衆議院

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第3号 平成28年3月11日(金曜日)

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平成二十八年三月十一日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 篠原  豪君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      大野敬太郎君    城内  実君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      鈴木 隼人君    薗浦健太郎君

      辻  清人君    松島みどり君

      三ッ矢憲生君    宮崎 政久君

      山田 美樹君    大島  敦君

      吉良 州司君    寺田  学君

      長島 昭久君    浜地 雅一君

      笠井  亮君    宮本  徹君

      丸山 穂高君    小熊 慎司君

      村岡 敏英君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        木原 誠二君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   山崎 和之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹若 敬三君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    能化 正樹君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           赤石 浩一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 谷井 淳志君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     宮崎 政久君

  小林 鷹之君     今野 智博君

  笠井  亮君     宮本  徹君

  小熊 慎司君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     小林 鷹之君

  宮崎 政久君     小渕 優子君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  村岡 敏英君     小熊 慎司君

    ―――――――――――――

三月十日

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日で東日本大震災から五年を迎えます。

 改めて、お亡くなりになられました方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、復興に御協力いただきました皆様に感謝しつつ、被災地の一刻も早い復旧復興を祈念申し上げます。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 皆様、御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

岸委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

岸委員長 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長山崎和之君、大臣官房審議官大菅岳史君、大臣官房審議官竹若敬三君、北米局長森健良君、領事局長能化正樹君、財務省主計局次長茶谷栄治君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、経済産業省大臣官房審議官赤石浩一君、防衛省地方協力局次長谷井淳志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次、これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。改革結集の会の小熊慎司です。

 私、本来的には順序が一番最後なんですけれども、きょう三月十一日、地元福島の追悼式に参加をするということで、先に質問させていただく機会を与えていただきましたことを、まず、委員長、理事の皆様初め、皆様方に御礼を申し上げる次第であります。

 早速質問に入ります。

 この在外公館法、今回設置をされるベンガルールは、ちょうど委員長と二年半前にこの外務委員会の調査でも現地を訪れまして、日系企業の進出といったものが盛んであるというのを目の当たりにしてきました。ただ、現地で聞くと、インドの場合は州法がきつくて、強い権限があったりして、日系企業も大分訴訟を抱えていて、それは州法の縛りでの訴訟が多いということでありました。

 そういう意味では、このベンガルールはいいんですけれども、またそれは周辺の州にも範囲が及んでいるとは思いますが、これからのインドとの友好、また日系企業また邦人のさまざまな交流ということを考えると、こうした州の権限が強かったりすると、やはり、一つの箇所だけではなくて、さらに在外公館というのをもっとふやしていかなければいけないというふうにも思います。

 アメリカも連邦国家で、各州それぞれ違った特色があったり法律があったりする中で、スクラップ、ビルドで、例えばシカゴなんかも周辺十州全部見ているということで、なかなか大変だという話も聞いております。

 さはさりながら、限られた予算の中でやっていかなければならないわけですから、青天井にふやしていくということもできないのも事実でありますけれども、こうしたさまざまなきめ細かな対応をしていくためには、在外公館をふやしていくことも一義的にありながら、また、その後ないということではなくて、名誉領事、名誉総領事といったもの、各国も取り組んでいて、日本も、百人はいないというふうにはお聞きしていますけれども、こうしたものの有効活用というのをしていくべきじゃないかというふうに思いますが、御見解をお願いいたします。

岸田国務大臣 御指摘のように、名誉総領事については、四十二カ国、七十九名の名誉総領事が任命されています。

 この名誉総領事という制度、兼轄国等の遠隔地での外交業務の補完ですとか人脈の形成、現地社会への食い込み、あるいは地域重点型広報の実施、こういったことを通じて日本のプレゼンスを高める、あるいは対日理解を促進する重要な役割を担っていると考えます。

 御指摘のインドにおきましては、国と州との関係におきまして州の権限が大変強い、治安においても税においても産業開発においても州の権限が強いということで、大使館あるいは総領事館の役割は大変重要になってくるわけですが、引き続き、名誉総領事、こういったものを活用する、こうした可能性はますます高まっていると感じます。

 ぜひ、積極的にこうした制度を活用するべく努力をしていきたいと考えます。

小熊委員 在外公館を新設するのにすごくお金がかかるわけですけれども、名誉総領事の場合、ちなみにどのぐらいの報酬というか謝礼金でやっているのか、ちょっとお示しをいただきたい。

岸田国務大臣 名誉総領事は、毎月、謝金を月額三百二十米ドル相当、外貨で払っております。

小熊委員 私は常々、ODAは選択と集中と拡大と言っています。それはなかなか大変な壮大な計画ですが、名誉総領事、月三百二十米ドル相当ということであれば、日本は今七十数名、八十人弱ぐらいの名誉総領事をやっているということですが、これを倍増することはそんな大した予算じゃなくてもできちゃうんじゃないですか。

 もちろん、誰がやるかによって日本のイメージとかプレゼンスというのは変わってきますから、どういう人を選定するかというのは慎重にやらなきゃいけないところでありますけれども、名誉総領事の積極的利活用はそんな大きな予算がかかるわけじゃないので、これは倍増ぐらいちょっと考えていただくように、もう一度、大臣。

岸田国務大臣 月額三百二十米ドル相当ということですが、これはそもそも国民の税金ですから、しっかりとした根拠があるはずでありますので、それをまずしっかり確認した上で。

 一方で、先ほども申し上げましたように、名誉総領事制度は今後活用する可能性は大変大きいと思っておりますので、この制度をより活用する観点から、この謝金の金額が適切かどうか、これはいま一度しっかりと検討していきたいと考えます。

小熊委員 私は安いなと思うので、もう少し値上げも考えていただきたいし、三百二十ドルのままであれば、外務委員会の皆さんが報酬から三万二千円ぐらい、三万ちょこっと、外務委員会だからそのぐらいの意識を持たなきゃいけないと思うんですけれども、やれば二十何人、あっという間に新設できるわけですよ。

 これは、もちろん報酬のあり方も見直しながらも、予算をかけないで大きな効果を生めるという一つの方法ですから、ぜひこれをしっかりやっていただきたいと同時に、今回、ニウエに設置はされますけれども、ほかの南太平洋諸国、ないところもいっぱいあるわけですよ。そこに在外公館を設置するというのも大変なことですけれども、まずは名誉総領事を置いて、しっかりとその国との関係を強化していくという意味では、これは取り組みやすい一つのアプローチの方法ですから、ぜひこれは具体的に進めていただきたいというふうに思います。

 これは関連ですけれども、今回の当初予算で設置されるサモアの大使館、ちなみに、これはずっと質問してきたPCCC、気候変動センターの取り組み状況を今この際ちょっと確認しておきたいので、答弁をお願いいたします。

黄川田大臣政務官 御質問の太平洋気候変動センターの建設についてでございます。

 御指摘のサモアのSPREPによる太平洋気候変動センター建設計画については、我が国として、太平洋地域における気候変動対策の拠点として同センターを整備する方針を打ち出しております。昨年五月の第七回太平洋・島サミットの福島・いわき宣言にも、その旨明記しております。現在、無償資金協力による支援を実施する方向で準備を進めております。

 具体的には、昨年四月からJICA、専門家と調査団を現地に派遣し、来年度の早い段階での協力決定を目指して、案件の形成のために準備を行っているところであります。

 太平洋島嶼国において、気候変動や自然災害への対応は緊急の課題でございます。我が国にとっても、今後もSPREPと協力して太平洋気候変動センターを活用し、地域全体で気候変動対策に取り組むための人材育成や環境整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

小熊委員 ありがとうございました。

 これも、サモア一カ国ではなく、SPREP、また南太平洋全体の気候を把握するということは日本の防災上も必要なことですから、ぜひ着実に今後も進めていっていただきたいと思います。

 最後に、この名誉総領事倍増計画、それがまさに、積極的平和外交の一つであるという証左にもなりますから、そこでステップして、その後、ODAの拡大という方向につなげるためにも、ぜひ取り組んでいただきますよう、これは与野党を超えて主張していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

岸委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。維新の党の篠原豪でございます。

 本日は、一昨日の大臣所信質疑、そしてきのうの在日米軍駐留経費負担に係る特別協定、いわゆる思いやり予算ですけれども、これで本会議の場で御質問させていただきましたので、岸田大臣とは三日連続で質疑をさせていただくことになります。ありがとうございます。感謝申し上げますし、よろしくお願いいたします。

 その中で、本日は、今国会における外務委員会での初めての法案質疑となりますので、よろしくお願いいたします。

 本日の法案質疑は、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案についてのものです。

 これはなぜ略さないで全部読んだかというと、法律というのはいろいろなものがタイトルの中に入っているんですけれども、やはり在外公館は非常に重要でございます、その中で、論点をしっかりと出しているタイトルなのかなと思っておりましたので、あえて取り上げさせていただきました。

 本日は、この在外公館に限ってお話をさせていただきたいと思っているんです。

 まず、外務省は、平成二十六年に在外公館の整備方針を策定いたしました。その中で、公館については、現在、我が国が承認している国が百九十四カ国であるのに対して、大使館を設置しているのは百三十九カ国にとどまっている、国益の確保のため、国際社会の中で存在感を維持していくためには、主要国並みの外交実施体制を構築し、具体的には百五十大使館の実現を目指して、定員の増強と必要な大使館、総領事館の設置を加速化する必要があるとしています。

 これは後ほど、また時間があればお伺いしたいと思っていますけれども、今回の法案には、在ニウエ日本国大使館の新設なども含まれており、これで百四十九カ国目ということでございます。

 そこで、まず、政府が従来掲げてきた百五十大使館体制という目標の達成がもう目前に迫っています。この達成を目前に、近年における大使館の増設は、我が国の外交上どのような意義があるとお考えか、大臣に伺います。

岸田国務大臣 我が国をめぐる安全保障環境は厳しさを増し、あるいは外交課題は多様化しています。その中で、我が国として、積極的平和主義あるいは力強い経済外交を進めていかなければなりません。

 その中における在外公館あるいは大使館の役割ですが、そもそも、在外公館の新設に当たっては、安全保障や戦略的対外発信上の重要性、あるいは資源獲得を含む経済上の利益、そして邦人保護及び日本企業支援、そして国際社会における我が国への支持獲得、そして主要国等の公館設置状況、こうしたものを総合的に勘案して設置を判断しているということであります。

 こうした判断に基づいて設けられました在外公館、海外における外交活動の拠点として、我が国の存在感を高め、あるいは総合的な外交力を強化する、こういった点において意義があると評価をしている次第であります。

篠原(豪)委員 少し調べてみたんですけれども、ちょうど十年前の大使館数が百十七カ所、二十年前が百十二カ所であって、そうすると、この十年の間に三十二カ所創設をしている。その前の十年というのは、たった五カ所なんですね。ですので、非常にこの十年間ぐっと在外公館をふやしているということになっているんだということがわかります。

 大使館といえば、どういう目的で設置をされていて、その目的実現のためにどういう機能があって、その機能を支えるためにはどのような人員がいて、その構成はどのようになっていて、そして、これらを総合的に誰が日本を代表してその国をまとめていくのかということであれば、これはやはり大使の方だというふうに思います。

 私もこの二カ月間、南米や中米の大使の多くの皆さんにいろいろとお話をいただく機会があって、それぞれの大使の方々のお話は、本当に現場の声、なかなか地球の南米のあたりだったりするとこちらの方に情報が入ってこないんですが、それを簡潔にまとめていただいて、こういうふうにした方がいいとか、今こういう情勢でありますよということをいろいろと教えていただいたことは大変ありがたかったと思っております。

 そういう大使の方々がどういうことをこれまでやってきたのかというのが気になりまして。国家を代表して全権を委任されて行くという方は、やはり日本のことをいっぱい知っているんだと思いますし、日本の代表の顔としてやっていくときに、それぞれ赴任されている国でどういう立場でいるのかということだと思います。これをまず確認させていただきたいと思っています。

 まず、大使の中で、外務省のプロパーの大使、それ以外の大使が現職では何人ぐらいいて、その割合、そしてまた、プロパー以外の出身者がいるとすればどのようになっているのか。そして、現在と過去において、経済であるとか企業経営であるとかいろいろやっている方々も、やはりリーダーシップをとって大きな企業をまとめてきたりもしていますので、そういう経験であるとか民間の知恵、知識というのは、やはり使わせていただけるものであればぜひというふうに思うところも多いんだと思います。海外に赴任してビジネスの最前線でやられていた方もいらっしゃると思いますし、それは国会議員の方でもいらっしゃると思うんですけれども。

 そういうことで、この点について、現在と過去に民間の出身の方もいるかどうかも含めてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 現在の大使の数、全部で百四十六名ですが、その中で、外務省プロパー以外の大使ですが、合わせて三十名おります。そして、そのうち外務省以外の他省庁出身の大使が二十名、そして民間等の出身が十名となっております。このように、現職大使の中で約二〇%がプロパー以外の大使という状況になっております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。今伺いますと、やはり外務省の出身の方々が多いということだと思います。

 もちろん、外交というのは国と国とのいろいろな交渉事ですから、それをずっと専門でやられてきた方たちの中で非常に優秀な方というのは多いんだと思います。そういった方々が我が国を代表してやっていくというのは、それはそれで一つ。

 しかし、時代が、どんどんと国際情勢が激化して変わっていく、その最前線に立たれていろいろと、本当にこの日本の国益を守るために民間の立場からやってきている方々のお知恵というのは、日本にもいっぱい会社がありますから、それは今十名ということでしたけれども、これはもうちょっと積極的に、これから我が国の戦略としてやはりお願いをしていくということが大事なんだろうというふうに思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。

