衆議院

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第3号 平成26年3月7日(金曜日)

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平成二十六年三月七日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    鬼木  誠君

      河井 克行君    木原 誠二君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      田畑  毅君    渡海紀三朗君

      東郷 哲也君    星野 剛士君

      武藤 貴也君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    玉木雄一郎君

      松本 剛明君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  由木 文彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  近藤 正春君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 福島  章君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     田畑  毅君

  松本 剛明君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     鬼木  誠君

  玉木雄一郎君     松本 剛明君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     石原 宏高君

    ―――――――――――――

三月六日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

同月七日

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉からの即時撤退と批准しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八一号)

 思いやり予算の削減・廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二〇号)

 日米安保条約の廃棄に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二一号)

 米軍への思いやり予算の中止等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官福島章君、内閣官房内閣審議官由木文彦君、内閣審議官山崎和之君、内閣審議官前田哲君、内閣法制局第一部長近藤正春君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、外務委員会で質問する機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうはまず、三月三日の北朝鮮ミサイル発射事案に関する件を中心に質問したいと思います。

 このミサイル発射は、NSC、国家安全保障会議が設置をされて初めてのミサイル発射事案でありまして、これに対してどう対応していくのかというのは、今後のNSCの運用といったようなことを考える上でも極めて重要だと思います。我が党も、修正を出して、全部ではありませんけれども、その一部が受け入れられ、NSC設置法案については賛成をした立場でありますので、ぜひ運用でうまくいくように、そういった意味で、建設的な観点からきょうは質問したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 お手元に資料を配っておりますが、これは、事務方からいただいた「三月三日北朝鮮ミサイル発射対応クロノロジー」というものでございます。

 まず質問をしたいのは、六時台に、飛翔体一、飛翔体二が、六時二十分、三十分と、朝の早い時間に発射をされております。こういった事案を結果として国民が知ることになったのは、一番下に書いていますけれども、二十三時四十五分、つまり、日付が変わろうとする深夜に初めて事実関係が公表されております。

 NSCが設置をされ、いろいろな情報については、収集、分析、こういったものが省庁の壁を越えてよりスピーディーに円滑にできるということで、むしろこういった情報発信については早まるのではないかというような期待もあったわけでありますけれども、ここにもありますように、韓国の国防部が午前中の十時半に発表していることと比べても、深夜に発表したというのは、私は、極めて遅いのではないのかという印象を受けます。

 この点について、まず、公表が遅いのではないのかということについて聞きたいと思うんですが、その前に、こういったミサイル発射事案について、二十三時四十五分に発表されました。紙を見ると、内閣官房、外務省、防衛省という三つの部局の連名のクレジットで出されておりますけれども、こういった事案についての対外発表を行う際に一義的責任を負う部局はどこなのか、まずこれをお答えください。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、二十三時四十五分に発表いたしました紙は、内閣官房、外務省、防衛省、三つの機関の連名でございます。これは、このような発表に当たって、いろいろと、事実関係の把握、分析、評価等はこの三つの機関が主として行うというのが実態でございまして、したがいまして、ここに書かれている内容は、この三つの機関の知見を持ち寄って作成されているわけでございます。

 したがって、この内容自体は内閣官房で取りまとめをいたしておりますので、発表に当たりましては、物理的には内閣官房から出させていただきましたけれども、内容的な責任につきましてはこの三つの機関で負うべきだということで、こういう形にいたしました。

玉木委員 私が聞きたいのは、役所はもちろん、いろいろなところが関係して物事を決めていくんですが、いろいろなところが絡むからこそ、判断が遅くなったり、ある種、自分の責任じゃないと。

 責任はあるけれども、私があえて一義的責任と聞いたのは、自分が責任を持って判断をしなければいけない、こういう意識を持ったのが、NSCを設置して以降、一体どこにその一義的な責任があるのか。特に、対外的な公表、国民とのリレーション、こういったものについて、一義的な責任は一体どこにあるのかということを私はまず明確にする必要があると思っています。

 事態対処については内閣危機管理監がやるし、ただ、外交、防衛の観点から見ると国家安全保障局長が一義的責任を負う、こういうデマケなんだと思うんですが、今お答えいただいたように、いろいろなところがそれぞれ関係します。内閣官房が一応発表の、張り出しをしたんですかね、そういったところは担当しましたけれども、ただ、どこが一義的な責任を負うかについては明確じゃなかったんですが、この点については、対外発表についてどこが一義的責任を負うのか、もう一度お答えいただけますか。

山崎政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この北朝鮮の発射事案につきましては、内容として、それぞれ、防衛省、外務省等の情報を集積して対応しているところでございます。

 先生から御提示がございましたこのクロノロジーにも書かれていますように、例えば防衛大臣におかれては、防衛省で認識されていることについて、三月四日の朝、大臣御自身から見解を述べられておりますけれども、このように各機関からそれぞれ適時に情報を国民の皆様にお伝えしていくということも非常に重要だと思います。

 一方、政府各機関で統合的にきちんと国民の方々に情報をお伝えしていくということについても、調整が行われていなければいけないということは認識しておりまして、それにつきましては内閣官房が全体の取りまとめをいたしておりますので、責任感を持ってやるべきであるというふうに考えております。

玉木委員 これは多分、何回聞いても同じ答えだと思うんですね。

 内閣官房が責任を持ってということなんですが、先ほど申し上げたように内閣官房にも二つあって、事態対処をする危機管理監がいるし、外交、防衛の観点から総合的に調整を行う国家安全保障局長がいる。同じ内閣官房の中でも、では、どちらが主導的にするのか、事案の内容によっては担当が変わるのか変わらないのか、そういったことについては、私は、標準的な行動基準というか、そういうものをもう少し決めておいて、瞬時に動けるようにしておくことが大事なのではないかなというふうに思っています。

 その観点で、同じくお配りしている資料の中にありますけれども、今言及もありました防衛大臣の三月四日の会見であります。ここに書いてありますように、なぜおくれたのかという質問に対して、次のようにお答えになっておられます。「北朝鮮に正式に抗議をする内容だということが政府内で一つの方向として出ましたので、私どもとして今回公表したということであります。」ということですね。公表が二十三時四十五分になったことについての理由を問われ、防衛大臣はその理由として、抗議をする内容だということが政府内で一つの方向として出たのでこのようなタイミングでの公表になったというふうなお答えをされています。

 これは私、最初に読んだときによくわからなかったです。発射から十七時間たってからしか発表できない理由が、北朝鮮に抗議するということが政府内で一つの方針になったのでこのタイミングということについては、理由として正直合点がいかないところがありますけれども、改めて、公表のタイミングがミサイル発射から十七時間たって二十三時四十五分になったことの理由をお答えいただけますか。

山崎政府参考人 六時二十分、三十分ごろに発射をされた直後から、内閣官房におきましては、国家安全保障局、それから先生から御指摘ございました事態対処・危機管理室、それから内閣情報調査室、外務省、防衛省との間で速やかに連絡をとり、先生の御提示ありました紙にも記されているように、数次にわたり会議を行いながら、事実関係の把握、情勢の分析等を行いました。

 その中で、まず最初に対応として重視いたしましたのは、国民の生命財産に直接の被害が出るような事案かどうかということについての確認でございました。また、同時並行で、ミサイル発射自体の事実関係についての分析、それから、アメリカや韓国等関係国との連携を図りながら、対応ぶりについて検討したわけでございます。

 先生から御指摘ございましたように、政府としてこの事実関係の発表は二十三時四十五分ということになりました。これについては、政府一丸となって適切な対応に努めてきたところでございますけれども、公表に時間がかかり過ぎたではないかという先生からの御指摘については、真摯に受けとめて、今後さらに努力をして改善を図っていきたいというふうに考えております。

玉木委員 今、重要な答弁をされたんですね。

 二十七日にもミサイルが発射されていますね。これは、大臣の会見の中にありますけれども、我が国の安全保障上問題がないからといって公表しなかった。今回の事案についても、ある意味、すぐに公表しないということで、安全保障上の問題は、発表の中では、航空機や船舶の安全確保の観点から問題があったのでということで言っていますが、大臣の会見を見ると、安全保障上の問題よりも、むしろ抗議するかどうかが発表するか否かにとって重要な判断材料になっていることを会見の中では示唆しています。つまりこれは、事態対処の問題というよりも、外交上の問題に重きを置いて発表するかどうかを判断し、そしてそれが、遅くなったというふうにお認めになりましたけれども、二十三時四十五分だったということ。

 私が一番最初に対外発表についての役割分担をお伺いしたのは、この小野寺防衛大臣の会見を読むと、今回の発表は、安全保障上は、実際、例えば船舶がそれで破壊されたりとかはなかったわけでありますし、そういったことは、多分、早期の段階で分析が済んでわかっていたんでしょう。仮に影響があるのであれば、それは速やかに公表する必要があると思いますから、ある意味、時間をかけたけれども発表に至ったのは、今回のケースも、例えばそれほど実害がないのであれば発表しないという判断もあったでしょう。ある種、我が国のインテリジェンス機能を公表しない、知られないという観点から、二十七日と同様な対応も考えられたんでしょう。

 しかし、今回は発表したというのは、北朝鮮に抗議をするからという理由で発表しているんですね。あるいは、少なくともその要素が入っているということは、防衛大臣の会見の中からも明らかだと私は思います。

 何が申し上げたいかというと、先ほど言ったような内閣危機管理監の仕事と、そして事態対処をするという観点に加えて、外交や防衛の総合的な観点、視野、こういったものを入れて対外公表をやはり考えているということだと思いますけれども、そこにはやはり、今回設置をされたNSC、事務局たる国家安全保障局の判断が入っているんだと思います。これは悪いことではないと思います。

 伺いたいのは、北朝鮮に抗議する方向が政府内で一つの方向として出ましたのでということをおっしゃっていますが、この北朝鮮に抗議するということが政府内でまとまったというのはいつで、何をもってこの北朝鮮に対して抗議をするということを政府の決定として行ったのか、何をもって政府の抗議の決定をしたと言えるのか、その点について教えてください。

山崎政府参考人 北朝鮮に対する抗議につきましては、ミサイル発射事案の具体的な事実関係、それからそれが我が国の安全保障上にどういう形で影響があるかということを主として勘案いたしまして決定をしております。その際には、外務省それから防衛省の意見及び知見を集積した上で判断をしております。

 先ほど先生から御指摘ございました三月四日の防衛大臣の会見の中で、今回の発射については、「推定落下地点付近を航行する航空機や船舶の安全確保の観点からも、極めて問題のある行為だということで厳重に抗議を致しました。」ということを防衛大臣も述べられておりますけれども、この点は、やはり我が国の安全保障上、こういう可能性があるということは非常に重大なことであるというふうに認識しております。

 したがいまして、抗議をするかどうかというのは、発射がどういう形で行われたか、例えば、今回の三月三日の事案につきましては弾道ミサイルであるというふうに認識しておりますけれども、ミサイルの形態がどういうものであったか、また、それがどういう形で飛び、どこに落下したか、そこの場所が我が国の安全保障上どういう影響を受ける地点であるかというようなことを総合的に勘案して、抗議をするかどうかということを関係機関で諮って決めるというプロセスでございます。

玉木委員 今の答えはよくわからないんですね。どういうものを公表し、どのタイミングで公表していくのかについては、ルールが非常にばらばらのような気がします。もちろん、NSCが発足して間もないので、そういった一連の過去の事例の積み上げがまだ少ないのはわかるんですけれども。

 例えば、翌三月四日です。これは韓国の国防部が公表していますけれども、三月四日の午後四時十七分、ロケットが発射されているというふうに言われています。しかも、発射の七分後、軌道の六マイル先を成田空港発の航空機が通過しているというふうなこともあわせて言われております。

 もしそうだとしたら、これは事実関係を日本は発表しておりませんけれども、もし答えられるのだったら事実関係がどうなのかということをお答えいただきたいんですが、仮に韓国側が発表したことが事実であれば、我が国の航空機、少なくとも我が国の飛行場発の航空機に対して、極めて近接した時間で、近接した距離でロケットが発射をされ、軌道を描いているということについては、我が国の安全保障にとって極めてこれは重大な事案じゃないんですか。

 三日の案件については、おくれたとはいいながら公表しておりますけれども、成田空港発の民間航空機の近くを、多少時間のずれはありますけれどもロケットが通過をした、こういったことは逆に公表しないというのは、何をもって公表し、何をもって公表しないのかということがよくわからないんです。

 まず、もし、三月四日の件について何か公表できること、あるいは事実を把握していることがあれば教えていただきたいのと、同じミサイル発射、ロケット発射、こういったことについて、何を公表し、何を公表しないのか、何か今現在で基準があれば、あわせて教えていただきたいと思います。

山崎政府参考人 どういう案件について公表し、しないのかという点についてでございますけれども、基本的には、我が国の安全保障に直接の影響を及ぼす事態かどうかということが非常に重要な基準であるというふうに考えております。

 また、情報を発表等するに当たっては、相手側から見ると、我が国の情報収集能力等がその発表の内容を通じて把握できる事態も想定されておりますので、その面も考慮しながら、あくまでも基本は、我が国の安全保障に直接の影響を及ぼす事態かどうかということを注視して判断をしてきているところでございます。

 先生から今御指摘ございました三月四日の報道されている事案でございますけれども、これは、まず、そういう事態があったかどうかを含めまして、報道されている内容につきましては、我が国の安全保障に直接影響を及ぼす事態であるというふうに現時点においては判断する状況にはございませんので、先ほど申し上げたようないろいろな観点も考慮しながら、現在のところ特段の発表はしておりません。

 同時に、民間航空機の近くというか、時間的に近いタイミングでそういう事態があったという報道、情報がございましたので、それについては政府の方でフォローしておりますけれども、例えば航空機自体の認識として、そういう差し迫った事態があったという認識は持っていなかったということは把握をしております。

玉木委員 何度聞いてもよくわからないのですが、一つは、対北朝鮮を考えると、少なくとも日米韓の連携は極めて大事ですね。これは当然だと思います。それぞれが情報を全て抑えて、いろいろな安全保障上の観点から抑えて、三国とも発表しないというならわかります。ただ、二十七日の発射については、アメリカ側は出しています。韓国側も出していますね、たしか。四日の案件については、韓国側は出している。

 NSCができたのは、そういうまさに安全保障コミュニティー、防衛コミュニティー、こういったところの、やはり相互の、特に日米韓の連携を情報上より強固にしていくということも趣旨だったと思うんですが、一方の国で発表し、インテリジェンスの能力を知られたくないので私どもは発表しませんと。何かちぐはぐな関係が非常に見え隠れして、こういった対外発表のあり方についても、せっかくNSCができたわけですから、タイミングとか、もちろんそれぞれの国の事情はあるでしょう。ただ、今はこれだけ情報が世界じゅうで瞬時に共有できるわけでありますから、やはり情報の共有とその出し方についても、関係国との連携というものをよくとった上でタイミングよく出すとか、あるいは同じような説明をするとか、そういった総合コーディネーションというのはこれから非常に必要になってくるんだと思います。

 ですから、今回初めてのケースなんですが、特に対北朝鮮をどう考えるかというのが、我が国の防衛そして安全保障においては大きなトッププライオリティーの一つでありますから、今回のことを一つの事案として、関係国との連携のあり方、特に対外的な情報の出し方といったようなことについても、何か一つの基準というか、標準的な振る舞いのありよう、こういったことを事前に少し定めた方がいいと私は思いますので、ぜひ検討いただきたいなというふうに思います。

 続いて、質問を少しかえたいと思うんです。

 先ほどのクロノロジーに少し戻っていただきたいんですが、三月三日の月曜日というのは、大変速い審議で二十六年度予算案の審議が進んで、私、予算委員会のメンバーですから、二十八日に衆議院は上がり、そして参議院の予算委員会に移った日だと思います。テレビ入りで、岸田外務大臣もそして総理も、関係大臣ずっと予算委員会に張りついていた日だと思うんです。

