衆議院

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第9号 平成13年6月28日(木曜日)

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平成十三年六月二十八日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 石破  茂君 理事 園田 博之君

   理事 浜田 靖一君 理事 水野 賢一君

   理事 高木 義明君 理事 渡辺  周君

   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君

      岩屋  毅君    臼井日出男君

      嘉数 知賢君    瓦   力君

      下地 幹郎君    中山 利生君

      平沢 勝栄君    吉川 貴盛君

      米田 建三君    伊藤 英成君

      加藤 公一君    今野  東君

      首藤 信彦君    末松 義規君

      河合 正智君    児玉 健次君

      今川 正美君    小池百合子君

      粟屋 敏信君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   防衛庁長官政務官     平沢 勝栄君

   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十八日

 辞任         補欠選任

  小林 憲司君     加藤 公一君

  赤嶺 政賢君     児玉 健次君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 公一君     小林 憲司君

  児玉 健次君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 閉会中審査に関する件

 国の安全保障に関する件




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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。

伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。

 まず、外務大臣にお伺いいたしますけれども、先般、日米外相会談もいろいろと御苦労さまでございました。この外相会談で、幾つか私から見ても注目すべき発言といいましょうか、そんな話もあったんだ、こう思うんです。

 まず最初にお伺いしたいのは、パウエル国務長官との会談の際に、日米安保体制の発足から五十年を迎えたことに触れながら、受益と負担について考え直す折り返し点にしたいという話をされたわけでありますが、そういうふうに報道もされたりしているんですが、この受益と負担というのは、どういう受益であり、どういう負担ということを考えてそういうふうに言われたのか、そしてまた、それを考え直すというのは、どういうふうに考え直すということなのか、その辺の意味及び外務大臣としての考え方をお伺いをいたします。

田中国務大臣 お答えいたします。

 十八日のパウエル長官との会談で、受益と負担という言い方をしましたのは、根本には私の政治家としての考えがありまして、それはアメリカと日本の関係だけではありませんで、日本人として、例えば税制の問題、財政再建を目指しておりますけれども、そうした問題。それから社会保障制度もそうですし、それから安全保障、このように私は言っておりまして、安全保障の面におきましても、ちょうど日米安保ができ上がって五十年の折り返し点でもありますので、私たち日本人が、国民が一人一人、自分の国を守るというのはどういうことであるのか、世界に貢献するというのはどういうことであるか、そういうことについて、どのような負担をし、どのような受益があるかというふうなことを、一人一人の心の持ちようとしてしっかりと考えなければいけない。そういうふうな日本人として折り返し点に来ているのだという意味で申しました。

 ただ単に、ですから、日米安全保障にしましても、こういうものだというふうに簡単に思い込んだり、あるいは何でも反発するのではなくて、一人一人が自分の問題として、受益と負担がどのようなことにあるかということを考えるべきときに来ているというふうに思うということを、私が一般論としてといいますか、冒頭に、自分の方の意見として申しました。

伊藤(英)委員 実は、私はこの言葉を聞いたときに、ある意味では私も非常に重要な視点だ、こう思っているんですよ。それは、例えば日米安保条約そのものにしても、あるいは在日米軍基地の問題にしてもなんですが、ある意味では、政府が国民に対してどれだけ本当にしっかりとその意味を説明しているかということについて言いますと、ある意味それは、いい面あるいは問題の点ということも含めてなんですが、どれだけしっかりと説明をしているかということについては、私は非常に疑問だと思っているんですよ。

 そういうような意味でも、本当に、例えば日本から見ての受益というのは一体何なんだろうかということをしっかりと考える、話はね。そしてまた、では、その負担というのは一体どういうことなんだろうか、そして、それを見直すというのは何をするんだろうかということを考えなければなりませんね。私は、この言葉を報道で聞いたときに、例えば税制、税制もあるかもしれません、しかし、もうちょっと、この辺の平和なりあるいは安全保障という問題を考えたときに、日本が考えなければならぬことは本当にあるんではないかということを思うんですね。多分そういうことも非常に思われたんだと私は思うんですよ。その辺はどうですか。

田中国務大臣 はい、そのとおりです。

伊藤(英)委員 では、具体的にどういうことですか。

田中国務大臣 例えば、日米安全保障で双務性、片務性というふうなことが言われておりますけれども、現在は日本が基地やらあらゆるものを提供し、沖縄は一番集中的に、そこに一極集中しておりますけれども、そういうこと。それからまた、アメリカが今回も、例えば象徴的なケースがミサイルディフェンスのこれは構想で、まだ研究の端緒についたばかりでありますから、まだこれ以上進んでおりませんし、日本もそれ以上コミットするとは一切決めてもおりません。

 でありますけれども、本当にこの日本を取り巻く環境の中で、どのような形でもって自分の国の安全、今おっしゃったような平和を確保するのかということを国民の皆様が一人一人の問題として考えてくださる、それを集約して、収れんしていくのが民主的な政治の運営の仕方であるという意味でございます。

伊藤(英)委員 では、もう一つ伺いますが、先般やはりワシントンに行かれていたときに、いわゆるアーミテージ・レポートについての評価ということについて、まあ評価される趣旨のお話をされたと思うんですが、どういう部分を考えて評価されたんでしょうか。

田中国務大臣 これに関しましては、例えば具体的には沖縄県民の負担の軽減、これが不可欠であるという部分が述べてあります。それが私は一番強く感じていることでございますし、それから二つ目は、海兵隊の柔軟な展開及び訓練の選択肢を検討すべきであるというような指摘もございますので、こういうことがまさしく、私ども政府、また私個人といたしましても考えることに合致するということを述べました。

伊藤(英)委員 最近のブッシュ政権の新しい外交政策あるいは安保政策、あるいは国防長官のスピーチあるいは発言もそうである、そしてまた、いわば東アジア外交、東アジアを重視するといいましょうかね、そういう方向に非常に動いていると私は思うんです。そういう動きについてどう考えますか。

田中国務大臣 いろいろな面からのとらえ方があるというふうに思いますけれども、中国につきましては、戦略的な競争相手と位置づけておられます。戦略的な競争相手。同時に、中国との良好な協力関係の維持発展に努めるということも基本にあるというふうに考えます。そういうふうな、また発表もございます。

 北朝鮮に関しましては、日米韓三国の協調体制は変わらない、このことはあらゆる意味でもって、日米韓、地政学上、私どもも北朝鮮の問題も考えましても、日米韓の協調というものは大変重要であるというふうに私も認識いたしております。

 それから、日米同盟がその基本に、もっと強固にしていかなければいけない、強固というのは、もうやはり五十年たっておりますから、安保の先ほど言ったような面の見直しも勘案しながら、さらに新しい、より建設的な日米関係を構築するということが今後の東アジアの戦略につながるというふうに考えます。

伊藤(英)委員 今言われた日米安保条約、あるいは日米同盟ということを含めて、日米安保条約の見直しというような話も今された、こう思うんですが、どういうふうにすることを考えて今言われましたか。

田中国務大臣 ですから、このありようについては、憲法問題ももちろんございますから、それについては以前ほかの委員会等でもお答え申し上げておりますけれども、衆参両院で憲法調査会もありますから、そこで議論もされております。

 それからもう一点は、アメリカからの一種の、国防大学で編さんされた例のアーミテージ・レポートの中にもいろいろなものが書き込まれております。私が先ほど申し上げたこと以外もありますけれども、私は先ほどの二点がよいと思っておりますけれども、そういうふうなことについて前広に検討していくということが大事だと思います。

 そしてまた、十八日のパウエルさんとの話し合いの中でも、アーミテージさんは陪席して、わきで発言する立場にはありませんでしたけれども、このレポートについて私が触れましたときに、パウエルさんがちょっと促されて、そこで、自分の書いたものを褒めてもらって大変光栄だけれども、これは日本人が、日本の皆さんが考えるべき問題を自分なりにまとめたものだということをおっしゃいました。

伊藤(英)委員 そうです。けさもテレビでも、アーミテージが話をされているのがニュースで放映されていました。日本自身が考えること、だから私は伺ったわけです。外務大臣として、現在の日米安保条約の見直しも必要だよという趣旨の話を私はされたと思うんですね。

 そして、先ほどブッシュ政権のいわば二つの、二正面作戦から、明確な形がどうなるか知りませんが、少なくともアジア、東アジア重視の政策になっていく。

 それは、なぜそういうふうになっていくかといいますと、この辺はいろいろな危機が予想されるから、あるいは可能性は結構あるからということですよね。そのためにと、こういうふうな考え方を今アメリカ政府はとろうとしているのだと私は思うのです。

 それが本当にいいかどうかというのは、いろいろな意見があると私は思うのですよ。だから私は申し上げるのですが、外務大臣は、そうしたアメリカの現在の考え方に対して、どういうように思い、そして、外務大臣はそれに対して、では、日米安保条約も含めて、この辺の見直しをすることの意味を、あるいはそのことについての評価をさっきは言われたと思うのですよ。だから、外務大臣はどういうふうにしたいのですか、どういうふうにした方がいいと考えられるのですかと。

田中国務大臣 日米同盟が基軸であるということはもう何度も、再三申し上げたとおりでございます。しかし、それをより効果的に運用するためにはどのようにすればいいかと。

 その前に、やはり日本人一人一人が、国会議員はもちろん、閣内はもちろんですけれども、もう一度原点に立ち返りまして、受益と負担、要するに、日米安保ができた五十年前とはまた違っておりますから、あらゆる客観情勢も違っています、世代も入れかわってもいますので、したがって、受益と負担について一人一人が考え、それを前広にこの国会の場で議論をしていく、それをやはり収れんしていくのが内閣の責任だろうというふうに思っております。

伊藤(英)委員 もう一度伺います。

 では、先ほどの受益と負担、負担の部分について、どういうふうに今問題だなと、だからどういうふうに、どういう方向に持っていくといいなというふうに、どう思っていらっしゃるのですか。

田中国務大臣 ですから、私が考えておりますことは、先ほど申しましたけれども、たまたまアーミテージ・レポートに掲げていますように、沖縄の負担の軽減、このためにいろいろなプロポーザルをしなければいけないし、また現実に、過去の政権においても、また、この小泉内閣も考えておるというふうに思います。

 それから、あとは、SACOにあることもいろいろございますけれども、一番は、海兵隊の、すぐに縮小とかなくすということは不可能だと思いますから、この地域が抱えている、先ほど委員がおっしゃったような状況を勘案すればそれは不可能ですけれども、訓練の一部の移転、そういうことも具体的に申しました。

伊藤(英)委員 次のテーマに移りますけれども、今、私は、この辺の外交あるいは安全保障ということを考えたときに、やはり日米関係をどうするのか、そしてもう一つの方は、日中関係をどうするのか、どういうふうにそれぞれの良好な関係をつくり上げるかという話は、少なくともこの東アジアということを考えたときに、最も重要な視点だと思うのですね。

