衆議院

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第9号 平成28年4月1日(金曜日)

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平成二十八年四月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 小熊 慎司君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      あべ 俊子君    小渕 優子君

      大野敬太郎君    門山 宏哲君

      城内  実君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    鈴木 隼人君

      薗浦健太郎君    辻  清人君

      根本 幸典君    堀内 詔子君

      三ッ矢憲生君    務台 俊介君

      山田 美樹君    大島  敦君

      吉良 州司君    篠原  豪君

      寺田  学君    長島 昭久君

      浜地 雅一君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    丸山 穂高君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        武藤 容治君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 豊田 欣吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 道井緑一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   齋木 尚子君

   政府参考人

   (海上保安庁海洋情報部長)            仙石  新君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 谷井 淳志君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     務台 俊介君

  辻  清人君     門山 宏哲君

  松島みどり君     根本 幸典君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     國場幸之助君

  根本 幸典君     あべ 俊子君

  務台 俊介君     小林 鷹之君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     堀内 詔子君

  國場幸之助君     辻  清人君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     松島みどり君

    ―――――――――――――

三月三十一日

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会条約第一五号)

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官中村吉利君、大臣官房審議官大菅岳史君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官豊田欣吾君、大臣官房参事官大鷹正人君、大臣官房参事官飯島俊郎君、大臣官房参事官宇山智哉君、大臣官房参事官道井緑一郎君、北米局長森健良君、中東アフリカ局長上村司君、国際法局長齋木尚子君、海上保安庁海洋情報部長仙石新君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、整備計画局長真部朗君、地方協力局次長谷井淳志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。

岡本(三)委員 皆さん、おはようございます。公明党の岡本三成です。

 トップバッターでお時間をいただきました。御尽力いただきました皆様、本当にありがとうございます。

 大臣、きょうは四月一日、エープリルフールです。したがいまして、これから御質問させていただきますが、私たちがびっくりするぐらいの前向きな御答弁、ぜひよろしくお願いいたします。

 まず初めに、けさちょっと報道されております、日本時間の昨晩、米国DCで行われました日米韓の首脳会談につきまして一言御答弁をいただければと思います。報道によりますと、北朝鮮の問題に関して一層の連携強化を合意したというふうに報道されておりますが、これは具体的にどのようなことを意味するのか、この連携強化というのはどういうところを強化していくというふうに合意をされたのかということを含めて、この会談の内容を全体的にどう御評価されているかを御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘の日米韓の首脳会談ですが、三カ国を取り巻く安全保障環境が大変厳しさを増している中にあって、地域の平和や安定に大きな責任を負うこの三カ国の首脳が一堂に会して、北朝鮮を含めた地域の情勢等において議論をし、そして安全保障における協力も確認した。こうしたことは大変時宜を得たものであり、そして有意義なことであったと思います。

 そして、中身としまして、安全保障の協力につきましても、三カ国の外務、防衛当局間で具体的な安保・防衛協力を前進させるべく事務方に首脳から指示を出す、こういったことで一致をいたしました。

 さらには、拉致問題につきましても、安倍総理から日本の立場を説明し、オバマ大統領、朴槿恵大統領から、改めて日本の取り組みに対する理解や支持を得たと報告を受けております。

 これらに加えまして、グローバルな課題、テロ対策ですとか気候変動、さらにはバイデン副大統領のがん撲滅イニシアチブ、こういったものについても意見交換を行ったと報告を受けております。

 幅広い分野での連携協力において一致したということであり、ぜひ、こうした議論を踏まえまして、引き続き三カ国での連携協力を進めていきたいと考えます。

岡本(三)委員 こういう日米韓の首脳会議が開かれること自体が、例えば核開発をしているような北朝鮮に対する抑止力にもなっていきますので、ぜひ具体的な取り組み、具体的な成果として今後かち取っていただけるようにお願いしたいと思います。

 続きまして、現在行われている核セキュリティーサミットですけれども、二〇〇九年にオバマ大統領が提唱されて、二〇一〇年以降、二年に一回、ことしは四回目になるわけですけれども、実は、米国側はことしを最後にするというふうに報道で言及をされていらっしゃいます。

 昨今の世界情勢を考えると、例えば先日のあのベルギーの悲惨なテロ事件に関しましても、容疑者は狙っている対象物の一つに原子力発電所を入れていたというような報道もありますし、日本の近隣でも核開発をしているような国があるわけで、国際的な核セキュリティーに対するニーズというのはより高まっているというふうに思うんですが、今回でこの核セキュリティーサミットが終了した場合に、この後、どういうふうに、どういうネットワークで、どういう枠組みで、連携をさらに強化しながら、そして我が国として核セキュリティーにコミットしてこれに対応していくか。今後、サミットが終わった後、我が国はどういうふうに対応していこうというふうに考えているか、教えていただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、今後も、核セキュリティーに対する取り組み、さらには取り組みの強化、これは重要であると認識をしています。

 そして、今回の核セキュリティーサミットにおきましても、この核セキュリティーサミット後においても核セキュリティーの強化に取り組んでいくために、国連、IAEAあるいは国際刑事警察機構等の国際組織や枠組みにおけるアクションプランといったものを話し合う、こういった予定であると承知をしています。また、本年十二月にはIAEAにおいて核セキュリティーに関する国際会議が閣僚レベルで開催される予定にもなっています。

 我が国は、第一回サミットの開催を機に、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターを設立し、積極的に核セキュリティー強化に貢献してきたわけですが、今後も、我が国としましては、核テロ対策に関する各国の人材育成や能力構築に対する支援、またリスクの高い核物質を削減するための取り組み、またG7サミットあるいは二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた核テロ対策の強化、こういった点を通じまして世界の核セキュリティーにしっかり貢献をしていきたいと考えています。

岡本(三)委員 特にテロ対策ということを考えると、その情報の共有みたいなものが最も重要なことだというふうに思いますので、このセキュリティーサミットという枠組みがなくなっても、日本がイニシアチブをとるような形でそのネットワークをさらに拡大していくような御尽力をいただければと思います。

 続きまして、四月十日に大臣の地元である広島で予定をされておりますG7外相会談につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今回、核保有国であるアメリカ、イギリス、フランスの外相が一堂に広島に集うということは大変な意義があるというふうに私は思っております。この中で、本日時点で、どのようなテーマをその外相会談の中で議論していくかということ、テーマ設定しているかということをお伺いしたいんです。

 報道によりますと、やはり、次回のG7全体が経済問題とテロ問題というのが議論の主な中心になってくるのではないかというふうに報道されていますけれども、加えて、さまざま世界じゅうには解決しなければいけない問題があるわけで、全体として、どのようなテーマ設定、そして成果目標みたいなものを考えていらっしゃるかということをお伺いできればと思います。

 一部報道には、日本のイニシアチブで広島宣言みたいなものを出して、例えば核保有国に関しては保有している弾頭数を明らかにするようなことをお願いして、今後核のない世界を実現するためのスタート地点に立つというようなことも報道されていますが、そういうことも含めまして、今回の外相会合に対します大臣のテーマ設定、成果目標等を御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 ことしのG7サミットを中心とする一連の閣僚会合の先頭を切って、あと十日後になりましたが、G7外相会談を開催することになるわけですが、これに向けて、私も、年明けからG7の各国の外相全員と電話会談を行いましたし、年明けから英国、カナダ、イタリア、そしてフランス、こうした外務大臣とも外相会談を積み重ねてきました。

 その中で、外相会談における主要なテーマの絞り込みを行ってきたわけですが、各国の関心を考えますときに、まず、外相会談において最重要なテーマとして取り上げられると考えられますのは、テロ対策、そして暴力的過激主義対策、そして難民問題であると考えます。また、地域情勢においては、やはり中東、そしてウクライナ、これが各国共通の強い関心を示した課題であります。

 それに加えまして、今回八年ぶりにアジアで開催するG7の外相会談になりますので、やはりアジアの問題を取り上げたいと考えています。北朝鮮、そして海洋の安全保障、こういった議題が取り上げられるのではないか、このように感じています。

 そして、それに加えて、今回初めて被爆地で開催されるG7外相会談ですので、軍縮・不拡散につきましてもしっかり議論を行いたいと思います。

 そして、委員御指摘のように、この外相会談におきまして、ぜひ広島宣言というような独立した文書を成果文書として発出をしていきたいと考えています。

 昨年のNPT運用検討会議等の議論を見るときに、今、核兵器のない世界に向けての機運が国際的にしぼんでいる、こういった危機感を感じます。また、北朝鮮の核実験の強行等は、国際的な核不拡散体制に対する挑戦であると考えます。

 こういったときだからこそ、ぜひ、被爆地で開催されるG7外相会談において、このG7の枠組みは核兵器国と非核兵器国がともに含まれる枠組みでありますので、この枠組みから、核兵器のない世界に向けての取り組みの機運を再び盛り上げる、取り組みを再稼働させる、こうしたことにつながる強いメッセージを発出していきたいと考えています。内容については今まだ引き続き調整をしていますが、ぜひ簡潔で明瞭な力強いメッセージにしたいと考えています。

岡本(三)委員 ぜひ、大臣のリーダーシップで、世界に共感の輪を広げていただけるような広島宣言をお願いしたいと思います。

 この際、ケリー国務長官も広島を御訪問されるわけですけれども、私は、ぜひ大臣に、ケリー米国国務長官にオバマ大統領の任期中の広島訪問というのを正式に御要請いただきたいというふうに期待しています。オバマ大統領の任期、あと十カ月しかないわけですから、今回のG7サミットが、もしかしたら、残念ながら大統領としては最後の訪日になられる可能性もあります。

 一部報道では、核軍縮をアメリカの国務省で担当していらっしゃるガテマラー次官は、大統領のG7に合わせた広島を訪問される可能性について、ホワイトハウスが検討中だと承知しているというふうにコメントをしていらっしゃいます。

 オバマ大統領御自身、核なき世界の実現を訴えられて、ノーベル平和賞を受賞されました。残りの任期の中で、御自分が世界に対してどういう貢献、リーダーシップが発揮できるかということをお考えではないかというふうに私は思っているんですね。そう考えたときに、この被爆地である広島を御訪問いただいて、そして、広島、長崎を含めて、第二次世界大戦で犠牲になられた世界じゅうの方々に対して哀悼の意を表明していただくというのは、大変に意義があることではないかなというふうに思っています。

 この件は、実は、いろいろなメディアでその可能性が今まで議論されてきたんです。アメリカの中でも、そういうことをやることが、例えば大統領選挙にどういう反応があるのかということも議論されましたし、日本の中でも、オバマ大統領が被災地に行かれることによって、その発言の御内容によっては日本の中でさまざまな、ネガティブな意見が起こったときにどうするんだと、いろいろなことが議論されているのはよくわかっているんです。

 ただ、私は何を申し上げたいかというと、例えば、大統領に被災地に来ていただいて、そこで何か原爆投下の反省の弁を述べていただきたいとかそんなことは全く思っていないんです、そういう、いろいろな過去に対しての思いがある方がいらっしゃるのをわかった上で、現実、その被災地に行っていただいて、それこそ未来志向で、原爆がもたらす悲惨な結果ということを大統領御自身その地で確認をしていただいて、大統領が常にメッセージとして世界に発していらっしゃった核なき世界の実現ということに対して、大統領任期の一番最後の時点でももう一度世界に対してリーダーとして発信していただくということを期待したいなというふうに思っているんです。

 この機会を逃してしまうと、もう本当にこのような機会が将来起き得ないのではないかというふうに危惧をしておりまして、今回こそ、仮に、最終的な御決定は当然アメリカの中でさまざまな御判断があると思いますので、大きな期待をするということでは必ずしもないかもしれないんですけれども、外相会談のときに、広島の地で、サミットの議長国である日本の岸田大臣がアメリカのケリー国務長官に正式に依頼するというのは、当然やるべき責任だと思いますし、世界に対してのメッセージも大きなものがあると思います。

 こんなことを私がそんたくするのは失礼ですけれども、オバマ大統領もそういうことの可能性を模索していらっしゃって、その実現に向けて御尽力してくださるのではないかなというふうに期待していますので、これはぜひ正式に外務大臣としてケリー国務長官に御依頼をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、世界の政治の指導者に、広島、長崎、こうした被爆地を訪問してもらい、被爆の実相に触れてもらうということは、国際的な、核兵器のない世界への議論や取り組みを盛り上げる上で、これは大変重要なことであると認識をしています。

 そして、G7外相会談、アメリカのケリー国務長官、広島に足を運びます、外相会談に出席する予定になっておりますので、私の方から、日本の考え方、日本の思いについてはしっかり伝えたいと思います。

 ただ、外相会談から先のアメリカ大統領の具体的な日程について、私の立場から何か申し上げるのは適切ではないと考えます。委員が御指摘のように、さまざまな考え方があります。米国国内にもいろいろな考え方があります。私の立場から何か申し上げるのは適切ではない、控えるべきではないかと考えます。

岡本(三)委員 これは、エープリルフールでもそういうことは言えないというのはよくわかっています。ただ、大臣の今の表情の中に、思いは共有していただいているということを私、感じ取りましたので。

 先ほど申し上げたように、これは大切な点なので、日本の中にも、あの原爆の投下に対して、例えば米国に責任があるのではないかというふうな議論が渦巻いているのもよくわかっています。ですから、万々が一、万々が一と言ってはいけないですね、オバマ大統領の広島訪問が実現されたときには、それこそ献花をしていただくだけでも私は十分ではないかなと思っておりまして、大統領に対しては未来志向の、核なき世界の実現ということを世界のリーダーとして発信していただきたいということが趣旨ですので、その点、確認をさせていただきたいと思います。

 続きまして、シリア問題につきましてお伺いいたしたいと思います。

 ベルギーのテロが余りにも大きな事件でしたので、日本国内において、さまざまな海外でのメディアの発信というとそのことが大きく取り上げられていますけれども、世界のメディアを見ますと、同様に大きく取り上げられているのが、シリアの停戦後の状況が大きく改善しているということであります。

 実は、このシリア問題、内戦が始まりましたのがちょうど五年前、二〇一一年になります。この五年間で、亡くなった方は二十七万人、国外に避難された方は一千万人とも言われておりまして、難民問題としても今世界最大の課題となっているわけですけれども、約一カ月前の二月二十七日に、米ロ主導で停戦が合意をされました。これは政権側と非政権側であって、テロリストはこれには当然かかわっていないわけですけれども。ジュネーブで国連主導で行われております和平協議は、最終的な国の形をどうするかということでさまざま政権側と非政権側でまだ対立が続いていますけれども、米ロ間で合意をしたことが着実に実行されるという点では、物すごい勢いで進展がなされているというふうに報道されていますし、私もその事実を見てそう感じています。

 先週、三月二十四日も、ケリー国務長官はモスクワを訪問されまして、この件について議論をされています。さすがアメリカだなと思いますのは、過去一年間のうちに、ケリー国務長官は三回ロシアを訪問されて、この件について進められたわけですけれども、先週の議論では、シリアの新統治機構の発足と新たな憲法草案の策定をことしの八月までに完了するということで米ロで合意をしたというふうに報道をされております。

 実際に、ISもその拠点をシリアに置いているというふうに言われておりますので、シリアの内戦の状況が解決されるようなことがあると、世界じゅうのテロの脅威という点からも大きく前進できることだというふうに思っておりますので、このシリア情勢の改善というのは、我が国に対する直接的なテロのリスクの軽減という意味からも大変重要だと思っているんです。

