衆議院

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第7号 平成28年3月25日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 篠原  豪君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      城内  実君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 隼人君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    辻  清人君

      三ッ矢憲生君    山田 美樹君

      大島  敦君    吉良 州司君

      長島 昭久君    西村智奈美君

      浜地 雅一君    笠井  亮君

      丸山 穂高君    小熊 慎司君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        木原 誠二君

   外務副大臣        武藤 容治君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大庭 誠司君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    能化 正樹君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 鈴木  哲君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         津田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     関  芳弘君

  寺田  学君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     松島みどり君

  西村智奈美君     寺田  学君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

は本委員会に付託された。

同日

 TPP交渉大筋合意は撤回し、調印・批准しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一一号)

 同(池内さおり君紹介)(第四一二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四一三号)

 同(大平喜信君紹介)(第四一四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一六号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一八号)

 同(清水忠史君紹介)(第四一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四二〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第四二一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四二四号)

 同(畠山和也君紹介)(第四二五号)

 同(藤野保史君紹介)(第四二六号)

 同(堀内照文君紹介)(第四二七号)

 同(真島省三君紹介)(第四二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四二九号)

 同(宮本徹君紹介)(第四三〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第四三一号)

は環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会に付託替えされた。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会条約第一三号)

 航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会条約第一四号)

 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官飯島俊郎君、領事局長能化正樹君、国際情報統括官鈴木哲君、内閣官房内閣審議官大庭誠司君、法務省入国管理局長井上宏君、国土交通省大臣官房技術参事官津田修一君、航空局安全部長島村淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 きょうは、委員長並びに与党、野党両筆頭理事、委員の皆さんの特別のお計らいにより、この時間にトップバッターで質問をさせていただきますことを、まず冒頭感謝申し上げたいと思います。

 さて、では、早速質問に入らせていただきます。

 三月二十二日に、ベルギーの首都ブリュッセルで、空港と地下鉄駅で連続して爆発テロが起こっています。約三十人が死亡し、二百人以上がけがを負ったというテロですが、報道によりますと、在ベルギー日本大使館や現地病院などは二十三日、三十代の日本人男性一人が意識不明の重体に陥り、旅行代理店勤務の五十代の日本人男性一人が足などに軽傷を負ったことを明らかにしています。

 この同時テロの実行犯は、空港に三人、地下鉄駅に一人の計四人がいたと発表されておりますが、ベルギー捜査当局は二十二日、ブリュッセル首都圏で実施した家宅捜索で、爆弾や過激派組織イスラム国、ISの旗を押収しております。

 ISは二十二日、インターネット上に犯行声明を出しておりますが、このテロについて、いろいろ報道もなされており、さまざまな邦人の皆さんの現地の状況なども伝えられております。

 まず、外務大臣にお伺いいたします。このテロに関しての見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 今般のブリュッセルでの爆弾テロ事件ですが、ベルギー政府の公式発表で、現時点で死者三十一名、負傷者二百七十名とされています。

 こうした多くの犠牲者が出ておられることについて強い衝撃と怒りを覚えます。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表したいと思います。

 そして、現時点での邦人に対する被害ですが、御指摘のように、一名の重傷者、そして一名の軽傷者が確認されています。重傷の方につきましては、現地在住の三十代の男性で、意識不明の状況が続いていますが、容体は現在のところ安定していると報告を受けております。

 政府としましては、外務本省では情報連絡室、そしてベルギー大使館に現地対策本部を設置し、安否確認、安全確保、全力で対応しているところであります。

 また、海外安全情報ですが、既に、ベルギーにおきましては、三月十五日に銃撃戦が行われておりまして、三月十六日に海外安全情報を発出しておりましたが、改めて、今回の事件を受けて海外安全情報を発出するなど、注意喚起を行っております。

 そして、邦人で負傷された方、そして御家族に対しましては、外務省そして現地大使館におきましてしっかり支援をさせていただいているところであります。

 こうした卑劣なテロ、断固非難いたします。我が国としましては、G7議長国として、テロ、暴力的過激主義対策強化のため、さらには海外の邦人の安全確保のため、万全を期していきたいと考えます。

玉城委員 さまざまなニュースなどを事前に聴取して、例えば、旅行に出かけられる方々であれば、現地のいろいろな状況、交通状況、それから情勢、政情などもいろいろ調べて、事前に、危険である地域、立ち寄らない方がいい地域なども、情報も得て出かけられると思います。

 しかし、その一方で、やはり政府の方からきちんとした情報を一般の国民の皆さんに提供するということは、海外渡航における安全性確保のための啓蒙もそうなんですが、さらに、こういうテロに遭遇することもありや、そういう注意を喚起する必要もあろうかと思います。そのことについて、どのように取り組んでいるのかをお聞かせください。

能化政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のブリュッセルにおけるテロ事件のほか、最近、パリ、バンコク、ジャカルタ、イスタンブールなど、世界各地でテロが発生しており、また、テロの脅威があるという状況でございます。

