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第2号 平成14年2月28日(木曜日)

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平成十四年二月二十八日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 玉置 一弥君
   理事 大野 松茂君 理事 仲村 正治君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君
      石破  茂君    岩屋  毅君
      臼井日出男君    瓦   力君
      木村 太郎君    虎島 和夫君
      中山 利生君    野呂田芳成君
      平沢 勝栄君    山本 公一君
      米田 建三君    伊藤 英成君
      江崎洋一郎君    大出  彰君
      川端 達夫君    前田 雄吉君
      前原 誠司君    赤松 正雄君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
      小池百合子君    粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        植竹 繁雄君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            谷内正太郎君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  江崎洋一郎君     前田 雄吉君
同日
 辞任         補欠選任
  前田 雄吉君     江崎洋一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――
玉置委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件につきまして調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長北原巖男君、外務省大臣官房長小町恭士君、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君及び海上保安庁長官縄野克彦君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
玉置委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。
田端委員 おはようございます。公明党の田端でございます。両大臣におかれましては、朝早くから御苦労さまでございます。
 まず、不審船の問題についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、政府は、二月の二十五日から三月までにかけて、犯罪捜査ということで、東シナ海で沈没した不審船の調査に当たられている。そして、二十五日にはソナー調査で、二十六日以降は水中カメラの調査を用いて場所の確定、位置の確定、そしてまた、長漁三七〇五という船名の確認もされたというふうに報道されております。この後、有人潜水による調査ということになっていくんだと思いますが、そうしていきますと、やはり国民的世論からいきますと、これは引き揚げるべきだというふうに当然なってくるんではないかと思います。
 そうした中で、ただ、場所がEEZ、排他的経済水域、しかも日中中間線を越えているということで、中国側に対する配慮、逆に言うと中国側からもいろいろな要請もあるのかもわかりませんが、慎重な態度を求められるということになると思います。しかし、犯罪捜査、特にこういった攻撃を受けたわけでありますから、そういう背景をきちっと調べて犯罪に関する立証をしていく必要がある、こういうふうに思うわけでありますが、海上保安庁、まずどういうようにお考えでしょうか。
縄野政府参考人 お答え申し上げます。
 今お話しのように、海上保安庁におきまして、今週二十五日から、まず測量船によりますいわゆるサイドスキャンソナーを用いた調査を行っておりまして、海底に沈没位置を示すエコーを認めております。さらに、翌二十六日に、巡視船搭載の水中カメラを用いまして、少なくとも船の横に長漁三七〇五と書いた、例の不審船であるという確認をすることができました。引き続き、本日も含めまして、水中カメラによる調査を続けているところでございます。
 これらの調査の結果を踏まえまして、有人潜水、潜水士による船体調査を、気象あるいは海象の次第によりますけれども、できるだけ早くやりたいということにしておりまして、その結果を踏まえまして、引き揚げが可能かどうかということについて判断することとなろうというふうに考えております。私どもとしましては、引き揚げが必要でありまして、これを行うという意識のもとで取り組んでおるところでございます。
 これらの調査は、今お話にもございましたように、不審船の行った行動、これは、私どもの立場から見ますと、海上保安官に対する殺人未遂罪でございます。これを犯罪捜査として私どもとしては解明する立場にありまして、殺人未遂罪の特定もさることながら、そこまで犯罪を犯した動機、その背景は何であるのかということについて事実の解明をする必要が私どもとしてはあります。そのために引き続き全力を傾注する所存でございます。
 なお、現場は中国の排他的経済水域と私どもとしても扱っているところでございますので、中国等と調整しつつ、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
田端委員 ぜひ、中国に対する配慮は慎重にありながら、しかし、事実の解明を急いでいただきたい、こう思います。
 それで、防衛庁長官、この事件が起こったとき大きな問題になりましたが、自衛隊の第一発見から海上保安庁に対する通報が九時間のロスがあったということは、危機管理という意味においては致命的な事態であったというふうに思います。これはもうぜひ反省をしていただきたいと思うわけであります。
 私は、防衛庁と海上保安庁の共同対処マニュアルみたいなものがきちっとできていないんじゃないか、だから早急にこれをつくり上げて対応しなければいけないんじゃないかというふうに痛切に感じております。つまり内閣官房も含めて、二十四時間リアルタイムで情報を共有できる、三者が一体になってこういう事件が起こったときに対応できるというシステム、機構がやはり必要だろう、こういうように思っております。
 そういう意味で、防衛庁長官として、これを教訓にして今後どう対応していくのか、その辺のところを、しっかりとした御決意をお願いしたいと思います。
中谷国務大臣 基本的対処につきましては、不審船につきましては、海上における警察機関であります海上保安庁が第一義的に対応いたしまして、海上保安庁が対処困難な場合におきましては、海上自衛隊が海上警備行動によって対処する、連携しつつ対処するという基本的考え方は維持してまいります。
 御指摘の事項につきましては、その発見の段階での御指摘でございますけれども、今から振り返れば確かに時間がかかったということでございますが、御理解いただきたいのは、この不審船を発見するという作業は大変困難を伴う作業でございまして、一般の漁船に紛れ込んで、漁船の形をした船舶でありまして、これを分析解析するということ、また、それをおかしいなという発見をする行為自体が至難のわざでございます。むしろ私は、このような状況の中でこの船舶を発見した隊員を褒めてあげたいというふうに思っております。非常にこの識別、判断をするということにつきましては、大変難しく困難なことであるということを御理解いただきたいというふうに思っております。
 また、連絡体制につきましても、判別困難な状況において分析をした段階で海上保安庁に通報すべきではないか、いわゆる不確実な段階での情報であっても通報すべきとの意見等もございます。この点につきましては、現在、内閣官房を中心に、両省、両組織の連携のあり方というものを検証して、マニュアルの見直し作業も実施をいたしておりまして、国民を守るという観点で、国家の組織がうまくタイムラグなく機能できるように、さらなる検討と努力を講じてまいりたいというふうに思っております。
田端委員 いろいろおっしゃいましたが、しかし、これはやはり国民的にはなかなか弁解にしか聞こえません。だから、これはもう過去のことはこととして、私は、こういう緊急事態に対し、あるいは危機管理事態に対しての今後のあり方というものを今後しっかりと検討していただきたい、そういうことを申し上げているわけであって、褒めてあげたいなんというのはちょっと余計だ、こう思います。
 次に、テロ特措法の関係でお尋ねいたしますが、いよいよ三月末で一つの区切りといいますか、延長したとしても五月十九日という期限がやがて参るわけでありますが、このインド洋での活動はどういう状況なのか、そしてまた、こういう期限が来て、どういうふうに今後予測されるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。もし基本計画が変更されるような何らかの考え方、要素が今後あるんでしょうか。その辺のところ、防衛庁長官の御所見をお願いします。
中谷国務大臣 支援の内容でありますが、まず第一に、被災民救援活動におきましては、昨年「うらが」が、UNHCRに対しましてテント、毛布を輸送いたしました。協力支援活動につきましては、現在インド洋北部におきまして、補給艦の「はまな」、「とわだ」、護衛艦の「くらま」、「きりさめ」、「さわぎり」が活動中でございまして、十二月二日以降、二月二十六日までに艦船用燃料を米軍の補給艦、駆逐艦などに対して三十九回、英国軍の補給艦に対して一回、合計四十回、六万四千キロリットルを提供いたしまして、二月の二十一日には、米艦艇に対して物品輸送を実施したわけでございます。
 これらの艦艇、もう派遣をいたしまして三カ月に近づこうといたしておりますけれども、二月の十二日に護衛艦「はるな」及び補給艦「ときわ」、二月の十三日に護衛艦「さわかぜ」が出航をいたしております。
 また、航空自衛隊における輸送支援につきましては、国内輸送については二十一回、国外輸送については十一回実施をいたしております。以上のような活動内容をいたしております。
 それから、今後基本計画の変更等につきましては、この基本計画の実施期間が五月の十九日までとなっております。この変更の可能性につきましては、現段階で確たることを申し上げるのは困難でございまして、今後情勢を見きわめつつ、各国のニーズ等も踏まえまして、我が国として主体的にその必要性を判断してまいりたいというふうに思っております。
田端委員 先般の日米首脳会談において、反テロに対しては緊密な連携をとるということが確認されているわけでありまして、その席でといいますか、その前後の米大統領の発言を見ますと、例えばイラク、イラン、そして北朝鮮に対しての悪の枢軸という表現をされたり、あるいはイラクに対しては、すべての選択肢を排除しないという意味では武力攻撃もあり得るということが示唆されているわけであります。
 そしてまた、イランに対しては、日本から働きかけてほしいというふうな要請があったということも聞いておりますけれども、外務大臣、この問題に対して、アメリカ側から何か具体的な要請というものがあったんでしょうか。また、それに対してどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
川口国務大臣 先般の日米首脳会談でございますけれども、ブッシュ大統領から小泉総理に対しまして、今おっしゃったイラン、イラク、北朝鮮に関しまして、彼らの行動パターンを変えるように国際社会として協力をする必要があるというお話がございまして、我々、アメリカですけれども、米国としては、すべての選択肢を排除していないが、問題を平和的に解決したいと考えている、外交的な努力を続ける考えであるというお話がございました。
 イランに対しては、総理から、中東和平、大量破壊兵器の拡散問題、テロ問題について引き続き働きかける、改革を支援していく。イラクにつきましては、国際社会が協力をして取り組むことが大事であるということをおっしゃられまして、大統領から緊密に連絡を取り合っていきたい、日本の役割は重要であるというお話がありまして、さらにイランについては、イランにとって日本は重要であるので、日本よりイランに対して働きかけてほしい、米国は改革を支援すべきであると考えるけれども、この方向で強い働きかけが必要だ、そういう御発言がございました。
田端委員 外務大臣、いろいろ御苦労なさっているということで、ぜひいろいろな問題に対して精力的に、また前向きにお取り組みいただきたいというふうに、陰ながら私も応援している一人であります。
 大臣が就任以来、外務省の改革に十の改革という提案をされて、不当な圧力の排除とか誤ったエリート意識の排除とか、こういったことを掲げられて頑張っておられるということについては敬意を表したいと思いますが、残念ながら、しかし、いろいろな事件が起こっておりますし、私は、このODAに絡む問題というのは非常に大きな問題だというふうに思っております。
 会計検査院の検査対象にはなかなか及ばないというところが一つの大きな問題であろうと思うわけでありますが、そういった意味で、約九千百六億円ですか、一兆円に近い税金がODAという形で使われているわけですから、こういったプロジェクトに対する選定基準あるいはそういうチェック機関の機能を高めるということがいかに大事かということになってくると思います。
 そういう意味で、総理から二十二日に、十日以内に報告するようにということでお話があったということでありますが、今、現時点で報告できることがあればここでやっていただきたいと思いますし、十日ということになれば三月四日ということになりますけれども、こういったことはできるだけ早く、早い方がいいと思いますので、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 ODAにつきまして、国民の税金がきちんと効率的に、それから効果的に発展途上国のために使われることが非常に大事だと私も考えておりまして、発表させていただきました「開かれた外務省のための十の改革」の中で一項目、「ODAの効率化・透明化」ということで挙げさせていただきまして、幾つか、それのために何をするかということで、例えば「ODAの実施に当たり、適切な監査手法の導入について検討します。」というふうに書かせていただきました。ということで、これは「変える会」で議論をきちんとしていただきたいと思います。
 それから他方で、この関係について一言申し上げておきたいのは、ODAについては、政府としては、今まで透明性、チェック体制の向上という観点で幾つかのことを既にやってきております。
 例えば、委員おっしゃられました、案件を選定するときに際しての透明性の向上ということに関しましては、例えば円借款の候補案件リストを公表している。無償資金協力につきましては、案件選定のための調査報告を入札後に公表するということを行っていますし、事業実施面におきましては、入札が適正に行われたかどうかについて実施機関が厳正にチェックをいたしております。また、入札結果につきましては、応札業者名と応札額も含めまして公表することといたしております。それから、不正行為が行われた場合の罰則を策定して、これも実施をいたしております。
 ということで、いろいろやっておりますけれども、こういったことについてさらに透明性を向上し、国民の皆様にODAの必要性について御理解をいただけるように努力をしていきたいと考えております。
 それから、調査の件でございますけれども、今、園部参与に本当に一生懸命やっていただいていまして、休日も返上し、御自身で書類も精査なさりということで、時間の限り、体力の続く限りという形で本当に一生懸命やっていただいています。
 それで、十日以内ということでお話を申し上げておりまして、今途中の段階で何かを発表するというのは必ずしも適切でないと思いますし、現に私も、これは園部参与にお任せを申し上げておりまして、途中で口出しをしないということでやらせていただいておりますので、ここではちょっと、何も申し上げられません。
田端委員 外務大臣は、環境大臣としてこれまで地球温暖化問題、京都議定書の問題について、この二年間精力的にCOP6、COP7等取り組まれ、私も大変大臣の御努力を評価したいと思います。
 いよいよことし、これが発効できるかどうかという大きなところに来ております。もう時間がないので私の言い分だけ申し上げますが、ロシアの京都議定書批准が非常に危ぶまれる状況にあるのではないかということで危惧しております。ぜひ、この八月、ヨハネスブルクでの地球サミットで発効できるように、大臣、御努力をお願いしたいと思いますし、日本として、環境先進国としてこの主張を貫いていただきたい。そしてまた、カナダも少し動揺しているといいますか、揺らいでいるような感じが見えますし、EUの中でもデンマークなんかが、ちょっと足踏みがおかしくなってきたという感じもいたします。
