衆議院

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第7号 平成19年3月28日(水曜日)

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平成十九年三月二十八日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 西川 公也君

   理事 岩永 峯一君 理事 金子 恭之君

   理事 谷川 弥一君 理事 並木 正芳君

   理事 篠原  孝君 理事 松木 謙公君

   理事 西  博義君

      赤城 徳彦君    伊藤 忠彦君

      小里 泰弘君    小野 次郎君

      大塚  拓君    岡本 芳郎君

      木原 誠二君    北村 茂男君

      斉藤斗志二君    鈴木 馨祐君

      関  芳弘君    中川 泰宏君

      中森ふくよ君    永岡 桂子君

      丹羽 秀樹君    鳩山 邦夫君

      広津 素子君    福井  照君

      福田 良彦君    古川 禎久君

      御法川信英君    森山  裕君

      渡部  篤君    岡本 充功君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      高山 智司君    仲野 博子君

      福田 昭夫君    山田 正彦君

      横山 北斗君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   農林水産大臣政務官    永岡 桂子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (林野庁長官)      辻  健治君

   政府参考人

   (水産庁長官)      白須 敏朗君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     木原 誠二君

  飯島 夕雁君     中森ふくよ君

  今津  寛君     大塚  拓君

  黄川田 徹君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     今津  寛君

  木原 誠二君     鈴木 馨祐君

  中森ふくよ君     関  芳弘君

  横山 北斗君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     赤澤 亮正君

  関  芳弘君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

三月二十八日

 漁港漁場整備法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長高橋博君、農村振興局長中條康朗君、林野庁長官辻健治君、水産庁長官白須敏朗君、厚生労働省大臣官房審議官宮坂亘君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本芳郎君。

岡本(芳)委員 おはようございます。自由民主党の岡本芳郎でございます。

 質問に入る前に、先日起きました能登半島地震で亡くなられました方の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。まだ余震が続いておりますようですので、注意のほどいただきたいと思います。

 さて、本日は、先ほど提案がありました農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案、いわゆる農山漁村活性化法案について質問いたしたいと思います。

 まず、安倍総理は施政方針演説で、地方の活力なくして国の活力なしとおっしゃっておられるわけでございますが、まさにそのとおりでありまして、地方の活性化、とりわけ農山漁村の活性化は焦眉の課題であります。

 豊かな国ほど、農山漁村は美しく豊かであります。また、農村が疲弊して美しい国はあり得ない、これは当然のことでございます。このような観点から、本法案が今国会に提出されたことはまさに時宜を得たものと考えております。

 そこで、改めまして、本法案を提出した意義について、大臣より御説明をお願いいたしたいと思います。

松岡国務大臣 岡本先生にお答えいたします。

 先生御指摘のとおりでございまして、地方の活力なくして国の活力なし、これは安倍総理の基本認識でございますが、私どもも全くそのように思っております。

 農山漁村につきましては、過疎化、高齢化の進展等によりまして、今後ともに急激に人口減少が進むと見込まれておるわけでございますが、そういう状況で、非常に厳しい状況に置かれている一方、従来の手法で農山漁村の活性化を図ることについては限界がある、このように認識をいたしております。

 そういった中で、農山漁村の活性化を図っていきますためには、都市住民の農山漁村への関心の高まり、こういった社会経済情勢の変化もございますし、特に二〇〇七年からは団塊の世代の方々の定年退職が始まる、こういう節目といいますか、そういう状況もございます。こういったことを踏まえまして、農山漁村における居住者、滞在者をふやす、こういう新たな視点からの対策を総合的に推進することが必要である、このように認識をいたしているところでございます。

 そのため、地域が行いますいろいろな取り組みにつきまして、交付金の交付や事業用地の円滑な確保等の法律上の特例措置をもって総合的に支援する仕組みをつくる必要がある、このような観点に立ちまして新しく立法をお願い申し上げる、これが今回の農山漁村活性化法案を提出させていただいた基本的な意義でございます。

岡本(芳)委員 ありがとうございました。

 ただいま大臣より、農山漁村の厳しい現状についての認識を示していただいたわけでございますが、実際問題としてどの程度農山漁村が厳しいのか、具体的に都市と農村と比較してお答え願いたいと思います。

山本(拓)副大臣 岡本先生には、農林省のOBとして大変御尽力をされておりまして、私もかつて地方議員として大変お世話になったことを覚えております。この場をおかりしましてお礼を申し上げます。

 そこで、現状でございますが、農山漁村については、若年人口の都市への流出や農家の減少等により、二〇〇〇年農林業センサスによれば、農家の六十五歳以上の高齢者割合が二八・六%と全国平均に比べ一〇%以上も高くなるなど、過疎化、高齢化が進展し、今後、人口減少がさらに進むと見込まれております。

 また、このほか、農山漁村などの、中枢・中核都市圏から一時間圏外の地方圏において、二〇二五年には、人口が一六%以上の大幅な減少を示すという試算もございます。

 平成十五年版公共施設状況調によれば、平成十五年に大都市部の下水道普及率が九八%であるのに対し、農山漁村などの町村部では三七・七%と大きく立ちおくれている現状でございます。このような社会資本整備状況について、大都市部と農山漁村の町村部とではまだまだ大きな格差があるのが現状と認識いたしております。

岡本(芳)委員 今、厳しい状況の説明があったわけでございますが、一方で、明るい話題として、都市住民の農山漁村に対する関心の高まりといった動きがあることも先ほど話がありました。

 そこで、ことしより定年退職の始まる団塊の世代の方々がどのように考えているか。この方々は豊富な社会経験や能力を持っており、さらに、農山漁村にとって、来ていただけるなら新しい大きな力になるのではないかと期待しております。

 私は、この団塊の世代の方々が農山漁村に対してどのようなイメージや期待を持っているのかといった面を把握して対策を考えなければならないと思っております。

 団塊の世代の農山漁村に対する意識について御説明願いたいと思います。

山本(拓)副大臣 今ほど先生の御指摘のとおりでございまして、数字的には、昨年二月に内閣府が公表いたしました都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査によれば、都市と農山漁村を行き交う新たなライフスタイルへの関心や、都市と農山漁村の間の二地域居住の願望、農山漁村への定住の願望が、特に団塊世代を含む五十代で高くなっております。

 具体的には、都市と農山漁村を行き交う新たなライフスタイルへの関心について、関心があると回答された方が、平均で五二%であるのに対し、団塊の世代を含む五十代では六〇%となっており、また、二地域居住の願望を有する者が、平均で三八%であるのに対し、五十代では四六%、定住の願望を有する者が、平均で二一%であるのに対し、五十代では二九%となっております。

 このような結果とともに、本年から団塊の世代の一部が定年退職期に入ったということで、約七百万人とも言われる団塊世代の農山漁村に対する関心は、なお一層高まっていると考えております。

岡本(芳)委員 それでは、法案の内容について質疑に入らせていただきます。

 今までの質疑にあったように、農山漁村の厳しい状況の打開には、やはり団塊の世代の活力が必要であると思います。そのための施策を講ずることが本法案の目的であると思っておりますが、この目的達成のためにはどのような制度設計となるのか、本案のポイントについて御説明願いたいと思います。

松岡国務大臣 岡本先生は、もともと農村整備、農村振興政策、それの一番トップに、政策のトップにおられたわけで、非常にお詳しいわけでありますが、あえてそのポイントについて申し上げさせていただきますと、農山漁村活性化法案につきましては、農山漁村の厳しい現状、また一方で、団塊の世代等の農山漁村に対する関心の高まりといったことを踏まえまして、農山漁村における定住等及び農山漁村と都市との地域間交流、いわゆる定住と滞在、こういった観点から、その促進による農山漁村の活性化を図っていく、そのために必要な措置を講じる、これを基本にいたしております。

 具体的には、国の基本方針に基づきまして地方公共団体が農山漁村の活性化に関する計画を作成する、そして計画に基づき実施する事業に対して交付金を交付する、そういう仕組みを創設する、そしてあわせまして、事業用地の確保や市民農園の設置など関連する手続の円滑化を図る、こういう制度設計をもって主な内容としているところでございます。

岡本(芳)委員 ただいまの説明では、地方公共団体が作成した計画に基づき行う事業について交付金を交付する、こういうことが大きなポイントであるということでございますが、しかし、これは普通の補助事業とも同じような体系をとっておるものでありますから、何でわざわざ法律上の制度として活性化計画を作成するのか、そういった点について、その意義を御説明願いたいと思います。

福井大臣政務官 実は、昨年から本省に農山漁村活性化推進本部というものができてございます。そして、昨年、農山漁村活性化戦略を取りまとめた次第でございますけれども、その議論の際に、既に活性化に成功している地域について、どのような共通事項があるのかについて議論を行ったわけでございます。

 この中で、地域活性化に成功している地域では、地域自身が自分で活性化計画を立てているということでございました。すなわち、地域自身が議論を重ねて、具体的な取り組み方針を決定して、そして地域の関係者全員がまとまってその方針に沿って活動を行っているということでございました。このことが共通事項という知見を得たわけでございます。

 したがって、私としても、地域が成功するためには、地域自身がみずから考えみずから行動するということを基本にする必要があるというふうに考えている次第でございます。それが農山漁村活性化推進本部の結論であり、戦略の肝であろうというふうに結論づけたわけでございます。

 したがって、今回の法律でも、地方自治体が地域の農林漁業団体やNPO法人などの意見を取り入れながら、地域の総意を取りまとめる、そして活性化のための計画を立てる、立案をするということによりまして、この地域の地域戦略を立てて体制を整備する、そして実行をしっかり行うということを意図したので、今御質問にございました、岡本先生御指摘の、地方自治体が活性化計画を作成するということにしたわけでございます。

 以上でございます。

岡本(芳)委員 地域の自主的な戦略を練って取り組む、これがやはり最も大切なことだと私も思います。

 徳島の上勝町の彩などは最たる例ではないかというふうに思うところでございますが、やはり戦略づくりにあっては、市町村は当然でございます、さらに加えて、関係する農林漁業団体あるいはNPO法人、とりわけ私は女性のグループ、これの活用、あるいは意見を出していただくとか、参加していただく、これが本当に大切ではないかと思っております。やはり、活性化の定着あるいは加速、これには女性の力が大きな影響を及ぼすと思いますが、そういった点も含めましてどのように工夫されるのか、御説明願いたいと思います。

中條政府参考人 本法案の市町村の役割、あるいはNPO法人、女性グループ等の団体の役割についての御質問でございます。

 まず、市町村の役割についてでございますけれども、今ほど福井政務官の方から話がございましたように、活性化計画の作成、実施に当たりましては、地域がみずから考え行動することを基本としつつ、戦略的に取り組む必要があろうかというふうに考えております。

 この戦略的取り組みを実施するに当たりましては、地域の実情に精通しました市町村の果たす役割というものが、御指摘のとおり非常に重要であるかというふうに考えております。

 したがいまして、この法案に基づく交付金につきましては、市町村が計画作成し、国に直接交付申請を行うことができる仕組みとしているところでございます。

 市町村のこういう役割につきましては、活性化計画の作成に主体的にかかわっていただくとともに、地域で実施されております事業が整合性を持って実施され、地域の調整役として機能することも期待しているところでございます。

 そしてまた、NPO法人、女性グループ等の団体についてでございます。

 農山漁村の活性化のためには、地域の個性それからやる気、こういったところを重視することが重要でございまして、地域の多様な主体の積極的な参画を促しまして、これらが持っております斬新なアイデアを生かしていくことが必要というふうに考えております。

 そういうことから、この法案におきましては、NPO法人等の民間団体が行う取り組みも新たな交付金による支援の対象としているところに加えまして、これらの民間団体が、みずから定住それから地域間交流の促進に寄与する事業等を実施しようとする場合には、地方公共団体に対しまして、計画作成の提案をすることができるといった制度も盛り込んでいるところでございます。

 さらに、活性化計画作成に当たりましても、地域の女性グループ等の住民の意見をできるだけ尊重するように、これらの点の周知徹底を図ってまいりたい、このように考えております。

岡本(芳)委員 次に、実施に当たっての具体的内容についてお伺いいたしたいと思います。

 まず、農山漁村の活性化には、単に農林水産業の振興だけではなく、地域の人、物、自然、文化、伝統、こういったものを活用することが重要であると思っております。

 農林水産業の振興については、従来より幅広くいろいろな事業を実施しておることに加えて、十九年度からは例の品目横断的経営安定対策とか、あるいは農地、水、環境保全向上対策等でさらに強化されていくところでございますが、今回の交付金に当たっては、農林漁業振興のために使うよりも、むしろ、先ほども申し上げました人とか物、あるいは自然、文化、伝統、こういったものに活用することにした方がより効率が高いと思いますが、いかがでございましょうか。

中條政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、農山漁村につきましては、過疎化、高齢化の進展、生活環境面における都市との格差の存在等、厳しい状況にある一方で、豊かな自然、文化、歴史を大切にするよき伝統などを代々守り伝えてきていることから、これらの地域資源を活用して、農山漁村の活性化を図ることが重要であると考えております。

 このために、本交付金では、地域の実情に応じまして創意工夫を生かせますように、今までにない形で、農、林、水の事業が一つの計画で一体的かつ弾力的に実施できること、そして市町村への直接補助が可能となりまして市町村の主体性が生かせること、さらには、御指摘の伝統家屋の修繕あるいは地域にあります屋敷林の保全、こういったものを図るといった事業内容としまして、地域提案メニューの採用ができることなどの特徴を持っておりまして、従来にも増して地域にとって使いやすい、効率的な事業の仕組みとしているところでございます。

岡本(芳)委員 ぜひ予算の執行に当たりましては、自由度を高めて柔軟な執行ができるように要望しておきます。

 また、新規定住者が農山漁村に来られて、住んで、住みやすくしていくためには、やはり就業対策、これは農林水産業だけではなくて、ほかの就業方法はないのかとか、あるいは住宅対策ですね、特に空き家の活用であるとか、あるいは新しい宅地、あるいは公営住宅等といったことも検討しなければならない。

 さらに、土地利用面においても耕作放棄地をどういうふうに使うか、これを単に農地だけにするのか、農地転用して宅地にも使わせるのかとか、あるいは、新規定住者に対する農地を、大規模ではなくて小さな、一反でも五畝でも農地を分譲してあげるとか、そういったことも考えるべきだと思っております。

 さらに、税制面でもいろいろ考慮できるのではないか。固定資産税の優遇等いろいろあるわけでございますが、そういったこともあわせて考えていくべきだと思います。

 これらの対策については、この場でいろいろ議論するわけにはまいりませんが、まず、農林水産業への就業支援対策についてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 農山漁村への新規就業ということにつきましては、今委員御指摘がございましたように、さまざまな職種、職業環境もあるわけでございますけれども、私どもが所管しております農林水産業への新規就業という関係でございましては、特にさまざまな世代の方が農林水産業、農山漁村への定住という形で行われておりますが、いろいろな経験、知識を有します団塊世代、特に今着目されておりますこのような世代、あるいは活力のある若者などが、農山漁村に定住していただきまして、活躍していただくということは、地域活性化にとってのやはり一番のキーというふうに考えているところでございます。農林水産省といたしましても、内閣の重要課題でございます再チャレンジ支援策の一環といたしましても、これら定年後の団塊世代あるいは若者などの農林漁業への就業を積極的に支援することとしているところでございます。

 具体的には、人生二毛作などを啓発いたしますキャンペーン、このようなキャンペーンを実施するとともに、団塊世代の方々あるいは若者の方々が農林水産業の経験がなくても農林漁業に円滑に就業ができるように、例えば農業分野におきましては、新規就農センターにおけます相談活動、あるいは、道府県の農業大学校におけます技術、経営の研修、さらには、就農の際の経営開始に必要な機械、施設購入のための無利子資金の貸し付け、農地情報の提供でございますとかあっせん、さらに就農後の経営安定のための普及組織によりますきめ細かな技術指導。

 林業分野では、相談窓口の設置でございますとか、施業技術の情報提供及び研修等によりますUターン森林所有者への支援、さらに、緑の雇用対策事業によります就業相談会の実施なり、あるいは技能、技術を付与するための実地研修。

 さらに、漁業分野におきましては、全国漁業就業者確保育成センターによります就業情報の提供あるいは就業相談、漁業チャレンジ準備講習ですとか漁業の就業支援フェアの開催でございますとか、漁業現場での研修の実施、さらには、沿岸漁業を開始する際の無利子資金の貸し付けなど、就業を希望される方々が、そもそも情報収集でございますとか就業相談する段階から、実際に農村現場に行きまして、就業、そして定着するまでの各段階に応じました対策をきめ細かに行ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(芳)委員 さまざまなことを考えておられて結構なことでございますが、農業への新規参入ということは非常に容易ではないんですね。私は難しいと思っております。

 私も過去には家庭菜園等を随分やったわけでございますが、とてもじゃないですけれども、売れるような立派なものはほとんどできません。ただ、トマトなんかは完熟でとって食べますから、おいしいものができる。しかし、売り物にはならない。これは当然でございます。

 農家の人に聞いてみましても、農業というのは、一般的に一品種一年一作なんですね。したがって、技術の取得には大変な時間がかかるんです。一年かけてできるようなものではないんですね。さらに、肥料や農薬、これも農地なり作物の状況を見ながらやらなきゃいけない。これは見る目が必要になってくるわけですね。そういったことも単純にはなかなか達せられないということ等々あるわけでございます。言いたいことは、極めて技術の高い職業であるということでございます。

 したがって、新規参入者に対しては、まず、小さな農地を取得していただいて、大規模な家庭菜園程度から始めていただいて、技術を磨いていただく。その間は農産物の加工等の仕事に従事していただく。自信ができてから農業に本格的に入っていっていただく。こういった段階的なことも考えるべきだと思っております。

 また、最初小さな農地を分け与えてやれということは、これはやはり農業に愛情を持たせるためには自分の土地が必要なんですね。そういうことを考慮してやっていただきたいと思いますし、小さな農地を分け与えておくと逃げないんですね。あきらめてさっといなくなる、こういったことも避けられる等々、いろいろあるわけでございますので、農地の小規模な分譲等についてもぜひ検討していただきたいと思います。

 また、林業は、これまた農業に加えて大変技術が必要でありますし、さらに難しいのは、危険であるとかきついとか、こういった面もございます。したがって、高齢者の方々には恐らく無理であろうというふうにも思うわけでございます。

 いずれにしましても、新規参入者に対して、温かくいろいろな面で面倒を見るようなことをお願いいたしたいと思います。

 最後に、先ほどいろいろ御指摘させていただきましたが、いわゆる住宅対策だとか就業対策、いろいろあります。こういったいろいろなハードルを越えていくためには、やはりいろいろな各省、内閣府だとか財務省、あるいは総務省、国交省、経産省等と連携が必要になると思いますが、こういう点と、さらに、大臣の農山漁村活性化に対する熱意のほどをお聞かせ願って、私の質問を終わりたいと思います。

松岡国務大臣 先生が今御指摘になりましたように、全体として、トータルとして、農林水産省だけでなく、どのように体系的に取り組んでいくのか、これが一番重要だと思っております。

 そういう中で、農山漁村の活性化に向けましては、今回の法案に基づく農山漁村の居住者や滞在者をとにかく増加させる、そういう措置とあわせまして、今先生は関係各省とどういう連携をとっていくのかというお尋ねでございますが、例えば地域産業活性化、そのための法案が今準備をされているといいますか出されていると思います。これは経済産業省が取り組んでおられるわけでありまして、それによって地域産業の活性化を図る。また、もう一つには、地域雇用開発促進法、この改正を今厚生労働省の方でお取り組みをいただいておる。

 こういうことでございまして、そういった地域産業の活性化や雇用の改善など、関係府省所管の法律案に基づく措置を地域全体、一体的に講じることによりまして、地域活性化に向けた相乗効果が発揮されるところと期待いたしているところでございます。

 このような観点から、本法案につきましては、政府全体で取りまとめた地域活性化政策体系においても、五つの視点のうち、交流に関する政策として位置づけておりまして、関係府省の地域活性化関連措置と相互に役割分担、連携を図りながら、農山漁村の活性化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

 私といたしましても、委員がおっしゃいましたように、地方の活力なくして国の活力なしの認識のもとに、国民共有の財産とも言える農山漁村が、その持ち味を十二分に発揮するための地域独自の取り組みを積極的に応援し、農山漁村の活性化に向けて取り組んでまいりたいと思っていますし、一番最初、冒頭に岡本先生が御指摘ございましたように、まさに農は国の基でございますから、そういう思いをしっかり持って、この法案をもとにして、そして、農山漁村の活性化に向けて全力を尽くして取り組んでまいりたい、このように思っております。

岡本(芳)委員 ありがとうございました。

 最後に要望しておきたいのですが、今、県とか市町村には銭がないんですね。非常に財政が厳しくて、仕事をしようにもできないような状況が続いております。ぜひ地方交付税等の裏打ちを、農林省としても、総務省とかけ合って、頑張っていただきたいと思いますので、その点を要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、渡部篤君。

渡部(篤)委員 自由民主党の渡部篤であります。

 農山漁村活性化法案について質問をいたします。

 松岡大臣がこの法案を説明しているとき、私は、聞いていて、ああ、これは十九世紀のハワードの田園都市、あるいは大平正芳内閣のときの田園都市構想の「都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力を」、ああいう考えがあるのかなと感銘をいたしました。ただ、農林水産省は、農山漁村の活性化のためにさまざま政策を講じてきましたが、まず、これまでの成果あるいは評価を大臣にお伺いいたします。

松岡国務大臣 今渡部先生が冒頭御発言いただきましたような、そのような思いでこの法案の趣旨を受けとめていただきましたことに、まずありがたくお礼を申し上げたいと存じます。

 都市と農山漁村の共生・対流、こういったことにつきましては、都市住民にゆとりや安らぎのある生活をもたらすとともに、地域の伝統、文化の保全、こういったことを含めまして、農山漁村地域の活性化を進めていく上で、大きな意義がある、このように考えております。

 このため、私ども政府といたしましては、食料・農業・農村基本計画の中で、共生・対流の推進を農村振興の重要な施策として位置づけましたほかに、内閣官房副長官及び関係八府省の副大臣から成るプロジェクトチームを設置いたしまして、農林漁家民宿の規制緩和、それから都市住民への情報発信など、関係省で連携して取り組みを進めてきたところでございます。

 このような取り組みを通じまして、ここ数年で、農林漁家民宿の新規開業件数が増加をいたしてまいりました。その中身といたしましては、平成十五年には百十五件でありましたのが、平成十七年には二百七十一件、まさに二・五倍、そういったような形の伸びを示してまいりましたほかに、共生・対流の先進的な取り組み事例で、地域の活性化の効果が明確になってきたことなど、その効果が徐々にあらわれてきていると考えております。

 都市住民の農山漁村に対する関心と願望は大きいものがございまして、共生・対流を一層推進していくことが必要であることから、農林漁業体験を提供できる研修施設や滞在型市民農園などといった農山漁村側の受け入れ体制づくりを今後とも、この法案をもとにいたしまして、積極的に図っていくことが必要である、このように認識をいたしているところでございます。

渡部(篤)委員 柳田国男は、昭和四年に、結いあるいは手間がえであるとか、あるいは集落の共同体で内発的に農村を活性化したいということを言っています。

 私は、やはりこの法案でも、そういうみずからの地域がみずからのコミュニティーを通じて農山漁村の活性化をするということも考えていただきたいと思います。

 平成十八年十一月二十四日、農山漁村の活性化戦略をつくられましたが、これはどのような観点でつくられたのか、また、取りまとめに当たって、地域の意見をどう反映されたのか、お伺いいたします。

