衆議院

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第3号 平成13年2月27日(火曜日)

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平成十三年二月二十七日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君

   理事 水野 賢一君 理事 山口 泰明君

   理事 高木 義明君 理事 牧野 聖修君

   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君

      岩屋  毅君    臼井日出男君

      嘉数 知賢君    金子 一義君

      瓦   力君    下地 幹郎君

      中山 利生君    宮下 創平君

      山崎  拓君    吉川 貴盛君

      米田 建三君    小林 憲司君

      今野  東君    首藤 信彦君

      牧  義夫君    渡辺  周君

      河合 正智君    赤嶺 政賢君

      今川 正美君    小池百合子君

      粟屋 敏信君

    …………………………………

   外務大臣         河野 洋平君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   防衛庁副長官       石破  茂君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   外務副大臣        荒木 清寛君

   防衛庁長官政務官     岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     米田 建三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岩橋  修君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部

   事務局次長)       野津 研二君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  柳澤 協二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 英成君     牧  義夫君

同日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     伊藤 英成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件




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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岩橋修君、内閣府国際平和協力本部事務局次長野津研二君、防衛庁防衛参事官西川徹矢君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君及び外務省大臣官房長飯村豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川端委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆さん、ことしの九月八日は何の日か御存じでしょうか。この日は、日米安保条約を署名して五十年を迎える日でございます。

 当時は、吉田茂氏が対日講和ということで交渉しまして、日本も国際社会に歩み出して、国民全体がわくわくした新婚気分だったのですけれども、五十年というと、夫婦でいえば金婚式、今や熟年夫婦または成熟と呼ばれるような関係になっておりますが、その一方で今大変大きな転機、決断の時期を迎えていると私は思っております。

 私は、ことしの一月に、ブッシュ新政権の発足を前に訪米いたしまして、国務副長官を務めておられますアーミテージ氏やNSCのアジア部長のパターソンさんなどに会いまして、今後の日米関係のあるべき方向について意見を聞いてみました。彼は、日米関係は兄弟でなく成熟した二人の大人が似たような考えを持って真剣に取り組む関係である、日本は集団的自衛権を行使しないとしているが、アジアのリーダーとして世界の平和を維持していくのに障害になっているのではないかと語ったわけであります。

 政府の御意見は後ほど聞きますけれども、私は、日米間の認識の違いというものが非常に大きくなっているのじゃないかなということを心配いたしております。

 このアーミテージ氏が就任前に書かれた「米国と日本 成熟したパートナーシップに向けて」というレポートの内容を読みますと、こういうことが書かれております。

 まず、米国は日本の現状をどう見ているかというと、日本はグローバリゼーションの圧力によって第二次世界大戦以来の変革期にある。この変化は、潜在的には明治維新以来の抜本的なものとなる可能性がある。日米関係の方向性は、冷戦終了後にその焦点と一貫性を失い、さまよってきた。また、国際的な安全保障に関する概念について気まぐれな実験は行われたものの、日米同盟の再定義と再活性化に関する目に見える成果が生まれることはなかった。九六年の共同声明は、ガイドライン、SACO、TMDの研究の合意をもたらした。しかし、九六年の共同宣言の象徴性は一過性のものであり、継続的に高いレベルの関心を引きつけることはなかった。その結果、日米は再び、言い争いや政策調整を繰り返す現状に戻ってしまった。

 かなり厳しい内容でありますけれども。

 続きまして、政治的にも言及をしております。

 九〇年代の終わりまでに、米国の政策決定者の多くは、みずからを刷新できない日本に興味を失った。最近では、日本は中国との二国関係に焦点を置いている。米国も、日本とともに九六年の安保共同宣言において打ち出された課題を積極的に推進しなかったが、それは主として中国の反応への懸念からであった。唯一の活発な日米安全保障対話は、北朝鮮を孤立から誘い出す試みの副産物としての対話であった。しかし、その中で、日本は思想上の二極対立が終結し、安全保障問題に対する実利的な姿勢が若い世代の政治家に生じてきているため、より創造的なアプローチをとる土壌ができつつある。日本の指導層が急激に改革を実施したり、世界の舞台で日本をより高い地位に引き上げると期待するのは現実的でない。なぜなら、日本の政治システムは、リスク回避だからである。しかし、日本の若い世代の政治家及び国民は、経済力だけでは日本の将来のためには不十分であることを認識している。

 多少腹の立つ人もいるかもしれませんけれども。このようにアメリカは政治的に見ているわけであります。

 中でも、このレポートの中で言っている点は、日本が集団的自衛権の行使を禁止していることは、日米の協力を制限している。これを取り除くことにより、一層緊密かつ効果的な安全保障協力が可能となる。集団的自衛権の問題は日本国民の専決事項である。米国は、日本の安全保障政策の特徴を形成するような日本国内の判断を尊重してきたし、これからもそうすべきである。しかし、米国は、日本が一層貢献的で対等な同盟国となることを歓迎する姿勢を明確にしなければならない。

 そういうことで、日米同盟の改善を求めたレポートなんですけれども、これに参加した人がアーミテージさんとかウォルフォヴィッツさんなど現在の国務省、国防省の副長官でございまして、これこそ日米防衛協力に対して本音の部分というか、アメリカの気持ちが表現できるような内容ではないかと思います。

 このレポートのこともありますし、その後、ガイドラインの後、日米包括調整メカニズム等の作業も含めまして、日米安保体制の進捗についてどのようにお考えになって進めておられるのか。この現状を両大臣からお伺いいたしたいと思います。

河野国務大臣 今お話がございましたように、日米安保条約がスタートをして五十年という時期を迎えようとしております。

 この五十年の間、我々もアメリカとの間でしっかりとした協力関係をつくるべく努力をしてまいりましたし、アメリカはまたアメリカで十分な協力をするための努力がなされてきたというふうに思います。

 もちろん、その間、経済摩擦を初めとして両国間には議論が相当波高くなったこともございますし、また、非常に双方の利益が一致するということで、協力関係がさらに濃密になった時期もございました。それは、二国間の関係が幅広く、深くなればなるほど、さまざまな問題について議論は活発に行われますし、幅広に行われるわけで、そのこと自体が決して悪いことだというふうには思っておりません。

 アメリカという国は我々にとって大変うらやましいと思うことの一つは、シンクタンクがたくさんあって、それぞれが自由な立場で研究をし、そしてまたその成果を発表する、こういうことがしばしば行われる。どうも日本のシンクタンクというのは、経済問題ではかなりのものがございますけれども、安全保障を初めとする分野におけるシンクタンクの成果の発表というものはそう多くはないわけで、この点は随分と違っているなという感じがいたします。

 しばしば日米関係などについて論文が発表されることはございますけれども、それはあくまでも民間のレベルで研究が行われて発表される。もちろん、今御指摘のように、アーミテージとかジョセフ・ナイとかそういう人たちが参加をして行われている研究は、アメリカ国内にあっても指折りの知日派と呼ばれる人たちが集まった研究でございますから、それなりに我々は関心を持っております、それは当然だと思いますが。関心を持っておりますが、さて、こういう人たちが民間の自由な立場で研究をし、発表をした論文が、こういう人たちが政府の一員となってその主張が同じようになされるかどうかということになると、これはまたなかなかそう簡単なことではないわけでございます。

 話が長くなりましたが、もちろんアーミテージさんたちの研究について我々は関心を持っておりますが、民間のこうした研究の成果について日本政府が評価をするということは余りやるべきではないのではないか。

 と同時に、こうした人たちがアメリカの政府に入られて、国務省の高官として対日関係あるいはアジア関係の政策について担当なさるということであれば、思い切って我々は議論をしなければいけない。合意するところも多いと思いますし、また、議論をすべき問題もまた多々あるというふうに考えておりまして、いずれにせよ、日本のことを知っておられる方だけに、十分な議論ができるだろうというふうに思っているところでございます。

斉藤国務大臣 ブッシュ新政権の閣僚から、日米安全保障体制の重要性に関する認識がさまざま、また数多く表明されているところでございます。河野外相におかれましては、いち早くパウエルさんにもお会いをされた。私も早い機会に、カウンターパートであるラムズフェルド国防長官にもお会いしたい、そういう考えを持っているところでございます。

 御案内のように、日米安保体制、この五十年間、基軸でございましたが、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠なものと私ども認識しておりまして、このような米新政権の日米安保体制の重要性に関する認識を心強く感じているところでございます。

 御指摘いただきましたアーミテージ・レポートにつきましては、明記されていますように、参加研究者の個人的見解でもあるということではございますが、かなりの方々が重要な御発言もされていらっしゃるということもございまして、参考にしていきたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにしろ、防衛庁としては、米国新政権との間で政策協議及び情報交換を緊密に行いまして、日米安全保障体制の一層の信頼性の向上のために引き続き努力してまいりたいと考えております。

中谷委員 そういう御答弁をいただきましたけれども、やはり米国政府のいら立ちというか、安全保障担当者の、皆さん現実に担当している人たちばかりのレポートですから、より私は切実に受けとめています。特に、ガイドラインは締結したものの、その後の包括的調整メカニズムとか実際の調整も、やはり限界があるから前に進んでいないんじゃないかと思います。

 その限界というのは何かというと、申すまでもなく集団的自衛権の壁でございまして、やはり、より信頼関係を増して、この地域の安定を図るためには、この壁を日本も乗り越えなければならない時期だ、そう決断するべきだというふうに思って、私はこの点が日米の認識の差ではないかというふうに思っておりますので、今後さらにこの進捗のために、政府としても真剣にレポートの内容等もとらえていただきたいというふうに思います。

 続きまして、えひめ丸と原潜の衝突事故に関しまして、これの原因究明、また引き揚げ、被害者等の措置がされることは当然なんですけれども、この不幸な事故が日米相互の信頼感や同盟のきずなにいささかも影響を与えてはならないと思料いたしておりますので、外務大臣、今後の日米関係の信頼の維持のために大いに頑張っていただきたいと思います。

 その事故の中で、官邸の危機管理体制についてお伺いをしたいところがございます。

 総理が、そのときの対処についてかなり国会でも批判をされています。私は、総理が休日にゴルフをしようが映画を見ようがそれは自由だと思いますが、問題は一人でこっそり行くことであります。外国でも、大統領には核のボタンを入れたスーツケースを持った秘書が必ず随行しておりますが、総理の職務というのはいかなる場合においても断絶してはならないものでありまして、近くに秘書官もいない、車もいない、携帯電話で連絡をとり合うというのではお話になりません。

 私は、総理は公私混同してもいいと思います。大いに公私混同で行動していただきたいと思います。つまり、ヘリでリゾートに行ってもゴルフに行ってもいい。常に万全の備えをして行動をするという意味で、公私混同しながら危機管理をやってほしいというふうに思っております。

 安全保障のセキュリティーという意味は、キュリというのは不安、セというのは取り除くということで、不安を取り除くという意味でございまして、そういう意味で総理が危機管理に備えるということで国民は安心を置くのではないかと思います。

 そういう意味で、緊急事態に対する連絡要員をそばに置いていくという点につきましては、防衛庁長官に対しては自衛官が副官として補佐をして勤務をされていますけれども、やはり総理にも官邸の中にまた、SPさんとして警察官の方がおられますけれども、もう一人幹部自衛官等を秘書官として常時随行させ、海外の軍事、安全保障問題、また我が国の緊急事態に対して即応をとるためにも、そういう危機管理、また国際安全保障になれた人をつけるべきではないかと思いますし、官邸等にもヘリコプター等を連携、待機させて、すぐ移動できる体制をとっておくべきだと考えますけれども、この点において官邸、内閣官房の御意見はどうでしょうか。

岩橋政府参考人 内閣官房の安全保障、危機管理関係業務の遂行に当たりましては、防衛庁と常に緊密な連携を図るとともに、秘書官を含む内閣官房職員が役割を分担して対応しているところでございます。

 また、従来より、内閣官房副長官補、これは安全保障、危機管理担当でございますが、このもとに、あるいは内閣情報集約センターなどにおいては自衛官が配置されておりまして、これら自衛官の持つ安全保障、危機管理に関する知見も、こうした体制のもとで十分に活用されてきていると考えております。また、情報集約センターには五班ありますけれども、この中に必ず自衛官が一人入っておりまして、総理等への迅速な情報連絡に努めておるところでございます。

 それから、ヘリコプターの件でございますけれども、現在の首相官邸にはヘリポートはございません。平成十二年度より、国会の協力を得まして、緊急時への対応に当たりまして、首相官邸の近くにある国会議事堂の前庭を緊急時におけるヘリコプターの離着陸場として確保するとともに、平成十二年五月には陸上自衛隊のヘリコプターの離着陸訓練を実施しているところでございます。また、首都直下型大規模地震発生時などヘリコプターなどを活用する必要がある場合に備えまして、総理などが地方へ出かける場合には、その都度、防衛庁など関係省庁の協力を得まして、ヘリコプターを待機させるなどの緊急体制を整えているところでございます。

 なお、現在建設中の新官邸はヘリコプターが離着陸できるよう整備を進めておりまして、今後とも緊急時の対応につきまして万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。

斉藤国務大臣 危機管理のお問い合わせがございました。私は、公私混同という御指摘もありましたが、公私一体なんだと思います。上に行けば行くほど公私が一体していく、そういう認識のもとで仕事をしていかなければならないというふうに思っております。

 そんな中で今回の案件があったわけでございますが、御案内のように、防衛庁との連携等々につきましては、ただいま説明ございましたように、内閣情報集約センターに二十四時間体制で武官を配置いたしておりまして、刻一刻と入ってくる情報に対してはその都度総理に上げられる体制ができておりますので、その点は御安心いただきたいというふうに思います。

中谷委員 続きまして、危機管理のシステムにつきまして、ちょうどきょうは官邸から来られていますけれども、確かに危機管理担当大臣とか官房副長官とか危機管理監が創設されましたけれども、問題はそのシステムでありまして、どうも情報集約センターとか緊急参集チームも、確かに各省の局長は集まってきて情報を持っていますけれども、それを統括して、仕分けをして、そして情報判断をするシステムができ上がっているかといえば、縦型社会の日本国で、特に内閣法なるものは、総理の指揮権がなくて内閣全体の合意で決められるということで、トップダウンの決定ができないんじゃないか、そういう壁があるんじゃないかと私は思っております。

 平時はそういうやり方で結構ですが、緊急事態はやはりトップダウンで、仕切り役がいて、きちっと総理が状況判断するべきだと思います。そういう意味では、内閣危機管理監また担当大臣に権限を持たせてきちっと各省を指導できるようにするというのが危機管理だと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか、官邸。

岩橋政府参考人 内閣危機管理監の権限につきましては、内閣法第十五条第二項に「内閣危機管理監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて内閣官房の事務のうち危機管理に関するものを統理する。」と規定されておりますけれども、国の防衛に関するものは除かれておるという形でございます。

 具体的にどのような役割を果たしておるかということでございますが、事態が発生いたしました際には、緊急事態等に関する情報収集、整理、報告等の必要がある場合は官邸連絡室を設けます。また、緊急事態等に対する初動対処が必要な場合は官邸対策室を設置いたしまして、その事態、状況に応じ緊急参集チーム会議または関係省庁局長等会議を開催し、情報の集約及び共有化を図っているところでございます。この中心に危機管理監がなっておるということでございます。

 さらに、関係省庁の救助活動等の初動措置について総合調整を行うほか、関係省庁の意見を集約し、総理、危機管理担当大臣、官房長官及び官房副長官に対しまして報告または意見具申を行うとともに、総理、危機管理担当大臣等の指示に基づき事態への対応に当たっておるところでございます。

中谷委員 やはり官邸とか安保室、危機管理室というのは、各省庁だけでは対応できない点において、総理大臣が乗り出して、各省間に対して適切に指示を与えることだと思いますが、具体的に申しますと、例えばテロとかゲリラの場合、当初は当然警察が対応するんですけれども、警察では手に負えなくなったときに、当然国の貴重な財産である自衛隊の組織を使って人命を助けるわけでございます。

 そこで問題になるのは、警察作用と国防作用のグレーゾーンというか、国防作用としてゲリラに対処する場合に、国が意思判断をするわけでありますが、これは、いついかなるところでだれが判断をするのか。

 つまり、警察任せでありますと、警察官も使命感旺盛ですから、できるだけ頑張るわけですね。ところが、それ以上の対処になりますと、自衛隊の出動もおくれるし、自衛隊も、いざ行けといっても、事前の準備とか備えなくして十分な任務が果たせない。そういうときに被害だけが大きくなってしまうというタイムラグの問題がございますが、現実に、警察と自衛隊の調整等に関しても、官邸がやはり総理大臣のもとに行うべきではないかと思いますが、果たして、警察と自衛隊の移管について、いつだれがどのようにして判断をするのか、この点についての認識をお伺いしたいのです。

岩橋政府参考人 御指摘の点につきましては、政府は、国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ、または生じるおそれがあるテロ事件等に対し、人命の尊重に配慮しつつ、法秩序の維持のため断固たる態度をもって臨むこととしておりまして、そのための情報連絡体制の整備や迅速な対処体制の確立等を定めました、重大テロ事件発生時の政府の初動措置についてと題する閣議決定を平成十年四月に行っているところでございます。

 その内容でありますけれども、例えば、武装工作員が我が国に侵入するなどの事案が発生し、それが外部からの武力攻撃に当たらないような場合には、関係省庁において当該閣議決定に基づき内閣総理大臣等への報告、連絡を迅速に行うとともに、内閣総理大臣が重大テロ事件であると判断した場合には、迅速に対処体制を確立し、内閣に対策本部を設置するなど、政府としての対処を強力に推進することとしております。

 このような政府としての対処体制のもとにおきまして、現場において、第一義的には警察が対処することとなりますけれども、一般の警察力では対処し得ないような事態が生じた場合には、内閣総理大臣の判断により、安全保障会議に諮った上で閣議を開催し、自衛隊に対し治安出動命令を発令することとなります。

 なお、生起した事態が外部からの武力攻撃に当たる場合には、内閣総理大臣が、安全保障会議及び閣議を経た後、特に緊急の必要性がある場合を除き、事前に国会の承認を得て、自衛隊に対し防衛出動命令を発令することとなります。

中谷委員 そういう事態に対しては、やはり危機管理室とか官邸も重要な役割を果たすので、そういう機能も検討していただきたいと思いますし、また、答弁の中で治安出動とか防衛出動というお話がありましたけれども、これも閣議了承とか国会承認という手続に要する時間もありまして、なかなか、自衛隊に対して出動命令がおくれることは予想されます。その出動命令がかかったとしても、事前の偵察やら資材の蓄積、また警戒監視、関係機関の連絡調整、これがなければ十分に安全で効果的な対処もできませんので、防衛庁といたしましても、事前の活動等につきましての体制づくりもぜひ研究、検討していただきたいというふうに思っております。

 時間がなくなりましたので、最後に、アーミテージのレポートの中に盛り込まれた点は、さらなる国際貢献で日本の姿も、PKO法案ができた九二年当時の制約でかなり足かせになっているんじゃないか、やはり出ていく以上は完全な形で貢献するべきじゃないかというレポートもありました。