 そういった意味で、京都議定書をぜひ、二〇〇二年発効という大きな目的に向かって、これは大臣の一番の信念をかけてやってきたことでもございますから、ぜひこの問題に対しては精力的にお取り組み願って、ことし発効できるように、日本はもちろんですけれども、外交として頑張っていただきたい、こう思うわけでございます。
 時間が来ましたので、要望して、終わります。ありがとうございました。
玉置委員長 小池百合子君。
小池委員 保守党の小池百合子でございます。
 早速伺わせていただきたいのは、昨日アメリカの国防総省で発表されました対テロ支援貢献リスト二十六カ国の中に、全く、日本のJの字は全くなかった。今、私も入手いたしましたけれども、オーストラリア、バハレーン、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、エジプト、フィンランド。
 それで、一人、何月何日に事務所に来ましたとか、フリゲート艦一隻送りましたとかいう話で、全く、湾岸戦争の百三十億ドルのお金でトラウマを生じたといって、今度は大変な後方支援を、この国会も大変な努力をして送った。そして実際に今、アラビア海にいる人たち、自衛隊の方々も苦労して、そして燃料の補給もやってきた。
 私は、別にアメリカに褒めてもらうためにやっているわけではなくて、これは世界的に、国際的にテロと闘うということで、そして日米同盟の中で一生懸命やってきたということについて、防衛庁長官、いかがでございましょうか。これについてどう思われておられるのか、また、どんなアクションをとられたのか、お願いいたします。
中谷国務大臣 我が国支援活動につきましては、日本に対する謝意としては、これまで大統領が何度も表明をされておりますし、国防長官自身も何度も、私も昨年末、日米防衛首脳会談であちらへ行ったときは会見場で言及されて、CNNで数分間、同時中継もしていただきましたけれども、感謝の気持ちは持っているというふうに思っております。
 今回の報道等につきまして、どうしてそのような報道があったのか確認中でありますが、報道の内容が米政府の認識であるということであれば大変問題であるというふうに思っておりますけれども、この件につきまして、直ちに在米の日本大使館より米国国防総省に対して事実の確認を行ったところ、先方は本件の誤りを認め、陳謝の上、しかるべく訂正を行う旨、回答をいただきました。
 防衛庁としても、米側に対して遺憾の意を伝え、しかるべく訂正を行うことについて注意喚起を行ったところでございまして、現在、これに対して米側から回答をさせていただきたいということがありまして、この米政府の態度を注目しているところでございます。
小池委員 単純ミスで陳謝ということは、私はかえって問題だと思うんですね。実際そこの存在意義も何もなく、ほいと忘れられる存在というのは一体何なんだと。日米同盟とは一体何なんだと。また、アメリカ側にもやはり、後方支援じゃ物足りないと言っているのかもしれない。
 ただ、これは我が国として、テロに対してどのような形で闘っていくのかということで具体的に日本が動いたことが、同盟国の中でも、ほかの国々のレベルから考えますと、今回日本が行ったことは大変な決断であったと私は思うんですね。だから、これはある種、逆にアメリカからのメッセージであるかもしれない。
 しかし、この件については、やはり明確に、単純ミスであることの方が意味が大きいということで、しっかりと対応していただきたいと思っております。
 それから二番目、中東問題について伺わせていただきます。
 先日、サウジアラビアのアブダラ皇太子の方からイスラエルに対しまして、全占領地からの撤退ということを条件としてイスラエルとの国交を結ぶというような大胆な提案がされたところでございます。イスラエルとの国交を結ぶ云々については、サダト大統領がえいやであの地に向かい、それが大変な状況を生んだということを考えれば、メッカを抱えるサウジアラビアが今回このような提案をしてくるということは、まあカードを切ったということが言えると思うわけでございます。
 いろいろな見方があります。しかし、アメリカもポジティブな反応を見せているようでございますが、これについて我が国としての見解はいかがでしょうか。外務大臣、よろしくお願いします。
玉置委員長 外務大臣、前段の部分についても、日本にとって大変重要な問題ですから、大変差し出がましいようでございますけれども、ちょっと、御意見ございましたら、それを言っていただいて、後はちゃんとお答えいただきたい。(小池委員「委員長、私にも時間の関係があります」と呼ぶ)はい。だから、短く、短く。
川口国務大臣 どちらにいたしましょうか。前の方についても……(小池委員「いや、それでまた時間を食っちゃいますから、どうぞ早く」と呼ぶ)
玉置委員長 いやいや、大変重要な問題ですから。
川口国務大臣 それでは、サウジアラビアのアブドラ皇太子の提案でございますけれども、委員おっしゃられましたように提案があったわけでございまして、ブッシュ大統領はアブドラ皇太子と電話会談を行って、提案を称賛したというふうに私も承知をいたしております。
 それで、日本のこれへの見方でございますが、アラブ世界で発言力を有するサウジアラビアのアブドラ皇太子がこのような考え方を示されたということにつきましては、中東和平問題の解決に向けたサウジアラビアの強い希求を示すものだというふうに私どもは受け取っておりまして、私どもとしても、もちろん歓迎をいたしております。
小池委員 委員長、私は委員会を代表して質問しているわけではないので、よろしくお願いいたします。また、民主党の方に聞かれたらいかがでしょうか。
 さて、その中東でございますけれども、私、前回、予算委員会のときにも御質問させていただいたんですが、アラファト議長、これは暫定自治政府の議長でございますけれども、言ってみればカルザイさんみたいなものです、その方が、ある地点にずっととめ置かれていて、行動の自由がない。これは、人権という普遍的な問題から見て大きな問題ではないかということを声を上げるべきではないでしょうかと申し上げました。もちろん、その人権の、これも外交のカードになるわけでございますけれども、やはり言うべきことを言っておくのが日本として必要なのではないかということで私自身は問題提起をさせていただいたわけでございます。
 一方で、世界は動いていて、外交はいっときも休みがないんですが、どうも外務省改革の方に一義的にエネルギーがそがれていて外交が手薄になり、こういうのはタイミングを逃しますと意味がないんですね。
 ですから、タイミングよくやるためには、これは鶏と卵になってしまいますが、外務省改革、一日も早く本質的なことを進めていただきたいということと同時に、やはり私は、日本が先ほどのテロの貢献の、支援のリストから外されていたというのもそうです。ロープロファイルなんですよ。存在があるのかないのかわからない。タイミングを外さずにきっちりと我が国の姿勢を世界に伝える、そういう努力こそが外務省改革よりももっと、国益とすれば大きな点ではないかというふうに私は思うわけでございますけれども、今の外務省の問題、ちょっと本当の外交がお留守になっていやしないでしょうか。外務大臣、いかがでしょうか。
川口国務大臣 委員がおっしゃるロープロファイルではなくて、ちゃんと存在が見える外交ということは私も非常に重要だと考えております。
 その上で、外務省の改革というのはやはりどうしても必要であるということは、残念ながら一連の不祥事件がありまして、外務省への信頼が地に落ちてしまっているということを回復しませんと、外交あるいは外務省に対する国民の信頼の、あるいは信頼、支援が得られない、したがって、いい、強靱な外交ができないということでございますので、今一生懸命に外務省を挙げて改革に取り組んでいるわけでございます。
 ただ、同時に、それが、外交についてのやるべきことをやっていないかというと、私は必ずしもそうなっていない、決してそういうことになっていないと思っております。
 委員がおっしゃられましたアラファト議長の関連につきましても、一月の時点で、これは与党三幹事長が現地を訪問していただいた際に、シャロン首相及びアラファト議長に総理親書を持っていっていただいたというようなことで、日本の態度、すなわち、イスラエルの行動については、これはアラファト議長の過激派取り締まりの能力を損ねる行動であって、事態の鎮静に資さないということ、あるいはアラファト議長については、過激派の取り締まり、それから暴力の停止のための最大限の努力を行ってほしいということを総理の親書でお伝えをしているわけでございまして、決してこれが外交をやる能力を今損ねているということにはなっていないと思います。外務省の職員全員、今一生懸命に努力をしているところでございます。
小池委員 私自身、その与党幹事長の訪問に間接的に携わっておりまして、これは与党が行ったので、外務省の外務大臣が行ったわけでもなんでもなくて、与党の上に乗っかって親書が運ばれただけでございます。
 ですから、そういった意味で、親書は外へ出るものではございませんし、それはアピールになっていないということを申し上げているのでありまして、タイミング、たしか実効性、スピード性、公開性ということで外務省改革の三つのキーワードを挙げておられたと思いますが、今の私の申し上げているのはちょうどそれに、キーワードに全部当てはまるんじゃないでしょうか。
 さて、外務省改革、本当はこれは外務じゃなくて内務の話、内交じゃないかと思っているわけでございますが、また、不祥事というマイナスからの出発点なので、余りプラスの要素を私は残念ながら見出すことはできませんでした。
 お金の問題なんでございますが、これはお金の問題から端を発しているわけでございますが、たしか外務大臣、駐米公使をお務めになったということで、実際の在外公館のシステムであるとか体質であるとか、御自分で体験されておられる。それだけに、外務省改革を進めるには適任、適切な方ではないかと期待をしているわけですが、お金の面で、他省庁から来られた公使として、その流れはどのようにつかんでおられましたでしょうか。
 それともう一つ、お金よりももっと重要なこと、情報です、情報の共有が実際に大使館の中でできているんでしょうか。
 例えば、問題になったのは、日米貿易摩擦の際も、なかなか外務省からの情報が来ないといって、基本的にジェトロを使っていろいろと情報収集に走ったということ、これはアメリカの方からも指摘、問題視されたときがございました。
 また、当時の大蔵省、今の財務省ですか、これもまた別の機関を持っているということで、私は、本当の外交の機能は総合的に発揮されるべきものであって、お金の流れも、これも機密費の話で、ほかの省庁からの方が余りこの問題について外務省をかばいたくないと思うのは、実際その恩恵にあずからなかったとか、わかりやすく申し上げますと。恩恵というような言葉は不適切ですが、わかりやすく言えばそういうこと。
 それから、情報の流れということも、これは国家としてもっと一元化をして共有をしていかなければ非常に危ないということ。
 この点について、もっとプラスの意味での外務省改革をするべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
川口国務大臣 まず、外務省改革のプラスの意味ということですけれども、私は、外務省が今行っている改革は、失われた信頼をもとに戻すということだけではないと思っております。
 外務省の職員の方にEメールで、私が何を考えているかということを出させていただきましたけれども、外務省のやっている改革というのは、霞が関全体の中で、例えば私が十の改革に挙げたようないろいろな問題について新しいモデルをつくるんだ、そういうことで先に進んだ改革をする、それが外務省の改革の仕上がりの姿である、あるいはそうあるべきであると私は考えています。それがまず一点でございます。
 それから、お金あるいは情報の共有化が、お金の共有化というか、お金の問題、それから情報の共有化がなされているかということでございますけれども、まずお金については、私は経済班に属する公使でございまして、お金のいろいろなことがどういうふうになっていたかということについては情報を持っておりません。
 ただ、非常に一つ記憶に残っている、強く記憶に残ったことがありまして、これはある方、たまたま外務省の出身の方でしたけれども、自宅、自宅といいますか、家が、これも国有になっていますので国のものなんですけれども、の高い庭木がありまして、これがもう倒れそうになって、隣の家から切ってくれと言われた、これを切るのに日本円にして十万円ぐらいのお金だったと思いますけれども、それを本省に、何というんでしょうか、やっていいかどうかと問い合わせて、それを本省でチェックをして返事をもらう。
 要するに、十万円のお金のレベルでも、その程度の本省のチェックがある、在外公館が自由にできないというようなことがあるということが、一つ私の当時非常に印象に残ったことがございます。
 それから、情報の共有化ですけれども、これは私、委員おっしゃるとおりでございまして、外交の問題にかかわらず、幾つかのいろいろなことが霞が関の中で幾つかの省にまたがって行われることがたくさんある場合に、外交というのも一つの例ですけれども、情報が共有化されない、あるいは各省の間でのさまざまな、何というんでしょうか、よく言われるような縦割りの弊害ということがあると思います。これは霞が関全体の問題として直していかなければいけないことであると思っています。
 実際に、縦割りであるということは必ずしも弊害ばかりでもない、お互いにいい仕事をしようと思ってボーダーラインのところで競争するというメリットもあると私は確かに思いますけれども、どうやって情報の共有化、あるいは仕事において縦割りの弊害を直していくかということについては、以前私が役所にいたころに比べて大分よくなったと思いますけれども、まだまだ工夫の余地があって、それは広くみんなで一度考えてみなければいけない問題だと思っております。
小池委員 お金の部分の木の話、余りよくわからなかったんですが、これは、平沢さんなんかを初め他省庁から在外公館に出られた方は、大体ひとしくおっしゃっていることであります。
 情報の問題は、さらに問題は深刻でございまして、例えばこの間の不審船のときも、言ってみれば、海上保安庁と防衛庁と、この辺のところの連携がもたもたとしたことから重要な事態を招くということ、端的な例とすればそういったことがあると思うんでございます。
 私は、外務省改革の中で、骨太とおっしゃるのならば骨の中がすかすかにならないで、そういったことこそ充実をしていくと、本当の意味の改革になるのではないかと思っておりますので、具体的にそれをどうすればいいかを考えて、そして指針を示して、また別の機会に御報告を賜ればと思っております。ここは大変重要なことだと私は思っております。
 それから、せんだっての予算委員会の中でも、外務省からの書類が漏えいというか漏れて、今それでさらに問題が広がっているわけですが、これは、秘密保持というのも改革の中にはあるんですが、また一方で、不当な介入があったときはそれを報告すると。ここら辺のところでいうならば、情報の秘密保持をさらに徹底し、それに反した場合には厳しく対応するということなんですけれども、今回のあの御承知のような書類、これに対してはどういう対応をされたんでしょうか。のべつ幕なしに外へ出るというのは、私は、これは別の意味で、あのペーパーが出たというのは大変大きな意味があると思うんですよ。それについての仕分けをどう考えられるのか。
川口国務大臣 今の質問にお答えする前に一言、先ほど御質問のあった、アメリカの、日本のテロ対策への支援について話がなかったということにつきまして、これは、今アメリカは訂正をしてホームページに載っけておりますので、問題はもはや解消したということで、念のためちょっとお知らせを申し上げておきます。
 それから、文書の管理でございますけれども、私は、非常に今回のことはそういう意味で問題があると思っております。
 文書の管理につきましては、おっしゃった「開かれた外務省のための十の改革」の中に取り上げさせていただきまして、基本的にどういうことを、文書規程を見直して、どういうことを秘ということで扱うのか、それで、そうした場合のその文書の扱いはどうあるべきなのかということについて、やはりきちんとルールを見直すという必要がありますし、そのルールを守らなかった場合にはそれなりの対応が必要だと思っております。
 今回のことについては、今いろいろなことを、実はみんな徹夜をして仕事をしている、調査をしたりいろいろしている中で、これについての調査も始めております。