 さまざま報道でしか私は目にしておりませんので、とりわけこの一カ月間、どのようなシリア情勢の進展があったかということを御答弁いただければと思います。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 最近一カ月のシリア情勢に関する進展につきましては、岡本先生が今御説明になったことが大枠でございまして、やはり一番着目すべきことは、アメリカとロシアの二大国がこのシリア問題に関しまして、今までかなり立場は違いましたけれども、特にアサド政権の扱い、それから、反体制派をどこまで協議の枠組みにとりあえず入れていくのか、こういったところで大きな動きがございました。これは御指摘のとおりでございます。

 実際に、現場のいわゆる敵対行為の停止、停戦とは申しませんで、敵対行為の停止ということにつきましては、おおむね二月の二十七日以降実施をされておりまして、人道的な物資あるいは要員の展開も徐々に進んでおる、こういう大きな動きがございます。

 政治的には、先ほど申し上げましたとおり、米ロの間の動きに伴いまして、恐らく、反体制派とシリア政府の直接交渉というのはなかなか難しいと思いますけれども、四月にも、シリア政府と反体制派の含まれる、ジュネーブでの会議が再開されるような見込みだということを聞いております。

 以上、総じまして、前向きな動きが出てきているということが総括できると思います。

岡本(三)委員 もし、前向きな動きがそこまで、この一カ月間でとりわけ進んでいるとして、そして、米ロで合意をした新たな新体制の統治機構、憲法草案が五カ月後の八月までに完成をさせるということであれば、これからスピード感が大事だと思うんですね。

 そこで、我が国からも、人道支援に限定をしながら、何か大きな貢献をしていくべきではないかというふうに思っているんですけれども、具体的に御準備をされていることはありませんでしょうか。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょうどまた新年度が始まりまして、新しい予算が始まりますので、これから関係局それから関係省庁と協力しながら新しく打っていきたいと思いますけれども、とりあえず、現状で御説明を申し上げますと、もう御案内のとおり、これまで総額約十億ドルに上ります支援をイラク及び周辺国に対して行っております。

 それから、ついこの間でございますが、シリア国内のいわゆる包囲された地域、これに対する人道支援を緊急に行うという意味で、約五百万ドルの緊急人道支援を決定しております。

 今後、我が国がなし得る、まさに過激主義を生み出さない社会の構築支援ということをテーマにした人道支援を、新しい年度に入りますので、積極的に考えていきたいと思っております。

岡本(三)委員 スピード感が勝負だと思いますので、積極的に考えていくというお言葉、ぜひ期待を申し上げたいと思います。

 最後に、難民の方々に対する人道的な支援の、日本らしい積極的平和主義の形としての、難民の子供たちに対する教育支援ということに、いま一度言及させていただきたいと思います。

 私は、昨年の通常国会が終わった直後に、我が党の参議院議員の谷合さんとともに難民キャンプの訪問に行ってまいりました。ヨルダンのシリア人難民キャンプ、パレスチナのガザ地区にも行ってまいりました。

 ガザ地区は、御案内のとおり過去五年間で大きな紛争が三回行われておりまして、日本の国会議員で紛争が始まった後にガザ地区に入れたのは、私たちが初めてだと思います。

 実際に、そのガザ地区に入る前の晩も、イスラエルとの間でミサイルの撃ち合いが行われまして、行ったことでけがをして皆さんに御迷惑をおかけしてはいけないと思って、UNRWAという国連国際機関にお願いをして、安全な形で行かせていただきましたけれども、その際に、ホスト国である、例えばヨルダンの首脳であるとかパレスチナの首脳に期待をされた日本らしい難民に対する支援の形がありまして、それがまさしく、その国の将来を建設する若者に対する教育支援を日本で行ってほしいということなんですね。

 実は、この訪問をしたとき、ちょうどニューヨークで国連の総会が行われておりまして、総理が八億五千万ドルの難民支援に対するコミットメントをいたしました。約九百億円。残念ながら、国際的なメディアの中で、この日本のコミットメントが大きく報道されたところは一件もありません。九百億コミットしても、大きなメディアで大きな報道になっていないんです。

 一方で、その難民を支援するようなホスト国、または難民対象国から言われたのは、もし日本が、例えば学生を毎年百人日本に迎え入れてしっかりと教育をして、そしてその国のリーダーとなるように送り出すようなことがあれば、世界じゅうのメディアが、日本のその人道支援について大きな評価と報道をなされるのではないかというふうなことを口々に言われました。

 これは例えば、日本の国費留学生として、毎年百人プラスアルファで迎えたとします。お一人に例えば年間五百万円かかったとして、毎年毎年続けるのに幾らかかるかというと、ざっくり言いまして二十億円から三十億円です。それで国際社会が日本の国際支援に対するあり方を大きく評価するということであれば、当然そのお金というのは税金から出てくるわけですから、費用対効果から考えても大変意義のある国際貢献の形ではないかなと思っているんです。

 こういうことを、帰国した後、大臣にも申し入れをいたしました。総理にも申し入れをして、その後、参議院の本会議で山口代表から総理にも御質問をいただいて、常々、御答弁は、非常に有意義な提案なので前向きに検討いたしますというふうに言われてかなりな時間がたつんですけれども、そろそろ前向きな検討を具体的な形にしていただけないかと思っているんです。

 御案内のように、日本は、一年間に約四千人の国費留学生を世界じゅうからお迎えしている中で、さらに二十億円、三十億円の予算を確保していただいて、この難民の地域のお子さん方にしっかりとした国際支援をして、新たな国づくりのために頑張っていただく、大変有意義な日本の国際的な人道支援だと思います。

 大臣、四月一日だからということではありませんが、ちょっと三歩ぐらい踏み込んだぐらいの前向きな御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 難民問題の背景には、シリア、イラクを初めとする中東地域における非人道的な状況が存在いたします。

 そして、これに対する取り組みですが、こうした非人道的な状況に対する直接的な支援、もちろんこれも大事なわけですが、中長期的に難民問題を考えた場合には、この地域の復興開発の段階までも視野に入れた取り組みを行っていかなければなりません。その際に、委員御指摘の人的交流は、相互理解という意味においても大変重要だと思いますし、その中で、教育というのは大変重要であると認識をしています。

 そして、御指摘のように、今までさまざまな形で公明党からもさまざまな御提言をいただいております。当然、それをしっかり受けとめて検討を続けてきました。一歩踏み込めということでありますが、今、具体的な内容を詰めております。ぜひ具体的なものを明らかにしていきたいと考えます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 これは、文科省とも外務省ともさまざまに議論を重ねてきましたが、結局は、十億円であっても二十億円であっても、その予算をどこから持ってくるかというところで最後は議論になっています。

 したがいまして、率直に申し上げて、本予算をとるのは難しいと思うんです、補正予算のときに、難民支援教育交流基金みたいな基金を立ち上げて、そこに予算をとって継続的な形の第一歩にしていただきたいというふうに思いますので、最後にそれを要請させていただきまして、質問を終了させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

岸委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民進党の長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど岡本さんがお触れになった核セキュリティーサミット、ちょっとお話を伺いたいと思うんですけれども、あの日韓米の首脳会談、大変よかったと思います。

 映像をごらんになりましたか、外務大臣。最後、三人で握手するんですね。オバマさんが真ん中で、安倍総理、朴槿恵大統領。普通は、隣のオバマさんと終わった後に握手するかと思ったら、オバマさんが手を出したのを遮って、わざわざ朴槿恵さんと最初に握手されましたね。これは日韓の間で何か、私は非常に喜ばしいとは思ったんですけれども、安倍総理の態度が随分変わったな、そういう印象なんです。

 日韓間の今現在の状況というのは大分変わってきたんでしょうか。外務大臣としてどう受けとめておられますか。

岸田国務大臣 御指摘のように、核セキュリティーサミットの際に行われた日米韓サミット、そしてさらには日韓首脳会談におきましても、大変よい雰囲気で前向きな議論が行われたと報告を受けています。

 日韓の間においては、昨年十一月に初めて日韓首脳会談が行われ、十二月に慰安婦問題に関する日韓合意が行われ、そしてこのたび、再び日韓首脳会談が行われるということで、ハイレベルの対話が進んでいます。そして、その結果として、首脳間でもよい雰囲気で議論が行われることになっている、このように感じています。

 ぜひ、引き続き、このハイレベルの対話も含めてさまざまなレベル、分野において対話を積み重ねることによって、日韓が新時代に向けて未来志向でさまざまな課題に取り組んでいく、前向きに協力をしていく、こういった雰囲気を大事にしながら努力を続けていきたいと考えます。

長島(昭)委員 これは、日韓の友好関係だけではなくて、日韓の間には歴史的ないろいろな過去の問題がありますから、両方にわだかまりみたいなものが残っている、これは間違いないことでありますし、そういうのを乗り越えて日韓関係をよくしていく、そこにはまた戦略的な背景というのが当然あり得るわけです。

 きょう、これから日中関係、日ロ関係、少し議論させていただきたいと思っていますけれども、今、この世界を見て、特に安倍政権、地球儀を俯瞰する外交、こう言っていますけれども、やはり我々、頭痛の種は、台頭する中国をどうマネージしていくか。敵対するわけでもない、封じ込めるわけでもないけれども、国際秩序の中にこの中国をきちっとはめ込んでいく、そういう努力をしていかなきゃいけない。

 安倍政権、安倍外交は、岸田外相も活躍していただいて、ずっとこの中国の周りを埋めてきた、ヨーロッパもそうだし、東南アジアもそうだし、日ロ関係も後でやりますけれども。最後に残ったのが韓国なんですね。このピースがきちっと埋まると、中国との関係で非常に重厚な構えができるというふうに思うんです。

 しかも、中国側は、これはいろいろな解釈があると思いますけれども、日韓を分断し、米韓を分断し、日米を分断することによって、中国側の活動する範囲を、自由に振る舞える範囲を拡大しようとしてきたことは間違いない。日本に対しては歴史カードを突きつけて、相当揺さぶってきた。

 しかし、私は、習近平政権が意図していたような日本孤立化というのは、できなかったと思うんですね。しかも、南シナ海、東シナ海にああいう形で強硬な姿勢に出たものですから、東南アジアの国々も、最近では大分、中国に対して構えてきた。ラオス、カンボジアあたりは残っていますけれども。

 せんだって、二月ですか、アメリカの西海岸で、アメリカとASEANの初めての首脳会議が開かれたように、これは実は、中国側がつくり出してしまった状況とも言えるわけで、そういう中で、アメリカが韓国に、THAADというミサイル防衛システム、しかも、中国の奥地まで見られると言われているそういうレーダーを韓国に配備する、韓国がずっと渋っていたけれども、しかし、協議に入ることが決まった。

 そして、日韓の間で、慰安婦という巨大な障害を、大みそか、かなり押し詰まっていましたけれども、去年の暮れに外務大臣が行かれて、それを氷解させる第一歩。これは本当に、戦略的には大事なステップだというふうに思っていますので。そういう背景も加えて、外務大臣には、ぜひ、日韓関係、戦略的な視点で改善をさらに加速化していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 それと、きょうはエープリルフールという話があって、済みません、通告していないんですけれども、私も産経新聞の一面を見て、何かエープリルフールかと思いましたよ。

 これはごらんになりましたか、外務大臣。「豪、中国企業に港湾貸与」。港湾の一部を貸与するということは、これはよくあることですよ。しかし、こともあろうに、北部ダーウィン、つまり海兵隊がローテーション配備されるその港の反対側のところを、バースを九十九年間貸与する契約を中国と結んじゃった、こういう話です。これは私は、本当にゆゆしいことだというふうに思うんです。

 外務大臣、どうお考えか伺いたいと思いますけれども、二〇一一年に、これは御案内のとおり、オバマ大統領がオーストラリアを訪問して、アジアにおける米軍の再配置、その一環として、オーストラリアの北部ダーウィンにアメリカの海兵隊を、最初は二、三百人だったと思います、これが、もう最近では二千五百人規模でローテーション配備されることになった。

 これは日本に無関係な話ではなくて、沖縄に駐留するアメリカの海兵隊を、グアム、ハワイ、そしてある意味ではこのオーストラリアに分散配置をする、こういう計画ですよ。ですから、我が国の安全保障にも直結する話、そして、我が国に駐留しているアメリカの海兵隊の配置にかかわる問題です。

 この新聞によりますと、嵐橋集団というインフラ関係の中国企業に、ダーウィン港の商業用港湾施設を約五億豪ドル、日本円にすると四百三十億円で九十九年間貸し出す契約を結んだと。問題は、この嵐橋集団というのが、中国軍、人民解放軍とのつながりもささやかれる企業なんです。

 これは、実は、オーストラリアの安全保障専門家も、中国軍のフロント企業だからこんなところに貸し出してはいけないということを警告していたにもかかわらず、新しいターンブルという首相がこれを決定したんです。

 アボットさんと安倍さんは、AAコンビとかいって非常によかった。アボットさんは中国に対する見方も非常に戦略的だった。しかし、それを去年の九月に党内対立で引きずりおろして、それでターンブルさんがなった。

 ターンブルさんというのは、ここで私、初めて知ったんですけれども、中国ビジネスで成功をおさめた人物で、オーストラリアが依存を深める経済を武器に、中国が同盟関係に割って入った構図だというわけです。

 御存じなかったかもしれませんが、こういうこと、エープリルフールに匹敵するような驚くべき事実を知って、外務大臣として、今までこういうことを知っていたかどうかがまず一点、それから、日本として、我が国の準同盟国ともいうべきオーストラリアに対して、あるいはアメリカとの関係において、こういう事実をもって外務大臣の方から何か忠告なり働きかけなりをするお考えはありますでしょうか。

岸田国務大臣 オーストラリアと中国との関係においての具体的な動きについて、私からその意図ですとか評価について申し上げる、こういった立場ではないとは思います。

 ただ、アジア太平洋地域の平和や安定を考えますときに、我が国の外交・安全保障政策においては、まずは日米同盟が中核に位置づけられるわけですが、あわせて、我が国はオーストラリアとの間においても、2プラス2を開催するなど、さまざまな形で外交、安全保障においても協力関係を築いてきました。

 こうしたオーストラリアを初めとする関係国との間においてもしっかりネットワークをつくっていく、こうした取り組みを続けていくことは大変重要であると考えます。ぜひ、オーストラリアとの間においても、アジア太平洋地域の平和と安定について、ともにしっかり汗をかいていきたいと考えます。

 今の御指摘の点の意図について申し上げる立場にはないものの、ぜひ、オーストラリアとの間においては、我が国はしっかりと安全保障分野等において意思疎通を図っていくことは大切なことであると考えます。

長島(昭)委員 これは私、極めて重大な問題だと思いますので、ぜひフォローアップしていただきたいというふうに思います。

 それはなぜかというと、これから日中関係を議論したいと思うんですけれども、一番大事なのは、この地域の国際秩序。

 中国の台頭というのは、私いつも言っているんですが、軍事力が強大化したとか経済的影響力が拡大したとか、もちろんそれも大事です、しかし、そのことによって、中国流の秩序観あるいはルール、こういったものによって我々が今まで利益を享受してきた現行の秩序そのものが塗りかえられてしまうおそれがあるという点が、私は、国際秩序という観点から極めて重要だと思っているんです。

