衆議院

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第10号 平成20年4月23日(水曜日)

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平成二十年四月二十三日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 河野 太郎君 理事 高木  毅君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 三原 朝彦君

   理事 山中あき子君 理事 近藤 昭一君

   理事 武正 公一君 理事 丸谷 佳織君

      愛知 和男君    伊藤信太郎君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      小野 次郎君    川条 志嘉君

      木村 隆秀君    塩崎 恭久君

      篠田 陽介君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君    馬渡 龍治君

      御法川信英君    山内 康一君

      石川 知裕君    佐々木隆博君

      田中眞紀子君    田村 謙治君

      野田 佳彦君    上田  勇君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   総務大臣政務官      岡本 芳郎君

   外務大臣政務官      宇野  治君

   政府参考人

   (内閣官房知的財産戦略推進事務局次長)      松村 博史君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    池田 克彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 草賀 純男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 猪俣 弘司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  愛知 和男君     川条 志嘉君

  中山 泰秀君     鈴木 淳司君

  山口 泰明君     馬渡 龍治君

  篠原  孝君     石川 知裕君

  鉢呂 吉雄君     佐々木隆博君

  松原  仁君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  川条 志嘉君     愛知 和男君

  鈴木 淳司君     中山 泰秀君

  馬渡 龍治君     山口 泰明君

  石川 知裕君     篠原  孝君

  佐々木隆博君     鉢呂 吉雄君

  田村 謙治君     松原  仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百六十八回国会条約第三号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件(条約第六号)


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 第百六十八回国会提出、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、今国会提出、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官新保雅俊君、大臣官房審議官草賀純男君、大臣官房審議官猪俣弘司君、大臣官房参事官小原雅博君、大臣官房参事官廣木重之君、大臣官房参事官大江博君、北米局長西宮伸一君、内閣官房知的財産戦略推進事務局次長松村博史君、警察庁警備局長池田克彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村隆秀君。

木村(隆)委員 おはようございます。通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めは、韓国の李明博大統領が来日をされまして、一昨日、首脳会談が開かれましたので、そのことについてお伺いをしたいと思います。

 今回の李大統領の外遊は米国及び我が国との連携強化を目的としているとされておりますけれども、我が国につきましては、二月の大統領就任式の際に日韓首脳会談で合意されたシャトル首脳外交の一環であると言われております。前盧武鉉政権時代には、歴史問題などを背景として日韓関係が冷え込んで、シャトル首脳外交も中断を余儀なくされておりました。李大統領は日韓関係を未来志向で進めるとの意思を示されており、今後は活発に両国間の外交が展開されていくものと期待をしております。

 そこで、今般の日韓首脳会談の成果について御報告をいただくとともに、今後の日韓関係のあり方についてお考えをお伺いしたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 二十一日の日韓首脳会談におきましては、最も大切な隣国関係であります日韓関係をこれまでになく近いものにし、日韓両国で国際社会の課題に取り組むことによって、日韓関係を一層成熟したパートナーシップに拡大していくことが確認されました。ただいま委員から御指摘のございましたシャトル首脳外交、これを通じまして、日韓新時代に向けて大変よいスタートを切ることができたと考えております。

 特に、日韓関係につきましては、若者の交流を拡大することの重要性で一致しまして、また、ワーキングホリデー制度の拡大や大学生の相互留学などで具体的な合意がございました。日韓EPAにつきましても、六月中に実務協議を開始することで合意がございました。また、北朝鮮問題に関しましても、日韓、日米韓で一層緊密に連携していくことを確認し、中国とも協力していく必要があることで一致をいたしました。さらに、両首脳は、環境問題、エネルギー、開発援助等の国際社会の課題につきましても、日韓間で協力を強化していくことで一致を見ました。

 こうした成果のあった今回の日韓首脳会談は、今後の日韓関係を発展させる上で大きな意義があったと考えております。

 政府といたしましては、李明博政権との間で二国間の緊密な協力関係を一層強化するとともに、互いに協力しながら、国際社会に貢献する日韓新時代をつくっていきたいと考えております。

木村(隆)委員 日韓新時代を築き上げていきたいという決意だと思いますけれども、まさに新大統領になられたスタートが大事だと思います。東アジア、まだまだ戦争の後のいろいろな懸案も幾つか、いろいろな地区で残っているわけでありまして、地域の安定のために、やはり隣国の韓国との連携、良好な関係を築き上げていく、また維持していくということは大切だと思います。日韓新時代、これがしっかりとしたものになっていくように御努力をお願いしたいと思います。

 今も答弁の中でございましたけれども、北朝鮮の問題、首脳会談でも話題に上がったということでございます。核及び拉致問題の解決を図る上では韓国が果たす役割というのは大きなものがある、これは言うまでもないと思います。

 李大統領は、大統領就任演説において、北朝鮮が核放棄を行い開放の方向に進むことを、北朝鮮への経済協力を行う上での条件とするとの方針を示されたところであります。これは、北朝鮮に極めて融和的であった前政権とは大きく転換したことを意味するものだと思います。

 また、李大統領は、韓国人拉致や国軍捕虜などの人道上の問題について北朝鮮の取り組みを求めるとともに、日本人拉致問題についても、日本の単独より国際的な共助で解決する方がいいと述べておられるわけであります。韓国の大統領がこのように日本人拉致問題を重視して、人道的な面での北朝鮮の努力を求める姿勢を明確にされているということは、拉致問題を核問題と並んで北朝鮮に係る最大の問題と位置づけている我が国としては、非常に心強いことだと思います。

 現在、核問題は、北朝鮮による核計画の完全かつ正確な申告の不履行によって膠着状態にあります。また、拉致問題も、全くと言っていいほど進展を見せておらないのだろうと思います。そのような中で、政府には、李政権発足を好機ととらえて、日米韓の連携に基づいて、北朝鮮をめぐる問題解決に向けて早期に具体的な行動に取り組むことを期待したいと思います。

 この点について、大臣の決意をお述べいただきたいと思います。

高村国務大臣 二十一日に行われた日韓首脳会談では、核問題について、北朝鮮が早期に完全かつ正確な申告を提出する必要性が確認されましたが、この点については、先週末の米韓首脳会談でも認識が一致したものと承知をしております。

 また、北朝鮮による拉致問題を含む人道、人権の問題についても、日韓首脳は、この問題が両国にとって重要であることを確認し、李明博大統領から、拉致問題の解決のためできる限りの協力をしたいとの立場が示されました。

 さらに、李明博大統領から、北朝鮮による核放棄と北朝鮮支援を比較的明確に関連づける、非核・開放・三〇〇〇政策について説明がありました。この政策については、私も四月四日の日韓外相会談の際にも詳しく説明を受けましたが、核問題、拉致問題、ミサイル問題といった諸懸案を解決して国交正常化が実現すれば経済協力を実施するという我が国の政策と基本的に同様の考え方であり、心強く感じているところでございます。

 二十一日の日韓首脳会談で両首脳が一致したとおり、また柳明桓外交通商部長官との間で私が確認したとおり、今後、非核化と拉致問題を含む日朝関係がともに前進するように、日韓及び日米韓で緊密に協力しつつ、北朝鮮に対して働きかけていく考えでございます。

木村(隆)委員 太陽政策をとっておられた前政権とは大分スタンスが変わってきたんだろう、この機会に、やはり日韓、そして日米、日米韓、これらの国々が連携を持ちながら、しっかりと北朝鮮問題に取り組んでいくことが大切だと思います。懸案の解決に向けて引き続き努力されることをお願いしておきたいと思います。

 では、本日の議題であります日・カンボジア並びにラオス投資協定の関連についてお尋ねをしたいと思います。

 平成四年に閣議決定をされましたODA大綱には、日本と緊密な関係を有し、日本の安全と繁栄に大きな影響を及ぼし得るアジアは重要地域である、特にASEANなどの東アジア地域については、近年、経済的相互依存関係が拡大、深化する中、経済成長を維持しつつ統合を強化することによって地域的競争力を高める努力を行っている、我が国としては、こうした東アジア地域との経済連携の強化などを十分に考慮し、ODAを活用して、同地域との関係強化や域内格差の是正に努めると記されております。

 このように、日本自身がアジアの一国であり、アジアの安定が日本の安定に直結するという地政学的要因が、我が国の経済政策あるいは安全保障政策を考えるに当たって重要な要素になっていることを物語っているものではないかと思います。

 今日、中東あるいはアフリカが平和貢献の舞台としてクローズアップされておりますけれども、改めて、我が国の外交、安全保障政策に占めるアジアの位置づけについて、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 我が国の国益であります我が国国民の幸福及び我が国の平和と繁栄の確保は、世界の平和と繁栄の実現なくしてあり得ないわけであります。そうした観点から、我が国は、日米同盟の堅持と国際協調を外交の基本方針として、近隣諸国や国連等とも緊密に協力してまいります。

 中でも、豊かで安定したアジア地域の実現は、我が国の安全と繁栄に不可欠であります。そのため、日米同盟の強化とアジア外交の推進が共鳴し、すべてのアジア諸国において安定と成長が根づくよう、積極的アジア外交を推進いたします。

 具体的には、大切な隣国である中国及び韓国との関係強化、朝鮮半島をめぐる問題の解決、将来の東アジア共同体の形成を視野に入れた、東アジア首脳会議等の枠組みを活用して、地域共通の課題に取り組む地域協力の推進等に積極的に取り組んでまいります。

 アジア地域には、朝鮮半島、台湾海峡をめぐる問題など、依然として地域の不安定化につながる危険をはらんでおり、また、国際テロ、大量破壊兵器の拡散、海賊等、新たな脅威も存在しております。このような事情を踏まえれば、アジア地域において、政治、軍事分野における信頼醸成を通じて透明性を高め、不安定につながるリスクを軽減することが必要であります。

 そのために、アジアの安定と発展への米国の継続的関与の維持に努めるとともに、アジア各国との関係強化を図り、地域協力を推進してまいります。

木村(隆)委員 先ほどからお話し申し上げておりますように、アジアは歴史的ないろいろな解決をしなきゃいけない問題を抱えている。それと同時に、ヨーロッパがEU統合されておりますけれども、東アジアで共同体をつくっていける、そういう努力もあわせてしていかなきゃならない。その中で、やはり東アジアの方が不安定な要素が多いわけでありますから、ある意味では、アジアの中でも東南アジアでの連携をさらに深めていくというのは我が国にとっては欠かすことができない大切なことなんだろう、こう思います。

 そこで、アジアのODA、また特に東南アジアについて、現状、そして考え方をお伺いしたいと思います。

 政治、経済、文化等さまざまな面で日本と密接な関係を有し、日本の安全と繁栄に大きな影響を及ぼし得るアジア地域に対する援助は、日本のODAにおいて最重要な地位を占めております。また、我が国ODAが東アジアを中心とした戦後賠償問題の解決から始まったという歴史的な経緯や、戦後に中国市場を失った日本が東南アジア市場に転換せざるを得なかったという事情もあって、今日まで我が国は、東南アジアをODAの最優先地域としてきたわけであります。そして、我が国の戦後賠償は、賠償請求国に製品と役務を提供するというスキームであったために、賠償を通じて日本製品の輸出が促進をされ、我が国の戦後復興にも大きな役割を果たしたと言えると思います。また、我が国の東南アジア諸国に対する円借款を通じた資金協力は、これらの諸国の経済のインフラ部門の整備に寄与し、七〇年代から九〇年代にかけてのこれらの諸国の奇跡的な経済発展が実現したとも言えるのだろうと思います。

 しかし、ODAは、我が国の相互安全保障を実現する上で有力な外交手段の一つであるにもかかわらず、近年、財政悪化を映して削減論が台頭をし、援助外交に国内の厳しい目が向けられるようになってまいりました。

 そこで、ODAの戦略的な実施の必要性というのが求められているのだろうと思います。対アジア政策の中でも特に東南アジア地域が占める重要性、近年のODA削減が東南アジア外交に及ぼしている影響、また、ODAについてどのような戦略的な特化が具体的に行われているのかをお伺いしたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 既に東南アジア十カ国すべてがASEANに加盟しておりまして、ASEANの傘のもとで統合を進めてきております。そのASEANは、今やアジアの地域協力の運転席を占める主要なアクターであると言えると思います。その意味で、ASEANの安定、発展なくしてアジアの安定、発展はないということでございまして、ASEANの安定、発展が日本の国益にも資するものと考えております。

 そうした観点から、ASEANとの関係強化は一貫して日本の対アジア政策の基礎であり、我が国としては、今後とも、ASEANの域内格差是正を初めとする統合努力への支援と、重層的なEPA等による経済関係の深化を通じてASEAN諸国とのパートナーシップを強化していきたいと考えております。

 また、委員から御質問のございましたODA削減の影響でございます。

 これにつきましては、我が国外交にとって東南アジア地域は従来より極めて重要な地域でございます。これは委員御指摘のとおりでございます。我が国はこれまで東南アジア地域を重点的に支援してまいりました。そうした我が国の支援もあって、ASEAN、特に原加盟国と言われる諸国は高い経済成長を遂げてきました。委員御指摘のとおり、近年、我が国のODA総額が減少傾向にあります。しかし、東南アジア地域の重要性というものは変わることはございません。

