機関の人間は、自分の命を守るために必死で治安情報を集めます。そして、治安情報イコール政治情報であります。そういった意味で、援助の現場が持つ情報なりノウハウというのはかなり外交政策上も生かせる情報がすごく多いと思うんですが、今、ほとんど生かされていないんじゃないかという意識を持っています。

 そういった意味でも、提言ということになりますが、いかに既存のJICAのネットワークあるいはプロジェクトのフィールドにいる人間の情報なりノウハウを外交に生かしていくか、そういった観点も踏まえて、新しい組織づくり、これからの外交、外務省の体制整備も含めて行っていただきたいと思います。それに関して一言、何か御意見があればと思います。

麻生国務大臣 今おっしゃられたように、JICAの出張所や何やらはあるけれども大使館等々がないというのは、世界じゅうに十五カ国あります。正確には、アジア大洋州で五、アフリカで八、中南米で四ということになっております。

 おっしゃるとおり、現地にいて、大使館のないようなところにいると情報収集に必死になる。私も、西アフリカのシエラレオネという大使館のない国に二年ほど住んでいたことがあるんですが、そこで革命というか騒ぎになって、今でもやっていますけれども、唯一の情報はBBCが発します短波放送、これだけが頼りでしたので、これに基づいて、多分現地から脱出できた最後の飛行機の一台前に乗って社員を連れて逃げ出したことがありますので、今、情報を集めることに関しましては、それは大変だと思います。

 今、十五じゃない、十七です。済みません。大使館がないところが十七あります。

 そういった意味では、この種の情報はすごく大切なものですので、今おっしゃるように、それらのものが生かされるように、私どももきちんと指導してまいりたいと思います。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。

 いつも麻生大臣を相手に、真の独立を追求すべし、そのために日本人みずからの手で自主憲法を、そして、自分の国は自分で守れ、自主防衛路線をということを訴え続けております、民主党の吉良州司でございます。

 北朝鮮問題につきましては、先日、我が党の山口壯委員が本会議場でも申し上げましたように、政争の道具には使うべきではないというふうに思っております。ただし、山口さん、外務省OBで経験豊富でもあり、安全保障の専門家でもある長島委員等おりますので、我が党の意見にも耳を傾けていただきながら国難に対処していただきたい、このように思っております。

 きょうは新JICA法改正案であります。冒頭、非常に初歩的といいますか、そもそも論で恐縮ながら、ODAの目的とは何ぞやということをまず麻生大臣にお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的に日本として何を考えているかといえば、今、最近ではよくテロが例に引かれますけれども、テロリズムの起きる背景を、単純に宗教とか人種とか地域とかいろいろな理由になっていますが、テロリズムの発生する大きな原因の一つに、貧困というのは忘れられていると思います。特に中近東なんかで、失業率四〇%とか、特に若者の失業率四八%ということになって、やはり、先がない、夢がないということになりますと、どうしても、うっせきしたものから爆発、テロに走りやすいという環境がもう必然的にそこにある。

 そこにあって、日本としては、ODAというこの種の技術、無償、有償、いろいろありますが、そういったものを含めて、その地域の人たちに、働くとか生活するとか労働するというようなことを、きちんと夢を与えるという意味の一端となるというのは大きなものだと思っております。

 もう一点。よく、金の話ばかりで、もう一つの技術協力の場面が話になりませんけれども、今、吉良さん、インドに行かれますと、インドで、多分ニューデリーで最大の話題というのは地下鉄だと思います。この地下鉄の入り口には、日本のODAによってこの地下鉄はつくられたんだということが、もうだれの目に見ても明らかに、大きくきちんと書いてある。どこかの国のように、だれがつくったかわからないようにしてあるようなことはありません。きちんと、日本がつくったということがわかる。

 そして、いろいろそこに乗せてもらったこと、乗ったこともありますし、総裁の説明も聞いたこともあるんですが、そこに行くととにかく、そこの作業に携わったインドの人たちがいるんですが、我々は、この地下鉄をつくってもらったということも大きいが、働くということに関する道徳とか、労働に対する喜びとか責任とかいうものも同時に教えてもらった。なぜなら、彼らは時間どおりに進めてきた、時間どおりに作業は始まり、日本人が我々に教えてくれた唯一の日本語は納期、とにかく納期一つ。納期を徹底してやられて、もうとにかく納期、納期で追いたくられて、これだけ大きなプロジェクトを予定より三カ月と何日か早目にできたというのは、もうインド史上始まって以来。かつ、今でもこの地下鉄は五分以内のおくれで全部物が動く、というような公共の乗り物は今インドじゅう探してもこれしかない。

 したがって、いわゆるきちんと動かすというようなことを含めて、これは労働とか運転とかいうことに関する責任というものをこのODAを通して教えてもらったんだ、これが最も感謝しているところだと言って、インドの地下鉄公団総裁という人から延々と話を聞かされたことがあります。

 したがって、お金によってその地域の貧困というのが助かるというのは大きなところでしょうが、同時に、日本人の労働という文化、労働という価値観が移転されていっているという点も、我々としては、我々の気がつかないところで先方が感じているという点では大きなところではないかと思っております。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

吉良委員 今、貧困からの脱却の支援と、それから、日本的価値観とでもいいますか、労働文化の移転ということをおっしゃられたわけですけれども、私の理解するところ、日本のODA方針というのは、基本的には、相手の自助努力を促す、自主性を重んじる、そういうところから、手続的にも要請主義というのをとって、相手の意思を確認した上で援助していく、こういうことかと思います。

 その中で、確かに、貧困撲滅それから保健衛生等、最近、アフリカ諸国等への援助もそういう観点からの援助が盛んなんですが、例えば、大ざっぱに言って、今言った相手の自主性を重んじる、相手のニーズを重んじる、それにこたえていく、いわば慈善事業といいますか慈善事業的な援助。それからもう一方で、やはり先ほども出ていましたけれども、ODAというのはある意味で日本の、特に経済外交というふうに見た場合に最大の、最強の戦略、戦術、手段である。そういう意味で、日本がODAを通しての国益追求、相手のためにもなりながら国益を追求していく、こういう要素もあろうかと思っているんです。

 黒か白かということではないんだと思いますけれども、あえて言うならば、慈善事業型援助と国益追求型援助、麻生大臣はどちらを志向されるでしょうか。

麻生国務大臣 これは今おっしゃいましたように白か黒かという話じゃないと思いますけれども、国益の追求というものは忘れられちゃいかぬ重要なところだと私自身はそう思っております。

 こういうのは回り回って国益追求ということに、どんな形でならせるかというのは、私は、よくこの例を引くと、おまえ、また漫画かと言われちゃいそうですが、いわゆる占領中に、日本に入ってきた占領軍がやった政策の中に、漫画というのがあると思っております。

 一つがポパイ。このポパイという映画で、アメリカの兵隊さんは人がよくて力持ちというイメージをつくり上げるのにこれくらい成功した漫画はないと思います。

 二つ目はブロンディという漫画で、これは我々の世代が今読んだら、もうこんなくだらない漫画はないぐらいつまらない漫画なんですが、その漫画の中に、チック・ヤングという人のかいた漫画なんですが、核家族、そして郊外住宅、三種の神器、三C、すべてあの中に含まれておりまして、あれをずっと、あれこそが理想の生活だと思わせるのに成功したという意味においては、アメリカの生活というものをこれぐらいうまく日本の中に溶け込ませたものはない、私はそう思っております。あれは、ただで配っているみたいなものなんですが、結果としてアメリカの生活はいいものだと思わせるのにあれぐらい成功したものはないと思いますので、回り回って国益の追求になっていった。

 手段はいろいろだと思いますけれども、こういったところは一つ一つ、戦略的には、占領軍、GHQの民政局がやった対日工作の一つですけれども、非常に成功したものだったと思いますので、やはり考えた上でやるというのが大事なところではないかと思っております。

吉良委員 御回答のとおり、確かに白か黒かというものではないし、それこそバランスだし、結局はめぐりめぐって国益だという御回答だと思うし、そのとおりだというふうに思います。

 ただ、やはり日本の財政の問題、財源が限られているということと、昨今、私いろいろな場で言っておりますけれども、日本の生命線とも言える資源エネルギー価格が高騰し、また、後でも申し上げますけれども、中国が世界各地でいろいろなエネルギー資源を買いあさっているというような状況を考えたときに、さっき言いました慈善事業型の援助と国益追求型の援助、おっしゃるようにめぐりめぐって返ってくるんだけれども、今、短期で見た場合によりどちらを重視するのか、どちらに軸足を置くのか、私はおのずから回答が見えているんだろうと思っています。

 その意味で、ここしばらくのアフリカ向けのODAというのは、二〇〇〇年のミレニアム宣言、それから二〇〇三年の東京のアフリカ開発会議等々で、世界的な枠組みづくりと日本がイニシアチブをとったアフリカ支援というものもあって、急激にふえている、またふえつつある、こういう了解をしておりますけれども、ただ、本音のところでは、アフリカ諸国への援助の増加、増大というのは、国連安保理入りの票稼ぎという部分があったのではないかというふうに思っております。

 なかなか本音を語りづらいとは思うんですけれども、その観点と、最近、アフリカというのは、今言った限られた財源なり日本の差し迫った国家的な経済安全保障という観点からすると、少しばらまき過ぎではないかと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 基本的にはこれまで、吉良先生、アフリカはヨーロッパ、アジアは日本、中南米はアメリカ、そういった感じで何となく皆さん責任を持たないかぬというようなところは意識としてはあったと存じます。

 おかげさまで、日本が担当したアジアだけは、他の国と比べてアジアだけは発展していった。少なくとも、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、この四つが最初に、ミニドラゴンズと言われて、フォードラゴンズとかいろいろな表現がありましたけれども、離陸していった、間違いないと思います。

 日本とつき合った方がうまくいくと思って、多分インドネシアもタイも方向転換をして、同じくこれも成長している。最後までこっちを向くというか向かなかった形になりましたフィリピンがASEANの中では結果的には一番おくれた形になった。これは、事実だけを言えばそういうことになります。それを政策的にやられたとは思いませんけれども、結果的にそうなったというのは事実だと存じます。

 今改めて、アジアはそこそこ皆行き始めたところになって、多分、ベトナム、ラオス、カンボジアというところが少し、社会主義やら何やらでおくれたところもありますので、そこらのところが今始まったところですけれども、その中でもベトナムだけは間違いなくちょっと一歩抜けたかなという感じになってきております。

 他方、アフリカの方はといいますと、五十三カ国ありますけれども、アフリカの中で五十三カ国で、南アフリカ共和国で三分の一、それからエジプトとモロッコでしたかどこか一カ国で三分の一、残り五十カ国で三分の一ですから、GDPで見ますと。それは極端に国力というのが、国とはいえ、偏った形になっているというのが実態だと存じます。

 そういった中にあって、やはりアフリカに対する仕方というのは、これは日本的なやり方はアジアで成功したんだけれども、アフリカへのやり方はヨーロッパ的なやり方。多分、南アメリカは、住んでおられたから御存じだと思いますが、これはアメリカ的にやってきたんだと思いますが、形としてはどうであった、結果論としては今みたいな形になっております。

