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第3号 平成14年3月28日(木曜日)

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平成十四年三月二十八日(木曜日)
    午後二時開議
 出席委員
   委員長 玉置 一弥君
   理事 大野 松茂君 理事 仲村 正治君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君
      石破  茂君    岩屋  毅君
      臼井日出男君    瓦   力君
      木村 太郎君    虎島 和夫君
      中山 利生君    平沢 勝栄君
      米田 建三君    江崎洋一郎君
      大出  彰君    川端 達夫君
      前原 誠司君    赤松 正雄君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
      小池百合子君    粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   外務大臣政務官      水野 賢一君
   政府参考人
   (内閣府国際平和協力本部
   事務局次長)       野津 研二君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    漆間  巌君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   北島 信一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房領事移住
   部長)          小野 正昭君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 小寺  清君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局総務課
   長)           青柳 親房君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
三月二十六日
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――
玉置委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件につきまして調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府国際平和協力本部事務局次長野津研二君、警察庁警備局長漆間巌君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務省大臣官房長北島信一君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、外務省北米局長藤崎一郎君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君、財務省大臣官房審議官小寺清君、厚生労働省健康局総務課長青柳親房君及び海上保安庁長官縄野克彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
玉置委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。
岩屋委員 自由民主党の岩屋毅でございます。
 きょうは、当面の問題について防衛庁長官並びに外務大臣に伺ってまいりたいと思います。
 なお、北朝鮮による拉致問題については新たな事実が幾つか出てきておりますが、これにつきまして私も重大な関心を持っておりますけれども、後ほど同僚の平沢委員からただしていただきたいというふうに思っております。
 さて、早速ですけれども、先般、東ティモールに向かって自衛隊が派遣をされました。中谷長官の見送りの風景も私もテレビで拝見をしたところでございます。無事に任務を遂行して大きな成果を上げて帰ってきていただきたいと心から期待をしているところでございます。
 今回の派遣は、さきの改正されたPKO法に基づいて行われているわけでございます。さきの改正は一定の前進だったと私も思うのでありますけれども、それでもなお、いわゆる国際標準というものから比べれば、まだまだ足らざるところがあるというふうに認識をしております。
 特にその中でも、任務遂行のための武器使用というものが認められていない、これは、私は論理的にもちょっとおかしいと思うのであります。というのは、武器等防護というものは認められたわけですね。何ゆえに武器を防護しなければならないか。それは、武器や車両がなくなってしまえば、すなわち任務の遂行ができなくなるからにほかならないわけでありまして、そういう意味では、任務の遂行のための武器使用というのは、これは論理的にはその同一線上にあるものだと思うんですね。
 私は、できれば今後、できるだけ速やかにPKO法を再改正して、任務遂行を実力で妨害しようとする者を排除するための武器使用は当然認めていってしかるべきではないかな、こう思っておりますけれども、長官の御見解を承りたいと思います。
中谷国務大臣 PKO活動というのは、国際の平和を維持していくために大変重要な、また崇高な活動であるというふうに認識をいたしております。我が国がPKO活動に積極的に貢献していくということも、今後ますます必要であるという認識を持っておりまして、さきの臨時国会におきまして、この武器の使用も含めまして改善をしていただいた点につきましては心から感謝をいたしたいわけであります。
 先回の改正点は、任務遂行を実力をもって妨げる企てによって、自衛官とともに現場に所在する隊員、自衛官が職務を行うに伴い自己の管理のもとに入った民間人に危険が及んだ場合には、自衛官は武器の使用をすることが可能であるということでありますが、自己保存のための自然的権利という概念での改正と説明をさせていただきました。しかしながら、まだまだ、任務をする上において、PKOのあり方につきましては、要員の安全確保、また任務の着実な遂行という観点から、武器使用規定のあり方については検討する事項があるというふうに認識をいたしておりまして、この点につきまして、国会での御議論をいただきたいというふうに思っております。
岩屋委員 日本だけこれだけ、この部分だけはやれないなどということでは、世界各国集まってやる活動がPKO活動でありますから、やはり国際標準という姿に一日も早く近づけていくべきだというふうに考えております。
 さらに、さきの法改正では、自己の管理のもとに入った者はこれは防護の対象になるということで、警護任務が新たに付与されております。したがって、政府要人が自己の管理のもとに入る者になれば、政府要人は当然警護の対象になる。そういう理屈も、いささかおかしな警護任務の付与の仕方だなと思うんですけれども、まあそれでも一定の前進だったと私は考えております。
 防衛庁長官は当然、現地に行かれれば警護の対象に正式になったわけでありますけれども、私は、東ティモールにもぜひ長官御自身ができるだけ早く行っていただいて、現地の隊員の皆さんを激励していただきたい。これは改正後の初の派遣でありますし、これまでの最大規模の派遣でもあるわけでございます。ぜひ行っていただきたいなと思っておりますし、また、テロ特措法に基づいてインド洋で頑張っていただいている隊員もいらっしゃいます。これについてもしかりでありまして、激励に行っていただく予定はございますか。
中谷国務大臣 ティモールにいたしましてもインド洋にいたしましても、我が国を代表して、しっかりとした国際貢献をするために隊員が派遣をされているわけでございます。私も機会をとらえまして当地に参って視察、激励をしたいというふうに思っておりますし、また総理自身も東ティモールに行く準備をしているというような報道もございますが、国としての隊員に対して激励をしてまいる必要があるというふうに思っております。
岩屋委員 ぜひお願いしたいと思います。特に、せっかく隊員の皆さんのお気持ちがわかる防衛庁長官が今いらっしゃるわけでありますから、現場に行って激励をしていただきたいと願っております。
 それから、テロ特措法に基づく我が国の貢献につきましては、先般来日されたブッシュ大統領も国会において感謝の意を表していただいたところでございまして、そのことは評価したいと思っておるんですが、一方で、米国の国防総省が発表したファクトシートには、我が国の名前が抜け落ちておった。これは、非常に私は国民の皆さんにも大きなショックを与えたと思います。ちなみに、私は、同志の議員の皆さんと一緒に、早速、米国大使館に抗議に出向いたところでございます。
 その後の委員会での長官の御発言、ミスはだれにでもある、こうおっしゃったわけですが、私は、指揮官としての発言としてはいささか不適切だったのではないかなと正直思っております。長官の命令で隊員の皆さんは現場に行って汗をかいているわけでありまして、ある意味では士気にもかかわる問題なのではないか。やはり一たんはいかがなものかと構えて見せて、結果は単純なミスだったんでしょうから、それは何も日米関係で事を荒立てる必要はないわけですけれども、あれはいかがなものだったのかなと、実は今でも思っております。
 その後、日米間で、特にカウンターパートとのやりとりの中で長官として、防衛庁としてどういうふうに対処されたのか、また、向こう側からどういう対応があったのか、もう一度知らせていただきたいと思います。
中谷国務大臣 委員会ではそのようにお答えをいたしましたけれども、現実には、大変強い遺憾の意と抗議をアメリカ大使館並びに本国に伝えました。
 その反応といたしましては、ベーカー大使から直ちに電話で、大変申しわけなかったという話もありましたし、在日米軍司令官からも直接おわびの電話をいただきました。また、ラムズフェルド国防長官からもすぐに書簡が届きまして、日本におけるこの活動の成果と評価につきまして心から厚く感謝、御礼を申し上げるという内容でもありましたし、また、ホワイトハウスの報告におきましても日英豪の三国が例示をされていますし、昨年末に私が訪米したときも、わざわざ国防長官が記者会見の場を設定していただいて、国防長官みずからが日本の貢献を一つ一つ述べて、それがCNNの報道で約二十分間、全世界に中継をされるという異例の配慮もいただいております。また、ブッシュ大統領も国会で感謝をいたしておりまして、米国としては、我が国の貢献に対して大変高い評価と感謝の意を表しております。
岩屋委員 よくわかりましたが、今後こういうことがないように願っておりますけれども、こういうことがもし万が一あれば、やはり防衛庁長官として、また最高の指揮官として厳しく対処していただきたいな、こう願っております。
 さて、米軍のテロ掃討作戦ですけれども、いろいろな話がありまして、アフガン以外の国へも拡大するのではないか、こういう見方もございます。その場合は我が国政府としてはいかな方針で臨むのか、そういう議論がされているのかどうか、また、アフガン以外の国へもし米国の掃討作戦が及んだという場合に、それを後方支援するということは現行法の範囲内だというふうに今お考えになっているのか、そうでなければ、いや、新規の立法や法改正が必要だというふうにお考えになっているのか、聞かせてください。
中谷国務大臣 これはまだ、防衛庁には非公式にも公式にも、そのような活動を行うための要請、支援のお話は一切参っておりません。また、政府部内においても、具体的にそのようなことが米国から来ているわけではございません。
 どのような行動をするかということにつきましては、米国の行動がいかなる内容のものであって、国際社会もそれをどのように評価するか等、総合的な情勢を見て判断すると同時に、この活動の根拠になりますテロ対策特別措置法、これの趣旨に合致するものであるのかどうか等、総合的に判断をして、主体的に行動を決めるべきだというふうに思っております。
 しかし、今のところ、ブッシュ大統領の来日のときの日米会談におきましても、米国はすべての選択肢を排除していないが、平和的に解決したいと考えており、外交的努力を続ける考えである旨の発言があったというふうに承知をいたしております。
岩屋委員 この段階での長官の御答弁としてはそうだろうというふうに思いますが、しかし、ありとあらゆる事態を想定してシミュレーションをしておくというのも危機管理の要諦でございますから、そういうことを念頭に置いておいていただきたいな、こう思います。
 それから、いよいよ有事法制が今国会に提案される予定でございます。民主党さんも党の方針を先般おまとめになったということで、心から敬意を表したいというふうに思っておりますが、いよいよ国会での議論がこれから活発になってまいります。
 ただ、この問題で、どうも当初から、総理や長官や我が党の幹部や与党幹部の発言等、いろいろ錯綜しておりまして、国民の皆さんから見ると、何をどのようにやろうとしているのかと、いまだに判然としないところがあるのではないかなと思います。
 防衛出動に係る有事法制は、これは主権国家としてなければならないものを備えていくわけですから、当然やっていかなくてはいかぬと思っておりますが、どのようにアプローチすることが広く国会の支持あるいは国民の支持を得ることにつながるかということについては、やはりよく考えなければいけないというふうに私は思うんです。
 総理の発言にもありますように、本当は国民の皆さんからすると、今そこにある危機はテロであったり大規模災害であったり不審船の問題であったりするわけで、やはりそういうすべてのものに包括的に対応するという構えの中の一つが有事法制だ、こういうことで説明をされ、または立法に向かっていくことがいいのではないかなと思うんですけれども、今後の進め方についての長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
中谷国務大臣 私も、総理がおっしゃるとおり、国の緊急事態ということにつきましては、外部からの武力攻撃だけではなくて、テロや武装不審船の事案などさまざまな事態がありまして、これらに対してすき間なく対応することが必要であるというふうに思っております。
 ですから、概念的な整理をして、国民の皆さんに、安全保障の概念や形態をもう一度整理をし直して政府としても説明をする必要があるというふうに思っておりまして、現在、内閣官房を中心に、この武力攻撃事態への対応に関する法的整備ということと並行しつつ、関係省庁の連携のあり方も含めまして、法制、運用面等多様な観点から検討が進められているわけでございます。
岩屋委員 ぜひそういう考え方で、いい案をつくって、出してきてください。国会でもしっかり議論をさせていただいて、今国会でいい形で成立を期すために私どもも努力をさせていただきたい、こう思っております。
 それから、ミサイル防衛について二、三、ちょっと長官にお伺いしたいと思っているんですけれども、今まで長官は、このミサイル防衛については、我が国が主体的に運用するシステムを開発する、どう配備するかはまた別の政治判断である、こういうふうに説明してこられたと思います。
 それは、アメリカのミサイル防衛構想については理解するけれども、その中に日本のミサイル防衛網が直ちに組み込まれるわけではない、あるいはそれを前提にしているわけではない、こういうことをおっしゃってこられたんだと理解をしております。しかし、実際には、ミサイルの探知については米国の情報に頼らざるを得ないという状況に今あるんだろうと思いますし、これは将来においても変わりはないのではないかという感じがいたします。
 しからば、米国とは別個に自己完結的なミサイル防衛網を我が国がつくるというのは、実際問題としてはかなり難しいことなのではないかな、こう感じるわけでありますが、いかがでございましょうか。
中谷国務大臣 これは、現に米国においては宇宙開発また軍事技術が非常に進んでおりまして、それを有効に活用するということは当然のことでありますし、また、日米関係は堅固で緊密な連携をするということで備えをしておくというのは基本でありますが、しかし、あるのが当たり前であるとか、もう自動的にアメリカが協力してくれるのは当然のことであるというのは一つの甘えでありまして、やはり、いかなる事態においても国民を守るということを念頭に防衛力を整備しなければなりません。
 そういう観点で申しますと、我が国としての弾道ミサイルシステムを保持するためには、あくまでも主体的に運用できるシステムを保有し、また、我が国としての情報入手も、いかなる場合においても的確に作動できるような、迎撃できるシステムを目指すというのが理想でありまして、今後、米国からの情報提供に全く依存しないBMDのシステムがどの程度まで実現可能か否かという点も含めまして、日米の共同研究の成果も見きわめつつ実施をしてまいりたいというふうに思っております。
岩屋委員 方針はわかりました。
 そうしたら、ちょっと将来の話になって恐縮ですけれども、もしこの開発が終了した、そして実際に配備についての検討が始まるとした場合に、弾道ミサイル迎撃の法的な根拠はどこに置かれるお考えなのか、そのための法改正や立法が必要とお考えになっておられますか。
中谷国務大臣 この点の認識は大変重要だと私も思っております。現時点での法的な整備につきましては、弾道ミサイルの発射が我が国に対する武力攻撃と判断された場合には、自衛隊法第七十六条に基づき対応することが可能になりますが、現実の事態においてどの時点で我が国に対する武力攻撃が発生したかと見るかについては、その時点で一概にお答えすることが困難でありまして、ミサイルの発射が直ちにできるという状態にはなっておりません。非常に重要な認識でございますので、我が国のBMDの開発が整い、実際に配備についての検討が始まるまでに国会でもその点は議論していかなければならないというふうに認識をいたしております。
岩屋委員 そうしたら、もう一つ聞かせていただきたいんですけれども、弾道ミサイル、目標、着弾地点が正確に探知できない、要は、どこに行くかわからないという弾道ミサイルを迎撃するとき、あるいは米国に明らかに向かっているだろうというやつを迎撃するなどした場合には集団的自衛権の問題を惹起するわけですね。これについては長官はどのようにお考えでございますか。
中谷国務大臣 現在、我が国で整備しようとしているミサイルシステムというのは、我が国に着弾が予測されますミサイルに対して我が国として迎撃をするという観点で整備をいたしております。我が国は現時点において研究段階でありますので、現段階で、その配備を前提として迎撃時の法的評価について議論することは差し控えたいというふうに思っておりますが、この点につきましても非常に大事な論点であるというふうに認識しております。
岩屋委員 非常にセンシティブな問題ですから、長官の現段階での御答弁はそこにとどまるんだろう、こう思いますけれども、自衛隊があるのに有事法制がないという状態にミサイル防衛もならないように、技術は開発された、しかしそれを運用する法制が全くない、こういうことにならないように、ひとつ研究を早い段階から始めておいていただきたいと思います。
 それでは、川口外務大臣に、二、三ちょっとお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、外務省の改革の議論、さまざまなレベルで続けられております。外務省を変える会ということで、そちらの方でも議論が続けられているわけですけれども、私は、やはり報償費の改革というのは一つのキーというか、ポイントだと思うんですね。その報償費の改革をするためには、将来的には国民代表である国会が報償費の検証に関与をするという仕組みをつくらないとやはり解決をしないんじゃないか、いつまでもこういう状況で報償費というものを置き続けるということでいいのかなというふうに私は思うのであります。
 英米では、国会に秘密会としての情報委員会なるものがあって、もちろん一般国民にはすぐには中身を公開するわけじゃありませんが、国会できちっとそれを審査するという機能がございます。それは将来課題として必要じゃないかということを申し上げたら、さきの決算委員会の私の質問に対して、川口大臣からは、しかし、それをやるためには機密保護法的な法的な整備が必要なんじゃないかというお答えがあったと思うんですけれども、改めて御見解を聞かせてください。
川口国務大臣 外務省の改革の柱の中で、機密費を含む予算の使い方、これがきちんとなされているかということは一つの大きなかぎであると思います。その中で報償費は、これは委員御案内のように、情報収集ですとか、あるいは外交活動を我が国に有利に展開をしていくために必要な費用でございまして、そういった費用の性格上、それが具体的に何に使われているかということをオープンにするということは、相手方の信頼を失うという危険もございますので、非常に難しいわけでございます。ということで、これは本来、公にすべきものでないというふうに私は考えております。
 それから、国会で機密費についてこれをチェックするということにつきましては、いろいろな、その機密費の正しい使われ方をするということが必要な中で、国によってはそういうことをやっている国もあるということのようでございますけれども、これは先般申し上げましたように、一つは、国会が何をなさるかということは国会のお決めになることでありまして、私の立場は行政府の一員でございますので、そこの点についてどうすべきであるとかすべきでないとかいうことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいということが一点でございます。
 それから、国会が基本的に行政をチェックする立場にあるということと、外交上の秘密の保護という二つをどういうふうにバランスさせるかという難しい問題があると思いまして、これについては、国会が何をなさるかということは、先ほど申し上げたとおり、私が何か御意見を言うのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、報償費を議論する上で秘密が保護されるということは大前提であるということをこの前、決算行政監視委員会の場で申し上げさせていただいたということでございます。
