衆議院

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第7号 平成23年4月20日(水曜日)

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平成二十三年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 西村智奈美君

   理事 山口  壯君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      磯谷香代子君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君    菊田真紀子君

      京野 公子君    阪口 直人君

      中野  譲君    中屋 大介君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    伴野  豊君

      村上 史好君    山尾志桜里君

      山岡 達丸君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河井 克行君

      河野 太郎君    高村 正彦君

      松野 博一君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   外務副大臣        伴野  豊君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  高宅  茂君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伊藤 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          厚木  進君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   中村幸一郎君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長代理)          久木田 豊君

   参考人

   (原子力安全委員会委員) 代谷 誠治君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  浅野 貴博君     山岡 達丸君

  大泉ひろこ君     中屋 大介君

  道休誠一郎君     磯谷香代子君

  中津川博郷君     若泉 征三君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     村上 史好君

  中屋 大介君     大泉ひろこ君

  山岡 達丸君     浅野 貴博君

  若泉 征三君     中津川博郷君

同日

 辞任         補欠選任

  村上 史好君     京野 公子君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     道休誠一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百七十六回国会条約第五号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理久木田豊君、同委員会委員代谷誠治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として警察庁交通局長石井隆之君、法務省入国管理局長高宅茂君、文部科学省大臣官房審議官伊藤洋一君、経済産業省貿易経済協力局長厚木進君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官中村幸一郎君、気象庁長官羽鳥光彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。

河野委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。

 三月十一日、地震、津波の後、福島の第一原発で事故がございました。この事故の後、海外のメディアから毎日のようにたくさんの取材を受けております。いろいろと日本の風評被害を防ごうと思って努力をしておりますが、最近、だんだんと海外に向けて説明するのが難しい事象がたくさん起きていて、正直困っております。きょうはぜひ、この場で、与野党力を合わせて、どう海外に向けて説明をしたら日本の現状を海外のメディアにわかってもらえるのか、少しそういう作業をやらなきゃいかぬというふうに思っております。

 まず最初に、きょうは総務省の副大臣もおいででございますので、四月六日に総務省が出されました「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請」という文書、これについて、海外のメディアから、数日おくれてでございますが、これは一体どういうことだ、ジャスミン革命のときにエジプトのムバラク政権がグーグルを初めとする民間の事業者に対して同じようなことをやったそうでございますが、なぜ民主国家の日本でこういうことが行われるのか、そういう質問が来て、大変困っております。

 その海外のメディアから、この流言飛語というのが日本語でそのまま、リューゲンヒゴと質問をされる事態にまでなっておりますけれども、まず、外務大臣、この流言飛語という言葉を英語で海外に向けてどういうふうに外務省は説明されますか。

松本(剛)国務大臣 委員ほど堪能ではないので、今とっさに私自身が流言飛語の英訳を思いつきませんが、こういったことに関する問い合わせがあった際にどのような英語を使ったかは、改めて確認をして御答弁させていただきたいと思います。

河野委員 それでは、総務省の副大臣、この流言飛語というのを英語でどのように想定されておりますか。

平岡副大臣 御答弁申し上げます。

 総務省としては、正直言って、海外でこの問題がどういうふうに取り上げられるかということについて、しっかりとした検討をしたということはなかったように記憶をしております。そういう意味で、英語でどういうふうに表現し、説明するのかということについても、大変申しわけありませんけれども、私は今持ち合わせておりませんので、その点については、外務省とも検討させていただいた上で、また御答弁させていただきたいというふうに思います。

河野委員 ジャスミン革命でインターネットが非常に大きな役割を果たしたというのは、もうこれは世界じゅうの皆さんが御存じでございます。世界じゅうのメディアもそれを知っている、そういう報道もされております。

 福島のこの第一原発の事故の後、日本政府が本当に情報を世界に適切に出しているのか。実は、汚染水を出すときに外国への通報をしなかった、あるいは、基準値を超えているにもかかわらず低レベルとか低濃度という言葉を使ったとか、いろいろなところで日本政府に対する不信というのがあるんですね。日本語なら不安院と言うんでしょうけれども、あの保安院と必ず今言われて、形容詞がついています。

 そういう状況の中で、日本政府の対応がどうなんだということをみんなが注視しているときに、ムバラク政権のやったのと同じような、インターネットの事業者に対して流言飛語を適切に取り締まれみたいなことが出れば、インターネットというのは海外とつながっていますから、海外から、これは一体どういう事象だという説明が来るのは当たり前のことでございまして、ぜひ、総務省におかれては、少しそういうところにセンシティブになっていただきたいと思うんです。

 今、私のアイフォンの中にもその文章が出てきておりますけれども、「地震等に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布しており、被災地等における混乱を助長することが懸念されます。」こう書いてあるんですが、流言飛語というのは、どういうふうに総務省は定義されるんでしょうか。

平岡副大臣 流言飛語について、総務省として定義をしているということはございませんけれども、若干説明をさせていただきたいのは、流言飛語を取り締まれというふうに短く表現されましたけれども、総務省で要請をさせていただいたのは、流言飛語ということを背景として言葉は使っていますけれども、あくまでも、民間の事業者がこれまで行ってきたガイドラインに基づく行動、あるいはモデル契約約款に基づく行動、それを促したということでございます。

 確かに、総務省のコンプライアンス室長をしておられます郷原さんも、今回のこの文書を見ると「「流言飛語」に対する特別の対応を要請するものであるかのように誤解される恐れがある」という指摘もあるところでございますけれども、よく読んでいただきますと、あくまでも、今回の要請というのは、流言飛語に対するというものではなくて、違法または公序良俗に反するものについて、これまで民間事業者が行ってきたガイドラインに基づく行動、あるいは契約に基づく行動というものを促しているというふうに御理解をいただきたいと思います。

河野委員 この通知は、総務省総合通信基盤局長名で出ておりますが、政務三役は事前に了承されておりますか。

平岡副大臣 お答えとしては、事前に了承したものではございません。

 しかしながら、この通知については、委員も御案内のように、被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチームというものがございまして、これは事務方で構成されているチームでございますけれども、そこで「被災地等における安全・安心の確保対策」というものが決定されたということで、それに基づいたものでありますけれども、先ほど申し上げましたように、あくまでも、これまで民間事業者がやっておったガイドラインあるいは契約約款に基づく行動を促すということであるので、新たに政治的な判断をしなければならないというものではないという理解のもとに、事務方が対応したものでございます。

 なお、この問題については、翌日、政務三役の方にも報告がありまして、政務三役としても了承をしたという経緯はございます。

河野委員 そのワーキングチームの四月六日付の決定の文書がここにございます。「地震や原子力発電所事故に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、」と書かれておりますが、これは例えば、保安院が発表してきた、燃料は大丈夫です、大丈夫ですと言っていた不確かな情報、これも流言飛語ですか。

平岡副大臣 先ほど申し上げたように、私たちは、流言飛語を定義しているわけではありません。あくまでも、私たちが要請したのは、違法または公序良俗に反するものについて、ガイドラインあるいは契約約款に基づいた行動を促したということございます。

 したがって、今おっしゃられた問題については、我々が流言飛語に当たるかどうかということについて判断する権限もありませんし、判断したこともございません。

河野委員 この局長通達が出た先の団体、テレコムサービス、電気通信事業者協会、インターネットプロバイダー協会、ケーブルテレビ連盟、この方々にお伺いをしますと、許認可の権限を持っている役所から出された文書だから暗黙のプレッシャーを感じると言うんですね。

 総務省は流言飛語は何かという定義をしません、あなた方、自分で定義をしてください、だけれども、わかっていますね、許認可の権限を持っているのは私ですよ、これはそういう文書ですよね。これを一度撤回して、誤解のない文書をきちんとお出しになった方がいいんじゃないですか。

平岡副大臣 先ほど申し上げましたように、流言飛語という言葉は確かに文書の中に入っていますけれども、それは背景として申し上げたものであって、我々が要請したものは、あくまでも、違法または公序良俗に反するものについて、ガイドラインあるいは契約約款に基づく行動を促したということでございます。

 この点は、先ほど触れました郷原コンプライアンス室長も、誤解を招くおそれはあるけれども、しっかりと理解を求めていけというような話でございますので、その方針に基づいてこれからも行動してまいりたいというふうに思います。

河野委員 コンプライアンスの室長が誤解を招くおそれがあると言っていて、何が流言飛語か定義ができない。つまり、今度海外からのメディアの取材が私にあったときに、例えば、あの保安院の発言のような、国民の不安をあおる不確かな、そういう流言飛語が飛び交っているからこういうことを出したんだ、そう私が説明しても間違いではありませんね。

平岡副大臣 正直に言いますと、今河野委員が言われたことについて、私が答える資格も権限もありません。河野委員がそういうふうに言われることをとめることもできませんし、インターネットを使ってやっておられるのかどうか知りませんけれども、事業者ということでもございませんので、我々は全く関知するところではございません。

河野委員 要するに、そんないいかげんなことを文書にして出して、海外のメディアはこれが単純に翻訳されたものを読むわけですよ。そうすると、日本政府はまさにムバラク政権がやっているのと同じことをやって情報を隠そうとしているじゃないか、そうとられますね。それはそれでいいと民主党の政治家は判断をされているということがよくわかりました。私は、この政府は非常に問題だと思います。

 大分予定の時間を超過してしまいましたから、次の問題に行きたいと思います。

 今、海外のメディアで、リューゲンヒゴと同じように日本語が飛び交っているのは、もう一つは、ハマオカという言葉でございます。

 浜岡の原発というのは、海外のメディアが、もしこれが何か事故を起こしたら、今度は放射性物質の影響が首都圏に来る、そういうことが海外でも知れ渡るようになりました。この浜岡が、断層の巣の上に建っている、そういうこともわかってきました。女川の原発が余震ですら安全基準値を超えたということも海外はわかっております。

 そうすると、海外から、今、なぜこの浜岡原発をとめて安全確認をきちんとやらないのか、そういう質問がたくさん来るわけですが、外務大臣、海外に向けて、今どういう説明をされますか。

松本(剛)国務大臣 原子力発電所そのものについては、安全については経済産業省原子力安全・保安院が所管をされるものと思っていますが、私どもも、例えば外交団などにも御説明を私どもからさせていただくこともあるわけでありますが、現在のところは、例えば外交団への説明会などは保安院などにも来ていただいて、直接御説明をいただくような形をとらせていただいているところでございます。

 必要に応じて、私どもとしても、今とられているような津波に対する具体的対策を検討し、その一部が既に講じられているということを御説明してまいりたいと思っております。

河野委員 それでは、きょうは保安院にも来ていただいておりますので、保安院に伺いたいと思います。

 今、外務大臣は津波の話をされましたが、浜岡はもともと津波の問題で提起をされたわけではございません。

 失礼しました。平岡副大臣、もう結構でございますので、どうぞ。

 もともとこの浜岡の原発というのは、津波のことで問題になったのではない、地震の件で、断層の巣の上に建っている、そういうことで問題になったわけでございます。今、海外のメディア、もちろん国内もそうです、この浜岡に集中をして、本当に民主党政権が、こういう事態の中で、原子力に対する、原発に対する安全をきちんとやろうとしているのかどうか。今一番危ないと言われている浜岡に世界の目は注がれております。

 保安院、なぜ、この浜岡を今とめて、きちんと再確認しないんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、女川原子力発電所におきまして基準地震動を局所的に上回るような観測値が確認されたということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、原子炉建屋でございますけれども、基本的には、設計上それから施工上におきまして余裕を持っておりますので、局所的に設計用地震動を超えることが直ちに安全上問題となるものではないというふうに考えてございます。

 まず、東北電力につきまして、地震観測記録の詳細な分析、それから地震の揺れが設備に与えた影響の分析というものについて検討し、その結果を提出するように指示をしたところでございます。

 浜岡原子力発電所の安全も含めまして、他の原子力発電所も含めまして、今回の事故の原因について予断なく徹底的な検証を行いまして、その検証から得られた知見を踏まえまして、地震それから津波への対応を含めた安全規制に反映してまいりたいというふうに思っております。

河野委員 その安全が確認されるまでなぜ浜岡をとめないんですか、保安院。

中村政府参考人 繰り返しになりますけれども、原子炉建屋につきましては、一定の設計上、施工上の安全裕度を持ってございます。したがいまして、局所的に設計地震動を超えることがあっても、直ちに安全上問題になることはないと考えてございます。

 また、浜岡原子力発電所の耐震安全性につきましては、これは耐震のバックチェックにおきましてでございますけれども、現在運転をしております、あるいは定期検査をしておりますものにつきまして、三号から五号機でございますけれども、耐震の裕度向上工事を実施したところでございます。それに基づきまして、想定東海地震も含めまして、想定される地震動につきまして、耐震安全性というのをこのバックチェックの過程で確認しておるところでございます。

 その上で、今回の女川での事象というものにつきまして分析、評価をした上で、必要に応じて、今後の耐震の安全向上策が必要という形になれば、それを反映してまいりたいというふうに思っております。

河野委員 福島の第一原発だって、想定のあれでいけば安全だったはずなんじゃないんですか。それがなぜ事故になったんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 福島の今回の事案でございますけれども、これは主に、外部電源の供給が途絶をしたこと、それから、その後参りました津波によりまして非常用発電機が停止いたしまして、全交流電源が停止したということが主要な要因でございます。

 そういったことも踏まえまして、今回の原因につきまして十分検証した上で、今後の安全規制のあり方というものを検討してまいりたいというふうに思っております。

河野委員 だから、その安全の検討をしているときになぜとめないのか。みんなが、この浜岡というのは危ないよ、そういう話をしているわけです。そのときに、なぜその検討している間だけでもとめないんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所におきましても、地震観測記録によりますと、局所的ではありますけれども基準地震動を超えたということは御指摘のとおりでございます。

 これも繰り返しになりますけれども、発電所については一定の裕度というものがございますので、それから考えまするに、直ちに安全上問題となるとは考えておりません。

河野委員 松下副大臣、政務三役、それでいいんですか。

松下副大臣 保安院の意見そして進言、そういうものを十分しんしゃくしながら対応していくのがいい、そう考えております。

河野委員 何か、政治主導と言うけれども、結局、政治はただ判こをついているだけというふうな答弁に聞こえました。

 中村審議官にお伺いをします。

 審議官は最初、保安院の記者会見をやっておられましたが、途中から人がかわりました。なぜですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれ、私が担当するのが適切なところについて発表するというものについては、私が担当して発表しているというふうに私としては理解をしてございます。

河野委員 審議官は、相当初期の段階で、燃料棒が溶けている可能性が高いということをおっしゃいました。事実はそうだったわけですね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 燃料が溶けていく可能性があるということが今後考えられるということは、会見のときに申し上げたことは事実でございます。

河野委員 いやいや、きちっと答えてください。事実だったんですね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、あの会見のときに、燃料が今後において溶けていく可能性があるということを申し上げたことは事実でございます。(河野委員「いや、そうじゃありませんよ、溶けていたんでしょう。溶けていたというのは事実なんでしょう。今、溶けていたというのが事実だとわかったでしょう」と呼ぶ)

小平委員長 ちょっと発言をお待ちください。今、答弁されているから。

 では、どうぞ。

河野委員 ちゃんと答えてくださいよ。燃料棒が溶けていたというのは事実だったんですね。

中村政府参考人 燃料に一定の損傷があったということは事実でございます。

河野委員 それがずっと問題になっていたわけです。

 そうしたら、中村さん、何であなたの分野なのにあなたが記者会見をやらないんですか。

中村政府参考人 私の分野であるのかどうかということも含めまして、これは省として判断をされるものだというふうに理解をしております。

河野委員 副大臣、なぜ事務系の方がいまだに記者会見をやっているんですか。本来なら、きちっと技術者が記者会見でそういう問題を答えるべきじゃないんですか。

松下副大臣 保安院として、それぞれ役割分担しながら、その時点でしっかりと確立された、外に向かってしっかり広報できる、そして情報提供できる、そういうものを検討、しんしゃくした上で、最も適格な人がそれを公表しているというふうに私は理解しています。

河野委員 今の内閣の政治主導がどの程度か、今の答弁でよくわかりました。

 もう一つ、海外のメディアが非常に不審に思っていらっしゃるのが、合同で対策本部をつくっているにもかかわらず、保安院は保安院で記者会見をやる、東京電力は東京電力で記者会見をやる、これ、全然合同の対策本部になっていないじゃないか、そういう質問が参ります。

 最初のうちはいろいろなことを言っていましたけれども、もう一カ月たって、まだそういう状況である。しかも、その上に、さらに官邸で枝野さんが記者会見をされて、時には、あの発言は違いますみたいなことになると、これは、一体全体、日本は責任逃れをしようとしているんじゃないのか、そういう質問で突っ込まれたときに、質問にどう答えていいか大変悩むところでございますが、外務大臣は、東電と保安院が別々に記者会見をいまだにやっていることを海外にどのように説明されていますか。

