衆議院

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第5号 平成13年11月29日(木曜日)

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平成十三年十一月二十九日(木曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 玉置 一弥君

   理事 石破  茂君 理事 園田 博之君

   理事 浜田 靖一君 理事 水野 賢一君

   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君

   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君

      岩崎 忠夫君    岩屋  毅君

      臼井日出男君    嘉数 知賢君

      金子 一義君    瓦   力君

      下地 幹郎君    中山 利生君

      平沢 勝栄君    吉川 貴盛君

      米田 建三君    江崎洋一郎君

      小林 憲司君    今野  東君

      島   聡君    前田 雄吉君

      前原 誠司君    河合 正智君

      赤嶺 政賢君    今川 正美君

      小池百合子君    粟屋 敏信君

    …………………………………

   議員           東  祥三君

   議員           中塚 一宏君

   外務大臣         田中眞紀子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   防衛庁長官政務官     平沢 勝栄君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長

   )            重家 俊範君

   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  宮下 創平君     岩崎 忠夫君

  伊藤 英成君     島   聡君

  江崎洋一郎君     前田 雄吉君

同日

 辞任         補欠選任

  岩崎 忠夫君     宮下 創平君

  島   聡君     伊藤 英成君

  前田 雄吉君     江崎洋一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 国際平和協力法案(東祥三君外一名提出、衆法第一三号)

 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(東祥三君外一名提出、衆法第一四号)




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     ――――◇―――――

玉置委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案並びに東祥三君外一名提出、国際平和協力法案及び東祥三君外一名提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁長官伊藤康成君、外務省大臣官房長小町恭士君、外務省北米局長藤崎一郎君、外務省中東アフリカ局長重家俊範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江崎洋一郎君。

江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。今回提出されておりますPKO法改正案につきまして質問をさせていただきます。

 既に、一昨日の質疑におきまして、この改正案につきましてはかなり活発に論議された経緯もございます。本日は、PKO活動の今後の展望を踏まえて、PKO法の今後の方向につき、私からの質問とさせていただきたいと思っております。

 今次改正は、PKO参加五原則の抜本的見直しについては触れられておりません。PKO法制定以来、PKO活動そのもののあり方が変容してきている昨今でございます。その中で、五原則の見直しも当然必要な時期に来ていると思われます。以下、PKO参加五原則につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、PKO参加五原則制定時におきましては、PKO活動への派遣の経験を生かした上で、三年後に運用上の見直しは過去行われてまいりました。しかし、この間、PKO活動そのものが内戦型の紛争等に対応しなければいけないというように実質変容してきた中で、これに対応したような形で抜本的な見直しというのはいまだ行われておりません。

 来年はPKO活動開始以来十年目に当たるわけでありますが、例えば停戦合意に関しても、内戦型の紛争にも対応できないような現状のままでいいのかどうか、五原則全体について抜本的見直しのお考えをお持ちか、まず防衛庁長官にお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 このPKO参加五原則というのは、我が国が国際平和協力隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力行使をするとの評価を受けることがないように担保される意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格でありまして、今後ともこの認識については変わりはございませんが、常に、どうあるべきかという観点での御議論を続けていただき、検討していく必要はあるというふうに思っております。

江崎委員 きょうは、五原則を中心に、一つ一つ、現状における問題点というものについて少し質問を加えさせていただきますが、その前に、憲法上の問題と五原則の見直しの関係ということについてお伺いをしたいと思っております。

 ここに、平成三年十一月二十一日におきます委員会質疑における政府答弁、また加えて、同じく十一月二十七日におきます当時の宮澤総理大臣の答弁というものがございます。PKO参加五原則の中のとりわけ四原則と五原則というものが、憲法に抵触しない、憲法を順守する根拠となっておるというような御答弁がございます。

 平成三年ということでございますので、かれこれ十年近くたつわけでございますが、この間、PKOそのものが変わっている中で、現在もこの答弁が基礎となるのでしょうか、内閣法制局長官にお伺いしたいと思います。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。

 平成三年十一月二十一日と二十七日に、私どもの先輩であります工藤法制局長官と、当時の宮澤総理大臣から御答弁がございました。そして、政府としては、当時の答弁をもう一度読むことは避けますが、御指摘された答弁と同様だと現在も考えております。(江崎委員「一部読んでいただけますか」と呼ぶ)はい。

 考え方を言いますと、すなわち、仮に我が国が参加する国連の平和維持隊が武力の行使に至ることがあったとしても、我が国は、国際平和協力法に基づいて、武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること、それから、紛争当事者間の停戦合意が破れるなどして我が国が平和維持隊に参加して活動する前提が崩れ、短期間にかかる前提が回復しない場合には、我が国から参加した部隊の派遣を終了させることなどの前提を設けて参加することとなりますので、我が国としては、みずから武力行使をせず、かつ、当該平和維持隊の行う武力行使と一体化しないことが確保されるということから、我が国が武力行使をするとの評価を受けることはないものと考えている、そういうことで憲法との関係を整理しているわけでございます。

江崎委員 今法制局長官から、確認ということで、前回と変わっていないという御見解かと思っております。

 その上で、今回の改正案の中で一つございましたのが、PKFの解除とともに武器使用基準の緩和、この関係につきまして御質問をさせていただきます。

 先ほど内閣法制局長官からもございましたように、いわゆる第五原則におきます武器使用というものにつきましては今までと立場は変わらないということでございますが、一方で、PKFという任務を今回解除するということで、このPKFの業務の中には現行の武器使用基準でたえ切れるのかどうか、果たして任務として日本からの協力隊が引き受け切れるかどうか。要するに、今の武器使用基準ではまだ危険が伴うのではないか、そのように私自身は個人的な見解を考えております。

 現行の法の解釈の中では、自然権の拡大ということで、相手からの一つの危険を感じたときに武器使用というものが認められると解釈しておりますが、これは基本的にはアクシデントへの対応にはなると思うのです。任務遂行上で、例えば巡回ですとかあるいは停戦監視といった任務に当たるときには、果たして現在の武器使用基準ということで引き受け切れるのかどうか。また、現地に行く協力隊員の思いからすれば、他国部隊との武器使用基準の相違から、PKF解除後もなかなか他国部隊との足並みがそろわなくて、円滑な業務がなされないのではないかと私は危惧をしております。

 今回のPKF解除に当たっても、協力隊員の生命の安全を確保した上で十分な任務を遂行していくことが望ましいと考えておりますが、防衛庁長官、このPKF解除と武器使用基準の緩和の関係につきまして御見解をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 今回、PKFの凍結解除及び武器使用緩和の二つの内容を行うわけでございますが、武器使用緩和といいますと、現在PKO活動を行っておりますけれども、隊員が安全かつ効果的に任務を達成し得るというためには重要な意義があるというふうに考えておりますし、また、状況によっては他国のPKO要員をも武器を使用して防衛することができるようになるということで、国際的にもそれなりの評価が得られるというふうに考えております。

 また、凍結解除につきましては、最初のPKO活動でもあるということで、幅広い理解が得られるまでは凍結を実施するという観点で、現在まで凍結をされていたわけでございますが、この内容につきましては、委員おっしゃるように、停戦また武装解除等の監視、駐留・巡回また停戦線の設定の援助という新たな任務が加えられるわけでありまして、本当にこのレベルでの武器の使用の内容でいいかと言われれば、まだまだ今後検討すべき課題もあるわけでございます。

 今回凍結解除をされるわけでありますが、実施に際しましては、定められた法の枠組みに従って実施をするわけでございますので、隊員の安全また任務の遂行等を十分勘案して、慎重に判断して行っていきたいというふうに思っております。

江崎委員 PKF解除によりまして、今まで以上に隊員にとっては、過大という言い方が適切かどうかわかりませんが、かなりのボリュームの仕事と同時に、リスクも負わなければいけないということではないかと思います。一方で、限られた範囲での武器使用、また権限の問題にも非常に制限があるということでございます。

 ぜひともこのPKF解除後の任務に当たっては十分な吟味を行っていただいて、安全であることを確認した上で任命していただきたいと思いますし、また、十分な任務が果たせるような形、環境を、ぜひとも隊員のためにもつくっていただきたいというふうに考えている次第でございます。

 次に、今回の改正法案におきましては、警護任務というものがあえてはつけ加えられなかったわけでございます。その点につきまして、他方で国連のPKOにおける防衛対象ということにつきまして考えてみますと、人の防衛、物の防衛、任務の防衛というものを挙げておるわけでございます。日本の現行PKO法の枠組みの中ではこれらは限定的に取り扱われているとは思いますが、しかし、今のような形で、拡大解釈のもとにこの警護任務に近い行動をとるというのは、いかにもちょっと中途半端ではないかと思います。ぜひとも、今後の展望としましても、警護任務につきましては付与していく必要があるのではないかと考えておりますが、防衛庁長官の御見解をお示しいただきたいと思います。

中谷国務大臣 警護業務を追加することにつきましてはさまざまな議論があるというふうに承知をいたしておりまして、今後とも、武器使用のあり方につきましては十分に検討をしていく必要があるというふうに思っております。

 なお、今回の改正により、仮に国連や我が国の要人がPKOの現場の視察のために自衛隊の宿営地を訪れる場合、また、宿営地外であっても視察等のために自衛官が同行している場合に、来訪者が自衛官とともに不測の攻撃を受けて自衛官と共通の危険にさらされたときは、来訪者を自衛官が武器を使用して防御することが可能となる場合があり得るということで、そういう面において、今回の改正によって対処してまいりたいというふうに思っております。

江崎委員 国連のPKF下での要請としましては、先ほどの人の防衛の中でも、今長官お答えの日本からの要人ということもあろうかと思いますが、また、極めて想定されやすい問題としましては、国連要人の警護というものも十分考えられるのではないかと思います。その点につき我が国の部隊だけが全く対応できないというのも、現地に送られる部隊の皆さんの気持ちからすると、やはり内心じくじたる思いというのがあるのではないかと思います。

 そういった意味でも、警護業務というものにつきまして、国連のPKF下における要請と我が国における制約というものをどう調整し、また整合性を持たせていくかということについては、今後大いに議論を深め、さらに活動がしやすいような環境づくりに努めていただきたいというふうに考えております。

 ところで、今回、いわゆる武器使用の基準に際して、国連から、実際我が国の部隊がなかなか機能しないのではないか、そういった観点から、むしろ他国部隊の防護に当たった方がいいのではないかといった具体的要請というのはあったのでしょうか。防衛庁長官に伺います。

中谷国務大臣 この要請等につきましては、私もことしの六月に国連に行った折には、PKO局長並びに国連の事務次長からも、そのような制約がつけばおのずと行動も限られてくるし、また、ともに所在している要員との協力関係等もあって、見直しを検討したらどうかというお話もありましたし、また、ことしの九月、与党の調査団が東ティモールに行った際にも、国連の現地の代表者並びに司令官等から、現地におけるPKOにおける武器使用のあり方、警護のあり方に対して国連の側から期待が表明されたというふうに伺っております。

江崎委員 その際に、国際基準にしてほしいという具体的な要請まではあったのでしょうか。

中谷国務大臣 これはおのずと我が国が決定するわけでありまして、具体的にどのレベルまでというふうな要請を受けたというふうに承知をいたしておりません。

江崎委員 ただ、一方で、先ほどちょっと申し上げました国連PKOにおける武器使用基準と国際平和協力法第二十四条による武器使用、これを比べてみますと、国連側では、人の防衛については、自己または他の要員、国連職員を含む、また、他の国際機関の要員も含む、そしてNGOも含むということでございますが、日本の場合は極めて限定的に、主たる自己ということがうたわれているわけでございますよね。また、武器使用に際しても、人の防衛に際しては日本人のみに可能であり、他の国際機関の要員あるいはNGOにも警護業務ができないわけでございますので、武器使用が結果としてできないという非常に狭い範疇になっているわけでございます。

 そういった意味では、本来、国連からの一つの要請というものにはまだまだ今の段階では十分にこたえ切れていないのかなとも客観的には見えるのですが、他方で、日本の憲法上の制約ももちろんあるわけでございます。この辺につきまして、防衛庁長官、将来の展望としてはいかがお考えなんでしょうか。

中谷国務大臣 改正後の二十四条によって、状況によっては他国のPKO要員また国連職員を武器を使用して防衛することができるようになるというわけでございますが、今後こういった点についてさらなる充実を図っていくべきだというふうに私は思っておりますし、また、今後十分に検討しなければならない課題であるというふうに思っております。

江崎委員 加えて、物の防衛につきましても、今回、国連の設備、備品につきましては防護対象にならなかったわけでございますが、おとといでしたか、答弁の中で、自衛隊員が中で働いていて、国連のトラックであっても、それは共通に考えられるという御見解もございましたが、拡大解釈よりは、やはり明記をしていった方が外に向けてもよりわかりやすいのではないかというふうに考えておる次第でございます。

 また、警護任務がなぜできないのかということにつきましても、現場に派遣された隊員たちによれば、相手を理解させることが大変難解であるという意見も聞いております。日本の憲法上の制約だと申し上げてもなかなか、国連平和維持協力隊に参加している中で、また日本の憲法の問題との整合性ということについては、他国部隊の、例えば司令官クラスなら理解は進んでいるのかもしれませんが、隊員クラスでお互いに警備をしていこうじゃないかといったときにも、一々説明をし、さらには理解を得るのに相当な努力を要しているようでございます。こういった実態も反映しながら、ぜひ法整備の方をお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、いわゆる二重指揮権の問題についてお尋ねを申し上げたいと思っております。

 PKO参加五原則にかかわる第四原則におきまして、独自撤収と協力隊における指揮権という問題が出てまいります。PKO参加五原則の一つであります独自撤収ができますように、指揮監督権は、PKO協力法第五条第二項に基づきまして、協力隊については総理大臣である本部長にあり、また、第九条第四項に基づき、自衛隊の部隊等については防衛庁長官にあると理解しております。また、国連の指示、コマンドに適合するように、第八条第二項に基づき、実施要領を作成することとしているというふうに認識しております。しかし、実際には直接国連から指揮を受けていても、法的には間に日本政府を介して、間接的に指揮を受ける形にしてあると理解しております。

 現場の部隊としては、政府はそのような事態はないと御見解をおっしゃっておられますが、国連と日本政府の意思が仮に異なったときに、どちらに従うべきなのかというのは大変迷うところだと思います。また、判断の迷いによっては混乱が生じかねないということも言えるのではないでしょうか。また、協力業務にない業務を国連から求められた場合、従えば不法行為になりますし、従わなければ日本の国際的評価をおとしめる可能性もあるわけでございます。これは、現地に、国連協力隊に参加している以上はという意味ですよ。現場としては、苦渋の判断を求められる可能性が常にあるわけであります。

 例えば、カンボジアにおきますUNTACにおけるPKO活動にて亡くなりました高田警部補は、協力業務にない警護活動をしている中での御不幸だったというふうに認識しております。したがって、このような二重指揮権は、派遣された方々にとっての心理的な苦痛というのは大変なものではないかなというふうに思っております。

 また、憲法上、この独自撤収というものをあえて四原則に加えたと理解しておりますが、仮にこの独自撤収の道をつくったとしても、実際に過去にあった事例としまして、先ほど申し上げました高田さんのときには、国内的世論としては、独自撤収をすべきだという声がかなり挙がっていたと思います。しかし、受け入れ側の国連あるいはその他の参加国、国際社会の意見に押されて、実際には当時の日本政府は独自撤収できなかったという事例もございます。

 こういった過去の事例にかんがみますと、今次PKO法改正にはもちろんこの見直しは載っていないわけでございますが、果たして今後ともこの条項というものが絶対必要なものなのかどうか、また検討の余地があるものなのか、十分議論を深めていく必要もあろうかと思いますが、防衛庁長官の御見解を承りたいと思います。

中谷国務大臣 PKO要員の安全の責任を一体だれが持つかという問題にもなりますが、現状におきましては、基本的に、派遣をした国の政府が派遣した要員の安全面また補償面の責任を負うという認識のもとに、各国がPKOに要員を派遣しているというふうに思っております。

 我が国独自で判断をするのかどうかということでございますが、基本的には、国連のPKO自体が中立また同意、合意の三原則のもとに運営をされておりますし、我が国のPKO法案もこの中立、合意、同意という国連と共通の認識で行っておりまして、基本的には、業務の中断、撤収をする場合に、我が国だけが勝手に撤収をするというような事態になれば、国連のPKO自体もその存在が危うくなるようなケースだというふうに思っております。

 しかし、国連のもとに運営をされているわけでありまして、我が国が独自にそのような決定をした場合におきましては、国連に連絡をした上で、我が国の派遣終了をすることができるという仕組みのもとに、我が国政府としてそのような判断をすることはあり得るというふうに思っております。

江崎委員 国連からの要請を受け、また政府の判断として隊員を送り込むわけでございますので、もちろん危険な状態のままでいつまでも置いておくということは避けなければいけませんが、一方的に撤収をしてくるような、例えば、PKO活動の中でも、各国がグループで業務分担をして活動するということも多々あろうかと思います。その中で、三カ国で、例えばオーストラリアとポーランドと日本とで協力部隊を組んでいて、その中で一気に日本が撤収してしまうということになると、残された二国には大変な負担が強いられるわけでございます。

 そういったことがないような十分な情報収集と、また送られた隊員たちの立場、また日本国のさらなる立場というものを十分考えた上での御判断、ぜひ独自撤収というものを軽々には使わないでいただきたいというふうに考えておる次第でございます。

 続きまして、関連して、この協力法、そもそもなぜ協力法と呼ばれているかということにつきまして、ここでは考えさせていただきたいと思います。

 国連平和維持活動につきましては、参加と協力という形態があるというふうに認識しております。ここに、平成二年十月三十一日付の政府統一見解ということで、手元にございますので、参加と協力の定義について簡単に朗読させていただきます。

  昭和五五年一〇月二八日付政府答弁書にいう「参加」とは、当該「国連軍」の司令官の指揮下に入り、その一員として行動することを意味し、平和協力隊が当該「国連軍」に参加することは、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊が当該「国連軍」に参加する場合と同様、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。

  これに対し、「協力」とは、「国連軍」に対する右の「参加」を含む広い意味での関与形態を表すものであり、当該「国連軍」の組織の外にあって行う「参加」に至らない各種の支援をも含むと解される。

とあります。

 現行は、この協力という立場をとっておるわけでございます。しかし、活動を開始して既に十年近くたつわけでございます。加えて、今後、我が国外交の柱としてこのPKO活動を位置づけようということであれば、我が国のPKOに対する取り組みというものが協力という姿勢のままでいいのか、また参加にすべきなのか、これは十分に検討に値すると思いますし、また、再三申し上げますが、派遣された隊員たちが業務に対して存分に力を発揮できる、そういった環境をつくっていく必要があろうかと思います。

 この点につきましては、防衛庁長官、いかがでございましょうか。

中谷国務大臣 確かにおっしゃるように、参加となりますと、メンバー意識がありまして、強い団結と結束のもとに力を発揮できるわけでありますが、他方、協力といいますと、参加よりは広い意味での関与形態を示すものでありまして、この協力の中に参加が含まれるという意味だと考えますと、参加に至らないけれども、物資を提供したりする協力も可能になってまいりまして、意味合いとしては、参加よりも幅広い概念として、協力というふうにすることが最もふさわしいというふうに考えております。

