衆議院

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第6号 平成14年4月18日(木曜日)

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平成十四年四月十八日(木曜日)
    午後三時開議
 出席委員
   委員長 玉置 一弥君
   理事 大野 松茂君 理事 仲村 正治君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 田端 正広君
   理事 藤島 正之君
      石破  茂君    岩屋  毅君
      臼井日出男君    瓦   力君
      木村 太郎君    虎島 和夫君
      中山 利生君    平沢 勝栄君
      米田 建三君    井上 和雄君
      江崎洋一郎君    大出  彰君
      川端 達夫君    後藤  斎君
      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君
      今川 正美君    小池百合子君
      粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  村田 保史君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    漆間  巌君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    嶋口 武彦君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (公安調査庁次長)    栃木庄太郎君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局審
   議官)          奥田 紀宏君
   政府参考人
   (経済産業省貿易経済協力
   局長)          林  洋和君
   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  江崎洋一郎君     後藤  斎君
  大出  彰君     井上 和雄君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 和雄君     大出  彰君
  後藤  斎君     江崎洋一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――
玉置委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件につきまして調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官村田保史君、警察庁警備局長漆間巌君、防衛施設庁長官嶋口武彦君、総務省自治財政局長林省吾君、法務省刑事局長古田佑紀君、公安調査庁次長栃木庄太郎君、外務省北米局長藤崎一郎君、外務省中東アフリカ局審議官奥田紀宏君及び経済産業省貿易経済協力局長林洋和君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長増田峯明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
玉置委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。
後藤(斎)委員 冒頭、防衛庁の方に何点か御質問を申し上げます。
 四月の八日、私たちの同僚議員が決算行政監視委員会の方で、中城村の防衛庁が補助金を出しまして民生安定事業をしたごみ処理場の問題について何点かお尋ねをしております。私は、ちょっと基本に戻ってこの問題について御質問を申し上げたいと思います。
 もちろん防衛施設というのは、我が国の防衛と日米安保体制、これの基盤を支える不可欠なものであるということは私もよくわかっております。ただ、その場合、周辺地域の調和、周辺住民の理解と協力、その中でその事業が執行されるのは当然のことであると思っています。
 私も、同僚議員と一緒に三月三十一日にこの現地、中城村の防衛施設庁が補助金を助成して認可をしたごみ処理場を見てまいりましたが、いろいろなお話を聞くと、当初、厚生労働省の一般のごみ処理場で対応しようと思った中で、なかなか財政的に村も苦しいということで、事業加算が行われるであろう防衛施設庁の助成をとろうというふうな、いろいろな議論があった中で対応が進んできたというふうに思っています。
 そもそも防衛施設庁としては、この沖縄県中城村のごみ処理施設について、どのような経緯で御議論をなされ、認可、最終的に承認をなさったのか、その経緯について簡単にお答えを願いたいと思います。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 沖縄には、御案内のとおり大変大きな米軍基地があるということでございまして、そういう存在によって、いろいろな市民の方、村の方々たちの生活に影響が出ているということでございまして、そういうことを考えまして、その影響をできるだけ緩和するということで環境整備法というものがつくられております。その第八条におきまして、こういうごみ処理施設とかそういうものにつきまして、補助金が出せる、補助金を出すことによって町の方々、村の方々に御協力しようということでございます。
 そういう中で、北中城村、中城村、この両方でつくっている清掃関係の組合がありますので、そういうことで現在も、前からあるごみ焼却場はもう古くなってきた、老朽更新したいんだけれども、それについて施設局、施設庁の方で御協力いただけないか、こういう要請がございまして、私どもが検討した結果、これは環境整備法第八条において、また関係の施行令、これでは補助率が三分の二と決めておりますけれども、そういう中で話し合って決めたという経緯でございます。
後藤(斎)委員 防衛施設庁が最終的に補助金額を決定した際の総事業費が、五十九億四千五百万だというふうにお聞きをしております。そして、その内訳の助成額が、防衛施設庁から平成十四年三月末時点で三十九億六千三百万、補助割合三分の二ということだというふうに承知をしております。
 今、この処理施設が、当初防衛施設庁に認可申請、計画書を出したものと、その後の建築確認、消防法の検査を受ける書面と違った形で接続道路が変更されております。その点について、もちろん御存じだと思いますが、新たに建築確認そして消防法の確認をとっている、従来の道路ではない新しいS字型搬入路の建設費は、この総体の事業費五十九億四千五百万には入っているんでしょうか。
嶋口政府参考人 御指摘のその道路の件につきましては、補助事業の対象としておりません。ごみ焼却施設ということでメニューがつくられておりまして、その場合、道路は入っておりません。
 当初から私ども、この搬入道路につきましては、地元の村と地主さんの一部の方々において意見が違うということは承知しておりますけれども、村の方の責任によってきちんと整理するということでございましたので、補助金を交付することを決定した。その後、なかなか話がつかないということで、事務組合の方々が、自前でやろうということでS字型をつくった。しかし、他方また大変金がかかるというようなこともございまして、またもとに戻っている、当初の案に戻っているというふうに承知しております。
後藤(斎)委員 そして、道路については入っていないというお答えでしたが、当初町が防衛施設庁に出した資金計画、そして、町の広報で対応している中では、およそ五十九億ではなくて、六十億近いお金が資金計画で計上され、そのうち地方債部分が十八億五千八百三十万、財源として計上されています。この財源を、町の広報によりますと、財政支援として約十五億の特別交付税や普通交付税として、後年度財政支出措置が講じられることとなりましたという説明を住民の方にあれされています。
 この点につきまして、総務省の方にお尋ねをしますが、この地方債、沖縄では特別加算というものが防衛施設庁のように特段あるのか、あわせてこの地方債、今後どのような形で総務省から対応していくのか、お答えをお願いします。
林(省)政府参考人 お尋ねの事業についての地方財政措置でございますが、当該事業、補助採択されておりますが、この補助事業のうち地方公共団体の負担額に対しましては、制度上、地方債と地方交付税による措置を行っているところでございます。
 具体的には、平成十三年度の場合、当該地方負担分に対しまして、一般廃棄物処理事業債を九五%充当いたしますとともに、その元利償還金につきましては、普通交付税により措置をすることと制度上いたしているところでございます。
後藤(斎)委員 防衛庁の方に、それに絡めてお尋ねを申し上げます。
 この清掃事務組合は、当初、防衛施設庁に正式に事業計画する前の段階で、環境アセスメントについても調査をし、基本設計に至っております。そして、御承知のとおり、中城村の清掃事務組合が新しい事業を、ごみ処理施設の新設をしているところに隣接をして、世界遺産にも認定をされた中城城址がございます。この点につきましては、防衛施設庁は、事業申請があり、それを検討した中で、その点について全く配慮というか考慮はなされていないんでしょうか。
嶋口政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、この民生安定事業につきまして、その必要性、適否については、一義的に地元の自治体の責任と権限でやるということでございます。しかし他方、著しく不適切なような場合については、私どもは当然そういうことを考慮してほしいということを申し上げますけれども、地元の方で話がつくのであれば、円満に解決していただくということを強く願いながら、その上で地元の判断を尊重しているということでございます。
後藤(斎)委員 今の施設庁長官の御答弁は、中城村が世界遺産に登録を申請し、そして景観保護条例を公布し、その中でこの建設をされている地域が保全の、保護の対象地域となったということも踏まえて、重大というか、すべて地元に任せるということで理解をしたということでよろしいでしょうか。
嶋口政府参考人 私どもも、この当該のごみ焼却施設、既にあるわけでございますけれども、その老朽更新ということで、世界遺産の方も二百メートル離れている、これは十分承知しております。具体的な状況について私は承知しておりませんけれども、そういうことは承知しておきながら、二百メートル離れているということはありながら、しかし、既にごみ焼却場がある、その中で、ごみの焼却もいっぱいになってしまっている、村としては大変な問題を抱えているということで、基本的には村の中で話をして円満に解決していただくという前提で交付決定したものと承知しております。
後藤(斎)委員 今の点で、村の主体だということはよくわかりますが、既に先ほど御指摘をしました既設道路、今、S字で建築確認は変更なされている部分、これにつきましては、二十二年前に旧来のごみ処理施設がスタートしたときに地元の地権者の方といわゆる私道として認定をされ、土地賃貸借契約が既に二年前に終わっている。その更新もなされていないという前提は、当時申請確認をしたときにわかっていたと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 承知していた、そして村の方の責任において、両村でございますけれども、責任において村道にするということで、そういう前提で、そういうことであればうまくいくわけですから、ということで交付決定したというふうに聞いております。
後藤(斎)委員 では、村が、住民の方が御納得いただけないのであれば、このごみ処理施設の建設は中止なさるんでしょうか。
嶋口政府参考人 今具体的に、村の方と地主さんたちとの間においてどのような状況になっているかについてはつまびらかでございませんけれども、私どもといたしましては、せっかく交付決定して、また、村の方でも計画を進めているわけでございますから、できるだけ早い時期に、この事業に間に合うように村において円満な解決を見てほしい、このように願っております。
後藤(斎)委員 もう一点、関連してお尋ねをします。
 昨年の一月二十五日付で那覇地方裁判所に、本件について、清掃事務組合を相手取って村民の方から中止決定がなされていることは御承知でしょうか。
嶋口政府参考人 承知はしておりますけれども、訴訟そのほかの話については、私どもの立場をコメント申し上げることは差し控えたいと思います。
後藤(斎)委員 コメントではありませんで、その事実を御承知かどうかという確認をしただけです。
嶋口政府参考人 訴訟が提起されたことにつきましては、報告を受けております。
後藤(斎)委員 二〇〇〇年十二月二十五日、防衛施設庁が本件について事業計画を認定した前後、交付決定をしたすぐ後ですが、地元の新聞に、本件焼却場工事に談合情報あり、中城村長さんは入札は予定どおり、こういうものが防衛施設庁の沖縄の方には、局の方には行って、こういう事実は確認なさっていますでしょうか。
嶋口政府参考人 その報道によりまして談合云々という話も施設局の方は承知しておりまして、適切に対処するようにと村の方にお願いし、村の方において適切に処理したものと理解しております。
後藤(斎)委員 施設庁長官の言っていることは、正直言って半分は理解できます。あくまでも実施組合、自治体の方の責任、ここで基本的に対応していただきたいということはよくわかるんですが、ただ、私が四月一日に那覇防衛施設局でお話を伺った際にも、幾つかの点について御質問させていただいております。なかなか村のことなんでということで、正直言って、私の印象では、すべて主体を地元に預けているというふうな気がしてなりません。
 なぜ私がこの問題をきょう防衛庁にお尋ねしているかというのは、冒頭申し上げましたが、防衛施設に対する、そしてその周辺住民の方への配慮、これが本当に必要だというふうに思っていますが、ただ、これだけ今国会の冒頭から公共事業のあり方、そして税金と、今まで国会でも追及をされた何人かの方、それにとどまらず官と事業者、そして税金をどう使うかという基本的な視点が、私は、そのお話を四月一日にしたときに、大変薄いんではないかな、個人的にということではなくて組織的に薄いんではないかなという気持ちがしてなりません。
 少なくとも総体で六十億近い税金を支出して、このごみ処理施設は今建築が進んでおります。そして、当初は、現行の計画でいけば、二十トンのを二棟つくって一日四十トンの処理能力にしたいと。実際、現行では、長官も御承知だと思いますが、一日二十トン、中城村と北中城村を足しても、今処理をする必要性はない。逆に言えば、これから全体の資源循環型の社会になってごみが減量化されていけば、一棟だけの処理能力で十二分である。なおかつ、従来であれば、二十四時間の処理をしなくても対応できた。ただ、今回は、ダイオキシン問題も含めて、地域住民の方への生活配慮ということでこの問題が、計画がスタートしたというふうに私はお聞きをしています。
 その点について、では、冒頭に戻りますと、この認可をした際に、本当にその処理能力との関係を含めてきちっと議論をしたんでしょうか。
嶋口政府参考人 処理能力についても、当然、その分規模がかかるわけでございますので、両村の方からきちんと聞いておるというふうに理解しております。今先生御指摘の中で、両村のごみ発生量ということもございますけれども、米軍の方からもそういうごみが出てくるんだというふうなことも計算した上で、規模が適正であるというふうに判断したものでございます。
後藤(斎)委員 今の長官の最後の答えの中にあった米軍の、私が聞いている範囲では、二村で現行三万人弱の人口、そして米軍の方への対応というのは二千三百人、要するに十分の一以下。それで二棟、現行以上のものがなぜ必要なのかという、足し算をしても掛け算をしてもその数字は正直出てこないんです。
 もう一度戻ってお尋ねをしますが、防衛施設庁長官、この件について、本当に新しくつくった場合、S字型の搬入路を対応しなければいけないという事態になったときにはこの計画はどうなるんでしょうか。主体から税金の返還要求をするんですか。
