衆議院

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第3号 平成21年11月20日(金曜日)

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平成二十一年十一月二十日(金曜日)

    午前九時二十六分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君

      石井登志郎君    緒方林太郎君

      吉良 州司君    齋藤  勁君

      阪口 直人君    末松 義規君

      武正 公一君    中津川博郷君

      中野渡詔子君    中林美恵子君

      仁木 博文君    西村智奈美君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    平岡 秀夫君

      松宮  勲君    横粂 勝仁君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   外務副大臣        武正 公一君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     石井登志郎君

  末松 義規君     仁木 博文君

  松宮  勲君     中林美恵子君

  横粂 勝仁君     中野渡詔子君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     緒方林太郎君

  中野渡詔子君     横粂 勝仁君

  中林美恵子君     松宮  勲君

  仁木 博文君     末松 義規君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     大山 昌宏君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 沖縄県辺野古への新基地建設の白紙撤回と普天間基地の即時撤去に関する請願(服部良一君紹介)(第三四七号)

 核兵器のない世界の実現に関する請願(笠井亮君紹介)(第四七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ及び公明党所属委員に対しまして、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られませんでした。

 理事をして御出席を要請いたしますのでちょっと時間をかしていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 与党理事から所属委員の皆さんに御出席の要請を懸命にいたしましたけれども、出席の返事が得られませんでした。やむを得ませんので、議事を進めさせていただきます。

 万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件及び南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野譲君。

中野(譲)委員 おはようございます。民主党の中野譲でございます。

 大臣、きょうは朝からお疲れさまでございます。そして、長谷川政務官におかれましては、お越しをいただきまして、大変ありがとうございます。

 私が質問に入る前に、ちょっと一言申し上げさせていただきたいと思います。

 私は民主党に所属しております議員でございますが、四年ぶりに国会に戻ってまいりまして、この四年間、国民と対話していく中で、やはり外交、安全保障に関するものは、与党、野党の壁を超えていかなくては本当の意味で日本がしっかりとした外交をできないという思いをずっと持っておりました。

 今回、私、理事という立場で外務委員会にも所属をさせていただいておりますが、結果としましては、条約三本のこの質疑に自民党、公明党の方がお出になっていないということは大変残念な気持ちでございます。

 この間、委員長を中心に、私たちも一生懸命に、とにかく与党、野党の壁を超えて一つ一つ外交、安全保障については話し合いをしていこうではないかということでやってきたつもりでございますが、この結果になったことは残念でありまして、引き続き、委員長を中心に、外交のために与党、野党を超えた質疑をこれからもやっていく、そのような気持ちを持ちまして今回私は質問に立たせていただきたいと思っております。

 私の質疑は、今回は三本の条約が上程をされておりますが、条約の第一そして第二号、いわゆる郵便業務に関するものについて御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず第一に、今回の改定の中で一番大きなものは到着料の引き上げでございますが、日本も加盟する万国郵便連合、UPU、百九十一の国と地域から成っているということでございますが、先進国はその中で何カ国あって、当然日本は含まれていると思いますが、先進国の中に、ほかのアジアの国を含めまして、含まれているかどうかをまずはお尋ねしたいと思います。

長谷川大臣政務官 ちょっと正確に資料を見てまいりませんでしたのでお答えしにくいんですが、百九十一が全体の数でございまして、先進国というのは恐らく二、三十カ国だと思います。ちょっと後で確認をしまして、正確な数字を答弁させていただきます。

中野(譲)委員 私が調べたところによりますと、先進国は二十九だと思っております。そして、二十九の先進国の中で、アジアの国では唯一日本だけが先進国という枠組みの中に入っておりまして、例えば中国ですとか韓国だとかいうほかのアジアの国は途上国の枠組みの中でUPUの中では扱われているというふうに理解をしておりますので、もし間違っておりましたら後で御訂正をいただければと思います。

 今回の郵便料の到着料の引き上げですが、これはいわゆる名あて国側への配達手数料ということでございます。今回の改定におきまして、今までは四十四円、これは、例えば日本とアメリカとか日本とイギリスのように、先進国間の手数料が四十四円だったものが四十九円になる。そして、途上国と先進国の間の場合は十二円から十三円ということで一円引き上げになる。そして、途上国間の場合は同じく十二円から十三円ということで一円の引き上げになるということでございます。

 UPUは四年に一度ということで、前回は二〇〇八年でございますか、その間、日本で何が起こったかというと、郵政民営化が行われまして、そして、郵便業務にかかわるものが形態が複数の株式会社で成っておりますが、この四十四円から四十九円になる前の手数料自体、各株式会社で例えば配分があるのかどうか、それとも一つの郵便事業会社だけに手数料が収入として入ってくるのか。そこをちょっと教えていただきたいと思いますが、長谷川政務官、お願いいたします。

長谷川大臣政務官 先ほどは正確な数字を述べられませんで、失礼をしました。先生御指摘のとおりに、先進国、二十九カ国の国、地域でございますし、アジアでは日本だけでございます。

 今の到着料の入る先はどこかということでございますけれども、おっしゃるように、公社の時代は一つでございましたけれども、今は持ち株会社のもとに四つの会社に分かれておりまして、その中に郵便事業株式会社というのがございます。ここがこの到着料を受け入れることになっております。

中野(譲)委員 そうしますと、もう一つ質問としましては、郵便物が、国外から国内に入ってくる郵便の通数と、今度は国内から国外に出ていく郵便の通数、それぞれ幾つぐらいあるのか。そして、では、途上国から来る場合、いわゆる先進国から来る場合、または途上国へ行く場合、先進国へ行く場合、それぞれどのくらいの割合なのかも教えていただければと思いますが、政務官、お願いいたします。

長谷川大臣政務官 まず、外から日本へ入ってくる方でございますけれども、およそ一億九千万通、ちょっとまとめて申し上げますが、丸い数字で一億九千万通ほどでございます。逆に、日本から出ていく方が約七千万通ということで、その差が二・七倍ということになっております。

中野(譲)委員 それぞれで、途上国から来る場合は。

長谷川大臣政務官 失礼いたしました。

 途上国との間の郵便物は、これは入ってくる方も出ていく方もほぼ比率は同じでございまして、大体全体の二〇%から二五%、これが途上国の分でございます。

中野(譲)委員 最新のデータで結構なんですが、先ほどの手数料収入はあることは理解をしているんですが、郵便事業全体が国内でも株式会社になってから非常に厳しい状態でございます。その中で、海外の郵便業務に関しまして、手数料と実際に国内で配送する場合とのいわゆる収支のバランスは赤字なのか黒字なのか、どのくらいのボリュームなのかというのを、金額でおわかりになればちょっと教えていただきたいと思いますが。

長谷川大臣政務官 現在、平成二十一年度は進行中でありますが、聞きましたところでは、ことし全体の外国からの到着料収入は四十三億円程度になるだろうということのようでございます。

 大体そのコストがどのぐらいかというお尋ねですけれども、実際、会社の方で資料を公表しておりませんで、経営資料だからということのようでございますけれども、私自身はそれは納得はいきませんが、確たる数字は持ち合わせておりません。

 ただ、先ほど委員御指摘のように、到着料が四十四円から四十九円に上がる、そして、四年後には五十五円まで上がっていくということで、先進国間ではほぼコスト見合いの到着料を目指しているはずでございますので、その数字を若干上回る程度のところがコストであろうというふうに私自身は推定しております。

中野(譲)委員 そうしますと、現状では赤字ということでよろしいでしょうか。はい。

 これは平成十六年の数字なので公社の時代だと思いますが、そのときは百二億円という数字が、これは委員会の答弁でございまして、約百二億円赤字であるということでございました。それが、今おっしゃったとおり、株式会社ということでどのくらいのコストがかかるかわからないということで、ただ、収入自体は四十三億円ということでございますから、いずれにしても赤字であるということだと思います。

 私の考えでいきますと、要は、海外から日本に入ってくる方が、日本から海外に出ていく場合よりも二・七倍ということで、通数がはるかに多いということは、これは、例えば先進国間では五円、そして先ほどのように途上国と先進国、ないし途上国と日本の間では一円ということは、それだけ収入が日本側ではふえるという理解でよろしいんですよね。

長谷川大臣政務官 おっしゃるとおり、それは外から収入としていただくということになりますが、御指摘のとおりに、配達そのものに大変コストがかかるわけでありまして、実際にかかるコストを賄うほどの到着料はいただいていないということでございますので、これはもう過去ずっと苦労しているわけでございまして、これからも改善に努力しなければならぬと思っております。

