衆議院

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第6号 平成18年11月10日(金曜日)

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平成十八年十一月十日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 山口 泰明君

   理事 小野寺五典君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 三原 朝彦君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 山中あき子君 理事 長島 昭久君

   理事 山口  壯君

      愛知 和男君    伊藤 公介君

      小野 次郎君    加藤 勝信君

      河野 太郎君    高村 正彦君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      杉田 元司君    鈴木 馨祐君

      平口  洋君    松島みどり君

      山内 康一君    川内 博史君

      長妻  昭君    前原 誠司君

      松木 謙公君    笠  浩史君

      高木 陽介君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   参議院外交防衛委員長   柏村 武昭君

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   外務副大臣        浅野 勝人君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   外務大臣政務官      関口 昌一君

   外務大臣政務官      浜田 昌良君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西  正典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     杉田 元司君

  宇野  治君     加藤 勝信君

  嘉数 知賢君     平口  洋君

  笹木 竜三君     川内 博史君

  田中眞紀子君     松木 謙公君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     宇野  治君

  杉田 元司君     猪口 邦子君

  平口  洋君     嘉数 知賢君

  川内 博史君     笹木 竜三君

  松木 謙公君     田中眞紀子君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

十一月九日

 核兵器の廃絶に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三四一号)

 同(石井郁子君紹介)(第三四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三四八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三四九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案(参議院提出、参法第一号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 両件に対する質疑は、去る八日に終局いたしております。

 これより両件に対する討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 私は、ただいま議題となりました経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結並びに経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について賛成する立場から、特に日本とフィリピン共和国との経済連携協定に論点を絞って討論をさせていただきます。

 今般の経済連携協定の国会承認を受け、我が国は、来年度から二年間、看護師四百人、介護福祉士六百人の候補者を受け入れることになります。候補者は六カ月間日本語などを学んだ後、フィリピンの資格を有する看護師、介護福祉士の候補者は研修、就労に移り、フィリピンの四年生大学を卒業した候補者が介護福祉士になる場合は養成施設で研修を行うことになっております。そして、日本の国家資格取得までの在留期間は、看護師が上限三年、介護福祉士が上限四年で、取得後は引き続き看護師、介護福祉士として滞在、就労できるようになります。

 民主党は、経済連携協定、EPAの締結により、貿易及び投資の自由化及び円滑化が推進され、同時に幅広い分野において両国経済が活性化し、アジアの平和に寄与することを期待するものでありますが、医療分野にあっては、今回の受け入れにより、日本における看護師や介護福祉士の労働条件が悪化することがないか、あるいは今後の条件改善の阻害要因とならないか危惧しております。

 幾つかの懸念材料を申し上げます。例えば、候補者を受け入れた病院や施設は、報酬面などで日本人と同等の待遇を保障しつつ、日本語などの学習環境も十分に用意する必要がありますが、そのチェック体制については、所管の厚生労働省から必ずしも前向きの答弁は得られませんでした。また、本件スキームは二国間条約という公の枠組みによるものなので、受け入れ施設についても明らかにされるべきだと考えます。

 日本における看護師や介護福祉士不足の一つの大きな要因として、労働環境の低さに起因する離職が挙げられております。いわゆる潜在看護師は全国に五十五万人いると言われております。フィリピンの候補者が日本の免許を取得するに当たって、労働者保護が徹底していないと、安価な労働力に転じ、結果的に日本人を含めた全体の労働環境が影響を受け、看護師や介護福祉士不足に拍車がかかるのではないかという心配は払拭されておりません。

 言葉の問題も指摘されております。杞憂であってほしいと願いますが、六カ月の研修期間で、薬の説明書を正しく理解する、電話で救急車を呼ぶ、病状を正確に伝えるといったことができるのかどうか。何より看護や介護を受ける人とコミュニケーションができるかといった懸念も消えません。

 さらに、受け入れ人数は二年で見直すとのことでありますが、見直しに当たっては、体制や評価項目を明らかにし、二年間に日本とフィリピン双方の労働環境が悪化していないかどうか、そしてフィリピンの候補者が同じ医療現場で働く仲間としてひとしく受け入れられているかどうかをきちんと検証し、その結果によっては、受け入れ停止あるいは縮小する必要があります。特に、その際は国会にてきちんと審議されることを強く希望いたします。

 本協定に対して民主党は賛成いたしますが、二十一世紀の雇用環境を見据え、懸念材料をあえてここで指摘し、今後もその運用について注視してまいりますとともに、その実態の検証をただしていくことを改めて表明し、私の賛成討論といたします。(拍手)

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 まず、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定第五条3及び5の規定に基づく市場アクセスの条件の改善に関する日本国とメキシコ合衆国との間の議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、参議院提出、ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院外交防衛委員長柏村武昭君。

    ―――――――――――――

 ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柏村参議院議員 ただいま議題となりましたドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容について御説明申し上げます。

 昭和三十一年から昭和三十四年までの間に実施されましたドミニカ共和国への移住は、国が企画及び立案を行い、財団法人日本海外協会連合会が移住者の募集等の実施事務を行うことによりその事業が進められてまいりました。しかし、入植予定地の事前調査や移住条件についての情報提供が適切に行われなかったことなどにより、移住者の生活基盤の構築に多大な困難を生じさせ、移住者の方々は、長年にわたる御労苦を余儀なくされてまいりました。このように、同国への移住については、他の移住先には見られない特有かつ特別の事情があったと認められます。

 この問題につきましては、国会においても、再三、取り上げられてまいりましたが、平成十六年三月十日の参議院予算委員会におきまして、当時の小泉総理から、ドミニカ移住者に対する今後の対応についてしかるべく考えていきたい旨の発言がなされました。

 また、本年六月七日、東京地方裁判所においてドミニカ共和国日本人移住者損害賠償請求訴訟の第一審判決が下され、判決の中では当時の政府の対応について、入植予定地の事前調査や移住条件についての情報提供が適切に行われなかったとの指摘がなされました。

 その後、七月二十一日にドミニカ共和国移住問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話が閣議決定され、政府として反省とおわびを表明するとともに、当時のドミニカ移住者の方々に対して特別一時金を給付することとし、立法府においてこれを実現するために必要な措置が早急に講じられるよう、協議を進めるとの方針が示されました。

 この総理談話は、七月二十九日にドミニカ共和国で開催された移住五十周年記念式典におきまして、総理特使である尾辻秀久参議院議員から現地の方々にも、直接説明がなされております。

 本法律案は、以上の経緯を踏まえ、移住者の方々に多大な御労苦をおかけしたことについて、国として率直に反省し、また、移住者の努力に報い、移住者が幾多の苦境を乗り越えて我が国とドミニカ共和国との友好関係の発展に寄与してきたことに深い敬意を表するとともに、引き続き、両国の良好な関係の発展に資するよう、ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関し必要な措置を講じようとするものであります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、本法律案には、特に前文を付し、ただいま御説明申し上げました本案制定に係る経緯及び趣旨を明記しております。

 第二に、ドミニカ移住者またはその遺族に特別一時金を支給することとし、その特別一時金の支給を受ける権利の認定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、外務大臣が行うこととしております。

 第三に、特別一時金の額は、ドミニカ移住者のうち、早期の帰国者・転住者の方は五十万円、それ以外の方は百二十万円としております。さらに、移住事業の経緯及び実態、移住者の実情を明らかにするための諸活動について負担をする等特別の労苦があった者として外務大臣が認める者には八十万円を加算することといたしております。これにより、移住者の方々による訴訟活動に伴う御労苦に報いることができるものと考えております。

 第四に、国は、ドミニカ共和国において移住者とその御家族の支援等を行う民間の団体の活動に対しまして援助など必要な施策を講ずるものといたしております。なお、この援助につきましては、先ほど説明いたしました移住事業の経緯や実情等を明らかにするための諸活動につき特別の負担をした方々の費用の一部を補てんする措置への援助として、総額で邦貨二千万円に相当する額の資金を国より供与することを含むことといたしております。

 第五に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上がこの法律案の提案の理由及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、ドミニカ移住者に対する特別一時金の支給等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官西正典君、大臣官房審議官佐渡島志郎君、アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、北米局長河相周夫君、国際法局長小松一郎君、防衛庁防衛参事官小川秀樹君、防衛政策局長大古和雄君、防衛施設庁長官北原巖男君、施設部長渡部厚君、業務部長長岡憲宗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 本日は、六カ国協議の問題について、限られた時間でありますが、外務大臣等に対して質疑をさせていただきたいと思っております。

