衆議院

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第6号 平成27年4月17日(金曜日)

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平成二十七年四月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 大野敬太郎君

   理事 島田 佳和君 理事 辻  清人君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      小渕 優子君    大塚 高司君

      勝沼 栄明君    河井 克行君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 隼人君    薗浦健太郎君

      渡海紀三朗君    中根 一幸君

      藤井比早之君    星野 剛士君

      松島みどり君    武藤 貴也君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

      鈴木 貴子君    長島 昭久君

      青柳陽一郎君    木内 孝胤君

      岡本 三成君    穀田 恵二君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        城内  実君

   外務大臣政務官      薗浦健太郎君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           山本 茂樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    林   肇君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            遠藤  久君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  塚本 瑞天君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 武藤 義哉君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     小林 鷹之君

    ―――――――――――――

四月十六日

 経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 東南アジア諸国連合プラス三箇国マクロ経済調査事務局を設立する協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 二千七年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 東南アジア諸国連合プラス三箇国マクロ経済調査事務局を設立する協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 二千七年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長上月豊久君、大臣官房審議官山上信吾君、大臣官房審議官伊藤直樹君、大臣官房参事官水嶋光一君、大臣官房参事官滝崎成樹君、大臣官房参事官鈴木秀生君、欧州局長林肇君、中東アフリカ局長上村司君、内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣府北方対策本部審議官山本茂樹君、水産庁資源管理部審議官遠藤久君、環境省自然環境局長塚本瑞天君、防衛省大臣官房審議官武藤義哉君、地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。

佐々木(紀)委員 おはようございます。自由民主党の佐々木紀と申します。

 今国会から外務委員会に配属をされました。したがって、きょうが初質問となりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 外務大臣、G7の外相会合、大変お疲れさまでございました。ドイツのリューベックというところで行われたわけでありますけれども、大変きれいな町だというふうに伺っております。ドイツ北部の港町、港湾都市でありまして、水に囲まれた、れんがの町並みが美しいところでございまして、世界遺産にも登録をされているということであります。

 大臣は、十三日の月曜日に出発をして、火、水と会合で、そのまま帰路につかれて昨日帰国ということで、時差が八時間あって、移動時間が片道十五時間ほどというふうに伺っております。大変な強行スケジュールだったかなというふうに思います。そんな美しい町並みを散策するいとまもなく帰国されたということ、御推察申し上げますけれども、公務とはいえ大変なことだなというふうに思います。

 きょうは、そのG7外相会合に関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 その外相会合でございますけれども、共同声明を発表して閉幕をしたわけでありますが、どのようなことが協議をされ、そしてその成果や手応えはいかがであったか、感想も含めて、帰国早々ホットなところを教えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

岸田国務大臣 四月の十四日から十五日にかけて行われましたG7外相会談、ドイツのリューベックで開催されましたことしのG7外相会談に出席をしてまいりました。

 私自身、一昨年の四月がロンドンで行われましたG8外相会合、昨年が九月の国連総会の際に行われましたG7の外相会合、そしてことしがリューベックでのG7外相会合と、G7あるいはG8の外相会談は三度目でありますが、今回の外相会合におきましては、イランですとかあるいはウクライナといった地域情勢について、そしてテロ対策、さらにはエボラ出血熱対策、こうしたグローバルな課題についても議論を行いました。

 その中で、私の方からは、アジアにおける安全保障環境、さらには海洋の安全保障、さらには、ことし被爆七十年を迎える年に当たりまして行われますNPT運用検討会議の重要性、核兵器のない世界に向けての取り組み、こういった議論を提起させていただきまして、議論を主導させていただきました。

 今回の会議におきましては、G7外相コミュニケ、成果文書として、コミュニケ本体とあわせて三つの成果文書が発出されましたが、三つのうち一つが海洋の安全保障に関するものであり、もう一つが軍縮・不拡散に関するものであります。ちなみに、もう一つがアフリカ・アジェンダということでありまして、本体とあわせて発出されました三つの成果文書のうちの二つが、日本が主導した議論に基づくものであるということから考えましても、日本の存在感は示すことができたと考えております。

 来年は我が国がG7の議長国に就任いたします。ぜひ、今回の議論を、まずはことし六月のドイツにおいて行われますエルマウ・サミットにしっかりつなげ、そして来年の日本サミットにしっかりつなげていきたいと考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございました。

 大変大きな成果があったというふうに伺いました。成果文書として、海上安全保障、そしてまた軍縮・不拡散、アフリカ・アジェンダと成果があったということで、その中でも二つの成果文書について日本が大きな役割を果たしたという御報告だったかというふうに思います。

 この海洋安全保障に関する外相宣言でありますけれども、G7としては初めて発表されたということであります。本当に大きな成果だと評価をしたいというふうに思うわけでありますけれども、これに関連して幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この外相宣言の中では、東シナ海及び南シナ海の状況を引き続き注視するとして、現状変更や緊張を高める一方的な行動を懸念し、力などによるいかなる試みにも強く反対するとしております。名指しこそはしておりませんが、これは中国を念頭に置いたものと考えてよろしいでしょうか。

城内副大臣 佐々木委員にお答えいたします。

 御指摘の海洋安全保障に関するG7外相宣言のこの文章の意味するところは、まさに記述されているとおりであり、具体的にどのような主体の行為を念頭に置いているかについて私から述べることは差し控えたいと思います。

 その上で、あえて申し上げれば、今回のG7外相会合において、航行、上空飛行の自由、国際法の遵守、紛争の平和的解決といった原則が共通の利益であるとの認識で一致できたことは、大変有意義であるというふうに考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 中国を念頭に置いたものだろうというふうに私は考えております。

 東シナ海、南シナ海、アジアの安全保障を考えたときは大変重要な地域であるわけでありますけれども、その外相宣言の中の、まず、東シナ海の状況ということについても触れられておるわけでありますけれども、これは尖閣諸島のことを指しているというふうに私は考えております。

 尖閣諸島をめぐる現状と我が国の立場は、G7の諸国にどのように理解をされているのか。端的に言いますと、アメリカはもちろんでありますけれども、他のG7諸国も全て日本支持だと考えていいんでしょうか。よろしくお願いします。

城内副大臣 佐々木委員にお答えいたします。

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しております。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在いたしません。

 中国公船によるたび重なる領海侵入は極めて遺憾であります。我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意で、毅然かつ冷静に対処してきております。

 なお、G7諸国につきましては、日ごろからの緊密な意思疎通を通じて、尖閣諸島をめぐる情勢や我が国の立場について認識しているものと理解しております。いずれにしましても、各国の理解が一層深まるよう、今後とも丁寧に説明していく考えであります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 G7の中では日本は唯一アジアの国として参加をしているわけでありますから、やはり日本の担う責任、役割は大変大きいかというふうに思います。

 そういっても、日本だけでこの問題を処理するということはできないわけでございますから、G7の諸国としっかりと連携をして、情報交換をしながら取り組んでいく。そうすることが、このアジアの安定にもつながり、世界の安定にもつながっていくものだろうというふうに思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 さて、同じくこの海洋安全保障に関する外相宣言の中では、南シナ海の状況についても触れておるわけであります。

 南シナ海は、今、中国が次々と岩礁の埋め立てを行っているという状況であります。周辺国の主権侵害であることはもとより、東アジアの安全保障にも重大な脅威であります。さらには、深刻な環境破壊ということにもつながります。

 今回の声明を契機に、この中国の埋め立てをやめさせるとか、国際社会の具体的な行動が必要だと考えますけれども、政府としてはどのように取り組んでいくお考えでしょうか。

城内副大臣 お答えいたします。

 南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結し、世界の海洋秩序に影響する国際社会全体の関心事項であります。

 我が国としては、各国が緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づき行動することが、国際秩序の形成及び維持にとって重要であると考えております。特に、関係国が、二〇〇二年の南シナ海における関係国の行動に関する宣言の精神と規定に立ち返り、恒常的な物理的変更を伴う一方的行動をとらないよう約束すべきと考えております。

 G7外相会合でも、厳しさを増すアジアの安全保障環境について、我が岸田大臣より議論をリードしていただき、特に海洋安全保障の文脈では、一方的な現状変更の試みは放置できないことを強調したところであります。

 そして、今回、海洋安全保障については、独立の声明という形で、国際法にのっとった航行、上空飛行の自由や紛争の平和的解決といった原則が共通の利益であるとの認識で一致したところであります。

 我が国としては、引き続き、法の支配が貫徹されるよう、米国や他の同志国と緊密に連携していく考えです。また、中国が、国際的な基準を遵守、共有しながら、地域やグローバルな課題に対し、より建設的かつ協調的な役割を果たすよう、働きかけてまいります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございました。

 この中国による南沙諸島の岩礁の埋め立てということ、私は大変驚きました。私どもの方言で、しなしなとというんですけれども、じわじわとやっていたということで、本当に驚いたなというふうに思うわけであります。

 南沙諸島、大部分は小さな無人島の集まりなわけでありますけれども、その周辺には豊富な水産資源や海底油田があるというふうにも言われておるわけでありまして、ASEAN諸国とか中国が領有権を争っている場所でもあるわけであります。にもかかわらず、中国が勝手に岩礁の埋め立て作業と、そこに施設までつくっていたということで、本当に驚いたわけであります。

 ちょっとインターネットで、どんな状況になっているかなと思って見てみたんですけれども、本当にもう何か都市みたいな感じになっているところもあるんですよね。ヘリポートや港なども建設をしている。一部の岩礁では携帯電話サービスも利用可能だということで、よくぞここまでしなしなとつくったものだなというふうに思うわけであります。

 本当にこういったことは、ASEAN諸国も、やはりそれぞれは小さい国でありますので、国々が連携をして、しっかりと、建設をやめさせるとか、そういった措置をとらなければいけないのではないかなというふうに思うわけであります。

 中国は一方的な力による現状変更ということを本当にいろいろなところでやっておるわけでありまして、本当に言語道断だなというふうに思います。

 ちょっと話はかわりますけれども、尖閣諸島においても、一九六九年に国連が周辺海域に石油などの天然資源がある可能性を指摘する前までは、中国は日本の領土とみなしていたわけであります。しかし、その周辺に資源があるとわかった途端に領有権の主張を始めたといった経緯もあるわけであります。ある意味、大変わかりやすいというか、自分勝手というか、本当に厄介な国だなということを思うわけであります。

 そこで、そんな中国でありますけれども、今その中国が提唱をしているAIIBについて、少しお伺いをしたいというふうに思います。

 外相会合でも、このAIIB、アジアインフラ投資銀行についても議論があったというお話がありました。そこで、今ほど御説明いただいたように、海上安全保障の分野では、G7各国が一致をして中国に懸念を示しているわけでありますけれども、このAIIBについては、G7のうちイギリス、フランス、ドイツ、イタリアが参加をすると表明をしたわけであります。一見すると足並みが乱れているように思うわけでありますけれども、また、一部報道によりますと、カナダも参加に積極的だったという報道もあったわけでありますが、その辺はいかがだったでしょうか。

城内副大臣 佐々木委員の御質問にお答えいたします。

 政府は、AIIBの構想が発表されて以降、G7各国などの関係国との間では緊密に意見交換、情報交換を行いながら対応してきております。関係国間では、交渉に入るか、あるいは外側から働きかけるかというアプローチの違いはあるものの、AIIBに関する基本的な問題意識は共有されておると考えております。

 十五日のG7外相会合におきましても、カナダを含むG7各国は、ガバナンスが重要であるということで一致いたしました。今後もG7が連携して対応していくことをまた確認したところであります。

 政府といたしましては、引き続き、関係国と連携しつつ、中国側に対してAIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう働きかけていく考えであります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 中国政府の発表によりますと、このAIIB創設メンバーは五十七カ国となっております。

 今回のG7では、AIIBについて公正な統治の重要性について一致したと報じられているわけでありますけれども、今ほど御説明ありましたが、そのほか具体的に何か踏み込んだ議論が行われたのでしょうか。

城内副大臣 お答えいたします。

 先般のG7外相会合では、東アジアの情勢についての議論の一環で、AIIBについても取り上げられたところであります。

 他方で、議論の詳細について申し上げることは控えさせていただきますが、AIIBについてはガバナンスが重要であるということで一致し、今後もG7で連携して対応していくことを確認したところであります。

 政府といたしましては、引き続き、関係国と連携しつつ、中国側に対しAIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう働きかけていく考えであります。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございました。

 今後、我が国がこのAIIBに参加するかしないかといったことを引き続き検討されていくというふうに思うわけでありますけれども、その検討状況についてお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

城内副大臣 我が国の参加の検討状況ですが、AIIBにつきましては、日本政府としては、これは繰り返しになりますけれども、これまでも明らかにしてきているとおり、公正なガバナンスの確立、債務の持続可能性といった点を含め、慎重な見きわめが必要であるとの立場に変わりはございません。

 政府としては、こうした観点に立ち、特定の期限にとらわれることなく、引き続き、関係国と連携しながら、AIIBが、またこれは繰り返しになりますけれども、国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう、中国側に働きかけていく考えであります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございました。

 一連の質問において、AIIBについての政府の御見解を伺いました。ありがとうございました。

 加盟する、しないといったところだけを見ますと、何かG7でちょっと足並みが乱れているように思うわけでありますけれども、決してそうではないということだと思います。ガバナンスの透明性を求めていく姿勢は各国共通しているわけでありまして、内側から、外側からといった表現もありました、アプローチの違いがあるだけだということだと思います。今後も、連携を密にして、公正で透明な運営を求めていくことが肝要だというふうに考えます。

 私、個人的には、このAIIBの加盟というのは、越えなきゃいけないハードルはたくさんあるなというふうに思うわけであります。拠出金も、何か十五億ドル以上とか、また、融資の審査の透明性、公平性、そういったガバナンスであるとか、ADBとの関係性、あと環境破壊につながるような開発に対する懸念とか、本当にいろいろ乗り越えなきゃいけないハードルというんですか、フィルターがあるわけでありまして、そういったことについて明確な解がない以上、現状では慎重にならざるを得ない、賢明な判断だというふうに思っております。

 また、先日発表があったんですが、中国も日本の参加を歓迎するようなコメントも出しているわけでありますから、日本が加盟するということは、むしろ大事なカードなわけであります。

 米国を初めG7の諸国と情報交換、連携を密にして、公平性、透明性の担保を求めながら、特定の期限にとらわれない、加盟は慎重に判断していくべきだというふうに私は個人的に考えております。引き続きのお取り組みをお願い申し上げたいというふうに思います。

 それでは、ここまで海洋安全保障、AIIBについて触れてきたわけでありますけれども、外相会談においては、このほかにも、テロ対策であるとかイラン、ウクライナ問題等も協議をされたというふうに伺っております。

 そこで、三月に日本人を含む外国人観光客らが犠牲となったチュニジアでの博物館襲撃、あるいは過激派組織ISILによる相次ぐテロ行為を強く非難した、その拡大を防ぐために、経済政策や教育政策などを通じた包括的な取り組みが必要だと指摘されたということを伺っております。

 直接に軍事的手段で貢献できない我が国としては、こうした分野で役割を果たせるのではないかと思いますけれども、具体的にどのような貢献を行っていくつもりか、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 我が国としては、活力に満ち、また安定した中東を取り戻すために、まさに過激主義との最前線で対峙をしておる穏健なイスラム諸国、こうした国々を支援すべく、人道支援など非軍事分野において貢献をしてきております。

 こうした我が国の取り組みは、中東諸国を初め国際社会からも高く評価をされており、また、私自身が先般訪問いたしましたイラク政府またクルディスタン地域政府からも、我が国のこうした支援に対する高い評価、また今後の支援に対する高い期待を私自身が感じ取ったところでございます。