 したがって、この点をどうするかというところで、私ども、アフリカの中にあってやはり日本的なやり方をしたらこういうことになるんだということを、きちんとした例として、成功例を幾つかつくり上げたいと考えております。

 今、常任理事国の話がありましたけれども、確かに前回常任理事国を表明した九十カ国のうち、アフリカからの推薦はたしか二十だと記憶しますので、そういった意味では私どもとしてはこのアフリカに、国数が五十三もあるという現状を考えたときに、アフリカの理解をより得るために努力をしていかねばならぬというのも確かだと思います。

 しかし同時に、アフリカの方も日本からのそういった技術の協力であってみたり、そういう援助、資金に限らずいろいろなものを期待しているというのは、最近日本に来られるアフリカの方々を見ていますと、アフリカも五十三もありますので、常に内乱がずっと続いている国もあれば、内乱が一回も起きずにずっとやっている国もある。実にいろいろでありますので、私どもとしてはそういった中をきちんと見て、日本としてやれること、向こう側もこれならやってもらいたい、双方の話し合いがきちんとできないと効果的なことができないと思いますので、よく踏まえて対応してまいりたいと思っております。

吉良委員 説明自体はわかりました。二つのことを申し上げたいと思います。

 まず一つは、後に言おうかと思ったんですけれども、新JICA、巨大JICAが誕生するに当たって一つどうしても申し上げたい、また、できれば制度の中、人事、組織、将来ビジョンの中に組み込んでいただきたいことは、当然のことですけれども、援助をして相手の国が発展をしていく、日本はそれを目指しています。それが貧困撲滅だし経済発展だし幸せだ、こういうことで発展を促している。だから、日本の援助が成功すればするほど、無償から無償卒業国になる、次は借款卒業国になる、だんだん援助が要らない国になっていくわけです。そうなってくると、ある意味でこの新JICAも、目的が成功すればするほど、本来組織としては縮小していく、そういう運命にあるわけなんです。

 一番怖いのは、世界最大の援助組織になる、その組織維持だとか組織増殖のために、さっき言った国益とか日本の足元の諸条件を考えたときに、必ずしも重要でないことについても手を出していく可能性があるわけです。そういう意味で、この新JICAを誕生させる際に、きちんとエグジットルールというんですか、出口戦略、卒業すればどんどん縮小するということを最初から組織の中に組み込んでおく、人事の中に組み込んでおく必要があるんだろうというふうに思っています。

 私は、前回も言ったかと思いますけれども、今回の旧OECFのJICAへの統合というのは大反対でありました。というのは、性格が違う。確かにODAの枠には入るけれども、一方では、技協だとか無償という形の一種の草の根援助に対して、借款と旧輸銀の国際金融というのはある意味でインフラ整備を中心とした生活と経済の発展ということを大前提としたプログラムなので、そこは実は大きく違うところなんですね。

 そういう意味で、私、何が言いたいかというと、実はさっき言いましたように、援助が成功すればするほど、無償から借款、借款から卒業して、そうすると今度は旧輸銀プログラムになっていく。そういう意味では、このJICAにかかわる人材も、もちろん技協だとかその辺のアレンジをする人は別として、少なくとも旧OECFにかかわっている人たちは、卒業していけばそれが輸銀の方に、国際金融業務の方に移っていく。そこもまただんだん卒業してくれば、プロジェクトファイナンスだとか投資金融だとか、そちらの方に移っていく、こういう運命にある、そういう組織だということです。

 私がアフリカの例を出したのは、先ほど言った安保理の常任理事国の布石ではないかという要素と、やはり、今言ったようにだんだんアジアが卒業していっているわけですから、やることがなくなってくるわけですよ。そうすると、そんなに危急ではないことまで手を出してしまう。このことについてきちっとした歯どめをつけていただきたい、このように思っております。これについては、私も言いっ放しにさせていただきます。

 同時に、アフリカを一つの題材にして私が思いますのは、やはりさっき言った、限られた資源の中で選択と集中をしていくべきだ、ばらまきをやめるべきだ、このように思っています。将来的には別です。日本が余裕があれば別です。

 そういう意味で、ちょっとお手元にお配りした資料を見ていただきたいんです、これはちょっと順番が、二枚目の方が本当は三番目に来るはずなんですけれども。

 一番上にあるのが「アフリカ地域の資源分布」であります。

 今麻生大臣おっしゃったように、南アそれからエジプトというのに金額的には相当な援助をしている。ところが、アフリカはアンゴラだとかナイジェリアとか、こういう天然ガス資源、石油資源の豊富な国と、それからいろいろな意味でのレアメタルといいますか、希少金属が産出される国がある。これは私も言い続けていますけれども、希少金属というのは日本の素材産業を支えている本当に貴重な資源でありまして、先ほど言いましたこういう国々に対しての国益追求を、意図を持って選択と集中をしていくべきではないか。

 なぜそういうことを申し上げるかというと、日本独自の問題もありますし、同時に、このA4の横長の紙を見ていただきたいんですけれども、中国は世界的にあらゆるところに化石燃料及び鉱物資源の買いあさりといいますか、をやっている、こういう状況なわけですね。そういう中で本当に日本が経済安全保障、エネルギー資源の安定確保という観点からきちっと確保し続ける、そのためにもODAを活用すべきだ、私はこのように思っておりますが、その辺についての大臣の所見はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは言われるまでもなく、日本の場合は無資源国家ですから、いわゆる天然資源に恵まれておりませんので、そういった意味では、資源とかエネルギーの確保というものは日本の国策上最も重要なものの一つだということはもうはっきりしております。

 したがって、私どもとして非常に大事なところは、資源のある国というのは、南アフリカの例とかアフリカの例を引くまでもなく、資源があるからなかなか話が、国内の統治が、そこに利益がありますので、無資源国家の方が大体政治的には安定しておりますな、これは見たらおわかりのとおりだと思います。

 例えばガーナとかスーダンとか、何もないところは逆に政治的にはいまだかつてごちゃごちゃしたことがないという国の一つに、例えばこの間野口英世のところのガーナに小泉総理が訪問されておられますけれども、このガーナなんというのも西アフリカにありまして、最も政治的には安定した国の一つだと存じますが、ここは資源というものはない、逆にないから安定しているのかもしれませんけれども。

 そういったところを見ますと、私どもとしては、資源のあるところに手を出すと逆に難しいというところが、どちら側、どちらの政府側か反政府側についてという話になって非常に話が込み入るというのもあって、なかなか南アフリカ、アフリカという国自体に全体的に積極的に出ていく、特に資源国の資源を目指して出ていくというのを政府としてはしてこなかったというのは事実だと存じます。

 ただ、今おっしゃるように、中国の場合は急激な勢いでこのところ経済成長しておりますし、エネルギーの生産性というかプロダクティビティーというんですかね、石油一リッター当たりの生産性というのは日本の十分の一ぐらいですから、生産性が悪いために、同じ物をつくるにも日本の十倍石油が要るという、簡単にはそういうことです。したがいまして、そこらのところで十三億人掛けますともうとてもじゃないけれどもというようなことになっておられるのが、多分向こうの立場だと思っております。

 したがって、日本の場合は、そういうことをされるよりは日本の省エネの技術というものをおたくは買われた方がよほどむちゃくちゃなことをせずに済むんじゃありませんかというのが我々の言い分で、こちらの方がよっぽど話がよろしいとは思いませんかというのが我々が中国に言っているせりふの一つです。

 ぜひともそういった意味でこういったものを十分に考えてやっていかにゃならぬぞという御意見は全くそのとおりだと存じますが、今申し上げたような事情にあるということで、こっちに手を出すということが同時にいろいろなものを、そこの内部の、内乱の騒ぎの一部に、一端に加担するのがまた話を非常に込み入らせてきたというのがこれまでの経緯で、やっと話がついたと思ったら政権がひっくり返って丸々それが国有化されるとか、幾つもあります。そういった例を考えながら慎重にやっていかにゃいかぬところだと思いますが、基本的には、資源確保というのは国策として最も大事な政策の一つ、それは間違いないと存じます。

    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

吉良委員 今の答弁との関連で、ちょっと技術的な話になりますので委員の方でも結構ですけれども、現時点はやっていないし、やれないということだと思うんですけれども、将来的にドル借款、今円借款です、それは日本の事情はわかります。先ほど言いました相手国の立場、相手国のニーズを考える、それと今麻生大臣がおっしゃったこと、ちょっと後ほど言いたいと思いますけれども、考えたときに、ドル借款というものの是非について検討されたことがあるのか、将来的に余地があるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

別所政府参考人 お答えいたします。

 委員も御存じのとおり、従来、円借款ということで、円建てということに一貫してきたわけでございます。

 ドル建て、あるいは円建てではない借款について希望があった場合もあろうかと思います。ただ、実際問題として私どもの事業を考えてまいります場合に、やはり国民の税金を使って行うということでございますので、それを効率的に行うということを考えた場合に、日本政府やあるいは国際協力銀行が多額の外貨を工面して貸し付けるということに伴う非効率性とかそういったこともいろいろ考えなきゃいけないということでございまして、今まではそういうことをしていないということでございます。

吉良委員 私の方からも言いましたように、現時点やっていないということと、超長期ですので、為替リスクを日本側として伴う、そこにリスクがあるのでやりづらいというのはわかります。ただし、実際ニーズが今はそれほど出てきていないと思います。それは円借款しかだめだと相手国が思っているからであります。

 そして、実はなぜこういうことを言うかというと、今、麻生大臣がおっしゃったように、確かに資源が産出する国というのは紛争が多い、政争が多い、これは事実であります。したがって、そういうところに対してやはり日本単独で出ていくのではなくて、欧米諸国と一緒になってエネルギー資源確保のためのプロジェクトをしかけていくという観点も大事だろうと思うんです。

 今まで借款の利用ができていないのはなぜか、当然これはOECDのガイドラインがあるからであります。ところが、先ほど言いましたように、中国はOECDに加盟していない。ですから、先ほど表にあったように国家機関が露骨に出ていっているわけです。中国を除いた先進国は、今までの競争というのは先進国間だけでしたから、お互いちょっと突出したりはやめようなということでルールができていた。それは理由があったし、わかるんです。

 けれども、今や中国だったりロシア、主に中国でいいです、そういう先進国と国力的には匹敵するかそれ以上の国があって、OECDに加盟していない、OECDガイドラインに束縛されない、そこが世界じゅうの資源を買いあさっているわけです。

 こういうときに、主張する外交を標榜する日本政府として、OECDのガイドラインという枠を超えていく、新しく先進国としてきちんとエネルギー資源の安定確保についての新しい枠組みをつくっていく。その際に、今までのガイドラインでは禁止されていた、そういう借款のレベルというかその基準、それから制度金融の基準というものを変えていく、そういう努力をしていいんじゃないかと思うんです。

