衆議院

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第10号 平成26年4月9日(水曜日)

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平成二十六年四月九日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      穴見 陽一君    石原 宏高君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      菅家 一郎君    木原 誠二君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    清水 誠一君

      島田 佳和君    渡海紀三朗君

      東郷 哲也君    藤井比早之君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      武藤 容治君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      松本 剛明君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

      玉城デニー君    村上 史好君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   北野  充君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     中山  亨君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 岡  真臣君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     清水 誠一君

  河井 克行君     穴見 陽一君

  木原 誠二君     小田原 潔君

  小林 鷹之君     大岡 敏孝君

  小川 淳也君     武正 公一君

  玉城デニー君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     河井 克行君

  小田原 潔君     木原 誠二君

  大岡 敏孝君     藤井比早之君

  清水 誠一君     菅家 一郎君

  武正 公一君     小川 淳也君

  村上 史好君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     武藤 容治君

  藤井比早之君     小林 鷹之君

同日

 辞任         補欠選任

  武藤 容治君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

四月九日

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

同月七日

 米軍への思いやり予算の中止等に関する請願(笠井亮君紹介)(第五五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 武器貿易条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び武器貿易条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官金杉憲治君、大臣官房審議官山上信吾君、大臣官房参事官山田滝雄君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長北野充君、北米局長冨田浩司君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長中山亨君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、運用企画局長中島明彦君、地方協力局次長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 グアム協定の改正議定書につきまして質疑を行いたいと思います。

 このグアム協定は、申すまでもなく、平成二十一年の通常国会に提出をされまして、私も当委員会の理事として審議に当たりました。非常に唐突に条約が提出されたという印象で、私どもはやはり、なぜこの時期にこの条約が必要なのかということで審議に臨んだわけでございます。

 それが、特に大きな論点といたしましては、2プラス2以来進めてきたパッケージ、これが条約にもしっかりと明記をされるといったことがございまして、今回はこのパッケージが解かれるといった改正議定書になったということでありますので、年来の主張が、今回こうした形で政府も日米間で条約を交わしたというふうに思うわけであります。

 まず冒頭、官房副長官がおいででございます。三月に二度、北朝鮮によるミサイル発射がございまして、このときのクロノロジーを資料としてお配りしております。三月三日については発表まで十数時間が経過したこと、今回、三月二十六日は数時間で発表ということに至っておりますが、NSCとの関係について伺いたいと思います。

 三月三日については、官房長官は記者会見で、今朝の北朝鮮のミサイルについて政府が把握している事実関係、今後の対応をお願いしますということについては、これについてはNSCで今まさに情報収集、警戒監視、これをずっと行ってきているわけですが云々と。そしてまた、翌日の記者会見でしょうか、この中で、NSCの発足で、NSCは機能していると言った割には時間がかかったのではないのかといったことについては、実はこれは、発射してからNSC会議の開催をして、情勢分析と同時に、関係各国、米国や韓国とも調整をしながらこの対応に当たっていたというところであります、こういうふうに述べております。

 三月三日についてはNSCでの対応、そして三月二十六日はどういう対応だったのかを含めて、お答えをいただきたいと思います。

加藤内閣官房副長官 武正委員にお答えさせていただきます。

 基本的には、ミサイル発射の公表あるいはそれへの対応というのは個別事案に応じてということになると思いますが、まず三月三日の事案についてでありますけれども、まず、我が国国民の生命財産に直接の被害が生じているかどうかということの確認をし、生じていないということ、さらに、この空域、海域に我が国の航空機、船舶がないことについての確認、そしてミサイル発射の分析、さらには、米韓、韓国等関係国との連携を図りながら我が国の対応ぶりについて検討した結果、今お示しいただいたようなタイミングでの発表になったところでございます。

 他方、三月二十六日についても、まずは付近を航行する船舶の被害等の確認をした上で、さらにミサイルの詳細等について分析をしたところでありますけれども、その中で、ミサイルを発射した事実だけでも、付近を航行し得る航空機や船舶の事業者等に対し提供し、注意喚起を行うことが適切ではないかということで、そこにお示しいただいたようなタイミングでの公表ということになったところであります。

武正委員 私はNSCとの関係をそれぞれ伺ったんですが、いかがでしょうか。

加藤内閣官房副長官 おっしゃるNSCというのは、国家安全保障会議という意味においては、いずれの場合においても開催されていないということでございます。

武正委員 ただ、先ほど触れたように、官房長官は、NSCで対応を、NSCの会議と、再三NSCということを記者会見で言っているんですが、これは官房長官が言っていることが間違っているという理解でよろしいですか。

加藤内閣官房副長官 済みません、ちょっとそこの会議録が直接手元にありませんが、趣旨は、内閣官房国家安全保障局のもとで情報収集をしたり、そこに関係省庁の方が集まっていただいたりという対応をしてまいりましたので、そういうことを指しておられるのではないかというふうに思います。

武正委員 続いて伺いますが、アボット首相、私も、日曜日、オーストラリア大使館の方に伺って御挨拶もさせていただきました。

 月曜日でしょうか、NSCの特別会合というものに出席をしたということなんですが、これはどういった趣旨のものでしょうか。

加藤内閣官房副長官 これは、アボット首相と国家安全保障会議のメンバーの方とで今後の日豪安全保障協力について意見交換を行うということで行われたものでありますけれども、いわゆる国家安全保障会議設置法に基づく国家安全保障会議そのものではなく、あくまでも意見交換を行うものとして催された特別会合ということでございます。

武正委員 特定秘密保護法のときにも議論があって、国家安全保障会議が大変重要な役割を担う、そのことは我々も必要だというふうに思っておりますが、ただ、そのときの議事録は公開されない、内容については触れられない、法律の方でも参加者に守秘義務が課せられている。こういった中で、きのうの新聞などでは、NSCの特別会合にオーストラリア首相が出席をする、報道もそういって流す。

 今回の三月三日のクロノロジーにはNSCは書いてありませんし、内閣官房、官邸が発表するNSCの四大臣会合などの履歴にも三月三日は入っておりません。ただ、先ほどのように、官房長官は記者会見で、NSCを開催している、NSCで会議をやっている、こういうような言い方をされるということでありまして、NSCの使い方が非常に誤解を与えるのではないかと思います。

 特に、国会に対しての説明責任が、NSCという言葉が出てくると途端にトーンダウンするということは、外交、安全保障、もちろん大事な機微な情報に触れているのはわかりますが、やはりそれは説明責任を欠くことになってしまうと思いますので、ぜひ、内閣官房におかれては、このNSCという言葉の使い方について、慎重に、そしてしっかりと適切にお使いをいただきたいということをお願いしたいと思います。いかがですか。

加藤内閣官房副長官 御指摘のように、国家安全保障会議設置法に基づく国家安全保障会議そのものについて、そしてそこでの議論の、今お話がある議事録を作成する、公表する、そういった問題と、それから、今申し上げた、そのもとにある国家安全保障局、まさに事務的な組織、それから今回のような特別会合等、いわばそのメンバーとそれ以外との会合、そこは今御指摘ありますようにはっきり分けながら、今申し上げた公表等も含めて、それぞれの取り扱いをしていかなければならない、こういうふうに思っております。

武正委員 この件についてはこれで終わりたいと。どうぞ、官房副長官、お引き取りをお願いします。

 グアム協定、伺いたいと思います。

 資料二ページをおあけいただきますと、今回のグアム協定は、そもそも平成二十一年の通常国会に提出されたのは、二〇〇六年の2プラス2、再編実施のための日米のロードマップが基本でございます。一ページ目に書いてありますように、「個別の再編案は統一的なパッケージとなっている。」いわゆるパッケージ論、これがこの2プラス2で確認をされ、それが平成二十一年の条約の下敷きになったというふうに考えます。

 今回は、二〇一二年、同じく民主党政権下での2プラス2で、この段落では四段目になりますが、「閣僚は、これらの調整の一部として、第三海兵機動展開部隊の要員の沖縄からグアムへの移転及びその結果として生ずる嘉手納飛行場以南の土地の返還の双方を、普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことを決定した。」こういったことになっているわけです。

 改めて外務大臣に、今回切り離す決定に至った経緯についてお伺いをしたいと思います。

岸田国務大臣 パッケージを切り離すことになった経緯について御質問をいただきましたが、かつての在日米軍のパッケージは、沖縄の負担軽減を早期に実現しなければいけないにもかかわらず、日米双方とも国内的に難しい事情を抱えておりました。そのため、その一部について進展を得ることが大変難しい状況に至っておりました。

 その一方で、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中にあって、抑止力の強化は急務でありましたし、また、最適な米軍の体制を実現すること、これが急がれていたところでありました。

 こういった認識に基づいて、日米がこうした認識を共有する中で、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表におきまして、在沖縄海兵隊のグアム移転及び嘉手納以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の移設に関する進展から切り離し、そしてそのことによりまして、在日米軍再編を可能なところから進めていく、こうした対応を日米で確認した、日米で一致をしたということでありました。

 こういった経緯を経て、このパッケージの切り離しを確定した次第でございます。

武正委員 今回のこの協定、昨年の2プラス2で外務、防衛両閣僚で切り離しが確認をされ、署名がされた、それで、今回提出ということであります。

 ただ、一昨年の十二月に政権がかわって、昨年、基地の返還の統合計画案が四月に発表になるというところを見ておりますと、このパッケージというのが、政権がかわったらまた生き返ってしまったのではないのかなというふうに思うところがございます。

 三ページをごらんいただきますと、これが、昨年の四月、日米間で結びました統合計画、沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画でございます。

 最初のページになりますが、段落でいうと四段目に当たります、「日米両政府は、再編を着実に実施するとのコミットメントを再確認する。 米国政府は、対象となっている米海兵隊の兵力が沖縄から移転し、また、沖縄の中で移転する部隊等の機関のための施設が使用可能となるに伴い、土地を返還することに引き続きコミットしている。 日本国政府は、」というふうに書いてあります。

 これは、先ほどの二〇一二年の2プラス2で切り離したはずのものが、昨年、二〇一三年の四月ではまた戻っているということではないでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、普天間飛行場移設の進展とグアムへの移設、そして嘉手納以南の土地の返還、これを再度パッケージにするというような事実はございません。

 御指摘の二〇一二年四月の2プラス2におきまして、在沖縄海兵隊のグアム移転及び嘉手納以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の移設に関する進展から切り離すことにより、在日米軍再編を可能なところから進めていく、こういったことで日米は一致しているわけですが、昨年のこの統合計画につきましては、そうしたさまざまな取り組みの段取りあるいはスケジュールを改めて確認したということでありまして、従来の方針を変更するものでは全くございません。

 そして、今回御審議をお願いしております議定書の中を見ましても、議定書の第一条で協定の前文の改正を盛り込んでいるわけですが、その中においても、「第三海兵機動展開部隊の要員の沖縄からグアムへの移転及びその結果生ずる嘉手納飛行場以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことを決定したことを想起し、」と明記しておりますので、改定される協定の前文にも、切り離すということは明記されているということであります。

 従来から二〇一二年四月の2プラス2において確認した方針は変更しておりませんし、今日まで一貫しているというのが現状でございます。

武正委員 昨年三月二十九日の予算委員会で、安倍総理に対する質問に総理が答えまして、「この移転を進めていくということと同時に、負担の軽減、嘉手納以南の土地の返還等も含めて、そういうものもしっかりと行っていきたいと考えております」というふうに述べておりまして、これはパッケージ論ということで大きく報じられておりますし、その後発表されたこの統合計画、今お手元に示したように、「米国政府は、対象となっている米海兵隊の兵力が沖縄から移転し、また、沖縄の中で移転する部隊等の機関のための施設が使用可能となるに伴い、土地を返還することに引き続きコミットしている。」「日米両政府は、再編を着実に実施するとのコミットメントを再確認する。」ということなので、私はやはり、昨年の四月の時点では少なくともこのパッケージがまた戻っているというふうに思うんですが、再度、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の昨年四月の統合計画ですが、これは、二〇一二年四月の2プラス2共同発表の内容を前提として、嘉手納以南の地域に所在する六施設・区域の全面的または部分的な土地の返還の時期と返還に向けた具体的な段取りについて、日米共同で明らかにしたものであります。

 この統合計画ももちろん二〇一二年四月の2プラス2共同発表の内容を前提としたものでありますし、統合計画自体、今申し上げたように、段取りを明らかにした、確認したという内容であります。二〇一二年四月以降、方針は一貫していると認識をしております。

武正委員 ちょっと見解が異なるわけでありますが、昨年十月の2プラス2で本議定書が署名され、今外務大臣が言われたような、そうした切り離しの確認がされたということだと思います。私は、その三月、四月の時点から十月までの間に、現政権は、やはりパッケージは無理だということでそれを解いたというふうに認識をしますし、その間の御事情はよくおわかりのように、昨年十二月の知事の埋立承認に向かっての沖縄と政府とのやりとり、こういった中でのこと、あるいはまた、米軍ヘリが墜落したりオスプレイの配備があったり、そうしたさまざまな沖縄の県民の皆さんの気持ちといったものに寄り添おうということで、改めてこのパッケージは難しいというふうに判断をしたのではないかというふうに考えます。

 そこで、今、もうパッケージは解いたんだ、二〇一二年四月の2プラス2以来一貫しているんだというお話でございますが、それでは、二〇一三年の2プラス2、改正議定書署名のときの共同発表の文書を見ているんですが、このどこに切り離しということを四閣僚は明言しているんでしょうか、あるいは記載をしているんでしょうか。共同発表の文書にはちょっと見当たらないんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 二〇一三年十月の2プラス2の共同発表におきましては、二〇一二年四月の2プラス2共同発表に示された再編計画が、「地理的に分散し、運用面で抗たん性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢を実現するものであることを再確認」した上で、この計画が、「地元への米軍の影響を軽減しつつ、将来の課題と脅威に効果的に対処するための兵力、柔軟性及び抑止力を与えるものである。」としております。また、この共同発表におきましては、在日米軍再編に関する日米間の合意について、訓練能力を含む運用能力を確保しつつ、可能な限り速やかに実施すべきということも確認しております。

 要は、この二〇一三年十月の2プラス2共同発表は、二〇一二年四月の2プラス2共同発表を前提として作成されております。そういったことから、二〇一二年四月2プラス2の共同発表において示された認識、これは二〇一三年十月の2プラス2共同発表においてしっかりと引き継がれているものと認識をしております。

武正委員 私は、この共同発表のどこに切り離しというところが明記されているかというふうに伺っているんです。

 二〇一二年のときはしっかり、先ほど触れたように、「閣僚は、」ということで、「普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことを決定した。」というふうに明記しているんですが、二〇一三年の2プラス2には見当たらないんですが、どこにそれを見出したらいいんでしょうか。

岸田国務大臣 今回審議をお願いしている議定書ですが、内容においては、二〇一二年四月の2プラス2共同発表における内容をしっかり引き継いでいるわけですが、その議定書自身、二〇一三年十月の共同発表の際に署名をしているわけです。ですから、二〇一三年十月の2プラス2において、二〇一二年四月の2プラス2、これを、内容においてもしっかり前提として共同発表が作成されている、これは当然のことだと我々は認識をしております。

武正委員 再度伺いますが、この共同発表のどこに記載があるのか、伺いたいと思います。

 なおかつ、条約、条約と言いますが、これは平成二十一年四月の当委員会でも問題になりました。日本はこの条約を国会で承認するという手続があるけれどもアメリカはない、片務的ではないかということも議論になっているわけですので、やはり、それよりもこの2プラス2、四大臣での共同発表の重みというものがあるというふうに理解をするんですが、改めて、この二〇一三年のどこに記載をされているというふうに思いますか。

岸田国務大臣 今回、グアム協定を改定する議定書を御審議いただいていますが、この議定書の中身は、先ほど申し上げました二〇一二年四月の2プラス2共同発表に基づいてこの議定書がつくられています。

 そして、御質問の二〇一三年十月の2プラス2共同発表の中のどこにそれが書いてあるかという御質問ですが、この共同発表を見ますと、4の「在日米軍再編」の中の「グアム」の部分におきまして、「二〇〇九年のグアム協定を改正する議定書への署名を発表した。」という形で、この共同声明の中において、改正する議定書の署名に触れております。この部分が盛り込まれ、そしてなおかつ、実際に議定書の署名をこのときにあわせて行ったわけであります。

 このことをもって、二〇一二年四月の共同発表を前提として二〇一三年十月の共同発表が行われているということが確認できると考えております。

武正委員 私はやはり、二〇一二年四月の2プラス2に準じて、切り離しをしっかりと共同発表に明記すべきであったというふうに思います。

 そこで、今、パッケージ切り離しについてのやりとりをしてきたんですが、民主党政権三年三カ月の中でも、政権交代直後からこの普天間の辺野古への移設について取り組み、県外なども模索しながら、結果、辺野古への移設といったことに半年たって落ちつき、しかしながら、沖縄との関係でさまざまなやりとりを政府として進め、先ほどのような切り離しの2プラス2にも至った。沖縄に寄り添うということで、前政権もさまざま進めてまいりました。

 ただやはり、二〇〇六年以来、この2プラス2以来のパッケージ論というのが、沖縄の方にとっても、あるいは日本にとっても、辺野古に移設ができなければ、嘉手納以南あるいはグアム移転、これはできませんよという、ある面、非常にこれがネックになっていた。あるいは、沖縄の方の気持ちにとってもこれが非常におもしになっていたのではないかというふうに思うわけで、ようやくこれが解けたというふうに思うんです。

 改めて、二〇〇六年、パッケージにしたこと、そしてそれを見直したこの間の時間の推移、これを外務大臣としてどのように評価いたしますか。

岸田国務大臣 その間の推移についてどう考えるかという御質問ですが、かつてあったパッケージにつきましては、沖縄の負担軽減を早期に実現しなければならない、こういった大きな課題があるにもかかわらず、米側においては予算の問題ですとか、あるいは日本側においては普天間飛行場の移設をめぐる問題ですとか、そうしたそれぞれの事情があったことによって、結果として、進展が得にくい、こういった状況に陥っていたと認識をしております。そして、そうした事情を打開するために日米でさまざまな議論を行い、協力を行った結果、二〇一二年四月の2プラス2に至ったと認識をしております。

 ぜひ、こうしたパッケージを切り離すことによって、可能なところから沖縄の負担軽減が進んでいく具体的な成果につながっていくことを期待し、その実現のために日米で引き続きしっかりと協力をしていかなければならない、このように認識をしております。

武正委員 言葉が適切かどうかわかりませんが、辺野古への移設が進まないと嘉手納以南は返さないよ、グアムにも移転できないよ、こういった、言葉は悪いですがおどしみたいな印象を沖縄の方は受けられたのではないかなというふうに、私もこの間、このことにもかかわってきましたので、強く感じます。

 そういった意味で、改めて外務大臣には、このパッケージ、これは日米で結んだわけですが、今回それを解いているわけですが、この評価ですね。やはり無理があったんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 その当時の判断について今ここで評価するのは難しいですが、現実を振り返った場合に、おっしゃるように、このパッケージが存在することにより、日米それぞれ国内事情があることからして、事態が進むことが難しくなっていた、こういった現実はあったと認識をしております。

 そして、今回、議定書において、改めて、こうした具体的、現実的な対応を進めていくことが確認されるわけでありますから、ぜひ結果に結びつくようしっかり努力をしていきたい、このように考えております。

武正委員 やはり無理があったという認識を一部認めていただいたのかなというふうに思います。

 外交交渉は、本当にぎりぎりのところで外交の任に当たる方が努力をされる。ただ、それについては、やはり歴史の評価、あるいはそれについて評価ができるような形が必要だということだと思います。改めて、このパッケージが解けた中で、それぞれの進展を政府には御努力いただきたいというふうに思います。

 そこで、防衛省からもお見えでございます。

 四ページをごらんいただきますと、五年たって、平成二十一年と今回の違い、上下に並べております。総額百二・七億ドル、日本側の分担六十・九億ドルが、今回、総額八十六億ドル、日本側の負担は上限二十八億ドルとしております。ただ、これは二〇〇八米会計年度価格ということでありますので、二十八億ドルは、日本についてはこれは三十一億ドルになるというふうに承知をしております。

 この中で違いを二つ取り上げたいのは、まずは、家族住宅の出資、これが今回なくなっております。それから、訓練場に対しての日本側の負担が記載をされております。

 まず、訓練場の日本側費用負担の背景並びに訓練場の実際の中身について防衛省に伺いたいと思います。

若宮大臣政務官 武正委員にお答え申し上げます。

 今委員御指摘の訓練場の背景でございますが、まず、沖縄からグアムに移転いたします海兵隊には実動部隊が含まれてございます。そのため、その即応性の維持ということが求められるわけでございますが、グアム及び北マリアナ諸島連邦に訓練場を整備することといたしてございます。

 本訓練場の整備につきましては、我が国の費用負担が在沖海兵隊の移転の早期実現を促進するということとともに、自衛隊が米軍と本訓練場を共同使用することが可能となることを踏まえまして、私どもでも一部費用負担をすることといたしたところでございます。

 整備する訓練場の内容といたしましては、グアムにおいては、個人あるいは部隊の基礎的な訓練が可能な施設を整備し、また、北マリアナ諸島連邦におきましては、本格的な部隊の訓練が可能な施設を整えるということで考えてございます。

 日本側といたしましては、グアムにおけます訓練場のうち、市街地戦闘訓練などが可能となります南アンダーセン訓練場の整備につきまして費用を負担することといたしているほか、北マリアナ諸島連邦における訓練場のうち、実弾の射撃場あるいは機動訓練場等の整備について費用を負担するという計画でございます。

武正委員 過去、こうした海外での訓練場の整備費用を日本政府として負担したことがありますか。

若宮大臣政務官 過去はございません。

武正委員 あわせて伺いますが、前回、家族住宅への出資がこの委員会でも大変問題になりました。二十五・五億ドルの出資をする、特別な会社をつくる、SPCだと。しかも、JBICから出資を行う、融資も行う、家族住宅のためだと。久米設計の資料も当委員会に提出をされましたが、墨塗りでよくわからない。そして、グアムの相場からしても一戸当たり非常に高いのではないか、こういった指摘もした、大変大きな争点、論点になった点でございます。

 今回、この家族住宅も出資がなくなっておりますが、その理由を伺いたいと思います。

若宮大臣政務官 委員御指摘のとおり、駐留軍再編促進金融勘定、いわゆるグアム勘定でございますが、当時は、JBICから当該勘定におきまして出融資の制度を活用することで、グアム移転に係る家族住宅及びインフラ整備事業を効率的に実施するという目的でございました。しかしながら、二〇一二年の日米2プラス2の共同発表におきまして再編計画の調整が行われまして、グアムに移転する部隊の構成、あるいは移転の人数が変更になりました。

 もう御承知のとおりかと思いますが、このため、家族住宅の整備戸数については大幅に縮小するということが予想されまして、いわゆる家賃支払いにより資金を回収するという出融資制度を維持するのはちょっと難しいのかなということで、日米間で協議をいたしました結果、出融資制度を廃止するということになりました。また、インフラにつきましても、移転人数が減少するということで、インフラ使用料から資金を回収する出融資制度を維持するということもあわせて難しいということで考えましたため、この出融資制度につきましては廃止をするということになってございます。

 これを受けまして、御存じのとおり、駐留軍再編促進金融勘定につきましては、平成二十四年の十一月をもって廃止されているところでございます。

武正委員 外務大臣に伺いますが、今の訓練場、海外における訓練場に日本として初めてお金を出す、この訓練場の所有者は当然米国でございます。なぜ今回こうした形でお金を出すのか。そしてまた、今の家族住宅、この出資がなくなった理由ということは防衛省から伺いましたが、平成二十一年にこの委員会であれだけ大変な論議を巻き起こす、こうしたことも政府から提案があったわけです。これを今回は省くといったことになった経緯。外務省としてそれぞれ御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、一点目の訓練場の費用負担の話ですが、改正後協定第四条は、グアム及び北マリアナ諸島連邦における訓練場の整備に対する我が国の資金提供の意義を踏まえ、米国政府に対し、自衛隊がグアム等における訓練場を使用するための我が国政府による要請について、合理的なアクセスを認める意図をもって好意的に考慮することを義務づけるものでありますが、この規定の背景には、我が国自衛隊そして米軍との相互運用性が一層高められ、また、グアムの戦略的な拠点としての発展がより一層促進されるという考えがあると認識をしております。こういった観点から、我が国としましても、訓練場の負担を負う、こういった結論に至ったものと考えております。

