衆議院

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第17号 平成21年6月19日(金曜日)

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平成二十一年六月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 河野 太郎君

   理事 松島みどり君 理事 松浪健四郎君

   理事 三原 朝彦君 理事 山中あき子君

   理事 近藤 昭一君 理事 武正 公一君

   理事 伊藤  渉君

      安次富 修君    猪口 邦子君

      小野 次郎君    木原  稔君

      柴山 昌彦君    鈴木 馨祐君

      中山 泰秀君    西村 康稔君

      御法川信英君    山内 康一君

      山口 泰明君    篠原  孝君

      鉢呂 吉雄君    松原  仁君

      丸谷 佳織君    笠井  亮君

      保坂 展人君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   内閣官房副長官      松本  純君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   外務大臣政務官      西村 康稔君

   外務大臣政務官      御法川信英君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高田 稔久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  山本 条太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 西村 泰彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 高宅  茂君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       杉山 晋輔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小田 克起君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 北野  充君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   木下 康司君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   中尾 武彦君

   政府参考人

   (気象庁予報部長)    羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森谷  賢君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   枡田 一彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     安次富 修君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     木原  稔君

  保坂 展人君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

六月十八日

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

河野委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長河相周夫君、大臣官房地球規模課題審議官杉山晋輔君、大臣官房審議官廣木重之君、大臣官房審議官小田克起君、大臣官房審議官北野充君、大臣官房参事官小原雅博君、北米局長梅本和義君、中東アフリカ局長鈴木敏郎君、内閣官房内閣審議官高田稔久君、内閣参事官山本条太君、内閣参事官鎌形浩史君、警察庁長官官房審議官西村泰彦君、刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、法務省大臣官房審議官高宅茂君、財務省主計局次長木下康司君、国際局次長中尾武彦君、気象庁予報部長羽鳥光彦君、海上保安庁次長鈴木久泰君、環境省大臣官房審議官森谷賢君、防衛省防衛参事官枡田一彦君、防衛政策局次長松本隆太郎君、運用企画局長徳地秀士君、地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安次富修君。

安次富委員 おはようございます。

 きょうも外務委員会の先生方の御配慮でこの外務委員会で質問できることを大変光栄に思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問をさせていただきます。

 まず、北朝鮮問題でございますが、北朝鮮がミサイルを発射する兆候があると言われておりますし、ミサイル発射基地と見られる施設に頻繁に貨物が出入りしているとのことで、非常に憂慮しており、また、さきの安保理制裁決議に対する明確な反発行為であり、このような行為は決して許してはならないと思うわけであります。また、北朝鮮が再び航行警報を発表したとされますし、今回は三発のミサイルを発射するとか、私の沖縄方面も選択肢にあるとか、いろいろ言われておりますが、外務省が現時点でどのような把握をしているかをお聞かせください。

 また、きょうのニュースで、米軍が二十四時間体制で追跡をしているカンナム号と見られる北朝鮮の船舶が武器を積んでいると思われる。このようなことに対して、外務省はまたどのような情報をつかんでいるのかお聞かせください。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 北朝鮮は、四月二十九日の外務省スポークスマン声明において核実験及び大陸間弾道ミサイル発射を行う旨立場を表明した後、五月二十五日に実際に核実験を実施、また六月十三日の外務省声明において、米国とその追従勢力が封鎖を試みた場合、戦争行為とみなし、断固軍事的に対応するなどとしており、こうした動きを踏まえれば、弾道ミサイル発射実験を行う可能性は否定できないものと考えております。

 政府といたしましては、平素より、国民の安全、安心を確保する観点から、万全の体制をとるよう全力を尽くしているところでありまして、その一環として、まさにさまざまな情報収集を行っております。我が国及び国民の安全に直接影響を与えるおそれがあるような場合には、内閣官房を中心に検討が行われ、必要な情報は明らかにされていくものと考えております。

 いずれにいたしましても、今般採択されました国連安保理決議一八七四号は、核実験とともに弾道ミサイル技術を使用するいかなる発射も北朝鮮が行うことを禁止しており、北朝鮮が弾道ミサイル発射を行わないように強く求めてまいります。

 政府といたしましては、北朝鮮が地域の緊張を高めるようないかなる言動も控え、六者会合に復帰し、六者会合の共同声明の完全実施に向けて前進することが北朝鮮自身の利益であるとも考えており、引き続き米国や韓国を初めとする関係国と緊密に連携していく考えでございます。

 御質問の、いろいろな報道があることも承知しております。しかしながら、報道されている内容であっても、政府として今ここで認めるということは我が国の情報収集能力を明らかにすることになり、北朝鮮を利するということにもなりかねません。また、その相手国との関係で今後の情報共有に支障を来すおそれがあることから、直接のことについて差し控えることが適当であるということは御理解願いたいと思います。

安次富委員 できる限りの情報を速やかに公開して、国民にいささかも不安を与えないということが大事だと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。

 さらに北朝鮮問題。先日二回目の核実験を強行した北朝鮮に対し、核開発並びに長距離弾道ミサイルの開発の即時中止を求める安保理制裁決議が多少の時間はかかりながらも採択され、より強い、実効性のある制裁が可能になりました。

 先日の米韓首脳会談でも、オバマ大統領は、好戦的な行動をとり、食料や燃料を得ることを期待してきた北朝鮮に対し、我々が送るメッセージはこうしたパターンを壊そうというものだと述べ、これまでの北朝鮮の方針の転換が示され、今後は北朝鮮に対して今までにない強い姿勢で臨むことになると思われるわけでありますが、このような状況下、北朝鮮を除く五カ国でしっかりと協調して北に対峙していかなければならないと考えます。

 特に、北朝鮮の交易の最大相手国である中国がしっかりと制裁を実行するかが非常に重要で、とかく北朝鮮を擁護しようとする印象のある中国がきちんと制裁を行っているか、日本としてもしっかり確認していくべきだと思います。

 言うまでもなく、今後の対応は日本一国のみでなし得るものではなく、特に米、韓、中、ロといった六者会合のメンバーを初め近隣諸国と協調していく必要があるわけでございますが、北東アジア地域の非核化、平和と安定を実現していく上で、日本の果たすべき役割とはどういうものであるかということを改めて問いたいと思っております。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 十三日に全会一致で採択された国連安保理決議第一八七四号は、二〇〇六年の前回核実験を受けた決議第一七一八号で定められた北朝鮮に対する制裁措置の強化に加え、武器禁輸、貨物検査、金融面での措置などにおいて強い内容が盛り込まれています。これにより、北朝鮮に対して挑発行為はみずからに不利益をもたらすだけであるということをしっかりと示す強い決議になったと考えております。

 先生御指摘のとおり、本決議を真に実効性あるものにするためには、本決議に基づく措置を各加盟国が着実に実施することが不可欠でございます。我が国としても、関係国と緊密に連携しつつ、本決議を実効あらしめるよう、適切な対応を早急に行う考えでございます。

 ただいま先生の方から御指摘がございました中国についてでございますが、中国も今回の北朝鮮の核実験を強く批判、非難しておりまして、北朝鮮による核、ミサイル、大量破壊兵器の開発、拡散についても我が国と懸念を共有しております。今回の決議は、中国も含めた全会一致で採択されたものでございます。中国も安保理の関連決議を真摯に実行していくというふうに表明してございますので、こういったことも考えまして、日本としては関係国との緊密な連携を今後とも図っていきたいと考えております。

安次富委員 次に、米韓首脳会談についてさらにお聞きをいたします。

 米韓の安全保障関係、同盟関係は、在韓米軍が朝鮮半島の抑止力としていく上で重要なものであり、また三十八度線で北朝鮮と対面している韓国にとって、また日本海で接している日本にとって安全保障上大きな役割があると思います。さらに、最近の報道によりますと、北朝鮮は日本を攻撃対象として考えていると米下院での公聴会での証言があったとも聞いておりますので、ますます米韓安保体制の意義というものが日本にとっても重要になってくると思うわけでありますが、この米韓安保体制の日本にとっての意義についてお聞かせください。

伊藤副大臣 先ほどの質問の後段のところも少し補足しながら話したいと思いますけれども、委員御指摘のとおり、この問題の解決に当たっては、国際社会の連携というものが必要不可欠であり、中国の役割というものも非常に大きいわけであります。

 今回の核実験のあった直後についても、中曽根大臣が柳明桓外交通商部長官と会談するとともに、クリントン長官との間でも電話会談を行って、また中国を含むいろいろな関係の大臣等とも会談あるいは意見交換を行っているわけであります。

 そこで、米韓首脳会談の意義、またその状況についてということでございますが、十六日に行われた米韓首脳会談においては、オバマ大統領は、核の傘を含む抑止力の拡大を通じて韓国の安全保障を確保することに対して確固たるコミットメントを改めて確認し、その後、会談後発表された米韓同盟に関する共同ビジョンにも同様の内容が明記されていると承知しております。オバマ大統領は、五月二十六日に行われた麻生総理との電話会談においても、核の傘を含む米国の拡大抑止に関するコミットメントを改めて確認しているところでございます。

 日韓両国はともに米国の同盟国でありまして、北朝鮮による核実験が行われた現時点で、核の傘を含む拡大抑止に関するコミットメントが改めて確認されたことは、米国との同盟関係の信頼性を確認する上で大いに意義があることと考えております。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、北朝鮮をめぐる問題の解決には、日米韓の連携、そして国際社会全体の連携が必要でありまして、地域の平和と安全のために、引き続き、日米韓を初めとして、国際社会で緊密に連携しながら、北朝鮮のこのような行為が繰り返されないように最大限の外交努力をしていく、そういう考えでございます。

安次富委員 半島の地政学というのがございまして、半島の地政学に日本も影響されるということが歴史的にもあるわけでありまして、ですから、私はこの米韓の安全保障体制というものに非常に関心を持っているわけであります。

 そして、さらに関心を持っておりますのは、在韓米軍の問題であります。その在韓米軍の削減、トランスフォーメーションは、在日米軍、そしてその在日米軍の多くを抱える私の沖縄にとっても非常に大きな影響があると考えております。

 米韓の関係は、このように日本の外交防衛上極めて大きな問題でありますが、今回、米韓の関係性がより強固になったのか、韓国国内における核保有論議の高まりを受けたと報じられておりますが、核の傘が初めて公式文書に盛り込まれた意義はどのようなものか、聞かせていただきたいと思います。

 また、盧武鉉前大統領から李明博大統領になって両国関係がどう変化したのか、そして今後の展望はどうなっているのか。特に、この在韓米軍に対しては、盧武鉉政権から李明博政権は百八十度転換しております。米韓同盟における作戦統制権の移譲はどうなっているのか。この在韓米軍のことについてお聞かせください。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 十六日に行われました米韓首脳会談におきましては、オバマ米大統領は、核の傘を含む抑止力の拡大を通じて韓国の安全保障を確保することに対しまして確固たるコミットメントを改めて確認いたしまして、その後、会談後に発表された米韓同盟に関する共同ビジョンにも同様の内容が明記されていると承知しております。オバマ大統領は、五月二十六日に行われました麻生総理との電話会談でも、核の傘を含む米国の拡大抑止に関するコミットメントを改めて確認しております。

 日韓両国はともに米国の同盟国でございます。北朝鮮による核実験が行われた現時点で、核の傘を含む拡大抑止に関するコミットメントが改めて確認されたことは、アメリカとの同盟関係の信頼性を確認する上でも大いに意義があると考えております。

 在韓米軍の再編についての御質問がございました。これにつきましては、二〇〇四年に、三万七千人の在韓米軍を二〇〇八年末までに二万五千人に削減することで合意がございましたが、二〇〇八年四月の米韓首脳会談におきましては、在韓米軍を当時の水準でありました二万八千五百人に維持することで合意したものと承知しております。

 また、戦時作戦統制権につきましては、二〇〇七年二月の米韓国防相会談におきまして、二〇一二年四月十七日に米韓連合軍司令部を解散して、同時に米軍と韓国軍間の新たな指揮関係に転換することに合意をいたしましたが、その後、二〇〇七年六月に合意された転換に向けた戦略的履行計画に従って準備が進められているものと承知しております。

安次富委員 在韓米軍、そして在日米軍、そして在沖海兵隊、この米軍のプレゼンスが今起こっている北朝鮮の問題等々に非常に重要な役割をしてくると思っておりますので、引き続き情報をまた提供していただきたいと思っております。

 次に、自民党内では、先ごろから防衛大綱の改定をめぐりさまざまな議論が展開をされてきました。その中で、予防的先制攻撃に関しても議論があり、国際法上でも違法である、予防的先制攻撃をしないということを明文化すべきかどうかという議論もあったわけでありますが、私は、軍事的オプションとしてはいろいろな議論があっていいと思いますが、やはり外務委員会、また外務省は、唯一の被爆国として、外交手段をもってアジアの平和と安全保障に寄与していくべきであると思っております。

 改めて、平和外交に対する日本の意思をこの際しっかりと示すべきときに来ていると思っておりますが、そういう点につきまして、いま一度外務省の決意を聞かせていただきたいと思います。

伊藤副大臣 アジア太平洋地域には、依然として不安定で不確実な状況や核戦力を含む大規模な軍事力が存在しているわけであります。北朝鮮による核実験、北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイルの能力を増強していることとあわせて考えますと、これは我が国の安全に対する重大な脅威であると思います。そしてまた、それと同時に、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく害するものということで、断じて容認できないというふうに考えております。

 我が国としては、今後とも、米国を初めとする関係国と緊密に連携しながら、北朝鮮側から諸懸案の解決に向けた具体的な行動を引き出すべく最大限の外交努力をしていくという考えでございます。

安次富委員 ぜひ、外務省がやはりしっかり外交努力をしていく。城山三郎の「落日燃ゆ」、広田弘毅の外交官としての生きざまが描かれておりますけれども、そういう覚悟、意気をいま一度、外務省の職員一人一人が胸に手を当ててしっかり頑張っていただきたいと思っております。

 次に、委員のお手元にも資料をお配りさせていただいておりますが、沖縄県金武町伊芸区で発生いたしました流弾事件に関しまして、金武町議会がさきおとといの十六日、米軍演習による流弾事件に対する抗議決議、要請決議、意見書を全会一致で採決しております。

 この件に関しましては、米軍の調査報告と警察の捜査が食い違い、先日は、四月中旬の協議の場などにおいて、沖縄県警察が十二月十日である旨を説明し、米軍側の理解を得たと当外務委員会でも答弁がなされておりますが、日本の事件においては、米軍の報告書がどうであれ、日本の警官が責任と威信をかけて当たるべきでありますし、そのためのあらゆる努力を傾注すべきだと思っております。

 この種の事件が起きるたびに沖縄県民の感情を刺激し、そしてアメリカ側に遠慮して事件の真相が解明されないんじゃないかという不安があるわけであります。事件があっても、しっかり適正に処罰されていく、処罰をしていくというようなことでなければならないと思いますが、そういう決意を県民、国民に示してもらいたいと思っております。

 特に、警察庁の西村審議官は沖縄県警本部長もされていたわけでありますから、沖縄県民の気持ちはよく御存じであるはずでございます。きちんと捜査して、またその進捗や結果を透明にしてもらう、そういったことで信頼を築いていかなければならないと思うわけでありますが、日本の警察の毅然とした対応をお願いいたします。このことについてお聞かせください。

西村政府参考人 沖縄県警察におきましては、これまでも、この事件の概要や弾心の鑑定結果等について積極的に広報しておりまして、また、御指摘の事件発生日の認識の違いにつきましても、警察から米側に指摘した旨を広報したところであります。

 沖縄県警察におきましては、今後とも、米軍の協力を得ながら、真相解明に向け所要の捜査を進めていくものと承知しておりまして、その中で、本事件に関し、可能な範囲で積極的に広報に努めていくものと認識しております。

安次富委員 事件や事故が起こるたびごとに、日米地位協定の壁であるとか、米軍のフェンスの向こう側とこちら側ということで、事件が解明されない、また透明性が確保されないということでのもどかしさといいますか、矛盾といいますか、憤りといいますか、そういうのが常にあるわけです。

 ですから、日本の国内、基地の中でしたらまだいろいろなことがあるかもしれませんけれども、基地の外で起こったことに対しましては、これはやはり日本の警察権をもってして、しっかりと捜査していただきたいということを強く要望いたします。答弁は結構でございます。

 続きまして、外務省沖縄担当大使についてお聞きをいたします。

 きのうのことですが、沖縄では沖縄担当大使交代レセプションが開催されました。今井前大使から、今般、八代目の沖縄担当大使として樽井澄夫氏に交代されて、きのうは橋本聖子外務副大臣も御出席いただいたと聞き及んでおります。

