衆議院

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第15号 平成22年5月19日(水曜日)

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平成二十二年五月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 宗男君

   理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君

   理事 空本 誠喜君 理事 中野  譲君

   理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君

   理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君

      井戸まさえ君    大山 昌宏君

      吉良 州司君    小室 寿明君

      齋藤  勁君    阪口 直人君

      末松 義規君    武正 公一君

      中津川博郷君    西村智奈美君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    平岡 秀夫君

      松宮  勲君    横粂 勝仁君

      岩屋  毅君    河野 太郎君

      高村 正彦君    古川 禎久君

      松浪 健太君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   外務副大臣        武正 公一君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            加藤  茂君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  齋藤  勁君     小室 寿明君

  平岡 秀夫君     井戸まさえ君

  河井 克行君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     平岡 秀夫君

  小室 寿明君     齋藤  勁君

  松浪 健太君     河井 克行君

    ―――――――――――――

五月十九日

 社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)(参議院送付)

 航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)(参議院送付)

 航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として海上保安庁海洋情報部長加藤茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 きょうは、いろいろ聞きたいことがいっぱいあるんですけれども、まず、日中韓の外相会談について聞きたいと思うんですけれども、その前に、きょうは海保においでいただいていますので、海保にお聞きしたいと思います。

 四月に中国軍のヘリが海上自衛隊の護衛艦に異常近接したというケースが二回あったわけですね。そして、五月の三日ですか、海保の調査船に対して、中国の公船というんですか調査船というんですか、これが近くまで来て、そして、日本が正当にやっている調査活動をやめろというようなことを言ったという事案が起こったわけですけれども、まず事実関係を教えてください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 五月三日十四時ごろに、東シナ海の我が国排他的経済水域内におきまして、海上保安庁の測量船が海洋調査を実施していたところ、中国国家海洋局所属の海監五一が測量船に接近してまいりました。海監五一が無線にて調査の中止を要求したほか、約二時間余りにわたりまして測量船を追尾するという事案が発生したわけでございます。今般の事案は、音波による調査が終了した後の海底に設置した観測機器の回収作業の段階で接近、中止要求があったものでございます。

 調査につきましては、海監五一が追尾行動をとり続けたことから、作業の順序を変更いたしまして、予定していた調査を完了しているところでございます。

 なお、海監五一からの中止要求に対しては、直ちに測量船から我が国海域における正当な調査である旨の回答を行うとともに、事実関係について外務省に連絡を行いました。その後、外務省から中国政府に対して厳重な抗議が行われたと聞いております。

平沢委員 では、海保にもう一問聞きたいと思うんですけれども、こういった調査は今までも行われていたわけでしょう、同じようなエリアで同じような調査は。過去に何回くらい行われたんですか。そして、今までに今回のような中国の妨害事案というのはあったのかどうか、それを教えてください。

加藤政府参考人 調査の実施状況でございますが、海上保安庁では、平成二十年度から、我が国の領海及び排他的経済水域において、海洋の基盤的情報を整備するための調査を実施しております。東シナ海におきましては、平成二十年度から、これまでに七カ所の地殻構造調査、そして十一カ所の海底地形調査を実施しております。

 海上保安庁がこれらの調査を実施するに当たりまして、今般のような行為がとられたのは今回が初めてでございます。

平沢委員 海保、ありがとうございました。結構ですので。

 そこで、大臣、この前、ヘリの異常近接事案というのが二回、四月にありました。今度、五月に入って、今答弁ありましたように、今まで海保が調査していたときは何もなかった、今回初めてこういった形で、中国の調査船というんですか公船から、要するにやめろというような、日本の排他的経済水域内でやっているにもかかわらず、こういった中国側の不当な申し入れがあった。

 こういった中国の動きに対して、今回、日中韓の外相会談が行われて、その中の中国外相とのバイの会談の中で大臣は抗議を申し入れたということで聞いておりますけれども、中国側の対応というのはどういうものだったんでしょうか。

岡田国務大臣 私は、今回のその海保が妨害されたという問題は、非常に問題があるというふうに思います。

 その前の委員御指摘のヘリの話というのは、もちろんこれも大変問題だというふうには思いますが、中国側は、その前に海上自衛隊が随分その中国側の艦船につきまとったということを言っているわけですね。もちろんそれは法律上認められた、国際法上認められた範囲内のことでありますから、それをもってヘリが近接するということは、これは全く理屈は立たないわけですが、しかし、ヘリが近接することは非常に危険な結果につながりかねないということで、私は、これからいろいろなルールについて話し合っていく余地というのはあるというふうに思うわけです。

 ただ、今回の海保の件は、我々の主張する日中中間線の東側で起きたことであって、これを認めるわけにはいかないということで強く抗議をしたところであります。

 ただ、中国側の主張は、そもそも中間線というものを認めていない、そして、彼らの主張する大陸棚の範囲の中のことであって、中国側が権利を持つ、その範囲内において日本側が勝手に調査するということは認められないということで、ここは全くかみ合っていないということであります。

 日中のそれぞれの排他的経済水域なり資源開発についての線をどこに引くかという問題は本質的な問題としてありますが、それはそれとして、いろいろな混乱が起こらないために、暫定的にではあっても、どういうルールでやっていくかということについてはこれはきちんと話し合いをしないと、同じような問題はこれからも起こり得る。

 それから、日本側からすると、いや、中間線という概念を認めないということであれば、では、日本はもっと西側で同じことができるんだなと、こういうことになってまいりますので、両国間で冷静に話し合いを行うべき、そういうテーマではないかというふうに思います。

 いずれにしても、いきなりこういうことがあったのは、私は極めて遺憾であるというふうに考えております。

平沢委員 大臣から抗議を申し入れてもらったのはよかったと思いますけれども、中国側は、受け入れるというか、聞く耳を持たなかったということだろうと思います。

 何か中国の動きが、もともと中間線を認めていないんですけれども、最近になって何か随分活発になってきたなと。もともと中国は、海洋権益拡大のために東シナ海から太平洋に動いて、そして、軍事費の方も過去二十一年にわたって二けた台の拡大をずっと続けてきている、外洋艦隊をつくるということも言っている、航空母艦もつくるかもしれない。いずれにしましても、中国が何か軍事大国、特に海洋大国を目指してどんどん動いているんじゃないかなという感じがしますけれども、この辺はいかがですか。

岡田国務大臣 中国の海軍力の能力増ということは、これは疑いの余地のないことであります。それはやはり国力が増しておりますし、それに伴って資源も必要でありますので、そういう意味で、この東アジアの海域に非常に活発に進出を試みているということは言えると思います。

 それが国際的なルールにのっとったものであればもちろん構わないわけでありますが、そうではない、あるいは日本の権益とぶつかり合うということになりますと、これはやはりきちんと話し合いをして、一定のルールに基づいた、そういうことをお互い努力してつくり出していかないと、鳩山総理もここを友好と平和の海にするということをよく言われるわけですが、そういったことを意識してつくり出していかなければならない。そうでないと、あちこちで同じようなことが起こるということになると、日中関係全体にそのことの影響は及んでくる、こういうことでありますので、しっかり話し合いをしていきたいというふうに思います。

平沢委員 今回のバイの中国との会談で、大臣は中国の核保有の問題についても言及されたということを聞いておりまして、私はこれは非常によかったと思うんです。中国は、核大国といいますか、核軍縮をやると言いつつも、実際には核保有をどんどんふやしているという中で、報道によりますと、大臣は少なくとも現状よりふやすなということを言われたやに報道されておりますけれども、それに対する中国側の反応というのはどうだったんでしょうか。

岡田国務大臣 私が申し上げましたのは、核、米ロの間で戦略核の削減ということが合意された、それからイギリスもフランスも自主的に保有核の数を減らしている、そういう中にあって中国はどうなのか、むしろふやしているではないか、少なくとも現状維持あるいは減らす。私はかなり遠慮深く現状維持ということを言ったわけですが、それに対して、ヨウケツチ外相の発言は、まず、中国というのは核の廃絶を目指している、それから核を持っていない国に対する核攻撃あるいは核の先制使用、そういったことはしないということを約束している唯一の国であるということで、中国の姿勢は明らかではないか、こういうことでありました。

 私は、そういうふうに中国が主張していることはよく存じ上げております。それの実効性をどう担保するかという国際的な枠組みの話は別として、国として方針を示していることは評価できることだというふうに思っております。

 ただ、現実に保有核の数という点で見ると、これは少なくとも減らしているということはないわけでありまして、中国側も、いや、自分たちはふやしていないということを言っているわけではありませんので、現実にふやしているということが言われる中で、それはやめるべきではないかと。世界の核保有国全体が減らすという中で、中国も核軍縮のそういう話し合いにしっかり入るべきだということを私は申し上げたところであります。

平沢委員 最近の中国の海軍の動き、それから、今大臣が答弁ございました、核について中国は先制不使用だと。これは、言うのは当たり前のことで、北朝鮮だって別に先に使うなんということは全然言っていませんから、そんなことを言ったら、今度はほかの国だって持つということにもなりかねないわけで。いずれにしろ、中国が核大国であることはもう間違いないわけで、それに対して大臣が言ってくださった、要するに減らせ、少なくとも現状維持にするということについても余り聞く耳を持たなかった。

 こういったことについて、きょうは長島政務官においでいただいているんですけれども、長島政務官、今の最近の中国の動きについて、防衛省としてはどういうふうに見ておられますか。

長島大臣政務官 大事な御指摘をいただいたと思います。

 今、外務大臣からお話がありましたように、外相会談で中国の核戦力の削減について言及していただいたというのは、私どももこれまでも大変関心を持って中国の核戦力というものを見ておりましたので、これは一つの前進だというふうに私は思っております。

 もちろん、中国は、先制不使用、あるいは非核の近隣諸国に対しては、核を持っていない近隣諸国に対しては使用しない、こういうふうには言っているわけですけれども、今オバマ大統領を中心として、核のない世界に向かって努力が始まった。しかし、米ロの間では核戦力の削減について合意がありますけれども、まだなかなか中国が核軍縮、核の軍備管理のテーブルに着いていない、こういうことについては私どもは懸念を持っております。

 加えて、その前提になる核戦力、核弾頭数であるとかあるいは運搬手段であるとか、こういうものの数量についても必ずしも明らかにされていない、こういう不透明な部分がありますので、この点も私どもは注視をしていかなきゃいけない。あるいは、独自の弾頭の近代化努力も引き続きしておりますので、こういう点も含めて私どもは注目しているところであります。

 加えて、海洋活動の活発化についても、これはまさに近年、海洋調査活動あるいは情報収集活動、そしてこのたびのような訓練、これは以前は近海だったものが外洋に出てきている。今回の訓練のときにも、人民解放軍の解放軍報という機関紙には、東海艦隊の多兵種協同部隊、我々の言葉で言うと統合作戦のような、そういう部隊による外洋展開協同訓練の幕が開かれた、外洋訓練を絶えず常態化、実戦化に向けて発展させていくことを着実に推進していく、こういうことをみずから宣言しておりますので、引き続き、私どものEEZの主権的権利を守っていくことも含めて、中国海軍の海洋戦力の拡大についての動向には注視をしていかなければならない、このように思っております。

平沢委員 中国の動きについては、透明性が極めて不十分な国ですので、引き続き関心を持って注視していただきたいなと思います。

 中国とのバイの会談で、もう一つお聞きしたいんです。

 東シナ海の資源開発の問題について大臣から言及されたと思いますけれども、早期の条約締結といいますか、これについて中国側の反応が依然として消極的だと。これはなぜだと大臣はお考えになられますか。まず、消極的だったんですね、たしか中国側の反応は。それはなぜだと思われますか。

岡田国務大臣 御指摘の東シナ海資源開発問題につきましては、私から申し上げたことは、今まで課長級でずっとやってきたんですね、局長級に上がったということは評価しつつ、単に議論するクラスを局長に上げたというだけではなくて、今後精力的に協議を進めて、早急に国際約束締結に向けた進展を図りたい、要するに中身の議論に入りましょうというふうに申し上げたわけであります。

 ヨウケツチ部長からは、二〇〇八年の首脳間の合意というものを重視し、真剣にその合意を履行する考えであるという基本的な考え方を示しながら、いまだ交渉開始の環境が整っていないということで、非公式協議を積極的に進めていきたい、それが合意の実現に資する、こういうふうに述べられたということであります。

 限られた一時間の中でいろいろな課題について意見交換をしておりますので、それでも何回かやりとりはこの東シナ海の問題でもあったんですけれども、詰めた議論にはなかなかしにくい。本来であれば、もう少し、二時間、三時間、時間をとってやりたかったわけですけれども。背景は、これは憶測で物は言えませんけれども、首脳間合意があるものの、やはり中国の中の世論等もあって、余りにも中国が妥協し過ぎている、そういう批判があることを一つはおもんぱかっているということはあると思います。

 これに関してもう一つ申し上げますと、日本の中でもやや報道その他が誤解しているという部分はあるんですね。つまり、この二〇〇八年の合意ができたときに、大幅な譲歩をかち取ったということのみが報道される、そういう傾向がなきにしもあらずであります。共同開発という言葉も躍りました。確かに、北部海域については共同開発ということになりました。しかし、日本で言う白樺、中国側で言う春暁、この部分は共同開発ではないんですね。これは、中国側が中国の法律にのっとって行っている開発行為に対して日本が出資をするという話であります。そこの部分が共同開発というふうに日本で一部報じられたことが中国の世論にはね返って、中国の中でいろいろ議論が起きたというようなこともあるんだと思います。事実は事実として、共同開発と出資というのは違うということは申し上げておきたいと思います。

 お互いそういうきちんとした合意の認識に立って、早く中身に入るべきだということを私としては強く考えているところであります。

平沢委員 日本では共同開発と出資するから言っているわけですけれども、確かに中国は共同開発という言葉を非常に嫌っていると聞いております。実質的には、出資して、それでそれだけの分け前といいますか、一定の分け前をこちらももらうということになるわけですから、共同開発という言葉に何で中国がそんなにこだわるのかよくわかりませんけれども、いずれにしましても、この問題はまた、いずれ時間をとってしっかり聞かせていただきたいと思うんです。

 次に、韓国の哨戒艦が沈没したものは、国際調査団が今調べているわけで、もうすぐ結果が発表になると思いますけれども、いずれにしろ、この問題について最近の、これは報道ですけれども、もう韓国はバイの会談で大臣に、これは北朝鮮の魚雷だということをはっきりと特定して言ったやに報道されていますけれども、これは事実なんでしょうか。

岡田国務大臣 この問題は、今まさしく調査が行われている。これは、韓国政府を中心に、そのほかの国々からの人も入って客観的な調査を今行っているところでありますので、結果が発表されるのはそんなに先ではないと思います。発表されるまでの間、何か予断を持って物を言うべきでないというふうに思います。

 韓国側から調査の現状についての説明はございました。しかし、委員が御指摘のような断定的なことを韓国側があの時点で、日曜日の朝の時点で言ったわけではございません。

平沢委員 ということは、今いろいろなところに出ている報道が間違いということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 報道が間違いと言いますと、どれが間違っていてどれが間違っていないのかという議論になりますので、まだ調査は行われている最中で、そういう前提の中で調査の現状についての説明があったということでございます。

平沢委員 例えば、これは朝日新聞一面に出ています。「北朝鮮の魚雷と判断」「韓国外相、岡田外相に」と。こういった記事が間違いですかというか、先走りですかということをお聞きしているんです。

岡田国務大臣 一つ一つの記事について、これは間違っています、これは正しいというふうに言うべきでないと思いますが。

 正確に申し上げますと、これは、調査の結果が定まったとき、そして、我が国としては、その調査の結果を精査して、我が国としてその結果を受け入れるかどうかということを決めたとき、その中身について確定したというのであって、個別にいろいろ説明を、どういう説明を受けたかは申し上げませんが、いろいろな説明は受けますけれども、それは途中経過であるという前提で私は聞いております。