 その前に、昨日の夕刻、野党から外務大臣に対する罷免要求が出されたということを伺っております。

 私は、個人的には、先週でしたか、我が前原委員も本委員会で外務大臣との間で質疑をいたしましたけれども、核保有の議論を国会で全くしないというのはかえって日本に対する国際社会の疑念をいたずらに巻き起こす、ここは、我が国にとって核保有という選択肢は非現実的なんであるということをきちんと国会で明らかにして、国民の皆さん、あるいは国際社会に対して説得力ある形で日本のメッセージを発するべきだと思っておりますし、一昨日の党首討論を拝見する限り、内閣総理大臣もそういう御意向のようでありますから、むしろロジックとしては、外務大臣の罷免というよりは、どうせ出すのなら内閣不信任案を提出すべきだ、こういうふうには思っておりますが、今回は、この件についてはミスター・ノンプロリファレーションの山口委員に譲りたい、こう思います。

 まず、本題に入る前に、昨日結果が判明したわけでありますが、アメリカの上下両院、州知事も含めた選挙結果について、これは通告はしておりませんが、この選挙結果と、それを受けてラムズフェルド国防長官が事実上更迭をされ、新しいロバート・ゲーツという元CIAの長官が国防長官に就任をしました。その点について、外務大臣の御所見を承りたいと思います。

麻生国務大臣 他国の選挙結果についていろいろコメントをするというのはいかがなものかと思いますので、その点はちょっと差し控えさせていただきますが、上院でほぼ均衡、下院では共和党が負けるというのは、かなり前から出ていた予想ではありましたので、その予想の結果に大きな違いはなかったと思っております。

 ラムズフェルド長官の辞任につきましては、これもかなり前から、中間選挙が終わったらやめるであろうという話はアメリカではよく言われていた話でありましたので、その点に関しましても余り驚きはありませんでした。

 後任のゲーツにつきましては、これは先代のブッシュのときの、あれはNSCだかCIAだかにいたスコウクロフトの直属にいたのがゲーツ、その下にいたのがコンディ・ライスだと記憶しますので、そういった意味では、アメリカの政策が、対外政策や防衛政策が急激に変わるということではないというような感じが一応いたしております。このゲーツという人は現職をしばらく離れておられますので、その後どうなっているかよくわかりませんけれども、少なくともこれまでの経緯等々を考えますと、急激に方向転換をどうこうするというような感じに受け取っているわけではございません。

長島(昭)委員 私は、意外と重要な人事だったというふうに思っておりまして、急激には転換しないんでしょうけれども、アメリカの政策、外交政策、安全保障政策が徐々に変化をしていく兆しではないかというふうに私は受け取っております。

 今外務大臣がおっしゃったように、スコウクロフトさんというのは、まさに共和党の穏健派に属する方でありますし、ゲーツさんはパウエルさんやアーミテージさんとむしろ親しいという方でありまして、ラムズフェルドさんのように、あの人自身はネオコンではないんですけれども、ネオコンに軸足を置いたこれまでのブッシュ政権の安全保障政策が、徐々にまた現実主義の方向に転換をしていく。それは私がこれから議論させていただきたい六カ国協議を中心とする北朝鮮の核の問題についてのアメリカの政策のポジティブな変化につながっていくのではないかという期待感も私は持っておりますので、その点についても、外務大臣、ぜひ御認識をいただいて、そういう今まで流のネオコン中心の、力によってすべてを解決していくというやり方ではない、アメリカと我が国の、同盟国としての役割を、符牒を合わせていく、こういう外交でぜひ先頭に立っていただきたい、こう思います。

 さて、六カ国協議なんですが、私はミサイル発射のときもたしかこの委員会、この部屋で外務大臣に議論させていただいたときに、早晩六カ国協議に復帰してくるだろう、いろいろ局面を打開するために飛び道具を使ってくるけれども、結局何食わぬ顔で戻ってくる、戻ってきただけでは始まらない、戻ってきてからが勝負だということで質疑をさせていただき、外務大臣もそういう御所見だったというふうに思っております。

 今回、きっかけとなったいろいろな要因があるんでしょうけれども、直接きっかけとなったのは、十月三十一日に中国の外務省が発表したわけでありますが、それに向けてアメリカ、中国そして北朝鮮との間で非公式協議が重ねられてきた。一説によると、十月の初め、核実験の前からそういう非公式協議が断続的に続けられていたという情報もございますけれども、外務大臣、この非公式協議のポイントは何だったのか、どう認識しておられるか、御所見を承りたいと思います。

麻生国務大臣 どれがと、一番、これだという決め手が一つあったというわけではないと思うんですが、少なくとも、いろいろあったとは思いますが、中国側からアメリカに対して、六者協議を再開するというのを目的に米中朝のいわゆる六者会合首席による協議打診というのがあって、米国も、六者協議再開、即時無条件復帰を求めるために米中朝の三者協議に応じたというものだと思っております。

 ただ、この点に関しては、昨年の九月だったと思いますが、六者共同声明の迅速な実施の必要について議論をして、朝鮮半島の非核化というもののコミットを再確認したということがありました。そのときの話にさかのぼりますけれども、北朝鮮がいわゆる前提条件を付さないで復帰するということに同意したというのがそのときだったと思います。

 今回の十月の三十一日に行われた米中朝三者会議におきましては、いわゆる六者会合のプロセスの中で金融問題という、例のバンコ・デルタ・アジアの話ですけれども、取り上げるためのメカニズムを設置する、金融に関するメカニズムを設置するということについての意見の一致があったと承知しております。これが北朝鮮にとりまして、米朝との二国対話というのをしつこく希望しておったのは御存じのとおりです。

 アメリカは、これは日米韓で過日ソウルでやりましたときにもほぼ同じことを述べておりますが、一対一じゃなくて六者協議の枠内で米国は北朝鮮との間でいかなる議論にも応じる用意がある、私が平壌に行く気はない、しかし六者協議という場所の中でいろいろな応じる用意があるということであります。

 今回のこの結論も米国の従来の主張もしくは立場に沿ったものというように理解をしておりますので、米中朝間の協議というものを通じて、今まで米国が言っていた話と今回の話と、特別に米国が大きく譲ったとかいうような雰囲気には全く考えておりません。

長島(昭)委員 私が次に伺いたいポイントまで一緒にお答えいただいたんですが、というのは、前段の外務大臣の御説明だと、金融制裁について非常に北朝鮮が過敏になっている。外務大臣がおっしゃったように、去年の九月の共同声明の後、それをインプリメントしよう、実施しようとしたときに、十一月のラウンドツーの会合の中で、金融制裁まかりならぬということで彼らは席をけって出ていって、それから休会ということです。

 ですから、今回、秘密会合というか非公式協議の中で、北朝鮮がある種、アメリカ側からそういう作業部会を設ける、金融制裁について議論をするという担保をとって彼らが復帰するというのは、我々にとっては、ああ、なるほどなと思うんです。

 しかし、アメリカ側は特に譲ったことはないというようにおっしゃったんですが、逆に言うとアメリカが、これはディールですからね、要するに北朝鮮が復帰しやすい環境をつくる、これが一つですけれども、もう一つは、アメリカとしてもやはり譲れない一線がある。つまり、核保有国として北朝鮮が六者協議に復帰してもらっては困るんだ、こういう一線があるんだと思うんですけれども、ここについてアメリカ側は北朝鮮から何かとっているのか、それとも、中国側はその保障なんかを与えた上で北朝鮮を六カ国協議に復帰させているのか。ここは外務大臣、我が国にとって非常に重要なポイントだと思うんです。

 一説には、後でちょっと詳しく議論しようと思っていますが、アメリカのデッドラインというかどうしても譲れない一線というのは、核の保有というよりは、それが世界に拡散する、そしてテロリストの手に渡ってアメリカの本土が危険に脅かされる、この点だと思うんですが、我が国のデッドラインというのは、まさに北に核を持たせることそのものが大変な事態だというふうに認識しておりますので、ここの日米の認識ギャップが仮にあるとすれば、ここをきちんとアメリカ側が埋めた上で北朝鮮を六カ国協議に引き戻すという努力をしないと、私たちとしてはこの六カ国協議を手放しで喜ぶことはできないと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御質問のありました点のところでいきますと、中国が北朝鮮に対してどのようなことを言ったかということに関しては、私たちの立場から、よく、はっきりわかっているわけではありません。

 アメリカとしては、この六者協議復帰に当たって北朝鮮の核保有を認めないということに関しましては全く一致をしております、この点に関しましては。バーンズのときもそうでしたし、その前のライス長官のときもこの点に関しましては再三にわたって日本から確認をしておりますし、その点に関して両者間の立場にずれがないことははっきりしております。日米間でいわゆる思惑は一致して、不一致ということはない、一致しておるということであります。

 したがって、もう一点の、今回、今非常にはっきりしておりますのは、この六者協議の開催を急いでおりません。六者協議が開催されるというのは、これは単なる手段であって、六者協議を開くというのは目的でも何でもありません。