 つまり、よく英語でルールズベースドオーダー、ルールに基づく秩序、これが大事だと。もし中国が、これはいろいろな意図があると思いますけれども、そういう現行の秩序に挑戦をしかけてきているとすれば、私たちにできることは、アメリカを中心として、まずそういうことをさせない抑止力、これは大事ですよ。しかし、もっと持続可能な形でやるとすれば、国際協調、地域の国際協調できちっとルールを守れるような、そういう秩序の安定性というものを確保していく必要がある。

 そういう意味では、今、南シナ海の問題が取り沙汰されていますし、ASEAN諸国もそれぞれ努力はしていますけれども、それぞれの国というのは、例えばフィリピン一つとってみても、中国の国防費とフィリピンの国防費を比べたら、三十六分の一ですよ。こういう国同士で、二国間で、中国はなるべく物事を解決しようとしてきている。それに対抗するためには、地域の国際関係、国際連携というのはもう死活的に重要だと思うんです。

 そういう中で、オーストラリアの果たす役割というのは極めて重要。アメリカの持続可能なプレゼンス、この地域での米軍のプレゼンスを維持するためには、沖縄だけに集中しておいては政治的にフリクションもあるし不安定になるから、これを多少、グアムとかハワイとかあるいはオーストラリアに分散する形で安定的なプレゼンスを維持していこう、こういう意図ですよね。

 それに対して、中国側も負けじとこういう行動に出ている。それを、我々から見れば、ちょっと安易にオーストラリア政府が受け入れているとすれば、これはやはりこの地域の安定を目指す国際協力の観点からすればいかがなものかということになりますので、これからビショップ外務大臣とお話しされる機会も多くあろうかと思います、G20などで。しっかりここは外務大臣からくぎを刺していただきたいというふうに思っています。

 それで、前回から積み残しの問題が幾つかあるんですけれども、まず、前回の最後に、南シナ海の岩の問題、暗礁か岩礁か、この問題で大臣に質問させていただきました。大臣は、軍事化をするということももちろんゆゆしいけれども、軍事化以前に、一方的な現状変更は許さない、こういう御答弁をされました。全くそのとおりだというふうに思います。

 ただ、一点気になったのは、人工島をあのような形で造成していくことそのものが国際秩序にとってどういう意味があるというふうに、軍事化以前にどういう意味があると外務大臣としてお考えなんでしょうか。

黄川田大臣政務官 南シナ海については、我が国が輸入する原油の約九割、天然ガスの約六割がそのシーレーンに依存しておりまして、資源やエネルギーの多くを海上輸送に依存する我が国にとって、南シナ海における航行の自由及びシーレーンの安全確保は極めて重要であると考えております。

 このような南シナ海において、大規模かつ急速な埋め立て、拠点構築、その軍事目的の利用等、一方的に現状を変更し、緊張を高める行為は、国際社会共通の懸念事項であります。

 我が国としては、米国を初めとする国際社会との連携等を通じ、開かれた自由で平和な海を確保していくことが重要であると考えております。

 中国の海洋進出の意図について断定的にお答えすることは困難でありますが、中国国内における海洋権益、領土、領海の防衛、シーレーンなどに関する関心の高まりといった要因がその背景として指摘されていると承知をしております。

長島(昭)委員 黄川田政務官、質問に答えていただいていないんです。

 私が聞いたのは、軍事化の話も今、黄川田さんはされましたけれども、それ以前に、一方的な現状変更はよくないんだということをおっしゃった。しかも、法の支配を重視しなければいけないと。埋立行為そのものに、何か国際法上の違法性があるんでしょうか。まずこの一点、外務大臣に伺いたいと思います。

岸田国務大臣 埋め立ての行為そのものに国際法上違法性があるかということですが、今、南シナ海の現状においては、これは各国がそれぞれ領有権を主張するなど、お互い議論が続いている最中です。そのお互いの主張がぶつかり合っている中にあって一方的な現状変更をするということが問題なのだと思います。

 ですから、一般論として、人工島をつくるつくらない、それが国際法上問題かという議論はあるのかもしれませんが、それとは別に、今の南シナ海においては、各国がそれぞれ主張を行っている、そうした主張がぶつかり合っている中においての一方的な現状変更が問題である、このように認識をいたします。

長島(昭)委員 ありがとうございます。今の外務大臣のお答えはすばらしかったと思います。

 埋立行為そのものに国際法上の違法性はないんですが、それぞれ領有権を主張している中で一方的に動くことが問題だ、これが一点です。

 それから、ここから先、先ほど黄川田政務官がお答えになっていただいた内容に入っていくんですけれども、では、何のために領土の主張がぶつかっているところに中国があのようなスピードで大規模な人工島、埋め立て造成をしているかということが、我々にはなかなかわからないんです。これの意図をどう考えておられるか、外務大臣に伺いたいと思っているんですね。

 ペースからいうと、ほかのフィリピン、ベトナム、マレーシア、ボルネオも確かに埋立行為をやってきたんです。これはアメリカの太平洋軍のハリス司令官が議会で証言したんですけれども、過去四十年間でこの四カ国を合計してもたった二百エーカーだと。ところが、中国の場合は過去二年間で三千エーカーの埋め立てをやったと。

 この人工島を、相手から非難されることもいとわずここまで急速に拡大する、その中国側の意図をどうお考えでしょうか。

岸田国務大臣 たびたび申し上げているように、中国側の意図を確定的に申し上げることは難しいですが、こうした中国側の行動に関しては、さまざまな海洋権益ですとか、あるいは領土、領海に対する防衛、さらにはシーレーンに対する関心の高まり、こういったものがあるという指摘があることは私も承知をしております。

長島(昭)委員 対中関係は重要ですから、そういう奥歯に物が挟まったような御答弁になってしまうのかもしれませんが。

 シーレーンに対する関心があって、何でこんなに巨大な人工島をつくるんでしょうか。ちょっとぴんとこないんですけれども、今の御答弁。

岸田国務大臣 人工島をつくり、そしてその人工島で何を行うのか、こうしたことによっては、シーレーンにおける安全な航行、航行の自由、こういったものが脅かされる可能性はあるのではないかと思います。このシーレーンに対する関心の高まりの指摘はそういったことではないかと理解はいたします。

 ただ、いずれにせよ、中国の本当の意図は、私から申し上げることはできかねると思っています。

長島(昭)委員 そうなんです。外務大臣がおっしゃったシーレーンへの関心というのは、むしろ人工島をつくられる我々の側が脅かされているという話なんですよね、もし仮に軍事化された場合には。実際、もう北の方の西沙諸島は軍事化されてきているんですね。

 去年の秋の米中首脳会談のときの共同記者会見で、習近平主席はみずから、南シナ海は軍事化しない、するつもりはない、こう発言していましたけれども、実際起こっていることはそうではない。

 したがって、日本を含めて、アメリカもそうですけれども、南シナ海が、仮に、滑走路が軍用に使われたり、あるいはレーダーが対空レーダーであったり、そういうことになった場合には、これは本当に、先ほど黄川田政務官が答弁されましたけれども、極めて重要な海域、これは世界三大地中海の一つと言われているわけですよ、カリブ海、地中海。大陸に挟まれて二つの大洋を結節するような、極めて重要な海域が、こういう形で無法地帯になりかねない。そういう状況を、日本として、各国と連携をとりながら、中国の意図はなかなかはかりかねますけれども、起こっている事態に対してきちっと対応していかなければいけない。

 中国はこの辺で終わりたいと思うんですけれども、外務大臣として、こういう人工島に対する対応ですね。まず口で非難する、これはみんな、誰でもやっていることです。アメリカのように、航行の自由作戦ということで軍事的にチャレンジをする。しかし、軍事紛争まで拡大して、エスカレートしていってはいけないわけですから、ある種、寸どめで、しかし、中国側に痛みを伴うような形で、何かコストを払わせるような形で、もうこれ以上はやってはだめなんだ、場合によってはこういう人工島もやめなさい、撤退しなさい、こういうことを促して、国際秩序をもう一回立て直す必要があると思うんですけれども、日本の外務省として、岸田外務大臣として、この中国の行動に対してどういう対応をすべきだというふうにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 南シナ海の状況につきましては、既成事実が積み重ねられている、こういったことにつきまして、深刻に懸念しております。そして、こうした一方的な現状変更によって緊張を高める行為、これは国際社会共通の懸念事項です。

 そして、それに対してどう取り組んでいくのかということですが、やはりまず一つは、法の支配の重要性ですとか、国際法に基づいて平和的に物事を解決していく、こういったことの大切さを国際社会としっかりと共有していかなければなりません。

 こうした地域におけるさまざまな国際的な枠組み、EASですとか、ARFですとか、ADMMプラスですとか、ASEAN関連外相会合ですとか、こうしたさまざまな議論の枠組みの中で、関係国とこういった考え方を共有していく、こうした外交上の働きかけを続けていく、これはまず大変重要なことであると思います。

 あわせて、我が国の取り組みとしては、こうした地域の国々、フィリピンですとかベトナム、こういった国々に対して、海洋の安全のための能力構築を向上させていく、能力の向上を支援していく、こうしたことも大切なのではないかと考えます。

 こうした取り組みを通じて、この地域における課題が平和的に解決されるよう、我が国としては貢献していきたいと考えます。

長島(昭)委員 そういう意味でも、この地域の国際協調は極めて大事。できることならワンボイスで、ルールに基づく秩序というものの大切さというのを中国側に訴えて、働きかけていくということは大事だと思います。

 今キャパビルの話もしていただいて、これは、防衛省も沿岸国のキャパシティービルディング、海洋警察力の向上に随分努力をしてきた経緯があると思うんですけれども、その中で、アメリカの専門家でパトリック・クローニンという、CNAS、センター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティーというシンクタンクの研究員が、これはオバマ政権にも近い、カート・キャンベルさんがつくった研究所ですけれども、そのクローニンさんが、コストインポージングストラテジーというのを発表したんですね。

 これはどういうことかというと、軍事的、非軍事的なコストを中国の行動に対してかけていく。これは単なる、軍事には軍事にということではなくて、いろいろな形で中国側の行動に対して負荷をかけて、コストを支払わせることによって思いとどまらせる、こういう方策なんですけれども。

 八つぐらいあるんです。ちょっと紹介しますけれども、一つは、中国側が一番気にしている国際的な評価というものをおとしめる。あるいは、別の意味で経済的な損失をもたらす。三番目は、中国側に不利なルール、これは必ずしも新しいルールとは言えないかもしれませんが、中国側がルールを塗りかえようとしていますから、そういう意味でいうと、現状のルールをきちっと規範的に形成していくということ。それから、中国国内の政治的な摩擦をふやす。あるいは、国防支出の多角化、いろいろなところに支出させて疲弊させる、浪費させる。そして、アメリカの関与を中心として、抑止力を向上させる。それから、中国側の軍事力の脆弱性というものに焦点を当てる。あるいは、地域の軍事バランスを回復させる。

 このぐらいのいろいろな取り組みを二重、三重にかけながら、やはり中国側に意識を転換してもらわないと、この地域の秩序というのはなかなか回復しないというふうに思いますので、今後とも外務大臣には強力なリーダーシップをお願いしておきたいというふうに思います。

 あと十分ぐらいしかなくなったんですが、せっかくの機会なので、ロシア、ロシア外交、対ロ外交を少し議論させていただきたいと思います。

 ことしは、一九五六年日ソ共同宣言から六十周年。私は恐らく、安倍総理、心中期するところがあるんだろうというふうに思っていますし、日ロ外交はアメリカからいろいろなプレッシャーをかけられていると思いますけれども、これは別にアメリカと利害が背反するような分野ではないと思っていますので、堂々とアメリカに対しても言うべきことは言い、別に反発する必要はないんですよ、説明すればいいんです。日本の戦略的な意図、日ロ間を改善する、ただ北方領土を返還させる、そういう自己利益だけじゃなくて、国際的にこれだけ意味があるんだということをやはりアメリカにしっかり説得する必要があるんだと思っているんですね。

 日ソ共同宣言六十周年を迎えたことし、外務大臣として、日ロ関係の改善のためにどんな御決意で臨んでおられるか、披瀝していただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、ロシアは、日本を含むアジア太平洋諸国との間で多角的な関係を構築していく、こういったことを志向していると考えます。

 そして、我が国としても、東アジア地域の安全保障環境が厳しさを増す中にあって、隣国であるロシアとの関係を安定的に発展させていく、これは大変重要であると認識をしています。

 そして、こうした日ロ関係を安定的に発展させていく上において、北方領土問題、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結していく、これは大変重要な問題としてあります。

 この問題を解決するには、やはり政治の高いレベルの対話が重要だと考えます。そして、そのために、首脳、外相レベルでの対話、これをしっかりと大切にしていきたいと考えます。

 そして、二国間関係ではなくして、ロシアが、シリアですとかあるいは北朝鮮を初めとするさまざまな国際的な課題に建設的に関与していく、こういった方向性をつくっていくためにも、ロシアとの政治的な対話は重要であると考えます。

 こういったことから、ぜひロシアとの政治対話を進めていきたいと考えます。

 北方領土問題につきましても、ロシアをめぐる国際情勢の複雑化を受けて、平和条約締結交渉、事実上、一時中断していました。しかし、昨年九月、私自身がロシアを訪問させていただきまして、この交渉を再開したということがありました。ぜひ、ことしは対話を継続していきたいと思います。

 ことし、年明けに行われました日ロ首脳電話会談におきましても、プーチン大統領の訪日前のしかるべき時期に安倍総理が非公式でロシアを訪問する、こういったことで一致をしています。また、四月には、ラブロフ外相の訪日が予定されています。

 こういった機会をぜひ活用して、ことし、日ロ関係を前進させたいと考えます。

長島(昭)委員 北方領土の話に行く前に、もう少しアメリカとの関係をやりたかったんですけれども、今、外務大臣が去年の九月の話をされたので。このときラブロフ外相は、外務大臣と一緒に並んで、会談後の共同記者会見でこういうふうにおっしゃっていますね。第一に、ロシアの代表団は北方領土問題について話していない、日本の北方領土もロシアの北方領土も我々の対話の対象ではない、議題となっているのは、両国の首脳が調整した平和条約締結というテーマである、こう言い放っているんですよ。

 ですから、三年間、安倍・岸田外交で、特に、首脳会談を九回やっていますね、電話会談もその間挟んでいるし。外相会談は、恐らくそれに準ずるぐらいの回数をやっていると思うんですよ。

 しかし、去年の九月、今、外務大臣が実績のようにおっしゃった直後の記者会見で、ラブロフ外相からこんなことを言われてしまっているわけですよ。本当に前進しているのかというのが、実は、国民の、まあ、不満というかですね。これはちょっと後で答えていただきたいと思います。

 その前に、安倍総理が五月の連休ヨーロッパを回られて、帰りがけに、ソチでプーチン大統領とお会いになる、これはいいことだと思いますよ、これは大いにやっていただきたいと思うんですが、それに対してアメリカ側から懸念が示されているという報道があるんですけれども、アメリカは一体何を懸念しているか、これはすごく疑問なんです。お答えいただきたいと思います。これはお答えいただけますか、端的に。

