衆議院

メインへスキップ



第9号 平成20年4月18日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十年四月十八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 高木  毅君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 三原 朝彦君 理事 山中あき子君

   理事 近藤 昭一君 理事 武正 公一君

   理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤信太郎君

      飯島 夕雁君    宇野  治君

      小野 次郎君    亀岡 偉民君

      木村 隆秀君    塩崎 恭久君

      鈴木 馨祐君  とかしきなおみ君

      中山 泰秀君    平口  洋君

      山内 康一君    篠原  孝君

      田中眞紀子君    野田 佳彦君

      鉢呂 吉雄君    松原  仁君

      上田  勇君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小野 正博君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 田辺 靖雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中富 道隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     立岡 恒良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     平口  洋君

  篠田 陽介君     飯島 夕雁君

  山口 泰明君     とかしきなおみ君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     篠田 陽介君

  とかしきなおみ君   山口 泰明君

  平口  洋君     亀岡 偉民君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     猪口 邦子君

    ―――――――――――――

四月十七日

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百六十八回国会条約第三号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 国際情勢に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官新保雅俊君、大臣官房審議官田辺靖雄君、大臣官房参事官小原雅博君、大臣官房参事官片上慶一君、北米局長西宮伸一君、国際法局長小松一郎君、警察庁長官官房審議官井上美昭君、長官官房審議官小野正博君、刑事局長米田壯君、法務省大臣官房審議官三浦守君、矯正局長梶木壽君、経済産業省大臣官房審議官中富道隆君、大臣官房審議官羽藤秀雄君、貿易経済協力局貿易管理部長立岡恒良君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織君。

丸谷委員 おはようございます。丸谷佳織でございます。

 冒頭、質問通告とは違うのですけれども、昨日名古屋高裁で出されましたイラク空輸に対する判決について、まず外務大臣の方から、御感想と、また今後の活動に対する方針、思いをお聞かせ願いたいと思います。

高村国務大臣 今回の判決は、自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差しとめを求める訴えは不適法なものであるとして却下されたものであります。また、損害賠償請求は法的根拠がないとして棄却されたものであります。要するに国側勝訴の判決であります。

 航空自衛隊の空輸活動が違憲であると判示した部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論、私は暴力の暴とは言っておりません、傍らの論であります。

 このように、本件裁判の控訴人の請求は、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかを判断するまでもなく却下あるいは棄却されるべきものであると、政府は最初からそう思っていたわけであります。したがって、政府は、裁判において、自衛隊のイラク派遣が憲法に反するかどうかについて主張も立証もしておりません。これは必要ないことである。裁判の結論を導くために必要のないことですから、そういうことを主張も立証もする必要はなく、実際にもそのような主張、立証をしておりません。

 したがって、政府としては、こうした中で、判決の結論を導く必要がないにもかかわらず示された今回の高裁の見解について、納得できるものではないと考えているわけであります。

 いずれにいたしましても、イラク特措法に基づく航空自衛隊が行う輸送活動は、他国の兵員の輸送を含め、それ自体としては武力の行使または武力の威嚇に当たらない活動であります。また、いわゆる非戦闘地域に限って実施することとする等、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みのもとに行われており、憲法との関係においても問題はないと考えているわけであります。

 したがって、これから政策的に必要であれば続けていくし、必要がなくなればやめる、こういうことでございます。

丸谷委員 ありがとうございました。

 今回のこの判決に加えまして、いろいろな御主張の方がいらっしゃいますし、そもそも原告側がいるわけでございますけれども、このイラクに対する派遣とは別に、インド洋での補給活動に対しても、今回の判決をもって、この補給活動自体もこれは違憲になるのだといったような主張も紙面上では見られたところでございます。

 私は、インド洋上での補給活動を、この判決をもってすぐ違憲活動であるというようなことは、まさしく傍らの方ではなくて暴れる方の暴論、それは余りにも飛躍し過ぎではないかなという思いでおりますけれども、この点について、急な問いかけで申しわけないのですが、もしお考えがあれば、いかがでしょうか。

高村国務大臣 委員と全く同じ意見であります。

 こういう判決を根拠にして、インド洋の補給活動、これが違憲であるとしたら、それはまさに暴れる方の暴論でありましょう。

 このイラクについては、傍らの論であっても一応裁判所が書いていることでありますから、私はあえて暴れる方の暴論だとは申し上げない、こういうことでございます。

丸谷委員 ありがとうございました。

 では、通告しておりますとおり、最初に、先週末、慌ただしい日程でございましたけれども、大臣はロシアを訪問されました。モスクワ、サンクトペテルブルクと、外務大臣また産業大臣、知事と会談をされましたけれども、まず、この訪ロの成果につきましてお伺いいたします。

高村国務大臣 今回のロシア訪問では、十三日、サンクトペテルブルク市においてトヨタの工場を視察した後、マトヴィエンコ・サンクトペテルブルク市知事と会談を行いました。

 翌十四日には、ラブロフ外相と外相会談を行うとともに、フリステンコ産業エネルギー大臣との間で、貿易経済日ロ政府間委員会共同議長間会合を行いました。

 マトヴィエンコ知事との間では、先方より、サンクトペテルブルク市への日本企業のさらなる進出への期待が表明されるなど、日ロの経済関係を中心に意見交換をいたしました。

 ラブロフ外相との会談では、まず、北海道洞爺湖サミットの機会に日ロ首脳会談を行うことで一致したほか、同サミットの成功に向けて日ロが協力していくことで一致をいたしました。また、G8サミットの前にも両首脳が会う機会があれば、個人的信頼関係を築く上で有益であるとの認識でも一致いたしました。これを受け、国会の御了承が受けられれば、福田総理は、四月二十五日から二十七日までの間、ロシアを非公式に訪問し、二十六日にプーチン大統領及びメドベージェフ次期大統領と会談を行う予定でございます。

 北方領土問題については、日ロ関係を高い次元に引き上げていくための努力を行うとともに、領土問題の最終的解決に向け、双方にとり受け入れ可能な解決策を見出すべく、一層真剣に交渉を続けていくことで一致をいたしました。

 平和条約締結のための環境整備として、北方四島を含む日ロの隣接地域における生態系の保全等に関する日ロ専門家会合を五月下旬に開催することで一致をいたしました。

 また、元島民による北方四島への自由訪問に関し、本年夏から、これまで同行できなかった元島民の子の配偶者、孫及び孫の配偶者、複数の医師、看護師が同行することができるようになりました。

 なお、二月九日に伊豆諸島上空で発生したロシア空軍機による領空侵犯については、ミュンヘンに行ったときに私からイワノフ第一副首相に対して再調査を求めていたところ、今回の外相会談でラブロフ外相から、調査の結果として、意図的に行ったものではないとの説明がなされました。

 貿易経済日ロ政府間委員会共同議長間会合では、極東・東シベリア・イニシアチブのフォローアップとして、七月のG8サミットの際に予定される日ロ首脳会談の前に、貿易経済日ロ政府間委員会の地域間交流分科会を次官級に格上げした上で開催することで一致をいたしました。

丸谷委員 それぞれの分野におきまして、アクションプランを立ててから、本当に実現に向けて一歩一歩、ハイレベルからまた高い次元での議論によって少しずつ前進をしているという思いがしております。四月下旬に予定されています首脳会談、またG8等におきましても日ロ首脳会談が行われると思いますけれども、本当にロシア外交は前進しているなというところが実感できるような、そういった結果を出していただきたく、また御努力をお願いしたいと思います。

 その中で、領土について、また四島周辺の環境について議論をしていただいたわけでございますけれども、ここ数年は、漁民の大変に悲惨な事件もありました。また、拿捕される船の数も多いなという気がしております。船員は北海道に帰ってきましたけれども船は相変わらず拿捕されたまま返還をされていないという状況でございましたけれども、この拿捕されたままの漁船の返還についての交渉というのはしていただけたでしょうか。

小野寺副大臣 北方四島周辺におけますロシア警備艇による日本漁船の拿捕及びその後のロシア側の手続は、北方領土問題に関する我が国の基本的立場から受け入れられるものではないということが前提であります。

 政府としましては、このような事件発生の直後より、ロシア側に対してこうした我が国の立場並びに乗組員及び船体の解放を申し入れており、拘束されていた乗組員については現在までに全員解放されております。

 現在拘束されている船体につきましては、これまでの申し入れに加え、十四日に行われた外相会談において、高村大臣からもラブロフ外務大臣に対して速やかな解放を申し入れました。

 政府としては、引き続き船体の速やかな解放を求めていく考えであります。

丸谷委員 また、先ほど大臣御答弁いただきましたけれども、特に元島民の方から大変感謝の声が寄せられているのは、自由訪問の同行者の拡大を実現していただいたということで、やはり元島民の方、高齢化をしておりますし、また、自分の子供、孫そして配偶者ということでまさしく後継者を育てているところでございますけれども、その後継者自体が、いろいろな返還活動であるとか島に対する思いの中で、実感をしながら返還運動の場にかかわっていくところがないというのも現実としてある中で、今回、孫及び孫の配偶者、元島民の子の配偶者という形で同行者を拡大していただけたことは、千島連盟の皆さんも大変喜んでいらっしゃいまして、これは私からも感謝を申し上げたいと思います。

 もう一つ、日本にとっても大きな成果だなと思いますのは、二〇一〇年までに退役原子力潜水艦がすべて解体されることとなったということで、非核協力については日本に対して高い評価がなされたようでございますけれども、今後の非核化の課題、あるいは日ロ間、ほかの国も含めた協力のあり方についてはどのような見解をお持ちでしょうか。

高村国務大臣 ロシア極東におきましては、我が国の協力により、これまでに二隻の退役原潜が解体され、また今後四隻の解体が予定されているところでございます。

 こうした我が国等による国際協力とロシアみずからの努力により、ロシア極東においては、これまで五十数隻の退役原潜が解体されたと承知をしております。

 先般の日ロ外相会談においては、ラブロフ大臣との間で、ロシア極東における退役原潜が日ロ及び他国による協力によって二〇一〇年までにすべて解体される見通しとなったことを歓迎した上で、互恵の原則に基づき、日ロ非核化協力の追加的分野について検討していくことで一致をしました。

 これを踏まえて、我が国としても、現在行っている四隻の解体協力を着実に進めるとともに、追加的分野に関する協力についてロシア側と協議をしていきたいと考えております。

丸谷委員 海に浮いていた退役原潜というものがこれから二〇一〇年までにゼロになるという目に見える結果が出るというのは、非常にすばらしいことだろうと思います。

 この船を処理していくに当たりまして、素人的な考えで恐縮でございますけれども、当然ごみの問題というのも出てくるだろうなということもありまして、そういった処理の仕方についても、ぜひ日ロ間で協力をしながら、環境に配慮をした、しっかりとした適切な処理をしていただきたいと思います。

 また、昨日の衆議院本会議では日中刑事共助条約が可決したわけでございますけれども、日ロ間での刑事共助条約。また、サンクトペテルブルク市知事とお会いになったときに、日本の経済活動について非常に深い議論がなされたと思います。その中で、やはり必要になってくるであろう査証の簡素化協定ですとか、あるいは税関支援、これも我が国にとっては非常に有益なことでございますので、ぜひともG8また首脳会談の中で結果が出るようなお取り組みをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

高村国務大臣 今おっしゃったような実務分野の協議も促進していきたいと考えておりますが、詳しくは政府参考人から答弁させます。

片上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、高村大臣の方から指摘がありましたとおり、現在、日ロ間では、原子力協定、委員の方から御指摘のあった刑事共助条約、査証簡素化協定、税関支援協定さらには青年交流協定の改正、こういったものを鋭意行っているところでございます。

 ぜひ、G8は一つの区切りでございますので、日ロ首脳会談の際に何らかの成果が達成できるよう全力を挙げたいと思っております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 本日、もう一つテーマとして通告しておりますEPAにおける原産地規則について質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の衆議院本会議でも、日・インドネシア、ブルネイEPAが可決をいたしました。四月の二十五日の閣議では、今度日・ASEANのEPAが決定をされるという運びになっておりまして、当外務委員会でも審議をする運びとなるわけでございます。

 このEPA、おくればせながらという感じがいたしますが、今、日本も八カ国とEPAを結んでいる。その中で、これから加速度的にもっとこれを結んでいきましょうという流れになっていることは高く評価するところでございますが、EPAを締結することによって得られるべき日本の利益また企業の利益というのを最大限にやはり追求していかなければいけないということで、加速度的な流れの中で、改善すべきは素早く改善をしていくということもやはり必要なものだろうという観点から、ちょっとスペシフィックではありますけれども、原産地証明制度についてお伺いをしたいと思います。

 そもそも、この原産地証明制度、EPAにおける目的とは何なのか、この点からお伺いいたします。

立岡政府参考人 お答えいたします。

 本制度の目的についてのお尋ねでございます。

 この証明制度は、経済連携協定の的確な実施に必要なまさにその証明書の発給を行う制度でございまして、この証明書は、まさに我が国から相手方締約国に輸出された物品が我が国の原産品であることを相手方に対して証明する書類でございます。そして、この証明書を相手方の国の通関時に税関に出しますと通常の関税よりも低い税率で輸出ができるというメリットがあるわけでございまして、こういう全体のコストを下げる効果があることから、貿易の発展、拡大につなげていくためのインフラをなすものだというふうに思っております。

