衆議院

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第4号 平成14年11月19日(火曜日)

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平成十四年十一月十九日(火曜日)
    午後二時五分開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 岩屋  毅君 理事 木村 太郎君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 樋高  剛君
      岩倉 博文君    臼井日出男君
      北村 誠吾君    小島 敏男君
      杉山 憲夫君    虎島 和夫君
      中山 利生君    仲村 正治君
      野呂田芳成君    平沢 勝栄君
      町村 信孝君    江崎洋一郎君
      大出  彰君    川端 達夫君
      首藤 信彦君    前田 雄吉君
      前原 誠司君    赤松 正雄君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
      粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  村田 保史君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            西田 恒夫君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   安全保障委員会専門員   小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十九日
 辞任         補欠選任
  江崎洋一郎君     前田 雄吉君
同日
 辞任         補欠選任
  前田 雄吉君     首藤 信彦君
同日
 辞任         補欠選任
  首藤 信彦君     江崎洋一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件(テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及び現在までの自衛隊の協力支援活動の実績について)


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 この際、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及び現在までの自衛隊の協力支援活動の実績について政府から報告を求めます。石破防衛庁長官。
石破国務大臣 テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。
 テロ対策特措法に基づく基本計画において、協力支援活動等を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の派遣期間を六カ月間延長し来年五月十九日までとするとともに、アフガニスタンで米軍が使用する飛行場施設を維持するための建設用重機等を輸送するために必要となる変更を行うことが、昨日の安全保障会議を経た後、本日、閣議で決定されました。
 なお、あわせて、防衛庁長官が定めている実施要項につきましても総理の承認を得て、基本計画に沿った所要の変更がなされることとなります。
 次に、今回の基本計画の変更に係る背景について御説明申し上げます。
 まず、現地情勢についてでありますが、アフガニスタンにおきましては、国土の大半を支配し抑圧的な体制により国民の人権を侵害していたタリバーンとその庇護を受ける国際テロ組織アルカイダに対して、昨年十月に米軍等による空爆が開始され、十一月に北部同盟がカブールを制圧し、十二月にタリバーンがカンダハルを退去いたしました。
 それ以来、アルカイダとタリバーンは、パキスタンとの国境近辺に広がる辺境地帯等に逃走、潜伏し、また、陸路または海路を経て脱出し、世界各地においてさらなるテロを引き起こす可能性が指摘されてきたところであります。実際、本年十月のイエメン沖のフランスのタンカー爆破事案や、インドネシア・バリ島における連続爆破テロなどを初め、アルカイダとの関係が疑われるテロ事案も生起いたしております。
 こうした中、米軍等は、アフガニスタン国内において、昨年十二月以来、アルカイダやタリバーンが逃走、潜伏していると言われるパキスタンの辺境地域と接するアフガニスタン東部山岳地帯を中心に、アルカイダ、タリバーンのメンバーの追跡、掃討、施設捜索による武器弾薬の押収、破壊、アルカイダ、タリバーンのメンバーの拘束、尋問によるさらなるテロの阻止等のための情報収集等を実施し、アフガニスタン国内のテロ組織を追い詰め、破壊するとともに、国内への将来のテロ活動の再流入を阻止するための活動等を継続しておると承知いたしております。
 さらに、海上におきましては、アラビア海等において、アフガニスタンにおける地上作戦を支援しておりますほか、アルカイダ、タリバーンの残党の海路を経た逃走等を阻止し、他国がテロリストの拠点となったり、再びテロが発生することを阻止するための活動、すなわち、国際テロの脅威が拡散することを防ぐための活動を継続的に実施しておると承知いたしております。
 また、今月十二日に開催された日米間の調整委員会における米国の説明によれば、アフガニスタン国内では、十六カ国がさまざまな形で地上作戦に参加し、二十一カ国が約五千人の兵員を軍事支援のために展開しており、合計六万人の兵員が不朽の自由作戦や国際治安支援部隊に参加している。
 また、海上での活動には、米国から十六隻、また十一カ国から二十六隻の艦艇が参加しているところであり、これまでに各国との連帯により、アルカイダ幹部二十八人のうち十二人の捕捉または死亡確認がなされているが、テロリスト幹部の残党が海路により逃亡し、さらなるテロを企図する蓋然性が高まっており、アルカイダやタリバーンに対する継続的な作戦を引き続き維持する必要がある。
 これを支援するため、アラビア海における各国の活動も、予見し得る将来にわたり継続が見込まれ、テロとの闘いは終わりよりもむしろ始まりに近い時期にある。
 あわせて、今後アフガニスタンでの米軍等の活動が長期化するのに備えて、アフガニスタンにおいて米軍が使用する飛行場施設を維持するための建設用重機等をアフガニスタンへの中継地点となるインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズが見込まれるところであるとのことであります。
 政府としては、このような状況にかんがみ、残存するアルカイダ等によってもたらされている国際テロの脅威は今も除去されていないことから、国際テロ根絶のための国際社会の取り組みに引き続き寄与すべきとの考えのもと、これまで実施してきた協力支援活動について、部隊の派遣期間の期限が切れる十一月二十日以降も継続するとともに、米側からニーズとして示された建設用重機等の海上輸送については、海上自衛隊の輸送艦及び護衛艦によって実施することが適当であると判断し、その回数を一回とすることとして、基本計画において所要の変更を行ったところであります。
 次に、これまでに実施したテロ対策特措法に基づく自衛隊の協力支援活動の実績について申し上げます。
 まず、海上自衛隊につきましては、現在、補給艦「とわだ」及び護衛艦「ひえい」「さみだれ」の三隻がインド洋北部において活動中であり、これらの艦艇を含め派遣された艦艇はこれまで延べ十七隻に上ります。なお、現在、補給艦「はまな」及び護衛艦「ゆうだち」が交代のため帰途にあります。これらの艦艇により、昨年十二月二日以降、昨日までの間に、米軍の補給艦、駆逐艦等に対し艦船用燃料を百三十一回、英軍の補給艦等に対し九回の合計百四十回、約二十三万四千キロリットルの艦船用燃料を提供し、その総額は約八十六億円となっております。
 ここで、現場海域での補給活動について御説明申し上げます。
 洋上における給油は、補給艦の真横三十メートルから五十メートルの距離を同じ速力で航行する受給艦にホースを渡して、数時間、最長約六時間にわたり併走しながら燃料を受け渡す作業であります。この間、補給艦は原則として直進せざるを得ず、不測の事態が生じた場合に緊急の回避行動がとれない等対応能力が大きく制限される状態に置かれることとなります。加えて気象状況は、最高気温四十七・一度という外気温度、甲板上は約七十度以上になることもあり、また、砂じんが舞う中での作業を強いられることもあります。さらに、給油を実施している海域は、毎日、多数の航空機や船舶が航行しており、そのうち、一日当たり百五十機余りの航空機及び三十から五十隻の船舶については、直ちにその国籍を確認できない状況下にあります。このため、作業を行う隊員は、常時、不測の事態に対応できる態勢を維持しなければならず、極度の緊張を強いられております。
 このような過酷な状況の中で、海上自衛隊の隊員は、一年間、整々と任務を遂行しておりますが、今般の期間延長を踏まえ、補給作業を実施する上でいかに安全を確保していくか、また、いかに無理なく派遣を継続するかが今後の課題であると認識をいたしております。
 また、航空自衛隊につきましては、C130H型輸送機等により、昨年十一月二十九日以降現在までの間に、計百十二回の国内及び国外輸送を行っております。
 なお、このような自衛隊の活動につきましては、政府広報、防衛庁ホームページ等を通じて広く国民にお知らせしておるところであります。
 現在までの一年間にわたる、このような自衛隊の活動につきましては、九月二十日に公表された米国国家安全保障戦略においては、日本は、「同時多発テロ後数週間以内で、前例のないレベルでの後方支援を実施した。」、また、二月に来日したブッシュ米大統領が国会での演説の中で、「日米両国はテロリスト組織を探し出し、粉砕すべく努力している」、「日本の自衛隊は後方支援という重要な役割を担っている」と認識が示されていることを初めとして、日米間の累次の会談等の場で感謝の意が示されておるほか、各国から評価を受けるなど、国際社会から幅広い評価を得ております。これから見ると、我が国によるテロ対策特措法に基づく努力は、国際的なテロリズムの防止や根絶のための国際社会の取り組みに積極的、主体的に寄与するとの意義を有することはもちろん、日米同盟を緊密かつ実効性のあるものとする上でも極めて重要な意義を有するものと考えております。
 最後に、防衛庁としては、テロ対策特措法に基づく基本計画が今般変更されたことを受け、引き続き、協力支援活動を実施することにより、さらに一層、国際テロ根絶のために国際社会の一員としての責任を果たし得るよう、また、国民の期待にもこたえることができるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、本委員会各位におかれましても御理解、御協力をお願い申し上げます。
 以上でございます。
田並委員長 以上で報告は終わりました。
    ―――――――――――――
田並委員長 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官村田保史君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長西川徹矢君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省北米局長海老原紳君及び外務省中東アフリカ局長安藤裕康君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
田並委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
末松委員 民主党の末松でございます。
 今、政府報告をいただいたわけでありますが、初めて私もこれを見ましたので、私が考えていたものとはかなり印象が違うのかなという気もいたしております。
 特に、これは全般の問題に当たりますのでちょっと具体的にお話をさせていただきますが、この三ページに「今月十二日に開催された日米間の調整委員会における米国の説明によれば、」ということで、四ページに4で「これを支援するため、アラビア海における各国の活動も、予見しうる将来にわたり継続が見込まれ、テロとの闘いは終わりよりもむしろ始まりに近い時期にある」、こういう言い方がアメリカから示されております。私もこれを初めて見たものですから、今、これは質問するわけでありますが、この認識について、米側の認識をさらに問いたいと思います。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 今の末松委員が御指摘になった米側の認識でございますけれども、これは先般十二日に、米側と私どもの間でこのいわゆるテロ特措法につきましての調整委員会の第四回会合というのを開きまして、そこにおきまして、米側からの、現在の不朽の自由作戦の状況におきまして、ただいま防衛庁長官から御説明がありましたような説明があったわけでございます。
 そこの中におきまして、米側の認識として、このテロとの闘いというのはむしろこれからが始まりだというように、今後も長く続く闘いであるというような趣旨の発言があったということでございます。
末松委員 今、北米局長のお話ございましたけれども、それは、ここに今書いてあることを読んだだけなんですよね。だから、これをしゃべるに当たって、どんなことを米側は言っていたんだ。これだけ書かれて何か予言のように言われても、我々としては一年間ずっと米側に対して、あるいは米軍を中心に協力をしてきたわけです。それが、今度さらに「テロとの闘いは終わりよりもむしろ始まりに近い時期にある」と言われては、これはそれほど重要な大きな転換があるのかどうか、それをはっきりしてもらわないと、この報告に、単にここに書かれてあるということだけ言われても、これは困るんです。
 実際に今、種々の情報をかんがみれば、陸上戦闘がほぼ終わって、一部の地域で、トライバルエリアで残党狩りが行われている、あと残党狩りが海上に流れてくるかもしれないという状況の中で突然こういうふうな認識が示されるということは、何かアメリカが大きな情報を握っているとしか思えない。逆に言えば、じゃ、政府の方は、これを単にああそうですかと聞いていたんですか。どうですか。
海老原政府参考人 今の部分でございますけれども、米側の方から第四回の調整委員会におきまして、今後のこの作戦の見通しについて説明があったわけでございますけれども、かなり今までそれなりの実績を上げてきているけれども、アルカイーダやタリバンのメンバーのテロ活動が完全に終息するまでは作戦を継続しなければならないというような説明があった中で、テロとの闘いの終わりよりもむしろ始まりに近い時期にあるという説明がありまして、我が方といたしましては、これはアメリカが、先ほども申し上げましたけれども、今後も長い闘いになるということを強調した言葉であって、何もここで、この時点において大きく闘いの性格が変わったというようなことを述べたものではないというふうに理解をいたしております。
末松委員 それでは、政府報告というのは重いんですよ。米側の述べたことを米側の述べたとおりに報告する、これが外務省の役割なんですか。これだったら、今、局長、情報はほとんど持っていない、あるいは、全く言えないというよりもむしろ持っていないに近いんだろうと思うんですけれども、これをこういうふうに載せられると、あたかも今から大変な状況が起こるんだということを予見させる。
 しかも、ここにアラビア海と書いてあるのは、これは基本的には対イラク攻撃を想定したものじゃないか。そのための報告を政府がここで今国民に、対イラク攻撃について何かあたかもテロとの関連でやっていくようなそういうふうな誤解を与えると思いますが、官房長官、どうですか、こういう形で載せるべきなんでしょうか。
 大臣、答えてください。大臣、お願いします。
茂木副大臣 まずアフガニスタンの国内でありますけれども、アフガニスタンでは、広範囲にわたりましてテロリストが拡散をして依然危険な状態にある。そして、アラビア海においてでありますけれども、アルカイーダやタリバンの残党が海路を経て逃亡し、国際テロの脅威が拡散する危険性が高まっている。ですから、決してアラビア海だからイラクとかいうことではなくて、アルカイーダやタリバンの残党が海上に出ている、それを阻止するための活動が続いている、こういう認識であります。
川口国務大臣 今、茂木副大臣からお答えをしたとおりですけれども、先ほど末松委員が御指摘になられたところでございますが、これはこの政府の報告書の中で、三ページから「十二日に開催された日米間の調整委員会における米国の説明によれば、」ということで始まっている中の一環でございます。ですから、そういう限定つきでこれは載っけているということでして、政府としての考え方というのは、またその後、五ページから書いてあるわけでございます。
末松委員 全然御答弁になっていないんですよ。アメリカのこの報告に対して、まさしくテロとの闘いは終わりよりもむしろ始まりだということに対して、では、外務大臣はどう考えているんですか。それを、後で書いてありますというんじゃなくて、あなたの考えを述べてください。
川口国務大臣 ですから、五ページ以降に政府としてはこう考えているということが書いてあるわけでして、それはまさに、これから引き続き、国際テロの脅威が今も除去されていない状況のもとでテロに対する闘いは継続をしていく、そういうことだと私は考えております。
末松委員 では、このアメリカの認識の「テロとの闘いは終わりよりもむしろ始まりに近い時期にある」というところの認識ではないということですね。今までのテロとの戦争あるいはテロとの闘いがそのまま今継続している、そういう認識ですよね。
川口国務大臣 全体としてこの闘いがどれぐらい続いていくかというのは、そういう意味ではだれもわからないということですけれども、昨年の九月十一日以降一年間闘ってきた、これはむしろ時間的な意味でいえばもっともっと長いこと続くだろうと私も思っております。そういう意味でいえば、始まりに近い方であるということは、そういう認識であろうかと私も思います。
末松委員 何か始まりに近いというと、あれですか、長く続くということは、結局、これから数年間ぐらい続く、そういうイメージで思っておられるわけですね。
 これは、非常に次の質問にかかわってくるわけです。終わりの時期、我が国がこのオペレーションを撤収させる、この基準についての話にもなってくるわけなんですけれども、いつ、ではこれは終わるんだと。ここで始まりだ、むしろ始まりに近いという話になった。そうしたら、テロ特措法は二年間ですよね。法律は来年で終わるということになるわけです。そして、一年がたった、それが始まりに近い時期だということであれば、では、撤収はどういうふうな条件と考えているわけですか。