岸田国務大臣 アメリカが何を懸念しているかということですが、これは、中身につきましては、日米間で緊密に意思疎通を図っています。こうした意思疎通を図りながら、アメリカと引き続きしっかりと国際社会の平和と安定に協力をしていく、こうしたことは全く変わっておりません。

 そして、ウクライナ問題で申し上げるならば、我が国としましては、引き続き、G7の枠組み、これを重視しながら取り組んでいきたいと考えています。

長島(昭)委員 私は、本当にいいチャンスだと思っているんです。アメリカに別に気兼ねする必要はないですよ。この前、先月の二十四日も、ケリー国務長官はラブロフ外相と八時間話して、いろいろなことを話していますよ。だから、別に日本が積極的に対ロ外交を進めたって、アメリカに対して気兼ねすることは全然ない。彼らも、もう十八回、外相会談をやってきている。

 大事なことは、私が考えるに、ロシアの戦略的な利益というか立場を、きちっと日本が理解をしているというところを示すことだと思うんですよ。

 ウクライナの問題で制裁をかけられていますけれども、そもそも、ウクライナ、私は野党ですから多少オーバーに申し上げたいと思いますけれども、ウクライナの問題も、実を言えば、NATOの東方拡大によってやらずもがなのプレッシャーをウクライナにかけ過ぎて、それにある意味で反発してロシアがクリミアに入っていった、こういう構図も専門家の間では語られているんですよ。

 もしヨーロッパがそんなに火遊びをしなければ、ウクライナがあんなに不安定な情勢にならなかったかもしれないんですね。そうすれば、ロシアが制裁を受けて孤立化するような状況はなかったかもしれない。

 確かに、ソチのオリンピックのときに、安倍総理が出席をして、それに参加をして、日ロ首脳会談が開かれた。そのときまでは、非常に日ロ関係は順調にいっていたんですよ。その後、ウクライナの政変があって、紛争が起こって、欧米が制裁をかけたので、日ロ外交は停滞してしまったんですよ。その雪解けをする、ことしはいいチャンスだと私は思っている。

 特に、伊勢志摩サミット、G7サミットですけれども、プーチン大統領をオブザーバーで呼んだらいいですよ。それぐらいのことを日本はやったらいいと思います。ヨーロッパも、イギリスやアメリカは厳しいですけれども、ドイツもフランスも、早くロシアとはいい関係を築きたいと思っているんですよ。そういうG7の中のいろいろな利害関係、思惑なんかを日本がきちっと捉えて、四月にラブロフさんが来る、そして、連休中に安倍さんがイギリス、フランス、ドイツと回るんでしょう、EU、外務大臣はどこを回るかわかりませんけれども、そして、プーチンさんと会う、その後、伊勢志摩サミットですから。できれば、そこにプーチンさんが来ればいいし、だめでも、六十周年の十月までにはきちっとプーチンさんを日本にお招きして、去年の九月のようなああいう言われ方ではなくて、北方領土問題にきちっと見通しをつける、そういう大事な年を迎えていると私は思います。

 外務大臣、最後、残った時間で、御決意、そして具体的な方策、国民の皆さんにわかりやすく御説明いただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、先ほども申し上げたように、日ロ関係においては、高い政治のレベルの対話、特に首脳同士の対話、これは重要であり、ぜひ大切にしていきたいと考えています。

 そして、先ほど、九月の日ロ外相会談後の記者会見について委員の方から指摘がありました。成果が上がっていなかったのではないか、ラブロフ外相は北方領土問題について議論をしていないと言ったではないか、こういった御指摘がありましたが、そもそも、平和条約問題から北方領土問題を差し引いて何が残るのかということを申し上げたいと思います。北方領土問題についてはしっかり議論をしております。

 そして、あの外相会談から議論が再開したということにつきましては、その後、局長級あるいは実務者間の日ロ間の議論が継続的に行われています。こうした議論が続いておりますので、ぜひこうした機運を、この外相会談あるいは首脳会談に引き継いでいきたいと考えています。

 その中で、G7にプーチン大統領を呼んだらいいのではないか、こういった御指摘もありました。ただ、現状においてそういったことをやっても、どれだけ前向きな議論ができるのかというような指摘もあります。ただ、さまざまな形での対話はいろいろな機会で考えていく、これは大事なことなのではないかと思います。

 いずれにせよ、対話を大事にする、その具体的な取り組みについて、しっかりと検討し、日ロ関係を前進させていきたいと考えます。

長島(昭)委員 ロシア外交は、硬軟織りまぜて巧みな外交をやってまいりますので、ラブロフがああいうことを言ったら、ぜひ、外務大臣は、日本の国内であの映像を見ている日本国民もいますので、何言っているんだ、平和条約の締結問題というのは北方領土の問題を離さずしてあり得ないと、あの場でやはり切り返していただきたいと思いました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 吉良州司でございます。

 冒頭、この通常国会始まって私の最初の外務委員会での質問の際に、自分の持論が党見解と異なる場合があると……(発言する者あり)よくあるというあれがありましたけれども。もちろん、決まったことについては、組織人として投票行動等ではきちっとそれに従うけれども、こういった委員会では持論を展開させていただきますということを申し上げました。

 きょうも、実は、食料安全保障について話をしようと思っていますので、そのとき申し上げたことと同じく、党見解ということではなく、持論を展開させていただきたいと思っていますので、委員の皆さんの御理解もよろしくお願いしたいと思っています。

 質問通告していませんけれども、まず最初は、大臣に、それこそ前々回、安倍総理が言う地球儀を俯瞰すると言うのはやめてくれ、地球を俯瞰するというふうに変えてくれというお願いをして、いろいろな文書等でも地球儀になっているから難しい要素はあるけれども、ちょっと考えますという御答弁でした。

 その後、大臣の方から安倍総理に、地球を俯瞰するに変えてくれということはお願いしていただいたんでしょうか。

岸田国務大臣 まだ総理にそうした提言をする段階に至っておりません。

 実際、地球儀を俯瞰する外交という言葉をずっと続けてまいりました。私の周りにおいても、今、この言葉を変更するというようなことはなかなか大変なことだなと思っております。

 引き続き、せっかくの御指摘ですので、考えてみたいとは思いますが、今現在、まだ総理に具体的な提言をする段階までには至っておりません。

吉良委員 別に、タイミング的に今がタイミングじゃないというような話ではないと思うんですね。

 前にこの話をしたときに、委員の中からも、確かにそうだよなという雰囲気がわっと流れたし、党内でもこういう話をするとそれはそうだというのが圧倒的に多いんですよ。ですから、ぜひ、タイミングではないとか言わずに、即座に、総理にお願いしていただきたいというふうに思っています。もうこれ以上この話はしません。

 いよいよ、TPP、特別委員会で議論が始まります。そこでは、国会決議が本当に守られているのかとか、自民党さん的に言えば聖域が守られたのかとかいうことを初めとして、日本の農業が守れるのか、農家が守れるのか、農産品が守れるのか、こういう議論が展開されていくというふうに了解をしております。

 私自身も、日本の農業を守る、農家を守る、これは極めて重要なことだというふうに思っておりますけれども、一方で、日本の農業の長期的な、将来的な国際競争力、それから、いざというときの備えを、まさに備えていくためにも、私は、力強く自立していく農業というものを志向していくことが極めて重要だというふうに思っています。

 その観点からも、農業分野においてはもっともっと市場開放していくべきなんだろう、これが私自身の持論であります。

 これは前々回も前回も申し上げましたけれども、そして前回は、最後ちょっと尻切れトンボになったんですが、日本の外交の中で、または日本の外交ということに限らず、日本人の意識の中で一番足りないことは何かということについて、私自身は、外国から物やサービスを買うことだと。資金提供したり、技術を提供したり、こういうことで貢献しようということは非常に意欲的だけれども、相手国が買ってほしいもの、提供したいサービス、それを日本が買ってあげる、買うということが外交上も極めて重要であるということを申し上げました。

 そういう意味で、今回のTPPも、米国への配慮だとかオーストラリアへの配慮というのはございますけれども、途上国に属する国々からしてみたら、日本自体の農業分野における市場開放というのは非常に重要なことだというふうに私自身は思っています。

 でも、そのときにネックになっているのは何なんだろう。それはもちろん、供給者としての農家、日本の農業を守るということ、そしてその背景にあるのは何かといえば、食料安全保障に関しての国民の、あえて失礼な言い方をすれば、漠然とした不安、ある意味では感情論的な、また臆測的な心配、不安、こういうものがあって、もっともっと国内の農業というのを守らなきゃいけない、それを脅かすような農業市場の開放というのはとんでもない、こういう議論がまかり通ってしまうんだと私自身は思っています。

 そういう観点からすると、民主党政権時代、私自身も外務大臣政務官をやっていたときに、実は、当時、東京大学の本間正義教授が座長を務める食料安全保障に関する研究会が議論を重ねまして、そして、平成二十二年、その研究会の報告が出されています。たしか十月だったと思います。そこに、食料安全保障に対するいろいろな客観的な見方、専門的な見方というものを書かれていたと思っています。

 そのことを含めて、本間正義研究会と私は言っていますけれども、食料安全保障に関する研究会がどういう報告をしたのかということについて、事務方で結構ですから、まずお尋ねしたいと思います。

道井政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま先生より御指摘のございました報告書でございますけれども、二〇〇七年当時より生起いたしました食料価格の高騰であるとか食の安全問題等、こういったことを背景にいたしまして、我が国の食料安全保障に係る対外関係上の見地からの議論を目的に、農業分野、経済分野の有識者及び民間企業の関係者の方々により、食料安全保障に関する研究会というのが立ち上げられました。その研究会として、二〇一〇年九月に、メンバーの方々の見解として提言がつくられたものでございます。

 内容でございますけれども、要点を申し上げますと、食料安全保障というものを平時と有事の二つの局面に分けて検討され、さまざまな食料安全保障上の課題について記載されております。

 平時につきましては、輸入円滑化、安定化のための諸措置等を通じて、貿易自由化による対応、また、その際の国内農業や国際協力の強化といったことが指摘されておりますし、平時においても有事への備えを意識しておくこと、それから、実際に有事になりました際には備蓄というのが非常に重要なツールになるので、そのあり方を検討する。また、こういった食料安全保障の問題を総合的に評価していくに当たって、国内生産であるとか輸入、備蓄といった各指標を用いて判断してはどうか。

 さらには、今後の課題として、平素からの農業資源、技術の情報収集、それから、EPA、FTAを推進していく、また、その過程での国内の生産性の改善強化、さらには、有事における食料生産システムや備蓄制度等についての検討や、そういったものの関連法制への組み込みといったことについて、さまざまな角度から議論をしていただいた結果がまとめられているというふうに承知しております。

吉良委員 ありがとうございます。私自身も直接かかわっていたので、要点としてまとまった答弁をいただいたというふうに思っています。

 特に、私自身が関心を持ってこの研究報告を見たのは、先ほど言いました国民の漠然とした食料安全保障に対する不安というものに対して、きちっと、平時の対応、有事の対応、そして平時のときから有事に備えていく。有事とは何ぞやといったら、一番大きなのは輸入途絶ですよね。そしてまた、国内的に、化学物質等で農地が汚染されるというようなことですけれども。

 そういう平時と有事に分けて、それぞれどういうリスクがあるのか、そしてその際にどう対応すればいいのかということをかなり詳細に分析し、その対応策をきちっと示すことによって、各論をずっと見ていったら、ああ、結構これはそこまで心配せずに対応できるんだなということが、その報告書を読んだ人は確認できた。私自身はその一人でありました。

 と同時に、詳細は申し上げませんけれども、食料自給率というものが一体どこまで意味をなすのだろうかと。

 これは、報告書にはそういう書き方はされていませんけれども、ずっと読んでいくと、食料自給率というものが一体何なんだろうという疑問を持って、私自身もいろいろと資料を調べたり、勉強もさせていただきました。

 当時、最近は農水省も余り強調しなくなりましたけれども、あくまでもカロリーベースだということで、そのカロリーベースの食料自給率は三九%で、これではとんでもない、食料自給率を何とか五〇%に上げよう、さらに上げようというような議論が熱心になされていたというふうに思っています。

 ただ、先ほど言いましたように、漠然とした不安を解消するためにも、ちょっと事実で、食料自給率、そして、特に栄養価という意味で重要な穀物自給率ということについて見てみたいと思うんですが、委員の皆さんもちょっと目を通していただきたいんです。最初、A4の縦長の諸外国の穀物自給率、これはちょっと古くて二〇一一年(試算)、この資料を見ていただきたいというふうに思います。

 これは穀物の自給率でありますけれども、どういう国が高いのか。例えば、一番最初にあるのはウルグアイ三一一%、次に、オーストラリア二九一%、次に、アルゼンチン二八四%。こういう国々は容易に、さすが農業大国、食料大国、自給率が高いなと想像がつくと思うんです。

 ただ、網を張っている国々を見てください。ザンビア一五九%、ルワンダ一二一%、パキスタン一一七、マラウイ一一五%、バングラ一〇四%。それで、我が国はというと、右側の上の方に、二八%ということであります。韓国もその下の二六%。

 大臣、先ほど言いました上位三カ国、さすが農業大国と言われるような、ウルグアイ、オーストラリア、アルゼンチンというのはわかりますけれども、大変失礼な言い方ながら、国内の需要を満たし切れていないと思われる、ザンビアだ、ルワンダだ、マラウイだ、こういうところが軒並み食料自給率が高いというのはどういう理由だと思われますか。

岸田国務大臣 ザンビア、ルワンダ等の穀物自給率が高い理由について御質問いただきましたが、恐らく、その国々の事情はさまざまだと思います。

 ですから、穀物に関しては、国民との関係において自給率をはじき出しますとこの御指摘のような数字になるというふうに思いますが、それ以外の食物、あるいは国民にとって必要な物資等については、本当に国によってさまざま大きく違うのではないかと想像をいたします。

 国の食料安全保障を考えた場合に、全体としてどうなるか、こういった視点で見ていくことが大事なのではないかと思います。

 御指摘の数字はそのとおりだと思いますが、その実情ですとかあるいは背景については、もう少し詳しくそれぞれを見てみないと、私から一言でお答えするのは難しいと考えます。

吉良委員 資料の三枚目を見ていただきたいんです。

 タイトルとして、「農産物輸入額上位十か国の農産物輸入額・輸出額・純輸入額」というのが出ております。これはもともとはFAOの統計を、先ほどの本間正義研究会でも取り上げているものであります。

 この資料の左下に四角で囲んでいるところがあります。カロリーベース総合食料自給率計算式というふうに書いてありますけれども。この自給率というのは、一日当たり供給できるカロリーが分母で、分子はそのうちどれだけ国内でつくれているかということであります。それをブレークダウンすると、その下になりますけれども、国内で産出された国産プラス輸入、そして出ていく輸出を引いたものが分母にあって、そして分子は国産プラス輸出であります。これが自給率なんです。穀物であれば穀物の分母と分子になります。

 そこの二つ目のポツで書いてありますけれども、輸出入がともにゼロだったらどうなるか。そうすると、自給率は、当然ながら、分母は国産カロリー、そして分子も国産カロリーになりますから、一〇〇%になります。

 何が言いたいかといいますと、これは先ほど言いました、必ずしも国内の需要を満たしていないかもしれない、また、ないであろうと思われる国々の自給率がここまで高い原因は、輸入ができないからなんです。輸入するお金がないからなんです。