 したがって、六者協議を開いた結果、いわゆる前回の六者協議の共同声明とか、一七一八等々の国連の決議事項を履行してもらうというのが目的なんですから、その意味におきましては、今回のところは、少なくとも日本とアメリカ、中国、ロシア、韓国の五者が一致して結束して北朝鮮に当たるというこの結束をキープする、結束を維持するというのが今一番大事なところであって、この五者が一致して北朝鮮に当たっているというのが北朝鮮に対する最大の圧力になる、我々はそう理解しておりますので、この結束を維持している間、我々は今いろいろ制裁決議をしておりますけれども、その制裁決議は継続、六者協議を開催すると言ってきたから緩めるという気もありませんし、一七一八に関しても同様の答えであって、今これを緩めるつもりはないということだけははっきりしておりますので、そういった状況の中でこの種の結論が、今答えが出つつあるというように御理解いただければと存じます。

長島(昭)委員 私も同感でありまして、やはり五カ国の一致がこの六者協議成功への一番のポイントだ、こう思っていますが、それが容易でないということはこれまでの六者協議の停滞ぶりから見ても明らかだと思うので、そこがやはり一番のポイントだというふうに思います。

 そこで、伺いたいんですが、今回、北朝鮮が六者協議に復帰してきた一番の原因というのは何だったのか。もちろん金融制裁について話し合いに応じてもいい、そういうあめがあったというのは事実としてはそうだと思いますが、私が一番気になるのは、果たして北朝鮮は各種制裁によって厳しい状況に追い込まれ、追い込まれたがゆえに六カ国協議に出てくることになったのか、それとも、北朝鮮なりの大戦略の中で、むしろ積極的にこの六者協議の場を、もっと言えば、時間稼ぎの場を利用しようと思って、前進をする一環で出てきたのか。

 というのは、これは、外務大臣、もちろん結構でございますが、外務省北東アジア課の方でも結構なんですが、北朝鮮がどれぐらい追い詰められているかということについては、諸説あるわけですね。北朝鮮の声明を見る限りは、我々は六者協議の枠内において、米朝間で金融制裁解除問題を論議、解決するという前提のもと協議に出ることにしたと、全く悪びれる様子はなく、堂々としたものなんであります。

 それというのも、一説には、食料危機が非常に厳しい、去年に比べて作物が半分しかないとか、そういうふうに言われている一方で、実はそうでもないと。エネルギーも十分あるし、食料の価格も全然上がっていないし、むしろ国連制裁も織り込み済みの、今が一番自分たちにとっては交渉するには強い立場だということでばんと出てきた、こういう分析をする専門家もいるぐらいでありまして、そうなりますと、六カ国協議の性格が少し変わってくる可能性があるものですから、ちょっとそこはこだわってみたいんですけれども、北朝鮮がどうして六カ国協議に参加することにしたのか。追い詰められて参加しようとしているのか、それとも余裕の姿勢で参加しようとしているのか、その辺のところ、どう分析されておられますか。

麻生国務大臣 これは、それこそ諸説分かれております。

 過日、ソウルにおいて、潘基文、ライス、日本と三者会談を先月行わさせていただきましたときも、何となく、中国、北朝鮮は孤立化しておるという話が日本の新聞には多いけれども、金正日という人の性格というのは我々とは大分違う性格であることははっきりしていると思いますので、こういった人を見ていると、おれは核を持ったからこんなに人が注目してくれているんじゃないか、おれが核を持っていなかったら単なる貧乏人扱いで終わりだったんだ、今核を持っているからアメリカも来た、ロシアも来た、中国も来た、日本も、みんな来たじゃないか、おれは今スポットライトを一身に浴びて物すごいハッピーなんじゃないのかと言ったら、潘基文は否定はしませんでしたものね。正直申し上げて、持ったからですよ、多分そう思っている可能性を彼は否定できないと思うんです。したがって、今長島先生の言われた後段の部分というところは、確かに甘く見ない方がいいと思っております。

 傍ら、食料の話につきましては、これはどう考えてもかなりしんどくなってきているということは、兵隊検査を受ける人たちの体格の悪さがどうなってきているとか、いろいろインテリジェンスの情報というのが幾つも上がっていますのは御存じのとおりだと思います。

 国連食糧農業機関、FAOのそういう数字を見ますと、二〇〇五年の総需要約四百七十九万トンに対して、北朝鮮の穀物総生産は約三百九十万トン、したがって八十九万トンのいわゆる食料、食物が不足しているというように予想をしております。

 統計が未整備でありますので余りよくわからないところなんですけれども、エネルギー不足についてもこれははっきりしてはいないかということで、正確にはわかりませんけれども、依然として、そういった状況は深刻というのと、両方のあれを考えにゃいかぬところだと思っております。

 ただ、アメリカの話として、金融の話で少し、あめと言われましたけれども、あめの部分というのは、これは何も、二千四百万ドルといえば、早い話が二十五億円ぐらいの金がスタック、凍結されているから出てくるという話ではなくて、いわゆるこういった銀行というものの持っております決済機能というのが他の銀行にもいろいろ波及しておりますので、物を売っても、納金されるべき銀行決済が各地で滞り始めているというところは結構しんどい影響を得ているだろうなと。もと商売をしている立場からいえば、銀行決済ができないというのはしんどいなという感じは正直なあれでありまして、アメリカは自国の法律に基づいて、北朝鮮を対象にしているわけではない、だれに対しても同じことをしているんですけれども、そこらのところが効果を上げてきているのかなという感じはいたします。

長島(昭)委員 あれだけ閉鎖的な国ですから、どういう状況かというのはなかなか外からうかがい知ることは難しいと思います。強みも持っているし、弱みもある、こういうことなんだろうと思うんですが、まさに先ほど大臣が最初におっしゃった、強硬策が功を奏したというふうに北朝鮮に思われるのが最悪のシナリオだと私は思いますので、そこをきちんと、ある種、彼らに、いや、強硬策をやっても得るものはないんだということをきちんと国際社会が知らしめていかなきゃいけない、そう思うんですが、そこで、やはりキープレーヤーになってくるのが中国だと思います。

 これもまた、中国という国はなかなか外からうかがい知るのは難しい国、北朝鮮ほどでは最近はないんでしょうけれども。この中国のいわゆる圧力と言われているものが本当に効いているのか、本気でかけているのかというのが、私たちにはどうもわからないポイントなんですね。

 例えば、報道によると、十月十九日の日経新聞ですが、中国が北朝鮮に対して圧力を強化している。外貨送金の停止や貨物検査、これはテレビなんかでも放映されていましたけれども、中朝国境でトラックをとめてやるような貨物検査を強化しているのはもちろんですけれども、それに加えて、北京―平壌間の航空便を停止したり、あるいは石油の支援まで手をかけ始めたという報道がある一方、十月三十一日の中国の外務報道官の定例記者会見では、中朝経済貿易協力政策に変更なし、こういうふうに明言をしておりまして、先ほど五カ国の一致が重要だと外務大臣おっしゃった。それから、国連決議一七一八で国際社会全体が今一致した行動をとろうとしている。その一番大きな一翼を担っている中国が、押しているんだか引いているんだかよくわからないという状態では、私は北朝鮮に足元を見透かされるというふうに思うんですが、中国の圧力が本気なのか、本当に効いているのか、この辺はどう認識されていますか。

麻生国務大臣 これは長島先生、ミサイルのときに比べたら、今回の核の後の中国の電話会談の向こうの反応の素早さ、また明確さを考えましたり、また、一連の決議案に対する賛成に対して、前回は十一日間、うだらうだらいろいろ言っていましたのが、今回は極めて早く六日間でばっと乗ってきましたから、それを見ても、今回は、核の保有に関してはかなり北朝鮮は本気、しかも、ちょっとやり方としては、李肇星が行き、ここで面会しようというその日、その時間に合わせて実験ですから、これはどう考えても、何だこれはと多分思ったろうと思うようなやり方をしておりますので、私どもから見ますと、これは北に対してかなりメンツをつぶされたみたいな感情を持ってもおかしくないかなと思っております。したがって、中国の北朝鮮に対する対応というのは、この前の七月のときとは全く違ってきたものになってきていると思っております。

 先ほど言われましたように、こういった北朝鮮の一連のやり方というのは、結果としては、国際社会をより敵に回していい結果は得ないということを知らしめるのが大事だという長島先生の御指摘だったと思いますけれども、私どももそこは全くそう思いますが、では、今の段階で北朝鮮がそのように自覚しているかと言われたら、先ほど申しましたように、非常に高揚しているという可能性もありますし、情報が正しく伝わっていないという可能性もありますので、私どもとしては、ここのところはちょっと気長にやらないかぬというところが大事なので、六者協議を急に今すぐ、しゃにむに焦ってやる必要はないというように結論づけておりますけれども、いずれにしても、少々時間をかけて、最終決断をする、その御本人にそういった状況を正しく理解させるということが必要なのではないかと私ども自身としてはそう思っております。