 かかる状況において、我が国としては、この地域の諸国間に見られる域内の発展段階の差、いわゆる開発格差でございますが、こうしたことも踏まえつつODAを、重点地域や分野を定めて実施するとともに、ODA以外の外交手段も組み合わせて、これらの地域に対する効果的な外交の展開を図っていきたいと考えております。

木村(隆)委員 厳しいODA予算の中にあっても、東南アジア地域については重点的にしっかり対応していますよという答弁だろうと思います。

 今、答弁の中でも、同じ東南アジア地域においても、開発格差という言葉が出てまいりましたけれども、きょう話題になっております投資協定の対象国でありますカンボジア、ラオス、これもその中に入ってくるのだろうと思います。そこで、カンボジア、ラオスの位置づけについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 アジア地域では経済統合が近年急速に進展をしている。その地域協力の中心は何といっても貿易・投資の領域であります。中でも、東南アジア諸国によるASEAN自由貿易協定が注目を集めていることは周知のとおりでございます。

 しかし、その中にあって、カンボジア、ラオスといった後開発途上国と他の東南アジア諸国との格差が一方で急速に拡大をし、深刻化をしてきているのも事実ではないかと思います。この状況を放置しますと、自由貿易化の進展が地域の不安定化を引き起こす要因にもなりかねません。

 さらに、カンボジア、ラオスの両国を含む東南アジア地域に、中国が雲南省昆明からラオスを経由してバンコクに至る南北回廊の整備を行うなど、メコン開発を基軸とした中国の南下の動きが活発化をしてきているわけであります。

 一方、我が国は、ベトナムからラオス、タイを経てミャンマーを結ぶ幹線道路、東西回廊の建設を主導して、本年一月にメコン地域五カ国の外相を日本に招待し、初の日・メコン外相会議を開催して、開発の三角地帯支援及び東西回廊等の物流円滑化支援を表明したほか、二〇〇八年から五年間で留学生や研究生など約一万人を受け入れることを表明されたと伺っております。

 そこで、後開発途上国の問題、中国の南下の問題、幹線道路、東西回廊の建設を主軸とした日本の対ASEAN政策についての御見解、そして本日議題となっております両投資協定の意義についてもあわせて御説明を願いたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 東アジアの安定、発展のためには、ASEANの安定、発展が必要不可欠でございます。そのためには、ASEANの先進六カ国とメコン地域の後発加盟国との域内格差が是正され、ASEANが統合を強化することが重要です。こうした観点から、我が国は、これまで一貫してメコン地域を重視し、国づくりと経済発展を支援してまいりました。

 このような支援の結果、メコン地域を横断する東西回廊が開通し、近く開通の見通しである南北回廊及び南部回廊、いわゆる第二東西回廊でございますが、これとあわせてメコン地域の陸上の物流網が大きく進展する契機を迎えているところでございます。

 日中がこの地域で勢力争いをしているとの単純な図式でとらえられる向きもございますが、地域の発展、安定のためには、日本、中国、メコンの三者がともに利益を得る互恵関係を築くべきと考えております。この点につきましては、日中両国が戦略的互恵関係の構築に努力しているということでもあります。

 こうした観点から、今月二十五日には日中外務当局間で、双方の対メコン政策について意見交換を行う日中メコン政策対話を初めて開催することとしております。こうした会議を通じまして、認識の共有を図っていきたいと考えております。

 また、日・カンボジア投資協定及び日・ラオス投資協定の意義でございますが、カンボジア及びラオスは、一層の経済発展のため、幅広い分野で外国資本の受け入れを積極的に進めております。こうした中で、日・カンボジア投資協定及び日・ラオス投資協定を締結することによって、投資の自由化、投資家の権利保護及び投資環境整備のための法的枠組みが提供されることになります。

 具体的には、投資財産の保護に加えまして、投資の許可段階での内国民待遇そして最恵国待遇の原則供与、それから投資阻害効果を有する特定措置の履行要求の原則禁止など、投資の自由化に関する規定を置いております。

 これによりまして日本と両国の間の投資の一層の促進が期待される点に両協定の意義があると考えている次第でございます。

木村(隆)委員 国内でも格差の問題というのはいろいろな面で議論されているわけでありますけれども、東南アジア地域においても、発展を急速にしたところ、まだ取り残されているところがあるわけで、その格差の是正に向かってやはり我が国はしっかりやっていかなきゃいけない。

 ただ、中国が今発展をする中で、かなりの援助の手を差し伸べている。中国に片手を握ってもらいながら、でも、やはり体制が、共産主義体制だろうと私は思いますけれども、その中国一辺倒ではなく、我が国にもしっかり片方で握っておってもらいたいですよという地域が多いのではないかと思います。

 財政が厳しい中でありますけれども、しっかりとしためり張りをつけることによって、そういう後開発途上国が一緒になって上がってこれる、これがまた少子化に向かっていく我が国においても将来の大切な投資になっていくと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 カンボジアについてですけれども、戦後いち早く対日賠償請求を放棄して、衆議院でも感謝の決議がされたということもあります。また、九〇年には、第二次世界大戦後の日本外交において初めて、第三国の紛争解決を目的とする国際会議、カンボジアに関する東京会議を我が国は主催いたしました。

 さらに、九二年に発足した国連カンボジア暫定統治機構に明石国連事務総長特別代表が着任をするなど、カンボジア内戦から復興支援に我が国は積極的にかかわって、そして、カンボジアの人々は親日的で、第二次大戦の記憶に悩まされることが多い我が国にあっては、貴重な存在になっているのではないかと思います。

 カンボジアは、先ほど申し上げた開発の三角地帯の中心部に位置し、地政学的にも日本の東南アジア政策において重要な地位を占めているのだろうと思います。しかし、過去二十年余に及ぶ紛争の犠牲者は二百万人にも上ると推定されておりますし、内戦後も約四万人の人々が地雷によって被害をこうむっていると言われております。極めて悲惨な状況が続いているわけであって、継続的な支援が必要とされている国だろうと思います。

 そこで、カンボジアの現状と復興の見通し、そして我が国が今後果たすべき役割について、御見解をお伺いしたいと思います。

小原政府参考人 カンボジアは、和平後に成立した政府が、安定と国民和解を達成し、近年には高い経済成長率を実現してきております。同政府は、民間セクター強化などを重点分野とする開発戦略を策定し、民間投資を導入して、自立的な発展の実現に取り組んできております。また、弱者対策を重視し、地雷犠牲者を二〇一二年にゼロとする目標を掲げております。

 ただいま委員からも御指摘がございましたとおり、我が国は、これまでもカンボジアの和平及びその後の復興を積極的に支援してきております。今後も地雷除去支援及び社会的弱者支援というものをしっかりとやっていきたいと考えております。同時に、カンボジア政府の投資環境整備に向けた努力を支援し、民間投資の促進を力強く後押ししていきたいとも考えております。

木村(隆)委員 カンボジアは、今も申し上げたようにメコン地域の中で真ん中に位置しているわけでありますから、しっかりその辺を踏まえて我々はやっていかなきゃいけない。また、東西回廊の話を申し上げましたけれども、ベトナムからタイへの第二東西回廊の話も出てきているし、油田も開発をし、油も出てくるという、そろそろこれからカンボジアも本格的に社会資本整備を推し進めていこうという段階に入っていると思いますので、ぜひその辺を踏まえてこれからも対応をお願いしたいと思います。

 もう時間があと二分になってまいりましたので、もう一つ、きょうは国際電気通信連合憲章及び条約の改正も議題になっております。時間がありませんので困りましたが。

 今回の改正の中でITUの組織の改革が出ているわけでありますけれども、この案をまとめたのが内海さん、前のITU事務総局長だと伺っております。

 ただ、その内海さんがインタビューの中で、国際機関のトップとして続けて日本人がつくというのは難しいので、先をにらんで若手を国際会議に頻繁に出して、もっともっとアピールしながら能力を高めていくということが大切ではないかとおっしゃっておられます。その後、ナンバースリーに当たるのだろうと思いますけれども、電気通信標準化局長の選挙には日本は負けちゃったわけであります。

 これから、そういうことも踏まえて、人材育成というのをどうしていくのか、最後にお伺いをしたいと思います。

新保政府参考人 お答えいたします。

 外務省といたしましては、まさに先生がおっしゃいましたように、国際機関の意思決定に我が国の立場や考え方を適切に反映させるためには、当該国際機関の長を含む邦人を送り込むのが重要で、そのためには、邦人職員増強の観点から、国際機関就職にわたる各種支援を強化することが必要であろうと思っております。

 特に、先生がおっしゃいましたように中長期的な視点ということでありますと、従来より外務省では、将来国際機関での勤務を希望する三十五歳以下の若手邦人を対象にいたしまして、我が国の費用負担で国際機関に派遣して、国際機関への就職に必要な経験を積んでもらう、そういうジュニア・プロフェッショナル・オフィサーといった派遣制度を実施してきております。このような制度によるこれまでの国際機関への邦人職員の派遣人数は累計で千二百二十三名、そして平成二十年度の予算額が十二億一千万円、新規派遣予定人員は四十二名となっております。

 今後とも、このような派遣制度を初めといたしまして、国際機関就職にかかわる各種情報の周知、広報、必要な支援措置を積極的に行ってまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

木村(隆)委員 もう時間が参りましたので、これで終わりますけれども、しっかりと人材育成を推し進めていく。そして、選挙には勝っていくための体制、今も選対を組んでおられると聞いておりますけれども、勝っていくための体制も引き続きしっかりしていく。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。民主党の野田佳彦でございます。

 きょうは四十分間お時間をいただいておりますけれども、主には日本とカンボジア、日本とラオス、この二国間の投資協定を中心に質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、大変今心配をしていること、チベットの問題、特に長野で行われる聖火リレーについて、まずお尋ねをしていきたいと考えております。

 先週の木曜日、十七日に中国の楊外交部長が来日をされ、そして二十日まで日本に滞在をされました。皮切りとして高村大臣との日中外相会談がございまして、その後、福田総理を初め政府の首脳、それから各政党もお訪ねをされて意見交換をされました。最後の二十日に、たしか法隆寺、唐招提寺を見学されて、関空からお帰りになったという行程だったと思いますが、唐招提寺も法隆寺もいいんですが、ぜひ今回の長野の聖火リレーの出発式の予定であった善光寺に行って、そのすばらしい文化というものを感じていただければよかったなと思うわけであります。

 そこで、まずお尋ねをしたいのは、この日中外相会談、さまざまな問題について意見交換がされております。台湾や冷凍ギョーザの問題、東シナ海の資源開発の問題、さまざまなテーマについて意見交換が行われたようでありますが、チベット情勢については、これはいただいている日中外相会談の、外務省が公表している概要によりますと、「高村大臣より、懸念をもって注視、人権の観点から国際社会の関心が高く、透明性を確保し状況の全容を明らかにしていくことが中国の利益、また、国際的な世論を見ても、現在、重要なことは、ダライ・ラマ側との対話の姿勢を明確に示すことだと思う、」ここで大事なのは、「条件をつけずに対話してみてはいかがかと述べ、ダライ・ラマ側との対話を行うよう求めた。」というふうに概要で発表されています。条件をつけずに対話した方がいいという御意見は、全くそのとおりだと私も思うわけでありますが、これに対する楊部長のお答えはいろいろありますが、結局は、中国の内政問題であり外国は干渉すべきではないというお立場で議論をされております。

 その後、いろいろとその他の政党とのやりとり、私ども民主党にも来られました。民主党では、小沢代表を含め民主党の幹部と、高村大臣は随分お時間があったと思いますが、我が党に来たときは三十分しか時間がありません。基本的には、この外相会談でもテーマになったギョーザの問題とか東シナ海とかチベットの問題だったんですが、私もこの会談の場面に陪席をしておりましたけれども、大変気になった楊外交部長の一言がありました。それは、チベット問題は中国の内政問題だということについて日本政府にも御理解をいただいていることを評価したいという言い方をされました。

 これは中国の内政問題だと日本政府は理解をしているのでしょうか。私は、少なくともそうではない、国民感情はそうではないと思うんですが、いがかでしょうか。

高村国務大臣 チベットの地位をめぐる問題は中国の内政問題であるというのが我が国の一貫した立場でございます。同時に、我が国としては、普遍的価値である人権及び基本的自由が保障されることは国際社会の正当な関心事項であるという認識のもとに、チベットの人権状況についても関心を持って注視してきているところでございます。

 このような観点から、日中外相会談においても、チベットをめぐる問題に関し、私からヨウケツチ部長に対し、人権の観点から国際社会の関心が高く、透明性を確保し状況の全容を明らかにしていくことが中国の利益になる旨、アドバイスをしたところでございます。

 引き続いて、国際社会の関心を踏まえた透明性のある対応をしていくよう中国側に求めていく考えでございます。

野田(佳)委員 いろいろと慎重な御発言だと思うんですが、基本的な姿勢はそのとおりだと思うんです。楊外交部長は、チベット問題は中国の内政問題だと日本政府は理解していることを評価すると。もしかすると、間違ったメッセージが伝わっているのかもしれません。ここはやはり軌道修正をすべきであって、人権という観点からすると、大臣おっしゃったとおり、これはもう間違いなく国際的な問題で、国際社会が注視しているということを、これは何度も何度もお伝えをしなければいけないのではないか。少なくとも福田総理も、国際的な問題となっている現実を直視する必要があり、北京オリンピックに影響させるべきではないという御発言をされました。