岩屋委員 確かに、国会がどう関与するかというのはまさに国会が議論しなくちゃいけない問題だと思うんですけれども、私は、デモクラシーとシークレシーというのが常に緊張感を持って葛藤をする中で、日本の民主主義というものはやはり成熟していけると思うんですね。日本の国会にそんな秘密会なんか無理だよという話もありますけれども、やはり日本の国会が進化するというか成熟していくためには、やがて必要になってくることなのではないか。そこで知り得た情報を政治目的に利用するなどということは許されない、こういう共通の認識をやはり全議員が持つことによって初めて可能になるわけですから、それはぜひ我々これから研究していきたい、こう思っております。
 今申し上げたことにも関連するんですけれども、外務省における機密、これはどういうふうに保持されているのかなというふうに私はここのところずっと思っているんです。今般、いろいろな経過の中で、外務省から秘のついた文書がどんどん公開された、これは特別な目的のために大臣の特別な指示があって出てきたことでしょうから、それはわかります。それはわかりますが、そもそも、外務省という役所、最も機密に対してはセンシティブでなければならないはずの役所からどんどんいろいろな情報が出てくるということについては、いかがなものかなと実は私は思っております。
 防衛庁は、先般自衛隊法の改正で、防衛機密の漏えいに関する罰則強化、防衛庁だけがちょっと政府の中では突出した形でそういう法制を持っているわけですけれども、今外務省は、機密保持についてはどういう仕組みになっているのか。国民の皆さんは、外務省の機密保持能力に対する疑いというか不信感を私は今持っていると思います。その辺、どういう仕組みになっていて、どう改善するというお考えがあるのか聞かせてください。
川口国務大臣 私自身も、外務省から秘の印のついた文書が漏えいをしていくということについては、大きな危機感を感じております。それは、外交というのは信頼がベースになってできるものであるということからでございます。
 まず、外務省として、一般に公表されていないことで実質的にもそれを秘密にしておくことが必要であるものということについて、それが漏えいをしていくことについては徹底的な調査をすることが必要で、今それを行っているところでございますし、国家公務員法上の罰則の処分というのがあるわけでございますので、そういったことについても厳しく対応する必要があると考えております。
 それから、どういった基準で秘の文書の開示を行うかということでございますけれども、これはまさに委員がおっしゃったように、そういった秘密を保護するということと透明性、特に、国会が国政調査権に基づいてその資料が欲しいとおっしゃっているときに、そのバランスをどうとるかということの問題でございまして、これについては、一件一件非常に慎重に議論をしながら開示をさせていただいたということでございます。よく、外務省は恣意的に資料を出しているじゃないかという御批判ございますけれども、全くそういうことではございませんで、そういった基準に基づいて考えてお出しをしているということでございます。
 秘の指定につきましては、秘、極秘と分けまして、役所の中でどのレベルの人間が、具体的には、秘につきましては本省で課室長クラスが指定をし、解除もそのクラスが行う、極秘の文書については局部長クラスが指定をし、局部長クラスが解除を行うということでございます。今、「変える会」でこれについても議論をしていただくことに、まだこの議論には入っていませんが、しておりまして、どういう文書をどういう基準で秘に指定するか、あるいは極秘に指定するか、またそれをどのように管理をするか、それが漏えいしたときにはどういうふうに対応すべきか、そういったことをきちんとしていく、今までもきちんとなっておりますけれども、改めてし直したいと思っております。
岩屋委員 そこはさらにきちんとしていただきたいと思いますね。やはり、さっきも申し上げたように、外交機密というのは国益に直結をする情報、こういうことでございましょうから、それの管理についてはやはりしっかりしたルールを築いていただきたい、こう思います。
 時間がなくなってまいりましたので、両大臣に伺おうと思っていたものはちょっと割愛させていただきまして、最後にもう一度、川口大臣にお伺いしたいと思うんです。
 それは、大臣就任後に早速に改革案を出されまして、私は、拝見しましたが、非常に短時間の間に立派な改革案をおつくりになったと思います。ぜひ大臣に頑張っていただいて、リーダーシップを発揮していただいて、いい外務省改革案をつくりあげてもらいたいと思っているんですけれども、ただ、冒頭に「不当な圧力の排除」という項目がございました。これは一連のいろいろな事件がありましたから、それを冒頭に持ってくる、これはわかるのでありますけれども、さらに読んでいくと、政治家からの接触は逐一これを記録をして公開する、こういうふうに書かれてありまして、この大臣の御発言というか改革案が、今いろいろなところに飛び火をして、政と官のあり方はいかにあるべきか、こういう議論につながってきているわけでございます。これは、個別の事件にどう対処するかという問題と、もっと広く、政と官の接触のあり方はどうあるべきか、あるいは立法府と政府の接触のあり方はどうあるべきかという問題を、私は区別して考えるべきだというふうに思っているんですね。
 国会議員には当然、国政調査権がございます。いろいろな案件について、我々が調査をし研究をし、役所の皆さんに注文をつけ、あるいはアドバイスをする、これはある意味では国会議員の責務なわけでございまして、それを、あつものに懲りてなますを吹くような形で、一々記録をして公開するというやり方にするのはいかがなものかなと私は実は思っております。
 これまでの政と官の接触の恐らく九九・九九九九九%は極めて健全なものであったと思うし、双方にとって有益なものであったと思うし、国益上も非常に有益なものであったはずだ、私はこう思うわけでありまして、なぜそういう事件が起こったかというのは、これは政治家側にももちろん責任がありますが、そのモラルや使命感を欠如させていた外務省の方に大きな責任があるんだと私は思うんですね。そういう意味では、こういうことを契機に、本来は常識や良識や使命感やそういう範囲の中で処理されるべき問題を、新たな規則や法律に置きかえていくというのはいかがなものかというふうに感じているんです。
 これに関連して、我が党の一部には、官僚に報告義務を課すという法案を準備されているという動きがあると聞いておりますけれども、これも、私は法案骨子を見る限りは行き過ぎた規制になるのではないかなというふうに懸念をいたしております。
 いずれにしても、政と官が、反省すべきは反省しなくちゃいけませんが、萎縮をしてしまって自由濶達な意見交換ができない、こういうことになってしまったんでは、私は国益上の大きな損失になっていくんではないかと懸念をしております。
 この問題について、大臣のお考えをいま一度聞かせていただきたいと思います。
川口国務大臣 問題意識という意味で申し上げますと、委員がおっしゃった問題意識は私と全く同じだと申し上げていいと思います。
 政と官との関係というのは緊張したものでなければいけないということはおっしゃるとおりでございまして、それから、官も政もお互いに政策論議をすることによって相互に刺激をし合うということが非常に大事だと私は考えております。九九・九九%とおっしゃいましたけれども、ほとんどのものが問題のない官と政のコミュニケーションであったというのもおっしゃるとおりだと思います。
 難しいのは、その問題があった場合についても、これは日本がいい政策をつくってそれを実施していくということのために問題はあってはいけないわけでございまして、それが、委員がおっしゃるような形で政も官も自主的に自分をコントロールするという形でうまくいけばそれは多分一番いいでしょうし、そうでない可能性を踏まえたときに、どういうルールが必要だろうかということも考えておかなければいけない。その両方を両立させるような仕組みというのを、一つの省だけではなくて政府全体と立法府という関係でも考えなければいけないということでございまして、私は、これは例示として幾つかのことを書かせていただきまして、情報公開についても、情報公開の対象にすることを検討すると書かせていただいたわけでございますけれども、まさにそういったことが、何がいいか、何が望ましいか、何が必要かということについて、少し広い立場で大勢の方に議論をしていただいて、その議論を重ねていくということが大事だろうと思っております。
岩屋委員 我々もよく勉強したいと思います。
 終わります。
玉置委員長 次に、平沢勝栄君。
平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。
 限られた時間ですので、大臣、答弁はポイントだけ、簡潔で結構ですから、それでお願いしたいと思います。
 まず、北朝鮮についてお聞きしたいと思うんですけれども、北朝鮮について日本は、不審船だ、拉致だ、朝銀の問題だといろいろな問題を抱えているわけで、こうした問題を解決せずして日朝国交正常化をいたずらに急ぐというのは、これは私はおかしいということで考えております。
 まず北朝鮮に対する基本認識をお伺いしたいんですけれども、御案内のとおり、アメリカは、ブッシュ大統領一般教書演説で、イラク、イランと並んで北朝鮮を悪の枢軸国、敵性国家ということに位置づけているわけでございまして、従来からまた、テロ支援国家ということで言ってきているわけでございますけれども、大臣は北朝鮮をどう見ておられるか、これについてちょっとお聞かせください。
川口国務大臣 私は、北朝鮮というのは同じ北東アジアに位置する国で……(平沢委員「そういうことはいいですから、要するに、アメリカはこう言っているんですけれども、それについてどう思うかということをお聞きしているんです」と呼ぶ)
 アメリカについて、アメリカの発言についてどう思うかということでございましたら、このブッシュ大統領の発言は、テロの支援と大量破壊兵器あるいはミサイルの開発を行っている北朝鮮の、あるいはその他の同じようなことをやっている国を許さない、そういう開発を許さない、そういう強い決意を表明したということだと思います。ただ、ブッシュ大統領もパウエル国務長官も、すべての選択肢は排除しないけれども、平和的に交渉をしていきたい、外交努力を積み重ねたいということをおっしゃっていらっしゃいまして、それを積み重ねていくことが非常に重要である、前提なく北朝鮮と話をするということには変わりないとアメリカは言っています。
平沢委員 別にアメリカの解釈を聞いているわけじゃなくて、日本政府としてどう考えているかというのを聞きたかったわけでございまして、言うまでもなく、日本と北朝鮮の間で、先ほど申し上げましたように、いろいろな問題があるわけですけれども、一番大きなネックというのが、これは拉致でございまして、この拉致問題というのは、早いものは一九七七年に起こっているわけでございまして、もう四半世紀がたっているんです。
 被害者の方々、被害者の御家族の方ももう年とってきて、もうお会いになられているからおわかりだと思いますけれども、まさに悲痛な叫び声を上げているんです。大臣のお子さんが拉致されたと思えばこれはもう簡単にわかるわけでございまして、当たり前のことでございまして、国民の生命、身体、財産を守るというのは、これは政治として、国家として当たり前のことでございまして、じゃ、この間、長い間日本の政府は、外務省は、我々政治家にも責任ありますけれども、何をしてきたんだといったら、私は本当に真剣に反省しなければならないなと。
 外務省の今までの対応、政府もそうですけれども、ただ北朝鮮を怒らせない、御機嫌をとる、ただ誠意だけ見せる、そうすれば拉致した人が帰ってくると。全然帰ってこないじゃないですか。この間何をやっていたんですか。その辺で、私はこの間の取り組みについて総括をしなければいけないんじゃないかなと思っております。
 まず、警察庁、来ていますから、拉致被害なんて言うから非常に誤解を招くんだけれども、これは拉致事件ですよ。テロ事件ですよ。今、私が外務大臣に聞きたかったのは、これはテロ国家ということを言ってもらいたかったんですよ。これはテロじゃないですか。これは何でテロと、拉致容疑なんて言うからおかしくなるので、これは拉致事件、拉致事件というよりは、もうテロ事件と何で言えないんですか。
漆間政府参考人 私どもが北朝鮮による拉致の疑いのある事案とかあるいは拉致容疑事案と呼んでおりますのは、これは、北朝鮮の国家的意思が推認される形で本人の意思に反して北朝鮮に連れていかれた疑いあるいは容疑のある事案という意味で使っているわけです。
 したがいまして、八件十一名、今認定しておりますけれども、この中で、既に被疑者の一部が検挙されているようなものについては、これは事件という用語を使っております。例えば我が国あるいは韓国において被疑者が検挙されている宇出津事件とか辛光洙事件、これは事件というふうに使っております。
 しかしながら、全容を解明するということになりますと、まだ疑いが残る部分がありますので、したがって、全体を含めて拉致容疑事案、こういうふうに言っているわけであります。
平沢委員 もう警察庁、結構です。容疑というのをつけるとかなりニュアンスが薄まってしまいますから、もっと強く言うべきことは言った方がいいんじゃないか。
 そこで、外務大臣にお聞きしたいんですけれども、拉致問題について、私は、外務省のこの間の取り組みというのは、一言で言えばもう全くなっていないと思っているんですけれども、最近、自民党がこの拉致に関しての英文のパンフレットというのを発行したんですけれども、こんなことは当然外務省はやっていると思うんだけれども、外務省はやっているのかどうか、ちょっと外務省、答えてください。
川口国務大臣 英文のパンフレットについては、外務省はつくっていないと承知しています。
平沢委員 だから、おかしいんですよ。機密費を使うのもいいけれども、これこそ大事じゃないですか。何で、この拉致の関係で国際世論にも訴える必要があるので、拉致の家族の方々は、アメリカに行ってアメリカ政府に訴えて、国連に訴えているんですよ。なぜそんなことをしなきゃならないんですか。こんなのは政府がやるのが当たり前じゃないですか。外務省が先頭に立ってやるのが当たり前じゃないですか。
 そのためには、この英文パンフレットぐらいつくるの、自民党がつくるんじゃなくて、外務省がつくるのは当たり前じゃないですか。機密費があるなら、ワインを飲む金があるなら、これからまずつくってくださいよ。これは、私はぜひ大臣にお願いしたいと思うんですよ。
 それと、たった十人のことで国交正常化がとまってもいいのかという発言について、大臣は、この前の本会議の答弁の中で、いろいろと拉致問題について種々の議論が行われていた、そうした過程の中で安倍副長官がそういう印象を持たれた、そのような印象を与えたとしたら、反省すべきと考えているというような答弁を本会議でされておられますけれども、私自身も同じようなニュアンスのことは外務省の当時の担当者から聞いております。間違いなく外務省はそういうニュアンスを持っていたんです。要するに、拉致問題を余り騒ぐと国交正常化ができないと。じゃ、国交正常化したら必ず拉致が解決するという保証は何があるんですか。
 ともかくそういうニュアンスがあったことは間違いないので、大臣にお聞きしたいんですけれども、たった十人のことでというこの発言、これはきちんと調べたのかどうか、当時の担当者が直接聞いたのかどうか、シンガポール大使から聞いたのかどうか、シンガポール大使は何と答えたのか、それをちょっと答えてください。
川口国務大臣 その発言につきまして省内で当時の記録を中心に調査をしたということでございますし、この発言をしたとされている当人についても聞いたということでございますけれども、そういった発言があったという事実は確認をされていないわけでございます。
 九九年の十二月の村山訪朝団の訪朝の後の自民党の関連部会で、拉致問題解決を棚上げにして交渉再開を急ぐべきではないという批判が出たことに対して、槙田局長がそのような発言を行って反論をしたとされていますけれども、槙田局長がアジア局長になりましたのは二〇〇〇年になってからでございまして、九九年の十二月の時点では、槙田局長はそのポストにはいなかったということでございます。
平沢委員 私は、槙田氏とも何回も会ってそのようなニュアンスのことは聞いているんです。安倍さんの言っていることもこれは間違いないと思うんです。外務省の中に、槙田さんだけじゃない、阿南さんもそうですけれども、そういう空気があったことはこれは間違いないので、しかも、今なおそういう空気があるんじゃないですか。私は、外務省というのは本当に真剣に反省してもらいたいなと思っております。
 いずれにしましても、最近の報道で、拉致問題でプロジェクトチームをつくるというようなことも含めていろいろと安倍さんが取り組んでいるんですけれども、これについて報道では、田中アジア大洋州局長が安倍さんのところを訪ねて、我々も一生懸命やっているんだから今は静かにしてくださいということでとめたとか、あるいはプロジェクトチーム、これについては北朝鮮を刺激することになるからやめてほしい、余りやらないでくださいというようなことを言ったとか、いろいろなことを外務省の一局長が動いたということが報道されていますけれども、これは事実なんですか、外務大臣。
杉浦副大臣 私もPTの一員でございまして、明日、第二回のPTを開催することになっております。(平沢委員「いや、この働きかけがあったのは事実かどうか、田中局長から」と呼ぶ)私は聞いておりません。安倍先生にも確認しましたが、聞いておりません。
平沢委員 これらしきことはあったことは事実なんですよ。ですから、外務省というのはしっかりしなきゃだめなんです。
 要するに、本当に国益を踏まえて、大臣はそれを知っておられたのかどうか知らないけれども、そういう形でよく動くんですよ。そして、拉致の問題というのは、はっきり言いますけれども、今、日本の北朝鮮との関係、日本の外交にとって、そして日本の国家主権が侵害された問題なんですから、最大の課題の一つなんですよ。これについて真剣に取り組むというのは当たり前のことなんですよ。それについて外務省の局長がちょろちょろ動いてやめさせようというのは、これはおかしいんじゃないですか。
川口国務大臣 田中局長の発言と今委員がおっしゃったことにつきましては、これは私は個人的に田中に確認をいたしておりまして、そういう事実はございません。
 それから、もう一つ申し上げておきたいのは、外務省は、拉致問題というものを非常に重要な、重大な問題だと受けとめておりまして、さまざまな働きかけを日朝国交正常化交渉等の場で行ってきておりますし、昨年来さまざまな動きを外務省として、拉致問題を初めとする諸懸案についてやってきておりまして、また、そういった北朝鮮とのやりとりの中で、北朝鮮側から、例えばことしの二月の杉嶋元日経記者の解放といったような具体的な動きが出てきているわけでございます。
 そういう意味で、外務省として政治家の方と政策について御議論をさせていただくということは、これは官僚としてやるべきことだと私は思いますけれども、委員がおっしゃられたようなコンテキストで、文脈で田中がそういうことを申し上げたことはないと私は確認をいたしております。
平沢委員 では、もし違ったらマスコミにきちんと訂正のあれをやっておいてください。当たり前のことですから、これは重要なことですから、国益にかかわることですから、きちんとした訂正をやっておいてください。
 最近、北朝鮮がいろいろな形でシグナルを送ってきています。この前、総理が韓国に行って、米支援も考える、拉致問題が進展ない限りというようなことで、強い姿勢を示しました。この前の不審船のときも、日本は毅然とした対応をやりました。恐らく北朝鮮も予想しなかったんだろうと思うのですけれども、日本としては、極めて珍しくというか、今までになかった厳しい対応をしたわけでございまして、総理が韓国に行かれて、それであの毅然とした対応をしたその直後に、行方不明者の調査を再開するということを北朝鮮から言ってきて、また日朝赤十字会談の提案というのがありました。
 そもそもこの行方不明者については、我が国にいないことが判明したということを北朝鮮は一回言っているんです。それをまた、今度は急にこんなことを言ってきたというのは、これは外務大臣、何が原因だと思いますか。
 要するに、韓国に行って、小泉総理が厳しい、米支援しないよということを、拉致問題解決しないとということを言ったその場になって、急に向こうがそういう対応をしてきたわけですけれども、それは何が原因だと思いますか。
 簡単に言ってください、簡単に。時間がないものですから。
川口国務大臣 この件につきましては、先ほど申し上げましたように、昨年来さまざまな北朝鮮とのやりとりの中で、杉嶋記者の解放といったこともございまして、今回の発表もそういった流れの中であるということかと私ども思っております。
 北朝鮮については、小泉総理からおっしゃられたように、拉致問題については非常に重大な問題だということを発言していただいているわけでございます。
平沢委員 そうじゃないんです。やはり毅然とした対応をすれば、北朝鮮というのは変わるんですよ。
 では、大臣にお聞きします。レバノンは、四人の北朝鮮に拉致された人を取り返したんですよ。これは何が原因だと思いますか、大臣。レバノンは四人取り返したんですよ。
川口国務大臣 北朝鮮に対して、委員おっしゃるように、粛々と、なおかつ毅然とした態度でということは、非常に大事な要素だと思っております。
 おっしゃったレバノンの件については、それぞれ具体的にこれは見てみないとわからないと思いますが、話し合いによって解決をしていくということの重要性については一致をしていると思います。
平沢委員 話し合いで解決するのは当たり前のことですけれども、要するに、レバノンというあの小さな国が、四人拉致されて、きちんと毅然とした対応をして取り戻したんですよ。日本という国は何なんですか。もう長い人は二十五年も拉致されて、外務省は何をやってきたんですか。この辺をもうちょっとしっかりしなきゃだめですよということを私は申し上げているんです。
 そこで、時間がないから次に移りますけれども、去年の五月一日の、金正男が不法入国したときにこれを帰した事案、この前本会議で、大臣はこういう答弁をされているんです、本件の処理が長引くならば、内外に予期しない混乱が生ずるおそれもあったと考えていると。これはどういうことですか、私はさっぱりわからないんですけれども。これはどういうことですか。ちょっと答えてください。
川口国務大臣 この件につきましては、法務省が関係省庁と協議の上に、この事案については、民主主義国家として法令に基づいた処理をする必要があるということでございます。