 質問をしたいのは、NSCの議長たる総理に対しての情報伝達のあり方です。

 六時二十分、三十分、朝早い時間に発射があったということでありますが、このクロノロジーを見ると、六時四十分、飛翔体二の発射から約十分ぐらいで、秘書官を通じて総理には第一報が入っていますね。これは私は早い対応だったと思います。

 この間ずっと、先ほど申し上げたように予算委員会が開かれていますから、次に総理という言葉が出てくるのがどこかなと思ってずっと見ると、十八時二十分のところに「官房長官説明。終了後、総理説明」というふうにあります。

 今回の事案に関して、総理大臣に、NSCの議長たる総理に案件のことについて直接説明したのはいつなのか、改めて御説明いただけますか。

山崎政府参考人 総理への御報告のタイミングというかプロセスでございますけれども、この御説明用の紙に書かれておりますように、最初、六時四十分に秘書官を通じて総理にそういう事態が発生したという御報告が行って以降、その状況に応じまして、秘書官を通じまして総理に対して御報告を上げてきているところでございます。

 したがいまして、十八時二十分、官房長官への説明、その後の総理への説明というのは、この時点、十七時五十分の関係省庁局長会議におきまして、事態の分析というのが、当日把握できる情報等については集積ができ、こういう事態であろうという比較的固まった状況というのが、関係国の動向等も含めて固まりましたので、そこで改めて総理への御説明を入れさせていただいたということでございます。

 ということで、三月三日、四日、このクロノロジーの間におきましては、秘書官を通じて総理に説明を入れていったということでございます。

玉木委員 ちょっと正確にお答えいただきたいんですけれども、今説明を聞いて思ったのは、この間、総理への説明は全て秘書官を経由したものですか。十八時二十分のところに「官房長官説明。終了後、総理説明」とありますけれども、これも秘書官経由ですか。

山崎政府参考人 さようでございます。

玉木委員 ということは、本件事案に関しては、NSCが設置をされ最初の北朝鮮ミサイル発射事案である本件については、結局、総理に対して直接説明することは一度もなかったということですか。

山崎政府参考人 三月三日の事態発生後、三月四日の午前中までの間のプロセスにつきましては、総理に対して秘書官を通じて、ただし、把握しています情報につきましては適宜適切に総理にお伝えをして、また、指示も仰ぐことができたというふうに認識しております。

玉木委員 お答えいただいていないというか、結局、秘書官を通じて、もちろん、予算委員会を開いていますから、ずっと座っているときにはなかなか難しいと思いますが、この十八時二十分、総理動静というのをあわせてつけていますが、総理はこのあたりも、予算委員会が終わった後もお忙しそうなんですけれども、札幌市長選挙に立候補する方との写真撮影が五時台とかに入っていますし、自民党の役員会にも行かれています。総裁室にも行かれています。その後、拉致問題に関する政府のレセプションなどに行かれていますが、短い期間でも、総理に直接やはり御説明をする、そういった機会をちゃんと持つべきだったのではないですか。

 というのは、NSCの議長たる総理は、平時においては、NSCは、平均二週間に一回ですか、四大臣会合を開くし、何か重要なことがあれば九大臣会合がある。そして、今回新設されましたけれども、緊急事態大臣会合というものを緊急事態への対処としてつくれるようになっていますね。

 会議の招集権限は、基本的には総理にあると思います、議長たる総理に。もちろん、秘書官を通じていろいろな情報を入れていくということはされていたと思いますけれども、外交上の観点、防衛上の観点、単なる事態対処というものを超えて、NSCを開いて、ここはある種外交的な観点を入れて、先ほど少し防衛大臣が会見の中で発言していましたけれども、抗議をするとか、あるいはインターナショナルコミュニティーに対して何かメッセージを発するとか、そういったさまざまな観点があろうかと思うんですね。

 しかも、NSCができて最初の北朝鮮ミサイル発射事案です。このことを総理に直接説明することなく終えていることについては、私はやはりいささか問題ではないかと思います。総理に直接説明をした上で、ああ、これはもういいよということを総理が御判断されればそれでいいですけれども、何か秘書官を通じてお耳に入れておきますよということでは、私は、対応としては少し不十分だったのではないかなというふうに思います。

 このことについてお考えを聞かせていただきたいと思います。

山崎政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、今回の事態に当たりましては、私ども国家安全保障局といたしましては、総理に対して、秘書官を通じて、何度も、事態の具体的な内容、それから対応ぶりについては御報告を申し上げ、また、御判断を仰いで適時適切に対応をしてきたというふうに考えております。

 一方、情報の共有のところで申し上げましたけれども、より迅速な公表等も、この公表につきましても、公表しますということを総理のところにも御了解を得るわけでございますので、全般のプロセスといたしましては、私ども、今回の事例も踏まえまして、より改善すべきところは改善して、きちんとした対応を緊張感を持ってやっていかなければいけないというふうに考えておりますので、そういう努力は引き続き続けていきたいというふうに思っております。

玉木委員 もう時間なので、最後に聞きたいのは、このクロノロジーをもう一回見ていただきたいんですが、私は、総理説明と書いてもちょっと誤解があると思いますよ、これは。上の方は秘書官を通じて総理に説明しているんだけれども、下は総理説明と書いて、あたかも直接説明したかのように書いていますけれども、これも秘書官経由であれば、秘書官を通じて総理説明と書くべきではないですか。

 質問したいのは、十八時二十分、総理説明、多分最後の決済をとったんでしょう、いろいろな意味での。しかし、この十八時二十分に総理説明してから実際に発表するまでに、ここからまたすごく時間がかかっているんですよ、五時間ぐらい。関係省庁の局長級会議や課長級会議を終わらせ、最後、総理に予算委員会が終わった後説明して、多分、いろいろなことを確定させたんでしょう、政府としての意思、対応。しかし、そこからなお、二十三時四十五分、事実関係の公表まで五時間近くかかっていることについては、これはなぜですか。

山崎政府参考人 御指摘の時間帯でございますけれども、我が国のその時点での対応ぶり、北朝鮮への抗議のあり方等についての事務的な調整を行っていた時間帯ではございますけれども、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、公表に時間がかかり過ぎたという御指摘につきましては、しっかりと受けとめて、より万全を期すようにしていきたいというふうに考えております。

玉木委員 北朝鮮への抗議のありようについて調整に手間取ったということなんですけれども、この三月三日の二十三時四十五分に発表された一枚紙を見ると、何か難しそうな抗議をしているんじゃなくて、極めて問題のある行為で、厳重に抗議します、北朝鮮に引き続き自制を求めるとともに、米韓との緊密な連携をとっていきますということだけですよ。

 きょう申し上げたのは、私は、NSCを応援する立場で質問させていただきました。外務省と防衛省でなかなか調整がつかないとか、こういったことはよく言われてきましたね。NSCができ、かつ、我が国が最も備えなければいけない危機の一つが、多分、この北朝鮮のミサイル発射事案だと思います。たまたま今回は我が国の安全保障上それほど影響はないということなんですが、これが本当に影響のあるものであったら、こういったぬるい対応では我が国の安全保障上極めて問題だと私は思いますので、今回のことをしっかり検証して、そして、同種同様の事案が起こったときにはより速やかに、円滑に対応が図れるように、関係部署との役割分担や対応のルールについてあらかじめ定めることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 幾つか大臣に質問があったんですけれども、時間が足りなくなってしまったので、おわびを申し上げ、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 ちょっと関連してお尋ね申し上げます。

 今のミサイルの発射の関連ですが、まさにこういうときのために国家安全保障会議というのは設置されたんだと思います。これは、国家安全保障会議の名で発表するということはあり得ませんか。

山崎政府参考人 先ほど玉木先生からの御質問の際にも申し上げましたが、国家安全保障局、及び、同じように内閣官房にございます事態対処・危機管理室の両方で車の両輪となって、こういう事態が起こったとき、内閣官房として、調整、それから政府全体の動きを推進していかなければいけないというふうに考えております。

 一方におきまして、こういう事態につきましては、どういう事態が起きているのか、それから、諸外国との連携、これも非常に重要な要素でございまして、それらが全て加味されたものが政府全体として外に出ていくものであるというふうに認識しておりますので、引き続きまして、この三つの機関で協力し合って、かつ、外に対しての説明責任もそれぞれの役割を担いながらやっていくべきであるというふうに考えております。

小川委員 確かに、今の法律のたてつけだと、総理大臣に対して意見を申し上げる機関ですよね、国家安全保障会議は。しかし、その所掌事務で、二条六号は周辺事態対処に関する重要事項でしょう。八号は国防に関する重要事項ですよね。これは恐らく、評価として武力攻撃事態や重大緊急事態には当たらないでしょう。しかし、これは、周辺事態対処に関する重要事項、国防に関する重要事項には当たるんですか、当たらないんですか、日本近海でミサイルが発射されたという事態は。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 周辺事態につきましては周辺事態法という法律で規定をされておりまして、基本的には、周辺事態に際しての基本計画、これをつくった時点で周辺事態だということになるわけでございますので、今回の事態ではそこまでは行っていないというふうに理解をしております。

小川委員 国防に関する重要事項は。

前田政府参考人 お答えいたします。

 国防に関する重要事項、これも、その時々の事態、事象に応じて判断をすることになろうかと思いますが、今回のケースでありますと、ミサイルを発射してそれが日本海に落ちた、我が国の国民の生命財産に直接の影響を与えていないということが直ちに確認をされておりますので、それには該当していないというふうに考えてございます。

小川委員 無警告で突然発射するという事態は、与えていないかどうかは重要ですよ、もちろん。与えるおそれはあったのかなかったのか。あるいは、無警告で突然発射されると、重大な事態、影響を及ぼす可能性は、今後も含めて私は大いにあると思います。極めて許すべからざる行為であり、大変な事態、結果をもたらす可能性だってあるじゃないですか。こんなときに動かない会議だったら要らないでしょう。なぜ開催しなかったのか、緊急の会議を。

山崎政府参考人 先生御指摘のように、今回の事案につきましては、航行船舶及び航空機等の安全に対して非常に危険な発射でございまして、我が国としても非常に重大な事案であるというふうに考えております。

 一方におきまして、今回の対応は、先ほどから御提示させていただいておりますクロノロジーにおきまして、政府内の関係機関の局長級の会議を開きまして事態に対しての対応を協議して、それによって対応を進めていく、そして、内閣官房におきましては、総理、官房長官等への御説明及び判断をいただくということで対応を進めていくことで万全を期せるというふうに考えましたので、こういう経過をとったわけでございます。

小川委員 これは、安全保障会議を開かなくていい、その事態に当たらないと誰が判断したんですか。この九時半の関係省庁局長級会議というのは、これはNSCと関係があるんですか、ないんですか。任意ですか。誰が、どこで、いつ判断したんですか。

山崎政府参考人 この関係省庁局長級会議でございますけれども、NSCで開催をしております。

 御質問のございました、国家安全保障会議自体を招集するかどうかということにつきましては、会議の事務局である国家安全保障局としては、会議を開催する必要までは認められないというふうに考えた次第でございます。

小川委員 それはこの場で意思決定したんですね、開催の必要はないと。

山崎政府参考人 当然、私ども国家安全保障局は国家安全保障会議にお仕えする機関でございますので、開かなかったということは、国家安全保障局の中では、そういうプロセスで進んでいこうということで対応していったということでございます。

小川委員 お忙しい中、副長官、副大臣にお越しいただきまして、ありがとうございました。

 確かに、今回の結果が直ちには重大な影響を及ぼさなかったということについては安堵いたしますし、それはそういうことだと思います。

 しかし、先ほど来申し上げておりますように、当然許すべからざる事態ではありますが、事と次第によっては、しかも、偶然そこに船舶なり航空機なりがあれば、大変な事態になりかねない行為であります。こういうものに対して、政府として、非常に上位のレベルで、危機意識を持っているということに対する認識の表明も必要でしょう。対外的にきちんとした対応を行うことも必要だと思います。

 そういう意味で、ちょっとお二方、せっかくお越しをいただきましたので、特に防衛省にお聞きします。お答えになりにくいことは承知の上でお尋ねします。

 技術的に事前にこういうことは察知できたのかどうか。今後も似たような事態があり得ると思いますが、こういう事態に対して国民の安全なり生命なりをどう守っていくかということ、技術的なことを含めてですね。そして、政治姿勢の問題として、先ほど来議論になっているような危機管理のプロセス、対外的な発信、国民に対する説明、今回の事態を踏まえてどうお考えになるか、それぞれのお立場からちょっとお答えいただきたいと思います。

若宮大臣政務官 小川委員御指摘のとおり、大変重大な問題だというふうに私どもも認識をいたしているところでございます。

 防衛省といたしましては、平素から、北朝鮮のミサイルにつきましては重大なる関心を持って、情報収集、警戒監視に当たっているところでございます。特に、委員御指摘の三月三日の時点では、アメリカと韓国の連合演習が行われている最中でございました。北朝鮮がこれに強く反発をいたしていることは御承知のとおりでございます。こういう点からも、私どもとしましても、万全の体制で情報収集そして警戒監視を行っていたところでございます。

 ただ、個々の情報の内容につきましては、当方の情報収集能力等にかかわることもございますので、この場での御説明は差し控えさせていただければと思っております。

 いずれにいたしましても、関係省庁等と連携いたしまして、国家国民の安全を守るために全力を尽くしてまいる、そういう覚悟でございます。

加藤内閣官房副長官 今お話ありましたように、一連の流れはもう既に説明されておりますので、はしょらせていただきますけれども、私どもとしては、まず、我が国国民の生命財産に直接の被害が出ていないということ、そして、ミサイル発射についての分析を行い、また米国、韓国等関係国とも連携を図った中で、我が国としての対応ぶりということで一連の対応をさせていただいた、こういうことでございます。

 ただ、いずれにしても、政府としては、やはり国民の安心、安全をしっかり確保していくという観点に立って今後ともしっかりと対応していきたい、こういうふうに思っております。

小川委員 二度とこんなことがないことをもちろん望みますし、しかし、無警告で突然発射してくるというのは、ちょっと不用意なことは申し上げられませんが、やはり、体制が変わってからの北朝鮮の、国際的な威嚇なり、そういった行動についての相場観ですよね。ある意味で、よくも悪くも経験の長かった前体制に比べますと、非常にそこは、不安定さとか、不測の事態に対するリスクというのは、北朝鮮の国内的にもそうですし、この極東、近海を含めて、対外的にも極めて予断を許さないという緊張感が今まで以上に必要だということをすごく私は感じています。

 そういう意識は当然国民の間にも多いはずでありますし、改めて、それにたえ得る対応といいますか、過剰と思えてもいいと思うんですよね、この際。過剰と思えるような対応でいいと思います。そういう対応をぜひ心がけていただきたい。改めてお願い申し上げます。

 どうぞ、お二方、御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

 関連してちょっと、同日行われた北朝鮮との間の赤十字対話についてお尋ねさせてください。

 これは、当然、政府と緊密な連携のもとで行われている会議だというふうに理解をいたします。ここに出席されたのは北東アジア課長の小野さんだというふうに理解をしておりますが、小野課長も、この同じ日、六時台にミサイルが発射され、十時台に韓国の国防省が発表し、そしてその間、日本政府の中でも、さまざまな対応、調整が水面下で行われていた。

 十時半に会議がスタートしたというふうに聞いておりますが、これは、ミサイルの発射の事実を知った上で、日朝間の赤十字対話、そして政府間の非公式な協議に臨んだのかどうか、そこをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 もちろん、今回の赤十字会談には、政府関係者として小野課長が同行しております。政府としましても、今回の日朝赤十字会談につきましては、緊密な連携のもとにこうした会談が進められた次第であります。

 ですから、今回、赤十字会談とあわせて、一年四カ月ぶりに日朝政府間の非公式意見交換も行われました。その際に、北朝鮮に対しまして日本側のさまざまな問題意識を伝えましたが、この中に、このミサイルの発射の問題、これも含まれております。

小川委員 二〇一二年の十一月以来の会議であります。もちろん、遺骨の収集を含めて話題は広い、また人道的観点もあろうかと思いますので、こういった会議体で積極的に対話するということは望ましいことだと思います。