 こうした非常に厳しい現実のもと、外務省といたしましては、邦人が海外でテロ事件に遭遇することも念頭に、被害を最小限に抑えるための予防措置ですとか対処法を含めまして、海外におけるテロへの安全対策に関する啓発及び注意喚起の強化に力を入れていくことが重要な課題であると考えております。

 具体的には、海外安全情報の適時適切な発出、また、官民協力のための安全対策連絡協議会や在外安全対策セミナーを通じた在留邦人等への情報提供、注意喚起を、より迅速かつ手厚く行ってまいります。さらに、海外で学ぶ児童生徒、学校関係者の安全確保の観点から、日本人学校等に対する安全対策支援を強化してまいります。

 これらを通じまして、引き続き、在外邦人の安全対策に万全を期していく所存でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 これも朝日新聞のニュースに載っているんですが、爆発があった地下鉄マルベーク駅から徒歩十分の距離にある大手邦銀の支店の方にインタビューをしたところ、非常に動揺しているというふうに答えていらっしゃいます。公共の場所を狙われてしまえば気をつけようがないということです。この方によりますと、電車に乗るときなど、ふだんから周囲の様子や人の動きに注意してテロを警戒してきた、とうとう来たという感じです、しばらくは中心街には出かけないようにしますというふうに、その恐怖を身近に感じたということで、こういうふうに述べていらっしゃいます。

 テロに遭遇した場合の邦人への支援、それから、例えば、けがを負われた場合などの補償についてどのようになさっていらっしゃるか、お聞かせください。

能化政府参考人 お答え申し上げます。

 海外における邦人の安全確保は、政府の重要な責務でございます。この認識のもと、テロ事件の被害に遭われた邦人につきましても、外務省や現地大使館等におきまして、家族への連絡、警察、病院等関係機関への同行を初め、可能かつ必要な支援を行っております。

 また、テロを含め、海外で犯罪被害に遭われた邦人に対する補償に関しましては、まず、海外に渡航、滞在する邦人に対して、海外旅行保険への加入を強く勧めております。

 一方、被害邦人に対して経済的支援を行う国の制度が現在存在しておりませんことを踏まえまして、今後、社会の連帯共助の精神にのっとり、政府として、海外での犯罪被害者に対する経済的支援に関する施策の推進については、具体化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 今後とも、邦人保護のため、被害に遭われた方の心情に寄り添いながら、しっかりと支援を行ってまいります。

玉城委員 どなたも被害者にはなりたくないのですが、万一、遭遇し、けがを負われた場合などについては、国がしっかりとサポートしていくということも改めてお願いをしておきたいと思います。

 さて、ではテロ防止のためのセキュリティー対策についてお伺いいたします。

 本邦における、外国でのテロ事件が発生した場合の対応、全体的に捉えてどのような対応をとっていらっしゃるのか、これは内閣官房の方にお伺いしたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 邦人の安全確保は政府として重要な責務であり、テロ事案を含めた外国での緊急事態や事件に際しては、政府一体となった初動対処体制をとることにより、速やかな事態の把握等に全力を尽くすことといたしております。

 具体的には、内閣危機管理監のもとで、事案の規模等に応じ情報連絡室などを設置し、情報の収集、集約や、総理などに対する迅速な報告、関係省庁との連絡調整を行うこととしております。また、関係省庁におかれましても、外務省による海外安全情報の発出、在外公館等を通じた邦人の安否確認、邦人被害者の支援等に努めることといたしております。

 政府といたしましては、引き続き、国民の生命や安全の確保のため、万全を期してまいりたいと考えております。

玉城委員 次に、テロ防止のための空港及び港でのテロ対策の設備等についてお伺いしたいと思います。

 昨年から、諸外国において導入が進んでいる先進的なボディースキャナーの導入を検討するため、運用評価試験などを行っているという情報もあります。

 航空担当それから港湾担当、それぞれについて、こういう対応をお聞かせください。

島村政府参考人 空港におけるテロ、ハイジャックを防止するための航空保安検査の強化についてお答えをさせていただきます。

 国土交通省においては、国際テロの脅威が高まる中、金属探知機などを用いた従来の検査に加えボディースキャナーを、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催までに、国内の主要空港に導入する必要があると考えております。このため、平成二十八年度予算案において、このボディースキャナーの整備費用について、従来の空港設置管理者による航空会社への二分の一補助に加え、国が新たに航空会社に二分の一補助を行うこととしております。平成二十八年度は、羽田、成田、関西及び中部の四空港で導入し、順次その他の空港に拡大してまいります。

 今後とも、関係者と連携を深めつつ、航空保安対策に万全を期してまいります。

津田政府参考人 お答えいたします。

 港湾におけるテロ対策については、米国同時多発テロを契機に改正されたSOLAS条約の国内法に基づき、国際航海船舶が着岸する国際埠頭施設において、制限区域の設定、管理や、ゲートでの出入り管理等が実施されています。

