衆議院

メインへスキップ



第6号 平成26年11月12日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十六年十一月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江崎 鐵磨君

   理事 齋藤  健君 理事 武田 良太君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 長島 昭久君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      小田原 潔君    河井 克行君

      木原 誠二君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      白石  徹君    鈴木 俊一君

      渡海紀三朗君    東郷 哲也君

      中谷 真一君    中根 一幸君

      中村 裕之君    星野 剛士君

      武藤 貴也君    務台 俊介君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      若井 康彦君    青柳陽一郎君

      阪口 直人君    岡本 三成君

      三宅  博君    宮沢 隆仁君

      笠井  亮君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       尾池 厚之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 河野  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 豊田 欣吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   引原  毅君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    藤田 博一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    牧元 幸司君

   政府参考人

   (水産庁次長)      香川 謙二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            中島  敏君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     小田原 潔君

  薗浦健太郎君     中村 裕之君

  宮沢 隆仁君     三宅  博君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     木原 誠二君

  中村 裕之君     井上 貴博君

  三宅  博君     宮沢 隆仁君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     井林 辰憲君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     白石  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     薗浦健太郎君

    ―――――――――――――

十一月七日

 思いやり予算の削減・廃止を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五四号)

 日豪EPA協定を批准しないことに関する請願(笠井亮君紹介)(第八五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官尾池厚之君、大臣官房審議官河野章君、大臣官房審議官伊藤直樹君、大臣官房審議官豊田欣吾君、大臣官房参事官滝崎成樹君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長引原毅君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣審議官澁谷和久君、国税庁課税部長藤田博一君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、林野庁林政部長牧元幸司君、水産庁次長香川謙二君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、海上保安庁警備救難部長中島敏君、環境省自然環境局長塚本瑞天君、防衛省運用企画局長深山延暁君、地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤貴也君。

武藤(貴)委員 自由民主党、滋賀四区選出の衆議院議員、武藤でございます。

 きょうは、質問のお時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、きょうの案件でございます原子力損害の補完的な補償に関する条約について御質問させていただきます。

 福島の原発事故があって以来、我が国でも原発に対する国民的な関心が非常に高い中で、世界的にも、原発が事故を起こした場合の被害の大きさ、国境線を越えて越境することも考えられる、あるいは被害額が莫大になってしまう場合、こういうことを想定して、それに対応すべく、今回の条約が数年来にわたって議論され、今回日本も締結するという流れでございますが、日本が今回の条約に入る、これは大変大切なことだと思います。

 しかしながら、近隣諸国に目を向けますと、例えば、原発を推進している中国や韓国などがこの条約を締結していないという現状も課題としてございます。したがって、日本だけがこの条約を締結するというのは、仮に事故を起こした場合に不公平な状態が生じるんじゃないかという問題点が指摘をされております。

 例えば、中国は、現在二十二基の原発が稼働しています。そして、二十七基が建設中。そして、今後さらに原発による発電割合、原発依存度を上昇させるという国の方針が定められております。また、韓国は、現在二十三基が稼働中で、五基が建設中、そして六基が、今後、ゼロからですけれども、建設予定というふうに資料では出ていますし、聞いています。

 そこで、これを日本政府としてどのように捉えているのか。

 例えば、先ほども冒頭申し上げましたように、近隣の諸国が原発事故を起こした場合、この条約に入っていれば、締約国の拠出金というのがあって、賠償を補完して、それに追加のお金を入れて賠償するという制度もありますけれども、近隣諸国が入っていない場合に、補償額が不十分になってしまう場合がある、これを想定して、日本としては近隣諸国にも締結をしていただく必要があるんだと思います。

 そこで、政府として、近隣諸国にどのように働きかけを行って、どういう形で加盟していただいて、しっかり安全を担保していくのか、政府の方針をお伺いさせていただきたいと思います。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、現在、アジア地域を初めとして国際的には原子力の平和的利用が拡大しておるわけでございますけれども、そういう中で、中国や韓国を含む各国が、原子力損害賠償の国際的ルールに従って、越境損害も含めて被害者保護に資する法制度を整備していく、そういうことは大変重要であるというふうに考えております。

 CSCは、もし我が国が締結するという運びになりますれば、それをもって発効するという見込みでございます。我が国としては、この条約の発効が中国や韓国といった近隣諸国を含む各国の締結の促進につながるということを期待するものでございます。

 また、あわせて、政府としては、CSCに近隣諸国が加入するということの重要性を認識して、例えば、アジア地域を対象としたIAEA主催のワークショップにおいて、アジア地域における原子力損害賠償制度の構築の必要性を訴える、こういうふうな取り組みを行ってきているところでもございます。

 福島第一原発事故当事国といたしまして、国際的な原子力損害賠償制度の構築への貢献ということは、我が国の責務であるというふうに考えております。

 このような考え方のもとに、我が国としては、CSCを早期に締結し、そして発効させるとともに、中国、韓国を初めとする近隣諸国にしっかり働きかけて、アジア地域等における国際的な原子力損害賠償制度の構築に努めていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。

 以上でございます。

武藤(貴)委員 御答弁ありがとうございます。

 政治は結果責任だと思います。働きかけを行って、なかなかこの枠組みに入っていただけない、そういう中で事故が起これば、これは責任が発生するわけであります。結果をしっかり出すように、日本政府としても近隣諸国への働きかけを行っていただきたいと思います。

 次に、ちょっと時間も限られておりますので、拉致問題についてテーマを移して質疑をさせていただきたいと思います。

 先般、十月二十八日、日本政府代表団が平壌入りをしました。そして、北朝鮮の拉致特別調査委員会と協議を行ったわけでございますけれども、二十八日は午前二時間半、そして午後三時間、二十九日水曜日は午前二時間半、午後二時間半、トータルで十時間の協議が行われたということでありますが、従来、日本政府として、拉致被害者の個別の情報について開示してほしいという要求をしてきたわけですが、これに対してゼロ回答だった。

 訪朝する前に、超党派の拉致議連あるいは党の部会でも、今回の訪朝に対しては反対の意見が相次ぎました。というのも、情報が出てこないだろうということをあらかじめわかっているというか、予測ができたからであります。

 そこで、今回、北朝鮮に渡ったとしても、調査委員会から徐大河委員長が出てきて、めったに出ない人物だ、誠実な対応をした、こういう言質を与えるだけで、実利、全く中身のない会談になるんじゃないか。ですから、行くことに反対が相次いだわけであります。

 しかしながら、政府は、開かれたドアを閉じられてはいけないという理屈で、多少その情報を求めて行ったわけでありますけれども、現実的にゼロ回答だった。

 これを受けて、家族会や救う会を含めましてこの問題に関心の高い国民世論も、非常に失望、落胆をしているんだと思います。私もその一人であります。家族会の方々が、この訪朝を終えた次の日に、記者会見で、非常に、長い間やってきて結果が出ないこの状況に疲れる、病気にもなるというようなことを繰り返しおっしゃられています。

 そこで、今回の訪朝に関して、当初から、個別の情報が全く開示されない場合は席を立って帰ってくるべきだ、こういう意見がありました。なぜ席を立って帰ってこなかったのかな、私も率直にそのように思います。

 北朝鮮は、経済制裁が解除された状態をなるべく引き延ばして、日本から果実をできるだけ取得しようとしているんじゃないか、こういう指摘がある中で、家族会や救う会からは、経済制裁再発動の期限を切るべきだというような発言も相次いで出ています。

 まず、そこで、今回の訪朝団について、どうしてしっかり情報を取得するために強く臨めなかったのか、席を立って帰ってこなかったのか。

 普通、交渉というのは、権限を持っている者じゃないと、やはり資格がないというふうに国際交渉では言われると思います。全く権限がない方が行って政府の代表だと言っても、それは相手からなめられてしまう。恐らく、政府としても、一定程度権限を与えて政府の代表団を派遣したんだと思います。

 そこで、なぜ、個別の情報が出ないのにそのまま十時間も他の話題も含めて聞き続けて、北朝鮮の言い分を聞くだけで帰ってきたのか、この状況と、それに対して、大臣ですか、政府の認識をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 今回の訪朝ですが、特別調査委員会が立ち上がり、九月十八日の段階で、北朝鮮側から、調査は初期の段階であり、今この現状においては拉致被害者の方々お一人お一人の具体的な情報を提供することはできない、こういった通報がありました。

 これに対して、まず我々は、これは納得ができない、これは認めることができない、拉致問題、これは我が国にとりまして最重要課題であり、現状がどうなっているのか、それをしっかり確認させてもらわなければならない、そして、調査についても、速やかに調査を行って、そして、迅速に、正直に結果を通報してもらわなければならない、これを伝えるために訪朝を行ったわけであります。

 ですから、そもそも、北朝鮮側が拉致被害者の方々について安否情報を提供することができないと言ってきたことに対して、我が国の立場をしっかり伝えるために今回の訪朝を行った、今回の訪朝の目的、役割、これはここにあるんだということをまず申し上げなければなりません。

 加えて、委員もおっしゃいました、こうした交渉の扉があいたことについて、交渉が途切れてしまうリスク等もありました。このあたりを総合的に勘案して訪朝を決断した、こういったことでありました。

 事前に判明したとおり、安否情報、消息について具体的な情報は得ることができなかった、これは残念には思っていますが、当初の訪朝の目的、我が国の強い決意、立場、これを北朝鮮の最高指導部に伝えることができた、これは今回の訪朝で行われたというふうに思っていますし、また、北朝鮮側からは、過去の調査にこだわることなく新しい角度から調査を進めていく、あるいは特殊機関に対して徹底的に調査を行う、こうした説明等も受けてきました。

 こういったことから、我が国の立場を伝える、そして現状を確認する、そして迅速な通報をしっかり要求する、こういった申し入れはしっかり行われたと考えています。

 ぜひ、こうした派遣等を通じて、今後の調査促進をしっかり求めていく、迅速な通報につなげていく、こういったことが大切だと思っています。

 期限を区切って交渉に臨むべきではないか、あるいは、対北朝鮮措置をもとに戻すべきではないか、こういった意見があることも承知をしています。しかし、現時点では、まずはしっかりと迅速な通報を求めていく、これが重要だと思っておりますし、現時点において、北朝鮮の措置をもとに戻すこと、これは考えておりません。

 それぞれの時点において、北朝鮮側から前向きな、具体的な行動を引き出すためには何が最も適切なのか、このことを考えながら不断の検討を続けていく、こういった態度が重要なのではないかと、現状、我々は考えているところであります。

武藤(貴)委員 今、現状、経済制裁を再発動することは全く考えていないというふうに大臣が御答弁されました。

 私は、私だけじゃなく家族会や救う会の皆さんも、早く期限を切るべきだと。それは、調査委員会を立ち上げて、もう四カ月たっている。以前から、この問題は日本側から重要だということを北朝鮮側には伝えているわけですね。今回改めて伝えたことが成果だというふうにおっしゃっているんですけれども、そんなことは以前から伝えていて、やはり結果を出すことが、我々政治に携わる者の責任なんだと思います。

 これは、結果が全く出ていない。家族会からは、十二月で半年を迎えます、ですから年内をめどに中間報告を出してくれ、このような要求を北朝鮮に出していくべきだ、こういう意見が出されています。私も同感でございます。

 北朝鮮は、この交渉担当者は恐らく、金総書記に、交渉を迎えるに当たって、これとこれは日本から果実としてとれます、ですからこの調査委員会を立ち上げてくれという決裁をもらって立ち上げられた、こういうふうに分析している方もいます。ですから、こっちが席を立って強硬な姿勢に出れば、向こうは、果実をとれないということで、拉致被害者の情報を開示しようと総書記に努力してそういう要望を上げるだろうというふうにも言われています。

 ですから、こっちとしては、対話よりも圧力に重点を置いて、やはり期限を持って対応することが必要になったというふうに私も思いますので、今後、政府の中で検討するよう、私から要望を申し上げたいと思います。

 それと、時間が限られておるんですが、もう一点。

 一昨日、救う会の西岡力会長にお会いさせていただきました。驚くような内容も聞かされたんですね。というのも、日本から北朝鮮に、核開発やミサイル開発の資金、それから金体制を支える資金、これが流れていた。そして、工作活動もその資金を使ってなされていたわけですけれども、その工作活動を行う工作員の教育として日本人拉致というのが行われ、これまでこういう問題になってきているわけです。

 数年前にニュースに出ているんですけれども、一九七六年に朝鮮商工会と日本の国税庁で五つの合意があるというニュースが数年前から言われておりまして、この朝鮮商工会から、西岡さん、救う会の会長が言うのは、日本で脱税した資金が北朝鮮に流れているというような問題点が指摘されています。

 この税金の減免に関して国税庁と合意があってきちんと国税庁から取り締まりを受けなかったということを、朝鮮商工会や朝鮮総連の幹部がはっきり証言しているわけですね、税金を払っていない、それが北朝鮮に流れているということを。国税庁に聞くと、そんな合意はないと言っているんですけれども、実際、それが北朝鮮のいろいろな資金、使われる資金になっているという現実があります。

 そこで、平成二十五年一月二十五日に拉致対策本部で設置された「具体的施策」というところの中の一番目に、「厳格な法執行を推進する。」というような文言が盛り込まれた、これは、今まで日本で厳格な法執行がなされていなかったということの裏返しだというふうに救う会の西岡会長はおっしゃっているんですね。

 ですから、こういう問題、答弁しにくいと思いますけれども、実際あったんだと思います。しっかり国税庁として取り組んでいく必要があると思うんですね。

 そこで、今まで、こういう実態を踏まえて、やはり総括をしていかなきゃいけないと思います。政府として、こういう日本の、脱税、それから不動産ビジネスですね、総連あるいは朝鮮商工会の人々がやってきたビジネスでもうかった部分の税金を減免して北朝鮮に送っていた、これを総括して、どこに原因があったのかということをしっかり調べて、取り締まりを強化していく必要があると思いますが、政府の所見をお伺いします。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 まず最初に申し上げますけれども、先生引用されましたけれども、在日朝鮮人商工連合会と国税庁との間に何か合意事項があると言われているという御質問でした。

 税務当局の使命は、適正、公平な課税の実現を図ることでありまして、国税庁としては、特定の団体なりその会員に対し特別の扱いをすることはあり得ず、在日朝鮮人商工連合会との合意事項というものはございません。

 その上で申し上げますけれども、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、常日ごろから、あらゆる機会を通じて課税上有効な資料情報の収集に努めているところであります。そして、収集した資料情報と納税者から提出された申告書を総合的に検討しまして、課税上問題があると認められる場合は税務調査を行うなどによりまして、適正な課税に努めているところでございます。

武藤(貴)委員 質疑時間が終了しましたので、最後に、今、そういう合意はない、公平に税金を徴収しているという話でしたけれども、総連や朝鮮商工会の幹部が、国税庁と合意して、現実的にその合意に基づくかなりの効果があったと証言しているんですよ、これに基づいて税金を納めていないと言っているんですよ、それを北朝鮮に送金してきたとはっきり証言しているのに、そういう日本政府の対応がやはり、そんなことはあり得ないと言っているんですけれども、総連側が言っているんですから、だから事実なんだと思います。

 ですから、そういうことも踏まえて、しっかり検証して総括をして、二度とこういうことがないように取り組んでいただきたいと思います。

 質問は以上です。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、星野剛士君。

星野委員 おはようございます。自由民主党の星野剛士でございます。

 それぞれ質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 今、最初の質問者である武藤委員からお話がありましたので、まず冒頭、我が国としてCSCを締結する意義についてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 もちろん、国際的な原賠制度としては三系統あります。CSC、パリ条約、ウィーン条約というものがありますけれども、本日は、時間も極めて限られておりますので、CSCについてお伺いをしたいと思います。

 チェルノブイリの原発事故、そして国際的な原賠制度の強化について議論をされてきているというふうに承知をしておりますし、さらに、我が国においては福島原発事故を受けて、国際社会として、原賠制度の強化に関するさらなる機運があるのではないかと考えております。

 そして、CSCは、我が国が締結すれば発効する見通しとなっております。署名をしている十三カ国も締結に向けて動くのではないかというふうにも考えております。

 福島原発事故の当事国として、我が国は、CSCの早期締結と発効を通じて、積極的に国際的な賠償制度の構築に貢献する責務があるというふうにも考えておりますけれども、外務大臣のお考えをお聞かせ願えればというふうに思います。

岸田国務大臣 国際的な原子力損害賠償制度の構築の重要性、これにつきましては、IAEAの原子力安全行動計画などにおきましても、国際的に累次確認をされています。福島第一原発事故の当事国として、こうした制度の構築への貢献、これは我が国にとりまして責務であると考えます。

 そして、さらに、近年になって、アジアにおける原子力の利用拡大、まことに著しいものがあります。こうした状況でありますので、我が国がCSCを早期に締結し、そして発効させること、これはまずもって大変重要なことであると認識をします。

 そして、その上で、近隣国等にも働きかけを行い、アジア太平洋地域における国際的な原子力賠償の枠組みの構築、こうしたものにしっかりと貢献をしていく、こうした取り組みは大変重要であると認識をし、我が国としましても努力を続けているところでございます。

星野委員 ありがとうございます。

 さらに関連の質問でございますが、一部には、CSCは原発輸出促進のための条約というような、極めてうがった見方も聞き及んでおりますが、条約の意義をどうお考えになっておられるのか。

 むしろ、CSCの定める、事業者への責任集中、無過失責任、裁判管轄権の集中などは、被害者の迅速な救済を可能にするものだというふうに考えております。

 CSCは、このような点も含む、しっかりとした原賠制度を各国に広げていく点で大変重要だというふうに考えておりますけれども、外務大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。

岸田国務大臣 まず申し上げなければならないことは、CSCは、個別の民間企業の商活動について取り決めるものではありません。また、原発輸出を推進することを目的とするものでもありません。

 CSCの目的は、原子力損害賠償の額を増加することによって各国の原子力賠償制度を補完するとともに、世界的な原子力損害賠償の枠組みを構築する、これを目指すことであると認識をしています。

 このように、CSCは、原子力損害について、国際的ルールに基づき被害者が賠償を得られるようにするための条約の一つであり、被害者に対する賠償の充実、これを趣旨とするものであるということです。

 また、CSCは、被害者救済等の観点を踏まえて、電力事業者の無過失責任及び責任集中等の基本原則を定めておりますが、これらは国際的な標準となっている原則でありますし、また、我が国の原子力損害賠償法も、これらの諸原則に基づいて制定されています。

 このように、CSCの締結により、締約国の間で適用される共通のルールが定められ、企業にとって予見可能性が高まることになると考えられますが、冒頭述べましたように、このCSC、個別の民間企業の商活動について取り決めるものではなく、原子力輸出を推進することを目的とするものではないということ、これはしっかりと確認をしておきたいと存じます。

星野委員 それでは、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、外務大臣、先日のAPECにおける日中外相会談、お疲れさまでございました。

 今回のAPECの際に、日中首脳会談、また日中外相会談が実現をいたしました。私は、今回の日中首脳会談の実現は、世界を俯瞰する日本外交をしっかりと進めてきた、そして、中国との間では粘り強く交渉をしてきた日本外交の大いなる成果だというふうに考えております。

 外交当局に確認いたしましたが、総理におかれては、二年間で五十カ国を回られた、首脳外交を展開してきました。一瞬、私、五十二カ国だと思ったんですが、ミャンマーなどは二回行っているので、そういうのは一カ国としてカウントするんだということでございますから、二回行かれているところも含めて、国としてはこの二年間で五十カ国、総理は回られている。週末はほとんど海外で首脳外交を行っていると言っても過言ではない、こうした、まさに地球儀を俯瞰する外交を展開してまいりました。

 そして、それをしっかりとサポートし、または一歩先に出て、事前の交渉、そういう環境を整えていただいた岸田外務大臣のこれまでの御労苦、成果には、心から敬意を表したいというふうに思います。

 そして、報道等にも、今回の日中首脳会談または日中外相会談、大きく取り上げられております。

 まず、お帰りになって、恐らく委員会の場では初めての答弁だというふうに思いますけれども、この日中首脳会談または日中外相会談の成果について、外務大臣としてどのように認識をされ、お考えになっているのか、御披瀝をいただければ大変ありがたいというふうに思います。

岸田国務大臣 私自身、外務大臣就任以来、近隣諸国との関係強化、これを外交の三本柱の一つに掲げてまいりました。また、先般、外務大臣留任に当たりましても、近隣諸国との関係改善を特に重視する課題と位置づけさせていただきました。

 そうした観点からも、今般、北京APECの機会に、正式な日中首脳会談そして外相会談を実現できましたことは、中国との関係改善に向けた重要な一歩であり、成果であったと受けとめております。

 世界第二と世界第三の経済大国が対話を積み重ねるということ、そして関係を安定化させるということは、両国の国民にとって利益であるのみならず、地域や国際社会にとっても利益につながっていくと認識をしています。

 ただ、今回の首脳会談、外相会談は、やはりあくまでもスタートであってゴールではないと認識をしております。一回の会談で全てが解決できるというような甘いものではないと認識をしています。

 しかしながら、特に首脳会談において、両国の首脳がカメラの前で、そして国際社会の前でしっかり握手をする、こういった姿を示すこと自体は、関係改善に向けた大変重要なシグナルであったとも考えます。

 ぜひ、今回の首脳会談あるいは外相会談を踏まえて、日中間において、さまざまな分野において、またさまざまなレベルを通じて対話や協力を行っていく、こうした実績をしっかりと今後も積み重ねることによって、安定した両国関係を築いていきたいと考えています。

星野委員 ありがとうございます。

 外務大臣のお人柄で、相当抑制した成果の発表だなというふうに思いますが、世界が注目をしていました。そして、多くの国々、近隣諸国も、どうなっているんだろう、どうなんだろうというようなこと。また、国内にも、約三年間、日中首脳会談が実現をしていない。

 事の始まり、大反発したのは、前政権のときの国有化だというふうに一般的には言われておりますけれども、いずれにしても、外交的には三年間実現をしていないという不正常な関係だった、状況だったというふうに認識をしておりますから、そういう意味では、今外務大臣がおっしゃっていただいたように、当然ゴールではないですけれども、重要な第一歩を切れたというふうに感じております。

 ただ、日中間には、数々の、またさまざまなレベルの困難な課題が山積をしているということも、これはもう紛れもない事実であります。スタートを切られて、これからが大切だというふうに思いますが、今後、スタートは切りました、どういう方向に、どういう形で、何を優先順位として、対話を促進し、一定レベル以上の成果を出してくるか。

 スタートを切った。これからは、どうやって、何を成果として上げてくるかというところに焦点が移ってくるんだと思いますけれども、その点について外務大臣のお考えをお聞かせ願えれば大変ありがたいというふうに思います。

岸田国務大臣 我が国は、従来から、日中間には大変難しい問題は存在しますが、難しい問題が存在するからこそ、対話、特に高い政治のレベルでの対話が重要であるということを言い続けてきました。そういった立場から考えましても、今回の日中首脳会談、日中外相会談、これは大きな前進であったというふうに認識をしています。

 ただ、スタートでありゴールではないということ、先ほど申し上げたとおりであります。ぜひ、今後、協力や対話を具体的に積み重ねていかなければなりません。

 その中で、例えば防衛当局間の海上連絡メカニズム、これにつきましても、この早期運用開始について、首脳間のやりとりを踏まえて、一日も早い運用開始が必要であり、事務方にもしっかりと指示を出しているところでありますし、それ以外にも、例えば有識者間の対話のメカニズムとして日中友好二十一世紀委員会という枠組みがありますが、これはたしか年内に開催することで合意ができていたかと思います。こうしたものもしっかりと進めていかなければなりません。

 このように、さまざまなレベル、さまざまな分野において対話を積み重ねていき、そして日中関係全体を安定させていく、こういった努力を一つ一つ積み重ねていきたいと考えています。

星野委員 ありがとうございます。

 これからが大事なところに差しかかってくるということですし、また、外務大臣のまさに日中関係進展のための御努力をぜひ積み上げていっていただきたいし、我々も与党としてしっかりと日本外交をバックアップしてまいりたい、このように思っております。