 そして、二点目の、家族住宅への出資取りやめについてどのように認識をしているのか、この質問につきましては、我が国は、二〇〇六年のロードマップにおいて、家族住宅及びインフラ整備事業については、直接的な資金提供ではなくして、JBICの出資や融資で対応することとしておったわけですが、その後、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表により調整されました再編計画において、グアムへ移転する部隊の構成あるいは移転人員といったものに変更が生じました。こうした変更によって、出融資について従来どおり想定を行うことが困難になったものと認識をしております。そのような事情を踏まえて、同共同発表において、日米両国政府は日本による出融資は利用しないことを明らかにした。

 これが家族住宅への出資を取りやめることとなった経緯であると認識をしております。

武正委員 訓練場については、議事録も添付をされておりまして、議事録の中では、「新たな第四条は、アメリカ合衆国が日本国政府に対して、グアム及び北マリアナ諸島連邦における訓練場を使用する許可を与える法的義務を生じさせるものではない。」というふうに書かれております。そうした法的義務がない中で、相互運用性という名のもとで米軍の訓練場にお金を出す、今回は初めてのケースということだと思います。

 また、家族住宅を取りやめた理由は、採算に合わないから、一言で言ってしまえばそういうようなこと、あとは、九千人行くところがまた変わったというようなところがありますけれども、そもそもこの家族住宅については、このスキームにやはり無理があったんじゃないかなというふうに思うわけですね。米軍の移転に伴う家族住宅を、日本が特別会社に出資、融資をしてつくって、そしてそれを、今お話があったような、採算がとれるというような形で想定していく。本当にこれは採算が合うのか、ちゃんとお金が回収できるのかということは、その当時からもこの委員会で非常に議論があったわけです。

 ですから、これがなくなったというのはやはり至極当然というふうに考えるわけですが、そもそもスキームそのものに無理があったとお考えになりませんか、外務大臣。

岸田国務大臣 御指摘の家族住宅への出資につきましては、JBICの出資や融資で対応することとしていたわけでありますが、その中で、先ほども答弁させていただきましたが、部隊構成あるいは移転人数に変更が生じました。二〇一二年四月の2プラス2共同発表において再編計画の調整を行うに際しましては、グアムへ移転する部隊の構成や移転人数に変更があり、これにより、家族住宅からの家賃収入あるいは使用料など、それまでの日米間の資金回収の見込みについても多大な変更を要するということが予想されました。

 これにもかかわらず、仮に再編計画の調整後もJBICによる出融資を維持することとなれば、資金回収の見込みを含む出融資事業の計画について新たな日米間の緊密な協議を要することから、日米両政府として、グアムへの移転計画の実施をおくらせるおそれが高いと判断するに至った、こういった認識を示しております。

 従来の計画自体が無理であったのではないかということについては、今それを判断する具体的な材料はありませんが、いずれにしましても、その後、大きな事情の変更がありました。この変更もしっかりと踏まえた上で今回のこの判断に至ったものだと認識をしております。

武正委員 六ページをおあけいただきますと、今回のこの駐留軍再編促進金融勘定、これは財務省から出していただきました。二十二、二十三、二十四年度と、三カ年の収入、支出、国庫納付額ということですが、今回、この駐留軍再編促進金融勘定は閉じて、国庫に返納されたわけでありますが、この三年の間に四億三千三百万円の支出が発生をしております。この支出が発生したことについてもやはり何らかの説明、見解があってしかるべきと思いますが、この点、外務大臣に御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 こうした議論が行われていた、家族住宅への出資等について検討されている最中に、先ほど申し上げました部隊の構成等、大きな実際の変化が生じたということであります。こうした変化を受けて、将来に向けてどうあるべきなのか、この議論が行われ、そして今回のこうした判断に至ったと認識をしております。議論の最中にさまざまな事情の変化があったこと等を勘案した上で、将来に向けて最もあるべき適切な対応を検討した結果が今回の判断であると認識をしております。

武正委員 この支出は本当に必要経費だけというふうに私は財務省から聞きました。ですから、JBICにこの勘定を設けていくことで、これだけの支出があったということであります。

 やはり、こうした税金の使い方といった点からも、今回、この家族住宅への出資のスキームがなくなったばかりでなくて、この間、これだけの支出があったということはしっかりと踏まえて、政府はさまざまな外交交渉を、そして取り決めを、やはり同盟国であっても、しっかりと納税者の負託に応える厳しい交渉があってしかるべきではなかったのかなというふうに思います。

 そこで、次に移らせていただきたいと思いますが、ちょっと順番を変えますけれども、今の辺野古移設の進捗、これを防衛省、御説明いただけますでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 普天間飛行場の代替施設の建設事業につきましては、昨年の十二月二十七日に、沖縄県知事から公有水面埋立法に基づきます埋立承認がなされまして、現在、事業の開始に向けた準備を進めているところでございます。具体的には、工事の着手に向けました調査、設計等を行う必要があることから、埋め立てや護岸工事などに係る設計、それから施工区域内におけます生物の移植等の環境保全措置などの検討業務を、本年三月に契約をいたしまして鋭意作業を進めているとともに、海底の地質調査につきましても、現在、契約手続を進めているところでございます。

 また、辺野古のキャンプ・シュワブ内の作業ヤードの設置に必要となります既設建物の解体につきましても、本年の三月に契約をいたしまして、現在、受注者による作業開始に向けた準備が進められているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後の調査、設計を経まして速やかに工事に着手するとともに、事業期間が少しでも短縮されますよう努力をいたしまして、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移設に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。

武正委員 このグアム協定は、パッケージは外したわけですが、やはりそれぞれ、辺野古への移設、嘉手納以南の返還、グアム移転、その促進を日米四閣僚は確認し、そしてまた今回の協定もあるということだと思います。

 外務大臣は、今、辺野古への移設の進捗についてはどのように評価をされているか、お伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、住宅地に囲まれ、また学校等の施設に囲まれている、こうした市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は、絶対にあってはならないと考えています。これは、内閣の認識であると同時に、地元の皆様方にとりましても共通の認識であると考えております。

 普天間飛行場に関しましては、先日開かれました普天間飛行場負担軽減推進会議におきまして、普天間飛行場の危険除去を中心とした負担軽減により一層取り組むことについて意見の一致を見ました。

 また、米側に対しましても、今月六日ですか、来日しましたヘーゲル国防長官に対しまして、普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編に着実に取り組む旨をこちらから説明すると、あわせて米側から、負担軽減に関する日本政府の取り組みを引き続き支持する、支援する、こういった発言を得たところであります。

 防衛省においても、速やかに調査、設計などの事業に着手するなど取り組みが行われていると承知をしておりますが、ぜひこうした取り組み、地元沖縄においてさまざまな意見があることは承知しておりますが、しっかり地元の理解を得ながら、丁寧に、一日も早い普天間飛行場の移設、返還を実現するべく、そしてそのことによって沖縄の負担軽減を実現するべく、しっかり努力をしていきたいと考えております。

武正委員 渡辺委員に時間をちょっと譲ってもらっておりますので、若干時間をいただいて質問をさせていただきたいと思います。

 今、辺野古移設の進捗ということで伺ったんですが、外務大臣がいみじくもおっしゃったように、やはり、沖縄の皆さんの気持ち、さまざまな声、これに寄り添ってということだと思います。

 そこで、仲井真知事から普天間五年以内閉鎖という提案があるということは政府も承知をされておりますが、これが統合計画に与える影響、なおかつ、日米地位協定の見直しについても求められておりますが、その進捗、それぞれ伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの要望につきましては、安倍総理も表明しておりますように、米国を初め相手のあることでありますが、政府としましては、政府を挙げて全力で取り組んでいく方針であります。

 そして、統合計画への影響について御質問いただきましたが、政府としましては、今申し上げましたような考えのもとに、普天間飛行場負担軽減推進会議におきまして、今、沖縄県側の具体的な意向について確認をしているところであります。その確認された沖縄の意向等によって、また議論が進むことになります。まずは、この沖縄の具体的な意向を確認した上で、統合計画への影響等も判断するということになるかと思っております。

 そしてもう一つ、環境に関する日米地位協定の見直しについてでありますが、これにつきましては、昨年十二月に日米間で共同発表を発出しております。環境分野におきまして協力強化を確認するとともに、日米地位協定を環境面で補足する政府間協定を作成するための日米協議を開始するということで合意いたしましたが、既に第一回目の協議を二月十一日、第二回目の協議を三月二十七日に開催しております。

 引き続きまして、具体的な目に見える成果を上げるために最大限努力をしていきたいと考えております。

武正委員 沖縄の声にしっかりと寄り添うということでやはり進めてもらいたいというふうに思っております。

 防衛省に伺いたいんですが、県はこういった形で進めているんですが、名護市の市長選挙を経て、名護市はやはり移設を拒むという姿勢を堅持しているというふうに理解をしております。名護市にかかわる許認可権で工事着手について影響のある点があれば御披瀝をいただきたいと思います。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 普天間飛行場の代替施設の建設事業にかかわります工事等の実施に必要な法的な手続につきましては、今後の調査、設計及び工事の進捗に応じまして精査の上講じることとなりますが、いずれにいたしましても、工事等の実施に当たりましては、関係法令に従い適切に進めていく考えでございます。

 また、確かに、一部に名護市長が関与するという手続もあることは承知をいたしているところでございますが、いずれにいたしましても、飛行場代替施設建設事業にかかわります工事等の実施に必要な法的な手続につきましては、進捗状況に応じて精査の上講じるということで、工事の内容が、法令で規定されている基準や要件を満たすなど法令に適合して適正なものであれば、必要な手続は進められるものと認識をいたしております。

 今後とも、キャンプ・シュワブへの移設の意義を粘り強く御説明申し上げまして、御地元の御理解を求めながら、工事等の実施に当たっては、関係法令に従い適切に進めてまいる所存でございます。

武正委員 先ほどの環境協定締結については、民主党は当時、野党、政権交代前でありましたが、社民党や国民新党とともに日米地位協定の改定案をまとめて、これを政府の方に提出した経緯もあります。また、マニフェストでも記載いたしましたので、政権運営の中で地位協定の改定についても努力をしてまいりましたが、なかなか両政府間で地位協定の改定にまでは至らずに、運用の改善という形で取り組んでまいりました。

 しかし、やはり沖縄の皆さんの声というのは、この地位協定の改定は大変根強いものがあると理解をしておりますので、ぜひ、今回の環境協定の締結を、政府においては、特段の御努力で、そして速やかに進めていただければというふうにお願いをしたいと思います。

 また、今、防衛省の政務官からお話がありましたが、やはり当該地域の辺野古を抱える名護市の声はなかなか厳しいものがあろうかと思いますが、ここをぜひ、今お話のあったように、真摯に丁寧に進めていただきたいというふうに思います。

 そして、最後になりますが、このやりとりの中で私が改めて外務大臣にお聞きをしたいのは、やはり、平成二十一年二月の本条約、改正前の条約のときに、先ほど冒頭申し上げましたように、非常に唐突な感がいたしました。片務的な条約であり、米議会では承認を得ない、日本だけ議会の承認を得るという片務性、それから、法的な義務、拘束力はない、そうした答弁も外務省からありました。お金について拠出されない場合どうなるのかといった点についての法的拘束力なども含めて、この条約、改めてそのパッケージがしっかりと明記をされたといったことであります。

 私は、外交、安全保障について、与野党がしっかり情報共有をした上で臨んでいくといったことが、政権交代前には残念ながらできなかったというふうに思っております。この外務委員会で再三再四、時の外務大臣に米軍再編についての進捗をお伺いしても、日米間の信頼に基づいてお答えできないという答弁が繰り返されました。しかし一方、その米軍再編の進捗は、翌日の新聞あるいは当日の新聞にでかでかと載るということが続いておりました。

 我々も、政権交代して、今回の普天間から辺野古への移設なども含めて、日米間で協議をし、さまざまな情報にもつぶさに接する機会があったわけでありますが、日ごろから与野党が、どういう形でやるのか、いろいろ工夫をしながら情報共有をしていくということが、政権交代が当たり前の、あり得る、そういった日本になったわけですので、やはりそれが非常に必要だったのではないのかなというふうに思っております。

 今回、平成二十一年から五年を経て本協定の改正に至ることを考えたときに、改めてこの点を外務大臣に伺って、質問を終わりたいと思います。

岸田国務大臣 外交においては、国の安全を害するおそれですとか、他国との信頼関係が損なわれるおそれがある、あるいは交渉上不利益をこうむるおそれがあるなど、一定の公表できない情報があることは御理解いただいていると思いますが、しかし、外交・安全保障政策を円滑に遂行するに当たっては、やはり、適切な形で国民の理解をいただく、また支持をいただく、こういったことは大変重要だと認識をしております。

 政府としましては、国会の場その他を通じまして、立法府に可能な限り透明性を持って丁寧に説明する、こうした説明責任はしっかり果たしていきたいと存じます。

 今申し上げたように、外交における特殊性は勘案しながら、できる限りの説明責任を政府としましても国会に対して果たしていく努力はしていきたいと考えています。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、民主党の持ち時間の範囲内で関連質問をさせていただきます。

 ただいまは、外務副大臣の要職を務められました武正委員が、まさに今回のグアム協定に取り組まれた当事者のお一人として大変細部にわたる具体的な質問をされましたので、私は、重複を避けまして、残り時間の中で質問をしたいと思います。

 先般もヘーゲル国防長官が来日をされまして、日米同盟の深化という中で、安全保障環境が年々極めて複雑化、かつ脅威が増している中、日米で今後の取り組みについても話し合われたということは我々も承知をしております。

 さてそこで、やはり今の当面する脅威としての北朝鮮が、片方で、指導者がかわった上で、国内では改革・開放的な路線を進めているように見せながら、それだけに我々も当初は期待をしたわけですけれども、しかし、大規模な残虐な粛清をして、しかも、今回の委員会でも議論されているように、我が国に対してミサイルを何度も飛ばすわけでございます。

 ここでぜひ伺いたいんですけれども、先般発射されたミサイルに対して、破壊措置命令を出したということが報じられております。このことについては、私どもも何度となく党の部会、部門会議等で指摘をするのですが、いまだにお認めにはならないという中で、このミサイル発射について、今現在、破壊措置命令が出ているのかどうなのか、その点についてまず防衛省にお尋ねをしたいと思います。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 まず、三月三日及び二十六日の弾道ミサイル発射を含めましたさまざまな最近の北朝鮮の動向につきましては、委員御指摘のとおりでございます。現在行われております米韓連合演習に北朝鮮が反発していることを踏まえまして、私ども防衛省・自衛隊といたしましても重大な関心を持って情報収集、分析に努めているところでございます。

 私どもといたしましては、情報収集能力を含みます我が方の手のうちを明らかにすることなく、いかなる事態におきましても国民の生命財産を守るべく万全の態勢を整えるという観点から、命令発令の有無を含みます自衛隊の具体的な態勢につきましては、明らかにすることを差し控えさせていただければと思っております。

 いずれにいたしましても、引き続き、情報収集、警戒監視を含みます必要な対応には万全を期してまいる所存でございます。

渡辺(周)委員 どうしてその有無が出せないんですか。だって、もうミサイルを発射したことはみんな知っているわけですよね。今後も撃ってくるのではないかということを考えれば、当然、その警戒態勢をとり、そして万々が一の場合には、破壊することによって我が国の領域内に着弾することを防ぐこともあるかもしれない。そういうことを考えれば、別にそれを公表することはちっとも我が国の手のうちを見せることにも何もならなくて、別に、どんな対応で臨むかということを外に向かって発表しろとは言っていないんです。

 出ているか出ていないかということだけをお尋ねしているんですが、どうしてそれも答えられないんですか。発表することのどこが手のうちなんですか。

若宮大臣政務官 繰り返しで恐縮でございますが、さまざまな場面が想定されますが、私どもの情報収集能力を含みます手のうちが明らかになるということは、さまざまなケースでこれが蓄積されますと、いろいろ分析した上では明らかになってくる場面もございます。

 いかなる事態におきましても国民の生命財産を守るべく万全の態勢をとる、この観点が一番でございますので、命令発令の有無を含みます具体的な態勢につきましては、差し控えさせていただければと思っております。

渡辺(周)委員 報道では、政府筋が認めた、政府筋が明らかにしたと出ているわけですよ。それを防衛省は否定していないわけですね。ということは認めているんだけれども、国会という公の場で尋ねると、それは言えないんだと。

 私たちが政権にいたとき、これは北朝鮮は事前に予告していましたけれども、南に向かって発射をする。そのときに、野党の委員からも何度もこの問題で国会でも質疑をされまして、かなり突っ込んだ議論をしました。

 そのときに我々は、那覇にも石垣にもPAC3を搬送して、その搬送するところから全部、メディアも追っかけていた。そのときだったでしょうか、では石垣島からそれたら、もし途中で落下した場合に、あるいは破壊措置をとったときに、ヒドラジンという有害なエンジン燃料を積んでいたわけですけれども、それが降ってきたらどうするんだということも指摘をされまして、与那国島に緊急用のヘリコプターと部隊を配備した。そうしたら今度は、石垣島と宮古島の間にある多良間島というところはどうなんだということで、リエゾンを置いた。竹富町にも連絡員、リエゾンを置いて、万全だったかどうか、結果的には飛ばなかったわけでございますが、しかし、考えられる限りの物理的な、人員的な、そして予算的にも相当なものだったと思いますけれども、対応をとったわけでございます。当然それは、どういう結果になるかということを、最悪の場合を置いて、できる限りのことをしたわけでございます。

 今回も、これだけたび重ねてミサイルが飛ぶわけでございます。それについては、当然、付近を航行している船舶もあれば、航空機もある。そのことを考えれば、例えば、命令は出している、しかし詳細については言えない、そして、どのような形でこれを迎撃するか、あるいは防護するかということについては、詳細については言えないんだけれども、関係するところに対しては、万全の態勢をとっているので安心してほしいということは、何らかの形であってもしかるべきだと思うんです。

 もう一回御答弁を願います。どうしてそれすら言えないんですか。一体何が手のうちなんですか。

若宮大臣政務官 委員も副大臣をお務めになっておられましたので、多分、いろいろ事情はよく御存じのところであると思うんですが、私ども、今現在の状態では、やはり手のうちを、さまざまな場面でいろいろ蓄積をされますと、やはりどういう状況かということが把握されるということにもつながりますので、一般論として申し上げさせていただきますと、北朝鮮からミサイルが発射をされまして、委員先ほどもちょっとおっしゃっておられました、仮に破片ですとか、あるいは直接飛来するおそれがある場合、御指摘の点も踏まえまして、国民の安全、安心の観点から必要な情報を適切に発信する、これは絶対に必要なことだと思っております。また、実際、我が国に飛来するという弾道ミサイルに対しましては、自衛隊法八十二条の三に基づきます弾道ミサイル等に対する破壊措置により厳正に対処するということになります。

 いずれにいたしましても、いかなる事態におきましても国民の生命財産を守るべく万全の態勢をとの観点から、引き続き、情報収集、警戒監視を含みます対応に万全を期してまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 私は、こういうのは政府がしっかりとした公式な見解を出しておいた方がいいと思うんですよ。そうしないと、メディアもそうです、例えばネット上でも、臆測やら先入観やらでいろいろな情報が飛び交うと、かえってそれは、私は、あらぬことになってしまうのではないかなと。今みたいな時代だからこそ、政府として、やはり国民に対して、今こういう環境にある、こういう状況にある、こういうことが考えられるので詳細なことは言えないけれども、国として今考えられる限りの手は講じているということは言うべきだと思うんですね。

 それすらもなくて、日米同盟はさらに深化させるとか、安全保障環境はますますいろいろな状況の変化があるから今後も取り組んでいくんだと言っても、具体的に一体今どうなっているかということの上で、国民にはある程度のことをしっかりと、現状の厳しさというものは、私は客観的事実として伝えるべきだろうというふうに思います。

 別に軍事情報まで明らかにしてやれなんてむちゃなことは言いません。何でもかんでも透明に公開することがいいとは、事安全保障に対しては思っていないわけでございます。ぜひその考えは改めて、改善策を少し講じていただかないと、ここで何回議論をしてもちっとも議論が深まらないんですね。もう時間もないですから、次の質問に移りますが。

 さて、ここで、集団的自衛権、日米同盟の深化ということで、これからもまだ日米の協議は、大統領も来られる、当然このことも議論になるでしょうし、そしてガイドライン、日米防衛協力の指針を年末に向けて改定されていく上で、また、今度は外務大臣に伺いたいんですが、先般、石破幹事長がテレビ番組の中で、集団的自衛権の行使については、地球の裏まで行くことは普通は考えられないんだけれども、ただ、行くことを完全には排除しないと言っています。

 このことについて大臣はいかがお考えですか。安保法制懇の結果を待ってじゃなくて、このようなことを既に与党の幹事長がおっしゃっているわけです。大臣個人の御見解としてはどうですか。限定容認論もあれば、地球の裏側も排除されないのではないかという幹事長の指摘もありますが、外務大臣はいかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 既に集団的自衛権につきましては、与党はもちろんですが、野党においてもさまざまな議論をされていると承知をしております。そしてその中で、御指摘のように、集団的自衛権を限定的に行使するという意見があるということも承知をしております。実際、今行われている安保法制懇の中でも、集団的自衛権について、限定的な行使についてどうであるか、こうした議論が行われていることと承知をしております。

 政府としましては、こうした議論もしっかりと念頭に置きながら、今後、この安保法制懇の最終報告を待って、政府の方針をしっかりと確定するべく努力をしていきたいと考えています。

渡辺(周)委員 いや、ですから、今おっしゃったことというのは、外務大臣としては安保法制懇の結果を待たないとおっしゃれないということですか。外務大臣としていかがお考えですか、この集団的自衛権ということについてはどういうお考えを政治信条として持っているかということをお尋ねしているわけでございます。

 実際、これは与党ですから政府ではないとはいいながらも、政府の決定にも当然いろいろな意見を持っていらっしゃるでしょう。高村副総裁さんにしても石破幹事長さんにしても、それなりのお考えを披瀝されているわけでございまして、私は、どっち派ですか、限定容認派ですか、それとも地球の裏側に行くことも排除しない派ですかなんて別に聞いているんじゃなくて、外務大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか、今の時点で。

岸田国務大臣 与党の立場あるいは野党の立場からこうした議論が活発に行われることは、意義あることであると認識をしています。

 しかし、政府としましては、安保法制懇の最終報告を待って、与党としっかり協議をした上で政府の方針を確定するという今後の道筋につきまして明らかにしているところであります。私は政府の一員ですので、その道筋の中で、政府の方針が確定する前に、私から外務大臣の立場で何か断定的なことを申し上げるのは控えなければならない立場であると認識をしています。

渡辺(周)委員 一般論で聞いてもほぼお答えになれないのであれば、これ以上議論してもしようがないんですけれども、もう一つ伺いたいと思うんです。

 例えば、在韓米軍の支援を要請された場合、在韓米軍から支援を要請される、当然、在日米軍を通してですけれども、もし朝鮮有事が起きた場合ですね。そのときに、前もお尋ねしたんですけれども、そこは主権国家韓国の、大韓民国の判断が当然入ってくると思いますけれども、外務大臣は、これはやはり主権国家韓国の了解、要請がなければ集団的自衛権が発動されない、韓国の領土、領海内には立ち入ることができないというふうにお考えかどうか。その点についても法制懇で議論されていることは承知していますが、その点については大臣はいかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 国際法において、一般論として、集団的自衛権の議論に当たっては、みずからの国と密接な関係にある国に対して集団的自衛権を行使する際には、密接な関係について、同盟関係のみならず、その国からの要請等が必要とされる、こういった議論があるということは承知をしております。

 具体的なケースについては、その具体的なケースをしっかり確認した上で判断しなければならないとは思いますが、国際法の一般的な議論においては今申し上げたような議論があり、その中で、当該国の要請というのは大変大きな要素であると認識をしております。

渡辺(周)委員 とてもわかりにくい答弁でございます。ちょっと整理をして、いずれまた答弁をしていただきたいと思いますし、この議論は引き続きやっていきたいと思います。

 最後に防衛省に伺いたいんです。

 先般、今の北朝鮮に関連して、無人偵察機というものが墜落して発見されたという中で、日本製のカメラが取りつけられていたということなんです。これは汎用品でどこでも手に入るものだということを事務レベルでは聞いていますけれども、例えば、北朝鮮の無人偵察機のことについて韓国に情報を求めたり、あるいは何らかの形で共同で解明をする、そして、我が国に対して脅威を及ぼす可能性があるのかどうかということについては、今回のことを受けてどのような対応をとっているかということを最後にお尋ねしたいと思います。