 もう一つ、体制ということでお伺いをいたします。

 まず、在外公館新設。整備方針で今ありましたけれども、そこには、在外公館を新設していけば新設していくだけ人員が必要になってくるというふうに思います。その在外公館の整備に見合った定員の増強を確保するというふうに、これは政府もしています。これを言っていますけれども、実際にどうやって確保していくのか。計画を支える上で、そのバックグラウンドの実態というのはどうなっているかというのが、やはり気になります。

 そこで、まず、これも同じ視点ではあるんですけれども、この計画を支えているであろう外務省プロパーの職員定数、今、外務省全体で、外務省の職員定数は何名で、そして、プロパーの国内人員数、国外人員数というのは何名か、これは外務省の方ですね。そして、在外公館勤務の職員総数のうち、これはプロパー、プロパーじゃない方合わせてどのような割合でなっているかということを伺わせていただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の外務省の定員数は、本省及び在外公館を合わせて五千八百七十六名でございます。うち、外務省プロパーの職員数は四千四百九十三名でございます。また、外務省プロパーの職員のうち、外務省本省で勤務している職員数は二千二百七十四名でございます。在外公館で勤務している外務省プロパーの職員数は二千二百十九名でございます。

 現時点で、在外公館で勤務している職員数は三千三百五十名でございますが、うち、外務省プロパーの職員数は二千二百十九名でございますので、割合は六六・二%ということになります。

篠原(豪)委員 プロパーの方々の割合が三千三百五十名中二千二百十九、六六・二%ということで、三分の二の方が外務省の出身者で、残りの三分の一の方はそうじゃないということですね。

 私も、国会で仕事をさせていただくようになる前からも、いろいろと大使館の職員の方々とお話をさせていただく機会もありました。皆さん、どちらの出身ですか、どこからいらして、それで、いつ来て、いつお帰りになるんですかという話に必ずなるんです。そのときに伺いますと、外務省の方もいらっしゃいますし、その他の省庁の方もいますし、いや、僕は自治体から来たんですよという方々もいるんですね。そういった方々がいらっしゃって、さまざまです。

 そこで、わかりやすく考えるために、少し限定して、大使館という切り口で伺いたいと思うんです。大使館は、それこそ百五十にふやすといった、領事館であるとか駐在事務所とか、いろいろある中でもわかりやすいと思うので、お伺いするんです。

 大使館の方々の構成の中で、外務省と他省庁というのがどれぐらい、今ちょっと、外務省以外を聞いたんですけれども、地方自治体の方であるとか民間の方が職員の中に構成されているのか、ここも、もう一回細かくお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 在外公館のうち、御指摘のございました大使館で勤務している職員の割合でございますけれども、まず、大使館で勤務している職員数は現時点で二千四百九十二名でございます。そのうち、外務省プロパーの職員数は千六百五十七名でございます。他省庁及び独立行政法人出身者が七百二十四名でございます。地方自治体出身者が十七名でございます。民間等出身者が九十四名でございます。

 割合で申しますと、外務省プロパーが六六・五%、他省庁、独立行政法人出身者が二九・一%、地方自治体出身者が〇・七%、民間等出身者が三・八%という数字でございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 自治体の方が少なくて、そして、民間人の方が思ったより多かったなというのが率直な感想です。

 今申し上げましたけれども、いついらして、日本に帰る予定がいつだということが話題になるということを言いましたけれども、これは伺っていますと、外務省に勤めている方と、そして、今言った外務省以外の独立行政法人、他省庁であったり他の自治体の方もあるんですけれども、これが、大体、勤務の形が少し違うんじゃないかというふうに聞いています。一般的な海外勤務は、外務省プロパーの方はよく言う一回り二カ所六年、そして外務省職員以外の方は一カ所三年が通常だというふうに聞いているんです。

 これが大体一般的な例であるか、そうじゃなくて、例外があるとすればどういう形になっているかということを確認させていただければと思います。

岸田国務大臣 在外公館における勤務期間ですとか異動のタイミングについては、その時々の在外公館の必要性に応じて対応するわけですので、一概に決まっているものではありませんが、全体を見てみますと、外務省プロパーの職員が二年から三年の在外公館勤務を二ポスト続けて行う場合があるのに対して、他省庁等からの出向者については三年任期の一ポスト勤務で帰国する、これが一般的のようであります。

 ただ、これは一般的ということで、外務省プロパーの職員でも一ポストで帰国することもあります。他省庁からの出向者でも、任期が延長される、また逆に短縮される、こういったこともあると承知をしております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 一般的には大体、二年、三年で、二ポスト。これは、一カ所行って、日本に帰ってこないで違う国にまた行って、そして日本に帰ってくる、また日本にしばらくいて、そしてまた外国に行く、回ってくるというのが外務省の方々の大体のケースというふうに聞いています。

 これは何で申し上げたかというと、他省庁からいらっしゃっている方々でも、外交をやる中で、本当に三年でいいのかというところがあって、なぜならば、僕も聞くんですけれども、大体一年目は、行くとなれるのに大変だ、二年目になるといよいよ仕事ができるようになる、三年目になるともう帰る準備をしなきゃいけないと言うんですよ。

 ですので、できれば、せっかく行ったのであれば、昔はそれでよかったのかもしれませんけれども、今は、それこそインテリジェンスをどうするかとか、中東地域がどうであるとか、我が国にとってスペシャリストがどんどん必要になってくる中で、一カ所に長くとどまっていただいたり、あるいは、別に農業の話でも水産の話でも工業でも資源でもいいんですけれども、出てきていらっしゃる方々は恐らく大分そのプロフェッショナルだと思うんですね。特に、省庁から出ていらっしゃる方々、そして、プロパーでやっていなくて、独立行政法人から来ている方々も特化して仕事をしている。

 そういった方々は、三年間でありますと、せっかく外国に行っていただいて日本のために働こうというときに、実質的には余り働ける時間が少ないとなると、やはりこれは何回入れかえても、非常にもったいないんじゃないかというふうに思います。

 そこを少しずつ変えていけば、例えば外務省の方々が二ポスト行くというのは、僕は意味があることだと思います。外に出て、国をかえて、いわゆるG7のような国に、大使はそうなのかわかりませんけれども、上の方の方々を全然違うアフリカであるとかそういうところから流動的に入れていく、それで戻していくというのは、それは、国際間の情勢をいろいろ考える上で、一つテーマを定めていろいろ大きなものをやっていくときに、戦略的に配置していくというのはいいことだと思っていますし、実際そういうことも起きているようにお見受けしました。戦略的な外交をやる上で、三年間だと結局単なる外部から来た手伝いというような扱いで、例えばそういうふうに感じている方々もたくさんいるというふうに聞いていまして、いや、僕たちも本当に活躍しようと思えばいろいろできるんだけれどもということを聞いています。

 それで、外務省のプロパーの方は定員数がありますし、それをふやすわけにもいかないということ、この本省職員数というのを私も見ているんですけれども、確かに、主要国における外務省職員数というのは、これは本省職員ですが、日本は二千二百七十四名とおっしゃっていましたが、イギリスが四千名、ドイツも四千名ぐらい、中国が三千名、合計でいうと、日本が約六千名、イギリスはそれを上回っていて、ドイツが八千名、中国が九千名、フランス九千名、ロシアが一万一千名、アメリカはちょっと大きいので約三万名となっている。

 そういった中で、よりよく、うまく日本の外交を、これから百五十展開して在外公館をふやしていって、そしてニーズもいろいろとふえていって拡大していくという方針の中で、やはり他省庁の方々をできればもう少し、二ポスト六年とか、そういうことも積極的に考えていったら、我が国の外交にとってはよいことになるんだと思うんですけれども、その点についてどうお考えかをお伺いいたします。

岸田国務大臣 他省庁の職員の方で、勤務期間を延長していただく、あるいは複数回勤務していただく、こういったケースは今までもあります。

 外交的な見地から考えますと、今、委員から御指摘がありましたように、豊富な経験を有する、あるいは高い外国語能力を有する、さらには国際感覚を有する、こういった方に活躍していただくことは歓迎すべきことだと思います。

 ただ、他省庁の職員の方に活躍していただく際に、外交的な見地だけではなくして、親元である省庁の事情とか、御本人の意向とか、そういったものもあるようでありますので、その辺もよく確認し、協力をさせていただいた上で、できるだけ積極的にこうした人材を活用していく、こういった方向で取り組んでいくべきではないかと考えます。

篠原(豪)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 お話を聞いていて、日本のインテリジェンスに中東地域でやっていた方がいらっしゃいまして、その方は幾つかの省庁、警察であるとか違うところとかをやっているみたいなんですけれども、珍しいケースだというんですけれども、十年ぐらい現地にいらっしゃったと聞いています。

 そういう方々の話を聞くと、やはり、そういうところに行ったら、親元に戻るということが三年とわかっていると、どうしても親元を見ながら仕事をしてしまう。そうじゃなくて、本当に必要なのは、やはり、志があって、やりたいという人間に対してはしっかりと長くいられるような体制にしてもらえれば、これは我が国の情報収集上、非常によくなっていくんだということは言っていましたので、ぜひ、そういったことも含めてお考えいただければと思います。

 もう一つ、大使館の体制というか、外交という中で、一番最初にお伺いした大使なんですけれども、アメリカなんかは政治指名ですね。つまり、プロパーの方々がどんどんという話じゃなくて、やはり政治の側が決めていくということなので、先ほどおっしゃっていましたけれども、民間の方々、いろいろな方々をどんどん登用していくときに、大臣のお力をやはりしっかりと発揮していただきますようお願いを申し上げます。

 次に、手当関連についてお伺いします。

 本法律案によって、幼稚園に通う子女を持つ在外職員に対する子女手当の支給額の上限が引き上げられることになります、成立すれば。

 その中でワークライフバランスを確保していくというのは大事だと思うんですけれども、一方で、国の財政状況は厳しいわけですから、手当を増額するに当たっては、しっかりと国民の皆様に対して説明責任を果たしていくことが必要なんだろうというふうに思っています。

 その観点から、本手当の加算額上限を引き上げることとした根拠について、改めて御説明をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、昨年の外務人事審議会におきまして、子育てサポートの必要性について、外務大臣に対しまして勧告が行われています。

 具体的には、海外に赴任する職員のワークライフバランスの実現支援のための措置として、子女を同伴する在外職員の教育面での支援をさらに充実すべく、幼稚園児を対象とする子女教育手当の上限額の引き上げが必要である、こうした提言が行われています。

 そして一方で、外務省としましても実態調査を行いました。そうしますと、在外職員の幼稚園に係る経費に関しまして、約九割が現行の支給限度額を超える部分の自己負担をしている、こういった結果が明らかになりました。

 海外における教育に係る経費の高さがこのあたりに出ているんだと思いますが、こうした勧告、そして実態調査を踏まえて、今般、子女教育手当の見直しを行うことといたしました。幼稚園に係る経費負担の平均から現行の自己負担額、これを差し引き、さらに、子女教育手当の定額支給分がありますので、これも差し引いた上で二万七千円という数字が出てきている次第であります。日本の教育と同等レベルの環境をぜひ海外に子女を同伴する職員にも確保するために、こういった措置を準備した次第であります。

篠原(豪)委員 家族で行って日本と同等の教育を受けられる、これも大切なことだと思いますので、そう思います。

 今、家族の話がありました。お子さんを連れていくというと家族だと思うんですけれども、外交活動というのは、恐らく、単に勤務時間だけ勤務をして仕事をしていればいいというものじゃなくて、週末に家族ぐるみで、例えばカウンターパートの方であるとか、あるいは違う国の、当該国以外のいろいろな国の方々と情報をいろいろと収集しながらやっていると思います。

 聞くところによりますと、やはり海外では、家族ぐるみのつき合いを休日にしないとなかなか本当にその情報がとれないというような声もあって、真面目な方はホームパーティーを、それも日本の文化を伝えるためも含めてやっているというふうに聞いています。国によっておもしろいのは、相手のところへ行くと、その国の食のレベルというのがいろいろと、レベルとは言わないかもしれませんけれども、異文化なものが非常にわかりやすい形で出てくるんだというふうに聞いています。ただ、これを真面目にやっている方というのは、基本的に、日本の場合は、それこそ料理をフルコースで、和食をセッティングするとかして、そしておもてなしをしている。そうなりますと、お金がかかるんだそうです。自腹だそうです。上の方の方々は多分経費で出ているんだという話でありましたけれども。

 そういった中で、これは手当全般という話ですけれども、本当に真面目に積極的に情報交換、情報収集をしようという方々と、そういうことをしないでいる方々と同じ手当をもらうというのは、やはりこれは働いている側からすると、真面目にやっている方が損をするみたいなことでいいのかどうかわかりませんけれども、ですので、これを何とか、そういったことも含めて、手当というのは一律というのもわかるんですけれども、もっと現状に合わせて、一定の評価をする仕組みであるとか、一定の評価というのは、別に手当で渡さなくても、何か方法があるのであればというふうなことですので、この点についてどうお考えか、お伺いをいたします。

岸田国務大臣 近年、在外公館におきまして、外交関連業務がますます増大化しています。また、業務も多様化しています。

 そういった中にあって、職員が十分能力を発揮できるようにということで、必要な経費として在勤手当が支給されているわけですが、その中で、実態としまして、今委員の方から御指摘がありました、休日出勤を含む超過勤務を行っている在外職員、あるいは家族ぐるみで任国関係者と人脈構築に努めている在外職員、こういった職員が多いというのも事実であります。

