衆議院

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第5号 平成20年4月4日(金曜日)

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平成二十年四月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 河野 太郎君 理事 高木  毅君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤信太郎君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      塩崎 恭久君    篠田 陽介君

      鈴木 馨祐君    中山 泰秀君

      丹羽 秀樹君    橋本  岳君

      平口  洋君    御法川信英君

      安井潤一郎君    山内 康一君

      篠原  孝君    野田 佳彦君

      鉢呂 吉雄君    松原  仁君

      上田  勇君    笠井  亮君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   外務副大臣        小野寺五典君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小野 正博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石川 和秀君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)      木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           谷口  隆君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  山下  潤君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 石橋 幹夫君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     安井潤一郎君

  木村 隆秀君     丹羽 秀樹君

  篠田 陽介君     橋本  岳君

  山口 泰明君     平口  洋君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     木村 隆秀君

  橋本  岳君     篠田 陽介君

  平口  洋君     山口 泰明君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

    ―――――――――――――

四月三日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君、大臣官房審議官梅本和義君、大臣官房審議官草賀純男君、大臣官房審議官小田克起君、大臣官房参事官石川和秀君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、北米局長西宮伸一君、中東アフリカ局長奥田紀宏君、中東アフリカ局アフリカ審議官木寺昌人君、領事局長谷崎泰明君、警察庁長官官房審議官小野正博君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、農林水産省大臣官房審議官谷口隆君、水産庁資源管理部長山下潤君、海上保安庁警備救難監石橋幹夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 おはようございます。自由民主党の御法川でございます。きょうは、一般質疑ということで三十分時間をいただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 きょうは、小野寺副大臣が座っていらっしゃいまして、大変光栄でございますけれども、去年十月の頭、八日ですけれども、例のイランにおける邦人の誘拐という大変残念な事件が起こりまして、実はまだこれは解決しておりません。これに関して、副大臣は去年、たしか三回ほどイランの方に赴いて、この事件に対して解決を図るべく頑張っていただいたということでございます。

 先ほど申し上げましたように、まだ解決をしていないわけでございますが、昨日の新聞の一面で、中村さんという方なんですけれども、解放で合意という報道が出ました。これはよかったな、いろいろな努力が実ったのかなということで、記事の内容も結構詳しい内容で信憑性があるなと思っておったんですが、他のメディア等々ではそれに追随するような報道が全くないということで、どうもそれは、誤報と言っていいのかわかりませんが、過ちだったのかなというような話でございます。

 まずこの件について、外務省の方、どのような事実関係なのか、お答えを願いたいと思います。

小野寺副大臣 今御質問いただきました、イランで発生しました日本人人質事案でございますが、昨日一部報道に流れました内容につきまして、三日、イラン時間でございますが、在イラン大使館よりイラン政府に対して確認を行いました。詳細については現時点では申し上げられませんが、すぐに解放につながるという状況にあるような大きな進展があるということにはないと思います。

 ただ、この事件に関しましては、被害者の無事解放を最優先ということで今最大限努力をしていただきまして、一日も早い解放に向けて今後ともイラン政府と協議をしていきたいというふうに思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 ということなので大変残念だなというふうに思いますけれども、その誘拐された中村さんの今の状態というか、どのような状態なのかということについての把握があれば、ぜひ教えていただきたいというふうに思います。

小野寺副大臣 一番最近に入っている情報ですが、四月二日、おとといの時点で無事が確認をされております。

御法川委員 ありがとうございます。

 ともすると、もう後から後からさまざまな事件等起こってきて、メディアがカバーされなくなると忘れ去られてしまうという事件が多いわけでございます。そういう中で、この中村さんの誘拐事件はまだオンゴーイングでございまして、ぜひ早期に無事に帰国できるような解決が図られるよう最大限の努力をお願いしたいというふうに思います。

 それで、きょうは、ことしの政府の一つの目玉と言ってもいいのではないかなと思いますが、G8がございまして、それにかかわるさまざまな準備の会合がこれから開かれていく。今週末も開発大臣のG8の会合があるということでございまして、政府としてはかなり力の入った会合になるというふうに思います。

 この開発大臣会合は、G8のみならず、アウトリーチ国というふうに政府の方では説明をしておりますが、ブラジル、中国、インド、インドネシア等の国々も参加するセッションを持っているというように私は理解しておりますが、その具体的な内容について、ちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。

小野寺副大臣 あしたになると思います、今週末、五日、六日、土日でありますが、G8開発大臣会合が行われます。これは、ことしの北海道洞爺湖サミットに向けまして、新興援助国との協力を含む開発のためのパートナーシップの拡大、気候変動と開発、人間の安全保障とミレニアム開発目標の達成等について議論を行います。大臣とともに私も一部のセッションで議長を務めさせていただきます。この会合では、我が国のリーダーシップのもとに、G8の開発担当大臣として、世界が直面する新たな課題に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 御指摘のありましたアウトリーチということでございますが、今お話しさせていただきましたこういう開発の問題、そしてまた特に気候変動の問題、これは、例えばインド、中国等主要な排出国もございます、これらの国もこの会議の中に入っていただきまして、ぜひ全員参加型の成功を上げたいというふうに思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 折しも今バンコクで気候変動関連の会合が行われていまして、一部報道では、日本提案の部分に対して、いわゆるアウトリーチ国と言われる部分の国の一部が難色を示していて、なかなかいい感じで合意を取りつけていないという話もありますけれども、今週末の日本における開発大臣の会合において、さらなる進展があるべくぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。

 今、ミレニアム開発目標という言葉がございましたけれども、これについての日本の取り組み状況について、若干御説明をいただけたらというふうに思います。

小野寺副大臣 実は、御指摘がありましたミレニアム開発目標ですが、本年はこの達成に向けた中間年ということになりまして、重要な時期になります。我が国の主要な外交政策であります人間の安全保障の実現のためにも、その達成に最大限の努力をしていくという考えでございます。

 今回のTICAD4及びG8の北海道洞爺湖サミットでは、特にこの中で保健、水、教育に焦点を当てまして、各国、国際機関、市民社会、民間企業など国際社会の多様な主体と連携しまして、全員参加型の協力を進めていきたいと思っております。

 個々の分野につきましてですが、保健分野に関しては、感染症対策の強化に加えまして、人材育成等を通じた保健システムの強化や母子保健をバランスよく包括的に進めるべく、同分野での知見を有するWHO、また御法川委員が議連の事務局長を務めていらっしゃいますユニセフなどの国際機関とも協力して取り組んでいきたいと思っております。

 水・衛生分野につきましては、循環する水資源を有効に管理する政策、体制づくりを積極的に進め、安全な水と衛生施設へのアクセスを拡大することが重要と考えております。

 教育分野につきましては、基礎教育の機会の確保及び質の向上に取り組むとともに、中高等教育や職業訓練を含め、国づくりのための包括的な取り組みを進める考えでございます。

 これらの点につきましては、TICAD4やG8の期間をとらえて積極的に発言をしていきたいと思います。

 同時に、我が国としまして、G8議長国にふさわしいリーダーシップを発揮するために、二〇〇五年から二〇〇九年の五年間でODA事業を百億ドル積み増すなどの国際公約を着実に達成することも念頭に置きつつ、引き続き必要なODA予算の確保に取り組んでいきたいと思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 今ミレニアム目標のお話がありましたが、たしか私の理解では、八つの大きなゴールがあって、その中に十八ぐらいのターゲットというものがありまして、個々に精査をしながらやっていただいているんだというふうに思いますけれども、ぜひ、政府の達成目標に向けて、引き続き努力をお願いしたいというふうに思います。

 その中で、今TICADの話が出ましたので、ちょっとそちらの方に話を向けさせていただきたいと思いますけれども、その前に今、母子保健の話があったと思います。これを開発途上国の中でより進めていくというお話がありましたが、この点について若干補足的な説明をいただけますでしょうか。

鶴岡政府参考人 母子保健についての御質問でございますが、我が国は戦後、母子手帳という制度を採用いたしまして、この制度の推進の結果、乳幼児死亡率、それからさらには妊産婦の健康についての手当てが非常に行き渡るようになりまして、全国的に健康保健体制が強化されたという経験を持っております。

 我が国といたしましては、その後、この経験を途上国に対して共有するということで、これまでにも、初めはインドネシアでございますけれども、母子手帳の導入をODAの技術協力の実施によって推進してきておりまして、最近ではパレスチナ、UNRWAのもとでもこういった計画を進めているところでございます。

 先ほど副大臣からも申し上げました保健システムの強化を考えるに当たりまして、アフリカにおきましては、ユニセフなどの女性と子供の健康についての知見を有しております国連機関とも協力の上、母子の健康に焦点を当て、これはMDGの中でいいますと五番目、六番目の、乳幼児それから妊産婦の健康という二つの点について手当てをすることにもなりますので、そういった対応を通じまして保健システム全体の強化につなげていきたいというふうに考えております。

御法川委員 ありがとうございます。

 今、母子手帳の話、これが乳幼児死亡率あるいは妊産婦の健康等に戦後の日本の中で非常に資したということで、これを開発途上国そしてアフリカに広げていこうということで、今インドネシアあるいはパレスチナでこういう事例があるということですが、アフリカと一口に言いましても大変大きな大陸でございまして、五十三カ国という国がある中で、具体的にどういう形でこれを進めていくかというスキーム等がもしあれば、若干教えていただければというふうに思います。

鶴岡政府参考人 母子手帳自体のアフリカへの普及ということにつきましては現在検討中の段階でございまして、この具体的な手段をどのようにアフリカの各地域、ただいま御指摘のとおり、アフリカは大変広うございますし、またこれは地元に密着した形で実施をいたしませんと効果の上がらない計画でございますから、適切な運用機関と適切な地域の選定につきまして、ユニセフを初めとして現地の知見を有している各機関あるいは専門的な方々とよく協議をしながら、先ほど申し上げました全員参加型で、ぜひ効果の上がる形の行動計画を策定したいというふうに思っております。

 このようなことにつきましては、G8の保健専門家会合というのをG8史上初めて我が国の発案によって開催してきておりまして、そういったG8の中の協力を積み上げる形でもって、日本の提案によります乳幼児及び妊産婦の健康を促進するという成果を出したいというふうに考えております。

小野寺副大臣 ただいまお話のありました母子手帳の問題ですが、私も、ことし一月だと思いますが、東京のJICAにおきまして、パレスチナから来ていただいている方への母子手帳の研修事業の修了式に立ち会いました。パレスチナからいらしていただいている例えば看護師さんあるいは大学の先生を含めて、この問題について協議をいたしましたが、大変感謝をされました。やはりこの方法というのは現地の方に関しても大変幅広く受け入れられる方法だなということを、その研修事業を含めて、自分も実感いたしました。

御法川委員 ありがとうございます。アフリカでこれからぜひこの母子手帳という保健制度が導入できるように、御尽力をお願いしたいというふうに思います。

 最初にちょっと個別の話に入ってしまいましたけれども、TICAD4でございますが、今回、4ですから第四回目ということなんですけれども、今回のTICADにおける日本政府としての目標というか達成すべきターゲットというのはどの辺に置いているかということのお話をいただきたいというふうに思います。

小野寺副大臣 御存じのとおり、アフリカは依然として紛争や飢餓、エイズといった問題を抱えておりますが、アフリカにおきましては、近年、平和の回復や民主化などの進展もありまして、年五%以上の経済成長を遂げるという国も出てきております。こういう前向きな国に対して、その変化を後押しするということで、今回のTICADでは元気なアフリカを目指して支援をしていきたいというふうに思っております。

 具体的には、TICADプロセスを基準としまして、インフラ整備を通じた貿易投資促進などの経済成長の加速化、それからミレニアム開発目標などの達成について、これを平和裏に定着しまして、人間の安全保障の確立、また環境・気候変動問題への対処など、いろいろな分野について今回議論をしていきたいというふうに思っております。

御法川委員 二年前に私もアフリカに初めて訪問させていただきまして、そのときにシエラレオネとリベリアという二つの国を訪問させていただきました。簡単に言ってしまえば大変貧しい、さまざまな統計でも世界の最貧国と言っていいような国でございますが、そういう国でさえ近年では経済成長率も五%以上ということで、この二つの国は内戦という大変特殊な事情もあったわけでございますけれども、そこからの立ち直りということで一生懸命頑張っているんだろうなというふうに思います。

 ただ、アフリカの内戦、各国というかさまざまな場所でいまだに深刻な問題であると思いますけれども、特に、例えばシエラレオネなんかの場合はダイヤモンドの鉱山があって、鉱物資源があるがために起きてしまった、それも部族対立等々だけではなくて、多分それをめぐっての先進国の横やりもあったんだろうというふうに考えざるを得ない。アフリカというのはそういう鉱物資源にいまだに大変恵まれている地域でございますので、またそれをめぐってこういう変なというか残念な結果にならないように、平和構築というか安定的な社会構築というのは非常に大事なポイントになってくるのではないかなと思いますが、その点について、もし御所見があればお願いしたいと思います。

小野寺副大臣 平和構築の問題、大変重要かと思っております。私も先般ケニアを訪問させていただきまして、そこでキバキ大統領初め各党の主要な方ともお会いをいたしました。日本の支援、特に今回は食料支援、それから肥料の支援に関して大変感謝をされ、そしてまた日本のその後押しというのが和平のプロセスに関しても大変有効に機能しているという実感を得ました。ぜひ、こういう日本の地道な支援を通じて、アフリカの和平の進展ということにも努力していきたいというふうに思っております。

御法川委員 日本がさまざまな国と外交をする中にあって、アフリカという大陸の五十三カ国というところにある程度焦点を当ててTICADというのを過去三回やって、今回四回目ということでございます。もちろん、漠とした平和あるいは安全保障的な、それを目標と言ってしまえばそうかもしれませんけれども、やはり日本が外交をするに当たってアフリカにおいて力を入れていくというその理由あるいは目標、これは何であろうかということをちょっとお伺いしたいというふうに思います。

小野寺副大臣 一つは、アフリカというのは国際社会が大変注目している地域であるということ、特に国連の場ではアフリカの議論が常にメーンイシューで扱われております。そこに日本が協力するということは、日本の国際的な地位の高まりということに対しても大変役立つと思います。

 また、御存じのとおり、アフリカは資源に大変恵まれた国でありまして、今後、日本の国際戦略の中で、この資源ということにも注目して、アフリカ支援ということが大切かというふうに思っております。

御法川委員 もちろん、目的というのは一つではないと思いますし、さまざまなゴール等々あると思いますけれども、その達成に向けてぜひ頑張っていただきたいし、我々も議員として後押しをさせていただきたいというふうに思います。

 二年前に私が行ったときも、これは援助のあり方ということにもかかわってくると思いますけれども、例えば、中国という国が、同じように資源外交あるいは国連での発言力等々のこともあってだと思いますけれども、大変、ありていに言えば目立った形での援助というものをアフリカで展開しているというのは、これはもう皆さん御案内のことではないかなというふうに思います。

 そういう中で、日本がそれに対抗するというような形でなくて、やはり日本が得意な分野というのがあると思います。例えば、先ほどからるるお話もありますけれども、保健の分野、公衆衛生等々の分野というのはぜひ力を入れていただきたいし、やはりそうなるためにはある程度の、簡単に言えばODAという話になってくるわけでございますけれども、必要な部分にはやはりもっと出さなくてはならないのではないかなというふうに私は率直に考えておりますけれども、これについてもし御所見があれば、お伺いをさせていただきたいと思います。

小野寺副大臣 今回のTICAD4は、議員の先生方のたび重なる議員外交のおかげもありまして、大変アフリカ国内では関心が高まっております。現時点で首脳が参加予定の国は、五十三カ国中、今四十二、三になっていると思います。さらにこれがふえる可能性も高いと私ども思っておりますが、過去のTICADでは、これほど首脳が多く参加する会ではありませんでした。また、恐らくAUの首脳が集まる会でも、アフリカの域内でもこれだけ集まるということはそうそうないと伺っております。これは、翻せば、やはり日本に対して大変今アフリカが関心を持ち、日本の支援に対して期待をしているということだと思います。