石破国務大臣 先ほどの政府報告の部分を御指摘になりまして、何か突然変わったのかということでありますが、委員も御認識のとおり、昨年九・一一の後、ブッシュ大統領が、この闘いは長いというふうに発言をされました。また、本年の七月二十二日にラムズフェルド国防長官が、テロとの闘いはいまだ終結からほど遠いということを申しておりますし、また、八月の十五日にフランクス米中央軍司令官も、米軍は数年間アフガニスタンにいることになるであろうというふうに述べておりますわけで、急にここの場でその認識が示されたわけではないということは委員御案内のとおりです。
 それでは、どういう場合に変わるのか、どういうことをもって終わりとするのかということは、結局のところ、二年の限時法であることは当然先生御指摘のとおりですが、どういう状況になればこの法に書かれた目的が達成されるのかということだろうと思います。
 これは普通の戦いと違って、テロは一体どこにどのような人間がいるのかわからない、目に見える形ではなくて、本当に潜んだ形の非対称的な脅威の存在が相手ですから、こういう場合に終わったということは極めて難しいことなんだろうと思います。そういうような蓋然性、危険性が去ったというふうに、活動しておる米軍を初めとする諸国の軍隊がそのように判断をした時期ということだと思いますし、それはテロの特質にかんがみて考えますと、なかなか今までのような議論では通用しない場面があるということだと思います。
末松委員 今、米軍が数年いなきゃいけないというのは、私もアメリカのタンパに行って、CENTCOMに行って話を聞いてきましたよ。なぜ数年かかるんだと言ったら、アフガンアーミー、これを六万人つくるから、そのための訓練期間が必要なんだ、それが数年アメリカ軍がいるという主な理由だという話を私も伺ってきたんですよ。
 でも、それは、テロとの闘いは確かに最終的にはアフガンの国内の治安とかそういうことは十分にあるわけですよ。でも、逆に一方で、聞きますけれども、例えばアメリカがイラクを攻撃して、そして逆に反米的な雰囲気が高まって、世界各地で、例えばアメリカ人の旅行者なんか、あるいは同盟国の旅行者がテロに遭った、そういうのもテロとの闘いという話になれば、これこそ世界じゅうで拡散していくんですよ。そういった場合も、では、自衛隊はインド洋で給油活動を続けるんですか。そういった状況でも、先ほどアメリカ軍を中心とする軍隊が判断すればこの闘いは終わるというふうに言われましたけれども、結局、我が国の判断そのものは基準がないということですね。
石破国務大臣 これは、テロ特措法の目的に沿ったことでなければできません。それと違うことであれば、今御指摘のような状況、仮定のことにはお答えをいたしかねますけれども、このテロ特措法というのは九・一一というのがベースにあるわけでございます。もちろん国際テロの根絶ということも目的ではございますが、この法律は九・一一というものを念頭に置いてできたものでございます。それは、そのときそのときに、この法律の趣旨にかなうかどうかという判断、そういうものに基づくものだろうと認識をいたしております。
末松委員 ならば、例えばテロでどこかのビルが破壊された、そしてテロの犯行声明で、例えばですよ、これは、アメリカ軍がイラクを攻撃した、これに対する報復である、そのテロを行った団体がそういう発表をしたとしましょう。これに対しては、この九・一一を直接の理由とする特措法との関係で、我が国が協力するというその対象にはなりませんね。
石破国務大臣 それは、そのときそのときで総合的に判断するものだと思いますが、法律の目的というものはやはりきちんと議論をされ、認識されることがあるだろう。無制限に拡大をしていくということが法の趣旨だとは私は思っておりません。
末松委員 いや、大臣、ここが重要なんですよ。
 私は法律にのっとって言っているんですよ。そういうふうに犯行声明が出されたということで、九・一一ということではなくて、アメリカ軍の対イラク攻撃だということを明示して、それに合わせてこの攻撃をしたということであれば、そうしたら、それはテロ特措法の対象にはなり得ないということをまず言わなければいけないんじゃないですか。ただ、その中であなたが言われたのは、その都度その都度判断をしていくということは、それは法の趣旨からいっておかしいんじゃないですか。
石破国務大臣 それは、その都度その都度、可変的にというのか柔軟に判断をするという意味ではなくて、この法律の目的というものにかなうのかどうかということをきちんと判断する、そのときに起こった事象に対応することがこの法の目的にかなうのかということで判断するというふうに申し上げました。それを変幻自在に拡大していいというようなふうには思っておらないというふうに申し上げたところでございます。
末松委員 そこを確認しないと、本当にここは、次から次に拡大していくということであれば、我が国の対応そのものが無制限になってしまう、あるいは無期限になってしまうというおそれから言っているわけです。
 それから、あらかじめ質問したのとは別にもう一つ、五ページにおいて「米側からニーズとして示された建設用重機等の海上輸送については、」と書いていますけれども、この十二日の会合でアメリカから、例えば、よく言われているようにイージス艦とかP3Cとか、そういったものも含まれているわけでしょうか。ニーズとして示されたんでしょうか。
石破国務大臣 御指摘のようなことがニーズとして具体的に示されたとは承知をいたしておりません。
末松委員 ということであれば、米側からニーズとして示されたこの建設用重機等、これだけだということですか。
海老原政府参考人 米側から示されたニーズとして、いわば新たなニーズとして示されたものはこれだけでございます。
末松委員 わかりました。ニーズとしてはこれだけが示されたということですね。
 ということであれば、報道等が、今官邸の方でイージス艦とかP3Cとかそういったことを検討してきている、それでかなり時間がかかったという報道もあるわけなんですけれども、今月の、まさしくきょう十九日ですね、十九日に切れるということであるのに、もし国会で議論をしようというふうな気が少しでもあれば、その前に早々に決定をして、そしてこの国会の場でも、委員会でもこの話が議論できたと思うんですけれども、きょう閣議決定をして、そしてあしたからこの延長をするんだということであれば、ほとんど国会でこの議論をしようという気がないと思われても仕方がないと思いますが、官房長官、このおくれた理由というのはどういうことなんでしょうか。
福田国務大臣 これは、意図しておくらせたとかそういうことではございません。
 先ほど来お話に出ております、十一月十二日の日米調整委員会で米側から寄せられたニーズについていろいろ検討した結果、その結果我が国の自主的な判断として、本日の閣議で基本計画を変更する、こういうことで決定になったわけでございます。それに先立ちまして、昨日は安全保障会議を開いて、このことについての決定をいたしております。
 手順を踏んでやっておりまして、その結果、こういう時期になったということでございます。
末松委員 思いますのは、本当に、逆に言えば、国会で審議をするときにはもう延長が決定されている、そういう状況なんですね。
 民主党は、国会承認ということを延長についても求めているわけなんです。なぜかといいますと、そういったことをやはり幅広く審議しないと、このオペレーションでも一年間で約百五十億円近くの予算が執行されているわけです。それを何も国会で審議せずに、きょう閣議決定して、国会議長の方に報告して、それで手続はもう終わりました、後はこの国会でどうとでも言ってくださいという話であるならば、これはやはり非常に、私は文民コントロールというか、あるいは国会がきちんと審議をした後で予算を使おうというルールに反すると思うんですけれども、官房長官、その法律の趣旨を考えて、国会の承認を今後求めていくという気はございませんか。
福田国務大臣 今回の基本計画の変更というのは、これは派遣期間の延長と、それから輸送艦の派遣に伴う部隊の規模、構成、装備の追加などを内容とするものでございます。
 変更後の基本計画に基づく自衛隊の活動は、既に国会承認を得た活動でございまして、派遣先国の範囲内であるということもあわせ考えまして、自衛隊の活動の実施について改めて国会承認を得る必要はない、そういうことになっております。
末松委員 その答弁は私にとってはなかなか、本当に受け入れがたいものではありますが、時間がありませんので先に進みます。
 防衛庁長官にお伺いします。
 この前の安保委員会で、日本の防衛に穴があくんじゃないか、こういう私の質問に対して、いや、決して穴があくようなことはいたしませんと。後で私の方から、それでは、そういった態勢で余裕があって、非常にこれは装備にしても余っているのかということに対して、いや、ぎりぎりでやっておりますという話をされたことを思い出されると思いますけれども、これはちょっとどういうことなのかな。つまり、必要最小限の装備、人員、態勢でやっていれば、必ず、何かそれ以上に任務が与えられれば当然そこは穴があいて、それを調整するかしないかの判断を迫られるわけなんですけれども、その点はどうなんですか。結局のところ余っているんですか、それとも実は穴があいているんですか。
石破国務大臣 委員はすべて御存じの上でお尋ねなんだろうと思いますが、この間の議論を私は思い出してみますと、余分などというものはありませんということを申し上げました。
 ただ、これはもう、何をもって必要最小限というかという議論になるわけですが、これが本当に定量的にはかれるものであればだれも苦労はしないわけですね。必要最小限度とは何かという議論になりますと、これが定量的に、例えば何センチとか何キロとか何メートルとか、そういうことではかれるものではありません。ある程度の余裕みたいなもの、見込み分みたいなもの、それはやはり持っておかないと、これは全くオペレーションというものは不可能なんだろう、それはもう軍事の常識なんだろうというふうに私は思っています。
 言葉のニュアンスとして、余分などということはございません。そして、自衛隊法附則十七及び十八において、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において協力支援活動を行う旨、そういう旨が規定をされておるわけであります。そうしますと、我が国の防衛というものに穴はあいておりません、あけません。
 しかし、では必要最小限度だと言っているのにそれを出したというのはどういうことかということに矛盾なくお答えをしようとすれば、それはもう本当に工夫で工夫で、ぎりぎりいっぱいやっておるということと、そして、オペレーションを行う場合の余裕といいますのか、アローアンスといいますのか、その部分を最大限に活用しながら、ぎりぎりいっぱいでやっておるということでございます。
 だから、非常に抽象的な物の言い方をすれば、そういう意味での余裕はございますが、余分なぞというものはございませんし、穴があくということは一切ございません。
末松委員 これは短期間であれば、その理屈は通るわけですよ、それは数カ月間とか。今度は、もうそれで一年間ずっとやっているわけでしょう。一年間ずっとやって、やれているというのは、それはぎりぎりがずっと一年間続いている、そして今度は半年延長されてさらに一年半続きます、また延長すれば二年間続きますという話になったら、結局ぎりぎりじゃないじゃないかという話になるわけですよ。ならば、本当にきちんとその態勢をとるべく、例えば防衛庁としてそういうふうな行動を行ったのかどうか。行わずして、単にぎりぎりでやっていますなんというのは、大臣の答弁じゃないですよ。
石破国務大臣 実際ぎりぎりいっぱいでやっておることは、委員も御理解いただけることだと思います。
 ただ、私どもの自衛隊というのは、もともとこういうような行動を想定して防衛力整備をやってきたわけではございません。基盤的防衛力整備計画、力の空白論というものを御案内だと思いますが、それは、こういうようなオペレーションをやることを想定して基盤的防衛力整備計画というものを構想したわけではないのであります。したがって、そことは乖離が生まれておるということは確かにあろうと思います。
 そうしますと、補給艦も今ぎりぎりいっぱいで回しています。ほかの国に比べれば全く余裕のない態勢で船自体も、そしてまた人員自体もやっておるわけです。では、それをどのように改善できるかということは、庁内的に現在検討をいたしております。ただ、中期防というものに基づいて船もつくられております、予算の仕組みも御案内のとおりです、その中で一体どれだけのことができるかということを今鋭意検討しておるわけでありまして、決して無責任に、余裕があるとか、現場でもうそこはよきに計らえとか、そのようなことは私は一切考えておりません。
末松委員 私も、今言われたことで、長期間そういう無理をつくっていくことそのものが日本の防衛にとってやはりマイナスでしょうということを申し上げているわけですよね。そこは今一年間やってきて、さらに一年半またやるわけですよね。そうしたら、本当にそれがある意味では恒常的な形で、無理のない態勢が本当にできることをきちんと大臣としては配慮すべきじゃないかということを申し上げているんですよ。それに対して、いやいや、もうぎりぎりいっぱいです、何もやれませんと言うことは、それはある意味では無責任じゃないですか。
石破国務大臣 今回のテロというものは我が国に対する脅威でもあるという認識が、まずございます。ですから、我が国の防衛をほっぽらかして何かほかのお手伝いをしているのというような御認識、まさか委員はそのような御認識ではないと思いますが、今回のテロに対して、我々がそれに対して行動する米軍等々を初めとする軍、諸国の活動に対して後方支援をするということは、我が国に対する脅威の除去にもつながるという認識がございます。その一点は確認をしておきたいと思います。
 もう一つは、無責任ではないかというお話で、これは先ほどの答弁とも重なりますが、昔、足らぬ足らぬは工夫が足らぬみたいな話がありました。そんな話で済むとは私は思っていないんです。現場の方々のお話を聞いてみても、非常にぎりぎりいっぱいでやっておって、それがどれだけ人員的にも装備的にも本当に限界を超えないような形でできるか。ただ、私どもは、基盤的防衛力整備計画、基盤的防衛力という構想があって、そこから乖離が生じているということは私は率直に認めなければいけないことなんだろうと思っています。そこのところを、では大綱の中で、中期防の中でどのように考えていくのかということ、そして、それがすぐ変わるわけではございませんから、今できることは何なのかということで庁内でも、ここで詳細を申し上げることはできませんが、そういうような努力をいたしております。無責任なことは考えておりません。
末松委員 時間が参りましたので、この続きはまたにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
田並委員長 次に、首藤信彦君。
首藤委員 防衛庁長官、軍隊というのは何が重要かといって、やはりインテリジェンスが重要なんですね。要するに、兵は国の大事なり、存亡の道、国の存亡がかかるところでありますから、兵を動かすということは大変慎重にやらなきゃならぬ。そのためには、その兵を動かすところはどういうところであるかがはっきりわかっていなければいけない、これは常識ですね。
 さて、派遣をずっと続けるということでございますが、その根拠となっているのは、今まで同僚議員の末松議員からいろいろ質問がありましたけれども、どうもアメリカの情報らしいですね。石破長官、どうですか、防衛庁は現状のアフガニスタン情勢をどのように分析してこのような行動をとられるということでしょうか。
石破国務大臣 それは先ほど来答弁申し上げておるとおり、基本的に、アメリカの情報というものが判断の基礎の部分となっておるということを私は否定するものではございません。最大の同盟国である合衆国の判断というものが我々の判断において相当の重きをなすということは、これは当然のことだろうと思っております。
 しかし、それでは、うのみにしてそれ以外の情報判断を全く行っていないのかということであれば、それは違います。それは、活動しておる軍隊はアメリカだけではございません、イギリスもあれば、そのほかのいろいろな国もこれに参加をしておるわけであります。ただ防衛庁だけではなくて、外務省も政府全体としても、そういうところからも意見交換をしながら、どうすればこのテロ根絶ということに資するものであるかということを多方面から重層的に情報を集め、判断をしておるところでございます。
 しかしながら、アメリカの情報というのが重きを置くということは、同盟国である以上、当然のことかと存じます。
首藤委員 長官、それはお聞きしてがっかりしました。石破長官ともあろう方がそんなことをおっしゃるとはどういうことでしょうかね。防衛庁は隊員の生き死にを決定するわけですよ。こちらにも情報がございました、アメリカも調べていますよ、外務省にも聞いたんですよ、だから何とか行ってください、こんなことで自衛隊の若者の命をかけられますか。冗談じゃないですよ。
 私が聞いているのはたった一つ、防衛庁はどういう情報を持っているかですよ。いかがですか。
石破国務大臣 これは、政府全体で判断をするものであります。防衛庁だけで判断をするものではございません。この情報は、政府全体で共有をしながら、認識をして、判断をすべきものと考えております。
 当然のことながら、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣であります。自衛隊の自衛官たちの命を預かっておられるのは内閣総理大臣であります。政府全体で判断をするものでありまして、防衛庁はこう、外務省はこうというものではございません。政府全体の判断であります。
首藤委員 それは異なことをおっしゃる。政府の中において軍事についてたけている石破長官のおっしゃることとはとても思えないですね。外交やいわゆるほかのいろいろな役所が持っているのと、軍事上の情報、兵を動かし、そこに若者の生死を、あるいは国民の運命をかけるそういう情報は一般的な情報、外務省が握っている情報とはまた違う局面であり、また送るための的確な、そのための情報がなけりゃいけない。それは一体何ですか、何を根拠にあなたはこういうことができるというふうに言い張れるんですか。いかがですか。
石破国務大臣 別に言い張っておるつもりも強弁をしておるつもりもございません。
 当然のことながら、これは軍対軍というものがあるだろうと思います。ネービー・ツー・ネービーということがあるだろうと思います。日本と米軍、我が海上自衛隊と米海軍、そこにおいてはまさしく、少しのそごが委員御指摘のように生死を分ける、そういう世界で彼らは日々接しておるわけです。そこにおいて取り交わされる情報というものが、そんなにいいかげんなものだとは私は認識をしておりません。