福井大臣政務官 お答えいたします。

 冒頭、渡部先生、田園都市構想をおっしゃいましたし、今柳田国男をおっしゃいました。まさに、私も今農水省でお世話になりまして目うろこだったのは、二宮尊徳、柳田国男、日本の思想史の大金字塔であるということで、日本の経営の根幹は村落共同体の経営思想にある、農村経営の思想にあるというのを勉強させていただいて、まことに今、先生がこれから日本の思想史、千年後の思想史の大金字塔になることを目指していらっしゃるんだなということを心に刻ませていただいて、お答えをさせていただきたいと思います。

 今御指摘ありました農山漁村活性化推進本部におきまして、不肖私、本部長をさせていただいて、まず申し上げておいたことは、現場が一番大事である、現場の情報しか信用しないんだ、とにかく現場第一主義でやろうということで議論を重ねてまいりました。今御指摘ありましたように、地域コミュニティー、地域地域でどのようなことで困っておられるかということで議論しようということでございました。

 そこで、農水省が今まで蓄積しておりましたこの地域の成功事例、これをもとに、活性化のポイントや当省が支援可能な具体的な手法、施策を九つの戦略として取りまとめてきたことでございます。

 その後、地域の自発的な動きを支援するために、この二月一日に地域の相談に応じる支援窓口を各地方農政局に設置いたしました。現在、市町村長や地域のNPOの皆さん方との意見交換も、その後も逐次行っている次第でございます。このように、地域の方々の意見も踏まえまして、今後、六月中旬を目途に、農山漁村活性化のための新規施策に関する中間取りまとめというものを行う予定でございます。

    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕

渡部(篤)委員 農業をやっていない人とか、あるいは官僚の人とか都会の人は、農業の活性化というとロマンチックに考える。ところが、本当に会津で農業をやっている人、私の選挙区で頑張っている人たちは、リアリズムで考えています。そのギャップの差が、まさに今の農業の活性化の大きな課題だと私は思っています。

 その活性化戦略を読ませていただきますと、内発的なものと地域外の力をかりるものとバランスがよくまとまっていると思いますが、一方で、当案は、定住、二地域居住等、地域外から人を呼び寄せることに重点が置かれていると思いますが、いかがでしょうか。

山本(拓)副大臣 先生御案内のとおり、農山漁村活性化戦略というのは、活性化のポイントや当省が支援可能な具体的な手法、施策を九つの戦略としてまとめたものでございますが、今回の法案におきましては、その九つの戦略のうち、交流戦略、そしてまた観光連携戦略、特にその二点に焦点を当てたものでございます。

 この活性化戦略では、まず、みずから考えみずから行動することを基本といたしておりますが、本法案の活性化計画もこのような考え方に基づき、地域の特徴に応じた計画策定を可能とするとともに、その自主性をより発揮させるために、市町村単位で計画を作成し、交付金の申請を国に直接行うことができる仕組みとなっているのが特徴でございます。

渡部(篤)委員 都道府県や市町村に活性化計画の策定を求めているわけでありますが、過疎地域振興計画や山村振興計画というものをつくらなければなりません。そうしてまた、交付金を交付するために、市町村に新たな計画をつくるということは、市町村に負担にならないですか。

中條政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づきます活性化計画につきましては、地域の知恵と工夫によりまして、都道府県または市町村が自主的に作成するものでございますけれども、これによりまして、先ほどから申しておりますように、農、林、水の事業を一つの計画で一体的かつ弾力的に実施すること、市町村への直接補助が可能になることなどによりまして、地域にとってメリットのあるものになると考えております。

 他方で、委員御指摘の過疎地域振興計画それから山村振興計画等につきましては、特定の地域を対象としまして、主に居住者を対象として定住条件等を確保するために、道路、病院などの基礎的あるいは社会的なインフラ整備などを総合的に記載することとしておりますけれども、今ほど申しましたように、活性化計画は、都市と農山漁村の交流を通じまして、地域の活気を取り戻しまして、地域の活性化を図ることとしておりまして、いわば双方の計画に基づく整備が図られることによりまして、相乗的な効果が期待されるものというふうに考えております。

 一方で、市町村等にとりましては、新たな計画の作成が必要になるなどの事務の煩雑化あるいは法律補助によります交付金の運用の硬直化等の懸念があることも事実でございまして、交付金の交付手続につきましては、できるだけ地域にとって負担が少なく、使い勝手のよいものになるような検討を進めているところでございます。

渡部(篤)委員 やはり、交付金をとるためにその事務的な負担が多くなるということは私はおかしいと思うので、簡素にすべきだと思っています。

 それから、この法案で、農山漁村への定住者が今後十年間で百五十万人、二地域居住者が三百万人と効果を見込んでいますが、この数字は私は厳しいなと思っています。

 地域の外から人を呼ぶ施策は、私のところの福島県も、全国的に取り組まれています。都市住民が二地域住居等に強い願望を持っていることは事実です。都市住民は持っていますが、農山漁村では居住基盤整備の財政負担や将来の高齢者負担にかかわる、そういう問題について懸念がありますが、どのようにお考えですか。

中條政府参考人 今委員が御指摘の、二地域に居住される方の推測、あるいは交流の人口につきましての推測につきましては、これは、昨年二月に内閣府が公表いたしました都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査、これの結果に基づきまして、一定の条件を置いて推定したものでございます。これによりますと、都市地域居住者の約四割に二地域居住の願望があるとなっておりますし、約二割に農山漁村地域への定住願望があるというふうに報告を受けていると承知しております。

 一方で、受け入れ側の農山漁村には、介護保険料それから医療費の地元負担の増加、住民が増加することに対する社会インフラの整備に係る負担といった懸念もあると聞いております。

 しかしながら、都市からの定住者が農村地域において消費活動を行うことによります直接的な経済効果などに加えまして、定住者等によりまして、地域における集落活動等のさまざまな活動の担い手が確保されること、地域に対して新たな技術それからノウハウをもたらすことにもつながることが期待されること、これらを勘案すれば、地域活性化に向けて定住者等をふやすことはメリットの方が大きいものと考えているところでございます。

 実際に、このような判断に基づきまして、多くの自治体で定住促進のための取り組みが既に行われているところもございまして、今回の制度は、このような地域の動きを踏まえつつ、取り組みを加速化するものでございます。

渡部(篤)委員 都市住民が農山漁村への定住とか二地域居住の願望を強めている、私もこれは、今答弁ありましたが、ただ、そんなに簡単なことではない、居住環境をきちんとつくって、いろいろな対応を急がないとできないと思います。

 平成十年に国土交通省は優良田園住宅促進法というものをつくりました。農村地帯に住宅を建てていいという法律だったんですよ。ところが、この法律はうまく運用されていないのではないかと私は思うんですが、国土交通省にこの点お伺いします。

和泉政府参考人 今委員御指摘のとおり、優良田園住宅の法律は平成十年四月に公布されましたが、昨年四月現在で、基本方針をつくった市町村が三十三カ所で、優良田園住宅建設計画の策定は十二件にすぎません。したがって、もっとこの法律が活用できるように努力する必要があると考えております。

 国民の多様なニーズに対応するとともに、都市の農山漁村との共生・対流を促進するために、UIJターンや二地域居住を推進することは、私ども国土交通省としての重要な課題であると認識しています。

 このため、今御指摘の法律に基づく都市計画手続の円滑化、セカンドハウスに対する固定資産税等の減免、住宅金融公庫融資による支援、さらには、地域住宅交付金や、住宅市街地基盤整備事業等による農山村地域や都市近郊等における優良な住宅の建設の促進を図るとともに、インターネットを通じた地方都市や農山漁村地域の空き家情報の提供により、UIJターンや二地域居住の推進に努めてきたところでございます。

 特に、平成十七年度に創設されました地域住宅交付金、これは、提案事業という形でさまざまな事業に柔軟に対応できます。まだまだPRが足りませんので、こういったものにつきましても、今後、農林水産省や公共団体と連携をとりながらしっかりと取り組んでまいりたい、こう考えております。

渡部(篤)委員 また、農山漁村に定住するには、交流を基盤とした、医療の問題とか教育の問題も抜きにしては考えられませんが、医師の確保等を中心とした地域医療も大きな問題になります。そういうものは省庁間の連携が大切だと思いますが、総合的な政策の展開をどう調整を図っていくのか、お伺いします。

山本(拓)副大臣 先生御指摘のように、内閣府の公表いたしました世論調査によりましても、農山漁村に定住を願望する人たちの中でも、医療施設等の問題が大変大きなウエートを占めているようでございます。

 そこで、御案内のとおり、関係府省庁との連携ということでありますが、今後、内閣官房副長官及び農林水産副大臣の私が中心となって、関係八府省の副大臣で構成する都市と農山漁村の共生・対流に関するプロジェクトチームの中で、今先生御指摘の医療問題、また教育の問題、具体化に向けた検討を目下進めているところでもございます。

渡部(篤)委員 それから、私、この法案の中で、ちょっと既存の事業についていろいろ語りたいんですが、農産物の加工施設や直売施設などの施設整備が進められてきたが、いま一つ地域の活性化に結びついていないのではないか、もっと分析して、法案として反映する必要があったのではないかと考えます。

 施設整備とあわせて、高度な加工技術やマーケティング等と一体となった、あるいは産学官の連携が不可欠であり、むしろもっとソフトな政策を充実すべきと考えますが、いかがでしょうか。

中條政府参考人 今ほど、これまで既存の事業で、農産物加工施設それから直売施設などの整備を進めたけれども、いま一つ成果がなかった、これからむしろマーケティングとかそういうソフトの部分に重点を置くべきではないかという御示唆がございました。

 これまで、山村振興対策事業それから元気な地域づくり交付金等におきまして、地域の農林水産物を活用しました加工施設それから直売施設を整備いたしまして、農林漁業者の所得の増加それから就業機会の確保を図り、地域の活性化の効果を上げてきたところでございます。例えば、高知県の馬路村ですとか、先ほど話しました徳島県の上勝町とか、そういった事例が散見されるところでございます。

 しかしながら、施設整備後の社会経済情勢の変化等から、当初計画どおりの利用状況になっていない施設も一部に見受けられるところでございまして、これらの施設につきましては、平成十六年に当省の経理課長通知を出しまして、情勢の変化に応じた幅広い利活用が行われるような措置を講じたところでございます。

 また、この法案に基づきます交付金によりましても、既存の廃屋ですとかあるいは廃校を活用したような、そういった事業もできるようにしておりまして、できるだけ多面的にこういった施設が使えるような措置を行っているところでございます。

 それから、委員御指摘の、施設の整備とあわせた高度な技術あるいはマーケティング等への支援についてでございますけれども、本法案は、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、やる気のある地域が独自の取り組みを推進し、知恵と工夫にあふれた魅力ある地域に生まれ変わるための努力を応援していくという基本的考え方のもとに、地方の独自の取り組みを支援することとしておるところでございます。

 そのために、一応、この法案では地域の活性化の核となる施設の整備を中心とはしておりますけれども、これらとあわせて関連します育成研修それからマーケティングの活動などに対するソフト事業も実施することとしておりまして、さらにこのほかに、アドバイザー派遣あるいは人材育成などの施策も活用することも可能でございます。

 関係府省とも連携して、これらの施策も活用して、今後の取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

渡部(篤)委員 私は、農山漁村で食料産業クラスターの形成が推進される基盤づくりを行うべきであると考えています。

 それから、さっきも財政の話がありましたが、都道府県や市町村の財政は極めて厳しい現実にあります。私も市会議員二期、県会議員四期やりました。地方の人たちは、普通交付税も特別交付税も下がって、すごい厳しいという実感をしています。そのとき、こういう厳しい現実の中で、新たな多大な財政負担を伴う施設の整備について、地方において効果的な事業展開が可能なのかどうか、お伺いいたします。

中條政府参考人 地方財政についてのお尋ねでございます。

 地方財政の厳しい事情については承知をしております。本交付金でも他の補助金と同様に一定の地方負担を伴って実施することとなりますけれども、この地方負担につきましては、総務省の頑張る地方応援プログラムと連携をすることとしておりまして、市町村等が作成します活性化計画をこのプログラムに位置づけることによりまして、一市町村当たり単年度で三千万円を限度に特別交付税措置を受けることが可能となっておるところでございます。こういったものも活用しながら事業を進めてまいりたい、かように考えております。

    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕

渡部(篤)委員 私は、例えば品目横断の経営安定対策が千七百億円、農地、水、環境が三百億円、それから今回のこれが、いわゆる農山漁村活性化が三百四十一億円と言われていますが、農家の人たちに、農林水産省は全力を挙げて、総務省に頼んで交付税で下さいでなくて、やはり農林省がすべてをかけて努力しているという姿をどうか見せていただきたいんです。

 中山間地域の直接支払い制度もそうです。特別交付金に入っているというんですよ。しかし、そうすると、地方議員の人たちは、色はついていないと。だからみんな、私は大臣にもお願いしたいのは、財政が厳しいこともわかりますよ、あるいは、子供や孫たちにいろいろな借金を残すことはだめかもしれませんが、日本の農業を守らなければ大変なことになるので、やはり財政的な裏づけというものをきちんと考えていただきたい。大臣、どうですか。

松岡国務大臣 もうこれは、渡部先生、思いは一緒でございますし、先生の御指摘のとおりでございます。

 私ども、地方自治体の裏負担になる財政措置、財源の確保ということにつきましては、中山間の場合もそうでございますが、それから今回のいろいろな施策の展開に当たりましても、先生のお話のように、全力をもって総務省に要請をし、また総務省側といたしましても、それはすべて要請にこたえて措置をする、このようなお答えもいただいているところでございますので、これが地方自治体の方にも十分しっかりと受けとめられまして、そして自治体にあって、必ず、裏負担といいますか、地方自治体としての負担についてのしっかりした対応をしていただきますように全力を尽くしてお願いしてまいりたい。

 いずれにいたしましても、先生の御指摘のように、私ども全力で、そのことが、世間といいますか、そしてまた関係者にといいますか、十二分に御理解いただいて受けとめられますように、今後、先生の御指摘も踏まえましてなお努力をしてまいりたい、また先生の御支援も賜りたい、このように思っております。

渡部(篤)委員 それから、情報化時代で、農村地帯が今困っているのは、ブロードバンドなどの市町村の情報インフラの整備が急務です。財政負担が大きいので、できないんですよ。この交付金で財政負担ができるのかどうか、お伺いしたいと思います。

中條政府参考人 市町村の情報インフラ整備についてのお尋ねでございます。

 委員御指摘のとおり、農山漁村地域は、情報通信基盤の整備、ITの利活用の面でおくれております一方で、ITを活用することによりまして、消費者ニーズに応じた農業経営の実現それから都市と農山漁村の共生・対流の促進が図られるなどの可能性を持っているものと考えております。

 このため、農水省としましては、農山漁村地域の情報格差、いわゆるデジタルデバイドを解消しまして、効率的な農林漁業経営、農山漁村の活性化を推進するため、これまでもケーブルテレビなどの高度情報通信基盤の整備に対します助成を行いまして、市町村に対する支援を行ってきているところでございます。

 今般、創設しようとしております農山漁村活性化プロジェクト支援交付金におきましても、引き続きケーブルテレビ等の高度情報通信基盤の整備への支援を行うこととしております。

 さらに、十九年度についてでございますけれども、農山漁村のIT化を効率的、一体的に推進いたしまして、農村地域におけるIT化への取り組みを加速化させる観点から、IT化に向けた具体的な調査それから検討、構想づくり、こういったことを支援するためのソフトの助成措置であります農村地域IT化推進支援事業も創設することとしたところでございます。

渡部(篤)委員 デジタルデバイドとかありますから、情報格差がないように農林水産省でいろいろ考えていただきたいと思います。

 この前、農林水産省のある人が私のところにやってきました。私は、彼にこう質問しました、農業で今一番優先順位の高いのは何ですか。そうしたら、効率性と言われました。

 私は、唖然としました。農業で今一番必要なものは、第一に環境です。その次に永続性です。その次に安全です。その次にコストです。その次に貿易なんですよ。

 ところが、今の日本農業の最大の危機は、市場経済だ、規制緩和だ、グローバリズムと言われていますが、やはり日本農業は、その環境と農業が相反するところがあることは事実ですよ、しかし、環境をきちんと守りながら、そして永続性を持って、安全な農業を考えるべきだと私は思います。

 いつか松岡大臣にお聞きしたかった。市場経済やそれだけで農業はできないんですよ。コストがかかるんですよ。しかし、私は松岡大臣のことは昔から農業問題の権威者として心から尊敬していますが、大臣、何とか、今の日本の国が、市場経済だ、グローバリズムだ、いろいろ言われているときに、国家の利益を考えて農業というのを考えるべきではないですか。私の意見、どうですか、大臣にお聞きします。

松岡国務大臣 私は、先生のおっしゃるとおり、御指摘のとおりだと思っております。

 十九世紀末から二十世紀初頭にかけて、イギリスでも穀物法が廃止されて、そして安い農産物を海外からということで、イギリスの国内生産というのは大変な打撃を受けました。その結果どうなったかといいますと、農村は疲弊し、そしてまた、その結果都市も荒れ果てた。言ってみれば裏腹の関係でございまして、そういう意味からいたしましても、やはり農村がしっかりしていることは、それによって支えられて、これはやはり経済基盤、生活基盤というものも、水の問題等も含めまして、国全体が支えられるものだ、こう思っております。

 したがって、私どもも、今日までのWTO交渉等におきましても、日本における、特に日本は国土が狭くて地形が急だ、こういった観点からする多面的機能、こういったものの役割については十二分にその認識に立ってこれを主張してまいってきているところでございますし、先生のそのような御指摘、まことにそのとおりでございます。

 私どももそのような認識をしっかり持って、ただ一方で、それは極力、できる限り生産性を高め、そして競争にもたえ得る農業もまたしっかりとつくり上げていくということについては、私は、これは、両方のしっかりした、そういった認識に立って、そして調和が大事だと思っていますし、やはりバランスを持って進めていく、こういったことが必要だ、このように認識いたしております。

渡部(篤)委員 WTOでもEPAでもFTAでもそうですが、私は、あのオーストラリアも、あるいはアメリカも、ナショナルインタレスト、国益を絶対守りたい、国家としてのきちんとしたものを守りたいというものがあるので、大臣にも強くそのことをお願いしたいと思います。

 この農山漁村の活性化に向けての法案ですが、私は意義のあるものだと思います。ただし、十分な意味で、今後、さらなるいろいろな取り組みとか法案の運用が大切だと思います。そして、具体的な政策を展開して、日本農業が、本当に農業と漁業が活性化できるように、大臣を初め、皆さん方に心からお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

西川委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 渡部先生の情熱的な質問を拝聴させていただきまして、私は、この法案に関しまして、特に、中山間地域では人口の減少、過疎化等が始まっていまして、やむにやまれず、さまざまな取り組みが既に行われております。そんな意味で、今回、この農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案、大変期待を持って見ているところでございます。

 きょうの私の質問の観点は、既に各地で行われているその先行的な事例をもとに、その間で困っていること、また、今後解決していかなければいけないことがこの法律でどういうふうになっていくのかということを中心に御質問をさせていただきたいと思います。したがって、若干細かいことになることをお許し願いたいと思います。

 初めに、法案の第五条三項の定住及び地域間の交流の促進に寄与する事業、これは農林漁業団体等が実施する事業ということになっておりますが、この点について、具体的な例を挙げさせていただきます。

 私は和歌山県の出身ですが、県内の紀美野町、有田川町安諦地域、白浜町日置川地域、古座川町それから那智勝浦町色川地域、五つの地域が、もう既に「わかやま田舎暮らし」推進モデル町として、定住、二地域居住の推進に取り組んでおります。

 県としても、立派なこのようなパンフレットを発行しまして、「わたしたちが待っています」、こういうパンフレットをつくっているわけですが、ちなみに、那智勝浦町の色川地域振興推進委員会は、立ち上がる農山漁村有識者会議によって農山村づくりの先駆的な事例ということで選定をされているところでございます。

 農林漁業団体等が実施する事業の主体となる農林漁業団体等ということについては、農協それから森林組合、漁協、NPO法人、こういうもののほかに、「農林水産省令で定めるもの」が主体になる、こういうふうになっておりますが、先ほど紹介しました色川地域振興推進委員会のような受け入れ協議会など、各地で活躍している組織も、このいわゆる省令で定めるものに該当するのかどうかということを確認したいと思います。また、申し上げました団体のほかにどのような事業主体を想定しているのかについてもあわせてお願いをしたいと思います。

中條政府参考人 法案第五条三項の農林漁業団体等についての御質問でございます。

 今、委員の方からも御紹介ありましたように、農林漁業団体としては、主に、土地改良区、農業協同組合、森林組合それから漁業協同組合、農林漁業者等の組織を団体として想定しております。

 このほかに、農林漁業者が組織する団体等に準ずる者としまして、農山漁村の活性化を図る活動を行う団体で、営利を目的としない代表者の定めのある法人格を有しないものなどについても、対象とする方向で検討したいというふうに考えております。

 ただ、御質問の色川地区の受け入れ協議会につきましては、まだこれから実施要綱等を検討する段階でございますので、現段階では明確にお答えできませんので、お許しいただきたいと思います。

西委員 非営利でということも条件のうちに入っているというお話でしたが、多分、そういう条件がかないましたら可能である、種々の条件が整いましたらそういうことも可能であるというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 次に、和歌山県で、企業の森それから企業の農園という事業に既に取り組んでおります。

 企業の森といいますのは、企業や労働組合、NPO法人などに、環境貢献活動の一環として、また地域の交流活動の一環として、県内の森林環境保全にさまざまな形で取り組んでいただく、こういう事業を既に行っておりまして、これを称して企業の森と言っております。

 また、企業の農園というのは、同じく企業、労働組合、NPOなどが農村地域との連携、協働により、遊休化のおそれがある農地等を活用して、企業の農園として農作物を栽培することによって、農村地域の景観と多面的機能の保全の社会貢献、それから社員、いわゆる組合員ですが、福利厚生に取り組むものという趣旨でございます。

 企業などから農村地域への一方的支援または一過性の体験イベントではなくて、継続的に企業等の参加者と農村地域に住む人との交流ができる、それぞれの季節に応じて来ていただいて交流をする、こういうことになっております。

 こうした企業の森事業それから企業の農園事業は、この法律の対象になるのかどうか、お伺いをしたい。また、森林組合、農協、それから参加している企業、労働組合、NPO法人というのは、定住及び地域間交流の推進に寄与する事業の主体として位置づけられるのかどうかについてもあわせてお伺いをしたいと思います。

中條政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の企業の森制度それから企業の農園制度、ともに和歌山県の中での制度というふうに承知をしております。こういった地方の制度で地域の活性化に取り組んでおられる例が多々あろうかと思います。

 この法案では、その目的であります農山漁村の定住それから都市との地域間交流を促進するための事業としまして、体験交流施設それから地域農産物販売提供施設などの地域活性化の核となる施設の整備を中心に事業を考えているものでございます。

 したがいまして、その範囲におきまして、これらの制度につきまして、何ら、支援をすることは可能でございますが、例えば施設の運営費とかということになりますと、これが即その対象になるかにつきましては、今申しましたような事業の趣旨から考えまして、簡単ではないというふうに考えております。

