衆議院

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第5号 平成28年3月18日(金曜日)

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平成二十八年三月十八日(金曜日)

    午後零時五分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 篠原  豪君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    小渕 優子君

      大野敬太郎君    城内  実君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 隼人君    薗浦健太郎君

      田畑 裕明君    辻  清人君

      三ッ矢憲生君    山田 美樹君

      大島  敦君    吉良 州司君

      寺田  学君    長島 昭久君

      浜地 雅一君    笠井  亮君

      丸山 穂高君    小熊 慎司君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        武藤 容治君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     秋本 真利君

  松島みどり君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     黄川田仁志君

  田畑 裕明君     松島みどり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 きょう、三十分の質疑を行わせていただきます。

 まず、HNSの議論に移る前に、きのうですか、シリアで安田純平さんが拘束されたという映像が流れておりますが、既に参議院の予算委員会の方で総理も答弁で触れておられると思うんですが、改めて衆議院外務委員会で、外務大臣から現状について、また政府の対応について御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 お尋ねの案件につきましては、これまでも、邦人の安全最優先の立場から、さまざまな情報網を駆使して取り組んでまいりました。

 今回、御指摘の映像が公開されたことを受けて、改めて総理からも指示が出されました。政府一丸となって情報の収集、事実関係の確認に全力を尽くすこと、引き続き、関係各国等とも緊密に協力し、邦人の安全確保を最優先に対応すること、この二点の指示が改めて出されたわけであります。

 まずは御指摘の映像の確認に努めておるところでありますし、引き続き、邦人の安全確保、これは政府にとりまして最も大事な責務であります、この情報収集など、しっかりと対応していきたいと考えています。

武正委員 人命救出について、政府としての、そしてまた、国を挙げて関係機関さまざま、あるいは外国のさまざまな機関とも連携をとりながら、救出に全力を挙げていただくことをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、HNSについて移りたいと思います。

 お手元の方に資料をお配りさせていただきました。

 HNSに大変かかわりの深いまた地位協定についても、水曜日にもこの委員会でも議論があったわけでございます。今回、国会の方には、日米地位協定の環境補足協定が提出をされております。大平三原則にのっとって、国会承認を必要とするこうした日米間の条約の改正などについては、こうした補足協定については国会に資料を提出するということでありますが、昨年は、国会にこの補足協定を条約として政府は提出しようということを検討されていたことも承知をしておりますので、私はやはり、大変大きな協定改正でありますので、国会でしっかりと議論をすべきであるというふうに考えております。

 そこで、まずお伺いしたいと思いますが、これについては、一ページにありますように、二〇一〇年五月、当時民主党政権の2プラス2、日米の合意の中において、施設・区域への立ち入りを含む環境に関する合意の検討等に言及、これが政府の文書にも書かれておりますが、二〇〇〇年の共同発表があって十年間久しく動きがなかった中で、二〇一〇年のこうした中での取り組みがスタートになったというふうに考えております。その点についての御認識。

 ただ、しかし、今回の合意につきましては、二ページにありますように、日本側の立ち入りにつきましては米側は妥当な考慮を払うということで、そうした米側の考慮があって立ち入りができるとというようなこと。また、返還前立ち入りについては、沖縄県からは返還三年前からをといったこともあって、この合意に至ったということでありますので、やはり当初予定をしていたものに比べると、そこまで至っていないということは言わざるを得ないというふうに思います。

 以上、二点について、外務大臣の御認識を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、環境補足協定の締結に至るまでの経緯ですが、そもそも現行の日米地位協定には環境に関する規定がありませんでした。そういった中で、米軍施設・区域内外の環境保全意識が高まる中にあって、今委員の方から御指摘がありました、日米間でもこうした議論が行われたわけであります。

 そして、こうした議論を見ながら、関係自治体からは、日米地位協定に環境に関する規定を盛り込むよう、こういった要望も寄せられていたところであります。

 その後、日米間での議論が積み重ねられ、日米間で、補足協定という形式をとる、こうした形で合意をし、そして締結に至った次第であります。

 そして、この内容につきましては、要望自体は、三年前からの立ち入り要望があったではないか、実際のところ七カ月ではないか、こういった指摘もありましたが、この協定の中身自体は、三年前からの立ち入り自体を否定しているものではありません。これは、日米の協議の中で三年前からの立ち入りも可能となるという中身になっていると承知をしております。

 さまざまな関係者の意見を受けながら協定の協議は進めてきたわけでありますが、今後は、この協定の中身を実現する上において、さまざまな関係者の要望に応えられるよう、しっかりと対応していきたいと考えております。