江崎委員 ぜひとも、やはり法律名というのも象徴的なものでございますので、また、日本における国際貢献の位置づけということから考えましても、一歩進んで、また将来展望としてはぜひ十分な検討をいただけないかというふうに考えている次第でございます。

 続きまして、PKO協力法三条三号の協力業務についてちょっとお尋ね申し上げたいと思うんです。

 現行では、協力できるものにつきましてイからレまで列挙してあるわけでございますが、この中に、いろいろ範疇として入らないものが出てきていると聞いております。複合的なPKOの形態になって、どんどんこの範疇に入り切らないものも出てきている。一方で、憲法の制約上、やはり我々が協力できないものというのも明らかにあるわけでございます。

 この法の立て方として、現行のいろいろ変容するPKO活動の中から考えますと、むしろ、できないことを限定列挙して明確にした方がわかりやすいんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。これは現場に派遣された方々のまた意見もあるわけですが、やはり相手方に、何は我々はできないんだと具体的に明示した方が、相手に意思としても伝わりやすい。我々は何ができるといったときに、どこまではできてどこから先はできなくなるとか、いろいろまた説明の現状は複雑になっているようでございます。

 そういった意味では、法の考え方として成り立つのかどうかは私もまだまだ不勉強ですから研究しなきゃいかぬですが、一つの考えとしてこういうものが成り立つのかどうか、防衛庁長官、いかがでございましょうか。

中谷国務大臣 これは法律のつくり方ということで、まさにこの法律の根幹議論に類するものだというふうに思っております。同様に、自衛隊法におきましても、憲法を検討する関係で、一つ一つできることを積み上げてきたというような類型で来ておりまして、これもひとえに、我が国の憲法の範囲内で何ができるかというような議論によって積み上がってきたわけでございます。

 現在、このような法律のもとにPKO活動を実施しておりますし、また、諸外国に対しても国連に対してもこのような法律ぶりを説明してきたわけでございますが、先生のおっしゃるように、今後のPKOのあり方等に関しましては、この法のあり方も含めて検討していくことも必要ではないかというふうに思っておりますので、大いに今後検討してまいりたいというふうに思っております。

江崎委員 ぜひとも十分な御検討をお願いしたいと思います。

 このできる、できないということについての関連でございますが、ここに資料としまして、国連による資料でございますが、国連待機制度の組織装備表という一表がございます。一番から九番まで項目があるわけでございますが、実はこれが、国連がどこかの国に対する、どこかと言うと変ですけれども、各国に対してどういう準備をして待機していてほしいか、具体的に一覧にしたものでございます。

 しかしながら、この中で、日本が現在受け入れ可能な業務というのは三つにとどまっております。申し上げますと、「対立党派間に緩衝地帯の確立」、二番目が「対立党派間の地域、境界又は分離線の監視及び支配」、三つ目が「停戦違反の監視及びその報告」とございまして、その他六項目につきましては、現状、日本の枠組みでは、PKFが凍結解除になってもできないという状態のようでございます。

 これは現場からの指摘もございましてお話し申し上げておるわけでございますが、なぜこのような形態になってしまったのか。また、派遣された部隊の隊員にとっては、あらかじめ法律に明記されないことによって、国連にとって大変日本というのは使い勝手の悪い国だというふうに誤解を受けるという部分もあるようでございます。

 そういった意味で、なぜこういった、あらかじめ国連で要請のある待機活動に対して、一部、警護、防護というのはございますので、この範疇においてはできないというものもあろうかと思いますが、もともと待機組織装備表、これができたときにまた改定してもよかったんではないかと思いますが、その経緯について教えていただきたいと思います。

中谷国務大臣 そのような計画を国連のPKO局等で実施しているというふうに思っておりますが、あくまでも、これに参加するかしないかはそれぞれの国の事情また判断に基づくものでございまして、仮に我が国が参加を検討する場合には、十分に我が国の法体系の中で実施し得るものを選定し、よく国連側と調整しながら実施してまいりたいというふうに思っております。

江崎委員 個別個別には、また後ほど資料もお出ししますので、再度、こういった範疇に、本当にできないのかできるのかというのは、将来的な改正時点にはぜひとも御検討いただき、載せていただきたいというふうに考えております。

 次に、自衛隊法の中におきますPKO活動の扱いというものにつきまして質問させていただきます。

 現在、このPKOの活動自体は、自衛隊法の中の百条の雑則の中で扱われているわけでございます。この雑則というものを並列的に見てみますと、自衛隊員が行う土木工事ですとか外国人の研修受け入れ、あるいはオリンピック等運動競技への支援ですとか南極観測支援ということと同列でこの国際平和協力業務の実施というのがあるわけでございます。先ほどちょっと申し上げましたが、これから我が国外交の一つの柱、国際貢献ということを考えた場合に、この雑則という扱いではいかにも軽いんではないかというふうに懸念をしております。

 そういった意味で、この自衛隊法自身の見直しというものも必要な時期に来ているんではないかと思いますが、防衛庁長官の御見解をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 非常に、冷戦終結後の国際社会は、国連を中心に世界各国がより協調し、またともに努力しながら世界平和を守っていくという時代になってきておりますし、ことしは国連がノーベル平和賞を受賞したということで、大きく時代は変わってきつつあると思います。

 一方で、自衛隊も創設をされてから五十年を迎えまして、一つ一つ、自衛隊なりに国民の理解と信頼を得つつ活動を続けてまいりましたけれども、おっしゃるように、時代が大変変わってまいりました。

 こういった時期に、自衛隊のあり方としてどうあるべきかということを、国民の皆様方また国会でも大いに議論をしていただきたいというふうに思っておりますし、防衛庁といたしましても、防衛庁内にあり方検討会を設けまして、自衛隊が国民の期待に沿うためにどのようにあるべきかという観点で、有識者の皆様方の御意見を聞きつつ慎重に検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

 確かに、自衛隊法の法体系自体も一つ一つ積み上げるような形になっているという点におきまして、先生の御指摘は大変重要な御認識だというふうに思っております。

江崎委員 ぜひとも前向きにまた御検討いただきたいというふうに思っております。

 続きまして、今回の改正法案案件ではちょっと最後の質問になりますが、今回、PKF凍結解除に当たって、政府提案ということでこの法案を承っております。

 PKF凍結になった経緯を考えますと、参議院でのこの法案成立時に凍結をしてきたということで、解除するのであれば議員立法であってもおかしくなかったのかなというふうには思うんですが、あえて政府提案ということでございます。その意味合いというのは、どういう意味合いがあるのかをお尋ね申し上げたいと思います。

中谷国務大臣 確かに、先生のおっしゃるように、議員提案によって凍結をされてきたわけでございますが、先般、与党間において凍結解除を政府案として国会に提出することが合意されたことを受けまして、政府として本改正案の提出を行うとしたものでございまして、国会内また各政党間の議論を十分参考にさせていただいて、今回の改正を行うものでございます。

江崎委員 四十五分に福田官房長官が御退席ということでございますので、ここで、今までPKO参加五原則につきまして議論をさせていただいたわけでございますが、やはりこのPKO活動そのものの変容の中で、私は、そろそろ参加五原則については見直しの時期に来ているのではないかというふうに考えている一人でございます。一方で、今までの議論にもございましたように、憲法上の制約というものも乗り越えていかなければいけないという大変難しい問題にあるわけでございます。

 最後に官房長官に、ぜひとも次期通常国会に臨んでの御決意をいただければというふうに考えております。

福田国務大臣 委員はPKO、PKFの活動、日本の国際平和協力等について大変前向きなお考えをされていらっしゃるように、先ほど来の御議論を伺っておりまして、そのような感じを持ったわけでございます。

 やはり日本が今後国際社会の中で生きていくために何をすべきか、経済大国といいながら、その大国にふさわしいことをしているのかどうか、本当に世界の平和のために役に立てるような国になるかどうかということは、これから我々は深刻に考えていかなければいけない問題だというように思っております。

 そういう観点から考えますと、国際平和協力と申しますか、国際平和の維持、こういうような仕事について、今回この改正がされますれば、日本が今までよりも国際協力という意味においては幅の広い仕事ができるということになりますので、ぜひこの実現をさせていただいて、そして、日本がいささかでも世界に対して貢献できるという立場を与えていただくということは、大変意義の深いことだろうというように思っております。

 防衛庁長官からも答弁いたしましたけれども、今我々が持っておりますこの憲法の範囲の中で最大限何ができるかということを考えていきまして、私どもは、これはかなり積極的に考えたけれども、今現在の判断の中では、この五原則を中心として考えた場合にやはりその限界にあるのかなというような感じはいたします。

 しかし、将来この五原則をもとにまた新しい任務ができるかもしれぬ。例えば、テロ特措法がございます。これは憲法の範囲内における新しい任務だというように私は思っておりますので、そういう任務というものができるかもしれぬということでございますので、これでおしまいという意味ではないと思っております。そういうことも考え合わせ、前向きにいろいろと国際社会の中における日本の役割というものを考えさせていただきたいと思っております。

江崎委員 一言だけ。官房長官、次期通常国会におきましては御検討のお考えはお持ちなんでしょうか。

福田国務大臣 この五原則を初めとして、長い間議論を積み重ねてきた。特に、憲法との関係においてでは、何十年の議論を積み重ねてきたわけでございますので、国会における議論というものを無視するわけにはいかないと私は思っております。

 そういう意味におきましては、これから与党内の議論はもとより、国会における議論の中からどのように対応するかということを考えていくべきであろうと思っておりますので、その議論の成果を見守っていきたいと思っております。

江崎委員 それでは、お約束の時間ですので、福田官房長官、どうぞ御退席をお願いいたします。

 続きまして、本日、PKO協力法等の改正案ではございますが、関連して、PKOにおきましてこれからアフガンに行けるかどうかはまだ流動的な状態ですので、まだわからないというところではございますが、米国におけるテロ事件に端を発したアフガンの問題について。

 実は、私の地元に近い厚木基地におきまして、今大変な騒音問題が起きている次第でございます。

 御承知のとおり、神奈川県の横須賀基地には、米海軍の空母キティーホークが頻繁に寄港しております。平成十二年度は五回、二百十九日、十三年度は現時点までで二回、百五日間、入港しております。空母入港中には、空母艦載機が厚木基地周辺で飛行訓練を行っておりまして、特に、空母出港前には、夜間の連続離着陸訓練と言われるNLPが実施されておりまして、基地周辺住民にとっては多大な騒音被害というものももたらしているわけでございます。

 十一月七日に、神奈川県知事を初め県や基地周辺市の行政、議会関係者、国会議員で構成する厚木基地騒音対策協議会の総会が開催されまして、午後には、外務省、外務大臣のもとにもお邪魔しているはずでございます。また、防衛施設庁、防衛庁、アメリカ大使館にも要請を行いました。

 この協議会につきましては私も顧問をさせていただいておりますが、厚木基地におけるNLPとデモンストレーションフライトの廃止について、現段階においても要望を続けている次第でございます。

 御承知のとおり、デモンストレーションフライトというのは、毎年厚木基地で開催されるエアショーの中で、空母艦載機による曲技飛行のようなものを行うことを指しております。これは激しい騒音を伴うばかりか、昨今、エアショーでも大分墜落事故というのが起きております。こういった不安から、かねてより基地周辺住民、自治体が反対していたところでございます。

 ことしにつきましては、七月二十八、二十九の両日、開催が予定されておりましたが、去る四月十八日に、在日米海軍が発表したとおり、デモンストレーションフライトは中止になりました。実施されませんでした。米軍の決断に敬意を表するとともに、外務省の皆さん、また防衛施設庁の皆さん、防衛庁の皆さんのこれまでの働きかけには敬意を表させていただきたいと思っております。

 しかし、米軍は、来年度以降については実施の有無については言及しておらないのが現状でございます。また、来年度以降、再び再開されるのではという危惧を持っているのも正直なところでございます。今後とも、このデモフラというものが再開されないように、ぜひとも米軍への働きかけというものをお願いしたいというふうに考えておりますが、それに関連しまして何点か質問させていただきます。

 まず、NLP開始前の訓練に伴う騒音ということなのでございます。ことし九月に実施されましたNLPは、九月二十日から二十五日の間すべて硫黄島で開催されたということではありますが、しかしながら、その前に、先駆けて密度の高い訓練が厚木基地周辺で行われました。

 例えば、九月一日から九日までの間に、いわゆる苦情という形で、県あるいは周辺市に七百七十三件、また、十五日から十七日の三日間で千件にも及ぶ苦情がございまして、九月、延べでは二千五百件、通年、一年間で約千件の苦情ということでございますので、たった一カ月の間に二・五倍の苦情が来たということで、相当な騒音公害ではなかったかと思います。

 特に十五日から十七日の間は、同時多発テロの影響もあったのかもしれませんが、朝から夜の十時ごろまで厚木基地においてタッチ・アンド・ゴーと言われるNLPが行われておりました。この間、三日間でございますが、土日が含まれております。そういった意味で、今までは土日というのは通常の訓練はしないということになっておったんですが、それが守られなかったようでございます。

 このような激しい騒音を伴う訓練が実施される場合には、作戦上の機密という面もあろうかとは思いますが、NLPの場合は事前に地元に説明があるんですが、こういった訓練につきましても、事前に説明ないし開始と同時にこういうことで訓練がありますよといった説明があってもおかしくないとは思いますが、外務大臣の御意見を伺わせていただきたいと思います。

田中国務大臣 江崎先生の御紹介もありまして、今月の七日に、岡崎知事さん初め関係者の方が陳情に見えました。

 私はほかの公務で時間がかち合いましたものですから、細かいことの陳情につきましては副大臣がお受けくださったのでお答え申し上げますけれども、私も、そうした苦情が多いということを、その関連の記事等も持っておりまして、これも、一カ月で二千四百件ということですか、いずれにしましても静かな方がよろしいわけで、デモフライトも、それからナイト・ランディング・プラクティスもそうですけれども、やはり、結論から言いますと、もうとにかく静かな方がいいわけですから、こちらからアメリカ側に引き続き展示飛行もできるだけ中止するようにということは申し入れてまいります。

 それからNLPにつきましては、これは一応アメリカに、配慮をするようにということは再三再四申し上げておりますけれども、とにかくこの騒音の影響を軽減するということはぜひやっていただかなきゃいけないことでございますので、その陳情を受けましたときとその後のフォローアップについて、より細かく詳しく副大臣から申し上げさせていただきたく存じます。

杉浦副大臣 今大臣が申されたとおり、私が陳情をお受けいたしました。岡崎知事御自身お見えになりましたし、横浜市初め七市ですか、市長、市議会議長の方がお見えになりまして、お話を伺って、ある意味ではびっくりした面もあるんです。

 というのは、デモンストレーションフライトというのは、普通地元が要望して、曲技飛行ですから、軍の方からサービスでやるということなんですね、映画とかテレビでよく出てきますが。地元が困ると。お伺いしたらなるほどとわかったんですが、騒音もさることながら、事故があったら困ると。昔の厚木と違って家が密集したようですから、事故があったら困るとか、あるいは、デモンストレーションフライトは日本で一カ所しかやっていない、だから全国からマニアが集まってかなわないというような苦情もおありになるそうで、そういうこともあるかなと思ってびっくりしたわけなんです。

 米軍の方も、サービスのつもりでやっておったんだけれども、そういう御意向であればということで、ことしの七月の航空ショーでは中止したようでございます。

 今後とも引き続き外務省としても中止するようにいたしてまいりますが、恐らく地元がそういう御要望であればやめられるんじゃないかというふうに思っておるところでございます。

 それから、騒音対策については、これは北米局長が参っておりますが、協議会の方から絶えずお伺いしておりまして、その都度米軍に申し入れをして対応してもらうということでやっておるところでございます。

 あのテロ事件が起こってからふえた、キティーホークが来た関係で。一部硫黄島でやってもらったこともあるわけなんですが、若干あの事件が影響しているのかなと。これも申し入れておりますので、その後対応されていると思います。

 飛行訓練も、それはパイロットの練度の維持向上のために重要ではあるんですが、もちろん地元の方々に与える影響はできるだけ少なくするようにしなきゃならないことは当然のことでございまして、外務省としても御要望を承ったり、承らなくとも累次米軍の方には申し入れておるところでございます。

 それから、NLPについては代替訓練場というのが前から検討されておりまして、候補地としては、昭和五十八年でございますか、三宅島でどうかということで決まっておるわけなんです。ちょっと硫黄島だと横須賀から遠過ぎるということで候補地になっておるわけなんですが、私ども適地と考えておりますし、今もその考えであることに変わりはございません。ただ、御案内のとおり、地元で反対運動もございますし、また今火山活動で全島民避難しておりますから、現状は動いていない。

 暫定的に硫黄島でNLPが実施できるよう施設整備を行いまして、代替訓練場が三宅島に設置されるまでの間、できる限り多くのNLPを硫黄島で実施されるよう米側に働きかけておるところでございます。

江崎委員 まず一つには、前段の騒音の件についてなんでございますが、アメリカとの間で、厚木基地周辺の航空機騒音を軽減するための取り決めというのは何と昭和三十八年以来行われていないんですね。したがって、相当な年月を経て、もちろん飛行機の性能も変わっておりますし、また空母における艦載機の数も変わっているわけでございます。一方で厚木の環境というのも著しく変わりまして、周辺市に百五十万の人口がございます。そういった意味で、ぜひとも米軍に対しまして航空機騒音の軽減措置の見直しというものにつきまして申し入れをお願いしたいというふうに考えております。

 そして、二番目にはNLPの問題でございますが、硫黄島の訓練施設についてはかなり距離があり過ぎるということで、やや不適切なのかなというような見解も米軍側から出ているやにも聞いております。そういった意味で、代替施設が本当にないのかどうか、ぜひとも御検討いただきたいと思います。

 一つの例としては、平成七年から十二年にかけまして、メガフロートという、浮体空港ですね、滑走路、この技術研究組合が実験を重ねまして、横須賀沖でも約一年間の飛行実験を行った上で、かなり実用性がある、湾内だけではなく沖合にも展開できるという実験結果がもたらされているようでございます。

 そういった意味で、硫黄島がなかなか米軍が遠いと言った場合に、沖合に展開した形でNLP訓練というものが果たしてできないものなのかどうか。この点につきましても、ぜひとも米軍に申し入れ、また御検討の相談をしていただけないかというふうに考えている次第でございます。

田中国務大臣 今おっしゃっている代替訓練の施設でございますけれども、できるだけ多くのナイト・ランディング・プラクティスが硫黄島で実施できるように働きかけてまいります。

 それから、メガフロートにつきましては、まさしく私は、六年、七年近く前に科学技術庁長官を拝命しておりましたときに、高レベル廃棄物の問題と、それから、私はヘリポートで思ったんですけれども、沖縄の基地の問題を考えていまして、その中でもってメガフロートを発着陸の訓練に使えるのではないかと。たまたまそのときにメガフロートがかなり完結に、日本鋼管で完成に近づいている状態でございまして、そういう話がありまして、そういうふうなことでもって沖合で訓練ができないかということを村山内閣で当時提案したことがございました。