松本(剛)国務大臣 直接そのような問いを私自身はいただいたことがないわけでありますが、対策についてはできるだけ力を合わせてやることが必要だということで進められているものだと理解をしておりますし、事業者である東電、また経済産業省の所管する保安院、それぞれの立場から、極力透明性を持って説明責任を果たそうということで行っているものというふうに理解をしております。

河野委員 それでは、直接保安院にお伺いします。

 なぜ、対策本部を一緒にやっているにもかかわらず、保安院と東電は別々に記者会見を行うんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力におきましては、これは、みずから立案をした今後の収束の道筋でございますので、東京電力が主体的に説明をするという考え、内容であるというふうに承知をしております。

 これに対しまして、原子力安全・保安院といたしましては、これは、安全規制当局という立場から、東京電力が作成をしました道筋の実行に当たって、安全の確保という観点からチェックしていく立場にございます。そういった立場から、考え方、内容について、事業者とは別途、積極的に説明をしていく責任があるというふうに思ってございます。

河野委員 今の答弁ですと、収束させるのは東京電力だという話ですね。保安院は、その収束させる努力を東京電力がやるときに、安全性の問題がないかどうかのチェックをしています、そういう何か第三者的、他人事のような答弁に聞こえましたが、副大臣、そのとおりなんですか。この事故の収束をさせるのは東京電力なんですか。

松下副大臣 原子力発電所を管理しているといいますか、その場の操縦をしている人たちは東京電力の人たちでございますから、その人たちの情報に基づいて、どういう現象が起こっているのか、その現象に対してどのように対処していくのかということは、やはりその第一線でやっておられる東京電力の人たちの情報をもとにやることが的確だと思っています。

 それに対して、保安院がまた、自分の知見や自分の知識でアドバイスをしながら収束に向けての考え方をアドバイスしていく、そういう形だろうと思っています。

河野委員 保安院にお伺いします。

 今の副大臣の答弁では、原子炉の情報は全部東京電力です、ということは、政府は直接的に何のデータもとれていない、とっていない、全部東京電力からもらった情報で保安院は動いている、そういうことですか。今の副大臣の答弁はそういうことですよね。

中村政府参考人 保安院といたしましては、現地に検査官が常駐をしておりまして、検査官がみずから現場を確認いたしまして、例えば発電所の種々のパラメーターというものを直接確認するということもございます。また、事業者の方から、事業者の持っている記録等についてもヒアリングをし、そして、そういった内容について確認をしていくという作業をしてございます。

河野委員 それでは副大臣の答弁は違うじゃないですか。

 もう一度、保安院に伺います。

 クリントン国務長官の来日に合わせて、今後の工程表なるものが発表されました。これは、だれの工程表なんですか。政府の工程表ですか、東京電力の工程表ですか、だれがこの工程表の責任を持っているんですか。

中村政府参考人 東京電力が作成をしたものでございます。(河野委員「いや、ちゃんと答えてください。作成のことは聞いていないでしょう、審議官」と呼ぶ)

小平委員長 河野君、挙手をして。

河野委員 ああいう質問の時間稼ぎはやめさせてください。答弁、答えさせてください。

 だれが責任を持つんですか。

小平委員長 これに答えてください、中村審議官。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の原子力事故の収束に直接責任を有するのは東京電力であるというふうに考えてございます。そういった観点から、政府として、まずは主体的に今後の見通しを提出するように東京電力に指示をして策定されたものというふうに理解をしています。

河野委員 外務大臣、日本政府がこの収束に対してどういう責任を負うと海外に説明をするんですか。

松本(剛)国務大臣 本件について、収束を進めていくように、政府としても全力を挙げて取り組んでいるということをお話しさせていただいております。

河野委員 だって、東京電力がやるんだと今保安院が言っているじゃないですか。では、政府は何をやるんですか。

松本(剛)国務大臣 事業者が東京電力であることは論をまたないところだというふうに思いますが、この工程表、道筋については、海江田経済産業大臣の方は、

  今回の道筋の発表を受け、政府としては、

  東京電力に対し、この道筋の、着実かつ極力早期の実施を求めます。このため、原子力安全・保安院を中心に、定期的にフォローアップを行い、作業の進捗確認と、必要な安全性確認を行います。

  東京電力に対し、道筋実現のために必要な、作業員の動員・配置、資機材の調達・準備、宿泊などの厚生施設の体制整備を求めます。

  ステップ2終了時には、放射性物質の放出が管理される予定です。この時点で、原子力安全委員会の意見を聞きながら、速やかに計画的避難区域や緊急時避難準備区域の見直しを行います。それまでの間、具体的な判断基準の詳細を検討するとともに、可能な限り広域の除染を進めます。

  これにより、六ヶ月から九ヶ月後を目標に、一部地域の方々には、ご帰宅が可能か否か、をお知らせできるようにしたいと考えております。

これを受けての政府の談話の一部を今お話しさせていただきました。

河野委員 結局、あれは全部東京電力がやります、あの工程表も東京電力の工程表です、責任は東京電力が負うんです、日本政府はフォローアップをちゃんとやります、やらせますというだけで、では、放射性物質を垂れ流しているのも、放射線が出まくっているのも、あれは全部東京電力の責任で、日本政府は一義的には関係ありません、そういう説明を外務大臣は海外にされるんですか。

松下副大臣 経済産業省は、経済産業大臣ですけれども、発電所の安全確保については、東京電力を監督するという責任がございます。そして、東京電力が実行していくということですから、今回の収束に向かう道筋についても、こういう関係でやってまいりました。(河野委員「外務大臣、答えてください」と呼ぶ)

松本(剛)国務大臣 東京電力との政府の関係については、今副大臣がお答えになったとおりであると理解をしております。

河野委員 びっくりしました。では、日本政府は、この件について、東京電力がやっています、そういうことなんですね。これだけの汚染が広がっていて、日本政府は、東京電力です、そういうことなんですね。びっくりしました。

 もう一つ、海外で疑惑を持たれているのが、保安院がこの事故をINESのレベル7に引き上げた。いろいろな在京の大使とお話をする機会がございましたけれども、皆さん、あの保安院がみずからレベル7に引き上げるなんということは考えにくい、これは何か裏があるに違いないと、口をそろえて大使の方々がおっしゃっています。海外のメディアも、なぜ今、レベル6を超えてレベル7にあの保安院が自分で引き上げたんだ、これによってだれが得をするんだ、そういう取材をいただきました。

 INESのレベル7と保安院が判断したことによって、保険会社や東京電力、あるいはそのほかのだれかが免責になったり得になったりすることがありますか。保安院、答えてください、明確に。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありましたINESの評価でございますけれども、私どもといたしましては、私ども、それから原子力安全委員会、それぞれが、それぞれの方法によりまして、放射性物質の大気中への放出量を試算した結果、IAEAのINESの基準に照らしましてレベル7に該当するという形で評価をし、その判定をしたものでございます。事実関係としては、そういうことでございます。

河野委員 いやいや、ちゃんと質問に答えてください。質問しているじゃないですか、だれが免責されるんだと。東京電力やら保険会社が免責になるのか、答えてください。明確に答えてくださいと、私、さっき言いましたよね。

 時間稼ぎはやめさせてください、委員長。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、INESの評価を発表するということが直接そういったものとリンクづけられるということについては、我々として何かコメントをするという立場ではないというふうに思っております。

河野委員 コメントをする立場にはないというのは、だれかが免責される可能性があるということですね。

中村政府参考人 恐縮でございますけれども、我々の立場としては、コメントをする立場にないというふうに考えてございます。

河野委員 それは、知っているけれどもコメントできない、そういうことですか。

中村政府参考人 知っているあるいは知らないということではなくて、我々の立場としては、あくまでもこのINESの評価については、技術的、客観的な立場から評価をして、その基準に照らし合わせて評価をしたものであるということ、そして、そういったものが、いろいろな観点から、どのような形で評価をされるのか、あるいは扱われるのかということにつきましては、コメントする立場ではないということでございます。

河野委員 質問通告をしたにもかかわらずきちっとした答えがありませんので、この件につきましては、政府の統一見解を外務委員会に提出していただきたいと思います。理事の皆さん、後のお取り計らいをよろしくお願いいたします。

 次の問題に行きたいと思います。

 少し話題がそれますけれども、ことしの一月十二日だったと思いますけれども、米軍人による交通事故で日本人が沖縄で亡くなられました。公務中だということで、加害者は日本の裁判では裁かれないということでございました。米側の裁判の結果は速やかに日本政府に伝えられるんだと思いますが、伝えられた結果を遺族の方にきちんと伝えるということが政府内でルール化されておりますか。(松下副大臣「委員長、その前の質問に関連して」と呼ぶ)

小平委員長 松下経済産業副大臣。(河野委員「ちょっと待ってください。時間の無駄ですから、私の質問の時間の後に答えさせてください。まず、外務大臣、きちんとやってください」と呼ぶ)

 では、まず、松本外務大臣。

松本(剛)国務大臣 今の御質問については、被害者またはその御遺族に自動的に通報される仕組みとはなっていないということでございますけれども、御指摘の本年一月の交通事故に関する米側における処分の結果については、御遺族に報告されるよう米側及び関係省庁と調整をいたしたい、このように考えております。

小平委員長 河野太郎君、時間が終わりました。

河野委員 最後の質問にいたします。

 アメリカの場合は、米軍の場合、公務中に飲酒をすることがあるんですね。パーティーに行ったり、式典の後の懇親会で飲酒をしたりすることがあります。どうもそのまま、飲酒をしたまま車の運転をして自宅に帰るということがあるようでございます。

 この場合、公務中だということで起訴されないということなんですが、百歩譲って、公務中に飲酒をするかどうか、それはアメリカが決めることでありますが、公務中であっても、飲酒をした米軍人が飲酒をした状況のまま運転をして帰るというのまで、これは公務中で裁判は適用外だということには、日本の国の主権として認めてはならないことなのではないかと思います。

小平委員長 河野君、簡潔に質問してください。

河野委員 少なくとも、米側と合同委員会その他で、公務中に飲酒をした米軍人がそのまま運転をした場合に事故を起こしたときには日本側が裁くよ、そういう問題提起をされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小平委員長 松本外務大臣、簡潔に答弁を。

松本(剛)国務大臣 これはなかなか、申しわけありません、正確にお答えをしなければいけませんので、委員長、恐縮です。

 公務中の範囲ということにつきましては、今委員が御指摘になりましたように、一九五六年、当時の日本政府が米国とお決めになったものと理解をしておりますが、一九五六年の公務の範囲に関する日米合同委員会合意は、飲酒した上での通勤は原則として公務に含まれないとしつつも、例外として今お話があったたぐいのものも含まれるのではないかというふうに考えられなくないところでもありますが、出席を要求されている公の催し事、催事で飲酒した上での通勤は公務として取り扱われ得る余地を残した内容となっている、こういうことでございます。

 現実には、飲酒運転して通勤した場合、公の催事での飲酒であったときも含め、公務として取り扱った事例は、可能な限り記録をさかのぼって調べましたが、一件も確認はされておりません。したがって、当該合意のさきに述べた部分は事実上死文化している状況であるというふうに考えております。

 我が国政府としては、本件日米合同委員会合意の当該部分は現在の社会通念に適合しないというふうに認識をしておりまして、米側と見直しのための協議を日米合同委員会刑事裁判管轄権分科委員会において行っているところでありまして、引き続き協議が実りあるものになるように全力を傾けたいと思っております。

河野委員 明確な答弁、ありがとうございました。以上で終わります。

小平委員長 河野君の質問が終わりましたが、経済産業副大臣に答弁を許します。松下経済産業副大臣。

松下副大臣 先ほど、河野委員の中村審議官に対するいろいろな質問の中で、レベル7になったからといってそれが免責されるんじゃないかというお話でございましたけれども、INESのレベルが7になったからといって、原子力損害賠償法上、責務が免責されることはありません。

小平委員長 以上で河野君の質疑は終わりました。

 次に、勝又恒一郎君。

勝又委員 民主党の勝又恒一郎でございます。

 きょうは、本当に国難の中で大変お忙しい中、外務大臣そして副大臣を初め、いろいろ御質問させていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。特に、この大震災以降のさまざまな大きな変化及び、そのことと日米関係というものも一つポイントに置きながら、きょうは質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 私も、尊敬する先輩から、ピンチはチャンスだということをいつも言い聞かされてきました。ある意味、この大震災という本当に日本が歴史上背負ったことのないピンチは、何としてもここはチャンスに変えて、日本、頑張ろうじゃないかという思いを込めて、御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 大臣、大変お忙しいということなので、まず大臣にお伺いをしたいんですけれども、十七日にクリントン国務長官とお会いになられています。新聞報道等で私どももさまざまなそのやりとりに接しております。私は、今回のクリントン長官の来日、そして松本大臣とのやりとりというのは、歴史に残る、もしかしたら、恐らく、日米関係の新しい一ページを開く会談だったのではないかなという思いを持っております。私は、通常の日米会談とは何か違う次元の日米会談ではなかったのかなという思いがあります。

 そういう中で、大臣として長官に、これは伝えたいと思ってお話をされたこと、逆に、クリントン長官のお言葉の中で、やりとりの中で、なるほど、こういうことを伝えに来たのかというようなやりとりが何かあれば、具体的にお教えをいただきたいというふうに思います。

松本(剛)国務大臣 私自身が就任して、また地震発災して以降、電話会談も含めますと、クリントン長官とは四回目の会談でございました。その点で、発災以降の米側からの協力についてのお礼も含めた今後の協力のあり方などはこれまでも議論をしてきたところでありますけれども、やはり、今回はクリントン長官自身が日本へ来られるということもありまして、私自身としてはぜひ、これから被災者対応、原子力発電所事故対応を行いながら、同時に、復興に向けて力強く歩んでいくという日本の決意を伝えたい、このように考えておりました。

 クリントン長官の方からも、ぜひ日本に対して、友情のきずな、また、今後のさまざまな支援に対して、引き続きできることはするという申し出もいただいたわけでありますが、同時に、復興について、日本が進める復興の計画、そのもとで、米側もしっかり支持、支援を行っていくという強いメッセージをいただきました。

 あわせて、全米商工会議所の会頭も同道されまして、今の日本の経済は何らとまっているわけではない、まさに日本の経済は今も営業中であるというメッセージをここで出したい、こういう言葉が全米商工会議所の会頭からもありました。

 私どもとしては、まさに現在も経済活動が日本では展開をされている中で、先ほども議論の中でもありましたけれども、世界に向けて、日本が今も経済活動が活発に行われたり、これからさらに復興に向けて大きく前へ進めていこうということのメッセージを出すに当たって、クリントン長官が日本に来て発したということは大変意義があったのではないか、このように感じております。

勝又委員 大臣、もう一問だけ聞かせてください。

 まさしく今の話を聞いて、私は、日米関係において、今回の米国ないしは米国政府、あるいはオバマ大統領、クリントン長官、それぞれが発しているメッセージ、行動、これは私たちは非常に学ぶべきところもある、いわゆる外交上の教訓を非常に多く持っているんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう中で、当然、言うまでもなく、トモダチ作戦ということで、米軍がさまざまな支援をしていただいている。報道によれば、最大二万人を動員して、米軍が捜索やさまざまな輸送作戦を展開していただいている。私の地元でもある在日米軍の横須賀基地、神奈川県の横須賀基地を拠点とした米軍が大いに活躍をしていただいているということであります。

 日本人にとっては、今まで、日米同盟あるいは日米安全保障条約、こういうものがいま一つきちんと、すとんと落ちない部分があった人にとっても、もしかしたら、今回の日米共同作戦あるいは米軍の支援というものは、日本人にとって一生忘れられない作戦になっているのではないかな、まさに、米軍が東アジアの平和と繁栄に貢献をし、そして日本の安全保障あるいは国土安全保障にとって欠かせないものであるということが、もしかしたら日本人は理屈ではなく今回非常にわかったのではないかなと。

 よく日米同盟の深化という言葉が使われます。私は、言葉で言うのは簡単だけれども、むしろ具体的には何だという思いを持っていました。そういう中で、もしかしたら、今回のピンチは日米関係、日米同盟を新たな次元に引き上げる要因になっているのではないかというふうに私は思っておりますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 日米安全保障条約のもとで日本の防衛、さらに日米同盟としてアジア太平洋地域の平和と安定に貢献する日米同盟であるということは、既に国民の皆様にも御理解をいただいているところであろう、このように思っておりますが、今回、具体的に行動する米軍を目にすることによって改めて確認をする、理解をする、例えば映像などで見るということで、そういう側面があったという御指摘については、私も否定をするものではないというふうに考えております。