 中国との関係で伺いたいのですが、今、いわゆるセーフガード、この間、日本が三品目についての暫定措置ということをいたしました。そして、今回の中国の三品目に対する一〇〇%の特別関税、これは私は報復措置である、こう思うのですね。

 まず一つ、これは報復措置とみなしていますか。

田中国務大臣 そのような、こういう今の中国の、自動車それからエアコン、携帯電話等ですけれども、これの日本の、こうした我が国の三品だけを対象としたような、差別的な関税措置であるというふうに私は考えております。これは差別的なものであるというふうに考えております。(伊藤(英)委員「報復措置」と呼ぶ)報復かどうかは先方に聞いてみないとわかりませんけれども、差別的なものであるというふうに思っております。

伊藤(英)委員 外務大臣は、あれは報復措置だというふうには受けとめていないという意味でしょうかね。

田中国務大臣 まあ対抗措置であるといいますか、報復という言葉がぴったり合うかどうかはわかりません。

伊藤(英)委員 外務大臣としての見方はそういうことですね。

 それで、この問題は、今他のいろいろな問題も日中間にはあるわけでありますが、私は非常に残念な状況だと思いますね。

 我が日本は、まさに自由貿易の恩恵を最も受けてきて、今日のようにいわば発展してきた、こういう国だと思うのですね。WTO等々、世界の貿易関係をいかに良好に持っていくかということについて、最も真剣に考えている国の一つだと私は思うのですよ。

 現在の日中のこのセーフガードの問題について、外務大臣は、今の状況についてどういうふうに認識をされて、外務大臣として、この日中関係をよくするためにも、あるいはこの自由貿易ということを標榜する日本としても、こういう貿易関係をよくするためにも、どうすべきだと思われ、具体的に何をされていますか。

田中国務大臣 現在、この問題につきましては、当然のことながら、関係省庁とも十二分に協議もいたしております。

 そして、中国側とよく話し合いをしながら、早期に解決し、日本の立場、主張をよくわかっているように外交努力を積み重ねていきたい、かように考えております。

伊藤(英)委員 外務大臣としてはどうされているのですか。

田中国務大臣 通産大臣と、例えば閣議の後とか、具体的に話し合いをいたしております。

 ちゃんと言わないで済みません。

伊藤(英)委員 外務大臣としては、私は、中国当局に対してもあるのだ、こう思いますが、そういう中国に対して具体的にアクションをとっているのか、とらないのか、それから、経済産業大臣の方にはどういうふうに、どういう内容の主張をされていらっしゃるのですか。

田中国務大臣 ですから、中国によるこうした対抗措置というものは受け入れられないので、もっと通産省も、通産でなくて経済産業省も御努力いただきたい。そして、内閣として早く、総合的に、一本的な申し入れを、一本化したものを中国側に伝えるようにしたい。このように申し上げております。

伊藤(英)委員 この辺の解決のめどといいましょうか、どんなふうに持っていきたいですか。

田中国務大臣 できるだけ早くと思っております。

伊藤(英)委員 事は、私は非常に重大な問題と思いますので、本当にこれ以上申し上げませんが、まさに外務省も、日中関係がどんなに重要か、こう思えば、そしてまた、自由貿易体制をいかに守るかという話がどんなに重要かということを思えば、本当に命がけぐらいの感じで真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、防衛庁長官、長官も先般ワシントンへ行かれて、いろいろと議論をされてきたわけでございますが、まず、ミサイル防衛構想の問題についてなんですが、ワシントンに行かれて、新たに、新しくといいましょうか、いろいろと詳しく聞かれたと思うのですね。

 そこで、改めて聞くのですが、あちらで防衛庁長官が、日本が主体的に運用する弾道ミサイル防衛システム云々ということで発言をされて、その主体的に運用する弾道ミサイル防衛システムというのは、その探知から発射に至るまで、独自の情報を入手し、日本の判断において発射するものである云々と答えられていらっしゃいますね。

 そこで伺うのですが、独自の情報を入手しというのは、これはどういうふうに独自の情報を入手するということを思って発言されていらっしゃいますか。

中谷国務大臣 私の発言についてですけれども、この発言をする前に、仮にという言葉をつけておりますし、開発、配備につきましてはその都度判断するということも申し述べております。

 なぜこの発言をしたかといいますと、首脳会談に臨む前に国防省のBMD局でミサイル防衛構想の概略の説明を受けまして、将来に対して、米国には、いわゆる三段階、ブースターフェーズ、ミッドコース、ターミナルフェーズという三段階で直撃によるミサイルを落とす、非常にミサイルの種類がふえたということで、特にブースターフェーズ段階の直接レーザー光線等も検討した対処を考えております。

 そうなりますと、現在日本が日米間で行っているBMDの研究について我が国の立場を説明しておくべきであると考えまして、現在行っている弾道ミサイル防衛のBMDにつきましては、今から三年前の平成十年に官房長官談話がございまして、我が国の行うBMDシステムは、我が国国民の生命財産を守るための純粋に防御的な、かつ他に代替手段のない唯一の手段であることを踏まえれば、BMDシステムに関して我が国が主体的に取り組んでいくことは、国会決議の趣旨、当時、テポドンミサイルが飛んでまいりまして国会で決議をしたばかりでございまして、我が国の国民の安全確保のためのあらゆる措置をとるということに基づく研究開発でございますので、当然、我が国自体でこのミサイルに対処しようというのがこの趣旨でございますので、主体的に、すべて日本が自己完結で行うようにするためだという趣旨で申し上げたわけでございます。

伊藤(英)委員 今言われたのは、私の理解不足なのかもしれませんが、ちょっと私はよくわからないなという気がしているんです。

 主体的に運営をするということなんですけれども、そしてまた、先ほどの防衛庁長官の発言を引用すれば、独自の情報を入手して、そして日本の判断において発射する云々という話をされていますね。日本の判断において発射する。どこから発射することを考えられるのかな、どこへ飛んでいくものを撃ち落とそう、それをどこから撃とうとするのかな、これはどういうふうに考えますか。

中谷国務大臣 これは研究を開始する前の、研究の性格について述べたものでございまして、開発段階また運用段階が将来ございますから、具体的にはここで、どういう方法でという時点につきましては、開発段階で新たに検討されるということで、現時点におきましてはそのことにつきましての具体的な判断はいたしておりません。

伊藤(英)委員 実は、今長官がおっしゃった話はそのまま、私の理解では、これからもちろん研究等をどういうふうに進めていくか、あるいはその段階の次の開発段階もどうなるかという話にも関係するんだと私は思うんですが、いわば日本が主体的にできる部分もそれはあるかもしれないな、しかし多分、かなりの部分はそうじゃなくて、いわばこのミサイル防衛網システム全体の中でどういうふうになるかということですよね、きっと。そこの連携いかんの、連携いかんといいましょうか、日本ができることは案外限られているかもしれない、主体的に云々という話は、ということではないだろうかと私は推測するんですよ。これは、ひょっとしたら誤ったメッセージを国民にも与えることになる表現ではないかと私は心配するんですが、そう思われませんか。

中谷国務大臣 そういうことに対しましては、情報の入手につきましては、あらゆる国からの情報を入手して判断するわけでございますので、他国からの情報提供を排除するものではございません。

伊藤(英)委員 いや、僕が言っているのは、情報は日本独自のものもあるでしょう、あるいはほかの国からのものもあるでしょう、そしてその情報をもとにしてどういうふうに実際に運用するのかといったときに、主体的に主体的にというふうにできる部分もあるでしょうが、そうでない部分が本当はかなり大きいんだろうな、そういう意味でもうちょっと、ひょっとしたら、これもまたさらに言えば、今後のいろいろ研究のいかん、それからどういうふうに結果として、これはもっと先の話でしょうが配備するんだろうか、どういうシステムをつくり上げるかということにもよるんだろう、こう思うんですが、だからこそ余り断定的な形で主体的に云々というふうに言うことについては、ちょっと注意をされた方がよくないかなと私なんかは思うんですが、そういう気はいたしませんかということです。

中谷国務大臣 米国自体のミサイルディフェンスの構想等が非常に科学技術に合わせて進んできておりますが、現時点における我が国の研究段階におきましての位置づけは、平成十年の内閣官房長官の内閣を代表する方針に変わりはないという趣旨でございます。

 したがいまして、いかなる状況にあっても我が国としては国家国民の生命財産を守っていくための手段を持ち得なければなりませんので、万が一、他国からの情報が入らない場合でも我が国の国民を守る必要がございますので、そういう意味で、主体的に運用するということを言っております。

 ただし、総合的によりよい手段で国民を守るということは必要でございますので、他国からの情報提供を排除するものではないという点は、私もそう思うわけでございます。

伊藤(英)委員 これ以上きょうは申し上げませんが、ぜひ、本当に実際にどうするんだ、どうなるんだろうかというようなことは思いながら、余り誤ったメッセージを国民に与えない方がいいということも思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それから、先般ワシントンで、沖縄の海兵隊の海外移転問題について、ジョーンズ海兵隊総司令官から、島の外での訓練も高めていって云々という話をされたりしておりますね。これはどういうところでこれから議論をすることになるんだろうか、この問題について。どの場で議論することになるんでしょうかということが一つと、それから、これと関係があるのかどうか知りませんが、防衛庁長官から提起をして、いわば審議官級の意見交換の場を提起されたですね。これはどういう構想でやるのか、どういうメンバーでやろうとするのか、そして、さっき言った海兵隊の海外移転等の問題についてもこの場で議論することになるのかどうか、その辺はどうですか。

中谷国務大臣 沖縄の海兵隊の訓練移転につきましては、私の訪米の前に、田中外務大臣が日米外相会談におきましてパウエル国務長官に言及のあったことがございましたので、それを受けまして、その会談でもお話がありましたけれども、海兵隊の一部訓練の移転について、国防省でも軍事的見地から検討していただきたいという旨を発言いたしましたところ、ジョーンズ海兵隊司令官が、現在でも沖縄島外の訓練の比重を高めることをしている、現実に砲弾訓練とか海外訓練をふやしていますけれども、今後ともそれは高まっていくことになるだろうというふうに述べられまして、現在国防省内でも真摯にその件については検討しているなという印象を受けたわけでございます。

 そして、審議官級の意見の交換の場を提案いたしたわけでございますが、これの趣旨は、アメリカも国防見直しをやっていますし、我が国もあり方検討をやるわけでございますので、ラムズフェルド氏が強調されました、もう冷戦の時代じゃないんだ、これからは新たな脅威に備える必要があるし、新しい二十一世紀の軍隊を米国はつくっていくんだということに対して、我が国も、そういう戦略的な面、また技術的な面において日米間でよく協議をするために、両省間で話し合いの場を持つべきではないかという提案をしたわけでございますので、日米の装備体系のあり方、日米の役割分担のあり方、情報分野等につきまして、審議官級をヘッドとして、制服サイドも参加をして、より日米関係を強化していこうという趣旨でございまして、この点につきましても、非常にいい考えだということで意見の一致を見たわけでございます。