 今、随分時間がたって、江崎先生がおっしゃっておられますけれども、こうしたものの利用が非常にできる状態になってきていると思いますので、そうしたことも事務方を通じまして強力にアメリカ方に働きかけていきたい、努力をしなければというふうに思います。

江崎委員 外務大臣、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 関連してなんですが、米軍基地をめぐりまして環境問題も今起きている次第でございます。

 相模原にございます相模総合補給廠におきまして、PCBの含有廃棄物が存在する、しかしその保管状況確認のために同廠立ち入り申請を行ってもなかなか自治体の方では受け入れてもらえないという問題もあるようでございまして、今後、米軍及び基地の扱いの基本とも言えます日米地位協定の中で環境法令というものも設けて、例えば日本の国内法の適用を明記するとか、少し、両国にとって安全で、また双方が幸せな状況というのを、環境面におきましてもお願いを申し上げたいと思っている次第でございます。

 最後に、防衛庁長官に一つだけ、今ちょっと起きております朝鮮半島の問題につきましてお伺いをしたいと思っております。

 先週ですか、韓国におきますミサイルの発射訓練というのがございました。重ねて、一昨日、北朝鮮におきまして銃の発砲事件というものもございました。

 現状、朝鮮半島において緊張が高まっているような状況にあるのかどうか、御認識をお知らせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 現在、朝鮮半島においては軍事的な対峙の状態は続いているわけでございますが、二十二日の韓国の西方海域上での韓国の短距離ミサイル発射については、これは試験のための発射であるというのが韓国政府の公式見解でございます。また、二十七日のDMZでの北朝鮮、韓国間の銃撃につきましては、韓国政府によりますと、偶発的なものでありまして、事態が拡大するといった見方をしておりません。

 これらの事案につきましては、特に朝鮮半島の緊張が高まったというふうな認識を有しているわけではございません。

江崎委員 今後とも、ぜひとも情報収集にお努めいただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

玉置委員長 藤島正之君。

藤島委員 自由党の藤島正之でございます。

 まず初めに、政府のPKO法と私ども自由党の今回提出しております法案の大きな違いですね。

 政府案は、PKOに派遣すると言いながら、憲法上、集団的自衛権が認められていないというところにかかわってくるものですから、国際標準に合わせるにはどうしてもそこが抵抗線になっている。一番大きな点が、中断し帰ってこなければいけないという部分、私は、これは非常に大きな部分だろうと思うんですね。それともう一つが、やはり武器の使用の関係で、国際標準の武器の使用ができない、この二つの点が一番大きな問題点だろう、こう思うわけですね。

 これに対して、我々側が提出している法案では、全く国際標準で行動ができる。ここが大きな違いだろうと思っております。

 ところで、前半の半分ぐらいで、外務大臣に幾つかの点をお尋ねしたいと思います。

 最初に、一昨日もちょっと議論になったんですけれども、ショー・ザ・フラッグの問題なんです。

 今回のテロ対策で政府がとった行動は、何か非常にその部分に引っ張られて、どんどん衝動的にそちらの方向に動いていったんじゃないかな、こう思うものですから、その意味で、ショー・ザ・フラッグというのは非常に意味が大きいと私は考えているんですが、ここの辺の事実関係は一体どういうことだったのか。外務大臣は全然お知りにならないのか。本当にマスコミが騒いでいるだけで、外務省としては何ら情報はとっていないのかどうか。その辺のところをちょっと御説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕

田中国務大臣 随分長い間このショー・ザ・フラッグという問題について報道もされていますし、委員会でも言われておりますけれども、非公式で柳井前駐米大使がアーミテージさんとお会いになった。そして、その結果も私は報告を受けましたけれども、そのときの報告では、そのショー・ザ・フラッグという言葉があったということを私も聞いてはおりません。ただ、そのことが非常に流布されていますし、私が報告を受けた以外のことがあったのかどうか、そこまでは私は承知いたしかねます。

藤島委員 マスコミが勝手にどんどん使ったとも思えないんでありまして、そうしますと、外務大臣がいつもおっしゃっているように、自分が知らないうちに外務省の役人が勝手にそういうデマを流布したのかどうかとしか考えられないわけですね。もし外務省の官僚がそういうことをやって世論操作をしたとなると、これは重大な問題だと思うんですね。日本の国家の進路をそういう言葉を使って惑わすといいますか、あるいは狂わせているのかもしれないんですね。これは私は大変重大な問題だと思うものですから、議論をしたい、こう思っておったんです。

 外務大臣が今おっしゃったように、柳井さんから非公式に連絡があったときにはその言葉はなかったということでありますと、私としては、外務官僚の捏造なのかもしれないなというふうに思うわけです。

 というのは、この点につきまして、前国連大使の小和田大使が、日本の米国支援をどう評価しますか、こういう質問に対して、今回は湾岸戦争のように大規模ではなかったから、日本は何をしているんだ、という状況にはならなかった。重要なのは、国際社会に対する、テロを容認しないという旗幟を鮮明にすることだ。ただ湾岸戦争時の誤りを繰り返さないということだけが、行動理由になってはいけない。まさに私はこういうことだろうと思うんですね。

 この点に対して、私は、官邸がだまされたのかどうかわかりませんけれども、非常に突っ走り過ぎたのではないか、こう危惧を持っておりますので、再三取り上げられたにもかかわらず、もう一度この問題について取り上げさせていただいた、こういうことでございまして、答弁を求めるものではありません。

 続きまして、タリバン後のアフガンについて、今いろいろなことが行われておりますね。ボンで会議が行われたり、いろいろ行われているわけですが、これからどういうふうに落ちついていくかわかりませんけれども、外務大臣としてはこの件についてどういうふうな姿が望ましいと考えているのかどうか、ここをお伺いしたいと思います。

    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕

田中国務大臣 今回パキスタンに行きまして、まさしくそのアフガンの問題及びアフガン周辺国家のサポートといいますか、今委員がお尋ねのようなことについて話をいたしました。

 その相手は、ムシャラフ大統領初め、外務大臣、大蔵大臣、内務大臣でございまして、一緒に会談を長時間持っていただき、さらに、ラマダン中でもございましたのに食事も一緒にしながら、非常に長時間にわたってこうしたことについて意見交換もいたしました。

 それから、あと一つは、NGOともそういうふうな話を、日本から行っているNGOが大変熱心でございまして、よく受け入れられていて、よく努力なさっていました。その方たち。それから、三つ目は国際機関で、ユニセフでありますとかUNHCRとか、そういう方たちからトータルな面で話を伺いました。そして現場でも声を聞きました。

 そのトータルの四つのラインといいますか、そこで受けた印象は、まさしく今先生がおっしゃるタリバン後、どうすればいいか。それは、アフガニスタンの人たちが自分たちの形で、ほかの国からの押しつけではなくて、アフガニスタンの人たちが納得のいくような形で、国際法を遵守して、そして、いろいろな部族がいるようですけれども、アフガニスタンの国民各層から幅広く支持を受けられる、支持されるもの、そして、さらに周辺国家とも友好的にやっていけるような新しい政権といいますか、そういうものが誕生することが望ましい。あくまでもアフガンの人たちの主導権といいますか、そういう形でないと、結局はそれがまた崩壊する可能性がある。

 ですから、みんなが和平について、今回のボンでの会議もございます、それから今度一月末から日本でも会議が、復興についてはございますが、それらもトータルで、アフガンを本当に幸せにする、そのことがまた周辺国家ひいては私ども世界全体の平和と安定につながるのであるというような意見を集約して帰ってまいりました。

藤島委員 大変立派な外務大臣としてのお考えだと思います。そういう方向で外務省を御指導いただければ本当にいいのかなという感じはいたします。

 その次に、イラクの攻撃について、今米国ではいろいろ言われているようですが、この点について外務大臣はどのように見ておられるのか、あるいは、日本は支持をするのかどうか、この点についてお伺いします。

田中国務大臣 先ほども委員会がございまして、衆議院安保委に先立ちます参議院での会議でも、まさしくこのイラク攻撃、今もちょうどそういうふうなことが報道されておりますので、可能性につきましていろいろ言われております。

 要するに、米政府が軍事行動、いろいろ確かに、大統領とかパウエルさんとかあるいはフライシャー報道官ですか、そういう方々がいろいろなところでもって発言はなさっているということも承知はいたした上で申し上げますけれども、アメリカが結果的にどのような軍事行動を今後起こすかということは、今予断を持って判断をすることは適切ではないので、慎重でなければいけないというふうに思います。

 何度も繰り返しておりますが、この行動は、テロを撲滅するために世界じゅうが手を携えているということではあります。しかし私は、余り仮定の御質問にはお答えできませんけれども、攻撃が拡大していくとか、イラクだけではなく、そういうふうなことにはならないようにあってほしいと当然願っております。

藤島委員 もちろん拡大しない方向が望ましいわけですけれども、もし拡大していった場合に米国の行動に対する御支持をなさるのかどうか。

田中国務大臣 仮定の問題、また月並みで申しわけございませんけれども、予断を持って今の段階でコメントすることはちょっと難しいと思います。

藤島委員 それでは、これ以上追及するのはやめておきます。

 あと二つちょっと。外務大臣、また嫌な質問だとおっしゃるかもわかりませんけれども、人事凍結の問題なんですけれども、官房長、今実態はどういうふうになっておるんですか。

小町政府参考人 ただいまの藤島委員御指摘の問題につきましては、今部内で鋭意協議をしている、こういう段階でございます。

藤島委員 これは事実かどうかわかりませんけれども、外相が凍結している人事は、十一月一日以降に発令する予定だった計八十二人の異動。内訳は、本省内異動が五人、本省から在外公館が十四人、在外公館から本省が三十人、在外公館間の異動が二十五人、病休や休職、育児休職など八人となっておる。発令予定の部署で勉強を続けている毎日だとか、心臓病の妻がいるのに帰国できないとか、いろいろ職員から訴えがあるようです。仕事はやはり組織でやっているんだと思うんですね。こういうことがたまっていたんでは、なかなかいい仕事を組織としてもやれないと思うんですね。外相は人事課長の異動にこだわっておられるようでありますけれども。

 こうした異常事態を何とかしようと、植竹、杉浦、杉浦さんはいらっしゃいますけれども、両副大臣が二十一日、首相官邸を訪ね、小泉首相周辺に外相を説得するよう依頼した、しかし、今のところ首相が乗り出す気配はない。もし、こういうままいくとなると、実際問題本当に国益を損ねている。これは単なる課長の異動とかそういう問題じゃなくて、大変な問題になると思うんですね。

 きのう、何か総理が大臣に、大臣の心得か何かお渡しになったようですけれども、その言葉の中に、記者団に、もうぴったり、私も眞紀子さんも含めてと総理は語っているようですけれども、この辺を含めて外務大臣の。

田中国務大臣 これは大変重要なことでございますのでちょっとお話しさせていただきたいと思います。総理が下さった、きのうでしたか、おとといでございましたか、それはこうおっしゃっていたんです。

 それは、私もメディアにも言っておりますが、一部分しか報道されていませんが。私がパキスタンから帰ってきましたときに、はい、ラブレターとかいって下さって、それが、御自分が総理になられたときにどなたからか帝王学としてもらったものであって、それを自分がコピーして私に下さるということをおとといおっしゃいました。それは閣議の直後でございました。

 その翌日に、きのうだったでしょうか午前中、参議院の本会議の前に、議長室に控えておりましたときに、農林大臣と竹中大臣がお二人おられるときで、そのお話をやはり総理がなさって、これはすごくいいものだから全閣僚に配付しますとおっしゃってくださって、あれは僕が本当はもらったものなんだよとおっしゃったので、多分、あした閣議があるので、お忘れでなければ、総理が全閣僚に配付してくださるであろうというふうに期待をいたしております。

 それから、人事の問題ですけれども、これは、私が、いわゆる凍結、フリーズと申しましたのは、四月二十六日に着任以来、五月八日から六月の四日までいたしました。その後は凍結ということは言っておりません。今現在の、十一月云々ということもございません。

 いろいろいろいろ言われていますので、ここで大変ありがたい機会ですのではっきり正確に申し上げさせていただきたいと思います。

 それは、一人の人なんかに私はこだわって、物を矮小化しておりません。私が着任したときに既に松尾事件がありました。きょう懲役十年か何かの、先ほど何かあれがあったそうでして、マスコミから追いかけ回されていてこれはコメントを考えなきゃいけないと思っておりますんですが、そうした事件がある中で私どものこの内閣ができ上がりました。

 そして、組織というものは人事と会計、この二つの問題がきちっと機能していって、人事については、公平で、透明性があって、ある一定のルールがないと。外務省はもちろん時間差もありますし、在外に行きます。したがって、いろいろな緊急の、例えばアフガンが起こればアフガンの専門家を呼ぶとかそれはあります。そうした例外はもちろんありますが、一般には、私ども三年ルールということを言っております。民間もそうだと思います。

 それから、お金につきましては、きちんとルールをつくっていくということ、あなた任せではないということ、これは初めからずっと私は省内でも在外にも言ってきておりまして、そして外務省改革要綱、六月六日にでき上がっているんです。そのときに、内部の部局会計の一元化でありますとか、あるいは監察査察制度の立ち上げでありますとか、そうした制度はでき上がっています。

 でき上がりましたけれども、六月から、もうあさってから十二月になんなんとしているにもかかわらず、まだプール金の問題、あの後もずっと続いているんです、残念ながら。何のための改革要綱か。

 それは人事も。人事はさらにひどくて、一人の人だけを言っているのではなくて、人事はかなめなんです。前の松尾事件のときに、四人の会計課長がいて、三人が病気で、急になぜか全員が病気になって、全員が出てきて、全員が配置転換になって、人事課長のある人だけは、個人的なことは私一切知りません、けれども、彼は大変重要だということでもってずっと来ています。そしてタクシー事件のときに懲戒の処分を受けています。しかし、絶対この方だけはかわらないんです。そして今まだ、いろいろ人事やそのほかの問題で不祥事が起こっていますが、人事課が会計を押さえているんです。これは前次官のときも、前官房長にも、今の野上さんにもずっと私は言っています。言っていますが、彼は有能だからかえられないという理由以外は聞いていません。

 もう一つ。三年以上の人のリストを出してもらいました。何と六年、十二年、十六年も同じポストにいる方たちがいるんです。こんな風通しの悪いことで不祥事を解決できるでしょうか。しかも、キャリア、ノンキャリアという大変高い壁が、どこの省庁にもあるでしょうけれども、外務省は極めて壁が高いんです。したがって、そういう人たちについてもできるだけ異動してほしい、在外も省内も。何のための外務省改革要綱なのか。それに沿って人をかえてほしいと申し上げていますが、五つのマークがついていて、これらは、病気はわかります、療養もわかります。しかし、そうでないのに、なぜか理由があってかえられない、かえるにふさわしくない人物であるというふうなことで、いろいろな印が、個人に全部シールがつけてありまして、これは極めて不明朗であります。

 したがって、今回も突然、私がパキスタンに行く前日に官房長から車に電話がかかってきて、これは一回じゃありません、前の次官のときはしょっちゅうでした。急に、彼を入れかえます、この大使を戻しますと。そんな、出発前の車の中で、人の一生のことですから、大事なことをなぜ電話一本でするのか。前は私は、それは、ああそうですかと言っておりました。しかし、これはやはりおかしいです。

 これだけの事件が起こっていて、司直の手にゆだねられている人が何人かいて、そして今回もまだ続いているじゃないですか。であるのに、外務省改革要綱やあるいは会計検査院の御指摘にのっとらないのであれば、議会で私どもがこうして議論をしていることは一体何なのかということになると思うんです。

 したがいまして、そうしたことの中でいろいろなことが、あることないこと流されたり漏らされたりしております。それらについては、私は、一度紙にきちっとまとめて天下に公表したいと思っております。

藤島委員 おっしゃっていることは本当に正論だと思いますね。組織というのは、やはり人とお金なんですね。私も防衛庁で官房長をやっておりましてそこは十分よくわかっているのです。

 ただ、こういうのが新聞に出ているということは、国民は誤解をしますよ。だから、官房長がいいか悪いかはまた別の問題として、もしこういう事実があるとすると、今おっしゃった考え方といいますか、それは立派なんですけれども、現実にこういうことで人事が停滞しているとなると、まさに国益にかかわってくる問題になるということで申し上げているわけなんです。

 それで、もう一回聞いても同じような答えになると思いますので、ちょっとその前に。

 改革が、田中さんが外務大臣になった一つの大きな柱だったと思うのですね。今おっしゃったように、就任のときにそういう問題がもう出ておったものですから、外務省を改革することが外交をきちっとやることと同じぐらいのウエートがあったはずなんですが、半年の間に具体的にどういう改革があったのか、国民の目から見て何も見えていないのですよ。何かいろいろ官僚と大臣がごちゃごちゃやっているということだけで、国民から見たら、頑張っているんだろうなというのはわかるのですよ、外務官僚との間で。ただしかし、それじゃ、実質的に外務省の改革が、何がどういうふうに改革されていっているのか、それをだれが現実にやっているのか、その辺が全然見えてこないのですね。

 そこを含めて、人事ももう一回反論があったらおっしゃってもらって結構です。

田中国務大臣 反論なんかではありませんで、私はむしろこうした機会をいただけて、本当に国会の終盤でありがたいと思って感謝をいたしております。

 それは、例えば十一月にしても、ことしの一月の松尾事件が起こってから一年になんなんとしている中で、えらく頻繁に毎月異動があります。それは事務方のトップの方の方も認めておられるわけで、なぜそんなにしなければならないのか。

 今回の十一月にしましても、私はこの十一月中にプール金も公表し、参与と官房長と私と三人で公表もいたしますけれども、そうした中でもって一般の方のがもちろんあるわけです。私は、課長以下であるとか何とかとか余り人事には本来関心を持ちたくありません。それは信頼しておくのが一番いいのですから。しかし、この事件が起こっていたがために、この一年間ふたを閉めたと思ったものが小泉内閣によってふたがあいたのです。パンドラの箱があいたわけです。

 そのことによって、外交ももちろんしながら、走りながら両方を、二足のわらじを履かざるを得なかったということを御理解いただきたいと思いますし、その人事の、例えば十一月でも、その中に突然、一番不思議だと思うような人がさっと入っていたりします。それから、一番この人はどうしても異動したらいいじゃないかと一般の職員みんな言っているのですが、なぜかその人だけは何度言っても入らない。ですから、残念ながら、ぱらぱらと週末にでも預かって、それも出してこないのですけれども、今までずっと。

 それは、官房長が悪いのでもだれが悪いのでもないんです。私、うまくいっているんです。ところが、やはり上の方が、トップがそれを押さえなきゃいけない、前次官も今の次官もそういうふうに思い込んでおられると思うのです。

 ここでうみを出し切って、そして霞が関で外務省が、外務省モデルだと言われるように生まれ変わりましょうと。そして、スリム化することによって機能する。みんな職員そう言っていますよ。ですけれども、どんなしがらみがあるのか、どんなからくりかは私にはわかりませんけれども。