丸谷委員 平たく言いますと、有利な税率で貿易を行い、日本に、そしてまた各企業に得られるべき利益を確実にもたらすためにこの原産地証明制度があるということなのだと理解をいたします。

 この原産地証明制度、現在、日本で申請と発給を担っていますところは日本商工会議所でございます。民間セクターでございますけれども、ほかの国ではどのような傾向にあるのか、この点についてお伺いいたします。

立岡政府参考人 お答えいたします。

 日本におきましては、委員が御指摘されましたように、原産地証明書法の規定に基づきまして日本商工会議所を発給機関に指定してございまして、現在、全国二十一カ所に窓口を設けて発給事務を行っております。

 諸外国のお尋ねでございますけれども、全般的に申し上げますと、税関でありますとか、あるいは貿易担当庁当局あるいは会議所といったところで行っております。

 若干一例を申し上げますと、我が国がEPAを締結しておりますところでいきますと、メキシコであれば経済省、マレーシアであれば国際貿易産業省、タイであれば商務省、それからチリは会議所でやっております。それから、それ以外の国でいいますと、イギリスとかオーストラリアは会議所、スイス、シンガポールは税関といったような形になっております。

丸谷委員 多くの国においては、国が申請とか発給を担っているところでございます。我が国においては、日本商工会議所の今までの活動の背景等から見て、また経験値の高さから考えて、商工会議所さんが担っていただいているわけでございますけれども、民間でやっていただいていることだから国は知りませんということは、まずあり得ないんだと思うんですね。EPAの国に与える利益ですとか戦略性を考えれば、当然、国としても十分な関与とか環境整備というものが求められて当たり前だと思います。

 その中から、EPAの原産地規則にのっとった証明の申請の数ですとかニーズによって、手数料の設定、また日本商工会議所に入ってくるような額が変わってくるという現状でございますけれども、今まで抱えていた問題の一つとしましては、やはり、その煩雑性という理由から、手数料をこれからちょっと高くしなければいけないような状況も出てきているやにも聞いております。

 というのは、証明をしなければいけない、調えなければいけない書類が、国によって、また製品によってすべて違うものですから、非常に作業が複雑になってくる。マンパワーも必要になってきますし、今いただいている手数料の中では、システム開発も含めてなかなか大変なところもあるということでございます。

 そういった商工会議所からの要望を受けて、経済産業省の方ではいろいろな改革もしていただいているところでございますけれども、どのような改革を今までなし遂げて、これから何をしていかなければいけないという状況にあるのか、この点はいかがでしょうか。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 EPAの経済効果を出していくためには、ユーザーの利便性を向上して使いやすくすることが大事だ、そのとおりだと思っております。

 そういうことから、私どもも随時見直しはしてまいっておりまして、昨年七月には施行規則を改正いたしまして、例えば、原産品の判定を一回しますと、従来は一年間しか有効期限がなかったものを、撤廃して無期限にするとか、あるいは、かつては申請書類に判こを押すべきところを、それをやめまして電子化をさらに進めるといったことも行ってございます。

 それだけではなくて、もっともっと意見を酌み上げるという観点から、発給機関、それから利用者であります産業界ユーザーと、特に実務レベルでいろいろ細かい点を議論する場も設けまして、四半期に一回意見交換をしておりまして、その成果としては、去る四月の十四日にもまた規則を改正いたしまして、今度は、インボイスを従来求めていたのも出さなくてよいということも行っております。

 そういうことで、立ち上がりの時期でございますけれども、いろいろ要望を聞きながら、合理化、簡素化を図っていく努力は今後とも続けてまいりたいと思っています。

 それから、費用面の話がございましたけれども、確かに、立ち上がりの時期でございますので、なかなか最初は件数がないということで費用計算が難しいんですけれども、実は、昨年の秋からタイが施行されまして、動き出しまして、件数的には非常に大きく伸びてきております。

 若干申し上げますと、十七年度では約五千件、十八年度では七千件の申請件数だったものが、昨年度では二万件まで来ておりまして、そういった意味では、その動向をよく見ながら、かつ、ただ、今度はふえてまいりますとまたシステムの構築が要りますので、その辺よくバランスをとりながら、よく利用者の声にも耳を傾けながら対応してまいりたいというふうに考えてございます。

丸谷委員 おっしゃるとおりだと思います。申請件数がふえてくれば、それだけ日本商工会議所に手数料として入ってくるお金というのは累積していくわけですから回しやすくなるんですけれども、その分、件数がふえてくるので、やはりそこに追いついていかないという状況も出てくる。そこに、いかにより円滑に運営させるかという視点でまた変えていかなければいけない問題もあるんだと思います。

 我が国でも、電子政府という形で総務省を筆頭に一生懸命取り組んでくるわけですが、こういった貿易のコスト削減、また円滑な貿易ルートの確保ということでは、電子化というのがやはり今後、各国に求められる手段の一つなんだと思うんですね。

 それからもう一つ、EPAの原産地規則につきましては、原産地規則の統一化、共通化ということについても、ジェトロですとかいろいろなところから求められているところでございます。

 この必要性については、企業や産品によって、何をその国が選択することがその産品や企業の最大の利益になるかということを考えれば、統一化、共通化によるデメリットもあるのかもしれませんけれども、日・ASEANとか広域、またEUとか、対象国がふえればふえるだけ、範囲が広がれば広がるだけ、原産地規則の統一化、共通化というもののメリットも大きくなると思いますが、この考え方については経済産業省ではどのようにお考えになっているでしょうか。

中富政府参考人 お答えいたします。

 原産地規則の統一化、それから共通化というのは大変重要な視点というふうに考えております。

 しかしながら、経済連携協定におきます品目別の原産地規則については、現在、国際的なルールが存在をしておりません。したがって、個別の経済連携協定の交渉ごとに、それから品目ごとに決めていくという形になります。恐らく八千品目ぐらいの交渉をすることになりますので、現実には、日本のやってきましたEPAの原産地規則は、個別品目ごとに、国ごとに違っているのが現状でございます。

 しかしながら、利用者の利便性を考えますと、やはりそれをできる限り使いやすいようにしていくという観点は非常に重要でございますので、御指摘を踏まえながら、各国と交渉する際に、利便性を向上させるべく努めてまいりたいというふうに考えております。

丸谷委員 その利用者の利便性を向上させるためにという観点から、例えば、我が国では、付加価値基準ですとか、あるいは選択型という形でやっていただいています。

 これを非常に利便性としては高いものというふうに評価するところでございますけれども、すべてにおいて選択制にせよとは言いませんけれども、こういったより柔軟な形で選択できるような形のEPA交渉というものが、これからは政府の方針だと考えてよろしいのかどうか。

中富政府参考人 御指摘の点でございますけれども、EPAにおきます原産地規則につきましては、実質的な変更が起こった国を原産国とするというのが基本的な考え方でございまして、その際に、若干ちょっとテクニカルになりますけれども、関税分類が変わったかどうかという関税分類変更基準、それから、一定水準の付加価値がその国でつけ加えられたかどうかという付加価値基準のいずれかを使うケースが多いのが現状でございます。

 先生御指摘の選択型でございますが、恐らく、原産性を判定、証明するに当たりまして、この二つの基準のどちらを使うかというのを利用者にゆだねるという趣旨というふうに理解をいたしますが、最近の我が国のEPAでは、このような意味での選択型を導入しているケースが多くなってきております。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、EPAにつきましての原産地規則は国際的なルールがないこと、それから、センシティブな品目もございますことから、一概にすべて選択型にするというわけにはなかなかまいらないのが現状でございます。

 しかしながら、使いやすさというのは非常に重要な視点でございますので、その点、利用者の利便という点を常に念頭に置きながら、今後も交渉を続けてまいりたいというふうに考えております。

丸谷委員 ありがとうございます。

 先ほどちょっと聞き忘れてしまったんですけれども、電子化に向けた取り組みの中で、オンライン化が申請等については進んでいると理解をしておりますけれども、このオンライン化は申請だけでしょうか、受け取りについては全国二十一の商工会議所に出向かなければいけないという現状でしょうか。

立岡政府参考人 そのとおりでございます。

丸谷委員 これはパスポートと同じ理由があるんだと思うんですね。受け取りは、やはり全国二十一の商工会議所にわざわざとりに行かなければいけないということで、その受け取る側が、本当にあなたが受け取るんですかという本人の確認等の意味もあって受け取りに行かなければいけないという状況かと思いますけれども、例えば九州以南では福岡しかないんですよね。そうなってくると、やはり経営者側の負担というのも大きいという話も聞きますので、ここの受け取り場所の拡大になるのかどうか、こういったところもぜひ検討していただきたいと思います。

 最後に外務省に、今後のEPA交渉について、方針としてお伺いしたいのですけれども、やはりどこかの省が、税関同士のやりとりであれば財務省になりますし、また、こういった国内の対策であれば経済産業省になりますけれども、EPAを締結して日本の国益を追求していくためのEPA交渉は、やはり外務省がリーダーシップをとっていただかなければいけない面もございまして、ただ結べばいいというものでもないだろう。そういった外務省のリーダーシップを求めたいところでございますが、いかがでしょうか。

小野寺副大臣 御指摘のとおり、このEPAの目的であります貿易の促進という観点から、これは我が国にとって大変重要な視点だと思っております。きょうの御指摘を踏まえて、外務省としても積極的に取り組んでいきたいと思っております。

丸谷委員 以上で終わります。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは一般質疑ということで、二つのテーマについて質問させていただきたいと思います。

 まず一点は、先ほどの質問にもありました、昨日出ました航空自衛隊イラク派遣違憲判決ということであります。今、少し説明もありましたが、改めて。

 昨日の判決、市民グループが国を相手取って、航空自衛隊のイラクへの派遣が憲法違反だということの確認を求めた訴訟でありました。そして昨日、控訴審の判決が名古屋高裁であった。

 判決では、航空自衛隊の活動について、戦闘地域であるバグダッドへ多国籍軍の武装兵員を空輸するのは他国の武力行使と一体化した行動であり、イラク復興支援特別措置法と憲法九条に違反するということで、違憲判断をしたということであります。憲法九条の政府解釈について、自衛隊の海外活動で他国の武力行使と一体となるような行為は禁じている、こういうこと。そして、イラク特措法も自衛隊の活動地域を非戦闘地域に限定していると指摘。その上で判決は、首都バグダッドを、多数の犠牲者を続出させており、イラク特措法の言う戦闘地域に当たると認定し、航空自衛隊の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸する行為について、他国による武力行使と一体化した行動で、みずからも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ないと結論づけたわけであります。

 政府が説明してきたイラクへの航空自衛隊派遣の根拠を覆す内容となったわけだと。また、現在も航空自衛隊輸送機がクウェートを拠点にイラクへの空輸活動を行っている。

 今大臣も所感を述べられたわけでありますが、改めてお聞きしたいと思います。

高村国務大臣 今回の判決は、自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差しとめを求める訴えは不適法なものであると却下されているんです。また、損害賠償請求は法的根拠がないとして棄却されたんです。この裁判は、国側勝訴の判決であります。

 航空自衛隊の空輸活動が違憲であると判示した部分があることは委員御指摘のとおりでありますが、これは、判決の結論を導くのに必要のない、いわゆる傍論である、このように承知しております。そして、このように、本件裁判の控訴人の請求は、自衛隊のイラク派遣等が憲法に違反するかどうかを判断するまでもなく、却下あるいは棄却されるべきものであります。

 したがって、政府は、裁判において自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかについて主張もしていないんです、立証もしていないんです。そういう必要がないから積極的に主張をしてこなかったわけであります。したがって、政府としては、こうした中で、判決の結論を導く必要がないにもかかわらず示された今回の高裁の見解については、別にそれに拘束されるいわれはない、こう思っております。

 いずれにしましても、イラク特措法に基づき航空自衛隊が行う輸送活動は、他国の兵員の輸送を含め、それ自体としては武力の行使または武力の威嚇に当たらない活動であり、また、非戦闘地域に限って実施することとする等、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みのもとに行われており、憲法との関係においても問題はないと考えております。

 司法の判断が行政の判断より優越するというのは、主文の部分、その主文を導くに至った部分、そういったものは司法の判断が優先されますが、傍論の部分について司法の判断が行政の判断より優越するなどという理論は、私は余り聞いたことがない。だれかそういう暴論を言っている人がいるかもしれませんが、余り聞いたことがございません。

近藤(昭)委員 先ほどと同じ答弁であるわけでありますけれども、でも、大臣、申し上げたいのは、傍論、傍らの論、主文ではない、そしてまた、結果としては請求を退けた、そのことはもちろん、結果として私も知っているわけです。

 ただ、御承知のとおり、この間、こうした裁判、いわゆる自衛隊の海外派兵に関して、これが違憲である、こういうのは幾つも出されてきたわけです。ところが、その都度門前払いになって、憲法判断に踏み込もうとした判決はないんですね。そのことは、やはり大きいことだと思うんです。