 我々外務省といたしましては、先般のシリアにおける邦人テロの殺害事案を受けまして、まず第一に、テロ対策の強化、そして二つ目に、中東の安定と繁栄に向けた外交の強化、三つ目に、過激主義を生み出さない社会の構築支援から成る今後の日本外交の三本柱を打ち出したところでございます。

 具体的に申し上げますと、いわゆる若者の失業対策、それから職業訓練等を通じたかの地域におけます格差是正に向けた取り組み、また、教育支援においては学校建設を初めとするさまざまな取り組みを行ってきておりまして、今後も、こうした貢献を通じ、中庸が最善という考え方をこの地域において実践していきたいと思っております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 職業訓練を通じた格差の是正とか学校の建設とかといった具体的なお取り組みをした中で、しっかりと取り組んでいくということ、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 私も昨年サウジアラビアの方にちょっと伺ったんですけれども、イスラムの国々は大変親日な国だな、しかも大変穏やかな人々が多いなということを感じましたし、一方で、大変律儀な人たち、割かし時間を守る人が多いということも感じました。

 したがって、大変日本とは合うなというんですかね、なじみがあるなというふうに感じましたので、いっときイスラム国という表記が出て、イスラム教の国々が全部何か敵みたいな印象になったわけでありますけれども、決してそうではない、むしろ親日な国が多いということをもっと多くの国民に知っていただきたいなというふうに思うわけであります。

 続きまして、北朝鮮についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 報道によると、拉致問題を含む人権問題の解決や核開発、ミサイル開発の中止を求める内容も盛り込まれたというふうに伺っております。具体的にどのような議論が行われたか、また、我が国にとってどのような成果があったか、御報告をお願いしたいと思います。

城内副大臣 ただいま佐々木委員より、G7外相会合におけます北朝鮮に関する具体的な議論及び成果についてお尋ねがございました。

 北朝鮮につきましては、岸田外務大臣より、核・ミサイル開発の継続は国際社会全体の重大な脅威であること、そして、拉致問題が深刻な人権侵害であり、国際社会の普遍的な問題である旨説明がなされたところであります。その上で、G7として、北朝鮮の核・ミサイル開発を強く非難し、拉致問題を含む人権侵害に対する深刻な懸念を共有したところであります。

 G7として北朝鮮に対する強いメッセージを発出できたことは、一つの成果であります。こうした国際社会の懸念に北朝鮮が耳を傾け、前向きな対応をとることを期待するところであります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございました。引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、最後に、我が国にとっての優先順位は別ではございますけれども、この外相会合全体を通じた主要な議題というのは、ウクライナ問題やイラン問題であったというふうに伺っております。これらの問題についても、具体的にどのような議論が行われ、我が国としてはどのような貢献ができると考えていらっしゃるか、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

薗浦大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、ウクライナについてでございますけれども、同国の主権、領土の一体性及び独立の尊重を大前提といたしまして、停戦合意の実施を初め、情勢を平和的に、外交的に解決するG7の連帯が確認をされたところでございます。

 我が国としては、この履行状況を注視するとともに、G7と連携をしながら情勢の改善に向けた努力を行ってまいりたいと思っております。また、ウクライナの改革努力を後押しするために、国別では最大規模となる約十八・四億ドルの支援、これを着実に実施してまいりたいと考えております。

 次に、イランにつきましては、イランが「包括的共同作業計画の主要な要素」に合意したことを歓迎しております。これはEU3プラス3、いわゆるイギリス、フランス、ドイツ、プラスアメリカ、ロシア、中国とでございますけれども、この計画の最終合意に向けた努力を支援していくことで一致をいたしております。また、イランが地域の安定や人権といった面においても、責任ある行動を求めていくことを確認しておりました。

 岸田大臣からは、この問題について最終的な合意に達することが重要であり、今後も我が国はあらゆる努力を惜しまない旨を発言いたしております。

 いずれにしても、岸田大臣、ザリーフ外相はこれまで三度にわたり会談をいたしております。我が国とイランとは伝統的に友好関係にあり、直接働きかけを行う立場でありまして、独自の立場からさまざまな役割を果たしていく考えであります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございました。

 ウクライナの問題は、力による現状変更を許さない、法の支配を重視するといった意味でも大変大事なことでありますし、経済再建の支援策も具体的に示していく必要があろうかなというふうに思います。

 また、イランについても、これは日本経済にも大変大きな影響が出てきます。日本の原油の輸入は中東が八割ということでございますから、ホルムズ海峡は生命線であるわけであります。友好関係にもあるということでもございますので、ぜひ経済的な側面からもしっかりと取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。

 以上が、今回の外相会合に関連した質疑でございました。

 来年は、日本がサミット開催ということであります。今回の議論を踏まえまして、大臣の意気込みを聞かせていただきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 G7のサミットですが、民主主義ですとか法の支配、さらには人権、こうした基本的な価値を共有する主要国の首脳が、率直に意見交換をするフォーラムであります。

 今回のG7の外相会合でも感じたことですが、こうした基本的な価値を共有する国々が集まって、国際社会の平和や安定そして繁栄に向けて、方向性を確認するとかそれぞれの役割分担をしっかり議論する、こうした議論は、他の対話の枠組みにはない重要な取り組みではないかと思っています。

 ぜひ、来年、我が国はG7の議長国を務めるわけですが、こうしたG7の枠組みにふさわしい、まず議題をしっかり選定しなければならないと思っていますし、しっかり議論を行った上で、国際社会にしっかりとした発信を行わなければなりません。こうしたことを通じて、国際社会のさまざまな議論をリードしていく、こうした結果につなげていきたいと思います。

 まずは、ことしの六月に、ドイツのエルマウでサミットが開催されます。この議論にしっかり我が国として貢献した上で、その議論の成果も踏まえながら、来年の日本サミットに向けて準備をしていかなければならないと考えます。このG7サミットの存在感をしっかり示せるような議論を行うべく、しっかり準備をしていきたいと考えます。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございました。ぜひ存在感のあるリードをしていっていただきたいというふうに思います。

 開催都市が気になるところでありますけれども、三月十四日、北陸新幹線が金沢まで開業したわけでありますから、ぜひ沿線地域でしていただければ、開業効果も出るかなというふうに思います。

 以上で質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

土屋委員長 次に、鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 改めまして、皆さん、おはようございます。

 外務委員会で質問をさせていただくのは今回が初めてとなります。しかしながら、建設的、また前向きで、粛々と質問をさせていただきたいな、このように思っております。

 まず、きょうは、サケ・マスの流し網交渉、そしてまた在外公館の専門調査員、また日ロ関係、特に北方領土問題について質問をさせていただきたい、このように思っております。

 その質問に入る前に、これは通告をしていないので、もし答えていただければで結構なんですけれども、きのうの新聞、朝日新聞の一面、これは皆さんもごらんになった方は多いかと思います。「IS直接交渉 家族のみ 後藤さん妻へのメール内容判明 政府、やり取り関与せず」、こういった記事が全国紙のトップ、一面、また、中面、二面の方でも大きく取り上げられておりました。

 ここでぜひ岸田外務大臣にお答えをいただければと思うんですけれども、実際に、このメール、十一月下旬から来ていた。そしてまた、十二月三日には、奥さんの方から外務省の方にこういうメールが来ているというふうに報告もあった。しかしながら、内容に外務省の方は全くノータッチであった、やりとりには直接関与せずという方針をとっていたという報道がなされております。

 しかしながら、協力を実際に諸外国にも求めていた日本としましては、まず足元の情報、こういったものをしっかりと掌握し、また、必要であればこれに、コントロールといいますか、最善のやりとりになるべく手を尽くすべきであったか、このように私は思うのです。

 こういったことを踏まえても、今回の日本政府としての危機対応、こういったものは本当に十分だったと大臣の方は今でも思っていらっしゃいますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘の報道については承知をしております。

 そして、今回の事案につきましては、まず直接交渉ということにつきましては、相手はテロリストであり、そしてその組織の実態も明らかになっておりません。よって、まともに交渉する相手ではない、こうした基本的な認識に基づいて対応を行った次第です。

 そして、その上で、人質のお二人の方を解放するために何が最も効果的なのか、こうした観点から検討を行い、そしてISILと直接接触することではなくして、ヨルダン政府を初めとする関係各国との緊密な連携をしながら、あらゆるチャンネル、部族長ですとか宗教指導者ですとか各国の情報機関ですとか、こうしたさまざまなチャンネルを活用して努力を行ったというのが我が国の対応でありました。

 御家族との関係で申し上げるならば、御家族と緊密に連絡をとりながら、できる限り御家族のお気持ちに寄り添って支援を行ってまいりました。

 厳しい条件の中ではありましたが、今申し上げました方針に従って、政府としましては全力を挙げて取り組んだと考えております。

鈴木(貴)委員 今、はっきりと大臣は、全力を挙げて取り組んだと断言をされたわけであります。と同時に、大臣も、その実態が明らかになっていなかったと。これが非常に大きな問題というか課題だったかと思うんですけれども、そういった中で、実際に奥さんの方には十一月下旬から何度となくメールがあった、これもまた事実であります。

 実態が明らかになっていないのであれば、ありとあらゆるチャンネルの中にこのメール、しっかりと外務省としても政府としても掌握をし、この情報のルートが正しいのか、また、その内容から読み取れるさまざまな向こう側からのメッセージ、そしてまた、そこから考えられる日本側の手だて、さまざまやり方というものがあったのではないか。また、それを、そのインテリジェンスというのを発揮するのがまさに外務省の仕事であり、存在意義であった、このように、私は強い憤りを今感じながら質問に立たせていただいているわけであります。

 これは通告がなかったので延々と質問は続けませんけれども、報道ベースではありますが、文面について助言したりすることは一切なかった、こういうふうにも書かれているわけであります。御家族の方の心情に寄り添うということにも重きを置かれたということでありますが、果たして本当にそれが全力を尽くしたということになり得るのか。二月には実際に検証委員会が立ち上がったわけでありますが、今回の報道内容を踏まえてしっかりと検証していただきたい、このように思います。

 最後に、一点だけ。二月にこの検証委員会が立ち上がりましたが、実際にこの報告書というのはいつごろまでに出されるお考えでしょうか。

岸田国務大臣 メールについての御指摘については、このメールはあくまで後藤さんの奥様宛てのメールでありますので、プライバシーとの関係もありますので、この詳細を申し上げるのは控えたいと思います。

 政府としましては、十二月三日の日に、御家族から連絡を受けて、後藤さんが何者かに拘束された可能性が高い、こうしたことを認知いたしました。その後につきましては、奥様、御家族の方々と緊密に連絡をとらせていただき、できるだけお気持ちに沿うような形で対応をしてきた次第であります。

 そして、いつまでに報告を出すのかということにつきまして、具体的にいつまでという期限を設定しているものではありません。

 安全対策につきましては、外務省を中心に、できることから対応を検討し、そして実施をしていくということで、邦人の安全対策には万全を期していきたいと思いますが、全体の報告につきましては、官邸を中心に作業を進めていきたいと考えております。

鈴木(貴)委員 何とも、期待をしていたような歯切れのよい答弁ではなかったかのように思って、非常に残念でならないわけでありますが、しかし、こうした悲劇を繰り返さないためにも、しっかりと検証作業を行っていただき、そしてまた、なるべく早い段階でこうしたものを表に出していただきたいな、検証結果をしっかりと報告していただきたい、このように強く要望させていただきたいと思います。

 それでは、通告をさせていただいた質問の方に移らせていただきます。

 まず、サケ・マスの流し網禁止法案について質問をさせていただきます。

 これは、日本漁船も操業するロシア海域でサケ・マス流し網漁というものがあるんですけれども、二〇一六年からサケ・マスの流し網を禁止する、全面禁止だ、こういった法案がロシア政府によって提出をされました。そしてまた、ついこの間、九日には、シェスタコフ漁業庁長官も、この法案を支持するというような意向を表明されております。これが、実際にこの法案が通りますと、日本においても経済に対しての影響というのは、これははかり知れない打撃があるかと思っております。

 そういった上で、日本政府のこれからの姿勢を、二、三お聞きしたいと思っております。

 今回、ロシアがなぜこのサケ・マス流し網禁止法案を出したか。この背景には、環境保護だ、流し網によって、例えば海鳥がその網に入ってしまう、乱獲を招くおそれがある、こういったことから、サケ・マスの資源保護の観点から、流し網を禁止だというような話をしております。

 ここで、まず事務方、参考人にお尋ねをしたいんですけれども、この流し網が水産資源の減少、野生動物の生態に悪影響を及ぼすという客観的な、科学的なデータというものはありますでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今現在、日本の流し網につきましては、昨年は三十八隻ほど出漁しておりますが、ロシアの流し網も二十隻程度あると聞いております。

 現在の規模で、現状の操業状況におきましては、そういった生態系への影響があるというふうには我々としては考えておりませんし、そういった情報は我々としてはないと考えております。

 ちなみに、対象としていますサケ・マスの資源につきましては、ロシアとの間で、全般的に良好な状況である、こういった共通の認識があるということを申し添えておきます。

鈴木(貴)委員 今答弁にあったように、客観的なデータもない、そしてまた、今のところ、早急に対応すべき、そういった問題点も上がっていない。

 こういったことを受けまして、日本政府としても何ら手だてを打っていなかったわけではなく、実際に、二〇一四年十一月には、APECの際の日ロ首脳会談でも、安倍総理みずからプーチン大統領に対し働きかけをされている。そしてまた、一四年十二月、当時の大臣でありますが、西川農水大臣がフョードロフ農業大臣に書簡も出している。また、岸田大臣も、二〇一五年、ことしの一月にシュワロフ第一副首相の方に書簡を出されている。このように私も伺っております。

 去年の十二月、そしてことしの一月と、矢継ぎ早といいますか、相次いで出されている、こういったことから、日本政府としてもそれなりの懸念といいますか、そういった思いを持って行動をとっていただいているものだろうと私も思っておりますが、この書簡に対して、ロシア政府側から何らかの反応といいますか、答えはあったのでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問につきましては、今御紹介あったとおり、我々としてもさまざまな形で外務省と連携をいたしまして、我が国の漁業者の操業機会が失われないようにロシア側に働きかけを行ってきております。

 先ほど御指摘のあった西川前農林水産大臣からの書簡、それから岸田外務大臣からの書簡につきましては、明確な返答はまだないというふうに我々としては理解しております。

鈴木(貴)委員 今、まだないということでありましたが、このなかったことに対して日本政府としての働きかけはあったんでしょうか。

岸田国務大臣 今委員から御指摘がありましたような形で、ロシア側に対して書簡を発するなど、働きかけを行ってきました。そして、それに対しまして、現状においては具体的な反応はありません。

 我が国としましては、そうした反応の確認も含めまして、原田駐ロ大使等を通じましてフョードロフ農業大臣を初め関係者に引き続き接触を図り、働きかけを続けております。こうしたルートを通じまして、ロシア側の反応を確認していくべく、努力は続けていきたいと考えます。

鈴木(貴)委員 これからも続けていくということなんでありますが、しかしながら、これは法案を提出された、そしてまた政府の方もこれを後押しするというような報道もなされている中で、まさにこれは、一刻一秒を争うといいますか、悠長に構えているような問題ではない、このように思っております。

