衆議院

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第4号 平成19年3月23日(金曜日)

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平成十九年三月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口 泰明君

   理事 小野寺五典君 理事 嘉数 知賢君

   理事 三原 朝彦君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 山中 あき子君 理事 長島 昭久君

   理事 山口  壯君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤 公介君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      小野 次郎君    河野 太郎君

      高村 正彦君    篠田 陽介君

      新藤 義孝君    鈴木 馨祐君

      松島みどり君    三ッ矢憲生君

      山内 康一君    笹木 竜三君

      長妻  昭君    笠  浩史君

      東  順治君    笠井  亮君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  宮地  毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  斉藤  実君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    米村 敏朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 本田 悦朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 深田 博史君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           高田 稔久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   外務委員会専門員     前田 光政君

    ―――――――――――――

三月二十日

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出第四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出第四八号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官新保雅俊君、大臣官房審議官佐渡島志郎君、大臣官房審議官本田悦朗君、大臣官房審議官深田博史君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長西宮伸一君、中東アフリカ局長奥田紀宏君、内閣官房内閣参事官宮地毅君、内閣参事官斉藤実君、内閣府沖縄振興局長清水治君、警察庁警備局長米村敏朗君、経済産業省大臣官房審議官高田稔久君、大臣官房審議官石黒憲彦君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。

三原委員 きょうは、中国とともに世界で今ぐんぐん、あらゆる意味での影響力を拡大していますインドについて、少し話をさせていただきたい、質問をさせていただきたいと思っています。

 インドというと、すぐ言われるのは、世界で一番人口の多い民主主義国家である、こう言いますけれども、調べてみましたら、何と三割五分ぐらいの人は文盲なんですね。文盲だから民主主義じゃないということはないだろうけれども、話によりますと、選挙なんかを聞いていましたら、名前を書くんじゃなくて、象やロバか何かの絵がかいてある、それに丸をつけるんだなんという話を聞きますけれども、結構それもうそじゃないような感じもしますね。

 そういう中で、このところぐんぐん伸びているということですから、何か魅力というか、何かそれに対する理由があったんだろう。そのことを少しく知りたいなとも思って、きょうはここに立たせていただいておるわけであります。

 つい二週間ぐらい前ですかね、アメリカのフォーブスか何かを見ていましたら、世界の五百人のお金持ちのうち、日本が二十四、五人入っていました。インドはその倍以上ですかね。一人当たりの国民所得は、インドは今七百五十ドルぐらいらしいんですが、日本は平均が三万五千ドルでしょう。その中でお金持ちがこんなにいるということは、こんなひどい差があるんですよね。だから、日本の格差社会という言葉なんというのは、それこそ日本では優しい言葉になるんじゃないですかね。

 実は三十年前、私もインドにリュックサックをしょって三カ月ほど旅したことがありましたけれども、本当に差がありましたね。昔の王様、マハラジャが住んでいたところなんというと、すごいお城みたいなのがあって、そうかと思ったら、すぐ足元には、らい病にかかった人がお金ちょうだいと手を出している場面があってみたり、最高級の車に乗っていっている人がいるかと思ったら、町には、昔の人力車じゃないけれども、ああいうので汗をかきかき働いている人がいたりとか、本当に興味のある国だなと私は思ったわけであります。

 その国とつき合いをするというわけですから、奥深いといえば奥深いんだと思いますけれども、我が国はこれから先、南アジアの大国であるインドとより深いつき合いをしていくことは当然だと思いますけれども、それに関して、では、我が国の国益の観点から見たら、どういう点がインドというものは我が国にとって本当に有意義な国であろうかという、大きな目で見たインドというものをまずは教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 インド、中国を足しますと、地球の人口のほぼ三十何%になると存じますが、そのインドの中で、今御指摘がありましたように、ちょっと正確な人口統計があるわけじゃないので、十億とか十一億とか言われていますが、そこで識字率が高くない、いろいろ問題が多いことは確かだと存じますが、少なくとも今二〇%が中産階級と言われております。二〇%と簡単に言いますけれども、二億二千万ですから、それだけで日本の、いわゆる所得、数からいきますとえらいことになりますので、そういった意味では、このインドの存在というのは極めて大きい事実だと思っております。

 加えて、ここは、法律としては、民主主義を広く行っておりますという意味においては世界最大の民主主義国家。人口的に言えばそういうことになろうと存じます。

 今、御存じのように、情報通信機器の猛烈な発達によって、いろいろなものがインターネットでつながり、いわゆるITと言われる産業、ソフトのものからいきますと、このインドという国の持っております可能性というのは極めて大きい。少なくとも、ゼロを開発した国でもありますし、十九掛ける十九の計算が普通の子供が言えるというのは、日本人で十九掛ける十九まで言えるというのは余り知りませんので、そういった意味では、数学等々の基礎知識といったようなものが昔からなれているというようなところからいきますと、この国の持っておりますソフトの開発能力は高い。我々の方はハードが強い。そういった意味では、ソフトの強い国とハードの強い国が二つ手を結ぶというのは非常に大きな意義、可能性を秘めていると思っております。

 また、一九九〇年以降、明らかにここは社会主義圏の方からずっと離脱して、自由主義圏にその方向性を振っておりますので、その意味では、インドというのがその大きな国力というものをバックに、いわゆる人口とかそういった可能性をバックにあの地域において巨大な安定勢力になるということは、これは地域の安定性とかいうことを考えるときに、インド洋、またインド、アジア大陸におけますインドの政治的な安定というようなものは、これはアジア全体、他国に与える影響も極めて大きいと存じますし、日本にとりましては、これは経済的な面以外にも非常に大きなもの、可能性があると思っております。

 日本としては、インドとのつき合いというのを、今、正確には、たしかグローバルパートナーシップで、森総理の訪印のときですから西暦二〇〇〇年の八月でしたか、あのとき以来この言葉が使われるようになったんだと記憶しますけれども、そういう意味では、インドの持っております可能性というのは、日本にとりましても非常に注目して、大事にしておくべき相手だと思っております。

三原委員 今、ちょっと僕は不適切な発言をしたようで、同僚議員から御指摘いただきましたので、訂正させてもらいます。昔は確かに文盲と言っておったんですけれども、今は言わない、言っちゃいけない。識字率と言う。英語で言うとリテラシーとイリテラシー、こう言うんだそうでありますから、これからはきざに英語を使って言うようにしましょうね。そっちの方が問題が起こらないようだから。それは、済みません、私の知性、教養の足りなさで迷惑をかけたことをお許しいただきたいと思います。

 確かに今、大臣おっしゃったように、何か日印戦略的グローバルパートナーシップというのをやって、それに向けた共同宣言とかいうのもいろいろあったりして、大臣も昨年いらっしゃっていますよね。昨年の暮れにはシン首相も来られたりして、インドの方も我が国に対して、今おっしゃった、いろいろな補完できるような条件、状況があるから、一緒にやろうということはあるんでしょうけれども、アメリカあたりから出しているインドに対する物の見方を見ますと、力関係のことから見ますと、必ず中国が出てくるんですね。インドと近づくことは、つまりは戦略的には中国を牽制する、こういうことが言われていて、ついつい日本も、インドと近づきになれば、つい二、三週間前も、日本とアメリカとインド、あれは練習艦隊が来たからでしょうけれども、軍事訓練をやることにしましたね。ああいうのをやるとやはり中国の刺激をする、こういうふうに言われています。

 マクマホン・ラインなんというのがあって、昔、直接戦争をやってインドはもうこてんぱんにやられた経緯もあります。それ以後、ここのところは、バジパイ首相とか今のシン首相になってきて、お互いにいろいろな意味の余裕もできてきたんでしょう、争わないでやれるようなことはやろうと。カシミールも認め合うし、シッキムも認め合うし、向こうの国境のいろいろなことに関してお互いに認め合うような形もやってきたようですけれども、軍事的といいますか、そういう意味では、日本は、インド洋、シーレーンを、毎日毎日何十隻ものタンカーが日本に向けて来ていますし、そういう面から考えると、やはりあそこのインド洋だって安定してもらわなきゃ困る、マラッカ海峡を通ってその先の東シナ海だって安定してもらわないと、我が国は大変なことになるわけです。

 ということは、両方、中国ともやはりうまくつき合わなきゃいかぬ、インドともつき合わなきゃいかぬ。どっちとも仲よくするということが我が国にとっての国益でもあろうと思いますけれども、ついつい、今大臣がおっしゃったように、民主主義とか経済の自由競争、自由市場の中にあると、インドの方が実はつき合いやすいんじゃないか。オーストラリアあたりもインドにちょっかいを出して、我々は仲よくしようよなんというようなことをやっていますよね。

 そういう微妙な、インドと中国の、両手にとっての外交みたいなことをやるに当たって、これとこれとこれは絶対にやるべきじゃないか、これとこれとこれは避けるべきじゃないか、何かそういう方向性みたいなものは外交政策としてあるんですか。

松島大臣政務官 今、三原委員から、日本と中国とのつき合い方、インドとのつき合い方ということで御質問がございました。

 まず、中国でございますけれども、大切な隣国であります。香港を含めると総額二千億米ドルを超える、日本にとりまして最大の貿易相手国であります。また、日本と中国の間には、一日一万人以上の方が、年間四百万人以上もの人の往来がございます。東アジア地域にある二つの大国、日本と中国との関係は、この地域だけでなくて、世界の平和と繁栄にも重要だと言えると思います。

 昨年十月、安倍総理が訪中されました際には、幅広い分野であらゆるレベルで対話と交流を積み重ね、日本と中国の間で地域及び国際社会の諸課題にも取り組む戦略的互恵関係の構築に努力していくことで一致いたしました。北朝鮮問題、エネルギー、環境など幅広い分野で具体的な協力を積み上げ、共通の戦略的利益を拡大してまいりたいと考えております。

 一方、インドとは、自由、民主主義、法の支配などの基本的価値観を共有する、そして、それだけでなくて、今まさに三原委員がおっしゃいましたように、シーレーンの問題、海上安全保障や、アジアの平和と安定に責任と利益を共有しております。また、インドはアジア第三位の経済大国でありまして、先ほど大臣はハードとソフトという表現をされましたが、日本とインドは、日本が製造業、インドはITにそれぞれ強みを有するといった経済的な相互補完性も有しております。

 そして、このインドとの関係でございますが、昨年十二月にシン首相が日本に来られた際に、日本とインドと両首脳間で戦略的グローバルパートナーシップの構築に合意しておりまして、その構築に向けた各種取り組みを引き続き着実に進展させていきたいと考えております。

 すなわち、我が国との関係におきましては、中国とインドとは、地理的な距離や経済関係や人の往来の緊密さ、そういうことは違う、そしてまた国の体制などに違いはあります。しかしながら、中国もインドも、いずれも我が国にとりまして極めて重要な大国であり、そして、地域の平和と安定に貢献すべく、インド及び中国との関係強化を我が国としてはしっかりと進めてまいりたいと考えております。

三原委員 ここのところ、もうずっと中国は、正確な規模はわからないけれども、少なくとも毎年二けたで軍事予算をふやしている。日本的な計算の仕方じゃないから、本当は思った以上にもっと多いんじゃないか。イギリスのミリタリーバランスあたりでは、あの拡大する軍事予算は何が目的だという面で、我々にはある面では心配でもあると思います。アメリカの太平洋軍あたりでは、まあそうそう心配要らぬが、しかし外洋型の海軍国家といいますか軍事国家を中国は目指しておるであろうという言い方をしています。まだ空母はないからアメリカの足元にも及ばぬかもしらぬが、明らかに軍事予算はどんどんふやしていることは確かです。

 一方、インドの方も、経済はこの二十年近くどんどん、四、五%の成長率から、二〇〇〇年に入ってからは一割近くの経済の拡張をやるというので国の自信もできてきたんでしょう。インドもやはり軍事的な面ではどんどん近代化もやる。このごろでは、かつての盟友のロシアだけじゃなくてアメリカあたりからも武器でもどんどん買おうかというようなことをやっているという話を聞きますけれども、そういう軍事的なバランスをとりながらも、上の方で上の方で、高いところで高いところでバランスがとれるということは、その分だけ危険度が増すような嫌いなきにしもあらずと危惧もするんです。

 その点に関して、地理的には中国は直接我が国と海を隔てて面していますから、中国の軍事的な費用の拡大に関しては、我々はやはり黙って見ておるわけにはいかぬという意識はすごくありますが、実は、よく考えてみたら、インドだって間接的には、そこから広がっていくところの影響力から考えると、どんどん軍拡するというのもどうもやはり安定を欠くような場面が出てくるんじゃないかと思うんですけれども、そういった面での心配とか危惧とかいうのは、我が国は持たなくていいんでしょうか。その点に関して御意見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、ことし中国の国防費の支出の伸びは一七%を超えております。総額約四兆を超えておりますので、日本の防衛費を超えているのはもう確かな数字だと存じます。これは表向きに出ている数字だけです。それが年率二けたで、過去十九年間ずっと連続二けた以上、年によって二けたも一七だ、一八だというのになってきますとかなり大きいと思います。四兆円で年率一〇%で、二けたで掛けますと、十七、八年たつと二十兆ということですから、そういう意味では、これは膨大な軍事支出ということになるんだと存じますので、その中が何に使われているのかというところの透明性がないと、これは周りの国から見れば極めて意図が不明ということになり、脅威になり得るということなんだと思っております。

 ただ、七二年の日中共同声明とか七八年の平和友好条約でしたか、ああいったもので、一応武力に訴えない等々の話は条約上は確認されておりますけれども、そこの中のトランスペアレンシー、透明性が確保されないと、そういった問題に対しての意図より力の方が何となく表に出過ぎてきますので、そういった脅威と認識していくことになり得る可能性を持っておりますので、この点に関しては、さらにその透明性を求めなければいかぬというところだと思っております。

 経済も伸びていますけれども、日本だけがやたらアジアの中において経済が突出して大きかったものに対して中国が経済力を上げてきたというのはいいことなのであって、これは好機、いいチャンスなんだ、私自身はそう思っております。

 インドも同様に今経済がわあっと伸びてきて、今多分インドがアジアで第三番目になったと思いますが、そういった経済力を持ってきたというのもいいことなのであって、私どもとしては、インドとの関係等々を見ますと、こっちは日本との間に負の遺産みたいなものがほとんどない国ですので、そういった意味では、基本的な価値観という点からも、パートナーとして戦略的強化を図っていくということはこの地域の地理的な平和とか安定とかを求めていく上でも極めて重要だと思って、この点は一層関係をよくしていかなければいかぬところだと思っております。

 両国どっちをとるとかいうのじゃなくて、両国関係を見ましても、インドと中国、この間一緒に会談なんかしておりますし、中国もインドを意識し、インドも中国を意識し、両方とも国境はカシミールのところで接した形になっておりますので、そういう意味では、きのうもインドの外務大臣と夜飯一緒でしたけれども、カシミールのところでインドと中国と国境を接していてくちゃくちゃしているかといえば、同じカシミールでもパキスタンとインドの間では確かにいろいろな小競り合い等々がいまだ続いておるようですけれども、インドと中国の間にその種のことは今のところないということは確かだと思っておりますので、双方ともお互いに意識し合っているというのが現状だと思っております。

 したがって、こちらはその両国との関係をどのようにバランスをとりながらということであって、どっちをとるからどっちというような形になるということはないと思っております。

三原委員 中国は六〇年代に核を持ったんですけれども、インドは、やはり中国を意識したこともあるんでしょう、大国意識ということもあるんでしょう、七〇年代に核爆発の実験をして、その後九八年に核実験に成功した。それからちょっとして隣のパキスタンも、うちもやらずにはおくまいぞというようなことであそこも成功したということで、あと、両国とも、核があったって運搬手段がなきゃだめなんですけれども、運搬手段としてのミサイルをちゃんと両方ともおれは思っているぞ、こういう言って誇示しているわけです。