 また、あるいはその場所においてともに行動する国々、そこにおいても、先ほど来政府の説明でも申し上げましたが、少しの判断の間違いが重大な結果を招来するわけですから、そこにおける情報交換というのも当然ございます。それは基本的に、私ども防衛庁・自衛隊といたしましては、ネービー・ツー・ネービーでありますとか、そういうような情報交換というものも判断の基礎といたしておるのは当然のことでございます。
首藤委員 石破長官、そんな評論家みたいなことを言われても困るんですよ。これは我が国の国民の運命がかかっているわけですからね。私が長官だったら、アメリカの情報に基づいて我が国の国民を戦線に行けということは言わないですよ。それはやはり自分たちで、どう考えても、アメリカの情報はこうであっても、私たちはこう考えると思って送っていかなきゃならない。そのためのどういう情報を今防衛庁は握っておられるのか。機密に関することは結構ですから、どういう形で情報を獲得し、何人が現地に入り、どういう情報をもってこうした行動をとられるのか、それをはっきり言ってください。
石破国務大臣 ではアフガニスタンの中に何人我々の自衛官がおってとか、あるいはだれから情報をとってとか、そのようなことが国会の場で言えないということは、これは前も外務委員会で首藤委員とともにいろいろな議論をしたことでございますが、そういうような情報をどのように仕入れておるかということについては申し上げることができないのは、その議論したときと私の認識は変わっておりません。
 それぞれの場においていろいろな情報はとっております。とっておりますが、実際にそこで私どもは当然のことながら後方支援という形になっておるわけです。アフガニスタンにおいてテロ根絶のために実際に掃討の任に当たっておる米軍あるいはそのほかの軍とは、当然仕入れる情報に差が生ずるということはやむを得ないことなんだろうと思います。そこにおいて、我が国がそこで戦っておる国と同じ情報を共有するということは、私どもの法律からいっても、国の憲法の趣旨からいっても、情報はきちんと同じものを仕入れたい、しかし活動は、そこにおいては活動はしないということがきちんと両立をするとは私は考えておりません。
 ただ、全く同じ情報を入れることはできませんが、少なくとも、うのみにしない、日本としての独自の情報判断をするということは当然のことであります。その手段については、この場で申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。
首藤委員 防衛長官、その心の苦しさはよくわかりますよ。情報を言えないというのと、情報がないのとは、何とも言えないところで非常に心苦しい、私も同じ分野を担当している者として、その心苦しさはよくわかります。
 しかし、私が防衛長官だったら、こんなアメリカによって提供された情報によって、我が国の軍隊、我が国の若者をそういうところには送らないですよ。当たり前じゃないですか。よく考えてください。
 なぜこう言うかと言われると、私は先月アフガニスタンに行きました。それからさらに国境を越えてパキスタンの辺境、民族自治区へ入りました。国境線まで行きました。ここでは、パキスタン軍からいろいろ聞きましたけれども、もう掃討作戦は終わっているんですね。
 ですから、ここで言わんとしていることは、ここに言われているように、まだまだアルカイダがいます、タリバンがいます、こう言ったって、タリバンというのは御存じのとおり、つい去年の八月とか九月くらいには十五万人の兵力があると言われていたんですよ、アルカイダというのは三千人くらいいると言われていたんですよ。それが、あれだけの空爆によって、もうほとんどいない。今、私はタリバンですと言ったら、みんな寄ってたかって殺されますよ。いないんですよ、どこにも。辺境自治区とかいろいろなところがあります。パクティア州、ナンガハール、ガズニ、恐らく土地カンはないからわからないでしょうけれども、そんなところはいないんですよ。いるのは何か。部族集団ですよ。それはもう激しく激しく争ってやっているわけですよ。
 ですから、アメリカ軍がやっているのは、ついこの間までアナコンダ作戦なんかをやっていましたけれども、結局は誤爆誤爆で、地域紛争に巻き込まれちゃって関係ない人まで殺してしまって、全体の作戦がもうとまっているんですよ。
 昨年十二月、私、この地域をやはり見てきました。そこには上に飛行機雲がずっとあるんですよ。要するに、空爆しているわけですよ、遠いところで。しかし、今もう飛行機雲はないんですよ。だから、要するに、もうないんですよ、はっきり言ったら。アメリカ軍がやっているのは治安維持活動であって、ほかの軍隊も、今、ドイツ軍がすごく多いんですけれども、みんな治安維持活動なんです。警察軍なんですよ。
 ですから、事実上、昨年成立したこのテロ特措法というものは、これは対象はもう終わっているんですよ。終わっているものに対してまだ送り続けるということは、私の行ってきた、恐らく日本人の中でたった一人トライバルゾーンに入って見てきたわけですけれども、私の見てきたのがうそで、アメリカから供給されたこういう情報が正しい、そういうことでこれを続けられたい、こういうことですか、防衛庁長官。
石破国務大臣 これは私からお答えするのが適当かどうか知りませんが、御指名でございますのでお答えをお許しいただきたいと思います。
 首藤先生が見てこられたそれも一つの真実なんだろうと思います。実際に現地で戦っておるアメリカの情報も真実なんだろうと思います。アメリカを信じておれを信じないのか、こう言われますと、それは答えに窮するところでございますが、いずれにいたしましても、本当に先生がお一人だけ見てこられた、そして先生がいろいろなところでそういう意見を述べておられるということは私も十分認識をいたしておりまして、一方的な見方だけで判断をしてはいけないということは常に留意をすべき、かように考えております。
首藤委員 わかりました。石破長官の言われることもごもっともですね。
 ですから、やはり今アフガニスタンはもう既に復興局面に入っている、紛争局面ではなくて復興局面に入っている、私はそういうふうに確信しておりますけれども、そうではない、アメリカさんはちゃんとこう言っております、私もそう思いますという防衛庁の判断でございましたら、それはそれ以上何も言いません。アフガニスタンはまだ紛争局面にある、わかりました。
 では、福田長官、それでしたらアフガニスタンへの援助はやめてください。今のアフガニスタンへの援助というのは何ですか、全部開発援助ですよ。日本がJICAを使って、今度はカブールからタリバンの本拠地だったカンダハールまで道路をつくるんですよ。それから、今までのカブール中心の援助から各地へ地域開発ということで膨大なお金をつけているんですよ。わかりましたよ。ですから、アフガニスタンはまだ紛争局面なんですから、援助局面、復興局面ではないので援助はやらないということですね。福田長官、いかがですか。
福田国務大臣 これは本来外務省が答弁することかもしれませんけれども、現地の情勢をどういうように見るかということにもかかっているわけであります。ただ、委員のおっしゃるように、まだいろいろな場面、状況というのはあるわけですね、アフガニスタンの中でも。安定化している地域もあるんだろうし、またそれでも安全でないという地域もある。しかしながら、といって何もしないということでよろしいかどうかといったような全体的な把握、また判断というものが求められているときだろうと思います。
 しかし、いずれにしても、アフガニスタン人の民生ということも考えなければいけないし、状況というのは全体的にいえば改善されている。しかし、局所的にはいろいろ問題がある。そして、今現在、今防衛庁長官から答弁したと思いますけれども、国外に拡散するといったようなそういう状況もあるといったようなことで、状況自身は変わってきている。しかし、そういう中でもって復興支援というものはこれは極めて大事な要素だ。そして、復興支援することによって民生の安定を図り、その中から少しでも不安な要素を取り除いていくということが今求められているのではないかというふうに思っております。
首藤委員 福田内閣官房長官、やはり紛争地とかそういうところに行かれたことがないから、そういうお茶飲み話のようなことを言われますけれども、現実には、紛争をやっていたら本当に銃を使って紛争を戦わなきゃいけないんですよ。一方は復興、平和のために、女性の教育、子供の教育をやらなきゃいけない。相反するものなんですよ。確かに世界の中にはPKOのように両方をやろうかという動きもありますよ。しかし、それにはもう超高等技術であって、およそ経験のない日本が乗り出していくようなそういう状況ではないんですよ。
 ですから、これはもう時間が限られていますから、いずれにせよ、もうどちらかに決めなきゃいけない。要するに、アフガニスタンは紛争局面であり、海上でアメリカ軍が攻撃をしていてそれを日本が支援しなきゃいけないのか、あるいはアフガニスタンはもう復興局面にあって、アフガニスタンの復興を平和に導くためには日本は開発に最大の努力をしなきゃいけないのか、二つに一つですよ。今お答えになれないと思いますので、それはまた別の機会に質問したいと思います。この安保委員会では、そこの質問にもうちょっと狭めて質問したいわけです。
 では、今、これで何をするかということですけれども、海上での補給とか輸送をするということですね。軍隊というのはここへ出すだけでも大変な努力が、先ほど石破長官がおっしゃられたわけですね。本当にもういろいろ苦労してやっています。足りぬ足りぬは工夫が足りぬ、東条大将軍の。私も、もうすごい、博識に驚きましたよ。半世紀を超えて東条閣下の言葉がこういうふうに出てくるというのは、私も感動したわけですけれども。
 工夫しているわけですから、要するに予備が必ず必要だということですね。大体予備兵力というのは全体の何分の一ぐらいですか。石破長官、専門家としての御判断は。
石破国務大臣 これは陸海空で全部違いますので、一概に申し上げることは困難でございます。
 ただ、日本の場合に、例えば予備役というものが諸外国に比べて一けた少ないという認識は持っておりまして、予備がこれでいいのだろうかと。これでいいという水準は、私は確たる情報を持っておりません。ただ、我が国の現状、特に陸において予備の概念というものが一けた少ないという認識は持っておるところでございます。
首藤委員 一けた少ないということは、大体一けただということですよね。ですから、九%とか八%とか七%だということですよね。それは陸上兵力だ、海上は違うとしますよね。しかし、それでも一けたというのではおかしいから、せめて三分の一ぐらいかなというふうに考える、三分の一ぐらいは予備で持っておかないといけないなというふうに考えたりもするわけですね。また一方では、前線に送るのは、全く同じように全体の三分の一くらいしか前へ送れないわけですね。予備が三分の一あるとしたら、当然のごとく三分の一くらいしか前へ送れない。
 今、補給艦は日本の中で一体何隻お持ちでしょうか、防衛庁長官。
石破国務大臣 補給艦の隻数は、いろいろなタイプを合わせまして、四隻保有をいたしております。
首藤委員 これはおかしいですよね。四隻、とらの子の四隻のうち二隻が向こうまで行っちゃっている。これはどういうことですか。日本はこれは丸腰じゃないですか。どうしてですか。これは、わけのわからない、状態のはっきりしない脅威に対して、私たちは丸裸になっているわけですよ。どうしてそんなことがあるんですか、長官。
石破国務大臣 その御指摘は、ある意味正鵠を射た御指摘なんだろうと思っております。四隻でありますし、一隻はドックにいなきゃいけないという状況から考えてみますと、その中の二隻を出すということで本当に大丈夫なのかということについては、それは軍事合理性からいった場合にどうなんだということは、当然の御指摘としてあるのだろうと思っています。
 ですから、先ほど申し上げましたように、私どもの防衛計画大綱、あれは大綱ですね、それから中期防においては、本当に力の空白論という議論がベースになって基盤的防衛力整備という形でいった。その中で補給艦というものが、その構想からいえば四隻でぎりぎりいっぱい繰り回せるという話だったのですが、こういうことが起こってみると、本当に予備、予備という言い方よりも、補給艦をもっと持っていなければ十分な完璧なことにはならないであろうというふうには認識をいたしております。
 ただ、これはよその国から買ってくるというお話にはなりません。そしてまた、この洋上給油ということから考えましても、民間のタンカーでできるようなお話では全くございません。そのところをどのように考えるか。
 しかし、テロ根絶、そして後方支援、私どもは一緒に戦うことはできないわけです。後方で支援をするわけです。ではお金だけ出せばいいのかといえば、そういう話でもない。その中でぎりぎりいっぱい考えてこういう形になっておりますが、委員御指摘のような面があることを私は否定いたしません。それを補うべく精いっぱいの努力をする。それは、工夫が工夫がというような話ではだめだというふうに認識をいたしております。
首藤委員 ちょっと長官にお聞きしたいんですけれども、日本の防衛の基本的な考え方であります。
 我々は、この五十年間、半世紀にわたって専守防衛と言ってきたんですね。日本は我が国を守るためで精いっぱいだ、それ以上の軍隊は持たないと言ってきたわけですよね。ですから、例えばC130なんかでも、航続距離を極端に短くしておいて、ちょっとPKOで行こうとしたら、何回もカエルみたいにぴょんぴょんぴょんぴょん跳んでいかないといけない。要するに、日本は我が国を守るだけでもう精いっぱいです、それ以上のものは持っていませんと言っていたんですよ。何で二隻もいつも出せるんですか。
 結論は二つですよ。これはひそかに隠し持っていた。今までの予算をうまく、こんなに足りない足りないと言いながら実はひそかに二隻、余裕を持って買っていた。あるいは仮説の二、本当は全く余裕はなくて、我が国を専守防衛しなきゃいけないんだけれども、アメリカさんが言うから、もう我が国は素っ裸になって二隻を送っている。このどちらですか。
石破国務大臣 これは、どちらかという二択の御質問をされますと、非常に苦しいといえば苦しいわけです。
 ただ、専守防衛という構想の中にありましても、輸送艦というのは要るわけですよね、洋上給油ということはあるわけであって。我々はもう日本の守りというものは捨てました、そしてとらの子の二隻を出してという、そういうことではございません。少ない二隻の中でどうやって補っていくかということでありますし、その場合に、では本当に今、仮定の話ですが、我が国周辺でそれがすべて必要となるような、そういうような自衛隊の任務が起こるかということは、予断を持って物事を言ってはいけませんけれども、それが起こらないような外交努力というものも今なされておるわけであります。
 アメリカのように二正面作戦ができるとか、そのようなお話では全くございませんし、そのようなことが同時に生起をするということを念頭に置いて防衛力を整備すべきというふうにも考えておりません。そういうような過渡的な状況というものは当然あるのだろうと思います。過渡的なというか、中間的な状況というのはあるだろうと思います。そのときに、本当にもう全く、全然だめですと、そんなばくちみたいなことをしていいとは私は思っておりません。
首藤委員 防衛庁長官、これは大変な問題なんですよ。
 ですから、結局どちらかなんですね。そんな余裕があるのか、あるいは無理して行っているのかということですね。ということはどういうことかというと、余裕があるなら、こんなに経済が苦しいわけですから、今までのり代みたいに持っていた防衛予算を切り詰めなきゃいけない。ですから、次年度の防衛予算は、例えば海上自衛隊に関しては五割減、あるいはそういうんじゃなくて、どうしても国際社会のためにはこういうことをやっていかなきゃいけないんだといったら五割増ですよ。どちらかの予算しか、次の予算には出せないですよ。ここのところをよく考えていただきたいんですよね。
 それで、もう一つ、時間もだんだん迫っておりますけれども、イージス艦派遣の是非というものがありますね。イージス艦に関しては前向きだというような、あるいは、要請があれば検討してやるということを日本として考えるというようなことを福田長官がおっしゃっていますけれども、福田官房長官の御意見はいかがでしょうか。
福田国務大臣 私が、たしか記者会見で質問がありまして、答えたことがございます。そこで私は、米国から要請があれば派遣するとかいうような言い方はしていないと思います。要するに、そういう必要性があるかどうかということですね。これは、あくまでも我が国が自主的に決めることでございます。
首藤委員 官房長官、そうなんですよ、必要性があるかどうかということなんですよ。
 だから、イージス艦というものは、この政府報告に見られたような状況の中で、必要性がございますでしょうか、どうでしょうか。
石破国務大臣 先ほども答弁申し上げましたが、そのような具体的な要請はございません。
首藤委員 これは質問が違うんですよ。要するに、要請じゃなくて、これは役に立つのかどうかというのはどうですか。
石破国務大臣 大変失礼いたしました。
 イージス艦の持っておる能力につきましては、もう委員よく御案内のとおりであります。その持っておる能力を必要とするような状況であるのかどうかという判断だと思います。それが必要があるのかどうなのかということは、本当にその状況が毎日毎日変わるわけでありますから、その場で、ああ、あれを持っておけばよかったというようなことにならないように、しかしながら、ああ、むだであった、全く要らないものを出してしまったなということがないように、そこのところは的確に、そのときに応じて判断をされるべきものと考えております。
首藤委員 これは専門家の石破長官としては、もういいかげんな話だと言わざるを得ないんですよね。
 イージス艦というのは、艦じゃないですよ、イージスシステムなんですよね。イージス・ディフェンス・システムというシステムなんですよ。要するに、船はそこらの船なんですよ。巡洋艦だったり駆逐艦だったり、DDGとかDD、CGとか、そういうアメリカの船でも、日本の「こんごう」でも同じですよ。ただの船なんです。どんがらなんですよ。それにイージスシステムというのを積んでいるかどうかなんですよね。
 では、イージスシステムが必要な状況というのは、送らなきゃいけない、アメリカからも要請があるし日本も送らなきゃいけないという状況はどういう状況ですか。
石破国務大臣 結局、イージスの能力というものは、対空目標といいますか、経空脅威というのか、そういうものに対する能力がすぐれておる。そしてまた水上でも、もちろん原理的にマストの高いところに乗っけなければ遠くは見えないわけで、イージスであれそんな高いところにあるわけじゃないわけで、同じです。アーレイバークであろうが、「こんごう」だろうが「みょうこう」だろうが、一緒です。