武正委員 これは、今言及されませんでしたが、二〇一〇年の民主党政権時の2プラス2の合意、それから、二〇〇〇年あるいは二〇〇〇年代、相次いで、民主党とすれば、この地位協定の改定案を取りまとめ、そしてまた、それを、国会には提出できませんので、政府、自民党政権の官房長官の方に提出というようなことをしてまいりました。

 また、二〇〇八年四月三日には、民主党、それから国民新党、社民党の三党の地位協定改定案も官房長官の方に提出をいたしました。町村官房長官でございましたが、二〇〇八年四月三日ということで、主な点は、この後も触れますが、日本側の起訴前身柄引き渡し要請に対する米軍の同意、それから基地返還後の環境汚染浄化の米軍責任、基地外居住米軍関係者の外国人登録などでございます。

 こういった取り組みがこのような形で、今回、環境補足協定として結実をしたということから考えますと、国会として与野党垣根を越えて、やはりこれは、沖縄に寄り添うと今政府も言っております中で、沖縄から強い要望のあるこの地位協定の改定、そして運用改善ということでの、国会として与野党垣根を越えた取り組みが、こうした形で日米間の交渉で実を結ぶやはり原動力になったというふうに考えますが、この点の御認識を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、多くの関係者の努力によってこうした協定の締結につながったということはそのとおりだと思います。その間、政権交代もありました、それぞれ立場も変わったわけでありますが、この日米地位協定をどのように考えるか、あるいは、沖縄の負担軽減のためにどのように努力するか、こういった視点でさまざまな関係者が努力をし議論をした結果として、今回の環境補足協定の締結につながったと認識をしております。

 ぜひ、こうした多くの関係者の努力があったことを念頭に、引き続き、この締結されました環境補足協定が有効に運用されるよう、しっかりと努力を続けなければならないと考えます。

武正委員 先ほど、三年前のことについては合意があればということなんですが、これも合意がなければ立ち入りが可能にはなりませんので、この間、おとといも同僚委員から指摘があったように、ボン補足協定については戦後三回改定をされていますが、ドイツにあっては、予告なしで立ち入りが米軍基地について可能である、あるいは米軍に環境面での汚染についての浄化義務がある、また、韓国については、自治体から米軍の汚染共同調査が可能となっていること、こういった点など、やはりまだまだ改善の余地が大いにあるということでございます。

 また、同僚委員から指摘があった、米軍の第一次裁判権について、韓国が日本並みの見直しがされているといった点については、おとといも求めましたが、外務省として調査をして御報告をお願いしたいというふうに思います。

 そこで地位協定の方に移りたいと思いますが、三ページをごらんください。

 これはおとといも議論があったわけですが、運用改善について、九五年にこの見直しが行われて以来、これも久しく、十六年、こうした運用改善、重立ったものが、特に十七条の運用についてなかったわけですが、二〇一一年十一月、十二月と相次いで実現をいたしました。米軍属に対する裁判権の行使に関する運用についての新たな枠組み、公務の範囲に関する合同委員会合意の改正。

 これも、民主党政権で日米地位協定の改定をマニフェストには掲げたわけでございますが、普天間移設をめぐる日米間のやりとりに注力をする中で、なかなか改定というところまで当時提起ができなかったのが実態でございます。

 しかし、その中で、運用改善について、かねてより求められているところを半歩でも一歩でも前進しようということで実現をしたというのが、この二〇一一年の十一月、十二月の改定でございます。一三年十月については合同委員会合意の改正といったところにもなっておるんですが、その後、こうした十七条について重立った取り組みが記載がございません。

 また、四ページをめくっていただきますと、これもこれまでの具体的な改善例ということでございますが、これについても、特に二〇〇五年以降、集中をしてまいりました。これは、御承知のように、沖縄国際大学、二〇〇四年八月十三日、米軍ヘリの墜落事故、こうしたこともあって、やはり、地位協定の改定あるいは改善について、当時、我々ももちろんですが、国会で多く議論があり、国会としてさまざま政府に米側との交渉での改善を求めてきた経緯があったわけでございますが、こうした点も二〇一三年十月でとまっております。もう間もなく二年半あるいは三年を経過するわけです。

 どうも、こうした地位協定の改定あるいは改善について現政府の取り組みが、今回、環境条項はまとまっておりますが、やはり沖縄に寄り添うといったことからいえば、あるいは全国にある駐留米軍の基地、同僚委員からも今回は環境であるけれども今度は騒音だといったことも提起もありました、まだまださまざま改善の余地がある。