小池委員 一つ一つ言葉じりをとらえるのはあれですけれども、徹夜をしてという話、大変御苦労だと思います。たしか雪印の社長も、当時の社長も何かそんなことを言って世間から失笑を買ったんです。
 それから、もはやその問題は解決されたという認識は違うんじゃないでしょうか。
 むしろ、その根源を、今どのようなことが、何でこの日本というのが、日米同盟でさまざまな努力を重ねていて、単純ミスで省かれるのかというのは、これはもう根本的な大きな問題だという認識をお持ちいただかないと、また、そういう形で接していただかないと、我が国は一体何をやっているのかという話になってしまうということを最後につけ加えさせていただいて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
玉置委員長 伊藤英成君。
伊藤(英)委員 伊藤英成でございます。
 まず最初、私からも、今ちょっとお話の出ましたアメリカの対テロ貢献リストの中に日本名が含まれていなかったという話について、なぜ本当にこういうことが起こるんだろうかと思いますが、ちょっともう一度、僕も伺います。外務大臣。
川口国務大臣 私が今、小池委員から、問題が解決したというふうに申し上げたというのは、これは載っていないという現象面が解決をしたということで申し上げたわけでございまして、基本的にこれがどういうことで起こったかということについては、アメリカ側は謝罪をしていますけれども、もう一度私も確認をしたいと思っていますが、基本的にアメリカがこれについて日本の貢献を非常に高く評価しているということは、この間のブッシュ・小泉会談でも、それから私がパウエル長官といたしましたお話でも、これは非常に強く出ているということでございますので、そういったことを前提に、どういう状況だったのかということは一度聞いてみたいと思います。
伊藤(英)委員 昨日、私は外務委員会で、川口外務大臣に昨年の十二月のニューズウイークをお見せいたしました。あのニューズウイークは日本版云々ということをいろいろ言ったりしておりましたけれども、私は、そんなことについては全然問題じゃないんですね。あのニューズウイークがああいう形で日本に対して、まさに従属国日本というカバーストーリーの雑誌ですよね。日本が自立していない、外交的に自立していない、そういうことで、昨日も申し上げました。
 だから、私は、昨日も申し上げたんですけれども、例えば悪の枢軸ということで三カ国を挙げた、あるいはアメリカの最近の一国主義的な外交について、日本として、それは間違っていますよ、あるいはこうした方がいいですよというようなことを、本当にちゃんと言っているかどうかとか、そういうようなことも私はいろいろ影響しているんじゃないかとさえ思うんですよ。
 だから、テロの問題でも何でもそうですが、何となく、国民から見ても、アメリカの言うとおりに動いているじゃないかと。先般、首脳会談が行われました。小泉さんもアメリカの大統領のイエスマンみたいになっている、そういうような状況があるからこそ、こんな形であらわれてくるのではないかとさえ私は思うんです。
 だからこれは、外務大臣にしても、あるいは安全保障の関係の中谷防衛庁長官も、私はみんな同じだと思っている、本気になってやってほしいと。
 私は、この後もいろいろと問題について議論したいと思っていますが、アメリカの大統領府の人に会っても、あるいは国務省や国防総省の人に会っても、私はいつもこう言うんですよ。もっと言うと、先般行ったときも、考え方を聞かれました、どういうふうに考えるかと。私は言うんですね。例えば、基地の問題でも皆同じなんです。戦後五十数年たって日本が本当に健全な国として、あるいは日米関係も健全な関係で、独立した国日本としての状況になっているかどうかということについて、やはりもっと考えなきゃいけないと。だから、基地の問題でもそうです。日米関係も、私たちが戦略的パートナー、こう言うんだけれども、そのときに本当に日本はパートナーになっているんだろうかと。そういう意味で、私なんかは申し上げたりするんです。
 だから、ただ間違いで云々という話のような感じでとられたんでは困るなと。一体どういうことなんだろう、これはと。これだけ議会も、あるいは国民みんなも努力しているということだと私は思うんですよ。本当にどう思いますか。何がこんなことになったんだろうか。
中谷国務大臣 やはりミスとか手違いというものはあると思います。この件につきましては、防衛庁としましても、事実関係がどうなっているかということと、遺憾の意を表明いたしまして、米側からも、これは誤りであって陳謝をするということで、事実、きょうのホームページを見ますと、日本の貢献ということで、海上の支援とか航空の輸送とか物資の輸送とか包括的な、テロとの闘いのために米国及び全世界の国々と協力するためのパッケージを取りまとめたという記述が載っております。
 この後、ラムズフェルド長官等がどのように改めて謝意を表明するかどうか、これはまだ未定でありますけれども、今回の件につきましては、米国のミステークというか手違いであったというふうに認識をいたしております。
伊藤(英)委員 では、具体的に、今回これについて外務省はどういうアクションをとられたんですか。だれがどういうふうにアクションをとられたんでしょうか。
川口国務大臣 在米の大使館から国防省に対して問い合わせ、なおかつ遺憾の意を表したと聞いております。
伊藤(英)委員 だれが申し入れたんですか。
川口国務大臣 具体的にだれがということについて、今私は情報を持っておりませんけれども、これは確認をいたします。
伊藤(英)委員 ぜひ、冒頭私が申し上げたように、この問題はただの間違いというふうに思わない方がいい。こんな重要なことをペンタゴンがそんな簡単に間違えるんだろうかとさえ私なんかは思います、こんな重要なことを。だから、きょう私はアメリカ大使館にも会うことになっていますから、責任者には私からも言いますが、本当に反省していただきたい。また、反省といっても、これからの行動といいましょうか、言動といいましょうか、対応といいましょうか、そういうことを本当にいわゆる外交のあり方として私は考えていただきたい、こんなふうに思います。
 ところで、最近、特にアメリカは、ラムズフェルド国防長官にしてもあるいは国務省の国務次官にしてもそうですが、要するに、これからの安全保障というかアメリカの安全保障政策について政策の転換をしているのかと思わせる発言が最近は非常に多いと私は思うんです。
 そして、その結果として、国防費の予算にしても、まさに今や戦後最大の規模を今度やろう、こういう感じになったりしていると思いますし、いわばその内容は、今までの例えば国際約束とかあるいは政策原則に縛られることなくて、テロなど新たな脅威から国民を守るためには何でもやりますよ、非核国であっても核兵器を使うこともあり得ますよというような感じで、大きく転換していると私は思うんです。
 そのことについて、外務大臣及び防衛庁長官はどういうふうに考えられますか。
中谷国務大臣 ブッシュ大統領の国防政策の基本は三本柱として三つございますが、まず、軍の士気、即応性の回復、第二に弾道ミサイル、また新たな脅威に対する防衛、そして第三点は、二十一世紀の安全保障環境に対応するための軍の変革ということでありまして、これに基づいて昨年の九月にQDRが発表され、そして本年一月には、核体制の見直し並びに国防予算が発表になりました。
 この国防予算一つ見ましても、テロとの闘い、米本土の防衛、軍の変革、軍人の処遇改善ということで、対前年度比一五%増の三千七百九十三億ドルを計上いたしているわけでございますが、テロが発生したということもございますけれども、非常にアメリカ自身が国防を重視する。また、非対称という言葉がありますけれども、そういった、小さな集団でも大変大きな被害を与える時代に入った、その脅威への対応等、積極的に米国政府が取り組んでおりまして、我が国としましても、米国の動向を注視して、引き続き我が国の国防政策というものを考えてまいりたいというふうに思っております。
川口国務大臣 今防衛庁長官がお触れになりました昨年十月に発表されました四年ごとの国防計画の見直し、QDRと言われるもの、あるいはことしの一月に発表されました核体制の見直しにおきまして、米国は、冷戦後の国際社会において、テロや弾道ミサイルを含む大量破壊兵器の拡散などの脅威が増大をしているということを踏まえまして、こうした状況に柔軟に対応していくために、本土防衛の重要性の再確認、最小限の核戦力の維持、通常戦力の強化、ミサイル防衛の推進等を含む戦略体制の構築を目指していると私は承知をいたしております。
 我が国といたしましては、国際テロリズムあるいは大量破壊兵器の拡散がもたらす深刻な脅威があるということにつきましては、米国と認識を共有いたしております。国際社会が協力をして、こうした脅威を取り除いて国際的な安全保障の環境を向上させていくということが重要であると思っておりまして、今後の米国政策につきましては注意深く見守っていきます。
 それと同時に、日米間で幅広く対話を持って緊密に協議をしていくということで、私はこの間パウエル国務長官ともお話をさせていただきました。
伊藤(英)委員 防衛庁長官、今、防衛力の在り方検討会議というのを持っていますね。この検討会議のそもそもの趣旨、それから検討内容、これはどういう内容なのか。その検討はいつまでに行うつもりなのか。そして、これは防衛計画の大綱をつくり直す、新しい防衛大綱をつくるということなのか、だとすればそれはいつごろという考え方か、伺います。
中谷国務大臣 この在り方検討会議というのは、我が国を取り巻く情勢が大きく変化をしておりまして、防衛庁としても不断に見直しを行っていこうというものが趣旨でありまして、昨年九月以降この会議をいたしております。
 これまでには、幅広い議論を行うためにいろいろな方から御意見をちょうだいしようということで、朝日新聞の論説委員でありました田岡俊次さんとか、また軍事専門家の江畑謙介さんなど数人の方々から、意見を交換しつつ幅広い議論を行っているところでございます。
 この目的としましては、まず、情報通信技術が飛躍的に進歩しておる。また、国際情勢においても、朝鮮半島において韓国の政策等を見まして変化をしつつある。また、今後日本の社会構造を考えましても、少子高齢社会がやってきて、人材の確保という点でも変化を行ってまいりますし、国民の自衛隊に対する意識も、非常に役割また期待が自衛隊に対して大きくなってきております。
 また、米国のテロ事件は、国家対国家、民族対民族による軍事力の応酬といった従来の国際紛争の一般的概念ではとらえることのできない新たな危機が現実に存在することを印象づけたというふうに認識しておりまして、しばらく各界の御意見を伺いつつ、柔軟に、防衛庁の体制についてどうあるべきかということを検討してまいりたいというふうに思っております。(伊藤(英)委員「スケジュール」と呼ぶ)
 今のところ、特にスケジュールとして個々の検討項目、また検討結果の取り扱いについては予定を持たずにかつ精力的に学んでいこうということでございまして、現時点で具体的にお答えできるような段階ではございません。
伊藤(英)委員 検討作業を終えるめどといいましょうか、いつまでぐらいにやろうというようなこともなくてやっているんですか。
中谷国務大臣 まずは、どうあるべきかということを幅広く意見を聴取して方針を定めてまいりたいということで、現時点におきましては、固定概念とか時間的な制約をまだ決めずに実施をしている段階でございます。
伊藤(英)委員 昨日、外務大臣が、私から見ると最近の大臣には珍しくといいましょうか、仕事をする中で、プラン・ドゥー・チェック・アクションと言われたんですね。きのう言われたんです。
 要するに、仕事をしていくに当たって、非常にこれは重大な問題なんですよ。重要な問題なんですよ。ならば、いつぐらいまでにその結論を得よう、本当はそのための、現在のいろいろな国際情勢やいろいろな変化もある。アメリカの安全保障政策の変化もある。もちろん、日本として、ではどうしようかということをするわけですね。それに、もしもそれが非常に重要なことだと思ってやるなら、どのくらいまでにどうしようとか、そんなものがなくて、そんな悠長なんだろうかと私は思うんですよ。これはまともな仕事の仕方かなと。
中谷国務大臣 現在におきましては、現中期防の防衛計画の実施期間中でありますが、将来のことにつきましていかにあるべきかという観点で、非常にこれは大事な問題でありまして、私も形にしなければならないというふうに思っているわけでありますけれども、その中での検討の段階でございます。
 今後、しばらく意見を聴取して、私としては、これらの取りまとめを行ってまいりたいというふうに思っております。
伊藤(英)委員 きのう、外務大臣に私はこういう話をしたんです。今、日本の国民が、例えば前の田中外務大臣絡みの問題等々、何を一番思うんだろうかと思ったときに、私はこういうことだと思っているんですよ。今の官僚に対する批判だと思っているわけです。
 例えば、不祥事絡みでいえば、かつては大蔵省もあったな、あるいは厚生省もあった、あるいは建設省もあった、防衛庁もあった、幾つもあった。外務省は今云々と。この官僚に対する批判だと私は思っているんですよ、今の状況は。もちろん、そこには政治家も関与しているかもしれません。そういうことですよね。
 例えば、こういう議会の場でも、今防衛庁長官が話をされたことが、真実をそのまま吐露されているのかどうか知りません。僕には信じられませんよね、そんな仕事をするなんて。仕事の仕方をするかということがわからない。めども立てられないのかねと。今の国際情勢を本当にどうやって考えているんですか。そういうことなんですよ。だから、本当にぜひよろしくお願いをします。もう本当に、お願いしたいという感じ。これは日本はどうなるんだ、こんなことで、こんなことをやっていたら、というふうに思うんですよ。この問題等はまたこれからも扱います。
 次に、これは防衛庁自身の問題、自身の問題といいましょうか、先般、今月ですね、防衛庁長官がアジア版NATO構想というのを話をされました。これはどういう考え方になるのか、そして、そのときのアジアというのはどの国を対象とされていますか。
中谷国務大臣 この考え方は、冷戦が終わった現時点においても、北東アジア地域におきましては冷戦構造のようなものが残っておりますが、一方では、ヨーロッパはNATOが非常に拡大をいたしておりまして、ことしでちょうど五十年を迎えるわけでありますけれども、これによって経済の安定、また自由化、そして通貨統合までなし遂げて、それぞれ各国がこの国益、権益に浴しているという中で、やはり北東アジアにおいても、将来、対話をする組織とか、また安全保障のメカニズムが必要ではないか。また、それが存在しないことが、いつまでたっても不安定要因になっているのではないかというふうな、将来における安全保障のあり方に関する一つの考え方として、構想として検討しているということについて言及したものでございます。
 今後、いかなるメカニズムが同地域に必要かどうかということにつきましては、さまざまな方からも御意見をいただきつつ、研究、検討をしてまいりたいというふうに思っております。
伊藤(英)委員 去年、アメリカとオーストラリアの外相会談が行われまして、そこで、アジアの安全保障というような意味で非公式に協議をする枠組みというものを新設しよう、そして、それは日米豪を軸にした検討作業を開始するということになったというふうに聞いているんですが、日本は、この問題に対して、アメリカ、オーストラリアに対してはどういうアプローチをとっておりますか。
中谷国務大臣 これは、昨年の七月のアメリカと豪州の両国の外相、国防相の会談において、日米豪三カ国による安保対話について話し合いがされたということは承知をいたしております。
 これは、一般的な安全保障問題について非公式な事務レベル協議を設けるというアイデアでありまして、その後、まだ具体的なものは何も決まっていないと承知をいたしておりますが、私は個人的には、こういったことが行われるということはよいことではないかというふうに思っております。
伊藤(英)委員 昨年の夏にそういう提起があって、日本としては、それに対しては何らかのアクションをとられたんですか。
中谷国務大臣 米国並びにオーストラリアに対しての二国間の協議では、対話並びに連携を今後とも強化していこうというふうに話をしたことがございますが、この三国でしっかりしたものをつくっていこうということについては、まだ私の方は話しておりません。
伊藤(英)委員 私は、いい話だといったときに、なぜアクションをとらないんだろうか、なぜ。もう何カ月たったのかしら。何のアクションもとっていない。
 そしてそのときに、私の聞いているのでは、オーストラリアとかアメリカが、こういう形にしましょう、非公式なものにしましょうと。それは何でかというと、日本は、集団的自衛権がどうのこうのとかいろいろ問題もある、自衛隊の活動の仕方についていろいろあるので、日本にそういう部分を、今申し上げたような部分を配慮して、こういう形にした方がいいではないかというふうにされたという考え方を聞いたりしました。