 国土交通省といたしましては、施設の管理者が策定する保安規程を評価、承認するとともに、立入検査によって規程に基づく取り組み状況を確認し、必要に応じて改善を求めてきています。

 また、出入り管理を確実かつ円滑に実施するための出入り管理情報システムを開発し、その普及を図っているところでございます。

 なお、ことしは伊勢志摩サミット及び閣僚会議が開催されますが、海上保安庁や警察等と連携し、国際埠頭施設の管理者を対象とした会議を開催し、最近のテロの脅威について認識を深めるとともに、自主警備体制の強化、徹底を図っているところです。

 今後も、引き続き、関係者と連携し、国として責任を持って港湾におけるテロ対策に万全を期してまいります。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、続いて入国管理局にお伺いいたします。

 海外からの来日渡航者に関する情報管理体制についてどのようにとっていらっしゃるのか、お聞かせください。

井上政府参考人 入国管理局におきましては、テロリスト等の入国を水際で確実に阻止するため、全国の空海港におきまして厳格な入国審査を実施しておるところでございますが、そのためには、テロリスト等要注意人物に関する情報を、しかも正確でできるだけ多くの情報を入手することが極めて重要になります。

 そのため、国内の関係機関との協力関係はもとより、諸外国との情報連携が重要な鍵を握ると認識しておりまして、昨年十月には新たに法務省内に出入国管理インテリジェンス・センターというものを設置いたしまして、そこを拠点にして情報連携体制を強化しておるところでございます。

 諸外国との具体例を申し上げますと、まず、我々入管当局のカウンターパートになる外国の入管当局との連携というのが当然ございますが、さらに、国際機関であるICPOとの連携も図り情報収集に努めております。一つだけ具体例を申し上げますと、平成二十一年からは、ICPOが構築しております紛失・盗難旅券データベースというものがございまして、これを活用して、不法入国を企てる者の発見に活用しておるところでございます。

 このように、情報の効果的な活用は極めて重要でございますので、これを今後さらに推進することとしており、そのためには、諸外国との情報連携体制もより一層強化してまいりたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございました。

 質問が残っておりましたけれども、時間ですので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

岸委員長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一です。

 国際情勢に関する件、質疑を行わせていただきます。

 理事会で御承認をいただきまして、お手元に資料を配付させていただきました。防衛省の資料ということで、防衛省からおいでいただければ結構なんですけれども、時間の関係もあって、この資料の配付で御説明をさせていただければと思っております。最近の短・中距離弾道ミサイル発射事案ということで、防衛省の資料でございます。

 特に、ことしに入って、この三月十日、十八日と矢継ぎ早に弾道ミサイルが発射をされているのはもちろんですが、ことし一月六日の四度目の北朝鮮による核実験、二月七日の北朝鮮による人工衛星と称する弾道ミサイルということで、三月二日には国連安保理制裁決議がされておりますが、報道では、翌日、新型大口径放射砲と主張する短距離発射体六発が発射、これは飛距離が百五十キロ、それから、この二十一日にも同じく新型大口径放射砲と主張する短距離発射体五発が発射、これは飛距離が二百キロと、矢継ぎ早にこうした北朝鮮によるミサイル発射等の事案が発生をしております。

 また、この防衛省の資料の右上にあります評価等のところに書いてありますように、過去に例のない地点から早朝、深夜に移動式発射台、TELを用いて弾道ミサイルを発射しているということ、また、北朝鮮西部から半島を横断する形での発射は一三年以前には例がないということ。そして、三ページ目、これが北朝鮮が公開した核弾頭と見られる物体ということで、写真も公開をされているわけであります。

 こういった最近の北朝鮮による短・中・長距離弾道ミサイル発射等の事案について、既に国連で制裁も決議して、日本も含めて各国連携をしての制裁を行っているわけでありますが、こうした矢継ぎ早の対応、こうした北朝鮮の事案について、外務大臣としての御所見を伺いたいというふうに思っております。

 また、特に、今月末には、三月三十一日からワシントンで核セキュリティーサミット、四回目も開かれます。また、報道によると、そのときに日米韓首脳会談も今回の事案について行うという報道もありますし、また、相次いで大臣は、日加外相会談、それから日伊、日仏外相会談と会談を重ねまして、日加においては、この拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて我が国が独自の措置などを通じ断固とした対応をとっていくことについてカナダの支持を得たというふうにも聞いておりますし、また、日伊、日仏それぞれについて、明確なメッセージを、特に外相会合で発することに一致したというようなことになっておりますので、この点も含め御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、強い内容のこの安保理決議二二七〇号が採択されたのは三月二日ですので、今委員から御指摘がありましたさまざまな挑発行動は、この決議が採択された後、ずっとこうした挑発的な行動を繰り返しているわけです。このことにつきまして、断じて容認することはできません。