 そこで、まず外務省沖縄大使の目的と役割をいま一度国民の皆さんに聞かせていただきたいと思います。

伊藤副大臣 言うまでもなく、外務省の沖縄大使は、日本の外交上また防衛政策上極めて重要な沖縄、そしてまた沖縄県民の立場に立って、必要な懸案をまさに主体的に解決していく、そのために外交上も最大の努力をする、そういう重大な役目だというふうに認識しております。

安次富委員 もう少し詳しくお聞きしたいんですけれども、私はきのう衆議院の本会議があってレセプションには出席できなかったんですが、樽井新大使に向けては、沖縄県民の声に耳を傾け、県民の輪に溶け込んでいただき、地域社会の信頼される一員となり、沖縄の抱える問題、課題の解決に真剣に取り組んでいただきたいというメッセージを送らせていただきました。

 沖縄担当大使は、単なる外務省の出先機関として政府の側の立場に立つのではなく、唯一の地上戦を経験し、いまだに負担や重荷に苦しんでいる沖縄の歴史と、複雑な感情を持つ沖縄県民の県民性、立場に立って、むしろ沖縄県民の気持ちを酌み取って、逆に政府に伝えるという意識を持っていただきたい。はっきり言わせていただくと、沖縄担当大使というのはむしろ沖縄側に立ってもらいたいということを、新しく大使がかわった節目に際して、外務省の見解を聞かせていただきたいと思います。

伊藤副大臣 お答え申し上げます。

 六月九日に、今井正大使にかわり樽井澄夫大使が八代目の沖縄担当大使となりまして、昨日十八日、橋本外務副大臣の主催により、仲井眞知事を初め、沖縄各界の指導者の皆様の御来臨を賜り、交代式をとり行ったわけでございます。

 委員御指摘のとおり、この沖縄担当大使というのは、多数の米軍が駐留するこの沖縄で、地元の方々のお考えというものをしっかり受けとめて、地元と在沖縄米軍等との対話の維持促進を支援する。そしてまた、おっしゃるとおり、やはり県民の気持ちを受けとめる、そしてそれをしっかり大使の職責において果たしていくということが重要だろうと思います。また、沖縄担当大使は、定期的に上京し、軸足を沖縄に置いている、そういう立場から、政府のハイレベルに対して報告を行って、また意見をするということが重要だと思っています。

 その場において、きのうの様子ですけれども、橋本外務副大臣からは、米軍の抑止力を維持しつつ沖縄県民の方々の過重な御負担を軽減していくことが政府の基本的な政策であるということを述べた上で、普天間飛行場の移設、返還、在沖縄海兵隊のグアム移転、嘉手納以南の施設・区域の返還を含む二〇〇六年五月のロードマップに基づく米軍再編を、仲井眞知事を初め地元の皆様と引き続き緊密に協力していきたい、これを実現していこうということを申し上げたところでございます。また、在沖縄米軍という視点に加えて、外務省ならではの、よりすそ野の広い協力関係を築きたいということも申し上げたところでございます。

 先般、二〇一〇年のAPEC電気通信・情報産業大臣会合の沖縄開催が決定いたしました。こうした沖縄での国際会議の開催、自治体や各種団体が行っておられる国際交流活動等の支援等もより積極的に行ってまいりたいと思います。

 以上申し上げた観点から、樽井新大使も、沖縄担当大使として、沖縄県民の立場によく立って、むしろその立場に立って職責をしっかり果たしていく考えであり、この場をかりて貴委員を初めとして沖縄の皆様の御支援と御協力をよろしくお願いしたいと思います。

安次富委員 中国大使の宮本さんも沖縄大使でありました。歴代の沖縄大使に敬意を表し、そして、樽井新大使、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 次に、北方四島、尖閣諸島、竹島その他国境地域に関する天気予報について、提言と質問をさせていただきます。

 私は、啓蒙活動の一つとして、当然固有の領土と言っている尖閣や北方、国後、択捉、歯舞、色丹は、毎日、毎朝毎晩、一地方として天気予報に乗せたらどうかと思っております。国後地方、本日、雨後曇り、降水確率四〇%とか、尖閣諸島、本日、雨後晴れ、降水確率五〇%とか三〇%とか。これを、毎日、NHKを初め民放各局また新聞すべてにおいて、当たり前の固有の領土と言っているわけですから、当たり前のように天気予報でこの地方を流すことによって、国民への啓蒙活動、そして、領土問題の解決に寄与していくものだと私は思っておりますが、きょうは気象庁ですか、この点について聞かせていただきたいと思います。

 それと、気象無線ファクスというシステムがあり、北方四島に現在住んでおられる住民が北方四島の気象情報を日本の天気予報として受信できるようになるんじゃないか、大きくジャパンの文字をつけてできるんじゃないかというふうなことも聞いておりますけれども、この毎日の、毎朝毎晩、北方四島を初め尖閣も、固有の領土と言われているところの天気予報を流すということと、何とか、北方四島に住んでおられる方々にお天気の情報を提供するということが可能かどうか、聞かせてください。

羽鳥政府参考人 お答え申し上げます。

 天気予報につきましては、都道府県を幾つかの区域に分割して発表しています。区域の名前につきましては、地元の自治体の要望、あるいは報道機関の意見を聞いて定めているところでございます。

 先生御指摘の、北方四島につきましては根室地方、竹島については隠岐、尖閣諸島については石垣島地方に含めて、それぞれ天気予報を一日三回発表しているところです。

 また、先ほどの無線ファクスの話でございますが、これにつきましては、漁船とか船舶向けの無線でございまして、これによって、北方四島等も含むアジア太平洋地域の実況の天気図あるいは予想天気図を二十四時間発表してございます。

安次富委員 北方四島も根室から遠いんですよね、それから尖閣も石垣から遠いものですから、やはり個別に天気予報をやる必要がある。そのことによって領土問題の解決や啓蒙活動にもなるということを、ぜひ御検討いただきたいと思っております。

 今大臣がいらっしゃいましたので、最後の質問をさせていただきます。

 ことしも、来週の六月二十三日には、沖縄戦で亡くなられた方々のみたまを慰める沖縄全戦没者慰霊祭が、あの激戦の地であった沖縄本島南部の摩文仁が丘において行われます。二度と悲惨な戦争を起こしてはならない、巻き込まれてもならない。北朝鮮の問題や、イラン、イラク、アフガニスタン等、世界の情勢が厳しい今こそ、世界に発信する日本の平和外交が求められていると思っております。

 その日は、「平和のいのり」と題して、沖縄県の大里北小学校の六年生の比屋根憲太君の詩も朗読されるわけでありますが、時間がありませんので、最後のところだけ読ませていただきます。皆さんにもお手元にお配りしてあります。「こんなおだやかな沖縄に 戦争は似合わない 祖母のくしゃくしゃな涙も 似合わない そんな祖母はもう今は歩くことが できない」

河野委員長 安次富君、質問時間は終わっております。手短にしてください。

安次富委員 わかりました。

 という詩を皆さんにお配りしてございますので、外務大臣として、改めて、平和への思い、外交とは何ぞや、沖縄県民へのメッセージをお願いいたします。

河野委員長 申し合わせで、質問時間終了後の答弁者の答弁は求めないことになっております。

 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 では、引き続き、質問させていただきます。

 国連広報センター東京事務所に関することであります。UNIC東京であります。

 この事務所における預けがありまして、この不正な経理は、外務委員長の調査あるいは保坂議員の調査、質問によって、少なくとも平成十三年四月まで国連広報センターが外務省の国連への拠出金の国内送金の受け皿になっていたことが明らかになった、こういうことであります。

 国内送金が国際送金に変更される直前の平成十年から十二年度の三年間、この間の設定されていた支出官レート、また、予算額と拠出額の差額、その差額が国庫に返還されたのか、大蔵省の承認を得て流用されたのか、それとも他の目的に使用されたのかについて、このことがはっきりしておりません。

 外務省は、財務省、会計検査院、取引銀行、UNIC東京、国連本部など関係機関に期限を切って照会し、事実関係を明らかにすべきだと思いますが、そのことについてお伺いをしたいと思います。大臣、いかがでありましょうか。

中曽根国務大臣 国連の分担金を国連広報センター東京事務所を経由いたしまして国連本部に送金しておりましたことに関しましては、今委員が御指摘の点も含めまして、これまでも取引銀行やそれから国連側の協力を得て可能な限りの調査を行ってきておりまして、その結果判明いたしましたことにつきましては、すべて国会での今までの答弁等で明らかにいたしております。

 その上で、外務省といたしましては、御指摘の平成十年度から十二年度につきましては、支出関係文書の保存期間を経過していることなどもありまして、今回の調査に一定の限界がございました。しかし、そういうことも踏まえまして、今後は、説明責任を一層果たすべく、国際連合への分担金また拠出金の支出の概要を三十年間把握できる仕組みを整備していく考えでございます。

近藤(昭)委員 ずっと関係書類が廃棄をされている、それは規定にのっとっているという答えであったわけでありますが、私はなかなかそれには納得できないわけであります。やはり、財務省としても、外務省との関係の中で、今後の予算を組んでいくという中で、そうした資料は残っているはずではないか、私はこういうふうに思うわけであります。

 私は、国民の税金にかかわる問題である、国連といえども、また、今申し上げたように、外務省がずっと外交の場で日本の政府の立場で頑張って活動していくということであれば、やはりここのことはしっかりとはっきりさせていただかなくてはならないと思います。

 きょうのところはそこまでにしておきますが、私は、ぜひこのことはしっかりと明らかにしていただきたいと思います。また取り上げたいと思っております。

 次の問題に参りたいと思います。

 六月の十三日、国連安保理決議一八七四号が全会一致で採択をされた。同決議は、北朝鮮による一回目の核実験を受けて採択された決議第一七一八号で定められた措置に加え、武器禁輸、貨物検査、金融面での措置などに関する内容が含まれている、こういうことになっているわけであります。

 そこで、今回の決議に対する大臣の御所見、また、今後の対北朝鮮外交に対する大臣のお考えを改めてお伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 今委員がお話しされましたように、六月の十三日に、これは日本時間でありますけれども、安保理決議の第一八七四号が採択されたわけでございます。

 北朝鮮は、同日、北朝鮮外務省声明を発出いたしまして、今や核放棄など絶対にあり得ないものになったなどとした上で、プルトニウムの兵器化やウラン濃縮作業を行う旨を表明しておりますけれども、政府といたしましては、北朝鮮が今回の安保理決議一八七四号に明記されておりますような国際社会の声に耳を傾けて、そして、安保理決議の義務、これを履行することが北朝鮮自身の利益になる、そういうふうに考えております。

 北朝鮮が、強硬路線を維持し、さらなる孤立を招く、そういう道ではなくて、諸問題の解決に向けて具体的な行動をとることを改めて我々としては求めたい、そういうふうに思っております。

 また、北朝鮮からそのような具体的な行動を引き出すためには、我が国を含む各国が安保理決議一八七四号、これを着実に実施するために、それぞれが適切な対応を早急にとるということが重要であると考えております。

 また同時に、今回の決議にも明記されておりますけれども、この諸問題の解決は、対話を通じて平和的に行う必要もあるわけでありまして、我が国といたしましても、この対話の扉を閉ざす、そういう考えはございません。引き続いて、対話と圧力のバランスに意を用いながら、北朝鮮をめぐる諸懸案の解決、これはミサイルの問題、また特に拉致の問題もございます。そういう諸懸案の包括的な解決に向けまして、米国や韓国、さらには六者会合、議長国の中国とも緊密な連絡をとり合って最大限の外交努力を行っていく、そういう考えでございます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 対話をする中でしっかりとこの問題を解決していかなくてはならないと、大臣の御決意をお聞かせいただきました。

 以前のこの外務委員会でも、私も質問、また私の考えも述べさせていただきましたけれども、本当にこの東アジアの中で、朝鮮半島に残念ながら不安定な部分がある。私もそこを、その部分を何とか解決していきたい。ただ、それは、軍事的な方法ではなくて、やはり平和的な手段しかあり得ない、こういうふうに主張してまいりました。しかしながら、あの核実験は、本当に国際社会が求めるものと逆行する、また、唯一の被爆国である日本の国会議員として本当に承服しがたい、耐えられない、こういうことを申し上げたわけであります。

 しかし、その観点から見ましても、何としても、北朝鮮がこれ以上の核実験をしない、また、そうした軍事的な手段に万が一訴えるようなことにならないようにする、そのことが重要だと思っております。そういう意味で、さらに北朝鮮が挑発をし続け、国際社会がそれに対抗措置と申しましょうか、どんどんそれがぶつかっていく、そういうふうにならないように、何としても国際社会が一致していかなくてはならないと思っております。

 また、大臣も今お答えをいただいたわけでありますが、私ども日本は憲法九条を持っている、防衛以外で軍事を使うということはあってはならないわけでありますから、私は、引き続き国際社会と粘り強く、一致して包括的なアプローチをしていく、その枠組みをしっかりと立て直していく、そのことが大事だというふうに思っております。

 では、続きまして、この決議は国連憲章第七章への言及を含むいわゆる七章決議でありますが、見落としてはならないことは、本決議が定める措置が、第四十一条に基づき行われると明示的に限定していることだと思います。

 国連憲章第四十一条は、決議に定められた措置に関し、「兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。」こう規定しているわけであります。

 そこで、改めてお伺いをしたいと思うんです。

 十七日のこの委員会で既に大臣は御答弁をされているわけでありますけれども、改めて、この決議、非軍事的な措置を定めたという理解でよろしいのかどうか、大臣から、的確におまとめいただきまして、御答弁をいただければと思います。

中曽根国務大臣 安保理決議一八七四号、これでは、今委員からもお話ありましたけれども、その前文におきまして、安保理が国連憲章第七章、これのもとに行動し、そして、国連憲章第四十一条に基づく措置をとることが述べられているところでございます。この決議に盛り込まれました武器禁輸、貨物検査、また金融面での措置は、国連憲章第四十一条に基づく兵力の使用を伴わない措置、そういうふうに位置づけられているところでございます。

近藤(昭)委員 先般の委員会でも、笠井議員とのやりとりの中であったと思います。兵力を伴わない措置をしていく、非軍事的な措置を定める、こういうことでよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 そのとおりでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 この前の質問にも関係してくることでありますけれども、目的は、とにかく平和な安定した社会をつくっていく、そこで日本がリーダーシップを発揮していくということであります。大臣におかれましては、しっかりとお取り組みをいただきたいと思うわけであります。

 ところで、十六日付ニューヨーク・タイムズの記事によりますと、武器や核関連物質を積んでいる疑いのある北朝鮮船舶に対して、貨物検査の実施許可を求めるよう米政府が近く海軍に命じる方針だと報じているわけであります。同記事によると、検査が拒否された場合は、決議に基づき、強制的な乗船は控え、最寄りの港まで船舶を追跡するということであります。この件に関して日本政府としてはどのような情報をお持ちか、お示しをいただきたいと思います。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道については、私どもも承知しております。

 他方、オバマ大統領は、十六日の会見において、貨物検査に関しまして、これをいかにして実施するか、これを実施するに当たり関係国の協力をいかにして追求するかについては、米国、韓国、中国、ロシア、日本といったすべての関係する国々と議論していくというふうに述べております。

 米国は、安保理決議第一八七四号の実施のあり方について、今後、関係国と緊密に協議する方針であるというふうに私どもは承知しております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 米国を初め国際社会は、この核実験等に関して強い決意を持って一致団結した対応をしているということであると思います。そして、今御答弁をいただきましたように、各国、国際協調の中で結束を持ってやっていくということをオバマ大統領も発言をなさっている。私は、非常に強い決意であるとともに、冷静な検討を行っているんだと思います。冷静な検討を行う中で、いかに実質的な成果を上げるかということで関係諸国でやっていく、こういう決意を述べているんだと思うんです。

 ところで、少し事実を確認させていただきたいと思うんですが、本決議の第九項から第十三項で定める措置に関連しまして、現行の海上保安庁法、自衛隊法、船舶検査活動法、海上輸送規制法の枠組みの中で対応が可能な措置は何なのか、このことをお知らせいただきたいと思います。

鈴木(久)政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁として現行法制でできる部分をお答えいたしますが、決議の中の十一項と十二項のところが私どもに直接関連する部分でございます。