西委員 今お話がありましたように、施設整備ということが主体である、運営費については別途考えなければいけないというようなお話でございます。

 法案六条の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金に係る話だと思うんですが、この交付金については、自治体の活性化計画を達成するために必要な事業ということで、三項目挙がっております。生産基盤及び施設の整備、これが一つ目、二つ目が排水処理施設その他の生活環境施設の整備、三つ目が体験施設その他地域間交流拠点の整備などに係る費用について交付金の対象とする、いずれも施設という言葉がついておりまして、施設の整備が中心であるというふうになっております。

 自治体の行う事業、それから農林漁業団体が行う事業に対する交付金額、それぞれどのようになるのかということ。それから、この金額についての限度額があるのか。それから、先ほども若干議論になりました、自治体のいわゆる裏負担を支援する仕組みについてどうなっているのか。

 また、農林漁業団体が実施する事業に対しては費用を負担するというふうになっていますけれども、運営費などソフト経費に対して、今の支援交付金の対象外ということで、別途の農村コミュニティ再生・活性化支援事業、こういう事業がございますが、この中で費用の一部を支援するということができるのかどうか、このことについてもあわせてお伺いをしたいと思います。

中條政府参考人 今、交付金によります事業についての具体的な御質問が多々ございました。お答えをしたいと思います。

 まず、交付金の算定に当たりましては、自治体が行う事業それから農林漁業団体等が行う事業のいずれの場合におきましても、交付に係る優先順位の考え方を規定しました配分基準を定めまして調整を行うこととしております。

 具体的には、事業の継続性を最優先といたしまして、新規事業につきましては、活性化計画の目標等を踏まえて国が優先順位をつけまして、計画額と予算枠の調整を行いまして交付額を決定したいというふうに考えております。

 それから、交付金の限度額についてのお尋ねでございますけれども、予算の範囲内では特に設けない方向で今検討をしております。

 さらに、交付金の交付率についてでございますけれども、一応二分の一を基本としておりますが、御案内のとおり、これまでの事業体系の中で、例えば、特定の地域において、地域かさ上げがあるような事業はこれまでございましたけれども、そういった前歴事業を引いているもの等については、一部、二分の一とは違う、多少のかさ上げを行っている場合もございます。それはメニューごとに、それと地域ごとに多少違うというところは御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、先ほども申しました地方負担についてでございます。

 特にこの事業として特記しておきたい点でございますけれども、総務省の頑張る地方応援プログラム、農山漁村は財政力が弱いところが多いものですから、こういった他省のプログラムと連携をすることによりまして、市町村等が作成します活性化計画をこのプログラムに位置づけ、一市町村当たり単年度で三千万円を限度としました特交を、特別交付税を受けることが可能となっております。

 それから、委員が最後に御指摘ありました農村コミュニティ再生・活性化支援事業についてでございますが、交付金によりまして整備した施設に係る民間団体が実施いたします定住促進活動のPR費用、それからアルバイトなどの人件費等について、これは支援の対象になっております。

西委員 ありがとうございます。

 そういう形で、設置した施設の運営に関する若干のソフト事業も別の事業の形でセットに考えられるということでございましたので、うまく使っていけばというふうに思っております。

 次の内容に行きます。

 定住とともに、地域間交流によって地域の活性化を図るということが今回の目的だというふうに思っております。地域間交流という面では、既に各地で行われている棚田の取り組み、これは地域間交流の非常にわかりやすい事例だというふうに思います。オーナー制度等、既に発足しておりますし、田植えから始まって収穫に至るまで、いろいろなタイミングで農村との交流が活発に行われているというふうに理解をしております。

 地域の棚田という資源を生かして、都市との交流を図っている自治体の取り組み、それから自治体の協議会として全国棚田連絡協議会という組織がございますが、この取り組みを例に挙げながら、与党審査の際に、ソフト経費の重要性を申し上げました。

 農水省の説明では、ハードだけでなく、運営費などソフトの経費についても財政的な支援ができるというふうなことで、当初は期待をしておりましたが、今回、先ほどもお話がありましたように、結果的にはハードということで、ソフトの経費が支援対象外ということになったというのはまことに残念なことです。

 先ほども受け入れ協議会について、関連して質問いたしましたけれども、人件費、PR経費のようなソフトにかかわる費用について支援がなければ、事業が進展いたしません。

 先ほどちょっと答弁いただきました、組み合わせによって若干できるのかなという感じがいたしましたけれども、さらにこの点について十分に御協力をまた考えていただいて、ソフトの経費に対する支援を、充実をお願いしたいと思いますが、大臣の方から一言、ございましたらお願いします。

松岡国務大臣 西先生の御指摘はまことにごもっともだと思います。

 本法案では、交付金の対象として、いわゆる地域活性化の核となる施設整備、まさに先生おっしゃるハード、これを助成する、こういうような仕組みになっております。したがって、ハードだけでは、やはり運営という観点から、ソフトの面が必要ではないか、全くそのとおりだと思っています。

 そこで、三位一体改革というものの中で、十七年度に、こういったソフトについては一括して地方自治体の方に移譲申し上げた、こういった経緯もございます。

 そこで、しかし、そうはいっても、先生の御指摘は全くごもっともでございますので、私ども、PRとかいろいろなソフト面の運営につきましては、他の、別途の事業もございますものですから、こういったことの組み合わせといいますか活用によりまして、十分先生の御指摘の御趣旨は、現場におきまして、そのことが実際上の運営に支障がないように最大限のそういった考え方の徹底をひとつ図ってまいりたい、そのことによって西先生の御指摘におこたえしてまいりたい、このように思っているところでございますし、また、可能な、最大限弾力的に運用ができるような、そういったこともあわせ考えて指導してまいりたい、このように思っているところでございます。

西委員 農村というのはそれぞれ、交通の便もよくないし、いろいろな情報が事前に都市の皆さんに伝わっていくことが最低限必要だというふうに思います。それぞれの農村にはそれぞれの特色があります。また、今のこの仕組みを維持していくために、建物だけそこに建てれば交流が始まるというものではないんですね。そのことを都市の皆さんにも知っていただく。そういう地道な双方の努力があって初めてこの活性化が進行していくわけですから、ぜひともソフトのことについても十分な手当てをお願いしたい。大臣から賜りましたけれども、重ねてお願いをしておきたいと思います。

 それから、政府は地域活性化策を大々的に打ち出しておられまして、これをメニュー形式にした地域再生総合プログラム、地域再生本部が決定されたプログラムがございます。それぞれの地域が定める地域再生計画と連動する施策の中に、この農山漁村活性化プロジェクト支援交付金も含まれております。

 この地域再生総合プログラムを推進するために、地域再生基盤強化交付金というのが設けられておりますが、この地域再生基盤強化交付金と、今話題となっております農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、この二つの間にどのような関係があるのかということを御説明いただきたいと思います。

中條政府参考人 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金と地域再生基盤強化交付金の関係につきまして御説明を申し上げたいと思います。

 まず、地域再生基盤強化交付金についてでございますけれども、これは、委員御指摘のとおり、地方公共団体が自主的に作成いたします地域再生計画に基づきまして、地域経済基盤の強化、生活環境の整備などを行う際に、道、汚水処理施設、港湾を対象に、内閣府、農林水産省、国土交通省及び環境省が連携して一体的に地方公共団体に対しまして交付するものでございます。

 この地域再生計画と連動して実施する各府省の施策としまして五十三の施策が選定されております。地方公共団体は、これらを組み合わせることによりまして、今度は重点的、集中的な支援を政府から受けることが可能となる、そんな仕組みになってございます。

 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金につきましては、その五十三のうちの一つに位置づけられておりまして、市町村が作成します活性化計画のうち、地域再生計画に位置づけられたものについては、本交付金の採択に当たっても優先的に採択する方向で検討しておりまして、今後とも密接な連携を図ってまいりたい、このように考えております。

西委員 では、先に参ります。

 先ほど紹介いたしました「わかやま田舎暮らし」推進モデル町の会合が開かれて、いろいろ議論が行われたようでございます。

 そこでは、定住や地域間交流を進めるに当たって、さまざまな課題が提出されたというふうにお聞きをしました。その中の一つに飲料水の確保、これも非常に重要な問題ですが、この問題が挙がったというふうに聞いております。

 今回の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の中で、簡易給水施設という対象があるんですが、これは給水五十人未満のものということになっておりまして、まことに規模の小さな給水施設です。簡易水道は残念ながら対象とはなっておりません。

 我が国の簡易水道は、急速な普及の向上の結果、運営、管理の規模が零細な事業が多くて、さらに、拡張、改良や管理の費用が増加するなど、かなりいろいろな課題がございます。しかも、地下水源を利用しているものが多くて、水をとり過ぎ続けると水源の井戸の枯渇、それから、さらには周辺の井戸の水位の低下、連鎖的にいろいろな問題が起こる可能性がございます。

 その対策として広域的な水道施設の整備の必要が求められているわけですが、これは縦割り行政そのものなんですが、簡易水道ということで厚生労働省にきょうは来ていただいていると思います。

 現場の課題を共有していただいているというふうに既にお聞きをしておりますが、今回のような形で、農山漁村地域の水道を確保するために、厚生労働省としてどういうふうに取り組みをされようとしているのかをお伺いしたいと思います。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 水道でございますが、今委員御指摘のとおり、生活とか産業を支えます基盤施設でございますことから、厚生労働省におきましては、従来から、簡易水道等施設整備費補助制度によりまして、農山漁村地域におきます簡易水道の普及、再編、それから改良等を推進しているところでございます。

 具体的には、いまだ水道が整備をされていない、地域的には非常に限定的なところでございます、こういう地域に水道を整備する未普及地域の解消事業なり、それから、御指摘もございましたが、経営基盤が脆弱な施設を統合いたしまして広域化を促進する簡易水道再編推進事業、さらには、水源の枯渇や生活水準の向上によります使用水量の増加等に対応するための施設改良等のための生活基盤近代化事業、こういうような事業によりまして、簡易水道の整備に努めてきているところでございます。

 今後とも、このような事業を活用いたしまして、水道水が農山漁村におきまして適切に確保されるように努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

西委員 ありがとうございます。

 農山漁村といいますと、やはり下水が整備されていない、汚水処理が整備されていないということが目につきがちですが、これから定住が促進されていくということになりますと、旧来の簡易水道等についても十分な目配りが必要であろうという観点から御質問申し上げました。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 それから、活性化計画の変更についてお伺いしておきたいと思います。

 定住促進という面では、これは今の現状を維持するということではなくて、これから多くの人に住んでいただこうという、この出発でございます。いわば、このことをてこにして定住の促進、交流を図っていくという意味では、今後、当初の計画から変わってくる、規模も大きくなってくるとか、そういうことが十分予想されます。また、それが行われないということは、この法律の効果がないということにもつながっていくわけでございますので、このことについての質問でございます。

 農山漁村の活性化事業、それから定住及び地域間交流事業は、まさにこれから本格的に進んでいくもので、各地でも模索が既に行われております。活性化計画を策定しても、実施していく過程で計画の変更も当然あり得ることというふうに思いますが、その意味で、手続はできるだけ柔軟に対応していただきたいと思います。

 計画の変更の手続について説明をしていただきたいと思います。また、交付金にかかわる手続についてもあわせてお願いをしたいと思います。

中條政府参考人 お答えいたします。

 活性化計画の変更に関しましては、計画作成に関する規定、最初に計画を作成するときの規定を準用することとしておりまして、したがいまして、計画作成時と同様の手続をとることを一応前提としております。

 また、交付金についてのお尋ねでございますけれども、交付金に関しましては、地域の実情に合わせた施設整備を行うために、対象施設間の予算の流用あるいは年度間の融通というような柔軟な対応を可能としているところでございます。

西委員 次に、法案三条「地域」のことについてお伺いします。

 地域の設定は、法案第四条二項に定められる農林水産大臣が示す基本方針に従って行われるということになります。この基本方針に定められる「地域の設定に関する基本的事項」というふうになっているんですが、具体的にはどのような内容になるのか、お伺いします。

 また、農地法その他既存の法制度で定められる農業振興地域それから農用地区域など、それぞれの既に設定されている制度がございますが、この関係についてもお伺いをしたいと思います。

中條政府参考人 地域の指定についての御質問でございます。

 まず、これは基本方針の中で一定の考え方を示すことにしておりまして、この中の三号に、当該地域の人口等を勘案して、既に市街地を形成していると判断される区域が、定住等及び地域間交流の促進のための措置を講ずべき区域には含まれないといったこと等を定めておるところでございます。

 御指摘の農業振興地域それから農用地区域であれば、農業が重要な事業であるというような判断要素になると考えられまして、この区域設定の中に入り込むということだというふうに考えておりますけれども、特に、区域の設定の考え方としましては、このことをもって一つの基準に置いているものではございませんで、地域の現状等に応じまして地方公共団体が判断するものというふうに考えております。

 例えば、既に市街地を形成している区域などについての扱いが、逆の極端な場合でございますけれども、その区域の人口、人口密度、それから建築物の敷地の面積の割合等を勘案しまして、現時点で既に市街地を形成していると判断される区域であっても、現状に照らして判断をいたしまして、特に都市計画上の市街化区域とか市街化調整区域、あるいは非線引き都市計画区域などと連動しているというような位置づけにはしておらないところでございます。

西委員 明確にはまだなっていないと思いますが、それぞれやはり与えられた条件が各地で違いますので、柔軟な対応をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、今後のスケジュールについて質問させていただきます。

 基本方針の定め、それから公表の予定時期、これが一つです。また、自治体は交付金の申請のために活性化計画を提出するんですが、これがいつになるのか。それから、交付予定はいつごろかという、およそ考えられるスケジュールについて最後にお述べをいただきたいと思います。

中條政府参考人 スケジュールについてのお尋ねでございます。

 本法案に基づく基本方針につきましては、法案が成立した暁に、その時点から速やかに検討を行いまして、法律の公布から約三カ月後に予定されております法の施行直後には、策定、公表したいと考えております。

 自治体は、この基本方針に基づきまして、活性化計画を策定し、国に交付金の交付申請を行いまして、国はこれを審査を行った上で交付金を交付するということになります。

 法案の審議中でございまして、現時点で、交付申請の締め切りあるいは交付決定予定日を申し上げることはできないところでございますけれども、基本方針策定後、自治体において活性化計画を作成するために必要な時間を確保しつつ、交付金の迅速な執行が可能となりますように事務手続の迅速化、円滑化等に努めてまいりたいというふうに思っております。

西委員 地元の事例を中心にしながら、随分細かいことを次々お聞きしましたけれども、それだけやはり農山村地域は既に走っているといいますか、努力をしているというふうに私は見ております。努力をしていかなければ維持できないところまで来ている。この法律をどういうふうにして活用していくかということがこれから求められているんだというふうに思いますので、また個々の問題については、皆さん、懸命に対応をお願いしたいというふうに思っております。

 以上でございます。

西川委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは、この農山漁村の活性化のための定住及び地域間交流の促進に関して質問させていただきたいなというふうに思っているんですけれども、昨日、我が党の黄川田議員からも、本会議で、松岡大臣、いろいろな事務所費等々の問題に関してきちんと説明責任を果たしてください、その説明責任を果たした上でなければ、我々としては、こういう大切な問題に関しても大臣になかなか質問することができないというような質問をさせていただいたわけなんです。

 その後、松岡大臣の方も、いろいろな新聞の報道なんかもまた出てきたり、それを受けてなのかどうかわかりませんけれども、安倍総理の方からも、この政治資金の問題に関してはきちんと改正をするようにというような指示がどうもあったようなんです。

 こういった点を踏まえまして、松岡大臣の方で、これは確かにそうかもしれないな、国民にまだ御理解を得られていないかもしれない、だから、もう少し丁寧な説明をしようじゃないかというふうに今もしなっているのであれば、説明していただけますか。

松岡国務大臣 きのう、本会議で黄川田議員の御質問にお答えをいたしたとおりでございます。

高山委員 それは、もう説明責任は果たしているんだ、こういうようなことなんでしょうか。

松岡国務大臣 もう何度も申し上げてまいりましたが、私は、現在の法律上のことはすべて尽くしておる、このように申し上げているところでございます。

高山委員 大臣は、現段階では、法律上のことはもうすべて尽くされていると。

 それでまた、今、安倍総理も、政治資金規正法の改正に関していろいろ指示をされているわけですけれども、こういった指示の結果、政治資金規正法、五万円以上は領収書をつけるとか、あるいは、いや、これは内規だとか、いろいろな議論をしていますけれども、こういった方向で法改正になった場合、こういう場合には大臣はどうされますか。

松岡国務大臣 それはまた、新たなそういう法令、制度の定めるところに従って対応する、それにのっとっていくことは当然のことと思います。

高山委員 この点に関して、例えば、その法律が、五万円以上だとか、あるいはこういうところを公開しなさいとか、いろいろ変わると思うんですね。今より精緻な法に変わるということは、これは明らかに予想されることだと思うんですけれども、もちろん、そのときは、法律が変わるわけですから全員が対応しなきゃいけないんです。

 今、松岡大臣の問題となっている光熱費、水道代、あるいは事務所費というのは、去年あるいはおととしのものなんかが今回公開されて問題になっているわけですけれども、その去年やおととしの部分、ここの部分もその新しい基準に照らして適正かどうかということを公開していただける。つまり、遡及して、法律の遡及というのはないわけですけれども、大臣自身が新しい基準に照らして公開をしていただける、こういう理解でいいですか。

松岡国務大臣 遡及するかしないかということは、これもまた法令の、制度の定めに従って私は対応していく、そのことを申し上げたわけであります。

 あくまでも、それは法令、制度が遡及ということについてもどのような定めをするのか、そのことについて法令がそういったことも定めるのであれば、それは対応しなければならないのは当然のことと思いますし、私は、いずれにいたしましても、法令、制度の定めに従って対応してまいることになろう、このように思います。

高山委員 政治資金規正法の改正で、もしそういう遡及効が認められれば、それは先生だけじゃなくて全員が遡及して、私も三年前、四年前のも全部そういう形で出さなきゃいけないというふうになるわけなんですけれども、普通に考えると、法律のそういう遡及効というのはないと思うんですね。そんなの、遡及はしませんよ。だから、例えば、ことしの三月に成立したのであれば、では、来年度からと、これが法律の一般的な形だと思うんですね。

 そこで、だから、私が大臣に伺いたいのは、法律は整った、そういう新しい基準で今後はやっていきましょうということになるんだと思うんですけれども、その場合に、まさにこの政治資金規正法の改正のきっかけとなったと言うと大変失礼かもしれませんけれども、大臣の場合は、法律にたとえ遡及効がなくても、古い分まで新しい基準に従って公開をしていただける、こういう理解でよろしいですか。

松岡国務大臣 もう何度も申し上げておりますように、そういった遡及するかしないかという問題も含めまして、法令の定めがどうなるかということに従って対応してまいる。

 高山先生は、あってもなくてもしろよ、こういう観点でどうですかとお聞きになっている、こう思うんですが、だから、私は、するかしないかということも、法令の定めがどうなるか、その定めに従って対応してまいりたい。

 また、遡及があるのかないのかということも、これは法律でどう定まるのか、今の時点で予断はできないわけでございますので、いずれにしても、その時点において法令の定めがあれば、その定めに従って必要な対応をしてまいりたい、こう思っております。

高山委員 私は、遡及効が法律の定めになくても、大臣が新しい基準で公開していただけるものなんだなと思って、安心してちょっと次の質問に行かせていただきたいんですけれども。

 今度、現行法で、何度も確認していますけれども、会計帳簿のたぐいというのは全部とっておかれているということで、これは何度も確認答弁で、大臣は、大丈夫だ、きちんと現行法にのっとって、十六条の会計帳簿も三年分はとってあるということでございましたけれども、それに添付するような領収書のたぐい、こういうものはとってありますか。

松岡国務大臣 それも何度もいろいろな形で御答弁申し上げているところでございますが、法令上定められたものについては、必要な範囲においてそれは保管をされているというふうに私は報告を受けております。

高山委員 いや、大臣、法令で定められている必要な範囲でやっているということなんですけれども、その法令で定められている範囲では、領収書の添付も確かに必要はないんですよ、事務所費に関して。だけれども、議員会館で家賃は無料なのに何でこんなに多額にかかっているんだ、おかしいじゃないかということを国民の皆さんが思っていて、それに対して説明責任が果たされていないじゃないですかということを、繰り返し、篠原筆頭の方からも、またきのうの黄川田議員からも大臣に聞いているわけですね。

 それで、これは、我々民主党が聞いているだけじゃありませんよね。一般国民の方もそれはおかしいなと思うので、新聞記者の方からも多分しつこく聞かれていると思うんですね。

 それに対する大臣の答えというのが、法令で定められた範囲はしっかりやっているということで、私も、法令で定められた範囲は、もちろん大臣はしっかりやられているんだと思うんです。だって、それじゃなかったら、違法行為になってしまいますからね。

 だから、それ以上に、何かおかしいぞ、家賃はただのところなのに事務所費がこんな二千万近くかかっている、光熱費もただなのに、ただのはずなのに五百万もかかっている、おかしいな、こういうことに答える、つまり、法律上求められていること以上、説明責任を果たさなきゃいけないんだというふうに、大臣、私は思うんです。

 この点に関連して、この間の私の質問の最後の方でちょっと伺ったんですけれども、先生の事務所をまた見学させていただきたいな、しかも、正式にちょっと申し入れておきたいなと思っているんですけれども、松岡先生、これはいつならいいですか、先生の事務所の、議員会館の見学なんですけれども。

松岡国務大臣 別に高山先生に見学をさせなきゃいけない義務もありませんし、その点については、何とも、ここで、いいですとか悪いですとかお答えする必要もないと思っております。

高山委員 念のため確認しますけれども、先生の、今、水道代五百万円とか計上されているこの資金管理団体ですけれども、これは事務所は何カ所あるんですか。

松岡国務大臣 主たる事務所として議員会館を届けておりますが、それ以上、そういった内容のことを一々言う必要はないと思いますから。

高山委員 今までの答弁と今のはちょっとニュアンスが変わってきたような気がするんですけれども、主たる事務所は議員会館だというのはわかったんですけれども、それ以外にも事務所がある、こういうことなんですか。

松岡国務大臣 今までもちゃんと申し上げてきましたように、主たる事務所は議員会館でありますし、十七年の収支報告、その時点、申し上げました、今、現時点において、私は一カ所であるというのは前々から申し上げております。

高山委員 議員会館一カ所で、だから、家賃も光熱費も無料のところなのにそれだけ事務所費があるというのは不思議だなという感じがいたしますけれども、この点に関して、では、ほかの人はどうなのかなということで、山本副大臣に伺いたいんですけれども、山本副大臣の資金管理団体というのがあると思うんですけれども、その資金管理団体は、まず、主たる事務所はどこですか。

山本(拓)副大臣 衆議院の会館でございます。

高山委員 議員会館以外に事務所というのは置いているんでしょうか。

山本(拓)副大臣 いわゆる政治資金管理団体は一つでございます。

高山委員 山本先生もそういうふうにおっしゃられるように、自然環境研究会というところだと思うんですけれども、こちら、いろいろ官報に出ているのを見ていきますと、事務所費のところで見ていきますと、光熱費が平成八年度がゼロですよね。事務所費が三百万ぐらいとかという感じになっておりまして、ただ、最近の、去年のを見ますと、平成十七年度も事務所費ゼロ、その前もゼロという感じなんですけれども、平成九年だけ何か百二十万、急に光熱費が計上されているんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

