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第2号 平成13年2月23日(金曜日)

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平成十三年二月二十三日(金曜日)

    午後零時二十一分開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君

   理事 水野 賢一君 理事 山口 泰明君

   理事 高木 義明君 理事 牧野 聖修君

   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君

      岩屋  毅君    臼井日出男君

      嘉数 知賢君    金子 一義君

      瓦   力君    下地 幹郎君

      中山 利生君    宮下 創平君

      山崎  拓君    吉川 貴盛君

      米田 建三君    大出  彰君

      小林 憲司君    今野  東君

      伴野  豊君    渡辺  周君

      赤嶺 政賢君    今川 正美君

      小池百合子君    粟屋 敏信君

    …………………………………

   外務大臣         河野 洋平君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   防衛庁長官政務官     岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     米田 建三君

   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  伊藤 英成君     伴野  豊君

  首藤 信彦君     大出  彰君

同日

 辞任         補欠選任

  大出  彰君     首藤 信彦君

  伴野  豊君     伊藤 英成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国の安全保障に関する件




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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 防衛庁長官から防衛政策に関して説明を求めます。斉藤防衛庁長官。

斉藤国務大臣 防衛庁長官の斉藤斗志二でございます。

 本日は、川端委員長を初めとする委員の皆さんに改めてごあいさつを申し上げるとともに、私の所信の一端を申し上げさせていただきたいと思います。

 防衛庁・自衛隊に対しましては、この新たな世紀におきましても、我が国の平和と独立を守るとともに、大規模災害等各種の事態に際して、迅速かつ適切に対処することが強く求められております。

 このため、昨年末には、情報通信技術革命への対応、災害派遣能力の充実強化等を柱とする新たな中期防衛力整備計画が策定されたところであります。この新中期防につきましては後ほど御報告申し上げますが、今後は、これに基づき、適切な防衛力の整備に努めてまいる所存であります。

 また、有事法制につきましては、国家国民の安全を確保するために必要なものであり、先日の総理の施政方針演説に沿って検討を進めてまいります。

 本年は、日米安保条約が締結されてから五十年の節目を迎えております。日米安保体制は、我が国の安全のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定に大いに寄与するものであり、我が国の安全保障上極めて重要な意義を有しております。

 米国においてはブッシュ新政権が発足したところでありますが、今後も、日米間における防衛政策等に関する緊密な協議の実施、日米防衛協力のための指針の実効性の確保のための施策の推進などを通じ、日米安保体制の信頼性の一層の向上を図るとともに、沖縄県民の方々の御負担を軽減すべく、SACO最終報告の着実な実施に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

 また、このたびの愛媛県調査実習船と米潜水艦の事故はまことに遺憾であります。被害に遭われた方々、その関係者の方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 私は、ラムズフェルド米国防長官と電話会談を行い、捜索救難、事故原因等の調査に全力で取り組んでほしい旨、また、船体の引き揚げも実施してほしい旨強く要請したところであります。今後とも、防衛庁としては、米軍との緊密な関係を生かして、最大限の支援を実施してまいりたいと考えております。

 有珠山、三宅島の火山噴火など、災害に際して自衛隊の対応が求められることがふえてまいりました。大規模災害等各種の事態への対応も防衛力の重要な役割であり、さまざまな災害に迅速に対応することができるよう、即応態勢の強化を図るほか、地方自治体との防災訓練に積極的に参加することにより、災害派遣能力の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

 国際社会における我が国への期待が高まりを見せる今日、防衛庁・自衛隊は、我が国のみならず、国際社会の平和と安定にも責任を有しております。自衛隊の部隊等のUNDOFへの派遣は既に十一次を数え、先般のインドの大地震に際しても、国際緊急援助隊を派遣し、被災者の救援に尽力したところであります。今後とも、国際平和のために積極的に取り組み、国際社会に対する我が国の責任を果たしてまいりたいと考えております。