 いいですか。そういうことに対して、日本として、せっかくのそんな話で提起されているのに、何のアクションもとらずに、もう何カ月たったんだろうか。
 では、防衛庁長官のこのアジア版NATO構想という形で考えたときに、そのときには集団的自衛権の行使はどう考えますか。
中谷国務大臣 まず、最初の三国の協調等につきましても、議員がおっしゃるように、好ましいお話でございますので、今後、外務省やまた内閣とも御相談しつつ、相手のあることでありますので、形にしていきたいなというふうに思っております。
 それから、アジア全体の安全保障の枠組みにおきましても、対話の連携や、また総合的な安全保障、集団的な安全保障メカニズムという見地もありまして、どのような形で日本が行動できるかという点につきましては、今後とも、憲法との関連の問題もございます、また、どのような内容の組織をつくるかという問題もございますが、我が国としても、このアジアの地域の一つの責任ある国として、この地域の安全保障体制に対していかなる役割を果たしていけるのかという形で、かかわり合いのあり方も検討をしていきたいというふうに思っております。
伊藤(英)委員 残された時間が余りないので、そして、しかも、きょうは海上保安庁からもおいでいただいていると思いますので、不審船の調査並びに引き揚げの関係についてちょっと伺いたいんです。
 まず、外務大臣に、昨日もちょっと伺いましたけれども、改めてもう一回伺いますが、今調査をしています、調査をしている。それから、これからどういうふうになっていくかわかりませんが、潜水夫が潜ってということもあるかもしれませんね、後からこの辺は伺いたいとも思いますが、そして引き揚げということも考えることになるんだろうと私は思うんです。
 それで、そのときに、外交面から考えたときには、中国との関係ですね。この中国との関係で、きょうの新聞には、不審船引き揚げについて、外交ルートを通じて中国から慎重にするようにという申し出があるということが、報道されております。
 調査の問題あるいは引き揚げの問題、これについて中国とどういう話をしていて、中国はどういうふうに反応しているのか。外務大臣、それに対して日本はどうするんですかと。
川口国務大臣 不審船については、現状はおっしゃったとおりのことでございます。
 それで、中国との関係でございますけれども、まず、一般論として申し上げますと、これは、我が国が事実上排他的経済水域として扱っている海域にあるということでございまして、これは国連海洋法条約上、中国が海洋環境に関する管轄権及び天然資源に関する主権的な権利というものを持っているということでございますので、仮に、船体を引き揚げる場合に中国のこうした権利との関係が生ずるのであれば、中国側と必要な調整を図るということになると思います。というのが一般論でございます。
 現状について申し上げますと、現在、御案内のように調査をしていますので、調査結果を見ながら次の段階について判断をするということになると思います。したがいまして、現時点では、不審船の引き揚げについて、国際法上の取り扱いについて中国側と具体的なやりとりを行っているわけではございません。
 ただ、いずれにしても、中国に対しましては、事件の発生当初から外交ルート等を通じて随時情報の提供を行ってきておりまして、今後ともこうした情報の提供は行っていきたいと思っております。
 中国からの意見の表明でございますけれども、これは、今般の船体調査につきまして、我が方から情報を提供しました際に、中国側から、この船舶が中国の排他的経済水域内に沈没をしたことについて重大な関心を有しているという、これは従来からの立場でございますが、これについて改めて説明がありまして、それから、事件処理の過程で中国側の関係権益と重大な関心を十分に尊重すべきであるという旨の表明がございました。
 それから、二十六日の中国外交部の定例記者会見で、これは中国側が、この排他的経済水域において、沿岸国は海洋環境、それから環境・資源等の分野における主権的権利と管轄権を有する、この事件において、日本側が中国の権益を十分に尊重するよう求めているとの表明がありました。また、船体の引き揚げについて慎重に対応すべきであるという旨の発言があったと私は承知をいたしております。
伊藤(英)委員 慎重に対応してほしいという表明があったと。では、それに対して、外務省及び海上保安庁はどういうふうに考えますか。
縄野政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもは、今やっております調査の結果を踏まえまして、例の不審船であるという特定はできたものと思っておりますが、さらに船の状況を調べまして、有人潜水調査を行いまして、その結果、引き揚げ可能かどうかということについて判断をする、その過程において、中国に説明をし、適切に調整をしてまいりたいというふうに考えております。
川口国務大臣 繰り返しになってしまいますけれども、先ほど一般論として申し上げましたけれども、仮に、船体を引き揚げる場合に、中国の権利、これは先ほど申し上げました、国連海洋法条約上、中国が排他的経済水域として扱っている海域でございますので、海洋環境に関する管轄権及び天然資源に関する主権的な権利を持っているということで、仮に、船体を引き揚げる場合に中国のこうした権利との関係を生ずるのであれば、中国側に必要な調整を図ることになると考えているわけでございまして、これは一般論として申し上げますが、現状について言いますと、今お話が海上保安庁からありましたように、調査結果を見ながら次の段階について判断をすることになるということでございます。
伊藤(英)委員 では、最後に伺いますが、これから調べられるわけでありますが、引き揚げをすることが技術的にも可能だというふうになったときに、中国が懸念をする資源の問題で、これは中国は資源の問題で重大な関心を持っているわけでしょう。そこのところは、日本側としては、引き揚げるに当たって、中国の懸念する部分については問題ないというふうに現在は思っていますか。
縄野政府参考人 現在、水中カメラで調査をしておりますが、有人潜水を行いまして、船の形がどうなっているのか、折れているのか、ばらばらになっているのか、まあばらばらにはなっていないと思いますが、そのような形の船を引き揚げるときに、例えば油が残っていて流出をする、これは環境に影響を与えますし、それから、海底にその形状を変更するような引き揚げ作業ということであれば、海洋法条約上、中国が懸念を表明する可能性もございますので、引き揚げの仕方について、調査結果を踏まえて、私どもとしましては、引き揚げられる場合にはそのような懸念がないということを説明したいというふうに思っておりますが、その調査結果を踏まえて判断をしたいと思います。
伊藤(英)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
玉置委員長 渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。
 もう早速質問に入りますが、今お話がありましたとおり、この不審船の問題でございまして、今、現状はどうなっているのか、不審船の現場は、日本の船が何隻、中国側の船が何隻現場にいるのかということにつきまして、教えていただけますでしょうか。
玉置委員長 縄野海上保安庁長官。――ちょっと待ってください。――では、どうぞ。
縄野政府参考人 私どもの「いず」という巡視船が、きょう現在、水中カメラで調査をしております。それの警備をするためにちょっと、きょう時点で三隻か四隻かの巡視船で警備をしております。
 それから、一部報道されておりますが、中国側の海洋管理担当の船だと思いますが、海監五二号という船が、きょう現在では十キロ以上離れていると思いますが、そこに存在をする、私ども交信はしておりませんが、存在をするという状況であるというふうに承知をしております。
 私どもの船の隻数は、ちょっと正確でないかもしれません。
渡辺(周)委員 この船の引き揚げというのは、先ほど来質問の答弁にもありますように、中国が大変慎重に、孔泉報道局長というのですか、この方が、沈没船の引き揚げについてはEEZの管理法規にも関係しており慎重に対応しなければならないということを再三にわたって言っているというのは、先ほどからの答弁にもあります。
 でも、問題は、日本に重大な影響を与えていただろうと思われる不審船が日本の経済水域内で発見をされて、ある意味では継続的にずっといろいろな行動を、日本側も最大限の措置をとってきたわけであります。それで、最終的にこのようなところでああいう交戦があって沈んだということを考えますと、これはやはり日本として毅然とした態度で中国に対して、中国が慎重にと言うことがやるなということであるのか、どういう意味を持って慎重と言っているのか、その辺について、外務大臣、どうお考えかということが一つ。
 それから、引き揚げるとなれば、それでは共同でやりましょう、中国が十キロ離れたところにいるのであれば、引き揚げのときも、中国の経済水域の中でやるということに対して疑念を持たれないように、では中国もどうぞ立ち会ってくださいということでやはり言うべきだろうと思うのです。その点についてはどうお考えか。
川口国務大臣 中国の反応についての御質問でございますけれども、まさに委員がおっしゃられた、記者会見で外交部がおっしゃられたこと、これは中国の排他的な経済水域でありますので、環境・資源等の分野において主権的な権利と管轄権を有しているのだということを中国が言っていまして、この事件において、日本側が中国の権益を十分に尊重する必要があるということを求めている、それから船体の引き揚げについても慎重に対応すべきであるということを言ったということでございます。
 それを、その文字の額面どおり私どもは受け取っているということでございまして、私どもとしては、今調査を進めているところでございますので、この結果を見ながらその後の対応は考えたいと思っています。
渡辺(周)委員 先ほどから必要な調整とかいう言葉が出てくるのですが、一体必要な調整とは何なんだ。
 日本の国として、きょうですか、横田めぐみさんのお父さんか何かと会われますか、拉致された日本人の方の御家族の方と会われるというようなことが新聞報道で出ていましたけれども。例えば、これは本当に引き揚げを求める。そして、この船の中にもしかしたらそういう何らかの手がかりがあるかもしれない、あるいは、日本の治安に重大な脅威を及ぼすようなものがひょっとしたらまだ残っているのかもしれないということで、日本のこれまで言われてきた北の脅威、これに対して、ひょっとしたら何らかの我々としての証拠をつかめるかもしれないじゃないかということに関して、今回のことについて、日本の国はやはり主権国家として毅然たる態度を示さなきゃいけないと思うのです。
 確かに中国の経済水域であっても、この点については、では中国といかに連携をやるかということを、我々として、日本の国としては言わなきゃいけないわけでありますが、先ほどから出ている必要な調整とかというものは一体何なんだということについて、何を向こうは言わんとしているのか。どういうことなんですか。要は何を理屈にして向こうは慎重なものを求めているのか。
川口国務大臣 これは、いかなる調整が必要かということについては、まさに、今後どういうような調査の結果があって、それを見ながら我が国政府としてどういう対応をとるかということを考える、まさにその調査の結果によるわけでございまして、今の時点でそれを予断して、こういう調整が必要であるということを申し上げるのは難しいと思います。
 それで、拉致家族の方とお会いをするということでございますけれども、私は、一部の日本人拉致被害者の御家族の方ときょうお会い申し上げようと思っております。
 おっしゃった件は、御家族が、不審船を引き揚げれば、そして事実関係が解明されれば、拉致問題の解明に近づけるのではないかという趣旨でおっしゃったというふうに理解をいたしておりますけれども、政府といたしましては、まさに今回の調査を通じて、調査をすることがまず大事でございまして、これにつきまして事実関係を解明することが大事であるということで、今鋭意調査をしているところでございます。
渡辺(周)委員 鋭意調査を、それは物理的に引き揚げ可能なのかどうなのかも、例えば水深九十メートルのところで、今持っている日本の技術で原型をとどめた形で引き揚げることができるのかという調査、あるいは引き揚げる際に中に何らかの、例えば爆発物なり何らかの環境汚染を心配されるようなものがあるかどうかということも含めて、私は、先取りさせていただければ、そういうことも含めて調査をされているのだろうと思うんです。
 その中で、今お話がありました、きょうは横田さんのお父さんと会われるのですか。そういうふうに新聞報道に出ておりますが、きょうのどこの時点で会われるのかわかりませんが、どういう話をされるかというのは、この方々にとってみてはもう本当に手がかりがだんだん細くなっている。
 御存じのとおり、一月三十日付で、国連人権委員会の強制的失踪に関するワーキンググループの審議が実は打ち切られていたということがございます。これは、北朝鮮側の協力を得られなかったということを理由に、申し立てをした御家族の方々に返事があったということであります。それから、朝鮮赤十字会による行方不明者の調査の打ち切りも、昨年の暮れに、いわゆる我が国の朝鮮総連本部への捜査ということを理由にして、恐らく報復であろうということで、これが打ち切られたということで、拉致日本人に対する日本のいろいろな手を打ってきたことが、もう今だんだん、本当に可能性として窓口が閉ざされようとしている。
 その中で、やはり不審船を引き揚げるということに一縷の望みをかけて、御家族の方々は、そのことをある意味では、日米首脳会談の前に小泉総理に手紙を送り、あるいは今回も外務大臣に会いに来られるということだと思いますが、この点についての毅然たる態度をぜひとも示していただきたいと思います。この北朝鮮のいわゆる拉致事件問題について、こうなってくると、今後どのように日本として対応するのか、外務大臣、御所見をお尋ねしたいと思います。
川口国務大臣 おっしゃられたように、私、先ほど一部の拉致をされた方々の御家族の方とお会いすると申しましたけれども、横田めぐみさんの御両親もその中に入っていらっしゃいます。私は、拉致をされた方々の御家族の方々のお気持ちを考えると、本当にこれはつらいものが、何と言葉で申し上げていいかわからないのですけれども、おつらいだろうと心からお察しを申し上げます。
 それで、政府としてどういうふうに解決をしていくことを考えているのかということでございますけれども、拉致問題は日朝間の話し合いの場で問題の進展の糸口を探求していくということが最も効果的であると考えておりまして、引き続き北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求めていく考えでおります。こうした政府の取り組みにつきましては、御家族の方に直接にお話を申し上げたいと思っております。
渡辺(周)委員 なぜ横田めぐみさんの御両親がアメリカまで行き、そしてまたヨーロッパ、ジュネーブまで行って、そうした申し立てをしなきゃいけなかったのか。やはり本来なら日本の政府がする、日本の政府は当てにならないからアメリカに行き、あるいは国連に行ったということでございまして、これまで一体日本は何をしていたのかということであります。
 やはりこの間、少女が監禁された事件がありました。新潟だったと思いますが、九年間にわたって少女がさらわれて、その間ずっと幽閉されて、要は家の中に拘束をされた事件がございました。今もその裁判がたしか続いていたと思いますけれども、ある意味では、九年という歳月が出てきたときに、我々は本当に衝撃を受けたわけであります。そのことを思うと、もうかれこれ四半世紀に及ぶ拉致、この御家族が本当に一縷の望みを持って世界じゅうに訴えて回っている姿を見れば、本当に胸が痛むわけであります。
 これはぜひ外務大臣、日本政府として、この方々がなぜ世界を歩かなきゃいけないのか、日本の政府がなぜ当てにされていないのか、もうまさにその点についての覚悟を持ってお会いして、また不審船の引き揚げについてもこれは臨んでいただきたい、本当に心から強く願うものでございます。
 そこで、ちょっとお尋ねしたいんですが、これは私もちょっと知りませんでしたけれども、一月三十日に打ち切られたことが、なぜ後々になって出てきたのか。これはどうも御本人のところにはそういう通知があったようでございますが、日本政府に対しては何にもなかったのかということを一点確認したいと思います。
川口国務大臣 これは、個人の資格で審議をする五人の専門家と御家族の間のお話でございますので、政府にはその通知は直接に参りませんでした。
渡辺(周)委員 ということは、新聞報道等で知ったということですか、外務省は。