嶋口政府参考人 搬入路の問題でございますが、確かに大事な問題でございます。それがうまくいくかどうかというのは非常に大事なことだと思います。おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、今、村の方におきまして一生懸命この問題を解決しようとしている段階でございますので、うまくいかなかった場合にどうかということについてお答えすることは、差し控えさせていただきたいと思います。
後藤(斎)委員 では、総務省の方にお尋ねをします。
 局長、今、そのS字道路の取りつけの問題で、お聞きになっていただいているように、申請をしたときの条件というか道路と、新たに変更されたものが違っている、このような中で、事業計画自体が変わっている中で、これから地方債に依存する部分が三分の一あるわけですけれども、そういう中でも地方交付税等の投入を、本年度、来年度以降やっていかれるんでしょうか。
林(省)政府参考人 先ほど長官の方からお答えもございましたように、地元では、施設の整備を地元の理解を得ながら進める努力をされているところでございますし、また、私どもの立場といたしましては、当該事業が補助採択されているという実態を踏まえますと、この補助採択をされました事業の地方負担部分につきまして、適切な地方財政措置を講じなければならない立場にあるわけでございます。
 もちろん、この問題につきましては、地元の努力を踏まえて、防衛施設庁におきまして補助事業が適正に執行されるようお願いしてまいりながら、またその様子を見きわめて、私ども必要な地方財政措置を講じてまいりたい、こう考えております。
後藤(斎)委員 施設庁長官に再度お尋ねを申し上げます。
 この問題のそもそもの経緯というのが、先ほども冒頭にお話ししましたように、通常の厚生労働省からの補助枠よりも防衛施設庁からの助成の方が高く、村から見れば財政負担が軽くなるという点があったことは、この村の広報に書いてあるとおりだと思っています。そして一方で、ダイオキシン問題等々、これもあわせて住民の生活環境への配慮ということで対応をしてきました。
 再度お尋ねをしますが、先ほど防衛施設庁長官の方から、米軍の方のごみの問題も含めて、現行の、計画どおり進んでいる二十トン掛ける二つの炉、一日四十トン、それを二十四時間体制でやるんだという前提での事業執行が正しいということで対応なさったというふうに、審査をしてそれを認可したということで理解をしてよろしいんでしょうか。
嶋口政府参考人 先生の御指摘のとおりでございます。
 ただ、ごみの量を申し上げますと、私が報告を受けていますのは、一割じゃなくして、米軍部分ですね、全体の二割に達すると。これは、理由はわかりませんけれども、アメリカ人はよく物を消費するからそういうことになるのかもしれませんけれども、二割だというふうに聞いています。
後藤(斎)委員 今のお話は大変興味深い話でした。
 もう一度お尋ねをしますが、仮に消防法の認可を最終的にこの施設が受ける際、建築確認、建築法の最終的な、建物で使っていいという審査、多分このまま事業が進めば来年の春ぐらいには対応すると思います。それまでに、先ほど地元に任せるという防衛施設庁の長官のお考えですが、どんな形の指導、例えば長官が行って、地方への補助金を出した主体としてお話し合いをなさるとか、何かの措置というものは現行では考えておらないんでしょうか。全部地元任せでしょうか。
嶋口政府参考人 基本的な形におきましては、やはり地元のことでございますので、地元と住民の方で処理してほしいと思いますけれども、ただ、私ども、補助金を交付してこういうものはやっていただきたいということはございますから、どんな形になるかというのは具体的に申し上げるのは難しいと思いますけれども、いろいろな形で円満な解決については協力することはできると思います。
 それから、先ほど、米軍のごみは二割というのは若干あれでして、一四%だというふうに聞いています。失礼しました。
後藤(斎)委員 先ほどもお話ししたように、私が三月三十一日と四月一日に行って現地を見、そして、行政機関の方と、いろいろな機関の方とお話をしましたが、正直言って、それぞれその責任の主体というのがどこにあるか私はよくわかりませんでした。村長さんにはお会いはできませんでしたが、その考える会の方、そして県の担当の方、そして、若干スタンスは違いますが、沖縄総合事務局の方、那覇防衛施設局の方、それぞれが、どこが主体なのか、どんな形で税金というもののあり方を考えているのか、正直言ってよくわかりませんでしたし、ありていに言えば、大変無責任なあり方だったと僕は思います。
 今の防衛施設庁長官のお話をお伺いしていても、本当に、税金というものがどんな形で、正しく使われているのか、少なくともその中間的なフォローをし、そして結果、本当にきちっと使われて、逆に縮減をされたらそれを国庫に返還するくらいの対応の仕方は、私はこれから、今、国、地方を合わせて大変な借金があると一般論ではだれでも言いますが、それを一つ一つ行政の中に詰めていただく必要があるのではないかなと。
 そして、先ほど来何度かお尋ねをして、それは地元の方が、何とか住民の方も説得して既存道路をうまく使う中で、S字型、SS字型と言ってもいいんでしょうけれども、私が見た範囲では、こんなに大変な勾配の中で、この傾斜を本当に、その道路を取りつけても、消防自動車が入れたり、ごみ処理の搬入車がとても入れるような傾斜ではない。まだ長官自身も現地をごらんになっていないと思うんです。
 そして、なぜ私がその中城村の世界遺産の話をしたかといえば、煙突ですね、既存のものの煙突が二十メートルだとすると、それを三十メートル上げて、何か高い方がダイオキシンの何かがいいということで五十メートルあって、五十メートルになると、世界遺産の城址のところからその煙突だけが大きく見えてしまう。これだと、私は、世界遺産をそのうち解除されるんじゃないかなと。実は、私がその審査官であれば、何でこんなところにそんなものがあるの、日本という国は、環境環境と言っておきながら実際そうじゃないじゃないか、目先のことだけを対応する国ではないかというふうに、私はそういう点から見ても言わざるを得ないと思うんです。
 大臣、今、いろいろなお話を施設庁長官とさせていただきましたが、私は、やはり施設庁が今やろうとしていること、冒頭申し上げましたが、方向性は正しいと思います。
 ただ、実態の面で、申請書にあったものが実際変更されて、それがこれからどうなるかもわからない。このまま、裁判の結果がどうなるかは別としても、通常の今の住民の方が、村道指定とかそういう公の道路にするということについてはノーと言っている。それはもう二年前に、賃貸借契約が切れた時点でさらなるものは対応しないよと言っている、いろいろなその条件を、法令に基本的なものは従った中で、こういう問題は、申請が出た時点できちっと話し合いをし、調査をし、対応をしていくということが当然だと思うんです。
 これは、この問題だけではなく、民生安定事業、那覇に行ったときお聞きもしたんですが、これからいろいろな形で計画がまだまだ何カ所もあるというお話も聞いております。もちろん沖縄だけの問題ではないと思います。私の地元の北富士演習場のところにも、いろいろな防衛施設に関係する問題があります。
 そんな点で、ぜひ大臣最後に、私は、この計画当初から行政機関の横の連携、それは防衛庁だけではなく県も含めて、そして自治体も含めてとれていなかったことが、今のような不安定な状況。ただ、事業は進めていかざるを得ないという非常にちぐはぐな状況。一方でまた裁判もしている、住民の方から村や県に対して、今の現状では困るといういろいろな話が解決できないままスタートしている、これはこれからも起こり得るものではないかなと。
 要するに、責任の主体がどこなのかということをきちっと明らかにする、横の行政機関の連携をする、それを一つの問題点として、環境の問題とかいろいろありますけれども、反省材料として、私は大臣がきちっとこれから、防衛庁はもちろんですけれども、関係機関にもきちっと話をして理解を求めた上で、来年のこの問題が解決できるかどうかというものにかかわってくる。
 大臣、それどころではなく、これから本格的に緊急事態法の問題、いろいろある中でも、やはり国民の方の税金をどう使っていくのか、国民の生命財産をどう守っていくのか、その主体大臣としてぜひ、もしかしたら大変小さな、地域的な問題だったかもしれませんが、それを含めて、ぜひ大臣、施設庁長官や地元の方にもその点での御指摘をいただきながら、その御決意をお伺いしながら、私は、時間が来ましたので終わります。
中谷国務大臣 中城村のごみ処理施設の件のお話を聞かせていただきました。沖縄における補助事業の交付の決定に際しましては、沖縄県と沖縄防衛施設局が必要に応じて調整をして、実施をしてきたところでありますが、今後ともきめ細かく関係機関と連携をとりまして、適切な補助金の執行に努めてまいりたいというふうに思っております。
後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございます。
玉置委員長 次に、井上和雄君。
井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。
 安全保障委員会では初めて質問をさせていただきますので、皆さん、ぜひよろしくお願いします。また、本日は、防衛庁長官また副長官、政務官もお願いしていると思うのですけれども、ぜひよろしくお願いいたします。
 本日は、沖縄にあります社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会、通称土地連と呼ばれる団体と、その団体が鈴木宗男衆議院議員に違法献金をしていたということに関して、ちょっと防衛庁、防衛施設庁にお伺いしたいと思います。また沖縄の問題かとおっしゃるかもしれませんが、実は、私も先月沖縄へ行ってまいりまして、独自に調査を進めてまいりましたので、ぜひよろしくお願いいたします。
 沖縄には、米軍及び自衛隊の施設のために土地を提供している県民の方が約三万数千人いらっしゃるわけです。沖縄の歴史的な背景を考えれば、半ば強制的に米軍に土地を提供せざるを得なかった事情もあると思いますが、本土復帰後には、防衛施設庁がこれらの土地所有者の方々と賃貸契約を結びまして、この土地の借料に関しては、地主の方々が所属している地主会という組織が各地にあるわけですが、その地主会と借料を年々交渉しているということでございます。
 その地主会の集合体が土地連という組織になっています。その借料というものを毎年決定していく過程で、いろいろなプロセスが行われるわけです。地代といいましても、年額八百億円ぐらいに上るわけですから、これはかなりの大きな額で、その地代をめぐって、土地連が政府や政治家にさまざまな働きかけをしていく、いわゆる陳情ですけれども、そういうことを行っていく必要が出てくるのは当然でありましょう。
 そしてまた、政治献金という問題も出てきます。大臣も、もう既によく御存じだと思いますが、この土地連の関係者が、平成十二年に鈴木宗男議員の政治資金管理団体、21世紀政策研究会に約三百万円の献金をしていたわけです。平成十二年からは、企業・団体献金というのは禁止になりましたから、まさに個人ということで会員の方が献金している。しかし、実はそのうち九人の会員というのは、名前を無断で使用されていた。違法献金ですね。これがマスコミ等によって指摘されたわけです。土地連としては、一九九八年にも鈴木宗男議員のパーティー券を百万円買っている。そしてまた、土地連が献金のためにつくった協議会というのがあります。これは政治団体ですね。
 その報告によれば、総額六百万円で、県選出の自民党衆議院議員の選挙区の各支部は百万円だと。自民党県連も五十万円、そういう寄附をしているわけですけれども、鈴木宗男議員に対しては約三百万円の献金をしている、そういう事実がある。つまり、土地連と鈴木議員というのは非常に密接な関係があるんだなということが、この金銭のやりとりでもわかると思います。
 実は、先ほど私、申し上げましたように、この違法献金の実態を調査するために、先月、民主党の同僚議員とともに沖縄まで行ってまいりました。那覇市から車で四十五分ほどかかる読谷村という村があるのですね。読谷村という村に行ってまいりまして、沖縄の本当に昔ながらの家がある、コンクリートの住宅がほとんどですけれども、その中には石でつくった塀がありまして、案内してくれた方に聞けば、その辺でも時々ハブが出るんだよなんという話を聞きながら、そういう村を歩き回りました。日ごろ、選挙活動や政治活動もやっていますから、そういう村を歩いたりするのはもうなれておりますので、約半日ほどかけて、この九人の名前を使われたという方のお宅を一軒一軒全部シラミつぶしにお伺いいたしました。
 何軒かの方は、もうマスコミの攻勢がすごくて、朝の五時ごろからマスコミ、テレビ局から電話がかかってきて起こされるとか、テレビカメラが追っかけてくる。そういうことで、我々が行っても雲隠れしていないとか、拒否されたのですが、幸いなことに、数人ほどの地主の方から直接お話を聞きました。また、御家族の方もいらっしゃいまして、詳しい話を聞くことができました。異口同音に、非常に迷惑している、テレビカメラには追っかけ回されるし、本当にひどい目に遭った、全然鈴木議員に献金したという実態はありません、そして、まして名前を貸してくれとか、そういう話も全くなかった、そういうことなんですね。
 それ以外にも、いろいろお話を聞いて、例えば今大体地主の方が、百万から百五十万ぐらい、場合によっては二百万ぐらいの地代を年々もらっている。それを当てにして住宅を新築したりして、今そのローンを払っているんですよ。将来、もしこの軍用地が返されると、そういうローンの支払いもあるから、ちょっと困っちゃうなとか、そういうお話も伺いましたし、その返還された後の土地を、やはり国としてもどういうふうに使うかを考えてもらいたい。
 また、それ以外に、返還された場合には、三年間ほどでしょうか、国から補償金みたいなものがいただけるんだ。ただ、それだけではちょっと心もとない、もう既に、ずっと戦後長い間、やはり土地を貸して地代を受け取っておる。地代が生活の収入の一部になっているという中で、ちょっとそれが急になくなっちゃう。百万、百五十万といえばこれはかなり大きな額ですし、まして沖縄では、やはりそれだけ物価も安いし、平均収入も少ないですから、かなり大きな額になるんでしょう。そういうことを言っていましたので、この件に関してもちょっと長官にお伝えしたいと思います。
 それで、話はもとへ戻りますが、結局、違法献金の話なんですが、土地連の会長である屋良さんという方がいて、その方が、自分が読谷村の村の地主会の会長である、そしてまた自分は土地連の会長だ、そういうわけで何とか、企業・団体献金も禁止されているから団体とすることはできないから、個人献金ということで、自分の地主会にいる人の名前を無断で使った、それほど、何か人の名前を無断で使っても献金せざるを得ないような状況があるのかなというのは、私、本当にそういう疑問を抱きました。
 額的には、九人の方々が一人二十万ということで、総額百八十万ということなんですけれども、ちょうど私が沖縄にいるとき、土地連の事務局の会長、事務局長を初め記者会見をやりまして、その前に、私もちょっと一緒にお話も聞いたんですけれども、これは新聞報道ですが、平成十二年当時、駐留軍用地特別措置法の改正問題もあったりして、それを引っ張ってくれたのは鈴木議員だから、特に鈴木議員にお願いしたんだ、そういうわけで献金をすることになったんだというようなこともおっしゃっていましたね。
 例えば平成十三年も、借料というのが、防衛施設庁の方では最大限約一・七五%、最小が〇・五%ぐらいの増額しか認められないということを言って、頑張って一・七五だという話だったのが、土地連として最初から要求していた三・三%の増額を最終的にかち取ることができている。だから、土地連というのは非常に政治的に有力な団体ですし、政治力を発揮できる団体なんだな、そういう印象を受けました。つまり、逆に言えば、政治センスがある団体なんだと。