 このTICADで大変大事なのは、逆に、この期待が高いだけに、これが失望に変わらないように、どれだけ私どもきちっと、それはODAあるいは技術協力、そしてまたアフリカの意見を聞くということ、こういうことが相まって、要望にこたえられることかと思っております。

 その中で、ODAの量というのも大変重要な要因になりますので、私どもとしましては、今、ODA全体ではかなり削減が来ておりまして苦しい状況ではありますが、ぜひいろいろなお力をかりまして、何とかアフリカ諸国が納得してもらえるような、そういうODAの積み増しをしていきたい、そう思っております。

御法川委員 これは意外と、簡単な話に見えますが、実は、やはりODAをこれから増額していくというのはなかなか、日本という国の厳しい財政状況の中にあっては、国民の理解を得ながらこのODAをふやしていくというのはそれほど簡単なことではないんだろうというふうにも拝察いたします。しかし、ことし、このG8の年、そしてTICAD4を開催するに当たって、やはり福田内閣の意気込みという部分は、もちろん質の部分も大事ではありますけれども、何といっても量という部分は避けては通れない部分だと思います。TICAD参加国、四十数カ国にもなっているという話ですので、やはりやってよかったな、日本に来たかいがあったなと言えるような会合にしていただきたく思いますので、ぜひその部分での御尽力もお願いをしたいというふうに思います。

 時間の方が余りありませんので、ちょっと別の話をさせていただきたいと思いますけれども、この外務委員会でも数回にわたって質問があった話でございますが、チベット問題でございます。

 一番最近の状況について、まず簡単に御説明いただけますでしょうか。

小野寺副大臣 現在のチベット情勢ですが、実は、死傷者数一つをとっても幅のある発表がなされており、情報も限られている段階におきまして、政府としては、確たることを申し上げることはなかなか困難ですが、引き続きこの情勢を注視していきたいと思っております。

 三月十四日のラサ市での事件以降も、甘粛省、四川省等のチベット族自治州においても、デモ、それから市民と当局との衝突、このようなことが起きているということが断続的に情報としては入っております。ここ数日においては新たな衝突発生という情報は出ておりませんが、引き続き、事態が早期かつ平和に鎮静化することを強く期待しつつ、この状況について注視をしていきたいというふうに思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 まだ一カ月にはならないわけですけれども、数週間たったという中で、チベット自治区全体あるいはラサ市内における邦人の保護状況というか、現状というのはどうなっているのか、御説明いただけますでしょうか。

小野寺副大臣 三月二十九日十四時以降、在中国大使館において把握しているラサ市に滞在している邦人、これは五名ですが、現状は次のとおりです。

 三月二十八日から二十九日、和田公使がラサ入りした際に、新たに二名の邦人、長期一名、短期一名の滞在が判明いたしました。現時点での邦人は、長期滞在者が四名、短期滞在者、旅行者が一名ということで確認をしております。また、既にラサを離れた邦人というのが八十五名おります。現時点で、ラサに滞在している邦人は五名ということになります。

御法川委員 チベット全体の把握、自治区全体の把握というのはしていないものでしょうか。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ラサ市内に在留邦人がおりまして、それ以外の地区では在留邦人はいないというふうに我々は理解しております。

御法川委員 イランの人質事件の話をしてしまうとちょっとあれなんですけれども、最近は、若い日本人が休みを利用して、我々が考えも及ばないようなところを一人で旅行されるというケースが結構あるのではないかなと。その際に、それをすべて外務省が把握し切れているかというと、なかなかそうはいかないのではないかなというふうに思いまして、そういう意味では、自治区の中に、いわゆるラサ市外に日本人がいる可能性も、私はそれはゼロではないのではないのかなという気が実はしております。

 それはそれとして、邦人がもしいるということを確認された場合に、やはり一刻も早く安全確認をして保護していただくということは、これはぜひやっていただかなくてはならないのではないかなというふうに思います。

 そのチベットの問題で、来週のいずれかの時間にダライ・ラマが日本に立ち寄るのではないかという情報が、私、インターネットなんかを見ていましたらあるわけでございますが、この点について、政府として何か情報あるいは確認をしていることがありましたら教えていただきたいと思います。

小野寺副大臣 ダライ・ラマ十四世が訪米の途中に日本に立ち寄るということが報じられておりますが、具体的にダライ・ラマ氏から、インドの大使館を通じましてビザの申請ということがなされておりまして、政府としましては、トランジットということでありますので、過去も数次にわたり発給しているということで、発給する方針ということにしております。

 ただ、直接、まだそのビザの発給以外のことに関して私ども正式にお話をいただいておりませんので、現時点では、アメリカに渡る途中に日本経由で行かれるというふうには確認をとれております。

御法川委員 実は、ゆうべちょっと外務省のホームページをチェックしておりましたら、三日ぐらい前ですかね、大臣が記者会見で同じことを質問されておりまして、お答えをしてあったと思います。その中では、過去も何回もいらっしゃっている方で、適切に処理というか対応するという話でございました。

 それで、私、ちょっと調べてみたんですが、ダライ・ラマさんというのは結構頻繁に日本に来ていらっしゃる方で、たしか、最近では去年の十一月に来ているというような話もあり、また、その前は広島の国際平和会議というのに来て、そのときはちゃんとした形で演説までしていたのではないかなというふうに思いましたが、こうやって割と頻繁に来ていらっしゃる方なんだなということがわかりました。

 それで、その都度適切な対応をしていらっしゃるというのはそのとおりだと思いますけれども、今回はまさにそのチベット自治区でああいうことがあった中でのトランジットということで、もちろん、ダライ・ラマ御本人にもさまざまな政治的な意図等々あるのかもしれませんし、どういうあれがというのは憶測にすぎませんけれども、そういう中での今回の日本政府の対応ということで、若干いつもとは違うんじゃないのかなというふうに考えます。

 その点について、もし御所見があれば伺いたいというふうに思います。

小野寺副大臣 最近のチベット情勢もありまして、今回、トランジットとはいえ日本へ立ち寄られるということに関しては、外務省としても大変注視をしております。

 ただ、現時点で、特に政府としてどなたかがダライ・ラマに会うというようなことは考えておりません。

御法川委員 政府として何かするのかあるいはしないのかということも大変重要だと思います。例えば、何かをした場合に、あるいは何かを発言した場合に、それがもちろん、何かを言ったというメッセージにもなりますし、何かをしなかったというのも、これはこれでメッセージになってしまうということでございますので、まさに適切に対応していただくことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、昨日逮捕となりました、横須賀で起きましたタクシー運転手の高橋さん刺殺事件につきまして、お伺いをしたいと思います。

 この事件、三月十九日に起きまして、三月二十二日には、逮捕された容疑者については米軍が身柄を拘束いたしました。昨日、四月の三日、逮捕に至ったわけでございますけれども、日米安保条約のもとで、大きな意味から本当に日本の国民に対しての安全を確保していくという役割を担いました米軍人において、日本の一民間人である方が刺殺をされるということは、まことに遺憾であり、あってはいけない事件だと、私も強い抗議の意を表したいと思います。

 報道によりますと、昨日、大臣は外務省にシーファー大使を呼んで抗議をされた旨の報道がございましたが、どのような内容をお伝えになったのか、この点からお伺いいたします。

小野寺副大臣 御指摘ありました、三月十九日に横須賀市で発生しましたタクシー運転手殺害事件に関し米軍人が逮捕されたことは、極めて遺憾だと思っております。

 昨三日午後、逮捕状が発出されたことを受け、高村大臣がシーファー駐日大使を招致いたしまして、本件事件が発生したことに対して強い遺憾の意を伝えるとともに、平成七年の日米合同委員会合意に基づき、起訴前の身柄移転を求めました。これに対してシーファー大使からは、今回の事件は極めて遺憾であり申しわけなく思っている旨、また、起訴前の身柄引き渡しに応じる旨の回答がありました。その後直ちに米軍人の身柄は日本側に引き渡されており、本件は、日本側の法と証拠に基づき処理されることになります。

 また、本件容疑者は、二十二日以降米側が身柄を拘束しておりましたが、逮捕状が発出される前に施設・区域内で任意の事情聴取が行われるなど、米側は神奈川県警の捜査に全面的に協力をしてきております。

 このように、本件事案において、この日米地位協定を含め、捜査に何か影響があったということはないと私どもは承知をしております。

丸谷委員 私が今お伺いいたしましたのは、今回の地位協定が捜査に何か支障があったのかという以前に、昨日、駐日大使を外務省にお呼びになって、日本の考え方また国民感情というのを十分にお伝えになったのかどうかということをお伺いさせていただいた次第でございますが、大臣、直接会われてどのようなメッセージをお伝えになったのか、もう一度お願いします。

高村国務大臣 極めて遺憾であるということをまず第一に伝えると同時に、逮捕状が発付されたので、起訴前の身柄の移転を求めました。基本的には、その二点でございます。

丸谷委員 今、副大臣から先に認識を述べていただきましたけれども、今回のこの十九日の事件が起きて逮捕に至るまで、日米地位協定による壁というのがなかったのか、弊害がなかったのかという認識については、外務省としては、アメリカ側の協力の実態も含めて、支障が出たとは考えていないという認識を示されました。

 また、この認識と国民感情がやはり違うということは、私たち、政治家ですので、それぞれが感じていることだと思います。ことしになってからは、二月には在沖米海兵隊による女子中学生暴行事件がありました。また、飲酒運転があり、やはり国民感情的な不安感、また、政府としてもっと強く何かアクションを起こしてほしいという意思は非常にひしひしと感じるわけでございます。

 この事件に関して、例えば、地位協定の改正をしたから事件がなくなるわけではないといった政治的なメッセージも聞かれるところでございますけれども、これは確かに事実なのかもしれませんが、人間がいて法律がある以上、それを破る人がいるというのはどこの世界でも同じ話でございまして、協定を見直したからゼロになるということではないということは事実かもしれませんけれども、私たちが発していく政治的メッセージとしては若干違うのではないかなという気は、私個人、しております。

 しかしながら、ではこの現実をどのような形で、国民の皆さんに納得していただけるような、より安心に近づけるような努力を政府がしていくのか、このことが大きく問われると思います。

 一点としては、事件の早期解決を今後どのように図っていくのか、事件の早期解決をもって国民の皆さんに安心を与える必要があると思います。プラス、事件が早期に解決したからといって、イコール安心とはならない、再発防止、このように事件が起きないようにしますよという、この二点の観点から取り組んでいく必要があると思います。

 再発防止、再三再四、今までも行われてまいりました。その中で、今回の事件を受けまして、再発防止のあり方についてはまた踏み込んだ議論が必要かと思いますけれども、この点については政府はどのようにお考えになるでしょうか。

高村国務大臣 委員が御指摘のように、再三再四、事件が現実に起きているわけで、極めて遺憾なことであり、本当に、それぞれ基地の近辺の住民の方は大変不安であろうと。

 これをなくすために、これも委員がおっしゃったとおり、事件を早期に解決するということと、そして何よりも重要なのは、再発防止をきちっとやっていくということだと思います。再発防止については、日米で当面の措置というのを発表いたしました。あれを着実にやっていくというのがまず必要だと思います。着実に継続的にやっていくということが必要だ、こう思っております。

 それと、もう一つは、今度の事件は、いわゆる脱走兵が起こした事件という特質がありますので、これについては、例えば米軍人が行方不明となった場合に、今まで、米側が必要と判断した際に、事案に応じて都道府県警察に逮捕要請がなされる場合もあった。あったんですが、脱走の状態が生じた場合に、直ちにすべてが我が国の関係当局に連絡がされてきたわけではなかったわけであります。

 今般の横須賀での事例を踏まえて、米軍人が行方不明となった場合の情報共有のあり方について、情報共有の範囲等を含めて合同委員会の枠組みで整理すべく、米側及び関係省庁、外務省だけではできませんので、関係省庁で既に検討を開始しているところであります。余り長い時間をかけないで何らかの結論を出していきたい、こう思っております。

丸谷委員 この委員会で検討をなされる案件も含めまして、やはり早い結論を国民は待っていると思いますので、ぜひ積極的に、また前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 また、再発防止という観点では、例えば夜間の外出禁止であるとか、あるいは、日本では今までこういった事件があった、日本国民の感情はこうだとか、歴史的なことも含めていろいろな講習をされているようではございますけれども、例えばきょうの報道によりますと、最近、これは米国の事情なんだと思いますけれども、グリーンカード兵士等、やはり余りまだ訓練をされていないような兵士も多く雇用されているような傾向もあるようでございます。

 そういった形で、いろいろなカテゴリーに分けて、よりきめ細やかな、駐日米軍に対する日本の知識を深めるような努力、新たな取り組みも必要かと思いますので、この点についても、ぜひ日本側の意思として伝えていただきたいと思います。

 また、運用の改善ということで、今までこういった事件に対しては事態の改善を図ってきたわけでございますけれども、やはりまだ、「その他の特定の場合」の明確化ということに関しては、類型化も含めて、結論は出ていない状況だと認識をしております。こういった運用の改善も、さらなる運用の改善についての議論が必要かと思いますけれども、この点については、いかがでしょうか。

高村国務大臣 政府の基本的立場といたしましては、日米地位協定の改正ではなく、その時々の問題について、運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であると考えております。

 平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意によって、殺人、強姦等の犯罪で我が国として重大な関心を有しているものにつき起訴前の拘禁移転を可能にする道を開いたわけであります。今度の事件はまさにそれに該当して、起訴前に移転が認められたわけであります。

 政府としては、従来から、平成七年の日米合同委員会合意に言う「その他の特定の場合」が、あらかじめ特定の類型の犯罪を排除しているわけではなくて、ここに列挙されたものだけではなくて、日本側が重大な関心を有する場合であれば、日本側は合同委員会において起訴前の拘禁移転要請を行うことができるとの立場でありましたが、平成十六年四月の日米合同委員会において、かかる考え方について日米間で明確に認識の一致をいたしました。ですから、具体的に列挙されているものだけでなくて、日本側がこれは必要であるということであれば起訴前の拘禁移転要請を行うことができるということになっているということは、日米双方が明確に合意しているところであります。

 さらに何が必要かということについては、これからいろいろ警察の方の意見も聞きながら考えていきたい、こういうふうに思っています。

丸谷委員 わかりました。

 運用の改善がなされてから実際に今まで五回ですか、起訴前の引き渡し、身柄拘束を求めました。その中で、一件につきましては身柄拘束がされていません、起訴前の引き渡しがされていません。その理由というのが、日米の合意の中でコンセンサスが得られなかったということ、特に、「殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合」という、この凶悪性についてのコンセンサスが得られなかったという理由があるようでございます。

 この「凶悪な犯罪の特定の場合」といった、どれが凶悪でどれが凶悪じゃないのか、こういった非常にあいまいとしてしまうようなものについては、やはり日本側の意思が一〇〇%認められないケース、実態もあることも含めまして、この合同委員会のあり方、また、日本とアメリカの議論の中で、議論される余地のあるべきものも運用改善の中には範囲として残っていると思いますので、今後、実効性のある運用の改善を目指して、また、各省庁と連携をとりながら取り組んでいただきたいという願いを込めまして、この問題については質問を終わらせていただきます。

 続きまして、もう一点なんですが、福田総理になりましてから、新たな外交方針としまして、私自身もお伺いしていく中でとても心にひっかかる言葉が出てまいりました。平和協力国家として日本は国際的な地位を占めていきたいというお言葉が出ました。