 そこで、いかほど日本政府の方でこの問題に対して危機感を抱いているかという点についても改めてお伺いをさせていただきたいんですが、サケ・マスの流し網全面禁止における地域経済、漁業に関しての影響、試算というものはいかほどに出していらっしゃいますでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私の方から、昨年の操業隻数が三十八隻と申し上げました。その際の漁獲金額、水揚げ金額につきましては約三十三億円でございます。ですから、漁獲金額ということでございますと、三十億あるいは三十億強の影響が出てくるものと考えております。

 それから、これは具体的な数字はなかなか難しくてまだ算定されておりませんけれども、加工業者への影響とかそういったことを考えますと相当程度の影響が出るんだろうというふうに認識しておりまして、そのためにも、我々としては今後とも外務省と連携しながら働きかけをしていきたいと思っております。

鈴木(貴)委員 きっと今、委員の皆さんも、三十数隻だといって、規模はちっちゃいじゃないか、このようにもしかしたら思っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、実は、トン数にしましても六千六百トンほどもありまして、まさに日本のサケ・マスを担っている、これがサケ・マスの流し網漁であります。

 今、水産庁の方で試算三十億というふうに出していらっしゃいました。しかしながら、実際、漁獲割り当てで金額換算すると確かに三十億かもしれませんが、ここにもちろん、おかに上がってきてからの加工があるわけです。小売業もあるわけです。そしてまた、それを運ぶための流通もある、油もある。これは、全体的にまさに地域経済の死活問題なわけです。

 これは地元でも、まさに、この水産、一次産業、全体的に担い手の問題なども大きく取り沙汰されているわけでありますが、実際に水産の方も、やめていく、廃業される方が非常にふえている現状もある。こういった中で、今回この流し網が本当に禁止になってしまうとなった場合に、暮らしていくすべというものを全て絶たれるわけであります。

 六千六百トンを三十億程度の経済影響だと。地元では、加工業、小売、全て、ありとあらゆるものを総体的にひっくるめますと、これは桁違いの地域への経済影響というものが算出をされているわけであります。

 こういったまさに死活問題で、特に安倍政権においては、地方創生だ、このようにおっしゃっている中で、今回のこの法案が、このまま、日本政府として重立った動きをとらずに、可決、成立されてしまった場合には、地方が、地域がまさになくなってしまう、こういった話になってくる、このように思っております。

 同時に、ロシア二百海里内サケ・マス交渉というものもあります。例年ですと、もう既にこの時期になれば交渉が行われているんですが、ことしは日程もまだ決まっていないかと思います。これは、水産庁の方また外務省に確認をしましても、現在調整中ですという回答が繰り返しされているんです。ですが、調整中というのであれば、今まで何をどこまで調整されているのか、具体的に説明をお願いいたします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 サケ・マスの交渉の政府間協議でございますけれども、我が方からは、二月の段階で、四月の初めには協議を開始したいという意向を先方に伝えております。それから、三月にも、我が方が、これは日本水域のサケ・マスの交渉でございますけれども、その際に、さらに、四月中には何とかしてくれという話を伝えております。それから、もちろん、その後、書簡等でも、四月中に開催をお願いするというようなことを要請してきております。

 今、その要請の中でまだ調整中ということでございますけれども、引き続き、外務省とも連携しながら、早期の開催ができますよう要請をしていきたいと思っております。

鈴木(貴)委員 遠藤審議官には、先月三十一日にも、根室の方で水産関係の皆さんに直接説明会などもしていただきまして、その尽力に対しても私も感謝を申し上げるとともに、引き続き強い態度でこれに向き合っていただきたい。

 また、中型のサケ・マス漁船と俗に言われるものなんですけれども、これは実は、もう昨年の秋から皆さん準備に入られるんです。網をかえるのに二千万、三千万と、既に準備をしている。もしこれが、今現在交渉のめども立たないとなれば、実際にこの二千万、三千万かけたものはどうしていくんだ、どうやって生きていくんだ、どうやってこの地域を守っていくんだ、こういった問題につながってくる、これは非常に大きな大きな死活問題であるという点を改めて強調させていただき、また、遠藤審議官もそうでありますし、交渉事でありますから外務省、そしてまた所管の大臣にも、改めてこの問題、強い態度で臨んでいただきたいと思います。

 大臣、一言だけ、この法案に対して日本政府として、どのような立場で、今後どう取り組んでいくのか、決意そしてまた予定のほどを伺わせていただけますでしょうか。

岸田国務大臣 日ロ間の漁業協力、これは大変重要な課題であり、そして、本件につきましても、漁業のみならず、加工業者あるいは地域経済にも影響が考えられる、重要な案件であると認識をいたします。

 まずもって、法案の審議状況につきましてしっかり情報収集を行うとともに、何よりも、我が国の漁業者の方々が漁業を継続できるように、しっかりと取り組んでいかなければならないと存じます。問題の重要性をしっかり認識した上で、全力で取り組んでいきたいと考えます。

鈴木(貴)委員 引き続き、よろしくお願いをいたします。

 それでは、在外公館の専門調査員制度の方に質問を移らせていただきたいと思います。

 この専門調査員という制度なんですけれども、二十五歳以上四十歳未満、また、大学院修士課程修了以上の学歴、あるいはそれに準じる職歴、そして、専門的な研究の実績、使用する言語に関する一定程度の語学力を有する者という形で、海外のさまざまな公館の方に配置をされまして、そこであらゆる業務に当たっていただいているわけであります。

 ちなみに、この専門調査員、身分に関しては、国家公務員ではないんですけれども、派遣に当たっては公用旅券も発行されるなど、そういった、特権的といいましょうか、必要な待遇もなされている、こういったポジションであります。

 この専門調査員制度、もともとこれは外務省所管であったものが、二〇一〇年十月以降は一般社団法人国際交流サービス協会の派遣職員として在外公館に派遣をされているということなんですけれども、なぜ外務省からこの一般社団法人の方に移ったのか、端的に理由を教えてください。

上月政府参考人 お答えいたします。

 専門調査員制度、今委員からの御指摘のとおり、昭和五十七年に開始されて、平成二十一年までは外務大臣の委嘱に基づいて在外公館に派遣されるということにしておりました。これが、平成二十二年度には、専門調査員は、現在のように、労働者派遣法に基づいて派遣されるということに変わりまして、労働者派遣法の枠組みのもとで派遣されるようになりました。専門調査員が在外公館の指揮監督のもとで調査研究活動を行うことがより明確になりました。

 具体的には、外務省において企画競争を実施して派遣事業者を選定した上で、外務省が契約した派遣業者が専門調査員を在外公館に派遣しているということでございます。

 今、御質問のところの中で、変更の理由について具体的に御質問がありましたけれども、従来の制度で、委嘱であります場合には、これは雇用契約が結ばれなくなります。そうなると、専門調査員が労働災害保険や社会保険に加入することができなかった、こういう点がございました。労働者派遣法に基づいて派遣される場合には、派遣事業者との雇用契約が結ばれるため、専門調査員が労働災害保険や社会保険に加入することが可能になりまして、より安定的な待遇を提供することができるようになった。この辺の事情が、この変更の中で大きな事情でございます。

鈴木(貴)委員 今、競争制度、あと、もちろん、そこには公正公平な観点というものも組み込まれているんだろうな、このように思っているところであります。

 しかしながら、私、採用の試験のあり方ですとか条件を見ていると、ちょっと何点か疑問に思うことがありまして、ぜひこの場で伺わせていただきたいと思います。

 それはなぜかといいますと、外務省は、これは人事課の方、レクをお願いさせていただいて、話を聞きましたら、毎年入札を行っている、公正公平な競争の観点だというんですが、ホームページには、この一般社団法人国際交流サービス協会、発足当初より、外務省が諸外国から招聘する各層の外国人の受け入れにかかわる便宜供与業務を精力的に実施してまいりました、このようにあるんですね。

 発足当初より、つまり、過去の経験だとか、そういった保証というんですか信用がない中でも、当初からずっと一貫して、この一般社団法人国際交流サービスが入札を落としてきている。間にはほかの業者は入ったことは今までないということなんですね。

 また、この協会の所在地というのは外務省内にある。ということは、物理的にもといいますか、外務省との情報連携などの意味からしても、なかなかこれは、外部が入ってきやすいというのは現実的に非常に厳しいんじゃないか。まず、入札で外部が落とす現実味があるんだろうか、こういった疑問点。

 そしてまた、本来であれば、ならば採用のときにも国際交流サービス協会の方で採用をやっているのかなと思いきや、採用の面接というのは、これまた外に発注をしている、こういうことも聞いております。

 ちなみに、一次試験、語学であるとか、あとは人物面接だとか、これを外に発注している。孫会社みたいな形ですよね。外務省があって、国際交流サービスがあって、しかしながら、また外に発注をして採用している。

 ここら辺、私は、非常にまどろっこしいといいますか、予算的な意味を含めてもこれは無駄があるんじゃないのかな、このように思っております。特にまた、外務省においてはそれぞれの語学の専門家の皆さんがいらっしゃるわけでありますから、その外務省の職員の皆さんが面接も担当されるというのが、逆に、一番理にかなっているのではないのかな、このように思っております。

 また、面接のときの質問に対して、面接を受けられた方からさまざまな不快感を示す言葉というものが寄せられておりまして、例えば、某公館受験者なんですけれども、面接官に、あなたは本当に日本人ですか、顔が濃いですけれどもハーフではないんですか、こんな面接があった。例えば、あとは、あなたは人前で話すのは苦手なんですか、顔が怖いですね。また、これは女性に対してなんですけれども、あなたは子供を産まないんですか、こういった質問が実際にあったということなんですね。

 これは、面接を担当しているのは外務省の人間でもない、また国際交流サービスの人間でもない。しかしながら、資質というもの、どういった人間が欲しいのかという基準を出しているのはどこかと聞いたら、これは外務省という話だったんですね。

 なので、外務省にお尋ねをいたします。

 こういった面接があるということ、実態を把握していらっしゃいますでしょうか。そしてまた、この面接が正しい、理にかなっている、こういうふうにお考えでしょうか。

上月政府参考人 今、専門調査員の採用の手続について一連の御質問がございました。

 ちょっと全体のことについて一つ御説明したい点がありますので申し上げますと、採用手続は、派遣事業の実施主体である一般社団法人国際交流サービス協会が行っております。

 それで、これは、毎年採用を依頼するに当たって、どこを実施主体かということについては、調査の上、比較をした上で委託をしておりますけれども、ここは経験がございますので、ここが引き続き落としているという実態がございます。

 御質問のありました試験につきましては、筆記試験による一次試験と面接試験による二次試験を行っていて、合格者を採用しております。

 その中で、では外務省がもっとしっかり絡んだらどうかという今の御質問の趣旨がございました。

 外務省は、この採用に当たりまして、どこの公館に派遣するかということや、派遣される専門調査員に求められる能力、具体的な業務内容については、国際交流サービスに依頼しております。ただ、労働者派遣法では、派遣契約の締結に際して、労働者の派遣先となる者は、つまり外務省は、派遣される労働者を特定するような行為をしないようにしなければならないというふうになっています。全体として委託はできるけれども、どの人かという特定をすることは、派遣することは控えるべきだというのが労働者派遣法の規定で、同法二十六条七項でございます。

 そういうことで、個別の公館に派遣される専門調査員の具体的な人選について外務省が関与することは、具体的な人選でございますので、そういうこともあって外務省は採用を行っていない、これが派遣法上の仕組みでございまして、その中でやっておるところでございます。

 国際交流サービス協会は、長年にわたって実施している、経験豊かでございますけれども、確かに、専門調査員の人選に当たっては、十分慎重に行わなければいけないと思いますし、また、今御指摘のような国際交流サービスの情報があるということであれば、事実関係を行い、改善を申し入れるということを国際交流サービスとの間で進めていきたいと思っております。

鈴木(貴)委員 ぜひ、この外務委員会という場所で私も発言をした話でもありますし、しっかりと外務省の方でも国際交流サービス協会の方と事実確認していただきまして、また、その結果というものも明らかにしていただきたい、このように強く願うところであります。

 時間も少なくなってきてしまいまして、北方四島交流事業について質問を移らせていただきたい、このように思います。

 皆さんのところにも、調査票といいますか、ことしの北方領土、いわゆるビザなし交流、参加有無のアンケートなども、もう行っているかと思いますが、ことしでこれは二十四年目を迎えます。

 ここで、改めてお伺いをいたします。いわゆるこのビザなし交流、四島交流事業の目的は何でしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 平成三年十月十四日付の日ソ両国外相間の往復書簡によりまして、領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的としております。

鈴木(貴)委員 また端的に質問させていただきます。今やっていることが、どう北方領土返還に結びつくんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 四島ロシア人との間の交流を進めることによりまして相互理解の増進を図るということが、信頼関係を築いていくことで深い交流が可能になっていけば、一定の役割ができるということで進めているところでございます。

鈴木(貴)委員 実は、今の質問は、私の質問でもあるんですが、これは平成二十五年三月二十九日の、当時の山本一太担当大臣の発言だったわけです。山本大臣が、実際に、今やっていることがどう北方領土返還に結びつくのか、こういったことを閣議後の記者会見で述べられている。それに対しての今の答弁であるというのであれば、私は、これは不十分でないのかなと。なぜならば、そのときの答弁も、今の答弁と全く変わらないわけであります。

 また、その前の、平成二十一年、二十年にも出しております質問主意書、これでも同じ質問をしているんですけれども、そのときの過去の答弁も、まさに今の紋切りの、たかだか二行、三行なんですね。

 平成二十五年、時の担当大臣が、ましてや担当大臣です、その担当大臣が、俗に言われるマンネリ化というものを指摘された。しかしながら、五年前、十年前と答弁が一切変わらない。これはまさに、外務省、そして担当大臣を愚弄していると言っても過言ではないと私は思うんです。しかしながら、もちろんそんなことはないと私も思っている、信じているというのが事実であります。

 そこで、これまた委員の皆さんにもぜひ御認識いただきたいんですけれども、先ほど私も申し上げました、ことしで二十四年目を迎えます。本来であれば、しかるべき予算を投入して、日ロ間での超法規的措置のもとでの枠組みの実施の事業であります、毎年毎年しっかりと見直しをしているというのが常だと思います。しかしながら、実はこの事業、見直しというものが、二十三年間、一切行われていなかった。果たしてこれは健全なあり方なのかな、このように私は思っております。

 そしてまた、ようやく、先ほどの、当時の山本大臣の発言もありまして、平成二十五年、事業開始以来初めて、内容を見直す方針を示されました。領土問題の解決に寄与する、これはまさに国の主権がかかった大きな目的の事業でありますが、これを、今までこの見直し作業に当たってどのように評価してきているのか、私も書類といいますか、見せていただきました。

 しかしながら、つまり、一回目は二十六年度、そしてまた二回目が二十七年度の見直しなんですけれども、二十六年度と二十七年度の基本方針の違い、また二十七年度に見られる改善点というものは何なんでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、鈴木先生御指摘のとおり、二十五年の三月末に、内閣府、外務省、北海道庁、実施団体の間で見直しの方針を取りまとめております。そこでは具体的に、事業目標を設定して事後にその検証を行うようにする、あるいは、将来を担う若者など各界各層の幅広い参加を促進する、そして、北方四島に居住するロシア人との対話の機会をより多く創出するように四島側に要請していくというようなことを決めまして、そういう方針で検討を進めてきているところでございます。

 二十六年度、二十七年度につきましても、それぞれ関係者の意見などを踏まえながら、昨年度よりも対話による相互理解がより効果的に進められるような形になる、多くの四島側住民が参加できるような魅力あるプログラムとなるようなことにつきまして、引き続き四島側とも調整していきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(貴)委員 私、今これは手元にもあるんですけれども、まず基本方針というものをつくった上で事業目標をつくっていらっしゃる。特に、基本方針は内閣府北方対策本部及び外務省欧州局が作成、そして、それを受けて事業実施側が事業目標をつくられる。