徳地政府参考人 韓国との関係におきましては、もちろん、北朝鮮情勢を初めといたしまして、さまざまな共通の安全保障上の課題もございますので、必要に応じましてさまざまな協議をいろいろなレベルでしていくということは重要なことだと考えておりますが、個別にどのようなことについてどういうような協議をしているかということは、先方との関係もございますので、この場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

渡辺(周)委員 もう一回聞きますけれども、やっていないということではないですね。ちゃんとやっているということを、最後、そこだけ確認して終わりたいと思います。

徳地政府参考人 日本の防衛、安全保障に関係することであって、そして、韓国との間でもそのような情報交換なり協議をすることが必要だと認められるものにつきましては、必要に応じて協議をすることとしております。

渡辺(周)委員 終わります。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、通称グアム協定の件、それから武器貿易条約の締結について承認を求めるの件について質問をさせていただきたいと思います。

 今協定は、説明でもありましたが、二〇〇六年五月一日の日米安全保障協議委員会文書、再編の実施のための日米ロードマップに示された在日米軍再編計画が、二〇一二年四月二十七日の日米安全保障協議委員会共同発表により調整されたこと等を踏まえて、見直しが行われるということでございます。

 では、順にお伺いをしていきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いいたします。

 今回の日米の移転費用負担についてまず伺いますが、この日米の移転費用負担、今回も変更が出ておりますが、総額の変化及び日本側拠出額の変化についての経緯と内容についてまずお伺いいたします。

岸田国務大臣 二〇〇六年五月のロードマップにおきましては、移転に係る費用の総額、二〇〇八米会計年度ドルで百二・七億ドルとされております。現行協定前文においてもこの総額が記載されているところです。

 その後、二〇一二年四月の2プラス2共同発表においては、再編計画の調整によって、沖縄からグアムに移転する部隊、人員等が変更されたことを踏まえまして、移転に係る費用の総額は、米国政府による暫定的な費用見積もりとして、二〇一二米会計年度ドルで八十六億ドルとされました。改正後協定の前文においてもこの総額が記載されているところであります。

 そして、日本側の負担額についてですが、我が国が負担するのは費用全体のうちの一部であり、二〇〇八米会計年度ドルで二十八億ドルが限度となります。それ以外は全て米側が手当てをすることとなっております。

玉城委員 今答弁にありましたとおり、当初総額百二億七千万ドルが八十六億ドル、これは二〇一二年度のアメリカ側の会計によるわけですが、日本側は真水の部分ということで、上限二十八億ドルは変更せず、それ以外の出資、融資に関してはカットされたというふうなことで確認をさせていただきました。

 では、続いて伺います。

 この拠出額の変化による移転に係る具体的な計画の変更はどのような点にありますでしょうか、お伺いいたします。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 在沖米海兵隊のグアム移転事業につきましては、日本政府は、従来から、在沖海兵隊の早期移転に資すると考えられる事業を重視して日本側の資金を拠出してきておるわけでございますが、この基本的な考え方には変更はございませんけれども、今お話もございました二〇一二年の2プラス2共同発表による再編計画の調整によりまして、沖縄から移転する部隊の構成等について変更がございまして、より多くの実動部隊を含むということとなったことがございまして、そういったことなどから、海兵隊の早期移転に必要となる施設も一部変更されるということになったところでございます。

 具体的には、一つは、訓練場を日本側が新たに経費負担することとしたほか、沖縄から移転する主要部隊の施設として、従来の司令部庁舎を中心としつつも、実動部隊の庁舎等についても費用を負担する計画となっております。

 なお、従来、日本側から出融資により負担することとしておりました家族住宅やインフラについては、米側資金で整備されるということとなっております。

玉城委員 そうなんです。今回のこの見直しの何が大きなポイントかというと、今までは、資料にもありますとおり、要員約八千人プラス家族約九千人がグアムに移るということが、要員約九千人プラス家族が日本国外へということになったんですね。つまり、グアムだけではなく、日本国外という表記に変わったということと、これまでは司令部と家族が移るというふうになっていたものが、実動部隊が移っていくということになっていったわけです。これは大きな見直しです。このポイントは絶対に踏まえておかなければいけないんです。

 なぜなら、なぜ日本側がこの出融資額六十億九千万ドルを削ることになったかというと、つまりは、家族が移ることによって整備されなければならないインフラ、学校、病院、道路、建物について、それがどのぐらいのものになるのかわからないので、アメリカ側は、それを出しましょう、日本側はそれは出さなくていいですよ、そのかわり、それ以外の設備、装備についてしっかりと負担してくださいねということの見直しですから、これまでの司令部や家族の移転から、実動部隊が移る、実戦部隊が移るという大幅な転換になっている。これが、このパッケージを切り離す、リパッケージの一番大きな中身だということなんですね。そのことをしっかりと押さえておきたいと思います。

 それでは、今回、このグアム協定の改正で、引き続き、北マリアナ諸島連邦、これは主にテニアンですが、テニアンに整備する訓練場、これに係る経費及び金額算定の根拠となった点について御説明をお伺いいたします。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄からグアムに移転する海兵隊には、今御指摘のございましたとおり、実動部隊が含まれることから、その即応性維持のために、グアム及び北マリアナ諸島連邦に訓練場を整備することといたしているところでございます。

 具体的には、グアムにおきましては、個人や部隊の基礎的な訓練が可能な施設を整備し、また、北マリアナ諸島連邦におきましては、本格的な部隊訓練が可能な施設を整備するということとしております。

 日本側といたしましては、グアムにおきます訓練場のうち、市街地戦闘訓練等が可能な南アンダーセン訓練場の整備について費用を負担することとしているほか、北マリアナ諸島連邦におきます訓練場のうち、実弾射撃場、機動訓練場等の整備について費用を負担する計画でございます。

 また、こういった訓練場の整備に係る現時点での経費につきましては、これは全体としてでございますが、米側負担として約十億ドル、日本側負担として約五億ドルをそれぞれ見積もっているところでございます。

玉城委員 今回は、グアム及びこの北マリアナ諸島連邦、テニアンの訓練場の整備を明記して、アメリカ側は、訓練場の使用、つまり、日本側、自衛隊が使うその使用に係る日本の要請を、改正議定書の第六条で「合理的なアクセスを認める意図をもって好意的に考慮する。」日本側が求めればそれは使ってもいいですよ、そのために皆さんお金を出してくださいね、平易に言うとそういうふうなことになっているものと思います。

 では、大臣に伺います。

 今答弁にありましたとおり、一部海兵隊の訓練をここで行うことを新たな展開にするという答弁がありましたが、訓練場の整備と沖縄における負担軽減との関連性について、どのように図られるものであるのか伺います。

岸田国務大臣 アジア太平洋地域の戦略環境の変化を踏まえて、地域全体の多様な事態に対処できる柔軟な体制を構築するため、日米政府は、二〇一二年四月の2プラス2共同発表において、沖縄及びグアムにおける米軍の部隊構成を調整し、二〇〇六年のロードマップに比べてより多くの実戦部隊をグアム等に移転させるということになりました。

 グアム等における訓練場の整備は、これら実戦部隊を含む沖縄から移転する海兵隊部隊の即応性を維持する観点から不可欠なものであり、抑止力を維持しつつ沖縄における海兵隊の削減、そして、ひいては沖縄の負担軽減を図っていく、こうした意味で大変重要であると認識をしております。

玉城委員 そうなんですね。抑止力の維持と負担軽減、これは二つの沖縄における米軍基地問題の大命題になっていると思います。そして、それにつけ加えるのであれば危険性の除去ということ、この三つに関しては、どれ一本も外すことのできない、この三本が、再編計画、日米同盟における安全保障の柱の大きな一つ一つであるというふうに思います。

 では、改めてここで確認をします。

 沖縄からグアム移転する第三海兵機動部隊の要員及びその家族の変更について、内容を御説明ください。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、二〇〇六年のロードマップにおきましては、在沖海兵隊の要員約八千人及びその家族九千人がグアムに移転されていたということでございました。

 一方、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表により調整されました移転計画におきましては、在沖海兵隊の要員約九千人が日本国外に移転することとされたわけでございます。

 これにつきまして米側からは、このうち約四千人はグアムに移転し、他の約五千人はハワイ、豪州、そして若干名は米本土に移転する旨の説明を受けているところでございます。そして、このような移転計画に変更がないことにつきましては、昨年十月の2プラス2共同発表に当たっても再確認したところでございます。

 家族の人数につきましては、ロードマップにおきましては、主として司令部要員が移転されるということになっておりましたのに対して、今回調整されました移転計画においては、司令部要員とともに、家族の人数を見積もることがより困難な実動部隊要員も移転することになっているわけでございます。

 こうした事情から、沖縄から移転する家族の人数についてはもともとの共同発表に記載しないことにしておりますので、今回の議定書においてもこれを踏襲した取り扱いにしているところでございます。

玉城委員 今の点をもう少しかみ砕いて確認をしますと、これまでは司令部とその要員とその家族が移転するというものが、今ありましたとおり、要員約九千名ということで、それに家族の数は具体的にはちょっと入れにくいなということでございます。

 これは何を意味するかというと、つまり、この実動部隊の中には、家族ではない、いわゆる独身の兵士、海兵隊の隊員が多く含まれているということ、この独身の兵隊の皆さんが実は実動部隊の中核をなしているのであって、だから、彼らが例えば奥さんがいらっしゃるのか、お子さんがいらっしゃるのか、その家族全体の数を割り出そうとしても、実動部隊は訓練によって展開をしていくということがあると、沖縄における基地の存在は、もはや、固定的なベースという考えではなくて、移動、訓練展開をするための基地の一つであると。つまり、アジア太平洋におけるリバランスはそういうふうな内容に変化しているということが、実は、このロードマップ見直し、オバマ大統領が教書演説で発表した、その大きな中身だと思います。

 そして、今答弁にありましたとおり、では、その内容はどうなんですかというと、今まで全部グアムに行くと言っていたのが、いや、インフラ整備が間に合わない、アメリカでは議会でそのずさんな会計についてストップがかけられている、しかも、アメリカは財政の崖がありますから、二〇二三会計年度までは削減していく方向で既に方針が出されている。

 つまり、兵力においても、今までの大規模据え置き型から、より小規模で、抗堪性があって、政治的に安定性がある展開部隊に移していこうというふうなことが、このロードマップのパッケージを外した大きな形になっているのではないかというふうに思います。それが、四千名がグアムに移り、残る五千名はハワイもしくはオーストラリア、あるいはカリフォルニアなどアメリカの本国へと移っていく部隊。要するに、この部隊は駐留部隊ではなく、訓練のためのローテーション展開部隊だというふうなことが今の答弁からも理解できるということだと思います。

 では、次に伺います。

 先ほどは、部隊の要員については、家族の人数など、はっきりわかりませんということだったんですが、では、今回の移動に伴う海兵隊組織の改編、そしてその構成及び装備に関する情報などについて、どのような内容の情報がアメリカ側からもたらされているのかについて確認いたします。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま委員からも御説明がございましたけれども、少し大きな背景について簡潔に述べさせていただきたいと思います。

 アメリカは、近年の安全保障環境の変化に応じまして、アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスを高める観点から、戦略的要衝の地であるグアムへの米軍の前方展開を進め、航空機部隊、潜水艦部隊を増強してきているところでございます。

 このような中で、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表におきまして、米海兵隊の部隊構成、配置のもとで、司令部、陸上、航空、後方支援、これらの全ての要素から構成される海兵空地任務部隊、これはMAGTFと呼んでおりますけれども、これを沖縄、グアム、ハワイ、豪州に配置することになったわけでございます。

 そして、これも同じく二〇一二年四月の共同発表に記載されているところでございますけれども、その一環といたしまして、第三海兵機動展開部隊の航空、陸上及び支援部隊の要素を含む、約五千人で構成される、機動的な米海兵隊のプレゼンスをグアムに構築する作業を行っているというふうに承知をしているところでございます。

 なお、米側の説明によりますと、今の動きの中で、沖縄からグアムに移転する部隊には、第三海兵機動展開旅団司令部、これは司令部要素でございます、それから第三海兵師団隷下の第四海兵連隊、これは陸上部隊の要素でございます、その連隊の全部または一部及び第四戦闘後方支援大隊、これは後方支援部隊の要素でございますけれども、その全部または一部が含まれるというふうな説明を受けているところでございます。

玉城委員 今の内容からしますと、やはり、従来政府が答弁をしてこられました、司令部、陸上部隊、それを支える兵たん部隊、さらにそれを展開させる輸送部隊、この場合は航空部隊など、そういうふうな部隊の編成がこの今回の再編によって行われるわけでございます。

 この移動に伴う海兵隊の再編は、つまり、グアムに移転する部隊がより強力なものになる、つまり、エアシーバトルの本拠地になるのはもうグアムであるというアメリカのこれまでの方向性に倣いつつ、より機動的に展開する部隊を細分化していこう、動かせる部隊を動かしていき、後方支援できる司令部や兵たん部隊を置いておこうというふうな観点で、今回、沖縄の嘉手納基地以南の基地の返還についても、そのような環境の中で協議がされているものというふうに思います。後ほど質問させていただきますが。

 では、今回グアムへ移転する部隊以外の海兵隊基地の移転計画及び運用計画等について、これは沖縄におけるその計画等について、具体的な内容を御説明ください。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの北米局長からの御答弁と若干重なるところがございますけれども、アメリカ側からは、近年のアジア太平洋地域における安全保障環境の変化を受けまして、沖縄における米軍のプレゼンスを引き続き確保しつつ、地理的に分散された部隊態勢を確立するために、MAGTFを日本、グアム、ハワイに置くとともに、オーストラリアにローテーション展開させる旨の説明を受けております。

 そして、沖縄に駐留する部隊の態勢それから運用につきましては、このような措置を通しまして今後決定されるものというふうに承知をしておるところでございます。

玉城委員 つまり、まだ具体的にはその内容については明らかにされていないということですね。

 そうすると、ハワイにおける部隊の構成、それから、当然ですけれども、オーストラリアにおける部隊の構成、さらには、先般、フィリピンとの演習等の協定についても米側の方で進められておりますので、より西太平洋地区、つまり、アメリカがこれから東アジア関係を重視していこうというふうな環境の中で、より展開能力のある部隊について再編を進めていくというふうな内容で報道がされております。

 では、ここでちょっと大臣にお伺いいたします。

 このロードマップ合意によって説明されてきた、従来は、司令部を移して、その要員とその家族を移して、より機動力のある、行動できる部隊、いうところの初動展開部隊、殴り込み部隊、そういうふうな部隊が沖縄にいるから抑止力が維持できるんだというふうな答弁もございましたが、今回の、実戦部隊がグアム及びその他、日本国外へ移転するという計画について、具体的な抑止力との関係がどういうふうになるのか、その点について、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 二〇〇六年のロードマップにおきまして、主に司令部要員が移転されるとされていたのに対して、二〇一二年四月の2プラス2共同発表においては、アジア太平洋地域の戦略環境の変化を踏まえ、この地域全体の多様な事態に対処できる柔軟な態勢を構築するため、沖縄及びグアムにおける米軍の部隊構成を調整し、ロードマップに比べてより多くの実戦部隊をグアム等に移転させることとなりました。

 このような調整された再編計画のもと、先ほど北米局長からも答弁がありましたが、米国は海兵空地任務部隊、MAGTFを沖縄、グアム、ハワイ、そして豪州に配置することとなっており、この態勢によりまして、より高い能力を有する海兵隊のプレゼンスがおのおのの部隊において確保され、抑止力が強化されるとともに、さまざまな緊急事態に対して柔軟かつ迅速な対応を行うことが可能になると認識をしております。

 さらに、整備される訓練場を自衛隊が使用することとしており、これにより、自衛隊と米軍の相互運用性が高められ、また、グアムの戦略的な拠点としての発展がより一層促進されると考えております。

 こういったことによりまして、日米同盟の抑止力を維持し、そして沖縄の負担軽減が図られる、こうした認識が日米の一致した認識であると承知をしております。

玉城委員 今の大臣の答弁の中では、空地任務のMAGTFの件について御説明をしていただきました。空地というのは、あいている地、空の地。つまり、出ていった後どうやって運用していくのかというふうなことの、部隊との編成とも絡み合っているわけでございます。

 ですから、実は、今沖縄で訓練を中心に展開している地上部隊がこれから沖縄から出ていくのであって、沖縄に残る部隊は、その抑止力を維持しつつ、日米同盟のその抑止力をも相乗効果を高めていこうということだと思います。そのためにテニアンに訓練場をつくり、統合訓練計画を立てて、自衛隊の練度を上げ、海兵隊の抑止力の維持につながる練度の向上にも寄与しようということでの今回の見直しになっていると思います。

 ということは、自衛隊が今後、いわゆる海外での基地を使用して訓練等を行う、今現在でも沖縄でそういう訓練を行っている、キャンプ・ハンセンなどを使っての陸上自衛隊の訓練なども行われておりますが、これからは、沖縄における訓練ではなく、より海外における訓練、大規模な訓練、統合的な訓練、それによって日米同盟による安全保障における抑止力が維持されていくというふうに理解するとわかりやすいかなというふうに私は思うんですね。

 ですから、これからは、そのために今回協定を見直して、日本側の拠出、二十八億ドルを真水で出して、それで訓練施設をあわせて整備するというふうな方向性になっていることを今大臣の答弁で確認できたというふうに思います。

 では、あわせて伺いますが、普天間飛行場の返還計画が合意され、今回の協定の見直しによってもまた進められていく基地の移設ですが、嘉手納以南の基地について、現況の移設協議の進捗について、どのような状況にあるか、お聞かせください。

冨田政府参考人 昨年四月に沖縄施設・区域の統合計画を作成いたしまして、それに基づき、嘉手納以南の土地の返還時期と、返還に向けた具体的な段取りを改めて明らかにしたわけでございます。この中で、日米間では、この計画を可能な限り早急に実施することを累次確認してきているわけでございます。

 計画の進捗状況でございますけれども、具体的に申し上げますと、牧港補給地区の北側進入路、この返還が既に実現をしております。それから、西普天間住宅地区、牧港補給地区の第五ゲート付近の区域、キャンプ瑞慶覧の倉庫地区の一部及び白比川沿岸区域につきましては、日米合同委員会で具体的な返還合意を行っているところでございます。

 昨年の十月の2プラス2においても、これら土地の返還が予定よりも早く進んでいるということを日米間で確認しているところでございます。

 政府といたしましては、引き続き、西普天間住宅地区の土地の我が国への返還を実現するとともに、その他の土地の返還についても、地元の皆様の声によく耳を傾けつつ、着実に進めてまいりたいと考えておるところでございます。

玉城委員 今の答弁ですと、いかにも牧港の北側進入路以外がもう返還されているというふうに少し錯覚を覚えるところがあるんですが、もう一度確認させてください。

 今現在、最もこの中で先行返還してほしいというところは西普天間住宅地区だと思います。その西普天間地区の進捗状況、お手元に資料があれば、その件についてお聞かせいただきたいのですが、資料はありますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございましたキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区につきましては、日米間で取りまとめました統合計画におきまして、二〇一四年度またはその後ということで記述をされているところでございます。

 現在、まさにそのために必要な協議、調整等を日米間で行っているところでございますが、ちなみに、ここにつきましては、合同委員会におきましては返還の合意が行われておりまして、その後の調整を現在行っているという状況でございます。

玉城委員 そうなんです。沖縄の基地は、返還合意は先に行われているんですが、SACO合意の合意事項そのものもまだ順調に進んでいないという実態を考えますと、今の二つの答弁をかみ合わせて考えますと、二〇一四年またはその後、この嘉手納基地以南の返還に関しては、何々年度またはその後、オア・レイターという言葉が必ずつけられています。

 つまり、協議の内容によって、これだけ大規模な区域、地域、施設が返還されるということは、その跡地利用についてしっかりと、所在市町村もそうですが、そこに何が埋まっているのか調査をしなければいけない。どういう地質になっているのか、米側から資料を取りそろえ、なければ、それもまた日本側が調査をしなければならないというふうな手順を踏まえると、土地があきましたから、はい、戻しましたよ、返しましたよというふうな、簡単にそういうわけにはいかないというのが、これまでの沖縄における米軍基地の返還における長期化問題の最たるものだというふうに思います。

 我々は、早期に返還するために、地位協定の見直しも含めた、事前立ち入りでしっかりと調査をさせて、その利用計画については、早期に米側が理解を得られるよう、前倒しで進めていくべきものだというふうにこれまでも繰り返してまいりました。

 外務大臣にお伺いいたします。

 今回の沖縄県及び市町村との基地返還に関する協議における基地の立入調査について、県からの申し入れがどのように取り扱われているのか、お聞かせください。

岸田国務大臣 在日米軍施設・区域への立ち入りにつきましては、沖縄県から、まず一つは、返還予定地の返還三年前からの環境、文化財の掘削を伴う立入調査、そしてもう一つ、事故等汚染の確認が必要な場合の県専門家による立入調査が可能となること、こうした要望をいただいております。

 現在、日米地位協定を環境面で補足する政府間協定の作成に向けた日米協議を進めているところですが、この協議は、こうした立ち入り手続の作成を含め、昨年十二月二十五日の共同発表にある諸要素に基づいて行うことで一致をしております。

 環境補足協定において日米がとる措置、これをどのように規定するかにつきましては、今後の交渉によって決まっていくものでありますが、よって、現時点でその取り扱いを予断することは控えさせていただきます。

 ただ、日米双方ともが環境保護のためにバランスのとれた形で応分の措置をとる互恵的な枠組みを目指すべきであると考えております。

 ぜひ、地元の方々の声もしっかり踏まえながら、できるだけ早い時期に結果を出せるよう努力をしていきたいと考えています。

玉城委員 では、この件について、最後にあと一問お聞かせください。

 普天間基地の五年以内の運用停止について、仲井真県知事からも具体的に提示がされております。どのように日本側からアメリカ側へ正式に提示され、具体的な協議が行われているのか、せんだってはヘーゲル長官もお見えになりましたし、そのことについて大臣から見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真沖縄県知事からの御要望につきましては、総理自身が表明しておりますように、米国を初め、相手のあることではありますが、政府を挙げてその実現に向けて全力で取り組んでいく方針であります。

 私の方からも、ことしの二月、訪米させていただきました際に、ケリー国務長官及びヘーゲル国防長官に対して、また先日、ヘーゲル国防長官が来日をされました、六日にお会いさせていただきましたが、その際にも改めて、知事からいただいた御要望について説明をし、そして、沖縄の負担軽減について米国の引き続きの協力を要請いたしました。米側からは、負担軽減に関する日本政府の取り組みを引き続き支持、支援するとの発言があったところです。

 普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければなりません。沖縄の皆様方の御理解をいただきながら、ぜひ、現在の計画に従いまして、一日も早い移設、返還を実現し、沖縄の負担を早期に軽減していきたいと考えております。

玉城委員 これまでのグアム協定に関してのやりとりを聞かせていただきますと、やはり普天間は辺野古に移設しなくてもいいという結論に達すると思います。そのことについては、私はまた後刻改めてしっかりたださせていただきます。

 最後に、残された時間はあと少しですが、武器貿易条約について何点かお聞かせください。

 大臣、我が国がこの条約を締結することに参加する意義について、その意義についての説明をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 武器貿易条約を締結する意義について御質問いただきましたが、この条約は、通常兵器の国際貿易を規制するための国際的な基準を確立し、通常兵器の不正な取引等を防止することを目的としております。

 締約国がこの条約に基づき通常兵器の国内管理制度を確立することによりまして、国際社会における通常兵器の国際貿易の管理が強化され、国際社会の平和と安定に寄与するものであると認識をしております。

玉城委員 四月一日に閣議決定されました防衛装備移転三原則、及びその運用指針も国家安全保障会議で決定されていますね。時期的に非常にこの条約の提案とかぶっていることについて、やや懸念を抱いている国民もいらっしゃるのではないかと思いますが、この防衛装備移転三原則及びその運用指針において、本条約と関連する点について、その点があれば御説明をお願いします。

岸田国務大臣 まず、本条約も、また防衛装備移転三原則も、国連安全保障理事会決議による、武器禁輸国向けの通常兵器等の移転が禁止されており、こうした点は共通しております。