 また、大臣の所信的なごあいさつの中でも、ミュンヘン安全保障会議に大臣が出席し、「我が国がアジアの安定に向けて貢献していくとともに、平和協力国家として、平和な世界をつくるための積極的な責任と役割を果たしていく決意を示してまいりました。」という御発言をしていただいております。「このような決意のもと、我が国は、テロとの闘いに向けた取り組みや、イラク、アフガニスタンの復興支援、中東和平問題への貢献を強化してまいります。さらに、国際平和協力のための一般的な法律の整備を検討していく考えです。」というお考えを述べていただいております。

 この平和協力国家、非常にいい言葉だと思うんですけれども、具体的に何をするのか。この平和協力国家という方針が打ち出されたことによって実現されるべき政策というのは一体何なのかなというのが私自身まだつかめていないものですから、大臣がおっしゃる、また、外交方針として打ち出しました平和協力国家とは何なのか、改めてお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 資源に乏しく狭隘な国土の我が国が発展するためには、国際社会の平和と発展が大前提であると思います。

 このような考えのもと、我が国は、本年一月の施政方針演説で福田総理が述べたとおり、世界の平和と発展に貢献する平和協力国家として、国際社会において責任ある役割を果たしたいと考えているわけであります。

 具体的には、我が国がこれまで行ってきた人道支援、復興支援、治安の回復のための支援等の資金協力を引き続き積極的に行ってまいります。また、迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくためのいわゆる一般法の検討を進めると同時に、現行法のもとでもできることを着実に実施をしていきたいと思っております。さらに、平和構築分野の人材育成にも積極的に取り組んでいきます。平和構築、世界は平和な方がいいに決まっているわけでありますから、できることは何でもやろう、こういうことでございます。

丸谷委員 わかりました。

 新しい言葉ですよね。平和協力国家としての日本という、括弧づきでの新しい言葉が、福田政権になって、また高村外務大臣になって出されたということにその意味を探っていくところでございます。今までですと、ピースキーピング、PKOの参加もございましたが、今後はピースメーキングの部分でも日本で、今までは不得意な分野もあったかとは思うんですけれども、もちろん憲法の範囲内での話ということになるとは思いますけれども、メーキングの方でも貢献していこうということの法整備も必要であるというメッセージなのかなと受けとめさせていただきました。

 その中で、もう一点、この平和協力国家、非常に重要なことでありますし、また、日本が占めるべき地位として目指すべき姿であると思います。その中で、もう既に日本が持っている平和協力国家としての重要なツールの一つがODAであると思います。

 もう報道されていますように、ついに日本は世界第五位のODA援助国となりました。以前いただきました外務省の資料によりますと、二〇一〇年ごろには第五位になるおそれもあるという資料があったんですが、かなり前倒しでといいますか、残念ながら二〇〇八年には第五位にまで落ち込んでしまいました。

 昨日、途上国貧困問題解決議員連盟という会合がありまして、先ほど御法川議員も議論をされていましたけれども、TICADをも踏まえまして、在京アフリカ諸国大使の皆様と懇談をさせていただきました。その大使の中からも、やはり、TICADには非常に期待をしているんだけれども、日本のODAが第五位になってしまったということに対して、非常に残念であるといったような御発言もあった次第でございます。

 このODA、今減額傾向にあるこの実情について、また、国際社会からのODAの日本の減額、世界五位になってしまいましたということについて、外務大臣として率直な感想をお述べいただくとともに、今後このODAをどうしていくべきと考えているのか、この点についてお伺いいたします。

小野寺副大臣 今、ODA、世界第五位というお話がありました。これは、きょうの夕方にグリアOECD事務総長から発表されるということですが、現時点で委員のおっしゃるとおりの順位だというふうに思っております。

 我が国のODA予算、御案内のとおり、過去十一年間で四割減という厳しい状況にあります。国際社会の諸課題を解決して国際社会の発言力を保つためにも、ODAの一層の活用というのは不可欠であります。

 特に、御指摘ありました平和協力国家として国際社会において責任ある役割を果たしたいと我が国は考えておりますが、安全保障の分野のみならず、ODAを活用しまして、貧困の解消、保健衛生状況の改善など、人道上の要請にもこたえていく考えであります。また、紛争からの復興、防災等の平和協力分野におきましてもODAを活用してきております。

 政府としましては、二〇〇五年に表明しました百億ドルのODA事業積み増しの国際公約達成を念頭に、国際社会における主導的な役割を果たすために、引き続き必要なODA予算の確保に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

丸谷委員 先ほど御法川議員の質問の中でも、このODAの件について、副大臣、御答弁されていらっしゃいました。なかなか、国内的な事情あるいは財務当局の折衝等も含めまして、正直な話、非常に厳しい状況であるといったようなメッセージが伝わってきた次第でございます。

 平和協力国家として非常に重要な一つのツールであるODAの増額、予算確保につきましては、私ども公明党も一生懸命支援をしているところでございますし、政治の意思でこの確保はできる分野だと思っておりますので、ぜひODAというのは、必要な額というのをしっかり定めて、また、来年度に向かって日本外交のツールとしてしっかり確保していっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 もう一点、平和協力国家を語るときに非常に重要になってくると思うのが、平和協力、ピースメーキングを実現する人材を日本として持っているかどうかということが非常に重要なんだと思います。

 実際に今、日本では、大学も大学院も含めて、国際協力開発関係を学んで卒業する学生の数は年々ふえています。ですから、単純に言えば、人材は持っています。しかしながら、現在の日本の問題点というのは、人材はいるんだけれども、人材が十分に活躍できる仕組みを持っていないというところに日本の問題点があるのではないかと思いまして、ぜひ人材の育成、また活躍の場というのを真剣に取り組んでいただきたいと思いまして、質問をさせていただきます。

 これは、二〇〇四年に、二〇〇四年ですからもう四年前になるわけなんですけれども、国際開発ジャーナルという雑誌の特集記事にございました「これからの国際協力人材」というものから数を出させていただいて、今御説明をさせていただきたいと思うんです。

 我が国が現在、大学あるいは大学院で抱えています国際協力人材の潜在層、人数、これは、学部、学科、大学院も合わせまして、一年生から四年生、また、マスターですから、二年間も合わせまして、約十三万四千百三十人、十三万人以上という数があるようでございます。

 それに対して、国際協力人材の市場規模、ですから、実際に国際協力関係に従事している人の数、例えば、民間コンサルタント会社、国際機関ですとか援助実施機関、JICA、JBIC、ジェトロなど、あるいは国際協力関連機関、外務省の経済局、青年協力隊、JICAその他、JPOとかNGOを含めまして、ざっくりの数なんですが、約二万三千人なんですね。ですから、潜在的な人材を持っている数と従事している数というのは、大きく供給と需要に格差が出ている次第でございます。

 また、これは日本国内だけで勉強している人材の数ですから、アメリカやイギリスで、大学院、平和学ですとか協力学をとっている人も二百人、四百人という単位で、何百人単位で毎年卒業をされていくという中で、人材育成にはカテゴリーを分けて考えていく必要があると思います。

 一点目は、大学、大学院を出て、知識は得たんだけれども経験がない人がどのように国際協力の場で活躍していけるのか、どのように経験を積んでいけるのかという仕組みをつくること。

 また、もう一点は、青年協力隊のように、経験は積んだんだけれども、日本に帰ってきたら仕事がありませんでしたからまた出ていかなければいけませんねといった、中ぐらいのと言うと失礼かもしれませんが、経験はあるんだけれども、もっと経験を重ねていきたい、この経験を生かしていきたいというカテゴリーに分けて綿密に人材育成をしていくべきだと考えます。

 この点について、ちょっと大きな質問になってしまったようでございますけれども、外務省はどのような認識を持って、人材育成をどのようにしていくべきだとお考えになるのか、お伺いします。

小野寺副大臣 御指摘ありますように、国際関係分野に大変関心があり、また知識も有する日本の若者、人材がたくさんいるということは、私どもも認識しております。

 このような人材に何とか国際分野で活躍していただきたいということを、外務省としても、邦人職員、これは国際機関における邦人職員ですが、その強化を図るということで、例えば、将来国際機関での勤務を希望する三十五歳以下の若手邦人を対象としまして、我が国の費用負担で国際機関に派遣して、国際機関への就職に必要な経験を積んでもらう派遣制度、このようなものを実施しておりまして、これで国際公務員の育成も図っております。

 また、昨年度から、きょういらっしゃいますが、山中委員初め多くの皆様からお力をいただきまして、平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業というものを立ち上げました。これで、現在、国際機関への就職ができるように、実務経験を積むような、そのような努力をしております。

 このような努力を今後とも続けていきたい、そう思っております。

丸谷委員 その方向でぜひお願いしたいんですけれども、私がさきにちょっと長々と申し上げちゃった内容なんですが、需要と供給がマッチしていませんよね。大きな開きがあり過ぎますよね。この点についてはどのように認識されていらっしゃいますか。

小野寺副大臣 今後とも、需要と供給のバランスを含めて、何とか日本の有為な人材が国際社会で活躍できるように後押しをしていきたいと思っております。

丸谷委員 かなり離れているんですよね。需要と供給のバランスがすごく崩れていまして、当然、供給に合わせて需要を拡大していくというのはそんなに簡単な話でもないし、ポストがそもそもあるわけでもないしということなんだと思うんですけれども。

 特に私がお伺いしたのは、やはり博士号、マスターを取って、就職がない、それ以外の仕事につかなければいけないという、深い知識を得たんだけれども、その知識が残念ながら生かせないという非常に残念な状況にあるのを、まず転換していかなければいけないと思います。

 日本の外交の一つの方針として、国連に職員を、いっぱい邦人を送っていこうという方針がありますよね。しかも、その中でも、国際機関でも上級職をとっていこうという方針もございます。この方針に合致をするのが、こういったマスターを取ったけれども何も仕事がない、あるいは経験がないから国連に入れないという人たちのために経験をどうつくってあげるのかというのをやはり真剣に考えた方がいいと思うんです。

 今、副大臣がおっしゃいましたJPOは、まさしくその登竜門となりますね。でも、これはたかだか四、五十人です。これを一気に倍増させるとか、枠の拡大をするだけでも、やはり五年先、十年先に大きな違いが出てくると思いますので、新たな取り組みとしまして、この人材育成というものも外務省としてしっかりと、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますので、この願いをお伝えしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。民主党の野田佳彦でございます。

 まず第一問は、既に先ほど自民党の御法川委員が質問をされたことでございまして、昨日の、これは毎日新聞の報道で、昨年の十月七日にイラン南東部で誘拐をされた横浜国立大生の中村聡志さん、治安当局と武装勢力側の解放交渉が合意に達したというような報道内容で、ようやく半年ぶりに解放されるのかなという期待の持てる報道だったものですから、私もそのことをきょう質問しようと思いました。

 この半年間、大変気にはなりながら、心配をしながら、余り微妙な段階でうかつに質問をしまして、粘り強い交渉をやっているときに暗礁に乗り上げてしまったり、不測の事態が生じるようなことは避けなければいけないと思いながら、注意深く見ながら質問をしないできた経緯がございました。

 いよいよこれは大詰めだから質問をしてもいいのかなと思ったんですが、先ほどの御答弁を見ると、さしたる劇的な展開には至っていないような外務省の御判断でございましたが、改めてその点を確認させていただきたいと思います。

小野寺副大臣 報道がありまして、私どもは、すぐにこの内容について、イランの大使館を通じてイラン政府の方に問い合わせをさせていただきました。すぐに解放につながるというところの情報には接していないというところでありますが、粘り強く今後も交渉していきたいと思っております。

 なお、委員が大変御配慮をいただきました。こういう人質事案でございますので、やはり、交渉も含めて、余り表に出ないところで進めていくことが邦人の無事解放に一番つながる道かと思っております。今後とも、私どもは、この交渉、とにかく邦人の救出最優先に努力をさせていただきますし、また、報道機関につきましては、できるだけこの問題については注意深く対応していただきたい、そのようにも思っております。

野田(佳)委員 これまで小野寺副大臣が、この問題の責任者というか、現地にも何回も足を運ばれて、まさにリーダーシップを振るって、解決に向かって御努力をされていることはよく承知しております。改めて、今御答弁された姿勢のもとで、解決に向けてさらなる御努力をお願いして、この問題はきょうはもう質問で取り上げないということにしたいと思います。

 きょうの本題は、私は、調査捕鯨に対する最近の、いささかどころか度を越した妨害活動、テロ行為というか犯罪行為だと思います。この問題について質問をしていきたいと思っています。

 私が初めてIWCに参加をしたのはもう十数年前なんですが、アイルランドのダブリンのIWC総会に初めて、衆議院の一年生のときに行かせていただきました。そのとき御一緒したのが、宮城県の菊池福治郎先生と、今横浜の市長になっている中田宏さんと三人で、政治の代表団として行きました。

 その場面で大変驚いたのは、よく日本は科学的な見地に立って議論をリードしていて、根拠のない感情論には徹底して論破していくという、外務省、水産庁はこんなに頼もしいところがあるんだなということを強く感じたんですね。少なくとも、IWCの科学委員会では、反捕鯨国ですら日本のデータを踏まえた議論には感服をしているという状況。ただし、総会になると、これは鯨を食べたことがあるかどうかもわからないけれども、見たこともないような国もいっぱい出ていますので、結局感情論で負けてしまうということを見まして、でも、やはりここで日本の役人も頑張っているなという姿を見て、ある意味感動した記憶があります。

 昨年、久しぶりにIWCの総会、アンカレジで行われまして、これも参加をさせていただきました。そのときは小野寺副大臣も御一緒させていただきましたけれども、反捕鯨の代表国であるアメリカで開催をされて、どんな空気になるかなと思ったら、アンカレジのIWC総会のホテル、一階のフロアは、鯨の骨を使ったりひげを使った民芸品だらけなんですね。商業捕鯨をやっているじゃないか。とんでもない国だなと思いました。これはダブルスタンダードです。アメリカはいろいろおつき合いをしていかなきゃいけない国ですが、鯨の問題についてはちょっとけしからぬの域を超えているというのが私の感想なんです。

 そういう問題意識を持ちながら、一応、今民主党の鯨議連の副会長もやっているんですが、鯨の問題を一度も国会で取り上げたことはありません。ありませんが、先ほど申し上げたように、シーシェパードという反捕鯨団体による、ことしの一月から三月にかけて数次にわたる妨害事件というのは、妨害というか、テロ、犯罪、海賊と表現をしても過言ではないような行為が続いているわけでありますので、きょうはその問題を質問させていただきたいと思っております。

 まず最初の事案は、ことしの一月十五日に発生をして、第二勇新丸に対してシーシェパード妨害船が酪酸入りの瓶を投げ込んだりとか、あるいはスクリューにロープを絡めようとしたりとかというとんでもないことをやって、その上で、二人の活動家が第二勇新丸に乗り込んでくるという事案。

 それから二つ目が、一月十八日、第三勇新丸に対してシーシェパード妨害船の搭載ボートからこれまた酪酸入りの瓶が投げ込まれる事案が発生。

 三つ目は、一月二十二日で、捕鯨母船の日新丸と補給船オリエンタルブルーバードが補給のために接舷作業中に、これはシーシェパードじゃなくてグリーンピースの方ですが、これまた両船下に入り込んで妨害をする事案が発生をする。

 そして三月に入ってから、捕鯨母船日新丸に対してシーシェパードの妨害船からまた薬品が投げつけられたりして、その際には海上保安官と乗務員四名が負傷をする、ついにけが人も出るという事態に至りました。

 そして、まだこれでも終わらず、三月七日には、またシーシェパードから酪酸入りの瓶とか粉状のものが多数投げ込まれる。

 ことしだけで五回ですか、去年もありました。多分、また来年もやってくると思うんです。

 そこで、まずお尋ねをしたいのは、こうした妨害活動に対して外務省はどのような対応をとってこられたのかをまずお尋ねしたいと思います。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、一連のシーシェパードという反捕鯨団体によります妨害行為ですけれども、これは、我が国が行っております公海上での合法的な活動に対しまして、我が国の調査船舶の安全な航行とかあるいは乗組員の安全といったものに不当な危害を加えようとしている、まさに危険な許しがたい妨害、違法行為だと思っております。