 先ほど答弁ございましたけれども、以前は輸銀の融資も原則円だったわけですよね。ところが、民間の取引の中で、ビジネスの中では、御承知のとおりドル需要が非常に多い。しかも規模が大きくなるということで、日本単独ではできなくなって、やはり日本と欧米諸国のコンソーシアムというような例が非常にふえている。そういう中からドル需要がふえて、結果的にはドルでの制度金融というのは認められるようになっているわけであります。

 今言ったように、その延長でいけば、日本のまさに国益の最たるものであるそういうエネルギー資源の確保というところで、ある意味で中国に対抗する意味でも、先進国での取り決め、OECDガイドラインの新たな枠組みづくりをやってもいいのではないか、このように思いますけれども、所見はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 吉良さん、これは一つの考え方です。間違いありません。

 加えて、円が今の状態で百十八円。御記憶かと思いますが、一九九四年四月の二十八日は一ドル七十九円九十八銭ですから、だからそういった意味では、いわゆる円が今安くなって一ドル百十八円、九円というようなときになって、逆にドルで金を稼いで円で返した方がより返せるというときになっておりますので、それほどあれだと思いますが、逆にこれが円が高くなってくると、今言われたような需要はより多くなってくるであろうということは容易に想像のつくところです。したがいまして、これらのところをどういうように考えた方がいいのかというのが一点。

 それから、OECDの中にあって、やり方が余り、ちょっと柄が悪いんじゃないか、そういったやり方はしないといういわゆるジェントルマンアグリーメント、暗黙の了解ではなかったか。そういった中にあって、一ついきなりというのに関してはちょっと待てという話がだんだん出てくるような状況になってきている。

 それから、何となく、今、社会主義国っぽいところに手が出ているところがさらに話をベクトルがかかって見るような形にならざるを得ないという昨今の状況があることも確かだと私も思いますけれども、全体としてもう一回この枠組みを考え直さないかぬのではないかという御指摘は一考に値すると存じます。

吉良委員 それに関連して、また新たな提案といいますか問題提起をさせていただきたいと思っているんですけれども、先ほどちょっと触れましたが、実はインフラ整備というような観点からいくと、借款とそれから制度金融の方がより一体性がある、こういうことなんですね。

 私なんか、前職が商社に勤めておりましたので、相手国のニーズにこたえていくというときに、自分たちがどういう武器弾薬を持っているか、弓矢を持っているかとそろえたときに、そこには本当に一貫性があるんです。

 例えばの例を申し上げます。

 今、これだけ石油価格が高騰していますから、石炭というのが当然見直されています。今、発展途上にある国が産業の米としての電力が欲しいというときに、当然石炭火力発電所というものが競争力を持つわけですね。その際に、御承知のとおり、世界的な方針でもあり日本政府の方針でもあるけれども、当然環境に配慮しなきゃいけない。だから、NOx、SOx、何というんですか、脱硫・脱硝装置、これをつけるというのは当然のことになるわけです。

 ところが、御承知かと思いますけれども、脱硝・脱硫装置というのは精度が高くなると発電設備一式分ぐらいの値段がするわけです。非常に高い。そうなれば、今新たな石炭火力発電所のプロジェクトを民間ベースでやろうとしたときも、実はこの脱硝・脱硫部分については借款でやってくれ、そして発電所部分のところは、本来一体なので切り分けするのはできないんですよ、だけれども、民間として成り立つ、相手国政府としてもまた相手国企業としてもやりやすくなる、日本企業のサポートにもなる。そういう意味では、今言った脱硝・脱硫装置のところは借款で、そしてほかの発電設備のところは制度金融で、またはプライベートファイナンスでということができる。

 場合によって、我々商社にいた人が、相手国が、今言いましたように、ここを、この地域を発展させたい、こういうことでこの地域に電力が欲しい、また港を拡充したいというときに、例えばある意味で経済特区構想をこちらから提案して、ここに発電所をつくりましょう、今言った石炭火力発電所です、脱硝・脱硫装置ですと。そして加えて、例えばコールハンドリングシステム、だから石炭の搬送、麻生大臣を前に石炭の話をして恐縮でございますが、そういう設備も港湾の近代化とあわせて、例えば借款を使っていくだとか、こういう提案がやりやすくなるんです。

 そういう意味で、相手国のニーズにこたえながら日本としてもきちんとこたえていく、日本の企業のサポートをしていくというようなときに、ここには一貫性があるんです。

 ということで、連絡会議というのは旧輸銀の部分と新JICAであるようですけれども、これはより密接なものにしていただかないといけない。もし自民党で、私のきょうの質問を聞いて、あれは間違いやった、やはりJBICはもう一回簡潔に、私、族議員のつもりじゃないんですけれども、やはり一体としてもう一回戻すべきだということがあればなおいいと思っています。そういうぐあいに、やはり相手のニーズにこたえつつ日本のサポートをしていく、こういう観点をぜひ見ていただきたいなというふうに思っております。

 もう時間がなくなったので、そのことをちょっと申し上げて、あと、やはりこの新JICAができる際に再度お願いしたいことは、これまた私も商社におりましたので、実際、JICAという実施機関、実施機関とはいいながら、私に言わせると、実はODAの中のおみこしなんです、みこしなんです。

 では、みこしはだれが担いで一生懸命走り回っているかというと、実際は商社だとか現地にプロジェクトをやっているメーカーさんだとかコンサルさんだとか、そういう人たちがみこしを担いでいるんです。それで一生懸命走り回って初めてプロジェクトが紹介される。もちろん技協とか商品借款、無償は別にしまして、一般プロジェクト無償だとか、それから借款というのはまさにそうです。もう民間企業がはいずり回ってみこしを担いでいるわけです。なかなか公の文章に民間を利用するということの具体的な形というのは書きづらいと思います、すぐ癒着だ何だ言われますので。

 ただ、実際は、ODAを支えているのは本当にみこしを担いでいる民間だということで、その民間企業の有効活用、彼らが、僕は談合しろとは決して言いません。ただ、一つ言いたいと思いますけれども、一九八〇年の終わりから九〇年の初めにかけて日本の資金がだぶついたときに、還流計画ということで、借款のアンタイド化がどんどん進みました。今みたいに日本の経済がこんな、まあ少しはよくなりましたけれども、厳しかったときもその流れでずっとアンタイド化が、極めてお人よしの政策だったわけです。私に言わせたら、資金還流計画というのを、もう十数年前のことをいまだに引きずるのではなくて、ここはある程度、私はタイド性を持ってきてもいいと思っています、貴重な税金を投ずるわけですから。

 そして、例えばの例を出しますと、借款プロジェクトといえども、例えばヨーロッパ諸国と実は競合しているんです。相手国に、ここに産業特区をつくりたいというような希望は一緒ですから、日本がやるかフランスがやるかドイツがやるかみたいになるわけです。そのときに、やはり、企業として一生懸命やるのは、ここで借款ということで注文をとると、例えば、三菱重工の何か大きなプロジェクトをとったとなれば、高砂製作所が稼働する、長崎造船所が稼働する、最後は丸山が潤う、そういうことまで考えてやっているわけなんですね。

 だから、そういう観点からはきちっと、私は、もう一回タイド性を見直していく、今の時期はある程度、少々言われても国益追求してもいいんじゃないか、このように思っていますが、ちょっとその点、一言コメントを。

麻生国務大臣 これは、タイド、アンタイドの話は、あのころは新聞にやたら書かれたんですよ。大体、新聞に言われたとおりやって当たったことは余りないんですよね、長期的に見ると。あのときは、間違いなくタイドイコール癒着というイメージをやたらあおられまして、たしか円が二百四十円から百二十円までに暴騰したあの時代でしたよ。そういったときになって、その後、九二年にバブルがはじけた後も円は上がり続けて八十円までいきましたから、そういったときの残滓をまだ引きずっておるという面は、私も否めない事実だと思います。

 したがって、これは、どの程度までかという、ほどほどの中庸を得ないかぬというところなんですが、中庸を得るというのは役人の最も下手なところでして、右か左かきちんとやったとおりにきちんとやるのが役人ですから、そこの線引きの仕方が、これは物すごく難しいんだと思います。したがって、そこのところはきちんと政治が、この程度のものはというところはやっていかないかぬ、判断をせねばいかぬというのが政治に与えられている仕事だと思いますが、丸々アンタイド、丸々タイドというように、ちょっとそこらのところのバランスのとり方については検討してみる必要がある、私もそう思います。

吉良委員 もう時間がなくなってきましたので、最後に二点だけ、またこれも提案というか問題提起をさせてもらいたいと思います。

 この新JICA設立に当たっての資料を読ませてもらっても、経済産業省管轄下の貿易保険、NEXIについてのことがほとんどないんですね。実は、保険というのは大きな、ODAというカテゴリーにはならないかもしれませんけれども、広く経済協力という意味では非常に大事な要素なんです。もうちょっと時間があれば細かく言いたかったんですけれども、やはり保険もひとつ活用対象にぜひ入れていただきたい。

 一例として、例えば、イラクのああいう戦争状態になったときに、物というのは危険であるがゆえになかなか動きづらい、また、保険がかからないから物が動かないということがあるわけですね。そういうときに、当然、日本も、NEXIの採算重視という観点からいきますと、なかなか出せない、だって事故に遭う確率が多いですから。ただし、援助という観点でとらえたならば、やはりイラクの例えば支援のために保険の枠を設けることによって物を動かしていく、人を動かしていく、こういうことによって相手国に対する十分な支援、援助になるわけです。

 そういうことも考慮をいただきたいということと、最後に一点、災害ですね。ネシアの地震災害とかもありましたけれども、こういう財政厳しい折にいたずらに予算をふやせという気は毛頭ないんですが、中古でも何でもいいです、私は、国際災害救助船というものをぜひつくっていただきたい。

 ですから、例えば、ネシア・スマトラ島でああいう問題があったときに、日本がばっと出航していくわけです。中型、小型タンカーでもいいですし、場合によっては船の改造でもいい、新造でもいい。そこには、例えば、船というのは御存じのとおり、ディーゼルエンジンが入っていますから、とめてやれば発電できるわけですね。だから、電線も、巻く式の電線を持っていく。しかも、船にはいろいろな建設機械を積んでおく、ブルドーザーだ何だと。何かあったら日本から真っ先にそこに駆けつけていって、そして上陸をして、そして瓦れきを除いて、そして電力を供給する、電力さえ供給すれば、その後いろいろな機械が来ても全部動きますから。

 そういう災害救助船というものをつくって、日本というのは地震とそれから台風でこれだけ災害に見舞われつつ先祖代々生き抜いてきた国ですから、世界のいろいろな国で災害があったならば、日本が真っ先に飛んでいって、初期段階の一番難しい時期の貢献をしてくれる、そういうアピールをぜひしていただいて、主張する外交、援助、主張するODAということにしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

山口委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 今回のこのJICAの法案についての質疑を行わせていただきます。