 私も、一月に起こった、山手線の新大久保駅で韓国から来た留学生が人を助けようとしてホームにおりて事故に巻き込まれた事故をかんがみまして、その韓国の方また日本人のカメラマンの方に心から敬意と哀悼を表するわけでございますが、やはり人を助けたいという心は人間にとって崇高なことでありまして、私もお葬式にも行きましたけれども、しかし、人命救助のもう一点は、基本は、やはり自分の身の安全を確保した上で行動するというのが基本になっております。そういう意味で、PKOとか国際貢献に出ていくということは、国際社会から尊敬を与えられる、日本としてもとうとい行動でありますけれども、まず第一に、行く隊員の安全確保というものを考えた上で出さなければならないというふうに思っております。

 そういう意味で、PKFの凍結解除、これも検討されますけれども、ぜひ、行く自衛官に後顧の憂いなく仕事ができるような法の枠組みづくりをすると同時に、自衛官だって、危ないから行ってくれと言われると、態勢をきちっとすれば行ってくれると思います。しかし、危なくないから行けと言われても、安全の備えがないと行きたくないわけですね。

 こういう点で、今後の凍結解除に向けた考え方と、もう一点は、東ティモール、現在国連が大統領選挙を目指して準備をいたしておりますけれども、私は、このPKO法の五原則に基づけば、すべて条件が満たされているところだというふうに思っております。国連がオーソライズされて治安も落ちついていますし、やる内容も平和的だ。こういう点で、東ティモールに対する派遣を考えていないのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。

野津政府参考人 PFK本体業務の凍結解除及びこれに関連する諸問題でございますけれども、御案内のとおり、現在、この問題につきましては、与党三党におきまして安全保障のプロジェクトチームを中心に御議論が進められているというふうに承知しております。

 政府といたしましては、予算委員会で森総理からも御答弁申し上げておりますけれども、我が国が世界から信頼される国家となるためには、国際社会で求められている責任、役割を着実に果たしていくことが必要であると考えておりまして、このためには、我が国みずから、安全保障基盤を強固なものとしながら、国際的な安全保障の確立に貢献することも重要な課題であるというふうに考えております。

 かかる認識のもと、本体業務の凍結解除につきましては、与党三党の御議論はもとより、国会での御議論を踏まえて対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。

 それから、今東ティモールの問題に言及されましたけれども、東ティモールの問題につきましては、我が国といたしましては、アジア太平洋の一角の問題でもありますので、その独立と国づくりに向けてできる限りの協力を行うという方針のもとに、具体的には、東ティモールの復興開発支援、避難民に対する人道支援を行い、また関係する国際機関に対する協力を行ってきております。また、国際平和協力法に基づきましても、これまで文民警察官の派遣あるいはUNHCRの援助物資についての自衛隊機による輸送、こういう協力を行ってきているところでございます。

 東ティモールで活動しております国連東ティモール暫定行政機構、UNTAETには現在自衛隊を派遣しておりませんけれども、今後とも、国際平和協力法に基づきます要員派遣につきましては、国連の具体的な要請というものを前提に、法制面及び政策面で総合的に判断して対処してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

中谷委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

川端委員長 首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 何よりもまず、宇和島水産高校実習船えひめ丸の原潜グリーンビルとの衝突事故において被害に遭われた方々及び御家族の方、高校関係者の御心労を心からお悔やみ申し上げますと同時に、今なお行方不明になっている九名の方の一刻も早い発見を祈念するものであります。

 また、民主党は、本件事故が発生した直後に、伊藤英成衆議院議員を本部長とする宇和島水産高校実習船衝突沈没事故対策本部を立ち上げ、何よりも真相究明と善後策及び再発防止、予防策を、米国国家運輸安全委員会、太平洋艦隊司令部、アメリカの国務省、国防総省の関係者と協議するために、二月十六日より二十三日までハワイ、ホノルル及びワシントンへ派遣いたしました。

 これからの質問は、そうした経緯を踏まえてのものであるということを御理解いただきたいと思います。

 さて、私の質問は、今通常国会における安全保障委員会の冒頭の質問でありますから、まず何よりも、日本の安全保障システムの根幹をなす日米安保体制についてお聞かせ願いたいと思います。

 この日米安保体制において最も重要な要素は一体何でしょうか、まず防衛庁長官にお聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 御案内のように、私ども、アジア太平洋に位置する国でございます。アジア太平洋地域において依然として不透明、不確実な要素が残る中で、日米安保体制は引き続き重要な意義を有している、そういう価値あるものだというふうに解釈しているところでございます。

 新しいアメリカの政権が発足いたした際にも、日米安全保障の重要性に触れていただいたわけでございますが、私どもも、引き続き、安全保障体制を維持し、そしてその信頼性の向上を図って、その円滑な運用のために努力していくことが必要だというふうに考えておるところでございます。

首藤委員 信頼性の向上、信頼性ということこそ日米の安全保障における最も重要な点であるということを理解いたしました。

 それでは、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 我が国が、戦後新しい憲法をつくって、武力による国際問題の解決をしないということを明確にした後、我が国はアメリカとの間で、我が国自身の平和と安全というものを含めて、相互の信頼に基づいて日米安保条約というものをつくり上げた、合意をしたわけでございます。

 この日米安保条約の合意は、先ほど中谷議員の御質問にもございましたように、五十年という半世紀にわたる長い年月、双方の信頼関係によってさらに一層この協力関係ははぐくまれてきた。現在、日本の国の安全というものがこの日米安保条約に支えられているところが極めて大きいというふうに認識しております。

首藤委員 基本的な問題ですけれども、やはりこれは日本の安全保障システムにおける最も基本的な私たちの考え方であるというふうに理解いたします。

 その点に関しましては、党派を超えまして、また国民総意としても恐らく異論のないところではないかと思っております。日米の安全保障体制において最も重要なことは、お互いが信頼感を持っているということにほかならない。そして、その信頼感の根幹をなすのは何かといえば、それは何よりも情報の共有と信頼の醸成である、そういうふうに考えております。この点に関しては恐らく異論のないところだと思っております。

 そうした日米安保体制において最も根本的なところで共通認識があるということを前提に、今回起こった事件についてお話ししたいと思います。

 今回のグリーンビルの原潜事故、原潜事故と言っております、しかし、原潜事故と命名されたのは、もともと、この事故と言われたものが、グリーンビルの緊急浮上訓練の結果として出てきた不可抗力の事故であるというふうに定義されたからにほかなりません。しかし、最近の情報で明らかになっているように、ここにおいては規律の違反が見られ、民間人の同乗による人為的な操作が行われ、そして、一九八九年、既に原潜ヒューストン号がアメリカのタグボートを沈没させたときにできた米国の国家輸送安全委員会の報告、これは既に九〇年には出ているのですから、その指摘をも無視した行為である。すなわち、この原潜の事故と言われているものが現実には事件であり、さらに犯罪性の強いものであるということがだんだんと理解されるようになってきました。

 そして、こうした原潜の事故あるいは原潜の事件というものに関して、一体我が国はどういう情報を第一報として受け取ったでしょうか。外務省及び防衛庁はどういう形で、いつどのような内容で受け取ったのか。その第一報の内容について、それぞれ責任大臣及び長官の説明をお聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 防衛庁といたしましては、事故発生の第一報を、二月十日の十時四十分ごろに、内閣情報集約センターを通じまして海上保安庁から受けたところでございます。

 その内容は、海上保安庁が遭難信号を受信、ホノルル海難救助本部に確認したところ、愛媛県宇和島水産の練習船えひめ丸がオアフ島の南十マイルで米原潜グリーンビルと衝突、沈没した。現在、コーストガードのヘリが事故現場の上空におり、ラフト上、これはいかだでございます、ラフト上にいる十四名を確認している。九時五十分、米軍とコーストガードの船が現場に着く予定とのことであり、が、この第一報でございます。

河野国務大臣 外務省に報告が届きましたのが、第一報は、今もお話がございましたが、海上保安庁から外務省のオペレーションルームに九時三十五分に第一報が入っております。そして、九時五十五分、これは九時五十五分ごろということでございますが、恐らく九時五十五分で間違いないと思いますが、アメリカ太平洋軍外交顧問のトワイニング大使よりホノルルの総領事でございます渋谷氏のところに第一報が入りまして、今入った連絡によると、オアフ島沖にて愛媛県立宇和島水産高校練習船えひめ丸が米潜水艦と接触し沈没した、こういう連絡が九時五十五分に入っております。

首藤委員 外務省の方が早かったということですね、外務大臣。

河野国務大臣 これは恐らくホノルルの総領事に直接入っておりますから若干早いかと思いますが、いずれにせよ、我が国がこの状況をキャッチいたしましたのは、海上保安庁が第一報といいますか緊急信号をキャッチしたというのが、我が国がキャッチした最初のこの問題に対しますものでございます。

首藤委員 この点をしつこく聞いているのは、危機管理において、また防衛において最も重要なのは初動であります。もう本当に秒単位で対応しなければいけないということなんですが、この問題というものは、よく考えてみれば米国の原潜が日本の船を沈めたということであります。

 先ほどから、最初の救難信号という話が伝わっていますが、それは当たり前の話でありまして、船に積んでいる救難信号は、船が沈没した際に自動的に海中より浮上し、そして信号をビーコンとして発信するということになります。

 防衛庁長官、私が聞きたいのは、なぜ米国の海軍からの第一報が、自分たちの船がこれを沈めたという第一報が防衛庁に入ってこなかったのでしょうか。その点について御意見をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 私、そのとき、公務で北海道出張のさなかでございました。十時四十分ごろ、情報集約センターを通じて情報が入り、それを直ちに防衛庁は入手をいたしたところでございますが、もう少し詳しく情報をとろうというようなことで、私が北海道へ到着次第、その段階でこの情報を入手させていただいたところでございます。

 ですから、その段階では米海軍からの話も私はまだまだ聞いておらない状況でございました。

首藤委員 それはもう、今私はその話を聞いて心臓がとまるほど驚きましたけれども、日本の防衛の頂点におられる防衛庁長官が、そして、先ほど御自身が総理の危機管理体制に対していろいろコメントを申されましたけれども、そういう危機管理としてあるべき体制から全然違っているではないですか。この問題に対して防衛庁はなぜもっと真剣に対応しなかったのでしょうか、防衛庁長官。

斉藤国務大臣 御案内のように、コーストガードがハワイの沖合で救助に向かう、現場に入る、向かっているというのが九時五十分というのは、先ほども御説明したとおりでございます。そして、そのコーストガードのカウンターパートに当たるのが日本の場合は海上保安庁ということでございまして、海上保安庁からの情報だったということでございます。

首藤委員 それでは、次にお聞きいたします。

 その第一報の後、第一報というのは船が沈んだということなんですが、それから、なぜ沈んだのか、当然アメリカの原潜が関係しているわけですが、なぜ沈んだのかという説明がアメリカ側から来ます。この点に関してどういうふうな説明が来たか、次の点に関してお聞きしたいと思います。

 緊急浮上訓練であったか否か。これが、緊急浮上訓練であるもう不可抗力としての事故と、あるいは民間人に見せるためのデモンストレーションとしての結果として生まれたものとでは根本的に対応が違います。

 それから、ソーナーによってえひめ丸が探知されていたのかのその有無、そのソーナーデータがあるのかないのかの有無、そして民間人が乗っていたのかという情報、そしてさらに、民間人がそれを操縦した可能性があるという情報、そして、えひめ丸というものを潜望鏡で確認したという情報。

 この点に関してどのような説明がなされたか、防衛庁長官、いかがでしょうか。まず防衛庁長官にお聞きし、それから外務大臣にお聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 御案内のように、現在、事故原因解明が進んでいる状況でございまして、二つのルート、一つは国家交通安全委員会、NTSB、これが一つございますし、現在設置はされましたがまだ開かれておりませんが、コート・オブ・インクワイアリー、これを海軍の中に設けるということで、査問会議または審問委員会とも訳されておりますが、そこで事故解明が行われるという手はずになっているところでございまして、アメリカ側の方から正式にこうだということの原因解明について、私どもはまだまだ入手できない状況でございます。

首藤委員 私の質問は、そうした現状ではなく、第一報が沈んだという情報に続いて、なぜ沈んだかという最初の説明が参りました。その件に関してはどういう説明が来たのかを、安保条約のパートナーである日本の防衛庁にどういう説明が来たのかをお聞きしているわけですから、その点をお答え願いたいと思います。斉藤防衛庁長官によろしくお願いします。

斉藤国務大臣 御案内のように、事故発生の段階で行方不明者がかなりの数でおられるということが情報として伝わってまいりました。私どもは、何しろ人命救助、人命尊重、それが第一だということの対応をずっと続けてきたところでございまして、原因解明はその段階では多少おくれてもいいと。何せ人命を何とかと、こういう立場で対応しておったところでございます。

首藤委員 私の聞いているのはそういうことではなくて、船が沈んだ、なぜ沈んだかということに関して米海軍からどのような説明がパートナーである防衛庁になされたのかということです。この点だけお答えください。

斉藤国務大臣 御案内のように、アメリカは、先ほど申しましたように、米国家運輸安全委員会では逐次においてブリーフィングが行われております。

 しかしながら、査問委員会におきましてはこれからでございまして、現在その対応に進んでいるというふうに思っておりますが、その原因について、私どもは、最初に人命救助だというようなことで対応してまいりましたものですから、明日参られるでしょうファロン特使からも詳しく聞けるのではないかというふうには思っております。

首藤委員 それは、今長官は、私の質問を無視されているのか、それとも、ただ配られたもの、ノートを順番に読んでおられるのかわかりませんけれども、私の質問は簡単なんです。

 第一報が、沈んだ、そしてなぜ沈んだか、原潜とぶつかってどういう状況で沈んだかというその原因を、当然のことながら日米安保条約の最大のパートナーであり唯一のパートナーである米海軍からどのような情報を受け取ったか、それをお聞かせ願いたい。

斉藤国務大臣 御指摘の緊急浮上訓練であったか否かにつきましては、太平洋艦隊司令官、これはファーゴ氏でございますが、十一日の記者会見において、緊急浮上であった可能性が高いということを述べておりまして、それを直ちに私どもとしては情報として受け取っておるところでございますし、この会見の後、同司令官よりホノルル総領事に対し緊急浮上であった旨の連絡があったというふうに承知をいたしております。

首藤委員 民間人の乗船及び民間人の操縦及びソナーのデータ存在、潜望鏡などの確認についてはいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 ソナーの関係でございますが、ソナーによる探査の有無に関しましては、アメリカの国家交通安全委員会のハマーシュミット氏が二十一日の記者会見において、事故に先立つ一時間の間に三件の確度の高い反応があったとの証言に言及したというふうに聞いておりますし、それを私どもも聞いております。

首藤委員 ちょっと誤解されているのではないですか。そのNTSBというのは議会に附属する独立委員会です。これは米海軍でもなければ太平洋艦隊司令部でも何でもないのです。これは議会に附属している中立的な存在で、関係ないのですよ。

 私は、日米安保条約の最大のパートナーである米海軍が日本の実習船を沈めたときに、どうして何の説明も防衛庁になかったのか。こんなことでは安保条約なんかできないじゃないですか。いかがなんですか、長官。

河野国務大臣 先ほど、私、九時五十五分ごろトワイニング大使からホノルルの総領事あてに第一報が入ったということを申し上げましたけれども、このトワイニング大使は、先ほども申し上げましたが、アメリカ太平洋軍外交顧問という方でございまして、これはむしろ米軍から我が方に第一報を入れたというふうに考えていいのではないか。

 さらに、十時半には、ファーゴ太平洋艦隊司令官より渋谷総領事に対しまして、救助活動について最大限努力をしている旨の連絡も来ているわけでございます。

 これが、今議員がお話しのように、どうして米海軍から日本の自衛隊に直接行かなかったかというお尋ねであろうと思いますけれども、私は、少なくとも、米側は、トワイニング軍事顧問あるいはファーゴ太平洋艦隊司令官より日本側に対して報告、連絡があったという事実ははっきりしているということだけは申し上げておきたいと思います。

首藤委員 私は、この問題だけで本当にあなたを追い詰めることはできると思いますよ。しかし、それはこの私の与えられた時間の中では意味がないことです。もっと重要なことに、いろいろなテーマがあります。

 しかし、重要なことは、結局日米安保とは一体何なんだ。原潜が日本の船を、日本の財産であり我が国の人材を沈めたときに、第一報が外務省へ行って、ホノルル領事に行って日本に来る。では、日米安保とは一体何なんだ。

 では、あくまでも仮定の話ですが、こういうお話はどう考えられますか。もしそれが水産高校の実習船でなくて、たまたま日本の軍艦であったり、より大きな船舶であったり、例えばそういう船に原潜が衝突した場合、沈んだのは原潜ですね。大変な問題ですよ。こうした基本的な問題に関して、どうして第一報があなたのもとに来なかったのか。北海道にいるあなたのもとへ来なかったのか。

 これは私は、森総理だけじゃなくて、現在の政府だけじゃなくて、我々全部かもしれない。しかし、少なくともこの防衛庁というものは日本の危機管理を担っているところではないですか。それがどうして第一報をきちっと把握できなかったのですか。その点を私は今の段階では指摘しておきたいと思います。

 次に、こうした問題に関して、さまざまなことが言われました、後からわかってきました。

 結局私が何をあなたに質問しようとしているかというと、それは、これは緊急浮上訓練ではなくて、結局民間人のためのデモンストレーション、クルーズだった。そして、民間人がたくさん乗っていた、十六人も乗っていた。そして、十六人も立ったまま艦橋の下の司令室にいたということは、結局これは急速浮上もしなかったということですよ。立ったまま、そんな電車の中なんかで立っていられないでしょう。潜水艦だってそうですよ。急速浮上して角度を持って上がっていったら、そんなもの、立っていられないわけですよ。そして、ソナーも結局はあった。

 結局、最初に言われたことすべてうそだったじゃないですか。こんなことで果たして日米安保条約、日本とアメリカの海軍が協力し合うということができるのですか。その点に関してどうですか。抗議されましたか。長官は御意見はいかがですか。

斉藤国務大臣 御案内のように、今回、原潜、これは確かにアメリカの海軍所属でございます。そして、被害を受けられた方は日本人また日本の船だということでございまして、この関係は、外交ルートでの扱い、そしてそれが官邸に報告されて私どもとの情報交換等々に入っていく、そういう流れになっているところでございます。

 また、現在原因については解明中、調査中という状況でございますので、予見を持って申し上げることはできないというふうに思います。

首藤委員 時間がないので次の質問に移りますが、先ほど斉藤防衛庁長官はコート・オブ・インクワイアリーについておっしゃいました。これはすごく重要ですね。

 コート・オブ・インクワイアリーというのは、明らかに軍法会議を導いていく大変重要な、大変深刻な手続です。これはコート・オブ・インクワイアリーが課せられたということでアメリカの社会が本当に驚いた、それぐらい重要なことです。

 重要なことは、やはりこの問題というのも非常に犯罪性が強くて、そこの犯罪というのは当然、人が死んでいるわけですから、そうした責任を追及する。これは日米関係においても大変深刻な問題になっていくとこれから考えています。

 このような事故、例えば潜水艦が民間の船を沈めた、こういうような事故は、日本でもかつてなだしお号と富士丸の衝突事故はありましたが、日本においては、この衝突事故で艦長はどのような責任をとり、民事的にはどのような対応になったのでしょうか、防衛庁長官。