 これは、日米同盟の深化、そしてまた北東アジアの安全保障環境の変化、こういったものに十分対応しなければならないということは十分認識をした上で、しかしながら、こうした主権国家としての求めは引き続き必要だと思うんですが、この二〇一三年以降記載がないということが、実際そういう取り組みはされているのか、米側にそういうことを求めているのか、これについて外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、日米地位協定は、協定そのものもありますが、数多くの日米合意もあり、大きな法体系であります。よって、さまざまな手当てするべき事項について、効果的に、なおかつ機敏に対応するためには、運用改善という形で対応するのが最も適切であるという判断に基づいて、さまざまな努力を続けてきました。

 そして、御指摘の二〇一三年十月の合意後の動きということで、先ほども議論になりました環境補足協定の動きがあるわけですが、それ以外のさまざまな課題、事件、事故あるいは騒音など、さまざまな課題について、目に見える改善、これからも着実に進めていかなければならないと考えます。

 ぜひ、米側とこうした問題一つ一つについて引き続き精力的に議論を進めていきたいと考えます。

武正委員 この間、取り組みがしっかりと記載されるように、どうしても結実する、実を結ぶには時間がかかりますので、やはり、この間しっかりと種がまかれているということが、今、実を結んで、記載がされてくるということですので、この二年半の間、果たしてどうなのかといったことが問われないように、これまでも取り組みをいただいていると思うんですが、さらにそれを力を入れてお取り組みいただきたいというふうに思います。

 そこで、続きまして五ページ目に移りますが、在日米軍駐留経費負担額の推移の見込み、これからの五年間、どのぐらいの額になってくるのかということでございます。

 二十八年度の予算額は一千九百二十億円ということで、負担額千八百九十億円、もう既にここで三十億円の増額となっておりますが、この理由と、それから、防衛大臣からは水曜日の答弁で、いや、この二十七年度の一千八百九十九億と五年後の平成三十二年度の負担額一千八百九十九億は変わらないので負担はふえないということでしたが、事実、初年度から三十億増額をしております。

 なぜ増額をしたのか、そして五年間の増額は必至ではないかというふうに考えますが、御所見を伺いたいと思います。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今、武正委員から御指摘いただきました点、まず前提的なところからお話をさせていただきますと、この新たな特別協定のもとでの在日米軍駐留経費負担につきましては、この試算のベースとなります賃金水準が同じである今年度、平成二十七年度の予算額と比較することが適当であろうかというふうに考えているところでございます。

 今般、日米間で一致をいたしました新たなる特別協定のもとでの在日米軍駐留経費負担につきましては、最終年度の平成三十二年度につきましては今年度の賃金ベースで試算して千八百九十九億ということでございまして、これは現行特別協定の最終年度であります平成二十七年度の予算額千八百九十九億円とおおむね同じ水準であるというところをまず御理解いただければというふうに思っておるところでございます。

 その上で、新たな三十億円追加になっておるというところの内訳についてでございますけれども、平成二十七年の人事院勧告に伴います給与改定によりまして増額が約十三・六億円、それからまた、退職者数の増加が見込まれたことによりまして、退職手当といたしまして約十億円及び社会保険料等の増額で約七億円というところになっているところでございます。

武正委員 この負担額を五年間まとめますと、現行協定でありますと九千四百五億円、そして次期特別協定、今審議中のものを合計しますと負担額は九千四百六十五億ということで、その差六十億増額でございます。加えて、平成二十八年度でもう既に三十億増額になっておりますので、これを五カ年掛けますと百五十億ということで、現協定よりも二百十億増額をするといったことでございます。

 こういったこともあわせて、また、水曜日に指摘をさせていただきましたFMSの増額なども含めて、あるいは、日本側の負担、上限労働者数も過去最高になっていくことも含めまして、こうした負担が増額をしている中で、日本側の負担、税金でありますので、やはりその執行についてしっかりと政府としてチェックをしていく、このことが改めて求められるというふうに思うわけでございます。

 六ページをごらんいただきますと、労務費、日本側負担の上限労働者数、これが今度の協定では、現行の二万二千六百二十五人が二万三千百七十八人にふえていく。そのときの内訳は、MLCを約一千人ふやして、そしてIHAを五百人減らす、こういったことでございますが、過去も、こうした取り組みの中で、実際、米側が負担する労働者との人数の差というものが出ておりまして、その差が、MLCを減らし、逆にIHAをふやすという形で対応しているというのが実態でございます。