 そして、これを評価するべきだというお話です。そういった考え方は大変重要だと思いますが、ただ、実態面で今言ったようなものをどう評価するか。公私の峻別が難しいという性格もありますので、その辺をどう評価するかというのは大変難しい面もあります。

 ですので、まずは、こうした非公式な外交活動を通じて達成した具体的な評価があったとしたならばそれは評価するというあたりから始めて、実態に対して適切な対応を考えていく、こういった取り組みを進めるべきなのかなと考えてはおります。

篠原(豪)委員 時間ですので、きょうはこのあたりにさせていただきたいと思います。また大臣にはいろいろと質疑をさせていただく機会、きょうは三日連続ですけれども、そういうことになるかわかりませんけれども、またあると思いますので、残余の質問も大変重要な質問だと思っていますので、またお話をさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

岸委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。民主党の大島です。

 十六年間衆議院議員を務めていて外務委員会は初めてでして、なかなか、極めて抽象的な質問が多くて困ってしまっていまして、ただ、大切な委員会だと考えておりますので、一つ一つ質問をさせていただきたいと考えております。

 まず、官房長に伺いたいんですけれども、今回の法案で、ベンガルールですか、日本国総領事館を新設するということで、この意味について、その陣容がふえるのか、これまでどおりなのか、総領事が一人ふえるのか、その基本的なことについて御答弁いただければと思います。

山崎政府参考人 ベンガルールの総領事館の格上げでございますけれども、現在ベンガルールには在インド大使館の領事事務所が置かれております。職員は通常二名で勤務をしているという状況でございます。

 インド南部のベンガルールは、インドのIT産業の中心地でございますので、現在、同地は急速に経済的にも発展を遂げております。自動車産業やメガバンクを初めとした日本企業の進出も顕著になっておりまして、現時点で把握しております在留邦人の数は千百五十四名、八年前の四倍となっております。また、進出企業数も三百九十五拠点、これも八年前と比べますと七倍と急増しております。

 このような中で、進出している日本の方々また企業の保護や利益の増進、また地元政府との緊密な協力関係の形成等が求められる状況になっておりまして、このたびベンガルールを総領事館に格上げをし、また人員的にも総領事以下増強して対応させていただきたい、こういうことでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 昨年の十二月に、ジェトロとJICAの皆さんにお世話になって、二泊三日でデリーに視察をさせていただきました。その際に、ニムラナですか、工業団地を訪問して、日系企業二社、工場の中を隅々見せていただきました。僕、びっくりしました。日本でいう五S活動ですか、整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、この五Sがインドのその二社で完璧に行われている。ちり一つ落ちていない。デリーから大体百五キロ、車で二時間半から三時間ぐらいです。御承知のとおり、インドですから、道の両脇には牛が、草というのか、あるいは落ちているものをはんでいたり、犬もゆっくりと歩いていたり、混沌とまではいかなくても、結構大変なところなのかなと。

 ほこりっぽいその工業団地の中で、ニムラナですから四十六社ですか、二社訪れた一社が、これは二百六十人規模の射出成形、要はプラスチック加工の会社、もう一社が自動車用のゴム部品をつくっている会社でして、本当に完璧です。

 ただ、よくよく聞いてみると、停電するというんです、一日に前は四、五回ぐらい。工場の生産の中で停電というのは、物すごく負荷のかかることです。私たちの生活の中で電気が二十四時間安定的に来るというのは、本当に物すごく物づくりにとっては大切な領域。インドだと、毎日停電する中で日系企業が出ているというのは、これは相当のストレスの中で企業活動をしていらっしゃるのかなと本当に尊敬いたしました。

 従業員の皆さんもよく働いていらっしゃる。一社は、州政府に頼んで、女性の方も夜間の勤務、深夜勤務もできるようにして工場操業をしていらっしゃる。従業員の皆さんのしつけもしっかりされていて、よくこのインド人の皆さんをここまで、日本の生産レベルまで到達できたというのは、やはり日本企業は世界じゅうどこでも通用する技術、通用する労務管理を持っていらっしゃるということを思いました。

 やはりインドはカースト制ですから、どうしてこういうことができるんですかと伺ったところ、会社に入るときに、要は一つ面接で聞くそうなんです。うちの会社に入るとカースト制はないんですよ、掃除もしなくちゃいけないんですよと。カースト制度ですから結構厳しくて、掃除するという仕事は一般の方はされないそうです。物を拾うということもされないそうです。ですから、工場の中で、さっき言った整理、整頓、清掃、しつけ、清潔まで完璧に行うというのは、従業員のカルチャー、あるいはインドの従業員の皆さんの根本的な考え方を変えていかないとできないことです。

 どうなんですか、到達レベルの一〇〇%までいっていますかと聞いたところ、大体七割ぐらいかなという話でした。それでも、両社ともに黒字を出していらっしゃる。

 そのときに、先ほども質問で出ていました、州政府との交渉事が物すごく大変だと。インド、十二億人を超える国民、毎年毎年、日本の霞が関、上級国家公務員試験に相当するもので入ってくる役所の人は二百人です。そのうち百人は地方に出ていらっしゃいますから、そんなに多くの役所の人がいるわけでもない。

 私もいろいろなところに、現場主義ですから、試しに向こうのある役所の中に入ってみたんです、向こうの官僚機構がどうなっているか。

 向こうの官僚機構は、毎年毎年入ってくる二百人の方たちは、書類の束、ここはひもで結ばれていて、これを持ち回りながら、そこに全部コメントを書いて仕事をする。ですから、物すごく非効率。その書類を運ぶのも、向こうの役所ですと、カースト外の皆さんを、カースト外と言っていいのかどうかわかりませんけれども、雇わなければいけないので、その人たちは廊下にずっと座っていて、これを持っていってくれよと言うと、その人たちが役所の中を書類を持ち回るという、極めて非効率な国であるということを私は非常に感じまして、そこの国の中でやっていらっしゃるというのは結構大変なことなのかなと。

 そこで、やはり、ニムラナという工業団地では、工業団地の皆さんが集まって、多分ジェトロの職員の皆さんと思いますけれども、毎月、州政府と交渉するそうです、電力の安定供給について。それで、ようやく停電の回数も徐々に減ってきている。ただ、そこで手抜きをすると、また電力のとまる回数、電気のとまる回数、停電の回数がふえてくる。ですから、そういうことをやりながら、工場の操業、さまざまな社会的な障壁を乗り越えながらやっていらっしゃるというのは敬服に値するし、どうして、ここまで苦労して、わざわざインドでこういう製造業を、要は工場を建ててやっていくんですかと聞いてみると、いや、大島さん、十二億人のシェアなんだ、ここで苦しいながらシェアを維持していかないと世界じゅうでのシェアが落ちると一様に言うんです。

 ですから、そこのバックアップのために、今、官房長がおっしゃったとおり、今回は総領事になるわけですよね、総領事を置くということだと思うんだけれども、そうすると、総領事は多分向こうの州政府と交渉するときに結構有利に働くと思うんだけれども、その点はいかがですか。

山崎政府参考人 先生御指摘のとおり、インドは州政府が経済上のいろいろな権限を持っておりますので、何らかの問題に直面した場合に、特に日本の進出企業の方、また在留邦人の方々の生活にインド政府の行っている規制が問題となった場合、総領事というランクで現地の政府の幹部と交渉していくということは非常に重要な要素であるというふうに考えております。

大島(敦)委員 多分、領事から格が上がって総領事になるということは、相手方の官僚機構の皆さんも出てくる相手の方が違ったり、交渉も有利に働くと思うんですよ。そのために、今回法律を改正して総領事を一名置くわけですから。ぜひ大臣の方からも、日系企業、結構苦労して彼ら独自に州政府とやりながらそういうインフラの整備に対して取り組んでいらっしゃるので、その点も、そういう取り組みをしていただけるとは思うんですけれども、大臣からも一言よろしくと言っていただけると助かります。

岸田国務大臣 まず、委員のお話、大変興味深く聞かせていただきました。日本企業が経済協力や投資をする際に、単に金や物だけではなくして、システムとか人材養成、こういったものもしっかりと送り出しているという話、アフリカでも日本語のカイゼンという言葉が広く知れ渡っているという話などを思い起こさせていただきました。

 その上で、総領事の役割は大変大きいものがあります。特に税とか、あるいは治安に至っても州の役割が大きいインドにおいて、州と直接渡り合う総領事の役割は大変重要だと認識をいたします。

 ぜひ、こういった実態もしっかり念頭に役割を果たすように、大臣としてもしっかり指示を出したいと考えます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 現地のJICA、ジェトロの皆さんも一生懸命やっていることは承知をしておりますので、それを前提としながら、新しく総領事になって、恐らくよく役割はわかっていらっしゃるとは思いますので、恐らく、今回のベンガルールだけではなくて、今後、インドの中ですと幾つもこういう総領事館をつくらなければいけないニーズは出てくると思うんです。それぞれの州にそれぞれの政府としての交渉の責任者がいて、しっかりと民間企業の先頭に立ちながら州政府と交渉していくということが、今回のベンガルールにとどまらず、ふえてくると思いますので、今後もよろしくお願いいたします。

 それで、もう一つは、インドの発展過程なんですけれども、これからインドは結構変わると思う。

 今から十五年ぐらい前かな、台湾で李登輝先生とお会いしたときに、李登輝先生は私たちに対して、中国の方が一人一台携帯電話を持つと中国が変わるという発言を十五年ぐらい前にしておりまして、でも、中国は、豊かになりたいという衝動と情報のテクノロジーの進歩をうまく組み合わせながら今に至っているのかなと思っているんです。

 インドは、同じ人口規模の国で、かつ選挙のある国です。選挙のある国で、今、村々に携帯電話が、一家に一台ずつ入り始める。そうすると、情報が物すごく流通していきますから、十二億人のうち、七割の農村部に住んでいらっしゃる方がこれから流動して都市部に出てくるということになります。

 ですから、メーク・イン・インディア、豊かになりたい衝動、経常収支、貿易収支の赤字をどうやって補うかというのがインドの一番の政策というのをよく理解する。

 そうすると、日系企業の皆さんとお話しすると、大手、大きな会社、大きな自動車メーカーは、社内で人材を育成することができます。ただ、小さな会社も社内で人材育成するのはなかなかストレスがあります。

 彼らも頑張っていらっしゃっていて、僕は、インドの方はみんな二桁の九九ができるんですかと思ったわけですよ。インドの方は、ゼロを発明して、二桁の九九はみんなできると皆さんおっしゃるものだから。でも、聞いてみると、みんな二桁の九九はできないそうなんです。工業高校を卒業した方たちのレベルは、日本の工業高校を卒業したレベルにはまだ達していないというお話。ですから、そうすると、人材育成というのがこれからインドの中で結構大切になってくるのかなと思う。

 役所からも伺いました。役所から伺うと、しっかりJICAの皆さんも人材育成をやっていますよというお話を伺っておりまして、一つは、包括的な成長のための製造業経営幹部育成支援プロジェクトとか、インド工科大学ハイデラバード校日印産学研究ネットワーク構築支援プロジェクトとかやっていらっしゃるんですけれども、それはそれでいいと思います。ただ、戦略を持ってやっていただきたいなと思っています。

 先ほどの、大臣も御答弁いただいた、日本の生産方式です。

 日本は、現場は物すごく優秀だと言われています。私の地元のトラックメーカーがあって、そこの人事担当の役員の方とお話しましたら、ある外国の企業の一〇〇%子会社で、テレビ会議をやる現場の係長クラスの方、現場の責任者の方、英語でプレゼンする。余りうまくなくともいいんです。でも、世界じゅうからファンタスティックと言われるのが日本の製造業なんです。

 ですから、今、日本の製造業の考え方をインドの中で、これまではインドから頼まれて日本が生産方式であったり技術を教えていったのがこれまでの各プロジェクトだと思います。そこに、逆に、日本企業でも雇えるような人材、日本企業ですぐに雇えるような人材を整備する必要が今のインドの発展過程においてはあると考えております。

 その点について、すぐには難しいとは思うんですけれども、人材育成のプロジェクトのあり方を徐々に、トップマネジメント層から生産の現場、あるいは生産の管理職レベルというのかな、そういう日本的な生産の仕方を教えるような、わかりやすく言うと、職業訓練校のようなものをつくってもいいかもしれないし。

 そういうニーズがあるのかなと思うので、その点について、ニーズがあるかどうかの調査をちょっと聞いてみるといいかなと思うので、御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 委員御指摘のような、人材育成においてしっかりと貢献していくということは、インドの将来を担う人材を育成し、インドの産業を活性化するという意味合いももちろんありますが、加えて、日本とインド両国間の関係を安定化させるという意味でも、外交的な見地からもこれは大変重要な観点ではないかと思います。

 人材育成につきましては、今までもインドの工科大学のハイデラバード校にODAで支援をする、こういった実例は幾つも存在するわけでありますが、今言ったような部分にしっかり焦点を当てて人材育成をするということについて、しっかりニーズを把握することによって、めり張りのきいた支援を行うという考え方は重要ではないかと思います。そういった実態把握については、しっかりと行うべきであると考えます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 ドイツがインダストリアル四・〇というのを、まあ成功するかどうかはわかりませんけれども、一つのヨーロッパ人の考え方で、標準化戦略、世界の物づくりを多分ドイツ流にしていこうという考え方があると思うんです。ですから、我が国としてもそういう思想が必要かなと、今質問させていただきました。