 つまり、私は今、二十六年度のものと二十七年度のものが手元にあるんですけれども、中を見てびっくりしました。なぜならば、一緒なんです。てにをはがちょっと変わっている、あとは、ですますが倒置法に変わっている、そういったコピー・アンド・ペーストといいますか、それにちょっとだけ書き加えた、申しわけない程度に書き加えたようなものになっているというのは、これは果たして見直しと言えるのか、大臣が直接記者会見でも見直しすべきだと言ったものに対しての誠意のある対応なのか。私は、これは大きな疑問、そしてまた、これは全くもって不十分な見直しである、このように思っております。

 具体的に、例えばこの見直しの中で、対話集会というものについて全く触れられておりません。対話集会というのは、ロシア人島民の方と我々が同じ場所について、まさにこのような会議室の場所で四島のこれからについて話をする機会なんです。しかしながら、二〇一〇年、ロシア側から対話集会には参加をしないという通告がありまして、それ以来、実際には領土問題、四島交流事業にもかかわらず、四島の問題について話し合う時間というものがとられていない。

 そしてまた、それにかわる形で住民交流という、これまたちょっと名前を変えたようなものがあるんですけれども、例えばスポーツ交流そしてまた夕食会というものが開かれております。

 ここでお尋ねをいたします。

 対話集会に取ってかわった形で出てきたこの交流、スポーツ交流であるとか夕食会、毎回何人ぐらいの方が参加をされていらっしゃるか、数、データをとっていらっしゃいますでしょうか。

山本政府参考人 毎回記録しているので、ちょっと今手元に資料を持ってきておりませんが、いずれにいたしましても、できるだけ四島の住民の方が関心を持っていただけるような魅力あるプログラムになるように、引き続き努力をさせていただきたいと思っております。

鈴木(貴)委員 見直しをしてからも、実際に、誰が来ている、何人ぐらい来ている、こういった客観的なデータというものを残していないというのは、これもまた私は問題だ、このように思います。

 また同時に、魅力ある、興味を持ってもらえるものを、引き続き取り組んでいきたいということでありますが、そもそもの目的、ただただ人をたくさん集めてお祭り騒ぎをしたらいいというものではないはずであります。それは、先ほども答弁をいただきました。そもそものこの事業の目的に鑑みて、抜本的な見直しというものをしっかりと行っていただきたい。

 そういった上でも、マンネリ化を打破するために、では何が必要か。

 例えば、領土返還運動原点の地とされる、北海道は道東、根室市。根室市は、市の方で事業計画、こういったことをやったらどうかという提言を実際にされていらっしゃいます。例えば、現島民、ロシア人島民への医療支援をやる、もしくは、日用品販売、特に、粉ミルクであるとか日本の紙おむつ、こういったものが非常に需要が高いわけですが、そういったものの、経済的な活動をする商店の設置といったさまざまな独自の交流事業の改善点、こういったものも挙げているわけであります。

 これは外務省としても、また政府としても、ぜひ、原点の地である根室市の声を取り入れながら、これまでにない抜本的な見直しと同時に、これまでにない新しい形の交流事業というものを意識されるべきではないかと思いますが、この点、岸田外務大臣、どうでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の北方四島交流事業ですが、おっしゃるように、まずは、この事業の目的に照らしてしっかり効果があるものかどうか、これは絶えず検証していかなければなりません。参加人数など基本的なデータをしっかり把握した上で検証を進める、大変重要なことだと思います。そして、あわせて、検証の際に、御指摘のようなさまざまな関係者の努力、提言、これを参考にしながら検証をしていく、こういった姿勢も重要かと存じます。

 ぜひ、外務省としましても、内閣府としっかり連携をしながら、こうした事業のあり方についてしっかり考えていきたいと思います。

鈴木(貴)委員 そして、もちろん、関係者という意味では、相手国、ロシア側の意向というものも、やはり外交ですから、相手あっての外交であります。向こう側が何を言っているか、こういったことにも常にアンテナを張っていないといけないか、このように思います。

 そこで、例えば、ロシアのドボルコビッチ副首相なんですけれども、両国の経済協力の拡大は最も困難な問題への相互理解につながると述べられています。つまりは、経済協力をすることによって、四島の帰属の問題、そしてまた平和条約締結、こういった二国間で抱えている大きな問題に資する、こういった期待感を実際に示されていらっしゃるわけです。

 そしてまた、今は副首相を務めていらっしゃいますが、大統領補佐官時代にも、北方四島地域での共同の原油、ガスの開発などにも触れられていて、日本企業の社員がビザなしで入れるよう検討する用意があるということも実際に述べられているんです。

 こうしたロシア側の非常に前向きな、また建設的な提案に対して、日本政府としてはどう対応をとってこられていたのか。そしてまた、今のこの発言を受けて、岸田外務大臣の、そしてまた安倍政権が考えられる経済活動に対しての意気込みというものを改めて伺わせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の北方四島での共同経済活動ですが、まず、大前提として、我が国の法的立場を害さないという点、これをしっかり守っていかなければなりません。

 他方、ロシア側のさまざまな提案につきましては、北方四島における共同経済活動について、あくまでロシアの法令に基づいたものであるべきであるという立場だと承知をしております。こうした主張に対しましては、北方領土問題に関する我が国の法的立場に鑑み、これは受け入れることは困難であると認識をしています。

 引き続きまして、今申し上げました大前提に立って取り組んでいかなければなりません。

 そして、その大前提に立った上で何ができるかということにつきましては、これは交渉にかかわる話ですので、今の段階で予断を持って申し上げることは控えなければならないと考えております。

鈴木(貴)委員 大臣、大臣の答弁、まさにそのとおりなんです。なぜか。今大臣はおっしゃいました。我が国の法的立場を害さない、このようにおっしゃったわけです。

 ぜひ、委員の皆さんも考えてみてください。北方四島は、今、実効支配をされている、進むロシア化だと言われている。今の現状を見て、法的立場を害されているんじゃないでしょうか。今現在、法的立場を害されている。

 そしてまた、同時に、もちろん北方四島は我が国固有の領土であります。我が国固有の領土であると訴えるのであれば、なぜその主権者たる日本がもっと積極的なイニシアチブを発揮しないのか。こういうことをやろうじゃありませんか、海では安全操業、こういったものも、ロシア海域において、実際、日本の漁業者たちは漁を行っているわけです。ならば、それがなぜ、おかでできないのか。

 そしてまた、先ほども申し上げました、ドボルコビッチ副首相が、日本企業の社員がビザなしで入れるよう検討する用意もある、こういうふうにまさにシグナルを送っているわけであります。

 しかしながら、法的立場を害さない、向こうの手のひらには乗ることができない、看過できない、さまざまなことを言っていても、実際問題、七十年間、何か、大臣、進みましたか。領土問題、この戦後七十年間、一島たりとて返ってきていない、これが現実じゃないでしょうか。法的立場を害され続けているというのが現実じゃないでしょうか。

 岸田外務大臣に改めてお尋ねを申し上げます。

 ロシア側の副首相も、経済交流活動は相互理解につながると言っています。ビザなしで受け入れる、こういったことも考える、このようにおっしゃっています。日本政府として、この前向きのメッセージに対して、このシグナルに対して、どのようなメッセージを発信されていきますか。

岸田国務大臣 まず、北方四島の共同経済活動につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国の法的立場を害さないということが大前提であると認識をしております。

 そして、こうした問題についてどう取り組むかという質問に対しましては、まずもって、北方領土問題そのものの交渉をしっかり進めていくことがまず第一に考えなければならないことであると考えます。

 二〇一三年四月に、安倍総理とプーチン大統領は共同声明を発しています。その共同声明の中で、「平和条約問題の双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させる」、こうした合意が行われているわけであります。本年二月には日ロの次官級協議も実施いたしましたが、その際に、日本側から積極的に平和条約締結問題を提起し、議論を行ったところであります。

 ぜひ、平和条約締結問題そのものにつきまして、ロシア側からも前向きな態度をしっかり期待したいと考えております。

鈴木(貴)委員 時間になりました。

 次官級協議について大臣は触れられましたが、まさに経済面における次官級協議は、今、停滞をしております。日程調整中ということであります。今大臣がおっしゃられたとおり、次官級協議の重要性を今示されたわけでありますから、大臣としてもしっかりと後押しを続けていただきたい。

 そしてまた、答弁を聞いていても、安定感のある岸田外務大臣であります。この安定感に、少しの前向きな思いと、そしてまた、政治を常に、切に願っている元島民の皆さん、そして地元の皆さん、国民の皆さんの思いを少しでも酌んでいただければ、私は、確実に新たな歴史が開ける、このように期待をして、質疑を終わらせていただきます。

土屋委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 維新の党の青柳陽一郎でございます。

 本日は二十五分時間をいただきました。ありがとうございます。

 それでは、早速質問に移ってまいりたいと思います。

 まず、産経新聞の加藤前ソウル支局長の出国禁止措置の解除について伺いたいと思います。

 そもそも、八カ月の間、特に隠蔽する証拠というのもなくて、逃亡のおそれもない前支局長を出国禁止という措置をしてきた、民主主義国家としては前代未聞の状態が続いていたわけでございますが、今回の出国禁止措置の解除というのは、この異常な状態というのが解除されたにすぎず、そしてまた、八カ月という、遅きに失したと言えると思います。

 現在でも、まだ朴大統領への名誉毀損での起訴状態というのは続いておりますし、裁判や公判というのもこれからも続いていくということでございますが、本件について、韓国の現在でも続いている措置というのに正当性はあるとお考えになられているのか、そして今回、なぜ出国禁止措置が解除されたとお考えになられているか、大臣のお考え、分析をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、今回の産経新聞前ソウル支局長の出国禁止措置に関する動きですが、出国禁止措置に関しましては、これまで韓国政府に対しまして、さまざまな形で、累次にわたり、我が方の懸念を伝達し、適切な対応を求めてまいりました。

 今般の韓国政府による措置、これは、我が方からすれば、当然のことであったと考えます。ただ、出国ができたことは、とりあえずよかったとも受けとめています。

 一方、御指摘のように、前ソウル支局長の公判は続いている、このことは全く変わっておりません。

 今回の韓国側の対応の意図とか背景については、私の方から申し上げる立場にはないと思いますが、政府としましては、公判が続いているということでありますので、韓国側に対しましては、さまざまな機会、またレベルを活用して、引き続き適切な対応を求めていかなければならないと考えております。

青柳委員 ありがとうございます。

 その適切な対応を当然、今後もフォローしてくださるんだと思いますけれども、具体的には、韓国側に対して、起訴の取り下げというのを求めていくことはされないんでしょうか。

岸田国務大臣 産経新聞前ソウル支局長の起訴に関しましては、まずは報道、表現の自由という観点から、また日韓関係の観点から、これは極めて遺憾であると考えています。

 これまで韓国政府に対しまして、さまざまな形で、累次にわたり、懸念を伝達してきたわけです。そして、引き続き適切な対応を求めていきたいと存じます。

 ただ、適切な対応の中身ということについては、これは、内容等、事柄を考えますときに、具体的に我が国から何か申し上げるのは適切ではないのではないかと考えます。

 ぜひ、働きかけはしっかり続けていきたいと考えます。

青柳委員 前代未聞の事態と言えるので、起訴を取り下げることを求めても、政府にはいろいろなチャンネルがあると思いますので、ぜひ、具体的にはそういう行動をとられることを望んでおりますので、御検討いただきたいと思います。引き続きこの件についてもフォローをしていただきたいと思っております。

 次に、北朝鮮による拉致問題についても伺いたいと思います。

 拉致問題に一番熱心に取り組んでこられた安倍総理自身、そして安倍政権が進めてきた拉致問題日朝交渉、昨年五月の日朝政府間協議があり、そしてその合意に基づいて七月に調査委員会が立ち上がって、調査が始まりました。

 これは当初、今からいえば昨年の夏の終わりから秋の初めには第一回の報告があると言われていたわけでございまして、御家族の皆様、関係者の皆様、やっとこれで事態が動いていくんだろうと、我々も含めて誰もがそういう期待をしていたわけでございますが、その期待は残念ながら裏切られまして、御案内のとおり、現実には、今日に至っては何の拉致被害者の情報を得られていないというのが現状でございます。

 そこで、まず大臣に伺いたいんですが、北朝鮮側は、本件、特に拉致問題について本気で解決する、本気で調査するということを、大臣自身、今でもそういうふうに思っておりますか。北朝鮮は拉致問題を解決する気があるというふうに大臣はお考えになっているんでしょうか。そして、今の交渉のやり方で本当に解決に導けるというふうにお考えなんでしょうか。大臣の御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、拉致問題は安倍政権にとりまして最重要課題であります。我が国の主権あるいは国民の命、安全にかかわる重大な問題であると認識をしています。

 今日まで、対話と圧力、さらには行動対行動、こうした方針で臨んできました。この圧力の部分については、国連決議に基づく制裁に加えて、我が国独自の制裁も行ってきました。対話については、昨年、一年四カ月ぶりに対話を再開いたしました。そして、特別調査委員会での調査がスタートしたわけであります。

 御指摘のように、当初、昨年の夏の終わりから秋の初めにかけて第一回の通報が行われるという発言もあったわけですが、残念ながら、九月の段階で、先方から、調査は初期の段階でありまだ通報ができないという通報があり、我が国としましてそれは受け入れられないということで、十月に訪朝団を派遣する、こういったやりとりもあったわけであります。

 調査につきましては、たしか昨年九月の段階で、北朝鮮側から一年程度を目標とするという連絡があったと記憶をしております。我が国としましては、ぜひ、引き続き北朝鮮側に対して、迅速な調査を行い、速やかに、そして正直に通報していくよう働きかけを続けていきたいと考えます。

 北朝鮮が本当にこの問題を解決するつもりがあるのかどうかという御質問をいただきましたが、今、現状において北朝鮮側の意図について私から何か申し上げるのは控えなければならないと考えます。

青柳委員 現在の交渉体制、これは日本側も北朝鮮側もそうですが、この交渉体制自体で本当によろしいんでしょうか。私は、そろそろ見直すべきじゃないかと思います。

 拉致問題を語るときに、拉致担当大臣も岸田大臣も安倍総理もそうですが、オール・ジャパンの体制で取り組むんだということもおっしゃられていますが、このオール・ジャパンの体制で取り組むというのは何を意味しているんでしょうか。そして、私は、オール・ジャパンの体制に今この交渉体制がなっているんでしょうかということも問いたいと思います。

 オール・ジャパンの体制とは何を意味しているのか、今の日本側の交渉体制がオール・ジャパンの体制になっているのかどうか、この点についても伺いたいと思います。

岸田国務大臣 オール・ジャパンの体制とは、外務省はもちろんでありますが、政府としましても関係省庁全体でしっかり連携しながら対応しなければならないということでありますし、政府のみならず、民間の多くの関係者の方々ともしっかり意思疎通を図りながらこの対応に取り組んでいかなければいけない、こういった姿勢をオール・ジャパンと称していると認識をしております。

 ぜひ、政府としましては、さまざまな政府関係者の力、そしてさまざまな関係者の皆様方の知見を総動員しながら、北朝鮮側にしっかりと対応していかなければならないと考えております。

青柳委員 私はまだ、オール・ジャパンの体制になっているとは言いがたいんじゃないかと思いますし、今の外務省さん主導の体制で本当に拉致問題の交渉がうまくいっているのかというのは、疑問が残ると言わざるを得ないと思います。