 一方、相違点としましては、以下の点が挙げられます。

 まず一つは、この条約は、国連における交渉を経て作成された国際約束であるということですが、一方、防衛装備移転三原則、これは我が国の政策として実施をしている外国為替及び外国貿易法並びに輸出貿易管理令の運用基準であり、そもそも性格が異なっております。

 そして、規制の対象範囲につきましては、この条約の輸出規制の対象は、防衛装備移転三原則における防衛装備よりも狭いものになっています。

 また、規制のあり方につきましては、この防衛装備移転三原則によりまして、我が国は、移転を禁止する場合を明確化し、移転を認める場合を限定し、厳格審査をいたします。また、目的外使用及び第三国移転について、適正管理が確保される場合に限定するとしております。

 そして、条約の方におきましては、通常兵器等の移転または輸出を許可してはならない場合を規定しておりますが、我が国の政策においては、防衛装備の移転を認め得る場合が限定されておりまして、この条約上の輸出規制に比べ厳しいものになっております。

玉城委員 ありがとうございました。

 武器貿易条約については幾つかほかにも質問の事前通告をさせていただきましたが、時間の関係で割愛させていただきますことをお許しください。

 以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 日本維新の会、村上政俊です。

 本日は、海兵隊のグアム移転に関して質問してまいりたいと思います。

 さて、海兵隊のグアム移転についてなんですけれども、私が思うに、さまざまな位相の、さまざまなレベルの議論というものが錯綜した状況になっているんじゃないかなと思います。

 一つは、我が国のアジア太平洋戦略、あるいは米国のリバランス戦略との関係における戦略レベルでの議論、それからもう一つは、戦術的な問題、これは軍事的な問題ですけれども、米軍再編といったミリタリーのレベルでの議論、あるいは沖縄の負担軽減の話、そして日米の間での経費負担の分担の話といった、さまざまなレベルの話、さまざまな位相の議論が混在している状況にあるんじゃないかなと思います。

 これをよく整理しながら、きちんとこのグアムへの海兵隊移転について議論し、考えていかなければならないと私は思うんですが、大臣はいかがお考えですか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しいものがあり、また、国際情勢は刻々と変化をしております。

 委員が御指摘のように、さまざまな観点から考察を深めながら、具体的な協定のあり方等を考え、そして評価していかなければならないと考えます。そうした深い広い議論が必要だと認識をしております。

村上(政)委員 大臣からそういう御答弁をいただきましたので、きょうの私の質問は、我が国のアジア太平洋戦略あるいは米国のリバランス戦略といった戦略レベルでの話から質問を幾つかしていきたいと思います。

 今審議されている改正議定書ですけれども、この改正議定書が出てきた経緯というのはどういった経緯になりますでしょうか。

岸田国務大臣 今回の議定書が出てきた経緯について御質問をいただきましたが、まず、従来の在日米軍のパッケージにつきましては、沖縄の負担軽減を早期に図らなければならないにもかかわらず、日米双方の国内的な事情もあり、一部、進展が得にくい、こういった状況に陥っていた、こういった事情がありました。そして、あわせて、アジア太平洋地域の厳しい安全保障環境を考えますときに、抑止力を強化するための米軍の適切な態勢を実現すること、これも急務でありました。

 こういった認識の上に立って、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表におきまして、在沖縄海兵隊のグアム移転及び嘉手納以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の移設に関する進展から切り離す、そして在日米軍再編を可能なところから進めていく、こういった結論に至り、そして今回、この議定書を御審議いただき、協定を改定することに至った次第であります。

村上(政)委員 御答弁にあるように、二〇〇六年五月の2プラス2で公表された再編実施のための日米ロードマップというのが一つの起点になっていると思います。当時は、アメリカはライス国務長官、ラムズフェルド国防長官、我が方は麻生大臣と額賀長官という四人で話し合われた、2プラス2でのロードマップだと思います。

 この2プラス2からもう八年、二〇〇六年からですから、既に八年の月日が経過しているわけであります。この八年の間に、我が国を取り巻く安全保障環境、あるいはアジア太平洋地域におけるさまざまな戦略環境というのは大いに変化してきたと思います。この八年間における変化を大臣自身はどのように認識されていますでしょうか。

岸田国務大臣 この八年間のアジア太平洋地域の情勢に対する認識について御質問いただきましたが、ロードマップを作成した二〇〇六年の段階と比べまして、まず、さまざまな軍事力の近代化があり、また軍事活動の拡大あるいは活発化、こういった動きも存在いたします。また、海洋の安全ですとか航行の自由の問題、こうした問題も指摘をされているところでありますし、また自然災害の頻発等もあります。こうしたさまざまな安全保障上の課題がより顕在化している、これが現実ではないかと認識をしております。

 この八年間の変化としましては、以上申し上げた点を挙げなければならないと認識をいたします。

村上(政)委員 八年間の戦略環境の変化、軍事力の近代化、あるいは海洋安全保障の課題が出てきているというふうな答弁でしたけれども、この中には中国の海洋活動、海洋進出というものも含まれるという認識でしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の点も含めて、海洋活動についての動きが存在すると認識をしております。

村上(政)委員 中国の海洋進出に対しては、どのような視点から評価されていますでしょうか。

岸田国務大臣 海洋の安全とか航行の自由にかかわる問題につきましては、力による現状変更というものは容認できない、法の支配、国際法の支配のもとに、こうした海洋の安全や航行の自由について考えていかなければならない、このように認識をしております。

村上(政)委員 中国の海洋進出の問題それから海上の安全保障の問題が論じられるときに、中国の海洋戦略の中で、接近阻止とか領域拒否、A2ADと言われるものですけれども、こういったことも議論されていると思いますが、こういったことは大臣は御存じでしょうか。

岸田国務大臣 先ほど、八年間の状況の変化の中で軍事力の近代化というのを挙げさせていただきましたが、その中には、御指摘のような近接阻止とか地域拒否能力の進展、こういったものも含まれるものであると認識をしております。

村上(政)委員 今お答えになったことが、我が国の安全保障に対してはどのような影響があるというふうにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の点も含め、先ほど申し上げましたさまざまな状況の変化があります。そうしたことによって、結果として、我が国をめぐる安全保障環境は厳しさを増しているというふうに認識をしております。

村上(政)委員 具体的にどのように我が国の安全保障というのは厳しさを増しているんでしょうか。

 先ほどから御答弁にありますように、例えば、軍事力の近代化であったり、軍事力の拡大があったり、あるいは海上の安全保障の問題がいろいろと惹起してきている、また中国の活動がある、こうしたことを踏まえて、我が国の安全保障環境というのは厳しさを増してきているというのは、これは広く我々も認識しているところですし、国民の間でも、世論の間でも認識されていると思いますが。

 では、具体的に我が国の安全保障環境に対してどのような影響が想定されるのか、どのようなことが懸念されるんでしょうか。

岸田国務大臣 どのような影響が想定されるかという御質問ですが、先ほど申し上げましたさまざまな動きが存在し、そのことによって新たな事態もいろいろと想定をしておかなければならない、こういったことに至ると存じます。

 新たな動きに対応するべく、我が国としましてもさまざまな対応を考えていかなければならない、こういった意味で、我が国としまして、安全保障の環境について、より具体的に真剣に対応していかなければならない、こういったことにつきまして、環境が厳しくなっているという表現で申し上げさせていただきました。

村上(政)委員 私は非常に心配になりました。というのも、私が質問したことは極めて概論的な、極めて一般的な質問なんじゃないかなと思います。

 中国の海洋進出を含めた海上での安全保障の問題がいろいろと惹起されている、これが我が国の安全保障に対して具体的にどのような懸念なり影響を与えるおそれがあるんでしょうかということを外務大臣に御質問したところ、明確なお答えはなかったと思います。

 外務大臣は、先ごろ、私がどういった外務大臣が理想像としてあるかということをお尋ねしたときに、外務大臣としての資質として、大局観が非常に必要であるということをおっしゃっていたと思います。私も同じ考えですし、日本外交のかじ取りをするためには、やはり、我が国を取り巻くアジア太平洋地域の戦略環境がどのようになっていて、我が国がどのような方向に進んでいかなければならないのかについて常に考察をしなければならないと思います。

 安倍総理は、地球儀を俯瞰した外交ということをよくおっしゃっていらっしゃいます。私は、安倍総理がきちんと地球儀を俯瞰しながら外交ができているとは思いませんが、こういった観点、地球儀をきちんと見ながら、我が国を取り巻く環境というものを踏まえながら外交を進めていくことが必要なんじゃないかなと思います。

 しかるに、大臣からは、中国の海洋進出を含めた海洋安全保障の問題が我が国の安全保障に対してどのような影響があるのかと聞いたところ、厳しさが増しています、厳しさを増しているから、これを踏まえてきちんと対応していかなければならないというお答えしか返ってこなかった。

 これでは私は非常に不安なんですけれども、もしほかに具体的な御答弁があるなら、お聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 我が国をめぐるさまざまな環境の変化については、先ほど申し上げたとおりであります。

 その結果として、どんな影響が出るかということについて具体的に私の立場から明らかにするということにつきましては、これは控えなければならないと考えています。私自身が具体的な影響について断定的に申し上げるということは、さまざまな国の対応についても影響を及ぼすことになるのではないかと思います。そういった点から、先ほど申し上げましたような表現にとどめさせていただいた次第であります。

 しっかりとこうした状況の変化に対応しなければならない、それについて具体的な対応を用意しなければいけない、これは当然のことであると認識をしています。

村上(政)委員 シーレーンに対する影響はどうですか。我が国のシーレーンに対する影響というものはあり得るとお考えでしょうか。

岸田国務大臣 我が国にとりまして、シーレーンの安全確保、これは大変重要な課題であります。こうしたさまざまな状況の変化がシーレーンの安全確保に影響が生じないように対応するべきであると認識をしております。具体的な対応を検討していきたいと存じます。

村上(政)委員 では、最初からシーレーンを具体例としておっしゃってもよかったんじゃないですか。我が国を取り巻く海洋の問題というのは明らかにシーレーンとも直接的に関係しているんですから、海洋をめぐる問題が惹起されるというのであれば、我が国のシーレーンに対しても影響があり得るということを最初から御答弁していただいたらよかったんじゃないですか。いかがですか。

岸田国務大臣 先ほどの答弁の中で海洋の安全あるいは航行の自由ということを挙げさせていただきました。その中に当然のことながらシーレーンの安全確保は含まれるものだと認識をしております。

村上(政)委員 観点を変えたいと思います。

 先ほどから議論させていただいているように、我々を取り巻く環境というものを踏まえながら今回議論されているグアムへの海兵隊の移転ということを考えなければならないというのが私の問題意識です。

 先ほど御質問させていただいて、二〇〇六年の2プラス2から、この八年間で我が国を取り巻く戦略環境というものは大きな変化を遂げたということは大臣自身も認識していらっしゃると思います。

 例えば、沖縄の海兵隊がグアムに移転するというのは、私はそう断定的に思うわけではないですけれども、見方によっては、沖縄からグアムに移転するというのは、一種、アメリカ軍が後方に退くといった見方もできるのじゃないかなと思います。

 そうした意味で、沖縄の海兵隊がグアムに移転するというのは、間違ったメッセージの発し方をすれば、中国が間違ったメッセージを受け取る可能性もあるんじゃないかなと。すなわち、例えば、我が国から、あるいは中国の近いところから物理的に撤退をするといった間違ったメッセージを中国に送る可能性もあるんじゃないかなと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 二〇一二年四月の2プラス2共同発表において示された新たな部隊構成、配置においては、在沖縄海兵隊から当初のロードマップの想定より多くの陸上部隊が日本国外に移転することとなっておりますが、一方で、高い即応性を有する第三一海兵機動展開隊は沖縄に維持されるということ、また、事態の進展に応じて各地から部隊が増強され、第三海兵機動展開部隊司令部及び航空、後方支援部隊が増強部隊の来援のための基盤となることによって、引き続き大規模な緊急事態に対して迅速に対応することができるということ、そして、自衛隊の取り組みに加え、日米間で共同訓練、共同の警戒監視、偵察活動及び施設の共同使用を含む防衛協力を進める、こういったことによりまして我が国における日米同盟の抑止力はしっかり維持されるというのが日米の一致した認識であります。

 こうした点をしっかりと説明することによって、間違ったメッセージが発せられることはないと考えております。

村上(政)委員 今御説明いただいたように、日米同盟の抑止力が維持されるというのは、さまざまな軍事的な合理性からはきちんと説明できるんだと思います。ただ、抑止力というのは、例えば定量的に、沖縄に何人いるからこれだけの抑止力が提供できるとか、そういった非常に細かい数字で表現されるものではないんじゃないかなと思います。ある種の政治的なメッセージであったり、ある種の形というのも非常に重要なんじゃないかなと思います。

 私がお聞きしたいのは、海兵隊が沖縄からグアムに移るということが、そういった意味で、間違った形で中国に伝わってはまずい。これは、我々として、アメリカのプレゼンスというものを東アジア地域に対してきちんと確保していくという観点から行っているのであって、何も、アメリカのプレゼンスが削減されたり、あるいはアメリカのコミットメントがこの東アジア地域に対して少なくなるのではないんですよということをきちんと説明しなければならない。

 それは、大臣が今御答弁であったように、説明していかれるということですが、そういった可能性やおそれというものがあるということは、大臣は御自身の頭の中で体操として考えられたのかというのが私がお聞きしたいことであります。

岸田国務大臣 今回の取り組みが日米同盟の抑止力をしっかり維持するという点につきまして、これをしっかりと表明するべきではないか、そういった点につきましては、例えば昨年十月の2プラス2の共同発表におきましても、米海兵隊のグアム移転を含む在日米軍の再編計画について、地理的に分散し、運用面で抗堪性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢を実現するものであり、将来の課題と脅威に効果的に対処するための兵力、柔軟性及び抑止力を与えるものであると認識する、こういった点におきまして日米で一致し、明記をしているわけですが、こうしたさまざまな機会を通じまして、現実の態勢について、そしてそれに対する評価について、しっかりと説明をしていきたいと考えております。

村上(政)委員 日米の間で一致している、そしてそれを説明していかなければならないということは、先ほどの御答弁でも明らかになっていることです。

 私がお聞きしたのは、先ほどのような頭の体操を大臣御自身の中でされたのかどうかということをお聞きしているわけであります。

 というのも、今、二〇〇六年から八年間たって、我が国を取り巻く環境というのが大きく変化した、その中で、海兵隊を沖縄からグアムに移転するということが、一体、中国から見るとどういうふうに見えるのかということを、頭の中で想像なり体操されたことはありますでしょうかとお聞きしているのですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 さまざまな事態を想定しておくことは重要だと存じます。こうした公の場で具体的なものを申し上げるかどうかは別として、絶えずさまざまな事態を想定し、そして検討しておく、政府の内部におきましては大変重要なことだと思いますし、そうした検討は絶えず行ってきているものと考えております。

村上(政)委員 最後に、オーストラリアにローテーション駐留している海兵隊との関係をお聞きしたいんですけれども、二〇一一年十一月にオバマ大統領はオーストラリアを訪問して、議会の演説の中でも、アジアに対して、戻ってくる、ピボット、あるいはリバランスということを明確に打ち出したと理解しております。また、その中で、そういった文脈で、オーストラリア北部のダーウィンに海兵隊を駐留させるというようなことを発表したと思います。

 オバマ大統領がそのときに打ち出したリバランスの戦略、あるいはその中での海兵隊のオーストラリアへの駐留と、それから今回の、沖縄に駐留していた海兵隊のグアムへの移転と、これらの関係というのはどのように大臣は御理解されていますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、米国は、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえまして、この地域において、地理的により分散し、そして運用面で抗堪性があり、政治的により持続可能な米軍の態勢を実現するとしております。

 そして、具体的には、司令部、陸上、航空、後方支援の全要素から構成される海兵空地任務部隊、MAGTFを沖縄とグアムとハワイと、そして豪州に配置するとしております。

 これを踏まえれば、在沖縄海兵隊のグアム等への移転は、米国が北東アジアにおける大規模な緊急事態を含む多様な事態に対処し得るよう、堅固なプレゼンスを確保するとともに、多様な事態に対処できる柔軟な態勢の構築を可能にする、このように考えております。

 豪州、オーストラリアとの関連で申し上げるならば、四月七日、日豪首脳会談に関する共同プレス発表におきましても、日豪両首脳間で、アジア太平洋地域への米国の強い関与の重要性を再確認し、米国のアジア太平洋重視政策、リバランス政策への強い支持を表明しているところであります。

村上(政)委員 グアムへの移転に関してはこれで質問を終わりたいと思いますが、私が問題提起したかったのは、やはり我が国を取り巻く戦略環境というものを常に踏まえて外交のかじ取りに当たっていただきたいということです。

 残念ながら、先ほどお聞きした、中国の海洋進出なり海洋安全保障の問題についてお伺いしたにもかかわらず、ぱっと、こうだというお答えが出てこなかったのは、ふだんきちんとそういったことを考えておられるのかなということを疑問に思わざるを得ないと私は感じました。しっかりと戦略環境を踏まえた上で外交のかじ取りに当たっていただきたいと思います。

 次に、先ほど渡辺委員からも問題提起のあった集団的自衛権の関係について伺いたいと思います。

 まず初めに、砂川事件判決とそれから集団的自衛権の関係については、大臣自身はどのように認識していらっしゃるでしょうか。

岸田国務大臣 砂川事件と集団的自衛権との関係について御質問をいただきましたが、既に、この砂川事件と集団的自衛権との関連については、与党を初めさまざまなところで議論がされていることは承知をしております。

 こうした議論が今後進められることとは思いますが、政府としましては、安保法制懇の最終報告書を待った上で、与党としっかり協議した上で政府の方針を確定したいと考えております。

 今の段階でそれについて私が明言することは控えなければならないと考えています。

村上(政)委員 きょうはその答弁ではだめですよ、大臣。

 なぜかというと、きのう、八日の夜のBSフジの「プライムニュース」、安倍総理が出られたこの番組、大臣、ごらんになりましたか。

岸田国務大臣 残念ながら、見ておりません。

村上(政)委員 先ほど渡辺委員に対する御答弁の中で、政府の一員としてこの問題について考えていくということをおっしゃっておられましたが、外務大臣として、安倍総理が日本国民全体に対して語りかけた「プライムニュース」の映像をごらんになっていないというのは、ちょっと問題じゃないですか。

 しかも、その「プライムニュース」の中で、総理は、砂川事件判決について、集団的自衛権を否定していないことははっきりしていると述べておられます。このことは御存じでしたか。

岸田国務大臣 残念ながら、番組自体は見ておりませんが、きょうの朝刊等にそれに関する記事が載っていたことは承知しております。

村上(政)委員 内閣のトップである内閣総理大臣が、もう既に、砂川事件判決について、集団的自衛権を否定していないことははっきりしていると述べておられるわけですから、外務大臣もそういったラインで答弁されたらよろしいんじゃないでしょうか。

 もう一度お尋ねいたしますが、砂川事件判決と集団的自衛権の関係についてはどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 総理の番組の中での発言については、真意を私は今確認するすべがありませんが、外務大臣の立場としては、そして政府の一員としては、先ほど申し上げたように、政府の方針を確定する前に発言することは控えなければならない、この点は変わらないと思っています。

村上(政)委員 ということは、総理のきのうの発言というのは、総理の個人的な発言ということですか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げたように、私自身、残念ながら、この番組を見ておりませんし、なおかつ、総理の真意について、私は推しはかる立場にはありません。

 しかし、政府の方針、立場としましては、先ほど申し上げたように、手順を踏んだ上で政府の方針を確定する、確定した後に政府として発言をする、これは当然のことだと思っています。

村上(政)委員 私は、もう何度も申し上げているように、集団的自衛権については、やったらいいという立場なんです。ぜひ、これについてはきちんと議論させていただいて、前に進めていきたいという立場なんです。

 大臣は、累次にわたって、安保法制懇の議論を待ちたい、政府の方針をきちんと決定した上で我々と話をするというふうにおっしゃっておられるわけです。

 そういった答弁で今まで我々野党も我慢してきたわけですけれども、総理自身が、きのう平場で、砂川事件の判決というのは集団的自衛権を否定しているわけではないというふうに発言しているわけですから、きちんとこれについて委員会なりこの国会の場で外務大臣自身もお考えを述べられたらいかがですか。

岸田国務大臣 昨晩の総理の番組の中での発言についての真意は、私は確認するすべがありませんが、政府としましては、先ほど申し上げた手順で政府の方針をしっかり確定したいと思っています。そして、国会においてしっかりとした議論をするためにも、まずは政府の方針を確認しなければならないと考えています。

 なぜならば、政府の方針が確認する前であったならば、きょうのように、確認する前、まだ検討中である等、確認するまではお答えができないということに終始せざるを得ないからであります。

 ぜひ、早急に議論を進めて、政府としての方針を確定した後に、国会において充実した議論を行っていきたいと考えています。

村上(政)委員 総理の発言と政府の方針というのは違うんでしょうか。総理の発言イコール政府の方針なんじゃないですか。総理が既にこういった発言をされているわけですから、外務大臣もそのラインで御答弁になったらいいんじゃないですか。

 ほかの点をお聞きしたいと思いますが、地理的制約についても総理は発言されているわけであります。

 私自身は、集団的自衛権の問題、これは地理的な制約をかぶせることは必要ないと思います。総理も、近傍で起こったら助けられるけれども、遠くだったら助けられないという議論は誰もしない、常識的な議論をすべきだということをきのう述べておられます。

 集団的自衛権と、それから地理的な制約、地理的な範囲については、外務大臣、どのように認識されていますか。

岸田国務大臣 昨晩の総理の番組内での発言については、私自身、真意はわかりませんが、少なくとも、これは政府の方針を何か明らかにしたというものではないと考えます。

 そして、総理自身も、今日まで国会の場で、累次にわたりまして、政府として、安保法制懇の最終的な報告書を待って、政府・与党でしっかり議論をし、政府の方針を確定し、そして閣議決定を行った後、国会で丁寧に議論をしていきたい、この方針については再三発言をされているところであります。

 総理としましても、先ほど申し上げました手順を経た上で政府の方針を確定するという考えに違いはないと考えております。

村上(政)委員 もう一度お聞きしますけれども、総理の発言は政府の方針では必ずしもないというのは、私にはきちんとは理解できないんですけれども、どういう意味でしょうか。

岸田国務大臣 基本的に、昨日の総理の発言を聞いておりませんし、真意を確認するすべはありませんが、少なくとも、現時点で政府の方針が確定したということはないと認識をしております。

村上(政)委員 もう時間も残り少なくなってきましたので、最後に、集団的自衛権の定義というものは何だとお考えですか。

岸田国務大臣 集団的自衛権の定義ということにつきまして、今手元に細かな資料はありませんが、国際法においては、みずから攻撃されていない場合においても、密接な関係にある国に対する攻撃に対して対応する、こうした権利であると承知をしております。

村上(政)委員 これは、同じ質問をしている方がいらっしゃるんですよ。平成二十一年十一月四日の衆議院の予算委員会で、当時の石破自民党政調会長が、鳩山内閣総理大臣に対して、私が言いました質問と全く同じ質問をしています。集団的自衛権の定義は何ですかということです。

 その集団的自衛権を国際法の上で担保しているのは、どういう根拠でしょうか。

岸田国務大臣 たしか国連憲章五十一条だったと記憶しておりますが、その中に、集団的自衛権、個別的自衛権、加盟国に保障されているという内容の条文があったと記憶しております。

村上(政)委員 残念ながら、きょうの質疑でも、またこの集団的自衛権の問題については前進を見ることができませんでした。総理の発言を引いても、なかなか御答弁いただけない。我々は足を引っ張るつもりは全くありません。具体的に前へ進めていきたいと思っております。岸田大臣も同じ思いだと思うんですけれども、残念ながら、前向きな御答弁がなかったと思います。

 質問はこれで終わりたいと思いますけれども、集団的自衛権に関してきっちりとした御認識を持っていただいて、我々ともきちんと議論をしていただくというような姿勢を見せていただくようにお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 まず、武器貿易条約についてお伺いをいたします。これは、いろいろ外交上も日本が主導的役割を担った、大変いい条約だというふうに思います。

 まず、事実的な確認からですが、これは五十カ国が締結をしてから効力を発揮していくということになっておりますけれども、今の段階ではおよそ三十カ国を超えるぐらいになっています。その五十カ国、発効までの見込み、それは国によっていろいろな状況もありますから、一応見込みとしてはいつごろ発効になるのか、確認をさせてください。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘ありましたように、この条約につきましては、五十番目の批准書、受諾書、または承認書が寄託された後、九十日で効力を発生するということになってございます。