 十一項につきましては、港を含む自国の領域内、我が国の領海内で検査をするということでありますが、これについては我が国の管轄権が及びますので、国内法令一般が適用されまして、外国船舶についても立入検査が可能でございます。ただし、無害通航といいまして、黙って通り過ぎるだけの通航、それから通過貨物等につきましては、難しい部分がございます。

 逆に、公海のところでございますが、ここについては基本的には旗国主義が適用されますので、旗国の管轄権が及びます。したがいまして、我が国が立入検査できるのは、接続水域で密航とか密輸を水際で防ごうとする場合、それから排他的経済水域で漁業とか海洋汚染防止違反の疑いがある場合など、一定の場合に限られてございます。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問の件について、現在、防衛省の方で、安保理決議の規定に関して、自衛隊法、船舶検査活動法、海上輸送規制法といった現行法との関係でどのような対応が可能かについて検討を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、自衛隊法八十二条に基づく海上警備行動につきましては、海上における人命、財産の保護または治安の維持のため、海上保安庁によって対処が不可能または著しく困難である等、特別の必要がある場合には、自衛隊に海上において必要な行動をとらせるものというものになっております。

 また、船舶検査活動法につきましては、周辺事態と判断された場合に、国連安保理決議に基づきまして、または旗国の同意を得て、自衛隊は、我が国領海または我が国周辺の公海において船舶検査活動を実施することが可能というような形になっております。

 さらに、海上輸送規制法につきましては、武力攻撃事態と判断された場合に、自衛隊は、我が国領海または我が国周辺の公海において停船検査及び回航措置を講ずることが可能となっております。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 それぞれ、海上保安庁、防衛省からお答えをいただいた。これから議論が進んでいくんだと思いますが、一つの整理として、それぞれの法律の中でどういうことが可能かということをお話しいただいたということでありまして、ありがとうございます。

 それでは、続きまして、地球温暖化の問題について幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先般、ボンで気候変動補助機関等の会合が行われました。ここでの成果、また、日本も中期目標を発表したわけでありますが、このことに対する反応はいかがでありましたでしょうか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のとおり、去る六月一日から十二日までボンで、ことし、交渉の年、実質的には第二回の国連の作業部会が開催されました。ことしの十二月には、いわゆるCOP15、締約国団会合、第十五回の会合で、いわゆるポスト京都のフレームワークづくり、枠組みづくりについて合意するということが合意されている、そういう中での作業部会でございます。

 各国からさまざまな提案が出て、そういう考え方がすべて大体テーブルに上った、各国の提案がすべて出そろった感じのところで、これからいよいよ本格的に交渉が行われる、そういうところだろうと思います。

 報道等によると、南北対立が非常に激化したというようなことも言われております。そういうことも事実ではございますが、ただ、今申し上げましたように、ちょうど本格化したところで、提案が出そろって、これからどちらに向かうかということの交渉が行われる、そういうふうに私どもとしては認識しております。

 それから、ただいま委員御指摘のいわゆる中期目標、確かに六月十日に総理が中期目標を発表いたしました。これを受けて、ドイツのボンで行われていた国連交渉の場におきましても、我が国代表を務めた古屋大使から、温室効果ガスの削減に関する我が国の中期目標の発表について、直ちに議場から発言をいたしたところであります。

 我が国の中期目標に対する各国の反応というものは、好意的な反応を示したものから、あるいはさらなる説明が必要だということを表明したもの、あるいは極めて批判的なことを表明したもの、さまざまでございました。

 いずれにいたしましても、外務省としては、今回の発表を受けて、今後の国際的な交渉において日本の考え方を引き続きしっかりと説明して、今後の本格的な交渉に鋭意臨んでいく所存でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 各国がまずはそれぞれの考え方を発表した、これから進んでいく、こういうことであるんだと思います。そしてまた、日本の提案に対してさまざまな反応があった、こういう御報告でありました。

 しかし、私は非常に危惧をしていることがあります。この委員会でも、私も、やはり日本は、平和的な、あるいは人権の分野における、あるいはそれと並んで環境の分野でリーダーシップを発揮していくべきだ、こういうふうに思っているんです。そういうことで申し上げますと、各国の反応、今、好意的なものもあったというふうにおっしゃいましたけれども、果たしてそうなのかなというふうに私は思うんです。

 まさしく日本もこれから頑張っていくんだということで京都で行われて、京都議定書が定められた。その京都議定書の一九九〇年比六%削減から八%、わずか二%の削減。また、世界が採用していないと私は思うんですが、限界削減コストを唯一の公平性の基準、こういうふうな主張を日本はしたわけであります。何か、日本だけが不利になることのないように国際交渉に全力で取り組みますというような、防衛的な姿勢のように思えてなりません。私は、日本が世界の流れを引っ張るリーダーシップを示すべきだ、こういうふうに思うんです。

 私どもの民主党は、国別排出総量目標として、九〇年比二五%を主張しております。国際交渉を進めていくには、国別総量目標を示す必要があると思います。

 政府として、国別総量目標としてどれくらいを想定しているのか、それをいつ決定して明らかにするのか、お知らせをいただきたいと思います。

杉山政府参考人 ただいま委員御指摘の国別排出総量目標というのが今回のポスト京都の枠組みづくりの交渉の中の一つの大きな焦点であるというのは、御指摘のとおりだと私どもも考えてございます。

 それで、繰り返しになって恐縮でございますけれども、麻生総理は、去る十日に、温室効果ガスの排出を二〇二〇年までに二〇〇五年比で一五%削減するという我が国の中期目標を発表いたしたところでございます。

 しかし、この総理が発表された目標というのは、総理御自身このスピーチの中で明らかに申しておるとおり、省エネなどの努力を積み上げたもの、国内の努力を積み上げて積算して決定したものであって、いわゆる森林吸収分あるいは海外から購入するクレジットといったオフセットと呼ばれるものは含まない、私ども真水、クリーンウオーターというふうに最近呼んでおりますけれども、そういうものだと。そこで総理御自身がその発表のときに申し上げたとおり、外国から排出権を買ってくる分、あるいは森林によって加算される分、こういったいわゆるオフセットの分については、京都議定書では五・四%、六%削減の比率のうち五・四%の削減量を見込んでいました、今回の新たな枠組みの中でこれらの取り扱いをどうするかということは、今後の国際交渉を見きわめた上で判断したいと考えています、これが総理がそのときに発表された内容でございます。さらに、こういうことを踏まえて、今回の中期目標の発表は、まず日本の考え方を示した、いわば本格的な交渉に向けた第一歩と御理解をいただきたいというふうに総理は申したところでございます。

 したがいまして、二〇一三年以降の国際的な枠組みにおける森林吸収源あるいはクレジットの扱い、こういったものについて、現在、国連の作業部会において具体的なルールづくりが行われているということもございます。

 我が国としては、こうした国際交渉における議論を鋭意見きわめた上で、積極的に交渉をリードし、国際的な貢献を果たしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

近藤(昭)委員 真水の部分という御主張なんですけれども、ただ、これから交渉が進んでいく、その状況を見ながらという、余り積極的じゃない方法はいかがなものかと私は思うんです。

 そしてまた、これからとはいいながら、いよいよ大詰めのところの取っかかりというか、第一歩だと思うんです。第一歩ではありますが、いよいよ大詰めの中に来たところの第一歩だと私は理解をしております。

 そういう意味では、国際交渉、今真水の部分をまず提示した、そのほかのところについては状況を見ながら、こういうことであったんですが、私は、やはり国別排出総量目標というのをしっかりと日本が提示して、日本はどういうことで地球の環境、世界、日本の環境を守っていくのか、こういうポジションをしっかりと、真水の部分だけではなくて、総合的な国別の総枠をきちっと示すことによって、日本はどういうふうにこの交渉を進めていくか、リードしていくか、こういうポジションを明らかにすべきだった、こういうふうに思っているんです。

 そういう中で、米国は条約には参加をしていないわけですが、オバマ新政権になってかなりこの局面は変わってきた、こういうふうに私は思っております。

 そういう意味では、米国連邦議会においてワックスマン・マーキー法を審議している。これを見ると、かなり具体的にきちっと目標を立て、段階的にどうしていくか、こういうことをしている。単に分析したことを参照しているのではなくて、まさしく法律で目標を決め、法律で段階をきっちりと長期的な目標も含めて決めている、こういうふうに見ています。

 そういう意味で、どうでしょうか、いよいよ今度、十二月、コペンハーゲンで開かれるCOP15、枠組みが本格的に話し合われるわけでありますが、日本はどういうふうにリーダーシップを発揮していく御決意であるのか。私どもの民主党では、二〇五〇年までの早い時期、六〇%削減を明記しております。

 私は、先ほどから繰り返しておりますが、日本も含めて先進諸国は、二〇五〇年までの大幅削減の目標をきっちりと明らかにして、なおかつ達成手段を明らかにしてやっていく。そして、その中で、日本はきっちりと、一致協力だけではなくて、リーダーシップを発揮していくべきだと思っているんです。そういう意味で、長期目標もしっかりと発表すべきであります。大臣、いかがお考えでしょうか。

伊藤副大臣 委員おっしゃるように、気候変動問題の解決、これに当たっては、世界全体として排出削減を実現しなければなりません。実現すべく、アメリカ、中国、インドを含むすべての主要経済国が責任ある形で参加する公平かつ実効性のある、そういう国際的な枠組みづくりというものが不可欠なわけであります。このために、米国を含めた先進国全体が率先して削減を約束すべきであるとともに、特に排出量の大きい主要途上国も削減のための行動をとる義務を負う必要があるというふうに考えております。

 我が国としては、こういった考え方に基づいて、これまでも国際社会における気候変動問題への取り組みをリードしてきました。例えば、昨年七月、今御指摘があったように、G8北海道洞爺湖サミットでは、議長国としてリーダーシップを発揮し、二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減するという合意の形成に貢献しました。また、本年四月には、次期枠組みにおいて我が国の考えが適切に反映されることを目指し、他国に先駆けて新たな議定書の草案を提案したところでございます。

 もとより、こういった新しい枠組みづくりは、各国の利害が非常に複雑に絡むことでもありますし、年末までに合意をまとめることは決して容易ではありませんが、追求してまいりたいと思います。

 しかしながら、我が国としては、今回総理が発表された我が国の中期目標を受けて、本年末の国連気候変動枠組み条約第十五回締約国会議、いわゆるCOP15において、ただいま申し上げたような次期枠組みの構築に合意できるように、国連における交渉、また、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム、MEF、また米国と中国との二国間協議、あらゆる外交手段、国際会議、いろいろな枠組みというものを駆使しながら最大限に努力してまいりたい、そのような考えでございます。

近藤(昭)委員 繰り返しになりますが、真水の部分を発表した。先ほど申し上げましたが、日本としての総合的な、長期的な、また総量目標を発表することによって、やはり日本がどういうふうに考えているんだということを明らかにしていくべきだと思うんです、長期的目標も、そして具体的な手段も。

 伊藤副大臣にはお答えをいただきましたけれども、中曽根大臣、いかがでありましょうか。具体的に、長期的な目標、そしてまた総量目標、こうしたものをしっかりと、様子を見るんじゃなくて、日本がリードしていくべきだと思います。いかがでありましょうか。

中曽根国務大臣 先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、洞爺湖サミットにおきましては、二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減するということを、福田総理を中心とする我が国のリーダーシップによりましてこれが合意できたわけでありますし、また先日は総理の中期目標の発表もありました。

 いろいろな評価もあろうかと思いますが、我々としては、これもお話ありましたけれども、国連における交渉や、あるいはMEF、そして各国との間の交渉において我が国のこういう考え方をしっかりと説明して、そしてこれの実現のためにリーダーシップをとりながら積極的にやっていきたいと思っております。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。終わります。

河野委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、中曽根外務大臣に重要な点を冒頭二つ聞きたいと思います。

 まず第一は、この委員会を中心に、ソマリア信託基金あるいはPKOの分担金、過去の外務省の支出についてお尋ねをしてきました。外務省としては、執行記録の保存期間は五年だということで、記録がないんだということでありました。しかし、このようなことで今後もいいのかということについて、先般、理事懇で、あるいは委員会でも、いわゆる外務省の今後の支出について見直して改めると聞いております。

 これはどのように改めるのか、その理由について大臣から御説明をいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 御指摘のありました支出関連文書につきましては、今までも外務省としては、関連の法令に基づきまして、これは五年間でございますが保存してきたところでございますが、他方、国際連合への分担金、拠出金の執行に関連いたしますそういう文書につきましては、これは外交政策上の重要性にかんがみまして今回見直すことといたしました。具体的には、今後、国際連合への分担金、拠出金の支出の概要を三十年間把握できる仕組みを整備していくこととした次第でございます。

 これによりまして、将来の外交政策の立案にもこれが活用することができますとともに、また、委員からおっしゃっておられるような説明責任を一層果たすことを目指していきたいと思っております。

保坂委員 今回の見直しによって、少なくとも五年後、十年後に私と同じような質問がまた出てくるということはないんだということになるんだと思います。また、国連に拠出しているお金が今どうなっているのかということについて、今までずっと、ある種預けっ放しだったということについても、やはり定期的に照会をかけるという内容だと思います。

 もう一点、これは重要なので大臣からお答えいただきたいんですが、いわゆる拠出金の取り扱いガイドライン、つまり、会計検査院から指摘を受けて、国連の拠出金が随分余っていたという問題、大臣にも八億円とお答えいただきました。これについて、昨年に外務省でガイドラインをまとめられた。

 これは六月十一日の段階の外務委員会の理事懇で私が受け取ったものですが、このガイドラインでは、「国連事務局からの振替先についての要請があること。」というのが条件なんですが、ただし書きで、「ただし、」「要請がなくとも、積極的に振り替えるべき理由がある場合は、この限りではない。」こうなっておりました。

 これについて、委員長初め理事会メンバーの御意見、やはりこれは原則国庫返納じゃないのか、理由があるときには振りかえ、こういうふうにしっかり分かち合っておいた方がいいのではないか、こういう指摘もあって、今回、このただし書きが削除されて、国連の事務局からの要請があることとシンプルにまとめられたというふうに聞いております。

 この判断について、大臣から簡潔にお答えいただきたいと思います。これは大臣にお願いします。

中曽根国務大臣 会計検査院によります平成十九年度決算検査報告を受けまして、外務省は昨年、国連の信託基金における拠出残余金が生じる場合に、国庫返納を原則に速やかに対応するためのガイドラインを作成いたしまして、国際機関への回答期限、返還小切手の取り扱い事務手続などを定めたところでございます。

 外務省といたしましては、ガイドライン策定後は、これにのっとりまして適切に残余金処理を行ってまいりましたけれども、一連の国会での御議論も踏まえまして、拠出残余金の振りかえが例外的な措置であることをより明確にする、そういう観点から、振りかえを行うのは国連からの要請がある場合のみに限定することとした次第でございます。

保坂委員 大変大きな前進だと思います。要するに、国会で予算審議を我々していくわけで、一たん支出されたものはなかなかその後を追っていけない、特に国連の拠出金などはわからないということを、明確な基準なしに外務省の裁量で振りかえができるという部分を削除されたということについては評価をしたいと思います。

 ところで、きょう、財務省の主計局次長さんに来ていただいていますが、私は、この外務委員会でも大分声を荒げたことも何度かあったんですが、事は、ソマリアで、今、きょうも衆議院に戻ってくるということで、ソマリア海賊対処法案ということで日本がソマリアにお金を出していく。出していくというふうになると、九〇年代にたしか出したよなということを思い出して、これを聞いていったところ、一億ドルのソマリア信託基金ということについては外務省からすんなり答弁があったわけなんですけれども、実は、PKO予算、ソマリアPKOなど分担金というのをたまたま流用というところで見つけまして、それが約二十七億円でしょうか、これがほかと合わさって三十億が払われたと。

 ここから話を聞いていったんですが、予算書とか補正予算の枠であるとか予備費調書ですね、こういうものを合わせますと、平成五年だけで三百七十五億円、ソマリアPKOなど分担金、こういうふうに記載をされているんですね。ごく簡単に調査できたということに対して、これを外務省にぶつけると、捨てちゃったと言うんですね。五年、十年で捨てているのでわかりませんと。

 私、ソマリアPKOなど分担金のなどの中に何が入っているのかとさらに聞いていったんですが、いや、などはなどでございまして、などの中に何が入っているのか、今や不明でございまして、こういうことでした。