 外務省といたしましては、まず、シーシェパードの船舶の旗国でございますオランダに対しまして、それからまたシーシェパードの船がたびたび寄ります寄港国でございますオーストラリアに対しまして、いろいろな累次の機会をとらえまして、妨害行為は極めて遺憾だということを申し入れ、この妨害行為について適切な処理をそれぞれの国においてとるよう強く求めてまいりました。

 また、ことし、先月でございますが、三月上旬に、イギリスにおきましてIWCのまさに中間会合がございました。その場におきましても、ちょうどシーシェパードの妨害行為が起きていることがございましたので、我が国の代表団から各国に対して強く働きかけを行いました。その結果といたしまして、そのIWCの中間会合におきまして、コンセンサスで、シーシェパードを今度は名指しして非難する、今回の妨害行為を断固非難する、そして再発防止のための関係国の協力を求めるという声明が出されたところでございます。

野田(佳)委員 そのシーシェパードなるものがそもそもどのような団体かというところなんですが、これは、環境保護という美辞麗句の中で、やっていることは海賊行為みたいな、エコ・テロリストですよね。今の活動の現状というか、組織が今どうなっているかをまずお尋ねしたいと思います。

草賀政府参考人 シーシェパードがどのような団体であるかということでございますけれども、シーシェパードは、グリーンピースという団体の創始者の一人でございますポール・ワトソンという者以下数人が、グリーンピースから分離独立いたしまして立ち上げた、反捕鯨を旗印にした団体であるということでございます。

 過去におきまして、捕鯨船への体当たりとか、あるいは日本以外でも、アイスランドの捕鯨船の爆破を一九八六年にいたしましたり、あるいは九二年にノルウェーの捕鯨船を破壊する事件などを引き起こしてございまして、危険な活動を行っておりますものですから、これを理由といたしまして、IWCにおいてもオブザーバーとしての参加が禁じられている、こういう団体であると思っております。

野田(佳)委員 今私がお尋ねをして御答弁をいただいたようなことは、大体多くの国はわかっているはずだと思うんです。わかっていながら、またことしもこういう妨害行為を行うだろうという予想がされている中、何でシーシェパードが持っている船にオランダがあえて船籍を与え、そしてオーストラリアはなぜ寄港を許したのか。オランダもオーストラリアもわかっていたはずだし、日本も、事前にこういう妨害行為を予防するために、そういう警告をしていたはずだと思うんです。終わった後にも、もちろんオランダやオーストラリアにいろいろな協力を求めることをおっしゃっていますが、なぜ船籍を与え、寄港を許しているのか、そこをお尋ねしたいと思います。

草賀政府参考人 その点でございますけれども、日本の立場からいったらまさにそういうことでございますが、オランダ、オーストラリアとも、シーシェパードからの申請あるいは要請を受けまして、自分の国の関連する国内法に基づいて判断をして、結果として船籍を付与した、あるいは寄港を認めてきたということでございまして、どうも両国における国内法においては必ずしもシーシェパードに対するそういう船籍付与あるいは寄港を断る理由がこれまでのところはなかった、こういう判断に立ってのことだろうと推測しております。

野田(佳)委員 例えば、こういう事案を起こしたスティーブ・アーウィン号というのは、英国は船籍を剥奪しましたよね。それを今度はオランダが認めたわけです。当然、では今度はオランダも船籍を剥奪するという措置をとるのか。別の船はベリーズの船籍があったけれども、これも剥奪をされています。

 国内法に照らし、事前ではチェックできないけれども、ではこういうことを起こしたらば船籍を剥奪するという措置をとるのか、それを日本は求めるのか、お尋ねします。

草賀政府参考人 今回のまた一連の妨害行為が行われて、直ちに私どもは、オランダあるいはオーストラリア、関係国に対しまして厳正な処置を求めております。その要請を受けまして、先般立ち寄ったときに、オーストラリアはその妨害船に係官を乗船させて調査をしたというようなこともございました。

 まだ、いろいろな一連の調査あるいは検討の結果が完全には出ておらない、一応そのプロセスがまだ続いておるというふうに認識しております。

野田(佳)委員 では、ちょっと個別の事案で御説明をいただきたいと思うんです。

 まず、ことしの最初の事案、一月十五日、第二勇新丸に二人のシーシェパードの活動家が侵入をしてきて、それを一時拘束しています。オーストラリア人とイギリス人だったと言われていますが、日本の船に入ってきたら日本の法律を適用することができるはずで、拘束をしたら私人として逮捕できてもよかったのではないかと思うんです。何でこれを、これはすごく早い段階ですが、身柄をオーストラリアに引き渡したのか。その事情をぜひ御説明いただきたいと思います。

山下政府参考人 お答えいたします。

 一月十五日に、シーシェパードの活動家二名が目視採集船第二勇新丸に侵入したところでありまして、船内における安全確保等のため、船長が一時的に船内の船室に二名を収容したところでございます。

 この二名の活動家につきましては、まず暴力行為に及ばなかったこと、それから抗議文の手交が目的であったこと、さらに、引き続き想定されます種々の妨害への対応も考慮する必要があったことから、解放することとしたものであります。

 このような対応につきましては、調査捕鯨への影響を最小限とすべく関係省庁間で協議を行った上で実施されたところでございます。

野田(佳)委員 船に侵入してきたときは抗議文か何かを渡してきたということですが、その前は、そのシーシェパードの船から薬の入った瓶を投げ込んだり、プロペラにロープを巻きつけたりという行為をやっていたんですよね。オーストラリアに引き渡した後に、三時間後には、また別の捕鯨船に対してシーシェパードは酪酸入りの瓶を十本投げつけているんですよね。

 やはり、私はそこは判断のミスじゃないかと思います、その前後を見ると。何で拘束を解いてしまって、引き渡しをしたのか。私は判断ミスじゃないかと思いますが、もう一回お尋ねをしたいと思います。

山下政府参考人 ただいまの点につきまして、繰り返しになりますが、その時点におきまして、この二名の活動家につきましては、暴力行為がなかったということ、それから抗議文の手交が目的であることが明らかであったこと、それから調査捕鯨への影響を最小限にしなければならないということで、関係省庁で協議を行った上で実施されたところでございます。

野田(佳)委員 これは完全に艦船侵入罪だと思います。だから、国内法に照らしてしっかりとしかるべき処置をとらないと、まさにこれは主権の侵害だと思いますね。

 オーストラリアに引き渡したと。では、オーストラリアはきちっとこの二人の取り調べをやってくれたんですか。どうなんでしょうか。

石橋政府参考人 今回の数次にわたる妨害活動に対しましての捜査でございますけれども、それぞれ、ただいま先生御指摘のように、艦船侵入罪等で捜査を進めております。

 今般の事件については、被疑者が国外に所在しているということから、関係国の協力を得ながら捜査を進めているところでございます。

野田(佳)委員 では、オーストラリアはちゃんと取り調べをしたんですか。やっているんですか、今。

石橋政府参考人 オーストラリアの関係当局からは資料の要求もございまして、うちの方から資料を送付しております。オーストラリアの関係当局の方で捜査を進めていると承知しております。

野田(佳)委員 どう見ても、その後すぐシーシェパードに戻しちゃっていますよね、オーストラリアでは。その直後にきちんとした取り調べをやったのかどうかというのは、私は極めて疑問だと思うんです。

 その上で、一月三十一日に日豪外相会議が行われました。これは、外務省のホームページでその概要を見させていただきますと、スミス外相と高村外相でいろいろな議題についてお話をされております。

 全般的には、日豪関係というのは基本的には友好関係にあると思いますので、そういう基調の中で、捕鯨問題とこの妨害行為についての議論も行われたようでございますが、どういう御議論があったのか、これは大臣にお尋ねをしたいと思います。

高村国務大臣 日豪外相会談では、私から、我が国の調査捕鯨は、国際捕鯨取締条約に従って行われる合法的な活動であるとの我が国の基本的立場を説明いたしました。その上で、NGOによる妨害行為は許しがたい違法行為であり、当該NGOの船舶が豪州に寄港する場合は適切な対応を要請したい、こういうふうに述べました。

 これに対して、スミス豪外相からは、豪州政府としても日本の立場は承知している、捕鯨問題について立場の違いを認めた上で議論ができることは、日豪関係が強固である証左である、NGOの活動については豪州当局が調査を行っているという発言がありました。

 さらに、両外相間では、捕鯨問題が良好な日豪関係を損なわないようにすることが大切である、捕鯨問題については、専門家同士で冷静な議論をすることが重要であり、両国間の感情問題にならないよう双方が努力していくべき点で認識が一致したところでございます。

野田(佳)委員 オーストラリアは去年政権交代が行われて、ラッド政権になりました。ラッド政権は、反捕鯨の立場を相当強く打ち出しながら国民の支持を受けて政権をとったという経緯があると思うんです。

 だからといってということではありませんが、どうもやはりこのシーシェパードの活動に対して、むしろ、困ったものだというよりも、オーストラリアの国民としては英雄視扱いをする傾向もなくはないという中で、日豪関係は大事ではありますが、そういうオーストラリアの空気がありながら、シーシェパードのこの行為は、さっき言ったように海賊行為、卑劣な行為でありますから、このことは切り離してやはり日本の主張を明確に言うべきだと私は思っています。

 そのためにも、これはサマリーしか出ていないので正確ではないのかもしれませんが、NGOの船舶が豪州に寄港する場合は適切な対応を要請した、さらに、活動家二名の引き渡しについての豪州の協力についてはこちらも感謝している旨発言をしたというのがサマリーで、高村外務大臣からスミス外相に、いろいろ立場は違うけれども、この引き渡しに当たっての対応については感謝をしているという旨の発言が出ていると概要には出ているんですね。

 だけれども、私は、これは感謝だけではなくて、やはり、その後シーシェパードにすぐ引き渡しをしてしまったというような対応を見ると、そこの点についてはもう少し遺憾の意を込めて御発言をされてもよかったのではないかなと。

 若林農水大臣は、カウンターパートについては、その遺憾の意をもう少し込められた発言をされていたと思いますが、その点は、外務大臣、正確にはどうなんでしょうか。

高村国務大臣 私は、当時の判断そのものは、その時点では聞いていなかったわけでありますが、日本側として、もうこのまま拘束をしていく意思はないということになっていたときに、相手側のシーシェパードがそれを引き取らない。引き取らないで、むしろ、日本側に拘束されている、拘束されていると世界にアピールして、感情をあおるような行動に出ていた中で、早く引き取れということで、その仲介を豪州の公船にしてもらった、こういうふうな認識をしているところでございます。

 ですから、豪州側から引き渡してくれと言われて引き渡したんじゃなくて、日本側が、シーシェパードとの関係で、もう引き取れと。特に、その時点では暴行もしないで、抗議文を渡す趣旨で来たんだから、そのまま拘束していくつもりがないというときに、その引き取る仲介をしたのが豪州の、必ずしも警察の船ではないと思いますが、そういう船であった、そういうことに認識をしているわけであります。

野田(佳)委員 日本側の判断で、もう二人を拘束する意思がないと決めてしまったところに僕は問題があると思っているんですね。それはどの省庁が主体的に判断をされたかわかりませんが。

 短期的に見れば、厄介な二人が乗っていて調査捕鯨が妨げられるというのはマイナスですよ。だけれども、こういう主権侵害をしてきたときに、毅然と国内法で対応して、そこで一時的には調査ができなくなるかもしれないけれども、次の、翌年もその翌年も調査捕鯨をしようとするわけでしょう。だったら、ここは毅然たる対応を本当はするべきだったと私は思います。

 では、なぜ今日本だけがシーシェパードにねらわれているのか。かつてはアイスランドやノルウェーもねらったのに、今はアイスランドやノルウェーはねらわない。なぜ日本だけ今ねらわれているか。私は、こういう対応のミスとか、毅然とした対応がないからだと思うんですが、では、アイスランドやノルウェーというのはこれまでどういう対応をされてきたのか、御存じなら教えてください。

草賀政府参考人 シーシェパードによります妨害行為ですけれども、事件としては、アイスランドに対しましては、一九八六年にアイスランドの捕鯨船二隻を沈没させた事件がございました。それから、ノルウェーにつきましては、一九九二年に捕鯨船が被害を受けた事件があるというふうに承知しております。

 それで、対応でございますけれども、アイスランドとノルウェーがこの事件を受けて具体的にどのような対応を行ったかというのは、ただいまのところはちょっと承知しておりません。今、我が大使館の方を通じてさらに詳しいことを聞いておるところでございます。

 ただ、ノルウェーにおきましては、その他の情報も取りまとめたところでは、このポール・ワトソンという人物につきまして、ノルウェーの裁判所から拘留の判決が出されて、逮捕状が出されたということで、そのワトソンは、これは立ち寄ったのかどうかわかりませんが、オランダで拘置をされて、そしてノルウェーは、そのワトソンのノルウェーへの引き渡しを望んだというような情報が出ております。ただ、その時間がかかっているうちにオランダでの拘置期間を終えたというふうに承知しております。

野田(佳)委員 ぜひ、こういうならず者行為に対して他国がどういう行動をとってきたのかというのはよく検証していただきたいと思います。その場その場で決然と対応しないと、やはり図に乗りますよ、これは。

 彼らは、ビデオを撮りながらその自分たちの過激な活動を世界じゅうに発信して、そしてお金集めをしているわけですから、懲らしめるためには、やはりその場その場での決着をつけていく努力をしないといけないということを強く申し上げたいと思います。

小野寺副大臣 この問題は、私どもも大変遺憾に思っております。

 特に、このポール・ワトソンという人物、御存じだと思いますが、アメリカの有力紙では、既に過去に詐欺で、これは環境問題とは別に、かなり重大な犯罪を犯したということで広く喧伝されておりますし、この人物自体にやはりいろいろな問題もあるということ、これは、オーストラリア政府を初め、このシーシェパードをもしかしたら擁護する気持ちがある皆様にも、やはり日本政府からどんどん宣伝していくということも必要かと思っております。

野田(佳)委員 そこで、三月三日に発生した日新丸に対する妨害活動では、これは乗組員や海上保安庁の職員の皆さんが負傷をされているんですね。これこそきちっと捜査、立件しなければいけないと思います。やはり、犯人を特定し、きちっとペナルティーを科さなければいけないと思いますが、これは海上保安庁の今後の取り組みだと思いますが、今、どういう御決意で、どういう取り組みをされているか、お尋ねしたいと思います。

石橋政府参考人 本年三月三日の事案については傷害罪等の容疑で捜査を進めております。

 今般の事件については被疑者が国外に所在しているということから、関係国の協力を得ながら捜査を進めているところでありますけれども、判明した事実あるいは具体的な進捗状況につきましては、捜査の内容にかかわることですので、答弁を差し控えさせていただきます。

野田(佳)委員 これは海上保安庁が初めて捜査に乗り出したケースです。やはり最初のケースを成功事例にしないといけないと思いますから、今お話しできないという点もあるという事情はわかりますが、これは強い決意で取り組んでいただきたいということを要請させていただきたいと思います。

 さらに、この三月三日の後に、また七日にも発生しているんですね。ここでは海上保安官が七発の警告弾を使用しました。私はこれは当然のことだったと思うんですが、さらに、また来年もシーシェパードが二隻の船を繰り出して妨害しようとしているわけです。さらなる強い警告措置をとることも含めて、海保の警備体制を今後どういうふうにお考えか、最後にお尋ねをしたいと思います。

石橋政府参考人 海上保安庁では調査捕鯨に対する妨害行為への対策の一環として、水産庁から要請を受け、調査捕鯨船団に係る人命及び財産の保護の観点から、今次調査を行う調査捕鯨船団に海上保安官を政府方針に基づいて乗船させており、捕鯨船団の自主警戒について指導を行うとともに、妨害行為に対して警告弾を使用した即時中止警告や採証等を行ったところでございます。