 つまり、今のような、地代がかなり恣意的に決まっているんじゃないか、そして、それに献金が絡んでいるんじゃないか、そういう不透明な状況があるわけですね。それが今回の鈴木議員に対する違法献金で発覚したんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、防衛庁長官に、どういうふうに思われるのか、ちょっと御見解をお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 井上議員から、沖縄の生の声を聞かれて、現地の実情等お話しになられて、教えていただいたというふうに思っております。
 お尋ねの点につきましては、土地連が無断で個人の名義を使って鈴木議員に政治献金をしていたという新聞報道があったということは承知しておりますけれども、これはあくまで土地連と鈴木宗男議員との関係でもあり、また、鈴木議員の個人の政治活動でありまして、当庁がコメントすべき立場にもございませんし、また、その報道で指摘されているような内容について調査する権限も、立場もないという点については御理解をいただきたいというふうに思っております。
井上(和)委員 長官、そうおっしゃっても、十四年度、八百六十六億円が土地連に流れるわけですよね。毎年八百億円、そういう額ですね。それだけの額が土地連に払われている。(発言する者あり)ここにいる委員の御意見を参考にしますと、そういうふうに言えるのかもしれない。しかし、そこに当然、土地連が特定の政治家に献金したという事実があるわけですね、違法献金したと。だから、これは全く関係ないとは言えないんじゃないですかね。施設庁として何か調査を、調査というのはヒアリングぐらいしたんですか、土地連から。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣の方から御答弁ございましたとおり、基本的にこの問題は土地連と鈴木先生との関係でございます。土地連と鈴木先生との関係が、例えば土地の借料だけなのか。先ほども先生みずからおっしゃられたように、返還特措法の問題でございますとか、いろいろな問題がございますので、かなりいろいろあろうかとは推察できますけれども、いずれにいたしましても、私どもが、鈴木先生と土地連の政治的な関係と申し上げましょうか、そういうことについて調べるということはいかがなものかと思っております。
井上(和)委員 つまり、土地連という団体が違法献金をすると、やはりこれは一つの団体の信頼性の問題がありますね。
 そこでお伺いしますけれども、では、そういう団体に一年間八百億円以上のお金を賃料として払う、口座に送るということの事実に関してはどう思いますか。
嶋口政府参考人 私どもと土地連との関係について基本的に御説明しますと、約三万六千名、うち三万一千名ぐらいが、個々の基地ごとにつくられています地主会というものに参加しています。その地主会によって、また土地連というものが、その上部団体と申しましょうか、必ずしもそうじゃありませんけれども、基本的には上部団体のような形で土地連というものが構成されている。そして、実際の契約、三万一千名の方がおられるわけですから、その方々との契約、これにつきましては、土地連に印鑑証明とかなんとかそういうものもやってもらいまして、通信とかそういう費用も払ってもらうというようなことで、と同時に、地主会と施設局との間において、いわば個々の地主さんから地主会に対して、契約につきまして委任をされていますので、そこで契約事務をやる。
 支払いにつきましては、個々の地主さんが地主会に対して、受領してくださいという委任をいたします。地主会から今度は土地連に対して、国からの支払いについてはお金の受領の委任を受けているということでございますので、そういう中で私どもは、土地連に支払っているという形でございます。
井上(和)委員 会計検査院、呼んであるんですけれども、会計検査院の意見、どうでしょうか。
増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 今委員お尋ねの点につきましては、一般論として申し上げれば、土地所有者と地主会、それから地主会と土地連、それぞれの間の委任、受任関係が各当事者の自由意思に基づいて成立しているということであれば、国が土地連に借料を支払うという現在のやり方が適切でないと直ちには言えないというふうに考えております。
 以上でございます。
井上(和)委員 数カ月前ですか、青森県の土地供給公社でしたか、職員の方が、十四億円でしたか、ずっと横領していたというような事件もありましたよね。民間の団体に、社団法人に八百億円の額を振り込む。例えば、これは例えばの話になっちゃいますけれども、十億円、二十億円という額が消えちゃうというようなことも、万が一ということはあるかもしれないし、やはり会計検査院としては、国の税金がどういうふうにちゃんと使われるかということを監督している立場にあるわけですから、やはりそういうことも考える必要があると僕は思いますよ。
 それで、土地連の平成十二年の決算報告書があるんですけれども、会費収入が一億五千万円なんですが、雑収入として、受取利息が千四百万円あるんですね。そこで、ちょっと防衛施設庁に伺いたいんですが、平成十三年度は八百四十八億六千万円が土地連の口座に振り込まれていると思うんですが、これは普通口座ですか、当座ですか、どっちですか。
嶋口政府参考人 普通口座だと聞いております。
井上(和)委員 普通口座ですと、利子があるわけですよね。先ほど私が言った、雑収入として受取利息が千四百万円、決算報告に出ているんですね。会費収入が一億五千万円しかないですから、一千万円も利子が出るわけないですよね。私、この利子はどこから出ているのかなというふうにちょっと考えているんですけれども。
 例えば、八百億円のお金から利子が出まして、その利子が土地連として使われた場合、これはどういうことなんですか。会計検査院、ちょっとお伺いします。
増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 ただいまおっしゃられました利子につきましては、私ども、どういうところから生まれているものかということにつきましては確認していないわけでございますけれども、今現在の国からの借料の支払いの仕方が前提とされれば、国から土地連への支払いの時期と、それから土地連から各地主の方々への支払いの時期に仮にずれがあるとすれば、これは利息が生じることにならざるを得ないというふうに考えております。
井上(和)委員 聞いているのは、利息に関するどういう処理がされるべきなんですか。もともと税金でしょう。
増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 ただ、国といたしましては、契約書に定められました借料の金額、これが最終的に地主の方々に支払われれば、それで契約書上は適正な処理がなされたというふうになろうかと思います。かつまた、最終的に土地連が委任を受けているわけですので、土地連に定められた契約書に書かれました借料の金額が支払われていれば、適正な処理がなされたというふうに考えております。
 利子の処理につきましては、そこは私どもの検査の権限が及ぶところではございませんけれども、地主あるいは土地連の間の考え方であろうというふうに考えております。
井上(和)委員 どうもちょっと納得できないのですけれども。
 例えば、利子に関して、土地連が地主の方の承諾なしに使っているということになれば、これはどういうふうになりますか。法務省刑事局の局長さん、どうなりますか。
古田政府参考人 具体的なケースを想定しての、その上での仮定のお尋ねでございますので答弁は差し控えたいと存じますが、一般的に申し上げますと、ある他人に帰属している財産、金銭につきまして、それを預かっている者がその他人の承諾なく使用すれば、これは横領罪が成立する場合があるということでございます。
井上(和)委員 それはあくまでも仮定の話なんですけれども、それはそれでいいです。
 もう一つ、土地連から地主会にお金を払って、その地主会からまたさらに地主に払うわけですよね。二段階を踏んでいる。だから、当然これは二段階においても利子とかそういう問題が出てくるのではないかと私は思っているのですね。土地連からお金を受けている地主会というのはあくまでも任意団体ですけれども、地主会にお金を払うということに関しては別に問題はないのでしょうか。これは会計検査院で答えられますか。
増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 先ほどお答え申し上げましたけれども、地主から地主会に借料の受領についての委任がなされているわけですので、それは問題がないかというふうに考えております。
井上(和)委員 皆さん恐らくそういうふうにおっしゃるとは思うのですけれども、これはやはり常識というか一般的に考えて、ちょっとおかしいのじゃないかというふうに思いませんか。
 別に三万人地主さんがいたところで、土地連として、少なくとも各地主さんから機関委任ということで、防衛施設庁のために契約を集めるとか、そういうことは当然やってもいいと思うのですが、支払いというのは別に、今銀行にだってリストを上げれば三万件だってすぐ処理できることですよね。わざわざそういうふうに二カ所の場にお金を経由させなきゃいけないという必要が本当にあるのか。
 昔だったら、恐らくそれだけの払い込みとか、いろいろな難しい面があったかもしれませんけれども、今だったら恐らくリストを上げれば銀行がすぐできることですよね。これまでやっていたから同じやり方をずっと続けるという必要はないわけですから、もうIT革命が進んでいるわけですから、そういうふうにすべきじゃないですか。迷惑は国民がするんじゃないですか、やはり何かのときに。公金ですからね。我々はとにかく税金がどういうふうに使われるかということを見ているわけですから。どうでしょうか。
嶋口政府参考人 繰り返しお答えいたしますけれども、基本的には、それは土地連、それから地主会、個々の地主の皆様方の民事的な関係の問題でございまして、私どもの方から、こうあるべきだ、ああすべきだということを一々指図するのはいかがなものかと思います。
 確かに、沖縄の土地問題、基地の問題、先生先ほどおっしゃいましたように、強制使用とかいろいろなことが始まったという経緯がある、非常に弱い立場の時期もあったということで、みんな結束してその中で、自分たちの生活の糧ですから、いろいろな工夫をしてやってきている。そういう流れがあるわけでございますから、そういう中で、沖縄におけるところの土地の借料の問題、土地連の問題、地主会の問題それから地主さんの個々の問題についても御理解賜りたいと思います。
井上(和)委員 そういうことは理解しているんです。私は、地主に直接お金を払うことがなぜできないのかということに関して、非常に不思議に思うのですよね。
 長官、最後、もう時間がないので、まとめて、どうですか。御意見ありますか。
中谷国務大臣 このやり取りにつきましては、地主さんが、自分たちが話し合いをして、例えば法律とか行政の知識がないしというようないろいろな理由で、行政サービスとして社団法人を設けて、それを窓口としているものでありまして、基本的にそういった地主さんたちの意思によってつくられたものでございます。したがいまして、これは民法上の規定に従っておりまして、適切に処理はされているものであるというふうに認識をいたしておりますが、こういった執行等につきましては透明性が確保できるように適切に実施をしてまいりたいというふうに思っております。
井上(和)委員 では、終わります。どうもありがとうございました。
玉置委員長 次に、藤島正之君。
藤島委員 外務大臣に一問だけ御質問させていただきます。
 外務大臣は、大臣就任の際、小泉総理から、外交問題と同じように外務省改革についてもしっかりやってほしい、こういうふうに言われましたね。
川口国務大臣 そのようなお話をいただいております。
藤島委員 就任されたころ、非常に元気があって一生懸命やっておられたようなのですが、最近、どうもお見受けしますと余り元気がなくて、答弁の方も役人の答弁を読まれることが多いようで、ちょっと我々も期待がどうかなという感じもするのですけれども、外交問題についていえば、外交問題については非常に頑張っておられると思うのですが、このところ、外務省改革の方が若干、何というんですかね、力が入っていないような感じがするわけですが、初心はまだ変わっておらず一生懸命やる、こういうことでよろしいですか。
川口国務大臣 初心は変わっておりませんし、前と同様に、あるいは前以上に改革も一生懸命にやっております。
藤島委員 大変期待をしておるのですが、ところで、昨日、四野党が共闘しまして、官房報償費、いわゆる官房機密費、この執行停止を求める申し入れというものを、小泉総理大臣と内閣官房長官の福田さんに持っていったわけです。その際に、内容は幾つかあるのですけれども、その一つに、外務省報償費についても内閣官房報償費への上納が行われているとの疑惑が浮上していると。
 なぜこんなことを言いますかというと、共産党の方でせんだってああいう官房機密費の内訳が出たものですから、それに絡んでちょっとお尋ねしているわけですが、田中前大臣もこれについてはなかなか難しいというようなことも言っておるんですが、この点について川口外務大臣は何か調査をなさいましたか。
川口国務大臣 外務省報償費が内閣官房に上納されているかどうかということにつきましては、これまでも国会の議論の場におきまして、総理、官房長官及び歴代の外務大臣が、今委員がおっしゃられましたように、そうしたことはないという御説明をされてきていると承知をいたしております。
 ということでございまして、上納問題につきましては改めて調査をする必要はないと私は考えておりますけれども、報償費の使い方につきましては、私としては十分に注意を払っていきたいと考えておりまして、現在、例えば十万円以上の支出につきましては副大臣以上の決裁ということになっておりまして、副大臣及び私がそれは直接に決裁をいたしているわけでございます。
藤島委員 外務省の中での使用についてそういうふうな改革が行われたというのは大変な前進だと評価すべきものだとは思いますけれども、前半の部分の、官邸への上納について歴代の大臣がないと言っておるとか、総理もそう言っておるということでいいのかどうか。やはり事務的にどういう処理がなされていたのか、これは調べればわかることじゃないかと思うんですよね。それで、やはり国民に真実を調べた上で公表する、それが本当の外務省の改革につながっていくんじゃないか、こういうふうに思うものですからお聞きしたわけです。
 御質問しても同じような答えが返ってくるのかもわかりませんけれども、私はそういう観点から、歴代の大臣がそうおっしゃっているというだけではなくて、川口大臣の自主的な自分としての判断として、ぜひこの問題は調査をして、真相を国民の前に明らかにしていただきたい、これを強くお願いしておきたいと思います。
 きょうはこれだけですので、結構でございます。
 さて、有事三法が昨日提出されたわけですけれども、まず防衛庁長官にお伺いしますけれども、緊急事態と有事、それと今回、武力攻撃事態、こういうふうにいろいろ言葉があるんですけれども、これについてはそれぞれどういうふうに理解なさっておいででしょうか。
中谷国務大臣 緊急事態というのは大変な事態でありますが、国家でいえば、自然災害とかテロとか不審船、また生物化学攻撃とか、いろいろと国民の生命財産の危機に瀕するような大変な事態で、たくさんあると思います。
 この中で、有事といいますのは、今まで有事法制というふうに言われておりましたけれども、今回の法律によりますと、武力攻撃事態というふうに言っておりまして、従来呼んでいた有事といいますと、防衛出動を前提といたしまして、その出動の時期と、そして、従来から防衛出動の待機命令がかかる、この開始の時期から武力攻撃対処事態というふうに言っているわけでございます。