 しかし一方で、こうした事態に当たって、二〇一二年の例でいえば、翌十二月にミサイルが発射されたことをもって会議が中断していくわけであります。

 そういう意味では、この発射された当日に、外目にはですけれども、あたかも何事もなかったかのように対話が行われ、当然、会議体の中では言及されたんだと思いますが、次回以降の会議についても、厳重な抗議なり、あるいは中断も辞さない強い姿勢がそれほどうかがえないというふうに私は受けとめておりますが、これも今後、そういうことで積極的にやっていくということでよろしいんですか。

岸田国務大臣 まず、今回の赤十字会談ですが、朝鮮赤十字会から日本赤十字社への呼びかけによりまして、戦後未解決の重要な問題であります日本人遺骨の問題について議論するために、日朝の赤十字間で人道的観点から開催されたものであります。まず、基本的に、この日朝赤十字会談は、人道的観点から開催されたものということであります。

 また、先ほども申し上げましたが、あわせて行われました非公式の意見交換、この久しぶりの日朝政府間の非公式の意見交換において、日本側のさまざまな問題意識を伝え、その中において、このミサイル発射の問題も含まれているわけですが、こうした機会を捉えて我が国として北朝鮮に言うべきことを言う、こういった形でこういった場を活用するという意味では、意味があったというように考えております。

 そして、今後につきましては、現時点ではまだ何も確定しておりません。おっしゃるように、今後のさまざまな動向もしっかり注視した上でこれは判断していくべき問題だと考えています。

小川委員 事と次第によっては、これは会議の数時間前にミサイルを発射した相手ですから、厳重に抗議をし、会議を流す、あるいは席を立って帰ってくるということがあってもおかしくない事態だったというふうに感じます。そういう意味では、なれっこになるのが一番怖いと思うんですよね、このミサイル発射に関連して。

 しかも、警告した場合はそれなりに事前の対応をとれると思います、だからといって許されるべきことではありませんが。しかし、本当に無警告で発射してくるというのは、もう危険きわまりない事態でありまして、そこは、同日、まさにその日に、外目にはですが、あたかも何事もなかったかのように対話が行われているということ自体の違和感、これについては、先ほどの発射に関連した対応とも絡みますが、やはりもう少し断固たる姿勢といいますか、高度に政治的に意識をした国際的対応といいますか、こういう部分が両輪相まった発信がなされませんと、これは国内的にも国外的にも誤解されるんじゃないかと思いますよ、日本は許容しているんじゃないかと。

 そのことについては、大臣、これはもちろん人道上の問題もあると思いますし、いかなる形とはいえ対話のチャンネルがあるということは重要だと思います。しかし、それと、この事態に対する、しかも同日ですから、少し日本政府の対応が鈍感なんじゃないかと思われかねないことについては、極めてこれは意識をしていただくことをお願いしたい。御答弁をお願いします。

岸田国務大臣 今回の日朝赤十字会談につきましては、三月三日、まさに委員御自身も、また先ほど玉木委員も御指摘になっておられたように、政府内でこういった事態を受けてさまざまな検討、対応が行われていた、こういった状況と並行してこの会議が行われたわけであります。

 基本的に人道的な観点からの会議でありましたが、三月三日、こうした慌ただしい状況の中で会談が行われ、そしてその際、あわせて行われました政府間の非公式意見交換においては、こうしたミサイル問題についても、問題意識の中で先方に伝えた次第であります。

 そして、この事態をしっかり整理した上で、その後、三日の日に御指摘の北朝鮮が発射した弾道ミサイルについては、我が国の安全に直接的な被害を及ぼす懸念もある危険な行為であり、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に対して厳重な抗議を行い、そして安保理決議の即時完全な履行も求めたということでありました。

 御指摘の点、考え方は大変重要だというふうに思いますが、三日のこの会議のありようについては、そういった事態の中で開催された、人道的な観点から開催されたものであるということは御理解いただきたいと思いますし、今後につきましては、北朝鮮の今後の動向をしっかり注視していきたいと考えています。

小川委員 人道的ということは、恐らくさまざまなことに優先すると思います。しかし、全てに優先はしないと思います。これは、日本国としての政治姿勢、さまざまな周辺状況を含めて、人道的という言葉は全てに通用する免罪符ではないということも含めて総合考慮をいただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 少し話題を転換させていただきます。

 ウクライナ情勢は、非常に回り回ってといいますか、日本にとっても、また現在の安倍政権の姿勢に深く関連すると思いますが、ロシアとの友好裏な対話状況をつくることに極めて努力をされた、腐心されてこられたという印象でお見受けしております。しかし、事ロシアがこういう姿勢で対応し始めるに至った以上、やはり同様に日本政府としては毅然たる姿勢で国際的にも国内的にも発信していくということが求められると思います。

 そこでお尋ねですが、G7諸国を初めとした、もちろんG7は日本も一員でありますが、いわゆる旧西側先進諸国は、それなりに強い姿勢、態度でこれに対してメッセージを発しているようにお見受けします。きのうも、アメリカは既に、資産凍結それからビザの発給などについて具体的な制裁に踏み出すということが報じられておりますし、EUでは緊急の首脳会議が行われている。ロシアをきちんと名指しして、深い懸念。それから、ドイツの外相におかれては、ウクライナの主権と領土の一体性を侵すことをやめるよう非常に強く要求する。フランスの外務大臣も深く懸念をしている。等々、より姿勢が鮮明であるというふうに感じます。

 日本政府でありますが、岸田外務大臣の談話は、「深刻な懸念と憂慮」、それから「全ての当事者が自制と責任をもって慎重に行動し、」とありますが、これはお聞きすると、一見、ロシアを名指しして批判することを少し控えているようにも読めるわけであります。

 これらのことが、日本と、アメリカを初めとした旧西側先進諸国との関係に、いささかなりともすき間風や歩調の乱れということがあってはならないと思いますが、大臣、その点、この談話で言い尽くし切れていない点がもしあるとすれば、きちんと強調し、立場を鮮明にしていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 今回のウクライナの事態に際して、G7の連携が大変重要だということは御指摘のとおりだと思っています。

 大臣談話についても触れていただきましたが、三月二日の段階で、私自身、大臣談話を発出させていただきました。また、その際に、ウクライナにおけるロシア連邦軍の使用権原に関する三月一日のロシア連邦院による決定に対する深刻な懸念と憂慮を表明したわけですが、このロシア連邦院の決定に対しましては、英国やEU等も、深く懸念ないし遺憾の意という表現を使っております。これが三月二日の段階であります。

 そして、三月三日の段階で、G7の共同声明が発出されました。ですから、その間、我が国は、G7、他の各国に対しましてさまざまな意思疎通を図り、その上で、三月三日の段階では、このG7の共同声明に参加するということで、非難を含む表現を我が国も了解し、そして参加したということであります。ですから、三月三日の段階におきましては、G7の共同声明の中身において、我が国も含めて一致しているということであります。

 そして、その後も、我が国としましては、フランス、そして昨日はドイツ、そして英国、こういった外相と直接電話会談を続けております。その間、現地ウクライナに入り、また、ロシア・ラブロフ外相とも直接会談をしたヘイグ外相等と現地の状況につきましてしっかりと情報交換を行い、事態を把握し、今後の考え方についても確認した、こういった作業を続けております。

 制裁につきましては、一部報道されておりますが、こういった動きにつきましてもぜひしっかり意思疎通を図り、そして、何よりもウクライナの現地の情勢も確認しながら、今後も適切に対応するべく検討していきたいと考えています。

小川委員 確かに、領土問題を含めて、ロシアとのパイプも重要だと思います。

 ソチ・オリンピック、きょうからパラリンピックでありますが、オリンピックの開会式にも総理は直接運ばれた。そのときも、もちろんまだら模様とはいえ、旧西側主要先進国が軒並み欠席する中での出席でありました。そして、本日のパラリンピックも、日本からは文部科学副大臣が御出席をされ、アメリカは出席を控えるといったような形で、お互いに抱えている背景なり問題が確かに違いますから、それはそういうことでいろいろなケースが出てくるとは思いますが、これは、今まで以上に非常に事態が緊迫してくる可能性はあると思います。

 加えて、私自身、拝見していて難しいなと感じるのは、やはりクリミア半島においても、非常に親ロシア的な方々も一定程度いるわけでありますし、独立を問う住民投票も前倒しする、それから、ウクライナそのものが東部と西部では必ずしも一様ではないというようなことを拝見しますと、確かに実態はそう単純ではないなという気はいたしますが、それにしても、事の成り行きを、武力によって、実力によって優位に事を運ぼうというその手法については、徹底的に否定をされ、糾弾をされなければならないことだと思います。

 そこにおいてさまざまな事情を考慮するが余り、日本政府として、非常にちゅうちょした姿勢なり、あるいは、西側と、特にアメリカと歩調が必ずしも一致していないように見られかねないことについては、これからどんどん事態が進行すると思いますけれども、ちょっと言葉は悪いですが、万に一つも踏み絵を踏まされるような状態になったときに、日本側の所属は明らかにこちらだ、皆さんと価値を共有しているという姿勢だけは、ぜひともこれは鮮明にしていく必要が今まで以上にあるのではないかと思います。この点はぜひ指摘をしておきたいと思います。

 来月はいよいよオバマ大統領が来日されるというふうにお聞きしております。TPPや、それから日中、日韓、極東情勢、そして、私自身、かつて沖縄でお世話になったということもこれあり、沖縄における基地負担の軽減、さまざまな問題に関心を持ち、また、そういった重要事項がいろいろと話し合われる重要な機会ではないかなというふうに感じております。当然、非常に重要な節目として、意義あるものにしていただきたいと思うわけであります。

 特に、この間、岸田大臣には外務委員会の場等でかねてから御期待申し上げてきましたとおり、現在の米国の日本に対する見方は、非常にある種の警戒心なり違和感を持っている。それは、ほかならぬ安倍政権自体の靖国参拝を含めた言動、行動によって、疑いも含めたいろいろな見られ方が投げかけられているという認識を前提に置く必要があるんだろうと思います。岸田大臣には、例えば歴史観も含めたそういう偏っていると見られかねない姿勢に対しては、外務大臣としてしっかりした対応なり発信をお願いしたいということは、かねてから御期待を申し上げ、お願いを申し上げてきたわけであります。

 そこで、AP通信の取材を受けられ、そしてこの翻訳記事を外務省のホームページに掲載された。この中では、最近の右派的な発言は遺憾であるというふうに大臣は述べられたと。これは先方の記事ですから、真意がどうかわかりませんが、そういうふうに報じられている。報じられていることをそのように外務省で翻訳し、ホームページに掲載されたということであります。

 私としては、かねてから御期待申し上げてきた、政治姿勢なり歴史観なり、国際関係に対する大臣の見識を明らかにしていただいたものというふうに評価したいと思っているわけでありますが、そういう方針については、これからも積極的に行っていただきたい。

 ただ、過去を見ますと、こういう形で外国通信の取材にきちんと対応され、大臣として所見を述べられたのは、このホームページの一覧によりますと、昨年の四月以来ということでありますので、かなり年月もたっています。

 そういう意味では、過去でいえば、大臣がかねてから述べられている姿勢を対外的に発信することにもっと努力されるべきではなかったかと思いますし、今後もそういう立場で、ある意味、安倍政権のリスク管理だと思いますが、外務大臣としてしっかりと見解を国内外に対して発信していただくということを御期待申し上げ、過去と今後、双方について御見識をお伺いして、終わりたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘のAP通信のインタビューですが、インタビューにおきましては、昨今のNHK経営委員等の発言についてどう考えるかという質問に対しまして、私の方から、NHKの経営委員の個人的な発言について政府としてコメントする立場にはありませんが、ただ、同委員の発言は日本政府の見解とは異なるということを申し上げ、そして、この発言によって日本政府の立場につき誤解が生じることであれば、これは遺憾なことであるということを申し上げました。こういった発言が記事として取り上げられたところであります。

 そして、今後もしっかりと発信をしていくべきだという御指摘がありました。発信が少ないのではないかという御指摘もありましたが、ただ、外務省のホームページに掲げてありますこうしたメディアのインタビュー、対面インタビューにつきましては、先方の了解がとれたものを掲載するという形をとっておりまして、昨年の四月から対面インタビューを受けていないのではないかという御指摘がありましたが、実際は、あそこに掲載されていない対面インタビューは次々と行っております。

 私も、就任しましてから、対面インタビュー、書面インタビューも含めまして、二十五件行っております。ことしに入りましても、先般、スペイン、フランスを訪問させていただく際に、スペイン国営放送ですとかエル・パイス紙、あるいはフランスのフィガロ紙、こういった対面インタビューを受けておりますし、また、御指摘のAP通信のインタビューを受けた際にも、あわせてサウスチャイナ・モーニング・ポストの対面インタビューも受けるという形で、発信をさせていただいております。

 まだまだ不十分かもしれませんが、より一層発信には努めていきたいと考えております。

小川委員 であればなおさら、戦略的、意識的に、国内に向けてもそういったことを御発信いただくということが必要かなと思います。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 沖縄県名護市辺野古での新基地建設問題に関連して、きょうも質問いたします。

 私、二月二十一日の当委員会で、米軍の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの新基地での運用に関しまして、その可能性を認めたという沖縄防衛局職員の発言を確認し、記録を当委員会に提出するように求めました。

 そこで、まず防衛省若宮政務官、お見えになっていますので、その結果どうだったか、報告をお願いしたいと思います。

若宮大臣政務官 お答え申し上げます。

 笠井委員、先般御指摘いただきました、ふるさとから基地問題を考える懇話会への概況説明ということで、書面でもお届けをさせていただいたかと思いますが、今お尋ねの意見交換会におきまして、確かに、沖縄防衛局の職員が、一般論として言えば、性能上は運用可能と思われる、その旨を発言したとの報告は私も受けてございます。

 他方、その場におきまして、その上司であります沖縄防衛局次長が、F35Bの配備はないという旨も同時に発言をさせていただいている、そのような報告を受けております。

笠井委員 前回の質問でも指摘をしましたけれども、F35Bの新基地配備の有無を聞いたわけじゃなくて、F35Bが新基地で行動することがあるかどうかを聞いたのでありますが、垂直離着陸機であるF35Bの新基地での運用について、今、一般論だと言われましたが、可能だと説明していたのは事実ということですね。

若宮大臣政務官 はい。私の手元にもその報告書は参っておりますが、ただ、一般論として言えば、性能上は運用可能と思われるというように申し上げたようでございますが、ただ、委員も御承知のとおり、日米で合意いたしましたロードマップには、明確に記述されておりますとおり、米国政府は、普天間飛行場代替施設から戦闘機を運用する計画は有していないということでございます。

笠井委員 一般論という形で可能だと言った発言というのは、沖縄防衛局のどういう立場にある職員が行ったんでしょうか。

若宮大臣政務官 沖縄防衛局の基地対策室長の者がそのように申し上げたということでございます。

笠井委員 沖縄防衛局の基地対策室といえば、平成二十五年五月十六日の、小野寺防衛大臣名の地方防衛局の内部組織等に関する訓令で、在日米軍施設や区域の運用などの諸問題について調査研究、施策の企画立案を行う部署というふうに定められておりまして、その部署の室長が行った見解だということであります。それは一つ重いんだと思います。

 そこで、外務大臣に確認したいんですが、今も政務官からありましたが、二〇〇六年、平成十八年五月一日の米軍再編実施のためのロードマップは、日米の外務、防衛閣僚、2プラス2の合意でありますが、この中で、「米国政府は、この施設」つまり代替施設「から戦闘機を運用する計画を有していない。」とありますけれども、「この施設から」というのは、どういう意味で合意したんでしょうか。

岸田国務大臣 二〇〇六年五月に発表されました再編実施のための日米のロードマップにおける御指摘の記載ですが、「米国政府は、この施設から戦闘機を運用する計画を有していない。」という記載、これは、米国政府が普天間飛行場代替施設から戦闘機を運用する計画を有していない旨、これを日米間で表明したものだと解しております。