 また、率直に申し上げれば、安全保障であるとか防災であるとかいうことは、準備を怠ることなく、発動することがない方が望ましいということではあるわけでありますけれども、結果として、本当に悲しく残念なことですが、起こってしまった中で、このこと自身、地震そのものを忘れられませんけれども、あわせて、このときに頑張った人たち、そして協力をいただいた人たちのことも私たちは決して忘れることができないのではないかというふうに思っております。

 もう一点だけ申し上げれば、現在もアジア太平洋地域でもさまざまなこういう災害対策協力というのが行われておりますけれども、改めてこの面も非常に重要な側面であるということを再認識させる一面もあったということではないか、このように考えております。

勝又委員 まさしく大臣のおっしゃるとおりで、同時に、私は、日本側が米国に対して、きちんと今回のさまざまなことに対する感謝、あるいは日米同盟の意義や日本としてのポジション、これを逆に日本からもしっかり発信をしていただく、アメリカ政府のみならずアメリカの国民に対しても含めてやっていただくということが大いに意義があると思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 大臣、ありがとうございました。

 続きまして、関連して米軍のことを若干伺いたいんですけれども、これは防衛省政務官に伺えばいいんでしょうか。

 横須賀基地に配備されている原子力空母のジョージ・ワシントンが、今回の大震災の影響で、佐世保港を事実上の拠点にしているんじゃないかというような報道があります、あるいは、関東にいます米軍家族らが退避するのを米軍が支援していると。ということは、すなわち、在日米軍司令部の一部機能が佐世保に移転しているのではないかというような、あるいはするのではないかというような憶測も言われておりますけれども、ここらあたりについてはどういう御見解を持っておられますか。

伴野副大臣 勝又委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今お話ございました空母ジョージ・ワシントンにつきましては、三月二十一日に横須賀港を出港した後、四月五日、六日及び四月十二日から十四日に佐世保に寄港いたしましたが、その目的は休養、お休みということですね、それと機材、部品の交換及び人員の交代であったと承知しております。また、同空母は二十日午前十時半に横須賀に戻る予定でございます。

 また、三月十六日に出されました、日本に駐在する在日米軍要員を含みますアメリカの政府職員の家族の自主的国外退避勧告につきましては、四月十五日に解除されたと承知をしております。

 以上からかんがみれば、御指摘のような、在日海軍司令部の一部機能が佐世保に移転する等の事実があるとは理解はしておりません。

勝又委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、報道が間違っている部分が非常にあるということがはっきりしたというふうに思います。

 次に、今回の地震による原発の放射性物質の拡散の問題について、海外への説明、国民への説明ということも含めてお伺いをしていきたいというふうに思うんです。

 今回、さまざまな難しい事態の中で、どのように放射性物質の拡散状況というものを把握し、どのように情報を公開していくかということは、非常に日本政府が問われていることだというふうに私は思います。

 ただ一方で、あるアメリカ政府関係者が言っていましたけれども、確かに、さまざまな日本政府の困難なことに対する対応、いろいろ課題はあるかもしれない、しかしそれは、すべてが終わってからきちんとやるべき話である、今は今にきちんと対処すべきだ、過去のことをあげつらうのではなく、前に向かってきちんとこの事態を収束させることに日米が力を注ぐんだ、こういう話がありましたが、私も同じような気持ちで御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そういう中で、これはもともと所管が文部科学省だというふうに伺っています、いわゆるSPEEDIと言われている、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークというシステムがあったということを聞いておりますといいますか、事実としてあると思います。

 このSPEEDIというのは、まさしくこういう事態のために、開発にかけた時間は三十年ぐらいでしょうか、つくってきたシステムだというふうに承知をしておりますけれども、今、このSPEEDIが機能しているのかしていないのか、SPEEDIの情報が正しいのか正しくないのか、あるいは、この情報をどこまで公開すべきなのか、まさに政府内で大変な議論ややりとりがあるというふうに私も承知をしております。

 まず、このSPEEDIについて、今回、恐らくさまざまなデータがある中で、私の知っている範囲では、二枚の資料が公表されている。このことについて、政府は今、どういう考えに基づいてこの資料を公開し、また、どういう考えに基づいて残りのデータは公開しないのか、お伺いをしたいと思います。

久木田参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、文部科学省が所管いたしますSPEEDIにつきましては、今回の福島第一原子力発電所の事故におきましては、現在、私ども原子力安全委員会において活用しているところでございます。

 このSPEEDIでございますが、本来は、原子力施設から時間当たりに放出される放射性物質の量あるいはその核種の組成等がわかれば、施設の周辺の放射性物質の大気中の濃度や空間線量率といったものが予測できるという機能を持っているものでございますが、今回の事故におきましては、発電所から放出される放射性物質の時間当たりの量、その組成といったものを測定できない状態が今日まで続いているということでございます。

 その結果といたしまして、SPEEDIの本来の機能であります予測ということができないという状態が続いているということでございますが、原子力安全委員会では、これにかわる方法といたしまして、施設の周辺で測定されました大気中の放射性物質の濃度から、施設から放出されたであろう放射性物質の量を逆に推定して、それによってシミュレーション行うということを試みてまいりました。

 しかしながら、こういった方法では、本来の使い方でありませんので、相当な誤差が生じるということでございます。そのために、原子力安全委員会からこれまでに公表してまいりましたのは、日々の放出に伴う変化ではなくて、それを一定の期間にわたって積算した量、いわゆる積算線量についての結果のみを公表したということでございます。

勝又委員 恐らく、簡単に言うと、放出源で何が起こっているかがきちんと把握できないから、SPEEDIが、十分というよりはむしろ本来の機能からいうと機能しないというふうに私は理解します。

 一方で、SPEEDIというのは本来、平常時処理と緊急時処理に分かれて機能するということに一応なっているんですが、今回まさに緊急時だと思うんですが、それでも機能しませんかということが一つと、もう一つは、おっしゃったように、今のお話だと、放出源がわからないから予測はできなかったんだけれども、現時点のポイント、ポイントのモニタリング調査によって、そのことによって過去を予測する、要するに、こうだったのではなかろうかということにSPEEDIを活用している、こういう理解でいいですか。二点。

久木田参考人 今回の緊急事態につきましては、原子炉側の状態のために、先ほど申し上げましたように、原子力施設から時間当たりどれだけの放出が行われているかということを直接計測ができない、その他の手段によっても施設側で評価することが大変難しいということでございます。

 それから、後半の御質問については、御指摘のとおりに、限られた情報ではございますが、大気中の放射性物質の濃度を地上で計測したデータから過去にさかのぼった計算を行っているということでございます。

勝又委員 さまざまな、恐らく数千なのか千なのか、いろいろなデータがあるというふうに私は伺っておりますけれども、そのうちいわゆる二つを公開され、それ以外を公開されていないということについては、どういう議論、経過があるんでしょうか。

久木田参考人 議員のおっしゃった数千と申しますのは、放出側の情報がわからないままに、それが、例えば時間当たり一の量が放出されているというふうに仮定して、相対的な濃さがこうなるであろうというふうな計算をした、そういったものについては相当量の計算結果がございます。

 しかしながら、定量的に、ある場所、あるところでどれだけの放射線量が生じたかということについては、これまで申し上げておりますように、過去にさかのぼった計算をして、それについて十分な信頼性が得られているというふうに判断した場合のみについて公表しているということでございます。

勝又委員 これは私自身の考え方、提言なんですけれども、確かに今回、SPEEDI、あるいは気象庁も含めてですが、慎重にデータを公開されているというのは一面理解ができます。しかし一方で、海外も含めて、今何が問題になっているかというのは、日本の政府の情報の公開度、やはりここはかなりの人々が注目をしているというふうに私は思います。

 そういう意味では、余り政府側で情報に対してさまざまなことを考え、予測をし、何かを控えるというよりも、逆に、何か注釈があるならば注釈をつけてきちんと公開して、その情報の判断は情報をとった側に任せるというような姿勢があっていいと私は思っております。

 というのは、今回の放射線のさまざまな拡散状況について、日本が、SPEEDIや気象庁が発表する以前に、さまざまな世界の国が、アメリカやドイツやさまざまな国が予測を発表しています。もちろん、これは当然、日本政府が放出源を把握していないんですから、海外も把握していないです。把握していないけれども、仮定を置いて、きちんと、この仮定で考えればこうだということがあり得るというようなことを公表している。私は、日本政府にもこういう姿勢が実は求められているのではないかなと思っています。

 そういう意味では、所管ではないんですが、私は、外務省の責任というのは、なるべくこうした情報を、たとえさまざまな注釈があったとしても公表していくというスタンス、姿勢というものが必要だと思います。

 そういう意味では、このSPEEDIの情報に限りませんけれども、原発の問題、特に我が国政府が持っている情報はなるべくクリアにする。SPEEDIの話について、政府側のコメントとして新聞で私がよく読むのは、不用意に出すと国民が混乱するとか、不用意に出すと海外からこう言われるとか、だから出さないんだというコメントをしているのを新聞で読みます。しかし、逆じゃないでしょうか。情報があるならば、注釈をつけてきちんと出された方が、逆に、人の信頼をかち取る、世界の信頼を得るのではなかろうかと私は思うのですが、今後の情報公開の姿勢をぜひ副大臣に伺いたいと思います。

伴野副大臣 勝又委員にお答えいたします。

 総論としては、まさに今委員が御指摘なさったとおりだと思います。

 その上であえて申し上げれば、今こうしているときにも、チェルノブイリ二十五周年という国際会議が開かれております。その場におきましては、私どもの高橋副大臣が、今までの経過につきまして、しっかりと国際会議等で説明をしております。

 適時適切な情報を、場合によっては、しっかりと時を経て検証したということも含めて、今後、国際社会に透明性を高く発信させていただきたいと思っております。

勝又委員 本当におっしゃるとおりだと思います。

 そういう意味では、くどいようですけれども、情報は公開することによって信頼が得られる。政府の中でその情報の確度を確かめている時間が長いのであれば、こういうことを今確認中だけれども、現時点、こういう情報がありますということをむしろ言った方がいいのではなかろうかと私はこの問題で思っています。国民もそう思っているのではなかろうかというふうに思っているので、ぜひこの問題について考えていただきたい。

 同時に、私は、きょうは答弁者がいないからいいですけれども、内閣府、文科省、経産省にそれぞれ申し上げたいのは、ぜひ、縄張り争いをするのではなくて、このSPEEDI等の情報公開については、お互いが協力をする姿勢、総力を挙げてやるんだ、省庁の垣根を越えてやるんだ、どっちの責任だとかどっちの所管だとかどっちが今運用しているとか、そんなことを言わないで、お互いが英知を絞ってほしいということを要望として申し上げたいと思います。

 次の質問に参ります。

 先ほど大臣にも伺いましたが、私は、二つの点で今度日米関係において新たなチャンスが来ているのではなかろうか、具体的に言うと、いわゆる日米同盟の深化というもののヒントがあるのではないかと思っています。

 一つ目は、日米の防災における連携であります。

 日米安全保障というものは、軍事的なことをイメージしがちですけれども、実は、今回、国内の安全保障、国内の防災ということに対して非常に機能しているということが、国民も含めて非常に認識されたのではないでしょうか。逆に、阪神・淡路大震災以降、日本人は、自衛隊というものが防災のときに、災害のときに非常に力を発揮してくれるということを非常に認識しています。

 そういう意味においては、今後、日米の防災における協力関係というものをきちんと提起して、そして、それを定期的にきちんと協議を続けていくということが大事だというふうに私は今回思いました。そういう意味でも、現時点において、災害における日米の相互支援協定というのはあるんでしょうか。

伴野副大臣 勝又委員にお答えいたします。

 現時点において、災害における日米相互支援協定なるものはございませんけれども、しかしながら、今回の被災に対しましても、いち早く駆けつけていただき、先ほど大臣からもお話ございましたように、クリントン国務長官とのたび重なる会談の中でも、そういったあらゆる機会をとらまえまして、全面的な支援をしていただくという御理解もいただいているわけでございまして、実質的には、委員御指摘の趣旨のことはもう既に行われているものと解釈をしております。

勝又委員 実質的にはあるということが、実際、今回、現実のこととして理解はできるんですけれども、一方で、この後、2プラス2も恐らく、必ず行われると思います。私は、アメリカからの議題設定だけを議論するのではなくて、日本からもむしろ積極的に、日米同盟はここの分野で強化したらどうかというような提案型の2プラス2が求められていると思うんです。

 今回のこのさまざまなことを含めれば、2プラス2も含めて、日米の災害時における相互協定とか、今後の定期協議とか、あるいは、これは防衛省になるんでしょうか、防災における日米の合同訓練、私の承知している範囲では、東京都の実施する米軍との防災訓練に自衛隊も一部参加しているというのは伺いますが、政府としてきちんとやっているというふうには私は承知をしていません。

 そういう意味では、このあたりをむしろ日本側から積極的に日米同盟の新たな協力分野として提起するというお考えはないでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の防災の部分についてお答えをさせていただきますが、在日米軍については、例えば、九月一日に実施された九都県市の合同防災訓練に海軍艦艇等を参加させ、食料等の援助物資輸送訓練を海上で実施しておりますし、また、八月二十九日に行われた、さっき御指摘いただきました東京都・文京区の合同総合防災訓練におきましては、陸上自衛隊と米海軍が共同して物資の陸揚げを行い、また、横田基地で米空軍ヘリへの物資の積み込み等を実施しておりまして、関係機関との連携を深めているところであります。

 先ほど、日米連携は非常に機能しているというふうに御指摘をいただきましたけれども、まさにこのトモダチ作戦においても、平素の日米の連携の成果が効果的に発揮できたというふうに考えておりまして、今後、防衛省・自衛隊としましては、先ほど先輩からもおっしゃっていただきましたが、まずは、目の前の震災の対応に万全を期していく、その上で、今後の対応については、今般の災害対応を踏まえつつ、大規模災害を含む多様な事態における米軍との協力関係もさらに強化するために、どういうあり方がいいのか、検討を深めてまいりたいというふうに思っております。

勝又委員 今の御答弁でいいんですけれども、副大臣、私が申し上げた趣旨は、日本側からきちんと議題設定をして、何かやれることをやるというきっかけになる一つの案件だと私は思うので、ぜひ大臣にもお伝えいただいて、私は、これを積極的な議題設定として、ぜひ、2プラス2を含めて、今後の日米同盟の主要テーマの一つに日本側から提起をされることを期待したいと思います。

 もう一点だけ伺わせていただきます。

 今回、いろいろな御意見がありますけれども、簡単に言うと、原子炉内の放出源がわからない、中がどうなっているかがわからないという中で、ロボットの意義というものが非常にクローズアップされています。アメリカ社製のロボットが今回、原子炉の中に入ったということを今我々は聞いています。

 これは、私などが言うまでもなく、もう皆様御存じのとおり、軍事ロボットです。いわゆる戦地での放射線や、あるいは人が入り込めないような地域に、状況がどうなっているかを確認するためのロボット。それが、実は、原子力発電所の事故の中という、人が入れないところに入れるという応用をしたという形です。

 言うまでもなく、日本はロボット大国と思っていたけれども、この分野においては、実は実用化できるものがいま一つなかった。アメリカは持っていた。しかし、これは、ビジネスとして成り立つが、軍事的側面を持っている。日本は、武器輸出三原則によって、こういうものの共同開発ができないことになっています。しかし、インターネット、GPSを例にとるまでもなく、軍事用の技術というのは、今やさまざまな形で民生に応用され、さまざまな最先端の、我々の日常あるいは緊急時に役立つものになっています。そういう意味では、私は、こういう部分も新しい日米の共同テーマ、深化の中の重要なテーマじゃないかと。

 ですから、そういう意味でいうと、防衛技術面の産業技術協力というものを、本当に古い時代の原則にとらわれることなく、現代に合った形で協力を進めていく。逆に、この分野を日米同盟の新しいテーマとして設定していく、宇宙開発であるとか軍事面での産業技術協力、それが平和裏に利用されるということを前提にです。

 こういうことについて、今後、日米関係においてきちんとテーマ設定をして協議をしていく、あるいは政府として一歩踏み出していくというお考えはありませんか。

伴野副大臣 勝又委員にお答えさせていただきたいと思います。

 2プラス2につきますテーマにつきましては、今さまざまな角度から調整をさせていただいているところでございます。

 先ほど来から勝又委員の御指摘のように、今回の被災という非常に厳しい、悲しい体験ではございましたが、これをピンチをチャンスに変えていく意味でも、復興に向けたさまざまな経験をアメリカだけではなくさまざまな国際社会に活用させていただくということの広い意味では、しっかりと大臣の方に伝えていきたいと思っております。

勝又委員 ありがとうございました。質問を終わります。

小平委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 次に、河井克行君。

河井委員 自由民主党の河井克行です。

 今回の東日本大震災でわかったことは、日本はひとりではなかったということであります。外務省のホームページを見ますと、百三十を超える国や地域からありがたい支援の申し出をいただいていた。その支援に対して、我が国政府として、どのような形で、だれが謝意、感謝の意を表明するかということは極めて重要だというふうに私は考えております。