 当時の状況にかんがみて、この処理が長引くと、予期しない混乱が生じるおそれがある、そのように判断をしたというふうに理解をいたしております。
平沢委員 さっぱりわかりません。これは答えをそのまま読んでいるだけじゃないですか。何ですか。予期しない混乱というのはあり得ないと私は言っているわけですよ。だから、予期しない混乱というのはどういうことかということを聞いているのだけれども、そんな、答弁には全然なっていませんよ、これ。
 では、大臣にお聞きします。では、これはだれなんですか、この前、偽造旅券で入った人、帰したのはだれなんですか。だれですか。
川口国務大臣 御指摘の人物につきましては、北朝鮮出身者であるということは認められたものの、本名等を確認することはできなかったと承知しております。
平沢委員 では、北朝鮮の人間なんて二千万人以上いるわけだから、そのだれだかわからない人間が来て、日本に置いておいて、何でこれは予期しない混乱が起こるんですか。これはもう一回、ちょっと教えてください。ちょっと教えてください。だれだかわからないんだったら。
川口国務大臣 これは当時の関係者の皆様方、外務省、法務省その他で協議をしてそういう判断に至ったというふうに承知をしていますけれども、そういう判断に至った詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。
平沢委員 全然答弁になっていないんですよ。だから、これは金正男だということを認めてないんでしょう。北朝鮮は何と言っていたんですか。北朝鮮は、自分のところの国家主席の息子と言ったんですか。全然言っていないじゃないですか。では、何でこんな者、すぐ帰さなきゃならないんですか。
 それで大臣は、国会で、長引けば予期しない混乱と。だって、どこのだれだかわからないのに、何でこの予期しない混乱が起こるんですか。わかった上で、わかった上で、これは北朝鮮にとって大事な国家主席の息子だからというのならわかりますよ。まだわかっていない段階で帰したからといって、何でこれは混乱が起こるんですか。もう一回ちょっと答えてください。
川口国務大臣 これは、先ほど申しましたように、法務省の入管当局において、退去強制手続に必要な範囲の調査を行ったということでございまして、その他の、今お聞きのような御理由については、法務省に直接にお聞きいただければというふうに思います。
平沢委員 これは当時、当時……(発言する者あり)何をおっしゃるんですか、当時、古川官房副長官とか事務方が集まって、そこに槙田氏も入って、槙田氏は強硬に、これは帰さなかったら大変なことになるということを言っておられるのですよ。ですから、私は外務省の責任も、これは外務省がむしろ主導した形になっているんですよ。法務省、来ていますか、これは外務省が主導したんです。事実上、外務省が主導してやったんですよ。法務省に聞いてくれというのは、もう本当のあれじゃないですか。
玉置委員長 法務省。
平沢委員 いや、法務省じゃないんだよ、これは外務省なんだよ。事実上、会議を主導したのは外務省なんだから、当時の槙田氏が。だから、これはおかしいですよ、こんな形で帰してしまうというのは。だから、はっきり言ってくださいよ。これは金正男なんでしょう。だって、大臣は、予期しない混乱が起こると言っているんだから。予期しない混乱がどこのだれだかわからない男に起こるはずないじゃないですか。偽造旅券で入ってくるやつなんて山ほどいるわけだから、山ほどいる偽造旅券で入ってくるやつに混乱なんて起こるはずないじゃないですか。
 では、はっきり聞きますよ。では法務省、一言だけ。これは外務省の高官佐藤審議官以下三人くっついて、法務省も三人くっついていったんだけれども、偽造旅券で入ってきたやつに、外務省の人間がくっついて帰すことというのは今まであったのかどうなのか、それだけ教えてください。
中尾政府参考人 お尋ねの人物につきましては、外務省がそこに同行したということは、私の知る限り、承知しておりません。(平沢委員「初めてでしょう」と呼ぶ)はい。
平沢委員 要するに、この金正男、どこのだれだかわからない男、これについて、外務省も、佐藤審議官という大物を含めて三人が同行しているんですよ。それで法務省も三人。今の法務省の答弁を聞いてくださいよ。外務省がくっついて、偽造旅券で入ってきたやつを帰したなんということはないと言っているんですよ。では、何で外務省は三人もくっついていったんですか。これを教えてくださいよ。法務省だけでいいじゃないですか。なぜ外務省はくっついていったのか、外務省はなぜなんですか。
川口国務大臣 私が理解をいたしておりますところでは、この外国人の移送に際して、移送中の混乱を防止し、かつ中国側への引き渡しを円滑に行うという観点から、外務省職員を同行させたというふうに聞いております。
平沢委員 全くわかりません、これは。何で混乱が起こるんですか、どこのだれだかわからないのに。では、偽造旅券で入ってきたとき、みんな佐藤審議官がくっついて送るんですか、偽造旅券で入ってきたとき。
 では、これはだれなんですか、この入ってきた人は。だって、偽造旅券で入ってきた人にみんな佐藤審議官がくっついて、全部同行して、外国まで送るというのならわかりますよ。なぜ、この男だけ、佐藤審議官初め三人もくっついて、ファーストクラスを借り切って送るんですかと聞いているわけですから、全然答弁になっていないでしょう。
 なぜ混乱が起こるんですか。相手が、人定がわかったというのならいいですよ。人定も何も言わないで、混乱が起こるからといって、こんなばかな話ないじゃないですか。もう一回答弁してくださいよ。
川口国務大臣 御指摘の人物の人定につきましては、これは入管当局でさまざまな範囲の調査を行いまして、北朝鮮出身者であるとは認められたものの、本名等については確認することができなかったと承知をいたしております。
平沢委員 委員長、もうやめてくださいよ、こんな答弁。答弁にならないじゃないですか。私は、なぜ佐藤審議官以下、どこのだれだかわからないのに三名もくっついた、北朝鮮籍はわかりましたよ、なぜ三名もついていったんですかと。こんなこと、おかしいじゃないですか。
 ちょっととめてくださいよ。ちょっととめてください。おかしいよ、この答弁。
川口国務大臣 外務省の職員が同行したということは、現実に、その時点で既に大きな騒ぎがあるという現実がございまして、移送中の混乱を防止して、中国側に引き渡しを円滑にするという観点で同行したということでございます。
平沢委員 なぜ混乱が起こるかと聞いているんですよ。どこのだれだかわからない男に、なぜ混乱が起こるかと聞いているわけですよ。
 だから、なぜ金正男ということを認めないんですか。北朝鮮に遠慮しているからですよ。なぜ、北朝鮮にそこまで遠慮する必要あるんですか。金正男ということを認めたらいいじゃないですか。外務省はそこまで北朝鮮に気を使っているんですか。そう御機嫌とるんですか。だからおかしいんですよ、日本の外交というのは。そこが日本の外交の一番の問題じゃないですか。そこを言っているんですよ。
 だって、あれでしょう、佐藤審議官以下、外務省が三人もくっついて、それで移送中の混乱だとかということは、金正男だということでしょう、これは。金正男だからくっついていったんでしょう。その金正男ということをなぜ認めないんですか、外務省は。そこが外務省の一番の問題じゃないですか。
 北朝鮮を刺激してこれを怒らせたくない、北朝鮮に誠意を見せれば、北朝鮮が返してくれるだろう、誠意を見せて、それなりの対応があるだろうと。それは何だ。多分拉致も、返してくれるかもしれない、日朝国交正常化にはプラスになる。本当になったんですか。その後に何があったんですか。行方不明者の調査を中止する、不審船を送ってくる、こういうことじゃないですか、幾ら誠意見せたって。何にもその後いいことなんかないじゃないですか。
 だから、おかしいじゃないですか。金正男ということを認めたらいいじゃないですか。なぜ認めないんですか。もう一回答弁してください。
川口国務大臣 これは、法務省の入管当局におきまして、関係法令等に従いまして調査を行って、御指摘の人物の人定につきまして、本名を確認することができなかったというふうに外務省としては承知をいたしております。
平沢委員 もう時間が来たから、またやりますけれども、だから外務省というのはだめなんですよ。こんな、国益を忘れ、日本の国民の感情も全く無視し、北朝鮮の御機嫌取りに終始し、そして拉致家族の方が、これだけ帰ってこれなくて悲痛な叫びを上げていても、その声がわからない。だから外務省はだめなんですよ。
 確かに、機密費の問題とかいろいろあるでしょう。それよりもっと問題なのは、国益を忘れているということですよ。こんな外交やっているから、国民の皆さん、外務省に対する信頼を失うわけですよ。もっと大臣しっかりしてくださいよ。
 時間来ちゃったから、これだけ言って私の質問を終わります。
玉置委員長 次に、前原誠司君。
前原委員 朝銀の問題について質問をします。
 二月二十六日の予算委員会でこの問題をやらせていただきまして、その第二弾でやらせていただきたいと思います。
 まず、事実認識からお話をいたしますと、最大三十八あった朝銀が、現在、合併、破綻を繰り返して、健全にというか、経営されているものについては三つしかない、こういう状況であります。そして、今までの預金保険からの資金援助額というのは六千二百三十一億円、しかもまだ未処理の案件というのがありまして、その未処理の案件の合計額を出しますと四千三百四十七億円ということで、この間、参議院の予算委員会でも、ここにお越しになっております村田副大臣が、最終の処理額は一兆円を超える、こういう答弁をされておられます。
 私は、その予算委員会で申し上げたのは、四つの前提が必要だということを申し上げました。
 一つは、今回の朝銀の問題、いろいろ刑事事件、民事事件として立件はされておりますけれども、これは朝鮮総連の組織ぐるみの問題だということであって、個人の犯罪に矮小化してはいけない、この点について調査をしてほしいということを申し上げました。この点については、後で御質問しますが、明確なお答えがまだありません。
 それから二番目には、朝鮮総連に渡ったお金が北朝鮮に送られていたということについての事実認定ということでありましたけれども、柳澤大臣に対しての質問で、後で答弁書としてもらいましたのは、
  朝銀の総連向けの融資については、朝銀東京の業務上横領事件の公判においても、総連側への借名、架空名義融資として確認されたものがある。何をもって「組織ぐるみ」の犯罪というかは明らかでないが、捜査の結果、元総連財政局長等が横領した朝銀の資金が総連の使途に充てられていた事実が解明されている。
こういうことで、いわゆる総連に対するお金は国として認めている。しかしながら、
 総連が集めた資金の北朝鮮への送金については、外為法等に違反するとの事実は把握されていない。
これも後で質問しますけれども、今こういう答弁しか来ておりません。
 それから、三つ目の条件としては、もし組織ぐるみという認定がされれば、当然ながら回収ということを行わなければいけないわけで、総連の資産の提供というものは、これは前提でなければいけません。これが三つ目の条件。
 四つ目の条件は、在日の方々の今後の御商売あるいは金融機関の利用ということを考えれば、今申請をされている四つの信用組合について全く頭からノーだと言うわけにはいかない。しかし、この申請の朝銀関連四信用組合が、朝鮮総連との関係が全く絶たれているということがやはり前提でなければいけない。
 この四つのことを私は前提として申し上げました。
 一つずつお話をしていきたいと思うわけでありますが、いまだに組織ぐるみという言い方はしていなくて、個人の犯罪、つまりは業務上横領などに特化をされている。要は、私が総連の元幹部の方々、複数の方々にお話を伺ったところ、こういった問題については許宗萬責任副議長を中心とする総連の指示があってやったことだということでありますが、いまだにこの朝銀の破綻の問題については、個人の犯罪として政府は取り扱っている。ここは大きな問題だと思います。
 捜査当局にお伺いをしますけれども、これは民事、刑事の問題、つまりは個人の犯罪として取り扱うだけなのか、総連のいわゆる組織ぐるみとしての犯罪としてなぜ取り扱わないのか、その点について御答弁ください。
漆間政府参考人 このたびの事件捜査は、警備局の方で見ているものではございませんで、刑事局の方で見ておりまして、それをどんな犯罪として見ているのかということについて、私の方から責任ある答弁はできません。
前原委員 これは質問通告しているんですけれどもね。質問通告していて、これが責任ある答弁はできないというのは、どういうことですか。
漆間政府参考人 実は、私たちの方が質問通告を受けた内容は別の内容でございまして、この事件捜査について警備局に答弁をしてくれというような質問通告は受けておりません。
前原委員 それはあなた方の問題であって、私は一番目に、朝銀破綻の主要因は朝鮮総連への資金提供があったと認めるかということなんですね。事実関係の話をしているんではなくて、つまりは、レクにも来られましたよ、レクにも来られたときに、私が二月二十六日に予算委員会で質問したところの大前提の二つは、組織ぐるみであるか、個人の犯罪に矮小化するかという話と、それから本国送金への事実認定の話だったんです。だから、答弁できないというのはおかしいじゃないですか。
玉置委員長 ちょっと待って、委員。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
玉置委員長 では、速記を起こしてください。
 ただいまの理事間の協議におきまして、前原さんの質問につきまして、警察庁から理事会に対して回答を出していただくということで決着をつけたいと思います。よろしいですか。はい。
 じゃ、再開いたします。
 前原君。
前原委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 第二点目の問題なんですが、本国送金への事実認定ということなんですけれども、予算委員会理事会に出された私の質問への回答というのは、
 総連が集めた資金の北朝鮮への送金については、外為法等に違反するとの事実は把握されていない。
こういう話なんですね。これはどういうことか。つまりは、外為法違反の事案としては確認できていないけれども、確認できなかった範囲外でそういうものがあったかもしれないという話なのか、それとも、いやそんな、一切、絶対ありませんと、自信を持って北朝鮮への送金はないというふうに断言されるのか、どちらですか。答弁ください。
小寺政府参考人 外国向け送金につきましては、現行外為法上、原則として自由でございますが、対外取引のマクロ的な動向を把握するため、国際収支統計の作成の観点から、支払い等の報告、また現金等の支払い手段等の携帯輸出入の届け出を徴しているところでございます。
 しかしながら、送金された資金がどのような形で集められたかについては把握できておりません。したがって、御指摘のような事実、つまり朝鮮総連が集めた資金の北朝鮮への送金について、当局としては事実は把握しておりません。
前原委員 事実を把握していないということはどういうことですか。つまりは、送金があったのかなかったのか。その事実を把握していないという意味はどういう意味なんですか。自分たちは把握できていないということですか。
小寺政府参考人 把握できておりません。
前原委員 だったら、そう言ってもらわないと。この答弁書だったら、これも「把握されていない。」と書いてあるんだけれども。要は、つまり、ということになれば、北朝鮮へ送られたお金についてはしっかりとすべて網羅的に把握できていない、つまりは、違法な北朝鮮への送金というものについて政府が看過していたということになるわけです。
 このことについて、政府はどこで責任を持って考えていかれるのか。つまりは、外為法違反ですから財務省にはなると思うんですけれども、把握できていないということの責任というか、これはだれに質問していいのかよくわからなくなるんですが。
 いやいや、ちょっと待ってください。
 ということは、つまりは、北朝鮮への送金は違法なものは把握できていないということをおっしゃったということでありますが、ということは、違法な北朝鮮への送金があった可能性があるということを政府として認められるのかどうか、その点について御答弁ください。
小寺政府参考人 繰り返しになりますが、私ども、違法な取引があったかもしれないという……(前原委員「可能性を否定するか否定しないかということです」と呼ぶ)その点については私どもの知り得ないところでございます。
前原委員 知り得ないじゃなくて、だから、その可能性を否定するか否定しないかということを言っているわけです。
小寺政府参考人 一般的に原則論と、論理的に考えて、否定できるかできないか、大変難しいところだろうと思います。
前原委員 もう一遍、ちゃんと答えてください。
小寺政府参考人 ロジカルに、一般的な問題として、違法性のものがあったかどうかということの可能性を否定するものではないと思います。
前原委員 私が先ほど申し上げたように、複数の朝鮮総連の元幹部の方々にお話を伺ったところ、御自身で持っていかれたという方もおられました。一回に二億円と五十万ドルですからかなりの額でありますし、また、今から質問いたしますけれども、新潟に到着をする万景峰号に搭乗する人たちに、例えば百万ずつ百五十人から二百人に渡せば、それで一億五千万から二億円のお金を向こうへ持っていくことができるわけでありまして、そういう事例というものを報告されていたということからすれば、今おっしゃったように、北朝鮮への違法な、あるいは不法なと言った方がいいのかもしれませんが、送金というものは可能性があったということだろうと思います。
 その具体的なところの詰めの質問になりますが、証言によりますと、新潟税関はかなりこの点について甘い、あるいはチェックがないという話も伺っております。港の方でありますけれども、この新潟税関の検査体制について、これは事前に質問通告しておりますが、しっかりと法律あるいは内規にのっとったチェックができているのかどうか、その点の実態の調査の報告といいますか、その実態について御答弁いただきたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御案内のように、現金等の支払い手段の携帯輸出につきましては、外為法令によりまして、輸出しようとする支払い手段の合計額が百万円相当額を超える場合におきましては、当該輸出者はあらかじめ財務大臣に届け出なければならないとされております。この届け出の受理権限は、税関長に委任されているところでございます。
 税関は、旅客の出国に際しまして、今申し上げました届け出義務の履行を確保するため、旅客に対しまして適切な指導を行うなど、法令の適正な運用に努めているところでございます。
 今まさに御質問のありました、新潟港に入港しております北朝鮮の定期的な貨客船でございます万景峰92号でございますけれども、新潟税関所におきましては、警察等の関係取締機関との連携によりまして、船を訪れる訪船者が、入港中のこの船に現金等を不正に持ち込むことのないように厳重に警戒しておりますし、また、北朝鮮向けに出国する旅客の携帯品につきましても、開いて見る開披検査、あるいはエックス線検査を行うなど厳重な取り締まりを実施しているところでございます。
前原委員 例えば、こういうことは法律に違反するのかしないのか。今、百万円までであれば届け出なしに持ち出すことができるという話でしたが、ある一人の特定の個人あるいは組織が、百万円以上を頼んで分散させて持っていかせた、そして向こうに着いてお金を、御苦労さんということで集めた、これについては法令的には違反なんですか、合法なんですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました外為法令の届け出義務でございますけれども、これは、携帯して持ち出すそれぞれの人についての届け出義務でございます。
前原委員 ということは、もう一遍聞きますけれども、ある一人の人間あるいは組織が、百万円以上を国外に持ち出そうとして、そばにいる人あるいはお願いした人に百万円以下に分散をさせて持っていくことは、今のお答えだと合法だということですね。
藤原政府参考人 基本的には、先ほど申し上げましたように、一人一人が携帯して百万円相当額を超えるかどうか、それを超える場合に、その一人一人につきまして届け出義務が課されているということでございます。
前原委員 今答弁されたように、ざるを見越して、分散をさせて、そして巨額の費用を国外に持ち出している、これはやはり私は、法律の文章あるいは解釈ではオーケーかもしれませんが、確実に法の精神からは反した行動であると思います。
 このことについては、今、村田副大臣おられますので、聞いておられておかしいと思うんですよ。この法律の解釈なり実行体制の見直しをしないと、北朝鮮への、今の実態で、小分けにして何百人に持っていかせるということになれば、問題なく外にお金を出せるということになるわけでありまして、この点はやはり法改正を含めてしっかりとした対処が必要だと思いますけれども、大臣、御答弁ください。
小寺政府参考人 特定国を念頭に置いた質問にお答えすることは難しいんですが、外為法の取引は原則として自由でございます。
 ただ、一般論として申し上げれば、現行の外為法上、我が国が締結した条約、その他の国際約束を誠実に履行するための必要があるとき、または国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するために特に必要があるときには、例えば資本取引に対して許可制にするというようなことである程度の制約を設けることは可能でございます。
 ただし、実際にこうしたケースを適用するかどうかというのは、我が国の国際社会の一員としての義務を的確に果たす等の観点から、具体的な事案に応じて関係省庁と協議の上、国際社会の動向等について我が国の影響を勘案しながら総合的に判断をするということではあると思います。
前原委員 何を言っているのかさっぱりわからないんですが。もし答弁できないんだったら、時間のむだになるので、答弁しないでください。
 要は、先ほど御答弁があったように、ある人の持ち物を頼んで小分けにして持っていっても、それは法律上問題はないという答弁があったわけです。これは、不法に国外に大量のお金をともすれば持ち出すことのできるという、外為法の精神に反するものであって、ここは看過できる話では私はないと思うんですね。