中野(譲)委員 ただ、その計算式からいきますと、赤字幅は縮減をしていくということだと思います。ただ、これは裏を返せば、日本の場合は赤字幅が縮減をしても、例えば途上国の場合は今度は収入が減るということになるんだと思うんですが、そこはそのような理解でよろしいですか、日本との関係ですね。

長谷川大臣政務官 日本との関係でいえば、途上国が支払って日本がいただくという関係はそのとおりでございます。

 ただ、途上国そのものは、差し出しますときに料金を自分のところでたくさんいただいているわけでございまして、その中から一部を到着料として他国に払う、こういう関係でございます。

中野(譲)委員 途上国からの場合、私が申し上げたいのは、いずれにしても、一円上がってくるということは、例えば、今まで二十円の利益、二十円の留保が途上国である場合、値上げをしない場合、一円分が今度は日本にかかってきますから、二十円が十九円になるということで、そうすると、ボリュームでいくと途上国の収入は減るという理解だと思うんですが、そのような理解でよろしいんでしょうか。

長谷川大臣政務官 その限りにおいては御指摘のとおりでございます。

 ただ、先ほどから申し上げておりますように、到着料そのものは実際に配達に要するコストを賄っていないものですから、随分前からと記憶しておりますけれども、何とかお互いに協力をし合って到着料を適正なものにしようということで何遍も話が進んでおりまして、今回も全体の中でコンセンサスで決まっているというふうに承知しております。

中野(譲)委員 国内的に見て、例えば総務省の立場でいえば、これは、この条約で今後も到着料は上げていってもらいたいという方向だというふうに理解をするわけでございますが、外務省の立場でちょっとお聞きをしたいのは、途上国というのは、もう御存じのとおり、インフラも含めて通信も非常にまだまだ、これから発展途上の国がたくさんございます。私が東南アジアで働いていたときも、例えばカンボジアを含めまして、非常にそういうコストがかかる地域が多いわけでございます。

 これは例えば、国内的に、総務省としては、こちらのコストを賄えるようにこれからどんどんどんどんと到着料が上がればいいという反面、外交的に考えた場合には、途上国をどのようにこれから支援していくか、国際社会の中でどのように日本が貢献をしていくかということを考えた場合には、上がるというのは、政策的には外務省としてはどのようにその辺をお考えになるかというのをちょっとお聞かせいただきたいと思いますが。

武正副大臣 中野委員にお答えをいたします。

 今、長谷川政務官の方からもお話がありましたが、到着料については、先進国と途上国との経済社会状況を踏まえて一定のバランスということで、途上国に対しては安い料率というお話があったわけでございます。

 そもそも、万国郵便連合ということで、世界的に非常に歴史のある組織でありまして、日本も、前島密先生が始められた郵便制度、これは、やはり国内のみならず国外との関係で、その制度を世界的な了解のもと、共有のインフラ財産として築き上げてきた、そういう歴史がある中で、途上国にもそちらに参加をしていってほしい、そしてまた、その中でそのメリットを共有して、そしてそれぞれの国のキャパシティービルディングにそれを生かしてほしい、そういう思いでこの条約が、あるいは万国郵便連合がつくられていると承知をしております。

 ですから、ここで一円の値上げということで、先進国とはバランスはとっていますが、確かに負担はふえる、あるいはまだまだ赤字の状況もある中で、それをやはり先進国側、特にアジアの中では先ほど御指摘のように二十九カ国の中での唯一日本が一カ国、多分OECDの加盟国とかなりイコールではないのかなと承知をしますが、より日本の果たすべき役割、とりわけアジア諸国に対しての、郵便や通信を初めとするインフラ整備に対するやはりこれは日本のまたODAも含めたそういった配慮ということにつながってくるのかなというふうに思います。

中野(譲)委員 今、武正副大臣からお答えいただいたように、これはやはり、外交的に見ると途上国とどのような関係を築いていくのか、一方では内政的には郵便コストを少しでも赤字を減らしていく、政策としてという、その辺のバランスをしっかりとお考えをいただきながら、今度は万国の郵便の会議が二〇一二年にございますので、その辺を踏まえて、ぜひ日本としてのしっかりとした方針を会議の場でお示しいただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 これにて私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 私の方は、条約では南東大西洋漁業条約、略称ですけれども、こちらの方を中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この条約は二〇〇一年の四月に採択をされて、二〇〇三年の四月に発効しているわけでございます。これまでこの条約が締結されてこなかったということについて言えば、世界の主要地域漁業管理機関、これも含めて十一あるというふうに聞いていますけれども、その中で、全米熱帯まぐろ類が一九五〇年にできて、日本が参加したのが一九七〇年、地中海漁業一般が一九五二年にできて、一九九七年に参加というふうに、条約ができてから日本が参加するまでの間に若干期間がかかっているものもないわけではないんですけれども、それ以外は、大体条約ができたとほぼ同時ぐらいに日本も参加しているというような状況にあるわけであります。

 そこでお聞きしたいんですけれども、なぜ今までこの条約に日本は参加をしていなかったのか、逆に言えば、この条約について、なぜこの時点で締結をすることになるのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。

武正副大臣 平岡委員にお答えをさせていただきます。

 今御指摘のように、世界の主な地域漁業管理機関というのが全世界にございます。例えば、北西大西洋漁業機関あるいは大西洋まぐろ類保存国際委員会、そしてまた地中海漁業一般委員会ということで、ちょうどまた過日も地中海マグロについての委員会も開かれていたところだと承知をしておりますが、それぞれの地域の地域漁業管理機関が十ある中で、今回新たな漁業機関、十一番目ということになろうかと思います。主な地域漁業管理機関の中では、十あるわけですので、新たな漁業機関でございます。

 これはなぜ今まで締結しなかったのかということでありますが、まずは二〇〇三年四月、本条約が発効したのが今から六年半前というのが一つ。なぜそこまでかかってしまったのか、ほかの地域は既にできているのにということでありますが、これまでは、こうした条約を、特にSEAFOと略しますが、SEAFO、この地域はアンゴラ、ナミビア、南アフリカが特に当該地域でありますが、ノルウェーもこれに入っているんですけれども、当該地域はアンゴラ、ナミビア、南アフリカの沖合を中心とする地域でありまして、これまでは条約をつくらずに、この海域で漁業ができたということでございました。

 我が国についても、二〇〇三年、条約は発効したわけですが、非締約国でありましたけれども、その委員会が決定した保存管理措置というものがあったものですから、それを遵守することで条約の対象水域で操業を行うことが認められてきたわけですけれども、既に六年半を経過しているという中で、やはりこの条約への加盟というものも委員会の方から求められるところになったということが、ここでこの条約の締結をする主な理由でございます。

平岡委員 今求められたので入るんだというふうに言われたんですけれども、では、入らなかったらどうなるんですか。求められたから入るというのは事実上の話であって、入らなかったら、何かペナルティーみたいなもの、何か我が国にとって不利益なことが起こるんですか。

武正副大臣 これは当然、年次会合というものが行われておりまして、二〇〇七年の十月の年次会合で、それまでは、当然この加盟国以外も操業ができたわけなんですが、二〇〇七年十月の年次会合で、まず、水域内の操業は加盟国の船舶のみに限定するとの方針が決定された。これが二〇〇三年の四月とこの二〇〇七年十月の間、そしてそれ以降との違いになってきたと思います。我が国の漁船については、交渉の結果、この条約の締結に向けた国内手続をこれから進めていきます、これを条件に、操業がこの間、今日に至るまで例外的に許されていたということでございます。

 そこで、先ほども求められたというのは、やはりこの二〇〇七年十月の年次会合の決定がその背景にありますが、早期に同条約を締結することが必要であります。そしてまた、今締結されない場合はどうなんだというお話でありますが、委員会とすれば、我が国の漁船をIUUというんでしょうか、違法、無報告、無規制という、やはり処罰の対象というかペナルティーを科すような対象の漁船リストに掲載をする、国内手続を進めない場合で操業した場合ですね。また、もしこの漁船リストに掲載されますと、南アフリカなどの本条約の締約国での我が国の漁船による陸揚げが禁止されることになっております。

平岡委員 そういうペナルティーがあるのであれば、やはり加盟しなければいけないということでありますけれども、加盟するに当たって、我が国政府の負担というのはどのぐらいになるんでしょうか。

武正副大臣 条約発効時から現在まで、分担金は各締約国に均等に配分されておりまして、現在の締約国の二〇〇九年予算における一国当たりの負担額は三百四十万円ということになっております。

