衆議院

メインへスキップ



第6号 平成15年5月16日(金曜日)

会議録本文へ
平成十五年五月十六日(金曜日)
    午後一時三十分開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 岩屋  毅君 理事 木村 太郎君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 桑原  豊君 理事 渡辺  周君
   理事 赤松 正雄君
      臼井日出男君    北村 誠吾君
      小島 敏男君    阪上 善秀君
      杉山 憲夫君    虎島 和夫君
      中本 太衛君    中山 利生君
      仲村 正治君    野呂田芳成君
      大出  彰君    長妻  昭君
      前田 雄吉君    前原 誠司君
      田端 正広君    達増 拓也君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛施設庁建設部長)  生澤  守君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   安全保障委員会専門員   小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     中本 太衛君
  平沢 勝栄君     阪上 善秀君
  小林 憲司君     長妻  昭君
  樋高  剛君     達増 拓也君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     平沢 勝栄君
  中本 太衛君     岩倉 博文君
  長妻  昭君     小林 憲司君
  達増 拓也君     樋高  剛君
同日
 理事樋高剛君同日委員辞任につき、その補欠として樋高剛君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛施設庁建設部長生澤守君及び環境省総合環境政策局長炭谷茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
田並委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑原豊君。
桑原委員 それでは、まず最初に、テロ特措法の目的が現在段階、どの程度まで達成されつつあるのか。
 この目的は、いろいろと法律には書いてございますが、つまるところ、九・一一のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去、どこまでそれが除去されたのかということになるんだろうというふうに思うんです。
 いろいろ今日出されているアメリカサイドの報告では、アルカイダやタリバンの残党と見られるテロ事件が、まだアフガンの中では頻発している。あるいは、アルカイダは世界各地に拡散をしているというような状況が防衛庁の長官からも報告がございました。
 それから、ラムズフェルド国防長官は、かなりこの目的が達成されつつあるというような言い方をされているようです。「我々の活動が主要な戦闘から安定、安定化及び復興に明らかに移行している」そういう結論を出しておられるようです。しかし、これは長官の報告にもありましたが、ブッシュ大統領は、まだテロとの闘いは終わっていない、こういうふうに述べておられる。
 そこで、我が国としてこのテロ特措法をつくっていろいろな協力を積極的に進めてきたということですが、どういうふうな達成段階にあると評価をされているんでしょうか。これからだ、あるいはもう胸突き八丁に今差しかかっている、あるいはもうそれを越えて一定の安定という状況に入りつつあるとか、あるいはまだよくわからないとか、いろいろな評価があると思うんですけれども、ぜひひとつ、アフガンの国内状況なども踏まえながら、端的に簡潔に、どういう段階にあるかということをまずお聞きしたいと思います。
福田国務大臣 いろいろな情報がございまして、委員も御案内のとおりであるかと思います。
 テロ対策特措法は、平成十三年九月十一日の米国におきますテロ攻撃にかんがみまして、我が国が国際的テロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与して、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とする、こういうものであります。
 したがいまして、このようなテロ攻撃によってもたらされている脅威が除去されることがテロ対策特措法の目的の達成である、こういうふうに考えております。
 これまでの米軍等の活動によりまして、百カ国以上において三千人のアルカイダ関係者が拘束され、三分の一以上のアルカイダ上級幹部が殺害、拘束されております。また、彼らの訓練キャンプなども多数破壊されている、そういうような成果を上げております。
 しかしながら、依然として、ウサマ・ビンラディンとか、またタリバン最高指導者のオマルとか、またアルカイダ、タリバンの主要メンバーは捕捉されておりません。また、アフガニスタンにおいては、アルカイダやタリバン残党によると見られるテロ事件がいまだに頻発しているという状況もございます。
 さらに、アルカイダはアフガニスタンから世界各地に拡散しておりまして、今後もテロを計画し、実施する可能性があるというようなことなどから、依然として国際社会にとっては深刻な脅威となっておるところでございます。
 テロ対策特措法の目的がどこまで達成されているかということは、これは定量的に把握することは難しいのでございますけれども、現段階においては、この法律の目的は達成された、こういうように言える段階ではないということでございます。
桑原委員 アルカイダの拡散、世界的に拡散している、そして幹部の三分の一ぐらいが今のお話では殺害された、こういうような御報告でありますけれども、私は、世界じゅうに拡散していくということであれば、その状況について、どこの国へ何人程度行ったとか、そんな話はもちろん言えないんでしょうけれども、拡散をしていくということになれば、それに合わせて、それに対応する追及といいましょうか、そういう範囲も広がってくるということで、むしろこれからが大変なことになっていくんじゃないかというような予想がされるわけですね。
 加えて、先般のリヤドのテロ、これがアルカイダではないかというようなことでございますけれども、もしそうだということになれば、ある意味では、具体的なテロ特措法に基づく対応もそういった地域を含めた形に広がっていくのではないかというふうに思うわけでございますし、それから、テロそのものの根絶というのは本当にある意味では難しい。テロそのものが自己増殖をしていくといいましょうか、憎しみが憎しみを増殖させていく、そういう性質も私はあると思うんですね。
 そういう意味では、一体この拡散の状況というのは、概括的におっしゃっていただいて結構なんですが、どういうところに主に広がってきているのか、そこら辺の状況をまず御説明していただきたいと思います。
福田国務大臣 九・一一以降、アフガニスタンにおけるテロの撲滅とテロ組織の壊滅を目指しておった。しかし、そういう中に、海外に逃亡すると申しますか、海外に行って、またほかの地域で行動を起こす、こういうような可能性があるということも危惧されているわけでございまして、そのために、インド洋において、そういう逃亡する者を捕捉するための監視活動を今続けているわけですね。
 それは非常に重要なことでございまして、イエメンだとかその他の地域に逃亡する可能性がある、そういう者を、しないように食いとめるというか、そういうような活動によって、かなりのことは実効を上げているのではないかというように思います。それが、どこに何人、こういうことがわかるようであれば捕捉できるんですけれども、そうでないから、数を推定するのが非常に難しいんだろうというふうに思います。
 例えば、サウジアラビアで先般起こりましたテロ、これはアルカイダだというふうに言われておりますけれども、果たしてアフガニスタンからサウジに行って、そこで事を起こしたのかどうかということ、この確認は、これからいろいろ調べて実態が明らかになるんだろうと思います。そういうことでなくて、言ってみれば、既にいたアルカイダがサウジアラビアで触発されて起こしたことであったかもしれないし、その辺のことはこれから明らかになってくるだろうというふうに思います。
 いずれにしましても、触発されて起こるテロも、これも困るわけでございますので、そういうことが起こらないように、各国、情報交換を十分にしながら対応していくということでしかないんだろうというように思います。
 そういうこともあわせ、また、アフガニスタンを根拠とするテロ集団の海外での活動を何とか防いでいくということ、このインド洋における監視活動というのは非常に重要であり、そしてまた、そのためにも我が国自衛隊が、自衛艦が後方支援するというような形で貢献をしている、こういうふうに考えているところでございます。
桑原委員 インド洋で捕捉活動を行っております。それに自衛隊が支援、協力をしているわけですけれども、この捕捉活動が十分でなくてアフガンの国内から拡散した、こういうような状況というのはつかんでおられるんですか。かなり捕捉して効果を上げているとおっしゃっているわけですけれども、にもかかわらずアフガンから相当拡散しているという状況はあるんですか。
川口国務大臣 実際に、アフガニスタンからどういう経路でどういうところに拡散しているかをきちんと追跡しているということは、なかなかわからないことでございまして、海も広ければ、また国境線もあるということでございます。
 いずれにしても、今官房長官がおっしゃいましたように、各国の政府はお互いに密に情報交換をし合っておりまして、極力テロリストの活動を少なくするようにさまざまな努力をいたしております。
桑原委員 なかなか、我が方の自衛隊が協力をしてやっているこの作戦の状況というのが、本当によくわからないわけですね、その効果のほども。そういうことがこの派遣延長を、再度再度ということで今度は三回目になるわけですけれども、その都度その都度、そういった状況が判然としない中で、いま一度いま一度ということになっているわけですね。
 将来はどうか、こう聞いても、これまた、こういう状況だからそんなことをなかなか展望できないということであれば、一体この行動、そしてこの法律、何をもってテロ特措法の目的の達成、こういうふうに考えていくのかというのを、日本としてどういうところを一つの基準に置いてこれを考えているのか。例えば、アルカイダというものが根絶するまでともかく日本はこれをやっていくんだ、こういうふうに考えておられるのか、あるいは、国際社会がみんなでやっている間は何かあるんだろうから必ず一緒にやるんだというふうに考えているのか、あるいは、日本としてそういった一定の脅威というものがなくなったと判断をすれば協力をしないということなのか。そこら辺の、目的達成というものの一つの考え方の判断の基準、これをどういうふうに日本として考えているのか、これをお聞きしたいと思います。
福田国務大臣 いろいろな状況を総合的に判断するということが必要でございます。ですから、一概に、こういうことだからということで申し上げることは困難なんです。
 例えば、アルカイダとかタリバンの残党に打撃を加えまして、例の九・一一のテロのような組織的かつ大規模なテロ遂行能力を喪失させるに至ったと認めるような段階に至れば、テロ攻撃によってもたらされている脅威が除去されたんだ、こういうことで、この目的を達成したということになります。
 いずれにしましても、これは国際社会の共通認識というものも当然あるだろうと思います。そういうことも参考にしながら、最終的には我が国が自主的に決める問題だというふうに思います。
桑原委員 そうしますと、タリバン、アルカイダの脅威というものが一つの判断の目安だ、そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
福田国務大臣 この法律に基づきましては、そのようなことでございます。
桑原委員 さて、そういうことで、今の段階では、このテロ特措法の当面の二年の時限の間ではなかなか目標の達成が難しい、こういうふうに今のやりとりでもうかがえるわけですけれども、その二年がことしの十一月ですか、もう過ぎ去ろうとしているわけでございまして、これは、改めてそれを延長していくということになれば、そういう意味では法律の改正を伴う、こういうことになるわけでございますけれども、そういった法改正を伴っていく、そういうことについてのお考えと申しましょうか、それは現時点でどういう状況であるか、お聞きしたいと思います。