 ですから、私は、一般の方の人事はやっていただいています。ほかの省庁から来ている方たち、病気の方たち。しかし、今回の人事は、今回といいますか、この松尾事件を引きずっている中で、プール金があり、タクシーがあり、デンバーがあり、何があり、山ほどあるわけですね。その中で、先ほど言ったように、古い人が全然動かない、理由は何も言わない。一番新しい人は、小町官房長なんかは、私は昔からよく存じ上げている方ですけれども、たった三カ月でもってぱんと引っこ抜かれたらぱんと入るわけです。ルールなんかないのです。

 ですから、本当に気をつけて見ていないと、いろいろないたずらがされてしまうということを言っているのであって、基本的には私は役所の皆さんは応援してくださっていると思うし、そういう激励もいただいている。ですから、基本は、トップの方が腹をくくるかどうか。トップは私かもしれませんけれども、役所のトップという人たちが、人がやはりいたずらをしないで、基本的に有権者、納税者の目を見るか見ないかということだと思います。

藤島委員 私は、田中外務大臣をいじめようとかいうつもりで発言しているのじゃなくて、やはり今外務省というか外交は一番大事な時期だと思うのですね。歴史の中にあっても本当に大事な時期だと思うものですから、こういうことでごたごたしているイメージがいつまでも続いているのでは全く国益に反すると思うものですから質問したわけでありますが、こういうことのないように外務省の役人さんときちっとやってもらわないかぬ、こう思います。

 もう一つだけ。外務大臣、五年前の日本の経済財政事情と現在の財政事情はどういうふうにごらんになっていますか。

田中国務大臣 バブルが終わっておりましたので、かなり厳しいと思いますけれども、私は財政担当ではございませんけれども、経済財政諮問委員会とか、閣僚としてそうした経済の見通し、分析の会に出させていただいておりますし、私も、基本的な財政状態がよくなければ、いろいろな理想を言っても、外交だけではありませんで、あらゆる国の、インフラの整備にしましても、社会保障制度にしましても、もちろん防衛の、安全保障もそうですけれども、そうした予算が回らないと思っておりますので、やはり財政が健全化しなければいけない。

 しかし、小泉総理がなぜこれだけ支持されているかといえば、やはり構造改革にメスを入れるという決意を持っておられるからであると思います。

 したがって、その覚悟を現実に移すために、党利党略とか派利派略とか縦割り行政をやめて、本当に私たちが、自分自身が生まれ変わる覚悟を日本国民一人一人ができるかどうかというところに来ていて、今は本当に大きな曲がり角に来ていて、オール・オア・ナッシングみたいなところに来ているなと私は思って見ております。

藤島委員 その点は我々も認識は同じなんですけれども、それはそれとして、実は、モスクワ大使館の新築の話ですね。なぜこんなことを言いますかというと、五年前に一応計画があったようでありまして、その当時の我が国の財政事情をもとにいろいろ考えておったのでしょうが、今やかなり変わってきておる。

 百億円、プールつきのものをつくる。余りけちけちという意味じゃないのですけれども、外務大臣が出張の折にホテルに宿泊の経費を、高いから安いところにかえろというような非常にいいセンスをお持ちの外務大臣なものですから、これをそのまま認めるのかどうか。我が国の財政事情からして、五年前そのままでいいのかどうか。

田中国務大臣 実は、私、このロシアのモスクワ大使館の新築については知りませんで、きょう藤島先生がお聞きになって、きのうどなたかほかの議員がほかの委員会でお聞きになる御都合だったのですが、時間の都合で聞きませんので、これは役所の答弁しかわかりませんで、今まだ設計段階かどうしているのかと聞いたら、工事中だそうでございます。

 在外公館のあり方というものについても私は大臣なんかになる前から非常に関心があって、村山内閣のときに河野大臣にかなり詰め寄って嫌がられたことがあるのですが、この進捗状況につきましては、官房長がお答えくださると思います。

藤島委員 進捗状況というより、こういうことについての大臣の考えというのですか、これは一つこういうのだけじゃなくて恐らくいろいろな経費についても、外務省のセンスでいくと五年前のセンスがずっとまだ残っているのじゃないかな、こう思うものですから、それに対して外務大臣はどう考えるかということで聞いているので、進捗状況を聞いているわけじゃないのです。

田中国務大臣 わかりました。これがどのようなプランで幾らかかるかということは、私は承知しておりません。

 今のこの紙を見ますと、総工費について百億円もするとの報道があるということですが、実態が幾らの予算で、見積もりで、どうなっているかということも面積も一切存じませんので、先生がおっしゃった五年前がどうであって、そのとおり本当に進んでいるかどうかも、確認をする意味でも官房長からちょっと一言お聞きいただいた方が正確になるかと思います。

藤島委員 それでは、ここで官房長に確認するあれもないので、大臣の方からじっくり役所の方を呼んで、それについて御判断をして行動をとっていただければと思います。

 外務大臣に対する質問はこれで終わりますので、どうぞちょっと休憩されて結構でございます。

 あと、残りの時間、防衛庁長官に御質問をしたいと思います。

 まず、アフガンに今回は海上自衛隊と航空自衛隊が派遣されたわけですけれども、陸上自衛隊を派遣する予定があるのかどうか、お伺いします。

中谷国務大臣 基本計画には陸上自衛隊は含まれておりませんで、現段階では陸上自衛隊の派遣は考えておりません。

藤島委員 わかりました。そういうふうにはっきり言っていただいたら、陸上自衛官の諸君もすっきりした、こう思います。

 それから、イージス艦の問題ですね。これはいろいろ議論された結果、今回派遣しないようですけれども、私は、やはり今回自衛隊を派遣することの全体の是非は別としまして、派遣するからには、ちびちびちびとした出し方じゃなくて、やはりフル装備といいますか、一番いい装備で派遣するのが軍事的な常識なんですね。この議論は、まさにかつてPKOで機関銃一丁か二丁かという議論そのままだと思うのですね。こんなばかなことを議論している国はないと私は思うのですよ。

 これに対して、今後、防衛庁長官としてはどういうふうに考えていくのか、お答えいただきたいと思います。

中谷国務大臣 イージス艦の持つ機能というのは、情報収集を非常に高くできるという点で、目であり耳でありますし、また、指揮をとるのに非常に優位な艦艇でございますけれども、政治的なシンボルとなって、非常に連日マスコミ等でも報道されておりまして、この派遣に際しましては、官邸や与党、また国会でのそれぞれの先生方の御意見、また現地の情勢等も踏まえながら、私なりに主体的、総合的に判断し、今回はイージス艦の派遣を見送ったわけでありますが、現在行っている任務の今後の推移や状況の変化等を含めまして、今後とも検討を続けてまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 防衛庁長官は自衛隊のトップなわけですから、やはり派遣される自衛隊のことを一番心配されているわけでありますので、今後の検討として、ぜひ前向きに考えていただきたい。単に政治のおもちゃにされるのであれば、派遣される自衛官自身の非常にプライドの問題にもなってくるわけで、そこはきちっとしていただきたい。

 この点は、参議院で我が党の田村委員の方から、派遣される内容、装備等は、もともと国会で議論する話じゃなくて、それはもう防衛庁長官に一任されるのが当然だ、一々そういう細かいことに政治が口を挟むべきじゃないと。全く私は当然のことだ、こう思います。

 そういう意味で、防衛庁長官が、今後、主体的といいますか自主的に御判断をして、いろいろな政治の反対があっても、ぜひそれは貫いていただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。

 それから、これはちょっと質問としては答えにくいかもわかりませんけれども、我が国の自衛隊は、実力として我が国を守る最小限の力しか持っていない、ここはそう考えてよろしいですね。

 そうしますと、今回、護衛艦三隻、補給艦二隻、掃海艇一隻、これは随分大世帯なんですね。これが行くことによって、我が国を防衛する最小限のそこの部分に穴があくというような、これは理論的な問題なんですけれども、そういう議論に対してどういうふうにお答えされるのか、答弁いただきたいと思います。

中谷国務大臣 防衛計画の大綱並びに中期防等で防衛力の整備を行っておりますけれども、この中期防の中でも、我が国の防衛、そして各種の災害並びに国際安全保障環境を構築するという観点で議論を行っておりまして、通常においても、諸外国と教育訓練等も実施する中で、隊員の能力の錬成等を図っております。

 今回の派遣等は、我が国の防衛をする上において支障のない範囲として艦艇の六隻を派遣したわけでございまして、これは我が国の防衛に支障のない範囲で勘案した数字でございます。

藤島委員 確かに我が国の防衛に支障があると言えない部分があるのですけれども、なぜこれを私伺っているかといいますと、これからいろいろなケースで派遣されることがふえてくると思うのですね。そうしましたら、実態として、艦艇は多いようでも、修理に入っていますから可動率は大変低いわけですよね。その中で、一番可動のいいといいますか、状況のいい船を持っていってしまいますから、残っている船というのは、そういう意味で、修理工場へ入って修理されているかあるいはそろそろ修理へ入るかとかいう、そういう船にどうしてもなってしまうのですよ。そうしますと、実際問題として、重要な訓練にも差し支えが出るし、船を回すといいますか、なかなか運用が大変なんですよね。

 私は、そういう現場の実態を踏まえて、今後こういう任務がだんだんふえてくるようなことになりますと、そういうのも勘案して装備を持つといいますか、部隊編成、そういったものも考えてもいいんじゃないか。そうしないと、残された部隊が非常に、支障はないとはもちろん言うんですが、実態面では大変な支障が出てくる、こういうふうに思うのですね。

 ですから、そういう意味で、こういう派遣があることも考えた部隊編成、装備のあり方についても、次の防衛計画の大綱の検討の中で一つの課題としてもいいのじゃないかな、こう思うものですから質問したわけですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 この御指摘は非常に重要な観点でありまして、防衛庁といたしましても、あり方検討会を立ち上げまして、今後のあるべき姿、これを研究してまいりたいというふうに思っておりますし、現在の中期防におきましても、コンパクト化、効率化、機能化という観点で、より柔軟に各種事態に対応すべく、体制の転換を行っているところでございます。

 今後とも、機動的、弾力的な事態に対応できる力をつけて、我が国の防衛に支障がないように、また国際的にも国際の安全保障に対応できるように整備をしてまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 私の指摘の点について配慮をしていただくということなので、ぜひお願いしたいと思います。

 最後に、一問だけ。

 現在ゴラン高原に行っておるわけですけれども、これは最初のとき私もかなり関与したわけですけれども、カナダ軍の一部を割いてもらってそこに入っているのですが、そのカナダ軍が一緒にキャンプの共同パトロール計画をつくりましょうというのに対して、カナダ軍と一緒に警備することはできませんと。カナダ軍の方が、我々は同じキャンプにいるのですよというのに対して、自衛隊はカナダ兵を守ることができないと。あとは説明がつかない、こういう状態になっているのですけれども、今回、武器使用の範囲を管理下ということで広げたりするわけですけれども、この現実の、具体的なこのケースについてはどういうふうになるのでしょうか。今までどおりなんでしょうか、多少は融通がきいた行動がとれるようになるのでしょうか。

中谷国務大臣 現在におきましては、現行法の範囲内で、カナダとの共同使用地区におきましては、我が国部隊が使用する施設の管理を確実に実施する、また要員の安全を確保するという観点で、現行法で警備を行っておりますが、今後は、その宿営地警備を実施している自衛官とともに現場に所在するカナダ部隊、要員等、他国の要員が不測の攻撃を受けて自衛官とともに共通の危険にさらされた状況におきましては、防衛の対象に自衛官がすることとなり得るというふうに考えております。

藤島委員 一緒に警備をすることができる、こう考えてよろしいわけですね。

中谷国務大臣 お話ししたとおり、その自衛官と一緒にいるカナダの隊員が非常に危険な場合に、我が国の指示に従うというふうな状況になった場合には、カナダの要員の防衛もできるということでございます。

藤島委員 今までよりは若干行動がとれるかというぐらいかもわかりません、半歩前進ということかもわかりませんけれども。

 質問を終わります。

玉置委員長 赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 PKFの凍結解除と五原則のかかわりについて、まず質問したいと思います。

 政府は、今回、PKFの凍結解除をするに当たって、内外世論の理解を得たという認識を持っているようでありますけれども、国連PKFが具体的にどういう活動をしているのかということについて、その具体的な活動の中身について、国民にその実態が十分知られている、こういう認識なのですか。

中谷国務大臣 PKOの活動につきましては、これまで九年間、我が国はいろいろなところで行っておりまして、その都度都度に各地のPKOのあり方、また、中東地域におきましては、イスラエルとパレスチナの状態の中で、現に国連PKO活動も数々運営をされておられまして、その内容等につきましては、国民の皆様方、報道等でそれぞれ承知をし、PKOというものについての認識は相当深まっているというふうに思っております。

赤嶺委員 私、一般的に国連PKOの活動ということではなくて、国連PKFの活動の具体的な内容が国民に十分知られているのか、こういうような質問を申し上げているわけです。

 御承知のとおり、PKFの活動というのは、もう本当に武力紛争の冷めやらぬ地域に展開して、停戦の監視だとか、あるいは武装解除だとか治安の維持などに当たる、言ってみれば、常に危険と隣り合わせの活動であるわけですね。

 私、ここにUNTACの活動報告、これは国連の事務総長がPKFの活動で武力衝突があるたびに国連安保理に、そもそも衝突が起こったてんまつについての詳しい報告書なんです。これだけの報告書が出ているわけです。これを持ってまいりました。

 カンボジアのPKOというのは、ポル・ポト派が武装解除に応じないでPKO要員への襲撃が相次いだ、そういう活動があった地域なんですね。この中から、PKFについて襲撃事件が起きたことについて、二つの例を取り出してみました。

 一つは、一九九三年の六月二十二日の書簡です。事務総長が安保理に出した書簡の中身ですね。こう言っています。

 九三年六月七日、午前四時十五分、プリアビヒア州の西部に位置するプンタベンで、約百七十人の武装した兵士がパキスタン部隊の小隊を襲撃した。襲撃した兵士たちは牛の群れに身を隠し、パキスタンキャンプの約二十から二十五メートル以内のところにまで近づいた。彼らは小型武器、迫撃砲、ロケット砲を使用し、波状攻撃をかけてきた。パキスタン大隊の部隊は、最初、襲撃者に対し前進しないよう警告し、それから小型武器を使用して応戦した。襲撃者たちは約二時間後に、二人の死体を残して退却した。

 これは、パキスタンのPKFが襲われたときの事件ですね。こういうたぐいの書簡がたくさん続くんですが、次に、一九九三年四月二十六日付の書簡については次のように述べています。

 一九九三年四月二日の夕刻、コンポンスプー州のプンプレックにあるUNTACの駐屯地で、現地のNADK、これはいわゆるポル・ポト派ですね。NADKの司令官が兵士二人を同伴して、そこに駐屯していたブルガリア大隊の要員十一人と夕食をともにした。ブルガリア兵と現地のNADKの、ポル・ポト派の兵士との関係は、それまでは良好だった、こう言っているわけです。

 夕食後、NADKの司令官は立ち去り、午後十一時五分ごろ、十人から十五人の武装した兵士とともに戻ってきた。そして、NADKの兵士たちは非武装のブルガリア兵に対し、自動銃と手りゅう弾で攻撃し、撤退するまでに三人を殺害、その他三人に負傷を負わせた。その夜遅くから翌日の明け方にかけて、ブルガリアのキャンプは再びNADKによる迫撃砲と小型武器の攻撃にさらされた。

 こういう攻撃が、文字どおり日常茶飯事という事態になって起こっているわけですね。

 一般的なPKOがどうであったかということよりも、やはり日本の憲法との関係で、こういう国連PKFが本当に世界各地に展開したときに、現在国連PKFはどういう状態にあるのかということを知らせるのは非常に大事だと思うんですよね。

 だから、PKFに参加するということは、こういう危険な事態にまさに遭遇することになります。そういう活動であります。そのときも、そういう事態になっても、政府はカンボジアでは停戦合意は守られていたということを一生懸命言って、立場を変えなかったわけですね。

 ですから、私、今回、自衛隊がこうした危険な事態に直面するという可能性は極めて高いと思うんですよ。これはもう委員会でもいろいろ論議されています。こういう危険を伴う活動だというこの事実について、本当に国民によく説明されている、このように長官はお考えですか。

中谷国務大臣 今、UNTACの例を挙げられましたが、その報告に書かれているということで、事実だというふうに思いますが、このUNTACの国連代表は明石さんがお務めされましたし、また、ユーゴのミッションも明石さんが取り組まれたわけでございまして、このPKOの活動等に対する危険の可能性というものは、私も否定をいたしません。

 しかし、カンボジアで行いました自衛隊の活動につきましては、タケオで実施をしたわけでありますが、事前に十分に調査をして、我が国の法律の枠内で任務をするということが可能であるという認識のもとに実施をし、立派に任務を達成し、そして、現実にカンボジアにおける新しい国づくりのために貢献をして、現在カンボジアは平和が保たれております。

 また、これから派遣をしようとするティモールにおきましても、本当に大丈夫なのかどうか、現在も防衛庁の調査をいたしておりますけれども、こういった調査に基づいて、現行法律に基づいて実施をすることが可能であるかどうか、これを検証し、確認した上で派遣をいたしたいと思っておりますので、それぞれのPKOの条件、また実情に合わせて派遣活動を行ってまいりたいというふうに思っております。

 そのような危険が内在するということにつきましては、否定はいたしません。

赤嶺委員 不測の事態が考えられ得る、そして危険な事態に遭遇する、これが国連PKFの実態なんですね。

 ところが、皆さんが国民の理解を得たと言っているのは、ノーベル賞を受賞しただとか、あるいはPKOというのは戦わない部隊だということで、殊さらに危険なイメージを与えないようにしているということだろうと思うんですよ。だから、国連PKFが国民に本当に具体的な中身について認識されているかどうかということは、やはり皆さんの姿勢からしても極めて疑問であります。

 そういう中で、本当に短時間に、そして憲法とのかかわりでも重大な中身を持つこれらの法案が強行されようとしている、こういうことは極めて問題だと私は考えざるを得ません。

 二十四条の武器使用の改定の問題に移りますけれども、今回の改正で、PKFの凍結解除を行うのにあわせて、武器使用権限の拡大が盛り込まれました。これはやはり先ほど長官も認められたように、PKFがこうした危険な任務を含む活動だから武器使用権限の拡大も盛り込まれたというぐあいに認識しておりますが、いかがですか。

中谷国務大臣 そのとおりでございます。

 派遣する以上は隊員の安全確保をし、また、与えられた任務を整々と実行できるようにするために、安全管理上、武器の使用を付与して派遣をするわけでございます。

赤嶺委員 PKFというのは極めて危険だということを防衛庁長官もお認めのようであります。そして、そのために武器使用の拡大もあるんだということであります。

 私、七年前の安全保障委員会で、中谷長官が当時安全保障の委員のときに、こういう質問をしているのを議事録をめくっていましたら見つけました。

 PKFの凍結解除となれば、今の武器使用では限界を超えるような非常に危険なところや危険な任務が付与されるということですから、PKF凍結解除と一心同体のものだ、こう言っているわけですね。