 そうすると、見える距離というのは一緒なんです。しかしながら、コンピューターの解析能力が格段にすぐれていますから、見える距離は一緒であっても、それが一体どのような船なのかということを認識し、追尾する能力は、イージス以外のDDGあるいはDDHと比べても格段にすぐれておる。ですから、これがDDGという名前にはなっておりますけれども、それが従来の概念の対空ミサイル護衛艦というだけではなくて、対水上能力も、その持っておるコンピューターの優秀性によって格段の相違があるという認識をいたしておるところでございます。
首藤委員 それは石破さん、あなたは私をだまそうとしてそう言っているのか、それとも無知だからそういうことを言っているのか。
 イージスシステムというのは、さっき言っていたように防空能力なんですよ。防空艦なんですよ。御存じのとおり、イージスシステムのレーダーというのは固定レーダーなんですよ。固定レーダーは、水平を照らしているんじゃなくて、仰角をもって上を照らしているんですよ。
 要するに、水上艦艇なんか問題でなくて、テロリストが乗ってくるゴムボートとかあるいは工作船とか、そんなものは映らないですよ。だから、要するに、では、イージス艦をあえて送らなきゃいけない理由はない。武装だってそうでしょう。百二十七ミリぐらいのとか、あと二十ミリ機関砲とか、そんなぐらいしか持っていないわけでしょう。そういう通常能力というのはすごく落ちるわけですよ。普通の一般的な、汎用的な駆逐艦よりはずっと落ちるわけですよ。それがどうしてわざわざ送らなければいけないのか、どうしてですか。
石破国務大臣 首藤先生をだませるなどという、そんな不遜なことは私は考えておりません。あるいは、無知だという御指摘をいただけばそうなのかもしれませんが。
 私の知識に基づいて申し上げれば、繰り返しになって恐縮でございますが、先生御指摘のように、イージスシステムだからといって遠くまで見えるわけではございません。見える距離は一緒ですが、それが実際に解析をして、つまりそこのデータベースとしていろいろなものを持っておるわけですね。この船がいかなる船であり、つまりフレンドリーな船なのかそうでないのか、アンノーンなのかどうなのか、そういうことをいろいろなデータに基づいて解析するという能力は、従来のレーダーに比べては相当にすぐれておるということであります。
 ですから、私も、これはDDGという名前のとおり、今までの「かぜ」型護衛艦のように単なる経空脅威に対抗するものではないかということを、当初そのような認識を持っておりました。それが誤りであるということは、実際に現場を見てみて、詳しい何倍何倍ということは申し上げられませんけれども、対水上能力ということは、解析能力並びに追尾能力、これにおいては相当の相違があるということです。
 もう一つは、装備において全然だめだというお話でありますが、それはよく言われますように、イージス艦というものはそういうようないろいろな装備を持つ必要はなくて、単なる、例えば商船構造のものにイージスシステムを積めばいいではないか、そういうような御議論とひょっとしたらば混同があるのかもしれないと思っております。
 持っておる装備というものは、これはほかの船よりも劣るような装備を持っているわけではございません。VLS発射管にいたしましても最新鋭のものを持っておる、こういう認識はいたしておりまして、そういうような能力が劣っておるという認識は持っておりません。
首藤委員 いや、それはあなたも御存じのとおり、この自衛隊の艦艇と航空機集を見ればわかるように、日本が持っている護衛艦のすべてを見ても、いわゆる海上戦闘能力はイージス艦が最弱なんですよね。ですから、そういうところで一体どうしてこれが役に立つかということですよ。それは言うまでもなく、もちろん多少は水平に撃つこともできるでしょうけれども、圧倒的にこの能力というものは百機ぐらいの、百ぐらいの異なった上空目標に対して、それを峻別し、追尾し、それをロックオンして攻撃するというわけですよ。これは際立って、対空能力も含めて、ミサイル戦闘艦なんですよね。ミサイルでこれをやっつけるということなんですよ。ですから、通常のテロとかそういうものに対しては極めて弱くても構わないわけですよ。
 ですから、こういうイージス艦をこの地域に送る理由は、ここに書かれているものに関しては全くない。全くない可能性のあるイージス艦に対して、何で何度もイージス艦、イージス艦という答えがここで出てくるか。そこがやはり問題であり、この計画書に基づいてのイージス艦派遣は絶対にないということを今の時点ではっきり指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
田並委員長 次に、大出彰君。
大出委員 民主党の大出彰でございます。
 早速ですが、どうも午前中に閣議決定をされてしまっていると、基本計画の変更は承認事項でないということ、そしてそれに基づく対応措置が多少変わっても報告だということですから、何か我々は蚊帳の外にといいますか、これで本当に民主統制がきいているんだろうかと思うわけなんです。そこで、どうもシビリアンコントロールというところにおいて不安あるいは疑念を持ったりもしますので、端的に質問をさせていただきたいと思います。
 これは、昨年のテロが九月十一日に起こりまして、九月の二十一日の深夜に自衛隊の幹部の方々が、渋谷にある安倍晋三官房副長官の自宅をお訪ねになって、自衛隊の海外派兵に対して直訴をしたということがありまして、私、これを聞いたときに、その内容は当然武器使用を緩和してくれということのようですが、もしこれで制服組の方々が銃を持っていったならば、クーデターみたいなことになるのではないかと実は思いまして、この行った方というのは、安倍さんのことですので知りませんということになるのかもしれませんけれども、どなただったかお話しできるでしょうか、石破防衛庁長官。
石破国務大臣 そのような事実があったとは承知をいたしておりませんし、当然のことながら、だれであったかということも私どもとしては承知をいたしておりません。
大出委員 政府の中にいる方々で、これは安倍晋三さんが講演の中でおしゃべりをしたとかいうことで広まっている話でございまして、石破さんも当時勉強会グループの中で制服組の方々とおつき合いがあって、その方々ではないかというような推測も出ているんですが、石破さん、もう一度お答えください。
石破国務大臣 繰り返しての答弁で恐縮でございますが、安倍官房副長官がそういう方々と接触なさったかどうかということについて、私は承知をいたしておりません。
 また、もちろんこれは安倍議員とも、私も安全保障なんぞでいろいろな議論をすることはございます。そして、当然のことですけれども、制服組の方々の御意見を聞くということで、共通した方が知人であるということはございます。しかし、そういう方々が共通の知人であったからといって、それが安倍先生のところに行かれたとか行かれないとか、そういうようなことについての認識は全く私はございませんし、承知する立場にもおりません。
大出委員 私が安全保障に来たのが、委員会を移ってきたものですから、このころの事情のところを質問していないものですから、当人である安倍さんに質問した方が一番いいんでしょうけれども。わかりました。
 それでは、前回テロ特措法が審議をされているときに、いわゆる護衛艦が、護衛ではないとおっしゃっていました、警戒監視でついていった、港を出ていったことがございまして、そのときに、あれ、何で国会でまだテロ特措法が通り切っていないのに行ってしまうのかなと思ったことがございました。そしたら、護衛ではなくて警戒監視で行ったんだというんですが、それにも私は非常に、本当にシビリアンコントロールができているのかと実は思ったんです。
 それで、もう一つなんですが、朝日新聞のことしの五月六日なんですが、これもいろいろなところでお話があると思いますが、防衛庁の海上幕僚監部の幹部が四月十日に在日米海軍のチャプリン司令官を横須賀基地に訪ねて、要するに、先ほど話が出ていたイージス艦だとかP3Cをアメリカ側から要請するように働きかけてくれという記事が載って、話題になって、いろいろな委員会でも質問されていると思うんです。
 このときに問題なのは、その理由として新聞等で書かれていることは、「仮に米軍が対イラク開戦に踏み切ってしまってからでは、イージス艦やP3Cの派遣は難しくなる。何もないうちに出しておけば、開戦になっても問題にならないだろう」というような、こういう理由づけになっているんですね。ここを一番心配しているんですね。
 我々は、今回のテロ特措法の延長のときに心配をするのは、アルカイダとイラクの明確な結びつきが証明されているかどうかもわからないうちにイラク戦争にコミットするようなことになるのを非常に恐れているわけなんでして、どうなんでしょう、私はおくれてきているものですからあれですが、こういった新聞の報道等で、委員会等で質問等があったと思うんですが、このことについてどのようなことを防衛庁長官、お考えでしょうか。
守屋政府参考人 当時、国会でそういう御質問がございまして、私ども、担当の海の部長にその事実関係を調べましたところ、チャップリン司令官と確かに会っておりますけれども、そのような話し合いはなかったということで報告を防衛庁長官に上げてもらっております。
 なお、私どもが、P3Cとかイージスとかそういうものは、あくまでも私どもの後方支援活動を円滑、安全に行う観点から必要なものという観点から、どういう装備を持っていったらいいかということを防衛庁として主体的に判断して考えているものでございまして、あくまでも私どもの対米支援活動を円滑、安全に行うという観点から行われるものであることを御了解いただきたいと思います。
大出委員 こういう発言とかいうのは、時としてどうしても、本当に日本はシビリアンコントロールができているのかということで取り上げられるわけですね。
 講学上のシビリアンコントロールだけではなくて、いわゆる背広組と制服組のコントロールというのはどのようになっているのか、どなたでも結構ですが、お答えください。
石破国務大臣 これはシビリアンコントロールをどうとらえるかということだと思います。
 私どもの民主主義国家におけるシビリアンコントロールというのは、私の認識から申し上げれば、選挙によって選ばれた議員、そしてそれによって構成される内閣、自衛隊の最高司令官である内閣総理大臣、防衛庁の最高責任者である防衛庁長官、そういう者たちが、いわゆる国民に対して直接責任を負う者たちが、いわゆる背広とおっしゃいますけれども内局官僚の補佐のもとで決定を行う。すなわち、制服組は制服組として軍事の専門家としての専門的な知見に基づき防衛庁長官、そして内閣総理大臣を支え、そして、内局官僚たちは内局官僚としての専門的な見地に基づいて防衛庁長官、内閣総理大臣を支える。
 その判断は、国民に直接責任を負う、選挙によって選ばれた内閣総理大臣、防衛庁長官がその責任を負うべきものだというふうな理解をいたしておるところでございます。
大出委員 それはどちらかというと講学的な話なんでございまして、二つ例を出したわけなんですが、心配なのは、いわゆる制服を着た方々が安倍晋三官房副長官のところに直接行っちゃった、それも深夜行った、そういうことがあったとしたときに、本来はそうではないのではないか、つまり制服組でない方々、背広、内局の方々がおられるわけで、そちらを通してからの話というのが本来の基本ではないかと思ったりしまして、その話を今お聞きしようと思ったんですが、講学的なお話をなさったので、そしてまた安倍さんの話は安倍さんに聞けということでございますので、これでこの話はやめます。
 次に移りますが、インド洋での派遣された自衛隊の活動あるいは任務として、被災民の救援活動だとか米軍等の協力支援活動、捜索救助活動というのをやるということのようですが、実はこれにも、きょうの先ほどのものの中にも、七ページ目あたりから、現在までの一年間にわたるこのような自衛隊の活動については、九月二十日、米国国家安全保障戦略においてと書いてありまして、八ページのあたりに、後方支援という重要な役割を担っている、感謝の意が示されたとか、各国から評価を受けているとか、幅広い評価を得ていると書いてあるわけですね。これは抜けていたのを、あるとき日本が物を言ったから書いたというようなこともあるんでしょうけれども。
 どうも解せないのは、本来、給油をやっている、補給しているということを基本的に今やっているようなんですが、そのようなことだけで本当にこのように感謝をされたことになるのかなというのは実は疑問に思っています。
 それで、ここで問題なんですが、「選択」という雑誌がございまして、ことしの三月に、百十四ページなんですが、簡単に言えば、自衛隊の秘密任務といいますか、そういうのがあるということが書いてあるんですね。
 これはどういうことをやっているかといえば、「米軍などを攻撃する恐れのある不審飛行物体の発見、」これはまあイージス艦がないから難しいかもしれません。「アル・カイダやタリバン残党の洋上逃走の監視、」これは当然のことかもしれませんね。問題は「イラクへの禁制物資搬入が疑われる船舶の発見、の三つの業務にもっぱら従事している。」という話が載っているわけなんですね。
 そのときに、どうお答えになるかわかりませんけれども、こういうことをやるのはあり得るなと思いながらも、もしこの最後の部分の、専らという意味でしょうね、専らイラクへの禁制物資の搬入が疑われる船舶の発見というようなことだとすると、どうもこのテロ特措法の趣旨から外れていって、アメリカのイラク戦略にコミットしているようなことになるのではないかなと思うものですから、こういうことがあるのかどうか、お尋ねいたします。
西川政府参考人 お答え申し上げます。
 今、テロ対策特措法に基づきまして派遣されております自衛隊の部隊につきましては、今先生がおっしゃっておられるような任務は全くございませんで、いわゆる専ら法律に書いてあるところの補給という格好の措置をしております。米軍艦船を攻撃する航空機の発見あるいはアルカイダの監視などを任務としているというふうなことは全然ございません。
 ただ、自分たちの船を守るといいますか、必要な程度とされておりますが、それは当然任務を全うするためのものでございますから、そういう形の自分たちの分野というのは、これは当然仕事の一環としてやっておりますが、それはこういうものとは全く性格が違います。
大出委員 違うということを言うんだろうと思うんですが。
 この「選択」がどこまで信用性のあるものかはわかりません。ですが、ここで書いてあるのは、「飛行物体発見はもともとやや荷が重く」てというのは、イージス艦がいるわけじゃないということなんでしょう、「タリバン壊滅から時間が経過した最近では最後の任務ばかりを担っている」ということで、今のイラクの話が出てきたんです。
 専らと言ったのは、結果的にそういうことを発見して阻止するのはできるのかもしれませんね、このテロ何とかでね。ですが、このイラクへの禁制物資の搬入の疑われる船舶の発見を専らやっていたとすると、仮にですよ、やっていたとすると、これは基本計画の枠を超えるようなことなんですか。どうでしょうか。
    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕
守屋政府参考人 私どもの海上における補給活動というものの仕組みを御理解になっていただければ、そのような御疑問は生じないのではないかと思っております。
 先ほど防衛庁長官が当初御説明いたしましたように、あの海域における補給艦を使っての補給活動というのは、先ほど申し上げましたように、私どもの船と補給を受ける米軍の艦船というものを洋上においてパイプでつないで行うものでございます。
 これを安定的に行うためには、約八ノット、時速二十キロのスピードで走りながら行わなくちゃいけないのですけれども、これが六時間ぐらいのオペレーションになりますと、百三十キロぐらい進出するということでございまして、この船が補給艦で結ばれている状態というのが一番やはり危険な状態でございまして、そういうところに不測の船とかそういうものが入ってこないようにするために、私どもの護衛艦というのは、補給艦の前後に配置しまして、情報収集をしている。
 それから、より遠方の地域に対しましては、護衛艦搭載のヘリコプターを使いまして、次々と補給活動を行ってくるときに新たな水域に入ってくるものでございますから、前広に情報をとりまして、補給活動に支障のある船を早期に発見しまして、そういうものに影響を与えないような対応をとるということでございまして、私どもの方の護衛艦というのは、専ら私どもの補給活動を円滑に行うための警備を行っているものでございまして、先生御指摘のような、イラクに禁制品を輸出するとかそういうものを取り締まるために行動しているものではございません。
大出委員 御説明いただいたわけでございまして、御苦労はわかっておりますが、心配なのは、やはり給油をいたしましたといったらそれが結局はイラクの軍事作戦に転用されているとか、そういうことを非常に恐れるわけですよね。それと、先ほど何でイラクの禁制品とか言うかといえば、間違いなくどこかの国が海の上を通ってイラクに持っていこうとすれば、そういうことは起こらないわけじゃありません、武器弾薬を積んで行くということだってあるわけですから。
 そうすると、それがこの計画を実行している間に、たまたまそういうことに遭遇することがあるのかもしれません。それはわかりませんけれども、そこを恐れて聞いていたわけなんですね。今の業務の中で、兵たん業務をやっておられるわけなんですが、ここでちょっと簡単な質問をしておきますが、まずは戦闘地域というのは日本は決めたわけですよね、この兵たん業務その他をやるときに。日本が認めている戦闘地域と、逆に今度は米英軍が認めている戦闘地域というのをちょっとお話しください。
西川政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍等は、アフガニスタン国内におきましては、昨年十二月以来、アルカイダやタリバーンが逃走、潜伏していると言われますパキスタンの辺境地域と接するアフガニスタン東部山岳地帯を中心にアルカイダ、タリバーンの残存勢力の追跡、掃討、それからまた二つ目としましては、施設捜索によります武器弾薬の押収、破壊、あるいはアルカイダ、タリバーンのメンバーの拘束、尋問による……(大出委員「戦闘地域を聞いているんですよ。どの範囲を戦闘地域にしているかと聞いているんですよ。」と呼ぶ)その戦闘地域といいますのは、今言いました地上部の部分とそれから海の方につきまして、具体的にというのはちょっと先生、今、それについてはいろいろ戦略上の問題がございまして、ちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
大出委員 日本が認めている戦闘地域というのとアメリカが言っている戦闘地域というのは違うはずなんですね。それを聞こうとしたらお答えになりませんので、いいです。問題なのは、やはり当初おっしゃっていたように、アラビア海の戦闘区域外で補給をするということを言っておられたわけだから、実際に動きながら補給をしたときに、確実にアラビア海の外での、戦闘区域外で補給をできたのかどうかを検証したいんですが、どうでしょうか。簡単にお願いします。