平沢委員 この問題もまた別途お聞きしたいと思います。

 今回の韓国外相とのバイの会談の中で、金正日の訪中の話は出たんでしょうか。そして、出たとすれば、いわば金正日側の訪中の思惑というのは、実際に思惑どおりにいったのかどうか、こういった話は出たんでしょうか。

岡田国務大臣 これも、ですから、一時間という限られた時間の中で、私の記憶では、ある議論は少ししたというふうに思いますけれども、そう突っ込んで行ったわけではありません。

 むしろ、私は中国側から聞きたかったんですね、訪中でありますから。しかし、中国側とも盛りだくさんやることがあって、途中でかなり議論になったところもあったりしたものですから、中国側とは余り話がこの点についてできていないので、そこは非常に残念だというふうに思っています。

平沢委員 もう一つ、竹島の問題についてはどういう話し合いが行われたのか、ちょっとお答えできますか。

岡田国務大臣 竹島に関しましては、最近この委員会でもいろいろ御指摘いただいております幾つかの出来事もあったわけですので、私から、竹島に関する最近の動きを踏まえて、竹島問題に関する日本の立場を申し入れつつ、この問題が日韓関係に悪影響を及ぼすことがないよう努力すべきであるというふうに述べたところでございます。

平沢委員 そこで、次に、普天間の問題に移らせていただきたいと思うんです。

 沖縄に鳩山総理が行かれまして、これは私だけじゃなくてみんな驚いたと思うんですけれども、鳩山総理の発言の中で、県外、国外移設と言ってきたのは、党としての発言でなくて、私自身の党の代表としての発言だと。要するに、党の代表での発言じゃないというような趣旨のことを言われています。

 それから、海兵隊の抑止力については理解が浅かった、学べば学ぶにつれてだんだんと海兵隊の沖縄での抑止力の意義というのがわかってきたといったような趣旨のことを言われているわけですけれども、大臣、この総理の発言について、何かコメントはありませんか。

岡田国務大臣 総理は、沖縄に行かれるに当たって、これは総理の強い御希望で実現したことでありますが、率直に、正直に語ろうというふうに決意されて行かれたと思います。そのことに加えて、非常に謙虚な方でありますので、今御指摘のような発言があったんだと思います。

 最初の発言は、そういった趣旨のことは私、かねてから申し上げているわけですが、つまり、公約というものがマニフェストであるというふうに考えますと、マニフェストには確かに書いていないんですね、県外ということは書いていないんです。ただ、総理は当時民主党の代表でありましたので、代表が沖縄に行かれて県外と言われたことは事実でありまして、そのことは非常に重いことだということは、総理も当然認識をしておられると。ただ、聞かれて、あれが公約かと言われれば、公約、少なくともマニフェストには書いていないということを言われたというふうに思います。

 そのこと自身は事実である。書いてあるか書いていないかといえば、書いていないわけであります。ただ、だからといって、総理の沖縄における発言がどうかと言われれば、それは重いと。代表が沖縄まで行って言われたわけですから、重い言葉だというふうには思います。

 それから、もう一つは何でしたかね。(平沢委員「海兵隊の抑止力」と呼ぶ)これはやはり謙虚に言われたというふうに思います。

 我々しょっちゅうそういう議論はしておりますし、総理も当然、抑止力の維持、少なくともこれは日本全体にとっての抑止力の維持ということは念頭にあられたと。当然だと思います。

 ただ、沖縄に海兵隊を置くことが日本の抑止力の維持という観点から絶対なのかどうかということについては、私は必要だというふうに考えますけれども、議論としてはいろいろあり得ることも事実でありまして、たびたび私は申し上げるんですが、旧政権の中で長く官房副長官補をやられた、防衛省の幹部も経験された柳澤さんは、新聞に、沖縄に果たして海兵隊は必要かということを投稿されて述べておられるわけですから、専門家でもそういう意見があるぐらいですから、いろいろな意見はあり得る。明々白々のことではない。そういう中で、総理もいろいろと模索されながら、やはり必要だ、そういう考えに至ったということを言われたんだと思います。

平沢委員 今、柳澤さんの話が出ましたけれども、柳澤さんも、私もよく存じ上げていますけれども、言うならば在職中にその考えをしっかり、私は中で言ったというのは聞いていないんですけれども、それを、やめてからああだこうだと言うのは、私自身はどうかなという感じがしております。

 そして、今の鳩山さんの、例えば、党としての発言でないと言っても、今大臣も言われましたように、やはり代表が行かれたわけですから、重いというより、やはり県民の皆さんは、選挙中に言われたわけですから、これはもう要するに民主党の約束ととるのは当たり前のことで、それは当たり前のことというより当たり前だと思います。

 ですから、それが党の代表としての発言ではないという言い方は、これはどうかなと思いますし、抑止力についても、今勉強したらわかったのでは、一国の総理ですからね、やはり国民の生命財産に責任を持っている総理ですから、勉強していてやっとわかったのでは困るんで、最初からわかっていてもらわないと困るわけで、これはどうかなと思います。

 そこで、五月末までに移設先を決めるという件について、鳩山総理は今まで、与党三党が合意する、そして地元が受け入れを合意する、アメリカも合意する、この三点が満たされることだということを言っているわけで、五月末までにこれを決めることができなければ、政治家として決断ができないことだ、こういうふうに言って、これを命がけで、体当たりで行動して必ず成果を上げる、職を賭して頑張る、こういったことも今まで言われてこられたわけでございますけれども、大臣は、この総理の五月末までの決着について、総理とは考え方が違うんでしょうか。

岡田国務大臣 私は、鳩山内閣のもとで外務大臣を務めております。総理の考え方と同じであります。

平沢委員 ということは、与党間で合意する、そして地元も合意する、そしてアメリカも合意する、そういう案を五月末までに決めることができる、そして決めるということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 合意というよりも理解ということだと私は思いますけれども。今、沖縄の現状が大変厳しい状況にあるということは、それは委員御指摘のとおりでございます。そういう中で、五月末決着ということを目指して、各閣僚は今懸命な努力をしている、総理も沖縄の理解を求めるための努力をなお続けているということでございます。

 最終的にどういう結果になるかということは、それは、今その見通しを語るというのは仮定の議論になりますので、ぜひ、五月末にどういう結果に至るかということを見きわめた上で、また御批判なり御意見をいただければと思います。

平沢委員 今までの発言をずっと見てみますと、総理は関係方面の合意ということを言っておられるんです。そして大臣は、合意と言われたこともありますけれども、ほとんどの場合、関係方面の理解を得るということを言っておられるんです。合意と理解というのはどこが違うんでしょうか。

岡田国務大臣 その前提として、委員のおっしゃる合意というものの定義をしていただいた方がいいと思うんですね。それは、合意、一般的な意味でのニュアンスは伝わってまいりますが、例えば沖縄の合意と言うときに、それは沖縄県を代表、知事の合意が得られることなのか、議会なのか、あるいは地元の合意なのか、地元という意味は、当該市町村の合意なのか、あるいは県民全体の合意なのかということで、それは中身はいろいろであります。そこはある程度漠然とした中で合意なり、私は、だから、合意という言葉はだれがということがはっきりしていないときに使うのは適切でない、そういう思いで理解という言葉を使ってまいりましたが、いずれにしても、全体として、沖縄の皆さんがある程度納得をしていただく、そういう状況をつくり出すことは、これは政治的には必要なことであります。

 しかし、同時に、これは、沖縄の負担軽減であるとともに日本の抑止力の維持ということでもありますので、最終的に決めるのは政府であります。すべて完全に完璧に、一〇〇%、すべての人が賛成しない限り動けないということではないことは委員もよく御存じのとおりであります。

平沢委員 合意とか理解というのは、別に私が言ったわけじゃなくて、総理が合意ということを使っておられるから私は合意と言っているわけで、この定義はむしろ私の方が総理に聞かなきゃならないわけで、理解という言葉も、大臣が使っておられるから理解と言っているわけです。

 今、大臣の御答弁をお聞きしていましたら、理解というのは、大体関係方面が納得することだということと受けとめましたけれども、ということは、関係方面が納得する形で五月末までにこの問題を決着させるということだろうと思いますけれども、今は何か、政府の方針を閣議決定すればいいんだ、そして、いや、閣議決定じゃなくて閣議了解でいいんだ、いや、その閣議了解もどうも難しそうだから閣議かどこかで総理が発言すればいいんだとか、いろいろなことが言われています。

 大臣に確認させていただきたいんですけれども、五月までの決着というのは、関係方面が今のお話のように納得する、そういった形でまとまることが決着、こういうことでよろしいんですね。

岡田国務大臣 余りプロセスを語らない方がいいと思うんですね。そのたびにまた新聞などで大きく書かれる。閣僚が違うことを言っているとか、変わったとか、そういうことになるわけでありますので、私はプロセスは語らないということにしております。そして、総理のおっしゃることが内閣の考え方である。そういうふうに、注意深く述べるようにしております。

 五月末というのが非常に迫ってまいりましたので、そういった意味で我々は努力を重ねているわけでありますが、あとは、最終的にでき上がったものを見ていただいて、率直に御意見いただく、あるいは御批判いただく、それを我々はきちんと受け入れなきゃいけないというふうに思います。

 余り途中の過程のことは、申し上げるのはいかがなものかというふうに考えております。

平沢委員 大臣は、三月初めの札幌での対話集会で、五月までに日米が合意できなかった場合には深刻な事態になる、このように言われたと報道されているわけです。五月末までに決まらなかった場合には深刻な事態になると。私もそうだと思います。私も、アメリカで関係者とお会いしたときに、向こうが言っていたのは、五月までは待ちますよと。五月を過ぎた場合には、これはいろいろな影響が、単なる安全保障面だけじゃなくていろいろな分野にも出てきかねないということを言っておられたわけでございますけれども、大臣の御認識は、五月を過ぎたら深刻な事態になるという御認識は変わりませんか。

岡田国務大臣 普天間の問題だけがすべてではございません。現に、今週、クリントン長官が日本に立ち寄って、外相会談が予定されておりますが、そこでの主たるテーマは、一つは、先ほど委員御指摘の韓国の沈没船の問題であります。これはかなり、まだ調査結果は出ておりませんが、結果によっては深刻なことになりかねない問題であります。そしてもう一つは、これも非常に佳境を迎えておりますイランに対する制裁、別に制裁が自己目的ではございませんが、イランの核開発というものを阻止するための国連における話し合い、そういったことについて、日米同盟、日米間でよく方向性を合わせながら、お互いにその実現に向けて、共通の目標に向けて手分けして努力していくということについて、しっかりと話し合いを行いたいというふうに思っております。

 普天間の問題は、もちろん話題にはなると思いますし、必要があればしっかりとした話し合いを行いたいと思いますが、私は、委員御指摘のように、やはり、五月末までに日米間で何らかの合意に達するということは、外務大臣としてはぜひやり遂げたいというふうに思って、今、さまざまなレベルで具体的な話し合いを行っているところでございます。

平沢委員 これは報道だから否定されるでしょうけれども、きょうの読売のトップは、くい打ち桟橋断念、辺野古は結局埋め立てでやるというようなことが出ていますけれども、これはまだ政府案として決まったわけではないですね。

岡田国務大臣 毎日のように報道がございます。その中には正しいものも正しくないものもございます。それについて一々コメントすることは避けたいというふうに思っております。でき上がったものを見て、またこの委員会の場でもさまざま御意見いただければありがたいことだと思います。

平沢委員 最後に、今の普天間の移設先の決め方なんですけれども、総理が飛び回っている、そして官房長官も飛び回っている。大体、総理が出るときというのは、すべて、ある程度方向性が出て、おぜん立てができていて、そして最後に行かれるというのが総理ではないかなと私自身は思いますけれども。

 ともかく、総理の、この普天間の移設先について見てみますと、徳田虎雄さんのところに行かれた、まだ徳之島の方々に全然話もしていない段階で徳田虎雄さんのところに行かれた。徳田虎雄さんは、元衆議院議員かもしれませんけれども、一民間人です。まずそちらに行かれた。そして、沖縄に行かれて、徳之島もお願いしたいというようなことを言われた。徳之島にまだ正式な話をしていないうちにそれを言われた。それを聞いて、徳之島の町長さんたちが五月七日に総理に会われた。そこで総理から徳之島もお願いしたいというような話をされた。そして、官房長官は官房長官で、徳之島の賛成派の方だけと鹿児島でお会いするというようなことで、何か動きがちぐはぐ、ばらばらでないかな。

 そういう中で、徳之島のある町長は私に電話をしてきて、これはとてもじゃないけれども、今のやり方、我々からすれば憤りを覚えるだけだ、徳之島に対してきちんとした説明は何もない中で、外でどんどんどんどん花火が打ち上がって、それで我々は総理のところに行ったらその話が出てきたということで、いずれにしましても、徳之島の町長さん、私に電話で、特に官房長官が賛成派の方だけ会っているというのは、反対派をますます結束を強めさせるだけだ、これはマイナスだということを言っておられました。

 私自身も、これは間違えると、そしてこのままずっと進んじゃうと第二の成田にもなりかねないなという感じがしないでもありませんけれども、今の普天間の移設先の政府のやり方について、政府の中でいろいろと検討しておられる大臣はどういうふうに思われますか。

岡田国務大臣 もちろん、それは内閣として解決に向けて必要だというふうに考えることをそれぞれの閣僚が手分けをして行っているということであります。

 沖縄に行かれたのは、やはり総理の強い思いということもございます。そして、何とか沖縄の負担を軽減したい、そういう思いの中で、委員御指摘のような、徳之島も含めて名前が挙がってきたということで、何とか、今、全体の抑止力を維持しながら沖縄の負担を軽減する、そのためにはほかにそれを持っていくということで努力される、そういう総理の強い思いが委員がおっしゃったようなことにつながったということで御理解いただきたいと思います。

平沢委員 時間が来たから終わりますけれども、ちょっと今のやり方は、私は極めて、このままいったらおかしいんじゃないかなと思います。

 それから、武正副大臣に質問しようと思っていたフィリピンから米軍基地が出た話、これは次回質問させていただきたいと思います。

 では、終わります。

鈴木委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、冒頭、最近大きな話題になっております口蹄疫のことについて少し触れたいと思っております。

 実は、今、十一万頭を超える大変大きな被害が出ておりまして、これは宮崎県だけではなく全国の畜産関係者、大変この問題で心を痛めているところでありますし、消費者も同じ状況だと思います。

 さて、その中で今、赤松農林水産大臣が一番大切な初期の対応のときに外遊をしていた、この問題について、かなりあちらこちらで問題を取り上げられております。我が党でも、この問題を取り上げた農水委員会の古川議員に対しまして、赤松大臣から、これは大変重要な会議だ、EPA、FTAは大切なんだということを何度も強弁されておりました。ただ、EPA、FTAといいますと、これは外務省が基本的に最終的には所管をし、そしてこの委員会でそれぞれ今まで議論してきた内容だと思っております。

 そこで、まず冒頭お伺いしたいんですが、今回、赤松大臣が行かれましたメキシコ、キューバ、コロンビア、この三カ国とEPA、FTAの協議が緊急に必要なのか、そして今回のこの出張に関して外務省と打ち合わせをしていったのか、お伺いしたいと思います。

武正副大臣 小野寺委員にお答えいたします。

 このゴールデンウイーク中の……(小野寺委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。政務三役の外遊について、官邸を中心に、やはりある面、戦略的にというような考えで臨もうじゃないかということが既に検討されていた、こういった背景の中で、それぞれ大臣、副大臣の外遊先がそれぞれの省庁の判断のもと決められていったというふうに理解をしております。

 その中で、今のメキシコ、キューバ、コロンビアでありますが、メキシコとの間では、御案内のように、二〇〇五年にEPAが発効しておりまして、現在、協定上定められた品目等についての再協議を行っておりまして、互いに利益のある結論を早期に得られるよう引き続き実務的な協議を継続するということで、今ちょうど協議を行っているということでございます。特に農産品についてということがあろうかというふうに思います。

 コロンビアについては、従来から我が国との間でEPAについて進めていきたいとの希望が示されておりまして、現在行っているのは二国間の投資協定交渉、これを早期に妥結した上で、EPAについていかなる対応が可能か、検討を行っていくというところでございます。