 民主党は、政府系の金融機関を一つにするということには賛成をしておりますが、ただ、例えば、ODA部分については政府に移管せよ、そしてまた、四月の行革推進法案、この政府案への対案ということで提出をしまして、独立行政法人のあり方なども含め、政府案の行政改革、総人件費削減も、民主党はしっかりと二割削減をうたっておりますが、それもうたえないということで、やはり見せかけの行政改革である、こういうようなことをこの通常国会で展開をしたわけでございます。

 その折、その政府提出法案の中で、JBICのODA部分はJICAに統合する、こういうことも盛り込まれた法案が通常国会に提出をされ、それが成立をしたわけでございますが、その延長線上で今回の法案が提出されているというふうに拝察をいたします。

 そうしますと、この法案の趣旨について、行政改革という視点が目的として盛り込まれているのかどうか。それから、JBICがJICAに統合しましたが、相変わらずこの十七条で区分経理、いわゆる勘定、これが分かれている。せっかく一つにしたのであれば、なぜ勘定を分けるのか。これは私は、やはり行革の精神からも逆行するというふうに考えるわけですね。人件費とか事務経費がそれぞれ勘定ごとで計上できますので、そこに無駄が生じる。これがやはり勘定区分経理の問題点というふうに考えておりますが、まず外務大臣に、行革という視点が本法案の目的にあるのか、並びに、なぜ区分経理統合ができなかったのか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 今、武正先生の御指摘の点、二点ありましたけれども、まず、この行革という視点はこの法案の目的にあるのかと。あります。

 このJICA法改正は、行政改革の視点というものを踏まえて、私どもなりに考えたものであります。この法案が施行されると、少なくとも、新JICAにおきましては、複数の機関で行っておりましたODA関連というものの三つの手法、無償、有償、技協というのがございますのは御存じのとおりです。これを一元的に実施する機関ということになりますので、これは援助の枠の手法がいろいろあろうとは思いますけれども、こういったものを効率的に実施ができるようになることは期待できると思っております。

 また、新JICAというのは独立行政法人としての性格を引き続き有することになりますので、その意味では、この新JICAが承継、引き継ぎます有償資金協力及び無償資金協力業務というものは、これは今後、中期目標の設定によります目標管理、評価委員会というものも、これは対象になりますので、そういった厳しい評価の対象となりますので、これは事業の一層の、ただ、合併して何もしなきゃだめですよ。そういったものをきちんとやっていける、いきやすい環境になるということで、十分に行革の視点を踏まえてやったものだと思っております。

 区分経理の件につきましては、副大臣の方から説明させます。

岩屋副大臣 先生のお尋ねの後段の部分でございますが、新JICAがJBICから継承する有償資金協力業務の経理でございますけれども、これは、次のような観点で、無償や技協の経理とは性質が異なると私どもは思っております。

 一つは、予算規模が七千七百億円と大きい。資本金約七兆円、資産規模約十一兆円と非常に規模が大きゅうございまして、国民生活や国民経済に与える影響が大きい。それから二番目に、複数年度にわたる貸し付けを行うということがございます。それから三番目に、財投融資や機関債等、円滑な資金の調達の確保が重要でございまして、したがって、財務の健全性を確保するということが極めて重要である。

 以上のような観点から、有償資金協力勘定を他の業務の勘定と区分することが適当であるというふうに考えているところでございます。

武正委員 きょうは財務大臣政務官も来られております。

 今三つほどお答えがございました理由ですけれども、どうなんでしょうか。規模が大きい、それから複数年度、あるいは財投融資、健全化ということでありますが、言ってしまうと、やはり金額が非常に大きいということでの、運営を大変心配している。これが一緒になってJICAに任せて、その中で一緒くたになってしまうと、その運営が心配なんじゃないか。もっとわかりやすく言うと、財務省がJBICということでこれまで所管をしてきたところで、やはりこの部分は財務省はしっかり目を光らせたい、こういったところが実はあったのではないか、こういう指摘があるんですが、なぜ統合ができなかったのか、財務省としてのお答えをいただきたいと思います。

江崎大臣政務官 武正先生の質問にお答えいたしますが、まず、今回の円借ODAにつきましては、いわゆる円借款そのものというのは、無償資金協力や技術協力とは異なるという性格のものでございまして、あくまで返済を前提としております。その中で、債権の管理、あるいは金利の受け払い、引当金の計上といった経理も必要であるということから、区分経理を行ったというところでございます。

 あくまで、今回の法案につきましては、戦略的ODAの実施の観点から、円借款をJBICから切り離しまして、無償資金協力、技術協力とともにJICAにおいてODAを一元的に実施するという戦略的な部分につきましては一元化ということでございますが、今申し上げましたように、円借款のいわゆる性質の異なるということから、区分経理を行ったということでございます。

 また、先ほど外務副大臣から御答弁もございましたが、財務の健全性の観点という点も当然ございます。資産規模におきましても、約十一兆円ということで大変大きな規模になってございます。これらを勘案しますと、国民生活、国民経済に与える影響が大きいという観点で、その収入支出予算について引き続き国会議決に係らしめるということを考えている次第でございます。

 以上でございます。

武正委員 性格が異なるのであれば、例えば民主党は、それはやはり政府に移管をすべきである、こういう主張をしたわけでありまして、性格が異なるから区分経理ですというのはやはり行革という視点からは納得できない、一つの経理で十分対応できるはずである、それは内部統制と外部監査をもってですね。それができないような組織だったら大変問題が多いというふうに言わざるを得ないわけでありますので、私は、やはり今回これを勘定を別にしたというのは大変遺憾である、問題であると行革の視点からも改めて指摘をしたいというふうに思います。

 そこで、独立行政法人ということでまた引き続き組織を維持されるわけですが、民主党は、独立行政法人制度の見直しということで四つ大きな項目を掲げて通常国会に臨みました。

 まず、独立行政法人の長は公募、これを義務化すべきである。いわゆる独法を天下りの受け皿にすべきでない。私の調査では、百十三の独法のうち、トップは八一%いわゆる中央省庁の天下りというのが私の調査でございます。

 それから二番目は、第三者機関による厳格な評価。先ほど大臣は、今後しっかり評価をいただいて行革に資するんだ、こう言われましたが、実は、政策評価、その評価委員がそれぞれの省庁の審議会の委員との兼職というものが非常に多い。これは、私はやはり評価の中立性、独立性を阻害するというふうに考えております。しかも、その審議会から、当然有償ということで、それに見合う給与というか歳費というか、それを受けている、それぞれの省庁から。こういったところがありますので、やはり第三者機関による厳格な評価、内輪の甘い評価をやめて中立公正な評価を実現すべき、これが二点目。

 それから三点目は、独立行政法人の調達も原則一般競争入札で行うべきと。指名競争入札、随意契約を原則禁止し、調達を効率化すべきである。これは、お手元に民主党の予備的調査の資料をお配りさせていただいておりますが、その三ページには、このJICAの支出上位十の一覧が出ております。こうした主にJICAのコンサルタント業務、大変多額な業務に上りますが、こうしたところも、一般競争入札でなくて指名競争入札あるいは随意契約のオンパレード。こういったところもやはり一般競争入札に原則すべし、これが三点目。

 それから四点目は、独法役員も天下り制限をしていくべきである。ここにも、支出の一番目は財団法人日本国際協力センター、九十八億ということでありまして、いわゆるJICAから日本国際協力センターへの人事、いわゆる天下り、あるいはこうしたコンサルタント会社にもしJICAから天下りがしているということは、そうした随意契約といわゆる人の受け入れがセットになっている。こういった問題点も含めて、独法役員にも国家公務員並みの天下り制限。

 それから、運営費交付金の抑制。つまり、非国家公務員化を政府はいたしました。八十万人を三十万人に減らしたと前総理は豪語いたしましたが、実は、非国家公務員化しても、結局は人件費は運営費交付金の形で税金が支払われている、これはやはり見せかけではないか、こういった指摘もしましたので、見せかけの公務員減らしの出向を制限ということで、一ページ目、お戻りをいただきますと、JICAも中央省庁から四十一名、平成十七年四月現在、常勤千三百二十七人のうち出向者四十一名を受け入れている。なぜこうした、独立行政法人なのに中央省庁から、ほとんど外務省でしょうけれども、受け入れをしなきゃいけないのか。

 こういった四点を、民主党は、独立行政法人について問題としてこれを解決すべきということで対案を出した経緯がございます。

 その中で、質問に移らせていただきますが、お手元の資料をごらんいただきますと、二ページ目、JICAの役員一覧、十名の役員でございますが、七名、すなわち、理事の上田さんは大蔵省出身でありますので、十名のうち七名がいわゆる中央省庁出身の役員ということになっております。

 今度ここにJBICのODA部分が統合しますが、一体役員は何名になるのか。そしてまた、今七名いるというこの現状をどのようにお考えになっておられるのか。そして、例えば何名か増員した分も、当然また中央省庁から、特にJBICからでございますので、今財務省は一名ですが、財務省がプラス一とかプラス二ふえていくのかということ。

 私は、やはりこうした点は、結局は今までと、単なる数合わせでくっつけただけ。しかも内容は、そうした独立行政法人としての、民間のいろんな知恵を、力を、トップはもちろん緒方さんですよ、民間の方のそういった力を取り入れている。これはいいんですが、十名中七名が中央省庁役員、さらにこれからもっとふえていくということを大変危惧するわけですが、以上の点、外務大臣、お答えをいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 今いただいた資料の中で、九番目に書いてある監事の庵原という人は、これはたしか外務省の役人じゃないでしょう。これはJICAの職員じゃなかったですかね。(武正委員「そうです。訂正します」と呼ぶ)したがって、これは六人が正確だと思いますので、これは議事録に残りますので、六にされておいた方がよろしいと存じます。

 今御指摘になりましたけれども、この中で、この法案によって、現行のJICAの役員十名に、理事二名及び監事一名を増員して十三名ということにしようとしております。

 独立行政法人の役員というのは、理事長及び監事というのは主務大臣が、それから理事は理事長、それが、それぞれの独立行政法人だと通則法に定める要件というのがありまして、それを満たす者の中から任命することにされておりますので、現行のJICAの役員はこれに従って構成をされているということだと存じます。新しいJICAの役員につきましては、独立行政法人通則法によって適切に選任をしていくということになろうと存じます。

武正委員 十名中現状六名、しかし、庵原さんはエチオピア大使もやっておられますので、これはいろいろ議論はあると思うんですが、私は、そうした意味では外務省にかなりカウントしてもいいのではないのかというふうに思っております。

 十名中六名とした場合、これだけ中央省庁出身の方が独立行政法人、それこそイギリスのエージェンシーに見合ってということでつくられたわけですが、民間の力を、民間の知恵をと。ところが、その役員がこれだけ中央省庁出身者が占めている。これから十三名になる。それは通則法に従って、要は主務大臣が、それから理事長が任命するんですよというふうにおっしゃられましたが、やはりこれはおかしいというふうに私は率直に思うんですが、外務大臣としての感想をお聞きしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 感想ということですので感想を申し上げさせていただければ、武正さん、給与がどれくらい下がるか御存じなんだと思いますが、この間、三菱商事だかどこかから外務省のニューヨークの総領事だったかに来てもらうように頼んだ人がいました。民間人です、間違いなく、三菱商事。所得が二分の一に下がったと言ったかな、になったと言っていたのが最近よく出た話です。