 そして、この裁判がずっと続く中で、現地で、イラクでどんな状況なのかを、事実認定、このことについては残念ながら政府はその裁判の中では言ってこなかった。事実認定に対して、十分な認否すら行ってこなかった、そういう現地の状況を全然明らかにしてこなかった、こういうことも問題だと思います。

 また、こうした踏み込んだ判断というのは、かつて地裁のレベルでナイキ訴訟なんかありましたけれども、高裁のレベルでここまで、傍論の部分であっても、自衛隊の派遣が違憲だとはっきり述べたことは初めてだというふうに思うわけであります。私は、今まで避けてきたものを、傍らの論であってもここまで踏み込んだことを言った、この裁判官のある種の勇気というか決断というか果断なる行動は、やはり非常に敬意を表したいというふうに思うわけであります。

 私は、そういう意味では、確かに請求は棄却をされたかもしれない、しかしながら、この判決の中で、自衛隊の派遣、二つ言っておると思います。イラク特措法についても、現地は戦闘地域だという部分、そして兵員を輸送することは武力行使と一体になっているという部分。そして、もう一つ申し上げたいのは、このイラク戦争そのものを振り返れば、先般の外務委員会の中でも私は総理にも質問し、ちょっと触れさせていただきましたが、イラク戦争についての、今なお続いているわけでありますから、このことについての総括がしっかりとなされていない。アメリカの中でも、いろいろと多くの人が、かつてとは違って、大量兵器がなかったという中で、この派兵はおかしいのではないかという世論が大きくなってきているわけであります。

 そういう中で、今、傍らの論であっても、この判決というものは十分に尊重すべきだというふうに私は思うわけでありますし、私ども民主党は、イラク特措法の廃止法案というのを出してまいりました。私たちが政権にあれば、これはやはり即刻撤退する、こういう問題だというふうに思います。そういうことを強くお訴えしたいと思います。

 それではもう一点、二点目に入りたいと思います。クラスター爆弾のことについてであります。

 ノルウェー政府等が中心となって禁止しようとしているオスロ・プロセスは大詰めを迎えて、条約交渉のダブリン会議まであと一カ月、これぐらいに迫ってきているわけであります。ことし二月、クラスター爆弾禁止条約締結を目指すオスロ・プロセスのクラスター弾ウェリントン会議において、ことしじゅうに禁止条約をつくる政治宣言に日本は署名をいたしております。それまでの消極姿勢を転換した、具体的な条件は別としてあるわけでありますけれども、初めて禁止条約賛成の姿勢を打ち出したと私は思います。

 二月二十二日の町村官房長官は、署名の理由を、不発弾による人道上の問題は認識していた、会見でこう説明されていますが、前の会議では署名をしなかったわけでありますから、この政策決定の背景にはどのような判断があったのか、お伺いをしたいと思います。

高村国務大臣 政府としては、従来からクラスター弾の不発弾等による人道上の懸念を十分に認識しておりました。クラスター弾の主要な生産国及び保有国の参加も得て、人道面と安全保障面のバランスのとれた実効的な国際約束を作成することを今までも支持してきましたし、これからも支持していくわけであります。

 こういう立場から、政府としては、特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWの枠組みにおける交渉を重視するとともに、オスロ・プロセスを含むさまざまな国際的な議論に参加してきたところでございます。

 ウェリントン会議におきましては、我が国を含む各国よりさまざまなコメントや提案が行われ、これらの提案はウェリントン宣言に添付され、ダブリン会議において引き続き検討されることになったわけであります。

 政府としては、以上を踏まえ、引き続きクラスター弾に関する国際的な議論に積極的に参加するとの観点から、ウェリントン会議においてウェリントン宣言への参加を表明したものでございます。

 何かを転換したとか、そういうことではありません。従来の流れの上に立って、こういう参加を表明したものでございます。

近藤(昭)委員 従来の考え方を何も変えたわけではない、もともと人道上の問題があるという理解であったということであります。

 そこで、大臣、人道上の問題ということをおっしゃられました。きょうは、お手元にコピーの資料を配らせていただいております。私は、もちろん私自身も戦後生まれであります。戦争というものを経験はしておりません。しかしながら、政治の世界に入る前、また入ってから、いろいろと話を聞く。そういう中で、言葉で言うと、死ぬとか殺されるとか爆死するとか、ある意味で、もちろん言葉からくる悲惨さもあるわけでありますが、一方で、言葉はやはりそのまま、例えばきれいと言うと語弊があるかもしれませんが、そのまま流れていってしまう。

 しかしながら、爆弾で死ぬとか爆殺される、手足が吹き飛ぶとかというのは、言葉で言ってもそのまま流れてしまいますが、例えば手足が吹き飛ぶということは大変な苦しみ、命を失う、あるいは命を失わない中で大変な苦しみを持っていくわけであります。そしてその後、人生が変わっていく。もちろん、障害を持つ中で生きがいを持って頑張っていく、それは一人一人の生きざま。しかしながら、やはりその手足を失う、けがをする、そのことによって人生が大きく変わっていくわけであります。今大臣もおっしゃったように、人道的にこのクラスター爆弾は問題である。私は本当に、一人一人の命、一人一人の人生というものを大事にしていかなくちゃいけない。

 そういう中で、御承知かと思いますけれども、クラスター爆弾の被害者の方がNGOの招きで初来日をしているということであります。お手元に写真のコピーを配らせていただきました。四枚ほどあるわけであります。セルビア出身のブラニスラブ・カペタノビッチさん、現在四十二歳であります。皆さんのお手元に配ったコピーに番号がついておりますが、一番のところが若いころ、青春時代、サッカーが大好きな青年であったわけであります。そして、二番の写真、これがユーゴスラビア軍で不発弾の処理をしていたころであります。前列左から三人目が彼の写真であります。

 そして三番目、被害に遭い、入院。彼は不発弾の処理をしていた。そして、クラスター爆弾に触れるというよりも、クラスター爆弾というのは非常に不発が多い。それは現地で、戦場において、草むらもあります、池もあります、いろいろな状況の中で不発が起きていく。彼の場合は、草むらに落ちた、やわらかいところに落ちた爆弾だったと思われるわけでありますが、そこに処理のために入ろうとした。多分、本体に触れる前に草に触れたことによって爆発が起こり、それによって被害に遭い、そして入院、サッカーもできなくなり、まさしく人生が変わっていった、青春を奪われた。この病院で寝ている姿であります。両手両足が失われた。

 そして、四番目の写真は、世界じゅうを回って、このクラスター爆弾がいかに人を傷つけるか、そのことを世界で訴えて回っている。この写真を皆さんのお手元に配らせていただきました。

 彼は、四年間の入院生活で二十回を超える手術を行っています。きょうは、ちょっとクラスター爆弾の一つの種類の模型と、そして、本当の爆弾の破片といいましょうか一部、大きな本体から爆弾が投下される、それが空中で分かれて、こういったものが百とか二百とかそういった数で落ちてくる。そして、統計にもよりますが、五%から三〇%ぐらいの不発が起きる。その不発弾に触れて多くの人が命を失う。それは戦闘員だけではない、かなりの子供たちが、特に男の子が。それはなぜかというと、こういったものに関心を持ってさわろうとする、そういう中で被害に遭うわけであります。

 この包みの中に、さらにたくさんの小さな弾みたいなものが入っている。これが爆発をして飛び散るわけであります。あるいは、これは一部でありますけれども、こういったものも飛び散ってくる。先ほど申し上げましたように、爆弾が爆発する、それで傷を負うと、言葉で言うと何となくさらっといってしまいますが、こういったものが物すごいスピードで、勢いで体に飛んでくるわけであります。そして体を傷つける。もう一方で、今申し上げた小さな弾がたくさん飛んでくる。

 ですから、彼がなぜ二十回も手術をしたのかというと、それは、麻酔をかけて小さな弾を除去していくわけでありますけれども、麻酔が効いて手術ができる時間というのは限られているわけですね。ですから、例えば何百も体にそれが入れば、一回に除去できる数が限られている。だからこそ、四年間にわたって二十回も手術をして、徐々にやっていかなくちゃならない、こういうことなわけであります。

 私も、十五日火曜日に、院内の勉強会で直接本人に会って、お話も聞かせていただきました。彼の言う、クラスター爆弾は防御の兵器だ、こういう言い方をよくする、あるいは、侵攻してくる敵を防御のために攻撃する防御のための兵器だと。しかしながら、これが相手国の侵攻を防ぐ目的であっても、不発弾がたくさん残って、戦争中あるいは戦後、戦闘が終わった後もそれが一般の人を傷つける、まさしく攻撃の兵器だ、こう言っているわけで、そのことは、本当に彼の言葉に説得力を持って私は話を聞いたわけであります。

 カペタノビッチさんは、外務大臣とも面談をしたい、こういう要望であったようであります。外務大臣もお忙しかったのかもしれませんが、副大臣がお会いになった、こういうふうに聞いております。しかし、彼は世界じゅうを回って、セルビアの大統領、ノルウェーの総理、ベルギーの外相。

 今、高村大臣もおっしゃった、人道的に問題だというのはわかっていると。そうでありますならば、いかにこの兵器が人道的に問題があるかということを、やはり直接その被害者の人に会って、現場で苦しんだ、そして今世界を回ってこのクラスター爆弾の危険性を言っているカペタノビッチさんにはぜひ会っていただきたい、そう思うわけであります。大臣、いかがでありましょうか。

高村国務大臣 先般、カペタノビッチ・クラスター兵器連合スポークスパーソンが来日した際には、木村外務副大臣が表敬を受け、クラスター弾の問題について意見交換を行いました。私自身は、当日はロシア出張中であったわけであります。

 表敬では、カペタノビッチ氏より、五月のダブリン会議においてクラスター弾規制の国際約束が合意されるよう我が国政府の協力を依頼したと承知をしております。これに対して、木村副大臣から、カペタノビッチ氏のクラスター弾の問題への理解を広めるための活動に敬意を表し、我が国政府としては、被害国における不発弾処理等に協力するとともに、実効的な国際約束の作成に向けて努力していく旨述べたと承知をしているところでございます。

近藤(昭)委員 大臣、そうやって報告を受けた。しかしながら、私が申し上げたのは、今、いかに悲惨な兵器であるかということをじかに聞いていただきたい。どうでしょうか、大臣自身は、例えば今でも、チャンスがあれば直接会って話を聞いてみたい、そういう御意向はありますでしょうか。

高村国務大臣 極めて日程がタイトでありまして、副大臣が既に会っている中で、優先順位をどうするかという話はあると思うんですが、私自身は時間さえあればお会いしたいとは思っております。

近藤(昭)委員 大臣、対人地雷禁止条約のときにも、我が国は、おくれたとはいえ最後は署名し、私は大きな力を発揮したと思うんです。そしてそれは、やはり当時小渕外相が大きな決断をなさったと私は思っています。私は、そういった決断というか判断をしていくためには、やはりしっかりと声を聞いていただきたい。

 そうしますと、大臣、御本人は、カペタノビッチさんは、大臣もお忙しいと思います、しかしながら、河野議長にもお会いになってこの悲惨さを伝えられて、河野議長もその悲惨さを聞いて、やはり本来全面的に廃止すべきだ、こんなこともコメントをして、そしてカペタノビッチさんを激励しておられるわけであります。

 NGOの方、招聘をされているもとでありますけれども、まだしばらく、週末までいる。時間があったら調整をしていただくことは可能でしょうか。

高村国務大臣 調整可能であればお会いすることはやぶさかではございませんが、たくさんの方が日本に来ておられる中で、私のところでお断りして、副大臣あるいは政務官が手分けしてやっている中で、副大臣が既にお会いしてお話を聞いてということが、なかなか全体の調整の中で難しいかなとも思っております。今、可能かどうか断定的に申し上げることはちょっとできません。

近藤(昭)委員 これから次の国際会議に向けて、冒頭申し上げましたように、時間がなくなってくるわけであります。対人地雷禁止条約、オタワ・プロセスのときも短時間の中で議論を集中して、そういう中で私はプロセスが進んでいったと思う。このクラスター爆弾、世界に何千万発でしょうか、物すごい数が今でも残って、人を傷つけているわけであります。これに向かってしっかりと議論を詰めていかなくちゃならない段階。

 もちろん、大臣もおっしゃったように、副大臣にもそれぞれ手分けして、全部が全部やるわけではないとおっしゃるわけでありますけれども、私は本当にこのクラスター爆弾は重要なことだと思うんです。

 ですから、例えば、さっき申し上げたこと、御本人に会うということは、やはり写真で見るとか文字で読むとかということとは全く違うと思うんです。そして、一番重要なところは、やはり本人の人生が変わっていった、大変な状況だったということを、私は、極端に言えば三十秒でも一分でもいい、本人の顔を見て、本人から直接聞く、三分でも五分でもいいと思うんです。