 インドは、御承知のように、NPTにもCTBTにも関与していない。一九九八年にインドがそうなったとき日本は経済的に制裁をするということでやってきましたけれども、二〇〇一年の例の九・一一になって、テロに対する対策というのが大切だというので、アメリカがインドとの協力関係にぐっとかじを切った。そのときから日本は、おくればせながら、では我々もというようなことで経済制裁もやめて、もう一遍日印関係の立て直しみたいなことを始めたわけなんです。

 アメリカは、インドの核の民生への活用、利用に対して、ブッシュさんがこの前行って、大いに協力しよう、これから先はあなたの核のコントロールみたいなことは、信頼するからこっちもどんどん協力をしますという言い方で、インドにしてみれば、NPTあたりと関係してきても、軍事的なものはもちろん見せられない、しかし民生のところはこれから先は協力していってもいいよというようなことを言い始めたんですけれども、隣のパキスタンとインドは仲よくないですから、見せるところは本当に少ないところ、狭まったところだと思うんです。

 パキスタンの場合には、今は違うでしょうが、カーンという博士が技術をどんどん伝播して海外に出してしまったという経緯があります。インドは、うちは絶対そんなことはありません、これは自分の国の国防のための核の技術である、核兵器なんだから、こう言っていますけれども、そういう面では、やはりNPT全体、世界じゅうが集まってきて、もう既にインドは核を持った以上は、五プラス・インドということで、もうわかりました、あなたは持っているんだから、あなたたちの所作振る舞いはちゃんと世界に安心できるようなことをやってくださいよというようなことへの動きも、これはやはり、非核三原則を持ち、核による悲惨な目に遭った唯一の国の我が国は、そういう面では、インドに対してもうちょっと言うべきところを言った方がいいんじゃないか、言うべきじゃないかという気持ちがあります。

 その点では、どうでしょう、インドの核に対して、我が国はこれから先の施策としてどういうふうに対応していくつもりがあるのか、それをちょっと聞かせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 一九九八年にインドは核実験をしたんだと思いますが、したがって核の製造能力を有しているという認識は私どももいたしております。ただ、日本としては一貫して、インドという国はいわゆるノンプロリファレーション・トリーティーと称する通称NPTの核兵器不拡散条約というものに非核兵器国として入るべきだという話をずっとインドに対してしております。これは一貫して言い続けているんです。

 インドのシン首相がこの間来日をされたときも、御記憶かとは思いますが、国会で行った演説等々もありますが、その中でも、普遍的軍縮に対するインドのコミットメントは不変であると述べております。そういった意味では、核兵器のない世界というのを実現するという目標に向けて、軍縮とか不拡散分野において可能な協力というのは今後とも進めていかなければならぬものだと思っております。

 アメリカも、インドの不拡散体制に取り組むということは重要という立場から、民生用の原子力の話、今お話がありましたけれども、その点に関しましてはインドを取り込んでいくということで、民生用の原子力協定についてインドと合意をしております。

 これは、今後インドが急激に経済が伸びていきますと、化石燃料等々いろいろなエネルギーを使いますと環境問題やら何やら一挙に影響するところも大きいのだと思いますので、原子力というのはその意味では非常に大きな解決策の一つではありますので、そういう意味では、インドがこういったものでエネルギーの消費量、化石燃料の消費量が抑えられる。

 少なくとも日本とインドの場合は、今、日本が一に対してインドは九・幾つだと思いますので、簡単に言えば九分の一の能率しか、エネルギー効率が悪いということですけれども、そういう状況にもありますので、少なくともインドは、あの人口掛ける経済成長でいきますと、世界の温暖化とかいうものに最も影響が出る確率の高い国の一つだと思いますので、そういった意味では、民生用のものを使うというのは解決方法の一つにはなろうと思います。しかし、だからといってインドを核兵器国として認めているわけではないというのがアメリカの一貫した態度だと理解をいたしております。

三原委員 今大臣がおっしゃったように、アメリカはそういう気持ちです。インドにしてみれば、もう既に、いろいろな書面なんかを見ましても、我が国は核のない国には先制で核攻撃しないとか自分から先に核を使わないとか、いっぱしの、国際社会の中では五番目、六番目の核保有国だという意識もあるし自負心もあるし、そういう物の言い方ですよね。それは隣のパキスタンに対する一種の抑えの言葉があるのかもしれませんが、そういう面では、インドの存在というものは、アメリカだけじゃなくて、もっと国際社会の中で核に対するコントロールをちゃんと真っ当にやってくれよという面では、言わざるを得ない状況じゃないかと私は思っておる次第であります。

 皮肉な話ですけれども、インドとパキスタンがああやって核を持つようになったものだから、昔の理屈で言う相互確証破壊というんですか、MADというのがありましたね。ああいうので、いざとなって行き着くところまで行ったら、お互いに原爆まで落とし合うなんてならぬとも限らぬ、そういう危惧もあってのことでしょうか、ここのところしばらく、余りカシミールでもドンパチやらなくなりましたね、広がらないように。

 だから、嫌な言い方だけれども、核を持っておることが自分の行動をより責任ある行動にするという皮肉みたいなことがインドとパキスタンの間にあるんじゃないか。それは、もしかしたら、中国との間にもこれから先にあるのかもわからない。大量破壊兵器を持つことによって、それがまさに国家の破滅にもなるからこそみずからを律していこうという、何だかすごく理解しにくいけれども、せざるを得ないようなところがあります。

 そういう国のインドに対しても、これからやはり我が国は、冒険的なことを絶対やらないように、一生懸命、経済ではここのところ円借を新たに千五百億円ですか、毎年やっているんでしょう。中国は八年でやめますから、今日本が円借をやっている一番大きいのはインドだったと思いますけれども、そういう意味では、人口十億以上のインドは、安定したアジアの国として、生意気な言い方ですけれども、先を行く日本がリードするのも大切な役割じゃないか、こういう気持ちを持っていますので、これから先も政府に頑張ってもらいたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、丸谷佳織さん。

丸谷委員 おはようございます。公明党の丸谷でございます。

 まず、けさ報道されておりますけれども、三月十九日から二十二日の間で、一たん休会となりました六カ国協議についてお伺いをしたいと思います。

 けさ、外務省の方からペーパーをいただきました。その中では、中国側、議長側からの議題としましては三点あって、五つの作業部会の進捗状況の聴取、二点目は初期段階の措置実施のための具体的措置の議論、三点目に次の段階の措置についての初歩的検討を今回の第六回の六者会合セッションの中ではしたいという旨だったそうでございますけれども、報道にございますとおり、北朝鮮側は、BDAで凍結されている北朝鮮関連資金が実際に送金されるまで非核化の議論には応じられないということで、立ち去っていったということでございます。

 この報道に触れるにつけ、六者協議という場で、国際協議の中で、お互いに譲歩しながらあるいは議論をしながら一歩一歩話を進めている中で、一方的に、また、北朝鮮側に対しても納得できるような形で、合意できるような形で議論を進めている中において、途中で、お金を手に握るまでは話に応じられないといって去ってしまう、この外交交渉のあり方というのは極めて不誠実であり、交渉する相手としては本当に大変なことだなと、交渉に当たっている外務省のことも思うわけでございますけれども、今回の六カ国協議についてぜひ御報告をしていただくとともに、北朝鮮のこの行動について、今大臣としてはどのような思いを持っていらっしゃるのか、この点からお伺いをさせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 国によって、人によって、交渉の仕方はいろいろあるのは確かですが、この種の手口は余り建設的じゃないし、得るものが少ないんじゃないのかなというのが、このところずっとこれをやっていながら、昨年の七月のテポドンの実験以来、この種のあれでは多くなりましたけれども、何となくそんな感じがいたしております。

 御存じのように、バンコ・デルタ・アジアの話は、基本的には六者協議の対象の話ではありませんで、これはアメリカの国内の法律、すなわち金融関係の法律、財務省の話であって、国務省のマターではないわけですから、そういった意味ではなかなか六者協議の議題にはなじまない。これは最初からはっきりしているんですが、とにかくこれがないと六者協議に出てこないという話ですので、御存じのように、一連の形で、アメリカは、この問題に関して財務省は手を放した。財務省が手を放して、今、この問題は、主にマカオ政府もしくは中国側にゆだねられているという現実があります。

 したがって、これは中国と北朝鮮との話に今後はなっていくのであって、少なくともアメリカ側としてはその問題はもう放した形になっておると思っておりますが、なかなか、このお金をどうやっておろすか、引きおろすか、決済するかというのは、ちょっとまた全然別の話になりますので、そこらの詰めに少し時間がかかるかなと思っておりますけれども。

 それができて、現実問題として北朝鮮側に、正確に幾らだか知りませんけれども、いろいろ言われております、二千五百万ドル前後の金というものが手に渡るということがほぼ確実になった段階で、今度は向こうが出てくるか出てこないか、これは次の百万トンの話につながってまいりますので、僕は、その段階では交渉に応じてくる可能性というのは高くなってくるだろうと思っております。

丸谷委員 一たん休会ということでございますので、では、次にいつまた再開できるのかという話になってくると思います。

 実際に、大臣がおっしゃったように、このBDAの話というのは六者協議での話ではない、本筋ではないというところなんでしょうけれども、北朝鮮の対応を見てみるとそうでもないようだという中において、では、次の会合の設定ができる環境整備というのが、実際の、BDAの資金凍結解除によって北朝鮮に返金されるということが起こった後の再開という見通しになっているというふうに、交渉の現場からすると今感じていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 おれおれ詐欺じゃありませんけれども、振り込んだか振り込まないかという話ですから、これは日本側じゃない向こう側の話で、中国と北朝鮮の話にこれから先はなっておりますので、その段階がどういう手続を踏んでいくのかというのは、ちょっと正直、中国財務当局、これもまた中国国務省とは関係なく、中国の財務省もしくは中国銀行ということになるんだと思いますが、そこのところで、振り込んだ、振り込まないという話に多分なっていくんだと思います。

 ただ、これはかなり技術的な話でもありますので、こっちの話だと返されても、その受け取ったものが、本当にこれが北朝鮮のものかどうかというのを洗い出すのに結構時間がかかる話、技術的には時間がかかりますから、時間がたって、間違いなく振り込まれたということが確認されれば、北は、百万トンの話が次につながってきますので、その意味では応じてくる。

 どれぐらい時間がかかるかというのは、アメリカだったらどれぐらいでできるだろうけれども、中国だったらそれがどれぐらいコンピューター化されているか、ちょっとよくわかりませんので、そこのところはちょっと答えようがないんですけれども、アメリカはこれくらいというから中国はもっとかかるといろいろ言っておりますので、そこのところはちょっと何とも申し上げる段階にはございません。

丸谷委員 実際には、BDAからの資金の北朝鮮への返却ということにはいろいろ問題点があるということも報道ではされております。北朝鮮で営業しています英国系銀行が、自行の合法な資金まで中国銀行にある北朝鮮口座へ移管されることに反対しているということもあるそうですし、また中国銀行も、違法の疑いのある資金の受け入れに難色を示している。当然のことだろうと思います。

 ただ、実際に、では次の会合がいつ開催できるのかということに関しては、一、二週間後にも開催したい旨の発言もアメリカ側から出ているように報道では接しております。なるべく早ければ早いほど、当然、休会ですから、皆さんそろってもう一度議論しましょうということは早ければ早い方がいいという認識で日本政府はいらっしゃるということですね。

麻生国務大臣 なるべく早い時期に再開できる方が望ましい、私どももそれは基本的にはそう思っております。

 これは、みんなそのつもりで行って、今回そのつもりで行ったらだめだったという話ですから、中国側の技術的な話が一番の問題なんだと思いますけれども、なるべく早くというのを望んでいるのかといえば、当然望んでおります。

丸谷委員 もう一点、初期段階の措置の履行の見通しというところにも今回の休会はかかわってくるものがあると思います。六者協議に参加をしている国によって、この履行の見通しについてはそれぞれがまた違った意見を持っている報道もされております。

 例えば、ロシアのロシュコフ外務次官においては、初期措置において崩壊の危機にあるとかなり悲観的な発言をされているようですけれども、ヒル国務次官補は、六十日以内の要求に間に合うスケジュールだという発言もされています。実際に、この初期段階の措置の履行の見通しについては、日本としてどのようにお考えになっているのか、この点をお伺いいたします。

麻生国務大臣 ロシュコフ外務次官の話ですけれども、今私どもの得ている感じで、五者の関係が壊れているような感じはありません。五者は極めて、そこのところは連立も密ですし、中国やらアメリカとの電話やら何やら結構頻繁ですし、内容もかなり詳しく知っていますし、そういった意味では、その体制が壊れるという感じではないと存じます。

 やはり六者でやるという枠組みは、この北朝鮮の核の問題を解決するには最もいい枠組みだということに関しましては五者の合意だと思っておりますので、今そのような関係で、もう既に壊れる寸前みたいな雰囲気は私どもは持っておりません。

丸谷委員 一歩一歩、北という普通では考えられないような政策をとり、また実行をしている国と交渉していく、また日本にとっては我が国の国民である者を拉致し、そしてまだ帰さない、こういった国に対応しての外交交渉ですので、本当に筋書きどおりにはいかないと思いますけれども、次回の会合の早期再開を目指して、また、日本としても、中国、アメリカとも密に連携をとりながら、ぜひ外交に当たっていただきたいと思います。

 以上で北朝鮮を終わらせていただきまして、イラクについて、本日お伺いをさせていただきます。

 三月の二十日、実に、米軍等によるイラクの攻撃から四年目を迎えました。こちらも、毎日毎日、新聞を開くと国際面にはイラクの記事が載っております。

 その内容に関しては、残念なことですけれども、相も変わらず、イラクの国内でのテロ、また死人が何人出たといった治安の悪さが報道されているわけでございますけれども、実際にイラクにおいては新憲法も制定をされました。また、昨年五月には政権も発足をいたしました。また、石油の利権を分配するような新石油法の閣議決定もされ、いろいろな議論が今なされているところで、統治機構としては一歩一歩前進をしているようでございますけれども、なかなか国民の宗派による対立というのはおさまっていないのが現状でございます。

 そういった中、米軍等による大規模掃討作戦も始まったわけでございますけれども、まず、現在のイラクの情勢の認識と、あわせて米軍等による大規模掃討作戦の成果について、外務省の認識をお伺いいたします。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、基本的には厳しい治安情勢が継続しているということに関しましては、全く私どももそのように思っております。

 御存じのように、米軍の増派を決めましたのが一月十日だと記憶しますが、マリキ・イラク首相が、二月の十四日からバグダッドで新たな治安対策を開始するということを宣言して実施しておりますが、この対策で、米軍とイラクの治安部隊、合計で約九万人が投入されるという計画が発表されております。去る三月の十四日のバグダッド市内でのテロによる一カ月の市民の死者が、作戦前ということは二月ですが、作戦前の一カ月一千四百四十人ぐらいのものから二百六十五人へ大幅に減ったという成果を発表しております。

 問題は、これが継続するかどうかというところが一番大事なんでありまして、そういった意味では、一カ月の成果だけの発表しか私どもが得ている情報はございませんけれども、それが今置かれている現状で、こういったものが定着してくるというのを我々としては期待をいたしております。

丸谷委員 平和と安定の定着ということに関しては、日本外交の柱の一つでもございまして、そこをどのような形で底上げをしていくかということを常日ごろ考えてやっていただいていると思います。

 そういったことも含めて、二十一日からあしたまでいらっしゃるのでしょうか、ハシミ・イラク副大統領が来日をされ、さまざまな方々と日本の考え、またイラクの情勢等について意見交換したことは非常に意義が深いと思いますので、この点について次にお伺いさせていただきたいと思います。

 実際にマリキ政権が誕生して十カ月、混迷しているイラク情勢を改善させる、石油収益を各地方に分配するための新石油法が閣議決定される中ではありますけれども、残念ながら、先ほども申し上げたように国民融和という目標にはまだまだほど遠い中、我が国も、やはり治安が安定しないと、なかなか日本はイラクに実際に行ってできることも少なくなってくるわけでございますので、この国民融和に向けたイラクの自助努力といったメッセージも日本側から出されたものとは思いますけれども、この副大統領の来日の成果についてお伺いいたします。