川口国務大臣 この件については外務省も関心を持ってフォローはいたしておりましたので、そういう意味で、向こうの委員会にも問い合わせたということでございます。
渡辺(周)委員 問い合わせたんじゃなくて、打ち切りましたよ、あるいは打ち切りますよということは、例えば申し立てをされた拉致された御家族、申立人に対してあったのと同時期に、外務省、日本政府にも、向こうから、実はこういうことがあるけれども、重大な関心を寄せているこの事案については、これこれこういうわけで国連人権委員会のワーキングチームとしては打ち切らざるを得ないというような、例えばお話があったんですかということを聞いているんです。
川口国務大臣 確認をいたします。ちょっと今の時点でどちらが問い合わせて、どちらがどうだったかということについて、ちょっと私は情報を持っておりません。
渡辺(周)委員 そういう意味では、言葉だけで日本としても重大な関心を持っているとか、これは日朝正常化交渉に必ずや避けて通れない、これは日本のもう大きな問題ですから。でも、そう言いながらも、さっきの、まさにアメリカからの感謝の中に名前がなかったじゃないですけれども、結果として、これだけ重大な問題と口では言いながら、何か例えば国連にしてみると、もしかしたら、通告もなかったというのであれば、本当に日本の国というのは真剣に取り組んでいるんだろうかというようなまさに思いがするわけでございます。ぜひその点については確認をしていただいて、また次なる機会にこの北朝鮮問題についてもやっていきたいと思うんです。
 あと残り時間がありませんので、ちょっと幾つかお尋ねしますが、外務省がイラク攻撃での対応検討に着手をしたというようなことが先般報じられました。その中で、ちょっと挙げますと、本格的な検討に着手をした、あるいは日本として、ブッシュ政権が日本側に何らかの支援を求めてくる可能性があることを考えれば、事前に協議しておくことが不可欠と判断したとありますが、実際これはこういう対応に、もう検討に着手されたんでしょうか、外務省として。
川口国務大臣 外務省はすべてのといいますか、多くの外交案件につきまして日ごろさまざまな分析や検討を行っているわけでございまして、このイラクをめぐる情勢につきましても、これは重要な問題でございますから、当然にこれに関する情報の収集あるいは分析はやっているわけでございます。
 それで、アメリカのイラクとの関係につきましては、何回か私もブッシュ大統領と総理とのお話について御説明をしたとおりでございまして、すべての選択肢は排除しないけれども、平和的に解決をしたいと思っている、外交的な努力を続けるということでございまして、その先何か仮定をしてこういうことであろうということを申し上げるということは適当でないと私は思っております。
 それで、いずれにいたしましても、そういうような事態に、中東あるいはイラク、イラン等の問題について、すべて国際情勢そうですけれども、日本は主体的に判断をし、主体的に行動を考えていくということでございまして、日ごろ情報の収集、分析は常にやっている、その中に当然イラクは入っているということでございます。
渡辺(周)委員 それは外務省として、当然のことながら、さまざまな国とどういうふうに対応していくかということは、これは日ごろから調査分析するのはもう当然の責務でありますが、問題は、私が言っているのは、なぜここへ来てこのイラク攻撃ということが、もし米がイラク攻撃をした場合にということについてのみ検討を始めたことが、まずは報道されているのか。
 もっと言えば、日米首脳会談があったときに何らかのサジェスチョンがあったんではないか、あるいはそれなりの、かなりいわゆる確信を得るだけの何かそういう議論があったんではないのかなとも思うわけでありますけれども、その点についてもうちょっと正確に答えていただきたいと思います。一般論じゃなくて、イラク攻撃に踏み切った場合の具体的な検討を今考えていらっしゃるかということでございます。
川口国務大臣 その新聞記事につきましては、私どもは確認をすることはできません。
 それから、大統領と総理の間のお話については、特に日本に対してイラクとの関係で依頼をされたということはございません。
 ちなみに、大統領がおっしゃられましたことは、一般教書演説で言及したイラン、イラク、北朝鮮については、彼らの行動パターンを変えるように国際社会が協力する必要がある、我々はすべての選択肢を排除していないが、平和的に解決したいと考えており、外交的努力を続ける考えであるということでございました。
 それから、総理からは、対イラク政策では国際社会の協力した取り組みが重要であるということをお話しになられまして、これはイラクだけではなくてイラン、北朝鮮を含めた話ですけれども、大統領から、緊密に連絡をとり合っていきたい、これは三つの国についての話ですが、日本の役割が重要であるということをおっしゃったということでございます。
渡辺(周)委員 では、その新聞記事、これはインターネットから引っ張り出した読売オンラインというところでありますけれども、「具体的には、(一)イラク攻撃の目的(二)国連決議など、軍事攻撃を行うための根拠(三)軍事行動の形態(四)アラブ諸国など各国の反応――などについて情報収集・分析し、対米支援を行うかどうかも含めて検討する。」というふうに報じられているわけです。ですから、もちろん報道すべてが、これは信憑性がどうこうということは、それは今わかりませんが、ただ、こういう報道がもう既にされているということは事実でございます。その辺について知っているか知らないかということについては、私知りませんけれども、実際こういうふうに報じられていたということであります。
 ですから、外務大臣がそれを御存じであるのかということについてお尋ねをしたわけでございます。つまり、イラク攻撃の可能性がかなり高まっているということを我々は大変危惧するわけでありまして、日本政府としてそこまでもう検討に着手をするということは、もうそのときが近づいているのではないか。
 別の形で報じられているものを見ますと、つまり、アメリカは、具体的な名前まで出して、フセイン後の国家のあり方まで言及しているということは一部報じられています。ということは、もう既にかなり、先ほど来お話があるようにアメリカ大統領は日本を同盟国として大変強くこれだけ、今回も含めてですけれども、同盟国ということを強調してきたわけでありますが、だとすれば、イラク攻撃について何らかの話が先般の日米首脳会談であったのではないか。だからこそ今、急遽ここで本格的に着手したんじゃないかという記事になったのではないか。
 一連のいろいろなアメリカでの動き、あるいは日米の首脳会談を見ると、そういうことがあったのではないかというふうに思いますが、その点についてのお話を尋ねたわけですが、それについてまた外務大臣、お答えがあれば、どうぞ。
 それから、防衛庁長官にも、この点について何らかの御認識を持っていらっしゃるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
川口国務大臣 先ほど申し上げましたことに特につけ加えることはございません。
中谷国務大臣 本件に関しましては、まだ米国政府から正式にそのようなお話もございませんし、新聞報道等では米国自身もイラクとは対話、協調の姿勢もあるというふうに報じられておりまして、この件につきましては、引き続き動向を注視してまいりたいというふうに思っております。
渡辺(周)委員 正直言って、外務大臣の答弁を聞いていて、これ以上議論が深まると思えませんので、残り数分間、では、別のことでちょっと質問します。また別の機会に、時間があるときにやりたいと思います。
 一つは、外務省改革ということで、外務大臣が大変期待をされているということで、先般、「変える会」というのを発足されました。
 もう時間もありませんからまとめて伺いますけれども、この「変える会」というのは一体どういう性格のもので、これは何か三カ月以内に提言をまとめてもらうということでありますけれども、早い話が、もう問題点は出ているわけでありまして、何で三カ月もかけて中間報告を出すのか。
 まして、三カ月間、一体どれぐらいの頻度で、どんな議論を、どれぐらいのボリュームでやるのかということも全くわからなくて、よくあるのは、そういう内外の有識者という人を呼んで何かやれば、これで事足りるというふうに思われがちなんですけれども、人選はどういう方を選んだのか。そして、三カ月以内に中間報告といいますけれども、一体いつをめどにこういう提言をまとめてもらうのか。もっと言えば、この人たちは今どういう役割を担うのか。もっと言えば、幾らぐらい報酬をもらってやるのか。その点について、ちょっと性格を教えていただきたいと思います。
川口国務大臣 この「変える会」ですけれども、別にこれは法律に基づいた審議会でも何でもございません。言ってみれば、私がお願いをして、私的な懇談会ということだろうかと思います。
 メンバーの選定でございますけれども、これはやはり改革ということが大事でございますので、さまざまな観点からメンバーをお願いしているわけでございます。みずから改革を実施した経験を持たれる方、あるいは、改革後の外務省について、例えばガバナンスといった観点から知見をお持ちである方。それから、特にこれは外務省でございますので、そういった外務省の役割について、あるいは外務省が将来において果たすべき役割についてそれなりの知見をお持ちの方。それから、外務省について、国民の立場からどういう外務省が望ましいと考えるかということについて意見をおっしゃっていただける方。そういったことを頭に置いてメンバーをお願いしたわけでございます。
 三カ月が長いというふうにおっしゃられますけれども、この「変える会」にお願いをしている仕事量の多さを考えますと、三カ月というのは決して長くないと私は思っております。ここに名を連ねてくださっていらっしゃる方というのは、それぞれ専業でこれをやっていただくわけではありませんで、御自身さまざまな、非常に御多忙な生活の中でこれを考えるために時間を割いてくださる方々でございまして、私としては、一月に一回以上のペースでお願いをしたいと思っています。
 実際にやる仕事としては、単に抽象的に、こういうふうにあらまほしいということを出していただくだけでは十分ではなく、私の十の改革の紙に書かせていただきましたように、まさに、いつまでにこういう具体的なことをやるというアクションプランといいますか、工程表という言葉を使ったか、ちょっと私、言葉を今はっきり覚えていませんが、実際に報告の中に、実施期限と、それから具体的な目標を盛り込んだ報告を出していただくということですから、抽象論で外交を論じていただくという会では全くございません。
 それで、どういう項目について議論をしていただくかということは、私なりに整理をしてこの十の改革の紙に書かせていただきましたし、例えば、これをやるためにどういうことが具体的な措置としてあり得るかということについても例示を述べる中で書かせていただいているわけで、もちろん、これにとどまるものではなくて、委員の皆様方からこれよりももっといいもの、いい方法ということが出てくるようであれば、お出しいただけるようであれば、それは取り入れていただいてということでございます。
 それから、この私の紙にも書かせていただきましたように、できるものからどんどんやっていく。これは、三カ月後の報告を待つことなく、夏の報告を待つことなく、外務省が自分でやっていけるものについてはどんどんやっていくということで考えております。
渡辺(周)委員 これはボランティアなんですか、全員。
川口国務大臣 ボランティアという意味が、無料奉仕をしてという御質問でございましたら、これだけの方のお時間をいただきますので、本当に役所の謝金というのは大変に少ないんですけれども、いただいた時間についてはお払いをさせていただきたいと考えております。
渡辺(周)委員 では、最後にちょっと、いや、質問に答弁漏れがあったので。
 この人たちの一回の参加は幾らなんですか。そこだけ聞いておきます、いわゆる報酬について。
川口国務大臣 私、今承知しておりませんので、これは調べますが、いずれにしても、役所のお出しするものでございますので、非常に少額でございます。
渡辺(周)委員 では、これはどこかで出していただけるように、外務省から。ちょっと理事会で。
玉置委員長 では、後でまた正式に理事会で。
 政府の方で委員会に提出していただけますか。――はい。
渡辺(周)委員 では、終わります。
玉置委員長 赤嶺政賢君。
赤嶺委員 私は、最初に軍事費、来年度予算の防衛関係費について伺いたいと思います。
 小泉総理は、昨年の参議院選挙での日本記者クラブ主催で開かれました党首討論会で、あらゆる歳出を削減の方向で見直すとか、防衛費も例外ではない、こう発言しているわけです。
 ところが、最終的に政府が提出した来年度予算の防衛関係費というのは、SACO関係経費も含めて四兆九千五百六十億円、対前年度比で七億円増であります。削減どころか増額になっているわけですね。一体、昨年の参議院選挙での首相の、削減をしたい、防衛費も例外ではないといったあの発言に照らして、何を削減したと説明なさるつもりでしょうか。
中谷国務大臣 防衛費につきましては、国民並びに国家の安全確保を図るための経費でございますけれども、非常に厳しい財政事情、また総理の御方針等も踏まえまして、経費の効率化や合理化に努めつつ、かつまた、国際情勢も踏まえながら、節度ある防衛力を計画的に整備しているところでございます。
 十四年度の防衛関係費につきましても、それぞれの効率化と創意工夫を凝らしつつ整備を行いました。その中で、特に最近は、ゲリラまたは特殊部隊等による攻撃、また生物化学兵器、いわゆるBC兵器ですね、これの可能性等も出てまいっております。また、統合運用体制、また情報通信機能の充実強化や、国際平和への貢献などの重要施策を推進するとともに、自衛隊の任務の遂行、維持運営に支障を来さぬよう、必要最小限度の経費を計上したところでございまして、予算に盛られた金額になったわけでございます。
    〔委員長退席、渡辺(周)委員長代理着席〕
赤嶺委員 経費の効率化、合理化だとか、結局、措置した予算の中身というのは、中期防の着実な進捗ということで、これは削減の説明には全くならないと思うんですね。結局、軍事費は聖域扱いだというのが今の長官の答弁にもあらわれていると思います。中期防どおりに軍事費は増額をしたと。総理の昨年の党首討論での、防衛費についても例外ではないと言ったあの発言については、実行されていないということが確認できると思います。
 私、その中身なんですが、予算の中には、日本への着上陸侵攻を想定して導入してきた九〇式戦車だとかF2だとか、相変わらず入っているわけです。だけれども、日本にそのような攻撃を行う意思と能力を持った国などどこにあるのか。
 元統幕議長の西元徹也氏は、今日から見通し得る将来において、我が国に対する本格的な武力攻撃が生起するとは見られないと述べているわけですね。中谷防衛庁長官自身も、少なくとも三年、五年のタームでは想像ができないかもしれないとお認めになっているわけです。想像もできないのに、そういうことを想定した兵器をちゃんと購入して軍事費をふやしているということについて、やはりこういう点は、削減という以上手をつけるべきだったんじゃないかと思います。いかがですか。
中谷国務大臣 当面の考え方と中長期の考え方がございまして、五年、十年先のことも我が国の防衛という点では考えつつ整備をしていく必要もございますし、また、基本的な訓練を積んでいますとさまざまな事態に対処することができるわけでありまして、いわゆる大規模の侵攻に備えるというのは陸上自衛隊の基本的な対処訓練でありまして、この訓練を積むことによって、新たな脅威というか、テロとかゲリラとか災害派遣とか、そういうふうな事態にも対処し得る、いわゆる基本的な訓練並びに防衛の整備体制という見地でやっているわけでございます。
 それから、どこの国が攻めてくるかということにつきましては、具体的に言えないというのは事実でありますが、しかし、火事を防ぐために火の用心ということで防犯防火のために回っているおじさんに、どこから火事が出るのですかと聞くみたいなもので、やはり有事というものはどこからどのように生起するか言えない段階で今のうちから備えていくということでありまして、我が国の防衛といたしましては、いかなる事態にも国民国家を守っていくという体制を堅持するために日々努力をする、その所要の経費というものに基づいて、全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
赤嶺委員 結局、軍事費の予算がふえていく歯どめがないということなんですね。当面今すぐには考えられないけれども将来をと、火の用心をと。私たちが提起している立場、火の用心を言うのであれば、一番の日本の平和と安全は、憲法第九条の立場があるからこそ平和というのが実現していく、そういう力になっているんだ。軍事費をふやすことが、火の用心どころか、これは火力を拡大していくことにつながっていくということは明白であります。