 この種の発言、高村大臣の後段のお話と、それから福田総理の今言ったお話、間違いなく人権という問題を通じて国際的な問題になっているということをきっちりきっちり伝えていく必要があると思いますが、改めていかがでしょうか。

高村国務大臣 きっちりきっちり伝わっております。伝わっている中で、胡錦濤主席が来られる中で、中国側としても日本との共通点を見つけようとして、ああ、地位の問題は内政問題であるということはわかってくれているな、そのことを言った上で、人権の問題についてはそれなりの反論をこちらにもしている。だから、きっちりきっちり伝わっているからこそ、彼らの立場もいろいろ言っている、こういうことでございます。

野田(佳)委員 当事者間でのやりとりではそういう理解が進んでいるのかもしれませんが、やはりちょっと外側から見ると、こういう言い方をしたら失礼ですが、少なくとも楊外交部長は何か聞く耳を持たなかったんじゃないかなという印象を持ってしまうような一連の動きだったように受けとめておりますので、きっちりきっちりやっているということですが、では、改めてこれはこの後でまた質問させていただきますけれども、胡錦濤主席の来日の折も、やはりきっちりと総理なり外務大臣からもっと明確なメッセージを出していただければなというふうに改めて思います。このことは後で触れたいと思います。

 そこで、今、当面心配なのは、二十六日に行われる長野における聖火リレーです。この問題についても、これは外務大臣同士でお話があったように聞いておりますが、私は、基本的にはオリンピックが大好きで、成功してほしいという気持ちは物すごく強いんですね。

 初めて自分の記憶に残っているオリンピックをたどってみると、やはり小学校一年生のときの東京オリンピックで、最後のマラソンで円谷幸吉選手が競技場に入ってからイギリスのヒートリーに抜かれたときの悔しさとか、柔道で神永選手がへーシンクに押さえ込まれた悔しさとか、金メダルもいっぱいとりましたけれども、残念なことばかり幼児体験では覚えています。

 もう一つは、やはりモスクワ・オリンピックのボイコットのとき、ちょうど同じ大学で学年が同じでした瀬古選手が出られなくて、彼が出ていれば、あのときだったら金メダルだったかなとか、いろいろな思いが交錯をして、オリンピックは大好きなんです。

 だから、ぜひ成功してほしいんでありますが、今回は、スポーツと平和の祭典を盛り上げていくための聖火リレーが、世界各地で混乱を生じさせるという大変遺憾な状況が続いています。これについて外務大臣同士ではどういうやりとりがあったのか、お尋ねをしたいと思います。

高村国務大臣 聖火リレーについては、日本側としてしっかりとした警備はいたします、こういうことを我が方として伝えて、ヨウケツチ外交部長の方からは、よろしくお願いします、こういう話があった、こういうことであります。

野田(佳)委員 日本側としてしっかり警備をするということが今回お尋ねしたかった最大の眼目でございまして、同様の趣旨を町村官房長官も泉国家公安委員長もしっかり言われております。

 私は、この姿勢をぜひ堅持していただきたいなというふうに思うんですが、その二十六日なんですけれども、これは相当にいろいろな人が集まってくるようでありまして、例えばチベットを支援するような団体からもいろいろな方が来られるようですし、国境なき記者団が入ってくるのかこないのかわかりませんが、そういう動きもあるようです。さまざまな右翼団体の動きだとか、中国の国内で認められていない宗教のグループの動きであるとか、さまざまな動きがあるようで、オリンピックを盛り上げたい、聖火リレーをしっかり守りたいという立場とか、この際にしっかりとチベット問題に対するメッセージを出したいというグループとか、さまざまなグループがたくさん押しかけてくるようでありますが、そこで、この聖火リレーが無事に終わるためには、まさに日本の警備の問題が問われると思うんです。

 そこで、警備体制と方針はどうなっているのか、これは警察庁だと思いますが、お答えをいただきたいと思います。

池田政府参考人 北京オリンピックの聖火リレーについてでございますが、これまでの各国の状況を見ますと、今お話のありましたチベットの問題あるいは法輪功の問題、そういう問題に抗議する動きが顕著でございます。また、日本固有の問題としては、いわゆる右翼の抗議活動、こういうものも見込まれておりまして、極めて厳しいというふうに認識しております。

 そこで、現在、管轄する長野県警察のみならず、これはまだ確定はしておりませんけれども、警視庁の機動隊あるいは関東管区機動隊、これらを動員いたしまして、警備の万全を期したいというふうに考えております。

 具体的な体制につきましては、現在、情勢の推移を見ながらさらに検討しているところでございますので、例えば何人ということは、現在の段階ではちょっと申し上げられないんですけれども、いずれにいたしましても、聖火リレーの安全な進行と関係者の安全の確保、観客及び周辺住民の安全と平穏の確保、これを基本方針として、警備の万全を期してまいりたいというふうに考えております。

野田(佳)委員 万全を期していただきたいと思います。

 少なくとも、七月には洞爺湖のサミットもあるわけですから、ある意味、この四月の動きというのは、日本の警備の力が試されるときだと思います。ここを見事乗り切って、そして七月のサミットもしっかり警備をするということにぜひつなげていただければと思う次第です。

 その警備にかかわる問題で、やはり気になりますのは、世界の各地の都市で聖火リレーが行われているときに大変目立っている、あの青いジャージー姿の中国の屈強な若者たちの伴走する姿であって、時には、何か法執行を行っているような実力行使もやっている場面もあったように思うんです。

 彼らの派遣を今回は認めているのかいないのか、どういうふうに我が国としては対応しようとしているのか、その点についてまずお尋ねをしたいと思います。

池田政府参考人 御指摘のランナー、聖火防衛隊といいますのは、聖火ランナーの伴走者を指すものと思われるんでございますけれども、彼らが法執行を行うということであれば、これを受け入れることは一切できないということで、この点については私どもの方から明確に申し上げまして、中国側もこれを承知しているというふうに認識しております。

 ただ、御指摘の人たちが、例えば聖火の点火を行うというような、純粋に聖火の保全を行うということであれば、その受け入れいかんにつきましては、主催者側で検討されるものというふうに考えております。

 参考でございますけれども、二〇〇四年のアテネ・オリンピックの際にも、これは東京で聖火リレーが行われているんですけれども、このときも、アテネ・オリンピック組織委員会から派遣をされた伴走者が、聖火の保全のために伴走するということがございましたというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、我が国におきます警備の実施につきましては、我が国の警察が責任を持って行うということでございますので、今回の聖火リレーについても同様に、日本の警察が責任を持って行うということでございます。

野田(佳)委員 実力行使を伴わないようにするように申し入れて、それを完全に相手が受け入れているんならいいんですが、報道によりますと、国際標準にのっとり派遣をするという言い方で答えているだけであって、そこは確約をされているのかどうかわからないような記事が出ていました。

 私は、やはり日本の警備当局がしっかり警備をする。これは法治国家であります、主権にかかわる問題ですから、そこは毅然として対応していただきたい。むしろ二十六日の前に、しっかり相手側に確約をさせていただきたいと思いますが、いかがですか。

池田政府参考人 聖火リレーのテクニカルマニュアルというのがあるんですが、これはIOCがつくっております。これの最初のところに、警備の責任は、その土地の警察が責任を持って行うということが書いてございまして、これについては明確に遵守するということを言っております。

 加えまして、私の方からも、この点について何度も申し入れをしておりまして、それについては了承しているというふうに回答を受けております。

野田(佳)委員 では、遵守すると言ったということをしっかり踏まえて、二十六日、私も緊張感を持って見ておきたいというふうに思います。

 この関連では最後の質問になりますけれども、四月の十九日の土曜日の朝日新聞にモー・アットマーク・チャイナというコーナーがあって、莫邦富さんというジャーナリストの方が書いている文章がございました。これは大変私の思っていることに近いことが書かれてあったので、一番後段の部分だけ読み上げたいと思いますが、「聖火リレーへの妨害は、世界に溶け込む過程で一つの通過点にすぎない。そこから学ぶべきものも多い。国内総生産、成長率などの言葉より、今日の中国国民は民主、人権、宗教、民族、知る権利などを学ぶ時代を迎えた。 三十年で世界が目を見張る経済大国中国が築かれた。さらに三十年で、より世界に納得してもらえる魅力的な中国を築いてほしい。」

 まさに私もそういう思いでございまして、これまで、さっき申し上げたように、地ならしに来られた楊外交部長は、聞く耳を持っていたのか持たなかったのかわからなかったんですが、ぜひ五月六日以降来られる胡錦濤主席には、やはりこういう姿勢で、外務大臣からも総理大臣からも、率直なメッセージをお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 ヨウケツチ外交部長が来られる前に、私は崔天凱大使に対して、ヨウケツチ外相が来られたとき私はチベットの問題をきちっと話しますので伝えておいてくださいということを、かなり前でありますが、お伝えをいたしました。そのときに崔天凱大使が、チベットの問題が出れば、ヨウケツチ外相は中国の原則的立場を話すことになると思います、こういうことを言っておられました。

 まさに、私との会談では中国の原則的立場を話された、こういうふうに思っております。その言葉だけで、私が言ったことが意味がなかったと、そのときの反応だけで思う必要はないので、やはりどこの国でもプライドがあって、外国から言われてすぐこうするとか、そういうことにはすぐにはなかなかならないんだけれども、やはり私たちは、友人としてのアドバイスをきっちり続けていくことが大切だ、率直に言ってまいりたい、こういうふうに思っております。

野田(佳)委員 高村大臣のお言葉が相手にしみ通っていることをぜひ期待しておきたいと思います。

 次に、本題になりますけれども、投資協定の問題に移らせていただきたいと思います。

 貿易収支よりも所得収支の方がふえて、ここ二年間ぐらいは逆転をして、貿易よりも投資で稼ぐ時代に入ったと言われています。対外直接投資もこの七年で倍以上ということでありますし、海外の日系現地法人の製造業分野の売り上げもこの十年で倍増ということで、投資がこれからどんどんと日本の武器になっていくことを期待したいと思います。

 そのための環境整備がこのたびの投資協定であろうというふうに位置づけをさせていただいているわけでありますし、投資協定がある国の企業と協定がない国の企業では、投資した財産の保護とか投資手続などで大きな差が生じるし、投資意欲にも差が出てくるかもしれません。その意味では投資協定の意義があると私も思うんですが、改めて外務大臣、基本的な問題だと思いますので、二国間の投資協定の締結の意義というものをどのように御認識でしょうか。

高村国務大臣 二国間協定は、一般に、多国間の枠組みに比べて、二国間で機動的、柔軟に対応可能であり、二国間投資協定は、相手国の投資政策、相手国が有する産業の実態等を十分踏まえた形で投資促進のための法的枠組みを提供することが可能であります。その結果、投資家にとって良好な投資環境の整備を促進し、日本と相手国との間の投資の増大及び経済分野での交流の一層の促進につながることが期待できるわけであります。

 日本からの投資は、雇用創出を通じて投資受け入れ国の経済発展に貢献をいたします。このように、投資協定には、二国間経済関係の強化を通じ二国間関係全般に好影響をもたらすという意義もあると考えているところでございます。

野田(佳)委員 先週も議論のあったEPA、経済連携協定はいろいろ広範なテーマが入りますので、締結にはいろいろと問題があったり障害があったりしますが、投資協定はそれに比べればもっと手っ取り早くできる話だろうと思うんですが、ところがなんです。

 世界の趨勢を見ると、どんどんどんどん投資協定、二国間のものが締結をされていて、今、二千五百を超える投資協定があるという資料を見ました。見てみると、多いところだとドイツが百三十二、中国百十三、スイス百十、英国百一、フランス九十八、韓国八十、このように多くの諸外国が投資協定を積極的に結んでいるという状況なんです。

 ところが、日本なんですけれども、一九七七年署名、七八年発効のエジプトとの二国間投資協定に始まり、今回議題となっているカンボジアが十二番目、ラオスが十三番目です。投資の内容を含む章のある、いわゆるチャプターのある経済連携協定も、先週議論したブルネイとかインドネシアも含めて八つですから、二国間の投資協定でいうと今回の議題のものも含めて十三、そしてEPAも含めても二十を超える程度ということで、世界各国で二千五百以上の二国間投資協定が結ばれ、百以上を超えるような国に比べると、随分と出おくれているし、見劣りするような気がするんです。

 投資協定の意義を先ほど大臣は述べられましたけれども、なぜ日本は今もってこんなに少ないのか。ぜひ理由をお尋ねしたいと思います。

宇野大臣政務官 我が国の主な直接投資先であります、また重要な経済関係を有する東アジア諸国との投資協定、今回は経済連携協定も含みますが、おおむね締結、署名済みあるいは交渉中であります。また、エネルギー資源等の観点から重要な国でありますサウジアラビア、カタール、ウズベキスタンやペルーとは、交渉中または交渉を開始することで相手国と一致したところでございます。