 少し時間があります。

 日中外相会談の席で外務大臣が、中国のサンゴ船というか密漁船ですね、この違法操業について取り上げていただいて、中国に申し入れをしております。王毅外交部長からも、中国側も必要な措置をとっている旨述べたというプレスリリースがありますけれども、現実はどうなっているか。

 実は、私の地元、藤沢出身の方が今小笠原の村会議員をしておりまして、先日、その方から直接電話をいただきました。

 今、一生懸命海上保安庁もやってくれているけれども、突き詰めて言うと、イタチごっこだ。海保の船が寄ってきて、領海に入らないように幅寄せをして、追い出すわけですね。そうすると、クモの子を散らすようにどこかへ離れていくんですが、その船が見えなくなるとまた戻ってくる。それが百九十一隻だというようなレベルが続いているということでありますし、先日は、その村会議員の方のお話ですと、母島と父島の間に定期航路があるんですが、密漁船がその航路を邪魔して、衝突を避けて定期船が迂回したという話なんですね。

 もうそこまで、小笠原の村民の方、または漁師の方だけではなくて、ほかの仕事につかれている方々も相当ストレスがたまっている。何もできないのかというような、相当不満を島民の方々が持たれているということでありました。

 王毅外交部長は、中国側も必要な措置をとっている。必要な措置をとっているというのは一体何をとっているのか、甚だ我々は疑問に思っているんですけれども、その申し入れの中身と、また、王毅部長の反応の中で何か我々の参考になるようなことがもしあれば、御披瀝をいただければありがたいというふうに思います。

岸田国務大臣 中国のサンゴ船が我が国の領海あるいは排他的経済水域において違法操業しているということ、このことにつきましては大変遺憾でありますし、さきの日中外相会談におきましても、私の方から王毅外交部長に対しまして、この問題を直接取り上げて、まずは、我が国として、大変遺憾であるという我が国の思い、立場をしっかり伝えると同時に、向こうの努力を要請いたしました。

 中国側からは、対応を行っている、こういった説明はあったわけですが、それに対しまして、私の方からは、対応をすることはもちろんお願いしなければいけないわけですが、結果を出すことが大事である、結果が出なければならない、そのことを強調させていただきました。そのために日本も努力するが、やはり中国側としっかり連携して結果を出さなければならない、こういった思いで臨みたい、ぜひ理解とそして協力をお願いしたい、こういったやりとりを行わせていただきました。

 ぜひ、今後の状況をしっかり注視していきながら、結果を出すことを大切にしていきたいと考えています。

星野委員 終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、大臣、APECお疲れさまでした。今の星野委員の御質問にもありましたように、今回の首脳会談が実現されたことに対する大臣を初め外務省の皆様の御尽力、大変評価をさせていただきたいと思います。

 先ほどの御答弁で大臣は、スタートであってゴールではないとおっしゃいましたけれども、まさしくそのとおりで、スタート地点にやっと立っただけで、一ミリも進んでいないと私は思っておりますので、やっとスタート地点に立ったという思いで、今後とも今まで以上の御尽力をお願いできればと思います。

 APECに関しましては、世界じゅうのメディアで安倍総理と習近平国家主席の握手の場面が取り沙汰されておりまして、お二人の厳しい表情が非常に話題になっているんです。習近平国家主席の表情はどうであっても、せめて安倍総理は、満面の笑顔で、ハグするぐらいの大人の器を見せていただきたかったんですけれども、こちらも厳しい表情をされていて、同じレベルに立ってしまっているのかというふうな思いをしてしまいましたので、せめて大臣は、ああいう機会があれば、相手の表情がどうであっても、大きく包み込むような表情で常日ごろ接していただければというふうに思います。

 では、CSCに関しまして質問させていただきます。

 星野委員の質問の中で、今回のこの条約の必要性に関しまして御答弁をいただきまして、よく認識をいたしました。

 今回、日本がこれに加盟をすることができれば、発効要件の四十万メガワットを超えますし、非常に意味のあることだと思いますし、今、大変重要なタイミングだと思っています。

 今回、この政府の資料の中で、国際的な賠償制度の構築への貢献は我が国の責務だというふうに書いてあるんです。であれば、あえて伺いたいんですけれども、そこまで思われるのであれば、何ゆえに今まで、パリ条約、ウィーン条約、それぞれ、採択がされましたのは一九六〇年、一九六三年で、私が生まれる前にもう採択されているんですね。それで、今回のCSCに関しましても一九九七年に始まっておるわけで、福島の原発が一つの契機であったとしても、本法案が提出されたのはことしの十月ですので、さまざまな副大臣の会合があったとしても三年以上たっているわけですが、そこまで大切と思われていたのに、この三つの条約に今まで加盟してこなかったその理由をお聞かせください。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、CSCが採択されたのは一九九七年でありました。

 採択後、我が国としましては、国際的な原子力の利用状況を踏まえつつ、国際的な原子力損害賠償制度への参加について検討は行ってきたわけですが、他方、我が国の原子力損害賠償制度は、これまでも他の先進国と比較して遜色のない水準であったこと、あるいは、我が国が他の原子力利用国と陸続きでなく、越境損害の対応が現実的な問題として顕在化してこなかった、こういった事情もありました。こういったことから、直ちに原子力損害賠償の国際的枠組みに参加すべしという判断に至ってこなかった、こういった事情はあったかと思います。

 しかしながら、近年になりまして、特にアジアにおきまして原子力の利用拡大が著しく進展したこと、また、御指摘のように、CSCについても、我が国が締結すれば発効する、こういった状況に至ったこと、さらには、福島第一原発事故を受けて、IAEA等国際場裏において、国際的な原子力損害賠償制度を構築することへのより一層の重要性について累次確認がされてきた、こういった国際的な動き、こういったものを踏まえて、被害者の救済、我が国の法制度との整合性等の観点を考慮しつつ、CSCの締結の可能性について検討を行ったという次第であります。

 そして、それに加えまして、福島第一原発の廃炉・汚染水対策、これは前例のない困難な作業です。この作業を効果的に進めるに当たっては、米国企業等が有する放射性物質の取り扱いについての豊富な知見、経験の活用が極めて有効でありますが、かかる企業の中には、我が国がCSC未締結であることを懸念しているものがあるということも承知をしております。

 こうした中で、CSCの締結及び発効は、関連企業の活用環境の整備、こういったものにも資する、こういった考えもあるということも指摘しておかなければならないと考えます。

岡本委員 大臣、今最後におっしゃいました、このCSCの締結において、福島の廃炉・汚染水対策に対する、そういう知見を持った外国の企業の日本の中における活動の道を開くとおっしゃったことは、私は今回の条約締結の最も大切な意義の一つだと思っています。

 この条約に加盟しなければ、例えば、アメリカの企業でさまざまな汚染対策等の技術を持った企業があるんですけれども、その技術を生かしたい、役に立ちたいと思っても、今の民法上、もしそこで二次的な事故が起こった場合に、一つの企業では賠償できないほどの大変な損害賠償を求められるリスクがあるので、みんな尻込みしちゃっている状況なんですね。その意味でも、一日も早くこの条約の発効をお願いしたいなというふうに思っております。

 続きまして、文部科学省にお伺いをしたいと思いますけれども、原子力損害賠償法、原賠法の抜本的見直しについてお伺いをしたいと思います。

 福島の原発事故を受けまして、ことしの五月に原子力損害賠償支援機構法の、成立いたしました。

 この附則の第六条には、「政府は、この法律の施行後できるだけ早期に、」「原子力損害の賠償に係る制度における国の責任の在り方、原子力発電所の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方等について、これを明確にする観点から検討を加えるとともに、」「賠償法の改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置を講ずるもの」というふうになっています。

 そして、その附帯決議の中には、この「できるだけ早期に」というのは一年を目途とすると認識をするというふうに記されているんですね。

 ということになりますと、来年の五月には抜本的な見直しがなされることが検討されなければいけないということになっているわけですけれども、このタイミングでCSCの条約を締結するということになりますと、原賠法が一年たつのを待たず、基本的な日本の損害賠償に対する姿勢の考え方というのを固める前に、CSCの条約を締結してしまうということになってしまうんです。

 このタイミングに関してどのようにお考えになっているかということと、加えまして、来年の五月にやるということを約束されているわけですから、来年の通常国会では原賠法の改正案を出す御準備をされているかどうかということを確認させていただければと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございました原子力損害賠償制度の見直しにつきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の後、政府としても、実はこれまでもさまざまな取り組みを行ってきたところでございます。

 具体的には、原子力損害賠償紛争解決センターの整備や時効特例法の制定、あるいは、昨年末に閣議決定いたしました福島再生加速化方針におきまして、今回の福島第一原発事故に伴う賠償費用等の負担や事故収束への関与について、国と事業者との役割分担を明確化したこと、さらには、今委員御指摘ございましたけれども、さきの通常国会で改正された原子力損害賠償・廃炉等支援機構法におきまして、事故が生じた場合に、賠償と事故収束の両面から事業者を支援する枠組みを整備したということでございます。

 これら一連の取り組みも、この賠償支援機構法の附則六条に書かれてございますさまざまな見直しの一環として実施されてきたものということでございます。

 それで、これまでも既にるる説明させていただいているところでございますけれども、CSCにつきましては、福島原発事故の当事国として、一刻も早く原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築に貢献することが我が国の責務であるということで、まずは、早期の締結が必要であるCSCを喫緊の課題として取り組むということは、政府の合意として進めているところでございます。

 それで、CSC以外の原子力損害賠償制度全体の見直しにつきましては、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえまして、中長期的なエネルギー政策を見通して検討することが必要でございます。そのため、現在、内閣官房副長官が主宰し、関係副大臣等から成る原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議において検討を進めていくこととなっているところでございます。

 具体的にその結論ということにつきましては、今申し上げたように、喫緊の課題であるCSCに取り組んだ上で慎重に検討を行っていくということになってございますので、現時点で法案の提出については決定されているところではございません。

岡本委員 私はこの原賠法の抜本的な見直しをぜひお願いしたいと思っているんですね。

 今回の福島原発の事故で、賠償額は五兆円ですけれども、除染費は三・五兆、事故収束対策費は一・五兆、合計十兆円以上かかっているわけです。やはりどう考えても、日本の電力会社、資本金は大きいところでも一兆数千億、小さいところは数千億なんですけれども、自己資本が一兆円程度の会社が、万が一事業において事故が起きたときに十兆円の賠償をしなければいけないような、そんな事業をやっていいわけがないんですね。

 つまり、個人的には、今動いている原発は、これは福島の場合も国が前面に出てさまざまな賠償に対して当たるというふうに総理はおっしゃっているわけですから、各電力会社が運用している原発だけは政府が持っているような、新しいところに全部集約をしてその株式は全部政府が持って、ただ、原子力発電所が仮に再稼働されたとすると、そういう運用の能力は政府にはないわけですから、オペレーションは電力会社に委託をするような形で、全ての責任を政府がやっていくというようなことをしなければ、歴史的には原子力発電所の安全神話というものはありましたけれども、実際ああいう事故が起きた後というのは現実を直視する必要があると思っていますので、一民間企業がとれるようなリスクじゃないものを今運用させているということを、改めてぜひ認識をしていきたいというふうに思います。

 その意味で、今回のCSC条約における、また日本国内における賠償措置の金額について、何点か質問させていただければと思います。

 この条約、あくまでも補完的な役割ということは十分認識した上ですけれども、加盟をいたしますと、いわゆる二階建ての一階の部分に関しまして、三億SDR、日本円で約四百七十億円以上準備をすることとなっております。その上の二階建て部分、各国が拠出をする部分、これが、今の予想ですと、大体、加盟国全体で百四十六億円ぐらいだというふうにされていますけれども、両方足しましても一千億にもならないような金額ですので、先ほど申し上げたような福島のケースの十兆円等を考えますと、ほとんど重要な足しにはならないぐらいの金額なんです。

 あえて詳細をお伺いしたいと思いますが、この二階の部分の百四十六億円のうち、日本で事故が起きてしまったとき、また、海外で事故が起きたとき、それぞれにおける日本の拠出額の数字、見積もりを教えていただければと思います。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御質問のございました我が国の拠出金額ということでございますけれども、CSCにおきましては、原子力事故が万が一発生したときにどのように拠出額を計算するかということは、事故が発生した時点でのそれぞれの締約国の原子力設備容量を基本にいたします。それに、その国の国連分担率を加味、勘案いたしまして算出をするということになっております。

 あってはならないことでございますけれども、仮に、現時点で我が国が締結し、そして今、CSCの締約国がアルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、アラブ首長国連邦、米国、それに日本が加わって六カ国、この状態で万が一事故が発生したということでございますが、この事故が日本以外の締約国で発生した、そういう場合には、先ほど申し上げました計算式によりまして、我が国が拠出する金額の上限は四十数億円ということになるというふうに試算をされております。

 また、この六カ国という同じ条件のもとで万々が一我が国において事故が発生した場合には、我が国が拠出する額の上限は七十億円程度というふうに試算をされているところでございます。

 以上でございます。

岡本委員 それぞれ、海外であった場合四十数億円、国内で万々が一起こった場合七十数億円ということですけれども、今後、国内新法で定められる原子力事業者の負担額は、それぞれ幾らになるというふうに予想されていますでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、海外で事故が起きた場合の想定でございますが、これは一般負担金ということで想定しておりまして、毎年各原子力事業者から徴収することを考えておりますけれども、トータルで一億円強と考えてございます。

 また、国内で事故が起きた場合に日本の拠出します額七十億円程度につきましては、これは事故を起こした事業者から、特別負担金ということで、それに相当する額を徴収することを想定してございます。

岡本委員 今回のCSCに当たっての一階部分、三億SDR以上ですから、日本の原賠法を考えたときに、その措置額は約一千二百億円だというふうに認識をしておりますけれども、先ほど来申し上げてまいりましたように、万々が一事故が起きたときには大変な金額が賠償金として発生するわけですから、余りにも一階部分も二階部分も少な過ぎるのではないかというふうに思っております。

 この一階部分、四百七十億円以上ですから、千二百億円という金額に関しては、余りにも少な過ぎるがゆえに、上乗せを考えていくような必要があるというふうに思っているんですけれども、どのようにお考えになりますでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の原子力損害賠償法で定められております損害賠償措置額、これは千二百億円でございますけれども、これにつきましては、平成二十一年の原子力損害賠償法改正の際に、当時の国際的な動向、それから民間の責任保険の引受能力などを考慮して定めたものと説明されてございます。

 万々が一原子力事故が発生した場合には、この損害賠償措置に加えまして、原子力事業者の相互扶助として賠償に充てる資金を交付する原子力損害賠償・廃炉等支援機構法が整備されているところでございます。また、今般のCSCの締結及び国内関連法によって、拠出金を利用する仕組みも新たに整備されることになるということでございます。

 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、副大臣等の会議で、今後、CSC以外のものについては、見直しについて検討を進めていくということにしているところでございます。

岡本委員 わかりました。

 先ほど来申し上げていますように、ないことが一番いいんですけれども、万々が一事故が起きてしまったときに、現在の原賠法の中でも、またこのCSCの中でも、実際に必要な賠償金等に関して考えますと、余りにもその準備の金額が少ないというのが率直な感想であります。加えまして、その発生し得る賠償の金額を考えたときに、それぞれの一民間企業、予想される賠償金額を考えますと、余りにも自己資金が小さいような民間企業がその責任の前面に立つというのは、大変に国民の不安感をあおってしまうような状況だというふうに思います。

 先ほどの、一年以内に抜本的な見直しをやるということのこの言葉をしっかりと受けとめて、今後、国がサポートをより強くするような体制をとっていくべきだというふうに考えておりますけれども、何かお考えがあればぜひお願いをいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 原子炉の運転等は、原子力規制委員会の規制のもとで、原子力事業者によってまずしっかりと安全対策が講じられることが大前提だと考えてございます。その上で、万々が一原子力事故が発生した場合には、現行の原賠制度のもとでまずは賠償の迅速かつ適切な実施がなされることになってございますので、国としても、果たすべき役割をしっかり果たしていくというふうに考えてございます。

 また、現状の賠償の措置の考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、繰り返しになりますけれども、CSC以外の原子力損害賠償制度の課題につきましては、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえつつ、中長期的なエネルギー政策を見通した上で、内閣官房副長官主宰の関係副大臣から成ります副大臣等会議において検討を進めていきたいと考えてございます。

岡本委員 わかりました。

 続きまして、万々が一原発事故が発生してしまったときの情報伝達システムについて、確認、お願いをしたいことがあります。

 福島の事故のときは、SPEEDIのデータが適切に国民に情報開示されず、それがゆえに避難に関して十分に適切な動きがとれなかったというような反省点が実際にございます。

 今回の条約が締結された後も、運用の一つの重要なポイントというのは、事故が起こったその国が、近隣諸国に対して、事故が起こったことを適切に、スピーディーに伝えるとともに、その後、どのようにその被害の状況が広がっていく可能性があるかということを伝えていくことなんだと思うんですね。その情報が適切に、速やかに共有されればされるほど、将来的な被害も減っていきますし、その結果として、賠償金額も抑えることが可能だというふうに思っているんです。

 このSPEEDIにさらに一歩進んだ形で、国内では、モニタリングポストの監視システムというものを、実際に有用な方法と考えて運用していこうというふうにやっていらっしゃると伺っているんですけれども、このシステムが加盟国内においてもより適切に運用されることが、どちらがどう得するとかという話ではなくて、本当に人的な被害を最小限にしていくための十分な貢献になっていくのではないかなと思っているんです。

 その意味で、今回、政府はODA大綱の見直しを行っていますけれども、日本が持っているシステム、そして福島のときに得た知見等を諸外国に提供して、その運用についても支援をしていくということこそが、大臣がよくおっしゃいます積極的平和主義のその根本的な考え方に合っているというふうに思うんですけれども、このモニタリングポストの運用、そして提供というものを、今回のODA大綱の見直しの中でぜひ言及していただいてはどうかというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 現在パブリックコメントにおいてお示しさせていただいております新しい大綱の政府案ですが、我が国がこれまでの歩みの中で得た知見や教訓を世界が現在直面する開発課題の解決に役立てるという考え方をまず盛り込んでいます。

 原子力分野でのODAによる協力につきましては、OECDのガイドラインがあります。このOECDのガイドラインを踏まえた上で、我が国の経験、技術を生かした協力、こうしたものは考えていかなければならないと思いますし、ぜひ実施をしていきたいと考えます。

岡本委員 積極的平和主義の基本的なスタンスはこういうことなんだということを諸外国にアピールできるいいチャンスでもあると思いますので、今大臣に御答弁いただいたように、ぜひODA大綱の中にも盛り込んで、実際にそういう支援をできるような体制をとっていただければありがたいと思います。

 あともうちょっとだけお時間がありますので、日米ガイドラインの改定につきまして質問させてください。

 今月に入りまして、メディア、新聞紙上では、目標としておりました本年末、十二月までの改定につきまして、実質不可能ではないかということで、年明けまで最終的な合意を見送るというようなことが両国間で話し合われているというふうな報道がなされていますけれども、その事実関係につきまして、まず御答弁をいただければと思います。

岸田国務大臣 ガイドラインの見直しにつきましては、二〇一三年十月の日米2プラス2におきまして、局長級の日米防衛協力小委員会、SDCに対して、二〇一四年末までに作業を完了するということが指示をされております。

 今現在、引き続きまして、日米で合意したスケジュールのもとで、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿ってガイドライン見直し作業を進めていく方針に変わりはありません。

 また、ガイドラインの見直しと安全保障法制、国内法整備については、両者を整合させて進めていく、このことが重要であると認識をしております。

 こういった方針に基づいて当初のスケジュールで作業を進めていく、この方針は現状においては変わりないということは申し上げておきたいと存じます。

岡本委員 大臣の御答弁の中で、ガイドラインの見直しは安保法制の策定と整合性をとるというふうにおっしゃって、そのとおりだと思うんですけれども、実際は、安保法制の策定作業は進んでいないわけですし、年明けの通常国会からそのような議論がなされていくわけですから、やはり、安保法制の策定と並行する形で、ある程度の国内の法整備の形が見えた中で、それを適切に反映させたようなガイドラインの中身というのが適切だというふうに思っているんですね。

 その意味で、今回の中身が大事なわけで、去年の十月に2プラス2で見直しが決まったときも、これは日本から見直しを申し出ているわけですから、私どもから見直しを申し出たわけですから、私は、その相手国、アメリカが望んでいるのは、どっちも大事なんですけれども、タイミングと中身であれば、それは圧倒的に中身の方が重要だと思っているんです。

 ですから、タイミングにとらわれることなく、ぜひ中身を重視して、そのためにかかった時間が、たまたまことしの年末で終わるんだったらそれでもいいですし、それがもっと時間がかかるのであれば、中身を最優先に置いた上での策定作業というのをお願いしたいと思います。

 その上で、今月に入っての新聞報道等を見ますと、公明党に配慮をしてなかなか進まない、公明党に配慮をして進まないというようなものが、いろいろなところで文字が躍っているんですけれども、もし配慮をいただいているのであれば、ぜひ配慮をしていただきたい部分というのをもう一度明確にしておきたいんですね。

 私たちは、七月一日のあの閣議決定の内容を、適切に、あれ以上一ミリもはみ出ることなく、あの三要件の中に全て含まれていることの中でガイドラインの合意というのをしていただきたいというのが全てなんです。

 あれが適切にそのまま反映されれば、明確な歯どめになっているというふうに確信をしておりますし、適切に我が国の安全保障に資するというふうに思っておりますので、御配慮をいただけるということであれば、あの一言一句、三要件の一言一句を一ミリもはみ出さない中で合意をしていただくということを、ぜひいま一度明言いただければと思います。

岸田国務大臣 まず、政府としましては、先般閣議決定されました基本方針のもとで、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備に向けた準備を今進めているところです。そして、この国内法の整備、そしてガイドライン、これについては、両者を整合させて進めていく考えであります。

 そういった考えに基づいて、閣議決定と、安全保障法制の整備と、そしてガイドラインの見直しをしっかり進めていきたいと考えています。

岡本委員 米国の要人の方とお目にかかったときにお伺いしたこともありますけれども、いろいろな方が、オフィシャルに言えること、言えないことはあると思うんですけれども、やはり内容が重要というのはそのとおりだというような両国の主要な方の認識はあるというふうに思っていますので、そこに集中をいただきながら、先ほど申し上げたように、七月一日に合意したことが適切に反映されたような内容の最終的なガイドラインの見直しを実現いただければと思います。

 では、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 外務大臣、APEC閣僚会議、お疲れさまでした。きょうはCSCの質疑なんですけれども、その前にAPECの質問を少しさせていただきたいと思います。通告していないんですけれども、外務大臣がお戻りになったばかりですので、ぜひ伺いたいことが二点ございます。

 首脳会談が、三年ぶりですか、開かれたことというのは、これは、二国間ももとよりですが、地域の安定にとっては非常によかったというふうに思います。ちょっと、習近平主席のあの尊大な態度に対して、怒っている国民は多いと思いますよ。ですから、あの首脳会談は一体何だったのかという思いもなきにしもあらずですけれども。

 それにしても、まず第一歩ということを先ほど外務大臣がおっしゃっていましたが、それはそうだというふうに思いますし、あの合意文書、非常に玉虫色の文書だと思いますけれども、あれを日中両国の政府の実務者が、水面下で恐らく相当苦労されたと思いますよ。どうにでも読める文書を共同作業で書き上げたというのは、これは、今、日中の厳しい両国関係の中で、よくあそこまで共同作業ができたなと、私は、そこは一定の評価をさせていただきたいというふうに思っています。

 尖閣の問題に焦点が当たっていますが、もし首脳会談があるのであれば、そこは落としどころとしては、一九七二年の米中の上海コミュニケの知恵を使うのが妥当ではないかなと私は個人的には思っていたんです。

 それは何かというと、あのときは台湾の問題が焦点になりましたね、米中の間で。中国側は、台湾は中国の一部だ、こう主張したわけです。それに対してアメリカは、リコグナイズ、承認はしませんでした。しかし、アクナレッジ、認識はする、こういう文書をつくって、ニクソンの最初の訪中を成功裏におさめたわけですね。

 今回の尖閣の問題も、日本政府はいろいろ、後で外務大臣に解説していただきたいと思いますが、巷間言われている解釈によれば、中国側と日本側の見解が異なることを認識した、こういうことですから、上海コミュニケと似たような処理をしたんだなと私は感じたんです。