 その点について、きょうは責任ある御答弁をされる方がおられませんので、問題点として私はしっかりとテークノートをし、また、答弁者にもその問題意識を持っていただいて、大臣のおられるところでまたこの問題については私はしっかりと提起をし、またその方向性に努力をしていただきたいと思います。
 次の質問に行きます。
 金融庁にお越しをいただいていると思いますが、第三の私のポイントは、この朝銀は、いわゆる総連との関係が新生朝銀については絶たれていなきゃいけない、こういうことでありました。その後、金融庁からも何回も御丁寧に、改善策について御努力をされていると。またその中身についてもいろいろとお教えをいただいているところであります。例えば、「経営の透明性・独立性の確保」ということで、定款にまで四信用組合に盛り込ませるということになっております。
 ただ、実態論として、ぜひここで金融庁の皆さん方に内容を理解していただきたいわけでありますが、この「経営の透明性・独立性の確保」のところに、「朝銀信用組合、朝銀で構成される団体、在日本朝鮮人総連合会の役員経験者を役員としない」、こういうところが定款として盛り込まれました、したがって、総連との関係というものはある程度絶つことができます、こういうような説明でありました。しかし、私の調査によりますと、実際はそうなっておりません。
 例えば、余り個人名を申し上げるのはいかがかと思いますので、個人名抜きで、役職名で申し上げますと、ハナ信用組合、この理事長の方は朝鮮大学校の助手を経て経営学部長、一貫して朝鮮大学校で勤務という方であります。これはハナ信用組合の新たな理事長になられる方であります。あるいは、ミレ信用組合の理事長の人は、経歴は商工会大阪府理事長ということなんですね。
 それで、朝鮮総連というのは任意団体なんです。そして、任意団体で、実質的にその支配をしているところは学習組と言われている裏の組織なんです。つまりは、朝鮮総連というのは表の看板であって実体はない、実際に朝鮮総連の運営を行っているところは学習組と言われるところなんですが、ハナ信用組合の新理事長なる人は学習組の幹部なんですね。つまりは、朝鮮総連の実体を取り仕切る組織の幹部の人が新しい信用組合の理事長になることになっています。また、ミレ信用組合も同じ学習組の幹部。それから、兵庫ひまわり信用組合の理事長になる人、商工会の学習組に所属。それから、京滋信用組合、商工会の学習組に所属。ということで、要は、朝鮮総連の実体の組織である学習組に所属をしている、あるいはその幹部の方々が、新しい信用組合の理事長になっているわけです。常務理事なんかも全部調べました。調べていただいたと言う方が適切でありますけれども。
 ということは、皆さん方が総連との関係を新たな信用組合では切ろうと努力をされているにもかかわらず、また、その中で定款まで設けさせて、総連の役員経験者を役員としないということでありますが、この場合の総連というのは、実質は学習組なんですよ、学習組。だけれども、学習組の役員、幹部ばかりが理事長になっているということは、この新たな四信組合の理事長はすべて実質的には定款違反で理事長になっているということになりませんか。大臣、答弁してください。
村田副大臣 私ども、残りの新設四受け皿信用組合、この設立認可に当たりましては、かねてから朝銀東京の朝鮮総連向けの不正な送金等が把握された、そういうこともございまして、私ども自体、朝鮮信用組合それぞれは中小企業等協同組合法に基づく独立の組織である、そういう認識でありましたが、朝信協という組織等もございまして、そういう意味で、皆さん方から朝鮮総連の実質的な支配下にあるではないかという御批判をいただいてきたこともございまして、今回の新しい受け皿を認可するに当たりましては、委員今御指摘のようなことについて、私ども、定款に、その人的要素の中に、そうした総連関係の者について排除する、こういうような規定を設けさせたところでございます。
 三月の二十日に、各信用組合から申請がございまして、私ども信用組合の認可をしたわけでございますが、私どもから新設の信用組合に尋ねたところ、先生のおっしゃるような者がいわゆる学習組という組織に属している、そういう事実はない、こういう報告がございました。
 したがいまして、私どもの認識としては、現状において定款違反の事実があるというふうには考えておりませんが、仮に、そういう事実がある場合には、私ども、厳正に対処してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
前原委員 一番初めに申し上げたように、今までで六千二百三十一億円、これからも、これをスタートさせるということになれば、七月一日がスタートだというふうな話を聞いておりますけれども、合わせて一兆円以上の公的資金を預金保険機構から出すという話なんですね、これは。
 それで、この問題点というのは、柳澤さんもおっしゃっていましたけれども、とにかく、先ほど副大臣が御答弁されたように、在日の方々のいわゆる民族系の金融機関として必要だ、その認識は私も一緒なんです。だから、つくるなということを言っているわけではない。しかし、いかにこの総連と切り離すかということが大事なわけです。
 幾つかの例を申し上げましょう。
 金正日総書記の誕生日に総連の幹部が北朝鮮、ピョンヤンに行って、この朝銀の問題で話し合われたということも言われています。また、先ほど問題になっていた金正男が、北京でこれまた総連の幹部と朝銀の問題について話をしたということが言われています。
 このハナ信用組合の設立総会に集まった人たちが一千人、それから、兵庫ひまわり信用組合に集まった人が一千六百人、この中には、大部分と言っていいけれども、いわゆる総連支配ではなくて本当に民族系の金融機関としてこの信用組合が機能してほしいという人たちが集まったわけですけれども、その人たちの設立総会に出た後の意見というのは、落胆の声がほとんどだった。それはなぜかというと、相変わらず、総連に支配を受けている人たちがトップにいるじゃないかというのがその人たちの落胆の大きな声の中身だったんですね。
 今、副大臣は、朝鮮総連の学習組に所属していないとおっしゃいますけれども、それだったら、全くの調査不足あるいは事実誤認、それでもしお金をさらに入れようとするんだったら、自分が辞職してからにしてください、それぐらいの責任ある問題ですよ。
 すごい大きなお金をこれから入れる話で、しかも、これからの新設四組合については総連と切り離すということを努力していこうということは金融庁としても取り組んでいるわけでしょう、取り組んでいて定款にも盛り込ませた。これは評価はあるんですよ、評価している向きはいわゆる在日の方々の中にもあるわけです。あるけれども、実際に運用が全然定款どおりになっていない。
 今申し上げたように、朝鮮総連というのは任意団体であって、実質的には、看板の朝鮮総連じゃなくて、裏の学習組というところが実質的ないわゆる組織として運営されている。その学習組の幹部、あるいは学習組に所属している人が全部理事長になっているじゃないですか。それを、今、副大臣は、そういう事実認識がないとおっしゃるんだったら、事実認識が間違っているんですよ。
 徹底的にもう一度調査して、そのことをこの安全保障委員会の理事会に、理事長なり常務理事なり、いわゆるその方々の背景というものを、徹底的に警察等も含めて調べ上げて、そして、どういう人物なのかということを調査して、報告してください。そうじゃないと、絶対に新たな税金投入は認められる話じゃないですよ。
 それを約束できるかどうか、副大臣、答弁してください。
村田副大臣 私どもも、今、委員が御指摘なさったように、総連向け等の不正な融資がございまして、そういう関係で、定款に、総連からの一定の独立、完全な独立を担保しなければいけない、そういう条項を盛るようにというふうにしたわけでございまして、定款に抵触するような事態が出てきた場合には、免許の取り消しを含めまして厳正な処分をする、法律上もそうなってございますので、私どもとしては、今後とも、定款の内容が将来にわたって守られるかどうかということについては厳しく見守っていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
前原委員 いやいや、そんな空手形をもらったって何も実効ある答弁にならないんですよ。
 実際に、新たな、新設四信組の理事長について、さっき副大臣は、学習組には所属していないという我々の調査とは違う答弁をされているんですよ。そういうことは、実際に、事実と違う調査をして、甘く見過ごそうとされているわけです。
 実際、他の在日の方々から話を聞くと、二次破綻の可能性が高いと言うんですよ。結局は、総連の支配にこの新たな四組合もなるんだなと。後でまた質問しますけれども、今、経営されている朝銀中部、朝銀北東、朝銀西、これについてだって、新たな信組に対して金を入れているわけですよ。これは総連の指示だという話を私は聞いています。ということは、はなからこの四つについては、もう今から、一番初めの第一ボタンをかけるときから総連と切れていないという話じゃないですか。だから答弁を求めているわけですが。
 もう一度調査をし直して、理事長、常務理事、その人たちが朝鮮総連と本当に関係のない人なのかどうか。あれば、先ほど、要は定款違反として処分するということもはっきりおっしゃいましたよね。そういうことも含めてしっかりもう一度調査をし直して、その調査結果を安全保障委員会の理事会に提出すると御答弁をください。
村田副大臣 私ども、法令に従って厳正に対処する、こういうことでございまして、私ども、定款に定められた事項が確実に守られるということをしっかりと監督していきたい、こういうことでございます。
玉置委員長 前原君。(前原委員「答弁してないですよ、委員長」と呼ぶ)再調査するかどうかですね。答弁、中身が違うわけでしょう。はい。
 村田副大臣。
村田副大臣 新たな事実が出てきた場合には、私ども調査を進めなければいけないというふうに考えておりますが、私ども、学習組なるものが今御指摘のような問題があるということは認識しておりますが、私どものこれまでの審査では、新たな役員の中に学習組に属する者は存在しないということでございますので、認可をした、こういうことでございます。
前原委員 ですから、その調査が私の調査とは違うと言っているのですよ。
 だったら、責任とるのですか、調査して、本当に学習組に所属をしている、あるいは、実際出たり入ったりしているケースも多いのですよ。そういうものを再調査するかどうかということを答弁を求めているわけですよ。そして、その結果を委員会の理事会に報告してくれと。そして、定款違反があったら処分するのでしょう。
 そして、調査をして、今はこの学習組と関係のない人たちが理事長になっているというのだったら、その調査した人は責任とらなきゃだめじゃないですか、もう認可をしたのだから。答弁をください、もう一遍。(発言する者あり)
村田副大臣 いや、調べたくないということではございませんでして、要するに、私ども、金融庁の所掌の仕事の中で、要するにできる範囲内で、我々が要求する定款に記載されている事項が担保されているかということを調査する、こういうことでございまして、いわゆる学習組なる組織がいかなるものであるかどうかについては、私どもの調査の範囲を超えるものでございまして、我々は、当人に対しまして、あるいはそういう……(前原委員「さっきと違うじゃないか、答弁」と呼ぶ)いや、そういう我々が調べ得る範囲内での調査をして、学習組に属しないということになって、それで認可をおろしている、こういうことでございます。
前原委員 さっき、答弁が違いますよ。さっきは、学習組に所属をしていないと確認をしたから認可をしたと言ったのですよ。今は、学習組かどうかは自分の所管じゃないと言ったということは、調査していなくて認可しているということじゃないですか。むちゃくちゃですよ、そんなのは。
玉置委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
玉置委員長 では、速記を起こしてください。
 では、村田副大臣、改めてもう一回答弁していただきます。
村田副大臣 では、改めて御答弁申し上げます。
 私どもが認可するに当たりまして、定款に所定の条件、これを満たすべきということを要求いたしました。その中に、朝鮮総連関係の支配から独立しているという人的な要素がございまして、そういうものについて組合にも確認し、そして私どもの所掌の範囲内で知り得る情報を集めて調査をした結果、学習組には入っていない、こういう認識で認可をおろしたということでございます。
 その意味で、我々の審査というものは完結している、こういうふうに考えております。
前原委員 だから、事実関係が違うのですよ。
 そうしたら、逆に、違う聞き方をしましょう。
 どういう調査をやったんですか。どういう調査をして、新たな理事長、それから常務理事などなど役員構成を占めている人たちが朝鮮総連と関係ない、学習組に所属していない、どういう調査をしてそういう結論を得たんですか。では、その調査結果を出してください。
村田副大臣 私どもの調査は、審査に当たりましてのその調査というものは書面審査でございますので、その意味で、いろいろ聞き取りもやりますし、その中で問い合わせをして、そういう組織に属していないという確認をとっている、こういうことであります。
前原委員 これは自己申告でやらせているわけじゃないですか、結果的に。そんなもの調査と言わないのです。子供だましと言うんですよ、そういうようなのは。
 それで数千億のお金を入れるんですか。全額で一兆円のお金を入れるんですか。それは大問題ですよ、大臣。そんなもので認可申請したんだったら、金融庁なんか要らないですよ。もう存在意義、全くないですよ。
 これは再調査を絶対やってください。それで、先ほどおっしゃったように、もし定款違反があったら処分してくださいよ。(村田副大臣「それは当然です」と呼ぶ)いや、答弁してください。
村田副大臣 定款に違背する事実が出た場合には、法令に従って厳正に処分をいたします。
前原委員 要は、調査内容は聞き取り書面調査、本人に意思確認だけ。そんなもの、実態が把握できるはずがない。そんな子供だましの調査をして、そして再調査をしろと言ったら、再調査は今しないと言っている。こんなことで税金を入れるということになったら、本当に金融庁あるいは金融行政そのものがゆがみますよ。国民は絶対にこんなものは理解しないですよ。
 それでもあなたは金融庁の副大臣として責務を果たしたと言えるんですか。再調査してください。
村田副大臣 将来、要するに定款に違背するようなそういう事実が出てきた場合には、法令に従って厳正に処分をいたしたい、こういうふうに考えております。
前原委員 今、もう既に違反していると言っているんですよ、私は。将来違反しているなんてことを言っていない。だから再調査をしろと言っているんですよ。職務怠慢としか言いようがない。もう一遍再調査をすると言ったらいいんですよ。答弁してください。
村田副大臣 既に認可をおろしておりまして、その過程で私どもが法令に従った審査をして、その認可をおろしたということでございます。
玉置委員長 ちょっととめて。
    〔速記中止〕
玉置委員長 では、速記を起こしてください。
 では、村田副大臣。
村田副大臣 私どもの認可の手続は適正になされた、こういうふうに思いますが、委員御指摘でございますので、調査できるかどうかにつきまして、私の一存では決められませんので、持ち帰らせていただきまして、その可能性について検討させていただきたいと考えております。
玉置委員長 今、副大臣から答弁ございましたが、その調査を含めた検討内容につきましては理事会に報告をいただくということで、決着したいと思います。
 では、前原君。
前原委員 では、次に行かせていただきますが、今、朝銀系の信用組合で三つ営業しているものがあります。先ほど申し上げたように北東、中部、そして西、この三つでありますけれども、この三つの朝銀についても、当然ながら、新設四組合の定款などに含める、経営の透明性とか独立性とか架空名義口座の排除とか、いろいろ条件をつけられていることについて、当然同じように厳格に運営するかどうか、その点について御答弁ください。
村田副大臣 三朝銀につきましては、破綻をしていない、そういう中で受け皿になったという、今、先ほど議論になりました四朝銀、新設の四朝銀とは違った条件下にございますが、私どもとしては、同様に、経営の独立性が確保されるようにということについては、経営のやり方の改善について、強く三朝銀に求めているところでございます。
前原委員 ということは、この四信組と同じように定款変更、定款に盛り込ませたところがかなりありますね。経営の透明性、独立の確保、それから架空名義口座の排除とか、現金取引の適正化とか、監査機能の強化とか、そういう定款変更も含めて行政指導していくということでよろしいんですね。
村田副大臣 私どもが朝銀に求めた事項というのは大変広範にわたっておりまして、例えばコンピューターのシステムを改めさせるということまで含んでおりまして、そういうことはコストが大変かかることでございますので、この既設の三朝銀については、そういう意味で新設のケースとやや違いますが、我々としては、経営の独立性を確保するために、あらゆる手だてを使って、同様の、経営の独立性を確立するように求めているということでございます。
前原委員 ですから、定款変更を求めていくような行政指導を行うかどうか、つまりは、私が懸念しているのは――では答弁してください。
村田副大臣 そのように最善の努力をしていきたいと考えております。
前原委員 定款変更も含めてやられるということで、ぜひそれはお願いしたいと思います。
 なぜなら、さっき申し上げたように、最盛期には三十八朝銀あったわけです。今三つあるわけですけれども、三つもどうなるかわからないし、さっき申し上げたように、このハナ、ミレ、京滋、兵庫ひまわりの四信用組合を設立するときに、結果的に、結局総連の支配というものから脱し切れないんではないかということで落胆感が広がって、出資金が集まらなかったんです。
 私が聞いたところによりますと、ハナ信用組合、兵庫ひまわり信用組合には、朝銀系の、朝銀の三つの信用組合からの話と、あるいはそちらからのお金も含めて、要は助けてスタートさせているということがあるわけです。ということは、実際問題、やはりこの三つの信用組合については、総連のいわゆる影響下に今なおあるというふうに私は思うんです。
 したがって、今おっしゃったように、定款変更も含めてこの三つもやってもらわないと、またこれが破綻をして税金を入れなきゃいけないという話になるので、今やられるということの御答弁でありましたので、これは的確にやっていただきたいというふうに思います。つまりは、四信組並みの厳しい内容の行政指導というものを行っていただきたいということを再度指摘しておきたいと思います。
 それから、先ほどからいろいろ私が得ている情報というのは、元朝鮮総連の幹部の方々初め、在日の今の北との関係はおかしい、そして、総連というもののゆがんだ実態について憤りを感じて組織を離れた方々からお話を聞いているわけで、したがって、かなり内部のことに詳しい方々からお話を聞いております。
 その中で、私は一つ非常に心配なことを伺いました。これは、先般の予算委員会で小泉総理に申し上げましたけれども、先ほど申し上げた学習組というのは総連の表の裏の組織である、しかし、実際の裏の裏の組織というのは、朝鮮労働党の統一戦線部というものが直轄をしている組織が日本の中にあると。
 公安調査庁は、学習組は日本に存在しているということは認めておられますけれども、朝鮮総連の元工作員だった方からも私はお話を伺いましたけれども、学習組なんというのはひよこの組織だというわけですね。つまりは、実際の戦闘要員とかそういう工作要員、いろいろな情報収集要員というのは、朝鮮労働党統一戦線部が直轄をしている裏の裏の組織がやっている、こういうことなんですが、そういう組織を政府としては把握されていますか。答弁ください。
漆間政府参考人 学習組につきましては、これは朝鮮総連及びその傘下団体、あるいは事業体等の学習団体の中に組織されている北朝鮮に絶対の忠誠を誓うなどによる非公然組織であるというふうに認識しております。
 このほかに、その裏の裏の組織があるかどうかということにつきましては、これは我々としてはいろいろな情報収集をしているその中の一環でございますので、その具体的な内容については、ここではお答えを控えさせていただきます。
前原委員 答弁を差し控えさせてもらうというのはどういう意味ですか。
 つまりは、その存在を明らかにするということは国益上問題があるんですか。それとも、何かの捜査案件で今調べているところなんですか。なぜ明らかにできないんですか。
漆間政府参考人 どういう組織を把握しているかということについてこの場でお答えすることは、警察の能力がどの程度であるかということを証明することになりますから、それは今後の警察活動に影響しますので、お答えできないということでございます。
前原委員 学習組があるということ、非公然組織としてあるということを認めていて、なぜ朝鮮労働党統一戦線部が直轄している組織があるということを認めることが警察の能力をわからせしめることになるんですか。全く理解に苦しむ。あるかないか、その答弁をしてください。
漆間政府参考人 学習組というのとその裏の裏の組織というのとは、また違った意味を持っておりますので、基本的には学習組というのは非公然の組織であることは御答弁できますが、しかし具体的にどんなものであるかということについては、これは御答弁できません。それと同様に、その裏の裏の組織というものがどんなものであるのか、存否も含めて御答弁できません。
前原委員 答弁できないということは、組織としてあるということを前提に立っているわけですね。それでいいんですか。
漆間政府参考人 ただいま申し上げましたように、その存否を含め御答弁できませんと言っております。
前原委員 要は、工作員の受け入れになっているわけですよ、その朝鮮労働党統一戦線部のいわゆる直轄組織というものが。それが、さっきの平沢議員と外務大臣とのお話にあった金正男の受け入れ等も含めた実質的な機関になっているわけです。
 その点を私は明らかにできないということは、警察の能力を示すということで、私の頭の中では今理解できていないんですが、つまりは、元工作員の方々の話によると、数百人規模でそういう組織が存在をしていて工作活動をしている。三つのカテゴリーに分かれていて、一つは工作船や偽装パスポートで出入りをする人たち、二つ目のカテゴリーは在日の受け入れをする人たち、三つ目のカテゴリーは日本人のシンパ、これがいわゆる朝鮮労働党統一戦線部の直轄組織として存在をしている。