 一方、投資促進のためには、投資協定のほか、経済対話やODA等を通じた投資環境整備、租税条約、社会保障協定等の二国間の法的枠組みなど、多様な政策手段が存在しております。我が国といたしましては、これらの政策手段を総合的に活用して対外投資を積極的に支援してきておるわけでございます。

 今後も、我が国の企業からの要望も踏まえながら、投資の保護、自由化促進を、投資協定を含む多様な政策手段で後押ししていくことが重要と考えております。

野田(佳)委員 企業の御意向も含むというお話でございました。

 だから、企業にとって使い勝手のいいものなのかどうかですね。使い勝手がいいのならば、多分この投資協定を使って、例えば相手国とトラブルがあったときに企業が仲裁を国際機関に提訴するとかということがあるんだろうと思うんですが、こういう投資協定というのは、実際、日本企業にどれだけ今まで使われてきたことがあるんですか。

草賀政府参考人 投資協定を日本企業が使ったことはあるかというお尋ねでございますけれども、まさに委員御承知のとおり、投資協定によりまして、投資を保護するとかあるいは促進するという法的な機能がございますものですから、そういう意味で、日本が投資協定を締結している国に進出している日本企業は、いろいろな形で裨益をしておると思います。それは、投資受け入れ国が投資に対します待遇を付与しておりますが、そこで一定のレベルの待遇を享受するとか、いろいろな形があろうかと思います。

 特に、お尋ねの投資をめぐる紛争が起きた場合に、ではそれを解決するために使っているのかということですが、解決の手続といいますか、その段取りがきちんと明定されてございますので、それが使えるわけですが、これまでのところ、外務省といたしまして、日本企業が日本の締結しておる投資協定に基づきまして投資紛争を紛争解決手続に付託したことがあるとは聞いておりません。

 これは、規定の中に、そういう付託を行った場合は相手国、つまり日本政府にも通報するということがございますので、それがあればそういう通報があると思いますが、その通報がなされていないということから、こういうふうに申し上げる次第でございます。

 ただ、投資でございますから、いろいろな意味で、そういう手続をきちんと明定していることによりまして、例えば相手国政府も乱暴な収用だとかそういうことをしにくいとか、いろいろな抑止力の効果も当然あろうかと思いますし、また逆に、日本企業がいろいろな受け入れ国政府との間の関係をきちんとマネージしているということも恐らく背景にあるんだろうと思います。

野田(佳)委員 では、具体的トラブルが起こって国際機関に何か提訴するとかという形はないということですね、入っていないと。むしろそういうトラブルの予防に役立っているという認識ということですね。

 ということを踏まえれば、では、そういうトラブルの予防ができるということに意味合いがあるのならば、協定を結べばどんどん、従前に比べれば投資がふえていくという結果が出なければいけないと思うんです。

 そこで、お尋ねしたいのは、この二国間の投資協定の中で、日本とベトナムで締結をされた投資協定が、今回のカンボジアはもっとレベルが高いというんですが、過去の中では、ベトナムとの投資協定がレベル的には一番高いということでございました。だとするならば、そういう評価を受けているベトナムとの投資協定は、発効してもう既に三年たっていると思います。では、投資協定を結ぶ前と後でベトナムの投資にはどういう結果が出ているのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 日越投資協定、まさに委員御指摘のとおり、今回の協定の前の、過去の協定として最高レベルの内容だということでございますが、この日越投資協定が結ばれました二〇〇四年十二月十九日に発効しております。

 この締結以降でございますが、二〇〇四年から二〇〇七年の間に、日本からベトナムへの新規投資額は二・五億米ドルから九・七億米ドルへと約四倍に増加いたしております。

 その背景には、二〇〇四年十二月のまさにこの日越投資協定の発効というものが大きな役割を果たしたと考えております。また、二〇〇三年から継続しております、官民合同でベトナムの投資環境改善を行う日越共同イニシアチブ等の取り組みによってベトナムの投資環境が改善されたことも作用しているのではないかと考えております。

野田(佳)委員 日越投資協定、大変効果があったというお話ですから、そうすると、もっとより高いレベルでの今回の投資協定、カンボジア、ラオスもそれに近いものがありますので、基本的には大いに期待をしていきたいと思いますが、そのカンボジア、ラオスに対する具体的な問題に入っていきたいと思います。

 私は、せんだって、ある知り合いから大変おもしろいエピソードを聞いたんです。カンボジアでは、一九九三年の十月、アンコール遺跡救済国際会議を東京で開催して、以降、同会議で設置されたアンコール遺跡保存修復国際調整委員会において、例年、フランスと日本が共同議長を務めている。そして、九四年からは、日本国政府アンコール遺跡救済チームを通じて、アンコール遺跡の保存修復活動を実施中ということなんです。

 その現場を見てきた方のお話なんですけれども、具体的には、日本からは上智大と早稲田大学のチームがこの修復に当たっているそうで、フランスもそうですし、これは正確かどうかわかりませんが、インドや中国も何かお手伝いをしているような話も聞きました。そういう作業チームの中で、一番きっちりと修復をしているのは日本チームだと。

 アンコールワットの壊れているところ、それをどうやって修復しているかというと、アンコールワットは、まずかたい石で基礎をつくっていて、そこに、砂岩とか弱い石、要は彫刻とかお化粧のできるそういう石をうまく組み合わせていってつくっている。その崩れたものを、一つ一つ番号を振って、どことどこを組み合わせるのかということを、ジグソーパズルのように丁寧に積み上げていくのが日本のやり方で、これは物すごい高い評価をされているらしいんです。

 そのジグソーパズルのように積み上げていく石を置いてある場所があって、多分、雨にぬれちゃいけないとか盗まれちゃいけないということがあるんでしょうが、ブルーのシートか何かがかかっているらしいんですね。そのシートの上にはメード・イン・コリアと書かれているということでございました。韓国からは、最近、カンボジアに観光に行かれる方も随分多くて、韓国の皆さんは、こんなところでも韓国は頑張っているんだ、こんな緻密な仕事をしているんだと思うんですね。

 何が言いたいかというと、やはり、日本は縁の下の力持ちになり過ぎてしまっていて、きちっとしたPRが足りないのではないかというエピソードです。まじめに汗をかいて、多くのお金を援助して、そして、それに相応して評価を得ることがやはり望ましいと思うんです。無理して自慢することもないんですが、正当な評価を受けるべきであります。

 今のエピソードじゃありませんが、これまでもカンボジアやラオスには、やはり世界で一番ODAを供与してきた国です。しかし、それと連動する形で、例えば民間レベルで貿易が進んでいるのかというと、あるいは投資が今まであったのかというと、そうではないですよね。例えば、いいインフラをつくっても、さっき先番委員の木村さんのお話にもありましたように、中国が南下してきて使ってくるとか、諸外国が、韓国や近隣諸国がうまく便利に使って、単なるお人よしの縁の下の力持ちで終わっては、やはりもったいないと思うんです。

 そこで、お尋ねしたいのは、日本は、カンボジア、ラオスに対して政府開発援助額が多い割には、残念ながら、これまで貿易や投資はそれほどではなかったと思うんですが、それはなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 貿易・投資は、民間企業がみずからの経済合理性に基づいて行うものですので、政府といたしまして、カンボジア及びラオスに対する貿易・投資が少ない理由というものを正確に申し上げることは困難でございますが、そうした前提のもとで、その背景、これまで貿易や投資が少なかったのはなぜかという委員の御質問に答えるとすれば、両国のインフラが未整備であったということ、それから貿易・投資関連制度が未成熟であったということなどがその背景にあるものと考えております。

 しかし、これまで、委員からも御指摘がございましたが、日本からの経済協力、これは大変な規模でやってきておりましたが、こうした経済協力等によりまして、実は、この地域のインフラ整備が進んできております。特に交通輸送等の分野では整備が進んできておりまして、先ほど顔が見えないのではないかという指摘もございましたが、例えば、二〇〇六年の十二月に開通いたしました第二友好橋、これはラオスとタイの国境にかかっておりますが、これに対して日本は円借款を供与して、まさに大変大きな評価を得ておりますし、顔も見える立派な協力となっております。また、国道九号線、これは、この第二友好橋からベトナムの国境に至る間、二百十一キロのうちの百三十三キロを無償資金協力でやっておりますが、これによりまして、ベトナムの港への陸上輸送時間が短縮されるというようなことで、ラオスをめぐる物流ルートの利便性が非常に高まっているということで、これも大変な評価を受けているところでございます。

 また、経済統合が進んできておりまして、その結果、既に多くの日系企業が進出しておりますタイとかベトナム、こうしたところにあります日本の親工場から、労働コストが比較的低いカンボジア、ラオスに労働集約的な生産工程を移転しようという動きもあるやに聞いております。

 こうした動きに加えまして、この両国との投資協定締結によりまして、投資の自由化や投資家の権利保護を図ることで、今後は、日本と両国との間で貿易・投資が促進されることが期待されるわけでございます。

野田(佳)委員 時間がなくなってきましたので、通告をしてある三つの項目をまとめてお聞きしたいと思うのですが、ぜひよく注意深く聞いていただいて、お答えください。

 日本・カンボジア投資協定は、先ほどお尋ねしたベトナムよりもより高いレベルで自由化度が進んだということです。それは具体的にどれだけ投資に効果があると見るのかということと、今後の投資協定に、この日本・カンボジアの投資協定が一つのメルクマールになっていくのか、あるいは、過去にさかのぼって、結んでいる投資協定、EPA等の改定に結びついていくのか、お尋ねをしたいと思います。

宇野大臣政務官 最初の御質問でございますが、日本・カンボジア投資協定、既に行われた投資の保護だけでなく、新規投資の自由化をも含んだ協定でございます。さらに、カンボジア側が新規投資等について規制を行う権利を留保した分野が六つに限られたとの点で、我が国が過去に締結した投資協定と比較して、自由化の度合いがより高い内容となっているというふうに理解をしております。

草賀政府参考人 委員の後半の御質問の方でございますけれども、確かにカンボジアとの投資協定は大変レベルの高いものになってございますが、具体的にはいろいろな、内国民待遇ですとか最恵国待遇ですとか、あるいは特定措置の履行要求の禁止とかといったものが含まれてございます。

 ただ、一歩下がって考えますと、過去に日本が締結してまいりましたいろいろな投資協定がございますが、これの内容、あるいはEPA、最近のEPAの投資章の内容、それぞれ相手国の外資に対する政策、あるいは法制度、あるいは開放度、そのようなものに応じまして、また相手国があることですので、相手国の意向、希望に対応しまして、テーラーメードでそれぞれつくってきているという現実はございます。

 したがいまして、すべて理想とするようなものと同じことを繰り返すということは必ずしも簡単じゃないと思っていますが、当然ながらカンボジアとの協定は重要な参考になるとは思っております。

 では、過去に結んだものについて改定することはないのかという点でございますけれども、これはやはり一九九〇年代から二〇〇〇年以降、世界の投資協定の内容も変わってきてございますので、それでまさにレベルの高い自由化を含む協定を結ぶようになってきてございますので、そういう流れの中で投資をさらに奨励していくということで、過去の、特に投資保護を中心としたものについてはできるだけ自由化の側面を入れた新たな協定に衣がえできないか、企業のニーズ等に応じまして、そういうことは当然考えていきたいと思っていまして、随時必要な検討は行っていきたい、こういうふうに思っております。

野田(佳)委員 中国の問題に始まり、カンボジアまで来たんですが、ラオスまで行かないで時間が終わってしまったようであります。ラオスは、私がずっと追求している鯨の問題で日本と同じ立場をとってくれている国ですので、一言伺いたかったんですが、なくなりました。その他の、ラオスも含めて専門的な問題は武正議員にお任せをしたいと思います。

 以上で終わります。

平沢委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正でございます。

 それでは、三条約についての質疑に移らせていただきたいと思います。

 お手元の方に資料を配らせていただいております。きょうは、国土交通副大臣にもおいでいただきまして、ありがとうございます。

 アデン湾における日本籍船への襲撃情報ということで、四月二十一日に発生した事案について、条約審議に入る前に伺いたいと思います。

 お手元の資料は海上保安庁さんからいただいた資料でありまして、発生場所はイエメン沖、アデン湾、北緯十三度、東経四十九度七分ということであります。日本の「高山」というタンカー、十五万トンが攻撃を受けた、小型船舶から重火器らしいものを撃ち込まれたということであります。幸い乗組員に負傷等なしということでありますが、二ページ目に参考図がつけられておりまして、発生地点が示されております。イエメン沖、またソマリア沖ということであります。

 三ページ目には同じく、日本船籍ではないんですが、船主は日本の会社であったケミカルタンカーが、これは昨年の十月二十八日、遭難信号ということで、海賊に襲われた場所についても、これもほぼ同じですかね、北緯十三度五分、東経五十度二十四分ということであります。

 そこで、国土交通副大臣に伺いたいんですが、ここの場所というのは、タンカー等日本との原油の輸入、これはペルシャ湾を通じてということがほとんどということでありますので、紅海から出てくるタンカーというのは少ないというお話であったり、あるいはスエズ運河を通じてヨーロッパ方面に日本の産品を輸出する、主にそういうような形で使われるということでありますが、このアデン湾における日本籍船への襲撃を受けて、国交省、海保としてとるべき対策、今海保の方も捜査を始めているやに伺っておりますが、どのような対応をされるのか、されているのか御説明をいただきたいと思います。