 そして、北朝鮮の問題を語るときに、これは大臣の所信にもあるとおり、拉致問題が最優先課題だと。常に大臣はそういうふうに発言されていますが、実際に、交渉自体、あるいは合意文書、これは拉致問題が最優先になっているというふうには読み取れないわけですけれども、拉致問題が双方最優先課題なんですよということが、日本側もそうです、北朝鮮側もそうです、本当に最優先課題として共有されているのでしょうか。間違っても、国交正常化というのが目的になっているということはないでしょうか。ここも改めて確認させていただきたいと思います。

岸田国務大臣 拉致問題が最優先課題であるという我が国の考え方については、昨年三月に一年四カ月ぶりに対話を再開してから後、五月のストックホルム合意、そしてその後のさまざまな北朝鮮とのやりとりの中で、毎回、我が国としてしっかり強調し、確認をしてきたところであります。こうした認識については、北朝鮮側にしっかり伝わっているものと考えております。

 そうした認識を今後ともしっかりと強調し、確認しながら、北朝鮮側から前向きな対応を引き出すためには何が最も効果的なのか、こうした観点から、対応についてしっかり検討していきたいと考えております。

青柳委員 今しっかり合意文書を読み返してみても、これまでの北朝鮮側の対応を見ても、とても、拉致問題が最優先だ、日本側の意向が本当に伝わっているとは思えない対応ばかりでございますので、これも、毎回言ってくださっているとは思いますが、本当に隅から隅まで拉致が最優先なんですよということをぜひもう一度強く認識させるべきだろうと思っております。

 そこで、参考人の方に制裁について伺いますが、昨年の七月に解除した制裁、そして今月再延長した制裁について、これは議事録に残す意味でも説明していただけますか。

滝崎政府参考人 お答えいたします。

 まず最初に、昨年七月に我が国が一部解除を決定したものですけれども、これは、我が国が、北朝鮮が特別調査委員会を設置して、拉致被害者を初めとする全ての日本人に関する包括的かつ全面的な調査を開始したことを受けて決めたものであります。

 具体的には、北朝鮮との人的往来の規制措置の解除、それから、北朝鮮向けの支払い手段などの携帯輸出届け、支払い報告の下限金額の引き下げ措置の解除、三つ目といたしまして、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置について、人道的観点から特別の事情がある場合に北朝鮮籍船舶の入港を認めるという例外措置を決定しました。

 もう一つのお尋ねの、ことしの三月に二年間延長することを決めた措置についてですけれども、一つは、北朝鮮籍船舶の入港禁止措置、それからもう一つは、北朝鮮との輸出入禁止措置という二つのものを延長するということを決めておりまして、その際に、特別の事情がある場合に入港を認める例外措置というものもあわせて延長するということを決めております。

青柳委員 それでは、昨年の七月に一部制裁を解除したわけです。その一部制裁を解除したものが、今日までにどのぐらい北朝鮮はこれによって利用しているのか、別な言い方をすれば、これによってどのぐらい北朝鮮は利益を得ているのかということについて、データ分析をされていますでしょうか。

滝崎政府参考人 お答えいたします。

 まず、人的往来につきましてですが、昨年七月以降、新規入国者は一名と聞いております。また、在日の北朝鮮当局の職員及びこれらを実質的に補佐する立場にある者七名に対して、再入国を許可したというふうに承知しております。

 それから、金融関係のものですけれども、北朝鮮向けの支払い手段などの携帯輸出に関しましては、昨年七月以降ことしの二月末までに百十四件、二億四千九百万円の届け出がありました。それから、北朝鮮向けの支払いに関しては、昨年七月以降ことしの二月末までの報告件数はゼロということになっているというふうに聞いております。

 それから、北朝鮮籍船舶の我が国への入港についてですけれども、これは昨年七月以降全くございません。

青柳委員 ありがとうございます。

 特に人的往来が認められたということについては、一定の、北朝鮮側については往来が認められているわけでございまして、言い方をかえれば、直接的な利益を得ているということだろうと思います。

 日本政府はこれまで、対北朝鮮に対しては行動対行動が原則だということでやっていると思いますが、北朝鮮は、こうした今回の日朝合意によって、日本からの一部制裁解除という果実をとっているわけでございますが、行動対行動でということであれば、日本側が得た果実というのは何になるんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国としましては、北朝鮮との交渉に当たりまして、従来から、対話と圧力、そして行動対行動、こうした原則に基づいて臨んでおります。

 そして、今回の件について、行動対行動の原則との関係でどうかという御指摘をいただきましたが、我が国は、昨年三月に一年四カ月ぶりに北朝鮮との対話を再開し、昨年五月の日朝合意では、北朝鮮が特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始する時点で、我が国独自の北朝鮮措置の一部を解除することといたしました。これに対して北朝鮮側は、従来の立場はあるものの、拉致被害者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する、こういった約束を行いました。

 我が国としましてはこうした対北朝鮮措置の一部を解除することとし、そして、北朝鮮側はこうした約束を行った、こういったことでありました。

 引き続き、我が国の行動対行動の方針は変わりません。今後とも、問題解決に向けて前進させるために何が最も効果的なのか、こういった観点から、日本側としても対応を考えていきたいと考えております。

青柳委員 残念ながら、簡単に言えば、なめられている、そして北朝鮮ペースであると現状は言わざるを得ないんだと思います。

 この交渉体制をいつまで続けるんでしょうか。調査が始まってから一年を間もなく迎えようとしている、こういう状況です。再制裁を科すのか、さらに言えば、新しい、もっと厳しい制裁を科していくのか。一年を迎えるに当たって、この交渉をさらに続けるのか。こうしたことについて、大臣の強い見解をもう一度お伺いしておきたいんですが、お願いできますか。

岸田国務大臣 我が国の方針、現状においては、引き続き、特別調査委員会の調査を迅速に行い、そして速やかに、正直に通報を行うよう求めていく、こうした方針については変わっておりません。

 そして、今後についてですが、これは、北朝鮮側から前向きな対応を引き出すためには何が効果的なのか、こういった観点から、不断の検討は続けていきたいと考えます。

 現状、今申し上げました方針で臨んでまいります。

青柳委員 岸田大臣初め日本の外務省の皆さんのスマートな交渉のやり方では、北朝鮮のような国と事を構えるということにおいては、なかなか結果が出せないんじゃないかな。安倍政権でさえ、今の、残念ながら北朝鮮のペースになっていると言わざるを得ないというのは残念なことですし、その分、家族の皆さんのことを思うと、気持ちが本当に詰まる思いでおりますので、一刻も早く、当然ですが、結果を出していただきたい。

 我々、野党ですから、なかなか交渉に立ち入ることはできませんけれども、指摘する点は指摘していかなければいけないと思いますし、もちろん、応援する点は応援していきたいと思います。

 とにかく結果を、今求められているのは、当然ですが結果ですから、結果を出していただきたいと思います。

 もう一つ、拉致問題で、国際社会への取り組みについても伺いたいと思います。

 国際社会での拉致問題の成果は、日本とEUで共同提出した北朝鮮人権状況決議が、国連の人権理事会で先般も採択されたということでございますが、この決議が採択されたことでは北朝鮮は何も変わらないので、この決議をいかに実効性のあるものにしていくかということ、今後のフォローアップがさらに重要だと思いますけれども、どのように今後フォローアップしていくのか、どのようにこの決議に実効性を持たせていくのかについても伺いたいと思います。

薗浦大臣政務官 お答えを申し上げます。

 議員御指摘の決議は、国連調査委員会の勧告に基づいて、北朝鮮の事態のICC、国際刑事裁判所への付託等も含めて安保理に適切に行動するよう促した昨年十二月の国連総会決議を歓迎しておること、また、安保理が、同年十二月、初めて北朝鮮の状況を議題として採択しまして、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況が議論されたことも歓迎をし、安保理の関与を期待しておることが定められております。その上で、この決議は、国連機関等全ての関係者に対して、勧告の実施の検討を改めて要求するものとなっております。

 我が国自身は、現在、安保理理事国ではありませんけれども、理事会における議論も踏まえて、拉致問題を含む北朝鮮の人権状況を改善するためにどういう方向が効果的であるのか、これを、共同提案国として、EU等を含むほかの関係国と引き続き協議をしてまいりたいと思っております。

 さらに、加えて申しますならば、本年秋、国連総会が開かれますけれども、ここで再び北朝鮮の人権状況決議案を提出することについても、さまざまな動き等を勘案し、EUと今後協議をしていく考えでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 ただ、ポイントは、今あったとおり、勧告にもありましたとおり、ICCへの付託と安保理への働きかけだと思いますので、こうした点について、具体的にもう少し踏み込んだ答弁をいただきたかったなと思います。

 時間も参りましたので、もう一つは、北朝鮮に対する情報共有と拉致問題に対する日米韓の連携について最後に伺いまして、質問を終わりたいと思います。

薗浦大臣政務官 お答えを申し上げます。

 我が国としては、対話と圧力の方針のもとに、日朝平壌宣言に基づき、引き続き、米韓を初めとする関係国と連携をしつつ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決すべく、粘り強く交渉を続けてまいります。

 例えば、昨年三月、日米韓首脳会談では、北朝鮮情勢について意見交換を行い、三カ国連携して対応していくことを確認しております。また、昨年八月、日米韓外相会談におきましても、一層緊密に連携していくことを確認しております。

 さらには、ことしになって、一月に東京にて日米韓の六者会合首席代表者による会合を実施しておりますほか、直近でございますけれども、米国時間のきのう、十六日、これは先ほど終わったばかりでございますけれども、ワシントンDCにおいて日米韓次官協議を実施しました。この協議におきましては、対北朝鮮政策について三カ国で連携していくことをさらに確認させていただいております。

 引き続き、この三カ国の枠組み、また、日米、日韓、二カ国の協議を活用しながら、三カ国の緊密な連携を維持して、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的解決に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。

青柳委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 維新の党、木内孝胤でございます。

 本日は、G7の外相会合についてお話をお伺いしたいと思います。

 十四日、十五日のリューベックでの外相会合、強行スケジュールで大変お疲れさまでございました。

 先週刊行されました外交青書を読んでいましたら、大臣は、飛行距離ですけれども、ことしの一月末までに地球を既に十五周されたというふうに、改めてこれは大変だなと。私からしますと、空飛ぶ外務大臣と言いたいぐらい非常に頑張っていらっしゃるなと改めて思った次第でございます。

 国際会合もさまざまございます。G7もあればG20もございます。十六日、日本時間でいいますとけさ七時半にG20の会合も始まっておりますけれども、従来からG20の存在感が増している、そのG20が増している分、どうもG7あるいはG8の首脳会談の位置づけがやや形骸化しているのではなかろうかという見方をされている方もいらっしゃいます。

 しかしながら、今回、たまたまG7とG20が同じ週に重なるということもあり、たまたま先月末のAIIBをめぐるG7各国の中での足並みの乱れというのもございましたので、私は今回のG7がどういう形で進むのかというのを非常に注目しておりました。

 先ほど佐々木委員からも質問がございましたけれども、海洋安全保障等につきましても、私は総じて大変成果が大きいG7外相会合だったと思っているわけですけれども、改めまして、このG7、外相宣言を含めて、成果そして課題についてお伺いをしたいと思います。

岸田国務大臣 今回のG7外相会合ですが、御指摘のように、G20の日程と大変近接した形で会合が設けられました。

 G20につきましては、二〇〇八年の金融危機を受けて、先進主要国のみならず新興国も含めて、国際金融あるいは国際金融経済の協調を主な目的として会議が立ち上がってきたと承知をしています。

 一方、G7の方の枠組みは、自由とか民主主義、法の支配、あるいは人権、こうした基本的な価値観を共有する国々において、外交、安全保障を初めあらゆる課題について議論を行う、こういった点で違いがあると認識をしています。

 そして、こうした基本的な価値観を共有する国々の間で国際社会の平和や安定や繁栄について議論を行う、そして方向性を確認し、それぞれの役割分担等についても議論をする、こういった意味で、G7の枠組み、これは大変重要であると考えています。

 今回も、ウクライナあるいはイランなど、地域情勢についても活発な意見交換を行いましたし、エボラ出血熱あるいはテロ対策、こうしたグローバルな課題についても率直な意見交換を行うことができました。

 その中にあって、我が国としましては、唯一アジアからG7の枠組みに参加している存在としまして、アジアの課題を中心に議論を主導したということでありました。

 結果として、先ほど申し上げましたが、海洋の安全保障ですとか、あるいは軍縮・不拡散、我が国が特に取り上げた課題について、成果文書の中でも大きな割合を占めることができた、存在感を示すことができたのではないかと考えております。

木内(孝)委員 アジアの中で唯一というのが、まさにG7の一つ日本の強みだと思いますけれども、課題としまして、例えば、ウクライナ、イラン、IS。ウクライナに関しては、ロシアそのものがある意味対立している国ということになりますけれども、G7サミットとやはりG8サミットということでは、意味合いが大きく変わってくると思います。

 当然、さまざまな価値観を共有しなければ一緒にやれないということで、現在ウクライナ問題を抱えている中で、ロシアを現時点で呼び戻すというのはなかなかハードルが高いというのは承知しておりますけれども、ロシアを何とか巻き込むことが、今後、ISあるいはイラン問題の解決にも直接的につながるという部分もあると思います。

 G20もあり何もありということで、今後ロシアを巻き込む手だてというか、あるいは、今回のG7外相会合の中で、ロシアの位置づけをどうしていくのか、当然ウクライナが解決しなければ何も前に進まないということは承知の上で、ロシア問題について何か議論されたことはございますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、冒頭御指摘をいただきましたように、G8とG7との比較ですが、私も、一昨年はG8外相会談に参加いたしました。それで、去年、ことしはG7の外相会談に出席をいたしました。実際、それぞれ出席をしてみて、雰囲気の違いは感じた次第です。

 G8の場合には、ロシアの存在があり、ある意味では緊張感みたいな部分も感じた次第です。G7の場合ですと、自由とか民主主義、人権、法の支配といった基本的な価値観において一致する国々との議論になりますので、一つの方向性を皆で確認する、そして役割分担を議論する、こういった雰囲気の会合であったかなと振り返っています。

 そして、ロシアがG7にまた復帰するかどうかということについては、今何もまだ予断することはできないとは思いますが、おっしゃるように、ロシアがウクライナ問題あるいは中東のさまざまな課題において建設的な役割を果たすことは、国際社会が期待をしていると思います。

 よって、そういった観点から、ロシアとの政治的な対話、これはこれからも大事にしなければならないと我が国は思っておりますし、こうした議論は今回のG7外相会談の中でも行われました。ロシアとどう対峙していくのか、どう関係を持っていくのか、こういった観点の議論は行われました。詳細は控えなければなりませんが、いずれにしろ、ロシアに建設的な対応を行ってもらうためには、政治的な対話は重視しなければならない、この点では一致していたのではないかと振り返っています。

木内(孝)委員 ぜひ、ロシアも大切な国の一つでございますので、粘り強く、こちらの基本原則は変えずに、巻き込むように御努力いただきたいと思います。

 続きまして、先ほどAIIBについても話があったという御説明がございました。ちょうど十四、十五日にG7があり、もうワシントンでG20が始まっているということでございますけれども、審査基準とかガバナンスという御説明はいただいているのでそこは結構ですけれども、この話された内容というのは、G20に参加している麻生財務大臣なり、まあ黒田中央銀行総裁がこの件に触れるかわかりませんけれども、そういった情報はきちんと伝わっているんでしょうか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、G20の方は、国際経済の協調について議論するフォーラム、枠組みであると承知をしております。よって、恐らくこのAIIB等についてもG20の場で議論が行われるのではないかと思います。よって、G7の状況につきましては、しっかりと麻生大臣等関係者に伝えさせていただいております。