 それと、経産省にお伺いしたいんですけれども、この話を経産省に伺いましたら、経産省としても、海外に出る日系企業に対してサポートする取り組みをしていらっしゃるというお話でした。そのことについて若干お伺いできればなと思いますので、御答弁をしていただけると助かります。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおり、インドを初めとする新興国に進出した日本企業では、技能労働者、あるいは製造工程を管理する現地人材の育成というのは極めて重要な課題になってまいります。

 我々経済産業省としましては、これまでも、日本企業による従業員の派遣、あるいは現地の人材を日本に受け入れて研修を行う、そういう支援をいたしておりまして、インドにおきましては、過去五十五年間で約二万五千人、直近の三年間では千五十三人の育成をしてまいりました。

 この人材育成支援事業の予算額でありますが、平成二十七年度予算におきましては二十二億円、平成二十八年度予算案では二十三億円となっております。

 インドなど成長著しい新興国の需要を取り込む、こういうことが我が国経済の成長に欠かせない中でありまして、進出した日本企業の事業環境整備はますます重要となってまいります。

 今後とも、我々経済産業省としましても、現地の人材育成にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

大島(敦)委員 今年度予算はもう成立をしておりまして、来年度予算ですと、技術協力活用型・新興国市場開拓事業は二十四億円、低炭素技術輸出促進人材育成支援事業九億円。そんなに大きな金額じゃないと思います、経産省の予算は。

 この中で、先ほど副大臣が述べられました人材育成にダイレクトにつながる予算規模というのは、もしもわかっていれば、御答弁いただければと思うんですけれども。

鈴木副大臣 先ほど御答弁しましたけれども、技術協力活用型・新興国市場開拓事業十四億三千万、低炭素技術輸出促進人材育成支援事業二十三億三千万でございます。

 失礼しました。訂正します。それが九億円で、計二十三億三千万です。済みません。

大島(敦)委員 再度ありがとう。ちょっとその点は重要だと思ったので、伺わせていただきました。

 来年度予算ですから、また八月ぐらいになると概算要求が始まると思います。副大臣はよくわかっていらっしゃると思いますので、この予算、そんなに大きな金額の予算じゃないと思います。

 きのう、役所の方に、副大臣で答弁できるのかねと聞いたら、いや、こういう数字の答弁は財務省の許可が必要だというお話がありまして、まあしようがないなと。

 ただ、これから八月の概算要求の時期になったら、この使い勝手がいい事業で、多くの日本企業の方、大企業はいいんですけれども、インドでも出ている特に中堅企業の皆さん、せっかく社内教育して金型の設計とか製造ができるようになったらまた次の会社に行ってしまうというのでは、極めてリスクがあるんです、人材の育成というのは。

 ですから、やはりその点も踏まえて、中小・小規模企業、中堅企業の皆さんにもしっかりと支援いただくように、もう一回、御決意でもいただければと思いますので、よろしくお願いします。

鈴木副大臣 私も委員と全く同じ思いでありますから、しっかりとこれから予算要求もしていきたいと思います。

大島(敦)委員 大臣、私、今からもう二十年以上前ですね、ドイモイ政策直後のベトナムに行ったことがあるんです、ハノイとホーチミンシティー。当時は、ハノイにガソリンスタンドはなかったんです。オートバイしか走っていなくて、ガソリンは路端で瓶詰めして売っていましたね。ただ、二十ぐらいの公団の代表とのアポイントメントが二週間、時間どおり始まって時間どおりに終わったので、物すごく優秀な人たちだなと。

 そのとき思ったのは、豊かになりたい衝動ですね。やはり、経済成長率が七%を超え一〇%に迫る、こういう国々においては何をやっても成功すると思いました。日本の高度成長期と同じだと思います。

 外務省の資料あるいは経産省の資料を読んでも、中国及びインドは七%の成長が今後も続くと言われています。ですから、両国は物すごく我が国にとって経済的な面からも大切にしなければいけないところだと思っていて、きょうはなかなか質問がそこまで至らなかったんですけれども、私、キッシンジャーというのが結構好きでして、一連の書物はほとんど目を通しています。

 その中で、キッシンジャーの「中国」という本を読んでいると、第一章に、五目の碁盤があって、中国の方の思考について書いてあるわけです。心理的優位を通じて勝利することに力点を置きというのがあって、きょう質問通告しているスリランカ、中国は日本よりもより多く今援助をし始めています。隣のパキスタン、下の方には港があって、中国の資本で今、港の整備をし始めています。

 中国は、陸の回廊と海の回廊、そしてパキスタン、ずっと縦方向でこれを結んでということで、インドというのを碁を打つように囲み始めていると思うんです。それに対して、日本外交としてどういうふうに考えたらいいのか、大臣として述べられる範囲内での御所見を最後に伺わせていただければ幸いです。

岸田国務大臣 御指摘のような、スリランカあるいはパキスタンに対して中国がさまざまな支援を増加させている、そういった動きがあるということについては、私も聞いております。

 こうした動きの意図とか背景については、私から何か申し上げるような確たる材料はありませんが、インドという国を意識した動きだという委員の御指摘に従って申し上げるならば、やはり、我が国としましても、この地域における大国であり、そして日本と同じ基本的な価値観を共有する民主主義国家であるインドとの関係をしっかり考えていくべきではないか、こんなことを感じます。

 戦略的な観点からも、また経済的な観点からも、インドとの関係をしっかり安定化し、そしてともに地域の平和や安定に貢献していく、こうした協力関係をつくっていく、こういったことをしっかりと考えていくべきなのではないかと思います。

 そうした大きな方向性を追求しながら、この地域における日本の外交のありようを引き続き検討していく、こういった取り組みが重要なのではないか、このように考えます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃっていた普遍的な価値観は、私は物すごく大切だと思っています。国連という組織の価値観ですね。まあ、西洋的な価値観かもしれない。でも、対中国を考える場合には、この普遍的な価値観のルールで、要は、国としてのあり方、外交を考えてほしい、こういうアプローチの仕方は私は物すごく大切だと思っていますので、ぜひその点も踏まえ、日印関係を深められることをお願い申し上げまして、私、大島からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 大臣、御無沙汰しております。一年ぶりの外務委員会というか、大臣とは昨年の安保のときに御質問して以来になると思いますが、昨年に引き続き岸田大臣が外務大臣を続けられておるということは、私は違う政党で、政権交代を願う立場の者でありますけれども、今までの外務大臣の在任の日数の短さ、小泉政権ぐらいのときには多少、二年や三年あったかもしれませんが、それ以降、第一次安倍政権、福田政権、麻生政権、そして民主党政権でも、複数年務めるということがなかった中において、ちょっと今あいている時間に調べたんですが、もう千日を超えたんですね。一人の外務大臣が、特に外交の中において長い間務められることは、私は喜ばしきことだと思いますし、その場で築き上げられた人脈そのものが国益だと思っていますので、引き続き、自民党政権が続く限りにおいては頑張っていただきたいというふうに思っています。

 もう一千日を超えられて、師と仰がれるというか、同じ宏池会の先輩であります大平さんが一千四百日、今までで最長が吉田茂元総理で一千九百日。そこまでいくかどうかわかりませんけれども、今、G7の中では一番ベテランになられたんですよね。そういうような環境の中で、ぜひとも国益のために働いていただきたいというふうに思っております。

 在外公館の話に入る前に、昨年のちょうど本当に今ごろ、初めて岸田大臣に御質問させていただいたことを振り返りながら、一問だけ大局的なお話をさせていただきたいんですが、御記憶があると思いますが、一年前、ここで外務大臣の岸田さんにお伺いしたことは、保守本流とは何ですかということをお伺いしました。

 そのお話をさせていただいた後、期せずしてではないですけれども、昨年を振り返ってみますと、「「戦後保守」は終わったのか」という本が出ましたし、中道保守とは何か、保守とは何かということを問われるような本、そしてまた、語られるような講演会ということは多かったと思います。

 私、大臣が昨年御答弁された内容を今振り返ってみますと、やはりすばらしくバランスがとれて、かつ、保守本流とは何かという問いそのものに答えられていると思います。

 半分以上の方は昨年もいらっしゃった方かもしれませんが、少しだけ御紹介すると、保守本流の体質、哲学とは、言論の自由とか表現の自由、この自由というものを重視した人脈であると。そしてまた、特定のイデオロギーあるいは概念にとらわれることなく、極めて現実的に、リアルに物を考え、リアリズムに基づいて政策を打ち出した。その後、歴代内閣、池田内閣、大平内閣のキャッチフレーズを引用されて、寛容と忍耐、そしてまた信頼と合意、物の決め方につきましては極めてコンセンサスを大事にする、権力の使い方にあっては謙虚であらなければならないというようなことが保守本流であるという御答弁がありました。

 昨年一年を振り返りますと、まさしく一番大きな議論になった国会での安保法制、総理としてはリアリズムを突き詰めたという考え方に立たれているのかもしれませんが、あの中でもさんざん議論になりましたホルムズ海峡の封鎖の、リアリズムと言えるようなものではないような立法事実であったり、そしてまた、最終的には、コンセンサスというよりは半ば強引に物事を決めていったというような結果が残ったと思います。

 その反面、あえて私は議事録に残したいと思いますが、年末の日韓の合意というものは、私は、本当に保守本流そのもののような、もちろん、党の中から御反発もさまざまあったと思いますが、非常にリアリスティックに物事を進められて、岸田大臣としての真骨頂かなというふうに思いました。

 一問だけお伺いしますが、一年前に御答弁された保守本流のあり方ということを踏まえて、昨年一年間の御自身の外務大臣としての職務、どのように振り返られるか、御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 一年前、委員とこの外務委員会で質疑をさせていただいたことを、今、御紹介いただいた答弁の中身に触れて、改めて思い返しておりました。

 まず、保守本流のありようについては、一年前お話しさせていただいたとおりだと思いますし、今もその考えは変わらないと思っていますし、そうした系譜に連なっていることを誇りに思っています。

 そして、昨年一年間を振り返ってどうかという御質問ですが、その中でやはり一番大きな出来事は、委員からも御指摘がありましたように、平和安全法制の議論であったと思っています。

 私自身も、特別委員会に防衛大臣とともに質疑に臨みました。その質疑についてさまざまな御指摘がありました。十分説明を尽くしたのか等、さまざまな指摘があることは承知しておりますし、これは引き続き謙虚に受けとめなければならないと思いますが、ただ、昨年の平和安全法制の議論は、保守本流という言葉が今現実に当てはまるのかどうかわかりませんが、こうした政治の流れの中にあって、日本国憲法と深くかかわってきた流れの人間にとっても大変重要な議論ではなかったかと思います。

 昨年の平和安全法制の議論は、まず、基本としては、外交で好ましい国際環境を実現することに努めなければならないわけですが、それにもかかわらず、万が一の場合に対して、国民の命や暮らしを守るために我が国の体制は十分なのかどうか、これをしっかり点検し、不十分な部分をしっかりと補っていく、これが全体の基本的な考え方であったと思いますが、あわせて、厳しい国際環境に対応するために、国民の命を、暮らしを守るためにどこまで対応するべきかという議論と、一方で、我が国の平和憲法においてどこまで対応が許されるかという議論と、この二つの議論のバランスの中でどこに結論を求めるべきなのか、こういった議論が行われたと認識をしています。

 この構図の議論は、戦後、私たちの先輩方が何度となく努力をしてきた議論の構図とも一致いたします。例えば、自衛隊創設のときにも同じ構図で議論が行われました。日米安全保障条約の改定のときも同じ構図の中で議論が行われました。あるいは、PKO法案を初めさまざまな大きな安全保障に関する議論においても、現実において我が国はどこまで対応するべきなのか、一方で平和憲法の関係でどこまで対応が許されるのか、この二つの議論の中で結論を得て現実に対応してきた、こういった議論であったと思います。

 そういった意味で、昨年の平和安全法制も大変重要な議論であったと思います。現実においてリアリズムを持ってどう対応していくのか、一方で平和憲法との関係においてどこまで対応が許されるのか。国民の命や暮らしを守るという、政治にとって最も大切な役割を果たすために、この議論に堂々と臨んで一つの結論を出した、このことは一つ大きな意味があったと思っています。

 こうした平和安全法制の議論、大変印象に残っておりますが、あわせて昨年は、日米関係においても、新ガイドラインの制定ですとか、あるいは安倍総理の米国議会上下合同委員会における初めての日本国総理大臣の演説というものもありました。そして、御指摘がありました年末の日韓合意もありました。

 我が国外交にとりまして、戦後七十年の年、大変事多き一年だったと思います。この一年間の成果を踏まえて、ことしもぜひしっかりと外交に取り組んでいきたいと考えます。

寺田(学)委員 一問でやめようと思ったんですが、日本国憲法の方に触れられましたので、一つ確認しておきたかったんですけれども。

 私は報道でしか聞き及んでいないんですが、憲法九条に関して、現時点においては改正の必要がないというふうに岸田大臣が派閥の会合でお話をされたということを記憶しています。私は伝聞ですから、そのことの事実の確認と、そのお考えにお変わりがないかどうか、御答弁いただけますか。

岸田国務大臣 御指摘の点ですが、正確に言うと、当面、憲法九条については改正を考えないという発言をしたんですが、その真意は、今まさに申し上げました、現実においてどこまで対応するべきなのか、そして平和憲法との関係でどこまで許されるのか、このぎりぎりの議論を行ったということを申し上げました。そういった議論を行った直後の時点が今の発言をした時点であります。

 平和憲法においてどこまでぎりぎり許されるのかという議論を行い、その直後、その平和憲法そのものをすぐ改正するという議論をしたならば、まだ説明が不十分だという声がある国民に対して説明する立場からも、少しどうなっているんだという声につながってしまうのではないか。