 また、私は、先月欧州諸国を歴訪したところでありますが、今後とも、安保対話、防衛交流を通じ関係諸国との信頼関係の増進に努め、より安定した安全保障環境の構築に貢献してまいる所存であります。

 このように、国政における国防の重要性が高まる状況において、防衛庁の省への移行につきましては、政治の場での御議論が活発に行われ、深められることを期待しております。

 最後になりましたが、国の防衛には、国民の皆さんの御理解と御支持が不可欠であります。私は、国民の皆様との信頼関係のもとに、これらの施策の実現に全力を尽くしてまいる所存であります。

 委員各位におかれましては、当委員会における御審議を通じ、一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。(拍手)

川端委員長 次に、外務大臣から我が国の安全保障政策について説明を求めます。河野外務大臣。

河野国務大臣 安全保障委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。

 先週の当委員会でのごあいさつで申し上げましたとおり、公金横領疑惑につきましては、引き続き、警察当局による捜査への全面的協力、内部調査の継続及び民間有識者による外務省機能改革会議の発足などの取り組みを通じ、外交に対する国民の信頼を回復するよう努力してまいりたいと存じます。

 また、米原子力潜水艦グリーンビルとえひめ丸の衝突事故につきましては、政府として、引き続き、御家族並びに関係者の御意向を十分踏まえ、全力を挙げて米側と折衝をいたします。

 以上申し述べました上で、我が国の安全保障政策についての所信を申し上げます。

 二十一世紀の初めに当たる本年は、サンフランシスコ講和会議から数えて五十周年目の節目に当たっています。

 戦後、我が国は、日本国憲法のもと、日米安保体制を堅持し、適切な防衛力を整備するとともに、国際の平和と安定を確保するための外交努力を積極的に行っていくことにより、みずからの安全を確保してまいりました。

 日米安保体制は、これまで、我が国の安全及びアジア太平洋地域の安定と発展のため有効に機能してまいりました。引き続き、我が国外交の基軸である日米関係の維持強化に努めていくことが重要であります。

 私は、先月下旬訪米し、パウエル国務長官、ライス大統領補佐官と会談を行ってまいりました。今後とも、日米同盟関係の強化に積極的なブッシュ新政権との間で、あらゆる問題について十分な政策対話を行っていくとともに、日米安保体制の信頼性の向上のために取り組んでまいりたいと思います。

 さらに、今後とも、沖縄県の方々の御負担を軽減していくために、普天間飛行場の移設を初めとする沖縄に関する特別行動委員会最終報告の着実な実施に向け、一層努力をしてまいります。

 また、沖縄で米軍による遺憾な事件が続いて発生していることについては、今後とも米側に対し、厳正に規律を保持し、よき隣人としての責任を全うするよう強く促していくとともに、在沖縄米軍関係者及び沖縄県などの地元自治体と協力しつつ、最大限の努力を行っていく考えであります。私自身も、明後日沖縄を訪問し、稲嶺県知事を初め沖縄の方々とさまざまな問題について十分打ち合わせを行う予定であります。

 朝鮮半島については、昨年は、南北首脳会談が実現するなど大きな動きが見られました。政府としては、引き続き、韓米両国との緊密な連携のもと、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えであります。

 ロシアについては、三月二十五日にイルクーツクにて日ロ首脳会談を行うことが決まりましたが、引き続き、さまざまな分野で関係を強化しつつ、これまでの一貫した方針に基づき、平和条約締結に向けて努力をしてまいります。

 また、近隣諸国との友好関係の促進に加えて、ASEAN地域フォーラムなどの対話、協力の枠組みを重層的に発展させ、域内諸国の信頼醸成を促進するなどの努力にも、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 さらに、軍縮、不拡散を中心とするグローバルな平和への取り組みも我が国外交の重要な柱の一つであります。特に、昨年秋に我が国が国連総会に提出し、圧倒的多数の支持を得て採択された核兵器の全面的廃絶への道程決議で示されている、核軍縮、不拡散に関する現実的措置の実現やミサイル不拡散問題への国際的取り組みに向けて積極的に取り組んでまいります。