 二〇〇八年の十月の第五回年次会合で決定された二〇〇九年予算が約十六万七千八十八米ドルでありまして、これを加盟国四カ国、先ほど言いましたアンゴラ、ナミビア、ノルウェー、南アフリカ及び一機関、ECで均等割した額が三百四十四万二千円ということですので、そのようになると思います。

平岡委員 この分担金なんですけれども、考えてみると、この条約に加盟することによって、日本の漁船が操業できるというようなことが確定、確認されるということですよね。その受益者というのはそういう操業者というふうに限定されていると私は思うんですけれども、ここで操業している日本の漁業関係者の水揚げというんですか、利益というんですか、大体つかめている範囲内で結構ですけれども、どのぐらいの利益を享受しているというふうに認識したらいいのか、教えていただきたい。

武正副大臣 締約後の条約水域での漁獲量については、当然、漁業資源の動向にも左右されますので確定的に申し上げるのは困難でありますが、過去の実績ということでいえば、条約水域での我が国の漁業者の水揚げ金額は、メロとマルズワイガニを合わせまして、メロというのは日本ではギンムツというんでしょうかね、みたいなお魚でありますが、合わせまして、二〇〇七年が約五億円、二〇〇八年が約一億五千万円。ですから、ちょっとやはり年によって差があるんでしょうか。これは、メロについて、我が国全体の漁獲量の約三割から四割、そしてマルズワイガニについては八割に相当しまして、そういう状況であります。

平岡委員 〇八年の漁獲高が下がっているのは、漁船の更新で操業日数が大幅に減少したということが理由であって、平年的に言えば五億円程度あるんだろうと思うんですけれども、それから考えると、こういう受益関係が明確なものについて言えば、その分担金を国が税金で負担するという考え方より、むしろ受益者負担みたいな考え方で、操業して利益を上げている、そういうところに負担させるという考え方もあり得るのではないかというふうに思うんですけれども、そういう考え方はおとりになれないんですか。

武正副大臣 本条約の締結が、我が国の水産業という重要な産業の利益を確保するだけでなくて、一般消費者との関係で、水産物の安定供給を図り、あわせて漁業資源、水産資源の保存管理という国際的な協力に積極的に参加するという重要な意味を持っております。

 先ほど、主な地域の漁業機関は十あると言いましたし、地中海マグロについても先ほど触れましたけれども、やはりそうした水産資源を守るそれぞれの地域での取り組みに日本が積極的に貢献をすることは、ひいては、マグロもその一例かもしれませんが、消費者にとってもそれが利益につながってくる。機関の運営に係る経費を締約国が支払うということで、責任ある漁業国として協力をしていく責務もあわせてある、これもあわせてもちろんやらなければならないということでございます。

平岡委員 日本がそういう責務があることは私も認めますけれども、何かやはり、ここで操業して利益を上げているところに負担をしてもらうというのはそんなに変な仕組みではないんじゃないかなというふうに私は思うので、すぐに今までの仕組みを変えるというわけにいかないかもしれませんけれども、できたらこれからも検討していただきたいというふうに思います。

 ちょっとお時間をいただいて、在日米軍再編に関してちょっとだけ確認をしていきたいということがあります。

 きのうの東京新聞に、例の普天間基地に関する日米閣僚級作業部会でこういうことが説明されたというふうに報道されています。

 日本が武力侵攻される事態には、米軍が嘉手納基地に航空機約八十機、普天間基地にヘリコプター三百機を追加配備する有事作戦計画を立てている。あるいは、航空機とヘリが同居すると運用に支障が出る。沖縄には二つの航空基地が必要だというふうに説明したらしいんですけれども、これは、事実としてそういうことはあったんでしょうか。

武正副大臣 報道があったことは拝見をしておりますけれども、こうした指摘の事実ということについては承知をしておりません。

平岡委員 今の答えはよくわかりませんでした。

 事実として承知していないというのは、事実がなかったということを言っているんですか。それとも、事実があったかなかったかについてコメントすることはできないということですか。どっちですか。

武正副大臣 報道というものは拝見しました。その事実についてどうなのかということについて、コメントすることは差し控えたいというふうに思います。

平岡委員 コメントできないというなら、それはそれで、とりあえず私の質問を続けさせてもらいたいと思いますけれども、私は、仮にこういうことを米軍側が、あるいは米国側が言ったということについて言えば、発言の中身が余りにも沖縄だけに特化し過ぎている。むしろ、有事という、日本が武力侵攻される事態というのは、日本全体として考えなければいけない話であるので、もっと全国的な考え方でどうするのかということを考えるべきであって、沖縄についてだけこうだということはあり得ないんだろうというふうに思うんですよ。

 その点についてはどうお考えになりますか。

武正副大臣 今の御指摘ということよりも、基本的な話としまして、日米安保条約、これが我が国の外交、安全保障の基軸である、これが政府の基本的な姿勢であることは論をまちません。

 その中で、日米安保条約の一番大事な一つは、この安保条約に対する、あるいは日米同盟に対する国民の皆様の信頼、これがやはりあって日米同盟が外交、安全保障の基軸たり得るということだというふうに思っておりまして、これは当然全国の国民の皆様にこの日米安保条約、日米同盟の重要性、これをやはり理解をしていただくということが必要でありますので、沖縄ということで今触れられまして、この報道についてはコメントを差し控えるわけでありますが、日米安保の基軸、日米安保は全国のそうした国民の皆様の理解が必要である、それがもう基盤であるということは論をまたないというふうに思います。

平岡委員 沖縄には二つの航空基地が必要であるというような論理というのは、私は軍の論理だと思うんですよ。それは軍としてそれを主張するのは当たり前だ。ただ、米軍は何のためにあるかと考えてみたとき、日本の国民なり地域の住民なりを守るためにあるというのがやはり大前提だと思うんですよ。そういう視点を失ってしまってはいけないというふうに思うんです。

 ですから、私は、今回の米軍再編問題、特に普天間の問題について言えば、そういう国民的な視点を失わないようにしっかりと検討していただきたい。これは普天間だけじゃなくて米軍再編全体の問題としてそういうことをお願いしたいということをお伝えさせていただいて、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、自民党・改革クラブ及び公明党の所属委員の質疑に入ることといたしておりましたが、残念ながら御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 与党理事さん、済みませんが、呼び込み、またお願いをいたします。

 これより自由民主党・改革クラブの質疑時間に入ります。

 ただいまをもって自由民主党・改革クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより公明党の質疑時間に入ります。

 委員の先生方、一般質疑ですと、次の質問者の了解等をとって繰り上げてやるということもあるんですけれども、条約、法律案については、質疑者の日程が立てられた、それを遵守していくというのが慣例でありますので、この点、御迷惑をかけますけれども御理解をいただきたい、こう思っております。

 ただいまの時間をもって公明党の質疑時間は終了いたしました。

 お待たせしました。次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 昨日来の事態ということで、私は、結局は旧来のような数の力でやるんじゃないかというふうにも国民から見られる、まさに与党による乱暴な国会運営、これは許されないと改めて強く抗議したいと思います。

 私は、そういう状況の中で当委員会の開催を一方的に決めるべきではないということを昨日も強く求めてまいりました。きょうも求めました。同時に、新政権にとって最初の条約審議の場であるということであります。私は、質問権を使ってきっちりそこは審議をしたいと思っております。

 委員長、委員会はあくまでもやはり理事会での与野党合意のもとできちっと開くということでやっていただきたいと強く求めておきたいと思います。委員長、お願いします。

鈴木委員長 ただいまの笠井亮君の発言は発言としまして、当委員会も与党理事さんも非常に精神的に、野党理事初め委員に声をかけたということも厳粛な事実でありますので、今の笠井委員の発言もまた踏まえて今後の委員会を円満に進めていきたい、こう思いますので、よろしくお願いします。

笠井委員 条約の具体的な問題に入る前に、一つ伺っておきたいことがあります。

 前回の十八日の外務委員会で、私、核兵器廃絶の問題にかかわって質問をさせていただきまして、岡田大臣は、日本の核政策について一度見直しをしてみたいというふうに言われました。その会議で、私、大事なことだということも申し上げたわけであります。

 そこで、伺っておきたいんですが、オバマ政権は新たな核政策の検討を進めておりますけれども、そういう中で、同盟国への拡大抑止と核の傘の提供ということが強調をされております。鳩山総理も、拡大抑止ということを初めとして、新しい安全保障のシステムを構築するということも日米首脳会談の流れの中で言われました。