川端委員長 斉藤防衛庁長官。

石破副長官 委員長から御指名をいただきましたので、私からお答えを申し上げます。

 平成四年十二月、御指摘の「なだしお」の艦長の責任につきましては、横浜地方裁判所において……

川端委員長 副長官、私は斉藤防衛庁長官と指名したのです。

 斉藤防衛庁長官。

斉藤国務大臣 「なだしお」の事件についてお答え申し上げます。

 昭和六十三年七月二十三日に起こった「なだしお」事故に際しては、翌二十四日に防衛庁として海上幕僚副長を長とする艦船事故調査特別委員会を設置し、事故原因の究明等に着手したところでございます。また、これと並行して、事故原因の究明及び再発防止を目的として、昭和六十三年十月三日に横浜地方海難審判庁において本件事故について第一回審判が実施され、以後高等海難審判庁の第二審を経て、平成二年八月十日に裁決が言い渡されたところでございます。

 防衛庁としては、海難審判において究明された事実を踏まえ、平成二年九月六日に事故調査報告書を取りまとめましたところでございます。

首藤委員 日本での事故についてはよくわかりました。

 では、今回のグリーンビルの事故に関して、コート・オブ・インクワイアリーがどういうことになっていくでしょうか。

 過去におけるコート・オブ・インクワイアリーが軍事法廷になっていった事例を幾つか検証しました。私も、日本にはこういう軍法会議というものはないものですからよくわからなかったのですが、軍法会議というのは人権のない法廷であります。したがって、多くのアメリカの州では死刑がもう廃止されておりますが、軍法会議においては当然死刑という極刑がある。今回の事故に関しては、コート・オブ・インクワイアリーは軍事法廷、軍法会議を必ず導くと言われています。そして、その結果というものは非常に深刻なものになる可能性がある。日米関係においても大変深刻な影響を与えると思っています。

 今後のこうした、潜水艦あるいは軍の艦船というものが起こした事故によって発生した軍法会議、こうしたものがどういうものであるか、今回の事件はどういう方向に行くかということを私たちも見きわめ、それに対して心の準備をしていかなければいけない、その点に関して外務大臣にお聞きします。

 今回のコート・オブ・インクワイアリー、そしてやがては恐らく軍法会議になっていく、この事件に類似し、日本が参照すべき事例は過去にどういうものがありますか。それを教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 幾つか例がございます。

 一九九八年二月のイタリーにおける米軍偵察機によるロープウエーのケーブル切断事故、このときは観光客ら二十名が死亡しております。

 先ほどもちょっとお触れになりましたが、ジョージ・ワシントンと日昇丸、これは潜水艦です、ジョージ・ワシントンと日昇丸の衝突事故におきまして、これも軍法会議に艦長が付されたという、失礼、艦長は軍法会議に付されておらず、ジョン・F・ケネディとベルクナップの衝突事故においては、軍法会議においてベルクナップ艦長の事故責任が認定され、そのときは懲戒免職とされておりますが、刑事責任は問われておらず、先ほどのロープウエーのケーブル切断事故におきましては、事故調査委員会によって事故機の操縦者ら四人に過失責任が認定をされ、軍法会議に付されておりますが、無罪となったというふうに承知をしております。

首藤委員 現在、この七五年のベルクナップ事件というものが今回の事件に非常に近いということは言われているわけですが、その前に、今外務大臣が言われた八一年の日昇丸事件、これは一体なぜ軍法会議に付されなかったのでしょうか。これは今わかっているように、海上を通っているどこかの国の貨物船、これの船の航跡の下に隠れて潜望鏡を上げよう、船がいることを知りながら、船のそばに接近していって浮上したときの事故であります。

 これに関して、明らかな意図性がありながら、なぜこれが軍法会議にかけられなかったのか、御説明をお願いしたいと思います。外務大臣。

河野国務大臣 八一年のジョージ・ワシントンと日昇丸の衝突事故につきまして、なぜ軍法会議に付されなかったかという御質問でございますが、これは、申しわけありません、現在調査中でございまして、現段階で確たることを申し上げられません。

首藤委員 私は、本当に何というか、怒るというか残念というか、日本の国民の人命が失われた事件、これに対して八一年できちっと対応しなかった、そのことが禍根となって今度の事件も大きく後を引いていくのではないか、その意味を持って今御質問しているわけです。

 このコート・オブ・インクワイアリーというのは、冷戦後のアメリカ軍においても、そして今後の日米安保体制においても大変大きな影響を与えてくる一つの法廷であると思います。それに対して、日本側からはアドバイザーとして元艦長の小沢勇舞鶴地方総監部幕僚長が派遣されると言っておりますが、彼は日本の市民の権利、どのように審問委員会で守ろうとするのでしょうか。外務大臣。

河野国務大臣 政府としては、審問委員会への協力が実習船えひめ丸沈没事故の解明に資するものであることから、米側の要請に応じまして、今お話しの海上自衛官一名をアドバイザーとして派遣いたします。

 米側の説明によれば、審問委員会においてアドバイザーは、審問委員会構成員にアドバイスを行うほか、証人及び当事者に質問することができる、また特定の事項が調査されるよう要請することができるということでございます。しかし、投票権のないメンバーでありまして、アドバイザー個人または日本政府が委員会の決定に対して責任を有するということにはなりませんが、政府として、本件委員会への協力が事故の解明に資するものであることから、海上自衛官をアドバイザーとして派遣することとしたものでございます。

 委員会が早急かつ徹底的な調査を行い、適切な勧告を行うことを期待しているわけでございます。

首藤委員 今の御説明でわかったように、アドバイザーというものは一種の技術的な傍聴者にすぎないわけです。しかし、この事件というのは、それは冷戦当時起こった一九八一年の事件あるいは七五年の事件、そうした事件と違って、冷戦後の世界で起こっている。こういうところで今後の、単に軍事法廷だけではなく、あるいは二国間だけの問題ではなく、膨大な民事訴訟を絡めた、日本の市民社会との関係が出てくる問題だと思っています。

 このコート・オブ・インクワイアリーにおいては三十五席が用意され、その幾つかはもちろんジャーナリストなどにも分け与えられるわけですが、同時に、私たち国民の代表もそこに行って傍聴する必要があると思う。その意味で、私は、この審問会議の傍聴者として、国民の代表である政治家が超党派でそれを傍聴することが可能ではないか、そしてぜひそういう機会をつくっていただきたい、そのようにアメリカ側に申し入れていただきたい、そのように思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 今議員もお話しになりましたように、傍聴席の数に限りがあるわけでございます。この限定された数の中にどのくらいの数が確保できるかということについては、まだ先方と交渉をしなければならないと思います。先方からは、関係者の家族の傍聴について、ごくわずかな数でございますが、いすを準備しているという話もございますし、また、恐らく当然メディアに対してもそうした配慮がなされるかと思っておりますが、今御指摘のように、国会議員に対して傍聴席が確保できるかどうか、これは今のお話がございましたので、私ども、頭に入れておきたいと思います。

首藤委員 ありがとうございました。

 ぜひ検討をしていただきたい。この場においては、今後のこうした問題に対しては、日本社会全体として取り組む必要が必ず出てくると思いますので、さまざまな形で国民の代表がその場に、あるいは家族の代表がその場におられるような形を米側に要求していただきたいと思います。

 私は、先ほど申しましたとおり、この真相解明のためにハワイ及びワシントンに行ったわけですが、そのとき、ちょうど二月十六日、イラクへの空爆が行われました。イラクへの経済制裁を解除していこうという国際社会の流れに反し、日本を含め中東和平への各国努力を危うくさせたと言わざるを得ません。

 私自身も、この一月にパレスチナを訪問し、中東和平への各国努力の問題、九三年からできているオスロ合意からのパレスチナ和平というものが、まさに風前のともしびであることを実感しました。さらに、一九八二年のレバノン侵攻及びその後に起こったパレスチナ難民虐殺の責任者であるシャロン氏が首相に当選したことで中東世界全体が緊張している中で、アメリカ軍の行動には首をかしげざるを得ません。

 この問題、我が国がとっていた中東政策、根本的に違うこのアメリカ軍の行動に対して、日本への事前通告はいつ行われましたか、あるいは行われませんでしたか、外務大臣。

河野国務大臣 お話しのように、我が国として、イラクをめぐる状況につきましては、これが平和的手段によって解決されるということが我が国の希望でございます。しばしばこのことは表明をいたしております。

 今お尋ねの、事前の通告があったかどうかというお尋ねでございますが、事前の通告はございません。

首藤委員 新聞情報によりますと、外務省はCNNを見て驚いた、そういうふうに表現されているのです。

 実際に、それでは公式連絡を受けたのは爆撃が行われた何時間後でしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 アメリカからは、これは余計なことでございますが、国連事務総長及び安保理議長にも攻撃の後に通報をされたということでありますが、我が方は、ああした事態を知りまして、こちらから、一体どういうわけだということを問いただしております。

首藤委員 まさに、恐らくもう本当に正直な御説明だと思いますが、本当に私は心が痛い。日本のこんな大きな問題というものが、日本に通告されることなく、こちら側から、CNNを見た後聞く。これでは外務省でなく防衛庁でなく、これは新聞社やテレビ局と変わらない。これでは、日米安保体制など堅持できないではないですか。

 では、日本の代表者がそばにいなかったためにこういうことが伝わらなかった、そういう可能性はあるかもしれない。しかし、この事件が起こった、この攻撃が行われた十六日、まさに衛藤副大臣が国防省におられましたね。おられましたよね。何時から何時まで会議されておられましたか。

衛藤副大臣 首藤信彦委員にお答えいたします。

 ちょうど私はその時間帯に国防省におったわけでありますが、私どもが会談中にまさに米英軍機が出撃いたしまして、そして私どもが出た後に現地を爆撃した、こういう時間帯でありました。

 たまたま私はこのときにラムズフェルド国防長官、またレオン国防副長官初め国務省のハバード国務次官補代行等々とも御一緒でありました。しかし、このときは、御案内かと思いますが、総理、外相そして斉藤防衛庁長官の親書を持っていって、そして、えひめ丸の事故の行方不明者の捜索についての続行、さらには引き揚げ、さらには厳重な抗議、さらには事故を引き起こした者の責任を問う、こういうようなことをまさに裂帛の気迫でやりとりをしておりまして、この事故の関係者の方々の人命等々のことをおもんぱかりながら双方で激しいやりとりをしておりました。

 しかし、このときに現にそういう事態があったのですが、先方からはこのことについての説明はございませんでした。そして、このことにつきましては、伊藤英成団長、また首藤先生も御一緒だったのでしょう、ハバード国務次官補代行から、先生方にも、国務省の大幹部である自分自身も、ハバードさん自身も知らされていなかったというお話があったと思います。そういうことであります。

首藤委員 本当に私は、もう心が痛いし、胸が痛いし、胸が張り裂けんばかりですよ。

 御存じないかもしれないが、危機管理というのは一つのことに対応するのではない。危機管理というのは、必ず危機というのは束になってやってくるんですよ。本当に嫌らしいんですよ。危機というのは、何かがあると、必ず次から次へと同じようなことが起こってくる、幾つも幾つも違うものが出てくる。そうでしょう。だからこそ、安全保障体制というものは、そういうさまざまな質の違う、そうしたものに対してきちっと組まなければいけないということなんですよ。

 今お話しになった方々は、私たちはすべて会いました。パターソン大統領特別補佐官から聞いたのは、言わなかった、済まなかったと。なぜ済まないか。しかし、それは日本にも理由があるじゃないか。例えば、事前通告すれば、日本には秘密保持の法律がないから漏れるじゃないか、もしかしたら日本の政治家がふっとしゃべったことがジャーナリズムからつながってやがて相手に伝わるかもしれない、だから事前通告はできなかった、こういうふうに言っているんです。それがアメリカの根拠なんです。

 しかし、問題は、私がなぜ時間を気にしたかというと、事後にも通告がなかった、ラムズフェルド国防長官がオペレーションをやっていて、顔を出して、帰って、スミスさんもいて、会議が終わって、まだ通告がなかった。そして、最後に、CNNを見た外務省が連絡して、どうなっているんですかと言って初めて、こういうことがありましたということになる。

 御発言されたいようですから、どうぞ、御発言ください。

衛藤副大臣 首藤委員にお答えいたします。

 これは、同盟国である日本だけに事前通告がなかったのではありません。先生御案内のとおり、フランスにもありませんでした。ドイツにもありませんでした。また、出撃した基地のトルコ国にしてもありませんでした。

 このように本件につきましては、米英両軍の出撃に当たりましてのことでありまして、他の国には一切事前通告をせず事後に、先ほど河野大臣がお答えになったとおり、国連等に報告をした、こういう経緯があったということだけを申し上げておきます。

首藤委員 私の質問を誤解されたと思いますが、私は、米側が事前に通告しなかったのは、それはそれなりに理由がある、根拠がある。それはトルコに対しても、あるいはフランスに対しても、そしてさらにアメリカで問題となっている議会に対しても事前通告がなかった。これは問題です。

 しかし、私が問題にしたいのは、日米安保の同盟国である日本に対して事後に説明がなかった、そして、事後のその場に、衛藤さん、あなたがおられたということなんですよ。あなたは、この件に関して外務省に対して抗議されましたか。大使の召還とかアメリカ側に対する抗議とか、どのような対応を衛藤さんはとられたんですか。

河野国務大臣 議員ももう十分御承知でお尋ねだと思いますけれども、アメリカの認識というものは、ここで米英がそろってイラクを攻撃したということは、これは通常の作業だと。つまり、彼らは、ノンフライゾーンというものをつくっておって、そのノンフライゾーンにイラクの飛行機が飛ばないかどうかということを終始見ている、サザンウオッチ作戦ですね、見ている。このサザンウオッチ作戦を行っているさなかに、イラクから最近極めて頻々と攻撃があるということから、イラクに何らかの新しいシステムができたのではないか、あるいはこうした攻撃について、ノンフライゾーンを確保するために行った、いってみれば通常の作業、ちょっとこれは言葉は悪いかもしれませんけれども、ということで、とりたててこれを、今衛藤副大臣から申し上げましたように、出撃するトルコに対しても、フランスにもドイツにも日本にも通告をするというものではないというのがアメリカ側の判断であったということを、我々は今承知しているわけでございます。

首藤委員 時間が参りましたので、私の質問は終わります。

 最後に一言だけ、私が最初に、なぜ、安保条約の基本は何か、日米協力の基本は何かということを申したかを思い出していただきたい。安全保障というものは、お互いに危機をはらみ、お互いの損失、お互いの損害、こういうものをかけて協力し合うことであります。そこにおける最も基本的な要素を一言で言えば何か、それは信頼であります。したがって、情報の共有と信頼醸成のない保障条約はない、それがない安保条約というのは空文にすぎず、これに対しては、地位協定を含め、根本的な見直しというのが必要だ、そのことをコメントとして最後にお伝えさせていただきます。どうもありがとうございました。

川端委員長 高木義明君。

高木(義)委員 民主党の高木です。大臣の所信及び中期防報告に対し、質問をいたしてまいります。

 まず、冒頭、一言私も米原潜の衝突事故について申し上げたいと思います。

 私は、この件に対して、まさに日米の信頼関係がいささかも揺るぐことがあってはと、大変残念に思いました。去る二月の十三日でございますが、海で働く者のユニオンであります全日本海員組合が、河野外務大臣並びに米国フォーリー大使あてに申し入れをいたしております。これは、先ほどもお話がありましたように一九八一年の四月に鹿児島沖で、我が国商船日昇丸、これが急浮上した米原潜ジョージ・ワシントンに衝突されて沈没したのでございました。残念ながら、二名の方々のとうとい命がなくなりました。この教訓が生かされていないのではないか。浮上に当たっての最小限の、最低限の注意義務を怠ったことがこのようになった。私は、極めて遺憾なことであるかと思っております。したがって、この際、日米関係信頼醸成のためにも、毅然とした態度で原因の究明、今後の対応に当たっていただきたいと思います。

 また、昨日ですが、長崎県の佐世保市長、いわゆるアメリカ軍の基地があるところでございます。佐世保港に至っては、昨年度も十四回の米原潜が出入国をいたしております。先ほどの、船で働く方々、安心して仕事ができないよ、こんなことが続いておれば大切な港もお貸しすることはできないよ、こういう思いは率直なことであろうと私は思っております。こういった申し入れに対してどのように対応されたのか。

 そして、少なくとも再発防止のためには、今軍艦を含めて、海上航行の事故防止については国際的な予防規則があります。しかし、海上の船舶と潜水艦の取り決めは全くない。したがって、少なくとも平時の訓練においては、浮上のときはアクティブソナーを使うとか、あるいは過密の海域や航路の付近では緊急浮上訓練はやらないとか、そのような国際的な規制が要るのではないか、私はこのように思っております。したがって、この点について、外務大臣そして防衛庁長官、それぞれコメントをいただきたい。

河野国務大臣 佐世保の光武市長さんからお話が外務省にございまして、私も、これは直接お目にかかれませんでしたけれども、私どもの局長が対応して、報告はきちんと受けております。確かに、海上で安心して作業が行えるということに対する配慮というものは当然なされなければならないことでございますから、この点につきましては、私どもとして、他の船舶の航行の安全に十分な配慮を払うように、これはしっかりと米側に伝えなければならぬというふうに思っております。

 今議員がお話しの国際的なルールという問題がございますが、これは確かに、国際的なルールにつきましては、いろいろな議論がございます。また、いろいろな制約と申しますか、例えば軍艦というものは国際法上これを規制するということは非常に難しいとか、そういったことがございますが、こうした事故が起きたという現実がございますから、私どもとしては、こうした事実を踏まえて、さらに一段と安全のための十分な配慮というものを求めたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、繰り返しで恐縮でございますが、再発を防止するためには徹底した原因の究明というものがなされる必要があると思います。しかもそれは、願わくば一日でも早い方がよろしい、そして同時に、それが公表される必要が当然あるというふうに思います。これらについて、私どもとしては重大な関心を持っているということを米側に伝えているところでございます。

 アクティブソナーについてお触れになりました。これはやや専門的で、私どもも十分な知識があるわけではございませんが、私どもが承知をしております限りにおきますと、浮上に際してのアクティブソナーの使用に関しては、アメリカ海軍の説明によれば、次のとおりだと言われております。

 水中における音波の特性、特に、塩分濃度及び水温分布に関連して生じる音波の減衰及び屈折に照らして、アクティブソナーは水上目標を探知する際に信頼できるセンサーではないという専門家の意見もある。他のセンサーや手続の方がより信頼できるために、深深度から潜望鏡深度へ浮上する前にアクティブソナーを使用するのは、アメリカ海軍のこれまでの慣行ではないということを言っている意見もあるようでございますし、あるいは、トライデントミサイル搭載原子力潜水艦はアクティブソナーを装備していない、これは潜水艦の運用にアクティブソナーが有用でない証拠だ、こんなことを言っているという意見もございます。しかし、海軍は、このような事例におけるアクティブソナーの有用性に関する一九九〇年のNTSBの調査結果には同意していないということもまた言われているわけでございます。

 いずれにいたしましても、私どもは、徹底した原因の究明、そしてそれを踏まえて再発の防止というものを米側に強く求めなければなりませんが、原因の究明が行われるまでの間にも、私どもは米軍の十分に慎重な対応というものを求めていきたいと思っております。

斉藤国務大臣 本件の事故発生後、私はもとよりですが、総理も含めまして、米側に対しまして事故原因の調査に全力で取り組んでほしいということを強く申し入れ、それを繰り返し申し上げているところでございます。