 この削減について皆さんの姿勢をもうちょっとただしたいんですけれども、福田官房長官が、構造改革特別要求を了承した際の経済財政諮問会議に提出した資料で、軍事費について、構造改革の推進を図る観点とは別に、国の安全保障の観点からの判断が不可欠であり、また計画的に防衛力の整備を図る必要から、単年度の調整に限界のある予算構造となっている、したがって、これらについては、内閣官房における各施策の評価とは別に所要の要求限度額を措置すると言っているわけですね。軍事費は別扱いにするということですよ、福田官房長官のこの趣旨は。
 会議の場で竹島内閣官房副長官補は、安全保障の観点と予算構造の特殊性を挙げて説明しておりますが、一割カットされた同額を戻すようにした、こう述べているわけですね。
 だから、削減するためのまともな検討は行っていない。先ほども述べたように、何が起きるかわからない、火の用心だ、こういう観点で防衛費に取り組んでいった場合には、削減なんかできない。削減すると言ったのは小泉総理の方ですから、何でそんなぐあいになっていくのか。あらゆる歳出を削減の方向で見直すとか、防衛費も例外ではないなどと言うけれども、結局、軍事費の聖域扱いというのは何も変わっていないんじゃないですか。いかがですか。
中谷国務大臣 骨太の方針で、聖域なき見直しということで、全省庁対象ということは認識をいたしておりまして、防衛庁もそういう観点で、不断の見直しとともに、今回、非常に厳しく見直し作業はいたしております。
 しかし、非常にその米国の新たな脅威に象徴されますように、非常に、国の安全保障に関しては、新しい時代に備わったものにしなければなりませんし、また、不審船等の対策におきましても、国民の方から、しっかりとした体制をとっていただきたいというような不安や心配をされる向きもございます。
 そういう点で、新たな時代に対応し得る体制ということで、精査また努力をした結果でございまして、自衛隊の任務の遂行、また維持運営に支障を来さぬよう、必要最小限の経費を計上したところでございます。
    〔渡辺(周)委員長代理退席、委員長着席〕
赤嶺委員 精査、検討なぞ全く行われずに、軍事費を聖域扱いして、そして軍事費を増大させたという流れははっきりしていると思います。
 第一、政府自身が、平成十四年度予算編成の基本方針で、主要先進国中最悪の危機的な状況と日本の財政について言っているわけです。
 昨年の三月から四月にかけて財政制度審議会が世論調査を行っておりますが、国民が、国の予算のうち、生活する上で余り役に立っていないものとして、一位が公共事業費ですね、そして次に挙げているのが防衛関係費であります。公共事業はもちろん、軍事費にもメスを入れてほしいというのが国民の願いです。
 ところが、今回の予算を見る限りは、国民のこうした願いは小泉内閣ではおよそ実現できない、こう言わざるを得ません。
 次に、有事法制の問題について移りたいのですが、有事法制の問題について聞く前に、きのう日米共同統合演習の問題が報じられておりました。
 十六日から行われた指揮所演習では、防衛庁だけでなくて他省庁の担当者がオブザーバーとして参加したということでありますけれども、いつから他省庁が参加するような訓練が始まっているのか、また、どの省庁から何人参加しているのでしょうか、お聞きしたいと思います。
中谷国務大臣 日米共同統合指揮所演習への関係省庁からの視察者の人数等につきましては、平成十一年度から行われておりまして、平成十一年度は延べ三十一名、十三年度は延べ三十六名でございます。
 本件につきましては、防衛庁から各省庁に案内を行いまして、オブザーバー的に視察をしていただいたものでございますが、やはり有事において日本の防衛を行う上におきましては、防衛庁のみならず、ほかの省庁との連携や協力が必須でございまして、そういう観点におきましても、こういった認識をともに持っていただくということは、国の安全保障にとりましては非常に意味のあることであるというふうに思っております。
赤嶺委員 参加した省庁の名前ですね、平成十一年、十三年、いずれもどういう省庁か。
中谷国務大臣 まず、平成十一年度は、内閣官房と外務省でございます。平成十三年度におきましては、警察庁、外務省、国土交通省、海上保安庁、厚生労働省でございます。
 先ほども申しましたとおり、有事に際しましては各省庁で連携するということは必要でございますので、こういった省庁の方にもぜひ視察をしていただいて認識を持っていただきたいというふうに思っております。
赤嶺委員 今度の演習、訓練というのは、結局、周辺事態ということなんですが、これだけの省庁が参加するということは、つまり周辺事態から日本有事に発展することもあり得る、こういう想定があるんでしょうか。
中谷国務大臣 周辺事態が我が国の安全に重大な影響を与えるということで、この周辺事態を放置していけば、悪いケースにおきましては日本有事に発展をしていく可能性は十分あるというふうに思っておりまして、こういうことに対しましても対応する必要があるのではないかというふうに思っております。
赤嶺委員 報道では、周辺事態において日米がどのように共同対処するかについて定めたと言われる相互協力計画の原案が既にまとまっているということでありますが、これは事実でしょうか。そして、いつ正式な確認をするんでしょうか。
中谷国務大臣 これはガイドラインのときも議論をされまして、周辺事態法案ということで法律にも書かれていることでございますけれども、相互協力計画についての検討を含む計画検討作業につきましては、これの方針を受けまして、現在、包括的なメカニズムのもとで、関係省庁並びに米国とも調整をしつつ進めているところでございます。
赤嶺委員 正式にはいつそれを確認して発表することになりますか。
中谷国務大臣 この法律をもちまして、これの検討作業というものは、性質上いわゆるエンドレスに行われるものでございますが、その進捗につきましては、今後とも日米安全保障協議委員会、SCCと申しますけれども、その委員会及び防衛協力小委員会に対して節目節目に報告されることとなります。その具体的な日程につきましては、現在のところ決まっておりません。
赤嶺委員 ちょっと時間が迫っておりますので、有事法制の整備について聞きたいと思います。
 内閣官房が、先月「有事法制の整備について」という文書を提出したわけです。そして、今いろいろ検討も続けられていることなんですけれども、文書では、有事法制の対象とする事態について、「我が国に対する武力攻撃の事態が中心」とあります。我が国に対する武力攻撃というのは、一体どういう事態を考えているのでしょうか。
中谷国務大臣 武力攻撃とは、一国に対する組織的、計画的な武力の行使と解されておりまして、具体的にある事態が武力攻撃であるか否かにつきましては、その時々の国際情勢や相手国の明示された意図、また攻撃の手段、態様によってそれぞれさまざまな事態がございますので、それぞれの案件に対しまして判断をされるものであるというふうに認識をいたしております。
 また、武力行使というのは、物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうというふうに今まで述べてまいっております。
赤嶺委員 説明を聞いてもよく意味がわかりません。
 私が聞いているのは、日本有事だといってもいろいろな攻撃の態様が考えられます。周辺事態法のときに、政府は、周辺事態とはどのような事態を指すのかということについて、「我が国周辺の地域において武力紛争の発生が差し迫っている場合」だとか、あるいは「武力紛争が発生している場合」など、六つの類型を示しました。そうですよね。
 有事法制が対象とする事態について、具体的にどういう事態を考えているのか。周辺事態のときには六つの類型を示しました。今度の場合はどういう事態を考えているのか、そのことを伺っているのであります。
中谷国務大臣 まさに国家と国民がその安全とか自由とか生活が外部から侵略をされる、いわゆる生命の危険を感じる、また国家の存立を危ぶまれる緊急事態でございまして、どういう事態かといいますと、先ほど御説明をさせていただきましたけれども、武力攻撃が生じて、いろいろな被害が生じる事態でございます。
赤嶺委員 具体的にはさっぱりわかりません。
 それで、周辺事態において、公海上で米軍に対して後方地域支援を行っているときに自衛隊の艦艇や航空機に武力攻撃が行われた場合は、我が国に対する武力攻撃に当たりますか。
中谷国務大臣 まさに武力攻撃であるか否かということにつきましては、計画的で組織的な行動であるかどうか、それによって有事の認定、すなわち我が国への武力攻撃というふうに認定をするわけでございます。
赤嶺委員 もう時間がありませんが、日本有事の事態について具体的にもっとお伺いしたいところだったのですが、今の答弁を聞いていてもさっぱりわからないというのが率直な私の感想です。
 私たちは、かねがね有事法制というのは、現実に考えられるのは、アメリカの戦争に日本の国民が協力すること、今笑っておりますが、現実にそういうことが着々と、沖縄ではどんどん進められていっていて、私からすれば笑い事じゃないというような気持ちで、やはりこういうことは進めるべきではないということを申し上げまして、質問を終わります。
玉置委員長 今川正美君。
今川委員 今川正美です。
 きょうは主に、現在自衛隊が行っております米軍支援活動に関して何点かのお尋ねをしたいと思うのでありますが、時間の限りがありますので、冒頭にまず、先ほども質問があっておりましたが、米国、米軍によるイラク攻撃の可能性について、これは外務大臣並びに防衛庁長官にお尋ねをしたいと思うのであります。
 新聞の幾つかの報道によりますと、いわゆる米国防総省筋によるとという前置きがありますが、ある新聞では、米陸軍特殊部隊グリーンベレーがイラク北部にあるクルド人保護地域に派遣された模様だという報道もあれば、あるいは、これは朝雲新聞の今月の二十一日付の社説ですけれども、チェイニー副大統領が中東歴訪後、例えば「国連とイラクの査察協議が決裂、もしくは袋小路に入り、これをきっかけに米軍がイラク攻撃を開始するという展開が予想される。」という、そうした報道もあるようであります。
 そうした場合に、報道によりますと、例えばこれは防衛庁筋という書き方をされていますが、テロ根絶名目なら、法律上、日本は支援はできるという報道がありまして、もう一つの報道では、今度は外務省幹部という書き方をされていますが、イラク攻撃があっても、アルカイダ討伐の目的が含まれれば支援継続は可能だといった報道もございます。
 非常にこれは重大なことでありまして、果たして今回、今、自衛隊が行っている米軍支援活動の延長上に、法律的に見て、外務省筋からも防衛庁筋からも、イラク攻撃を米軍が仮にやった場合にこれを支援できるということになるのかどうか、この点は明確にお答えを願いたいと思います。
中谷国務大臣 イラクに対する情勢でありますけれども、さまざまな報道があるとおり、いろいろと米国内においてもお考えがあるように思います。そして、私自身もまだ、イラクを攻撃するとか、準備を始めるという話を直接伺ったことはございません。
 その際の対応等につきましても、まだ想定する段階でなく、あえて仮定の話として申し上げて判断をするとするならば、これは政府の判断になるわけでありますけれども、現在の支援活動は、昨年九月十一日のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動を支援するためのものである法律でございまして、これを踏まえまして、我が国として主体的に継続するか否か判断することになろうかというふうに思います。
川口国務大臣 基本的に同じことを申し上げることになりますけれども、まず、米国がイラクに対して軍事行動をとるということを予断して何か申し上げるということは適切ではないというふうに考えます。
 そう申し上げた上で、その上で一般論として申し上げるわけですけれども、テロ対策特措法に基づく協力支援活動は、昨年の九月の十一日のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等に対して行うものでありまして、今後の協力支援活動のあり方等につきましては、このような原則に基づきまして、我が国として主体的に判断をしてまいります。
今川委員 ぜひこの際望んでおきたいのは、これはあくまでも新聞報道なんですけれども、やはり外務省の内部にあっても、あるいは防衛庁の内部にあっても、いろいろな意見がそれはあるかもしれません。しかしこれは、私どもはこの自衛隊による今回の米軍支援には反対をしてきました。しかし、全体的に国民の立場から見ますと、現場に行ってすごい緊張感を持って仕事をしている一人一人の隊員の気持ちからしますと、せっかくこれだけのことをやっているのに、何かしらアメリカにずるずるっと引きずられて、テロ対策だと言えばペルシャ湾であろうがイラク攻撃であろうがやっていいんだというふうな立場に立ちますと、国民の間からすごい不信感が出てくるだけじゃなくて、現にこのイラク問題に関しては、御存じのとおり、イギリスを例外にしますと、欧州各国あるいは中国やロシアを初め、例のブッシュ大統領の悪の枢軸発言も含めまして、相当違和感なり反発なり批判が出てきているとおりなんですね。
 そこら辺は、先ほど外務大臣もおっしゃったとおり、まさしく日本が主体的な判断として、できることなら、イラクの問題に関してはアメリカにもっと主体的に違う角度から物を言っていくというぐらいの姿勢をとっていただきたいと思っています。
 さて、具体的に自衛隊の米軍支援の中身についてお尋ねをしたいと思うんですが、私は、今月の十二日に防衛庁の職員の方を呼びまして、具体的にどういう支援活動になっているのか、そこに今、現時点かかっている経費というのはどの程度のものなのかを一応お聞きしました。そのときは一月末の時点での御報告でしたので、改めて、現時点で支援の中身がどうなっているということと、かかった経費がどの程度だということを御説明をお願いしたいと思います。
北原政府参考人 御答弁申し上げます。
 現在、防衛庁・自衛隊におきましては、海上自衛隊並びに航空自衛隊によりまして協力支援活動を遂行中でございます。
 そして、海上自衛隊につきましては、インド洋北部におきまして、補給艦の「はまな」、「とわだ」並びに護衛艦「くらま」、「きりさめ」、「さわぎり」、これが活動をいたしておりまして、十二月二日以降二月の二十六日まで、先ほど先生、一月の十二日ということでございますが、二月の二十六日までに、艦船用燃料を米軍の補給艦あるいは駆逐艦等に対しまして合計で三十九回、また、イギリス軍の補給艦に対しまして一回の、トータルで四十回、給油量にいたしまして約六万四千キロリットルを提供いたしております。
 また、二月の二十一日でございますが、米艦艇に対しまして物品の輸送を実施したところでございます。
 なお、今申しました五隻が活動しているわけでございますが、これらの艦艇の一部と交代をする必要がございまして、二月の十二日に護衛艦「はるな」並びに補給艦「ときわ」、十三日に護衛艦「さわかぜ」が出航をしたところでございます。
 なお、このほか、先ほど申しました航空自衛隊につきましてでございますが、これも二月二十六日までに、国内輸送につきましては二十一回、国外輸送につきましては十一回を実施いたしております。
 それから、先生御指摘の、どのくらいお金がかかっているかでございますけれども、まず、予算措置につきましては、先生御承知のように、昨年の一月二十二日に閣議決定をされました予備費、これはトータルで百七十三億でございますが、これを使用しております。そして、今私が申し述べてまいりましたように、現在、海上自衛隊、航空自衛隊、協力支援活動を実施中でございます。したがいまして、あくまでも現時点における概算額をはじき出してみたわけでございますが、あくまでも現時点の概算額ではございますけれども、一月末までに約四十六億円を執行済みでございます。
 以上であります。
今川委員 それと、二点目に、いわゆるこれは基本計画なりにも出てきますが、米軍にとっては重要な発進拠点にもなっていますディエゴガルシア基地ですね。ここへの自衛艦のアクセスはこれまであったのか、あるいはこれからもあるのか、その点に関してお聞かせください。
北原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど私が申し上げました自衛隊の協力支援活動等でございますが、これは御承知のように、実施要項に定められました実施区域において、まず適切に行われておりますことを御理解いただきたいと思いますけれども、今先生が御指摘になられましたような、その具体的な活動地域ですとか、あるいは寄港地等につきましては、派遣部隊あるいは隊員の安全を確保する必要がありますこと、また、米英軍、さらには寄港相手先国などの関係国等との関係をまた尊重する必要があるということから、具体的なお答えにつきましては差し控えをさせていただきたいことを御理解いただきたいと思います。