 昨日の参議院の外交防衛委員会では、我が党の井上議員の質問に対して大臣も、核の傘は重要な安全保障上の一つの手段ということを言われましたけれども、私は、核抑止あるいは拡大抑止、核の傘ということでいいますと、結局は、核兵器でおどしをかける、そしていざというときには核兵器を使用するということが前提になった方針、これでは安全保障の手段とは言えない。そして、新しいシステムと言うけれども、新しいどころか、もう時代おくれという認識を持つ必要があると私は思うんですが、大臣、端的に、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 ここはいろいろ議論があるところだと思います。

 例えば、核による抑止というものは、核による攻撃に対する抑止という場合にのみ限定するという考え方もあり得るわけですし、もっとより広く核の抑止というものを考えるという考え方もあります。そういったことも含めて、ここはしっかりと議論をしてみる必要があるというふうに考えております。

笠井委員 攻撃に対してのみというふうな議論もあると言われましたけれども、アメリカは、先制攻撃という戦略そのものは捨てたわけじゃなくて、それはまだ堅持しているわけですから。そういうことも含めて、いろいろな見直しがある流れの中での議論です。

 そして、あの国が持つ、あの国が核兵器に依存するなら自分たちも持ってどこが悪いという口実を逆に与えることになると、これは核不拡散にも逆行する。

 来年五月にはNPTの再検討会議が開かれます。私も五年前に実際に現場に行って傍聴もしましたけれども、あの失敗を繰り返してはいけない。被爆国政府が核兵器廃絶を言いながら自国は核の傘に頼り続けるという論理では、核兵器廃絶を求める国際社会の期待にこたえ得るのか。むしろ逆に、こたえられなくて説得力を持たないんじゃないかと思うんですが、その点、大臣いかがでしょうか。

岡田国務大臣 ここは将来的に、究極的に核のない世界を目指すということではありますが、しかし、それは一度に達成できるものではありません。やはり、現実的にどうやって核に対する依存というものを減らしていくのか。核のない世界というのは、ある日突然できるわけではなくて、やはり持っている核を減らしていく中で最終的な到達点であるというふうに思います。

 そうであれば、しばらくは核の脅威というものは現に存在するわけで、そのことと、それから中長期的に核を廃絶していくということをどうバランスをとっていくか、そういう問題だと思います。

笠井委員 大臣、ぜひ究極的という言葉はお使いにならない方がいいと思うんです。これは旧政権が言ってきて、かなたに追いやるという話として、議論の流れの中で、それはもうだめだということで、旧政権も究極的とは言わなくなってきたわけですから。そういう点でいいますと、結局そういう議論の中でずっと先送りする話になります。改めて、究極的という言葉は使わないということでよろしいですか。

岡田国務大臣 そこは言葉の意味をよくわきまえて使わなきゃいけないと思います。

 そして、今、委員言われたことなんですが、きちんとした議論をぜひ一度してみたいと思っておりますが、前も言及しましたオーストラリアのエバンスさんと日本の川口さんが共同議長になったレポートが間もなく発表になります。その中にはかなり示唆に富む提言が書かれているというふうに私は思います、評価はさまざまに分かれますけれども。

 そういったものも一つの参考にしながら、やはりこの国会においても今後の核政策というものはどうあるべきかということをぜひ御議論いただきたいというふうに思いますし、日本としても同盟国である米国ともよく議論をしていきたいというふうに考えているところであります。

笠井委員 核抑止をめぐっては、国連の潘基文事務総長も、ことし九月に、事務総長はいろいろな機会に言われていますが、核抑止論は明らかな誤りであるどころか、核兵器が安全保障と究極の防衛を提供するという考えを国から国へと広め、連鎖的な伝播をも引き起こすということで、厳しく批判をしている問題であります。

 そして、そういう中で、被爆国日本が核兵器によるおどし、あるいは核使用を前提とした論理にしがみつく、そうすると旧政権とどこが違うのかということになってきますので、私は恥ずかしい限りの話になると思います。核兵器廃絶を達成する明確な約束、これを再確認して、その接近と実現の第一歩を踏み出す、そのために被爆国日本がふさわしい役割を発揮するという点では、核の傘から脱却、これはもう不可欠だ。旧政権の政策の抜本的見直しを改めて強く求めておきたいと思います。

 そこで、今回の条約に関連して伺っておきたいんですが、郵便送金業務の約定の改定の問題であります。

 国際社会における送金業務の中で起きる経済犯罪について、特にマネーロンダリングの対策が大きな課題とされております。

 今回の郵便送金業務の約定の第七条では、「資金洗浄、テロリストに対する資金供与及び金融に係る犯罪への対処のため、」ということで、新しい規定が盛り込まれております。こうした規定を入れた背景、さらにはマネーロンダリング対策に対する国際社会及び我が国の取り組みでどういうことを考えているか。そのポイントについて報告していただきたいと思います。

武正副大臣 笠井委員にお答えをいたします。

 今回の改正、四年に一度の大会議ということでの、万国郵便連合の改正文書、この採択を受けての今国会への提出ということになっております。

 大変歴史のある万国郵便連合、通信そして郵便そしてまた郵便送金ということでありますので、やはり世界的なインフラとしてきちっとこれを整備していかなければならない。

 今の御指摘の中で、特に郵便送金についての新約定では、国際郵便送金を実施する事業体が資金洗浄、テロ資金供与及び金融犯罪への対処のために必要な措置をとること等を新たに規定しております。具体的には、疑わしい取引の当局への報告や、利用者の本人確認などを行うということでございます。

笠井委員 今回、三つの条約ということでありますが、幾つか問題点あるいは正すべき点については先ほども質疑がありました。

 そこで、それも含めてなんですが、私は、当委員会でいきますと条約審査というのが大きな仕事になっていますし、これは与野党それぞれの立場からきちっとただしていくということになっていくと思うんです。同時に、批准された条約についてきちんと履行をする、そして政府がきちっとその立場で国内政策もやっていくし、国際的にも報告しながらフィードバックするということが大事になっているというふうに思いますので、関連して、これまで結んだ条約ということで、女性差別撤廃条約に関して幾つか質問をしたいと思います。

 去る八月十八日に、ちょうどこれは総選挙の公示の日だったわけですけれども、国連の女性差別撤廃委員会が日本における女性差別撤廃条約の実施状況について日本への勧告を盛り込んだ総括所見というものを発表いたしました。

 これは二〇〇三年以降六年ぶりということでありますが、勧告として挙げられた事項は、結婚最低年齢の男女差、女性のみに適用される結婚禁止期間、結婚の際の夫婦同姓の強制など民法等による差別的法規に関するものや、雇用、賃金における男女差別など労働に関するもの、DV、ドメスティック・バイオレンスなど女性への暴力に関するものなど、六年前と比べても倍以上に上る言及があります。女性差別解消に向けた日本政府の取り組みが進んでいない、旧政権のもとでいえば進んでこなかったということを厳しく指摘する内容であります。

 そこで、大臣に伺いますが、この勧告をどのように受けとめているでしょうか。

西村大臣政務官 笠井委員にお答えをいたします。

 この八月十八日に日本政府に対してなされました最終見解でありますけれども、委員御指摘のとおり、委員会の方から大変数多くの主要関心事項及び勧告がなされております。この中では、強弱もいろいろありますし、繰り返されているものもあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、こういう勧告がなされているということは大変残念なことだと考えております。

 政府といたしましては、この最終見解について、今後は、新しい政権のもとで、内閣府等各省庁と連携をしつつ、その内容を十分に検討し、適切に対処してまいりたいと考えております。

笠井委員 これは国連での日本に対する勧告なので、大臣も一言コメントをいただければと思うんですが、今のことを踏まえてで結構ですが。

岡田国務大臣 政府として適切に対処してまいりたいと思います。

笠井委員 勧告では「本条約の法的地位と認知度」という項目が立てられて、「本条約が、拘束力のある人権関連文書として、また締約国における女性に対するあらゆる形態の差別撤廃及び女性の地位向上の基盤として重視されていない」というふうに指摘をして、「女性に対する差別撤廃の分野における最も適切かつ一般的で法的拘束力を有する国際文書として本条約を認識するよう締約国に要請する。」というふうに述べております。

 政務官、これはなぜこのような勧告がなされたというふうにお考えでしょうか。

西村大臣政務官 委員も最初の方で御指摘くださったように、旧政権のもとでは何度となく行われている勧告に対して十分な対応を日本政府がとってこなかったことに対しての委員会からの意見であるというふうに考えております。