 また、現時点での締約国は三十一カ国ということになってございます。

 今後の見通しということでございますけれども、本年の二月時点では、締約国はまだ十一カ国ということでございましたけれども、それが増加をしてきているということ、また、署名をしている国というものが百十八カ国に上るということからいたしますと、今後、締約国がさらに増加をいたしまして、遠からず発効条件に達するという可能性はあるものというふうに考えております。

小熊委員 これはそれぞれの国々で手続を踏むものですから、一日も早く発効できるように祈るしかないというか、期待するしかないところであります。

 この中で、武器輸出国が世界には幾つかありますけれども、大口の武器輸出国、おおむねトップテンぐらいで結構なんですが、その国がこの条約に対してどのようなスタンスでいるのか確認させてください。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 主要な武器輸出国、ストックホルムの国際平和研究所というところで種々のデータを出しておりますけれども、そのデータに依拠して見させていただきますと、ドイツ、フランス、イギリスなどが主要な武器輸出国の中に入ってくるわけですけれども、こういうふうな国は既にこの条約を締結済みでございます。

 米国につきましても主要な武器輸出国に入りますけれども、米国につきましては、署名済み、まだ未締結でございます。

 そのほかに、主要な武器輸出国といたしましては、ロシア、中国、ウクライナ、イスラエルといった国がございまして、これらの国は未署名という段階でございます。

 これらの国々につきましては、条約について種々検討をしている段階であるというふうに承知をしておりますけれども、それ以上の情報というものは特に接していないというところでございます。

小熊委員 実際、この条約が、日本が主導して、本当にいいものではあるんですけれども、実態としては、こういう大口の武器輸出国がこの条約に入ってこないと、本来的な、世界の安定を守る、しっかり武器を管理してやっていくという趣旨の達成は実現していかないわけですよ。

 この大口でアクションを起こしていない国々に対して、今後、これは日本政府として主導的な役割を担ってきたと私も評価しますし、外務省もそういうふうに言っておりますけれども、言っているのであれば、積極的に、こういう大口の武器輸出国に対しての取り組みが必要だというふうに思うんですが、それについてはどうでしょうか。いや、これは政治家の発言を求めるしかないんですけれども。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 事実関係の部分を私の方から御説明させていただければと思います。

 今委員から御指摘ございましたように、この条約につきまして、大口の武器輸出国の参加が重要であるということにつきましては全く同様の認識を持ってございまして、このために、我が国としてもさまざま動いているところでございます。

 幾つかの例を申し上げますと、昨年九月、武器貿易条約ハイレベル会合というのがございまして、岸田外務大臣がこれに出席をいたしまして、主要な武器貿易国の締結というものを直接に呼びかけたところでございます。

 また、そのほか、我が国といたしましては、二国間協議などの場を通じまして、中国であるだとか、ロシアであるだとか、米国であるだとか、また東南アジア諸国に対して、早期の署名、それから締結を行うように働きかけておりまして、今後もこのような働きかけを引き続き継続していきたいというふうに思っております。

小熊委員 これは、先ほど申し述べましたとおり、この条約の本当の成果が上がるというのは、そういう大口の国が入ってこなければ達成されませんから、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいんですけれども、その中で、近年、トップテン圏外からトップテンに入ってきたウクライナが武器輸出国であります。

 御承知のとおり、ウクライナは中国にも武器を輸出しているという国でもあります。今、このウクライナ情勢、大変緊迫した状況でありますけれども、そういう意味では、とりわけこのウクライナ、大きな問題を抱えていますけれども、かつてリビアが、カダフィ政権が倒れたときに、その保有していた武器がさまざまなテロリストとかいろいろなところに流れたということもあります。この緊迫した情勢の中でウクライナがどうやっていくかという意味では、それはロシアや中国に対してというのもありますけれども、ウクライナに対してはまた違ったアプローチが必要になってくるというふうに思います。

 この件に関して、ウクライナに対してはどのように状況を把握してアプローチをしていくのか、お伺いをしたいと思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナにつきましては、現時点で見ますと、この条約にはまだ署名をしてございません。

 一方、ウクライナとこの条約とのかかわりということで見てまいりますと、昨年の四月に、国連総会におきましてこの条約が採択をされたときには、ウクライナは賛成票を投じてございます。

 したがいまして、ウクライナはこの条約の趣旨について基本的に賛同する立場に立っているのではないかというふうに考えられますけれども、今委員からも御指摘ございましたように、ウクライナは今非常に緊迫した状況でございますので、ウクライナの全体としての状況、そしてまたウクライナのこの条約に対する対応については、我々としても注視していきたいというふうに考えております。

小熊委員 ウクライナの軍需産業がどのようにウクライナ国内で分布しているか私も把握しているものではありませんけれども、ロシアが不法な形で占拠したというか侵攻していっている中で、多分、そういう武器産業のところも含まれているというふうに思います。そうすると、ウクライナだけではなくて、ウクライナの軍需産業の構造をしっかり見据えて、その部分でもロシアにしっかり物を言っていかなきゃいけないというふうに思うんですね。そうした、複合的にアプローチをする必要があるというふうに思います。

 そういう意味では、ウクライナの軍需産業の状況というのも、これは政府として細かくは把握されていますか。いや、していないならしていないでいいんですけれども。

岸田国務大臣 ウクライナの軍需産業につきましては、例えば、中国の空母遼寧はウクライナから輸出されてきたものであります。そうした動きがあることも含めて、さまざまな情報収集、事態把握には努めているところであります。

 そして、ウクライナにおいては、たしか五月の二十五日ですか、大統領選挙も予定されています。今後のウクライナの政府としての動きも、それによってどうなっていくのか、しっかり注視をしていかなければならないと存じます。

 ウクライナの政府の状況、国内情勢、そして、そのことによって軍需産業についてどんな影響が出るのか、大きな関心を持って、引き続き注視していきたいと考えています。

小熊委員 ウクライナの件については、後の質問にちょっと絡まってくるので、違う観点からまた質問します。

 これまでも主導的な役割を日本は担ってきました。でも、これがゴールではありませんし、発効したからゴールでもないというふうに思います。今、輸出国のことに限定して言いましたけれども、大口輸入国に対してもどのように取り組んでいくのかというのもありますから。

 そういう意味では、これはせっかくいい条約です、今後、日本の立場としては、具体的にどのように主導的に、またリーダーシップを発揮してこの条約に取り組んでいくのかをお伺いいたします。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、我が国としてこの条約にかかわっていくということでは、恐らく二つの視点があるのではないかというふうに考えます。

 一つは、今委員からも御指摘がありましたように、この条約が発効し、また、この条約の締約国がふえていくというふうなことに対する働きかけということでございまして、これは先ほども御答弁させていただきましたように、引き続きそのような努力を図っていくということが一つ重要な観点であると思います。

 あと、もう一つの観点といたしましては、条約の中で国際協力、また援助というところの規定もございます。これは特に途上国でございますけれども、この条約をきちっと実施ができるようなことのための支援ということでございまして、例えば意識の向上であったり、制度構築であったり、それから人材育成というさまざまな分野がございますけれども、この分野では我が国としてもさまざまな協力を今までもやってきているところでございます。

 そのような点でも主導的に、また積極的に取り組んでいく、こういうことが重要ではないかというふうに考えております。

小熊委員 ぜひ、これが世界で広く、その趣旨に沿った形でこの条約が発効されて、その実態に合った形で動いていくことを求めたいと思います。

 私も詳しく把握しているわけではありませんが、やはり武器に関しては、アンダーグラウンドな取引が世界の中ではあるわけですから、そうしたところにもしっかりくさびが打てるように、今後また対処していかなければならないというふうに思いますので、これはゴールではなくて、まさにスタートですから、ここからしっかり日本がリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。

 次に、グアム協定ですけれども、これまでも質疑がありましたが、ざっくり言って、これは沖縄の基地の負担軽減という大きな狙いがあります。

 大ざっぱで結構なんですが、この改定によって沖縄の負担軽減にどのようにつながっていくのか、お示しをください。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 この議定書の締結、すなわち現行協定の改正により、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表による再編計画の調整等を踏まえた形で、在沖縄海兵隊のグアム移転の実施に必要な多年度にわたる資金提供を初めとする日米双方の行動が法的に確保されます。

 したがって、調整された再編計画が進行をしていって在沖縄海兵隊のグアム移転が進むわけでありますけれども、その中で、抑止力を維持しながら、在沖縄海兵隊が削減されることによって沖縄の負担軽減に資するという意義を有しているわけであります。

 このような意義については、昨年の十月の2プラス2の共同発表においても、その趣旨を記載しているところであります。

小熊委員 これはさらに、次の質問とちょっと絡まってくるんですけれども、今月、オバマ大統領が来日をされます。ここで話し合われる首脳会談のテーマは、二国間の件もあるでしょうけれども、グローバルな課題もあるというふうに思います。とりわけ沖縄の基地負担、普天間基地の課題といったものも話し合われると思います。

 まず初めに、この首脳会談での重要なテーマというのは、政府として今どのようなものを想定していますか。

岸田国務大臣 オバマ大統領訪日の際の首脳会談ですが、まずは、日米同盟がアジア太平洋地域を初めとする国際社会に果たしてきた役割について、さらには安全保障、さらにはTPPを初めとする経済協力など二国間関係について、さらにはこの厳しいアジア太平洋地域の地域環境について、こういったことにつきまして、日米両国のトップが率直な、忌憚のない意見交換が行われることがまず重要であると考えております。

 そして、その上で、ぜひ、日米同盟が強固であるということ、そして、これからも日米がしっかりと協力しながら、この地域の厳しい安全保障環境に対しても、あるいは経済問題についても、あるいは中東和平を初めとするグローバルな課題についても、しっかりと取り組んでいくんだということを内外にしっかり示すよい機会にしなければならないと考えております。

小熊委員 アメリカ大統領としては国賓待遇というのは十八年ぶりですか、これはそういう意味では世界も注目する訪日だというふうに思っています。国賓待遇ということだけで、表紙だけで終わるのではなくて、やはり中身をしっかり決めていかなければならない。

 でも、TPPの話題も出ましたけれども、TPPに関してはなかなか今歩み寄りが、努力は政府もしておりますけれども、やはりアメリカの立場また主張、また日本の主張というのはまだまだちょっと開きがあるということでもありますし、今ほどのこの協定にも絡みますけれども、沖縄の基地の負担の軽減というのも、一歩でも二歩でもここで示していかなければいけない。

 沖縄の基地問題、防衛問題というのは、今ほど大臣おっしゃられたとおり、このアジア地域での安全保障の課題というのも非常に複雑になっている背景がありますし、先ほどの渡辺委員また村上委員の質疑であった、北朝鮮の問題もはらんでいる、中国もある。ウクライナのクリミアは遠いところではありますけれども、ロシアもある意味隣国でありますから、こうした問題もしっかり話し合っていかなければなりません。

 先ほど武器条約のところでも触れましたけれども、ウクライナに関して、私は、残念ながら、出だしは、欧米と足並みをそろえるというのは、ちょっとやはり日本は慎重な姿勢を最初示していたなという印象がありますし、その後、足並みをそろえてはいますけれども、やはり今のウクライナ情勢を踏まえれば、さらなる対応を考えていかないと、なかなかこれは改善、善処はされないんだろうなというのが、本当にそう簡単な話ではないです。ですから、今回のオバマ大統領の訪日に関して、ウクライナ情勢はウクライナだけの話ではないんです。今ほどの武器条約でも絡んでくるとおり、意外といろいろなところに複雑な形で絡んでいるものでもあります。

 あと、私、昨年のこの委員会でも、エネルギー問題の中で、ロシアと協力してガスの開発をしっかりやっていった方がいいという前向きな主張をさせていただきましたけれども、でも、今ウクライナの問題が出てしまえば、これはやはりちゃんとしっかり慎重に検討しなければならないことになっています。

 北方領土も、これも返してもらうために前進をしていかなければならないんですけれども、一方で、ウクライナの侵攻は、これはやはり許されざるべき行為でありますし、こうしたことを、この間の質疑でも言った、新しい世界秩序、ルールにしてしまったのでは、さらなる紛争が世界各地で、ロシアのああいった論理立てによって起きる可能性もはらんでいるし、ああいう論理立てで同じことをしてしまいかねない国も出ないとも言えないわけです。それも、各委員からもそういった懸念も出てきました。

 とりあえず、今回の日米首脳会談の中では、二国間の重要な問題もしっかり話し合ってもらうと同時に、グローバルな課題の中で、私はとりわけウクライナ問題を、これからまたさらに対応を強化して、どのように課題を打開していけるのかということを話し合っていかなければいけないというふうに思うんです。

 このウクライナ問題について、日米首脳会談における方向性について、もし今の時点で、日本の立場として、オバマ大統領に主張したい、提言をしたいというものがなければいけないと思うので、その見解を求めます。

岸田国務大臣 まず、ウクライナ問題につきましては、ロシアによるクリミア編入は国際法違反であり、我が国としては、力による現状変更は決して容認できないということを再三表明しています。

 そして、こうした思いを、G7諸国、アメリカを初めとする関係国としっかり共有し、連携していかなければならない、このように考え、累次にわたるG7共同声明ですとか、あるいは先般のハーグ宣言にも我が国は参画をし、連携を確認してきたところであります。

 そして、こうした点は確認しながら、今申し上げましたハーグ宣言の中においても、緊張緩和のために、ロシア自身の外交的な努力を促す、ロシアに責任ある行動を促していく、こうしたことの大切さは指摘をされているところであります。

 よって、我が国としましては、昨年来積み重ねてきた日ロ関係に基づいて、我が国としてもロシアに対して責任ある行動をしっかり促していく、こうした働きかけは行っていかなければなりません。

 そして、加えて、厳しい北東アジアの安全保障環境を考えますときに、日ロ関係が重要であるということ、これも間違いないところであると考えております。よって、日ロ間の政治対話は引き続き大事にしなければいけない、これが我が国の基本的な立場であり、考え方であります。

 ぜひ、大切な日米同盟の存在を考えますときに、日米両国のトップにおきましても、こうした我が国の考え方について説明を行い、そしてアメリカの理解を求めながら、今後ともしっかり協力をしていく、こうした協力体制を確認することは大切なことなのではないかと認識をしています。

小熊委員 ぜひオバマ大統領の訪日が特段の成果が上がるように御期待を申し上げるところでもあります。

 もう一度、武器条約の方にちょっと立ち返るんですが、これはオバマ大統領と安倍総理が直接話し合うようなことではないのかもしれませんけれども、ぜひ実務者レベルでも結構ですので。

 クリミアが、ロシアが今そこにあれしていますけれども、ここにウクライナの軍需産業があれば、ウクライナの武器輸出の構造も変わってくるわけですよ。となると、先ほど、この条約に関しては、日本が今後ともさらなるリーダーシップを発揮して取り組んでいきますということでもありますので、外務省としても、この件についてはぜひ実務者レベルでも、ウクライナの武器産業、兵器産業の構造をしっかり把握した上で、オバマ大統領が一人で来るわけではありませんから、アメリカ政府側とも、この情勢をしっかり踏まえた上で、この条約が反映されていくというアプローチをしていただきたいというふうに御提言を申し上げる次第であります。

 とりわけ、これはまた条約の狙いを達成するという意味もあるんですけれども、先ほど言った、この混乱に乗じて武器の産業がアンダーグラウンドになって、また、全然目に見えないテロリストたちとかそういうところに行かないということも、これは欧米と連携をした形でウクライナに対応していかなければいけないというふうに思っています。

 そうした実務者レベル、また外務大臣レベルでの、この武器条約を使って、ツールとして、てことして、ウクライナの兵器産業の混乱を招かないということに対してまたアプローチをしていく、さらに、これが、クリミアをロシアが編入してしまって、そこでのまた兵器産業の構造も、ロシアも変わっていくわけですから、そうしたアプローチの仕方をぜひ求めたいと思うんですが、御見解をお伺いいたします。

岸田国務大臣 御指摘のように、ウクライナ情勢についてはしっかりと注視しながら、軍需産業の動き等についてもしっかりと情報を収集していかなければならないと考えております。

 その間に、日米間での協力も大変重要だと認識をしておりますし、関係各国ともしっかり連携しながら、この武器貿易条約につきましてもしっかり対応していかなければならないと考えております。

 いずれにしましても、我が国としましては、この条約の原共同提案国の一つであり、今後ともしっかりと国際世論をリードしていきたいと考えております。

小熊委員 ぜひここは御期待を申し上げる次第でありますし、対中国に対しても、価値観を共有する国に引き入れていくということの一つのツールでもありますので、ぜひ今後ともしっかりとした対応をしていただきたいというふうに思っています。

 とりわけ、このウクライナ情勢に関しては、本当に、先ほど私の印象ではありましたけれども、出だしがちょっとちゅうちょした感がありましたから、ここは、せっかくオバマ大統領が来日されたときには、より強い対応がまた出せるように、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 がらっと質問がかわりますけれども、全国紙的にはそんなに大きなニュースにはなっていなかったんですが、私の地元の福島県では、私も地元に帰ったときに、これはどうするんだと盛んに言われた件が、一企業のことではあるんですけれども、香港の吉野家で、福島県の食材は一〇〇%使っていません、だから安全ですというポスターがでかでかと玄関のところに、全六十一店舗香港にはありますけれども、出されているんですね。

 この経緯をいろいろ調べましたら、日本の吉野家さんは、福島県の農家と提携をして、昨年十月に吉野家ファーム福島という会社を設立して、福島県の産品をしっかり使っていくということに取り組んでいただいているんですね。多分、それが間違った形で伝わって、あと、福島県は米は全袋検査をしていますから、逆に、日本全国、全袋検査をしている地域なんかないわけですから、ある意味一番安全というのを科学的に言える地域なんですよ。

 まさに復興支援、風評被害対策ということで吉野家さんもこうした取り組みをしてくれていたと思うんですけれども、多分、昨年末から香港あたりのネットの中では、福島県のものを使うから、がんになりたければ食いに行ったらどうぞみたいな、そんなやゆする言葉が香港の中であふれて、香港の吉野家さんも、これは日本とは別会社ですけれども、どう対応していいか困って、だから、使っていませんという言い方をしたんですね。

 もちろん、今でも、これは消費者庁の昨年とことしのデータを比べても、首都圏において、実は福島県内もあるんですよ、首都圏のデータでも、三割ぐらいの人は、どういろいろ取り組んでいても福島県のものは食べませんというアンケートが出ています。風評被害対策もリスクコミュニケーションもみんな努力してきました、党派関係なく、政治家だけでなく。ところが、やはり限界が今出てきている。海外においてもそういうのがありますよ。

 でも、これは一企業の話ですけれども、やはり外務省として、国際的な風評被害対策、これまでも私は質問してきましたけれども、これはやはり一事が万事でありますし、こうした状況がある、ちゃんとした科学的エビデンスによって現実が動いていない、この件に関して、外務省として何らかの対処をされましたか。

三ッ矢副大臣 私ども、ちょっとこの件について調べてみました。先生が御指摘になったとおりなんですね。

 昨年の十月に吉野家さんが福島県でファームを立ち上げられて、地元産品を使って積極的に自分たちの商売を展開していこうと。非常に善意でやっていただいたことなんですけれども、それが香港では善意が善意として通らなくて、若干風評被害を引き起こしてしまっているということになったんだと思います。

 もちろん、私どもも今まで、いろいろな機会を捉えて、日本の食品、特に東北地方の食品も含めて、その安全性をPRするためにいろいろな活動を行ってきておりますし、それから、いろいろな規制を行っている国がありますので、そういう国に対しましては、科学的根拠に基づいてきちんと安全性を証明されたものについては、要らざる規制を撤廃するようにという働きかけもずっと続けてきておるわけでございます。

 香港に関して申し上げますと、実は、依然として、福島県を初めとする五県の果実あるいは乳製品等に対する輸入禁止措置をとっております。

 我々も香港政府に対しても働きかけを行ってきているところでありますけれども、企業関係者に対しても被災地の食品や農産物の安全性をアピールして、風評被害対策に粘り強く取り組んでいきたいと思っております。

 この件に関しましては、ちょっと私どもも現地で関係者の話を聞いてみたいというふうに思っております。その上で、どういうことができるのか、これから検討させていただきたいな、このように考えております。

小熊委員 ネットの中でいろいろ言っているのは、間違った話も本当に出ていて、我々政治家もいろいろ大変ですけれども、そこは何とか、それは政府がしっかり情報発信をしていくしかないんですが、これは、単に正面で通り一遍に政府間同士でやる、物を申すということだけでは足りなくて、これは一企業ではありますけれども、やはり政府として言わなきゃいけないと思うんですよね。

 はっきり言って、この風評被害、本当にこれからも続く部分がありますし、大変なんですけれども、やはりモグラたたきみたいにやっていく作業も必要だと思います。正面から行く部分もあります。

 今後のやり方としては、こういう企業に対しては、やはり日本政府として何らかのコメントを突きつけなきゃいけないと思うんですけれども、そういう対応は、どうですか。現地の状況を調べると言っていますけれども、ポスターが張ってあるのはもう明らかですし、その文言はやはり間違っているんですよ。科学的検査に基づいて大丈夫なものしか出していませんというポスターならいいですよ。

 これは、今、香港自体が科学的エビデンスのない規制をかけていますけれども、こういう企業に対してもやはり言っていかなきゃいけないんじゃないですか。それが本当の風評被害対策だし、リスクコミュニケーションを国際的に図っていくということじゃないですか。

 これは、状況を把握したら、何らかのコメントを香港吉野家に出しますか。

三ッ矢副大臣 正確に状況を把握した上で、どういうことができるのか、しっかりと検討していきたいと思います。

小熊委員 どういうことができるか、ほかの国ですから、こっちが規制をかけるというわけにはいかないので、これはコメントを出すしかないんですよ。香港政府を通じてでも、直接でも、やるかやらないかですよ。ポスターを張ってあるのはもうわかっているんですから。調べるといったって、簡単な話ですよ。

 どうですかということです。コメントを出しますかということです、直接なり香港政府なり。どうですか。

三ッ矢副大臣 そのことも含めて、早急に検討したいと思います。

小熊委員 政府自体も科学的な根拠のない輸入規制をかけていますから、私は、政府に対しても、そしてまた香港吉野家に対しても、出していかなければ、国際的に風評被害を払拭しますと言っていますけれども、それは単に表面だけで、実態的な風評被害対策には全然なっていませんから、これは強くしっかりアクションを起こすことを求めたいと思います。

 先週末、地元に戻って、ちょっと会津若松市長と話をする機会があって、国内においても、以前はつき合ってくれなかったけれども、今、一生懸命、福島県の食材を使うという、いろいろな小売業とかが出ていると。確かに三割ぐらいの人は何があってもだめだという人もいるけれども、ちゃんと相手をしてくれる人とつき合っていくことをまず前向きに考えたい、どうしてもつき合えないという人は、それはもう無視してやっていくというふうに会津若松の市長が言っていました。まさにそのとおりでもあるなというふうに思いました。

 個人がそういう行動をとるのはしようがないです。何を食べるかというのは個人の自由です、判断です。しかし、社会的に影響の大きい企業であるとかそういうものに対しては、やはり厳しい態度で、厳しいというか、正しいことは正しいことと言えばいいんですよ。

 これをスルーしてしまえば、逆に間違った情報を日本が認めたことになる、裏返して言えば。認めていないんですよ。でも、アクションを起こさなければ、看過すれば、認めたことになりますから、これはぜひコメントを突きつけるべきだということを再度申し上げて、早急に対応していただくことを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、グアム協定改正議定書、武器貿易条約に対する質疑の機会を三十五分いただきました。ありがとうございます。通告した内容は午前中の質疑と重なる部分も多くあるんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、グアム協定改正議定書についてお伺いいたします。

 今回の改正は、二〇〇六年の日米合意に基づいて二〇〇九年五月に発効した沖縄海兵隊のグアム移転実施のための枠組みを、二〇一二年四月の日米2プラス2、在日米軍再編計画に基づいて改正するもの、また、二〇一二年一月に発表された米国の国防戦略指針に基づく米軍の分散配置に基づくものと理解しておりますけれども、今回の協定改正の意義と、日本側にはどのようなメリットがあるのかについて、まずは大臣にお伺いしたいと思います。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 午前中の答弁にも重なるところがございますけれども、この議定書の締結、すなわち現行協定の改正により、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表による再編計画の調整等を踏まえた形で、在沖縄海兵隊のグアム移転の実施に必要な多年度にわたる資金提供を初めとする日米双方の行動が法的に確保されることになります。したがって、調整された再編計画に基づく在沖縄海兵隊のグアム移転のための事業の実施が確実なものとなり、米軍のアジア太平洋地域における抑止力を維持しつつ、在沖縄海兵隊の削減、ひいては沖縄の負担の軽減に資するという意義を有しております。