 しかし、いろいろまた調べていきますと、例えば補正予算の各目明細書ですか、こういうものを見ると、いや、などが全部出ているじゃないかと。例えばソマリア以外にも、レバノンだとかイラク、エルサルバドル、いろいろ出ているわけですね。この書類を見れば把握できるなというのがわかったわけでございます。

 そこで財務省に聞きたいのは、財務省も外務省と同様に、五年あるいは十年たったら予算、決算の関係書類を全部ほいほい捨てているのかどうか。そういうことはないと思うんですね。やはり、継続して五年、十年越しに進んでいる案件等ありますでしょうから。

 もう一点、今、具体的に各目明細書のレベルを開くと、ソマリアPKOなど分担金、このなどの中身がわかるというお話をしましたけれども、そういうものは財務省主計局として把握しているんでしょうか。どうでしょうか。今までずっと外務省に聞いていたので、最初から財務省に聞けばもしかしたらよかったのかなと思いますけれども、その点についてお答えください。

木下政府参考人 お答えをさせていただきます。

 第一点の、財務省におきましての文書の保存という点につきましては、財務省におきましても、その文書の種類等に応じまして保存期間を定めております。五年のものもございますれば、三十年のものもございます。(保坂委員「予算、決算」と呼ぶ)予算書、決算書は、たしかそれは、ちょっと今手元にありませんが、五年以上、かなり長期の期間保存することになっていると理解しております。

 それから第二点目の、予算の各目明細書を見ればわかるではないかという御質問でございますが、確かに、例えば平成五年度の第二次補正予算で措置した分担金等につきましては、外務省所管に係る各目明細書において金額が計上されているというようなことでございます。

 ただ、各目明細書につきましては、これはいわば各省においておつくりいただく文書でございますので、その保存期間等につきましては、外務省において適切に行われるべきものと考えているわけでございます。

保坂委員 そうじゃなくて、外務省はないと言っているんですね、それは適切じゃないと私は指摘しているんですが。今言った各目明細書、外務省は捨てていても、財務省は調べてくれと言われれば、例えば予算要求で、同じ国でずっと五年前、十年前、十五年前、いろいろ重なる事業があるじゃないかとか、査定のときにやるんじゃないですか。そういうときに把握できるのかどうか。

 要するに、各目明細レベルの支出は財務省として把握できるのかどうか。財務省もわからないのか、できるのか。それだけです。

河野委員長 財務省木下主計局次長、質問に的確に答えてください。

木下政府参考人 お答えいたします。

 それにつきましては、例えば国会図書館等において保存されているような例があれば、そこを調べればわかるものもあるということではないかと思います。

保坂委員 河相官房長、これは故意だったら本当に許しがたいし、故意じゃなかったといったら本当に怠慢だということになるわけですよ。

 つまり、立ち話もしましたよね、PKO等、などのところの中に何が入っているのかがわからないんですと。私が文書で外務省からもらったものには、そのすべてかほとんどがソマリアに使われたと回答してきたわけですよ。だけれども、少なくとも各目明細書、国会図書館にあると言いましたね、そういう把握を外務省としては全くしていないんですか。つまりは、そうだとすれば随分ひどい答弁じゃないかと思うんですね。国会図書館にあるものを見にも行かずに、本来なら、国会図書館に行くんじゃなくて、外務省として持っておかなければならないはずですよね。

 この点について、本来は、外務省が聞かれたときにきちっと調べて答えるというぐらいのことは、少なくとも国会議員と違うわけですから、こちらは個人事務所でやっているわけで、外務省は組織としてやっているわけですから、今後こういうことがないようにしていただきたい。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御説明、御答弁申し上げましたように、書類の保存期間というものにつきましては今回見直しをしたわけでございまして、具体的には、国連への分担金、拠出金、この支出の概要については三十年間、今後は把握できるシステムを構築していくということにしたわけでございますので、今後、この点についてはいろいろな事実関係にきちっと御説明できるような体制をつくっていくということでございます。

 今までの状況につきましては、繰り返し御答弁申し上げているように、会計に関する書類というものは保存期間が五年になっていたというところで、これを見直しをしていく、見直しをすることで概要が把握できるシステムをつくるということでございます。

保坂委員 官房長、今、各目明細書を見ればPKOにどれだけ出したぐらいのことはわかるわけですから、九〇年代以降、日本の国連分担金及びPKO分担金がPKOについてはそれぞれ幾ら支出されたのか、これを早急に調べて委員会に提出していただけますか。その作業を急いでください。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘も踏まえまして、各目明細書など、できる限りの調査をやる意向ではございます。

保坂委員 廣木審議官に伺いたいんですが、先日、ソマリア信託基金の点についてやりとりをさせていただきました。ソマリア信託基金が、約半額ですね、事務総長報告のレベルでは残余金があったはずだと。これについては、廣木審議官は、統一タスクフォースなどに使用されたと理解をしていますと答弁をされているんですね。きのう外務省の方に聞いたら、国連とたくさんやりとりをして、確かめてこの答弁をしているんですということですから、廣木審議官、よろしいでしょうか。この統一タスクフォース、これはアメリカ軍以外の途上国のいわば部隊に対して支出をされたお金である、こういうことですよね。これがどのように分配をされたのかということを正式に国連に照会して、報告してもらえますか。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございましたソマリアにおける信託基金でございます、我が国が九二年に一億ドル出した件でございますけれども、これにつきましては、日本が出した分の九千五百八万ドルを支出したというふうに国連から報告が来ていますが、その詳細についてはまだ私ども伺っておりませんので、そこはまた国連と連絡をとりまして、国連から情報を得て、また御説明させていただければと考えております。

保坂委員 この外務委員会も何回も差しかえをさせていただいて、外務大臣とも、今回、随分議論をさせていただきました。最後に大臣に伺いたいんですね。

 この議論は、我が国の外交に多大な税金も注ぎ込まれていて、国際機関にも相当出していると。出すところまでは我々は議論してきたんですが、どのように使われていたのか、余っていたのかということについては、ほとんど議論してこなかった。このことについて、先ほど言われた二点の見直しも含めて、今後しっかりやっていくということとともに、今事務方に、過去の面についてもなるべくしっかり報告してくださいと申し上げました。

 このことについての大臣の決意、お考え、基本姿勢を最後に聞いて、終わりたいと思います。

中曽根国務大臣 外務省の支出に関するものの中で、分担金とか拠出金、こういうものの執行についての委員からのいろいろな御質問もございました。行政文書の保存期間もルールにのっとって五年間ということで行っておりましたけれども、先ほどから御答弁申し上げておりますように、今後、三十年間把握できる仕組みにして、説明責任がしっかりと果たせるようにやろうということで、我々も、改善すべき点は改善し、そして、できるだけしっかりと御説明できるようにしようということで対応しているところでございますので、引き続いての御理解をよろしくお願い申し上げます。

保坂委員 委員長初め理事、委員各位に大変感謝をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

河野委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正でございます。質疑を行わせていただきます。

 お手元に資料を配らせていただきました。ミャンマーにおける長井健司氏死亡事件についての、外務省さんのおつくりいただいたペーパーでございます。

 この点については、かねてより衆議院の外務委員会の理事懇談会でも取り上げてまいりまして、特に警察庁、現地に行っていただいて、また、ミャンマー政府とのやりとり、特にミャンマー政府の当局である内務省でしょうか、とのやりとりもしていただいたわけでありますが、今、現状どのようになっているのか。まず外務省、そして警察庁、それぞれお答えをいただけますでしょうか。

中曽根国務大臣 長井氏のこの死亡事案に関しまして、政府はこれまでもミャンマー政府に対しまして、極めて遺憾である旨抗議を行いますとともに、事件の真相解明及びすべての所持品の返還を強く求めてきたところでございます。

 ミャンマー政府からは、本件に関しまして謝罪の意が表明をされておりますけれども、事件の真相究明及びすべての所持品の返還に関しましては、現時点では十分な回答は得られていない状況でございます。

宮本政府参考人 この事案につきましては、ただいま外務省からミャンマー政府に対して事案の真相解明を求めているところと承知をいたしておりまして、警察におきましては、司法解剖や画像鑑定といった所要の捜査を行っております。

 引き続き、外務省と連携して対応してまいりたいと考えております。

武正委員 この中で、昨年二月十九日、ミャンマーにおいて両国の専門家、警察を含む形で協議を実施して、日本側は、司法解剖結果及びビデオ画像の鑑定結果を説明し、発砲は極めて至近距離から行われたものであるとの分析等を示しつつ、発砲は離れた場所から行われた等のミャンマー側の見解の修正及び長井氏が所有していたビデオカメラ等についてさらなる捜査を行うよう求めたということであります。

 具体的には、警察としての鑑定結果を示し、また、特に証拠になるビデオ、遺留品とされておりますが、そのシリアルナンバーも示したということでありますが、私は、やはりこの点、今回の大変大事なポイントだと思うんですが、その後、この二月十九日以降、警察庁は当局であるミャンマー内務省とどのようなやりとりをされているのか、お答えをいただけますでしょうか。

宮本政府参考人 御指摘の二月の協議につきまして、警視庁、警察庁の職員が参加しております。これは、外交交渉団の一員として実務担当者の立場から参加を行っておるものでありまして、これまでも、外務省を通じて、外務省と連携をしてミャンマー当局に真相の解明を求めておるところでございまして、それはそれ以後も同様でございます。

武正委員 以後は、ミャンマー内務省とバイで、直接日本の警察庁としてやりとりはしていないということでよろしいですか。

宮本政府参考人 警察として、直接、向こうの担当当局との対応はいたしておりません。

武正委員 この間、ミャンマーの外務大臣と外務大臣がお会いになられました。五月二十五日、ベトナムでしょうかね。このときに、ちょうどアウン・サン・スー・チー女史がインセイン刑務所に移送された五月十四日直後、フラ・ミン大使に対して日本政府も深い懸念を示した直後でありましたので、アウン・サン・スー・チー女史の裁判についても取り上げ、ミャンマーの民主化等についても触れられ、あわせて、今回のこの長井氏の真相究明及び遺留品の捜査を求めたわけなんですけれども、そのときに、先方の外務大臣は、偶然起きた事件とか、あるいは担当は外務省ではないというような、これまでのそういうような答えが続いているわけなんです。

 今のお話では、ミャンマー政府とは刑事共助条約も署名も批准もしていないわけなので、私は、今回のこの事件、映像も大臣も見られたと思いますが、明らかに至近距離から撃たれていることは明白でありますし、この件をこのまま外務大臣と外務大臣とのやりとりというところで終わってしまっているというのは極めて遺憾だと思うんですね。

 今のお話ですと、警察庁は、昨年二月、現地でミャンマー政府の当局、内務省とやりとりをして以降、直接のやりとりはないわけですから、やはり日本の外交当局として、警察庁が直接ミャンマー政府当局とやりとりできる、そういう間に立つべきだと思うんですが、この点。そしてまた、今時点でどのようにこの長井さんの事件、真相究明、そして遺留品を返してもらうことも含めて、どうやれば事件の解決に結びつくのか、御所見を伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 本件につきましては、委員も御承知のとおり、事件発生直後から、福田総理や、また町村官房長官、高村外務大臣、木村外務副大臣、あるいは駐ミャンマー大使と、さまざまなレベルでミャンマー政府に対しては強い遺憾の意も表し、また、抗議を行うとともに、すべての遺留品の返還と事件の真相究明の申し入れを実施してきたところでございますし、今これも御紹介いただきましたけれども、私自身も、五月のミャンマー外相との会談におきまして、ニャン・ウイン外相に強く申し入れを行ったところでございます。

 警察当局も捜査しているところでございますけれども、我々としては、引き続いて、その申し入れに対する先方の結果も見きわめながら適切な対応をやっていきたい、そういうふうに思っているところでございます。

武正委員 そうはいっても、先ほど触れましたように、共助条約がないわけですから、外交当局がやはり国際令状に基づいてその間に立っていただかなければならないわけなので、私は、また警察庁が現地に赴くというような機会もやはりつくっていくべきだと思います。

 ただ、相手が、相手がと言ったらあれですけれども、ミャンマー政府が同じような返答をしてしまうということを、どうやってそれに対して新たな解決手段を日本政府として講じていくかの工夫があって、あわせて、警察庁にも一緒に御同行をいただくというようなことがあるんじゃないのかなと思うので、どうやったらこの事件の解決に至るのか、御所見を伺いたいというふうに思っております。いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 今まで働きかけを行いましたけれども、まだ解決をしていないというのは大変残念なことでございますし、また、御家族のお気持ちも考えますと、これは一刻も早く真相究明をしなければと思っております。

 今委員もまさにおっしゃいましたけれども、先方とのやりとりということでありますので、これはいろいろなレベルで、事務レベルでも再三行っているわけでありますが、引き続いて、粘り強く先方に申し入れを行い、結果を早く出すようにということで私どもは取り組んでいきたい、そういうふうに思っています。

武正委員 そこで御提案なんですけれども、当初、長井さんが所属された会社の社長さんが、国際刑事裁判所、ICCに提訴をすべきではないのか、こういうようなことが一時記事として載りました。また、あのときはたしか、御遺族とともに外務大臣に面会をしたいというようなことも記事になっていたんですが、その後、面会されたという記事が見つけられませんでしたので、果たして会われたのかどうかはちょっと定かではありません。

 ただ、このICC、国際刑事裁判所、二〇〇二年に発足をして、オランダ・ハーグに本拠地がありまして、日本は、二〇〇七年十月、百五番目の締約国になっております。また、特に二〇〇八年一月、昨年から、日本の齋賀さんが裁判官になられました。残念ながら本年四月に亡くなられたわけでありますが、私も、当時埼玉県の副知事をしておられた齋賀さんから大変親しくさせていただきましたので、全世界で活躍をされ、ついにICCの裁判官になられて、いよいよ活躍をしていただきたい、また、日本がその分担金二割を負担しているICC、やはり大変大事な国際機関として、日本がその主導的な役割を果たしていく、そういったときに裁判官になっていかれたわけですので、その活躍を期待していたわけでありまして、この場をおかりして、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 そうしたICCでありますが、御案内のように、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪、こういった大きなテーマでありますので、この長井さんの事件ということでいえば、例えばミャンマーにおける人権状況というような形で、管轄権というものが、安保理でICCに付託をすることができる、これは慶応大学のフィリップ・オステン准教授が述べているわけでありまして、三つ可能性があると。締約国がICCに付託をする、検察官が職権に基づいてICCに付託、国連安保理がICCに付託、この三つ目が可能性があるのではないのかというふうに述べておられますが、国家権力によるミャンマー全体の人権侵害というような形で何かこのICCを絡ませること、これについて御所見を伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 国際刑事裁判所、ICC、齋賀判事のことを述べられまして、再選されたばかりで、私どもも、これからの御活躍を期待しておりましたのに、本当に残念に思いまして、心から御冥福を祈っているところでございます。

 本件に関しましては、委員はもうICCのことは十分御承知でございますけれども、ICC、これは、先ほどから御説明いただいておりますように、犯罪が行われた国または犯罪の被疑者の国籍国がICC規程の締約国であるか、また、自発的にICCの管轄権を受諾していることが必要であるということでございます。

 今回の事件が発生したミャンマーはこの規程の非締約国であるということで、ICCでの裁判ということには通常ならないわけでありますが、そういうことから、一般には、ICCがミャンマーの事態に対して管轄権を行使するということは困難であると考えております。またさらに、ICCの受理許容性というものもあろうかと思います。

 私どもとしては、先ほどから申し上げましたけれども、引き続いてミャンマー政府の誠実な対応を求め、また我々も粘り強く解決に向けて努力をしていきたいと思っているところでございます。

武正委員 先ほど、解決策について粘り強くというお話が累次出るんですが、日本人が殺害をされた事件、それに対して国がどのように対応するかということがやはり今問われている事件だと思います。

 先ほど紹介したフィリップ・オステン准教授は、国連安保理がICCに付託する可能性はある、方法が残されていると言っている。長井さん射殺事件という一つの事件ではなくて、国家権力によるミャンマー全体の人権侵害という状況を付託することになるでしょう、ただ、ICCは最も重大な事態を扱うことしか想定していないので、ミャンマーの事態が要件を満たすかどうかはわかりかねると言っているわけなんですが、こういった可能性もやはり視野に、まして今は国連安保理の非常任理事国でありますから、臨んでいくべきではないのかなと私は思うんです。