 我が国もこの経験があるんです。戦後直後の焼け野原は、食料自給率一〇〇%に近いんです。それは買う金がないからです。アメリカからの援助を除いては買えなかったから一〇〇%なんです。少なくともそれに近い数字なんです。これが実態なんですね。

 ですから、今度は今の資料の上の方の文章を見ていただきたいんですけれども、「市場経済下の先進国は比較優位物を輸出し、劣位物を輸入して経済合理的便益を得ている。」二番ですけれども、「先進国になるほど輸入を通じて食生活を多様で豊かにしている。」イギリスに至っては、「食料安全保障政策の基礎に食料自給の追求を置いてはならない。自由貿易によるレジリアンスの強化によって英国の食料安全保障は確保される」、ここまで明記されているんです。そして、「世界最大の食料輸出国である米国は、同時に世界最大の食料輸入国」なんです。そのことを示したグラフが右の下のグラフです。

 先進国の多くは、輸出もしているし輸入もしている。ところが、日本は極端なんです。輸入はあるけれども輸出はほとんどない。これによって食生活を貧しくしているとは思いません。日本の国産農産物というのは極めて信頼性の高い、国民からすれば安心感のある食料でもありますので、これをもっともっと強化していくということは非常に重要だと思っています。

 私は、日本農業を輸入に全部かえればいいというようなことを言っているのではないんですね。農業市場を開放してオープンにして、日本の農業といえども市場の中に置いてそこで強くなってもらって、そして輸出余力まで持ってもらって、輸出余力を高めることが、有事の際のリスクマネジメント、リスク対応にもなるということなんです。輸入途絶の際、日本に、自国の需要を賄うだけではなくて輸出余力も持っているわけですから、輸入が仮に一時的に途絶えた場合でも、輸出余力の分で足りない分を賄えるということにもなるわけですね。

 そういう意味で、私自身は、農業についてももっと市場開放していくべしと。そしてそれは、ずっと言い続けておりますように、外交としても、相手国が買ってほしいものを買って、より関係が深まっていく、日本なくしては生きられないという関係をつくっていく、これが極めて重要なことだというふうに思っています。

 ちょっと大臣、私が今申し上げた食料自給率の計算式も含めて、お金のない、輸入できないところが自給率が高い、一方、輸入できるところは、農産物の自由な貿易をすることによって食生活を豊かにしている、このことについての大臣の感想をお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 食料自給率に対する考え方は、政府としては、農水省を中心に、国民の皆様方にしっかり示させていただいていると思います。それについて私はどうこう言う立場にはありませんが、ただ、輸出と輸入について御指摘がありました。

 我が国として輸出が少ないという御指摘でありますが、我が国の農産品に関しましては、海外から大変高く評価され、そして魅力的なものとして高い値段で取引されるものもたくさんあります。我が国が輸出する農産品の潜在力は大変大きいものがあるのではないかと考えます。

 そうしたものを生かしていけば、我が国の輸出というものはもっと伸ばすことができるのではないか、このようには考えます。

吉良委員 岸田大臣、外交をつかさどる立場としてもう少し、今おっしゃったことは当たり前のことですけれども、先ほど来のエープリルフールじゃないですけれども、もっと踏み込んで答弁というかコメントをいただければというふうに思っています。

 外務省の皆さんが経済局を中心に、TPPはもちろん経済連携、それこそ交渉が始まったら寝る暇もなくやり続けているわけですよね。そのときに、日本の農業を開放すればもっともっと相手国からとれるものもあるのに、それがネックになって皆さん苦労しているんじゃないですか。経済連携、日本も市場開放すれば、もっともっととれるものがあって、日本の国益を増進できるわけじゃないですか。そこに対して、外交のトップとしてもっともっと意欲を示していただきたいと思います。もうこれ以上、このことについては問いませんけれども。

 委員の皆さんには、先ほど言いました本間研究会の中で、資料の二番目になりますけれども、「「平時」「有事」における食料安全保障の分類と対応」、この表にもぜひ目を通していただいて、先ほど私が申し上げましたように、漠然とした不安ではなくて、具体的にどういうことがあれば、実際、食料安全保障にリスクが出てくるのかということを事細かに見ていく、それぞれのリスク要因に対してどう対応していくかということをきちっと事細かに対応していけば、何とか乗り切れるという印象もぜひ持っていただきたいというふうに思っています。

 繰り返しますが、その上でも、日本の農業を強くして、輸出余力を持って、有事に備えた農業にしていただきたいと思っています。

 続いてになりますけれども、実はインドネシアの新幹線プロジェクト、このことについて少し質問させていただきたいというふうに思っています。

 まず、民主党政権時代、私が外務政務官をやっているときに、実はインフラプロジェクトというものの、ある教科書的なものをつくりました。そして、在外公館の大使に全部送らせてもらって、あと経済局の重立った人たちに全部読んでもらいました。手前みそになりますけれども、私自身が商社時代にこういうプロジェクトに深くかかわっておりましたので、そのことの経験も生かして、そういうような教科書みたいなものをつくらせてもらったわけです。

 実は、その際に、その教科書的なものの中で強調したことは何か。それは、当時、民主党政権でも、インフラ海外展開というようなことで、インフラ輸出に力を入れようとしていました、また入れていました。けれども、そのときの多くの役所の人も政治家も、実は単純に機器だとかシステムだとかプラントを買い付けるプロジェクトと、事業を行うための事業権を入札するプロジェクト、これを峻別できていなかったんですね。

 こういう例があります。

 私自身、政務官のときに、国土交通省の政務官と一緒に、ブラジルの新幹線プロジェクトについて売り込みに行きました。今、頓挫しておりますけれども、オリンピックが開催されるリオデジャネイロからサンパウロを越えてカンピーナスというところまでの新幹線を建設するというプロジェクトでありました。

 そのときに、申しわけないけれども、同行した政治家だったり役所の人も、日本の新幹線がどれだけ安全性が高いのか、またパンクチュアルなのか、こういうようなことを一生懸命ブラジル政府に売り込んでいたんですね。でも、実はその新幹線プロジェクトというのは、ブラジルの国鉄だとかブラジル政府に新幹線のシステムを売るというプロジェクトではないんです。さっき言った、リオデジャネイロからカンピーナスと言われるこの路線、まさにJR東海ならJR東海さん、やってくれというプロジェクトだったんです。

 つまり、システムを事業会社が購入して、購入するためのファイナンスも全部集めて、そして、その購入した機器、システムでもって鉄道事業を運営して収益を上げて、そして投資コストをきちっと回収してください、こういうプロジェクトなんですね。

 ですから、そういうプロジェクトであった場合には、実は売り込む先は相手の国とかではないんです。その事業権入札の中で事業権を獲得できそうなグループに対して売り込むというのが実は事業権入札なんですね。

 そういう意味で、申しわけないですけれども、ここにいらっしゃる委員の中にも、また政治家の多くの皆さんも、今言ったシステム、機器を売り込むということがインフラ輸出と思っている方が非常に多くいらっしゃるんじゃないかと思います。もちろん、そういうプロジェクトもあるんですよ。ただ、今議題にしようとしているインドネシアの新幹線プロジェクトというのは、まさにこの事業権を付与せんとする、入札にはなりませんでしたけれども、プロジェクトなんです。

 だから、そういう意味で、私のこれを取り上げた趣旨は、多くの皆さんがあのインドネシア新幹線プロジェクトに対して非常に不満を持っておられる、その不満というのは何か。

 一つは、ジョコ大統領の誕生によって、日本がJICAを通してFSまでやってあげて、日本が丁寧にプロジェクトに対してアドバイスをしてきて、そして、日本の優秀なシステムを含めて、日本ならインドネシアの期待に応えられますよというプレゼンをずっとしてきたにもかかわらず、突如中国にさらわせてしまった。ある意味では、インドネシア何考えているんだ、ふざけるなという国民の、議員の人たちもそうでしょうけれども、その怒り。

 一方で、何で中国に負けるんだ、日本の新幹線はこれだけ優秀で、今言った安全性それから時間厳守、これほどすばらしいシステムはないのに、何でこんなすばらしいものを抱えていながら中国に負けるんだ、こういう意識が強いというふうに私自身は思っていますし、そういうふうに聞いています。

 けれども、私自身がこのプロジェクトをよくよく見たならば、先ほど言いました事業権の入札であるがゆえに、いろいろなリスクを抱えている。そういう意味で、場合によっては結果よしではなかったのかということをあえてこの場で申し上げて、さっき言った、必ずしも根拠のない国民の怒り、不満、不安といったようなものを解消したい、このように思っているわけです。

 繰り返しますけれども、単なる機器、システムの輸出であれば売り切りで終わりです。また、そこにファイナンスをつけてあげて、ファイナンスをきちっと政府なら政府が保証して終わりです。けれども、事業権入札というのは、事業権をとりたいと思っている人たちの競争が一方であり、もう一方では、事業を採算性という意味で成立させていくという自分との戦いがあるわけです。ですから、この自分との戦いに大きなリスクがあるときに無理して事業権をとりに行くというのは、より大きなリスクを抱えてしまうということになるわけですね。

 本来なら、どういう入札でしたかというようなことを聞きたかったんですけれども、ちょっと時間が押していますので、私自身もかなり結論めいたことを申し上げましたけれども、今回のこのインドネシアの新幹線プロジェクトで、日本ではなく中国に行ってしまったということについての外務省としての評価についてお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 インドネシアの高速鉄道事業において、日本としては実現可能な最良の提案をしたと考えています。にもかかわらず、日本提案が選ばれなかった、このことは残念に思っています。

 そして、この選考の過程についても、我が国としてはさまざまな思いがあります。当初、インドネシア側から、本件事業を見直し中速鉄道として実施する、事業詳細を作成し日本を含む各国企業に対して提示し参画機会を公平に提供する、こういった説明を受けていましたが、にもかかわらず、その方針が急遽変更され、ジョコ・インドネシア大統領の特使から、インドネシア政府として中国提案を歓迎することになったと説明を受けた経緯については、全く理解しがたく、これは極めて遺憾であると考えております。

 また、この事業については、インドネシア側から、これはこうした事業を進めていく途中からでありますが、インドネシアの国家予算は使用しない、インドネシア政府による債務保証は行わない、こういった条件が途中から示されました。こういった経緯についても、これらの条件は我が国として全く受け入れられないものであると考えています。

 大型インフラプロジェクトについては、実現可能性、あるいは官民の適切なリスク分担、こうしたものを踏まえながら、透明かつ公正に実施されること、これが重要だということを改めて強く感じております。

吉良委員 ありがとうございます。

 最後の結論等を含めて、私も全く同じ考え方を持っておりまして、繰り返しますけれども、単純な売り込みと、事業リスクを抱えながらのプロジェクトの獲得ということは、次元が違うということですね。今おっしゃられた、実現性ということもしかりだし、官がとるべきリスク、民がとるべきリスク、それが本当に適正なのかという観点で、プロジェクトを獲得すること、突っ込んでいくことの是非を判断すべきだというふうに思っていまして、単に負けたとかいうようなことで、不満だったり、怒りだったりを持ってもらいたくないというふうに思っています。

 それと、このインフラ輸出において非常に重要なことは、ファイナンスなんですね。私もそういう分野に携わっておりましたけれども、この種のプロジェクトというのは、プロジェクトファイナンス、またはノンリコースファイナンスといって、お金の貸し手が、通常であれば、事業を遂行するその親会社というか会社の保証を求めたり、場合によっては、その裏にいる国の保証を求めたりして、この事業がうまくいかなくてもお金をちゃんと返してくださいねという保証をとるというのが、より安全な貸し手の手法ですけれども、そのプロジェクトファイナンスとかノンリコースファイナンスと言われるのは、あくまでもその事業が稼ぎ出すキャッシュフローが唯一の返済原資、または、プロジェクトを遂行するもろもろの資産、鉄道でいえば車両だったりとかシステムそのものだったりとか、そういうものが唯一担保になるというような仕組みのファイナンス、これをプロジェクトファイナンスとかノンリコースファイナンスといいますけれども、そういう貸し手が、ファイナンサーが出てこない限り、プロジェクトが成立しないんです。

 今回のような鉄道プロジェクトについては、今大臣がおっしゃったように、日本が提案していたことは極めてリーズナブルです。特に、鉄道の運行そのものと用地買収という……

岸委員長 吉良君、時間が過ぎておりますので、まとめてください。

吉良委員 失礼しました。

 これをきっちり分けて、リスク分析をしながら、リスクをミティゲートしながら対応していくことが重要だということ、また、それを外務省としても取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、先島諸島への自衛隊配備について質問をいたします。

 防衛省は、昨年五月以降、副大臣らが宮古島、石垣島を訪れ、新たな陸上自衛隊の部隊を配備する方針を明らかにしました。

 宮古島の候補地とされた地元の福山、野原という自治会組織は、いずれも配備反対の決議を上げています。石垣島の開南、嵩田、於茂登という地元の三地区も、配備反対の抗議文を決議し、説明会を拒否することも確認しております。地元住民は、配備に反対であります。

 自治体については、宮古島、石垣の両市長は、いずれも正式な態度表明には至っていません。これまで市として住民説明会の開催を求めているわけでもありませんでした。ところが、そうしたもとで、一部住民を対象とした説明会が行われ、防衛省・自衛隊の担当者がそこに赴いて説明を行うということが繰り返されております。

 防衛省に聞きますが、昨年五月以降、宮古島、石垣島のそれぞれ現地に赴いて、市長や市議会、住民に対する説明を、いつ、誰が行ったか明らかにしていただけませんか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、南西諸島の防衛体制の充実は極めて重要な課題だと考えておりまして、昨年五月、左藤前防衛副大臣が宮古島市長に対し、また、昨年十一月には、若宮防衛副大臣が石垣市長に対し、それぞれ警備部隊、地対空誘導弾部隊、地対艦誘導弾部隊の配備、配置を申し入れております。

 先島諸島への陸上自衛隊の部隊配置につきましては、これらの申し入れ以降も、沖縄地方協力本部長あるいは沖縄防衛局企画部長等が、市長、市議会及び住民の方々に対して理解と協力を得るべく説明を行ってきており、宮古島に関して申し上げれば、直近で、平成二十七年九月六日、十月八日及び二十八年一月二十一日に説明を行ってきています。また、石垣島に関して申し上げれば、平成二十八年二月十一日、同月十二日及び同月十五日に説明を行ってきております。

 なお、市議会議員の方々や市民団体の方々から先島諸島への陸上自衛隊の部隊配置に係る要請がなされた場合には、沖縄防衛局長等が対応させていただいております。

赤嶺委員 そこで外務大臣に伺いますが、外務大臣は、昨年の安保法制の審議の際に、日本政府として中国を脅威とみなしていないことを明らかにしています。この立場、今も変わりありませんか。

岸田国務大臣 御指摘の去年八月五日の参議院平和安全法制特別委員会での答弁ですが、答弁させていただきましたように、我が国は中国を脅威とみなしておりません。中国が平和的に発展することは日本にとっても大きなチャンスであると認識しており、かかる認識は今も変わっておりません。