笠井委員 今大臣も、からと言われました。英語でもフロムとなっておりまして、まさに前回の質問の際も言ったことでありますけれども、ロードマップには代替施設からと明記されていて、他の基地から米軍機が新基地に飛来する可能性については否定はしていないわけです。

 米側の過去の発言も私は調べてみましたが、米側としては、日本政府が説明するような、よく大臣が、大臣というのは防衛大臣ですが、代替施設においてというふうに述べたことは一度もありません。日本側の勝手な解釈にすぎないんだというふうに思います。

 事実、辺野古の新基地をめぐっては、守屋元防衛事務次官が二〇〇六年の八月二十八日の記者会見で、日本防衛のため米軍が必要なものが来たとき、小型飛行機しか使えないという話にはならないと明確に述べたことがあるわけであります。

 そこで、別の角度から聞きます。

 防衛省政務官に伺いたいんですが、現在、普天間基地に配備されている米軍機の機種ごとの配備数はどうなっていますでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 現在、普天間の飛行場に配備をされております航空機は、アメリカ側の公表資料によりますと、CH53Eが十二機、それからUH1Yが六機、AH1Yが十二機、MV22Bが二十四機、C35が三機、C12が一機、そして空中給油機でございますKC130Jが十五機配備されているものと承知をいたしてございます。

笠井委員 今ありました、現在、普天間基地には、垂直離着陸機のMV22オスプレイが二十四機、空中給油機KC130が十五機など、今言われた合計で七十三機の米軍機が配備をされております。

 新基地を建設した場合に、それらが全て新基地の方で配備される予定ということでよろしいんでしょうか。

若宮大臣政務官 今のお答えをする前に、一点、ちょっと私、申し上げ間違えまして、三番目にAH1Yと申し上げたんですが、AH1Wが十二機でございます。大変失礼いたしました。

 改めてお答え申し上げます。

 今の委員の御質問でございますが、普天間飛行場の代替施設に配備をされる航空機につきましては、今後、岩国飛行場に移駐ということになっております十五機のKC130J以外の航空機、先ほど申し上げました、それ以外の六種が代替施設に移転するものと承知いたしてございます。

笠井委員 確認ですが、KC130十五機を除く、六機種五十八機と同規模の配備が想定される、予定しているということでよろしいんですね。

若宮大臣政務官 委員御指摘のとおり、一応、予定としては五十八機ということでございます。

笠井委員 それ以外の機種の米軍機が新基地を使用することはないんでしょうか。

若宮大臣政務官 現在のところでは、全くそういった話は有してございません。

笠井委員 MV22オスプレイでいえば、普天間基地の二十四機と同規模の配備を見込んでいるということでよろしいんですか。

若宮大臣政務官 委員御指摘のとおり、そのまま先ほどの六機種が移転ということになります。

笠井委員 新基地へのオスプレイ配備というのは、そういう規模にとどまらないんじゃないかという問題がある。あるいは、使用がそれにとどまるのかという問題がある。

 オスプレイ配備を受け入れた際の防衛大臣だった森本敏氏が、「普天間の謎」という著書の中で、普天間基地の代替施設には、有事の事態を想定すれば、百機程度のオスプレイを収容できる面積がなければならないというふうに述べておりますけれども、実際はそういうことになるんじゃないんですか。

若宮大臣政務官 現在のところ、そのようなお話は全くございません。

 ただ、あえてつけ加えさせていただきますと、今、代替施設に実際どのような飛行機が飛来する可能性があるかということにつきましては、アメリカ側からは、例えばC20、これは輸送機でございますが、想定している旨の説明は受けたことがございます。

笠井委員 海兵隊の陸上部隊の輸送機能というものの中にはオスプレイが含まれると思うんですけれども、これが例えば有事の際に強化される、新基地を使用するオスプレイの機数がふえるというようなことはありませんか。

若宮大臣政務官 現在のところは、そういった情報は全く得ておりません。

笠井委員 私、ここに、日米両政府が普天間基地の移設条件つき返還に合意する直前の、一九九六年一月二十三日付のアメリカの公文書を持ってまいりましたけれども、沖縄の第一海兵航空団が米国防総省の当時のキャンベル次官補代理に向けて説明するということで作成した関係メモとスライドの資料でございます。

 これを見ますと、文書の中には、普天間基地の代替施設を、朝鮮半島有事の作戦計画に備える航空、地上部隊の拠点というふうに位置づけまして、その上で、有事には航空機三百機が普天間を使用するとして、内訳として、普天間基地の当時の現有七十一機に加えて、一時通過の百四十二機と追加配備の八十七機が増派されると明記されておりまして、有事の際は代替施設にも普天間基地と同等の役割を担わせるということを強く求めております。

 実際に米側はこうした計画を持っているんじゃないんですか。防衛省も、この間、そういう説明を受けているんじゃないんですか。

若宮大臣政務官 今現在、普天間飛行場におきましては、ヘリ部隊による海兵隊陸上部隊の輸送機能、それからまた、ヘリなどによる空中給油を行う機能、それから、緊急時に多数の航空機を受け入れる基地機能といった三つの機能を有してございます。

 このうち、委員御指摘の、移転先を予定いたしております代替施設につきましては、ヘリ基地機能を移転するという形を今想定してございまして、緊急時の基地機能につきましては、私ども防衛省・航空自衛隊の、宮崎の新田原基地及び福岡の築城基地に移転することとなってございます。

 まことに繰り返しで恐縮でございますが、その他のさまざまな想定につきましては、もしも緊急時という仮定のお話につきましては、御答弁を差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 今、普天間基地の三つの機能を言われたんですけれども、まさに、ヘリなどによる輸送機能、空中給油を運用する機能、それから、緊急時に航空機を受け入れる基地機能と三つ言われました。

 二番目の空中給油機は岩国に移駐する、そして三番目が築城、新田原を使うというわけですが、今の説明でも、一番目、ヘリなどによる輸送機能ということについて言えば、これはまさにオスプレイを含むものでありますよね。それが結局、緊急時とか有事となったときに実際ふえるんじゃないか、ふやす必要があるんだということの話が米側で議論されて、そういう説明をされていると私は聞いているんですけれども。

若宮大臣政務官 委員は御指摘ではございますが、今現在、私どもといたしましては、緊急時におけます普天間飛行場代替施設を含めた航空機の運用につきまして、さまざまな対応が想定され得るところでございますが、もしも、こういった場合どうなるかといった仮定のお話につきましては、お答えを差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 さまざまな事態に対応してどうするかを米側はいろいろ考えている。日本側だって当然そういうことを考えて協議しているはずでありまして、それについては答えられないという話を今言ったんですけれども、そういうことにはならないと思うんです。いろいろな可能性があるということについて考えている、やっていなかったらおかしい話です。

 この米側の文書を見ますと、中型ヘリCH46Eについて、有事の際は、普天間基地の現有二十四機に加えて、一時通過七十二機と追加配備三十六機が増派されて計百三十二機になるというふうに書いてあるんですね。これはまだオスプレイが配備される前の段階の話をしていて、そういう状況になっているというわけです。

 そこで確認ですけれども、CH46Eの後継機、これはオスプレイということでよろしいですね。

若宮大臣政務官 はい。委員御指摘のとおり、それは結構でございます。

 ただ、御指摘の文書がちょっとここでは確認できない部分もございますので、御容赦いただければと思っております。

笠井委員 先ほどの答弁によれば、新基地に配備されるオスプレイも同じく二十四機ということでありまして、有事の際は、CH46Eと換装する、交代するオスプレイ、これは合わせて百三十二機が新基地を使用することになるということになります、この話によれば。そして、森本元大臣が、有事を想定すれば、代替施設に百機程度オスプレイを収容できる面積と述べたこととも符合するということになると思うんですけれども、どうでしょうか。

若宮大臣政務官 森本大臣はそのようにおっしゃったのかもしれませんが、現在のところ、私どもでは、御指摘のところは具体的なお話になっておりません。

笠井委員 さまざまな事態に対応するということはあると政務官は言われながら、そして、そのときには緊急時、有事とかいろいろなことで想定して、日米の間で協議しているはずでありまして、そのシミュレーションをしているはずであります。

 現に、防衛省は、例えば二〇〇六年八月二十九日、衆議院の沖縄北方特別委員会で、有事の際には、その規模や態様、事態の推移、その他の要素によって米軍のとり得る行動が決められていると説明しているわけであります。

 私、ここに、八月二十二日から二日間の日程で行われた衆議院沖縄北方特別委員会の委員派遣の報告書を持ってまいりました。当時、若宮政務官も委員にいらっしゃったかもしれませんが、この委員派遣には行かれなかったんだと思うんですけれども、これを読みますと、在沖米海兵隊のメディーナ基地司令官が、新基地の滑走路の長さに関連して次のように述べております。「有事の時には、C130輸送機などをこちらに持ってくる必要があり、その戦闘を支援する装備・人材を輸送するために、KC130空中給油機がくる必要がある。」「C130輸送機やオスプレイを運用するためには、長い滑走路が必要である」、そういうことを想定しているという話をしているんですね。衆議院の委員派遣に対して正式に基地司令官がそういう発言をしている。

 そこで、岸田大臣に最後に伺いたいんですけれども、新基地を建設すれば、オスプレイ配備に加えて、私、きょうも取り上げさせてもらいましたF35B、あるいは、有事やその訓練という名目でC130とかKC130まで飛来することがあり得るということを米側はいろいろな形で言ってきている、そういうことじゃないかと思うんです。

 政府は沖縄の基地縮小とか負担軽減と繰り返し言われますけれども、新基地建設によって、その同規模のものが移ってくるだけじゃなくて、さらにそれ以外にも飛来してきて、いろいろな事態、あるいはその訓練ということでさらに負担がふえてくる、そうすると環境アセスもまた違ってくる、そういう問題だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の点についての政府の考え方、そして認識については、先ほど来、若宮大臣政務官の答弁があったとおりであります。

 そして、基本的に思うこととしまして、住宅あるいは学校に囲まれ、市街地のど真ん中にある普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないと考えます。これは安倍内閣の基本政策でありますし、また、政府と地元の皆様との間でも共通の認識であると考えております。

 普天間飛行場の移設につきましては、さまざまな意見が沖縄においてもあるということを承知しておりますが、政府としましては、引き続きまして丁寧に説明を続け、御理解をいただきながら、現在の計画に従って、一日も早い同飛行場の移設、そして返還を実現し、そのことが沖縄の皆様方の負担の軽減につながると信じて努力をしていきたいと考えています。

笠井委員 普天間基地の撤去は当然なんです。しかし、米司令官の発言を見ても、政府が県外に移設されると説明するKC130の運用機能も、有事の際には守られる保証はない。その訓練を名目にしてさまざまな機種が飛来することもあり得る。そういうことについてもあり得るということも含めて、そのことさえ沖縄県民や国民にまともに説明もしていないわけです。

 新基地の建設を強行するなど許されないということを申し上げて、きょうは終わりたいと思います。

鈴木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 まず、先ほど民主党の小川淳也委員からも質疑がありましたウクライナの件についてですけれども、先ほどの質疑でもありましたとおり、談話を発表されたということではありますが、アメリカも制裁を発動して、これからそれを実行していくという段に入っています。欧米と足並みがそろっている部分と、必ずしも欧米の方もそろっていない部分、それぞれの国の立場、背景によって対応が細かいところでは分かれているというのが実情でもあります。

 我が国も、極東地域においてはロシアも隣国でありますし、ロシアとの間の領土問題の解決に向けてもしっかり取り組んでいかなければいけないという課題もありつつも、安倍政権で推し進めている積極的平和主義、法の支配とか民主主義とか、そういったものを国際社会に強く打ち出すという意味では、日本とロシアの間での二国間の課題、また個別のそれぞれの案件があるとはいえ、これは一つの国の国家主権を脅かす重大な事案だというふうに私は思っています。ある意味、第二のプラハの春になっているんじゃないかという懸念さえ私は抱いているところであります。

 ここは、やはりそうした観点に立って、もう少し立場を厳しくすべきではないのかな。それでこそ、日本がふだん国際社会で訴えている、国際社会の中での価値観とかといったものがまさに裏づけされるものであって、日本は格好いいところでそういうことは言うけれども、結局は自国の利益だけが最優先なんでしょうと言われないためにも、ここはもう少し強い対応が、情勢を見ながらですけれども、これは対応が遅くなっても仕方ありませんので、これは許されざる軍事侵攻だというふうに私は思っています、もう少し強い対応が必要だと思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

岸田国務大臣 まず、ウクライナの事態につきましては、こうした事態が平和裏に収拾されることを願い、努力をしなければならないと考えています。そのために、あらゆる当事者が自制そして責任の伴う行動を行わなければならないと思っていますし、その際に、我が国としましては、関連国際法を初めとする法の支配、法が完全に遵守されるということ、さらにはウクライナの主権そして領土の一体性、これがしっかり尊重されなければならないと考えておりますし、こういった点を特に強く強調し、求めているところです。

 そして、国際社会との連携の重要性、御指摘のとおりだと思っています。ですから、三月三日の段階で、G7として、非難を含む強い声明を発出したわけですが、我が国もこの声明に参加をしたということであります。

 そして、今後の対応につきましては、ウクライナの現地の情勢、そして各国の動きをしっかり注視していかなければいけないと思っていますが、先般来、フランス、イギリス、ドイツ、こういった国々の外相と直接電話会談を行い、意見交換、情報交換を行っているわけですが、深刻な事態につきましては一様に一致をしております。

 そして、今後の対応につきましては、さまざまな議論が続いているところであります。今後、ロシアあるいは米国とは特にしっかりと意思疎通を図っていかなければならないと思っており、米国あるいはロシアの外務大臣には、今、電話会談を呼びかけ、調整をしております。こうした意思疎通を通じまして、我が国として適切な対応をしていかなければならないと考えております。

 ぜひ、そういった思いで、引き続き努力をしてまいります。

小熊委員 ウクライナの、侵攻という言葉が、ロシアは否定するんでしょうけれども、その理由も、アメリカ政府に至っては介入の虚構ということも言っておりますし、大体、ウクライナのロシア系人民を守るというような理由でこんなことを許したら、さすがの中国でもやらないと思いますけれども、どこかの国の中国系国民を守るために行くなんといったら、絶対許されるわけないじゃないですか。

 これは対話ではなかなか難しいと思います、ロシアのやっていることはそういうレベルではありませんから。しっかり、強く厳しい対応をとっていくことの方が、これは日本にとっては正しい選択なのではないかなというふうに私は思います。

 訪日も控えているんですけれども、訪日してもらったら、それは日ロの関係の中では利益は多いとは思うんですけれども、これも含めて、どうしていくかというのは今後検討をぜひしていくべきだというふうに思います。

 ある意味、ロシアとの関係じゃなくて、ウクライナと日本という関係であれば、やはり遠い国ですから、ヨーロッパとウクライナの関係から比べると、日本はまだ薄いという部分で逆に強く出られる部分があるというふうにも思います、利害関係がそんなに複雑ではないということの背景として。

 ですから、今後、生半可な対応ではなくて、厳しい対応をしっかり検討してやっていくことが、逆にそれがふだん日本が言っている、先ほど言った積極的平和主義を世界に証明するものだというふうに私は思いますので、ぜひそういった検討をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 過日のこの委員会でも、ODA六十周年ということで、ODAの充実を訴えさせていただきましたけれども、きょうは少し具体的に、細かく入っていきたいというふうに思います。

 私なりに新しいODAの新機軸、選択と集中と拡大というのを提言させていただきましたけれども、そういった考えに立って行いたいというふうに思います。

 震災からもう三年がたとうとしておりますけれども、その後も、各地での水害とかいろいろな災害を日本は経験しております。そこで不幸にして失われた命や災害に遭われた方には、本当に心より哀悼の意、お見舞いを申し上げるところでありますけれども、こうした経験の中で、日本は防災技術、災害に対する技術も知見も経験も蓄積がされているところでありますし、また、こうした防災に関しても国際貢献をしていくんだという政府の方針もあるところであります。