 ですから、国民に理解をされてPKFの凍結解除ということではなくて、実態が非常に危険過ぎるから、それでPKF凍結解除のときには武器使用の原則まで拡大しようということになっているんだろうと思うんですね。

 武器使用原則の拡大の具体的な話について聞きますが、防衛対象について、管理のもとに入る者、この範囲についてなんですけれども、国連PKOに従事するどういう要員、部隊が対象になるんですか。具体的に明らかにしてくれませんか。

中谷国務大臣 この「自己の管理の下に入った者」というのは、不測の攻撃を受けて、自衛官と共通の危険にさらされたときに、その現場において安全確保について自衛官の指示に従うことが期待される者ということで、具体的には、宿営地に所在する他国のPKO要員、国連職員、国際機関の職員、専門家、NGOの職員、通訳、その他の業務の補助者、視察者、招待者、報道関係者、また、人員輸送を行う場合の輸送の対象となる他国のPKO要員、国連職員、国際機関の職員、専門家、NGOの職員、また、自衛官が車両に同乗させている他国のPKO要員、国連職員、国際機関の職員、専門家、NGO職員、視察者、報道関係者、もしくは自衛官が職務に伴い同行する通訳、道案内、視察者などでございます。

赤嶺委員 そうすると、例えば自衛隊が今回PKFを送ります。日本の自衛隊の宿営地と同じ場所に他国の医療部隊、これは武装していない部隊、あるいは武器を所持していない施設部隊が駐留している場合、こういう部隊は、いわば武装していないわけですから、管理のもとにあるということになり、守ることができるのでしょうか。

中谷国務大臣 その際に、その現場にいる自衛官が危険にさらされているかどうかということも関連いたしますけれども、同じように危険にさらされていたとする場合で、その人たちが安全確保のために自衛官の指示に従うことを期待するというか、そういうことを希望して自衛官の指示に従う場合においては防衛をすることができるということでございます。

赤嶺委員 私は、自衛隊と同じ宿営地に、武装していない外国の施設部隊や外国の医療部隊がいるときに、身の危険を感じたら、武装した自衛隊に守ってほしいという期待を持つのは、もう事の成り行き上、当然だと思うのですね。それはいわば外国の部隊を警護する警護活動じゃないかと思いますよ。

 つまり、「管理の下」という概念は、今まで皆さんは警護任務とは違うということを繰り返してきたわけですね。しかし、こういうPKFが、管理のもとに入った者は守るんだ、そして武装していない医療部隊なんかは守ってくれることを期待しているわけですから、その自衛隊の宿営地という現場においては事実上の警護活動を行うことはないんだ、このように言う保証は全くないと思いますけれども、それは一体どこにあるんでしょうか。警護活動でないという保証ですね。

中谷国務大臣 これは、人間としての自然の感情というか、自然の行いでありまして、自己保存のための自然権的権利というのは、あくまでも自分、そして同じ日本の仲間、これを守るという範疇の武器使用でございますけれども、しかし、その現場にそういう人たちがいて、自分たちだけ守って本当に人間として許されるかといいますと、やはり当然、すぐ隣にいる人たちは同じように守っていかなければならない。それが人間であり、仲間であるというふうなことに基づいておりまして、そのような観点で、自己保存のための自然権的権利の武器使用ということで今回改正をするわけでございます。

赤嶺委員 これは、人間として、個々人として危険に直面した人を守る話じゃないんです。やはり武装していない外国の部隊を、結局「管理の下」に入れるという認識のもとに警護活動をするということにつながっていくんです。人間としてどう守るか、個人をどう守るかという話は全く別なんです。

 私は、警護活動というのは、PKFの実態からいえば、例えばカンボジアでも選挙監視のときに、皆さんは情報収集と称して実際に自衛隊に警護活動の任務を与えました。そのときに、当時の中山外務大臣も事実上の警護であるということを認めました。

 今回の場合も、一たん現地に、しかも「管理の下」という権限が与えられたわけですから、「管理の下に入った者」というのが与えられたら、やはり宿営地にいる武装していない人は、外国の部隊であれだれであれ、自衛隊が警護するという結果につながっていくわけですよ。そういう任務を担わざるを得ないという状況になる、そう思いませんか、現地では。

中谷国務大臣 キーワードというのは、まさしく自衛官の指示に従うことが期待される者であるかどうかということでございまして、部隊でそこにいるときは、部隊として、外国の指揮官なりがいればその人に従うわけであって、その指揮官が日本の指示に従おうとしないのなら、それは当然守る対象ではありませんけれども、その指揮官が統制をとっていないときには、個人個人で指示に従ってくれれば守りますし、全員が指示に従うというのでありましたら、その防御の対象になるのではないかというふうに思っております。

 とにかく、そういう観点で、ただ単にそれを放置して、本当に人間として、自分の良心に照らして見過ごすことができるかどうか、それを見過ごして、見て見ぬふりをできるかどうかという観点で、現場に行かされる者、現場の指揮官として、やはりそういったことにおいては法律的に可能としておくべきではないかという観点でぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 大変説明がつかないですね。最後は人間としてというぐあいに言いますけれども、人間としてごくごく自然に考えるなら、自衛隊がPKFとして武装して行った、そして管理のもとに入る者は守ってあげますという任務も付与された、すると、同じベースキャンプに武装していない医療部隊があるときに、その司令官がだれであれ、いざというときには自衛隊が守ってくれるだろうなと期待するのは当然じゃないですか、人間の感情として。人間の感情に即して考えていったならば、皆さんが今「管理の下に入った者」まで拡大したということは警護活動に入ることになりますよ、それは今まで皆さんがやらない、やらないと言ってきた活動を加えることになりはしませんか、こういうことを先ほどから聞いているわけです。

 それで、私がなるほどなと思ったのは、山崎幹事長が、管理下の者について、この規定によって警護ができることになる、こう述べておられるわけですね。それから、自民党の久間政調会長代理は、管理下というのはゴムひもみたいなもので伸びたり縮んだりする、幾らでも法的な解釈では幅がある、こういうことを言っているわけですよ。

 ですから、結局、防衛庁長官は、警護であるかどうかという重大な疑惑に対しては答えないで、人間としてどうなのかというところに話を持っていく。私はきょうは、人間としてどうなのかという議論をするつもりではないのです。やはりそれが皆さんがやらないと言っていた警護活動になるのではないかということを強く指摘したいわけです。

 ですから、これは憲法の平和原則についてもそうですが、これまであなた方が、憲法違反の武力行使にならないための担保だ、こう説明してきた。要員の生命、身体の防護に限定する、非常に限定的だったわけです。この武器使用原則にも真っ向から反するものと言わざるを得ません。

 PKO法の審議のときには、武器使用基準について、国連と了解しているということをしきりに説明しました。ところが、あれから時間がたてば、今度は、国際社会の基準あるいはPKFの実態に照らして、あるいはPKFというのはもともとが危険なものだからここまでのものを入れなきゃ人間として許されないんじゃないか、まさに憲法の原則をこんな形で、ゴムひもみたいに緩めていく、これは憲法の平和原則をないがしろにしているというようなものにほかならないと思います。

 それで、もう一つ、九十五条についても聞きたいのです。

 九十五条は、おとといのこの委員会で我が党の児玉議員が質問の中で、九十五条の武器使用は自然権的権利とは違う、このように述べました。そしてそれは、平成十三年の十月十五日のテロ法審議のときに、津野法制局長官は、PKO法に基づく我が国の自衛官の武器使用、自己保存のための自然権的権利として、自己の生命、身体を防護するために必要やむを得ない場合に限られている、これは憲法九条が禁止する武力行使に至ることを避けるためにほかならないということを明確に述べています。皆さんは、この児玉議員の質問に対して、確かに今回の九十五条は自然権的権利とは違うということをお認めになりました。

 私はここで、津野法制局長官のそういう答弁からすると、自然権的権利とは違う、武器等の防護のための武器使用は認められないのじゃないかということになると思いますが、この点はいかがですか。

中谷国務大臣 まず、二十四条が憲法違反ではないかという御指摘でございますが、まず、武装していない部隊に対しては日本は指揮権を有しているわけではございません。ただ、その部隊の人たちが助けてくれというか、その指示に従うことが期待される場合に本当に見捨てておけるかという問題でありまして、目の前で危険にさらされている人や困っている人や助けを求めている人を助けませんというのでは、それはやはり憲法の精神からして、日本はそんな憲法を持っているのかということになります。私は、そういった人を助けるというのは憲法で禁止されたことではない、人間としてまた当然のことではあるというふうに思っております。

 続きまして、隊法九十五条のケースでありますが、これは、現在の日本の平時、平和な時代においても認められていることでありまして、武力行使ではございません。また、海外においても、派遣された国においては、当然PKOに参加する上においては認められる当然の権利でございまして、我が国で武力行使でないというようなことでございますので、海外においても武力行使に当たらないという観点で、今回の自然権的権利と同じ、参加五原則で言う武器の使用と同じ目的の範囲内であるというふうに考えております。

赤嶺委員 さっきの警護活動について言えば、武装している自衛隊が、武装していない部隊があったときに、武装していない部隊は恐らくそのときには自衛隊が守ってくれるであろうという期待をするのは人間として当然の考えですね。そういう点からいえば、皆さんがやらないと言ってきた警護活動、こういう警護活動が既に期待されるものになっている。

 今のような言い方であれば、これまでの原則はともかく、人間として当然であればこういう警護活動もやっていいんだということにつながる。つまり、ゴムひもがどこまでも長くなるような解釈であって、非常に厳密な法律的な解釈とはとても言えるようなものじゃない、非常にお粗末過ぎるというぐあいに思います。

 それで、私が今九十五条について聞いたのは、武力行使に当たるかどうかの話じゃないのです、長官。つまり、PKFというようなものの武器使用の原則というのは二十四条だと言い続けてきましたよね、自然権的権利に限るということを言い続けてきましたよね。ところが、今度は、九十五条という新しい考え方を持ち込んでいるわけですよ。これでいいのですかということを聞いているんです。

中谷国務大臣 この九十五条を適用するかどうかについては、当初に、これが武力行使につながるからできないということは一言も言っておりません。PKOを開始する段階に当たって、最初のことですから、これを適用するとかえって混乱が生じるのではないかという観点で盛り込まなかったわけでございます。いろいろとPKO活動を重ねていく上においても、これを盛り込んでも混乱は生じないし、かえってこれがない方が、不測の事態等に際して隊員の安全が図られるかどうか非常に心配な面もありますし、これを持ち込んだとしても武力行使につながることではないという状況判断のもとに今回持ち込んだわけでございまして、お話しのように自然権的権利とは違う概念でありますが、いずれも武力行使をすることにはならないという範囲で、目的は一緒のものでございます。

赤嶺委員 長官の答弁を聞いていますと、PKFというのは危険なところに行くものであり、当然人間としては警護活動につながるような武器使用も認められるものであり、そして今度の場合は、九十五条についても、武力行使につながらないということを一生懸命言っておりますけれども、私は武力行使につながるかどうかを聞いているのではない。

 皆さんが、憲法を守るというあかしとして、武器使用は、自己の生命、身体を防護するために必要やむを得ない場合に限られていると。なぜそれを限ったか。これは、憲法九条が禁止する武力行使に至ることを避けるためにほかならないと。限っていたんですよ。なぜか。それは憲法九条の禁止する行為を踏み外さないためにと、極めて限定的に言ってきたわけですよ。

 それを、九十五条をこんなふうに入れ込んでくる。こういうのは、皆さんが言ってきたことと極めて矛盾する、いわば、憲法を守る、こういう限られたものさえ守ろうとしていない、こういう姿がはっきりあらわれているじゃないですか。いかがですか。

中谷国務大臣 この九十五条というのは、行ったら当然最初から入れておかなければならないことでございましたが、しかし、最初のことでもありますし、国民の皆さんのそういった御心配もありますので、実施する面においては、非常に安全に留意をして、隊員の任務が達成する場所においてのみ、また、PKFを凍結しておりましたので、そのような範囲で実施をいたしておりましたけれども、これまで六回のPKO活動の経験、また反省等を生かしまして、この九十五条を入れるのが適当でもございますし、また、PKF活動を凍結する際にも、この九十五条の適用除外をするのが適当であるという判断に基づいて、今回改正をするわけでございます。

赤嶺委員 長官、これもごまかしですね、本当に。

 例えば、皆さん武器使用のときに当時どんな説明をしていたか。国連PKOは武器使用についてaタイプがあります、bタイプがあります、こう言っていましたよね、日本政府は一生懸命言っていた。それで、aタイプというのは、要員の生命、身体を脅かす場合、これはPKO法の二十四条ですよね、bタイプというのは、任務遂行を実力により妨害しようとする企てに対抗する場合に自衛のための武力行使を認めている、こういうことを言っているわけですね。

 つまり、国連のPKFというのは、自衛権の範囲に任務遂行を妨げる場合に対抗することまで入れているんですが、日本は絶対aタイプですよと言ってきたわけですよ。そのaタイプというのは、要員の生命、身体を脅かす場合に限っているわけですよ。それ以外ありますよということは一度も説明していませんよ。これに限りますと言ったんですよ。これ以外はないということでしょう。ということは、皆さんもうbタイプに広げたということになりませんか。

 aタイプだから憲法違反ではないんだと。我々は、PKFについていえば、憲法違反だから行くなと言ってきた側なんですよ、今でも。だから、行かなかった方が正しいなということを今の議論をしながら感じているんです。でも、aタイプに限ると言ったものを、今度違うようなものを持ち出してきている。では、これはbタイプに広げたということになるじゃありませんか。いかがですか。

中谷国務大臣 全然なりません。つまり、bタイプにおいては現在も認めておりません。

 そして、この自衛隊法九十五条の武器使用におきましては、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を防護するための受動的、限定的な必要最小限の程度のもので運用をいたしますし、国連のROEがございますけれども、このbタイプの武器使用は、含まれている場合もございますが、これは国連安保理決議において与えられた任務の遂行に際して、実力をもって妨げる企てに抵抗するための武器使用であり、自衛隊法九十五条による武器等防護のための武器使用とはその性格、目的が全く異なるものでございまして、武器防護のための武器使用が事実上のbタイプの武器使用に該当するという御指摘は当たらないわけでございます。

赤嶺委員 aタイプでないことは非常にはっきりしています。これはもう前回の児玉議員の質問で認めたわけですから。

 それで、今いろいろ長官は言い繕っていますけれども、実は、bタイプにつながるような答弁を長官は本会議でなさっているんですよ。それは、こう言っているんです。先日の本会議で、「武器等の破壊または奪取を看過することによってかえって隊員の緊急事態への対応能力の低下や治安の悪化につながることも想定される」と答弁しています。

 対応能力が低下するということは、任務遂行が確実に行えなくなるということなわけですね。だから、いわゆる武器等防護を適用するというのはまさに、国連の皆さんが区分けしましたbタイプ、任務遂行を実力により妨害しようとする企てに対抗する場合。長官の答弁は、まさにこれと重なるじゃないですか。これと重ならないaタイプだということを言えるんですか。aタイプだから憲法違反ではないんだと言ってきたことをみずからが覆しているようなものじゃありませんか。いかがですか。

中谷国務大臣 とんでもございません。例えば、そういう武器等を奪取された場合に何が起こるかというと、そういった犯人がその武器を得るわけでありまして、当然そこにいる部隊等の危険はさらに増すということで、それは看過できるものでもございませんし、本来あるべき武器防護の武器使用、こういうことは、bタイプの武器使用、bタイプというと任務達成のための武器使用でありますので、違う概念であるという点で、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 こういうのをつまらない神学論争というんですよ。私たちは憲法の立場から、あなた方がごまかし続けてごまかし続けてPKFを世界各地に送って、そして危険に直面した、この危険に直面した今、そういう憲法の解釈をゴムひもを伸ばすように緩めて緩めてやっていくようなやり方というのは、本当に許されない議論だと思いますよ。

 PKO法制定の議論のときに、先ほどから繰り返して言っていますように、aタイプ、bタイプということを言い続けて、aタイプだから憲法違反ではないといいながら、今回aタイプではない概念を法律に持ち込んで、それでも、aタイプではないけれどもbタイプでもありませんというような、まさにこれは本当に珍問答じゃないですか。aタイプでなければbタイプでしょう、二つしかないんだから。それを違う違うと言ってみたって、それは道理の通るような話ではないんですよね。

 やはり政府は、海部首相は九〇年にこう言っています。PKOの中でも平和維持軍というものになると、武力行使の可能性とか、武力を持っていくことが前提になるものは、法律上認めてはいけない。さらに、当時の中山外務大臣は、平和維持軍は武器を相当量維持した軍事力を持っていかないと、その機能を発揮することができないので参加は難しい、こういうことを言い続けてまいりました。そして、武器使用の問題というのは、いわば、当時は譲ることのできない原則だということまで言っていました。そういう譲ることのできない原則を崩しておいていて、そしてPKFに参加することは許されないと思います。やはり、憲法違反のPKFは撤回すべきだ。

 同時に、きょうのこの短い質疑応答のやりとりの中でもこれだけの疑問と疑惑が出てきたわけですから、今までの憲法論議と、検証していけばいくほど、日本の二十一世紀の方向としては進んでいってはいけない道というのがあると思います。そういう点でも慎重な審議が必要だと思います。

 慎重な審議を求めて、私の質問を終わります。

玉置委員長 今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 きょうは、前回に引き続き内閣提出の法案に質問をいたしたいと思うのですが、その前に、与えられた時間に限りがありますので、まず、東祥三議員外提出された法案につきまして、二点ほどお尋ねをしたいと思います。

 まず、国際紛争の解決の方法と憲法九条とのかかわりにおいてでありますが、まず前置きとして、我が社民党は以前から、非軍事、文民、民生というものを基本にしながら物を考えてきておりますけれども、お尋ねするのは、法案の中身といいますよりも、法案のバックボーンというものに関してお尋ねをしたいと思います。

 一点目は、自由党は、今月の初めでしたか、新聞で小沢党首がロングインタビューに答えておられましたけれども、要約をしますと、武力行使は我が国が直接もしくは間接的に攻撃を受けたときに限定する、いわゆる自国防衛は自衛権である、いま一つは、国連決議など、国際平和活動に従事する、その中での武力行使というのは日本国憲法の第九条の制約を外れるというか、その範囲外であるという認識というふうに受け取っていいのですか。

    〔委員長退席、渡辺(周)委員長代理着席〕

東(祥)議員 今川委員が要約してくださったとおりだろうと思うのですが、もうちょっと言及させていただければ、今のポイントは何かといえば、いわゆる憲法九条が規定しているものと、そして国連を中心とした集団安全保障体制の違い、別の言葉で言えば、憲法九条の規定によって、いわゆる国連を中心とした集団安全保障体制に日本は積極的に参加することができるのかできないのか、この点に絞られるのだろうというふうに思うのです。