 そういったことから、昨年の九月、あの時点においては、こういった重要な議論が行われた直後でありますので、今はまずは国民に対して平和安全法制の説明に最善を尽くすべきだという意図で今申し上げましたような発言をした次第であります。

寺田(学)委員 そう言われたら聞かざるを得ないですが、現時点においては憲法改正、九条の改正が必要だというお考えに立たれているんですか。

岸田国務大臣 ことし、参議院選挙が予定されています。そういった動きの中で、引き続き平和安全法制についてもさまざま議論が行われているようです。平和安全法制の説明にまずはしっかりと取り組むべきだと考えています。

寺田(学)委員 それは、参議院選挙が終わったら考え方が変わると言っているに等しいですよ。安保法制の説明をすることは終わりがないですよ。引き続きずっとするんです、政府としては。なのでお伺いしているんですが。

 参議院選後、九条の改正の必要性はお感じになられているんですか。

岸田国務大臣 平和安全法制の説明についても、いつ終わる、何かをもって終わるというものではありません。これは引き続き説明の努力を続けていかなければなりません。九条の改正についても、国民の理解を得ながら、どうあるべきなのかを議論すべき課題だと思います。いつの時点でこの状況が変わるというものではありません。

 今は、まずは国民に対して平和安全法制の説明を行い、理解を得ていく努力を引き続き続けていくことが大事だと考えます。

寺田(学)委員 これぐらいにしますけれども。

 昨年出された「「戦後保守」は終わったのか」という本の末尾に、本当の保守本流が再び表舞台に出るためにはどうしたらいいかというような考察が載っていました。野党側の方がその理念を引き継いでやっていくのも一つだけれども、その本の中には、自民党の中においての保守本流が再びしっかりとした、言い方は私なりに言うと勝負をして、本流の道に戻していくということが必要じゃないかというような末尾になっていました。

 その考え方が正しいのか当たっているのかどうか別ですけれども、そろそろ大臣も覚悟を決めて、今のような御答弁ではなく、しっかりと隣の三ッ矢さんと協力し合ってやっていただけることを、他党ではありながら願っております。

 本題の方に入ります。急にミクロの話になって大変恐縮なんですが。

 今回、在外公館の新設の話ですが、昨年、それこそ土屋前委員長と三ッ矢前筆頭を含めて、メキシコとキューバの方にお伺いをさせていただきました。

 在外公館の必要性ということを改めてここで申し上げるまでもないかもしれませんが、昨年、それこそこの委員会の中で同じように質問させていただいたんですが、公邸料理人の問題というものを質疑させていただきました。

 そしてまた、視察の中で、今、現地のメキシコのアメリカ国境近くに新しく日本の自動車の工場が集積しているような場所があって、そこの方々から御陳情を受けたのが、子女教育の問題。今回、外務省の職員の手当の問題、議論ありましたけれども、民間の方々が赴任した際の子女教育の問題というものを非常に懸念、懸念というか問題点を抱えられて、困っているというようなことを聞きましたので、この二つについてまずお伺いしたいというふうに思います。

 公邸料理人の制度、昨年この場にいらっしゃった方は御存じかもしれませんが、大使館の中で料理をする、日本料理であったりほかの料理を出されるコックさん、料理人の方ですが、私も昨年、質疑の前に聞いてびっくりしたんですけれども、基本的に十七万程度しか国からの補助がなく、それ以外はポケットマネーで大使がお支払いして料理人を雇うと。その理屈は何だと聞くと、大使が私的に食べられる食事も用意しているので全額公費負担にすることは難しいんですという理屈でした。

 一つの理屈ではありながら、今、全体として日本食というものを広めていこうというような機運もありますし、それ以上に、私自身、先ほど在任日数の話をしましたけれども、外交の基本軸というものは人づき合いだと思っています。

 人づき合いの一番大きな機会というのは、会食をしたり、まあ食事をともにしながら、嫌いな人であってもおいしいものを食べると少しは心が開いてくるというところが人間のさがですので、すごく小さいような話に見えて、しっかりとした、おいしい料理、そしてまた、ある側面においては日本料理というものをこれはおいしいなと思っていただけることが、ひいては国益につながる交渉になっていく、情報共有になっていくと私は思っています。

 昨年、質疑を申し上げたときに、大臣の方からも、公邸料理人の問題に関してはさまざま審議会からも提案があるので検討していきますという話でありました。その検討状態そしてまた改善状態、官房長でも構いませんけれども、御答弁いただければと思います。

山崎政府参考人 公邸料理人の制度につきまして、現状を御説明申し上げます。

 御指摘のように、海外におきまして円滑にさまざまな交渉や情報交換を進めていくために、日本の世界に誇る和食や日本産のお酒をしっかりアピールしながらつき合いを広げていくという場は極めて重要でございます。そのために、公邸料理人の役割は非常に大きいというふうに認識しております。

 御指摘のとおり、公邸料理人の給与は、これまで、在外公館長との私的雇用契約に基づき在外公館長から支払われるとともに、その支払いに対しては、官費補助として給与総額の三分の二か十七万円かどちらかを上限として補助するという制度でございます。これは今でも続いております。一言で言いますと、御指摘のとおり十七万円が補助の限度でございます。

 他方、平成二十四年七月に、外務人事審議会から、将来的には公邸料理人制度を外務省と料理人との公的契約に基づくものとし、給与等は官費から支出し、私的に使用した部分については私費負担とすべきだという勧告が外務大臣に提出されております。

 外務省として、この勧告も踏まえて、平成二十七年度予算において、公的契約に基づく公邸料理人を試験的に十の公館でやってみるという経費を計上いたしまして、平成二十七年十月から順次この派遣を始めております。

 従来の制度では、先ほど申し上げましたように、私的契約に基づく公館長と家事補助者、公邸料理人との契約でございましたが、今回試行的に始めました制度では、委嘱料理人制度と言っておりますけれども、料理人を在外公館の技術的なスタッフとして位置づけて、館員に準ずる公的な位置づけとして雇用するようにしております。

 これに伴い、給与のより大きな部分、具体的には、報酬月額を三十万円から三十五万円としておりますけれども、このうちの四分の三を公費負担、残る四分の一を私的食費分として公館長の費用負担額という形で負担を分けるということに、この新しい制度ではしております。この制度が昨年十月から始まっているということでございます。

寺田(学)委員 大臣、ちょっと御答弁を求めますけれども、一定程度、契約の形態を変えましょう、変えることによって料理人の立場を守りましょうというか、そういう立場を改善することでいい料理人を呼びましょう。そしてまた、公費の負担分をふやすことによって大使の負担も減りますし、給与総額も上がる部分がある。

 私は前進だとは思うんですが、私自身申し上げているのは、全部の大使館とは言いません、絞ってもいいです。ただ、外交に力を入れたいところには、もちろん外務省の職員を充実させる、さまざまな国としてのプレゼンスを上げるための努力はあっていいと思うんです。

 本当に絞った形でいいので、余りざっくり言うのもあれなんでしょうけれども、月百万でも二百万でも、本当の日本の一流の料理人を連れて、その大使館自体が、あそこで食べた日本料理はすばらしかったという気持ちとともに、日本との関係というものがより緊密化することは私はあり得ると思っていますし、そういうことに税金をかけること、たとえそれが、大使の私的な食事にもその力を発揮されることになるかもしれませんけれども、がたがた私どもは言いませんよ。

 もう本当にそこは、小さな話ではありますけれども、しっかりとした外交をする上での環境を整えるために、多分、官房長も、横並びのことを考えると大胆なことはできないでしょう。さまざま、あそこのところだけよくてよとかと言われるかもしれませんが、そこは政治側の方が大胆に考えて、重点的に環境を整えて、私は、一流の料理人が大使館で腕を振るい、外国の方々をもてなして外交に寄与するということは大事だと思います。

 料理人の方も、俺はあそこでやってきたんだという一つのブランドを持つことによって、やはり帰ってきてからも頑張れると思いますし、そのブランドが確立すればするほど、言い方は悪いですけれども安価な形で、本当に腕のいい人間があそこを目指してやっていくということも、循環として出ると思います。

 大臣、大胆な発想で、ことしやってくれませんか。

岸田国務大臣 昨今、日本料理が世界の無形遺産に指定される、あるいは日本酒ブームが国際的に広がっている、こういった状況ですので、各国におきまして、日本の大使館における料理に対する期待ですとか、日本外交においてこうした日本料理をしっかり活用していく可能性はますます大きくなっていると認識をいたします。

 やはり、こうした期待ですとか評価にふさわしい日本料理を、在外公館を中心にしっかりと提供していくことの大切さを改めて感じます。そして、そうした高いレベルの日本料理を維持していくために、公邸料理人という制度は大変重要であると考えます。

 そして、この公邸料理人制度を維持するために、従来の官費補助制度に対して委嘱料理人制度という新しい制度を導入したわけですが、この制度についても一長一短があるという可能性もありますので、高いレベルの公邸料理人を維持するために効果的なのはどうあるべきなのか、こういった観点でしっかり吟味していかなければならないと思いますし、そして、それで不十分な部分があるとしたら、さらなる対応も考えていかなければならない。

 いずれにしましても、高いレベルの日本料理、そして公邸料理人を維持するためにはどうあるべきなのか、これはぜひ考えていきたいと思います。現状に対する検討も含めて、ぜひ取り組みをしていきたいと考えます。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

寺田(学)委員 かたいですね。もう三年以上やられているんですから、大胆にいきましょうよ。大した話じゃないですよ。

 財務省、わざわざ来ていただいて申しわけないんですけれども、大胆な予算提示をすると思いますので、大した額じゃないですよ、査定方針を含めて、御答弁を簡単にいただければと思います。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省としましては、引き続き、外務省からの要望をしっかりとお聞きしつつ、公邸料理人の果たす外交上の役割の重要性を踏まえて、必要な予算はしっかりと措置するよう努めてまいりたいと考えております。

寺田(学)委員 政権時代に仕分けで一生懸命一緒に予算も削りましたし、同志がたくさん死にました消費税法案も通しました。大きいところの財政再建はちゃんとやりますので、必要なところの予算はしっかりと考えてほしいなと思います。

 もう一点、五分になっちゃいましたけれども、メキシコに行った際に、民間の方から悲鳴のような声でした。英語圏であればいいけれども、スペイン語圏で、かつ田舎のところに工場が建って、子供を連れていくときに日本人学校がないということが物すごくネックになると。文科省は文科省の方で、日本人学校をつくった際に教員を派遣する。私もメキシコで、かなり若い、私よりも若い教員の先生方が全国から集まって、その日本人学校で、日本人のみならず、いろいろな子に教育を施しているということは物すごくすばらしいなと思っていました。

 これから時代の流れは物すごく速いです。ですので、今までの基準で、三十人以上いて、日本人のコミュニティーから要請があって、何とかで何とかでといった場合に認められて、そして、そこに予算がおりて教員が派遣されてという仕組みになっていますが、現実として、今は改善されたのかわかりませんけれども、この間、十月に行った際には、本当に悲痛な形で、何とか教員派遣をちゃんとしてくれる日本人学校をスピーディーにつくってくれるような仕組みにならないかという御指摘を受けました。そこは、各社自動車会社が出ているんですが、マツダの方が中心的な存在で、広島県から単独で、県知事の御好意によって出してもらっているという話でした。

 これから日本の市場がシュリンクしていくということが言われている中において、海外での経済活動は物すごく大事ですし、日本人が行けばいいということだけではないと思いますが、私も同僚が商事会社だったので、子供を連れていく連れていかないということで単身赴任になったりならなかったり、やはり家族全員で住めるような環境を望むのであれば、これは用意するということがパフォーマンスを最大限に発揮することだと思っています。

 ですので、大臣、ここは文科省の方々と協力をしながら、そして、財政当局も全面的に支援してくださるとレクの中では言ってくれましたので、どうでしょう、ここら辺、外務大臣が旗を振るのがいいか、さまざまあるかもしれませんけれども、この民間の方々の子女教育、特に英語圏じゃないところの充実ということを大臣として先導してくれませんでしょうかね。いかがですか。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 大変重要な指摘だと思います。

 教員の派遣につきましても、基本的には、教員の派遣自体は文部科学省の予算で行うことになっていたかと思いますが、現地採用の教員は外務省が援助するとか、外務省としてもさまざまな協力をする余地はあるのではないかと思います。

 先ほど財務省の答弁の中にも外務省の要求を受けてという話がありましたが、ぜひ外務省としましては、先ほどの公邸料理人の話も含めて、必要な部分につきましては意欲的な予算要求をしていくよう努力したいと考えます。

寺田(学)委員 余計なものまでは要求しないで、必要なものだけ要求してください。

 文科省にもきょう来ていただいているのですけれども、こういうような現地でのニーズがあるということがあります。財政的な面での問題もあるのかもしれませんが、ぜひ文科省の方としても全面的にこういう問題を解決していくということをお示しいただきたいんですが、御答弁、いかがですか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省におきましては、在外教育施設の教育環境の充実ということで、日本人学校あるいは補習授業校への教員派遣にこれまで努めてきたところでございます。

 今後とも、現地のニーズに合わせてしっかりと概算要求を行い、海外に居住する日本人の子供たちのための教育環境の充実に向けて必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

寺田(学)委員 時間が来ましたので。

 大臣、こういう細かい問題もありますので、ぜひリーダーシップを発揮して解決してください。

 以上です。

岸委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 私も、一年ぶりに外務委員会で質問をさせていただきます。

 先ほどの寺田委員への答弁を聞いていますと、憲法九条改憲も否定しないかのような答弁でしたけれども、大臣には、憲法尊重義務があるんだということを肝に銘じておいていただきたいというふうに思います。