 そこで、二つ質問をしたいんですが、首脳会談の直前にあの合意文書をつくったんですね。これまで日本政府は、前提条件をつけない、こういうふうに言い続けてきました。合意文書をつくって首脳会談に持ち込んだということは、一種の前提条件をつくって、そして首脳会談に臨んだということにならないんでしょうか。これが一点。

 それからもう一つは、この尖閣の解釈をめぐっては、日本政府は、領土問題はない、存在せずとこれまでずっと主張してきました。今も変わらないんだろうと思います。

 そこは外務大臣から明確におっしゃっていただきたいと思いますが、人民日報あるいは人民日報の系列の環球時報の報道を見ると、これは日本のマスコミと違いますから、人民日報というのは中国共産党の機関紙であるわけですから非常に重いんですけれども、こう書いてあるんですね。中日両政府が初めて釣魚島、尖閣諸島の中国名ですね、釣魚島問題を文字で明確なコンセンサスにした、こう書いてあるんです。環球時報というのは、もうちょっと過激で、釣魚島について異なる見解を有することを初めて明文化した、こう言っているんですね。

 もしこういう解釈が違うのであれば、私は、外務大臣、この委員会でも明確におっしゃっていただきたいし、日本政府として訂正を求めるぐらいのアクションがあってもしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、今回、四項目の発表をさせていただきましたが、これは、日中両国の間において、日中関係を前進させる上においての現状についてまとめたものであります。今、現状についてまとめたものでありますので、我が国の立場、これは全く変わっていないということであります。その上で、外相会談、そして首脳会談を行ったということであります。

 前提条件について御質問がありましたが、前提条件とは関係ないものであると認識をしております。

 そして、尖閣諸島について触れた部分ですが、四項目の三項目めに、「尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、」と明記されています。

 東シナ海におきましては、御案内のとおり、尖閣諸島をめぐる状況もありますが、東シナ海防空識別区の問題もあれば、あるいは東シナ海の海底資源の掘削の問題もあります。そうした問題等があり、それについて緊張状態が生じている、そして、それについて見解が異なる、現状、そのとおりだと思っています。

 このように、我が国としては、今現在、日中間で一致している点についてまとめた、これを公表したというのが今回の発表に対する考え方であり、このことについてはしっかりと申し上げておかなければなりません。

 いずれにしましても、我が国の今日までの立場にはいささかも変更はございません。

長島(昭)委員 前提条件なしにというのは、私もそう信じたいんですけれども、安倍総理自身が、BSフジの番組で、日中首脳会談の条件整備を進める中で四項目の文書で合意できたと指摘しているんですね。

 言葉尻を捉えるのは、私、趣味ではございませんので、この程度にしたいと思いますが、ここは、日中間のいろいろなやりとりの中で非常に機微に触れるところだと思いますので、しっかりこれから発信していただきたいというふうに思います。

 今、最後に外務大臣がおっしゃっていただいたことをもう一回繰り返し伺いたいんですけれども、ということは、人民日報や環球時報が報じている、釣魚島について異なる見解を有することを初めて明文化したというのは、誤った認識だ、このように、外務大臣として日本政府を代表してこの委員会で言い切っていただけますか。

岸田国務大臣 他国のマスコミの見解等について一々申し上げる立場にはありませんが、我が国の立場、考え方は、先ほどこの委員会の場で正式に答弁させていただいた、そのとおりでございます。

長島(昭)委員 他国のマスコミとおっしゃいましたけれども、日本のように自由にマスコミが書く国ではないんですよ。しかも、この人民日報と環球時報というのは、中国共産党の機関紙、その系列のペーパーなんですね。ですから、これは文言としては非常に重いんですよ。そこはぜひ押さえた上でおっしゃっていただきたいと思います。

 なぜ私がこれにこだわるかというと、先ほど星野委員からもお話ありましたように、今、第二列島線の小笠原諸島でいろいろなことが起こっているわけです。第二列島線の小笠原諸島でいろいろなことが起こっているときに、第一列島線の尖閣で譲ったかのような日中間のやりとりというのは、これは本当に不適切なんです、もし仮に向こうがそういう意識を持っていたとすれば。そこはやはり外務大臣として、きちっとこれからも、言論戦、情報戦という言葉があるように、これは国際的な情報戦の分野で非常に大事なポイントになると思いますので、しっかりとやっていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 さて、CSCの条約に入りたいと思いますが、先ほど来お話が出ているように、原子力損害賠償の条約というのは、国際社会で三系統あるんですね、パリ条約とウィーン条約、そしてCSC。

 端的にお伺いしたいと思っていますが、日本は、なぜこの三系統の中からあえてCSCを選択して、これを締結しようとしたのか。他のパリ条約、ウィーン条約と比較をしながら、この選択の趣旨、理由についてお述べいただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、原子力損害賠償条約としましては、パリ条約、ウィーン条約、そしてCSC、三系統が存在をいたします。

 CSCは、他の条約との比較において、今後の展望あるいは被害者の救済、そして我が国の原賠制度との整合性、こういった観点から検討した結果、我が国にとり最も望ましい条約だと考えております。

 具体的には、パリ条約は西欧諸国、ウィーン条約はロシアを含む中東欧、中南米等の国々が中心になって締結や署名がされております。一方、CSCは、環太平洋地域を中心に締結、署名がされており、将来的にアジア太平洋地域に共通の原子力損害賠償制度となる、こういったことが期待されます。また、CSCは、パリ条約、ウィーン条約締約国も参加ができる、こうした条約でありますので、国際的な原子力損害賠償制度の構築の観点からも最適であると考えております。

 そして、現在発効している条約との比較においては、最低賠償措置額も高く、あわせて拠出金制度が設けられていることによって、最も被害者保護に手厚いという点も挙げられるのではないかと考えております。

長島(昭)委員 CSCがアジア太平洋地域をカバーするということ、それから、アメリカの存在は非常に大きいと私も思います。

 その上で伺いたいんですが、日本のまさに近隣で原発を利用している中国、韓国、特に中国はこれから三百基つくる、こういう計画があるやに報道されております。今回、CSCは日本が締結すると発効するということで、私は国際社会に与えるインパクトは相当大きいと思いますし、先ほど岡本さんからの話もありましたように、原賠の国際条約のネットワークをこれから構築していく、これが日本の責務だ、こういうことでありますから、これから中国や韓国に対する働きかけというのは非常に重要だと思っております。

 一説には、中国、韓国はパリ条約に入るんじゃないかという話も仄聞しているわけですけれども、このCSCに中国や韓国も加盟するように、日本政府として今後どのような働きかけをしていくおつもりがあるか、具体的に方策があれば、ぜひ国民に説明していただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、CSCは、我が国の締結によって発効する見込みとなります。政府としましては、この条約の発効が中国、韓国を含む各国の締結の促進につながること、これを期待いたします。

 アジア地域等、国際的には原子力の平和利用が拡大する中、中国、韓国を含む各国が、原子力賠償の国際的ルールに従って、越境損害も含めて被害者保護に資する法制度の整備をする、これは大変重要なことであると考えております。政府としましては、CSCに近隣諸国が加入する重要性を認識して、アジア地域を対象としたIAEA主催のワークショップにおいて、アジア地域における原子力損害賠償制度の構築の必要性を訴えるなどの取り組みを行っております。

 また、福島第一原発事故の当事国として、国際的な原子力賠償制度構築への貢献は我が国の責務だと考えており、こうした考え方のもと、我が国としましては、CSCを早期に締結し、発効させるとともに、中国、韓国を初めとする近隣諸国に働きかけ、アジア地域等における国際的原子力賠償制度の枠組み構築にしっかり努めていきたいと考えています。

 そして、中国、韓国もCSCには関心を示していると承知しております。中国はCSCの締結に向けた制度の整備のための議論を行っていると承知をしておりますし、韓国政府はCSCについて調査検討している、こういった状況にあると承知をしております。

長島(昭)委員 今回のAPECで、中韓の首脳会談の中で、たしか、日中韓の外相会談をことしじゅうに、年内にやるべきだという話が出たという報道に接しましたけれども、そういう機会を捉えて、外務大臣の方から中韓両国に対して、CSCの意義、今おっしゃっていただいたような意義、そして、それに入ることの国際社会における価値といったものを、説得というか説明というか、ぜひ働きかけていただきたいというふうに思っております。

 少し話題をかえまして、さっきも出ておりましたが、ODA大綱の見直しが今進んでいますね。

 このODA大綱の見直しは非常に時宜にかなっているというふうに私は思っておりまして、これは、日米の間で、アジア太平洋地域の平和と安定をどう維持していくかという議論をずっとこの間していく中で、地域における、例えば海上警察能力のキャパシティービルディングといったことに日本が積極的にかかわっていく、そういう余地もあるし、意義も非常に深いというふうに私は思っておりました。

 そういう中で、今回、ODAをそういう場合に使ったらいいのではないかということも私は考えておりましたので、今回のODA大綱の見直しというのは注目しておりました。

 今月中、パブリックコメントをとって、いよいよ最終的な改定に臨むというふうに承知しておりますけれども、ぜひ外務大臣の口から、名称も、これまでのようなODA大綱という名称から、開発協力大綱、こういった名称に変更するというような話題も出ておりますので、現状どういう検討がなされているか、そして、現行のODA大綱と比較をしてどこが改定のポイントになりそうなのか、少し詳しくお話をいただければと思います。

岸田国務大臣 ODA大綱の見直しにつきましては、日本や国際社会が大きく変化する中にあって、ODAに求められる役割も変化しております。日本として今後目指すべき開発協力のあり方を検討し、国内外に示す必要がある、こういったことから大綱の見直しを進めているところですが、現在、十月二十九日から十一月二十七日にかけて、パブリックコメントに付させていただいております。広く国民の皆様方の御意見をお願いしているところであります。

 そして、まず、政府案におきましては、これまでODA大綱という名称であったものを開発協力大綱という名称に変えることを提案しております。

 この意味ですが、一つは、ODA卒業国であっても特別な脆弱性を有する国等への協力を実施することを含め、協力のスコープをぜひ広げたいという思いがあります。また、官民連携を初め、政府だけではなくオール・ジャパンで協力を目指すことが重要であるという考え方にも基づいています。また、我が国から一方的な援助ではなく、開発途上国との対等なパートナーシップに基づく協力関係を強化する、こういったことを目指すんだというものを示しているところであります。

 ぜひ、パブリックコメント等でいただく国民の皆様方の御意見も踏まえつつ、年内の閣議決定を目指して、引き続き検討を進めていきたいと考えております。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 そこで、一つ具体的なODAの事例について伺いたいと思っているんですが、それはミャンマーなんですね。

 ミャンマーは軍事政権ではあるわけですけれども、これまでずっと日本が貫いてきた、非軍事といいますか、平和的なODAを旨としてきたわけですけれども、この点をどう考えるかということなんです。

 私は、ミャンマーというのは日本にとって地政学的に非常に大事な国だと思います。伝統的な親日国でもありますし、経済的には、チャイナ・プラスワンあるいはタイ・プラスワンといった表現がありますけれども、アジア最後のフロンティアとも言われていて、日本企業も非常に大きな関心を持っていることは御案内のとおりであります。

 軍事政権であって、しかし民主化にも努力しているこのミャンマーに対する日本のODAのあり方というのは、非常に大事だと思っています。

 欧米は、とかく人権人権、民主主義民主主義ということで、アメリカを中心に制裁をかけて、今でもアメリカはブラックリストを持って制裁をかけ続けているわけです。

 そういう中で、日本は、余りそうやって締めつけるばかりだとかえってミャンマーを中国寄りにしてしまうじゃないか、こういった地政学的な観点もあって、野田政権のときに、例の債務がずっと累積していまして、その債権放棄、これも大きな政治決断でありましたけれども、五千億円の債権放棄を我々は決断いたしました。実施は、安倍政権になっていたしました。

 その後、ODAを供与するということに転換をしたわけですけれども、このミャンマーという非常に難しい国に対するODA供与の指針、どういったところに配意しながら、日本政府としてはミャンマーの国づくりに協力をしていこうとしているのか、その点、御説明いただけますか。

岸田国務大臣 まず、現行のODA大綱の「援助実施の原則」において、開発途上国における民主化の促進等に十分注意を払うことを定めております。我が国は、この原則を踏まえて、相手国の実情、ニーズも踏まえながら、民主化支援、法制度整備支援等を積極的に推進していく考えですが、新大綱におきましても、これらの原則、基本的な考え方は維持すべきだと考えております。新大綱の政府案におきましても、民主化の定着、法の支配及び基本的人権の保障に関する状況に十分注意を払うことをこの実施上の原則の中に定めております。

 ミャンマーにつきましては、民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、基礎生活分野を中心に支援を実施してきましたが、その後、二〇一一年以降の民主化、国民和解、持続的発展に向けて急速に進む改革努力、こうしたものを後押しするべく、二〇一二年四月に経済協力方針を変更した次第です。引き続き、こうした改革努力の進捗を見守りつつ、民主化と国民和解、経済改革の配当を国民が実感できるように、新たな方針のもとで幅広い支援を実施しているところであります。

 引き続き、この方針でミャンマーに対して支援を行っていきたいと考えています。

長島(昭)委員 基礎生活の分野から、今度はいよいよ発展、テークオフしていく、その発展に対して協力をしていきたい、こういうことだと認識をしました。

 そういう中で、やはり開発途上国、発展途上国特有の悩みも、発展すればするほど、その負の部分もかなり出てきているというふうに認識しておりますけれども、特に都市開発の問題で今かなり深刻になっているのが自動車の問題。

 ミャンマーというのは、特に最大都市のヤンゴンですね、バイクの通行を規制していることもあって、最近、急速に車社会に変貌している。そうなってきますと、排気ガスの問題とかが出てくる。その中でも、ヤンゴンで走っている車の約八割は日本からの中古車だ、こう言われております。

 中古車ですから、結構古いものが走っている、無理して走っているということで、大気汚染の問題、渋滞の問題、あるいは故障車の放置の問題、あるいは交通事故につながるような故障の問題、これが非常に深刻な状況になっているということなんです。これは本当に、都市機能の拡大をこれからしていく上で阻害要因になりかねないということで、ミャンマー政府も非常にここは深刻に捉えていて、こういう問題の一つの解決の方法として、自動車整備に係る技術支援といったものを、日本の中古車が多いのですから、ぜひ日本から供与してもらいたい、こういう話が出ていると聞いております。

 大臣として、あるいは外務省として、自動車整備に係る技術者養成の技術訓練学校を国営でつくっていきたい、こういう発案がミャンマー政府からもたらされているというふうに聞いておるんですが、そういうことが実際にあるのかどうか、そして、そういうことがあるとすれば、全体のODAの中で、こういった有意義な取り組みについて日本政府として積極的に支援していく、そういう意向があるのかどうか、外務大臣、お答えいただけますか。

豊田政府参考人 お答えいたします。

 ミャンマーでは、急速な中古車市場の拡大のため、中古車修理、整備を担う人材が不足していることは委員御指摘のとおりでございます。

 このような状況もありまして、ミャンマー政府から、自動車の整備工を含むエンジニア育成のための学校設立への支援に関する要望が、我が国に対して寄せられているところでございます。

 しかしながら、この要望について実際の支援を検討するに際しては、財政面や人材面から見た事業の実施体制や持続可能性、さらにはミャンマー政府の関与の度合いなど、支援対象の公共性等が確認されることが必要であると考えております。

 こうした観点からの追加的な情報収集を行うことを含めて、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。

長島(昭)委員 日本政府は、ティラワというところ、ヤンゴンの郊外、近郊の非常に広いエリアですけれども、ここを中心に開発支援をしていこうということだと思うんですけれども、橋をつくったり空港をつくったりというハード、プラス、今お答えいただいたようなソフト面の協力というのも日本にとっては非常に大事なポイントだと私は思いますので、ぜひ、外務大臣、率先してこういう大事なイニシアチブについては積極的にこれからも取り組んでいただきたいというふうに思います。

 私、アメリカにおりましたときに、ミャンマーに対してどうアジア諸国あるいは欧米諸国がアプローチするか、そんな議論をしたときに、当時の下院のアジア太平洋小委員長をやっていたスティーブン・ソラーズという議員がいまして、彼は、そういうことよりも、とにかくミャンマーの人権問題が大事なんだ、もちろん、アウン・サン・スー・チーさんみたいな象徴的な方もおりますけれども、民主化が大事なんだ、そういうものがきちっと整わないうちに援助を与えることは難しいんだというようなことをすごく強調して、我々日本人との間で随分議論になった。

 大分、最近はアメリカの姿勢も変わってきて、大使も、デレク・ミッチェルという国防総省の高官で働いていた男が、今、大使で行っております。

 こういった、欧米諸国をまさに引っ張り込んでいくような、そういう地政学的な、地政戦略的な観点で日本の役割というのはあるというふうに思いますので、ぜひ、ミャンマーに限らず、ASEAN諸国の平和と安定、繁栄というのは、日本にとっては、ヨーロッパにおけるアフリカ、アメリカにとっての中南米というような位置づけだと思いますので、このアジア太平洋地域の発展について、外務大臣、これからG20もありますし、それからEASの会合もありますので、そういうこともにらみながら、最後に、ASEAN、東南アジアの発展に対する日本の責務を一言、意気込みも込めてお話しいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、先ほど御指摘いただきましたミャンマーの中古車市場の拡大ですとか交通渋滞、これはミャンマー発展のボトルネックになる大変重要な課題であると認識をしておりますし、我が国としてどう関与できるか、しっかり検討していきたいと存じます。

 そして、ミャンマーという国自体は、中国そしてインド、こうした国の間に位置する地政学上も大変重要な国だと認識をしておりますし、さまざまな資源に恵まれている、経済的にも大きな重要性を有する国であると認識をしております。

 そして、このミャンマーを含むASEAN、東南アジア地域に対する我が国の取り組みですが、この地域全体は、大きな潜在力、可能性を秘めた地域でありますし、今現在、世界の経済の大きな躍進の原動力になっている地域でもあると認識をしています。

 こういった地域に対する我が国の支援、先ほどODA大綱の見直しの際にも申し上げさせていただきましたが、ぜひ、我が国として、独自の日本らしい支援をしっかり行うことによって、この地域の発展につなげていきたいと思いますし、そのことによって我が国の存在感をこの地域においてもしっかり拡大していく、こういった取り組みを進めることが重要ではないか、このように認識をいたします。

長島(昭)委員 これで終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 早速質問に移りたいと思います。

 CSC条約でありますけれども、まさに条約のタイトルにあります、原子力損害の補完的な補償に関する条約ということなんですが、この原子力損害について、その定義について、まずお伺いをしたいと思います。

 CSC条約の第一条(f)における原子力損害の定義でありますけれども、国内法におけるいわゆる原賠法、原子力損害の賠償に関する法律における原子力損害と同じなのか、違うものなのか、その範囲が、外延が一致しているのか、していないのか、この点についてまず教えていただければと思います。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 このCSC条約上、今委員から御指摘のございましたとおり、原子力損害とは、その第一条の(f)項におきまして七項目列挙してございます。

 (1)人の死亡または人的な損害、(2)財産の滅失または損傷、(3)これらから生ずる経済的損失、(4)環境回復措置の費用、(5)環境の利用または享受に係る経済的利益から生じる収入の喪失、(6)防止措置の費用及び防止措置から生ずる損害、(7)その他の経済的損失、このように七つ列記されております。

 このうち、最初の二つ、(1)の死亡または人的な損害、それから二番目の財産の滅失または損傷、これ以外の残りの損害につきましては、条約起草に際しての交渉参加国の合意によりまして、締約国の法令の定める範囲とするということに条約上なっております。つまり、これらの具体的な範囲は、締約国の法制度に委ねられるということになっているわけでございます。

 こういう理解を前提にいたしまして、またさらに、現在の科学的知見あるいは実際の損害の事例というものに照らして考えますれば、我が国の現在の原賠法の原子力損害と条約上列挙されている原子力損害の範囲というのは一致しているというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

玉木委員 なぜこの質問をしたかといいますと、原子力損害に関しては、我々、与党だったときに、福島第一原発の事故が起こった際に、私は当時農林水産委員会に属しておりまして、いわゆる風評被害といったようなものを、どこまで、原子力損害との関連の中で、相当因果関係という言葉もありますけれども、位置づけて、補償の対象にすべきなのか、しなくていいのかということを随分議論した覚えがあります。現在もなお、そういったものが認められるのかどうなのか、こういったことは、個別の事案について言えば、そういう議論は残っていると思うんですね。

 その意味では、原子力損害というものを考えた際に、その範囲を明確に画するということは、実はそんなに簡単ではないなと思っておりますし、今御説明があったように、損害の(1)と(2)については、適用される国の法律は関係なく、ユニバーサルに適用される、あるいは定義されるものだという説明だと思いますが、(3)から(7)に関して言えば、それぞれの裁判所の属する国の法律によってその損害が決定されるという、ある種の限定がついているというふうに理解をいたしました。

 そうすれば、国によって、裁判を行う国の適用する法律によって、やはり損害の範囲が伸び縮みするのではないのかということが懸念されるので、この点を確認させていただいたんですが、そこは、我が国の国内法における原賠法における原子力損害と条約における損害が違いがないという答弁でありました。

 改めてお伺いしたいんですが、違いがないということを誰がどのように担保しているのか、この点について改めてお答えをいただきたいと思います。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 若干繰り返しになりますけれども、先ほど委員も御指摘になられましたように、CSCにおける原子力損害の定義というのは、最初の二つはそうではございませんけれども、三番目から七番目までの五つの項目、これらについては、交渉参加国の合意によって、それぞれの締約国の法令の定める範囲ということにしたということでございます。

 当然、日本は日本の原子力損害賠償に関する法制度によってこの範囲を決めておるわけでございますけれども、これは、CSCの認めるところ、CSCの論理の立て方に沿っておるということでございますから、それで、CSCの規定するところの原子力損害の範囲と我が国の原賠法上の原子力損害とは、その範囲は一致しているというふうに考えることができるということでございます。

玉木委員 法的な安定性、予見可能性ということをしっかりと担保することが大事だと思いますので、その点についてはもう少し詳しく御説明を国内的にもすべきかなと思います。

 最後に、風評被害というのは、今おっしゃったこの(1)から(7)、特に(3)から(7)のうちだとどれに入るんでしょうか。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 風評被害という概念は、実はこれは確立した定義があるわけではございませんし、さまざまな意味で用いられるということが実態でございます。したがって、なかなかCSC上の原子力損害に該当するかどうかということを、一律に、一概に判断することは、実は難しい部分がございます。

 それでも、その上で申し上げれば、我が国の賠償実務におきましては、例えば、報道等によって広く知らされた事実によって、商品やサービスに関する放射性物質による汚染の危険性を懸念する、こういう懸念が消費者の皆様方に起きて、それによって買い控えのような現象が生じた、このような被害については、具体的な事実関係のいかんによっては、事故とこの結果との間に相当因果関係がある、そういう相当因果関係が認められる範囲で原子力損害賠償上の原子力損害になるというふうに日本の法制度上はなっていると承知しております。

 CSC上はどうかということでございますけれども、今申し上げましたようなこの例で申しますと、報道機関とか消費者とか、そういう第三者の意思、判断、あるいは行動といったようなものが介在をして損害が発生した、こういった場合に、直ちに、第三者が介在しているということによって損害該当性が否定されるということにはならないというふうに解されます。

 最終的にそれぞれの事案でどういう判断になるかということは、これはあくまでも具体的な事実関係に即して個々に判断をするということが必要になろうかと思いますけれども、一般的に申し上げれば、このような第三者の意思、判断、あるいは行動が介在したような損害について、先ほど列挙したもののうち、七番目、最後のものでございますけれども、その他の経済的損失に該当するものと考えられるのではないかというふうに思います。

 以上でございます。

玉木委員 はい、わかりました。(7)に該当する、その他の経済的損失ということはよくわかりました。

 繰り返しになりますけれども、その意味では、しっかりと国内法と条約の整合性がとれているということ、損害についての条約なので、その定義している、議論をしている損害がぴっちり一致しているんだということは、一番肝の肝だと思いますので、その点について、これからもわかりやすい説明を国内的にもお願いしたいというふうに思います。