伊藤(英)委員 メンバーは防衛庁だけになるのですか、あるいは外務省も入るのですか。その辺の考え方はどうなっているのですか。

中谷国務大臣 今のところは、安全保障につきましては、2プラス2という協議の場がございます。それに対して、外務省も次官級の話し合いの場を設けようということをお話しされているようですけれども、私からの提案は、防衛庁と米国防省の審議官級をヘッドとして制服サイドも参加させるという提案でございます。

伊藤(英)委員 時間が来ましたけれども、最後に外務大臣、ちょっとお伺いいたしますが、きょうの新聞に、外務省の人事について再び凍結云々という話が出たりしておりますね。

 外務省の人事の問題については、外務委員会でもほかのところでも出たりしたと思うのですが、要するに、外交政策をどういうふうに展開していくかという意味においても非常に重大な問題である、私はこう思うのですが、本日報道されております人事再び凍結云々という話について、外務大臣の思いといいましょうかね、外務大臣はどういう今の問題意識、どういう思いでこういう状況になっているのか、今後どうしようとされているのか、その辺について伺います。

田中国務大臣 新聞にあるような再凍結とかいうことではございませんで、五月八日の日に凍結をしたままでございます。

 ただし、六月四日の日に、アグレマンをとってある大使、それから退任をする方とかおられますので、そういう方たちを、合計二十六人につきましてはもう早速異動もいたしましたし、宮中での内奏にも私は立ち会っております。

 したがって、そういうふうに既に決まったものはございますけれども、それ以外のものは五月八日のままでございます。

伊藤(英)委員 私が申し上げたのは、今後どうされるおつもりでございますか、今後の予定は。外務大臣の考え方も含めて、お話しいただければと思います。

田中国務大臣 いろいろな事件もあった後でもございますけれども、事務次官以下の人事につきましては、総合的に、関係の方とも御相談をしながら進めてまいります。

伊藤(英)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

川端委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 私からはまず、時間もございますので、北海道でのF4戦闘機の誤射事件につきまして、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思うわけでございます。

 この事件の概要等は、連日報道されておりますので、あえてここでは時間の関係で省略をいたしますけれども、いろいろな報道の中に、見てまいりますと、以前からトラブルがたびたび報告されていたと。これは、当初は人為的なミスではなかったのかというのが、どうも電気系統によることで結論づけられました。これは、問題なかったはずだというようなことが言われながらも、なぜこんな、本当に大きな事故に一つ間違えればつながりかねないことが起きたのか。不幸中の幸いであったわけでございますけれども、これまでも、こういう何らかのトラブルがたびたび報道にあるように報告されていたのかどうか。あったとするのであれば、どのような形で行われてどう対処してきたのかということについて、まずちょっとそこの事実関係を確認したいと思います。

中谷国務大臣 今回のような事故はあってはならないことでございまして、事実そういう事故が起こってしまったことに対しまして、関係自治体並びに被害を受けられた方々、周辺住民の方々に、心からおわびを申す次第でございます。

 過去にもこういう事例があったかどうかという問いでございますが、自衛隊機が今回のように射撃場で誤発射を起こして民間への被害を与えた事案は今までないというふうに承知をしておりますが、過去、誤発射の事例といたしましては、昭和五十三年に、三沢基地のF1が空対地ロケットポッドを誤発射により落下させた、いわゆる発射装置が落ちたわけでございますが、この件につきましては、投棄方法の再教育と海上における操作の徹底をいたしました。

 また、昭和六十年に、同じく三沢基地のF1が、三沢対地射撃射爆場で機関砲射撃中に、機器の動作不良により、トリガーを切った、いわゆる引き金を引いた後も引き続き発射した例がありまして、この件につきましては、ふぐあい機材の交換をし、点検を徹底いたしました。

 平成七年には、小松基地のF15が編隊で要撃戦闘訓練中、模擬攻撃機からミサイルが過って発射をされまして、相手機の後部に命中して、事故機は海上に墜落した事例がございますが、このときにも、安全装置の付加、操作手順の再教育等を行ってきた、こういう事例がございます。

渡辺(周)委員 過去の事例はもう新聞等にも載っておるわけで、そんなのは承知でございまして、それをあえて大臣にここで御答弁いただく、そうじゃなくて、いろいろ何か、例えば沖縄から北海道に移動する気温差によって機内の結露によるトラブルが起きて、訓練中にレーダー画面が映らなくなったり、電気が流れて機器が作動したりしたことが過去にもあったということなんですが、こういうことが実際報告されて、もっと言えば、要は、これだけの最新鋭の戦闘機が、沖縄から北海道に移動してきただけでこんなミスが起こるのでは、とてもじゃないけれども私は国なんか守れないんじゃないだろうか。もっと言えば、不良品、欠陥品を今までこんなに大事に使っていたのかと思うわけでございますけれども、過去にこういうことについての何らかの報告は上がっていなかったのかどうか、そこの点を私はお尋ねしたのです。

中谷国務大臣 現在のところ、そのような話が運用局には上がってないということでありますし、私も、そういう話を聞きましたのは初めてでございます。

渡辺(周)委員 だとすれば、この一回生まれた不信感というものを払拭するには大変な時間がかかると思いますが、例えば周辺住民の方々、周辺議会、地元議会からは、徹底した安全確保という、我々の党からも申し入れをもちろんしておりますし、地元市議会からも、例えば演習区域の見直し決議案等々が提出されて、可決されるんじゃないかというようなこともあります。

 当然、ここに関係する方々にしてみれば、一つ間違えば本当に人命にかかわっていたことで、たまたま人がいなかったということの偶然性だけでございまして、実際にこういう問題が起きて、必ずそうなんですけれども、いろいろな部品が劣化していたとか、いろいろ構造上問題があったとかということが出るのですが、これをもう一度再点検して、ある程度本当に納得いく形でもう一回訓練を始めるにはかなりの時間を要さなければならないと思うのですが、今後どのようにしていかれるおつもりなのか、その点について大臣の見解をお尋ねいたします。

中谷国務大臣 防衛庁といたしましては、今回の事故を非常に重大なものだと受けとめまして、特に装備、また点検、製造段階でのあり方を総点検するように指示をいたしておりますし、陸海空自衛隊に対しましても、現在使っている装備品の信頼性、安全性が十分に確保されるよう、製造から運用段階に至るすべての段階において点検をするように指示をいたしております。

渡辺(周)委員 そうだとすると、当然、製造段階からというと、これはかなり時間がかかると思います。これはかなり専門的な方々に入っていただかないと、通り一遍の今おっしゃった点検なんということでは、また第二、第三の同じようなトラブルが発生しかねない。

 報道の記事ですから、どなたがどう取材されたかわかりませんけれども、過去にこういうことはもうあってもおかしくないようなことがどうも言われているというわけでございます。例えばこの周辺でこういうことが起きますと、これまでは幾つかありましたけれども、例えばこれが日本海の上空であったとか、誤って同じ僚機を撃ってしまったとかありましたけれども、ここはもう極めて住宅地に近いところということで、これは今後、例えば同様の訓練を始めるとなれば、地域住民の方々に理解をもらうには大変時間がかかるでありましょうし、その間、訓練は中止されるというようなことでございますが、再開までどれぐらいの時間を見込むのか。当然、その先には、例えば訓練の代替地といいましょうか、演習区域の見直し、演習地の見直しということも将来は検討に入ってくるんじゃないかと思いますが、その点についてはどう現状を考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

中谷国務大臣 再発防止に関しましては、部内のみならず、各界の有識者の方々のお力をかりてやっていかなければならないというふうに思っております。

 今後の再開につきましては、現在、航空自衛隊全機について、弾薬、ミサイル等を搭載しての訓練をすべて中止をいたしておりますが、今後、再開の時期につきましては、今回のような事故が二度と発生しないような対策を講じまして、地元の皆様方が御理解いただき、不安が払拭されるような説明をする必要がございますので、その段階で再開をする必要があるというふうに思っております。

渡辺(周)委員 そうしますと、各界の有識者というお話がありましたけれども、例えばこれは内輪で点検をやって、まあ何となく時間を稼いで、これでもう大体いいだろうというふうなことでやるんじゃなくて、本当にこれはある程度、ただこれは構造上の機密性もありますから、それを何でもかんでも私はもちろん表へ出せとは申しませんけれども、ただ、そういう構造上の機密性の部分も含めても、やはり今回のことについて、なぜ誤射が起きたのか、なぜこういうことを今まで、もしかしたらこれは非常に構造的な問題だとすれば、そういうことに注意して、もうちょっと神経質に本来なら点検整備というものをするべきだったんじゃなかったのかなと思うわけですが、何らかの形で、では報告書のような形で、報告を外部の力もかりて出されるということでよろしいんですか。

中谷国務大臣 現時点におきましては、航空調査隊の総力を挙げて原因究明をいたしておりまして、もちろん中間段階での発表もいたしますし、最終時点での発表もするわけでございます。

 しかし、二度とこういうことは、あれば国民の皆様方の信頼はないわけでございますので、再発防止のためにありとあらゆる努力をしてまいりたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 同じような質問を何度もしてもあれでございますけれども、さらにもう一回確認ですが、そうすると、訓練は当面はしばらくは中止せざるを得ない、これはいつ再開するかは全くめどが立たないということで理解していいのか。

 それから、ちょっとまだ答弁いただいていないんですが、まだこの射撃訓練に関しては、同様の土地で、理解さえ得られれば同様のこの場所で続けたい、あるいは、将来的には別の、例えば海上であるとか、諸条件を勘案して、例えば海上での訓練を将来検討するとか、そこまで考えていらっしゃるかどうか、その点、もう一度確認したいと思います。

中谷国務大臣 今回の事件を受けまして、現在、航空自衛隊の任務といたしましては、我が国を防衛する必要上、戦闘機部隊の能力の維持向上のために訓練をしていくという必要はございます。

 この訓練場は、現在、日本に二カ所しかございませんで、三沢の対地射爆訓練場と当地の北海道島松射撃場の二カ所でございますが、この島松射爆場は、非常に住宅がふえて、以前のような訓練環境にはないということは私も考えておりますので、この射爆訓練につきましては、このような事故が起こらないという対策を講じまして、そして地元の皆様方にも十二分に説明をした後、今後どのような形で訓練をすれば安全になるかという点につきまして部内で鋭意検討はする必要があるというふうに思っております。

渡辺(周)委員 もう本当にこの連日の報道の中で、とにかくこの訓練が再開された後のやはり不安というものを持って、せっかく今日まで、もちろんもともとは原野であったでありましょうけれども、そこに時代の流れとともに住宅が建ち、密集するようになり、周辺の生活環境というものが非常にだんだん高度化してきた中で、今後どのように共存していくかというのは、この北海道の問題だけでなく、いろいろな部分において重なってくる問題だと思うんです。