 G7外相会合においては、東アジアを議論する中にあって、その一つとしてAIIBも議論をしたということであります。我が国の立場を説明すると同時に、御指摘のガバナンスの確立が重要だということについて一致をし、そして、G7として引き続き、それぞれ、交渉に参加するしない、立場の違いはありますが、立場の違いはあるにしても、連携はしっかりとこれからも大事にしていかなければいけない、こういった点では一致したということであります。

 こういった状況については、しっかり政府内で共有し、G20に出席する麻生大臣にも伝えさせていただいております。

木内(孝)委員 いろいろ失敗をしたときに、ある意味、泰然としたふりをしなきゃいけないというときも世の中あるかと思います。

 きのうも、菅官房長官が、五十七カ国、AIIBに参加したのをどう思うかということに関して、想定の範囲内だという回答をしました。一方で、アメリカのサマーズ元財務長官は、今回のAIIBのことに関して、米国が世界経済システムの引受人としての役割を失った瞬間として記憶されるかもしれない、こういうコメントをブログに書いているわけですけれども、要するに、受けとめる方次第で温度差が今あると思っています。

 アメリカの場合は、政治的にも経済的にも軍事的にも、いろいろな意味で非常に強い立場にありますので、小さな失敗は大した失敗ではないかもしれませんけれども、日本は日本として、私は、今回、やはりミスはミスだったと思うんです。それを大したことないんだと言い続けると、次のステップに向けてのよりベターな選択肢が打てないというふうな気がしておりますので、ここのAIIBの件は結構ですけれども、とにかく、余り泰然とし過ぎても私は不安感を覚えますので、ぜひこの件は引き続きお願いしたいと思います。

 それと、二つ目にお伺いしたいのが、先週刊行されました外交青書についてでございます。

 その中で、戦後日本の平和国家としての歩みを振り返ってというところがございます。政府談話の中でも、歴史に対してどう思うかということに加えて、戦後の国際貢献についてしっかりと書き込もうということだと思いますけれども、ここを踏まえて、戦後七十年間の国際貢献を数分で説明するのはなかなか容易ではないかもしれませんけれども、戦後の国際貢献について、外交青書に書き込んだことを踏まえて御所見をいただければと思います。

城内副大臣 木内孝胤委員の御質問にお答えいたします。

 我が国は、戦後、平和国家として、自由民主主義諸国と協力し、アジア諸国とともに歩み、国連を初めとする国際社会と協力してまいりました。国際社会が直面するさまざまな課題に対しては、国際協調主義のもと、国際社会とともに向かい合い、その解決に真摯に取り組んでまいりました。

 一つ例を挙げますと、唯一の戦争被爆国として、軍縮・不拡散分野の取り組みを重視し、核兵器のない世界の実現に向けて国際的な取り組みを主導してまいりました。

 また、政府開発援助、ODAにつきましては、過去六十年間で総額三千二百四十九億ドル、これは日本円にしますと約四十二兆円でございます。こうした実績があり、貧困削減や平和構築などに貢献してまいりました。

 その対象も、アジア地域はもちろん、その他さまざまな地域にも広がっております。例えば、アフリカにおきましては、アフリカ開発会議、いわゆるTICADでございますが、TICADプロセスを立ち上げて、現在に至るまで、アフリカの開発において我が国は主導的な役割を果たしてきております。

 さらに、国連安保理の非常任理事国には、加盟国中で最多の十回選出され、国際の平和と安全に関する問題にも積極的に取り組んでまいりました。

 また、国連平和維持活動につきましては、カンボジア、モザンビーク、ゴラン高原、東ティモールなどにおいて平和の定着への協力を行ってまいりましたし、現在も、南スーダンにおいて、ODAとも連携しつつ、南スーダンの和平と自立に向けた貢献を実施しているところであります。

 さらに、そのほか、紛争や難民問題、感染症、環境・気候変動、国際テロ対策等、グローバルな課題にも積極的に取り組んでいるところであります。

木内(孝)委員 日本の文化は、謙譲とか謙虚さが一つ美徳とも言われていますけれども、こうした日本の戦後の平和貢献につきましては、ぜひしっかりと発信をし続けていただければと思います。

 せっかく城内実外務副大臣にお越しいただいたので、ちょっとこれは質問通告にないんですけれども、教えていただければと思うんです。

 三月にメルケル首相が日本に来まして、それからリューベックでG7外相会合があって、ことしはまた首脳会談がドイツでございます。

 三月、メルケル首相が来たときの報道で気になったんですが、私もドイツに昔三年ほど駐在したことがあったものですからお伺いしているんですが、日本とドイツと、歴史に対する向き合い方がちょっと違うんじゃないかというような話が時々指摘されます。

 私はこれは非常に強い違和感を前から持っていまして、なぜかといいますと、日本とドイツは当然置かれた状況が違いましたし、戦後も東西は統合していなかったりとか、あるいは日本はサンフランシスコ条約があったりと、置かれた状況が違うので、当然、言うべきこと、やるべきこと、とるべき態度が全部異なるべきだと思っています。岸田外務大臣も記者会見でそんなようなことを説明されていたかと思うんですが、何かいろいろなことを混同されて、日本の向き合い方とドイツの向き合い方が、さも日本が反省していないかのごとく時々言われることがあると思うんです。

 城内副大臣は以前ドイツにも駐在していたと思いますし、私も、そのころちょうどワイツゼッカー大統領がいたりとかで、彼らの参考にするべき点はたくさんあると思います。一方で、日本の主張するべき点もたくさんあると思います。そこで、ドイツとの対比における歴史認識につきまして、ちょっとこれは質問通告にないんですけれども、ぜひ副大臣の御所見をいただければと思います。

城内副大臣 ただいま木内孝胤委員がおっしゃったとおり、日本とドイツはその置かれた状況がまさに違いますし、日本とドイツで戦後処理の仕方も全く異なるわけでありまして、そういった中で、日本は、平和国家として戦後しっかりとその道を歩み続けておりますし、戦後処理もきちんとやっているというふうに認識しております。

 他方で、御指摘のとおり、一部のドイツのマスコミで、ちょっと日本の戦後処理の仕方がドイツと比べて不十分だというような誤解があることは事実でありますが、先般メルケル首相が来られたときに、特にそういった御指摘があったというわけでもありませんし、特に歴史認識の問題について首脳会談で取り上げられたという事実はないというふうに理解しております。

 以上です。

木内(孝)委員 ちょうど戦後五十年のときに私はロンドンにいて、当時の五月八日のVEデー、対ドイツ連合国記念日というか、彼らから見た記念日というのがあって、VJデーといって、向こうから見て対日本に勝利した記念日というのがあって、そのときに感じましたのが、歴史の向き合い方は違うんですが、毎年メルケル首相は、五月八日、出席しているんですね。

 ですから、当時の戦争のことが話題にならないぐらい次のステップに向けてというところもございますので、ぜひその点は、ドイツと日本は違うということでそのとおりなんですが、やはり謙虚さというところは、ぜひ見習うべき点があれば見習っていただきたい、そのように思っております。

 最後に、ジャパン・ハウスについてお伺いをいたします。

 対外発信機能を強化するとして広報費を五百億円確保した、これは大変結構なことだと思います。それで、重要な都市においてとりあえずは三つ、ロンドン、ロサンゼルス、それとブラジルと三カ国にジャパン・ハウスを設立する。

 私もこの方向性は決して間違っていないと思っておりますが、せっかく三十六億円もの予算をとりながら、三十六億円をどうも箱物の部分にかなり費やされるリスクがありそうな状況を危惧しておりまして、例えば、今、ロンドンの目抜き通りにそれなりの箱をきちっと確保する、不動産を確保して、賃貸になるんだと思いますけれども、その目抜き通りにこんなのを確保すれば、また何億円も家賃がかかるような話になると思います。

 各都市、三十六億円を三つで割れば十二億円ですけれども、せっかくこれだけのお金を使えるのであれば、私は、有識者にまた丸投げして、民間人の意見を吸い上げて、こういうジャパン・ハウスをつくろうという、でき上がってくるものが何となく想像されて、できることならば、現場で、外交の最前線にいる方が最もやりやすい、そういうお金の使い方にしてほしい。

 別にこれは現場の方が言っているかどうかは私わかりませんけれども、例えば、この間も、公邸料理人、こういうのを補助金、最大で月額十七万払われているわけですけれども、二百十の在外公館に、これを三十万円に仮に引き上げたとします。そうすると、十三万円で二百十の公館ですから、たった三億円程度の経費で、全世界じゅう三十万円に引き上げることは可能です。これが十年間続いてもこの三十六億円の予算の範囲内でできる。

 私は日本の文化を発信するのであれば、たまたま今、食文化の発信を通じてと。日本大使館は海外で非常に料理がおいしくて有名なんです。みんな各国の大使館の人たちは、日本料理だと喜んで来る。しかしながら、それが箱物の、ロンドンの、既に公邸なり大使館なり公使公邸なり、それなりに立派な建物があるわけですから、それだったら、建物に何億円もかけるのではなくて、例えばもう料理に集中して、逆に十二億円を料理だけに集中したら、それはもうロンドンじゅうで話題になるくらい、大変な効果があると思うんです。

 今、日本は限られた予算で大きな成果を上げなきゃいけないわけですから、私は、コンクリート、箱物から人へといいますか、そういう形で、ぜひ見直しを御検討いただきたいというふうに思っておりますが、そこの御所見をいただければと思います。

薗浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のジャパン・ハウスでございますけれども、諸外国が広報文化外交に関する資本の投入というのをふやしております。

 我が国も五百億円を計上したところでございますけれども、この中身というのは、もちろん委員おっしゃった食文化を含めて、日本の魅力の売り込み、それから交流事業、さらには、現地の専門家を活用した国際世論の分析、それに対応してどうやって発信をしていくかということで、基本的にソフト面を非常に重視しながらやらせていただいております。

 御指摘のジャパン・ハウスの三十六億円でございますけれども、約三割弱が家賃として計上されておりまして、ジャパン・ハウスについても中身を非常に重視していこうというふうな基本的な考え方でおります。

 経費が非常に厳しい中でという話がありましたけれども、まず、サンパウロなんかも特にそうなんですけれども、公的機関の拠点を集約して、ある意味ここでワンストップサービスが提供できるようにしようということが一点。

 それから、二個目は、委員がおっしゃった文化の面。例えば、カフェとかレストランを入れるであるとか、アンテナショップを入れる、それから、日本が持っている、例えば技術、建築技術とかというのを展示してみるとか、地方のさまざまな魅力を発信する、こういうことにも使っていただくということが二点目。

 それから、第三点目は、やはり我が国の戦後七十年の歩み、それから平和国家としての歩みをいかに発信するか。これは、我々が発信をしたいやり方というのももちろん大事なんですけれども、現地の専門家を活用しつつ、現地の人々がどうやったら共感をしていくというのをまさに現地でハンドリングをしていくということも含めて、ソフト面に投入する資金をふやそうということで今やらせていただいております。

 こういうことを通じて、今まで日本に興味がなかった人たちをいかに引きつけるか、そして日本に対して誤解を持っている方々にどうやって正しい姿を理解してもらえるかということを浸透を図っていくとともに、そういう活動を通じて、ジャパン・ハウスを含めて、我が国のブランド力というものをさらに向上させるように、委員の御指摘も踏まえて、これからやってまいりたいと考えております。

木内(孝)委員 今、大臣政務官がおっしゃったような形で、こうした文化、ソフトを重視した広報活動を発信いただければと思います。

 以上で質問を終わります。

土屋委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、パレスチナの国家承認問題について質問します。

 私ども日本共産党は、中東和平の問題で次のような基本的立場を明確にしてまいりました。イスラエルが占領地から撤退すること、パレスチナ人に独立国家樹立を含めた完全な民族自決権を保障すること、パレスチナ、イスラエルが相互の生存権を承認すること。

 実はこの立場は、パレスチナ側が、当時はPLOでしたけれども、イスラエルの存在を認めない、イスラエル抹殺論に立っていた一九七〇年代から維持されてきたものであります。その点で、パレスチナの国家承認は、日本共産党としての数十年来の主張であるということであります。

 そこで、世界の大勢がパレスチナ国家承認に向かいつつある中で日本がおくれているけれども、今からでも私は承認すべきものだと考えています。きょうは、順を追って一つ一つただしていきたいと思います。

 まず、中東和平の交渉が行き詰まっている現状と要因について日本政府はどのように見ているのか、お述べいただきたいと思います。

    〔委員長退席、三ッ矢委員長代理着席〕

岸田国務大臣 まず、中東和平につきましては、二〇一三年七月末ですが、ケリー米国国務長官の仲介によりまして、三年ぶりにイスラエル及びパレスチナ自治政府との直接交渉が再開されました。しかしながら、昨年四月、交渉が中断いたしました。それ以来、昨年のガザの紛争等を経て、交渉再開の見通しは立っていない、こうした現状にあると認識をしています。

 我が国としては、独立したパレスチナ国家とイスラエルが平和かつ安全に共存する二国家解決を支持しており、交渉が中断していることについては憂慮しております。

 我が国としては、引き続き二国家解決の実現に向けて、関係者との政治対話、当事者間の信頼醸成、あるいはパレスチナ人への経済的支援等を通じて積極的に貢献をしていきたいと考えております。

 ぜひ、こうした対話が進むことを目指して、我が国としても貢献を続ける所存であります。

穀田委員 和平交渉進展にとって最大の障害となってきたのは、イスラエルによるパレスチナ占領地への入植地建設の拡大であります。アメリカや日本も含め入植地拡大を批判しているけれども、イスラエルのネタニヤフ政権は、拡大政策をさらに進展する、推進するといいますか、そういう構えを示しているわけです。そこは微妙な点はあるんですけれどもね。

 そこで、イスラエルのこの間の動向について聞きたいと思うんです。

 ネタニヤフ首相は、総選挙期間中に行った地元のメディアのインタビューで、首相続投が決まった場合、パレスチナの国家樹立を認めず、占領地の東エルサレムなどへの入植活動も継続する考えを明らかにしています。

 その一方、同首相は、その後のアメリカのテレビのインタビューで、私は一国家のみの解決策を欲していない、持続可能で平和的な二国家での解決策を望んでいると述べ、二国家共存による和平を否定した前言を事実上修正する構えを見せたとされていますけれども、外務省、その間の事実関係を簡潔にお願いします。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおりでございます。本年三月十七日にイスラエルの総選挙が行われました。その前に、ネタニヤフ首相が、まさに今御指摘のような発言、すなわち、自分が首相に再選された場合にはパレスチナ国家が樹立されることはないという趣旨の発言をしたということが、現地紙のハーレツにも大きく報じられております。

 他方、総選挙後でございますけれども、これも御指摘のとおり、これは三月十九日でございますでしょうか、アメリカのNBCのテレビのインタビューにおきまして、これは選挙の投票後でございますが、同じくネタニヤフ首相が、逆の発言、すなわち、パレスチナ国家樹立への支持を撤回したことはない、ネタニヤフ首相の二〇〇九年六月のバル・イラン大学での演説での言質を、それは撤回したことはない、持続可能で平和的な二国家解決を望んでいるんだというふうに述べたという報道がございます。