山本(拓)副大臣 それ、平成何年ですか。(高山委員「九年」と呼ぶ)九年。九年というのは、そのときは恐らく違うと思います。というのは、私は一度落選して、しばらくこの世界におりませんでしたので、戻ってきてからは会館ということを申し上げているところであります。

高山委員 確かに、何か八王子の方に一回住所を移されたりしているみたいなんですけれども、だから、そこの分なのかなというふうに私も見受けて思ったんですけれども。

 そうすると、山本副大臣は、やはり議員会館で資金管理団体の事務所としてやられているときというのは、光熱費等が本当にゼロなんですよね。

 それで、これは感想的なことで構わないんですけれども、これ、大臣、どうして五百万もかかったのかな、不思議だなというような、疑念といいますか、なぜなんだろうというようなことは思いませんでしたか。御自身はずっとゼロ円なんですよね。それで、一回、八王子に移されたときだけ百二十万になっている。また戻ってきて、議員会館にいるときはずっとゼロ円であるということなんですけれども、この点、副大臣はどのようにお感じになりましたか。

山本(拓)副大臣 私も、ゼロというのをはっきり見たことはございません。担当者に聞いて、ゼロというふうに聞いておりますので、担当者を信頼してやっております。

高山委員 副大臣、それで、松岡大臣の事務所費が五百万だということに関して、事務所費というか光熱費ですよね、水道代、光熱費。これが五百万だというので、何か不自然だな、おかしいな、こういうことはお感じになりませんでしたか。どうですか。

山本(拓)副大臣 政治活動の自由、考え方の自由、それぞれ責任を持ってやっているわけでありますから。

高山委員 あと、これは松岡大臣にちょっと伺いたいんですけれども、これだけ今事務所費の問題で問題になって、特に水道代なんか、その前の年は七百万近く、その後五百万となってきたわけですね。そうすると、目算するに、月にして大体五十万円以上議員会館で、そういう水道代以外のものを何か使っているような印象を受けるんですけれども、こういうのが問題になってから、さすがにこれは使い過ぎなんじゃないかとか、使い方を改めたりですとか、そういうような指示を秘書の方に出されたりとか、実際に何か方向を変えたというようなことはあるのでしょうか。

松岡国務大臣 特段ございません。

高山委員 そうしますと、大臣の来年の収支報告もまたこういう大きな額が出されてくることになると思うんですけれども、その際には、新しい政治資金規正法がもし成立していた場合には、その基準に従って全部もちろん出すことになる、これは当たり前のことなんですけれども、念のため、大臣に確認させてください。

松岡国務大臣 これは、法令に基づいて会計責任者が整理をし、判断をして報告をする、こういうような決まりになっておりますので、今の時点から私が来年のことまでここで御答弁申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

高山委員 それでは、もう一つ伺いたいんですけれども、これはきのうの新聞に出ていたことなんです。インド文化協会とかいうところから「「松岡氏あて百万円」どこへ」というような記事が出ていたんですけれども、これはまた、大臣が百万円受け取っていて、それで報告をしていなかった、こういうことなんですかね。この記事、結構、私も何回か読んだのですけれども、なかなかわかりにくい部分もあるんです。

 この点について、確認なんですけれども、これは、松岡大臣の方は百万円受け取って、記載漏れがあった、こういう理解でいいんですか。

松岡国務大臣 今の御指摘の一部報道のことは、その会社も私どもは全く存じ上げておりませんし、その会社と当該後援者の方との、どのような資金のやりとりがあったかということについても、全く私どもはわかりません。

 したがいまして、そのやりとりについて、新聞のとおりかどうかということも含めまして、答えようがない、要するに関係ありませんから、そういうことであります。

高山委員 何か、この百万円を出したと言われている会社とは全然関係ないということなんですけれども、この後援者の方というのは、この記事からだと七十四歳の方だと思うんですけれども、この方自身は、松岡大臣は長いおつき合いがあるんですか。後援者の方、今名前はあえて言いませんけれども。

松岡国務大臣 その後援者の方というのは、私どもが思っている人の同一人物だとしたら……(高山委員「インド協会の人ですよ」と呼ぶ)インド協会の会長さんですか、その会長さんは二人いらっしゃらないと思うので、もしその人だとしたら、同じ地元の人ですから、十年前後のおつき合いがある方だと思います。

高山委員 いや、私は別に、いろいろ配慮しなきゃいけないかなと思ってわざわざぼかしているだけのことであって、だとしたらじゃなくて、ずばりこのインド協会の会長の人のことを聞いているんですけれども、十年以上おつき合いがあると。

 これは記者会見なんかでも言われていますし、これはちょっと話が複雑でわかりにくいなと思ったんですけれども、大臣が就任されたときに、WBEFというNPOですか、そこからパーティー券分の百万円を、訂正したということはあったんですけれども、このWBEFさんのことを紹介したり、あるいは、こういうのがいるから面倒見てくれみたいなことで、このWBEFさんというのはこの後援者の方の紹介なんですか、そもそも松岡先生とのかかわりは。

松岡国務大臣 念のためにはっきりと確認的に申し上げておきますが、WBEFさんという、ちょっと舌をかみそうな方で、NPOの団体というふうに私は聞いておりますが、その人を紹介されたことはないんですよ。だから、直接の関係はございませんというのは、まあ、高山先生は随分、ちゃんと記者会見等も、それから国会の質疑でもそれはありましたから、御存じの上であえて今そのような問い方をされたんだろうと思いますが、まず、直接の関係は全くございません。

 今は何かしらそこは捜査も入っているわけでしょうから、もしそれがあれば、そこではっきりしますよ、そういうことは。それとあわせまして、紹介をされたことはまずございませんし、そこまででしたね、お聞きになったのは……(高山委員「いえいえ、このインド協会の人から紹介されたんですかということ」と呼ぶ)だから、紹介はされたことはございません。だから、直接の関係はございません。だから、私も申し上げましたように、WBEFの方という人とお会いをしたということはございません。

 はっきり言って、その代表の方の名前もありますが、ここではあえて民間の方ですから控えますけれども、その人を私が紹介されたということもないということは、そのインドの会長さん、こういう場ですから民間の方のお名前は伏せますけれども、という方からも確認をして、自分も紹介したということはございません、このように聞いております。

高山委員 もう松岡先生ぐらいになると、やはりお忙しいので、一々会って紹介をされてこの人を頼むよとかということがなくても、後援者の方から、こういうようなNPOをやりたいという人がいるから、ちょっと秘書さんでもいいから相談に乗ってほしいということなんか、当然あると思うんですね。

 それで私なんかも、会わないんだけれども電話だけとか、それは後援者の方から言われて、ああ、ではいいよなんて秘書に何かを指示したりとか、こういうことはあると思うんです。

 だから、今の大臣の答弁は、紹介されたことはない、会ったこともない、これはわかりましたけれども、パーティー券なんて買ってもらったりしているわけなんですけれども、では、このパーティー券は、どういう御縁でこれは買ってもらったんですか。

松岡国務大臣 それももう何度も記者会見や国会の質疑でもあったと思うんですが、申し上げておりますように、毎年私もパーティーをいたしておりまして、いろいろな方にお世話になるんですけれども、長い間おつき合いいただいたというこの方もお世話をしていただいた。

 その方が、たまたま自分の知り合いがそのNPOの団体のところにおられて、そこにはいろいろな人が、企業家とか経営者とか集まっている。だから、いろいろな人がいるから、この程度の、これくらいのことは買ってくれるだろうと思ってお願いをしていただいたというふうないきさつでございます。

高山委員 そうしますと、だから、紹介を受けたり会ったことはないのかもしれないんですけれども、紹介を受けたり会ったことは大臣はないというような話でしたけれども、このインド協会の会長さんから、パーティー券の購入先としてこういう団体がありますよ、こういう紹介は受けているわけですね。(松岡国務大臣「私がですか」と呼ぶ)ええ。松岡先生かあるいはその秘書さんが、こういう団体があるので、ではここに百万円分買ってもらえばいいじゃないですか、こういう何か紹介というんですか、紹介というのはあれですよ、会うとかじゃなくて。それを受けているわけですか。

松岡国務大臣 これも、その方もマスコミなんかにも聞かれたりしてお答えになっているようでありますが、私がその方からも確認をした範囲においては、特別そういうことはしていなくて、先方に自分が知り合いということでお願いをした。結果として、実はその何枚分という形で、はっきり言うと百万円なんですが、五十枚分、先方が振り込んでいただいたということのいきさつで、全くその人を介してのことでありまして、私の事務所の方もそこに買ってもらったという認識はなかったと思いますということも、その方も言われております。

高山委員 そうしますと、では、そのパーティー券、何枚かまとめて、このインド文化協会の会長さんに何枚か頼みますということで渡している、この中の一部がWBEFさんにこの会長の判断で買ってもらった、こういう認識ですか。

松岡国務大臣 私もいろいろパーティーをやりますが、一々、実は私自身は直接頼むことはまず原則的にしない。(高山委員「さすが」と呼ぶ)なぜかといいますと、いや、さすがとおっしゃっていただいてありがたいんですが、ある一定の段階からなぜそういうことはしなくなったか。やはり頼めば頼まれる、こういったこともありますし、だからまた、お礼を言えば、またそのときにいろいろ頼まれたりしてもいけませんから、直接頼むことも直接お礼を言うことも基本的にはしない、これを原則にしているわけです。

 そういう中で、その方も、何年間にわたってその人の紹介をしたり、買っていただく範囲で買っていただいた、こういうことがあった、こう思います。

 だから、どんと渡して、はい、その中からという、そんなことはない。向こうの方から、では、これくらい私がということであって、そういうふうになったんだろう、このように聞いておりますね、その方からも。

高山委員 ただ、そうはいいましても、では、このインド文化協会の会長さんが、熱心に先生の応援もする意味で、では、先生のパーティー券もこういうところには何枚ぐらい買ってくれそうだから頼んでみるよ、そういうふうにいろいろ積極的にこの会長さんが動いてくれたというような、そういう話ですよね、今のは。直接松岡大臣の方から何か頼んだとかじゃなくて、このインド文化協会の会長さんがいろいろ積極的に動かれて、買ってくれとか、いや何枚ぐらいだとか、こういう采配をされているわけですか。

松岡国務大臣 それは、積極的かどうかは知りませんが、いわゆるおつき合いの中でそういうようなお世話をしていただいた、こういうことだろうと思います。

高山委員 そうしますと、このインド文化協会の会長さんというのは、昔からのつき合いですし、いろいろお世話をしていただいているわけですけれども、これは最近、松岡大臣御本人とあるいは秘書さんと、このインド文化協会の会長さんというのは最近はどういう連絡をとっているんですか、随分熱心な後援者だと思うんですけれども。

松岡国務大臣 それはちょっとよくわかりませんね。もう年が明けて予算委員会ですから、私自身は全くお会いもしていませんと思いますが、それは一々、どういう連絡をとっているか、それはちょっとまた不確かなことを言ってもなんですから、ここでそのことについて個人的な、属人的なことについて言うことは控えたいし、差し控えたいと思います。

高山委員 いや、ここ一、二カ月ということではなくて、随分昔からのおつき合いだということだったんですけれども、例えばその二〇〇五年以降ですとか、二〇〇五年、ここ二、三年の話をちょっと今しているんですけれども、二〇〇五年以降なんかにも、このインド文化協会の会長さんと先生の事務所の秘書の方やあるいは先生は結構連絡をとったりされているわけですか。この二、三年の話ですよ。

松岡国務大臣 必要に応じてお見えになったり、また、日程的なことか何かでそういう連絡があったのかもしれませんね。

高山委員 いや、この新聞記事によればなんですけれども、二〇〇五年の春先ですね、ちょうど今ぐらいのときに百万円渡しているんだみたいな話が出ているんです。だから、そういった時期に、つまり、二〇〇五年の初頭から今に至るぐらいまでも、松岡先生はこのインド文化協会の会長さんと連絡をとったりだとか、あるいは秘書の方が連絡をとったり会ったり、こういうことは頻繁にあったというような理解でいいんでしょうか。

松岡国務大臣 どうも高山先生は自分の勝手に思ったことを勝手につくって、頻繁にとか、そんんな頻繁になんかは全然ないと思いますよ。年に何回ですか、そんな程度だと思いますが、いずれにいたしましても、この件は、もし本当に献金を受けているのであれば、何ら問題ないわけです、報告して。問題ないわけですよ。だから、その事実がないから、こっちは報告のしようがないということを今申し上げているわけです。そういうことです。

高山委員 済みません、頻繁というのはちょっと私の思い込みかもしれないんですけれども。

 だから、二〇〇五年から今に至るまで、では、割合連絡はとっていらっしゃった、松岡大臣あるいはその秘書さんとこのインド文化協会の会長さんというのは。そういう理解でいいですね。

松岡国務大臣 連絡をとっておったとか、とっていなかったとかいうんじゃなくて、そういう、おつき合いですから、必要に応じて、日常のごあいさつでお見えになったり、何かそういったことはあったかもしれませんが、殊さら連絡をとるとかとらないとか、そういう関係ではない。必要に応じてお見えになることはあり得る、こういうことです。

高山委員 このインド文化協会の会長の方というのは随分いろいろと話題のような方で、週刊誌によればですけれども、映画の撮影のパーティーなんかも、これはまた〇五年なんですけれども、やっている。そのときに、当時の自民党幹事長だった武部氏や、その代理の安倍晋三幹事長代理なんかもお見えだったみたいなことが週刊朝日に書いてあるんですけれども、このパーティーは松岡大臣は呼ばれて行ったりとかなんかしているんですか。

松岡国務大臣 行ったか行かないかも記憶にないんですが、これは不確かですから、あのときああ言ったじゃないかと決めつけてもらっては困るんですけれども、不確かですから。

 私がもし仮に行っておったとしたら、それは今の安倍総理と武部幹事長が来ておったら、印象に、記憶に残っていますから行ったんだろうと思うけれども、どうも記憶がないですから行っていないんじゃないかなと思います。

高山委員 何か質疑時間が終了しましたということですけれども、改めて大臣の事務所にも、また私もやらせてもらうかもしれませんけれども、そのときにはぜひ秘書さんに、高山智司が来たらちょっと案内してやってくれよというようなことを申し添えていただければありがたいなというふうに思いますけれども、質疑時間が終了しましたので、終わります。

西川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

西川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、法律としては農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案について審議をするということは重々承知をしておるわけでありますけれども、諸般気になる案件がある関係で、一、二聞いていきたいことがあります。

 まず最初は、与党側の理事の方も、委員の方も、そう緊張なされずに、それ以外の案件でありますけれども、二月に米国産牛肉において基準違反の牛肉が日本にやってまいりました。輸入対象の牛肉ではないということで、一たん当該工場からの輸入が停止をされたわけでありますけれども、昨今、事情がある程度判明したということで、当該工場を除いて、そのほかの工場については問題がないというふうに話が決まったと私は報道で聞いておりますが、その案件について、大臣はどのように御報告を受け、そして、それについてどのような御指示を出されたのか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

松岡国務大臣 ちょっと、これは突然のお尋ねなものですから、私の記憶の範囲で御答弁をさせていただきたいと思います。

 先生が御案内のとおり、タイソン社という食肉会社がございまして、そこの中のレキシントン工場というところから参りました肉に証明書にないものがまじっておった、こういうことでございます。これはまさしく、そういう証明書にないものがまじっておった、そして二十月齢未満と確認できない、こういったようなことでございましたので、一時これを保留いたしまして、そして二十二日でしたか、二十二日か二十三日だったと思いますが、アメリカの方から正式にこのことに対しましての回答が参りました。そこで、その回答を受けまして、確認ができましたので、これを保留から停止という形で、私どもはその工場からの受け入れというものを停止いたしたわけでございます。

 あわせまして、アメリカに対しまして、その工場を、今認めておる三十五施設がございますが、その三十五の中からそれは除外してもらいたい、要は、認定施設としてそれをやめてもらいたい、このような申し入れを今行っているところでございます。

 ただ、権限としては、この認定するしないの権限はアメリカの政府にあるものですから、そういった意味においては、私どもはこれは要請をして、ひとつアメリカとして十分要請にこたえていただくという取り組みをいたしておる、こういうところでございます。

岡本(充)委員 対日輸出プログラムの対象施設から外すのは米国の権限かもしれませんが、輸入停止にするのは我が国の権利でありまして、そういう意味では、よそ任せでは困るわけですね。

 大臣、私、一つ重要だと思っているのは、日本として米国からのその報告書をもとに現地に査察に行ったんですか。

松岡国務大臣 岡本先生、それは向こうから来てからということですか。

 いや、まだ行っておりません。

岡本(充)委員 米国からの調査書だけでその基準を決定していいのかどうか、日本国の主体的な判断がどこにあるのかということを私は指摘をしたいし、ましてや、この問題は本当にレキシントン工場だけでいいのか。これはもう篠原委員も指摘をしておりますけれども、タイソン社としての食肉処理の方針、またプログラムがあるわけでありますから、例えば、日本において食品にかかわるさまざまな問題、不祥事が出た会社、洋菓子の会社などを含めて、最近もあったわけでありますけれども、こういう社でも、他の工場を含めて一たんは停止をするというのがこれまでの基本的な食品安全行政にかかわるスタイルだった。

 きょうは厚生労働省にはお越しをいただいておりませんけれども、農林水産省として、やはりタイソン社の全体の問題としての査察を早急に実施されるよう求めるわけでありますが、大臣、端的にこれだけ答えてください。

松岡国務大臣 これは、端的という前に、ちょっと事実関係だけは整理をしておきたいと思うんです。

 まず、そういうことで、前回のときに全部とめました。このときは、まさしく輸出証明書に、証明書がありながら実は中身が違うものが入っておった、こういった事実がございまして、証明書自体が怪しい、こういうことであったわけでありまして、それを全部とめたわけであります。

 今回は、証明書にないものがまざっておった、したがって、混載という形で、そこで今回、調査結果、判明いたしましたことは、システムは機能したんですが、それを受けた人間がそれに反応しなかった、こういうことでございまして、まさにこれは個人的なミス、こういったようなことで、したがって、今後はどうかということについては、向こうからの報告は、今度はシステム自体を個人に頼らずに、そこでこれは問題だというものがあらわれれば、それはもうシステム自体がそこでストップをする、こういうことによって、人為的ミスじゃない形で、システムできちっとチェックをする、こういったような報告も今来ておるところでございます。

 そして、他のタイソン社の工場につきましては、今日までずっと長い、ある一定の期間ございますが、問題もなく来ておりますので、そういった点からいたしましても、当該工場に限って私どもは今アメリカにそういう対応を求めている、こういう整理でございます。(岡本(充)委員「査察に行くかどうかは」と呼ぶ)それから、査察につきましては、これはもともと第二回目の、半年間、検証期間ということでやってまいりました。したがって、この半年間の検証期間で、一回目の検証査察が終わりまして、二回目を今実施するということになっておりますので、今その日程の調整を図るべく取り組んでいるところでございまして、日程が決まり次第、その二回目の検証査察をやる、その上で、トータルとして、全体としての判断をしたい、このように思っております。

岡本(充)委員 高山先生の質問にもそのぐらい雄弁に答えていただきたいなと思うわけでありますけれども、ちょっと端的にお答えいただかないと。時間がありませんので、端的にお願いします。

 それでは本来の、法律に関しての質問に入りたいと思いますが、今回の法律について、これまでの施策の反省点をどのように踏まえているのかということについて、質問をしたいと思います。

 これまで、平成十七年から始まりました元気な地域づくり交付金、この交付金はわずか二年で終了する、もしくは、今回の交付金に移行していくという形になるわけでありますけれども、ほかの交付金で、これだけ短い期間で、つまり検証もなされないうちにその制度が終わるということはなかったわけでありますけれども、これについて、今回なぜこういうことになったのか。

 また、この元気な地域づくり交付金の要領の中では、交付額は、地域提案メニューに係る交付限度額は、当該年度における都道府県内の新規承認計画に係る交付限度額の合計の二割を上限として、都道府県知事が算定すると言っていますが、今回の交付金では、新しいアイデアの割合を多く取り入れても当然認めていただけるのか。それとも、農林水産省がある意味裏メニューを持っていて、裏メニューに該当しなければ、食堂に行ってメニューが出される、どれを食べられますか、メニューにないものが注文できるというのが今回の目玉なわけですけれども、メニューにないものを注文したら、実は別に店員さんが裏メニューを持っていて、お客さん、そのメニューは入っていませんよ、こう言ってとめてしまうということになっては本来の趣旨に反するわけでありますから、この裏メニューなるものが存在するのかどうかも含めて、お答えをいただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 先生御指摘の元気な地域づくり交付金は、平成十七年度に創設されて、今までに約一千地区ほど事業が実施されてきたところでもございます。

 ただ、これをなぜやめたかという話以前の問題として、一千の、過去の前例を見ますと、最も効果を上げているのは、むしろ提案をしていただいたり、そしてまた、しっかりと地域間の交流をやったり、そういう実例を見た上で、地域づくり交付金制度をやめるのではなしに、それをさらにグレードアップする必要があるという観点から、今回、過疎化、高齢化の進展により著しく低下している農山漁村の現状を回復するためにも、今回の法案整備になったところでもございます。

 農山漁村活性化法案については、今国会に提出するわけでありますが、同法案に基づく農山漁村活性化プロジェクト支援交付金を創設いたしているところでもございます。

 これによって、市町村への直接補助が可能になっておりますし、事業意欲のある市町村が積極的に活性化のための計画づくり、それぞれの自治体が活性化の独自の計画をつくるというところでもございます。そしてまた、農山漁村の豊かな自然を活用した交流がさらに促進をされるということでもございますし、活性化計画の作成に当たっては、農林漁業者の団体やNPO法人等から、いわゆる民間の提案制度を設けることにより、民間団体の知恵や活力が生かされるようになるということも期待いたしているところでもございます。農山漁村における居住者、滞在者をふやすという観点からの地域の活性化が図られるということを大変期待いたしております。

 これらはすべて、千地区の実証、検証をした上でグレードアップしたところでもございますし、今先生が御指摘になりました、今回、地域提案メニューということでもございますので、そういうことで、生産基盤や施設の整備、生活環境整備と一体的に行うものとして、伝統的家屋の修繕や屋敷林の保全等を図る事業などを新たに対象とする方向で検討いたしております。

 また、この地域提案メニューが交付金に占める割合の上限については、基本の、現行の元気な地域づくり交付金と同じくするという方向で、今回、要綱等において定めることといたしておりまして、地域の創意工夫により、これらを十分に活用していきたいと考えております。

岡本(充)委員 今の話では、結局、元気な地域づくり交付金の反省という意味でいったら、いわゆる地域のアイデアをより生かせるといっても、やはり二割という足かせをはめているという意味で、これは名前だけを変えていると言われても仕方がないわけであります。

 そもそも、大臣、ここを聞きたいんですけれども、補助金と交付金、何が定義は違うんですか。

松岡国務大臣 ちょっと今私も、これは間違ったことは言っちゃいけない。定義があるかと聞いたんですが、今ちょっと持ち合わせがないんですが、補助金というのはもうはっきりいたしておりまして、ある目的の事業をする、そこにぴたっと、それに合わせた形で直接補助をする、こういう形だと思います。