 我が国としましては、米国、韓国を初め関係各国と連携をしながら対応していかなければならないわけですが、まずは、この安保理決議二二七〇号、さらには日本、韓国、米国は独自の措置を決定しているわけですから、こうした措置の実効性をしっかり確保し、北朝鮮に対してしっかりとしたメッセージを発していかなければなりません。この二二七〇号を初めとする累次の安保理決議をしっかり遵守し、挑発行動を行うことを自制する、こういったことを働きかけていかなければならないと考えます。

 しかし、あわせて、今の北朝鮮の動向を見ておりますと、予見可能性が低下しているとも感じています。あらゆる事態に備えて、政府として、万全の体制も備えておかなければならない、このことも感じるところであります。

 核セキュリティーサミットの際の対応ですが、既に、今総理も参議院の予算委員会等でも発言されておられますが、事情が許すならば総理自身出席をし、そして日米韓三国の首脳会談を行いたいという意向を示しています。こうした日米韓の連携は大変重要であると考えますし、ことし、G7の議長国として、G7のサミットあるいはG7外相会談を我が国はリードしなければならないわけですが、当然、アジアの大きな課題として、北朝鮮問題についてもしっかりとした議論を行っていくべきだと我々は思っております。

武正委員 先ほど触れました日加、日伊、日仏の外相会談でも、強いメッセージを発することが重要である点で一致したというふうに公表されておりますが、そういった強いメッセージを出していくということでよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 G7外相会談の議論の中身については、今引き続き調整をしております。ぎりぎりまで調整が続くものであると思いますが、八年ぶりにアジアで開催されるG7の外相会談でありますので、アジアの問題、そして特にこの北朝鮮の問題はぜひ議論したいと、議長国としては考えております。そして、議論をした上で、強いメッセージを発することができればとは考えております。ぜひそういった方向で調整を続けていきたいと考えます。

武正委員 四月の十日、十一日に開催というこの外相会合でありますので、もうあと二週間強というふうになってこようかということだと思います。

 既に、日加の外相会談、二月十二日の際には、共同記者会見でカナダの外務大臣も、広島での外相会合に際してはぜひ平和記念公園を訪問したいというようなことを述べておられますが、広島での開催、G7プラスEU、外相が一堂に集うわけですので、当然北朝鮮の一連の事案に対しての強いメッセージを発すると同時に、今触れられた点以外にも、かねてより外務大臣からは、外相会談でのメッセージとして、やはり軍縮、核不拡散を挙げておりますので、その中で、七カ国の中には核保有国と保有していない国が分かれるわけでありますが、外相が一堂に会して平和記念公園を訪問するといったことは、当然、日本としては望ましいことというふうに思うんです。

 カナダの外相は既にそういう発言をされているようですが、各国外相に対してそういった働きかけをされているのか、また外務大臣としての御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 私も、年明けからG7の外相全てと電話会談を行いました。また、実際の外相会談としましても、年明けから、英国、カナダ、イタリア、フランス、こういった外相と外相会談を重ねてきました。

 その中で、G7の外相会談をどのように進めていくのか、こうした意思疎通を図ってきたわけです。もちろん、外相会談としましては、テロ対策あるいは暴力的過激主義対策、さらには難民問題、中東、ウクライナ、こういった問題が大きな議論になると感じていますが、その中にあって、被爆地広島で外相会談を開くということで、軍縮・不拡散についてもしっかり議論をしていこう、こういったことで各国と意思疎通を図っている次第です。

 そして、その際に、こうした世界の政治のリーダーに被爆地に足を運んでもらい、そして被爆の実相に触れてもらうということは、国際的に核兵器のない世界をつくっていこうという機運を高める上で大変重要であるということ、さらには、そういった観点で外相会談の関連行事、日程を組んでいきたいということを説明してまいりました。

 各国からは、それに対しまして理解する声が随分と発せられているわけですが、最終的な日程、関連行事のありようについては、引き続き今事務的に調整をしておりますので、ぎりぎりまで調整した結果確定することになると考えています。

 引き続きまして、今申し上げましたような我が国の考え方の理解を得るべく、努力を続けていきたいと考えています。

武正委員 平和記念公園には原爆資料館もあるわけでありますが、平和記念公園内のそうした施設、こういったところもやはり外相につぶさに見てもらい、そして、今の保有国、保有でない国問わず、しっかりとやはり核なき世界ということで今の軍縮・不拡散のテーマに供する、そういったこともやはり必要だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 被爆地において被爆の実相に触れてもらうということを考えますときに、平和公園あるいは資料館を訪問していただくということ、これは大きな意味があると考えます。

 先ほど申し上げた被爆の実相に触れるということの意義とあわせて、こうした日程についても、各国の理解を得るべく、今、意思疎通を図っています。引き続き、我々日本の考え方を理解していただく、そしてしっかりとした日程を組むことができるよう、努力を続けていきたいと考えます。