 大臣は近ごろ、復興外交というものを提唱していらっしゃる。それを行う上でも、きっちりとした形で、この国の指導者が謝意を表明しなきゃいけない。それは決して、四月十一日、大震災一カ月を節目に総理が紙で発表したようなものであるとか、あるいは幾つかの外国の新聞に寄稿したりとか、そういうものであってはいけないし、クリントン米国国務長官が来日した折に、ありがとうございます、ありがとうございます、そういう受け身のものであってもいけないと私は考えております。

 そうではない、菅総理大臣みずからが顔を出して、肉声の形で、きっちりとした場でこれまで謝意の表明がなされたかどうか、松本外務大臣にお尋ねをいたします。

松本(剛)国務大臣 総理がという御質問だという理解でよろしいんでしょうか。(河井委員「はい」と呼ぶ)

 対外的に総理がお話をさせていただく場で謝意を表明させていただいているというのは、というか、対外的な表明の場そのものが謝意の表明の場だということで総理はお話しいただいているというふうに私どもは承知をしております。

河井委員 今のお答えがよくわかりませんでした。もう一度、私の質問にのっとってお答えください。

 これまで、どういう場で、総理が顔を出して、肉声で公式の場で謝意を表明されたか、確認をしたいんです。

松本(剛)国務大臣 総理が肉声で謝意をおっしゃった場所を、すべて私が今ちょっと手元で網羅しているわけではありませんけれども、一番、その意味では、まさに総理の会見で内外に向けて謝意を表明するというのが、最も広く、公のものとして表明させていただいたものではないかと思いますが、同時に、先ほど、一カ月の新聞広告の話もお取り上げをいただきましたが、あわせて、この総理のメッセージは、在外公館の大使などを通じて、支援をいただいた各国政府に、具体的にこういう支援をいただいたことにお礼をするというメッセージとしてお届けをさせていただいて、政府側に、各国政府のしかるべき方にお届けをさせていただくというような形でも謝意を表明させていただいております。

河井委員 私がよく知っている複数の外交の専門家、総理の謝意の表明がまだないという認識を抱いております、外務大臣。

 私が申し上げたいのは、そういうものじゃなくて、国際社会に対してのみ、例えば外国人記者クラブを総理が訪問して、その場で表明をするとか、あるいは、外国人そして外国の報道機関を招き入れた場で、国際社会にのみ堂々と謝意を表明すべきだ。

 だから、日本政府に対して、この震災以降、顔が見えないとか、あなたもいろいろな場で、情報発信能力を強化しなきゃいけないとよくおっしゃっていらっしゃいますね。私は、それも一つの要因だというふうに思っておりますが、私が今申し上げたことも含めて、きちんとした謝意の表明を行っていただきたいんです。お考えをお示しください。

松本(剛)国務大臣 震災の対応を、原子力発電所の事故も含めて、現在も新たな支援も含めていただいているところでございますけれども、今後ともしっかり謝意が伝わるように表明をせよ、こういう御提議であった、このように理解をしておりますので、努力をしたいと思います。

河井委員 謝意というものは、相手に届かない限り謝意にはなりませんので、大臣、こちらがしている、していると言っても、それはせんないことであります。よくよく御理解をいただきたいと存じます。

 その上で、福島第一原発事故、日本政府そして東京電力を含めて、情報隠し、世界各国から猜疑心が高まってきております。私の手元にあるだけでも、これはもう数え切れない。

 例えば、四月八日付のニューヨーク・タイムズでは、「ラック オブ データ ハイトゥンズ ジャパンズ ニュークリア クライシス」。三月二十六日のエコノミストでは、「ア クライシス オブ リーダーシップ、ツー。ザ メニーヘッディド カタストロフィ ポインツ ツー ディーパーシーティド プロブレムズ イン ガバニング ジャパン」。フィナンシャル・タイムズの四月十三日付では、「テプコ メークス リーマン シーム ア メア バガテル」。東京電力のしでかしたことは、リーマンがとんでもなく小さなものに見えて仕方がない。これはもう本当に氷山の一角ですね。

 あなたは情報発信力の強化ということをよくおっしゃっていらっしゃいますけれども、大事なことは、発信する情報の中身なんですよ。私は、外務大臣というのは、外国に日本政府の言い分を言い出す前に、発出する前に、まずは国内で、政府内で、国際社会が持っている懸念というものをしっかりと代弁しなきゃいけない。

 外相には二つの顔があると私は信じております。一つは、世界に向かった顔。もう一つは、世界と日本との窓口、かけ橋という顔であります。ですから、日本はこうです、ああですと言う前に、まずはしっかりと、国際社会が今、日本をどうとらえているか、情報隠しに対してどのような猜疑心を持っているかということについて、大臣自身がきちんと認識をして、対処をしなくてはならないと私は考えておりますが、お考えをお示しください。

松本(剛)国務大臣 外務大臣、外務省の役割というのは、私どもの国から外へ、そして外から中へという両方の役割があるというのは御指摘のとおりだと思います。

河井委員 では、具体的にお尋ねしますが、原子力安全・保安院がレベル7に評価を引き上げたのは四月の何日だったでしょうか。

松本(剛)国務大臣 発表したのは四月の十二日だったと思っております。

河井委員 では、大臣は、いつそれを、どこでお聞きになりましたか。それに先立って、どこでお聞きになりましたか。

松本(剛)国務大臣 レベル7ということであったと思いますけれども、前日の深夜に、INESというんでしょうか、国際事象評価基準における評価レベルの変更があるというふうに、検討しているということをお聞きしたのが深夜だったと思いますが。

河井委員 きょうは原子力安全委員会の委員の方にもお見えをいただいております。

 枝野官房長官は、三月二十三日には原子力安全委員会はレベル7に該当する放出量に達していることを認めたと会見でおっしゃっている。原子力安全委員会も同じ認識で間違いないですね。

久木田参考人 お尋ねの件は、SPEEDIと申しますシミュレーションシステムを使いまして、大気中の放射性物質の濃度から、施設から放出されている放射性物質の時間当たりの量を逆算して、それを積算した結果についてのことと理解いたします。

 三月二十三日の段階で、そういった根拠に基づいた評価の結果、SPEEDIによる評価の結果を公表いたしておりますが、その時点での数値につきましては、定量的な根拠につきましては、大気中の放射性物質の濃度についての三つのデータを用いた極めて暫定的なものでございました。

河井委員 いや、久木田委員長代理、ちゃんと私の質問にお答えしてください。

久木田参考人 極めて暫定的なものでございましたが、当時の数値は一掛ける十の十七乗ベクレル、これは沃素131のみについての評価した数字でございました。

河井委員 ですから、委員長代理、原子力安全委員会としてレベル7に該当する放出量に達していたことを認識していたのかいないのか、それを聞きたいんです。

久木田参考人 原子力安全委員会としては、INESのレベルについての評価を行う立場ではございません。その当時、我々が得ていた数字は今申し上げたとおりでございます。

河井委員 今のは重大なお答えであります。官房長官の会見でおっしゃったことと原子力安全委員会の答弁が食い違っている。これは、これ以上質問することができませんよ。

 明確にお答えをいただきたい。官房長官が会見で、三月二十三日には原子力安全委員会はレベル7に該当する放出量に達していることを認めたと会見している。あなたはそうじゃないとおっしゃるんですか。イエスかノーか。

久木田参考人 私は、ただいま申し上げた数値は、INESの基準によればレベル7に該当するものであると思いますが、安全委員会から、これがレベル7に該当するということを申し上げたということではないというふうに理解しております。

河井委員 今の御答弁は、久木田委員長代理が個人としてその認識はあったけれども、安全委員会としての認識とは違うということですか。正確にお答えをください。

久木田参考人 原子力安全委員会からレベル7に該当するということを申し上げているのではないというふうに私としては理解してございます。

 三月二十三日に公表した段階での評価の根拠としての数値については、御説明を申し上げていたということであろうかと思います。

河井委員 委員長、答弁を御指導していただきたいんですが、私が質問していることに正面からお答えをいただけない。

 枝野官房長官の会見での話と今の原子力安全委員の話が、これはきっちりと整合性を持っていない。これは政府として違う認識を持っている、官房長官が会見でうそをついたということになりますよ。

 ちょっと時間を与えても結構ですから、しっかりとすり合わせをしていただきたい。

小平委員長 久木田委員長代理、原子力安全委員会としては……(河井委員「委員長、速記をとめてください」と呼ぶ)今すぐ答えさせます。

 原子力安全委員会としてはそのことは関知していない、そういう答弁なんですね。そこのところで枝野官房長官の発言を否定しているのではなくて、あなたたちは知らないということなんですね。そこははっきり明確に答えてください。

 関与外かどうかということ、要するに、あなたたちの所管外かということを言われているんでしょう。それにはっきり答えてください。

久木田参考人 INESの評価につきましては、私どもの所管外であるということを申し上げております。

小平委員長 河井克行君、原子力安全委員会としては、所管外ということを言っているんですね。官房長官と答弁が違うということではなくて、所管外であるということを言っているんです。(河井委員「だから、ちょっと速記をとめてくださいよ」と呼ぶ)いや、そういう答弁だから、それについて質問してください。官房長官と答弁が違うということではなくて、所管外だということを言っているんです、委員会としては。

河井委員 でも、官房長官は、原子力安全委員会は、三月二十三日にはレベル7に該当する放出量に達していることを認めたと言っているんですよ、会見で。それとの整合性を問いたい。

 本当は、もっともっとこの後、質問したいことがあるんですよ。せっかく中山さんにも来てもらっているし、笹木さんにも来てもらっている、大臣にも来てもらっているんだから。だから、入り口で、これ以上質問できないよ。

小平委員長 わかりました。

 では、ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

小平委員長 速記を起こしてください。

 河井克行君の質問に対して、官房長官の助言というのが問題になりましたので、それについて、明確に今、久木田委員長代理から答弁させます。

久木田参考人 お答えを申し上げます。

 三月二十三日の公表の段階におきまして、原子力安全委員会がその計算の根拠といたしました放出量については御説明していると思います。

 ただし、その際に、これがレベル7に該当するものであるというような形での御説明はしていない。なぜならば、原子力安全委員会は、INESのレベルの評価について所管しているところではないからということでございます。

小平委員長 河井君、よろしいですか。官房長官はそのように発言しているんですね。

河井委員 今のお答えで納得できないですね。

小平委員長 ですから、枝野官房長官は、その記者会見で、原子力安全委員会からの助言に基づいたということを、そういうふうに発言しているんですか。そこは明確なんですか。

河井委員 もう一回言いますけれども、枝野官房長官が、これまでに放出された放射性物質の量は放射性沃素131に換算して三十七万から六十三万テラベクレルに上ると認めた、原子力安全委員会は、三月二十三日にはレベル7に該当する放出量に達していることを確認していたと書かれております。

小平委員長 それは、答弁はちゃんとしていますよ。

河井委員 その上で、では外務大臣、三月二十三日には官邸においてそのような認識を持っていた。あなたは、四月十二日の前夜の深夜にレベル7の評価の引き上げを知らされたというふうにおっしゃいましたけれども、かなり時間がたっているのではありませんか。お答えください。

松本(剛)国務大臣 三月二十三日から四月の十一日というのは、二十日ぐらいたっているということであれば、そういうことにはなろうかというふうに思いますが。

河井委員 では、その間、あなたは、国際社会が極めて敏感な国際尺度の引き上げという問題について知らされていなかったということなんですか。

松本(剛)国務大臣 先ほど原子力安全委員会の方からも御答弁をなされましたし、枝野長官も会見でおっしゃっておられたと思いますが、三月二十三日に、暫定的な数値としてレベル7に該当する数値の試算があった。枝野長官もその時点で、レベル7に該当する数値が暫定的な数値としてあるので可能性があるということを認識していたというふうにおっしゃったということは理解をしておりますが、レベル7に上げることを検討しているというか、レベル5の評価を変更することを検討しているということを私どもが聞いたのが四月の十一日だということで、先ほど御答弁をさせていただきました。

河井委員 理解をしたと今おっしゃいましたが、要するに、官邸から連絡はなかったということですね。そういう認識を抱いているということについて、レベル7に該当する放射線の放出量に達しているということについて、官邸から外務大臣、外務省に連絡はなかったということですね。それを確認したいんです。

松本(剛)国務大臣 連携は緊密に行わせていただいており、情報は日々密接に交換をさせていただいており、私どもにとりましても、原子力発電所の状況であるとか放射能の拡散状況についてはさまざまな情報を得ているところでありますけれども、先ほど申し上げたように、政府内の個々の情報交換の状況についてお答えを申し上げることは差し控えたいと思いますが、レベル7への評価の引き上げについて、変更の検討というのを具体的に聞いたのが四月の十一日だというふうに御答弁を申し上げたところでございます。

河井委員 レベル7に引き上げられた直後の世界各国政府の反応は、外務大臣たるあなたが一番よく御存じのはずでしょう。

 三月二十三日に官邸がそのような認識を抱いた段階で即座に、そうなるかもしれないから、そのときには国際社会にどのようなメッセージをどういう形で発出するべきか、それをきちんとした形で官邸と一緒に練っていくのが外務省、外務大臣の責任じゃないですか。経産省の原子力安全・保安院の一審議官が発表する、そういう形ではなくて、世界に向けて、外務大臣として、あるいは総理として、私はきちんとした説明をするべきだったと思っている。その中で、その過程において外務大臣が全く関与をしていなかったということが今明らかになったということは、極めて残念なことであります。

 今質問しているこの情報隠しについて、さらに、中山義活経済産業大臣政務官、お見えでございますので、保安院を所管していらっしゃるということで、一点確認をいたしたい。

 保安院は三月二十六日の報道発表で、一号機において塩素38を検出したと公表しております。このことについては、海外のメディアだけでなくて、国内の、私は広島の出身でありますけれども、放射線そして放射線医学の専門家の皆さん方からも大変懸念をされている。つまり、塩素38、半減期がわずか三十分ほど、この物質を検出したということは、一号機で再臨界が起きたのではないか、再臨界。海水中のナトリウム24と汚染水の中の中性子が結合して再臨界を起こした、その証拠として塩素38が検出されたのではないかと大変皆さん心配をしているんです。

 そのことについて、経産省として明確な考えを示していただきたい。

中山大臣政務官 今の一号機のタービン建屋のたまり水、これを検査したわけですが、そういう発表があったことは事実です。

 しかしながら、もし再臨界を起こしているとすれば、中性子が連続して出てくるということをまず考えなきゃならないんですが、そういう結果は出ておりませんので、再度、保安院の方から東電の方に再評価をするように、もう一度水を調査するように今やっているところでございまして、その評価は近日公表するということでございますので、基本的には、そのときに中性子が連続して出ていなかったということで、もう一度今検査をさせているところでございます。

河井委員 今の政務官の答弁のような明確な答弁をしていただきたいんですよ。国民だけでなく、専門家ですらも疑心暗鬼に駆られている。

 そこで、政務官にお願いしたいのは、もしなかった、恐らくないという言い方なんでしょう、なかったとしたら、その根拠となるスペクトルも公開をしていただきたい。聞いていますか。根拠となる、論拠となるスペクトルも公開をしていただきたい。それも見ないことには信じることができないぐらいに不信感が高まっているというこの現実も踏まえていただきたい。お答えください。

中山大臣政務官 ただいま答弁したように、近々これは発表になります。そのときには、特に先生にはそれをお伝えする、こういうことでございます。

河井委員 私じゃなくて皆さんに、国民に公開をしていただきたい、そういうことであります。

 同じく、先ほども民主党の委員からも指摘がありました。外務大臣、世界各国の政府機関が、福島第一原発からの放射線の物質汚染の拡散シミュレーションを公表している、その事実は御存じでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今回の件について、それぞれさまざまな知見を有する有識者の方や機関が、さまざまな形で、いろいろな議論とかシミュレーションとか情報を出していただいているということは承知をしております。

河井委員 例えば、ドイツの気象庁でありますとか、それからオーストリアの気象庁、ノルウェーの気象研究所、フランスの放射線防護・原子力安全研究所などなどの外国の権威ある機関、ホームページにおいて結果を公表している。

 大臣、今、専門家だけでなく、関心を持っている日本国民の多くが、自国の政府の公表する情報ではなくて、外国の機関、特に遠い欧州諸国の機関が発表した、こういったシミュレーションを必死の思いで検索しているという事実を御存じか。私は、そういうことを強いている今の政府のあり方に強い憤りと疑問を持っております。まことに情けない。

 もう一度、ここで原子力安全委員会、これらの各機関が公表しているシミュレーション、これは正しいものなんでしょうか、どうでしょうか。お答えください。

久木田参考人 原子力安全委員会で現在運用しておりますのはSPEEDIというシステムでございまして、これは文科省の所管によるものでございますが、空間分解能と申しますか、計算の粗さが大体一キロメートルぐらいで、原子力施設から半径数十キロの範囲についてのシミュレーションを行うものでございます。