 正直申し上げて、例えば、余談ですが、私の選挙区は、静岡の第六区というところは東富士の演習場がございまして、ここは火力演習を実際行うところでもございまして、もちろん場所は全然住宅地からかなり離れてはおりますけれども、しかし、これは何日間かに分けて大勢の方々が実際演習を見に来るところでございまして、頭の上を本当に実弾を積んだ戦闘機が飛んできたり、戦車隊が実際に実弾を撃つわけでございます。

 ある意味では、共存する、理解を得るためには、一回何かあったら信頼は必ずもうそれで終わってしまう。その点について、今回のことの、もしこれが非常に初歩的なミスといいましょうか、非常におざなりの点検整備をしたことによって何らかのトラブルが放置されてきたということであるならば、これは大変な責任だと思いますので、ぜひともその点について厳しくこれは続けていただきたい。そして、国防上のいろいろなさまざまな現実は承知の上でありますけれども、やはり納得がいくところまでやっていただいて、その上で、やはりここで地域の方に理解をいただくような、そしてまた今後の次善の策を考えながら進めていただきたいなというふうに思うわけであります。

 それでは、質問も変えまして、残りの時間の中で、先ほど伊藤委員の質問にもございました訪米について質問を移したいと思います。

 先ほどございましたミサイル防衛ですが、このミサイル防衛についての主体的運用ということの真意については、先ほど長官御発言がございました。この点につきまして、外務大臣、アメリカへ防衛庁長官の訪米前に行かれて、このミサイル防衛についてはいろいろ意見交換されたと思いますが、今回の、その後の中谷長官の訪米におけるこの発言につきまして、訪米前に総理と長官、それから外務大臣と、外交、防衛問題については六月の八日と六月の十一日、二回にわたって意見の、意思疎通といいましょうか、すり合わせをしたということでございますが、そういうある程度の一連の流れの中で、外務大臣が行かれて、防衛庁長官が行かれて、この発言だったのかということ。そしてまた明後日、またこれで総理が三十日に訪米されるわけでありますけれども、この発言について支持されるのかどうかということについて大臣のお考えを聞きたい。

 というのは、大臣が、何か一キロ先の蚊を落とすような、何かミサイルの非常に実効性については疑念を持っているというふうな発言があったとかないとか出ているわけでございますが、これは私ども非常に率直な感想だろうと思うんです。

 私も、民主党で、二年ほど前にアーミテージさんにワシントンでお会いしたときに、話を聞いていて、向こうから撃ってきたピストルの弾をこっちからピストルを撃ってたたき落とすようなものだと、非常に非現実的なイメージを我々は持ったわけでありまして、そういう御発言もあったのでありますが、ある意味では、今回の中谷長官のアメリカでのミサイル防衛の発言、我が国の主体的運用ということについて、外務大臣どのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

田中国務大臣 パウエル長官との、先ほど言った十八日でしたか十六でしたかのアメリカでのこの間の話し合いの中で確認したこと、それから、行く前に総理とそれから中谷長官と私の三人で話したことについて申し上げますけれども、まず私どもが私の渡米前に話をしたことは、やはり幾つかの無責任な国家というものが地球上に存在していますので、そういう中でもって核兵器を一層削減するという意味において、これはミサイル防衛構想というものは私たちは理解ができるし、その研究というものには少し協力できるということを確認いたしました。同様なことをパウエル長官にも申し上げました。

 そして、私が、今その蚊の話をおっしゃったのは、その弾をまたピストルで撃つということも言われましたけれども、そういうことも言えますし、技術の難易度といいますか、技術開発、研究を私たちもともにさせていただくけれども、その難しさは、一キロメートル先を飛んでいる蚊の右目あるいは左目をねらって撃つぐらいの技術が、開発が進まないとできないのではないかと思うけれどもという話を、例え話で私がいたしまして、ですから、そういう意味において、ミサイルは蚊とはもちろん違うというふうに冗談で、もちろんわかりながらおっしゃっていたわけですけれども、だからこれは技術的にはえらく時間もかかるし、大変なことだろうというニュアンスのことを先方もおっしゃって、きょう言って、あしたできることではないということなんですね。すなわち、ですから開発、その研究というものについて、私たちは理解も示すと。出資もしております。

 しかし、この後は、今度は中谷長官が行かれてからの話、今委員が御疑念の点に行きますけれども、これを今度は本当に開発をして配備をするということまでは、まだ時間もかかるし、そこまでは私たちはコミットするとも何とも言っておりません、まだ決めていないということでございますから。防衛庁長官と私どもの内閣での意見も一致をいたしておりまして、何らそごは生じておりません。

渡辺(周)委員 防衛庁長官、仮に我が国が弾道ミサイル防衛システムを保有する場合というふうに発言された、先ほど伊藤委員の質問の中の御答弁にもありましたけれども、そのときの模様を専門家の方ですとか新聞等々がいろいろ解説をするわけでありますが、いろいろなとり方がございまして、これはある意味では一線を画すというえんきょくな意思のあらわれである。つまり、もし万が一持つことになっても、日本は米国の関与なくしてでもやるんだ。だから、今回のアメリカ側の構想には、日本としては今、乗る現状判断がないではないというふうに言ったのか。あるいは、もう正直、共同研究から一歩踏み込んだ、保有への積極姿勢ということを踏み込んでしまったのじゃないか。いろいろなとり方がございまして、そして専門家の解説とか、社によってはいろいろな新聞記事等も、先ほども疑念が伊藤委員からも呈されましたけれども、どうにでもとれる、いろいろなとり方がされているわけであります。

 この点について、共同研究から踏み込んだ保有への積極姿勢ということで、大臣に、本音の部分でそういうふうにお考えなのかどうか、少しその点について、それから、例えばそういった場合、我が国独自で情報を入手する、我が国独自で指揮統制をする、米国の関与なくしてできるというふうにお考えなのかどうか、その点について確認をしたいと思います。

中谷国務大臣 これを配備するとかいう一歩踏み込んだ意思は、意図も全くございません。発言をした理由につきましては、基本事項を確認したということでありまして、特に米国は、従来NMDとTMDを分けて考えていた構想に対して、MD、ミサイルディフェンスという形で一体化して運用しているようなことを考えておりますので、そうなりますと、我が国の場合、誤解を生じる、現在行っている研究に対して誤解を生じる可能性もあるということで、改めてその原点の研究の趣旨を説明したまででございます。

渡辺(周)委員 この議論については、次期また行いたいと思います。ちょっと時間がなくなりました。

 外務大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、前回の質問で、私は北朝鮮の問題については、ぜひ訪米される際には、尋ねられるかということを伺いました。仄聞するところによりますと、アジア情勢については、余り議論というものはほとんど出なかったというふうなことだったんですが、北朝鮮問題について、大変大臣がこの間の委員会では意欲を持っていらっしゃった、これはぜひ取り上げたい問題の一つだとおっしゃっておりましたけれども、北朝鮮の問題については何らかの言及はされたのかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。

田中国務大臣 安全保障の面の話をいたしましたときに当然触れておりまして、我が国を取り巻く不確実性、不透明性という中で、やはりそのミサイル防衛の計画ももちろんあるわけですけれども、そういう中で、日米韓の三極の協力は不可欠である、そして朝鮮半島にいかにして安定、平和をもたらすかという視点での話がございましたので、そういう意味では触れております。もちろん、限られた時間内でありますから、いろいろなイシューも話していますので、北朝鮮対策をこうしよう、ああしようだけでありますと時間がとられますけれども、総合的な中で触れております。

渡辺(周)委員 そうしますと、前にちょっと触れたのは、残念ながら、まだ日朝の、日本と北朝鮮の交渉に当たっては、非常に大きな難関がございまして、例の拉致日本人の問題ということに質問をさせていただいたわけでありますけれども、この点については、今回は触れられなかったというか議題にはならなかったか。

田中国務大臣 今申し上げましたけれども、やはり朝鮮半島の安定という中には、もちろんそうした人権問題ですとかミサイル問題等も含まれておりますので、先方は、ずっと事務的な打ち合わせもしておりますし、よくそういうことを個別に、具体的に御存じでした。

渡辺(周)委員 それでは、最後に総括して、今回の訪米について、フェース・ツー・フェースで、相手の目を見て、とにかく国内で言っていることも外で言っていることもやはり同じような姿勢でするのが人間同士のこれはコミュニケーションであって、そしてそれによって信頼関係ができる。前回、過去の大臣の発言の中にもあったわけでありますけれども、今回の訪米について、飛び入りとはいえ、短い時間とはいいながら、大統領ともお会いされたということでございましたけれども、田中外務大臣の今回の訪米の、フェース・ツー・フェースでいろいろなことをお話しされたと思いますが、短い時間の中で、どのような成果があったのか、最後にお尋ねをして終わりたいと思います。

田中国務大臣 大変温かく皆様から迎えていただいたというふうな気持ちを持っておりますので、その中で率直に懸案のことはすべてお話もしましたし、先方もかなり誠実にお答えくだすって、できる範囲内で最大限、よく短い時間内でお答えくだすったというふうに思っておりますので、当初の目的であった小泉総理の初訪米の地ならしというものはできたかというふうに自分では思っております。

渡辺(周)委員 まだ一分ありますね。

 そうすると、今、地ならしというふうにおっしゃいましたけれども、小泉総理が訪米される前、外務大臣が行かれて、防衛庁長官が行かれて、もうこれで挙げるような懸案は大体解決したというようなことは防衛庁長官はおっしゃっていました。

 今後の日米関係ということについて、これから新たな、今回、小泉総理が訪米されることによって、新しい日米新時代を、何らかの形で共同宣言をさすのじゃないかというようなこともございますけれども、外務大臣と防衛庁長官にぜひお尋ねしたいと思いますが、今後、この総理訪米の後どのような形で、それでは、せっかく今回お二方が地ならしをされまして、新たな日米関係を築くために努力をしていかれるのかどうか、その点について、今国会の締めでもございますので、外務大臣になられた、あるいは防衛庁長官になられた、一つの締めくくりの総括といいましょうか、今委員会が恐らく公式的な発言も最後でございましょうから、ぜひお尋ねをしたいと思います。

田中国務大臣 一言で言うのは難しいんですけれども、大体二カ月になりました。二カ月間で一番感じましたことは、アメリカもそうですけれども、この間、ASEMに行ってヨーロッパ、それからほかのアジアの、欧州のことばかりをいろいろ言われておりますけれども、アジアのいろいろな国の外務大臣とも親しく、直接お目にかかって、それぞれの国がいろいろな問題を抱えておられるということを実際に伺って、よくわかりました。

 それをまた、同時に情報が発信されて、このインターネットの時代に同じ問題意識を、それぞれが個別の違った問題を抱えていますけれども、それらを知るということ、そういう共通認識を非常に持つことができました。