 そこで、実はこのICC、現在のところ百八カ国が締約国、参加していると思うんですが、ASEANで見るとカンボジアだけなんですね。

 ちょうど一年前、ASEANセンターでASEANの十カ国の大使と当委員会のメンバーは意見交換をして、非常に実り多い会議でもありました。また、そのときに、実は、日本政府が人道支援ということで直接ミャンマーに行って人道支援をしたいというような話も大使としていたんですけれども、そのときの大使の受け答えなどを見ると、直接日本とミャンマーというよりも、やはりASEANの中のミャンマーという位置づけで、ASEANの枠組みを通しての人道支援などは実は受け入れやすいんだなと。たしか、そのときには、議長国であったタイが、ASEANでのそうした枠組みの一つとして、ASEANレスキューセンターのようなものも考えているんだ、こういうような話も聞いたわけでありまして、まあ、まだまだこれは現実的な実現化はしていませんけれども。

 そういうようなことも含めて、私は、ASEAN各国の加入、これがまだカンボジア一カ国にとどまっていることは、やはり日本からもICCへの加盟を働きかけていいのではないのかなというふうに思っております。

 ちなみに、ASEAN憲章には、ASEAN人権機構を設立するという項目もございます。もちろん、ASEAN各国はお互いに内政干渉はしないというのが大原則でありますが、そのほかに、原則には、基本的自由及び人権を守ること及び促進すること、国連憲章、国際法及び国際人権法の支持というのも原則の中にあるわけですので、やはり、ミャンマー政府に対して直接的な働きかけとともに、このASEAN、そしてASEANのカンボジア以外の国の加盟も求めていくなどのことも一つ手法としてあるのではないのかなと思うんですが、改めて、ICCに国連安保理から付託する可能性、並びに、このASEANをうまく利用すると言ったらいいでしょうか、あるいはASEANの各国にもICCに加盟を働きかけるようなことは、外務大臣として、選択肢、可能性としていかがお考えか、御所見を伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 ASEANを活用した、ASEANルートと言ったらよろしいんですか、そういうことにつきましてお話がありましたけれども、これは過去の外務委員会でもお答えしたことがございますけれども、これは基本的には二国間で解決すべき問題である、そういうふうに考えておりまして、ASEANを通じて働きかけを行うということが適当なものなのかどうか、これはよく考えていかなければならないと思っております。

 ICCに対する働きかけ、先ほどからもお話がありますけれども、ICCは犯罪を行ったと疑われる個人に対して管轄権を行使するということでございますから、犯人を特定しなければならないのではないかということで、その点が、警察当局の調査、私、どういうふうになっているのか、詳細は今承知しておりませんけれども、そのような点も一つ問題があるのではないかと思っております。

 しかし、いずれにしましても、先ほどは粘り強くと申し上げましたけれども、いろいろな、どういう方法があるかということは、我々も、一日も早い解決のために努力しなければならないと思っているところでございますし、ICCへの加盟を働きかけというお話もありました、そういうことにつきましても今後検討しながら、また取り組んでいきたいと思っております。

武正委員 ぜひ、いろいろな可能性、選択肢を持って臨んでいかないと、何となく今のまま膠着状況が続いてしまうということを大変危惧するわけでございますので、取り組みをお願いしたいと思いますし、警察庁さんとの連携をぜひ図っていただけるようお願いをしたいと思います。

 そこで、前回の委員会でも質問をいたしました核の傘(核抑止力を含む拡大抑止)についてということで、外務大臣にお答えをいただきたいと思います。

 前回のやりとりの中で、外務大臣が四月二十七日に講演をされた「ゼロへの条件 世界的核軍縮のための「十一の指標」」、この中に、いわゆる核の傘あるいは核抑止力を含む拡大抑止、これについて十一の指標との連携、連動というものがないのではないのかなというようなことを指摘したんですが、これについて改めて御答弁をいただきたいというのが一点と、いわゆる拡大抑止というものが今回は米韓の首脳会談後の文面に載ったということが、きょうも委員会でも取り上げられております。果たして、日本と米国の間で文書に拡大抑止が初めて載ったことがいつなのか、どの場面なのか、あるいはまだないのか。そして、今、この米韓に続いて改めて日米間で、これは、グレグソン、国防総省の方が今そういうような働きかけをしているんだという報道もありますが、そういった事実があるのか、お答えをいただければと思います。

中曽根国務大臣 私の十一の指標の中には、直接、核の傘というような表現はございませんけれども、核軍縮が進むといいますか、目的が達成されるまで、日米安保条約に基づくそのような対応というものが必要であるというような趣旨の文言が入っております。今、ちょっと私、自分自身の発言でありますが、手持ちがありませんので、正確でない点もあろうかと思いますが、そのような見解は述べております。

 それから、そのことにつきましての記述ということでありますけれども、これはたしか、これも今ちょっと突然の細かい御質問で資料がありませんが、これは2プラス2の会合の中でそのような話が行われ、また記述もあると私は思っております。

 もしあれでしたら、正確に文言等も調べて、また御報告したいと思います。

武正委員 多分、事務方が今お調べになっておられますので、議事録にも載せてほしいので、たしか五月一日の2プラス2ということで、ちょっと年号が私も今手元にないんですが、多分、日米安保協議委員会の共同発表文、2プラス2のときに初めてこの拡大抑止という文言が載ったということであります。このことをもって、ぜひ、外務大臣の文章も、今多分お手元にあると思うんですが、私の方から読みますと、「我が国にとっては日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要であることは言うまでもありません。」このように述べておられるんです。

 やはりここで考えなければならないのは、四月五日のオバマ大統領のプラハ演説、核をなくしていくんだという演説ですね。米国は、核を使用した唯一の核保有国として道義的責任がある、核兵器のない世界に向け具体的な方策をとる。例えば、先ほど紹介しましたASEAN憲章には、実はこういう項目があります。目的の三番目、非核兵器地帯としての、及びその他すべての大量破壊兵器のない東南アジアを保全するということがASEAN憲章の目的の三番目にうたわれております。

 民主党は、多くの議員の中に、北東アジアの非核地帯構想というものをもう十年来温めてこられている議員も多数いるという中で、今そうした、では、その構想を具体的にどう実現できるんだろう、こういうようなことも話し合われているわけでありますが、先ほど、日米で、既に五月一日の2プラス2で文書に載っている拡大抑止ということ、核の傘でありますよね、これと、このオバマ大統領が提唱した、核兵器のない世界に向け具体的な方策をとる、そして外務大臣が取り上げた世界的核軍縮のための十一の指標、この整合性というのを、これは確かになかなか難しいところがあるのかもしれませんが、どのようにとっていくのか。これは、我々民主党も考えて、それをやはり、特に間もなく行われる総選挙では明らかにしていかなければならないと思うんですね。

 実際、核抑止力を含む拡大抑止とか核の傘とか、やはりこの実態を明らかにしていく中で、非核地帯構想とか、あるいは日本の防衛、安全保障のあり方とかが明らかになっていくと私は思うんですが、この点、再度、過日の事務次官経験者四名の方にはぜひ委員会に御出席をいただきたいと思うと同時に、私は、この日本を取り巻く核抑止力、拡大抑止の現状、これをやはりここで、政府としても真摯に国民に対して、あるいは国会に対して明らかにしていくべきときを迎えているのではないかと思うんですが、再度、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 四月の五日にオバマ大統領が、委員も御紹介されましたような、平和で安全な核兵器のない世界に向けたスピーチというものを行いましたし、私も四月の末に、唯一の被爆国としての立場からも、この核軍縮に向けての十一の指標ということで、見解を発表いたしました。先ほどの御質問に関係することでありますが、この中で、核抑止につきましての私の述べましたところを再度ちょっと申し上げますが、「東アジアの状況にかんがみれば、我が国にとっては日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要であることは言うまでもありません。」このような表現でございます。

 民主党さんのお考え、御提言も承知しておりますが、共通するところは一つだと思うんです。やはりいきなりは、なかなか現実の問題としては、核軍縮また不拡散、全く核兵器のない、ゼロにするというのは、すぐ直ちにということは現実の世界では難しいと思いますが、それが米国、あるいは我が国もそうですし、国際社会も基本的にはそういう考えであろうかと思いますし、また、御党のお考えもそういうことで、あのような提言をされていることと思います。

 したがいまして、大事なのは、こういう機運を、オバマ大統領の演説や、あるいは、さかのぼればシュルツ国務長官なども投稿されておられるわけで、その機運にぜひ一歩でも二歩でも前進させたい、そういうために我が国としては積極的に行動するということが非常に大事だ、そういうふうに私は思っておりまして、国連におきましても、核軍縮の決議も毎年出しておるわけでありますし、また、いろいろな機会を通じてこの問題をまた我が国としては取り上げているわけでありまして、引き続いて、この問題には率先して、唯一の核被爆国として私は取り組んでいきたい、そういうふうに思っています。

武正委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。

河野委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原です。

 引き続き、質問させていただきたいと思います。

 核兵器問題、非常に大事な問題だと思います。これについては、北朝鮮が悪さをしておりまして、日本にもじわじわと危機が迫っている、こういう実態ではないかと思います。私は、何とかしてこういったことをやめてほしいと思います。北東アジアを非核地帯になんというけちなことを言わずに、世界じゅうが非核地帯になるべきなんです。私はそういうことを望んでおります。

 しかし、人工衛星だミサイルだという議論がありましたけれども、そのとき、大騒ぎして制裁だ制裁だと言った。そのときは日本が一番騒いでいただけでどうということはなかったわけですが、今度、核実験をした、制裁だと安保理の決議がありました。僕は、いろいろな手段を講じていくべきだと思いますけれども、ちょっと心配な面もあるわけです。何かというと、貨物検査、船舶検査を公海上でそんな簡単にできるのかなという気がするんです。

 皆さんのお手元に資料をお配りしてあります。海洋法条約をちょっと見ていただきたいんですが、一ページ目のところ。

 「航行の自由」というのがあるんです。そして、この海洋法条約というのは、各国の利害のぶつかり合いで、適当な条約なんです。日本の法律ほど立派なものじゃありません、国際条約というのは。それで、九十五条、九十六条を見ていただきたいんですが、軍事大国、アメリカとか、当時はソ連ですね。ですから、公海上の軍艦なんというのは、臨検とか、そういうことから完全に免除されるんですよ。管轄権からも完全に免除される。九十五条。九十六条、政府の船ですね。

 ついでに、この間、海賊対処法がありましたので、海賊行為の抑止のための協力義務というのもある。

 「臨検の権利」というのもちょっと見ていただきたいんです。ここはそれなりにいろいろ考えられているんです。四行目。いろいろな免除を与えられている以外の、普通の船ですよ。以外の外国船舶に遭遇した軍艦が当該外国船舶を臨検するには、次のいずれかのことを疑うに足りる十分な根拠がない限り正当とは認められないと。海賊行為か、奴隷を取引しているのか、いかがわしい放送をして宣伝しているのか、無国籍船か、こういうようなとき以外いけない。

 そして、二項、三項においても、二項の一番最後、できる限り慎重に検査を行わなければいけないと。三項には、根拠がないことが証明されたり、臨検を受けた外国船舶が疑いを正当とするいかなる行為も行っていなかった場合には補償も受けることができると非常に抑制的に書いてあるんです。こういったときに、軽々しく公海上で、私は領海はいいと思います、沿岸国の管轄権が認められているわけですから。あるいは接続水域もいいと思いますけれども、公海上でこんなことをするのは、日本が新しい法律をつくったからといってできるものではないと思うんですよ。その点、いかがなんでしょうか。

 それからもう一つ、ついでに、安保理決議自体が貨物検査をどういうことを想定して言っているのか、よくわからないところなんです。

 この二点についてお答えいただきたいと思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御質問は二点に分かれていたかと思いますので、私の方からは、前者の海洋法条約それから国際法上の点につきまして御答弁をさせていただきます。

 今委員からも御指摘ありましたとおり、海洋法条約上、公海におきましてはすべての国が航行の自由を有しておるわけでございまして、船舶は一般に旗国以外の国の執行管轄権を受けないという旗国主義という原則がとられているわけでございます。

 また、この点も委員から今御指摘があったとおりでございますけれども、例外的に貨物検査等を目的とする臨検を行うことができる場合として、海洋法条約上、百十条における規定があるということを今御指摘になったとおりでございます。

 さらに申し上げますと、国連海洋法条約百十条に定める場合に該当しない場合でありましても、一般論といたしましては、旗国の同意、それから安保理決議の決定による授権がある場合には、それらに従って外国船舶に対して貨物検査を目的とする臨検を行うということは国際法上問題がないということでございます。

廣木政府参考人 ただいまの御質問の二点目にかかわる、安保理決議一八七四号はどのような貨物検査を想定しているのかという御質問でございますけれども、この安保理決議第一八七四号は、主文の十一から十六において、貨物検査に関して詳細に規定をしてございます。

 検査を行う場合及び受ける場合の両方における対応について、加盟国に対して要請または決定をするというふうになっておりますが、具体的には、読んでいただければわかりますが、主文の十一で、すべての国が、国内法令や国際法の範囲内で、自国領域内において、決議第一七一八号及び本決議により北朝鮮の輸出入が禁止される品目を含んでいると信じるに足りる合理的な根拠を示す情報を有する場合に、北朝鮮向け及び北朝鮮からの貨物の検査を実施するよう要請するとあるわけでございます。

 そのほか、主文の十二で、これは、公海上での旗国の同意を得て検査を実施することを要請しております。

 それから、主文の十三でございますが、これは、すべての国がこれらの検査に協力することを要請した上で、旗国が、つまり船舶の旗国でございますけれども、これが公海上の検査に同意しない場合には、当該旗国は当該船舶に対し、検査のため適当な港に向かうべきであるというふうに指示をすることができるというふうになっております。

 一応、以上が大きな枠組みでございます。

篠原委員 見ましたけれども、危険きわまりないですね。北朝鮮船籍。前の海賊対処法のときに私は指摘しましたけれども、日本の船はいっぱい便宜置籍船になっているんですね。日本が一番ひどい国の一つです。北朝鮮はそんなことをしていないはずです。

 北朝鮮船籍の船が、臨検するときに一体同意するでしょうか。同意しないんじゃないですか。では、しない船を日本の適当な港にしょっぴいてくる、私は極めて危険なことだと思います。北朝鮮は、ミサイル発射、人工衛星だと言っていますが、そんなことをしている、核実験はしている。だけれども、直接日本になど手を下していないですよ。それを、日本が手を下すことになるんじゃないかと私は思います。ですから、中国やロシアが慎重にすべきだというふうに言っているんです。私は極めて危険なことだと思うんです。

 僕は、きちんと北朝鮮を制裁すべきだと思いますよ。制裁すべきだと思うんですけれども、貨物検査というのをきいきいしてやっていますけれども、一体これは本当に有効な方法かどうなのか、ここに非常に疑問を持つわけです。やるということになったと想定しても、一体日本はそんな能力が、周りの船はいいです、周りの海はいいです、あるのかどうか。大体、海賊退治、これは日本国民もほとんど支持して、行っていますよ。しかし、遠くに行く船がそんなにないから、海上保安庁が本務だと思うけれども、海上自衛隊が行ったわけです。

 一体、この任務、船舶とか、人員、訓練された人とか、ちゃんとできる能力はあるんでしょうか。日本とアメリカが中心になって安保理決議をした、法律をつくった。ところで、実際、実効あらしめるような体制になっているのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

鈴木(久)政府参考人 お答えいたします。

 国連決議に基づく貨物検査につきましては、現在、政府全体で調整中でありまして、どの程度の貨物検査を実施するかについても、今後、関係省庁が連携して、政府全体で検討されるものと承知しています。

 ただ、私ども海上保安庁の体制について申し上げれば、今回の決議に基づく公海上における貨物検査につきましては、合理的な根拠があって、かつ旗国の同意があった場合において実施されるものでありまして、船舶をある程度特定して検査することが考えられることから、立入検査の実務経験能力を備えた海上保安庁で対応できるものと考えております。

 なお、私ども、昨年、平成二十年に、年間三万六千百六十件の船舶に対する立入検査を実施しておりますし、そのうち、外国船舶については九千百五十九件実施してございます。

篠原委員 そういう実績はよくわかりますけれども、こういう際どい事態になったときに北朝鮮の船を臨検するのとは全く違ってくるんじゃないかと思う。そういう体制、そういう人員、そういう訓練を受けた人たちが一体いるかどうか。私は、なれないことではないかと思うんです。

 そしてまた、どっちがいいか。うちの党は何でもかんでも海上保安庁がいいと言っていますけれども、私は、これは時と場合によっては余り賛成できる話ではないんですけれどもね、実を言うと。海賊対策は海上保安庁と言いつつ海上自衛隊が行っている。現実問題としてそうだと思いますよ。こういうのは、軍艦を見た方が海賊が逃げていきますよ。そういう実際の効果がありますよ。