 私、あるところで申し上げたんですけれども、この女子差別撤廃条約の推進については、今までは時速二十キロくらいで進んでいたものを今度は時速五十キロくらいまでに上げてやっていきたいというふうに申し上げましたけれども、そのような姿勢で取り組んでいくことが肝要なのではないかと考えております。

笠井委員 今答弁ありましたけれども、私は、これは日本政府に対して、条約とは何かが理解されているのか、人権意識はどうなっているのかというそもそもについての懸念が表明されたものだと考えます。日本政府の条約や人権に対する基本的認識。旧政権ということでありますけれども、国際標準に追いついていないということであって、そのことが国際社会の信頼を失う要因ともなっている、新政権にはまずこの克服が期待されているというふうに思います。

 そこで、政府の基本認識がこれまでこのようなものだったから、日本は女性差別解消どころか、逆に差別が拡大しているのが実態であります。総括所見では、パートタイム労働者、有期雇用労働者には女性が圧倒的に多いことが指摘をされています。今、大企業による派遣切りで、既に昨年の派遣村のような状況が新宿や名古屋など各地で生まれていると私は予算委員会でも紹介をし、ただしました。特に、非正規労働者の七割は女性というふうに言われております。

 私は、十月二十五日に名古屋でパナホームに勤める女性の派遣社員の方から話を伺いましたが、パナホームが期間制限違反を犯したことが明らかになり、労働局の指導も受けているにもかかわらず、その女性を直接雇用せず、引き続き派遣で受け入れるという悪質な事例でありました。こうした実態は氷山の一角にすぎません。

 ところが、政府はこれまで、非正規労働者の男女別の数字をつかむシステムすら確立していない。聞きますと、非正規労働者は男女どのぐらいいるんですかと言っても、そんなのわかっていない、つかんでいないと言うんですね。

 総括所見で指摘された事項を重く受けとめて、女性差別解消に向けて政府としてはあらゆる努力をすべきだと思うんですが、その点についてどのようにお考えでしょうか。

西村大臣政務官 委員が御指摘くださった非正規労働者における女性の待遇、労働条件の問題などは、私たち民主党からも何度となく問題提起をさせていただき、パート労働法の改正案も提出をいたした経緯がございます。

 もとより、この条約は日本における国内の人権状況を改善するための一つの指標として示されているものでありますし、日本政府としてもその履行に向けて努力をする義務があると考えておりまして、最終報告の中には、労働の問題だけではなくて、さまざまちゃんとフォローアップをせよというふうに言われている項目もございますので、この点、十分留意をして、関係省庁と連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

笠井委員 この問題、女性差別撤廃条約ということでずっと経過がある中で、日本の女性団体や女性運動も、日本婦人団体連合会や新日本婦人の会とかあるいは国際婦人年連絡会など、多くの団体の方々も系統的にこの問題に取り組んでこられて、政府にも求めてきた経過があります。

 そこで、関連して、国連女性差別撤廃条約の選択議定書の批准問題なんですけれども、私はことし四月二十四日の当委員会でこの問題を取り上げました。ことしは国連女性差別撤廃条約採択三十周年ということであって、選択議定書採択十年目という節目の年であって、日本もぜひ速やかにその批准をということで求めてきたわけであります。ところが、旧政権下の答弁は、条約の実施の効果的な担保を図るものである、そして、男女共同参画の推進の取り組みの姿勢を内外に示すという意味で意義があるということを述べる一方で、日本の司法制度の関連で問題が生じるおそれがあり慎重に検討すべきであるとの考え方もあるということで、五年前に参議院で出された質問主意書に対する答弁書と全く変わらなくて、結局、真剣かつ慎重に検討というまま続いてきたという経過があります。

 そこで伺いたいんですが、民主党はこの選択議定書の批准を一貫して掲げている、そして、西村政務官自身も男女共同参画推進本部の事務局次長をされてきたというふうに伺っておりますが、選択議定書を批准することは、条約の実効性を格段に高めて、国内法的にも条約の法的な拘束力を持たせることができる。逆に、これまで批准してこなかったことが国際社会における日本の評価を下げる要因になってきたと思うんですけれども、どういう認識をお持ちでしょうか。

西村大臣政務官 ありがとうございます。私が民主党の男女共同参画推進本部の事務局次長を務めていたのはもう前の話でございまして、今はその職は離れております。

 民主党のマニフェストに人権条約の選択議定書を批准することについて記載をされております。そういったことを踏まえて政府として今後取り組みをしていくことになるわけですけれども、選択議定書、特にその中でも肝であると思われる個人通報制度ですが、これは条約の実施の実効性を高める上で注目すべき制度であると私も考えております。

 現在、外務省を中心といたしまして研究会を開催しておりますけれども、ここでは、委員会や関係国の通報事例などを収集いたしまして、それについてのケーススタディーを行ってきております。さらに検討すべきこともあるのではないかというふうに考えておりまして、例えば、それを受け入れたときに一体どういう対応をするのかというようなことなどについてもう少し細かく吟味をしていく必要があると思われますので、質問主意書の答弁書には真剣かつ慎重に検討という前政権の答弁だったようでございますが、現政権においては真剣に検討してまいりたいと考えております。

笠井委員 真剣かつ速やかに検討、結論といかなきゃいけないと思うんですよ。これはずっと、ケーススタディーも時間がかかるんですとかいろいろあったんです。でも、政権がかわったんだから、そこは真剣かつ速やかにということでよろしいんですね、政務官の決意として。

西村大臣政務官 先ほども申し上げましたけれども、こういった人権の条約また選択議定書については、外務省が、研究会の取りまとめも行っておりますので、もちろん中心になっていくべきものかというふうには考えておりますけれども、いかんせん関係省庁との連携なくしてはこれは進めることはできません。時速二十キロだったものを時速五十キロぐらいには上げたいと思って、今教習所に通っているところでございますので、ぜひ一生懸命そこはスピードアップをしてやっていきたいと考えておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 大臣、今のことに関連してですが、民主党は、今お話ありましたけれども、さきの総選挙で、マニフェストやインデックス二〇〇九ということで、この選択議定書の批准を掲げております。

 マニフェストでは、「個人が国際機関に対して直接に人権侵害の救済を求める個人通報制度を定めている関係条約の選択議定書を批准する。」と書かれておりまして、インデックスでは、母性保護に関する条約など関係条約の締結や女性差別撤廃条約選択議定書の締結を促進しますと書かれておりまして、これは、大臣のこの間の答弁からいっても、紛れもなくマニフェストに書かれた公約そのものでございます。

 私は、選挙中に言っていることも、党首討論で言ったのは公約だということで、そういう立場で、イコールだと国民は理解していると思っていますが、少なくともこの問題では、はっきり書いてある問題でありますが、これまで指摘してきたとおり、国内における女性差別の解消とともに、国際社会においても日本の信頼を高めていくことが新政権には期待されているというふうに思います。

 スピードアップという言葉も政務官からありましたが、そのことを早期に批准することが外交上も必要だと思うんですが、認識と今後どうするかということについて伺いたいと思います。

岡田国務大臣 まず、マニフェストに書いたことは、これは政党としての約束ですから、私は重いことだと思います。そして、方向性はもちろん正しい方向だというふうに思っております。あとは、政府の中でいろいろな考え方がありますので、その調整が必要です。

 したがって、余り安受け合いはできないわけですけれども、我々外務省としては、この問題について何とか成案を得るように努力をしっかりとしてまいりたいというふうに思います。

笠井委員 しっかり努力してもらいたいと思います。

 もう一つ条約関連でいいますと、日本が留保している問題があって、伺っておきたいんですが、高校と大学の学費無償化の漸進的導入を定めた国際人権規約A規約第十三条の二項(b)、(c)についてでありますが、これまで日本政府はこの批准を留保してきましたが、留保しているのは世界じゅうで日本とマダガスカルの二カ国だけということであります。二〇〇一年に国連の社会権規約委員会が日本政府に留保の撤回を要求したにもかかわらず、政府は回答期限の二〇〇六年を過ぎても回答をしてこなかった。まあ、これこそ旧政権のもとで恥ずかしい限りの話であります。

 一昨日の文部科学委員会で、我が党の宮本議員の質問に対して川端文部科学大臣は、条約を所管するのは外務省であり、外務省などとも連携しながら、留保撤回に向けた施策について検討を進めたいと。つまり、撤回に向けた施策について検討するというふうに前向きのことを言われたわけですが、連携しながらと言われた外務省の側で、この留保を撤回すべく、この条約を所管する大臣として、どのようにこの問題を見ていらっしゃって、検討する、努力するということになるんでしょうか。いかがですか。