武正委員 第四回の核セキュリティーサミットは、二〇〇九年のオバマ大統領のプラハ演説がきっかけというふうに理解をしております。当時、二〇〇九年、民主党が政権の中にあったときにおいても、この核セキュリティーサミット第一回への対応、そしてまたやはりオバマ大統領の主導する核なき世界というところで取り組んできたところでありまして、それがまた引き続き安倍内閣においても引き継がれている。特にその中心が、広島出身の岸田外務大臣が主導されているということでありますので、ぜひ今のそうした呼びかけが実現するようにお取り組みを、あと二週間強でありますが、お願いしたいというふうに思います。

 そこで、この間私も、政権時代も同僚議員とともに、特にオバマ大統領の広島訪問、そういった働きかけをこの三年三カ月、野党になってからも取り組んでまいりました。

 具体的には、米国議会議員への手紙の発出。あるいはまた、昨年の十二月十日ですが、ノーベル平和賞授賞式に広島、長崎の被爆者の参列。これについては、広島の岡田恵美子さんと長崎の築城昭平さんという方で、広島・長崎被爆者プロジェクトの阿部桐蔭横浜大学准教授から御要請もあり、私の名前でもノーベル賞委員会の方に手紙も出させていただいた、そういう経緯もございます。そういった中で、八月二日に招待状が届いたということでございます。

 この点は、外務大臣も御承知でしょうか。

岸田国務大臣 それは、ノーベル賞の授賞式に出席する招待状があったということ……(武正委員「はい」と呼ぶ)はい。そういった関係者への御配慮があったということにつきましては、承知をしております。

武正委員 先ほどの広島・長崎被爆者プロジェクトでは、かねてより米国大統領の広島訪問といったことを働きかけておりまして、その中で、先ほど触れたノーベル賞委員会に、被爆者の出席ということが実現をしたということでございます。

 そこで、これは三月二十二日ですが、アメリカのゴッテメラー国務次官が、これは報道ですが、記者団に対して、オバマ大統領の広島訪問についてホワイトハウスで検討されていると。大統領は、広島を訪問できれば光栄だと語っているということで、官房長官も、世界の指導者に被爆の実情に触れてもらうことは極めて重要だと記者会見でも述べておられますが、この点について、外務大臣としての御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 官房長官も発言しておりますように、世界の指導者に被爆の実相に触れてもらうこと、これは大変意義あることであると思います。

 ただ、御指摘の点につきましては、米国大統領の日程についての話ですので、具体的に私の方から一つ一つコメントするのは控えなければならないのではないかと思います。

 アメリカ大統領の被爆地訪問については、アメリカの中にさまざまな意見があるということも承知をしております。

 いずれにしましても、私の立場で御指摘の点についてコメントをするのは控えたいと思います。

武正委員 先ほど触れましたように、在日米国大使の広島、長崎の原爆慰霊式典の出席なども、オバマ大統領のプラハ演説以来活発に行われてきたわけでございます。そういった米国側の被爆地に対しての配慮、こういったものが行われ、そして先ほど御紹介の外相会合、これでケリー国務長官が来日をされるということでありますが、各国外相の平和記念公園並びに資料館なりにそれぞれ行っていただく、見ていただく、実相に触れていただくということが、オバマ大統領の広島訪問につながることを期待したいというふうに思います。

 そこで、今度は、外相会合でもやはりテーマになってくるのが、ひとつ、海洋の安全保障ということで伺いたいわけでございます。これについては、日伊の外相会談なども含めて、あるいは先ほど日仏外相会談なども含めて、海洋安全保障ということをこのG7外相会合のテーマにということを外務大臣からお伝えをしておられるようでございます。

 特に、東シナ海、南シナ海、一方的な現状変更の試みは容認できない、航行の自由など法の支配ということをかねてより日本政府として発出をしていることも承知をしておりますので、この外相会合における海洋の安全保障についての御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 G7の外相会談、先ほども申し上げましたように、八年ぶりのアジアで行われるG7外相会談ですので、アジアの問題についてもしっかり議論をしたいと思います。その際に、北朝鮮問題はもちろんですが、海洋の安全保障につきましても議論をしたいと考えております。

 海洋の安全保障につきましては、国際法の原則に基づく秩序をどのように維持していくか、こういった議論だと思っています。

 G7におきましては、航行の自由、あるいは上空飛行の自由、海上交通の安全確保、さらには一方的な行動の自制、こういったことについては認識は一致していると感じています。