 まさに御指摘のとおりでございます。

穀田委員 そこで、そういうパレスチナ国家樹立を拒否する考えを示したネタニヤフ首相の発言に対して、ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は、先ほど局長からお話があった三月十九日の日なんですが、その定例会見で、オバマ大統領がネタニヤフ首相との電話会談で、イスラエルとパレスチナの二つの国家共存が我々にとってこの地域の緊張を静める方法であると強調したと伝えられているけれども、具体的にどのような言及があったとホワイトハウスは発表したのか。もう少し短く。

上村政府参考人 今まさに御指摘のとおりでございます。アメリカの国務省の報道官の発表はなかなか歯切れが悪うございます、その点は。

 例えば、方針の違いが、我々にとってネタニヤフ首相がおっしゃったことはアメリカの方針とは違うということを、そういう評価をさせられたというような発言をしているというのが事実関係でございます。

穀田委員 そこは極めて大事でして、いろいろ解釈の、まあ文章はいろいろあるんですけれども、違いという点を出したのは明確だと思うんですね。

 定例会見で、今述べた報道官は、パレスチナの国家樹立を拒否した発言を事実上修正したことを受け入れず、このような例において発する言葉は重要だ、一旦しゃべったことは極めて重要だということを指摘して、首相も発言の重要性については認識しているはずだと。

 先ほど方針の違いとありましたけれども、異例の厳しさでアメリカがイスラエルの対処方針を見直す意向を示したと評されているけれども、岸田大臣はその問題をどう見ておられますか。

岸田国務大臣 先ほどの国務省報道官の発言ですが、まず、我が国として、米国と他国との関係について何かコメントするという立場にはありませんので、それは控えたいと思います。

 御指摘の国務省報道官の発言ですが、大変歯切れが悪いという説明を、今、上村局長からさせていただきましたが、この国務省報道官は、イスラエルでどのような政府が誕生しようとも、イスラエルと軍事、インテリジェンス、安全保障の面で緊密な協力を継続していく、こういった旨をまず述べつつ、先ほどありましたように、ネタニヤフ首相の発言により、中東和平交渉を発展させるためのアプローチの評価をさせられた、こういった発言をしているとのことであります。これは、こういった発言があったということを承知しているということであります。

 いずれにしましても、我が国としましては、先ほど申し上げましたように、二国家解決の実現に向けて、直接交渉が再開されるよう後押ししていくべきだと考えております。

穀田委員 ただ、控えたいというのはわかるんですけれども、メディアは、これをめぐって、やはり報道しているんですよね。イスラエルに自制を要求するということなんかが一つのポイントでして、読売新聞は、イスラエルに自制を要求、米大統領は擁護政策見直し示唆ということを述べていますし、さらに日経新聞も、パレスチナを認めないということを受けて、アメリカはイスラエルを牽制しているということで、オバマ氏は見直しを示唆ということまで報道されているくらいなんですね。

 だから、確かに局長がおっしゃっているように、もう一つはっきり、煮え切らないみたいな言い方をしていますけれども、しかし、違いを出しているということは、みんな認めているんですよ。そこがポイントだと思うんですね。

 ネタニヤフ首相の発言には、国連内でも、この発言に対して反発が広がっているとされています。こうした中で、フランスのファビウス外相は、三月二十七日、国連本部で記者団に対して、中東和平交渉を促進するため、国連安保理で決議案採択の協議を数週間以内に始める意向を示したと言われています。

 パレスチナの国家樹立による二国家共存を目指す決議案が念頭にあると見られているけれども、外務省、その辺はどのような内容として掌握していますか。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、報道に出た件でございますが、今先生御指摘のことに加えまして、ファビウス・フランスの外務大臣は、さまざまな場で同じような趣旨の発言をされておられます。

 例えば、フランス24という、フランスの番組の中でも、明らかに、さまざまなパートナーと連絡をしながら、中東和平に関する安保理決議案の採択を目指して取り組むというようなこともおっしゃっておられます。

 我々外務省といたしましても、フランスの外務当局とは、日々、我々局長、あるいは出先の大使館レベルで意見交換をしております。フランスの外務省も、新しい安保理決議に向けて、さまざまな可能性について今検討しているというふうに我々は承知しております。

 以上です。

穀田委員 フランスの動向は、非常に私は興味深いといいますか、大事なことだと。なぜかといいますと、同外相は、フランスはこれまで、交渉の指針を定義したり、交渉を促進したりする決議案には賛成してきたとしましたけれども、今後、関係国との協議を踏まえ、決議案の提案に参加すると述べたと言われています。

 国連安保理では、昨年末、イスラエルとパレスチナの中東和平に関する決議案の採決が行われました。和平交渉の一年以内の合意、イスラエルには二〇一七年末までの占領地からの撤退を求める決議案は、アメリカなどの反対で否決されたわけだけれども、今回のファビウス外相による決議案の提案発言に対して、アメリカは反対していないとされていて、アメリカの対応が変わる可能性も伝えられていますけれども、その辺の岸田大臣の意見をお聞かせいただきたいと思います。

    〔三ッ矢委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、米国政府の対応について今コメントするのは控えなければなりませんが、オバマ政権関係者が、主権があるパレスチナ国家を求める国連安保理決議を支持する可能性がある、こういった旨述べたという報道があることは承知しております。

 そして、他方、米国務省副報道官代行は、安保理における米国の行動を予断することはない、こうした発言をされているということも承知しております。

 我が国としましては、米国を初めとする国際社会が緊密に連携しながら、二国家解決の実現に向けて、直接交渉が早期に再開されるよう後押ししていくべきであると考えており、こういった観点から、安保理でのこうした動きは注視していきたいと考えます。

穀田委員 今、後押しする上でということを述べられたことについては、確認しておきたいと思っています。

 次に、では、国連がこの間どんなふうな形で議論をしてきたのかという問題について、少し大臣と議論をしたいと思うんですね。

 国連におけるパレスチナ問題は、当時、国連でパレスチナを代表していたのはPLOで、当初オブザーバー組織だったけれども、オスロ合意に基づいてパレスチナ自治政府がつくられまして、そのもとで、オブザーバー組織を国家に格上げする動きが始まりました。

 PLOは、二〇一一年の国連総会にパレスチナ国家としての国連加盟を申請し、交渉と議論の末に、翌二〇一二年十一月二十九日に、国連総会でパレスチナをオブザーバー国家として承認する決議が採択されました。この決議は、日本を含む賛成百三十八、反対九、棄権四十一で採択されました。

 この際の日本政府は、この決議に賛成しております。この態度の根拠と、米国とのすり合わせの問題の経緯について、お述べいただきたいと思います。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、我が国は、従来から、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する二国家解決を支持してきました。こういった観点から、御指摘の国連総会決議に賛成票を投じました。

 そして、本件を含め中東和平問題に関しては、我が国はこれまでも緊密に米国と協議をしております。今後とも、米国を含めた関係国と連携し、和平実現に向けて、イスラエルとパレスチナとの間の交渉をしっかり後押ししていきたいと考えております。

穀田委員 この国連決議は、国際社会がパレスチナ人民の民族自決権を支持し、パレスチナの独立とイスラエルとの平和共存を強く求めることを示したわけであります。

 こうしたもとで、パレスチナを国家として承認する国の数もふえており、昨年十月にはスウェーデンが正式承認し、EUの主要国としては初の承認として注目されました。パレスチナの国連代表部のウエブサイトによると、スウェーデンの承認によって承認国は百三十五カ国に達しています。これは国連加盟国の約七割に当たります。

 スウェーデンが承認した際の理由と、パレスチナ国家承認問題に関するEU並びにヨーロッパ各国における議会の動向について、報告してください。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一四年十月三十日、スウェーデン外務省は、パレスチナ国家を国家承認したことを発表いたしました。その際、バルストローム外務大臣の説明でございますが、和平交渉におけるイスラエルとパレスチナの立場をより平等にしていくことによって、スウェーデンとしてその交渉を促進していきたいという理由づけを専らおっしゃっていると理解をしております。

 欧州議会初めヨーロッパの各国議会での動きでございますけれども、昨年後半以降現在までに、欧州議会の決議を含めまして、イギリス、フランスを含めまして、九カ国と私は理解しておりますが、欧州の国の議会におきましてパレスチナの国家承認を求める決議が採択されたと承知しております。

穀田委員 今お話あったように、促進していきたいと。大臣が述べている後押ししていきたいというのと似たようなものだと私は思うんですが。

 私は、日本が、オブザーバー国家となることに賛成したのに、どうして日本としてパレスチナの国家承認に進まないのか、今、多くの国が国家承認を求めていく意向を示しているときになぜできないのか、この点について外務大臣にお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 日本としましては、パレスチナの独立国家樹立の権利を含む民族自決権を支持し、そうした観点から、国家樹立に向けたパレスチナ人の努力を政治経済面から支援しております。そして、イスラエルとの中東和平交渉が進展し、遠くない将来に日本がパレスチナを国家として承認できる日が来ると信じております。

 そして、国家として日本がパレスチナを承認するか否かという点につきましては、国際法上の観点ももちろん重要でありますが、あわせて、和平プロセスの進展に資するかどうか、こういった点をしっかり考えた上で総合的に検討していかなければならないと存じます。こうした和平プロセス、直接交渉が進むという観点からどうあるべきなのか、それを考えた上で日本の対応を考えていく次第であります。

 よって、我が国がパレスチナの非加盟国オブザーバーステータスに関する総会決議に賛成したことと、パレスチナを国家として承認するということ、これは別個の問題であり、今申し上げました観点を重視しながら取り組みを考えていかなければならないと考えます。

穀田委員 別個の問題ですからね。それはわかっているんですよ。だから、百三十八カ国が賛成をしたけれども、そのうちで二十カ国余りはまだ承認をしていなくて、百三十五カ国が承認しているという問題は別なんですよね。それはわかっているんです。

 ただ、問題は、今お話がありましたけれども、国際法だけでなくて、和平に資するかということが観点だと述べました。

 そうしますと、では、今までスウェーデンは、先ほどありましたけれども、促進していきたいと。そして、報告していなかったことをちょっと言いますと、スウェーデンの外務大臣は今回の承認が停滞した中東和平プロセスに新たな勢いを与えるとの見通しを示したということで、つまり、今世界各国が、この承認問題をめぐって、承認をすることがどういう位置づけになるかということをそれぞれ述べているわけですね。

 だから、先ほど局長から報告がありましたように、九カ国という数字はちょっとあれですけれども、イギリスの下院、アイルランド上院、スペイン下院、フランス下院も、パレスチナの国家承認を求める決議を相次いで採択しているんですね。そして、その決議は、大体共通してイスラエルとパレスチナの二国家共存による中東和平の実現を支持していて、そのことによってさらに進展するであろうということから述べているわけです。まさに和平に資するという立場から述べているわけですね。

 そうすると、ちょいと立場が違うと。和平に資するかどうかということになりますと、では、今承認することは、大臣は和平に資さないという立場だということですか。

岸田国務大臣 我が国としましては、二国家解決の実現を目指すという立場に立っています。そして、我が国は今日までイスラエル、パレスチナ双方に対しまして働きかけを続けてきました。要は、直接交渉再開に資さないような行動は控えるべきであるという働きかけを行ってきたところであります。国際法上の観点に加えて、和平プロセスの進展に資するかどうか、こういった観点が重要だという立場から働きかけを行ってきたわけです。

 他国の判断、考え方について何か論評する立場にはありませんが、我が国としましては、引き続き、イスラエル、パレスチナ、この直接交渉が再開され、そして二国家解決が実現するために、何が我が国として最も適切なのか、現実的なのか、こういった観点から具体的な対応は考えていきたいと考えます。

穀田委員 先ほどの局長の発言じゃないですか。アメリカの態度も含めて、非常に煮え切らないとかいろいろ発言がありましたけれども、どうも外務大臣の発言もしゃきっとせえへんね。後押しするということを述べているわけですやんか、先ほど言ったように。

 では、我々がそういう国家承認をしたら直接交渉にマイナスに響くとお考えなんですか。

岸田国務大臣 今、現状において、イスラエル、パレスチナ双方に、直接交渉再開に資することがない、こういった行動を控えるよう働きかける、これが最も重要であると考えます。

 イスラエル側においては、入植の問題が指摘をされています。あるいは、パレスチナ側においては、国連等へのかかわりが指摘をされているわけですが、いずれにせよ、直接交渉の再開を害するような行動は控えるということをしっかり働きかけることが、現状、重要だと考えております。

 先ほど申し上げましたように、中東和平交渉が進展して、遠くない将来に日本がパレスチナを国家として承認できる日が来ると我々は信じておりますが、そうした結果に向けて、より現実的な対応を考えていかなければならないと考えます。

穀田委員 私が何で外側からいろいろなことを言っているかというと、要するに、フランスもそういう新しい提起をし出している、アメリカも態度を少しずつ変化させている、こういうのがある。それから、国際的にも、今までEUを初めとした主要国がそういう承認をしない事態から、少し動き出している。国連やフランスやEU、アメリカと、こういうことをずっと述べてきたわけですよね。そういう中で、日本だけがおくれることになるでということを私は逆に問いたい。

 そこで、今の態度については根拠のないものであったということは私さっき言ったんですけれども、日本外交は、確かに、先ほどありましたように、一方では、アラブ諸国と経済、外交で良好な関係を築いてきました。他方では、アメリカに気兼ねしてイスラエルの横暴をきちんと批判できないという弱点が、率直に言うとあると言わなければなりません。

 そこで、この問題になぜ日本の承認の意味があるかということについて最後に述べたいと思うんです。

 私ども、アラブ諸国の方々ともいろいろ話し合いをしています。そういう中で、アラブ諸国からは、パレスチナ国家の承認は日本としてのメッセージを発することになると。一つは、パレスチナへの支援のメッセージだ、二つは、イスラエルに対して二国家共存の重要性を示すメッセージになる、三つには、国際社会に対しても、そういう方向でこそ真の解決ができるというメッセージだ、こういう声が上げられています。

 先ほども私は外側をいろいろ述べたわけですけれども、大臣が言っておられる遠くない将来ではなくて、近い将来にする必要がある、そのことが和平に資する、直接交渉にもプラスになる。したがって、国際的な流れに合流し、役割を今果たさなければならない時期に来ている、そういう認識だということを主張して、質問を終わります。

土屋委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 国際情勢に関する件で、きょうは、特に日米の同盟関係に関する諸課題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、沖縄においては、今後、大規模な基地の返還による跡地利用計画が策定されてまいります。去る三月三十一日に、宜野湾市と北谷町にまたがる地域の宜野湾市側にあります西普天間住宅地区の五十一ヘクタールが返還されています。

 この西普天間地区は、四月から、今月から、今建っている、米軍が使っていた住宅の取り壊しと、そして土壌汚染の調査を、二年から三年かけて行い、さらに跡地利用計画を進めていくということで、国、県、宜野湾市、それから地権者とともに、その新しい活用が始まっていくという方向で述べられております。

 では、その跡地利用に関して、私の地元であります沖縄市のサッカー場から見つかった、廃棄されたドラム缶問題についてお伺いしたいと思います。

 二〇一三年六月に、沖縄市のサッカー場から、猛毒類と言われているダイオキシンが含まれていると見られるドラム缶が発見されました。そして、実は、つい先日、三月二十三日に、新たに見つかったドラム缶十七本、そのうちの一本から、発がんのおそれがある有害物質ジクロロメタンが基準値の四万五千五百倍の高濃度で検出されたこともわかっております。

 こういうふうに、調べれば調べるほど、後から後から、明らかに米軍が基地として使っていた場所から有害物質が発見されるということについて、まず質問をさせていただきたいと思います。