 ですから、そういう中でもってお互いに、私自身よく言うことなんですが、ポジティブな、前向きな、よいエネルギーを出し合って、お互いの平和のために貢献し得るというふうに思っております。そのために最大限また今後努力をしてまいります。

中谷国務大臣 私も、総理訪米の地ならし第二弾、ミッドコースという感じで行ったわけでございますが。

 ラムズフェルド氏と個人的にお話ししましたけれども、ラムズフェルド氏は六十八歳ということで、二回目の国防長官でしたけれども、お話の中で、中曽根康弘氏、宮澤氏とも昭和三十年ごろから非常に強いつき合いがあると。当時、安保条約をめぐる環境はすごく大変だったけれども、みんなの努力で乗り越えてきたと。その結果、アメリカも日本も経済的に繁栄をし、日本も平和であったという、日米安保の意義を強く感じたわけでございますので、ことしが日米安保五十年、九月には2プラス2も予定をいたしたいと思いますけれども、この歴史上最も成功した日米安保体制を今後ともさらに維持発展をして、両国がともに発展するように気を引き締めて頑張らなければならないということを痛感して帰ってまいりました。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。

川端委員長 次に、藤島正之君。

藤島委員 自由党の藤島正之でございます。

 まず、外務大臣にお伺いしたいと思いますが、今ほどもありましたように、就任二カ月、相当勉強されましたでしょうか。

田中国務大臣 おかげさまで勉強もさせていただきましたけれども、相当苦労もしたなと思っておりますが。

藤島委員 やはり外交は素人だけで、素人的な発想だけでやってもいいというものじゃないわけでありまして、これまでの継続性とかあるいは国内の状況あるいは相手国の状況その他、やはりかなり勉強をしてから、いろいろ外務大臣という責任のある立場ですから、御発言されるのが本当はよろしいんじゃないか、こう私は思うわけですけれども。

 今、余り勉強はされたということじゃないんですけれども、基本的な言葉として、集団的自衛権という言葉、御存じですね。それと集団安全保障という言葉は非常に似ているところがあるんですけれども、これは外務大臣は区別がおつきになりますか。

田中国務大臣 はい。

藤島委員 簡単に、それじゃ御説明いただけますか。

田中国務大臣 読ませていただきます。

 集団安全保障と集団的自衛権の相違につきまして。

 国連憲章のもとでの集団安全保障制度は、ある国が侵略等を行った場合に、国連自体の判断のもとに、軍事的その他の強制措置によってかかる侵略行為を鎮圧し、除去する制度のことであります。

 これに対しまして、集団的自衛権の方ですけれども、これに基づく実力行使というものは、国連自体が組織してとるものではなくて、国連が集団安全保障制度のもとで必要な措置をとるまでの間、武力攻撃を受けた国と密接な関係にある国が、そのような武力攻撃を阻止するために、当該国の判断によってとることが許容される措置であります。そして、ここが違いでございます。

 よろしゅうございましょうか。

藤島委員 今、日本では集団的自衛権のことばかり言われているんですけれども、本来、基本は集団安全保障にあるべきだと。国際社会においてルールを破った者に対して、やはり国際社会全体でそれを制裁を加える、これが本当は基本だろうと思うんですね。ですから、こういう努力は湾岸戦争のときにもなされているわけで、私は、本来、そちらが主体的であるべきだと。

 今御説明ありましたように、集団的自衛権は、完全に措置がとられるまでの間、二国間同士あるいは三国間でもいいんですけれども、お互いの国が攻撃されていないにもかかわらず、一応攻撃されたとみなして助け合おう、こういう制度でございまして、私はこれも現在においては必要な措置だろう、こう考えております。

 この件については、また後ほど御質問したいと思います。防衛庁長官の方に御質問したいと思いますけれども。

 それはそれとしまして、先ほど来、外務大臣は転換点に立った、転換点に立ったと。戦後五十年、日米関係ですね。私は、確かに日ソの関係、冷戦関係がなくなった、これが一番大きな問題だろうと思うんですね。それと、アジアの経済が飛躍的に発展してきた。それによって在日米軍の意味づけですね。

 米軍というのは、まさにアメリカの国策の追求のための最大の手段なんですね。それが結局、終戦当時、在日米軍として置かれた。これはまさに、もう圧倒的な優位な米軍の力と我が国の力の中で日本を守るというために、ほとんどそのためにあったと。日米安保条約もそれを前提にしてきていたわけですけれども、今や米国とアジアとの経済の結びつきは、米国とEUとの結びつきよりもむしろ大きい。要するに、経済権益が非常に大きくなっている。

 したがって、アジアにおける米軍の意味づけも変わってきておる。もちろん、アジアの安定が日本の安定に直ちに影響があるわけで、これは大事なことなんですけれども、ただ、これまでのように日本だけが米軍の、何といいますか、韓国もあるわけですけれども、負担をするんじゃなくて、まさに自主的に、この際日米の安全保障問題も考える。そういった意味で転換点に来ているんじゃないか、こう思うわけですけれども、外務大臣のお考え、いかがでしょうか。

田中国務大臣 たいへんよく分析していらっしゃって、おっしゃるとおりだと思います。

 そういう意味におきまして、日本も国力が第二位になりましたし、それから、安保騒動、闘争といいましたですか、ああいうのがあったころ、私はまだ小さいころで、テレビなんかで見ていたことを覚えていますけれども、やはりああいう五十年間の過去の日米安保の中で、今おっしゃったように冷戦構造も崩壊し、アジアのまた経済状況もよくなり、日本の国力も大きくなった。そういう中でもって、やはり日本人の意識も変わってきています。

 トータルで、環境が、内的なもの、外的なものが変わってきておりますので、ちょうど五十年という節目でもありますので、ここで意識の面として受益と負担というものをやはり日本人一人一人が考える。そのことによって、それを大きく、新しい声を吸引しながら内閣でもって検討し、新しい方向性をまた見出す、そして効果的な、よりきずなの強い効率的な日米同盟を構築していく時期だろうという意味でございます。

 いいアドバイスもいただきまして、ありがとうございました。

藤島委員 本当に国民は、そういう意味で、今までの延長だけにないそういう外交を期待しておると思うんですね。

 したがって、私は嫌みを言うわけではないんですけれども、先般にもありました、日独外相会談等で出ました、大臣がおっしゃったおっしゃらない、それはその事実はどうでもいいんですけれども、要するに、外務大臣御自身の考えがきちっとあるわけですから、マスコミがどうのこうので、マスコミにリークされたとかそういうことじゃなくて、堂々と、自分はこういう考えでこういうふうに進めていきたいんだ、こういうふうにおっしゃって進めていっていただきたい、こう思うわけであります。

 その中で、実は、特に、石原知事等もおっしゃっているようにアメリカに対してノーと言える日本でなきゃいかぬという、余り極端なことは私は必要はないと思うんですけれども、まず、言葉のあやではなくて、主体的とかあるいは自主的とか、そういう言葉だけじゃなくて、実は中身がこれからやはり必要だろうと思うんですね。

 今回、外務大臣が向こうに行かれていろいろ話をされた中に、一部そういう芽もあると私は思うんですね、具体的な芽。例えば沖縄の訓練の国外への若干の移転とかそういうのもあるわけですけれども、ほかに外務大臣のイメージとして、日米関係において何かそういう具体的な、主体性とかそういういろいろな言葉の中の中身、そんなものがもしあったらお聞かせいただきたい。

田中国務大臣 私、今回、パウエルさんやらライスさん、それから経済問題をお話しさせていただいたUSTRのゼーリックさんもそうでしたし、それから、短時間で、大統領もそうであったかどうか、私は個人的なことをバーターで話をしたときもありましたけれども、トータルで、日本はもっと、役所だけではなくてあらゆるつき合いがあるにもかかわらず、例えば民間もそうです、民間でも学者もありますしビジネスマンもありますし、あらゆる分野があると思うんですけれども、そういうチャンネルで、今の日本の状態、先ほど委員がおっしゃった、例えば五十年たって、安全保障についても、いろいろな外的な要因、内的ファクターがあって変わってきているじゃないですか。日本全体にとってもあらゆるものが、国民の意識、コンセプトが変わってきている。国民の意識、それをもっともっと、政だけではなくて、政治家だけではなく、役所だけではなくて、むしろ民の方からももっともっと、アメリカだけじゃないですよ、でも特に今回は日米を言うのであれば、もっと正しい情報を言わないと、私は、正確に伝わっていないと言ったら、ああそうなのかということが多かったです。

 例えば、具体的に申しますが、これは私は毎回アピールをしていったんですが、表に余り出ていないことですけれども、なぜ小泉内閣が八〇%を超すだけの支持があると思われますかと。そうすると、聞くと、普通はああ人気があってうらやましいねみたいな話なんですが、アメリカ人はまじめに、本当に何でなんだ、そうなんだと。聞いてはいたけれども、深く考えておられなかったかどうか知りません、日本人側から逆に、考えておったかもしれませんよ、相手によっては。ですけれども、日本側から何を言い出すか非常に興味があったわけです。

 それは、日本人の国民の意識が変わっていて、かつてのような意思決定の仕方、責任があいまいでわからない、どこの国へ日本の経済も政治も、文化もそうかもしれません、持っていかれるかよくわからない、今までのようなやり方はもう嫌だと。違った形でもっと受益と負担を明らかにし、そして透明感を持たせて、そしてそれぞれが責任をしっかり分かちながら前へ進んでいくような政治の意思決定、そういう内閣、それを求めていた、それは何党である、何党でないではないのだということについては、その気持ちが八〇%を超しているんだと言ったら、ああ、じゃ日本人のいわゆるマインドセットがすごく変わってきて、求めているものがそういう方向なのかというお尋ねがありましたよ。ですから、そうなんですと。だから、前の旧態依然としたような役所とか、いわゆる自民党という保守的な発想じゃないということを申しました。

 ですから、そういうことをみんながアピールすることが大事だということを思います。

藤島委員 その総論的なものはわかるわけです、私も。ただ、具体的な中身は何かイメージがあるか、こう伺ったわけですけれども、それについてはちょっとお答えがないようなので、もう一つ違う話題にあれしたいと思います。

 けさの新聞には、外務省の人事のまた再凍結の話が出ておりますね。これは何か凍結した、また解除した、再凍結、こういうのは本当に私は余りよろしくないな、こう実は思うわけでございますけれども、それはそれとしまして、人事の話を伺うんじゃなくて、外務大臣、外務大臣になる際には、機密費の問題、これをぜひ御自分で解決しようということ、それがあって、国民もそれを喝采で支持してきたんじゃないかと思うんですけれども、この二カ月間に機密費問題は、何が解決したといいますか、何が進展したと思われますか。

田中国務大臣 たった二カ月でございますけれども、また御不満はおありかもしれませんけれども、少なくとも改革要綱、これができ上がりました。完璧ではございませんけれども、これに盛り込んであるものをぜひお読みいただければおわかりいただけると思いますが、これをまず実行に移していくということがございます。