 再発防止も大事なことでございまして、事故原因を徹底的に究明することから始まるのだというふうに考えておりまして、米海軍等の調査を通じまして、事故原因が早急かつ徹底的に解明されるように求めております。米側にとりましても、再発防止ということについては全力を挙げて取り組んでいくだろうという強い期待もいたしているところでございます。大事なのは、原因究明、それから再発防止、さらに責任の所在等々になってくるのではないかというふうに思っております。また、間もなく米海軍の査問委員会が開かれますが、海上自衛官の将官をアドバイザーとして派遣をいたしたところでございまして、より明確な原因究明等々がわかってくるのではないかというふうに思っております。

高木(義)委員 さて、私は、この一月十三日から十九日の間、本院の安全保障調査団として、NATO本部、そしてEU、ドイツ、それぞれ訪問する機会がございました。それぞれの各国が主体性と国益を主張しながら安全保障体制の構築に努力をしておる姿を私なりに受けとめてまいりました。

 特に、NATOは、地域紛争などの新たなリスクに対応するために、今、純粋な防衛機構というよりも紛争の未然防止の安全保障機構へ衣がえをしようとしておる。EUとしては、まさにEUが一定の責任を負うという意味で緊急対応部隊等の設置を進めておる。また、ドイツは、これまたEUの中のまさにエンジンという役割をみずからが自負をして、軍事的貢献にも積極的に取り組んでおる、そのために国防軍の改革を進めておる、こういう姿を私は見ることができました。

 そういう中で、例えば米国のNMDの問題とか、あるいはアメリカの軍事力が絡む多くの事柄、それぞれの国と国との関係、大変厳しくまた微妙なものがあることも想像できました。

 そこで、そういうことに立って我が国の安全保障を考えるときに、この際、防衛庁長官は初めての国会でもございますので、我が国の防衛の、安全保障の基本として、脅威とは一体どういうものを考えておるのか。これが私は安全保障のまず最初の原点ではないかと思っておりますので、我が国にとって脅威とは何か、この点について端的に。

斉藤国務大臣 安全保障の基本的な考え方というお尋ねを賜りました。

 我が国周辺地域における国際軍事情勢ということも一つ考えなければならない。依然として、核兵器を含む大規模な軍事力が存在するなど、不透明、不確実な要素をはらんでいることは委員も御承知のところでございます。

 かかる情勢認識のもとで、我が国は防衛計画の大綱をつくり、それに基づき、基本的な考え方として、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するということよりも、みずからが、力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならぬよう、独立国としての必要最低限の基盤的な防衛力を保有するということをうたっているわけでございます。私は、こういったことを基本に置いて対応していかなければならないというふうに思っております。

高木(義)委員 少し、少しというよりも、もっと明確なお答えを求めたかったわけでありますが、例えば、我が国の脅威というのは外交上明確にできないことは十分配慮しなければなりません。ただ言えることは、私は、いわゆる弾道ミサイルに対する脅威ではないか、このように思っております。これ一つではありません。それも一つの具体的なものではないかと思うのであります。

 そこで、アメリカの新しい政権、ブッシュ政権が今後どのようにアジアへのプレゼンスを図っていくのかということは非常に注目されるところであります。

 昨年の十月三日、米国家情報会議、いわゆるNIC報告書では、在日、在韓米軍について、現状維持の米国の姿勢は、日本や韓国で民族主義的な反発を呼び、米国と両国の関係を悪化させると報告していることがわかりました。これは新聞情報でございます。米国家情報会議におきましては、これは大変な影響力の大きいところでございます、その中身においては「東アジアと米国―現状と今後五年の展望」として、まず第一に、米国と東アジア主要国の間の相違は広がり、米国の政策遂行は困難になる。二番目、各国の主権を犠牲にする米国の一方的な介入への抵抗は強まる。三つ目、経済面でも米国の貿易政策に対する反発や、日本が米国を排除してアジア経済機構の構築に動くなどの懸念をこの報告書では表明をしておる。私は、ある意味では非常に厳しい受けとめ方をいたしております。

 そこで、欧州においてもアメリカのプレゼンスについてはいろいろ賛否両論がありますけれども、我が国として、今後、ブッシュ政権のアジア地域においてのプレゼンスについてどのようになっていくのか、この点について御所見を賜っておきたい。

河野国務大臣 ブッシュ新政権の国務長官でございますコーリン・パウエル氏と先般会談をいたしました。

 パウエル氏は、やはり同盟国との関係は強化していきたい、そして、アジア地域における安定というものはアメリカにとって極めて重要だということを述べておられまして、この地域における米軍のプレゼンスというものについて、これまで同様の考え方を示しておられました。

 そのときに、私の方からパウエル氏に幾つか申し上げたことがございます。

 一つは、日米協力してアジアの平和、繁栄、こういうものに貢献をしていかなければならぬ。アジアには中国もあり、あるいは朝鮮半島の問題もある。こうした問題について、我々は十分お互いの政策を調整しつつ協力をしていく必要がある。

 もう一つは、私は、アメリカにこれは注文をしたわけですけれども、日米関係についてアメリカの理解と協力はまことに心強いものだが、アメリカの外交政策についてあえて申し上げれば、日米という二国間の関係だけでなくて、アメリカにはぜひマルチの問題についても十分な関心を持ってもらいたい。

 例えば、経済の問題でいえば、WTOの閣僚会議の立ち上げなどについてアメリカはもっと積極的に貢献してもらいたい。あるいは環境問題についても、アメリカはもっと地球の環境、温暖化問題について協力的であってほしい。あるいは教育問題について言えば、ユネスコに対するアメリカの対応というものはもっと前向きであってほしい。第一、ユネスコにアメリカが席を持たないなどということは我々としてはどうも納得がいかない。こういった問題については、アメリカはぜひ積極的に、つまりマルチの問題について、マルチの会合に協力的であってほしいということを申し上げたわけでございます。

 パウエル氏は、私がいろいろなことを申し上げたことについて、一つ一つアメリカにはアメリカの立場、考え方があるということであろうと思いますけれども、直接直ちに返事はされませんでしたけれども、非常に注意深く聞いておられて、今後日米でこうした問題を含めて話し合っていきたいということを言っておられたわけでございます。

高木(義)委員 先ほどの原子力潜水艦の事故の問題あるいは沖縄の稲嶺知事へのメール問題、また米軍兵士の放火事件、こういったことで、今後日米関係の悪化の懸念があるという話もあります。

 ブッシュ大統領は、ことしの一月二十六日に、ラムズフェルド国防長官に、四年ごとの国防計画の見直し、QDRとは別に、米軍の戦力構成の見直しを命じたとあります。二〇〇一年の米国国防報告では、極東の十万人展開体制の記述が削除されておる、こういうことが言われております。

 これは、朝鮮半島の和解の動きなどを受け、いわゆる米軍基地の負担軽減ということにも目を向けたものなのかな、こういうふうにも思わないではありませんが、今こそアメリカに対して、我が国の主体性を持ってこの駐留問題について物を言うべきではないか、私はこのように思っておりますが、この点についてどうでしょう。

河野国務大臣 まず最初に申し上げますのは、いわゆる十万人体制という言葉が今回の文書から抜けていたという御指摘でございます。私どももそうしたことに気づいておりましたが、アメリカ側に対しまして、この十万人という数字をあえて書かなかった特別の理由があるかということを質問しているわけでございますが、これに対して米側は、全く意味はない、これを書かなかったということによって、十万人体制を維持しないということを意味するものでは全くないということをアメリカ側は言っております。

 さて、それはそれといたしまして、私は、沖縄に一昨日行ってまいりまして、沖縄県民の皆さんの代表的な方々、つまり市町村長さんたちと話し合いをいたしてまいりました。沖縄は、御案内のとおり、県議会が兵力の削減等についても決議をしておられるわけでございます。さらには、地位協定の問題も大きな関心を持っておられます。

 こうした方々とお話し合いをしてまいりまして、知事さんからも兵力削減について、県民の意見がそういうところにあるのだという意味のお話がございましたから、私は、お気持ちはよくわかります、お気持ちはよくわかりますが、安全保障政策上、兵力の削減というものは国際情勢の分析なしにはあり得ませんということを理解していただきたい。我々は、アメリカとともに、国際情勢の分析というものをハイレベルの会議においていたします。そうしたハイレベルの協議において国際情勢の分析というものが行われて、それを受けて兵力構成については議論がなされるべきであって、国際情勢の変化あるいは分析なしに兵力の削減問題だけが先に走るということは、これは我が国の平和と安全、日米安保条約の考え方からいってそういうわけにはいかないものだ。もちろん、沖縄の皆さんの大変な御負担ということを考えれば、お気持ちは十分わかりますけれども、全体的な考え方からすれば、国際情勢の分析が先でございますということを申し上げてきたわけでございます。

 もう一つ申し上げれば、それは基地にまつわる、基地周辺に最近しばしば起きます事件、事故、こういったことにも大いに関係があるわけでございまして、こうした事件、事故の問題をどういうふうに解決するかということについては、沖縄の皆様方の御意見も伺い、地元、県あるいは国そしてアメリカ、それぞれが協力して問題解決に当たりたいということを申しまして、沖縄の市町村長さんからいろいろと御意見は伺い、そのことの中で、直ちにアメリカ側に言うべきものについては米側に伝えたところでございます。

高木(義)委員 先ほど御紹介しましたように、ドイツにおきましても、もう御承知のとおりボン補足協定が改正をされまして、施設・区域外の管理や環境保護、訓練などにドイツの法律適用が明確になっておる、さらに、主権への配慮がされておる。

 そういう意味で、私たち民主党も昨年五月に、外務大臣、防衛庁長官に日米地位協定の見直しを取りまとめて要求したのでございました。ぜひ私はこの問題について、今一番最適の時期ではないか、このように思っております。稲嶺沖縄県知事からも、この地位協定の改定、米国の兵力削減、あるいは普天間の問題についても要請をされておられますが、この点について、端的にひとつお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 地位協定の問題について申し上げれば、私どもはこれまで、地位協定については運用の改善を行うことで問題を解決しようということを閣議決定でいたしているわけでございます。

 しかしながら、先般のいわゆる放火の容疑者の身柄引き渡しに絡みまして、私どもは米側に対して一日も早い身柄の引き渡しを求めたいということを言って、これが進まないということであれば日米合同委員会を開いて、運用の改善の中に書かれている「特定の場合」としてこの問題を提起して引き渡しを求めたい、こう思っておったわけでございますが、御承知のとおり、先般の放火容疑の被疑者の身柄の引き渡しは、直ちに起訴されたわけで、起訴されれば地位協定上も身柄は日本側に移るということで、直ちに身柄が日本側に移ったということがあったわけです。

 私は、その際に、運用の改善によって問題を早期に解決しようと思って運用の改善をやったけれども、その運用の改善の中で若干の不安がある、つまり運用の改善の中には殺人、強姦の犯人については身柄を引き渡すということが書いてあって、それ以外のものについては「特定の場合」というふうに、明示的に書かれていないというところに問題がある、これが明示的に書いてあれば、問題はかなりまた進むはずであろうと思ったわけです。

 例えば、今回のように放火犯、特に人が住んでいるところに対する放火ということになれば、日本ではこれは大変な重罪でございますから、こういうことであれば、問題は運用の改善でそれこそ改善されているはずだったわけでございますが、どうもあのときのやりとりを振り返ってみますと、運用の改善の中に「特定の場合」と書いて、具体的な犯罪容疑が明示的に書かれていなかったために、身柄引き渡しについて合同委員会にかけても、どうももう一つ迫力を欠くなという感じを私は持ったものですから、運用の改善の「特定の場合」の中で処理ができないというのであれば、これはもう地位協定の改定も視野に入れて考えなければいかぬというふうに思ったわけでございます。

 私は、今でも地位協定の改定については視野に入れて、沖縄県民、あるいは基地周辺の方々の、これは沖縄と限りませんが、基地周辺の住民の方々との間のさまざまな問題が具体的に解決がなかなか困難だということであれば、地位協定の改定も視野に入れて考えなければいかぬ、しかし、運用の改善で具体的に問題が解決できるならば、それは運用の改善でやることがこれまでの閣議決定でございますから、そうしてやっていくべきものだと。

 つまり、具体的に一つ一つ問題の解決に当たって考えてみようということでございまして、何だ、おまえは一遍ちょっと言ってみてすぐ後退したじゃないかという御指摘がございますけれども、私は後退をしたつもりはございません。地位協定の改定は、私の気持ちの中では常に視野の中に入れて今考えているというふうにお考えをいただいて結構でございます。

高木(義)委員 地位協定の改定につきましては、ぜひ腰が引けた格好ではなくて、実現方お願いをしておきたいと思います。

 時間がなかなかとれません。最後になりますが、いわゆる戦域ミサイル防衛、TMDについて基本認識をお伺いしておきたいと思います。

 特にこの問題は、一九九八年の八月に北朝鮮の弾道ミサイル、テポドンが我が国の上空を通過して、脅威が高まったのでございました。その年の十二月に、米国と共同研究することを決めております。中期防においてもこの研究について触れておりますけれども、一方で、周辺諸国の懸念もございます。また、これに関連する米国の国土防衛、いわゆるNMDについても、欧州においても、あるいは極東においても、世界の国々から賛否両論たくさんあっております。

 我が国として、TMDについてどのような考え方に立って進めていこうとしておるのか。しかも、我が国の主体性を持って進めていくお考えなのか、あるいは、アメリカから、ある意味では追従しながらこれについていくのか。決してそういう姿勢ではいけないと思っております。そのことと、アメリカのNMDに対する我が国の態度というのが早晩迫られてくるわけです。特に、新しいブッシュ政権では、この問題については一体どうするんだということが問われてくると思っておりますので、この際、防衛庁長官そして外務大臣に、御所見をぜひお聞きしておきたいと思います。

斉藤国務大臣 委員御案内のように、近年、弾道ミサイル等の移転、拡散が進展する状況にございます。弾道ミサイル防衛、これはBMDでございますが、弾道ミサイルによる攻撃に対して我が国国民の生命財産を守るために、純粋に防御的な、かつ他に代替手段のない唯一の手段となるべきことを踏まえて、BMDは我が国防衛政策上、重要な課題であるというふうに認識をいたしております。このような認識を踏まえまして、米国の海上配備型上層システム、これはNTWDと申しますが、これを対象として日米共同技術研究を行っているところでございます。

 開発段階への移行、さらには配備段階への移行、こういったことについては別途判断するものとされておりまして、BMDの技術的実現可能性及び我が国の防衛のあり方等については、引き続き十分検討してまいりたいと思っております。

河野国務大臣 BMDについての考え方は、今防衛庁長官のおっしゃったとおりでございます。これは純粋に防衛的なものであって、他国に脅威を与えるものではないというのが基本的な認識でございまして、まだまだ現在は技術開発にかかっている段階で、配備等についての議論があるわけではないということを近隣諸国にも伝えているところでございます。

 NMDにつきましては、クリントン政権の末期に、この配備について、クリントン大統領はついに配備を決定せずにこれを先送りした。つまり、次の政権にこの判断を任せるということをクリントン大統領は言われたわけです。この御判断は、私は正しい判断だろうと。つまり、それは議員が先ほどおっしゃいましたように、欧州諸国、ロシアもそうですけれども、欧州諸国との間にさらに十分話し合う時間を持ったという意味で、私は、この決定を延ばされたことは正しい判断だと思うということを申し上げたわけでございます。

 これも今防衛庁長官お話しになりましたけれども、とにかくアメリカにとっても、アメリカ自身の防衛ということももちろん考えておられるでしょうし、いずれにしても、こうしたものが拡散をするということからくる脅威というものに対して、アメリカはアメリカなりに考えていることがあるだろうと思いますから、アメリカが欧州を初めとする国々とさらに十分な話し合いをして判断をすべきものだというふうに私どもは考えているわけでございます。

高木(義)委員 時間が来ましたので、私の質問はこれで終わります。

川端委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。

 民主党の質問の時間の中で、今、首藤そして高木委員の質問を受ける形で、まず外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、日米地位協定の件につきまして、今高木委員から質問がございました。

 先週の金曜日でしょうか、この安全保障委員会で外務大臣が所信の表明をされた中で、沖縄で米軍による遺憾な事件が続いて発生していることについては、今後ともアメリカ側に対して、厳正に規律を保持し、よき隣人としての責任を全うするよう強く促していくとともに、在沖縄米軍関係者及び沖縄県等の地元自治体と協力しつつ最大限の努力を行っていく考えでありますと。

 そして、今高木委員にお答えされましたように、二十五日に沖縄に行ってこられました。その中で、今お話ありましたように、稲嶺県知事初めリーダー的な役割を担っている方々とお会いされてきた。今回の北谷町ですか、現住建造物の放火事件が未明に続いた。そしてその後、調整官のいわゆる県知事を侮べつしたような発言があり、そしてこの後、本当に不幸にしてえひめ丸の事故が起きた。

 ブッシュ新政権が誕生しまして、そんな中で、日米の安全保障の問題はますます強固になっていく、そして重要なパートナーである、ある意味では負担を分け合う仲なんだというようなことが次々に発言をされてこられました。そういいながら、実際問題として日米関係というのは、ある意味では、今の状況において非常に日本の国民の感情の中に反米といいましょうか、嫌米といいましょうか、今意識調査をしたら、恐らく一時期よりもかなり悪くなっているのではないだろうかな、私はそれを非常に懸念するわけでございます。

 そんな中で、沖縄県の怒りというものが、恐らく県知事初め各町議会でありますとかあるいは町長さん初め、大臣に対して意見がぶつけられた、そしてまた、それについての意見書も非常に厳しい文言を織り込みながら書かれているわけでありますが、沖縄でどのような意見交換があったのか。

 そして、稲嶺県知事が外務省に来られたときは、地位協定に関しては改定にまで言及をされた。今の御答弁を聞いていまして、視野に入れてということでございますけれども、やはり感情的な部分も含めて、先ほどお話ありましたけれども、米軍の存在がアジアの平和に欠かせないといいながら、沖縄県民の方々にしてみますと、そうはいいながら我々の平和が犠牲になっているじゃないかと。

 ある意味では、この方々がいる限りは、地位協定を改定しない限りは犯罪がなくならないんじゃないか、抑止力にならないんじゃないか、こういうふうな発言もかいま見られるわけでありまして、とにかく海兵隊が存在する限りは沖縄の犯罪はなくならないと、かなりはっきりと言っている方々の意見も見受けられるわけであります。

 改めて、外務大臣としての、沖縄でどのようなやりとりがあって、そしてまた改定ということについて、視野に入れてということでございますが、やはり譲れない一線、運用の改善というだけではなくて、ここができないのなら改定に踏み切りたいという部分というのは、どこなのでありましょうか。その点の、はっきりした一つの大臣のお考えというものを聞かせていただきたいと思うわけであります。

河野国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたけれども、沖縄におきます各市町村長さんとの話し合いはなかなか活発な御意見が出されました。その活発な御意見の中には、やはり何としても事故、事件というものを何とかしてもらいたいということが一番大きな御意見でございました。