 ですから、大臣、分けてやっているからということではなくて、時間があれば会っていただけますでしょうか。

    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕

高村国務大臣 クラスター爆弾の悲惨さ、非人道的な面というのは、私は十分承知しているつもりでございます。先ほどから地雷についてよくおっしゃいますが、私は小渕外相のときの政務次官でありまして、小渕総理のときの外務大臣でありまして、当時の防衛庁等に対して説得するについては私も随分骨を折った人間の一人であります。

 やはり、武器というものはすべて非人道的と言えば言えるわけでありますが、その中でも、地雷にしてもクラスター爆弾にしても、それがそのまま、戦闘そのものが終わっても残って人を傷つける、それはほかの武器と違う非人道性があるということは、十分私も承知しているわけであります。その上で、実効的な国際合意をつくるのはどうしたらいいかということを一生懸命やっているということを御理解いただきたいと思います。

近藤(昭)委員 大臣、今は会うか会わないかについては触れられなかったわけでありますけれども、私はやはり、少しでも、短い時間でも結構ですので、ぜひ御本人に会っていただきたい。ぜひ調整はお願いいたしたいと思います。

 それで大臣、今、対人地雷のとき、小渕外相のときに政務次官だったというお話を言われました。だからこそ、私は、あのときのオタワ・プロセスをよく御存じの高村大臣だからお願いをしたい、お願いというか、考えていただきたいと思うんです。

 今、人道的な問題点はよくわかっている、最初から一貫しているというお話をされました。しかしながら、今日本はどうも、政府は、専門家の会合の中で、自己破壊機能、自己無力化機能、あるいは自己不活性化機能が付与されたクラスター弾、誘導装置が付与された正確性の高いクラスター弾、また子弾数が一定数以下のクラスター弾、これを信頼性あるいは正確性の高いクラスター弾であり、人道上の懸念に対処可能というようなことをおっしゃっている。私は、どこが人道上、懸念が払拭されるのかわからないのであります。大臣、そこのことはいかがお考えでしょうか。いや、大臣にお願いします。

新保政府参考人 技術的なことでございますので、私の方からまず一言。

 クラスター弾の人道上の懸念はさまざまなところがあろうと思いますが、主としてその不発弾から生じていると。そして、その不発弾の発生数を少なくする、あるいはその除去作業を容易にする、先ほどカペタノビッチさんの話がございましたが、これを容易にするということが人道上の懸念に対処する上で重要だというふうに私どもは考えております。

 現在、クラスター弾に関する新たな国際約束に関する交渉が行われているところでありまして、実際にいかなる技術的措置がとられることになるかどうかは確定いたしておりませんけれども、一般論から申し上げれば、自己破壊装置と申しますのは弾薬類の破壊を確保するための機能を有する装置、自己無力化装置と申しますのは弾薬類の機能を失わせるための機能を有する装置、自己不活性化とは、電池といった……(近藤(昭)委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい、済みません。

 そのようなことで、このような技術的措置が付加されたクラスター弾は、信頼性が高く、不発弾の発生を減少させることが可能ではないかと考えられております。

 それから、誘導装置が付加されるなど正確性の高いクラスター弾は、子弾の散布範囲が限定され、したがいまして不発弾の除去が容易となります。また、そういったような議論が今国際的な場で議論されているということでございます。

 もちろん、こういった技術的措置だけでいいということはないと思いますし、そういった迅速なファストな処理、国際協力を行うということが、クラスター弾の人道上の懸念に実効的に対処する上で重要であるというふうに考えております。

近藤(昭)委員 大臣にもお聞きしたいんですが、その前に、可能ではないかという言葉があって、不発弾の率をどれぐらいだというふうに考えておられるのか、ちょっと簡単にお答えいただけませんか。そして、それはどんな状況のもとでの実験なのか、どういうデータなのかということもきちっと教えていただけますか。

新保政府参考人 不発率の算定につきましては、今先生御示唆なさいましたように、さまざまな条件、例えば試験場でやる、あるいは戦場でやる、あるいは、カペタノビッチさんの場合のように、例えば草むらの中で落ちているといった感じで、したがいまして、不発率というものを測定する、あるいはあらかじめ測定しておくというのはなかなか難しい作業でございます。

 そして、不発率を例えば一%以下のものは認めるといった議論をする国もございますが、必ずしもそれは主流になっておりません。むしろ、技術的措置としては、先ほど申しましたように、例えば電池が消耗してしまえばいずれにしろ弾薬の機能は自動的に失われるわけでありますから、例えばそういった機能に着目した議論が、今国際場裏では議論されているというふうに私どもは承知しております。

近藤(昭)委員 いや、ですから、議論をしているからどうなのかと。議論をしていて、だから、議論しているからそういう精度の、不発率の低いものが確実につくれる、そういうことをおっしゃっているんですか。簡潔にお願いいたします。

 私がお聞きしたかったのは、一体どれぐらいの確率で不発弾が残らないのか、こういうことなんです。それをもって、人道的には、私は、より配慮したということをおっしゃりたいと思うんですが、教えてください。

新保政府参考人 先ほど申し上げましたように、いわゆる国際的な話し合いの中では一%といった言葉も出ることもございます。それを、さらに低いところを目指している、開発しているというような国のブリーフィングも私は受けたことがございます。ただ、それを、一体どのぐらいまでになるかということは、まだここで確定的に御説明することはなかなか難しゅうございます。

近藤(昭)委員 確定的には説明できないというお答えだったと思うんです。そして今、不発弾率一%未満ということも国際的には出ているという話もありました。

 ただ、一%未満とされているというのが出てきたのは、自己破壊型クラスター弾M85のことをおっしゃっているのかなと思いますけれども、違うのかな、そう言われているクラスター弾が、イスラエルがレバノンで使ったときに、多数不発として残っていった、このことはよく御存じだと思いますが、高村大臣、いかがでありましょうか。今みたいなお答えの中で、これは人道的に配慮している、大丈夫だ、そういう条件をつけていくならばいいんだというように思われるんでしょうか。

高村国務大臣 武器というものは、あらゆるものが非人道的といえば非人道的なわけであります。人類というのは愚かなもので、その非人道的なものを使って戦争をやってきたわけで、そういうものがなくなれば一番いいわけであります。

 そういう中で、現時点では、まだそれぞれ、一般の武器そのものを禁止するとか軍隊を禁止するとか、そういうところにはいっていないわけでありますが、例えば対人地雷だとかあるいはクラスター爆弾だとか、そういうものは、先ほど申し上げたように、戦争が終わってからも、戦闘行為が終わってからも残って、全く関係のない人を殺傷する、これが特に非人道的なんだ、一般の武器と比べても特に非人道的なんだ、こういうことになったわけで、そうすると、一方で、それでは、クラスター爆弾というのは、割と広いところをカバーして戦えるということで、安全保障上は必要なんだ、そういう分野の人たちからはそういう声が出てきているわけで、そういう中で、一部の国だけが集まって理想的なものをつくったとしても、人類全体に対して本当に人道的な結果になるかどうかということを考えますと、そうではなくて、やはり主要生産国、主要保有国にも入ってもらって国際約束をつくる必要がある。そうすると、少しでも人道的なものに近づいていく。

 もともと武器というのは非人道的なものなので、クラスター爆弾というのは特に非人道的なんだけれども、普通の武器に近づく、不発弾が残らない、全く残らなければ一番いいんだけれども、残る確率が非常に少ないものに近づけていく中で、主要生産国、主要保有国も入って国際約束ができる、そういうところはどこなのか、結果として、クラスター爆弾による、戦闘終結後の不発弾による被害が一番少なくなるようにするのはどこなのかということを日本政府は目指しているということをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。

近藤(昭)委員 大臣、今私はお聞きしていて、二つの矛盾したこと、もちろん調整をしていくということだとは思いますが、おっしゃっていると思うんですね。

 先ほど大臣も、御自身は小渕外相のときの政務次官だったということをおっしゃっているわけであります。そうすると、あの対人地雷のときのオタワ・プロセスのときのことはよく御存じのはずだと思います。あのときも、世界が合意できるか、あるいは日本もそこに入っていくかということがあり、あのときにはアメリカが署名しなかったわけでありますけれども、しかしながら、やはり全面的に対人地雷を禁止していく、そのことの一点で努力をし、そして百カ国以上でしたか、署名をし、その後アメリカも対人地雷を利用しなくなった、使用していないと。

 私は、あのオタワ・プロセスのことをよく御存じである高村大臣でいらっしゃるわけでありますから、より多くのところが参加できるというようなところではなくて、やはり、全面的に廃止する、その一点で多くの国が署名をし、そして世界をリードしていくべきだと思いますし、その中に日本は入っていく、早く入っていくべきだと私は思うんですね。

 ましてや高村大臣も御自身の所信の中で人間の安全保障だとおっしゃっているわけでありますから、先ほどの技術的な話を聞いていても、あいまいな、どれだけ不発率を低くできるかしっかりしたことがまだまだ確定していない、その中で、やはり全面禁止しかないと思うんですね。そのためにこのプロセスを成功させなくてはならない。そして、そこでやはり日本は、あの当時のことを御存じの高村外務大臣にリーダーシップをとっていただきたいというふうに思うわけであります。いかがでありましょうか。

    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕

高村国務大臣 私としては、できるだけ実効的なものができるようにリーダーシップをとっていきたい、こういうふうに思っております。

 対人地雷について、日本国内でもそうでありますが、その他のところで割といい方向に進んだというのは、やはり代替兵器の開発というのがある程度できて、対人地雷ほど人道上被害のない、だけれども安全保障上は代替になり得る、そういうものの開発ができたということから進んだということがある、私はそう思っております。

 そういう観点から、やはり主要生産国、主要保有国がほとんど参加しないという形では、それは余り意味がないのではないかなと。そして、主要生産国、保有国が参加できるような、参加せざるを得ないように、またCCWの方で最終的な国際約束をするにしても、ほかのあらゆるプロセスの方からいろいろなメッセージを投げかけることによってCCWがいい方向に進むということを期待しているわけであります。

 そういう意味では、委員がここで今のような論陣を張っていただくことも大変ありがたいことだとは思っております。そのまま日本政府がやるということは申しませんけれども、非常にいいことだと思っております。

近藤(昭)委員 大臣のお気持ちの中には、人道上の問題がある、だから、より実効性のとおっしゃるわけでありますけれども、ただ、これは何遍も繰り返しますが、やはりあの対人地雷、オタワ・プロセスのときもそういう議論があった。その中で、世界が一致をし、署名をした。そして、CCWの問題については全会一致だ。全会一致しか結論が出てこない。その中で、課題を抱え、きちっとした結論が出ない中でオタワ・プロセスが動き始めたわけでありますから。

 そして、今回も、オスロ・プロセス、日本は、CCWとオスロ・プロセスと、何か両方にかけて、いや、それはそういうやり方なんだとおっしゃっても、私は、片や全面的にと言っている、もう一つはちょっと違う議論をしている中で、両方で調整をしていくというのは、やはりこれはきちっとした徹底的な結論が出ないんではないかと思います。

 代替兵器のこともおっしゃいますけれども、冒頭、大臣もおっしゃったじゃないですか。兵器に人道的なものはない、そのとおりなんです。ですから、代替兵器だって私はおかしいと思いますし、あるいは、全世界ではなくて、例えば日本の国内のことでいえば、海岸線を守るための代替兵器というならば、二〇〇四年の十二月十日に閣議決定された中期防衛力整備計画の中で、「見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下している」「従来のような、いわゆる冷戦型の対機甲戦、対潜戦、対航空侵攻を重視した整備構想を転換し、本格的な侵略事態に備えた装備・要員の縮減を図り」、つまり、海岸線の中でクラスター爆弾のようなものを使って対応していくというものの可能性は低下しているとおっしゃっているわけですよね。その中で、代替兵器だ、代替兵器だと。

 そのことよりも、私は、人道的なことをおっしゃっているなら、全面的に廃止をする、それをきちっと訴えていただいた方がいいと思うんですが、いかがでありましょうか。

高村国務大臣 先ほどから言っていますように、何を主張するかではなくて、結果としてどれだけ被害を受ける方が少なくなるか、世界全体で、地球上、人類全体でどれだけ被害を受ける方が少なくなるかという中で、主要生産国、主要保有国がそっぽを向いている形でつくるよりも、それは、少しでも主要生産国、保有国が入ってもらって、そして、委員がおっしゃる理想から少し下がった水準になっても、そうした方が全体の人類の中の犠牲者は少なくなるのではないか、そういう形をつくっていきたい、現時点ではそう思っているところでございます。

 ただ、理想論を述べることによってCCWの結論も少しでも理想の方向に近づけるということは大いに結構なことだと、先ほどから申し上げているとおりでございます。

近藤(昭)委員 もう時間もなくなってまいりましたので、二点ほど確認をさせていただきたいというふうに思います。

 CCWの議論もより深めるということでありますが、私は、やはり先ほどから繰り返しております全面禁止だというふうに思っております。そうすると、オスロ・プロセスの中で、大臣が思っていらっしゃるような、もし、みんなが、多くの国が合意できないような状況になったら、日本は入らないということになるんでしょうか。