福田国務大臣 あと半年、ことしの十一月一日より後における法律はどうなるかということでありますが、これは、今申し上げております米軍を初めとする国際社会のテロとの闘い、これの状況を見きわめつつ、今後検討し判断するべき問題だというふうに考えております。
桑原委員 何か、きょうの報道では再延長、再延長といいましょうか、さらに引き続き二年間を法改正でやっていこうというのが政府の方針のように報道されておりましたけれども、それはどうなんでしょうか。そういった方向で検討されているということは今の段階では全くないんですか。
福田国務大臣 ただいまはこの延長の御審議をいただいておりますけれども、今後どういう状況になるかということについては、十分な検討をしてまいりたいと思っております。
桑原委員 例えば、そういう方向で検討されるということになれば、単純に法律の延長という改正になるのか、あるいは、対象の範囲というようなものも、世界的に拡散をしているという前提でいけば、そういったことなどの内容も含めて何か変わっていくことがあるのか。私は、そこら辺の検討というのはもう既にされていてしかるべきだとは思うんですが、そこら辺はどうですか。
福田国務大臣 二年を超える分についての延長ということになりますと、今まだ、半年後の状況がどうなるか、その辺は、大体大きな流れというものはわかりますけれども、しかし、実際にどうなっていくかということはまだわからない状況なので、半年後のことについて、具体的に法律をどういうふうにするか、そのことについて、まだこれから十分な検討をしてまいりたいと思っております。
桑原委員 私は本当にこの問題で、再々延長ということでございますけれども、その延長議論のたびごとに、何かしら、相手がなかなか正体がつかみ切れないということがあるせいかどうかわかりませんけれども、非常に判然としないいろいろなものを材料にしてこの延長問題というのがいつも議論をされているように思うので、こういったことでは、これはずるずる何か際限のない話になって、けじめのない話になるのではないか。やはり、あらかじめちゃんとした展望をそれなりに示して、国会の会期だってもう本当に迫っているわけでございますから、そこら辺はきちっとあらかじめちゃんとした対応をしていかないと、またまたそんな印象を与えると同時に、何かずるずるといってしまう、こういう感じがしてならないということを私は申し上げておきたいと思います。
 さてそこで、昨日、北朝鮮問題などを含めて、米韓の首脳会談が行われました。この首脳会談は、初めてアメリカ・ブッシュ大統領と盧武鉉韓国新大統領がこういった形で政治会談を行った。共同声明も発表されましたから、かなり短時間ではあったようですけれども、これからの北東アジア、とりわけ北朝鮮政策の、我が国の行く末にとっても大変重要な会談であったろう、こういうふうに思うわけです。
 そこで、我が国として、この会談についてどのような評価を今しておられるのか、まずそれをお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 日本と韓国、そして米国は、今まで非常に緊密に連携をとってきておりますし、今回の米韓会談の前にも、外務省の薮中局長、そして田中外務審議官が韓国に行きまして、事前のすり合わせも行っております。
 そして、この米韓会談につきまして、まあ紙で読んだだけでございますので、今後、引き続き米国とそして韓国からそれぞれの話を聞く必要があると思いますけれども、北朝鮮の問題については幾つかのことが言われておりまして、すなわち、北朝鮮による核保有は認めない、また北朝鮮の核プログラムを平和的な手段で除去する、そして、問題の平和的解決を図るための多国間協議には日韓両国の参加が必須であるといったことが盛り込まれております。こうしたことは、今まで我が国が韓国あるいはアメリカと基本的にずうっと話し合ってきたこと、これの基本的な考え方に沿ったものではないかと思います。
 米国と韓国の首脳が第一回目の出会いということでいい会談をなさったということは、我が国としても非常にうれしく思っています。
桑原委員 私も、米韓がそういう形で一致して対応していくということは大変評価されることだ、こういうふうに思います。
 私が思うに、この声明を読ませていただきますと、やはり米韓ともに、いろいろな政治的な問題はあるけれども、人道支援というのは今までどおりやっていく、そういう確認をしたと思うんですが、それはそれなんですけれども、一番大きなところというのは、やはりすべての問題に優先して解決すべきは核問題だ、核兵器。これを絶対に許してはならない、認められない、そこがあらゆる問題に優先する問題だということが確認をされたのではないか、こういうふうに思いますし、そのために、基本的には平和的な手段、方法でその解決を目指すんだと。
 ただ、アメリカ側の主張が恐らく強く反映したとは思いますけれども、脅威が増大すればさらなるステップというものを考慮する必要がある、こういうふうに、さらなるステップというものを声明の中に入れております。これはかなり重要なことだろう、私はこういうふうに思うんですけれども、まず、このさらなるステップというものは何か、この点どういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
川口国務大臣 共同声明には、さらなるステップということが書いてございます。これの意味合いは、引き続き米国及び韓国から話を聞いてみないとよくまだわからない部分がございますけれども、我が国の立場としては、これは、平和的な解決をする、そして包括的に解決をしていく、核の問題を含む安全保障問題、そして拉致の問題を初めとするその他のさまざまな懸案事項、こういったものをその中で解決していって、そして国交正常化につなげていくという基本的な立場ということは変わりません。
 それで、その現在とっている政策との関連で、何か将来さらなる事態の進展があってということがあった場合には、これは我が国としては、関連の諸国や国際機関における議論、あるいは関係の省庁と相談をしながら、これについては対応をしていくということになると思います。
桑原委員 さらなるステップというのは、アメリカ側の考えているステップ、それから韓国側が思い描いているステップ、日本が想像しあるいはまたとり得べきステップ、いろいろなステップがあると思うんですよ。これは、やはり今後のそれぞれの協調の中で一つのものが求められていくんだろうと私は思うんですけれども。
 先ほどのお話にちょっと立ち戻りますが、米韓の間では、核問題というものの解決というのが最優先されていく。そして、中国も、北朝鮮、朝鮮半島での核の存在というものは、これは認められないという基本的な立場、これを大変重視しておると思います。加えて、ロシアも、同じような危惧を持ち、核の存在は認められないと。核問題についてはそういう共通の、北東アジア、当然ですがアメリカも含めて一つの合意がしっかりとあるわけですけれども、問題は、我が国にとっては、核だけではもちろんないわけです。
 拉致という、これが解決をしなければ、日朝の国交正常化のある意味では前提というものが成り立たないわけでございまして、この拉致問題ということになると、これは、北東アジア全域でそういう核と同じような比重で北朝鮮にいろいろな意味でのプレッシャーをかけていくということは、なかなか難しいところがあると私は思うんですね。
 そういう意味で、日本としては、やはりこの拉致問題がまさに解決しなければ先に進めない、そういうある意味での非常に大きなウエートのかかった問題があるわけですから、それを一体どうしていくのか、どうして糸口をつけていくのか、どうして日朝交渉の再開の中にそれをつなげていくのかという、本当に私は、ある意味での厳しい、針の穴を押し広げていくような、そういう努力とある意味での戦略と展望がないと、この問題を、例えば多国間ということをいろいろ言っても、その中にのせていくというのはなかなか難しい面があるのではないか。日本独自の努力というのが相当程度問われていくのではないかというふうに思うんですが、そこら辺について、日本政府の、どうしていくのかという展望をひとつお聞かせいただきたい。
 私は、ある意味では強く打ち出さなければならぬし、ある意味ではこれを解決するために柔軟に考えなければならないこともあるし、そこら辺、大変難しいところがあると思うんですが、どう考えられるのか、お聞きしたいと思います。
川口国務大臣 おっしゃるように、これは大変に難しい問題でございます。正常化交渉を一回行いまして、そして二度目の正常化交渉を直ちに開けるという展望が今まだないということも、残念ながら事実でございます。
 こうした中にあって、我が国としてはさまざまな努力をしております。例えば、二国間での北朝鮮に対する働きかけ、国際機関等の場を通ずる北朝鮮に対する働きかけ、それから北京で行われました三者会談において、我が国として、韓国ともども参加をすることが非常に重要だということも言っておりまして、また他国にもいろいろな場で、きのうも私は豪州の外務大臣にもいたしましたけれども、そういったことをやっていくことも大事でありまして、さまざまな場を使って最大限の努力を行い、北朝鮮に対して、国際社会に対して責任ある立場で行動することが重要だということを働きかけていくということであると思います。
 外交において、この拉致の問題、五人の方の家族の人に帰っていただく、あるいは事実の解明をするといった点について、結果を出すために何がいいかということを常に考えながら、事態を注視しながら、そして関係国と連携をしながら、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
桑原委員 はっきりした一つの道筋、糸口というのはなかなか見えてこない、そういう問題ですけれども、ぜひ総合力を結集して、打開に全力を尽くしていただきたい、こういうことを申し上げて、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
田並委員長 次に、達増拓也君。
達増委員 きのう、いわゆる有事法制、修正されたものが衆議院本会議で可決されたわけでありますけれども、このように具体的な法整備が進んできますほどに、安全保障の基本原則というものを確立することがますます重要になってきたと言わなければならないと思います。
 基本的な考え方をきちんと決めないままに具体的な法整備ばかり進みますと、例えばテロ特措法のように、一体これは、国連の決議を実行するためのものなのか、日米同盟でやっているのか、結局、そういう法律があるから日本独自の活動として主体的にやっているという説明もあるようで、どうもよくわからない、不安なものになってしまう。
 まして有事法制であります。非常に具体的に戦闘あるいはその準備、そういったことについての法整備が進むわけでありまして、ますます、自衛に関する考え方でありますとか、同盟に関する考え方、国際連合の役割に関する考え方、そういったことをきちっと定めなければならない。ある意味、そういうのを決めなければ本当に危険でありまして、今日本は、安全保障に関してますます危険な状態になっていると言ってもいいかもしれません。
 であれば、きのうの法案、修正案には反対すればよかったではないかというふうにも思うかもしれませんけれども、まずは、こういった基本原則について議論していこうという機運が急速に高まっていること、事態特の中でも自由党が提案した安全保障基本法に関して審議がなされましたし、党派を超えて、武力攻撃事態にとどまらず、有事全般、非常事態全般、あるいはさらに安全保障の基本原則とかいった議論を進めよう、そういう機運が急速に高まってきたこと、これをまず評価しなければならないと思っております。
 もう一つは、どうせあと一年以内には衆院選があるわけでありまして、もし今の内閣がそういった安全保障の基本原則というものをいいかげんなままにしていたのであれば、一年以内には政権を交代することができるので、恐らく、選挙の直後であれば反対していたかもしれませんが、一年以内に政権を交代させる可能性があるわけでありまして、そういう意味では、政権交代を視野に入れれば賛成してもいいし、賛成した以上は政権を交代しなければならない、そういう思いで、日本の安全保障体制というものを確立していく、そういう大きなドライブになるきのう、おとといの展開であったと思います。
 というわけで、自由党は、事態特でも審議されました安全保障の基本原則として三つの柱、個別的であれ集団的であれ、自衛権は極力自己抑制的に行使する、二番目、日米安全保障体制を堅持し、その信頼性をさらに高める、三番目、国際連合の平和活動に積極的に参加する、こういう三原則が必要であると考えているんですけれども、この点、政府はいかがでしょうか。