藤島委員 やはり緊急事態というのが非常に一番広い概念のような気がするわけですね。その中に、本当に国家が重大な危機に瀕している、そういうものが一番極端に、緊急事態の中でも一番上のレベル、そこまでにいかないけれどもかなり重大な事態、それともう一つが、一番ランクが低いといいますか、テロの問題とかあるいは武装不審船の問題だとか、あるいは大災害なんかの場合もやはり緊急事態の一つだろうと思うんですね。
 現段階でつくるとすれば、それをみんな包含した形でつくるべきで、それをもってやはり有事法案あるいは緊急事態法案、こう言うべきものだろうと思うんです。提案されているのを見ますと、本当に日本が攻撃された場合に、日本の国家総動員で対抗する、こういうのがまずありまして、その他はもう置いておく。
 今のケースの中でも、自衛隊の行動の円滑を図る部分、従来、防衛庁の方で有事法制として研究していた部分、これはある程度私は完璧に処置されていると思うんですけれども、そのほかの部分、これは全く中身がない。結局、全部先に送る。今回の法案の中身は、まさに二年先に送るという先送り法案そのものにほかならないんではないかと思うんですけれども、内閣の方はどういうふうに考えておりますか。
村田政府参考人 このたび、準備しております、上程いたしましたいわゆる御指摘の有事三法案について、その中で、まずいわゆる武力攻撃事態対処法案についてでありますが、その大きな目的とするところは、今御指摘の、国にとっての緊急事態の中で最たる緊急事態であります我が国に対する外部からの武力攻撃がなされるという、まさに国、国民の安全にとって最も重大な事態が生じた場合において、その対処についての基本理念、あるいは国、地方公共団体等の責務、国民の協力などの基本的事項を定め、また事態への具体的な対応のあり方として政府が対処基本方針を定めることや対策本部を設置することを定めるなど、国全体としての対処のための基本的な態勢の整備という極めて重要な課題の解決に取り組もうとするものであります。
 また、安全保障会議設置法の一部改正法案におきましても、こうした事態に迅速的確に対処できるように、会議の強化を図る観点から、諮問事項の変更、議員の範囲等の変更、事態対処専門委員会の設置など、所要の規定の整備を行っているところであります。
 これらの法案は、今後、事態対処のための個別の法制を整備していくための前提となる枠組みを定めるものでありまして、必要な法制整備を先送りするといった意味を持つものではないと考えております。
 また、他の法案についても、二年という期限が定められたということで、できるだけ速やかに整備すべきものと考えております。
藤島委員 今の説明では何も説明になっていないので、例えば基本理念、この中に一部ありますけれども、「武力攻撃事態への対処においては、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。」、例えば一つ、こんなものは基本理念でも何でもない、当たり前の話でありまして、こういうのをずっと基本理念だと言っているんですけれども、私は基本理念というのはもっと違うものじゃないかと思うんですよね。
 憲法があって、そこに有事があったときに、やはり軍事優先的にならざるを得ない。その場合に、国民の権利が何がしか侵害を受ける可能性がある、これは当然のことですけれども。これが、私はやはり先ほど申し上げましたようなランクによって違うと思うんですよね、国民の権利に影響するランクは。本当に国家の浮沈にかかわる事態と、そうでない事態と、あるいはテロ、あるいは不審船のような事態、それぞれによって国民の権利との絡み合いが違ってくる。そういったところをどういうふうに考えるのか、こういうものが基本理念の中にないといかぬ。
 要するに、全体をどういうふうにとらえるか、その中でこれが一部である、こういう位置づけをしないで、これはまさに先に一部だけがあって、あとは何かいろいろあるかもしれないけれども、それは全部後回し。これはまさに、有事三法になっていますけれども、有事法制のまさに一部だ。私、それが絶対いけないというわけじゃないんですけれども、少なくとも自衛隊関係の行動の円滑に資する部分について見れば大変な前進だし、私も現役時代から考えれば夢みたいなもので、非常にいいことだと思うんですけれども、今はそういう状況じゃないんですよね。むしろ、テロとか不審船の問題、こういったものの方が急ぐ問題なんですね。こういうのをみんな後ろへほうって、しかも、基本理念と書いてありますけれども、基本理念じゃない。
 私は、さかのぼると、これは憲法の条文との非常に微妙な部分があると思うんですよ。基本的人権や自由を制約する場合に、公共の福祉という一点だけで本当に絞っていいのかどうか。やはりもう一つ条文、本当に国家緊急事態、こういう場合にどうするかというのは、基本的には憲法の中にあった方が私はいい問題だろうと思うんですよね。
 一歩下がっても、今のような法案の発想は、まさに自分の役所の怠慢をそのまま表現した法案のような気がしてしようがないんですね。だから、もう一回その点は考え直して、若干の時間がかかっても提出し直す、こういうことが私は必要なんじゃなかろうかなという感じはしております。
 きょうはさわりだけ、そういうことで申し上げて、質問を終わります。
玉置委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 最初に、これはちょっと防衛庁長官にお伺いしたいんですが、通告なしではありますけれども、きのうの午後一時ごろ、米軍普天間飛行場を離陸直後のCH53型輸送ヘリから燃料補助タンク二個が外れ、同飛行場滑走路に落下した、こういう事件が起こっています。
 宜野湾市長も、住民地域に落ちれば大惨事になるということで、事態を重く見て、米軍への抗議行動を検討しているわけですが、最近、沖縄では事故が相次いでおりまして、去った八日には、嘉手納飛行場上空でF15戦闘機から訓練用照明弾が落下したばかりであります。また、普天間飛行場は、一九九七年にも、二〇〇一年にも、同型機から物資が落下するという事故を繰り返しているヘリコプターであるわけですね。
 この点について、長官、どのような調査をし、どのような対策をとられようとしているか、まず最初に伺いたいと思います。
中谷国務大臣 本件につきましては、昨日十三時四十五分、在沖米海兵隊基地司令部G5より連絡がございまして、現在、普天間飛行場の滑走路上にCH53の燃料タンクが落下し、燃料が流出している模様という第一報が入りました。
 その後、十四時三十分に同部より電話連絡がありまして、燃料タンクが落下したと伝えたが、実際は離陸しようとするときに燃料タンクが脱離したということでございます。直ちに防衛施設局、那覇局から、各自治体、また沖縄県にも御連絡をしたわけでございます。
 現在、この事実関係を調査いたして、状況の把握をしている状況でございます。
赤嶺委員 落下事故がずっと続いているわけですね。それで、私、民間住宅上空地域でのそういう訓練をやめるべきということを、何度も当委員会、外務委員会等で主張してまいりました。やはり、軍事優先型社会というのが住民にとってどういう社会であるかということを典型的に示しているのが沖縄でありますし、本当に、ちゃんとした調査と再発防止と住宅の上空地域での訓練中止を申し入れるべきということを改めて申し上げて、有事関連法案について質問していきたいと思います。
 きょうは、本格的な議論ということよりは、法案が発表された直後でありますので、その中身について一つ一つ聞いていきたいと思います。
 まず最初に、二条五号の問題ですが、指定公共機関を定めて、そして第六条で「武力攻撃事態への対処に関し、その業務について、必要な措置を実施する責務を有する。」ということで、責務を有するというぐあいにかぶさっているわけですね。それで、二条五号では、その指定公共機関について、「その他の公共的機関」だとか、「その他の公益的事業を営む法人」というぐあいになっているわけです。これは「政令で定める」とありますけれども、どういう機関、どういう法人、これを定めていかれるつもりなのか。いかがでしょうか。
村田政府参考人 武力攻撃事態への対処に当たって、どういった公共機関が指定公共機関になるかにつきましては、当該機関が担当しております業務の公益性の度合い、あるいは、その業務の武力攻撃事態への対処との関連性などを総合的に判断して指定されるものと考えます。
 具体的にどのような機関を指定するかにつきましては、今後検討されます個別の法制において、まず具体的な役割、期待される役割が規定され、それを前提に、個々の機関が果たす役割をさらに十分に検討した上で、当該機関の意見も聞きつつ、総合的に判断して、政令でもって指定するということとしております。
赤嶺委員 法律がもう国会に提出されているわけですから、中谷長官も積極的に御答弁をしていただきたい。この法律の、さっきも理念の話が出ましたけれども、根っこの考え方からすれば、当然、いろいろな見解はもう閣議決定でお持ちだと思いますから。
 それで、今、具体的な役割に応じて個別の法制で定めていきたいということなんですが、その中に、例えば民放だとか新聞、雑誌あるいはJALあるいはANA、民間医療機関あるいは医師会、これらは入るのですか。いかがですか。
村田政府参考人 個別の機関がこの指定公共機関になるかどうかにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、今後どのような役割が期待されるのか、法律が定められて、その次に、それぞれの個別の機関がそれに該当するかどうかが総合的に判断され、政令で指定されるという段取りで進むわけでございます。
赤嶺委員 皆さんの法律の趣旨からすれば、今私が挙げた機関、法人は、それなりにそういう役割を皆さんも期待されていると思うんですが、こういう団体については、個別の法制の中では排除するという考えもお持ちなんですか。大臣、どうですか。
村田政府参考人 繰り返しの答弁になりますが、具体的な機関について、これを入れるあるいは排除するといったことについて現時点での判断はございませんで、それはあくまで今後の法律の定め、その中での個別の機関についての総合的な判断によって指定されるということでございます。
赤嶺委員 今後、これらの団体についても検討対象になっていくというぐあいに理解してよろしいわけですね。
村田政府参考人 それぞれの機関の担当する業務の内容、それから事態対処における関連性の度合い等々を判断して、総合的に判断して指定されるということでございます。
赤嶺委員 検討対象にはならないということはおっしゃいませんので、また十分、その団体等もいろいろな役割その他を勘案してなっていく、検討対象になるというぐあいに確認しておきたいと思います。
 次に、首相の権限についてなんですが、内閣総理大臣は、総合調整に基づく所要の対処措置が実施されないときには、関係する地方公共団体の長に対して実施すべきことを指示することができるとあります。この中で言う指示とは、義務を課すものですか。
村田政府参考人 事態対処の上で対策本部が設けられまして、総理大臣がその本部長に就任いたしますが、ここにおいてはなすべき行為は総合調整の行為でありまして、それは強制力を持つものではございません。
 ただし、その総合調整の仕組みが機能しない、あるいは事態に時間的に間に合わない、そうした場合に内閣総理大臣として対策本部長の求めに応じて指示を行うことがあります。この指示は法的拘束力を伴うものでございます。
赤嶺委員 それでは次に、十五条二項の方で、「内閣総理大臣は、」「自ら又は当該対処措置に係る事務を所掌する大臣を指揮し、当該地方公共団体又は指定公共機関が実施すべき当該対処措置を実施し、又は実施させることができる。」と、指示の次にそういう規定があります。
 災害対策基本法では、対策本部長が措置を実施するとあるわけですね。ところが、今度の有事法では、あえて総理大臣の権限という条項が立てられておりまして、総理に対して権限が付与されているということが極めて明確にされているわけですが、なぜ対策本部長の権限ではなくて内閣総理大臣の権限ということになっているのか、この点、いかがですか。
村田政府参考人 今御指摘の問題は、ある意味で法技術的な問題とも言えるお話でございます。
 御指摘の、災害対策の本部長の権限で指示というものが規定されておるわけですが、これについては法的な拘束力を伴うものではないというふうに理解されております。
 他方で、先ほど申し上げましたが、武力攻撃事態に対し、どのような仕組みで国として対応するかということで対策本部を立ち上げるわけですが、この対策本部長、これは総理大臣がつくわけですけれども、対策本部長としての権限は総合調整の枠内である、つまり強制力を伴わないという形であります。
 それで、強制力を伴うような指示権といった概念でこの権限を考えるならば、対策本部の長としての権限の枠を越える。これは新たな法律に基づいて、対策本部長としてではなく、内閣総理大臣の権限として新たに付与して、それに基づいて指示を行うという形にするのが妥当であるという判断から、そのような規定の仕方になったものでございます。
赤嶺委員 首相にかなり強力な権限が集められてきているという法案になっていると思います。
 それで、例えば今、そことのかかわりで、那覇市は米艦船の入港を条例で拒否してまいりました。それから、神戸港も非核神戸方式で米艦艇が入港がありません。地方自治体が住民の安全の見地から条例で定めたものであるわけですが、仮に武力攻撃事態という展開になれば、これらの条例の規定にも首相の権限、先ほど申し上げました指示だとか実施の措置だとかというのは及ぶんでしょうか。
村田政府参考人 御質問の問題は、今後個別の法制を整備していく中で、地方自治体との関係、条例との関係等についてきちんと整理されなければならない問題だと考えますが、基本的には、外国からの武力攻撃という、国、国民にとって大変に緊急な、重大な事態に国を挙げて、地方公共団体も国民の協力も得ながら、挙げて対応していくときに、対策本部が総合調整の仕組みで全体としての動きをいわゆるコーディネートしていくときに、それに従った行動が仮に地方公共団体においてなされない、あるいは時間がかかる、そういったことで、発生している事態に対して迅速的確な対応が確保されないといったときには、国の責任においてきちんと指示の行為が行われる、指示に基づいて行われる、あるいはみずから行うといった仕組みが必要であろうというふうに考えます。
赤嶺委員 平時においても、米軍の存在は県民の生活に大変な被害と過重な負担を加えているわけですよ。それが出発点になって、条例で住民の安全を守るために地方自治体があれこれ制定をしているわけですから、平時の住民の安全も守れないで、ああいう事故ばかり繰り返しているところに緊急事態あるいは武力攻撃事態と云々するのは、やはり今後これは議論していかぬといけないなという思いを持っています。
 それで、国民の協力について次に伺います。
 第八条「国民の協力」は、「対処措置を実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとする。」というぐあいにあります。これは、地方公共団体や指定公共機関の責務とどういう違いがあるんですか。
中谷国務大臣 この国民の努力の規定につきましては、国及び国民の安全を確保することの重要性にかんがみて、武力攻撃事態において国や地方公共団体等が対処措置を実施する際は、国民は必要な協力をするよう努めるものとするとの基本的な考え方を明らかにしたものと考えておりまして、この規定は国民の法的義務を定めるものではなくて、この規定により国民が法的に拘束されるものではないというふうに位置づけをいたしております。
赤嶺委員 法的な拘束力はないということでありますけれども、そうすると、やはり国民の中にはいろいろな考え方を持っています。日ごろ、基地に対して負担感、嫌悪感を持っている方々も大勢いらっしゃいます。皆さんの言う武力攻撃事態に当たって、そういう国民の協力の努力ということを本当に実効あるものにしていくためには、今の条文だけでよろしいんでしょうか。