 このオスロ・プロセスというのは、禁止だけじゃなくて、カペタノビッチさんのような傷を負われた方に対するケア、あるいはその御家族のケア、こういうことも含まれているそういう条約であります。これは非常に重要なわけでありまして、そこはきちっと、この条約は、やはりこのオスロ・プロセスは成功させなくてはいけない。

 そして、先ほどおっしゃっている、人道上のことをよく御理解されているわけですから、次の会議に向けて、幾つかの国はもう既に、旧式のものは廃棄する、つまり、これからの議論を進めていく、あるいは議論の中で、もう旧式のものは少なくとも捨てるんだということを宣言している国が幾つかある。日本はいかがでありましょうか。私は、そのことを宣言して会議に臨んでいくことが、より前進させることだと思いますが。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員も十二分に御承知だと思うわけでございますけれども、クラスター弾というもの、特にクラスター弾の持つ面制圧能力というもの、これは非常に大きいものでございまして、日本のように周りが全部海で、そしてそういう日本の国の地理的な状況、その他いろいろなものを考えた場合においては、現時点において、このクラスター弾に代替する面制圧能力というものを有する装備品というものは今現在はないというふうに考えております。

 ですからこそ、ここにおいて我々考えなきゃいけないのは、そういう能力のある代替製品というものがある程度できれば別でございましょうけれども、やはりその辺のところを十分考えていかなきゃいけないだろう。ですから、あくまでも人道的な面と、そして安全保障上のバランスというものをしっかりと考えた上で、この辺のところをもう少し議論しなければいけないのではないのかなと私は思っております。

 そしてまた、我が防衛省といたしましても、委員が御指摘のとおりの人道上の問題にかかわるような、このような国際社会の動向というものは十二分に注視していかなきゃいけないと思っておりますし、そしてまた、先ほどお話しさせていただいたように、安全保障上とのバランスということで、我が国の状況を踏まえた安全保障上の必要性というものを考慮した上で、国際法の側面とかあるいはクラスター弾の信頼性または正確性の向上などの技術等のさまざまな側面から、どのような措置がとり得るかということを十二分に引き続き検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

近藤(昭)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、繰り返しますが、大臣も、今のクラスター弾の人道的な問題点はよく御理解していて、そして代替のものだとかあるいは精度の高いものはとおっしゃっているんだから、今持っている古いものは少なくともまず廃棄をすべきということを宣言なさるべきだというふうに私は思います。

 以上です。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、松原仁君。

松原委員 きょうは一般質疑ということでございまして、さまざまなことを御質問したいと思っております。

 実は、けさ、NHKか何かテレビでも放送しておりましたが、これは厳密にどういうことを言ったのかというのを確認しないと、報道ベースの議論がいいのかどうかということになりますが、ライス米国務長官が十七日、国務省の記者会見で、北朝鮮の核計画について何らかの発言をした、こういうふうに聞いております。ちょっと通告してないんですが、アップ・ツー・デートの話でございますので、どういうふうな発言だったか。こういうのは当然すぐ外務省は、危機対応ということでそれに対して、発言の真意とか確認していると思うんですが、ありますか。

小野寺副大臣 けさほどの報道については私どもも認識しておりますが、今詳細については調査中ですので、わかりましたらまた御報告をしたいと思っております。

松原委員 どうですか、審議官の方は何かありますか。そこで答えるのか。

小原政府参考人 失礼いたしました。

 ただいま確認をしておるところでございまして、今答えられませんので、後ほどお答えいたします。

松原委員 にこにこして答えるようなことじゃないんだよ、これ。ライス国務長官のこの発言でテレビの報道は、つまり、具体的な作業終了前にも解除する可能性がある、こういうことなんです。

 これが事実だとすると、アメリカの国務省は、前にもこの場でも議論したけれども、アーミテージさんは、拉致はテロである、こう言った上で、テロ支援国家指定解除のテロの要件は、これはアメリカの国内法ですが、半年間やっていない。半年間、テロをやっていないということは、拉致被害者がテロを毎日し続けられている状況であるならば、それは、している、テロを続けているんだという認識を米国務省は持っているということをアーミテージさん等は言っているわけですよ。アメリカがアメリカのことを決めるんで、我々がああだこうだ言うことではないですが、少なくともそういうふうなことをアーミテージさんは、日本向けで言ったかどうかは別にして、そういうことも表明している。

 国内ではそれは十分報道されているわけで、この部分はやはり我が方としては、ライス国務長官の発言の真意を早急に確認し、もし報道のようなことであれば、我々は、それは同盟国日本のことも考え、テロ支援国家指定の解除はするべきではないと、この発言に間を置かずすぐにそういうことを言ってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

小野寺副大臣 私どもも、けさほどのニュースでこの内容を知ったばかりですので、内容について精査しまして、またしかるべく対応を検討したいと思っております。

松原委員 それでは、いよいよ胡錦濤さんがやってくるわけであります。中国のトップリーダーでありますが、胡錦濤さんが訪日をする、このことの意味というのは極めて大きいと思っております。高村大臣に胡錦濤訪日に関する今の御所見をお伺いしたい。

高村国務大臣 中国国家主席の十年ぶりの訪日でありますから、それをお迎えする以上、日本政府としてもぜひ成功させなければならないと思っております。

 中国政府も、当然のことながら成功させなければならないと思っているだろう、こう思っております。

 お迎えするに当たって非常にいい環境かどうかというと、それはいろいろな議論がある。少しでもいい環境を整えた上でお迎えすれば、それが最高であるな、こういうふうな感じを持っているところでございます。

松原委員 隣の国でありますし、私たちは中国と、これはもう地政学的にどうしてもつき合っていかなきゃいけないわけですから、つき合う以上はいいおつき合いをしたいというのはそのとおりであって、そのために首脳が相互に行き交うということは意味があろうかと思っております。

 その上で、昨年末には福田さんも中国に行った、今回、胡錦濤さんがいらっしゃる、こういうことになると、通常こういう、その国のトップの方がいらっしゃればそこで、日中のこれからの発展のために頑張りましょう、当然そういうことになるわけですが、であるならば、その前に、さまざまな積み残したテーマ、日中に横たわる外交上のテーマに結論をつける、見通しを立てる、そういうことは絶対にゆるがせにはできない、やらなければいけないと私は思っております。

 もっと言うならば、それができないまま胡錦濤主席がいらっしゃるようなことになると、それは、できないことをオーソライズする、認めてしまう。それはそれでもう、できないままで福田さんは行くし、できないままで胡錦濤さんは来るし、できないことを、これはもういいんだ、できないことはできないということで、できるようになればいいけれども、基本的には、できない状況で両首脳が行き交ったということが一つの、そのことを、その状態自体をオーソライズしてしまう可能性があるんだろうと私は思っております。

 その点で、今既に四月ですから、五月はすぐであります。この一カ月の間に解決できるものは解決をしたいけれども、解決できないものについては、どういうふうな道筋ができるのか。これも、頑張りましょうというふうな議論ではなくて、具体的なアクションプログラムを設定しなければいけないだろうと私は思っております。

 その中で、幾つか質問をしていきたいわけでありますが、一つはギョーザの問題があります。

 ギョーザ問題は、発生して約七十日を経過しているわけでありますが、このギョーザ問題に対して、きょうは警察庁の方もお越しいただいています。この間の質疑でも随分ありましたが、簡潔に、日本で混入された可能性が極めて低いとする理由を、三点ほどあると承っておりますが、お伺いしたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 日本警察といたしましては、これまでの捜査結果の中で、千葉県で発生した事案のギョーザから極めて高濃度のメタミドホスが検出されている、この数値はギョーザの袋の外側から浸透するようなレベルではないというふうに考えております。

 また、二点目といたしまして、検出されたメタミドホスには不純物が混在しておりまして、日本で入手可能なものは純度の高いものしかございません。ですから、日本の国内で入手できるメタミドホスとは異なっていると考えております。

 また、三点目といたしまして、千葉、兵庫事案のギョーザは、中国国内から出荷された後、完全に別ルートを経由しておりまして、日本国内での接点はございません。

 また、ほかにも論点はございますが、そのようなことから、日本国内で混入された可能性は極めて低いものと認識しております。

松原委員 第一のポイントに関して、さらにお伺いしますが、私もさまざま聞いておりますが、要するに、ギョーザの皮の部分よりも中の具の部分の方がメタミドホスは高濃度であった、こういうことでよろしゅうございますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 一概にそうは申し上げられませんが、例えば市川事案におきましては、皮の方からは三・五八ミリグラム、これは一グラム単位でありますが、三・五八ミリグラム出ております。また、具の方からは三・一六ミリグラム出ております。また、千葉の事案は幾つかあるわけでありますが、一番多いもので申し上げますと、皮の方からは十七・六八ミリグラム、これもグラム単位で、一グラム当たり出ている。それから、具の方では十九・二九ミリグラム出ているというものでございまして、これは相当に高濃度でございまして、浸透というようなレベルで出るものとはとても考えられないというふうに理解しております。

松原委員 つまり、皮よりも具から出ているケースがある。これは我々、一般的に考えるならば、その後に袋の外から入れたということは想定できないということであると同時に、やはり入る可能性があるとすれば、工場内において混入された可能性が高いと見るのが妥当だと思いますが、いかがでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 密封された袋の内部からメタミドホスが検出されているという実情がございます。ただ、どの場所で実際に混入されたかということに関しましては、私ども、おわかりだと思いますが、中国国内で捜査をするわけにはいきませんし、中国におきましては、その国内において薬物が混入された可能性は低いと主張しているところでございまして、そこの点につきましての断定ができる状況ではないということは御理解いただきたいと思います。

松原委員 私は、中国側がどう言っているかということは今お伺いしようと思っておりません。日本の捜査の結果として、メタミドホスが袋の中、特に具の、皮ではなくて皮の中にある具から、より皮よりも、ある事案によっては異常な量が出ているということは、それは通常は、だから、いいんですよ、もしかしたら日本で封入されて中国に行ったか、それはどうかわかりません。工場の中でそれは、そのメタミドホスが混入されたというふうに我々は認識をするんですが、いかがですかと聞いているんです。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう可能性もあるものというふうに私どもも考えております。

松原委員 そうじゃない可能性はどの程度あるとお考えでしょうか。

小野政府参考人 私ども、先ほど申し上げましたように、中国国内における捜査状況ということに関しましてはつまびらかに承知しているわけではございませんし、中国側の説明は先ほど申し上げたとおりでございます。

 したがいまして、どこでどのようなということについての可能性まで完全に掌握できる状況ではございません。

松原委員 要するに、工場内で混入された可能性が高いというのが、少なくとも今のお話を聞く限りにおいて、工場の外で、パッケージされた後で混入された可能性は極めて低いわけですから、消去法でいけば工場で混入された可能性が高い、こう言わざるを得ないと思います。

 大臣、今の話を聞いて、どういう御認識ですか。やはり工場の中で混入された可能性が高いと思うか、工場の外で混入された可能性が高いと思うか、一般的な常識論的にいかがお考えか、ちょっと大臣にお伺いしたい。

高村国務大臣 今捜査当局がお互い協力して詰めているところでありますから、今、私の立場で一般常識的なことを述べることは、協力に資さないことだろう、そういうふうに思っております。

松原委員 わかりました。

 私は、これは今の議論で、工場の中、その工場が中国にあるかどうかというのは別にしても、一般論としては、工場の中だろう。しかし、その工場が中国にある以上、中国の工場内において混入された可能性が高いことは、これは事実だろうと思っております。今共同の捜査が行われておりますから、共同の捜査がなければもっとすぱっと逆に警察庁の方もおっしゃるのかもしれませんが、それはお立場は理解をさせていただきます。

 捜査はどういう状況を決着とするのかということに関してお伺いしたい。両国の合意できる結論を得た段階で両国の合同捜査は決着をするのか、その結論が犯人を捕まえるところまで行くのか行かないのかということですね。

 なぜ私がこういうことをお伺いするかといえば、実際、今、冷凍食品が、ああいったギョーザを含めて、それぞれの港湾の工場、トランクルームというんですか、異様にたまっていて、売れない。今、中国産というだけで非常に売れない、現実は。業者は困ってしまっているわけですよ。冷凍のそういう施設というのは、普通の場所よりもはるかにコストが高い。それで、売れない。コストが高くて売れなくて、だんだんと賞味期限が迫ってくる。

 そういう状況で、では、どうやったらこれが売れるようになるのかといえば、私は、一番売れない状況が今の状況だと思うんですね。つまり、真相がわからない。中国は中国じゃないと言っている、日本は日本じゃないと言っている、犯人は捕まらない。つまり、こういった事案が出てきたときに、真相がわからないということほど消費者の購買意欲を鈍らせるものはないと思っているんです。物すごく余っています。そういった業者の方から、悲鳴に似たようなさまざまな声を聞かせていただいております。