西村大臣政務官 A規約でありますけれども、この政府報告については、おっしゃるとおり、二〇〇六年の時点で期限が迎えられたものですが、この年末までには出したいということで、事務方、今作業中でございます。

 高等学校教育の無償化につきましては、今、私どもが承知している限りでは、文部科学省においてこのための法案を今検討中であるというふうに承知をしております。

 留保を撤回するかどうかということにつきましては、まさに留保に係る事由がその後に本当に解消されたのか、解除されたのか、こういう実態を踏まえて判断すべきものであると考えております。

 まさにここは我が国の文教政策、教育政策と深くかかわってくる問題でありますので、文部科学省など関係省庁とまた協力して適切に対処していきたいと考えております。

笠井委員 大臣に一言ですが、今、留保撤回問題ということで、この回答を年末までに出すということで作業しているという話もありましたが、川端大臣の方は、文教、教育にかかわるという所管大臣ですが、留保撤回に向けた施策について検討するということで、そっちの方向に向かって検討するという話で、そこで外務省が所管なので連携しながらということも言われているわけですが、そういう川端大臣の発言も踏まえて、大臣としてのこの問題に臨む姿勢について伺いたいと思います。

岡田国務大臣 文部科学大臣、川端大臣とも連携をよくしながら相談してまいりたいと思います。

笠井委員 相談というのは、どっちのベクトルに行くという話は、大臣として今言えることはないんですか。この問題の性格について。

岡田国務大臣 もちろん、川端大臣も積極的な方向性を示されました。ベクトルは同じです。

笠井委員 時間が来ましたので、終わります。

鈴木委員長 和田隆志君。

和田委員 動議を提出いたします。

 これにて各件の質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されることを望みます。

鈴木委員長 和田隆志君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 まず、万国郵便連合憲章の第八追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、郵便送金業務に関する約定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、南東大西洋における漁業資源の保存及び管理に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ち、自由民主党・改革クラブ及び公明党の所属委員に出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、外務委員会の皆様のお許しを得て、外務大臣にこうして質問に立つことができました。心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。

 それで、手元にきょうの琉球新報が届いておりまして、こういう見出しになっているんですね。「あの言葉は今いずこ 〇五年当時「県外移転で気持ち一つに」 岡田外相「普天間」でころころ」。

 私、岡田外務大臣が物事にまじめに取り組む姿勢は、大臣になられる以前から見てまいりました。きょうは、あえて新聞の一々を紹介するつもりはなかったんですが、二〇〇五年五月に宜野湾市で開かれた普天間基地撤去、基地の県内移設に反対する県民大会。七千五百人集まって、岡田代表は、普天間の県外移転で気持ちを一つにしよう、こういうことを申し上げまして、さらに、「世界」の七月号の岡田大臣の当時の論文インタビューを引用しまして、「「われわれが本当に普天間の現状が問題だというなら、どこかで引き受ける覚悟も必要。最初から県外移設の可能性を排除しているから、県内での移転という話になり、基地の固定化が変わらない」と県内移設を批判した。」これはことしの七月号なんですね。

 それで、写真がありまして、一番左端に又市代表、そのそばにうちの志位和夫委員長、そのそばに岡田代表、そして端っこの方に私も写っております。

 当時、同じ壇上で県内移設に反対をした、そのことに県民は大きな期待をかけてまいりました。今、この報道をごらんになって、いかがですか。

岡田国務大臣 私が代表のときの話でありますが、私は、県外移設で心を一つにしよう、そういうふうに申し上げた記憶がございます。

 あの集会の中には若干いろいろな主張があって、そもそも普天間の基地の廃止と主張した方と、それから、私のように、廃止ではなくて移設である、ただし、その移設は県外である、こういうふうに主張した者といたように思います。

 私が心を一つにしてというのは、いろいろな意見があるけれども、とにかく基地の負担を軽減し、そして、今の危険な状況を何とかするということに対して、多少の立場の違いを乗り越えて、みんなで一つになってそれを実現しようということを申し上げたものであります。

 あのときと今でどう違うかという御趣旨のお話だと思いますが、二〇〇五年の十月に第二段階のロードマップの合意がされました。その段階で、そこではまだ辺野古という言葉は出てきませんが、県内移設ということが明示されたわけであります。そして、やがて二〇〇六年五月の2プラス2において最終的に現在の案になったということであります。

 ですから、二〇〇五年のその段階、つまり総選挙までの段階、総選挙で政権交代が実現すればまださまざまな交渉の余地というのはかなりあったと思いますけれども、その後、両国政府で合意ができ、その合意というのを全く白紙にはできない、一定の拘束はある。どこまで拘束があるかということは、これは議論が分かれるところだと思いますけれども、我々政権を受け継いだ者として、政権交代があったにせよ、従来の政府間の合意というものは重く受けとめなければいけない、そういう中での最近の私の発言でございます。

赤嶺委員 当時は、沖縄では、軍民共用空港案、そして十五年使用期限を稲嶺知事が主張し、米軍再編の作業が行われて日米間の合意が行われる、そのときには、県内移設は絶対にやめてほしい、県外とか閉鎖とかいろいろあっても、県内移設だけはやめてほしい、こういう集会だったんです。

 五月十五日というのは復帰の記念日です。一九七二年五月十五日、この日に県民はどういう思いをかけるか。いつか基地のない平和な沖縄を取り戻したい。あの戦争に入る前は基地は一つもありませんでした、軍隊は一個もありませんでした。そういう願いを込めて毎年五月十五日に集会を開き、岡田外務大臣が参加された集会は、とりわけ県内移設が再び押しつけられるかもしれないという緊迫した情勢の中で、もうあのころは軍民共用空港路線、十五年使用期限も破綻が明白になっていましたから、それにかわる次の案を求めるときに、県内移設反対で心を一つにしたんだ、外務大臣も私も私たち日本共産党の志位委員長も、同じ壇上で同じ列に並んでいたんだということをぜひ忘れないでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 それで、私はきょうは、そういう意味でも、沖縄の米軍基地問題を考える上で基本的な姿勢についてただしていきたいと思います。

 大臣は、十五、十六日、沖縄を訪問しました。その中で、嘉手納基地周辺の三名の首長とも会っておられます。大臣は、嘉手納統合案について、もし統合した場合にも騒音レベルが今より上がるようならだめだと言ってまいりました。嘉手納町長や北谷町長、沖縄市長と懇談して、大臣の考えていた嘉手納統合案、これはどのように受けとめられておりましたか。

岡田国務大臣 市長、町長はどう受けとめていたかという趣旨の御質問だと思います。

 私に対しましては、現在でも十分騒音レベルが高い、非常に危険な状態でもある、そういう中で普天間の統合というのは考えられない、そういう趣旨のことを三人の市長及び町長は言われたと記憶しております。

赤嶺委員 ですから、今の嘉手納基地の状態で統合案なんてとても考えられない。もう一つつけ加えて私の気持ちを言えば、嘉手納統合案を出してくるなんて、沖縄の米軍基地問題に対する現状認識が余りにも不足しているな、こう思いました。

 それで、嘉手納基地の周辺自治体の首長の皆さんは、今の騒音レベルを下げてくれ、政府はこれまで、騒音防止協定を日米間で結んでも守られていないのを放置しているじゃないか、この間のロードマップで嘉手納基地のF15の訓練移転が決まったのに、訓練は移転したけれども騒音レベルは上がっている、嘉手納の町長はここまでおっしゃっているんです。

 騒音を軽減するなんて、これはマスコミで語っていることですが、ふだん語っていることなんですが、日米安保条約をそのままにしておいて、それを一プラス一を〇・五にするということがどうして言えるのか、妄言だとおっしゃっているんですよ。日米安保条約をそのままにして基地の騒音が下がると考える政治家がいるのか、こういう思いですよ。そして、負担軽減は不可能と言えるのかという新聞記者のインタビューに答えて、基地のこれまでの実態からするとあり得ない話だ、町民は余りにも苦い経験を味わってきた、このように述べております。

 外務大臣は、まず嘉手納の負担をどう軽減するか、これを検討すべきではありませんか。

岡田国務大臣 日米間で嘉手納の騒音の件で一定の合意があることは事実であります。時間的な制限を設けて、ただし例外はあると。その例外が非常に多いというのが現実であります。