今川委員 きょうの新聞報道でも、これはマスコミ各社、実際にインド洋洋上にいる護衛艦などに乗船させて、いろいろなブリーフもやっていますよね。その報道で、例えば護衛艦の一隻は、警戒監視のために米軍拠点のあるディエゴガルシア島周辺を含め、アラビア海、インド洋一帯を洋上監視している。なぜこのようなことを、ディエゴだけを問題にするわけじゃないのですけれども、昨年の十一月の九日に、いわゆる情報収集のために三隻、佐世保から出しましたよね。
 その日に、私は土井党首と一緒に官邸に行きまして、小泉総理と十分程度でしたが、その問題をちょっと話題にしたのです。これは総理としては、戦闘地域には行かせないということをはっきり明言されておりましたけれども、しかし、このディエゴガルシア島、あるいはその周辺というのは米軍にとっては明らかに戦闘地域じゃないですかということをお尋ねしたら、まあ言ってみればそうかもしれないなというお返事が返ってきたわけですよね。
 このことで長々ときょうはやろうと思いませんが、いわゆるどういう港に立ち寄って油を購入したとか、そういうことを明らかにできないんだと、先ほど理由もおっしゃっていましたけれども、防衛庁長官、これは確認しておきたいのです。ディエゴガルシア島周辺に実際に監視で行動しているわけですよね。ここは戦闘地域でしょう。
中谷国務大臣 これはテロ対策のときにいろいろ議論させていただきましたけれども、一応定義としては、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域でありまして、このディエゴにおきましては、確かに航空部隊基地からの攻撃機の発進があるかもしれません。しかし、そのような航空機の発進があったとしても、それをもって、直ちに人を殺傷し、または物を破壊する行為に該当するとは考えられないということで、この法律で定める戦闘行為が行われていないという地域に該当をするというふうに判断をいたしております。
今川委員 だから、非常にごまかしがあるのだけれども、次に移ります。
 十一月の九日に、先ほど申し上げた「くらま」など三隻が、いわば第一陣といいますか、先遣隊として行きましたね。この三隻の船が、いわゆる情報収集という目的から任務を切りかえた時期がいつなのか、それで、それを指示あるいは命令を出した人はだれなのか、御説明ください。
中谷国務大臣 この事実関係でございますけれども、十一月九日に三隻、情報収集のために派遣をいたしましたが、十一月二十日策定された実施要項において、基本計画に定められた協力支援、また捜索救助活動、被災民救援活動を実施するための六隻の艦艇の一部として、この基本計画の策定のときに位置づけたのでございます。
 そして、これらの三隻につきましては、十一月二十日付の長官命令に基づいて、あらかじめ情報収集活動について一定の成果を上げた時点で、十一月三十日から任務を切りかえたところでありまして、改めて防衛庁長官の了承を得た上で十二月二日から協力支援活動を実施したところでございまして、このような活動の実施につきましては防衛庁長官の命令等に基づいて行ったものでありまして、現地の指揮官のみで判断をしたわけではございません。
今川委員 次に、先ほど政府参考人の方から説明があったとおり、相当の燃料などを補給していますね。これは、例えば米軍の場合、補給を受ける側、高速戦闘支援艦、いわゆる略称AOE部隊なんですが、実質的に、後方支援といいながら米軍の側は実際に戦闘行為をやっているわけなんで、このAOE部隊に日本の海上自衛隊の補給艦が実質的に編入されているはずなんだけれども、その点、いかがですか。
北原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず初めに、そのようなことは絶対ございません。先生御承知のように、協力支援活動等のため派遣されております海上自衛隊の艦艇につきましては、あくまでも防衛庁長官の命令によりまして編成され活動しているものでございます。したがいまして、米軍の指揮監督を受ける、あるいはそのもとに入るといったことはございません。
 御承知のように、自衛隊の補給艦が米軍等の艦艇に対しまして補給を行うに当たりましては、補給の場所、量などにつきましてこれを定める必要があるわけでございますが、これらは、米軍のニーズですとかあるいは我が方の支援可能性、あるいは相互の位置その他を踏まえまして、両国の部隊間におきます相互の調整により決定されていくものでございます。
 先ほど来申しましたように、防衛庁長官の命令で動き、指揮系統は全く異なる以上、御指摘のような米軍の部隊に実質的に編入されているといった御指摘は当たらないと考えておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
今川委員 それでは次に、「はまな」など海上自衛隊の補給艦のいわゆる貯油能力、今少なくとも公表されているのは、両舷に二本ずつ給油パイプがあって、これから補給するようになるということと、一分間に二本の給油ホースで十一キロリットルですか、補給することができて、大方一時間ぐらいでその給油作業が終わるというところまでは報道等にもありますけれども、肝心の給油能力、貯油能力が幾らあるのかを教えてください。
中村政府参考人 お答えいたします。
 今回派遣している補給艦の能力、いわゆる貯油能力でございますけれども、約六千二百キロリットルでございます。いわゆる相手方に与える給油能力でございますけれども、これは海象状況その他によって随分影響されるのですけれども、一応一般的には片側で毎時六百八十キロリットル、両側に持っているので、最大限言えばその二倍。ただ、余り両側というのはないとは思いますけれども、そういう姿でございます。
今川委員 もうほとんど時間がなくなりましたが、先ほどちょっと一点、防衛庁長官にお尋ねしておきたかったのですけれども、今回の米軍への支援活動のいろいろなものがあります。
 これを例えば時系列的に、何月何日、例えば米艦に、あるいはイギリスの軍艦にこうしたとか、あるいは何キロリットルどうしたとか、あるいは油が足らなくなったらどういう港に立ち寄って、どれほど購入してまた補給したとか、少なくともこの委員会なり国会の場にはきちっと明らかに時系列的にすべきだと思うのです。
 先ほどのお話にちょっとありましたのは、例えばそこで活動している自衛隊員の身の安全のために公表ができないんだとか、あるいはこの間、防衛庁の職員さんにお話を伺うと、米軍の具体的な作戦行動に支障を来しかねないという、大きく二つの理由で公表できないんだというふうにおっしゃっていましたが、これは既に支援活動を行った部分、結果に関しては詳細にきちっと国会に提出すべきじゃないかと思うのです。中谷長官、これはいかがですか。
中谷国務大臣 当方といたしましても、可能な限り情報等は提供させていただきたいと存じます。しかし、現場の状況は、非常にテロの可能性があるなど緊張また緊迫した中で活動を行っておりますし、また、そういった事実を公表することによりまして、ある種の作戦パターン的なものが類推をされるわけでございまして、特に要員の安全、また他国の政策との関係も尊重する必要がございます。
 我々としても、判断をしつつ、可能な限り公表はさせていただきますけれども、そういった他に迷惑をかけるようなことにつきましては差し控えさせていただいていることでございまして、この点につきまして御理解をいただきたいというふうに思っております。
今川委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ。
 私は、あくまでも、国会の事前承認かとか事後承認かとかという議論がありましたね、テロ対策特別法を組むときに。問題は、やはりシビリアンコントロール、そういう観点から、少なくともこれからどの港に立ち寄るかもしれないとかということを明らかにするのは、長官おっしゃったとおり、いろいろな障害があるかもしれない。しかし、既に活動を行った実績結果に関しては、できる限りじゃなくてやはりきちんとオープンにしないことには、私たちが、今回の米軍支援に関してなるほど妥当だったとか、あるいはやはり問題があったじゃないかということの検証のしようがないのですよ。それはあくまでもシビリアンコントロールという、我々国会議員が立場を超えてきちっと文民統制という立場を大事にしていくならば、できる限り公表できるものはということでごまかしてほしくないと思います。
 これで終わります。
玉置委員長 藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 きょうは一般質疑でございますので、総括的な話を議論させていただきたいと思います。
 まず最初に、アメリカのイラク攻撃があるのかどうか、この点についてはこの委員会でも先ほど来出ているのですけれども、実は、昨日、かなり著名なマスコミの方なんですけれども、アメリカに随分長くおられた方なんですけれども、たまたま議論する機会がありまして、その点を聞きましたら、一〇〇%ある、こうおっしゃっているのですね。私もそこまで言われてびっくりしたのですけれども。
 両大臣にお伺いしますけれども、あるとお考えなのか、ないというふうにお考えなのか、その点と、もし仮にあった場合に、我が国は、外務省としてあるいは防衛庁として何ができるのか、この点をお伺いしたいと思います。
 実行されたらそのときに考えればいいやというのじゃ、泥縄で間に合わない。いつもそういうことをやるから、日本の政府の対応が批判され、あるいは詰めていきますと政権の問題にも当たるのでありまして、やはりこういうことは可能性も考えた上で、仮定の話としてもどういうことがやれるのか、十分にこれをオープンな形で本来議論しておいてしかるべきだと思うのですね。政府の中だけで秘密裏に議論をしておりまして、いざとなったときに、こうやりたいというふうに出したときに、国民の目から見てそんなことはおかしいじゃないかとか、そこまでやることではないんじゃないかとか、そういう議論になるわけでありますので、この際、その二点についてお伺いしたいと思います。まず外務大臣にお伺いします。
川口国務大臣 アメリカの攻撃があるかどうか、私がどう思うかということでございますけれども、私は、このことにつきましては、外務大臣という立場で、個人的な感想といえども予断を持って申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思っております。
中谷国務大臣 私も同じでございまして、まだ外交段階でありまして、先日の日米首脳会談におきましても、イラン等につきましては、その行動パターンを変えるように国際社会が協力する必要がある、米国はすべての選択肢を排除していないが、平和的に解決したいと考えており、外交努力を続ける考えである旨も発言をされておりまして、これまでも同じような趣旨の発言もされております。
 そういう点で、私自身も、この点につきましてはここで述べられるほどの見識を有していないわけでございます。
藤島委員 役所的な考えでいけば当然そうなるんでしょう。ただ、私が申し上げたのは、先ほどのようなことにならなければいいけどな、こういうことで御質問しているんです。ですから、二つ目の点、仮にあったとした場合に何ができるんでしょうかという点はいかがですか。
中谷国務大臣 当面は、現在行っている支援活動がこれに該当するかどうか。現在行っているのは、法律に基づいて九月十一日のテロ攻撃によってもたらされている諸外国の対応に対する支援ということでございますので、この法律が継続するか否かという点につきまして、そのときの状況を見ながら我が国として主体的に判断をするということでございます。
藤島委員 何か答弁にはなっていないんですけれども、これ以上追及しても答えは出てこないだろうと思いますので、この件はとりあえずおきまして、次に、外務大臣にちょっと感想といいますか、お伺いします。
 田中前大臣は外務省のことをまさに伏魔殿、こう最初に言ったわけでありますけれども、川口大臣は、就任されて大分四苦八苦されておるようでございますけれども、どのように外務省を感じておられますか。
川口国務大臣 田中外務大臣が伏魔殿とおっしゃったことは私はよく承知をしております。私としては、魔物よりは野獣に出てきてほしいと思っております。
藤島委員 まだ本当に中身が調査中で明らかになっていないし、私は、田中大臣は体を張って、まさに体を張って外務省改革をやられたわけですけれども、川口新大臣も本当に体を張る、そんなつもりでやっていく、そういう気持ち、気概がございますか。
川口国務大臣 張るほど立派な体を持っておりませんけれども、一生懸命に気持ちの上ではやらせていただきたいと思っております。
藤島委員 野獣はならしようで大分違ってくるような気もするんですね。怒らせれば怒らせて、もう歯をむいて、前大臣のときのようになるし、調教というか、ならし方によっては主人の言うことを忠実によく聞く、そういう面は持っているんじゃないかというふうに私も感じます。私も三十数年役人をやっていましたので、その辺よくわかるわけですけれども、その辺妥協することなく、うまく調教していってほしいものだ、こう思うわけであります。
 その操縦術の中でも、人事というのは大変大事なんですよ。田中さんもかなり人事にこだわってやられたわけですけれども、これは川口大臣も役人をやっておられたので十分御承知だと思いますけれども、人事というのは私はある程度迅速性が必要だと思うのですね。せんだって重家局長と官房長の更迭だけを発表され、またきょうはほかの大使の異動の話も出ておるわけですけれども、これは本当に人事は徹底してやり、かつ迅速にやるべきだ、こう思いますが、いかがでしょう。
川口国務大臣 私は、役所にもおりましたし、民間企業にもおりましたけれども、いずれの組織においても人事というのは大変に大事だと思っております。
 それで、人事を迅速にやるということの意味がちょっとよくわかりませんけれども、いずれにしても改革はスピーディーにやる必要があると思っておりまして、その一環としてこの間発表させていただきましたのは、四月一日付で監察査察官に法務省から検事の方に来ていただくということでございますし、この夏までに本省の局長、部長、審議官等、及び在外の大使のところで十人を目標に外部の適材を充てるということを考えております。
 それから、昨年の段階で、省内の公募制ということも発表させていただきまして、その具体的なポスト名も間もなく発表をする予定でおります。
藤島委員 今の点、二点あるわけですけれども、急ぐという意味は、二人の局長の更迭を発表したまま後任を任命していないわけですね。そうすると、今その二人はどういう立場になっているのかよくわかりませんけれども、もう一週間もたっているわけで、やはりそういうことでそのままずるずる、人事というのは二人だけの問題じゃなくて、後任の問題とか行く先とかありますので、そう簡単じゃないことは私もよくよく知っておるんですけれども。今緊急時ですね、外務省にとってみれば。その状態のときに更迭だけ発表してそのままにしておく、こういうのは本来許されるものじゃないんじゃないかという点で急ぐべきだ、こう申し上げたいわけであります。
 あと、部外の人の採用でございますけれども、これは私、本当にもっと従来から進めるべきであった、こう思います。というのは、要するに、外務省が仲間内だけでなあなあで好きなことをやっている、そうすると仲間が、あの人は多少悪いことをやっているとか、ちょっと法律に触れるかなとかそう思っても、仲間内ですから黙って見ぬふりをして、自分もそのおこぼれといいますかいい思いにあずかっている。これはまさに仲間内だからそういうことになるので、部外者が大勢入ってくれば、そういうのはどこかで早目に出るわけですね。
 そういう意味で、川口大臣の進めようとしている部外者の採用というのは非常にいいことで、私は、これも徹底してやっていただきたいと思いますし、人事の方も早くやるべきだというふうに申し上げたいと思います。
 次に、防衛庁長官にお伺いしますけれども、二月二十六日の当委員会における所信表明におきまして、防衛庁長官は、形容詞は若干あるんですけれども、温かい自衛隊を目指す、こういうふうに述べられているんですが、一体温かい自衛隊というのはどういうことなのか、私、ちょっとイメージがわいてこないんですが、その点ちょっと詳しくその経過を御説明いただきたいと思います。
中谷国務大臣 これは、自衛隊も創設以来五十年になりまして、私は、自衛隊の役割としましては、単に抑止力として存在をするだけの役割ではなくて、やはり国民のために働いて、ある程度成果をおさめて、少しでも活躍をしていく存在であるべきだというふうに思っております。
 そういう意味では、低劣度といいますか、災害とかテロとかゲリラとか、こういう起こり得る緊張、緊急事態に対しても活躍をするために機敏に対応して、国民の要望に適切かつ柔軟にこたえることができる、すなわち、国民から信頼され、頼りにされるような自衛隊を目指してもらいたい。もちろん、何よりも精強さが追求されなければなりませんけれども、それは当然のことでありまして、第二段階として、より国民に支持され、より頼りにされるという意味でこの言葉を使っているわけでございます。