麻生国務大臣 御指摘のように、去る三月の二十一日から二十四日まで、日本政府の招待で副首相が来日をしております。今夕、私もハシミという副大統領と会い、安倍総理が今晩たしか会われるんだと存じますが、話をさせていただこうと思っております。

 今いろいろ日程を精力的にこなされていると思いますが、イラクの安定というものは、中東地域から石油の約九〇%を輸入しております日本にとりましては、この中東地域の安定というのは極めて大きなものなのであって、イスラエルとパレスチナとか、イラクとサウジとか、こういったようなものは間違いなく我々にとりましては非常に大きな影響を受けるところなので、この地域の安定というものに関しましては、我々としてはかなり積極的に、復興支援を含めまして、人道支援を含めまして、これまでもやってきたところです。

 御存じのように、ここは石油の資源も物すごく大きいところでありますので、そういった意味では、我々としては、長期的にもいわゆるパートナーとしてやっていかないかぬと思っておりますし、向こうも利益を得る、こっちも利益を得る、両方でいかないといかぬと思っておりますので、このハシミという人にそういった基本的なところから話をしていかないかぬと思っております。

 御指摘のありましたように、治安問題というものの話をするときには、いわゆるクルド族とかスンニ派だ、シーア派だ、いろいろ同じイラクの中で地域的に分かれているところはもう御存じのとおりでありまして、北のクルド、南のシーアの多いところではなくて、真ん中のバグダッドのところの、スンニ派の人たちが多いこの地域が最も今治安が乱れているというように理解をしておりますが、これは国民的な融和がありませんと、石油資源の配分やら何やらは、中部の地域においては石油は出ておりませんから、そういった意味で、地域分けだけでやりますといろいろ問題ということで、そこらのところをどうやって融和するかというのはちいと考えたらどうですという話を、前のジバリという外務大臣やら何やらが来たときにも話をしましたし、私がバグダッドに行ったときにもこの話はしております。

 ここらのところをいかに融和させるかというのは、お互いにもう不信感ですから、そういったものをお互いに信頼醸成をやっていくというのが非常に大きなところだと思いますので、御指摘がありましたように、この国民的融和というのは非常に大事なところだと思って、引き続きこの点は強調しなきゃいかぬところだと思っております。

丸谷委員 そういった面からも、来週二十五日から三十一日までの間、イラク国民融和担当大臣を初めとしまして十五名の議員の方々が、我が国の政府の招聘により来日される予定とお伺いをしております。

 この詳細については私も何も外務省から聞いておりませんので、ぜひ、これは非常に有意義な会合になると思いますし、非常にタイムリーな招聘だと思いますので、この招聘プログラムの目的、プログラムの内容、また、宗派別構成等々について御説明願いたいと思います。

松島大臣政務官 丸谷委員が言われましたように、融和のために非常に重要なプログラムでございます。

 国民融和担当大臣、アル・ハキーム大臣を筆頭にしまして十五人なんですが、参加者のメンバーを工夫いたしまして、国会議員中心でございますが、参加者は、シーア派七名、スンニ派四名、クルド人三名、このうち一人はキリスト教徒でございます、そしてトルクメン人一人というふうに、非常にそのバランスを、構成を考えまして組み立てております。

 そして、そのメンバーの方々に何をしてもらうかといいますと、世界におけるこれまでの平和構築の例、カンボジア、東ティモール、南アフリカ、北アイルランド、こういった事例について、それぞれの分野の専門家であります学者を中心に、日本の経験、国際社会の経験というものを説明してもらいます。そして、そういうことを聞くことによりまして、紛争解決や治安のために、イラクの方がこの国際社会や日本をどのように活用できるのか、そのノウハウについて日本とイラク側の参加者が共有して、勉強していくということでございます。

 また、広島において原爆記念館を訪問し、日本、特に広島の平和、復興の教訓を紹介することとしております。

 そしてまた、このようにいろいろな宗派の人がメンバーにいますから、イラク人参加者同士で彼らが抱える問題を議論する場を提供する予定にしております。

 このように、イラクの問題を解決するのは、あくまでもイラク人自身でございます。しかしながら、我が国のこのような取り組みが功を奏して、イラク人同士の、イラク人自身の国民融和が促進されることを願っております。

丸谷委員 国民融和担当大臣を初め十五名の、それぞれシーア派、スンニ派、クルド人のバランスのとれた構成の議員団が来ていただくということで、日本から呼ばれて行くんだから、やはり、日本がどれほど国民融和というものをイラクに期待しているのか、あるいは治安の安定を期待しているのかというメッセージは十分に伝わっているんだと思います。

 その意味において、日本においてそれぞれのプログラムをこなしていただいて、本当の意味での国民融和につながっていくような一歩ステップの前進ができるように、このプログラムには大いに期待をさせていただきたいと思いますので、ぜひ外務省も頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、日本の非常に目に見える貢献をしていただきました陸上自衛隊でございますけれども、任務を完了し、帰国をしていただいております。

 昨年の七月、サマワにおきまして、医療、給水、公共施設の復旧整備等をしていただいたわけでございますけれども、治安の維持も行われたということがあって、この陸上自衛隊の皆さんは任務を完了して帰っていただいた。

 あれから八カ月が過ぎたわけでございますけれども、日本が実際に復旧に当たった、復興に当たった医療ですとか給水、公共施設は、その後、アフターケアが必要な時期にもなってくるのかなというふうにも思いまして、現在の状況をお伺いさせていただきたいと思います。

松島大臣政務官 丸谷委員がおっしゃいましたとおり、アフターケアの重要な時期でございます。

 外務省は、サマワにおきまして、今、政府開発援助をこれまでの自衛隊の復興支援事業と車の両輪という位置づけでやっております。多くの医療器材や給水施設を供与しておりまして、現地の基礎的な医療サービスの向上、安全な飲料水の提供に貢献してきております。

 例えば、保健医療分野でございますが、イラク全体ではまだ残念ながら新生児死亡率がかなり高いんですけれども、日本が大きく関与しておりますサマワ母子病院での新生児死亡率は三分の一に減少させることができました。また、給水分野では、県民一人当たり毎日五リットルの安全な飲料水を提供することが可能になったということでございます。安全な水へのアクセス改善は、第一次から第五次計画までございますが、浄水計画、給水計画、これでずっとやってきている次第でございます。これらは我が国の支援の大きな成果であると考えております。

 具体的には、草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用いたしまして、給水車両、そして給水タンク、浄水装置などの給水設備、あるいは、医薬品、脳波計、心電計、超音波診断装置などの医療器材を供与しております。

 これらの器材はおおむね良好に活用されているとの報告を受けておりますが、外務省としても、その活用状況をフォローアップし、必要に応じて、そうした器材がさらに有効に活用されるための協力も行っております。

 具体的に申しますと、例えば、ことし一月から今月、三月までですが、サマワ総合病院やサマワ母子病院など、ムサンナ県の複数の医療機関に所属しておりますイラク人の医療器材エンジニア、この人たちを日本に招きまして、日本がその地域の病院に供与しました医療器材が今後も有効に活用されるように、医療器材保守管理、ちゃんと扱える状況をずっと保てなきゃいけないということで、イラクの人に来てもらって、日本の自衛隊中央病院で研修をしたところでございます。これはJICAの事業としてやっておりまして、供与した医療器材が今後も有効に活用されるように、ムサンナ県の医療サービスの向上に貢献できるようにということで、人的資源の能力アップにも努めているところでございます。

丸谷委員 その安定した状態を維持していくということが非常に重要なんだと思います。なので、復旧したはいいけれども、そのままほっておくと、また以前と同じような状況に戻ってしまってはいけないということで、できる範囲の中で、我が国として、その安定を維持させていくということもまた引き続き考えながらやっていただきたいと思います。

 最後の質問になるかと思いますけれども、一方、サマワを含むムサンナ県、南部における治安状況は現在どのようになっているのでしょうか。

 イラクでは、治安悪化に伴いまして、約二百万人の人たちがシリアですとかヨルダンなどの周辺国に逃れている、あるいは約百八十万人が国内避難民となっているという話も聞こえてくるわけでございますけれども、引き続き、南部、ムサンナ県の現在の治安というのが安定しているのかどうか。多国籍軍からイラク治安部隊への権限移譲も、ほかの地域に比べるとかなり早い方でございましたけれども、こちらの安定の状況はいかがでしょうか。

松島大臣政務官 バグダッドを中心といたします地域では、基本的に、依然厳しい治安情勢が継続しておりますが、ムサンナ県など南部地域では、従前から、イラクの他の地域と比較して安定しておりました。こうした状況から、昨年七月に治安権限が多国籍軍からイラク側に移譲されており、現在もそうした安定した状況に変化はないと承知しております。

 昨年十一月三十日には、拘束されたマハディ軍サドル派の一味に対する死刑判決を不服とした同軍による警察への襲撃を契機に、双方による銃撃戦へと発展いたしまして、サマワ市内は昨年十一月三十日から外出禁止令がしかれました。しかしながら、昨年十二月二日に、つまりあっという間に、ムサンナ県知事、ハッサーニ知事とアサディ・ムサンナ県サドル派指導者との間で和平のための合意がなされ、その後、サマワ市内は平穏さを取り戻し、今に至っている次第でございます。

丸谷委員 経済的な発展と、また安定的な発展というものも治安の維持には大きくかかわってくると思いますけれども、日本の陸上自衛隊の皆さんが、本当に日本の顔が見える支援として、国民を代表してイラクに行って復興に当たっていただいた。そして、惜しまれながらも、帰ってほしくないと言われながらも帰国をした。その後、やはり、南部において治安が維持をされ、そして福祉も安定的に維持をしていくということを続けていくことによって、我々日本の支援が、本当に、そこに住んでいる人たちにもたらした恩恵というものを末永くわかっていただけることにつながると思いますので、ぜひ、南部だけを大切にしろと言っているわけではございませんけれども、全体を見ながら、直接日本がかかわってきた南部の安定の維持に向けて今後も外交政策をとっていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 端的に御答弁を願えれば幸いでございます。

 まず、私は非常に大きな問題だと思っているんですけれども、日本の先端技術が不正な手段によって海外に流出をしているというような事件、これは氷山の一角だと思いますけれども、相次いでおります。その中には、日本の安全保障を脅かす可能性のあるような、あるいは外国の軍事力を飛躍的に増大させるような民間の技術が、不正な手段によって流出をしている。こういうようなことが、言葉は悪いですけれども、政府は無策というか、対応をほとんどとるすべがないといいますか、そういうゆゆしき問題だと思います。

 まず、警察庁がお見えでございますので、ニコン、デンソー、東芝の子会社、これらから不正な手段の可能性があるような事件が起こりましたけれども、この三つの事件の概要をお願いします。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘の事件のうち、電子機器メーカーに係るものにつきましては、同社の会社員と在日のロシア通商代表部部員、この両名が共謀した上で、会社員が平成十六年九月十五日ごろから十七年五月十一日ごろまでの間、都内の飲食店等において会社の機密情報等を通商代表部の部員に交付するなどいたしまして、その対価を受領したものであります。これにつきましては、警視庁において両名を背任の被疑者と認め、平成十七年十月二十日、事件を東京地検に送致したものというふうに承知をしております。なお、処分につきましては、平成十八年二月、両名とも起訴猶予処分になっておると承知しております。

 次に、光学機器メーカーに係る事件につきましては、これも同社の会社員と在日のロシア通商代表部部員の両名が共謀した上で、この会社員が平成十七年二月二十八日ごろ、勤務先におきまして、会社が所有し、その厳格な管理下にありましたVOA素子一個を窃取したものであります。これも警視庁におきまして両名を窃盗の被疑者と認め、平成十八年八月十日、事件を東京地検に送致したものであります。なお、処分につきましては、平成十八年十二月、起訴猶予処分になったものと承知をしております。

 最後に、大手自動車部品メーカーに係る事件につきましては、これは同社に勤務する在日中国人が、同社所有のノート型コンピューター一台を借り受け、保管中のところ、社内データベースから大量の機密データをダウンロードした上、自宅、被疑者宅などに持ち出して、自己の用途に供する目的で、結局、このノート型コンピューターを横領したものということで、愛知県警が三月十六日、通常逮捕したものであります。現在、三月十八日に被疑者を名古屋地検に送致したものと承知をしており、現時点、被疑者は勾留中であり、まだ処分は下されておりません。

 電子機器メーカー及び光学機器メーカーから被疑者に渡った情報あるいは機器につきましては、軍事転用の可能性を有するもの、こう見ております。自動車部品メーカーに係る事件につきましては、その点も含めて現在捜査中であります。

 委員御案内のとおり、我が国では大変技術水準が高いという中で、国内におきまして、その背景として国家的意思が推認されるような団体または個人によりまして、大量破壊兵器関連物資等あるいは先端科学技術の調達活動が活発に行われているというふうに見ております。

 警察といたしましては、関係行政機関や事業者との連携を強化するなど、この種事案の再発防止に向けまして、何とか事件化できるものは事件化を進め、そういった形で警鐘を鳴らすような取り締まりを行っているところであり、今後さらに一層強化してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

長妻委員 今の話というのは氷山の一角というような趣旨の御答弁もございました。これは裁判で有罪判決が出ておりませんので確定的なことは言えませんけれども、そういう可能性が日本全国で私はあるというふうに思っております。

 ニコンのケースは、在日ロシア通商代表部におられた方で、この在日ロシア通商代表部は、御存じのように都内にありますけれども、これは治外法権でございまして、なかなか警察の捜査も及ばないし、ニコンと東芝子会社両方とも、この事件の捜査があるとわかると、容疑者のロシアの方が帰国してしまう、こういうことにもなったわけでございます。

 東芝の子会社の事件に関しましては、ロシアの容疑者は、マスコミ報道によると、ロシアの対外情報庁の方ではないかと。SVRという、昔のKGBの後の組織でございます。これは半導体関連の技術情報で、戦闘機のレーダーあるいはミサイルの自動追尾装置、潜水艦の潜望鏡などに転用できる半導体関連の技術ではないかと言われております。ニコンから盗まれたものは、ミサイルの先端で熱源を探知し目標を追尾する用途だというようなことも言われておりますけれども、大臣、これはロシアに抗議というのはされておられるんですか。

麻生国務大臣 これはちょっと、今の質問の内容は警察庁に対する質問で、通告を私は受けておりませんので、その点に関しましてどのような対応をしたかを今の段階でつまびらかにいたしておりません。

長妻委員 大臣へは、この対策に関しては通告をしておりますけれども、確かに、抗議をしたかどうかというのは申し上げておりませんでしたので、今、事務方の方、わかる方はいらっしゃいますか。

麻生国務大臣 ロシア課がおりませんし、ちょっと今の段階ではわからないと存じます。時間をいただければ、調べさせて御返事申し上げます。

長妻委員 ただ、きのう二時間ぐらいかけて、どういう趣旨のことをお伺いするか、事前に調べていただきたいということで、これもずっと、警察庁をお呼びしたときに外務省の方も同席した上での話でございますので、大臣、これはロシアに抗議をしていないとすれば、するべきだと思いますか、どうですか。

麻生国務大臣 経緯をよく存じませんけれども、明らかに日本の国益を害するようなことを向こうの外務省がやったというのがつまびらか、明らかになるのであれば、抗議するということになると存じます。

長妻委員 仮に向こうの外務省じゃなくて、この在日ロシア通商代表部というのは商工会議所の出先機関といいますか、ちょっと政府機関とは違うというふうにも聞いておりますけれども、もし、そのロシア通商代表部の組織ぐるみの問題であれば、これも同様な見解でございますか。

麻生国務大臣 これは高輪にあるあれですか。(長妻委員「そうです」と呼ぶ)ここにあることなのであれば、今申し上げましたように、同じ答えになりますが、組織ぐるみということが明らかになったという前提に立てば、そういうことになります。