小野寺委員 今、キューバについて抜けておりました。

 皆さんのお手元に資料を配付させていただきました。これは赤松大臣のメキシコ、キューバ、コロンビア出張ということです。

 私も、外務の副大臣をして中南米地域を担当しておりましたから、この地域のEPA、FTAの内容については実はよく知っております。きのう、事務方にも再度確認をしました。私の認識でいうと、例えばメキシコについては、既に二〇〇五年に発効しています。もう既に発効しているのに、なぜここにわざわざ大臣が行くのか。そしてキューバに至っては、こことEPA、FTAの交渉をするなんというのは、これは全く荒唐無稽な話、あり得ないことです。そしてコロンビア、ここは、今お話ありましたが、二国間の投資協定。これは農産物の問題じゃないんですよ。その前の投資協定の問題があって初めて、それからずっと先に、もしかして農産物の問題があるかな、こういうことでして、全くここにEPA、FTAで今から行かなきゃいけない緊急性はありません。

 そして、私、実は、どんな内容かということで農水省に確認をしました。何度言っても資料が出てこない。会議の概要ということしか出てきません。

 その概要を見ると、例えばメキシコ、何と出てきたかというと、EPA農産物再協議につき、引き続き事務レベルで精力的に協議を継続していくことで一致ですよ。これが向こうの農牧大臣と協議した結果ですよ。結局、事務方でしっかりやりましょうねということを確認しに行っただけ。そしてメキシコは、この日程以外には視察だけです。さらにコロンビア、フェルナンデス大臣とお会いをされたんでしょうけれども、ここでも確認したということは、あくまでも投資協定を早期に妥結。投資協定は農水省の所管ではありませんね。しかも、武正副大臣のお話を伺うと、出張は各省がそれぞれ勝手に決めて行ったというお話だったと思います。

 さて、佐々木政務官にお伺いしたいんですが、この出張は、これは事務方から上げた問題なんですか、それとも大臣が行きたいと言って決めた問題なんですか、お答えください。

佐々木大臣政務官 お答えします。

 今ほど外務の副大臣からお話がありましたように、いろいろな懸案がずっとありますので、ましてやコロンビアなどは、向こうから一度来日をしていただいているというようなこともあって、懸案がたまったというようなことで、それは大臣の……(小野寺委員「いや、聞きたいのは、大臣が決めたか、事務方から上げたか」と呼ぶ)大臣の判断、事務方と両方ですが、最終的には大臣の判断です。

小野寺委員 これもきのう確認したんですが、これは大臣の判断だと事務方は明確に言っておりました。

 さて、皆さん、この日程を見てください。これはEPA、FTAの協議で行きたいということで、出張の目的が出ております。ところが、こうやって見ると、メキシコとは既に二〇〇五年にもう発効している、そしてコロンビアについては当分EPA、FTAの協議をする予定はない、これは外務省からも聞いています。ということは、何しに行きたかったかというと、この真ん中のキューバです。二日間日程をとっています。各大臣に会っています。そして最後、五月四日の火曜日を見てください。カストロ国家評議会議長、ここと会っている。

 私は、今回の出張の目的は、実は、キューバのカストロさんに会いたい、もともと社会主義の先輩であるカストロさんに会いたい、ただこの一点のためにこの出張をつくり、そして残念ながら日本の口蹄疫で泣いている農家の皆さんを振り切ってカストロさんに会いに行ったということではないか。どう見ても、この日程を見ても、だってキューバとEPA、FTAを結ぶなんというのはあり得ない話じゃないですか。一体何でここにわざわざ行って、カストロさんに会いに行ったのか。

 さて、ちょっと外務省にお伺いします。

 日本の現役閣僚で、今までキューバを訪問し、カストロさんに会った方はいらっしゃいますか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 ただ、その前に改めて申し上げなければなりませんが、(小野寺委員「いや、今、一言でいいです、一言で」と呼ぶ)このEPA、FTAについての協議については、コロンビアについては、二〇〇八年、日本とコロンビアの外交関係樹立百周年に当たって両国関係者によって設立された賢人会において、このEPAの早期締結、これが求められておりまして……(小野寺委員「済みません。カストロに会った人がいるかどうかを聞いているんですが。委員長、質問の答えだけにしてください。質問だけに答えてください」と呼ぶ)こうしたことについては、とにかくEPA、FTAの締結ということで強い思いを持っているということです。

鈴木委員長 武正副大臣、ちょっと。だめだよ。指示に従ってくださいよ。

 ちょっと今の時間とめておいてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 起こしてください。

武正副大臣 お答えをいたします。

 過去の閣僚で、現役の閣僚がキューバのカストロ議長と面会をしたことはございません。

小野寺委員 これなんですよ。赤松さんが行きたかった理由はこれなんです。日本の閣僚で現役でカストロさんに会ったことがあった人はない。初めてなんですよ。そのために、実はこのメキシコ、キューバ、コロンビア出張。どう考えたって、これはEPA、FTAで行くのは不自然です。そんなに大きな問題がこの国とあるとは限りません。

 この日程を見てください。メキシコでは、一時間半、大臣と会いました。そこでの確認は、この問題については事務方で今後やっていきましょうね、事務方でやらせる確認をしただけなんです。そしてコロンビア、ここで話をしたのは、これは二国間の投資協定が終わった後に相談しましょうね、何も今回、大臣が行って決める話ではない。

 そして、どう見ても、この日程表、皆さんお手元に持っていますね、これを見て、これはキューバに行きたいために行ったとしか思えません。そして、このカストロに会うということ、これが私は、赤松大臣が口蹄疫よりも、口蹄疫で泣いている宮崎の農家の皆さんのことを差しおいてでも、今回の出張に何としても行かなきゃいけない、その理由だと思っています。

 最後に、佐々木政務官にお伺いします。

 このメキシコ、キューバ、コロンビア出張、これはEPA、FTAのために行ったということで国会の承認を得たと言っていますが、本当に必要だったんでしょうか。そして、EPA、FTAになぜキューバが関係するんでしょうか。それを簡潔にお答えください。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今、委員からもお話がございましたが、この出張については、国会において、与野党を含めて議運で出張について御了解をいただいたものであります。

 先ほど来お話がありますように、この懸案の三カ国の訪問については、例えばメキシコについては太平洋のクロマグロだとか捕鯨だとか気候変動だとかについても話していますし、キューバについては食料自給率の問題やWTOの問題、あるいはコロンビアについては検疫問題、クロマグロ問題などについても話し合っております。

 そういった意味では、FTA、EPAについても大変重要な訪問だったというふうに思っています。

小野寺委員 今聞いて、皆さんどう思いましたか。

 口蹄疫でこれだけ、連日、宮崎の農家の方、全国の農村部の方が困っている、苦しんでいる中で、今の理由がそれを上回る大事な用件。私は、どう聞いても、どう考えても理解できない。

 そして、この出張の日程を見る限り、これは恐らく、衆議院の方に出したときには、EPA、FTAということで多分いかれたんでしょう。そして、実は、大臣が出張する前提でも、これは野党、我が党からも懸念を申しました、こんな時期に行ってくれるなと。そして、与党の中でも行くべきではないという意見があった中で、あえて振り切ったほど重要で大切な用件。

 これは実は、日本政府として大事な用件ではないんです。赤松大臣にとって大事な用件だったんです。そして、その一番大事な用件は、日本の現役閣僚として初めてカストロさんと会うということ。社会主義の先輩の国のカストロさんと会うこと、これが赤松さんの最大の目的だ、私はどうもそうとしかとれません。

 最後に、では、せっかくですから大臣から。

岡田国務大臣 今の委員のお話を聞いておりまして、例えばメキシコですけれども、確かに現在、EPAを締結しております。これはかなり中身が濃いもので、私の記憶に間違いなければ、お亡くなりになった中川さんが農水大臣のときにかなり思い切った交渉を行って、EPAができております。

 ただ、あれから時間もたちまして、もう一回、再協議という段階になっているんですね。そういうことで赤松農水大臣が行かれて、メキシコの方は、例えば砂糖や小麦やパイナップル、牛肉、豚肉といった日本にとって非常にセンシティブな項目について、さらにというふうに言っているわけであります。そういったことについて、大臣レベルでしっかりと方向づけを行い、その方向づけに基づいて事務方がさらに議論を続けていくということで、私は、メキシコに赤松農水大臣が行かれたことは非常に価値のあることだというふうに思います。

 あわせて、外務省としても、ことし、COP16がメキシコで開かれますので、閣僚が行っていただくということで、その点についてもしっかり話をしてきてもらいたいということで、お願いをさせていただいたところでございます。

 キューバというのは、日本と余り縁がないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私が外相になってからも、キューバの外相に日本に来てもらって、かなりいろいろなやりとりをいたしました。非常に重要な存在であります。

 私は、キューバとアメリカの関係の正常化に、もう少し日本が役割を果たせるのではないかというふうに思っているところでありますが、今回、閣僚が行かれたということは非常に意味のあることだ、そして、キューバは農業については非常に実績もありますから、農水大臣に行っていただいたことは価値のあることだというふうに思っております。

 後から判断して、それが現在の口蹄疫の問題に比べてどうかというのは、後からいろいろな議論はあり得るんでしょうけれども、やはり、閣僚が手分けをして、機会のあるときに世界を飛び回って、そしてお互い意思疎通をよくするということは、日本の外交力全体の基礎体力を高めることになりますので、私もアフリカに行くときに、普天間があるときに何だと言われたわけでありますが、それは基本的にそういうことの積み重ねが日本全体の交渉力を高めている、そういう側面もぜひ御理解いただきたいと思います。

小野寺委員 私は、二国間関係、そしてそれらの国に行くなと言っているわけではないんです。なぜこれだけ多くの課題を国内で抱えているときに行くんだ、その理由がわからない。

 そして、もしキューバとの二国間関係が必要であれば、それはむしろ外務省の仕事ではないか、農水省の仕事なのか。農水省の仕事は、国内の農家の皆さんを安定、安心させる、消費者の皆さんを安心させる。その仕事であれば、この口蹄疫の真っ最中、しかも大臣不在の間に事例がどんどんふえ、実は悪化したというのがみんなの共通認識です。その出張が本当にどういう意味があるかということは、私は、これから大臣の責任を追及する、そういう状況だと思います。

 まず現在は、蔓延防止が必要、そして対策が必要、農家の皆さんへの支援が必要。ですが、その先には、この責任は必ず農林水産大臣には振り向けられるもの。そして、そのときに、この事案というのは大変重い、私はそのように思っています。

 そして、今、岡田大臣がおっしゃったので、一言、ちょっと苦言をさせていただきたいと思います。

 実は、連休中、私どもは、院の派遣でニューヨークでNPTの関連の議員会議に出させていただきました。そこで、ニューヨークに行きまして、国連でさまざまな皆さんとお話をしました。その中には、今回、二千人の、日本からの方がたくさん来ていらっしゃいまして、その中には、生協の関係者の皆さん、被爆者団体の関係者の皆さん、連合、労働組合、たくさんの方がいらっしゃいました。そして、皆さんそれぞれの思いで核廃絶のことを訴えておりました。

 私がその方々から直接聞いた声、平岡議員も御一緒でしたが、私が聞いた声は、なぜこの場に日本の首相もしくは外務大臣がいないのか、なぜ日本の被爆者の考え方を訴えていただけないのか、それを私は聞いてまいりました。私は、実はこう答えました。いや、大切な外交日程があり、副大臣がしっかり対応している。その場では政治家の一人としてそのように答えましたが、やはり現地では、なぜ大臣が来なかったかと。

 それは確かに、アフリカのTICADのフォローアップも必要だと思います。ですが、フォローアップの日程というのは日本自体が決められる日程です。ニューヨークに寄ってからアフリカに行っても、実はこのフォローアップの日程というのは十分とれたんだと思うんです。

 ぜひ、こういうことが今後ないように、しっかり日程を組んで、できるだけ外務大臣には外交の最前線に立っていただきたい、私はそう思っております。

岡田国務大臣 ぜひ、そのためにも、外務大臣が海外に出ることについて御理解をいただきたいと思います。

 ですから、この連休も、委員のおっしゃるような日程であれば、結局、連休の最後の木曜日、金曜日という平日、このときが使えれば、委員のおっしゃるような日程も可能だったんですね。NPTにまず出た上で、アフリカに行く。しかし、それは、木、金という平日を使うということについてあらかじめ御了解をいただかなければできない。そのことについて我々はトライしたわけではありませんけれども、やはり日程が全体に窮屈な中でつくっていこうとすると、どうしても、体は一つですから、外務大臣が来いと言われても行けない場合がございます。

 ただし、私は、このNPTで最も大事なことは、きちんと結論がまとまることであるというふうに思っております。

 したがって、先般もインドネシアの外相とも電話で話をしたところでありますが、これが文書がまとまらないような局面があれば、関係国の外務大臣がニューヨークに集まって、しっかりと文書の合意ができるように努力していこう、そういうことについては、もちろん国会の御理解をいただくことが前提になりますが、私はやぶさかではありません。私自身が出ていって、しっかりまとめる、そのための一助になればというふうに思います。

 ただ、最初の演説について、私が行って演説しなかったからというのは、それは行った方がベターだったと思いますけれども、体一つの中でぎりぎりのやりくりをさせていただいているということも御理解いただきたいと思います。

小野寺委員 一つだけお話ししますと、その木、金の件については、実は外務委員会を開いておりません。ですから、その後ということですから、私どもは、ある程度、今回の連休については、大臣の日程もあると思いまして、長期の日程をとらせていただきました。これから、もし事前にさまざまな協議をいただければ、私どもも、やはり、外交の対応、そして国会の運営、その両立を図るためにもお互いに努力していく、そういう必要があると思います。

 さて、沖縄の基地問題についてお伺いします。

 きょうは長島政務官においでいただいております。

 私、実はアメリカの交渉担当者と、何人かお話をしてきました。その中で言われたのは、日本が提示しているくい打ち案、これはきょうの新聞で否定というふうに一部出ていますが、このくい打ち案は実態上大変無理があるということを異口同音にお話をされていました。そして、その提案をしてきた日本に対して、これをどうするかということを私どもは問い直しているんだというふうに伺っております。

 さて、例えば軍事で使うような空港に、このようなくい打ち方式で建設をした事例がアメリカにあるのか、あるいは世界じゅうの主要国にあるのか、過去にそんな事例があるのか、お伺いします。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、日本国内におきまして、自衛隊及び在日米軍の基地、滑走路、この建設で、今言われているようなくい打ち桟橋方式が採用された実績はありません。また、民間空港でいきますと、羽田、東京国際空港、その新設滑走路の工事において、飛行場施設の一部、全長が三千百二十メートルですが、そのうちの一千百二十メートル、これがくい式桟橋工法が用いられています。

 それから、国外における実績でありますが、これも民間空港ですけれども、米国ニューヨークのラガーディア空港、それからポルトガルのフンシャル空港の滑走路の一部でくい式桟橋方式が採用されております。

小野寺委員 いずれも民間空港で一部ということで、このような軍用に供するような空港では事例がないということだと思います。ですから、アメリカ側も、日本からこの案が提示されても、一体どこでこれは使われているのか、一体どうやってこれが、ちゃんと安全が確保できるのかということで返ってくると思うんです。

 長島政務官にお伺いします。

 運用上あるいは安全上、このくい打ちというのは、これはできる工法なんでしょうか。

長島大臣政務官 これは、きょうは外務大臣もお見えですけれども、基本的には、官房長官を中心として、今あらゆる角度から、工法も含めて検討している最中でありまして、埋め立てとかくい式桟橋方式とか、さまざま報道が出ておりますけれども、それを前提にした答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 これは私ども、さまざまな角度から、米側からも実は聞いております。実態上これは無理だ、難しい、ただ、日本がこれを上回る案、そして科学的根拠、実例を示してくれるのであれば話し合いに応じましょう、これが一貫したスタンスです。ところが、日本側からはさっぱりその明確な証左がないということで、今アメリカ側は大変混乱をしている。