 その上で、きょうは在外公館法の改正案についての審議ですが、我が党は、これについては必要な措置であると考え、賛成であります。

 その上で、岸田大臣にお伺いしますが、今回、日本はニウエを国家承認して外交関係ができた、そういうことで大使館を新設するわけですけれども、外務省の資料ではニウエにいる在留邦人は二人ということでありますが、この現状で新たに大使館を設立する意義というのはどう考えているのか、お聞かせください。

岸田国務大臣 御指摘のニウエにつきましては、かつてニュージーランドの属領でありましたが、一九七四年にニュージーランドとの自由連合に移行し、内政については自治を達成しつつ、外交に関する権限、能力も独立国家と同等に伸長させてきました。二〇一五年十二月の時点で、豪州、インド、中国を含む十四カ国と外交関係を開設するに至っており、また三十四の国際機関に加盟をしています。

 近年、このニウエから我が国に対しまして、国家承認及び外交関係開設の申し入れがなされてきました。また、国際場裏においても、ニウエとの協力はますます重要になってきました。

 こういったことを勘案しながら、国家承認の是非を検討してきましたが、昨年五月、ニウエが国家としての要件を満たしていると判断するに至り、承認を決定いたしました。また、昨年八月には両国外相名の書簡を交換し、外交関係を開設した次第であります。

 こういったことを踏まえて、ニウエが位置する大洋州地域への外交強化、あるいは国際場裏におけるニウエとの協力強化、こういったことのために在ニウエ日本国大使館を新設するものであります。

宮本(徹)委員 話題をかえます。

 それで、在外公館の役割が問われるという点では、昨年取り上げさせていただきましたけれども、横田基地へのCV22オスプレイの配備の問題でもあります。

 CV22の横田基地配備に関する環境レビュー、昨年十月に自治体に対して説明がありました。これは、日付を見たら、アメリカがやったのは二月二十四日です。日本にこれが届けられたのは、日本政府が受け取ったのは、七月だということであります。えらい遅いわけですよね。

 これはCV22、横田に配備のときのものです。これはMV22が普天間に配備されたときのものです。分厚さを見ていただければわかりますけれども、全然違うわけですよ。

 CVの方を見ますと、MVのときにはやられていたものが抜けています。事故の問題の詳しい記述は一切ありません。それから、横田基地で一体CV22がどれぐらい訓練を行うのか。MVのときは書いていましたよ、普天間で何回飛び立つのか、この時間帯にはどれぐらい飛び立つのか、こういうことは全部書いてあったわけですけれども、そういうものもCVの環境レビューには一切出てまいりません。

 ですから、日本に渡す五カ月の間に、都合が悪いところを全部差っ引いたんじゃないかと私は思ってしまうぐらい、中身はすかすかなわけですね。

 こういう形で、内容が後退した環境レビューで岸田大臣はよしとしているんですか。

岸田国務大臣 米軍が我が国に日米安全保障条約に基づいて安定的に存在するためにも、地元の住民の皆様方の御理解、そして協力、これは大変重要なことであります。地元の皆様方の御理解を得るべく、しっかりとした取り組みをしていかなければなりません。

 そして、その際に、御指摘になりました文書、これは地元の理解を得る上で一助となるものであると認識をしています。意味あるものではあると思いますが、地元に対する理解、住民の皆様方から理解を得るためには、その文書が全てではないと思います。その文書も活用しながら、しっかりと政府として地元の皆様方に丁寧な説明を行い、そして地元の理解が得られるように努めなければならないと考えます。

 全体としてしっかりとした理解が得られるよう、政府として引き続き努力をしていきたいと考えます。

宮本(徹)委員 住民の理解、協力が大事と。きょうは住民の方も傍聴に来ていらっしゃいますけれども、以前やってきたことすら横田ではやらないで、あるいはやったのかもしれないけれども日本政府には知らせないで、それで住民の理解が得られるはずがないですよ。極めていいかげんな答弁だと思います。

 CV22の環境レビューを見ると、騒音については著しい影響はないというふうにこれには書かれているわけですね。これは一体、何回飛ぶのかとも、どの時間帯にどれぐらい飛ぶのかとも何にも書かずに、どうして騒音に著しい影響がないと言えるんですか。おかしいでしょう。

岸田国務大臣 まず、お示しになられた文書は米国が作成したものであります。そして、それが我が国として説明する材料の全てではないと認識をいたします。米国が作成した資料も活用しながら、我が国としてしっかり実態を把握し、そしてその全体を説明していく、こういった努力が必要であると考えます。

宮本(徹)委員 いや、だから、この中で、飛び立つ回数も書いていないんですよ。時間帯も書いていないんですよ。なぜ、それで影響がないというふうに言えるんですか。この中で言っているわけですよ。日本政府がどう説明するかと言っているわけじゃないですよ。アメリカ政府は騒音の影響はないということをこの中で言っているわけですね。言っているのに、その根拠になるものは何にも書いていないんですよ。おかしいんじゃないですかということを聞いているわけですよ。

岸田国務大臣 説明の仕方、そしてその文書をどのように活用するのか、これは防衛省の方からしっかりと説明を受けていただきたいと思いますが、私が申し上げているのは基本的な考え方であります。その文書、米国がつくった文書だけが説明の全てではない、やはり政府として全体をしっかり把握した上で説明努力を行うことが大事だということであります。

宮本(徹)委員 では、若宮副大臣にもきょうは来ていただいていますので、同じ問いをしますけれども、この中では、MVのときにはあった離発着回数、そして時間帯、こういうものが一切ありません。ないのに、どうして騒音に著しい影響を与えることはないと言えるんですか。おかしいでしょう。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりましたCV22の横田飛行場への配備につきましては、昨年の五月に、平成三十三年までに合計十機を配備する旨の通報を受けまして、その後、同年十月に、今御指摘になられております米国政府が作成いたしました環境レビューを関係の自治体に対して御説明させていただいたところでございます。

 この環境レビューと申しますのは、岸田外務大臣からも御答弁ございましたけれども、アメリカの大統領令に基づきまして、アメリカの国外での活動に関します環境の影響を分析するために、アメリカ政府によって作成されているものでございます。今般のこのCV22の横田配備に関します環境レビューにつきましても、アメリカの政府の責任のもと作成されたものというふうに認識をしているところでございます。したがいまして、当該レビューの分析内容については、私どもとしてはお答えするということはなかなか難しゅうございますことを御理解いただければと思っております。

 その上で申し上げさせていただきますと、CV22の騒音につきましては、現在、横田飛行場に配備をされております航空機と比較をいたしまして、例えばC12の輸送機の騒音よりは大きいものの、現在の配備機種の大半を占めておりますC130輸送機あるいはUH1ヘリコプターの騒音とほぼ同じというふうに認識をいたしてございまして、横田飛行場周辺では騒音による著しい影響はないものであろうというふうにアメリカ側からは説明を受けているところでございます。

 また、引き続き、アメリカ側からも、横田飛行場に所在します航空機の騒音によります御地元の皆様方への影響を可能な限り低減させるということで、横田飛行場航空機騒音規制措置を含めまして、既存の全ての日米間の合意を遵守する旨の説明も受けているところでございます。

 私どもといたしましては、CV22の飛行運用に当たっては、騒音の規制に関します日米の合同委員会合意を含めまして、日米間の合意が適切に遵守をされるよう、アメリカ側との間でも必要な協議を引き続き行ってまいる所存でございます。

宮本(徹)委員 今の答弁を聞いていたら、離発着の回数が何回ふえようが、住民の生活の質には全く関係ないかのような答弁じゃないですか。実際に今、普天間の周辺で、宜野湾市で何が起きているのかというのは皆さんも御存じの話ですよね。

 MV22の普天間の環境レビューを見ると、MV22は日没後の訓練が必要だ、飛ぶ時間帯は二八%がイブだと書いていますね。イブというのは十九時から二十二時ですよ。四%がナイトだと。ナイトというのは二十二時から朝の七時ですよ。要は、三分の一が夜七時以降に飛ぶというのが普天間のMV22の環境レビューなわけですよ。

 CV22は、アメリカの説明でも防衛省の説明でも、対テロ作戦の部隊だ、夜間飛行訓練が必要なんだ、こうなっているわけですね。そうすると、もっと夜間に飛ぶ危険性があるわけでしょう。それが、どうして騒音に著しい影響がないなんて言えるのか、全くおかしな答弁ですよ。

 横田の滑走路延長線上に昭島市立の拝島二小があります。市がここで騒音測定を行っております。この測定の記録を見ると、市が測定して騒音だと認定しているのは、日没後、夜間、毎年三千回、今でもあるわけですよね。さらにCV22が配備されたら、これに恐らく数千の騒音が加わるということになるわけですね。

 大体、環境レビューはアメリカのものだからコメントする立場にないということを言うわけですけれども、きょうは在外公館の審議ですから、日本にはアメリカ大使館もあるわけですよ。アメリカ大使館は、恐らく、アメリカでのCV22の訓練の実態もつかんでいるでしょう。

 ですから、こういういいかげんな環境レビューで自治体に説明するんじゃなくて、日本政府自身が在外公館を通じてつかんでいる実態を明らかにすべきじゃありませんか。

岸田国務大臣 在外公館におきましては、平素からさまざまな情報収集を行っております。米国とも緊密に連携をしています。

 そして、そうした情報の中で、米軍の運用に関する事項については、米軍との関係もありますので制約があるのは事実でありますが、しかし、政府として、政府の責任で、住民の皆様方の理解を得るために必要なもの、そして米軍との関係において可能なものについてはしっかりと情報提供をし、その上で理解を得るべく努力を続けるべきものであると考えます。

宮本(徹)委員 だったら、ちゃんとこれに書かれていないようなことをアメリカで調べて、住民にこんなとんでもないものが来るんですよということを伝えるべきですよ。

 その上で、普天間基地のある宜野湾市では、基地被害一一〇番ということで、住民から二十四時間、騒音の苦情を受け付けております。MV22が配備されてから苦情が非常にふえているわけですね。聞きましたら、今年度、過去最大のペースで苦情がふえておりますが、なぜ苦情がふえているのか、防衛省は把握されているでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました宜野湾市で設置をされております基地被害一一〇番、普天間飛行場の周辺住民の方々から航空機騒音に係る苦情が寄せられている、特に、昨年の八月から十月にかけて苦情件数が増加したということは十分に承知をいたしているところでございます。

 私どもといたしましては、この普天間飛行場周辺におけます航空機の騒音の現状というものを把握するために、同飛行場周辺に設置をしております航空機騒音自動測定装置により騒音の状況の把握には努めてございます。

 昨年は、確かに委員おっしゃるとおり、八月から十月にかけては騒音の発生回数がその前の三カ月と比較をいたしましても大幅に増加をしているのは事実であろうと思っています。このことが苦情の一因であるということは十分に認識をいたしておりますが、具体的な内容につきまして、ちょっと私どものところでは把握はし切れていないところでございます。

 この宜野湾市に対して寄せられた苦情内容につきましては、しっかりとアメリカ側には伝達をいたしまして、普天間飛行場におけます航空機騒音規制措置を遵守するように、航空機の運用に関します騒音、そして影響を、できる限り低減、軽減するように、引き続き、アメリカ側に申し入れているところでございます。

宮本(徹)委員 アメリカに遵守を申し入れているとか何だとかと言ったって、実際はどんどん実戦的な訓練がふえているんですよ。

 私も、昨年秋に宜野湾市にも行ってまいりました。市民の皆さんだとかにも話を伺ってきましたけれども、本当に、夜間訓練そして編隊飛行の訓練、MV22オスプレイが配備されてからどんどん訓練が実戦的なものになって、それで苦情がふえているわけですよ。これは、横田にCVを配備したら同じことが横田でも、そしてCVは沖縄でも訓練しますから、さらに広がっていくということになるわけですよね。

 夜も平気でどんどん飛んでいるわけですけれども、今の普天間の運用の実態というのは日米合同委員会合意違反だという認識は、防衛省はお持ちなんですか。

若宮副大臣 普天間飛行場の周辺におけますMV22オスプレイの飛行状況につきましては、平成二十四年の十二月に、沖縄県知事から三百十八件の日米合同委員会合意に違反したオスプレイの飛行を確認したとの御指摘を確かにいただいたところでございます。これを踏まえまして、私ども沖縄防衛局の方で調査、検証を行ったところ、今、委員の御指摘の日米合同委員会合意に違反をしていたという確証は得られていない状況でございます。

 また、オスプレイの普天間飛行場配備以降、沖縄防衛局は、目視それからまた撮影などによりオスプレイの飛行状況を把握しております。これは、もちろん米軍の運用上の問題でございますので、私どもといたしましても目視とか撮影等をする以外にできないわけでございますので、そのあたりは御理解いただければと思っております。

 いずれにしましても、日米合同委員会合意に違反したものがあるかとおっしゃられますと、確証としては得られていないということでございますが、米軍よりは累次の機会に当該合意に基づき飛行運用を行っているという旨の説明も受けているところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、オスプレイは日米合同委員会合意に基づき飛行運用を行っているものというふうに認識をいたしているところでございます。

宮本(徹)委員 結局、十時以降も飛んで苦情が市に殺到していても、これは違反だというふうに確証がない、そういう態度をとってしまうわけですよ。そんなのやりたい放題じゃないですか、米軍は。誰に向かって政治をやっているのかということが本当に問われますよ。