 ただ、嘉手納に常駐している戦闘機がその決められた時間外に発着をするという、その数は非常に減ってきているということは、私は恐らく町長さんもお認めではないかと思います。

 ただし、それにかえるものとして、ほかの基地から、ほかの基地という意味は米国における基地も含めてですけれども、さまざまな飛行機が嘉手納にやってくる、それは決められた時間というよりは、やはり深夜、早朝が結構あって、そのことの騒音というのは今までよりもふえている、トータルとしてもふえて感じられる、こういうことだと思います。

 そういう新しい要素に対して、これは例えば、スタートする時間をおくらせれば約束の時間の中での発着になることも可能なわけですから、果たして改善する余地がないのかどうか、そういったことは日米両国間でよく話し合う必要がある、そういうふうに考えております。

 それから、私が嘉手納統合を一つの案として検証の対象、別に嘉手納統合と決めたわけじゃないんです、検証の対象にすべきだというふうに考えたその前提は、現在の騒音レベルよりも上がるようではだめだと。ということは、今ある嘉手納の機能をどこかに一部移すということが前提になります。そういうことが可能かどうかということも含めて検証を行っている、こういうことであります。

赤嶺委員 私の気持ちを理解してもらうために、あえて言葉を強めて言いますけれども、それは茶番なんですよ。訓練が移転して外来機が来るのを抑えられるか。それは、沖縄に来る外来機は安保条約目的達成のために来ている飛行機だから制限することはできませんというのが、繰り返し外務委員会や予算委員会で、私の質問に対する答弁なんですよ。外来機は沖縄に来たら、安保条約の目的達成のために来るんだ、それをとめることはできません、その上で、町村外務大臣も、何か、離発着の時間を工夫すればできるんじゃないかとか、額賀大臣も、中継地を考えればできるはずだと。

 今岡田大臣がおっしゃっているようなことは、政府は繰り返し国会で答弁し、県民に向けてメッセージを送ってきたんですよ。ところが、それはできなかったんですよ。だから、妄言だというような県民の認識、日米安保条約なんてそんなものじゃないという認識が生まれるんですよ。いかがですか。

岡田国務大臣 従来の政権でさまざまなことを言いながらそれが実現しなかったということは、それは事実かもしれません。

 しかし、政権もかわりました。我々は、日米間でしっかり協議をするという姿勢であります。もちろん、相手のあることで、しかも、日米間の約束の中で例外規定が置かれていますから、その例外だと言われてしまうと、そこでさまざまな議論がさらに必要になりますが、我々としては、少なくとも早朝や深夜にやってくる飛行機の数が、あるいは騒音レベルが従来よりもふえているというようなことはあってはならないことで、しっかりと協議をしていきたいというふうに考えているところであります。

赤嶺委員 答弁の性質は前の政権と変わらないんです。安保条約に踏み込んで何かを言っているわけじゃない。安保条約のもとで何が起きているかという認識のもとに発言しているんじゃない。

 私、ロードマップで決められたF15の訓練移転の日、初日は築城基地でした。築城基地のゲート前で、嘉手納基地からやってくるF15戦闘機を観察しておりました。やってきたときに、嘉手納の人に電話をしたんです、どうですかと。F15の訓練移転が始まった、静かですかと聞いたら、とんでもない、F22がやってきてすごい爆音をまき散らして、ふだんよりも大変なんだと。

 だから、訓練移転の数をふやしても、回数をふやしても負担が軽減するはずはないというのを実感として持っているんですよ。体験的に持っている県民に、基地周辺住民に、いや、私たちは自民党政権とは違いますからしっかりやりますという言葉だけのメッセージで伝わると思いますか。

岡田国務大臣 あとは、それをどれだけ信頼していただけるかということだと思います。

赤嶺委員 このままだと信頼が失われていくということを申し上げたいと思います。

 きのうの日経、読売、二つの新聞に、「普天間の名護移設受け入れ 嘉手納の訓練縮小が条件」「嘉手納基地の米戦闘機の県外への訓練移転の拡大を提起」とあります。防衛省はそういう案を検討しているんですか。

榛葉副大臣 私自身、防衛副大臣として承知をしておりません。

赤嶺委員 外務大臣、外務大臣と防衛大臣の間でそういう案の検討、報道によると外務省も案を出すらしいんですが、そういうお互いの案の検討というのはあるんですか、ないんですか。

岡田国務大臣 私も承知しておりません。

赤嶺委員 承知していない話を議論しても仕方がないと思うんですが、ただ、見出しで私が心にひっかかったことを申し上げますと、「普天間の名護移設受け入れ 嘉手納の訓練縮小が条件」という見出しですよ。見出しに何か意見を言ってみたって仕方がないんですが、この見出しから私たちは何を感じるのか。普天間飛行場の辺野古移設に反対したら嘉手納の訓練縮小に取り組まないのか、また条件つきか、また条件をつけるつもりかというような、そういう意識になるんですよ。そういう県民の感情を理解していただきたいと思うんですよ。

 訓練の規模を拡大すればといって、どなたが言い出したかわかりませんが、ロードマップの訓練移転で嘉手納の爆音は上がっているんですからね。訓練の移転の規模の大きさで爆音が減るとかふえるとかという議論じゃないんですよ。だから、訓練移転で何か県民の心が和らぐだろうと思ったら、これは大間違いであります。

 私は、ただ、外務大臣に申し上げたいのは、それは騒音レベルが下がることが目的で、上がることがわかっていて嘉手納統合案なんか提起しないということを繰り返しておられますけれども、下がることがないんですよ。あり得ないんですよ。嘉手納町長が言うように、妄言なんですよ。安保条約のもとでは、安保条約にメスを入れない限り、沖縄の米軍基地というのは米軍の自由使用なんです。使用の制限もできないんです。弾丸が実弾訓練場から飛び込んできても、日本の警察は手も足も出ないじゃないですか、金武町伊芸区で。それが安保条約なんです。

 普天間飛行場の返還というのは、九六年に合意されながら、一向に進んできませんでした。この間、代替施設は、海上ヘリポート案、軍民共用空港案、沿岸L字案、現在のV字形案など、日米間の合意案は何度も変更されてきました。新しい基地の建設は不可能でした。

 外務大臣は、十三年間その建設ができなかった原因について、それは何だと認識しておられますか。

岡田国務大臣 いろいろな理由があると思いますけれども、まず、日米間の合意もなかなかできなかったということもあると思います。同時に、やはり日米間で合意するに当たって、地元沖縄の皆さんの気持ちということと離れた合意というのは、なかなか実現が難しいということだと思います。

赤嶺委員 最初が海上ヘリポート案でした。このときは、鈴木委員長もよく御存じだと思いますけれども、県民に宣伝されたのは、海上ヘリポート案というのは、要らなくなったら撤去できるんだ、撤去可能な海上で、陸から遠いところにあるから爆音の被害もないんだと言いました。ところが、それは名護の住民投票で却下されたんです。遠いところにあって撤去可能だという条件をつけても、これは却下されたんです。

 次は、稲嶺知事が、リーフの上の軍民共用空港案、軍事施設だけ受け入れるわけにはいかない、県民の経済的にプラスになるような民間空港も併設してほしい、そのかわり十五年の使用期限をつけてくれと。これも、基地の恒久化は認めたくない、安保条約は認めるけれども基地の恒久化は認めたくない知事の思いでありました。私たちは批判しましたよ。しかし、一つの思いだったんです。

 それがだめになって今度はどうなったか。今度は沿岸案ですよ。沿岸案は、さすがに海の向こうだから騒音被害はないはずだというのが、だんだんだんだん陸に近づいてきたんですから、これは大変だということになったわけですよ。

 そうしたら、今度はV字形案。当時は額賀防衛大臣でしたよ。V字形に離着陸を区分けすれば騒音が民間市街地上空に及ばない、こう言ったんです。どうやって考えたか、夢に出てきたと。こういうふうに国会で答弁したんですよ、夢に出てきたと。余りにも県民を愚弄し過ぎるじゃないですか。

 結局、沖縄本島の面積の二〇%は米軍基地なんですよ。その米軍基地を減らしたい、そして基地のない沖縄で暮らしたい、こう思っている沖縄県民に、いや、普天間基地の返還を求めるなら新しい基地をつくれという、この県内たらい回し、これが基地ができなかった大きな原因じゃないですか。

岡田国務大臣 沖縄の本島でいうと二〇%近い基地がある、その負担を減らしたいという思いは私も同じです。しかし、そのことを考えたときに、現在の案、辺野古という以外にどういうものがあるかということを考えたときに、やはり大前提は、余り時間がかけられないということだと私は思っております。