 反捕鯨の環境保護団体は、来年度以降も我が国の調査捕鯨活動に対して妨害活動を行うことを既に表明しているところであります。南氷洋の公海上という遠隔地の特殊な環境下での対応となることから、国際法上の制約や派遣可能な巡視船がないなどの警備上の制約はありますが、今後、関係省庁と連携して所要の警備方策を検討し、関係法令等を踏まえ、対処していくこととしています。

野田(佳)委員 まだいっぱい聞きたい点はあるんですが、時間が来ましたので終わります。どうもありがとうございました。

平沢委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 私も捕鯨問題に非常に関心がありまして、リレー質問をしたいところですが、ダブるといけませんし、別の質問をさせていただきたいと思います。

 おとといの質問の延長線上でございますけれども、いろいろな国がいろいろな対応をしているんだろうと思います。それは、答弁にもいろいろありましたけれども、各国の事情によってアメリカ軍に対する援助の仕方が違う。

 二年前に私は外務委員会に所属させていただいておりまして、小野寺副大臣と一緒に外務委員会の派遣でキルギスに行かせていただきました。そこで仕入れたネタでございますけれども。

 アメリカ大使がおられまして、その方と懇談をいたしました、副大臣も覚えておられると思いますけれども。そうしたら、そこの基地をロシア軍もアメリカ軍も使用していると。キルギスは基地の使用料をもらっているわけですよね。もらっているけれども、足りないということで、足元を見たのかどうか知りませんけれども、百倍に値上げすると言ってきて困ったと大使は言っておられました。それで、アメリカ本国に話したら、本国政府もいいと言うんだけれども、しかし、そのお金がどこに使われるか、どこか変な、いかがわしい人たちの懐にばかり入るんじゃないか、そうじゃないんだったら出すというふうなことを言っていました。

 へえ、彼我の差は大変なものがあるなと。土地代をただにしているだけじゃなくて、いろいろいっぱい出している国がある一方で、金を出せ、使用料を払えと言っている国もある。

 その結果、どうなって、今どういう状況になっておられるでしょうか。御存じでしたら、小野寺副大臣からお答えいただきたいと思います。

小野寺副大臣 済みません、キルギスの状況でしょうか。(篠原委員「そうです、キルギスのマナス基地の」と呼ぶ)

 委員と御一緒させていただいた経験、今の委員のお話は、私も同席させていただいてお話を伺いました。済みません、その後のキルギスのマナス基地の経緯については、そのことだけでの質問通告を受けておりませんでしたので、ちょっと調べて至急お答えさせていただいてもよろしいでしょうか。

篠原委員 おとといちゃんとやってありましたから、行っているはずなんですけれども。

小野寺副大臣 失礼しました。

 二〇〇八年一月三十一日、キルギスの財務大臣は、キルギス議会におきまして、予算財務委員会の拡大委員会におきまして、米軍が駐留経費として年間一千七百五十万ドルを支払っているということを明らかにしたということです。失礼いたしました。

篠原委員 それは前の話で、私の聞いている話では、それの何倍も、二億七百万ドルにしろとか言って、その基地の使用料だけじゃないんですけれども、結果として、アメリカのトータルの援助額を一億五千万ドルも増額させたというように聞いています。まあ、これはいいです。

 つまり、私が何を申し上げたいかというと、いろいろな国があるということなんですね。日本は違うと、高村大臣が状況が各国違うからと言うのも、それはもうよくわかるんです。しかし、やはり違うんじゃないかと思う。同じような先進国、シンガポールも基地の使用料を取っているという話ですね。それから、フィリピンに至っては、スービック湾の海軍基地の、やはり同じ土地の使用料を上げようとしたら言うことを聞かなかった、そうしたらもう出ていけというので、追い出した感じになっていますよね。それぞれ違う対応をしているわけです。

 それで、おととい提出した資料をもうちょっとわかりやすく、一般の皆さんにもわかりやすくまとめましたので、ちょっと見ていただきたいんです。

 これは本当に国際比較というのは必要で、キルギスやフィリピンや何かと比べるというのは、ちょっといろいろ国情が違いますし、よくないのかもしれませんが、韓国、ドイツ、イタリアというのは同じですよ。よく見てください。何倍とかというのを太字にしました。軍人数に対する労働者数も、アメリカ軍人が百人いたとしたら七十六人も働いている。ほかの国は四十人か三十人だというのにですね。

 それで、右を見てください。これは日本がどうこうというわけじゃないんですが、アメリカの在外にいる駐留軍の一六%が日本にいる。それで、各国の負担費のところ、Dのところを見ていただきたいんですが、各国の負担費、全体で八十三億ドルか四億ドル。そのうちの半分近くを日本が出しているということですね。NATO諸国全体の一・七倍だ。そして、何よりもたくさん出しているのは直接支援、労務費や施設整備費ですよ。それはNATO諸国全体の四十二倍で、ほかの国全体の八割弱も出している。一人当たりのところにして日本と比べたりしたら、こんなの何百倍とかになっているわけですね。これはやはり私は、異様なんじゃないかと思います。

 それで、ここら辺は理由があるとしても、一番おかしいのは、おととい近藤昭一さんが聞いておられましたけれども、グアムへの移転経費です。今まで、守っていてやったからお金を出せと言っていた。今度は、出ていってやるからまたお金を出せと。どういう理屈なのか。泥棒にも三分の理というのがあるとよく言われていますけれども、どういう理屈があるんだ。私は、どんなに三百代言を言っても、筋の通る理屈は一つも出てこないんじゃないかと思います。こんなことまでしたら、国際社会から何をやっているのかと言われるんじゃないか。それをよく認識していただきたいと思います。

 それから次に、アメリカに対して大変な思いやりがあるわけですが、今度は中国問題です。先週の続きになりますけれども、もう一つ資料を出したので、ちょっと二ページ目を見ていただきたいんですが、この関係でちょっと事実関係をお伺いしたいんです。

 開会式への参加の見合わせというのを各国がいろいろ言い出しております。中国が国威発揚の場にしようとしています。ですから、そこのところはちょっとおきゅうを据えてもいいんじゃないかと各国は思い始めているんじゃないかと思います。選手の皆さんは四年に一度ですから、その参加の機会を奪うというのはよくないということで、それは世界じゅう一致しているようですけれども。

 日本の場合も、新聞報道でございますけれども、皇室の開会式への参加を見合わせるという報道がありましたけれども、この点については事実でしょうか。

小野寺副大臣 北京オリンピックの開会式につきましての皇室の参加ということについては、現時点では何ら決まっておりません。

 ただ、一般に、皇室の外国訪問につきましては、政府として、諸般の事情を踏まえつつ、慎重な検討を経て決定してきているところでありまして、オリンピックの開会式についても、諸般の事情を踏まえつつ、慎重に検討していく考えであります。

篠原委員 では、各国の状況を見てください。これは、外務省に資料要求してちゃんと出してもらえばいいんですけれども、なかなかちゃんとしたのはないので、新聞報道だけでちょっとまとめてみました。各国の見てください、開会式にどうするかというのを。いろいろな国がいろいろなことを言っています。

 サルコジ大統領、フランスは、あらゆる選択肢があるということで、ちょっと注文をつけている。

 イギリスを見てください。ブラウン首相は、ダライ・ラマと五月に会う、しかし、ボイコットとかいう世論は抑えると。非常にバランスある対応をしておられるんじゃないかと思います。外務大臣は、ボイコットには同調しないと明確に言っておられます。一方、チャールズ皇太子は、もともとダライ・ラマ十四世と親交があるようでして、開会式には出席しないということまで言っています。

 次に、ドイツ。メルケル首相は、ボイコットの世論を抑える、しかし選手の参加は当然だと言っている。外務大臣もそれに合わせて、公式には開会式もボイコットしないと言っています。しかし一方で、外交委員長が、ボイコットを排除すべきじゃないということで、いろいろな意見があるということを言っています。

 アメリカのことはもう申し上げました。ブッシュ大統領は、出席すると明言しています。一方で、ダライ・ラマとは四回も会っている。ペロシ下院議長は、中国を批判して、ボイコットまでとは言っていませんけれども、そういうことをほのめかしています。それから、共和党の対中強硬論者で知られるローラバッカーさんは、ボイコットを求める書簡を出したりしています。いろいろです。

 日本は非常に優しいんですね。高村外務大臣は、ないだろう、オリンピックは成功裏にやってほしいと。これはこのとおりだ、日本国民もそう思っていると思います。福田総理も、開会式のボイコットに対しても日本として一線を画すと。ずっと見ていくと、日本は中国に何か一言言うような雰囲気は全然ないわけですね。これは、小泉さんが言ったらけんかになると思います。しかし、大人の対応をしてきておられる高村外務大臣、あるいは中国との関係を大事にしてきておられる福田総理が中国にちょっと注文をつけるのは、中国も素直に従って受けるんじゃないかと私は思います。日本は一辺倒なんですよね。見てください。

 ちょっと違う声もあるということをやはり言うべきなんです。そういう点、大事なのは平沢委員長だと私は思いますよ。ドイツを見てください。ポレンツ外交委員長が、ボイコットを排除すべきではないと。これは大体、平沢委員長の基本的なスタンスと似ているんじゃないですか。バラエティー番組に出て皆さんを楽しませているだけじゃなくて、重要な立場にあるわけですから、いつかこういう発言をぜひ言っていただきたいと思います。日本にもそういう声があるんだと。やはり外務大臣が言って、総理が言うと大げさになりますけれども、そこそこの人が言う。私が言ったって何の記事にもなりません。委員長は違うわけですから、こういうことをやってバランスある対応をしてください。

 これは日米関係を考えても大事なんですよ。エズラ・ボーゲルさんが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんという本を書きましたけれども、今は違って、中国にいろいろなのがシフトしています。しかし、日米関係を考えても、中国を責任ある大国として、民主化、自由貿易経済体制の中に入れ込んでいく、きちんと態度を改めさせていくというのは日米協調関係にとっても大事なんです。ですから、思いやり予算で協調するということ以上に、中国に対して日米が共同歩調をとってそれなりのことを言っていくというのは、私は非常に大事になるんじゃないかと思います。日米協調に中国ファクターというのは絶対大事です。こういう人権外交についても絶対協調していただきたいと思います。

 この点について、大臣にお答えいただくというように言っておりませんでしたけれども、一言お答えいただきたいと思います。

高村国務大臣 私の考え方は、私は中国の要人に直接伝えます。

 本人に直接伝えないで、いろいろなところで外務大臣が大きな声で言うということは、両国の国民感情は非常にまだ脆弱でありますから、そういう中で言うことは、いい影響もなくはないんですけれども、悪い影響の方が多いのではないかというのが私の判断です。

 私が言うべきことは、中国の要人には、私は直接申し上げるつもりでございます。

篠原委員 外務大臣同士、要人同士の関係というのも大事かと思います。外務大臣は、アヒルの水かき外交が大事だと。私は、それは大事だと思いますけれども、たまにはツルの羽ばたき外交も必要なんじゃないかと思います。外にちゃんと向けてシグナルを発するというのも必要でないかと思いますので、よく考えていただきたいと思います。

 それでは次に、三つ目の問題、中国毒ギョーザ問題。

 これはやはり、陰に隠れていますけれども、同じように、安全保障のことを考えた場合、大事なんですね。幾ら日本を軍事的に安全保障で守っても、日本人の食が危うくなってきている、体がむしばまれているというのはよくないですよ。日本の国民の生命、財産、安全を守るのが日本国政府の大事な役割ですから、これをないがしろにするべきでは絶対ないと私は思っておりますけれども、中国のこの問題について日中の捜査協力というのはどんなぐあいで進んでいるんでしょうか。

 このことについて、具体的に言えば、日本でメタミドホスをぶっかけて、それで浸透していった、浸透していかないと。日本は、浸透していかない、中国は、八七%も浸透していたとか言っています。さっき話がありましたが、科学的な根拠でこういうのはやっていかなくちゃいけません。IWCの会合もそうです。科学的捜査の捜査協力をしているということですけれども、どんなぐあいに進んでいるんでしょうか。

小野政府参考人 毒入りギョーザの事件につきましての日中の捜査協力の状況でございますが、これまで、両捜査当局間におきまして、首脳級会談や実務者レベルの会議を実施するなどして、緊密に意見、情報交換を行ってきております。

 最近の状況で申し上げますと、三月下旬に日本で、中国の鑑定専門家等に来ていただきまして、情報交換会議をやっております。さらには、この四月八日から十日までの間でございますが、日本から専門家が出かけていきまして、中国側の専門家との間で意見、情報交換を行うことにしております。

 さらに、御質問の中で、メタミドホスの浸透実験の関係について御質問がございましたが、これにつきましてちょっと申し上げますと、日本におきましては、既に、千葉、兵庫で起きました事件につきまして、流通経路の解明、ギョーザの鑑定等、所要の捜査を推進しているところでございます。

 浸透実験についてでございますが、現在、定性分析、メタミドホスがあるかないかという分析でございますが、これを最優先に行ってきたところでございます。

 既に広報もしておりますが、千葉で二つの事案があったわけでございますが、この被害者が吐き出したギョーザ、さらにはまだ調理前のギョーザというものから、大変高濃度のメタミドホスが検出されている状況でございます。これは袋の外側から浸透するレベルの量ではないというふうに私ども考えております。十のマイナス二乗レベルのグラム数でございまして、私どもの実験結果では浸透はしないということが出ておりますし、中国の結果を見ましてもそういうレベルのものではありませんので、浸透によるものではないというふうに考えるべきものと思っております。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、国内に残された捜査事項を早急に完遂いたしますとともに、この事件の解明のためには中国捜査当局の協力というのが不可欠でございますので、今後とも緊密な連携を図りまして、事案の早期解明に努めてまいりたいというふうに思っております。

篠原委員 それから、もう閣議決定されて提出されているそうですけれども、日中共助条約が締結されれば、今、この中国ギョーザ事件についての捜査協力なんか一挙に進んで、さっさと解決がつくんでしょうか。

小野政府参考人 捜査共助の条約につきましては、三月七日でございましたか、閣議決定を踏まえまして、今、衆議院の方に受理していただいているという状況であろうと思います。

 現在、日中の刑事共助条約がないわけでございますけれども、外務省、また在北京の日本大使館等にも大分御足労をおかけいたしまして、中国当局と緊密な連携をとるという現状に至っております。その中で、所要の情報提供を私どもも受けまして、現在は緊密な連携を図っているものというふうに考えております。

 もちろん、共助条約がございますれば、このような連絡、連携というものについて、より迅速また確実に対応することができるものというふうに考えております。

篠原委員 中国のこの問題は大事ですから、きちんとやっていただきたいと思います。日中刑事共助条約もさっさと、ほかの条約も大事ですけれども、締結していくべきではないかと思います。

 中国の問題は、中国に幾ら言ったって、なかなか私はうまくいかないんじゃないかと思います。つまり、中国側に管理能力がないんですね。そうすると、水際でどうするかというふうになってくるわけですね。

 そういうふうになってきたらどういうふうに考えられるのかなと思って、日本はみんな優しいから、余りそういうことを考えないんですけれども、中国に検査能力がなかったら、水際で阻止するしかないわけです。しかし、厚生労働省には食品のチェックをする人たちが三百三十人ぐらいしかいない。これじゃ、とてもじゃないが安全チェックはできないですね。

 そうしたらどうするかというのは、今、道路特定財源、もう一般財源化しろと言っていますけれども、ああいうのは一般財源化しても、今度は検査特定財源をどこかから見つけてこなくちゃいけないんじゃないですか。中国側は利益を受けているわけですから、関税といえば関税かもしれませんけれども、中国の輸入食品については関税をかけて、あんたらがちゃんと管理しないから我々が水際で管理しなけりゃいけないんだ、だからその分ちゃんと負担しろと言って、それを検査に充てるべきじゃないかと思います。