石破国務大臣 冒頭お触れになりましたが、昨日、本当に多くの会派に御賛成をいただいて有事法制が衆議院を通過したということは、本当にありがたいことだというふうに思っております。
 国の独立と平和があって初めていろいろな、経済であれ福祉であれ、語ることができるんだ、国民の生命財産というものを守っていくことは必要なんだということを、九割の先生方が御賛成いただいたということの意味は非常に大きなものだというふうに受けとめ、今後とも御教導賜りたいというふうに思っておるところでございます。
 今お話しになりました御党の三原則でございますが、この二番目の、日米安全保障体制を堅持し、その信頼性をさらに高める、これはもう、政府としてもそのとおりだというふうに考えております。国際連合の平和活動に積極的に参加する、これはもう、中身をどのようにするかということであります。この趣旨は、私どもは全く賛成であります。個別的であれ集団的であれ、自衛権は極力自己抑制的に行使する、自衛権を極力自己抑制的に行使するというのは、そのとおりだと思っております。さればこそ、自衛権行使の三要件というのが定められておるわけでございます。
 この個別的であれ集団的であれというところは、私ども政府といたしましては、集団的自衛権は使えないという立場をとらせていただいておるところでございます。憲法調査会におきましてさまざまな議論というのがなされておるということも承知をいたしておりますが、現在、政府の立場といたしましては、自衛権を抑制的に行使することは当然のことでございますが、集団的自衛権につきましては、今申し述べたような立場をとっておるところでございます。
達増委員 この三本柱、三原則については、日米安全保障体制堅持、そしてその信頼性をさらに高めるという点については、確かに政府もこの点については迷わず一生懸命やっているような、そういう方向性は感じられるんですけれども、ともすれば日米同盟というものを強調し過ぎて、国際連合の役割を軽視したり、あるいは自主防衛という点についておろそかになったり、そういう懸念が持たれるわけであります。
 イラク戦争、アメリカのイラク攻撃を支持するというときの論拠にも北朝鮮問題が引き合いに出され、北朝鮮はどうも日本単独では抑止できない、北朝鮮が暴発したら日本だけではだめだ、もうこれはアメリカに頼るしかない、ちなみに、国連はそういう場合に無力なのではないか、だからアメリカに頼るしかないので、アメリカのイラク攻撃を支持するしかないというようなことを総理大臣がおっしゃって、そういう言論が広く語られたと思います。こういうこともありますので、やはり自主防衛の部分と日米同盟の部分と、そして国際連合のもとでの平和活動という、その三本柱というものが等しく確立されていくことがないと、非常に危険であるということを懸念しております。
 そして、具体的に自衛隊の行動原則についても、こうした基本原則を確立した上で明確にしていかなければならないと思います。今の自衛隊法には、「自衛隊の任務」として、防衛することが任務だと簡単に書いてあるわけですけれども、その防衛ということの原則、あるいは自衛隊法の中身としては、「防衛出動」のところに、防衛のため必要な場合には、総理大臣はこうこうこういうことができる、防衛庁長官はこうこうこういうことができるとあるんですけれども、それが現場の自衛隊の行動原則ということになった場合に、やはり安全保障政策、国の政策の基本というものが確立した上で自衛隊の行動原則というものも明確にされていかないと、幾ら具体的な法整備が進んでもなかなか機能しないと思うんですが、この点いかがでしょうか。
石破国務大臣 基本的には委員のおっしゃるとおりなのだと思っています。
 ただ、これはもう委員もよく御案内のことでございますが、今どき一国だけで自分の国が守れるなんというのは、これはもうぎりぎり考えてみると、アメリカ合衆国しかないのだろうと思います。ロシアがそれに近いのかもしれませんが、昔日はいざ知らず、今日はなかなかそれも困難な状況だ。つまり、どの国も自分だけではできない、どこかの国の力というものをかりなければいけない。もちろん、国連というものもございます。国連憲章五十一条の意味は、委員がよく御案内のとおりでございます。
 ですから、一国でできるだけの努力をする、そして二国間同盟、あるいはマルチもございますが、同盟というものを結ぶ、そして国連というもの、その三つをうまく組み合わせて自分の国の独立と平和を守るということだと思っています。
 今、そこを確立しなければ自衛隊は動けないではないか、そこが確立しないまま法律をどんどんどんどん積み重ねていってもいかぬのではないかという御指摘がございました。私の考え違いなのかもしれませんが、そこは、重なる部分もあれば重ならない部分もあるのだろうと思います。
 委員がおっしゃいましたように、私どもの自衛隊法の書き方というのはポジリストになっておりますから、あれもできる、これもできるという、できることが列挙してある。しかし、基本的に軍隊の法制というのはネガリストであって、やってはいけないことが書いてあって、それ以外はやってもいい。そういう問題も私はあるのだろうと思っています。
 いずれにいたしましても、今の自衛隊法の中で何ができるかということはきちんと書いてあります。できることしかやってはいけないし、法律に根拠のないことはやってはいけません。そのことの意味をよく理解しながら、現場で、そしてまた、その都度その都度きちんとした対応ができるように、そういうことの訓練というのでしょうかね、それをやっておくことが必要だと思います。法律にはこう書いてあるけれども、実際はできないじゃないかというようなことがあってはいかぬわけでございまして、例えば、この条文はどのように使えるんだということの検討というのは、常にやっていかねばならないことだと考えております。
達増委員 安全保障の体制全体が、やはりいざというときに機能するようでなければならないと思うんですね。
 それで、ある限定的な場合に対して、これはできる、あれはできる、そしてまた、具体的な法整備、有事法制、この後議論するテロ特措法もそうですけれども、狭いところに限定して、これはできる、あれはできるというのが幾らたくさんできても、どうしてもすき間があいてしまう。それぞれの法律、条文が想定しないことが出てきたときにどうするか。そういったところで、まさに安全保障の基本原則や自衛隊の行動原則を明確にしていくような法律の形、これは憲法をいじってもいいんですけれども、そういう形でしていかなければならないんだと思います。
 例えば北朝鮮問題については、一国だけでは無理だと最初から言うのではなく、やはり国民の安全を守り、自由や権利を守るためには、それは必要なことは何でもする、国際法に反しない限り、人道に反しない限り、その国民を守るという務めを政府は全力で果たすということをまず置いて、やはり単独でも北朝鮮の脅威というものに対しては対抗できるような形をつくる努力をし、しかしながら、現代国際法の世界では、国際連合という枠組みの中で北朝鮮問題も解決していくことが望ましい、日本の若者が自衛隊のままで北朝鮮の中に入っていくよりは、ブルーヘルメットをかぶって他の諸国民とともに国連の活動として入っていく方がより望ましいんだと思うんです。
 ただ、その中間として、国連が機能する前の段階では日米同盟で行うと日米安保条約にも書いてあるわけですから、最初から日米同盟ということに頼るのではなく、そういう重層的な安全保障体制を常に念頭に置きながらやらなければならないんだと思うんです。
 その日米同盟についてでありますけれども、これはやはり集団的自衛権の問題ということをいつまでも回避はできないんだと思うんです。先ほど、個別的であれ集団的であれと言われると、そこは政府の解釈と違うということであったんですけれども、改めて、集団的自衛権の行使についての政府の解釈を伺いたいと思います。
石破国務大臣 集団的自衛権につきましては、それは自衛の最小限度を超えるので、これを行使することは憲法上許されないという立場でございます。
 集団的自衛権の定義につきましては、委員御案内のとおりでございます。
達増委員 集団的自衛権について、例えばカリブ海の方でアメリカがどこかと戦っているのを助けにいく、それは除いてもいいんじゃないかとかいう話もありますが、日米間の集団的自衛権というのはあくまで日米安保条約に基づくものと解すれば、そこにあるのは、日本が攻撃を受けたときのこと、広げても極東の平和と安全のためのことしか書いていないわけでありますから、そういう条約上の集団的自衛権ということで現実的に考えていけばいいんじゃないかというふうに思っております。
 さて、次に、テロ特措法についても伺いたいと思います。
 テロ特措法に基づく基本計画の変更についてなんですが、この基本計画というものは、決定したときや変更したときは国会に報告することになっているわけでありまして、その趣旨は、やはり国の兵を動かすことでありますから、国民に対して常に説明責任をきちんと果たしていかなければならない。ただ報告すればいいということではないんでありまして、やはり国民が事態の推移やその必要性などをきちっと理解できるような説明をしていかなければならないと思うんですが、この点、今の政府の説明責任というのは果たされていないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
福田国務大臣 今回の基本計画の変更に際しましては、政府としては、テロとの闘いの現状、それから我が国の自衛隊の部隊等によるこれまでの活動の実績、我が国の活動に対する米国を初めとする諸外国の評価等を総合的に勘案した結果、我が国で現在行っている活動を継続すべきである、こういう判断をしたものでございます。
 基本計画の変更につきましては国会への報告事項とされておりますので、今回の変更につきましても、閣議決定後、遅滞なく国会に報告をいたしたところでございます。
達増委員 基本計画の変更がある際にはこの安全保障委員会で必ず議論するようにするとか、そういった運用が望ましいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
福田国務大臣 この変更につきましては、ただいま申しましたように、閣議決定後に国会に報告を遅滞なくいたしたところでございます。
 政府としては、国会における御審議も踏まえまして、引き続きテロ対策特措法の適正な運用に努めるとともに、幅広い国民の御理解が得られるように、我が国の活動について適切に御説明をしてまいりたいと思っております。
達増委員 こうした委員会の質疑の形でさらに報告、詳しい説明を求めることができますので、遅まきながら、自衛隊の活動実績と今後半年間の活動経過について伺いたいと思います。
赤城副長官 これまで、テロ特措法に基づいて、例えば被災民救援活動としてテント、毛布等を輸送したり、あるいは海上自衛隊で護衛艦の「こんごう」「ありあけ」、補給艦の「はまな」等が艦船用燃料を補給するとか、あるいは航空自衛隊において、C130、C1、U4によってそれぞれ輸送活動をしてまいりました。
 今回、この延長を御報告させていただくわけでございますけれども、この延長された後のことについては、今後の協力支援活動の内容、補給の実施回数とかあるいは量、輸送の回数、そういった点ということでありますと、これは具体的な状況において米軍等のニーズ等を踏まえて、これは相手方と調整をした上で実施していくということになりますので、今後のそういった具体的な活動量ということでありますと、現段階で確たることを申し上げるのは困難でございます。
達増委員 今の答弁にもあった米軍のニーズにこたえていくという部分なんでありますが、これが、アメリカあるいは米軍の思惑次第、行動次第では、テロ特措法に基づく日本のさまざまな協力支援等が、例えばイラク攻撃への間接的な、場合によっては直接的な支援になってしまうおそれがあり得るんだと思うんですね。
 アフガニスタンに飛んでいく飛行機を載せている空母に支援をしたと思ったら、その飛行機がイラクの方に飛んでいくとか、そういうことがアメリカ次第になってしまいますと、さらに懸念されるのは、イラク戦争について、これは別に停戦協議も講和会議も行われていないので、終わったのかどうかよくわからないんですけれども、次はイランじゃないかとか、いや次はシリアだとか、そういう話も取りざたされておりまして、ひょっとしたら、イラク攻撃というのはアメリカの中東平定戦のワンステップにすぎないのであり、イラクをベースに、さらにアメリカは中東平定戦というものを今後数年間かけて展開していくのかもしれない。