長妻委員 そして、経済産業省が調査をしたアンケートを、お配りした資料に添付しておりますけれども、経済産業省からこのアンケートの概要をちょっと説明いただけますか。

石黒政府参考人 長妻議員の方から、私どもの調査のコピーが配付されているようでございます。

 お手元の資料のとおりでございまして、平成十八年の十二月に私の方で取りまとめました調査でございます。国内または海外で技術流出が発生したことがあるかという質問に対しまして、一九・三%の企業が、明らかに技術流出と思われる事象があった、さらに、一六・五%の企業が、明らかではないが技術流出ではないかと思われる事象があったということで回答いたしております。合計いたしますと、約三八%の企業が何らかの技術流出があったと回答しているというものでございます。

長妻委員 これは私もびっくりしました、このアンケートの結果というものは。三五%以上の企業が被害を自覚している、国内または海外で技術流出が発生したことがあるかということでございます。

 その次のページでございますけれども、そして、流出先としてはどこだと思いますかというふうなアンケート調査をいたしましたところ、これは経済産業省のアンケートで回収企業数が三百五十七社でございますが、一位が中国で六三・五パー、二位が韓国、三位が国内で流出したということでありますけれども、欧州、米国というようなことでございます。

 これは、経済産業省の内部の方にお伺いしましたら、経済産業省の御担当の方も非常にびっくりしている、これは大変なゆゆしき数字だというふうに内部の方も驚いておられるということも聞きました。

 このデンソーの事件、これは最近逮捕されたというか、今月の十六日に、中国人の技術者が、デンソー勤務の方が逮捕されたということで、これは会社のパソコンを一台盗んだ横領罪ということで、基本的には、罪としてはただパソコン一台盗んだこそ泥というか、そういう容疑なんですね。ところが、そのパソコンの中には、産業用ロボットやディーゼル噴射ポンプなど、設計図面データが約十三万件もダウンロードされていた。これはマスコミ報道でございますが、製品数にして約千七百、うち二百八十件は機密扱いの情報であったという報道がございました。

 報道によると、この中国人技術者は、来日前はミサイルなどを製造する中国の国営軍事企業に在籍をされていたということでございますけれども、これは本当に、パソコン一台を盗んだ泥棒というかこそ泥というか、そういう位置づけなんですか、警察庁。

米村政府参考人 御指摘のとおり、相当量のデータをダウンロードしているという事実がありますけれども、事件の立て方としては、パソコン一台を横領しているという形で今捜査をしているということでございます。

長妻委員 これは法律の不備もあるし、やはり政府の姿勢の問題もあると思うんですが、パソコン一台のこそ泥なんですね、その取り扱いとしては。

 ところが、日本では、平成十五年に営業秘密侵害罪という罪が創設されました。これは大変重い罪でございます。十年以下の懲役または一千万円以下の罰金でございますけれども、今まで一件も適用されておりません。なぜならば、親告罪だということが一つ。つまり、自分が気づかなければわからない。あるいは、親告罪ですので、これを告発すると、裁判になったときに、逆に自分たち企業の秘密を全部裁判所に公表しなきゃいけない。それで争うわけですね、その機密度合いを。そうすると、元も子もなく全部、洗いざらい世間に公表されてしまうということで、この法律はほとんど機能しません。そういう非常な不備が日本にはある。

 そして、きょうは官房副長官もお見えでございますけれども、カウンターインテリジェンス推進会議、こういうのがございます。ヘッドが的場副長官でございます。これは昨年十二月に発足したもので、全省庁の局長クラスをメンバーにしておりますけれども、これは役所の情報が外に出ないようにする、いわゆる防諜と言われるものですね。これは役所の中の情報なんです。

 ところが、日本は民間企業にも非常にすごい情報があって、その企業自身も軍事転用できるとはそれほど深く理解していないものが、軍事専門家の目から見ると、よだれが出るようないい技術が日本の民間企業にある。その企業の情報が、安全保障上脅威になる可能性があるにもかかわらず、それを防ぐ手だてというのがなかなか法的にもないし、政府もそういうような会議を持たれた形跡がない。ある意味では、今、経済産業省一省の、一つの役所の一部局が、そういうことがないように啓蒙活動を細々としているというところでございます。

 経済産業省は、パロマ事件にも見られるように、非常に危機管理が下手な役所でもありますので、そういう意味では、ぜひ全省庁というか、政府を挙げてこういう問題に取り組んでいただきたいと思うんですが、意気込みはいかがですか。

下村内閣官房副長官 委員御指摘のとおりだというふうに思います。

 我が国の安全のために重要な情報を保全することは極めて重要でございまして、現実には外国等の諜報活動が絶え間なく行われているわけでございまして、政府一体となった取り組みを推進することが必要であり、御指摘のように、昨年十二月の二十五日に、全省庁の局長クラスから成るカウンターインテリジェンス推進会議が設置されたところでございます。

 このカウンターインテリジェンス推進会議におきまして、現行法制のもと、外国による諜報活動から我が国の重要な情報を守るべく、カウンターインテリジェンス機能の強化のために全省庁がとるべき対策等を盛り込んだカウンターインテリジェンスポリシーを策定することなどを予定しておりまして、この会議においては、当面は国の行政機関を対象とした保護策等を検討することとしておりますが、今御指摘がございましたが、将来的に、安全保障上重大な影響を及ぼす可能性のある民間企業に関しても視野に入れつつ、必要な研究をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 若干前向きな御答弁をいただきましたけれども、そうすると、今までの立て方としては、これはまだ一回しか開かれていないということでございますが、カウンターインテリジェンス推進会議、これは役所の中の情報の漏えい防止ですけれども、今の御答弁では、今後は、安全保障上問題のあるような民間企業が持っている民生技術の流出に関しても、きちっと全省庁の局長クラスをメンバーにして御討議をいただける、当然そこには政治家も入って、外務大臣や防衛省大臣も入って御討議いただけるということでよろしいですか。

下村内閣官房副長官 先ほど先生から御指摘いただきましたように、カウンターインテリジェンス推進会議は、今、全省庁の局長クラスから成っている会議でございます。まず、政府における各省庁、行政機関において、外国からの諜報活動について、これをどう防ぐかということについて、きちっとまずは対策をしていきたいというふうに考えております。

 その上に立って、さらに民間企業、特に安全保障に関係する民間企業についても、政府の中できちっとした対応ができるようになった段階で、さらに拡大しながら、民間企業等もどうできるかということについて研究をしていきたいと思っておりまして、まずはこのカウンターインテリジェンス推進会議の中できちっと対応について考え、その上でまた検討させていただきたいと思っております。

長妻委員 これは麻生大臣にもお伺いしたいんですが、今のようなやりとりを聞かれて、ぜひ外務大臣とか防衛省大臣とか官房長官とか、そういうクラスも連絡会議、私は、対策本部的な何か、対策本部というか、恒常的なそういう監視、チェックをするような連絡というのも必要だと思うんですが、いかがでございますか。

麻生国務大臣 これとパラレルというわけではありませんけれども、ナショナル・セキュリティー・カウンシル、通称NSCという話が、今いろいろ、官房長官、外務大臣、総理大臣そして防衛大臣、この四者でという話が、今別の、いわゆる安全保障に関する話で進んでおります。

 ここに出てきますのは、やはり長妻先生、守秘義務なんですよ。秘密保護なんです、機密保護。ここのところにすごく関係してくるわけです。

 この問題は、民間として、これは本当に機密保護の対象になるという意識が本人に全然ない人をいきなりというところになり得るところが一番問題でして、ミネベアの技術というのは有名な技術ですけれども、このミネベアの技術をそんなものになると思った人なんか一人もいなかったわけですから、そういう意味では、ここらのところの定義の仕方は、長妻先生、これはまずは官の方でスタートしなきゃいかぬところだと思いますが、今言われましたように、この種のものは、民生用のものを軍事用に転用し得るという技術を、開発したもしくは発明した本人もしくは会社は全く意識ないまま、ぽろっとしゃべってそのままということは十分にあり得ます。

 そのときに、それをどういう嫌疑で逮捕する、起訴するというのは、なかなか難しいところだなというのがいつも意見の分かれるところだとは思いますが、まず、その前の、いわゆる軍事機密等々含めまして守秘義務の点については、かなり昔からおちょくられるように、スパイ天国と言われるようなところでもありますので、そこのところはきちんとしないと、これは警察の責任に一方的におっかぶせるのもいかがなものかと思いますので、私どもとしては、そこらのところの意識が少し、長妻先生みたいに言われる方がふえてきたのがこの数年かなというのが私自身の実感なんです。昔こんなことを言うと、もう全然、何を言っておるんだというような感じでしたけれども、今だんだん技術の進歩に伴ってこういう意識が広まってきたというのは、私はそれなりにいいことなんだと思っております。

長妻委員 これは警察庁に最後にお伺いするんですが、ニコンと東芝子会社は、ロシア要人の容疑者も日本人の元社員も、両方ともこれは起訴猶予だと思うんですが、何で起訴猶予なんですか。

米村政府参考人 私どもの方では、両事件とも、たしか書類送致の形で検察庁に送ったものでございます。

 御案内のとおり、ロシア通商代表部部員につきましては、すぐ帰国をするという形になっておりまして、結論から申し上げて、検察庁の処分について、私どもの方でしかるべく理由云々ということは申し上げづらいというふうに思いますが、そういった点も含めて検察庁で御判断いただいたものだろうというふうに承知しております。

長妻委員 逃げ得というか、そういう可能性もありますので、これはぜひ、下村副長官のもと、お取り組みをいただきたいと思います。

 そして、このカウンターインテリジェンスとも関係するんですが、守秘義務というか、マル秘の文書というのが防衛省にも外務省にもあると思いますけれども、今度は逆の観点からの質問でございますけれども、私は、何でもかんでも秘密文書にしてしまうんじゃないかという疑念が常日ごろございまして、やはり何でもかんでも秘密文書にしてしまうというのは、逆に国民の皆様の情報公開の流れからも逆行するんじゃないかというふうに思います。

 そこで、やはり、秘密、秘を解除した文書は、ある一定の手続を持って見せていただきたいんですね。マル秘文書を見せろということではなくて、秘を解除した文書に関しては見せていただきたいと思うんですけれども、外務省は、ちょっと言いましたらば、例えばこういう文書は秘を解除した文書ですよと。これは去年の、十八年の十月二十一日の、トルコにおける日本人観光客バス事故の文書でありますけれども、これは秘を解除した文書だということでいただきましたけれども、逆に言うと、これは何でマル秘なのかなと。トルコにおける日本人観光客バス事故が、何で秘の、国家機密ですね、これは。

 だから、こういう検証ができるわけですね。こんなの国家機密にしていて何やっているんだろうなということで、手元で今は、秘が解除されたものは見られるということであります。

 ところが、防衛省の副大臣、きょう来ておられますけれども、防衛省は、秘を解除した文書は表には一切出さないという、外務省とは違う方針なんでございますか。

木村副大臣 情報公開法に基づきます請求については、今対応しております。ただ、きのう先生から御指示がございまして、きょうの配付資料にもあるわけでございますけれども、きのう先生からの御指示に基づきまして調べてみましたけれども、限定的な時間でございまして、きのう調べた中では、御回答をした文書のとおりになっているわけでございます。

 ただ、先生今御指摘ございますように、昨年見直しをしたわけでございまして、まだまだたくさんの資料がございますので、先生の御意向もございまして、少々お時間をいただいて、それらの文書を、公開できるものがないだろうか、しっかり精査をさせていただきたいと思っております。

長妻委員 今、防衛省が秘の文書の見直しをしていると。さすがに、防衛省自身も余りにも秘が多過ぎたのではないかという御反省があるのだと思うのですね。何でもかんでもマル秘にしてしまうというのは逆に危険なことだと思いますので、ぜひ、今御答弁もありましたけれども、防衛省が今ちょうど秘の見直しをされておられて、秘が解除されたものに関して、ただ、秘が解除されても取り扱いの注意を要する文書とか、低レベルの、外に出さないという位置づけもあるようでございますけれども、基本的には、秘を解除して出せるものはすべて出していただきたい、公表していただきたいと思うのでございますが、それはお約束いただけますか。

木村副大臣 今、大変な資料があるわけでございまして、まず、公開できるものは何かというところをしっかりと精査させていただきたいと思っております。(麻生国務大臣「さっきのロシアの答え」と呼ぶ)

長妻委員 では、麻生大臣、お願いします。

麻生国務大臣 先ほど御質問のありました中で、ニコンの件だけ判明しております。

 平成十八年八月に発覚、外交経路を通じてロシア通商代表部が任意の事情聴取に応じないのはということで、応じるように申し入れ。既に出国済みとの回答がありましたので、協力を得られないことは遺憾と。その後、検察へ送致ということになりましたので、重ねてロシア課から在京大使館へ遺憾の意と再発防止の申し入れを行ったというのが経緯であります。

 デンソーにつきましては、まだ調査中です。

長妻委員 ちょっと防衛副大臣、何か、一個前の答弁は多少前向きだったんですが、では、これはちょっととめてください、打ち合わせしている。とめてください。質問できない。

木村副大臣 今お答えをさせていただきましたように、少々お時間をいただいて、まず精査をさせていただきたい、その結果、長妻先生に御報告を申し上げたいと思います。

長妻委員 そうすると、これはいまだかつて、防衛庁の時代も含めて、防衛庁の時代からでいいんですけれども、防衛庁時代に秘だった文書で、それが防衛庁時代に秘が解除された、解除されて、そして世間に公表されている、こういう文書というのは一枚でもあるんですか、ないんですか。

木村副大臣 今わかりませんので、調べさせていただきます。

長妻委員 そうしましたら、本当に、外務省はトルコにおける日本人観光客バス事故というのを国家機密だといって秘に指定していた、こういう問題もわかるわけですね、後から見ると。

 ですから、公表できるものは、秘が解除されたということは機密じゃないということでありますから、これはもう普通は直ちに私は公表してもいいと思うんですけれども、いろいろな手続もあるようでございますから、ぜひお約束をいただきたいと思うんですが、いつごろまでにそれは作業を完了できますか。

木村副大臣 一週間から十日お時間をちょうだいできればありがたいと思います。

長妻委員 明確にいただきましたので、ぜひ、ではその資料をいただいて、私にいただければこの委員全員にコピーしてお渡しをいたしますけれども、委員会にも提出いただければというふうにも思います。

 そして、先ほどの麻生大臣も出席されていた閣議で閣議決定がなされましたこのミサイルディフェンスの緊急対処要領でございますが、ここに閣議決定ほやほやの、三枚でございますか、こういう緊急対処要領というのが閣議決定された。これは、パトリオットミサイルのPAC3が今月末までに入間基地に配備されるのに伴って、初めての弾道弾を撃ち落とすパトリオットミサイル、PAC3の配備だということでございます。

 防衛省にお伺いしたいのでございますけれども、ミサイルディフェンス、PAC3とかイージス艦のSM3、スタンダードミサイル3というのもありますけれども、これは、北朝鮮がミサイルを連射した場合、連射したミサイルも撃ち落とすということは可能でございますか。

木村副大臣 可能でございます。

長妻委員 そして、基本的には、こういうミサイルディフェンスの世界でありますから、閣議決定をして防衛出動をする、そして総理が武力攻撃を命じる、こういうような暇がないわけでありまして、だからこそ、先ほどこういう緊急対処要領が閣議決定されたわけでありますが、しかし、これはマニュアルでございまして、実際にPAC3やSM3の発射ボタンを押すには防衛大臣の命令が必要であるというふうに書いてございます。

 これはちょっと、例えば、北朝鮮からのミサイルは十分間で日本に飛来すると言われておりますけれども、事前にわかっていればこしたことはないわけでございますけれども、三十分とかあるいは直前にわかった場合、これは防衛大臣の命令を何か文書で受けなければいけないわけであるというふうに聞いておりますけれども、これで間に合うんですか。

木村副大臣 通常は、先生御指摘のように、命令は文書で示されるということになっております。

 ただ、今お話がございましたように、緊急時におきましては口頭で伝えられることも排除されておりませんで、例えば、大臣から電話などによって部隊に命令が発せられるということも考えられるわけであります。

長妻委員 私は、こういう議論は、私が今しているわけですけれども、シビリアンコントロールの観点から、私自身もこれは非常に慎重に考えなければいけないというふうに思っております。