 それが拉致問題あるいは日本のいろいろな治安、安全保障にかかわる情報収集、そういうものをやっている、そしてそれが日本の安全保障に、ひいては危機を及ぼしているということになれば大きな問題じゃないですか。それを明らかにした上で、そしてそれをどのようにして撲滅していくということが本来警察のありようじゃありませんか。
 存否がわからないということになれば、私が一番国会で聞きたいことは聞けない。そういうものがあるという前提に立った中で、では、どうしてそういうものをなくしていくかということが本来あるべき警察としての答弁じゃないですか。もう一度答弁してください。
漆間政府参考人 今の議員の御発言については、議員の情報収集の範囲内で聞かれたことだということで我々としても参考にさせていただきますが、それ以外につきましては、先ほど申し上げましたように、その存否全体について、私どもとしてはお答えすること自体が我々の能力を知られるということになりますので、お答えできないということでございます。
前原委員 これについては、大臣だったらもっと詰めますけれども、役人の方にこれ以上詰めても気の毒だと思いますので、これ以上は詰めません。
 それでは、防衛庁長官、お待たせをいたしました。先ほどの元工作員の方々の話などによると、この間の不審船で、海上保安庁が危害射撃を加え、そして一種の交戦状態になって、そして自沈をしたということが言われております。それは、北朝鮮が今後工作船を送ってこないということではなくて、ミッションというものがある以上、それを遂行するために、より重武装化をしていくということを意味するんだということを言われていました。
 ここで、非常にポイントとして重要になるのは、任務についている部隊の自衛権というものが現在の法律の中で認められているかどうか、この点を確認しておこうということは、極めて私は重要なことだというふうに思います。今までの答弁をぜひ確認をして、その点について御答弁をいただきたいというふうに思うわけであります。済みません、ちょっと資料をとってきます。
 今まで武力攻撃以外の侵害とは、例えば国境における偶発的な撃ち合いのような組織的、計画的なものに至らない武力行使があった場合等が考えられる。一般国際法上、自衛権行使の要件が満たされるならば、このような武力行使に対する自衛権の行使は認められる。つまりは、一般国際法上は部隊の自衛というものが認められるということになっています。
 それで、実際に、昭和二十九年というえらい前の答弁なんですが、国連憲章五十一条は、一般国際法上の正当防衛、緊急避難とも言える武力攻撃以外のマイナーケースの場合の自衛も認めており、武力攻撃以外の問題は一般国際法に任せている。つまりは、昭和二十九年の答弁では、こういうマイナー自衛権というものも認めている、そして一般国際法も認めている、こういうことなんですが、今の政府の認識も部隊の自衛というものは認めるという認識でよろしいですか。
中谷国務大臣 その答弁は私も確認をいたしておりますし、当時の政府委員の答弁でございます。
 現時点における見解といたしましても、国際法上の観点から申し上げれば、国連憲章第五十一条は武力攻撃が発生した場合の個別的、集団的自衛権のことを規定いたしておりますが、同条は、国際法上、武力攻撃以外の形の侵害に対する自衛権の行使を排除するとの趣旨ではないというふうに解されるところであります。
前原委員 もう一度、確認のために御答弁いただきたいんですが、一般国際法上の正当防衛、緊急避難とも言える武力攻撃以外のマイナーケースの場合の自衛権も憲法は認めているんですね。
中谷国務大臣 この場合のマイナー自衛権という意味は、武力攻撃以外のマイナーケースの場合の自衛という意味で使用されております。現在の憲法上認められている自衛権の発動については、従来からいう三要件ですね、この場合に限られると解しておりまして、やっているわけでありますけれども、しかし、現実に正当防衛とか緊急避難とか、またテロ特措法やPKO法で言う自己保全のための自然権的権利、また自衛隊法九十五条の武器等防護の規定等もございまして、これらは憲法上武器の使用が認められているわけでございます。
前原委員 今、ちょっと気になる御発言があったんですが、九十五条は違うんですよ、これはマイナー自衛権とは。つまりは、九十五条というのは武器等の防護であって、例えば、近くにいる我が国の国民とか民間船舶は、これでは守れないんですよ。
 任務についていて攻撃を受けた場合、そういうものを含めて守れるかどうかというのがマイナー自衛権の問題であるということで、そのマイナー自衛権については憲法上認められているということでよろしいんですね。
中谷国務大臣 このマイナー自衛権の概念自体の整理をする必要がございます。いろいろと学説等もございますが、いわゆる我が国で言う自衛権というのは、国権の発動たる武力の行使ということで、国家意思による武力行使を伴う自衛権、いわゆる武力攻撃の事態の自衛権のことを言っているわけでございます。
前原委員 理事者でもう一度これは、時間が来ましたので、もう一度大臣というかお願いしたいんですが、マイナー自衛権についての政府の統一見解、これを少しまとめて、私の理解が乏しかったかもしれませんが、今の大臣の御答弁、ちょっと私は理解できません。
 非常に大事なことだと思うんです。つまりは、部隊の自衛、つまりはミッションを任された部隊の自衛というものが国際法上認められている。そしてまた、昭和二十九年の政府委員の答弁では、武力攻撃に至らないということについては、正当防衛、緊急避難的なものは認められるというのが答弁になっています。しかし、かなり昔の話でありますし、このマイナーケースの場合についての政府の統一見解をまとめて、この委員会にお出しをいただきたいと思います。これは御答弁いただきたいと思います。
中谷国務大臣 この点は非常に今後の防衛のあり方に対する大変重要な指摘でありまして、現に、ゲリラ・コマンドーの対処やまた不審船における奇襲をされた場合の対処、また海外のPKO活動のあり方につきまして、非常に、憲法の解釈をいかにするかという論点でございます。
 政府で見解をまとめることも可能でありますけれども、大体想像のつくような見解でありますが、この点につきましては、ぜひ国会で、憲法をどう考えるのかという点の根本議論をしておかないと議論の整理ができません。ですから、非常に重要な問題であることにかんがみまして、今後とも研究と検討はする必要があるというふうに思いますし、各党で各議論をしていただきたいと思います。(前原委員「統一見解を出してもらえますか」と呼ぶ)その自衛権について。(前原委員「マイナーケースの自衛権について」と呼ぶ)はい。防衛庁内で検討してお答えをいたしたいと思います。
玉置委員長 ただいまの資料の要求につきましては、政府の方に検討をお願いし、理事会に提出をしていただくということで決着をつけたいと思います。
前原委員 はい。よろしくお願いします。
 では、質問を終わります。ありがとうございました。
玉置委員長 次に、赤松正雄君。
赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
 防衛庁長官、長官が防衛庁長官になられてやがて一年がたちますね。(中谷国務大臣「十一カ月」と呼ぶ)十一カ月ですね。初めての防衛大学出身、自衛隊の出身の長官ということで、大変に注目をされておられます。
 実は、ついせんだって、私ある本を、ある本というか五條瑛という人の「スノウ・グッピー」という本を読みました。長官のことが出てまいりますね。実名では出てきませんが、明らかに、自衛隊出身の初めての長官であるということで、大変な思い入れを込めて書いてある本でございました。日本海で起こっておることを私たちは余りにも知らなさ過ぎる、こういうキャッチフレーズの本でありましたけれども。
 それはどうでもいいんですけれども、この約十一カ月の間に、あのアメリカのテロ、同時多発テロが起こって、テロ特措法が成立をし、そして、PKO法の中における長年の懸案の部分が、一部とはいえ新たに修正をされたという形で法案が成立をした。このたび、東ティモールに六百八人ですか、の自衛隊の皆さん、PKO部隊の皆さんが出られる、こういうことについては私は評価が十分にできる、こう思います。
 ただ、残念なことに、極めて残念なことに、こういうところで取り上げるのもいかがかとは思うんですけれども、自衛隊のいわば事故が極めて、私、前にもこの問題を言ったことはあるんですけれども、ほぼ定期的に事故が起こる。ちょっと調べましたら、恐るべきことがわかりました。
 過去十年間で、海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊、それぞれ取りまぜて何と三十件、六十一人の方が亡くなっておられるんですね。重傷の方もその後どうなったかということはよくわかりませんが、こういうふうに連続して起こるということについて、年間平均三件、人数でいって六人、自衛隊の皆さんのとうとい命がなくなっている。戦闘で死者は出ていない、戦後、日本の中で出ていないと思うんですけれども、戦闘する前に、準備の段階で、かくもたくさんの人が亡くなっている。
 十年間でこれだけですから自衛隊発足以来、ちょっと聞きたかったんですが、きのう資料を要求したら、過去五年でもなかなか難しい、十年というのはなかなか出ません、どういうことなんだろう。そういうことはきちっと、即座に出るようにしているのが当たり前だと思ったんですが、なかなかそういうのも出ない。恐らく、自衛隊が始まってからだと何百人、三百人ぐらいの人が死んでいるんじゃないか、そういうことさえ思います。
 長官はこの間、このことについて記者会見されたら、ちょっとインターネットを通じて引っ張り出しましたけれども、起こったら恐らく毎回こんなふうなことをおっしゃっているんだろう、そういうふうな感じにしか思えない会見をしておられましたけれども、こういった事故続発について、どこに原因がある、どんなふうに思っておられるでしょうか。
中谷国務大臣 訓練の事故によりまして貴重な隊員の生命、または国家の財産を失うことにつきましては、まことに遺憾なことで、残念至極でございます。
 この原因究明を図るということは大切なことでありますけれども、事故調査において大別をしますと、先ほど御指摘のありました三十件の中で、人員、人的な要因に起因すると思われるものが十六件、それから装備品のふぐあい等に起因するものと思われるのが十件、また気象状況等によるのが二件、その他ということでありますけれども、非常に危険な訓練、また夜間訓練等もありますけれども、通常の状況よりいかに能力を向上させるかということで、練度の向上を図る必要があるわけで、訓練というものは引き続き続けていかなければなりません。
 過去の教訓を生かしてさらなる航空機運航の安全確保を図って、人的側面、また装備面を含めまして、全力を挙げて航空機事故の防止に努めてまいりたいというふうに思っております。
赤松(正)委員 引き続きその件ですが、このいただいた資料で見ますと、非常に特徴が一つあるんです。今回の平成十四年三月七日に起こった事故はOH6D、これはヘリコプターですね、目的はいわゆる調査というんですか、そのOH6Dが今回、夜間飛行訓練実施中に墜落をした。過去十年の中に、何と、このOH6Dばかり四機も落ちているんですね。四機というか四回。三十件の中で、平成九年一月、OH6Dが超低空操作課目を実施中に墜落をした。同じ年の八月に、やはり民間航空機と衝突をした。そして、十三年の二月に、夜間飛行中にAH1Sと衝突した。それで今回、同じOH6D二機が夜間飛行中に衝突をした。
 このように三十件中四件も、OH6DがOH6D同士、あるいはほかの飛行機と空中で衝突している、こういう事態。二度あることは三度あると言いますが、三度あることは四度あるという、こういうケース。このOH6D、この件は、先ほどおっしゃった原因でいうと、どこに当たるんでしょうか。
中谷国務大臣 せんだっての事故につきましては、現在調査中でございまして、間違いのない調査を行いまして、その結果は発表いたしまして、今後の教訓にいたしたいというふうに思っております。現在調査中でございます。
赤松(正)委員 今、先ほどの私の答えにはなっていないんですが、いずれにしても、毎回恐らく歴代の防衛庁長官は、事故が起こった後、同じようなことをおっしゃったと思うんです。極めて厳しい訓練の中で起こったことであろうとは思いますが、どうか防衛庁長官、先ほど冒頭に申し上げましたように期待の長官なわけですから、せめてこういったことについては、断固、今までとは全く違う、そういうことは起こらないというふうなことに向かってしっかりと、そういう訓練のありよう、あるいはまた装備の問題等についてしっかりとした手を打っていただきたい、こんなふうに思う次第でございます。
 次に、東ティモールへのPKOの派遣の問題について、若干お聞きいたしたいと思います。
 このPKO派遣の問題につきまして、実は先般、二週間前に、きょうもやっておりますけれども、憲法調査会に名古屋大学のある教授の方をお招きして、PKO問題につきまして集中的に小分科会をやりました。そのときに、その名古屋大学の教授の方に私がお聞きしたときに、こんな答えが返ってきました。それはPKOについて、日本国内において、一部に五原則、いわゆるPKO法五原則の見直しについての、いわば見直すべし、そういう考え方がある。このことについて、その教授、松井さんとおっしゃるんですが、松井芳郎さんという教授に対して、どう考えるかという質問をいたしました。
 そのときに返ってきた答えは、要するに、この日本の五原則をつくるに当たって、際立って国連における従来的なPKOのありようというものを参考にしてつくられていると。その国連PKOにおける議論で、例えば合意原則とか同意原則とか、あるいは武器の携帯については必要最小限、自分自身を守るということに限定するといったふうなことについては、全く見直しの議論というのはない、起こっていない。したがって、その本家本元で起こっていない議論について、日本の中で見直すべしというのはおかしいんじゃないか、こういうお話でした。
 私は、この御主張自体はちょっとおかしいんじゃないか、何か勘違いしておられるんじゃないかというふうに思いました。それは日本の五原則というのは、確かにその中に国連PKOの物の考え方というものを援用した部分もありますけれども、やはり日本独自の物の考え方というものが入っている。例えば、紛争になったときには中断して戻ってくるとか、戻ってくるというかそれを中断するというふうなこと等を含めて、五原則については、国連PKOの判断と、それから国内における物の考え方はちょっと違うというふうに思うんです。
 きょうここで大臣にお聞きしたいのは、今、私のその認識を共有しておられるかどうかが一点。そういうふうに思われるのかどうかが一点。それから、見直し論議というものについてどう考えられるか。そして、若干のPKO法について修正が加えられて、今回六百八人の人が東ティモールに出発するわけですけれども、この次に来る、改正をしたい、より現場の意見を踏まえて直したいというふうに思っておられるところはどの点なのか。この二つについてお聞きしたいと思います。
中谷国務大臣 現在のPKOの五原則というのは、当時の海外における自衛隊を派遣する際に、いわゆる歯どめ的に、憲法から見て逸脱しないという観点で制約を課したもので、国会で議論が尽くされて存在するものだというふうに思っております。
 一方で、私のPKOに対する考え方でありますけれども、憲法で国連平和維持活動をどう考えるかという観点でいいますと、憲法の前文に、専制と隷従、圧迫と偏狭を除去しようとしている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思うというような、国際平和のために日本が積極的に貢献すべきだということが書かれている精神からすれば、国連の行う平和維持活動というのは日本国憲法の精神に合った活動であって、私といたしましては、より積極的に国連の活動に対しては貢献すべきであって、その活動に際して、日本が活動を制約されるようなことによって本来の目的を達成することが障害となるようなことは極力排除していくべきだというふうに思っておりまして、今後とも、憲法の関係において、あるべきPKOの姿にしていくべきだというふうに思っております。
赤松(正)委員 憲法の精神に従って、あるべきPKOにすべきだという。さらにもっと具体的に言っていただけませんか。今の現状で十分満足しているということですか。グローバルスタンダードに、より一歩でも二歩でも近づけたいという思いがおありなのか。それとも、そういうことについてはそれこそ国会の議論にお任せするということなんですか。どちらなんですか。
中谷国務大臣 考える観点は、隊員の安全確保が保障されて、かつまた、当地のPKOの任務が遂行できるという観点でありまして、現在の法律はまだ改善すべき事項が残っている。特に、国連の現地で実施をする任務を遂行する観点での制約、また隊員の安全を確保する上においての武器使用の制約、これらの問題点は存在するというふうに思っております。
赤松(正)委員 そこで、今おっしゃったようなそういう隊員の安全確保、あるいはまた国連PKOとしての役割を十全に発揮するために、より一層隊員に対するさまざまな訓練というか、そういう部分が大事になってくるだろうと思うんです。
 公明党は、かねて、PKO訓練センターというものを設置してはどうか、つまりPKOの隊員としてその都度、各全国の自衛隊の皆さんの中から参加者を募ってそれに仕立てて、例えばカンボジアのときならカンボジア、あるいは今回のような東ティモールという格好にするのも、もちろん日常的にそれぞれ所属の部隊での訓練等はやっておられるわけでしょうけれども、これから日本のPKOに対する強い役割ということを考えた場合に、そういう恒常的なPKOの訓練センターというものをつくるべきだ、こういうふうに主張をいたしてきていたわけです。
 先般も、毎日新聞を見ましたら、田中明彦東京大学教授が、プロとしての訓練というものが足らない、こういう言い方をされて、そしていわゆるPKO訓練センターなるものをつくってはどうか、そういう提案をされておりました。その辺のことについて、大臣、どういうふうに思われますでしょうか。
中谷国務大臣 非常に私は積極的な、いい提言だというふうに思っております。教育訓練を実施する場合に、専門の場所を確保して、より中身のある、密度の濃い訓練をするということは、今後の国際平和維持活動のために非常にいい結果が出るというふうに認識をいたしておりまして、今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。
赤松(正)委員 非常に前向きの答弁をいただいたんですが、実際にやるとなるといろいろ障害があってなかなか前に進まないということがないように、強くこの辺、私たちも応援をしてまいりたいと思いますので、永続的に取り組んでいただきたい、そんなふうに思います。
 日本もPKOにさまざまな実績というものを積み重ねてきて、ですからそういった訓練センターというもの、それは単に訓練だけというんじゃなくて、私は行ったことないんですけれども、カナダのあのPKOセンターに行きますと、一般の人間、あるいはこういった問題に関心のある人間が見てもわかるようなさまざまな展示物があったり、いろいろなことをそこから吸収できるものになっているということのようですけれども、そういった要素も組み込ませて考える必要があるんではないかと思います。
 同時に一方、同じ考え方として、PKOについては世界的に各地でいろいろなPKOが展開されているわけですけれども、必要な資材、車であるとかさまざまな、今回の主な任務は道路や橋の改修、補修ということのようですけれども、そういった行動をするにつけて必要な物資、物というものを一定の場所にプールしておく資材センターというものが必要じゃないかということが言われています。
 現実に、この間国連のPKO局長が来られたときに、今世界にそういうのは幾つあるんですかと、私、知らないで聞いたら、イタリアに一つあると。アジアに要らないのかと聞いたら、特にそういう声はありません、こういうふうなお答えが返ってきました。ぜひとも、訓練センターと合わせる格好でもいいと思うんですけれども、これから、別にそういう紛争が起こって、終わった後の処理云々ということを期待するとかどうこうじゃなくて、やはりヨーロッパに一つあるなら、アジアにも一つつくるべしというのは、非常に資材センターの場合も私は適切な考え方だろうと思うんですが、それについても長官のお考え方を聞かせていただきたいと思います。
中谷国務大臣 先日、オピニオンリーダー招集の会合で国連PKO局のゲエノ局長と国会議員の代表の方々との意見交換につきましては、非常に内容のある会が行われたということで、中身も拝読させていただきましたけれども、この中でもイタリアの例を出されて、イタリアでの活動の紹介がございました。
 アジア地域にどうかという話でありますけれども、アジアにそのような施設を設置する国連のニーズがそもそもあるのかという点が考慮されるべきでありまして、仮にニーズがある場合も、例えば用地の確保、施設、機材の維持管理をいかに行うかという点につきまして政府全体として総合的に検討すべき問題でございますけれども、このような国連を中心とした国際平和維持活動に対して、我が国が今の地位と責任にふさわしい協力のあり方ができる方法は何かという観点で、今後ともPKO等へ積極的に協力してまいりたいというふうに思っております。
赤松(正)委員 時間が来たんですが、最後に外務大臣に一問、聞かせていただきたいと思います。
 これはもう既に出尽くしたお話で、もう一カ月前のことですからあれなんですが、例のアフガンに対する日本の貢献というものが、アメリカが発表したんでしたっけ、あのいわゆる貢献に値する国の中に入っていなかったという一件なんですが、これは、さまざまな外務大臣の考え方等は既にネット上で私も拝見したんです。
 一つ、私は非常に不満に思うのは、大臣がこの間、日本記者クラブで平成十四年三月十八日に政策演説をなさっていますね。この中で、今のこの問題についてしっかりとおっしゃったんでしょうか。要するに、日本の位置というものは、アメリカが謝ってきたとか、貢献のありようというものについて、非常に単純なミスだという向こうからの弁明があったわけですよね。そういうものを受けられた後、ある意味で僕は世界にしっかり発信をするべきだ、そういうことのやりとり等について。全く触れておられませんよね。私の間違いでしょうか。