 本当にアメリカの中でそういう議論まで行われているわけでありまして、アフガニスタンでのテロに対する対応への支援ということだったはずが、そういうアメリカの中東平定戦への支援にまで広がるのでは、これは非常に、もう原理原則もあったものではないと思うんですけれども、そういった危険性について、政府はどのように対処されているんでしょうか。
赤城副長官 このテロ特措法に基づいてインド洋で補給活動をしている燃料がほかに転用されるんではないかとか、あるいは具体的にイラク攻撃に使われるんではないかという、この御指摘はたびたび当委員会でもございまして、そのたび御説明をしてまいったわけでございます。
 一言で言いますと、これはあくまでテロ対策特措法に基づく協力支援活動でございまして、その法律の中にも書いてありますように、平成十三年九月十一日のテロ攻撃による脅威の除去に努めることにより、国連憲章の目的達成に寄与する諸外国の軍隊等に対して行うものである。ですから、これはもうはっきりと法律上書いてある要件でございまして、そのことにいささかも変更はございませんし、イラク攻撃支援の目的を有するというものではありません。
 では、それをどういうふうに担保しているのか、こういうことになるわけでございますけれども、こういう趣旨、法律に基づいて協力支援をしているんですよということは、アメリカ側にもたびたびそれは申し伝えてあります。先般、今月の一日に開かれた日米調整委員会におきましても、これはアメリカ側から、日本から提供された支援はテロ特措法の目的にかなった活動に用いられるべきであるとの点については十分承知している、こういうふうに日米調整委員会においてアメリカ側からも述べられているところでございます。
達増委員 具体的な法整備が進んでいきますと、法律に従っているんだから違法ではないということの領域がどんどんふえるわけでありますけれども、だからこそ、それがちゃんと理念、原則に沿っているのかどうか、それがその原則から外れてはいないか、本来の日米同盟の枠を超えてはいないか、あるいは国連というものをないがしろにする結果になっていないか、そういったところがますます危険な領域というものにも接するところが多くなるので、その点、改めて基本原則の重要さをまた指摘したいと思います。
 次に、海外防衛駐在官制度について質問をいたします。
 いわゆる駐在武官、日本では防衛駐在官と呼んでいますけれども、在外公館、大使館などにおいて、日本を代表してさまざまな軍関係の儀礼的な交際を行ったり、また防衛関係の情報の収集、意見交換などを行う、そういう非常に外交と防衛の接点といいますか、外交と防衛が協力して活動を展開していく一つのかなめの役割を果たすものだと思うんです。
 今、外務省改革というものが進んでいるわけでありますが、そういった外務省改革の中でも、この駐在武官、防衛駐在官制度の改革ということも重要だと思うんですけれども、この処遇の面でありますとか、その現状についてでありますとか、どういったところに課題があるというふうに今政府では認識しているでしょうか。
赤城副長官 この防衛駐在官制度につきましては、今先生から御指摘ありましたように、海外において安全保障関係の情報を得てくるという大変重要な任務を負っていまして、これについてさまざま議論がございました。
 そういう情報が速やかに伝達が行われているのかどうかとか、あるいは相手方国との関係で十分、例えば出張とかあるいは会議、招宴、そういったものは対応できているかとか、呼称、呼び名についても、そこら辺がどうか、こういうふうな御指摘がありまして、六項目、改善されてまいりました。
 一つは、呼称の改善ということで、外国の武官と同じような呼び方ができる。あるいは、設宴経費、出張旅費の増額とか、自衛隊記念日等のレセプションにおいて大使の横に並べるというふうな配置の改善をしたりとか、それから、大事なところですけれども、防衛情報の早期伝達。これを防衛情報コードを増設することによって早期に確実に伝達をできるとか、あるいは、これはちょっと内部的な話ですけれども、昇任の時期を半年早める、そういうふうな改善。あわせて、この覚書、随分古い覚書でありましたけれども、その中で「防衛庁設置法、自衛隊法等の規定にかかわらず、」みたいな表現があって、これはちょっと不適切ではないかということを改めたり、あるいは先ほどの情報の伝達の迅速化とか、そういうことを新たに規定いたしました。
 こういう実際的な面で大きく改善をしてきたところでございますので、今後は、そういったことをきちっと着実に実施していくということがまず大事であると考えております。
 その上で、さらに派遣国、駐在官をどういうふうに派遣をしていくのか、さらに充実をしろ、こういう御指摘もありますので、その派遣国の見直しとか、あるいは、いわゆる伝馬船と言われるこの制度の廃止とか、それから公電システム端末の防衛庁への設置に伴う諸問題。こういったものについても、残る問題について、この解決に向けて今後とも精力的に努力をしてまいりたいと考えております。
達増委員 これは外務省と防衛庁の協力が非常に重要な分野だと思いますので、外務大臣にも、この改善に向けた決意について伺いたいと思います。
川口国務大臣 我が国の安全保障政策を考えるに当たって、外務省と防衛庁との連携が緊密であるということは非常に重要なことでして、これは出先の公館においても全く同じことであろうと思います。
 今回、赤城副長官と私どもの矢野副大臣が話をいたしまして、改善をすることで合意ができたということは非常に結構なことであったというふうに思います。仏つくって魂を入れずということにならないように、外務省としても、実質面においてもきちんとこれが実施されるように見ていきたいと思っております。
達増委員 次に、防衛庁を防衛省にすることについて伺いたいと思います。
 そもそも、なぜ庁としてスタートしたかといいますか、なぜ今庁なのかというそういう歴史的経過、そして、この問題についての現在の見通しについて伺いたいと思います。
石破国務大臣 なぜ庁なのかというお尋ねですと、これは内閣府の外局だから庁なのだ、こういうことなのだろうと思います。それは、警察予備隊から始まって保安隊になり、保安庁ができ、そして防衛二法というものができと、そういう歴史的な経緯の延長線上に今日があるということだと思っています。
 今後どうなるかということについてでございますが、このことの整理は政治の場で行う、これは行政改革会議の最終報告で、防衛庁の項には、「別途、新たな国際情勢の下におけるわが国の防衛基本問題については、政治の場で議論すべき課題である。」平成九年十二月三日、こういう整理がなされておるわけでございます。これは、新しい法案ということで、防衛省設置法案ということで国会に出していただいております。これは、平成十三年六月、百五十一回通常国会におきまして、防衛省設置法案が自民党や無所属の国会議員の皆様方からも賛同を得て、保守党から議員提出をされ、継続審議となっておるということでございます。
 これは、昨年十二月に行われました与党三党の幹事長、政調会長からの申し入れというものを政府に対していただいたわけでございますが、省移行につきまして、有事法制成立後における最優先課題として取り組むということで合意をいただいておるわけでございます。
 有事法制の成立というものを私どもとしても最大限努力をいたしたいと思っておりますし、この有事法制ができた暁には最優先課題として取り組むということを与党三党で合意をいただいたということも大変にありがたいことだと思っております。与党のみならず、多くの党の皆様方からこのことについての御賛同をいただきたい。それは、おまえたち、こんなことは政府として何で出さぬのだというようなおしかりをいただくこともございますが、これは先ほども申し上げましたように、平成九年の段階でそのように整理をされておるということに基づくものでございます。
達増委員 平成九年の整理、中央省庁等改革基本法につながるその流れですけれども、どうもあの行革というのは余りうまくいっていないようなところが多いと思っておりまして、そういう変な行革の中での防衛庁の省、改革というよりは、安全保障の基本原則を定める中で、国の安全保障の基本政策という中で議論されていくのがいいのではないかということを申し上げ、私の質問を終わります。
田並委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 きょうは、テロ特措法にかかわりまして、キティーホークへの間接給油問題、防衛庁は「キティホーク空母機動部隊への給油報道について」こういうペーパーをお出しになっておりますが、この問題の事実経過について伺っていきたいと思います。
 そのペーパーを見ますと、「イラク攻撃に従事していた同機動部隊の艦艇が海自から間接的に補給を受けたことはない。」こういうことにしております。それからあと一点は、「米側に確認したところ、米空母キティホークは不朽の自由作戦支援中の二月二十五日、オマーン湾において米補給艦から約八十万ガロンの燃料を受給したとのことである。 なお、海自からは、同日において、当該米補給艦に約二十万ガロンの補給を実施。」した、このように書いてあるわけですね。
 それで、この確認について、防衛庁は米側にいつ、どういう形で確認をしたのか、日本側の機関はどこで、アメリカ側の機関はどこだったのか、答えてください。
石破国務大臣 だれとだれでどのような確認をしたかということでございます。
 五月八日には、米空母キティーホークは、不朽の自由作戦に従事中の二月二十五日、米補給艦から約八十万ガロンの燃料を受給したということを米側から確認したところでございます。
 この確認の経緯について申し上げますと、まず、アメリカ側から、七日の文書による回答に加え、五月八日の統幕議長会見時におきましては、上記内容に関するとりあえずの情報、とりあえずの情報というのは、海上幕僚監部が在日米海軍に口頭確認をしたということでございますが、その後、八日中に、海上幕僚監部が在日米海軍から、内部部局が在日米大使館から、米空母キティーホークへの米艦艇による補給に関するメモを受領し確認した、こういう経緯でございます。
赤嶺委員 その確認の場合、日本側からアメリカ側に、文書でその確認の文書を送った事実はありますか。
石破国務大臣 文書でこちらの方から確認をしたということではございません。
赤嶺委員 電話だということになるんでしょうけれども。
 そこで、事実関係の大前提として、防衛庁の説明資料によると、今回の発言は、キティーホークの空母機動部隊司令官、モフィット司令官が発言した、こういうことになっているわけですね。
 それで、防衛庁長官も御存じだと思うんですが、私どもの赤旗新聞は、モフィット司令官ではなくて、キティーホークのパーカー艦長がその発言を行った、このように報道しているわけですね。パーカー艦長が発言をしたのかモフィット司令官が発言をしたのか、今の段階で防衛庁はどういう認識を持っておられますか。
石破国務大臣 赤旗にそのような記載があることは私も承知をいたしておりますが、この発言は、モフィット司令官からなされたものだというふうに私は承知をいたしておるところでございます。
赤嶺委員 私は、テロ特措法の目的に沿って我が国がどういう活動をしているかという検証は非常に大事でありますし、そういう意味では、事実関係を一つ一つきちんと押さえていくのも大変大事な検証作業だと思うんですよ。
 それで、皆さんは今、モフィット司令官が発言をしている、こうおっしゃっているわけですが、赤旗記者は現場にいたんですね。それで、現場にいて取材をして、その取材の模様のテープをちょっと私、聞いてみたんですよ。ここにテープも持ってきました。
 それで、最初はモフィット司令官がずっと発言していくんです。それで、給油について日本側の記者から質問が出たときに、モフィット司令官は答えられなくて、そばにいるパーカー艦長、トムという発音で呼んでいるんですが、トーマスというファーストネームをトムと言っているんですが、明らかに艦長が今の経過を発言しているんですね。
 ですから、私は本当に皆さんが、だれが発言したのか、そしてここに書かれているように、イラク攻撃に従事していた云々、間接的に給油を受けたことはないという、問い合わせもやったと言うけれども、肝心の大事な事実のところで、本当にそれでいいのかという感じを持っているんです。
 具体的に事実関係を米側に問いただしたのかどうか、そういう確認のあり方、これについていかがなんですか。テープに明確に艦長の発言として、だれが聞いてもわかるようなものになっているんです。いや、もし皆さんがそれを確認したいというのであれば、きょうここでこのテープを防衛庁長官にお渡ししてもいいんですが、いかがですか。
石破国務大臣 そのことにつきまして、私ども、再度米側に確認をいたしました。その結果として、モフィット司令官の発言であるというふうに私ども確認をしたところでございます。