 続いて、質問を鯨の話に移したいと思います。

 昨夜、岸田大臣は、アイスランドのスベインソン外務大臣と面会をして、鯨類の持続可能な利活用といったことについての連携を確認したというような報道に接しましたけれども、これは事実でしょうか。

    〔委員長退席、三ッ矢委員長代理着席〕

岸田国務大臣 御指摘のように、昨晩ですが、アイスランドのスベインソン外務大臣と会談を行いました。ともに捕鯨国でありますので、まずは、我が国の立場について、先般の国際司法裁判所の判決等に関してどのように対応を考えているかなど説明をさせていただいた上で、ぜひ我が国の取り組みについて理解を求めると同時に、捕鯨国として連携を深めていきたい、こういった思いを伝えさせていただき、意見交換をさせていただいた次第であります。

玉木委員 大変重要な会談だったと私は思います。

 実は、今大臣が言及されたICJの判決が出た際に、農水大臣からは、これからも商業捕鯨の再開に向けて頑張っていく、再開を目指すという方針については堅持をする、商業捕鯨、コマーシャルなホエーリングの方ですけども、これについては再開を目指すということが、明確に発表があったんですけれども、我が国として、商業捕鯨の再開を目指す、この方針を堅持するということは変わりないということでよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 冒頭、先ほど、済みません、アイスランドとの外相会談、昨日と申し上げたようですが、一昨日行った次第です。おわびを申し上げ、訂正いたします。

 そして、その上で御質問にお答えさせていただきますが、我が国としましては、引き続き、三月の国際司法裁判所の判決の指摘を踏まえた上で、国際法と科学的根拠に基づいて、鯨類資源管理に不可欠な科学的情報を収集するための鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指していきたい、この方針には変わりはございません。

玉木委員 アイスランドは商業捕鯨をやっているんですね。私、この方針はこれまで政府からも聞いてまいりましたし、我々が与党だったときも同じような方針でありました。

 しかし、先般、私、実際に九月のIWC、国際捕鯨委員会の総会に出席をしてまいりました。そこで、やはり行ってみるとわかること、行かないとわからないことがあるなと思ったのは、IWCの加盟国は、今、八十八カ国あると思います。このうち、実はいわゆる反捕鯨国が四十九カ国です。日本やアイスランドのように鯨類の持続的な活用を支持する国が三十九カ国です。国会と同じような状況なんですが、多数決をとると、やはり何でも多数決ですから、常に反捕鯨国の主張が勝つというのが、実は現在のIWCの現状なわけですね。

 我々は、もちろん調査捕鯨をしていく、そして、大臣がおっしゃったように、その先に商業捕鯨の再開を目指していくということを目指すんですが、ただ、国際捕鯨委員会という枠組みの中で幾らやろうとしても、常に過半数を反捕鯨国に奪われているという状況では、一体、ではどうやって具体的に商業捕鯨の再開につなげていくのかというのは、実は私、極めて難しいと思ったんです。

 もう一つ加えて言うと、反捕鯨国には先進国が多いんですね。EUなんかは特にそうでありますけれども、アメリカもそうです。

 ただ、持続的な活用を支持する国は途上国が多くて、海洋資源を何とか重要なたんぱく源として生かしたいという国があるんですが、残念ながら、余り豊かじゃない国が多いんですね。そうすると、前回はスロベニアでIWCの総会が開かれましたけれども、例えば、旅費が出せなくて来られないとか、分担金が払えないので、IWCには出席するけれども、発言権なく座っているだけというメンバー国もいます。

 そういう中で、今大臣がおっしゃったような、我が国としては商業捕鯨を再開していくんだということを幾ら言っても、現実的な国際社会のポリティクスの中で、この主張を実現していくことは極めて難しいと実は思ったんです。

 だからこそ外交がすごく大切で、例えばODAを出す、あるいは、総理や外務大臣が外遊した際には、二年に一回IWCの総会が行われますけれども、何か大事な決め事をするときにはぜひ支援をお願いしたい、どっちつかずの国も実はいっぱいありますから。こういうことを実はラテンアメリカ諸国は、本国から電報を打って、在外公館も含めて積極的なロビー活動をしながら票の取りまとめをしている現場にも出くわしました。

 ですから、外交の場面においても、本当に今大臣がおっしゃったような商業捕鯨の再開を目指すのであれば、さまざまなチャネルを使って、場面を使って、一言で言うと、IWCの多数派工作を二年間かけて戦略的に進めない限りは、我が国の主張、国益を実現することはできないと感じました。

 そこで、具体的なそうしたIWCにおける多数派工作も含めた商業捕鯨再開に向けた戦略といったもの、これをお聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、IWCにおける八十八カ国のありよう、内訳等につきましての厳しい現実については、御指摘のとおりだと存じます。

 その中にあって、持続可能な利用支持国との結束を強化し、そして、反捕鯨国に対して、我が国の立場を理解してもらうべくしっかり働きかけを行う、こういったことのためにさまざまな真剣な取り組みを行っていかなければならない、これは大変重要な視点であると思っております。ぜひ、具体的に、その時々の状況を踏まえて現実的な働きかけを行っていきたいと考えております。

 そして、それに加えて、重要なこととしまして、IWCの非加盟国も存在いたします。この非加盟国に対しましても、各国の立場をしっかり見きわめながら、我が国の立場への理解と支持を求めて、状況を見ながら加盟を働きかけていく、こういった努力も必要だと思いますし、こういった努力もさまざまな機会を捉えて続けてきております。

 さらには、あわせて、我が国の持続可能な利用について、やはり、国際社会全体に対して、国際的な世論形成を行うためにさまざまな戦略的な広報を行う、こういった取り組みも重要なのではないか、このように考えます。

 IWCの内外において、あるいは国際社会全体に対して、我が国の立場を理解してもらうべく、さまざまな取り組みを、現実的に、具体的に、一つ一つ行っていきたいと考えております。

    〔三ッ矢委員長代理退席、委員長着席〕

玉木委員 大臣から大変前向きな答弁をいただいて、ありがとうございます。

 特に、おっしゃった、非加盟国をできるだけ入れていく、こういう働きかけはこれからとても大切だと思います。例えば、海のないモンゴルなんかも実は加盟国で入っているんですね。私、少し昼食の時間を利用して彼らといろいろ話をしましたけれども、応援をしてくれていますので、本当に、多数派工作といいますか、時間がかかりますけれども、積極的に進めていくことはとても大切だと思いますので、ぜひ、さまざまな外交チャンネルを使ってお願いできればというふうに思います。

 最後に、領域警備について質問をしたいと思います。

 七月一日に集団的自衛権に関する閣議決定が行われた後、残念ながら、この臨時国会では、安保法制についての具体的な国会での法律の議論は全く行われていませんけれども、例の十五事例のうちの第一事例は、まさに離島等における不法行為への対処ということで、最も喫緊な課題として政府としても認識されておられると思いますし、これは党派を超えて対応していかなければいけない大変重要な課題だと思っております。

 その意味では、いわゆるグレーゾーン事態への対処ということについては急ぐ必要があると思うんです。

 特に、今お手元にちょっと資料を配っておりますけれども、図のところを見ていただくと、上の、「グレーゾーン事態への対処の概念図」ということで簡単に描いていますが、これは左から右に事態がだんだん進行、悪化していくということで考えていただければいいんですが、一義的には、海上保安庁やあるいは沖縄県警といったような警察権の行使、対応ということがまず前面に出てくると思います。それが、だんだん事態が進行するに当たって、ここに書いてある、自衛隊による治安出動、海上警備行動に移っていくということでありますけれども、この間にすき間があいていまして、我々は、特にこれは三つのすき間があるというふうに整理をしております。

 一つは、治安出動あるいは海上警備行動が下令されるまでの時間のすき間がありますね。あとは、対応するに当たっての権限や武器使用のすき間もあるのではないか、こういうことが指摘をされているわけであります。

 この点については、例えば、一つだけ取り上げますと、下令までの時間のすき間は、閣議決定を一々個別に経なければいけないというようなことが今の仕組みになっていると思いますけれども、こういったことについて本当に迅速にやるのであれば、一定のこういった個別の閣議決定を必ずしも必要としない法改正を行うことが、まさにシームレスな対応を実現するということを法的にも明確にし、担保していくということでは必要だと思うんです。

 政府も挙げておられる十五事例のうちの、イの一番のいわゆる離島への対処、とりわけこのグレーゾーン対応について、しかるべき法律上の整備をする方針があるのかないのか、この点について教えていただければと思います。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 武力攻撃に至らない侵害の対処については、自衛隊が、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事する米軍部隊の武器等を防護し得るよう法整備を行うこととしております。

 他方、近傍に警察力が存在しない場合等の対応に関しては、状況に応じた早期の下令や手続の敏速化のための方策といった運用の改善を今検討させていただいております。現時点では、法整備を行う必要があるとの認識には立っておりません。

 また、他方、先般の閣議決定を踏まえ、検討を行った結果、政府として法整備が必要であるという認識に至れば、与党において改めて議論をしていただきたいと思っております。

玉木委員 さまざまなことをやはり政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しさを増しているということをいつも聞きますけれども、それであれば、急ぎ必要な法整備をする必要があると思うんですね。

 今、運用の改善でやる、法整備は必要ないということでありましたけれども、であれば、やはり個別の下令までの閣議決定については必要とする、そのスピードをできるだけ速くしていくということなのかなと理解したんですが、急を要する場合については、一々臨時閣議を招集して、それでやっていくというのは、どうしても、どんなにそれを短くしても時間がかかるわけでありますから、そういったものについては、やはり明確な法整備を私はするべきだと思っております。特に、海保、警察、自衛隊、それぞれがどういう役割分担を果たすのか、どういう連携のあり方をとるのか、こういったものについては、やはりきちんとしたルールを法律上も明確にしておくことが大切だというふうに考えます。

 その意味では、我々民主党も、実は本日、領域警備に関する法律を取りまとめました。よく安全保障については意見がばらばらだというふうに言われますけれども、ぴったり一致してこれは取りまとめることができました。

 我々としては、先ほど申し上げた三つのすき間、これは政府も同じ考えだと思います、基本認識は。ただ、警察権の行使をする、具体的に言うと、海上保安庁と自衛隊の皆さんとの調整はなかなか難しいのもよくわかります。わかるんですが、それはあくまで国内の組織同士の話です。我々が守らなければいけない日本の領土、領空、領海であって、そのために、役所の間の対立がどうかとか権限がどうかではなくて、やはりそこは政治主導で、しっかりと国会の責任として立法作業に踏み込むということをぜひやっていただきたいなと思っております。

 我々、野党ではありますけれども、他の野党の皆さんとも連携をして、こういった法律、領域警備法を出していきたいと思いますので、政府におかれても前向きな法整備の検討をぜひ行っていただきたいということを思いますけれども、これは外務大臣に聞くと差しさわりがあるんでしょうか。やはり政府としてこういったことを、シビリアンコントロールをきかす意味でも、法律で何ができるのかできないのかを立法府として明確にしておくことは大事ですし、その枠の中で政府がしっかりやるということが私は大事だと思います。

 外務大臣、どうでしょうか、諸外国に対して間違ったメッセージを発しないためにも、明確なルールを、単なる運用の改善ではなく、やるということが、我が国の平和国家としての位置づけを明確に見せるという意味でも必要だと思いますけれども、最後、大臣の感想をお聞きして終わりたいと思います。

岸田国務大臣 まず、外交安全保障分野において、党派を超えて議論をし、そして連携し、協力できる分野においてはしっかりと汗をかく、こういった姿勢については、大変重要な姿勢だと認識をいたします。

 この分野におきまして、具体的に、前向きに御議論いただき、そして御提案をされておられます民主党のこうした姿勢については、心から敬意を表し申し上げたいと存じます。

 そして、基本的なこうした努力、方向性については今申し上げたところですが、具体的な対応等につきましては、政府としましても、これまでのさまざまな積み重ね等もしっかりと勘案しながら検討していかなければなりません。ぜひ議論は続けていきたいと考えます。

玉木委員 終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 次世代の党、宮沢隆仁です。よろしくお願いします。

 私も、日中関係、APEC、それからアカサンゴ事件等に触れたかったんですが、特にアカサンゴの事件は、何か昔の元寇を思い出させるようなムードなので、非常に心配しております。ですが、CSCだけでもかなり奥が深いようなので、きょうはこれに特化して、ちょっと細かいところも含めて質問させていただきます。

 まず、このCSCそのものに入ることのメリット、デメリットがいまいち私には明確になっていない。今までの議論を聞いていてある程度わかったんですが、特にわからないのはデメリットなんですよね。

 やはり原発という非常にデリケートで大変なことをこれから扱う上で、想定外などというのは許されないわけですから、今の時点でデメリットを挙げておいていただければ、我々もそれなりに将来に備えることができるとか、そういうスタンスをとれるので、ぜひ、このメリット、デメリットを、箇条書きで結構ですから、ちょっとリストアップをしていただきたいと思います。お願いします。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、CSCの趣旨というものを申し上げた上で、メリット、デメリットについて御説明を申し上げたいと存じます。

 CSCといいますのは、きょう何度も出ておりますように、原子力損害についての国際的なルールを定める、それとともに、最低賠償措置額の設定、無差別原則等、締約国に一定水準の共通の原子力損害賠償制度の構築を求める、それがこの条約の趣旨でございます。

 まず、メリットでございますけれども、CSCの締結のメリットとして、まず、事故の際の被害者への賠償の充実というのが挙げられます。具体的に申し上げれば、原子力事故の被害者は、例えば外国で生じた原子力事故によって国境を越えた原子力損害を受けたような場合でも、迅速かつ公平な賠償を受けることができる、そういうルールが適用されるようになります。

 そしてまた、原子力事故の被害者は、事業者の過失を立証する必要がなく、あるいは、事業者以外の者が事故の責任を負うか否か、そういうことを問うことなく、事業者に賠償を求める、賠償責任の集中ということでございますけれども、そういうことができます。

 また、公平取り扱い義務により、同じ基準に基づき内外無差別に賠償を受けることが確保される、こういったようなメリットがございます。

 こういうことで、CSCの締結を通じて、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築というものへ貢献がなされるということになります。

 他方、今委員御指摘ありましたように、CSCの締結に当たって考慮しなければならない要素というのは幾つかございます。例えば、今申し上げました、CSCが定める裁判管轄権の集中ということを考えますれば、外国で原子力事故が発生する、これによって我が国に越境損害が生じたような場合のことを考えますと、CSCの締結によって、我が国の被害者は我が国の裁判所で訴えを提起できなくなる、そういうことについての御指摘をいただくということもございます。

 この点でございますけれども、まずちょっと申し上げたいことは、CSCの締結によって、どの締約国であるにしろ、裁判管轄権を集中させた上で、無過失責任の原則のもとで、内外公平の賠償を確保する、そういう仕組みが設けられる、そういう共通のルールがつくられるという、これは、それ自身、被害者救済の観点から有意義であるということは申し上げられると思います。

 それで、裁判管轄権の集中ということでございますけれども、CSCにおいては、こういうルールの整備、国際水準に適合した賠償制度の整備ということもございますし、それから、一定額の賠償水準の義務づけというのもございますけれども、それとあわせて、条約に基づいて裁判管轄権を特定する、そこの裁判所が下した判決に基づいて、事業者に対してその執行を確保するということになっております。

 それで、CSCが未締結の状況であれば、先ほど申し上げましたような御指摘、つまり、我が国に越境損害が発生したような場合に、日本の裁判所で訴えを提起できる、そういう可能性は確かにございます。そういう訴訟を提起することは可能でございます。

 ただ、その際に考えなくてはいけないことは、これはあくまでも外国で起きた原子力事故でございますから、我が国の原子力損害賠償法が適用されるということにはなりません。したがって、日本で裁判が行われるということになりますと、民法に基づいて不法行為責任を追及する、そういうことになるわけでございます。これは、一般的な民法に基づく不法行為責任ということでございますので、例えば、原子力損害賠償法にあるような無過失責任というのは、当然のことながら適用されません。したがって、被害者は、当該外国原子力事業者の過失を主張し、立証しなければならないということがございます。

 他方、原子力というのは、もう御承知のように、高度に科学的、専門的な分野でございますし、特に外国で起きた事故ということであれば、証拠は外国の事業者側に偏在をしているということでございますから、原告が事業者の過失を特定してそれを立証するというのは、往々にして極めて困難でございますし、訴訟の長期化や敗訴のリスクということもあるわけでございます。

 それからさらに、仮に勝訴判決を日本の裁判所で得たということでございましても、当該判決に基づいて、この場合、被告、事故を起こした当事者は外国におるわけでございますが、その外国にある被告、事業者に対して、当然に執行ができるというわけでも必ずしもないわけでございます。

 そういうことを勘案いたしますと、この裁判管轄権の集中というのは、締約国全てに一定のルールに基づいた賠償の水準を保障する、そういう共通のルールを創設するということを勘案すれば、やはり被害者の保護に資する、そういうことではないかなというふうに考える次第でございます。

宮沢(隆)委員 プロフェッショナルですので、かなり詳細にとうとうと述べていただきましたが、それを事前にリストにしておくことは可能であったんじゃないかと思うんですが、いつもポンチ絵をこんなにたくさんつくっていただけるのに、なぜそれがなかったかなというのが非常に私は不思議だったんですよね。

 これはほかの野党からも要求もあるものですから、委員長の方で、メリット、デメリットのリスト、それをちょっとつくってくれるよう要求していただけるとありがたいんですけれども、検討を。

土屋委員長 理事会の方で検討させていただきます。

宮沢(隆)委員 よろしくお願いいたします。

 もっと基礎的な話になるかもしれないんですが、締約国、現時点で五つあります。アルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、UAE、アメリカ。この国の組み合わせが、どうも私には、脈絡がないというか、どういう基準で、あるいはどういう意図でこの五つが固まっているんだろうかと非常に不思議だと思っていたんですね。

 それで、ちょっと官僚の方にそれぞれの国の事情をお聞きしたら、アルゼンチン、ルーマニア、UAEと、原子力施設それからコンポーネント等、取引は日本とはないということですね。モロッコに至っては、今原発を持っていない、それから、今後も予定は特にないということで、私はこれを聞いてちょっとびっくりしたんです。アメリカはもちろんたくさん原発を持っていますよね。

 モロッコについてちょっとお聞きしたいと思うんですが、モロッコはウィーンの改正議定書に入っているそうです。こういう原発を持っていない国が締約国になっているということの意味をちょっと説明していただきたいんですが、なぜこの五カ国なのかということと、それからモロッコが入っている意味というのを説明いただけますか。

引原政府参考人 お答えを申し上げたいと存じます。

 もちろん、他国のことでございますので、他国の条約締結、どうしてこのCSCに入っているかということを我が国として確たることを申し上げることは、一般論としてなかなか難しいのでございますけれども、CSCについては、そもそも、自国被害者に対する外国事業者からの公平な賠償の確保、つまり内外無差別の待遇ということであります、あるいは、国境を越える原子力損害に充当することのできる拠出金の制度というようなものがございますので、今おっしゃいました例えばモロッコのように、現在原発を保有していない国についても締約の意義というのはあるのではないかというふうに思っております。

 御指摘をいただきましたモロッコでございますけれども、一つは、まだ本格的な原子力発電所は持っておりませんけれども、試験用の原子炉というのは既に運用されているというふうに承知をしております。実は、この試験用の原子炉、この運用に向けた法的枠組みの整備のために国内の関連法を制定する、それとあわせて、改正ウィーン条約もあわせてでございますけれども、CSCを含む原子力損害賠償関連条約を締結した、そういう経緯があったというふうに承知をしております。

 それから、さらにもう一つ申し上げれば、モロッコというのは、御承知のように、非常に海上輸送の要衝でございます。こういうところでございますので、例えば外国事業者が核物質の運搬中に事故を起こした場合、こういった場合に備えて、モロッコの国内に発生する被害者の保護という観点からも、原子力損害賠償条約を締結する、そういう動機があったというふうに承知をしておるところでございます。

 それで、モロッコは、CSCとあわせて改正ウィーン条約、この二つを確かに締結しております。これもやはり、なぜモロッコがこの二つの条約を締結したのか、確たることを我が国として申し上げることは難しいわけでございますけれども、一般論として申し上げれば、このウィーン条約あるいはパリ条約に比べて、CSCを締結するということになりますれば、拠出金制度によって、事故を起こした締約国の事業者の賠償資金はより一層充実するというようなことになります。恐らく、そういうメリットを見出した上で、モロッコは改正ウィーン条約のみならずCSCも締結する、そういうことになったのではないかと想像する次第でございます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 もうちょっと答弁をコンパクトにしていただけるとありがたいんですけれども。

 もう少しモロッコにこだわりますけれども、海上輸送等で事故が起こったときに対応できるようにというモロッコの国としての意図だということですが、日本がこの締約国に入って、これが発効されたと仮定して、では、実際にモロッコという国のそばで輸送中の原子力事故が起こったと仮定して、日本にはどういう影響があるんですか。コンパクトにお答えいただけますか。

引原政府参考人 今のお尋ねの趣旨は、日本が締約国であり、かつモロッコもCSCの締約国になった場合で、かつ、例えばモロッコの領海内で事故が起きたような場合。

 それは、まず、日本にそもそも被害が及ぶかどうかということがあるかと思います。その種の事故で日本に被害が及ぶ可能性がないとは申しませんけれども、なかなかそういうことをすぐには想像しにくいわけでございますから、そういう意味での何か特別の関係が生じるということはないのかなと思います。

 ただ、もし原子力事故が起きて、今想定しておりますのは領海内での国際交通の際の事故ということでございますから、原子力発電所の事故とはおのずから規模や被害額も違うとは思いますけれども、万々が一それが非常に大きな事故であって、CSCに規定されている各国の最低賠償義務額を上回るような損害が出た場合には、拠出金の制度というのが発動されることになりますから、日本も締約国の一員として一定額の拠出金の負担を行うという関係は生じる可能性があるかと存じます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 では、事故の規模によっては日本も拠出金を出す可能性はあるという理解でいいんですね。かなり遠いところで起こっていても、お金は出すということですね。わかりました。

 今度、ちょっと一枚だけ資料を用意させていただいたんですが、表がついていると思うんですけれども、これは、いわゆる日本と関係して原発の部品とかコンポーネントを輸出入している国をリストアップしてもらいました。トルコ、ベトナム、UAE、リトアニア、ブルガリア、ポーランド、フィンランド、米国、英国。これだけある中で、今のCSCに絡んでいるのはUAEと米国だけですね。それで、これも官僚の方に確認したら、実際に日本からの輸出等で関係があるのは、トルコが四カ所、それからリトアニア一カ所、ブルガリア一カ所というお話を聞きました。

 それで、この全部の国について、ウィーン条約なのかパリ条約なのかCSCなのかというのをちょっと調べたら、UAEはウィーンとCSC両方入っているんですね。ほかは、パリとかウィーンとか、それぞれ一つずつ。

 それで、UAEがウィーン条約とCSCと両方入っている意味、これは他国のことで推測が難しい面もあるかもしれませんが、一般論として、二つ入る意味というのはどこにあるんですか。

引原政府参考人 これもなかなか一般論として、しかも他国の締約の意図についてお答えするのは難しゅうございますけれども、現在、世界的な原子力損害賠償の制度の条約は三系統ございます。それぞれ、例えばパリ条約はEU中心、ウィーン条約は東欧、中南米中心、CSCは今回アジア太平洋にというようなことでございます。

 やはり、お互いの間で何か原子力損害にかかわるような事態が起きるというようなことを想定いたしまして、その際のルールを定めておこうということになりますと、被害国も加害国もと申しますか、関係国が全て同じ条約に入っていないとそういう関係は成立しないわけでございますから、締約国の意図によっては、一つに入るだけでは不十分で、例えばウィーン条約とCSCにというふうに考える可能性もまたあるかなというふうに思います。

 それから、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、CSCにつきましては、現在発効しておりますほかの条約に比べて賠償制度が充実しているというメリットがございますので、そういうメリットを勘案して、ほかの条約に入っている場合でもさらにCSCに入るということもあろうかなというふうに想像いたします。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 そうすると、賠償が充実しているということから、例えばこの表にあるほかの国もどんどんCSCに入ろうと考える可能性があると理解していいですか。