 そういう認識の上で聞いているわけでありますけれども、としても、これはやはり向こうからのミサイルが飛んできたということで、それを撃ち落とすということでありますから、機動的に措置をするという必要が、これは国民の皆さんの要請でもあるというふうに思いますので、慎重なシビリアンコントロールのもと、しかし機動的に措置をしていただくということも申し上げたいというふうに思います。

 そして、麻生大臣にお伺いしますけれども、イランの問題が、多少というかかなり緊迫化してきているんじゃないかなと私は思っておりまして、例えば、チェイニー副大統領、これは麻生大臣にお会いした二日後ですか、シドニーに行ってテレビのインタビューに、イランに対してはブッシュ大統領はいかなる選択肢も排除しないことを明言しているということで、これは通常は武力攻撃も視野というふうに世間では受け取られるわけでございます。

 そして、ことしの二月十九日の、これも有名なイギリスのBBC放送の報道でありますけれども、米政府がイラン核施設だけでなく主要軍事施設に大規模な空爆を行う非常事態計画を策定している、こういう報道もございました。

 これは、安保理ではまだ、一部の経済制裁というか、大量破壊兵器移転に関連する経済制裁の決議は出ましたけれども、一般の経済制裁の決議もないわけでございまして、万々が一というか、安保理の武力容認決議がない段階で米国が何らかの軍事的な措置をすることがあるとすれば、麻生大臣としては、それはどうなんだろう、こういうふうにアメリカにアドバイスする、こういうことでございますか。

麻生国務大臣 イランの状態というものに関しましては、ブッシュ大統領のウォールストリート・ジャーナルの話とかいろいろもう御存じのとおりだと思っております。

 そういうことを御存じという前提に立って、今すぐというような話になっていないのはもう確かなんだと思いますが、状況としては、イランの状況というのは、これは国としては人口七千万、石油の資源は極めて豊富なところでありまして、ちょっとほかの小さな国とはわけが違うという大きな国であります。そういった国が今最もこの核の問題に関しましては積極的にいろいろ活動しておりますのは御存じのとおりで、これはEUプラス3含めていろいろやっておるのはもう御存じのとおりです。

 ここらのところに関しましては、今のお話ですと、国連の決議なくしてアメリカが一方的に武力攻撃をすることがあり得るかという話なんでしょうけれども、なかなか今のような状況で武力攻撃をする可能性というのは、ちょっと今考えにくいと思います。

 もし仮にあったとするとというようなお話で、仮の話ばかりずっとしていきますと、外交で仮の話ぐらい危ない話はありませんので、これは、仮の話はちょっとお答えがしにくいというのが率直なところです。

長妻委員 仮というか、私が質問したのは、安保理の武力容認決議なしでアメリカが攻撃をしたとすれば、それは日本は容認できない、こういう立場になるんですか、こういうようなことなんです。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたウォールストリート・ジャーナルの話を例に引きますと、一月のインタビューですけれども、アメリカは外交によって解決するために懸命な努力をしているというのがブッシュ大統領……(発言する者あり)その後ろのうるさいの、じゃかじゃかしゃべらぬと、私はこの人と話しているから、お願いしますよ。外交によって解決するために懸命に努力をしていると述べているのは御存じのとおりだと思いますので、その線に沿ってやっているという最中に、今どうのこうのというのはちょっといかがなものかなと私は思います。

長妻委員 では、これは一般論でお伺いしますけれども、当然外交は、いろいろな柔軟性に富む麻生大臣でございますから、余り原理原則というのはお嫌いだと思いますけれども、ただ、やはり何でもありでは秩序が保たれないので、つまり、では一般論で聞きます。

 仮に、一般論として、安保理決議がなくて、武力容認決議がなくて、アメリカがある国を攻撃する。安保理決議がない、そして自衛権でもないわけですね、自衛権でもない。そういうときは、アメリカ、これはだめだよ、日本はこういう立場ですよね、安保理決議がないと。

麻生国務大臣 これは基本的には、個別具体的な話は、この種の話は答えないことになっているんですが、一般的な話を申し上げるというので、またそれが仮にとかなんとかという話になりますと、これはとめどもなく広がっていくんですが、少なくとも、アメリカとは言わず一国が、どの国でもいいですが、一国が何の理由もなく隣の国を武力攻撃する、もしくは自衛権とは言いがたいような国に攻撃をするということが認められるかといえば、どこの国と限っていなくて言うという前提に立てば、それはちょっといかがなものかというのは当然だと存じます。

長妻委員 何かすごくアメリカに気を使っておられますね。だって、安保理決議でないということなんですけれども。

 そしてもう一つ、麻生大臣は、イランのモッタキ外務大臣と結構電話とかやりとりをされておられて、いろいろ意見交換をされていると思いますが、北朝鮮とイランが連動するんじゃないのか。六カ国協議も行方はわからないわけでございまして、北朝鮮とイランが核をめぐって連動をしてくると非常に問題も複雑化すると思っております。

 これは国会図書館に調べていただいたんですが、資料の三ページに発言がいろいろ、お互いの首脳発言、北朝鮮、イランの発言がございます。

 例えば、多少古いんですが、二〇〇二年の十月十日には、ハタミ氏が当時の川口順子外務大臣と会談して、イラクとの戦争の際に、各国は我々、つまりイランに制裁を行った、その間、北朝鮮に武器を求めたよ、こういうふうにハタミ氏は言われておられる。一九九八年の八月五日には、これはモッタキ外務大臣、当時在日大使でありましたけれども、イラン・イラク戦争のときに、当時イランが北朝鮮から支援を受けていたことを認めたと。

 こういうようなことで、昔から結びつきはあると思っておりまして、これは大臣にお伺いしますが、北朝鮮とイランとの連動というか、核をめぐる連動というのは注意が必要だと思いますけれども、どういうふうに日本は考えておられますか。

松島大臣政務官 大量破壊兵器及びミサイルの拡散に対しましては、各国が取り組みを一層強化するとともに、相互に協力して立ち向かうことが重要であります。こうした観点から、我が国は、厳格な輸出管理等に加えまして、PSI、拡散に対する安全保障構想における各国との連携等に努めているところでございます。

 さらに、北朝鮮やイランの核問題に関しましては、安保理決議において大量破壊兵器等に関連する物資の移転を防止することなどが求められております。国際社会として、この着実な実施に取り組むことが重要でございます。

 なお、大量破壊兵器やミサイルの……(長妻委員「それは次の質問。間違って読んでいる」と呼ぶ)間違っている。

長妻委員 ちょっと本当に申しわけないんですが、これは、政治家であれば、そんな紙っぺらなんて読まないで、官僚のをうのみにして、次の質問を今からしゃべって、技術移転を取り締まれということは次なんですね。

 麻生大臣、北朝鮮とイランとの連動、核をめぐる連動というのは阻止する必要があると思うんですが、日本はどういうふうにお考えですか。

麻生国務大臣 済みません、北朝鮮とイランとの連動をいかに阻止するかという御質問ですか。

 少なくとも、北朝鮮からの技術がどれくらいのものかというのはいろいろ意見が分かれるところなんですが、北朝鮮からの核の技術というものが、他国に限らず、テロリストを含めて、そういったものに拡散することを我々としては最も恐れております。今、五者に出ている人の共通点は、多分これです。したがって、イランを含めまして、イランに特定せず、ほかの国に関しましても一様にこの問題に関しては非常に関心を持っておりまして、いかにここらの技術が出ていかないようにするかということに関しては、いろいろ意見の交換が行われているというのは事実です。

 もう一点。先ほど御質問で言われた東芝の話、東芝ディスクリートテクノロジーというんですか、平成十七年十月に発覚をした。それで、対応は基本的にはニコンと同様、任意聴取のため、ロシア通商代表部員の出頭を求めたが、既に出国済みということでありましたので、検察送致が終わりましたので、それを受けまして、在京ロシア大使館に対し、遺憾の意と再発防止を申し入れております。

 デンソーの件につきましては、相手は中国のいわゆる役人じゃなくて民間人ということでありますので、これは今ちょっと調査中であります。

長妻委員 これで質問を終わりますけれども、今、北朝鮮からの大量破壊兵器の拡散、イランへの技術供与は日本はよくわからないような趣旨の発言がありましたけれども、米財務省はセパ銀行というイランの銀行との取引を停止しておりまして、これは、イランが北朝鮮からミサイルの取引に際しての資金移転にこのセパ銀行がかかわったということで、そういうふうに米国当局は認めているんですけれども、日本はさっぱりとそういうことを情報としてつかんでおられないということだとすると、これはまた情報力のなさということで課題が残ると思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

山口委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 笹木竜三です。

 質問を始めます。

 まず、麻生大臣が二十一日午前中にアメリカの統合参謀本部のペース議長とお会いになっていますが、どんな話をされたんでしょうか。そう長い時間じゃないとは聞いておりますが。

    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕

麻生国務大臣 どんな話をしたかというと、ちょっとなかなか言い方が難しいんです。

 基本的には、日本があります北東アジア地域においては、冷戦崩壊後もこの地域においてはユーラシア大陸の西半分とは違う情勢にあって、朝鮮半島または台湾海峡等々を含めて、我々としてはまだ不安定、不確実性の要素があるということを一番わかっていないのはアメリカじゃないか。何となく中近東とか西半分の話ばかりしているけれども、この東半分に対する関心の度合いが少ないというのが、これまで、チェイニー副大統領、またコンディ・ライス国務長官、またラムズフェルド国防長官にずっと会うたびにこの話をしてきたが、同じことは、まずそこのところは言わないかぬところなのであって、ここのところは、きちんとそこらのところの理解がないと、日米安全保障条約というものがお互いに確証したものにならぬという点が一点。

 それから、在日米軍の再編等々につきましては、今のところ、F15の訓練移転など、昨年の五月にできましたロードマップに沿って、いろいろ目に見える成果というのが出てきているけれども、少なくともこういったものを着実に実行していきたいという話をして、また弾道ミサイル、先ほど長妻先生の御質問にあっておりましたところですけれども、この弾道ミサイルに関しましても、これは協力が着実に進展をしていると思っているので、今後とも協力を進めていくことを確認して、さらに技術の進歩等々、いろいろなものをさらに我々は研究せないかぬところだと思っております。

 また、ペース議長の方からは、イラクの安定のために日本の貢献に対しての謝意というもの、これは一番最初に出されたところですけれども、日本としても、イラクの復興もしくは人道的支援というものを引き続き支援していきたいという旨を述べたというのが大まかなところであります。

笹木委員 一点目のことについては、さらに大臣には今後も強く主張していただきたいと思いますが、きょうはその一点目のことではなくて、二点目のことをまずお伺いしたいわけです。米軍再編の中で、在日の米軍基地の再編の問題です。

 今まででもこの委員会ですとか他の委員会でも麻生大臣はいろいろ答弁で御意見を言われていますが、実はきょうの本会議で同僚の議員が質問もしますが、いわゆる米軍再編に係る交付金の法案です。その趣旨説明と質問が本会議で始まって、その後、委員会でも審議が始まるわけですが、その前に、これまで大臣がいろいろ答弁をされている、御意見を言っている、そのことをもう一回ここで確認をさせていただきたいと思います。

 一つは、なぜこの在日の沖縄の海兵隊が移転するに当たって日本側が金銭的な負担をするのかという問題です。何度か答弁もされていますが、その前に、これは大臣御自身でも結構ですし、ほかの方でも結構ですが、まず、そもそも他の国でこういう例があるのか。

 例えば、アメリカの立場に立ってみれば、自分の国が自分の領土に自分の国の軍を移転させることに対する経費を別の国が負担するという例があるか、あるいは日本の立場でいえば、駐留米軍の国外への移転に対して、もともと駐留されていた国が金銭的な負担をした例がほかの国であるのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 ちょっと今即答はあれですけれども、私は、アメリカ軍に関しては知りませんけれども、たしか東西ドイツが合併したときに、東ドイツから撤退するロシア軍に対してドイツ政府は一兆円だか何か払ったという、何かそんな記憶があります。アメリカについてはちょっと存じません。多分、私が知らないんだから、ないと思います。ただ、他国に関してという御質問だったので、その点はあるということは申し上げられると存じます。

笹木委員 お聞きしたのはアメリカとの関係でということですが、他の国がアメリカの駐留米軍に対して、国外移転に対して経済的な負担をしているか、これはないということです。

 では二つ目に、分担することに対して法的な根拠はあるのかどうか。もちろん、きょうの本会議でかかる法案、それは、その資金をどう提供するかの枠組みについて法案の中に書き込まれているわけですが、もともとこの負担をするということの法的根拠はあったのかどうか、それについてお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今御質問のありましたのが多分答えなんだと思いますけれども、新たな交付金の交付とか、また国際協力銀行、JBICにいわゆるグアム移転関連業務に伴う権限を付与するというようなことが今回の法律で上がることになりますので、その裏づけは今提出している法律ということになるんだと存じます。

笹木委員 いろいろ法案ができてくる前にやりとりしていましても、はっきりとした答えが役所の方とお話をしても返ってこないので、質問主意書を出して尋ねたところ、分担することを明示的に禁じる法律の規定はないと、わけのわからぬ答弁書が戻ってきましたが、かなり無理をして分担するということだと思います。今まで例がない、他の国でも例がない、そうしたことをこれから無理をして分担するということだと思います。

 では、改めてお聞きをしますが、なぜ日本側がこの分担をするのか、それについてお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今我々の周りを取り巻いております国際情勢は、先ほど申し上げたとおり、西ヨーロッパというか、ユーラシア大陸の西半分とは大分違っているのが一点。したがって、米軍の抑止力の維持というものは極めて重要であろうというのが一点。

 二つ目は、沖縄にやはり基地というか日本の在日米軍基地の七五%が面積的には集中しているという状態は、これはどう考えてもかなり偏っていると言わざるを得ないと存じます、歴史的な経緯はいろいろあるにしても。

 したがって、その中から海兵隊約八千人、家族を含めますと一万七千人とか六千人とかいう人の数がそこから移動していくということに関しましては、これは沖縄の負担軽減ということになろうと思いますので、そこらのところに関しましては、我々も何らかの形で、こっちが出ていってもらって、かつ抑止力は維持しろという話ですから、そういった意味におきましては難しい連立方程式を解くみたいな話になろうと存じますので、そういった意味では我々としてしかるべき負担というものを考えたというのがその背景であります。

笹木委員 要は、日本における基地の負担を減らす、言ってみれば立ち退いていく分だ、こちらは負担が減るんだ、その理屈はそれなりに、賛成するかどうかは別として、わかりますが、その後でお話しになりました、そして抑止力も維持するのだから、日本にとっての抑止力、そして貢献もしてもらうのだから。そうはいっても、グアムに移転した後の運営にかかる経費まで、これまでの国内の基地にいたと同様に払うということじゃ決してありませんね。

 確認をしたいんですが、そうであれば、立ち退いていく分だ、その部分で払うんだといえば、沖縄の基地から海兵隊が八千人、家族が九千人グアムに移転をする、それについて立ち退き料だと思えば、それにかかわる経費ということで日本は負担をする、そういう理屈だということですね。あくまでもそれに限定してということですね、確認をさせてください。

麻生国務大臣 立ち退いて移転するうちを建てる点につきましては、どういうぐあいに計算されるかはちょっと考え方は別ですけれども、立ち退く先の宿泊という点に関しましては、先ほどの負担する費用の中に入っておりますので、その点は御理解いただいていると存じます。

笹木委員 では、ここでまた、御本人じゃなくてもいいですがお答えいただきたいんですが、今グアムにアメリカのいわゆる兵隊、軍人が六千五百人います。それプラス家族も入れてもう少しの数になると思いますが、それで、沖縄からの移転される人数が、兵隊、軍人として八千人プラス家族ということです。仮にこれで三万人弱だとしますか。グアムに現在いる家族と軍人本人、それと沖縄から移転する一万七千人、家族と兵隊含めて大体三万ぐらいになると思いますが、最終的にグアムに住むことになる兵隊と家族はどのぐらいの数になるのか御存じでしょうか。