松島副大臣 答弁を申し上げます。

 今回の事件に関しましては、国土交通省及び海上保安庁で、関係機関や船舶所有者、運航者等の関係者と緊密な連絡をとりつつ情報を収集するとともに、二十一日、国土交通省海事局外航課と海上保安庁警備救難部国際刑事課の連名によりまして、関係者、つまり日本の船会社などに対してですけれども、ソマリア沖の航行に関し注意喚起を行ったところでございます。

 そしてまた、海上保安庁におきましては、航行警報を二十一日に発出して、付近を航行している船舶に対して注意喚起を行うとともに、海上保安庁ホームページにおいても所要の注意喚起を行ったと聞いております。

 なお、本件は日本船舶に対して行われたものでありますので、この船が日本に帰港、戻ってきましたときなどを活用して、乗組員からの事情聴取など捜査を海上保安庁が実施すると聞いております。

 なお、先ほどおっしゃいましたように、昨年の秋にもこういった事案がございました。その後、つまり、今回のではなくて昨年の秋の事案を受けてでございますけれども、昨年十一月の二十九日に国際海事機関、IMOが、ロンドンで総会が開催されましたときに、日本と、そしてまたフランスも非常にこの問題に熱心に取り組んでいるところなんですが、一緒に決議を行いまして、あらゆる海賊及び武装強盗の行為を非難するとともに、これは大事なことなんですが、ソマリア暫定政府に対して、海賊等防止のための措置をとること及びインド洋で展開中の艦船等が海賊等に対応するためソマリアの領海内に立ち入ることへの同意を、ソマリア暫定政府はこれに対して同意をして国連に通知するように要請することなどを決めております。

 この決議、ソマリア沖における海賊及び武装強盗に関する総会決議というのは、ここで採択した後、国連事務総長に送付したところでございます。

武正委員 国際海事機関でしょうかね、海賊、海上武装強盗事件の件数は、二〇〇六年、二百三十九件が二〇〇七年、二百六十三件とふえている。ただ、東南アジアでは八十八件が八十件に減っているんですけれども、ナイジェリアでの十二件が四十二件、ソマリアが十件が三十一件とふえているということであります。東南アジアで減っているその理由とすれば、日本が中心となって締結をしたReCAAP、アジア海賊対策地域協力協定などの条約など、あるいはシンガポールに置かれております情報共有センター、ISCなどがやはり効果を上げているのではないかというふうに考えるわけです。

 例えば、こうしたソマリア沖、あるいは中東で同じような枠組みなりをできないものかというふうに考えるんですが、中東諸国のそうした海上保安、警察機関との連携とか協力とか、そういった可能性というのはいかがでしょうか。

松島副大臣 委員がおっしゃいますように、シンガポールというか、マラッカ海峡についてとっているような措置をとれたら本当にいいんですけれども、この中東、この周辺の国々において、それぞれの国でどういった体制で、つまり、日本の海上保安庁のような形で守っているのか、守っているというか、そういう問題を解決するために捜索などやっているのか、あるいは軍隊が、それぞれの国によって海軍が同じような行為をやっているのかなどについて、まだ海上保安庁でも捕捉できていないと聞いております。

 この問題も、さっき申し上げましたように、日本やヨーロッパ、被害者は割と熱心なんですけれども、そのあたりの国々との連携はまだとれていないという状況だと聞いております。

武正委員 外務大臣、いかがですか。この事件が昨年に続いてまたことしも同じような場所で、日本船籍、昨年は違いますけれども、日本関係の船舶が被害を受けたわけです。ちょうど今度TICADも五月末に開きますし、そこでは平和の定着と民主化というのが大きなテーマになってくるわけでありまして、日本が中心となってこのTICADを横浜で開催するわけですので、こういった会議でも、今回のような事案もひとつ、個別の国を名指しするのはなかなか難しいのかもしれませんが、やはり大事な、世界じゅうのいろいろな船舶が航行するアフリカの北部に位置する航路でございますので、こういったテーマもTICADの中で話し合っていくべきではないのかなというふうに思うんですが、御所見を伺いたいと思います。

高村国務大臣 資源の多くを海上輸送によって輸入している我が国にとって、海上交通の安全の確保は極めて重要でありまして、近年、アジア及びアフリカ地域で頻発する海賊問題は、我が国の海上輸送への脅威になっているわけであります。

 こうした海賊行為に対して、まず、沿岸国の海上警備当局が取り締まりに当たることが重要でありますが、我が国としては、特にアジア地域における海賊対策に積極的に協力するために、沿岸国に対し、海上取り締まり能力の強化と人材育成等の協力を実施してきているところでございます。

 また、アジア地域の海賊対策に関する国際的な枠組みとしては、例えば、我が国のイニシアチブで作成された平成十八年九月に発効したアジア海賊対策地域協力協定があり、情報共有及び協力体制の構築等を通じたアジア各国の協力を推進してきておるところでございます。

 外務省としては、関係省庁とも連絡しつつ、今後もこのような取り組みを通じ、海賊対策を積極的に推進していく考えでございます。

 TICADでどうするかという話でありますが、TICADの主要課題は、アフリカの開発、「元気なアフリカを目指して」ということでありますが、その間に二国間会談も行われますし、TICADそのものの主要議題になるかどうかというのはまたともかくといたしまして、こういう話についても二国間会談等では特定の国と話していくということは十分あり得る、こういうふうに思います。

 それから、今度の件についても、我が国のタンカーについて救出に向かってくれた船は、まさに海上阻止行動に参加している有志連合の船であったと聞いておりますし、我が国が補給活動をしている、こういうこともまさに、直接の法目的ではありませんけれども、海賊対策にも大変役に立っているということを申し添えておきたいと思います。

武正委員 TICADではぜひ、また、ちょうど今スーダンのダルフール問題なども懸案になっておりますし、平和の構築ということで、個別の具体的な国を、多国間の会議ではなかなか難しい面もあろうかと思いますが、やはりアフリカの平和の構築という点で取り上げていっていただきたいというふうに思います。

 ぜひ、アジアのみならず、国交副大臣、もう既に海保さんは、インドの西部地域も、要はボンベイから、今はボンベイとは言いませんけれども、西の方のああいったところでのインド等とのそうした海上での警察活動の協力等もやっておられるようでありますので、なかなか現状の中東の海上警察組織についてまだ確たる情報をというお話でありましたが、ぜひそうした協力も進めていただきたいと思います。

 そして、海上警察が、例えば船に対する、臨検とは言いませんが、調査とかいろいろそういった面ではまだまだ法的な整備をしていく必要があるというような問題意識を政府も持っておられるようでありますので、私は、こうした海上警察のより実効性のある取り組みができるような法的な整備、これもやはり行っていく必要があろうというふうに思っております。

 ぜひそうした取り組みをお願いして、国交副大臣はここで結構でございます。

 そこで、日中外相会談についてお伺いいたしますが、チベット問題については先ほど野田委員から質疑がございましたので、特に、ギョーザ事件あるいはガス田協議、これについてどのような協議がされたのかということをお伺いしたいと思います。

 外務省のホームページでは、中国産冷凍ギョーザ問題については、高村大臣から、一刻も早い真相究明の重要性について強調し、両外相は、一刻も早い真相究明のため、双方で捜査と協力をさらに強化していくことで一致した、東シナ海資源開発問題については、両外相は、昨年末の福田総理訪中時に得られた両国首脳の新たな共通認識に基づき、事務レベルで有益な協議が行われることを確認し、解決に向け努力を継続していくことで一致した、こういうようなホームページでの紹介があるんですが、せっかくの外務委員会でありますので、ぜひ、これ以上の内容について外相から御報告をいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、三原委員長代理着席〕

高村国務大臣 ガス田から申し上げますと、東シナ海資源開発問題を解決し、日中関係をさらに発展させることが重要と考えているわけでありますが、昨年末の福田総理訪中時の首脳会談において、この問題を一刻も早く解決するとの断固たる決意のもとで協議を継続していくことが確認されました。

 それから、十四日から十五日にかけては薮中外務次官が訪中し、王毅外交副部長との間で日中関係全般、とりわけ来る胡錦濤国家主席訪日の準備について意見交換を行う中で、東シナ海資源開発問題についても有益な意見交換を行いました。

 そして、先週のヨウケツチ外交部長との会談において、事務レベルで有益な協議が行われていることを確認するとともに、これまでの首脳間の共通認識に基づき、問題解決に向けた努力を継続していくことで一致しました。福田総理も、表敬に訪れた楊部長との間で同様の内容を確認しているところでございます。

 厳しい交渉ではありますが、これらの共通認識を踏まえ、引き続き問題解決に向けて努力していく考えでございます。

 相当離れていたのが相当狭まってきているということは事実であります。ただ、お互いにもう一山越えないとできませんので、お互いにさらに努力をしていくということを確認し合ったわけでございます。

 それから、ギョーザの問題でありますが、食の安全は日中両国国民共通の重大な関心事項であり、本件については、一日も早く真相を究明して両国国民の不安を解消することが何よりも重要であります。

 外務省といたしましては、当初より、関係省庁と連携しつつ、さまざまな機会やルートを通じてこうした問題意識を中国側に伝達し、徹底した真相究明に向けて日中関係当局間の緊密な協力を促してきているところでございます。

 両国捜査当局間では、鑑定の専門家が相互に訪問し、情報交換会議を行う等、本件事案の解決へ向けた努力が進められてきているところでございます。

 先週のヨウケツチ外交部長との外相会談においては、真相究明が何より重要であるということを伝え、一刻も早い真相究明のため、日中双方で捜査と協力をさらに強力に進めていくことで一致をしたわけであります。

 本件は、日中双方の当局間の協力を通じて、客観的で公正な真相究明が一刻も早くなされるべき問題であると考えておりますが、外務省としても引き続き一層の支援を行っていく考えでございます。

武正委員 ガス田協議について、この間も同じようなお答えだったんですが、近づいてきた、もう一山越えなきゃいけないというんですが、もう一山というのは一体何なのか。ぜひもうちょっと具体的にお答えをいただけると、もう二回目のお答えになりますので、ありがたいなと思います。

 具体的には、共同開発の場所というのがこれまでも懸案だったというふうに思うんですね。中間線の上でなりというのが日本側の主張、中国側は中間線の東側でもやるべし、特に尖閣諸島の北側でという提案があったやにも報道もありますが、やはり共同開発の場所についての、そのもう一山ということなのか。

 また、国際司法裁判所でしたでしょうか、やはり国際的な裁判では中間線というものが確定をしてきている。ただ、中国側の主張は昔から大陸棚延長という考え方。国際的なそうした裁判所の判例などは、もはや中間線というものを認めているんだよと。ここら辺が日中間でもし開きがあるとすれば、やはりここはしっかりと中国側にそこのところの認識を迫って、これまでも言っていると思うんですが、この共同開発の点のことなのか、またそうした中間線についての認識ということなのか、そのもう一山がどこにあるのか、お答えをいただきたい。

 あとは、この間も警察庁が来られて、日本側の捜査は大体終わっているという話でございますので、あとはやはり中国側の捜査、そしてその中でのお互いの見解の一致点、すり合わせ、こういったものを急いでいく必要があろうかというふうに思うんですが、日本側の捜査の状況なども外相会談で外務大臣からお伝えをいただいたのかどうか。ぜひそうした、日本側の捜査はきちっともう進めていて、ある面、あと中国側の対応を待つのみであるというようなことも含めて、日中間の捜査当局もこの間第四回の会議もやっておりますが、ぜひそうした点もお伝えいただきたいと思いますが、その点、お伝えいただいたのかどうか、二点お伺いしたいと思います。

高村国務大臣 東シナ海の問題については、日本側の主張はきっちりと主張をしているところでございますが、今どこがどうなっているか、具体的に申し上げることが解決のために資さない、こう思いますので、申しわけありませんが、今申し上げることはできません。御了解をいただきたいと思います。

 それから、このギョーザの問題について、日本側の捜査ではどういうことになっているかということについては、トウカセン国務委員が来られたときも、きっちり日本側の状況は伝えましたし、その上で、まさにいろいろな話をした上で、日中外相が最終的に共同で発表するのはこのラインで発表するという文言まで詰めて発表したことでございますので、これ以上余り具体的なことを申し上げるのは差し控えたい、こういうふうに思っております。

 いずれにしても、捜査当局が進めてもらわないと、外交当局ではこの事件そのものの真相究明というのはできませんので、ですから、捜査当局が真相究明をするのにお手伝いができるところは外交当局としてもお手伝いをしていきたい、こういうことでございます。

武正委員 先週、日中刑事共助条約が外務委員会では可決、承認ということで参議院に送られたわけでありますが、あの条約が発効する前には、外交当局を通じた国際礼譲でしたか、あれに基づいた、そうした捜査協力依頼を行うんだ、こういう枠組みでありますので、やはり外務省、外交当局として、もう捜査はほぼ完了したという日本の捜査当局のそうした意向、そしてそれに応じて中国側が捜査の促進、あるいはそれの発表なりを両国が一致して行えるような、そんな後押しをぜひお願いしたいというふうに思います。