 NHKの社長と民放の社長の給与がどれくらい差があるかというのを一回お調べになられるといいと思いますが、そういったものを見ました場合に、なかなか、民間でそこそこ能力のあるという方で、給与を半分に下げてまで出ようという人はそんなにはおられないというのが、私どもが幾つか、何人か当たって、大臣、給与幾らですかと聞かれて、おれも知らないから調べて、これですと言った途端に、約半分ですよ。(発言する者あり)給与で来ない人がいるというのは、山口さんが自信を持って御推薦いただいた方が山口さんと癒着していないという前提条件で探してこられるというのも結構大変だと思いますが、現実問題としてはなかなか難しいというのは、何人かやってみた自分なりの経験で申し上げさせていただければ、そういうことです。

 したがって、経験というものを買われると、これまでの、そういった業務に関係した人間になってくるというのが現実だと思います。

武正委員 なかなか民間から給与を下げてまでJICAの役員になる人はいない、こういうお話だと思いますが、私はまるきり違うというふうに思うんですね。

 これはやはり、民間には本当に有為な人材がいて、給与をいとわず、それが減ったとしても、やはり国のため、そして国民のため、あるいは世界の平和と安定、発展のため寄与したい、そういった人はたくさんいると思うんです。そういった人たちを役員に採用していく。そういった意味では、公募というのは大事だと思うんですね。長も、それから当然、長が公募されれば、長が任命するわけですから。

 私は、そういった意味で、今の御認識はやはり違う、日本にはたくさんいらっしゃるということでございます。

 これはちょっと余談ですけれども、同じような議論を、総務大臣当時、外務大臣としたんですね。すなわち、私は、電波についてはもっと民間に開放していくべきだ、オークション制度も含めて。そのときに、外務大臣に言わせると、地方のテレビ局は今大変なんだ、デジタル化でやり手がいないんだと。これはまた地方のテレビ局のこれからの統合、いわゆる集中排除の原則の見直しなんかも絡んでくるんですが、私はそのときにやはり同じように言ったんですね。いや、民間にはもっとやり手はいるんです、テレビとかいろいろな、電波を使うところに入りたい人はたくさんいるんですよ、いないという認識は違うんじゃないですかと。

 何かそのところと今のお答えは、残念ながら、外務大臣のお答え、官から民へというふうに言うんだったら、なぜもっと民間の人を登用しないのか、民間の企業にもっともっと、一番おいしいところを実は開放していない。それは一つ、一例は電波でありますが、これは改めて、指摘にとどめさせていただきます。

 そこで、中央省庁出身者七名より増員をさらに減らす考えはないかということは先ほどもうお答えをいただきましたので、次に、お手元の資料、先ほど触れました三ページ目をごらんいただきたいんですが、ここにコンサルタントが、いわゆるニーズ調査をやる、JICAにとって大変大事な企業でありますが、これだけ、数億から数十億のこうしたコンサルタント業務をやっておられる企業が並んでおられます。このいわゆるODA部分というのが会計検査院の対象なのかどうか。

 こうしたODAにまつわるいろいろな不明朗な指摘が、あるいは報道もされております。私はやはり、会計検査院が当然、監事にも会計検査院の出身の方が入っているぐらいですから、当然ODA部分、コンサルタント業務、会計検査院の対象だというふうに思うんですけれども、この点はいかがなのか。また、もしそうでなければ当然対象にすべきだというふうに考えますが、お答えをいただきたいと思います。

岩屋副大臣 ただいま先生お尋ねの、会計検査院の業務の範囲の中に入っているのかということでございますが、外務省として有権的にお答えする立場にはないわけでございますが、コンサルタント会社等に業務実施が委託された案件を含めて、これまで、JICAの実施するODA事業について、会計検査院の対象になっております。

 さらに、平成十七年の会計検査院法の改正によりまして、ODA事業の受託業者の当該受託事業に関する会計、これも新たに検査対象になったものと承知しております。

 先生、PCIの事案等を念頭に置かれていると思いますが、私どもも、そういうことも踏まえまして、また会計検査院の指摘も踏まえて、適正な事業実施に努めてまいりたい、こう思っております。

武正委員 ぜひその点、さらに進めていただきたいというふうに思います。

 そこで、続きまして、四ページ目をごらんいただきたいんですが、JICAからいわゆる外部への出向者、この「国」というのが、四十一名、外務省を中心に受け入れている一方、またその外務省に出向する、こういうへんてこなやり方を独立行政法人との間で、百十三で約七千名の出向者、これを受け入れているわけなんですね。そして出向ということで、また戻るという大変おかしなやり方をやっている。ちっとも独立ではない、中央省庁の関与が強いということの指摘なんですが、ここで、公益法人、民間等にもそれぞれ出向しているんですが、出向者の給与について補てんしている場合の補てん総額が、十七年度で二千百二十八万あるんですね。

 こういう補てんはもうやめろということが政府で決まりまして、それぞれ独立行政法人はやめているというふうに理解をしているんですが、この給与補てんは今も続けているのかどうか、外務省、お答えをいただけますでしょうか。

岩屋副大臣 JICAは、出向者に対する給与補てんの速やかな解消に努めておりまして、残る三名の給与補てん対象者についても、年内に補てんを解消するという見通しが立っていると報告を受けているところでございます。

武正委員 その三名の給与補てんの総額は幾らでしょうか。それと、政府が示したのは、もう早くこれは示しておりますので、十七年度、十八年度で独立行政法人でこういう給与補てんをしているところというのはほとんど皆無というふうに私は承知をしているんですが、なぜJICAがこうして給与補てんを続けているんでしょうか。お答えいただけますか。

岩屋副大臣 お尋ねの金額については、済みません、今手元に資料がございませんので、調べて御報告をすぐにさせていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、この給与補てんの解消に今努めているところでありまして、年内には残り三名も解消するということでございますので、先生御指摘のような方向にきちんと向かっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

武正委員 いや、私が聞いたのは、ほかの独立行政法人はこういう給与補てんをもう速やかにやめていまして、十七年度からもうほとんどゼロになっているというふうに私は承知しているんですが、十七年度はもちろん十八年度もまだ続けている。これは、政府でそういうのはやめるべしという通達がちゃんと出ているというふうに承知をしておりますが、そのことは承知をされていますか。

 承知をしているのになぜこれが続いているのかということについて、私はやはりJICAの運営についてきちっと内部統制なり外部監査が機能していないんじゃないのかというふうに思わざるを得ないんですが、この点はいかがですか。

岩屋副大臣 通達に基づいてJICAとしても努力をしているということでございまして、今度法改正が成れば新JICAになるわけでございますけれども、その中において御指摘の点のようなことが残っていかないように万全を期してまいりたい、こう思います。

武正委員 努力する方向だということではなくて、今年度でこの給与補てんはやめるということでよろしいでしょうか。

岩屋副大臣 そのとおりでございます。

武正委員 時間も押しておりますので、最後の質問に移らせていただきます。

 日中の局長級協議が累次行われております。昨年九月、三回目、日本からは白樺それから楠、これの共同開発提案があったんですが、一方、中間線の西側については中国側、東側については日本側ということで、試掘開発異議を唱えない、こういうようなことも日中の局長級協議で日本側から提案をしておりまして、私はやはり、西側の開発もどんどんやっていいよというのはおかしいものでありますので、このときのこの提案というのは問題じゃないかなというふうに思っております。

 また、三月、四回目については中国から、北と南で二地点共同開発しようと。実はこれが中間線の東側とか、日本の固有の領土である尖閣諸島の実はすぐ北側を提案があったのではないかという報道もありまして、とんでもない提案、こういうふうに理解をしておりまして、五月、五回目、七月、六回目ということで協議が行われている。

 そして、去る十月、安倍総理が訪中をして、そのときに東シナ海の資源開発問題については、これは外務省のペーパーですが、「東シナ海を平和・友好・協力の海とするため、協議のプロセスを加速し、共同開発の方向で、双方が受け入れ可能な解決の方法を模索することを確認した。」こういうようなペーパーが出ておるんですけれども、そのいわゆる二地点の四回目の中国側の提案、これが中間線の東側ではないのか、あるいは尖閣の北側ではないのか、こういうような報道もある中で、いわゆる中間線の東側の共同開発について、日本側がそれを受け入れるような踏み込んだ答えをこの安倍総理訪中の際にしたのではないのか、こういう指摘があるんですが、こうしたことの事実の確認を外務大臣に行わせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりに、過去六回にわたってこの局長級の会議を行って、さまざまな議論を行っておりますが、今御指摘のありましたように、総理の十月の訪中のときには、この東シナ海の海は平和と協力、友好の海にするという認識を改めて再確認をしておりますが、この「協議のプロセスを加速し、」という、今一連の読まれたとおりのことを確認し合っておるわけです。

 なお、共同開発域のどういうところにするかという具体的な話の議論については行っておりません。今後、総理の訪中を踏まえて、現実問題として友好の海とすべく引き続きやっていくということになる、今からやっていくわけですけれども、御指摘のありましたように、日本の主権というものをきちんと確保しながらこの解決を目指していくということで、一番肝心なところがこれから協議が行われるということになろうと思いますが、踏まえておかねばならぬ点はその点だと思っております。

武正委員 それでは、前も外務委員会でお聞きしたんですが、お答えいただけなかったんですが、この四回目の中国側の提案で、東シナ海の北と南の二地点についての共同開発の提案というのは、場所は具体的にどこだということでお答えをいただけませんでしょうか。

 なぜならば、今回総理は訪中して、この日中協議を加速するということが、ペーパーが出ておりますので、場所によって、それを加速することが、今言われた主権を守るということにそごを来すのではないのかと危惧をするからでございます。やはり説明責任として、中国側の提案、北及び南の二地点について具体的な説明を求めたいと思います。外務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありました点については、三回目の交渉のときに、いわゆる春暁が白樺、樫が天外天でしたか、何かこの二つの点についての提案というものが、ガス田の開発作業中止等々、いろいろ三回目のときに行っておりますが、今、今後加速するということに関しては、この点の東側のこちらについて加速するということを必ずしも意味をいたしておりません。

武正委員 三回目は日本の提案で、白樺とこれは楠でしょう、樫じゃないでしょう。楠を共同開発しようというのは日本の提案です。

 私が今聞いているのは、四回目の中国側の提案で、東シナ海の北及び南の二地点について共同開発の提案があった、それが中間線の東側とか尖閣の北側という報道があるけれども、これを踏まえてその協議を加速するということであると、先ほど言った主権について守るということとそごを来すのではないのか、だから具体的に説明をお願いしたいと。