 また、この議定書は、二〇一二年の共同発表を踏まえ、米国政府が、グアム及び北マリアナ諸島連邦における訓練場の整備に我が国が提供した資金等を使用することができることや、グアム及び北マリアナ諸島連邦における訓練場を使用するための我が国政府による要請を、合理的なアクセスを認める意図をもって好意的に考慮することを規定してございます。

 このように、改正後の協定に基づく日米間の協力により、二〇一二年の共同発表に記載されたグアムの戦略的な拠点としての発展も促されるとの意義も有します。

 以上の意義については、昨年十月の2プラス2共同発表においてその趣旨を確認しているところであります。

 さらに、二〇一二年四月の2プラス2共同発表では、ロードマップにおいて我が国が行うことになっていた約三十二・九億ドルのJBICによる出融資が行われないことになったことにより、日本側の財政負担は大きく減ることとなる。この議定書は、この点も反映したものであります。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の答弁の最後の方にありました日本の財政負担のところですけれども、確かに、真水の二十八億ドルについては変わらない、現行の協定どおりなんですが、今、石原政務官が御答弁いただきました、JBICの出融資がなくなっているということですが、この出融資がなくなったということについて、これはそもそも何に使うお金で、なぜなくなったのでしょうか。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 我が国は、二〇〇六年のロードマップにおいて、海兵隊の家族住宅及びインフラ整備事業については、直接的な資金の提供ではなく、JBICの出資や融資で対応することとしていたところであります。

 その後、二〇一二年四月の2プラス2の共同発表により調整された再編計画においては、グアムへ移転する部隊の構成や移転人数に変更が生じ、出融資について従来どおりの想定を行うことが困難となったため、そのような事情を踏まえ、同共同発表において、日米両国政府は日本による出融資は利用しないことを明らかにしているところであります。

 以上です。

青柳委員 ありがとうございます。

 このJBICの出融資は、過去のこの委員会の答弁などで、回収の見込みが必ずしも明確に答弁されていなかったなどのこともありましたので、今回これがなくなったということについては、プラスに評価できると思います。

 でも、今回の改定で、費用負担自体の総額が現行の百二億七千万ドルから総額八十六億ドルに減っているわけです。でも、我が国が負担する真水の二十八億ドルについては変わっていない。つまり、我が国の真水の部分の負担率自体は上がってしまっているわけです。

 ですから、この負担率、負担額についてそもそも交渉していただいたのかということをお伺いしたいと思いますし、そもそも日本側が資金を負担するということについての交渉についてもお伺いしたいと思います。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 グアム移転に係る費用の総額についてのお尋ねでございます。

 費用の総額につきましては、グアム移転事業のために必要になるさまざまな施設、すなわち庁舎、住宅等に関する経費がございます、これを積み上げて検討を行い、日米間で調整を行って確定してきたものでございます。その内容については、二〇一三年十月の2プラス2に際して、費用の内訳の概要を公表しております。

 政府といたしましては、改正後協定のもとでの日米双方の費用の負担額は適切なものというふうに考えている次第でございます。

 そもそも我が国がこの事業の資金を負担する必要性についてでございますけれども、グアム移転事業と申しますのは、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境のもとで、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を早期に軽減する観点から、できるだけ早く実現しなければいけないというふうに心得ております。この移転が可能な限り速やかに完了するために、必要となる施設整備のために我が国も応分の負担を行うこととしたところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 私がお伺いしたのは、今回の改定で総額が減っているわけですから、そもそも真水の部分も交渉しなければ負担率は上がるので、そういう交渉はされたんでしょうかという質問をさせていただきました。いかがでしょうか。

冨田政府参考人 当然のことながら、この費用の負担を確定する中では、さまざまな要因を考慮しながら日米間で調整、交渉して定めてまいった経緯がございます。

 その一々についてはちょっと御説明は差し控えさせていただきますけれども、日米の負担につきましては、先ほど御説明したような観点から、私どもとしては適切なものというふうに考えている次第でございます。

青柳委員 余りわかりませんが、これを続けてもしようがないので、ちょっと観点を変えまして、それでは、こうした日本側の資金を使って、米国の、実際にはグアムや北マリアナ諸島の施設や訓練場を整備するということなんですが、過去にこうした事例はほかにあるんでしょうか。つまり、日本の資金を使って外国の訓練場を整備するという使い方は、米国の事例に限ってでもいいですが、過去にあるんでしょうか。

冨田政府参考人 そうした事例は過去にないと承知しております。

青柳委員 ありがとうございます。

 初めての例になるということなので、そこで伺いますが、こうした日本の資金で行う工事でも、今回のケースは、実際の工事の発注者というのは米国政府になるということでございますが、日本政府は、例えば、この工事の金額、発注額が適正なのかどうか、あるいは工事の進行が適正に行われているのか、業者の選定が適正に行われているのかということについてチェックできる体制になっているのでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 グアム協定の第六条におきましては、一部抜粋して読み上げさせていただきますけれども、「アメリカ合衆国政府は、日本国政府が当該事業の実施に適切な方法で関与することを確保する。」こととされております。これを受けまして、工事の実施場所であるグアムにつきまして、まず防衛省の職員を派遣いたしておりまして、工事の実施状況の確認や必要な検査に参加をさせているところでございます。

 また、こういった太平洋地区の米海軍の施設に関する事業計画ですとか契約等の手続を行う米海軍の施設技術関係の部局がハワイに所在しておりますが、そこにも必要に応じて防衛省の職員を派遣して、事業経費の見積もりの適正を確認するとともに、米国政府が実施する契約手続等にも関与しているところでございます。

 防衛省といたしましては、我が国の資金提供により実施される事業について、引き続きその適切な執行の確認を行っていきたいと考えているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 それでは、何か疑義が生じたら、確認だけではなくて、意見を言って変えるということもできると考えてよろしいんでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 その点は、まさにグアム協定にありますように、適切な方法で関与することを確保するということになっておりますので、まさにそういうことができるように、必要な職員を派遣しているということでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 初めての事例だということになるので、成功事例になるように、しっかりやっていただきたいと思っているところです。

 次に、こうした日本の資金で、特に五億ドルを用いて整備する訓練場について、日本の自衛隊はこの訓練場を使用することができるのかということを確認したいと思います。できるのであれば、この協定で明記されているのかどうか、御答弁をお願いします。

冨田政府参考人 お答えいたします。

 まず、改正議定書の中での取り扱いでございますけれども、議定書の六条は、グアム及び北マリアナ諸島連邦における訓練場の整備に対する我が国の資金提供の意義を踏まえ、米国政府に対し、自衛隊がグアム等における訓練場を使用するための我が国政府による要請について、合理的なアクセスを認める意図をもって好意的に考慮することを義務づけております。

 その上で、この規定につきましては、アメリカとの交渉におきまして、我が国から訓練場の使用のための要請を受けた場合には、米国政府は、米国の運用上及び安全保障上の所要が害される場合、または当該訓練場が整備、改修等の物理的な事由のために使用ができない場合を除き当該要請を認めることを確認いたしまして、さらに、双方の立場の一致について議事録として記録にとどめているところでございます。

 したがいまして、我が国による訓練場の使用要請については、米側からしかるべき対応がなされるものというふうに考えているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 こうした米国の訓練施設で日本の自衛隊が訓練できるという事例はほかにあるんでしょうか。これも念のために確認させてください。

冨田政府参考人 米国の基地を利用して日本の自衛隊が演習等に参加する例でございますが、そういう例はあるというふうに承知しております。

青柳委員 ほかにあるということですか。

冨田政府参考人 演習等への参加というふうなお尋ねというふうに私は理解いたしましたけれども。共同訓練等だというふうに私は理解しました。

青柳委員 日本の資金で整備した訓練場で日本の自衛隊が訓練するという事例は、米国に限ってでもいいんですが、ほかにあるんでしょうかということです。

冨田政府参考人 大変失礼いたしました。

 先ほど申し上げたように、日本の資金を使って米軍の基地を整備する例はございませんので、御指摘のような事例はないというふうに承知しております。

青柳委員 これも初めての事例ということですから、きちんと運用していただきたいと思っていますが、これまでの政府の説明は、グアム協定については、先ほども石原政務官が御答弁いただきましたが、沖縄の負担軽減に資するためにやるんですという説明が主でありました。しかし、今回の、訓練場を整備して自衛隊がそこで訓練をするということについては、これは、沖縄の負担軽減とは直接関係がないことを新たにやるということになるわけです。

 これは、これまでの方針を変えるのか、加えたのか、どういう意図でやられるのかについて御説明をいただきたいと思います。

冨田政府参考人 今回この訓練場を整備する背景でございますけれども、これは、二〇一二年四月の共同発表におきまして、アジア太平洋地域の戦略環境の変化を踏まえて、この地域全体の多様な事態に対処する柔軟な体制を構築するために、午前中来御議論がございますけれども、沖縄及びグアムにおける米軍の部隊の構成を調整いたしまして、ロードマップに比べてより多くの実戦部隊をグアム等に移転させることとしたという背景がございます。

 この調整を前提にいたしますと、グアム及び北マリアナ諸島連邦における訓練場整備は、沖縄からグアムに移転いたします海兵隊の部隊の即応態勢を維持する観点から必要不可欠なものでございまして、そういう観点もございまして、この議定書において、訓練場の整備について我が国の資金等を使用することができるというふうに規定しているところでございます。

 その上で、改正議定書におきましては、この訓練場整備に対する我が国の資金提供の意義を踏まえて、先ほども御答弁いたしましたけれども、米国政府に対して、自衛隊がグアム等における訓練場を使用するための政府の要請について、合理的なアクセスを認める意図をもって好意的に考慮することを義務づけるという規定が置かれているわけでございます。この規定によりまして、我が国自衛隊と米軍との相互運用性が一層高められ、グアムの戦略的な拠点としての発展が一層促進されるというふうに考えている次第でございます。

青柳委員 ということは、沖縄の負担軽減に加えて、安全保障上の意義があるということが加わったというふうに理解してよろしいのでしょうか。

冨田政府参考人 ただいま御指摘のとおりでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 であれば、石原政務官も最初からそういう御答弁をお願いしたかったなと思うところでありますので、一応指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、米軍普天間飛行場の移設と米軍の再編、海兵隊グアム移転実施の関係について伺いたいと思います。

 多くの沖縄の方にとって、米軍海兵隊のグアム移転は望んでいるところだと思いますが、今回の協定で海兵隊グアム移転を普天間移設と切り離していく、切り離すことを明確にするということで、一方ではグアム移転がスムーズに進むことになると思いますが、もう一方では、逆に普天間移設が取り残されるのではないかと危惧する声もあります。

 引き続き普天間の問題、沖縄の基地負担軽減にもきちんと取り組むんだという姿勢を改めて大臣からお伺いしたいと思いますし、あわせて、その際は、今問題になっている普天間飛行場のオスプレイの訓練をグアム、北マリアナ諸島に移転させるという交渉をするなど、新たな視点の負担軽減策を検討したらどうかと思いますが、こうした点についてあわせて大臣の御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、改正後の協定におきましては、日米両政府は、普天間飛行場の移設に関する進展のいかんにかかわらず、在沖縄海兵隊のグアム移転のために必要な取り組みを進めていくことになります。今次改正の内容は、日米両政府が現行の日米合意に従って普天間飛行場移設を含む在日米軍再編を進めていくとの方針で一致しているわけであります。

 こうしたさまざまな課題をしっかりとそれぞれ進めていくことになりますが、まず、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。政府としましては、沖縄の皆様の理解を得ながら、現在の計画に従い、一日も早い移設、返還を実現し、沖縄の負担軽減を早期に実現していきたいと考えております。

 そして、負担軽減策について御質問がありましたが、そもそも今回の取り組みによって沖縄における在日米軍が移設されるわけでありますから、このことが沖縄の負担軽減につながっていくことが期待できると思っております。

 また、今後新たな取り組みということも御指摘をいただきましたが、昨年十二月、仲井真沖縄県知事の方から負担軽減策について要望をいただいております。ぜひ、こうした要望を中心に、政府としましては、しっかりと負担軽減のために全力で取り組んでいかなければならない、このように認識をしております。

 引き続きまして、負担軽減の具体策については、ぜひ沖縄県等ともしっかりと意思疎通を図りながら進めていきたいと考えています。

青柳委員 非常に象徴的な事例というか、政治問題化しているのはオスプレイの訓練だと思いますが、この点について大臣はどうお考えでしょうか。参考人の方でも結構です。

岸田国務大臣 オスプレイにつきましては、訓練の移転等、前向きに取り組む方針で政府として取り組んでいると承知をしております。

青柳委員 実態としてはどうなっていますでしょうか。参考人の方、御答弁できますか。

岡政府参考人 オスプレイは、普天間飛行場に二十四機配備されまして、その後、米軍の方で運用されております。その間、国内でも、訓練ということで沖縄県外で行っている場合ですとか、あるいは海外での訓練に参加している場合等があるというふうに承知しております。

 運用の細部につきましては私ども必ずしも承知していないところではございますけれども、実態としてはそういうところでございまして、先ほどありました知事の御要望の中にもオスプレイに関するところがございますので、私どもとしてできる限りのことをやっていくということで、現在部内で検討しているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 次に、二〇〇六年の2プラス2の協議ではロードマップが合意されたわけであります。そのスケジュールによると、二〇一四年までに普天間代替施設を辺野古に設置すること、そして沖縄海兵隊約八千人とその家族をグアムに移転するというのが前回の合意だったわけであります。二〇一四年というのはことしですから、全くこのとおりになっていないわけでありますね。

 今回の改正では、スケジュールというのは余り明記されていないわけであります。

 ロードマップでスケジュールを明記しても、全くスケジュールどおりいっていない。今回はスケジュールすら明記されていないわけであります。

 この原因についてはいろいろな問題があるんですが、やはり大きかったのは、民主党さんには大変申しわけないんですが、民主党政権時代の普天間移設問題の混乱というのが計画の破綻に大きな影響を及ぼしているというのは否めないと思います。

 ただ、今、では沖縄の状況はどうなのかといえば、今もその当時と沖縄の状況自体は変わっていないんじゃないかと思います。ことし一月の名護市長選挙では、基地移設反対派の市長が再選されているわけであります。

 こうした状況の中で、つまり沖縄の状況自体が大きく変わっていないという状況の中で、今回の協定の合意のとおり、二〇二〇年代前半までに海兵隊のグアムへの移転を開始できるような環境が本当に整うのかどうか、疑問を持っているところですが、大臣の御決意といいますか、本当にできるのかということについて御答弁をいただきたいと思います。できるのであれば、なぜできるのかについてもちょっと教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、在沖縄海兵隊のグアム移転につきましては、昨年十月の2プラス2共同発表において二〇一二年四月の2プラス2共同発表に示された移転計画を再確認するとともに、在沖縄海兵隊のグアムへの移転が二〇二〇年代前半に開始されることを確認したところです。

 まず、今回の議定書ですが、この議定書の締結は、グアム移転事業を実施していく上で不可欠なものであります。すなわち、この議定書の締結によりまして、再編計画の調整を踏まえた形で、在沖縄海兵隊のグアム移転の実施に必要な多年度にわたる資金提供を初めとする日米双方の行動が法的に確保されることとなります。

 こうした認識のもとで、昨年十月、日米2プラス2の機会に、小野寺防衛大臣とともに、米側二閣僚との間でこの議定書の署名を行った次第であります。そして、グアム移転を含む在日米軍再編につきましては、日米両政府間の首脳を含むさまざまなレベルにおいて、着実な実施を確認しております。今月六日にヘーゲル国防長官と会談した際にも、この在沖縄海兵隊のグアム移転の重要性を指摘し、引き続き日米で緊密に協力していく旨、伝えさせていただきました。

 普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。ぜひ一日も早い移設、返還を実現したいというふうに思っていますが、その根拠として、一つは、この議定書の締結によって、資金提供を初めとする日米双方の行動が法的に確保されるということ、そして、我が国政府としまして、この問題について全力で取り組む方針は、総理を初め関係閣僚が再三申し上げているとおりであり、アメリカに対しましてさまざまな機会を捉えてしっかりと協力を要請しております。アメリカ側からも、こうした要請に対しまして、緊密に連携していきたい旨、伝えられております。

 こういったものを総合的に勘案し、それぞれしっかりと実現に移していくことによりまして、大きな目標を実現していきたいと考えております。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の大臣の答弁の中に、沖縄の住民の理解を得ていくということについての言及が余りなかったんですけれども、結局そこが大きなポイントになるんじゃないかと思いますので、御答弁は求めませんが、当然のことですが、県民の理解を得る努力を引き続き行っていただきたいということは私からも申し上げたいと思います。

 次に、武器貿易条約について伺いたいと思います。

 今回の武器貿易条約は、外務省によると、我が国も主導した通常兵器の国際貿易を規制する初めての普遍的な条約だということで説明資料にあるわけであります。

 安倍政権になってから、初の何とかとか歴史的な何とかというのが表現としてとても多く使われているわけです。今回も、初の普遍的な条約ということでうたっているわけですけれども、この条約にはロシアと中国は慎重な立場をとっていると伺っております。

 午前中の答弁でもあったんですが、ストックホルム国際平和研究所というところの調査を用いているわけですが、世界の武器輸出額というのは、米国が二九%で一位、ロシアが二七%で二位、ドイツ七%、中国六%、フランス五%と、ベストファイブのうち二位と四位のロシアと中国が署名に入っていないという、初の普遍的な条約だということでございますが、こういう状況の中で、せっかく日本が主導した条約だということであれば、どうやって有効な条約にしていくのか、いかに実効性を高めていくのかについて、政府の御答弁を求めたいと思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘ございますように、この条約の実効性を高めるために、世界の中で多くの国々、その中でも特に主要な武器の輸出国というものがこの条約に入ってくるということは非常に重要なことだろうというふうに考えております。

 そのため、私どもとして、マルチの場、国際会議などの場、それからまた二国間協議の場などを通じて関係国には働きかけを行っているところでございまして、例えば、中国、ロシア、米国、東南アジア諸国に対して、早期の署名、締結を行うように働きかけをしておるところでございます。今後もこのような取り組みを引き続きやっていきたいというふうに考えているところでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 岸田大臣は、昨年九月のATTハイレベル会合の演説で、ATTの実効性を高めるためにも幅広い国が参加する普遍的な条約にしなければならない、主要な武器取引国の締結も不可欠だというふうに大臣自身が述べられているわけであります。

 この条約の内容そのものはそんなに厳しい内容ではないわけでありまして、ロシアも中国もそんなに反対できるような内容じゃないかと思っております。ですから、ATTの締結に向けて、大臣みずから述べられているように、主要な武器取引国の締結も不可欠だと述べられているんですから、むしろこの件でロシアとか中国とかと積極的に交渉されたらいかがかと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、昨年九月、国連総会の際に開かれましたATTハイレベル会合に私も出席をさせていただきまして、主要な武器貿易国の締結を呼びかけさせていただきました。

 我が国は、通常兵器の規制に関する取り組みにつきまして、今日までも、国連軍備登録制度の設立、あるいは小型武器に関する国連総会決議の提出、こういったものを通じまして積極的に取り組んできました。そして、この条約の作成に当たっても、この条約を検討することを開始する国連総会決議の原共同提案国の一つとして議論を主導してきた、リードしてきた、こうしたことでありました。

 ぜひ今後ともこうした取り組みにつきまして主導的な役割を果たしていきたいと考えておりますし、そのために、機会を捉えて、中国、ロシアを含めた主要な武器貿易国あるいは全ての未締結国、こういった国にしっかりと働きかけていかなければならないと考えております。しっかりと働きかけを行い、この条約の普遍化に取り組んでいく決意であります。

青柳委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 在沖縄米海兵隊のグアム移転協定の改正議定書について質問いたします。

 まず冒頭ですが、在沖縄米海兵隊のグアム移転をめぐっては、米議会が、三年前から、日本の負担分を含む移転に伴う関連予算のほとんどを凍結しているという状態が続いております。

 そこで、冒頭、岸田大臣に伺いたいんですが、このことについてどのようにごらんになっているでしょうか。

岸田国務大臣 在沖縄海兵隊のグアム移転事業のための米政府の予算につきましては、まず、昨年十二月、二〇一四年度国防授権法が成立をいたしました。同法律は、在沖縄海兵隊のグアム移転の関連予算に関しまして、米国政府による要求額約八千六百万ドルの承認を行い、そして、グアムにおける設計費、あるいはアンダーセン空軍基地の北部地区拡張のための基盤整備を行う工事費の資金凍結解除、こうしたものが記載されていると承知をしております。

 政府としましては、在沖縄海兵隊のグアム移転に関連し、適切な予算確保そして資金凍結の解除が行われるよう、米国政府あるいは議会関係者に対しまして総理、関係閣僚から働きかけを行ってきたところであり、本件に対して今申し上げましたような進展が見られたことは歓迎をしております。

 また、本年一月には、国防授権法を受けて、各年度における予算の使用及び執行を認める法律である歳出法が成立をいたしました。そして、同法律によりまして、国防授権法で承認された米国政府による要求額八千六百万ドルが全額承認をされました。さらに、二〇一五年国防予算要求には、在沖縄海兵隊のグアム移転関連経費として工事費約五千百万ドルが計上されたと承知をしております。

 こうした状況を把握しておりますが、政府としましては、引き続き、米国と協力をしながら、グアム移転に関しましてしっかり進めていきたいと考えております。

笠井委員 今大臣からあったんですが、三年前の二〇一一年十二月に成立した、米側の二〇一二年会計年度の国防授権法によれば、これは、沖縄からグアムへの海兵隊移転について、一定の条件が満たされるまで、日本が提供した資金を含む予算執行を認めないことを定めたわけですが、その理由はそもそも何だったんでしょうか。

冨田政府参考人 今お尋ねがあったのは二〇一二年度というふうに理解をしておりますけれども、そのときに議会が資金の執行を凍結した際には、いろいろな条件を付しております。

 具体的には、幾つかございますけれども、一つは、アジア太平洋地域における最新の兵力構成案の提出、それから、詳細な経費やスケジュールを含むグアム再編計画のマスタープランの提出、それから、普天間代替施設の具体的な進展の証明、四つ目に、グアム再編計画によって影響を受ける、グアムにおける非軍事的インフラの建設、増設、改修に関する計画の提出、五番目に、東アジア太平洋地域における米軍の兵力構成について評価を行う独立委員会の設置、こうしたものが条件として付されたというふうに承知をしております。

笠井委員 その理由を聞いたんですけれども、両院協議会の報告書を見ますと、再編に関する包括的な基本計画が欠如していて、日本が普天間代替施設について具体的な進展を示せないでいることが、米国が早急に再編に動くことに対して追加的なリスクをもたらしている、こう言っているわけです。

 今局長からもあったんですが、五つの条件と言われましたけれども、そうしますと、冒頭大臣が言われた二〇一四年の授権法、昨年十二月に成立したわけですが、これらの五つの条件のうち、まだなお実行されていないものはどれなんでしょうか。

冨田政府参考人 先ほど御答弁いたしました二〇一二年度では五つの条件が付されていたわけでございますけれども、その後、まさに今回の改正議定書が必要になったような事情で、アメリカのグアムへの移転計画自体が変わってきております。

 そうした関係で、この一二年度の条件がそのままその後も維持されているわけではございませんで、一三年度それから一四年度、それぞれにおいて今申し上げたものとは違う条件が付されているということで、一二年度の条件がそのまま今続いているわけではないということを御理解いただきたいと思います。

笠井委員 では、今の時点でどういう条件がまだ残っているということですか。

冨田政府参考人 最新の国防授権法、二〇一四年度の授権法でございますけれども、それによりますと、戦略面及び運用面での所要を決定するためのアジア太平洋地域に関する国防戦略、兵力態勢等の包括的見直し、これが一つでございます。それから二つ目は、海兵隊移転に伴いグアム及びハワイにおいて実施する事業の計画。三つ目は、海兵隊移転に伴いグアムにおいて必要となる民間インフラ事業の計画。この三つが条件として付されているというふうに承知をしております。