 そこで、条約に移らせていただきます。

 総務大臣政務官もお見えでございます。ありがとうございます。

 資料四ページをお開きいただきますと、「国際電気通信連合(ITU)の職員について」という表を総務省さんの御提出資料から作成させていただきました。今回は、この国際電気通信連合、ITUの憲章及び条約の改正ということで、特にITUの支出をある面節約していこうということで、会議の間隔を延ばしたり、あるいは民間事業者がより積極的に参画できるような枠組みとか、あるいは自然災害等があったときにはそれを控えることが柔軟にできるような、そんな改正というふうに理解をしております。

 ただ、先ほども同僚委員からも指摘がありましたように、内海さんが二期八年、事務総局長でしたでしょうか、事務方の選挙で選ばれるそうした大変大事な役を担われたわけでありますが、現状、ITUに在籍している邦人職員については、お手元の二の日本人職員五名という現状でございます。各部門の職員数は七百三十五名にあって、わずか五名ということであります。

 主要拠出国の職員数を調べてみますと、フランスの三十八名、アメリカの十五名、カナダの十二名、ここには書いてありませんけれども、イギリス十六名、インド十名、ロシア十名、あるいはスペイン六名というようなことで、ここのほかにはイタリア九名ということで、日本の五名というものがやはり少ないなというふうに感じるわけなんです。

 内海さんが就任されてからの八年間を振り返りますと、あるいはこの九年間、十年間を振り返りますと、政府は、IT先進国、世界一のそういうIT国家を目指すということで、ICTという言葉も日本発でつくられて、盛んに政策的にも力を入れてこられた。資金的にも同様だと思います。

 ただ、こうしたITUの職員の日本人が少ないというのが大変残念に思うわけでありますが、総務大臣政務官、この現状、民間の方、この中ではKDDからお二人入っておられますけれども、民間の方を入れると三名ですかね、やはりもっともっと日本人、それこそ今度は民間の方も含めてたくさんの日本人がITUで主導的な役割を担ってもらいたいというふうに思うんですが、総務省としてどのような御見解をお持ちなのか、あるいはどういう取り組みをされているのか、お答えをいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国際貢献という観点から、国際機関への日本人職員の比率が高まることは一般的に望ましいものと思っております。この意味で、一九九九年から二〇〇六年にかけて、ITUの事務総局長に日本人を輩出したことは大きな意義があったと思っております。

 現在は、ITUには日本人職員が政府から二名、民間から三名、計五名派遣されております。このうち政府からの職員数を大幅にふやすことは難しいことから、民間からの参画に期待しているところであります。ただし、民間からの参画には、高度な専門的な知識が求められること、あるいは勤務が長期にわたり、帰国後国際機関での経験を派遣元で生かしにくいなどの難点もあると認識しております。

 そこで、総務省といたしましては、民間の専門的な人材育成に努めるとともに、派遣元になる民間企業に対し、職員の派遣に理解を深めていただくなど、必要な環境整備に一層取り組んでいるところでございます。

 以上です。

武正委員 民間からは積極的にというお話でしたが、政府からの派遣というのは難しいのでしょうかね。総務省の方なんかの中にやはり意欲的な方もいらっしゃいますし、あるいは他省庁からも、こうしたITUということで、これは特にこれからの国際的なICTの開発、こういった分野も日本にとっても大変大事な分野になってこようかと思っております。

 先ほど話が出ておりましたメコン川の流域開発計画、過日、中国そして関係五カ国での会議でもこの地域における情報通信網の拡充というのがやはりテーマになっておりますので、そういう意味では、このITUというのは大変大事な組織になってくると思っております。

 また、日本の電波帯が非常に逼迫していく中で、やはりその電波帯をより有効に使うためのそうした協議もこのITUで行われておりますので、私はもっともっと政府職員もここに出られないのかというふうに思うんですが、政務官、いかがですか。

岡本大臣政務官 御指摘の点はごもっともでございますので、総務省としても努力はしていきますが、何せ定員が厳しい状況でございますので、その中で配慮していきたいと思っております。

 以上です。

武正委員 外務大臣、いかがですか、今やりとりを聞いておられて。それで、今の資料を見ていただきますと、このITUは、ICTということで政府がかなり力を入れている分野だと思うんですね。また、日本の主導的な産業に今なっているこのIT分野でありますので、その国際ルールを決めるこうした国際組織、いろいろ大事な国際組織はたくさんあろうかと思うんですが、ただやはり、七百三十五人の職員で五名と。内海さんは大変な活躍をされたんだと思うんですが、それが次に引き継がれて日本人の職員がたくさんふえていけばいいなというふうに思うんですが、こういう現状はやはり残念に思うわけでございます。

 今、民間の方がもっともっとふえるようにという措置がとられているということは新しい試みだと思うんですが、日本人の職員をこのITUでもっとふやしていくべきだと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

高村国務大臣 内海さんのITUの選挙のときは、私も一生懸命応援した立場でありますが、任期がありますのでやめられるのはやむを得ないことだ、こういうふうに思っております。

 今総務省の政務官も言っておられたように、もっとふやした方がいい、そして民間から少し出てもらえないか、もちろん役所から出るのもいいんだけれども定員が厳しいんだ、こういうお話がありましたが、いろいろな面で外務省としても応援をしていきたい、こういうふうに思っております。

 それで、このITUだけじゃなくて、すべての国際機関で、日本は国力に、あるいは日本が出しているお金に比べて人が少ないということがあるわけで、その全体について考えていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 国際機関の意思決定には我が国の立場や考え方を適切に反映させなければいけませんし、そのために当該国際機関の長を含む邦人を送り込むことが重要であり、国際機関における邦人職員増強の観点から、国際機関就職に係る各種支援を強化することの必要性というものを私たちは十分に認識しているわけであります。

 従来から外務省では、将来、国際機関での勤務を希望する三十五歳以下の若手邦人を対象に、我が国の費用負担で国際機関に派遣して、国際機関への就職に必要な経験を積んでもらうジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPO等の派遣制度を実施してきております。このような制度によるこれまでの国際機関への邦人職員の派遣人数は、本制度が始まった昭和四十九年から平成十七年まで、累計で千二百二十三名であります。平成二十年度の予算額は十二億一千万円、新規派遣予定数は四十二名となっております。

 今後も、こうした派遣制度を初め国際機関就職に係る各種情報の周知、広報等、必要な支援措置を積極的に行ってまいりたい、こういうふうに思っております。十分な成果を上げているとは言いませんが、今一生懸命取り組んでいるところでございます。

    〔三原委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 やはりこれは、日本の国益にも当然つながりますし、日本のリーディング産業の一つの分野にかかわる国際機関での影響力の行使ということで、ぜひお取り組みをいただきたいと思いますし、今、政府からのそうした派遣のもし障害が何らかあるとすれば、先ほど定員というお話がありましたが、何か今の短期の仕組み以外のいろいろな派遣の仕組み、また、派遣をして、戻ってきたら実はその評価が案外低かったりしますと、やはり海外に出ていくのをためらう政府の職員の方が多いのかもしれません。この間、篠原委員からは、外務省のローテーションが実は先進国を回っておられる方がやはりある面出世されているんじゃないのかというような問題提起もありましたが、政府の中でのそうした海外の国際機関への派遣、これの積極的な評価、あるいは民間からのそうした政府の職員という形になっての派遣とか、いろいろな仕組みを御検討いただきたいと思います。

 政務官、もしわかればと思って、アジア・太平洋電気通信共同体、APTには日本人は何名ぐらい行っているんでしょうか。事務局長は山田さんで、事務局職員は二十五名ですから少ないですけれども、何といっても日本の支出はAPTの全体の六割でありまして、話に聞くと、このアジア・太平洋電気通信共同体で大体協議をして、それをITUに上げていくという枠組みだそうですから、このAPTも大変大事だと思うんですが、おわかりになればお答えいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 現在、APTには日本人が二名行っております。一人は事務局長ということでございます。昨年の選挙で当選しまして、今ついたばかりでございます。

 以上でございます。

武正委員 全体の拠出額六割で、二十五名中二名というのがどうかなということもあわせて、ぜひ、APTに対するそうした人員の派遣もあわせて御検討いただきたいと思います。

 それでは、政務官、どうぞお引き取りください。

 それでは、カンボジアとラオスの投資協定、続けてお伺いをいたしますが、日本・カンボジア投資協定で第十条、これはラオスも同じく第十条でありますが、腐敗を防止し、これと戦うための措置をとる努力義務規定があるわけでありますが、そうはいっても、カンボジアでは民法とか汚職防止法とか関連法案がまだ未制定でありますし、この点について、この努力義務規定が実効性を上げられるのかどうか。

 昨年四月には二度目の地方選挙、また、ことしの七月には和平後四回目の国民議会議員選挙もあるということで、着実に民主化に向けてカンボジアは歩を進めているということは確かだと思いますが、まだこうした関連法案が未整備の状況の中で、この汚職防止の努力義務規定が実効性を上げるにはどのような対応が必要なのか、お答えをいただけますか。

宇野大臣政務官 今御質問の趣旨でございますけれども、日本・カンボジア投資協定第十条には、まさに委員言われるように、各締約国政府が腐敗行為を防止するための措置をとるべく努力することが規定されております。

 カンボジア政府においては、みずからの開発戦略について、グッドガバナンスの向上を最優先課題として挙げており、その中で汚職撲滅に取り組んでおると承知しております。

 このような取り組みの一環として、カンボジアは二〇〇七年九月五日に、腐敗の防止に関する国際連合条約に加入しております。また、現在、汚職防止について国内の関連法案の整備を進めているということも承知しております。

武正委員 私の知人で堀本崇さんという方がいまして、カンボジアで七五三基金とかそしてまたアジア子供教育基金代表を務められた。一九六七年生まれでありましたが、二〇〇六年十一月十日にカンボジアにて交通事故のために逝去されたわけであります。

 彼が書いている中にも、いろいろ読んでまいりますと、彼はカンボジアで学校をつくるということをやってきたんですけれども、人々は、財源があっても上層部が懐に入れてしまうと嘆いていたとか、あるいは汚職に手を染める人が多いというのがカンボジアを見てきて大変残念であるとか、こういったことを文章の中でもあらわしております。その堀本崇さんが、学校建設に力を入れ、また僧侶にもなって十年間カンボジアの地で頑張ってこられたわけでありまして、そういった意味で、やはりそうしたカンボジアについてのさまざまな民間のNGOあるいは日本人の方々が頑張っておられる。

 ただ、外務省にそうしたことを聞きますと、外務省からあるいは政府から資金が出ているNGOなりあるいはそうした個人なりの活動は把握していますけれども、お金が出ていない方については余り把握していないというような答えが来まして、大変残念だなというふうに思ったんですね。

 先ほどもITUの話がございましたが、民間人の活躍あるいはマンパワー、これは日本外交にとって、オール・ジャパンの日本外交の力を高めるためにも欠かせないというふうに思いますので、ぜひそうした、これは一例でありますが、カンボジアで頑張っている、あるいは他の途上国で頑張っている日本人あるいはNGOのそうした活動の把握、政府のお金が入ってなくてもしっかりと把握をするということをお願いしたいというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

高村国務大臣 できるだけ把握するように努めたいと思います。

 ただ、NPOの中には余り政府と関係を持ちたくないんだというところもありますが、協力できる点は、まさにオール・ジャパンとして力を発揮することは委員が言うように大事でありますから、できるだけ情報を持っているようにしたい、こういうふうに思っております。

武正委員 在外公館の法改正でも、在外公館における邦人の活動の把握なり連絡体制あるいは緊急連絡体制ということが総務省からの指摘でもあったわけでありますので、ぜひそれも含めて、緊密な連絡をとって、そうした海外で活躍する日本人のサポート体制をこうしたNGO、NPOとして活躍する皆さんにもお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、ラオスについて話をお聞きしたいんですが、日・ラオス投資協定は、ラオス側の留保事項というものが、具体的な項目が書かれずに、すべての事項というようなことで、非常にばくっとした形で協定の表に書かれておりますが、これはなぜもっと具体的に落とし込めなかったのか。あるいは、事前のそういった協議で、これでよかったのか。あるいは、これから発効後、そうしたものを詰めていくのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

宇野大臣政務官 ラオスとの投資協定のことでございますが、協定発効後に新たな例外措置を採用することができない分野または事項について定めた附属書1におけるラオス側の留保は、国内の航空運輸及び水上運輸の料金等の十七の分野または事項となっております。

 協定発効後に新たな例外措置を採用することができる分野または事項について定めた附属書2におけるラオス側の留保は、銀行サービス及びその他の金融サービス等の二十八の分野または事項となっております。

武正委員 協定で留保が、具体的な項目ということではなくて、すべての事項というような書きぶりになっているんですが、その具体化をなぜできなかったのか。そしてまた、できなかったとすれば、これからそれを、発効後、協議の中で詰めていくのか。留保事項が明らかになっていないと、やはり投資をしようという企業にとっても、投資しようとしたら、いや、これは留保でだめなんですよということが後でわかるということになりますと、投資がなかなかうまく結びつかないと思うんですが、この点について伺いたいと思います。

宇野大臣政務官 留保事項を今やらないでもっと後にしたらどうかという話だと思います。

 この協定において、留保事項については、日本、ラオス両国が、それぞれの国内事情を考慮の上、留保をすることとしたものであります。この分野または事項につきましては、本協定附属書のとおり、既に両国間で合意をしておるということでございます。