引原政府参考人 ここに列挙されておられますそれぞれの国について、具体的にCSCに入る意向を将来持つかどうかということは、いろいろな要素を総合的に勘案しての判断でございますから、一律に、ここに挙げられておられます国が全て今後CSCの加盟を目指すということになるかどうかは、申し上げるのはなかなか難しいかと存じます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 なぜこんなことをしつこく聞くかといいますと、一番最後に大臣にお聞きしようと思っているんですが、要は、似たようなものが三つあるわけですよね。それぞれ特徴があって、二つ入る、あるいは三つ入っているところは多分ないんだろうと思うんですが、あるいは日本の場合も、とりあえずCSCに入って、将来、ウィーンかパリに入る可能性とか、いろいろな組み合わせがあるんだろうと思うんです。それは国の事情そのものもあるんだろうと思いますけれども、やはり有利か不利かという観点からそれぞれの国は考えると思いますので、CSCが動き出すと、それぞれの国がそれぞれの自分の国の利点を考えて動き出すのかなと私なりに想像したものですから、ちょっとそんな質問をしたわけです。

 もう一つ、これもCSCからちょっと離れるんですが、これもほかの遠い国の話で恐縮なんですが、固有名詞を挙げるとまずいらしいので、ヨーロッパのA国ということにしておきますけれども、そこはCSCにはかかわっていない、それで、パリ条約かウィーン条約かに入っている。そこで、そこの国の原発がかなり大きな事故を起こした、チェルノブイリクラスの事故を起こしたと仮定して、パリ条約、ウィーン条約にかかわっていない日本は、何ら影響は受けないのか、あるいは受けるのか、その辺、仮定の話で恐縮なんですけれども、ちょっとお答えいただけますか。

引原政府参考人 ヨーロッパのある国で非常に大きな事故が起きたということでございますけれども、その国の加盟しておりますパリ条約なりウィーン条約というのは日本は入っておらぬ、そういう前提で考えますと、特にパリ条約上の、あるいはウィーン条約上の何か効果というものが日本に関して生じるということはないと承知しています。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 では、本当に大きな事故が起こって、将来、ヨーロッパのどこかの国がCSCに入ってくると仮定して、そのA国で起こった事故で隣のCSCに入っている国に損害が及んだとした場合に、その場合は日本には影響はあり得るんですか。

引原政府参考人 先ほど申し上げたこととちょっと近くなりますけれども、まず、事故を起こした国あるいはその周辺の国が入っているということであれば、それらのCSC加盟国の間では、もし、例えば越境被害というものが生じておれば、それについてCSCのルールに従った処理がなされるということは一つあろうかと思います。

 それと並行して、日本もCSCの締約国でございますけれども、またこれもヨーロッパで起きたということで、仮に日本には直接の被害が及ばなかったということであれば、その意味では、特段の効果が生じるものではない。

 他方、今委員の例えられた御質問で、非常に大きな事故であった、チェルノブイリクラスであったということであれば、恐らくそれは、各締約国がそれぞれ用意すべき賠償義務負担額というのを上回る、そういう損害が出るものであるというふうに想像されますので、その場合には拠出金の制度が発動される。したがって、日本は、条約に定められたルールに従って、一定の拠出金を負担するということにはなろうかと存じます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 その一定の拠出金というのは、今の段階で中身を言うことは難しいですか。

引原政府参考人 お答えいたします。

 この拠出金の額というのは、CSC上、それぞれの国が持っております原発の容量と、あと若干、国連分担金なんかを勘案して算出をする、そういう式が定められております。

 ですから、これはあくまでも仮定の話でございますけれども、現在締約をしております五カ国に加えて日本が加盟をいたしまして、六カ国でCSCが発効した、そういう状態で、仮に日本以外のところで原子力事故が起きたということを想定いたしますと、その場合に日本が支払う拠出金の額は、最大四十数億円ということになろうかと存じます。これはあくまでも試算でございますけれども、現在の状況を前提として計算いたしますれば、そういうことになります。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 今のA国がCSC加盟国であった場合は、三億SDRですか、スペシャル・ドローイング・ライツと言うらしいですが、四百七十億円以上をCSC加盟国が拠出するという、ちょっと理解が間違っているかもしれないですが、ちょっと説明してください。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘になられました三億SDRという額は、実は拠出金の関係で定められている額ではございませんで、それぞれの締約国が自分の国内で事故が起きたときに最低それだけは自分で賠償できる、そういう最低の賠償の基準、それだけは手当てしておかなくちゃいけないということで各締約国が義務として負っておる、そういう金額でございます。それが三億SDR、日本円で約四百七十億円ということでございます。

 その上に、さらにその各国が準備する額を上回るような大きな損害が出た場合に、拠出金の制度が発動されるということでございます。

宮沢(隆)委員 何回も聞いたんですけれども、なかなか理解できなくて。了解しました。

 では、いろいろなシミュレーションをこれからやってみたいんですが、先ほど近隣の中国、韓国のお話も出ましたが、僕は中国にある原発の数まで知らなかったんですけれども、二十二基、韓国で二十三基、これはすごいなと思いました。さらに中国は百基を目指しているというお話でした。

 これは現時点での話なんですが、もちろん現時点では韓国、中国というのはCSCには全く関知していないということですね。どちらもウィーンとパリ条約には絡んでいないと理解していたんですが、もし間違っていたら訂正してください。

 例えば、現時点で、韓国の朝鮮半島の先端にある原発が物すごい事故を起こした、日本にも九州あたりに放射能等の影響がかなりあった、そういう想定なんですが、日本が損害を受けるわけですね。それで、損害を受けたときに、法的なアクションというのはどういうものが考えられるんですか。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘になられましたように、韓国は、今、CSCのみならず、パリ条約、ウィーン条約、いずれの条約にも加盟をしておりません。

 そういう前提で、CSCの非締約国である韓国で大きな事故が起きて、それに対して、近隣国のことでございますから、日本に被害が及んだというふうな場合を想定いたしますと、これは、お互いがCSCを締結しているわけではない国の間の関係、したがってCSCの適用はないわけでございますけれども、その場合には、原告が訴訟を提起した国の裁判所、例えば、日本で被害を受けた方が日本の国内で裁判を提起したとすれば日本の裁判所が、各国のそれぞれの、この場合であれば日本の民事訴訟法その他の関連法に従って、事案に応じ、裁判管轄権を有するか否かをまず個別に判断するということになります。

 今説明をさせていただいております事例に沿って考えますれば、韓国で例えば原子力事故が起きて日本で越境被害が生じた、そういう場合には、日本の裁判所に訴えを提起する、これは、日本の民訴法上の規定によりまして訴えを提起することができるということは、まず一つ申し上げられます。

 その上で、その訴訟におきましてどの国の法律が適用されるかということも次に問題になるわけでございますけれども、これは個々の訴訟において個別具体的な事情を勘案して裁判所が判断するということでありますが、日本に越境損害が生じて日本の裁判所に訴えがなされているという場合には、日本の法律が適用されて、そのもとに個々の事例が判断されるという可能性はあるものというふうに承知をしております。

宮沢(隆)委員 では、九州あたりの裁判所で日本の被害者が訴えをして判決が出ます。これこれの損害賠償を払えとかという話になって、それを韓国にある原発をマネージしている会社に命令しますよね。それはきちんと生きてくるんですか、あるいは執行はしてくれるんですか。

引原政府参考人 委員御指摘の点は、原子力の越境損害を考える上でまさにポイントということであろうかと存じます。

 仮に、今申し上げているような事例で日本の原告が勝訴判決を得たといいましても、その判決に基づいて、外国、この場合は韓国の被告の事業者の財産に対して当然に執行ができるというわけではございません。その当該国の執行手続において改めて日本の判決を承認してもらう、そういう必要が出てくるわけでございます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 国が違いますから難しいだろうとは思います。

 では、今度、同じく朝鮮半島の先端で事故が起こった時点で、韓国もCSCに入っている、日本も入っているという想定で、同じ質問なんですけれども、日本人が被害を受けて訴える、その場合、どこの裁判所に訴えて、どこの法律を使って、結果が出たら執行は誰がどうやるのか、そこら辺をちょっと説明してください。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力事故が起きた国がやはりCSCの締約国であったという場合でございますけれども、その場合には、その国と日本との間でCSC上の権利義務関係が生じるということでございます。そういう場合には、事故発生国に裁判管轄権を集中させるということがCSCのルールでございますので、今のケースであれば韓国ということになりますが、そこで裁判が行われるということになります。

 その場合に、その裁判においてどういう法律が適用されるのか、そこにつきましては、CSCは、原則として権限のある裁判所、この場合でいえば裁判管轄権を持つ韓国の裁判所ということでございますけれども、その国の法に、こういう裁判管轄を定める規則、抵触法と称しておりますが、それによって準拠法を定めるということになるわけでございます。

 ただ、一つここで申し上げたいのは、それによって、韓国の準拠法によりまして、日本以外の締約国の法律、例えば韓国の法律が準拠法になるということはあり得るわけでございますけれども、そういった場合にも、冒頭申し上げておりますように、CSCの締約国でございますから、その損害賠償のあり方については、一定のルールに基づいた、適正な、かつ内外無差別の形での損害賠償が行われる、それがCSCの締約国の義務ということでございます。

 また、CSCの制度に基づく拠出金というのがございますので、特に越境損害に関する一定水準の賠償の原資というものは確保される、そういうこともあるということは申し上げておきたいと存じます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 今の韓国での事故の事例から、私は聞いていて、全く別にCSCに対して賛成も反対もなかったんですけれども、有利と理解していいんですか、法的なマネジメントという意味では。いかがですか。

引原政府参考人 お答えいたします。

 有利、不利という表現が適当であるかどうかわかりませんけれども、日本あるいは韓国あるいは中国がそれぞれCSCを締約する、そのメンバーになるということで、共通の原子力損害賠償に関するルールを持ち、それによって、公平な、かつ充実した、かつ迅速な裁判による賠償が行われるようになるという意味では、それぞれの国に大きなメリットがあるというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 では、もう一回、ちょっとしつこく聞きます。

 今度は逆に、日本の九州あたりの原発が再稼働したか何かで事故を起こし、韓国に、海を介してか空からか、かなりの放射能の影響があったと仮定して、当然、韓国の被害民は訴えをすると思うんですが、それも先ほどの逆という理解でよろしいですか。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにそのとおりでございまして、日本で事故が起きたという場合には、関係国が全てCSCに入っておるという前提でございますけれども、事故が起きた国、事故発生国が裁判管轄権を持つということでございますので、韓国等で生じた越境被害についても、日本で裁判が行われるということになります。

 そして、その際に、どの国の法律で裁判を判断するかということにつきましても、日本の抵触法に従って判断をされるということになるわけでございます。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 大分私自身の理解は進みました。

 最後に、先ほどちらっと申し上げたんですが、これはちょっと大臣にお答えいただきたいんです。

 これも外務省からいただいた論文で、道垣内先生という先生が書かれた論文で、かなりよくまとまっていたと思うんですが、その論文の最後の方に、日本にとって理論上選択可能なのは、改正パリ条約を批准すること、改正ウィーン条約を批准すること、そして三つ目にCSCを批准すること、以上の三つの選択肢がある。

 この中からCSCを日本は選ぼうとしているわけですが、その選択の合理性と理由をコンパクトに説明していただければと思います。

岸田国務大臣 CSCは、ウィーン条約、パリ条約との比較において、今後の展望、あるいは被害者の救済、そして我が国の原賠制度との整合性、こういった観点から我が国にとって最も望ましい条約だと考えられることから、CSCの締結を我が国として今進めているところです。

 具体的には、パリ条約改正議定書ですが、これはスイス、ノルウェーのみが締約国です。また、ウィーン条約改正議定書は、中東欧、そして中南米等が中心になって締結、署名されています。

 これに対しまして、CSCは、環太平洋地域を中心に締結、署名されており、将来的にアジア太平洋地域に共通の原子力損害賠償制度となる、こういったことが期待されます。また、CSCは、パリ条約あるいはウィーン条約の締約国も参加することができます。こういったことから、国際的な原子力損害賠償制度構築の観点からも最適であると考えます。

 また、現在発効している条約との比較では、最低賠償措置額が高く、あわせて拠出金制度が設けられている、こういったことを考えますと、やはりCSCが最も被害者保護に手厚いものである、こういった判断から、CSCの締結を進めようとしているということであります。

宮沢(隆)委員 よく理解できました。

 ここから先は私の想像なんですけれども、今、署名国が十三カ国あるということで、これは、例えば、アメリカが意図しているかどうかわからないんですけれども、今、パリ、ウィーン、CSCと三つあるけれども、いずれはそれを一つにして、全ての国が同じ条約に入って原発事故をコントロールしようという意図かなと想像したんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のような、原子力損害賠償責任に関する一つの国際的な制度を構築する、こういった議論は、二〇一一年九月に、国際原子力機関、IAEAの総会において全会一致で承認されたIAEA原子力安全行動計画においても提言をされています。それ以外にも、IAEAの原子力安全決議等において、国際的にその重要性が累次にわたって確認もされています。

 我が国としましては、CSCを締結して、その早期発効に寄与するとともに、近隣諸国等に働きかけ、原子力事故による損害についての国際的な賠償制度の構築に貢献していきたいと考えておりますが、一方、IAEAの場において、原子力損害賠償責任に関する一つの国際的な制度の構築の促進について議論が行われているところでありますので、こうした議論にも積極的に貢献はしていきたいと考えています。

宮沢(隆)委員 大分理解が深まりました。

 これで終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

土屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阪口直人君。

阪口委員 維新の党の阪口直人でございます。

 きょうは、小笠原海域におけるアカサンゴの密漁船について、また、さまざまな違法伐採の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、小笠原なんですが、私、今から十年ぐらい前になるでしょうか、ダイビングで小笠原の海に潜ったことがございます。世界有数の美しい海底、そしてサンゴ、私も本当に感動いたしました。そのときに現地のいろいろな知り合いができまして、実はこの問題が明らかになった九月の下旬ごろからさまざまな情報をいただき、連絡をとり合いながら、現地の人々の目線で政府に対してさまざまな要望がございます。

 きょうは、それらを紹介しながら、このような問題にどのように対処すべきなのか、また、小笠原海域には、サンゴだけではなくて、例えばウミガメであったり、さまざまな、今後狙われる可能性のある大変に貴重な生き物がおります、こういった問題の抜本的な解決に向けての政府の取り組み、考えをぜひただしてまいりたいと思います。

 まず、二百そうを超える船が連日展開をしている中国からの密漁船でありますが、その正体といいますか、どのようなメカニズムで密漁が行われているのかということについての政府の認識をただしたいと思います。

 私も、もちろん直接現場に行けるわけではありませんので、さまざまな情報を調べたところ、一つ可能性として挙げられるのは、この漁船の背後に大規模な国際犯罪組織があって、例えば船のナンバーであったりあるいは船の構造自体を偽装するということ、そして、サンゴの密漁を行った後に海上において取引が行われる、すなわち、携帯電話などでそのサンゴを撮影して、そして値段交渉をする。ですから、これまで日本の海上保安庁が、五隻でしょうか、六隻ですね、捕獲をして船長を逮捕したという中で、私が伺った中では、サンゴは見つけることができなかったというふうにも聞いています。

 今私が紹介したのは一つの情報でありますが、まずは、この密漁がどのようなメカニズムで行われているのか、また、政府の方に見解がありましたら、どのような根拠でその見解に至ったのかということについて、最初にお伺いをしたいと思います。

中島(敏)政府参考人 お答えします。

 中国側の意図につきましては、我々としては承知する立場にはございませんが、現在、海上保安庁では、小笠原諸島周辺海域における大型巡視船や航空機を集中的に投入させていただきまして、特別な体制をもって、違法操業等を行う外国漁船の取り締まりを強化しております。その中で、その結果、十月五日以降、先ほど御指摘のありましたように、五人の中国人の船長を逮捕しております。

 また、本件への対応につきましては、現場における取り組みに加え、外交ルートを通じた申し入れ等、関係省庁が緊密に連携をして取り組むことが重要であると私は認識をしております。

 いずれにしましても、引き続き、現場において水産庁や東京都とも連携をし、法令にのっとり厳正に対処する所存でございます。

 なお、漁船の動静や取り締まり状況などの情報提供を通じて、地元の皆様の不安の解消にも努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

阪口委員 今答弁をお聞きして、確かに、海上保安庁さんの仕事は、背後にもし国際犯罪組織があったときに、それが何者かということを調べることではないのかなというふうには思いました。

 ただ、一方で、例えば十分な監視体制、情報収集体制があれば、それをもとにさまざまな情報の提供を要望するということもできるはずなんですが、それが十分に機能していないこと、これ自体が大きな問題ではないかと思います。

 重ねて同じ質問なんですが、単に密漁船が来ているというだけでは、なかなかこれほど大規模な船が連続的に来るということにはならないと思うんですけれども、そのあたり、どのように分析をしていらっしゃるのか、一番この問題について管轄している部署の方にお答えをいただきたいと思います。

中島(敏)政府参考人 法令執行機関という立場から御説明をさせていただきますと、逮捕した中国人船長等からさまざまな事情聴取等を行っているところではございますが、具体的な内容につきましては、捜査にかかわる事項でございますので、ここでお答えを差し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

阪口委員 今私が質問したのは、この問題を解決していく上で本当に基本中の基本になることだと思うんですが、日本政府の中にはそういった問題を調査する権限がどこの部署にあるのかというようなことも明らかになっていないということでしょうか。この点、お答えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

中島(敏)政府参考人 お答えします。

 先ほど御説明させていただきましたように、我々は法執行という形の中でしっかりやっていかせていただきたいと思いますが、情報の収集等につきましては、関係省庁が連携をしてこれに対してしっかり対応していく必要があろうと考えております。

阪口委員 非常に心もとない状況だなと正直思います。

 最初に申し上げた私の小笠原の友人などは、いろいろな要望を私に伝えてくださるんですけれども、まず、やはり、自衛隊との連携は可能なのかということ、また、中国にはどういう申し入れをしているのかということをぜひ聞いてほしいということをおっしゃるんですね。

 その可能性についてきょうは質問していきたいと思うんですけれども、まず一つは、これは本当に大きな議論だと思いますけれども、海上保安庁だけでは、今の答弁を聞いても、十分な解決策につなげる情報収集はできないのかなということを正直に感じるところでございます。

 一方で、先日、海上保安庁や防衛省の方々に来ていただいて、いわゆる自衛隊機による調査研究という情報収集がなされているのかということを聞きました。数日前の段階では、これはなされていないという回答でしたが、現状はどうなのか、あるいは、自衛隊機を情報収集のために投入するというような検討がなされたのかどうか、この点について答えていただきたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、防衛省・自衛隊は、平素から、我が国周辺海空域におきまして、P3C哨戒機等によりまして警戒監視活動を行っております。こうした情報は、秘匿可能な無線通信機材等によって海上保安庁の巡視船などにも伝達するなど、情報の共有を図っておるところでございます。

 ただし、御質問が、小笠原海域について特にこうしたことを行っているかというと、現時点では行っておらないところでございます。

 海上における外国漁船の監視、取り締まりにつきましては、これは水産庁、海上保安庁等において実施されているものと承知しております。今の対策についても、こうした省庁が今連携して行っておられると我々は承知しているところでございます。

 そうした省庁が今対応されておられるところでございますけれども、防衛省・自衛隊といたしましては、必要に応じまして、このような事案についても、海上保安庁等の関係省庁と連携の上、対処していきたいと思っておるところでございます。

 以上でございます。

阪口委員 必要に応じてということですけれども、最初に質問させていただいた、密漁船の所在、また密漁を生み出すメカニズムも明らかになっていないということであれば、これはやはり、十分な情報収集が行われているとは言えないのではないかと、正直、大変に疑問に思うところでございます。

 それで、最初に申し上げたように、小笠原の地元の方々などは、どうしても、自衛隊があるわけですから、それをどうにか使ってほしいんだということをおっしゃるわけですね。

 自衛隊の任務としては、いわゆる海上警備行動という任務がございます。一般には、この海上警備行動というのは、私の理解では、いわゆる武装した船舶が海域で何らかの行動を行ったときに発令されるものであると理解しております。

 ただ、小笠原の方々からすると、例えば、二百隻以上の船が連日来ていることによって、自分たちの漁船が中国漁船に追いかけ回されたり、あるいはつきまとわれたり、あるいは、無灯火航行をしているために危なくて船が出せない、非常に生命の危険を感じる状況だと聞いています。

 また、中国の船の存在によって、漁具の破壊が懸念されるということで、通常の漁業活動、経済活動ができない、あるいは制約をされる。

 さらに、この海域は世界自然遺産の海域でもございますので、本当に観光資源でもあるわけです。特に、今からの季節、私も参加しましたが、ホエールウオッチングのシーズンでもあって、これが大変な収入源でもあるわけですね。

 したがって、いわゆる国民の生命財産を脅かす状況をつくり出しているという解釈もでき得ると思います。

 いろいろな議論があることは私も当然承知しておりますが、しかし、無害通航権というのは単なる通航に対して適用される考えであって、私は、この周辺で密漁をする、あるいは徘回をしているという状況を、単に航行している、通航していると捉えるのは、少し無理があるのではないかと感じております。

 例えば、今後このような事態がさらに進行する、また、その中で、実際に船がいろいろな犯罪組織とかかわっているとすれば、武器を携行している可能性もこれは否定できないわけですね。

 自衛隊として、一歩進んだ行動、これが海上警備活動かどうか、それはともかくとして、これらの問題を解決し、そして国民の財産生命を守るということで、何らかの対応が検討されているのか、あるいは、大臣、まだお答えいただいておりませんが、このことについて、まずは大臣として、今の一連の質問に対してですけれども、どのように考えていらっしゃるのか、対応が必要だと思われているのか、お答えをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、我が国としましては、我が国の領海あるいは排他的経済水域において中国のサンゴ船が違法操業しているということにつきましては、まことに遺憾なことでありますし、これは認めることはできません。

 外務省としましても、しっかりと中国に対して申し入れを行ってはおりますが、引き続きしっかりと申し入れは行わなければなりませんし、対応につきましても、関係省庁が連携しまして、しっかりとした対応を考えていかなければなりません。

 そして、この違法操業、もちろん遺憾ですし、認めることはできないわけですが、今御指摘のように、観光ですとかあるいは生活ですとか、そういった分野にも影響が出るとしたならば、これに対しても、政府としてどう対応するべきなのか、真剣に考えなければならない課題だと認識をいたします。

 そういった御指摘も踏まえ、さまざまな課題についてどう対応するか、ぜひ具体的に対応を積み重ねていきたいと考えます。

阪口委員 けさの議論の中でも、APECにおける外相会談の中でも強く申し入れたということを大臣はおっしゃっていたかと思いますが、具体的にどのように申し入れをされたのかについても教えていただけないでしょうか。

岸田国務大臣 APECの際に行いました日中外相会談において中国のサンゴ船の問題を取り上げたわけですが、そのときのやりとりにつきましては、まずは、領海や排他的経済水域における違法操業は認めることができないわけですし、そして、この事態についてはまことに遺憾であるということをまずしっかり申し入れた上で、この事態に対して中国側にもしっかりと対応を求めました。

 そして、中国側からは、この問題について中国側も対応を行っているという説明があったわけですが、それに対して私の方からは、対応は行っているということではありますが、実際、結果、具体的な成果が上がることが大切である、成果が上がるために、日本側もしっかり努力をしなければならないわけですが、中国側にもしっかりと対応してもらわなければならない、こういったやりとりをさせていただきました。

 ぜひ、こうした申し入れ、そして関係省庁の対応によって具体的な結果が出ることを、しっかり注視していかなければならないと存じます。

 中国のサンゴ船の違法操業につきましては、委員も御指摘になられましたように、かつて二百隻を超えていました。今回、日中の首脳会談、日中の外相会談、こういったやりとりを受けて、十一月の十日の段階で、中国のサンゴ船の数は百四十一隻だという報告を受けています。