 市町村長さんでございますから、いろいろと御判断もあったと思いますけれども、お話の中には、もう自分たちは安保条約というものの存在は認めているんだ、安保条約はそれは必要だということを認めている。その上で、しかしそれが沖縄に対してこれだけ大きな基地の存在を許し、それがゆえに基地周辺にさまざまな事故が起こる、そこが問題なんだというお話。あるいは騒音の問題もございました。そして、それらを踏まえて、兵力の削減という議論が出たり、あるいは地位協定の問題に触れる御意見もあったということでございます。

 さて、そこで問題を、どういうふうにしてこれから事件、事故を解決していくかということについてもいろいろ御意見をいただきましたけれども、これはなかなか一刀両断、これで完全に答えが出るということにはなかなかならないということを、長い年月の御経験がありますから、それはこうやればいいんだよというほど簡単でないということは、もう皆さんもよく御存じでございました。

 その中にあって、やはり現在、地元の皆さん、そして県、国といいますか外務省の沖縄の出先でございますが、それが米軍を一緒にしてワーキングチームをつくって、このワーキングチームの作業によって問題の解決策を考える、あるいは問題を解決するための具体的な作業をするということがあるわけです。先般も、その第六回目の会議が行われまして、その第六回目の会議でも幾つかの案が出されておりました。まだまだそれによって問題が一挙に解決するというふうにはあるいは言えないかと思いますけれども、そうしたワーキングチームの作業というものはやはり貴重な作業ではないかというふうにも思った次第でございます。

 それから、地位協定のお話について申し上げますと、これは現在の地位協定の改定についていろいろ御意見が出ております。地位協定の改定についての御意見の中には、例えば環境の問題もございますし、あるいは基地内の立ち入りの問題もございますし、あるいは人権の問題もございますし、その他さまざまな問題についての提起がございます。

 私、先ほど一つの例として申し上げましたのは、十七条五項の(c)でございますが、この問題については、これは事件が起きた後のその被疑者の身柄の引き渡しの問題でございまして、これについて何らか新しい措置をすることが抑止になるかどうかという問題が一つあると思います。

 必ずしもこれが抑止になる、直ちにつながるかどうかということについてはまだ何とも申し上げられませんけれども、これは一つの、この事件、事故と比較的近い関係にある部分でございまして、それ以外の環境問題、これは先ほどもお話がありましたようにドイツのボン協定でございますか、ドイツの協定の中における環境の問題などと比較をする、あるいは今回の米韓の条約の中で環境の問題について触れられた部分というのもございますが、この問題は実は先般の2プラス2で私どもは前進したと思っているわけでございますが、こうした問題で地位協定の改定というふうに直ちに議論が行くのかどうなのかといったこともお考えをいただきたいというふうに思っているわけです。

渡辺(周)委員 先ほどの高木委員の質問ともダブってはいけませんけれども、我々としてもこの日米地位協定の見直しについてはもうさんざん、特にこの刑事裁判権、第十七条につきましては、我々としての、党としての独自案をまとめながら何度か申し入れをしているところであります。また、関係者からも高い評価を受けていると聞いているわけであります。

 いずれにしても、よき隣人だと言いながら、このよき隣人の、本当に「よき隣人」として大臣の所信の中にも触れられておりますけれども、本当に、ある意味では、日本とアメリカの同盟関係という割には、非常にアメリカ側にその態度が、姿勢が感じられない。また、やはり今多くの国民が求めているのは、日本の毅然とした態度を常に示すこと、これがある意味ではアメリカのみならず、他国から見ていても、日本という国が本当に国家としての毅然とした姿勢を示している、ある意味では尊敬、評価に値する国であるということになるのだろうと思うわけであります。

 もちろん、今お話ありましたように、地位協定の改定ということを視野に入れながら、決して腰が引けているわけではないということでありますが、日本の国として、今後の具体的な日米交渉の中で、やはり常にそのことを一つ置いて、毅然とした国家としての姿勢を外務大臣には示していただきたいというふうにお願いをするわけであります。

 時間の都合もございますので、この問題はまた改めて別の機会に深く取り上げたいと思います。

 それでは、続いて防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。

 先ほど来幾つかの、安全保障の問題につきましての質疑がございました。私は長官と同じところを地元とする仲で、一つこれは非常に興味深いことだと思われますが、御質問させていただきます。

 それは、来年二〇〇二年の日韓ワールドカップ大会の件でございます。

 静岡県から、このワールドカップ日韓大会において、航空自衛隊の浜松基地を一時利用したいということが、既に申し出を受けていると思います。ちょっと時系列的に申し上げますと、平成十二年九月に、航空自衛隊の浜松基地の監理部長あるいは同じく基地司令にそうした要望といいましょうか、打診がございました。そして、昨年、鈴木正孝前防衛政務次官にも要望がされた。そして長官が防衛庁長官に御就任をされますと、その後、幾つかの記者会見等の中にも、ワールドカップサッカーが国際的な行事でもあり、可能な限り要望にこたえたいというふうに御答弁といいましょうか、各地で御発言をされているというふうに受けているわけであります。そしてことしの二月、今月ですね、二月二日に正式に静岡県の県知事並びに関係者、経済界でありますとかあるいはワールドカップ大会の関係者の方から防衛庁の方に陳情に行って、そして長官に直接要請をされたということでございます。

 ここで、ちょっとお尋ねをしたいわけでありますけれども、そもそも浜松基地では、昭和三十三年に本格的に飛行訓練が始まって、緊急着陸以外では旅客機が離発着されたことはないというふうに聞いているわけであります。これまで併用されていない自衛隊の施設に、民間の航空機でありますとかチャーター機が使用されたということが果たしてあるのかどうなのか、また、他国の例でこういうことがあるのかどうなのか。

 実際、こうした大臣の御発言を受けて、恐らく今具体的な検討がされているとは思いますけれども、あえて確認の意味を含めまして、その点につきまして、長官ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 委員より御質問いただきましたように、静岡県側から御陳情をいただいております。

 申し上げますと、過去には、オリンピック競技大会等で人員を輸送するために、防衛庁が設置、管理する飛行場のうち、浜松飛行場のような専用飛行場、すなわち公共用の指定を受けていない飛行場については、使用を具体的に検討した事例は承知しておりません。使用を許可した実績もない、そういう歴史的背景はございます。

 ただ、例外として、公共用の指定を受けている飛行場について申し上げれば、昭和四十七年の札幌オリンピックの際に、外国機のチャーター便が千歳飛行場に乗り入れた例がございます。

渡辺(周)委員 今、そのような御答弁がございました。私は、この浜松基地というところに実際どれぐらいの、それならば、もしこれから検討をされるとするならば、具体的にどのように本当に検討をされていくのだろうか。

 つまり、こうした安全保障上の重大な設備を、こうした国際大会の一時期とはいえ、チャーター機、旅客機が利用するということが、今のお話を聞いていても非常にまれなケースであるということでございます。だとすれば、当然のことながら、設備的な面でありますとかあるいは実際の日常の任務との兼ね合いを考えれば、非常に私は、限りなくこの利用に関しては障害は多いだろうなということを正直に感じるわけであります。

 そうすることを考えますと、例えば、この乗り入れをするということを前提に考えれば、当然国土交通省でありますとか、あるいは税関業務でいえば財務省でありますとか、そして入国管理業務、法務省、あるいは検疫となれば厚生労働省でありますとか農林水産省と、さまざまな関係省庁と協議をし、調整をしなきゃならないわけでございます。実際、通常任務との兼ね合い以外にもこういう他省庁とのいろいろなことが出てくるわけでありまして、そうした場合、例えば浜松基地にはそういうことを受け入れられるだけのことがあるのか。もっと言えば、浜松基地のみならず、ほかの防衛庁の施設で同様のことを、例えば他国の例として考えた場合に、果たしてあるんだろうか。

 ちょっとその辺につきましても、大臣がわかる限りで御答弁をいただきまして、具体的にどう検討をされるのかどうかということをぜひ御答弁を、どなたから御答弁をいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、高木(義)委員長代理着席〕

西川政府参考人 防衛庁参事官の西川でございます。

 今、浜松空港の利用についてのお尋ねでございますが、やはりこういうところで民間航空機を、自衛隊の飛行場で使うということにつきましては、先生御指摘のように、本来任務に絶対に支障がないような範囲でということが前提になってまいります。

 それで、とりわけ当該民航機の場合につきましては、飛行場にそれぞれ条件がございまして、例えば滑走路の長さとか航空機の駐機場の広さ、あるいは滑走路の舗装の強度、そういうようなものがいろいろございます。こういう条件の範囲内でのみ認められるということになります。

 実は、この飛行機につきましては、その範囲内かどうかを決める場合に、その機種とか、それから仕様はもちろんでございますが、載せております燃料あるいは貨物等、こういうものの積載量によりましても自重等も随分変わってまいります。ですから、そういう意味では、一様にこういう飛行機がいいとかいうのはなかなか言いがたいところでございまして、今後、ワールドカップの具体的なスケジュールが決まってくるということでございますので、そういう具体的な内容が決まった段階で、初めて一つ一つその条件に合っているかどうかということを個別具体的に検討していくというのが我々の基本的な検討の仕方になろうかと思います。

 それから、先生御質問のところの、いわゆる部隊等の日常の勤務活動に影響を与えないということにつきましても、部隊の訓練等につきましても、飛行機が入ってくる時間帯とかそういうものもございますので、そういうものについても我々としては、具体的には、大体この時間、この時間でどうだという話が参りました段階で、いろいろまた詰めていきたい、こういうことでございます。

 それから、もう一つ御指摘ございました、いわゆる検疫だとかあるいは入国管理だとかこういう面はどうだ、こういうことでございますが、これにつきましても、具体的には飛行機でどれだけのお客さんが来られるとか、そういうものもだんだんこれから詰まってくるということでございますので、その際に関係諸官庁と連絡をとり合うという形で決めていきたい、こういうことでございます。これから内容が具体化されていくということは非常に我々としても、県の事務方ともいろいろ詰めていきたいという気持ちでおります。

渡辺(周)委員 たしかこのワールドカップサッカーの出場国が決定するのは、ことしの暮れ、十二月ですよね。そうしますと、それから検討するとして、このワールドカップサッカーがたしか五月、六月だったでしょうか。特に静岡県の場合は、六月の十一日、十四日、二十一日というのが、ワールドカップの予選リーグの準々決勝三試合行われるということでございまして、半年ありますから検討するには十分な時間があるのかなと思うわけなんですけれども、ただ、例えば、今、そういうことが決まってから検討をするというふうなお話でございました。

 今、るる御説明がありましたように、例えば滑走路の強度の問題だとか、あるいは滑走路の距離の問題であるとか、あるいはそうした駐機場、駐機をさせる場所があるかどうかということでありますけれども、例えばどれぐらいの航空機ならば利用が可能なものなんですか。ちょっと具体的に教えていただきたいと思います。例えば、それはジャンボジェット機ならたえられるとか、あるいはそれではたえられないとか、例えばDC10クラスがどうだとか、ちょっと具体的イメージがわくようにお答えいただければと思います。

 それから、ことしの十二月に代表国が決まって、では、実際基地の利用というのが具体的にできるかどうか考えてみようというときには、果たしてそれがある程度、半年、五カ月ぐらいの時間があれば十分できることなのかどうなのか。例えば、年間の浜松基地の任務スケジュールを変更することができるのかどうなのかということについて、どれくらいの時間的な余裕がなければできないかということについて、ちょっとお答えをいただければと思います。

    〔高木(義)委員長代理退席、委員長着席〕

西川政府参考人 ただいま御質問の、例えばどういう飛行機という話でございますが、この飛行機につきましては、現在、浜松飛行場につきましては、二千五百五十メートルの滑走路というのがございまして、これに対応する、滑走路の長さという一つの諸元に限ってまいりますと、現在、AWACSという警戒管制機を使っておりますが、これと同等、すなわち国内線用のいわゆるジャンボ機でございますが、B747、国内線用。すなわち、国際線用というのはもっと大きくなりまして、三千メートル以上の滑走路が要るとか、そういう状況がございます。国内線用のクラスのジャンボ機であればいける。DCでも、国際線用のものは燃料を積む量が多くなったりなかなか難しいのですが、上限的に言ったらそんなところか。

 それから、あと駐機の関係につきましても、実は、駐機場のコンクリートの舗装の厚さが場所によって違いますので、それが状況によってどれだけスペースをお互いにとれるのか、こういうやりくりの問題でございますが、駐機場の確保等についても、一部のみが現在政府専用機を置いておりますが、失礼しました、政府専用機ではなくAWACSを置いている方ですね、あちらの方はそれだけたえ得るものがありますが、それ以外のところはそこまでないというのが実情でございます。

 それから、六カ月ぐらいの残りで果たしてやれるのかというお尋ねでございますが、今の段階でも、いろいろもちろん一般的な情報のやりとりをさせていただいておりまして、どこを詰めればいいかということも含めてある程度の、具体的ではございませんが、いろいろ心づもりをしながらやっておりますので、これはきちっとした形で、使える使えないということは、それは間に合うような形で、そういうことの検討はやっていけるようなことを念頭に置きながら、我々としては考えていきたい、こういうふうに思っております。

渡辺(周)委員 時間もなくなってきたのですけれども。

 例えば、こういう航空自衛隊の基地を民間の旅客機が使うということはこれまではレアなケースだとしても、こういうことを契機にして、例えば国際的なこうした大きな問題の場合にはある程度柔軟に、こうすると、これが一つのきっかけになって防衛庁としてこれから対応していかれるのかどうなのか、ある意味ではこれから考えていくべき課題だと思います。

 その点について、最後でございます、斉藤長官、この問題についてどのような御認識、御見解を持っていらっしゃるか、最後にお尋ねをして、私の質問を終えたいと思います。

斉藤国務大臣 御案内のように、ワールドカップサッカー、これは静岡県でも開催をされるわけでありますが、静岡県には民間の飛行場がない、そういった経緯も踏まえまして、このような大きな大会の開催が国際親善、スポーツ振興等に大きな意義を与える、有するものであるということを踏まえまして、自衛隊の任務に支障の生じない範囲で適切に協力してまいりたいと思っておりますが、かなり制限的なものになるだろうと思われますし、また、例外的な措置になるのかもしれないというふうには思っております。

渡辺(周)委員 時間が参りましたので、これで終わります。

川端委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 私も、先般来大変大きな問題になっているハワイ沖での米原潜グリーンビルとえひめ丸との衝突事故からお伺いしたいと思います。

 この問題でやはり大事なことは、再発防止の国際ルールをどうつくるかということだと思っております。こちらは、日本は被害を受けた側ですから、これはもう声を大にしてそれを訴えなければならない、こういう気持ちでいるわけであります。

 例えば兵器の場合、この場合は事前通告とかそういったこともルール化すべきじゃないか。あるいは、緊急浮上訓練の場合でも、海上自衛隊の場合は、水面下十数メートルは水面と同じという、こういう認定でやられているとも聞いておりますから、まずそういったルール化をしていく準備を、外務大臣、今どういうお気持ちであるのか、そこからお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 国際ルールをつくれというお話は、私は、今回の事故を踏まえれば、そういう議論があってもおかしくないし、今議員がお話しのように、被害者でもある我々からすれば、大いにそうしたことは言うべき議論であろうというふうに思います。

 ただ一方で、現実の問題となりますと、こうした国際ルールは当然国際社会の支持がなければ決定できないわけでございまして、果たして国際社会がこの問題についてどういう反応を示すかということも十分調査をする必要があると思います。

 作業として大変難しいのは、相手が軍艦だったということでございまして、軍艦については、どうも各国ともに、これは全く民間の船と民間の船というようなわけにはいかないという判断が先に当然走りましょうから、こうしたことをよく考えなければなりません。しかし、逆に言えば、軍艦だからこそ問題だ、あるいは、潜水艦だからこそ非常に危険だということがあるわけで、当然、潜水艦なり軍艦というものが、民間の船に対して十分な注意をしなければならぬ、することを怠ってはならぬということをきちっと決める、あるいは要請するということは、これは当然のことだというふうに私は思います。

田端委員 大変難しいことはわかっているわけでありますが、しかし、例えば、先ほど来も議論になっておりましたが、横須賀とかあるいは佐世保等に原潜も入港しているわけであります、寄港しているわけでありますから、日本でだって、日本近海においてすらそういう事故が再発しないとは限らないわけであります。

 まして、一部の報道によりますと、日本の民間人を同乗させた、そういうことも過去にはあったということも報道されているわけですから、そういったこともきちっと調査されて、そして再発防止にやはり外務大臣が国の責任者として全力を尽くしていただきたい、こう思っておりますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 おっしゃるとおり、さまざまな事故原因というものを調査する必要がまずあると思います。

 今お話しのように、在日米軍における潜水艦への民間人の乗船というような問題については、当然我々として注意していかなければならない問題でございますが、これに対して、在日米軍は従来より、その活動に対する日本国民の理解を深めてもらうことを目的として、民間人による訓練の視察や艦船への乗船を行ってきているというふうに承知をしているわけでございまして、米軍は、安全面への配慮は十分払っているとしているようですけれども、さらに万全を期してもらわなければならぬというふうに思っているわけでございます。

 しかし、そもそもこの問題につきましては、ブッシュ大統領は国防省に対して軍事演習中の民間人の行動の見直しを命じておりまして、十七日、ファーゴ太平洋艦隊司令官は、とりあえずの措置として、海軍の視察プログラムに参加する民間人はオブザーバーとしてのみ参加をして、調査が終わるまで緊急浮上のデモンストレーションは中止するように命じた、こういうことも言っているわけでございます。

 その後、米側としては、事件の究明が進むにつれましてこの問題についてもさまざまな指示が出されるものと思っておりまして、当然危険な状況で潜水艦が動くなどということはあってはならないことだというふうに思いますので、私どもとしても、今議員のお話を注意深く伺って、我々としてやるべきことはきちっとやりたいと思っております。

田端委員 私、残念なのは、今から十九年前、一九八一年四月九日に、貨物船日昇丸、二千三百五十トンですから、えひめ丸が四百九十九トンですから約五倍弱の大きい船だと思いますが、これが米原潜ジョージ・ワシントンに当て逃げされて、十五名のうち十三名が助かったけれども二人は行方不明で犠牲となった、こういう事件が鹿児島県の甑島沖約七十キロのところで発生したという、過去にこういう事件があったという事実が今回生きていないという意味で、私は非常に残念に感じるわけです。

 この事件も、例えば、衝突してから、衝突といいますか当てられてから十五分間後に沈没するわけですが、その間に、つまり米軍機が上空を旋回したり、あるいは、原潜がその場に居合わせたにもかかわらず、ハッチをあけるとかそういう救助の行動をしなかったという、そこが非常に残念に思うわけであります。

 だから、そういう意味では、日本政府に事故の正式通告があったのは三十五時間後、一日半たってから行われたとか、アメリカ側の正式な報告で、例えば、艦長資格剥奪処分というのが行われたというのも一カ月後に行われている、そういうことであります。そして、ここでも、ソナーで事前に探知していたということが確認されているにもかかわらず、その事故の確認については詳しいことが日本に説明されていない。そういったことが重なって、やはりここでしっかりと原因究明をして、そして再発防止の手続をきちっとルール化していれば今回のことはなかったのではないかという思いがいたすわけで、私は、同じことを繰り返しているところに苦い経験が生きていないという非常に残念な思いをしているわけであります。