麻生国務大臣 失礼しました。

 三回目じゃなくて、今の四回目、東シナ海の北及び南の二地点について共同開発というのを中国側が提案というのに対しましては、こちら側から何ら今返事をいたしておりませんので、これを加速するという話を、この内容を含めて加速するかどうかはこれからの話です。

武正委員 具体的な地点については相変わらずお答えをいただけませんが、私はやはり説明責任ということでそれは果たしていただきたい、このことを求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 このJBICとそれからJICA、いろいろな意味でこれからODAの一体化という話が出ましたけれども、私も昔、経済協力局というところにいて、当時は中曽根総理がレーガン大統領に会われるというので、何か玉を用意しなきゃいけないというので、アフガニスタンの援助とかパキスタンの援助とかエジプトの援助を、紛争周辺国援助とかいって名づけて、いろいろ国別にどういうふうにODAを、言ってみれば、これこそ文字どおり戦略的に活用するかということをやっていたわけですけれども、現実にこれから国別援助政策がなされるというよりも、今までもう既に外務省はそういうことをきちっとやっていたと思うんですね。

 今回、どういうふうにそういう意味で変わるのか。要するに国別援助政策が、今までなかったものがあるわけじゃない、今まできちっとあったものがさらにどういうふうに変わるのか、この辺についてお聞かせいただけますか。

岩屋副大臣 山口先生はまさに専門家でいらっしゃいますから、そういう観点の御指摘だというふうに思いますけれども、御案内のように、一連のODA改革の中で、総理大臣のもとに海外経済協力会議が設置された。そして、今般の法律で三つの援助手法の実施主体が統合されるということをお願いしておるわけでございます。

 官邸で戦略をつくる、外務省がそれを政策に変える、そして新JICAが統合された三つの手法を駆使して実施をする、こういう新しいスキームができ上がったわけでございまして、外務省には国際協力企画立案本部というものを設置いたしまして、地域局と今まで以上にこの本部が連携を強化しながら、我が国の国益上優先順位の高い外交政策と整合性がとれた形でODAを実施するような、そういう体制をつくっていこうというふうにしているわけでございます。

 したがいまして、官邸の海外経済協力会議で審議される基本方針のもとに、地域局と国際協力局、新たにできた局とのさらなる連携を踏まえて、今までよりも充実した国別の援助計画を策定していきたい、こう思っているわけでございまして、今まで、従来よりもさらに充実した国別の援助計画を立てたい、こういう考えでいるわけでございます。

山口(壯)委員 今言われたのは、多分気持ちの問題で、さらに頑張ろうと。形の問題では、官邸というものを上につけて、さらにJICAで実施の仕組みを統一された、こういうことだと思うので、それはそれでいいと思うんですけれども、官邸の役割で、例えば中国に援助をこれからどういうふうにするのかとか、いろいろな話がありますね。

 例えばこの対中援助、これから毎年の方針とかそういうものはどこで決めるんでしょうか。官邸になるんでしょうか、あるいは外務省なんでしょうか、あるいはJICAなんでしょうか。

麻生国務大臣 今言われた対外経済協力の基本方針というのは、新しくできました海外経済協力会議において審議されることになります。これが今度のルールになっております。外務省はその中にあって、いわゆるODAの政策の企画立案というのが、私どもがその中核を担うということで、関係省庁、経産省初めいろいろありますので、調整を行っていくということであろうと思っております。

 政府の方針とか政策とかいろいろ出てまいりますから、いわゆる経済協力会議という一番大きなところがきちんとしたものを決めて、細目は外務省等々がやっていくということで、ODAの方針等々、その時々に当たって適時開かれることになりますので、大きな変更がある場合には海外経済協力会議を開いてもらう、開かせるということになるということです。

山口(壯)委員 今の答弁は明快だったと思いますよ。大きな方針については官邸もかかわるけれども、国別の毎年の方針等は外務省でしっかりやっていく、これでいいと思います。

 それで、例えば中国について、中国も核実験を何度もあるいは何十回も行っているわけですけれども、中国が核実験を行った際に、一番新しいというか、相当古いけれども、一番最後は一九九六年七月二十九日だそうです。この際、これを踏まえて、日本として援助の分野でどのような措置をとったんでしょうか。

岩屋副大臣 我が国の累次の反対にもかかわりませず、一九九五年五月に続いて八月にも中国が核実験を実施したことに対して、まず、日本政府は中国に対して強く抗議を行いました。同時に、一九九五年度の無償資金協力について、災害緊急援助等の人道援助及び草の根援助を除いて、原則的に停止をいたしました。また、一九九六年度以降についても、核実験の停止が明らかにならない限り無償資金協力の原則停止を維持するという方針を決定いたしました。

 その後は、一九九六年七月より中国が核実験のモラトリアムを実施し、同年九月にはCTBTに署名したことを踏まえて、一九九七年三月、我が国は無償資金協力を再開したということでございます。

山口(壯)委員 核実験をやった後、一応原則停止しているけれども、時間がたてばやはり再開している、こういう状況ですね。

 同じような状況がパキスタンとインドについてもあるかもしれない。この核実験後、パキスタンとインドですね、どういう措置をとられたんでしょうか。あるいは、ついでに、その後援助は再開されたんでしたか。

岩屋副大臣 パキスタンとインドについてでございますが、一九九八年五月のインド、パキスタンによる核実験、インドは二回五発、パキスタンは二回六発ということでございます。この実験を受けまして、我が国は両国に対して、新規の円借款を停止する、それから緊急人道的性格の援助等を除く新規の無償資金協力を停止する、先ほどと同じような内容ですが、そういう経済措置をとりました。

 これらの措置については、その後、両国における不拡散上の進展、要するに核実験をしなくなったということですが、二国間関係等を総合的に勘案いたしまして、二〇〇一年十月に停止をしたところでございます。(山口(壯)委員「停止を終了したんじゃないですか」と呼ぶ)そうですね。(山口(壯)委員「停止を解除したんですね」と呼ぶ)そういうことです。

山口(壯)委員 今、岩屋さんがおっしゃった中で、新規のものは円借も無償も停止をしているわけですけれども、これまでのディスバースメントはずっと続いているわけですね。今までのものはずっと続いていて、これからの分だけ停止しているというんですが、それは停止というよりも、言ってみればこれからの分だけ締結しないということで、そういう意味では余りはっきりしたメッセージにはなっていないと私は思うんですね。

 私、パキスタンの方にいたわけですから、インドの方というのは必ずしも承知していないですけれども、パキスタンは当時、ブットさんに大分きつく言って、彼女も、そういう意味ではある程度受けるような趣旨でしたけれども、まあ日本も最終的には停止を解いてくれるだろうという気持ちがあったとも限らない。

 そういう意味では、今、北朝鮮に間違ったメッセージにならないようにということに私はある意味で一つのポイントがあると思うんですね。我々は核不拡散に関しては非常にかたい立場をとるんだ、これは哲学だ、場合によって使い分けしない、そういうことが非常に大事なことだと思うんです。今度、JICA、外務省あるいは官邸というふうに、言ってみれば立体的に、有機的にされるのであれば、こういう哲学の部分というのは、どこを切っても同じ答えが出てこないと哲学にならないわけですね。

 そういう意味では、このインドとパキスタンに関して、総合的な判断とはおっしゃるけれども、やはり私は、核不拡散に関する日本の立場については若干あいまいじゃないのかなという気がします。答弁は、もうどういう答弁が出てくるかわかっていますから、それは結構です。

 でも、もう一つ、イスラムの核に対してアメリカが非常に神経質になっていますから、そういう意味では日本も、総合的な判断の中にはそれが入っているんでしょう。インドは、そういう意味では、イスラムという観点からいえば若干違った色もありますから、それが一つ加わっているかもしれない。

 でも、このイスラム圏の援助、イスラム諸国への援助、イラクは今とまっているとして、あるいはイランも現実には今ないんでしょう。そういうものを含めて、今どういうぐあいになっていますでしょうか。

別所政府参考人 イスラムといっても世界じゅうにいろいろあるわけでございますが、特に中東のことに御関心だろうと思います。二〇〇五年度実績でございますが、十七カ国及び地域に対して約千億円、一千七十七億円の協力を実施しているところでございます。

 もちろん、中東諸国と一概に申しましてもいろいろな国がございますので、経済インフラ、社会インフラ整備を特に重視する場合、人材開発及び水資源管理の援助等、その辺も踏まえながら、また、ODA大綱の重点課題である平和の構築に対する支援も実施しているところでございます。

山口(壯)委員 別所局長、二〇〇一年の九・一一以降、我々、いろいろな意味でアメリカと足並みをそろえた部分は相当あります。そういうことが、せっかく援助をやっていたのに、ある意味で、積み重ねた資産を大分使ってしまっているんじゃないのかという気もするわけです。

 対日感情の変化等、気がつかれることはありますか。

別所政府参考人 九・一一後ということになりますと、非常に大きなのは、御存じのとおり、アフガニスタン及びイラクに対する復興支援を含めた、人道支援も含めた支援でございます。これについては高く評価されているというのはもう議員も御存じのとおりだと思います。

 今の御質問は、日本の九・一一後の支援がこういった国々の反発を招いている可能性はないのか、こういう御質問だと思いますが、私どもとしては、日本の支援というものは引き続きこういったイスラム諸国から評価されているというふうに理解しております。

山口(壯)委員 別所さんとしてはそう答えざるを得ないので、それはそれでいいと思うんですけれども、やはり我々は、この援助を使って対日感情というものをずっと長い時間かけて育てているわけですから、そういうことが簡単にしゅっとなくなってしまわないように、これは外務省はしっかり気をつけていくべき話だと思います。

 大臣、この間私も核保有の議論について若干お聞きしました。私に対する答えは、非核三原則については守っていきます、そういう答えでした。笠井さんに対する答えの中で、大臣の答えですよ、「隣の国が持つというようなことになったときに、一応そのことに関して検討をするというのもだめ、話もできない、何にもしないというのはあれなのであって、」あれなのであってというのはちょっとよくわからないんですけれども、「いろいろな議論もしておくというのは大事なことだ、私はそう思います。」このあれなのであってというのがよくわからないんですけれども、これは、大臣、核保有の議論というのはやってもいい、こういう意味ですか。

麻生国務大臣 よく聞かれる話なんで、外務省として、もしくは政府として、非核三原則というものを保持するということに関してはいささかの変わりもない、これはずっと申し上げております。

 ただ、今回の北朝鮮の核の保有ということが、仮に彼らが言うとおり本当であったという前提で申し上げますが、うそかもしれませんから、本当であったという前提で言った場合に、明らかに核の極東アジアにおける状況は一変したと申し上げても過言ではないと存じます。少なくとも、我々が過去言っていた状況とは全く違った、核を持っていると自分で言って、かつ、それを搬送する技術は少なくとも実験レベルを超えて実戦レベルでできるというのは、去る七月、もうそれは証明しておりますから、夜間に六発連続で撃てるというのは間違いなく実戦ができるということを意味しています。