 横田基地の周辺住民は何度も騒音訴訟を闘ってまいりました。現在も、「静かな空をもとめて」ということで、第二次新横田基地公害訴訟を闘っておられます。騒音も繰り返されておりますし、異常な訓練も繰り返されております。

 ことし一月二十日から二十五日にかけては、戦闘機F22とF16が空中給油機とともに次々飛来をいたしました。古くからの住民の方は、その轟音が続くことにベトナム戦争のときを思い起こして、戦争が始まったのかと思ったというぐらいの爆音だったというふうに伺いました。この日は、多いときで百二十一回騒音が記録されております。

 このとき、昭島市の美堀町と瑞穂町の箱根ケ崎のうるささ指数は幾らで、それはどういうレベルでしょうか。防衛省。

若宮副大臣 今、委員が御指摘になりました横田の飛行場周辺におきましても、住宅等の防音工事ですとか、あるいは建物等の移転補償等の実施を今までもいたしているところでございますけれども、飛行場の周辺の十三カ所にまず航空機騒音の自動測定装置を設置して、常時騒音の状況の把握には努めているところでございます。

 このうち、御指摘のございました場所というのが、滑走路のちょうど端、両側に隣接をする場所でございまして、昭島市美堀町及び瑞穂町箱根ケ崎に設置してあります測定装置の結果によりますと、一月の二十日から二十五日の間で、航空機騒音のいわゆるうるささ指数でありますWECPNL、これは、昭島市におきましては一月二十五日の百四Wが最高値でございました。また、瑞穂町におきましては一月二十日の九十八Wというのが最大値ということでございました。

 本数値のうるささ程度ということにつきましては、年間を通じた測定結果がこのような数値になるということになりますと建物の移転対象ということは、多分委員も御存じのところであろうかと思っておりますが、第二種の区域が九十W以上ということになると騒音除去だというふうに考えているところではございますが、今般の地域というのは、今申し上げましたが、滑走路の端っこに、ちょうど一番コーナーのところに隣接をいたしますものですから、昭和四十二年以降、既に第二種区域として指定をされてございまして、現在は建物等は移転されて、防衛省の行政財産というふうになっているところでございます。

宮本(徹)委員 拝島二小の測定器でもピークは百十六・二デシベルです。福生市内の測定器でもピークは百十六・六デシベルということで、異常な轟音だったわけですね。

 深夜、未明の飛行も繰り返されております。米韓合同演習があった昨年十一月一日から四日、C130、F16などが連日飛んだわけですけれども、十一月二日から三日にかけては、住民によると、零時十五分、零時三十五分、零時四十九分、零時五十二分、一時四十五分、三時五分、三時三十分、四時二十分、四時五十五分と離発着しているわけですよ。およそ人間らしい生活が保障される状況ではないということが言えると思います。

 周辺自治体から、せめてお正月やお盆、そして入試など、特別な日は飛ばないでほしい、こういう要請が繰り返し出ております。防衛省も米軍に繰り返し言っている。だけれども、この十年間、私調べましたけれども、都立高校入試の日に、入試の時間帯に飛ばなかったのは一回だけですよ。あとは、入試の時間帯だって、十年間のうち九年は飛んでいるわけですね。正月三が日は飛ばないでほしいと言っても、ことしも二日から飛んでいるというのが今の横田基地の実態です。

 その一方で、米軍の休みの日はどうなっているかというと、アメリカの祝日は飛ばないわけですね。この十年間、平均で見ると、クリスマスは〇・一回、感謝祭は〇・九回、独立記念日は二・五回、メモリアルデーは四・八回。夜間で見ると、アメリカの祝日の日は飛ばないわけですよ。

 つまり、かつて高裁判決でも触れられたことなんですけれども、米軍が横田基地で飛行機を運用しているのは、基本的には、一般官公庁と同じように、仕事と同じように、休みの日はやらない、平日にやるということになっているわけですね。だから、そのときの高裁の判決は、官公庁の公務遂行と何ら変わらない、このことを見たら、深夜の飛行の回数を現状よりもさらに減少させることは困難ではないことを示しているということが言われているわけですね。

 だけれども、今の日本政府の立場は、緊要だということを言えば夜通しだって飛べるということになっているわけですね。こんな日米合同委員会の合意は見直さなきゃいけないと思いますよ。地元自治体も東京都も、制限時間はもっと拡大しろということを言っています。

 最後、岸田大臣に一問だけお聞きしますけれども、制限時間をもっと拡大する、そして、米軍が緊要だと言えば夜中だって飛べるような日米合同委員会合意はぜひ見直すべきだと思いますが、いかがですか。

岸委員長 岸田外務大臣、簡潔にお願いします。時間が来ております。

岸田国務大臣 御指摘のように、米軍機による騒音問題、これは周辺住民の方々にとりまして大変深刻な問題であると認識をいたします。

 日米合同委員会合意の遵守はしっかりと求めていかなければなりません。ぜひ、日米合同委員会等の場においてしっかり申し入れを行い、議論を行いたいと思います。

岸委員長 宮本君、時間が来ております。

宮本(徹)委員 こういう中で、さらにCV22が来ることというのは絶対許されない。CV22の日本配備は撤回を求めて、質問を終わります。

岸委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、この法案について審議させていただきます。

 まず、大前提として、最初に誤解がないように申し上げておきたいのは、私自身、党としてもですけれども、必要な大使館はもっとふやしていくべきだというふうに考えています。今回、特に、インドのベンガルール、これは在外邦人の方もふえている、進出される企業の方もふえていく、そういった意味で、ニウエにしても、必要な大使館はどんどんふやしていきたいと考えています。そして、何より、外務省の職員の方の中にも頑張ってくださっている方々はいっぱいいるというのはもちろん大前提として思っているところでございますが、しかし、今般の法案、特に手当の方の見直しを見ますと、本当にこれでいいのかなという部分が非常に多うございますので、その部分を中心に問いただしていきたいというふうに考えております。

 そもそも給与自体、今回出ているのは在勤手当ですけれども、確かに、日本と欧米諸国の経済格差が大きかった昔に関しては、例えば給料だけでは海外生活は賄えなかったから必要だったというのは理解しています。

 しかし、現状、特に先進国等において、日本自体が生活水準が変わらなくなった中で、本当にこの手当というものが必要なのか。事実上の第二の給与になってしまっているんじゃないかという視点を常に言われてきて、その視点を忘れているんじゃないかな、国民の皆さんから厳しい目にさらされているんだということを忘れていらっしゃるんじゃないかというふうに危惧しております。

 この在勤手当、この十年間で過去最高水準の手当になっております。大臣、最初の委員から質疑があった中で、御答弁でも、財政が厳しいという認識をもちろんおっしゃっておりました。日本の財政、これは厳しい厳しいと政府が言って、そして、来年度からさらに、もう八%にまでなった消費税を一〇%に上げると言っている。

 そういった中で、今回、この在勤手当、事実上、外交官の、外に行ったときの第二の財布になっている、二、三年行って帰ってきたらマンションが建つ、何百万円という貯金が、下手すると一千万以上の貯金ができると言われている。

 そんな在外手当をふやすことに、そしてなおかつ、今、保育園の待機児童の話で社会的に議論が起こっている中で、一般の方々でも保育園に入れない、どうしよう、どうにかしてほしいという声が出ている中で、先憂後楽の、まずは国民の皆さんに楽をしていただく、そして後に公務員や政治家自身が待遇を上げていくというのが通常であるはずの公務員の在外勤務の幼稚園児の教育手当を、今回このタイミング、消費税が上がるタイミングで、待機児童のことが問題になっているタイミングで上げることに対して、私は非常に憤りを感じますし、おかしいんじゃないかというふうに思うんです。

 今回、この背景の中で、国民負担を訴える中で上げる、このことの必要性について、大臣、どのようにお考えになっていますか。

岸田国務大臣 御指摘の在勤手当ですが、在外職員がその職責に応じて能力を十分に発揮する上で支障のない手当を確保する必要があると考えますが、実際、平成二十八年度の予算政府案におきましては三百二十八億ということで、前年度と比べまして十四・六億ふえております。

 ただ、これは、御案内のとおり、昨今の為替相場あるいは物価変動、こういった影響を考えたならば、実質的にはほぼ前年度と同水準であると考えています。

 そして、近年の在勤手当の動向ですが、十八年間を見てみますと、在勤基本手当につきましては、物価変動の反映ですとか為替変動の反映、こうした要因を取り除きますと、実質的には、この十八年間において低下し、抑制をしているというのが在勤基本手当の実情であると認識をしています。

 これ以外にさまざまな手当があるわけですが、在勤基本手当については、物価や為替の要因を除いた場合には、十八年間実質的には抑制され低下しているということを、まずしっかりと国民の皆様方には説明しなければならないと思いますし、その上で、必要な手当についてめり張りをつけて、職務に支障がない環境をつくっていく、こういった観点から、こうした手当等について要求をし、実現をしていかなければならない、このように考えます。

丸山委員 大臣おっしゃったように、在勤基本手当だけじゃないわけですよ。この後ろに、配偶者手当、館長代理手当、特殊語学手当、在外住居手当、研修員手当、子女教育手当がついてくるんですね。

 この子女教育手当も調べたら、通常の扶養手当に加えて子女教育手当が出るとか。非常にこれは、一般の方の会社で見てみたら、こんなに手当がつくというのはなかなかない中で、公務員にこれだけの手当がついているという現状を、まずやはりしっかりと認識していく必要があると思います。

 そうした中で、どうしてこんなに必要なんですかというのを外交官、現場の皆さんに聞くと、やはり在外勤務はかなり出費がかさむんですよと、皆さん切実におっしゃいます。そういった意味で、外交の中で人脈構築上必要なものはしっかり出していかなければならないと思うんですけれども、この出費がかさむという中身が非常に私は今グレーになっていると思います。

 もちろん機密の部分もあります。しかし、お金を出す意味で、グレーにしていいところ、してだめなところ、しっかり線引きが見えるように、中身が見えるんじゃなくて線引きが見えるようにするのは、まず最低限必要だというふうに思うんです。

 まず、政府の見解をお伺いしたいんですけれども、これらの出費がかさむという認識でいらっしゃるのかどうかがそもそも。大使館自身にも経費がついているわけです、それにもかかわらず、この在外基本手当で、もしくは給料自身から自腹で負担しているものもあると、皆さんにお聞きするとおっしゃいます。こういったものがあるのかどうか。そして、それは例えばどんなものがあって、それは俸給から出ているという認識なのか、それとも今回審議する在勤基本手当から出ているというものなのか。この辺どのようにまず考えていらっしゃって日ごろの外交活動をされているのか。職員の方でも構いませんので。

黄川田大臣政務官 お答えいたします。

 外交関係関連の業務が増大している中、在外職員が職務と責任に応じて能力を十分に発揮することができるよう、在外勤務に必要な経費が支給される必要があると認識しております。

 また、在外職員が行う人脈構築及びその維持強化は、外交目的を達成する上で大きな役割を果たしております。これらは、勤務時間の内外を問わずさまざまな活動を通じて行われており、相手国政府関係者のみならず、外交団、在留邦人、経済界や報道関係者等さまざまな関係者との接触を基礎としております。

 これらの人脈構築のための活動は、公費で賄われる純粋な公務上の活動のほか、公費による支出が困難である活動、例えば外交団との家族ぐるみでの交流のようなもので公私の峻別が困難な活動への支出が考えられることもあります。これらの活動においても相当の経費負担を自己負担で行っている職員もいるということでございます。

丸山委員 自己負担で行っている職員の方がいて、一方で、大使館には報償費とか交際費、交流諸費というさまざまな交際のための経費がそもそもあるわけですよ。その経費と、そして今お話のあった部分の支出のデマーケーションはどうされているんですかね。

 そもそも大使館への金額、どれぐらいの交際費を使っているのかお伺いしたいんですけれども。そしてそれに重ねて、今お話のあった部分との違いについて、外務省はどうお答えになりますか。

山崎政府参考人 大使館で経費として支出をしております項目といたしましては、今御指摘の関連のものといたしましては、報償費、交際費、在外公館交流諸費がございます。

 まず、外務省の報償費は、対外的には公表しないことを前提とした外交活動において、情報収集及び外交関係を有利に展開するための活動に支出されるものでございます。平成二十七年度における在外分の予算は約十七億円でございます。

 交際費は、儀礼的、社交的な意味で任国の要人等に対して支出する一方的、贈与的な性質を有する経費であり、例えば贈呈品を購入するため等に支出されます。平成二十七年度予算は約二億円であり、在外公館の数で割りますと、一公館当たり平均額は約九十一万円となっております。

 在外公館交流諸費は、任国の要人等との意見交換、良好な人的関係の育成等を目的とする公務に資する会食及びレセプション経費等に充てられております。平成二十七年度予算は約十五億円であり、一公館当たりの平均額は約六百二十三万円というふうになっております。

 これらの経費は、大使館等在外公館が公務に限って使用することができ、公務以外の活動で経費がかかる場合、先ほど政務官から指摘がございました家族ぐるみのつき合い等につきましては、職員の在勤基本手当ないしは俸給から支払われることになります。

丸山委員 普通の民間企業でもそういった部分があるんですよ。それは、確かに給料の中から泣く泣く払っていらっしゃる。しかし、それが自分だけの人脈構築になっていく、そして仕事にプラスになる、もしくは家族のサービスにつながる、いろいろな理由を持ってやっていらっしゃるんですけれども、外交官だけが、俸給にプラスしてこのための手当がついているわけですよ。それで、一方、大使館の方にも、きっちりそのための名目の経費がある。機密に使うべき報償費、それ以外の交際費や交流諸費がある。その点、国民の皆さんが考えているところから少し乖離しているんじゃないかと思うんです。