 したがって、お伺いしたいことは、捜査は今後どういうふうになるのか。早い段階で決着をしなければ、輸入業者はみんな倒産すると思います、関係者はかなり。早く決着をつけて、いや、これはこの犯人が見つかりましたと。犯人が見つかるということが次なるそういう犯行をさせない最大の防御になることは警察庁の方々はもう御存じのとおりでありまして、犯人も見つからない、場所も特定できないというふうなことで、何か知らないけれども捜査があいまいのうちに仮に終わったとすれば、私は、中国側からの冷凍食品は以後極めて売れ筋が厳しくなり、少なくとも中国からそういうものを入れようという業者もいなくなり、そして少なくとも今それを冷凍倉庫に膨大に抱えている業者は破産する。

 そういったことも含め、今言った、両国の合意はどうなるのか、合意できるところまで行ったら犯人が捕まらなくても終わりになってしまうのか、どうなのか、お伺いしたい。

小野政府参考人 日本国内におきましては、私ども警察といたしましては、なすべき捜査に関しましては大部分が終了しているところであるというふうに思っております。今後は、まだ今完全に終了していない本件ギョーザの定量鑑定等を継続するなど、国内において残された捜査事項につきまして捜査を早急に完遂する必要があると考えております。

 本件事案の真相の解明のためには、日中捜査当局間の協力が必要不可欠であります。警察といたしましては、今後も引き続き、事案解決に至るまで中国捜査当局との所要の情報交換等を行ってまいりたいと考えております。

松原委員 事案解決に至るまで、こういうことでありますが、事案解決とは具体的にどういうものか教えていただきたいと思います。

小野政府参考人 事案の真相を解明いたしまして、処罰すべきものは処罰するということを考えているところでございます。

松原委員 真犯人が見つかるということが事案解決という認識でよろしゅうございますでしょうか。

小野政府参考人 そういうことを目指して捜査を遂げてまいりたいというふうに考えております。

松原委員 その真犯人が見つかるまで、中国側も当然協力をするだろうということの認識を持っておられるかどうかということと、その期間、いつごろまでを目安にするのか。私は冒頭、胡錦濤訪日ということを言いました。胡錦濤訪日までに少なくともアクションプログラムぐらいまではつくらなければ、私は、訪日をしていただいて、日中にはこれから本当に未来に向かってすばらしい前途があるという議論には安直にならないと思っております。

 そのタイムテーブル、アクションプログラムはいつごろできるのか、そして中国側もそういった認識を共有しているのか、お伺いしたい。

小野政府参考人 本件事案の解明のためには日中捜査当局間の協力が不可欠であると考えております。警察といたしましては、相互にさまざまな資料及び情報交換を行うなど、緊密な連携をとりながら捜査を進めているところでございます。

 ただ、御質問の件でございますが、現段階でいつまでとの目途は立っていないというところでございます。

松原委員 現段階でいつまでという目途は立っていないということは、少なくとも、恐らく消費者側の意識、実際のマーケットの動きというのは、その結論が出るまでは塩漬け的に物は売れないと思うんですよ。第二、第三のものが起こる可能性を否定できないし、このことの真相がわからなければ。

 そこで、これは外務大臣の所管でもないから、だれに答えてもらっていいのかわからないけれども、小野寺副大臣、一般的な庶民センスとして、こういう状況で、そういうふうな保管業者も含めて、アクションプログラムがないなどというのは、それはわかる、わかるけれども、彼らは理解できない。もう膨大な費用がかかって、売れない。これをどういうふうにお考えですか。

小野寺副大臣 所掌外の分野だとは思いますが、そういう業者の方がいらっしゃるということは、やはり重要な問題だと思っております。

松原委員 したがって、これはやはり時間をある程度切らないと、賞味期限を過ぎて解決したところで、まさに賞味期限そのままなんだから、その言葉どおりの賞味期限がみんなついているんだから、これは深刻な問題なので、ぜひ、警察は犯人を捕まえるということに専念していただきながら、私は、既にこれは、通常の例えば犯罪と違って、風評被害を含めて経済的な分野に物すごい影響を与えていることですから、それは政治の責任の中で解決をしていただきたいというふうに思います。

 次に、中国と日本が今後おつき合いする上で、中国は大変な海賊品、模造品国家、こう言われておりますが、この状況はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま模倣品、海賊版問題についてのお尋ねがございましたけれども、特に最大の被害の発生国であります中国でございますので、私ども、関係各省庁と連絡をとりまして、政府を挙げてこれに対する取り組みをしております。

 具体的には、二〇〇二年から毎年、我が国の産業界と政府の関係各省庁がミッションを構成いたしまして、官民の合同ミッションということで中国に参りまして、中国の知的財産保護に関する取り組みの強化を求めてまいっております。

 また、昨年十二月に開催されました日中ハイレベル経済対話におきましても、あるいは毎年開催をしております日中特許庁の長官会合、こういったさまざまな場を通じまして働きかけをすることによって、中国における知的財産保護の企画立案あるいはその執行、取り締まり、監督の強化といったことを求めておるところでございます。

松原委員 今、中国がそういうことをしている最大のところだ、こういう話がありました。人口十億を超え、十数億の国家において世界最大の模造品、海賊版等が出回っているとしたら、これはかなりゆゆしき事態であります。

 そういったことに対して、今後、日本と中国がどういうふうなおつき合いをするかも含め、きちっとアクションプログラムを政府部内において検討していただきたいと思いますが、これに関して何か具体的な考えとか構想とか、今ありましたらお伺いしたいと思います。なければ結構です。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申しましたように、最大の被害発生国であります中国でございますので、今後とも、日中のハイレベル経済対話など、関係各省庁の一致した取り組みをあわせて行ってまいるとともに、官民合同ミッションの継続的な派遣といったことを行ってまいりたいと思っております。

 また、国際的な条約の枠組みの中で模倣品対策に対して関係各国が協調して取り組むような努力、また、産業界が何といいましてもいろいろな情報を持っておりますので、そういった情報共有ということをうまく組織的に促していくようなこと、これらを関係各省庁と連携をとりながら精力的に努めてまいりたいというふうに考えております。

松原委員 次に、ちょっと時間の都合で後先しながらやっていきますが、今、チベット問題がずっと起こっております。

 このチベット問題に絡んで、例えば聖火リレーに関して、日本におけるスタート地点である長野県善光寺においてチベット問題における被害者の慰霊祭が行われ、また聖火リレーの場所の提供を辞退する可能性も出てきている、こういうことも聞いております。ここまで状況が来ている中での外務省の所感というのをお伺いしたいと思います。

小野寺副大臣 日本での聖火リレーのスタート地点であります長野県善光寺が、スタート地点としての場所の提供を辞退する考えである、あるいはチベットでの犠牲者の慰霊祭を行ったとの報道は承知をしております。

 聖火リレーのコースにつきましては、主催者団体であります長野市と北京オリンピック組織委員会が決定するものと承知しておりますが、いずれにしましても、長野市における聖火リレーが円滑に実施されることを期待しております。

 なお、昨日の日中外相会談におきまして、楊外交部長から長野での聖火リレーへの協力要請がなされまして、高村大臣からは、関係省庁と緊密に相談して適切に対処するということを述べたところであります。

松原委員 きのうの報道であったんですが、対外宗教政策に関して政府等にいろいろな提言をするアメリカの国際宗教自由委員会というのがあるそうであります。その国際宗教自由委員会が記者会見をいたしまして、特に北京オリンピックに対する対応としては、チベット問題あり、それからスーダンの問題あり、そしてもう一つは、中国に北朝鮮からの脱北者が入っているのを強制送還している問題がある、これはすべてすべからく人道上、人権上の問題であると。

 したがって、こういうことをしている、チベット問題、スーダン問題、脱北者問題、脱北者という指摘は我が国は今までしてこなかったわけでありますが、オリンピックに絡めてこの三点を基本的な軸にして、オリンピックに対するさまざまな、オリンピックに対する圧力ということではありませんが、こういったものを含めてオリンピックに関して考えるべきだと。そして、関係諸国はオリンピックに向けて、中国のこの三点、スーダン問題やチベット問題や脱北者問題に対しての改善を促すように行動するべきだという記者会見を、アメリカのブラウンバック上院議員等も同席をしてこれをなさったということを私も聞いているわけであります。

 このことに関して、日本政府としては、脱北者問題等も含めて、やはりオリンピックというのは極めて重要な平和の祭典である。オリンピックの意義というのは二つある。それは、スポーツの祭典であるという点と、世界の国境を越えた普遍概念を再確認するのがオリンピックだと私は思っているんです。国境を越えて四年に一回やるということで、国境を越えた普遍概念として今あるのは、人権という概念であったり、平和という概念であったり、いろいろとあるでしょう。一番強い概念は恐らく人権だと思います。これは、我々人間にとって極めて普遍的な概念。もちろん環境もあるでしょう。こういった問題をもう一回、国境を越えてお互いに認知し合う。それは、オリンピックのいわゆるスポーツマンシップの教義と同じぐらい重要な要件だと私は思うんです。

 その要件をオリンピックでやるとするならば、確かに、このアメリカの国際宗教自由委員会が提言したスーダンの問題、脱北者の問題、チベットの問題というのが、果たしてオリンピックのその部分の、二つのうちの一つの大きな要素において極めて疑義を投げかけるものであって、この解決を当事国に対して促すというのは私は極めて正当な議論だろうと思っております。

 日本としては、人権大国を目指すという観点から、オリンピックのそういった特質にかんがみて何らかのメッセージを、特に脱北者も含めて、出すおつもりがあるかどうかをお伺いしたいと思っております。

高村国務大臣 米国の国際宗教自由委員会が、脱北者を強制送還しないように中国政府に求める報告書を発表するとともに、この発表に同席した米国議員が、北京オリンピックをてことして脱北者に対する中国の扱いを改めさせる必要があるとの認識を示したと報じられているということは承知をしております。

 我が国としては、脱北者への対応に当たっては、迫害を受けるおそれのある国・地域に送還されてはならない、もともとそう考えておりますし、この点について、中国を初めとする各国に対し、必要に応じて伝えてきているところでございます。

 北京オリンピックについては、我が国政府として、その成功を期待しているところでございます。同時に、人権は国際的な関心事項であり、オリンピックへの影響が出ないよう中国が適切に対処することを期待しており、その旨を昨日の会談でヨウケツチ外交部長にも伝えたところでございます。

松原委員 私はやはり、国際社会において一定の発言力、一定の地位、立場を得ようとするならば、すべての国が今回、チベット問題というよりはオリンピックに関して、チベット問題を含め、さまざまな発言をしているわけであります。我が国は、脱北者問題に対しては従来からさまざまな取り組みをしているわけであります。その脱北者問題を、我が国が言うのではなくて米側が既にこういう形で、国際宗教自由委員会が関係各国に呼びかけ、そして、中国に対してそれをメッセージとして出している。日本政府は、脱北者問題とオリンピック、やはりオリンピックというのは、私がさっき言ったように、人権という普遍的概念は、近代オリンピックにおいてはその構成概念だろうと思っております、国境を越えた普遍概念として。

 そういった観念から、チベットに関しては高村さんは、ダライ・ラマと直接対話するべきだ、国際監視団を入れるべきだともう既におっしゃっているというふうなことを私はこの委員会で聞いておりますので、であるならば、この脱北者に関しても、中国は脱北者問題に関してきちっと強制送還をしないような人道的な配慮をするべきだということを、少なくともオリンピックをやる国なんだからということで、日本はメッセージを出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 国際監視団を入れるべきだと私が申し上げた記憶はないのですが、透明性を増すべきだとか、ダライ・ラマ側と対話をすべきだということはここでも申し上げましたし、ヨウケツチ外交部長にも直接申し上げました。

 それから、時期を見て、脱北者の問題についても中国側にいろいろ言っていくつもりはありますが、これをオリンピックと結びつけて言うのが適切かどうかということは、貴委員と一〇〇%意見が一致するわけではない。

 それから、例えば、すべての国がチベットのことにメッセージを出しているとおっしゃったけれども、昨日ヨウケツチさんが言ったのも、これは本当かどうかはわかりませんが、私に対して、このチベットの問題で注文をつけているのはアジアでは日本一国である、こういうふうな言い方もしておりましたし、それから、例えば脱北者の問題についてアメリカが言っていると言いますが、アメリカ政府が言っているわけではないわけで、アメリカの一団体が言っているわけで、オリンピックと結びつけてどこかの政府が脱北者のことを言っているということは、現時点で私はまだ承知をしておりません。

 ただ、脱北者の問題は大変重要な問題でありますから、オリンピックの問題と結びつけるかどうかは別として、私も機会があればまた言っていくつもりでございます。

松原委員 この脱北者問題、すべての国というか、多くの国が言っているんですよ。やはり世界の中においてある程度の発言をし、地歩をつくろうとする国は、何らかの、その立場を明らかにしているということですよ。脱北者問題に関して、強制送還をするな、これはやはり日本政府としての一つの姿勢だと私は思います。

 同時に、ギョーザ問題も早期の解決。警察当局同士でお互いに議論がなかなか進まないときには、これは真実は一つなんだから、そこでぐりぐりやればいいのだけれども、日本は中国へ行って調査できませんから、警察権がないですから、そこで胡錦濤さんに、ギョーザ問題とか脱北者の問題とか、さっき言った例えば海賊版の問題とか、やはり、いいよいいよではなくて、きちっとそういったことについても言うべきだと思うんですよ。