 ただ一方で、中国の不透明な軍事力の強化、海空域における活動の活発化は、地域共通の懸念事項になっている、これも事実であると考えます。

 ぜひ、さまざまなレベルで対話を積み重ね、安定的な友好関係を発展させていきたいと考えています。

赤嶺委員 防衛省も同じ見解ですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の防衛政策は、中国を含め特定の国を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておりません。

 その上で、中国の軍事動向等に関する認識を申し上げれば、中国は、十分な透明性を欠く中で、軍事力を広範かつ急速に強化し、その活動を質、量ともに急速に活発化させています。

 また、それらの活動には、東シナ海や南シナ海における現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない非常に危険なものも見受けられます。

 このような中国の動向は、我が国を含む地域、国際社会の安全保障上の懸念となっていると認識しております。

赤嶺委員 去年の七月に、宮古島の自衛隊協力会が開いた住民説明会があります。その説明会で、沖縄地方協力本部長の山根氏は次のように説明をしています。ちょっと読み上げてみたいんですが。

 最も彼らが厄介なのが何かといったら、これです、国防費。十年で四倍、そして二十年で十倍になっています。これはなぜ厄介かといいますと、国防費がふえているということは、それだけ能力が上がっているということです。今は世界最強の軍隊は間違いなくアメリカです。アメリカをあと何年かで追い越します。間違いなく数年のうち、十年以内には多分世界第一の軍事大国になると非常に我々は思っています。こう述べているわけですね。

 防衛省に聞きますが、中国が十年以内にアメリカを追い越して世界第一の軍事大国になる、これは防衛省の見解ですか。

鈴木政府参考人 中国の防衛力に関しまして、シンクタンクを初めさまざまな認識があることは承知しております。その中で、今委員御指摘のような指摘があることも存じ上げておりますけれども、それは防衛省としての見解ではございません。

 また、なおかつ申し上げれば、我が国の防衛政策というのは、どこか特定の国を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという立場はとっておりませんということは繰り返し申し上げます。

赤嶺委員 山根氏はさらに引き続いて、中国が沖縄本島と宮古島の海峡を抜けて海洋進出を進めている事例として、小笠原の中国漁船によるサンゴの密漁を挙げています。しかし、この問題も、日本政府と中国政府が連携して対応に当たっていた問題であります。

 地元の住民団体が反対を表明しているにもかかわらず、一部の住民に対して、しかも中国の脅威をあおって説明を繰り返すというようなやり方は、やめるべきではありませんか。

真部政府参考人 若干繰り返しになって恐縮でございますが、防衛省といたしましては、南西地域の安全保障環境が厳しさを増している中で、島嶼部の安全、安心の確保が重要な課題となっておりますこと、それから、南西諸島の防衛体制の強化の観点から地理的にも重要な場所に位置していることなどから、宮古島、石垣島に部隊を配置して、力を背景とした現状変更の試みは許容しないとの意思をより一層しっかりと示していくことが必要だろうというふうに考えております。

 そのような観点から、地元の関係のこういった市町村あるいは住民の方々にも、さまざまな機会を活用いたしまして、そういった部隊配備の必要性といったことについて丁寧に御説明をしてまいることが重要だろうというふうに思っておる次第でございます。

 今後とも、御理解いただけるように努力をしていきたいと思っております。

赤嶺委員 その防衛省から宮古島で説明している人が、政府見解と違うような、中国は世界一の最強の軍隊を持つようになるんだとか、サンゴの密漁をとってみても軍事的な対応が必要になってくるんだとか、いわゆる脅威をあおるような説明をしているわけですね。そういう説明でいいわけですか。いかがですか。

真部政府参考人 恐縮でございますが、今委員御指摘の、山根地方協力本部長の説明ぶりといったものを紹介いただいたわけでございますけれども、私どもとしては、先ほども鈴木次長なりが申し上げているような私どもの基本的な考え方、この方面の防衛に関する考え方に沿って説明をいたしているものという認識でございます。

赤嶺委員 いや、山根さんは政府の代表として説明に行ったわけでしょう。それが先ほどの政府の説明と違っているじゃないですか。それを聞いているんですよ。そういう説明の仕方、やめるべきじゃないかということを聞いているんですよ。いかがですか。

真部政府参考人 繰り返しになって申しわけないと存じますけれども、山根地方協力本部長の説明ぶりは、基本的に私どもの防衛省の考え方に沿って説明をしてきているものというふうに認識をいたしておる次第でございます。

赤嶺委員 世界最強の軍隊になるとか、小笠原のサンゴの密漁の対策の上でも中国の脅威に対して軍事的対応をするというのが政府の立場ですか。

鈴木政府参考人 御答弁申し上げます。

 山根本部長からのお話の中で、恐らく、先ほど申し上げた中国の軍事動向、過去の事実等申し上げれば、公表国防費というものが八九年以降ほぼ一貫して二桁の伸び率を記録して、二十八年度で約四十四倍に拡大ですとか、それは今の日本の防衛関係費の約三・七倍の水準になっているというようなことは事実でございます。

 その中で、さらに、先ほど申し上げましたような将来予測みたいなことにつきましては、各種のシンクタンク等々で公表されているような、そうしたものを山根本部長の方から紹介したものだというふうに認識しております。

赤嶺委員 シンクタンクの見解の一つ一つを政府見解だということで、そういう立場で向こうでしゃべっているわけですね。これは政府見解とも違って、いたずらに中国の脅威をあおるようなやり方ではないかと思うんです。私たちはその文書全体について持っております。防衛省としても、ちゃんと把握の上、そういう問題について検証していただきたい。これは引き続き取り上げてまいります。

 そこで、最近の日中間の合意との関係について伺いますが、日中両政府は二〇一四年十一月、日中関係の改善に向けた話し合いを行い、尖閣諸島など東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐことに合意をしました。

 一方、石垣島や宮古島には自衛隊の地対艦ミサイル部隊を配備するというのが防衛省の計画です。射程は百数十キロとされ、尖閣諸島周辺を射程におさめるとされております。一月の安保委員会でも、ヘリ部隊の配備も白紙的に検討しているというのが防衛省の答弁でした。

 外務大臣に伺いますが、こうした部隊の配備は尖閣諸島をめぐる最近の日中間の合意に矛盾しませんか。

岸田国務大臣 御指摘の二〇一四年十一月に発表された文書ですが、日中関係の改善に向け、両国政府間で静かな話し合いを続けてきた結果、日中双方の意見が一致した内容、これをまとめたものです。

 四項目が含まれていますが、その中の三項目め、委員の方からただいま御指摘がありました。この項目については、東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有している、こういった認識が示されています。

 このことについては、二〇一三年十一月の中国によるいわゆる東シナ海防空識別区の設定、あるいは東シナ海における中国の一方的な資源開発によって、尖閣諸島等、東シナ海の海域において緊張状態が生じている、このことについて異なる見解を有している、こういった内容であります。

 よって、先島諸島への新たな部隊配備につきましては、この発表の内容と何ら関係なく、矛盾もしないと考えております。

赤嶺委員 異なる見解、そして緊張状態、これを対話と協議を通じて情勢の悪化を防ぐというのが日中間の合意であります。

 どのような説明を行ったとしても、現実には、尖閣諸島をにらんだ対応であることは明らかであります。とるべきは、日中間の平和的、外交的な解決の努力を強めること。軍事的な対応を強めることは、日中双方が厳しく戒めるべきであります。

 防衛省に確認をします。

 昨年十一月に、宮古テレビの特集番組が放映をされました。それによると、独自に入手した政府の内部資料に基づいて、昨年五月に副大臣が候補地を公表する前に、宮古島の下地市長が防衛省関係者と複数回懇談し、候補地の一つである千代田カントリークラブの用地取得を働きかけていた事実を明らかにしています。

 千代田カントリークラブに係る調整状況という見出しで、昨年一月十五日には地方協力本部長との懇談が行われ、防衛省側に、千代田カントリークラブを駐屯地用地として使用することについて検討をお願いしたいと発言したことが記載されているとしています。昨年三月十三日、沖縄防衛局企画部長、地方協力本部長との懇談では、千代田カントリークラブを全て取得してほしい、使用方法は防衛省に任せる、このように市長が発言したとしています。

 こういう事実があったんですか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 先島諸島への陸上自衛隊の配備、部隊の配置について申し上げれば、平成二十六年六月十二日に、当時の武田防衛副大臣が宮古島を訪問し、宮古島市長に対して、宮古島は重要な候補地の一つであり、今後さらなる現地調査を行っていきたい旨説明し、理解と協力をお願いいたしました。

 ただ、この場合、具体的な配置先や用地買収について話し合った事実はございません。

赤嶺委員 武田副大臣の来島の後に、一月十五日の地方協力本部長との懇談、三月十三日の沖縄防衛局、地方本部長との懇談で、先ほどのような、用地について取得してほしいと市長が言ったと、これはテレビの画面に映っているんですよ、文書の文字も全部。

 そういう事実は確認しているかということなんですが、いかがですか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますが、防衛省といたしましては、一昨年六月十二日に、当時の武田防衛副大臣が宮古島を訪問した、その際、理解と協力をお願いしたということだと承知しております。

赤嶺委員 それでは、資料を要求したいんですが、昨年の五月までに宮古島市長と防衛省側が面談したことはあったかどうか、そして、その日時、出席者、面談内容、これを明らかにしていただけますか。

真部政府参考人 今の御要請でございますが、宮古島市の方ともよく調整いたしまして、確認できるものについて調べてみたいというふうに考えます。

赤嶺委員 どんなふうに候補地を選定していったのか、配備の大前提にかかわる問題です。非常に不透明な過程があります。

 宮古島市長と防衛省との会談の記録を明らかにするよう求めまして、質問を終わります。

岸委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 本日は、一般質疑ということでございまして、さまざまな観点からお話を伺っていきたいんですが、前回の質疑のときに少し積み残しさせていただいていたいわゆるジャパン・ハウスの件、もう少し詳しく伺っていきたいんです。

 というのは、これはどう考えても、私、外務省がやるところじゃないんじゃないかなと。四年で百二十六億かけてロンドンとロサンゼルスとサンパウロに日本の魅力を発信する総合拠点をつくるということで、一等地にいわゆる箱物を借りてそういったものを外務省がつくるという、このジャパン・ハウスの計画でございます。

 正直、これは経産省が既にクールジャパン機構という形で同様のものに予算をつけて。例えば外務省の話でも、すしとかアニメとか、またいろいろな日本の魅力をまず知ってもらうことで日本のファンをふやして、それを国益にという話をされているんです。しかし、もうクールジャパン機構で同様のものをやっています。また、国際交流基金、例えば、ロサンゼルスには既に交流基金で同じような箱物を持っている。さらには、では、ジェトロや観光局との連携をとれているかというと、結局、経産省や外務省、観光局だと国交省なので、縦割りで連携をとれていないということで、非常に、この百二十六億が無駄遣いになってしまうんじゃないかというのを危惧しています。しかし、予算で決まってしまっているものなので、しっかり使っていただけるように細かく聞いていきたいんです。

 私、外務省にやっていただきたいのはそもそももっと別の部分にあると思っていまして、例えば、ずっとお話をしている慰安婦の問題とか歴史問題、これまでずっと外務省の方でうまく発信できなくて後塵を拝しているわけですから、そのためのロビーイングの予算だとか、親日家をふやすといっても、そんな、ロンドンの一等地にその建物をつくって、そこにアニメやすしが好きな人に来てもらってという親日家をふやすのは、別に経産省でも文科省でもできるんで、そうじゃなくて、重要人物の中での親日家をロビーイングでつくっていく。情報提供者をつくっていく予算、この百二十六億をかけるんだったら、私はこっちの方にかけた方がよっぽど外務省としてやるべきものだと思います。

 やるにしても、箱物をつくるんじゃなくて、例えばこの間話になった、韓国はほんまにしたたかに、してやられていると思うんですけれども、ドラマみたいな形でさりげなく韓国の文化を、今、アジアに行ったらいろいろなところでドラマをやっています。そういった意味で、してやられているので、そういうやり方。まねしろというわけじゃないです、あれでうまくいっていないところもあるというふうに聞いているので。

 そうじゃなくて、例えばこの間ほかの委員、たしか、小熊委員だったか、もしくは篠原委員だったかもしませんけれども、タイで今、「マジでジャパン」という形で、日本人の方でタイの言葉も流暢で、日本に来て、そのタイの番組で紹介して、それで、実はメジャーな東京タワーとかパンダを見に来るとかそういうところじゃなくて、観光にもっとニッチな部分につなげていって、今タイの方がいっぱい来ている。こういったアイデアの部分、ソフト面にお金をかけるんだったらわかるんですけれども、その箱物の部分をメーンに外務省が予算をつけてというのは非常に私は問題だと思うので、できれば再考していただきたいんですが。

 しかし、予算が決まってしまっているということですので、まず、この予算の細目とか、あと、来場者数の目標値。そして、PDCAもしっかり回していくという答弁がこの間ありましたので、これもしっかり回していただきたい。決まったからにはしっかりやっていただきたいんですけれども、このPDCAの回し方も含めて詳細をお伺いできますでしょうか。事務方で構いません。

    〔委員長退席、土屋(品)委員長代理着席〕

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 ジャパン・ハウスの各年の予算額につきましては、二十七年度三十六億円、二十八年度四十二億円となっておりまして、二十九年度、まだ要求前ですので未定ですけれども、国庫債務負担行為額そのものは、それぞれ三十億円、二十二億円となっております。

 今お話しいただきました来場者の目標値ですけれども、三都市の受託企業が、ジャパン・ハウスで開催されるイベントの回数ですとか、あるいは規模、セミナールーム等の共用スペースの稼働率などを総合的に勘案して、適時、数値目標を設定していくことになります。なお、外務省自身、来場者の目標についても受託企業にいろいろインプットしながら、きちっと目標を設定してほしいということはるる言っているところでございます。

 さらにPDCAについて御言及いただきましたけれども、PDCAの実施に当たりましては、各受託企業に対しまして、施設来場者数、それからホームページやSNS等の各種企画、国内外メディアにおける掲載回数ですとか、あるいは施設内共用スペースの平均稼働率などの項目を設けるように義務づけております。そして、具体的数値につきましては、各年度半期そして四半期及び全事業ごとに適切な目標数値を提案しまして、事後結果を検証した上で、次の事業計画に適切に反映すべく、事業内容等を見直しながら随時改善していく予定でございます。

 また、数値目標未達の状況が例えば著しいような場合には、現地有識者がメンバーとなっている委員会におきましてそのことを議論しまして、要すれば、外務省から受託企業に対して一定の改善勧告をするなど、現地及び国内において監督していくような体制になっております。

    〔土屋(品)委員長代理退席、委員長着席〕

丸山委員 今の話だと目標の来場者数はないという話なんですけれども、先ほどお話をしたクールジャパン機構を中心にやっているような、前回もお話ししましたけれども、例えば今回つくるロンドンで、ハイパージャパンというのを夏と冬にやられて、合計十三万人。これは年間ずっと常設なわけじゃなくて、二日、三日あけているのを年間二回やって、それで十三万人の方が来られるわけですよ。それを超える目標値なのかどうかというか、そもそも常設のところにそこまで来るのかなというのが気になるところなんですが。

 しかし、今、来場者数の目標はないということなんですけれども、ほかに何か、今回、戦略的対外発信ということなんですけれども、この目標として置かれるべきもの、来場者数以外に何か既に想定をされているものというのは外務省としてあるのかどうか。PDCAに関連してなんですけれども。