川口国務大臣 まず、おっしゃった件は、二月二十六日に米国防省が配付をした資料の中に日本の貢献について言及がなかったということでございますけれども、この前、三月の十八日に私は政策演説をさせていただいたんですけれども、それは、これから私がどういう姿勢でそれぞれの外交課題に対して外交をやっていくかということに焦点を当てた演説でございまして、過去何があったとか、そういうことを対象にした話ではないわけでございます。
 したがいまして、アメリカとの関係というのは非常に重要でございますし、それなりに触れましたし、また、テロ、大量破壊兵器の拡散、紛争防止についての我が国の政策というのは非常に重要でございますので、それについては触れさせていただきましたけれども、アメリカが我が国の貢献を認識しないで、過去そういうことがあったという過去のことについては、限られた時間の中で、むしろ未来志向の演説を、これから自分としてどういう態度でやっていくか、そういうことに焦点を当てておりましたので、触れておりません。
 ただ、触れていないということと、それについて我が国がアメリカに対して申し入れをし、アメリカから、ベーカー大使を初めとして、防衛庁長官や私におわびのお電話をいただいたということと、そういうときにそういうアクションをとるということは別物でございます。
赤松(正)委員 極めてそれは、おっしゃったことは常識的にわかるんですけれども、非常に残念です。時間がないというんじゃなくて、いろいろな言い方があると思いますから、そういうことを工夫して、そういう世界の日本に駐在している記者たちがいる場面でしっかりと発信するべきだ、私はそう思います。
 以上です。
玉置委員長 次に、田端正広君。
田端委員 両大臣におかれましては、大変に御苦労さまでございます。
 私の方からは、まず、先日の日韓首脳会談等を踏まえて御質問させていただきたいと思います。この中でも話題になりましたが、ことしは日韓、サッカーのワールドカップを共催するということで、開会式には総理がソウルに行って出席する、そして、閉会式、決勝戦に金大中大統領が横浜にお見えになる、こういうことのようでありまして、非常にいい雰囲気といいますか和やかな取り決めができたな、こう思っております。そしてまた、その間のビザの免除とか航空輸送力の拡充とか、そういったこともいろいろとお話し合いをこれから実務的にされていく、こういうふうに聞いております。
 まず、外務大臣、私は、ワールドカップはオリンピック以上ではないかと思うぐらい大事なスポーツ行事だと思いますが、この成功に向けてどういう御決意を持っているか、ちょっと一言お願いしたいと思います。
川口国務大臣 ワールドカップを成功させることは非常に大事でございまして、日本の国民もそれに向けて、かなり意識をというか気持ちを高めているというふうに思います。昨夜も十分に寝ていない人が多かったのではないかと思いますけれども。
 韓国と一緒にこれを共催し成功させるということは大事でございまして、これをベースに国民レベルのさらなる交流が深まっていくことを我が国としては期待しているわけでございますし、それは小泉総理が先般確認をなさったところでございまして、外務省といたしましても、韓国との間の、ことしは国民交流年ということで、さまざまな行事を用意いたしておりますし、これに向けての国民ベースの交流が高まるような、例えば投資条約でしたっけ、の署名ですとか、そういったことをやっているわけでございます。
    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕
田端委員 ところで、私は大阪の長居競技場の地元なんですが、要するにフーリガンの問題で、非常に地元では、商店街を中心に、どういうふうにしたらいいんだろうと大変心配しております。
 それで、ぜひ外務省もそういう情報をきちっとおとりになり、そしてまた、日韓でもきちっといろいろと対策を講じてもらいたいと思いますが、長居は、問題といいますか話題のイギリス戦があるわけでありまして、そういった意味では何が起こるかわからない、そういう恐怖があります。
 そこで、警察庁の方、来ていただいていると思いますが、このフーリガン対策、何か具体的にそういうことをきちっと手当てされているんでしょうか。
漆間政府参考人 長居につきましては、私も前に大阪の府警の本部長をしておりましたから、全体の様子は知っております。
 今回、昨年の十二月の一日に釜山でファイナルドローが行われまして、試合の組み合わせが決まったわけです。特にファーストラウンドで、日本にはイングランドを初めとしてフーリガン対策を必要とする国の代表チームが多く来るということがわかりまして、フーリガン対策が非常に重要であるということを今認識しております。
 そこで、現在のところ、フーリガン対策が必要な国というのは、ヨーロッパだけではなくて、これは実は南米にもございまして、それぞれのところにフーリガンに対して専門知識を持っている警察官がいるという状態になっております。したがいまして、警察の方からそれぞれの国に対しまして、これはスポッターという表現をしておりますけれども、フーリガンというものを認識できる警察官、これを日本に来ていただきまして、それで日本の警察と一緒になって具体的にフーリガン対策に取り組んでいこうということで、今いろいろな計画を立てているところでございます。
田端委員 これはぜひ小まめにやっていただきたいと思います。例えば横浜なんかも、商店街ではシャッターをきちっと整備して、何が起こっても大丈夫なように自衛策をそれぞれがやっているようでありますが、細かくひとつ手を打っていただきたいと思います。
 防衛庁長官、そういうことがあってはならないんですが、万々一、テロといいますか、そういう集団的な事件が起こった場合に、自衛隊法に基づく災害派遣、災害派遣の枠組みという形でこういった問題に対応される意思はあるのかどうか。あってはならないことだと思いますが、しかし、ここはしっかりと事前に検討しておく必要がある、こう思いますが、いかがでしょうか。
中谷国務大臣 現在、関係省庁と連絡をとって対応を協議いたしておりますけれども、防衛庁・自衛隊といたしましては、特に生物化学テロ発生時の対処に万全を期す。また、テロによって被害が引き起こされた場合には、都道府県知事の要請に基づいて、災害派遣による救助、援助活動の実施等が円滑に実施できますように、万全の体制で臨んでいきたいというふうに思っております。
田端委員 東ティモールのPKO第一陣が先日到着したというニュースを見ましたけれども、六百八十名の施設部隊が行かれて、そしてこの十五日からですか、来月から活動されるということであります。四月の十四日には大統領選挙が行われ、そして五月の二十日だと思いますが、独立記念の式典が行われる。そういった意味で、新しい第一歩を踏み出す東ティモールに、こういう形で国際的な貢献をされるということは画期的なことで、しかも、六百八十、七百名近い自衛隊の方が現地で頑張るという意味では、これはもう本当に今までなかった新しい第一歩を開くことだ、こう認識しております。
 それで、この選挙監視団もあす閣議決定というふうなことも伺っておりますが、先般の日韓首脳会談の中でも、この東ティモールのオクシ地区の飛び地のところですけれども、そこのところで日韓協力によるPKOの共同したお互いの活動をやっていこう、こういうことも話題になったようであります。
 そういった意味で、私は非常にいい流れができているなと。例えば、相互訪問とか部隊交流とかそういったことも現場では考えられるんではないかな、こう思いますけれども、防衛庁長官、まずこの東ティモールの今の状況と、そして、日韓協力してやっていこう、こういうことについていかがお考えでしょうか。
    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕
中谷国務大臣 現状につきまして報告をさせていただきますが、韓国との共同作業はオクシで行いますけれども、韓国部隊は、本年の一月にオクシ地域に配置がえとなって、現在約四百名の歩兵の部隊が活動を継続いたしております。一方、自衛隊は、約百二十名の施設部隊でありまして、道路、橋等の維持補修の後方支援活動を行う予定でございまして、当然のことながら日本と韓国が力を合わせて作業をするわけでございます。
 韓国も、一部歩兵の部隊の中に施設班なるものがございますけれども、道路、橋等の維持補修等につきましては、お互いに協力をし、また緊密な調整を行いつつ、ともに東ティモールの独立と国づくりに協力するという目的に貢献をいたしたいというふうに思っております。
 おっしゃるとおり、初めての日韓両部隊の国連PKOにおいて協力するケースでありまして、金大中大統領を初めとする韓国政府関係者からも、我が国の自衛隊派遣につきまして、歓迎の意が表明されているところでございます。
田端委員 外務大臣、この東ティモールの独立に際して、日本として、経済的なバックアップをお考えいただいていることと思いますが、国づくりに対してのサポートをぜひやっていただきたい、こう思います。なかなか産業といっても農業、農業の中でもコーヒー栽培ぐらいしかないようでありますから大変だと思いますけれども、ぜひその辺のところをお考えいただきたいと思います。
 五月の連休に、総理が東ティモールに行かれるというようなことも聞いておりますけれども、そういった意味で、政府としてどうお取り組みになるのか、その辺の御決意があればお願いしたいと思います。
杉浦副大臣 総理は、自衛隊派遣を決めたときから、励ましにいつか行きたいと強い意欲を持っておられます。大型連休中のあれについては検討中でまだ決まっておりませんが、いずれ総理は激励に行かれるというふうに私は思っております。
田端委員 ぜひ行っていただきたい、こう思うわけでございます。また、外務大臣、防衛庁長官等もお考えいただければ、こう思います。
 私も、昨年与党の調査団として行かせていただきましたが、一つここで提案させていただきたいのは、そのときに、ポルトガルの歩兵部隊ですが、見学したときに、そこの医療班が、大変地域の皆さんの中に溶け込んで医療活動をやっていました。たまたま急患があって医療班の方が診療している場面に出くわしたわけでありますけれども。そういった意味で、自衛隊の中にも今回女性の方が七名いたり、医師の方がいたり看護婦さんがいたり、そういったことになっていると思いますので、ぜひ地域との交流という意味で、医療活動をひとつお考えいただいてはどうか、こう思います。
 それから、ほかにも文化的なこと、あるいはスポーツ、例えば柔道を教えてあげるとか、そういった意味で地域との交流を自衛隊の方が図っていくとか、そういったこともさらに一層考えていく必要があるのではないかな、こんな思いをしておりますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
中谷国務大臣 生の東ティモールのPKOの現状を見ていただいて、敬意を表したいと思います。
 今回の計画につきましては、他国部隊が民生支援として東ティモールの住民に対する医療活動を行っていることを踏まえまして、東ティモールPKOの実施計画には医療活動を盛り込んでおります。
 防衛庁といたしましても、自衛隊の部隊に、医官四名、歯科医官一名を、レントゲン装置や手術用具等の医療器材とあわせて派遣をしていることから、民生支援として要請があった場合には一定の医療活動を行うことができるものと考えておりまして、現地でそのようなニーズがあった場合に対応してまいりたいというふうに思っております。
田端委員 先ほど来、北朝鮮の拉致疑惑事件に対しての質疑がいろいろございましたが、先般、八尾証言によって相当大きく流れが変わってきたと思いますし、また、具体的な方向がわかってきた、こういう感触を持っております。
 これまで外務省はいろいろと、確かに問題もあったかと思いますが、私は、行方不明者の調査については、再開とか打ち切りとか、また再開とかと、いろいろな流れは過去にはあったと思いますが、報道されているところを見ますと、日朝会談を、北朝鮮側から、正式に近々都合のよいときに開催するという趣旨の書簡が来たとか、そういう報道もあるわけであります。ぜひここは大臣、腰を据えてお取り組みいただきたいと思いますし、まさにこの問題でしっかりと、先ほどからあったような議論を乗り越えて、それこそ外務省改革のつもりでやっていくことが大事ではないかな、こんな思いがいたします。
 そして、今月の末に坂口厚生労働大臣が、シンガポールで北朝鮮の要人と、原爆被爆者の救済の問題について話し合いが行われるやに報道されておりますけれども、日朝の閣僚級の会談、接触というのは、恐らく二年ぶりか何かそのぐらいだろうと思います。そういった意味でも、これもまた大変非常に注目されるところだな、こう認識しております。
 そういったことを含めて、川口大臣のこの問題に対しての姿勢というものをお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 北朝鮮と我が国との間には、さまざまな問題が残っております。拉致問題、国交正常化問題、被爆者の問題等々ございます。それから、日本人妻の里帰り問題、たくさんございます。
 そうした中で、我が国といたしましては、今までも北朝鮮に対して、国交正常化交渉等の場で、この拉致問題については、国交正常化の過程の中で避けて通ることはできない問題であるということをずうっと話をしてきておりまして、これは、韓国、米国とも連携をとりながら、粘り強く対応をしていく問題だと考えております。
 委員がおっしゃられましたように、このたび、まだ政府として正式に決定しているわけではございませんけれども、坂口厚生労働大臣が今週末にもシンガポールに行って、北朝鮮側の担当者と非公式の会談を行い、そこでは、人道的な観点から、在北朝鮮の被爆者支援問題について北朝鮮側と非公式の意見を交換するということでございます。
 そういった一連の動きに対して、余り現時点で予断を持って分析をするということは差し控えたいと思いますけれども、あらゆる機会を通じて粘り強く交渉をしていき、諸問題の解決を対話を通して目指していくということが重要であると考えております。
田端委員 以上で終わりますが、本当にこれこそ、川口大臣が外務大臣に就任されて、ここのところで明確な方向を示す、そして新しい第一歩が踏み出せるかどうか、それが大臣としての大きな使命だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 以上で終わります。
玉置委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 北朝鮮の拉致問題に入る前に、外務省の人事といいますか、野上前次官の件についてまずお尋ねをしたいと思います。
 まずお尋ねしますけれども、大臣と次官というのはどういう関係だというふうに御認識になっておりましょうか。
川口国務大臣 私が男なら女房役と言うところでございますけれども、夫役、そういうふうに申し上げたいと思います。
藤島委員 国家行政組織法の方に書いてあるわけですけれども、次官は大臣を助けるというふうにはっきり書いてあるんですね。
 前田中大臣と野上次官との関係は、本来、次官が大臣を助けなければならなかった、にもかかわらず、まさに大臣の足を引っ張る、そういうことばかりやっていたというふうにしかとれないわけですね。よって、田中前大臣は一生懸命外務省改革をやろうとした、努力をしたわけですけれども、なかなかうまくいかなかった。外交上にはいろいろな発言もあって、問題もないとは言えないんですけれども、田中さんなりに一生懸命やった、それを、前次官が大変足を引っ張るようなことしかしていなかったというふうに私は見ておるわけです。
 ところで、野上前次官を更迭したのは、前田中大臣なんでしょうか、今の川口大臣なんですか。
川口国務大臣 どちらと言うのが難しいのは、形の上で、辞令をということでありましたら、私が大臣になった後のことでございます。
藤島委員 形の上で結構なんですけれども、どういう理由で更迭されたんでしょうか。
川口国務大臣 これは、形の上でというよりは、むしろその前に、私がむしろ大臣になる前にそういうことであったということでございますけれども、NGO問題に端を発するさまざまな国会の審議にマイナスの影響を与えたということがございまして、総理が苦渋の御決断をなさったというふうに承知をしております。
藤島委員 要するに、大臣の補佐が不十分だった、不適格だったということに尽きるんじゃないんでしょうか、どうですか。
川口国務大臣 NGOの問題に端を発して、国会の審議に影響を与えたということの理由としては、いろいろあるかと思いますけれども、そういう部分もあったという見方もできるのではないかと思います。
藤島委員 一般的にはそのNGOの問題と言いますけれども、要するに、事務次官は大臣の補佐をきちっとしなければならない、その任務に違背しておった、そういうことで更迭されたということなんですね、詰めて言いますと。
 ところで、事務次官を終わってから各国の大使に行っている例がありますね。官房長でもいいんですけれども、どういう例がありますか。
北島政府参考人 従来、外務事務次官を務めた後、在外の大使、アメリカ、それから国連代表部、それからかつてのソ連でございますね、そういったところに大使として赴任したケースがございます。
藤島委員 もう一つ、野上前次官は今どういうふうな形になっておりますか。
北島政府参考人 現在、官房付の外務事務官をしています。
藤島委員 処遇はどういう形になっていますか。
北島政府参考人 大臣が指定する特別の仕事をされているということでございます。
藤島委員 給与等は、前の次官の給与と現在はどういうふうになっていますか。
北島政府参考人 事務次官当時と比べると当然下がっているわけですけれども、官房付の指定職の事務官ということでございます。
藤島委員 恐らく、ほとんど差がないはずなんですね。
 それで、大臣にお伺いしますけれども、大臣は、今のような野上さんの更迭の理由その他から考えて、私は、次によもや大使に転出するというようなことは絶対あってはならない。本来であれば、更迭ということは、総理は三方一両損とか言っていますけれども、やはりここは退職してしかるべきだと私は思う。
 それはなぜかといいますと、これは外務省にとってもその方がいいということなんですね。要するに、こういうのをうやむやにしたまま、次にまた今までの例のような大使に赴任させるということは、外務省は全く責任をとっていないということなんです。政治家だけに責任をとらせて、結局、事務方が何ら責任をとっていないと。それは官房長や局長も一部交代しましたけれども、あれとて、更迭といえば、二階級格下げとかそういうのであって更迭なんであって、横滑りなんというのは更迭とは言わない。
 まして、この件で、もし大使に出るようなことがあれば、更迭の意味が全くないわけでありまして、これは私は許されないと思うんですよ。やはりここは速やかに責任をとってやめてもらってこそ、外務省がきちっと襟を正した、こういうことになると私は思います。外務大臣、お考えはどうですか。
川口国務大臣 野上前次官がやめたということの理由としては、私が先ほど申しましたように、NGO問題に端を発する国会の混乱に対してどうするかということで、総理が苦渋の御判断をなさってということであるというふうに私は理解をいたしております。
 それで、事務次官をやめる行為という行為は、それ自体、大変に重いものであると私は考えております。その上で、国家公務員が国家公務員をやめるということにつきましては、これは国家公務員法に基づいて適切に対応することが必要でございまして、この場合について、国家公務員法を考えてみますと、事務次官をやめるということが適切であるというふうには考えておりません。
藤島委員 事務次官というのは、もう功なり名を遂げた人なんですよ。これがさっきのような形で、責任をとったのかとらないかわからない。これはやはり、外務省の組織としてけじめをつけたことにならない。
 大臣は、総理が国会対策上の責任をとらせたと言いますけれども、任命権者は外務大臣なんですよ。総理じゃないんですよ。事務次官の任命権者は、外務大臣名で任命しておるんですね。
 私は、きちっとこれは責任をとらせてしかるべきである、そうしてこそ国民も納得する。私は、大使等に転出させるというようなことには絶対反対である、国民もそう思っているということを厳しく申し上げておきたいと思います。
 次に、先ほど拉致問題に関して平沢委員から質問がありましたけれども、それに続きまして、私も質問させていただきたいと思います。
 まず、八件十一名というのが今まで明らかになっているわけでありますが、警察庁の方にお聞きしたいのですが、この形態といいますか、はどんな形態になっているのか。
 拉致というのは、いなくなったということには間違いないのですけれども、失踪といっても、事業に失敗して借金に追われていつの間にかいなくなっちゃったとか、これも困るんですけれども、そういう問題じゃなくて、非常に平和に楽しく暮らしておったのがいつの間にか抜かれちゃうわけですね。家族から見るとこれは大変なものだと思うんですね。簡単に拉致、拉致と言いますけれども、本当に、これは国家として国民の生命財産を守るという最大の任務の一つなわけでありまして、これは何も防衛庁・自衛隊が戦争をするのだけが安全保障で、国家の任務じゃないのでありまして、警察の任務、これも大変重要なことなんですけれども。
 ところで、そういう不幸な形になっておるその形が、具体的にどんなふうな不幸な形として実際、現場では行われていたのか。簡単に、もし類型分けできれば御説明いただきたいと思います。
漆間政府参考人 拉致と形態別のお話をしたいと思います。
 まず、昭和五十二年九月に、石川県警察が検挙しました宇出津事件というのがございます。それから、韓国当局が昭和六十年の六月に発表した辛光洙事件というのがございます。これは、いずれも被害者が海岸に連れ出されて北朝鮮の工作船で拉致されたことが判明しているというものであります。
 それから、李恩恵拉致容疑事案というのがございまして、これは、大韓航空機爆破事件の実行犯である金賢姫の教育係に関するものでありまして、金賢姫は、北朝鮮において昭和五十三年から五十四年ころに日本から拉致されてきた李恩恵なる人物がいて、その日本人女性から日本人化教育を受けた、李恩恵自身は日本から船で引っ張られてきたのだと言っているというような供述をしているものであります。
 続いて、昭和五十二年の十一月に新潟県で発生した横田めぐみさんの拉致事案、それから五十三年の七月から八月にかけて福井県、新潟県及び鹿児島県で連続発生いたしましたアベック拉致容疑事案、これについては、それぞれ被害者が海岸付近で消息を絶ったというものでありまして、特に消息を絶たなきゃならない格別の理由も存在していなかったというものであります。