赤嶺委員 ですから、アメリカ側に皆さんが確認したという作業で、モフィット司令官と言うと。しかし、現場で事実の一部始終を取材していた赤旗新聞の記者は、パーカー艦長だと報道し、なお、その取材の状況についてテープもある。客観的な資料ですよね。この客観的な資料と、皆さんがアメリカに問い合わせたところ、司令官だ、司令官だと言っているところと、事実の間に大きなギャップがあるわけですよ。全然事実が違うわけですよね。
 それでいいんですか。テロ特措法を担保しています、担保していますと言うけれども、こんな簡単な事実関係の問題でこれだけの違いが出ているんですが、いかがですか。
石破国務大臣 繰り返しのお答えで恐縮でございますが、米側に確認をしたところ、モフィット司令官であるということです。
 また、その司令官への、何というんでしょうか、ぶら下がりという言葉を仮に使うとするならば、そういう会見というのは各社なさっておられるわけですね。ほかの報道機関もすべてなさっておられるわけです。これは、モフィット司令官ではなくて艦長だと御主張になっておられるのは御紙だけでございまして、そうしますとほかの報道はみんな誤りなのかな、こういう気もするわけでございます。
 これは、私も直接現場に行って見ておったわけではございませんから、では君は見たのかねと言われますと、見ていませんとしか言いようがないわけでございますけれども、これは、もう本当にアメリカに確認をして、モフィット氏である、そして、すべての報道はモフィット司令官ということで報道されておるわけでございます。したがいまして、私どもの認識に間違いはないというふうに考えておるわけでございます。
赤嶺委員 皆さん、現場でモフィット司令官だと確認したわけじゃないんですよね。それから、アメリカに問い合わせた結果、そうですというのが国会への説明なんです。しかし、現場で、赤旗新聞の記者は単独で記者会見しインタビューしたわけではないんですよ。他社の質問も全部声として入っているんですよ。
 どうですか、防衛庁長官、改めてこのテープで事実関係を確認するということはできませんか。
石破国務大臣 そのようなつもりはございません。
 これは、実際にどういう状況であったかということを考えてみますと、私が聞いております限りにおきましては、日本の記者二十名から三十名の皆様方がそういう先ほど申し上げたようなスタイルで質問を実施したというふうに聞いております。
赤嶺委員 極めて皆さんの事実確認のあり方があいまいだな、そして、ちょっとした、だれの発言かという基本的な事柄についてもまともに答えられない。答えられないけれども、だれが発言したかというのは客観的に証明できないまま、ペーパーでは、「イラク攻撃に従事していた同機動部隊の艦艇が海自から間接的に補給を受けたことはない。」としている。ここには、もっと本当に客観的に、だれがいつどこでそういう発言をしたか、国会にきちんとした説明をする責任を果たしていないということを一つ指摘しておきたいと思います。
 それで、もう一つのちょっと事実確認なんですが、石破長官はそのときに、キティーホークは、二月二十五日の給油が行われたときには不朽の自由作戦に参加していた、それを支援していたということをアメリカ側から確認したということになっているわけですけれども、キティーホークは不朽の自由作戦にいつからいつまでそういう支援活動を展開していたんですか。
石破国務大臣 私が申し上げましたのは、二月二十五日時点におきまして不朽の自由作戦に従事をしておったということを申し上げたわけでございます。
 それでは、これが何日まで従事しておったのかということにつきましては、それは存じません。二月二十五日時点においては不朽の自由作戦に従事をしておったということでございます。
赤嶺委員 いつからこの不朽の自由作戦に参加したのか、いつまで参加したのか、そういう問い合わせはアメリカ側には行ったのですか。
石破国務大臣 それは米軍の行動にかかわることでございまして、では、不朽の自由作戦に何日から何日まで行動しますかというようなことを聞く意味というのは、私どもにとってはないわけでございます。大事なのは、私どもが行っておる活動というものが、このテロ特措法の目的にかなうもの、目的の範囲内なのかどうかということでございまして、さすれば、交換公文というものを締結し、そしていろいろな場所で確認をしておるわけでございます。
 ですから、いつからいつまでというような米軍の個々具体的な活動につきまして、私どもから確認はしておりませんし、する必要もないと考えております。
赤嶺委員 交換公文を結んでいたにもかかわらずいろいろなことが起こるから、事実関係の確認の仕方が大事だということを述べているわけであります。
 それで、いつからいつまでやったという確認は行わない、これが皆さんの態度であるわけですね。そのこと自身、本当に国民にとって納得がいくものであるかどうか、疑問です。
 ちょっとそこにかかわって、もう幾つか聞きたいんですが、きのうの参議院の委員会の答弁の中で長官は、複数の任務を同時に受けていることはある、このように述べまして、そしてその中で、テロ特措法違反であるかどうかは、その時点で何を遂行しているかで判断する、こういう考えを示しております。
 例えばキティーホークが、サザンウオッチ作戦など、あらかじめ複数の任務を持っていって出ている、その場合に、実際にサザンウオッチ作戦は行っていないということであれば給油できる。とにかく、複数の任務を持って活動している場合があるということでありますから、そういう場合にどの任務についているか。日本の側としては、やはりテロ特措法に基づく任務でなければ給油できないという皆さんの立場ですから、そのことをどうやって複数の任務を持っている艦船から担保していくんですか。
石破国務大臣 アメリカ軍ホームページに、キティーホーク機動部隊がOEFとサザンウオッチ作戦の双方に従事している、こういうような記載をしておるわけでございます。米軍のホームページにそう書いてあるということでございまして、そのことについて私どもからとやかく申し上げることではございません。
 複数の任務に従事するということが本当にあるのかというふうに言われれば、それは、複数の任務に従事するということは当然あり得ることだというふうに考えております。そうしますと、では今度は、何月何日何時何分、そこまで細かくできるかどうか知りませんが、そういう個々の時点におきまして、そのどれかを実行しているということであります。
 私どもといたしましては、私どもが補給をいたしました油、それがキティーとかどの船とか、そういうことを私は申し上げる立場にございません。その私どもが補給をいたしました油というものは、交換公文も締結をしておるわけでございますし、何度も何度も確認をしておることでございます。米側も、テロ特措法の趣旨、目的というものを理解し、その範囲内で行っているというふうに言明をしておることでございますから、それは、そういうことによってきちんと守られているということだと私は思っております。国民に対して説明責任を果たしていないという御指摘は当たらないものと考えます。
赤嶺委員 交換公文を結んでいるからそれによって担保されているというのは、何度も聞かされてまいりました。しかし、次々新しい事態と展開が出てくるわけですね。
 今度は、その複数の任務を持つ米軍の艦船に、では、それがテロ特措法を担保した給油であるということを確認するのは何かといえば、交換公文です、こういう話にしかならないわけですね。これは説明じゃないですよ、こういうのは。全く説明になっていません。
 それで、当時、キティーホークは対イラクの任務も持っていたということは、防衛庁長官、どういう認識を持っておりますか。
石破国務大臣 それは、複数の任務というものを同時に持つということはあり得ることだと思っています。しかし、その時点で何の任務に従事しておったかということが、この法の目的にかなったものかどうかということを見分ける分水嶺というのかしら、そういうものだと私は思っています。
 これは何によって担保されるのだとおっしゃいますが、それはやはり、交換公文を政府と政府の間で結んで、そしてまた何度も何度もそれを確認して、それでもなお信じられない、こうおっしゃれば、もうそれは信じられないというお立場なのだとしか言いようがないわけでございます。
 私どもとしては、政府と政府との交換公文というのはそんなにいいかげんなものだとは思っておりません。そして、日本とアメリカ合衆国との信頼関係というものは確立をしたものだというふうに私は思っております。アメリカも、日本がどういう立場でこのテロ特措法というものをつくり、国民に御理解をいただき、そして国民が納税されたお金を使って提供を受けておるのだということにつきましては、きちんとした認識が合衆国にあると私は思っております。合衆国の方々と私もよくお話をする機会がございますが、このテロ特措法ができた経緯、そして、そこにおいてなされること、国民の合意、そういうことにつきましてアメリカもよく理解し、そのことについて感謝の意を表しておるということでございます。
 私どもは、国際社会の責任ある一員として、そのことを行っておるわけでございます。
赤嶺委員 私、伺ったのは、キティーホークが当時、対イラク作戦に展開する任務も持っていたと思うけれどもどうかという質問であります。これにも答えていただきたいと思います。
 前段については、防衛庁長官のそういう答弁で納得させられるものではないということは明らかでありますけれども、今は、キティーホークの部隊展開、当時、対イラクの任務も帯びていた、そういう認識はありますか。
石破国務大臣 それは、先ほどお答えいたしましたように、複数の任務というのを同時に帯びるということはあり得るということでございます。
赤嶺委員 当時の、長官もさっき紹介されましたホームページもそうですが、キティーホークが帰ってきたときの海軍の発表の中でも、キティーホークは二月十二日付で中央軍の責任地域に入るよう命令を受けたということをみずから明らかにしているわけですね。
 それで、二月二十五日に二十万ガロンの給油を間接的に、二十万ガロンを米補給艦に給油し、米補給艦は八十万ガロンをキティーホークに給油したというわけですね。それで、二十万ガロンは、皆さんの説明だと一日分だ、だから、二月二十五日に不朽の自由作戦に従事していたというから、明らかにテロ特措法を満たしているというのが皆さんの説明であるわけですよ。
 しかし、米補給艦は八十万ガロン、そのうち二十万ガロンは日本の燃料ですから、日本用の燃料が色がついていて、二十万ガロン、赤い色の燃料はその日一日、不朽の自由作戦で使い果たしましたということであれば、これは立派な説明ですよ。しかし、八十万ガロンの中にまじっているわけですから。
 では、その八十万ガロンを使い果たすという四日間の単位でホームページを見てみたんです。そうしたら、海軍のホームページでは、二月の二十八日付でキティーホークと第五航空団はサザンウオッチ作戦を支援する任務についていると述べて、述べているだけではなくて、ここにこういうホームページの写真も持ってきたんですが、まさに飛び立とうとしている戦闘機。どこに飛ぶか、サザンウオッチ作戦ですよ。不朽の自由作戦じゃないですよ。二月二十八日にそういう作戦をしている。これは、対テロ特措法の目的の範囲を明らかに逸脱していると言えると思いますが、どうですか。
石破国務大臣 先ほど中央軍という御指摘がございましたが、これは委員もちろん御案内のことかと思いますが、中央軍はOEFにも参加をしておるわけでございますので、中央軍のエリアに到達したからということではなかろうというふうに考えております。中央軍は、OEFもやっておりますし、イラクとの戦いもやっておるわけでございます。
 先ほど御指摘の二十万ガロン、八十万ガロンのお話でございますが、キティーホークが不朽の自由作戦に従事しておりました二月二十五日、この日に米補給艦から八十万ガロンの燃料の提供を受けたということを私どもは五月八日に確認をしているわけです。この同じ五月八日に――海上自衛隊の補給艦が事前に当該アメリカ補給艦に二十万ガロン、この二十万ガロンというのは空母が一日使う量でございますが、これの燃料提供を実施しておるわけでございます。
 海上自衛隊が提供いたしました二十万ガロンがアメリカの補給艦を経由してキティーホークに給油されたということが、これは私どもはわかりません。それは、確認するすべもないわけでございます。仮に、仮に仮にそういうことがあったといたしましても、当時、キティーホークは不朽の自由作戦に従事していたということが確認をされておるわけでございますから、テロ特措法上は何の問題もないということでございます。