守屋政府参考人 先生、日本が戦闘区域というようなことを定めておるというようなあれでございますが、そういう概念はございません。
 自衛隊の協力支援活動を実施する区域というものが、基本計画において定められた区域の範囲から、私たちは、活動の必要性や、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められることを考慮して設定しております。私どもの活動は、この区域の中でとどまっているものでございます。御理解いただきたいと思います。
大出委員 大変困った話なんですね。米英軍の戦闘地域は何ですかと聞いたらお答えにならなくて、日本のは戦闘地域じゃない、協力実施区域で守っていると言われてもわからないですね。まあ仕方ない、それがそうだと言うならば仕方ないでしょうね。
 もう一つは、アメリカ軍が戦闘行為を行うなりしようとすれば、必ず兵たん確保というのを最優先にしてやるはずですね。今回も当然そうだろうと思うんです。そうすると、おくれて行った日本が、五隻の、燃料を補給する補給艦が行ったんでしょうけれども、本当のところ見たときに、先ほどみたいなことをやらないでいいんだとすれば、お金でもいいのではないかと思ってしまうところがあるんですね。わざわざ乗組員のコストもかけたり命を危険にさらして行かせることはないではないか、こう思ったりするんですね。
 それで思うのは、日本が補給艦を出すことによって、これだけ補給艦があるからそれを当てにしてアメリカは自分のところの補給艦の数を減らしたという事実はあるんですか。
    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕
守屋政府参考人 今御指摘の、先生、お金で済む話じゃないかということでございますけれども、世界の海軍の海上防衛力の中で、洋上において船に油を補給できる、こういう能力を持っている海上防衛力を保有している国は大変限られております。
 それからもう一つは、海上における補給をやるためには、両艦のスピードを一定のスピードに保って、それからロープが伸びないようにするということで、大変難しい訓練でございます。これをアメリカとしまして全部自分の中でこれを用意するということになりますと、これはアメリカの能力をかなりのものを持っていくということでございまして、アメリカにとってもやはり大変な負担になるというところでございまして、今回のテロ対策特措法の関係でアメリカに対しまして私たちが後方地域支援活動として海上補給活動を実施するというのは、やはり私たちの持っている能力に着目して考慮したものでございます。御理解いただきたいと思っております。
大出委員 技術が進んでいるという点についてはおっしゃるとおりだと思っておりますが、やはりここで最初の末松さんあるいは首藤さんが論じた、穴があるのかないのかという議論になるわけですが、二度ほどやったのでやりませんけれども、日本にとってそれでいいのかなという懸念はやはりありますね。日本の防衛体制はしっかりしているのかな、心配だなというちょっと懸念がございます。
 それでは、今兵たん業務のお話をしたものですから、次は、検証させていただきたいのは、海自艦と米軍の海軍との情報提供についてお尋ねをしたいんですね。
 通常はデータがリンクされているので筒抜けになっているんだと実は思っているんですが、一般情報以外の本来の敵情報といいますかそういった情報の交換はしないで、現実に、実態としてそういうことが、簡単に言えば集団自衛権に踏み込まないでできたのかどうかということをお述べください。
西川政府参考人 お答えいたします。
 協力支援活動を行っております海上自衛隊の艦艇につきましては、米軍艦艇等に対しまして給油活動を行ってきておるところでございますが、当該給油活動を安全かつ円滑に実施するため、周辺海空域の警戒、先ほど申しましたとおりこれを行っておりますが、この過程で得る情報、これを必要に応じて米軍の艦艇と交換をしていることはございます。
 具体的に申しますと、航海中の海上自衛隊の艦艇が、不明なあるいは不審な船舶、あるいは航空機を発見いたしました場合、米軍艦船に知らせるなどしているところでございまして、これは一般的な情報交換の一環という形で、あくまでも一般的な情報交換の一環という形で情報提供をしているものでありまして、特別なものという形ではございません。
大出委員 一般の情報と言うんだけれども、リンクされているから、本来ならば、すべて向こうに行ってしまうのではないかと思うんですが、それは、いわゆる通信技術的に一般情報以外が行かないようにできるんですか。そういう意味ですか。
西川政府参考人 機械的には一応自動的に流れますが、データリンクシステムそのものは、船舶あるいは航空機等の間でその保有する各種データ、情報をデータ通信で迅速にやりとりする、こういうシステムでございまして、各種作戦の効率的な実践、実施を図ることを目的にしているところでございますが、自衛艦と米艦との間では、技術的リンクは可能でございます。ただ、その使用については、必要に応じ日米がそれぞれに判断して行っている、こういうところでございます。
大出委員 今、情報の点について、可能だと言うんだから、そうすると、集団自衛権には踏み込んでいないということでございますので、次に、アメリカ軍との指揮系統の問題なんです。
 ことしの六月十六日の朝日新聞の朝刊に、「防衛庁海上幕僚監部の派遣チームが昨年十一月、バーレーンの米中央軍第五艦隊司令部で当時のムーア司令官に会い、インド洋での対テロ戦争の補給作戦で海上自衛艦が」戦術指揮統制をアメリカ海軍の「第五艦隊五十三任務群司令官(後方支援担当)に委ねることは可能ではないかと考える」と述べ、有名になっている話だと思うんですが、こういう新聞の記事が出ました。
 これでいきますと、指揮系統がアメリカ軍の方にあるとなると、集団自衛権の行使になるのではないかと思いますので、この新聞記事の信憑性についてコメントをいただきたいんです。
西川政府参考人 お答えいたします。
 六月十六日の朝日新聞の記事、これが出まして、当方でも、その発表当時、必要な事実の確認をいたしております。
 これにつきましては、あくまでも、これまでさまざまなレベルであるいは段階で、日米間の意見交換だとか、あるいは調整を行ってきておりましたが、その一環という形で、昨年の十一月の二十三日から二十七日までの間、海上幕僚監部等の関係者、これは六名でございますが、バーレーンに出張しております。そして、米第五艦隊司令部等の関係者と意見交換及び調整を実施した、ここまでは事実でございます。
 その内容の詳細、これは大変申しわけございません、戦術上の問題がありますので、ちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、海上自衛隊として、海自の艦隊が米軍の指揮下のもとで活動するというようなことを容認した、こういう事実についてはない、それから、海自の艦艇が米軍の指揮監督のもとで活動しているとの事実もこれまたない、このように承知しております。
大出委員 一部伏せられましたけれども、海自としては、あるいは自衛隊としては、自主判断で指揮をやっているということを言っているわけですね。そうしますと、情報についても、あるいは指揮についても、独立してやっている、こういうことを言っているわけですね。
 もう少し深く本当はお話を聞きたいんですが、時間もありませんので、最後になります。
 延長した今の事態で海自艦が攻撃を受けた場合、武力攻撃事態法がまだ通っていない段階での話ですが、個別自衛権を発動できるんでしょうか。
赤城副長官 お答えをいたします。先生御指摘の想定が、我が国の領域外において活動を行う自衛艦が武力攻撃に該当するようなそういう攻撃を受けた場合ということかと思います。
 もともとこのテロ特措法に基づく海外での協力支援活動というのは、委員御案内のとおり、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるという要件を満たす地域において行われることとされており、万一、近傍において戦闘行為が行われるに至った場合や、付近の状況に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合においては、活動の一時休止、避難等により危険を回避しつつ活動の中断等を待つもの、こういうことになっております。したがって、先生御指摘のような、協力支援活動を行う自衛隊の部隊が武力攻撃を受けるということは想定されていないということでございます。
大出委員 時間ですから終わりますが、いい答えではございません。自衛隊法九十五条か何かを答えればいいじゃないですか。
 終わります。ありがとうございました。
田並委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、本題に入ります前に、先般、十四日でありますけれども、米軍が島根県の沖合、日本海で水中爆破訓練を行った件につきまして、お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 日米安保条約を踏まえますと、訓練をすること自体は何ら異議を申し立てるつもりはございませんけれども、この時期の訓練海域はズワイガニ漁の最盛期ということであります。地元とすれば、なぜこの時期に訓練をしなくてはならないのかという思いが非常に強い。また、情報不足で、現場の対応もおくれてしまったということであります。
 今回の訓練は、日米地位協定の演習区域外ということで、防衛施設庁の所管外である、今回の件に関しては一切関知していないということであります。また、石破長官の御地元が鳥取ですぐ隣ということで、一言お伺いしようと思ったのでありますが、コメントする立場にないと避けていらっしゃるようでありますので、外務省にお伺いをしたいと思います。
 まず第一に、米軍からの演習通報は最初にどこが受けたんでしょうか。また、その後の対応についてはどうであったんでしょうか。
茂木副大臣 御質問いただきました島根県の隠岐諸島沖の日本海での水中爆破訓練の件でありますけれども、まず我が方の対応でありますが、十三日に海上保安庁及び水産庁の方から連絡を受けまして、外務省といたしまして、在京のアメリカ大使館、具体的には、長嶺北米局参事官の方からシーア在京米大の公使に対しまして、十四日、米軍が訓練を予定していた隠岐諸島西方の水域では、委員御指摘のとおり多数の日本漁船が操業している事実、これをきっちりお伝え申し上げた上で、訓練を行う際には、当該水域で操業する日本漁船の安全を含む我が国の利益に妥当な考慮を払うべきこと、また、その過程で必要があれば、例えば時間的にそういう配慮が間に合わないということであれば、日程、区域の再調整も含め検討することを申し入れたわけであります。
 事実関係をこの後申し上げてよろしいですか。
 十四日の午後、米側より外務省に対しまして、十四日に実施された訓練の詳細につきまして説明がございました。これに対しまして、その場で説明を受けて、外務省よりは、十三日の申し入れの後、米側における検討状況、訓練に関する詳細な情報の提供がないまま訓練が実施されたことは遺憾である旨の申し入れを行いました。さらに、十五日以降、種子島近海で予定されている類似の訓練につきましては、我が国の利益等の調整を行う必要等があるため停止してほしい、こういう旨を申し入れたわけであります。
 この申し入れを受けまして、翌日十五日の朝になるわけでありますが、米側から、日本の排他的経済水域における権利に対して影響を及ぼさないような訓練内容にしたいとして、その詳細につきまして、外務省に対して説明がございました。
 こういったやりとりの後、アメリカ側の案を政府部内で検討した結果、同案は、我が国船舶の安全や漁業場への悪影響の排除等、我が国の利益に十分な考慮を払ったものであると考えられるため、推移を見守ることといたしたものであります。
 十四日の訓練の後、種子島南方水域及び東シナ海におきまして、外務省に対して説明があった我が国の権利に対して影響を及ぼさないような訓練内容でそれぞれ一回ずつ訓練が実施された、このように承知をいたしております。
樋高委員 それでは、官房長官に伺いたいと思いますけれども、今回の件、さまざまな経過を見ますと、各役所、海上保安庁、防衛庁、外務省、それぞれ情報がちぐはぐであって、結局現場が混乱をした。そして、漁船も操業していたし、またそこで、国としてきちんとした米国に対しての申し入れも結局後手後手に回ってしまったということが露呈されてしまったわけでありまして、結局、国民への情報提供、安全対策などの対応が二の次、三の次になってしまっているように思えてならないわけであります。
 また、かねがね申し上げておりますけれども、縦割り行政の弊害、各省庁間での情報提供や意思の疎通も図られていないというふうに見受けられるわけでありますけれども、国民の安全にかかわる重要なことでありますので、今後このような事態が生じた場合、迅速な対応を的確に行っていただきたいと思いますけれども、省庁間の連携を図るべく今後どのように改善すべきというふうにお考えでしょうか。
福田国務大臣 今回の件につきましては、島根県の件につきましては、これは、私はかなり迅速に対応しているんじゃないかなと思います。そして、米軍にも外務省から直ちに申し入れをするということもございましたし、米側もそれは真剣に対応してくれた。その結果、米側の訓練の内容の変更とかいうようなこともありました。
 一般論的に言えば、政府として、こういうような緊急事態もしくは何らかの件があれば、それに対して、その事案の性質等に応じて、それはもう当然対応措置というのは行っていかなければいけないと考えております。
樋高委員 官房長官、そういう感覚がだめなんですよ。的確に対応した、そんなこと、この議事録を地元の人が見たら怒りますよ。本当に現場の皆様方の気持ちを考え、石破長官の地元の方々も大変御立腹なさると思いますよ、そんなことを官房長官が堂々とおっしゃったのでは。
 そもそも、日本政府として中止の申し入れをしたということに対して、米軍は水中爆破訓練を実施いたしましたけれども、政府の見解としては、では、どういうふうに発表なさったんですか。
茂木副大臣 先ほど答弁申し上げましたように、十四日の訓練に関しましては、我が方からの申し入れをしたのに対して、十分な説明がないままに実施されたことにつきまして、遺憾の意を米側に対して伝えさせていただきました。
 何にいたしましても、こういった排他的経済水域における訓練、これは通報の義務はないわけでありますけれども、しかし、今後同じような訓練を行う場合には、我が国に対してできる限り前広に連絡をするように、改めて米側にも確認をとっていきたい、このように考えております。
樋高委員 外務大臣に伺います。ちょっと違う視点からお尋ねいたしますけれども、この時期に水中爆破訓練を強行したということは、結果として、北朝鮮にとって揺さぶり、威嚇ととられる可能性はございませんか。
川口国務大臣 我が国及びこの地域の平和と安全に大きなかかわりを持っている米軍としては、私としては、日ごろ、必要に応じて必要な訓練をやっているというふうに考えております。この時期に、この訓練が特に北朝鮮に対して何らかのそういうような意図を持って行われたというふうに考えることは難しいと思います。
 ただ、これは米軍が行う訓練でございますから、我が方として、米軍の一つ一つの訓練について、どういう目的あるいはどういう意図を持ってやったということを承知しているわけではないということです。
樋高委員 日本政府として容認をしていたということであります。大変恐ろしいことであります。
 それでは本題に入りますけれども、テロ対策特措法の基本計画に基づく海上自衛隊の艦船のインド洋、アラビア海への派遣の期間が本日十九日に期限が来るため、その期間の延長問題が議論されているわけでありますけれども、防衛庁長官もかわられたことでありますので、これを機会に、昨年本法案の成立の際にも議論になった欠陥点につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 昨年のテロ対策特措法の制定の際の政府のやり方は、自衛隊を遠い海外に派遣するという究極の政治判断であるにもかかわらず、日本国憲法の解釈にかかわる判断を全く示すこともなく、無原則で場当たり的、なし崩し的に自衛隊を海外に派遣するものでありました。その際の議論で、政府は、国連安保理決議千三百六十八号であったと思いますけれども、テロ非難決議、あたかもそれによって米国の武力行使が容認されたかのごとき見解のもとに、米国の戦争に参加することにいたしました。
 これは、国民に対する全くのごまかしであります。政府は、集団的自衛権の行使は憲法上許されない、武力行使はできないとしておきながら、まさに国民をごまかし、なし崩し的に憲法解釈を変更して、自衛隊の行動範囲を拡大しております。そして、今回もまた拡大をしようとしております。
 私は常々主張しておりますけれども、そのようなやり方ではなくて、自衛隊を派遣するのであれば、政府は明確に堂々と今までの憲法解釈を変えると明言をして、集団的自衛権の行使を認めた上で派遣すべきであります。政府のいいかげんな方針にもかかわらず、命をかけて現場で活躍しておいでであります自衛隊の方々には心から敬意を申し上げるわけでありますけれども、自衛隊という軍事力を動かすこと自体が武力行使に該当するのは世界の常識であります。武力行使はしないと言いわけしながら、自衛隊を派遣して諸外国と共同行動させるということは政治の最も重い決断でありますけれども、そのような重大事を場当たり的、なし崩し的に行うことは、敗戦に至る昭和史の教訓を忘れたものであり、日本を再び誤らせることになると言わざるを得ないわけであります。
 我が国が自衛隊を派遣することにより軍事的に支援するということは、集団的自衛権の行使に当たります。それは、これまでずっと政府が憲法で禁じられているとしたものであります。情報収集であれ難民救済であれ、国連の武力行使容認決議のないままに戦闘地域に自衛隊を派遣するためには、やはりアメリカとの間で集団的自衛権の行使を認める以外には私はないというふうに主張させていただいております。
 日本政府が、このことを真っ正面から議論をせずに、新しい憲法解釈を国民に明示することもなく、人道支援あるいは国際協力という名の装飾を施してテロ対策特別措置法を成立させた、そして実行させたことは、国民を欺くこと以外の何物でもないと思いますけれども、どのようにお考えになりますでしょうか。
石破国務大臣 なし崩し的とか欺くとかそういう御指摘ですが、私は必ずしもそうは思っておりません。要は、集団的自衛権の定義をどのようにするかということなんだろうと思います。
 御党がずっとそういうような御主張をなさっておられることは私もよく承知をいたしておりますが、要は、集団的自衛権というのは、今さら申し上げるまでもございませんが、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利、こういうことに相なっておるわけで、議論としてはそれはいろいろあります。しかし、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力をもって阻止するということにつきましては、国際法上異論がございません。