 来年の三月には、仙台で国連の防災世界会議を日本はホストすることになっておりますけれども、こうしたきっかけも含めて、ODAにおいて防災分野での取り組みを、だからもっと拡充をしていかなければならないんですね。選択と集中でやるのではなくて、拡大をして充実をさせていくということが必要だというふうに思います。

 それは、今ほど言った日本のこれまでの経験、知見、技術、人材といったものを国際社会に還元していくという意味においても必要だというふうに思いますけれども、この防災分野についてのODAの拡充について、まずお聞きをいたします。

木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。

 委員のお言葉をおかりして大変恐縮でありますが、選択と集中と拡大ということで先般御議論をいただいたわけでございます。

 まさに、防災の分野については、私ども、これからやはり強力に取り組んでいかなければいけない分野であるということで、意見を同じにするんだろうというふうに思ってございます。

 言うまでもございませんけれども、一たび自然災害が発生をすれば、これまでの開発努力、援助努力というものが一気に流されてしまうわけでございますし、また、最も害を受けるのは弱い立場の皆さんでありますので、私どもは全力でODAという中で防災に取り組んでまいりたい、かように思っております。

 もう既に私たちが持っております防災の技術、また防災の知見を生かしながら、早期警戒あるいは洪水対策、防災教育といったようなものに取り組んでおりますけれども、引き続き全力で当たっていきたいと思っております。

 なお、委員の方から御紹介をいただきましたように、来年には第三回目となります国連防災世界会議を開催させていただくわけでありますし、また、今後のポストMDGsの議論の中でも、やはり防災を一つの国際潮流とできるように我々は取り組んでまいりたい、このように考えているところであります。

小熊委員 そういったことであれば、ちょっと通告した順序が変わるんですけれども、さまざまな国際機関がありますね。こういう災害に対するとか環境に対する国際機関もあるんですけれども、これまでも、この委員会でも質疑をさせていただきましたけれども、一例ですけれども、例えば南太平洋地域でSPREPがあります。これは、日本はお金も出して人材も派遣しているんだけれども、ちゃんと正規の会員になっていない。そしてまた、SPREPでオーダーが正式に出ている気候変動センターについても、来年度、外務省からその設置に関する調査をしていただけるということは聞いてきたんですけれども、でも、よくよく聞くと、ODAの枠であれば、その設置をされるサモアに対するODAの中でやろうとしているんですね。

 サモアに対するODAであれば、それはサモアの国民にしてみれば、港湾の整備とか道路整備とか保健医療の整備の方が優先順位が高いんです。だから、エリアとして出すのであれば気候変動センターが必要ですし、結局、政務官、今いい答弁だったんですけれども、実態としては、今の枠の中で何とか、右から左、こっちを削ってこっちへとやっているにしかすぎないわけですよ。

 そういう意味では、防災分野ということだけではなくて、こういう国際機関へも積極的に関与していく。国際機関の効果というか、それもピンキリでいろいろあると思いますけれども、それは精査しなければいけませんけれども、これを日本はどんどんどんどん削っているじゃないですか、国際機関に入っていくのを。

 こういうこともやはり拡大していかないといけないというふうに思いますし、そういった国際機関への協力のあり方、ODAのお金の出し方も、今、ODAはほとんど各国ごとですよね、面で出す場合も少なからず例はありましたけれども。ある意味、国際機関への取り組みを積極的にやっていくということは、ODAの出し方も、面で出す、いろいろな国がかかわっていることのオーダーに対応するということもあると思うんです、今言ったSPREPの例をとれば。

 こうした国際機関への取り組み、拡充についてお聞きいたします。

木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたとおりでございまして、残念ながら、国際機関等への任意の拠出金について、今年度の予算案ということで申し上げれば、対前年度比で百十九億円減となっているというのは事実でございます。

 他方で、大変厳しい財政事情でもありますので、そういった中で、委員のお言葉をおかりすれば、選択と集中という中でやらせていただいている。他方で、拡大ということもおっしゃっていただいております。これは厳しい財政状況の中でどこまでできるか、私ども、よくまた努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 他方で、そういう厳しい状況ではありますけれども、我々として、UNDPであるとか、ユニセフであるとか、あるいは国連人口基金であるといった国際機関には、むしろ優先的に予算を充てさせていただいているところであります。

 今委員からお話しいただきましたとおり、幾つかの分野において、例えば環境であるとか、気候変動であるとか、あるいは保健医療の分野といったようなところでは、私どもの知見だけではなくて、国際機関と連携をすることがより一層我々のODAを効果あるものにする面も多々ございますので、そういった有効な分野については、外務省として、引き続き努力をして予算を確保してまいりたい、このように思っております。

小熊委員 ここに関しては減らす一方なので、これは本当に改めなければいけませんよ。ひとりよがりのODAになりかねない。

 今言った、国際機関に入っていくことによって我々のODAの知見も高まってくるということですから、本当にこれはしっかり、外務省、頑張ってこれまでの流れを改めていただきたい。そうでなければ、本当に内向きの国家で、どんどんどんどん縮小するばかりの話になりますから、ぜひここはしっかりとした対応をお願いいたします。

 そういった意味で、私の家内がOBだから言うわけじゃありませんけれども、JICAの活躍というのは私はすばらしいものがあると思いますし、参議院の外防で、ODAの派遣で東南アジアに行かせてもらったときも、片田舎で学校の先生で頑張っている青年がいて、その生徒たちに、この先生の授業はどうだと言ったら、その授業を褒めるんじゃなくて、この先生の生き方が、時間に正確だったり真面目だったりというところを評価されている。日本人として普通に生活している態度が評価されていて、ある意味で、それが日本全体のイメージになるわけです、その地域においては。

 だから、下手な外交官が行ったり、下手な政治家が行って日本を宣伝するよりは、本当に普通の青年が真面目にその地域で活動することで日本のプレゼンスが上がっていく、イメージが変わっていく。これは、宣伝費、国際交流基金を使って日本の宣伝をしていくのも大事なんですけれども、実は、人一人、日本人を置くことによって最大の効果を発揮している。

 実際、三年前の災害のときも国際社会から驚異に見られたのは、この日本、細かく言えばいろいろなことがありましたけれども、日本人の整然としたあの震災の対応ですよ。略奪もそんなに起きない。ほかの国であったらもう大変なことになる。

 まさに日本人の生き方が、これを示していくということが国際協力にもなるし、日本の国益にもかなってくるということであれば、JICAは、はっきり言えば、協力隊はもう二倍ぐらいふやして、どんどんどんどん行かせてもいいぐらいに思っています。

 あと、海外拠点も、ブータンの大使館も、本当は予算、あれだったんですけれども、相手側のあれでだめになりましたけれども、大使館のない国においては、逆にJICAの事務所がそれを肩がわりしているというのが現実です。

 ということであれば、もちろん、JICAの中でも予算に関しては、これは質を上げるためには厳しく査定はしなければいけないんですけれども、一方で、やはりJICAの海外拠点はもっと充実をしていかなければいけないというふうに思っています。本当にじくじたる思いです、大使館の肩がわりまでしてもらっているわけですから。

 そういう意味で、このJICAの海外拠点の支援の強化拡大についてはどうでしょうか。

福島政府参考人 JICAの件でございますが、ODAを戦略的に実施していくという上で、無償資金協力、技術協力、円借款という、ODAの三スキームを一元的に実施しているJICAの足腰強化、特に、御指摘ありましたように、海外拠点の強化というのは重要な課題であるというふうに認識をしております。

 これまでもJICAは、海外拠点への人員シフトでありますとか、現地採用職員の一層の活用といったような工夫で、現場機能の総合的な強化に一生懸命取り組んできたところでございまして、今後とも、ODAに対するニーズに的確に応えていくため、JICAの一層の体制強化に向けて努力をしたいと考えております。

小熊委員 そこで、このODAの広報が足りていないんですね。参議院のときもやったんですけれども、例えば、協力隊の隊員たちが日本に帰ってきてどうなっているんだという調査をしていますかと言ったら、学校の先生に復帰しましたとか、医療現場に復帰しましたというぐらいにしか使っていなくて、実際はいろいろな、私のかみさんもそうなんですけれども、地元で出前講座をやって、国際理解教育の授業を学校に行ってやるとか、その子供たちも、行った隊員たちの話を聞くことによって海外を知るということになるんですね、実際に海外へ行かなくても。だから、非常に国内にも利益がフィードバックされているんです。

 そういう調査をしているのかと言ったら、ないんですよ。だから、やはりODAがチャリティーだ、単なるボランティア活動なんだ、日本にとっては苦しいときは出さなくてもいいんだという国民の誤解につながってしまうんですね。

 広報の強化をもっと国内もしていくべきですし、海外においても、国によっては、日本がつくった橋とかが紙幣の裏側にデザインされていたり、アジアはそういう国があるんですが、行ってみると、それはもちろんやり過ぎは、中国と言ったら悪いんだけれども、中国は、俺らがつくったつくったとやるんですけれども、ちょっと日本は遠慮し過ぎだなと思っているんです、いろいろなODA。

 ある意味、総合的に、日本のやっているODAというのは世界の中でもナンバーワンだと思っています、一個一個の案件を見ればほかの国でもすばらしいものをやっていますけれども。

 そういう意味では、これはいいことをやっているんですから、逆に、ほかの国に対しても、日本のやり方の方が本当にその国の国益になっているんだ、その国のためにやっているんだということを、まずアドボカシーですよ、日本が先導していくためにも、もうちょっと宣伝してもいいんじゃないですか。この案件は日本がちゃんとやったんです、こういうやり方でやったんですと。日本は余りやらないですよね。ほかの国だと、でかでかとプレートをつくったり、石碑みたいなのをどかんと建てて、これは我々が出してつくったんだと宣伝しますけれども。

 そういう意味では、相手国への広報強化、国内での広報強化をしていかなければ、私が選択と集中と拡大と言っていて、では予算がついても、こんな質問をすると、日本が苦しいのに何でおまえはそんなことを言うんだという、私の支援者の中でもまだいるんですよ。そうじゃないんだと。

 国内外において広報強化がもっと必要だと思うんですよ。どうですか。

木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。

 広報の重要性について大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。国内、国外両面にわたってしっかり広報していく必要がある、こう考えております。

 国内につきましては、これはまさに国民の税金でありますし、国民の理解なくして、委員がおっしゃっているような選択と集中、拡大ということはあり得ないわけでございますので、とりわけことしはODAを始めて六十周年という節目の年でもあります、これまでのODAが果たしてきた役割、世界からの評価といったものを含めて、しっかりと広報してまいりたいと思っております。

 また、国外における広報でありますけれども、やはり相手国の政府また国民に対する広報ということは極めて重要であろうというふうに思います。なかなか十分でないという御指摘はいただいておりますが、私どもといたしましては、さまざま工夫をさせていただいているところであります。

 一つは、やはりまずマスメディア、プレスにしっかり認識をしてもらうという意味で、開発現場の視察を組んでみたり、あるいは署名式や供与式に際してしっかりとプレスにリリースをしていくといったようなこと、また、より一般的には、英語や現地語によるホームページ、パンフレットなどの広報活動、そして、先ほど委員からお話しいただいたように、供与させていただいた機材や施設へ日章旗のステッカーを貼付するといったような努力も始めているところでございます。

 他方で、委員を含めて各方面から、まだまだ十分じゃないというお叱り、御指摘をいただいておりますので、ここはぜひ、さらにさまざまな工夫ができるように鋭意取り組んでまいりたいというふうに思いますので、またどうぞ御指導いただければというふうに思います。

小熊委員 多分、今までも広報はしていたと思うんです、国内において。でも、それではやはりなかなか国民の理解が広まっていないというのは事実なんですよ。

 ちょっととっぴな提案をしますけれども、これまでポスターも、あのポスターもいいポスターで、私は事務所に飾っていますけれども、ポスターとかコマーシャルとかもやっていますよ。でも、結果は、済みません、この程度なんです、理解が。協力隊の隊員も集まりにくくなっている。

 であるならば、例えば、六十周年を契機に、協力隊の隊員を主人公にした映画をつくるとかドラマをつくる。それだけで、例えば、この間も、私は見ていないけれども、工業高校に女の子が入ってやるドラマがあって、そうしたら、うちの支援者の子供たちも工業高校に入るなんて言い始めたというのを聞いて、まさに今クール・ジャパンでソフトな文化を売っていくということで日本はやろうとしている。だったら、国内でも、まさにソフトパワーを使ってODAとかJICAの活動とかをやっていくというアプローチも必要じゃないですか。

 コマーシャルというのは年間何千万も払っているんですよ。だったら、ドラマの一本ぐらいぽんとつくった方が、いいドラマじゃなきゃいけませんけれども、やった方が、今の若者たちや国民には通じやすいのかな。

 そういうことまで含めた、ありとあらゆる手段を考えてやらないとだめですし、国民的高まりがなければ、これは財務省のかたい頭と言っては財務省に怒られるけれども、説得できないですよ。そういうありとあらゆるアプローチが必要だと思うんです。これはもう提案だけにしておきますけれども、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 ことしODA予算は多少回復をしましたとは言っていますが、実態は、円安ということを考えると、目減りしているんですよ。これは為替の影響を強く受けますから非常に大変なところだとは思いますけれども、円安だからこそ、もっと金額をふやしておいて、実質的にも、ドル建てにしたって、ふやしておかなきゃいけなかったと思うんですけれども、この円安の対策が弱かったと思うんですが、これについてはどうですか。

福島政府参考人 外務省のODA予算、過去三年連続で増加をしてきておりまして、来年度予算につきましても、御指摘の円安下の編成となったわけですけれども、対前年度比で〇・四%増の額を計上させていただいております。

 その中で、特に無償資金協力、それから技術協力につきましては、厳しい財政事情のもとで、対前年度比で五十八億円増加という形で、一・九%増でございますが、これを計上させていただいておりまして、平成二十五年度の補正予算なども活用しながら必要な予算を確保するように努めているところでございます。

小熊委員 かわいそうな答弁ですよ。一・何%、〇・何%ふえたとか言っている。もう本当に情けない。一割とか二割とか、そういう数字で語らなきゃいけないんですよ。一割増加しましたと言ったら、まあ、それはそうだよねと。私は二倍にしろと言っていますけれども、現実的には、一割、二割ぐらいまでだったら、私も一万歩譲って努力しましたねと言えるけれども、〇・何%とか、そんなの誤差の範囲ですよ。これじゃだめですよ。それで何か頑張りましたという顔をされても仕方ないので。

 大臣、これは本当に重要なことなんですよ。これはしっかり取り組んでいただかないと、日本はこれから縮小していくとかという暗い話が多かったんですけれども、これが一つの証左ですよ。積極的平和主義という新しい価値観を外交上打ち立てていながら、これは看板のかけ倒れになりますよ。

 イギリスだって、財政が厳しくなったときに、ODAの予算だけはふやしているんですよ。普通だったら、そんなのをふやすなというのがイギリスの国民の普通の判断だと思うんですけれども、それだけ政府だって国民を納得させた、財務の関係者も納得させた。だから、説得が足りていないんです、納得させられないというのは。国内の外交力が弱いんじゃないですか、財務省に対する。

 ここもぜひ頑張っていただいてやるべきですし、また新たな提案ですけれども、これは六十周年ですから、先ほど国際機関との連携というのもありましたけれども、今、ODAの各国との連携というか、別に一緒に事業をやるということではなくて、情報交換とか、これは日本が先導してやっていくべきだと思うんです、日本が一番すばらしいODA事業をやっていますから。だから、ここで日本が先導して、ODAサミットみたいなものをやったっていいんじゃないですか。

 中には、海外の協力も、いろいろな海外の現場に行くと、ちょっと乱暴な開発をしている国だってあるんですね。そういう国に、一対一で、あなたたちのものはちょっとおかしいよと言うのもやはりなかなか忍びないですから、国際社会の中でODAのレベルをお互いアップしていきましょうというステージをつくって、情報交換をしていく、お互いに刺激をし合う。

 この六十周年を契機にODAサミット、どうですか、大臣。

岸田国務大臣 まず、ODAにつきましては、我が国の外交にとりまして大変有力な手段であります。そして、今我が国は国際協調主義に基づく積極的平和主義という立場を掲げているわけですから、ODAの意義、存在感はますます大きくなるものと認識をしております。