 今回のえひめ丸の場合も、七十分前にソナーで探知していた、こういうことがあるわけでありますし、しかも、緊急浮上の前にもう一度見たけれども、しかし発見できなかったとか、そういうことも言われているわけでありまして、そういった意味で、この日昇丸事件というものが、非常に残念な事件であったにもかかわらず生きていない、ここを大臣としてぜひ重く見ていただいて、今回の再発防止に全力を尽くしていただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 日昇丸事件でもお二人の方のお命を失ったわけでございまして、こうした問題について、我々もまたそうした経験を十分に生かさなければならなかったと思いますし、アメリカ側にもまたああした経験について、さらにしっかりとあの経験を生かしてもらいたかったという気持ちが私には強うございます。

 いずれにいたしましても、今回の事件が日本国民に与えたショックといいますか、懸念というものは非常に強いものでございまして、私は、宇和島水産高校の御関係者の方々を初めとする日本国民の気持ちをしっかりと持って米側とはいろいろな面で交渉をしなければならぬ、例えば船体の引き揚げあるいは今後の対応等を米側に対してきちっと交渉しなければならぬというふうに考えております。

田端委員 ことしが日米安保五十周年という節目であるということも言われているわけでありますから、そういった意味で、新しい二十一世紀の日米のあり方ということも視野に入れて頑張っていただきたいと思います。

 私は、またもう一つ非常に残念に思うことは、外務大臣なり、総理はもちろんですが、あるいは防衛庁長官もそうでありますが、そういった意味で、どなたかがなぜすぐアメリカに飛ばなかったんだろう、そういう思いが強くいたします。衛藤副大臣、先般行ってこられて非常に頑張っていただいたと思いますが、もっと早くなぜそういう決断が政府としてできなかったんだろう、そういう思いがしているわけであります。

 こういう気持ちが変な形でアメリカに対する日本国民の感情を悪くしている、そういうことも懸念するわけでありますが、これから日米関係、この大事な日米関係を、しかも日本の国民の気持ちを代弁して、外務大臣としてどういうふうに交渉をされていくか、そこのところを、御決意のほどをお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 議員御指摘はごもっともだと思います。

 ただ、まことに残念ながら、当時は予算委員会の最中でございまして、現在、外務省が予算委員会におきまして御説明を申し上げなければならない事柄も大変多うございます。さらには、省内でやらなければならない、直接大臣が指揮をとらなければならない問題もあって、私が直ちに訪米するということが、国会との関係もおもんぱかっていかがかという気持ちが私にはいたしました。

 したがいまして、事故の一報を聞きまして、二時間後には、私は政務官をアメリカに派遣する決定をしたわけでございます。桜田政務官に対して直ちにアメリカへ行ってくれという指示をいたしまして、飛行機の都合等もございましてその日の夕刻になりましたけれども、桜田政務官は直ちにアメリカに向かったわけでございます。

 ハワイへ向かいます桜田政務官に対しましては、私からも、それから森総理からも直接、米側による捜索の徹底あるいは事故の究明と同時に、日本から御関係の方がきっとハワイへいらっしゃるに違いない、そうした方々に対するしっかりとした受け入れと申しますか、お世話をしっかりとやるようにという指示がございまして、桜田政務官は直ちに参りました。

 行かれた政務官は、アメリカのホノルルにございます太平洋司令と連日頻繁に交渉をし、情報収集に当たられたというふうに報告を受けておりまして、私は外務省として指揮をとっていただいたことをよかったと思っておりますし、その後、今お話しのように、衛藤副大臣にもワシントン、そしてホノルルへと行っていただきまして、これまた、私どもの意図する点についてしっかりと米側と話をしてきてくださったことを御報告申し上げておきます。

田端委員 どうか遺族の立場に立ってその気持ちを代弁して頑張っていただきたい、こう重ねてお願い申し上げておきます。

 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、平成十三年度から十七年度に及ぶ新しい中期防衛力整備計画についてお尋ねしたいと思います。

 防衛計画大綱に基づいて、日本の安全保障という意味で大変大事な政策だと思っておりますが、しかし、国民の中には、総額二十五兆を超えるような多大な支出ということについてどこまで理解されているんだろうという意味においては、何かあったときには防衛費を削ればいいとか、まだこういう声のあるのも事実だと思います。そういった意味で、やはり国民への理解というものが大事だと思いますが、長官の御所見をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 委員御案内のように、昨年の十二月に中期防衛力整備計画を決めさせていただきました。

 新中期防におきましては、引き続き防衛大綱に定める防衛力の水準への円滑な移行を図るとともに、情報通信技術、これはITでございますが、IT革命への対応や災害派遣能力の充実強化などに特に留意をしながら、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を着実に推進することとしております。

 新中期防においては、そのために必要最小限の経費を計上しておりまして、これにより、厳しい財政事情にあって、正面装備品の更新、近代化等、隊員の処遇改善や勤務環境の改善等の後方分野とのバランスに配意するほか、将来の諸情勢の変化にも対応する計画の柔軟性を確保できたものと考えております。

 また、新中期防の事業は、基本的には近い将来における現有装備の減勢に対する代替更新を目的とするものがございまして、経費規模に着目してみましても、財政構造改革を背景として見直された前中期防と比べまして、期間中の防衛関係費の総額の限度に係る平均伸び率が小さいこと、また増加額の大半を人件糧食費の増加分が占めていること、また正面装備の契約額がほぼ同水準であることなどから、十分抑制的なものになっているというふうに私ども考えているわけでございます。

 いずれにせよ、今各年度の予算の編成に当たっては、一層の効率化、合理化に努め、国民の信頼にこたえるよう、節度ある防衛力の整備に努めてまいりたいと思います。

田端委員 この新しい中期防の正面装備については、これは近代化という意味で大事なことだとは思いますが、しかし、その中に例えば空中給油機の導入ということが計画されておりますが、日本の専守防衛というあり方からいって、果たしてこれは必要なのかどうか、あるいは結果として遠距離攻撃の足を延ばすことになって、諸外国の脅威になるのではないか、こういう批判も現実にはあるわけでありますが、そういったことについて、諸外国の状況がどうなっているのかということと対比しながら、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 我が国は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念がございまして、それに従い防衛力を整備してきているところでございます。

 専守防衛という受動的な防衛戦略のもとで今後我が国の防空を全うしていくには、空中給油機能により要撃機の滞空時間を延伸し、空中警戒待機の態勢をとることが必要不可欠になると考えておりまして、空中給油機能の保有は専守防衛の趣旨にかなうものと考えております。

 本航空機が諸外国の脅威となるのではないかという御指摘がございましたが、それに関しましては、我が国の保有する戦闘機は、諸外国の戦闘機と比べましても、空対地誘導弾あるいは地形追随装置を登載しておりません。したがいまして、その対地攻撃能力はいずれも限定的でございまして、仮に空中給油による行動半径が延びることとなったといたしましても、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるとの誤解を生じさせるおそれはなく、ましてや他国にそのような脅威を与えるようなものではなく、憲法上問題はないと考えているわけでございます。

 また、空中給油機能は、一九六〇年代までは米国、旧ソ連、イギリス、フランスのみがこれを保有いたしておりましたが、近年、アジア諸国、例えばシンガポール、インドネシア、マレーシア、さらに中国、南米諸国等もこれを保有するに至りまして、保有国数は現在二十五カ国になっております。

 かかる観点から見ましても、現在では、空中給油機能は、特定少数の国が保有する特殊な機能というよりは、むしろ近年の航空軍事技術の進展に対応した効率的な航空防衛力を維持するための重要な一要素となっているというふうに考えております。

田端委員 先ほど、新中期防の計画の中に、情報通信能力の向上を目指すということで防衛総合通信網の整備というふうなお話もございました。

 私は、むしろこの新しい中期防の中にこの視点をもっと深く掘り下げるべきではないかなという思いをしております。

 一つは、例えばきょうの新聞でしたか、出ておりますが、ホームページを改ざんする事件が連続しているということでありまして、この一週間、日本を攻撃する予告が海外のホームページに掲載されているということで、二十五日現在で八十八件の中国語による改ざんがあるそうであります。昨年、中央省庁のホームページ連続書きかえの大騒ぎがありましたが、もしこういったことがこれからあちこちで起こってきますと、大変なことになるだろう、こう思っております。

 このサイバーテロの主体としては、侵略的国家あるいはテロリスト、犯罪者あるいは不満分子あるいはハッカー等と、いろいろなのがあると思いますが、例えば、電気通信網あるいは金融機関等々、運輸とか水道供給システムとか、こういったことをいたずらをして、そして国の安全にかかわるそういう民生部門での事業をおかしくしてしまうと、これは一国にとっては大変な安全保障上の問題が生じる、こう思います。

 そういう意味で、防衛庁はどういうところまでこれを想定されているのかが私は非常に心配なのであります。

 例えば、防衛庁の関係のミサイルとか飛行機とか、そういったことには当然一生懸命セキュリティーをやっておられると思います。しかし、こういう民生部門に至るまでやっていく、考えていく必要があるのではないかな、こういう思いをしております。

 ちなみに、アメリカでは、九七年六月にサイバーテロに対する演習を行っています。これは、国家安全保障関連の機関に勤めている三十五人の職員にレッドチームという名前を授けて、好きなようにコンピューターを使って、そしてサイバー攻撃をかけてみなさい、一つはアメリカじゅうの電力、通信システムを切ってみろ、もう一つは国防総省の中のネットワークのシステムに不正侵入しなさい、この二つを三カ月でやれ、こういう演習をやりました。

 そうしたら、三カ月で三十五人いろいろやって、二つとも成功したのです。全米の電力をストップさせるところまでいきました。そして、国防総省の中にも全部入りました。

 そういうことになりますと、三十五人のプロが集まれば、アメリカという大国に戦争をしかけて、コンピューターでは勝ってしまう、こういうことになるわけであります。

 こういうことが判明したわけでありますが、日本においては、防衛庁の中だけの、つまり縦系列だけでやっているから大丈夫だ、そういうことではもう済まないのではないかという思いがいたします。

 それで、提案申し上げますが、これと同じような演習をやってはどうかということです。

 そして、民生部門のセキュリティーシステムの二十四時間監視体制とか、何かあったときにすぐに復旧させるシステムづくりとかいうことを、これは内閣挙げてしなきゃならないことでしょうが、ひとつ防衛庁長官、意識を持って取り組んでいただきたい。

 そして、三つ目に、もし法的な整備も必要ならばする必要がある、こういうふうに思います。

 私は、だから、中期防の新しい五カ年計画の中にむしろこういうことが本気で入ってこないと、これからの安全保障にならないのではないかということを申し上げたいわけであります。

 サイバーテロ対策の関係閣僚会議を直ちに御提案いただいて、防衛庁とか、あるいは警察庁とか国土交通省とか総務省とかが全部かかわってくると思いますが、そういう組織体をまず立ち上げることに先手を打っていただきたい、こう思いますが、防衛庁長官、いかがでございましょうか。

石破副長官 問題点は、今先生が御指摘になったとおりであります。

 昨年の十二月に、政府といたしましても、情報インフラのサイバーテロ対策に対する特別行動計画、これを策定いたしました。足らざるところもあろうかと思いますので、先生の御指摘を生かしながらやってまいらねばならぬと思っております。

 問題は、今の法制の中で、どれで対応ができるか。

 つまり、それは国家としてしかけるとは限りませんで、本当に二、三人のそういうマニアのような人たちがしかけてくるかもしれない。そしてまた、それを武力攻撃とは、とてもじゃないが言うことは難しかろう。そうすると、防衛出動なのか治安出動なのか何なのかということになりますと、今の法体系の中でなかなか難しい。それは、我が国に限ったことではございません。各国共通の問題でございます。

 いずれにいたしましても、先生の御指摘をよく踏まえまして、中期防におきましても、また来年度予算におきましても、私どもしっかり対応してまいりたい、かように考えております。

田端委員 もちろんそれは難しい問題を提案しているわけでありますが、しかし、現実にアメリカはそこまで、実地訓練までやって、安全保障を考えているわけです。

 日本は、そういう意味では、防衛庁だけの中でセキュリティーということは考えられているかわかりませんが、しかし、民生部門も含めた形で、これは国家が行ってくるかあるいは一部のテロリストがやってくるか、それはわかりませんが、すべてのことを含めた、想定したことを、これからは必要であるということで申し上げているわけで、ぜひお考えいただきたいと思います。

 外務大臣、一昨日でしたか、大阪へ行っていただいて、二〇〇八年大阪オリンピックのIOCの評価委員会のメンバーの歓迎に行っていただいたということで、大変御苦労さまでございました。

 私は、大阪の人間として、二〇〇八年大阪オリンピック、ぜひ成功させたい、まず招致を決定させたいという思いを強く持っている一人でありますが、ぜひ大臣にも積極的にPR活動を今後よろしくお願いしたいと思うのです。

 昨年の臨時国会で、衆参において国会決議をしていただきましたが、そういった意味で、国会の意思として大阪招致を決めていただいたわけですから、政府もぜひ力をかしていただいて、お願いしたいと思います。

 大阪の今回のオリンピックは、相手は大変強いところでありますが、しかし、舞洲、夢洲という人工島を使って競技をやり、選手村をつくる、そういう意味では、世界に今までなかった形でのオリンピックになるか、こういう意味で我々も自負しているわけでありますが、どうか大臣、全国民に向けて、大阪へ持ってこようということと、そしてまた諸外国に対しても、大阪オリンピック、ぜひ二〇〇八年日本にということで頑張っていただきたいと思うんですが、その辺のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 日曜日の夜に、十七名のIOCの施設評価委員会のメンバーが北京から大阪へと来られました。私、飛行場へ行きまして、十七人の方々全部にお目にかかりました。大阪はかつて万博をやって、それが大阪をジャンプアップさせるのに大いに役立ったという記憶が私にも残っておりまして、二〇〇八年にはぜひ大阪でオリンピックを行うことによって、大阪のためにもなるし、それはただ単に大阪のためだけではなくて、オリンピックをうまく運営するという意味でも、大阪は非常に意味のある場所だろうというふうに私は思っているわけです。

 IOCでは、今度はどこに場所を決めるかということについては、最近の苦い経験から、いわゆる招致運動まがいのことを禁止しておりまして、非常に冷静に施設の評価をするということにしておりますが、それでもやはり大阪が招致にかける熱意というものは非常に強いものがあると承知をしております。

 ただ、その熱い気持ちがどうやって表現されるかということになりますと、どうも来られた方々の話を聞くと、北京の熱烈歓迎というのは、例によって大変大勢集まって熱烈歓迎を表現されたというふうに聞いておりますし、また、江沢民主席までがこの評価委員会の皆さんに会って、北京どうぞという話をされたということを聞いておりまして、大阪も、そうした気持ちに負けないように、大いに市民の皆さんが熱い気持ちでオリンピックの招致に取り組んでいただきたい。

 これは、もう平成十年に閣議了解ができておりまして、我が国としては、政府も一体となってこの招致に取り組んでいるわけでございますから、これから先もまだまだ招致のための場面というのがあると思いますから、私どももできる限りそうした場面で努力をしたい、こう考えております。

田端委員 ありがとうございました。

川端委員長 次に、藤島正之君。

藤島委員 きょうは、まず最初に失望している話からしたいと思いますが、それは河野外務大臣に対してであります。

 河野外務大臣は、御承知のように、つい最近まで次の自由民主党の総理・総裁の有力な候補になっておったわけでありますけれども、ことしに入ってから、潜水艦に関する事故と外交機密費に関する問題が出ましてから、ほとんどそれがなくなってきた。これは一体何なんでしょうか。私は、これが起こったこと自体ではなくて、やはり河野外務大臣がこの事件に対して、立派な政治家としてどれだけの政治力を発揮して指導してきたか、これが問われているからなんじゃないでしょうか。

 私も本会議あるいは予算委員会で出ておりまして、外務大臣の答弁を伺いましたけれども、本当に国益を代表して真実を追求して、国のためにあるいは被害者のため、あるいは外交機密費についても、その真実を本当に追求していこう、こういう情熱が何か感じられない。お疲れであろうと思いますし、お疲れであれば、やはりそういう気力というのはなかなか難しいのかもわかりませんけれども、いやしくも一国の外務大臣でありますから、私は、ここは本来の河野外務大臣の指導力を発揮して、外務省の役人の言うとおりではなくて、きちっと指導していっていただきたい、こう思うわけであります。

 きょうのNHKのニュースにもありましたけれども、ウィリアム・ファロンさんという海軍大将で海軍作戦副部長がお見えになっているわけですけれども、一端を申し上げますと、その際に、NHKのニュースで本当に正しいのかどうかわかりませんけれども、河野外務大臣は、まず相手の話をよく聞きたい、こういうふうに言っているわけですね。私は、もう相手の話を聞くというよりも、いろいろな行動をもっとぴしっとすべき時期じゃないか、こう思うわけです。反対に斉藤防衛庁長官は、軍人として潔くやってほしいと言うつもりだ、まことに対照的に立派なことじゃないか、私はこう思うわけであります。

 森総理大臣もそうですけれども、こういう事故は当然在職中に起こり得るわけですけれども、私は、森総理は最大のチャンスをなくした、こういうふうに思っております。ゴルフをやっていたこと自体が悪いとはだれも言っていない。そこに何やかにや言いわけだけをやってゴルフをそのまま続行した、そこに危機管理の問題があるわけですね。

 したがって、あの際、森総理は直ちにやめてクラブハウスでも戻って、そこで指揮をとっていた、もしそうだとすれば、これは災い転じて福をなすで、大変な評価になり、今ごろ、もうやめないでほしいというような話がどんどん来ていたかもわからない。それを、途中でやめると前後のプレーヤーに迷惑がかかるとか、そんな変な理屈ばかりをこね回して言いわけしようとする。それがいけないのであって、私は、まさに外務大臣につきましても、そういう点が発揮できる余地が多々あったのじゃないか、まだ大変あるんじゃないかということを、これは答弁は要りませんけれども、そういうことじゃないか、こういうふうに実は思うわけであります。

河野国務大臣 藤島議員は防衛庁にかつて御勤務であって、いろいろとお役人としてどういう仕事をするべきであったかということはよく御存じだと思いますが、私、まず申し上げたいことは、今度のえひめ丸の不幸な事件をチャンスと考えて、チャンスを逃したなどという言い方は極めて不謹慎ではないか。少なくとも九人の方がいまだに行方不明である、こういう状況の中で、チャンスを逃したとか、これを何とか自分の立身出世のために使えばよかったんじゃないかというような御発言は甚だ不穏当、不適当だと思うので、取り消されるがいいとまず最初に申し上げておきたいと思うんです。

 それから、きょうアメリカから来られる特使は、これはアメリカの政府が特使として日本によこすものでございます。アメリカの特使として日本に来るこの特使の話を聞くというのがまず最初にやるべき当然の仕事であって、特使が日本に来るものを、話も聞かないで、こっちがあれもやれ、これもやれというようなことは極めて外交上不適切だとこれも私は思いますので、私は、まず先方のお話を聞くということから始めろというのが私の気持ちでございまして、これについて何か御異論があれば、もう少しはっきり御異論を述べていただきたい。

藤島委員 チャンスという言葉は確かによくないので取り消しますけれども、私は、そういう意味ではなくて、立身出世のためとかそういう意味でもないのですけれども、やはり政治家としてリーダーシップを発揮しなければならない、そういう場面だったのではないか、それを申し上げているわけです。