 私は、実現不可能な案をもしかして提案しているんじゃないか、提示しているんじゃないかということで、この問題に対してここで伺っております。

 そして、結局、先ほど大臣は否定をされましたが、ここにきょう、くい打ち案断念、「辺野古 結局埋め立て 政府、米に伝達」となっております。これは事実でしょうか。

岡田国務大臣 先ほど長島政務官も言われましたが、くい打ち方式そのものについて、我々、そのことを前提に交渉を行っている、議論を行っているというふうに言ったことはないと思います。

 したがって、そのことの断念ということについても、特に申し上げることはございません。

小野寺委員 今まで言ったことがないと今外務大臣がおっしゃいましたが、では今までアメリカ側に何を言っていたのか、何の協議をしていたのか。これはワシントンに行って愕然としたんですが、外相が一カ月ほど前に、クリントン、そして向こうのゲーツとお会いされたときにも、実は日本側から何の提示もなかった。

 今回、二十一日にクリントンさんが来られます。当然、この基地問題についても話すんですが、そのときも、何も日本側の案を、これが案だということで大臣は提示しないおつもりですか。お答えください。

岡田国務大臣 まず、先般、G8外相会談がカナダで行われるに際して、その前後にクリントン長官やゲーツ長官とお会いをいたしました。

 そのとき、私は、行く前からはっきり申し上げておりました。これは普天間の問題で行くんじゃない、日米間で話し合うべき課題がたくさんある、特にイランの問題を中心に話さなければならない、だからそのことを中心に行うのであって、もちろん普天間の問題も議論にはなるでしょうけれども、そのことが中心課題ではないということは、私、国会でも記者会見でも申し上げましたし、アメリカ側にもそういう前提で会談を設定したということでございます。

 ですから、あのときに具体的提案がなかったからといって、それでアメリカ側が何か驚いているということは全くないはずであります。

 今回、クリントン長官とは、先ほども申し上げましたように、主要なテーマは、今回の韓国における沈没船の問題、そして、今まさしく安保理でこれから本格的な議論がスタートすることになると思いますが、イランの核の問題であります。この二つをしっかりと長官との間で話したい。

 もちろん普天間の問題も議論にはなるというふうに思いますが、さまざまなレベルで今議論を行っておりますので、その方向づけについては私は日米で完全に一致をしているというふうに思いますので、個々のことについて、そういう必要が出てくればもちろん話しますが、今、長官との間で詰めて議論しなければならない、そういう段階にある問題というのは、私は念頭にはないわけであります。

小野寺委員 今、大臣のお話を伺うと、実はまだクリントン長官と詰めて話し合う、そういう案はないというお話をされました。

 ということは、実はもう五月の下旬にかかります。先ほど来、五月末まで、五月末までと、私は、五月末というのはそろそろのことだと思います。このそろそろの時期に、クリントン国務長官が日本に来る中で、五月末までに決めるという案について、お話をする特に重要な案はないということになると、これは事実上、五月末の決着は無理だということをお話しされていると理解してよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 私は、案がないだろうということは一言も答弁しておりません。今、日米間の話し合いをあらゆるレベルで行っております。専門的見地から詰めなきゃいけない問題もございます。そういう問題は当然あるんですけれども、この来られるタイミング、金曜日ですけれども、その段階で、これを今トップレベルで決着をつけなきゃいけない、そういうことではないんじゃないかというふうに思っております。

 話し合いそのものは、もちろんいろいろな難しい、困難な交渉でありますけれども、しかし、前を向いて進んでいるということは申し上げておきたいと思います。

小野寺委員 私は、ある面で、岡田大臣、きょうは長島政務官もいらっしゃっていますが、気の毒な気持ちもします。

 というのは、昨年秋以来、現行案についても実は検討の一つということで考えている姿勢をお二方はされていたと私は理解をしております。ですから、新たな案があればそれはよし、だけれども、それがやはり日米合意に至らない場合には現行案という選択肢も残しておく、そういうことでずっと議論が進んでいたんだと思います。これが常識がある人の判断だ、私はそう考えておりました。

 ところが、さまざまな閣僚が、あるいは総理が発言する中で、現行案を否定され、そして現行案以外の何かをつくらなきゃいけないということで、四苦八苦、もうさまざま、ない知恵を絞り出して、あちらこちらにどうか。そして最後は、やはり辺野古に、埋め立てではこれは前と同じだと言われると困るねということで、くい打ちというちょっと信じられないような策を出してきました。

 そして、結果として、このくい打ちもやはり無理だということで、もし今回の五月末の決着に、結局、辺野古の埋め立てに戻るということになった場合、大変大きな責任があるし、これはむしろ、外務大臣、長島政務官ではなく、総理がここまで混乱させた、平野官房長官がここまでぐちゃぐちゃにした、そして沖縄の知事に北澤大臣が伝えた、あの内閣の不一致の問題が一番大きな罪ではないか。そう思って、実は、この決着がどこにつくかというのをある面で見据えながら、この外務省の対応、防衛省の対応、私は、大変ある面では同情し、そしてある面では怒りを持って見させていただいておる、そういう状況にあります。

 再度確認します。

 昨年の秋にも私は同じことを聞きました。結局、現行案に近い形、そして現行案の多少の沖合への拡張というところ、現在のアセスが及ぶ範囲でこの問題は決着するということではないんですか。大臣、お答えください。

岡田国務大臣 今まさに交渉中でありますので、そのプロセスについて語るべきではないというふうに思います。ただ、鳩山総理のもと、とにかく沖縄の負担を軽減する、そういう強い思いで今さまざまな議論を行っているところであります。

小野寺委員 間もなく五月末を迎えます。

 そこで、大臣が長年、この約七カ月でしょうか、ずっとおっしゃっていた、結論、結果を見た上でというお話がございます。間もなくその結論、結果が出ます。それを踏まえて、また六月の委員会ではしっかりこの問題について質疑をさせていただきたい、そう思っております。

 さて、もう一つ、実は訓練移転の問題がございます。

 今さまざま、例えば徳之島への訓練移転はどうか、あるいは、これは鈴木委員長が前からおっしゃっておりますように、北海道を含めて全国の基地でこれを受け入れたらどうか、そういうお話がございますが、現在の米軍の訓練移転は、これは特別協定によって、実は日本側がこの訓練移転の費用を負担するということになっています。

 今回、北九州ローテーションなり徳之島なり、こういうところにもし移転が行われるということになった場合、これはまた日本側がこの移転の費用というのを負担することになるんでしょうか。お聞かせください。

長島大臣政務官 お答えいたします。

 訓練移転ですけれども、今、小野寺委員がお触れになったローテーション案というものが我々政府の間で検討されているかどうか、これは中身の話ですから、この場でお答えをすることはできないわけでありますけれども、それは報道が出ていることはよく存じ上げておりますが、その方向で話が進んでいるわけではない。ただ、とにかく、私どもは、現行案よりも沖縄の皆さんの負担を少しでも、さらに軽減できる道はないかということで今努力をしている、こういうことでございます。

 訓練移転の際の負担でありますが、これは過去にも訓練移転している例はあるわけです。委員長も大変御努力をしていただいた沖縄の県道百四号線越えの実弾射撃訓練、これは矢臼別を初めとして五カ所に移転しているわけですけれども、この際の費用負担を日本側がやっております。

 これは何に基づいてやっているかというと、委員も御承知のとおり、日米安保条約第六条、基地施設の提供は日本が義務を負っている、こういうことでございますので、そこに淵源があるわけですけれども、過去の事例を少し申し上げるとすれば、沖縄県道百四号線越えの実弾射撃訓練は、例えば平成二十一年度負担実績額五億五千百万円。あるいは航空機の訓練、移転しておりますけれども、これは二十一年度負担額が約三億二千四百万円。あるいは硫黄島における空母艦載機の離発着訓練、これも移動の経費等々負担しておりますが、二十一年度で四億五千六百万円。こういうことで、過去も日本側が負担しておりますし、今後もそういうことでやっていくことになると思います。

小野寺委員 例えば、矢臼別の問題について、二十年度、伺いましたら、一カ所、矢臼別で訓練を行った、その際には、実は、チャーター機、日本政府がチャーターをしてそこに乗っていただいて矢臼別までお送りする、そしてそこで使うさまざまな重火器、これも輸送の費用負担というのは日本側が負うということになっています。

 恐らく、今回の訓練移転ということに関しても同じようなことが行われ、そしてこれは、矢臼別もそうですが、基本的には、そこに新たに隊舎をつくり、そこに年に一回か二回来るかどうかわからない訓練移転の皆さんのための施設を整備する、そしてそこに行ってもらうための、言ってみればあご足というんでしょうか、それも全部日本が持つということになります。

 ですから、これは訓練移転、訓練移転と盛んにあちらこちらにお話しされていますが、いずれにしても、移転についてすべて日本側がその費用負担を負うということに恐らく今後なるんだと思います。

 ということを考えますと、沖縄の負担軽減というのは確かに大切です。そして、私どもこれを進めていくことも大切です。そして、それにはそれなりのお金もかかるということです。

 ですから、今後、この訓練移転ということをどうも総理は非常に軽々にあちらこちらの話を言います。でも、訓練移転を受ける先については、隊舎を建設し、施設整備を行い、そして沖縄からそこに行っていただくために、実はチャーターをした飛行機を飛ばしたり、さまざまな輸送のツールを考えたり、そのような大変な努力、お金もかかるということをあわせて、今の政権の皆さんはぜひ国民の皆さんにもしっかり言っていただきたい、私はそのように思っております。

岡田国務大臣 費用については、もちろんそのとおりであります。

 その前に、まず訓練移転をきちんと受け入れていただけるかどうかという問題が、より重要な問題としてあると思います。もちろん、それはさまざまな負担を伴うわけであります。しかし、そこはぜひ、沖縄の負担軽減という見地から、全国それぞれ、もちろんそれはある程度のハードがないとできないわけで、どこでもというわけにはいきませんけれども、多くの地元の自治体の御了解、御理解を得て、少しでも沖縄の負担を分かち合うということで、御無理をお願いするわけですが、各地域で真剣にお考えいただきたいというふうに思います。

 お金の問題は、もちろんかかるわけですが、沖縄の負担軽減という観点から、私は、合理的な範囲で日本がそれを負担するということは当然のことであるというふうに思っております。

小野寺委員 この沖縄の負担というのは、久しく日本国民全員が深く考え、そしてこれからも議論をするところだと思います。鈴木委員長もこのことについては前向きな発言をされていることを報道で聞いております。ぜひ、沖縄の負担軽減のために、これは党利党略ではなく、しっかり私どもも頑張っていきたい、そう思っています。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 先ほどから赤松さんという名前が飛び交っておりますが、この問題に関して私の考えを申し上げさせていただきますと、先ほど来、小野寺委員と岡田外務大臣との間でなかなか聞きごたえのあるやりとりが行われたと思いますが、実は、この口蹄疫の問題が既に起こっている状況の中で赤松農水大臣が出かけられた。そして、出かけるときに、まあ御本人に聞いたわけじゃありませんけれども、口蹄疫対策はもう万全を尽くした、大丈夫だ、こういう趣旨の発言をして行かれたということに私は大きな問題があると。全体状況としては岡田外務大臣のおっしゃるとおりだろうと思うんですけれども、口蹄疫という問題に対する認識が極めて甘かった、そして打つ手が非常に甘かった、こういうことはどう見ても言わざるを得ない。

 もう既に起こってしまったことでありますから、万全の対応、かなりこの分野でも後手後手になっておりますけれども、しっかり政府を挙げて取り組んでもらいたいなということを強く感じまして、またそれを発言させていただいて、きょうの本題に入りたいと思います。

 私は、先ほど来外務大臣がいろいろおっしゃったことについて、もう既に同僚委員お二方が質問をされたこととかなりダブってしまうわけですけれども、同じようなことになるかもしれませんが、さらに突っ込んだ質問をしてみたい、そんなふうに思います。

 まず、当面の日本外交にとって大きな課題であるNPTの運用検討会議をめぐってのお話でございますけれども、先ほども大臣からあったように、今まさに佳境に入りつつある。今月末まで続くわけでありますけれども、このNPTの会議について、既に外務省が発行されておりますNPT運用検討会議の第一週の動きあるいは第二週の動き、きょう、今日までの動き等を拝見させていただいております。

 その中で、きょう冒頭でお聞きしたいのは、このNPT運用検討会議に立ち向かう日本の基本的な姿勢、つまり、最終的に何が結果として生み出されれば、日本として、この二〇一〇年、かねてより世界じゅうが注目をしてきたこのNPTの運用検討会議について、日本は成功した、成果を上げることができた、こんなふうに言えるゴールの目標、ここをどういうふうにとらえていけばいいのかということをまず冒頭お聞きしたいと思います。

 先ほど来あったように、福山外務副大臣が現地に行かれたようでありますけれども、福山さんは、核兵器の全面廃絶に向けた明確な約束の再確認、強化された消極的安全保証の供与を含む核兵器の役割低減のコミットを初めとする、日豪共同提案に盛り込まれた具体的な核軍縮措置、追加議定書普遍化の推進、北朝鮮やイランの核問題の解決、原子力の平和利用のための国際協力の重要性、こういうことを強調されて、日豪共同提案やIAEA保障措置の強化、技術協力、軍縮・不拡散教育等の日本の提案について多くの支持を得られるよう各国に働きかけを行った、こうあるんですが、なかなか間口が広いというか、いろいろなことが並列で書かれているわけです。

 こういったことを主張し、今まさにこの検討会議の現場の中で日本の代表がさまざまな仕事をされていると思うんですが、結果、ゴールとして何がどうなるかということについて、一番、最も価値の高い目標というのは何なのか。もちろん、余り理念的な、包括的な、ぼんやりしたことではなくて、具体的なことを言っていただきたいと思います。外務大臣。

岡田国務大臣 今回、核なき世界を目指して着実に軍縮を進めていくということと、それから核の不拡散、そして平和利用、そういったことについて国際社会がきちんと認識を一にして、最終的な合意文書に至るということがまず重要なことだと思います。前回はそういった合意文書には至らなかったということであります。まず、合意文書をきちんとつくり上げるということが目に見える形の目標であります。

 次に、その合意文書の中で、今委員が福山副大臣の演説に言及されましたが、できるだけ中身を盛り込んでいくということであります。もちろん、我々の意見が一〇〇%通るわけではありません。これは、これだけたくさんの国が議論するわけですから、さまざまな妥協を重ねないと文書というのはでき上がりません。しかし、そういう中で日本の主張というもの、これは日豪外相での合意を踏まえて日豪合同で国連の方に一つの案として示してありますが、そういった中身がなるべく盛り込まれるように努力していくということ、この二点だと思います。

赤松(正)委員 そうすると、確認でありますけれども、最も価値の高いというか優先度の高いものは、先ほど羅列したものの中でいえば、日豪のこの合意文書といいますか、日豪共同で提案したもの、これがあとう限り盛り込まれることが最も望ましい、こういうことでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 日豪で出したものも非常に盛りだくさんの中身でありますので、どれだけその中に書かれたことが盛り込まれるかということを目指して今交渉しているところでございます。

赤松(正)委員 今、そういう本格的な議論の流れの中で、きょうの新聞報道、きのうあたりから、イランの核開発をめぐっての関係各国、とりわけアメリカを中心とした国々のイランに対する制裁、この動きが急展開をしているという報道がなされております。中ロの間でイラン制裁に対する合意も見たということで、そういう意味では、従来と違った形で一段とイランに対する制裁の流れが強まっている、こういうふうなことがありますけれども、この一つの流れの中で気をつけていかなければならないのは、やはり、イランもなかなかしたたかな国でありますから、さまざまな対応力を駆使して、こうした流れに対して、この事態をどうくぐり抜けるかというふうな、そういう動きが見られます。

 そんな中で、今まで民生利用と称して原子力の技術を供与されるということを積み重ねていって、そして、そうした原子力の平和利用という部分を十分に得た段階で、NPTから脱会するというか、脱却するというか、抜け出る、いわば北朝鮮と同じ道をとる危険性、こういうものがあるということで、そうしたものをいかに防ぐかということが大変重要な、個別具体というか大事なテーマとして、そういう脱退防止規定をどうつくるか、こういう考え方というものが非常に重要なテーマとしてあろうかと思います。