 昨日は天候が悪かったがために十分確認できていないということですが、こうしたサンゴ船の数等も含めて、具体的にどんな結果が、効果が出ているのか、この辺はしっかりと確認をし、注視をしていかなければならないと考えています。

阪口委員 本当に、結果を出すことが重要だと思います。

 ただ、私がいろいろ調べた限りにおいても、中国側は中国側で一定の努力をしているようにも思います。例えば、サンゴを所持している、あるいは取引をしている者に対しては罰金を科するというようなこと、また、その罰則も日本以上に非常に厳しいものになっているというようなことも聞いております。

 しかし、中国と協力する上においても、最初に申し上げたような犯罪のメカニズムがしっかりと把握されていないと効果的な手が打てないと思うんですが、中国側は、この一連の犯罪行為に対しては、この所在が、どういうグループなのかというようなことについては、その会合の中では何らかの言及というのはあったんでしょうか。

岸田国務大臣 先般の日中外相会談のやりとりの中においては、限られた時間でもありましたので、中国のサンゴ船の問題については、先ほど答弁させていただきましたようなやりとりをした次第であり、この背景等、具体的な点までやりとりをすることはありませんでした。

 よって、中国側の背景等の把握の状況について、私から何か申し上げる材料はございません。

阪口委員 この点については、確かに、大臣の短いAPECの会合の中で、細かいところまで追及するというわけにはいかなかったんだと思います。

 ただ、ぜひ外務省にお願いをしたいのは、やはり、この犯罪グループの所在、また、どのようにして行われているのかというメカニズム、これをしっかりと中国側の協力も得てまずは把握することがこの問題の解決に必要だと思います。

 とにかく、全てのやりとりが洋上で行われて、日本側でアカサンゴを発見することができない、また、港に帰ったときも本当に空っぽだというふうにも聞いております。

 そもそも、最初に私が問題にした、このような状況をしっかりとキャッチできる監視活動の体制も弱い、また、中国側から肝心のこういったメカニズムについての情報も提供されないということであれば、なかなかこういった問題の解決を行うことは難しいと思います。ぜひ、この点、よろしくお願いをしたいと思います。

 この点について、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 中国のサンゴ船の違法操業につきましては、我が国として認めるわけにはいきません。そして、それに対しまして、各省庁が連携しまして、あらゆる対応を検討しなければならないと存じます。

 そして、その対応をより効果的に行うためにも、御指摘のように、この背景ですとかあるいはメカニズム等といったような点につきましてもしっかり情報収集をするということ、これは大変重要な視点ではないかと存じます。

 情報収集につきましては、各関係省庁、さまざまな分野、レベルにおいて、しっかりと情報収集に努め、その情報をしっかりと分析して、政府全体として対応を考えていかなければならないと考えます。

阪口委員 これが犯罪組織によって行われているとすれば、やはり、法治国家としての中国の誇りをかけて、中国側としてもしっかり対応しなければいけないと思います。

 そして、同時に、この問題について日中で協力をして解決するための情報収集が必要だということであれば、私は、例えば自衛隊が協力をして情報収集活動をする、調査研究活動をする、あるいはさらに進んだ活動をするにしても、それは外交問題にはならないんじゃないかなと思うんですね。

 ですから、とにかく結果を出すことが必要なわけですから、日本の本当に貴重な自然を守ること、このままでは本当に取り返しのつかないことになってしまう可能性がある、このことをぜひ重く受けとめて対応いただきたいと思います。

 一方で、私も小笠原の方とお話をする中で、比較的短期的にできることとして、こういった逮捕した船長などに対する罰金をもっと重くしてくれということを聞きました。

 自民党さんの方でもこの問題については意見を取りまとめて、私が聞くところでは、罰金額を最大三千万円ですか、重いものにしたというふうに聞いていますが、同時に、衆議院が解散になったらこれも廃案になってしまいますよね。私に対して、そうならないように体を張ってとめてくださいということを言われたんですが、野党ですから、体を張ってもとまるわけにはいかないと思うんです。

 大臣、これは感想というか個人的な意見でいいと思うんですけれども、衆議院がもし解散されることでこういう問題が後回しになってしまう、日本の貴重な自然が破壊されているのをみすみす見ることにつながる解散についてどう思うか、個人的な御意見をいただければと思います。

岸田国務大臣 中国のサンゴ船の違法操業に対して、罰金等を引き上げるなど効果的な対応を考えるということ、こうした議論や取り組みは大変重要だと認識をします。そして、与党におきまして議員立法等の動きがあるということも承知をしております。

 こうした議論につきましては、大変重要であり、注視していきたいと考えておりますが、解散との関係につきましては、解散はあくまでも総理大臣が決断するものであります。私の立場から何か申し上げるのは控えさせていただきます。

阪口委員 さすが大臣、大変聡明な回答をされたと思います。

 ただ、本当に、解散によってこういった一刻を争う問題が先送りになるということも、小笠原の方々の切実な声として寄せられていること、これはぜひ心にとめていただきたいと思います。

 一方で、このような問題に対して、やはり国際的に発信をしていくということも大事だと思うんですね。

 私、実は、九月にベトナムに行きまして、西沙諸島における中国による掘削活動をベトナムがとめさせたということについて、どのようなメカニズムでこの問題に対して向き合っていたのかということを綿密にヒアリングをしました。

 一つの大きな要因が、とにかく国際メディアに対して、西沙諸島における、ベトナム側からいうところの中国の大変に横暴な振る舞いを国際社会にメディアを通して発信をした、それによって国際社会を味方につけたということ、大変に印象的でありました。現場では大変せめぎ合いがあって、お互いが相手をわなにかけ合うような、そういう状況の中で、例えば、海に落ちたベトナムの船員を救出しようとするところを中国が邪魔をしたというような映像が、大変に大きなインパクトがあったというようなこともおっしゃっていました。

 この問題については、中国政府自体がかかわっているわけではないのではないか、これは私自身が分析する限りにおいては思うわけでございますが、どちらにしても、責任を持って中国にこの問題に対処してもらうためには、やはり国際映像、国際メディアの力も使って、しっかりと発信をすることが大事であったかと思います。

 外務省として、例えば、この点についてどのような対応をしてきたのか、また、国際的な有力メディアに実際どの程度報道されていたのか、まず、この二点についてお答えをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 中国のサンゴ船の違法操業につきましては、まずは、政府一体となって現場海域の取り締まりの強化等に取り組むとともに、中国に対して、累次にわたってさまざまなレベルで申し入れを行ってきました。そして、発信ということにつきましては、我が国の立場や考え方について国際社会の正しい理解を得るべく、記者会見等の機会を通じて発信に努めてまいりました。

 そして、御指摘の南シナ海における石油リグ設置におけるベトナムの対応ですが、映像の公開ですとかホームページの活用ですとか、あるいは各国メディアをベトナム海上警察の巡視船に同乗させ現場を取材させる、こういったことも行っていたという話を聞いております。

 これは内容も違いますし、事情も異なりますので、比較もできませんし、同じことができるものではないとは思いますが、こうした対応等も聞いておりますので、政府としましても、情報発信の重要性、委員からもただいま御指摘をいただきました、こういった点も含めまして、ぜひ効果的な、そして効率的な手だてをこれからもしっかりと考えていかなければならないと考えます。

阪口委員 例えば尖閣諸島における中国の国際社会への発信を見ていると、まさにこの問題をメディア戦、イメージ戦と捉えて、自分たちにとって少しでも利益をもたらすような国際発信をしていこう、そういった戦略を感じます。日本の中にいると余り感じませんが、例えば英語で尖閣の情報を収集しようとすると、本当に中国の発信がすごく目立つんですよね。

 ですから、私は、今大臣がおっしゃられたように、ベトナムと中国の西沙諸島の問題とは、これはまた質が異なるものだと思います。しかし、大臣も最初におっしゃられたように、結果を出さなければいけない。そのための最善の方法として、やはり国際世論を味方につけるということは大変重要だと思います。

 実は、私、外務省の一員として、一九九六年にボスニアで平和構築の活動を行った経験がございます。当時のボスニアというのは、皆さん御存じのように、過酷な旧ユーゴの内戦の舞台になっていて、セルビア側から大変に激しい武力攻撃を受けた。その中で、とにかく国の存亡をかけて大変なイメージ戦略を展開したんですね。

 NHKの記者が「戦争広告代理店」という本に詳しく書いていますが、アメリカのPR会社を使って、とにかくセルビアに悪のレッテルを張る。私も正直、この本を読んでいて、やり過ぎだなと思うことがたくさんありました。

 例えば、すごく痩せた青年が金網の前に上半身裸で立っている写真を使って、現代のナチスがここにある、強制収容所がここにあるというようなイメージ戦略を展開したりもしました。ナチスというような言葉はあえて使わずに、でも、ナチスを想起させる、そういった巧妙な宣伝を行った結果として、セルビアにいわゆる悪のレッテルを張り、国際社会がボスニアをサポートするというような形をつくった。その結果、デイトン和平合意が結ばれて、私などが現地で活動する地盤ができたと思っているんです。

 ないものをあるというふうにすることが、長期的に見て、日本の信頼、日本の国益につながるかどうか、これは私は否定的に考えております。しかしながら、実際に大変に貴重なサンゴ、数百年をかけて育成されたサンゴが大変に乱暴な方法によって採取され、それが、結果として、もし国際犯罪グループの利益につながるのであれば、これは何としても解決しなければいけないと思うんですね。

 こういったことを一つの教訓にしてというんでしょうか、やはり日本としても、国際的なメディア戦略、イメージ戦略、これをしっかりと構築していく必要があると強く考えておりますが、改めて、この点についての大臣の考えをいただければと思います。

岸田国務大臣 今回の中国サンゴ船の違法操業の問題につきましても、やはり国際社会に対してしっかりとした正確な発信をしていくということは大変重要だと思います。

 そして、我が国が外交を進める上に当たりましても、戦略的な対外発信、戦略的な広報の重要性はたびたび痛感するところであります。来年度の予算におきましても、国際的な戦略的広報予算といたしまして五百億増の予算要求をしているというのも、そうした重要性に対する認識のあらわれであると考えているところでございます。

 ぜひ、こうしたしっかりとした広報、対外発信に努めていきたいと考えています。

阪口委員 この点については、私も長年、日本のメディア戦略、国際広報戦略には課題が多いと思っておりました。日本の国益にもつながり、結果的には、地球益というんでしょうか、貴重な生態系の保護にもつながるわけですから、ぜひ、戦略的に対応できるような体制をつくっていただきたいと思います。

 最後の質問なんですけれども、今回、安倍総理と習近平さんが会談をした中で唯一具体的に合意されたものが、海上連絡メカニズム、これをしっかりと運用していけるように今後対応していこうということであったと私は理解をしています。

 まさに、先ほど申し上げた、共同で、ある問題に対して情報収集をする、解決に向けての協力をしていくというようなことも、この一端になるのではないかと私自身は考えているんですけれども、今後どのようなプロセスでこの海上連絡メカニズムが機能するようにしようとしているのか。

 例えば、米中間などでは古くからこういったメカニズムがあると聞いていますが、排他的経済水域の定義なども米中間では違っていて、実際にはなかなかその運用が難しいということも聞いています。

 今後、中国がこういった排他的経済水域あるいは自分たちの海域を、ある意味、一方的に拡大していかないとも限りません。やはり、そういったことにならないようにも、この問題について日本としての戦略をしっかり持つ必要があると思いますが、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 海上連絡メカニズムですが、このメカニズムを機能させ、スタートさせることにつきましては、既に日中間で合意をしておりましたし、今回、日中首脳会談においてそれをさらに確認したということであります。そして、事務レベルでしっかりとこれを進めるということについて一致をした次第でございます。

 海上連絡メカニズムの目的については、相互理解及び相互信頼を増進し、防衛協力を強化するとともに、不測の衝突を回避し、海空域における不測の事態が軍事衝突あるいは政治問題に発展することを防止する、これが一番大きな目的だと認識をしております。

 ぜひ、不測の事態を回避するということにつきましてこの海上連絡メカニズムがしっかり機能するようにしなければならないと思っておりますし、そういった成果を上げるべく、一日も早く事務レベルで協議を行い、そしてスタートさせたいと考えています。

阪口委員 ありがとうございました。

 ぜひ、この点については、しっかりと機能できる準備をして、結果を出せるように御努力をいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 維新の党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質問の時間を三十分いただきました。どうぞよろしくお願いします。

 それで、本日、通告しました内容はほとんど議論が重なってしまっておりますが、きょうはこの国会で最後の質問になるかもしれませんので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 私の質問も、CSCとAPECの関連でございます。伺ってまいりたいと思います。

 まず、一連のAPEC関連の動きについて伺いたいと思います。

 これも本日議論がありましたが、日中首脳会談が行われた、あわせて日中外相会談も行われたということでございますが、それぞれの成果と、そして残った課題について伺いたいということと、あわせて、これも本日の質疑であったんですけれども、日中首脳会談の映像が入ってまいりました。この映像を見て、長島委員の質問にもありましたけれども、おやっと思う映像だったと思います。しかも、日中首脳会談の場面だけ国旗も取り払われた、意図的に外されていたということでございます。これ自体が今の日中関係をあらわしていると思うんですが、この日中首脳会談の映像を見て、大臣の感想もあわせてお伺いしたいと思いますので、お願いします。

岸田国務大臣 まず、日中首脳会談の成果、そして残った課題ということですが、今回、日中首脳会談を実現できましたことは、中国との関係改善に向けた重要な一歩だと受けとめております。

 ただ、先ほども答弁させていただきましたが、これはあくまでもスタートであってゴールではありません。今後、対話と協力を具体的にしっかりと積み重ねていかなければなりません。先ほども議論になりました防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期運用開始など、しっかり進めていきたいと考えています。

 そして、日中外相会談の方ですが、外相会談も二年二カ月ぶりでありました。日中外相会談を二年二カ月ぶりに正式な会談として行うことができたことは、大きな意義があったと考えています。あわせて、その際に、中国のサンゴ船の違法操業問題にも触れ、我が国の立場をしっかりと伝え、そして協力を要請した次第であります。

 今後、引き続き、協力、対話を積み重ねていかなければならないと思っていますが、外相会談の中で、私の方からは、日中ハイレベル経済対話、あるいは日中事務次官級戦略対話、さらには日中安保対話、そして日中省エネルギー・環境総合フォーラム等の早期再開、こういったものが重要であるという指摘をさせていただきました。ぜひ、こうした協力と対話をしっかり積み重ねていきたいと思います。

 そして、日中首脳会談の映像についてどう思うのかという御質問をいただきました。

 映像の中での表情ですとか、あるいは会場の様子ですとか、これにつきましてはさまざまな見方、意見があるかとは思いますが、何よりも、世界第二と第三の経済大国のトップ同士が今まで一度も会見することができなかったわけですが、このトップ同士が、カメラの前で、国際社会が注目する中にあってしっかりと握手する場面を示すことができた、このことは、国際社会に対しても大きなシグナルであったのではないかと受けとめております。

 ぜひ、このシグナルを具体的な成果、結果につなげるよう、外交に責任を負う者としましても、しっかりと努力をしていかなければならない、こういったことを改めて感じた次第でございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の日中首脳会談での映像のところのコメントは、私は逆に、世界じゅうに、日中の関係が非常に緊張状態にあるような関係だ、ほかの首脳の映像も同時に流れるわけですから、明らかにほかの首脳会談、ほかの首脳と会うときの表情と違いますし、国旗すら外されているという状況は、むしろ、緊張状態にあるということを示すことになったのではないのかなと思いました。

 そして、その成果についても、確かに、首脳会談を開くこと自体に意味があったということはわかりますし、これが日中関係の新たな関係構築のスタートだということについても一定の理解はできます。しかし、今、東シナ海の状況でありますとか我が国の領海の状況というのは、会えば解決するという状況ではないと思います。

 日中外相会談で、今大臣が答弁いただいたことは、いろいろ会談の中で取り上げられたと思っておりますが、首脳会談自体では、全くこういうことに触れられていないわけでありまして、これがまさに安倍外交の今の問題をあらわしているんじゃないかと思っております。

 また、逆に、首脳会談の実現、外相会談の実現、これを優先する余り、中国の主張を優先し過ぎてしまう、あるいは我が国の主張を譲るということがあるのではないか、こういうことがあってはならないというふうに私は指摘しておきたいと思います。

 こうした点について、首脳会談、外相会談を実現することを優先する余りに、日本の主張を譲っているのではないかという指摘について、大臣の御見解、あるいは、そうじゃないんだという強い御答弁をいただきたいと思いますが、お願いできますでしょうか。

岸田国務大臣 今回、日中の間においては、四項目にわたりまして発表を行った上で、外相会談、そして首脳会談を行うこととなりました。この四項目の発表につきましては、日中関係を進める上において、日中間で一致した事柄についてまとめたという内容であります。

 我が国は、決して、従来の立場を譲ったとか変えたということはありません。それはしっかり確認をしておかなければならないと思っています。日中間で一致ができている部分についてまとめたものを公表し、そして外相会談を行い、首脳会談を行った、これが今回の経緯でありました。

 ぜひ、これをスタートとし、しっかりと今後の対話と協力の積み重ねにつなげていきたいと思っております。

 先ほど、首脳会談の中で具体的な項目には触れなかったのではないか、こういった御指摘もありましたが、安倍総理からは、小笠原諸島周辺で違法操業を続ける中国サンゴ船の問題など、外相会談で取り上げた個別の問題という形で、前向きな対応を中国側に求めたと承知をしております。

青柳委員 ありがとうございます。

 続いて、同じAPECの中で、日韓首脳会談については今回開催されなかったということでありますが、開催しなかったのは予定どおりなんでしょうか。それとも、調整したけれどもできなかったのでしょうか。

岸田国務大臣 日韓間には難しい問題がありますが、だからこそ高い政治のレベルでの率直な話し合いが必要であるという我が国の立場は、従来から一貫しております。

 日韓間での具体的なやりとりは控えさせていただきますが、引き続きまして、こうした対話の重要性はしっかりと認識をし、韓国側に対話をしっかりと呼びかけていきたいと考えております。

 引き続き、粘り強く努力を続けていきたいと考えます。

青柳委員 つまり、調整できなかったということでありますが、それ自体がまさに安倍外交の問題点、大きな課題なんだろうと思っています。

 岸田大臣自身が本日の質疑の中でも御答弁されていますとおり、近隣諸国との関係構築というのが外交の三本柱の一つだとおっしゃられておりますが、その外交の三本柱の一つの中の一つである日韓の首脳会談ができなかった。安倍政権になってから、まだ一度もバイでは実現されていないということ、これこそが大きな安倍外交の問題点なんだろうと思っております。

 ただ、一方で、APECの夕食会で、日韓の首脳が隣り合わせになった際に懇談したというのが報じられておりますが、この懇談で何か成果はあったんでしょうか。

岸田国務大臣 十日に行われましたAPEC首脳間の夕食会の際に、安倍総理と朴槿恵大統領が隣同士となりました。その機会に、さまざまな事項について議論を行ったと報告を受けています。

 そして、その中で、局長級協議、従来からこうした協議は続けておりましたが、この局長級協議をぜひ円滑に前進させる、こうしたことを促していく、こういったことについて一致したと承知をしております。

青柳委員 一定の成果はあったということですが、まさに外交の三本柱の一つだとおっしゃられているんですから、ぜひ、しっかり引き続き御対応いただきたいと思っております。

 一方で、日中韓外相会談の開催についての提案が中韓首脳会談で話題になった、議題として取り上げられたという報道もあります。日中首脳会談ではこの日中韓三カ国外相会談の話題はなかったというふうに聞いております。

 日中韓三カ国の枠組みというのも当然重要だというふうに御認識されていると思いますが、日中韓外相会談が中韓首脳会談で決められていく、日本が蚊帳の外に置かれているんじゃないかという指摘、懸念があるんですが、これを否定するような強い答弁をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の日中韓三カ国の外相会談につきましては、従来から、我が国として、日中韓の三カ国の協力を未来志向で強化するために重要であるということは訴え続けてきました。我が国は、この三カ国の外相会談、いつでも応じる準備がある、これはもう従来から、議長国であります韓国に伝え続けてまいりました。

 そして、今回の日中外相会談の席においても、私の方から、王毅外交部長に対しまして、日中韓外相会談の開催、これを提案させていただきました。そして、安倍総理の方からは、先ほども触れさせていただきましたが、外相会談で取り上げた個別の問題についてという表現で、さまざまな課題について前向きな対応を求めたということであります。

 今回、中韓両国も日中韓外相会議の開催に前向きな反応を示したということでありますので、このことはまず歓迎したいと思いますし、ぜひ、議長国であります韓国を中心に、こうした会議の開催に向けて努力を続けていただきたいと強く願っております。

青柳委員 次に、TPPについても伺っておきたいと思います。

 APECに合わせてTPP首脳会合が開催されたと思いますが、このTPP首脳会合での成果についてお伺いしたいと思います。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、十一月の八日、北京でTPPの閣僚会議が開催されまして、引き続き十日に首脳会合が開催されたところでございます。

 報道では、首脳声明に妥結時期を明記できなかったということが取り上げられておりますけれども、先生、前回御指摘いただいたとおり、スケジュール感を持ってこうした交渉を続けるということは大変重要でございます。

 ただ、これまでの過去の首脳の声明において、その年、年内の妥結ということが何度も明記されておりながら、それが実現できていないということは、全体のそういう目標は書いてあるけれども、それに至る段取りというものが固まっていなかったのが大きな原因ではないかということ、これは、五月にシンガポールで開きました閣僚会議のあたりから、我が国を含めて複数の国でかなり強く主張したところでございます。その結果、七月にオタワ、九月にハノイで首席交渉官会合がありまして、難航していない分野、難航分野以外の分野について課題ごとに締め切りを明記する、そういう作業計画づくりが始まったところでございます。

 今回の閣僚会議の報告書にはそれぞれの進捗状況が書かれておりますが、こうした作業計画をこれまでつくった分野については合意に近づいている、そういう報告がなされております。

 今回の北京の閣僚会合では、難航している分野も含めて、残された課題ごとにいつまでに結論を出すということを明記した共同作業計画というものを策定したところでございます。

 その作業計画を策定するに当たりましては、アメリカも含めた政治日程など各国の状況を踏まえて、TPPのモメンタムが落ちないうちにまとめようという、そういう大まかなスケジュール感は共有しております。

 対外的に発表できるスケジュールとして合意されてはおりませんが、今後の作業計画の進捗を見ながら、交渉全体の妥結に向けた具体的なスケジュールをより明確にしていくということになってございます。

 首脳会合におきましては、こうした閣僚からの報告を受けまして、交渉の終局が明確になりつつあるという認識を共有した上で、早期妥結に向けて、閣僚及び交渉官に、この協定を妥結することを最優先とするよう首脳からの指示が出されたところでございます。

青柳委員 今の御答弁のとおりだとは思うんですが、毎年毎年、結局先送り、越年していくという状況で、もう既にモメンタムはなくなっているんじゃないですか。そんなことはないですか。

 それと、フロマンUSTR代表は来年二月を交渉妥結の合意目標としたというふうに報道されていますが、これは我が国も同じ認識なんでしょうか。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 閣僚会合においても首脳会合においても、早期にTPPを妥結すべきである、そういう認識は十二カ国で共有されているというふうに認識しております。

 閣僚会議の場でどこの国がどういうことを言ったかということにつきましては、これは余りつまびらかにしないことになっておりますので、対外的に公表されたものとしては、共同の作業計画を策定したというところでございます。ただし、閣僚の中で今後のスケジュール感についての議論がいろいろ出されたことは事実でございます。

青柳委員 今回のAPECの宣言では、中国は、FTAAPの早期妥結を目指すとして、アジア太平洋地域での経済圏構築でも主導権をとろうとしているという報道もあります。

 このままTPP交渉が毎年毎年先送りされてモメンタムが落ちていけば、経済圏の構築でも中国に主導権をとられてしまうというリスクが今指摘されておりますが、こうした指摘に対してどのようにお考えになられていますか。

澁谷政府参考人 そういうリスクについてどうかということについては、なかなかお答えしにくいものがございますけれども、いずれにしても、早くまとめるべきだという認識では一致しているところでございます。