 ぜひ、こうしたG7外相会談等の機会を捉えて、海における法の支配、さらには紛争の平和解決の重要性、こういったことにつきまして、関係各国と確認をしたいと考えます。

武正委員 特に、G7の参加国が、今お触れのように、アジアでは日本のみということですので、当然、今回のベルギーでのテロ事件、そしてまたパリでもありましたし、海洋の航行に関して言うと、どちらかというと地中海とか紅海、もちろん日本にも大きなかかわりのある場所でありますが、アデン湾などの地域ということが念頭に上がりやすいわけですが、この東シナ海、南シナ海。そしてまた、過日十周年を迎えたReCAAP、アジア海賊対策地域協力協定、これは、日本が当初から事務局長も務めておりますし、過日そうした式典も行われたわけですが、これについても、加盟国、参加国は、ASEANプラス日本プラス中国プラス韓国に、最近は、ヨーロッパからも、ノルウェー、オランダ、デンマーク、そして、G7ではイギリス、米国と。そしてオーストラリアもそうですが、参加をされていますので、残りの四カ国についても、やはりこのReCAAPについても参加の呼びかけを日本からしてもいいのではないかなというふうに私は思っております。

 海はつながっておりますし、今お話あったように、法の支配、特に航行の自由ということでありますので、アジアにおけるそうした海洋安全保障、特に、ReCAAPでは、各国のキャパビルということで、海上保安能力の構築、これにも日本もアジアにおいて大変な寄与をしてまいりましたが、ヨーロッパ各国の、特にG7各国のそうした参加も促していってはどうかなというふうに思います。

 また、二〇一三年ロンドン外相会合、そして二〇一五年のドイツ外相会合、リューベックの会合でも、このReCAAPにも言及をした文書が発出をされておりますので、今回も、当然、ReCAAPについても言及をしたそうした取り組みが文書としてまとめられるものというふうに考えますが、特に、このReCAAPについての取り組み、そしてG7での共通理解、情報共有、そして、さらに、ReCAAPに対するまだ未加盟のG7、あとの四カ国への働きかけ、以上について、御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まずReCAAPですが、こうした取り組みにつきましては、我が国は協定交渉段階から主導をしてきました。そして、委員もまさに外務副大臣の際に、この問題、大変取り組みに御努力されたと聞いております。

 こうした努力の結果として今日があるわけですが、この取り組みについて、より幅広い参加を求めていく、G7各国にもこうした取り組みへの参加を促していく、こうしたことにつきまして、最終的には各国の判断ではありますが、アジア域外国を含めて、現交渉国以外の国の加入のためにも、ReCAAPは開放されております。

 こうした海賊対策の重要性について、G7の国々と意識を共有していく、これは大変重要なことであると思います。御指摘のように、リューベックの外相会談におきましても、ReCAAPは言及されております。外相会談の中身については今まだ交渉中、調整中ではありますが、こうしたReCAAPについて言及することにつきましては、我が国として歓迎するべきことであると考えております。

 ぜひG7外相会談、ことしの会合におきましても、充実した会合をし、そして成果を発出していきたいと考えます。

 以上でございます。

武正委員 どうもありがとうございます。

 インドネシア、マレーシア、当初の交渉国、チャーターメンバーでありながらまだ未加盟ですので、その両国への加盟も、引き続き外務省、政府として働きかけもお願いし、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 政府は今週三月二十二日、安全保障関連法の施行日を来週三月二十九日ということにする政令を閣議決定しました。中谷防衛大臣は当日の記者会見で、安保法制で拡大する自衛隊の任務のうち、他国軍との宿営地の共同防衛、米軍等の武器等防護について、法施行後も当面運用を見送る考えを示しました。

 若宮防衛副大臣、その理由は何でしょうか。

若宮副大臣 笠井委員にお答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりました大臣の会見、三月二十二日に行われたものでございますが、この新たな法律によりまして与えられた任務につきましては、まずは隊員の安全を確実に確保すること、それからまた、適切に任務を遂行するためにはあらゆる面でやはり万全の体制を整えなければいけないというふうに考えているところでございます。それには、教育訓練も含めまして、周到なる準備が必要だというふうに思っているところでございます。

 大臣のこの発言の御趣旨でございますけれども、南スーダンのPKOにつきましては、これまでも、要員を交代する前に、あらかじめ国内におきまして十分な準備と訓練をしっかりと行った上で要員を派遣しているところでございますが、現在活動中の第九次の要員につきましては、まだ国内での準備訓練を実施してございません。

 また、五月から六月にかけまして出国を予定いたしております第十次の要員につきましても、国内での準備訓練ということが、この法律の施行後の十分な期間というものがまだ時間的に不足をしているものでございますから、この九次要員及び十次要員につきましては、現時点での宿営地の共同防護を行わせる予定というのがないということを申し上げたところでございます。

 それからまた、武器等の防護につきましても、これまた米軍等に十分な理解をしていただくということが必要でございまして、アメリカとの必要な説明、調整を行うのと並行いたしまして、また、私どもの方の部内の規則類の整備に向けても必要な作業を行っているところでございまして、現時点ではなかなか、今のスケジュールのところで、具体的に申し上げることが難しゅうございますものですから、このような趣旨の会見をさせていただいたところでございます。