 それから、一番問題にあるのは、やはり、この問題はもう前内閣で終わってしまったはずだと思いたい方たちがまだおられるわけでして、そうではないんだということですよね。それについて、私たちは直接に、じゃ機密費のファイルがどこにあるかとか、そういうふうなものを見せてほしいと言っても、なかなか見せてくださらない。それをあきらめずにずっとやって、副大臣と一緒に行って見せてもらったりとか、そういうことによってどういうふうな処理のされ方がしているのかということも実際に見えてきたわけですから、そして、その人事もそういうことの一連の中にトータルで含まれて、人事の時期でももちろんありますけれども、そういう意味で、トータルで、やはり合意を得ながら、私一人ではございませんし、役所の中でも知恵者やら協力的な方はたくさんおられますから、ですから、みんなでエネルギーを出して、みんなでいい方向に持っていこうとしているわけでございます。

 私は、これはこの二カ月間で随分メリットとして言ってよろしいのではないかというふうに思います。

藤島委員 この問題は副大臣が担当なんですか。

 これからというか、今、問題としてどういうものが残っておって、これからどんなテンポでこの問題を収束しようとしているのか。私は、この問題をずるずるずるずる引きずったままでいくということは、外務大臣と官僚との関係だけじゃなくて、日本国家にとっても非常にゆゆしき問題だと思うんですね。やはりこういう問題は早く片づけて、本来の外交姿勢、大臣いつもおっしゃっているわけですけれども、本来の外交問題に専念できるように、省を挙げてそういう形に持っていかないかぬ、こう思うわけですが、担当の副大臣はいかがですか。

杉浦副大臣 外務大臣がお触れになりましたように、改革要綱を二人の副大臣、三人の政務官が中心になりまして、作成、決定いたしました。それに従いまして、既に粛々と静かに仕事を進めております。

 大臣を先頭にして、私ども言っておりますのは、全員野球でやろうと、外務省挙げて。いろいろな人たちと接する機会は多いんですけれども、外務省内も、この事件を契機に変わらなきゃいかぬ、改革していこうという機運は横溢しているように思います。

 皆さんに参加をしてもらって、一言言うだけでもいい、いろいろこれからプロジェクトチームをつくってまいりますが、それにもできる限り、みんな忙しいわけですけれども、参加してもらってやっていこうというふうに思っております。もちろん、外交の本筋と申しますか、仕事するためにみんな来ておるわけですから、それはきちっとやりながら、同時に、ある意味では自己改革でございますので、取り組んでもらおうと思っています。

 今、いつまでにけりをつけるとおっしゃいましたが、改革そのものは、すぐできるものと中期的に取り組むものと相当長期間かかるものがあります。例えば領事事務の改善、業務の改善は、これは現地の大使館全部に関係する、本省にもかかわるものでして、相当時間をかけて計画を練り上げて逐次実行するということでして、数年かかるんじゃないでしょうか。

 それから、意識の改革、人事の改革、これは省員の行動規範をみんなでつくろうとしておりますが、やはり気持ちを切りかえて、気持ちを合わせて元気に働くという意味では、永遠の課題じゃないでしょうか。いろいろな意味で、ともかくあと一年、二年、そして五年たったときに、外務省は変わったな、こう言われるようにみんなで頑張っていこうと。

 大体めどとしては、年内に、あそこの要綱に挙がっておりますすべてのアイテムについて済ませるとか、早くできるのは済ませるし、中長期的な課題については時限を、年限を決めてこう取り組もうということを全部仕上げる目標で、我々今頑張っておるところでございます。

藤島委員 本当に断固やり遂げていただきたいと思います。

 時間がありませんので、最後に防衛庁長官に、国連のPKO局に行かれたわけですけれども、私も防衛庁の現役時代にPKOをいろいろ考えた一人でありますけれども、なかなか情報が入ってこない。外務省の出先を通じて情報をとることをやっていたわけですけれども、なかなか本音の情報が入ってこない。なぜかといいますと、外務省は、どうしても外務省の立場からして日本の自衛隊をPKOにいろいろ参加させたい、こういう意向が非常にどこかで働くものですから、そこで、情報操作とまでは言いませんけれども、そういう形に有利な情報だけが来る。しかし、防衛庁としては、非常に手足が縛られたまま行く、非常にリスクも多いというようなことで、現実に行くか行かないかは非常に難しい判断があったわけです。そういうときに、自衛官出身者が国連のPKO局にいて、本当の意見をふだんから交換しておくということは非常に大事だと思うのでありますが、今回はあるイメージを持って行かれたと思うのですけれども、どんなイメージ、人数とかどういうポストとか、もしあれば、お聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 今回初めて、防衛庁長官として国連に実務的な話に行ったわけでございますけれども、現状としましては、国連のPKO局の増員が百五十名程度あるということでございますが、具体的にどのポストにどれだけという点につきましては、今度実務的なミッションを派遣しますので、そこで話し合うということでございます。

 ただ、先方の副事務総長も言っておりましたけれども、実際に直接仕事をする部署の人が来て、各国の事情とか国連の様子を直接見ていただくのは大変意義があることで、それで日本の立場も理解される、非常に大歓迎だというふうに言っておられまして、我が国としましても、自衛官の派遣につきましては前向きに、次の臨時国会等で、来年の二月が期限でございますので、もう最後のチャンスだというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。

藤島委員 国連側としては受け入れることは賛成ということですか。日本側の希望は申し述べたということはあるのですが、国連側がオーケーだということですか。

中谷国務大臣 非常にいいことであって、歓迎するというお話でございました。

藤島委員 ぜひ実現していただきたいと思います。やはり何をやるにも正確な情報が一番大事なことですので、ぜひ実現していただきたいと思います。

 集団的自衛権の問題についてちょっと議論したかったのですが、時間が参りましたので、次回に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。

川端委員長 次に、児玉健次君。

児玉委員 日本共産党の児玉健次です。

 今回のF4戦闘機の誤射事件について、昨日、私は現地に行ってまいりました。

 中谷長官、これが今よく問題になっているリハビリセンター、入っている方々からも随分話を聞きましたけれども、非常に閑静な地域の中に広がっておりまして、そして隣にはこういうデイサービスの場所もある。入所されている人と話をすると、二十ミリの砲弾が突き刺さった場所、これは長官、既にごらんになっていると思うけれども、これは写してきたものですが、この穴は、大体人さし指が入るぐらいの深さまでえぐられていますね。こういった着弾の場所について、入所者の方は私に、あのすぐそばで私はよく車いすで散策をするだとか、それから、夏の短い北海道でひなたぼっこのためのベンチが置いてあるすぐそばであったり、そして、バスの暖房用の燃料を貯蔵している燃料タンクの文字どおり直近に着弾の跡がありました。人命の損傷がなかった、これはほとんど奇跡的と言ってもいいだろう、そう私は考えています。

 そこで、まず長官に申したいのは、こういったとき、まだ百八十八発のうちの二十発までも見つかっていないわけですが、十三発がこの福祉施設に集中したということは既に明らかになっておる。そういう中で、福祉施設の方々だとか、それから近くのゴルフ場、地元の住民、そして近隣の自治体の皆さんに対して、防衛庁としては真剣にかつ誠実に対応しなければならない、こう考えます。

 大臣政務官が行かれたということは承知しておりますが、例えば、北広島の市議会、六月二十六日、事故の翌日ですが、議員協議会を開いて、そして事故の内容について第二航空団から説明してほしい、そういうふうに要求をしたら、調査中なので説明できる状況にない、こう言って拒否される、これには会派の別を超えて不信と怒りが募っていますね。

 私は、まず防衛庁に求めたいのは、こういう事故、後から議論する原因の徹底的な究明とあわせて、地元の方々に対して、防衛庁として、まず真剣に謝罪をし、そして誠実に対応していく、このことが求められている、少なくともきのうまでの段階ではその点で十分だとは言えない、こう考えます。いかがですか。

中谷国務大臣 児玉委員におかれましては、直接現地に行かれまして、地元の方々に会われて、状況を把握されて、そのお話を聞かせていただきまして、まことにありがとうございました。

 当方といたしましても、今回の事故につきましては大変重大な問題だと認識しておりまして、平沢政務官を派遣いたしました。原因の解明、そして被害に遭われた方々の謝罪と意見聴取、また自治体への対応等、全力を挙げているつもりでございますけれども、まだまだ至らない点がございます点につきましてはおわびをいたしたいと思いますし、そして何よりも、今回の件で被害に遭われた方々、また周辺の自治体の皆様方には、御迷惑をおかけしたという点につきましては、心からおわびを申し上げたいと思います。

 今後の対応につきましても、地元自治体の御意見をよく聞いた上で、今後の自衛隊のあり方等も対処してまいりたいというふうに思っております。

児玉委員 そこで、事故の内容について幾らか端的にお聞きしたいと思うのです。

 先ほどの弾痕の今も残っているものですが、バルカン砲の二十ミリ機関砲弾、防衛庁の資料によりますと、二十ミリのバルカン砲の機関砲弾は、普通弾、それから曳光弾、焼夷りゅう弾、この三種類になっております。今回用いられたのは普通弾ではないかと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 今回誤発射された訓練弾は、普通弾というふうにも呼ばれておりまして、同じ意味でございます。

児玉委員 次に、昨日お届けいただいた、六月二十七日、防衛庁、F4型機の二十ミリ機関砲誤発射事故について、これを拝見したわけですが、操縦桿を動かすと、操縦桿のトリガーを作動させなくても二十ミリ機関砲の発射回路が形成されるふぐあいを確認しました、こうありますね。このことについて、昨夜お会いした関係者は文字どおり異口同音に、これは大変なことだ、文字どおり時とところを選ばない、このような形で二十ミリ機関砲の発射回路が形成される可能性というのは、時とところを選ばないのです。今度ああいう形で誤射された。これまでこのような事故はあったのかなかったのか、その点を明らかにしていただきたい。

中谷国務大臣 このような電気回路等の現象によって弾が出たというのは初めてのケースでございます。

児玉委員 それはこの後さらに調査が待たれると思うのです。

 二百発装てんされていた、十二発残っていて、百八十八発。本当の意味で真剣に事態を解明するためには、今、きのうの段階で十八発と伺っておりますが、この百八十八発について徹底的に捜査して、回収することが原因究明の重要な部分だと考えますが、いかがですか。

中谷国務大臣 まことにおっしゃるとおりでございまして、現在、二十六日には一千名の隊員、二十七日には八百二十人の隊員を投入して捜索をいたしておりますし、現在、同地域での射撃訓練は陸上も中止をいたしておりまして、この訓練弾の捜索に全力を挙げているところでございます。

児玉委員 二百発のうち十二発残った。これが先ほどの皆さんの中間的なものによれば、二十ミリ機関砲の発射回路が形成されて誤射されたとすれば、パイロットの意思は働かない。そうなると、なぜ百八十八発で、十二発残ったのかということについて私は理解できないですね。ここのところはどうですか。