 この点に関しては、いろいろな議論があると思います。幾つかの角度から論じなくてはいけないのですが、例えば集団的自衛権と集団安全保障体制の違い、二つ目は、いわゆる国連の加盟国としての義務、責任、あるいはまた憲法九条が規定している平和主義という平和の中身、こういう角度から論じなくてはいけないのですが、それを論じるためには今川先生の持っている質問時間を全部とることになってしまいますから、第一点目の、いわゆる自衛権と集団安全保障体制の違いという角度から説明したいと思うのです。

 日本の場合、いわゆる憲法九条というのは何なのかといえば、これは自衛権以外の何物でもなくて、御案内のとおり、国連憲章第五十一条で規定されているいわゆる自衛権、個別であろうが集団的自衛権であろうが、これは別の言葉で言えば、卑近な例ですけれども、私的なけんかなのだろうというふうに思うのです。私的なけんか、つまり、自分自身と敵対する人、この場合は国ですけれども、それが攻撃をしかけてきたときに、自分がそれに対して、座して殴られっぱなしにするのか反撃をするのか、反撃する場合、自分自身の能力に不安を感じるので、他の国の力をかりて、ともどもにそれに対して反撃する、いわゆる私的なけんかですよね。

 ところが、集団安全保障体制というのは、国際連盟のときにこれが具現化されていなかった。つまり、国連というすべての加盟国のシステム内で起こる問題ですよ。それに対して、そこでは、まさに今川先生が所属される社民党が持っている、基本的に、紛争が起きたときにそれをどのように解決したらいいのか、平和的に解決していきましょうと約束事をしている加盟国が、いわゆる国連の加盟国ですよ。国連憲章第二条第四項、日本の第九条第一項と同じように、基本的に、国際関係において紛争を解決するときには、武力の威嚇、武力の行使、慎まなければならない、全く同じ文言が盛られている。

 しかし、紛争が起きたときに、それを平和的に解決しなくてはいけないという約束をしていたとしても、約束というのは破る人間が出てくる。約束を破った人間に対してどのように対処したらいいのかということで、初めて、国連憲章の中に集団安全保障措置というものが盛られたわけですよね。

 そうすると、国連加盟国の一国が他の国連加盟国によって攻撃されたときに、自分のみが攻撃されたというよりも、他の国連に所属するすべての加盟国に同じ意味での攻撃が与えられたというふうにとらえる、そういうシステムなんですね。したがって、他の国連加盟国すべてが、約束を破った国あるいはまた国家グループに対して制裁措置をとる。つまり、自衛権の概念と集団安全保障措置の概念は全く別物なんですね。

 ところが、日本政府は今日までの間、憲法九条の延長線上で、そこで禁止されている武力の行使、それを集団安全保障措置の中で盛られている武力の行使と同一視で見てきたわけです。それは憲法といわゆる国際文書、すなわちここでは国連憲章ですけれども、そことのかかわり合い方を全く論じてこなかった。そこに最大のポイントがある。

 したがって、私たちは、もう既に数年前からこのことについての議論を積み重ねてきて、自自連立合意のときにもこの点について提案させていただき、要するに、政治家としてどのような、こういう姿勢に立った判断をとるかとれないか、この問題にひとえにかかっているわけです。

 そういう意味におきまして、私たちは、明確に、自衛権の延長線上でこの集団安全保障措置をとらえるものではなくて、全く別の概念である、このようにとらえているがゆえに、今、今川先生がおっしゃった結論に至っているわけであります。

 以上です。

今川委員 本当は二項目と思いましたが、二項目めはもうついでにお答えになったので、本当は時間があれば、ぜひ少し御議論をしたいと思ったのですが、一項目で御勘弁ください。

 では、内閣提出の法案の方に戻りますけれども、前回、福田官房長官に、いわゆる国連のPKOの統制とか指揮、指図ということに関して、最後の方に御質問いたしまして、後から仮起こしを読んでみたのですけれども、非常にわかりづらい。

 これは中谷長官に同じことを確認の意味でお尋ねするのですが、要するに、国連側の指揮とかいった場合でも、その権限はオペレーションの面に限られている、いわゆる懲戒権まで含んでいるわけでもない。これは、例えば身分上の権限や地位、昇進、給与等の面での権限はあくまでも我が国政府に属するというふうな福田長官の御答弁でした。

 もう一度繰り返しておきますと、この間指し示した国連文書、SOPであるとかモデル協定案、こういう文書には、要約をしますと、国連が任務の遂行に当たって、国連外のいかなる当局からも指示を求め、または受けてはならず、また参加国政府もそのような指示を与えてはならないという基本原則を掲げているわけですね。

 これは指図か指揮かという言葉の区分けの問題ではなくて、要するに、日本が、つまり自衛隊がPKOに参加をするに当たって、憲法上の幾つかの課題をクリアしておかないとまずいということから、一つは、前回も申し上げましたが、武力行使ということに至ってはまずいので武器の使用という区分けをしたわけですね。

 もう一点、二点目です、今お聞きしたいのは。いわゆる非常に危険な状態に陥ったときには、日本政府の主体的な独自な判断で業務を中断し撤収することとするということで、つまり、武力行使に至ることはないという一つの担保としてこの二つの原則を入れ込まれたんではないのかということをお聞きしました。

 そういった意味で、やはり停戦合意が崩れた場合の独自の撤収というのは、前回も申し上げましたように、この法の建前からしても、またはその現場の実態からするとなおさらのこと、日本だけがということにはならない、非常に困難ではないかということをお聞きしたんです。この点、中谷長官、いかがですか。

中谷国務大臣 我が国だけが撤収をするということは非常にあるべきではないと思いますし、またそんなことがめったに起こってはいけないというふうに思いますが、基本的には、そもそも行っているPKOの活動自体が、中立である原則、また、同意、停戦の合意が守られているという原則、また武器使用の抑制がされているというもとにそもそもPKO自体があるわけでありまして、我が国の参加の条件とPKOの存続の条件がそんなに大きく違っていることはないのではないかというふうに思いますが、しかし基本的に違うケースも無論あるわけであります。

 そういう場合はどういう場合かというと、さっき述べられた国連の基本原則というものは本分の原則でありますが、現実に各地で行われているPKOについては、その原則をもとに、その地域地域でルールを決めて、武器の使用においてもその司令官のもとに行われているわけでありますが、そこに参加する場合には、持ち出しというか、自国の指揮また自国の条件等において、その司令官、司令部と協議をして、こういう条件において我が国は参加するという一種の協定を結んだ上で実施しますので、この中断や撤収をする場合においては、こういう協定のもとに実施をするということで十分国連側も理解をしてくれると思いますし、そういうときにおきましては、きちんとした話をして撤収するということも十分あり得るのではないかというふうに思っております。

今川委員 非常に苦し紛れですよね。詭弁だと言わざるを得ないんですよ。

 次に移りますが、いわゆる武器の使用基準の緩和、拡大の問題です。これもそれぞれの委員から質問がありました。いわゆる自己の管理のもとにおけるという概念の問題です。

 これは新聞報道等からもしますと、PKO活動はテロ特措法よりも活動内容が広く防護対象が異なる、それはそうですね。テロ対策特措法の場合にはいわば戦時下における自衛隊の出動ですから、そうしたもとにおけるこの「自己の管理の下」といった場合、言葉は同じですけれども、PKOの場合には戦時下に行くわけでありません、基本的には紛争が終息した段階に入っていくわけですので、事態そのものが違いますから、そうした場合に、この特措法より幅広く、対象が異なるというふうに政府は説明をしているんですけれども、このテロ特措法とPKOの場合とどのようにその範囲が違うのか、これは福田官房長官、御説明をお願いします。

福田国務大臣 今般の改正において、不測の攻撃を受けて自衛官などと共通の危険にさらされたときに、その現場において、生命、身体の安全確保について当該自衛官等の指示に従うことが期待される者を「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」と表現したということでありまして、その言葉のとおりなんですけれども、決してあいまいな表現ではないと考えております。

 また、今御指摘のテロ特措法との比較もおっしゃいましたが、この範囲が広がったというような、そういうようなことを申し上げたような記憶はないのですけれども、ございますのですか、そういう記録、ございますか。

 これは、国際平和協力法が想定している自衛官等の活動の態様や場所などが、テロ対策特措法が想定しているものとは異なる、当然でございますよね。具体的に想定される防衛対象の範囲に相違は当然あるわけでございまして、この規定の表現はもとより、その意味、内容も、テロ対策特措法におけるものと考え方は同じであるということであります。

今川委員 後の質問項目がありますのでちょっと深追いは避けたいんですが、今の福田長官がおっしゃった点は、新聞報道で、政府側が今月の十四日、与党に対して説明なさっているんですね。活動内容が広く、防護対象も異なるという説明をしたというふうに報道がされています。報道が間違っていればどうしようもありませんけれども。

 さて引き続き、要するに要人警護という問題ですね。これも報道では、ちょっと引用しますが、与党の中の公明党は非常に慎重だった、ところが与党の安保プロジェクトチームのメンバーが、要人警護じゃなくて要人防護と言えばいいとかいう発言があったとか、それから、自民党や保守党には、他国の要員などの防護対象拡大や警護任務を改正案に明記すべきだとの意見が強かった、こうありますけれども、実は、今回は警護任務をきちんと付与するというふうにはなりませんでしたね。

 その意味合いをちょっとお尋ねしたいんですけれども、今回の一部法改正で、実質的には、例えば総理大臣が現地視察をしていてそこで非常に危険な状況に陥った場合に、当然救援しますよね、守ります。そういうふうに具体的な解釈で警護任務ができるようにするということと、あえて明記をしなかったというところには、仮に何か不測の事態があって現地の自衛官などが任務を全うできなかった、救うことができなかった、あるいはけがを負わせたとかいった場合に、その現場にいる自衛官の責任が問われかねないという問題があるから、かえって任務を明確に付与するとまずいという判断があったのかなとも思うんですけれども、そのことも含めまして、福田長官、いかがでしょうか。

福田国務大臣 今回の法改正は、国際平和協力業務に従事する自衛官に対して、要人警護といった、専ら自己以外の者の安全の確保自体を内容とする新たな任務を加えるというものではございません。当該要人の警護などによる安全確保についての責任は、これまでと同様に、一義的には派遣先国などが有するものである、こういうふうに考えております。

 今回の武器使用規定の改正が、要人警護を任務として付与するとこれを警護できなかったときに自衛隊員が処分を受けることとなるため、これを避けることを目的としているといったただいまの委員の御発言は、これは当たらないというふうに考えておるところです。

今川委員 だけれども、前半おっしゃいましたね、基本的には派遣先国の責任である、それは理解します、理解するけれども、しかし、一つの例として、自衛官がある国のPKOに派遣されて行っている、そこにたまたま、首相とは限らなくてもいいんですが、我が国の政府を代表する要人がそこに視察なりに行ったときに、今おっしゃったように派遣先国の責任もあるでしょうけれども、では、派遣先国に責任があるからといってそこに現場に居合わせる自衛官はぼうっとしておくんですか。いかがですか。

中谷国務大臣 その際におきましては、自衛隊の視察または宿営地を訪れる人につきまして、その人が自衛官と同行した場合に、我が国の自衛官と、当然その人は我が国の人なんですけれども、同様の危険にさらされた場合に、当然その人は我が自衛隊員の指示に従うということを期待しておりますので、その者の防衛はできるというふうに私は思っております。

今川委員 いま一度、中谷長官、福田官房長官どちらでもいいのですが、仮に小泉総理大臣がそこに現地視察に行かれた、そうした場合に、今中谷長官の御説明にもありましたが、そこにいる自衛官の管理下にある者ということで防護する、こういうふうになるのですか。管理下にあるわけですか、総理大臣が。

中谷国務大臣 言葉はそうでありますけれども、自衛官の、安全面においては指示に従っていただいて、安全を守らせていただくわけですから、指示に従うことが期待される者という概念で安全を図るということでございます。

今川委員 この点も非常にあいまいだと思うのですね。これはいま一点、すぐ隣り合わせ、あるいは比較的近いところで同じような業務、活動をしている外国の部隊の救援ということもこの法改正で可能ですね。

中谷国務大臣 その状況がどういう状況かわかりませんけれども、基本原則といたしましては、当該部隊が自衛官と同じ現場に所在をしているかどうか、また、不測の攻撃を受けて自衛官と共通の危険にさらされている状況かどうかということと、その自衛官の指示に従うことが期待される者であるかどうかという観点で、現地の指揮官が防衛の対象となり得るかどうかを判断して行動をするわけでございます。

今川委員 いま一つ、いわゆる自衛隊法の九十五条の適用の問題です。

 これによりますと、武器等の防護ができるということになりますと、例えば二年前に成立しましたいわゆる周辺事態法であるとか、あるいは先般成立したテロ対策特別法、このいずれの場合もいわゆる有事、戦時のもとでの武器等の防護ですよね。自衛隊法の九十五条を適用するといった場合に、これはPKOにかかわる武器等の防護ですから、一部報道等によると、周辺事態法だとかテロ特措法との整合性もこれあって、自衛隊法九十五条を適用するというふうにした方がいいという考え方もあるようですが、そこの問題はいかがでしょう。

中谷国務大臣 この九十五条というのは、平時において我が国の武器を防護するための国内における武器防護ということでございましたが、しかし、世界じゅうどこの国を見ても、武器を守るために武器を使用するというのはいわば軍隊である場合は常識行動でございまして、本来はPKO部隊、PKO法が成立した当初からこういった常識的なことは付与するのが普通でありました。

 しかし、初めての経験ということで、慎重に対処すべきという観点で、これまで九年間PKO活動を実施したわけでありますが、そのことを付加しても混乱を招くようなことがないのではないか、また、かえってそれがない方が部隊の安全面において支障が出るのではないかという観点で、この九年間の実績を見まして今回付与するわけでありまして、これをもって特別に新たに武器使用を追加するという観点ではなくて、本来あるべきことを今回実施したという概念で改正をするわけでございます。

今川委員 今お聞きしてみて、このPKO協力法の一部改正というPKO協力法の性格、目的、それから周辺事態法における性格とか目的、それからテロ対策特別措置法の性格とか目的、それぞれ違うはずですね。

 そういった意味で、今、自衛隊法九十五条とのかかわり合いでいきますと、まさにその違いをきちっと区別をせずに、ある意味でなし崩し的に、当初は、危険かもしれないとか混乱が起こるかもしれない、しかし、九年間の実績があるからという理由でもってやってしまうというのはやはり非常に問題だと思います。

 後の質問のことがありますので、次に移りたいと思います。次は、PKOそのものとそれからPKO五原則について伺いたいと思います。

 まず最初に、先ほど中谷防衛庁長官がこの九年間の実績とおっしゃいましたけれども、PKOに自衛隊が参加してからこの九年間の、いわゆるカンボジアから現在のゴラン高原に至るまで、それぞれの中間報告なり最終報告なりは当然上がっていると理解します。しかし、それが国会の中で、成果とか教訓とか反省点とかということがこういう場所できちっとその都度、その都度検証され、議論されていった形跡はあるのですか、そこをお聞かせください。

中谷国務大臣 これまでの活動につきましては、その都度に報告を作成して、内閣総理大臣が国会に報告をしてきたところでございまして、このような報告をその後我が国の活動にいかに生かしていくかということにつきましては、国会の御意向も踏まえて、当然のことながら適切に対処してまいるべきものだと考えておりますが、今後とも国会の場において国際平和協力のあり方に対する議論が活発に行われることが望ましいわけでございまして、大いに国会で御議論をして改善をしていただきたいというふうに思っております。

今川委員 私がお聞きしたいのは、これから議論をしていただきたいとおっしゃるのだけれども、ここ九年間あるわけですよね。だから、この九年間に、カンボジアに行った、そして帰ってきたら、こういう成果もあったし反省点もあったとか、そういう議論を、これからしようじゃなくて、これまでに国会の中できちんとされたのですかということだけをお聞きしているのです。

中谷国務大臣 それはまさしく国会の委員会で実施をすべきことでございまして、その責任とか評価につきましては、国会みずからが有しているのではないかというふうに思っております。

今川委員 答弁になっていないですよ。モザンビークの場合とかあるいはルワンダの場合だとか、個別具体的に検証して、それでよかったのかとか、あるいは足らないものがあったのじゃないかとか、いろいろなものを個別に検証するという、ただ報告するだけじゃだめだと思います。

 さて次に、これは田中外務大臣にお聞きしたいと思うのですが、特に九〇年代に入ってからPKOが非常に活発化していますよね。片一方で、非常に軍事的な側面と同時に、ある国々によっては、非常に非軍事的なところに力を入れる国も出てきております。

 それで、最近のよく言われる内戦型紛争に関するPKO活動に関してでありますが、今回のアフガニスタンの場合にも一つのケースを示していると思うのですけれども、PKO五原則で指摘されているような紛争当事者の合意、あるいは受け入れ国の側の同意といった場合に、タリバン政権がどうやら崩壊したみたいだ、例えば現時点では、北部同盟では、同意する同意しないという話じゃないだろうと思うのですね。そうしますと、PKO五原則に盛られている紛争当事者の合意であるとか受け入れ国の同意というのは満たされるのでしょうか。

田中国務大臣 本当にいい質問でございまして、もう委員がおわかりになっている状態で、結論を一言で言えば、今これを取りつける相手がいないということを申し上げざるを得ません。

今川委員 そうなんですね。

 それでは、次にお伺いしますが、いわゆる昨年に出されたブラヒミ報告、ブラヒミ・レポート、これは要約的に言いますと、二つの側面を持っていまして、一つは、これまでの平和維持ということだけじゃなくて、紛争予防、それから平和創造、さらに、PBOと言っているのですが、平和構築というところまで視野に入れて、そういった意味では、反撃力をもっと強く持たなければならないという提言もあるわけですね。

 そうしてきますと、今のPKFを凍結解除するということでも与野党の間で結構な議論になっているわけですが、より軍事化しかねないPKOに仮に参加するとなった場合には、このPKO五原則が根っこから崩れてしまいやしないかなという懸念がありますけれども、これは外務大臣、いかがですか。

杉浦副大臣 先生御指摘のブラヒミ報告に、おっしゃられたような新しい要素があるのはそのとおりでございます。ただ、このブラヒミ報告そのものは、国連事務総長の委嘱によりまして、ブラヒミさん初め参加者、パネルをつくりまして、個人の資格で議論をして報告書にまとめたというものでございます。ですから、その報告自体が国連事務総長の立場そのものだというわけではないことはもとよりでございます。

 ただ、その後、先生御案内のとおり、ブラヒミ報告の実施計画を総長がつくりまして国連に提出しておる、各国がそれに基づいて検討しておるということでございます。我が国もそれを受けていろいろ検討しているわけです。ただ、ブラヒミ・レポートに基づく実施計画、総長の示された計画におきましては、その計画自体、従来のPKOの原則を基本的に変更するものではないということが明確に言われておりますので、先生のような御懸念はないんじゃないかと思っています。

 我が国としては、従来のPKO五原則を中心といたしましたPKOのあり方について、基本的に変更されるのは望ましくない、基本的に維持されるべきだという立場で臨んでおる次第でございます。