 その中にありまして、我が国の予算のありようにつきましては、先ほど来答弁させていただいたとおりでございます。円安傾向等、環境を考えますときに、本当に厳しいものがあると認識をしております。

 そして、ODAサミット等、大変前向きな御提案をいただきました。こうした応援につきましては大変ありがたく感じますし、我々もそれをしっかりと受けとめて、ODA六十周年のこの年、我が国のODAに対する姿勢をしっかり示せるような具体的な取り組みをぜひ考えていきたいと考えます。

小熊委員 ぜひ今後とも頑張っていただきたいと思いますし、私もこの拡大については与野党の立場を超えて頑張っていきたいと思います。

 私の提案した選択と集中と拡大が政府方針に採択されるよう強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 日本維新の会の村上政俊です。

 きょうは二つのことをお伺いしたいと思っておりまして、一つは衛藤晟一総理大臣補佐官の発言に関連して、もう一つは内閣法制局の役割についてお伺いしていきたいと思います。

 一つ目の衛藤晟一補佐官の話なんですけれども、きょう、実は私、衛藤補佐官にこの場においでいただいて、外交・安全保障政策についてどのような認識を持っておられてあのような発言をされたのかということを直接お伺いしたいと思ったのですが、内閣総務官室に問い合わせたところ、内閣総理大臣補佐官が国会の場に来て答弁をしたことがない、前例が全くないということで、残念ながら、ちょっと私も一回きょうは直接伺うということは諦めまして、総理大臣補佐官という立場の方が外交政策とどのような関係にあるのか、あるいは首相官邸と外交政策の関係というような、ちょっと広げた観点から幾つか伺っていきたいと思います。

 まず、総理大臣補佐官は、そもそも国政上どのような権能を有していて、どのような役割をしている人なのかということを確認したいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 内閣総理大臣補佐官は、内閣法第二十一条第二項の規定に基づきまして、内閣官房に置かれることとなっております。「内閣の重要政策に関し、内閣総理大臣に進言し、及び内閣総理大臣の命を受けて、内閣総理大臣に意見を具申する。」ということをその職務としているものでございます。

村上(政)委員 内閣法の第二十一条の二項、私も見てまいりました。

 衛藤補佐官が補佐官としてどのようなことを所掌しておられるのかということを見ますと、私は内閣官房のホームページを見てみましたが、国政上の重要課題担当というふうになっておりました。

 国政上の重要課題、これは一体、具体的には何を担当されているということになるんでしょうか、具体的にはどういうことを所掌しておられるのでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 内閣総理大臣補佐官の担務につきましては、その時々の社会経済情勢や政策課題を踏まえまして、総理御自身が必要に応じて御判断をされておられます。

 大別いたしますと、国政全般について広い視野と高い識見に基づき進言あるいは意見具申を行うというものや、あるいは、特定の分野におけるテーマにつきまして専門的知識に基づき進言あるいは意見具申を行うというものがございます。

 お尋ねにございました衛藤補佐官でございますけれども、総理からの御指示によりまして、国政の重要事項について御担当をされているところでございます。

 具体的にさらにどのような事項を担当するかということにつきましては、その時々の社会経済情勢やあるいは政策課題を踏まえて、総理がその時々で御判断をされるものというふうに理解をしております。

村上(政)委員 今の御答弁で、具体的に何を担当するのかは、総理大臣がその時々、その場その場で判断するということで、事前には決まっていないということで私は理解したんですけれども、私も役所におりましたので、国政全般について担当するというような、そんな漠とした所掌で仕事をつかさつかさですることというのは、大先輩の城内政務官もそのとおりだというふうに今おっしゃったように感じましたけれども、国政上の重要課題全般ということで所掌が具体的に何か決まっていないというのは、ちょっと私には、組織で仕事をしていた人間としては、なかなか、余りにわかにはすとんとは落ちないんです。

 この衛藤補佐官の所掌の中に外交政策というのは含まれているのでしょうか。お尋ねしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、具体にどの事項が担当の中に入るのかということにつきましては、総理がその時々の情勢や政策課題を踏まえて御判断をされるということになっております。

 したがいまして、外交政策に関するものでございましても、国政上の重要課題というふうに総理が御判断される場合には、衛藤補佐官が御担当されることはあり得るものというふうに考えております。

村上(政)委員 国政上の重要課題の中に私は外交政策というのは含まれていると思うんですけれども、それが実際に含まれるかどうかというのは、その場その場の判断ということで、事前にはなかなか決まっていないという御説明だというふうには理解したんですけれども。

 それでは、ちょっと観点を変えてお伺いしたいと思います。

 誰が上司なのかという問題なんですけれども、衛藤補佐官と官房の中の内閣官房長官あるいは内閣官房副長官というのは、指揮命令系統にあるのでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 内閣総理大臣補佐官につきましては、その職務の遂行につきましては内閣官房長官や内閣官房副長官の指揮監督を受けるものではございません。あくまでも内閣総理大臣の直接の指揮監督を受けるものと解されております。

村上(政)委員 衛藤補佐官、今回の発言をされて、菅官房長官から動画を削除するようにと、それで、注意を受けたというような報道がありましたけれども、内閣総理大臣の直接の部下であって、官房長官とは縦の関係にはない。

 ということは、補佐官自体がスタッフ職であって、このラインの上にはいないという、私もそういうたてつけになっているということはわかるんですけれども、では、官房長官はどういう立場から補佐官に対して注意をされたのでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 安倍総理の靖国参拝をめぐります衛藤補佐官の御発言につきましては、菅官房長官が記者会見でも御説明をされておられますけれども、衛藤補佐官に対して長官がその真意をただして、個人的見解であるということが確認をされたということでございます。それを踏まえまして、菅官房長官が、総理とも御相談の上、個人的見解は取り消すように指示をされたというふうに承知をしております。

 先ほど申しましたように、職務に関します部分につきましては、あくまでも内閣総理大臣の直接の指揮監督を受けるわけでございますが、内閣総理大臣補佐官は、内閣官房に置かれる特別の職員として、服務の統督という面からは、内閣官房長官の服務統督権に服するものでございます。

 したがいまして、総理補佐官としてふさわしい振る舞いを行うべきとの観点から、まさに内閣官房に置かれる職員として、菅長官の御指示があったものというふうに認識をいたしております。

村上(政)委員 職務の上では上下の関係はないけれども、服務の上で内閣官房に属しているので注意を受けたということですね。

 先ほど、御説明の中で、個人的見解、これはもう既に政府も何度も繰り返し御説明になっていることだと思うんですけれども、内閣官房の一員である内閣総理大臣補佐官が個人的な見解を述べる、しかも、同盟国であるアメリカ政府をあたかも批判するような発言をする、これが個人的な見解ということでそもそも済まされるのでしょうか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、菅官房長官が会見でも述べられておりますが、菅官房長官自身が、個人的見解を述べたということを確認された上で、あくまでも総理補佐官は内閣の一員であり、個人的な見解を取り消すように指示をされたということで、衛藤補佐官もそれを了承し、現在取り消されているものというふうに認識をいたしております。

村上(政)委員 この問題、もう一度、ちょっと観点を変えて質問していきたいと思うんですけれども、ちょっと済みません、通告していないので、もし御用意がなければあれなんですけれども、補佐官はなぜ国会に来て答弁をしないんでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 申しわけございません、ちょっと資料そのものは用意しておりませんが、政府側から国会に出まして答弁をいたしますのは、まず、国会法の規定に基づくものと、それから、それぞれの衆参の規則で認められているものということになっているかと思いますので、その中で、誰が出るかというものが決まってくるというふうに認識をしております。

村上(政)委員 今、国会法というお話があったので、国会法の第七章を見てみますと、「国務大臣等の出席等」となっていまして、この中に、総理大臣、それから岸田大臣のような国務大臣、内閣官房に属している副長官、あるいは、内閣が特に定めて答弁することができるようになっている政府特別補佐人という人、そして、それ以外にも政府参考人、きょうおいでいただいて答弁してくださっているような、細目的な問題あるいは技術的な事項について役所の方からおいでいただいて答弁するような方々となっています。

 この特別補佐人というのは誰かというのは国会法に具体的に列挙されていまして、例えば人事院総裁であったり、内閣法制局長官であったり、公正取引委員会の委員長であったりというような人たち。そして、政府参考人という方たちがいらっしゃる。内閣総務官室に聞いたところ、総理大臣補佐官というのは、これはどちらにも当てはまらないので、国会において答弁する必要がないということで、私自身も、今の仕組みというのは、今質疑をさせていただいて明らかになりましたし、また、条文を読んでも理解はできるんですけれども、果たしてそれでいいのかということをきょうこの委員会において申し上げたいということです。

 総理大臣補佐官、これの英訳を調べてみますと、スペシャルアドバイザー・ツー・ザ・プライムミニスターとなっていまして、これは、総理大臣に対して直接意見具申ができるという立場にいらっしゃる。

 先ほどの答弁の中にありましたように、特に衛藤補佐官についてですけれども、衛藤補佐官、国政上の重要課題担当となっています。この中で、外交政策というのは、事前にはその担当というふうにはなっていないのかもしれないけれども、その時々において、総理の判断において外交政策を担当することもあり得る人物であるということだと思います。

 今申し上げたような総理大臣補佐官の仕組み、たてつけ、これ自体は私も理解していましたが、私も役所にいましたが、総理大臣補佐官が国会の場に来て答弁をしたことはないという事実は、私も不勉強で、済みませんが、知りませんでした。

 今申し上げてきたような、例えば英語の訳を見てもそうですし、あるいは職務上も外交政策を担当し得るような、そして総理に対して直接進言できるような人物が、外交政策に対して影響を与えるような発言をする、しかも、それに対して国会において説明をしない、国会に対して説明する義務を負っていない、すなわち、国会に対しても、それから国民に対しても、直接きちんとした場で説明する義務を負っていないというのは、私はこれは非常に問題があるんじゃないかなと思うんです。

 済みません、外務大臣、御答弁をお願いしていなかったんですけれども、いらっしゃるので、ぜひ、御所見があれば、お伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 国会においての答弁につきましては、先ほど来答弁の中にもありましたように、国会法あるいは関連規則において定められております。これは、今日まで長い歴史を持つ日本の国会においてさまざまな議論が行われ、その結果が法律あるいは規則という形で整理されているものだと認識をいたします。

 そして、現状においてどうだろうかという問題意識については、今後とも、国会においてさまざまな御議論をいただき、やはり国会の判断によって決まるものだと存じます。政府の立場からその部分について何か具体的に申し上げることは控えなければならないのではないかと考えます。

村上(政)委員 私、野党の議員なんですけれども、安倍政権のことを考えれば、こういう、ある種、立場が不明確で、所掌が不明確で、しかし、外見的には非常に重要な職務についておられるように見られる方が、こういった不規則な発言をされて、総理であったり岸田大臣の外交政策の推進の足を引っ張るというようなことは、これはちょっと安倍政権のためにもならないんじゃないかなと思います。

 野党の議員の立場としては、ぜひ、こういう方についてはきちっと国会に来て説明していただきたいと思います。

 委員長、いかがでしょうか、一回、理事会でこういうことについて、補佐官が外務委員会においでになってお考えを述べられるという機会を設けていただくというのは、委員長としても、御検討いただく余地はありますでしょうか。

鈴木委員長 理事会で協議をさせていただきたいと思います。

村上(政)委員 ありがとうございます。

 総理大臣補佐官とそれから外交政策の関連についてはこれで終わりにしたいと思います。

 総理大臣補佐官という立場の方は、非常に所掌が不明確であったり、権限が不明確であったり、お尋ねしたところ、衛藤補佐官にも、秘書官がいたり、その下に職員の方がたくさんいらっしゃるという状態ではないということも聞いておりますので、ぜひ、政府としても、きちんとした整理をされて、外務省であったり防衛省であったり、あるいは新しくできたNSCを中心として、外交・安全保障政策というものを推進していただければなというふうに私は考えます。

 次に、法制局の役割について伺いたいと思います。

 内閣法制局は憲法の番人であるというようなことが、時々、新聞であったりテレビでも報じられていて、私はこれは非常に違和感を感じております。

 きょう、質疑の中で明らかにしたいのは、内閣法制局は憲法の番人ではないということを私自身はお伺いする中で明らかにしたいと思っております。

 私自身、なぜ内閣法制局は憲法の番人ではないと考えるかというと、憲法の番人という言い方をすれば、それは、やはり行政権から独立した形で、憲法の解釈であったり司法の判断をする、行政権との間でバランスをとりながらチェック機能を果たしていくというような形の言葉だと、憲法の番人という言葉についての明確な定義はないと思うんですけれども、そういったイメージを私は持ちます。

 他方、法制局は、内閣の一部局であって、行政権に属していますので、行政権に対して、そういった外の立場からチェックをして憲法の問題について考えるという立場ではないので、これは違うんじゃないかなと。

 私は、背後にある問題意識というのは、やはり集団的自衛権の行使に向けてきちんとした環境を整えたい、我が国を取り巻く安全保障環境を考えたときに、朝鮮半島の問題であったり、台湾海峡の問題であったり、東シナ海の問題であったりを考えたときに、やはり集団的自衛権がきちんと行使できるようにしておかなければならない。

 そうしたときに、我が国の中でミスリードな、内閣法制局というのは憲法の番人だから、そういうところを飛ばして内閣で閣議決定をしてやってはならないといった、私からするとちょっと違うんじゃないかなと思う議論についてはきちんと反論をしておきたいというような問題意識で伺ってまいりたいと思います。

 済みません、ちょっと何か最初に答えを用意したかのような質問になってしまいましたけれども。

 まず最初にお聞きします。

 内閣法制局の役割というのは設置法でどのように規定されていますでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 内閣法制局の役割でございますけれども、これまでも政府の答弁書においていろいろお答えをしておるところでございますけれども、内閣法制局は、内閣法制局設置法に基づいて、例えば、閣議に付される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を付し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること、それから、法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べることなどを所掌事務として内閣に置かれた機関でございまして、行政府による行政権の行使について、憲法を初めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つとともに、法律による行政を確保する観点から、内閣等に意見を述べるというような業務をしてきたところでございます。

村上(政)委員 ということは、集団的自衛権の問題に関して内閣が憲法解釈を変更しようとする場合、内閣法制局が期待される役割というのは、今おっしゃった設置法の三条で言うと、どの項目に当たりますでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 今、集団的自衛権の問題の御質問でございました。

 最初にちょっと、集団的自衛権の問題につきましては、政府としては、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会における議論を踏まえて、対応を改めて検討していくということでございましたので、変更する場合というふうにお話しされましたが、そこのところは少し留保させていただいて、あくまでもそういう法律問題について法制局が対応させていただく場合の根拠でございますけれども、内閣法制局設置法第三条第三号が、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」と規定をしておるということでございます。その意見として、法律問題についての専門的意見を述べるということだと思います。

村上(政)委員 集団的自衛権の問題に関してかどうかは別にして、憲法解釈の変更をする場合というのは、三条の三号の意見事務ということが発動されて、法制局の方から内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対して意見を述べるということだと思います。

 意見を述べる、それに対して、意見を述べられた側の内閣であったり内閣総理大臣というのは、この意見ということを取り入れる義務というのはありますでしょうか。

近藤政府参考人 今申し上げましたように、内閣部内において、法律問題についての専門的機関として法制局は設置されておりますが、あくまでも専門的意見を述べるということでございますので、私ども、そういった専門的意見、法令解釈等の意見が尊重されるように、適切な意見を申し上げるように非常に努力はしておりますけれども、今お話がございましたように、義務があるかということであれば、あくまでも意見を述べるという立場でございますので、法律上、別に内閣にそれに従う義務というのはもちろんないと思います。

村上(政)委員 ということであれば、安倍総理が先般御発言されたように、最高責任者は御自分である、憲法解釈の変更に関して最終的な責任というのは内閣が負うものであるというふうな認識で相違ありませんか。