中谷国務大臣 その点につきましても原因の解明に全力を挙げておりますけれども、予断を持たずに、科学的に、またパイロットの証言等ももとに全容の解明に全力を尽くしたいというふうに思っております。

児玉委員 今の撃たれた弾の回収と、そして次に私がお尋ねした点は、やはり一つのポイントだという点を述べておきます。

 次ですが、誤射時、この三九九号機がどのような飛行高度で、どのような飛行速度で、どの地点をどの方向に向かっていたのか、それからこの誤射が何度の角度によって射出されたのか。

 皆さんから届けられたこの資料によれば、一般的な演習場のエリアと、そしてロケット弾射撃のときの航空回路、右回りで飛ぶ、その程度の説明しかありませんで、今私がお尋ねした点、これはやはり重要なポイントだと思うのですが、いかがですか。

中谷国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 その件につきましては、航空幕僚監部が事実関係を精査いたしまして公表するようにいたしておりますので、必要がございましたら発表いたしたいというふうに思っております。

児玉委員 まさに必要ですね。

 そこで、今お話のあった原因の徹底的な究明、先ほど長官の御答弁をお聞きしていると、製造の段階から含めてというお話、それは私は、当然そうでなければいけない、設計、製造の段階から。そして、同種の武器が使用されている外国の事例も含めて、そして過去の事例、こういったものが本当に全面的に明らかにされなければ、再発防止の保証にはなりません。それまでは訓練を中止するのは当然のことです。

 そこで、きのう施設の皆さんとかそれから北広島市の方々が異口同音におっしゃっていたこと、それは、原因の調査は、明らかになったところから住民に理解できる形で順次明らかにしていってほしい、結果だけを一方的に伝えるというようなことがあってはならない、こういうふうに述べている。私も同感です。その点、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 私も、本件につきましては、事実が確認でき次第逐次発表してほしいということを指示いたしておりまして、昨日も、この原因がわかった段階でプレスに向けまして発表もしておりますし、また、現地の部隊の方も地元の自治体の方には直接伺いまして説明するようにいたしております。

児玉委員 その点は、この後、私たちもきちっと見ていきたい、こう思います。

 そこで、先ほど私が強調しました誤射のときのその三九九号機の高度、飛行速度、どの地点でどの方向に向かっていて、そして射角は何度であったか。きのう現地の航空団の幹部は、ほぼレベルであった、水平ですね、そういうふうにも言われていたけれども、これは調査を待たなければならない。

 そこで、私は長官に述べたいのですが、この三九九号機の高度そして方向、速度、さらに皆さんが言う不時発射、誤射されたときの射出角度のいかんによっては、いずれにしろ、この百八十八発というのは、北海道の大動脈である国道三十六号線そして道央高速道路の上を通り抜けているんです。そして、その射角のいかん、方向のいかんによっては、長官は既にこのあたりの状況を御存じだと思いますけれども、北広島市、恵庭市そして千歳市、これは札幌市の近郊でして、特に北広島市は人口急増という点では全国屈指の地域ですね。そして豊かな森林に恵まれていて、その場所に先ほどのリハビリセンターなどもあるのです。さっきの高度と飛行方向と射角のいかんによっては、輪厚という地域の住宅地、それから西部中学校、西部小学校、白樺高等養護学校、北海道を代表する大型団地である北広島団地に二十ミリの砲弾が着弾した可能性もあります。

 そういう中で、きょうの午前中、北広島市議会が全会派一致で決議を行いました。

 こう書いてある。「道都札幌市を中心とする道央圏には、連鎖状に都市が形成されているが、その中心に射爆訓練を行う島松大演習場が位置していることから、このたびの事故は本市だけではなくその周辺自治体の住民にも大きな衝撃を与えたところである。」、こう述べて、「再発防止のため標的の移設を含む演習区域の見直しを図ること」、これが決議の三項目めです。

 私は、率直に言いますけれども、こういう人口が急増していて、射爆場に住宅地が近接というよりはもう隣接している場所における空対地訓練というのは、これは真剣に検討しなければならない、このような状況のまま継続することは許されない、こう考えるのですが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 航空自衛隊といたしましても、我が国を防衛する必要上、戦闘機、パイロット等の能力向上のために訓練は必要だというふうに思っておりまして、もともとこの地域は原野が広がる場所でありましたが、お話のとおり住宅が急増しているという状況につきましては、私も同じように認識をいたしております。

 今後、自衛隊が訓練する上におきましても、地元自治体また住民の皆様方の御理解と御協力がなければならないというふうに思っておりますので、今後、自治体の皆さんの御理解がいただけるように全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

児玉委員 今の点について、北広島市のきょうの市議会は一定の意思表示をしていますね。アメリカなどでは人の住んでいない砂漠地域が大体選ばれているし、そしてその他のところでは海の上などですよ。

 自衛隊の存否についての賛否の議論を、きょう私はするつもりはありません。そのうち機会があればゆっくりやりましょう。

 そして、自衛隊の演習その他についても私は別の議論をする用意があるけれども、今問われているのは、今回のこのF4戦闘機の二十ミリ砲弾の誤射に基づく事態、その中で住民の命や安全をどうやって確保するか、そのことですから、そのことに限定した議論を私はしておりますが、住民の理解を得てという言い方は、長官、私は納得できませんね。

 もちろん、理解を得なければいけないのは当たり前だけれども、防衛庁の責任において、どのような場所が射爆場として選ばれるべきか、先ほどの天ケ森、天ケ森で繰り返された事故について私も承知しておりますが、時間の関係で、今述べません。それらについて、防衛庁としては真剣に検討して、早急に結論を出すべきだと重ねて求めます。いかがですか。

中谷国務大臣 非常に国内的にも制約もございますし、予算上の現実の問題等もございます。いずれにしましても、我が国の防衛上、航空自衛隊がいざというときに能力を持って国民を守る必要もございますので、今後、どのような方式で訓練を再開できるかということにつきましては、御指摘のことも踏まえまして全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

児玉委員 最後に、自衛隊の事故、軍事訓練というのは、やはり事故が必ず起きます、あなたも御存じのように。

 そういう中で、一つの最近の北海道における事例として、北海道十勝の然別演習場外における十二・七ミリ重機関砲曳光弾の問題があります。長官はよく御存じです。ことしの四月二十九日、台座から発射された、三百五十メートルの標的をねらった、ところが、そのうちの一つが演習場外、先ほどの標的から約三千メートル離れた箇所で、ビニールハウスの鉄のパイプに突き刺さる、角度は標的に向かってちょうど九十度の角度になりますが、それについて自衛隊は、これは跳弾だ、何かによってはねたんだと。三百五十メートルのところに向けて撃った弾が三千メートルもはねて飛ぶものかとだれもがそう思います。

 これは調査中だと思いますけれども、この点についても、事態を正確につかんで、それまでは訓練を中止する、その点について明らかにしていただきたい。

中谷国務大臣 本件につきましては、もう既に警察によっての捜査も行われておりますし、この捜査につきましては自衛隊も協力をいたしまして、原因の究明に全力を挙げているわけでございます。

 訓練の件につきましては、然別演習場における十二・七ミリの重機関銃を用いた訓練を中止しているところでございまして、今後、本事案の原因究明、解明に全力を尽くすと同時に、安全管理にも万全の注意を払ってまいりたいというふうに思っております。

児玉委員 調査はなさっているんだから、少なくともその調査が明らかになるまでは訓練を行うべきでないし、調査自身が、美幌駐屯の部隊の十二・七ミリ、二つの機関銃のいずれかから発射されたと考えられている。線条痕を照合すればどちらかということはわかるはずなのに、まだ銃器の特定もされていない。この調査ではだれも納得しませんね。調査を厳重に進めて、そして、そのことが明らかになるまでは少なくとも訓練は行わない、この点について再度確認をしておきたいと思います。いかがですか。

中谷国務大臣 先生の御指摘のとおり、原因が究明されるまでは、同訓練場におきましての訓練を中止いたしております。

児玉委員 終わります。

川端委員長 次に、今川正美君。

今川委員 社民党・市民連合の今川正美です。

 私も中谷防衛庁長官に、今月二十五日に発生しましたF4戦闘機の誤射事件に関して、一部重なるところがありますが、改めてお尋ねをしたいと思います。

 まず、私は一昨日、社民党の国会議員三名を含めまして十名から成る現地の調査を行ってまいりまして、昨日は、土井党首名で中谷長官あてに、五点にわたる申し入れもさせていただきました。

 私も実際現地に足を運んでみて、北広島のリハビリセンター、ここを中心に聞き取り調査もしてみたわけですが、昨日もお見せしましたが、このように乗用車のバックのガラスが完全に粉々になっている写真であるとか、こういう路上にいろいろな形で突き刺さった跡が確認できました。

 特に、先ほども他の委員からありましたが、このリハビリセンターの正面玄関のちょうど真裏の位置に調理場があるんですけれども、その調理場の外側にプロパンガスが二十本ほど収納できるいわば小屋みたいなのがありまして、屋根はそんな分厚くありません。今回、幸い、いわゆる炸薬を詰めていなかったと言いながらも、屋根を実際貫通していますので、そこに当たっていればこれは大変な事態になったんじゃないかとぞっとしました。だから本当に今回、この事件は人的な被害がよくぞ起こらなかったという思いがいたします。

 実際にこれからどういう被害がどの程度かということは恐らく調査をなさると思うんですが、まず長官に、今回のこの事件をどのような気持ちで受けとめておられるのか、改めてお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 私も、この事件の第一報を聞いたときには、全く信じられない事故でございまして、このようなことはあってはならない事故でもございますし、被害の程度がどうであろうかと。

 今のところ、幸いにしてけが人や死傷者の方が出ておられませんので、その点につきましては自分なりには、御迷惑をかけた方が、人的に被害に遭われた方がいないということで認識をいたしましたけれども、いずれにしましても、このリハビリ施設におられる方々、また周辺の住民の方々の精神的な苦痛、御心配等は大変なものがあると認識しておりまして、心から、被害に遭われた方々並びに自治体の関係者の方々におわびを申し上げる次第でございます。

今川委員 今回、被害といってもいろいろあるんですが、車を直接壊されたとか、建屋に穴があいただとかということは当然なんですけれども、特に入所者の方々の不安、今回の事件で、これまでは演習があるたびに騒音が、音がうるさいとかそういう苦情はあったんだと思いますが、本当に出入り口から一歩外に出ようとした途端にそういうことがあったということで、メンタルヘルスの面も含めまして、被害の実情を十分把握をなさって、そこに対する補償をきちんとするべきだと思うんですが、その点いかがですか。

中谷国務大臣 本事故に対する被害者の方々に対しまして、誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。

 実際に被害の物件等につきましても、相当因果関係のある損害につきましては金銭的な賠償を行うとともに、今後とも、リハビリセンターの方々のお話を伺うことによりまして、具体的に御要望が出されましたら、自衛隊としてもできる限りの対応をしてまいりたいというふうに思っております。