 これまでは、どちらかといいますと物品の市場アクセスの交渉が余り進展をしていないということで、それにつられて、ルールメーキングの分野、テキストの分野についてもまだ切迫感がなく議論されてきたのではないか、そういう指摘もあったわけでございますが、日米も含めまして、物品の交渉は各国ともかなりの進展を見せているところでございまして、今は逆に、ルールの分野で、知的財産についての議論が非常に難航しているところでございます。

 今回の閣僚からの報告書にはそのあたりが詳しく述べられておりまして、そういう難航している分野を中心に、作業計画を明確にすることで、その部分の加速化を図るということが合意されたところでございます。

青柳委員 ちょっと時間の関係で、残された時間はCSCについても伺っておきたいと思います。

 本日の議論でもいろいろるるありましたけれども、私からも、まずは、今回の条約加盟について、なぜほかの条約ではなくてCSCなのかということについて、わかりやすく、端的にお伺いしておきたいと思います。

 岸田大臣も、平成二十五年五月二十八日の衆議院の本会議で、CSCを最も有力な候補としているという答弁も過去にはありました。

 具体的に、なぜCSCが一番有力な候補になったのかということと、それは、我が国の国内では、どこの部門がどのような検討と議論を重ねてそういう結論に至ったのかということについて、まず伺いたいと思います。

引原政府参考人 お答えしたいと存じます。

 きょうたびたび御議論いただいておりますけれども、原子力損害賠償条約といたしましては、パリ条約の系列、ウィーン条約の系列、それから、きょう御議論いただいております原子力損害の補完的な補償に関する条約、CSCの三つの系統があるわけでございます。

 その中で最も新しいCSCは、今後の展望、被害者の救済、我が国の原賠制度との整合性等の観点から検討した結果、我が国にとって最も望ましい条約であるというふうに考えている次第でございます。

 具体的には、パリ条約は西欧諸国、ウィーン条約はロシアを含む中東欧、中南米等を中心に締結、署名されてきておりますけれども、CSCはアジア太平洋地域を中心に締結、署名されており、将来的にこの地域に共通の原子力損害賠償制度となるということが期待されておるわけでございます。

 また、あわせてCSCは、パリ条約あるいはウィーン条約の締約国も参加しやすいという形になっておりますので、国際的な原子力損害賠償制度の構築という観点からも最適であるというふうに考えております。

 また、現在発効しておりますこういったパリ条約、ウィーン条約との関係で申しますれば、CSCは、最低賠償措置額が高く、あわせて拠出金制度も設けられているということもございますので、被害者保護に最も手厚いということも申し上げることができるのではないかというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。

青柳委員 今、地域的なことについて言及がありましたけれども、アジア太平洋地域だということでした。

 だとすれば、当然、きょうもこれまで議論がありましたけれども、中国や韓国に加盟してもらうというのはとても重要だという認識だと思いますが、どのような取り組みをされていますか。まず、重要だという認識があるかどうかと、重要だという認識があるのであれば、どのような取り組みをしているかということについてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、CSCは、我が国が締結すれば発効する見込みであります。そして、発効いたしましたならば、中国、韓国を含む各国の締結の促進につながる、このことを期待したいと存じます。中国、韓国の締結は重要なことであると認識をいたします。

 これまでも、IAEA主催のワークショップ等において必要性を訴えかけてまいりましたし、中国、韓国を含むアジア地域諸国のCSC締結に向けた働きかけは、さまざまな機会を捉えて行ってきたところでございます。

 ぜひ、今後とも、原子力賠償制度、この国際的な枠組み構築に向けて、中国、韓国を初めとする関係国にしっかりと働きかけを強化していきたいと考えております。

青柳委員 今の御答弁で、中国、韓国について、このCSCに入っていただくというのはとても重要だという認識を持っている、あるいは期待しているということだ、それから、さまざまな機会にさまざまなレベルで働きかけを行っているんだという御答弁をいただきました。

 では、先般行われたAPECの機会に、中国、韓国といろいろな接触の機会があったと思いますが、このCSCについてどのような働きかけを行ったんでしょうか。

岸田国務大臣 APECの際の中国、韓国との接触ですが、中国との間においては、日中首脳会談、日中外相会談が行われました。また、韓国との間においても、安倍総理と朴槿恵大統領が夕食会の際に会話を行ったわけであります。

 こうした首脳間の接触は大変重要であり、大変重たいものであります。ですから、その中で話し合われることは大変重要だと思いますが、ただ、このCSCにつきましては、我が国自身が今現在まだ締結をしておりません。みずから締結していない段階で首脳会談で相手に締結を呼びかけるということについて、どう考えるかということでございます。

 ただ、まず我が国自体がしっかり締結した上で、中国、韓国には、今後とも、さまざまなレベルあるいはさまざまな機会を捉えて締結を働きかけていきたいとは考えております。

青柳委員 時間が来ましたので終わりますが、ただ、過去の議事録を見ると、今のような答弁とは違いましたので、指摘しておきたいと思います。

 時間が来ましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、岸田大臣に伺います。

 原子力損害の補完的な補償に関するCSC条約でありますが、ここでは、事故を起こした施設の原子力事業者のみが過失の有無を問わず賠償責任を負う無過失責任、責任集中が規定をされておりますが、これを定めている意味について改めて伺いたいと思います。

岸田国務大臣 責任集中についてでありますが、CSC附属書第三条3には、原子力損害が生じた場合に、原子力事業者が過失の有無を問わず賠償責任を負うこととなる旨規定しております。

 通常の不法行為では、被害者が加害者の過失を立証しなければなりませんが、原子力事故は、一旦発生すると甚大な損害を発生させるという危険を内包するものであり、また、過失の立証が困難である場合もあるという原子力損害の特殊性に鑑み、附属書第三条3は、被害者は、事業者の過失を立証することなく事業者に賠償を求めることができることを規定したものであります。

 また、CSC附属書第三条9は、原子力損害が生じた場合に、原子力損害の賠償を受ける権利を、責任を負う事業者に対してのみ行使できる旨規定しております。この規定によって、被害者にとって賠償請求権行使の対象が明確になると考えます。

 これらの原則は、いずれも原子力損害賠償に関する国際条約に共通のスタンダードな規定であります。また、我が国の原子力損害賠償法も同様の規定を有しております。

 CSCのこれらの規定によって、被害者の迅速な救済が図られるとともに、原子力関連事業における法的予見性を高める、こうした意味があると認識をしております。

笠井委員 要するに、原発メーカーについて言うと、メーカーが原発を輸出する場合に、輸出先国が本条約の締約国であれば、当該国で原発事故が起きても、原発メーカーについてはその事故の製造者責任等を免除される、免責されるということになりますね。

岸田国務大臣 先ほど紹介させていただきましたCSCの条文につきましては、原子力関連事業における法的予見性が高まる、こういった意味があると考えております。

 ただ、CSCは、個別の民間企業の商活動について取り決めるものではありません。こうしたCSCの意味は、やはり賠償の充実を趣旨とするものであるということ、これはしっかりと強調しておかなければならないと考えます。

笠井委員 原子力事業者のみがその責任を負うということになるわけですから、メーカーについて言うと、そういう製造者責任等は免除されるということになると思うんですが、その点はどうなんですか。そこが一点、結論的に。

岸田国務大臣 メーカーは、被害者から損害請求は受けませんが、書面による契約の範囲内で事業者からメーカーに対する求償がなされること、これは条約上定められていると認識をしております。

笠井委員 文科省に二点伺いますけれども、原子力計画課長が二〇〇八年十二月九日に行われた経産省の第二回国際戦略検討小委員会で配付をした「原子力損害賠償制度について」という資料がございます。ここにその資料がありますけれども、これを見ると、仮に日本が本条約の締約国となった場合に、我が国原子力産業の国際的展開の支援に資するというふうにありますが、その意味はどういうことか。

 もう一点、文科省の原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会、これが二〇〇八年十二月十五日に出した第一次報告書では、本条約について、「米国がCSCを批准するに至ったことから、日米共通の原子力産業の国際展開の法的基盤としても期待しうる。」というふうに位置づけておりますが、その理由は何か。

 端的に、二点お願いします。

山本大臣政務官 平成二十年の原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会報告及びその内容を報告した資料では、仮にCSCの締結を想定した場合に検討すべき論点を総合的にまとめておりまして、その一つに「我が国原子力産業の国際展開の支援」が挙げられております。

 具体的には、CSCの締結により、締約国で原子力事業者への責任集中等の制度が整備されることとなっております。これによりまして、締約国に我が国の原子力産業が輸出を行う場合に、法的なリスクが低減される可能性が想定されていたものと承知をしております。

笠井委員 政府は、米国との間で、二〇〇七年四月に、原発輸出を含む日米協力の枠組みを定めた日米原子力エネルギー共同行動計画を策定して、日米共同で、原発の新増設を計画、検討中のアジア地域等への原発輸出を推進してまいりました。米国は、日本が締結すれば条約の発効要件を満たすことから、日本の参加を強く働きかけてきたわけであります。

 文科省の資料にある、原子力産業の国際展開の支援、そして国際展開の法的基盤というのは、まさに、日本がこの米国の要求に積極的に応えて本条約を発効させることで、日米原子力企業の国際的なビジネス展開を後押しするという環境整備にほかならないということだと思います。

 そこで、岸田大臣に一点伺いたいんですが、政府としては、先ほど来ありました、本条約を早期に締結して、アジア地域を初め近隣諸国にも締結を働きかけるということでありますが、例えば、日本と二国間原子力協定を締結している相手、トルコなどにも働きかけていくつもりなのか、その辺はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、委員の最初の指摘の方ですが、CSCは、個別の民間企業の商活動について取り決めるものではなく、原発輸出を推進することを目的とするものでもありません。あくまでも、CSCの大切な目的は、被害者に対する賠償の充実であると認識をしております。

 そして、その上で、近隣諸国等に対する働きかけ、関係諸国に対する働きかけについて御質問をいただきました。

 福島第一原発事故の当事国として、国際的な原子力賠償制度の構築への貢献、これは我が国の責務だと考えています。我が国としては、CSCを早期に締結し、そして発効させるとともに、近隣諸国等にしっかり働きかけを行い、国際的な原子力賠償制度の枠組み構築に努めていきたいと考えております。

笠井委員 今大臣、前段の方では、推進のためではない、目的ではないとおっしゃったんだけれども、推進した流れの中で、しかも、文科省では、原子力産業の国際展開の支援、そして国際展開の法的基盤という位置づけもしながらこの問題をやってきたというのは、経過として明らかだと思うんです。

 そこで、既に日本が原子力協定を結んでいるトルコなんですけれども、言うまでもなく、世界有数の地震国であります。

 経産省は、この間、同国トルコの原発建設予定地周辺における活断層調査の事業、原子力海外建設人材育成委託事業を行っております。私は一年前の当委員会でもこの問題を取り上げましたが、委託先は日本原子力発電、日本原電、委託契約額は十一億二千万円というものであります。昨年七月十九日に委託契約が締結をされて、日本原電はこの事業を三社に再委託しました。

 経産省は、再委託先をもう一社追加するという計画変更について、昨年九月十三日付で承認をしていると思うんですけれども、その計画変更の理由はどういうふうに言われていてそれを承認したんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業に関しての計画の変更でございます。

 これまで、もともと二十六年の三月末に終了する予定でございましたけれども、その件に関しまして、トルコ側の要望によりまして、二十六年一月に一時事業を中断することになりまして、これを十月末まで事業期間を延長する、このように承知をいたしております。

笠井委員 この事業というのは、当初、ことし三月三十一日までが実施期間だったわけですけれども、日本原電から七カ月先の十月三十一日までに延ばす申請が出されて、経産省は、三月三十一日に実施期間を延ばすことを承認いたしました。これは、三月三十一日に起案をして、同じ日に決裁がおりているというふうに私も文書で確認しておりますが、なぜ三月末時点で七カ月延ばす必要が生じたというふうになったのでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 七カ月の延長、今お尋ねは、もともと三月末であったものが十月三十一日まで延長されたということの経緯についてのお尋ねでございますけれども、トルコ側からの要望の具体的な内容につきましては、相手国政府との信頼関係が損なわれる、こうしたおそれがあると考えておりまして、その理由をつまびらかに申し上げることは差し控えたいと存じますが、いずれにせよ、トルコ側の要望も一要因であったというふうに御理解いただければと思います。

笠井委員 相手国政府との関係と言うけれども、これは国民の税金でやっている委託事業ですからね。

 そこで、承認した経産省の決裁文書がここにありますけれども、これを見ますと、「陸域調査の実施直前になり、」ということが書いてあって、その後に、数えると六十文字分ぐらい墨塗りになっています。そして、その後、「七〜八月頃まで、陸域調査の開始を遅らせる必要が生じた。」ということで、何があったのかがわからないんですね。

 なぜここを墨塗りにする必要があるのか。明らかにすると日本国民が何か不利益をこうむることになるのか。何でこんなことをするんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの一部繰り返しになるところ恐縮でございますけれども、お示しいただいて、私どもから黒塗りで御提示をさせていただいた文書でございますが、こちらの該当箇所につきましては、トルコ側からの要望の具体的な内容を記すものと承知をしておりまして、相手国政府との信頼関係が損なわれる、こうしたおそれが現に存在する、このように考えてございまして、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の該当条文に照らしましても、この部分につきましては開示することは適切ではない、このように考えております。

笠井委員 トルコ側の要望があって、信頼関係ということですけれども、活断層の調査をやっていて、調査の結果が、原発の立地に適さない場所であることが明らかになったとか、そういう事情があったとか、あるいは、経過の中で、トルコ側が、この問題についてもっとやってくれとかという話があったとか、そういうことじゃないんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 再三繰り返しになり恐縮でございます。

 今委員の方から御指摘のあった内容についてのイエス、ノー、内容についてもお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、トルコ側からの要望の具体的な内容についてこの場でお示しすることは適切ではない、このように考えております。

笠井委員 国民の税金を使って委託事業をやっていて、国民に対して、国会に対して、明らかにして報告しなきゃいけないのに、トルコ側の事情があるということで、全部こうなる。

 では、伺いますけれども、七カ月延長された本事業ですが、七カ月ですから、本来、ことし十月末をもって終わっているはずですが、予定どおり終わりましたか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 十月三十一日までに計画変更した事業でございますけれども、再度計画の変更がございまして、十一月末までに終了する手続をとっております。

笠井委員 再委託先を一社ふやす計画変更を認めた昨年九月十三日付の経産省の決裁文書を見ますと、新たに加えた再委託先の事業者の名前も、これまた墨塗りになっております。これは別にトルコ側の事情じゃないですよね。なぜ隠しちゃって出さないんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年のこちらの委員会の場におきましても、御質疑をいただいたと承知をいたしておりますけれども、この再委託先事業につきましては、日本原電がどちらに採択を行っているか、これを公にすることによりまして、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるということで、お答えを差し控えたいというふうに考えております。

 また、本件に関しましては、一部、私どもの方のミスによりまして、黒塗りの漏れというものがありまして、その点に関しまして、この委員会でも審議に混乱を招いてしまったというふうなことは承知をいたしております。

笠井委員 結局、あれこれ言って、なぜ延長したかの理由も出さない、トルコの事情だとかと。こっちの方は、関係企業の競争上の地位その他の正当な利益を害する云々かんぬんと言って、結局全然出さないんですよ。

 この一社だけじゃないですね。今部長が言われたみたいに、当初の再委託先の三社も全て、去年の段階でもう墨塗りになっていたわけです。国民の税金を使いながら、血税を使いながら、誰に渡ったかを明らかにできない。事業者の利益を優先するというのは何事かという問題になってくるわけです。これは重大問題だと私は思うんです。

 しかも、この事業の委託というのは、企画競争によって、随意契約ですけれども、決定されたものであります。私、今、多田部長が言われたみたいに、昨年の十一月二十七日、二十九日、当時鈴木委員長、ここにいらっしゃいますけれども、そのもとでの審議の中で、当委員会で、委託先を審査して決定する、第三者の有識者で構成される委員会の問題をただしましたが、この問題も極めて不透明そのものであります。

 改めて伺いますが、経産省は、第三者の有識者によって、どこに委託するかについて審査をして決めたと言うんですけれども、四人の氏名をこれまた全て黒塗りにして、こうやってやったわけですよね。なぜこういうことをやるんですか。誰が審査したというのは、公正性とかいろいろな問題がありますよね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これも先般のやりとりの繰り返しになってしまうかもしれませんが、この第三者委員会の氏名等の情報につきましては、四人であるということは申し上げてあるかと思いますが、特定の個人を識別することができるものとなってございます。したがいまして、この点につきましては、不開示情報とすることが適切だ、このように考えております。

笠井委員 審査するのに誰がやったかというのは、特定の個人は秘匿と、だって、誰がやったかというのは、これは本当に大事な問題ですよ。それをもって、税金を使うということを委託するわけですからね。それを不開示にするというので、特定の個人がわかっちゃ困るなんという話はおかしい。

 経産省は、委託先を日本原電として契約することを決裁する文書の中で、その審査をした第三者の有識者の人選について、昨年の答弁、やりとりでも、事後的に決定した、人選したけれども、後で、日本原電に委託するという全体の決裁の中でその四人も書いてあって、事後的にその人たちについても人選は決定したというふうに言ったんですけれども、事後的にというのはどういう意味なんですか。

 普通は、人を決めたというふうにやって、審査して、結果こうでしたというのに、全部結果が出たときに、日本原電に委託しますよといったときに、初めて、あわせて、選んだ、審査した人たちも、この人たちですという決定をやる。何で事後的にやるんですか、こんなことを。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 この第三者委員会を開催いたしましたのは、昨年、契約に先立って七月四日に、書面持ち回り審査の形で、御意見をお諮りすることで開催したという点は、この委員会の場で御説明をさせていただいたかと存じます。

 そして、その後、実際、書類審査をお願いした後、審査の結果が出た段階で、私どもといたしまして、当該法人と契約を結ぶということにいたしたわけでございます。

 その契約を結ぶ決裁の過程におきまして、これを文書決裁をするわけでございますが、その際に、審査形態を含めまして事後的に決裁を経た、こういうふうに御理解いただければと存じます。

笠井委員 おかしいですよね、全部委託先が決まってから、誰に審査をお願いしたか、人に頼むところの決定まで後でまとめて丸めてやるなんて。

 委員というのは事前に選定するのが当たり前で、事後的にと言うけれども、では、委員の候補というのは誰が選んだんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 当該事業につきまして、外部有識者の選定でございますとか、そうした事務手続にかかわることに関しましては、私どもの省内のルールに基づきまして、担当課長の判断でやってございます。

 先般来、笠井委員から御指摘をいただいた点も踏まえまして、今年度につきましては、この第三者委員会の選定というものを、個々の事業に一つ一つ照らしてということではございませんで、私ども、二十六年度の原子力分野の国際協力に関する事業、三つの事業につきましては、改めて契約締結手続の改善措置を講じさせていただきました。

 具体的には、個別の事業ごとに第三者委員会を選定してきたわけでございますけれども、今年度からは、これら三事業につきまして共通する審査員として、あらかじめ当該分野の知見を有する有識者を選定する、こういう形をとらせていただきました。

 なお、今後は、今般御質疑をいただいております人材育成事業の委託先につきましても、これを選定する際にはこの第三者委員会を活用する、こういった形で改善を講じていきたいと思っております。

笠井委員 持ち回り審査と言われたんだけれども、昨年十一月二十九日に赤羽副大臣の答弁で認められましたけれども、この第三者の有識者というのは、顔を合わせることなく、会議を持たず、持ち回りと言うけれども、有識者それぞれと経産省の担当者が電子メールのやりとりで、ここにやりとりなども全部、これは墨塗りがいっぱいありますけれども、これでやっただけで委託先を日本原電にするという審査をやっていたわけですよ。こんなやり方をしていたわけですね、一定改善しますと言われたけれども。

 それで、その分野に知見を持っている有識者、外部とか第三者と言われるけれども、経産省OBとか、あるいは原子力業界などの利害関係者はいないというふうに赤羽副大臣は去年言われましたけれども、よもやここに経産省の職員がいる、担当部局以外がいるなんてことはないでしょうね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの外部有識者のメンバーの中に、私ども職員、経済産業省の職員がいるという事実はございません。

笠井委員 そういうことも含めて、わからないわけですよ、明らかにしないから。違うというんだったら、名前を出したらいいんです。別に、だって、ちゃんと国の仕事で、それを委託するということについての審査をやるわけですから、明らかにして証明すべきだと私は思います。

 そこで、岸田大臣、聞いていただいたと思うんですけれども、企画競争で契約先を決める公共事業というのは国交省にも多いです。経産省に、案件ごとに委員の審査を受けるんじゃなくて、局ごとに委員会をつくって、まず委員選定を組織としてきちんと行って公表しているのは当然だと思うので、一定の改善をすると今言われたんだけれども、こういう形で経産省がやったのは、委託先の選定が終わり契約を締結する段になって、事後的に有識者委員を決めるということでそれを確認していたり、いいかげんで不透明なことをやっているというのは経産省ぐらいじゃないかと私は思うんですね。

 経産省主管じゃないから、大臣は。だけれども、事は外務省主管の原子力協定にかかわる、それに関連して、こういう事業の関連で出てくるわけですから、一般論として、日本国民の血税で行われている国の委託事業で、委託先を誰が選定しているのか、そして、国会と国民の前にやはり明らかにするということは当然必要だと思うんですが、その辺はどういうふうに思われますか。

岸田国務大臣 個別の事案につきましては、私も十分承知していない中で何か申し上げるのは控えなければならないと思いますが、一般論として申し上げるならば、国民の血税によって事業を進める際に、さまざまな事情がありますので、具体的な対応は必要かとは思いますが、極力努力をし、透明性を高めていくべく、しっかりと取り組んでいくことは重要な姿勢ではないかと考えます。

笠井委員 新たに追加された一社以外の再委託先三社の中には、ダイヤコンサルタントという事業者が含まれています。昨年の質疑の中で、経産省の提出資料に明記されていることを指摘したら、赤羽副大臣が、点検ミスで開示してしまった、つまり墨塗りし忘れたという答弁をして、先ほど多田部長もそのことを認められたわけで、改めて言われたわけです。

 そこで伺いますが、トルコへの原発輸出、シノップの原発受注で合意をした企業連合がありますが、その中に日本のどの企業が入っていますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 トルコとの関係におきましては、昨年の五月、シノップ・サイトに関しまして、総理の訪問時に日本が優先交渉権を獲得した、こういう事実がございます。それを踏まえまして、昨年の十月の、また同じく総理の御訪問時に、トルコ政府と企業連合の間で商業契約を合意したという事実がございますが、大変恐縮でございますが、私、今手元にその企業連合の固有名詞を持っておりません。恐縮でございます。

笠井委員 外務省はわかりますか。

引原政府参考人 お答えいたします。

 大変恐縮でございますけれども、私も手元に委員のその種の資料を持っておりませんので、恐縮でございますが、そういうことでございます。

笠井委員 ちょっと驚きますね。首脳間で合意して、そのもとでやっていてというので、受注で合意した企業名が、日本がどこが入っているかが聞いてもわからないというのは、ちょっと私、本当に困っちゃうんですけれども、こういう答弁だと。

引原政府参考人 お答えいたします。

 手元に正確な資料がございませんので、記憶に頼っての答弁で本当に恐縮でございますけれども、三菱重工さんが関与しておられた案件ではなかったかというふうに記憶をしております。

笠井委員 これは別に、その項目を聞きますからどうですかと、改めて何か調べての話じゃないので、三菱重工業と伊藤忠商事を含む国際コンソーシアムでやっていると思うんです。

 このダイヤコンサルタントというのは、トルコでの原発受注予定の三菱重工業を初めとする三菱グループの企業であります、ダイヤですからね、ダイヤコンサルタント。しかも、敦賀原発で断層調査を請け負って、活断層を活断層でないというふうに主張してきているような事業者であります。

 原発受注を見越して、このような不透明なやり方で、国民の税金を使って、原発輸出ができるような、地震の影響なしという結論が出る調査をやっているんじゃないか、こういう疑問が国民から出るのも当然なわけでありまして、その上、原発メーカーをとことん利するような条約を締結するというのは、断じて認められないと思います。