 しかしながら、今度は一体どっちかというと、筋は、私は、もう戦争行為一歩手前ですから、海上保安庁じゃないと思うんです。海上自衛隊だと思うんです、本来は。しかし、それだと北朝鮮を刺激し過ぎるという。私は、問題だ、だから海上保安庁の方がいいと。いろいろ思い悩むところだと思いますけれども、日本国全体としては、またこの議論ですが、どういうふうにお考えなんでしょうか。

松本内閣官房副長官 政府といたしましては、安保理決議第一八七四号を実効あらしめるために必要な法案の整備を早急に行うべく現在論点の整理を行っているところでありますが、今現在の状況におきましては、調整中、そんな立場にございます。

 昨日でございますが、与党PTが開催をされたところでありまして、これらについても御指摘の点を承りまして、与党におけるこういった議論も踏まえながら検討を進めてまいりたいと今考えているところでございます。

中曽根国務大臣 今政府から御答弁ありまして、日本としての対応はいろいろ検討しなければなりませんし、検討中でございますが、安保理決議でございますから、これは日本だけが対象ということじゃなくて、加盟国すべてがこの決議に基づいた行為を、行動を行わなければならないわけであります。

 委員は、今、日本近海のことを現実問題としてお話しされておりますが、この条文そのものは、これは世界のいろいろな公海上における行為というものを書いてあるわけでありますし、また、日本の海上保安庁の船などだけがこの検査をするというわけじゃありませんので、そういう意味で、この安保理の決議というのは、世界、加盟国全体に対するそういう要請でもあり、また、これによりまして、北朝鮮自体もどこでどういうふうに検査されるかわからない、そういうような、ある意味では抑止といいますか、そういうこともあるのではないかなと今個人的にちょっと感じた次第でございます。

篠原委員 これは海賊対策よりもずっとずっと慎重でなければいけないと私は思います。

 仮にのお話なんですけれども、では、日本が同じような立場にというか、そんな悪いことは日本は優等生ですからしないですけれども、日本が勝手にどこかの国から公海上で臨検を受けたりしたらどうなるんですかね。それはやはり怒り狂うんじゃないかと思いますよ。

 北朝鮮は、我々はおかしいと言っていますけれども、彼らからすると、いやいや、アメリカの脅威がある、アメリカが非常に悪の枢軸国だ何だと言って敵対視している、それで核兵器は持っている、自分たちも核抑止力を持たなければならないんだ、正当なことをやっているんだ、悪いことは何もしていないんだと言っているわけです。そういう国なんです。あちらの言い分はとんでもない言い分だと思いますけれども、一応言い分は言い分としてある。

 では、逆の場合を考えてみてください。日本がそういうことをされたら、一体どのように対処できるんですか。

伊藤副大臣 国際法上、公海にある船舶に対しては、委員御指摘のように、旗国の排他的管轄権が及んでいるわけでございます。

 したがって、一般論として申し上げれば、旗国ではない国の軍艦等が公海上で他国の船舶を臨検できるのは、旗国の同意がある場合や、今お話がありました安保理の決議の決定による授権がある場合を除き、国連海洋法条約第百十条1に従って、当該船舶が国籍を有していないこと、他国の旗を上げていること等を疑うに足る十分な根拠がある場合に限られるわけでございます。

 外国の軍艦等が国連海洋法条約第百十条に基づき我が国の船舶に対して臨検を行った結果として、疑いに根拠がないことが証明され、かつ、臨検を受けた我が国船舶が疑いを正当とするいかなる行為も行ってきた場合には、当該、我が国の船舶は、こうむった損失また損失に対する補償を受けるということになっております。

 我が国船舶に対しての臨検を行った外国政府が必要な補償を与えない場合や、臨検を行うために必要な条件を満たしていない状態で臨検が行われた場合等には、旗国である我が国としては臨検を行った国の責任を追及する、こういうことになると思います。

篠原委員 相手の立場も考えた方がいいということなんです。

 私は、具体的にこういう制裁方法がもっと効果的だというようなのがあるわけじゃありませんけれども、何でこんな際どい貨物検査なんかに血眼になるのかなという気がするんです。なぜかというと、輸出入をみんなストップするといったって、八億円ぐらいしか日本と北朝鮮の貿易額はないわけですね。八億円は大金かもしれませんけれども、そんなに大金じゃないという感じもします。同じ貿易だったら、中国との貿易額が北朝鮮から見たら七割以上を占めている、そういったところをきちんと押さえたりする方が私は大事だと思います。

 北朝鮮の行動というのは、日本のことなんか念頭に置いていないんじゃないかと思うんです。アメリカばかり。

 そうすると、一番大きなのは、私は、現実的にはやはり外交で、外務大臣や総理大臣の役割が大事になるんですけれども、北朝鮮の言い分は、核の脅威、アメリカの核の脅威にさらされている、だからやっているんだと。それで我々が北朝鮮の核の脅威にさらされているわけです。そうしたら、アメリカに対して、日米同盟、日米同盟と言っているわけですから、北朝鮮に対する核の脅威というのをやめてほしい、そういうのをなくしてほしいと。一つは、簡単なのは、すんなりと核保有国として認める。インドやイスラエルに対してとった態度と同じなまくらな態度をとる可能性もあるんじゃないかと私は思いますけれども。しかし、それをやられては日本は困るわけです。

 ですから、先ほど武正さんがおっしゃいましたけれども、北アジア、北東アジアとか、アジアとかの非核じゃなくて全体を非核化していく、そうすると北朝鮮も安心する。こういったこと以外に私はないんじゃないかと思いますけれども、もっと実効ある制裁措置というのは、外務大臣、何か、日本国政府、知恵のある人たちがいっぱいいるわけですから、考えられないんでしょうかね。この点について御見解をお伺いしたいんですが。

中曽根国務大臣 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど、日本近海、公海での貨物検査についてのお話がありましたけれども、安保理決議の主文十二で、委員も十分御承知のとおり、そういう検査を行う場合には、旗国の同意を得て公海上で船舶を検査することを要請するということですから、まず旗国の同意が要るということ。それから、旗国が公海上の検査に同意しない場合には、これは主文十三ですが、当該旗国が、この船舶が十一の規定に基づく現地の当局による必要な検査のために適当かつ都合のよい港に航行するよう指示することを決定ということで、旗国の了解と、旗国が指示するのでありまして、旗国がそのような指示を行わない場合には検査はできないわけですね。

 ですから、御心配されて、いろいろトラブルもあるかもしれない、実際できるのかという御質問だったと思いますけれども、まず、そういうようなことがはっきりとここで明記されておられるということを確認させていただきたいと思います。

 また、北朝鮮への制裁で何かいい方法はないのかということをおっしゃいました。

 いろいろ、拉致の問題にしても随分時間がかかっております。このことに関しましては、昨年の日朝の協議の上で、調査のやり直しということが約束されておりまして、これはこれで一日も早く、今非常に難しい環境ではありますが、やり直しをやるように、私どもは粘り強く、まさに粘り強くこれは先方に要請してまいります。

 核実験あるいはミサイルの問題などに関しまして、これはやはり安保理決議が国際社会の一致した強いメッセージということで出されておりますので、何よりもこれを実効性あるものにするということが必要だと思っておりまして、そういう意味では、この決議を実効あらしめるように各国がこの決議に基づいて行動するということと、それから、緊密な連絡、連携をとって、また六者会合など、こういうものもございますので、北朝鮮に対して、各国が何よりも緊密な連携をとって一体感を持って当たっていくということではないか、そういうふうに思っております。

篠原委員 私は、実効あらしめる制裁は絶対すべきだという点では同じなんですけれども、これはちょっと余り賢いやり方じゃないんじゃないかなと。今聞いていますと、同意なんかしっこないですよ。だから、それはただ日本が声高に格好つけて言っているだけというような気がいたします。

 それから、あと、ちょっと時間が少なくなりましたので、次の表を見ていただきたいんです。

 私、外務委員会、これは合計三年弱になります。さんざん減らず口をたたかせていただきまして、楽しませていただいておりますけれども、一生懸命、外交問題、大事なので議論してきたつもりでございます。

 最後に、お世話になったんですが、一つ苦言を呈してまいりたいと思います。

 別に大した資料じゃないですけれども、「民主党 国対報告 抜粋」というのを、こんなものを出すと怒られるのかもしれませんけれども、まあいい。民主党には大した秘密はありませんし。この表を見てください。これは、ネクストキャビネットの閣議でもって、ついこの間報告を得たものです。

 一番下を見てください。「政調役員会報告」、これは、私がちゃんと、そんなに問題のある協定じゃないと言い張って、閣議にはかけずに政調役員会でさっと説明してさっと通しているんです。この党内手続、がたがた言われる筋合いじゃないと。しかし、上のを見てください。法律はほとんど修正になっているんです、見ていただくと。おわかりになりますか。ですから、私は霞が関の役人が国会の中をうろちょろうろちょろしている時間なんて少ない方がいいと思いますけれども、非常に念入りに説明に来るようになっているんです。

 次のページを見ていただきたいんです。この間お出ししたのよりちょっと違っていますが、国会連絡室につくらせたらみんな格好いいことばかり言ってきたので、この右側が大変だったんですよ。本当はきのうの本会議場でやろうと思ったらあっという間に終わっちゃったのでできなかったので、電話をかけたり、行ったりして、各委員、各筆頭理事にみんな直接面談して、どういうふうに対応しているかと聞きました。

 私は、気持ちはわからないわけじゃないんですよ。外務省は法律がない。条約の修正なんてないんです。後から承認を受けるだけなんです。ですから、何か手を抜いて説明しているんです。私は、それはそれでいいと思うんですけれども、ここの場で何回も申し上げていますけれども、社会保障協定とか、こういう定型的な協定はそんなに議論しなくたっていいと思います。しかし、今の船舶検査の問題とか外交問題というのは、きちんとこの場で議論して、国民にも知らせていかなくちゃいけない。

 そのためにはどうしたことが必要かというと、外務省の皆さんの事務方の心がけをちょっと改めていただきたいんです。我々に知識はないんです。情報はないんです。経済問題とかなんとかいうんだったら、いろいろなところにあったりするんです。現場があるんです。外交の現場は外務省しか持っていないんです。外務省の皆さんに資料やデータや情報を提供してもらえなければ、対等な立場で議論できないんです。中曽根大臣が非常に立派な答弁をされたら、それで終わりになってしまうんです。よくないんですよ。我々にきちんと情報を提供し、この場で日本の外交問題をちゃんと明らかにできるようにしなければいけないんじゃないかと私は思います。

 ここ、右側に「法案成立時の御礼」とか、私はこんなものは全く要らないと思います。これは、河野委員長もこんなものは要らないといつかおっしゃっていたと思いますが、全くそのとおりだと思います。しかし、審議をする前にデータの提供をけちったり、外交問題だから秘密だとか何か、そういうのもあるんでしょうけれども、そういうことをおっしゃらずにちゃんとデータを提供していただきたいと思うんですが、この点について、そんなにきつく言っているわけじゃないですから、きちんと答えていただきたい。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この委員会の場で条約、法案とあわせていろいろな御議論をいただくということは非常に大切なことである、これは、私ども、非常にきちっと認識しているつもりでございます。御指摘の点を踏まえまして、今後、より一層、いろいろな事実関係等につきまして御説明をしていくように心がける所存でございます。

篠原委員 最後はいいエールの交換になったのではないかと思います。

 私、もう、あと二回か三回議論があるそうですけれども、これを最後の質問にさせていただきたいと思いますので、お礼を申し述べたいと思います。いろいろなデータを要求しまして大変だったと思いますし、皆さんも下手な質問を長々お聞きいただきまして、どうもありがとうございます。

 それから、委員長、私は感心いたしました。こんなに、はっきり言ってなまくらな答弁が多いわけです。外務委員会が一番そうだと思いますけれども、それに対してちゃんと答えろというのですね。参議院の北澤俊美外交防衛委員長も、そういうことを言っておられるのがありましたよ。本当に審議の促進に非常に貢献していただけたんじゃないかと思いまして、深く感謝いたします。

 御礼で一つだけ御注意を申し上げます。本会議場のでかい声は、寝ているのもいますし、いいですよ。ここは善男善女で、まじめな人ばかりで、寝ている人なんて一人もいませんから、朝の大声はどうも耳ざわりですからやめていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

河野委員長 次に、松原仁君。

松原委員 それでは質問に入りますが、イランの大統領選挙についてであります。

 冒頭お伺いしたいことは、五月に中曽根外務大臣はイランを訪問したわけでありますが、そのときの目的は何だったんでしょうか。

中曽根国務大臣 五月にイランを訪問いたしました。これは、ちょうどことしが外交関係開設八十周年の節目という年でありまして、日本とイラン関係の強化、それとともに、核問題とかまた地域の安定などに向けたイランの建設的な取り組みを働きかけるために参りました。

 滞在中は、御承知かと思いますが、私自身もアフマディネジャド大統領やモッタキ外務大臣と会談を行いまして、イランにとりましても大変厳しいことも述べたつもりでございますが、イラン側は私の発言にも真摯に耳を傾けてくれた、私はそういうふうに思っております。

 御質問から外れるかもしれませんが、いずれの議論いたしました課題といいますか、そういうものもすぐに結論が出るというようなものではない、いろいろ難しいものもございますけれども、友好国でもあります日本の意見としてイラン側は真剣に受けとめてくれたものと思っております。

松原委員 そのとき、相手の耳に痛いことというのはどんなことをおっしゃったのか、また、民主化、民主主義という観点に絡んでの何か議論をしたのか、お伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 会談におきましては、当然のことながら、二国間関係に加えまして、イラン、米国との関係、御案内のとおり、米国のオバマ大統領もイランとの対話を始めるようなニュアンスの御発言もあったわけでありますが、それから、先ほど申し上げましたイランの核問題、また北朝鮮問題など、地域情勢及び国際情勢について意見交換を行ったところでございます。私からは、イランが地域の平和と安定のために近隣諸国との協力関係を築きながらふさわしい責務を果たすことを希望する旨述べたところでございます。

松原委員 イランの大統領ともお話をしたわけでありますが、当然選挙がこの時期にあるというのはわかっておりまして、選挙のことについての話題はあったのかなかったのか、そこまで突っ込んで民主的な選挙が当然行われると思いますというふうな話はしなかったと思いますが、したのかどうなのか、その辺もお伺いしたい。

中曽根国務大臣 選挙に関する話はございませんでした。

松原委員 日本の対イランの援助は、大分今少なくなってきているということであります。したがいまして、この質問は時間上避けてもいいんですが、では簡単に、どういう状況か、どれぐらい少なくなっているか、お伺いしたいと思います。

小田政府参考人 日本のイランに対するODAでございますけれども、二〇〇七年度の実績で申し上げますと、技術協力が四・七九億円、それから無償資金協力、これは草の根無償などですけれども、約五千五百万円、こういうふうな数字になっております。

松原委員 イランは従来は日本に対しては極めて親日的というふうな評判のある国家でありましたが、本来、これは核問題等があってその数値になっているんだと思います。日本としてはイランとはもっと太い関係があった方がいいのかどうか、大臣の御所見をお伺いします。

中曽根国務大臣 イランの現在の、先ほど申し上げました核の問題等、いろいろありまして、国際社会もそれなりのそれぞれ対応をしているわけでありますが、我が国といたしましては、イランとの関係を大事にしながらやっておりますので、今ODAについての実績の報告がございましたけれども、こういう良好関係をもとに援助をすることによってイランが国際社会の中で一緒に活動できるような、そういう環境になるように援助等しながら、私どもとしては、そういうことを考えながら援助をさらにふやしていくのがいいんではないかと思っております。

松原委員 イランに対する制裁といいますか、国連安保理決議に基づく措置を誠実に実施ということで、三十五団体、四十個人の資産凍結措置をしているということでありますが、これは現在も進行中ですか。

鈴木(敏)政府参考人 お答えいたします。

 国連安保理決議に基づきますイランに対する制裁措置でございますけれども、これは、今御説明があったような内容について進行しております。

松原委員 大臣、三十五団体、四十個人の資産凍結をしている。アメリカがバンコ・デルタ・アジアで北朝鮮にやったようなものですよ。これに関して、いいんですよ、大臣の率直な所感をお伺いしたい。これは、どういう状況になったらこれを凍結するとか、例えば今回の死者が出るような選挙の情勢になるとこういうものの凍結はさらに続く、そういう見通しになりますか。大臣、お答えいただきたい。