近藤政府参考人 憲法解釈について最終的に内閣というお話がございましたけれども、これは私どもの長官もよく国会で御説明しておりましたように、先ほど先生の最初の御発言にもございましたように、あくまでも憲法上は、憲法八十一条で、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」ということで、いわゆる違憲立法審査権を定めておって、そこは司法の場で最終的に確定されるということは当然の前提として、行政府内における憲法解釈につきましては、基本的には、通常の日常業務の中に法律執行等の問題がございますので、各行政機関が日々当たっておるわけでございますけれども、憲法六十五条が「行政権は、内閣に属する。」ということを規定しておりますので、最終的に、政府部内、行政府としての憲法解釈については内閣が責任を持って行うということかと存じます。

村上(政)委員 行政権を有している内閣が決定した憲法解釈について、最高裁判所が違憲立法審査権に基づいて判断する。

 これは、我が国は憲法裁判所という制度をとっていませんので、個別の事案について、それぞれ、最高裁判所がその憲法解釈というものが妥当であるかどうかということを判断するということになりますでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、確かに、憲法の最終的な解釈権は最高裁判所にあるということでございますけれども、日本の憲法上はあくまで司法権の作用ということでございまして、それは具体的な訴訟事件が提起されることによって判断されるということでございます。

 そこに限定をされますので、一般的な形での憲法解釈という、憲法裁判所のような形の機能を、今の憲法上、最高裁判所は持っておりませんので、憲法九十九条にございますような公務員の憲法尊重擁護義務というのをもちろん規定しておって、行政府としても、その権限の行使に当たるために憲法を適正に解釈していくということが必要でございますので、あくまでも行政府としても日々解釈をしていく必要があるというふうに承知しております。

村上(政)委員 ということであれば、もし我が国に憲法の番人と呼び得る存在があるとすれば、最高裁判所であって、それは内閣法制局ではないというような理解でよろしいでしょうか。

近藤政府参考人 先ほど新聞等で憲法の番人という言葉が使われておるというお話がありましたが、済みません、私ども、どういう趣旨で、どういう定義で使われておるかがわかりませんものですから、ちょっと、憲法の番人という用語を政府として使うというのはいかがかなと思いますので、あくまでも最終的な判断権は最高裁判所、司法権にあるということだと思います。

村上(政)委員 憲法の番人という言葉自体が正確に定義されていないのでそういうふうなお答えだと思いますけれども、私が申し上げたかった趣旨とか明らかにしたかった趣旨というのが、今の御答弁の流れで極めて明確になったんだと思います。

 集団的自衛権の問題、今盛んに議論されているわけですけれども、この議論と、それから国会の審議のあり方について最後にお伺いできればと思います。

 先ほどお話しした点、衛藤補佐官の発言の問題にしてもそうなんですけれども、やはり衛藤補佐官も私はできれば国会においでいただいて、御自分の意見なり、どういうふうな真意があってああいうことをおっしゃったのかということについて説明していただくのが、我が国の議会制民主主義を考えたときに、よりこの民主主義を発展させるという観点からも必要であると思います。

 集団的自衛権の議論に関しても、外務委員会で岸田大臣はかなり慎重な答弁を続けておられて、我々野党からお伺いしたときも、なかなか仮定のことにはお答えになれない、安保法制懇の議論を待ちたいというようなお答えで、それは非常に私自身も理解はできるんですけれども、今後、閣議決定をして解釈変更する場合に、国会でどのような議論をしていくのか、どういうふうなプロセスというものを想定されているのかということについて、お考えをお伺いできればと思います。

岸田国務大臣 集団的自衛権の議論につきましては、たびたび総理からも答弁させていただきますように、丁寧な議論を進めていくことが重要だと考えております。

 現在、安保法制懇、有識者会議での議論が行われているわけですが、ここから報告書が出されるということが想定されています。そして、この報告書が出された後、与党の中での議論があり、そして、先ほど来この議論の中にも出ておりましたように、法制局長官を初め内閣としてしっかりとした方針を確定し、そして閣議決定をすることを想定しております。

 そして、内閣としての方針がしっかり確定した上で、その方針について国会でしっかり御議論をしていただくことになると思います。そして、その議論を経て、こうした内閣の方針が具体化されるためには、法律にその考え方を落としていかなければなりません。具体的な法律、必要とされる法律が国会に提出され、それがまた国会でしっかり議論をされた後、御了解を求めていかなければなりません。

 そして、こうした法律が成立したとしましても、集団的自衛権というのは、あくまでも権利であり、義務ではありません。こうした法律を執行するかどうかにつきましては、時の内閣が判断するということになります。そして、仮に時の内閣がそれを執行したとしても、やはりこれまた国会で議論され、そして国民の評価にさらされなければならない、こういったことであります。

 このように、集団的自衛権の議論につきましても、さまざまな段階を経て、丁寧に説明をし、そして国民の理解を得ながら進めていくものだと認識をしております。

村上(政)委員 内閣から法律を提出されて、それの審議を通じて、国会に対して、広くは国民に対して、説明責任を果たされるというお考えだと思いますが、法律を提出するということもあるでしょうし、あるいは条約という形で、集団的自衛権と条約、広く言えば日米安全保障条約との関係ということも出てくると思いますけれども、条約の審議ということを通じても国会での論戦、説明をするというお考えもおありでしょうか。

岸田国務大臣 現在、安保法制懇、有識者会議で議論が行われています。その結論を見、そして、政府としてどういった方針を確定するかによりまして、それを実現するために必要な法律、あるいは条約が必要なのかどうか、この辺も決まってくるものだと思います。

 ですから、まだ今の段階では、具体的にどういった実現のための手法が必要なのか、申し上げることは難しい段階にあるのではないかと思っています。

村上(政)委員 安保法制懇の報告書によっては条約も含まれるという御発言だと理解しました。

 質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。通告した内容は既に本日の質疑でいろいろ重なる部分も多いんですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、ウクライナの情勢について伺いたいと思います。

 ウクライナ情勢は極めてゆゆしき事態で、憂慮しているところでありますが、冷戦が崩壊しまして、一九九〇年代以降、新しい国際秩序を構築してきた。ロシアもG7に加わってG8になって、国際的な主要国として主導的な役割を果たしてきてくれました。

 こうした流れに対して、アメリカを中心に、G7に戻すという声も一部出始めている中で、ロシアのウクライナへの事実上の軍事介入、クリミア自治共和国実効支配ということが、国連の決議もなく、しかも自衛戦争でもないという形で、明確な主権侵害という事態に陥っているということに対して、重大な懸念を持っているということでございます。万が一にでもこのまま軍事衝突にまで突入すれば、ゆゆしき事態と言っていられないような状態になってしまいます。そして、再び冷戦構造に突入してしまうのではないかと危惧する声もあって、このウクライナ情勢については、ぜひ国際社会と連携をしてロシア側に自制を求めていくということが当然必要だと思っております。

 報道によれば、クリミア自治共和国の議会は、ロシア連邦の構成主体となることを決議した。一方、ロシアでも、外国の一部を連邦に編入することを容易にするような法案が下院に提出されたということが報道されていますが、こうしたクリミア併合に向けた動きが活発化する、そして米国は制裁を発動するということで、状況はさらに緊迫化していると言えると思います。

 一方、我が国は、公表されているところによると、先ほどの質疑でも大臣が答弁されているとおり、三月二日に外務大臣の談話を発表した。同じく二日に日仏外相電話会談を実施した。そして、三日にはG7の共同声明を発表した。昨晩になって、ドイツの外相、英国の外相と電話会談を実施して金融支援を表明するということで、一定の成果といいますか、取り組みがあるのは事実でございますが、このウクライナ情勢の局面で我が国がG7の一員として積極的、主体的に役割を果たしていると言えるのかどうか、必ずしも言いがたいのではないか。

 三月五日の英米独仏伊ロの外相の会談にも参加しておらないということでございますが、先ほど、さらに電話会談を調整しているという答弁もされましたけれども、日本の外務大臣として、このウクライナ情勢についてのお考えと、今後我が国が果たしていくべき役割について、いま一度御見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、ウクライナ情勢につきましては、確かに地理的に日本から離れた地域でありますが、この事態の深刻さにつきましては、国際社会としっかり認識を共有しなければならない大変重要な課題であるということは強く感じております。

 そうしたことから、我が国としましては、あらゆる当事者に自制と責任ある行動を求め、そして平和裏に事態が収拾されるべく、法の遵守、あるいはウクライナの主権、領土の一体性、こういったものの重要性を訴えてきたところであります。そしてその際に、関係各国との連携が重要だということ、これは言うまでもありません。そういったことから、我が国としましては、G7の共同声明にも参画をし、そしてさまざまな意思疎通を図るべく、外相電話会談等を続けているところであります。

 状況は流動的でありますが、その中で我が国が果たすべき役割ということを考えますと、やはり、国際協調主義に基づく積極的平和主義という立場を標榜している我が国としましては、こういった事態にも積極的にかかわっていかなければならないと考えています。

 そして、その具体的な一つの貢献としまして、御指摘の財政支援等を考えているところであります。

 ウクライナの現地の状況を考えますと、さまざまな課題がありますが、ウクライナ政府自身の大きな課題、最大の課題は、財政危機だと認識をしております。この部分について我が国として貢献する余地があるという考えのもとに、現在、IMFの調査団が現地に入り、ウクライナ政府との調整を行っております。この協議の結果によってウクライナに対する国際社会の支援のありようが決まってくるわけですが、その際に我が国としても貢献する用意があるということ、これを昨日のドイツあるいは英国の外相との電話会談の中でも表明をした次第であります。歓迎をされたところでありました。

 そして、こういった支援とあわせて、やはり政治的な対話が重要だということで、さまざまな議論が行われておりますが、OSCEを初めとするさまざまな枠組みを通じて議論が行われようとしている。こういった点についても、我が国として、あるべき方策であるということも表明をさせていただいております。

 こうしたさまざまな切り口を通じまして、我が国としましても、このウクライナ情勢が平和裏に収束されるよう、しっかり国際社会と連携しながら努力をしていきたいと考えています。

青柳委員 ありがとうございます。

 ただ、本件では安倍総理自身は首脳会談を行っておらないというふうに認識しておりますが、安倍総理は、政権発足後から、日ロ首脳会談をこれまで五回も行うほど、ロシアとの間では緊密な関係、プーチン大統領との間でも緊密な関係を築いてきているはずであります。

 報道によれば、ドイツのメルケル首相はプーチン大統領と直接首脳会談を行い、交渉に乗り出して、一定の成果を上げているとも言われております。日本も、安倍政権も、今こそプーチン大統領との個人的に築いてきたホットラインを活用すべきではないかと期待しておりますけれども、今後、安倍・プーチン首脳会談の実現、これを積極的に行うことを大臣としてもお考えになられているのかどうか、お聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 安倍総理とプーチン大統領の直接の電話会談については、現状まだ何も決まってはおりませんが、ロシアとの間の意思疎通は大変重要だと考えております。

 今日までも、事務レベル等さまざまなレベルを通じましてロシアとは意思疎通を図っているわけでありますが、それに加えまして、私自身、外相レベルでの意思疎通を図るということで、ラブロフ・ロシア外相には、電話会談を行いたいということで調整をさせていただいているところであります。ぜひ、こうした取り組みを続けながら、ロシアとの間においてもしっかりと意思疎通を図っていきたいと考えています。

青柳委員 ありがとうございます。

 今回のこのウクライナの件、今、大臣、積極的平和主義に基づいて金融支援を行うことを決めたんだという御答弁もいただきましたけれども、もう一方で、今議論されている集団的自衛権の問題とも深くかかわる問題ではないかと思うわけであります。

 今回、ロシアがウクライナに介入した最大の理由は、ロシア側の説明によれば、自国民の保護であり、あるいは黒海艦隊の基地の保全であり、それが今のクリミア自治政府側の要請に基づく、こういう説明があるわけであります。いろいろ理由をつけておりますが、結局、自国に都合のいい理屈をつけて軍事介入を行うという事例が現実の世界では多々見られるということは間違いないと思います。

 こうした現実をしっかりと念頭に置いて、積極的平和主義、あるいは集団的自衛権の問題も、緻密に、詳細に、具体的にケースごとに検討していくことが必要だろうと思っているわけであります。

 今回のこうしたケース、こうした自国の都合によって介入していくというケースが、日本の近く、近隣諸国でも起こるということもあり得ると思いますが、今回のこうしたケースが、今検討されている集団的自衛権の行使に当たるのか当たらないのかということについて、大臣のお考えといいますか、検討の範囲に入っているのかどうか、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、集団的自衛権の議論は、現在まだ有識者会議での議論が行われている途中であります。その後、政府の方針も決定しなければなりませんし、現時点では、集団的自衛権の中身、範囲、こういったものについて何も申し上げることができません。よって、このウクライナのケース等についてこれが適用されるかどうか、これは申し上げることはできないと思っています。

 ウクライナのケースについては、クリミア半島の動静等について、ウクライナの主権ですとか領土の一体性が尊重されなければならないという観点から、深い憂慮と懸念を持ちながら注視していきたいと考えています。

青柳委員 今の段階ではそういう答弁にならざるを得ないのかなということもわかりますが、時間の関係もありまして、ちょっと次の問題に移りたいと思います。

 北朝鮮の情勢について伺いたいと思います。

 拉致問題についてまず伺いたいと思います。

 安倍内閣として拉致問題を現政権で完全に解決すると、岸田大臣自身も所信で述べられているとおりであります。安倍政権の拉致問題に対する取り組みは、私も野党ではありますが評価しておりまして、その大きな成果の一つとして、先日、国連調査委員会、COIの最終報告書がちょうど発表されたところであります。

 この報告書自身、内容も評価されておりますし、拉致家族の皆様初め関係者の皆様、この内容について大変高い評価、大変高い期待を持って注視しているということでありますが、この北朝鮮の人権問題、拉致問題を解決するためのまさに大きなチャンスがこの報告書であり、この報告書をしっかりフォローして実効性あるものにしなきゃいけないというのが関係者の皆さんの思いであり、期待であります。

 そのためには、現在開催されている国連人権理事会における、まさに来週三月十七日のCOI関連セッション、COIとの対話というセッションに向けて、今まさに日本政府が中心になって、EUとの共同提出、共同提案ということでありますが、実際は日本政府が主導してドラフトしている国連決議案というものが、この決議案自身がしっかりとした強い内容になっていなければならないと思うんですけれども、関係者の間では、実は、日本政府は、この決議案自身が採択されなければ意味がないということで、この決議案が、実効性がちょっと薄い、優しい内容というか、マイルドな内容になっているんじゃないかというふうに心配する声が多くあります。

 大臣におかれては、このCOI報告書でせっかく高まった国際世論をさらに盛り上げていただいて、日本政府のリーダーシップで、北朝鮮の人権問題、拉致問題の解決にぜひつなげていただきたい。決議案の内容について、強い内容にしていただきたいと期待しておりますが、大臣、いかがでしょうか、ちゃんと強い内容になっているんでしょうか。

三ッ矢副大臣 御指摘の点は非常に重要な点だと思っております。

 御承知のとおり、このCOI報告、我々としてもこの勧告を非常に真摯に受けとめないといけないというふうに考えておるところでございますが、先生今お話しいただきましたように、現在ジュネーブで開催中の第二十五回国連人権理事会におきまして、我が国は、EUと一緒に、主提案国として、この勧告をできるだけ反映した北朝鮮人権状況決議案を提出するべく準備を進めておるところでございます。

 内容につきましては、機微にわたる部分もございますし、関係者との調整がございますので、ちょっとまだ今の段階では差し控えたいと思いますが、できるだけ各方面の御期待に沿えるような内容にすべく鋭意努力を重ねていきたい、このように思っておるところでございます。

青柳委員 この最大のチャンスをぜひ生かしていただきたいと思いますし、拉致家族の皆様は本当に期待を持って見ているところでありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 そして、最後の質問です。