 そうしますと、私どもの自衛隊が行っておる活動が実力をもって阻止するということに当たるんだということの方が、むしろ国民にとって理解のしにくい概念になるのではないだろうかということを考えております。
 この法律をつくりましたときに、とにもかくにも集団的自衛権の議論が生ずる余地がないようにということにかなり留意をしてつくった法律でございまして、その点は、国際法上、集団的自衛権のとらえ方を正確にした方が議論の今後の進展のためによろしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
樋高委員 自衛隊は派遣をしますけれども集団的自衛権は行使をしないという、国際ルールで私はこんな論理は通用しないと思いますけれども、いかがでしょうか。
石破国務大臣 それは、そういうことは我が国の、当然主権国家としての我が国の判断としてあり得る。自衛隊を派遣したからといって、それが武力の行使とイコールになるという概念は国際法上に存在しない概念だと私は考えております。
樋高委員 極めてこっけいであります。
 武力行使と一体化しない武器の使用なら構わないけれども、武力行使と一体化するのは憲法で禁じられているからだめだなどという机上のふざけた論理を自衛隊の指揮官に押しつけるのはおかしいと思いませんか、いかがですか。
石破国務大臣 こっけいという御指摘ですが、そのことであれば、またここで幾らでも時間をとりまして議員の御教示を請いたいと私は思いますけれども、自衛隊を派遣するということイコール武力の行使ということは、私は、それがこっけいな議論なんだろうと思っています。自衛隊を派遣すること自体がなぜ武力の行使につながるのか。
 どういう場合に武力の行使をしていいかという議論は、それはあるでしょう。しかしながら、自衛隊を派遣することイコール武力の行使ということになりますと、これはすべてだめだという話になるのですよ。それは、これから先の議論にプラスになるものだと私は思いません。自衛隊の派遣イコール武力の行使という概念は、それは国際法上存在しない概念だろうというふうに私は思っております。自衛隊は海外において武力の行使ということはできないんだということであります。
 そうしますと、自衛隊を出すこと、それは、では武力の行使なのか武器の使用なのか。これはPKOのときに議論をいたしましたね、何が武力の行使で何が武器の使用なのか。そのあたりのメルクマールについては議員御案内のとおりだと思います。そういう議論も全部吹き飛んでしまう。自衛隊が行ったことすなわち武力の行使だということになりますと、PKOの議論も根底から変えていかねばなりません。
 PKOに出る自衛隊というものは一体どういう概念で行くのか。それは武力の行使の目的のために行っているわけではないんです。あそこは、PKOの五原則というものがあって、治安というものが保たれておって、いかにそれをキープするかということで自衛隊は行くわけですから、これも武力の行使だ、集団的自衛権の考えを変えなければこんなこともできないということは、私はいかがなものかと思います。
 自衛隊を出すことイコール武力の行使ではございません。
樋高委員 そういうことを言っているんじゃないんですよ。論理のすりかえをしないでください。
 官房長官に伺いますけれども、自由党では、昨年、政府の三法案の対案として、国の防衛及び自衛隊による国際協力に関する基本法案を提出させていただきました。その要旨は、日本国憲法において武力の行使を含む自衛隊の軍事行動が認められるケース、条件をきちんと提示しております。
 まず、個別的であれ集団的であれ、我が国が直接侵略を受けた場合、あるいは放置すれば武力攻撃に至るおそれのある周辺事態における自衛権の発動、もしくは国連の武力容認決議、つまり安保理もしくは総会で決められて、その要請に基づく平和活動に限られるというのが自由党の考え方であります。
 すなわち、国際紛争への自衛隊の派遣については、例えば湾岸戦争のような国連の武力行使容認決議に基づく活動には積極的に参加すべきである、一方で、ベトナム戦争のような米国単独の軍事行動には、米国の要請があっても参加しないという原則を打ち立てたわけであります。
 このような明確な原則を確立することが重要だと私は思いますけれども、どのように考えますか。官房長官。
福田国務大臣 それは御党のお考えでしょう。我が党はそうは考えていないんです。
樋高委員 我が党はじゃないですよ。
福田国務大臣 訂正します。政府は、我が政府はそういうようには考えておりません。
樋高委員 外務大臣に伺います。
 私は、日米安保条約、これは堅持すべきであると思います。日米間の二国間関係、日米同盟の重要性を認識しております。
 しかしながら、昨年は、日本及びその周辺地域において日本の安全が脅かされた場合に日米両国が共同で対処するという安全保障条約の枠組みから大きく外れまして、日本周辺地域からも大きくかけ離れて作戦を行いました。これは明らかに防衛大綱からの逸脱でもあり、また日米同盟関係の大きな変質であるというふうに考えます。
 日米同盟の内容を改める必要があるなら、どんな原則で、どこまで米国とともに行動するのか、まずその方針を明確に示すべきでありました。無原則でなし崩し的に自衛隊を海外に派遣する態度は主権国家、法治国家としてとるべき道ではないというふうに考えますけれども、どのように考えますか。
川口国務大臣 我が国にとりまして、日米安保条約というのは、これに基づいてアメリカとの間でそれぞれその条約の規定することを分担してやっていく、我が国はその基地を提供するという関係にあります。
 米国は非常に重要な同盟国であります。我が国が同盟国である米国との関係をどのように律していくかということについては、安保条約やその他の我が国の持つ法令に従って適切にやっていく、そういうことでございまして、法令の定める範囲を超えて日米の関係が動いている、そういうことは全くないと思います。
樋高委員 続いて外務大臣に伺います。
 イラクの核査察問題に関連しまして、場合によってはアメリカが単独でイラクに武力行使に踏み切ることもあり得ると言われております。
 しかし、その場合、先ほど申し上げましたけれども、国連憲章の四十二条に基づくいわゆる武力行使容認決議がなければ、これまでの国際ルールではアメリカの単独行動は国際的に認められないと思いますけれども、同時に日本は、アメリカと同一行動も当然認められないというふうに思うわけであります。仮にアメリカに行き過ぎがあれば、国際ルールを遵守するようにアメリカを説得することが同盟国、友好国である日本の務めであると思いますけれども、どのようにお考えになりますか。
川口国務大臣 仮に米国に行き過ぎがあればというふうにおっしゃられますけれども、米国は今まで、国連の安保理で決議を合意して、そしてそれに基づいてイラクが行動するということをほかの国と一緒になって一生懸命に働きかけてきたということでございます。先般、決議が採択を満場一致でされて、そしてこれに対してイラクがそれを受け入れるということを言いまして、まさにそれに従って、今国際社会がイラクを見守っている中でイラクは行動をとろうとしているということです。
 イラクが、この機会に、まさに決議に従って、核あるいは大量破壊兵器その他の今までの安保理の決議を守っていくということを見せることがまず先決でございます。今、国際社会はそれをイラクに望んでいる、それをやるということがまず先決であると私は考えています。
樋高委員 防衛庁長官に伺いますけれども、今回、基本計画の変更ということであります。イージス艦を派遣する考えは今すぐにはないということをずっときょうは議論しておりますけれども、今後、イージス艦の派遣をアメリカ政府から公式に、正式に要請された場合は、どのように対応する方針でしょうか。
石破国務大臣 何度も繰り返しの答弁で恐縮でございますが、それは米国のニーズをそんたくして我が国として主体的に判断をするものでございまして、アメリカから要請があったからどうのこうのというお話ではございません。あったからどう判断をするかということではなくて、アメリカのニーズ等々を踏まえながら私どもの国として主体的に判断をする、それは先ほど防衛局長の方からも御答弁を申し上げましたけれども、法にのっとってやっております我々の活動というものがいかにすればより安全に行われ、法の目的達成が確実なものになるかというその視点から判断をしてまいるべきものと考えておる次第でございます。
樋高委員 前回の委員会でも議論があったかもしれませんけれども、イージス艦は米戦艦とのもちろんデータリンク、情報の共有ができるいわゆる高度なシステムがある。これについては、与党の中にも、米国の武力行使と一体化し、集団的自衛権の行使に当たるおそれがあるという理由によって慎重な意見もあるようですけれども、政府の見解はどのように考えているんでしょうか。
石破国務大臣 それは、データリンクというものの、物のとらえ方だと思っております。
 データリンクというのは、委員御案内のとおり、ある船がとらえた、別に船でなくてもいいのですが、とらえた情報というものをほかの者に対して、その船自体あるいはその飛行機自体は収集していないのだけれども、あたかも自分が収集したかのような情報を伝えることができる、そういうようなデータをリンクさせることができるデータリンクであります。リンク11とリンク16というのがあるのも御存じのとおりです。
 そうしますと、その情報を伝達するということが、つまり遠くにある脅威あるいは何者か、自分の船では、自分の飛行機ではわからないものがわかった、そのことを共有するということが、どうしてそういうようなことになるのかということを考えてみましたときに、私はそれが、今まで政府が答弁を申し上げておりますとおり、例えば、何時何分の方向に敵の飛行物体がある、撃てということであれば、それは当然問題になりますけれども、そういう情報、つまり、遠くにあるものあるいは何者であるかという認識を共有するということは、何もイージス特有のものであるというふうには認識をいたしておりません。
 リンク11とリンク16というのは、それは能力の差でありまして、それは量的差異であっても質的差異ではございません。イージスについても同様の概念が成り立つだろうというふうな理解をいたしておるところでございます。
樋高委員 石破長官に重ねて伺いますけれども、要するに、集団的自衛権を行使するという判断にはならないということですね。
石破国務大臣 それは局面、局面によって違いますけれども、そのことが武力の行使の一体化ということにはつながるという理解をいたしておりません。
樋高委員 最後に、一問お尋ねをさせていただきたいと思います。
 ちょっと話が変わりますが、神奈川県寒川町の案件であります。
 この案件、ずっと私も追っかけているのでありますけれども、要は、旧相模海軍工廠跡地の工事現場で毒ガス、マスタードガス、イペリットというんだそうですけれども、これが瓶の状態で見つかって、国交省さんの方で道路をつくっていたところ、その工事現場で誤って瓶を割って毒ガスが発散をし、工事に従事なさっていた八人の方々が被害に遭われた。
 これが戦後初であった。しかも、そのマスタードガスは夜間には周囲二キロ圏内にまで拡散をする、なおかつ、地中にしみ込んだガス、液体なのか気体なのか、私も細かい専門的なことはわかりませんけれども、それは、そのまま放置しておきますと一カ月はそのまま、無害化されないまま、今、実は放置されているわけであります。
 このことに関して、私は各役所にも働きかけを、お願いをさせていただきながら、やはりこういうときこそ危機管理体制をきちっとやるべきだ、一事が万事であって、縦割り行政の中でお互いになすりつけ合ってはいけない、やはり各役所が連携をとって、利害を優先したり、逃げ腰で対応をたらい回しにするようなことがあってはならないということを私はるる申し上げたのでありますけれども、一向に現場は、国交省の管轄になるんでしょうか、その後、その工事現場では恐る恐る工事を続けているということであります。
 そもそも、これが毒ガスであるということが認定された場合、国際機関も査察に入りますから、これは外務省も関係あります。一方で、この成分分析は防衛庁の大宮化学学校でもなさったということでありますので、防衛庁も関係あります。一方で、いろいろな防災という観点からすれば、警察庁も関係ありますし、また消防庁さんも関係あるし、また地域の寒川町、また神奈川県の方々も関係あるわけでありますけれども、一向にどこも責任をとろうとしない、一向に主体的に対応しようとしないというところに私は憤りを禁じ得ないわけでありますけれども、これは一体、どこが主体的に責任を持って対応するんでしょうか。どなたでも結構です。
福田国務大臣 本件は、十一月六日に、防衛庁から国土交通省に、不審物はマスタード、またクロロアセトフェノンという分析結果の報告がございまして、十三日に、住民の安全対策等を図るために、国土交通省、神奈川県、神奈川県警、寒川町で構成する安全対策連絡会議を開催いたしました。
 現在、二十四時間態勢の現場管理、化学検知器によるモニタリング等、現場安全対策について万全を尽くしております。
 また、今後の道路敷地内における危険物の調査及び処理については、関係省庁と連携しながら、国土交通省において主体的に進めてまいる所存でございます。
 なお、今回、通常で考えられない物質への対応でありまして、確認に時間を要したというのは事実でありますが、今後とも、関係省庁間で連携を密にしつつ、適切な対応を図ってまいりたいと思います。
樋高委員 官房長官、しっかりと、国土交通省という答弁でありましたけれども、その後、政府としてきちんと責任を持って対処していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
田並委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 基本計画の問題に入る前に、先ほど樋高議員も取り上げました水中爆破訓練について御質問をいたします。
 今回の訓練は、日本の排他的経済水域で行われたという点、それから操業している漁船の安全確保という点、また米軍から通告が全くなかったという点からも非常に問題があると考えています。
 まず伺いますけれども、今回の水中爆破訓練はどういう目的、内容で行われている訓練ですか。外務大臣。
海老原政府参考人 今回行われました訓練の内容でございますけれども、米側から説明のありましたところによれば、これは模擬機雷を爆破する訓練ということでございます。
 具体的には、海上に模擬機雷を設置いたしまして、ヘリコプターから海中におりた要員が爆薬を模擬機雷に取りつけ、その後、離れてヘリコプターに再び乗り込み、模擬機雷を爆破するとの機雷除去作業の訓練であったというふうに承知をいたしております。
赤嶺委員 今回の場合には、日本の排他的経済水域で行われているわけです。島根県沖、鹿児島県沖、四つの海域で訓練が行われていると聞いているわけですが、アメリカ側がこの海域を選んだ理由について、アメリカはどのように説明しておられますか。
海老原政府参考人 この海域を訓練の海域として選んだ理由につきましては、これは米軍の運用にかかわることであり、我々は承知はいたしておりません。
赤嶺委員 外務省は、漁業の非常に最盛期の漁場を選んだ理由について、全く承知していないというわけですね。
 それでは、海上保安庁からは、こういう訓練は年間二十回ほど行われていると聞いているわけですが、外務省は、この訓練の実施状況について、この点についてはアメリカ側からどういう報告を受けていますか。
海老原政府参考人 今回の訓練につきましては、最初に、米軍の方から海上航行警報というものが出されまして、これが海上保安庁を通じて外務省の方にも知らされたという経緯でございます。
 過去におきまして航行警報が発出された同様の訓練というものについては、海上保安庁から我々も資料を得ておりますけれども、大体我々が承知しているところでは、ことしに入ってから十四件というふうに承知いたしております。
赤嶺委員 私たちは、外務省が警報をつかんだ数について伺ったわけです。皆さんも、私たちと同じように海上保安庁から聞いた数字しか挙げられないんですか。米軍は外務省に対して、そういう訓練を行うことについて全く通報も何もないんですか。海上保安庁経由の資料しかお持ちじゃないんですか、外務省は。経過の説明はいいですから。
茂木副大臣 委員御案内のとおり、今回の訓練でありますけれども、排他的経済水域における訓練であります。我が国の領域内とか領海内で、例えば合同委員会等々の合意に基づいて米側から訓練の通報が義務づけられている訓練ではございませんので、沿岸国の権利及び義務に妥当な配慮を払う、この必要はあるわけでありますが、こうした条件を満たす限り、国際的に適法な海洋の利用が認められている。したがって、通報の義務はない、このように承知をいたしております。
赤嶺委員 外務省は、この訓練について大変無関心なようであります。
 十四日に行われた島根県沖の訓練で、アメリカ側から、午後零時から零時半の間に訓練を行われたという説明があったわけですが、地元の隠岐島では、午前十時過ぎにドーンという音がして、そして町民から役場に問い合わせが相次いだ、こういうことを言われているわけですね。これは報道もあります。これについて、外務省はどういう情報をつかんでいますか。
海老原政府参考人 米側からは、今委員がおっしゃいましたように、十四日の十二時から十二時半の間に隠岐諸島沖において訓練を実施したというふうに聞いておりまして、今委員がおっしゃったようなことについては我が方は承知いたしておりません。
赤嶺委員 つまり、アメリカ側からそういう問題についての説明はなかったということですね。それ以上の認識ではないわけですよね。町民がドーンという音を聞いて町役場にいろいろ連絡をした、しかし、アメリカは零時から零時半にかけての訓練だから十時段階のその音については知りませんと。それはアメリカも説明していませんというぐあいにしか受け取れない、外務省の御答弁であります。
 それで、島根県は、その訓練が行われた翌日の十五日から二日間、今回の訓練による影響の調査を行っているわけですね。調査船を出しております。その調査によって幸い魚の死骸などは確認されなかったということであるわけですけれども、政府は、訓練が与える安全やあるいは漁業資源への影響などについて、何らかの調査は行いましたか。
海老原政府参考人 我が国の漁業等への影響につきましては、まず十四日に行われた訓練につきましては、漁業等に対する影響が出ないように訓練の実施に際し、近辺に漁船がいないことを確認を行っており、今回の爆破により、海域への影響を含め、何ら影響はなかったというふうに理解しているという米側の説明を受けております。