藤島委員 より精強であるのが自衛隊でありますので、そこだけは忘れていただきたくないな、こう思いますが、何か小泉総理は最近いろいろなキャッチフレーズを言っていますけれども、ついに防衛庁までそういうのが流れてきたかな、こんな感じがします。
 次に、東ティモールにPKOの派遣が決まったわけで、大臣も北海道の方に激励に行かれたわけですけれども、この派遣に際して携行する武器の種類とか数量とかそういったものについて、かつては機関銃一丁にする二丁にする、あるいはつい先ごろも、イージス艦をどうのこうので与党の方から横やりが入ってやめてしまった、そういうようなことがあるわけです。行く行かないは確かに大変な政治決定でありますけれども、どういう中身の部隊を、どういうふうなものを持たせていく、これはもう防衛庁長官の専権事項であって、周りの人にとやかく言わせる、そんなものじゃないと私は思うんです。
 今回の派遣に関して、言葉はよくないかもわかりませんけれども、そういう横やりといいますか、そういうことがあったのかなかったのか、また今後、そういうことに対する長官の断固とした決意をお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 これは法律によりまして、国連平和協力法の六条二号において、実際に隊員が携行する種類及び数量においては実施計画の策定の過程において、閣議によって決定されるものでございます。
 しかしながら、今回の携行武器等につきましては、防衛庁の計画が認められたわけでございまして、自民党や官邸からそのような指図とかいう、御指摘をされるようなことは全くございませんでした。(藤島委員「今後、これから」と呼ぶ)
 今後は、防衛庁としては、必要なものにつきましては計画をいたしまして、閣議決定の了承をいただくわけでございまして、そのことが閣議でお認めいただくように説得、説明を努力したいというふうに思っております。
藤島委員 もちろん手続的にはそうなるんですけれども、要するに、内容の実質的な決定に当たって、いろいろな意味での指図とか横やりがあってはいけない。
 今度の鈴木宗男さんの外務省の関係みたいなもので、正式な決定はきちっとそれぞれ手続をとったような形になっていますけれども、その事前の問題として、そういういろいろなのが与党とかいろいろなところから入る、そういうのは断固として防衛庁長官として今後も排除し、それこそ実質的に必要なものは必要ということで決定していっていただきたい、こういうことを申し上げているわけであります。手続的なことじゃないんですけれども。
 それともう一つ、有事法制の進め方について、どうも内閣の方と防衛庁長官と、大げさに言うと閣内不一致があるんじゃないか、こんなふうにもとれるわけですけれども、その点について長官の御説明をいただきたいと思います。
中谷国務大臣 現在、この法律の策定作業をいたしておりますけれども、内閣官房とはよく調整と連携をとりながら作業をいたしておりまして、そういったそごがあるというふうに認識はいたしておりません。非常によく調整をしつつ、現在作業を進めております。
藤島委員 紙上報道されていますように、防衛庁は第一、第二分類の方から行く、官邸はむしろ全体を示すというふうにちょっと感じているんですが、その方向性は一致しているんですか。そこのところなんですけれども。
中谷国務大臣 当然、一分類、二分類を議論する上においては全体の話が必要でございまして、そういう意味では、包括的な全体像を示すというのは内閣がやられることでございまして、現在は、この二つを両立させるという点で作業をしているというふうに認識をいたしております。
藤島委員 抽象的な議論をしている段階は私はもう過ぎているんじゃないかな、こう思いまして、具体的な成果にできるだけ早くやる必要があろうかと思いますので、防衛庁長官にはぜひ自衛隊のために頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
玉置委員長 浜田靖一君。
浜田委員 予算委員会があるそうでございますので、大臣、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。大変お名残惜しゅうございますが、仕方がございません。
 大臣がいらっしゃれば、いろいろとまた議論をさせていただこうと思いましたが、川口大臣、今、外務省改革と外交政策、両方並行に進めなければいけないということで、大変厳しい立場にあることはよく存じ上げておるわけでございます。
 ただ、改革の中で一点示していただけるならば、やはり正しいことは主張としてしっかり述べていただく、これが大前提だと思うわけでございまして、きょうの支援リストの件についても、これは怒らにゃいかぬですよ。本当にこんなふざけた話はなくて、ブッシュ大統領が来て、あれだけ日本の支援に感謝をし、パウエル長官からもそういうお褒めのお言葉をいただいて、にもかかわらず、実際の支援リストの中には入ってないなんということがあっていいかというふうに私は思うのであります。
 余りこれを冷静に、仲のいい国だから、これはまあいいじゃないか、単なるミスだよということで済まされたのでは、我々が懸命になってテロに対して、我が国の国民がテロによって亡くなったという中で、一生懸命日本として何をするべきかということを議論してやってきたことに対する評価がこれかということは、これは笑って済ませることじゃない、ましてや、さらっと終わらせることではないというふうに思うわけであります。
 そして、私も短い政治経験の中で、とにかく外務省の姿勢というのは、事が起きたときにはまずブレーキを踏む。原局である、現場にいるいろいろな役所の皆さん方が、現場でいろいろな議論をして、精いっぱいのところで頑張っているにもかかわらず、まずは一たんブレーキを踏むというのが外務省の姿勢のような気がしてならなくて、そうでないと言われれば、異論があれば後でお答えいただきますけれども、しかしながら、どうもそういう傾向がある。
 そして、いつも私がそのとき思うのは、一体全体外務省には国益というのがあるのかというのがどうもわからない。本来であるならば、日本のためになることであったらどん欲にそれを追求して一歩も下がらないという姿勢がそこにあって、初めて外交交渉が進められるものと思っておるんですけれども、その点について、外務省、ちょっと教えていただきたいのは、外務省にとって国益というのは一体何なんですか。
谷内政府参考人 我が国の国益は何かという御質問でございますけれども、もちろん国益にはいろいろなものがございますけれども、その国益の中核にあるものは、私どもの考え方といたしましては、我が国の安全と繁栄を確保する、このことが最も重要であるというふうに考えております。
 その一点をゆるがせにしないということから、国際社会の平和と安全あるいは繁栄、こういったものを確保していくために外交政策を展開していく、こういう考え方で基本的にやってきておるつもりでございます。
浜田委員 大変教科書どおりの答弁でいいんですが、世界の平和と安全を守るというのは確かに重要なことですよ。しかし、その第一歩にあるのは、国の安全と平和を守ることがまず第一義的なことであって、自分のところの国益を守ることもできないのに、世界の平和と安全なんということを言う前の姿勢というのが希薄に思えてならないんですよ。
 何かあったときには、もめごとが起きちゃいけないから、まあまあ、今大変アメリカとうまくいっていますので、それは言わない方がいいでしょうということが常に何かまくら言葉のようにあるんですよ。これはいろいろな外交の場で外交交渉をやっているのを聞いていると、必ずそういうのが聞こえてくるんですよ。そうじゃないと言われるなら、ここで言って押し問答してもしようがないんだけれども、本来は、そこのところをまずどん欲に、我が国の国益というものを、まず国民の利益というものをしっかりと考えるべきだと思う。
 ぜひその点は、改めて、本来大臣がいれば、新任の大臣ですから、そこで本当は、そのとおりだ、今後は自分の主張というものは我が国の利益になることをまず主張するんだということをお答えいただいて、逆に川口大臣を、頑張れという応援の言葉を言おうと思ったんですが、大臣がいらっしゃいませんので、あなたからちょっとお伝えいただきたい。我々、このごろは何か直接言うといろいろなチェックをされて、今後問題になるそうですから、これからはきちっと委員会の場で言っておかないとおかしなことになりますので、あえてこの場で言わせていただきました。
 ですから、その中で、やはり今回のリストの問題にしても何でもそうなんですが、要するに、仲がいいからいいんじゃなくて、仲がいいからこそ正しく評価をしてくれと言わにゃいかぬですよ。何のために今ディエゴガルシアの近くに自衛隊員が行っているんですか。その人たちの気持ちからすれば、おれらこれだけやっているんだということをどこかでやはり評価してほしいじゃないですか。逆にこれが、ブッシュ大統領が来て、パウエルが来て、あれだけ褒めて褒めて褒めまくってお帰りになったわけですから、だったら、なおさらそこに書くのが普通なんじゃないですか。だから変な憶測を呼ぶんですよ。これは二国間の問題じゃないですよ。世界に対して、アメリカの評価は日本に対してどうなのかということにつながるんじゃないですか。
 だから、これはきっちり、ちゃんとアメリカに対して言っていただけますよね。それをちょっと一言。
谷内政府参考人 本来、大臣からお答えすべきことかも存じませんけれども、私もテロ特措法を一生懸命取り組んだ一人として、大変遺憾に思います。先生がおっしゃるとおり、怒りすら感じます。そのことにつきましては、まさに同盟国としてこれはないだろうということはきちっと、もう既に北米局長の方からも言っておりますけれども、これからもそのことは私のレベルでも申し伝えることはいたしたい、こういうふうに思います。
 それから、国益の点につきましては、我が国の国益を守るということは、これは外交の基本でございますので、そのために国際社会の平和と安全を、日本の国益を守る環境をつくるためにやるということでございますので、基本は浜田先生がおっしゃることと全く同じでございます。
 いずれにしましても、浜田委員のおっしゃいましたことは、大臣にきちっとお伝えいたします。
浜田委員 それはいいんですが、手法の問題だと思うんですよ。だから、今回の件に関しては、やっぱりタイミングですよ。早く言うこと。そして、やっぱりきちっと怒りを込めて言ってくださいね、これは怒っているよと。ただ単に外交儀礼上の言葉で済まされちゃ困るんですよ。この点だけは、ぜひしっかりとお伝えいただきたい。
 それに対する返答も、何かだれが言ったのかわからないようなことじゃなくて、ではパウエルさんから言うのかだれから言うのかわかりませんが、やはり上の方からしっかりと答弁してもらわないと困りますので、よろしくお願いします。
 二十分ということで、大臣もいらっしゃらないので、本当はこの辺で終わってもいいんですが、しかしながら、少し、先ほど有事法制のお話もありましたが、我々自由民主党の中でいろいろと勉強させていただいた中で、一点だけこの場でお話を申し上げておきたいなと思ったのは、いろいろと、有事法制というと、何かいかにも平時から使うような法制のように思われていますが、決してそうではなくて、基本的には自衛隊の防衛出動下令下における法律というのが有事法制だというふうに感じておりますし、そしてまた、それとはまた別に、いわゆる新たな概念の中にテロの問題が出てきた。
 そうすると、ほかの国ですと、緊急事態法とかという形で、有事法制とはまた別に、有事法制とはつながるんですけれども、すごく大きな枠組みの中でとらえて緊急事態法というのがつくられております。
 そうすると、そこに緊急事態法ともう一つ、いわゆる並行して、車の両輪のような形で民間防衛という言葉が出てくるんですね。その民間防衛ということについて、よく、日本で言うと変にとられまして、国家総動員法みたいなそんな話になっちゃうんですが、そうじゃなくて純然たる、要するにいろいろな事態が起きたときに、では、だれが一体それを伝えて、その避難は一体どのようにして、そしてまたけが人がいた場合には一体どうしたらいいのかとか、そういうものを民間でやっていこうという考え方が出てきているわけであります。
 さて、今回の有事法制の中で、三分類の中にこの民間防衛という考え方があって、そして今検討の中にそういうものが入っているのかどうなのか。ちょっと防衛庁の方で、防衛局長、わかりましたら教えていただけますか。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 今先生御指摘されましたように、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、私たちは、国民の生命財産を守るために防衛庁・自衛隊は機能するわけでございますが、そのための法制整備というようなことはもちろん必要でございますけれども、これは、緊急事態、武力攻撃事態というのは我が国の国土において起きるものでございますから、国土には国民の生活が現存しているわけでございますから、その中で国民の生命財産をいかに守るか、これは大変大きな課題でございます。
 それで、我が国のことに触れる前に諸外国のことを御説明させていただきますが、アメリカやヨーロッパを中心にこの民間防衛というものは国として大変大きなテーマになっております。
 それで、中央政府及び地方自治体の計画、指導のもとに、敵の攻撃を受ける場合に備えまして、国民それぞれがみずからの生命や家庭を守るとともに、食料、燃料、医薬品の備蓄、負傷者の救援、公共の諸施設の復旧を行って社会秩序を維持回復するという非軍事的な活動が中心になっている。そして、こういう体制を整備しておくことは、何も武力攻撃が発生した場合だけじゃなくて、我々の平時の災害、そういう場合にも役に立つ観点から、欧米においてはこの制度の整備が大変進められているという現状がございます。
 それで当然、今回政府が検討する中で見ましても、自衛隊の行動に伴って必要となる措置と、それから米軍の行動に伴って必要となる措置、国際人道法を遵守するという観点から必要となる措置に加えまして、国民の安全確保等の観点から必要となる措置も含めて検討するということで、現在、内閣官房を中心に関係省庁が協力して包括的に検討を進めている、こういう状況にございます。
浜田委員 この議論をしていますと大変長くなってしまうので、きょうは時間がないのでこの辺で終わりますけれども、要は、安全保障というものを考えたときに、確かに防衛というのは、軍事というのはあくまでもこれはツールであります。そしてまた、すべての国民の生命財産を守るということに一分のすきもあってはいけないわけであるし、また、これは政府だけで対応できることではない。
 要するに、国民の皆さん方にも自覚を持っていただいて、その中で、これだけ極度に一極集中した形の中で、人口がいろいろなポジションに、大体三カ所ぐらいですよね、多くの人口が一カ所に固まっているというのは。そうすると、これを災害から守るにしても、そういったいろいろなテロだとかいろいろな攻撃に対処するにしても、これだけの人口が集中している中で、一体この安全を守るためにはどうしたらいいかというシミュレーション、そしてまたそのシミュレーションをした後の訓練、こういうものをやらない限りは、なかなか国として本当に国民の生命財産を守ったということになるのかどうかということをいま一度我々は考えなきゃいけないんではないかなというふうに思います。
 今回、もしも有事法制というものを考えたときに、有事法制と、そしてまた緊急事態法という名称なのかわかりませんけれども、そういう国民全体を含んだ中での活動ですとか、そういったものに対処する心構えだとか、そしてそれに対するシステムの整備というものをやはりこの中で考えていくべきではないかなというふうに思います。
 そういう意味においては、防衛庁において、これは政府なのかもしれませんが、しっかりと議論をしておいていただきたいし、我々もこの委員会で、玉置委員長中心の中で議論させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをする次第でございます。
 我々の思いというのは、あくまでもこの国の国民の生命財産を守って、そしてまた、それができて初めて世界に貢献できるということを我々は認識するべきだと思いますので、その点をきょうここで述べさせていただいて、大変短い時間ですけれども、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
玉置委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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