 私、きょう伺っていてもクエスチョンマークがいっぱいあります。

 改めて、委員長、最後ですが、トルコの原発建設予定地に係る経産省の活断層調査業務で、日本原電を選定した第三者の有識者で構成される委員会の委員の氏名、役職、それから、再委託先企業と請負金額に関する資料の提出を求めたいと思うんです。昨年の質疑でも当時の鈴木委員長に要請をして、理事会協議となったままなので、改めて、その後の事態の進展あるいはいろいろな変更もありましたので、理事会で協議をお願いしたいと思います。

土屋委員長 理事会の方で協議させていただきます。

笠井委員 終わります。

土屋委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の承認の件について、質問をさせていただきます。

 国境を越える損害を含めた原子力損害についての民事責任に関する国際的な賠償制度に参加しようとする本条約に関してなんですが、幾つかこの内容について、確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、本条約は現在未発効です。我が国が締結すれば発効するということで、締約国は、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、UAE及びアメリカの五カ国。発効要件が、締約国が五カ国以上、締約国の原子炉の熱出力の合計が四十万メガワットを上回ることということで、五カ国で、上回るということで発効要件を満たすということになります。

 本条約を批准した場合の賠償措置についてですが、そもそも、この賠償措置についてはどのような形でとろうとするものであるかについてをお伺いします。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 CSCに規定されております賠償の制度のルールでございますけれども、一つは、締約国の間で賠償についての共通のルールを定めるということがございます。きょう、これは何度も御議論いただいているところでございますけれども、裁判管轄権を事故発生国に集中させる、そして原子力事業者が過失の有無を問わず賠償責任を集中して負う、あるいは、越境損害が生じたような場合に、自国被害者に対する外国事業者からの公平な賠償の確保をする、そういう一連の賠償の充実のためのルールというものがございます。

 それから、金額についてでございますけれども、まず一方で、CSCの締約国は、それぞれ自国内で最低三億SDR、今のを計算いたしますと四百七十億円程度でございますけれども、少なくともそれだけの賠償措置を締約国は準備する必要がある、そういう義務が締約国に課されるわけでございます。

 そして、不幸にして事故が起きて、その原子力損害がこういう額を超える場合には、これもきょう何度も御議論いただいておりますけれども、締約国が拠出金を持ち寄って賠償を補完して補償する、そういう制度もCSCでつくられる、そういうことでございます。

 以上でございます。

玉城委員 質問が重複するところは、そこも御丁寧に答えていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、本条約の締結に必要となるのは、それぞれの国における法律の整備であります。

 実は、本邦での国内法の整備が、本日、文部科学委員会でその審議が行われたというふうなことで聞いておりますが、我が国の国内法の整備についての内容に関しては、どのような内容で審議がなされたのかについて、文科省にお伺いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 CSC条約は、我が国の原子力損害賠償法と基本的な仕組みにおきましてそごはございませんので、CSCの締結に当たりまして、原子力損害賠償法の無過失・無限責任や責任集中の原則、あるいは損害賠償措置に関する制度といったような基本的なところを変更することはございません。

 今回のCSC条約の関連で国内法として提出させていただいております法案につきましては、CSCの締結に必要となる法整備ということで、具体的には、CSCが定める拠出金制度に基づきまして、原子力事業者が行う原子力損害の賠償に必要な資金の一部を補助することや、原子力事業者から負担金を徴収することなど、新たな仕組みを創設することが第一点でございます。

 それからもう一点は、現行の原子力損害賠償法等について条約の規定に適合させるため、核燃料物質等の運搬に関する特約は書面によってするなどの所要の改正を行うものでございます。

玉城委員 今説明がありましたけれども、所要の法律を整備して行うということで、締約国に義務づけられる事故発生国の賠償措置額、これが、先ほどの説明によりますと、一定額、原則三億SDR、約四百七十億円以上の賠償措置を締約国に義務づける、そして、さらには拠出金による損害の補償を行うというふうなことになっておりますね。

 では、伺いますが、事故発生国の賠償措置額の根拠、そもそもの一定額の根拠について、どのような根拠について算出されるものであるかを説明をお願いしたいと思います。

引原政府参考人 お答えいたします。

 CSCにおいて定めております最低賠償措置額三億SDR、これはどういう根拠であるか、そういうお尋ねであるかと承知いたしますけれども、CSCと申しますのは一九九七年に採択をされています。これはIAEAで起草されたわけでございますけれども、このとき、同時に、別の系統でございますウィーン条約の改正議定書というのも検討されておりました。ちなみに、この二つの条約、ウィーン条約改正議定書とCSC、いずれも三億SDRという同様の基準を持っているところでございます。

 この三億SDRという基準は、もともとウィーン条約改正議定書の交渉の結果として三億SDRというのが定まりまして、これをCSCも踏襲したというふうに承知をしております。

 当時の事情というものを振り返ってみますと、そのしばらく前にチェルノブイリ原発事故という非常に大きな事故があったわけでございますが、当時の時点では、もともとのウィーン条約というのは最低の賠償措置額が非常に低かった、これは米ドルでございますが五百万ドルであったということでございまして、チェルノブイリの原発事故を経て、この金額を引き上げるべし、そういう議論になったということでございます。

 当時の交渉参加国の賠償をめぐる状況というものを踏まえて、最終的に三億SDRという決定がなされたというふうに承知をしております。交渉のことでございますので、賠償措置額を大きく引き上げたいという国と、これを低く抑えたいという、いろいろな立場があったというふうに承知をしておりますけれども、議論の結果、最終的に三億SDRという水準になったというふうに承知をしております。

 以上でございます。

玉城委員 原発の事故が発生すると、この金額というものは、本当に、対処していく期間が延びることによって、非常に、事業者本体が賠償しなければならないという責任も広がっていくというふうに思われます。

 これは既に報道されているニュースなんですが、ことしの三月十一日時点で、それまで、震災から三年、東京電力福島第一原発事故による除染、賠償、廃炉などの損害額の見通しが、もろもろを足してですけれども、十一兆円を超えているというふうな額でございます。

 そうすると、ここで言う、いわゆる原子力損害の補完的な補償に関する条約の中で、約四百七十億円以上の賠償措置を締約国に義務づけるということではありますけれども、そうなってくると、補完をしていく、今度はこの拠出金による損害の補償そのものも、果たしてどういうふうな基準で、それが本当に補完されるという形になるのかということの疑問も、同時に持つわけであります。

 そこで、締約国の拠出金による賠償における拠出金の算定方法、これはこの条約の第四条に書いてあるところなんですが、この拠出金の算定方法についてお聞かせください。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、原子力事故の損害額が、CSCに規定されております事故発生国が整備すべき最低賠償措置額、具体的には三億SDR、これを超える場合には、全ての締約国が、条約の定める計算式に従ってそれぞれの締約国について算出される額、これが拠出金として算出されるわけで、これを負担するということでございます。

 この各締約国に課される拠出金の金額でございますけれども、これは、事故が発生した時点でのそれぞれの国の原子力設備容量を基本といたしまして、それにその国の国連分担率を加味して決められる、そういうことでございます。

玉城委員 国連の分担率が第四条でも記されているわけでございます。

 では、さらにお伺いいたしますが、今度、この第四条の三項では、拠出金の算定に当たっては、原子炉は、核燃料要素が最初に当該原子炉に装荷された日から対象となる、そして、全ての燃料要素が当該原子炉の炉心から永久に除去され、かつ、承認された手続に従って安全に貯蔵されたときに当該算定から除外するというふうなことになっております。

 そうしますと、例えば、福島の第一原子力発電所を例にとってみますと、まだその中のいわゆる核燃料要素なるものは除外されていない、取り除かれていないというわけですね。

 そういう状況も考えますと、この四条三項に当てはまる場合というものをさらに精査するとすれば、どのような内容になるのかということが一点。

 それから、今度は第八条。第八条では、「原子力施設の一覧表」というものがあります。第四条3に規定する原子力施設を全て記載した完全な一覧表については寄託者に通報するということで、この場合の寄託者はIAEAを想定するかというふうに思料するものでありますが、この二つについての説明を求めたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 条約の四条の3の規定に関しまして、福島第一原発のような場合どうなるかという御質問の点につきまして、私の方からお答え申し上げたいと思います。

 先生御案内のとおり、福島第一原発につきましては、震災当時、稼働中のものが一号機から三号機までございました。四号機から六号機までは定期検査中でございまして、一号機から三号機までは稼働中でございましたので、いまだに燃料デブリが残存している状況にございます。

 他方、定期検査中の四号機から六号機の燃料につきましては、四号機につきましては、既に全燃料が取り出し済みでございました。六号機については、当時燃料プールに入っておりましたけれども、先日取り出しが完了いたしました。そして、五号機につきましては、まだ取り出しの作業が始まっていない、こういう状況でございます。

 したがいまして、現在、この第四条の3の規定に該当いたしますものは、福島第一原発の中の炉心内燃料の状況について申し上げれば、四号機、六号機は既に炉心に燃料がない状態でございますので、この規定からは除外される、このように考えております。

引原政府参考人 続いてお答えさせていただきます。

 CSC八条に規定がございます「原子力施設の一覧表」についてのお尋ねがございましたので、それについてお答えを申したいと思います。

 CSCにおきましては、各締約国が支払う拠出金について、これは、各締約国の原子力設備の容量、具体的には、それぞれの締約国が保有する原子炉の熱出力、そういう概念がございます、熱出力の合計、これに基づいて計算するということになっております。これはCSCの第四条に規定しております。この計算のために必要な事項を記載した上で、その国の原子力施設の一覧表というものをIAEAに通報するということにされております。これがCSCの八条に規定されているということであります。

 したがって、我が国がCSCを締結するということにもしなりますれば、この八条の規定に基づいて、原子力施設の一覧表をIAEAに通報するということになります。

 ここで規定されております原子力施設ということでございますけれども、ここで対象となります原子力施設には、例えば、実験発電用の原子炉や研究炉、研究用の原子炉等も含まれるということになります。

 ここで関係してまいりますのは、あくまでも原子炉ということでございますので、例えば核燃料の工場であるとか再処理施設とか、そういったものはここには入ってこないというふうに御理解いただければいいかと存じます。

 以上でございます。

玉城委員 この条約の承認に関する件は以上とさせていただきますが、やはりまだ明確になっていないといいますか、明確にすべきであるというふうなことが、今現在、福島第一原発の事故の状況が収束していない我が国においては、非常に重要な部分を有しているというふうに私は思います。重ねてその懸念を示しておきたいと思います。

 次に、普天間基地の移設問題に関する件についてお伺いしたいと思います。

 先般、別の委員会で別の委員の発言が、少し地元で、私の支援者の方から、これはどういう経緯なのかぜひ確かめてもらいたいということでありました。これは何かといいますと、普天間基地が移設される辺野古地域における、今までの基地のいわゆる建設に関する経緯についてです。まあ、委員がどういうふうな発言をするかは委員の自由ですので、それを私は特に問題とするものではありません。

 ただ、その基地建設が行われていた一九五〇年代当時、四五年に戦争が終わり、四六年から沖縄では基地建設が行われていき、さらに五〇年代、一九五〇年から朝鮮戦争が始まってからはさらに激化していくという状況の中で、この辺野古地区における米軍基地建設に関して、米軍施政権下における経緯について、一九五〇年代に基地建設が始まった端緒から完成に至るまでのその経緯、及びその間における地元住民側の協議、検討がなされたような経緯について、防衛省にまず確認をしたいと思います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のキャンプ・シュワブについてでございますけれども、キャンプ・シュワブは、御指摘ありましたように、昭和三十年代の前半に建設されたものと承知しておりますけれども、我が国の施政権下になかった時代のことでもございまして、御指摘いただきました建設の端緒あるいは地元住民の協議の状況といった点につきまして、防衛省として確たることを申し上げることは難しいということで御理解いただければと思います。

玉城委員 沖縄県公文書館の資料を見れば誰でも調べられるようなことです。

 簡単に御説明します。

 一九五三年、琉球列島米国民政府布令第百九号でしょうか、土地収用令が出されます。それによって、いわゆる一九五〇年代にかかるまで、銃剣とブルドーザーによって土地が奪われていくわけでございます。

 その中で最も大きいのは、一九五五年、三万坪を接収された宜野湾市、宜野湾村の伊佐浜、それから三月十四日は十万八千坪が奪われた伊江村真謝地区、さらに七月十一日には伊佐浜が接収を重ねられ、それから、沖縄県では、銃剣とブルドーザーによる土地接収に対して、島ぐるみ闘争という言葉が生まれました。その経緯は誰でも知っていることです。

 ですから、米国の施政権下にあったからそのことについてわからないということは、私はいかがなものかというふうに思います。

 なぜそういうことを言うかといいますと、現在も、当然ですけれども、キャンプ・シュワブ、辺野古地域に普天間基地が移設されるということについて、さまざまな現地の情報、現地の報道などがいろいろな角度からなされているわけですね。辺野古地区の住民がキャンプ・シュワブをみずから進んで誘致したとの事実について、いかようなものですかというものが問い合わせとしてあったわけでございます。ですから、私は、では、それだったら、きちんと政府側に問うてみた方がよろしいですねということで、この質問をさせていただいております。

 私が調べた段階で、これは名護市の広報渉外課からいただいた文章ですが、一九五五年一月、米国民政府が久志村を通して久志岳、辺野古岳一帯の山林野を銃器演習に使用したいとの通知があった。これを受け、久志村臨時議会では反対決議をし、米国民政府等の関係機関に陳情を行うとともに阻止行動を起こした。同年七月、民政府から再び土地使用の新規接収の予告があり、測量実施に向けた辺野古区への入域許可の申し出があったが、辺野古区の常会はこれを拒否、軍用地反対等を採択して久志村当局へ要請、その後、米国民政府から軍用地反対を続けている字に対して、これ以上反対を続行するならば、強制立ち退きの行使も辞さず、しかも一切の補償も拒否する等と強硬に勧告してきたことから、辺野古区では宜野湾伊佐浜部落等が強制立ち退きされた事例があったことに鑑み、条件を付して土地使用契約を締結した。簡潔にまとめると、こういう流れになるわけですね。

 つまり、土地の強制接収が行われるということがあったがために、辺野古区では、きちんと、その中で反対決議もして、これはだめだ、先祖からもらった土地にせっかく帰ってきて、今なりわいを立てているところなので絶対できません、測量もできませんというふうなことを言ったんですが、であれば銃剣とブルドーザーで追い出すとおどされたために、やむなく協議をして、であればと条件を付した上でそれを認めたという経緯があるわけですね。

 そのことについて、私が言っていることにほぼ違いはないと思いますが、そのことでよろしいですか。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が名護市の方から入手されたものと同じかどうかわかりませんけれども、キャンプ・シュワブの所在する辺野古区で編さんされたものとして、辺野古誌というものがございます。

 この中で、「基地と辺野古」という章立てがあります。その中で、軍用地に関する事項として、例えば、今先生が御指摘になりました収容予告ないしは土地接収及び土地契約、また、基地建設に関する事項といたしまして、キャンプ・シュワブ及び辺野古弾薬庫、こういうことについて項目立てられて記述しておるということについては承知してございます。

 ただ、その内容につきましては、先ほどの繰り返しで恐縮でございますけれども、我が国の施政下になかったという時代のことでもございますので、防衛省として、これを引用する形で確たることを申し上げるということについては差し控えさせていただきたいと思います。

玉城委員 ありがとうございました。

 確認ができたということで、実は、私もその辺野古誌のコピーを手元に持っておりまして、今おっしゃったことは既にトレースをさせていただいておりますので、ほぼ私たちの考え方は同じといいますか、間違いがないということです。

 ですから、こういうふうなきっちりとしたその地域のなりわいの事実というものが、本当に苦難の連続であった、しかも、多大な、二十三万人余りの戦争による犠牲をこうむった沖縄における、戦争が行われた後の、戦後ですから、その混乱の中で、さまざまな住民の思いが交錯するということは、これは当たり前のことだと思います。しかし、その苦難を乗り越えてきたという今に至るその経緯についてはしっかりと敬意を表し、その区民の皆さんのこれからの平穏な生活を望まない国民は一人としていらっしゃらないというふうなことも、あわせて、このことを今回取り上げさせていただいたことの思いとして述べさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 では、続いて質問させていただきますが、沖縄防衛局が提出した埋立工事の変更申請についてです。

 沖縄県環境部は、沖縄防衛局が提出した名護市辺野古の新基地建設埋立工事の変更申請に関する意見を県の土木建築部に提出しております。四件の申請に対して二十四件の意見を明記しておりますが、特に、美謝川の水路変更、暗渠の増加により生物への影響が大きいと考えられるため、評価書における環境影響の比較検討結果との整合に疑問などなど、かなり、これは非常に厳しい、この変更については厳しいという意見が付されておりますが、その件について防衛省の見解を伺います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の普天間代替施設の建設事業につきましては、十二月に公有水面の埋め立ての承認をいただいたところでございますけれども、その後も、埋め立て等の工事につきまして、安全及び環境の保全に配慮しつつ、より効率的かつ着実に進めるための方策について、継続的に検討を重ねてきておるところでございます。

 九月三日、沖縄防衛局の方におきまして沖縄県に提出した本事業に係ります公有水面の埋め立てに関する申請、これは設計概要の変更承認申請書というものでございますけれども、これは、今申し上げましたような検討をしてきた方策を事業内容に反映させるために行ったところでございます。

 この申請につきまして、これまで、沖縄県によります形式審査をしまして、内容審査を受けているところでございます。先日、十一月五日でございますが、沖縄防衛局におきまして、この内容審査に関しまして二回目となります質問などにつきまして回答を求める旨の文書を県からお受けしたところでございます。

 現在、局におきまして、質問内容等を確認いたしまして、回答に向けた作業を行っているところでございます。作業が終了次第、速やかに事業者としての見解及び回答を県に提出したいというふうに考えております。

 その中で、委員御指摘の美謝川の切りかえルートの件でございます。

 現在、今申し上げましたように、県において審査中ということで、具体的な内容についてお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、美謝川の切りかえルートの検討に当たりましては、将来の建物などの施設配置に支障を来す可能性から、飛行場用地を通る切りかえルートを除外していたところでございますけれども、今般、飛行場用地に係る施設計画の進捗から、切りかえルートの計画が可能となったというものでございます。

 いずれにいたしましても、質問をお受けして、それに対する回答を作業しておるというような状況でございます。

玉城委員 こういう変更の中に、実は、もともとは自然光が当たるような水路であるにもかかわらず、それを変更するためにボックスカルバートを置く、暗渠をつくるというふうなことですが、それだと自然光が入らないので自然環境に与える影響が大きい、それに何とLEDの照明をつければいいのではないかというふうな話とか、あり得ないような、とてもではないんですが、環境に本当に即した内容の変更になるのかどうかということの疑問も呈されておりますので、この件に関しては、また引き続き質問を重ねていきたいと思います。

 では、時間がありませんので質問を一つ飛ばして、最後の質問にさせていただきます。

 例えば、この地域では、先般も大浦湾に七・四メートルの海藻の群落が見つかったということで、これまで三メートル以上の海藻群落は九州以北でのみ確認されていたんですが、この米軍普天間飛行場の移設計画が進む大浦湾の埋立予定地に生息する海藻群落が七・四メートル、世界的にも初めて確認された、そういう記事が十一月三日、これは切り抜きですけれども、載っておりました。

 かような状況から、やはり生物多様性に関する問題は、非常にいろいろな方面に問題視をする意見が広がっておりまして、ラムサール条約の事務局が、三十一日までに、環境影響評価に基づく保全措置をとるよう求める文書を環境省に提出しています。辺野古沖について、このラムサール条約事務局が保全措置を求めたのは初めてです。

 そして、四千人の研究者を有する日本生態学会を初めとする国内十九の自然研究団体が連名で、十一日、沖縄防衛局が進めているこの移設計画の中止を含めた計画見直しと、環境アセスメントの再実施を求めて、国や県に要請書を提出しています。

 このように、数々見つかっている新種、希少種などについて、実は、防衛省が行った環境影響評価のアセスメントでは不備が甚だしいということで、保全措置がとられていない、そのことについて世界各国からこういう声が集まっているわけです。

 我が国は、一九九三年に環境基本法、二〇〇八年に生物多様性基本法、さらに、二〇一〇年、生物多様性国家戦略二〇一〇、COP10に合わせて国家戦略を策定して、世界に冠たる、この生物多様性を重視する、未来に対して永続していくというふうな考えさえも出しているにもかかわらず、ラムサール事務局からは初めてというこういう勧告までなされているわけですね。

 そのことについて、保全要求文書についての環境省の見解を最後に伺いたいと思います。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 ラムサール条約事務局からの文書、いただいております。その文書には、名護市大浦湾の辺野古地区における埋立事業について、環境影響評価の実施状況とその結果、さらに影響の緩和措置などについて情報提供を求めるものでございました。

 本件につきましては、先日、環境省の担当官がラムサール条約の事務局員に会う機会がございましたので、その際に、環境影響評価の手続は既に終了していること、そして、事業者である防衛省において適切な環境配慮が行われると認識している旨を既に回答しているところでございます。

玉城委員 生物多様性の海は、これまでの研究者らの調査で、三メートルを超える巨大ナマコなど、未記載種の種類が次々と報告され、十一種は二〇〇七年以降、つまり、そのアセスメントが行われた以降に新種として記載されているという状況もあります。

 こういうことを考えると、やはりアセスメントをもう一回やり直して、本当に生物多様性のその海域の保全が適正であるか、国民にしっかりと示していただきたい。そのことを踏まえて、やはりアセスはやり直しをするべきであるということを申し述べて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十二分開議

土屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これにて原子力損害の補完的な補償に関する条約の締結について承認を求めるの件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、原子力損害の補完的な補償に関する条約の承認に反対の討論を行います。

 まず初めに、この案件に関する質疑で、まだ審議が尽くされないまま、徹底審議が必要だということを求めましたが、尽くされないままに採決日程が、しかも、理事会において野党そろって、全会一致でないものについて採決をすることについてはすべきでないと求めたにもかかわらず、こういう形で日程が職権で強行されたことに、強く抗議したいと思います。

 本条約は、原発輸出を含む日米協力の枠組みを定めた二〇〇七年四月の日米原子力エネルギー共同行動計画に基づき、日米共同で原発の新増設を計画、検討中のアジア地域等への原発輸出を推進するためのものであります。

 米国は、日本が締結すれば本条約の発効要件を満たすことから、これまで、日本の参加を強く働きかけてきました。本条約の締結は、日本が、この米国の要求に積極的に応えて、日米の原子力企業の国際的なビジネス展開を後押ししようとするものにほかなりません。

 本条約は、原発事故の損害賠償について、原子力事業者の無過失責任、責任集中を定めており、相手国が本条約の締約国であれば、原発輸出に際し、当該国で事故が発生しても、その賠償責任は、過失の有無を問わず、事故発生国の原子力事業者のみが負うものとしています。

 これは、原発事故の賠償責任を原子力事業者に集中させ、原発メーカーには製造者責任が及ばないようにすることで、訴訟等のリスクを負わずに原発輸出に参入できるようにするためのものであります。

 また、本条約の定める拠出金制度も問題です。

 他の締約国で損害が発生した場合も日本が拠出金を負担する義務を負うため、日本が、拠出金を受けることにも増して、原発の運転経験が浅く、リスクの高い国を支援することを迫られるものです。

 政府は、この拠出金を捻出するために、原子力事業者から負担金を徴収する方針であり、電力料金に上乗せされれば、国民生活にさらなる負担増を強いることになります。

 さらに、本条約が、原子力損害に関する訴訟の裁判管轄権を事故発生国にのみ認めていることも重大です。

 日本が締約国となった場合、日本で起きた事故に関しては日本が管轄権を有しますが、他の締約国で発生した事故により日本国民が損害をこうむった場合、事故発生国に出向いて裁判手続を行わなければならなくなります。

 しかも、本条約は、各締約国の国内法における原発損害の概念を完全に一致させようとするものではないため、日本の国内法では賠償され得る損害が、事故発生国の基準に基づく訴訟であるために、賠償範囲が限定されたり、賠償額が低く抑えられたりするおそれがあります。

 以上の重要な問題点を指摘して、反対討論を終わります。

土屋委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土屋委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

土屋委員長 これより採決に入ります。

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土屋委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.