 今後は、本協定の発効後に、当該留保分野または事項に関する具体的な国内関係法令等を相互に通報し合うことになっており、現在両国がそれぞれ準備作業を行っているということでございますので、御理解いただきたいと思います。

武正委員 ちょうどASEANとの自由貿易協定、EPAについて署名が終わったばかりと思いますが、その条件としてこの投資協定を急いだということはなかったんでしょうか。ちょっと、ある面十分な詰めがないまま投資協定の署名に行ってしまったのかなというふうに思うんですが、いかがですか。

宇野大臣政務官 特に日・ASEANの協定とラオスとの関係はございません。今回につきましても、ラオス側の強い要望もあったということからのことでございますので、御理解ください。

武正委員 より実効性を上げていただくために、具体的な留保事項の詰めを急いでいただくようお願いいたします。

 それでは、資料に基づきまして、洞爺湖サミットの議題に食料価格高騰について取り上げたいという書簡を総理が関係組織、関係者に発出しているということが報じられ、外務省でもそれがホームページで公開をされておりますので、これについてちょっと伺いたいと思います。

 というのは、先ほどの堀本さんの話ですと、カンボジアでは、朝食で六割の方はおかゆを、それから二割三割の方はめんを朝食べるということで、お米はタイ米、長粒米ですから、なかなかおなかにたまらないということで、一日五、六回食べる。五人家族ですと一カ月に百キロぐらいお米を食べるということであります。この資料の五ページ、見ていただくように、原油価格が百ドルを超えている、それに伴うように主要三穀物の価格が推移をしている、急上昇しているということであります。

 今、お米についても七ページにあるような輸出規制を各国が行っていて、ここでは例えばベトナム、カンボジア、中国、インド等が米の輸出禁止を行っている。これについて、こうした輸出禁止を行うべきでないということも総理の書簡では触れているわけでありますが、私は、その中で、特に洞爺湖サミットに向けまして、食料価格が高騰していることを取り上げるというのは大変いいことだなと思いますし、その書簡でも、TICADでも同じく取り上げるということに触れておられますので、ぜひ取り上げていただきたいと思います。

 その中で一つ御指摘したいのは、バイオエタノールについてなんです。トウモロコシなどは、産出エネルギーを投入エネルギーで割った比率が一・一から一・五、サトウキビは非常に高くて七・六から七・八ということでありますが、トウモロコシの一以上というのも、糖化をして発酵、蒸留をしたり、あるいは排水処理などの環境保全のための必要な投入エネルギーも考慮すると一を切るというような指摘もありました。

 お手元の資料では、六ページ目で、日本はバイオ燃料はセルロース系に特化をしていくというようなことを打ち出しておりますし、アメリカも、米国エネルギー法もセルロース系原料からやがて百六十億ガロンということは打ち出しております。

 こうしたトウモロコシを中心としたバイオエタノールに力を入れるということが穀物価格の上昇を生んでいる。それに伴って、先ほどカンボジアの例がありますが、そうした国々で、LDCの国々では、日々の食料の確保、あるいはその価格の高騰、これが国民の皆さんにとっては大変厳しい現状を迫っている、こういう指摘があるわけであります。

 洞爺湖サミット議題に食料価格高騰を取り上げ、またTICADでも取り上げるという総理の文書を発出された政府におかれまして、外務大臣、こうしたバイオエタノールが結果的に途上国のそうした食料価格の高騰、そしてまたそれが貧困というものを助長するようなことになってはいないか、これはぜひ日本として、アジアの代表としても、あるいはTICADを主催する国としても取り上げていくべきだというふうに思います。

 バイオエタノールすべてよしということではないということで、どういったものを中心にバイオエタノールをやっていくべきなのか、その中で穀物というものが本当にそれに適しているのかどうか、こういったことは問題提起をすべきだと思いますが、外務大臣の御認識、御所見を伺いたいと思います。

高村国務大臣 食料問題、極めて大切だと思っております。

 バイオエタノールについてメリットとデメリット、どういったものがいいのか、私自身が知見を持っているわけではありませんが、世界の知見を集めて、どういうふうにしたら食料問題に対処できるか、あるいはエネルギー問題に対処できるか、そういうことを含めて検討していくことが大切だ、こういうふうに考えています。

武正委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、一言、ラオスについては、ラオスにはクラスター爆弾の残留が二千五百万個とも言われておりまして、こういったことも含めて、ASEAN十カ国の中でカンボジア、ラオスというのはこれまで日本とのかかわり、もっともっと強めなければならない国だというふうに思いますので、より一層の取り組みを、このクラスター爆弾への対応も含めてお願いをしたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

平沢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、日本とカンボジア、日本とラオスとの投資協定について質問いたします。

 二国間の投資協定については、特に一九九〇年代以降、件数も急増している、そして途上国の側も自国の経済発展のために協定を積極的に要望しているという状況だと思います。

 こうした協定に基づく投資は、きちんと必要な条件にかなって進められるならば、南北問題の解決を初めとして、世界的な進歩の方向に役立つ可能性を持つと私は考えます。同時に、ただどんどん出していけばいいということではなくて、受け入れ国の主権が著しく侵害されないこと、また、多国籍企業への特権が与えられて無秩序な進出が広がらないことなどが必要であって、とりわけASEAN後発のカンボジア、ラオスの場合には、なおさら重要だと思います。

 そこで外務省に伺いますが、今回、カンボジア、ラオスの投資協定には、いわゆる公正公平待遇及びアンブレラ条項が盛り込まれております。このもとで投資家が、国際法に基づく待遇だといって、極端に言えば、受け入れ国に対してどんな待遇でも受け入れろと求めることにはならないか、この点についてはどうお考えでしょうか。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問、二つのことをおっしゃったと思いますけれども、一つは、投資家の投資財産に対します公正で公平な待遇をどうするか。これを定める規定というのは大変重要だと思っておりまして、まさに、このラオス投資協定、それから日・カンボジア投資協定でも、待遇を定めてございます。

 その際、注釈があるなしということを今おっしゃいましたけれども、まさに……(笠井委員「言ってないです」と呼ぶ)そうですか、失礼しました。

 それで、公正公平な待遇というのは大変大事なものだと思っておりまして、これはいろいろなEPAでも、大体盛り込んでいく、こういうことであろうと思っております。

 それから、今アンブレラ条項というお話をいただきました。これは若干視点が違いまして、委員御案内のように、投資家が有する財産につきまして相手国政府との間で結ぶ契約を投資協定上どう扱うか、こういう問題でございまして、アンブレラ条項というようなものがあれば、これは相手国による義務違反があったときにまたそれを協定上追及するということは可能になり得るわけでございますが、まさに今委員もおっしゃったように、若干、商業上の契約を、どこまでそれを協定上の義務として定めるのかというところは当然あろうかと思いますので、そのあたりは、妥当な範囲で両国できちんとそれは合意していくというような扱いが大事だろう。そこは若干ニュアンスの違いがあると思います。

笠井委員 要は、質問したのは、どんな待遇でも受け入れろと求めることにはならないですよねと言ったんですが、まさに、何でもかんでもできるという立場ではないということだと思うんです。

 そこで、今ちょっとあったんですが、国際法に基づく待遇について、ラオスとの協定では第五条で注釈という形で付して、このことについての立場を示しておりますが、その注釈というのはカンボジアとの協定にはございません。これは、カンボジアの場合も同じような考えであるということでいいのかどうか。それからまた、今後我が国が予定している中東だとか中央アジアなど、いわゆる資源国との間の協定においても基本的立場は同じということでいいのかどうか、端的にその点をお答えください。

草賀政府参考人 お答え申し上げます。

 注釈の話でございますが、まさに委員おっしゃったとおり、カンボジアとの投資協定におきましては、さらっとその公正公平待遇という規定があるだけでございますが、他方でラオスとの協定には、注釈としてその意味するところというのを四行ほど書き込んでございます。そういう違いはございますが、これは、ラオスとの交渉の過程でラオス側において、解釈を明確にしてほしい、こういうことで要望がごさいましたので、あくまで念のために置いた規定でございまして、ごらんいただけばおわかりのとおり、本文といいますか、条文自体はカンボジアもラオスも同じでございまして、意味するところは全く同じだというふうに思っています。

 それからもう一つ、資源エネルギー国とのEPAとかあるいは投資協定、それをどうするかという点については、これはやはり公平公正な待遇というのはあくまでもきちんと求めていくという点で変わりないと思っています。

笠井委員 そこで大臣、今回、カンボジア、ラオスとの間でそれぞれ協定を結んだわけでありますが、これはもちろんですけれども、カンボジア、ラオスとの間でも、一たん結んだらあとは出ていく企業任せということではなくて、その履行状況については、政府としてもしっかり問題意識を持ってフォローしていくということは当然だと思うんですが、いかがでしょうか。一言お願いします。

高村国務大臣 日本政府としても関心を持って見守っていくということでございます。

笠井委員 見守るということと、適正な形で守られることが必要だと思うので、これはきちっとチェックもいただきたいと思います。

 そこで、今週金曜日に一般質疑ということでもちょっと考えていたのですが、その機会がないようですので、この際、質問しておきたいことがございます。

 山口県にある米海兵隊の岩国基地は、来る五月五日、日米親善デーを行う予定でありますけれども、その中でイベントの内容が発表されました。それで、航空ショーということがあって、その中で、グアムに配備されている米空軍のB52戦略爆撃機が飛来をして、滑走路上空で、約三百メートルの高度で基地上空を飛ぶというふうにされております。

 外務省は今回、B52が飛来することを承知しているでしょうか。いかがですか。

宇野大臣政務官 ただいまの御質問ですが、米軍の航空機の運用につきましては、そのすべてを承知しておるわけではございませんが、過去に、グアム島に常駐しておりましたB52爆撃機が台風避難の目的で嘉手納飛行場等に飛来したものと承知しております。

 一方、平成二年、B52爆撃機のグアムへの恒常的な配備が終了して以降は、このような状況は生じなくなったものと認識しております。

 B52を含め米軍の航空機の我が国への飛来につきましては、日米安保条約及びその関連取り決めを踏まえて対処すべきものと考えております。

笠井委員 私の質問に答えてほしいんですが、今回来ることについて承知しているかと聞いているんです。

西宮政府参考人 お答え申し上げます。

 この日米親善デーにつきまして岩国基地より発表がございまして、そこにございますホームページを参照いたしましたところ、御指摘のB52も含むデータが載っておるという形で承知をした次第でございます。

笠井委員 私もホームページを開いてみましたら、こういうふうに出てくるんですけれども、文字どおり、開くと途端にがんがん音楽が鳴りまして、鳴り物入りで入っております。

 それで、かつて沖縄には、先ほどちょっとありましたけれども、B52部隊が一九六五年に台風避難を名目にして初めて来て、事実上常駐するようになって、ベトナム戦争に飛び立っていきました。一九六八年に墜落事故を起こして、七〇年に部隊が沖縄から撤退をいたしました。しかし、その後も沖縄には、台風避難を理由にして、本土復帰後、一九八九年までに合計三十一回飛来をして、それ以降は二十年近く来なくなった。

 質問ですが、こうしたB52が、復帰後、沖縄以外に飛来したことがあるか、これまで岩国基地に来たことがあるか、それについていかがですか。

西宮政府参考人 先ほど答弁がございましたけれども、基本的に、過去に、グアム島にいたB52が台風避難の目的で嘉手納飛行場などに時折飛来していたということですが、私ども承知している限り、平成二年、九〇年ですか、B52のグアムへの恒常的な配備が終了して以来、このような状況は生じなくなったものと認識しておる次第でございます。

笠井委員 沖縄復帰後についてはどうですか。これまではないんですね。

西宮政府参考人 申しわけございません、手元の資料では判明いたしません。承知しておりません。

笠井委員 ないということだと思うんですけれども、これは平成二年の参議院内閣委員会では、外務省は、「条約上の義務の履行という観点ではなくて、我が国国民の感情に配慮するという趣旨で事前の通告ということを行ってまいりました」ということを言っていまして、だから、そういうふうにやってきたけれども、結局、通告もなければ、ないということなんですね、そういうことになると。

 B52といえば、米空軍の大型戦略爆撃機で、初飛行から五十年以上たっておりますけれども、今日も米軍の第一線で飛んでおります。核爆弾を搭載して攻撃できるという戦略爆撃機でありますけれども、だから政府も国民感情を配慮というふうにさんざん言ってきた経過があります。

 それが今度岩国基地にやってくるということでありますが、しかも被爆地広島のすぐそばにやってくるということでありますが、大臣、こんなことを日本政府として、承知している以上、結構ですよと言っていいんでしょうか。いかがですか。

高村国務大臣 米軍が岩国飛行場において例年実施している基地開放日の航空ショー等は、毎年多くの方が観覧される日米の友好親善を目的とした行事でありまして、米軍が地元自治体と連絡をとりながら実施しているものと承知をしております。

 このような状況を踏まえ、外務省としては、B52爆撃機が今般の岩国飛行場での航空ショーへの参加のために我が国に飛来することについては、地元の話をよく聞いてみたいと思います。国民感情としても、地元の方たちの感情は、来ることについてどうなのか、よく聞いてみたい、こういうふうに思っております。