 アメリカとの間で、アメリカ空母キティーホークは、不朽の自由作戦従事中の二月二十五日、米補給艦から約八十万ガロンの燃料を受給した、この燃料はすべて不朽の自由作戦のために使用された、こういう旨を確認いたしておるところでございます。
赤嶺委員 この問題について、あなた方の確認のあいまいさ、本当に納得できるものではありませんし、調査のし直しということを、この問題の事実関係についても調査をし直せということを要求しておきたいと思います。
 それで、時間がありませんので次の問題に移りますが、沖縄の米軍基地です。
 今、名護市の辺野古で現地技術調査なるものが行われています。この現地技術調査というのは、どういう性格、目的を持ってやっているのか、防衛庁の方から聞きたいと思います。また、あわせて、環境省もこの技術調査についてどのように認識しているか、答弁をお願いします。
生澤政府参考人 お答えいたします。
 普天間飛行場代替施設の建設につきましては、昨年七月に決定しました基本計画に従い、埋め立て工法で行うこととしております。
 埋め立てに係る護岸構造につきましては、基本計画策定時における工法の検討におきましても、沖側護岸の建設場所については非常に複雑な地形であることから、設計波や砕波の影響について水理模型実験で確認が必要と評価しているところであります。今後、具体的な設計を実施するのに先立ちまして、波浪の影響等を把握した上で、護岸の幅や高さ等が適切であることを確認するために、護岸構造の検討を実施することとしております。
 現地技術調査は、かかる護岸構造検討に必要な地形、海象、気象及び地質のデータを収集するために実施するものでありますが、そのデータは環境影響評価等にも活用したいと考えております。
炭谷政府参考人 ただいま防衛施設庁から御説明がございましたように、環境省といたしましても、防衛施設庁からお話をお聞きしておりますが、那覇防衛施設局が実施している現地技術調査につきましては、環境影響評価の実施そのものを目的とした調査ではなく、護岸構造検討に必要な地形、海象、気象及び地質のデータを収集することを目的に実施されているという調査と認識しているところでございます。
赤嶺委員 今、環境省の答弁を聞いて驚きました。いわゆる現地技術調査というのは環境影響評価の調査ではないと。ということは、私は本当にゆゆしき問題だと思うんです。
 皆さんのやろうとしている調査は、個体数の少ないジュゴンが生息している海域にやぐらを六十三本も建てて、環境団体の調査によると、そのうち十八カ所にはジュゴンの海草などもあるというような、本当に、環境に与える影響が非常に大きいというような場所なんですね。環境影響評価もやらずに、実際に護岸建設の設計準備のために調査をやる、それは環境影響評価調査ではない、事業着工、そういうことで、ああいう非常にセンシティブな環境が守られるのか。同時に、それは環境に対する配慮が全く足りないし、環境影響評価もやらないうちに工事を始めるのは絶対に認めるわけにはいかないということを述べまして、私の質問を終わります。
田並委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 きょうは、主に先般政府の方から報告がありましたテロ対策特措法に関しまして質問いたしたいと思います。
 まず最初に、今も海上自衛隊の補給艦から米空母キティーホークへの燃料の間接的な提供ということに関しまして、私も、一部重複をいたしますが、改めてお尋ねをしたいと思います。
 まず事実の確認なんですが、米第五空母戦闘群のマシュー・モフィット司令官が今月の六日、洋上で海上自衛隊の補給艦から我々の補給艦に約八十万ガロンの燃料が提供され、その補給を受けた、日本政府のテロとの戦いの支援に感謝している旨の御発言があったということでありました。米空母キティーホークは、ことし一月二十三日にペルシャ湾方面へ向けて横須賀を出港しまして、二月の七日にイラク攻撃に備えた派遣命令を受けている。イラクの戦争が始まったのが三月の二十日でありますが、以来、キティーホークの艦載機の出撃は二千五百回以上、キティーホークに随伴をしていた巡洋艦なども巡航ミサイル・トマホークで地上攻撃などを行ったということであると思います。
 まずお尋ねしたいのは、二月の二十五日に海上自衛隊の補給艦「ときわ」がオマーン湾で米補給艦に二十二万ガロン、八百三十キロリットルを給油、その数時間後、同じ米補給艦が空母キティーホークに八十万ガロン、約三千三十キロリットルを補給したというわけでありますが、その米補給艦、艦の名前を示していただきたいと思うんです。
石破国務大臣 テロ対策特措法に基づきます協力支援活動として、海上自衛隊は、インド洋北部におきまして、米軍の補給艦やフリゲート艦等に対して燃料補給しておるところでございます。
 今委員お尋ねの、補給した相手方の船の名前を公にしなさい、こういう御質問でございますが、私どもとして個々の艦名というものを申し上げるということになりますと、これはいろいろと信頼関係の問題もございますし、かつ、米軍の行動というものが明らかになるという懸念なしといたしません。そういう観点から、個々の艦名につきましてはお答えを差し控えさせていただいておるところでございます。
今川委員 いや、石破長官、それはおかしいですよ。空母もキティーホークだというふうに特定しているわけでしょう。燃料提供をした海上自衛隊側の補給艦も「ときわ」だとはっきり特定しているじゃないですか。ただ海自の補給艦から直接燃料提供を受けた側の補給艦の名前だけが明らかにできないというのは、不自然ですよ。
 私が思うには、月刊「軍事研究」の一番新しい六月号の、これは軍事リポーターの石川巌さんの論文の中に出ているわけです。米太平洋軍が発表した西太平洋戦力のイラク方面への派遣リストの中に、空母キティーホーク戦闘群が何隻かの随伴艦を伴っていますよね。その中に、給油艦ラパハノックというのがあります。この船でしょう。これは「世界の艦船」の六月号なんですが、地中海側は除きますけれども、例えばペルシャ湾側の方に原子力空母ニミッツ、この場合には高速戦闘支援艦ブリッジ、それからエイブラハム・リンカーンの場合には同じくカムデン、それにコンステレーション、この場合には同じくレイニアというふうに、普通、その空母戦闘群に随伴した高速戦闘支援艦なり給油艦から燃料を受けるわけですよね。
 そうしますと必然的に、今私が申し上げたように、空母キティーホークの場合には、随伴していた給油艦ラパハノックということであるはずであり、このことを、日米関係があるからといって、この給油艦の名前だけは申し上げられないということになるんですか。何か支障がありますか。そこは率直にお認めになったらどうですか。
石破国務大臣 それは私、ちょっとごめんなさい、今月の「軍事研究」は読んでおりませんが、石川さんがそういうふうに書いておられるとするならば、石川さんは石川さんとしてそういうような知識を得られたのだろうというふうに思っております。
 これは私どもとして、つまり、「ときわ」であるとか例えば「はまな」であるとか、それは私どもの船でございますから、私どもの責任において申し上げることができるということでございます。今委員御指摘の、アメリカの、空母はキティーしかいないわけですから、これはもうだれがどう見てもキティーだということはわかるわけでございますけれども、私どもの船ではございません。したがいまして、私ども日本政府として、その船の名前というものを個々申し上げるという立場にないということだと思います。
今川委員 念のために、これは石川巌さんが勝手に書かれたのではなくて、今申し上げたように、米太平洋軍の発表のリストから私は今紹介を申し上げたんです。
 どうしても、非常に不可解ですね。よろしいです。これは恐らく、これは推測せざるを得ませんけれども、「ときわ」が直接補給したのは第五空母戦闘群所属のラパハノックであったであろう。
 さて、政府報告書によると、いわゆる米側の説明では、イラクの自由作戦に使用されてはいないという説明があり、福田官房長官は、キティーホークの燃料消費は一日八十万ガロンで、ほとんど瞬間的に消費してしまう、イラク関係に使われることはあり得ないというふうに御説明なさった。
 では、海自の補給艦から補給された燃料約八十万ガロンのその種類ですね。これは私、不勉強だから教えてください。いわゆる艦船用なのか、あるいは空母などが搭載している戦闘機用なのか。そして、しかも福田長官の御説明によれば、空母キティーホークが本当に消費したということの確証がどの程度とれるのか、そこをちょっと御説明ください。
福田国務大臣 私の発言が引用されましたので、私から最初にお話しいたしますが、まず、キティーホークで一日に消費するのは二十万ガロン、そういうふうに聞いております。本当にそうなのかどうか、よく確認はしたわけではございませんけれども。
 なぜそんな数字を申し上げたかといいますと、二十万ガロンというのはよっぽど大きな数字だ、こういうふうに思う記者さんが多かったものですから、その一つの例として、二十万ガロンといったってキティーホークでは一日分なんですよ、こういう趣旨で発言をしたわけでございます。
赤城副長官 この補給した燃料の種類についてのお尋ねでございますけれども、テロ特措法に基づく協力支援活動を実施している海上自衛隊の艦艇が提供している燃料、これは艦船用の燃料でございます。
 ただいまも議論のありました本年の二月二十五日に海上自衛隊の補給艦が米補給艦に提供した約二十万ガロン、この燃料も含めて、現在までに海上自衛隊の艦艇が米軍等に対して航空機用燃料を提供した実績はございません。
今川委員 今の点ですけれども、昔はそうだった、いわゆる艦船用だ、航空機用だときちっと区分けがあったんだけれども、最近は、そこを私が不勉強でよくわからないんだけれども、一部は、燃料によっては航空機用に共用できるという言葉でいいのかどうか知らぬが、これは絶対に航空機用には使えない、そういう区切りというか、そういうふうには現在でもなっているんですか。
赤城副長官 これは、私も燃料の専門家ではございませんので、専門家に確認しましたところ、米軍等に艦船用燃料として軽油を提供しているわけですけれども、航空機燃料と比べて艦船用の燃料というのは燃焼性が悪くて発熱量も小さいということで、これを航空機用の燃料として使用することは通常あり得ない。そのことは、三、四十年前、昔でも今でも変わりがないということでございます。
石破国務大臣 委員の御質問をいただきましたので、私もにわか勉強でばたばたと調べてみましたが、やはりないようなのですね。
 つまり、私も乏しい知識なんですが、舶用エンジンでも航空機のエンジンを使っている場合がございますよね。だから委員の御指摘のようなこともあるのかな、こういうふうに思ってみましたが、考えてみますと、飛行機というのは物すごい高いところを飛ぶわけですね。温度が非常に低いわけです。そういうところに舶用の燃料というものを使ってしまいますと、船と飛行機と何が一番違うかというと、結局粘り気が違うんだそうです。船のエンジンというのは少し粘り気があっても大丈夫なんだ、ところが、それを飛行機で何万メートルなんというようなところへ上がりますものに使いますと、これはもう粘ってしまって飛行機が飛ばないんだということ、飛ばないかどうか実際にやってみていませんからわかりませんが、理論値からいいますと非常に危険だということであります。そういうことはあり得ないというふうに、私、現在のところ承知をしておるところでございます。
今川委員 そこで、先ほど共産党の委員からもちょっと御質問がありましたが、きょうの新聞によりますと、先ほど石破長官、ちょっと御答弁があったんですけれども、例えば空母キティーホーク、第五空母戦闘群の任務として複数の任務を同時に受けていることはある、まあそういう場合は恐らくあるでしょう。
 問題は、このテロ対策特措法という日本の法律でその枠内にきちんとおさまっているかどうかということを判断する場合に、例えば、アフガン戦争に従事するという任務も帯びていたかもしれない、しかし同時に、おっしゃるように、ある時点からイラク攻撃への準備指令を受け、その任務を同時に帯びていたかもしれない、こうなった場合に、いわゆる海上自衛隊の補給艦が、間接的であれ、燃料に色はついていないわけですから、いわゆる、この空母キティーホークは約八十万ガロンぐらいを米補給艦から受け取ったんだ、そのうちの約四分の一は海上自衛隊からの給油であった、こうした場合に、もう八十万ガロンの中に全部一緒になっちゃうわけですから、これがアフガンに使われた、これはイラクの方に使われたということは、およそ技術的にも無理でしょう。
 だから、そうした場合に、やはり我が国政府としては、防衛庁としては、明確にアフガン以外には使われておりませんということが後からでもいいからきちっと検証ができる、そういうふうな厳格な法の運用、あるいは艦船の任務の与え方、運用ということになり切れていない。非常にファジーというか、どちらにも使われた可能性があるという疑問は解けません。その点は、長官、もう一度聞きますが、いかがですか。