 それは当然、議論の中身で、どのレベルでの議論かわかりませんけれども、それは、国のトップリーダーに対して、耳に痛いことかもしれないけれども、ちゃんと伝わるような議論が行われると思ってよろしいですね。

高村国務大臣 トップリーダーに伝わるような議論は十分行われていると思いますし、これからも行っていきたいと思います。トップリーダー同士が直接やることもある、こういうふうに思っております。どのことをどうするかということは、今委員がおっしゃったように、それはそれぞれの問題についてそれぞれのレベルでやるべきことが違ってくると思いますが。

松原委員 もっと言うならば、胡錦濤さんが日本に来る前に、彼に、こういった問題に日本は極めて国民全体が関心を持っているんだということは、これはさまざまな手法で伝わっている、こう思ってよろしいですか。

高村国務大臣 中国側が辟易するぐらい伝わっていると思います。

松原委員 辟易している割にはこたえていないのが中国側で、困ったものでありますが。

 そこで、在中国大使館の破壊活動がありました。これは何回も聞いている。在瀋陽日本総領事館への武装警官の侵入がありました。在上海日本総領事館員自殺案件がありました。我が国はこれに対して、中国に対して当然、外務省のデータを見ても、きちっと厳重な抗議をし、事実関係の究明を求めていると、これは上海領事館の館員の死亡に関して。瀋陽の方に関しては、同じように、強く抗議する、領事機関の公館の不可侵に反するものであり、ウィーン条約三十一条に抵触すると。そして、北京大使館の破壊活動も当然同じであります。

 これは抗議はしているわけでありますが、私は、人と話をするとき常に、ウィーン条約抵触三点セットと言っているんですよ。三点セットがどこかで二点セットぐらいになるかと思ったら、三点セットのまま来て、三点セットのまま福田さんは行き、三点セットのまま胡錦濤さんが来る。この三点セットに対しては、もう中国側の謝罪というのはあり得ない、こういうことなんですか。いかがですか、お伺いしたい。

小野寺副大臣 今御指摘がありました二〇〇五年四月、中国国内で起きたデモ、あるいは瀋陽の総領事館の事件、また上海総領事館館員自殺事件、このような内容について、日本政府はたびたび抗議をしてきております。

 現時点で、この内容につきましては、例えば瀋陽の領事館につきましては、日中領事協定の交渉をずっと進めておりますし、また、デモで生じました公館に関する暴力行為に関しましては、中国側の方からは、既に中国大使館、大使公邸、上海総領事館、いずれも中国側の費用負担において修復がなされております。陳謝ということにはなっておりませんが、中国側からは、お見舞いと遺憾の意ということを表明していただいております。

 上海総領事館員の自殺については、中国側に対して、厳重な抗議を行うとともに、事実関係の究明を累次にわたり求めている、その最中でございます。

松原委員 これは、きちっと抗議をしたこと自体が国民にもっと明らかになるべきだと思うので、外交の秘密でも何でもないんだよね、こんなものは。きちっと、いつ、どういうふうに抗議したか、後で教えてもらいたいと思います。

 今言ったように、領事館それから大使館が破壊されたことは、家主の中国が家主として直しますという話は、それは直すということは直すということで、今、小野寺副大臣が言った遺憾の意とかそういうのが表明されたということでありますが、具体的に、どういうふうな形で、いつの段階で、だれが遺憾の意を表明したんですか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇五年の四月九日でございますが、在中国の阿南大使の方から、中国側外交部の副部長に対しまして申し入れを行いました。その際に、先方より、政府を代表して心からお見舞いと遺憾の意を表明するという発言がございました。

松原委員 時間がないので、これはもう次に移りますが、ちょっと、今言ったウィーン条約抵触三点セットをさらにきちっとやってもらいたいと思っております。

 最後に、ガス田交渉。これも、胡錦濤さんが来て、中国側は天外天等で既に量産過程に入っていると。天外天の量産過程に関しては、今どうなっていますか、具体的な資料があれば教えていただきたい。簡潔にお答えください、もう時間がないので。

小原政府参考人 天外天でございますが、これは中国名でございまして、日本名では樫と呼んでおりますが、このガス田につきましては、二〇〇五年九月に、海上構築物上において天然ガスの燃焼によるものと思われる炎を確認しており、天然ガスまたは石油の産出が行われている可能性があると認識しております。

松原委員 どれぐらいの量が出ているかというのをちゃんとウオッチするぐらいの調査能力がないとあかん、こう思います。

 そこで、胡錦濤さんが来るこの段階でのガス田交渉、国民的に見ると一方的にやられっ放しという感じなんですよ。

 私、これを外務委員会で前に質問したときに、外務省の人はこう言ったんですよ。日中中間線は画定していません、中国と日本と意見が違います、そういう場所では資源開発をしないのが国際的な常識ですと言ったんです。中国はやっているじゃないかと言ったら、いや、中国は中国の意思でやっているんでしょう、我々は常識に従いますと。

 それは結構なんだけれども、我々は常識に従っていて全然進まなくて、中国だけどんどん今、樫では量産に入っている、こんなばかな話はないので、これに関しても、本来は外交的には謝罪を求めるべき内容ですよ。ただ、向こうに言わせれば、日本は何でやらないんだ、やればいいじゃないか、口頭ではそう言うかもしれない。

 そこで、このガス田問題は、今回、胡錦濤さんが来て最大の眼目になると思うんですが、一体どうなるんですか、どうするつもりなんですか。そして、こういうものに関して、一時操業はやめろぐらいの強いことは言うんですか。ちょっと時間が来ているので、お伺いします。

高村国務大臣 比較的広い範囲で共同開発ということで決着をつけたいと思っておりますが、進展をしているわけでありますが、まだ一山越えなければいけないところが残っている、こういうことでございます。

松原委員 時間が参りましたから終わりますが、きょう、たくさん触れました。まだ触れていない南京の抗日、上海のがありますが、この事実関係も、一方的な話の中で、つまり、確定していないことを、中間線も画定していないけれどもやってしまうという強引なことをやっている中国は、歴史的な事柄でも確定していないことをやってしまうんですね。

 私は、こういう問題に関して、胡錦濤さんが来る以上は、冒頭言ったように、地政学的に、隣の国だから、それはもう仲よくつき合いたい、つき合わざるを得ないんだから。しかし、きちっとその辺のことは、言うべきことを言わないと。言わなければ相手は了解したというふうに思いますから、きちっと言うようにして、少なくとも、国民の目線から見て毅然たる外交を、中国が、胡錦濤さんが来たけれどもおもねることなくやったと言うように頑張ってもらいたいと思います。

 以上であります。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に、イラクの問題について聞きます。

 きのう、名古屋高裁は、現在イラクで行われている航空自衛隊の空輸活動について、武力行使を禁止したイラク特措法二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条一項に違反する活動を含んでいるとの判断を示しました。この高裁判決は確定します。政府はこの司法判断に従い自衛隊をイラクから撤退させるべきではないかと思いますが、いかがですか。

高村国務大臣 今回の判決は、自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差しとめを求める訴えは不適法なものであると却下されたものであります。また、損害賠償請求は法的根拠がないとして棄却されたものであります。国側全面勝訴の判決でございます。航空自衛隊の空輸活動が違憲であると判示した部分は、判決の結論を導くのに全く必要のない傍論であると承知をしております。

 このように、本件裁判の控訴人の請求は、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかを判断するまでもなく、却下あるいは棄却されるべきものでありました。そうでありますから、政府は、裁判において、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかについて主張、立証さえする必要がなく、実際にそのような主張、立証はしていないわけであります。

 したがって、政府としては、こういう中で、判決の結論を導く必要がないにもかかわらず示された今回の高裁の見解について、納得できるものではないと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、イラク特措法に基づき航空自衛隊が行う輸送活動は、他国の兵員の輸送を含め、それ自体としては武力の行使または武力による威嚇に当たらない活動であり、また、いわゆる非戦闘地域に限って実施すること等、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みのもとに行われており、憲法との関係においても問題はないと考えております。

 司法が行政に優越するのは、その主文の部分、その主文を導き出すのに必要な理由の部分。こういう傍論については、別に、司法が行政に優越するということは我が国の憲法上全くありません。

赤嶺委員 傍論だと言って片づけるわけにはいかない中身がたくさん盛り込まれているわけですね。国民的な関心事について高裁が司法判断を下した。

 例えば、イラクの現状について、その実態に照らして、国際的な武力紛争が行われていると認定をいたしました。特に、首都バグダッドについては、米軍による多数回の掃討作戦、そして武装勢力の相応の兵力を持った対抗、多数の犠牲者の続出などの事実を挙げて、イラク特措法に言う戦闘地域に該当する、こう述べているわけです。その上で、少なくとも、多国籍軍の武装兵員のバグダッドの空輸は他国による武力行使と一体化した行動であって、みずからも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない活動だと明確な違憲判断を下しているわけです。

 傍論だから相手にしないということではなくて、まさにそこに示されている、判決の中に示されていることについて憲法違反でないというのであれば、政府の方こそ具体的な根拠を私は示すべきだと思いますが、いかがですか。

高村国務大臣 私が申し上げたのは、傍論であるから、司法判断だからといって行政の判断に特別優越するものではないということを申し上げたので、その中身については、同じような中身を御党もかねがね主張しておられるし、ほかの党でも主張しておられる方がおられますし、それについては国会でいろいろ議論されて、私たちはそうでないという立場でやってきて、そして、たまたま司法がその傍論の中で述べたことを今、特別高く取り上げる必要はないということを申し上げているわけでございます。

赤嶺委員 国会でるる議論してきたことに司法においても立ち入って、違憲だ、イラク特措法にも反することだというような判決を下したわけですから、私は、政府に自分たちの行政をチェックするという姿勢が少しでもあるのであれば、こういう司法判断は尊重すべきだ、イラクから自衛隊を撤退すべきだということを重ねて強く申し上げておきたいと思います。

 沖縄の鳥島の射爆撃場で起きた問題について、次に取り上げます。

 四月九日、鳥島射爆撃場で、米海兵隊ハリアー戦闘攻撃機が訓練中に二百五十キロ爆弾二発を訓練区域外の海上に誤って投下いたしました。一歩間違えば人命にもかかわる大惨事となり得る事故であります。

 その事故の発生した日、場所、投下した弾種、当初すべて誤って伝えられました。なぜこんなことが起きたんですか。

小野寺副大臣 今御指摘ありました、九日午後二時四十五分、ハリアーから、鳥島射爆場付近で訓練中、目標から離れた提供水域外の海上に二発の弾丸、実弾が誤って投下されたということ、この被害の情報は今ありませんが、このような状況に至った原因については、引き続き調査中であると承知しております。また、このことに関しましては、当省から米側に対して遺憾の意を伝達するとともに、原因の究明と再発防止の措置の徹底を申し入れております。

 先ほど御指摘ありました弾薬ですが、これは米側に照会しましたところ、五百ポンドの実弾でありまして、これらの弾薬は直ちに海底に沈んだと考えられ、水面に浮上するようなことはないという説明を受けております。

 なお、この落下地点からしますと、周辺の水深はおおよそ一千四百メートルであると思っております。このことに関しては、海上保安庁から付近海域における航行警報が発出され、航行船舶に対する注意喚起は行われたと思っております。

 今御指摘ありました、当初米側が日本側に通報してきたことの問題ですが、外務省としては、本件については、米側から十日夕刻に連絡を受けました。その際に米側は、本件の発生は十日の午後二時四十五分ごろであり、発生場所は提供水域の端から一・五海里外の位置である旨の連絡でありました。その翌日、十一日ですが、改めて米側から連絡があり、十日に提供された情報には誤りがあり、発生日時は九日の午後二時四十五分ごろであり、発生場所についても、当初通報を受けた位置からさらに一・八海里離れた位置である旨の報告を受けました。

 このような結果となってしまったことは米側内部の連絡の問題であると思われますが、当初の情報が不正確であったことは遺憾であります。米側に対して、正確な情報の把握、公表に努めるよう申し入れを行ったところであります。

赤嶺委員 ハリアー戦闘攻撃機はどこの所属ですか。そして、どこから飛び立ってきたんですか。

西宮政府参考人 私どもに対しましては、米側からは所属部隊、所属基地というものは通報しないというふうに連絡を受けておると承知しております。

赤嶺委員 鳥島射爆撃場は、在沖米軍に限定せず、在韓米軍そして在本土米軍、これらも使用しているのですか。

西宮政府参考人 運用の問題でございまして、どの部隊が使用しているかということは把握しておりませんが、先ほどの御質問に関する限り、米海兵隊所属のハリアーであるという点については確認を受けております。

赤嶺委員 つまり、在沖米軍に限らないということなんですか、北米局長。

西宮政府参考人 鳥島であるかどうかという点を離れまして、一般論で恐縮でございますけれども、安保条約六条は、日本の安全に寄与し、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために、米国は、陸軍、空軍、海軍が施設・区域を使用することが認められております。