 御指摘の、世界各機関で行われておりますシミュレーションは、それよりもはるかに大きな規模で、粗いメッシュで行われているものでございますので、直接比較対照することはできないということでございます。

河井委員 つまり、原子力安全委員長代理、正確かどうか判断できないということですね。お答えください。

久木田参考人 御指摘の、国際機関、種々の外国の機関によって行われておりますシミュレーションにつきましては、その根拠もさまざまでありまして、その妥当性について我々が関与する、関知するものではございません。

 それから、計算内容につきましても、先ほど申し上げましたように、対象としている範囲が極めて異なるということから、その正確性について私どもが責任を持ってお答えすることはできません。

河井委員 正確性について答えられないということは、委員長代理、その根拠があるから今答弁されているわけですね。何の根拠でもって答えられないというふうにおっしゃっているのか。

小平委員長 河井君、久木田委員長代理の答弁は、シミュレーションの規模が違うので、それについてコメントはできないということを答弁しているんですが、そこのところはわかりますね。

久木田参考人 繰り返しになりますが、各国で行われております計算の根拠等が、十分、我々の検証ができるようなものであるわけではないということと、それから、原子力安全委員会で行っております計算結果との対比もできないということから、その正確性について議論することができないと申し上げているところです。

河井委員 今、原子力安全委員会として計算している結果と比較することができないとおっしゃった。しからば、その計算した結果を公表しなさいよ。さっきも質問があったけれども、報道によると、二千枚近く試算図を作成しながら、わずかに、公表したのはたった二枚じゃないですか。自分のところで全部抱えておいて、隠し持っていて、それでもってこれは違う、あれは違うと言うんだったら、公表しなさいよ、国民に。それが原子力安全委員会としての当然の責任じゃないですか。

 国民の税金であなたたちの年収は支払われているんですよ。調べたら、年額一千七百八十五万円いただいている。みんな国民の税金ですよ。被災地の深刻な恐怖におののいている方々の納税した額も、この中には当然入っている。

 役割を果たしなさいということなんですよ。答弁になっていませんよ、委員長代理。

小平委員長 公表しますか。

 どうぞ、委員長代理。

久木田参考人 SPEEDIにつきましては、先ほどの答弁の中でも、今回の事故におきましては、非常に変則的な運用をせざるを得ないということをお話し申し上げております。

 本来の機能といたしましては、施設側からどれだけの放射性物質が出ているか、時間当たりに出ているかということがわかれば、それは計算ができるわけでございますが、今回の事故においては、それが測定できていないということから、あえてこれにかわる方法として、原子力安全委員会で努力を重ねて、逆推定によって求めた放出量からの計算を行っているということでございます。これに伴いまして、必然的に大きな誤差、不確かさが生じるということでありまして、そのことを検討した結果として、これまで二回の公表を行っているということでございます。

河井委員 誤差がある、誤差があるとばかりおっしゃいますけれども、あなた自身が先ほどお認めになった外国機関、正確かどうかはっきりしないものを、日本国民が一生懸命それを見ている。科学者の良心として、自国民が外国の機関、それも正確かどうかはわからないものに頼っているという状況を、どのように考えているんですか。

 外務大臣、ぜひお願いしたいのは、直ちにすべての在外公館に対して指示を出していただきたい。それぞれの在外公館が所在する国において、政府機関、権威ある研究機関がこういったシミュレーションを公表している、その実態を明らかにしていただきたい。そして、本当に正確でないものも流されているおそれがあるわけですよ。それは日本の国益を明らかに毀損する行為です。まず、実態を早急にしっかりと把握していただいて、それが正しいものかどうか、それについて原子力安全委員会とすり合わせをして、私は結果を公表していただきたい。お答えをぜひください。

松本(剛)国務大臣 日ごろから、本件についても、本件というか、この震災に関しても、必要な情報収集を行い、メディアなどで流されている情報で異なっているものがあれば訂正を申し入れるなどして、適切な情報が流布されるように努力をしているところでございまして、今お話がありましたようなことに基づいて、私どもも対応をとる必要があれば、しっかりとまたそれはとらせていただきたいと思っております。

河井委員 これまで対応をとってきたんですか、大臣。先ほど、私はあくまでも四つの国の政府機関を例示いたしましたけれども、では、それ以外の国も含めて、どのような機関がシミュレーションを日本の国土そして周辺の海洋について行っているか、きちっと外務大臣として把握をしていらっしゃるのか。これまでとってきたから今のような答弁をされたのか、あるいは、これからとっていこうとしているのか、お答えをください。

松本(剛)国務大臣 必要な情報は私のところに上がってきているというふうに理解をいたしております。

河井委員 答弁になっていない。

 しからば、ここでお答えをいただきたい。

 さっき言った四つの政府機関以外に、どの国のどういった政府機関が日本の福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の汚染拡大の試算図を公表しているのか。これは明らかに必要な情報でしょう。そこまでおっしゃるのなら、ここではっきりとおっしゃっていただきたい。

松本(剛)国務大臣 各国それぞれの機関がさまざまなことをしているということ、今お話が幾つかありましたけれども、それも含めたあれですが、私のところに必要な報告は上がってきていると理解をしておりますけれども、個別の国のそれぞれの機関がおやりになっていることを、私ども自身が具体的に一つ一つ評価をして、ここで申し上げられるというものではないというふうに思っております。

 必要な対応についてはしっかりと申し上げていきたい、このように考えております。

河井委員 ですから大臣、もしやってこなかったのなら潔くやってこなかったと認めた上で、これからやらなくちゃいけないということを申し上げているんですよ。日本国民の安心をつくるためにやっていただきたいということを申し上げている。

 きょうは文部科学副大臣にもお見えをいただいております。もう余り時間がありませんので、手短に申し上げます。被曝の実態について緊急調査をすべきだ、先ほど厚労委員会においても厚労大臣に申し上げました。特に文科省においては、地表表面の汚染の調査、これを早急にやっていただきたい。

 どのような認識を抱いていらっしゃるでしょうか。そして、いつまでに土壌や食品などのサンプル採取を終えようとお考えになっていらっしゃるか、お答えください。

笹木副大臣 今、委員から御質問があった地表面の土壌、このサンプル調査は既に行っております。サンプル数で福島県内の二百五十以上、この土壌試料の採取と分析をしています。それと、福島県にもこちらから委託もし、県内で三百以上のサンプル、土壌試料の採取、分析もしております。その結果、沃素131の広域の土壌表面への蓄積状況も確認されている。

 こうしたものを、随時ホームページも通して、あるいはその都度メディアの各社に配付もし、説明も行っているところです。

河井委員 なぜ急ぐかということで、もうよく御存じだと思いますけれども、放射性物質の半減期との時間との競争があります。

 副大臣、よく御存じでしょうけれども、例えば沃素とセシウム137、それぞれの生物学的な半減期はどれぐらいか、お答えください。

笹木副大臣 セシウムが三十年で、沃素が八日間です。

河井委員 委員長、今の答弁で本当にいいんですか。文科省、本当にいいんですか、今の答弁で。間違っていますよ。担当副大臣が、大事な放射線核種の半減期すら御存じないということになりますよ。もう一度、ちょっと後ろから教えてあげなさい。

笹木副大臣 生物学的な半減期でいうと、セシウムはもう少し短くなるということです。

河井委員 全く御存じないんですね。セシウム137は三十日から百日と言われているんです。だから急がなくちゃいけないというふうに言われている。大丈夫ですか。だから急いで、緊急に採取をもっと広範囲でしなきゃいけない、そういう指摘を専門家も交えて皆さんがおっしゃっていらっしゃる。

 文部科学副大臣、ちょっともう一度答弁を、整理してお答えください。今の私の問いかけに対して、認識も含めて。

笹木副大臣 先ほど、最初にお話ししたんですが、今までお話をしたサンプル数については、土壌の採取と分析も行っている。その中で、沃素とセシウムについては既に行っているわけです。それをその都度、文科省のホームページと、各社にもその資料を渡して説明もしている。沃素とセシウムについては、既に先ほどの箇所で行っているということです。

河井委員 もう質問時間が来ましたので、これで最後にします。

 半減期についての答弁を明確にしていただきたいということです。だから、これは急がなくちゃいけないということの大前提ですから。

笹木副大臣 セシウムの半減期は、生物学的には七十日ということです。

河井委員 もういいです。以上で終わります。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 私の方からは、先ほども同僚委員から出ましたけれども、先般行われた日米外相会談を受けて、若干の質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の日米外相会談では、大きなテーマは二つあった。一つは、先ほど来お話が出ております原子力発電所の事故をめぐって、アメリカからのさまざまな支援、原子力発電所の事故の問題と原発の安全の問題。もう一つは、普天間の基地移設問題。これが二つの大きなテーマであったと私は理解をいたしております。

 原発の事故、もちろん原発の事故だけではなくて、今回の大地震、大津波でアメリカから大変な支援を受けている。これについて、困ったときの友は真の友という言葉がありますけれども、そういう大変に未曾有の事故に対して、未曾有の災害に対して、本当にすさまじい支援をいただいている。これはそれで大変にありがたいことで、感謝してもし切れないという部分はあると思います。

 そのことと、外務大臣が、また防衛大臣とともに、大事なテーマである普天間の基地移設問題。これは、私はそれぞれに大事な問題であると思いますが、今回の外務大臣同士の会談を通じて、普天間基地の移設問題にまず言及したいと思うんですけれども、去年の五月二十八日の日米間の合意を受けてから今日まで、約一年がやがてたとうとしているわけですけれども、この問題についての大臣の、クリントンさんとの会談の中での受けた手ごたえというのか、印象というのか、そのあたりをまずお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 今回の日米会談においては、最大かつ、もちろん唯一ではありませんけれども、大宗を占めたのは、やはり復興に向けたパートナーシップ。そして、米側からすれば、復興への支持の表明ということでありました。

 その点で、御指摘のような安全保障のテーマについても、もちろん日米間の重要な課題でありますし、お話がありましたように、昨年の五月の日米合意を踏まえて、私どもとしても、これから沖縄の皆様の御理解をいただけるように努力をしていかなければいけない立場でありますが、既にこの立場は日米間で共有されておりまして、今回の会談は、むしろ復興が主たる眼目であったというふうに御報告を申し上げたい、このように思っております。

赤松(正)委員 それは、私が違うと言う立場ではないんですけれども、大臣はそういう受けとめ方をされたということかもしれませんが、百歩譲ってそうだとしても、これから五月以降、四月後半から五月を迎えるという中で、やはり、大地震、大津波、原発の事故、その支援、それに対して我々は感謝し、引き続きの協力をお願いするということと、それから、沖縄が抱えている問題は、これはもういっときも休むことなく沖縄の事態というものは進んでいるわけでありますから、今、先ほど大臣は、沖縄の皆さんに御理解をいただかなくちゃいけない、こういう言い方をされましたが、この一年間、去年の五月二十八日から今日までの間で、この問題はどういう進展を示したんでしょうか。基本的合意を踏まえての政府の行動を要約して言っていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 私どもとしても、これまでも沖縄北方担当大臣、総理、そして大臣が訪問をするなど、また、それぞれのレベルで沖縄の皆様とお話をさせていただいているという活動は行っているところでありますけれども、現在、沖縄の皆様の認識を私どもは大変厳しく受けとめなければいけない状況であるということ、そして沖縄の皆様がどのようにお受けとめをいただけるかということについては、私どもの方からは、お願いをさせていただく立場でありますので、それについて評価を申し上げたりするような性質のものではない、こう考えているところでございます。

赤松(正)委員 いや、評価をどうこうじゃなくて、何をしてきたのかということを今お聞きしたんですね。

 私が外務省の担当から聞いたところによりますと、普天間基地移設の問題については、日米双方が、五月二十八日の合意、そしてその合意で示された基本的な方針に変更はないということをお互いに確認し合った、こんなふうに聞きました。

 では、その日米合意の中身は何か。エッセンスは、全部で要約六項目ある中で、最後のくだりだろうと思うんですね。普天間飛行場の代替の施設についての進展に従い、訓練移転、環境、施設の共同利用、訓練区域、在沖縄海兵隊のグアム移転、嘉手納以南の施設・区域の返還の促進、嘉手納の騒音軽減、沖縄の自治体との対話及び協力に関し具体的な措置をとる、このように五月二十八日の日米安全保障協議委員会共同発表にありますけれども、沖縄の自治体との対話及び協力に関し具体的な措置をとる、これはやったんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 負担軽減の努力と言われるものを重ねてきたことも申し添えなければいけないと思っていますが、沖縄自治体という意味では、私というよりは沖縄北方担当大臣が中心になっていただいていますが、政策協議会を立ち上げて議論していただいている、このように理解をしております。

赤松(正)委員 政策協議会を立ち上げたということが、今大臣の口から出てきた唯一の、この間の先ほどの私の質問の、自治体との対話及び協力に関し具体的な措置ということであろうかと今思いました。

 昨年の五月以降、要するに、仲井真知事が五月以降の、十一月の選挙で再選をされるわけですけれども、十一月以降、沖縄から出てくるメッセージというのはすべて、菅首相と会談、県外移設を要請。仲井真知事、県議会において県外移設を強調。仲井真知事、沖縄を訪問した北澤防衛大臣と会談、県外移設を重ねて要請。こういうことがずっと続くわけであります。

 こういう状況の中で、要するに、この三月に大臣は、大臣として前原外務大臣の後を受けて大臣になられたわけでありますけれども、大臣になられた途端に大災害、大津波が起こったということでありますから、直接的に沖縄との、今、先ほど来申し上げているようなことがなかなか行動に起こせなかった、北方大臣に任せた。北方大臣が担当する先ほどの協議会も、私は、そう進んでいない、全くと言っていいぐらいに実質的な前進はしていない、こう理解をしておりますけれども、そういう点では、まさにこれから先が大変思いやられる、こんな感じがいたします。

 実は、先般、このホスト・ネーション・サポートの当委員会における審議、あるいはまた衆議院本会議における討論、ここで私が申し上げたことに関連する話を少し申し上げますけれども、その衆議院本会議における討論の終わった後で、在日の大使館の、あえて名前は伏せますけれども、幹部の方から、会いたいという話がありました。私は、委員会での質疑、あるいは本会議での討論において、地位協定の改定、見直しということについて強く主張をしたということもあって、アメリカからは、そうした私の主張に対して、反論というか、いろいろと議論したい、こういうことで来られたのかなというふうに思いましたけれども、案に相違して、単にホスト・ネーション・サポートのお礼という側面のお話でございました。

 私は、それで非常に残念に思って、ホスト・ネーション・サポートについては、ぜひともアメリカの、アメリカを代表するさまざまな文官の皆さんのマナーがないというわけではなくて、沖縄に駐留する米海兵隊、若い海兵隊の皆さんを中心に、いわゆるゲスト・ネーション・マナーがない、極めてゲスト・ネーション・マナーがないという部分がやはり沖縄の県民感情というものを逆なでしているというか、日米沖におけるこの問題、普天間基地の移設の問題が進展を見せない大きな根っこの部分にあるのは、そうしたホスト・ネーション・サポートに対してゲスト・ネーション・マナーの必要性、こういうことを訴えました。

 それに加えて、私は今思うわけですけれども、沖縄と日本、そしてアメリカ、この三者を考えたときに、今私は、ホスト・ネーション・サポート、そしてゲスト・ネーション・マナーという言い方をしましたけれども、さらに突っ込んで言うと、沖縄の人たちから見れば、ホスト・ネーション・サポートではなくて、ホスト・プリフェクチャー・サポートだと。言ってみれば、日本の中で七五%にも及ぶ在沖米軍基地を抱えて、さまざまな意味でサポートをしている。日本もさることながら、沖縄そのものが、アメリカとの直接的な関係の中でさまざまな対応をしているんだ、そういう気概というか、思いがある。そういうところにしっかりと日本が思いをいたしていかないといけない、そういうことを私は思うんです。

 改めて、先般の当委員会、あるいはまた、衆議院の本会議で私が申し上げた、沖縄を準国家的な扱いをしてとらえるべきだ、そういう姿勢がない限り、ずっと、先ほど申し上げた、仲井真さんが県外移設を繰り返している、それで、昨年の日米合意があっても、まさに一歩も進まないという状況がある。この状況を打開していくために、先ほど来出ているような、東北地域、東日本を襲った震災、津波、原子力発電事故に対するアメリカのさまざまな支援というものがあっても、そのことは、直接沖縄に直面している今の課題が好転する、日米関係、日米沖関係というものが大きく劇的な進展をするということには至らない、こんなふうに私は思っておりますけれども、大臣はいかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 まず、沖縄に基地が集中していることについては、民主党政権としてもおわびを申し上げなければいけないことだという認識で、既におわびを申し上げていることは御案内のとおりであります。