 そもそものスタートは、普天間における危険な状況、周囲に学校もあり、あるいはさまざまな、かなりの密度で人が住んでいる、そういうところに基地があること、そのことを早く何とかしなければいけない、これがスタート。

 そうすると、余り時間がかけられない。そういう前提で考えたときに、嘉手納もそういう中で出てきた一つの案でありますけれども、既存の滑走路が使えるのではないか。別にそれは沖縄にあったからそういう案になったわけではなくて、既存の滑走路がそのまま使えそうだということで出てきたものであります。

 いずれにしても、これは我々も反対したわけですけれども、日米で合意をして、そして、例えば、八千人の海兵隊をグアムに移転する、その結果あいた基地については沖縄に返す、そういった合意も一方であるわけで、我々はもちろんそのことに反対したわけですが、しかし、時間が非常にかかって今のまま放置されるのと、そして、どういう案になるにしろ、もう少し早く実現をし、かつ八千人の海兵隊がグアムに移転する、一体どちらがよりましか。そういう次元の話に今やならざるを得ない、私はそういうことだと思います。

赤嶺委員 グアム協定は、この間の国会で、私たち日本共産党も民主党も反対をいたしました。反対の中心はパッケージです。パッケージというのは、何で普天間基地を返してもらうのに新しい基地をつくることを受け入れなきゃいけないかという怒りですよ。これは怒りですよ。それは、みんな普天間飛行場の成り立ちを知っているからなんです。

 普天間飛行場というのは、アメリカの沖縄上陸直後につくられた本土攻撃用の基地でした。集落もありました、よく御存じだと思いますが。しばらく、普天間飛行場は、滑走路も使われずに放置されていたんです。住民の出入りも可能だったんです。耕作も可能でした。

 それが、滑走路が強化されたのはいつか。一九七二年、沖縄が祖国に復帰した年なんです。今の那覇空港は、米軍が使っていました。そこにある米海軍のP3C対潜哨戒機が嘉手納基地に移り、本格的な訓練を普天間飛行場を使ってやる。嘉手納だけで間に合わなかったわけですよ。普天間飛行場を使ってやる、そのために本格的な滑走路が建設をされたんです。

 そして、その後、ヘリコプターの飛行場だった近隣のハンビー飛行場が返還されて、ハンビー飛行場のヘリとヘリ部隊が普天間に移ってきました。危険度が極度に達したわけです。

 フィリピンのクラーク基地が閉鎖をされて、そして嘉手納にクラーク基地から空軍特殊部隊が移転して、十二機のMC130輸送機の部隊がやってきて、この部隊が、九〇年代には普天間基地の中でタッチ・アンド・ゴー訓練を始めていく。ハワイからも部隊が移転してくる。

 つまり、危険な普天間飛行場というのは、最初から危険じゃなかったんです。閉鎖したら普天間に移転する、閉鎖したら普天間に移転する、その結果、墜落の危険を毎日抱えている世界一危険な飛行場になったんですね。

 強大な、広大な、そんな普天間飛行場を沖縄県に受け入れさせておくのが無理なんですよ。危険なまま辺野古に移せといって、県民は納得するはずないじゃないですか。だから、いつでも世論調査はその県内移設は反対なんです。県外に持っていけという人もいるかもしれません。安保は必要だという人もいるかもしれません。でも、県内は嫌だというのが沖縄県民の総意なんです。

 外務大臣は、普天間飛行場が危険な基地のたらい回しの結果、世界一危険になった、世界一危険になった基地を何で沖縄県民が受け入れなければいけないのかというこの不条理さ、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 普天間基地の現状が大変危険な状態にあるということは、委員御指摘のとおりであります。その経緯もおおむね委員の言われたとおりだと思います。

 しかし、だからこそ、この普天間を移転するということで議論がなされてきたわけであります。移転の先として現在ある案がいいのかどうかということは別にして、そこは早期にやはり移転しなければいけない。もちろん、日米安保とか日米同盟ということを認めない、こういう立場に立てば、直ちに基地を廃止すべきだ、こういう話になるんだと思いますが、日米同盟あるいは日米安保ということを前提に考えれば、やはり普天間の機能というものをどこかに移設する、そういう発想になるわけです。

 今アンケートをとれば県外にという方が七割ぐらい、こういうふうによく言われますけれども、その際に、確かに、県外かどうかと言われれば県外と言われる方が七割かもしれませんが、先ほど申し上げました海兵隊の八千人のグアムへの移転とか、その結果かなりの基地が返ってくるとか、そういうこともトータルで考えたときにどうか、こういう判断だと思います。

赤嶺委員 日米同盟を信じ、日米安保条約に賛成している人たちも、普天間基地の即時閉鎖は主張しているんですよ。地方議会で何度も決議が上がっているんですよ。

 今、沖縄県民の一致点は、日米安保条約の見解の違いじゃないんです。こういう狭い沖縄にこんなでかい海兵隊、海兵隊は抑止力だから演習場も必要だといって、広大な演習場をよこせ、飛行場もよこせ、こんな狭い沖縄に二つも米軍の飛行場がある、そして部隊の宿舎もよこせ、こんな小さな沖縄に、何でこんなずうたいのでかい、殴り込みの海兵隊を置いておくんだ、もう県内につくる場所はないだろう。これが安保条約の違いを超えての県民の総意なんですよ。そうは思いませんか。

岡田国務大臣 県外に七割ということで、必ずしも私は総意として廃止ということではないというふうには思います。

 それから、委員の言われた、あれだけの沖縄の限られた範囲に大きな基地が二つある、そういうことに対しては、私もそういう思いがないわけではありません。

 しかし、これは長いプロセスを経て日米の合意がなされた話ですから、それを全部ゼロに戻して、そして議論ができるかというと、それは必ずしもそうではない。しかも、そのときには八千人のグアムへの移転とか、その結果としての基地の返還というものもすべてもとに戻して議論することになる、時間もかかる、その間普天間の危険な状態は続く。そういうことを総合的に考えたときに、やはりそう時間をかけずに一定の答えを見出さなければいけない、それが今私たちの考えていることであります。

赤嶺委員 火曜日も安保委員会で大臣所信質疑が行われるそうでありますので、火曜日にも持ち越したいんですけれども、ただ、大臣が、安保条約や日米同盟に反対するなら閉鎖もいいけれども、賛成するなら、そういう人はいないだろうという、この認識だけは直してください。(岡田国務大臣「そんなこと言っていない」と呼ぶ)じゃ、そういうことは言っていないわけですね。

岡田国務大臣 ですから、日米安保、日米同盟に反対するという方の中に廃止という意見は多いと思いますけれども、日米同盟、日米安保を認める方の中に県外にという意見の方は、それはいらっしゃると思います。別に県内移設と言っているわけではなくて、県外にと言っておられる方はいらっしゃると思います。

 そして、それは、さまざまなアンケートでも、七割の方が県外というふうに答えられている、そこで示されている。しかし、それは、県外に賛成ですか、反対ですかと聞かれれば、賛成ですと七割の方が答えられますが、先ほど来何度も言っておりますように、グアムへの移転の問題とか基地の返還とか全体を考えたときにどうか、そういう質問ではないということであります。

赤嶺委員 普天間基地周辺の自治体、嘉手納基地だってそうですよ。嘉手納基地だって、F16の訓練を本土に移転してくれという決議は一度も上がったことはないですよ。F15戦闘機は嘉手納基地から撤去せよなんですよ、撤退せよですよ。それを、日米同盟を何と心得るかと言ってみたって、それは外務大臣に問い返したくなるわけですよ、あなた方、日米安保条約とは何だと考えているんですかと。日米安保があれば、一切の被害も食いとめられない、危険も防止できない、基地も縮小できない。

 私は、対米外交をやるのであれば、日米安保条約に指一本触れてこなかったこれまでの自公政権の立場を改めて、日米安保条約をドグマのように絶対視して、そして、何か外務省かこの辺でデスクワークのように方程式をつくって、ここに移せば負担が軽減するんじゃないかという、こんな浅はかな認識じゃなくて、日米安保条約とは何かということを考えて対米交渉に臨んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

岡田国務大臣 今の委員のお話を聞きまして、もう一つ申し上げなければいけないことは、やはり日米安保あるいは日米同盟というのは日本の平和と安定のために必要である、我々はそう考えて、その前提の中で議論をしているということであります。

赤嶺委員 ですから、日米安保に反対している人の意見を今紹介したわけです。

 終わります。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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