 それから、交付金というのは、一定の幅、一定の範囲において交付をし、その一定の幅、一定の範囲においては、これはある程度の幅を持った運用ができるというか適用ができる、そういう違いなんだろうと思っております。

岡本(充)委員 大臣、重要なことだと思いますよ。この法律の根幹にかかわる部分に大臣お答えいただけないというのは、これは本当に問題ですよ、やはり。

 大臣、そもそも高山委員が指摘をされているさまざまな案件、これで、正直言って、委員会のいろいろな審議、十分なされていない。高山さんも、あの三十分を大臣の質問につぎ込まなきゃいけなかったし、今だって、私、こういう重要な話、補助金と交付金がどう違うんだ、こういう話を問うても、大臣に根本、この法律の根幹ですよ、その部分にお答えいただけないというのであっては、そもそもこれでは審議が深まらない。

 したがって、私は、今のこの農林水産委員会における審議の状況というのを大変憂えています。篠原我が党筆頭理事も憂えているとおり、このような状況であるということをぜひ与党側の委員の皆様にも御認識をいただきたい。補助金と交付金がどう違うのかということについて明確な御答弁がいただけないということであっては、これは審議にならないわけなんです。何かもし補足があれば。

松岡国務大臣 私が申し上げたとおりです。

 それと、今岡本先生おっしゃいましたが、私は審議に停滞をするような答弁をいたしているつもりはございません。

岡本(充)委員 補助金と交付金の差が、はっきり定義が言えないじゃないですか。あいまいな話じゃないですか。

松岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、補助金というのは、その事業に対して直接補助をする、交付金というのは、ある一定の範囲において適用やその対応が可能なような、そういった形でやる、こういう違いを申し上げたわけでありまして、補助金適正化法のもとでは一緒であります。

岡本(充)委員 そういったではわからないし、それだけの差ですか、補助金と交付金の差は。範囲がちょっと広く、そういったというような表現なんですか。それとも、その定義が違うのか。そこをはっきりできないということであっては、これは法律の内容として審議ができませんよ、大臣。

松岡国務大臣 まあ俗に言う……(岡本(充)委員「俗に言うじゃない、ちゃんと」と呼ぶ)いやいや、縛った形で、俗に言うというのは、ひもつきとかいう、そういった縛った形でやることよりも、補助金改革という方向の中で、ある一定の範囲、適用というものが柔軟性、弾力を持って行えるようにというのが、これが交付金の趣旨であります。そういった意味で、補助金よりも幅広い形の適用ができるというのが交付金だ。補助金というのは、その事業に限って補助しているということでありますから、厳密に使途とか適用の幅というのが定められている、こういう違いであります。

 その違いを明確にしたい意図が何かあれば、はっきりおっしゃっていただければ、こちらもそれにこたえた対応をいたしますが。

岡本(充)委員 大臣が答えていない部分があるんですよ。

 交付金というのは、では、私が言ったら、大臣は、ああ、そのとおりですと言うだけの話ですよ。

 大臣が答えていない交付金の性格がある。それは、出口重視なんでしょう。入り口重視から出口重視なんでしょう。出口をどういうふうにしてチェックをするのか、それを求めるのがこの交付金のあり方なんですよ。

 そもそも、大臣、今私が言いたかった話も全部言いますよ。はっきり言いますけれども、入り口重視でこれまで補助金は出してきた、最初の要件が重要だった、交付金は、後から、その交付金がどうだったか、事後評価も含めてチェックするわけでしょう。その話は大臣は今していない。十七年から十八年で終わってしまった今回の前の交付金の制度についても、事後評価に至る期間がまだないじゃないかという話をしたかったけれども、議論が結局こうやって深まらないわけなんですね。

 大臣、これでは、この農林水産委員会として議論をしていかなきゃいけない課題が山積する中で、私は本当に残念でならないし、現状の委員会運営について、私からも、これは大臣に苦言を呈していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。

 高山委員が御指摘をされました案件について、やはり私からも、本当は聞きたくありませんでしたけれども、改めて確認をしておかなきゃいけない。

 私は、大臣、いろいろなところで御説明をされているのはよく存じておりますけれども、大臣の言葉の定義として、説明責任という言葉はどういうふうな言葉だというふうにお考えですか。

松岡国務大臣 先ほどから、高山先生の質問が農林水産委員会の質問に全く入れないままにという、それは質問される側の方の選択でして、私の方から殊さら求めているわけでもありませんので、そのことをもって審議ができないとおっしゃるのは、これはちょっと視点が違うのではないか、このことは申し上げさせていただきたい。

 それと、補助金の定義と交付金の定義、岡本先生もお医者さんで随分その世界でお詳しいんでしょうが、私はもともと農林水産省に十九年勤務いたしておりまして、そして、政治家になりましてから満十七年たちましたが、人後に落ちず、私は、この農林水産政策については、能力の点は別にいたしまして、熱意もそれから経験も含めまして、いろいろな勉強等も含めまして、岡本先生に負けない程度の知識や経験は積んできたつもりでございます。

 それから、説明責任ということについてでございますが、それは読んで字のとおりだと思っています。

岡本(充)委員 私の質問に対しての答弁よりも、その前段の話が非常に長いのが残念なんですが。

 読んで字のごとくと言われますが、説明責任の定義は何なのかと聞いているわけですね。私はこう問いかけているわけですから、それに対して御答弁をいただきたい。読んで字のごとくなどというような答弁は、それこそ国会の場の議論としては失礼だと思いますので、きちっとお話をいただきたい。

松岡国務大臣 岡本先生ぐらいの御知識もおありの方ですから、そのように申し上げたわけでありますが、人それぞれ、さまざま解釈はあると思います。説明をする責任だ、こういうことだと思います。

岡本(充)委員 私は、そもそも、最初の委員会のときに、大臣に御就任のお祝いを申し上げたのを御記憶されているかもしれません。私自身も非常に、先ほど大臣、お話がありましたとおり、御経験のある大臣が農林水産大臣に就任をされて、本当に農林水産業にかかわるさまざまな議論が進むと期待をしていたわけです。

 高山委員の選択だというふうに言われますけれども、私は、やはりきちっとした議論をしていくためには、大臣にもそれ相応の姿勢というかお話をしていただきたい。それは、多くの国民はやはりそう思っているわけなんですね。

 いろいろお話はされています。法令に従って、法令の求める範囲は私は報告しているから、もうこれ以上いいんだと言われるけれども、大臣に守っていただかなければならないことは法令のほかにもあるわけですね。法令にすべて従えばそれでいいというような範疇で本当にいいのか。もっと、いろいろな意味で高い見識なり、この大臣という言葉が、どうしてこういう言葉がついているかということもお考えいただければ、法令の範囲内で暮らしていればそれでいいだろうと言って開き直られるのではやはり困るし、若干感情的に御答弁されるのも私は残念でならないわけなんです。

 大臣、国務大臣の、大臣政務官規範というのをもちろん御存じだと思いますけれども、その前文に、国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するというのがこの大臣規範の前提になっています。これは法令じゃないですよ。法令しか守らないんだったら、この大臣規範は、では守らないわけですか。法令の中でもう十分だというのであれば、これは法令ではない、これは閣議決定ですから法律じゃありませんね。そういう意味でいったら、大臣が言われている法令の範囲内だけで本当に国民の皆さん方が納得しているのか。

 先ほどの話で、説明責任というのは説明する責任だと言われましたけれども、国民の信頼を確保できている状態にあると大臣はお考えなんでしょうか。そこのところをお聞かせいただけますか。もしあるとすれば、その理由もお答えください。

松岡国務大臣 その大臣規範というのは、私どもは当然、大臣の立場としてその規範に基づいて対処していくというのは当たり前のことだと思っております。

 それから、今の岡本先生の最後の、後の方の、後段の方でありますが、そういういろいろな対応の中で、やはり何が基準になるか、基本になるか。それは、大臣規範というのは一つの規範としての、私はそういう規律だと思っていますし、そのもとで。そして、具体的な事柄については、法律がある場合はその法律に基づいて、基本として、対応していく、こういうことがやはりいわゆる基本なんだろう、こう思っておりますので、そういう立場で私は今申し上げているわけであります。

岡本(充)委員 法令に基づいてやっていくという話であれば、先ほどからお話ししているように、こういう規範もそうだし、もっと言えば、倫理というのは別に条文になっているわけじゃない。大臣は先ほどから、私、ちょっとお話をしましたように、いろいろなことで私が質問をすると非常に長く答弁をしていただく割には、事この光熱水費の話になると急に答弁が短くなるんですけれども、法令の求めるところ以外で答えるものと答えないものというのは、大臣の中でどのように分けているんですか。私が聞いていなくてもとうとうと御答弁いただけるときと、残念ながら、法令で定められている範囲を超えておりますと言ってぱちっと切るときと、これは大臣の中でどういうふうに選択されているんですか。

松岡国務大臣 それは、やはり必要に応じて、政策的な説明とかそういったことはそういう答弁をする、こう思っております。

岡本(充)委員 国務大臣としての、いわゆるこの大臣規範にある、国民の信頼を確保するためにも十分な答弁が必要だというふうには思われませんか。

松岡国務大臣 私の使命と責任は、農林水産大臣として、日本の農林水産業、また農山漁村、そしてまた関連するいろいろな団体、業種、そういう発展に向かってしっかりと成果を上げていく、そして責務を果たしていくことだ、それが一番基本だと思っております。したがいまして、今申し上げましたことにおきましては、精いっぱいしっかり取り組んで、成果を上げつつあるものもありますし、また、成果を上げるべく努力をいたしているところでございます。

岡本(充)委員 農林水産大臣である前に国務大臣としての任命を受けているわけです。大臣としての規範がまず前提にあるべきでありまして、国民の信頼を確保するための御努力が私は不十分なんじゃないかと。多くの国民の皆さんがそう思っている状況を、いろいろな世論調査を見ても、もう大臣御存じなはずであります。

 この大臣規範に反しているというふうに私は考えるわけなんですけれども、国民の信頼を今確保できているというふうにお考えなのかどうか、端的にそこだけお答えください。

松岡国務大臣 私は法律から外れたこともいたしておりませんし、そういう意味におきまして、国民の皆様の御理解を得たいと思っております。

岡本(充)委員 違うんです。

 信頼を確保していると思われるかどうか。今の光熱水費に対する御答弁で国民の信頼を確保できる状況にあるとお考えですか。その一点だけです。

松岡国務大臣 私は、法律に基づききちんと対応しているということで、国民の皆様方の御理解を得たい、こう思っております。(岡本(充)委員「御理解じゃなく、信頼を確保しているかです」と呼ぶ)

西川委員長 挙手をして発言をしてください。

 松岡農林水産大臣。

松岡国務大臣 それは私が主観的に申し上げることじゃないと思っております。

岡本(充)委員 それは主観的に申し上げることじゃないと言いますけれども、これは国民の信頼を確保することを目的としてつくられているわけですよ。その大臣規範に、では反しているかどうかも御自身で判断ができないということですか。

松岡国務大臣 大臣規範に反するような、公序良俗とかそういったことに反していることは一切ないと思っておりますし、そしてまた、必要な法律、法令事項等についても、それは遵守して対応している、このように思っております。

岡本(充)委員 では、改めて聞きます、国民の信頼を確保している状況にあるとお考えなのか。

 私が判断できないというのであれば、この大臣規範に自分が反しているかどうかも判断できないということになるわけですけれども、私が判断する立場にないと言われれば、イコール、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範について違反しているかどうか、御自身で判断ができないということをお答えいただいているというふうに理解しますが、端的にお答えをいただきたい。

松岡国務大臣 大臣規範に反していることはないと思っております。

岡本(充)委員 往復するのも本当に疲れましたけれども、国民の信頼を確保しているかどうかと聞いているんです、私は。

松岡国務大臣 したがいまして、大臣規範に反していることはない、私はそのように認識をいたしております。(発言する者あり)

西川委員長 松岡大臣、再度、御発言をお願いいたします。

 質問の趣旨にこたえて発言をお願いいたします。

松岡国務大臣 私は、大臣規範には反しておりませんし、それから、定められた法令もきちっと遵守をいたしておりますし、したがって、国民の信頼をいただけるもの、このように思っております。

岡本(充)委員 先ほどは御判断できなかったようでありますけれども、判断をしていただいて光栄でございます。

 御自身では国民の信頼を確保できていると言われるけれども、新聞各紙、世論調査、マスコミ等を見ても、その確保ができているとは到底及びがたい状況にあるのは、もう委員各位も十分御存じのとおりなわけでありますね。それを、大臣みずから確保していると強弁してやまないということであっては、ますますもって、残念ながら、大臣に質問を続けていくということが我が党としても非常に難しくなる。

 大臣、御自身で説明責任を果たされるというふうに、本当に文字どおり説明の責任を果たして国民の信頼を回復されたときに、初めて大臣規範に基づいた国務大臣たる松岡農林水産大臣になるわけでありますから、そういう意味では、私たち、これから大臣に政策の内容について質問していくことができない、大変残念な事態にならざるを得ないと思っております。

 最後に、改めて聞きますが、現在の光熱水費の内訳について今後とも説明をされる御予定がないというのであれば、それで私の質問は終わりますけれども、その際には、今お話をさせていただきましたとおり、今後、同僚議員からは大臣の大臣たる規範に基づく状況になるまでは、もしくは、大臣がみずからおやめになるまでは、残念ながら、御質問ができないということをお伝えして、最後にその答弁をいただきたいと思います。

松岡国務大臣 御指摘は御指摘として承りました。

岡本(充)委員 説明責任をする気はないんですね。最後に、一点だけ聞くというお話をしている。

松岡国務大臣 もうきのうの本会議でも申し上げましたし、きょうの高山委員の御質問にもお答えいたしましたが、もう既に、現行の法令、制度で決められたとおり対応いたしております。

岡本(充)委員 終わります。

西川委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木隆博でございます。

 農山漁村の活性化のためのいわゆる農山漁村活性化法案について、新しい法律でありますので、一時間の時間をいただきまして、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 それで、まず最初に、今も前段、高山議員並びに岡本議員からそれぞれお話がありましたが、今、農政のまさに一大転換期の新しいスタートの年をことしは迎えているわけであります。大臣はその推進役でありまして、そういった意味では期待も非常に大きいし、同時にまた、今ほど大臣が御答弁されていたように、大臣の熱意というものについても、私はそれなりに評価をさせていただいているつもりであります。

 しかし、今のような問題をずっと引きずったまま農政が推進をされるということは、あるいは、EPA、FTAの今大切な時期でもあるわけであります。そういった意味では、先ほど国民というお話がありましたが、私は農業者でありますから、農業関係者にとっても、期待と同時に、大臣のこの問題については非常に残念に思っているのではないかというふうに思うわけであります。

 今の安倍内閣は、美しい国というのがキャッチフレーズなわけでありますが、政策用語としては多少疑問も残りますけれども、美しい国という意味の中身が私はよくわかりませんが、しかし、類推するに、もしも礼節あるいは道徳というようなことをこの美しい国ということの言葉の中で求めているのであるとすれば、これは法律以前のことを求めているわけでありまして、その中で大臣をされておられます松岡大臣に、私の質問の冒頭でありますが、改めて説明をされるおつもりがあるか、あるいは、みずから辞するという気持ちがあるか、改めてお伺いをいたします。

松岡国務大臣 説明のことにつきましては、もう先ほどから申し上げているとおりでございます。現行の法令、制度上、必要なものはちゃんと報告もし、実施をいたしているところでございます。

 そしてまた、その後、ではどうなのかということでありますが、私は、先ほど申し上げましたように、総理からも言われておりますことは、とにかく与えられたこの農林水産大臣としての職責をしっかり全うして、今佐々木先生もおっしゃいましたが、例えばEPA等ある。私は、これをしっかりと体してやっていきたい、人後に落ちず頑張ってまいりたい、こう思っているところでございますので、そのことによって、仕事上支障がないようにしっかりとこれはやってまいる、そういう決意でおります。

佐々木(隆)委員 大変残念であります。私は、農業者にとって、やはり今一番期待をして信頼をしなければならないのが、また、すがらなければならないのが大臣だというふうに思いますが、今の状況の中で、以下の質問については、こういう状況の中で大臣にお伺いすることはできませんので、副大臣と政務官にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 最初に、この法律補助、いわゆる農山漁村活性化法をなぜ法律補助にしたのかということについてお伺いをいたします。

山本(拓)副大臣 御案内のとおり、戦後、日本は都市部を中心に復興してきたところでありまして、それに伴って、いわゆる人口が都市部に団塊世代を中心に集中してきたところでありましたが、最近、その団塊の世代が定年を迎え、世論調査等におきましても、地方への回帰と申しますか、そちらでの生活を希望している数値が上がってきているところでございます。

 そういうものを受けて、今回、法律案として、農山漁村における居住者や滞在者をふやすという新たな視点からの対策を総合的に推進することが喫緊の課題として、今回の法律案を提出したものであります。

 この中で交付金を法律補助といたしたところでありますが、本法案の目的の達成に向けた、交付金による事業の円滑な実施に必要な農地転用手続の簡略化等、法律上の特例措置をあわせて講ずるために、本交付金を本法案に位置づける必要があったものでございます。

 これによって、国が基本方針を示すことにより、定住等及び地域間交流の促進に関する基本的な考え方が関係者に共有され、地域における施設の整備等が計画的かつ総合的に行われることを期待いたしております。また、交付金を法律に位置づけることにより、施設用地の確保の円滑化等、ほかの法律上の特例措置と一体となった、より効率的かつ効果的な事業展開が可能となるといった効果も見込んでいるところでもございます。

佐々木(隆)委員 今の副大臣の答弁を聞いていると、法律がなぜ必要だったのかということについて言えば、農地転用の部分とほんの一、二カ所あるだけの話なんですね。

 先ほどちょっと岡本議員からも質問がありましたけれども、今まで元気づくり事業というのがありました。これは市町村というか全国でも結構人気の事業だったというふうに思うんです。北海道でも、現にこの二年間で五十二事業ぐらい実施をされてございます。

 そのほかの事業もあるんですが、主にこの元気づくり事業という事業を今度のこの活性化法に乗りかえた、組みかえたと言ってもいいんだと思いますが、そういう法律というイメージが何かどうしても強いわけです。これであれば、もとの事業のままでもよかったのではないかというふうに思うんですが、その点について、お願いをいたします。

福井大臣政務官 お答えいたします。

 北海道で五十二カ所、先生、御指導いただきまして、本当にありがとうございます。

 先生御指摘のように、十七年度に創設されました元気な地域づくり交付金、全国では約千カ所で事業が実施されてきたというところでございます。

 これは、自然環境、景観、文化などの多様な地域資源を創意と工夫により有効に活用して、農林水産業の振興を柱に地域経済の活性化を進めるというのが行政目的でございましたが、この二年間の間にも時代が激動いたしまして、いろいろ環境条件が変わりました。都市住民の農山漁村への関心が高まる、そして団塊の世代の定年退職が始まるということで、農山漁村における居住者、滞在者をふやすという新たな観点から総合的に推進することが喫緊の課題となったというのが課題認識でございます。

 そのために、十九年度予算におきまして、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金というものが創設されたところでございます。

 この交付金によりまして、三つ重要な点がございます。一つは、市町村への直接の補助、県を通さないで直接市町村へ補助できるということでございます。もう一つは、農水省も幅は広うございますので、農、林、水の事業が一つの計画で一体的かつ弾力的に実施できる、これが二番目でございます。そして三番目に、農林漁業者の団体、NPO法人、こういう市町村以外の者からの提案制度というのが設けられまして、民間団体の知恵や活力が生かされるということで、この三つの特徴を生かして新たな課題に取り組みたいという意味で、予算補助から法律補助、そして新たな交付金に進化させていただいたところでございます。

佐々木(隆)委員 今の政務官の御答弁の中で、これはまた後でお聞きしたいと思うんですが、交付金と言ったり補助金と言ったりしているわけです。これは、先ほどの論議もあったんですけれども、非常に明確じゃないんですね。それはまた後でお伺いします。

 ただ、元気づくり事業については、この事業を組み立てたときに、成果目標をきちっと定めましょう、そして成果目標の達成についてしっかり評価しましょう、こういうふうな事業としてスタートしたわけですね、二年前に。ですから、毎年の目標があって、毎年の評価があるはずなんです。何ぼ二年間とはいえ、目標は毎年の目標があって、毎年の評価がなければならないですよね、この事業からして。そこの評価をどうしたのかということがなしに今度の活性化法に行くというのは、私はそれこそ説明責任を果たしていないのではないかというふうに思うんですが、ここの評価はどうなっているのかについてお伺いをいたします。

福井大臣政務官 重要な点でございます成果目標と事後評価でございますが、この元気な地域づくり交付金についても、成果目標、事後評価を実施しなければならないということになってございました。新たな交付金についても、今の二年間やりました仕組みを基本として踏襲するということでございます。

 また後ほど御答弁があろうかと思いますけれども、私も補助金行政を長くやっていましたので、いわば補助金は施設に重きを置いた発想、今度の交付金は行政目的、活性化するんだという目的に重きを置いた発想だということでございます。

 先ほどの御答弁で補助金と言ってしまったかもしれませんけれども、国のサポートという意味で補助ということを申し上げたつもりだったわけでございます。

佐々木(隆)委員 余り揚げ足取りの論議をするつもりは私はないんですけれども、施設だと補助で政策だと交付金だ、こう言われたんですが、実は、前の元気づくりよりも今度の活性化事業の方がソフト事業はむしろ減っているんですよ。むしろ施設に何かシフトした、戻ってきた感じがありまして、そういった意味でいいますと、今政務官がお答えになった意図とは逆の方にこの制度がむしろ動いていってしまっているのではないかというような気がするんですが、ソフト面とか、あるいは自治体以外の団体からの提案というようなことも先ほどお答えをいただいたんですが、その辺についての論議というのはこの事業を新しくするに当たってどのように交わされてきたのかについて、お願いをいたします。

福井大臣政務官 補助金は、先ほど申し上げましたように、特定の施設を中心に国のサポートがあった、交付金は行政目的ということで、その考え方は基本的に変わっておりません。

 今先生の御指摘は、地方の裁量ということでとらえさせていただきますと、農林水産省といたしましては、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、十七年度予算におきまして、百七十五の事業を七つの交付金にまとめて補助金改革をさせていただいたところでございます。

 今回の交付金におきましても、そのような地方分権改革の趣旨にのっとりまして、さらに、先ほど、ちょっとダブりますけれども、農、林、水の事業が一つの計画で一体的かつ弾力的に実施できる、そして市町村への県を通さない直接の補助が可能となって市町村の主体性が生かされる、そして、伝統的家屋の修繕とかいうような地域提案メニューの採用というような例で見られるような柔軟な仕組みができるということによって、地域にとって使い勝手のよい交付金となり、そして地方分権の理念と整合し、何よりも、使い勝手がいいわけですから、行政目的により的確に適合できるような交付金という仕組みを提案させていただいているところでございます。

佐々木(隆)委員 今度の事業、これは地域活性化というぐらいですから、農山漁村活性化というぐらいですから、ソフト事業が全くなければ、それこそ行政目的を達することはできないというふうに思うんです。

 私が申し上げたのは、元気づくり事業の方がもっとそういう事業が多かったということを申し上げたわけでありまして、例えば、今度はこういうふうに集約したから、数は減ったけれども充実しているんだとかいう答弁が来るのかなと思ったら、そうではなかったものですから、その話はまた後ほどちょっとさせていただきたいというふうに思います。