中谷国務大臣 危機対処という観点で言いますと、目の前で人が殺されたり、また家が壊されたり、そういった危機が迫ったときは、やはりみんな協力をして、そういった悪いことをする勢力に対して立ち向かわなければなりません。しかしながら、そういった武力行使という観点は、国際法において、また法律において認められたものしかできないわけでありまして、国民の立場といたしましては、基本的には安全なところに離脱をするわけでございますけれども、そういった法的に位置づけられたものと、そして国民の皆さんが安全な地域に避難するという、双方がお互い協力をして、国の有事に対処していかなければなりません。
 ですから、そういった危機が迫ったときに、国民の側としてもこういった事態に対処していただくようにお願いをしなければならないというふうに思っております。
赤嶺委員 国民に協力を期待するということであれば、あえて何でここに法律で条文化したかというような疑問を持たざるを得ません。
 それで、もう時間がありませんので、最後の質問になりますけれども、国民の自由と権利の問題について、武力攻撃事態に対処するために必要最小限度の制限ということが言われているわけですが、憲法で言うさまざまな権限ですね、例えば奴隷的拘束及び苦役の禁止があります。財産権もあります。それから思想及び良心の自由があります。集会、結社及び表現の自由、これらもあります。憲法で言われているどの権利に制限を加えるのか、これはいかがですか。
村田政府参考人 まさにどの権利が制限を受けることになるのかという内容について、今後、個別の対処法制の整備の中でそれが定められていくということでございます。
赤嶺委員 質問を終わりますが、これでは国民の権利の制限まで、政府に白紙委任を国民が求められていくということになりかねない、そういった意味でも大変な欠陥を持った法律であるし、撤回すべきということを申し上げて、私の質問を終わります。
玉置委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私はまず、米国の国防総省が出しております二〇〇一年の四年ごとの国防計画見直し、いわゆるQDRについて、これは外務省の方にお伺いしたいと思うんですが、この文書の中に「海軍長官は西太平洋における空母戦闘群のプレゼンスを増強し、同地域において新たに三ないし四の海上戦闘部隊、および誘導巡航ミサイル潜水艦の母港を見つけるべく努力する。」という記載があるんですね。
 これは、今月の二十五日にも、横須賀それから佐世保、沖縄、それぞれ共同で、日本に米海軍の原潜の母港が求められるのではないかということを懸念して、当局に申し入れをするようになっておりますけれども、まず、この文章の中にある、西太平洋地域で巡航ミサイル原潜の母港を探しているというくだりがあるんですが、この点を外務省としてはどのような認識をされているのか、御説明をお願いします。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の点は、二〇〇一年十月一日に米国防省が議会に提出いたしましたいわゆるQDR、国防計画の見直しの中に、海軍長官が、御指摘のような艦船についての選択肢を探っていくという記述を指しておられるということだろうというふうに承知しております。
今川委員 そこで、この文書では、いわゆる英訳では、ホームポートを探しているというふうに表現をされていまして、普通、新聞等でも、母港あるいは母港化という言葉を使っています。これが米軍あるいは米国側からしますと、この文書では、率直にホームポートあるいはホームポーティングというふうになっていますが、普通、海外家族居住計画というふうな言葉をたびたび目にしているわけですね。
 これが外務省として、いわゆる俗に言われる母港というものの表現の仕方、米国側がよく使っている、通常使っている米艦船の家族の、いわゆる海外家族居住計画という言葉と、このQDRの中に出てくるホームポート、母港という使い方も出てきますので、外務省として、そこはどのように理解をされているのか、説明をお願いします。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今お尋ねがありましたのは、米国の海外家族居住計画、OFRPと、いわゆる母港との関係だろうというふうに存じます。
 この海外家族居住計画につきましては、前方展開の任務についております艦船の家族を居住させるという計画でございます。他方、母港ということにつきましては、これは一般に艦船の在籍港あるいは登録港、家族居住地あるいは活動上の根拠地というふうに、いろいろな意味合いがあるかということと存じますので、どのようなケースがいわゆる母港に当たるかという御質問に対しまして、確たるお答えをすることは困難かというふうに存じます。
今川委員 ちょっと関連しますが、横須賀の問題なんですが、現在、空母キティーホークが横須賀をいわゆる母港としています。あるいは、横須賀に配備をされて、その乗組員の家族たちは横須賀で住宅に住んでいるわけですね。
 これは、ちょっと以前の話になるんですけれども、一九九八年十一月九日付のスターズ・アンド・ストライプスの中に、当時、第七艦隊のキーティング少将の、キティーホークの退役後、横須賀基地に原子力空母を配備する方向で日米が作業に入っているとの発言が載っております。
 調べてみますと、この空母キティーホークは通常型空母ですけれども、いわゆる二〇〇八年米会計年度に退役の予定だというふうに今私は理解をしているんですけれども、それが大方そうであるとすれば、二〇〇八年会計年度、つまりそのころには、米海軍が所有する通常型空母はなくなりまして、全艦原子力空母になっているはずだということから、横須賀の中には、今の空母と違って原子力空母が、キティーホークみたいに横須賀に常駐するのではないかという不安なり懸念を持っているわけです。
 ここのところを、今外務省としてはどのように理解をされ把握をされているのか、御説明ください。
藤崎政府参考人 今御指摘のキーティング当時第七艦隊の少将の発言ということにつきましては、私どもも、この米軍のスターズ・アンド・ストライプスの記事については承知しておりますが、この内容につきましては、全く、かかる事実はございませんので、どのような背景、認識のもとに少将がこういう発言をしたのか、私どもも把握しておりません。
 ただ、繰り返し申し上げますけれども、こういう事実はございません。
今川委員 これは、今、佐世保とか横須賀に米海軍の艦船がそれなりの数、常駐といいますか配備をされております。しかしながら、原子力艦船は一隻ももちろんないんですね。これは、これまで日米関係、特に、原潜が初めて佐世保に入ったとき、あるいは、一九六八年に世界初の原子力空母エンタープライズが入ったのも佐世保でありましたけれども、少なくとも当時米国側は、やはり唯一の被爆国という認識をもとにして、この原子炉、原子力ということに関しては非常にやはり当時は神経も使っているんですよね。
 そうしますと、そういう非常に政治的な意味合いだけじゃなくて、仮に、佐世保か横須賀に原子力潜水艦、もしくは横須賀に原子力空母がしかるべき時期に配備をされる、母港とするとなったときには、物理的な面も含めていろいろ厄介な問題が出てこようかと思うのです。
 ちなみに、先ほど申し上げた巡航ミサイル原潜の場合は、私が手元に取り寄せた資料だと、これは従来トライデントミサイル発射型の戦略原潜の何隻かを改造していわゆる誘導巡航ミサイル原潜に変えるということらしくて、いわゆる表示としても、これまで通常佐世保などに入っている原潜はSSNで表示されていたのが、SSGN、つまりガイデッドミサイル、誘導ミサイルというこのGという文字が入っていますので、いわば従来型のロサンゼルス級の原潜ともまたこれは違うということもございます。
 それで、例えば、沖縄も含めまして日本のいずれかの港に原潜が配備をされるということに仮になった場合に、その基地では原潜の原子炉の修理も必要でしょうし、放射能を帯びた物質が搬出されたり、陸上に、放射能を帯びた物質などの処理作業ができるようなCIFと呼ばれるいわゆる放射能管理作業施設も当然必要だろう。これは、私がカリフォルニアへ基地視察に行ったときも、申し上げた施設はもちろんございます。現在のところ、佐世保、横須賀、沖縄を問わず、そうした原子力艦船が配備をされたりしたときに対応し得る施設だとか修理能力というのは日本側にはないと思うのですね。
 そういった意味で、米側から何の打診もないのか、あるいは、今後とも、少なくとも原子力艦船に関しては配備するものというのはないということが断定的に言えるのかどうか、そこをはっきりさせてください。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 繰り返しの御答弁になりますが、かかる話し合いを行ったということは一切ございません。こういう打診があったということもございません。
今川委員 きょうは、時間の関係で個別具体的にはちょっと無理かと思うんだけれども、横須賀のいわゆる十二号バースの延長工事、拡張工事ですね。
 現在はいわゆる土壌汚染等で中止されていると思うんだけれども、もともと横須賀なり神奈川の平和団体等が何度か申し入れなども行っていると思うんです。この拡張工事がどうも、想定をされる原子力空母というのは空母キティーホークよりも大きいですから、先々原子力空母をキティーホークと置きかえるということをある面で想定した中でこの延長工事が始まったのではないかという懸念があるわけですね。その点はどうでしょう。
嶋口政府参考人 お答え申し上げます。
 十二号バースは、旧海軍時代につくられて使用されてきたものだということで、大変老朽化している、老朽したままほっておきますと安全上問題がありますから直さなきゃいけない、しかもまた同時に長さも足りないということで、空母キティーの係留とか修理についても差し支えが出ているということでございますので、現在私どもは、先生御案内のとおり、汚染土が出てきてしまいましたから、その除去に努めていますけれども、それが終わり次第、キティー空母も、運用諸元に基づいて所要の改修を行うというつもりであります。
今川委員 それでは、これは外務大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、今横須賀には、空母キティーホークが一隻、それからイージス艦などが十隻、合わせて十一隻、米海軍の艦船がいわゆる母港としているわけですね。いわば実質的に空母戦闘群と呼ぶにふさわしい実態にあります。それから、佐世保の方では、強襲揚陸艦エセックスを初め四隻の揚陸艦で、海外では唯一の揚陸艦隊第十一水陸両用戦隊というものを編成しています。
 そういったことになりますと、いわゆる六〇年の一月十九日、日米安保条約が一部改定された折に岸・ハーター交換公文が取り交わされておりますけれども、そこで言うこうした「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」ということで、事前協議の主題として扱われなければならないと思うんですが、この点はどうなんですか。
川口国務大臣 日米安保条約第六条の実施に関する交換公文、今委員がおっしゃった交換公文ですが、におきまして、「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」や「同軍隊の装備における重要な変更」は、日本国政府との事前の協議の主題となることが規定をされているわけでございます。
 ここに申します配置とは、米軍が我が国の施設・区域を本拠あるいは根拠地として駐留する場合をいうものでございますが、いかなる場合に本拠あるいは根拠地としての駐留に該当するか否かは、個々のケースについて米軍の活動の実態に即して判断されるべきものでございます。
 御指摘の艦船につきまして、米軍が海外家族居住計画に基づきまして、前方展開の任務についている艦船の乗組員の家族を我が国に居住させることとなった結果、我が国への寄港回数が増加をしたり、寄港期間が長くなったりしているのでございまして、これは日本国への配置には該当せず、したがって、事前協議の対象にはならないわけでございます。
 また、事前協議の主題となります装備の重要な変更とは、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設をいうものでございますけれども、御指摘の点はこれに当たらないということでございます。
今川委員 もう時間があとちょっとしかないんですけれども、今の説明はおかしいですよ。この日米安保条約、我が国にとっては最も重要な国際条約なわけでしょう。すごい歴史がありますよね。
 その中で、横須賀を例にとりますと、今申し上げたように、あの大きな空母が一隻と、イージス艦を初め十隻が、米側がよく言うところのいわゆる海外家族居住計画、私どもあるいはマスコミも通常は母港と言っています、いわゆる第七艦隊の艦船が一時寄港するということとはわけが違うと思うんですね、乗組員の家族がたくさん住んでいるわけですから。一時寄港とは明らかに違う実態があって、それが本拠地として使われているか、あるいは本拠としているのかとか、はっきりしているじゃないですか。
 それをやはりもっと我が国政府として公式の場できちっと、何隻の船を横須賀なら横須賀に配備をする、あるいは佐世保を母港とするということも、日米の共通理解、共通認識をもっとしっかりしないことには、これだけ大事な条約、日米関係なのに、余りにもあいまい過ぎやしませんか。
 ちなみに、一つ例を出しますと、これは随分古いんですが、一九八六年、当時私どもは、佐世保市長を通して外務省にある申し入れをしました。一九八六年というのは、アメリカの戦艦ニュージャージーが日本に初めて姿をあらわし、佐世保に入ってきたんです。そのときにたくさんの随伴艦を連れていましたので、いわゆるこれは申し上げる配備ではないんです、一時寄港することは間違いないんだけれども、一タスクフォース、機動部隊に当たりはしないか、そうした場合に、これは事前協議の対象になるんではないですかということを文書で申し入れました。そうしたら後日、これは市役所を通して外務省から回答がありまして、いわゆる二つの理由で該当しないと外務省は答えたんです。
 一つは、一機動部隊には当たらない、部隊が編成されていないということで該当しない。もう一つは、今ちょっと外務大臣もおっしゃった、配置とは、機動部隊が日本の港に本拠地として長期的に配置されることであって、短期間入港する場合はこれに該当しない。二つの理由で私どもの申し入れには当たっていないというふうに、当時の外務省は答えられたわけです。
 しかし、今私が申し上げたいのは、佐世保では、米海軍によって唯一の揚陸艦部隊が佐世保に部隊編成をして第十一水陸両用戦隊という名のもとに常駐しているわけですよ。乗組員の家族も佐世保に住んでいます。横須賀も同じことです。
 こういう実態というのは、はっきりと配置の変更なんだから、どちら側から言い出すかは別にしまして、日本政府としては、やはり責任を持ってきちっとそれは、それはそれでよろしいと言うなら言うで、日米間の公式のやりとり、そして協定の取り交わしというのがやはり要るんじゃないですか。そのことを申し上げたいんです。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 御指摘の艦船につきましては、先ほど申し上げましたとおり、乗組員の家族を我が国に居住させることとなりました結果、我が国への寄港回数が増加をしたり寄港期間が長くなったりしているのでございまして、これは日本国への配置には該当しない、したがいまして、事前協議の対象とはならないと考えております。
今川委員 もう時間が来ましたから終わります。一言だけ申し上げておきます。
 事前協議をあたかも日本政府がしたくないがために、本来はだれが見ても配置であるのに配置じゃないというふうに言っているようにしか聞こえません。もっとやはり日米関係が大事であるのだったら、こういう点はきちっと責任を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 終わります。
玉置委員長 次に、小池百合子君。