 けさほどから、北朝鮮の弾道ミサイルの発射についての対応について質疑が繰り返されてきました。

 私が一点申し上げたいのは、この弾道ミサイルの発射自身は明確な国連決議違反でありまして、この決議違反を安保理に付託するという姿勢が日本政府から全く見られないのが残念であります。こうした問題もあわせて、安保理でぜひ、日本の立場を、強い決議をつくったらいいと思いますが、こうしたことについて取り組む御予定があるのかどうかをお伺いして、質問を終えたいと思います。

三ッ矢副大臣 先生御指摘いただきましたように、このミサイルの発射は、累次の国連決議に明確に違反しておるのは事実でございます。

 我々としましては、まず、北朝鮮に対しましては、これは北京の大使館でございますが、大使館ルートを通じてもちろん強く抗議をしておりますし、それから、これはもう御承知のことだと思いますけれども、国連の北朝鮮制裁委員会に対しまして書簡を発出いたしまして、これはアメリカ、韓国とも共同歩調をとりつつ、同じ趣旨の書簡を発出したわけでございますが、その中におきましても、国連決議に違反していると考えている、したがって適切な措置をとってほしいということを明確に訴えておりまして、今後ともこのラインに沿いまして対応を重ねてまいりたい、このように考えておるところでございます。

青柳委員 ありがとうございました。質問を終えます。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうの最後の質問者になりますが、重複する部分もぜひまた改めてただしてまいりたいと思います。

 我が国の外交案件について、きょうは、北方領土問題、そしてウクライナ、クリミア情勢についてお伺いをいたしますが、その前に、大臣、まず、今二〇一四年二月六日から二十三日にわたって開催されましたソチ・オリンピックの話題からぜひ入りたいと思います。

 男子フィギュアスケートシングルの羽生結弦選手十九歳の金メダルを初め、スキージャンプ男子銀メダルの葛西紀明選手四十一歳、スノーボードハーフパイプ銀メダルの平野歩夢選手十五歳と、風格と円熟味あるベテランから、伸び伸びと躍動感にあふれる若い世代の活躍、カーリングそれからアイスホッケーでの女子チームの一体感のあるチームプレーなど、日本選手団皆さん一人一人の健闘や活躍で、国内の多くの方々が感動し、励まされたことと思います。私も幾晩かはちょっと睡眠不足の夜もありましたが、本当に、励まされるという、そういう目で応援をさせていただきました。

 大臣から、ぜひ率直な御感想をまず伺いたいと思います。

岸田国務大臣 ソチ・オリンピックでの熱戦につきましては、特に日本人選手の活躍、こうしたお一人お一人の活躍を見て、私を含めて多くの国民が、希望や夢や勇気をいただかれたことではないかと思っております。

 成績につきましても、海外で行われた冬季オリンピックでは、今回の日本選手団の成績、過去最高の成績だということでありますが、成績そのものももちろんでありますが、その背後にある努力ですとかドラマですとか、こういったものが広く報じられまして、強い感動を与えてくれました。まさに、スポーツの持つ力を感じる、国民に感動を与える十七日間であったと振り返っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 文化とスポーツは、まさに国境を越えて人々が交流をする、世界が一つになる、そういう機会だと思います。オリンピックはまさにその好機であるというふうに思います。

 さて、実は、現地時間の七日から十日間にわたって、今度はパラリンピックが開催されます。四十五カ国、六百人近くの選手で、日本からは二十名余りの選手の方々がこのパラリンピック競技に挑戦をするわけです。

 実は、けさの朝日新聞に、アルペンスキー元日本代表の大日方邦子さんという方のコメントが載っております。「パラリンピックの魅力とは」という質問に、「社会が思っているような、かわいそうとか弱者という固定観念に風穴を開ける力がパラリンピックにはある。「できない」ことを打ち破る力をみんなが持っているということを、自分たちの活動を通して気づいてほしい。それを自分たちで体現していくのがパラリンピック」というふうにコメントしています。

 ぜひまた、日本選手団の活躍もそうですが、世界のいろいろな国々の選手の活躍もこのパラリンピックを通してしっかりと応援できる、そういう国際関係を築いていきたいなというふうに思う次第であります。ありがとうございました。

 では、北方領土問題についてお伺いいたします。

 安倍総理は、二月七日、オリンピック開会式へ出席のためロシアを訪問し、翌八日の午前にはオリンピックパーク選手村で日本選手団を激励し、午後は、大統領公邸でプーチン大統領と、総理就任以来、実に五回目の首脳会談を行っております。

 このロシアに訪問する二月七日の午前、安倍総理は、都内で開催された平成二十六年北方領土返還要求全国大会へ出席いたしまして、挨拶の中で、日ロ関係全体の発展を図りつつ、日ロ間に残された最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決し、ロシアとの間で平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組むと述べていらっしゃいます。

 北方領土返還問題については、戦後六十八年が経過してなお解決しておりませんが、島民の方々、道民の方々を初め国民全体にとって重要な戦後課題であることは、国民における認識として一致を見ております。

 総理のおっしゃっている日ロ関係全体の発展という点に鑑みた場合、懸案の領土問題についてどのような進展を描けるものか、大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 日ロ関係、北方領土問題、平和条約締結問題ですが、安倍総理自身も述べておられますように、戦後六十九年がたとうとしているわけですが、この平和条約締結問題は、今日に至っても解決をすることができない大変難しい問題であります。この問題を一気に解決する魔法のつえはないという表現を使って、この課題の難しさを表現しております。こうした課題に取り組むに当たりまして、やはり日ロ関係全体を底上げしなければならない、こういった思いを、この日ロ関係全体の発展を図るという表現で示されたものだと理解しております。

 日ロ関係、日ロ両国の間には、経済、エネルギー、文化、そして御指摘のスポーツはもちろんでありますが、さまざまな分野において協力関係が存在いたしますが、これらを全体としてしっかり底上げしていく、こうした雰囲気をつくることによって、懸案の北方領土問題、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方針のもとに、腰を据えて交渉に取り組んでいきたいと考えております。

玉城委員 八日の首脳会談の後、安倍総理が行った内外記者会見で、NHKの記者の質問、二島先行返還論など、打開点を模索する議論についてどのようにお考えかという質問に対しては、日ロ関係全体の発展を図りながら、四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する、この基本方針のもとで交渉に取り組んでいくと答えていらっしゃいます。今大臣がお答えになった、その線に沿って総理もやはりお考えなんですね。

 また、総理は、別の記者の質問へ、日本とロシアの現状の推移について、最も可能性に富んだ二国間関係と、さらにこれから飛躍していくんだということを含めて答えていらっしゃいます。

 四島完全返還が当然とする日本側の立場を、気持ちの中で、心の中でしっかり思いとして固めつつ、この可能性に富んだ関係、日ロ関係全体の発展という言葉からは、やはりまずは二島返還の実現からというような柔軟な外交姿勢がうかがえるものの、記者の質問への答弁では、これまでのロシアに対する外交姿勢は、やはり領土問題に関しては固定されたままではないかという懸念を相手国、ロシア側に与えてしまうことも考え得ると思います。

 プーチン大統領はかつて、引き分けという双方が受け入れ可能な解決策という言葉を使って、北方領土問題への柔軟な対応、考え方を示したことがございます。六月にはソチで予定されているG8、九月のAPEC、そして年内に予定されているプーチン大統領の来日というスケジュールから見ますと、もう五回になる首脳会談と、そして六月以降、プーチン大統領の来日というスケジュールを捉えると、やはりこの機会を捉えて、一歩でも二歩でも解決に向けた行動、発言が肝要であると思われますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、我が国の方針ですが、先ほども申し上げましたように、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方針、これは全く変わっておりません。

 ただ、これも従来から申し上げているところですが、北方四島の帰属の問題を解決した後に、具体的にどう進めていくのか、方法ですとか時期については柔軟に対応することを考える余地がある、こういったことにつきましても、しっかりと説明をしていかなければなりません。

 こうした方針のもとに北方領土問題に取り組んでいく所存ではありますが、昨年来、両国間でのテンポのいい首脳会談あるいはハイレベルの意思疎通が続いております。今後とも、さまざまな形、機会を捉えまして意思疎通を図りながら、両国関係全体を底上げする中でこの問題に取り組んでいきたいと存じます。

 日本とロシアとの関係、可能性に富んだ関係だというお話がありましたが、両国の間の協力関係は大きな潜在力を持っています。ぜひ、北方領土問題を解決することによって、両国の協力の潜在力を大いに発揮できる状態につなげていきたいと考えています。

玉城委員 その良好な関係を築きつつある中でのウクライナ情勢については、日本側としても大変心痛していらっしゃるのではないかというふうに思いますが、日本は、エネルギー資源のほぼ一〇〇%、それから食料、カロリーの約六〇%を輸入に頼っている、頼らざるを得ない国です。ですから、そういう中でのロシアとの関係は、しっかりときずなを深めていっていただきたいというふうに思います。

 では、ウクライナ情勢について質問させていただきます。ウクライナ情勢についてもこの間質問が重複しておりますが、どうぞまた真摯な御答弁を頂戴できればと思います。

 反政府デモによってヤヌコビッチ政権が失脚したウクライナでは、南部のクリミア半島にロシア軍が侵攻し、実質的な掌握状態となっています。もともとロシアの黒海艦隊の拠点も置かれており、ロシアにとって重要な地域であるということは、これも報道等で紹介されています。

 この緊迫した状況の背景には、ヤヌコビッチ大統領から、ウクライナは内戦勃発の危機に瀕しており、ロシア軍の支援を必要とするという要請があったことを、ロシア政府関係者が国連安全保障理事会に、正当性があったことの報告をしております。

 国連側では、エリアソン副事務総長がウクライナの暫定政権側と協議をし、ロバート・セリー特使がクリミア自治共和国の状況視察のため現地入りしたんですが、一部の武装勢力によって活動を阻まれ、危害を受けることはなかったものの、国連の事態の打開に向けた活動にも大きな支障が出るのではないかということもまた報道されております。

 このような状況について、先ほどの領土問題解決を含めた緊密な関係をロシア側と構築していきたい日本政府として、現在の段階までロシア側に対してどのような対応を行っているのか、いま一度確認をさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、ウクライナのクリミアにおけるロシアの行動につきましては、地域の緊張を高め、そして国際社会の平和と安定を損ねかねないものであり、我が国としましては、深い憂慮そして懸念を表明してきております。

 ウクライナの情勢につきましては、平和的手段によって解決されることを強く期待しておりますし、そのためにも、全ての当事者が自制と責任を持って慎重に行動することが必要だと思っていますし、国際関係法の完全なる遵守、そしてウクライナの主権と領土の一体性、これが尊重されなければならないと考えております。

 こういった考え方につきましては、既に外務大臣談話等も発出しておりますし、また、G7の共同声明にも我が国は参加をしております。そして、モスクワ及び東京において、外交ルートを通じまして、ロシアに対しまして直接働きかけも行っているところであります。

 今後とも、我が国のこうした考え方をロシアにしっかり伝え、何よりも、平和的な手段によって事態が収拾されるよう努力を求めなければならないと思っています。そのためにも、今、ロシアのラブロフ外相に電話会談を働きかけているわけですが、こうした電話会談を通じましても、しっかりと我が国の立場や考え方を伝えていきたいと考えています。

玉城委員 平和裏に解決をするために努力をする、それがやはり日本外交の基本中の基本だというふうに思いますが、一方、ウクライナに対しても、やはりさまざまな形での支援をしていかなければならないと思います。

 その中でも特に、ウクライナに対して日本側からの財政支援など、その対応の協議はどのようになっておりますでしょうか。

三ッ矢副大臣 岸田外務大臣が実は昨年の八月にウクライナを訪問されておりまして、その際にも、ウクライナの今後の安定と繁栄のためには民主化と市場経済化が重要だということを先方政府に対して申し述べてきたところでございます。今回のクリミアの事件といいましょうか、この件がもしなかったとしても、ウクライナに対するいろいろな支援措置は必要だったわけでございます。

 ただ、今回の事案の発生によりまして、実は、ロシアから供与されることになっております百五十億ドル、これがストップするという事態、一部もうロシア側からは出されておったわけでございますけれども、これがストップするということになっております。

 ただ、先ほど大臣からの答弁もございましたが、今現在、IMFの調査団が現地に入っておるところでございまして、日本としては、その調査結果を待って必要な支援措置を決定していきたい、このように考えておるところでございます。

 EUとアメリカが既に表明をしておりますけれども、EUは百十億ユーロ、ただ、これは実を言いますと、新規分というのはそのうちごく一部でございます。それから、アメリカが表明しております十億ドルの支援は、これはいわば債務保証でございまして、借金が返せなくなったときに保証しますよ、こういう内容でございます。

 日本が具体的にどういう支援措置をしていくかということにつきましては、繰り返しになりますけれども、IMFの調査の結果を待って対応を検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。

玉城委員 ロシア政府側がウクライナの暫定政権を認めていないという状況の中でどういう財政支援ができるのか、これはまさに世界各国と協調して取り組まなければいけないのではないかと本員も思料いたします。

 さて、プーチン大統領は、自国のロシア閣僚に対して、国益を考慮しながら従来の相手国全てと協力する必要があると述べ、事態をあおるようなことをして政治での関心事を経済協力より優先させる必要はないと見解を示しております。

 他方、アメリカもウクライナに対して支援をするということを発表しているんですが、それとは相対して、貿易・投資促進に向けた交渉の中止など、米国は既にロシアに対する経済的措置を検討していることも明らかにしております。ロシアが撤収を選ばない場合はさらに強固な措置を講じると強く牽制もしておりますが、しかし、アメリカにとっても、情勢がますます混迷に陥ることへの懸念と、クリミア半島以外でのウクライナにおけるロシアの軍事行動への警戒を抱いているのではないかというふうに思います。

 日本とアメリカの関係は、安倍総理の靖国参拝、それから、きょうも委員からの質問が幾つかありましたけれども、総理補佐官の発言などなど、いわゆる失望したに失望したとやり返した、そういう一連のコメントなどを考えてみると、現在、米国の日本に対する信頼性にやや曇りが見えるのではないかと思います。それが危機になっているという認識は本員は持っておりませんけれども、しかし、ロシアと良好な関係を築いていく中でアメリカとの関係がやや曇っているというのが、今の日本の雲行きといいますか天気の状況ではないかと思うんですね。

 そういうことを今後やはり米国としっかり協議をして、ウクライナに対して、あるいはロシアとの関係についても協議を深めていく中で、日本がロシア、ウクライナ、アメリカとの間に立った友好的なパイプ役になるチャンスでもあるというふうに本員は思料いたします。

 最後に、その点について大臣からの見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、現在の日米関係ですが、昨年一年間を振り返りましても、普天間飛行場の移設問題あるいはTPP交渉への参加等、具体的な案件を通じまして、日米同盟の重要性、日米関係の強固さ、これを確認してきたと振り返っています。あわせて、日米においては、グローバルな課題、中東和平、あるいはシリアの問題、あるいはイランの核問題、こうした課題についてもともに力を合わせて貢献するなど、この関係を確認しているところであります。

 ですから、ことし、年明け二月七日の段階で、私自身もワシントンを訪問させていただきまして、日米外相会談等を通じまして、改めて日米同盟の強固さを確認させていただいております。

 こうした強固な日米同盟、日米関係を背景に、これからも国際社会に我が国も貢献を続けていかなければならないと思っていますが、このウクライナの問題につきましてもG7の枠組みは大変重要だと考えておりますし、その中にあって、米国の存在は大変大きいものがあります。

 ぜひ、このウクライナの問題につきましても、米国との意思疎通はしっかり図っていきたいと考えています。

玉城委員 今、大臣の発言の中で、私が思っていることと大臣の見解と少し違うのは当然だとは思いますけれども、例えば、TPPの交渉はかなり今、ハードランディングするのかしないのか、わからないような状況の中、そして普天間の辺野古移設問題は沖縄県民の七割が反対しているという中、それをアメリカはよく知っています。

 ですから、そのことを踏まえて、また、これからも外務大臣の手腕に期待を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。

 改正の第一は、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。

 改正の第二は、外務公務員の研修員手当の支給額を改定することであります。

 以上の改正内容については、平成二十六年度予算案と一致させて行うため、四月一日から実施する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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