 水曜日も、駐留米軍の労働者の雇用の安定確保、これについては同僚委員からも求め、それについて防衛副大臣からも前向きにしっかりと対応するという御答弁をいただいたわけですが、その点もあわせてお願いをするとともに、七ページにありますように、格差給、語学手当の現状についても、今回の見直し後の平成三十七年までの廃止計画、廃止についての激変緩和措置としての経過措置がとられるということで合意をしているわけですが、こういった点もやはり、必要でない手当の見直し、しかしながら、激変緩和もしっかりとしながらといったことでの対応ということで進めていただければというふうに思っております。

 そこで、最後に、光熱水料について話を進めたいと思います。

 これも今回、節約規定が設けられております。九ページをごらんいただきたいと思います。

 過去五年間の光熱水料負担額の推移でございますが、日本側の負担額というのはずっと二百四十九億円で張りついております。これは、米側が実際に負担した三百三十億から四百二十億について割合を求めますと、いずれも当初の日本側の負担割合よりも低いといったことで、この額に張りついたわけですが、今回はそれを六一%に下げるといったことでありますから、それよりも上回る二百四十九億円となれば、二百四十九億円を下がった額で日本側の負担ということも可能になってまいりますので、ようやくパーセントを決めての効果が出てくるかなというふうに思うんです。

 ただ、現状を見ますと、六〇・八%とか五九%ですから、六一%を決めても、なおかつ二百四十九億円の方が低いという可能性も、特に二十六年度を見ると出てくるおそれがございます。それはやはり、負担対象額をしっかりと減額というか、不必要なものは切り詰めるといった取り組みが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。

 これについて、十ページ、十一ページをごらんいただきますと、それぞれについての単価を出しておりますので、これはごらんをいただきたいというふうに思います。この単価が適切な競争でそれなりにふさわしい単価なのかといったことはチェックをする必要があると思います。

 米側からは、八ページにありますような、こうした書類を提出してもらっているという防衛省からの説明ですが、しっかりと単価が実勢価格に合うような、そんな推移をしているのかどうか、こういった点について、あるいは競争が適切に行われているといったことについて、防衛省としてはどのようにチェックをしているのか、御所見を伺いたいと思います。

若宮副大臣 今、資料をもとに武正議員の方でるる御説明をいただきました。武正議員におかれましては、外務副大臣も御経験されておられますので、非常にこの件に関しましても御造詣が深いものと思っております。

 現行の特別協定の四条におきまして、アメリカ側は、光熱水料等につきまして一層の節約に努める旨がまず規定をされているところでございます。私どもといたしましては、これに基づきまして、毎年度、アメリカ側から、実施されております節約に係る取り組みを記述されましたエネルギー節約報告書の提出を受けているところでございます。

 この報告書の中身につきまして、どうやってその節約に取り組んでおるのかという内容でございますけれども、まず、エネルギー効率のよい暖房、換気、空調設備への交換、あるいは不在時に消灯する人感センサーの設置、それからまた太陽光発電パネルの設置、また冷暖房の運用期間の短縮ですとか、当院でも行われていますけれども夏場の設定温度の見直し、それから照明の制限やあるいは夜間照明等の消灯等でございまして、これはおおむねでございますけれども、平成二十二年度から平成二十六年度までにおきましては、電気で約五%の減となってございます。それからまた、水道の方は、同じく平成二十二年度から二十六年度の間に一一%の減というふうになっているところでございます。

 また、先ほど御指摘がございました、契約を結ぶに当たって入札等をいろいろときちっとやっておるのかという御指摘でございますけれども、いかんせん、アメリカ側の光熱水道の契約に関しましても、緊急時の対応の求められる軍事施設という特性があることは御承知のところだと思いますので、光熱水道等の安定的な供給の確保というのは、絶対必要不可欠なものでございます。

 具体的には、水道及び下水道につきましては地元の自治体、それから電気は大手の電力会社との間に契約を行っておりまして、それ以外のガスですとかあるいは軽油ですとか灯油、またプロパンガスは、競争入札によって契約業者が指定をされていくというふうになっております。

武正委員 ここで、十ページ、十一ページ、比較をしていただきたいんですが、主要エネルギー価格の推移を、出典に基づいて単価計算をいたしました。

 二十五年度、二十六年度ということで、エネルギー価格が近年下がっていることは御承知だと思うんですが、例えば電気代につきましては、二十五年度が一キロワットアワー当たり十六・五円、これが二十六年度には十四・七円と下がっております。