 その上で、負担軽減を図るなどの努力をしておるところではございますけれども、先ほども申し上げましたように、現状は、沖縄の皆様のお考えは厳しいというふうに承知をしておりまして、御指摘のとおり、今後どのように進めていくのかということについては、我々としては誠心誠意努力をするということを申し上げておりますけれども、今先生から幾つかのサジェスチョンもいただいたというふうに理解をいたしております。

 私どもとしてどのようなことができるかということを具体的に考えていかなければいけませんし、ここで今それぞれについてコメントをすることが必ずしもできるわけではありませんけれども、沖縄を準国家的な存在としてきちっと遇するべきではないか、こういうお話については、やはりこれまでの歴史、文化などの沖縄の経緯にしっかり敬意を払った上で、沖縄の振興に向けてもしかるべく対応をとるということをおっしゃっておられるのだとすれば、そこは私どもとしてもぜひ努力をしたい、こう思っているところではないか、このように思っております。

赤松(正)委員 大臣の御答弁はいたし方ない側面もあろうかと思いますが、極めて表面上のことであるというふうに私には聞こえてなりません。私も、もちろん、準国家的扱いとか、あるいはホスト・ネーション・サポートに対してのゲスト・ネーション・マナーだ、そういうふうないわば精神的な部分を強調しているから、そういうふうな答え方になるのかもしれませんが、日本政府として、外務省として、この一年間いかなる努力をしたのか、具体的な努力をしたのかというふうに言われたら、どう答えるのですか。

松本(剛)国務大臣 一つは、沖縄という意味では、先ほどお話がありましたように、私自身も機会をとらえてぜひ沖縄を訪問したいとは思っておりますが、率直に申し上げて、就任以降、沖縄の方へ向かう機会を私自身がうまくとらえ切ることができずに、いまだに訪問ができていないということは事実でありますが、前原前大臣は二度にわたって訪問をされました。

 また、これは政府全体として連携をしてということになりますが、負担軽減に向けての努力というものを、私どもは、負担軽減はやはり米国との話が入ってまいりますので、一緒になって努力をさせていただいて、これからまた御報告できるものについてはしっかり御報告をしていきたい、こう考えているところでございます。

赤松(正)委員 外務大臣、行けば物事が解決するということじゃないと思うんですよ。今までいろいろな人が行っています。前原さんもそうだし、菅さんもそうだし、松本大臣も大臣になる前は何回も行っていると思うんですね。大臣になったから、行ったから、では解決するかというと、そんなものじゃないと思うんですね。

 そういう点では、就任されて一カ月余り、できることは、さまざまなやり方があると思うんですね。別に足を運ばずとも、いろいろな手段があるということを通じて、さまざまな沖縄の住民の意識を変えるための手だてというものはあるというふうに私は思います。

 そういう点で、今、私が申し上げたこのことに対する答えは、ありていに言えば、何も具体的なことはしてこなかった、沖縄を事実動かせるに足り得るそういう行動というものは、残念ながらしておられなかったというふうに私は受けとめました。

 防衛省はどうでしょうか。小川副大臣、この約一年の間に防衛省として沖縄の負担軽減に取り組んできた実績というものを教えてください。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 必ずしも御満足をいただける内容かどうかはわかりませんけれども、御指摘のございました昨年五月二十八日の日米合意を踏まえまして、全力で取り組んでまいった次第でございます。

 一〇四号線越えの実弾射撃訓練の五演習場への分散移転に引き続きまして、いわゆる嘉手納の負担軽減ということで、国内の飛行場はもとより、グアムへの訓練移転も実施を計画しているところでございます。さらに、沖縄の皆様ともさまざまな負担軽減についての話し合いをさせていただく中で、それぞれの地域での騒音を下げるなどの努力を含めまして、できる限りのことをやらせていただいているところでございます。

 防衛省といたしましては、これからも沖縄の一層の負担軽減を実現すべく、沖縄の方々の御意見を伺いながら、また赤松委員を初めとする国会の皆様の御指摘も踏まえながら、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 この問題について、私は、日米間の外務大臣同士の会談で昨年の合意を確認し合う、日米の間に、例えばいささかのそごもないといいますか、そういう方針に変更はない、これはこれで、ある種、当然のことだろうと思うんですが、そういうことをすればするほど、沖縄の県民の意識というものは遠ざかるというか、自分たちのことをわかってくれていないという意識が高まっていくということになろうかと思うんですね。

 そういう点で、地元との対話というのはいろいろな知恵が必要で、さまざまな、もちろんすべて全員が同じ意思というわけではなくて、沖縄の県民の意識というのもかなり分かれているところはあるわけですから、そういうことも含めて、地元との対話への工夫というものがあってしかるべきだと思うんですね。

 だから、外務省、防衛省、また沖縄担当のセクション、すべてが一致協力をして、そうしたこの問題に対する日本と沖縄との対話というものをしっかりしていかないと、それをしないで日米間だけのそういうことを進めていくと必ずこれは理解を得られない、こういうふうになっていくと思うんですね。

 そういう点で、地元との対話。私は先回、日米沖で研究会を設けるべきだ、歴史認識という、中国や韓国との間の歴史認識もさることながら、沖縄という地域をどう受けとめるのかというテーマをめぐって、日本とアメリカと沖縄との間でそうした過去から今日に至るまでの歴史認識を共有する、そういう研究の場というものを設けるべきだ、こんなふうなことも提案をさせていただきました。

 そういう問題、研究をする場ということと、それから沖縄の住民、これは全部というわけにもちろんいきませんから、代表する方々との日本政府との協議をする場、これは先ほど、沖縄担当相との対話という問題もありますけれども、それ以外に、そういう複数の地元との対話の場というものを設ける必要がある、そのように思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 大変示唆に富む御提案だと思いますし、今の状況のみならず、これまでのことを踏まえても、重層的な取り組みというものが理解のためには必要だというお話であったのではないかというふうに思っております。

 先ほど小川副大臣の方から、今、目の前の具体的な取り組みについてお話をさせていただいておりますし、例えば前原大臣も沖縄を訪問した際には、四軍調整官との会談で個別の課題についての申し入れを行うなどもしていますが、根本的な理解の一助となるという意味では、また私どもも学ぶべきものを学んでみたい、このように考えているところでございます。

赤松(正)委員 ぜひ今、震災、津波、原子力発電所に対する対応、これは、ある意味で、先ほど来、私の質問までの同僚委員たちが、さまざまな対外的なこの問題に対する発信ということをいろいろな角度から質問をされましたけれども、そういう側面は、外務大臣はほかの、具体のどこの大臣とは申しませんけれども、かなり私は大臣の力量からすれば、責任の重さが、ほかのどの大臣とは言いませんけれども、軽い側面があると思うんですね。

 だから、その分、先ほど来申し上げているような対沖縄の問題等にいろいろな知恵と能力を発揮して、具体にさまざまな手を講じて十分な準備をした上で、私は、アメリカに行かれる前に沖縄に行くべきだと。さっき、行くだけが能じゃないような言い方をしましたけれども、しっかり十分な手だてを講じた上で沖縄に行って、行ったときには大きく前進ができたと言えるような、そういう準備を周到にめぐらせた上での対応をぜひお願いしたい。

 そういうことを、私、こうやって申し上げるからには、さまざまな、何というか、生意気な言い方ですけれども、アドバイス、知恵も授けたいと言ったらオーバーですが、相談に乗りたい、そんなふうに思う次第でございます。

 今、明確なる準備を経ての沖縄訪問ということについて、発言があればどうぞ。

松本(剛)国務大臣 私自身としては、米国とも沖縄とも何度もお話をしなければいけないと思ってはおるんですけれども、やはり御理解をいただくに資する準備が必要だということについては、改めてよく肝に銘じてまいりたいと思いますし、また御知恵を賜りに行きたい、このように思います。よろしくお願いをいたします。

赤松(正)委員 小川副大臣にお尋ねをいたします。

 防衛大綱が、いよいよ四月ということで実質的に発動を今しているわけですが、この防衛大綱における最大の課題というのは、南西諸島、日本列島全体と同じぐらいの距離になる鹿児島から沖永良部島までといいますか、この長い距離、この広範囲な南西諸島をめぐる地域に機動力と輸送力を発揮しなくちゃいけない。こういう場面がいよいよ本格的に発動しているわけですが、今ある日本の輸送船「おおすみ」では時速二十七キロメートル、鹿児島から石垣島まで約四十時間かかる。こういったスピード感で、防衛大綱における今回の最大のポイントである南西諸島、いわゆる島嶼防衛という問題について十分な力を発揮し得るのかどうか、こういう点が大きく難点というか、課題というか、ポイントになっておるわけですけれども、そのあたりの取り組み姿勢といいますか、解決策というのは、防衛省としてはどのようにとらえておられるのかを聞かせていただきたいと思います。

小川(勝)副大臣 委員から御指摘がございましたとおり、新しい大綱での大きな課題は、島嶼部における対応能力の強化でございます。

 今、距離的な日本列島の位置関係で御説明をいただきましたけれども、鹿児島県の県庁所在地から台湾までの海峡の間は相当な距離を有しているわけでございまして、我々が今まで有しておりました、例えば陸上部隊、即応性、機動性あるいは輸送能力、これをどこまで整備しなければならないかというのが大きな課題でございます。

 防衛省といたしましては、私、副大臣が委員長となりまして、防衛力の実効性向上のための構造改革委員会を設置いたしまして、本年六月をめどにその方針をつくることにさせていただいておるところでございます。

 また、現在までの対応あるいは議論の中身を若干申し上げますと、やはり輸送ヘリコプターや新輸送機の充実、それから新しい形のヘリコプター搭載型護衛艦をどう利用していくのか、そして、それに伴って機動展開を、どういうふうに作戦を立て、そして訓練を実施していくのかなどなどが問題になってくることと想像されているところでございます。

 御指摘がございましたように、機動展開、動的防衛力を支える輸送の部分は、これからの議論の核心になっていくかと考えているところでございます。

赤松(正)委員 先ほど申し上げました南西諸島における島嶼防衛のポイントというのは、一つは、やはり高速輸送船の活用という問題だろうというふうな指摘がさまざまな観点からなされておりますね。

 この高速輸送船の問題で、私もこの質問に当たって知ったわけですけれども、津軽海峡フェリー、本社が北海道函館市、この津軽海峡フェリーが保有する国内では唯一、HSV、アルミ製の高速輸送船、これは七百人運んでも時速六十キロメートルの高速航行が可能である、このHSVを活用するべきである、こういう意見があって、現在は、津軽海峡フェリーは、燃料の高騰ということ等があって実際には使われていない、開店休業状態というか、運転を取りやめている、このように聞いておりますが、この津軽海峡フェリーが所有しているHSVの活用についてどのように今考えておられるか、それを聞かせていただきたいと思います。

小川(勝)副大臣 今、委員からは直接、HSVの中でも津軽海峡フェリーが保有しているというナッチャンワールドを御示唆いただいて、御議論をいただいているんだというふうに思います。どの船をということで議論した経過はございません。

 しかしながら、先ほど答弁申し上げましたように、輸送能力の向上、確保というのが大きな課題であるときに、新輸送艦等を我々が建造して保有するのか、あるいは、御指摘がございましたような民船を利用するのか、幅広く議論をしていくことになろうかと考えているところでございます。

 御指摘をいただいたナッチャンワールドにつきましては、速力が四十ノットというのが大変魅力でございまして、我々が保有しております新型護衛艦の速度は三十ノットでありますので、いかに早くということで考えますと、大変魅力的でございます。

 しかしながら、いわゆる民船でございますので、構造上の問題もこれございますので、何を優先し、何をあきらめるのか、さまざまな議論がこれから起こってくるかと考えているところでございます。

赤松(正)委員 今言われたHSV、津軽海峡フェリーが保有しているHSVは、先ほど言ったように、ついこの間まで休んでいる状態。今回の震災、津波の災害があった後、この船は活用されたんでしょうか。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 まさに、東北大震災の後、我が自衛隊の輸送に利用をさせていただきました。さまざま民船あるいは海上自衛隊の艦船が利用しにくい中、北海道方面、すなわち北部方面隊からの陸自隊員の輸送に利用をさせていただいたところでございます。

 詳細な数字も今把握しておりますけれども、かなり車両も積めますし、あるいは人員もたくさん運んでいただいたということで、北海道からの隊員が、まさに今御指摘をいただいた民船に乗って東北地方に来て、震災の救難、復興あるいは生活支援活動に従事したということでございます。

赤松(正)委員 今回の災害に対して、この船が、今副大臣が言われたように、一定の役割を果たしたということは大変に注目されるべきことだろうと思うんですね。

 今、これを政府が買い上げて、民の物を買い上げて、先ほど来話題にしました南西諸島の地域における輸送力として活用できるかどうかという問題、今検討されているということでありましたけれども、ぜひこれは大いに前向きに、今、極めて財政難の折でもありますし、新たにこれに匹敵するような船をつくる、購入するということは、時間もかかりますし、なかなかまた大変だということもありますので、ぜひともこれを前向きで検討すべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。

小川(勝)副大臣 先ほどの答弁と類似の答弁になろうかと思いますけれども、幅広に必要なニーズが何であるのか、そして、限られた人員、予算の制約の中で、何を我慢し、そして何を要求していくのか、これから本格的な議論になろうかと思いますので、先生からの御指摘は真摯に受けとめさせていただきたいと存じます。

赤松(正)委員 松本大臣、今、南西諸島の島嶼防衛をどういうふうにするかという問題を副大臣との間で少し議論しました。あの尖閣列島の問題も、もう起こってから約七カ月ほどがたちました。いついかなるときに、また同じことが起こるやもしれません。そういう状況の中で、外務大臣として、防衛計画大綱を踏まえて、この地域の、日本の平和と安全というものに向けて、どのように考えておられるかを最後に聞かせていただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 防衛大綱の趣旨については、委員も大変お詳しいことと存じますけれども、今もお話がありましたように、私どもとしては、今回の防衛大綱、安全保障環境をしっかり、新たな安全保障環境を踏まえて、これに対応できる体制を再点検する、そしてそれを整備していくということで防衛計画の大綱を定めたものというふうに位置づけ、理解をしております。その点で、南西地域も含めて、周辺海空域の安全確保や島嶼部における対応能力の充実を図ることが必要だ、そして、そのためにはやはり輸送能力などの向上、そしてこれが動的抑止力というような考え方にもつながっていると理解をしております。

 私どもとしては、しっかりこれに基づいて防衛力を強化する、そして外務省、外交の立場からは日米同盟を深化させる、こういうことを進めていく中で、我が国の安全を確保していくということをしっかり進めていきたい、このように考えております。

赤松(正)委員 終わります。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 福島第一原発事故の影響で、母港の米海軍横須賀基地を離れていた米原子力空母ジョージ・ワシントンが、きょう四月二十日、横須賀港に戻ってまいります。

 外務省は、四月の十八日に、在京米大使館から口上書をもって、この空母の安全性は完全に確保されている、こういうアメリカ政府からの説明を受けたことを明らかにしております。この口上書では、今回、重大事故を起こした福島原発の原子炉と対比させて、「商業用原子炉の設計と原子力軍艦のために設計された海軍の原子炉の間には、その任務の違いから、大きな違いがある。」として、専らその安全性を強調しておりますが、外務省は、在京米国大使館のだれからだれにこの説明があって、そして、この口上書を受け取る際に、何と言って受け取ったのでしょうか。伺いたいと思います。

松本(剛)国務大臣 大使館から、外務省として口上書を受け取ったというふうに理解をいたしておりますけれども。

笠井委員 いや、だから、だれからだれに渡されて、そのときに、受け取って、外務省としては何か言ったのかということです。何と言って受け取ったのか。

松本(剛)国務大臣 ちょっと、どのようなあれがあったかは、会話があったというか、あれですけれども、口上書というものであります以上は、在京米国大使館という組織から外務省に口上書として伝えられたというふうに理解をしておるんですが。

笠井委員 人から人に渡されたはずですけれども。

 松本大臣は、前回、四月十五日の私の質問に対して、米原子力艦船に関するアメリカの説明に対して、私どもから申し上げることはない、直接申し上げることはないというふうに答弁されましたが、今回の説明を受けた、文書が渡された、届いたということの際にも、内容について確認したり質問したりとか、何も言わなかったのかどうか。そして、いまだおさまらない福島原発事故を受けて、原子力艦船が寄港している関係自治体や住民から不安の声が上がっているわけですが、そういうことも伝えなかったのかどうか。

 これは何かメールで送られてきたというわけじゃないでしょう。だからそのときに、つまり大臣は前回、この問題についてアメリカに申し上げることはないと言われたけれども、受け取ったときに何も言わなかったのか。現地の不安があるとか、国民の中にこういう問題があるとかということも含めて、外務省としては受け取って何も言わなかったのかどうか、そこを伺っているんです。