 地域活性化対策といいますか、いわゆる安倍内閣の地域活性化九法案という法案があります。この九法案の中にこの活性化事業も位置づけられているわけでありますけれども、その九法案というのは、これはある意味安倍内閣の目玉としてスタートしたものの一つだというふうに思うんですが、一つにまとめて、地域の活力ということで九つの法案を出してきたということは、この九つがどういうふうに有機的に連携するのかということが非常に重要だと思うんですね。

 とりわけ、今度の、この事業でいいますと定住とか交流とか生活インフラとかいうことを重視しているわけですから、これは単に農業だけの問題、農村だけの問題ではない、だからこそ、九つの法案を一まとめにして、安倍内閣の大きな政策目標に私は掲げたんだと思うんですけれども、この九つをどのように連携しようとしているのか、あるいはまた、その連携するための、内閣の中に何かそういったものがあるのか、どのように進めようとしているのか、そのことについてお願いをいたします。

福井大臣政務官 先生御指摘のとおりで、私も役所出身で、縦割り行政の弊害というのは国会の先生方にチェックしていただかなければならないということでございますので、そういう趣旨で今御質問かと存じます。

 九法案が今提出されておりますけれども、本日、また大臣の方からも御答弁は既にございましたけれども、もう一度整理させていただきますと、大きく分けて三つの分類でございます。地域産業活性化法案による地域産業の活性化という分類。そして地域雇用開発促進法の改正によります雇用の改善という分類が二つ目。そして三つ目に、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律などによりまして広域的な基盤の整備ということで、他府省庁の所管の法律案に基づいた措置を一体的に講じて、この地域活性化に向けた相乗効果が発揮されるということだと存じております。

 そして、このような観点から、法案については、地域活性化政策体系におきましては、国際交流、地域間交流を促すという視点を踏まえて展開する施策としての位置づけがございます。そして、他府省庁の地域活性化関連法案と相互に役割分担、連携を行って地域活性化を図るということだと存じます。

 国会答弁上は、他府省庁と十分連携をして進んでまいりたいということで終わってしまうんでしょうけれども、現場においても、他省庁の、いろいろな省庁の施策をうまく組み合わせるという、現場でのつかさつかさとしての知恵もまた重要になってくるということでございますので、現場で事がうまく運ぶように、私どもとしても努力してまいりたいというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 縦割りというのは中央省庁の話を今されたんだと思うんですが、それもそうなんですけれども、中央が縦割りであるということは、現場へ行くと、それを、では違う方から指示が来ているものを現場で一つにしろというのはもっと困難な話になります。

 ですから、内閣において、どこかでそれをちゃんと調整するという役目を果たさないと、片や農業関係からずっと物事がおりていく、片や国交省、建設の方から物事がおりていく、経産省から物事がおりていって、それが都道府県や市町村へおりていったときに、担当者二人ぐらいで全部まとめて聞くなんという仕組みにはなっていないわけですから、今、有機的に結びつけるとおっしゃったんですが、であれば、国においてこういうシステムをつくりましたというものがしっかり地方に流れていかないと、現場へ行ってからこれを一つにまとめる方はもっと難しい話になるのではないかというふうに私は思うんですが、その点についていかがでしょうか。

山本(拓)副大臣 確かに、今ほどお話がありましたように、縦割りだけは現実的にあるわけでありますから、そういう中にあって、御案内のとおり、こちらから指示をするのではなしに、地方から提案をいただくという基本的な概念をお示しして、そして今回幅を持たせて、今まで補助金といいますと目的がはっきりしたものに補助をつけていましたけれども、交付金という形である程度裁量権、地元の方から提案をいただく形でそれに裁量権ということでもございます。

 そして、御案内のとおり、今内閣府の中で、各省庁の、地域再生担当とかそういうセクションは一つありますけれども、また、官邸の方でも副大臣会議がございまして、八つの関係する副大臣が集まりまして、官房副長官そしてまた農水担当であります私が座長となって、個別具体的な案件を個別具体的に進めるように調整を今図っているところでございます。

佐々木(隆)委員 今、あのようなことがやはりきちっと伝わっていくべきだと思うんですね。この事業は、与党とか野党とかいう問題ではなくて、せっかく地域活性化で進めようといってつくった事業であれば、やはり現場が混乱したのでは何の意味もないわけですから、内閣としては、こういう取り組みをしていますということがちゃんと伝わっていくということにぜひ意を用いていただきたいというふうに思います。

 そこで、今もお話がありましたが、結局、この交付金という名前がどうも紛らわしいのでありますけれども、今度の九つを含めた、魅力ある地域の変革に向けてという、いわゆる地域活性化の体系ですね、その中に、交付金と言われるものが、地域再生基盤強化交付金、それから都市再生もこれも交付金、この農山漁村も交付金、それから、これは国交省ですが、広域的地域の自立・活性化、これも交付金、頑張る地方応援の交付金はこれはちょっと違いますけれども、九つ出てきているうちの四つが交付金措置になっているわけであります。

 先ほども論議ありましたけれども、結局、交付金とはいいながら、俗に言うひもつき交付金なわけですよ、一定程度限定されて。限定が緩いからよりましだろうという話ではなくて、なぜ補助金から交付金にして、交付金の将来の目標は何なんだというところなしに、交付金は少し使い勝手いいからいいだろうというのは、私は余り説明にはなっていないという気はするんですが、なぜ交付金にしたのかと、交付金が最終的に目指す目的は何なんだというところをぜひ説明いただきたいと思います。

福井大臣政務官 先ほどからの討論のまとめという意味で御答弁させていただきますと、政府の中心は、内閣官房に地域再生本部というのが設けられまして、まさに縦割り行政の弊害を排除するために、政府一丸となってサポートする体制を整えるために地域再生本部が置かれた。そして、その中で、各省庁の施策を整理し、そして各省庁の交付金、その役割分担、連携の手法について整理されているということだと思います。

 先ほどから申し上げておりますように、余りにも施設偏重だと、補助金行政が非常に弊害があるということで、各局各課、別々の議論をしているということなので、地域活性化のためにという行政目的をより明確にするために交付金化したということで、各省庁のそれぞれの特徴を出した交付金が今整理されているところでございます。そして、この国の意思というのが、やはり地方の活力なくして国全体の活力なし、この地方が一番大事という意思を示すために、国が関与をする交付金というのが今議論されているところでございます。

 したがいまして、農林水産省の施策というのをもう一度整理させていただきますと、財政力の弱い農山漁村においてこの補助金を廃止し、国の施策目標を達成するに足る十分な振興施策を図るために国の関与を残すということでございます。

 仮に、先生が少しおっしゃりかけられました完全な税源移譲、あるいはひもつきを完全になくすということになりますと、税源が乏しくて財政基盤が悪化したりしている市町村ですと、どうしても農山漁村活性化における施策のプライオリティーが低くなりますので、投資されない、活性化されないというおそれがある。

 したがって、繰り返しになりますが、国の意思を示した交付金、ぜひこれでお使いくださいという交付金を用いて国の施策目標を達成するということにさせていただきたいと存じております。

 しかし、なお、この実行につきましては、地域にとって使いやすい、地域の自主性そして裁量性が十分に発揮できるという仕組みに転換をし、それをさらにまた進化させていただくということにつきましては、また先生の御指導をいただきたいというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 今いみじくも交付金というところまで一気に答弁をしていただきましたので、そうなった場合に、財政力の基盤として弱い農林水産行政、あるいは地方におけるプライオリティーという話をされたんですが、私は、農水省といいますか農林水産行政をやっておられる大臣、あるいは幹部の皆さん方もそうでありますが、その人たち自身が、自分たちがやっていることのプライオリティーが低いとか、地方に行ったら我々の予算が削られてなくなるから交付金化できないんだという。そんなことでは、私は農林水産行政を推進できないと思うんですよ。もっと自信を持って農林水産行政をしっかり進めるという、どんなことがあっても、それは地方にあっても大事にされるんだという前提で取り組んでいただかないと、自分たちで自分たちのプライオリティーが低いという評価をしているようでは、とてもじゃないけれども、地方に農林水産行政をしっかりやれと言わなければならない立場の皆さん方でありますので。

 それと、もっと言えば、地方の首長さんが農林水産行政をおろそかにするようであれば、次は間違いなく落選するんですから、そこまでこっちが心配をしてあげる必要は私はないと思うんですね。

 それが結局、交付金をひもつきにしてしまって、ちょっと言葉は悪いですが、中途半端な交付金にしてしまっているのではないか。だから、補助金から交付金にしたんだけれども、交付金という本来の目的とは違うところで今使われているわけですね。少し交付金の要素を取り入れたというお話なんですが。

 地方六団体の皆さん方が、これは交付税という名前ではなくて、共有税という名前に変えてくれという陳情も来ているわけですね。交付税ということになれば、本来地方固有の財源なわけです。これは交付金と交付税が、またこれは何が違うんだという話になりますけれども、交付税は本来地方固有のものであって、それをたまたま配分する役目を国が担っているだけの話であって、そこに安易に補助金を交付金、交付金といっていくと、では、それは地方固有の財源なんですかという話になっていくわけですね。今そういう状況に実はあるのではないか。

 と同時に、交付金という名前を使って、分権と片方でいいながら、むしろ、どんどん地方に国が関与をしていってしまっている。私は、その最たるものが、先ほど触れませんでしたが、地方応援プログラムだと思うんです。目玉事業ではありますけれども、私から言わせると、地方の交付税に対して国が勝手につけたりつけなかったりすることの裁量を持つというのは、私は大きな間違いではないかというふうに思っておりまして、そういった意味では、交付金と交付税が今ごちゃまぜで論議をされていて、さも地方を大事にしているかのような表現になっているわけです。

 その証拠というわけではないんですが、その一つが、元気づくり事業というのが十七年から始まって、そのときの予算が四百六十六億円です。昨年が四百十五億円。今回、活性化法に名前が変わって三百四十一億円。拡充をしましたと先ほど答弁いただいたんですが、拡充したといいながら、実質的には、ソフト事業はどこかに寄せたからそうなったのかもしれないんですが、予算的に見ると確実に減っているわけです。効率化という名の削減と私は言っているんですが、効率という名のもとに削減をされているのではないかという気がするわけです。

 そういった意味で、もう一つ、これは農林水産省だけですけれども、農林水産省における補助金と交付金、御多分に漏れず、補助金は年々減っています、それは当然のことですが。ところが、その分交付金がふえているわけです。要するに、補助金を交付金に置きかえているだけでありまして、しかし、結果として総体の予算は減っているわけで、結局、交付金化するときに予算を統合して削ってしまっているのではないか。ちょっと意地悪な見方をすれば、そういうふうに見られないこともないわけなんですが、そういうことではないというのであれば、そのことをぜひお聞かせいただきたいと思います。

福井大臣政務官 ちょっと事実認識がずれておりますので、補助金行政から交付金行政に転換して、百七十五を七つに組みかえて、地方には喜んでいただいているものと、使い勝手はよくなっているというのが私どもの認識でございますので、また先生が御指摘の市町村がございましたら教えていただきたいと存じます。

 今の予算のことですけれども、確かに三百四十一億円、元気から見ると減額されているのではないかという御指摘でありますけれども、三百四十一億円は今の行政目的に特化した交付金でございますけれども、ほかにも交付金がございまして、組みかえているということで御理解いただきたいと思います。

 活性化のための予算が減ったというわけではないということですし、その一番の事例が、十九年度の予算から、この交付金の創設とあわせまして、地域の資源であるバイオマスの利活用のための交付金が新たに創設されているということもあり、より集中的、効率的な運用に努めることによって、より活力ある、活性化する地域のために予算を使っていただくということで考えておる次第でございます。

佐々木(隆)委員 林と水も入れて、そして拡充したと。であれば、本当は予算はふえていなきゃいけないんですけれども、予算は減っている。それで、中身は拡充した。これは、私の頭で理解しろと言われても、なかなか難しい話であります。

 何が私が理解できないかというと、一番わかりやすいことは、元気づくり事業で先ほど触れましたが、成果についてちゃんと評価をするというふうになっていた、二年前から。そのときに、一年一年、五年たたなきゃ評価できないなどというふうになっているわけではなくて、毎年の目標があるわけですから、毎年その成果について評価をして公表していくということをやっていけば、このときに、今度の活性化法をつくるに当たってはここをこう評価しましたし、ここのところはこうでしたから今度のこういう法律にしましたという説明がつくんだと思うんですね。

 ところが、これは、ある意味で約束を果たしていないわけですが、目標を立てて、成果を出して、評価をするといっていた前の元気づくり事業について、その評価が出ていない。二年でやめるつもりはなかったんだろうと思うんですけれども、私流に言わせていただくと、余りにも拙速に今度の法律に乗りかえてしまったのではないかということがあるんだと思うんですね。

 だから、この成果と評価について、私は、今からでもいいから出して、決して前の元気づくりを評価していないわけじゃないんですよ。評価していないわけじゃないけれども、形としてきちっと出すということになっていたのに出していない、目標を掲げて、結果を出すと言っていたんですから。それを、やはり今からでも、前の元気づくりの成果というものについて、きちっと出すということをやることが私は必要だというふうに思っていますし、今度の新しい制度で新しい事業をスタートするについて、そのことをやはりきちっとみんなの前に明示をすることが必要ではないかというふうに思いますが、いかがですか。

福井大臣政務官 先生御指摘の点、元気な地域づくり交付金の評価、毎年毎年やっているのにどうなっているのかということでございますけれども、事業箇所としてはそのまま継続をさせていただいて、毎年、十七年度、十八年度、それぞれの事後評価ということではなくて、三年から五年の計画期間になっておりますから、各箇所ごとに三年後、五年後の評価ということになるわけでございます。

 先ほどの予算のことですけれども、七つの交付金にまとめたということで、七つの交付金トータルの合計が千百億円ございました。そのうち、先生御指摘の元気な地域づくり交付金が四百十五億円でございましたが、今般、農山村の活性化プロジェクトで三百四十億円を含めたトータルが九百三十二億円ということでございます。地域バイオマスその他で百七十五億円、組みかえてそれぞれの項目の交付金が今交付金型事業として残存しておるわけでございますので、現場現場で混乱が起きないようにという御注意として受けとめさせていただいて、今般の交付金的事業で地域活性化を行えるように、ぜひ御協力をいただきたいと存じます。

佐々木(隆)委員 いつの間にか、的という言葉が潜り込んできておりまして、そう言えば全部当てはまるのかなという気もするわけですが、元気づくり事業は三年から五年の計画ですというふうに多分お答えになるんだろうなと思っていたんですが、事業を始めるときに、三年、五年の計画を出してもらったはずなんですね。そこに毎年の目標だってあったはずなんです。三年か五年の間、何にも計画なしで、五年後に完成しますという計画だったら、多分農水省、オーケー出さなかったと思うんですね。毎年の計画をちゃんと積み重ねてきたと、だったら毎年評価出せるのではないですかということを私は言っているんです。

 それは、確かに事業完了は五年ぐらいかかるんです。しかし、元気づくりの事業を始めるときに、今までのいわゆる入り口方式から出口方式にしようということで、毎年の計画を出させて、そしてそれについて、成果について評価をするということで始めた事業なんです。例えば、ことし一〇%進むはずだったものが一二%進みましたとか八%進みましたとか、毎年必ず何らかの評価があるはずなんですね。もしないのだとしたら、今度の事業をやるに当たっては、毎年ぜひそれをつくらなきゃだめだと思うんですね。事業を完了したら、そのときに評価をしますではだめなんです。手おくれになっちゃうんです。

 特に、今度、地域活性化という名前をつけたんだったら、地域が毎年活力をどう出していくのかということを何らか評価をしなければ、後ほど触れますけれども、ほかの似たような事業も農水省の中にあるわけで、その中で毎年毎年の評価を、しかも公開をするという前提でやっていくということが、私はこれから事業を組む上で最も必要なことではないかというふうに思うんですが、過去にあれば過去の、元気づくりの経過があれば経過、そして、なければ、そのことの反省を含めて次どうするかということについて、お願いをいたします。

福井大臣政務官 毎年毎年の実施計画はございますけれども、事後評価は、三年から五年にかけて全体の計画が終わった上で評価をさせていただくということでございます。

 冒頭申し上げましたように、評価項目は、元気づくり交付金と今回の交付金はほぼ踏襲をさせていただくということでございますので、そういうことでございます。

佐々木(隆)委員 今までの事業、私もそういった事業に地域の中でかかわりを持たせていただいて、一番やはり今新しい時代を迎えて、新しい農政をスタートするときに、変えなければいけないのは私はそこではないかと思うんですね。五年の事業だから、ちょっと言葉は悪いですが、五年の間は役所を信用しろみたいな話では、これからなかなか通っていかないと思うんですよ。自分たちの情報というのは、常に農業関係者や国民の皆さん方と情報は共有するという気持ちで、毎年評価を出していくという事業の展開をしなければ、これからはだめだと思うんですね。

 そういった意味で、五年でなければ結果が出ないんだ、結果が出たときには教えますという考え方そのものを、今度の新しい法律がスタートをするに当たって、ぜひ考えを改めていただきたいというふうにそこは指摘をさせていただきます。

 それで、農政の中に新しい制度、三つあるわけですが、とりわけそのうちの品目横断対策と農地、水、環境対策という、米の対策と合わせて三つですけれども、とりわけこの二つの対策との関連についてお伺いをしたいというふうに思うんです。

 なぜそういうことをお伺いするかというと、品目横断の中には、集落営農組織をつくりましょうという項目があります。それから、農地、水、環境向上対策には、地域の共同活動というふうになっています。どちらも地域で、集団あるいは共同という形で物事をやるということが含まれた事業なんですね、二つとも。それで、今度、地域活性化という事業が加わった、しかも同じ年にスタートをするわけですから、このことについての関連性について、お伺いをいたします。

    〔委員長退席、金子(恭)委員長代理着席〕

山本(拓)副大臣 先生御案内のとおり、今般の品目別安定対策大綱、それに農地、水、環境、これについては、品目別で、とにかくこれはつくったって売れなきゃしようがありませんので、これを質の高い、そしてまた高付加価値のものを、また効率的なものを生産して、そして、特に、やはり多売していくためには都市部の人に販売をしていかなくてはならないところでございますし、ただし、スーパーでどれを選ぶかは消費者の判断というのが現実であります。

 それからいたしますと、いわゆる今回の品目別横断経営対策については、いわゆる産業政策として担い手の明確化と施策の集中、重点化により力強い農業の確立をするといういわゆるハード面を中心としたものでございます。農地、水、環境保全対策については、地域振興政策という位置づけで、その基盤となる農地、水、環境保全向上と農業の自然環境機能維持増進に寄与するものでもございます。

 そういう中で、今回の法律に基づく農山漁村活性化の取り組みは、いわゆる定住等及び地域間交流の促進を図ることにより、地域のにぎわいを復活し、活性化を図る。いわゆる地方の人が、先ほども申し上げましたが、もともと団塊の世代の人が、来年以降七百万人ほど定年を迎えるということで、そういう人たちのアンケート調査でも、大半、五割を超える人が地方に非常に興味を示しているという背景がありまして、やはりそういう人たちは、むしろ消費者でもありますし、そしてまた、同じ国内での地方にも関心があるという、そこをトータル的に結びつけて、トータル的に今回のタイミングを同一にしたものでもございます。

 現下の農政改革の推進と連携、整合を図りながら、農山漁村の振興、活性化に向けて、これを契機として全力を挙げてまいるところでございます。

佐々木(隆)委員 言っていることは正しいと思うんですけれども、今、農家の皆さん方が聞いていて、うんと言えるのかなというふうにちょっと思いながら、要するに、今度の農山村活性化というのは、主に言えば、定住、交流というようなことをメーンにつくられているんですけれども、それは補完的な結果なわけですよね。農業という営みがあって、食料生産という営みがあって、そして、それを通じて景観というものが維持をされていってというものだと思うんです。

 だから、農村のすばらしい景観とか環境というのは、もともとの農業という営みがあって、二次的にそのことが発生してくるものであって、そこだけを殊さら取り上げて事業と言うのではなくて、本来は農業と農村がどうなるかということが一番大切なんだと思うんです。結果として、訪れる人たちが、あるいはいい景観がということになるわけであります。

 そういった意味でいうと、農地、水、環境対策というものがあって、それの補完的なものとして定住とか交流というのがあるのであって、地域活性化という視点からいうと、もう少し私は別なものなのではないかなというふうに思うんですね。

 農村というのはそのほかに、農業ではなくて農村というところには、もともと互助とか結いとかという文化もあって、それで景観というものができてきたわけです、結果として。そういうことからいうと、品目横断で集落営農をつくり、農地、水、環境で共同活動組織をつくり、いろいろな、今までせっかくあった互助とか結いとかいう組織をわざわざ壊して、補助金をもらうがための新しい組織をつくらせて、あげくの果てに、定住と交流という事業をそれに乗っけて、外から来る人のために何かを整備するというのは、どうも何か少し視点が違うのではないかという気がして、それが本当に自分たちが住んでいる農村というものを将来的に活力あるものにしていくことに、三つがどういうふうに連携したらそうなるんだというところの連携というのが何か弱い。同じ年にスタートする政策なのに弱いという気がするんですが、その点の連携についてはいかがでしょうか。

山本(拓)副大臣 確かに、その連携、いわゆる、これはこれ、これはこれというのは非常に難しいところでもございますし、そして、先生御案内のとおり、今国内には四百七十万ヘクタールの農地が存在するところでもございます。そういう中で、本来、日本人が朝昼晩、米を食ってくれて、そしてすべての食卓が国産の農産物を食べていただければ、いわゆる何ら苦労することなく、自然の経済、農業経済の中で生産者が生産をして、流通して販売できるわけでもございます。

 しかしながら、現実的に、いわゆる食生活の安定を図るために海外からの安いものを受けざるを得ないわけでありまして、そういう中で、特に日本の食生活の構造が変わって、米以外にスパゲッティを食ったりいろいろなものを食って、いわゆる自給率という話にもなってしまいますが、せっかくつくったって売れない。売れないものは税金ですべて補てんすればいいという法律でもつくれば別でありますが、そうなると、もう大変な税金を投入することになることは、これはなかなか国民の理解を得られないという認識を持っているところでございます。

 そういう中で、先ほど来から申し上げておりますように、四百七十万ヘクタールの農地の地主さんという数は、戦後、農地解放の結果でもあるんですが、実は一千万人を超えます。いわゆる一千万人を超える地主がいる中で、今現在、二百八十五万農家が農業をとりあえず営んでいただいている。

 そういう中で、さらに経営が厳しく、また効率化を、どうした形で四百七十万ヘクタールを守っていくかということを考えたときに、やはりどうしても幾つかの方法論に分けて、まずは品目別で、いわゆる産業政策という形で位置づけておりますので、いわゆる米であれ麦であれ、品目別にトータル的な別に構造を変えていく。そしてさらには、自然環境という形でも、やはりこういう時代では大事でありますから、そういう形での政策で一つカバーをする。

 さらには、先ほども申し上げましたが、団塊の世代と言われる人が、もともと農村の人が都会に移り住んで定年を迎える人が多いわけでありますが、そういう人たちが、やはり七百万人近い定年退職者の意向として、地方への回帰を非常に目指している。またその人たちの子供もいるわけでありますから、そういう子供、孫に至っては、同じような認識で、なかなか生活を移転することはできませんが、土日とか夏休み等にも移りたい、体験したいというデータも出てきているところでございまして、それを限定に国の方から一律、こうしなさい、ああしなさいと言うのではなしに、方法論については、それぞれの地方でいろいろ計画を立てていただく。それに対して裁量権のある交付金をつけていくという流れが今現状でございます。