 したがいまして、仮定の問題でございますけれども、例えば在韓米軍の航空機を含めまして米軍が我が国の施設・区域を使用することは、その目的が安保条約及びその関連取り決めと整合的である限りにおいて、問題があるとは考えておりません。

赤嶺委員 外務大臣、今度鳥島で爆弾を誤って落としたのは、岩国基地所属のハリアー戦闘機、海兵隊ですよ。そして、ふだんは在韓米軍もやってきてそこで訓練をしている。在沖米軍に限らないんですね。沖縄の負担の軽減といいながら、実態はこういうことになっているわけです。

 しかし、地元に対して、もう一週間もたつのに、地元が一番知りたいこんな基本的な情報を知らせないんですね、すぐ近くの射爆撃場で訓練が行われていながら。

 日米間で行われる通報は、こうした事故を起こした戦闘機の所属、飛び立ってきた航空基地、これらの基本情報というのは含まれていないんですか。

西宮政府参考人 基本的に、施設・区域で、こうした射爆撃場で訓練をするということは米軍の運用の範囲内のことでございまして、その一々につき我々に詳細に情報を提供するということにはなっておらないわけでございますけれども、今回のように、想定された施設・区域の外に誤投下をしたということについては、きちんと連絡を受けているわけでございます。

 ただし、先ほど御質問がございましたけれども、米軍の内部の伝達のコミュニケーションの問題があったと思われますけれども、提供された情報が誤っていたということでございまして、この点につきましては極めて遺憾であると考えておりますし、その旨米側に注意喚起をしたところでございます。

赤嶺委員 この鳥島射爆撃場は、五・一五メモの使用条件によると、廃弾処理が行われることになっています。廃弾処理が行われているかどうか、確認されていらっしゃいますか。

平沢委員長 外務省。(発言する者あり)では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平沢委員長 速記を再開してください。

 西宮北米局長。

西宮政府参考人 五・一五メモそのものにつきましては承知しておりまして、それにつきましては、鳥島射爆撃場について、二千ポンドを超えない航空機用の在来型爆薬を使用して行う空対地射爆撃、それから夜間における照明弾投下、航空機用の訓練弾の投射及び写真撮影用の閃光弾の投下のために行われる、加えまして、委員御指摘の爆発物処理が実施されるということでございます。(赤嶺委員「実施されているんですか、ちょっとはっきり答弁してください」と呼ぶ)失礼いたしました。爆発物処理が現に実施されているかどうかというのは私は承知しておりません。

赤嶺委員 では、廃弾処理が実施されているかどうか、日本政府は知らないというわけですか。

西宮政府参考人 今申し上げたのは、現時点で私は承知していないということを申し上げました。

赤嶺委員 訓練海域外に爆弾を投下して、それの回収を今沖縄県は求めています。それから、鳥島というのは久米島町からわずか二十二キロ、閃光弾もぴかっと光るのがすぐ見えます。学校の教室からも訓練の様子が、外務大臣、見えるんですよ。こういう島に、島の形も変えるような実弾射爆撃訓練をして、そして全く政府として基本的な情報も示さない、決められた条件を守っているかどうか検証もしない、こんなやり方で、基地の負担の軽減なんて本当によく言えるものだと思います。

 最後に、もう一点だけ聞きたいんですが、この間の衣料品店での事件について、在沖海兵隊の息子二人を米憲兵隊員が拘束し、基地内に連行した事件について、高村外務大臣は、大いに問題があると十六日の本委員会で答弁されております。外務省は米国に対して何か申し入れたんですか、そして、アメリカ側から回答は来ているんですか。

西宮政府参考人 お尋ねの四月十三日の北谷町の事件につきましては、大臣からも答弁申し上げましたとおり、照会をいたしました。

 今般の米軍家族による窃盗被疑事件に係る対応につき米側に照会しました結果、十七日夜、昨日夜の米側からの回答でございますけれども、少年二名を現場で取り押さえた理由につきまして、米国の憲兵隊は、米国人二人が商店で窃盗を働き、これを発見した店員から逃げ出そうとしている、そういう通報を、非番の米軍関係者からの通報を憲兵隊が受けたということ、そのため、憲兵隊は現場に急行し、少年らを取り押さえた、なおも暴れるので暴力を働く可能性があるということで、これを防ぐために手錠をかけた、そして、そうした行為はあくまでも暴力を働く可能性を防ぐために行ったものであり、窃盗について逮捕したというふうには認識していないということでございます。

 このように、今般の事案は、米側によれば、憲兵隊が米軍人家族の少年が店員から逃げ出そうとしている、その通報に対して現場に急行いたしまして、当該少年が暴力を働く可能性があると判断されるため、これを防ぐとの目的で手錠をかけ、取り押さえたとのことであり、この点について言えば、日米地位協定、関連取り決めとの関係で許され得るというふうに考えますけれども、米側は引き続き、現場における状況などにつき調査を行っておりまして、最終的な確認を得られたわけではございません。

 米側に対しまして、沖縄におきまして、施設・区域外における米軍当局による警察活動というものは、日米地位協定及び関連取り決めの関連規定に基づき適切に行われることが重要であるというふうに我々は考えておりまして、米憲兵隊と警察との十分な調整がなされないまま少年を施設・区域に戻したとされるような事態であったとすれば、これはまことに遺憾であるというふうに考えておりますし、その旨米側に伝えたところでございますが、今なお先方も調査中であるというのが現状でございます。

平沢委員長 時間が来ましたので、簡潔にお願いします。

赤嶺委員 外務省の認識は、大変な認識だと思うんですね。これは共同逮捕以前の状態が起きているわけですよ。非番の憲兵隊員が米側の少年が暴れているのを見つけたのであれば、まず日本の警察に通報すべきではありませんか、そして日本の警察が逮捕すべきではありませんか、この場合。外務大臣、いかがですか。

平沢委員長 西宮北米局長、時間が来ましたので、簡潔にお願いします。

西宮政府参考人 非番の軍人ということでございます。それから、憲兵隊は逮捕したわけではございませんで、取り押さえたということで、手錠をかけ、暴れるのを防ぐ行動をとったということでございます。

赤嶺委員 それを国民の目から見たら、逮捕というんですよ。手錠をかけて基地の中に連れていって、それでも逮捕じゃないと言って、外務省流の地位協定の解釈が許されるはずがないということを申し上げて、私の質問を終わります。

平沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 昨日、名古屋高裁で、自衛隊のイラクへの派兵差しとめ等を求めた事件の判決がありました。本日の委員会冒頭、判決に対する高村大臣の所信が表明されました。大臣は、国側の全面勝訴であるとか、航空自衛隊の空輸活動に対する違憲判断は傍論にすぎないなどとおっしゃっております。

 私は、判決が国側の勝訴であることは認めたいと思います。しかし、高村大臣がおっしゃるように、判決で示された幾つかの判断は、単に傍論としては片づけられない。私も、いまだ判決要旨だけしか読んでおりませんが、私は、日本の憲法裁判史上、画期的な判決であるというふうに評価をしております。

 高村大臣と詳細な判決に対する議論をやろうとは思いませんが、名古屋高裁判決で示された、例えば、一つ、現在のイラク情勢について、多国籍軍と武力勢力との間で国際的な武力紛争が行われていると指摘した上で、航空自衛隊の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない、二つ、イラク特措法が合憲であったとしても、活動地域を非戦闘地域に限定した同法に航空自衛隊の空輸活動が違反をし、憲法九条一項に違反をしているとの判示、この二点については、大臣はどのような所信をお持ちでしょうか。

高村国務大臣 今回の判決は、自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差しとめを求める訴えは不適法なものであるとして却下され、また、損害賠償請求は法的根拠がないとして棄却された国側勝訴の判決と承知しておりますし、国側勝訴の判決であることは貴委員も認めていただきました。法律家照屋寛徳先生に敬意を表する次第でございます。

 その二点、米軍人を空輸するのが他国の武力行使と一体化するということ、司法判断だからそれが高いというんじゃなくて、その内容がいいかどうかということを御質問だと思いますが、そういう議論は、今までイラク特措法を審議する法案でも随分展開されてきた議論であります。政府は一貫して、それは他国の武力行使と一体化しない、こう述べているところでございます。

 それと、戦闘地域、非戦闘地域の場合でありますが、政府としては、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国や国際機関等から得た情報を総合的に勘案した結果、バグダッド飛行場を初め、イラク特措法の実施要項において実施区域と指定されている飛行場は依然として非戦闘地域の要件を満たしているものと考えている。これが政府見解でございます。

照屋委員 次に、四月十六日の当委員会でもただしました、北谷町で発生した外国人少年による万引き事件に関連して伺います。

 警察庁の答弁によると、事件内容は、衣料品店内において店員が外国人少年による万引き事案を認知し、少年が店の外に出たところで店員が話しかけたところ、暴れ出し、これを取り押さえたとのことでした。

 そこで尋ねます。本件の場合、刑事訴訟法上、現行犯人を店員らが現行犯逮捕したというケースに該当するでしょうか。

井上政府参考人 詳細は現在捜査中でありますが、沖縄県警察によれば、衣料品店の店員は、少年一名が商品を隠し持った後、代金支払いをせずに店外に出ていくのを認めたことから、当該少年を窃盗犯の現行犯人と認めた。当該少年を呼びとめたところ、急に暴れ出し、逃走しようとしたことから、近くの別店舗従業員の協力を得て、当該少年をその場に押し倒し、両手両足等を押さえつけた。その後においても、近くのベンチの前の地面に座らせ、当該少年を後方から挟んだり、当該少年の両肩を押さえつけるなどして、逃がさないように約十五分間拘束したとのことであり、沖縄県警察としては、これら一連の行為は私人による現行犯逮捕に当たるものと見ているとのことであります。

照屋委員 端的に答弁してください。

 刑訴法第二百十三条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と定めています。現行犯であれば、日米地位協定上さまざまな特権を与えられている米軍人軍属とその家族らを、何人でも逮捕してよろしいと解釈してよいでしょうか。

三浦政府参考人 お尋ねの、刑事訴訟法第二百十三条の「現行犯人」でございますが、この解釈といたしまして、日米地位協定の対象者が除外をされるものではないというふうに理解しております。

照屋委員 外務省に尋ねますが、刑事裁判管轄権に関する合同委員会合意、その八の(一)は、「日米両国の法律執行員が犯罪の現場にあって、犯人たる合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族を逮捕する場合」云々とありますが、この合意は、日米両国の法律執行員が犯罪現場に同時に立ち会った場合のみに限定されるのでしょうか。

西宮政府参考人 確かに、御指摘の合意事項第八の(一)によれば、「両国の法律執行員が犯罪の現場にあって、」ということでございますけれども、どの程度同時になった場合にこれに当たるかということにつきましては、やはりその時々の状況というのが勘案されるべきで、一概にそこのところは申し上げられないんじゃないかというふうに考えます。

照屋委員 西宮局長、これは非常に大事なことであり、私は、合同委員会合意その八の(一)はもっと厳密に日米間で協議の必要があると思う。

 というのは、今回のように、現行犯を店員が取り押さえた、警察に通報した、日本の警察が現場へ到着する。時間的にはちょっと早く憲兵隊が来た。あの美浜の地理的な状況から、たまたま通行人の外国人が憲兵へ何事かと通報したんでしょう。そういうわずかの時間差があった場合にどうなるのか。

 それと、私は、本件のような場合には、これは憲兵隊員には逮捕権はない、通報しているんだから日本の警察権に従うべきだ、こう思うのだが、局長の答弁をお願いします。

西宮政府参考人 今回の事案でございますけれども、先ほどの答弁で申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、米側は逮捕いたしておりませんで、米側は逮捕したという認識もございません。したがいまして、今回の事案ということであれば、これは共同逮捕の問題ではないというふうに認識しておるわけでございます。

照屋委員 終わります。

     ――――◇―――――

平沢委員長 次に、第百六十八回国会提出、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、今国会提出、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣高村正彦君。

    ―――――――――――――

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高村国務大臣 ただいま議題となりました投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成十九年一月以来、両国間で協定の締結交渉を行ってきた結果、平成十九年六月十四日に東京において、我が方安倍内閣総理大臣と先方フン・セン首相との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、投資の許可段階における内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与、並びに技術移転要求を初めとする特定措置の履行要求の原則禁止を規定するとともに、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払い等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等について定めております。

 この協定の締結は、我が国とカンボジア王国との間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成十九年三月以来、両国間で協定の締結交渉を行ってきた結果、平成二十年一月十六日に東京において、私と先方トンルン副首相兼外務大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、投資の許可段階における内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与、並びに研究開発要求を初めとする特定措置の履行要求の原則禁止を規定するとともに、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払い等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等について定めております。

 この協定の締結は、我が国とラオス人民民主共和国との間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 これらの改正文書は、平成十八年十一月にアンタルヤで開催された国際電気通信連合の全権委員会議において採択されたものであります。

 これらの改正文書は、国際電気通信連合の財政基盤を強化し、民間事業者の参加を促進することを目的とするものであります。

 我が国がこれらの改正文書を締結することは、電気通信の分野における国際協力を増進するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、これらの改正文書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十三日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.