 以上、三つの類型が国内からの拉致容疑事案でありますが、今回の有本恵子さんの拉致容疑事案につきましては、昭和五十八年の夏ころにデンマークのコペンハーゲンから航空機で北朝鮮に連れていかれたことが判明しているわけであります。
藤島委員 いずれも本当に悲惨な形、自分の意思にほとんど関係なく無理やり連れていかれている。本人もそうですけれども、残された家族も大変、何というんですかね、きつい思いをしていると思うわけですけれども、警察庁としての今後の対応といいますか、外務省とか何かはまた別に聞きますけれども、警察庁としての今後の対処は今どのように考えておるのでしょうか。
漆間政府参考人 個々の事案に関する捜査の詳細についてはお答えできませんけれども、これまでにも御家族その他の関係者からの事情聴取や、国内外の関係機関と情報交換などもしてきておりますし、今回はまた特別な、拉致したときの状況、それをよく知っている者からの供述なども入ってきておりまして、そういうことで、今後ともいろいろな情報収集をしながら、八件十一名の全容解明と、それから、それ以外にも拉致された可能性のある事案というのもございますので、その辺を含めて、最大限その真相の解明のために努力していきたいと考えております。
藤島委員 確かに、これは今明らかになったのが八件十一名なんですけれども、どうも水面下でわからないままというのが恐らく同じぐらいの数あるんじゃないかなという気もするのでありまして、警察庁としては全力を挙げてひとつ捜査をやっていただきたいと思いますし、ほんのちょっとした情報でも漏らさないで、徹底的に追及してやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、先ほどもお話にありましたけれども、槙田発言の関係です。外務大臣にお尋ねしますけれども、先ほど、一応本人に聞き取り調査をしたと言いますけれども、そういう事実はない、こうおっしゃるんですが、私も随分、随所から、彼がそういう発言をしたということを聞いておるわけなんですね。
 それで、本人に確認したと言うんですが、じゃ、だれがいつ、どういう形で確認したのでしょうか。
杉浦副大臣 先生は私の新聞記事をあれされておりますので、大臣がお答えになる前に、私から一言言わせていただきますが、実は、自民党の外交三部会の席上で、平沢先生から先ほどのような御指摘があって、槙田氏と佐々江氏の名前が出ましたね。それで、たかが十人云々の発言があったという御指摘があって、私、出ておりまして、調べろという御下命があって、三部会の御下命で、調べますとお答えしてその場はおさまりました。
 それで、すぐ私は安倍官房副長官にその直後にお目にかかりまして、どういう趣旨だということをお伺いいたしました。平沢先生は安倍先生の家庭教師でいらっしゃって、恩師と話をされたわけなんですが、そのときに安倍副長官が言われたのは、私は別に具体的な槙田君だとか佐々江君の名前を出してどうこうと言うつもりはないし、気持ちもないと。
 ただ、この問題が表面化した当時、平成八、九年ごろですか、彼は一年生議員だったわけですが、熱心にやった、取り組んだと。そのときに、外務省の態度が冷たかった、特に犠牲になられた家族、それから熱心にやっている我々に冷たかったということを言いたかったのだ、こういうことでございました。
 その直後に安倍先生が参議院の予算委員会で、森ゆうこ議員の質問、かつて安倍副長官が外務省複数幹部より、拉致問題を主張するから日朝国交正常化交渉が進まないとか、拉致問題を横に置いておくことはできないかと聞かれた旨報道されているがどうかと言われたのに対しまして、安倍副長官は、その間、外務省ともさまざまな議論を行ってきたが、当時のアジア局において御指摘のような雰囲気があったのは事実である、こうおっしゃっております。雰囲気があったのは事実だ、こうおっしゃっているわけで、特定の議員がどうのこうのということはおっしゃっておりません。
 私は河本部会長にその旨報告いたしまして、しかるべきときに、私が伺った話と、心境と同じですから、いつでも御報告しますということは申し上げてございます。
藤島委員 何もないのに槙田という名前がどんどん出るということはあり得ないのじゃないでしょうかね。そこはどうなんですか。その雰囲気があったということの中には、やはり槙田という名前が出るからには、そういう近い発言をされておったということじゃないんですか。
 ということは、そういう発言をしているような体質の外務省がこういう問題を扱って本当にいいのかということなんですけれどもね。大問題なんですよ。
川口国務大臣 まず、槙田局長のことについて申しますと、この報道では、九九年の十二月の村山訪朝団の訪朝の後の自民党の関連部会で、拉致問題解決を棚上げして交渉再開を急ぐべきでないとの批判が出たことに対して、槙田局長がそのような発言をして反論したとされているわけでございますけれども、槙田局長が、実は局長になりましたのは二〇〇〇年になってからでございまして、九九年の十二月には局長ではなかったということでございます。
 ということで、どうしてそういう報道になるかというのは、私としてもよく理解できないということです。
藤島委員 そんな、理解できないなんて、そんな話じゃないです。これはそんな難しい話じゃないんですよ。要するに、本気できちっと調査をしていないということなんじゃないですか。本気で調査すれば、理解できないなんというような話で終わっているはずがないじゃないですか。(発言する者あり)本人に、電話なんかじゃだめですよ、本人を呼び寄せて聞く、それだけの内容の発言なんじゃないですか。
 それを、適当に語尾を濁した形で、調査しました、しました、余りはっきりしませんでした、自分もよく理解できません、そんなことで国民は納得できませんよ。これは、そういう背景が大きい、非常に不幸な背景を全部持っているわけですよ。そういうものに対してこんな発言をされて、ろくに調査もしない、そんな外務省の体質で本当に外交を任せられるんでしょうかね。
玉置委員長 杉浦副大臣。(藤島委員「副大臣は話長いから、答弁長過ぎてだめなんですよ。大臣に言ってくださいよ」と呼ぶ)
杉浦副大臣 大臣本人ではございませんが、外務省の調査に対して、そのようなことは申していないと槙田君は言っておるようであります。
藤島委員 だから、先ほど申し上げたでしょう、いつ、だれが、どういう形で本人に確認したのか、それを言ってください。
杉浦副大臣 外務省の者でございますが、確認したということでございます。言わなきゃいけないでしょうか。(藤島委員「それは言ってください」と呼ぶ)私、今存じませんので、また帰って聞いてみます。
川口国務大臣 これは、アジア大洋州局長が本人に電話で確認をしております。そのことを私は局長自身から聞いています。
藤島委員 ですから、大事な問題ですから、そういう仲間同士が電話で聞いたと。本人は言っていないと言うに決まっていますよ、そんな程度じゃ。当たり前ですよ、それは。そんな調査じゃ、この問題に関しては事の重要性からいけないんじゃないですかと言っているわけですよ。
 よって、もう一回きちっと、しかるべき人間が行くなり呼ぶなりして調査をしていただきたいと思います。
杉浦副大臣 安倍副長官も申しておられましたが、その当時の話であって、今の外務省はそうではないと言っておられまして、現に、拉致PTを立ち上げた、私もメンバーで、みんな協力してこれから一丸となってやろうという態勢になっております。それは八年、九年ごろの当時の話だということでございますので、余り当時のことを追及される実跡がないんじゃないかと思いますが。
藤島委員 安倍さんが、今の外務省がそうじゃないとかそうだとかいう、今そんな問題じゃないんじゃないですかね。それと、何年前だからうやむやにしておっていいという問題じゃないので、うやむやじゃなくてはっきり、当時はそういうことがありました、本人も言いました、しかし今は全く違いますということはどうして言えないんですか。
川口国務大臣 まず申し上げたいのは、これについては、先ほど申し上げました槙田大使本人からの電話によるヒアリングも含め、省内にあります当時の記録も含め、既に調査をいたしたわけでございます。調査をいたした結果といたしまして、公的な場で、御指摘のような、あるいは報道されているような発言があったという事実はないということでございます。
 これについては、先ほど杉浦副大臣が申しましたように、安倍官房副長官御自身も、そういった雰囲気があったという印象を持たれた、雰囲気があったと。安倍官房副長官がおっしゃったような、その雰囲気があったという印象を副長官が持ったというようなことではないかと私は推測をするわけでございまして、いずれにしても、その拉致の問題というのは、まさに委員もおっしゃいましたように、これを我が身に置きかえて考えてみますと、本当にすべての人間が凍るような思いをするわけですけれども、私も御家族の方にお会いしてそういう感じがいたしました。
 人命にかかわることでありまして、一刻も早くこれは解決をしなければいけないということでございます。そういった認識のもとで、外務省としても昨年来さまざまな働きかけをやってきておりまして、その流れの中で、日経の杉嶋さんの釈放もございましたし、また一連のことも今起こりつつあるというふうに思っております。
 引き続き、この拉致の問題を初めとする人道上の問題あるいは安全保障上の問題、これの解決を目指しまして、外務省として一貫した方針で取り組みたいと考えております。
藤島委員 私は本当に、今まで調査されたと言いますけれども、仲間内のうやむやな調査でまた終わらせようという、その外務省の体質そのものだというふうに思わざるを得ないんです。やはりもう一回、きちっと調査をされた方がいいと思います。
 それはそれとしても、今外務大臣がおっしゃったように、これからやはり毅然とした態度でやっていかないかぬ、こう思うわけです。その中で、日朝関係の進め方として、まずこれを解決してからだという入り口論があるわけですけれども、外務大臣はその点はどういうふうに考えていますか。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、拉致の問題は国民の生命にかかわる重大な問題であるという認識でございまして、北朝鮮に対しては、国交の正常化、あるいは日朝関係を改善していく過程で、この問題を避けて通ることはできない問題であるということを繰り返し繰り返し言いまして、その解決を求めてきているわけでございます。
 政府として、こうした日朝国交正常化交渉の進展には粘り強く取り組んで、こうした努力を通じて、拉致問題を初めとする人道上の問題や安全保障上の問題について、その解決を目指したいと考えております。
藤島委員 時間の都合もありますので、もう一つ。
 先ほどの続きになりますけれども、金正男の扱いの問題でありますが、要するに、外務省はこれを本当に金正男と認定しているんじゃないんですか。
 もう一度その前にちょっと確認しますけれども、シンガポールから来まして、普通だとシンガポールに送り返すのが普通なんだと思うんですけれども、これ、あえて中国に送り返しておる。しかも、外務省の佐藤審議官以下、法務省の人と合わせて六人が護送をしていって北京に行って、貴賓室に入れておる。一体これはどういうことですか。
川口国務大臣 中国に送り返したのは、本人の希望であるというふうに聞いております。
 外務省の人間が、あるいは法務省の人間が同行をしたということについては、これは当時混乱がありまして、その混乱を避けるためであるということでございます。
藤島委員 大体、本人が希望すると希望した国にみんな行けるんですか、こういうケース。そこはどうなんですか。
川口国務大臣 これはむしろ入管法の問題でございまして、外務省の問題としてお答えするのは難しいんですけれども、私が聞いておりますところでは、本人が希望した国に帰るケースが多いということのようでございます。
藤島委員 そんなことないと思うんですけれどもね。
 それじゃ、またダブってあれですが、本当に、要するに、外務省はかつて、これだけの人間をつけていったというケースはないわけでしょう。
川口国務大臣 この事案というのは、よその国から不法に我が国に入国をしようとした外国人に対して、入管法の規定で適正な措置をとったということでございまして、そういう意味で、入管法の範囲の措置であるということでございます。
藤島委員 警備局長、当時、警察庁は逮捕すべきだというふうに主張しておりましたか。
漆間政府参考人 私が承知している限りでは、当時、関係省庁が集まった場で警察としての意見を申し上げたということは知っておりますが、結果として退去強制という措置がとられたというふうに認識しております。
藤島委員 警察の主張は本当に立派なんですよね。外務省が腰抜けだから、こういうことになるんですよ。
 外務大臣、さっき、いろいろ問題が起こるかもしれないと、本当に、先ほど平沢委員が質問したように、何で問題が起こるんですか。
 その前にちょっと聞きますけれども、防衛庁長官、北朝鮮と日本が戦ったら、日本は負けるんですか、勝つんですか。
中谷国務大臣 いかなる国の侵略にも対処し得るように、日ごろから訓練をいたしております。
 あと、外務大臣が言われた意味は、そういう直接侵略ではなくて、間接的にテロとか不穏な事件とかいう事態が発生される可能性もあるのではないかなという事態は考えられ得ると思います。
藤島委員 外務大臣、そういう意味ですか。この件はそういう問題がある、北朝鮮からそういうテロとかいろいろな行為が、これを逮捕し、あるいはいろいろな形で引き延ばした場合、今防衛庁長官が言ったようなおそれがある、そういう問題があるからうやむやにしようとしたんですか。
川口国務大臣 先ほど申しましたように、この事案は入管法の問題でございまして、したがいまして、主管は法務省でございます。この件につきましては、したがいまして、入管法の規定に従って適正な措置がとられたというふうに私は承知をしております。
藤島委員 そうじゃないんですよ。外務省、これは重大な外交問題なんですよ、もし金正男であれば。あったと私は思いますけれども。それは、単なる入管法の問題だといって措置すべき、そういう問題じゃないんですよ。重大な外交上の問題なんですよ。それを外務大臣は入管の問題だと言うだけで、外務省は知らない、そんなばかなことがありますか。
川口国務大臣 この人間につきましては、これは北朝鮮の人間であるということはわかったようでございますけれども、金正男氏であるということについては、要するに本名はだれだかわかっていないというふうに承知をしております。
藤島委員 そんなばかなことないですよ。年齢だってにせのパスポートとみんな同じですし、写真なんかみんなそうじゃないですか。今まで警察庁だって情報をとって、間違いないから逮捕すべきだと言っているんじゃないですか。それを外務省は腰抜け外交で、問題になるかもしれないということであえて、知っていたにもかかわらずこういう行為をしたんじゃないですか。そうでなければ、何でさっきのように、佐藤審議官以下三人で外務省が送り返すなんて、そんなことないじゃないですか。普通の入管法違反なら、そのまま通常のとおりやったらいいんじゃないですか。ということは、外務省はこれが金正男であるということを知っていて、こうしたんじゃないですかということなんですよ。どうですか。
川口国務大臣 本名は確定をしていない、本名はわからないと承知をしております。
藤島委員 全然答弁になっていないんですよね、要するに。
 何回も言ってもしようがないんですけれども、外務省はちゃんと知っていたから、問題が起こるかもしれない、その問題が起こるというのは、私は、防衛庁長官がさっき言ったような意味で問題が起こると思っていたんじゃないと思いますけれども、いざこざがいろいろ外交上のいざこざになる可能性がある、すぐテロになるかとかそんな問題じゃないと思いますけれども、そういうのを外務省は恐れてやったんじゃないですか。
 私は、なぜこういうことを言いますかといいますと、もう既に、ずっと北朝鮮の問題というのは拉致問題に始まっていろいろな問題があるわけですよね。もしこれを、警察庁が言うように、逮捕をして交渉道具に使う、大変な切り札になったんじゃないんですか。それをあえて放棄した。国益にも反するし、外務省の日ごろからの腰抜け外交といいますか、要するに、文句を言ったり、手ごわいところには非常に下手に出て何でもはいと言って、向こうは好意を示すでしょう。国と国の国益の争いなんて、そんなものじゃないですよ。それはアメリカを見たらよくわかるじゃないですか。もう国益の塊みたいなことをどんどん言ってくる。
 どうして外務省はそんなに腰抜けなんですか、大臣。
川口国務大臣 外務省が腰抜けであるとは私は認識いたしておりません。
藤島委員 認識というより、現実の行動を見ればわかるじゃないですか、みんな。要するに、外務省は機密費を使って儀典で格好よくだけやっている、それが自分らの使命だ、こう思っているんですよ。国益なんか二の次の次なんですよ。だから、こういうことが次々行われるんですよ。
 防衛庁長官だってそうですよ。これはまことに賢明な措置だった、とんでもないじゃないですか。どうですか。
中谷国務大臣 私としてはいろいろな事態を考えておりまして、要は、国民がその腹構えがあるかどうかという一点だと思います。
藤島委員 国民のせいにしないでくださいよ。防衛庁長官が、国防の、あるいは安全保障、生命財産を守るその最大の責任を負っている人が、外務省の腰抜け外交に一緒になってやらないでほしい、毅然としてやってほしい、こういうことなんですが、どうですか。
中谷国務大臣 一刻も早く、有事法制等所要の法案の整備をしていただきたいと思っております。
藤島委員 ちょっと次元は違う答弁なんですけれども、よしとしましょう。
 時間にもなりますので、この問題は大変重要な問題で、私は、金正男の問題をカードとして使うのを失したことを当時から非常に残念に思っていたものですから、質問をしたわけであります。いずれにしても、外務省としても、この問題、警察庁の方は一生懸命やっておるわけですけれども、外務省としても、腰砕けにならないように、徹底してやってほしいと思うんですね。
 やはり国益のぶつかりというのは、それは簡単じゃないんですよね。弱く出れば向こうは強気になりますし、こちらが強く出れば向こうも考えるわけですよ。今回のこの拉致疑惑に関していうと、総理もかなり前向きで私はいいなと思っているんですけれども、外務省の方も徹底してこれはしっかり頑張ってやっていってほしいと要望して、質問を終わります。
玉置委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 最初に、有事法制の問題について聞きたいと思います。
 政府は、二十日、与党の安全保障プロジェクトチームに対して有事法制の骨格を示しました。これによりますと、「武力攻撃の事態における我が国の対応に関する基本理念」に関しまして、「盛り込むべき要素、構成等について、検討中。」となっています。
 具体的にどういう要素を挙げて、どのような検討を行っておられるか、説明してください。
中谷国務大臣 今般の法整備につきましての対象となる事態につきましては、我が国に対する武力攻撃の事態でございます。
 具体的にどのような事態が武力攻撃であるのか、一概に申し上げるのは困難でありますけれども、従来から対象といたしておりました大規模な武力攻撃、これは、我が国に対する航空侵攻や着上陸侵攻、シーレーンの破壊に加え、ゲリラまた特殊部隊による攻撃、核・生物・化学兵器による攻撃、弾道ミサイルによる攻撃等が武力攻撃に当たる可能性があり、また、テロや武装不審船の侵入等についても、通常は武力攻撃に当たらないものの、中には武力攻撃に該当し得るようなケースがあると考えられます。
 いずれにしましても、いかなる事態に対応できるように、我が国としての緊急事態並びに武力攻撃に対する対処のための法律の整備を緊急に行わなければならないというふうに思っております。
赤嶺委員 二十日に与党プロジェクトチームに説明をしまして、同時に、政府は先月の初旬に、テロや武装工作員、不審船などの事態は別途必要な検討を進めるとして、今回提出しようとしている有事法制とは別に扱うということで与党との協議会で合意しておられますね。
 今の防衛庁長官の答弁ですと、テロや不審船も武力攻撃の事態に入れていくという理解でいいのか。その場合に、福田官房長官も、法制的には分けて考えていくということを衆議院の予算委員会で既に答弁しておられます。武力攻撃の事態について、今の答弁や実際に有事法制の準備の中で進められている考え方とは、全く私たちには理解しにくい説明が行われているんですが、それは別個考えるんですか、一緒なんですか。
中谷国務大臣 武力攻撃をどのような事態と認識するかということでありますが、これは、現状の自衛隊法におきましては、国会の承認に係らしめる事態でありまして、自衛隊が出動する事態でございます。
 テロ、武装工作員の侵入といった事態、これは通常は武力攻撃に該当しない事態ではありますけれども、せんだっての、昨年の九月のアメリカでのテロ、これが戦争であるのか、またテロであるのか、議論が分かれるところでありますけれども、被害としては四千人以上の人々が犠牲になったという事態をそれぞれの国でどう認識するかということであります。
 我が国の場合は、武力攻撃に当たるかどうか、これは最終的に国会の承認に係るわけでありますけれども、こういった事態に該当するかどうか、これは該当するケース、また該当しないケースがあろうかと思いますけれども、それの対処等につきましては、現在検討をさせていただいている次第でございます。
赤嶺委員 そうすると、防衛庁長官、当初は、今度の有事法制の準備について、テロや不審船は別途検討する、要は盛り込まないという考え方が示されていたわけですが、今後それも盛り込めるかどうか検討していくというのが、防衛庁長官の考え方であるわけですね。
中谷国務大臣 現在、この安全保障全般の体制、総理が、包括的に整理をする、そして国民に示すというふうに言われておりますけれども、緊急事態の中でも、武力攻撃に至る事態、また災害やテロ、不審船等も含めて、武力攻撃には至らないけれども、国家にとって、国民の生命財産を守るという観点から緊急事態であるという事象もあらわれてきているわけでございます。
 そういう意味で、全般的に整理をするわけでありますけれども、今回、武力攻撃に至る事態に対する法制上の整備が長年検討されてまいりまして、懸案となった課題でありまして、そのような事態に対しては法律の整備が必要でありますし、そのような事態でない場合においても、いかに対応するかということにつきましては、法的面、運用面での検討が要るということで、全般的に検討はしなければならないというふうに思っております。