今川委員 それは、今おっしゃったとおり、ブラヒミ・レポートが出たからそれをそのまま何かに実施していくということじゃないことはそのとおりです。ただ、むしろ私が申し上げたいのは、日本の主体性でもって、各国と連携しながらも、例えばガリ報告の場合にはもっと、平和執行部隊という重武装PKOと言ってもいいような提言もありましたし、そういった意味では、右にぶれたり左にぶれたり、PKO自体もするわけですね。だからやはり日本としては、平和国家としてのきちっとした戦略のもとで、これからあるべきPKOの姿はこうではなかろうかということをもっときちんと持っておかなければならないという意味でちょっと申し上げたんです。

田中国務大臣 ちょっと付言させていただきますけれども、このブラヒミ報告の勧告の中で、PKO要員が武器を使用する原則を根本的に変更するものではないというくだりがありまして、すなわち、自衛のための最小限の武器使用というものは認めております。けれども、そういうくだりもありますが、日本といたしましては、基本的に、武器使用の原則を初め、これまでに尊重してきておりますPKOの原則、それが基本的に維持されることが重要であるというスタンスでございます。

今川委員 そこで、実はこのブラヒミ報告の中では非常に大事なところも同時に提言されていまして、私が注目しているのは、文民要員が圧倒的に不足しているということで、その共同訓練の必要性もまた同時に提言されているわけですね。

 そこで伺いたいと思うんですが、実は、八九年から九〇年にかけて国連PKO特別委員会で活動指針の作成などの問題が審議をされました。九一年の四月から五月にかけて開催された委員会では、カンボジアPKOなどを控えていろいろな議論があっているようであります。その中で、北欧諸国を代表してフィンランドが、文民の要員利用を強化する、文民の利用強化を事務総長に要請する決議案を提出するわけですけれども、そのときに、日本がこれに難色を示した。今私はこの論文を読んでいるんですけれども、なぜそのときに日本政府は難色を示したんでしょうか。これは外務大臣、いかがですか。

杉浦副大臣 御指摘のような点はちょっといささか当たらないんじゃないかと思うんですが、我が国は従来からPKOにおける文民の重要性を主張しております。御指摘の国連PKO特別委員会におきましても、PKOにおける文民の活用が我が国の関心事である、この点についての討議を期待している旨のステートメントを発出いたしておりますし。ただ、誤解といいますか、そのような指摘を受けるとすれば、取りまとめに際して、表現ぶりをPKOの実態に即した表現となるように求めた、ソフトにすべきだと言ったようなことからそのような誤解が生じたのかもしれませんが、我が国がPKOの文民の活用の検討に消極的になったということではございません。

    〔渡辺(周)委員長代理退席、委員長着席〕

今川委員 実は、今私が申し上げた九一年、つまり一番最初国連平和協力法案が一回廃案になりまして、今の九年前に、ちょうど時代が重なるんですね。ですから、言ってみれば、日本政府としては、当時、できるだけ自衛隊をやはり派遣したい、PKOに派遣したいという思いがあるわけですね。その中で、フィンランドあたりが提案したような文民重視型でいきますとちょっとまずいというふうな政治的な判断があって、反対までしないけれども難色を示したんだ、そういう政治的な背景があったと思います。これはもう質問はよしますが。

 そこで、次に、対人地雷条約、ことし九月十八日にその第三回締約国会議があっていますけれども、この短いレポートを拝見しますと、なるほど日本は財政支援とか犠牲者支援のために相当なお金をやはりつぎ込んでいますよね。非常にそれはすばらしいことだと思うし、これはNGOが物すごく活躍をして、今は亡くなられた小渕総理のころに非常に意欲を持ってこの問題に取り組まれた。ですから、当然我が国政府はもう既にその締結をしているわけですけれども、問題は、一番地雷をたくさん持っている、製造している、例えばアメリカであるとか中国であるとかロシアというのは、いずれもこれは残念ながら署名すらしていませんよね。ここに対して、やはり一番かぎを握っているわけですから、日本の政府として積極的な働きかけがあったのか、どのように説得をしたのか、あるいはしていないのか、そこをちょっとお聞かせください。

田中国務大臣 オタワ条約は、御存じでいらっしゃると思うんですけれども、日本はオタワ条約の普遍化を図るということに大変重要性も持ってきておりますし、それから、対人地雷の禁止を国際社会の原則として確立するために一国でも多くこうした条約に参加をしてほしいということ、この条約の要するに普遍化を図るといいますか、そういうことのために私どもはずっと、日本は努力してきておりますし、人道上の観点から対人地雷に対する条約というものを早く結びたい、どんどん多くの国がやるべきであるということは、バイの、二国間の関係でも言ってきております。

 ただし、アメリカに対しましては、特殊事情があって署名を働きかけるということはしてきておりません。そして、本来は条約の普遍化を図る、オタワ条約ですけれども、そういうことをもう少し働きかけていくべきだと思いますし、私も着任以来、嫌がられるほどコリン・パウエルに会うとCTBTと言うので、マダムCTBTとか言われていますけれども、この問題も、ディマイニングというのは大変重要な問題だと思っておりますので、働きかけていきたく存じます。

今川委員 ぜひそのような方向で努力していただきたいと思いますし、特にこのアフガニスタンでは、少なくとも一千万個もあるかしれないと言われる地雷を今からどう取り除いていくか、大変な仕事になると思います。問題は、そういう地雷をつくる国が片一方でありますので、そこをきちっとやはり禁止をしていくということをやらないと、片一方で地雷を除去しながら、片一方でどんどんつくっていくんじゃ話にならないと思うんですね。

 もう時間がほとんどありません。そこで、決意のほどを伺いたいんですが、例えばPKOといいましても、片一方では非常に軍事的な側面があり、片一方では、しかし先ほど申し上げた北欧諸国などの非軍事的な部門、あるいは専ら文民の数も足らないからそこをどのように確保してどう訓練を施していくかということで努力をしている国もあるわけですね。例えばオーストリアの場合には、文民訓練コースというのを九三年からつくっていますし、それからスウェーデンなんかの場合にも、九五年に国際民主制度・選挙援助研究所などを設立して、いろいろなセミナーとかやっていますが、このレポートを見てみますと、日本政府は、当時、いわゆる招請状が来なかった、だから行かなかったとか、非常に消極的なんですね。

 もっとそういう、何かといえばPKFの凍結を解除してでも自衛隊をそこにもあそこにも出そうとやるんだけれども、その熱意に負けない、倍ぐらいの熱意を、日本ならではの非軍事分野におけるそういうふうなやはり努力といいますか、エネルギーをそこに割いてほしいと思うんですね。その点いかがですか。

田中国務大臣 PKO五原則の問題、それからテロ特措法の成立、そして、こうした世界の全体の中での日本の位置づけ、今おっしゃっているフィンランド、スウェーデン、北欧のスタイルもありますし、またアメリカとの関係もありますけれども、小泉内閣といたしましては、やはり基本姿勢をしっかりとして、そして、地雷の問題にいたしましても、今おっしゃったような平和という問題、それから、どうしてもテロに対して、こうしたことについては世界的な枠組みで取り組むということを明確にしながら進んでまいりたく存じます。頑張ります。

今川委員 もう時間が参りましたが、最後に中谷防衛庁長官に一つだけお伺いをしたいと思います。

 今回、このPKOとは別に、テロ事件にかかわって、今既に海上自衛隊の艦船などがインド洋方面に派遣されましたね。先ほども他の議員からの質問がありましたけれども、むしろ陸上自衛隊の隊員の方が非常にやはり、不安といいますか、あったんですよね。仮に危険度は陸自から比べると海自の方がまだ幾分軽いにしても、やはり派遣される隊員の心情を思うと、大変な心理的な圧迫といいますか、いろいろな悩みというのはあると思うんですね。

 そうした場合に、仮に、行きたくない、PKOの場合も含めて行きたくないというふうに拒否の姿勢を示したときに、例えば自衛隊法の四十二条では、身分保障という項目の中で、三号に「その職務に必要な適格性を欠く場合」とか、仮に該当するのかしないのかとか、あるいは懲戒処分を定めた第四十六条の一項「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」に処分を受ける可能性があるのかないのか。

 この間、他の議員の質問に対して中谷長官は、不利益をこうむらないように努力をしたいとおっしゃったけれども、努力だけじゃ困るんです。やはり陸自、海自を問わず、隊員の気持ちからしますと、なるほど、何らかの都合でそれはお断りしたいと言った場合に、ちゃんと身分上、精神的な面もないのかどうか。これは一般の企業でもあります、何か根性なしとか言われて、おるにおれなくなってやめちゃうとか。本来の自衛隊法第三条に基づく任務とは違うことをやらされるわけですから、そこは単なる努力義務じゃなくて、こういう措置をとるよということをもっと積極的意味合いでお聞かせください。

中谷国務大臣 派遣される隊員につきましては、本人の希望を確認し、また御家族等の意見も十分伺いまして、決して強制的になることなく、希望者を募って派遣をいたすのが基本でございます。この選定の段階において派遣要員から外れた者については、決して、処分はもとより、何ら人為的な不利益を受けることがないように、派遣される部隊の指揮官また幹部には厳に指導を徹底したいというふうに思っております。

今川委員 時間が来たので、これで終わります。

玉置委員長 石破茂君。

石破委員 まず冒頭、官房副長官、お時間がおありだと思いますから、先に副長官にお尋ねをいたします。これはPKOと関係なくて恐縮であります。

 今回、アメリカでテロが起こった。やはりああいうことはアメリカのみならず、これはもう全世界どこでも起こるんだろう。ひょっとしたら日本にも起こるかもしれない。それが我が国有事になるかどうかはそのときの判断ですが、有事というものがお祈りしていれば起こらないとか、そんな話ではないらしいということは多くの人が気がついたことだろうと思っている。

 しかしながら、この有事法制というのは一体どうなったんだという話なんですね。昭和五十六年、五十九年に研究公表文が出て、そして法制化を前提としないというお話だったのが、森内閣総理大臣がこの一月、通常国会における所信表明で、与党の考え方を受けとめ、検討を開始するというふうにおっしゃいましたね。与党の考え方とは何か。自民、公明、保守三党で合意をしたのは何かといえば、法制化を目指した検討を開始するよう政府に要請するという考え方を受けとめて、検討を開始してまいりますというふうに森総理がおっしゃったのに対して、小泉総理は、検討を進めますというふうにさらに踏み込んでおっしゃっている。

 森総理がおっしゃったのが一月、小泉総理がおっしゃったのが五月、今はもうすぐ十二月ということですね。その間にどれぐらい作業は進んでおられますか。

安倍内閣官房副長官 ただいま石破委員が御指摘いただきましたように、小泉内閣のもとにおきまして、総理の御指示に基づきまして、法案作成を視野に入れまして検討を鋭意進めているところでございまして、各省から人を出していただきまして、今、大森官房副長官補のところで、当然条文作成も含まれているわけでございますが、その作業を進めているところでございます。

 ただ、御承知のように、九月十一日のテロ事件発生以来、テロ特措法の作成作業に人員が割かれてしまったものでございますから、しばらくそちらの方に集中をしていたわけでございますが、当然この有事法制というのは極めて重要な課題でございますから、そういう中で作業を進めているということでございます。

石破委員 法制化ということにきちんとした定義があるわけじゃないんですが、副長官御案内のとおり、法制化というのができるのは国会しかないんですよね。唯一の立法府は国会であって、内閣にそういう法制化の権限があるわけじゃない。

 そうすると、法制化を目指した検討というのはどこまでかというと、何が問題点かということは、少なくとも第二分類まではもう研究が終わっているわけですよね。

 例えば、道路法においてどういう問題があるか、建築基準法においてどうなのか、医療法においてどうなのかということの問題点はもう全部出そろっているわけでしょう。それを、例えば、防衛庁と厚生労働省、防衛庁と国土交通省、防衛庁と環境省、そういうふうに、ではこの法律、例えば道路法二十四条はどうなんだということで議論をして、条文をつくって、法制局の審議を経てというところまでは、全然法制化でも何でもないわけですよね。法制化を目指した検討というのはそういうことをいうわけです。

 つまり、私は、今回のPKOでも思うんですけれども、やはり、いざ政治が決断をして、これを国会に出そうという決断がされたときにまだ条文ができていませんというようなことはもってのほかであって、きちんとした問題点の整理はもうできているわけですから。

 もう一度副長官に確認させていただきたいが、条文化も含めてそれら作業を鋭意進める、そして、有事というのはひょっとしたらあした来るかもしれない、今晩来るかもしれない、でも今法律はできていない、そういうことは、総理が、有事法制が必要だというふうに言い切っておられるわけですから、可能な限り早い提出を目指して、条文化も含めて作業を進める、そして政治の決断があればすぐに出せるようにすることが政府の責任であるというふうに私は考えますが、そういうような理解でよろしゅうございますか。

安倍内閣官房副長官 ただいま石破先生が御指摘をいただきましたように、第一分類、第二分類と第三分類、あるいはジュネーブ諸条約にかかわる、また日米安保条約にかかわるそういう分類について、多少作業にでこぼこがあるのも事実でございますが、私どもといたしましては、包括的にまとめていきたい、こう考えておるわけでございまして、この検討の中には、当然、今先生がおっしゃられたように、条文の作成というのは入っているわけでございます。

 ですから、その条文の作成を、有事というのはある日突然やってくるわけでございますから、そのときに備えて、鋭意、一日も早く成案を得るべくやっていかなければいけない、こう考えております。

石破委員 副長官よくおわかりのことですから、あえてもうこれ以上申しません。願わくば、例えば、どこの所掌か決まっていない第三分類が進んでいないからおくれちゃったとか、米軍にかかわる法制が進んでいないからおくれちゃったというようなことがないように、一日も早く出せるようにぜひ御努力をいただきたい。以上、お願いを申し上げておきます。ありがとうございました。

 法制局にお尋ねをいたします。

 この法案の審議を通じて、警護の任務というものを付与すべきか付与すべきではないか、いろいろな議論がありました。自由民主党の中で、浜田小委員長のもとで案をまとめました。そのときには、警護の任務というのは付与すべきではないかということをまとめさせていただいたのです。

 それは、警護の任務それ自体は武器の使用とは関係のない行為である、警護している、守っていますよという行為は。それにもかかわらず、それが突破をされて襲われた場合にどういう武器を使うかということと、そういうようなのに襲われないように警護をしていますという概念は分けて考えるべきなのであろう。

 しかしながら、そこにおいて使われる武器使用の態様は、やはりPKO五原則の第五原則には準拠せねばならぬであろう。第五原則のそれを守りつつ、どれぐらいの実効性があるかというふうに問われればかなり論理的に厳しいところはあるけれども、しかし、全く守っていませんよ、ノーガードですよというところと警護していますよというところは、やはり襲う相手にしても、これは襲っちゃいかぬというような抑止力が働くと思っているのです。

 同時に、それを密にすることによってかなりの部分は、自己保存の原則によっても正当防衛、緊急避難しか違法性を阻却しないといっても相当の効果は期待できるのではないか。

 警護の任務を与えるということと憲法論は、全く切り離されて考えるべきものであるというふうに我々は考えておりますが、御見解はいかがですか。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。

 おっしゃるように、警護というのはどういう中身かというそこのところはまた議論があるかと存じますけれども、警戒監視といいますか、そういったようなことを武器を持たずにすることもできるわけですから、そういう意味では、武器なしでそういうようなことをするというふうに考えてみれば、警護の任務と武器使用というのは、一般的には切り離して考えることもできるのではないかというふうには考えられます。

石破委員 最後に、長官にお尋ねをいたしましょう。

 要するに、多くの方が、皆さんが心配しておられるのは、きちんとした武器使用の権限を与えないとやはり任務というのはきちんと行えないのではないかということなんだろうと、私はずっと議論を聞きながら思っているのですね。正当防衛、緊急避難しか違法性を阻却しない、それは確かにそうなのかもしれないが、相手が肩をねらって撃ってくれるとか、足をねらって撃ってくれるとか、そういうような親切な相手ばかりだとは多分限らぬでしょう。だあっと撃ってくるのが相手であるということも十分あり得ることであろうと私は思っているのです。

 先ほど、法制局長官から警護のお話もありました。つまり、この九年間の間にPKOに派遣された隊員が悩んだのは、本当に武器の使用をどうするかということだっただろうと思っているのです。カンボジアにおける選挙監視団もそうですよね、ルワンダにおけるNGOもそうですよね、みんなそういうことで悩んできたわけですよ。

 ですから、正当防衛、緊急避難しか違法性を阻却しない、自己保存だ、現場性だということでずっといくことは本当にいいんだろうかということを私どもは本当に真剣に考えてみなきゃいかぬ。行くのは、我々でもない、お役人でもない、自衛官が行くわけですからね。その自衛官の皆さん方の身に危険が及ばないように、そして立派に任務が遂行できるようにやっていかねばならないだろう。

 そうすると、国内法、自衛隊法の世界の中で何かそれがないかしらというふうに考えますと、自衛隊法九十条、確かに保護法益は違うんですよ、PKOの場合とこの九十条の場合は違う。しかし、九十条の警察官職務執行法第七条ただし書きが適用されない、これと同じような状況は、外に出たPKOにおいても、多衆集合し暴行、脅迫を受けるとか、今回の法改正で新たにつけ加えている事象とか、そういうことは起こり得るだろうと思っているのです。

 そういうことも含めて、私は、さらなる検討というものが必要だろう、そして、そのことの検討はこういう成果でしたということを、次期通常国会においてその成果をあらわすようなおつもりで御検討いただきたいと思いますが、御所見を承ります。

中谷国務大臣 御指摘の九十条といいますと、治安出動の場合の武器使用でございますけれども、人に対して危害を与えることが許容されるわけであります。それを必要とするかどうかというのは、相手が人を殺すか、また治安を侵しているかどうかとの均衡を密接に求められておりまして、海外に派遣する場合に、正当防衛と緊急避難以外の場合に可能か否かということにつきましては、国連のPKO自体が本来的に強制的手段によって平和を回復する機能を持つものでもないし、また武器使用も自衛のために限られることなどを踏まえて、おっしゃったように、我が国の要員の安全を守るという観点から、具体的にいかなる場面においてそのような武器の使用が必要となるかという点を真剣に深く検討いたしまして、今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。

石破委員 終わります。

玉置委員長 田端正広君。

田端委員 中谷長官、大変御苦労さまでございます。

 PKO法が平成四年に施行されて以来、九年、約二千人の自衛隊員の方が六回にわたってPKO活動に参加されて、国際的にも日本の活動が評価され、そしてまた国内的にも約七割の人がPKOの活動に理解をする、こういう状況になってまいりました。

 そういう意味で、今回の改正は、そういう過去の経験を踏まえた中の教訓としての改正だと私は思っておりますが、そういう理解でいいのかどうか。

 そして、本体業務の凍結解除と武器の使用に対する限定的な緩和、こういうことは当初のPKO参加五原則のこの考え方を逸脱するものではない。特に五番目の、武器使用は要員の生命等の防護のために必要最小限のものに限る、これを超えるものでないというふうに理解しているわけですが、それでいいかどうか、確認させていただきたいと思います。