 こうしたイランの動きを、どういうふうに防止規定をつくっていくかという流れの中で、やはり大事なことは、途上国の動きというものをどのように、先ほど来ありますような日豪を中心とした、そういう核保有国ではない、非核保有国の中で先導的な動きを今まで示してきている国々がしっかりとしたリーダーシップをとっていく必要がある。

 つまり、アメリカは余りにも当事者過ぎて、なかなか反発する国々が多いということもありますから、そういう点では、この間、外務大臣は、ドイツの外務大臣と一緒に、共同の文書というかアピールを朝日新聞の紙上で発表されていた。なかなかよかったと思いますけれども。そういう働きかけ、そういう大きい側面から外務大臣がやっているということもありますが、現場で今度は官僚の皆さんが各途上国に対する対応、そういう世論づくり、国際世論づくりというものをしていくことが大事だと思います。

 このあたり、イランを中心とする、そういうNPTを脱却するような、脱退するような動きというものを防止するための条件というか、そういうものをつくっていくという動きについてどのような考え方を持っておられるか、聞かせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 脱退の規定というのは非常に重要な問題であります。詳しくはまた御質問があれば申し上げたいと思いますが、今の条約上も、脱退については簡単に脱退できないようにはなっているわけでありますが、委員御指摘のように、これはどこの国がということは申し上げませんが、突然脱退してしまって、それまで準備万端整えて、突然脱退して好きなことを始めるということでは困るわけでありますので、本来、脱退というのはそう自由にできない条約上の仕組みになっておりますが、そのことをより具体的に担保するためにどうするかということを議論することは、今回の会議の一つの重要なテーマでございます。

 それから、イランについて言及されましたが、イランについては、この場での重要なテーマでもありますが、同時に国連安保理で制裁の議論が進んでいるということで、常任理事国間でさまざまなやりとりをしてきた。それがかなりまとまりつつあるという中で、次は非常任理事国も含めた議論ということになってまいります。これをしっかりまとめていくということは非常に重要なことで、別に制裁が自己目的ではございません。しかし、制裁を行うことで核開発を断念させるということが重要なことであって、そのために日本も非常に重要な役割を果たしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 さらに、先ほども申し上げましたけれども、一部で、この種の問題をめぐっては、外務省の中で軍備管理軍縮課のメンバーは非常に懸命に取り組んでいるけれども、それ以外のいわば各方面というか、各地域ごとの、各国、グループ、アジア、南アジアあるいは中東、こういった地域を担当している部局の取り組みというのがまだ弱いんではないかという指摘があります、それは反論がおありだろうと思いますが。

 つまり、軍縮・軍備管理というものを直接仕事としてやっているメンバーだけではなくて、外務省が持っているあらゆるマンパワーを活用して、しっかりと国際世論づくり、核をめぐる大きな動きをつくっていく必要がある、そういう意味でオール外務省、オール・ジャパンの体制づくりが大事である。この点について触れていただきたいと思います。

岡田国務大臣 私が外務大臣として力を入れている問題の一つが核軍縮、核不拡散の問題であります。ですから、先ほど委員も言及していただきましたように、日豪でともに一つのパッケージをつくり、NPTの議論の場に我々は提出をいたしました。日独の外相で、核のない世界に向かってどういうふうに進んでいくべきかということを、日本の新聞だけではなくて、ドイツの新聞も含めて投稿いたしました。いろいろな形で、これは省を挙げて核軍縮・不拡散の問題について鋭意今取り上げているところでございます。私もこの問題に非常に力点を置いているということは外務省全体がよくわかっていることでありますので、一丸となって今取り組んでいるところでございます。

赤松(正)委員 ぜひ日本全体の総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど来外務大臣が二度ほど発言されました、つまり、あさってクリントン国務長官が日本にやってくる、そのときのテーマは、大きいテーマは二つある、一つは韓国の哨戒艇が沈没をした事件であり、もう一つがイランをめぐる核の問題だ、こうおっしゃいました。

 二つ目の方は今触れましたので、一つ目の問題について、もう既に先ほどのお話では日米の基本的な方向性というものは一致している、もちろん細かい点では違うことはあろうかというふうな意味合いのことをおっしゃいましたけれども、今言われている、きょうあたりの報道では、この韓国の哨戒艇については、要するにその原因というのは北朝鮮のものによる潜水艦からの攻撃であるということはほぼ間違いないというふうな形で、これはNHKの報道でしたけれども、それに対する、言ってみれば世界に向けて発する、当事者の国に向けて発する文案づくりというものが課題であろう、そういう見通しが述べられているわけです。

 このことについて、そういうものがはっきりした場合、これは仮定ではありますけれども、発表されるのがあしたのことでもありますし、もう当然わかっておられると思うので、そういうときの日本の発信する中身ということについて、触れられる限りのことについて述べていただきたいと思います。

岡田国務大臣 これはやはり調査結果が出ないと、その前から一定の予断を持って言うべきではないというふうに思っております。

 それから、もう一つ重要なことは、その調査結果が、もちろんこれは韓国だけではなくていろいろな国が入って行っていることでありますので、客観的な、説得力のある、そういう調査結果が出てくることを期待しているわけでありますが、これからそれをもとに国連とかいろいろな場で議論していくということになりますと、調査結果そのものが説得力を持ったものでなければいけないというふうに思います。日本自身も、その調査結果についてきちんとみずから検証して、そしてみずからしっかり納得をした上でいろいろなことをやっていかないといけないというふうに考えているところでございます。

 私自身思い出すんですけれども、九・一一があって、そして米国がアフガニスタンを空爆する、タリバン政権に対して自衛権を発動するというときに、私は野党だったわけですけれども、果たして本当にタリバン政権あるいはアルカイダというものが犯人であるという具体的な根拠はあるのかということで、当時かなり総理と議論をしてさまざまな発言を引き出したことを思い出すわけですが、やはりそこのところがしっかりしないと、いや、それはアメリカが言っているからとか韓国が言っているからというだけではなくて、日本自身がしっかり納得をした上で行動をとるということは非常に重要なことだと思っております。

 しかし、事態はかなり深刻であります。どういう原因であるかというのは調査結果を待たなければなりませんが、しかし、四十六人の人命が失われているということであります。それが事故ではなくて攻撃によってそういうことになったということであれば、これは尋常ではありません。したがって、場合によっては、それは日韓あるいは日韓米がしっかり連携をとりながらそういったことに対処していかなきゃいけない、こういうことだと思います。

赤松(正)委員 今九・一一の例を引きながらおっしゃいましたけれども、似て非なるところがありまして、ここは本当に腰を落としてしっかり対応していかないと、事は極めて重大な問題に発展し得る可能性もあるということで、しっかり対応していただきたいと思います。

 最後は、残された時間は、先ほど平沢委員からあった話と関連するんですが、実は、日本と中国、韓国の三人の外相が対談をされ、また日本、中国、そして日本、韓国の外務大臣の会議、こういうものを外務省のホームページで拝見させていただきましたけれども、日本の外務省のホームページだということだからある意味当然なのかもしれませんが、岡田外務大臣からはという格好で発言があって、それに対応する形で中国側の外務大臣の発言がある。要するに、読んでいて何だか岡田ペースで進んでいる。それはそういうふうにしていくべきもの、筋合いのものかもしれませんが、中国からの問題提起、日本に対するさまざまな問題提起も恐らくあったんだろうと思うんですが、じっと見ていると、何か日本の関心のある点ばかり書かれている、こういうふうな印象を受けるんです。

 話を拡散させてはあれなんで、今回の岡田外務大臣と中国の外務大臣との会談で、先ほど話題になった中国の核の問題それから東シナ海の問題、こういうテーマ以外に中国の方から岡田さんにむしろ突きつけてきた問題というのはあるんでしょうか。

岡田国務大臣 中国からは、首相の訪日を目前に控えて、それを成功させるということと、それから、日中の経済協力、特に環境面での協力とか、そういうことについて御提案がありました。そういうことについて私自身賛成といいますか、一緒にやっていこうというふうに考えておりますので、それが何か厳しい意見のやりとりになったとかそういうことはないということで、ホームページも余りスペースは割いていないということかもしれません。

赤松(正)委員 ということは、素直に、ホームページに書かれているようなテーマが両方から見て重要であった、こういう認識でいいんだなというふうに思っておくことにします。後で何かあれば言ってください。

 私、実は新聞報道で出る前に岡田さんにぜひ聞きたいと思っていたのは、さっきも話があったんですけれども、いわゆる中国のみが核保有国の中で核兵器を増強させていることについて、岡田大臣は核兵器の数量の削減、少なくとも増加はしないということをコミットするように求めた、これに対して、中国は核の全面的な削減、核の先制不使用を主張してきていて云々、要するに完全にすれ違いというか、言ったことに対して答えていない、そういうやりとりが非常に簡単に載っていたんですが、この食い違いをどう見るんだと。要するに、一般論として全面的な削減を言って、個別には削減できないという立場を中国は言っている。これは詳しく聞きたいなと思っていたら、何だか日中外相間で激しい応酬があったという、非常に私のある種予測どおりというか、いい予測どおりの報道があったんですが、この報道は間違っていないですね。よく大臣は新聞報道は間違っているとおっしゃるんですが、このことについてはいかがでしょう。

岡田国務大臣 個別のやりとりは申し上げるべきでないと思いますが、核の部分については、確かに、私が提起した問題、つまり、主要な核保有国五カ国の中で、米ロは今回、戦略核の削減に合意をした、イギリスやフランスもそれぞれ減らしている、そういう中で中国はふやしている、あるいは不透明ではっきりしない。そうではなくて、減らす、少なくとも現状維持ということにとどめてもらいたいという私の指摘に対して、おっしゃるようなことを中国側外相、ヨウケツチ外相は言われましたけれども、それはきちんと私の問いかけに対して答えていることにはならないということで、何度かやりとりはございました。もう少し冷静に議論できたはずなのになというふうな思いは私はございますが、ただ、これからもこの問題はしっかりと冷静に両国間で議論していきたいというふうに思っております。

 中国外務省のスポークスマンから、私の言っていることが事実に反するとか、いろいろな声明といいますか意見も出たようでありますが、私が申し上げた中国の核がふえているということが、私は事実に反しているとは全く思っていないわけであります。

赤松(正)委員 先ほど、時間が短いから、この問題は大事なんだけれども、なかなか話が突っ込んでできなかったということを同僚委員の答弁の中でおっしゃっていました。ぜひ、やはり日中、日韓は大事な関係でありますので、いろいろな機会を通じてしっかり突っ込んだ議論をしていただきたいと思います。

 中国をめぐる核の問題、私はかつてよく、私の若いとき、米ソ、要するにソ連の核の脅威をどう見るかということが大変議論になって、ソ連の核の脅威ということをどうするかという話の中で、私どもは、米ソ対決の脅威、ソ連の脅威ではなくて米ソ対決の脅威というものが重要なポイントだということを指摘してまいりました。

 恐らく、近い将来、米中、核の対決の脅威というものを我々が強く言わなければならないときが必ず来る、そういう予感がするわけですけれども、そういう時代を迎えるとば口にあって、ぜひとも岡田外交の成果をしっかりと上げていただきたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 四年間、国会を離れておりまして、その期間、いろいろなことが頭に浮かんできたわけでありますが、いつも脳裏によぎるのは、北方四島あるいは尖閣諸島、竹島、何でこれは日本の領土なのに、こんなに長い時間をかけて、この領土問題、解決の糸口すら見つからないのかなというふうに思っていたんですね。あともう一つは、横田めぐみちゃん、元気なのかな、拉致問題もマスコミでは取り上げられるけれども、何で解決できないのかな。私も拉致議連に入っておりましたものですから、そういうことが日々頭の中をよぎったわけであります。

 特に、国会へ車で朝来るときに、国交省を通って、毎朝目に飛び込んでくるのが「北方の領土 かえる日 平和の日」、響きもよくて、いつもなるほどなと思って、当選以来、私はこれを見て、国会議員としてやはりやっていかなきゃいけないなというような決意を新たにしたところでありますが、四号館の石碑に刻まれているんですね。これは非常に印象的で、まだあるというか、今もあって、あれは調べてみたら、北方領土に関する標語というのがずっと毎年あるんですね。いろいろあるんです。今回、資料を取り寄せてみて、そうだったのかと。あれは昭和四十五年度の標語だということもわかりました。

 そこで、とにかく私は、国会議員の仕事はもういろいろ、経済から金融から社会保障から教育からたくさんありますが、やはり突き詰めるところは、国民の生命と財産を守る、国家を守る、領土を守る、これに尽きるのではないかというふうに確信をしているところなんです。

 そういう観点に立って、まず領土問題について取り上げさせていただきたいと思うんですが、きょうは、北方領土の問題、特に、外務大臣はこの後、予定がありますので、外務大臣中心にお話をして、そして途中に中学校の社会科教科書の台湾表記についてを入れて、そして時間が来るまで、また戻って北方四島、住民支援とビザなし交流、これについての質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 今申し上げましたように、領土というのは、国家を形成する上で最も基本的な要素である、国家存立の基盤ですね。しかし、日本人というのは領土問題に関してはなかなか意識が希薄である、私はそんな気がするんですね。

 例えば、自分のところの敷地とか、日本は国土が狭いし、住宅地でもあるいは私有地でも、もう大変、紛争になるくらい、兄弟げんかでも、肉親でも争いをするくらいの、そういう自分のところの私有地に関しては大変、これは自分の個人の問題で絡むんですから。しかし、領土という意識が非常に日本人は希薄である。この辺のところが、僕は領土問題の原点になるんじゃないかなというふうに思っておるんです。

 例えば、私の知人の大学の教師が大学生に、北方領土はどこを指すんですか、わからない。歯舞、色丹、国後、択捉、漢字は書けない、読めない。私はあるところで、ある層の人たち、レベル以上の社会的に活躍している人たちにこの漢字を書けるかと言ったら、ほとんど大人でも書けないんですね。特に択捉という字が難しいんですよ。てへんを書いて沢のこっち側を書いて、あとはてへんで足ですね。これはなかなか書けないんですね。歯舞とか国後、色丹なんかは結構書けるんですね。驚いたことに、笑っちゃったんですけれども、北方領土をキタカタ領土と読んだ大学生がいる。会津の喜多方ラーメンならおいしくて私も好きですけれども、しかし、これは冗談にならないような、しゃれにならないような話でありまして、それだけやはり領土というものに対しては、小さいときの教育、一番大事だと思うんです。

 鳩山総理は、日ソ国交回復を果たされた鳩山一郎元総理のお孫さんでございまして、当然そのDNAがしっかりと受け継がれていて、ことし二月の北方領土返還要求全国大会でも、総理は、政権交代後、最も果たしたい一番大きな思いが北方領土問題の解決だとおっしゃられておりまして、私も感動しました。心強く思いました。しかし、教育現場において本当に、再三申し上げておりますように、子供のときから領土意識、領土というものの意識を高めていく必要が今一番あるんじゃないかと思うわけであります。

 そこで伺いたいんですが、きょう中川文科副大臣がお越しになっておりますが、現在使用されている小中学校、高等学校の社会科の教科書で北方領土についてきちんと触れられているのか、まず答弁をお願いいたします。

中川副大臣 ちょっと原則的な話からいきますけれども、教科用の図書というのは、民間が創意工夫を生かして著作、編集を行うというものでありまして、学習指導要領に基づいた上で、どのように記述するかというのは当該図書の著作者等の判断にゆだねられている、これが一つの制度論なんですが、その結果、今どのように記述されているかということを、一つ二つ例を挙げてみたいと思います。

 一つは、小学校なんですけれども、東京書籍で、二十一年度供給本の社会科の教科書ですが、五年生です。「北方領土 北海道の北東に続く歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の島々は、もとからの日本の領土ですが、太平洋戦争後、ソビエト連邦が占領し、今は、ソビエト連邦をひきついだロシア連邦が占領しています。日本政府は、これらの島を返すように求めて、交しょうを続けています。」こういう表記であります。