松本(剛)国務大臣 米軍が日本に駐留するに当たっては、その地域の住民の方々に御理解をいただく、また、地域の皆さんからの御要望や御照会にはお答えをさせていただくということが必要であって、安定的な駐留のためにはそういうコミュニケーションが必要であるということは日ごろから積み重ねを行っているところでありまして、空母ジョージ・ワシントンが横須賀にいることについてのさまざまな課題については、日ごろから、地域、そして私ども、米軍ということでやりとりをしていく中で、必要な情報提供、開示は行われているというふうに理解をしておりますが、今回の口上書に関しては、私が承知をしている限りでは、事務的に受け取ったというふうに理解をしております。

笠井委員 受け取っただけだ、説明を受けただけだということであります。

 この口上書を見ますと、福島原発事故によって原発の安全神話が今本当に大きく崩れている、こういう状況なのに、軍艦の原子力は別だということであくまでしがみついて、固執する立場になっております。その説明を受け取るというだけで、うのみにして、横須賀市にただ伝えるだけでは、何の安全性の担保にもならずに、地元住民も国民も納得できないんじゃないかと私は思うんです。

 例えば、伺いたいんですが、この口上書によりますと、「合衆国海軍の原子炉は、福島第一原子力発電所の原子炉と異なり、電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の特性のみによって、炉心を冷却できる」というふうに書いてありますけれども、原子炉の性能や構造、核燃料の構造など、基本的情報について、アメリカの側は軍事機密ということを盾にして公表しておりませんが、公表していないのに、こういうふうにアメリカ側が説明したら、安全性はその説明で大丈夫だと客観的に判断できるんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今、一つ一つの技術的評価について私がコメントをすることはできませんけれども、私どもとしては、やはり、横須賀の市長からも原子力推進艦船の安全性の再確認を求める要請書というのをいただいておりまして、私どもの外務省の方から市長に対して、米国からの説明の内容は御報告を申し上げるという形で、できるだけ緊密に情報を提供し、御理解をいただくように努めているというふうに考えております。

笠井委員 横須賀の市長から要請があってアメリカに伝えて、アメリカからその説明があって、それをそのまま横須賀に伝えるというだけじゃ、日本政府としての主体的なかかわりがないわけですよね。技術的な情報というけれども、今言ったことについても本当に客観的に判断できるのか。

 では、例えば、また伺いますが、この口上書では、「合衆国の原子力軍艦は、五十年以上にわたり、一度たりとも原子炉事故や人の健康を害し、又は、海洋生物や環境に悪影響を及ぼすような放射能の放出を経験することなく、安全に運航してきた。」こう書いてあります。しかし、これ自体が私は事実と違うと思うんですね。

 大臣、これまでも米原子力艦船は数々の重大事故を起こしております。一九八八年にアメリカの研究者が作成したリポートがありまして、日本の港に停泊した軍艦における核事故というのがあります。このリポート、報告書を見ますと、八〇年代までに公開された情報だけでも、米海軍の核事故、事件が三百件以上発生していると。一九九九年十一月三十日には、ジョージ・ワシントンと同じタイプ、同型の空母ステニスが座礁をして、海水による冷却システムが汚泥を吸い込んで原子炉が一基ストップし、また自動ストップということでもう一基、二基とも緊急停止するという事故が起きました。

 だから、ただアメリカの言い分で、安全に一貫してやってきて事故がなかったというだけをうのみにして、それを横須賀市に伝えるというわけにはいかないんじゃないかと思うんですけれども、日本政府として、そういうことについてどういうかかわりを持つんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今御指摘の一九九九年十一月の事故というのは、原子力空母ジョン・C・ステニスの座礁事故を指しておられるのではないかというふうに思っておりますが、これは、浅瀬を航行中に冷却水の取水口に海底の汚泥が吸い込まれたということで、乗員は手順に従って一基の原子炉を停止、もう一基の原子炉は想定どおり自動的に停止をされ、原子炉は四十五分後に再稼働されたということで、その間、原子炉の冷却装置が損なわれることはなかったというふうに発表されているというふうに承知をいたしております。

笠井委員 でも、それは原子炉事故ですよね。事故がなかったというのが、口上書で五十年間なかったというわけですけれども、それも違うと思うんです。

 では、口上書では自然災害についても言っています。「停泊している原子力軍艦が水に浮いているということは、地震の間に感じられる地面の震動に対して緩衝材の役割を果たす。」と書いてあります。また、「横須賀に停泊中に発生した三月十一日の地震及び津波によって、その停泊が影響を受けることはなかった。」というふうに説明しているわけですが、私、これも通用するのかという問題が出てくると思うんですよ、疑問が出てくる。

 今回も、横須賀ではなく、大津波が直撃した場所ですけれども、大型船が陸に打ち上げられて破壊されるということがありました。もう映像で衝撃的なことがあった。巨大な力で原子力艦船も岸壁に打ちつけられる可能性があるということだって、今回の地震、津波の破壊力を示した一つのあれだったと思うんですよ。

 そうしますと、前回もあれしましたファクトシートの問題を含めて、想定しがたいということを言ってアメリカがやっている、その言い分を認めるというだけではいかないんじゃないか。自然災害だって、横須賀にあってそのときに、いや、それは大丈夫でしたよと言うけれども、それは横須賀にいたジョージ・ワシントンですね。ただ、津波は東北、北関東の方にあったわけですから、では逆に、その横須賀を直撃するような形で津波が来たときには大丈夫かといったら、この説明では大丈夫とは言えないんじゃないかと思うんですがね。

 そういう点はどのようにお考えになりますか。それも、そのままアメリカの説明を、口上書を受け取って横須賀に伝えました、これで日本政府は役割を果たした、責任を果たしたというふうになりますか。

松本(剛)国務大臣 ファクトシートも、委員よく御案内だと思いますので、私の方から申し上げる部分はもうないと思いますが、内容としては、こういった対応を予定しており、このような事故は想定しがたいとか、こういったことが起こることは想定をしがたいとし、その上で、想定をしがたいことが起こった場合にもこういうことも考えられるということが書いてあったように私自身は記憶をいたしております。

 もちろん、説明をするということがまず大変重要なことだろうというふうに思っておりますし、私どもとしても、先ほど申し上げたように、さまざまなやりとりをさせていただいているその個別のやりとりを、すべてここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいというふうに申し上げました。

 今回は、四月の十八日の日は、口上書を、事務的に受け取ったものをまずは横須賀市長にお伝えすべきということでお伝えをさせていただいておりますし、もちろん、その後も、そしてそれ以前も含めて、地域の皆様と米国と私どもとの密接な連携と連絡、情報共有というのは今後も推進をさせていきたい、このように考えております。

笠井委員 日ごろからやっているという話なんですが、では、今回の大震災と津波後にアメリカから口上書を受け取ったのは、これで何回目ですか。

松本(剛)国務大臣 これは三月十一日以降ということですよね。(笠井委員「以降です。安全性についての口上書が来たというのは今回初めてですか」と呼ぶ)この件に関しては、少なくとも今回初めてだと思います。

笠井委員 ですから、これまでもやってきたと言うけれども、大地震と津波があった後、口上書が来た時点ですから、この時点で、少なくともやはり安全性の問題について、日本側からも、もう一回ちゃんと確認したり言ったりというやりとりがあって当然だと思うんですよ。

 大臣は今ファクトシートのものを言われましたけれども、さまざまなケースを含めて議論されている、想定しがたいという前提に立ってというふうなことを言われますけれども、しかし、事故を想定しがたいということを前提にさまざまなケースについて論ずるのか、それとも、あらゆる事態を想定した上で対策を講ずるというのか、このスタンス、根本的に違うと思うんです。それなのに、政府は、アメリカが言う安全性について、今回の大地震の後にも、津波の後にも、主体的検討じゃなくて、受け取ったら、それは渡しましたというふうに国民に流している、市民に流しているだけ。これでは国民の不安を払拭して安全を担保することができないと思うんですよ。

 きょう朝日新聞にも、その点で、「横須賀の原子力艦は大丈夫か」という、「声」の欄に、冒頭に出ていますよ。こういうのをみんな思っているときですから、私は、原発の見直し、総点検は今や国民多数の世論です。

 ロナルド・レーガンは、きのう佐世保にまた入りました。佐世保はこの間、一カ月に三回も原子力空母が入っているわけです。だから、そういう点でいうと、原子力艦船だけは例外というのは許されないので、ここは少なくとも注意喚起するとか、改めてアメリカともやりとりしてみたいとか、それぐらい言わないといけないんじゃないですか。

松本(剛)国務大臣 米軍の原子力推進艦船の原子炉が商業用の原子炉と比べて頑丈に設計されているということは、もう既に委員もお認めになられているところではないかというふうに思っております。

 また、我が国政府として、原子力推進艦船の入港などに関しては、極めてかたい見積もりに基づいて、現実的には、それこそ想定しがたいような状況までを仮定して、安全面での評価を行った上で、防災対応などを策定してきたと考えております。

 また、先ほどお触れになったファクトシートも、何点か、やはり極めて想定しがたい事故、事態が起こった場合にもこのようなということで書いてあって、まさに委員がおっしゃったように、想定はこういう範囲でされる、そして想定しがたい場合にはこういうことをしなければいけないということが記載をされているという意味では、まさに委員のお考えに沿ったものではないかというふうに思います。

 私どもとしては、政府としては、やはり米軍の原子力推進艦船の運用に当たっては、その安全性について万全を期するように米側にも引き続き求めていくという、この考え方は変わりません。

笠井委員 委員も認めていると言いましたけれども、私はアメリカ側の説明について認めていませんから。そこは違いますから。だって、アメリカは軍事機密にして明らかにしていないんだから、本当に大丈夫かということについてはわからないですよ、これでは。

 次に、今回の東日本大震災の救援、復興に係る補正予算の問題が出てまいりますが、その財源をどう確保するかが今大問題になってきております。

 そこで、在日米軍駐留経費の負担、訓練移転費の問題について質問したいんですが、さきの特別協定は、五年間で約一兆円の経費を日本側が負担するというものでありました。それ以外にも、総額三兆円ともされてきた米軍再編経費がございます。この特別協定分と米軍再編経費、全体の中で米軍の訓練移転に係る負担というのは四つあって、一つはNLPの訓練、二つ目に県道一〇四号線越えの実弾演習、三つ目にパラシュート降下訓練、四つ目に米軍再編に係る航空機の訓練の移転ということで、これを合わせてみますと、平成二十一年度までに百五十三億円が既に支出されております。

 そこで、今回の特別協定で新たに加わった米軍再編に係る訓練移転の拡充でありますが、日米合意では、日本国政府の要請に基づき実施する訓練の移転先として、新たにアメリカ合衆国の施政のもとにある領域が追加をされております。なぜ米国の施政のもとにある領域まで広げたのか、グアムだけにしなかったのはなぜなんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 今回の移転で私どもがいわば負担をするというんでしょうか、これは委員もよく御承知のように、そもそも我が国で行われていた訓練であって、また我が国政府が適当と判断をして要請をする場合に、移転される訓練の追加的に必要となる経費を負担するというふうに理解をいたしております。

 その点で、新たにグアムへの訓練移転ということが、先ほど副大臣も別の方との審議で言及をされておられましたけれども、今計画をされておりますので、これはしっかりと、この追加的な費用には私どもが負担する形で訓練移転が行われて、負担が軽減をされることにつながる、資するものであるということで、そのような規定を設け、体制を整えているところでございます。

笠井委員 いや、今の説明で、グアムというならまだそれは説明の中でわかるんですが、アメリカの施政のもとにある領域というふうに追加をした、何でグアムだけにしなかったのかというのを聞いたんですが。それはいいというような意味じゃないですよ。

松本(剛)国務大臣 大切なことは、やはり負担が軽減をされるということであろうかというふうに思っております。

 その意味で、今、私どもは、確かにグアムの移転計画というのはあるわけでありますけれども、引き続き訓練移転というものは私どもが要請をして、私どもが適当だと判断をしたという形の先について、今ここで限定する規定を設けるかどうかということについては、その必要はないのではないかというふうに考えます。

笠井委員 そうすると、無限定にして、今後アメリカがこっちに移転するよとなった場合については、そこも出していくということになるということだと思うんです。

 訓練の回数も今後日米間で調整するとしておりますし、負担割合についても、平成十九年の合意では日本側が四分の三であるのに対して、今回の合意というのは、その負担割合も明記されていない。

 この訓練移転の拡充の目的に、「嘉手納飛行場における更なる騒音軽減を図る。」というふうにあります。先ほど負担軽減というお話もありました。しかし、嘉手納基地では、むしろ外来機の訓練がふえて、負担軽減どころか負担増加になっているというのが実態であります。

 なぜそんなことになっているかと考えてみますと、それは嘉手納基地を中心にして、沖縄そのものが米軍機の訓練空域となっているというのが非常に大きな問題だ。沖縄の周辺空域の約四〇%がウオーニングエリアと呼ばれる米軍専用の軍事空域となっていて、空対空、空対地、空対水の実弾射撃や各種の戦闘訓練が頻繁に行われて、民間機の安全航行にも甚大な影響が出ている。

 つまり、その訓練空域をそのままにして、一方でアメリカが要求するままに移転費を負担し続けるというふうになるから、米軍は日本側が負担する移転費を使って移転先でやりたいだけ訓練するということとともに、嘉手納基地であいた分は、今度は空域を使えるんだからということで外来機がどんどんやってきて、専用空域で好きなだけ訓練をする。これはまさにやりたい放題になっちゃうというふうに思うんですよ。

 だから、嘉手納基地を初めとして米軍機の訓練の負担を根本的に軽減しようと思ったら、この広大な訓練空域そのものを削減するとか撤去するとか、それこそそういうふうにやらないと、本当の意味で負担軽減とか解決策にならないんじゃないかと思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

松本(剛)国務大臣 その前に、先ほど委員、無限定とおっしゃいましたけれども、そもそも特別協定、よく御存じだと思いますけれども、国内の施設・区域で米軍が行ってきている訓練について、日本側の要請によりこれを米国の施政下にある領域に移転する場合、これに伴って追加的に必要となる経費を日本側が負担できる旨の規定でありまして、米国の施政下にある領域というのを具体的に特定していないという意味で委員が御議論されているんだとすればそうですけれども、費用を負担する範囲が無限定であるということでおっしゃっているんだとすればそれは正確ではないというふうに、このように考えております。

 なお、その上で、負担軽減というのは私どももぜひ進めていかなければいけない、私どもの大切な仕事だと思っておりますし、今お話がありましたように、騒音の問題については、これまでも騒音に関する措置などの遵守を、前原大臣のときも、沖縄において、またこちらで在京の米国大使館においても申し入れを行っているところでありますけれども、私どもとしては、引き続き遵守をしていただいて、沖縄の皆様の負担を軽減するように、生活に極力御迷惑をおかけすることを減らしていくことができるように努力をしていきたい、このように思っております。

笠井委員 さっきの話は、グアムでなく、アメリカの施政下という点では限定がないとおっしゃったんですね。だから無限定ということで、つまり、日本側が要請するかどうかの経過はあったとしても、アメリカ側が移転ということでここに行きたいよと言ったときには、そういう流れの中で、移転するときに経費負担という話になってくる。無限定な、だって、グアムと書いていないんですから、そういうことだと言ったんです。

 しかも、今の後半の方の話は、私が聞いたことにお答えになっていないんですね。嘉手納基地を初めとして、本当に負担軽減のためには訓練空域そのものについて見直さなきゃだめじゃないかということなんですけれども、そういうことも含めて考えないと、本当の意味で負担軽減にならないんじゃないですか。そこを端的にお願いします。

松本(剛)国務大臣 在日米軍が果たす役割、我が国の防衛と地域の平和と安定の役割をしっかり果たしていただく中で、同時に負担を軽減させていくというふうな面で、私どももできる限りのことをしていきたいということを申し上げた趣旨でございます。

笠井委員 本国アメリカの施政下にあるところに移転が可能ということであれば、沖縄の駐留自体も打ちやめにして本国に移転するというような話が出てくるわけでありまして、それを、移転をしてほしければ費用を負担しろと言わんばかりの措置というのは、まさに気前のいい日本という、この実態そのものになってくる。

 特別協定の審議で、私は、戦後未曾有の大震災のもとで、特別協定をきっぱりやめるようにアメリカ側と交渉すべきだと求めましたけれども、にもかかわらず、国会承認は強行されました。米軍再編経費とNLP以外の訓練移転費というのは、特別協定の年間上限額千八百八十一億円とは別枠の予算計上でありまして、既にグアム移転費については、アメリカの軍事費削減とのかかわりで、日本側の負担増の話さえ出始めているという状況です。

 大震災の救援、復興の財源として、それらには一切手をつけず、被災者にも負担させるなんていうことでいろいろな議論があって、消費税増税の検討なんていうのは論外だということだろうと思うので、私は、本当に日本国民の立場に立って、何を本当に今やるべきかということについて真剣に考えるということが必要だと思います。