赤嶺委員 テロだとか不審船だとか武装工作員というのは、これは司法と警察の課題でありまして、そういう問題を持ち出さなければ、今の日本の国の緊急事態について説明できないということをみずから吐露しておられるようなことで、有事法制の根拠の希薄さというようなのは、今の答弁にもあらわれているんじゃないかと思います。
 そこで、今回の有事法制が対象とする事態について具体的にちょっと聞いていきますが、政府は、周辺事態法の審議のときに六類型を示しました。そのときに、「ある国における政治体制の混乱等によりその国において大量の避難民が発生し、我が国への流入の可能性が高まっている場合」という類型を示しておられましたが、こうした難民の中に武装難民や武装ゲリラ、特殊部隊が紛れ込んで武力攻撃を加えてくるということになれば、これも有事法制の対象になるのですか。
中谷国務大臣 これがどのような事態になるのか、今の時点で想像はできませんけれども、それが武力攻撃になる場合には対象になるわけでございます。
赤嶺委員 この件に関して、元統幕議長の西元徹也さんが、平常時と周辺事態の間、あるいは周辺事態に伴い発生する可能性の高い事態ということで、テロや海賊行為、ゲリラ・コマンドー攻撃、弾道ミサイル攻撃などを挙げているわけですね。
 それで、周辺事態が武力攻撃の事態に発展していく情勢というのは、やはりアメリカがアジア地域で他国への介入を準備している、進めている、そういうときに初めて起こる事態であって、自然発生的に日本とアジアの関係で起こるようなことはあり得ないと思うのです。ですから、今度の有事法制というのは、ある意味で、アメリカがアジアへの武力介入、こういう情勢の進展の中で出てくることまで我が国の有事の事態ということで考えて、国民の諸権利を奪うような法律を準備している。そのことによって、日本の国内が有事法制をとられることによって、アメリカはアジア地域で本当に大手を振って武力介入ができていく、こういうこともやはり考えられるというぐあいに思います。
 それから、この間の二十日の報告について聞きたいんですけれども、二十日の文書によりますと、「対策本部の総合調整の実効性を高めるため、国の関係行政機関、地方公共団体等に対し行使し得る権限等を規定。」、こうあるわけですね。ここで言う行使し得る権限というのが、具体的にどういうものか、どういうものを検討しておられるのか。
 例えば周辺事態法では、関係行政機関の長が「地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」とありました。今度、対策本部の本部長というようなのは総理になるわけですね。その場合、本部長たる総理が地方公共団体の長に対して直接指示するという権限を付与することも検討しておられるのかどうか、また、その場合に、これまでの周辺事態法では「協力を求めることができる。」とありましたが、協力以上の権限、より強制力の強いものも検討しているのか、また、その場合、指示に従わない者には罰則を科すということも検討しているのか、説明してください。
中谷国務大臣 国と地方等との関係でありますけれども、国としては、国家国民をいかに守っていくのか、国としての責務を果たすために、国の、安全保障における最終段階と申しますか、武力攻撃を受けた事態の場合、その排除をする場面において国が主体的な役割を担っていくということが原則であるというふうに考えております。
 一方、地方公共団体は、その地域の住民の生命、身体及び財産を保護する、この重要な役割を担っているというふうに思っております。
 具体的にどのような措置をとるべきか、現在、内閣官房を中心に作業を行っておりますが、武力攻撃に対処するための国の意思決定のあり方、地方公共団体の役割などに関する総合的な検討の中で検討されているところであるというふうに承知しております。
赤嶺委員 この点も、国と地方公共団体との関係、対策本部長である総理が直接地方公共団体の長に指示をする、そしてその指示に納得しない地方公共団体には罰則も加える、強制力を持つと。いわば有事法制の根っこの考え方というようなのはそこまでいかないと、このいわば有事体制というようなのは効力を持てなくなる、実効性が伴わなくなっていくと思いますが、その意味では、明らかにそういうことも含めて検討している、そういう理解でよろしいでしょうか。
中谷国務大臣 先ほどお話ししたとおり、国には国の責務もありますし、地方にも地方の、住民の生命財産を保護するという役割を担っております。
 そのような事態に、お互いに国民や住民の命を守るという点では一致をいたしておりまして、そのような協力関係が円滑に行われるような体制にすべく、現在、内閣官房を中心に作業が行われているところでございまして、現時点におきましては確たることを申し上げる段階にないということでございます。
赤嶺委員 その作業の中から、先ほど私が指摘したような権限、そういう検討も排除するものではないということになれば、本当に、今の憲法のもとでの国と地方公共団体との関係を根底から崩していくものになっていくと思うのです。
 それから、二十六日付の朝日新聞によりますと、自衛隊法百三条について、民間の医療、建設、輸送業者が従事命令に従わなかった場合の罰則規定は見送る方針という報道がありました。これは事実ですか。事実であれば、なぜそういう罰則規定を見送るのか、その理由を説明していただきたいと思います。
 また、物資の保管命令に従わなかった者に対しては罰則規定を設けるということですか。
中谷国務大臣 この点につきましても、有事の際の対応という観点で、現在検討をいたしております。
 いずれの事態も、災害対策のケースにおきましては規定をされた項目でございますけれども、有事の際といいますと、非常に国の存亡にかかわることでありまして、ひいては国民の主権やまた自由、権利の確保にかかわる重要事態でございます。
 したがいまして、政府側より、業務従事命令に関して、いわば緊急事態の際の愛国心の発露として御協力をいただくということを期待いたしておりまして、罰則をもって担保するという性格のものではないかというふうな過去に答弁もございますが、そのことも参考にしつつ、現在、検討中でございます。
赤嶺委員 検討中の答弁ばかりが繰り返されて、本当に国の存亡にかかわることだとか国の主権にかかわることだとか、そういう話は大きく出されているのですが、中身は本当に何を理解していいかわからぬというのが国民の率直な感想だと思うのですよ。
 そして、二十七日付、きのうの毎日新聞では、「武力攻撃事態への対処基本方針について、国会承認を義務づけず、国会への報告にとどめることを決めた。」という報道があります。これも事実かどうか。本当に、単なる報告でいいというようなことが皆さんの法案の検討の選択肢として上がっているのかどうか。このこと、いかがですか。
中谷国務大臣 先ほどの業務の従事命令についてでございますけれども、武力攻撃事態への対応に関する法整備における自衛隊法百三条の業務従事命令に従わない者に対する罰則規定の新設については、現在、罰則規定を設けない方向で検討をいたしております。
 他方、自衛隊法百三条の物資保管命令に従わない者に対する罰則規定の新設については、現在、災害救助法、災害対策基本法等の規定も参考にいたしまして、罰則規定を整備する方向で検討をいたしております。
 国会承認につきましては、現時点におきましても、自衛隊の防衛出動には原則として国会の事前承認が必要とされていることから、その意味で現行制度上、既に強力な国会の関与が確保されているというふうに考えております。
赤嶺委員 いろいろ伺ってきたんですが、やはり中身全体が国民に対して知らされないまま法律の検討がされていると。そして、一番危惧するのは、日本における有事の事態というのが着上陸だとか他国が攻めてくるだとかというような話は、もう根拠を失った話なんですね。非常に根拠が希薄である。そういう中で、周辺事態から日本への武力攻撃に至る事態も皆さんの検討の中に入れている。警察や司法で対処すべきテロ、不審船の問題まで有事法制の中に入れている。それから、国民の諸権利についても、今の憲法上許されないような重大な侵害、こういうのも、今かいま見るだけでも明らかだと思うのです。
 中谷長官は、有事法制を早くつくっていただきたいということを先ほどの答弁で言っておりましたが、やはりどこから見ても憲法違反で、アメリカの戦争に協力する以外の国民総動員体制、そういう性格を持つ有事法制は国会に提出すべきではないということを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、沖縄の那覇軍港の移設問題についてちょっと取り上げてみたいと思います。
 那覇軍港の移設問題について、一九九九年の三月の衆議院外務委員会で、我が党の古堅議員の質問に答えまして、当時の高村外務大臣は、移設によって新たに建設される軍港の使用形態は、現在の那覇軍港の使用形態、これは地位協定の二条第一項(a)であるけれども、これを踏まえて移設先での提供のあり方も考慮していくということの答弁をされておりまして、さらに、一定の地域について米軍専用でなくなるのは難しいという答弁もされております。
 日米合意は、現在の軍港五十ヘクタールを三十五ヘクタールに減少して浦添市に移設するということでありますが、その場合に、二条第一項(a)に基づく米軍専用施設というのは何ヘクタールになるのですか。これは外務省、答弁をお願いします。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の答弁は、平成十一年三月に、当時の高村外務大臣が古堅委員からの御質問で、那覇軍港は日米地位協定の何条何項に基づいて提供されている施設か、その条項を示してくださいという御質問がございまして、「那覇港湾施設は、日米地位協定第二条一項(a)に基づき米軍に提供されている施設・区域であります。」という答弁をしたということと承知しております。
 現在、この移設先につきまして、港湾施設の態様を含めまして、まだ何らの決定も行われていないということは委員よく御承知のとおりでございまして、今後これについてはさらに詰めていかなければいけないところでございますが、現在時点におきまして、今後、どれだけの面積がどういう形の形態になるかということを、今この時点で御答弁することはちょっと困難かというふうに承知しております。
赤嶺委員 そのときの高村外務大臣は、移設される浦添につくられる軍港も、現在の那覇軍港の使用形態、地位協定二条一項(a)である、これを踏まえて移設先での提供のあり方も考えていくということですね。
 あれですか、浦添に移設される軍港は二条一項(a)による提供施設でなくなることも、あり得ることも含めて検討しているのですか。それとも、先ほどの三十五ヘクタールの中で、二条一項(a)に基づく米軍専用施設が何ヘクタールか確保されるということになるのですか。
藤崎政府参考人 お答えします。
 今御質問の、施設の使用形態でございますけれども、日本側が米軍に施設・区域を提供いたしますときには、御承知のとおり、二条一項(a)という地位協定の規定に基づきまして米側に提供しているということでございます。
 その後に、今度は日本側がこの施設・区域を使用いたします場合に、どういう地位協定の規定に基づきますかは、今後の移設がいかなる形の態様になるかということにもよりますので、先ほどお答え申しましたとおり、どれだけの面積がどういう形になるかということを今、現時点でお答えするのはやや困難かというふうにお答え申し上げます。
赤嶺委員 この浦添軍港というのは日米合意の中で、軍港の移設にあわせて、五十メートルの制限水域とそれから牧港補給地区への進入道路も提供することになっています。これも二条一項(a)ですか。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘の平成十一年三月三日の外務委員会での質疑におきまして、説明員より、この五十メートルの制限水域でございますけれども、これについても答弁いたしておりまして、その際に、これは地位協定の二条一項(a)に基づいて提供されているという答弁を申し上げているところでございます。
赤嶺委員 進入道路も同じという理解でいいのですね、北米局長。
藤崎政府参考人 今、手元の平成十一年三月三日の答弁につきまして、制限水域のところを私お読みしたわけでございますけれども、今先生の言われました進入道路について、ちょっと確認をさせていただきます。
赤嶺委員 浦添の軍港については、既に、那覇軍港が浦添に移設した後の管理組合ができて、それから国、県、市との間で、那覇港湾施設受け入れに関する協議会も設置をされているわけですけれども、那覇軍港の移設に関する使用形態の問題でこれまでに協議したことがありますか。その一九九九年三月の答弁の後、協議したことがありますか。
嶋口政府参考人 先生御案内のとおり、既に二回、那覇港湾施設移設に関する協議会が行われていますけれども、これまでの経緯、それから県、我々のスケジュールについては議論しておりますけれども、移設の形態についてはまだ議論されておりません。
赤嶺委員 正式な協議の場でなくても、沖縄県あるいは浦添市から外務省や施設庁に対して、使用形態にかかわる問題で協議、相談は受けたことがありますか。両方お答えをお願いします。
嶋口政府参考人 いろいろな形がございますけれども、私の承知している限り、ございません。
藤崎政府参考人 今お答えをいたしましたように、本件の移設につきまして、第一義的には防衛施設庁が沖縄県及び浦添市との協議を行っておりまして、米側とも同様に、先ほど施設庁長官から答弁したとおり、米側との協議の窓口も施設庁が行っているところというふうに承知しております。
赤嶺委員 浦添市の方は、現地の司令官の裁量でもってとれる地位協定第三条一項による共同使用、これが移設を受け入れる、共同使用というようなのは移設を受け入れるときからの浦添市の基本的なスタンスであったわけですね。それで、どうやって共同使用が可能になるかということでは、浦添市長は議会で、現地の司令官の裁量でもってとれる地位協定三条一項による共同使用、このように答えておられるわけです。
 それで、改めて地位協定の理解の問題で質問をいたしますけれども、いわゆる二4(a)に基づく使用以外に、三条一項に基づく使用があるということは、一九六八年に我が党の岩間参議院議員の質問主意書でも明確になっていることですから繰り返しませんが、その場合に、米軍管理の施設を日本側が使用する際、地位協定の二4(a)というようなのは共同利用ですよね。二4(a)に基づく場合と三条一項に基づく使用ではどのように違うのかという点。
 それと、三条一項に基づく使用では、米軍に提供された施設はあくまでも二条一項(a)に基づいて提供されている施設であるという理解でいいのか。
 さらには、三条一項に基づいて日米間で合意をして使用している、共同利用している施設があるのかどうか。このことについて、簡潔に説明をお願いしたいと思います。
藤崎政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員から言及のありましたとおり、日本が米側に施設・区域を提供いたします場合に、これは第二条一項(a)に基づいているわけでございます。
 日本が一たん二条一項(a)に基づきまして提供しました施設につきまして、これを利用する場合というのは、今委員が御指摘のとおり、三条一項の場合と二条四項(a)の場合とございますけれども、これにつきましては、三条は、御承知のとおり、合衆国が、施設・区域内において、それらの設定、運営、警護、管理のため必要なすべての措置をとることができるということを規定しておりまして、合衆国の管理権の範囲内において日本国の使用を認めているというものでございます。
 また、二条につきましては、二条四項(a)におきまして、「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。」というふうに規定をしております。そして、「ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとつて有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。」というふうに規定しているわけでございます。
 今申し上げたのが、この二条四項(a)に基づく使用と三条一項に基づく使用の相違でございます。
赤嶺委員 二条一項(a)に基づいて提供された施設が、二条四項(a)に基づく共同利用のスペースを確保するということもできるんですか。
藤崎政府参考人 御答弁させていただきます。
 先ほど申しましたように、施設・区域の提供につきましては二条一項(a)に規定しておりまして、合衆国は、安保条約六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許されるということで、施設・区域の提供を定めておりますのが二条一項(a)でございます。
 さらに、二条四項(a)は、提供されました施設・区域についての言及でございますが、「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。」、ただし、これは、先ほど申しましたように、両政府間に合意された場合に限るというふうに規定しているところでございます。
赤嶺委員 浦添市は、三条一項に基づいて共同利用したいということを議会で答弁していらっしゃるんです。今防衛施設庁は、沖縄であたかも基地の返還を要求しなくても、基地の中に民間が共同利用施設をつくって、民生の安定が図られるかのような取り組みもしてまいりました。
 代表的なのは沖縄市のクリントン広場ですよね。クリントン大統領を迎えるために日米の交流施設をつくるということで、嘉手納基地のゲートの黙認耕作地の中に交流広場をつくったけれども、県民が自由に入れない、沖縄市が予算を投入してつくったけれども使えない、何のための交流広場だ。当初、あなた方は沖縄市と一緒になって駐車場までつくろうとしたけれども、これもやはり現地司令官の一方的な判断でそれもできなくなったということであるわけですね。
 三条一項による共同利用というようなのは、仮にその使用が実施されたとしても、やはり米軍の専用施設であることには変わりがないわけでして、米軍の管理のもとで施設の部分的な使用が許されるといっても、それはあくまでも米軍の配慮にゆだねたものであると言わざるを得ないと思います。だから、三条でもって恒常的に使用することはあり得ないというぐあいに思うんですが、いかがですか。
嶋口政府参考人 三条一項に基づくものは共同利用ではございませんで、一時使用を司令官等の権限のもとで行使できるということでございますので、共同利用ではございません。
 クリントン広場について言いますと、いろいろ議論があったようでございますけれども、沖縄市の方が、せっかくの機会であるから、クリントン広場ということで寄贈する、米軍基地の中につくると。それにつきましては、米側の方が、三条一項に基づいて、立ち入りについてもお認めしましょうと。ただ、昨年、残念な同時多発事件が起きまして、警備が非常に厳しくなったということがございますけれども、基本的には立ち入れるという前提であの広場ができたものと考えております。
赤嶺委員 結局、この一時使用というのは、国際情勢あるいは米軍の基地司令官の判断によっていつでも排除される、そういう性格を持ったものであると思います。
 だから、那覇軍港も米軍の専用施設として新しく移転され、そして牧港補給地区と一体となった一大補給基地をつくるものであり、そこに民間が入り込む余地はない。沖縄県民にとっては、軍民の共同利用の施設が新たにできることではなくて、やはり基地の強化以外の何物でもないということを申し上げておきたいと思います。
 それから、一月十六日に那覇港湾の施設受け入れに関する協議会が設置されて、浦添市の軍港受け入れに伴う振興策を協議する場ができたわけですが、この場に対して、浦添市は、SACOの補助金を活用してまちづくりをするということで合計五百二十七億円の要望書が出ているわけですね。
 基地が浦添市にできることによって障害になるから何か箱物施設をつくってほしいということにかかわらず、中身を見ると、国頭村に浦添市のセカンドスクールもつくりたい、これにもSACOの予算から出してくれ、こういう要望になっているわけですけれども、このSACOの補助金の法的な根拠というのは何ですか。
 それから、事業採択の基準、どういうことができてどういうことはできないか、それについて最後に説明していただきたいと思います。
嶋口政府参考人 先生御指摘のとおり、浦添市の方から、協議会の場を通じまして総額五百二十七億円の要望が出ております。
 それから、昨年十一月十六日に設置されたわけでございますけれども、十四年度に二件、教育・文化施設整備事業、それから牧港小公園整備事業、二件について所要額を計上しているところでございます。
 SACOにつきましては、確かに環境整備法第八条に基づく民生安定がございますけれども、SACOというものは、先生御案内のように、他の施設は既にできている。しかるに、沖縄の基地の返還、施設整備、非常にダイナミックでございます、ということも考慮しながら閣議決定を行っています。それは、SACOの最終報告に盛り込まれた措置を的確かつ迅速に実施するため、法制面及び経費面を含め、政府全体として十分かつ適切な措置を講ずると。これは平成八年十二月三日の閣議決定でございまして、これに基づいて措置しておりますけれども、先生確かにおっしゃるとおり、このまま無分別にやるわけではございません。やはりそういう、基地ができることによって生ずる影響も考慮しながら実施していく。基本的には、環境整備法第八条の趣旨にのっとって実施していくものでございます。
赤嶺委員 では最後ですが、結局、沖縄から基地を整理縮小するのではなくて、沖縄に基地をつくるためにつかみ金的なSACO補助金というものを皆さんが沖縄にばらまいて、そして沖縄の側からは、本当に事業として採択すべきかどうかという慎重な検討を経る前にそれが要望書として出される、そういう悪循環が今沖縄で起きておりまして、それは沖縄の振興発展とは全く無縁なもの、安保を沖縄に押しつけるものということも指摘して、私の質問を終わります。
玉置委員長 次回は、来る四月二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十一分散会


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