 この件はこれで終わりますけれども、この件につきましては、先ほど危機管理のまずさだ、こういうふうなお話がありましたけれども、私も実はそう思うわけであります。この件が日米安保を基礎から覆す、そんな性格のものではないのではないか、こういうふうに実は思っておるわけですが、自民党の若手論客である石破副大臣に御意見を伺いたいと思います。

石破副長官 基礎から覆すというようなことだとは、それほど脆弱、これは言い方は非常に難しいです、今回の事故が重大であり、本当に御家族の皆様そして行方不明の方々、その御家族にも十分考えていかねばならぬ、配慮せねばならぬ、しかし、それでひびが入るほど脆弱なものだというふうには思っておりません。しかし、小さなひびがまた大きな相互の誤解なり不信感なりを生まないように、そのようなための万全なケアは必要であろうというふうに思っておるところでございます。

藤島委員 それでは、時間がありませんので、外交機密費の方に移りたいと思います。

 外交機密費の目的というのは一体何なんでしょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省の報償費は、情報収集及び諸外国との外交交渉、さらには外交関係を有利に展開するために使用されているものでございます。

藤島委員 やはり情報収集が非常に大きなものではないか、こう思うわけですけれども、聞いたところでは、部内限りでこれを使っていたとかいうことを言われているわけですが、その点についてはそういうことは絶対ないと言い切れるのかどうか、伺いたいと思います。

飯村政府参考人 外交報償費を私的な目的に使用するということはあってはならないし、ないというふうに考えております。

藤島委員 今、ないということでありますが、もしこれが明らかになったときは責任をとるというふうに理解してよろしいですか。

飯村政府参考人 仮に不適正な事例がございますれば、厳正に対処すべきものと考えます。

藤島委員 今、ないと思うというふうにおっしゃるからそういうことなんで、あるかないかは別にして、調べてみて、あればあったということならいいのですけれども、外務省はそういうふうにいつもないないないと言っていながら、時間がたつとどんどん出てきているわけですね。そこを国民は外務省の対応に不信を持っているということだと思うのです。

河野国務大臣 御注意をいただきまして、感謝をいたします。

 ただ、しかし、いろいろとあるのじゃないか、あると週刊誌に書いてあるよ、あると新聞に出ていたねというだけではこれは私どもも調査のしようがないわけで、私は、調査委員会に、もし具体的に調査ができるような指摘があればこれはもう厳重に調査をしてくれ、問題があれば、今官房長も申し上げましたけれども、厳正に処分する。

 ただ、雲をつかむような、こういうことがあるのじゃないかと。議員もかつて御苦労なさったことがおありだと思いますが、こういうことがあるのじゃないか、そういったような話を聞いたというのでは調査のしようがないものですから、それでもなおかつ荒木委員会には調査をしていただいておりますけれども、こういうことが指摘されているというのであれば、ぜひ具体的におっしゃっていただきたい、それについては私は、調査の上、もしそういう事実があれば、厳正に処分したいと思います。

藤島委員 心強い意思表示をいただいた、こういうふうに受けとめておきたいと思います。

 小さなことですけれども、他の役所の旅費の不足分は補てんしないで外務官僚だけの部分を補てんしたとか、そんなのもいろいろ言われているようですね。そういうのもいろいろ恨みに思っている役所もあったのじゃないかな。私も、現役時代随分海外へ出張しましたけれども、まるでそういう補てんというものはなくて、大臣のお供なんかの場合、むしろ足を出していたというのから見ますと、大変な差がある、こういうふうに思うわけですけれども、それは実態が明らかになればということかもわかりません。

 その中で、もう時間がありませんので、情報収集ということで、防衛庁からユニホームがアタッシェで行っておるわけですが、今何人行っておりましょうか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防衛駐在官、私ども防衛駐在官と呼ばせていただいておりますが、韓国、中国、アメリカ等、三十五の在外公館に派遣されておりまして、総勢で四十六名でございます。

藤島委員 かなりの人数が行っておるわけですけれども、新聞によりますとで、またしかられるかもしれませんけれども、外務官僚は在外勤務をすると数千万とかいう単位で貯金ができる、こういうふうにうわさされているわけですけれども、少なくとも防衛庁のアタッシェはほとんど足を出しているというのが実態なんですね。それをよく御認識いただきたいと思います。

 そこで、防衛庁の自衛官が外務省の在外公館に一等書記官とか参事官とかあるいは二等書記官で行くのですが、これは、かつて防衛庁時代に私承知していた話ですが、格付が非常に悪い。本来、防大を出てしかるべき年数がたてば、在外に行くときは一等書記官なりほかの役所と同じレベルで行くべきところを、かなり格付が悪い。

 この実態について、これは防衛庁でもいいし、外務省でもいいのですけれども。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛駐在官につきましては、外務省のI種職員あるいは国家公務員I種職員との採用形態の違い、さらには、外務省に専門職というのがございますけれども、専門職の職員の処遇との関係を踏まえて対処をしているところでございます。

 具体的には、昭和五十三年から五十五年にかけて、委員御承知のとおり、外務省と防衛庁の間で協議をいたしまして、処遇を大幅に改善いたしました。現在、外務省の専門職の職員よりは有利で、かつ、外務省I種職員、国家公務員I種職員とさほど差のない処遇になっているというふうに考えております。

藤島委員 II種職員と比較するなんてとんでもない話でありまして、当然I種職員と比較して同等であるべきだ、こう思いますけれども、斉藤大臣はどうお考えですか。

柳澤政府参考人 もう御承知のことと思いますが、若干その制度面で補足をさせていただきますが、御承知のように、自衛官の俸給は階級とリンクをしております。そして、その自衛官の大宗は、一尉、三佐の中隊長でありますとか二佐の大隊長という、現場指揮官としての需要が非常に多くなっております結果、一尉から一佐までの滞留年数といいましょうか、そこが割合長いというこういう構成になっておるのに対しまして、I種職員といいましょうか、一般職の場合は職と給与がリンクをしておって、今の給与制度でいきますと、二佐は八級にリンクをしている。そういうことで、それを一般職に置きかえますと、今度は八級ということですと、職としては一等書記官という、そういう自衛官の全体の人事管理のバランスとの関係もございまして、ただ、実質的には、外務省から答弁ありましたように、できるだけ差のないように努力はしていく、こういうことであろうと思います。

藤島委員 運用の修正というのは限界があるんですよ。ですから、覚書をした時点では、その昔よりはかなりよくなった、それはわかりますけれども、今はそういう時代じゃないんですよ。またそこから年数たっているわけですね。

 それに、大体自衛隊から駐在武官で行く人たちは、かなり優秀な人なんですよ。防大を出て、陸上自衛隊で三百人入ってユニフォームを着ますけれども、それでは、駐在武官で行ける人が三百人中の二百番の人が行きますか。本当に優秀な、序列のいい人なんですよ。そういう人たちを十把一からげで一級職と二級職の間にランクづけする、これは私は納得できないわけですよ。防衛庁長官どうですか。これは説明員じゃなくて長官の見解を伺いたい。

斉藤国務大臣 ただいま委員御指摘いただきましたように、在外公館に勤務している外務省のI種採用職員及びI種採用の他省庁職員と、同年次採用の防衛駐在官とでは、役職面とか給与面での処遇に格差が生じているのは事実でございます。

 先生の今御指摘いただいた件につきまして、防衛駐在官が任地で誇りを持って任務に邁進できるよう、適切に対応していきたいというふうに思います。

藤島委員 適切ということは、必ず変更してI種と同等の扱いにする、これが斉藤防衛庁長官の政治家としての決意であろう、こういうふうに受けとめまして、私の質問を終わります。

川端委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、きょうは、防衛庁長官に中期防について質問を行いたいと思います。

 二〇〇一年度から五年間の新中期防ということになるわけですが、総額が二十五兆一千六百億円、前期の中期防に比べますと、二十四兆二千三百億円ですから、かなりの増額であります。一方で、我が国の借金は、国と地方を合わせまして六百六十六兆円に達し、空前の財政破綻だ。それで、国民に対しては、年金の賃金スライドの停止や老人医療費の定率負担の導入、それから介護保険料の全額徴収、二兆円の負担増、こういう関係です。

 ですから、本当に財政を再建し、国民生活を守るということであれば、軍事費も聖域にしてはいけない、軍事費の中にむだや浪費があればこれにも思い切ってメスを入れて、財政再建を優先されるべきだと私たちは考えていますけれども、今回の新中期防というのはとてもそういうことにはなっていないわけですね。ストックホルム国際平和研究所の二〇〇〇年版の年次報告によりましても、世界で二番目の軍事大国です。

 もう一つ、国民がやはり大きな疑問と批判を持っているのは、ソ連崩壊後も、なおソ連脅威論が存在し続けていたような軍備拡張を続けているという点です。対ソ脅威を口実に、日本への着上陸侵攻阻止のためだとして調達を開始したF2は、一機百二十億円です。これが四十七機導入する計画になっています。今日に及んでなおという印象であります。それから、一両八億円もする九〇式戦車、これは九十一両導入であります。

 九〇式戦車というのは、御承知のように重過ぎて、五十トンもあるということで、一般の道路や橋梁では通行できず、運用が非常に困難視されている装備でありまして、しかもなお、国内では射程が長過ぎて実弾演習ができず、アメリカに行って実施しているという代物ですね。

 この九〇式戦車に対する世論の批判を気にしてか、防衛庁は戦車の小型軽量化を言い出しているわけですが、私は、こういう九〇式戦車を、ソ連脅威論があった今日からその延長線上でずるずる続けて膨大な軍事負担をふやしている、むだの象徴だと思います。

 一体何のために、どこにそういう九〇式戦車を配備するのか。九〇式戦車については導入を中止して浪費を改めるべきだ、このように考えますけれども、防衛庁長官、いかがですか。

斉藤国務大臣 まず最初に、中期防について御説明させていただきたいと思います。

 新中期防は、専守防衛等の基本的防衛政策に基づきまして、我が国の平和と安全を確保するために、防衛計画の大綱のもとで継続的かつ計画的に防衛力を整備することを旨として策定したものでございます。

 引き続き、防衛大綱に定める防衛力の水準への円滑な移行を図るとともに、情報通信技術革命への対応や災害派遣能力の充実強化などに特に留意しつつ、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上に着実に推進していくこととしているわけでございます。新中期防においては、そのために必要最低限の経費を計上してございまして、経費規模も十分抑制的なものと考えております。

 いずれにしろ、今後防衛力を整備していくに当たっては、計画の方針にもあるとおり、その時々の経済情勢、防衛大綱策定以降さらに一段と厳しさを増している財政情勢等を勘案いたしまして、国の他の諸施策との調和を図りつつ節度ある防衛力の整備に努めるとの方針に変わりはなく思っておりますし、その節度ある防衛力の中に、今お話しいただいた戦車のことも含まれるのではないかというふうに思っております。

赤嶺委員 ソ連脅威論時代の九〇式戦車というのはむだ遣いの象徴ですよという指摘をしましたら、長々と中期防について説明をしまして、適切だという、説明にならない説明だなという感じなんですよ。非常に具体的に指摘したわけですけれども、そういうむだ遣いについてのお考えは示されませんでした。

 それで、時間がありませんので続けますが、さらに重大なことは、空中給油機の導入を盛り込んだことだと思います。

 空中給油機の導入は、これまた一九七三年の国会でも大きな問題となり、議論されました。政府は、兵器の導入について、他国に脅威を与えない、専守防衛の範囲内で行うと説明してきたわけですし、F4ファントム戦闘爆撃機の導入のときには、対地攻撃能力が拡大し他国に脅威を与えるとして、空中給油装置は外されました。F15戦闘機の導入の際にも、空中給油装置はつけられたままであったけれども、当時の田中角栄首相は、給油機は持たないしそして給油の練習もしないと、当時の国会の議事録をずっと読ませていただきましたけれども、再三再四、専守防衛のあかしとして空中給油機は持たないということを強調しておられます。

 今回空中給油機の導入を決めたのは、これまでの従来の政府の答弁と矛盾するのではないか、このように考えますけれども、防衛庁長官のお考えはどうですか。

斉藤国務大臣 空中給油機の御質問の前に、先ほど九〇式戦車の話がございました。

 大綱では九百両を目標といたしておりまして、陸上防衛力の基幹装備として必要という判断をいたしております。かかる防衛力の能力保全が侵略を抑制するという考え方でございまして、力の空白を避けるという意味で九〇式戦車ということになったところでございます。

 そこで、空中給油機でございますが、いわゆる空中給油輸送機は、平時の訓練に際しまして、例えば、訓練区域で空中給油をすることによりまして、戦闘機が訓練区域と基地との往復に要する時間や燃料を節約できること、また戦闘機の離発着回数を削減することができ、基地周辺の騒音対策にも寄与し得ること、さらに天候急変等により予定の飛行場に着陸できない場合等において燃料枯渇を回避できること等から、訓練の効率化や航空安全の確保を図る観点からも有用であり、さらに、多数の人員や小型貨物を迅速に輸送できる輸送機能を国際協力活動等に有効に使用できる、こういったこともございます。

 また、そもそも専守防衛という受動的な防衛戦略のもとでは、最近における航空機のステルス化、搭載ミサイルの長射程化など航空軍事技術の進展に対応しつつ、今後、我が国が防空を全うしていくには、空中給油機能により要撃機の滞空時間を延伸し、空中警戒待機の態勢をとることが必要不可欠となると考えております。こうした点を踏まえて、新中期防において当該航空機を整備することとしたところでございます。

赤嶺委員 九〇式戦車についても触れられましたけれども、それが本当に日本の防衛にとって必要であるかどうかという点で、この九〇式戦車、先ほど申し上げましたように、射程距離が長いもので国内で演習ができないということで、アメリカのヤキマ演習場で九〇式戦車を派遣して訓練を行っている。

 重過ぎて日本の道路や橋梁も使えない、これが専守防衛のための装備なのかどうかということを私は指摘して、今の空中給油機の問題ですが、訓練の効率性だとかあるいは国際貢献のための輸送だとか、いろいろ理由をつけて導入の口実をふやしておられますけれども、やはり防衛庁が一番中心的に考えられているのは我が国有事における空中警戒待機、その航空機も発達してきたのでということであるわけですね。つまり、我が国有事における空中警戒待機、CAPというんでしょうか、その態勢のために有用だと答弁してきております。

 防衛庁の説明を聞きましたら、空中給油機を導入した場合には、F15戦闘機とF2支援戦闘機への給油を考える、こういうことも聞いております。日本防衛のためと言っているわけですけれども、F15やF2が空中警戒待機のために空中給油機が必要になる事態、日本が武力攻撃を受ける事態というのが今日一体想定されるのか。

 朝鮮半島は御承知のような平和の流れです。アジアでも同じような平和の流れが広がっています。そういう日本を取り巻く環境を考えてみた場合に、日本の領域に一体どこの国が着上陸してくるから、そのために空中警戒待機が必要なのか。それこそ、本当にそういうことが必要なのかどうかということを吟味もしないで防衛力整備計画をつくっていて、国費を浪費していらっしゃるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

斉藤国務大臣 先生から吟味もしないでというお話をいただきましたけれども、私どもは、吟味に吟味を重ねて防衛大綱そしてさらに中期防衛力整備計画をつくったと思っております。

 今F15のお話が出ましたので、我が国が保有する戦闘機、F15及びF2でございますが、諸外国の戦闘機と比べましても、空対地誘導弾並びに各管制装置、あるいは地形追随装置を搭載しておりません。その対地攻撃能力はいずれも限定的でありますから、仮に空中給油により行動半径が延びることとなったといたしましても、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるというものと誤解を生じさせるおそれはありません。まして、他国にそのような脅威を与えるようなものはないというふうに考えております。

 空中給油機能は、一九六〇年代までは、米国、旧ソ連、イギリス、フランスのみがこれを保有しておりましたが、近年、中国また東南アジア諸国、例えばシンガポール、インドネシア、マレーシア、さらに南米諸国等もこれを保有するに至りまして、現保有国数は二十五カ国になっております。かかる観点からも、現在では、空中給油機能は特定少数の国が保有する特殊な機能というよりも、むしろ、近年の航空軍事技術の進展に対応しつつ、効率的な航空防衛力を維持する上で重要な一要素となっていると考えております。

赤嶺委員 防衛庁長官、私の質問をそらして答えたらだめですよ。私は、今の情勢のもとで、F2やF15が着上陸作戦を展開する、そういう我が国の領域に他国からの侵攻の危険があるんですか、そのために空中給油機を購入しなければならないような事態があるんですかということを聞いたわけです。

 もうちょっと時間がありませんけれども、大体、空中給油機というのは防空の任務にはふさわしくないと言われています。そして、これは軍事専門家の「兵器の常識」というところの中で出ています。

 さらに、今皆さんがおっしゃっているCAPというのは、敵の襲来が確実である場合に、援護の難しい重要な目標がある場合に行われ、効果があるものである、平時の防空活動などで行われるべきものではない、軍事専門家がこのように言っているんですね。ですから、そういうことを考えてみた場合に、仮に百歩譲って他国の侵略があったとしても、そういう敵機が我が国領域に近づいてくる状態では、空中給油というのは最も安全を確保して空中給油をしなければいけないので、実際には、そういうCAPが差し迫った場合であっても、空中給油機は役に立たないだろうと言われているわけです。

 いずれにしても、平時の場合でも役に立たない、あるいは、百歩譲って他国が侵略してきたときでも役に立たない。空中給油機というのは、やはりアメリカが使っているように、長距離的な攻撃をしていくときに役に立つ、そういうことになっているわけです。

 それで、最後に、周辺事態法の第三条に関する別表第一の備考の第三には「物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送を除き、我が国領域において行われる」と規定しているわけですが、空中給油機との関係で、周辺事態において、この備考第三によって米軍機へ日本の領空で空中給油することは法律上可能、このように考えておりますか。いかがでしょうか。

石破副長官 その場合は、ACSAに基づきまして可能であるというふうに考えておる次第でございます。

赤嶺委員 つまり、今度購入する空中給油機は、米軍への日本の領域内での給油も可能になるということであるわけですね。これはまさに米軍の軍事力と一体化するものだと。

 そして、本当にこれが法律上排除されていないということになりますと、日本の領空といえども、攻撃に向かう米軍の戦闘爆撃機に自衛隊の空中給油機が給油するということになりましたら、それは憲法が禁止している武力の行使に当たる、このように考えますが、いかがですか。

石破副長官 先生御案内のとおりでございますが、周辺事態安全確保法におきましては、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対しては給油を行わない、これは先生御案内のとおりです。そうしますと、空中給油機が行います場合、CAP中の米軍機に対してどうかということであろうかと思います。

 CAPを行っております航空機がそのような行動をやっておるというふうには普通考えにくい、そういうふうに思っております。いずれにいたしましても、これはケース・バイ・ケースでございまして、断定的に申し上げることは困難である、このように考えておる次第でございます。

赤嶺委員 もう時間がありませんので、最後に、やはり今度の中期防衛力整備計画は、九〇式戦車を引き続き購入していく問題でも、日本の防衛に必要はない空中給油機を導入するという点でも、国民の税金のむだ遣いでありますし、それから、アメリカと一体となった武力行使、憲法違反の武力行使につながるものだということを厳しく指摘いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

川端委員長 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 まず最初に、原潜の事故の問題に関して外務大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、実はこの事故、事件というのは日本時間で今月の十日でして、この日は、くしくも、私が住んでいる佐世保の港にも同じタイプのロサンゼルス級の原潜が入ってきておった日であります。