 また、十五日以降に行われた訓練につきましては、先ほども茂木副大臣の方から御答弁がありましたけれども、我が方の申し入れを受けて訓練内容を米側も変更いたしまして、漁船については全く通常どおり操業して差し支えなく、訓練を実施する際に、その近傍に漁船がいる場合には訓練は実施しないということで、このとおりに行われたというふうに理解いたしておりまして、我が方として、漁業に対して影響が出たというふうには理解はいたしておりません。
赤嶺委員 島根県が調査船を出して、慎重に漁業への影響を調査している。その調査の途中で皆さんは米軍の説明を聞いて、これは漁業に影響が出ないだとか、あるいは訓練の停止を求めないとか、今後の推移を見守るという立場を決定したわけですね。
 そのときは島根県は調査を行っている最中ですよ。しかもまだ終わっていない、そういう段階で、なぜアメリカが十分な考慮を払っているという判断ができるんですか。もしかしたら、島根県の調査によってはどういう結果が出てくるかもわからない。そういうこともつかまないで、アメリカが説明しているから、大丈夫だから訓練の停止は求めない、そういう判断がどこから出るんですか。アメリカの情報を信じていますということですか。
茂木副大臣 先ほども答弁申し上げたことでありますが、まずアメリカに対しましては、十四日、アメリカ側からの説明を受けて、遺憾である、そういう旨は申し入れております。
 それから、十五日以降については停止してほしい、そういう旨も申し入れをいたしまして、その上で相手側の説明を聞いて、それでは推移を見守ろうと。推移を見守ろうということでありますから、すべてを受け入れたとか、そういうことではございません。
赤嶺委員 しかし、調査が終わっていない段階で、アメリカ側の説明を受けて、漁場への影響はなかったと、政府はアメリカの説明だけで納得しているわけです。島根県は調査を続けていたということですね。当初、農水省も、そこの場での訓練の中止を求めるよう要請がありました。それにもかかわらず、日程、区域の再調整を求めただけで、政府の対応というのは本当に主体性がないと言わざるを得ません。
 それで、先ほどの答弁で、今回の訓練は機雷掃海の訓練ということでありました。ならば、なぜ日本の排他的経済水域で行う必要があるのですか。地元からも、安全面や漁業への影響について不安の声が上がっているのは御承知のとおりです。全国知事会も、訓練の中止を求める要請を政府に対して行っています。こういう訓練は排他的経済水域では行うべきではない、こういうことをアメリカ側にはっきり主張すべきじゃありませんか。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 この場所は排他的経済水域でございます。したがいまして、この場所においては、沿岸国の権利と義務に妥当する考慮を払う必要はあるということでありますし、それから我が国の船舶の安全や漁業への悪影響の排除に十分な考慮を払うということが必要なことでございまして、この点については、我が国としてはそういうことを申し入れたということで、その結果、米国としては訓練の内容を変更してそういう問題がないようにした、そういうことでございます。
 ですから、そういう悪影響がないような状況でこの訓練が行われるということでございますので、また、米軍としては、どこでどういう訓練をするかということについて、まさにそういった考慮を払いながらこれをやる、その場合にどういう必要があるかというのは、まさに米軍が判断をするということだと思います。我が国としては、そういう問題がないように、これについてはきちんと申し入れることは申し入れている、そういうことでございます。
赤嶺委員 公海上であっても、排他的経済水域では沿岸国の権利に配慮する必要がある、それで、その沿岸国の全国知事会も訓練の中止を求めている、近県もみんな、漁業の最盛期のこの時期に訓練をやるとはどういうことだといって中止を求めている。あなた方外務省が何で訓練中止を求めないのか。配慮を払うと言っているからこれ以上のことはアメリカに求めないというのは、おかしいと思うんですよね。
 それで、十一月十七日の星条旗紙を開いてみましたら、この訓練について、第七艦隊のスポークスマンであるマット・ブラウン氏が、今回の訓練についてこう述べているんです。我々は、恐らくこの種の訓練に適しているだろうと思われる地域を幾つか目星をつけた、その基準は、非常に深さがあり、人々が漁業を行っていない公海でこの訓練を行うということだ、星条旗紙の中でこう述べているわけです。
 アメリカ側から、漁業を行っていないところで訓練を行うという基準、これが基準だという発言があるわけですよ。それを、排他的経済水域ではそういう水中爆破訓練はやめてほしいということを外務省は何で求め切れないのですか。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 そもそも十四日、一番最初のときにですけれども、これは訓練の停止を申し入れた、外務省としては申し入れているわけです。
 それで、その後の経緯については先ほど来御説明をしているとおりでございますので省きますけれども、星条旗紙のその情報につきましては、これは新聞の情報であるということでございまして、私どもとしては、それについてコメントをするということは差し控えたいと思います。
赤嶺委員 そもそも、排他的経済水域での訓練の中止、当初、余りにも沿岸国の権利について、外務省の申し入れも無視する、そういうアメリカの横暴な経過の中で、話し合ってみたら、いや、アメリカだってうんと配慮しているじゃないか、これは訓練中止を求めるべき問題ではないというのが皆さんの認識で、アメリカの第七艦隊のスポークスマンの発言さえも皆さんの考慮に入れる態度さえ見せないようなこの姿勢では、日本の漁場は守れない、そして、余りにも情けない外務省の姿勢だということを指摘しておきたいと思います。
 それで、基本計画の延長について石破防衛庁長官から報告があったわけですが、今回、新たに輸送艦の派遣が加えられております。アメリカ側からどういう要請があったんですか、この輸送艦の派遣については。
海老原政府参考人 今、赤嶺委員の方から要請というお言葉がありましたけれども、米側の態度というのは、我が国がいかなる支援を行うかということについては我が方が主体的に判断することであるということで一貫しておりまして、何らかの要請を米側からしたということはございません。
赤嶺委員 この輸送艦の派遣について我が国が主体的に判断したというわけですが、輸送艦の派遣は、アフガニスタンで米軍が使用する飛行場施設を維持するための建設用重機等を輸送し得るとなっているわけですけれども、この機材、どこからどこまで運ぶことになっているんですか。
石破国務大臣 これは現在、どこからどこまで輸送することになるのかを含めまして、詳細は今後調整をすることといたしております。したがいまして、現時点でお答えをすることは困難ということであります。
赤嶺委員 既に報道ではタイからカタールへというぐあいになっておりますが、国会に、しかも基本計画の報告という、この点で委員各氏から厳しい指摘がありましたように、皆さんのこの問題での国会軽視というのは本当にいろいろなところにあらわれるものだと思いながら答弁を聞いております。
 米軍が使用する飛行場の施設、これはアフガニスタンのどこの飛行場ですか。
守屋政府参考人 ただいま防衛庁長官からもお答えのあったところでございますが、去る十二日の日米調整委員会においては、米側からは、今後アフガニスタンでの米軍等の活動が長期化するのに備えて、アフガニスタンにおける拠点を整備するための建設用重機等をアフガニスタンへの中継地となるインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズが見込まれているという説明がございました。具体的にどこからどこまで輸送することになるのかを含めまして、詳細は今後米側と調整することになりますので、現段階でお答えすることは困難でございます。
赤嶺委員 ですから、私の質問は、その答えられないということについての私の意見も申し上げましたけれども、今聞いたのは、その飛行場というのはアフガニスタンのどこの飛行場のことですかということです。
石破国務大臣 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、先ほど来北米局長また防衛局長がお答えをしておるとおりでございまして、アメリカからありましたのは、アフガニスタンにおける拠点を整備するための建設用重機等をアフガニスタンへの中継地となるインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズが見込まれている、こういう認識の表明がございましたわけで、今先生御指摘のようなことは今後詰めてまいる。今の時点では、そういうニーズがあります、アフガニスタンにそういう空港があります、そこへ中継するインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズがあります、その点だけ私どもは認識をしておるわけでございます。詳細はこれから詰めてまいりますので、お答えはできないということでございます。
赤嶺委員 アメリカの要求に応じたわけじゃない、日本の主体的な判断に基づいて基本計画を変更したんだといいながら、アメリカはそこまで説明していない、これから詰めていくんだ、こういうのを国民の常識では、アメリカの要望に基づいて支援計画を変更したということになるんですよ。もう本当に常識的なことなんです。
 それで、基本計画でいう飛行場の施設というのは米軍基地のことなんですね。いかがですか。
守屋政府参考人 そのように御理解なさって結構だと思っております。
赤嶺委員 今、アフガニスタンで、なぜ米軍基地の補修あるいは整備を行う必要があるんですか。
守屋政府参考人 今後、アフガニスタンでの米軍等の活動が長期化するという見通しでございますので、米軍の使っている飛行場の滑走路等の整備が必要になっているということでございます。
赤嶺委員 先ほど、民主党の方からも説明がありました。アフガニスタンで長期化する課題といえば、それは治安であり、復興の話だろうと。
 治安や復興ということがテーマになり、そしてタリバーンの勢力は山岳地帯にこもっているという中で、何で今、アフガンの米軍基地をやってあげるんですか。これはテロ特措法の目的にどこが沿ったものなんですか、米軍基地の建設というのは。
茂木副大臣 きょうの委員会での議論でも、若干食い違いがあるのかもしれないんですが、テロとの闘いが終結しつつあるのか、そうではないのかと。
 例えば、今、アフガニスタンに展開しております米軍の戦闘力といいますか、兵士でありますけれども、昨年の十二月、三千人でありました。それが、九月の末には九千人にふえております。なぜそういう状態になっているか。
 初期にアルカイーダをたたいた上で、御案内のとおり、今、国内においても、そういう山岳地帯にそのアルカイーダそれからタリバンの残存勢力が残っている。その追跡であったりとか掃討、そして施設の捜査、そういった作戦が展開中であります。また、アラビア海におきましても、アルカイーダやタリバンの残党が海上を経て逃亡し、国際テロの脅威が拡散する危険性が高まっているため、海上で逃亡を阻止するための活動が続いている。
 つまり、そういうテロの要因というのは拡散しているために、それに対応していくためにはどうしてもそれだけの作戦が必要であり、テロとの闘いはまだ続く、こういうふうに申し上げているわけであります。
赤嶺委員 まさに、残存勢力というのは追い詰められているわけですよ。
 あれですか、つくる米軍基地というのは、将来はアフガニスタン政府に引き渡されるんですか。それとも、米軍が米軍基地として今後も使っていく。長期にわたって使うという認識でいいですね、拠点をつくる必要があるんだから。そういうことなんですね。それともアフガンに引き渡しますか。
守屋政府参考人 先ほども申しましたように、米側とこれから調整してまいりますので、飛行場とかそういう細部について、現在、私ども、承知しているわけではございません。
赤嶺委員 その飛行場がテロ特措法の目的以外に使われないという保証、担保は、今の説明の中でどこからも聞こえてまいりません。そういうテロ特措法の目的以外にこの米軍基地が使われることは絶対にあり得ないんですか。
守屋政府参考人 先ほど外務副大臣の方からもお答えになったとおりでございますけれども、問題は、アルカイダが辺境地帯に潜伏しているということでございまして、それと、陸路または海路でアフガニスタンから脱出しているということで、アルカイダの主要幹部二十八人中十二人のみを拘束、または死亡を確認しているということで、この間もオサマ・ビンラディンの肉声と確認されたところでございますが、オサマ・ビンラディン氏はまだ捕まっておりません。それから、タリバンの主要幹部二十七人中七人のみを拘束、または死亡を確認しているところでございまして、最高指導者オマル師も捕まっていない。
 こういうところでございまして、先ほど外務副大臣から御答弁になったように、東部山岳地帯を中心に掃討作戦を継続する。ここは、高度二千メートルから四千メートルの山岳地帯で、米軍の部隊が展開するのには大変厳しいところでございまして、そういう山岳地帯に厳しい作戦を展開しているということ、それから、海上における指導者捕捉活動を継続しているということでございます。
 米軍の状況を申しますと、アフガニスタン国内は、去年の十二月二十日時点で米軍の存在は約三千人でございましたけれども、現在、アフガニスタン国内には、九千人から一万人の米軍が投入されている、こういう状況でございまして、アフガニスタンにおける戦いというのは依然として終わっていない、こういう認識でございます。
赤嶺委員 もう時間が来たようでありますが、最後に一言。
 今の防衛局長のお話を聞いていても、一般的にアフガニスタンでの軍事基地の必要性を述べるだけで、私が聞いたテロ特措法の目的以外に使われることはないんだなということについてはお答えいたしませんでした。
 それで、私たちは、今度のテロに対する軍事攻撃が始まったときに、各国政府にも日本共産党として書簡を送って、国際社会の責任による制裁と裁きという道に切りかえる、一部の国による軍事攻撃と戦争の拡大という道を断ち切る、「この軍事攻撃をいつまで続けたら、容疑者の拘束およびテロの根絶という目的に有効にむすびつくのか、そのたしかな見通しはどこにもありません。」と。一年前にこういう手紙を各国政府首脳に送りました。
 まさに、今回の基本計画の延長は、いつまで続くかわからない泥沼の道。こういう軍事攻撃一本やりでは、テロ問題は解決しない。むしろ、協力支援態勢が、もともと憲法違反であるわけですが、はるかに憲法を踏みにじるところに行くということで、計画の延長を反対いたしまして、私の質疑を終わります。
田並委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私は、本日、政府から出されました政府報告に基づいて今から質問をしたいと思いますが、まず冒頭に、福田官房長官にお尋ねをしたいと思います。
 この自衛隊の派遣期間の延長をめぐっては、ことし五月、当時はテロ対策特別委員会でございました。そのときの基本計画の変更の中には、いわゆるテロ対策特別措置法第十一条の規定に基づき国会に報告するものということで、期限が切れる前にきちんと提出をされております。
 ところが、今回、自衛隊の派遣期間がきょうをもって切れるということはあらかじめ御承知のはずであります。本来ですと、十二日に日米の調整委員会を開かれたというふうに報告がありますが、もう少し早く日米で調整をし合った上でこういう報告書を出していただく。そうしますと、きょうは、与野党問わず各委員はいきなりきょうこのペーパーを初めて目にしまして、十分目を通せないまま、いろいろとお尋ねせざるを得ない、こういう状況にあると思うんですね。少なくとも、そこには数日間余裕を持って報告をされ、そして十分、これから先半年間延長することをよしとするのかどうかという判断を求めてほしいと思うわけですね。
 先ほど福田長官の御答弁をお聞きしていましたら、基本計画そのものが大幅に変わったわけではないから一々承認を求める必要はない旨の御答弁もあったようでありますけれども、あえて本日、期限が切れる前日にこのような形で政府報告が出されたということに関して、御見解をお聞きしたいと思います。
福田国務大臣 この特措法で、御指摘のとおり、基本計画の決定、変更があったときはその内容、また基本計画に定めた対応措置が終了したときはその結果を遅滞なく国会に報告しなければいけない、こういうふうなことになっておるわけであります。
 今回、こういう時期になぜ報告をするのかということになりますが、先ほども御説明申し上げました、また委員も今御指摘になりましたけれども、十二日の日米の会議があったということ、そしてその後、その内容の検討をして、そして自主的な判断に基づき決定をする、そういう手続がございまして、昨日安全保障会議を開き、そして本日閣議決定をする、こういう手順になったわけでございます。
 これは意図してそのようにしたわけではなく、そういう日になってしまったんだということでございまして、今後、それじゃいつもそういうふうにするかということになりますれば、そういうことではないということでございます。
今川委員 それでは、国会における、委員会における議論と、それから各種新聞報道等で報道されている中身に関して、相互比較をしながら少し具体的にお聞きをしたいと思います。
 一つは、今月十二日に行われました日米調整委員会の中での日米両政府間の主なやりとりに関してお聞きしますが、例えば、政府の報告書によりますと、四ページに、先ほども他の委員からもありましたが、「米軍が使用する飛行場施設を維持するための建設用重機等をアフガニスタンへの中継地点となるインド洋沿岸の港まで海上輸送する」、それはまだきょうの時点では、どの港に接岸するのかも言えないという答弁がありました。
 ところが、これは産経新聞の今月十三日付の新聞ですが、日米調整委員会で米国側のクリステンソン在日米大使館首席公使は、日本側に対して次のようなことを正式に要請したとあります。「1船舶検査を実施しているドイツ、フランスなど米英軍以外への燃料補給の拡大2タイからカタール、オマーンまでの資材輸送のための輸送艦派遣」ということを正式に調整委員会の中で要請されたという記事になっているわけですが、これは、先ほどそういう具体的な地名は言えないだとかとおっしゃっていますけれども、この記事が間違っているんでしょうか、御答弁ください。
海老原政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、米側から我が方の支援について要請というようなことは一切ございませんでした。
 オペレーションに関係をいたしまして、支援についてのニーズということであれば、先ほど来御答弁しておりますように、一つは不朽の自由作戦をサポートするため海上自衛隊の補給艦及び航空自衛隊の輸送機による支援のニーズは引き続き存在するという点と、アフガニスタンにおける拠点を整備するための建築機材等をアフガニスタンへの中継地点となるインド洋沿岸の港まで海上輸送するニーズが見込まれているという二点の指摘がクリステンセン公使からありました。