石破国務大臣 これは先ほど来の繰り返しで本当に恐縮なのでございますけれども、交換公文を結んでと、こういう答弁でございます。
 これは実際、軍事法理性というものから考えてどうなんだろうかということもございましょう、それはもう委員の方が私よりもよく御案内のことだと思います。
 ただ、これは本当に、先ほど赤嶺議員にもお答えをいたしましたが、私も合衆国の軍関係の方々とお話をしておって、日本の法律の目的というのはよくわかっている、この法律のできた経緯というものもよくわかっている、その法の定められた範囲内に限って使うということでなければいけないんだということもよく理解していると。私も、直接ではございませんが、交渉に当たっている、確認に当たっている人たちによくよくそのことは申しております。これは本当に信頼関係というものだと思いますし、交換公文というのはそういうものだ、日本とアメリカとの信頼関係は確立をしておるということだと私は思います。
今川委員 これは、福田官房長官、あるいは石破長官、私は率直に、私の一部推測を含むかもしれないけれども、申し上げておきますと、つまり、空母戦闘群のモフィット司令官は、やっと任務を終えて横須賀に帰ってきて、そしてかなり率直に、正直に記者団などに対して物を言われたんだと思うんですよ。今、石破長官は、日本の憲法なり法律のありようというのはよく承知されているとおっしゃいますけれども、ついうっかりと言った方がいいのか、いわゆる海上自衛隊の補給艦からこれだけの燃料をいただいてありがたかったという感謝の辞を述べているわけでしょう。
 ところが、恐らく我が国政府としては、ちょっと待てよと。アフガン戦争はほぼ戦闘終了宣言が行われるぐらいの状況であり、前後する形でこのイラク戦争の攻撃準備が始まり、三月の二十日から実際に戦闘が開始された、こういう非常にデリケートな時期が重なりますので、それで恐らく、我が国政府の方からその真意を確かめられるのに、直接行けばいいものを、先ほどの御答弁だと、電話で在日米海軍だとかあるいは米大使館とやりとりをされたというんだけれども、テロ特措法に抵触しかねないということを、我が国政府の方がそこを非常に気にして、政府と米大使館なり在日米海軍との間でいわば帳じり合わせをやったんじゃないかという疑いを私は持ちます。これはもう御答弁は結構です。
 もう二つお聞きしておきたいと思いますが、米側の説明者は在日米軍なり在日米大使館ということでよろしいのか。
 それともう一つ。この政府の報告書では、七ページに「米空母キティホーク空母機動部隊司令官が、」云々とございます。ところが、ほとんどの新聞の報道では、空母戦闘群あるいは第五空母戦闘群というふうに表現がございまして、私は、昨晩、ある専門家にどうなっているんだろうというふうに聞きましたら、昔は空母機動部隊という呼び方と空母戦闘群という呼び方と区別があったんだけれども、現在は、バトルグループ、つまり空母戦闘群という言葉しか使わないというふうに説明を受けたんですね。
 だとすると、そこのどう違うのかということの説明と、もし政府報告書が間違っているのであれば、やはりそれはきちっと正確な用語で報告をいただくべきだと思うんですが、その点いかがですか。
石破国務大臣 後段の御質問は防衛局長から答弁をいたします。
 これは、だれとだれが確認をしたのかということでございますが、当方より米側に照会、五月七日に米側から文書をもって回答、その米側というのはだれかといえば、委員も御案内かと思いますが、クリステンセン首席公使でございます。文書を受領した私どもは防衛局長ということでございます。
守屋政府参考人 お答えします。
 空母機動部隊の用語は、空母戦闘群と同様の意味でありまして、報道においても両者使用されていると認識しておりまして、両者には違いがないということでございます。
 もう少し詳しく申し上げますと、空母機動部隊または空母戦闘群について、米海軍のホームページによれば、明確な定義はなく、必要に応じて形成されるものと承知いたしております。
 空母一隻、ミサイル巡洋艦二隻、ミサイル駆逐艦一隻、駆逐艦一隻、フリゲート艦一隻、攻撃型潜水艦二隻、補給艦一隻が典型的な構成とされまして、さまざまな任務遂行のために派遣されるものである、こういうふうに承知しているところでございます。
今川委員 もう少し防衛局長、いいですか。
 二十六、七年前の随分古い話なんだけれども、ある出来事があって、私たち佐世保の労働団体が、市役所を通して外務省にあることをお尋ねしたときがあるんですね。そうすると、外務省の当時の御返答が、一個空母機動部隊、つまり一タスクフォースというのは、二、三個の空母戦闘群から編成されるものであるというふうな説明になっているんですね。つまり、規模からすると、一個戦闘群よりも一個空母機動部隊ということの方がはるかに規模的にも大きくなるというふうにずっと認識をしておったわけですね。
 ただ、政府報告書では空母機動部隊というふうに表現をされているんだけれども、ほとんどの新聞は空母機動部隊という報道にはなっていないですよ。ほとんど戦闘群だと思うんだけれども。
 そんな大げさな問題を今申し上げているんじゃないけれども、用語の使い方として、政府の正式の報告書ですから、そこをお尋ねしているんです。念のために、もう一度御答弁ください。
守屋政府参考人 両者に違いがないというのは、私ども、米側とも確認して申し上げているところでございます。
 それで、報道では空母機動部隊を使用している例はないんじゃないかという御指摘でございますが、三月十三日の産経新聞では、空母カールビンソン公開、こう言いまして、同空母機動部隊を指揮する第三空母群司令のエバン・チャニック少将は艦内の会見で、こういうふうに引用しているところでございます。
今川委員 それでは次に、今、我が国が自衛隊の艦船などをインド洋方面、アラビア海方面に派遣をしておりますが、肝心のアフガニスタンの状況です。
 政府の報告書では、四ページに、ラムズフェルド国防長官が、「我々の活動が主要な戦闘から安定、安定化及び復興に明らかに移行しているとの結論を出した。」その後もちょっとございますが、要するに、事実上、今月の一日、アフガンでのタリバンやアルカイダに対する対テロ戦争そのものの終結を宣言したということでいいんだと思うんですね。あとは治安の維持なり復興、あるいは、掃討作戦ということはまだあるのかもしれませんが。
 つまり、日本政府として、テロとの闘いはまだ続くんだということになりますと、一昨年の十一月に防衛庁設置法に基づいて護衛官などを派遣してから、もう十九カ月ですよ。そうしますと、一体、そのジ・エンド、ピリオドはどこになってくるんだろうということであります。
 そうしますと、アルカイダだけではなくて、大規模なテロとかあるいはテロ組織の追及といった場合には、果てしなく続いてしまうんじゃないか。極端な言い方をすると、これから今のような派遣のあり方が、五年先、十年先、場合によってはもっと先かもしれないということも想定しているんですか。どうなんですか。
福田国務大臣 アルカイダとかそれからタリバンの残党といったようなものがアフガニスタンの国内に散在しているというか、そういうふうな状況でございまして、そういう残存勢力が今後もテロを計画、実行する、そういうような可能性というのは依然としてあるんだ、こういうことでございまして、依然として国際社会にとっては深刻な脅威になっているということでございます。ですから、現時点で、テロとの闘いがいつ終了するかということを具体的にお答えするのは、今現在、困難であるというように考えております。
 先ほど、ラムズフェルド国防長官のお言葉をちょっと引用されましたけれども、ラムズフェルド国防長官は、「我々の活動が主要な戦闘から安定、安定化及び復興に明らかに移行しているとの結論を出した。」ということは述べているのでありますけれども、同時に、「アフガニスタンのある地域においては未だ抵抗勢力が存在しており危険な状態であり、迅速かつ効率的な対応が必要である」こういう認識も示しておりまして、テロとの闘いは終結したと述べたものではないというように承知しております。
 また、ブッシュ大統領も、五月一日に空母エイブラハム・リンカーン艦上において演説をしまして、テロとの闘いは終わっていない、こういうことも述べておるところでございます。
今川委員 福田長官、私が申し上げたいのは、ことしの十一月一日で現在のテロ対策特措法は、一たんは法律上期限が来ますね。大きな区切りですね。そうしますと、そのときまでいいとかという言い方を私はしませんけれども、事実上、今申し上げたラムズフェルド国防長官におかれても、基本的な戦闘は終了している、あとは、言ってみれば、残党がどこにいるのか、そういう掃討作戦であるとか安定化だとか復興だとかというふうに、少なくともブッシュ大統領が、当時、アフガニスタンのタリバン政権がテロをかくまったということで戦闘宣言を開始して実際に爆撃に入っていったという状況からしますと、事態は飛躍的に今はおさまってきたと思うんです。
 ですから、ここで一たん我が国としては、やはり私の立場からしますと、テロ対策特措法が制定されるときも私は反対しました、憲法上の手前。しかし、現に今テロ対策特措法という法律がある以上、期限が来るところをきちっと見きわめをして、戦闘がまだ、少なくともアフガン戦争の真っただ中という状況が続いているならまだしも、ここまで事態が落ちついてくると、一たん区切りをつけるということがあってしかるべきだと思うんです。そうしないと、何か無制限な状態になってしまいますし、自衛隊組織そのものの運用もとめどがなくなってしまうんじゃないか。
 実際に、佐世保から四月の十日に派遣された補給艦「はまな」は、もう三回目ですよ。一回の派遣で大体四カ月を超えますから、これは命令が出たら、当然従って自衛官は行きます。大変過酷な状況の中で任務についているわけですね。そういうところで任務についている立場の人々のことも少しは、少しはというか大いに考慮をしていただいて、一応の区切りをつける。その後、どういう形で対応をするのかということは、また別途判断をすればいいんじゃないかと思うんです。その点が一つ。
 もう一つは、十一月一日で期限が来るその後のことを、このテロ対策特措法の扱いというのをどのように現時点で検討されておるのかをお答えください。
福田国務大臣 今の時点で区切りをつけるということは、この対処措置を中止する、こういうことであるならば、先ほど来申し上げていますように、今現在アフガニスタンにおける状況、そしてまたアフガニスタンから逃亡するかもしれないそういう残存勢力、その掃討、捕捉といったようなことを目的としてこの行動は続けなければいけない、こういうふうな判断は、これは我が国のみならず、国際社会の一致した認識だというように思います。したがいまして、これは継続をするべきであるというのが政府の判断でございます。
 今後どうするかということになりますれば、これは二年間の時限立法でございますから、二年たてば、その段階でまた考えなければいけないということです。それをどうするかということについては、それは、今後の情勢を見ながら、よく分析して判断していくべき問題であるというふうに考えております。
今川委員 時間が来ましたので、もうこれで終わりますが、私は、最後に一言、政府におかれては、先ほども申し上げたように、一つの大きな区切りをつけるときが来たと思います。ここは一たん、今派遣されている自衛隊の艦船に対しても撤収命令、指示を出すということも含めまして、ぜひそうしていただきたいと思いますし、十一月一日にはこの九・一一米国同時テロに伴う特別措置法も期限が来るわけですから、一つのそこは重大な判断をきちんとしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
田並委員長 次に、長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いします。
 きょうは、福田長官が途中で退席されるということで、まず福田長官にお尋ねをいたしますけれども、ごくごく基本的なことについてお尋ねをしたいと思うんです。
 私が今お配りをいたしました資料がございますけれども、その資料の二に基本的なことが書いてございますが、この資料の二に書いてございます、武力攻撃事態対処法案の中での「我が国」というものと、自衛権発動の要件、下にありますけれども、ここの1の「わが国」というものは、基本的に考え方は同じと見てよろしいのでございますね。