 中国が北朝鮮にかけた圧力の内容につきましては、ちょっと全部わかっているわけではありませんけれども、細目につきましては副大臣の方から答弁させます。

岩屋副大臣 先ほど大臣から申し上げましたように、実は詳細について我々承知をしているわけではございませんが、先生も触れられた中国外交部の定例の会見では、ここ二週間強調しているとおり、決議一七一八号が採択された後、中国は真摯かつ厳粛に執行している、そういうコメントがございます。

 では、しからばその中身は何かということについて、中国政府も明確にしておりませんので我々も承知をしているわけではございませんが、いろいろな形での圧力がかかっているというふうに想像いたしております。

長島(昭)委員 具体的な制裁というか、具体的な中身についてちょっと詳しく説明していただけなかったんですが、それはまた改めて聞きます。時間もないので、先へ急ぎたいと思います。

 なぜ、中国に対して、それはおまえ懐疑的過ぎるだろうと言われるかもしれませんが、中国の戦略目的というのを考えると、どうも我々の目指す目的とは多少ずれがあると思うんですね。なぜかというと、中国は、北朝鮮はまさに地続きの隣国ですから、余り締め過ぎて、ポシャって、そして大量に難民が押し寄せられたら困る、それから、下手を打って韓国が主導で朝鮮半島が統一をされ、鴨緑江の川岸に星条旗がはためくような、そんな状況も中国は困るわけでありまして、これは中国も綱渡りだと思うんですね。

 つまり、北朝鮮に核は持たせたくない、だから経済制裁というか、北朝鮮が少し本気になるように締めていく。締めていく過程でやり過ぎると困る。ですから、このアクセルとブレーキの踏み方というのは、これは批判しているわけではなくて、中国もかなり気を使って、神経を使ってやっているんだろう。しかし、余り神経を細かく使われると、我々が本当に目的としている北の核の放棄という目的を達成できるかどうか、これが疑わしくなると思うんですね。

 先ほど大臣、非常に重要なことをおっしゃいました。六者協議は必ずしも急がない。日本としてはその姿勢でいいと私は思うんです。つまり、外交というのは急いだ方が負けと言われますけれども、目的ではない、手段である六カ国協議を急ぐ余り、国際社会も、六カ国協議が始まるとどうなるかというと、これは想像ですけれども、一息ついちゃうと思うんですね。せっかく今、一七一八で国際社会が北朝鮮に対してきちっと向き合っているのに、今度六カ国協議をすれば、やっている間は恐らく北もばかなことをするはずがないと思うでしょうし、北も、やっている間はこっちでいろいろ言うけれどもわきで核開発は続けていられるし、こういうどちらにとっても一服してしまうような結果になりかねない。

 それと、もう一つ私が恐れるのは、六カ国協議が一たん始まると、さっき五カ国の意思が一致しなきゃいけないと大臣はおっしゃいましたが、一致させるのはなかなか難しいですよね。そうすると、せっかく一七一八で国際社会が共同歩調をとっているのに、六カ国協議が進めば進むほど、今度は、中国とアメリカの意向が違ってくる、アメリカと日本の意向も、あるいは韓国が一番危ないと思いますけれども韓国から何か不協和音が出てくる、こういうことになって、ますます北朝鮮に足元を見られるということになると思うんです。

 ずばりお聞きしたいんですけれども、仮に六者協議を開催して、そしてそこから、去年の九月から十一月で失敗した、つまり九月十九日の共同声明を実施に移す具体的な方策、これをもう一回やらなきゃいけないと思うんですけれども、どういう具体的な方策で北朝鮮に最終的に核を放棄させるのか、ここは日本としてどういう戦略でやるのか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは長島先生、日本一国だけでとても対応できる話ではありません。したがって、日本としては、諸外国もしくは国連等々の機関を使って圧力をかけているということだと存じます。

 北朝鮮の望んでいるものは何か、その目的は、今の体制の維持なのか、今のレジームの維持、もしくは今のアメリカの攻撃のなしを保証とか、いろいろうわさは出ていますが、直接自分で、これが条件だということを正式に向こうが提示して、その条件さえ保証してくれれば核兵器関連の開発等々は放棄という向こうの条件というのをまだ提示されたわけではありません。したがって、どれが最終目的なのかというところが我々には見えておりません。

 それから二つ目は、持っているだけで、これが他国もしくはテロリストに売却もしくは密輸等々されて、それがどこかに持ち去られて、プルトニウムなりなんなりを爆発させられる、いわゆる自爆テロみたいな形でやられるのを最も恐れているのが先進国側、国際連合側だと思っておりますので、そういった点を含めまして、要は、きちんとそこの物の管理が、IAEA含めて、丸々ガラス張りにしてある、日本なんかそういうぐあいにしてあるわけですけれども、そういうようにしてもらえるのか。

 条件はいろいろ出てくるんだと思いますけれども、朝鮮半島から核の存在というものそれ自体をなくそうとしております韓国、日本、中国と、何となくそれを拡散さえしなければいいやというところで妥協してこようとする勢力というのもあろうと思いますので、そこらのところは、これからの中で、よくよく六者の中で協議をしていく、大事な詰めの一点だと思います。

 それで、我々としては、あそこから核というものがなくなりさえすれば、いわゆる北朝鮮の経済とかいろいろな意味での繁栄というものは、韓国並みとはいいませんけれども、今の最貧国から脱して経済発展をされていくということが約束される、もしくは、今の体制だとかいろいろな向こうの出す条件に対して、今度は、今の条件には、民主主義にせねばならぬ、軍事政権はだめ、金正日体制もだめ、きちんと開かれたものにしろというところまでいけるかというと、それはまた、なかなか別の次元の話になってきて難しいと思いますので、そこらのところの交渉は今からなかなか長時間かかっていくものだと思いますので、やはり五者で一致して押していくという場合、そこらの調整をよくした上でやっていかないと、国によって優先順位のつけ方が少し違ってはせぬかなというのが私どもの見方です。

長島(昭)委員 私も外務大臣と同じように、日米ですらもしかしたら思惑が違ってくる可能性があるので、そこはぜひ気をつけていただきたいと思いますし、具体的に言えば、ライス国務長官が言っているように、今核兵器を製造している寧辺の原子炉の再処理施設、この五メガワットの施設をやはり閉鎖する、これが一つのゴールだと思いますし、それがきちんと国際的な査察のもとで行われる、これに向かってじわりじわりと追い詰めていかなければならない、こう思うんです。

 一点だけ確認をさせていただきたいのは、そういう中で、今のアメリカのやり方というのは、思惑の違いももちろんあるのかもしれませんが、どうも中国にかなり任せている嫌いがある。中国の目的というのは、先ほど申し上げたように地域の安定化ですから、必ずしも私たちが感じているような脅威の除去ではない可能性がある。

 そこで私は、一つのアイデアとして、これはアメリカの中でも随分と議論が出ていますけれども、ここは一番、米朝の間で、二国間できちっと協議をして、少なくともクリントン政権のときに、いろいろな批判はありますけれども、あの寧辺の核施設はきちんと封がされて凍結をされ、国際査察のもとにあった、この事実にかんがみて、そこをきちっとやらないと、今回の核実験を許したのは、やはりあの寧辺の核施設の再処理をさせてしまった二〇〇二年の十二月ですか、あのとき以来寧辺でデュープロセスが始まって、そこから抽出したプルトニウムで、今まで一個か二個だったのが四発―八発と言われていますけれども、少し多くなったのでばあんと実験できた、こういう点もありますので、外務大臣、ぜひ、米朝二国間直接交渉の有効性についても少しお考えいただきたいと思いますが、最後、時間がないんですが、よろしくお願いします。

麻生国務大臣 アメリカは、六者協議の中で米朝間で直接対話をするということには全くやぶさかでない。ただし、コンドリーサ・ライスが平壌へ行って北朝鮮と二国間で直接交渉することはしない。なぜなら、前に、マドリン・オルブライトのときにそれをやってきれいにだまされたわけですから、それを指摘して今の共和党政権は選挙に勝った。今回コンディが行ってまただまされたら、もうとてもじゃない、次の二年後の選挙は完敗しますからとてもそれはできないということだろうと思います。事実、米韓日の外務大臣会談でそれは言下にはねつけております。

 ただ、現実問題として、米韓朝とか米朝中で対話をしたときにはいろいろやっているんですけれども、アメリカがいて時間どおりに全然来ない、中国も来ない、何をしているんだと言って朝鮮側に電話すると、朝鮮側は中国は来ているかと言うから、おまえ、二国間対話をする最もいいチャンスを何で失うんだと言っても、中国がいるから出てこない、いや、中国より先におれが行くとおれのメンツにかかわる。そういうことはなかなか難しいんです。