笠井委員 これは長い経過があって、会議録もずっとあります。それで、国民感情ということで政府としてたびたび言ってきた問題なんですね。その問題は非常に重大な問題なんです。

 しかも、かつて、一九六六年にスペインで、六八年にはグリーンランドで核爆撃機の墜落事故、B52は相次いできた経過が歴史的にある。これは遠い過去にとどまらないんです。昨年九月にB52が、本来取り外すべき核弾頭ミサイル六個を搭載したまま、過って米本土を二千キロとにかく移動したことが判明したというのは記憶に新しいです。国防総省の報道官が、このミスは国防長官にも直ちに報告をされて、ブッシュ大統領にも通知されたというふうに説明して、大問題になりました。

 今回、こういう経過の中で来るということなんですけれども、核兵器搭載の有無を確認もしない、それでオーケー、こういうふうになりますか。地元の意見を聞くとありましたが、日本政府として、これはアメリカとの関係で重大な問題ですが、どうですか。

高村国務大臣 核兵器は当然搭載していないと承知をしております。

笠井委員 なぜそういうことが言えるのか、確かめもしないで。これはいつも事前協議だとかと言いますけれども、結局、ないから積んでいないんだという話になるけれども、密約の絡みがある。しかも、こういう形で、ミスということも含めて載っていたという話も出ているわけです。これはどうして積んでいないと確信できるんですか。

高村国務大臣 今委員みずから答えをおっしゃったように、事前協議もありませんし、積んでいないということでございます。

笠井委員 そういうことでは納得しないんです、この間の長い経過があります。そして、アメリカはNCNDということで、そういう政策をとっている中でこういうことをやってきて、そのことがずっと問題になってきた。

 しかも、この岩国基地の日米親善デーのホームページを見ますと、こんな宣伝文句になっています。「岩国の上空は、その持てるもの全てを見せながらこの世で最も優れた航空機で光輝きます。ジェット、ヘリコプター、エアロバティック、そして時代物などの航空機が頭上に轟音を響かせるでしょう。下記は予定されているものの一部ですが、」ということで、ずっと航空機が書いてありまして、「五月五日にご注目あれ。更なる楽しみが待っています。」と。私、これを読みまして、そんなことで核兵器搭載可能な戦略爆撃機がやってくる。私もすぐ県境向かいの広島の被爆二世でありますけれども、被爆者、被爆国民にとっては耐えがたい話だというふうに思うんです。

 ここは大事な点なんですが、さっき地元ということも言われましたが、かつて昭和四十七年、一九七二年に当時の大平外相は、インガソル在京米大使に対して、国民感情の上で、B52の本邦飛来は、台風避難等真にやむを得ない場合に限定するように申し入れているということがありました。それに対して米側も、台風避難その他緊急事態を避ける場合のみに厳重に限定すると言ってきて、現在もそれが守られている、政府としては引き続きそうした確認を維持していくということを答弁しております。これは国会答弁です。

 そこで、高村大臣、さっき地元の意見をまず聞くと言われましたけれども、日米の長い関係がある、日本国民との関係がある、国会の審議がありました。私たちは、台風避難でもやってきたらいいなんて思っていませんが、しかし、少なくとも政府はそう言ってきたわけで、そして台風避難でもやらなくなったわけです。それを、少なくとも真にやむを得ない場合というふうに言ってきて、日米間で約束を守ってきたと言うんですから、今度は航空ショーで来るんですから、これぐらいは毅然として、やめるべきだ、やめてほしいと言えなくて、どうして日本の国の外務大臣かと申し上げたいんですが、いかがですか。

高村国務大臣 その前に、B52に核を積んでいるかどうか。私は、積んでいないことはそれは常識だと思いますよ。日本が非核三原則を持っていることはアメリカもよく知って、航空ショーに来るのにわざわざ核を積んで来るなんということは、常識からいってあり得ないことであります。

 それから、一般的に訓練とかそういったことで来るということについて、それはだめですよということを今まで申し上げてきたわけでありますが、その航空ショーに地元の方たちがどういうふうな考えをしているかということをよく聞いてみたい。これも国民感情でありますから、委員のような感情を持つ国民もおられるかもしれませんが、そうでない、航空ショーでそれに接したいという国民もいるのかいないのか、よく聞いてみたい、こういうふうに思っております。

笠井委員 時間になりましたから終わりますが、常識では通らないという経過が核兵器問題では持ち込みを含めてあるんです。これをやったら、もうずっと何時間もかかってあれですから。幾らでもやりますが。

 しかし同時に、今、大臣はすりかえをされました。航空ショーに対する住民感情と言われました。航空ショーに対してはいろいろあるでしょう、それはたくさんの方が来るという現実はある。それはまた別の問題ですが、B52が来ることについては、国民感情があって、政府はそれに対して、厳格にということで政府なりに言ってきた。にもかかわらず、今回入ることについては何も言わなくていいと。これは、岩国市長選挙の結果で何でもできるとアメリカは思っている、そして、何でもやってのけても構わない、こういうおごりが日米政府にあると言われても仕方がないと私は思います。

 以上をもって終わります。

平沢委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 最初に、日本国とカンボジア王国との間の投資に関する協定について尋ねます。

 同協定は、その第四条において、国と投資家間の契約保護に関する条項を設けるなど、我が国が過去に締結した投資協定及びEPA投資章と比較しても、相手国による投資の自由化度が高いものとなっており、大いに期待されるものと言われております。

 ところで、同協定第十条では腐敗防止の努力義務規定が定められております。同様な規定は、ラオスとの投資協定第十条でも定められております。

 我が国がこれまでに締結した投資協定にはない、初めてのこのような規定が盛り込まれた背景事情や経緯について尋ねたいと思います。

宇野大臣政務官 投資家の投資活動保護を促進するための投資協定を交渉するに当たりましては、これまでもその内容の向上に努めてきております。しかしながら、日本企業が投資を行う上での大きな阻害要因となる現地公務員等による汚職行為の防止も重要であると考えております。

 このために、日本・カンボジア投資協定及び日本・ラオス投資協定の交渉におきまして、日本側から汚職防止努力義務規定を置くことを提案させていただきました。両国政府間の協議の結果、投資協定においては初めて同協定が盛り込まれたということでございます。

 なお、同様の汚職防止努力義務につきましては、日本・フィリピン経済連携協定、同じく日本・タイ連携協定及び日本・インドネシア連携協定の総則章においても、交渉の結果、EPAの投資章を含む協定全体に係る義務として規定されており、EPAにつきましても同様の例があるということでございます。

照屋委員 先ほど武正委員が質問しておりましたが、同協定第十条の腐敗防止の努力義務規定を担保するためのカンボジアにおける関係法令が未整備ではないか、民法や汚職防止法等の重要関連法が制定されていないんではないか、こういう御質問がございました。

 関連して、関係法令が未整備であれば、これが整備される見通し等について政府はどのように考えておられるんでしょうか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 カンボジア政府は、みずからの開発戦略におきまして、グッドガバナンスの向上を最優先課題に掲げております。その中で、汚職撲滅に取り組んでおります。このような取り組みの一環としまして、カンボジアは、二〇〇七年九月に腐敗の防止に関する国際連合条約に加入したわけでございます。また、現在、汚職防止について国内の関連法令の整備を進めております。

 具体的には、刑事訴訟法は公布され、施行されております。刑法及び汚職防止法につきましては、現在策定中と承知しております。我が国としては、こうしたカンボジア政府による汚職撲滅を含むガバナンスの向上努力、まさにその国内関連法令の整備も含めまして、そうした努力を支援するために、さまざまな技術協力を行ってきております。具体的には、民法あるいは民事訴訟法の起草に当たりまして、日本は技術協力をしてきております。この結果、民法、民事訴訟法でございますが、これはその公布をされたということでございます。

 また、本協定の二十三条におきましては、合同委員会ということが規定されております。まさに協定に書かれましたこの合同委員会におきまして、必要に応じまして、汚職対策の重要性について今後カンボジア側にも指摘していきたいと考えております。

照屋委員 次に、投資財産の収用及び補償に関連して尋ねます。

 カンボジアとの投資協定第十二条では、(a)から(d)までの場合を除くほか、「自国の区域内にある他方の締約国の投資家の投資財産の収用若しくは国有化又はこれに対する収用若しくは国有化と同等の措置を実施してはならない。」と定めてあります。これまた同様の規定がラオスとの投資協定にもございます。同条(a)から(d)の要件を満たし、投資財産の収用もしくは国有化が可能となる具体的なケースとして、どのようなことが想定されるんでしょうか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 日・カンボジア投資協定のみならず、我が国がこれまでに締結した二国間の投資協定におきましては、公共の目的であること等の要件が満たされない限り、自国の区域内にある他方の締約国の投資家の投資財産の収用または国有化を行ってはならない旨の規定が置かれております。

 お尋ねのございました投資財産の収用もしくは国有化を可能とする具体的なケースでございますが、例えば、道路や水道の建設、河川の整備といったような場合が想定はされます。

 いずれにいたしましても、本協定の十二条に書かれてありますとおり、まさに、公共の目的、無差別、迅速で適当かつ実効的な補償の支払い等の条件を満たさない限りという条件をつけておりまして、原則こうした収用または国有化は禁止だということで定めておりますので、そういう形で御理解をいただければと思います。

照屋委員 カンボジアとの投資協定第十三条には、投資家及び投資財産の争乱からの保護が定められております。保護責任を有する主体は一方の締約国となっておりますが、なぜ投資先の個別企業ではないのでしょうか。

 また、革命や暴動などを原状回復、損害賠償などの対象にしていますが、そもそも、革命や暴動などによる政権の交代によって本協定の効力そのものに影響を及ぼすことになるのではないでしょうか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 カンボジアは、国際社会との協調を重視しつつ、安定的な社会経済発展を目指して国家開発を進めてきております。お尋ねのような不正常な形で政府に変更が生じる可能性は、現時点では極めて低いと考えておりますが、その上で、一般論を申し上げれば、仮に革命や暴動が発生して政権が交代した場合でも、国家自体が存続している場合には、一般的に、国際関係における法的安定性を重視するとの観点から、当該国家は従来どおり国際法上の権利義務を保持するものと承知しております。

 したがいまして、本協定の締結を含めまして、政権が交代する前の政府がカンボジアという国家を代表して行った法律行為は、政権が交代した後も依然として法的に有効であり、協定の締約国はその協定上の義務を引き続き負うことになると考えております。

照屋委員 私が尋ねた保護責任を有する主体が投資先の企業ではなく国であるということについては、どういう理由でしょうか。

小原政府参考人 この協定は、日本とカンボジア両政府の協定でございまして、両政府の義務、責任等を定めたものでございますので、そうした観点から政府として保護をするということでございますので、そういうふうに御理解いただければと思います。

照屋委員 次に、日本国とラオス人民共和国との間の投資に関する協定について尋ねます。

 ラオスは、アジアで最も貧しい国だと言われております。ラオスへの我が国のODAは最も多いようですが、日本からのラオスへの投資額は世界で七番目となっております。日本企業にとっては、中国投資に対するリスクの分散や、隣国タイの四分の一程度という労働賃金が魅力になっておるようです。

 日本からの企業進出の増加、投資の増大に伴う現地経済、特に、労働者の権利の制約あるいは鉱山開発事業への投資増大による高地で生活する少数民族への生活圧迫、深刻な環境破壊への影響等について、政府はどのようにお考えでしょうか。

宇野大臣政務官 ラオスの協定の関係でございますが、日本企業がラオスに進出することによりまして、ラオス国内の労働者の雇用機会がふえ、技術の習得や所得の向上が進み、現地経済が底上げされることが期待されるわけでございます。実際にラオスに投資をしております日本企業の中には、地域住民を多く雇用し、歓迎されている例があると聞いております。

 その一方、我が国といたしましては、いたずらに経済的利益のみを追求するのではなく、ラオスがバランスがとれた自立的、持続的な経済成長を実現するためのラオスによる自助努力を、ODAを通じて引き続き支援してまいる所存でございます。

照屋委員 最後に、ラオスについては、安価な労働力や安定した社会情勢が投資意欲の増大につながっておるようです。日本とラオス間の投資協定におけるラオス側の留保事項が不特定で多岐にわたっている問題については、武正委員から御質問がございましたので省きますが、日本からの企業進出へ向けてのラオスのインフラ整備支援についての政府の考えをお示しください。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 ラオスにつきましては、一昨年の九月に対ラオス国別援助計画というのを策定いたしまして、投資・輸出促進のための環境整備や民間セクター強化のための人材育成といった支援と並びまして、社会経済インフラ整備及び既存インフラの有効活用というものを挙げております。

 この投資増大に向けたインフラ整備案件としては、ベトナムとタイを結ぶ東西回廊沿いに位置する国道九号線の改修及び第二メコン国際架橋の建設、さらには、首都ビエンチャンからラオス中南部をつなぐメコン地域電力ネットワークの整備、こういったことを行ってきております。

照屋委員 終わります。

平沢委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都、千九百九十八年ミネアポリス及び二千二年マラケシュ)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全権委員会議(二千六年アンタルヤ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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