小池委員 小池でございます。各担当のお役所の方からもたくさんお越しいただいております。御足労ありがとうございます。
 まず、世界のトップニュースはやはり中東でございますので、中東について何点か伺わせていただきたいと思います。
 外務大臣がもうお帰りになってしまったので、杉浦副大臣、この間、パウエル国務長官による調停、大変はらはらどきどきしながら見守っておりました。しかしながら、今回の訪問におきましては、目立った停戦、幾つかのイスラエル軍の撤退ということがありますけれども、しかし、アラファトさんのあのラマッラというのが、あそこから撤退するという兆しもないし、ましてや監禁状態も解かれていない。そしてまた、両者の考え方が折り合うようなところまでは、まだ百キロ、二百キロの開きがある、そういう遠さがあるわけでございます。
 今回の一連の評価、どのように外務省とすればなさっておられるのか。また五月ぐらいに戻って再調停に臨まれるということで期待は残しておりますけれども、現状においても、アラブ各国が対イスラエルに抱きます感情というのは、あの湾岸戦争のときとはほど遠いような状況でございまして、よって、パウエル国務長官もエジプトに入ってムバラク大統領に会うという予定をしていたところが、エジプト側の方から、基本的に今会う状況にはないというようなことで断られてしまっている。総合的にどのような評価をなされるのか、手短にお答えください。
杉浦副大臣 外務大臣が外交日程のために、かわりで大変申しわけございません。
 まず、小池先生におかれましては、カイロ大学を御卒業ということもございまして、アラブ、イスラエル、あのあたりの問題については大変な理解者であり権威でいらっしゃるわけですし、また、日米議員交流でも御一緒させていただいておりますが、アメリカを初め広く知己を持っておられる方でございまして、この間もイスラエルへ行っていただいて御尽力賜った。大変私どもも感謝しておるところでございます。
 お尋ねの点でございますが、パウエル国務長官が本当に非常な困難な状況の中で調停をしてくださった、双方に対しまして停戦すべしということで多大の御努力をいただいたということは、私ども高く評価しております。
 先生のおっしゃったような状況でございまして、不調に終わったんだという方も中にはあるわけでございますが、昨日、長官が現地を離れるに際しまして、アメリカとしては停戦の実現と和平プロセスの再開に向けた努力を続けていくという姿勢を明確にしておられますし、また、現地にはジニ特使、バーンズ国務次官補がおるわけですが、引き続き残って努力を継続する。それから、テネットCIA長官も現地に派遣されるかもしれないという話も伝わってまいっております。
 ですから、私どもとしては中断だろうというふうに思っておるわけですが、私どもとしては、このようなアメリカによる継続した取り組みを支持して、支援していく考えでございます。両当事者が、このようなアメリカの努力に建設的にこたえて、停戦及び和平プロセス再開のための決断を行ってくれることを、我が国としても改めて求めてまいります。ただ、状況は非常に厳しいということは先生のおっしゃったとおりでございます。
小池委員 私も、何度かガザそしてヨルダン川西岸に入るんですが、最近では、本当に国連の車まで、救急車とかそういうことまでねらわれてしまうと。今はそれは状況は違うと思いますけれども、私たち日本人が行くと、かえって難民の人たちは、ばあっと手を振るんですよね。私はやはり、そこで、欧米とは違う日本のスタンスというのは持つべきではないかというふうに思っております。
 また、欧米と一くくりにしても、最近は、ヨーロッパの動きは大変、アンチイスラエルの動きも多々あるわけです。ワシントンでは、数万人のイスラエル擁護の、一言で言えばユダヤ系の方々がばっと集まってイスラエル側の方のサポートをするという体制。そしてまた、アメリカの新聞等々も見ておりますと、それはむしろやはりアラブ側に非があるというような傾きがある。これらは国内事情などを考えればそんなところかなと思うんですが。
 そこで、いろいろとアメリカにも物を申すとおっしゃっておられますけれども、私は、まず、国連の場でできるべきことがあるのではないかと思います。
 コンドリーザ・ライスさんの最近の発言を見ておりますと、対中東で国際停戦団というのを派遣したらどうかというようなことも伝えられております。これは非常に大きな意味がございまして、つまり、昨年の暮れもそうでしたし、一連の中東・パレスチナ問題については停戦監視を送ろうということで、国連でエジプトとチュニジアが共同提案したり、そしてまた、世界のさまざまな国がそういった停戦団の派遣ということを提案していたんですね。ところが、全部アメリカがビートー、拒否権を発動しているんです。
 しかし、今度ライスさんがそういうことを言ってきているということは、私は、ぜひ日本としても、まずは停戦だ、ブラッドシェディングはやめろ、流血のさたをやめなさいということを、もっと国連の場においても発言していくべきではないか。
 せんだっても、国連決議のとき、日本は一応棄権という態度をとられた。これはいろいろな意味で中立的にはよかったのかもしれない。だけれども、お互いの人間同士が流血を防ぐという意味で、私は明確にこれは、日本も音頭取りの一人となって、監視団、停戦のための監視ということを早急に送るべきだということを国連の場において提案してほしいというのがまず一点でございますけれども、それに対してのお考え、いかがでしょうか。
杉浦副大臣 先生の御指摘になるヨーロッパ初め各国、それぞれの国の態度は、歴史的背景とかいろいろな事情で異なるのはまことに当然のことだと思います。
 ただ、このイスラエル・パレスチナ問題のキープレーヤーはアメリカだということはもう変わらないと思います。イスラエルに、例えばEU代表団が行ったんですが、アラファトさんに会わせてもらえない、それで、シャロンさんにも会わずに怒って帰ったということもございました。ヨーロッパ諸国はどちらかというとアラブ寄りと思われている、パレスチナ寄りと。非常に複雑でございます。
 私どもとしては、アメリカの努力を全面的に立てて、それを支援して、そして、国連も含めてでございますが、例えば事務総長は監視団を出すべきだという御提案もなさいましたが、そういう問題も含めて国際社会の場で、G8もございますし、いろいろな場でアメリカがキープレーヤーとしての役割を果たして、うまく停戦、そしてピースプロセス復帰という方向に行くのが一番いい道だという方向で私どもは努力しております。
 先生のおっしゃったことは、まことにいろいろとこの経過、よく御存じでございますから、そのとおりでございますが、我が国のとるべき態度としてはそういう方向で考えておるところでございます。もちろん緊密な連絡をアメリカ初め各国ととっております。
小池委員 例えば、この間特使でいらした茂田さんも、アラファトさんには会えなかったと思います。だって、シャロンさんは、アラファトはもういないと無視しているわけですから、そこに会いに行くといったって、いない、存在しない人にどうして会うんですかみたいな話で、たとえ私が行ったとしても無理だと思うんですね。
 そういうことじゃなくて、現地の話をしているんじゃなくて、私は、国際会議の場でやったらいかがですかと。ましてや、ライスさんが、ホワイトハウスの戦略を書いている方ですよ、その方がそういう発言をしているというのをそのときにぱっと、これはあと一週間とか二週間後に、ああ、そういえばというんじゃなくて、これはタイミングの問題だと思うし、何を提案するかというのはこれこそ外交の機敏さではないかと思っているので、ぜひやってほしい。一言。
杉浦副大臣 先生のお考えは、一つの有力なお考えだと思います。ただ、国際会議をやるにしても監視団を出すにしても、双方の当事者の合意がないと機能いたしません。合意を前提として、国際社会全体が停戦から和平プロセスへ行くように関係者が協力してやっていくという道が一番大切だと思っております。
小池委員 国際会議というのはアメリカとシャロン側が提案していることなので、それにしゅっと乗るというのはどうかなというふうな考え方もありますが、私が申し上げているのは国連の場ということなので、それで、両者の合意ができないから今世界は頭を痛めているわけですから、そこに国際社会からの圧力を両者にかけるという、それの先導をやっていただきたいということでございますので、お間違えのないようにしていただきたいと思います。
 また、ジェニンの難民キャンプは一万四千人ほどいるんですけれども、その確認がほとんどできていないというので、一万人ぐらい死んじゃっているんじゃないだろうかというような話もございます。ここに対して、これはパレスチナ側からの要求でございますけれども、この調査をしてくれないかというような声も聞こえているわけで、ジェニンがジェノサイドの場になってしまっては本当に恐ろしいことだと思います。
 そういった意味で、中東問題、これからも非常に緊迫する、そういった状況が続くと思いますけれども、先ほど申し上げました、日本は非常にある種特殊というか、特異な分野を持っているんだ、特異というのは異なるの方ですね、ぜひともそれを十分生かすべきではないかなと私は思っております。
 国際会議を開いても、今のところ日本はそこに名前が入っていないんです。EUとロシアが入っていて、後で小切手をこれだけ送れと言ってくるだけなんです。よって、私は、きちっと合意にたどり着くための国際的プレッシャーをみんなでそろって、日本も旗を振って、そしてそっちの方に持っていくこと、これが必要ではないかということで申し上げておきたいと思っております。
 次のポイント、時間の関係もございますので次のテーマでございますが、この安保委員会で、なぜか金融に関しての、朝銀が定番となってしまいましたが、総合的に安全保障にかかわるという観点で、さらにこの問題はこの安保委員会の得意分野としていきたいというふうに思っているところでございます。
 これまで、朝銀の中で新しく四信組が認可をされたわけでございますけれども、その際の定款の中に、朝鮮総連の役員の経験者、これは、朝鮮総連をどこまで含むのか、役員はどこまで含むのか、経験者は何年から何年だったら経験者というのか、そういった定義がないままにばっと進んじゃっているので、ある意味ではすごく幅広いんですね、今、現時点において。そうなってくると、この安全保障委員会で何度もそれぞれの議員がこの問題を追及してまいりました。我々なりのさまざまな情報をもとにして、いわゆる非公然組織の学習組のメンバーではないかというような観点から追及があったわけでございまして、そしてまた、担当の漆間局長でしたか、経験者がいるという御答弁をちょうだいしたかと記憶をいたしております。
 ということになると、その段階でもう定款に触れてしまうという話でございまして、そういったことから、せんだって、中山先生を会長とする私どもの議連におきましていろいろ御説明を受けました。どうもこれはどういう意味なのか、既に役員として決まっておられる方が辞意を漏らしておられる、そういった御説明も受けたのでございますけれども、村田副大臣、その点をもう一度確認させていただきたいと思います。
村田副大臣 新設組合の役員等の総連との関係等につきまして、あるいは非公然組織との関係につきまして、いろいろな委員の先生方から御指摘を受けました。
 私どもは、四月の二日に、銀行法第二十四条に基づきまして、新設の組合に対しまして報告の徴求を行ったところでございまして、その間、その報告の具体的な、どう進んでいるかについては具体的な御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、その中で、一部の組合の理事長には、経営の独立性、透明性を確保するという観点から、みずからの進退を含めまして、役員体制の見直しの必要がある、そういうふうな考えがあるところもあるというふうに言われておりまして、私どもといたしましては、そうした動きというものについては注意深く注視している、こういうところであります。
小池委員 それは、金融庁の方からのいわゆる行政指導というものなんでしょうか、それとも彼らの自発的な考えなんでしょうか。なぜそこを自発的に変えることにつながっていくのか、その辺を教えてください。
村田副大臣 ただいま申し上げましたように、銀行法に基づきます報告を徴求する、そういう機会に、事務方の方からさまざまなコンタクトを相手方ととってきた、そういう中でそういう意向が、そういう動きがあるということを把握しているようでございますが、私は、今、小池委員の御質問に対しまして、そうした動きが出てきたということは、経営者の、役員の中に、巷間言われるようなそういう問題につきまして、みずから透明性を高める、そのことを放置した場合には、せっかくスタートした新組合の経営の先行きについて問題が生ずるのではないかということをみずから懸念したのではないかと思料しているわけであります。
小池委員 大体、多くの場合は、そんなことはないと言って、もう門前払いをする方々がこれまで多かったのが、随分、従順じゃないけれども、ああ、そうですかという形で交代をされるというのは、一体どういうことなのかなと私は感じざるを得ないわけでございます。
 先ほど、定款の付記で、総連の役員経験者ということを申し上げたんですけれども、これはそれぞれ、警察、公安の方とすれば、例えば総連があります、各地も含めて商工会があります、朝鮮大学があります、それから学習組、これは私、位置づけはできても、それの証明はなかなか難しいと思います。家族にも自分は学習組だと言わないというようなことでございます。そして、これまで朝信協なんというのも、これは朝銀の一連のネットワークの部分であったということです。
 つまり、商工会、大学、これは一体どのような位置づけになっているのか、これまでの御判断をいただきたいと思います。警察、公安それぞれ伺わせてください。
漆間政府参考人 いわゆる商工会、在日本朝鮮人商工連合会については、朝鮮総連の傘下団体であると承知しております。
 それから、朝鮮大学校につきましては、総連の公刊資料で、「海外僑胞教育の歴史上、一つの海外僑胞組織が大学を直接創立し、自主的に運営している例は、朝鮮総連以外には見られない。」という記述がございまして、朝鮮総連がみずから創立し運営していると称している教育機関の一つであると承知しております。
栃木政府参考人 商工会は、在日本朝鮮人商工連合会の通称でございまして、朝信協というのは、在日本朝鮮信用組合連合会の略称でございます。商工会と朝信協は、いずれも朝鮮総連の傘下団体でございますが、朝信協につきましては、ことしの三月末をもちまして解散したというふうに承知しております。
 それから、朝鮮大学校につきましては、学校法人東京朝鮮学園の傘下団体でございまして、朝鮮総連におきましては、みずからが創立、運営している教育機関であるというふうに言っているということを承知しております。
 それとあと、学習組につきましては、朝鮮総連とその傘下団体や事業体の中央組織、地方組織、朝鮮人学校などに設置されている非公然組織であるというふうに承知しております。
小池委員 要は、朝鮮総連の傘下団体であるということが明確になったというふうに思います。よって、今回の、四信組みずからでつくった定款にみずからが触れるというようなことからそういった役員の交代をするということは、私は、そのロジックからいって明確なのではないかというふうに思います。
 朝信協は、既にその役目を果たしたということで、今後変わるということでございますけれども、実は、もう既にそれにかわるものができておりまして、商工連内に民族金融問題対策協議会というのができているわけでございますけれども、これは、もう既にこれまでの朝信協の代替組織ではないのか、それはまた結局総連からの指示を受けて、もしくは総連との連携でやっていこうというものではないのか、イエスかノーかでお答えください。では、公安の方で結構です。
栃木政府参考人 御指摘の協議会は、在日本朝鮮人商工連合会が、いわゆる朝銀信用組合の再編を支援する活動を行うために設けた組織であるというふうに承知しております。
小池委員 では、同じく警察の方にも。