麻生国務大臣 これは笹木先生、私ら外務省は、他国の話でもありますし、他国の領土の中での話でもありまして、最終的にどのようなものをアメリカの国防省で考えているか、ちょっと私のところでわかってはおりません。

笹木委員 出席されているほかの方でも結構ですが。

大古政府参考人 防衛省からお答えをさせていただきます。

 防衛省としても、最終的にグアムに何人の軍人がおって、家族が何人かということについては把握しておりません。

笹木委員 いや、本当にこのグアムでの全体像というのはすごくわかりにくいんですが、私、たまたま機会がありまして、向こうでバイスさんという方から、言ってみれば統合室ですか、グアムの再編の統合室の責任者ですか、バイスさんからお聞きする機会がありましたが、四万人というふうに答えておられました。

 ですから、当然、今現にグアムにいる兵隊と家族、そして沖縄から移転するのが一万七千人、プラス恐らく一万人前後だと思います、兵隊と家族でプラス一万人前後がさらにグアムに、ほかの場所から、日本以外のところから移転をされるんだろうと思います。

 こういったことで、実は見学もしてきたんですが、インフラの信頼性が非常に低いんだということをアメリカ側の方は繰り返し繰り返しおっしゃいます。ですから、インフラもこれから新しくしないといけないんだ、五〇年代、六〇年代からの施設もすごく多いんだ、九三年から二〇〇一年まではグアムはいろいろな基地機能をどんどん縮小してきたから、非常に今お粗末な、貧弱な状態だ、これをもう一回建て直すんだと力説をしているわけです。

 それで、先ほどお話しになりました住宅ですとかインフラ、そうしたものを含めて全部で百二・七億ドル、そのうち、財政支出と融資、出資を含めて日本が大体六割、アメリカは四割ぐらいということになっています。

 ここでもう一度確認をしたいんですが、インフラなんかの準備状況とか今現在のかなりお粗末な状況を見て、かなり可能性としては、本当に沖縄から移転する海兵隊とその家族の分だけにこの日本からの負担が使われるんだろうか、いや、それ以外にも使われる可能性がやはりあるんじゃないか、そういうことを感じました。先ほどの最初の、なぜ日本側が負担するのかということに戻って考えれば、基本的には、沖縄の海兵隊の家族と兵隊の移転、このことに厳密にこの負担は使われるべきだと思いますが、そのことは大臣も同感でいらっしゃいますよね。

麻生国務大臣 百二億ドルのうち二十八億ドルがこちら側の出資というか、払うことになろうと思いますが、今その他の分について、六十何億ドルとの差はローン、いわゆる融資ということになっていると思いますので、金利は幾らかとかなんとか、いろいろな計算をしますと、最近ちょっとその種のことから疎い世界に来ていますので、すぐに計算ができませんけれども、少なくとも、ちょっとわけのわからぬ国に貸すのではなくて、仮にもアメリカに融資するんですから、一応やはり金はデフォルトになることはまずないだろうと考えるのが常識的だと思いますけれども。

 したがって、私どもは、貸した金は返ってくるという前提に立ちますと、少なくとも二十八億ドルは出すにしても、残りの分については融資ということで考えておるというのが現状ですね。ちょっと、何となく六十一億全部出しきりで返ってこないような話とは少し違うように御理解いただければと存じます。

笹木委員 今、返ってこないということをお聞きしたんじゃないんです。それは家賃収入で返していくとかいろいろなことを言っていますから、まあ何十年かかるのか知りませんが、返すと言っているんですが、今そのことを言っているんじゃなくて、要は、例えば財政支出でいうと、日本側が二十八・〇億ドル、さっき言ったそれ以外の出資、融資、効率化するんだとかいろいろ言われていますが、住宅についての出資と融資でも二十五・五億ドルあるわけです。

 だから、こういったものは、さっきの話に戻しますと、沖縄から移転する海兵隊とその家族にかかる費用にあくまでも使われるのであって、それ以外のことには使われない、このことは確認させていただいていいんですよね、使われるべきではないということは。

麻生国務大臣 二十八億ドルを上限ということで、財政支出、いわゆる通称真水と言われる部分でやります。そのほかに、出資十五億ドル、それから融資として出します部分が残り約四億二千万ドル、六億三千万ドル、七億四千万ドルということになりますので、約十九億ドルぐらいのものがいわゆる融資ということになります。

 その中で、基地内のインフラというものが出ますので、電力とか上下水道とかいろいろつくらないかぬ。私もグアムにはもう長いこと行っていませんのでわかりませんけれども、かなり、あそこのところからいけば、これだけの人が一万何千人入ってくれば、ちょっといろいろなことをしなくちゃいかぬだろうと思います。

 したがいまして、基地内のインフラ等々をつくらざるを得ないと思いますが、その電力はほかのところへ絶対使われないかと言われても、ちょっとそこはなかなか、効率的にいきますので難しいとは思いますが、基本的には今先生の言われたのが基本というように御理解いただいて結構だと存じます。

笹木委員 いろいろ細かいことは、計算の仕方もわからないし、いろいろあると思いますが、基本はそうだということでお答えいただきました。それは確認をさせていただきました。

 それで、非常に問題なのが、今言った電力だけじゃありません、道路の場合、これはアメリカの融資ですが、上下水道の場合あるいは廃棄物の処理施設の場合、こうしたものもいろいろあるわけですが、いずれにしても、積算根拠と言われていますが、これが非常にわからない。

 いろいろこれもやりとりで、質問主意書なんかを使って答弁いただきますと、積算根拠、要は、グアムでの部隊ごとの規模等が全く決まっていない、だから引き続き米国と協議することしかない、今の時点で答えられないと。これは、法案が出てきて金も出そうということを今決めようという直前です、先週の段階でもまだこう言っているわけですね。あるいは、ほかのことに使われる可能性はないのかとか、あるいは、この額が本当に妥当なのかというような、そういう質問をすると、米国の見積もりをもとに合意しているが、我が国が主体的に精査することが不可欠だと。当たり前のことだと思います。必要不可欠だと言っているんですが、来年度以降もその精査をして、縮小が図れないかを検討していくと言っている。

 法案を今出すわけですが、まだわからない、精査をこれからやっていく。これは非常にいいかげんな話で、やはり法案を通す前に、積算根拠、少なくとも、最低でも先ほど確認させていただきました、グアムへの沖縄から移転する海兵隊とその家族、その分に使うんだ、そのことがちゃんと確保されているかどうかの確認ができるぐらいの根拠の数字が出てこないと、これは法案に賛成、反対という、その判断材料にならないわけですね。

 これは、一週間前になってもそういうことすらわからない、答えられない。この状態でいいのかどうか。麻生大臣はこれでいいとお思いかどうか。もちろん、これが委員会の質疑の中でしっかりと具体的な答えが返ってくれば、もう少しまともな議論ができるし、進めていくこともできると思うんですが、この状態のままで、先ほど言った本来使われるべきことに使われているかどうかの判断ができるかどうか、こういう状態でいいのかどうかということについて、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、今から普天間から辺野古に移る、それで、移りませんと出ていきようがないという部分も、いろいろ重なっておりますね、あそこの部分は。そういった部分がありますので、少なくとも、時系列的にいきますと、かなりそこに時間差が出てくるということだと存じます。そこのところは、あしたすぐ移転というんだったら、きょう積算とおっしゃる意味はわかりますけれども、時間差がありますので、その点はある程度考えておいていただかぬと、私らみたいに元セメント屋から言わせますと、前の年の物価はおよそ当てにならぬことになりますので、そういったものの積算を役所できちんとやると、違っているじゃないかということにまたなりかねぬという点もちょっと考慮しておいていただかないかぬとは思います。

 ただ、今、我々としては、沖縄の負担軽減というのは、かなり急いだのは確かです。ここのところが一番気になっておりましたところだったので、沖縄の負担軽減を急ぐということになるとこういった形になっていったというのが非常に大きな背景だとは思います。ただ、少なくとも、相手の国に入っていって、これ幾らですか、どうですかと詰めるところまでとても今行っていないというのが正直なところだと思っております。

笹木委員 いや、その状態で金をこれだけ出すんだ、それでその法案を通せというのは、余りにもちょっとむちゃに過ぎませんか。やはりそれでは判断できないですよ。

 最低でも、民活方式で少しでも経費を安くするという、九六年ごろからアメリカ本土とハワイでやっているような、アメリカが自前の分担についてやっているような住宅とかインフラのつくり方についての方式はもう一応確立しているわけですね。では、それについての細かい数字、九六年からの経験でアメリカが出してきた根拠はこういうものだ、それは出せるわけですよ。せめてそういうものを出して、そのままの数字でグアムで適用できるかどうか、これはまた議論があることだと思います。しかし、それにしても、そのもとの数字を出して、さっき言った判断も含めてできるようにするのが国会審議のためには常識だと思いますが、そうはお思いになりませんか。

麻生国務大臣 できることならやりたいと思いますが、あくまでも概算ということで出しておりますので、基本的には後で積算をすることになりますので、その段階で精査をするということになるというのは当然のことだと存じますが、今のこの段階で概算しか出せないというのが現状だと存じております。

笹木委員 非常に不満足な、不満な御答弁ですが、とにかくできる限りやるべきだというお話はありました。そのことをできる限りやっていただきたいと思いますので、今後の委員会の審議で本格的にやりたいと思います。

 それで、もう一つ、これも同じ二十一日ですが、麻生大臣が発言をされていますが、細かい揚げ足取りをするつもりは全然ありませんので。これは長崎県での講演ですか、講演の中で、米国にできないことを日本がやっている、日本人というのは信頼がある、青い目で金髪だったら多分だめよ、我々は幸いにして黄色い顔をしている、中東で搾取をしてきたとか、ドンパチ、機関銃撃ったとか一回もない。

 これはどういう脈絡で発言されたんでしょうか。

麻生国務大臣 平和と繁栄の回廊というのは御存じかと思いますが、今度日本が、イスラエルとパレスチナというものの長い間の紛争解決のためには、我々としては、パレスチナが経済的に独立をしていかない限り、仮に独立をしたとしても、少なくともパレスチナが国家として成り立っていかないというのでは話になりませんよ。イスラエルも、建国した当時、成功した最大の理由は、農業が成功をおさめたというのが、イスラエルの建国、その後の経過につながっていった非常に大きな背景だというのは、パレスチナも御存じでしょう。イスラエル人にできて、何でパレスチナにできないんですか、おかしいとは思わぬのですか。我々は、そういった点で、この点に関して支援をしていくという用意がありますと。

 問題は、農業というものは売れなくちゃしようがありませんから、つくるだけで後は何も知らないなんて、どこかの国とわけが違うので、つくったら売らなきゃだめなんですよ。売ったら回収する。その売る先はどこですかといえば、基本的には、ヨルダン渓谷を抜けていく以外にほかに方法がないんじゃありませんか。したがって、ヨルダンの人も入ってもらって、ヨルダンとイスラエルとパレスチナと三カ国で話をするということでないと、後々の保障ができかねる。したがって、パレスチナ、ヨルダン、イスラエル、三カ国で日本でやりましょう、安心して話ができるんじゃありませんか、日本でやりましょうやという話をして、シモン・ペレス以下、パレスチナの交渉局長、ヨルダンの王室顧問等々が来て、下打ち合わせもしましたけれども、日本でいろいろ話をして、一番最後のところで、この話がまとまるところまで来た。

 まとまるところの段階で、ここまで行けたのはひとえに日本のおかげだという話をされたので、私どもの方から、何で日本を信用しましたか、何であなた、日本人を信用したんですかと聞いたら、うんと言って詰まったから、早い話が、我々は西洋人じゃなかったからでしょうと。我々はおたくの地域にいまだかつて何の関係もありませんから、しかし、経済的には世界第二の経済大国にのし上がって、しかも、おたくらと同じようにうちは資源はないから、その資源のない国でもこれだけできたということが我々を信用させたんじゃありませんか、すなわち我々が東洋人だったからですよという話をして、向こうはいきなり手を出して、にっこり笑って、そのとおりだと言うから、その話を説明しやすくしただけであって、そこを青い目だ何だと、そこだけとられてこんなことを書きやがるから、頭にきたといって、この間のどこかの委員会で、ふざけているじゃないか、こういった国益に背くような話を堂々と流しているのはおかしいと。

 これを出した通信社もどこだかわかっておりますが、ほかの通信社も何もみんなわかったから、そこは何も書かなかったけれども、この通信社だけが書いたというのが背景だと思っております。したがって、これは向こうも物すごく理解をしている、これはみんな同じですから。

 この間、パレスチナに選挙の支援で、うちは外務省から大臣政務官を選挙管理に出したんですけれども、ぞろぞろ人がついてくるというわけです。何か気持ち悪いなと思ったら、何人、何人、どこから来たとみんなはしゃいじゃった。東洋人を見たのが初めてというようなところに選挙に行きますので、そういったぐらい、日本人とわかったら、多分パレスチナ語だかアラブ語だか、ちょっと詳しい言葉は知りませんけれども、うわあっと言って今度はわっと人がふえてくる。それぐらい信用があるというのは、やはりこれは、我々の先輩やら多くの方々が培ってきた外交力、国家のブランドとしては物すごく大きいんだというのを私は思いました。

 私は、この話がなかったら、正直、この平和の回廊というのはそれまでちょっとやれる自信がなかったんですが、昨年、この大臣政務官の報告を受けたものですから、それで、よし、これはやれるかなと思ってこの話を企画したというのが背景で、いろいろおもしろおかしく話をとられているのは、きのうも、何委員会だか忘れましたけれども、参議院で御意見がありましたので、同じように、笹木先生よりはもう少し言い方がちょっとあれだったので、もっと激しく答えたんですが、きょうはにっこり答えております。

 それが事実であり、そういうように真意をお酌み取りいただければと存じます。

笹木委員 別に、黄色人種発言とかそのことを今取り上げたくてお聞きしたんじゃないんですね。

 今おっしゃったことは大体わかります。実際に、中東の紛争というのが、過去の植民地主義の負の遺産として起こってきているのも事実だと思います。それに対しては、日本は中東における植民地主義には手を染めていないのも事実だと思います。

 しかし、それでこれまで比較的好感も持ってもらえたんだと思いますが、今、そういうふうに言い切る、ドンパチをやっていない、機関銃撃っていないというふうに、一回もないと言い切るのは、中東の方の中には、ちょっとそれはずるいんじゃないか、ごまかしじゃないかと思う方もいる可能性がある。これはやはり事実だと思います。

 大臣に言うまでもなくて、日本の基地からは、アメリカの戦闘機であっても艦隊であっても出ているわけですよね。過去に先輩が、先人が事前協議というのをしっかりと位置づけていた。日本から行われる戦闘作戦行動のための在日基地の使用は日米の事前協議の対象になる、こういうことを規定してこられた。

 これは、例えば、アメリカの軍が、かつてベトナム戦争のときに在日の米軍基地から直接出撃していった、艦隊も出ていった、あるいはイラク戦の場合にも直接出ていった。こういうことに対して、ベトナムの方であったりイラクの方であったりは、やはり日本をアメリカと一体化して見る可能性が非常に高いと思います。ですから、今までの日本の立場から見ると、印象というものは非常に変わってきている可能性があると思います。

 ここで、大臣に改めてお聞きをしたいわけですが、この事前協議というのを取り決めたのは、日本の先輩方がどういう思いで取り決めをされたんだと思われるか、御意見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 先輩方の心理状態までは、ちょっと今になりますとなかなかわかりませんけれども、基本的には安保条約によって、少なくとも日本にいる、例えばアメリカ空軍にしても何にしても、日本の安全保障をきちんとやってくれているという大前提に立ちますと、やってくれているというのでありさえすれば、航空母艦が、もしくは飛行機が、艦船がどこかほかのところに行くことに関して、それは我々としてかかわり合うところではない。行っちゃうことによってこっちの方の手薄になるというのであれば、これはまた話は別です。しかし、いなくなるというんじゃなくて、どこかに移動するということに関しましては、我々にとってかかわり合うところではない。それは米軍のオペレーションの中の話というぐあいに理解をいたしております。