 この沖縄市サッカー場から見つかった、埋棄、埋められて廃棄されたドラム缶が最初に見つかってからこれまでの経緯について、まず御説明をいただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生御指摘いただきました沖縄市のサッカー場におきましてドラム缶が発見された件でございますけれども、これは二十五年六月、嘉手納飛行場の一部返還地であります沖縄市のサッカー場におきまして、沖縄市発注の人口芝を敷設する工事をしている中におきまして、地中からドラム缶が発見されたものでございます。沖縄防衛局におきましては、沖縄市などと調整いたしつつ所要の調査を進めてきたところでございます。

 まず、地表から深さ二メートルまでの箇所におきましては、発見されました合計八十三本のドラム缶の付着物につきまして調査を実施いたしましたところ、ダイオキシン類が検出されたところでございます。

 また、過去にくぼんだ地形だった箇所におきましては、昨年十一月からドラム缶の有無を確認するための調査を実施しております。本年三月まで、御指摘のように十七本ドラム缶を発見いたしまして、現在その付着物の調査を行っているほか、残りの箇所につきましてもドラム缶の有無を確認するための調査を実施しているところでございます。

 こうした中、先月二十三日でございますけれども、沖縄防衛局におきまして、過去にくぼんだ地形であった箇所からこれまで発見されました十七本のドラム缶に関します分析項目のうち、土壌汚染対策法上の第一種特定有害物質十一項目の分析結果などに関する中間報告を公表したところでございます。

 その中間報告、内容を簡単に三点ほど申し上げます。

 まず、この分析結果におきましては、ドラム缶の付着物、それと底面の土壌に関しまして基準値を超える物質が検出されております。これらの物質につきましては、例えば金属部品などの加工段階で用いました油の除去などに使用されるほか、各種の溶剤として使用されているような物質であると承知しております。

 二点目ですが、これらのドラム缶は、密封した上で敷地内のコンテナボックスに保管されておりまして、ドラム缶内部それからドラム缶周辺で確認された水も全て採水、水をとっておりますことから、これ以上周辺に汚染が拡散する可能性はないということを記述しております。

 三点目でございますけれども、汚染が確認されましたドラム缶の発見箇所の土壌については、雨水による拡散防止のため、ブルーシートで養生中でございます。したがいまして、直接摂取しない限りは直ちに人体への影響は考えにくい、こういうことを記述しております。

 防衛省といたしましては、これら十七本のドラム缶につきまして、今述べました十一項目による調査以外のその他の項目についての分析を継続するとともに、過去にくぼんだ地形であったこの場所の残りの箇所につきましても、ドラム缶の有無を確認するための調査を進めてまいる所存でございます。

玉城委員 子供たちが使うサッカー場ですから、そんなに大きな面積ではないにしても、芝生の張りかえの工事をしてドラム缶が発見されたということは、本来であれば基地が返還された時点で徹底した調査を行っておくべきであるというように思います。

 では、この汚染物質が入っていたドラム缶について、最初に使っていた、このドラム缶を埋めたと思われる米軍への照会や確認はどのようになっておりますでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 これらドラム缶につきまして、先ほど申し上げましたとおり、分析を進めておるところでございますけれども、この土地につきましては、昭和四十七年から昭和六十二年までの間、嘉手納飛行場の一部として米軍が使用しておりました。

 こういうことから、沖縄防衛局の方から米軍に対して事実関係を照会しているところでございます。そして、現在も米軍が調査を実施しているということで承知をしているところでございます。

玉城委員 一日も早くその調査報告が確認されて、しっかりとした国と米軍の責任をさらに我々は追及していかなければならないというふうに思います。

 先ほども例示として西普天間住宅地区のことを挙げましたけれども、これからもこういうふうに基地の大規模な返還が予定されているわけですが、こういう場合に、米軍から返還された後でそのような有害な物質が見つかった場合など、問題解決に向けて、それでは今後どのように取り組んでいこうとするものであるかをお伺いしたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍から施設・区域が返還されました場合におきまして、我が国の責任で原状回復を行ってきているところでございます。また、米側の同意を得た上で、土壌汚染調査などを含めまして、返還後の支障除去措置を円滑に実施するために必要な調査を返還前に実施している例もございます。

 いずれにしましても、先生御指摘のとおり、施設・区域返還跡地の周辺住民の方々の御懸念を十分に踏まえまして、米軍が環境面に最大限配慮するよう、さまざまな機会を通じて働きかけるとともに、返還された駐留軍用地の跡地の原状回復について、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 ぜひ真摯な取り組みを期待したいというふうに思います。

 では、続いて、現況の辺野古問題についてお伺いいたします。

 米軍普天間飛行場の移設計画で、今海底のボーリング調査が行われているキャンプ・シュワブ周辺海域で、沖縄防衛局が海中に投下したコンクリートブロックが県の許可区域外でサンゴ礁を破壊した可能性が高いとして、沖縄県が米軍の臨時制限区域内での立入調査を求めている件で、一度、米側の運用上でできないと断られましたけれども、その後、改めてまた、外務省の方へその調査をさせてくれということで、米軍にその請願を出している、依頼を出しているというふうに思います。

 この県側からの岩礁破砕確認調査のアメリカ側への再要請に関して、どのような状況になっているのか確認をしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十九日付の沖縄県から米軍に対するキャンプ・シュワブへの立ち入り許可申請につきましては、現在、米側において引き続きその可否を検討中であることから、その結果について予断することは差し控えさせていただきたいと思います。

玉城委員 つまり、今外務省の方から米側の方に、県側からそういう要請が再び出ているということを要請している、米側からの返事待ちであるということでよろしいですか。

鈴木政府参考人 そのとおりでございます。外務省から伝え、現在、米側において検討中ということでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、再びアメリカ側から運用上の理由をもって許可できないというふうになった場合、防衛局は、沖縄県に対してどのような協力する姿勢を持っているか、あるいは協力できる体制をつくれるのかについて見解を伺いたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍基地への立ち入りにつきましては、今外務省の方からお答えいただいたとおり、現在、米側においてその可否を検討中ということで、その結果について予断はできませんけれども、その上で、防衛局としては、今後ともできることがあれば何らかの対応をしたいというふうに考えております。

玉城委員 局長、ありがとうございます。今の答弁は大変沖縄県にとっては助かると思います。

 けさの地元の新聞で、防衛局に写真を要求しているという記事がありますので、委員の皆さんにも紹介をしたいと思います。

 「米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり、県は十五日、沖縄防衛局に対し、名護市辺野古沖の岩礁破砕許可区域外に設置された全てのコンクリートブロックを寸法が分かるように写真撮影した上で五月八日までに報告するよう求めた。」というふうになっています。防衛省は、サンゴ礁にまで発達していないサンゴ類の損傷で沖縄県の規制対象とはならないと説明しているが、県は、寸法がわかる写真を見ることでサンゴ類かサンゴ礁か確認したいというふうに申し入れています。

 では、こういうことに関する協力は積極的に取り組んでいけるということでよろしいですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今現在、沖縄防衛局におきまして、こういう区域におきまして、必ず工事と並行してサンゴ類の調査を行っておるわけでございますけれども、この調査の結果につきましては、準備ができ次第、提供してまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 アメリカ側が断った場合には、国側が積極的に県と協力をしなければならないということは、今答弁にもあったとおりだと思います。

 では、お伺いいたしますが、続いて、環境へ与えている負荷の有無についてを、この件に関しては防衛省と環境省のそれぞれの見解を伺いたいと思います。

 沖縄防衛局は九日、名護市辺野古の新基地建設に関し政府へ助言する第四回環境監視等委員会を東京都内で開き、辺野古の海域でブイを固定するために海底に設置した大型のコンクリートブロックにより、九十四群体のサンゴが損傷していたことを明らかにしたということが報じられています。

 では、お伺いいたします。

 この九十四群体中八十九群体が許可外にあるというふうに報告で載っておりますが、この件に関して、環境へ与えている負荷の有無について、確認について、まず防衛省からお伺いいたします。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきました、先日、四月九日に開催された第四回環境監視等委員会におきましては、ブイ設置に伴いますサンゴ類への影響について、全体で九十四群体のサンゴ類について影響が確認されたということが沖縄防衛局から報告されまして、このうち八十九群体につきましては、埋め立てのための岩礁破砕許可区域外であることが確認されておるところでございます。

 このブイのアンカーにつきましては、環境への影響をできる限り回避する観点から、事前にサンゴ類の分布状況について調査を行っておりまして、サンゴが五%以上の割合を占める場所、また、長径が一メートルを超える大型サンゴを避けて設置するということで、環境保全に配慮して作業を実施してまいったところでございます。

 防衛省といたしましては、まず、岩礁破砕ということに関して申し上げますと、海域における地殻の隆起形態を変化させる行為であると考えておりまして、今回の報告におけますサンゴへの影響を踏まえましても、ブイのアンカー設置によって規制の対象となるような岩礁破砕行為はなかったものと認識しております。

 委員会からは、今般のサンゴ類の損傷がサンゴ礁全体へ及ぼす影響はそれほど大きいものではないといった意見が示されているところでございますけれども、今後とも、同委員会で示されましたその他の意見の一つ一つについても真摯に受けとめまして、代替施設建設事業の実施に当たっては、この委員会の指導助言を踏まえて、環境の保全に万全を期する所存でございます。

玉城委員 今、答弁の中にありましたが、明らかに八十九群体が許可区域外である。だから、県は、調査をさせてくれということを一生懸命お願いしていると思います。

 しかも、答弁の中にありました、サンゴの被度五%以上、さらにサンゴの長径一メートル以上のところを避けるというふうに言っておりますが、サンゴは、種類によって違うんですが、一センチ成長するのに一年から五十年かかります。

 そういうことを考えると、一メートルになるまで、果たしてどのぐらいの時間がかかるのか。では、一メートルに発達するまで、成長段階にある二十センチ、三十センチのサンゴは潰してもいいということなのか。

 さまざまな観点から考えなければならないということが、果たして、防衛局が行っているこのアセスの成果というものが正しい成果なのかどうかということが、ずっと、アセスは不備であるということが言われ続けている、そういうもろもろの部分を再点検しなければならないということなのではないかと思います。

 この環境へ与えている負荷について、所管庁であります環境省の見解を伺いたいと思います。

塚本政府参考人 お答え申し上げます。

 大浦湾、辺野古地区における自然環境の保全は重要と認識しております。工事の実施に際しての環境配慮については、環境影響評価の結果なども踏まえて、事業者である防衛省において適切に行われるべきものと認識しております。

玉城委員 環境省さんも、もう少し自信を持って、防衛省と連携を組んでいただきたいというふうに思います。自然環境を所管する省庁として、事業者があるということは重々理解するものでありますが、しかし、そこは連携して、良好な自然条件、自然環境であれば、それは永続して後世に継がなければならない責任がおのおのあるというふうに私は思うわけですね。

 ですから、今回の見解はあえて環境省にもお尋ねさせていただいたのは、そういう見地からすると、先ほど言ったように、では、一メートルにならないサンゴだったら潰していいのか。魚はサンゴが生えているところでしか産卵しないし、そこは餌場にもなり生育場にもなるということは、専門家である皆さんの方が私よりもはるかにそのことはよく存じていらっしゃるというふうに思います。

 ですから、この件に関しては、これからも沖縄県に積極的に協力していただくことを環境省、防衛省に求めたいというふうに思います。

 では、この辺野古移設問題について、もう一点、今度はちょっと違う角度から聞かせてください。

 今月二十七日に、2プラス2がアメリカで行われるという報道があります。二十八日は、総理もまた会談して共同発表するというふうなニュースがありますが、この四月下旬にワシントンで開かれる2プラス2で発表する共同声明に、沖縄県が、前の仲井真知事が求めて合意をしたはずの米軍普天間飛行場の五年以内の運用停止は、盛り込まない方針であるということが明らかになっております。

 その件に関して、実は、二〇一四年、菅官房長官は、さまざまな形で協議をするんだということを記者会見で述べていますが、五年以内の停止が正式に協議されていないということもあり、この2プラス2の場は、まさにそのような協議の場にのせるスタートラインにも、非常に大切な場ではないかというふうに私は思料するわけでございます。

 この負担軽減協議について、なぜ五年以内の停止が正式に協議されていないのか、あるいは協議する方向であるのかについて、お伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の日米2プラス2ですが、現在、早期開催に向けて鋭意調整を行っています。ただ、今現在も具体的な日程については確定しておりませんし、内容についても引き続き調整中であります。

 ただ、御指摘の普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄の負担軽減については、相手のあることではありますが、できることは全て行うというのが政府の基本姿勢であり、こうした政府の姿勢は翁長知事就任後も不変であります。

 よって、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄の負担軽減についての政府の姿勢は不変であるということについて、これは引き続きアメリカ側にしっかり伝えていかなければならないと存じます。

 2プラス2については、先ほど申し上げましたように調整中ですが、さまざまな機会を通じて、我が国のこうした姿勢はアメリカ側にしっかり伝えていきたいと考えます。

玉城委員 ありがとうございます。

 もう時間ですので、残余の質問はまた後日、改めて行いたいと思います。

 最後に、今、政府の姿勢は不変であるというふうに大臣にお答えいただきました。

 四月七日、沖縄タイムスが調査いたしました緊急世論調査アンケート、そのアンケートの結果によると、翁長知事の新基地建設反対を支持するのが八三%、政府の現在の姿勢を支持するかというと支持しないが八〇%、辺野古の新基地建設について反対であるというのが七六・一%というふうになっています。

 県民の思いも不変です。そのこともしっかりと組み入れて今後の協議をしていただきますようお願いを申し上げて、質問を終わります。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

土屋委員長 次に、経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、東南アジア諸国連合プラス三箇国マクロ経済調査事務局を設立する協定の締結について承認を求めるの件及び二千七年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 東南アジア諸国連合プラス三箇国マクロ経済調査事務局を設立する協定の締結について承認を求めるの件

 二千七年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十四年六月以来、モンゴル国との間で協定の締結交渉を行いました。その結果、本年二月十日に東京において、我が方安倍内閣総理大臣と先方サイハンビレグ首相との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を増大させ、自然人の移動、競争、知的財産等の幅広い分野での枠組みを構築すること等を内容とする両国間の経済上の連携のための法的枠組みを設けるものであります。

 この協定の締結により、幅広い分野において両国間における経済上の連携が強化され、そのことを通じ、両国経済が一段と活性化し、また、両国関係が一層緊密化することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この議定書は、平成二十六年十一月にジュネーブにおいて採択されたものであります。

 この議定書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正し、同協定の附属書一Aに税関手続の迅速化等について定める貿易の円滑化に関する協定を追加することを内容とするものであります。

 我が国がこの議定書を締結し、その早期発効に寄与することは、国際貿易を促進するとともに多角的貿易体制のさらなる発展に寄与する見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、東南アジア諸国連合プラス三箇国マクロ経済調査事務局を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、平成二十六年十月にワシントンで署名されたものであります。

 この協定は、地域の経済の監視等を通じ地域の経済及び金融の安定性の確保に貢献する国際機関として東南アジア諸国連合プラス三箇国マクロ経済調査事務局を設立すること並びにその運営について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結し、その早期発効に寄与することは、我が国が地域の経済及び金融の安定化のための協力を主導していくとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、二千七年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、平成十九年九月にロンドンで開催された国際コーヒー理事会において採択されたものであります。

 この協定は、有効期間が延長された二千一年の国際コーヒー協定にかわり、国際コーヒー機関の組織、コーヒーに関する情報の交換、研究及び調査を通じた国際協力等について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、コーヒーの安定的輸入の確保に資すること、開発途上にあるコーヒー生産国の経済発展に協力すること等の見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

土屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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