 これら諸課題に取り組むに当たり、川端委員長を初めとする本委員会の委員の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、お願いを申し上げます。(拍手)

川端委員長 以上で両大臣の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

川端委員長 次に、中期防衛力整備計画について防衛庁長官から報告を聴取いたします。斉藤防衛庁長官。

斉藤国務大臣 政府は、昨年十二月十五日、平成十三年度から平成十七年度までを対象とする新たな中期防衛力整備計画を安全保障会議及び閣議において決定いたしました。

 以下、これについて御報告申し上げます。

 我が国は、平成七年、冷戦終結に伴う国際情勢の変化なども踏まえて、新たに平成八年度以降に係る防衛計画の大綱を策定し、我が国の防衛力のあり方やその具体的な整備目標を明示いたしました。

 防衛大綱は、我が国の防衛力について、現行の防衛力の規模及び機能の見直しを行い、その合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を整備することとしています。

 もとより、防衛力の整備は、中期的な見通しに立って継続的かつ計画的に行っていくことが必要でありますが、現在の中期防衛力整備計画は平成十二年度で終了するため、政府は、昨年十二月、安全保障会議及び閣議において新しい中期防衛力整備計画を決定いたしました。

 新中期防の策定に当たっては、安全保障会議において、国際情勢、軍事科学技術の動向などについて検討を重ねてまいりました。

 このうち国際情勢、特にアジア太平洋地域について申し上げれば、朝鮮半島における先般の歴史的な南北首脳会談などの前向きな動きも見られる一方、冷戦終結後も軍事力の拡充、近代化が見られるなど、依然として不透明、不確実な要素が残されております。このような状況のもと、日米安全保障体制は我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、アジア太平洋地域における平和と安定を維持するために引き続き重要な役割を果たしていくものと考えられます。このようなことを踏まえれば、現下の国際情勢は、防衛大綱に定められた防衛力の役割や我が国が保有すべき防衛力の内容等の基本的枠組みを見直さなければならないような諸情勢の基本的な変化はないと判断され、引き続き、日米安全保障体制の信頼性の向上を図りつつ、防衛大綱のもと、節度ある防衛力を整備することとしたものであります。

 次に、新中期防の基本方針について御説明いたします。

 新中期防においては、引き続き防衛大綱に定める新たな体制への移行を図るとしています。その際、情報通信技術革命への対応、ゲリラや特殊部隊による攻撃、核・生物・化学兵器といったNBC攻撃等各種の攻撃形態への対処能力の向上、災害派遣能力の充実強化、防衛力を支える人的基盤の維持拡充といった事項に特に留意することといたしております。

 このうち、情報通信技術革命への対応については、情報通信技術の急速な進歩、普及に伴い、戦闘様相の広域化、高速化や兵器の高性能化が促進される可能性や各種情報システムに対する電子的な攻撃、いわゆるサイバー攻撃が行われる可能性が生じています。こうしたことを踏まえ、情報通信技術を積極的に取り込みつつ、防衛庁・自衛隊を通じた高度なネットワーク環境の整備、各種指揮通信システムの整備、情報セキュリティーの確保等の諸施策を重点的に推進することとしています。

 次に、ゲリラや特殊部隊による攻撃への対処については、長大な海岸線や多くの島嶼を有し、高度に都市化、市街化が進んでいる我が国の特性を踏まえて、編成、装備、訓練等の面で所要の措置を講ずることとしています。また、核・生物・化学兵器の拡散が新たな脅威と認識されつつあることを踏まえ、NBC攻撃への対処能力の向上も図ってまいります。

 また、災害派遣能力については、自衛隊発足以来、最大の規模となった平成七年一月の阪神・淡路大震災における災害派遣以降、自衛隊の災害救援活動に対する国民の期待はますます大きくなっており、その後も、各種の自然災害のほか、東海村原子力災害のようなさまざまな災害が発生しています。