漆間政府参考人 民族金融問題対策協議会が朝信協にかわるものかどうかについては、まだ我々としてお答えできる立場にございませんが、民族金融機関の再生と正常運営のための活動を行うとして、在日本朝鮮人商工連合会が設けた組織であるというふうに承知しております。
小池委員 機能的には同じようなものではないかと思うわけでございます。
 四月二日付の朝鮮商工新聞というのが届きました。ずっと日本語の部分と、あとハングルで書かれた部分があるんですが、わざわざハングルで書かれた部分というのは一種挑戦的な部分もございまして、簡単にその翻訳部分をお伝えいたしますと、
 われわれの愛国的同胞商工人たちは状態がいくら困難で複雑であっても、敬愛する将軍さまのもとに全人民が固く団結する祖国があり、総聯組織に一心団結して闘争すれば必ず勝つという固い信念と意志の下に、あらゆる障害と難関を克服していきました。
ちょっと飛ばしますけれども、
 いま日本当局はわれわれの信用組合と総聯の間にくさびを打ち込もうとして干渉し圧力を加えてきています。新組合の「定款付記」は言うまでもなくその産物です。
 同胞社会の実態、そして商工団体が歩んできた半世紀の歴史を冷静に見れば、総聯組織と切り離して考えることはできず、
もう一度言います。
 同胞社会の実態、そして商工団体が歩んできた半世紀の歴史を冷静に見れば、総聯組織と切り離して考えることはできず、総聯組織のもとに団結してはじめて同胞社会を守ることができ商工団体を強化発展させ企業権も固守していける、ということは明確です。新信用組合も総聯の大衆的地盤と同胞商工人の愛国的情熱に固く依拠してはじめて発展できるのです
ということで、わざわざこのハングルで書いた部分は日本人には読ませたくなかったのではないかという、逆の心理が働いているものではないかと考えることもできます。
 また、「総連への融資二百億円」ということで、きょうの新聞でございますけれども、朝銀東京の元理事長、これが破綻への大きな原因となったということで、例の朝銀東京信用組合をめぐる資金流用事件で業務上横領罪などに問われた元理事長鄭京生被告が、この問題で、朝銀東京から朝鮮総連側への融資総額は約二百億円に上っていたと供述し、破綻原因の大きな比重を占めているというふうに話しているわけでございまして、いろいろなことがこういう司法の場でも明確になってきている。
 実は、これが今度、来週ですか、発売される、「わが朝鮮総連の罪と罰」ということで、まさに今の問題に絡んでいた朝鮮総連中央本部の財政局副局長であった韓光熙さんが書かれた本でございます。その中に、朝鮮総連と送金疑惑について書いているんですけれども、
 送金疑惑報道に対して朝鮮総連は激しく抗議したが、日本から北朝鮮に毎年巨額のカネが流れていたことは、間違いのない事実である。
  日本から非合法的に送られる資金は、そのほとんどが新潟港と北朝鮮の元山港を結ぶ準定期航路を通じて、現金のかたちで運ばれる。
それから、
  朝鮮総連は毎年、金日成・正日父子の誕生日、九月九日の建国記念日、一〇月一〇日の党創建記念日など、北朝鮮で祝い事があるたび、祖国に対する忠誠のしるしとして相応の付け届けをしていた。これが組織的な事業の体をなしてきたのは七九年に短期祖国訪問団がはじまってからである。
この本は、今回の朝銀問題も含め、拉致疑惑にもつながってくる、まさにそれをやっていた当事者の人の書でございます。それから飛んで、
 「次の首領様の誕生日までに何億集めよ」といった類の指令が、姜周一から許宗萬に、直接口頭で伝えられる。
  指令を受け取った許宗萬はこれを東京の総連中央本部に持ち帰る。ここで、献金の割り当てが決定されるのである。カネがどこにあるかといえば、全国の信用組合、つまり朝銀の裏口座のなかに貯えられている。
長くなりますけれども、ここには、本当にさまざまな疑惑、我々が抱いているさまざまな疑惑に当事者がそのままこたえている。この方は、今大変な村八分に遭っていることは想像するに簡単なわけでございまして、むしろ、彼を守る必要もあるかと思っております。
 いずれにいたしましても、ここでさまざまな議員が提起しているのは、単なる疑惑ではなくて、これはまさに組織ぐるみであり、そして、なおかつ北朝鮮という本国が司令塔になって動いてきた。よって、我が国の公的資金の流入ということに対し、それの受け皿を必死になってつくってきたけれども、しかしながらその定款の部分で経験者ということを一言入れたがために、にっちもさっちもいかない状況、例えば、これまた人がかわっても同じことだと私は思いますよ。
 というようなことから考えますと、この問題については、我が国の安全保障から考えた政治的判断が必要になるかと思いますけれども、副大臣、政治家として、この問題はどのように対処されていかれるのか、一言最後に伺いたいと思います。
村田副大臣 朝銀につきましては、二次破綻も含めますと十六の信用組合が破綻をし、そして国民の血税を、多額な血税を資金贈与として使う。一方において、在日朝鮮の方々の資金仲介機能を、万全にこうした信用組合が果たし得ない状況というものを、これを私どもは真剣に考えているわけでございます。かつて、その経営者等の問題がございまして、大きな破綻に結びついたことも考え合わせれば、今後の将来の朝銀の経営を考えたときにも、私どもは、かつてとは違った新しい、総連等に影響をさせない、そういうような組織であってほしいということでございまして、私どもは、その目的を実現するために、現在、新設四信組につきまして真剣な努力を重ねている、こういうことでございます。
小池委員 今のは金融庁副大臣としての御答弁でしかなかったと思います。私は、やはり日本の国益をオーバーオールで考えるのが政治であって、それを決断するのを政治家だというふうに思います。
 これまで拉致疑惑が、いろいろな人が逮捕されたりして、起訴されたりしているけれども、肝心なときになると、すっと、それ、もうほったらかしになっているじゃないですか。それは七〇年代、八〇年代にしっかりやらなかったからこそ、有本さんや、これまでの横田めぐみさんのケースなどが出てきちゃったわけでしょう。ですから、私は、最初にやるべきことを政治が決断しなかったから、結局こういう形になっているというふうに思います。
 日経の記者が書いた非常に衝撃的な内容も、むしろ国家の体をなしていない部分が暴露されてしまったようなところがあって、私は、そういったことは国家として全体的に毅然とした態度を今後とっていかなければならないということを断固として申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
玉置委員長 ちょっと待ってください。
 では、杉浦さん、どうぞ。
杉浦副大臣 小池先生から御質問がある予定だったのが、なかったものですから、大事なことを御報告させていただきます。
 日本と北朝鮮の赤十字会談が、今月二十九日及び三十日に北京において開催することが決定されました。
 今回の会談の日本側首席代表は、東浦洋日本赤十字国際部長が務めます。また、この会談には外務省からもしかるべき者が出席いたします、審議官、課長からでございますが。今次会談においては、いわゆる行方不明者の安否調査、日本人配偶者の故郷訪問、その他日朝両国が互いに関心を持っている人道問題につき議論するものと承知いたしております。
 以上でございます。
小池委員 はい、しっかりやってください。
玉置委員長 次に、江崎洋一郎君。
江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。
 昨日、国会に有事三法が提出されたわけでございます。昨年のテロ事件を契機に、我が国を取り巻く環境というものは激変しておるわけでございます。その中で、国民の財産生命をいかに守るかという国家存立の基本、これが改めて問われているということではないかと思います。本件は、我が国の安全保障のあり方ということを決定する重要な法律であります。
 そこで、本日、私は、こうした有事法制を多角的に質問させていただきたいというふうに考えております。最初に、我が国におきます米軍の行動について、そして後半では、既にあります周辺事態法との整合性、今回の新法との整合性についてお伺いをしたいというふうに考えております。
 まず第一点でございますが、今回、当初、新聞報道等では、予定されておるというふうに聞いておりました米軍関係の法案提出が見送られた経緯につきましてお伺いをしたいというふうに思います。
 日米地位協定第十六条で、米軍は日本法令の尊重を義務としているということがございます。また、これに関連しまして、四月四日、外務省による文書で、「米軍の行動に関する関連法律の適用除外について」というこの内容の中で、法改正で適用除外をするのではなく、政令省令の改定で対応できるというふうにしておるわけでございますが、これらが恐らく今回法案提出を見送られた理由かとは思いますが、この法案提出が見送られた理由をまず明らかにしていただきたいと思います。これは外務省からお願いします。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今、江崎委員御指摘のとおり、この有事法制の整備におきまして、米軍の行動につきまして、私どもといたしましても、武力攻撃事態において、自衛隊と共同で対処することとなりますために、同様に円滑な行動がとり得るようということで検討したわけでございます。
 武力攻撃事態に当たりまして、自衛隊に関して特例を設ける法律のうちで、米軍に適用のあるものがあれば、私どもといたしましても、これを同様の措置をとる必要があるかということで検討してきたわけでございますけれども、これらの法律について、自衛隊につきましても最終的に法律改正以外の措置で対応するということになりまして、この点も参酌しつつ、米軍についても法律改正以外の措置で対応することにした次第でございます。
 他方、法律改正以外の措置でどのような措置をとるかということでございますけれども、これにつきましては、これからさらに関係省庁間で検討してまいりたいというふうに考えております。
 同時に、法律関係につきまして、今後一切ないかということでお尋ねであれば、米軍の行動円滑化のために、さらに所要の枠組みが必要かどうかについては、今後の検討課題として省庁間で検討することになるというふうに存じております。
江崎委員 報道によりますと、法律改正はないだろう、しかし、政令省令の改定で対応するというお話と、一方で、いやいや、もはやそれすら必要ないんだ、いわゆる国内法の適用除外である米軍というのは、一切の政令省令すら改定する必要がないという両論の報道があるやに伺いますが、具体的に、この政省令の改定が必要ないのか、また、その具体的理由というものを教えていただきたいと思います。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 ただいま申し上げましたように、この法律改正以外の措置、これはどういう措置になりますかは、今後関係省庁間で十分協議して、所要の措置を講じて、遺漏なきを期したいというふうに存じておりますが、具体的に、現時点におきましてどういう措置が必要かということを今申し上げることは、やや困難かなというふうに存じております。
江崎委員 きょう、ちょっとお呼びしていませんが、昨日、国土交通省とちょっと議論させていただきましたところ、河川法あるいは道路法すら改正の必要がないんじゃないかというような意見もございました。そういった意味で、議論はかなり省庁間で進んでいるのではないかと推察されますが、いかがでございますか。
藤崎政府参考人 鋭意関係省庁間で議論したいというふうに思っております。
江崎委員 防衛庁長官、そのような対応で支障がないんでしょうか。
中谷国務大臣 外務省がお話ししたとおりであります。
江崎委員 まだまだ法案が提出されたばかりということもあって、議論が十分に煮詰まっていない部分もあろうかと思いますが、しかし、ここは大変重要な問題であります。十分に各省庁間で連携を組まれて、慎重な対応をお願いしたいところであります。
 さて、私が心配しますのは、米軍の行動に対する規範というのが、これから議論されるというふうに先ほど外務省からの御答弁がございましたが、最も身近な問題としてあり得る問題と申しましょうか、米軍が仮に日本国民に損害を与えた場合、果たして補償というのをどのように考えたらいいかという問題があるかと思います。
 具体的には、特に米軍が移動をしていくということに際して、例えば田畑に侵入するなり、民家を壊さなきゃ通れないとかそういった問題も出てこようかと思いますが、これらの問題につきまして、米軍が日本国内で行動すれば、その行動は自衛隊と同様のものとなりまして、国民の財産に損害を与える。今申し上げたとおりのことでございます。
 自衛隊については、今回の新法では、必要最小限で、公正かつ適正な手続のもとに行われなければならないというふうに定められているわけでございます。一方、米軍については、今お話しのとおり特段の規定がないというわけでございますが、米軍の行動が、仮に自衛隊のような形で準じて行えるのか、さらには、適正な補償というものが考えられているのかお聞きしたいと思います。
 日米地位協定十八条十二項におきましては、非戦闘行為における補償規定というのはあるかと思います。しかし、戦闘行為対応の法律というものは存在しないということでございますので、これはこれから検討ということかもしれませんが、ぜひとも必要な法律ではないかと思いますので、いかがお考えでしょうか。これは外務副大臣にお願いいたします。
杉浦副大臣 おっしゃるとおり、ぜひとも定めなければならないことでございますが、現在の日米地位協定上、その他の措置で、武力攻撃事態、戦闘行為の事態における補償については定めがございませんので、今回の非常事態法制には入っておりませんですけれども、自衛隊の件もありますし、将来、武力攻撃事態における国民の被害の扱いについて検討が進められると思います。その際に検討されるべきことだと思っております。
江崎委員 これらは、具体的にはどれぐらいのスパンを考えて検討というふうに考えておられますか。
杉浦副大臣 他の事項同様、二年以内をめどにというふうに考えております。
江崎委員 防衛庁長官、二年以内ということでありますが、大変時間がかかるわけですね。そのような状況で非常事態というものが避けられるんでしょうか。大丈夫ですか。
中谷国務大臣 できるだけ早く成立すべきだというふうに思っています。整備すべきだというふうに思っています。
江崎委員 それは、二年以内にこだわらず、可及的速やかに実現していただけるということでしょうか。
中谷国務大臣 防衛庁といたしましても、米軍とともに行動するわけでございますので、できるだけ速やかに成立させていただきたい、検討していただきたいというふうに思っております。
江崎委員 何かと、二年以内というと本当に二年たっちゃうわけですね。そういうことがないように、ぜひ外務省の皆さんも、可及的速やか、二年にこだわる必要はない、短ければ短いほどよいという認識で御対応をお願いしたいというふうに考えます。
 続きまして、補償という概念と関連するかと思いますが、米軍が行動することに伴って、我が国国民が基本的人権の侵害を受けやしないかということについてお尋ね申し上げたいと思います。
 基本的人権というと非常に重い表現になりますが、いわゆる行動の自由、我々が行動していく上での自由を奪われてしまう、制限をされてしまうんではないかというような事例があり得るんではないかと思います。例えば、米軍の移動に伴って、道路が閉鎖されて我が国国民の避難がおくれてしまうとか、あるいは海上の船舶についても、米軍の船舶が優先される、あるいは飛行機においても、やはり離着陸に伴っての優先順位というのが出てこようかと思います。また、通信分野におきましては、周波数の制限ですとか、そういったことも考えられるわけでありまして、それらの点についても何らかの取り決めというものが必要でないかというふうに考えます。
 地位協定におきまして、十六条でしたか、我が国の法令を尊重することというふうになっておりますが、しかし、民主的統制の枠組みを担保していく必要というのはあるんではないかと考えております。