 さて、それぞれ各委員から質問が出ておりますので、いま一度、私は、要約をする形で確認をしてみたいと思うのです。

 まず最初に、今回は、アメリカの原潜グリーンビルと水産実習船えひめ丸との衝突事故というふうに報道等もありますが、結論を先に申し上げると、少なくとも、米海軍ではなくて、いわゆるアメリカの国家運輸安全委員会、NTSB等のこれまでの報道を総合する限り、偶発的な事故ではなくて、起こるべくして起こった、いわば米軍による事件、犯罪ではなかったかという受けとめ方を私はいたしています。

 これまでの報道によると、グリーンビルは、民間人十六名、その中身も戦艦ミズーリ保存運動のメンバーなど、退役軍人などが中心であった。そうした民間人へのサービスのために、体験ツアー、いわば水中観光船と言ってもいいのかもしれませんが、そういう性格のものとしてのツアーを実施した。そして、司令室に十六名を集めて、非常に狭い中で、民間人のうち二人に操縦桿やレバーを握らせ、操作をさせた。しかも、ソナーでえひめ丸など数隻の民間船を察知しながら、あえて、過密海域と言われるこの海域で、いわばスリルを味わうための緊急浮上を実演した。つまり、明らかに、事故当初米海軍の発表にあった通常訓練の一環ということではなかったのだ、現時点で私はそのように事態を認識しています。

 いま一つ、しかもえひめ丸に原潜が衝突、沈没させた後も、原潜は何ら救助活動はしなかったというふうに認識をしていますが、大筋、そういう認識で間違いありませんか。

河野国務大臣 前段のお尋ねについては、私も同じような認識を持っております。すなわち、米側は、十日のグリーンビルの浮上が緊急浮上であったことを認めておりますが、米側の説明によれば、この緊急浮上には、デモンストレーション、訓練及び装備の機能の有効性の検証という三つの目的があるわけですが、十八日、ファーゴ・アメリカ太平洋艦隊司令官は、グリーンビルの今回の緊急浮上がデモンストレーションを目的とするものであったと思うと述べているわけです。

 もちろん、事故発生の原因については、三月五日から開催される予定の海軍の審問委員会において究明がなされると考えておりますが、一方で、米国家交通安全委員会においても調査が行われておりまして、このNTSBの調査については累次にわたって報告がなされておりますので、その報告などを聞きますと、今申し上げたような状況ではないかというふうに、私も議員と同じような認識を持っております。

 ただ、後段の、グリービルの救助活動がなかったのではないかという議員の御認識についてはいささか、そうであったと直ちに申し上げるのには、まだ検討しなければならないいろいろな要素があるというふうに思われます。

 これももう繰り返し聞いておられると思いますけれども、グリーンビルは事件発生直後から捜索救助活動に当たったと。グリーンビルは、海中に漂流する人がいれば直ちに飛び込む準備は整っていたけれども、そのような人はなくて、さらに漂流者がいないか、捜索に当たった。グリーンビルは、事故発生後、直ちに沿岸警備隊に通報するとともに、えひめ丸の救命いかだを視認し、沿岸警備隊と連携しつつ捜索活動に従事した。ただし、そのとき洋上には三ないし六フィートくらいのうねりがあって、ハッチを開くことはできなかった。また、潜水艦の湾曲構造もあって、潜水艦で救命いかだにいた乗員を直接収容するよりも、現場に急行した沿岸警備隊の船で乗員を収容する方が安全であるという判断をした。そして、グリーンビルはその後も現場海域にとどまって、現地時間十日朝、港に戻った。

 すなわち、うねりがあってハッチがあけられなかった、あるいは、湾曲構造があって、直接収容するよりも沿岸警備隊の船で乗員を収容する方が安全であるという判断をしたわけですが、そういう状況ではありますけれども、事件直後から捜索救助活動には当たっていた、こういう米側の説明でございます。

 後ほどあるいは防衛庁からお話があるかもしれませんが、この米側の説明につきまして防衛庁の見解を照会いたしましたところ、状況次第で一概には言えないが、一般論としては、原子力潜水艦の乾舷は極めて低くて、数フィートのうねりがある場合、ハッチをあけて救助活動を行うのは困難な場合があると承知している。また、潜水艦の円筒形の構造から、海上からの乗船は難しく、救助される人が既にいかだに乗っているときなどは、あえて原子力潜水艦側がこうした人たちを潜水艦に乗り移すよう試みないような場合もあるというふうにも述べておられまして、これは、現在アメリカが行っている調査によってさらにはっきりとしてくるであろうというふうに考えているところでございます。

今川委員 時間がありませんので、もう少し申し上げたいことがあるのですが、一つは、今から幾つかの点をぜひ求めておきたいと思うのです。

 今回の事故、事件で、例のゴルフをしていたという森総理の対応は、もうあいた口がふさがりませんので、それは申し上げませんが、例えば、桜田外務政務官だって、当初、今月の十二日、救助作業は適切に行われていた旨の発言をされてみたり、いずれを問わず、本当に日米安保、日米同盟が大切なのだと思われるのであれば、言うべきときには相手方を怒らせるぐらいに厳しい姿勢で臨まないと、最初から、こういう事態というのはアメリカだって見ているわけですから、これだけ大変な事件、事故が起こってもゴルフをやっていたのかと。あるいは、きちっと確かめもせずに救助活動は適切に行われていたような発言をすれば、今回の事件に関する限りは一〇〇%米側に非があったわけですから、そういった意味では、もっと厳しくやっていただきたい。

 幾つかのことを申し上げますが、一つは、他の委員も言われていますけれども、今回の真相究明、原因究明と、それを日本の国民にわかった時点で全面的に公開すること。

 特に、来月の五日に開かれるという査問会議、この中ではいわゆるワドル艦長ら三人が今対象として予定されていますが、ここは日本政府としてぜひ心しておいていただきたいのは、今回は、例えば艦長が独自にそういう体験ツアーを組んだとかいうこととは違うと思うんですね。いわゆる冷戦が終わってから、私は三十年余り佐世保で米海軍の原潜の出入りをずっと監視して変化を見てきていますので、よくわかります。任務が相当変わっています。隊規も緩んでいます。例えば、原潜が入ってきて接岸するときには必ず艦首を港の入り口に向けるんだけれども、たまたま艦尾を港に向けたままとか、それは一つの例なんですけれども、そういうふうに、極端に言うと原潜の使命は終わったんではないかということが片一方で言われるから、なおさらそういう地域の有力者に対するサービスも出てくる。

 そうしますと、当然今回の場合には、少なくともアメリカの太平洋艦隊司令部あるいは統括する米軍のもっと上層部にまで、きちっとした責任の所在をはっきりさせなければならない。ワドル艦長以下三人で、俗に言われるトカゲのしっぽ切りみたいなことで終わらせちゃならないということが一点であります。

 二点目には、問題なのは、このハワイ沖海域はいわゆる民間船も非常に多くて、少なくともホノルルを母港にしている潜水艦だけでも二十二隻というぐあいですから、起こってほしくないけれども、今後も非常に危ない。そういった意味では、事故の再発防止をどういう形で徹底していくのか、ここもアメリカ任せではなくて、日本政府としてきちんとした対応策をぜひ国民の前にはっきりと示していただきたいと思うんです。

 それから、もちろん三番目には、行方不明者の徹底捜索並びにえひめ丸の引き揚げ、さらに被害者の皆さん方への完全な補償を米側にきちんと求めていただきたい。

 それから四点目には、遅きに失した感がありますけれども、少なくともこの原因をはっきりさせる。今後の事故再発防止をこのようにするんだということが明らかになるまでは、日本政府としては、沖縄のホワイトビーチ、佐世保、横須賀に昨年だけでも年間五十一回の原潜の寄港があっているわけですから、それがはっきりするまでは入港を自粛してほしいというぐらいのことがなぜ日本政府として言えないのかというふうに思うんです。

 特に、今回のハワイ沖でのような、民間人を十六人も乗せていきなり緊急に浮上してくるというふうな訓練はないと思うけれども、さまざまな日本近海での訓練があっているはずであって、そういう米海軍としての訓練の実態及び行動の形態、運航のマニュアル。例えば佐世保で言いますと、港に入ってくるときにはもちろんもう浮上しています。どの時点から浮上してくるのか、民間船がやはり非常に頻繁に行き交うわけですから、事故につながりかねない。そういった意味では、そういうデータもきちっと日本政府として求めていただきたいというふうに思っています。

 それからもう一つは、こういう原子力潜水艦あるいは原子力艦艇が日本の港に入るときには、御存じのとおり、少なくとも二十四時間前に事前通告しなければならないとなっています。皮肉なことに、冷戦が終わってからこの方、この二十四時間の事前通告がことごとく破られるケースが出てきています。普通は原潜の入る目的というのは、補給と休養、艦の維持というふうに常套句として使われていましたが、最近はそうではなくて、いわゆる運用上の都合ということだけで出入りをします。

 そこのところも含めて、きっちりとやはり日本政府としてアメリカに対して求めていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 議員がおっしゃるまでもなく、こうした事故が二度と起きてはならないわけでございますから、再発防止については真剣に我が方ももちろんアメリカ側に対して申し入れをいたしますが、アメリカ側も真剣にこれを受けとめるに違いない、受けとめてもらわなければならぬ、受けとめさせなければならぬというふうに私は考えております。

 船体の引き揚げを求めろというお話でございますが、これは現在日本政府としては、この船体の引き揚げについて最も強くアメリカに申し入れを行っているわけでございまして、これも先ほど申し上げましたように、米側からは、技術的実現可能性のみに基づいて判断をするということが言われているわけでございます。私どもとしては、日本が持っております知見も十分活用するべきものは活用して引き揚げを実現させたい、こう考えております。

 被害者への補償の問題は、おっしゃるとおりだと思います。しかし、これらについては、事故の原因究明が行われる、それがしっかり行われるということが前提になることもあろうかと思います。

 それから、原潜の運航や訓練の実態について、これは先ほど申し上げましたように、再発防止の視点に立って米側にはきちんと申し入れをいたします。

今川委員 時間がありませんので、次に防衛庁長官に、新中期防に関してお尋ねをしたいと思います。

 まず一つは、TMDの問題です。

 これは、新中期防に関する報告についてという文書の中で一番最後あたりに「BMDについては、海上配備型上層システムを対象とした日米共同技術研究を引き続き推進するとともに、技術的な実現可能性等について検討の上、必要な措置を講ずることとしています。」となっていますね。これが実は朝日新聞の今月二十四日付によりますと、山崎拓元防衛庁長官がアーミテージ氏を訪ねられたときのくだりがあるんですけれども、そこで山崎氏が携えていたのは防衛庁作成の説明資料で、そこには、全部読みませんが、「我が国としてBMDの開発段階への移行などについて判断を行う可能性があり得る」というふうにあるというわけですね。さらに、山崎氏の指摘によると、いわゆる新中期防の中で予備費的な千五百億円の枠内にTMD開発段階に移行する場合の経費が積んであると言い切っているというふうに記載してございますが、この点はいかがなんですか。

斉藤国務大臣 BMDの御質問でございます。

 早ければ新中期防衛の期間中にも、BMDに係る日米共同技術研究が終了する見込みでございます。そういったこともあり、同期間中に、我が国としてBMDの開発段階等への移行について判断を行う可能性があり得ると考えられるところでございます。その際、BMDシステムの全体構想等の検討も必要となってくると考えられますことから、その場合にも適切に対処できるよう、新中期防においては、弾道ミサイル防衛については、海上配備型上層システムを対象とした日米共同技術研究を引き続き推進するとともに、技術的な実現可能性等について検討の上、必要な措置を講ずるとしたところでございます。

 BMDの開発段階等への移行については、これは別途、改めて政策判断がなされるべきものでございまして、現時点においては、BMDの開発段階等への移行を考えているわけではございません。

今川委員 もう時間がほとんどなくなったのですが、かつてアメリカで、一九八〇年代、レーガン時代に、SDIというとてつもない宇宙軍拡競争のようなものが構想されて、余りにも経費が巨額に上るというので結局やめになったいきさつがあります。このTMDにしても、今は共同研究という段階ですが、これがさらに開発、どれくらいのコストがかかるのか。さらに実戦配備は十五年先とも二十年とも言われていますが、そういう今の日本の周辺、国際情勢にもおよそ見合わないこういうものは即刻やはりやめるべきだということを一言申し上げておきたい。

 それから、今回の五年間にわたる新しい中期防の、全体のことを一々申し上げられませんが、例えば先ほど出た空中給油機の問題、あるいはいきなり一万三千五百トンというとてつもない、一部報道ではいわば軽空母に似たものではないかということも言われていますけれども、いわゆる今の日本の財政需要を十分勘案したものとは言えない、国家財政も地方自治体の財政も極めて厳しい中で、単年度当たり五兆円を超えるような、本当にハイテク兵器にしても在来型の兵器にしても、もっと大胆に縮減をしていく、そういったことが必要だということを申し上げて、もう時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。

川端委員長 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池でございます。

 この一月、大々的な省庁再編が行われました。その際に環境庁が環境省に格上げになったということでございますが、残念ながら今回防衛庁はそのままという形でございます。中には、消防庁と防衛庁は同じではないかと言う方もおられまして、これでは本当の意味の機能が果たせないということで、防衛省への昇格ということをしっかり進めてまいらねばならぬというふうに思っております。

 また、有事法制につきましても、これも延々、議論にもならなかったというか、そこまで至らなかったということは、まさに国家の防衛を議論する以前の話であったというふうに思うわけでございます。

 防衛庁長官にはこの件について御決意を伺おうと思いましたが、どうやら答弁が長そうでございますので、せんだっての所信表明、そのお言葉をそのまま受けとめておきたいと思っております。

 有事の際の防衛、国防、そして平時の際の外交、こういった位置づけができるものかと思います。その意味で、今度は外交について外務大臣の方から幾つか御答弁をちょうだいしたいと存じます。

 まさに外交の部分、インテリジェンスの部分でございますが、それが今機密費の問題で非常に話が何かおかしな方向に行っていることは大変残念なことだと思っております。それだけに、この問題につきましては、早期の調査、そしてそれの公表、さらには今後どうやっていくのかということを早急に整備していかなければならない、若干その調査がおくれているのではないかと思いますが、その進捗状況について、外務大臣から伺います。

荒木副大臣 外務大臣の命を受けまして調査委員会の委員長を私が引き続きまして、外務省として入手可能な資料の調査、関係者からの任意の事情聴取として調査を進めております。特に、どうしてこうした大それた犯行が行われたのか、どういう管理体制であったのか、あるいは省内にそうしたことを手伝う者がいたのかいなかったのか、あるいは供応接待の有無等につきまして、精力的に調査をしております。先般も、供応接待の有無につきまして、六百人以上に対しまして文書等によって照会を行ったところでございます。

 この点につきましては、供応接待の点につきましてはこれまでのところ問題となる事実は見つかっておりませんが、調査を続けておりまして、仮に問題が出れば厳正な措置をとる考えでございます。

小池委員 副大臣もそのまま事務方が用意したものを読まずに、しっかりと自分の言葉でお答えいただきたいと思います。

 先般の記者会見の際にも、副大臣の方も、これでは十分ではないというような言葉をお漏らしになったと聞いております。今の御答弁を伺いましても、これでは本当の意味の調査は出てこないのだなというふうに非常にがっかりするところでございます。もちろん機密でございますから、出せないもの出すべきもの、これを精査すること、そのことがすなわち今後の外務省を通じての機密能力にかかってくるというふうに思うわけでございますので、この点、しっかりと、また早急に国民の抱いております疑念を晴らしていただきたいと考えております。

 野党の方からは機密費についての減額ということも出されているわけでございますが、私は、そのことよりも、しっかりと内容が伴うことをやってほしい。

 例えば、昨年の五月でございますが、与党の幹事長三人がそろって北京を訪問しておられました。そして、その後わかったことは何かと申しますと、北朝鮮の金正日総書記がそのときに、たしか五年か六年ぶりに北京を訪問しておられたわけでございます。その関係で、江沢民主席との会談も三幹事長の予定も変わったということでございますが、知らされたのは後でございました。

 これについて、実際に外務省は前もってそういった動きはわかっていたのか、わからなかったのか。わかっていなかったとは言えないから、ここでは何とも答弁ができないのか、その辺、お答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 そこが外交の非常に難しいところでございまして、どういう言い方をすればいいか、ちょっと考えなければなりませんが、我々はある程度のことは承知をいたしておりました。しかし、中国側からは、このことは外に言ってほしくないという注文もついていたことも事実でございます。

 しかし、北朝鮮のああしたリーダーの移動については、極めて極秘裏になさることが多うございます。しかし、最近に至って、先般、上海を訪問されたときなどは、もうみんな、あ、歩いているというのがわかっていて、しかし、中国側のスポークスマンは、いえ、絶対そういうことはありません、知りませんで通された。そういうものを我々がどこまで協力するかということによって、中国側の日本に対する信頼がまた出てくるという場合もあるわけです。したがって、そこは外交上、どこで公表するかというところはなかなか難しいところがございます。

 ただし、先般の三幹事長御訪中のときには、こういう日程があるので、三幹事長の御訪中に、著しく日程上の問題が生じるというふうには実は承知しておりませんでした。

小池委員 この質問をする際にも、幹事長にその辺は確かめました。後から知らされたということでございました。

 このことを日本の外務省が知らなかったということを外に言ってしまうと、国家機密をばらしてしまうようなものでございますから、御答弁はなかなか難しいということを承知の上でございますが、私の申し上げたいことは、例えばイラン革命をどの時点で我が国政府は知ったのか、そしてせんだっての、昨年でございましたでしょうか、キルギスでの人質事件もございましたね。このあたり、普通の、いわゆるパーティーに出て、外交の中での動きをキャッチするだけでは、これでは十分ではございませんで、あるときにはテロリストともいろいろなコネクションを持たなければいけない。そういう意味で、本当に苦労しておられるところには機密費などというものは行っていないのではないかと私は思ったりもするわけでございます。

 よって、この機密費の問題は、単に額の問題ではなくてその中身の問題、これをもっと真剣に考えるのが我が国の安全を守る、そして有事を予防する最善の方法ではないかというふうに考えるわけでございます。

 古い話でございますけれども、真珠湾の攻撃の前には、ハワイの総領事館に外務省の書記生として赴任していた吉川猛夫という海軍少尉は、真珠湾が望めるところにある春潮楼というのですか、そちらの方にしょっちゅう通って、時には芸者さんを上げて、何をしていたかというと、真珠湾に何曜日にはどういう船が何隻入るかということを常にウオッチして、それを流していた。ですから、この領収書が出てきたときに芸者さんを何人上げたなんというと、これは多分今の御時世では何をやっているんだということになるかもしれません。その意味で、非常にこれは難しいことも承知いたしております。

 この今の例は、余りしっかりやり過ぎちゃったがために、あと五十年、六十年、我が国は大変大きな痛手といいましょうかマイナスをこうむったということでございますし、また、中には、最近、昨年出た本の中には、実はそのこともアメリカは十分知っていたなどということも出ているわけでございます。

 そういった意味で、安全保障、この一環としての機密、インテリジェンスの強化をむしろ私は主張申し上げて、そして、そのためにも、一刻も早くこの問題を明確に国民に知らせ、改めるべきところはしっかりと改めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

川端委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会




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