 そういった国が隣に出てきているというのであれば、それに合わせて、日本は今のままでいいのかと。また、核を持つ持たないという話で、持つなら持つ、持たないなら持たないということに関して、あのときの、いわゆる佐藤内閣のときにあの論議に参加された方は今、国会にはほとんどいらっしゃいませんから、だから、そういったことを考えて、どうして持たないことになった、どうしてというようなことも、持たないなら持たないということでもう一回きちんと論議をしておくことを含めて、私どもは核の論議というものを、持つ持たないという話は、もう一回改めて論議をするということまでとめるというのは言論封殺の行為と言われかねないのではありませんかという話を議会として論じ合うのは当然じゃないかと申し上げたんです。

山口(壯)委員 外務大臣という立場もあるわけですね。そういう意味では、間違ったというか、あるいは不要に警戒心をあおるメッセージを今出すのは賢いか賢くないかという議論がありますから、ある意味で外務省の地下深く、防衛庁の奥深くそういう議論をされるのは、これは当然と思ってもいい。だけれども、大臣が議論をして当然だと言われることの意味は大分違います。そういう意味では、我々が核についてどういうふうに思っているかということを研究するのと大臣が議論してもいいと言うのとは全く違うんです。

 だから、やはりそこは大臣として、どういう今立場におられるかということはきちっと、軍事というのは、例えばいろいろなことを議論してしまうと意味がなくなるわけですね。あるいは無用に警戒心をあおる。ライスさんが言ったんでしょう、危機をエスカレートしないようにと。そこら辺はアメリカとしても相当気を使っていて、やはり軍事を知っている国の言うことだと思いますよ。そういうこともちゃんと踏まえて議論していただきたいと思います。

 終わります。

山口委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 今、前回の委員会にかかわって、私の質問、大臣の答弁にもかかわってのやりとりがありました。政府の要人たる外務大臣が、これは言論の自由の世界と全く違う話でありまして、日本政府としての立場をきちっと表明し、世界に対しても発信するという立場ですから、やはり絶対にああいう発言があってはならないと前回も言いました。これについてはまた改めてしっかりと議論させてもらいたいと思っております。

 きょうは、独立行政法人国際協力機構、JICA法の一部を改正する法律案にかかわって幾つか質問したいと思います。

 本法案は、先ほど来ありますように、ODAの中の無償資金協力、技術協力、円借款の三つの実施業務を外務省が所管するJICAのもとに一元化しようとするものであります。

 そこで、まず、無償資金協力実施業務のJICAへの移管でありますけれども、外務省の説明によれば、外交政策上の必要から外務省が引き続き実施するものを除いてJICAに移すというふうに言っております。法文上は、私、明記はされていないと思うんですが、具体的にどういうものを外務省に残そうとしているのか、この点についてまず伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のありました点に関して、そこに書いてある、同じものをお持ちなんだと思いますが、書いてありますのに、ODAの一元的実施の機関ということの観点からということを申し上げておりますが、引き続き外務省が実施するもの、具体的なイメージとしてどんなものがあるかというのであれば、基本的には、例えば最近でいえばインドネシアまたタイ等々の津波のときなんかがいい例だと思いますが、タイミングを、物すごく緊急を要するというようなもので、緊急無償援助と呼ばれるようなものが一つの例だと思いますが、ノンプロジェクトの無償とか草の根とか人間の安全保障というようなものがありますので、そういったものが、主として非プロジェクト型のもの、まとめて全体でいえば非プロジェクト型のものというので、それと緊急のもの、これが具体的な例としては想定されるところだと存じます。

笠井委員 外務省、JICAそしてJBICが去る六月十二日に発表した、新JICAの制度設計のポイントというペーパーがございます。その中で、統合の原則の一つとして、三つの援助手法の有機的な連携の重視ということを挙げております。

 外務省のODAの総合戦略会議などにおいても議論をされているものだというふうに思うんですけれども、この有機的な連携ということについて、現状で具体的にどういう課題があるのか、また、一元化することでどういう点が変わっていくのかということについて御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、ことしの初め以来、外務省、JICA、それから分かれましたJBIC等々との間で、新しいJICAの設計につきましていろいろ論議を重ねてきたところです。

 いわゆる、今言われました、異なる援助方法、無償とか有償とかいろいろございますので、アンタイド、タイドローン、いろいろ種類もありますので、援助手法の方法というのはいろいろ研究してみないかぬところなんですが、基本的には、これ、三つ一緒になりますので、三つ一緒になれば、その地域において何が最も適しているかというのは、今まで組織が違っていましたけれども、一つになりましたら、この地域ならこの地域において何が一番いいのかというのを考えるということができるようになりますので、したがって、三つの手法をそれぞれみんな持っておりますのが一つになりましたから、その地域中心でつくりかえていくということになろうと存じます。アジアならこのアジア、しかも東アジアのこの地域というのを担当といって、それで無償、有償、技協、いろいろありますので、そういったものをやっていこうということでやっていこうと思っております。

 ただ、我々として問題点になりますのは、今まで違った組織にいた者を一緒にいたしますので、どこでもそうでしょうけれども、いろいろ、これまで育ってきた文化が違う、企業文化が違う。また、給与も違っております。そういった面がありますので、新しい組織をつくっていくに当たりましては、少なくとも新しい手法で、おれのこの手法が一番いいと思ってみんなやってきたわけですから、それに対してみんな、三つ合わせて、両方とも、同じ今度は組織の中になったんだからどれが一番いい、これまでの経験だったらおれのはこれといって、さらっとみんな出して、お互いにこれがいいんじゃないかなというような話ができる人間関係の醸成、信頼関係の醸成というのには、これはちょっと、笠井さん、しばらく時間がかかると思いますね、僕は何となく。

 さっきもどなたか御質問がありましたけれども、それは、OECFと一緒になったときやら分かれたときを思い出しましても、十年据え置きの二十五年ローンなんて、それはあなた、銀行の金を貸す基準か、十年据え置き、二十五年って、ほとんどそのころは、返すころは生きておらぬじゃないかとか、あのころ随分いろいろな意見があって、それが銀行の金融かといってあの当時は、合併するときは随分意見があったのが、今度また別の話になってきておりますので。

 私どもとしては、こういったものは、援助の手法というのはいろいろありますけれども、その枠を超えてやっていくというところがうまくできますと、JICAが一緒になってよかったということになり得る。ぜひそういった結果を出すべく、我々としては、いろいろな信頼醸成というものを地域的にうまくやっていくということで、今まで結構同じ地域にいても、あれはJICAとか、こっちは何とかと、いろいろ言ったのを一緒にして、とにかく外務省も、触媒役をやるのが多分外務省だと思いますけれども、それをきちんとやっていかせるようにしていきたいと思っております。

笠井委員 その辺がなかなか課題としては難しいところだと思います。

 次に、JICAに対する指導監督強化の問題について私は伺いたいと思うんですが、私、参議院の時代にもODAのあり方についてはさまざまな議論にかかわってまいりましたけれども、その中でも、例えばODAの事業は海外で実施されて、多くはコンサルタントが現地で再委託契約ということを結ぶ方式がとられるということで、なかなか実態が見えにくいと先ほどもありました。それだけに、契約にかかわる不正の防止とか、それから事業が適正にやられていたかどうかのチェックが問われるというふうに思うんです。

 昨年のコスタリカの例は既にもう大問題になってきましたが、使途不明金の事案が発覚したということがありました。それを受けて、参議院の方では、決算審査要求があって、会計検査院のODA調査というのがやられて、ここに報告書を持ってきましたけれども、ことし九月に報告書が出ている。

 これを見ますと、コンサルタントが結んだ現地での再委託契約にかかわって、JICAについては四カ国四件ということも具体的に挙げながら、JBICについては一カ国二件が適正を欠くなどのことになっていたということで、遺憾であるという指摘があるわけです。コンサルタントが適正に事業を行わなければならないのは当然ですけれども、報告書によれば、JICAは再委託契約承認後もその契約先や実施状況を十分把握していなかったということが言われております。JICAが当然の責任を果たしていなかったと言われても仕方がないと思うんです。

 契約先や実施状況の把握をやっていなかったというふうに指摘をした四カ国四件というのがあるわけですが、それはどこで、それ以外には一体ないのかどうか。あの報告書の中にも、さらには新たにというようなことも書いてありますが、外務省としてはどういう認識でおられるのか、伺いたいと思います。

別所政府参考人 先生御指摘のパシフィックコンサルタンツの件でございますけれども、その四カ国四件という話が具体的に出てまいりました後、この当該業者がかかわってまいりましたものにつきましては洗いざらいきちんと調べようということでやっておりまして、その後、幾つか事案が出てきております。それについても適正に処分するというところまでやっております。

 また、処分するだけではなくて、やはり再発防止ということが非常に重要だというふうに考えておりまして、先ほどお話があったように、再委託契約をした後あるいはするときに、きちんとした、立ち会いをするとかその後の確認とか、そういったことを含めまして、既にJICAは契約確認方法の見直しとか第三者機関による抽出検査の新規導入などを中心とする再発防止策を本年一月に講じておりますし、JBICにおいても精算時のチェックなど、強化をやっているということでございます。

笠井委員 今、JICAとJBICがどういうふうにやっているかということで話があったわけですけれども、そのほかでもかなりというのが、これは重大だと思うんです。

 そこで大臣、会計検査院の報告書でいいますと、同時に、外務省においてもJICA等に対して指導監督等を十分に行う必要があるという形で指摘をしています。外務省がそういう意味では指導監督責任というのを問われているわけでありますが、こうした事態をどのように受けとめておられるのか、外務省として具体的にどのような対策を講じるというふうにお考えなのか、答弁願いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、おっしゃるとおりに、少なくとも税金を預かって使うことになりますので、細心の上にも細心の注意を払って執行されるべきというのは当然のところであります。

 今、新しいJICAでは、監事が二名から三名ということで増員をするほか、円借款を行うに当たって現行のいわゆるJBICと同様に金融庁の検査を受けることといたしておりますので、そこは従来とは違った形になってくる。いわゆる金融庁の金融検査というのが新しく入ってまいります。また、そういった業務を実施していくに当たって、一番危ないところでありますので、そこのところは外務省が手なれているわけではありませんので、そういった意味ではきちんとしたものをやっていかねばならぬというのが一点です。

 これに加えて、私ども外務省だけとしても、金融庁だけに委するのではなくて、これは、この種の業者というのは限られた業者しかおりません。それは、世界じゅうでいろいろなコンサルタントができるなんていう業者というのは世界じゅうにもそんなにいないわけで、私ども、そういったところとの協議を時々やっていかないと、なあなあになるといかがなものかという感じがしますので、定期的に協議をやれという話をしておりますので、関係者に注意を促してまいりたいと思っております。

 また、会計検査院の検査とか指摘などがそれに出ておりますので、そういったものでこういったところが一番問題になるという、問題というのは、向こうだっていいのがやるわけですから、なかなかそれに対してそれを上回るほどのものを持っていないとなかなか対応ができないということになりますので、どこがそういうことになったかという経緯は大体そこにも書いてありますので、そこらのところはきちんと注意を喚起した上でやらせていく。業者とも、こういうところが問題になったでしょうがという点をこちら側からも、ここのところは外務省の方もちゃんと知っているんですよというところを向こうにきちんと知らしめておくというようなことが必要だと思っております。