中谷国務大臣 これまで九年間、六回にわたって活動を実施してきたわけでありますけれども、派遣された隊員には、定められた法律に触れることなく、また任務を遂行するために本当に全力で整々と活動をしていただきました。その結果、大きく法を逸脱したというような指摘もございませんし、また現地政府や国際社会から大変大きな評価を得て実施をしてまいりましたけれども、これまでの経験を生かして、教訓、反省点がなかったわけではございません。

 例えば、カンボジアの場合には、すぐ近くにいるNGOの選挙監視のボランティアの方が危機に際したときに、法的に守ることができなかったわけでございますし、また、モザンビークにおいても、空港の輸送調整業務という定められた任務だけで、すぐ横で同じPKOを実施している隊員が非常に忙しくて苦労しているときにも、それを手伝うことができなかったというような、いろいろな観点に基づいて改正をする必要があることがございます。今回は、そのような教訓を受けて、武器の使用の規定並びにPKFの凍結解除を図った次第でございます。

 そして、武器の使用が武力行使につながるかという点につきましては、今回の協力法二十四条に規定する武器使用は、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものでありまして、武器使用が認められる主体は個々の自衛官でございます。したがいまして、武力の行使に至る行為ではないということで提案をさせていただいております。

田端委員 その武器使用についてですが、「自己の管理の下に入った者」というこの概念ですけれども、これはテロ特措法に整合性を持たせた考え方だと思いますが、自己保存の自然権的権利というこの対象でありますが、さまざまなケースが考えられます。

 そこで、整理したいんですけれども、「自己又は自己と共に現場に所在する」という意味においては自衛官の現場性というものが大きな第一のポイントであると思います。それから、共通の危険性といいますか、そういう状況にあるということが第二の点だと思います。それからもう一点は、自衛官の指示、ルールに従うという意味で「管理の下」という意味なんだろう、こう理解しているわけであります。

 そういうことを考えますと、例えば、現場における通訳の方とか、あるいは宿営地を訪ねてきた他国の要員の方とか、あるいは輸送の途上にある国連の職員とか、さまざまなケースが想定できるわけです。

 その中でさらにもう一点大事なことは、このPKO法全体を貫いている理念といいますか、これは、武器使用に関しては個人、つまり自己イコール個人、こういう理念が根底にあるんだろう。二十四条四項の上官の命令という改正は平成十年にされていますけれども、部隊としての活動とか組織としての行動とかそういうことは、それはそれとして、しかし、事武器に関しては個人をベースにした理念で貫かれたものである、武力の行使というものとは明確に一線を画している、こういうことを感じるわけでありますが、大臣の所感をお尋ねしたいと思います。

中谷国務大臣 おっしゃるとおりでございます。今回の武器使用の原則におきましては、自衛官とともに共通の危険にさらされ、その現場において、その安全確保において自衛官の指示に従うということが期待される者ということに限っておりまして、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものでありまして、憲法の禁ずる武力の行使に当たらない範囲でございます。

田端委員 今回の改正で他国のPKO要員の防護も可能になったと思いますが、そういう意味では国連あるいは国際社会からこれは評価されるんではないかな、そういう認識でおります。

 実は私、先般、東ティモールに与党の調査団として行かせていただきましたが、その際、デ・メロUNTAET特別代表から日本の自衛隊の参加に対して強い期待の表明がありました。しかし同時に、PKO要員間の相互信頼というものがPKOの一体性確保という意味で必要だ、こういうことで、個人的とおっしゃっておりましたが、日本には平和憲法という制約があるのは知っているけれども、しかし武器の使用の見直しというものをぜひお願いしたい、それが国際信頼をかち得る道だ、こういう言い方をされていました。

 そういう意味で、今回の改正というのはその期待にこたえられるものであるのかどうか、私は大きく前進したと思いますが、来年三月から七百人の施設部隊を派遣して、新しい東ティモールの国づくりに日本の自衛隊が貢献するという状況を迎えているだけに、その辺のところを明確にさせていただきたいと思います。

中谷国務大臣 田端委員が先般与党の調査団として東ティモールに行かれて、現場をつぶさに回られ、また指揮官から現状を聞かれたということで、心から敬意を表したいというふうに思っております。

 私の方にも、UNTAETのデ・メロ国連事務総長特別代表から、個人的には、日本が武器使用に関して防護対象を拡大し他国の要員を防護できるようになれば、日本の要員と他国の要員との間の相互信頼を高めることになって、PKOとしての一体性からも好ましい旨の意向が示されたというふうに伺っておりまして、そういう面では、今回の改正によって他国のPKO要員との間で今まで以上の信頼関係を持ってPKO活動をより効果的に実施することが可能になりますし、また今回の改正がこうした国際社会からの期待にこたえるものでありまして、国際的にもより評価を得られ、そして尊敬をされる国になるのではないかというふうに思っております。

 また、デ・メロ代表もUNTAETの幹部と今回来日をされまして、官房長官とお話をされましたけれども、デ・メロ氏につきましては、自分は日本の部隊が他の要員を防護できることが重要であると考えてきたところで、今次の改正は重要な一歩前進と考えており、国会がぜひ法改正を採択することを期待するという意見を述べられまして、今回の改正につきましても期待をされておられます。

田端委員 以上、終わります。

玉置委員長 小池百合子君。

小池委員 保守党の小池百合子でございます。十分間でございますので、どうぞ内容の豊富で、なおかつ短い御答弁をお願いいたします。

 まず、今回のPKO法の改正でございます。地雷の除去でございますが、遺棄兵器として処理が法的には可能となったと受け取っております。また、湾岸戦争の際には日本が掃海艇を出したということはだれにも記憶があるわけで、公海上、海というのと陸というのが違うだけでございまして、まさに地雷除去という形はその後の復興にもつながる大変重要な仕事であるというふうに考えているわけでございます。

 長官はこの地雷除去の活動について若干消極的と私は承っているんですけれども、実際いかがなんですか。また、それは法的な妨げは何があるのか、それについてお答えください。

中谷国務大臣 法的妨げはございません。仮にPKF解除になりますとPKOの場合に実施できるようになります。

 しかし、地雷を処理することについて若干心配しているのはこの地雷の持つ恐ろしさでありまして、過去、「地雷を踏んだらサヨウナラ」という映画がございましたけれども、本当に一瞬にしてその人の命を奪い、手足を損傷して、想像を絶するような苦痛を与えるものでございます。

 自衛官も現在確かに地雷処理の訓練はしておりますが、これは攻撃や防御の際の地雷、通路を開設するという程度にとどめておりまして、面的な広いところで一つ一つ地雷を探して処理をするということはいまだやっておりません。

 一つの地雷を発見して処理するにも一時間、二時間かかるわけでありますし、またそれを全部、一〇〇%やったかどうかという検証をするのは至難のわざでありまして、各国とも、この地雷の処理というのは非常に重い課題で、軍として行っておりません。

 ですから、こういう点につきまして、任務に加わったらそれを念頭に訓練をし検討をしていかなければなりませんけれども、現地の情勢等を見ながら慎重に検討しまして、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

小池委員 平成九年十二月、オタワ条約、これは小渕総理が、対人地雷全面禁止条約ということで、すばらしい演説、スピーチをなさったわけでございます。私は、こここそまさに、小渕総理の遺志も継ぐという意味で、これまでのいわゆる軍事的な地雷の除去ではなくて、まさに地雷そのものを除去するという技術をまず、私は日本は本当にそういう面ではうまいと思うんですよね。ですから、今回こうやってその活動が法的にも認められるのであるならば、これはしっかりとむしろ世界をリードするそういう技術もぜひつくっていただきたいし、そして、地雷が恐ろしいのは日本人だけではございません。だれかがやるんです。その地雷を除去する作業をNGOがこれまでやってきたんです。その点を踏まえて、今回の法改正からこの任務というのを、まさに日本が得意とするところだと言われるようになっていただきたい。

 続いて、イージス艦について伺わせていただきたいと思っております。

 私も与党三党の中のいろいろな責任者の立場でございまして、与党政策責任者会議というところでさまざまな課題が諮られて、そこで議論をされるわけでございますが、今回の基本計画の中に最初四隻とあったのが、いつの間にか一隻減って、イージスがどこかに行っちゃったんですね。これについて、どうもデュープロセスがよくわからない、どこで、いつ、だれが出さないということを決めたのか、私は、これがいまだによくわかりません。

 基本的に、こういったことが国民に、いつ、どこで、何が決まっているのかわからないということが最大の問題ではないかと思うのですが、防衛庁として、いつ、どこで、何が決まったのか、明らかにしてください。日本政府として。

中谷国務大臣 イージス艦を派遣するかどうかということにつきましては、防衛庁長官たる私が判断をして決めるべき立場でございますが、イージス艦を含めて、私は、その特性から、任務上、イージス艦が、より作業の能率、また安全を確保する観点から必要であるというふうに思っておりましたけれども、しかし、今回の派遣につきましては、きょうも参議院で行われましたけれども、国会による承認手続ということで、国会の御理解、国民の皆様方の理解、そして何よりも、国会での議論や与党、野党間のそれぞれの御意見等も伺いながら総合的に判断をしなければなりませんし、また、事態等も、現在、タリバン等の状況等において変化が起こっております。そういうあらゆる観点を主体的、総合的に判断して、今回は、イージス艦を派遣しないという決定を行ったわけでございます。

小池委員 その判断の基準なのでございますけれども、ちなみに「きりさめ」、これはいわゆるミニイージス艦と呼ばれるものでございます。このミニが出て、なぜイージス艦はだめなのか。例えば、その能力、もちろんわかりますけれども、だったらミディはいいのか。だから、そういったことがますます、今回のイージス艦を派遣する、派遣しないということの判断の基準もわからない、何となく大げさだからやめておこうや、周りの国々に対して何か威圧的なところがあるのじゃないか。

 私、これは山本七平さん言うところの空気だと思うのですね。ずっとこれまでいろいろな会議の検証もしてみました。よくわかるところと、例えば自分がいたところはよくわかります、あと、わからないところも結構ある。でも、聞いてみると、いや、何で決まったんだろうなと、そこにいたはずの人が言うんですよ。

 今回PKOを改正し、さらにはテロ特措法という新しい概念を持ち込んだ、これからもいろいろな問題は出てくるでしょう、これはわからない。そういったときに、いつもこの辺あの辺と言っていて、そのデュープロセスと、そこの何で判断したかという基準がわからない、これは絶対に避けるべきものだと思いますが、防衛庁長官、特に、私が決めましたとおっしゃいました、防衛庁長官がその意思を持つ、決断をする、その役割を担っていらっしゃることを改めて御確認いただきたいと思います。いかがですか。

中谷国務大臣 そういうすべての行動については私が責任を有しているわけでございますが、今回が最初の派遣でもございますし、また、国会において各政党に御承認をしていただかなければなりません。そして何よりも、派遣される上においては、国民の支持と理解に基づいて、しっかり頑張ってこいという声に押されて、堂々と派遣をしていただく、現地に行っていただくという必要もございました。

 私自身も、必要なことはもっとよく説明をし、多くの方々に御理解をいただくように努力をしてまいりますし、また、今後とも信念を持って、決断するところは決断ができるように努めてまいりたいというふうに思っております。

小池委員 あなたは防衛庁長官なんです。決めるんですよ。そこで、まさに総合的、主体的に判断をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 それから三点目でございますが、今回のテロということではございませんが、パレスチナ問題に焦点が当たったということは、ある意味で、私は、これまでしこっていた、そしてまさに毎週のように自爆テロが起こっていたあの地域に光を当てるということでは、進歩があったと思います。

 例えば、私などは本当にびっくりしちゃったんですけれども、あの国連総会において、アメリカのブッシュ大統領が、十一月十日の国連演説で、イスラエルとパレスチナの二つの国という表現を使いました。まさに国家として認める発言をした。ブレアさんもしかりであります。もっと大変だったのは、最近のパレスチナ情勢を悪化させていた、そのもとをつくったと言うべきでしょうか、現在は首相の地位にありますシャロンさんが、治安が保障されるならば独立したパレスチナ国家の樹立に同意するという発言をされている、これは私は本当にびっくりいたしました。

 そして、また日本との関係でございますけれども、かつて、パレスチナ、今のような暫定自治政府を持つ前に、いろいろな各グループがあった。その中での主流派の一番大どころのPLOが、東京事務所というのを開設いたしておりました。

 ところが、一九九五年になりまして、財政難、あの当時は湾岸戦争があった、そして、これまで産油国からいろいろな拠出をいただいていたところが、パレスチナは困っちゃったわけですね。お金がなくなっちゃったというので、東京事務所を閉めました。

 そしてその後、日本もパレスチナ問題に大変地道に積極的に取り組んでおられる中で、日本政府も、パレスチナの代表事務所を置くということにも合意もなさっている。これは、国としてというのが、まだ、どこをして国家というのか、なかなか難しいところでございますが、もっと積極的に日本政府、具体的にこの話を進めることに協力をしていただきたい、支援をしていただきたい。

 そのお願いと、さらには、私は、民間でこういったことを守り立てていくという動きをとっていきたい、またその決意もしているところでございますけれども、外交問題でございますので、重家局長の方から御答弁いただきたいと思います。

重家政府参考人 PLO、パレスチナ解放機構の東京事務所につきましては、先生申されましたとおりの事情で今閉鎖されているわけでございますが、現在、パレスチナ側におきまして、再開を検討中というふうに承知しております。

 我が国は、これまでも積極的なパレスチナ支援をしてきておりますし、また、緊密な政治対話、政治関係を強めていきたいというふうに思っております。そうした関係の強化のためにも、在京事務所の再開が望ましいもの、そういうふうに私どもも思っておるところでございます。

小池委員 最後に、十一月十九日のジョン・ボルトンという人のメッセージが、私、最近ちょっと気になっております。もう時間がございませんので、イラクと北朝鮮という、国家、国の名前を名指ししたペーパーでございますが、今後の生物兵器等々、大量殺りく兵器等々のことでアメリカがどこに今問題意識を持っているかということのあらわれだと思いまして、そのことを最後に述べて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

玉置委員長 これにて、ただいま議題となっております各案中、内閣提出、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、PKO協力法改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、いわゆるPKFの凍結解除によって、国連平和維持軍への自衛隊の歩兵部隊の参加を可能にし、そのため、武器使用原則を根本的に覆そうというものであり、憲法九条にかかわる重大な法案であります。

 これをわずか二日間、十時間半の審議で、公聴会も開かず採決することは、断じて容認できません。戦後初のテロ特措法に基づく戦時の自衛隊出動、本法案の強行という相次ぐ暴挙を厳しく糾弾するものであります。

 PKFは、停戦監視や武装解除、治安の維持などを任務とする部隊であり、突発的な武力衝突など、常に危険と隣り合わせの活動であります。このような活動に自衛隊が参加すれば、憲法の禁ずる武力行使につながる危険性が極めて高いことは明らかであります。

 PKO法二十四条、すなわち、武器の使用は要員の生命、身体の防護に限るという原則は、憲法が禁ずる武力行使に至らないために譲ることのできない原則と政府みずからが言明してきたものであります。これに「自己の管理の下に入った者」というあいまいな規定を持ち込み、他国の軍隊をも守れるようにするということは、自衛隊による警護活動を事実上可能にするものです。

 自衛隊法九十五条の武器等防護の適用は、二十四条の原則とは相入れないものであり、政府が認められないとしてきた任務遂行を実力により妨害する企てに対抗する場合の武力行使に当たるものです。

 こうした武器使用権限の拡大は、政府が憲法違反とならないための大前提としてきたPKO参加五原則の武器使用原則を根本的に覆すものであり、まさに憲法違反の法律と断ぜざるを得ないものであります。

 以上、本法案は、武器使用権限を拡大し、自衛隊がPKF参加に公然と踏み出すものです。憲法の平和原則をずたずたにして、ひたすら自衛隊の海外派兵を進める小泉内閣の政治姿勢を厳しく糾弾し、私の反対討論とします。(拍手)

玉置委員長 次に、今川正美君。

今川委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律、いわゆるPKO協力法の一部改正案について、反対討論を行います。

 今回の法案は、PKO協力法の一部手直しという装いに見えますが、自衛隊等のPKO参加五原則を全面的に崩しかねない危険な内容であると言わざるを得ません。

 ところで、日本の、とりわけ自衛隊のPKO参加に関して、九年前のいわゆるPKO協力法案をめぐっては、一年間にわたる大激論となり、PKO参加五原則を設定し、本体業務、いわゆるPKFへの参加凍結を決めて、自衛隊の海外派遣を例外的に認める代償として厳しい制約を課したのでした。当時、これは法解釈の限度とされたはずです。

 ところが、今回の改正案では、まず第一に、武器使用の基準を大きく緩和、拡大しました。

 防護対象を、自己の管理下に入った者という極めてあいまいな領域にまで広げて、これまで法的にできないとされた要人警護や外国部隊の救援までできるようにしました。さらに、自衛隊法第九十五条の適用除外を解除して、武器等の防護のために武器使用ができるようにしましたが、冷戦後、PKOがかかわった紛争の約九割は内戦型で、紛争当事者すらはっきりしないケースも多く、組織的な応戦、つまり武力行使を余儀なくされ、憲法九条に抵触することは明白であります。

 第二に、PKOの本体業務、つまりPKFを凍結解除するとしています。

 しかし、PKO協力法第三条第三号の定める業務のうち、自衛隊等が行う停戦、武装解除の監視から捕虜交換の援助に至る六項目は、武力行使に至る危険があるとして凍結されていたはずです。それを、PKO活動九年間の実績とか、他国並みの国際協力の言いわけで解除するのは、これまでの貴重な議論の積み重ねを無視するものであり、断じて許されません。

 本来、国際紛争を解決するはずの国連安全保障理事会が機能せず、相次ぐ紛争を処理するためにPKOが生まれてから五十三年、そのPKO自体、第一世代から第三世代まで、伝統的PKOから拡大PKOへと時代の変化の中で大きく変わってきています。だからこそ、カンボジアに始まり現在のゴラン高原まで九年間に及ぶ自衛隊等のPKO参加についての検証と総括を国会できちんとやるべきです。

 これからのPKOでは、ブラヒミ・レポートの提言にもあるように、紛争予防や平和構築を基軸に据えるべきです。我が国では、残念ながらこの間、PKO議論が、まず自衛隊派遣ありきという発想から始まり、そこに終始したため、多くの矛盾と無用な混乱を招いてしまいました。そうした意味でも、我が党が提唱している非軍事、文民、民生を基本とした別組織による国際協力をいま一度本格的に検討してみる価値があると確信いたします。

 専守防衛に撤し海外に出ることはない、必要最小限の自衛力にとどめるとして創設されたはずの自衛隊が、PKOを皮切りに海外に展開し、しかも、テロ対策を口実に戦時出動までしてしまったことは、国民と国際社会に対する裏切りにほかなりません。

 本法案は、国連協力の装いを凝らした自衛隊活用法案にほかならず、憲法が禁じた武力行使に道を開くものであって、速やかに撤回されることを求めます。

 あわせて、自衛隊の戦時海外派遣を直ちに中止するよう強く求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)

玉置委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玉置委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

玉置委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十六分散会




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