 こういう大胆な発想をして、WTOでも、今まで貿易の自由化、自由化ばかりやってきましたよ、そうじゃなくて、食の安全のためにはそういうことが必要なんだということでやっていくべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか、厚生労働省。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、水際での検査というのは大変に大事でございまして、輸入食品につきましては、これまでも鋭意、検査員の増員等を図りながら努力をいたしてきているところでございます。そういう中で、検査だけで実際にそういうものが防止できるのかという点は御指摘のとおりでございまして、私どもは三段階で輸入食品の安全を確保していかなければいけないというふうに考えております。

 第一には、輸出をされる国の政府、あるいは輸入業者が、その製造過程あるいは原材料の仕入れから一連の過程において安全な製品を確保できるような努力をしていただく、このことがやはり一番肝要なんだろうと思っております。そういう中で、日本に輸入される段階においてどこまでチェックをしていくのか。そして今度は国内に入った段階で、自治体におきます収去検査等を通じて、またそういうものをチェックしていく。こういう体系の中で、我々は輸入食品の安全の総合的な確保というのを図っておるところでございます。

 そういう中で、現在の検査の体制が十分ではないのではないか、あるいは、予算をさらに確保すべきではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、これまで、それなりに予算措置をしていただきながら、必要な対応については行ってきているというふうに考えておるところでございます。また今後とも、そのような人員の増員でありますとか、あるいは必要な検査費用の確保等々についても努力をしてまいりたいというふうに考えております。

 なお、関税に関しましては、農産物の関税のあり方に関する御意見というふうに受けとめておりますけれども、この場で、私どもの所管という観点からはちょっとお答えすることが困難でございますので、御理解を願いたいと思います。

篠原委員 大事な応援質問ですから、正直にぜひそうしていただきたいと答えればいいんですよ。こんなに人数が少なくてそんなことができるわけないんです。中国がやらないんだから日本がやらなくちゃいけないと。

 外務省の皆さんもちゃんと聞いていてください。何でもかんでも自由貿易にすればいいというわけじゃないですから、そっちはそっちでいいですけれども、こういう安全のチェックの体制というのはきちんとしなくちゃいけないということをよく考えておいていただきたいと思います。

 アメリカは今までも、食品の安全、練り歯磨きとかペットボトルとか、そういうのがありますから、すぐ輸入禁止にしたりしているんですよ。そして、輸入禁止にすると同時に、関税をかけるべきだ、そのかけた関税を、目的関税ですよ、安全検査に充てるべきだということで、ちゃんとやっているんです。だから、日米は完全に協調できますよ。ヨーロッパだってそうですよ。中国から変なハチみつが入っていって困っているわけです。自分たちがチェックしなくちゃならない、お金がかかるということで、やっているわけですよ。それで、ある程度中国を懲らしめなければいけないと、この点については。

 ですから、一時的に中国の食品の輸入もストップしたっていいと思うのですが、そういうことは考えられないんでしょうか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問は、いわゆる包括的輸入禁止措置がとれないかという御指摘だというふうに理解をいたしておりますが、食品衛生法第八条におきまして、特定の国もしくは地域または特定の者により製造された輸入食品について、法違反の食品が相当程度あり、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に必要がある場合に、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、それらの食品の輸入等を包括的に禁止することができることとされております。

 本規定につきましては、結果的に問題のない食品を含めて輸入禁止にするということになり得ることから、その適用に当たりましては、まず第一に、食品衛生上の危害に影響を及ぼす可能性がある製品の範囲を、合理的、科学的分析に基づいて限定するとともに、当該食品が引き続き輸入される可能性等を勘案して対応する必要があるというふうに考えております。

 今般の中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事案につきましては、厚生労働省からの通報に基づき、中国政府により、製造工場の操業停止、製品の輸出停止、中国側の出荷済み製品の回収等が行われていること、検疫所において、当該製造者のすべての製品について輸入自粛を指導していること等、被害拡大防止のための措置が既にとられていることから、現時点において包括的輸入禁止措置と同様の効果が得られているというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、原因究明の結果を踏まえながら、二国間協議ですとか現地調査等を通じて、中国側に対しましては、安全管理体制の向上に努めていただくよう要求してまいりたいというふうに考えております。

篠原委員 また、優し過ぎるんですね。私は別に意地悪しろと言っているわけじゃないんです。

 前にもちょっと申し上げたと思いますけれども、BSEのときは、アメリカにBSEが発生した、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者は出ていません。出ていませんけれども、それは大変だからといってすぐ輸入を禁止したんです。それで、解禁して、骨つきの牛肉が来たら、また全部禁止している。これは、ジョハンズ農務長官と私は、二〇〇六年の一月三十一日に、机をたたき合ってというか、山岡さんが団長で行ったところへくっついて行ったんですけれども、やりましたよ。ジョハンズ農務長官は怒りましたよ、たった一頭とか二頭だ、日本から輸入した車が一台だけブレーキで故障を起こしたら日本の車は全部輸入ストップするのと同じじゃないかと。食べ物とそういうものは違うんですけれども、そういうことを言いました。

 それに比べたら、十人が入院している、ほかに何百人も変な目に遭っている。それを、何の措置も講じない。何の措置も講じないということはないですけれども。そのたぐいの加工食品は輸入を即座に禁止して、警告を発したっていいんですよ。そういうことをちゃんと考えていただきたいと思います。日本の頭の中には、そういうことがないんですよ。それがかえって、日本人の安全を守ることになりますし、中国の安全管理体制を早目に直していくことにもなるんですよ。お互いのためになるんですよ。

 それから、そういった観点から見渡してみますと、安全保障の概念がだんだん日本国民にも備わってきたのはいいことだと私は思います。ただ、軍事安全保障の方がちょっと突出しているような気がいたします。食料安全保障がないがしろにされている。きょうの農業新聞の一面トップは、米の価格が東南アジアで七割も上がっているとゼーリック世銀総裁が警告を発したと書いてあります。食料安全保障も危うくなってきております。しかし、その前に、食の安全という意味の安全保障が非常にないがしろにされているわけです。

 日本外交は、すぐ自由化、自由化というので、EPA、FTA、私は二年前のこの場で、ダボハゼEPA、入れ食いFTAとか言って、何でもやればいいんだと思っている、そういうのはやめてくださいと。それは、やるのならいい、やってもいいけれども、食料は違うんですよ。そういうことを考えて、食料には違うルール、自由化するけれども、安全基準についてはちゃんと守ってもらわなくちゃ困るよというようなことをきちっとやっていくべきだと思います。

 それはどういうことかというと、アウトソーシングしているわけです、全部、労賃が安いからと。中国の労賃はインドの半分ですよ。日本もアメリカも、それこそお金が大事ですから、そうやってアウトソーシングする。そして、どうなっているかというと、一たんは技術者を派遣してつくってもらう、しばらく生産とか品質の管理とか行ってやるわけですよ。そのうちに、もったいないから中国人にみんな任す。そして、後、チェックに行かない。中国はどうするかというと、少しでももうけたいから、管理の手を抜くわけですよ。そして、安全基準がばらばらになっていくんです、少しでも利益を得ようとする。これはやはりよくないです。

 こういうことを考慮して経済外交を展開していただきたいと思います。外務大臣にこれについてのお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきます。

高村国務大臣 食の安全を考えるというのは、それは当然なことだと思います。それは食品衛生等をしっかりやってもらいたい、こういうふうに考えているわけであります。

 ただ、日本の軍事的安全保障が突出しているというのは、それはそうじゃないでしょう。GDPの一%でおさめている国はほかにありますか。それを突出しているなんて言ったら、それこそ世界から笑われるんじゃないでしょうか。私は、そういうふうに思います。

 いずれにしても、食の安全は大切なことだということは、その部分については、委員と同じ意見を持っております。

 ただ、委員のおっしゃったことでちょっと気になるのは、中国は懲らしめてやるとか、そういう発想は私は持っておりません。

篠原委員 私の言葉はいつも過ぎてしまいますので、気持ちを酌んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁でございます。

 先ほど篠原同僚議員から質問がありましたチベット騒動で、五輪への各国対応、こういった問題があります。

 冒頭申し上げておきたいことは、後ほど御答弁をいただきますので、当外務委員会の委員長である平沢勝栄さんに、今、篠原さんがおっしゃったように、ドイツは外交委員長が、ボイコットは排除すべきではない、こういう発言をしているわけでありまして、今すぐ答えろといったってなかなか、心の決意が必要でしょう。しかしながら、平沢さんがこれを、今答えられたら今でもいいんですよ。しかし、私の質問時間は三十分ありますから、その最終盤において、私が、平沢委員長、ボイコットは排除すべきではないと、政治家平沢として、高村さん言えないだろうから、いや、言えたら言ってもらっていいんですよ、言えないだろうから、それを平沢委員長に聞きますから、これを冒頭言っておきますので、質疑を聞きながら、かたい決意で、頭の中で結論をつくっていただきたい。ノーコメントは許しません。

平沢委員長 この問題については、つい先日、私は、中国の駐日大使と会食しまして、そして、チベット問題、それからギョーザの問題、オリンピックの問題について、私の考えているところをすべて言わせていただいたところですけれども、中身については、この場では発言を差し控えさせていただきます。

 どうぞ続けてください。

松原委員 それはいけないことであります。

 中身を、平沢さん、ここで委員長と議論しているというのは余りないんだけれども、極めて日本の行政が、これはこれから質問していきますが、先ほどの篠原さんの質問でも、水面下でやる部分があってもいいだろうと。しかし、水面上で一定のプレゼンスを示すというのは外交上必要なんですよ。例えば、アメリカが空母キティーホークを日本の近海に置くというのは、それは水面上でやるんですよ。水面上でやるんですよ。

 そのことはこれから質問しますけれども、だから、水面上で平沢さんは、僕は言ってほしい、だれも水面上で言っていないから。だれも言っていないんですよ。平沢さんは、今、外務委員長として、まさにそれを発言しておかしくない立場にあるし、中国の政府高官にそれを言ったのならば同じことを、まあ同じことを言う必要はないです、それは二人の間の会話かもしれない。しかし、違う表現で、この問題に対しての思いを、今もしよかったら言ってください、そうしたら。

平沢委員長 もう一度申し上げますけれども、私が中国大使と会食したときには、中国の公使、駐日中国大使館公使、それから書記官も同席していましたので、私の内容についてはすべて本国に私は打電されていることと思います。

松原委員 それだったらば、この場で言ってくださいよ。それは、日本の国内の議論の中で、どういうことを言ったのか、いや、我々は断固行きますよと平沢さんが言ったのか、私も外務委員長として御招請をいただければ万難を排して行きますよと言ったのかどうかわかりませんが、私はやはりそのことをこの場で委員長に言ってほしいと思います。

 やはり、それを言わないで、それも水面下だと言ったら、日本の外交は他の国に対して全くわからない外交になってしまう。言ってください。

平沢委員長 いや、その中身については、また、この場で言うことが適切かどうかということもありますので、いずれにしましても、きょうのこの委員会は、私と松原委員とのやりとりが目的じゃありませんので。

 どうぞ、松原君、質問を続けてください。

松原委員 やりとりが目的じゃないというのは、平沢さんの言葉ともこれは思えない。大変残念であります。平沢さんがきちっとこの場で、中国に対して、ボイコットも排除できないよ、可能性はありますよと中国の大使に言ったと言わなくてもいいですよ、そこの話は二人の話なんだから。外務委員長としての、政治家個人としての平沢勝栄として、私は、チベットの問題がある以上、中国に対するボイコットも排除するべきじゃないと、ドイツのポレンツ外交委員長と同じぐらいのことを言えばいいじゃないですか。

 もう一回聞きます。これで最後です。

平沢委員長 松原君とはもう長いつき合いですから、私の思いは十分わかっているはずでございまして、私の思いは、駐日中国大使には十分伝えさせていただきました。

松原委員 この部分の議論というのは、今の議論ではなくて、物事を明示的に言うのか、テーブルの下、つまり水面下でやるのかという議論でありますが、私は、水面下で外交の交渉をすべてやろうというふうには高村さんも思っていないと思います。水面上の、少なくとも他の国にアピールする形で行う部分というのはかなりあるのだろう。もちろん、水面下でやる部分もあるわけです。両方をやらなければいけない。ところが、これは日本人の特性かどうかわからないけれども、どうも水面下の物事は言うし、質問しても、それは今水面下でやっています、こういうふうな話であります。

 私は、このチベット、五輪に対する対応の中で、この篠原さんのデータにもあるけれども、ボイコットに同調しないと言ったり、開会式に出席しないと言ったり、しかしその中でダライ・ラマとの面会をするとか、開会式は出席をする、ボイコットはしないけれども批判をするとか、いろいろな存在感をそれぞれの国は出しているんです。少なくともこのチベット騒動での各国対応を見ると、多くの国が出している、フランス、台湾、イギリス、ドイツ、EU、アメリカ。

 ところが、そういうことに関して、どうも語尾のはっきりしない発言しか表に出ていない、私は大変にそれは、日本の政治的なプレゼンス、結局あそこの国は外交については自分で何も言えないんじゃないかと。この質問は前に小野寺さんにもしたかもしれない。

 要するに、従来の日本は、例えば改正外為法をつくったとき、どこが違うかと言えば、それまでの外為法は日本が独自の意思決定をしなかった。つまり、その意思決定は、少なくとも安保理決議があるとか、三カ国以上、後で外務省は二カ国というふうに表現を変えましたが、そういった国々の既に制裁があった上での外為法の発動しかなかった。日本が単独でそれを行えるようにしたのが改正外為法の一番の相違点だというのは、これは自民党も民主党も一緒に法律を議員立法でつくったわけですから、私もやりましたが。

 つまり、ああいったものに象徴されるように、みずから日本は外交上の意思を発言しない、そういう国になってしまっているんじゃないか。水面下、水面下と言うけれども、水面上のものがないとするならばそうじゃないかというふうに私は思っているわけであります。

 高村大臣は、チベットのことに関して、言っていっていると言うけれども、もうちょっと踏み込んだ発言をして日本のプレゼンスを出すべきだと思いますが、御所見をお伺いしたい。

高村国務大臣 松原委員の質問にお答えする前に、平沢委員長の高い見識に心から敬意を表するものでございます。

 表面で言うことと、水面上で言うことと水面下で言うことと、外交というのは当然あるんです、当然あるんです。ですから、チベットの問題については、私は、かねてからこう言っているように、この問題は、中国の内政問題であると同時に、世界が普遍的に関心を持つ人権の問題にもかかわることだから、さらに透明性を発揮しオープンにしてほしい、そのことによって北京オリンピックも成功に終わるようにしてほしい、そういうことも、水面上でそれだけのことは言っているわけであります。水面下でそれにつけ加えてさらにいろいろ言っている、こういうことでございます。

松原委員 水面上でそれを言っている、こういうふうにおっしゃるわけでありますが、言って、その結果、今どうなっていますか。

高村国務大臣 その結果どうなんですかというのは、どういう意味だかよくわかりませんが、とても我々が納得するほど透明、オープンにはなっていない。ただ、全然前進がないかといえば、記者を入れたり外交官を入れたりしている。それはもちろん十分なものではないから、さらに透明性、オープンにしてもらいたいというのが、私の中国に対する水面上でのメッセージであります。水面下ではまたほかのことを言っているかもしれない、こういうことであります。

 ただ、私が言った結果どうだというよりも、世界じゅうの人がいろいろ言った結果がこうなんですから、私だけの責任というわけじゃなくて、もっと激しく言っている人の効果はどうなんだといっても、同じ効果なんでしょう。

松原委員 他の国に右に倣えすることが正義だというふうには言いませんが、今回は人権の問題でありますから、その意味においていろいろな議論が、だから、高村さん一人の責任というよりは、総体としての日本の政治から出るメッセージというのは、やはりさまざまあっていいと思っております。