 そういった話を聞いて、これはなかなか難しいなと思ってその話を聞いていたんですが、これは事実、韓国も全くそのとおりだったと言っていましたから、いろいろな意味で、そういった話というのは、普通の状況からいったら、六者協議をやっているときの別の席でというようなところが現実問題としては双方で落ちつけられるところかなというのが正直なところであります。

 いずれにしても、アメリカとイランの場合も、あの事件以来二十四年か五年かあいていたのが、アメリカ、イランというのは一応直接交渉の開始が始まっていますので、そういった意味では、安全なものをセットしておいて米朝間でやるというのをやるので、いきなりぽいとどこかで二人でやるということは、これまでだまされてきた経緯からなかなか難しいだろうと存じます。

長島(昭)委員 ぜひ、日本の国益がきちんと達成されるように頑張っていただきたいと思いますし、日本の場合、国連安全保障理事国もことしいっぱいで期限が切れますので、国連の理事国から外れた立場でも日本の主張をきちんと展開していただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 大臣には罷免要求ということで今話が進んでいるわけですけれども、このもともとになった話というのは、我々が別に聞いたから出てきたわけじゃなくて、やはり大臣がこれは信念を持って言われたんでしょう。そういう意味では、私たちの方で何度も確認したわけですけれども、なかなかそのお考えがお変わりにならないみたいなので、それでこの罷免要求という形になったわけです。

 このもともとの議論として、例えば核不拡散という話があります。今長島議員からも、その核不拡散の話についてはいろいろ議論をさせてもらいました。この核不拡散については今非常に危機的な状況だと私は思いますけれども、大臣はいかがですか。

麻生国務大臣 核不拡散が危機的状況という定義がよくわからないんですが、少なくとも、インド、パキスタン以後、北朝鮮が核実験をやったということをもって、つまり、イランも今つくろうとしているとかいうのをもって危機的状況というような定義、ちょっと定義の前提がよくわからぬので答えようがないんですが、そういう意味でしょうか。

山口(壯)委員 この間、インド、パキスタンについて私も大分議論させてもらいました。このインド、パキスタンについてはやはり甘過ぎたんではないか、割と早くに援助を再開してしまった、ある意味では、日本は本当に核不拡散について哲学を持ってやっているんだろうか、こういうことです。

 アメリカについては、特にダブルスタンダードということを言われます。ダブルスタンダードというのは、いい核と悪い核を分けているわけですね。悪い核というのはアメリカにとってはイスラムの核、そしていい核というのはどうもインドの核に当たるようだ。そういうことは日本はやってはいけない、日本は核不拡散に対しては哲学を持って、信念を持って進めなきゃいけない、こういうふうなことをこの間議論させてもらったわけです。基本的に大臣もその点については異論はないように私は認識しています。

 そういう意味では、今度北朝鮮が核実験をしたと言っている、ほとんどしたことは間違いないでしょう。そういうことから考えると、やはりこの核不拡散の話をどうしてもここで食いとめておかなきゃいけない。その意味では、日本の持つ言葉に説得力がなきゃいけないわけです。そういうことを指しているわけです。

 もう一度大臣から、このインド、パキスタンも含めて、今核不拡散について非常にみんなが心配していると私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 核不拡散の話につきましては、これはニューヨーク時間で二十六日、日本時間二十七日未明ですけれども、いわゆる国連の第一委員会というところにおいて、日本が主導して、いわゆる圧倒的多数で……(山口(壯)委員「毎年の恒例です」と呼ぶ)毎年、毎年ふえているんですよ、数は間違いなくふえていますよ、山口さん。この努力を認めてくださいよ。最初のスタートとは全然違いますよ。毎年ふえています。それは間違いなく日本が主導してやってきている。そういう努力はしないで、毎年のことですよと、それだけですか。(山口(壯)委員「それだけで論議はならないんです」と呼ぶ)

 私どもとしては、少なくともそういった努力をきちんとしているという事実をまず踏まえておいていただいて、私どもの核不拡散に対する態度というものは、これはアメリカは反対ですから、それに対して日本は一貫して、この話に関して圧倒的多数で採決されるところまで来たという努力は、毎年の努力だ、大したことないというような考え方は私どもと主張が違います。

山口(壯)委員 今、大臣、その話を持ち出されるのは、いつも大臣が核発言をしているけれどもというところで出されるんです。その努力をされているから核発言があっていいということにはならないです。ならないです。

 特に、今おっしゃったように、アメリカが非常にここは実は問題のところを持っている。核不拡散については、核保有国がその核廃絶の努力を必ずしも十分にしていないというところがあるわけです。現実に、今大臣がおっしゃったとおりです。

 特に、この包括的な核実験の禁止条約、いわゆるCTBTと言われているものです。秘書官、大丈夫です、私は急に意地悪な質問をしませんから。この包括的核実験禁止条約について、これが発効していれば核拡散がかなり抑制されていたはずです。現実に、大臣が今言われたとおり、アメリカはこの条約について批准していないわけです。批准というか、署名はしているけれども、批准はしていない。こういうことについて、日本が説得力を持ってアメリカに話せるかどうかというところがあるわけでしょう。大臣、話されましたか、こういうことを。

麻生国務大臣 日本はよく、我々の置かれている立場は、周りは、ソ連、中国、アメリカ、北朝鮮も含めて、核保有国と接しております。日本はその中にある国です。そういう状況の中にあって、日本は、アメリカの核の傘によって日本の防衛というものはかなり守られている。アメリカの核の抑止力の中におる、いわゆるアンブレラと言われる傘の中にいる国だというのが日本の立場、よく御存じのとおりです。

 インドがよく前に言うように、おれたちはどこの国の傘もない、隣に中国が持ち、パキスタンが、おれたちがやらなきゃどうする、これはよくインドの言うせりふです。そういった中にあって、うちは持たないという話をずっとしてきておりまして、アメリカに対して言っているかといえば、世界じゅうの核保有国は核を全部やめるということを言ってくれる、かつ、それを実行してくれるという条件が整えば、話は非常に前向きになると思いますが、現実問題としては、核というものに関しましては、今我々の周りはそういう状況にはありません。

 したがって、日本という国がアメリカの核の傘によってかなり防衛を頼っている今の現状の中において、日本がアメリカに対して言う発言というのはかなり制限されざるを得ないというのが今の現状だと理解しております。

山口(壯)委員 これは突然の質問ですから、もしも答えられればで結構です。

 CTBTについて、例えばロシアは批准していますか。もしも答えられなければ結構です。

麻生国務大臣 ロシアについてはよく存じません。

山口(壯)委員 秘書官、では、すぐ調べて大臣に報告してください。私の質問時間内で答えていただければ結構です。

 したがって、今大臣は、核があっても仕方がない、これはある意味で現実的な話ではあります。しかし、日本として、やはり理念を持って、世界の中でどういうふうに核をなくしていくかというところは、我々はやはりいつも片っ方において思っておかなきゃいけないことでしょう。だから、最初からあっても仕方がないじゃないかということでは、日本の言葉に説得力がなくなります。

 大臣、日本が核を持つという事態、これについては各国が当然のことながら警戒もし、心配して当然だと私は思いますけれども、大臣は、そういう点について、各国の反応についてどういうふうに認識しておられますか。

麻生国務大臣 重ねて申し上げておきますけれども、まず最初に、もうこれは今回も言われましたので、これは山口さんの御指導によっていろいろ質問が出てくるんじゃないかと思っていますが、私は、過去何回か開かれましたこの外務委員会、もしくはその他のこの種の質問に関しても、同じことしか言っておりませんので、今回もまた全く同じことを答えざるを得ないので、それをあらかじめお断りしておきますが、一般論としてという話を最初に申し上げて、それぞれの時代状況において、国際状況というのがありますので、それを踏まえた上でさまざまな議論があるのは当然なんであって、それは外国においても同様です。加えて、ただし、日本の場合は核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずという三原則を維持し、歴代の内閣が累次にわたってこの問題について皆同様の発言をいたしております。

 したがって、この考え方というものに関しましては、アジア諸国を含めて、十分に徹底されていると理解をしておりますし、この六十年間の日本の戦後の歩みを見れば、軍国主義とかいろいろ言われますけれども、そういったような状況にはないということだけは極めてはっきりしておると思っております。

 また、ASEANの地域フォーラム、いろいろやっておりますけれども、この種の懸念というものに関して、今、多くの我々のこれまでの先輩たちの努力によって、この種の話によって、日本が今すぐ核を持つというような懸念というものに関して、我々に直接表明があったということは、私に対して直接あったことはありません。ただ、そういった疑問がいろいろ出されてくる、そういった話が議論があるということまでをちょっと私どもの立場にしては封殺する立場にはないと存じます。