笠井委員 そうしますと、二〇一二年度授権法では、先ほど冒頭に大臣からありました、国防総省が要求した米側の一部費用六千八百万ドルを例外として認めたものの、引き続き日米の資金凍結というのは、今局長が言われた三つの条件、計画の中身などの提出の条件が満たされるまで延長されたということで理解してよろしいんですか、現時点では。

冨田政府参考人 全体としての資金凍結の条件は今御答弁したとおりでございますけれども、その中で一部の事業については資金の凍結解除が行われたということは、先ほど大臣から御答弁させていただいたとおりでございます。具体的には、グアムにおける設計費、あるいはアンダーセン空軍基地の北部地区拡張のための基盤整備を行うための工事費、これらがそういうものに該当するわけでございます。

笠井委員 それ以外はまだ残っているということですね。要するに、条件が満たされるまで凍結は延長されているということでよろしいですね。

冨田政府参考人 まだ凍結されている資金があるということでございます。

笠井委員 報道によりますと、米国防総省は米議会に対して五月中にグアム移転に伴う施設の整備計画書を提出すると言われておりますけれども、これは事実でしょうか。

冨田政府参考人 私どもも報道を通じてそういうふうに聞いておりますけれども、まだ具体的に確認したわけではございません。

笠井委員 それは、先ほど言われた授権法で義務づけられているどの部分に当たるというふうに理解をしていますか。

冨田政府参考人 これは、アメリカの議会及び政府との関係、予算手続の中の問題でございますので、私の方から有権的にお答えすることは適当かどうかと思いますけれども、私どもの理解では、先ほど御答弁申し上げた二つ目の、海兵隊移転に伴うグアム及びハワイにおいて実施する事業の計画というものに該当するものであるかと思います。

 ただ、これによって全てこれが満たされるかどうかというふうなことについては、これは米側の手続の問題でございますので、私の方からは差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 そうすると、今、こうした凍結されている問題について、先ほど大臣から冒頭にあったんですが、先日日本を訪れたヘーゲル米国防長官から日本政府は見通しについてどのような説明を受けているんでしょうか。

冨田政府参考人 先般来日されたヘーゲル国防長官との間では、先ほど来外務大臣からも御答弁がございましたけれども、グアム移転事業を含む米軍再編の着実な進捗ということについて意見交換が行われましたけれども、米国の予算手続等について立ち入った議論は行われておりません。

笠井委員 アメリカ海兵隊のエイモス総司令官は、先月三月十二日の米下院軍事委員会で、米議会が凍結を定めた国防授権法というのは、我々が沖縄やグアム、ハワイなど太平洋全体の再編に関する包括的な計画を策定するまでは予算を使わないよう求める非常に厳しい内容だ、こういうふうに説明をしております。

 大臣は、先ほどの八千六百万ドルの話で、解除されるものが出てきているんだと言われたんだけれども、そして実際に米側が五月にどんなものを出してくるかというのも、先ほど具体的にはという話もあったんですが、米議会の今後の対応次第で予算凍結がさらに続くということもあるんじゃないかと思うんですが、大臣、これはどういうように御認識でしょうか。

冨田政府参考人 重ねてで恐縮でございますけれども、アメリカの予算の手続について見通しをここで私の方から述べることは差し控えたいと思いますけれども、私どもとしては、累次の機会に、米側、これは米政府のみならず米議会の指導者に対しましても、グアム移転事業に対する予算的手当てを着実にやっていただきたいという要請はさまざまな機会にお伝えしているところでございます。

笠井委員 それは事務的にやれることはやられているんだと思うんですが、大臣、その点どうでしょうか、先ほど、かなり見通しがあるやのような感じの御答弁があったんですけれども、実際にはまだ条件が残っていて、それもまだ見通しが明らかでないような話も先ほど局長からあったわけですが、結局のところ、米議会の対応次第で凍結がさらに続くということもあり得るんじゃないかと思うんですが、その辺どのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたが、今日までも、政府としましては、米側に対しましてさまざまな働きかけを行い、そして先ほど答弁させていただきましたような進展があったこと、これは歓迎をしております。

 そして、具体的な米国議会の判断について断定的に何か申し上げることは難しいところですが、ぜひ今後とも、総理そして関係閣僚等を通じまして、しっかり米側に働きかけを続けていきたいと考えております。

 こうしたグアム移転が進むことにつきましては、日米同盟の強化あるいは沖縄の負担軽減といった点から見ましても大変重要な課題であります。日米とも、この重要性に鑑みて、ともに連携し協力していくべき課題だと考えています。

笠井委員 働きかけるというふうにおっしゃるんですけれども、見通しはないということであります。

 そこで伺いますが、日本は、二〇〇九年七月からグアム移転に係る資金提供を開始しているわけですけれども、二〇〇九年度から今日までに日本は米財務省の小勘定に総計幾ら支払ったのでしょうか。

岡政府参考人 在沖海兵隊のグアム移転につきましては、現在、二〇一二年の2プラス2による再編計画の調整を受けまして補足的な環境影響評価を行っておりますが、そういったものの影響を受けない事業を中心に現在進められているところでございます。

 御質問の点でございますけれども、これまで、在沖海兵隊のグアム移転のため、我が国から約九百七億円を米側に提供しているところでございます。

笠井委員 九百七億円のうち、実際に米側が使用した支払い済み額、契約額じゃなくて支払い済み額は幾らになるということでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 支払い済み額ということでございますと、これは、契約をして、その後の事業の進捗に応じて支払いを米側の方で行っておりますので、私の方で今手元に持っております数字は九千九百万ドルということになっております。

笠井委員 今の状況でいいますと、約八百億円が米議会の凍結措置で未執行のままになっていると思うんですけれども、では、そこから生じた利子というのは幾らになっていますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 発生した利子についての御質問でございますけれども、これにつきましては、平成二十五年十二月末日時点におきまして、約八百万ドルになっているというふうに承知しております。

笠井委員 日本が米側に送金した金額というのは合計九百七億円に上るわけですが、その大部分が使われずに米財務省の小勘定に眠ったまま、八百万ドルですから約八億円の利子が生じている。このまま資金凍結が続けば利子がさらに膨らむことになると思うんですが、大臣、二〇〇九年のグアム移転協定の第七条によれば、提供資金の残額と発生した利子の日本側への返還が定められておりますけれども、計画が進まない、実際うまくいっていないということが鮮明になっている以上、入れたものについては一刻も早く返還を求める、その利子については返還を求めるという手続をとるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございましたとおり、グアム協定第七条におきましては、原則として、全事業の契約終了後、利子についてでございますけれども、日本政府に返還されることとなっておりますけれども、事業の執行時において資金不足などの事態が生じた場合には、日本側の同意を条件に、当該利子を真水事業のために使用することが可能ということになっているところでございます。また、その際、米側が使用した利子については、日本政府の拠出額、これは二〇〇八年度価格で上限二十八億ドルでございますけれども、その内数として算入されるということになっているところでございます。

 私どもとしましては、このグアム移転事業を今後とも米側と協力しながら着実に実施していきたいというふうに考えておりまして、このグアム協定の規定に従って適切に運用してまいりたいというふうに考えているところでございます。

笠井委員 いきたいと言っても、進んでいないわけですから、そこはしっかり見直さなきゃいけないという問題になってくると思うんです。

 そこで、二〇一二年四月の2プラス2、日米安全保障協議委員会ですね、外務、防衛の2プラス2の共同発表を見ますと、グアム移転に係る米側の費用見積もりというのは八十六億ドルというふうになっていると思うんですが、これは間違いありませんか。改めて確認をいたします。

岡政府参考人 御指摘の2プラス2の文書におきまして、二〇一二年度価格で八十六億ドルというその時点の見積もりが書かれておったというふうに記憶しております。

笠井委員 米政府監査院、GAOが昨年六月に公表した報告書というのがここにございますけれども、これによれば、国防総省が算出している再編費用というのは、米海兵隊のオーストラリア巡回駐留分を除いて、日米の合計で百二十一億ドルというふうになっております。グアム移転に係る費用の見積もりは八十六億ドルでありますけれども、その百二十一億ドルとの差というのは具体的にはどういうことになっているんでしょうか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の米政府監査院の報告というものは、昨年六月十一日に発表されたものだというふうに理解をしておりますけれども、この報告書は、アメリカの議会のもとにある独立機関でございます米政府監査院が発表したものでございます。そういう性格の額でございますので、それについて、私ども政府として、米政府から正式な説明も受けておりませんし、その差額についてコメントすることは差し控えたいというふうに思います。

笠井委員 では、GAOが言ったかどうかは別にして、八十六億ドルでありますが、結局、再編費用ということで国防総省が算出している費用というのは実際どういうふうになっていると掌握をしていて、そしてそれが、八十六億ドルが全てなのか、それ以外にあるのか、あるとすれば何に使われるというふうに承知しているのか、その点はいかがでしょうか。

冨田政府参考人 これは、関係の共同発表それから議定書の中でも明らかにしておりますけれども、八十六億ドルの数字はあくまで暫定の見積もりでございます。そういうものとして御理解をいただければと思います。

笠井委員 ですから、その八十六億ドルはグアムですけれども、それを含めた米軍再編ということで国防総省が言っている数字というのはどういう数字が出ていて、そしてそれは全てグアムなのか、あるいはそれ以外に、ハワイとか米本土とか、あるいは日本の部分があるのかないのか、そういう点についてはどういうふうにつかんでいるのかということを聞いているんです。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 北米局長。

冨田政府参考人 私どもが把握している数字を御紹介いたしますと、約九千人の在沖縄海兵隊の移転を中心に、アジア太平洋地域における海兵隊の再編全体のために、二〇一二会計年度ドルで総額約百五十億ドルから百八十億ドル程度の費用がかかるという見積もりがあるというふうに承知をしております。

笠井委員 その中で、粗い数字八十六億ドルがグアムの移転というふうに言われていますが、それ以外はどういうものに使われると承知をしていますか。

冨田政府参考人 今回の米軍再編の全貌でございますけれども、これにつきましては、先ほど来御答弁申し上げておるとおり、海空地の任務を持った部隊、MAGTFというものを、グアム以外にも、ハワイ、豪州、それから米本土、こういうところに分散して配置するという発想で策定されているものでございますので、グアム以外については、今申し上げた部分に費用として発生してくるというふうに理解をしております。

笠井委員 先ほどの数字が合うのかどうかはあれですけれども、伺っていて、GAOでいうと、オーストラリアにやる部分を除いて百二十一億ドルというふうに言っていて、この中では、ハワイが二十五億ドル、そして米本土が四億ドルですか、そして日本が六億ドルとかというふうになって、百二十一億ドルというふうになっているんですけれども、このGAO報告によっても、百二十一億ドルの積算額については、幾つかの施設整備費の算定が甘くて現実的ではないというふうにされていて、さらにふえるというふうに指摘をしております。その上で、より現実的な積算が必要と結論づけて、信頼性のある積算がなければ議会やその他の利害関係者の意思決定に必要な情報が提供できないとまで厳しく言っているんですね。

 これは大事な問題で、再編に幾らかかるかとか日本がどうするかとかということの全体にかかわるんです。GAOは独立したところなので承知していないと言われたんですが、こういう指摘があるということについては、やはり2プラス2で日米で協議して合意される大臣としては御存じなのか、そういうことも含めて認識されているのか、いかがでしょうか。

冨田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、GAOの報告書自体がどうかということについて私の方からコメントは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、先ほど来御答弁しているとおり、八十六億ドルというのは見積もりでございますので、今後、この事業が適正に執行されるように日米で緊密に連携、調整をしていくということは当然のことだというふうに理解をしております。

笠井委員 このGAOの報告でいうと、グアム移転を含む積算額がどれほどずさんかということをずばり指摘しているわけですが、今局長も、八十六億ドルもあくまで見積もりだというふうに言われました。

 伺いたいんですが、では、将来米側が、移転の積算費用の増加や財政難による議会のいろいろな圧力のある意見を背景にして、日本側に、いやいや、実際はもっとこうなのでということで負担増を求めてくるということはないというふうにはっきり言えますか。

冨田政府参考人 今回の改正議定書におきましては、日本側の費用負担というのは二十八億ドルを限度とする、上限とするというふうに規定しているところでございますので、それが上限になるということでございます。

笠井委員 今後また改定ということだってあるかもしれない。そういうことを言ってくることはないというふうに言えるかと聞いているんです。あくまで見積もりだと言われて、それを前提にしているわけですから。

冨田政府参考人 私どもとしては、政府間の約束でございます改正議定書に従って対応していくということでございます。

笠井委員 米側の費用見積もりについて、二〇一二年八月の米下院軍事委員会の即応力小委員会に出席したヘルビー国防次官補代理代行が、完全な予定表はないというふうに証言をしております。

 二〇一二年二月十五日の米下院軍事委員会の公聴会で、当時のパネッタ国防長官は、日本は非常に寛大であり、どのような移転であろうと多額の資金を供与するだろう、こう述べております。

 大臣、日本側は米側に完全に足元を見られちゃっているんじゃないですか。これはどうですか、そういう点では。

岸田国務大臣 先ほども答弁の中にありましたように、我が国が負担するのは費用全体のうちの一部であります。そして、二〇〇八米会計年度ドルで二十八億ドル、これが限度とされております。それ以外は全て米側が手当てすることになると認識をしています。

笠井委員 しかし、また今度改定をやってこういうふうにした、また次に必要なら改定してやれという話が出てくるという、日本は寛大だと言っているわけですから、まさにそういう点でこれは問題だと思うんです。

 米国は、二〇一二年一月の新国防戦略の指針に基づいて、午前中以来議論がありますが、従来の海兵隊の再編計画を修正して、太平洋地域に分散配置する方針を決定いたしました。これによって、日本、グアム、ハワイのほかに、新たにオーストラリアにもローテーションによる部隊配置を行うとしております。

 米上院軍事委員会の二〇一三年四月十五日付の報告書を見ますと、これには、同委員会による調査に対して米海兵隊が二〇一二年十一月時点で明らかにした第三海兵遠征軍の分散配置の概要が表になって出ております。

 日本、グアム、ハワイ、オーストラリア、米本土について、それぞれ従来の配置計画がどういうふうに修正されるというふうに書かれているか、お答えいただきたいと思います。

冨田政府参考人 大変恐縮でございますけれども、御通告のない御質問でございまして、手元に資料がございませんので、ちょっと確認させていただきたいと思います。

笠井委員 これは、当然、先ほどからアメリカの国防戦略で人数のことを言っているわけですから、そういうことを聞くというのは、具体的にこの数字というふうには言っていないですよ。だけれども、この議論をやると言っているんですから、それぐらいは当たり前でしょう。

冨田政府参考人 大変失礼いたしました。

 今御指摘の報告書の中で、アジア太平洋地域における米軍の兵力態勢の変更に要する費用についての調査の結果というものが示されております。

 その中で、海兵隊は、計画されているアジア太平洋地域における兵力態勢の変更のための暫定的な費用見積もりを百三十七億ドルと見込んでいるが、これはあらあらな見積もりであり、この計画に関連して将来発生し得る全ての費用を含むわけではない、特に、ハワイ及びオーストラリア移転に関する費用見積もりは確かな情報に基づくものではない等々が記載されているというふうに承知をしております。

笠井委員 それがあるんだったら、ちゃんと表があるので。人員数を聞いているんです、海兵隊の部隊の配置人員数。従来の配備計画と修正後の配備計画というのがそこに一覧表になっていると思います。それをちゃんと答弁で言ってください。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 北米局長。

冨田政府参考人 大変申しわけございません、手元に資料がございません。

笠井委員 この協定をめぐってやるということで、当然、配備の問題、人数の問題、人員とか、アメリカの戦略も、朝から局長も言われたわけですよ。それぐらいの数字をつかんでいなくて、何でこういう協定を議論するんですか。

鈴木委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 北米局長。

冨田政府参考人 大変不手際がございまして、申しわけございませんでした。

 ただいま電話で聞き取りましたので、断片的な数字で恐縮でございますけれども、当該報告書に載っております兵力構成でございますが、数字を申し上げますと、日本が一万四千九百五十四、グアムが四千七百七十六、ハワイが八千八百三十、オーストラリアが二千四百八十五、米本土が八百、計三万一千八百四十五というふうになっております。

笠井委員 それは修正後で今の計画になるわけですが、従来の方の数字も両方聞いたんですけれども、そっちは聞き取っていないんですか。そうしないとちょっと、変化というか、どう違うかという話にならないんだけれども。(冨田政府参考人「今確認します」と呼ぶ)ちょっととめてください。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 北米局長。

冨田政府参考人 従来の数字でございますけれども、日本が一万三千八百、グアムが九千七百、ハワイが八千二百、それからオーストラリアと米本土はこれまでは数字が掲上されていないという状況でございます。

笠井委員 そうしますと、従来からいうと、グアムは九千七百だったのが四千七百七十六というので半分ぐらいに減るわけです。ハワイは八千二百が八千八百三十で若干ふえるわけですが、従来はないところで、オーストラリアと米本土がそれぞれふえる分がある。

 日本については、従来の配置計画というのが、海兵隊ですよ、一万三千八百だったのが今度は一万四千九百五十四というふうになるわけですね。そうすると、海兵隊削減という話だったんじゃないかと僕は思っていたんだけれども、アメリカ自身がこの配置計画で考えているものを見ると、今局長から答弁があったように、海兵隊の部隊の配置人数においても、負担軽減、人数が減るんじゃなくて、逆にふえるということではないかと思うんですけれども、ここはどういうふうになるんでしょうか。これは疑問を持っているので質問なんです。

冨田政府参考人 恐縮でございますけれども、これは、報告書の性格といたしまして、軍事委員会による調査の数字というふうに私どもは承知をしております。それで、実際の運用の中でどういう数字になっていくかということについては、これは米軍の中で不断に検討されているというふうに承知しておりますので、ちょっとこの数字自体、具体的にどこがどう変わってきているかということについて、今の時点で私の方から御説明するということは差し控えたいと思っております。

笠井委員 これは、軍事委員会の調査と言ったんだけれども、その調査に対して米海兵隊が二〇一二年の十一月時点で明らかにした数字だと思うんですよ。海兵隊当事者が言っているんですね。再編した結果、そういうふうにするという計画だというふうに言っているわけです。

 大臣、そういうふうになると、これは明らかにふえるということを計画しているんじゃないかと思うんですが、こういうことを含めてきちっと確認しないと、負担軽減、負担軽減と言われるけれども、実際には、米軍自身は海兵隊を日本に、これは沖縄と岩国と書いてあるんですよ、沖縄、岩国と。ふやすことになるんじゃないか。沖縄はグアムに持っていくから減るんじゃないかとなると、岩国がふえるんですと言うけれども、では、岩国がふえるというのは、そんなにたくさんふえるのかとなりますよね。

 その辺のところがはっきりしないので、これはきちっとただす必要があると思うんですけれども、大臣、これはいかがですか。正確につかむ必要があると思う。

岸田国務大臣 数字につきましては今北米局長から申し上げたとおりですが、数字の評価については、いま一度確認してみる必要はあるのではないかと思っています。

笠井委員 これは重大なんです。負担軽減になりますと言ったのに、実際は、アメリカの新国防戦略に基づいて、グアムを含めてがっとやっていく中で、日本は実際ふえちゃうという話になったら、話が根本から違ってくるわけですよ。そういう問題だということを言わなきゃいけない。

 しかも、北マリアナということで、そういう点でいうと、先ほども質疑がありましたけれども、自衛隊が使えるような訓練場というのを国民の税金でつくることになるわけですね、アメリカの施設だけれども。

 これについて改めて確認なんですけれども、日本の自衛隊が使えるような新訓練場を国民の税金で海外につくったという前例はあるんですか。

岸田国務大臣 先ほどの質問についてですが、先ほどの数字は、在日米海兵隊全体の数字ということであります。そのうちの沖縄分については、一万人程度ということであります。先ほどの数字についてはそういった数字であるということを申し上げたいと存じます。

冨田政府参考人 御指摘のような例はないというふうに存じております。

笠井委員 海兵隊全体の数字と言われるんですけれども、この資料にはイワクニ・アンド・オキナワと書いてあって、その数字が一万三千八百から一万四千九百五十四にふえているんですよ。だから、その内訳がどうなっていて、では沖縄は実際どれだけ減るとなるのか、それとも、ふえるのか。大臣は確認しなきゃいけないと思っていると、それ自身はおっしゃったわけですけれども、確認しないことには始まらないということは間違いないですね。

岸田国務大臣 いずれにせよ、確認したいと存じます。

笠井委員 まさにそういう点でいいますと、アメリカが戦略を立てる、それによって人数が動くということで協定を結んだけれども、また変えるといって、変えたら実際どうなるか、日本側もまだつかんでいなくてわからない点があるという話になると、アメリカの御都合主義に振り回されていると言われてもおかしくないような話だと思うんですよ。日本が抑止力ということで掲げて、その幻想にとらわれている限り、アメリカにいいように振り回されてしまうということになる。そういう点が大問題だと思います。

 しかも、そういう点でいいますと、今回の議定書というのは、アメリカの新国防戦略の指針のもとに米側が日本と行った2プラス2共同発表を具体化したものでありまして、今の数字は、実際、海兵隊はふえるわけですから、日本と沖縄の負担軽減というよりも、負担がふえるということになる。太平洋地域における海兵隊部隊の戦力を再編強化しようというものになってくる可能性があるということだと思うんです。

 そして、午前中の質疑にもありましたが、その戦略的な要衝の地、拠点としてのグアムの施設基盤を整備する。それにとどまらず、北マリアナにまで訓練場を整備する。そのために日本国民の税金をつぎ込む。しかも、自衛隊まで使用して、日米軍事一体化を強化しようとしている。

 まさにそういうことが、進まない原因になってきた普天間基地移設は切り離して、辺野古の新基地建設はあくまで強行する、これが日米の合意じゃないですか。これでは負担軽減にちっともならない。こういうことじゃないですか。大臣、いかがですか。

鈴木委員長 笠井君、時間が来ておりますので、今のを最後の質問にしてください。

岸田国務大臣 日米それぞれの行うべき義務につきましては、この条約において明記をされています。そうした方針に従って取り組みを進めることは、結果として沖縄にとりまして負担軽減につながるものだと認識をしております。ぜひ、この方針に従って進めていき、沖縄の負担軽減につなげていきたいと考えています。

笠井委員 終わりますが、兵力がふえるか減るかも確認しなきゃわからないのに、負担軽減につながると言えないと思うんですよ。私は、道理のない対米財政支援はきっぱりやめて、国民の税金は、東日本大震災あるいは福島復興、暮らしにこそ回すべきだと重ねて申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、左藤章君。

左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。きょうは、大臣、御苦労さまでございます。

 最初に、武器貿易条約から質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど小熊先生からもいろいろ話がありましたけれども、この締結国は三十一カ国でございますが、残念ながら、国連の常任理事国、特にロシア、中国、そして先ほどお話がありましたウクライナも含めて、締結をされていない状況であります。先ほどもお話しのとおり、これが五十カ国になれば効力を発揮するわけでありますけれども、この三カ国、そして残念ながらインドも入っていないんですね。

 これに対する我が国としてのアプローチの仕方、どういう動きをしているのか、これをお伺いしたいと思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘ございましたように、この条約が実効的なものになるためには、多くの国がこの条約に参加をする、その中でもとりわけ武器輸出の主要な国が入るということが重要であるというのは、今委員御指摘のとおりであるというふうに考えております。

 したがいまして、私ども、大臣を先頭といたしまして、マルチの会議の場、それからまた二国間の協議の場なども通じまして、各国に働きかけをしているところでございます。ロシア、中国、インド、そういうふうな国々に対しても私ども働きかけをしておりますので、今後も引き続きそのような努力を継続していきたいと考えております。

左藤委員 今、その中でウクライナの問題、実はクリミア半島の件でいろいろございまして、総理が、三月二十四日、ウクライナの暫定政権に対して十五億ドル、約千五百億円の規模の経済支援をする、こういうことを発表されました。

 御存じのとおり、ウクライナがどういう国かというと、旧ソ連軍の軍需産業の約三五%を引き受けておったんですね。そして、中国にとっては戦闘機や軍艦の有力輸入国、つまり、遼寧もそうであります。そういう国である。そして、中国が輸入する兵器の六〇%は実はウクライナからだと言われているわけですね。

 今、日中間は、御存じのとおり、大変な状況になっておりますし、中国は軍事費拡大をしながらやっている。何か変な感じじゃないですかね。日本にとっては敵の味方みたいな、何か変な感じの支援になるんじゃないかな。