 ちょっと質問を変えます。

 先般、我が党の鉢呂議員の質問で、そのときは福田総理がいらっしゃったおとといの回でありますが、福田総理は、今の段階でオリンピックに参加する、しないという段階ではない、こういうふうにおっしゃいました。オリンピックに参加しないのは、参加しないのとボイコット、またこれは違うわけでありますが、参加しないというのは、福田さんが個人で参加しないのか、どういうふうにとらえるかということでありますが、これは参加しない可能性があるという発言として理解してよろしいのかどうか、お伺いします。

小野寺副大臣 北京オリンピックにつきましては、我が国政府として、その成功を期待しております。現在、我が国を含む国際社会が懸念を持ってチベット情勢を注視しているところですが、北京オリンピックへの影響が出ないように、今後、事態が鎮静化することを強く期待しております。

 御指摘のありました北京オリンピックの開会式への我が国政府からの出席については、現時点では何ら決まっておりません。

松原委員 何回も同じ質問をして恐縮でありますが、近い段階では十日というのはありますが、政府として、ダライ・ラマ十四世と会うことを検討することはあり得るかどうか、お伺いしたい。

小野寺副大臣 現在のところ、そのような検討をすることはいたしておりません。

松原委員 なぜ検討しないのかの理由をお示しいただきたい。

小野寺副大臣 これは従来から、チベットをめぐるさまざまな要素を総合的に勘案しつつ対応するということでして、今回も同様に対処していく所存です。

松原委員 このチベット騒乱という極めて大きな事件が発生した現状と従来は状況が違うと思いますが、このことについてはいかがですか。

小野寺副大臣 この事案については大変重要な要因だと思っておりますが、それも含めてさまざまに総合的に勘案しつつ対応するということを考えております。

松原委員 状況がさらに変われば、当然ダライ・ラマ十四世と会う可能性もある、こういう理解でよろしいですか。

小野寺副大臣 状況についての仮説のお話にお答えするということは差し控えたいと思いますが、おしかりになるかもしれませんが、チベットをめぐるさまざまな要素を総合しつつ対応を考えていきたいというふうに思っております。

松原委員 自分でカードをどんどん捨てる必要はないと思うんですよ、私は。もうちょっとそこは、はったりでもカードがあるというところを見せるのが外交ではないかと個人的に思いますが、時間もございますので次に進めます。

 三月の二十八日に北朝鮮が黄海に向け短距離ミサイルを数発発射した件について、どのように御認識をしておられるか。

高村国務大臣 北朝鮮が三月二十八日に短距離ミサイルを三回にわたり発射したとの報道があったことは承知をしております。

 北朝鮮のミサイル関連動向については、我が国として平素より鋭意、情報収集、分析に努めておりますが、さまざまな情報に接しておりますが、個々の具体的な情報の内容に関しては、事柄の性質上、お答えを差し控えます。

松原委員 この北朝鮮が黄海に対してミサイルを発射したということに対して、これは日本の近隣で起こった、特に北朝鮮の場合、日本はもうすぐそこですから、これに対して何も発言をしないという場合に、それだけのバックボーンが日本にあるならばまたこれは別でありますが、何かこのことについて米国と打ち合わせをするとかそういったことは、具体的な行動はどういうものがあったのか、教えてください。

高村国務大臣 具体的行動を私はつぶさに承知しておりませんが、当然のことながら、それぞれの組織の中で情報交換はあって当然のことだ、こういうふうに思っております。

松原委員 大臣が具体的なことについてつぶさに承知していないというのは、ちょっと首をかしげる発言であります。承知はしているけれども言えないというならまだわかりますよ。承知をしていないというのはどういうことですか。

高村国務大臣 このことについてアメリカとどういう話をしたかということについてはつぶさに承知をしていないということを申し上げたので、短距離ミサイルが発射されたかどうかということについては、私が……(松原委員「国民がみんな知っていることだよ」と呼ぶ)国民が知っているというのは、報道でそう思っているだけでしょう。それを我が国が、我が国にどれだけのそういうことがわかる能力があるかどうかということも、これは対外的に言ってはいけないことなんですよ。おわかりでしょう、そのくらい。

松原委員 日本のそういったものに対する監視能力を、では例えば北朝鮮に知られていいのか、それは極めて微妙なところかもしれない。しかし、マスメディアでこれだけ報道されていることに関して、大臣が、いや、もちろんアメリカとこのことに対しては議論していることを承知している、中身は言えない、これはわかりますよ。しかし、そのことの議論をしていることを承知していないというのはいささか国民の不安をかき立てませんか、私はこう言っているんですよ。(高村国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、いいですよ、これはもう。このまま議論していても時間がなくなっちゃうから。

 私が言いたいのは、こういった部分に関しては、やはりそれが少なくともマスコミで報道されている以上は、国民に対して、こういうことですと。それは確かに、我が国のいわゆる調査能力を北朝鮮に知らしめる必要はないですよ。しかしながら、具体的にこういう事実まで我々は把握をしています、例えばこのことに関して同盟国のアメリカとはこういう話し合いをしています、中国は同盟国と言えるかどうかわかりませんが、中国との間で、また韓国との間でこういう連携をとっています、もしくは、内容は言えなくてもきちっとした連携をとっています、そういう議論が答弁としてあってしかるべきだというふうに私は思っているわけであります。

 私は申し上げたいわけでありますが、いろいろな議論がある。例えば先日、二月に訪日をしたイスラエルのオルメルトさんが、イスラエル軍が空爆したシリア国内の施設が北朝鮮の技術支援を受けた建設中の核関連施設であるとの見方を伝えていた、同政府首脳が外国政府に核施設との見方を示したことが明るみに出たのは初めてであるという報道がある。そのとき、オルメルトさんは福田さんに対して、イスラエルは北朝鮮の核拡散問題に懸念を持っている、日本と情報を共有したいと日本へ連携を呼びかけたと言われております。

 このオルメルトの発言に対して、今日本はどのような連帯をしているのか、お伺いいたしたい。

高村国務大臣 本件についても種々報じられていることは承知しておりますが、当事国であるイスラエルはシリア攻撃について何ら発表しておりません。また、シリアも詳細については発表しておりません。当事者が本件についての事実関係を対外的に明らかにしていないこともあり、このことについて私が申し上げない方がいいと思いますが、オルメルト首相と福田総理との会談においては、オルメルト首相より、双方の関心事項であるイランや北朝鮮の問題について引き続き情報交換を行っていきたい旨の発言がありました。しかし、具体的な情報提供の有無を含め、詳細について、相手国との関係上、また事柄の性質上、お答えを差し控えます。

 いずれにしても、政府としては、引き続き、本件をめぐる情勢を注視していく考えでございます。

松原委員 すべて、調査中ですから答えられませんみたいなお話と同じように、水面下の重要な案件ですからというふうになってしまったらば、それは大変に、やはり外交というのはもうちょっと踏み込んで、水面上の議論があってしかるべきじゃないかなというふうに私は思っております。

 時間が大分経過してしまったので、質問を飛ばしながら、時間があればまた戻るということで進めていきたいと思います。

 北朝鮮による日本人の拉致事件というものに関して、かつてアーミテージさんは、拉致の事案、例えば横田めぐみさんが拉致をされ続けている状況が続いているということは日々のテロの継続である、テロが継続をしている、こういう認識を持っていたわけでありますが、これは外務省としても、拉致事件が解決をする、つまり、例えば横田めぐみさんの案件であれば、彼女が解放されて戻ってくるということがはっきりしない、例えばそうでない可能性も含めて、生きて北朝鮮でとらわれている状況が続いている限り、テロは継続している、こういう認識を持っておられると思いますが、確認をいたします。

高村国務大臣 私は、前にも委員の同旨の質問にそのようにお答えした、こういうふうに記憶しています。

松原委員 お考えが変わっていなくて非常に安心をいたしました。極めて大事なことであります。

 そして、アメリカのテロ支援国家指定解除というのは、アメリカの国内法によって、半年以内のテロが行われていないということと言われておりますが、もちろん、その中に拉致という言葉も入ったのは御案内のとおりであります。であるがゆえに、アメリカがテロ支援国家指定解除を、現在進行形のテロが今も続いている以上、当然解除しないというのは、これは日本としては要望することだということももう一度御発言をいただきたい。

高村国務大臣 テロ支援国家を解除するかどうかというのはアメリカの国内法の解釈の問題であるということは、一つ申し上げておきたいと思います。

 ただ、私の考えはそういうことでありますから、私、日本側の立場は変わっていませんし、アメリカも日本側の立場はよくわかっていると思っています。

松原委員 ということは、当然、日本における今の制裁も延長するし、場合によったら追加制裁もあり得る、二日前も質問いたしましたが、そういう認識でよろしいと思いますが、いかがですか。

高村国務大臣 政府内部で検討中でございます。

松原委員 一般論としてお伺いしたいわけでありますが、国会議員が公務によらず北朝鮮に渡航することについては、外務省はいかが考えておられるか。我が国国家公務員の北朝鮮渡航の原則見合わせという措置がありますが、いかがか、一般論としてお伺いしたい。

高村国務大臣 平成十八年七月五日、北朝鮮より七発の弾道ミサイルが発射されたことを契機として、我が国政府は、我が国国家公務員の北朝鮮への渡航は原則として見合わせると同時に、我が国からの北朝鮮への渡航自粛を要請してきております。

 一般論として言えば、国会議員についても北朝鮮への渡航を自粛していただきたいというのが外務省の立場でございます。

松原委員 報道によると、自民党の山崎議員を含む有志の国会議員が北朝鮮に渡航する可能性があるということが、これは産経新聞ですか、載っておりましたが、このことについては今の原則論から見てどのようにお考えか、高村さんにお伺いいたします。

高村国務大臣 繰り返しますが、一般論として、原則として渡航は自粛していただきたい、こう考えているわけであります。具体的なことは、特別の事情があるのかどうか、そういうことの判断にもなるので、そういう話は私、直接聞いておりませんので、何とも申し上げられません。一般論とすれば、一般的に渡航を自粛していただきたいというのが私たちの立場でございます。

松原委員 一般論としてお話を承ったところであります。

 それでは、飛ばした質問をもう一回戻してやっていきたいと思います。

 北朝鮮の場合、ウラン濃縮疑惑というのが言われているわけであります。

 先般、二月五日ですか、CIA初め米国の各情報機関を束ねる立場にあるマイケル・マコーネル国家情報長官が、米上院情報委員会において、平壌はウラン濃縮計画を否定し、また核拡散行為を否定しているが、我々は北朝鮮がいずれも続けていると確信している、こういう発言をしているわけでありますが、このことについて日本は詳細な情報をアメリカ側から提供されておるかどうか、お伺いいたします。

高村国務大臣 申しわけありませんが、その詳細な情報を提供されているかどうかということについても、お答えは差し控えたいと思います。

 いずれにしても、日本とすれば、米国と同じように、北朝鮮の完全かつ正確な申告の中には当然ウラン濃縮計画も含むと考えておりますので、それはきちっとやってもらわなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。

松原委員 私は、水面上と水面下があって、具体的な中身のディテールを明らかにする必要はないと思うんですよ。それは物の見方の違いかもしれませんが、米側からこのことについていろいろなデータをもらっている、例えば、ボルトン国連大使はこのことに関して、チューブを溶かすこと自体が奇妙であり、砲身より遠心分離機の部品にはるかに似ていることを示唆するものだが、金正日政権はここで致命的な誤りを犯した、金属からはっきりと高濃縮ウランの痕跡が得られた、こういうことを言っているわけですよ。マスコミでこういうことが既に情報で流れている以上、米側から情報の提供がされているかどうかも言えませんというところまで、私は水面を高くする必要はないと思うんですよ。

 時間ですから、以上で終わりますけれども、私は基本的に、外交というのはプレゼンスをいかにしてあらわすかということが大事ですから、対外的に言ってアピールする問題、もちろん水面下でやる問題、日本の場合、余りにも水面が高過ぎて、これじゃ都市が沈んでしまう、こういう気もするわけでありますから、その辺はぜひとも外交上御留意をいただきたい。

高村国務大臣 一般的な情報交換はもちろん行われていますよ。一般的な情報交換は行われていますが、どこまで詳細な情報を交換しているかどうかということについてはお答えを差し控えさせていただく、こういうことでございます。

 そして、情報のことについて、ここまで情報をもらっているぞなんということをアピールする話じゃないと思っています。

松原委員 それは当たり前のことをおっしゃっているんですよ。そのとおりですよ。

 ただし、国民が既にマスメディアで流れて知っていることについて最低限の納得できる説明をするのは当たり前だろう、その中で外国に対してアピールする部分もあってしかるべきだろうということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

平沢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 去る三月十九日夜、横須賀市でタクシー運転手の高橋正昭さんが殺害された事件で、昨日、四月三日、米海軍のナイジェリア国籍の一等水兵が強盗殺人の疑いで逮捕されました。事件発生から何と十五日目のことであります。

 横須賀では、いまだ記憶に新しい一昨年一月の米空母キティーホーク乗組員の女性殺人事件に次ぐ米兵の凶悪犯罪に、本当に強い怒りが広がっておりますし、私も強い怒りを禁じ得ないと、強く抗議したいと思います。

 そこで高村大臣、昨日、シーファー駐日米大使とお会いになられた。そこで、先ほどありましたが、極めて遺憾である、起訴前の身柄の移転を求めたというふうに答弁をされました。

 容疑者が引き渡されたんですから、まず日本側による早期の厳正な捜査と処罰は当然であります。その上で、米側に対して今後の対応として何を求められたのか、そして何を求めていかれるのか。例えば被害者家族、関係者への謝罪と補償の問題とか、あるいは再発防止策の徹底ということは当然求めるというふうになると思うんですが、引き渡しはあったんですから、今後のこととして米側に対して今何を言われているかお答えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 綱紀粛正と再発防止ということは、それは当然のこととして言っているわけであります。今まで、当面の措置ということを米側とも話した上で発表してきているわけですが、これを着実にやっていくことが必要だということが一つあります。

 それと同時に、脱走兵のような場合に、必ずしも今まで全部が全部、日本に通報があったわけではないわけでありますから、こういうものについて通報の仕組みを早急につくるということを日米合同委員会の中でやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

笠井委員 やはり本当に徹底した対策が必要だと思うんです。

 今、脱走兵ということもありました。私も前回、三月二十六日の当委員会でこの問題についても質問いたしまして、まさに今大臣が言われたような形で、米側ともそういう形で枠組みをつくるということで急ぎたいということでありましたが、私もあの質問の中で、脱走米兵による事件の実態の把握と報告ということを求めました。

 あれから十日近くたっています。そして今回、脱走米兵の被疑者が逮捕されたわけでありますが、これまでの脱走米兵による事件の把握というのは、関係省庁との関係もありますが、政府として把握できたのか。そして、その仕組みづくりの進捗、つまり、一日も早く、時間をかけないでというふうに言われましたが、一生懸命やられると前回も言われましたが、どれぐらいのめどで、米側とも、きちっとしたものにしたいというふうに大臣としては考えていらっしゃるんでしょうか。その実態把握の今の状況と仕組みづくりのめど、大体これぐらいまでにはということで、伺いたいと思います。

高村国務大臣 時間的なめどというのは、現時点で申し上げられるのは、この前申し上げたように、できるだけ早くという以上のことを申し上げられる状況ではありません。既にもう米側と、関係省庁含めて、いろいろ始めております。そういう中で、いわゆる脱走だけじゃなくて、行方がわからなくなった場合どうするんだとか、いろいろな範囲を、日本側はできるだけ広く広くとりたいと思います。

 それから、すべてがすべてじゃなくて、とりあえず、脱走と認定した場合をどうするかということでやっておりますが、脱走と認定できた場合にすべて通報するということについてまずやりたいとは考えておりますが、なかなか、では、いつまでにできるんだということを今言える段階でないということでお許しを願いたいと思います。