 そして、今、PDCAを回すというお話なんですけれども、これはもちろん公表されるということでよろしいんですね。

 その二点を更問いでお伺いできますか。

大鷹政府参考人 まさに今のPDCAの具体的な中身については、これから受託企業等におきまして検討していくところでございますけれども、一つの参考値として、先ほど、外務省として受託企業側に来場者数の目標みたいなものをいろいろ言ってきているというふうに申し上げましたけれども、例えばロンドンにつきましては、常設ということもございますけれども、年間で大体五・五万人ぐらいを念頭に置いております。そのほか、ロサンゼルスは七・五万人ですとか、あるいはサンパウロにつきましては六・三万人、そういったものを一つ念頭に置いてはどうかなというふうに思っているところではございますけれども、事業を具体化していく中でいろいろ詰めていくところもありますので、さらに具体的な数字を受託企業と相談しながら決めていく想定になると思います。

 いろいろ、指標につきましては、先ほど申し上げましたけれども、来場者数のみならず、いろいろなSNSでの反応、いろいろな、ツイートはどれぐらい出ているのかとか、そういったところも大事だと思いますので、来てもらうということだけではなくて、知ってもらう、あるいは日本について認知してもらう、そういったところはさらに重要でございますので、そういったメディアを通じた広がりみたいなものも重視していきたいというふうに思っております。(丸山委員「PDCAの公表」と呼ぶ)

 PDCAの公表については、受託企業と協議しながら今後さらに詰めていきたいというふうに思っておりますけれども、そういったものについての関心が高いということも十分踏まえて対応していきたいというふうに思っております。

丸山委員 非常に役所用語だったんですけれども、これは予算がついているわけですから。そして国会でもこれだけお話しさせていただいて、きっちり回すことが私は大事だと思っていて、せっかくつくるんですからやっていただかなきゃ困るんですが、しっかりやらなきゃ、失敗したでは困るんですけれども。

 しかし、四年計画で、最後の二年が実際にまずは立地されるわけで、特に初年度のPDCAをどう次に生かすかというのは非常に大事なので、これはぜひ公表していただかなきゃ困るんですけれども、公表しない可能性もあるということですか。

大鷹政府参考人 お答えします。

 ちょっと慎重な答えぶりになってしまいましたけれども、基本は公表したい、公表していく考えでございます。

丸山委員 その姿勢で、必要だと思いますので、ぜひ公表をよろしくお願いします。

 そういった意味で、先ほども、目標値、現段階で向こうと話さなきゃいけないけれどもという話はされましたが、しかし、五・五万人と七万人、六万人ぐらい、足すと十八万人ということなんですけれども、一年間ずっとあるところで十八万人ということで、先ほどの、一週間程度、三日程度と三日程度で合計一週間弱だと思うんですけれども、クールジャパンがやったハイパージャパンで十三万人なので、ちょっと明らかに、目標値からしても、そこまで効果があるのかなというところも、今お聞きしてすごく感じたところです。

 そういった意味で、まだまだこの部分、聞いていかなきゃいけないんですけれども、まだしかしここから施行していく部分なので、今後の外務委員会でも伺っていきたいとは思っています。そういう意味で、予算がついたので、ついてしまっているので、しっかりやっていただくようにお願いしたいと思います。

 もう一つ、こちらのジャパン・ハウス側ではなくて、今回、この戦略的対外発信の強化で予算が、ジャパン・ハウスも入っていたんですけれども、五百億円増でつけられています。その部分で、特に日本の正しい姿の発信ということで予算がつけられていまして、もうきょうは四月一日なので昨年度、二十七年度も予算が既についています。

 この間の委員会でも、慰安婦問題だとか領土問題、歴史認識という意味で、国際的に少し理解にそごがある部分についてしっかり発信してほしいというお話をさせていただいて、そしてこの正しい姿というのにはそれが入らなくなるんじゃないかみたいな報道があるんですけれどもそれは違いますよねというので私お伺いして、いや、それは違います、この正しい姿にはきちんと慰安婦の問題だとか領土問題だとか日本の正しい姿を発信していく、正しい姿にそれは入っているんだという御答弁が、前回、委員会でありました。

 そういった意味で、少し数字を客観的にお伺いしたいんですけれども。

 二十七年度、つまりもう終わった予算の中でも、この正しい姿の発信というのは入っていると思うんです。この中で、慰安婦の問題だとか領土問題だとか歴史認識の関連で、セミナーなどをこの予算で開催されているということなんですけれども、どれぐらい、今申し上げた内容が開催されていて、回数ですね、そしてそれは全体の正しい姿の発信の中でどれぐらいの割合を占めているものなんでしょうか。それをまずお伺いしたいんですけれども。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 戦略的対外発信予算の中で、正しい姿の発信に関する予算の部分は、二十七年度につきましては四十八・七億円でございます。この数字自体は、全体の戦略的対外発信予算の約一二%を占めるわけです。

 具体的に、セミナー等の部分でどういう状況になっているかということなんですけれども、当然、正しい姿について発信していく、それは重要な課題でございますので、セミナー等を通じていろいろやっているというのは、かなり力を入れている部分でございます。

 その一方で、これらのセミナーの実施に当たりまして、事柄の性格上、日本政府の関与が明らかになるということが必ずしも好ましくないケースが実は多うございます。そういった中で、連携しているシンクタンクが、日本政府の資金手当てがない形で複数のセミナーを開催しているというものも、実はまたございます。

 そういった意味で、実施回数につきましては、相当数があるというふうに申し上げさせていただきまして、それ以上の具体的な回数についてはお答えを差し控えさせていただければというふうに思います。

丸山委員 六億ということですかね。四十八・七億の一二パーだから、やはり六億くらいですかね。五十億の一二%、違いますか。これは額でいうと、大体どれぐらいですか。

大鷹政府参考人 済みません。四十八のうちの内訳はちょっと今申し上げにくいんですけれども、四十八が全体の中に占めるのが一二%という趣旨でございます。

丸山委員 全体の中の一二%が四十八億というのは、それはわかりますよ。じゃなくて、この正しい姿の発信に四十八・七億円使っているわけでしょう。使っていらっしゃると。その中で、この慰安婦の問題とか領土問題だとか歴史認識の話だとか、そういったところのセミナーだとか、もしくはそれ関係で使っている予算の割合を伺っているんですけれども、お答えいただけますか。

大鷹政府参考人 済みません。繰り返しになって恐縮でございます。

 このシンクタンクを通じたセミナーの開催につきましては、事柄の性格上、若干機微な部分がございまして、日本政府の具体的な関与について対外的に明らかにすることは必ずしも好ましくないケースが多いというふうにお考えいただければと思います。

 そういった意味で、先ほどまで申し上げた内容にとどめさせていただければというふうに思います。

丸山委員 外交上、いろいろな立場もありますし、私も敵を利したいわけではもちろんないんですが、しかし、国会ですのでしっかり、予算がどういうふうに使われているのか、そして、この正しい姿の発信の部分が、まさしく最初のいろいろな、特に最初の、与党サイドから始まったときに、こうした発信ができていないという部分から練っていらっしゃって、そして、これが政府側に移ったときにもこれは最初に残って、そして今回、今般いろいろな報道でも、この部分が結局薄れてしまうんじゃないかという話が出ていて、まあ、それはしない、薄れるわけじゃなくて、しっかりこれを発信していくという話なんですけれども、しかし、現実面として、本当にこれがなされているのかどうか。そして、これがなされなかったら、結局、さっきからお話ししているような、経産省がやっているようなクールジャパンと一緒になっちゃうわけですよ。

 別に外務省がやるべきものじゃないわけで、ここの部分が一番大事なわけなんですけれども、そこの予算がどれだけ使われているかも言えないということなんですか。その相当の部分使われている、四十八・七億の相当部分使われているということは、それは八割以上、何十億と、二、三十億分がそれに使われているという理解でいいんですか。

大鷹政府参考人 お答えいたします。

 相当数のセミナー等が開催されているという趣旨で申し上げました。

 こういった重要政策、日本の正しい姿を知っていただく、そして、その中には、当然慰安婦問題、領土問題、歴史問題全てが入っていて、重要問題として当然取り組むわけでございます。そういったものがきちっと、こういった予算を使いながらやっていくということですけれども、具体的な内容、特に、シンクタンクの協力を得ながらいろいろやっていく部分については、多少機微な部分がございますので、具体的な内容については差し控えたいというふうに思っております。

丸山委員 正直、外務省が今までしっかりこの問題をやってこられて、国際的にも誤解がない状況なんだったら、何もこんなにたびたび聞きません。しかし、これまでうまくいかない状況があって、正直、後塵を拝しているわけですよ。韓国や中国が言う主張を、国際社会の中でそうだと言う国が多くなってきた。それを何とかとめるという中で外務省がうまくできていないからこそ、ちゃんとやっているんですかというのを聞きたいわけで、今のお答えに信用性があるのなら、私は聞きません。しかし、残念ながら、今までできていないんじゃないかという理解にあるので詳しく聞いていきたいんですけれども、今の答えだと、答えられない、一言で言うと答えられないということだと思うんですけれども。

 何も防衛秘密や外交秘密を聞いているわけじゃなくて、予算の大枠の話を聞いているわけですよ。もしくは回数の大枠。別に、一回、二回間違えたからといって、言いませんよ。それが、十回なのか二十回なのか百回なのか、一回もやっていないのか。相当数といったら、すごく主観的な話だと思うんです。

 では、聞きますけれども、相当数というのは五十回程度を言うんですか。審議官、どうなんですか。

大鷹政府参考人 お答えいたします。

 相当数という言葉の持つ意味につきましては、やはり事柄の性格上なかなか申し上げにくいんですけれども、御想像いただいているものとそんなに外れない、あるいはそれを下回るようなものではないというふうにもお考えいただくことは不可能でないと思います。

丸山委員 委員会ですごく苦笑、笑いが起きているわけですよ。みんな、おかしいと、失笑状態です。私も笑っちゃいましたよ。

 別に追い詰めたいわけではなくて、やっていただいていればいいんです、それで。やってほしいですし、やるべきなんですよ。というか、そのために予算をつけているんですから。しかし、そこを隠す理由が私にはわからなくて、外交上、それのある程度の額を言ったからといって、何ら利するわけじゃないと思うんです。

 中身がどうこうとか、どこでやったとか、どうなったとか、そこまでは私は求めません。しかし、やっているのかどうかという答弁をきちっととりたいわけですよ、政府側から。やってほしいがゆえに。今のお答えだと、いや、一回でも二回でも、相当数だと逃げられちゃいますよ。

 回数や予算について言及が必要だと思うんですけれども、大臣、今のを聞いてどう思われますか。

岸田国務大臣 このセミナーへの対応については、確かに、先ほど来答弁させていただいているように、具体的な、この組織に対してどのような予算を使ったかというところまで言えば、いろいろな差しさわりもあるというふうに考えます。

 ぜひ一度確認してみたいと思いますが、委員御指摘のように、回数等を言うことについては、今言った点には問題がないのではないかと感じながら聞いておりました。

 ただ、ちょっと、実態について私もいま一度確認しなければならないとは思いますが、できる限り、回数など、いろいろ差しさわりがない部分については明らかにするよう努めなければならないと考えます。いま一度確認いたします。

丸山委員 今大臣から、いま一度確認するというお言葉をいただいたので、次回質問してもいいですが、ちょっと理事会に出していただくなりなんなりしていただきたいと思うんですが、委員長、御検討いただけますか。

岸委員長 後刻、理事会で協議します。

丸山委員 ありがとうございます。

 理事会に御提出いただくか、もしくは、また次の機会にお答えいただくかのお話になると思いますけれども、回数とか予算は言える範囲だと思いますので。こんなことまで隠していたら、そもそも外務委員会自体が回りませんので。何も、本当に細かいところまで聞くというよりは、しっかりやっていますよというアピールを逆にしていただきたい場であるのに、逆にこうやってお隠しになると、やっていないかのような印象を皆さんは持ちますよ。なので、その辺はしっかり御答弁いただきたいと思います。

 ジャパン・ハウスの話ばかりしたいわけじゃなくて、せっかく一般質疑なので、いろいろなお話を伺っていきたいと思いますが、今回の回数だとか予算の割合で、できたらまたお話しするかもしれませんが、今回ジャパン・ハウスの話はこれぐらいで、次に進めさせていただきたいと思います。

 少し話題がかわります。

 日米韓の首脳会談を総理がやられておりますけれども、ここにおける成果のお話をお伺いしたいと思います。特に今、北朝鮮が昨今かなりいろいろな動きをしていますけれども、そこも含めて会談はどのような成果が上がったのか、お答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 日米韓三カ国を取り巻く安全保障環境は大変厳しくなっている中にあって、日米韓の首脳が一堂に会して、北朝鮮問題などの地域情勢、あるいは安全保障協力、さらにはグローバルな課題についても議論を行う、これはまことに時宜を得たものであり、有意義なものであると考えます。

 そして、その中で、北朝鮮問題につきましては、引き続き日米韓の緊密な連携を強化していくことについて確認が行われています。そして、三カ国の外務、防衛当局間で具体的な安保・防衛協力を前進させる、こういったことを事務方に指示をする、こういったことでも一致をしています。拉致問題につきましても、安倍総理から説明し、オバマ大統領、朴槿恵大統領からも理解と支持を得た、こういったことでありました。

 加えて、テロ対策、中東情勢、気候変動、バイデン副大統領のがん撲滅イニシアチブ、こうしたグローバルな課題についても意見交換を行った、認識を一致することができた、こういった成果も報告をされています。

 ぜひ、こうした議論を踏まえて、一層日米韓三カ国の連携協力を深めていきたいと考えます。

丸山委員 北朝鮮が昨今ミサイル発射をふやしているだとか、いろいろなお話はこの委員会でも質問させていただいて、言及は厳密にはできないけれども、しかし、いろいろな要因が、国内情勢、そして米韓の軍事演習があったということ、さらには、この五月に、三十六年ぶりでしたか、北朝鮮が党大会をやるということで、非常に緊迫しているのは事実だと思います。その中で、日米韓というのは非常に重要な関係だというふうに思います。しかも利害が北朝鮮に関しては一致していると思いますので、そういった意味で、これは具体的な進捗があったものだというふうに推察しますし、聞いているんです。

 一方で、その後、日韓での首脳会談もされているという話なんですけれども、この間もお伺いしました局長級協議のときに、昨年冬に大臣が汗をかかれて合意された合意の誠実な履行を求めるということで今協議が続いていると思うんです。一方で、財団をつくるという話も前に進んでいないというふうに報道ベースで聞いていますし、特に、我が国としては認められない大使館前、公館前の慰安婦像の撤去を履行する、誠実に履行するように努力するという形で韓国側はこの合意をのんでいるわけで、この履行をしっかりやってもらわないと困るんです。

 まず、日韓首脳会談でそのお話をされたのかどうか、そしてその進捗ぐあいはどうなっているのか、お答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 このたび、日韓首脳会談が現地時間の三十一日に開催されました。

 そして、安倍総理から、北朝鮮の挑発行動に対して両国が緊密に連携できている、このことを高く評価し安保協力を深めたい、こういったことを発言し、そして拉致問題についても協力を求めた。そして、朴槿恵大統領からも、こうした人権問題について、韓国にも同様の問題がある、ともに協力をしていく、こうした北朝鮮に対する強固な姿勢を確認することができたわけですが、あわせて、両首脳は、慰安婦問題についても昨年末の合意を着実に実施していく、こういったことで一致をしております。慰安婦問題についても取り上げたわけであります。