 それから、中学校の教科書ですけれども、これは扶桑社のものですが、公民的分野、平成二十一年度供給本なんですが、これによりますと、「わが国も近隣諸国との間で領土問題を抱えている。国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島の北方領土、日本海上の竹島、東シナ海上の尖閣諸島については、それぞれロシア、韓国、中国がその領有を主張し、一部を支配しているが、これらの領土は歴史的にも国際法上もわが国の固有の領土である。」ということを明記しています。

 例示的にこういうふうに示させていただきましたが、大体こういう形で各教科書は表記をされているということであります。

中津川委員 もう一つ、今度、教える側、先生の方にも、領土問題、北方四島、尖閣、竹島、日本の最西端は与那国なんだと、これもしっかり教員指導もしているでしょうか。これはちょっと質問事項になかったんですが、中川副大臣。

中川副大臣 教科書がこのように書かれているように、指導要領の中で、これは国の意思として明記をしているということでありますので、指導する際にもそのように取り計らうということになってまいります。

中津川委員 副大臣、きょう、せっかくこういう場ですので、教育でしっかり、せめて漢字は六年生までに書けるようにすると、頑張るとお約束してください。

中川副大臣 大事な御指摘だと思いますし、そういう形で国民にこの問題を喚起していくということでもあろうかと思いますので、しっかり受けとめさせていただきます。

中津川委員 それでは、北方領土問題について大臣にお伺いしていきたいと思います。

 まず、鳩山総理は、政権発足後、九月の十七日、ロシア側首脳との信頼関係を早く構築して、できれば半年で国民の期待にこたえたいと、北方領土問題の解決に並々ならぬ取り組み姿勢をアピールしまして、ちょうど今八カ月がたったところなんですね。どうですか、その経過、糸口は見つかりましたか、大臣。

岡田国務大臣 鳩山総理は、北方領土の問題の解決ということに非常に力点を置いておられるというのは委員御指摘のとおりであります。その北方領土の問題の解決のためには両首脳間の信頼関係をきちんと構築しなければならない、そういう考え方で、昨年の九月、十一月、そして本年の四月、三回の日ロ首脳会談を通じ、メドベージェフ大統領との間でこの問題の解決に向けて精力的に取り組んでおられるところであります。特に、四月のワシントンで行われた日ロ首脳会談において、首脳レベルで引き続き集中的に議論していくということで一致したところであります。

 ことしも、鳩山総理とメドベージェフ大統領との首脳会談の機会というのは幾つかございます。首脳間でしっかりと方向づけをしていただくということが非常に重要であるというふうに思っております。

 首脳間での雰囲気というものは、私が首脳会談で同席したのはニューヨークにおける会談でありますが、非常に波長は合うという感じはいたしますので、両首脳間で大きな方向性を見出していただき、そのもとで、外相レベルあるいは事務レベルでさまざまな意見交換を行っていくということだと思っております。

中津川委員 そこで、四月の核セキュリティーサミットの際に日ロ首脳会談で、ことしの六月から十一月にかけて北方領土問題について三回の協議をすることになったと承知していますが、会談で鳩山総理は、四島の帰属が確定した後に生じる課題は実務的にクリアされている、あとは政治レベルで解決する帰属の問題だと。ちょっと持って回った言い方で、どういうことかというと、これは当たり前の問題で、とにかく帰属の問題がすべてだ、帰属が日本のものだと確定すればあとはスムーズに物が運ぶというのは、これはもう子供でもわかることであります。

 そこで、今後、年内に行われる日ロ首脳会談で、四島の帰属に集中して首脳間で政治決着を図るというのが鳩山政権の当面の対ロ政策だと受け取ってよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 帰属が確定した後生じる問題、課題についてもきちんと話し合いを行っておかないと、結局、帰属の問題そのものも進まないということにもなりかねないわけで、ここはこことして、それなりに議論も深めているところでございます。

 しかし、重要なのは、委員も御指摘のように、帰属の問題そのものであります。本年四月の日ロ首脳会談において鳩山総理は、本年は北方領土問題について本格的に議論していきたいというふうに述べられて、メドベージェフ大統領も、領土問題から逃げるつもりはないというふうに応じ、領土問題の解決に向けて首脳レベルで集中的に話し合いを行っていくということで一致したところであります。

 鳩山総理は、首脳レベルの話し合いを通じて北方四島の帰属の問題を最終的に解決して平和条約を締結するという基本方針のもとで、領土問題の前進を図る考えであります。

中津川委員 岡田外務大臣は、三月上旬、みずから北海道を訪問して、北方領土返還運動関係者の皆さんたちと意見交換をしたり、この積年の懸案問題に非常に積極的に動いていらっしゃるということに対しては、心から敬意を表させていただくわけなんです。

 北方領土問題に関しては、首脳間だけではなくて、外相間でもしっかり議論をしていきたいというのが岡田外務大臣の姿勢であると受けとめておるんですが、残念なことに、昨年十二月に続き、ことし三月、日ロ外相会談が行われたんですが、私は、ホームページで公表しているのを拝見しましたら、会談の概要を見ると、解決したいとか議論したいとか、こういうやりとりがリフレインしているんですね、何回も繰り返されている。これは外交事ですから、すべては否定しないんですが、こういうのがあって、この四島の帰属の問題というのが、しっかり話し合っているんだろうかというところを私はぜひお聞きしなければいけないと思ったわけでありますが、いかがですか。

岡田国務大臣 前回お会いしたときは、これはカナダにおけるG8外相会談の合間を縫っての議論ですから、そう時間がたくさんとれたわけではありません。昨年の十二月に私がモスクワに参りましたときには、かなり時間をとって、相当厳しいやりとりになったわけでございます。

 私は、外交交渉というのは正面から議論すべきだ、基本的にそう考えておりますので、時々あちこちで摩擦も起こったりするわけですが、ラブロフ外相もベテランの外務大臣でありますので、そもそも論も含めて、かなり突っ込んだやりとりになったということは申し上げておきたいと思います。

 ただ、それをどこまで表に出せるかというのは、別の問題であります。

中津川委員 大臣、お忙しそうで、参議院に行かなきゃいけないということで、たくさん用意してきたんですが、もう一つ大丈夫だというふうに筆頭からありました。

 二月五日に承認されたロシアの新軍事ドクトリンでは、ロシアに対する他国からの領土要求が脅威の一つに挙げられていると、脅威という言葉を使っているんですね。ということは、これはもう北方四島はロシアのものだという、ロシアから見ると、とられちゃったら怖いよという意味にもとりかねないんですね。

 ロシアの新軍事ドクトリンという、非常に強硬なものに対して、岡田外務大臣、最後の答弁になるかと思いますが、的確に、お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 我が国が北方領土の返還を求めているということが、このドクトリンで言うロシアの領土要求というものに該当しないことは明らかだと思います。

 日ロ間においては、第二次世界大戦後、これまでに国境は画定していない。そうであるからこそ、日ロ間、両首脳が、我々の世代で北方領土問題を最終的に解決すべく、平和条約を進めるということで一致しているわけでございます。

 この点に関しては、メドベージェフ大統領も、昨年十一月に、欧州諸国との間で第二次世界大戦後に画定した国境と区別する形で、日本との国境問題については閉じられていない、すなわち、画定しておらず、別の問題であるということを認めておられるというふうに考えております。

中津川委員 ありがとうございました。

 では、武正副大臣、質問を渡していますので、お答え願いたいんです。

 もう一つ、昨年十二月の日ロ外相会談で、北方領土問題に関し、ラブロフ外務大臣が岡田外務大臣に、国際法及び第二次世界大戦の結果を踏まえる必要があると、ここでも強硬に出てきているんですね。これもやはり、四島はロシアのものだというような意味合いに僕はとったんですね。

 これに対して、今、岡田外務大臣、お出かけになりましたけれども、どういう主張をし、反論し、また日本政府としてはどう考えているか、お尋ねしたいと思います。

武正副大臣 中津川委員にお答えいたします。

 既に、昨年九月、両首脳間で合意をし、両外相間でしっかりと協議をしていこうというようなことで、昨年の十二月の日ロ外相会談、今御指摘のところでございますが、ラブロフ外相の発言は、北方領土問題に関するロシアの原則的な立場を説明したものと認識しております。

 これに対して、岡田外務大臣からは、領土問題に関し双方の原則的な立場に隔たりがあり、今議論をすべきなのは、先ほども触れました四島の帰属の問題であると反論した上で、メドベージェフ大統領、プーチン首相、鳩山総理という顔ぶれがそろっている機会を逃さずに前進を目指すべきであるという旨を述べたところであります。

 首脳レベルでのやりとりを受けまして、大臣のレベル、ラブロフ外相との間でもよく議論をして、この問題を前に進めていきたい、このように考えております。

中津川委員 最後に、この問題について、まとめで要望しておきたいんです。

 六月に、二十五から二十七ですか、G8サミットがカナダでありますね。この際に予定されている日ロ首脳会談ですが、十分に総理に用意をしていただいて、十分な会談時間を確保して、内容が併記じゃなくて、ロシアはこう思う、日本はこう思うではなくて、本当に実りある会談になることを私は心から期待をしておきます。

 それでは、質問を移らせていただきます。中川副大臣、忙しいところ済みませんが、よろしくお願いします。

 中学校の社会科教科書、地図帳の台湾表記について、きょう皆さん方に資料をカラーのでお渡ししていると思うんですが、中学校の社会科で使用している地図帳の中身については、この件については、同僚の笠浩史衆議院議員、これは小泉内閣時代、平成十七年十月三十一日に質問主意書で出しているんですね。この中で、台湾の東側、太平洋側に国境線を引いて、台湾を中国領と表記している。

 これは文科省、御存じですね。ちょっとお願いします。

中川副大臣 はい、認識をしております。

中津川委員 これは歴史をひもときますと、一九七二年、田中総理、大平外相のときでしたか、日中共同声明というのがありまして、我々台湾問題をやっている者には、この第三項というのは有名なわけであります。これには、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」と書いてある。続けて、ここが大事です、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重」する。「理解し、尊重」するとしているんですね。つまり、台湾を中国の領土だと承認しているとは言っていないんですよ。

 これは当時、やはり考えたんだなと。今こうやって、何年かたって議論できる、この見事な表現、見事な日本国の立場。その間の歴史、きょうは中台関係については私は申し上げませんけれども、理解し、尊重して、認めていないんですよ。

 そこで、日本政府、日本がまるで台湾を中国の領土であることを受け入れているかのような対応、印象を与えるんですね、地図を見ると。地図が二つありますね。帝国書院発行の「中学校社会科地図」と、東京書籍発行の「新しい社会科地図」、これは台湾は中国の領土と、だれが見てもこう書いてあります。

 こういうことを、さっき私は、日本の領土意識をしっかりと国民に植えつけるのは、小学校からの教育が大事だと言った。小学校、中学校でこんな地図を見たら、台湾というのは中国のものだと思われるわけであります。

 これは文科副大臣に聞くのが適当かどうかわかりませんが、武正外務副大臣もおりますので、ちょっと一言ずつお答えください。

武正副大臣 中津川委員御指摘のとおり、日中共同声明の第三項、先ほど引用をいただいたわけでありまして、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重しているが、これを承認するとの立場ではないということであります。

 サンフランシスコ平和条約に基づき、台湾に対するすべての権利等を放棄しているので、日中共同声明第三項において中国側が表明しているような台湾の法的地位に関して何らかの認定を行う立場にはないわけでありまして、今御指摘の教科用図書は、台湾に関する以上の我が国の政府の立場とも合致する検定基準に照らし、教科書検定審議会により教科用図書として適切であると判断されたものと承知しておりまして、外務省としてお答えする立場にないということでございます。

中津川委員 今の外務副大臣の発言を踏まえて、文科の副大臣に質問したいんです。

 そういうことだ、承認はしていないということであって、きょう、ちゃんとこの正式な国会の委員会の場で武正副大臣が堂々と発言をされたわけであります。そうなると、これはやはり誤解を与えちゃいますよ、副大臣。これは次から検討してください。

 一緒に検定の基準についてもお答え願いたいと思うんですが、これは検定基準があると思うんです。これは政府の見解があると思うんですが、今、そういう答弁が出ました。そういうことであるならば、これはちょっと文科省の方も、こんな誤解を招くような、地図が中国のものだと思われるようなことをこれから指導する、これからなくすというような前向きな考えを述べてもらいたいんです。

中川副大臣 お答えをしたいと思います。

 文科省が独自の基準をつくってこうした地図を著しているということではありませんで、これは国家として整合性を持たせたような仕組みということになっております。

 文科省としては、外国の国名の表記については、検討基準の中で義務教育諸学校教科用図書検定基準というものをつくっています。この基準の中では、地名、人名それから地図等々の表記については、外国の国名の表記は原則として、外務省編集協力の中の「世界の国一覧表」というものがあるんですけれども、これによって表記をすることというふうに決めております。

 この外務省による「世界の国一覧表」においては、台湾については「その他の主な地域」という分類にされておりまして、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの立場を表明しており、日本国政府は、その立場を十分理解し尊重することを明らかにしている」というふうに解説が付されています。

 御指摘の教科書記述については、教科書発行者においてこの「世界の国一覧表」の記載を踏まえて教科用図書を編集したものだというふうに考えておりまして、そうした意味で、検定基準に照らしていっても、教科書検定審議会の専門的な審議によってこれを適切であると判断されたものというふうに理解をしているということであります。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

中津川委員 武正副大臣、今こうやって質疑をしておりまして、台湾問題、この間も私の質疑に前向きな考えを述べて、良識派の武正さんでありますから、私の意図はよくわかっていると思うんですが、台湾は、今、文科副大臣は、その何とかというのにそういうことがあるから地域だとおっしゃっている。確かに、私が一期、二期のときにも、地域と発言する大臣もいました。でも、国と言う大臣もいたんですよ。これはやはり主権国家であることは間違いないと私は思いますよ。

 だって、民主主義と自由と人権がこれだけ見事になっていて、それで選挙をやっているんですよ。中国は選挙じゃないですからね。選挙で選ばれて、政権交代を日本よりダイナミックにやって、経済力なんかは今、台湾の方がありますよ。

 それで、台湾の人というのは気持ちがすごくいい。韓国とか中国なんかは悪口を言うばかりじゃないですか。だけれども、日本が統治していたとき、台湾大学、東大と同じものをつくってくれた、あるいは上下水道をやってくれた、日本の官僚制度を取り入れてくれた、八田さんのダム、そういうようなものもいまだに感謝しているんですね。だから、今、日本人より日本人的なんですよ。あそこへ行くと僕はすごくふるさとを感じて、ああ、本当に自分は日本人なんだな、すばらしい人たちだなと。一生懸命、小さいけれども、いつ中国からとられるかもしれないと思って危機感を持って生活しているんですよ。

 それで、今の一連の答えでありますが、外国人登録証も、私が最初、一期のときに質問したときは、台湾の人は、国籍が中国で、台湾省になっているんですよ。そんな何かフィクションのような状態だったんですね。それが今、やはりこの登録証も、台湾人と中国人は違うんだというのを、今度ちゃんと台湾になるような流れになっていますよね、法務省で。

 そういうことで、私は、台湾を、文化、経済交流、もちろん教育交流、歴史的なつながりはもちろんですけれども、この外務委員会で取り上げるのは、安全保障上最も大事なところなんですよ。あそこをみんな船が通ってくるんですから、台湾海峡。あそこがもしとられちゃったら、日本に入ってこられないんですよ。もっと台湾を大事にしなきゃだめだと思います。

 台湾は、民進党から国民党にかわって、前は国民党ですよね、一党しかなかった。それを、李登輝さんという立派な方がいて、選挙をやって国民党が選ばれ、それから民進党になって、今、国民党にかわりました。日本の国会でも、台湾のそういうものもしっかりと理解していこうという、もう中国派も台湾派もないんですよ。中国も大事なんだ、台湾も大事だ、そういう考えでやはり外務省、そして文科省もひとつ取り組んでもらいたいなと思うわけであります。