山口(壯)委員 きょうお配りさせてもらったこの資料、ただ単にこれは全部新聞記事ですけれども、例えばアメリカの大統領がわざわざ日韓の核武装に反対、それで来たのがライス国務長官でしょう。ちゃんと守ってあげるから持たないで、こういうメッセージがあったと思います。

 現実に、今大臣からは答弁はなかったわけですけれども、各国はどういうふうに反応しているか、このことについては答弁はありませんでしたけれども、現実にアメリカについては非常に心配している。それはそうでしょう、日本が核を保有するという話になったら、対北朝鮮六カ国協議どころじゃない、対日六カ国協議が始まるわけですよ。北朝鮮の場合は中国とロシアが味方したかもしれないけれども、対日六カ国協議になったらだれも味方してくれませんよ。それほどアメリカはこのことについては神経質になっている。

 私が言いたいのは、私はこの間も言いましたけれども、外務省の奥深くとか、防衛庁の奥深くで議論されるのは、私はそれは決して悪いとは言わない。しかし、外務大臣が言われることというのは非常に意味が違うんです。だから各国はこうやって心配するわけです。麻生太郎議員が一議員として言われることについては私は問題ないと思います。だけれども、外務大臣の間に言われるからみんなが心配している。韓国の潘基文さんも懸念を表明されておられる。これは当たり前の話です。それから、この間、フィンランドの議長さんたちが来て、我々も会いましたけれども、現実に彼らもそのことが非常に気になっている。これが各国の反応ですよ。

 賢く振る舞ってくださいと言っているんです。信念を持っておられることは、それは政治家だから当然です。しかし、外務大臣として賢く振る舞っていただかないと、日本として、ある意味で偏ったメッセージが行ってしまう。みんなが心配して当然だと思うんです。日本としてどういうメッセージを持っているかということです。

 岩屋副大臣、どうですか。大臣が核保有について議論されるのは大事だ、あるいは議論された方がいいというふうに言っておられるように私には聞こえるわけですけれども、副大臣、そのことについて、した方がいいかどうか、お考えをお聞かせいただけますか。

岩屋副大臣 私は、麻生大臣の発言は極めて明瞭で穏当であるというふうに思っております。

 大臣は、議論をしようということをおっしゃったことはないと思っておりまして、時代状況によって安全保障に関する議論は当然起こるだろうし、それはあってもいいでしょう、核の問題については、無知のままでいるよりは、議論をすれば恐らく合理的な結論に達するだろう、合理的な結論とは現在の政府の方針である非核三原則だ、だから議論があってもいいということを大臣はおっしゃっておられるにすぎないというふうに私は感じております。

山口(壯)委員 いろいろな検討をして、そして日本として核は持たない方がいいだろうという結論が既に現実にあるわけですから、だからそこを議論しようということになると、これはひっくり返そうというメッセージになるわけです。現実になっているわけです。だから、そういうことじゃないんだということをあえて言わない限り、沈黙は承諾のしるしです。

 浅野副大臣、どうでしょうか。この議論というのは大いにした方がいいと副大臣も思われますか。

浅野副大臣 麻生外務大臣は、非核三原則は堅持するとたびたび明言しています。その上、原子力基本法、NPT加盟国としての立場から、法的にも核兵器の保有は許されないことを重ねて述べています。一般論として、隣の国が核実験をしたという新たな国際情勢を踏まえて、安全保障政策について議論をすることを妨げるものではないという趣旨を述べたと私は理解しています。

 一方、政府部内では非核三原則について議論はしないことをあわせて明確にしているわけでありまして、私は、ごく自然な、時代の状況、国際情勢の変化を踏まえた、ごく常識的な議論をしているものと受け取っております。

山口(壯)委員 副大臣、やはりその認識は、若干私は違和感がありますね。というのは、例えば、日本として説得力を持って、もう核は不拡散でしっかりやろう、核拡散させないようにしっかりやろう、こういうのが日本の使命ですよ。そういう意味では、いろいろな状況に応じて日本も持ってもいいかどうか議論しようか、そういう話に結びつきかねないから私は危険だと申し上げているわけです。

 松島さん、政務官としてどうお考えですか。

浅野副大臣 委員長、一言よろしいですか。

山口委員長 では、浅野外務副大臣、簡単に。

浅野副大臣 重ねての御指摘でございますが、日本政府は、あわせて麻生外務大臣は、非核三原則は堅持するということを明確に内外に向かって繰り返していることを改めて申し上げておきます。

山口(壯)委員 したがって、副大臣あるいは麻生大臣あるいは岩屋副大臣も、そこでとめておけばいいんですよ、日本が賢くやるためには。なぜそこからもう一つ入るかというところが問題なんです。あるいは、問題というよりも、賢く振る舞ってくださいということです。賢いか賢くないかというのが一つの外交のポイントですから、正しいか正しくないかというのともう一つ違う面があるわけです。だから、そこはきっちりしておかないと、日本が誤ったメッセージを出していることになっているわけです。

 松島さん、どうですか。

松島大臣政務官 私も、この委員会でたびたび麻生大臣の御答弁を聞いておりました。

 麻生大臣は、非核三原則を日本は守るんだ、そして原子力基本法に基づいて原子力の平和的利用、さらにNPT体制に入っているんだということを繰り返しおっしゃった上で、核がいけないということを固定概念として、何かみんなよくわからないけれども、勉強もしないで、昔の経緯もわからずに、何となく思っている人たちもいるから、それはきっちりと勉強したり議論したりして、核不拡散や、核を持っちゃいけないということについての理解を国民が深く認識することが大事だ、そのように言われていると私は受け取っております。

山口(壯)委員 文脈上そうなっていないわけです。非核三原則あるいはNPTの話について、それをはっきりぴしっとピリオドにしておけば、それははっきりしたメッセージですよ。しかし、その上でいろいろ言われると違うメッセージになってしまう。浅野副大臣、それから松島さん、今もうお聞きしましたから、公務が差し支えないようにお戻りください。ありがとうございます。

 この問題について、日本が核を持つ、持たないという話は、いろいろ理論的にいったら抜け道はどんどん出てくるんです。この間、前原議員から、例えば核実験する場所も日本にはないんだからという話はありました。しかし、こんなのは抜け道はいっぱいあるんです。

 例えば、イギリスがアメリカで、ネバダの核実験施設を使って何度もやっているわけでしょう。イギリスについては、施設利用を最初アメリカに打診して、最初はうまくいかなかった。断られて、一九五二年十月だそうですけれども、オーストラリアで最初の実験に成功している。確かに、だだっ広いところがあるからオーストラリアはやらせたんでしょうね。ところが、七〇年代にはアメリカはネバダの地下核実験場を貸して、四年間で五回イギリスは実験している。日本も同盟国だから貸してくれという話は理論的には出てきますよ。だから、そういう意味ではいろいろな理論的な抜け道というのはいっぱいあるんです。

 例えば、この持ち込ませずという議論だって、自民党の中ではいろいろ議論されているわけでしょう。これは、昔のアメリカとヨーロッパの、いわゆる専門用語で言うとデカップリング、要するにSS20という戦域核が出てきたときに、これに対応してヨーロッパだけ届くミサイルを配備するとヨーロッパの中だけで限られてしまうから、アメリカが自分のニューヨークを犠牲にしてまでパリは守ってくれないだろうと。いわゆるデカップリングですね。ヨーロッパとアメリカが離されてしまう、現実に防衛のコミットメントが阻害されるだろう、現実にはこういう議論につながってしまうわけですね。

 だから、みずからそういう墓穴は掘らない方がいいと私は思いますけれども、自民党の中では相当そういう議論も出ているみたいなんです。だから、賢くこれから振る舞う。特に、今まで既に検討して、この話については抜け道とかそういう話がないように日本としては明確なメッセージを持っておいた方がいい。外務省の中でしっかり理論的な、あるいは可能性として議論するのは、例えば安全保障に関してやるのはそれは勝手ですよ。だけれども――今、政務官、せっかくお越しいただいているんですね。

 私も今議論させていただいていますけれども、やはり核に関するあるいは日本の保有に関する議論を日本としては明確なメッセージとしてはっきりさせておいた方がいいんじゃないのか。保有した方が、あるいはしない方がいいというあいまいな議論で、かえってみんなの懸念を増長させない方がいいんじゃないかというのが私の意見ですけれども、政務官はどうお考えですか。

関口大臣政務官 今御指摘をいただきましたとおり、麻生大臣は一貫して、我が国は核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずの非核三原則を堅持していく立場を貫くということで、委員会においても明言しておりまして、私は法的にも原子力基本法またNPTから見ても我が国は核兵器を保有することはあり得ないと考えております。そして、麻生大臣もこの非核三原則は厳守すると明確に答弁しております。