 こうしたことから、都市災害、山間地災害、島嶼災害、特殊災害等各種の事態について、さまざまの災害の特性に応じた災害派遣能力の向上を図るとともに、災害発生時の初動対処を適切に実施し得るよう、災害派遣に即応すべき部隊の指定等による即応態勢の強化を図ることとしています。

 さらに、防衛力を支える人的基盤に関しては、その重要性にかんがみ、精強で質の高い人材の確保育成、秘密保全を含む服務規律の徹底、隊員の福利厚生を含む処遇改善等の人事教育施策を幅広く進めます。また、自衛隊の活動に対する国民の理解を促進するため、平素から国民各層とのさまざまな交流等の諸施策を推進します。

 以上のほか、我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、アジア太平洋地域における平和と安定を維持するために引き続き重要な役割を果たしている日米安全保障体制の信頼性の向上を図るため、一層の努力を傾注し、平素から日米間の安全保障面での緊密な協力関係を増進します。また、より安定した安全保障環境の構築に貢献するため、同盟国である米国とも密接に連携しつつ、安全保障対話、防衛交流等の諸施策を推進します。

 新中期防の概要を申し上げれば、第一に、陸海空各自衛隊の基幹部隊等を見直し、防衛大綱に定める体制への移行をおおむね達成します。

 まず、陸上自衛隊については、新たに五個の師団及び一個の混成団について改編を実施するとともに、三個の師団については、改編を前提とした装備品の調達等に着手し、基幹部隊の体制移行をおおむね達成します。

 また、海上自衛隊については、地方隊の護衛艦部隊のうち一個護衛隊を廃止し、基幹部隊の体制移行を完了します。

 さらに、航空自衛隊については、警戒管制部隊のうち見直しに着手していない方面隊等の一部の警戒群を警戒隊とし、基幹部隊の体制移行を完了します。

 第二は、正面装備の更新、近代化に努めるとともに、固定翼哨戒機の後継機及び輸送機の後継機の開発などの技術研究開発を促進してまいります。

 このほか、戦闘機の訓練の効率化、事故防止、基地周辺の騒音軽減及び人道支援等の国際協力活動の迅速な実施と多目的な輸送に資するとともに、我が国の防空能力の向上を図るため、空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機を整備するとしたところです。

 所要経費について申し上げれば、その時々の経済情勢、防衛大綱策定以降さらに一段と厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、節度ある防衛力の整備に一層努力することとしています。

 具体的には、計画期間中の防衛関係費の総額の限度は、将来における予見しがたい事象への対応、より安定した安全保障環境の構築への貢献等、特に必要があると認める場合に安全保障会議の承認を得て措置することができる一千五百億円程度を含め、平成十二年度価格でおおむね二十五兆一千六百億円程度をめどとしております。

 また、各年度の予算の編成に際しては、国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化、合理化に努め、おおむね二十五兆百億円程度の枠内で決定するものとされております。

 さらに、この計画については、三年後には、その時点における国際情勢、情報通信技術を初めとする技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、二十五兆一千六百億円の範囲内において、必要に応じ見直しを行うこととしております。

 そのほか、弾道ミサイル防衛、BMDについては、海上配備型上層システムを対象とした日米共同技術研究を引き続き推進するとともに、技術的な実現可能性等について検討の上、必要な措置を講ずることとしています。また、情報通信技術を初めとする科学技術の進歩がこれまでの防衛戦略に大きな変化をもたらす可能性に留意する必要があること等を踏まえて、将来の防衛力のあり方や防衛力整備の進め方について検討を行うこととしています。

 本計画は、二十一世紀初頭の我が国の防衛力整備に当たっての具体的指針となるものです。私としては、我が国の安全を確保し、国際社会の平和と安定に資するため、この新中期防衛力整備計画のもと、国民の信頼にこたえ得るような自衛隊の管理運営に努め、積極的に防衛政策を推進してまいる所存であり、国民の皆さんの御理解と御協力を切に希望する次第であります。

 以上でございます。(拍手)

川端委員長 以上で報告は終わりました。

 次回は、来る二十七日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十二分散会




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