 ただ、十ページをごらんいただきますと、電気、節約に努めている、競争もということも言われましたが、安定供給ということなんですが、単価は、この五年間、年々上がっております。二十五年度は一キロワットアワー当たり十七・五円が、十八・三円ということで、上がっておりますので、これについては、やはり市場のエネルギー価格の推移に逆行しているのではないのかというふうに考えるわけでございます。

 また、軽油につきましては、調達価格は一リットル当たり八十五・三円が七十七・六円ということで、下がっていますから軽油はいいんですね。

 ということでありますが、特に電気代につきまして、市場の価格とのギャップ、これについてどのように御認識をされているのか、御所見を伺いたいと思います。

若宮副大臣 なかなか一概に、今お示しいただきました十一ページの資料、私も数字的なものを拝見させていただきまして、確かに、下がっているものもあれば、特に電気代についてはどうしても単価が上がっているということは事実であろうかと思います。

 アメリカ側におけます光熱水料の調達単価につきましては、それぞれの調達品目ごとに、供給業者との間の契約に基づきまして調達をされた料金に基づくものでございます。ですから、通常、ある程度大手の、例えば東京ですと東京電力ですとか、そういったところとの契約ということになろうかと思いますので、私どもとしては、適切な内容であろうかというふうに考えているところでございます。

武正委員 先ほど来申し上げていますように、国会としてやはり税金の使途についてはしっかりと政府には求めなければなりません。ですから、今のように、実勢価格が下がっていて実際の支払いが上がっていて、これは適切なんだといったことでは、我々とすれば、やはり国会としての責務を果たせないわけでございます。

 米側からのいろいろ報告聴取、これについて防衛省に聞きますと、まだまだ改善の余地が大いにあるというふうに考えるところがありますので、これはやはり、こうした条約、そしてまた負担についての説明責任が求められるところは多々あるというふうに思います。

 最後、外務大臣、今のやりとりを聞いての御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

岸田国務大臣 今のやりとりを聞きましても、HNSの運用に当たりましては、やはり透明性をまず確保し、そしてそれをしっかり説明する責任、説明責任を果たし、そして節約努力をしていく、こうした要素が大変重要だと認識をいたします。

 ぜひ、こうした点を重視しながら、国会からも、また国民からも理解される、信頼されるHNSの運用に努めなければならないと考えます。

武正委員 終わります。ありがとうございました。

岸委員長 これにて日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定に反対の討論を行います。

 本協定は、昨年四月、日米両政府が合意した新ガイドラインのもと、日米安保条約を文字どおり地球規模の軍事同盟に転換し、在日米軍の駐留と日本による経費負担をその不可欠の要素に位置づけるものであります。

 そもそも、日米地位協定第二十四条は、在日米軍の維持経費は、日本国に負担をかけずに合衆国が負担すると定め、日本に負担義務はありません。にもかかわらず、政府は、一九七八年に思いやりと称して基地労働者の福利費などの負担に踏み切り、一九八七年には地位協定上も説明のつかない特別協定を締結しました。

 以来、暫定的、特例的、限定的な措置としながら、負担内容は、隊舎や家族住宅等の施設整備、給与本体、光熱水料、訓練移転費へと拡大され、負担総額は七兆円にも達しようとしています。八七年当時、政府は、五年間に限る、その後廃止されると明言していたのに、三十年以上もこのような負担を続けることは、事実上の恒久化と言わねばなりません。

 本協定交渉に当たり、政府の財政制度等審議会さえ、「聖域視することなく見直しを行い、その縮減を図る必要がある。」と指摘していたのに、実際には、五年間の日本側負担総額は百三十三億円もふえ、総額九千四百六十五億円にもなったのであります。

 日本が負担する基地労働者数も、F35やオスプレイ、イージス艦、Xバンドレーダー、グローバルホークなど、米国の最新兵器の維持、整備等に従事する労働者数をふやしたため、過去最高の二万三千百七十八人にもなりました。

 隊舎や家族住宅などの施設整備費も、積算根拠すら示さず、各年度二百六億円を下回らないなどとしており、今後も予算規模が拡大することは必至であります。

 安倍政権は、社会保障の切り捨てや消費税増税など、国民に一層の負担を強い、今、保育所の待機児童問題も一大社会問題になっています。他方で、戦争法の強行や辺野古新基地建設の推進など、米国言いなりの異常な追随姿勢はあらわであります。その上、本協定によって、さらに今後五年間にもわたり日本側に負担義務のない経費負担を行うことは、到底認められません。

 以上、反対討論とします。

岸委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岸委員長 これより採決に入ります。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

岸委員長 次回は、来る二十三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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