山口(壯)委員 それでは政務官、お答えいただけますか。

浜田大臣政務官 ただいま関口政務官からも御答弁しましたように、我が国は非核三原則を堅持する、これは変わっておりません。また、原子力基本法、またNPTのことを考えれば、核保有することはあり得ないと思っております。

 それでは、仮に議論することがあるとすれば、それは十一月の八日に安倍総理がQTで答弁されているように、核保有というものは政治的にも軍事的にも意味がないということを議論することだと思っております。

山口(壯)委員 特に、最近の核保有をめぐる論議、浜田政務官に余り違和感はありませんでしたか。

浜田大臣政務官 麻生大臣は、先ほどもありましたように、非核三原則を堅持すると明確に言っておられます。そういう観点から、私は違和感はございません。

山口(壯)委員 明確に非核三原則を堅持してという、その上での議論、その部分について浜田政務官は余り違和感はありませんでしたか。

浜田大臣政務官 その旨につきましても、原子力基本法、またNPTに加入をしている観点から踏まえても、全く異論を挟む余地はないと思っております。

山口(壯)委員 きょう、私がこうやっていろいろ質問させていただいて、大臣あるいは副大臣あるいは政務官の立場が極めて明確になったわけですから、そういうラインでやはり徹底していただきたいと思う。このことが世界に伝わっていきますから、ああ、日本としては非核三原則をきっちり守るという、ここはもう賢くしてください。

 いろいろな議論は、それは事務方がこっそりやるものは、別に世間で騒がす必要はないんです。軍事の話というのは大っぴらにがたがたやる話じゃないんです。例えば敵基地攻撃論なんて話が昔出てきました。ああいうのは大っぴらにやる話じゃない。ある意味で、秘められた部分が軍事の大事な部分ですから、よっぽど相手をおどかしたいんだったら別ですけれども、そうじゃない。こういうものは賢く、賢明にやっていただきたいと思います。政務官、どうもありがとうございます。

 大臣、罷免要求というものを出させていただいている。一議員としてこういう議論をされることについては、我々は一切文句は言いません。だけれども、外務大臣として、そういう公の大きな立場としてされることに我々は懸念を持ったわけですから、そこの趣旨をしっかり共有させていただければと思います。

 そして、今御確認いただいたような非核三原則の話、NPTに関する日本の立場、この辺はしっかり強調されて、そして日本として説得力を持って核不拡散の話も先導できるように、イニシアチブがとれるように、韓国、台湾との間でも、お互いそういうラインで頑張ろうなと言えるように、自分自身が、いや、そうじゃない立場もあるんだけれどもなんて言うようじゃ先導できませんから、日本としてそういう外交をぜひ進めるべきだと思います。

 質問を終わります。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。きょうは、久しぶりに外務委員会で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 時間がありませんので、端的に聞いていきたいんですが、まず最初にNLPの問題であります。

 報道によりますと、NLPの恒常的な訓練施設を岩国基地から約百八十キロ以内で選定するよう日本側に要求している、こういう報道がありました。ロードマップでは、二〇〇九年七月までに施設を特定することになっています。この二〇〇九年七月までに選定をする、こういうぐあいに決めた理由は何ですか。

大古政府参考人 防衛庁からお答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、FCLPと我々申しておりますけれども、恒常的な施設につきましては、「二〇〇九年七月又はその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とする。」ということで、本年五月に合意された、いわゆるロードマップに記述されているところでございます。

 この二〇〇九年七月というのは、日米間の協議だとか、それから各調査等に一定の期間を要しますので、最短目標の目安という意味で挙げられているものでございます。

赤嶺委員 その報道では、岩国と築城あるいは大黒神島というぐあいに挙がっているわけですけれども、せんだっての安保委員会で久間防衛庁長官は、具体的にこれから先どういうことになっていくかわからないと答えておられます。最終的にどういうことになっていくか、これは別として、アメリカ側が百八十キロ以内で選定するように求めている、これは事実ですか。

北原政府参考人 ただいまの御質問に御答弁申し上げます。

 恒久的なFCLP施設につきましては、先生御指摘のとおり、本年五月一日のロードマップに基づきまして、「二〇〇九年七月又はその後のできるだけ早い時期に選定する」といったことで、今目標にして鋭意取り組んでいるところでございます。そして今現在、米軍の運用上の所要ですとか騒音あるいは環境、その他もろもろの状況等につきまして、日米間で精力的に協議を行っている段階でございます。

 したがいまして、まだ具体的な施設整備場所等を特定するには至っていないわけでございまして、こうした段階で、今、先生御質問の点等につきまして、日米間の協議の具体的なやりとりといったことにつきましては、現時点ではお答えは差し控えさせていただきたい、そのように考えております。

赤嶺委員 施設庁長官、今、協議中のことであるのでとおっしゃっておりましたが、久間長官はこの間の安保委員会で、岩国はないというぐあいに、協議の中身に立ち入っておっしゃっているわけです。

 それから、皆さんが回答した文書の中に、築城基地でそういうことは考えていないという回答文書があります。大黒神島も、地元住民の反対で計画を断念した経過があります。

 報道されているいずれの場所も、皆さんが否定してきたところであるわけですが、そういう場所は、いずれにしても対象にはならない。このことははっきりしていると思いますが、いかがですか。

北原政府参考人 十月二十九日の共同文書、また本年五月一日のロードマップにつきまして、私ども、現地へ参りまして、それぞれ自治体等に御説明をさせていただいております。

 そうした中で、このFCLP施設がどこにできるのかといったことに大変大きな関心をお持ちになっていらっしゃいました。その中で、岩国につくられるのではないかといった御質問がありましたが、私どもの方からは、それはございませんと。

 いずれにいたしましても、今申しましたのは、二〇〇九年の七月云々ということと、それから、その所要、環境その他をかんがみて整備していきたい、そういったことを私は地元の方に申し上げているところでございます。いずれにいたしましても、岩国につくるということはございません。

赤嶺委員 築城についても、そういうことはあり得ないという回答をしていますけれども、いかがですか。そして、大黒神島についても、これまでの経過を踏まえて、つくらないということになっているはずですが、いかがですか。

北原政府参考人 岩国あるいは築城の今の航空自衛隊の基地、それから、今御指摘いただきました広島の大黒神島等、それぞれといいますか、大黒神島につきましては、先生御指摘のとおり、いろいろ経緯がございました。この点につきまして、今、個別に、具体的に挙がりました点につきましては、私ども、そういうことをそこで、FCLP施設をそこに求めるということは考えておりません。

赤嶺委員 次に、劣化ウランの問題について聞きます。

 普天間飛行場や、あるいは嘉手納基地のヘリ、輸送機、これに劣化ウランなど多数の放射性物質が使用されている、こういうことが米軍のホームページでわかったという報道があります。この点は事実ですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろな報道がされているということについては、私どもも承知しておるところでございますが、米軍の航空機、この部品が、どういうものが含まれているかということの一々については、必ずしも政府として詳細を承知しているわけではございません。

赤嶺委員 ホームページは、ごらんになったことはありませんか。

河相政府参考人 申しわけございませんが、私自身がそのホームページを見たことはございません。

赤嶺委員 県民が大変不安に思っていることです。また、県民のみならず、在日米軍基地で使用している航空機において放射性物質が使用されている。本土でも墜落事故がたびたび起こっているわけですから、その辺、しっかり調査をしていただきたいと思います。

 ところで、自衛隊の航空機では、そういう放射性物質を使っているのはありますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が保有しております航空機に、御指摘の劣化ウランを使用しているというものはございません。

 ただ、御指摘の報道も見させていただきましたけれども、報道にございますストロンチウム90につきましては、海上自衛隊が保有しております掃海ヘリコプター、MH53Eというものでございますけれども、その回転翼安全装置等に使用してございます。

赤嶺委員 民間の航空機は今はもう使用していないんですよね。県民、国民への被害を想定してのことであります。

 この問題はまた後で時間があれば取り上げていきたいというぐあいに思います。

 次に、キャンプ・ハンセンのレンジ4の問題について聞きます。

 レンジ4で八日午前、カービン銃を持った陸軍兵六人が民間地域に銃口を向けて訓練を繰り返していたというのが目撃され、写真も撮られております。その事実関係について説明してほしいと思います。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 今お尋ねの点につきましては、九日の新聞報道で私どもそれに接しまして、改めて那覇防衛施設局から在沖の米四軍調整官事務所に確認をしているところでございます。

 それで、米側当局からは、これは兵士の姿勢及び動作をチェックする訓練をしていたものだ、そして、実弾は使用しておらず、居住地域の方向に射撃を行うような訓練ではないといった回答がございました。