 こういう面で中国もどういう動きをしているかというと、まだまだ三十分野においてウクライナから兵器輸入が行われている、そして、食料でも、中国は、ウクライナの東部の三百万ヘクタールの農地を租借する方向で前政権のヤヌコビッチさんと話をしておりますし、石炭ガス化工場の建設や航空機の共同開発も計画をしている、そういう仲であります。

 しかしながら、ウクライナは、G7の問題、そして日本とアメリカの関係から、支援をした方がいい、そういう判断だったと思いますけれども、これはやはり、もしウクライナに支援をするならば、中国に対する兵器輸出の見直し等々を、注文をつけるというのは行き過ぎかもしれませんが、そういうことを日本は懸念しているんだということを強く言いながら、しかし、ウクライナを助けなきゃならないということでございますので、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 ウクライナの混乱につきましては、その背景に、経済的な安定化が重要であるという見方があります。そういった観点から、我が国としましては、国際社会あるいは国際機関とも連携しながら、最大で一千五百億の支援を行うことを表明いたしました。この点につきましては、国際社会から高く評価されているところです。

 しかしながら、御指摘のとおり、ウクライナから中国への武器輸出等につきましては、政府としましても懸念を持っているところであります。昨年八月に私自身もウクライナを訪問させていただきました。その際に、日本・ウクライナ外相会談を行わせていただきまして、その外相会談の場で、この中国への武器輸出の問題につきまして指摘をさせていただき、強い懸念を表明させていただきました。また、その後も四月三日に、坂田駐ウクライナ大使からデシチーツァ外相代行に対しまして、申し入れも行わせていただいております。

 ウクライナ情勢につきましては、引き続き流動的であります。また、今後、大統領選挙等も行われ、政権のありようも注目されているところであります。ぜひ、御指摘の中国への武器輸出問題等につきましてはしっかりと注視しながら、今後の政府の状況につきましてしっかりと見ていきたいと考えております。

左藤委員 ぜひひとつ、人道的なこともございますし、いろいろあると思いますので、今大臣から答弁があったとおり、注視をしながら、また交渉をしながら、しっかり進めていただきたいと思います。

 今、締結をしようとする武器貿易条約なんですが、四月一日、この前閣議決定された防衛装備移転三原則との関係について、この位置はどうなるのか、御質問させていただきたいと思います。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 この条約は、通常兵器の国際貿易を規制するための国際的な基準を確立する国際約束であります。一方、防衛装備移転三原則は、防衛装備の海外移転に係る我が国の政策であり、これまでの武器輸出三原則等を新たな安全保障環境に適合するために改めたものであります。

 我が国としては、国際約束を遵守することは当然であり、我が国による防衛装備の海外移転に係る政策は、我が国が締結する条約の義務と整合性がとれたものであります。

 そもそも我が国は、従来から、この条約が義務づける規制の水準より厳しい規制を行っており、また、今回閣議決定された防衛装備移転三原則も、この条約上の輸出規制に比べて厳しいものとなっているところであります。

左藤委員 わかりました。

 それでは、グアム協定の件について質問をさせていただきたいと思います。

 今いろいろ先生方からお話がありましたけれども、在沖縄海兵隊をグアムに約九千人移転する、これによって、再度確認をさせていただきたいんですが、沖縄にいる米軍はいかな数になるのでありましょうか、お答えをお願い申し上げます。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、今回のグアム移転でございますけれども、大きな考え方は、従来御答弁申し上げたとおり、司令部、陸上、航空、後方支援の要素から構成される海兵空地任務部隊を沖縄、グアム、ハワイ、豪州に配置するということでございまして、その一環として、グアムには第三海兵機動展開部隊の航空、陸上及び支援部隊の要素を含む約五千人で構成される機動的な米海兵隊のプレゼンスが構築をされるということでございます。

 それで、沖縄からグアムに移転される部隊につきましては、米側からの説明によりますと、司令部要素である第三海兵機動展開旅団司令部や、陸上部隊要素である第三海兵隊隷下の第四海兵連隊の全部または一部、及び後方支援部隊要素である第四戦闘後方支援大隊の全部または一部が含まれるということでございます。

 それ全体といたしましては、改正議定書にもありますとおり、沖縄におきます海兵隊の要員約九千人プラス家族が日本国外に移転をするということになる予定でございます。

左藤委員 今のお話は海兵隊だけでありますが、沖縄には、正直言って空も陸も海もそれぞれあると思うんですね。これについての移転というか減数とか、そういう話はどうなんでしょうか。

冨田政府参考人 ただいまの改正議定書で今お願いをしておりますグアムへの移転については、これは海兵隊の要素だけが関係しているということでございます。

左藤委員 それでは、改めて、陸海空それぞれ、沖縄におられる米軍の数はいかがなものですか。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 北米局長。

冨田政府参考人 在日米軍全体の兵種ごとの内訳、これは実員でございますけれども、陸軍につきましては二千三百六十七、海軍につきましては一万九千五百三十二、海兵隊につきましては一万五千八百十九、それから空軍につきましては一万二千三百八十六というふうになっております。

左藤委員 それは全体の話なんですが、実は、沖縄県の方では調べているけれども、実際は発表していないんですね、沖縄に陸海空何人いるかというのは。米軍は言わないです。ただ、沖縄県が調べたところによると、空は六千八百、沖縄ですよ、それから海軍は二千二百、陸軍は千五百ほどおられると聞いております。

 これはしっかり把握していただかないと困ります。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 例のロードマップの見直し、平成二十四年の四月二十七日でありますけれども、このときは民主党政権であって、またその後、政権がかわりました。また、中国も習近平体制になって変わってきたわけであります。

 それについて、そのときに決められたグアム協定、そういうことで本当に我が国の安全を守れるのかどうか、中国、東南アジア、アジア太平洋の安全保障の環境がこういうことで変わっている中で本当に守れるのか、そして米軍の抑止力低下になるのではないかなと、私は非常に懸念をしております。

 ありがたいことに、岸田大臣また小野寺防衛大臣で、2プラス2でアメリカとは何回も交渉しておられると思いますけれども、これについて、我々の抑止力低下についての心配、不安といいますか、米軍が減ってくれる、これはもう本当に沖縄にとってありがたいことだし、我々も歓迎をするんですが、全体としてどうなのか、これに対して御意見を賜りたいと思います。

岸田国務大臣 二〇一二年四月の2プラス2において示されました新たな部隊構成あるいは配置におきましては、在沖縄海兵隊からロードマップの想定より多くの陸上部隊が日本国外に移転することになります。

 こうしたことを捉えて、米軍の抑止力の低下につながるのではないかという趣旨の御質問をいただいたと思いますが、一方で、今後について申し上げるならば、高い即応性を有する第三一海兵機動展開隊は沖縄に維持をされます。また、事態の進展に応じて各地から部隊が増強され、沖縄に残る第三海兵機動展開部隊司令部及び航空、後方支援部隊が増強部隊の来援のための基盤となることによって、引き続き大規模な緊急事態に対して迅速に対応することができることになります。また、自衛隊の取り組みに加え、日米間で共同訓練、共同警戒監視、偵察活動及び施設の共同使用を含む協力が進められます。

 こうしたことによりまして、我が国における日米同盟の抑止力は維持されるというのが日米双方の一致した認識であります。このグアムへの移転によりまして日米同盟の抑止力が低下するとは我々は認識しておりません。

左藤委員 QDRで、当然、大臣はヘーゲル長官といろいろ詰めたと思いますけれども、ちょっと気になることが書かれています。

 これは日高さんがきのう夕刊フジで書いていたところなんですが、やはり米海兵隊の幹部が特に懸念をしているというのは予算の欠如ですね、アメリカ側の。今は何とか頑張っているけれども、短期的にはいいんですが、長期的に見るとやはり不安だということを米海兵隊のジョン・パクストン副司令官が述べているそうであります。

 その辺、大臣はしっかりとフォローアップしていると思うんですが、改めて、ヘーゲル長官との話で、このQDRの件についてお伺いをさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 ヘーゲル国防長官とも、今後の日米同盟強化につきましてさまざまな意見交換を行っております。

 予算につきましても、米国における厳しい予算の状況は存在いたしますが、その中にありましても、アジア重視の政策、このリバランス政策については、米国側から再三、堅持するということは表明されているわけでありますし、予算の数字自体も、全体としては大変厳しい予算の状況にはありますが、アジアに対しましてはしっかりとした予算の確保が行われていると認識をしております。我が国としましては、米国のこうしたリバランス政策を歓迎しておりますし、米国におきましても、従来の方針をしっかり堅持する方針は確認されていると考えております。

 ぜひ、引き続きましてしっかりとした日米同盟を進めていきたいと考えています。

左藤委員 最後にちょっと防衛省にお伺いをします。

 グアム及び北マリアナ諸島で訓練場の整備がされるわけですね。自衛隊も共同使用させていただくことになっていますが、今、自衛隊と米海兵隊との共同訓練の現状はどうでしょうか。そして、この整備によって自衛隊はどのようなメリットがあるのか、お教えください。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御指摘の、すぐれた作戦遂行能力を有するアメリカ海兵隊と共同訓練を実施するということは、陸上自衛隊の能力及び練度の維持並びに日米の相互運用性の向上にとりまして非常に有意義であります。

 陸上自衛隊と米海兵隊は、日本国内及び米国においてこうした実動による共同訓練を既に実施してきているところでございます。具体的には、日本国内における共同訓練につきましては昭和五十六年度から実施しておりまして、今までに既に五十三回ほど実施をいたしております。また、米国におけます共同訓練につきましても、平成十六年度から実施をしておりまして、今までに十一回実施をいたしております。このうち九回につきましてはアメリカの西海岸で実施をしているところでもございます。

 今ちょうどおっしゃられたグアム及び北マリアナ諸島の訓練場の共同使用ということのメリットということでございますが、改正版の協定第四条に基づきまして、自衛隊が日本と距離的にも近い位置にありますグアム及び北マリアナ諸島連邦の全ての訓練場を使うことが可能になるということで、アメリカ軍との相互運用性のさらなる向上に加えまして、昨今の水陸両用能力を含めました自衛隊自身の能力の向上も図れるものと考えておるところでございます。

左藤委員 もう時間ですので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 岸田大臣、きょうは大変長時間にわたりまして御苦労さまでございます。

 きょうは二件の条約について質問させていただきますが、最初に、武器貿易条約関連で質問をさせていただきます。

 この武器貿易条約、我が国は、国連の場におきまして一貫して積極的に推進をしてまいりました。二〇〇六年の国連総会におきましては、七カ国の共同で決議案を提出いたしました。「武器貿易条約に向けて 通常兵器の輸入、輸出及び移譲に関する国際基準の設定について」という決議案でございます。

 その後、本条約については、各国のいろいろな立場や意見の食い違いがあって、大変長い期間を要したわけであります。そうした交渉が難航したんですけれども、ようやく二〇一三年四月の総会におきまして、我が国も含めた十二カ国が共同で条約案を提出し、百五十六カ国という多くの国々の賛同を得て採択されたわけであります。この意義は極めて大きく、この間の我が国のこうした取り組みに対しては高い国際評価が得られているというふうに理解をいたしております。

 これで条約が間もなく発効の見通しが出てまいりまして、今度は、それをどうやって実効性を確保していくのかというところが重要だというふうに思います。この実効性を確保していく仕組みをどうやってつくっていくのか。

 特に途上国においては、なかなかやはり管理体制を、しっかりしたものをつくることというのが困難な面も多いんじゃないかというふうに思います。通常兵器はそうした途上国からほかのところに流出をしていくという事例もあって、これがまさに平和と安定にとっての大きな障害になるわけであります。

 その意味では、我が国として、この条約の実効性を確保していくという意味で、途上国に対するいろいろな仕組みづくりの技術的な支援、あるいは、必要があれば資金的な支援などを行って、この条約の実効性の確保について引き続き積極的に取り組んでいく必要があるというふうに思いますけれども、どのように対応していくのか、御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 我が国は、この条約作成の検討を開始する国連総会決議の原共同提案国の一つとして、また、二度の国連会議における副議長として、これまで条約案の作成及び採択に貢献をしてまいりました。

 委員御指摘のとおり、条約発効後は、条約の実効性を確保するための取り組み、これが重要になってきます。昨年九月に開催されました武器貿易条約ハイレベル会合において、私から、そのような取り組みの一つとして、途上国において、武器移転を適切に管理するための国内制度の整備と強化、こうしたものが重要である、こういった点を指摘させていただきました。

 我が国としましては、従来から、小型武器問題に関する途上国に対する支援に取り組んできたところです。我が国は、これらの取り組みを通じて、通常兵器の分野における国際的な取り組みに引き続き主導的な役割を果たしていきたいと考えております。

 そして、技術や資金の支援に取り組むべきではないかという御指摘をいただきました。

 我が国としましては、これまでも、法制度ですとか能力構築支援につきまして、開発途上国に対しまして支援を行ってきました。こうした支援は引き続き行っていきたいと思っていますし、あわせて、御指摘の資金協力についても、協力の可能性はあり得ると考えています。

上田委員 やはり、通常兵器の管理体制を強化していくためには、たくさんある途上国における、そういったしっかりとした制度をつくっていくことが重要だというふうに思っております。

 もう一つ、やはりこの実効性を担保していく上で大きな課題というのが、先ほどから質問の中でも出てきておりますけれども、武器貿易の金額の多い国々がこの条約の採択において賛成をしていないということであります。

 きょうはちょっと資料を配付させていただきましたが、この資料一において、これはストックホルム国際平和研究所が公表している資料から作成したものでありまして、武器輸出輸入のそれぞれ上位五カ国をその中から掲載いたしました。資料をつくる際に若干転記ミスがございまして、数字がちょっと違うんですが、順位は変わりません。

 輸出では第一位がアメリカで、ちょっとこれが数字が違っておりまして、八十七億六千万ドルということでございました。そして、第二位がロシア、第三位が中国ということでございます。先ほどからちょっとお話が出ているウクライナが第四位。以下、ございます。

 そして、輸入については、第一位がインド、第二位が中国、第三位がアメリカ、第四位のトルコとなっておりまして、ちょっとここも数字が違っておりまして、十二億六千九百万ドルということでございます。

 いずれにしても、こういう順番になっている。

 この研究所はさまざまな統計を発表しておりますけれども、非常に正確だという意味において国際的に評価の高い研究所でありますので、大体こういう数字のとおりなんだろうというふうに思います。

 この表をつくらせていただいた中で、アンダーラインを引かせていただいているのが、二〇一三年四月の国連総会で賛成しなかった国でございます。輸出では、第二位のロシア、第三位の中国、そして輸入では、第一位のインド、第二位の中国が賛成をしていない。輸出での第一位のアメリカは、署名はしていないけれども賛成はしている。

 総会で賛成をしていないということは、当分、署名をする、あるいはこの条約に参加をするというのはなかなか見込めないんだろうなというふうに思います。

 そうすると、こういった武器輸出大国、特に輸出しているところですね、大国が参加しない条約は、果たして十分な効果を発揮することができるのだろうかということは、疑問と言わざるを得ません。一部の国のこうした態度というのは、国際社会がせっかくこうやって平和と安定のために通常兵器の管理体制をやっていこうという、そういった努力をないがしろにするものであって、極めて遺憾なことというふうに言わざるを得ません。

 我が国としては、特にこの中でも中国、ロシアなどの武器輸出大国の姿勢、これはやはり厳しく指摘をしていかなければなりませんし、国際世論にもそのことは訴えていかなければならないというふうに思います。また、先ほどから質問でも出ていますけれども、やはりこうした国々に強く参加を呼びかけていくということも必要であるというふうに思います。

 今後、せっかく我が国が主導してここまで持ってきた条約でありますので、その実効性を確保していく意味で、どのように取り組まれるのか、御見解を伺いたいというふうに思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ありましたように、この条約の実効性を担保するために多くの国がこの条約に加入をする、その中でも特に主要な武器輸出国がこの条約に加入をしていくということが重要であるということは、私どもも全く同じ立場でございます。

 今、ロシア、中国について言及がございましたけれども、ロシア、中国いずれも、この条約を採択する国連総会におきまして、今委員から御指摘ございましたように、棄権をしております。ロシアについては、人道法、国際人権法についての基準が明確さを欠くなど幾つかの点を指摘してございますし、また、中国も同じように、この会議においては棄権をいたしました。

 一方、中国は、その後、昨年十二月に国連総会で、武器貿易条約をさらに推進していくべきという、そのような決議を採択したわけですけれども、このときには賛成をしてございます。

 私どもも、ロシアそれから中国の動向については特に注視をしていきたいというふうに考えております。

 先ほどからも御答弁申し上げましたように、私ども、中国、ロシア、それから東南アジア諸国等々を含めまして、早期の署名及び締結を行うようにという働きかけを引き続き続けていきたいというふうに考えています。

上田委員 やはり、こういう通常兵器の貿易というか通常兵器の取引というのは、さまざまな地域紛争の火種になりますし、それを大きくしてしまう、そういう危険性があるわけであります。そういう意味では、特に取扱高の大きい国々に、国際社会が一致して管理をしていこうという枠組みの中に入ってもらうことがやはり重要だというふうに思っておりますので、ぜひこれからも、そういった、やはり日本が国際社会に対して、世界の平和、安全に対して働きかけをしていくという姿勢を明確にしていただきたいというふうに思います。

 次に、これはお配りをした資料の下の方、資料二という新聞記事のものでありますが、この新聞記事に、武器貿易条約の提出と、それから先般決定いたしました新たな防衛装備移転原則、これが、あたかも整合性がとれないというような内容の記事が出ております。ここにも、「武器規制推進と禁輸緩和を同時に進める分かりにくさは否めない。」そういう記述になっております。

 我が国はこれまでも、防衛装備、いわゆる武器の輸出については、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、全ての案件に経済産業大臣が個別許可をする、そういう基本的な枠組みでありまして、これは新たな原則においても変わらないことでございます。また、国内法の適用範囲というのは、条約が視野に入れているものよりもかなり幅広い分野が対象となっておりますので、その意味では、より厳しい管理体制になっている。このように、我が国の今の制度というのは、世界でも最高水準とも言えるような厳格な管理体制がとられているというふうに承知をしております。

 この条約は、世界各国にも、むしろ我が国が実施しているような制度になるべく近づけるような管理体制を実施するよう努力を求めるものだ、そういう趣旨であるというふうに理解をしております。

 したがって、我が国の政策には一貫性があり、整合性がとれているというふうに私は認識をしておりますけれども、お考えを伺いたいというふうに思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘ございましたように、この条約につきましては、通常兵器の国際貿易を規制するための国際的な基準を確立する国際約束でございます。

 我が国といたしましては、この条約の交渉を主導してきたという立場もございますので、この条約の早期締結を目指している、これは、世界的にそのような秩序をできる限り打ち立てたい、そのような意図によって進めているところでございます。

 また一方、今委員から御指摘がございました防衛装備の移転の三原則ということは、防衛装備の海外移転に関します我が国の政策でございまして、これまでの武器輸出三原則等を新たな安全保障環境に適合するように改めまして、閣議決定を行ったということでございます。

 我が国の政策というものは、我が国が締結します国際約束というものと整合的でなければいけないということは当然のことでございますので、私ども、この二つのものは矛盾をしないし、整合的であるというふうに考えております。

 また、今委員からも御指摘ございましたように、我が国がこれまでとってきております我が国の政策といいますものは、条約が義務づける規制の水準よりも厳しいものをとってきているということでございますし、また、今回閣議決定をされました防衛装備の移転三原則というのも、この条約の輸出規制に比べて厳しいものになっております。

 具体的に申しますと、新しい原則のもとでは、移転を認め得る場合というのが、平和貢献、国際協力の積極的な推進、または我が国の安全保障の観点から積極的意義のあるものに限定をされているということ、目的外使用や第三国移転についても適正に管理をしていくという点についても指摘ができるかと思います。

 また、規制の対象範囲につきましても、委員から御指摘ございましたように、防衛装備の移転の三原則、対象が武器貿易条約よりも広いものとなっている、そのような関係であるというふうに理解をしております。

上田委員 次に、グアム協定改正議定書の方をお伺いいたします。

 現行協定、今の協定が合意をされたときに、政府は、米海兵隊駐留による抑止力の維持という観点と沖縄の負担軽減、この二つを両立させる最善の案であるということの説明をされていたというふうに承知をしております。

 その際、沖縄県外に移転される米軍要員は、司令部要員を中心に八千名程度、実動部隊は抑止力を維持するために基本的に沖縄に駐留するということになっておりました。

 先ほど来質問にも出ていることでありますけれども、改正案では、実動部隊を含んだ九千名程度が県外に移転されることになっております。沖縄の負担軽減ということについては評価できるというふうには考えますが、これで適切な抑止力が維持されるのかというのは当然の疑問だろうというふうに思います。

 先ほど大臣の方からも、抑止力は確保できるんだという答弁でございましたけれども、その辺、もう少し根拠も含めて御説明いただきたいというふうに思います。

 東シナ海における安全保障環境が一段と厳しくなっている中で、今の協定が結ばれたときとどういう状況の変化があってそういった抑止力が確保できるのか、そういったことを具体的に御説明いただきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 米国は、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえて、この地域において、地理的により分散し、そして運用面で抗堪性があり、政治的に持続可能な米軍の態勢を実現していく、こうした方針を示しています。

 具体的には、司令部、陸上、航空、後方支援の全要素から構成される海兵空地任務部隊、MAGTFを沖縄、グアム、ハワイ及び豪州に配置する、このように方針を示しております。

 これを踏まえれば、在沖縄海兵隊のグアム等への移転は、米国が、東アジア全体における大規模な緊急事態を含む多様な事態に対処し得る堅固なプレゼンスを構築することを可能にするものであると考えています。

 そして、そうした全体の中で、二〇一二年四月の2プラス2共同発表において示された新たな部隊構成、配置ですが、その中におきましては、在沖縄海兵隊からロードマップの想定より多くの陸上部隊が日本国外に移転する、このようになっております。

 この点が大丈夫かということにつきましては、高い即応性を有する第三一海兵機動展開隊は沖縄に維持されるということ、さらには、事態の進展に応じて各地から部隊が増強され、第三海兵機動展開部隊司令部及び航空、後方支援部隊が増強部隊の来援のための基盤となることによって、引き続き大規模な緊急事態に対して迅速に対応することができるということ、さらには、自衛隊の取り組みに加えて、日米間で共同訓練、共同の警戒監視、偵察活動及び施設の共同使用を含む防衛協力を進めるということになっていること、こういった点を勘案いたしますと、日米同盟の抑止力は維持されると考えておりますし、この点につきましては、日米の認識は一致していると考えております。

上田委員 協定の内容についても幾つか質問を通告してあったんですけれども、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 ただいま議題となっております両件中、まず、第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について議事を進めます。

 これより討論に入ります。討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定改正議定書に反対の討論を行います。

 二〇〇九年のグアム移転協定は、米国がみずからの軍事戦略に基づいて米国領内で行う米軍基地建設について、日本が本来行うべきでない巨額の費用負担を定めるとともに、日本政府による辺野古新基地建設に向けた具体的な進展をグアム移転の条件としたものであります。

 沖縄の負担軽減などと海兵隊のグアム移転計画を支援することは、全く道理のない対米支援の口実にすぎません。本来、米軍施政下で住民を強制的に排除して強奪した土地に築かれた基地は、無条件に撤去、返還すべきであります。しかも、現行協定は、移転費用の積算根拠も不明であり、その承認に我が党は強く反対をいたしました。

 今回の改正議定書は、日米両政府が調整した結果として、日本側の費用負担の変更、沖縄から移転する海兵隊の人員と移転先の変更、グアム移転と普天間飛行場移設の進展の切り離しを行うというものでありますが、道理のない対米財政支援を続け、沖縄県民の民意にあらがって新基地建設を強行しようとすることには何ら変わりがありません。

 さらに、改正議定書では、新たに日本の提供資金をグアム及び北マリアナ諸島連邦の訓練場の整備に使うこと、米側が自衛隊との共同使用を想定して使用に係る日本の要請に配慮することが盛り込まれました。これは、日本の提供資金の使途を訓練場整備にまで広げ、日本側も自衛隊が使用できるようにするものです。これが、事実上、自衛隊の海外基地整備を行って、日米共同演習による軍事一体化をますます図ろうとするものであることは明らかです。

 このような改正議定書には断固反対を表明し、討論とします。

鈴木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより採決に入ります。

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、武器貿易条約の締結について承認を求めるの件について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 武器貿易条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十六分散会


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