今川委員 いや、私が聞いているのは、今、産経新聞を紹介しましたが、委員会の中では具体的地名を言えない、しかし、政府の報告書にありますように、三ページに、「日米間の調整委員会における米国の説明によれば、」ということで五点ほど列記されているわけですね。その五点目を今私はお尋ねしたわけですが、報道機関には具体的に示されている、国会には、委員会には地名すら言えないということでは、全くの国会軽視じゃないですか。違いますか。新聞が、どの新聞にしても、全く我が国政府が説明もしていないようなことを勝手気ままに書くんですか。
 私は今中東方面の地図を持ってきていますよ。この産経新聞の記事は決して絵そらごとではない、やはり政府が何らかの形で、十三日の記事ですから、十二日の日米の調整委員会の翌日の記事なんです、オマーンであれカタールであれ、もし輸送するのであれば、なるほどという港ですよ。
 そこは官房長官、防衛庁長官、どちらでも結構です、責任ある答弁をしてください。答弁次第ではこれは国会軽視だということになりますよ。
海老原政府参考人 今の十二日の調整委員会でございますけれども、私はその場に出席をしておりましたので、先ほど申し上げたとおりのニーズの紹介という以外のものは米側からは一切なかったというふうに承知をいたしております。
今川委員 全く木で鼻をくくったような答弁で、話になりません。
 では、関連してもう一つお尋ねします。先ほどちょっと読み上げました米英軍以外に、これも今申し上げましたように、臨検を実施しているドイツやフランスなどへも燃料補給を拡大してほしい、このように報道されていますけれども、これはうそなんですか、お答えください。
海老原政府参考人 いわゆる海上逃亡阻止行動につきましては、調整委員会の席におきまして、アルカイーダ及びタリバンに対する海上逃亡阻止行動が行われている海域は拡大し、また艦船を派遣している国もふえている、全体の作戦の効率的な実施の必要性が増大しているという説明はありましたが、支援の具体的なニーズについての言及はありませんでした。
今川委員 答えていないじゃないですか。新聞記事がうそを書いたかどうかと私は聞いたんです。もう一度答えてください。
海老原政府参考人 新聞記事につきまして、その真偽について私が一々コメントをいたすというのは適当ではないと思いますが、調整委員会で米側が発言したことということは、先ほど来私が答弁していることに尽きるわけでございます。
今川委員 さらに続けますが、五ページに、新たに、「輸送艦及び護衛艦によって実施することが適当であると判断し、その回数を一回とする」というふうになっておりますが、これも今月十四日のこれは朝日新聞ですが、「公明党の主張を受け、派遣目的は、米軍がアフガニスタンで使用する空港施設整備のための重機などの輸送に限定。輸送回数も「一回に限る」とし、」しかも、「期間も十二月から三月までと限定した。」このようにありますが、この記事にあるように、輸送艦の派遣は一回に限り、ことし十二月から来年三月までというふうに期間も限定するということは正確なんでしょうか、お答えください。
守屋政府参考人 先ほど申しましたように、アフガニスタンでの米軍等の活動の状況に伴い、今後、アフガニスタンにおける拠点整備のための建設用重機を海上輸送するニーズが見込まれるということでございますが、これを我が国がやった場合に、私どもはアメリカのニーズというのは一回ということはこれは承知いたしております。
 それから、私どもがこれを日本から実施する場合には、日本から出発しまして向こうに着くまで約一カ月弱かかります。帰ってくるのを入れますと二カ月ということで、それから現場での調整とか、私ども現場で荷おろしとか、あるいは途中の国から積むために要する調整、あるいは天候不順の要素なんかを考えまして、私どもとしましては、三カ月というものを日本独自の判断で見積もったものでございます。
今川委員 私が今お聞きしたのは、三カ月なら三カ月でいいんです、新聞報道の信憑性を問うているんです。十二月から来年の三月までの間に限定するという報道のとおりなのかとお聞きしています。お答えください。
守屋政府参考人 十二月から三月までの期間に限定して実施したいと考えております。
今川委員 さらに関連しまして、この産経新聞では記事の一番最後に、「この日の委員会」、つまり調整委員会で「米国側からイージス艦とP3C哨戒機の派遣要請はなかったが、日本政府は米国のイラク攻撃を想定して、引き続き派遣をにらみ調整を続行する方針だ。」というふうにございます。もう一つの記事です。これも今月十九日、きょうの記事ですね。読売新聞の社説で、このようにあります。「イラク攻撃の事態を想定し、米軍がペルシャ湾岸に移動したあとの警戒監視の肩代わりを求めるものだ。」この読売新聞の根拠は、「イージス派遣反対に論拠はない」という見出しになっていますが、このイージス艦派遣あるいはP3C哨戒機の派遣に関して、新聞報道の方がわかりやすいんですね。
 仮に、米国がそういうものも視野に入れながら行動を起こす、そうした場合に、約一年間自衛艦はインド洋やアラビア海方面で支援活動をしてきたわけですから、そういう要請があってもしかるべきだという、それがいいかどうかは別です。
 今私が新聞記事を一部読み上げましたけれども、この点に関してはいかがですか。
石破国務大臣 新聞が正しいかどうかということを私どもが申し上げるべきことだとは思っておりません。
 先ほど来答弁をいたしておりますとおり、米軍から、例えば今のイージス、P3のお話でございますが、具体的にイージスもしくはP3を出してくれというような要望があったということは承知をいたしておりません。
 ただ、ニーズというものをそんたくしながら、我が国の主体性によって判断をすべきものだということでありますし、そしてまた、それは一にかかって、我々が法にのっとってやっております目的達成に資するものであるか、それが安全に行えるものであるか、そのことを基準に判断をしたいというふうに思っているわけでございます。
 ですから、先生御指摘のように、新聞に書いてあることは本当か否かということをお尋ねになるといたしますならば、それにお答えをするとしますならば、そのような要請はなかったというふうにお答えを申し上げるわけでございます。
今川委員 結果的には、政府がいろいろなそういう調整委員会をやったり、あるいは政府の機関会議があった後、それなりのレクチャーをされていると思うんだけれども、何の根も葉もない、根拠もないものを記事で報道したり社説に掲げたりはしないと思いますよ。もう少し正直に、この基本計画の一部変更に関しては、危険性を伴うようなものでも何でもないわけですから、もっと正直に、あからさまに報告をいただいて、これであと半年間延長してよろしいか、やはりこのように求めるべきじゃないんでしょうか。
 さて、時間の関係もありますから、今度は政府報告の五ページ以降に入りたいと思いますけれども、自衛隊の協力支援活動の中身についてであります。
 まず一つは、この五ページから六ページ、七ページにかけて記載がありますが、非常に大ざっぱ過ぎると思います。今私は、防衛庁の方にその都度、例えば米軍等への燃料供給の月別の報告であるとか、あるいは昨年の十一月以降約一年間にわたってどういう護衛艦や補給艦を派遣し、出港した日、帰ってきた日を含めて、こういういわば一覧表のようなものをその都度いただいています。このようなものを、この約一年間にわたる活動実績を一くくりで、延べ十七隻が行った、あるいは艦船用燃料を百四十回、約二十三万四千キロリットル、その総額は八十六億円という、こんな大ざっぱなものじゃなくて、自衛隊にとってはいわば戦時派遣という初めての出来事でもあったわけですから、議事録に残すためにも、きちっとした、活動実績を一覧表に仕立てて報告をいただきたい。きょうは無理でしょう。そのお約束をちょっとしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
石破国務大臣 これは、今まで委員からも何度も御指摘をいただきました。そして、私どもも、月別の実績表もお出しをいたしましたし、そのほか細かいことにつきましても、御要望についておこたえをしておるわけでございます。
 仮に、当委員会としてそういうようなお取り扱いということであれば、これは委員会としてどのようなお取り扱いになるか、私どもとしてはそれを尊重してまいりたいというふうに思っております。包み隠すつもりは全くございません。
今川委員 一つ、この報告書の六ページに、その総額は艦船用燃料が約八十六億円となっていますが、防衛庁からことしの六月十三日にいただいたペーパーによりますと、「経費」とあって、あくまでも現時点における概算額ではあるが、ことしの四月末までに約九十四億円を執行済みとなっておりますけれども、この今申し上げた数字、九十四億円を執行済みということと、きょう政府報告にある八十六億円、これは燃料費に限られているんでしょうけれども、ちょっと数字が合わないように思いますが、どうなっていますか。
西川政府参考人 お答えいたします。
 今、先生御指摘の四月末という数字、執行という形になって、ちょっと今手元に数字がございませんが、多分それはすべて含んだ、今回のテロ支援の格好で使った数ではないかと思います。
 実は、最新のものでは今九月末というのがございまして、これで実は百四十九億という、これは今回のテロ支援の絡みで使ったお金でございまして、そのうちのいわゆる、当時で七十、失礼しました、九月現在で約百四十九億を使って、そのうちのたしか、ちょっと済みません、今細かい数字がなくて、七十何億は、いわゆる燃料費になっていると。
 先ほど先生がおっしゃいました八十六億というのは、実はきのう現在までの概算でやっているもので、百四十九億という数字は、実はちょうど九月の決算で確実になった、執行した額ということで、その二カ月間のブランクがあるということでございます。よろしいでしょうか。(今川委員「百四十九億は燃料費を」と呼ぶ)もう全部含んでいます。そうです。
今川委員 今のその百四十九億というのは、九月末時点ぐらいということですね。
 それは、もちろん燃料費だけじゃないですね。ほかに、いわゆる派遣している個々の自衛官の、基本給与とは別の諸手当を含むということで理解していいんですか。
西川政府参考人 お答えします。
 手当とかその他の整備費だとか、そういうのは入っております。燃料費も含んでおります。
今川委員 それでは、明日から来年の五月十九日まで半年間、派遣期間を延長したいというふうになっていますけれども、そこに見込まれる総経費はどれくらいとなっているんでしょうか。
西川政府参考人 お答えします。
 恐縮でございますが、今それはいろいろ検討中でございまして、まだその具体的な数字が出ておりません。ちょっとそこは現在検討中ということで、答弁を控えさせていただきたいと思います。
今川委員 非常に大事なところなんですよね。この政府報告の中にも、七ページに、「なお、このような自衛隊の活動については、政府広報、防衛庁ホームページ等を通じて広く国民にお知らせしているところであります。」こうありますけれども、私もホームページを開いてみましたら、国民はやはり一年間も支援して、さらにこの報告書の中にあるように、タリバンの基本部隊というのは、タリバン政権は崩壊して、その残党狩りをしている、言葉は悪いですけれども。多くの国民は、もう今アフガンの主たるステージというのはアフガン復興支援であり、治安を維持していくというところに移っているはずですよね。まだあと半年間も派遣しなければならないんだろうかという疑問を持たれる国民も少なくありません。
 そうした場合に、例えば、そういうかかる経費も含めまして、これくらいこれまでかかっているし、これからこれくらいかかりそうですよ、しかし、それでもやはり政府としては、国民の皆さんに対して、あと半年間延長することを了解をお願いしますというふうに求めるべきだと思うんですね。
 そういう意味で、この政府の報告は非常に乱雑過ぎると思うんです。もっとやはり国民の皆さん方の理解と協力がなければ、こういう活動は続いていかないと思うんです。ですから、国民の皆さんにはホームページでお知らせしているというけれども、この中身も非常に大ざっぱ過ぎますよ。
 さて次に、先ほど他の委員からも質問があったんですが、関連しまして、この報告書でも、今インド洋北部に活動中の艦船は補給艦「とわだ」と護衛艦「ひえい」「さみだれ」、それから、今交代のため帰ってきつつあるのが補給艦「はまな」と護衛艦「ゆうだち」となっています。
 特に「ゆうだち」と「さみだれ」、防衛庁長官、これは平成に入ってから建造され始めた非常に最新鋭の大型護衛艦ですよね。これは自衛隊年鑑で照会してみたんですが、この「むらさめ」型は、いわゆる八・八艦隊の中核の一部を形成する護衛艦であるというふうにございます。あるいは補給艦にしましてもそうなんですが、四隻のうちの二隻を派遣するというふうになっているわけですね。先ほども、これで我が国の防衛体制に穴があく、あかないという話がありましたが。
 いま一つ紹介しておきたいのは、ことし七月三十日付の東京新聞の夕刊です。見出しは「海の守り異常事態 護衛隊群司令、国内にたった一人」、こういう記事であります。これは十一面の記事です。
 つまり、ことし二月に、第三護衛隊群司令は「はるな」に乗ってインド洋方面に。次いで五月に、ハワイ沖でのリムパックに参加する第一護衛隊群司令はハワイ沖に行った。七月になって、インド洋方面に第四護衛隊群司令も行った。国内に残ったのは、私の地元でもありますが、第二護衛隊群司令の本多海将補一人となった。
 こういう事態が果たして許されるのかなと思います。これは防衛計画の大綱上からも、どのようになっていますか、この護衛隊群の関係でいいますと。
石破国務大臣 前段の御指摘です。
 先ほどの答弁でも申し上げましたが、補給艦は四隻しかない、一隻はドックに入っているとすると三隻で回すのはかなりきついということは事実でございます。
 今御指摘のDD一〇一から始まりますいわゆる「むらさめ」クラスでございますが、これは現在、DD一〇九の「ありあけ」まで入れますと、九隻ございまして、今九隻が就役をいたしております。そうしますと、九隻で繰り回すということは、輸送艦に比べればの話でございますが、ある程度の余裕というのかそれはあるかなと思っております。
 ただ、この「むらさめ」タイプのDDが持っております性能からいいまして、先生御指摘のとおり八・八艦隊、いわゆる八・八艦隊の中核をなすものでございますので、それが二隻欠けておるということで、それがありますときとの差は当然生じますが、それが決定的に穴があくとかいうお言葉もありますが、そういうものをもたらすかといえば、それは決してそうではないというふうに考えております。支障が全くないと言えば、それはうそになります。
 また、先ほどの御指摘でございますが、四人のうち三人がいないとは何事であるかということでございます。
 私、そういう事態が常に続くということがあっていいとは思いませんし、瞬間的にせよそういうことが起こるということが望ましいことだとは思っておりません。
 ただ、それは、司令官がいないわけでありまして、それが例えば飛行機に乗って――船に乗って帰ってくるとは限りませんので。八・八艦隊、つまりそれぞれの護衛隊群が全部出ていっているわけではございません。二隻だけ出ている場合もございます。その司令官だけが急いで帰ってくるとか、船だけが急いで戻ってくるとか、そういうことで、仮に三人いないということが瞬間的に生じましても大丈夫なようには、そのときは考えたというふうに聞いております。
 しかし、そういうことが常態となることは決して望ましいことではございませんし、先生の御指摘も踏まえながら、日本の防衛というものに抜かりがないように今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
今川委員 もうほとんど時間がなくなりましたが、今の石破長官のおっしゃったこと、わからないではないんです。緊急突発的なこともある。では、今回は、昨年九月十一日の米国テロ事件以降もう一年間ですよ、こういう状態が続いて果たしていいのか。
 やはり優先すべきは、我が国の専守防衛という原則に立った防衛体制をきちっと維持しておくということの方が優先事項なはずですね。それを超えて、しかも、米海軍というのは自己完結型の軍隊ですから、自衛隊が行かなければ米軍の作戦に決定的な影響を与えてしまうということとは違うと思うんですね。その優先順位をやはり我が国政府としてはきちっとしておかなければならないというふうに私は思います。
 もう時間が来ましたから、最後にもう一点だけお聞きしておきたいと思います。
 これはことし三月四日付の産経新聞なんですが、今、自衛艦が派遣されています。自衛艦の寄港はあくまでも非公式な便宜供与とあって、艦隊の行動には非常に制約も多いという記事がございます。それで、その後段に、「現地には連絡官として自衛官二人が派遣されている。しかし、身分保証はなく、一般外国人としての扱い」ということで、非常に不安も多いという趣旨の記事なんですけれども、これは例えば、寄港するこのインド洋沿岸諸国と事前にきちっと協定を交わしたりしながら、もう少しそういう体制というのはとれないのかなと思ったりもするんですけれども、この点、いかがでしょう。
西川政府参考人 お答えいたします。
 海上自衛隊の艦艇が補給あるいは給油のため外国へ寄港するという場合におきまして、現在、寄港の都度、外務省を経由しまして、当該国の同意を得ております。
 このほか、出入国時の警備あるいは入国に際しての検疫、入国手続の簡素化等について、いろいろな形での便宜供与を現在受けております。
 ただ、他方、かかる関係につきましても、海上自衛隊の艦艇が外国の港に寄港するということ、これを公表を一たんいたしますと、やはり当該国との関係というようなものがございますし、それから当該部隊の安全確保の観点ということから、やはりこれは随分慎重に考えるべき面が多い、こういうふうに今現在我々は考えておりまして、先生御指摘のような、非常に制約云々というような意味では完全な自由というのはなかなかないかもわかりませんが、こういう事情が少しある。
 それから、先生御指摘の協定のようなものという話でございますが、今のところは派遣部隊あるいは連絡官の安全確保等については、一応、有効な任務遂行の万全を期すという形である程度できておると考えておりますので、今のところ、協定を直ちにというふうなことはまだ考えていないというところでございます。
 以上でございます。
今川委員 ちょっともう時間が来ましたので、これで終わります。
田並委員長 次回は、来る二十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会


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