 今、一つ一つどう関連づけるかという話は、これは、一つ一つ法律は別でも、恐らくそれにかかわる人は共通しておりますので、そういう事業体、経営体をつくっていく、また農業の事業を営んでいく人の事業計画の中で一本化して、そういう人たちが合算所得で成り立つような仕組みを我々としては応援していきたいと考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 今お話をいただいたところは、ちょっと農政の本質論議になっていっちゃうと、これはきょうの時間の中では少し難しいところもあるんですが。

 ただ、一点指摘をさせていただきたいのは、例えば、今観光というのも、私、北海道なものですから、大変大きな産業化しつつあるわけでありますが、そのときに、観光主体、観光客体、観光媒体という、産業用語なんでしょうけれども、三つに分けるんですね。

 それで、観光主体というのはだれかというと、観光客のことを言うんですね。観光客体というのは受け入れる側の方を言うんですね。私は、それは間違いだと思うんですよ。観光主体は受け入れる側であって、客体は客だと思うんですよ。その地域ではぐくんできた歴史と文化にお邪魔をさせていただくのが観光客だと思うんですよ。観光客のために我々は地域をつくってきたわけじゃないんですよね。

 それと同じ結果に、結果にというか目的が、今、定住していただくとか交流していただく人のために農村があるわけではないということを、観光のときも、観光客のために地域があるというふうな今の考え方というのは私は違うというふうに思っているものですから、観光客は地域に金を払っていけと私は言いたいぐらいなんですが、そういう地域の営みということが一番大切なんだということをあえてここは指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、基本法農政に比べて、出てくる施策がどうしても少し違うという気がしているんですね。基本法の理念が必ずしも一つ一つの政策に生かされているのかというふうにいうと、申しわけないんですが、結果、出てくる政策というのは、先ほどの品目横断で産業政策だというお話がありましたが、結果、選別が進んでしまったり、あるいは、補助金農政を脱却すると言いながら、脱却し切れたとはとても言えないし、もう一つ、やはり私は一番問題だと思うのは、農業政策というのが結果主義なんですね。本当は政策というのは計画主義でなければいけないのに結果主義。

 それはどういうことかというと、産地づくり交付金のように、配分する方は農業団体か地元にお任せします、あるいは品目横断も、作付したものについて上げてきなさい、そうすれば補助金上げます。これは、結果については責任を持っているんですが、計画のところに全く責任を持っていない。

 政策というのは、私は計画に責任を持って初めて政策だというふうに思うんですが、計画のところに余り国がきちんと責任を持っていないというところが、基本法の理念が必ずしもきちっと生かされない結果になっているのではないかというふうに思うわけであります。この点については、時間がなくなりましたので指摘にとどめさせていただきます。

 この九法案を含めた活性化法、それから、国全体でいいますと再チャレンジだとかイノベーションだとか経済底上げ戦略とかいうものが一気に今回出てきているわけですが、私風に言わせていただくと、これは政府による格差対策だというふうに思っております。格差是正という言葉を使いたくないがゆえに、こういういろいろな政策が出てきたのではないかというふうに思っているんです。

 私は、この五年間の改革というものを否定はしていません。否定するものではありません。ただ、何が一番間違っていたかというと、セーフティーネットを張らないままに改革を進めた、それも意図的にと言ってはちょっと怒られるかもしれませんが、そこは結果としてそうなったではなくて、そういうふうにやってきたのではないかというふうに思っているんです。

 規制はいろいろ外すからいろいろなわざに挑戦してみろと言われて、このごろ例え話をするといろいろ危険ですから、余り例え話もできないんですが、サーカスをやって、規制をいろいろ外すからいろいろなわざにチャレンジしてみろと言って、いろいろなわざにチャレンジしてみたら、下にネットはなかったというのが今日までの改革だったと思うんです。そして、そのネットがないがゆえに地面にたたきつけられた人が、次の再チャレンジをしろと言われても、再チャレンジするそのチャンスさえないというのが今の状況ではないかというふうに思うんですね。安倍総理も、結果平等よりも機会平等だと言うんですが、その機会平等がきちっとつくられていないというところに大変大きな問題があるのではないかというふうに思うわけです。

 今度の地域活性化も、そういった意味では、機会平等の一つとしてもしこれを位置づけるのであれば、地域活性化の中の一つである農山村活性化法というものも、だれに対してセーフティーネットを張っているのかということが実は明確ではないのではないか。定住化していただく人のためや交流人口のためにセーフティーネットを張っても、それは農村のセーフティーネットにはならないわけですね。そこを私は申し上げているんですが、そういうふうに運用していくためにぜひお知恵を出していただかないと、これはだれのためのセーフティーネットなんだと。これは多分、そのセーフティーネットの一つとして出てきた政策であるとするならば、あるはずなんですが、だとすれば、セーフティーネットを張るところを間違っているのではないかというふうに私は思っておりまして、本当の意味での、そこにずっと営々と続けてきた農村が、これから先もきちっと維持をしていけて、そこに住んできた人たちがこれからも住み続けることができるというのが私はセーフティーネットだと思うんですよ。

 そういった意味でいうと、活性化法という名前がせっかくついているわけですから、定住していただく方やそれから交流をしていただく方のためだけのものではなくて、そこに住み続けている人のためのセーフティーネットとして、ぜひこの制度を充実していっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

    〔金子(恭)委員長代理退席、委員長着席〕

西川委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、農林水産業に詳しい松岡大臣に質問ができるというので実は楽しみにやってきたんですけれども、どうしても、残念ながら、初めに聞かなくちゃならないことがあるので、お聞かせをいただきたいと思います。

 大臣、いかがですか。いろいろな方が大臣の事務所費の問題についてはぜひもう少し説明責任を果たすべきだ、与党の公明党の太田代表まで、もう少し説明すべきだ、こう言っているんですが、そろそろこの辺でもうはっきりしたらいかがでしょうか。

松岡国務大臣 福田先生からせっかくそのようにお尋ねいただきまして、しかしながら、この点につきましては、もう先般来、また先ほども申し上げましたような次第でございますので、ひとつそういうことで御理解を賜りたいと思います。

福田(昭)委員 それでは、説明責任を果たさないならば、ぜひ大臣をやめるべきだ、こういう御意見があるんですが、いかがですか。

松岡国務大臣 その点につきましても、任命権者の安倍総理からは、とにかく使命を果たし、責任を尽くして、農林水産政策に全力で取り組めと。そして私も、その結果、成果を上げておこたえをしたい、このように思っておりますので、そのようなことで御理解をいただきたいと存じます。

福田(昭)委員 それでは、ちょっとお伺いいたしますが、説明責任を果たさずにやめた前行革担当大臣の佐田大臣と松岡大臣との違いはどこにあるか。どう思われますか。

松岡国務大臣 私は佐田大臣のことは、よく事実関係も存じませんので、どこが違うかと言われても、私からはちょっとお答えがしかねるところでございます。

福田(昭)委員 私の知るところによりますと、佐田大臣と松岡大臣の違いはほとんどないんですね。ただ、佐田大臣の場合は建物がなかった、松岡大臣の場合は議員会館という建物がある、佐田大臣の場合は事務所費に計上しているのが山ほどある、松岡大臣の場合は光熱水費でちょっと少ない、これだけの違いで、中身は全く同じなんですが、いかがですか。

松岡国務大臣 佐田大臣の場合を知りませんから、事実関係を。それと比較してお答えすることは差し控えさせていただきますが、私は、現行の法令、制度に基づいて必要なものはすべて尽くしておる、このようなことでございます。

福田(昭)委員 現行の法令に基づいて説明をしているということでございますけれども、多くの国民が不思議だなと思っているわけですよね。全くかからないものにお金を計上しているわけですから、これはおかしいなと思っているわけです。

 事実と違うこと、真実と違うことを話すことをうそつきと言うんですよね。私も地元でよく言われるんですが、政治家はうそつきだと言うけれども本当だね、その代表は松岡大臣だね、こう実はよく言われるんですが、そう言われたら、松岡大臣、心外でしょう。ぜひとも本当のことをお話しされたらよろしいんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。

松岡国務大臣 心外じゃないかとおっしゃいましたけれども、私は、心外ではなくて、そのとおりに、法令に基づいて報告いたしておりますから、それ以上のことについては、何度も申し上げておりますとおりでありますので、御理解いただきたいと思います。

福田(昭)委員 そうした松岡大臣をかばっている安倍内閣でありますけれども、安倍内閣は教育再生を大変重要な課題として掲げているんですよね。教育基本法も改正をした、いよいよそれに基づく教育三法も改正する、こういうことで、日本を再生させるためには教育を再生させなくちゃだめだ、こう思って頑張っているんですが、しかし、本当のことを言わない松岡大臣をかばっているということになると、これはうそつき奨励内閣になっちゃうんですよ。うそつき奨励内閣では教育の再生はできませんよ、これは。ですから、安倍総理のためにもならないと思うんですが、いかがでしょうか。

松岡国務大臣 先ほど来申し上げているとおりでございます。

福田(昭)委員 そういうことになりますと、これ以上聞いても仕方がないんだと思いますが、まさに、タウンミーティングに見られるように、本当にやらせのタウンミーティングから、何のための教育再生だかわからない安倍内閣、本当に、うそつき奨励内閣、こうなっちゃうんですね。ぜひ、そうならないように、特に松岡大臣、熊本出身だそうですから、少し武士らしく、潔く、しっかりとやはり説明責任を果たすか、果たさないならばすっぱりとやめるべきだと私は思います。

 残念ながら、そうしたことに対しての答えがございませんでしたので、質問は、以下、残念ながら、本論の方には副大臣以下にお答えをいただきたいと思いますので、そのように御理解をいただきたい、こう思っております。

 それでは、本論に入らせていただきます。

 まず、食料・農業・農村基本計画における振興策についてお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、食料自給率の向上についてであります。

 基本計画では、供給熱量ベースで、カロリーベースで現在の四〇%から四五%、生産額ベースでは七〇%から七六%を平成二十七年度を目標に達成する、こううたっているようでございますが、この食料自給率の目標についてどう思われるか、副大臣からお答えを願いたいと思います。

山本(拓)副大臣 食料自給率という概念が非常にあいまいなところもございまして、本来、一〇〇%にするのがいいんでしょうけれども、これは現実的になかなか難しいということで、自給率目標は四五%にしているところでもございます。

 こういう中で、その四五%を設定している根拠というものは、非常に現実的に、現実可能な数値目標としてとらえているところでもございます。国民一億二千七百万人がいざというときに必要な熱供給、それを供給する面積としては、四百五十万ヘクタールから今現在の四百七十万ヘクタール、これが、国民一人当たりが二千二十キロカロリーが妥当かどうかは別といたしまして、恐らく医者から二千キロカロリーにしろと言われている日本人は多いと思いますが、平均しての目標として二千二十キロカロリーを毎日国民に供給できる、いわゆる自給力と申しますか、農地がなければ物もつくれませんので、そういう数値をまず担保できるためにも、いわゆる、今言われている自給率という計算方法では、四五%を目標数値として位置づけているところでもございます。

福田(昭)委員 平常のときはいいかと思いますが、いざというときには、この食料自給率四五%目標では、これは国民が大変なんじゃないか、こう思っているわけですが、いざというときにはどんなことを考えていらっしゃるんですか。

山本(拓)副大臣 いざというときというのが、どういう場合がいざというときかは非常に難しいんですが、先ほども申し上げましたように、本来ならば、食料自給率という概念には、人間が食べる、ふだん我々が食べる牛肉などの、その牛肉のえさも国産という定義で計算されますので、そういうことを考えれば、今の自給率、いざというときにどうするんだということであれば、今現在、四百七十万ヘクタールの農地が国内にあるわけでありまして、それをフル生産、芋をつくったり裏作をしたり、生産する体制をとることによって、御案内のとおり、国民一人当たり二千二十キロカロリー以上の穀物、カロリーベースの農産物は提供できる自給力は今現在有しておりますし、それプラス肉と魚ということになろうかと思います。

福田(昭)委員 なぜそんなことを聞くかと申し上げますと、政府の経済財政諮問会議の民間議員が、例えばですけれども、今回オーストラリアで大変大干ばつで食料が入ってこないというような話をしたら、そのときは別の国から輸入したらいいじゃないか、そういうことを民間議員が言っているということなんですが、そういう乱暴なことが通用すると思いますか。

山本(拓)副大臣 御案内のとおり、私どもとしてもそういう意見には大反対でもございますし、もともとが、工業製品であるならば、海外から商品の材料供給を受ける場合には、その供給元がどのような災害で、火事が起きようと地震が起きようと、契約上は何らかの形で供給責任が義務づけられるわけでありますが、農産物に関しては、御案内のとおり、幾ら、安いから今日買えと言われても、いざ、その国の農地が干ばつでとれなかった場合にはもう送れませんという、いわゆる普通の工業製品と違う契約上の中での商取引になっておりますので、同じように、安いものの海外製品をという工業製品と並べて農産物の貿易を論ずることは、極めて前提条件が不公平な議論があります。

 そういう点からいたしますと、我々として、今、先生と同じ認識を持っているところでございます。

福田(昭)委員 そうした考えは、本当に民間議員の考えは、とてもとても、日本の国民の食料安保という考え方からすれば、とんでもない話だと私は思っておりますので、その点は考えが同じなので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 そうしたことを考えると、食料自給率の目標値は、四五%は低過ぎる。我が党の代表は一〇〇%と言いましたけれども、少なくとも七、八〇は目指す、そういう目標値がないと、これは五〇を超えるようなことは絶対ないわけですよね、目標数値が四五ということであれば。

 どうですか、もう少し高くするという考え方はありませんか。

山本(拓)副大臣 先ほど来申し上げましたように、一〇〇%はこれは理想でありますが、小沢党首が言っておられる一〇〇%。そうなりますと、御案内のとおり、日本の農地面積というのが四百七十万弱でありますから、それを単純計算で置きますと、一千二百万、いわゆる二・五倍の農地が物理的に必要になるわけでありますから、いわゆる一〇〇%と一口で言うのは聞こえはいいんですが、現実問題として、それは物理的に無理であるという認識でおります。

 そこで、問題は、では、それだけつくって倉庫に積んでおくというわけにも、倉庫代がかかりますし、一番いいのは、今進めております食育基本法にのっとった、地産地消なり、そしてまた地元で国産品を食べていただく。それぞれ国内で、今減反でいろいろ生産調整いたしておりますが、国民がもっと国産品を食ってくれたり、そしてまた、そういうものがふえれば、それは売れればつくれるわけでありますし、そして諸外国を見ましても、アメリカ、オーストラリア、フランス等々、食料自給率一〇〇%の数字を稼いでいるところは、ほとんどが、国内で消費されていない部分は国外に輸出しているという、輸出条件で一〇〇%近い数字を担保しているわけであります。

 そういう意味では、私どもとして、今六十億を超える人口が世界じゅうにある中で、日本人と同じ所得層が約一割の五億九千万人存在するということと、そして、それぞれの国において、日本人が世界一の長寿国家ということに関連して、日本の食生活、日本食というブームが巻き上がっているところでもございますし、そして、今や二万軒以上を超える日本食レストランがふえているという観点からいたしまして、我々として、日本食が海外で売れるように積極的に施策を講じているところでもございます。

 七兆円を超える農産物の輸入に対して輸出が三千七百億というこのアンバランスを見ましても、WTO的には農産物に関する限り超優等生でございますので、日本に輸出をしている、また日本が農産物を輸入している相手国に対して、日本に送り込んでいる、その約一割はバランス的に買ってもらいたいということは、今農林水産省の中で輸出対策本部の責任者を私は承っておりますので、各大手商社を通じて、そういうところに日本向けの農産物の輸入の約一割を相手方に買わせてもらうように、また、中国に対しても、先日松岡大臣が中国に行かれて、日本産米の輸出をほぼ道筋をつけていただきましたけれども、その背景にありますのは、中国から国内に輸出する農産物は年間一兆二千億でもございます。それに対して、日本から中国に出しておりますのが五百八十億ちょっとでありますから、これ以上日本にということで少し出すように、そういうことでバランスをとって食料自給率を上げていくということをいたしております。

福田(昭)委員 副大臣が詳しく答えていただくと時間がなくなっちゃうものですから、もっと簡潔で結構でございます。

 実は、なぜこんなことを聞くかというと、副大臣がおっしゃるように、日本の農産物の輸出をしたり、あるいは飼料作物をもっと国内で増産したり、いろいろなことをやって食料自給率を高めるべきだと私は思うんです。

 なぜかというと、農業、農村を活性化させる本業、これは農業をしっかりさせることですよ。それは、食料自給率を高めるという目標があって、本業がしっかりするんですよ、実は。だからそれを私は言っているのであって、本当にそこをしっかり農水省で押さえていただいてやらないと、農業、農村は活性化しません。そのために申し上げているのであって。

 それで、我が党の篠原先生が中心になって、食料自給率一〇〇%可能かと実は試算したものがあるんですよ。それを私も見させていただきましたが、我が国内における過去最大の栽培面積、あるいは我が国内における最大の単収、そんなものを掛け合わせていくと、例えば、今、国の基準は平均二千五百六十二キロカロリー摂取する必要があると言われています。しかし、例えばお医者さんによっては二千キロカロリー、千九百キロカロリーだって大丈夫だと言う人がいるんですが、こうしたもので検討していきますと、我が国でも意外と、八割ぐらいは楽に自給率高まっちゃうんですよ、実は。

 ですから、問題は、そうした自給率を一〇〇%にするんだという目標を置いた上で、どういう改善が必要か、どういう施策をとればいいか、これをやる必要があるんですよ。それをやらないで、ただ産業界の言うことを聞いて、それこそ、レアメタルか何か知らないけれども、そちらを輸入できる方が先だということで食料の確保をおろそかにするということは、これは国の方向を過つ、私はそう思っているんです。

 ですから、ぜひともそういった考え方で、食料自給率の向上を図るということについては、こんな低い目標じゃなくて、目標をしっかり高めてやってほしい、こう思います。

 次、二つ目ですけれども、二つ目は農業の振興についてであります。

 農業の振興を図るためには、何といっても担い手を確保するということが大事なことですけれども、政府の目標とするモデル農家の所得はどれぐらいあったらいいと考えているのか、教えていただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 農林水産省では、平成十七年三月の新たな食料・農業・農村基本計画の策定とあわせて、いわゆる効率的かつ安定的な農業経営の具体的な姿を、展望を例示したところであります。

 もう時間がないでしょうから端的に申し上げますけれども、米、麦、大豆の水田作については、家族経営で十五から二十五ヘクタールの規模で年間所得七百から七百五十万、野菜作については、家族経営五から七・五ヘクタール、年間所得六百五十から七百万といたしているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 そうしますと、今回のこの法律案の参考資料として私どもに配付していただいた資料を見ますと、これは二ページですけれども、そちらの方には農林漁業関係の所得の推移ということで、農家の所得と漁家の所得がございますが、農家の所得を見てみますと、農家の総所得あるいは主業農家の総所得も平成十二年から年々下がっております。これは政府資料ですよ。この農林水産委員会に出された資料でございます。これを見ますと年々下がってきております。

 特に注目しなくちゃならないのは、主業農家の総所得のうちの農業所得も実は下がってきている。この原因はどこにあるのか教えていただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 今先生がお示しになりましたデータの下がりましたのは、需要の低迷と申しますか、あくまでもそういう農産物に関しては、要は需要と供給でございますので、安定した市場で決まるという結論で、結果的に下がったというふうに理解いたしております。

福田(昭)委員 なかなか下がった理由、原因というのも難しいのかもしれませんけれども、そうした中で、では農家の所得を上げるために、今回一つの方法として出てきたのが直接支払い制度かなというふうに思っております。今回出てきたのは、あくまでも五品目を対象とした品目横断的な経営安定対策ですけれども、これだけでは農家の総所得を確保するのには足りないんじゃないか、私はこう思っております。

 そういった意味では、総合的な経営安定対策といいますか、そういう施策を施して初めて、農家の所得が、先ほど副大臣がおっしゃったような、農林水産省、国が目標とする所得を農家が得ることができるんじゃないかと思うんですが、総合的な施策をどうやって進めていきますか、お伺いをしたいと思います。

山本(拓)副大臣 総合的な施策というのは、これは全国、北海道、九州、福井、群馬、それぞれ農家の位置づけによって違うわけでありますし、先ほど来申し上げておりますように、今回の改革によりまして産業政策という位置づけをいたしているところでもございます。

 本年四月からの品目横断的安定資金の導入をてこに担い手の育成をし、またバイオマスという新たな概念の利用促進、そして農産物の海外への輸出、また、いわゆるブランドということで、特に販売ルートの新規開拓ということでもございますし、そしてまた、それぞれ、知的財産の創造がなされた農家に対しては、それを確保してというものも含まれますし、農山漁村活性化プロジェクトの推進、農地政策の再構築ということで、それぞれ、要は経営計画を立てていただく中で、合算所得でそれだけのものを上げていただくということでありますから、そういう地元の人の経営計画をさらに提案いただきながらそれに対応していくというのが基本的な考え方であります。

福田(昭)委員 ぜひこれは農林水産省、皆さんにお願いしておきたいと思っているんですが、総合的な経営安定対策として、体系的にまとめる必要があるんじゃないかなと思うんですね。

 例えばですけれども、農業本業に限っては、今、副大臣の答弁の中にもありましたけれども、まず良質な農産品を生産するということが一つですよね。これはブランド化も含めて、やはり良質な、高付加価値の農産品を生産するというのが一つでしょう。それから、二つ目はやはり、農産品の六次産業化ですよね。加工したり販売をしたり、あるいは食品産業とどう連携していくというような六次産業化をどう進めるか。さらには、輸出をどう促進していくか。さらには、バイオ燃料へどうやって転換していくのか。こういう農業本業そのものを元気にさせる政策をやって所得を上げさせる、上げてもらうというのが一つだと思います。

 それから、どうしても、条件不利地域があったりいろいろなことで、海外との比較もあったりしていろいろ難しい。そのことに対しての対応が、それこそ直接支払い制度であると思いますし、さらにはいろいろな、農家が経営しやすくなるための農地の改革であったり、あるいは税制であったり融資制度だと思うんですね。

 こうした農業本業そのものを元気にさせる政策と、そしてそれを支援する、経営を支援する、担い手を支援する政策、これを一つにまとめて、しっかり担い手を支えていく総合的な経営安定対策、こういうものを農林水産省として打ち出すべきだ、私はそう思うんですね。そうすることによって、担い手をしっかり確保して食料自給率を上げていく、そういうことをぜひやってほしい、こう要望しておきたいと思っております。答弁いいです、時間がなくなってきちゃいましたから。

 それでは、三点目、農山漁村の振興についてでございますが、基本計画では四点ほど挙げているわけであります。基本計画の中では、農業振興策として、資源保全政策の構築とか、あるいは農村経済の活性化、都市と農村の共生・対流、快適で安全な農村の暮らしの実現、こういったことで四点挙げているわけであります。

 こうしたことに対応する具体的な事業としていろいろやっていると思うんですけれども、これだけでは足りないような気がするんですが、これで十分だとお考えかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