笠井委員 現時点で宿営地の共同防衛を行う予定はないということでありますが、今後、必要な準備が整えば、南スーダンに派遣する自衛隊PKO部隊に宿営地の共同防衛を行わせるということなんでしょうか。

若宮副大臣 今現在、具体的な時期とかは全く決まっておりません。

 先ほどちょっと答弁申し上げましたけれども、やはりさまざまな意味で、いろいろな部隊の演練をしっかりといたしませんと、隊員の安全ですとか、また、その能力を高める努力というものを不断に行いまして、それをフィードバックした上で、内容を充実、しっかり固めて、念には念を入れたいというふうに考えているところでございますので、今のところ、まだ具体的には決まっていないところでございます。

笠井委員 要するに、今後のことを聞いているんですが、準備を整えるという話をされたので、整えば、南スーダンの派遣部隊に共同防衛の任務を付与する、こういうことになるんですねと聞いているんです。

若宮副大臣 今その準備を進めているところでございまして、まだ具体的なところがはっきりと申し上げられる段階にないものですから……(笠井委員「準備ができればやるかどうかということです」と呼ぶ)はい。いずれの段階ではということになろうかとは思いますが、まだ具体的には決まっていないところでございます。

笠井委員 いずれの段階ではそういうことになると。

 南スーダンでは、先週三月十六日の当委員会でも指摘しましたが、二〇一三年十二月に大統領派と前副大統領派との武力衝突が発生しました。その際、一部報道によれば、国連のUNMISS司令部が、大量の避難民を収容した首都ジュバのトンピン地区にある宿営地を各国軍の部隊で共同防衛することを決めたわけですが、自衛隊は国内法を理由に拒否せざるを得なかったと報じられております。

 この事実関係について記した防衛省提出の文書があります。先週取り上げました陸自の研究本部の内部文書、南スーダン派遣施設隊第五次要員に係る教訓要報のことでありますけれども、若宮副大臣、この文書の十一ページに状況等というところがありますが、一と二というところにはどのようなことが書いてあるでしょうか。

若宮副大臣 これは、前回同様読み上げる形でよろしゅうございますか。(笠井委員「お願いします」と呼ぶ)はい、かしこまりました。

 今、笠井委員が御指摘になりましたところでございますが、読み上げさせていただきます。

  平成二十五年十二月に発生した武力衝突事案は、首都ジュバにおいては十二月十八日までに衝突は徐々に収束したものの、その後、ジョングレイ州やユニティ州の州都を中心に飛び火し、軍内の衝突が急速に地方まで拡大した。

 二番目でございますが、

  同月二十四日朝、UNMISSのDSS(治安安全部門顧問)からUNトンピン地区警備施設強化命令がメールにて伝達され、トンピン地区の東西にフェンス付近のゲートや新たな望楼の設置、監視網、火網の連携、清掃等の実施事項が示され、火網の連携を除く事項を実施した。

 以上でございます。

笠井委員 当時、UNMISSの司令部から、宿営地の警備施設強化命令が自衛隊部隊を含む各国軍の部隊に発出されたということであります。

 そこで、この文書で除くとされた、今最後に言われました火網の連携というのはどういうことなんですか。

若宮副大臣 火網の連携という言葉でございますが、私ども自衛隊といたしましては、正式な定義は実のところございません。

 具体的に何を意味しているかというのは、これは、先般も申し上げましたが、一部隊の隊員の記録でございますので明らかではないんですが、いわゆる国語辞典とか広辞苑等で調べますと、火網とは、各種の鉄砲を縦横に発射して、弾道の網を張りめぐらされた状態にすることというふうにございます。

 そうすると、火網の連携ということでございますが、連携という言葉の通常の認識といいますか、解釈を考え合わせますと、通常ですと、例えば襲撃をされてしまったときに、監視の要員が互いに身を守るために、やむを得ず、相互連携して、ある程度相手から攻撃をされないように自分のことを守る、相互にカバーをするといったことを意味するものではないかというふうに思われるところでございます。

笠井委員 その火網の連携を含む実施事項が示されて、UNMISS司令部から命令が下されたと。その命令に対して、自衛隊のPKO部隊は火網を除く事項を実施したということで先ほど話があったわけですが、この内部文書の同じページの備考の欄にはどのようにありますでしょうか、ちょっと紹介してください。

若宮副大臣 これも同じく読み上げる形でよろしゅうございますか。(笠井委員「はい」と呼ぶ)

 六十七ページあるうちの十一ページの備考欄でございますが、

  「火網の連携」はUNトンピン地区への武装勢力の侵入阻止を狙いとしており、その実効性を高める上で隣接部隊間の相互支援は不可欠である。しかし、我が国の従来の憲法解において違憲とされる武力行使にあたるとされていたため、他国軍との間での「火網の連携」は実現困難と見られていたものの、今後の法整備の状況によっては、連携の調整もあり得る。