 そして、進捗状況について御質問がありました。

 これにつきましては、先日も一度お答えさせていただきましたが、昨年の十二月二十八日の日韓合意、両国政府が日韓合意の中身をしっかりと誠実に履行することが大事でありますが、今の状況、韓国政府において、韓国の国民の皆さんに対する説明あるいは説得努力に今努めている段階であります。

 ぜひ、こうした韓国政府の努力、我が国としましてもしっかり見守っていきたいと存じます。そして、その上で、我が国としての果たすべき合意の中身、しっかりと履行していきたいと考えます。

丸山委員 合意の中身を誠実に履行することが大事だという認識はもちろん持ってくださっていて、そしてタイミングとしても、あの合意からまだ半年たっていない段階で、早急にというのが我々国民としても願うところでございますが、しかし、大臣がおっしゃるような、今の段階では、まだ韓国政府は韓国内で説得に当たっている、理解を進めるように努力しているというタイミングとしては、早くしてほしいんですが、しかし、半年たっていない中で、理解され得るところかなというふうに思いますので、今の段階ではその御答弁で構いませんし、しっかり外交交渉をしていただきたいんです。

 しかし、これがまた数カ月後も、また一年後も二年後も三年後も同じ御答弁だったら、それはそれで困りますので、具体的に、その先、履行されない場合にどうされていくのかというのは、今の段階で恐らく具体的なお答えはいただけないとは思います。しかし、それを考えて、練っていただけるように。特に、政権がかわると、もしくは今、韓国は総選挙をされているんですかね、選挙情勢でいろいろ変わると思いますので、そういった意味で、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 今の段階では今の御答弁だということは、理解いたしました。

 次に、一般なのでもう少しいろいろ伺っていきたいんですけれども、ウクライナの大統領が今度、五日から七日の日程で訪日されるということでございますけれども、ロシアとの関係で非常に重要な国の一つだと思います。ロシアに総理、外務大臣もかな、訪問されるという話も出ていますけれども、ウクライナとの関係、特に対ロ関係での位置づけ、どういうふうに考えていて、どういうお話をされる予定か、お伺いできますでしょうか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナの大統領が訪日した際の話し合いののことでございますけれども、これから行われます首脳間の議論につきまして詳細を予断することは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、来る日・ウクライナ首脳会談では、五月のG7伊勢志摩サミットを見据えまして、ウクライナ情勢につきまして真剣かつ率直な意見交換を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 その中で、我が国といたしましては、G7の議長国として、我が国がウクライナ情勢の平和的解決に関与し、ウクライナの国内改革を引き続き後押ししていくとの決意と姿勢を示していくことを考えているところでございます。さらに、二国間関係や国際場裏におけます協力等についても幅広く意見交換することを予定しておるところでございます。

 ウクライナ情勢は国際社会の秩序と安定に大きな影響を与える問題であるというふうに認識をしております。同時に、ロシアとの関係につきましては、首脳レベルを初めとして、今後とも政治対話を活発に行っていくことで一致しておりまして、引き続き、対話を積み重ねながら、我が国としてロシアとの関係を我が国の国益に資するよう進めていく考えでございます。

丸山委員 このタイミングでウクライナの大統領が来られるというのは、非常に政治的なメッセージもあるなと思います。米国との関係、そしてロシアとの関係、G7を控える中で来られるということに、非常にメッセージ性もあると思います。

 これをお聞きしても、お答えいただくことはできないと思いますが、しかし、非常に大事な機会だと思いますので、しっかり、二国間関係もそうですけれども、日ロの関係、日米の関係も含めて、国益にかなうような会談にしていただきますようにお願い申し上げます。

 そういう意味で、大臣、御地元の広島にアメリカの大統領が来られるんじゃないかみたいな、これは報道ベースなんですけれども、話があるんですけれども、また、広島宣言という形で宣言もお出しになるんじゃないかというふうに聞いているんですが、このあたり、出されるとしたらどういったものになって、その意味づけ、特に広島は御地元でもいらっしゃると思いますし、非常に思いも深いものを大臣はお持ちだと思うんですけれども、このあたりのお話を大臣に直接お伺いしたいんです。

 この広島宣言、米大統領の訪問も含めまして、御見解をお伺いできますでしょうか。

岸田国務大臣 四月の十日、十一日に予定されておりますG7広島外相会談におきましては、まず、外相会談でありますので、テロ対策、暴力的過激主義、あるいは難民問題、中東、ウクライナなど、各国の大きな関心事についてしっかり議論しなければなりませんが、初めて広島という被爆地でG7外相会談が開かれます。やはりこの機会に、軍縮・不拡散につきましても強いメッセージを出したいと考えています。

 そして、軍縮・不拡散の議論においては、昨年、五年ぶりにNPT運用検討会議が開かれたわけですが、それ以外にも、国連総会の議論等を見ておりますときに、今、国際的に核兵器のない世界をつくろうという機運がしぼんでいる。特に、核兵器国と非核兵器国の対立はまことに深刻であるという強い危機感を持っています。あわせて、年明け、北朝鮮が核実験を強行するなど、こうした行為は国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦でもあると考えています。こういった状況を見るときに、核軍縮・不拡散に対する取り組み、大変強い危機感を感じるところであります。

 こういった核兵器国と非核兵器国の対立が深刻だと言われているときに、核兵器国と非核兵器国の双方の有力国の外務大臣が被爆地に集まるわけです。そして、この枠組みから、核軍縮・不拡散に向けて強いメッセージを発することができれば、今国際的にしぼんでいる核兵器のない世界に向けての機運を再び盛り上げることができるのではないか。こうした、広島から反転攻勢を行って、世界に向けて、核兵器をなくしていこうという取り組みを再稼働できるのではないか。

 こういったことから、外相会談においては、さまざまな重要な国際的な課題についてもしっかりメッセージを出したいと思いますが、ぜひ、あわせて、広島宣言という独自の文書を発出して、世界に向けてメッセージを発出していきたい、このように考え、今調整をしているところであります。内容については引き続き調整をしていますが、ぜひ、今言った思いが伝わるような、簡潔な、明瞭な、そして力強いメッセージにしたいと考えています。

丸山委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、本当は、それに関連して、サウスカロライナ州の知事が東海村を出たプルトニウム輸送船を拒否しているんじゃないかという報道がある関係、非常に外交上重要だと思うんですけれども、その話をしたかったんですが、しかし、ジャパン・ハウスの件が長くなりましたので、予想以上に時間をとってしまって、これで終わらせていただきます。

 ジャパン・ハウスの件、しっかりと御回答いただけますようお願い申し上げまして、私の質疑を終えます。ありがとうございました。

岸委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。

 きょうは、国際情勢に関する件、一般質疑ですが、キューバとの外交について十分間質問をさせていただきたいと思います。

 さて、キューバについて、私たちも、実は外務委員会で、昨年の十月にキューバを訪問させていただきました。その際にも、私は個人的な感想として、一九七〇年代の沖縄とよく似ているなというふうに思いました。聞いたところによると、緯度からすると沖縄県の竹富町とほぼ同じではないかという話ですが、ハリケーンが多い土地柄で、建物はブロック、コンクリートでつくられ、淡いピンクや水色などのペンキが塗られ、そして植栽も、例えばハイビスカスですとかブーゲンビリア、それからクロトンという、私たちが沖縄でよく見かける植物もたくさんありました。

 そういうことから考えると、やはりこれからますます中米地域でのキューバの占めるポジションは高くなってくるのではないかなというふうに思いまして、きょうは、昨年大臣も訪問なさったキューバについての質問をさせていただきたいと思います。

 キューバは、人口は二〇一四年時点で一千百二十六万人、面積は日本の本州の約半分ぐらいですが、社会主義国家で、主な産業は観光、砂糖、たばこ、魚介類などの農林水産、そして石油、ニッケルほかの鉱業製品などが主な輸出産業です。そして、高い医療技術も持っておりまして、それをまた諸外国とのさまざまな貿易といいますか取引に充てているということです。

 日本からは、無償資金協力が二〇一三年までの累計で二十二・五億円、それから技術協力の実績は、二〇一三年までの累計で、これはJICAの経費実績ベースで約五十三・七億円。在留邦人が二〇一四年十月現在で九十一名、日系人が一世から五世まで含めて一千百名余りということです。

 この三月、アメリカ合衆国のオバマ大統領が、現職のアメリカ合衆国大統領として八十八年ぶりにキューバを訪れています。昨年七月に五十四年ぶりに国交を回復した両国の新たな関係を開いていくということになりますが、まず、この八十八年ぶりのオバマ大統領の訪問について、外務大臣の所見をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、オバマ大統領は、三月の二十日から二十二日にかけて、米国大統領としては八十八年ぶりの訪問を行われました。ラウル・カストロ国家評議会議長との間において首脳会談が行われ、また、一般の国民に対しても演説を行われたと承知をしております。

 こうした米国とキューバの間の外交関係が再開される、両国の関係が改善される、このことは中南米地域全体の安定的発展にも資するものであると考えており、我が国としましては、こうした取り組みを歓迎しております。ぜひ、両国のさらなる関係の進展によって、中南米地域の一層の繁栄と安定、こういったことが実現することを期待したいと考えます。

玉城委員 この八十八年ぶりのアメリカ合衆国大統領の訪問なんですが、その際に、オバマ大統領からは、例えば言論や宗教の自由を含む人権について、しっかりとオープンにしていただきたいということが求められた。他方で、一九〇三年から永久租借をしているグアンタナモ米軍基地、わけても、その中でアフガニスタン、イラクで拘束された対テロ戦闘の捕虜の収容所、キャンプがありますグアンタナモ米軍基地について、ラウル・カストロ国家評議会議長からは、それを早期に返還するよう要求されています。

 オバマ大統領は、御自身の大統領選挙のときにもこのグアンタナモ米軍基地を閉鎖するというふうなことも掲げていたこともあり、このことが改めて今回の訪問を契機に、アメリカとキューバでの進展の中で、ぜひこのグアンタナモは返してくれというふうなことも挙げられています。

 こういう両国が抱えている問題について、やはりまだ溝は簡単には浅くならないのではないかと思うわけですが、大臣の見解はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 最近の米国とキューバの関係ですが、外交関係を再開する、さらには、米国による対キューバ経済制裁の一部緩和、テロ支援国家としての指定を解除する、そして御指摘のオバマ大統領の訪問もありました。着実に関係は改善していると認識をしています。

 ただ一方で、経済制裁も、一部緩和されていますが、制裁は一部残されて継続しています。そして、人権問題に関する両国の立場の違いも存在いたします。解決すべき課題、懸案、これも多く存在していると認識をいたします。

 第三国間の個別的な懸案についてコメントするのは控えますが、両国の関係は、先ほど申し上げましたように、中南米地域全体の平和や安定にもつながります。ぜひ関係の進展は期待したいと考えます。

玉城委員 では、大臣が直接キューバを訪問なさった件についてお伺いしたいと思います。

 昨年四月から五月にかけて岸田外務大臣もキューバを訪れていらっしゃいますが、一六一三年の慶長遣欧使節団、支倉使節団の来訪から四百年余りということで、実は日本とは長い歴史を持っている国の一つでもあります。私たちも委員会で視察をさせていただいたときには、日系人の皆さんの御先祖が眠る墓園を参拝させていただきましたし、また、旧市街地には、支倉常長の銅像のある公園なども訪問させていただきました。

 この歴史的な経緯を踏まえた我が国とキューバとの親善関係について、大臣からの見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、一昨年が日本・キューバ交流四百周年でありました。支倉常長一行、慶長の遣欧使節団がキューバに上陸してから、一昨年が四百年目ということでありました。また、一九七〇年代、日本はキューバにとって二番目の貿易相手国でありました。両国の間には、こうした歴史的な友好関係が維持されています。

 私も昨年、日本の外務大臣として初めてキューバを訪問させていただきました。ロドリゲス外相はもちろんですが、ラウル・カストロ国家評議会議長、フィデル・カストロ前議長とも会談させていただきましたし、企業関係者の皆様方にも同行していただきました。企業の皆さんとともに、カブリサス国家評議会副議長とも会談をさせていただきました。

 そして、その会談において、本格的な無償資金協力の開始を表明し、そして二国間経済関係強化のための官民合同会議を立ち上げ、そして日・キューバ国連対話の立ち上げについても提案を行い、合意に至りました。

 ぜひ、こうした二国間関係を新たな段階に引き上げていきたいと考えています。

 先ほど委員の方から、医療においてもキューバが大変進んでいるという御指摘がありました。キューバは、医療関係者を多く海外に派遣することによって外交を進め、国際社会において大変大きな発言力を確保する、こういった外交を進めています。国際場裏においてもキューバは大きな存在を持っていると認識をしています。

 ぜひ、こういった関係を進めたいと思っております。

玉城委員 時間になりましたので、最後に短く一点だけ、お伺いさせていただきたいと思います。

 先ほど大臣からもありました、これからはカリブ諸国及び中南米諸国との関係をさらに深めていきたいということなんですが、ところが、二〇一六年版の外交青書を見てみますと、この中南米の記述が、非常にページが少ないというふうに思います。

 しかし、例えば、銅の鉱石の輸入は中南米から四二%、リチウムが中南米から四八%、それからモリブデンは中南米二四%、銀が中南米四三%などなど、我が国にとっても非常に大事な地域がこの中南米地域だというふうに思っております。

 最後に一点……

岸委員長 玉城君、時間が過ぎておりますので、おまとめください。

玉城委員 はい。

 この関係の進展について、ぜひ答弁をいただきたいと思います。

岸委員長 簡潔に。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中南米は極めて重要な地域でございまして、二〇一四年の安倍総理の中南米訪問時に、ともに発展、ともに主導、ともに啓発という三つの理念を発表されまして、私どもは、それに基づきまして、御指摘の資源を含む経済関係の強化、グローバルな課題解決に向けた協力、現地で非常に活躍をされている日系人の皆様方との連携の強化等さまざまな交流、それから日本の魅力の発信といったことを中心に、中南米諸国との関係強化を進めております。

 ぜひ、これからも頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

玉城委員 時間ですので、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

岸委員長 次に、第百八十九回国会提出、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、今国会提出、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十五年六月以来、イラン政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十七年一月に、東京において私が、及びテヘランにおいて先方法務大臣が、この条約の署名を行った次第であります。

 この条約は、我が国とイランとの間で、相手国の裁判所が刑を言い渡した自国民受刑者等について、一定の条件を満たす場合に、その本国に移送する手続等を定めております。

 この条約の締結は、両国の受刑者の更生及び社会復帰の促進とともに、刑事分野における二国間協力の進展に資するものと期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とオマーン国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十五年二月以来、オマーン政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十七年六月に東京において、我が方外務副大臣と先方駐日オマーン大使との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、主に、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護を定めております。

 この協定の締結は、我が国とオマーンとの間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十七年九月以来、イラン政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十八年二月に東京において、私と先方経済財務大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、先ほどのオマーンとの間の協定と同様、主に、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護を定めております。

 この協定の締結は、我が国とイランとの間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

岸委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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