福井大臣政務官 今先生御指摘の四つの項目に沿いまして、四つございます。

 まず、農地、水、環境を守る地域の共同活動への支援、これを実際に行っているということ、そして二番目に、中山間地域などの条件不利地域の振興、これを図っているということ、そして三番目に、都市と農山漁村との地域間交流、これを促進するということ、そして四番目に、農村集落排水などの生活環境整備をやっているということ。これらの各種施策を的確に講じるということを通じまして、持続的な発展と農山漁村の振興を図っているというのが具体の施策でございます。

 そして、今般の法案によりますこの交付金におきましても、これらの対策とあわせて総合的に推進するというのが施策の概略的な御説明でございます。

 さらに、農水本省におきまして、昨年十月に農山漁村活性化推進本部を立ち上げまして、各局各課の都合ではなくて省全体で一致協力して事に当たるということで、魅力ある農山漁村づくりに向けた施策を強力に推進するということでございます。

福田(昭)委員 ここに私が一つつけ加えていただきたいのは、特に山村、農山村ですけれども、ここに鳥獣害被害対策、これも入れていただきたいなと思うんですね。これによってどんどん過疎地域での農業が難しくなってきている。これはひどい状況がございますので、ぜひそれを入れていただいて、取り組んでいただきたいなと思っています。

 時間がなくなってきましたので、四つ目でありますが、今回のような、こうした国主導の農山漁村、地方の活性化についてお伺いしたいと思います。

 今までの事例を見ていきますと、国主導ではどうもこれ以上無理だ、こう思っているんですが、きょう、資料で、私、皆さんのお手元にお示しをしましたが、資料の一をごらんいただきたいと思います。これはまさに政府がつくった資料でございますが、農山漁村の活性化ということで、今回の法案の中身が書いてあるわけでありますが、下の方を見ていただきますと、農山漁村の活力低下についての種々の施策はあるが、従来の手法では農山漁村の活性化には限界がある、新たな視点による取り組みを政府全体で推進というんですが、新たな視点によって、とてもとてもこれは無理だと思っているんですね。これはこの際しっかりと地方に任せちゃったらどうか。国があれこれ縛ってやるのじゃなくて、地方にはこんなにすばらしい元気にやっている地方がある。今回国が調査をしたようですけれども、その調査に基づいた資料を地方に提供するだけで、こんな事例を参考にしてぜひ独自に頑張ってやるべきだということをやったらよろしいのじゃないかなと思うんですね。

 それで、ちょっと副大臣にお聞きするんですが、地方六団体が、全国の知事会や市長会、町村会、議長会が、こうした政府が進める交付金事業は、これから新たに新設をするとか、お金を増額するのはやめてほしい、この交付金は地方分権に反するからやめてほしいという要望を出しているんですが、御存じですか。

山本(拓)副大臣 お話はお聞きしたことがございますが、ただ、その趣旨というのは、要するに裁量権、押しつけはやめてほしいという趣旨だと理解いたしておりまして、今回の場合は、地元での計画を立てた、そういうものに対しての交付金ということで、趣旨は地方六団体が要望していることと合致いたしていると思っております。

福田(昭)委員 残念ながら、副大臣、それは全く認識違いです。それは財務大臣と一緒です。さきの谷垣財務大臣もそうでした。全く認識違い。そんなことを地方六団体は言っておりませんから、よく地元の首長さんに伺ってください。そんなことは言っておりません。こんな考えじゃ全く地方分権は進みません、これが安倍内閣の本質だととらえますけれども。

 安倍内閣としてこうした交付金の仕組みを続けていく限り、地方分権は一つも進みません。小泉さんの三位一体の改革は、地方に負担を押しつけただけです。全く権限もふえておりません。それと同じことを安倍内閣もやろう、これは同じことなんです。そこをしっかり認識、頭を変えてほしい、そういうお願いをして、私の質問を終わります。

 以上です。

西川委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 委員長に一言申し上げておきたいと思います。

 重要な法律案を審議しているこの委員会に、政務官も入れて、やっと半数になるという状況が、これは正常なんでしょうか。(発言する者あり)だから、いや、どことは言いません。やはり法案審議をしているという状況は、全員そろってやっていかなきゃならないことだというふうに私は思っていますから、一言申し上げておきたいというふうに思っています。

西川委員長 菅野委員の発言をよく承りました。

菅野委員 そして、先日の農林水産委員会の質疑の中で、私どもも、この松岡農水大臣の件に関しては、説明責任を果たしていない、大臣は法令にのっとってすべて対処していると言うんですが、これは法令以前の法規、これはこの世の中に存在するというふうに言われております、その法令以前の法規というものを守ってこそ、私は国民の信頼を得られるものというふうに思っています。私は、松岡大臣が改めて農水大臣として責任を果たすように強く申し上げておきたい。国民の信頼をかち取るための責任というものをしっかりと果たしていただきたいし、そのことがなされないのであれば、私は辞任を要求していきたいと改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、法案の審議に入りますけれども、農山漁村活性化法と略されています。農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律というのが正規の名前というふうに思っているんですが、この政策が打ち出されたときに、本当にどのように活性化につながっていくんだろうか、今の農山漁村を取り巻く現状がどう課題解決に向かって進んでいくんだろうかということで、その視点でこの法律案を吟味させてもらったんですけれども、その視点がなかなか見えてこないという状況なんです。

 それで、これは今までと違って、農山漁村というふうな、範囲を広げて取り組んでいくということですから、新たな政策課題だと私は認識しているんですけれども、今の農村あるいは山村、漁村、これは分けるわけにはいかないと思うんですが、農山村もあれば農漁村もあれば農山漁村もあれば、いろいろ混在しているというのが日本の特徴だというふうに思います。それぞれ、農業分野、林業分野、水産分野、これは現状の実態をどう把握しているのか、言葉で言えば農山漁村が疲弊していると言われていますけれども、この疲弊していると言われている実態をどのように認識しているんですか。これはそれぞれから答弁願いたいと思います。

中條政府参考人 今、農山漁村のそれぞれにつきまして、農業、林業、水産業、どういう状況になっているかという御質問を承りました。そのうちの農業分につきまして、私の方から御答弁申し上げたいと思います。

 今日、我が国の農業におきましては、委員御案内のとおり、農業従事者の減少それから高齢化が相当進んでおります。例えば農村部について言いますと、六十五歳以上の人口構成が全国に比べて二十年先行しているというふうに言われております。こういう農業生産構造の脆弱化が進んでいる状況で、将来にわたり、安定的に食料を供給できる体質の強い農業を実現するために、意欲と能力のある担い手が農業生産の相当部分を担うよう、農業の構造改革を進めていく必要があろうかというふうに考えております。

 このため、政府としましては、農業の体質強化に向けて、新たな経営安定対策の導入をてことした担い手の育成、バイオマス利用の加速化、輸出促進等によります農林水産業の新境地の開拓、農地や農業用水路等の地域の資源の保全、農山漁村の活性化プロジェクトの推進等によります農村の振興等の施策を総合的に展開いたしまして、農業の総合力が最大限に発揮されますよう、新たな発想に立ちまして、創意工夫を凝らして積極的な政策展開を進めてまいる所存でおります。

辻政府参考人 林業につきましては、例えば杉の立木価格が五年前に比較いたしまして半分程度に下落している、そういうことで、林業の採算性の悪化があるわけでございまして、さらにこれに加えまして、森林所有者の不在村化等によりまして、森林所有者の施業意欲が減退をしているところでございます。このため、林業生産活動が停滞しているというふうに認識しているところでございます。また、林業就業者の減少や高齢化が進行しているところでございます。

 しかし一方で、近年、中国、インド等での木材需要の拡大による外材価格の高騰だとか、あるいは外材の安定供給に陰りが見えてきている、こういったことから、国産材の利用の増加、価格の上昇、こういった傾向が見えるといった新しい動きも見られているところでございます。このような状況を踏まえまして、森林施業の集約化の推進、木材の安定供給体制の構築、緑の雇用対策による林業就業者の育成確保、こういった取り組みを推進することによりまして、林業、木材産業の再生を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

白須政府参考人 水産業の関係でございます。

 御指摘のとおり、水産業につきましても、まずは水産資源、資源の状況、全体としては大変に悪化をいたしているわけでございます。また、漁業者につきましても減少をいたしておりましたり、あるいはまた、大変に高齢化が進んでおる。特に、水産の場合は漁船が主たる生産資本であるわけでございますが、通常十五年で更新するというふうに平均的に言われておるわけでございますが、二十年以上の船齢の船が四割以上を占めるといったようなことで、大変に高船齢化が進行しておるといったような大変厳しい状況があるわけでございますが、他方、世界的に水産物への需要が高まるといったような大きな情勢の変化も生じているわけでございます。

 そういった中で、この三月に新たな水産基本計画が策定されたわけでございますが、そういうものに基づきまして、まずは資源をしっかりとふやしていこうというふうなこと、また、漁村の総合的な整備、そしてまた、豊かで活力ある漁村づくりといったようなことを初めといたします水産政策の改革に取り組みまして、国民に対する水産物の安定供給、そして、これを支える水産業の確立に向けまして努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。

菅野委員 今それぞれから、現状の認識、それから、求めていなかったんですけれども、これからの対策、方向性というものが私は示されたというふうに思うんです。そこの中に、この定住等の促進あるいは地域間交流の促進でもって現状を打開していきますなんということは一言も触れられていないですね。これは、この農山漁村活性化法というものが、なりわいとして成り立たなくなってきたこの農山漁村というものに対して、どれだけ活性化していくための法律案なのかというのを如実に物語っているというふうに私は思っています。

 農山漁村では、今苦しんでいるのが、後継者をどう育てていくのか、あるいは、農家の長男の人、私も現実に見ているんですけれども、自分の代で、団塊の世代で農家をやっている人は、自分の子供に農家を継いでお父さんと一緒にやっていこうと言えなくて、それで勤めに出していっているという、こんな姿です。これが現実なんです。団塊の世代に農村地域に帰ってきてほしいと望んでいるという地域はないですよ。これが現状なんです。

 そして、なりわいとして成り立たなくなっているという典型は、主業農家でも、農業所得でいえば、全家計所得のうちの六六%、約五百万ぐらいしか農業所得を得られていないんです。そして、農外収入が約三四%という数字が出ていますけれども、こういう状況です。それから、販売農家でいえば、農業所得が一四%、こういう状況です。

 こういう状況の中で、農山村地域をどう活性化していくのかということで、この農林水産委員会で、政府と一緒になって、私は野党、与党を超えて議論をしてきたんだというふうに思うんです。このことに、根本的なところを政策課題としていかないで、小手先で農山漁村を考えるということに対して、私は非常に政策的な間違いというものを覚えると指摘しておかなければならないというふうに思います。

 それで、聞いておきますけれども、それでは、今回の法案と密接な関係を持っております十七年度から始まった元気な地域づくり交付金、これが十七、十八年度で行われてきました。まだ十八年度は終わっていませんから、中間的なことだというふうに思うんですが、この地域づくり交付金の評価を政府としてはどのように考えているんでしょうか。

中條政府参考人 今、元気な地域づくり交付金の評価についてのお尋ねがございました。

 委員御指摘のとおり、これは十七年度に三位一体改革の一環で、それまで百七十五ありました補助事業を七つの交付金にかえまして、その中で元気な地域づくり交付金として、いわば組みかえ創設した交付金でございます。

 地域を活性化するという観点でまとめた交付金でございまして、その後、これを使いまして約千地区が活性化に取り組んでおるところでございます。地域産業の核であります農林水産業の振興を柱としまして、多様で豊富な地域資源を、地域の創意工夫によりまして有効に活用して元気な地域づくりが進められていると承知しておりますが、委員の御指摘のとおり、これはまだ継続しております。継続中につきましては完了までこの事業を継続する予定でおりまして、その後、評価をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

菅野委員 先ほどの民主党の佐々木委員との議論も聞いておりました。そういう経過だというふうに承知しているんですけれども、今回の法律案というのが、この地域づくり交付金がどういう評価がなされて、これがこういう点が不十分だからこの法律をつくって強化していこう、そういう観点でもって今回の法律案が提出されたんじゃないですか。評価もされないで、そして今継続しているという政策をここで切りかえて、新たな法律をつくって新たな政策展開していくという、この流れというのはおかしいじゃないですか。

 従来の地域づくり交付金と今回の法律による交付金の違いはどういうものなんですか、説明していただきたいと思います。

中條政府参考人 今ほど御答弁しましたように、平成十七年の三位一体のときに、これまでの百七十五の補助金を組みかえまして七つの交付金をつくりました。そのときに、今御指摘の元気な地域づくり交付金を創設したわけでございます。これによりまして、さっき申しましたように、千地区が今動いているわけでありますけれども、それぞれの地域の農林水産業を中心として、活性化に相当効果が上がっておると私どもは考えております。

 ただ、御案内のとおり、今、一昨年の内閣府の調査にもありますように、都市の住民を中心としまして、非常に農山漁村に対する関心が高まっているということ、そしてまた、二〇〇七年度に大量の団塊世代の退職の時期を迎えるということ、こういうことを踏まえますと、この元気な地域づくり交付金の長所をさらに生かして、地域資源を活用して農山漁村の居住者、滞在者をふやすことによりまして新たな活性化の支援をすること、これもかなり有効であろうというふうに私ども考えているところでございます。

 この交付金によりまして市町村への直接補助が可能になることによりまして、事業意欲のある市町村が積極的に活性化のための計画づくりに取り組める、農、林、水の事業が一つの計画で一体的かつ弾力的に実施できるようになることによりまして、農山漁村の豊かな自然を活用した交流等が促進されますこと、活性化計画の作成に当たって、農林漁業者の団体、NPO法人等からの提案制度を設けることによりまして、民間団体の知恵や活力を生かせることになるなどの効果を期待しているところでございまして、農山漁村における居住者、滞在者をふやすという観点からの地域の活性化が図られるものというふうに考えているところでございます。

菅野委員 根本的な考え方が違っているんだというふうに思っています。

 本当に農山漁村の現実を見たときに、地域間交流あるいはその地域に定住してもらう、そういうことで農山漁村がなりわいとして成り立っていくのか、いくというふうな考え方というのは、私は不十分だというふうに思うんです。一%、二%という、そういう単位の取り組みということであれば少しは効果があるのかなというふうに私は思うんですが、根本的なところの議論というのは不十分なまま推移していて、農山漁村というのが、限界集落と言われる言葉があるように、今崩壊してしまうんじゃないかという危機的な状況にある中で、この政策をやって都会から団塊の世代が住みつくんだなどというのは、農村地域の実態を私は知らないんじゃないのかなというふうに思います。

 そして、根本的な問題は、元気な地域づくり交付金の評価というのが全然なされないで、それを法律に基づいて組みかえて、その部分を法律化して交付金として出していくなどという手法というのは、私は理解できないところであります。

 そして、何といっても、先ほども佐々木委員も指摘しておりました。平成十七年度、出発するときには、四百六十六億円の原資でもって出発いたしました。一年後の平成十八年は四百十五億円です。そして、平成十九年度は三百四十一億円の予算措置ですね。どんどん減ってきています。

 どうしてこうなっているんだろうなということで、きのうヒアリング、説明を聞きました。そうしたら、交付金のあり方、先ほども委員の質問に対して答弁していましたけれども、実際には、活性化の事業を行おうとしたときに、国の交付金は五〇%しか出ていかない、こういう中身なんでしょう。ここは説明してください。

 だから、二割というのは、地域独自でやれる部分は二割であって、全体の事業の五〇%程度しか交付金がおりない。そうしたときに、残りの五〇%は、県が事業主体の場合は県が、市町村が事業主体の場合は市町村がという説明を受けていますけれども、こうなったときに、市町村や県財政、地方財政が厳しい中で、どういう活性化策をつくっていけばいいんでしょうか。

 私も、地元に帰って市議会議員と議論しました。幾ら交付金がおりんのや、このことが問題じゃないかと言われて、きのう聞いたんです。法律案の中ではなかなかそのことは明確になっていません。これは元気な地域づくり交付金の仕組みです。今度の法律案に基づいて新たな仕組みをつくるのかどうかも含めて、今答弁願いたいと思います。

中條政府参考人 法案に基づきます交付金の仕組みにつきまして御質問がございました。

 委員が御指摘のとおり、この交付金につきましては、基本的に国が五〇%交付をするということにしておりまして、残りは、御指摘のとおり、事業実施主体もしくは事業の参加者が負担されるというような仕組みになっております。

 ただ、これはもともと、例えば山村振興の事業ですとか過疎の事業ですとか、いろいろな前歴事業を引っ張ってきているところがございまして、地域によっては二分の一が五五%になったりしたところもございます。これは例外的なものとして御承知おき願いたいと思います。これが一点でございます。

 それから二点目でございますが、二〇%についてでございます。

 交付金と申しましても、これは、ある程度の幅は持たせてありますが、今申しましたような事情で、山村振興で主として使われている、いわば昔でいいますとメニューに当たるようなもの、事業工種でございますけれども、そういったもの、それから平場でも使えるもの、多少そこに相違がございます。

 今申しました二〇%といいますのは、その場合に、市町村、事業実施主体がみずからの創意としてこういうメニューを入れたいというふうに申し出があった場合には、二〇%までの間のうちは自由にそれを採用しようという意味での二〇%ということでございます。

 なお、先ほども御答弁いたしましたけれども、この地方負担につきましては、確かに農山漁村、財政が厳しいところが多うございます。私ども、最大限それを緩和しようというふうに努力をしておりまして、今、総務省さんの方で頑張る地域応援プログラムというプログラムが予定されておりまして、活性化計画をこのプログラムに位置づけますと、一市町村当たり単年度で三千万円を限度に特別交付税を受けることが可能ということもございますので、こういったところも最大限活用しながら、地方の負担軽減を図っていきたいと思っております。

菅野委員 元気な地域づくり交付金というのが、これまでは農村地域が主体だったというふうに思います。それが、今回の法律をつくることによって、水産あるいは林業というものにも応用できる、適用できるというふうに思うんですが、十七年度、十八年度、二年間経過してくる中では、林業や水産業には全然適用がなかった。

 林野庁長官あるいは水産庁長官が来ています。今後、この法案を作成するに当たって、林野庁や水産庁がどのような地域振興策を考えているのか、お示し願いたいというふうに思います。

辻政府参考人 林野庁では、山村振興のために、一つは林業の振興がございますし、あるいは、森林資源を活用した新たな産業の創設、こういったことを推進してまいりたいと思ってございまして、これらを推進する上で、今回の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金によって、定住に資する施設等の総合的かつ機動的な整備、あるいは人づくりだとか、こういったところに使ってまいりたいと考えております。

白須政府参考人 委員も御案内のとおり、漁村にはさまざまな地域資源もあるわけでございまして、また、都市住民の漁村に対する潜在的なニーズというものも大変重要な要素というふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、私ども、十九年度の予算の中にも地域資源を活用した漁村づくり事業というものも盛り込んでいるわけでございまして、また、水産業を生かした都市漁村交流といったようなことも進める、そういうための施設整備の事業も盛り込んでいるわけでございます。

 そういうところとも連携をとりながら、はたまた一方では、委員も御案内のとおり、離島の漁業の再生支援というふうなことで、一方には交付金もあるわけでございますので、そういうところとも連携を図りながら、本法に基づく事業とも相まちまして、漁村の活性化のために有効に活用してまいりたいと考えている次第でございます。

菅野委員 副大臣、今やりとりを聞いていたというふうに思います。

 今回の農山漁村活性化法、法律をつくって活性化していこうという意気込みは理解できます。そういう意味ではしっかり取り組んでいただきたいということなんですが、なりわいとして非常に厳しい状況に追い込まれている農山漁村社会を、本当にこの法律でもって活性化していくことができるのかどうかということだというふうに思うんです。

 この法律でどのような活性化を、本来的な農山漁村の持っている問題点をどう解決していこうと考えているのか、この点を御説明願いたいと思います。

 いやいや、副大臣と言ったでしょう、副大臣と。

山本(拓)副大臣 御案内のとおり、今、農山漁村は、非常に人口減少ということで活性化を求められているところでありますが、その前提となりますのは、いわゆる都市部の人たちの需要というか、資金の流れからいきますと、都市部の人たちの資金が少し地方に流れていくのが一番地方の農山村の活性化を生むところでございます。

 本当を言うと、地方の農産物を買っていただくのがいいわけであります。

 そういう中で、これから地方の農村、山村、漁村の活性化策をそれぞれの地域が考えていただく。例えば、漁村なんかでも魚がなかなかとれないところは、ある意味では、スキューバダイバーが、レジャーで海に潜る人が大変多くふえているところでありますし、そういう人たちが集うことによって多くのお金が落ちている。

 それは、地元の、その地域の人たちの計画でないと立たないわけでありますので、ある意味では、もうことし、来年から七百万人を超える団塊世代の定年を迎えるという人たちを一つのターゲットと絞っておりますし、そしてまたビジット・ジャパンということで、今後、海外からの国内への旅行者が大量に誘致される予定になっておりますので、そういうことも含めて、それらの受け皿が、自然環境に非常に優しい受け皿になるように、地域の人の発奮を促すという意味合いもございます。

 結果的に、必ずいい結果が出ると確信をいたしております。

菅野委員 副大臣、ことしの四月から、地域政策、この法律も、ある意味では地域政策だというふうに思います。産業政策じゃないと思います。それで、地域政策として、農地、水、環境保全向上対策が行われます。これをどう地域に定着させていくのかというのは、農水省としても大きな課題だと思うんです。これとの関係をどう考えていけばいいのか、私の頭の中は整理できないんです。

 それから、中山間地域直接支払い制度、これが行われて、この部分というのは中山間地域に大きな効果をもたらしていっているというふうに私は理解していますし、ここを充実させていくこと、このことが地域の活性化に結びついていくんだと。ここをどう充実させていくのかという観点も私は必要だと思うんですが、この農山漁村活性化法との関係がどうなっていくんだろうか。

 それから、森林整備地域活動支援交付金、これも本当に地域に大きな効果をもたらしていると私は評価しています。継続していくし充実していくべきだというふうに思うんですが、例えば、改める点というのは、三十ヘクタールの問題とかこまい点の問題はいっぱいあります。そこら辺を取り払っていって、地域の活性化に結びつけていかなければならない。これは、なりわいへの支援だというふうに思っています。

 先ほど水産庁長官も言っていましたけれども、離島漁業再生支援交付金、こういうものを設けて、今まで離島地域の漁業振興を果たしてきたというふうに思うんです。

 これら一連の施策との関係がどう整理されていくんだろうかというところは、私は見えないんですね。だから、逆に、新たな施策をつくるよりも、これらの一連の今までの施策の充実に向けるべきだというふうに思うんです。

 このことに対して、副大臣、どう思いますか。

山本(拓)副大臣 今回の農政の基本は、地方が主役という趣旨でございますので、そういう意味では、地方の自治体並びに民間団体から通じて地方の自治体に上がってきたもの、それに対して、その計画は法律に義務づけられておるわけでありますから、法律で義務づけているということは、その計画に対して評価も責任を持って行う義務もございますので、そういうことで、これから自立する地方の計画を期待する、またそれに交付金を交付するということで、いい結果が出ると確信をいたしております。

菅野委員 これからの推移を見守って、これからも議論していきたいというふうに思っています。

 終わります。

西川委員長 次回は、明二十九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十五分散会


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