 ですから、日本には正規の国交がないということで、議員外交しかないんですよ。私は、もうしょっちゅう台湾に行って、本当に町の中に入って、あるいは要人と会ったりしてやっているわけでありますが、日本・台湾安保経済研究会というのを私がつくって、今、九十人近くなって、民主党の議連に、大きくなりましたけれども。ですから、今、日本は代表処という形で、大使館がないんですね。でも、我々は大使と呼んで、前の民進党のときは、許世楷さんという大変人格的にも立派な人でありました。現在は、馮寄台さんという、この人もまた明るくて立派な人であります。

 本当に一生懸命、議員外交をやっている、ここのところをぜひきょう両副大臣に御理解いただいて、台湾のあらゆる面での重要性をひとつ御理解していただきたい。そういうところで行政をやっていただきたい。

 私、るる申し上げましたが、一言ずつ御意見を伺って終わりたいというふうに思います。

武正副大臣 中津川委員にお答えいたします。

 台湾とのそうした議員交流にかける中津川委員の思い、またそれを実際に行動に移されていること、今御披瀝をいただいたわけであります。

 先ほど、我が国政府の立場についてはもう申し述べたとおりであります。そうした中、今、安全保障上のいろいろな大事な視点ということで台湾海峡についても述べられたわけでありますが、委員のさまざまな強い思いというものも、しっかりとまた承らせていただいたところでございます。

中川副大臣 難しい外交バランスの中で今の政府のスタンスがあるわけですが、文科省として公式にお答えをするとすれば、先ほどのような答えになります。

 しかし、個人的には、心情的に中津川委員と軌を一にするところは大いにありまして、台湾を大事にしていくということについても、しっかり、私たちとしてもこれから先も持ち続けていく心情だというふうに思っております。これは個人的な見解として表明をさせていただきます。

中津川委員 両副大臣、ありがとうございました。特に中川副大臣には、きょうは忙しいという中で最後までおつき合いいただいて、ありがとうございます。

 あと、私、北方四島住民支援とビザなし交流も勉強してきて用意したんですが、これは質問主意書でさせていただきたいと思います。竹島問題も、もうきょうはこれはできないと思ったんですが、これも質問主意書でやらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小宮山(泰)委員長代理 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 まず最初に、昨日、岡田外務大臣も出席をして、戦時中の朝鮮人強制動員犠牲者の遺骨返還の記念式典が都内の祐天寺というところで行われたと聞いております。

 岡田大臣も出席をされて、戦時中のこういった遺骨の返還に対して、痛切な反省と心からのおわびということでごあいさつをされたと聞いておりまして、こういう一つ一つの戦後処理の問題をやはり丁寧にやっていくことが東アジアの平和醸成に非常に寄与するものだというふうに考えておりまして、そういう点での外務省の努力には感謝を申し上げたいというふうに思います。

 ただ、今回、二百十九柱の遺骨が返還をされたということですけれども、そのうち百九十五が遺族の判明していない遺骨ということで、当然、論理上は北の出身の方の遺骨もまざっているというようにも考えられるわけですけれども、こういった遺骨の返還について、日韓でどのような協議がされた結果、こういう経過になったのか。

 それから、まだ多くの遺骨が祐天寺の方には保存をされておるということなんですが、その中には四百二十五柱の北の出身者の遺骨もそのまま保存をされておるということなんです。戦後六十五年以上もたって、北とは当然国交がないという中で、遺骨の返還事業も進んでいないんだろうというふうに推測はするわけですが、やはり、人道的な見地から、いつまでもずっとこのままにしておいていいのかという率直な疑問も感じるわけで、そういう点について、外務省の考え方をちょっとお聞きしておきたいというように思います。

武正副大臣 服部委員にお答えいたします。

 祐天寺の方には昭和四十六年に遺骨を預託するということになったわけであります。

 韓国出身者の御遺骨については、御遺族が判明した御遺骨のみ韓国側に返還してきたわけですが、このたび、韓国政府から無縁遺骨について一括返還の要請があったことを受けまして、日韓両国政府間で、返還の時期、対象等について協議を行った結果、今委員御指摘のように、御遺族の判明している二十四柱を含め、二百十九柱について、五月十八日、昨日、祐天寺で追悼式を行った上で、韓国側に返還することになりました。外務大臣も出席をし、先ほどのとおり述べたわけでございます。

 また、無縁の御遺骨については、日本国内においても官報での公告を行いまして御遺族を探しましたが、判明しなかったということでございます。

 両国政府では、祐天寺に保管されている御遺骨のうち、遺骨名簿に記載されている本籍地が韓国側にある者についてのみ協議してきておりまして、今般返還することとなった無縁遺骨についても、韓国政府に対して韓国出身者のものであるとの確認を得ておりまして、北朝鮮籍の御遺骨が含まれているとは考えておりません。

 現在、祐天寺に預託されている御遺骨のうち北朝鮮出身者のものは四百二十五柱と承知をしておりますが、これらの取り扱いについては、日朝国交正常化の交渉の中で包括的に取り扱っていく事案であると考えております。

服部委員 戦後処理の問題というのは非常に重要な問題だというふうに思っておりますので、今後とも引き続き努力をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、普天間基地問題を質問させていただきたいんですが、きょうは長島政務官にもお見えいただいております。どうも御苦労さまです。

 実は、くい打ち方式の問題についていろいろお尋ねをしたいなと思って張り切って来たんですけれども、きょうの朝の読売新聞を見まして、もうくい打ちがない、埋め立てだというような報道も見まして、ちょっと、やる気がそがれたわけじゃないんですけれども。ただ、よく舞い戻ってきますので、やはり、このくい打ち問題も、この際、質疑、議論をさせていただきたいというふうに思うわけです。

 今どういう議論をしているかとお聞きしますと、協議中でなかなか言えないというようなことを政府がよくおっしゃいます。くい打ち方式というのは、幾つかのパターンで、リーフの中とか外とか、過去いろいろ協議をされてきた経過もございます。そういう意味で、このくい打ち方式を過去どういう経過で断念したのか、技術上の問題、環境上の問題、その点をまず防衛省の方にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

長島大臣政務官 服部委員にお答え申し上げたいと思います。

 今委員御指摘いただいたように、過去、平成十一年、十二年。九七年、八年、九年、こういう時期でありますが、SACOの最終報告に基づいて、平成十二年の八月に代替施設協議会というものが設置をされて、普天間の代替施設について、その位置、規模及び施設の建設の工法について、かなり詳細な検討が加えられた経過がございます。

 その中で、今委員が御指摘になりましたくい式桟橋方式、それからポンツーンと言われている、箱型の構造物を浮かす方式、あるいは現行案が採用している埋め立て方式、この三つなどについて検討を行った経過がございます。

 当時、防衛庁を中心に、技術的、専門的な見地を有する関係省庁等の協力を得て検討した結果、ポンツーン工法につきましては、構造物を浮かせるという工法の特性上、当時はリーフの上につくろうということになっておりましたが、リーフの上の場所では適応性が認められないということで、これは採用されなかった。そして、くい式桟橋工法及び埋立工法につきましては、施設の構造、あるいは維持管理、あるいは施設の安全対策、こういった技術的見地から評価を加えられ、最終的に埋立工法を採用することになったというふうに承知をしております。

服部委員 今質問させていただいたのは、特に技術的な面あるいは環境的な面からくい打ち方式を断念した、当時の事情について、もうちょっと御説明をいただきたいと思うんですが。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 埋め立て方式というのは、完全にその海域を埋め立ててしまうわけですので、例えば海流、あるいは場所によってはサンゴ、そういうものを完全に覆ってしまう、こういう問題がございました。それに対して、くい式桟橋方式というのは、くいを打つだけですので、水の流れ、海の流れを変えるものではない、こういうことでありますが、それの結果、海を日照から遮断してしまう、こういうことも議論になりました。

 それから、今のは環境に対する負荷についてでありますが、加えて、工期、どのくらいかかるかということでは、これは当時の代替施設の工法に係る検討結果の概要でありますが、それに基づけば、埋立工法は約九・五年かかる、それに比べてくい式桟橋方式は約七年で済む、こういう利点はあったわけです。しかし、建設費、コストは、埋め立てが三千三百億に対して、くい式桟橋方式は六千七百億、約倍。しかも、維持管理費が年間、埋め立ての場合は〇・八億円、八千万円で済むところ、三・一億円かかる、こういったことも勘案をいたしました。それから、施設の安全対策でも、埋め立ての方は、損傷された場合にはすぐに補修が可能でありますけれども、くい式桟橋方式の場合は、復旧に相当な技術力と時間を要するのではないか。

 こういうことで、環境ももちろんでありますけれども、安全対策、コスト、工期、総合的に判断をして、あるいは、埋め立ての方がはるかに工事としては簡単でありますから、地元の皆さんの御参加もいただけるというようなことも含めて勘案をした結果、最終的には埋め立て方式に落ちついた、こういうことでございます。

服部委員 私も、当時の移設協議会の参考資料等、いろいろ読ませていただきました。環境の負荷も大きいし、あるいは工法上も、非常に波浪の影響を受けやすいということで、実績もないという記述もございまして、なかなか問題のある工法だなということがわかるわけです。

 今回、日米協議が今進められているわけですけれども、実務者協議、課長級、審議官級というふうに言われていますが、アメリカ側がくい打ち方式に対して難色を示しているという報道等があるわけですけれども、その中身についてちょっと教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

長島大臣政務官 これは、検討委員会の委員でもございます服部先生に申し上げるのはまことに恐縮なんですけれども、今、日米協議、真っ最中でございます、あと二週間、こういう日程の中で最後の努力をしているということでございまして、私が今ここで日米間のやりとりの詳細について申し上げる立場にないので、そこは御勘弁いただきたいというふうに思います。

服部委員 残念ながら、我々も新聞等でしかなかなか情報を仕入れることができませんので、可能な限りやはり教えていただきたいなというふうに思うわけです。

 アメリカ側は何かテロ対策上どうだとかこうだとかいろいろおっしゃっているわけですが、もう一つは、環境影響評価に関しまして、現行案の環境影響評価の枠の中でやるようにというようなアメリカ側からの要請が出ているんでしょうか。

長島大臣政務官 先生、これも中身の詳細に入ってしまいますので、私から申し上げるわけにいきません。

 ただ、工期ということを考えたら、もう一回アセスメントをやり直すということは結局もう少し時間がかかるということでございますので、その点のことはやはり我々もしっかり頭に入れてアメリカと話し合いをしなきゃいけないな、こういうことでございます。

服部委員 では、答えやすい質問でいきたいと思うんですけれども、例えば、今、くい打ち方式と埋め立てと全然方案が違うわけなので、当然、環境アセスは一からやり直すべきだというふうに単純に思ってしまうんですけれども、一部の報道では、環境アセスを、現行案の枠の中でも可能なんだというような、そういう報道も流れています。

 それで、一体全体、もしくい打ち方式となったときに、環境影響評価をする必要があるのかないのかという判断、これはだれがどういうタイミングでするというふうに理解しておけばいいんでしょうか。

長島大臣政務官 環境影響評価は、国の法律、すなわち環境影響評価法、及び沖縄県の条例、沖縄県環境影響評価条例、この二つの法令に基づいて手続を進めてまいりました。今後もそういうことになると思います。

 このうち、国の法律であります環境影響評価法につきましては、対象となる飛行場の滑走路の長さについての規定はありますけれども、それ以外はないんですね。ですから、長さが決まらないと、この法律が適用されるかどうかわからないということです。それから、沖縄県の条例については、対象となる飛行場の規模にかかわらずすべて、飛行場とすれば環境影響評価の対象となるというふうに規定されております。

 しかし、ここからなんですけれども、現在検討中ということで、現時点で、どういう飛行場の長さ、あるいはその工法を含めて、やるかということは決まっておりませんので、環境影響評価のやり直しの必要性の有無も含めて、今、具体的な内容について先生にお答え申し上げることはできません。お許しをいただきたいと思います。

 いずれにしても、今後、事業を進めるに当たっては、具体的な事業計画が決まって、それに基づいて、法令に従って適切に進めてまいりたい、こう思っております。

服部委員 私どもは、このくい打ち方式も、技術的な面あるいは環境面からも極めて難しいというふうに判断をしておりますし、これを実施するということになれば、当然、環境影響評価も一から必要だ、そういうふうに考えておるわけです。かつ、当然、それは埋め立て案に戻せばいいという意思ではもちろんありません。

 我々は、もうここまで来たら、いかなる形であれ、これは海であれ陸であれ、あるいは埋め立てであれ、くい打ち方式であれ、沖縄の地元が受け入れるとは、もうどう考えても考えられないんですね。ですから、こういう形でまさかまたこの辺野古の埋め立て案をこの場で議論せざるを得なくなるような、そういう情勢になるとは私たちは思ってもみなかったんですけれども、極めて残念であります。再三申し上げているわけですけれども、そういう誤った選択を新政権がしないように、心よりお願いを申し上げておきたいというふうに思うわけです。

 実は、去る五月の十三日に、北マリアナの知事さんが日本にお見えになりました。そして、グアムの知事も一緒に鳩山首相に面談をしたいということで、官邸の方に与党の議員団の中から申し入れをして、結果的には、首相との面談は実現しませんでして、官邸の方からは、外務省で対応してくれというようなことだったというふうに聞いておるんですが、それはそういうことなんでしょうか、武正副大臣。

武正副大臣 北マリアナ諸島米国自治連邦区知事とグアム知事、委員ともグアムに委員会で行ったときにもお目にかかった両知事でありますけれども、訪日の予定があったことは承知しておりますが、官邸における対応の詳細について承知しておりませんで、コメントは差し控えたいと思います。

 ただ、諸外国の政府関係者等に対する対応は、基本的に外交をつかさどる外務省が行うものでありまして、今回の訪日については、結果として実現しなかったものと承知しております。

服部委員 五月の十日に、海兵隊あるいは普天間基地受け入れを前提にした両知事の親書が鳩山首相あてに出されております。四月の十六日、三十日には、北マリアナの上下院議会で普天間基地受け入れの決議が上がっている。そういう中で、両知事が鳩山首相にぜひ会いたい、そういう希望を持って来られていたわけで、そういう機会が実現しなかったということは非常に残念なんですけれども。

 私は、基本的に、沖縄はもとより国内で普天間基地を簡単に受け入れるところはなかなかないんじゃないかというふうに思っているんですね。そういう意味で、この北マリアナがすぐ実現するかどうかは別として、やはりこの外交チャンネルというものをきちっと外務省として持っていただきたいというふうに思うわけで、今後とも、こういう北マリアナの知事さんあるいは議会関係者が訪日をして会いたいという場合には、外務省としてきちんと対応をしていただきたいというふうに思います。

 その決意のほどを外務省の方にお聞きをしておきたいというふうに思います。

武正副大臣 委員からの今の御提起でありますが、その時点、個別具体の状況に応じて、適切に判断をさせていただきたいと思います。

服部委員 時間来ましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

小宮山(泰)委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先ほどもありましたが、現在ニューヨークの国連本部で開催中のNPT運用検討会議、再検討会議について質問をいたします。

 去る五月三日から開催されている今回の会議を機会に、我が党は志位委員長を団長とする訪米団を派遣しまして、私も参加してまいりました。党首としての初の訪米でしたが、一つは、核兵器のない世界を願う被爆国民の思いを国際社会に訴えるとともに、もう一つは、基地のない沖縄、対等、平等、友好の日米関係を願う沖縄県民、日本国民の声を米国政府に伝える、この二つの仕事を行ってまいりました。

 私自身は五年前のNPTの再検討会議にも参加しましたが、あのときとは大きく世界が変化していることを痛感いたしました。NPT再検討会議の主宰者、国連関係者そして各国代表団とも会談をしまして、開会総会での演説や一般討論も直接聞いて、ニューヨーク市内での一万人のパレードにも参加してまいりました。核兵器のない世界を築くという意思、その歴史的チャンスを必ず生かしたいという思いは国際社会の圧倒的多数になっていて、核兵器廃絶のための国際交渉開始の要求が国際社会の大勢になっているというのが実感でありました。