中曽根国務大臣 これは、私の認識しているところでは、核開発問題に対してのそういうような対応だと思いますので、これらが改善されるということ、これが一つの条件ではないかと思っております。

松原委員 それでは、お伺いしますが、死者が発生している現在の選挙結果を受けてのこのイランの騒乱状況をどのように大臣は所感としてお持ちか。お伺いしたい。

中曽根国務大臣 イランのあの大統領選挙後、この数日間の騒乱といいますか混乱の中で死傷者が出たことは、私どもも懸念をしておりますし、こういう事態は回避されなければならない、そういうふうに思っております。

 イランにおきましては、ハメネイ最高指導者の指示を受けまして、憲法擁護評議会が票の再集計に基本的に同意したと承知をしております。我が国は、イランの選挙プロセスにおきまして本件がどのような形で適正に処理されるのか、今関心を持って事態を注視しているところでございます。

松原委員 イラン大統領選挙に対する主要国の反応をお伺いします。

 まず、フランスの反応はどうでしょうか。

中曽根国務大臣 フランスは、十六日付のフランスの外務省の発表におきまして、サルコジ大統領及びクシュネル外務・欧州問題相が深い懸念を表明いたしました。そして、デモ参加者に対する暴力を非難いたしましたことを発表し、平和裏にデモを行う権利、表現と言論の自由が尊重されなければならず、不服申し立て手続の完全な実施を期待する、そういうふうに述べたと承知しています。

松原委員 大臣、そこでお伺いしますが、中曽根大臣は、この人命が失われたことに対して非難を今この場で表明できますか。非難のことを、フランスは表明しているんですよ、外務大臣が。

中曽根国務大臣 このような事態になって、こういう広範な抗議行動が行われているということは、これは大変な事態であるわけでございますけれども、我々としては、発砲が行われたり、それから死傷者が出たということは大変懸念をしておりまして、先ほどから申し上げておりますように、こういう事態は一刻も早く回避されなければ、そういうふうに思っています。

松原委員 あえて、懸念というよりはフランスは非難しているのでありますが、日本の立場として非難はする気があるのかないのか、お伺いしたい。

中曽根国務大臣 選挙の結果のこういう事態でありまして、我々としては、選挙そのものに対する評価とかそういうものはもちろんすべきところではありませんけれども、このような死傷者が出たということは大変残念なことでありまして……(松原委員「明快に答えてください」と呼ぶ)

 実は、死者が出た状況というものもよく承知しておりません。どういう形で、実際これもこれからそこら辺の検証も行われるのではないかと思っております。ですから、そういう死傷者が出たということは大変残念であり、我々としては一日も早い事態の収拾を願うわけでありますが、そこら辺の原因とか状況というものを承知しておりませんので、懸念をしているということでございます。

松原委員 ドイツの外務大臣、中曽根外務大臣と同じお立場のドイツのシュタインマイヤー外務大臣はこう言っているわけです。デモ参加者に対する治安当局の対応を最大限の強さで非難すると。別に、同じ外務大臣だから同じことを言ってくださいとは言いませんよ、それは中曽根外務大臣の思いですから。しかし、ドイツの外務大臣は、デモ参加者に対する治安当局の対応を最大限の強さで非難すると言っているんです。

 中曽根外務大臣は、懸念をする、このレベルですか。もう一回答弁してください。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、状況がはっきりと、治安当局とデモ隊の間でどういう形でどういうふうになったというものを私自身は承知しておりませんので、そういう意味で、この事態に対する私の考えというものは、これは懸念であり、残念な結果である、そういうふうに思っているところでございます。

松原委員 まあ、いいですよ。私は、日本が国連の安保理常任理事国入りを目指すとかいうことをおっしゃっているから、そうであるならば、日本はこういう状況で何らかの意思を普通は言うべきだと。つまり、イギリスもそうだ、ドイツも常任理事国入りを目指そうとしている。イギリスは常任理事国、これは深刻な懸念を持って見ていると。フランスは、サルコジ大統領やクシュネル外務大臣がここまで強い表現で非難している、これも安保理常任理事国。

 だから、私は、その意味において、日本が常任理事国を目指すような国家であるならば、こういうときにきちっと記者会見をして外務大臣が発表するとか、こういうきょうみたいな外務委員会の席で発表するとか、これをしなければいけないと思うんですよ。つまり、国連安保理の常任理事国入りをするということは、今大臣は状況がわからないというようなことをおっしゃっていた。状況がわかるような体制じゃなかったらば、ドイツはこれはそこまで言っているんだから、それは政治判断もあるだろうし。その状況がわからないということ自体が、国際社会で大きな指導的な立場を占めようとする日本としては極めて不十分だというふうに私は思うんです。

 アメリカの対応に関しては、バイデンさんがかなり非難をしているわけであります。そして、我々は様子を見なければならないが、このことに関しては余り、疑問があるというふうなニュアンスを入れているわけであります。今後イランがいかに反応するかを見守りたい。我々は確固たる判断をする十分な事実は有していないと。

 有していないけれども、少なくとも、死者が十人を超えているという報道もある。こういった状況の中で、そのことに対しては、暴力を拒否して国の統治のあり方を決めようとする選挙においてこういった暴力行為が行われたことに関して、私は、懸念を示すというよりは非難を上げるというのが、当然に民主主義国家として、その選挙を重んじて、選挙を一つの正義としてやっている日本としては、選挙結果でこうやって人が死ぬということに対して非難をするべきだと思うんだ、この事実は。死者が出たという事実。もう一回、中曽根さん答えてください。

中曽根国務大臣 選挙につきましては、選挙結果が出まして、抗議の申し立てに対して憲法擁護評議会が票の再集計に基本的に同意するなどして、今は選挙のプロセスのルールの中での対応がとられているわけでありますから、当面は、そういう意味で、基本的に事態の推移を見守るというのが我が国の立場であります。

 今各国の状況もお話しされておりますけれども、米国におきましては、オバマ大統領が会見の機会に、イランの、これは選挙のことですけれども、大統領選挙に干渉することは生産的でないとしつつ、これは当然のことですが、以下のようなことを述べています。平和的な抗議者に対して暴力が振るわれる様子を目にすることは、いつでも自分及び米国民の懸念となる。今後の展開はイラン国民次第であるが、人々の声は抑圧されず、聞かるべきであるとの普遍的原則を支持する。一般的な形での御発言であると思います。

 各国それぞれ対応といいますか声明の状況は違いますが、私は、再三申し上げましたように、発砲がされて死傷者が出たということは大変遺憾なことであり、事態の一日も早い収拾を願っている、そういうことでございます。

松原委員 イラン大統領が今回また再任をされたわけでありますが、そうすると、日本として、当たり前でありますが、この大統領もしくはイランの今の政府首脳と今後会談をする見通しというのはあるんですか、ないんですか。

中曽根国務大臣 選挙が終わったばかりでありますし、御案内のような混乱状態ということでございます。

 政府といたしましては、アフマディネジャド大統領、現在もまだ大統領だと思いますが、と連絡をとったことはありませんし、また、今の段階で同大統領と新たな会談など、そういう予定は設定されていることはございません。

 今申し上げましたけれども、大統領選挙の結果がどのようなものであっても、新たな政権が発足するまではこれは現政権が行政を担っておりますので、したがいまして、我が国の例えば政府高官がイランを訪問して現政権の政府高官などと会談するということは何ら問題ないわけでありますが、私自身、今のところ、そのようなことは考えておりません。

松原委員 今度、これは北朝鮮問題でありますが、読売新聞に、日本で最も部数があると言われているこの新聞の一面の冒頭に、「北ミサイル青森通過か 来月上旬にも発射」か、こういう記事が載っているわけであります。私は、日本の国内で最も影響力のあるメディアが、新聞媒体でありますが、ここまで取り上げたことに関して、国は一定の流れというか一定の事実をやはり国民に報道しないといけないと思うんですね。ここまで、青森県沖を、青森県の上空を行くだろうと言われている。

 このことに関して防衛省はどのような見解をお持ちか、お伺いします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道は私どもも見ているわけですけれども、防衛省としては、現在まで、北朝鮮の弾道ミサイル関連活動については重大な関心を持って情報収集、分析に努めてきているところでございまして、これまでの北朝鮮の声明等を総合的に勘案すれば、北朝鮮がさらなる弾道ミサイルの発射に踏み切る可能性は否定できないというふうに考えております。

 しかしながら、防衛省としては、現段階において、記事にあるような発射場所でありますとか発射方向等について、予断を持って申し上げることは困難だというふうに考えているところでございます。

 いずれにしても、引き続き、情報の収集、分析に努めてまいりたいと考えているところでございます。

松原委員 けさのCNN、FOX等で報道されたもので、ミサイルを搭載した可能性がある北朝鮮貨物船が十七日、北朝鮮の港から出港した、船の名前はカンナム、行き先は明らかにされていない、米軍は追跡を続けている、こういう報道がCNN、FOXできょう流れました。今回の北朝鮮の船の出航は決議採択後初めての動き、各国の注目が集まる、米軍筋によると、カンナムは過去、北朝鮮の大量破壊兵器拡散活動に使われてきた船舶、二〇〇六年には香港海事局は、このカンナム一号、カンナム五号を安全設備に不備が見つかったとして出港を認めない強制措置をとったと。

 これは、アメリカは、この船がミサイル技術を中近東のどこかに持っていくのではないか、こういうふうなことが言われておりまして、最初の安保理のことで緊張が高まっているわけであります。これに関しては今設問いたしません。

 こうした状況の中で、緊張が高まって、これに対しての何かのアクションがあるならば、北朝鮮がさらに、今言った青森沖を通過するというか、こういったロケットというか、これをぶっ放す可能性がある。そのときに日本としていわゆる追加制裁というものの項目が問題になるんです。

 先ほど議論がありましたが、私は、輸出禁止は極めて意味があると個人的に思っております。というのは、費用が八億円、十億円という数字ではなく、二束三文の多くの自転車が例えば日本の日本海側から持っていかれる。それは、値段的には、数値は一台例えば五十円とか百円とかという値段かもしれないけれども、結果として、物量的に北朝鮮に持ち込まれる海外からの中古製品という点では、それは金額にかえがたいメリットがあるので、これをとめるというのは、これはこれで効果がある、かなり北朝鮮は参るだろうと私は思っておりますが、それと別にして、人の出入りの部分がどうなっているのかということをお伺いしたいわけであります。

 法務省にお伺いしたいわけでありますが、北朝鮮から日本に来る再入国というのは基本的に禁止をされている、原則は。このことをお伺いしたい。

高宅政府参考人 お答えいたします。

 現行法のもとでは、北朝鮮向けの再入国につきましても、再入国許可書、北朝鮮の方は旅券をお持ちにならないという建前でございますので、再入国許可書による再入国を認めているということで、すべて禁止されているということはございません。

松原委員 許可制ということであります。

 この再入国許可が、当初は、ある段階から、人道的理由により渡航する若干名に対して再入国を認めた、その後さらに、経済、スポーツ、文化学術交流等を目的とするものにまで拡大した。私も資料をいただいておりますが、この入国者数は、昭和四十四年から、四十四年、四十五年は六人ですよ、再入国はたった六人。四十七年は九十一、四十八年は三百十六、五十一年度は五百五十。怒濤のごとくふえていって、一万人を突破した状況があって、今また減ってきているわけであります。

 こうした中で、お伺いしたいわけでありますが、これは、人道的理由から渡航して戻ることを認めた、その後さらに、スポーツ、経済、文化学術交流まで認めた。文化学術交流まで認めると、これはミサイル技術も持っていきますよという話になるんですよ。わかりますか、理屈として。それはだめなはずですよ。だから、これは少なくとも、昭和四十七年以降の渡航目的を人道上の理由から拡大した前に戻すべきだと私は思うんですが、なぜこのときはこういうふうにして渡航目的を人道上の理由以外にまで広げたのか、お答えいただきたい。

高宅政府参考人 古い取り扱いでございますので、詳細は明らかでございませんが、確かに、当局に保管されている古い資料では、昭和四十七年以降、人道上の理由から、さらに、経済、スポーツ、文化学術の交流の目的に拡大されたということはございます。ただ、これの背景につきまして、残っている資料で確認できるものは、ちょっと今のところは見当たらない状況でございます。

松原委員 納得できないわけですね。

 少なくとも人道目的に絞られているときは、これも、それまではそれが認められていなかったのに、何で昭和四十四年で認められたのか。どこかが圧力を加えたんだと思うんですよ。それは朝鮮総連なのかどこか私はわかりませんが、どこかが圧力を加えたんだろうと。そして、それがその後に及んで、いわゆる人道目的以外の、経済、スポーツ、文化学術交流、含むミサイル技術の移転と私は言いたくないけれども、それは移転していますよ、間違いなく。間違いないですよ。

 大臣、今も許可制であるということですが、渡航目的で文化学術交流、これはやはりその前の人道目的以外はだめよというところに最低限戻すぐらい検討したらどうですか。大臣、お答えいただきたい。

中曽根国務大臣 現下の北朝鮮のあのような行為の実態というものを踏まえて、人の往来についても、見直すべきところがあれば見直していくのが正しいことだと思っております。

松原委員 この文化学術交流、文化学術ですよ。技術が入りますよ、ミサイルの。認めていいんですか。もう一回答えていただきたい。

中曽根国務大臣 学術に技術が含まれる、またその技術も北朝鮮の現在の軍事力の増強等に非常に資するものであれば、これは問題でありますから、当然検討しなければならないと思っています。

松原委員 では、大臣、この部分に関して検討をこれからやると明言してください。

中曽根国務大臣 今私は御答弁申し上げましたけれども、これは政府全体としての対応ということになりますから、関係省庁ともよく相談をして決めるべきことだと思っております。

松原委員 では、これは少なくとも人道目的以外は、そうはいったって人道目的と称して戻る可能性もあるけれども、今のこの枠の広がりは、昭和四十七年以降目的そして許可制を広げた、これに関しては見直しをする方向で内閣の中で議論してくださいよ。これは最低限やってもらわないと、日本の国がこういうふうなことを、つまり、人道上以外の、経済、スポーツ、文化学術交流等まで再入国いいですよと言ってやっていること自体が、安保理決議やそういうので極めて日本もやっていて、輸出に関しても全面禁止したのに、ここだけこれではやはりおかしいですよ。直してもらわなきゃいけない。

 本来は、人道支援、人道目的といったって怪しい場合があって、それは年に二回も三回も行く人は余りいないだろうけれども、それだってあれだろうし、向こうに行って、ミサイル技術を持っていったと言われている人はどうも二、三カ月いたんじゃないかと言われるけれども、三カ月もいて戻ってきたら、やはりおかしいんですよ。こういう部分に関してきちっとしたけじめをつけるということが必要だと私は思っております。

 そういうことをしないと、日本はみずからが渡したミサイル技術で北朝鮮からおどかされることになってしまうわけであって、これも報道ベースでありますが、アメリカのシンクタンクの国際政策センターのセリグ・ハリソン・アジア研究部長は十七日、アメリカ下院外交小委員会で証言し、北朝鮮との戦争があるとすれば北朝鮮が攻撃するのは韓国ではなく日本だとの見方を示した、ハリソン氏はことし一月北朝鮮を訪問し、北朝鮮の政府や軍部高官と会談している、これは時事通信が報道しています。

 いいですか。北朝鮮が、東京を火の海にするとか言っているわけでありますが、その技術を日本みずからが、渡航して、そして再入国の許可を出すという、このばかげた文化学術交流の中にそういったものまで含めてやっているとしたら、こんなばかな話はないんですよ。きちっとこの点に関しては私はやってほしいと思います。

 そして、時間もありませんから、最後に中国の問題にちょっと触れたいと思いますが、中国が今、いわゆるIMFのSDRを使って、これを新しい国際的な基軸通貨にするべきだということを言っているわけであります。G20でも言ったし、またBRICsでもそういう発言をしている。このことの中身に関して財務省にお伺いしたいのと、これは現実にペッグ制をやっている中国が……

河野委員長 松原君、質問時間が終了しております。

松原委員 このことに関して、中国の思惑の、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。以上で終わります。お答えください。