 この点につきまして、再度私どもといたしましても詳しく米軍に確認をしたところでございます。

 その兵士の動作また姿勢を確認するという訓練でございますが、これは屋上を使用してやったわけでございますが、その際には、弾倉を取り外す、そして銃の内部に実弾が残っていないかどうか、それを安全管理者の指導のもとで確認をして行ったものでございまして、今申し上げた兵士の動作また姿勢を確認するための訓練というのは、米軍の実施する訓練の中では極めて一般的なものでございまして、訓練する場所を特定して行っているものではございません。

 なお、今回、先生御指摘の今の訓練につきましては、キャンプ・ハンセン、レンジ4の射撃用建物の屋上で行ったものでございますが、当然のことながら、私ども、この射撃用建物についての訓練、これは、そこで実弾を使う、射撃をするといったものは、この建物の内部のみで行っている、そこは私どもも確認しておりますし、米軍からもそういったことを再度確認したところでございます。

 ただ、私ども那覇防衛施設局といたしましては、今申し上げたようなことを照会して事実関係を求めたわけでございますが、我々といたしましては、訓練に当たっては、地元にいろいろな誤解を招くことのないよう、特段の配慮をされるよう要請をしたところでございます。

赤嶺委員 レンジ4は民間の住宅地から三百メートルしか離れていない場所に存在するから、これは欠陥訓練場だということをたびたび指摘してきたわけです。

 今まで外務省は、民間に向けることはない、山に向かってやるんだということでありました。銃弾が入っていなければ民間地に銃口を向けた訓練をやっていいんですか。いかがですか。

山口委員長 北原長官、時間が余りないので、簡単にお願いします。

北原政府参考人 民間地に銃口を向けたとか、そういったことではございません。

 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、訓練の内容は、兵士の動作及び姿勢を確認するといった一般的な訓練でございますが、繰り返しになりますが、そうした訓練につきましても、地元に対する特段の配慮をするようにということを強く申し入れたところであります。

赤嶺委員 動作を確認するということは、ぐるりと一周回るんです、三百六十度。だから、民間に向くんです。その動作を繰り返し繰り返し行うわけですから、これは民間に、住民に不安を与えることは間違いないわけです。欠陥だと言ってまいりました。

 それで、暫定使用だと言ってきたわけです。その移転の問題は今どうなっていますか。

山口委員長 時間が来ていますので、北原長官、簡潔に。

北原政府参考人 レンジ4につきましては、今度レンジ16近くに移設するということで、今、私どもフル回転でその新しいレンジの建設、整備に努めているところであります。

赤嶺委員 終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 十一月七日に投開票されたアメリカ中間選挙は、民主党が上下両院で勝利し、共和党は敗北を認めました。また、知事選挙においても、民主党が勝利をしました。このように、アメリカにおける中間選挙は、ブッシュ大統領のイラク政策に対する厳しい批判が審判の結果としてあらわれたと思っております。

 ブッシュ大統領の外交政策は不信任をされたのです。もはやブッシュ政権は弱体化し、死に体になったも同然と指摘する者もおります。ブッシュ大統領に追随をし、対米従属の外交姿勢を展開した前小泉総理とそれを継承する安倍総理は、アメリカ中間選挙の結果を厳粛に受けとめて深く反省すべきであります。

 外務大臣は、アメリカ中間選挙の結果をどのように受けとめられたのでしょうか。

 また、アメリカ中間選挙の結果は、ブッシュ政権のイラク、北朝鮮政策にも影響を及ぼすものと思われます。我が国の外交政策上、イラク、北朝鮮政策の関係で麻生大臣の所信を伺います。

麻生国務大臣 米国の中間選挙につきましては、先ほど最終的な、インディアナも決まったと思いますので、四十九対五十一だと思います。これで上院におきましても民主党が勝利ということになった。それから、下院の方は、まだ最終的に決まっていないところが、御存じのように、パーセントの差によってもう一回再調査ということになっておりますので、それで、御存じのように、六年前の選挙のときには、フロリダでえらい長いこと訴えたり訴えられたりしたというあの騒ぎがありました。まああんなことにはならないと思いますけれども、まだ最終的なところを下院の方は聞いておりませんので、いずれにいたしましても、民主党が過半数を制したということは確かだと存じます。

 したがって、それが直ちにアメリカのブッシュ政権にどのような影響を与えるかということに関して、ちょっとこれは国内政治にかかわる、アメリカの国内政治の話ですので、私どもとして、それがどう与えるであろうという、おか目八目みたいな話はちょっといかがなものかと思いますので、述べる立場にないというのが第一点。

 二つ目は、それによってイラク政策もしくは北朝鮮政策にどのような影響を与えるかという御質問でありましたけれども、これも同様なことでコメントするわけにはまいりませんというのが立場です。

 ただ、ラムズフェルドという人が中間選挙の後には退官するという話は、これはかなり前から、アメリカの中では、ワシントンDCではよく言われていた話でもありました。これに対して、後に来ましたゲーツという人のこれまでの経歴から見ますと、いわゆるコンドリーサ・ライス長官の上司でもあった男でもありますが、いずれにいたしましても、ラムズフェルドという人は、御存じのように議員さんでありました。いわゆる役人とか学者から大臣とか長官になったんではなくて、議員から上がってきた。チェイニーとかラムズフェルドとか、いずれも元議員をやっておる人がなった人たちであります。ディック・チェイニーよりラムズフェルドの方が上にいたわけですから、そういった経緯もありまして、いろいろよく言われるような話はあるので、これが今度ゲーツにかわると、この人は非常に学者っぽいというか、もともとの生い立ちが、役人の世界から来た人でもありますので、少し対応が違ってくるかなという常識的なことは考えられますけれども、それが直ちにどのような形で影響が出てくるかまでは、ちょっと私の立場としてコメントする立場にはございません。

照屋委員 在日米軍再編は沖縄の基地負担軽減を実現せず、日米軍事同盟の強化と沖縄の米軍基地機能強化が進んでおります。

 ブッシュ大統領は、今度のアメリカ中間選挙の結果を受けて、ラムズフェルド国防長官を更迭しました。ラムズフェルド国防長官は、軍の再編、変革、いわゆるトランスフォーメーションを主導した人であります。

 アメリカ中間選挙のブッシュの敗北を受けて、ブッシュ政権が外交成果を求めるため、在日米軍再編問題で日本側に迅速な対応を迫ってくるのではないかと予測する人もおります。一方で、在日米軍再編を主導したラムズフェルド国防長官の更迭で、米軍再編、とりわけ普天間移設がおくれると指摘する人もおります。

 麻生外務大臣は、アメリカ中間選挙が在日米軍再編問題、沖縄の基地問題にどのような影響を及ぼすと考えるのか、所信を伺います。

岩屋副大臣 これにつきましては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担、とりわけ沖縄の負担を軽減する在日米軍再編を着実に実施すること、また、このことを通じて日米安保体制を一層強化するという方針は、アメリカ政府の一貫した方針であるというふうに私ども認識をしておりまして、政府として引き続いて米国政府と協力をしていきたい、こう思っております。

照屋委員 昨日、野党四党から麻生外務大臣の罷免要求も出たようであります。

 ところで、十一月六日、麻生大臣は、バーンズ、ジョゼフ両米国務次官と会談し、北朝鮮が核保有国の立場で六カ国協議に復帰するのは認められないとの見解で一致したとマスコミは報じております。

 その一方で、中川昭一自民党政調会長が日本の核武装の必要性に言及することを容認するのは、北朝鮮に核開発を認めない、北朝鮮はけしからぬと迫る態度と整合性を欠くのではないかと思いますが、麻生大臣の見解を求めます。

麻生国務大臣 まず最初に、照屋先生、これは何回となくお答えをしておりますので、また重ねて申し上げるようで恐縮ですけれども、核保有という話を私の方からしたことはありませんので、そこのところだけ何回もお断りをしておきます。非核三原則についての議論の話を申し上げておるのであって、今お話を聞いていると、日本として核保有をすべしかのごとき話にうかがえますけれども、そういった話をしたことはありませんので、そこのところだけは頭に入れておいていただきたいと存じます。

 その上で、北朝鮮の核保有に関しては認められない、これはライス国務長官来日のときにも冒頭にこの話はしてありますし、北朝鮮問題について一緒に韓国に訪問したときにもこの話をしておりますし、また、その後のライス国務長官の中国またロシアとの会談においても、この点はいわゆる六者協議の北朝鮮を除く五者に関しては一致をした上で、この問題の細目に詳しいジョゼフという国務次官とバーンズと二人で訪日をし、重ねてその話を詰めた上で、今度は中国においてロシアのアレクセーエフと会い、そして韓国において会談をし、いずれも同じ道を歩いて、国務長官、国務次官のレベルで全部再確認をしたということであって、北朝鮮を核保有国として六者協議に出席させるということに関しては、五者ともに共通してノーという答えを再確認いたしております。

照屋委員 終わります。

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十七分散会


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