今川委員 次ですが、今回の空幕の事故調査委員会の中間報告といいますか、出されているわけですが、現時点では、どうやら電気系統のトラブルではないかということを言われ、しかも、同型機が八十五機でしたか、その中で今回の事故機、事故を起こしたこの戦闘機特有のものではないかということも報道されておりましたが、きょう付の朝日新聞と産経新聞を見てみますと、朝日によれば、「原因と見られる操縦かんを動かした際の異常電流は、配線などの部品が劣化し、ショートして発生した可能性もあることがわかった。」ということになってきますと、再度点検をするに当たって、同型機は少なくとも同じようなおそれがあるのじゃないかという心配もいたします。

 それと、産経新聞の方では、整備の問題なんですけれども、整備不良があったのではないかという疑いがあって、「訓練出発直前の整備は「通常、出発前の整備・点検は主電源を入れないで行うことになっている。今回の不具合が見つかった部分の整備は項目にはない」」。これは「空自関係者」というふうに記事ではなっているのですが、この点は、演習を行う前の整備のあり方の問題、それから今回の事故機あるいは同型機にかかわる問題ですね。

 それともう一点、当初の報道では、人的ミスなのか、機械上のトラブルなのかという両面から調査をするんだということでありましたが、パイロットが実際に安全ピンを抜いたり、そういうことは一切やっていないということが報道されています。この信憑性ですね。帰着してからだれに報告をしたのかという確認も含めまして、お尋ねをしたいと思います。

中谷国務大臣 現在、航空事故調査委員会のメンバーを長とする現地チーム、この中には、航空安全管理隊十七名がございますけれども、それによりまして、事故原因の解明をしているわけでございます。

 パイロットの証言につきましては、航空自衛隊の事故調査委員が、事故機のパイロット、整備員に対して聞き取りをいたしまして、現在までに、事故機のパイロットから、当時、操縦桿の機関砲の引き金にはピンが入った状態で引けない状態であったという証言をしているというのは事実でございます。この信憑性の評価につきましては、今後、事故調査を継続している段階でございますので、今のところこの証言があったということしか私の時点で発表はできませんので、さらに詳細にわたりまして発表できる段階になりましたら、こちらの者から発表させたいというふうに思っております。

今川委員 そこで、もう一点ですが、訓練、演習を行う直前に、先ほど申し上げました整備を必ずやる。その整備記録が必ず残っていると思うのですが、これは後日で結構なんですけれども、ちゃんと公表して、提示していただけますか。

中谷国務大臣 基本的には、包み隠さず報告をするという原則でございますが、我が国の安全保障の機密等にかかわる事項につきましては、その点はできない点もあるかもしれません。

今川委員 そこで、三点目なんですが、先ほど他の委員からもあったように、これは航空自衛隊に限りませんが、陸海空三自衛隊のいろいろな演習とか訓練の際に、いろいろなやはり事故が発生していますよね。時間の関係で一々は申し上げませんけれども、ひどいときには、同僚機を撃墜してしまったとかいうこともありますが、特に私が関心を抱くのは、本来の目標から離れたところにいわゆる弾がおっこちちゃった、そこのすぐ隣が工事現場であってみたり、民家であってみたり、いろいろなケースがあります。

 そうしますと、その都度、事故があったときには、当然のことながらいろいろと原因調査をなさったと思うのですけれども、そういった過去の事故の教訓が、今回どの程度生かされていたのかどうか、そのことをまずお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 今回のように、電気系統のトラブル等によって機関砲が発射されたのではないかというような事例は、今のところございませんで、誤作動とか、人的なミスとか、またほかの海上自衛隊等も人的な不祥事等で起こっております。

 先ほど他の委員にお話をした事例に加えまして、海上自衛隊では、平成十一年に舞鶴で、停泊中の護衛艦「はるな」によって、搭載されている高性能の二十ミリ機関砲の発砲回路試験中に実弾二発が発射されたという事例。また、昭和五十六年に、第八航空団のF1が、訓練中に三沢射爆場において二十五ポンド訓練用模擬弾一発を投下したケース。また、平成七年、若狭湾の北方訓練空域で、第六航空団所属のF15二機が訓練中にミサイルが発射されまして、命中して墜落したという事例がございます。

 その都度、原因究明と再発防止ということで所要の措置を講じておりますけれども、今回におきましても、徹底した原因究明、解明をしまして、再発防止に努めてまいりたいというふうに思っております。

今川委員 ところで、演習場の外側に弾が漏れたり、墜落したりという場合には、必ずこれは当然大きな問題となって各報道機関も報道するわけですが、実は、これは今月二十六日付の朝日新聞なんですが、見出しが「演習場や基地内 未公表ケースも」とありまして、防衛庁の文書などによると、演習場や基地内での事故だと公表されないケースもあるということなんですね。

 この点、やはり演習場内か演習場外かを問わず、これまでのそういういろいろな事故の全容を、やはりちゃんとこの委員会でも、あるいは国民の前に、そのデータを全部やはり公開すべきじゃないかと思うのですが、この点、いかがですか。

中谷国務大臣 その点につきましては、国民の信頼を得る、また部内の規律を維持するという意味におきましても、秘密の隠ぺいというもの、事故の隠ぺいというものはあってはならないものでございまして、私としましても、そういう事例がないように、必ず報告をさせることを義務づけておりますので、今後、その方針で進みたいというふうに思っております。

今川委員 一番最後は、きょう、せっかくお忙しい中、外務大臣まで同席していただいているので、そこに質問がちゃんと届くように、ちょっと簡単に御答弁もお願いしたいのですが、これは、地元北海道新聞の二十六日付の社説であります。この中に、このくだりがあるのですね。原因調査はもちろんですが、再発防止策もきちんととることは当然であって、「訓練区域も見直すべきではないか。」それから「こんな場所で戦闘機の訓練をするのは、そもそも無理なのではないか。」という指摘があります。

 そこで、島松射爆場が四十二年前に使用が開始されておりますが、当時は、いわば原野だった。ところが、今は人口過密といいますか、新しい団地ができたりして、こういうふうな地域で、海での演習と違いまして、射爆演習をやることが果たして妥当なのかどうか、あるいは他に適当な地域が果たしてあるのかどうか、その点をお伺いします。

中谷国務大臣 現在、我が国において、この訓練ができるところは、青森県の三沢と現地域だけでございます。しかし、パイロットの技術を向上させる上においては、日本の国内のいずれかの地域で訓練をする必要があると思っておりまして、ほかの地域でそういうことが、可能性がないかという点につきましては、国内の他の場所等におきまして、必要な地積が必要である。また、現在行われている訓練との整合性等、また訓練の安全性等の見地で十分に検討する必要がありますし、それよりも地元の御理解を得ることが必要でございまして、どのようなことができるかということにつきましても今後検討してまいりたいというふうに思っております。

今川委員 こうした軍事的な演習だとか訓練というのは事故を起こしてはならないということはそれはもう大原則なのですが、それでもやはり過去の事例が示すように、今回の事例にあるように、やはり思いもしない形でいろいろな事故が残念ながら出てきます。ですから、演習をやるときには、陸海空のいずれを問わず、仮にこうしたたぐいの事故が起こったときにでも、少なくとも周辺の住民の皆さん方に危害が及ばない、与えない、そういう条件を確保できるようなやはり演習地域でなければならないと思うのですね。そうした場合に、この島松の射爆場が果たして今申し上げたような観点から、いかがなのですか。

中谷国務大臣 御指摘の点は御無理ごもっともだというふうに思っておりますが、今後いかなるところで訓練ができるのか、またいかにすれば地元の皆様方に御理解がいただけるのか、これに向けましてさらに鋭意検討してまいりたいというふうに思っております。

今川委員 一部マスコミ報道の中に、オーストラリア政府がそれらに適当な演習場を提供してもいいみたいな報道があったのですが、それは公式、非公式を問わず、日本の政府に対して何かそういう提案があるのでしょうか。

中谷国務大臣 オーストラリアの協力の件につきましては、報道について承知をしておりますけれども、防衛庁としてオーストラリア政府からこのような提案は公式的にないわけでございます。

 現在は、最初申し上げましたとおり、国内では二カ所の訓練場しかございませんので、今の段階では、具体的に他の地域を検討しているというわけではございません。

今川委員 もう時間もほとんどありませんので、田中外務大臣に一点だけお尋ねをしたいと思うのですが、こうした自衛隊の演習だとか訓練だけではなくて、自衛隊の演習、訓練あるいは事故の場合には防衛庁長官のもとに結構厳しい調査だとか再発防止策とかとられていくと思うのだけれども、やはり私が非常に大きな問題に感じるのは在日米軍なのです。これは、今手元にきちっとした比較のデータがあるわけではありませんが、自衛隊がこの間起こしている事故よりもはるかにもっと大きい事故、事件というのが、沖縄だけではなくて相次いでいます。

 そういった意味では、南は沖縄から北は三沢に至るまで基地を提供しているわけですから、そうした在日米軍の演習の実態、これをもっと明らかにしてほしい。例えば、低空飛行訓練はあるということは認知するけれども、例えばイエロールートだとかピンクルートだとか、低空飛行訓練のルートは認知しないという答弁になってしまうわけですね。

 そうした意味では、在日米軍の演習の実態をきちっと押さえた上で、私たち国民に明らかにしてほしいですし、少なくともそこで安全性の検証をきちっとやはり米軍に対しても申し入れていただきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

田中国務大臣 このたびの航空自衛隊による誤射事件というのは、本当にあってはならないことだと思いますし、人身事故等にならなかったとはいえ、住民の方の安全、人命ということを考えた場合には、本当に徹底的な原因の究明、再発防止をやっていただきたいと思いますし、また中谷長官がそういうふうな努力をなさるとおっしゃっておられます。

 そして、お尋ねの米空軍、米軍に対しても、私は同じことが言えるというふうに思います。

 そして、今までは低空飛行訓練のルート等が開示されずにおりますけれども、そのことに御関心がおありというふうに思いますが、やはりこれは細かいことはなかなか、正確なものは聞けないのかもしれませんけれども、私どもが一部、先ほど来議論があります安全保障の関係もありますけれども、やはりお互いが信頼性を持っていくためにはそうしたことの必要性もあると思いますし、何といいましてもやはり安全ということ、それが守られなければなかなか難しい問題になると思いますので、頭に置いて、機会を見て、そういうふうなことについても先方に伝えるように努力をしたいというふうに思います。

今川委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

     ――――◇―――――

川端委員長 この際、申し上げます。

 今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書及び意見書は、お手元に配付しておりますとおり、有事立法制定反対に関する陳情書外二件、陸上自衛隊北部方面隊の再編に関する意見書外五件であります。念のため御報告いたします。

     ――――◇―――――

川端委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 国の安全保障に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、派遣委員の人選等所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査におきまして、委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会




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