 去る三月三十日の当委員会で、かつて松本大臣が野党時代に、日本側のコストが過剰な負担になっていることに関して、地球規模の米軍の下請的構図になっているというふうに指摘したことをお示ししましたら、大臣は、下請であるという立場に立っている意識はありませんというふうに言われましたけれども、意識する、しないにかかわらず、米側の要求をほとんど、どんどんのみ込んで、駐留経費の負担を維持し続けるという実態こそ、まさに下請的な構図の内容であることを改めて指摘し、根本的にこの点での見直しをすべきだと強く求めて、質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部です。

 今、お手元に、ソ連チェルノブイリ原子力発電所における事故に関する国会決議をお配りいたしました。八六年の四月二十六日にこの事故は起きたわけですけれども、その十二日後に衆議院、それから、その翌日に参議院で国会決議が行われております。

 松本大臣、この国会決議が上がったということ自身は御存じでしたでしょうか。

松本(剛)国務大臣 この国会決議が、今の御存じというのは……(服部委員「配付する前」と呼ぶ)配付する前ですか。委員から御指摘をいただいて、改めて再確認させていただきました。

服部委員 これを今改めて読まれて、どんな感想を持たれますか。

松本(剛)国務大臣 いずれにせよ、やはり原子力発電所の事故という意味では、最も大きな事故として、これは当然どなたの記憶にも残っているわけでありまして、これに対して当時の議会において議論をいただいて、決議をしたものだというふうに考えておりまして、個別のテーマについて今評価を申し上げることは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

服部委員 個別のテーマで評価を差し控える、そんな大層なことじゃなくて、これを見ますと、国内における安全の確保と安全規制に十分反映させるとか、あるいは、今回の事故の教訓を十分反映させるとか書かれていますよね。結局、これがされないままに、今回同じような、規模は多少違うにしても、やはりレベル7の事故が起きたということ。それから、衆参ともに指摘しているのは、やはり情報の速やかな公開を働きかけるということを言っているわけです。

 他国の事故に対しては言うけれども、自分のところの事故に対してどういう姿勢をとるかというのは非常に重要だというふうに、結局はね返ってくる話だというふうに思うわけです。

 四月九日の日経新聞を見ますと、「震災、変わる海外のまなざし」という記事がございます。最初は称賛だというのが、不信、違和感にという記事なんですね。そういう意味では、日本の情報公開、先ほどからずっと議論になっていますけれども、いろいろ問題があるなということも改めて認識をするわけです。

 きょうは、震災に関して事実関係を幾つかちょっとお聞きしたいというふうに思うんですけれども、先ほど、文科省が土壌のモニタリングはやっていますという返事だったんですけれども、二十キロ圏内の土壌のモニタリングというのはどうなっているんでしょうか。

伊藤政府参考人 御説明いたします。

 二十キロ圏内のモニタリングでございますけれども、文部科学省、あるいは電力会社とともに空間線量率の測定をこれまで実施してございますが、土壌の分析につきましては現在まだ実施してございません。

 今後、政府の原子力災害対策本部の方の方針を踏まえて対応してまいりたいというふうに考えてございます。

服部委員 なぜ実施されていないんですか。

伊藤政府参考人 文部科学省におきまして、まず、二十キロ圏内につきましては、避難区域に指定されてございますので、住民の方はいらっしゃらない、そういうような状況におきまして、二十キロ以遠のエリアにおきまして、住民の方の健康への影響等を評価するために、その地域におけます空間の線量率、あるいは、特にその中で線量の高いエリアにつきましては、ダストサンプリングとか、土壌について核種分析をしているところでございます。

服部委員 何でこの質問をさせていただくかというと、二十キロ圏内の土壌の分析がされていないということ自身が私はちょっとにわかに信じがたいわけですが、先日、松本内閣官房参与が、二十から三十年は住めないんじゃないかというふうに言われたとか、あるいは、言った言わないという話はありますけれども、総理が、十年住めないのか二十年住めないのかということになってくるというような発言があったというふうに言われています。

 別に、これを、言った言わぬをここで問題にするというわけじゃないんですが、イギリスの科学誌ネイチャーでは、数十年から百年、敷地の除染にかかるんじゃないかということが発表されたというふうなことなんですけれども、いろいろこういう情報がぱらぱら出てくるわけですが、これは当然、文科省として、実際には二十キロ圏内の土壌の汚染というのは把握されているんでしょう。本当に把握されていないんですか。

伊藤政府参考人 繰り返しになりますけれども、二十キロ圏内においては、先ほど申し上げたような理由におきまして土壌のサンプリングはいたしてございませんが、先ほど申し上げましたように、空間の線量率について測定をいたしておりまして、現在その結果について取りまとめ中でございます。

服部委員 それでは、いつまでに調査されるんですか。

伊藤政府参考人 空間の線量率の測定結果につきましては現在取りまとめ中でございますので、まとまり次第公表させていただきたいと思います。

 土壌については、今後、政府全体としての方針を踏まえまして、必要な調査をしてまいりたいということでございます。

服部委員 いつまでというのはまだ決まっていないということですね。

伊藤政府参考人 現在具体的な計画があるわけではございません。

服部委員 ぜひ、二十キロ圏内の土壌の調査も早急に進めていただきたいということをお願いしておきます。

 先ほどからSPEEDIの情報公開の問題がいろいろ議論になりました。SPEEDIの調査をされていないのかなと思ったら実際はされていて、二千枚ほどのデータがあるということが明らかになりました。

 ここに文科省が出しているSPEEDIの資料があるわけですけれども、先ほど来、安全委員会は、外の放射線量を調べてどうのこうのと、本来のSPEEDIの役目と全然違うわけです。それは先ほど、安全委員会も認められているわけですけれども。

 ここにこういうふうに書いてございます。放射性物質が放出されたり、あるいはそのおそれがあるという緊急時に、放射性物質の大気中濃度や被曝線量などを迅速に予測するシステムだ、そして国や地方自治体は、SPEEDIネットワークシステムが予測した情報によって、周辺住民のための防護対策の検討を迅速に進めることができる、こういうことになっているわけですね。百二十八億円投資して、全然役に立っていないわけです。

 質問は、二千枚のデータがあるにもかかわらず二枚しか公開されていない、この判断は文科省がされたんですか、それとも安全委員会がされたんですか。どなたが責任を持ってこれは判断をされたんですか。ちょっと文科省、どうですか。

伊藤政府参考人 御説明します。

 SPEEDIの計算結果でございますけれども、これにつきましては、今回の事故を受けました対応において、専門家から成る原子力安全委員会において、放射線の影響を評価するという観点から、SPEEDIについては原子力安全委員会において運用されるという役割分担をしたところでございます。

 原子力安全委員会においては、これまでも、三月二十三日、四月十一日にSPEEDIの試算について公表したものと承知してございます。

服部委員 安全委員会に任せたということですか、結局、今の答えは。

伊藤政府参考人 今回のSPEEDIの運用につきましては、原子力安全委員会の方にお願いしたということでございます。

服部委員 きのうの東京新聞に「官邸が公表止めた」という記事が載っているんですけれども、この記事を御存じですか、文科省。

伊藤政府参考人 承知してございません。

服部委員 これには、衆議院の科学技術特別委員長の川内氏が文科省に問い合わせたところ、対外公表については官邸からの了解が必要だと文科省が答えておられるんですけれども、これは、文科省としては公表できるという意味じゃないんですか。

伊藤政府参考人 繰り返しになりますけれども、今回のSPEEDIの運用あるいはその成果の公表につきましては、原子力安全委員会において適切に判断されるものというふうに承知してございます。

服部委員 それでは、安全委員会としては、この二千枚のデータを二枚しか出さなかった、これは安全委員会として判断をされたということですね。安全委員会。

代谷参考人 ただいまの件についてお答えさせていただきます。

 安全委員会といたしましては、SPEEDIの結果につきまして、これについては防災関係者の間で、一時間ごとに出るものは使わせていただいている、参考にさせていただいているということでございます。

 それで、先ほど先生がおっしゃいました、SPEEDIがもともと期待されていた役割というのが果たせない状況であったということも事実でございます。

 それはなぜかと申しますと、SPEEDIを運用する場合に一番大切なところは、どれだけのものが、どういうような放射性の核種が放出されているかということがわかって、それで初めて予測というのが成り立ちます。もちろん、気象データも入れて、地形のデータも入れてありますので、そういうことをあわせてということでございます。ところが、今回、放射性物質の放出の源のところがわかりませんでした。そういうことで、安全委員会としては、文部科学省さんがやっておられる測定のデータに基づいて、それをSPEEDIの、先ほど言われました一時間ごとの、そういうものとあわせて、逆計算をして放出源の情報を得てきたというところでございます。推測してきた。

 そういうことで、その精度等の問題がございましたので、現在までに公表させていただいたのが、先ほどおっしゃいました二枚といいますか、そういうところになったということでございます。

服部委員 何かちょっと言いわけばかり聞かされていますけれども、科学者によれば、天気予報みたいなもので、それは一〇〇%は当たらないけれども、その予測を出すのが本来のSPEEDIの目的であって、今の弁明だと、何のためのSPEEDIなんですか。

 それで、私の質問は、では、安全委員会として、要するに二枚しか公表しないということを決められたんですね。それはもう間違いないですね。イエス、ノーでお願いしますね、もう講釈は要りませんから。

代谷参考人 公表の件につきましては、安全委員会として判断したものでございます。

服部委員 新聞に、官邸がとめたという記載がありますけれども、これは誤報だというふうに認識していいわけですか。

代谷参考人 この公表につきまして、そういうようなことがあったという事実は認識しておりません。

服部委員 いずれにしても、ちょっとこのSPEEDI、これは各委員からも指摘がありました。後で放出量を調べてそれを公表するんだったら、スピーディーとは言わないわけですよね。予測をするのがSPEEDIですから。これは今後、責任のあり方の問題も含めて、引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 続きまして、前回、質問して回答を得られなかったわけですけれども、高濃度の汚染水の放出量について、保安院にお聞きします。

 今、放射性物質、どれぐらいの量を放出されたか、数字をお示しいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの二号機から流出をいたしました高濃度汚染水の流出についてでございますけれども、現在、引き続き、周辺海水への影響について調査を継続してございます。具体的に汚染水の放出量を推計するに当たりましては、定量的にどの程度の水量が放出されたのかということを確認することが必要でございまして、現在その確認を行っているところでございます。

 非常に定量化が難しいところでございますけれども、引き続きその推計に努力をしていきたいというふうに思ってございます。

服部委員 先日の各党・政府の合同会議でもこれは議論になりましたけれども、政府の方からも早く出せという指示を出しているということでしたよね。結局、これはいつ出るんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 恐縮でございますけれども、今現時点で、いつ出せるかということを申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、できるだけ早く出せるように努力をしていきたいというふうに思ってございます。

服部委員 私が非常に心配していますのは、先日、保安院から今の海中モニタリングの報告が出まして、沖合三十キロでデータが上がっていますよね。これについて保安院自身が、高濃度の汚染水が漏出した経過があるということを認めておられる。それから、いわゆる放出場所に近いケーブルピットであるとかスクリーン流入水だと、五百二十万ベクレル・立方センチ、あるいは五百四十万ベクレル・立方センチという非常に高濃度の汚染水が発見されているわけですね。

 低レベルの汚染水は六・三ベクレルなんですよね。その比較を単純にしますと、八十六万倍の度数の違いになるわけですよ。そうしますと、この保安院の資料によりますと、一万三百九十三トンの低レベルの汚染水を放出したということなんですけれども、これを割り戻しますと、高濃度の汚染水であれば十二リッターで同等の放射能量になるわけです、もし五百四十万ベクレルのものが出ておればですよ。もし一万トン出ているとすれば、低レベルの八十六万倍の放射能が出ているわけですよね。

 だから、これは私は非常に重大な問題だと思っておりまして、こういったことをきちんと情報公開をするということ。何でいまだにそういう数字、それは確かに、推測しにくいというのは百歩譲って理解できるとしても、大体ミニマムでこれぐらい、あるいはマックスでこれぐらいということを情報開示して警告をするといいますか、そういったことがやはり本来の役目だというふうに思うんですね。そういう意味で、情報公開という意味においても非常に問題があるというふうに言わざるを得ません。

 最後に、松本大臣にちょっと条約の関係でお聞きしたいわけですが、先日の議論の中でも、早期通報条約の第二条、これは通報義務を義務づけているわけですけれども、大臣の答弁は、義務となっている早期通報条約の二条と同様の通報を最初からずっと続けている、そういう御発言をされているわけです。二条に基づくというんじゃなくて、二条と同様の通報をという御答弁をされているわけですけれども、今回の事故以来、国内的には、第十五条、事象発生、あるいは原子力緊急事態宣言発令とかいろいろ続いてきたわけですけれども、この早期通報条約の二条に基づいて正式に通報したということはあるんでしょうか。

松本(剛)国務大臣 国際機関、そして関心の高い近隣の国々などに通報するということは大変重要なことであるというふうに認識をしておりますし、国際社会への情報の透明性というのも大変重要なことであると思っております。

 先ほど改めて御指摘をいただいたチェルノブイリの記述も読ませていただくと、この中にも、情報提供の重要性であるとか情報開示の重要性が記されております。当時はまだ、多分、一党の、ソ連共産党時代ではなかろうかというふうに思いますので、政治体制、メディア体制等も根本的に違う体制であるということは改めて申し上げたいというふうに思っていますが、私どもとしてはできる限りのことをさせていただいていると思っています。

 委員とは、たしか海洋汚染についても議論をさせていただいたというふうに理解をしておりますが、今回、先日もあのように御答弁させていただいたのは、大切なことは、この早期通報条約が求めていることは、やはりできる限り情報を公開して、または、国際機関を初め関係のところには内容のある通報をせよとすることがそもそも早期通報条約の趣旨であるというふうに理解をしておりまして、その意味で、私どもとして、ぜひ、義務的な通報と同様の情報公開、通報をしていくということが大切なことだということで、そのように申し上げてきたところであります。

 ちなみに、もう委員御案内のとおり、法的に、国際法というか、この協定、通報条約そのものを読んでいくと、二条の場合は、第一条で定義する、「他国に対し放射線安全に関する影響を及ぼし得るような国境を越える放出をもたらしており又はもたらすおそれがある事故の場合」の物理的な影響を受けており、または受けるおそれがある国及びIAEAに対する通報を規定しているということで、具体的にこれを解釈していけばどのような通報かということの議論ができると思いますが、大事なことは、二条と同様の通報をずっと私どもがしているということではないかと思いましたので、そのように答弁をさせていただきました。

服部委員 ちょっと全然、大臣は煮え切らないというか、要するに、条約の趣旨に沿っては対応しているけれども、この条約二条に沿ってやっているわけではないよ、こういう答弁ですよね、今のは。そうですよね。いや、ちょっとそれは、当初、どこまで被害が広がるかわからない、判断がつかなかったとか、いろいろあるのかもしれませんけれども、このレベル7という今の局面において、今でもそういう御認識なんでしょうか、条約に対する解釈として。

小平委員長 大臣、簡潔に答弁ください。

松本(剛)国務大臣 レベル7そのものは、先ほどもお話がありましたけれども、事象評価をしたものであって、これによって何か新しいことが起こったとか、そういうことではないというふうに理解をしております。

 今委員から御指摘もありました高濃度汚染水についても、政府としても、海洋についてもモニタリング調査を行って、そのデータも発表しているところだと思いますけれども、またSPEEDIも同じような話だったと思いますけれども、もとをはかることができないので、いわば出た先からもとがどのぐらいであったかをはかろうとしているということで、なかなか数字が出てこないという点で御指摘をいただいているんだろうというふうに思います。

 我々としても、しっかりとこの状況を把握していきながら、日々どういう状況で、私どもが国際法上もどういうことをしなければいけないかということには遺漏のないようにしてまいりたいと思っております。

服部委員 大臣らしくない、煮え切らない返事だというふうに言わざるを得ないわけですけれども、今後とも、国際社会の信用を高めるためにも、しっかりした情報開示をお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、第百七十六回国会提出、図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣松本剛明君。

    ―――――――――――――

 図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本(剛)国務大臣 ただいま議題となりました図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、朝鮮半島に由来する図書を韓国政府に対して引き渡すための協定の交渉を行いました。その結果、昨年十一月十四日に横浜において、我が方前原外務大臣と先方外交通商部長官との間で、この協定の署名を行った次第であります。

 この協定は、我が国政府が附属書に掲げる図書千二百五冊を韓国政府に対して引き渡すとともに、両国政府がこれらの図書の引き渡しによって両国間の文化交流及び文化協力の一層の発展に努めることを定めるものであります。

 この協定の締結により、両国間及び両国民間の友好関係が一層発展することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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