 時間がないので、重ねてもう一つ、細かいところなんですけれども、今回、幼稚園児を持っていらっしゃるお子さんがいる外交官の方に、在外勤務の手当として、子女教育手当としてふえる部分があります。一方で、最初申し上げたように、日本国内で国民の皆さんがこれだけ保育園の話をしている中で、なぜか外交官だけ上がるというのにすごく違和感をまず感じますけれども、しかし、最大の問題は、扶養手当もついていて、扶養手当は削られるんじゃなくて、それに重ねて、外に行けばさらにこの子女教育手当が出るわけですよ。そして、扶養手当は、聞いたら、公務員は二十二歳まで出る。しかし、子女教育手当だけなぜか十八歳で切るみたいな、支給対象もばらばらになっています。

 この辺のデマーケーションすら適当だと思っているんですけれども、この辺、どのように考えていらっしゃいますか。

黄川田大臣政務官 まず、子女教育手当について御説明をいたします。

 在外職員が同伴する子女が外国で教育を受ける場合に、日本と同様の教育水準が確保できるよう、日本人学校やインターナショナルスクール等に就学させる必要があります。これらの学校での教育費は、本邦で学校教育を受ける場合に比して相当高額になっております。こうした事情に鑑み、在外職員の子女教育に関する経費負担の軽減を図るため、在外職員の子女が海外で教育を受けるに際し、国内での経費よりも追加的に必要となる経費に充当するため支給する、これが子女教育手当でございます。

 一方、扶養手当は、扶養親族を有する職員に対して、その居住場所が国内海外問わず、また、教育に関する経費負担の多寡にかかわらず支給されるものであります。扶養手当は、扶養親族を有することにより生ずる生計費の増加を補助するもので、基本給たる俸給を補完する趣旨の手当であるということであります。

 また、子女教育手当のうち、学校教育に係る授業料等に対する手当とは別に、原則として四歳以上十八歳未満の年少子女一人につき月額八千円が定額部分として支給されております。これは、帰国後に子女を本邦学校へ円滑に編入学させるために、通常学校教育以外に、家庭における通信教育、各種教材の本邦からの取り寄せ等、本邦においては生じない追加的経費に充当するものであり、扶養手当との重複は生じていないと考えております。

丸山委員 異議はいっぱいありますが、時間が来たので、終わります。

岸委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の質問をさせていただきます。なお、法案質疑ですので、質問が重複するところもあるやに思いますが、どうぞ、その点を踏まえて、真摯な御答弁をお願いしたいと思います。

 さて、在勤手当についてですが、各任地の経済情勢並びに物価、為替変動及び民間企業などの給与水準などの点から勘案した適切な額であるかどうかについて、以下について質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、外務公務員の子女教育手当の改定についてです。

 各委員からもいろいろ質問が出ております。国内情勢もいろいろ厳しい状況もあり、また、多くの国民の皆さんが、外務公務員、いわゆる日本の外で活動あるいは生活をしていらっしゃる方々の情報というのはなかなか国民には届かない内容といいますか、そういう状況にもあると思いますので、ぜひこういうことに関しては積極的な情報開示、情報の透明化も含めてお伺いをさせていただきたいと思います。

 これまで子女教育手当は一万二千円とされていたところ、今回の改定で二万七千円と、約二・二五倍にするということで提案されております。一万二千円から二万七千円へと改正する理由、その背景などについてお伺いいたします。

岸田国務大臣 子女教育手当ですが、まず、平成二十七年七月の外務人事審議会において勧告がなされました。子女を同伴する在外職員の教育面での支援をさらに充実させるべく、子女教育手当の支給限度額の引き上げが必要であるという提言がなされました。

 これを受けまして、実態調査を行ったところですが、結果としまして、約九割が現行の支給限度額を超える部分を自己負担している、こういった結果になりました。

 よって、これを是正するべく、負担額の平均であります五万三千円から現行の自己負担額一万八千円を引き、さらに子女教育手当の定額支給分八千円を引いた額、すなわち二万七千円を引き上げ後の支給限度額とさせていただいた次第であります。

玉城委員 それから、「在外公館の所在する指定地又はその他の指定地において学校教育を受けるとき」というふうにありますが、この「その他の指定地」というのはどういうことを指しているのでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館で勤務しております職員の子女が、在外公館の所在地では適当な学校教育を受けることができず、在外公館の所在地以外の地にある学校に就学する必要性が認められる場合には、その学校の所在地が、法律に言います「その他の指定地」として指定されるという仕組みになっております。

玉城委員 済みません、これは質問で前もって出していないんですけれども、つまり、今の説明ですと、いわゆる在外公務員が勤務している場所以外の地域の学校などに通う場合ということを指しているということでよろしいんですか。

山崎政府参考人 御指摘のとおりでございまして、子女の教育課程におきまして、在外公館の所在地以外の学校に進学をするというケースも想定されるわけでございます。

 ただし、これは余り件数としては多くございませんで、現時点におきましては、実際の運用上は、その他の指定地ということで在外公館の所在地以外の場所の学校で教育を受けている子女は、現時点ではおらぬという状態でございます。

玉城委員 御丁寧な説明をありがとうございます。

 では、続いて、在勤基本手当の基準額及び改定について質問させていただきます。

 今回は、大洋州地域のニウエ大使館の勤務及びアジア地域のベンガルール総領事館勤務における基準額の改定あるいは新設に伴う設定ということになっております。この大洋州地域ニウエ大使館勤務における基準額を決定する規定の根拠と、それから、同じようにアジア地域ベンガルール総領事館勤務における基準額を決定する規定の根拠についての御説明をお願いします。

山崎政府参考人 在ニウエ大使館につきましては、今回、ニウエを国家承認し、外交関係を開設したことに伴いまして、ニウエ大使館を法律で規定させていただきますが、当面は実館を設置せずに、在ニュージーランド大使館が兼轄する予定でございます。

 この場合に、法律上、大使館を設置した場合の給与を掲載する必要がございますので、生計費等についての計算は便宜的に在ニュージーランド大使館の数値を用いる等して在勤基本手当の基準額を算定しております。

 将来、在ニウエ大使館が実館として設置され、実際に職員がそこに駐在することになる場合には、ニウエにおける生計費や生活環境の厳しさの調査を行う等して基準額を具体的に算定させていただきます。

 また、在ベンガルール総領事館につきましては、既に同地におきましては在インド大使館の領事事務所がございます。同領事事務所は在インド大使館の一部でございますので、現在、在インド大使館の俸給を用いております。

 今回の在ベンガルール総領事館の設置に当たりましては、便宜的にインド大使館と同じ基準額を用いて規定をさせていただきます。今後、改めて現地における生計費や生活環境の厳しさについての調査を行い、平成二十九年度以降、在インド大使館とは独立した基準額を算定させていただきたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 このニウエという国は太平洋の島嶼国家ですが、トンガですとかあるいはオーストラリアの横、ニュージーランドのすぐ近くということで、ニュージーランドが親国と申しますか、そういう場所になっているということで、非常に遠隔にある地域ですので、これからこの地域でのさまざまな国家承認に伴う交流あるいは提携が求められているというふうに思います。

 それ以外の大洋州地域及びアジア地域における基準額改定の際の別表を見てみましたら、最大額と最小額の金額の差がかなり大きいなというふうに思いました。

 大洋州地域では、大使の給与で比較しますと、最大額がパプアニューギニアで、九十五万円が今回百三万円に改定されます。最小額は、ナウル、バヌアツ、フィジー、三カ国ともに最小額なんですが、五十九万円のところが六十五万円に改定されます。最大額と最小額の開きがかなりあるわけですね。

 同じように、アジア地域で、これは総領事館、総領事の給与ですが、最大額が中国、上海の七十八万円、これが今回八十四万円になります。最小額はインドネシア、バリ島のデンパサールで、四十五万円が五十万円になります。

 ちなみに、今回改定になっております新設のニウエが八十二万円、それからベンガルールが六十三万円というふうになっておりますが、この最大額と最小額の金額差の理由や背景について御説明をお願いいたします。

山崎政府参考人 在外公館の在勤基本手当の基準額の差は、それぞれの地におけます生計費の差、勤務、生活環境の厳しさを緩和するための加算額によって生じております。御指摘のパプアニューギニア、フィジー等の大使館の在勤基本手当の差も、今申し上げました理由によるものでございます。

 なお、在勤基本手当基準額の算定に当たりましては、民間調査会社の生計費指数調査の結果を反映させておりますほか、外務省自身の調査及び今申し上げました民間の調査結果を参考としながら、勤務、生活環境の厳しさを緩和するための追加的経費も算出して加算をするようにしております。

岸委員長 玉城君、時間が経過しております。

玉城委員 ありがとうございます。時間になりましたので、質問を終わります。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

岸委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 我々おおさか維新の会は、本法律案につきまして、以下の理由から反対いたします。

 大使館の数や人員、対外工作予算としての必要な経費については反対いたしません。

 しかし、現状として事実上第二の給与となっている外交官の在勤手当が、大臣自身も財政が厳しいと述べている中で、消費税が八%、そしてさらに一〇%へ増税される中で、国民負担を求めている中で、このタイミングで手当を上げて、そしてさらに、これだけ保育園の待機児童の問題が社会で議論になっている中で在外の外交官の幼稚園児への子女教育手当を上げるというこの法律案の趣旨は、理解の範疇を超えており、問題であると考えております。

 以上の理由から反対いたします。

岸委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸委員長 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岸委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

岸委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、新藤義孝君外五名から、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党、おおさか維新の会、改革結集の会及び生活の党と山本太郎となかまたちの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。武正公一君。

武正委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国に未曽有の被害をもたらした東日本大震災から既に五年が経過した。この間、国際社会から我が国に対して多くの支援が寄せられた。これらの支援をこれまでの我が国の外交活動に対する評価の表れと捉え、一方、なお続く風評被害への対応を含め、我が国は引き続き積極的な外交活動を行う必要がある。また、我が国を取り巻く国際情勢は不確実性を増しており、とりわけ、本年一月六日の北朝鮮による核実験及び二月七日の弾道ミサイル発射により、北東アジアの安全保障環境は緊張の度合いを高めている。国連安全保障理事会非常任理事国として、さらに、本年はG7サミット議長国を務める中、我が国に求められているものは、国益を踏まえつつ、国際社会との協力・連携の下、諸課題に毅然と対応する外交力である。そのためには、外務省の外交体制の強化や危機管理体制の改革が不可欠である。

  他方、国内においては、厳しい財政事情の中、一層の歳出削減が求められており、在外職員に支給される在勤手当など、在外公館に係る様々な経費についても、引き続き国民から厳しい視線が注がれている。外交体制強化等への取組に際しては、こうした国内事情を重く受け止め、国民の声に真摯に応えていく必要がある。

  これらを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一 我が国の外交力強化の観点から、外交の最前線基地である在外公館の重要性に鑑み、我が国の国益と相手国との相互主義等を踏まえつつ、戦略的に大使館の実館化を進めること。

 二 拉致問題、日本海呼称問題や慰安婦像など在外公館として各国並びに関係機関等への日本の立場の周知徹底と各種対応に努めること。

 三 在外公館においては、大規模自然災害、治安情勢の悪化、犯罪・テロ等の緊急事態の際、在外邦人に対して迅速かつきめ細やかな支援を行えるよう、情報の日常的な提供・共有体制等も含めて危機管理体制の機能拡充に努めること。

 四 在外選挙の投票率向上のための広報啓発とともに投票環境の整備に努めること。特に、選挙権年齢を十八歳以上に引き下げることを踏まえ、小中高校生をはじめ若年者に対し、周知徹底とともに主権者教育の充実を進めること。

 五 我が国の厳しい財政事情を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講ずること。

 六 在勤手当については、各任地の事情を勘案するとともに、民間企業や諸外国外交官の給与・手当の水準、為替・物価の変動など客観的な基準を踏まえ、必要に応じて全般にわたる見直しを行うこと。見直しに際しては、国内の財政事情及び外交活動を推進する上での必要性の双方を考慮し、適切な額を算出すること。

 七 国際社会のグローバル化による海外渡航者や在外邦人の増加に伴って領事業務の重要性が高まっていることに鑑み、邦人の活動環境を向上させるため、国民の視点に立った領事サービスの不断の向上に努めること。

 八 外務省においては、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。

 九 在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

岸委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣岸田文雄君。

岸田国務大臣 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。

 外務省としては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、今後とも、外交実施体制の強化を図り、種々の外交課題に全力で取り組んでまいる所存です。

    ―――――――――――――

岸委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

岸委員長 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による負担を図り、日本国に駐留する合衆国軍隊の効果的な活動を確保するためこの協定を締結することにつき、アメリカ合衆国政府と協議しつつ、検討してきました。

 その結果、最終的合意に達しましたので、平成二十八年一月二十二日に東京で、私と駐日米国大使との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。

 この協定は、日本国が、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の料金または代金の支払いに要する経費を負担することを規定しています。また、日本国政府の要請に基づき、アメリカ合衆国が合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域またはアメリカ合衆国の施政のもとにある訓練の場所を使用するよう変更する場合には、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することを規定しています。さらに、アメリカ合衆国がこれらの経費の節約に一層努めること等を規定しています。

 この協定は、二〇二一年三月三十一日まで効力を有するものとされております。

 また、この協定は、現行の協定が本年三月三十一日まで効力を有することとなっておりますので、四月一日に発効させる必要があります。

 この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため日本国に駐留する合衆国軍隊の効果的な活動を確保するためのものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。

 よって、ここに、この協定の締結につき御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

岸委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会


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