笠井委員 これまでの実態把握の状況については、今どこまでわかっているでしょうか。関係省庁ともという話で、情報共有という話もしましたが。

西宮政府参考人 既に大臣から御答弁申し上げた点もございますが、過去の脱走兵の犯罪の統計につきましては当省の所管ではございませんで、警察庁の方から部分的な統計があるということで三月二十六日の外務委員会で答弁があったとおりでございまして、現時点では十分な集計が困難であるというふうに承知しております。

笠井委員 困難ということじゃなくて、これはやはり過去の実態をきちんとつかまないといけないわけで、つかんだ上に対策が出てくるわけですから、この間も、そういうことについては困難ということで無理だという話じゃなくて、共有しながら努力する話だったわけですから、これはきちっとやってもらわなきゃいけないというふうに思います。枠組みづくりとあわせてやるということだと思うんです。

 それから、大臣言われました脱走兵の通報の問題なんですが、通報については、その義務を例えば地位協定の中に明文化する、こういうことも含めてやはり検討の中では出てくるということはあると思うんですが、そういうことも検討の一つの視野に入れるということはあるんでしょうか。いかがですか。

高村国務大臣 この関係で地位協定の改定ということは視野に入れておりません。まさに日米合同委員会で、実際にどう行うかという観点から今協議をしているところでございます。

 運用の改善で決めたことは、おおむね適正に運用が現実に改善されていると承知をしておりますので、機動的に対応するためにはやはり運用の改善の方がはるかにベターだ、こういうふうに思っております。

笠井委員 これは、地位協定というとすぐ運用の改善と言われるんですが、やはりこういう問題で脱走兵というのが今の局面でまた新たになっているわけですから、どういう枠組みかというときには、そのときには運用改善ということにとどまらず、やはりきちっとそれを担保する上では何が必要か、地位協定上のことも含めてきちっと検討すべきだと私は思っております。そのこともぜひやっていただきたい。

 続けてですが、今回の事件を通じても、在日米軍の米兵が、旅券、パスポートなしでも米軍の許可さえあれば身分証明書を持って基地外に出ることができる、このことが改めて国民的にも知られるところとなりました。

 これはどういう考えに基づくものなのか、その法的根拠は何なのか、お答えいただきたいと思います。

高村国務大臣 米軍人は、日米地位協定に基づき我が国に入国し、滞在しているわけであります。

 日米地位協定第九条には、米軍人は、旅券及び査証に関する日本国法令の適用から除外される旨定めているわけであります。一方、同第九条三は、米軍人が、日本への入国または出国に当たって、氏名、生年月日、階級及び番号、軍の区分並びに写真を掲げる身分証明書等を携帯しなければならない旨定めた上で、米軍人は日本国にある間の身分証明のため身分証明書を携帯していなければいけないと規定しているわけであります。

 このように、米軍人は、かかる日米地位協定の規定に基づき、パスポートではなく身分証明書等での出入国、日本滞在が許されているものでございます。

笠井委員 九条ということで地位協定を言われましたが、私、これは、軍隊、特にアメリカの軍隊というのは規律を守って犯罪を犯さない、そして日本と日本国民を守るためにいるんだからという前提に立って、そういう枠組みをつくっているんだと思うんですよ。

 だけれども、日本での実態というのは、そうでない事件、つまり米兵の凶悪犯罪が頻発をして、日本国民を守るどころか命や尊厳を奪う事件が相次いでいるということが起こっているわけであります。だから、この点も本当にこれでいいのかという問題がある。

 さらに、最近で言いますと、米兵の基地の外での居住という問題も新たにクローズアップされてきて、それがふえているということでありますが、これもまた外国人登録や住民登録の対象から外れていることも問題化してきております。

 このもとで、この協定九条の規定というのはこのままでいいのかということについては、大臣、率直にどういうふうにお考えになるでしょうか。

高村国務大臣 パスポートは恐らく、私はアメリカの中は知りませんが、多分国務省が発行するんじゃないかと思うんですが、それから、恐らく身分証明書は、国防省が発行するのか軍そのものが発行するのかちょっとよく知りませんけれども、それは国家が、そこをはっきりさせる身分証明という意味では変わらないのではないか、こういうふうに考えております。

笠井委員 主権国日本でありますから、結局日米の取り決めがあるとしても、やはり主権国日本に出入国するということになれば日本の主権にかかわる問題が出てくるわけでありますから、そこのところはアメリカが出すからそれでいいんだというふうにはならないと私は思いますので、この点もやはり検討してみるべきだと申し上げたいと思います。

 さらに、先ほども冒頭に、綱紀粛正、再発防止ということで、さらにやるんだと言われたけれども、なかなかそれじゃいかないという問題がありまして、いわゆる地位協定の運用改善ということで、先ほど来ありますが、それにかかわってもう一問聞いておきたいと思います。

 お手元に、外務省がつくられた資料が出典なんですが、資料をお配りしました。

 平成七年、一九九五年の日米合同委員会合意に基づく起訴前の身柄引き渡し要請の運用事例の一覧であります。この中で、平成十四年十一月二日の沖縄県での事件では、十二月三日に逮捕状発付、起訴前身柄引き渡し要請があったけれども、同五日に起訴前身柄引き渡しを拒否されているわけであります。

 外務省に伺いますが、この拒否をされた理由というのは何だったのか、端的にお答えください。

西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成十四年十一月に沖縄で発生いたしました婦女暴行容疑事件でございますが、同年十二月三日に日本側から身柄移転要請を行いましたが、五日に米側から、米国政府としましては日本政府が提起した要請を十分に考慮した、しかし、本事件に関する日本政府の説明を真摯に検討した結果、本事件については起訴までは米側が拘禁を行うとの通常の取り扱いを離れる必要がない、必要があるとの根拠が足りないという説明を受けており、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委合意に基づく起訴前の身柄の移転を行うことに同意できないとの結論を得たとの説明がございました。

 これ以上の詳細な理由は米側から示されてはおりませんが、米側は、証拠収集、証拠隠滅の防止を含めまして、日本側の捜査への全面的な協力を維持していく考えも明らかに当時出しておりますし、起訴前にも日本側による事情聴取にも応じております。

 さらにつけ加えれば、起訴後に身柄の移転を実際に行ったというふうに承知しております。

笠井委員 根拠が足りないというのは、殺人とかいわゆる凶悪犯罪というふうに言ってきた、その範囲に入らないということでのやりとりがあったということじゃないかと思うんですが、その後、先ほど大臣も平成十六年の四月に合同委員会でさらにやられたというふうに言われましたが、その点についてはどういうことになったんですか。

西宮政府参考人 特定の犯罪の類型というお話でございますが、平成七年の合同委合意におきまして、あらかじめ特定の類型の犯罪を起訴前の身柄引き渡しの要請の対象から排除しておらない、平成七年当時でもこれが日本政府の考えでございましたが、平成十六年四月の日米合同委員会におきまして、この点につき日米間で明確に認識の一致を見た次第でございます。

 これは、いかなる犯罪であっても、日本側が重大な関心を有する場合であれば、日本側は合同委員会において起訴前の拘禁移転要請を行うことができることを明確化したものと考えています。

笠井委員 では、局長、その合意した四項目めの最後、日本側が要請すればできるということですが、その後をちゃんと読んでください。何というふうに合意していますか、米側。

西宮政府参考人 読み上げさせていただきます。

 「合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。」でございます。

笠井委員 「考慮する。」なんですよ。だから、日本は要請できるから、アメリカは考慮するということなので、これは、運用改善では、主権国である日本が結局は好意的考慮という中で、犯罪の種別とかいろいろ言われましたが、殺人にとどまらずほかの問題もできるみたいな話があったけれども、結局は米側に裁量権がゆだねられているという問題であります。

 ですから、この際、この点でも、運用改善じゃなくて、地位協定そのものの改定に踏み出すべきだと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高村国務大臣 これは何度もこの委員会で申し上げているように、NATO地位協定でも米韓地位協定でも、この規定は全く同じなんですよね。そういう中で、運用改善で日本だけは起訴前でも拘禁移転ができるというふうになったわけで、私が知る限り、現時点で起訴前に身柄の移転がされているのは我が国だけでありますから、だれかが不平等条約だなんと言ったけれども、ほかの国が日本と比べて不平等だというのならわかりますけれども、少なくともこの点に関しては日本が一番進んでいるというのは事実であります。

笠井委員 日本だけはできる、ほかよりやっているというふうに今誇られて言われましたけれども、では、日本がそういう形でもやるというのは、それだけ問題が大きいからやらざるを得ないという問題なんですよ。

 だから、ほかの国と比べてということじゃなくて、現実に日本でこれだけ犯罪が多発して、再発防止それから綱紀粛正と何度言ったってなくならないという事態があって、そして、基地があるからこんなことになっているんだ、沖縄からも横須賀からも出ていってくれ、八月には原子力空母が来るけれども、それも配備をやめるべきだという声が上がっているわけですから、そういう日本の現実を踏まえたら、やはり政府としては、主権国として責任を持ってどうするかと。ほかより進んでいるんだったら、もっと進めてやらなきゃいけない、そして、国民の命と安全を守らなきゃいけない。この問題があるということを指摘して、質問を終わります。

平沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 神奈川県横須賀市で発生した脱走米兵によるタクシー事件等については、後日ただしていきたいと思います。

 本日は、チベット問題に絞って質問をいたします。

 来年は、一六〇九年の薩摩による琉球侵略から四百年目の節目の年であります。大臣、沖縄には「唐ぬ世から大和ぬ世 大和ぬ世からアメリカ世 アメリカ世から大和ぬ世」という歌があります。これは、沖縄が歴史に翻弄され、幾多の世替わりを味わってきた哀感と世相、庶民の生きざまを表現した歌になっております。

 私たちウチナーンチュの深層心理や願望には常に独立志向があり、それだけにチベット問題にも関心を抱かざるを得ません。もちろん現在のダライ・ラマ十四世は独立論者ではなく、高度の自治を求めておるものと私は理解しております。沖縄と中国には五百年に及ぶ友好の歴史があります。一方で、チベットの人々が強く求める自治や宗教の自由、表現の自由、集会、結社の自由の訴えにも共感するものがあります。

 そこで尋ねますが、インドにおいて樹立をされたダライ・ラマ十四世による亡命政府の実態や動向について、どのようにとらえておられるんでしょうか。

小野寺副大臣 いわゆるチベット亡命政府は、一九五九年三月にダライ・ラマがインド亡命後、同年四月に樹立したものであるということで、いわゆる議会や行政部門に事実上相当する組織を有していると承知をしております。また、その拠点はインド北部のダラムサラにあると承知をしております。

照屋委員 外務省として、ダライ・ラマ十四世の亡命政権に対してどのような関心を持ち、いかなる情報収集を行っているのか、お答えください。

小野寺副大臣 チベット問題につきましては、歴史的に複雑な背景もあり、従来からいわゆるチベット亡命政府と中国政府との間で異なる立場の主張がなされております。

 こうした状況を踏まえ、現在のチベット情勢について、日本政府としては、直接的に入手できる情報には限りがありますが、治安情勢を含め、現在の状況をより正確に把握するため、各方面からの情報収集に努めております。

照屋委員 去る三月十四日に発生した中国チベット自治区ラサ市における暴動に関し、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所が、ラサ市内及び他のチベット各地で開催された平和的デモが、中国当局によるチベット人の大規模な殺害、残虐な弾圧、逮捕、拘束へと発展しましたとの声明を発表しております。

 一方、中国の温家宝総理は、ラサ市での暴動を、ダライ集団による組織的、計画的に用意され、扇動されたものであるとか、暴動は北京オリンピック破壊を扇動しようとした事件であるなどと述べております。

 外務省は、ラサ市における暴動の背景等についてどのような認識と見解をお持ちでしょうか。また、日本政府としていかなる対応をお考えか、高村大臣にお尋ねいたします。

高村国務大臣 チベット問題につきましては、歴史的に複雑な背景もあり、従来から、中国政府といわゆるチベット亡命政府との間で異なる立場の主張がなされているわけであります。

 今回の事態につきましても、その原因や背景に関してさまざまな異なる見解が示されており、また、直接的に入手できる情報も依然として限られているため、確たる認定は容易ではないわけであります。

 政府としては、中国側に対し、事態が早期かつ平和裏に鎮静化することを強く期待する旨伝えるとともに、国際社会の関心を踏まえて、透明性を確保し、状況の全容をオープンにしていくことが中国自身にとっても利益になる旨を伝えてきているわけであります。また、状況の改善のために、双方が受け入れられる形で関係者間の対話が行われるのであれば、それは歓迎すべきことであるとの立場も伝えてきているところでございます。

 今後も機会をとらえてこのような立場等を中国側に伝えていくなど、引き続き、事態の推移を注視しつつ、政府として適切に対処していく考えでございます。

照屋委員 ダライ・ラマ十四世は、武力行使による統一と安定は一時的な解決にしかなりませんとの声明を発表し、中国指導部に対し、武力の行使を中止し、チベットの人々との対話を通した解決を訴えております。

 今月十日、訪米途中にダライ・ラマ十四世が来日されるとの報道に接しましたが、その際、外務省として何らかの接触を行うおつもりでしょうか。大臣に尋ねます。

高村国務大臣 ダライ・ラマ氏との接触については、従来から、チベットをめぐるさまざまな要素を総合的に勘案しつつ対応するとしてきており、今回の立ち寄りの際に政府として同氏と接触する予定はございません。

 いずれにいたしましても、チベット情勢については引き続き、懸念を持って注視しつつ、関連の情報収集を行っていく所存でございます。

照屋委員 今回の来日時には何らかの接触はないということでしたが、大臣、今後、ダライ・ラマ氏との面会等は予定しているんでしょうか。お答えください。

高村国務大臣 現時点で予定をしておりません。

照屋委員 私は、個人的にというか、私として、北京オリンピックを成功させる議員連盟にも加入をしております。一方で、アムネスティ・インターナショナル、そこにも加入をしております。先ほど申し上げましたように、琉球王朝以来の中国との友好親善、交流の歴史も私たちウチナーンチュは持っておりますし、中国とは、さまざまな交流そして位置的にも非常に近い関係にあります。

 それで、私はオリンピックを政治問題とすぐに結びつけない方がいいと思いますが、去る三月十六日付の毎日新聞社説を読みますと、北京オリンピックにダライ・ラマ氏を招待すべきだ、こういうふうに書いてございました。

 外務省は、今回のチベットにおける騒動が北京オリンピックにどのような影響があるとお考えか、また、政府の基本的な姿勢をお尋ねいたします。

高村国務大臣 我が国政府としては北京オリンピックの成功を期待している、これは委員と同じ立場だと思います。

 現在、我が国を含む国際社会が懸念を持ってチベット情勢を注視しているところでございますが、オリンピックへの影響が出ないように、今後、事態が鎮静化することを強く期待しております。同時に、中国が国際社会の関心を踏まえ、透明性を確保し、状況の全容をオープンにしていくことが中国自身にとっても利益になる旨のメッセージを中国側に伝えていくとともに、事態の推移を注視しつつ、政府として適切に対処していく考えであります。

 オリンピック協力議員連盟の会員としての委員の立場とアムネスティ議員連盟の委員の立場と両立するようになってくれればいいな、そう思っています。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

平沢委員長 次に、内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高村国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。

 改正の第一は、在青島日本国総領事館及び在ナッシュビル日本国総領事館の新設を行うことであります。

 改正の第二は、在マカッサル日本国総領事館の廃止を行うことであります。

 改正の第三は、以上の新設総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めるとともに、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額等を改定することであります。

 改正の第四は、その他の在勤手当について支給要件の見直し等を行うことであります。

 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額等の改定については、平成二十年度予算案と一致させて行うため、できる限り速やかに実施する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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