 一連の会談で、党として二項目を要請いたしました。一つは、二〇〇〇年のNPT再検討会議で合意された自国の核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束を再確認する、もう一つは、核兵器廃絶のための国際交渉を開始する合意をつくるということでありますが、この点で多くの共通認識を見出すことができた。そういう新しい状況にあるというのが本当に痛感したことであります。

 そこで、まず岡田大臣に伺いますが、今回の再検討会議、運用検討会議の会期は五月二十八日までということになっております。開会総会、一般討論を経て、現在三つの委員会が行われておりますけれども、いわば会議全体の折り返し点を過ぎた現時点で、今回の会議をどういうふうに評価されて、どんな見通しを持っておられるか、伺いたいと思います。

岡田国務大臣 委員も、そして志位委員長も会議に参加をしていただき、そして大いなる刺激を与えていただいたということに対して感謝申し上げたいと思います。

 委員も御指摘のように、今回のこの運用検討会議は、前回とはかなり違う雰囲気の中で行われているというふうに思います。前回の失敗を繰り返してはいけない、そういった気持ちが非常に強くあるということと、それから、私は、やはりオバマ政権が誕生して、プラハ演説を行い、核廃絶、核のない世界に向けて努力をしていこう、そういった流れが世界の中で大きくできてきたということが今回のこの会議の前回と違うところだというふうに思っております。

 委員御指摘のように、折り返し点ということで、これから文書について、具体的なやりとりといいますか交渉といいますか、そういうものが進んでまいります。何とか文書を最終的にまとめたいというふうに思いますが、必ずしも、物事はそう簡単ではございません。特に全会一致ということになりますと、さまざまな利害も錯綜しておりますし、特にイランの問題については、一方で制裁の議論が安保理で実質的に行われているということでありますので、非常に大きな困難を抱えております。そういう中で、日本も主導権を発揮して、最終的な文書合意ということに至るようにしっかり努力をしたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕

笠井委員 まさに今大臣言われたように、さまざまな懸案、論点があるのはもちろんでありますが、それを乗り越えて、私の実感ではありますが、オバマ大統領の昨年のプラハ演説、そして核兵器ない世界へ歴史的チャンスを生かして前進させようという思いがみなぎってきている国際社会の状況があり、まさに五年前の失敗を繰り返させちゃいけないというのはコンセンサスだと言っていいと思います。

 そういう中で、大臣、主導権を発揮して日本も合意、最終的な文書がまとまるようにというふうに言われたわけですが、その点で伺いたいんですが、五月十四日の日に、主要な三つの委員会の議長がそれぞれまとめた最終文書の素案が加盟国に配付をされました。

 そのうち、第一委員会の報告草案ということで、私もここに英文を持っておりますけれども、二〇〇〇年の再検討会議で行われた核保有国による核兵器廃絶の明確な約束の再確認とともに、すべての国、特にすべての核保有国が核軍備削減・廃絶の最終段階に到達し、核兵器のない世界を維持するために必要な法的枠組みを確立することを提案して、具体策として主に次の二つの行動を提起しているというのが特徴だと私は思いました。

 一つは、行動の六というところで、核保有国は、核軍備削減・廃絶における具体的な進展を促進するため、二〇一一年までに協議を開始するものとする、こういう項目。そして、二つ目には、行動七というところでありますが、具体的な時間枠内での核兵器の完全廃絶のためのロードマップについて、行程表について合意する方法と手段を検討するために、二〇一四年に国際会議を招集するというものであります。

 大臣、この核兵器廃絶、完全廃絶のためのロードマップを検討するために国際交渉を開始するという提起は、これは過去の再検討会議においてはなかった、画期的なものだと思います。被爆国の日本政府として、まとめるために主導権と言われたわけですが、まさに、当然この方向については支持すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず、委員、今御指摘の文書は一応非公表ということになっておりますので、そのことを明確に前提にした議論というのは少し控えたいというふうに思います。

 そして、日本としては、日豪共同提案による核軍縮・不拡散に関する実践的措置のための新しいパッケージ、そして、軍縮・不拡散教育に関する我が国作業文書、そういったものを提出しておりますが、そういったところの重要なポイントについては、委員御指摘の議長案に盛り込まれている、そういうふうに判断をしているところでございます。

 さて、委員御指摘の点は、非公表ということですから余り明示的には申し上げられないんですけれども、非常に注目すべき点であるというふうに思います。特に、核廃絶に向けた具体的な行程表というものが示されて、そのための国際会議というものも含むものであるとすれば、それは具体的には今までになかった提案だというふうに思います。

 ただ一方で、核保有国という存在があるわけで、核保有国がそういった提案に対してどういうふうに反応するかということは、まだ必ずしも明確ではございません。

 私も、一連のこの核廃絶に向かっての議論というものを各国外相と今まで機会を見て行ってきたところでありますが、私自身は、一挙に核廃絶ということにならなくても、核の役割を減ずる、そして核の数を減らす、そのことを具体的に実現していくべきだということで議論をするわけですが、五つの大きな核保有国、常任理事国でありますが、それぞれの外相と意見交換をした感じからいいますと、やはり、この核の問題というのは、それぞれの国の根幹にかかわる、安全保障の根幹にかかわることであり、場合によっては国の威信ということにもかかわってくる話で、非常に難しい面を含んでいることは間違いございません。ややもすれば感情的なやりとりにもなってしまう。フランスのクシュネル外相と議論したときにもかなり厳しいやりとりになりましたし、先般の、中国のヨウケツチ外相ともかなり激しいやりとりになって、結果として、中国のスポークスマンから私に対して、私が事実でないことを言ったとか、そういう批判が発表されるという異例の展開になっているわけですから。

 ですから、そういった、核保有国がある程度納得し得るものでなければならないという難しい面もあって、方向性について私はその方向性が間違っていると言うつもりはもちろんございませんが、実際にその文言をここに残していくために、では何を妥協しなければいけないのかということも絡んでまいりますので、そう簡単に日本は賛成しますと言い切ってしまうことはできにくい、そういう状況だと判断しております。

笠井委員 簡単に賛成だと言い切ってしまうにはということで、判断できないというふうにおっしゃったんですが、核兵器国のどういう反応があるかと。しかし、今大臣言われた、これはつまり、この一連の提起の中で、核兵器廃絶のための行程表を検討する国際交渉という点について言うと、注目すべき点だ、今までなかったとおっしゃっているわけですね。

 そうすると、これまでなかなか進まなかった点を打開しようという点からいうと、やはり被爆国の果たす役割というのは大きいと思うんですよ。むしろ、核保有国が納得するかどうかということもあるわけですが、しかし、説得するという面も当然あるわけでありまして、被爆国としては、まさにこういう方向が大事だ、そして注目すべきだ、そして、今までなかったことだから、こういう点も大いに注目して、そういう点について議論しようじゃないか、我々としてはこれは大いに結構だと思う、支持するということで、強力なメッセージを出していく、これが今本当に必要なんじゃないか。

 つまり、みんなの思いが、五年前の失敗を繰り返しちゃいけないと大臣も言われました。まさにそういう点では、みんな思っている中で、どうやってまとめようかというところですから、能動的に、むしろ積極的に、被爆国の外務大臣として、まさにいいことで注目される、ここに着目して、大いにそれをみんなでやっていこうじゃないかというイニシアチブ、主導権こそ必要じゃないかと思うんですが。むしろ、そういう立場に立って核保有国に対しても接していく、そういう立場でこれは大いに支持しようというふうにならないんですか。

岡田国務大臣 この会議は大きな会議でありますので、それぞれいろいろな思惑を持って議論をされるということであります。イランの問題もあります、北朝鮮の問題もあります、そして中東におけるイスラエルの問題というのもあります。さまざまな問題があって、そういったことを念頭に置きながら、ここを譲ってここをとるとか、そういう非常に複雑な交渉になるわけで、方向性としては、私、その方向性について否定するつもりはありませんし、むしろ、核ない世界に向かって、タイミングをどのぐらいのタイミングでやっていくかという問題はありますけれども、具体的に一歩一歩、とるべきことをしっかりやっていく、そういう基本的なフレームワークについて、私はもちろん賛成でありますが、今回のこの提案についてどう日本は振る舞うべきかというのは、全体をまとめるためにどうしたらいいかということを最重点に考えていきたいというふうに思っているところです。

笠井委員 この提起というのは、私もこれを見ましたけれども、一遍に核なき世界をつくるという提起じゃなくて、つまり、核兵器廃絶のためのロードマップを検討するために国際交渉を始めようじゃないか、そういう期限をいつと、国際会議、二〇一四年ということを言っているわけでありまして。我が党としても、志位委員長は、NPTのカバクチュラン議長、直接会談もしましたが、五月十六日に書簡も改めて送りまして、この提起を心から歓迎するとともに、これが実行に移されれば核兵器のない世界に向けて大きな前進が図られるものと確信するということで、ぜひこの方向で最終合意をつくってほしいと要請したところでありまして、やはり日本政府がその方向を被爆国として支持するという強いメッセージを出すことが今こそ大事じゃないかと思うんですね。

 この報告草案というのは、私たちが要請、会談したNPTの会議のカバクチュラン議長や、それから第一委員会のシディヤウシク委員長、国連のドゥアルテ軍縮担当上級代表、それから各国代表団も共通して協調していく立場を反映したものだと私は受けとめております。

 このカバクチュランNPT再検討会議議長は、五月二日の日に、実際に、日本からの六百九十万の核兵器のない世界をという署名を国連本部前で直接受け取って、翌三日の再検討会議の開会に当たっての演説の冒頭でこう言いました。昨日、私は市民社会が集めた署名を受け取った、私たちはこの熱意にこたえなければならないということで、日本から要請に参加したNGOの方々にも大きな感動を与えました。

 今回の報告草案にある、核兵器の完全廃絶のためのロードマップを検討するために国際交渉を開始するという提起は、これはまさに国際的な大きな声でもあると同時に、広島、長崎の被爆者を初めとして、被爆国日本の反核平和運動が求めていることそのものだと思うんです。

 この第一委員会の草案の方向に実際になっていけば、画期的で歴史的なNPT再検討会議となる、まさにそういう点では大臣もそういう思いだと思うんですが、せっかくそういう提起があるわけですから、やはり被爆国政府が内外の期待にこたえてふさわしい役割を果たすためにも、大臣、先ほども言われまして、例えば、これは大いに注目できる、これまでになかったことだというメッセージだって発することはできると思うんです。

 やはり、一歩でも進めるという点でいうと、そうした被爆国としての政府の役割というのがまとめ上げていく上でどうしても必要だし、大臣は、大臣クラスで集まって何らかの合意ができる場面があれば、後半にも出席することはやぶさかでない、ちゅうちょしないということも会議の前段でも言われましたし、参議院の委員会でも言われておりましたが、まさにそういうタイミングでそういうことを行動するというのが必要じゃないかと思うんですが、改めて伺ってみたいと思います。いかがですか。

岡田国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の会議の最も重要なことは、きちんと文書がまとまること、文書がまとまらないという事態を避けることであります。そのことを前提にした上で、どれだけの内容をそこに盛り込めるか。不拡散の問題もありますし、軍縮の問題もありますし、そして平和利用の問題もある。この三つがあるわけですから、そういった全体に目配りしながら考えていかなければいけない問題ですので、一つの問題だけで決めるということは非常に難しいと思います。

 とはいえ、この会議も、始まって中盤ということであります。今までの状況をもう一回振り返って、これからの最終的なゴールに向けて、日本が具体的にそれぞれの項目についてどういう役割を果たすべきかということを省の中で一度、現場からの報告も受けながら、少し論点を整理しなければいけない、そういう段階に来ているというふうに思っております。委員の御指摘も念頭に置きながら、全体でどういうふうに振る舞うべきかということを考えていきたいと思います。

笠井委員 せっかくのチャンスで、今までにない注目される画期的な事態があるとすれば、それを物にできないということになると、日本政府、役割を果たせなければ情けないということになると思うんですね。

 大臣は、それに向けてステップ・バイ・ステップということもかなり言われてきて、一歩一歩ということも言われるわけですが、もちろん、米ロ間の新START締結とか、CTBTの批准、発効とか、カットオフ条約とか、あるいは核兵器の先制不使用とか、非核保有国への核兵器使用、威嚇の禁止とか、あるいは世界の非核地帯条約など、核軍縮の個々の部分的措置を前進させることが重要であることは言うまでもないと思うんです。

 しかし、同時に、長い外交の歴史、核軍縮の交渉の歴史の中で、そうした部分的措置の積み重ねだけではやはり核兵器のない世界に到達できていない。長い歴史の中でそういうことがあるわけで、また、部分的措置そのものについてもなかなか実を結ばないようなものが多いわけですね。なぜそういう形のアプローチでは実際にうまくいかないというふうに大臣は思われているでしょうか。

岡田国務大臣 それは先ほども言いましたように、核を持っている国々から見ると、それは国の安全保障の根幹にかかわることである、そして場合によっては、それは国威発揚といいますか、国の威厳にもかかわる問題だということで、例えば米ロのように自分たちで話し合って減らす、あるいはフランスやイギリスのようにみずからの国の判断として減らすということについては、今までもそれは実現してきておりますが、何かたがをはめられて、そのもとで強制的に何か減らせとか、そういったことを言われる、それは国の安全保障について外から制約がかかるということで、そういったことに対する抵抗感というのは、これは中国も含めて核保有国が持っている。彼らと対立するだけでいいのならいいですが、それでは文書もでき上がりません。したがって、そこはどうやって妥協案をつくり上げていくか、こういう問題であるというふうに思っております。

笠井委員 対立するということじゃなくて、だから妥協ということでもなく、むしろ、いかに核兵器を持っている国に対してきちっと、やはり核兵器ない世界に向かって役割を果たして、自分たちもなくしていくということでやるのかどうか、説得の問題が大きいと思うんです。同時に、部分的措置だけでは、核を持っている国と持っていない国の不公平というのがどうしてもあります。そして、その差別性は本質的になくならないし、また、核拡散がとまらないのも、核保有国が核兵器でおどかせば、おどかされる国は同じ論理で持とうとするということになってくる。

 まさにそういう点では、核兵器のない世界を実現していくためには、やはりその目標自体を主題にして、それに至るプロセスを検討し合うことから始めないと打開の道はないということが、この間の外交交渉の歴史の中で明らかになっている。そうでなければ、いつまでたっても部分的措置もなかなか実らないし、そして核兵器廃絶、核兵器ない世界ということについてもいつまでたっても到達できないということが証明されていると思うんです。

 時間も来ましたから終わりますが、まさにその点で、私は、今回の最終報告の草案について、日本の政府がやはりきちっと、検討されると言われましたが、政府部内でも検討されて、まさに被爆国にふさわしいイニシアチブを今こそ発揮すべきだ、このことを重ねて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

岡田国務大臣 心はそう方向性が違うわけではございません。しかし、現実に、しっかりとした文書をつくり上げるためにはどうしたらいいか、そういう観点で、しかし、きょうの委員の御指摘も十分念頭に置いて議論を進めてまいりたいと思います。

笠井委員 終わります。

    〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、本日付託になりました社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岡田克也君。

    ―――――――――――――

 社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

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岡田国務大臣 ただいま議題となりました社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年三月に、アイルランド政府との間でこの協定の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、同年十月二十九日にダブリンにおいて、我が方在アイルランド大使と先方社会・家族大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、我が国とアイルランドとの間で年金制度に関する法令の適用について調整を行うこと及び両国の年金制度の加入期間を通算することによって年金の受給権を確立すること等を定めるものであります。

 この協定の締結により、年金制度への二重加入等の問題の解決等を通じ、両国間の人的交流が円滑化し、ひいては経済交流を含む両国間の関係が一層緊密となることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十一年五月に、マカオとの間でこの協定の交渉を開始しました。鋭意交渉を行った結果、本年二月十日にマカオにおいて、我が方在香港総領事と先方マカオ特別行政区運輸公共事業庁長官との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、我が国とマカオとの間で、定期航空路線の開設及び定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものであります。

 この協定の締結により、我が国とマカオとの間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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