笹木委員 いつもは、直接出撃しても、訓練で発進したものに出撃任務が与えられた、そういうへ理屈を言ったりしてきたわけですよね。先輩方がどう考えたというのは、恐らく、合意なしでアメリカがリスクの高いところに行く、議論もなし、合意もなしに行かれたのでは日本が一体化する、それは日本の国益を損なうし、日本の危険が増す、こういう前提で事前協議制というのをつくられたんだと思います。

 だから、それから見て、今言った、常にへ理屈を言ってこられて、直接出撃していても知らないふりをしてきた、このことは、ごまかし以外の何物でもないし、やはり長期的には絶対に国益を損なうと思います。そうしたことを一方でしていて、ドンパチも一回もやっていない、そういうことを平気で言うのは、やはり、ごまかしている、ずるいというふうに思われるんじゃないか、そういうふうに心配するわけです。

 大臣は、そのことについて、事前協議について、少しでも現実に合ったものに見直すことも含めてですが、これについて何か、今後の見直しについて考えることは全くおありになりませんか。

麻生国務大臣 向こうからはずるいと言われたことがありませんので、先生は言われたかどうか知りませんが、少なくとも私自身は言われたことはありませんので、少なくとも今そのような感情を持たれてはいないということは確かだと存じます。それが一つです。

 二つ目の、今の事前協議の話は、これは御存じのように長い話で、藤山・マッカーサー会談とかずっとさかのぼりますので、これは一々説明していくと、とてもじゃないが時間がありませんのであれですけれども、少なくとも今、戦闘行動に直接従事することでないということになりますと、これは少なくとも我々として事前協議の対象ではないというのは御存じのとおりであります。

笹木委員 もう一点だけ別に確認したいことがあるので、きょうはここまでにしますが、別の機会にまたゆっくりやりたいと思います。

 先ほど長妻議員も一部取り上げていましたが、二十一日、麻生大臣がペース議長と会った際に、弾道ミサイル迎撃協力についても話が出た、そういうお答えでした。

 これは御本人じゃなくても結構です、事務方の方でも結構ですが、要は、前倒しして、パトリオット3を、二〇〇六年度の終わり、三月末に入間の高射隊、そして二〇〇七年度中にはさらに三カ所、二〇一〇年度までに十六の高射隊に配備するという計画があると聞きましたが、これについて説明をいただきたいと思います。

大古政府参考人 ペトリオットのPAC3の配備につきましては、今委員御指摘のとおりで予定しております。

笹木委員 それでかなり前倒しをしているわけですが、十六の高射隊に配備をしても、一つの展開したパトリオット3で大体半径二十キロぐらいなわけですよね、その守備範囲というのが。

大古政府参考人 PAC3の守れる範囲につきましては、具体的な数字は事柄の性格上ちょっと控えさせていただきますけれども、基本的にPAC3の守れる範囲は半径数十キロということでございます。

笹木委員 では、別の聞き方をしますが、二〇一〇年までに十六高射隊で配置をするということですが、日本全国くまなく守備範囲にするためには、最終的に一体幾つの高射隊で配置することが必要になるのか。これについては別に隠すことじゃないと思いますが、お答えをいただきたいと思います。

大古政府参考人 弾道ミサイル防衛につきましては、まず広い範囲をイージス艦のSM3ミサイルで防護した上で、撃ち漏らしたものについて、都市の政経中枢をPAC3で守るということで考えているところでございます。

 その意味で、日本全国くまなくPAC3で守るということについては、防衛省として特に検討はしておりません。

笹木委員 検討はしなくても、単純に計算すればわかるわけで、三百高射隊ですよね。三百高射隊に配置して初めて日本全土をカバーすることができる、この計画は別にないわけですが、結局、イージス艦で撃ち漏らした分、今度これをパトリオット3でさらにということなんですが、これも前倒しをしていますが、すべてカバーできるわけじゃない。ですから、多分優先的に、人口が多いところですとか原子力発電所のあるところですとかいろいろなところを優先してそのカバーをしていくということですよね。

 それにしても、結局、それでも三百分の二百八十四の範囲はカバーできないんだ、こういうことも含めて、余り隠さずに国民に知っていただくべきだと思います。知っていただいた上で、例えば自治体も政府も協力しての国民保護計画。まあ、あっちゃいけないし、可能性はそう高くないかもしれないけれども、暴発した場合には決して確実と言える態勢じゃないんだ。それを前提に国民保護計画をやる、これをもっと力を入れるべきだと思いますが、その国民保護計画ということからいって、今言った弾道ミサイルよりももっと深刻なのは、生物化学兵器に対する対応だと思います。

 大臣も以前、若干お話しになっていましたが、弾道ミサイルそして核搭載のミサイルはまだ時間的な余裕が少しあるかもしれない、生物化学兵器による攻撃は、あしたやろうと思ってもできる、技術的にはできるわけですが、これに対する備えはどういうふうにされていますか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 政府としては、平成十六年の十二月に、テロの未然防止に関する行動計画を策定いたしまして、関係省庁が緊密な連携を図りながら、テロ対策情報の収集、分析に努めるとともに、テロの未然防止を図っているところでございます。

 特に、今御指摘の生物化学兵器を利用したテロ等については、大量殺傷型テロの一つとして政府全体で平素から対策を講じておりまして、緊急医療体制の整備、医療関係者への情報提供、ワクチンの備蓄、医薬品の在庫、流通量の調査を行いまして、被害者対策等に万全を期すとともに、警察のNBCテロ対策専門部隊及び陸上自衛隊の化学防護部隊が即応態勢を整えているところでございます。

 また、万が一、生物化学テロが発生した場合には、初動措置を迅速的確に行うことが最も重要でございまして、警察、海上保安庁、自衛隊、厚生労働省等の関係機関が連携を密にしまして、被害者の救助、被害の拡大防止、犯人の検挙等に全力を挙げるとともに、国民に対して正確で時宜を得た情報を提供することとしております。

 今後とも、情勢の変化に対応しまして、対策の不断の見直しを行いまして、生物化学テロ対策等、万全を期していきたいと考えております。

    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

笹木委員 少しずつ始めようとしているというのは、いろいろ説明を受けてわかりましたが、ぜひ大臣も御認識いただきたいのですが、アメリカでは二〇〇三年に、二十四時間以内に探知できる生物兵器センサーを主要都市に配備している。日本はとてもまだそこまで行っていません。特殊部隊が何かあったときにそこから派遣されて、それから始めよう、調べよう、そして対処をスタートさせていこう、そんな状態です。

 そして、ワクチンの場合ですと、アメリカは、生物兵器に対するワクチンを四億人分確保している。日本はどのぐらいですか。せいぜい二百万人分ぐらいですよね。探知機も全くありません。

 ぜひ、弾道ミサイル対策ということで、アメリカといろいろな協力とかいろいろなことを学ぶのも必要だと思いますが、この生物化学兵器、これについてもアメリカは非常に進んでいますので、このことについても、大臣も含めてもう少ししっかりした協力をやっていただきたいし、先ほど国民保護と言いましたが、この生物化学兵器対策でいえば、自治体の役割はもっと大きくなると思います。日ごろからの研修ですとかあるいは訓練とか、全くお粗末な状態です。

 そうしたことをぜひ、結局、北朝鮮だとかある国の脅威とかいっても、国民一人一人にとって一番関心があるのは、そのときに自分自身あるいは家族は生き残れるのかどうかだと思うのです。ですから、その視点に立ってこの国民保護、特にきょうは最後に生物化学兵器対策、このことをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。かなりおくれているのが現実だと思います。

麻生国務大臣 やはり地下鉄サリン事件ですよね、これにまさる、化学兵器を使った、兵器というべきか、これがやはり一番、日本においては最大のテロなんじゃないでしょうか。しかも、霞が関ですよ、外務省のトイメン。ここで約五千人からの人が影響を受けたという痛ましい事件、もうすっかり忘れている人もいっぱいいらっしゃいますけれども。これは日本において、日本はテロがないなんてとぼけたことを言う人がいっぱいいますけれども、これにまさるテロなんかありませんよ、五千人ですから。

 そのときに、実に簡単にああいったのができた。しかし、後遺症に悩む人も多い中で、あれだけ死人が少なかった最大の理由は何かといえば、陸上自衛隊のある医官の判断、これにかかったというのはもう御存じのとおりだと思いますので、そういったようなものがきちんと対応できるマニュアルというものがもっときちんとされていかねばいかぬ、私どももそう思って、これは金のかかる話でもありますけれども、すごく大事な話だという点に関しましては、笹木先生と全く意見を同じにしております。

笹木委員 別な機会に、もう少し詳しくこのテーマについてもやりたいと思っています。

 質問を終わります。

山口委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 昨三月二十二日、原爆症認定申請を却下したのは違法だということで広島と長崎の被爆者らが国を訴えた集団訴訟の判決が、二十日の仙台地裁に続いて、東京地裁で下されました。現行の原爆症認定のあり方について、被爆者救済を目的とする法の趣旨に合わない、このように判決は批判をしまして、三十人中二十一人について、国の原爆症認定申請却下処分を取り消す、原告勝訴の判決であります。

 国側は、一九九〇年以降、最高裁、大阪高裁、東京高裁など、全国十二回の判決ですべて敗訴しております。

 被爆から六十年以上たって、被爆者たちは高齢化をしております。私ごとですけれども、十四歳のときに広島で被爆した私の母も、たび重なる病気、そして脳梗塞の再発で、一昨年から思うように話もできないということで、半分寝たきりみたいな状態になっております。そういう被爆者たちは残された時間が少ないと、訴えた方々は一刻も早い救済を望んでおられます。

 国会においても、認定行政についての抜本改革を求めるということで、国会議員百六十人以上が既に賛同署名をしていて、自民党も含めて超党派で議員の動きが広がっております。

 これは主管は厚生労働省ですけれども、今こそ国は、控訴を断念して、原爆症認定行政の抜本的見直しを行うとともに、さらに原爆被害への国家補償へと踏み出すことを強く求めたいと思っております。

 そこで、麻生大臣、国としてのこうした決断の問題とともに、二度と被爆者を生まないということのために、世界的な核兵器全面禁止、廃絶ということがいよいよ重要になっていると思うんですけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、唯一の被爆国と、今この種の話は、唯一被爆国と言うと、いや麻生さん、ウクライナも忘れるなよと必ず言われますので、爆弾という形で被爆したという意味においては日本が唯一ということになります。最近のものはすぐ、外国語に通訳されていくと、いきなりチェルノブイリあたりからどんと来ますので、おまえらだけじゃないぞという話になりますので、随分持って回った言い方をするじゃないかとお思いでしょうけれども、そこのところは御理解いただきたいと存じます。

 核兵器のない平和で安全な世界というのを一日も早く実現というのは、これは当然のことなのであって、この点に関しましては、結構、これまで日本としては、国連の中等々において着実に実績を積み重ねてきたと思っております。

 核軍縮決議案の提出とか、いろいろこれまでも行ってきたところでもありますし、少しずつふえてきているというのも実態だと思っておりますので、今後とも、こういった努力を継続していかねばならぬものだと思っております。

笠井委員 被爆者の思いからすると、本当に当然これは大事なことだということと、それから、今なお原爆投下を正当化するアメリカ、そしてその戦争と核兵器使用政策というのがあって、これを現実には容認しながら、それに協力するという日本の政府の姿勢が、裁判をめぐる問題でも、やはり原爆被害を直視しない根本的な要因にあるのではないかと私は強く感じております。今こそそれを改めるべきだということを申し上げたい。

 そこで、二〇〇七年の世界を見渡しますと、イラク戦争の開始から四年ということであります。世界の世論に挑戦をして戦争を強行したブッシュ政権に対する厳しい批判が、国際的にも、そしてまた米国内でも沸騰している一方で、非核平和という点では、力強い流れが大きく広がってきているということも見ることができると思います。

 昨年末の国連総会では、今大臣がおっしゃったような一連の核兵器廃絶の決議ということで、核兵器廃絶の約束実行だとか交渉開始という問題も含めて、さまざまな決議が上がり、そして、北朝鮮をめぐる核兵器とその開発計画の放棄、朝鮮半島の非核化に向けても、六者会合が共同文書を出して、今、その合意の着実な実施に向けてということで、なかなか大変ですけれども、粘り強い努力をされているというところだと思うんです。

 そういう中で、この中で注目すべきことは、核不拡散という角度からも、もはや核兵器廃絶しか出口がないという形で、新たな主張や声が広がっているということだと思うんです。

 例えば、ことし一月四日に、アメリカの新聞、ウォールストリート・ジャーナルで、核兵器のない世界の実現に向けて、これを呼びかけるということで、そしてまた米国自身に本格的な努力を求めた論文が出されました。実は、これを出したのが、ヘンリー・キッシンジャー、ジョージ・シュルツ両元国務長官、それからウィリアム・ペリー元国防長官、サム・ナン元上院軍事委員長の四氏によるものでありますが、大臣、これは御存じでしょうか、御存じかどうかだけ。

麻生国務大臣 正月でしたね、一月四、五日だったかな。日本で四日ですかね。はい、知っております。

笠井委員 その中で、私もきょうここに訳したものを持ってきましたけれども、冒頭でこう言っております。

 今日、核兵器は巨大な危険をもたらしているが、同時に、歴史的な機会をももたらしている。米国の指導者たちは、世界を次の段階に進めること、すなわち核兵器が潜在的に危険な手に拡散するのを防止するための重要な貢献として、核兵器に対する世界的な依存を逆転させ、最終的には核兵器が世界への脅威であることを終わらせるための確固としたコンセンサスに進むことが求められている。

 そして、核兵器が冷戦期において国際の安全の維持のために不可欠だったのは、それが抑止の手段だったからである。冷戦終結によって、米ソの相互抑止というドクトリンは時代おくれとなった。抑止は引き続き、多くの国にとって、ほかの諸国からの脅威という点で重要な動機である。しかし、この目的で核兵器に依存することは、ますます危険になっており、有効性を減じている。

 だから、核兵器のない世界に進むべきだという主張であります。

 キッシンジャー氏といえば、もう申し上げるまでもなく、かつて「核兵器と外交政策」という論文を書いて、本を出して有名でありますが、五〇年代にも、限定核戦争論を理論化するということで、核政策を進めてきたような政治家であります。こうしたアメリカの核世界戦略を立案、推進してきたような人々による提言だけに、私のような立場でも非常に感慨深く、重いものだと注目いたしました。

 国連総会に政府が提案した「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」、こういうことも決議が出されて採択をされる、そして、アメリカに対してもCTBTの批准を求めている政府の立場として、私は、こういう動きというのがアメリカの中で起こっているというのは歓迎すべきことだと思うんですけれども、大臣はこの呼びかけについてどういう感想を持たれておられるか、そしてどう受けとめておられるか、お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 ワールド・フリー・オブ・ニュークリア・ウエポンというのがたしか表題だったと思いますけれども、正直言って、笠井先生、あのときは、ちょっと正確な記憶じゃないんですけれども、二つ思ったことだけ記憶があるんです。一つは、君子は豹変するなと思いました。この人の最初に書いた論文は、ちょっと正直びっくりするほどの論文でしたよ。私が読んだ、読んだといいますか、あのころ、まだ英語はちょこちょこだったので、かなり辞書を引いて読んだ記憶があったので。あの相互確証何とかかんとかという例のをつくり上げたときでしょう。それが、同じキッシンジャーだったので、へえと思ったのが一つです。それから、やはり時代というのは随分大きく変わりつつあるのかなというのがそのとき思った記憶なので、もう一回読んでみないと、何十年前からある本でしたけれども、正確な記憶が少し薄れていると思いますけれども、そのとき思った感想はどうだったかといえば、それが正直な実感でした。

笠井委員 大臣から率直な感想がありました。まさに私も、あの人がこういうことをと。しかも、やはり時代が大きく動いているな、変わっているなということを実感したのであります。

 このほかにも、この間でいうと、ハンス・ブリクス、国連のイラク査察チームの元責任者とかエルバラダイIAEAの事務局長も、核兵器のない世界を目指すべきだと。つまり、不拡散ということを追求してきた立場からも、それが重要だということで、相次いでそういう発言、提言がこの間出されているということだと思うんです。