 その中で、先ほどの武力攻撃事態法におきます今後の米軍の行動を円滑化するための措置の中に、基本的人権の侵害と申しますか、行動の自由を制約するような、これらについても改めて規定をしていくというお考えでしょうか。これにつきまして、防衛庁長官から伺いたいと思います。
中谷国務大臣 まず、外国の軍隊というものは国際法におきまして接受国の法令を尊重しなければならないというのは、当該軍隊を派遣している国の一般の国際法上の義務でありまして、このことは我が国に駐留する米軍についても同様であるというふうに認識をいたしております。
 日米地位協定の第十六条が米軍の構成員及び軍属による日本国の法令の尊重義務を定めているのも、こういう考え方に基づくわけでございますが、本件について、米軍の円滑な行動を確保する、また、国民への影響を最小限にするという観点から、武力攻撃事態対処法第二十二条に定める事態対処法制を整備する中で検討されていくべきだというふうに考えております。
江崎委員 今回の法案を提案された内閣官房のお立場からはいかがでしょうか。これら法律というのは改めて必要とお考えでしょうか。
村田政府参考人 委員からの御指摘の中にも示されたわけですが、改めて私の方からも、繰り返しで恐縮ですが、申し上げます。
 今般提出いたしました武力攻撃事態対処法案におきましては、今後の法制整備の課題として、米軍が日米安保条約に従って我が国に対する武力攻撃を排除するために行う行動が、円滑かつ効果的に実施されるための措置について、必要な法制の整備を行うこととしております。
 そして、こうした個別の事態対処法制の整備に当たっては、法案第三条に掲げる基本理念にのっとるということとしており、同条は第四項の基本理念において、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。」と明記しているところであります。
 かかる方針のもと、米軍の行動円滑化に係る法制につきましても、国民の基本的人権を最大限尊重し、適正手続を確保しつつ、必要な法制の整備を行ってまいりたいと考えております。
江崎委員 先ほど質問申し上げました補償につきましても、やはりこちらの基本的人権の侵害の方につきましても、いずれは法律として改めるということでございますが、本来の姿としましては、当初予定どおり、三法ではなく四法として、米軍の行動に関する規定というものは当初から準備をしてセットで出してくるというのが本来の姿ではないかというふうに考える次第でございます。
 いろいろな政府内の都合というのもあろうかと思いますが、我が国のやはり安全保障に係る重要な問題でございます。そういった意味で、これらを政争の具にすることなく、きちっとしたセットとして、真剣に安全保障を国民のために考えているんだということが今最も大事なことだと思いますので、二年ということにこだわらずに、ぜひとも、一日も早く、可及的速やかに法案をまたつくり上げていただきたいというふうに考えております。
 次に、前段申し上げました周辺事態との関係につきましてお尋ね申し上げたいと思います。
 中谷防衛庁長官は四月四日の安全保障委員会での御答弁で、周辺事態自体が今回の武力攻撃事態の一つのケースである旨御答弁されておられます。その場合、周辺事態法に基づく対応措置がとられるとともに、今回の新法に基づく対処措置がとられることになり、一つの事態に対して二つの法律に基づく二つの対応というのが考えられるのではないかというのが心配でございます。
 例えば、ここに朝日新聞の事例がございますが、我が国周辺国、A国とB国が交戦状態になりまして、そこに米軍がB国を支援に行く、そこの段階で我が国は周辺事態と認定をいたしまして、米軍の後方支援に回るというような事態があったとします。しかし一方で、結果としてA国は我が国との間で緊張状態に陥ったということで、それこそ今回の武力攻撃事態法に基づく武力攻撃が予測される事態に陥ったと想定をしたとします。その場合には、当初、周辺事態法に基づいて後方支援活動を行っていたわけでございますが、先方からの脅威というのが増して武力攻撃が予測される事態になった場合には、今回の新法、武力攻撃事態法が適用されるのか、どの段階で線引きが行われるようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
中谷国務大臣 まず、事態の認定でありますけれども、武力攻撃事態といいますと、対象となる事態として、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生したり、また予測されるという事態を考えております。
 一方、周辺事態安全確保法に言う周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態でありまして、武力攻撃事態のように我が国に対する武力攻撃やその可能性によって定義されているわけではございません。
 このように武力攻撃事態、周辺事態はそれぞれ別個の判断に基づくものでありまして、両者は異なる概念の事態でございますが、しかしながら、周辺事態が発生しているときに、同時に武力攻撃事態が発生した場合、状況によっては両者は併存することはあり得るというわけでございます。このことは、ガイドラインのときに、日米両国間で話し合いをして、周辺事態が日本に対する武力攻撃に波及する可能性のある場合、または両者が同時に生起する場合に適切に対応し得るようにするという旨記述されておりまして、両者が併存する事態があり得るということは既に示されているわけでございます。
 この線引きにつきましては、周辺事態と武力事態それぞれの対応について、現実に生起した個別の事態に応じて、我が国として、武力攻撃事態対処法、周辺事態法、自衛隊法などに基づきまして、ケース・バイ・ケースで判断をすることとなるわけでありますが、両者の優先順位を考えますと、我が国に対する武力攻撃の排除が優先されるということは言うまでもございません。
江崎委員 そうしますと、併存があり得るということでございますが、そこが一番問題ではないかというふうに考えるわけでございます。
 周辺事態法におきまして、後方支援の中で、米軍に対して武器弾薬の輸送は許されるわけですよね。我が国に対する脅威が増したことによって武力攻撃が予測される事態ということで、今度はこの武力攻撃事態法に基づいて輸送が補給にかわるというようなことはあり得ないのでしょうか。
 これは当然、前者でいえば、周辺事態法におきましては集団的自衛権の発動になりますので、これは武力行使として許されない、憲法上許されないという考えになろうかと思いますが、後者におきましては、武力攻撃が予測される事態としてはやむを得ない措置ということも十分考えられようかと思いますが、一方で、武力攻撃事態法の考え方の中では、あくまで我が国の個別的自衛権の発動ということになろうかと思います。
 そういった意味では、憲法の範疇に入るということではなかろうかと思いますが、この線引きというのを、どこで、だれが、どういう判断をするのか。また、指示に基づいてそこに実際の行動が変わっていくのか、その辺について、防衛庁長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
中谷国務大臣 状況をよく見て判断しなければなりませんけれども、法律的に言いますと、武力攻撃事態と周辺事態というのは、それぞれ別個の判断に基づく別の概念で、法律もそれぞれ個別に判断をして運用するわけでありますけれども、周辺事態への対応として米軍に対する支援等が引き続き行われる一方で、武力攻撃事態における米軍に対する支援等の措置をあわせて行うということが想定をされます。
 ただし、武力攻撃事態における米軍に対する支援等のための制度については、今後、武力攻撃事態対処法に基づく事態対処法制の整備の中で検討すべき問題でございまして、双方の関係についてもその検討の際に改めて整備すべきだというふうに考えております。
江崎委員 有事下の混乱した状況の中で、今のような線引きを冷静にそのときに考えるというのは、ほぼ不可能ではないかというふうに考える次第です。
 そういった意味で、今回の武力攻撃事態法、さらに深い議論がこれから進められるとは思いますが、その折にも、ぜひ周辺事態法との線引きを明確化する、どの時点で周辺事態から武力攻撃事態に変化するという明確な線引きをしていかないと、憲法上にも触れる大変大きな問題に発展するのではないかというふうに考えます。そういった意味で、今後十分な議論を尽くしていただきたいというふうに考える次第でございます。
 続きまして、ちょっと有事三法から離れまして、私の選挙区に近隣します厚木基地に関連しまして、メガフロートにつきまして御質問をさせていただきます。昨年の十一月の安全保障委員会におきまして、PKO法改正の折に触れさせていただいたわけでございますが、メガフロートの活用という点についてお伺いします。
 メガフロートにつきましては、平成七年から十二年にかけまして、メガフロート技術研究組合が、航空機の離着陸試験を含むさまざまな実証試験を横須賀沖で行ってまいりました。その結果、メガフロートを緊急離着陸訓練、NLPに利用することも十分に可能であるとの話も聞いております。
 御承知のように、メガフロートにはスタイルが二つありまして、ポンツーン型という沿岸に隣接させるような形で建設をするような形のものと、沖合に海底でとめ金をつけて固定するといったセミサブ型というメガフロート、この二種類があるわけでございます。前者の場合は、沿岸に建設するという意味におきますと、航空機の緊急離着陸訓練による騒音問題の解消は難しいと思うのですが、後者のセミサブ型につきましては、沖合へ展開するという意味においては、騒音の解消の一助になるのではないかと考えております。
 政府は、昭和五十八年に、艦載機着陸訓練施設の候補地として三宅島を決定しまして、以後、三宅島への訓練場建設に向けて努力は続けているというふうに伺っておりますが、一方で、住民の皆さんの強い反対があり、さらに昨今では火山の噴火問題ありで、実質的に三宅島への施設移転というのは大変難しい環境にあるのではないかというふうに考えております。
 そこで、メガフロートというものを活用するとすれば、例えば三宅島沖合に展開するとか、あるいはその他日本列島の中で沖合に展開するというような活用方法があるのかないのか、またその点について、現在、外務省及びアメリカ政府との間で具体的な御検討というのが始まっているのかどうかをお伺いしたいと思います。
 昨年、御質問を申し上げたときには、当時の田中外務大臣からは、メガフロートが十分に利用が可能であるので、事務方を通じて強力にアメリカに働きかけ、努力しなければならないという御答弁もいただいております。
 きょうは川口大臣はいらっしゃっておりませんが、その後、この御答弁のとおり、外務省の方針として、引き続きアメリカとの交渉という意味において継続していただいているかどうかもあわせて御確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
杉浦副大臣 委員が田中大臣に御質問なさったときは、隣におりまして聞いておりました。
 お地元からの強い要望もあって、厚木基地の騒音問題を解決するために、できるだけ硫黄島でやってほしいという強い御要望を受けて、できるだけそういうふうに働きかけたいという田中大臣の答弁の中で、メガフロートもあるんじゃないかという御指摘があり、そして大臣から、技術的に可能になれば、今後かかる可能性の検討も当然のことながら排除されるべきでないという趣旨の御答弁があったんだと思います。
 メガフロート、先生御紹介されたような研究が進められていることは事実でございますが、アメリカとの移転についての協議の中でも出ておる事柄ではあるわけですが、実は、アメリカからは厚木基地から百八十キロ以内という要望が出ております。ということは、硫黄島は千百キロぐらい離れている。(江崎委員「千キロ」と呼ぶ)千キロですか、それは大変遠いので、近いところならば結構だということで、それを基準にして場所の選定をやったわけです。三宅島は百五十キロということで、海岸に設ければ、旋回は海の方でやれば騒音公害もないしということで、島民の方にさまざまな御意見もございますが、最優先候補ということで決定をして、今話を進めておるわけですが、ただ、地震でああいう状態でございますので、一時中断しておるという状況でございます。
 メガフロートについては、波の影響を受けない、静穏な、静かな海域を確保しなきゃならないというのが絶対条件でございます。外海ですと、台風等の場合、大波をかぶって被害を受けるということもあり得ますから。内海、例えば湾の中であっても、一定の水深以下で長い堤防を設置する必要があるということもございます。それから、船舶の航行、漁船の操業等、水域の現在の使用状況に支障を来さないということも絶対条件でございます。それから、空域も確保しなきゃならないということで、百八十キロ以内で適当なメガフロートを設置すべき条件というところは、正直言って見当たらないというのが現状でございます。
 そこで、三宅島で整備しよう、地震でああいう状態でございますので、現在中断状況、できるだけ硫黄島の方でやってほしいという話はさせていただいておりますというのが現状でございます。
江崎委員 なかなか今メガフロートの実用化は難しいというお考えではないかというふうに思いますが、一方で、そもそも三宅島の話が出てきましたのも、もう古くは五十八年ということですよね。現段階に至るまで何ら進展がない。そして、代替施設というか暫定案としての硫黄島、これにつきましても、米軍が、遠過ぎるからなかなか訓練施設としては難しい、さらには気象条件の不安定さというものも加わって、結果として厚木基地での訓練に戻ってきてしまうというような現状もあろうかと思います。
 その中で、やはり三宅島の将来というものも、大変住民の皆さんの非常に不安というものもございましょうし、またこれまで三宅島、三宅島といってもなかなか実現してこなかった経緯をかんがみますと、そろそろ向こう五年、十年という一つの展望を置いた上で、次の代替案というものも考えていく必要がある時期にもう来ているのではないかなというふうに考える次第でございます。
 私が顧問をしております厚木基地騒音対策協議会におきましても、かねてからNLPの硫黄島での全面実施のほかに、加えて、他の方策の可能性についてもぜひとも御検討いただきたいというお願いをしておるわけでございます。
 この点につきまして、先ほど外務副大臣からは、三宅島が当面の前提であるというお答えではございましたが、本当に他の施策というものが打てないものなのか、最後に外務副大臣、また防衛庁長官にお話を伺いたいと思います。
杉浦副大臣 メガフロートの活用につきましては、技術的な開発は進むと思いますし、その可能性を全く排除しているわけではございませんということはつけ加えさせていただきます。
 ただ、適地としては三宅島が一番適地だ。ああいうまだ島民も帰れない状況でございますので、当面は様子を見守っておりますが、正常に復しましたら、島民の御理解をいただいて、話を進めさせていただきたいというふうに私どもは考えておるところでございます。
嶋口政府参考人 杉浦副大臣の方から御答弁したとおりでございまして、私の方から特に補足することはできませんけれども、いずれにいたしましても、暫定的な使用が硫黄島の状態だということでございますので、やはり私ども努力をしていかなきゃいけないと思っております。
江崎委員 三宅島の住民の皆さんのことを考えると、なかなかストレートに、本当に訓練施設が移転できるのかなというのも正直疑問な部分もございます。
 そういった意味で、きょうは御回答いただけませんでしたが、新たな訓練施設というものについての将来展望というものも、三宅島以外の地というものについて、米軍との間の交渉も含めて、ぜひとも御検討を進めていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
玉置委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十七分散会


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