というふうに書いてございます。

笠井委員 そうしますと、当時は、他国軍との火網の連携というのは、憲法違反の武力行使に当たると判断して、自衛隊PKO部隊は実施しなかったということであります。

 この備考欄によれば、今後の法整備の状況によっては、つまり、安保法制に基づいて宿営地の共同防衛が任務付与されれば、火網の連携の調整もあり得るということになるわけです。

 だから、この安保法制のもとで今後UNMISS司令部から他国軍との火網の連携を命じられても、今度は除くことがなく、調整が可能になると。要するに、自衛隊PKO部隊は今度は拒否できなくなるということになるんじゃないですか。

若宮副大臣 まず、火網の連携と宿営地の共同防護というのが同じかどうかということもあろうかと思うんですが、今委員の御指摘になった点につきましては、その時点の状況を総合的に勘案しながら、具体的に私どもとしてどういった対応が可能なのかということを決めていくことになろうかと思います。

笠井委員 その時点の状況と言いますけれども、あのときには、結局、日本の憲法があるからこれはできないということで除いたということが書いてあるわけですね、防衛省の研究本部の中には。

 だけれども、今度はそういう理由が立たなくなるから、そういう命令が来たときには、それは除外されないということになるんじゃないですか。今度はできるでしょうと言われるでしょう。

若宮副大臣 先般もちょっと申し上げたんですが、一個人の見解が述べられたのがこの文書の内容でございまして、これは防衛省としての見解になっているというわけではないのでございますが。そもそも、今、火網の連携という言葉を使っておりますが、これが宿営地共同防衛そのものを意味しているというわけではないかと思うんですけれども、現時点では共同防護を行わせるという予定はございません。

 それからまた、先ほども申し上げましたように、いろいろな周到な準備をきちっと行って、各種の検討は行っているところではございますけれども、いつから行わせるかということにつきましても、具体的な時期についてはまだ確定していないという状況でございます。

 いずれにいたしましても、この準備、訓練というのはしっかりと行いまして、実際の具体的な状況を踏まえながら、その時点で自衛隊が何ができるかということを、実施可能な任務を適切に果たしてまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 これは一個人じゃないんですよ。陸上自衛隊研究本部として出した文書でしょう。

 しかも、今言われたように、あのときにUNMISSから、実施事項の中に火網連携を含むものが示された、それを除いたものはやったというふうに書いてある。これは、事実、やったわけですから、そういうことになってくるわけで、結局、今度は言われたら断れないという話になる。

 最後に、岸田大臣に伺いますが、大臣も、安保法制施行日を決めた閣議決定に加わられたわけですけれども、駆けつけ警護や安全確保業務に加えて、宿営地の共同防衛などについてまで、隊員の安全の確保を図ると、冒頭に副大臣からありましたが、そういうことなどを理由に、二十九日の法施行後も当面の運用を見送るというわけでありますが、準備を重ねて、そして状況を見ながらということで、やるほど危険な任務をなぜ自衛隊のPKO部隊に付与する必要があるのか。これはやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 新しい法制によって新たに付与される任務あるいは権限につきましては、ただいま防衛副大臣から説明がありましたように、さらなる準備あるいは訓練、あるいは諸外国への丁寧な説明が必要であるということであります。

 ぜひ、こうしたさまざまな準備をしっかり行うことによって、平和安全法制が本来のしっかりとした目的を果たすべく、引き続き努力をしていかなければならないと考えます。

 外務省としましても、各国に対する説明等において、しっかり貢献をしていきたいと考えます。

笠井委員 時間が来たから終わりますが、当面の運用を見送るほど、殺し殺される危険がある。そもそも、そんな安保法制というのは、施行ではなく、きっぱりと廃止すべきだと強く申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

岸委員長 次に、第百八十九回国会提出、航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び今国会提出、社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、航空業務に関する協定を締結するため、カンボジア政府との間で交渉を行いました。その結果、平成二十七年一月にプノンペンにおいて、我が方在カンボジア大使と先方民間航空庁長官との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、両国間で、定期航空路線の開設及び定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものであります。

 この協定の締結により、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、航空業務に関する協定を締結するため、ラオス政府との間で交渉を行いました。その結果、平成二十七年一月にビエンチャンにおいて、我が方在ラオス大使と先方公共事業運輸大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、先ほど御説明したカンボジアとの間の協定と同様、両国間で、定期航空路線の開設及び定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものであります。

 この協定の締結により、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、社会保障に関する協定を締結するため、フィリピン政府との間で交渉を行いました。その結果、平成二十七年十一月にマニラにおいて、我が方在フィリピン大使と先方外務大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、年金制度への二重加入等の問題を解決するため、両国間で年金制度に関する法令の適用について調整を行うこと、両国の年金制度の加入期間を通算することによって年金の受給権を確立すること等を定めております。

 この協定の締結により、両国間の人的交流が円滑化し、ひいては経済交流を含む両国間の関係がより一層緊密化することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

岸委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時一分散会


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