 このキッシンジャー氏の呼びかけは、また改めて大臣も振り返っていただければと思うんですけれども、今何をすべきかということで、先ほど申し上げたようなことに続いて、こう言っております。

 まず第一に、核兵器のない世界という目標を共同の事業にするために、核保有諸国の指導者たちとの集中的な協力が求められる。こうした共同の事業というのは、核保有諸国の配置を変えることになるので、北朝鮮とイランの核武装化を回避するために既に行われている取り組みに一層の力を添えることになるだろう。こう指摘をしております。

 こういう点でも、唯一の被爆国の役割というのが、まあ唯一の被爆国というのは先ほどありましたが、原爆被害を受けた唯一の国という点でいうと、いよいよ大事になっていると思うんです。ところが、その点でいいますと、当委員会でも議論になってきましたが、核保有議論の問題がありました、ここは改めて私は繰り返しませんが。さらには、総理も外務大臣も、非核三原則を守るということは繰り返し強調されるわけですが、他方で、日米同盟のもとでの核の傘ということは堅持する、そういうもとでいくんだという役割をあえて強調される。日本を舞台にした米軍の展開、これを容認しながら再編を進めるということであります。

 こういう点でいいますと、こういう問題提起があるもとでなんですが、他国には核の放棄を迫るということをやっても、あるいは核を持つなということは主張をしながら、他方で、みずからは最大の核保有国である、そして、キッシンジャーからも言われるような立場にあるわけですが、アメリカ自身が新型核開発の具体化を進めている、そうしたアメリカの核兵器に依存し続けるということが一体どれだけ説得力を持つんだろうかという問題が出てくると思うんです。世界に非核を訴えて説得をするなら、まず、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずの非核三原則と、戦争放棄の憲法を堅持しながら外交に生かすべきではないかと私は考えます。

 そこで、麻生大臣、ことし冒頭の外交演説の中で、主張する外交ということで展開をされました。その中で、私も印象深く伺ったんですが、「日本の主張に耳を傾けたいと相手に思わせることが重要であります。」というふうに述べられました。しかし、その主張の中では、外交演説を私も改めてここで読みましたけれども、国際的な核軍縮、不拡散の体制を維持強化ということは言われているんですが、核兵器廃絶ということ自身も、明示的に、やはり主張する外交として、唯一の被爆国日本としてははっきりこの際言うべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 笠井先生御存じのように、やはり日本の場合、隣国に核を持っている国が、太平洋を隔てたアメリカを含めまして四カ国、ロシア、中国、北朝鮮、まあ北朝鮮が核保有国かどうかというのは意見の分かれるところでちょっと一概には言えませんけれども、一応、持っていると自称している国を含めまして、四カ国の間に日本と韓国がいるという状況にありますので、我々としては、こういった状況の中にあるという前提に立ちますと、その関係が皆仲がいいという関係ならともかく、なかなかさようなわけにはないということになりますと、自分で防衛をせないかぬ。そのためには、核なしで全部防衛できるだけの力が我々にあるかといえば、今の段階ではさようなわけではないという大前提に立って、これで、同盟関係にあります国と一緒になって防衛しているという状況であります。こういう状況を大前提にしないと、今の話は、我々として一方的に思いだけを言ってもなかなかできないところがあろうと存じます。

 総じて、もう一つ、先生、最近、この種の話をよく見ると、両方でこうやっている国、片方が、弱い方が持つんですよね。軍隊を持てるだけの金もない、人口も少ない、何もないというと、こっちが持つということにどうしてもなる。それは、仲が悪ければどうしてもそういうことになりたがる傾向がある。これは軍事的にはよく言われるところなんですけれども。

 何となく、アメリカを頼りにした韓国の方がだんだん経済力をつけてきて、そこそこ豊かになってきて、傍ら、北の方はそうでもなくなってくると、今度、北の方はいきなり核を持ちますのミサイルのという話になっていくんだと思います。ここらのところは、やはりある程度自信を持って豊かになる、経済も豊かになって自信を持つ、いろいろなところが出てきて複合的に生み出すものがあろうと思います。私もここのところは、その国の経済力とか生活水準とかいうものがある程度上がってくるということも、その種のものにもう頼らなくてもいいやとかいうような気にさせるものの一つではないのかなと最近つくづく考えるようなことがあります。

 今おっしゃられたことは長期的には絶対正しいと私は思いますが、今ただいまと言われると、なかなか、今の我々が置かれている環境はそれが許される環境にあるかなということを別の次元として考えております。

笠井委員 時間がそんなにありませんのであれですが、キッシンジャーの提起の中でも、結局、北朝鮮とかイランとかテロリストとか、そういうことも踏まえて、いわゆる冷戦後の状況から見ても、今抑止ということではなくて、そうでないとアメリカ自身も大変なことになるよという話をしているという点が一つ。

 もう一つは、身を守りつつということで一方では大臣おっしゃるわけですが、しかし、今、実際には、日本の政府がやっているのは、身を守るというよりも、アメリカの核抑止力論に依存するという形で、そのアメリカはまた世界戦略をやっていますから、むしろその点によって、日本がアジアや世界から見て脅威になりかねないという問題、あるいは実際にそうなってくるということになってくると思うので、その辺は非常にやはり考えていかなきゃいけないぞという点だと思います。

 もう時間が来ましたので、そういう中で、二〇一〇年のNPTの運用検討会議が開かれる、その第一回の準備会合ということになると思いますので、それに向けても、まさに被爆国、原爆被害を受けた唯一の被爆国としての役割がいよいよ大事だということで、それにふさわしい役割を発揮することを強く求めておきたいと思います。この点については、もう時間ですので、また改めて伺いたいと思います。

 終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 質問時間が限られておりますので、本日は、沖縄県北谷町のキャンプ桑江北側跡地問題のみに絞って質問いたします。

 キャンプ桑江の全体面積は幾らで、そのうち、一九九六年のSACO最終報告で返還が決まった北側部分は面積が幾らでしょうか。

北原政府参考人 照屋寛徳先生に御答弁申し上げます。

 ただいま御質問の件でございますが、キャンプ桑江の全面積、これは返還直前の面積でございますが、約百七ヘクタールでございます。そして、先生御指摘の、平成十五年三月三十一日に返還されましたキャンプ桑江のいわゆる北側部分、この返還面積は約三十八ヘクタールとなっております。

照屋委員 キャンプ桑江北側部分について、地主へ引き渡された年月日はいつでしょうか。

北原政府参考人 先ほど申しましたが、十五年三月三十一日に日本側に返還されまして、その後、国といたしまして、不用な建物ですとか工作物の撤去工事などを行いまして、地主の皆さんには平成十六年九月三十日に引き渡しをしております。

照屋委員 キャンプ桑江北側跡地について、国が支払っている特定跡地給付金の総額は幾らですか。

北原政府参考人 先生御指摘の特定跡地給付金についてでございますが、まず、キャンプ桑江北側部分に係るところの特定跡地給付金の支給対象期間、これは一年六月となっております。具体的には、平成十八年四月一日から平成十九年九月三十日までとなっております。

 そして、実際の支給時期というものにつきましては、平成十八年四月一日から平成十九年三月三十一日までの一年分を実際にお支払いするのは、本年、十九年四月一日以降になります。それからまた、平成十九年四月一日から同年九月三十日までの六月分、これにつきましては、お支払いは本年十月一日以降に、それぞれ地主の皆さんからの申請に基づきまして支給をすることとなっております。

 したがいまして、御質問の、今既に幾ら払っているかということはございませんが、これから、十九年度にお支払いをすることになります。現在、その総額といたしましては、約六億七千万円を予定しているところでございます。

照屋委員 これは軍転法による補償金とは別ですか。それも含めてでしょうか。

北原政府参考人 今私が申し上げました特定跡地給付金制度でございますが、実はこれは沖縄振興特別措置法に基づくものでございまして、沖縄について返還される施設・区域で適用されるのは、このキャンプ桑江北側部分が初めてになります。

照屋委員 ところで、返還されたキャンプ桑江北側跡地の原状回復は完全になされたでしょうか。また、土壌汚染などの調査は返還地全部をやったかどうか、お答えください。

北原政府参考人 私ども国といたしましては、返還するに当たりましては、原状回復に努めたところでございます。

 それで、今、土地の汚染等についてでございますけれども、原状回復としての土壌汚染調査というのは、一般論をちょっと申しますと、返還された施設・区域の全域を対象として行ってきております。

 具体的には、これまでの使用の実績、どのように使われていたのかということを、関係資料ですとかあるいは地元の古老ですとか従業員だった方々ですとか、いろいろな資料あるいは航空写真その他を参考といたしまして、土壌等の汚染の蓋然性があると判断したところについて調査をして、そしてもし発見された場合には、除去をして、所有者の方に引き渡しをしております。

 本件のキャンプ桑江につきましては、先ほど申しましたが、返還跡地の面積が約三十八ヘクタールでございます。これにつきまして、今申しましたような手段を使いまして調査をしたところ、自動車整備工場跡地を含むバスターミナル地区、また送油管敷地跡など一部の土地、これは面積的には約四・五ヘクタールでございますが、これにつきまして土壌等の汚染の蓋然性があると判断をいたしました。したがいまして、その範囲につきまして、試料の採取、分析を行いまして、その結果、汚染が確認された部分、これは約一・四ヘクタールでございますが、これにつきまして除去などを実施したところでございます。

 それで、北谷町が今この土地については土地区画整理事業をやっておりますが、その一環といたしまして、事業を進める上で前提となる文化財の発掘調査をやっておりました。その中で一部汚染が発見されておりますが、これは、返還するに先立ちまして、返還した後やっていこうということで地元と合意しております。その面積は約〇・六ヘクタールでございます。

 それから、今まで私が申し上げたような努力を返還前にしたところでございますが、返還した後、引き渡しした後、さらに四ポイントほど、油臭土壌が発見されております。その四ポイントのうち、私ども、三ポイント、これは面積的には〇・六ヘクタールでございますが、既に処理をいたしました。あと一ポイント、これはまだ残っておりますが、面積はまだ確定しておりません。

 いずれにいたしましても、私ども、これを返還するに当たりまして、地元北谷町それからまた土地連の方々、関係者等の間で確認をして、確認書を取り交わしておりまして、返還した後でもこういうものが出てきたらしっかりと国として対応するということをお約束しておりますので、我々としては、返還前にも一生懸命やりましたが、なおかつ、落ちこぼれたといいますか、そういったものについてはしっかりと対応していかなければいけない、そのように考えております。

照屋委員 土壌汚染だけではなくて、磁気探査も返還地に全部やったかどうか。

 そして、北原長官、先ほど長官がお答えになったように、政府としては、十月一日以降、特定跡地の給付金を支給して、それで打ち切ろうというわけです。

 ところが、この北側跡地については、政府が原状回復したはずの引き渡し後も、基準値の実に二十倍を超える鉛、六価クロム、砒素などの特定有害物質あるいは土壌汚染、ロケット弾、一万二千発の銃弾、不発弾などが発見されて、地主による跡地利用の区画整理がおくれております。

 私は、特定跡地給付金の支給を、一般論ではなくて、北谷町のキャンプ桑江の北側跡地については支給を延長すべきであると思いますが、北原長官の明確な答弁を求めます。

 そもそも、軍転法、沖振法の補償期間が短いんですよ。地主らが使用収益を開始するまで補償すべきであるということもつけ加えておきます。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。ただいま照屋先生から御指摘をいただきました点でございます。

 まず、磁気探査につきましては、私ども、これまでの使用履歴などに基づきまして、古井戸に弾薬が投棄された可能性があるといった情報を得たために、磁気探査その他をした経緯がございますが、そこでは弾薬は見つかっておりません。しかし、先般、先生今御指摘のようなキャタピラですとか弾薬ですとか等々がまた見つかっているわけでございまして、これらは磁気探査を行わなかった地区から発見されたものでございます。

 我々といたしましては、いずれにいたしましても、今後も、土地を引き渡す際には、早期引き渡しが跡地利用の促進に資するという共同認識を関係者で確認いたしました。これが返還に当たっての、十六年九月十三日、確認をしておりまして、実際に九月三十日に引き渡しをしているわけでございますけれども、その際、特別な状況が新たに確認された場合にあっては、各当事者は誠実に協議するといったことをお約束いたしておりますので、私ども、今、町の土地区画整理事業を実施する町御当局と緊密に連携をいたしまして、跡地利用のスケジュールに影響を及ぼすことのないように、工作物の除去その他につきまして適切にやってまいりたい、そのように考えているところでございます。

照屋委員 通告してありました国道五十八号の拡幅工事に伴う本件跡地の補償問題について、簡単にお答えください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の沖縄西海岸道路でございますが、沖縄の幹線道路ネットワークの骨格を形成する重要な道路でございまして、その一部である北谷町内の区間につきましては、国道五十八号線等の北谷町内の激しい交通渋滞を緩和し、地域の振興を支援するものでございまして、現在、計画の検討を行ってございます。

 これまでの検討の結果、国道五十八号を東側に約二十メートル拡幅する案が最も有力であるとの結論に達しまして、北谷町の御了解も得た上で、先行して北谷町によって施行されております桑江伊平土地区画整理事業との調整を行っているところでございます。

 具体的には、当区間の沖縄西海岸道路の計画につきまして、昨年の九月より地元住民の方々に御説明するとともに、沖縄総合事務局、北谷町等による調整会議を設置いたしまして、土地区画整理事業の早期完成のため調整を行っているところでございます。

 このように、本件につきましては、道路と土地区画整理事業の事業間の調整につきまして地元の御了解もいただきながら進めているところでございまして、地権者の方々への補償ということにはなじまないものでございますことを御理解いただきたいと存じます。

 いずれにいたしましても、桑江伊平土地区画整理事業の早期完成と沖縄西海岸道路の整備につきましては、北谷町の町づくりや渋滞緩和の観点からも重要であると考えているところでございまして、土地区画整理事業の地権者の方々を含む関係者の御理解と御協力を得ながら推進してまいりたいと考えているところでございます。

照屋委員 ちょっと、長官、抜けておりませんでしたか、特定給付金の延長。

山口委員長 予定の時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

 では、長官、簡潔にお願いいたします。

北原政府参考人 どうも大変失礼いたしました。

 万一、当該土壌汚染等が一団の土地としての今後の計画的な開発整備に影響を与えるような場合には、いかなる措置をとるべきかにつきましては、しっかりと検討してまいりたい、そのように考えております。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び内閣提出、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件

 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この規程は、平成十年七月にローマにおいて作成されたものであります。

 この規程は、国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪について訴追及び処罰を行うため、常設の国際刑事裁判所の設立、締約国の同裁判所に対する協力等について規定するものであります。

 この規程は、これまでに百四カ国が締結しており、昨年には裁判手続が開始されるなど、国際刑事裁判所の活動は本格化してきております。我が国がこの規程を締結することは、国際社会における重大な犯罪行為の撲滅及び予防並びに法の支配の徹底に寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この規程の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案について御説明いたします。

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の我が国による締結に伴い、国際刑事裁判所が管轄権を有する事件の捜査等への協力のための手続規定及び国際刑事裁判所における偽証等その運営を害する行為についての罰則を整備する必要があります。この法律案は、そのための法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の主要点について御説明をさせていただきます。

 第一は、国際刑事裁判所が管轄権を有する事件の捜査等への協力のため、各種の手続規定の整備を行うものであります。

 すなわち、国際刑事裁判所に対する証拠の提供及び引き渡し犯罪人の引き渡しに関する規定並びに国際刑事裁判所の財産刑等の執行及び保全に関する規定を整備するほか、国際刑事警察機構を通じた国際刑事裁判所からの請求に応じるための規定などを整備することといたしております。

 第二は、国際刑事裁判所の運営を害する行為についての罰則の整備を行おうとするものであります。

 すなわち、国際刑事裁判所における偽証等の罪、国際刑事裁判所の職員の職務に関する贈収賄の罪などを新設することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 以上二件、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十八日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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