笠井委員 そういう問題は非常に重要だと思うんです。

 そして、一元化した後のJICAというのは、巨大なODAの実施業務を一手に引き受けるということで、やはりそれだけ責任も重くなるということでありますので、その機関が従来のさまざまな問題点も是正しながら本当に適正にやるかどうかということについてはきちっと見ていかなきゃいけないし、外務省の責任も大きい、政府の責任も大きいということを指摘したいと思います。

 最後になりますが、ODAのあり方なんですが、これも議論すれば幾らでもあるわけですが、特に南北問題の現状と課題をやはりよく見きわめる必要がある。

 この九月にハバナで行われた第十四回の非同盟の首脳会議に私もオブザーバーで行ってきました。その中でも、経済のグローバル化という中で、やはり国の間の格差も大きく広がっているということも改めて言われておりましたし、途上国の中には発展に向かっている、そういう方向に向かっている国もありますが、国連やほかの国際機関での議論でもありますが、特にサハラ以南のアフリカ諸国など、飢餓、貧困から抜け出せない、本当に発展から取り残されているという深刻な事態があります。そうした国々への援助を直ちに改善するというのは喫緊の課題だ、もう言うまでもないと思うんです。

 そこで、国連の二〇一五年までのミレニアムの開発目標の達成に関しては日本政府も当然コミットしております。そのために、昨年の国連総会では、先進国はODAを国民総所得対比で二〇一〇年までに〇・五%、一五年までには〇・七%に引き上げるという目標を確認しているわけですが、日本も約束したことだと思うんですけれども、現状ははるかにまだ低い、〇・一九とか世界で二十位前後という話になっています。

 外務省は、この目標達成に近づくために具体的にどういう努力をするのか、この点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりに、この〇・七というのは、日本の場合はGDPが物すごく大きいということであります。先ほどもちょっと申し上げましたが、アフリカは五十三カ国ありますが、全部足して五千五百億ドル。ということは、日本の八分の一、九分の一、アフリカ五十三カ国全部足して。そのうちの五カ国で、大体全アフリカの九〇%のGDPになります。残り四十八カ国で残りの一〇%というぐらい格差というのはもう極端になって、最近の日本の地域格差の比では、もうけたが違っている、全く違いますから。

 そういったような状況の中にありますので、日本といたしましては、このGDPの比率は、日本の場合、けたたましく、世界で二番目に大きいものの、〇・七というと膨大な額になりますので、私どもとしては、それが直ちに実行できるというのは、とても今の財政事情からしてできるわけではございません。

 したがって、昨年の七月のグレンイーグルズ・サミットにおきましては、今後五年間のODAの事業量を百億ドル積み増すことを目指すということを表明いたしております。したがいまして、これに概算要求等々、一連減らされております今の状況の中にあって、この分だけを何とかせねばならぬということで、「ODAの点検と改善」という報告書を昨年の十二月にまとめておりますけれども、骨太方針の二〇〇六の中にも一応、国際公約ですから、これはきちんと守っていかねばいかぬということで、それを履行するにしても、ODAの中の効率ということも考えねばいかぬのではないかといい、いろいろな点をもっと効率化、改善されるべきところがあるのであれば、当然それを見直すのは当たり前の話と思っておりますので、それも含めて頑張らせていただきたいと思っております。

笠井委員 一応国際公約って、これはもう本当に国際公約なんで、一応じゃなくて、これはしっかりやっていかなきゃいけない。そして、点検と改善と言われましたが、人道援助のところがやはり少ないんですね。経済インフラの点、大企業との関係とか、あるいは私、軍事費という問題も、世界的にも減らして、こういうところに回そうという方向が議論されて、確認もされてきているわけですから、そういうところにこそメスを入れて、本当の改革をやるということが必要だということを強く申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 JICA法の一部を改正する法律案について、麻生大臣にお尋ねします。

 今回の法改正は、海外経済協力に関する検討会の官房長官への報告書提出を受け、いわゆる行革推進法案の成立と関連し、円借款、無償資金協力、技術協力のJICAによる一元的実施を目的とするものであると理解しております。政府金融改革の全般的なあり方については意見もありますが、従来行われていた有償、無償、技術協力の三つの手法による援助を有機的に結びつけ、組み合わせて実施するための法改正は必要だと考えます。

 今回の法改正によっても、引き続き外務省みずから実施をする、機動的に実施すべき無償資金協力というのは、どのようなケースが想定されるのでしょうか。

 先ほど大臣は、笠井委員の質問に、人間の安全保障にかかわるプロジェクト型の無償資金協力のお話もありましたが、ちょっと漠として、具体的なイメージがわかないものですから、もう少し具体的に、わかりやすいように御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたように、JICAにおいてODAを一元化して運用するということが過日決まっておりまして、それに基づいて法改正をお願いしているというのが今の現状であります。

 その中で、外務省が引き続き実施をするというものの中身の中で、いわゆるイメージがわかないというところのお話がありましたが、引き続きやるものの主なものの中に、無償資金協力等々で、先ほど答弁を申し上げましたが、例えば、インドネシアとかスリランカの大津波が起きましたときに、いわゆる緊急無償援助というものは、これはJICAがやるのではなくて、外務省が直接、いきなり予定外に起きたときに対して、日本からはレスキューやら自衛隊やら消防庁の部隊やら何やらを送っております。そういったような緊急無償援助というものは、これはJICAにはなかなかなじみませんので、外務省が直接やるというのが一つの例です。

 また、ノンプロジェクトの無償とかいろいろほかにございますけれども、人間の安全保障は草の根・人間安全保障というのが正確で、草の根・人間の安全保障の無償ということになろうと存じますが、これの具体的な例と言われて、いわゆるそういったときに対しまして、人に対しての草の根、小さな、学校の話からとにかくいっぱいございますけれども、そういったようなものというのは、イランのときも全くなくなった地震の後に、フィリピンの火山の後に、草の根・人間無償で全部学校を建て直し、水道を引き何を引きとやったのは、あれは全部草の根の人間無償の一環ですけれども、そういったような形で、無償というのでやらせていただくということになろうかと存じます。

照屋委員 次に、JICA沖縄についてお尋ねします。

 沖縄県浦添市にある沖縄国際センターは、JICAが全国十八カ所に設置をしている国内機関の一つだと承知をしております。同国際センターの海外からの研修生の受け入れ、開発教育の支援、ボランティアの協力などの事業実態、あるいは当該浦添市を含めて、広く沖縄県との地域的なかかわり等についてお尋ねしたいと思います。

黒木参考人 お答え申し上げます。

 沖縄国際センターは、沖縄県及び浦添市の御協力を得まして、一九八五年に開設して以来、沖縄の特色を生かした自然環境保全やコンピューター技術などのIT関連分野の研修を中心に、毎年約八十の開発途上国から約三百七十名の研修員を受け入れております。

 また、国民参加型事業の窓口としての活用や国際理解教育の一環で、毎年約一万人以上の学生あるいは市民の方々がセンターを訪問するなど、この施設は十分に活用されている状況でございます。

照屋委員 それでは次に、JICA法とは直接関連しませんが、緊急な課題ですので防衛庁に尋ねますが、去る十月十八日の沖縄タイムスの報道によると、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸施設で、代替施設建設予定地にある兵舎の移設先が日米両国の飛行場設置基準に抵触していると報道されております。

 去る十月十九日に日米の実務レベルの協議が行われたようですが、日米両国の空港設置基準に抵触していても、基地内における兵舎の建設は合意されたのか。滑走路の安全基準との関連で、具体的に何が問題なのか尋ねます。

北原政府参考人 照屋寛徳先生に御答弁申し上げます。

 ただいま先生が引用になりました報道につきましては、承知をいたしているところでございます。

 現在、私ども日米両政府は、五月一日に2プラス2で承認をされましたロードマップに基づきまして、二〇一四年までの普天間飛行場代替施設の完成を目標として種々協議をしているところでございまして、その内容につきましては、現在まだ引き続き協議中ということでございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。

 ただ、御承知のように、米軍が使用をいたします飛行場、これにつきましては、いわゆる地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律というものがございまして、航空法の一部規定の適用が排除されております。すなわち、米軍が使用する飛行場の設置といったものにつきましては、航空法第三十八条の第一項の規定、これは設置の許可等でございますが、は適用されないことになっております。ただ、申すまでもなく、一般的に在日米軍が我が国の法令というものについて尊重する義務があることは、これはもう当然のことでございます。

 さらに二点、この点で申し上げさせていただきたいと思っておりますのは、先ほど私が引用いたしました五月一日の再編のロードマップ、その中でも、この施設、すなわち代替施設でございますが、この施設は、いろいろ書いてありますが、安全性の問題に対処するものであるといったことも日米で合意をしていることが明記されております。

 それからさらに、これを受けました五月三十日の私どもの、日本政府の閣議決定、この中にも、普天間飛行場の移設については、るる書いてございまして、その中に、周辺住民の生活の安全に留意して進めるといった旨が明記をされているところでございます。

 私ども、普天間飛行場の代替施設、それからその周辺地域の安全確保を図るということは当然でございますので、今申し上げましたような観点等を踏まえまして、また、のっとって米側と協議をしてまいっておりますし、引き続き協議をしてまいりたい、そのように考えております。

照屋委員 飛行時の安全配慮、これと米軍側の国内法遵守義務、地位協定十六条との関係を、一体、外務省、防衛庁はどう考えているのか。報道によると、この滑走路設置、兵舎建築との関係で、日本側は例外規定を設けて容認する方向だという。かえって、逆に米国側が国内法遵守の観点から難色を示しているとの報道もあります。

 事故があった場合に、その危険は住民にも及ぶわけですね。だから、基地内でつくるからといって設置基準を安易に考えてはいけないと思いますが、政府の態度をはっきりしてください。

北原政府参考人 まず、私の方から御答弁させていただきますが、先生、今、新聞記事をいろいろ引用されていらっしゃいます。私、その一々についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、日本政府としてこの場で強調したいことは、普天間飛行場代替施設、そしてその周辺施設の安全確保を図ることは、これは当然であるといった考え方のもとに、先ほど私が申し上げました2プラス2のロードマップ、あるいは閣議決定に基づいて、安全確保、これが維持できるような施設をつくってまいりたい、そのように考えております。

照屋委員 だから、この滑走路設置基準というのは、日本、我が国の設置基準も守られぬといかぬ。米国の設置基準も守られぬといかぬ。住民の安全をないがしろにしてはいけないと思いますよ。

 この言われているマスタープラン、十九日までに合意予定が知事選後に先送りをしたんだ、こういう報道もなされておりますので、この安全性、これはしっかりしないと、私はもちろん県内移設には反対の立場だが、だからといって、国が設置基準を無視して建設を進めることには断固容認できないということを申し添えて、質問を終わります。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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