河野委員長 申し合わせにより、質問時間終了後の質問については答弁者に答弁を求めません。

 次に、笠井亮君。(松原委員「ちょっと待ってよ。時間内に聞いているんだよ。だって、今質問しているんだよ。それはちょっとおかしいよ」と呼ぶ)次に、笠井亮君。(松原委員「笠井亮君と言ったって、それはおかしいよ」と呼ぶ)質問時間は終わっております。(松原委員「質問時間の中で言っているんだよ」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河野委員長 速記を起こしてください。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭に、この間の当委員会での質疑に関連して二点確認をしておきたいと思います。

 一つは、六月十日の我が党の赤嶺議員の質問に関連してですが、米軍犯罪の関連の問題であります。

 法務省刑事局の一九七二年作成の合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権等に対する実務資料についてでありますけれども、河野委員長が、質疑の際に、外務省に対して、黒塗りを外したものを理事会に提出するように求めましたが、外務省、その結果はどうなったか、当委員会に対しても報告をしていただきたいと思います。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘になりました、法務省が作成いたしました「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」に含まれます公務の範囲に関する日米合同委員会合意部分につきましては、十日の委員会での御指摘を踏まえて米側と協議を行った結果、黒塗りを外したものを十七日の理事会でお配りいたしました。

 この合意につきましては、公の催し事で飲酒をして自動車を運転しても公務として取り扱われ得る余地が残っているということで、これについては現在の社会通念にも適合しませんので、実は、米側と見直しのための協議を行っているところでございます。十日の段階では、その協議を行っていることについて公表することについて米側との合意がございませんでしたので答弁はいたしませんでしたが、この協議は現在も行っているということを公表してもいいということでありますので、御説明いたします。

 また、現実の運用ということでございますが、飲酒をして運転した場合、公の催事での飲酒を含めて、そういうことについて公務証明書が発給された事例があるかどうかということを調べてみましたけれども、可能な限り記録をさかのぼって調べましたが、一件も確認されておりません。

 そういう意味で、先ほどの合意の、さきに述べた部分は事実上死文化をしているということでございますので、できるだけ早くこれをきちっと改正したいというふうに思っております。

笠井委員 現実の問題はどうかというのはまたきちっとただしていかなきゃいけない、検証しなきゃいけない問題が別途ありますが、今、現代の社会通念に即して不要だということがありましたが、では見直しというのは、どういう方向で見直しているんでしょうか。例えば、公の催事での飲酒後の通勤ということについては削除するとか、そういう方向での見直しかどうか、その点はどういう方向かということで答弁願います。

梅本政府参考人 現在、米軍は、軍人等による飲酒運転については刑事罰及び行政処分を含め厳格な取り締まりを行ってきているということでございますので、そういうことを反映して、きちんとした内容のものにしたいというふうに考えております。

笠井委員 もう一点、六月十二日に、温室効果ガス削減の政府の中期目標の決定に当たって総理は産業界の代表に産業部門の具体的削減量を示して了解を得たのかという私の質問に、その答弁では明確な答えがございませんでしたが、この件も河野委員長が内閣官房に対して、確認の上、理事会に返事をするように求めました。確認の結果どうだったのか、当委員会にも報告を願いたいと思います。

鎌形政府参考人 地球温暖化対策の中期目標の決断に当たりまして、総理は、産業界の代表と会談いたしまして協力要請を行ったところでございます。

 この会談について確認いたしましたところ、具体的なやりとりについては明らかにできないとのことでございましたが、この会談においては産業部門の具体的削減量を示してはいない、こういうふうにお聞きしているところでございます。

笠井委員 予想どおり、具体的削減量を示していないと。これでどうして産業界に削減の努力を促すことができるか。

 私は、やはり先進国の責任にふさわしい野心的な中期目標、一九九〇年比で三〇%減を掲げて、特に大量排出元の産業界には大胆な削減目標、それに見合った抜本的な対策をただすべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、中曽根大臣に伺いますが、御承知のように、沖縄県議会は、去る六月十六日に議会百周年ということで、これを迎えるに当たって議会百年に関する決議というのを全会一致で採択いたしました。

 太平洋戦争で激しい地上戦の場とされた沖縄は、二十万余のとうとい命が犠牲となって、その後、二十七年の長きにわたって米軍占領下に置かれ、耐えがたい苦しみを体験してきた。一九七二年に沖縄の施政権が返還されたとき、県民は、基地のない、平和で豊かな沖縄の実現という崇高な目標を掲げました。しかし、今日の沖縄の状況はどうか、現状はどうかと見ますと、依然として全国の米軍専用施設の七四%が存在し、基地の負担軽減の名による米軍再編によって新たな負担を強いられようとしております。

 今回の決議でも、沖縄は、「今なお米軍基地に起因する様々な問題が派生している。」と告発をしております。沖縄は、来る六月二十三日に戦後六十四年目の慰霊の日を迎えます。私も、参議院の沖特委員長のときに実際この日にも参加をしたことがございましたが、まさに本当に大事な日だということでありますが、そういうことを前にした今回の決議というのは、再び戦争の惨禍を繰り返さない、恒久平和の実現へと、沖縄県民の新たな決意を示したものだと考えますけれども、この決議に対する大臣の率直な受けとめを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 沖縄の県議会が、議会百年に関する決議、これを採択したことは私も承知しております。今委員がお話しされたとおりでございますが、二十三日に戦没者慰霊祭が開催されるということで、麻生総理もこれに御出席される、そういうふうに伺っております。

 さきの大戦におきまして、沖縄は国内最大の地上戦を経験いたしまして、そして一般の住民を含めて約二十万人が亡くなられるなど多くの方が犠牲となり、まさに筆舌に尽くしがたい苦難を経験されたわけであります。

 私は、一月三十一日から二月一日にかけまして沖縄を訪問いたし、その際に、摩文仁の戦没者墓苑、また平和の礎を訪問いたしまして、沖縄の歴史や平和への思いを新たにしたところでございますが、現在、北朝鮮の御案内のような核実験またミサイル実験に見られるように、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しいものがございます。このような中で、在沖縄米軍が抑止力の維持に極めて重要な役割を果たしておるわけでございます。

 また同時に、在日米軍専用施設・区域が沖縄に集中している、そういうことによりまして、沖縄の方々には長年多大な御負担をおかけしているということも十分認識をしております。こういう認識のもと、今般の米軍再編を着実に進めるということで、抑止力を維持しながら、沖縄県民の方々のそういう負担の軽減に努めてまいりたいと思っております。

 外務省といたしましても、沖縄での国際会議の開催など、外務省も積極的に開催に向けて内閣と話をしたりして、このたびはITですかね、APECの際には閣僚会合が沖縄で開催されるということも決まったわけでありますが、沖縄の振興に積極的に取り組んでまいる所存でございます。

笠井委員 今お話があったわけですが、私は、沖縄の心をしっかり受けとめるなら、政府がやるべきは、負担軽減と二律背反する新基地建設など米軍再編強化ではないということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、米軍再編に関連して、二〇〇六年五月のロードマップでは、航空自衛隊の航空総隊司令部及び関連部隊は、二〇一〇年度に横田飛行場に移転するとして、関連施設及びインフラの整備を進めることになっております。

 そこで、防衛省に質問しますが、その経費は、今年度予算分も含めて、これまで契約ベースで合計幾らになっているか。そのうち、司令部庁舎分は幾らでしょうか。

枡田政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍再編に伴います航空総隊司令部等の横田飛行場への移転に係る施設整備費といたしましては、平成十九年度及び平成二十年度、両年度における契約額は約二百三十九億円であり、平成二十一年度予算には約百八十八億円を計上しており、これまでの施設建設に係る総額は約四百二十七億円となっております。

 そのうち、航空総隊司令部庁舎の施設建設に係る経費としましては、平成十九年度及び平成二十年度、両年度における契約額は約百八十七億円であり、また平成二十一年度予算には約八十億円を計上しておりまして、これまでの総額は約二百六十七億円となっておるところでございます。

笠井委員 ロードマップにある横田ラプコンの返還問題について、この間も、私、当委員会で質問してきましたが、沖縄の嘉手納基地ラプコンの返還の進捗状況を踏まえて、その検討を二〇〇九年度中、つまり今年度中に完了することになっております。

 現在、横田ラプコンでは日本側の管制官が併置されて、移管のための検討作業が行われておりますけれども、それはどこまで進展しているのか。そして、今年度中にその検討作業は完了するのかどうか、お答え願いたいと思います。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、再編実施のための日米ロードマップに基づきまして、二〇〇九年度の完了を目標として、現在、関係省庁とともに米側と協議をしている状況でございます。この検討の場として、先生も御存じかと思いますけれども、日米合同委員会のもとに民間航空分科委員会、こういったものを設けまして、その中に、またさらに横田空域に関する特別作業部会というものを設置しているところでございます。

 横田空域については、二〇〇六年五月のロードマップ合意後、十月には、空域の一部削減あるいはラプコンへの自衛隊管制官の併置に合意いたしまして、その後、横田空域の一部削減の実施なり、あるいは自衛隊管制官の併置を開始したところでございます。私どもとすれば、こういった実績をもとに、今後とも努力していきたいというふうに思います。そういう意味で、防衛省としても関係省庁に協力しつつ、二〇〇九年度中に完了すべく引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。

笠井委員 この横田ラプコンでは、米軍の横田、厚木基地、自衛隊の入間、立川基地の航空路の管制を実施しておりますけれども、この横田ラプコンの存在によって、立川基地、駐屯地で見ますと、高度二千フィート以上での航空機の運航はできない。そのために、立川基地に離着陸する航空機、ヘリコプターは限定された運航を余儀なくされております。

 私も直接地元の方々から聞きましたけれども、周辺住民からは、編隊で飛んでくると長時間騒音が続く、真下にいる人間としては耐えられない音だ、爆音が響いて家から飛び出してしまう、窓ガラスがびりびり音を立てて、畳も地響きで揺れる、腹が立って血圧が上がるなどの苦情が数多く寄せられております。

 北関東防衛局が、二〇〇八年、平成二十年四月に、四日間にわたって、朝八時四十五分から十五時二十分の間、武蔵村山市内で実施した騒音調査結果を見ても、九十デシベル以上が二十三回、八十デシベル以上が九十回も発生している。また、時には、規定の一千フィート以下で飛行したり、パイロットの顔が目で見て確認できるぐらいの低空で飛行しているなどの実態が住民から寄せられております。

 防衛省はこうした深刻な実態について承知しているでしょうか。いかがですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員お尋ねの陸上自衛隊の立川駐屯地、立川飛行場でございますけれども、この施設につきましては、自衛隊機が離着陸をしておりますほか、警視庁、東京消防庁等の航空機も離着陸をしているというものでございます。立川駐屯地に対しまして騒音の苦情が寄せられております。ただ、具体的な航空機の所属は明らかでございませんけれども、平成二十年度で計百六十五件の騒音苦情が寄せられているところでございます。

 防衛省といたしましても、これまでも、周辺住民の方々の生活に与える影響が最小限になるよう飛行時間等について配慮してきたところでございますけれども、今後とも、当省所属の航空機につきまして運用上可能な範囲で最大限の努力を行ってまいりたいと考えているところでございます。

笠井委員 今お答えがあったんですが、一九七九年、昭和五十四年の十一月に、陸上自衛隊の航空隊の使用基地として立川飛行場が設置されたことに伴って、一九八〇年の十月、当時の防衛施設庁東京防衛施設局と立川市との間で「協定書」が取り交わされて、一九八二年の二月に、東京防衛施設局は立川市に対して、「新立川飛行場の運用開始に伴う事前協議について」ということも、これは文書を出しております。

 これらの協定書及び事前協議の中で、要点で結構ですが、どんな確認がされていますか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のように、まず昭和五十五年十月に、当時の防衛庁と立川市におきましては、東京防衛施設局長と立川市長の間で協定書を締結しています。その内容でございますけれども、幾つかございますが、立川市の行う周辺整備事業について予算の範囲内で助成に努める、航空機の運用で生じる騒音等につきましては、周辺地域の生活環境に与える影響が最小限になるよう配慮するなどが規定されているところでございます。

 また、五十七年の二月に、立川飛行場の運用開始に当たりまして事前協議文書を締結しているところでございます。その内容でございますけれども、ポイントのみお答えさせていただきますけれども、飛行時間帯につきましては、通常の場合は午前八時から午後八時までといたしまして、特別の場合を除き、早朝、昼休み、休憩時間、夜間の飛行は極力避ける、離着陸回数につきましては、通常の場合においては一日平均おおむね五十回とするなどが規定されているところでございます。

笠井委員 実際そういうことがありながら、地元からは、防衛省としてちゃんと騒音測定器を設置してほしい、規定の高度や飛行経路を遵守してほしい、それから、日曜、祭日、夜間飛行などを行わないということで協定書及び事前協議の事項を遵守してほしいという要望が出されております。関係自治体からも、毎年のように、基地司令にあてての要請文が出されたり、口頭でもそういう要請がされている。しかも、飛行場管制を実施している陸自の飛行時間帯は朝八時から夜十時でありますけれども、これ以外の時間帯の飛行というのは実態的には無限定となっているのが現実だというのが地元の問題です。協定書やあるいは事前協議の確認内容が実際には守られていないんじゃないか。

 先ほど、立川飛行場というのは、陸自以外にも警察なり消防庁も使っているということも言われましたけれども、どこの機関や部隊の航空機やヘリであっても、周辺住民にとってみれば、立川飛行場から出ているあるいは入ってくるということで、同じ騒音環境被害に変わりはないわけであります。長年にわたる問題で、毎年六月に環境対策会議をやっているけれども、実際にそれが解消されていないということでありますけれども、この立川飛行場の環境問題をめぐって、やはりこうした要望に対してきちっと対応する必要があるんじゃないか。

 つまり、陸上自衛隊だけじゃなくて、利用するすべての機関、部隊にきちっとそういう形でこの協定書や事前協議の規定を準用、適用するとか、決めてきたことを遵守する、厳守する。あるいは、周辺地域の生活環境に与える影響が最小限になるように、さまざまな措置をとる。騒音測定器をちゃんと設置するとか、あるいは住民説明会を開いて、きちっと声も聞いて説明もするということで、万全の対策をとるべきじゃないかと思うんですが、どういう対策をとっていくんですか。この点について答えてください。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、防衛省と立川市の間におきましては、協定書そして事前協議文書の締結をいたしているところでございます。それを踏まえまして、防衛省といたしましても、まずは、陸上自衛隊の内規におきまして、立川飛行場における自衛隊の運航訓練の時間帯等につきまして制限を設けておりまして、それを踏まえての対応としているところでございます。

 ただ、現実に、緊急事態の場合、災害発生等の場合につきましては、当然、おのずから決められた時間帯以外の運航というのがあり得るというふうに御理解を賜りたいというふうに考えております。

 また、離着の回数とか飛行経路につきましても、事前協議文書の規定に従いまして運航を行っているわけでございますけれども、もとより、この飛行経路につきましては、その時々の気象状況等によりまして幅があるというものでございまして、また、緊急時の対応等につきましては、当然、おのずから異なる運用があり得るということについては御理解を賜りたいというふうに思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、協定書、事前協議文書を踏まえての対応とさせていただいているところでございますし、今委員お尋ねのように、警視庁、そして東京消防庁についても同様の対応を求めるべきではないかということでございますけれども、私どもといたしましては、そういうような他の機関におきましても同じ規制の中で対応すべきだというふうに考えております。

 いずれ、関係機関につきまして、そして地方公共団体ともども環境対策会議を行いまして、それぞれの騒音の状況の情報共有、そしてそれぞれの機関の対応、市町村の要望等についての意見交換をこれまでも行わせていただいているところでございます。

笠井委員 引き続き、誠実にその問題をやっていくということについては、やるということを一言ちょっと言ってください。

井上政府参考人 地域住民の方々の環境を十分踏まえて運航させていただきたいと考えております。

笠井委員 終わります。

     ――――◇―――――

河野委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣中曽根弘文君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中曽根国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年十一月に、ブルネイとの間でこの協定の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十一年一月二十日に東京において、私とボルキア外務貿易大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、日・ブルネイ両国における所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止について定めるとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を規定しております。

 この協定の締結により、我が国とブルネイとの間での課税権の調整が図られることになり、両国間の経済的交流、人的交流等が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とカザフスタン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成十九年十二月に、カザフスタンとの間でこの条約の交渉を開始いたしました。鋭意交渉を行いました結果、平成二十年十二月十九日に東京において、私とカマルディノフ駐日大使との間でこの条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、日・カザフスタン両国における所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止について定めるとともに、配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を規定しております。

 この条約の締結により、我が国とカザフスタンとの間での課税権の調整が図られることになり、両国間の経済的交流、人的交流等が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

河野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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