福田国務大臣 我が国という言葉、これは、武力攻撃事態対処法の第二条一号に「我が国」というのがございますが、この「我が国」は日本国を指すということでございまして、自衛権発動の三要件の「わが国に対する急迫不正の侵害」に言うところの「わが国」、また自衛隊法第七十六条に言います「わが国」、これはもう同一の考え方でございます。
長妻委員 そして、私が過日質問主意書でお尋ねを申し上げまして、四月十五日に提出した質問主意書でございますけれども、その中で、我が国というのはどこまで入るのかということをお尋ね申し上げまして、その一つの事例といたしまして、公海上にある日本を守るために派遣された米国空母は該当する場合もありますか、こういうお尋ねをいたしましたところ、そして、その質問主意書の中には、どのような前提条件があろうとも、我が国とは絶対認められないもの何ですかということもつけ加えて聞いておりましたところ、答弁書は、基本的には絶対認められないというような答弁ではありませんで、個別の状況に応じて判断すべきもの、こういうような答弁書が来たわけでございます。
 そこで、再度お尋ねするんですけれども、その意味で、この我が国というのは、公海上にある日本を守りに来たそういう米国空母、これも含まれることもある、可能性もあるということでございますか。
福田国務大臣 日本を守るために派遣された公海上にある米艦船、こういう御質問でございますが、この米艦船に対する攻撃が我が国に対する武力攻撃となり得るかどうか。理論的には、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使と認定されるかどうかという問題でございます。
 いずれにしましても、我が国領域外における特定の事例が我が国に対する武力攻撃に該当するかどうかにつきましては、個別の状況に応じて十分慎重に判断すべきものであると考えております。
長妻委員 再度確認するのでございますが、そうしますと、限界事例を私は聞いているつもりなんでございますが、日本を守るために派遣された公海上にあります米国空母も、時と場合によれば我が国というような認定をされることも、これは一〇〇%ないとは言えない、こういうことでよろしいのでございますか。
福田国務大臣 それは、今私から答弁したのは、そういう趣旨でございます。
長妻委員 これは私もちょっと違和感があるのでございますね。在外公館とか、あるいは在留邦人、福田長官も我が党の伊藤英成議員に、我が国にも含まれ得るという御答弁があったやに聞いておりますけれども、その先を行くといいますか、日本を守りに来た公海上にある米国空母も我が国になる可能性があるということは、私の感覚からいうと驚きでもあるわけでございますけれども。
 そうしますと、ここにもう一枚、資料一という表をお配り申し上げているんですが、これは私なりにつくった表でございますけれども、我が国というのが今申し上げた議論でありまして、その下の議論でございますね。「「わが国」が公海・公空の場合」、ですから、我が国というのが公海上や公空で認められた場合はどうなのかなということでございますが、これはあり得るかどうかという話でございますから、必ずなるという、もちろんそういう話じゃありません。1としては、「わが国に対する急迫不正の侵害」これはあり得ると。そして二番目、「1を排除するために他に適当な手段がない」これも、これまでの政府答弁では、多分あり得る。3「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」これもあり得ると。
 ということは、公海上の米空母が日本の自衛権を発動する可能性もあり得るということで、再度、福田長官に確認をしておきます。
福田国務大臣 この下の、「「わが国」が公海・公空の場合」ということで、これは自衛権の発動ができる、可能であるということです。
長妻委員 そうすると、これは御教示いただきたいのでございますが、仮にそういう自衛権が発動した場合、公海上にある日本を守りに来た米国空母、これに我が国の自衛権が発動した場合、それはどういう考え方になるのか。その空母は、ある意味では、いつでも武力行使が、合法的に反撃ができるわけでございますから、その空母を我が自衛隊が守りに行って、そして、その空母が攻撃されているわけですから、その周辺に行って、その空母を防護するために反撃行動を合法的にする、これが我が国の自衛権の発動に今のケースではなる、こういうことで福田長官、よろしいのでございましょうか。
石破国務大臣 恐らくそれは、自衛権発動の三要件というもののどれを満たすのか満たさないのかという、個々具体的なお話だと思います。
 そういうように、米空母というものが我が国を守るためにやってきた、それに対して、どこかの国から攻撃があって、それに対して自衛隊は応戦できるか、こういうお話だと思いますが、応戦する場合には私どもは自衛権の発動として武力の行使を行うわけですから、それが我が国に対する武力攻撃であるかどうかということは、先ほど来委員が御議論になっておられることですね。ほかにとるべき手段がないか、そして必要最小限にとどまるか、それはもう、それぞれの状況によって違うのでございまして、ここで、ではこの場合はどうだ、この場合はどうだというふうに明確なお答えをすることは極めて困難なことかと思います。
長妻委員 私もそういうことを聞いているわけではなくて、一〇〇%ないと言えるのか、それはあり得るのか、こういう議論、限界議論をしております。
 その意味で、ですから今福田長官の御答弁というのは、我が国に当たるという意味では、この自衛権の三要素に直しますと、1であります「わが国に対する急迫不正の侵害」こういうふうに認定されることも、公海上にある日本を守りに来た米国空母がこういうふうに認定され得ることは一〇〇%ないとは言えない、今こういう御答弁だったわけであります。
 今聞きましたのは、1は一〇〇%ないとは言えない、そうすると、2他に適当な手段がない、3必要最小限、これも満たし得る、これを満たさないということは一〇〇%あり得ない、つまりは、自衛権発動が可能になることも一〇〇%ないとは言えないということなんですかということを、米国空母、公海上の要件で聞いたわけです、一〇〇%ないかと。
石破国務大臣 それは、個々具体的な状況によります。それを一〇〇%ないと言うかどうか、それはまた別の話なのですね。
 本当に、その状況状況によるんだと思います。定型的に、類型的に、この場合はどうだ、この場合はどうだということの議論というものはできないんだと私は思います。それはもうケース・バイ・ケースで、そのときそのときによるのですが、我が国に対する攻撃というふうに考えられるというケースが皆無か、絶無かと言われれば、それはわからない。そして、ほかにとるべき手段があるかないか、これもわからない。必要最小限かどうかというのは、まさしくそのときの状況によるということだと思います。
長妻委員 福田長官は時間がないので、福田長官にお尋ねします。
 もう一つ、その我が国のところで、海外にある日本人が集中して住んでいる日本人村、あるいは在外公館、あるいは例えばパキスタン等の港に寄っている日本艦船とか、今三つ申し上げましたけれども、それはまさに、一〇〇%ないということは言えない、あり得る可能性もあるということでございますね。
福田国務大臣 日本人村ということでお答えしますと、いわゆる日本人村に対する攻撃がどのような攻撃を指すのか、これは今、石破長官からもお話ありましたとおり、必ずしも明らかでないということもあり、在留邦人に対する攻撃や在外公館に対する攻撃が我が国への武力攻撃となり得るかどうかというのは、理論的には、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使、こう認定されるかどうかという問題だと思います。
 しかし、一般的に、そういうような攻撃が我が国に対する武力攻撃と認定されるということは、余り想定できないのではないかと考えております。
長妻委員 では、福田長官、時間なんですけれども、最後に一問だけ福田長官に。
 きのう成立いたしました武力事態対処法案でございますが、この中には情報公開の精神も盛り込んであると思うんです。この武力事態対処が、有事が終わった後に、日本国民に対するどういう権利侵害があったか、これを事後的に情報公開をする、こういうおつもりというのはどの程度あられるのか。
福田国務大臣 武力攻撃事態において政府が国民に対して適切なる情報提供を行うということは、これは極めて大事なことだというふうに考えております。ですから、政府として、武力攻撃事態への対処全般にわたりまして、国民に対する適切な情報提供に努めてまいらなければいけないと考えております。(長妻委員「国民に対する権利侵害の内容も」と呼ぶ)要するに、行政とかそういうものがかかわることについて、すべて事後的に情報公開に努めるということは当然のことだと思います。
 また、武力攻撃事態における対処措置の実施の状況に関する武力攻撃事態終了後の公表につきまして、事後でございますけれども、個別具体的に、国民のプライバシー、それから自衛隊及び合衆国軍隊の秘密保全等の観点を考慮しながら、慎重かつ適切なる対応をしてまいりたいと思っておるところでございます。
長妻委員 では、福田長官、ありがとうございました。
 そして、さっきの続きをさせていただくんでございますが、きょう法制局長官にも来ていただいているんでございます。
 先ほどちょっと私も、ちょっとといいますか、非常に驚いたわけでございますが、公海上にある日本を守りに来た米国空母、これも我が国になる可能性がある、一〇〇%否定しない、さらには、そのところで自衛権の発動というのも一〇〇%否定しない、こういうような話でありましたけれども、これは法的な理屈が私はちょっとわからないのでございますが、法制局長官に理屈を教えていただければと思います。
秋山政府特別補佐人 これは、自衛権発動の第一要件でございます我が国に対する武力攻撃の発生ということでございますが、これは基本的には、我が国の領土、領空、領海に対する武力攻撃をいうと考えるということであります。
 それで、これは我が国ということじゃなくて、我が国に対する武力攻撃という一固まり、そこまでやや長い言葉として御理解いただければ、理解がしやすいのではないかと考えます。
長妻委員 いや、法制局長官、それを聞いているんではなくて、一般論ではなくて、公海上にある日本を守りに来た米国空母、これも我が国に含まれる可能性もある、そして、自衛権の発動がある可能性もあるという今御答弁がありましたから、それは、どういう法理でそういう御答弁になるのか。いや、そんなことは一〇〇%あり得ないというんならば、それはそれでいいんですが、一〇〇%あり得ないというわけではないという御答弁でしたから、法理をお尋ねしております。
秋山政府特別補佐人 憲法九条につきましての政府の基本的な考え方を述べさせていただきます。(長妻委員「いや、公海上の米国空母」と呼ぶ)はい。
 それは、先ほど申し上げましたように、我が国に対する武力攻撃の発生ということでございまして……(長妻委員「何で我が国に含まれるのか、空母が」と呼ぶ)空母が我が国に含まれるかどうかというよりも、空母に対する攻撃が我が国に対する武力攻撃と判断される場合があるかどうかというふうに御理解いただければ、御理解しやすいのではないかと思うのでございます。
長妻委員 ちょっと今長官、違うと思うんですね。後段に言った我が国は、多分、日本の国土のような意味で使われたんだと思うんですが、私は、例えば、我が国に公海上にある米国空母を含めないという判断をしたとしても、我が国を守る、独立と平和を守ることには差し支えはないと思っております。なぜかというと、我が国に攻撃がある前にも、自衛権というのは着手の段階でも当然発動できますから、限定的にそれは自衛権を発動できるわけです、我が国領域内に攻撃がなくても。
 ですから、申し上げたのは、いいんですよ、公海上にある空母が我が国じゃないと言うんであれば、それはそれでいいんですが、そうじゃなくて、それも我が国になり得るというふうな政府の答弁があったから、法制局に、公海上にある米国の空母それ自体が我が国と認定され得ることもあるという法理を、どういう法の理屈でそういうことになるのかというのをお尋ねしています。
秋山政府特別補佐人 ちょっと直接かみ合っていないような気がいたしますけれども、国という言葉でございますが、領土、国民及び統治権の三要素を備えた団体であると一般に理解されております。
 先ほどから申し上げていることは、我が国に対する武力攻撃の発生ということでございまして、我が国を防衛するために出動して公海上にある米国の軍艦に対する攻撃が、状況によっては、先ほど申しましたような、我が国に対する武力攻撃の端緒といいますか、着手といいますか、そういう状況として判断されることがあり得るのではないかということを申し上げているわけでございます。
長妻委員 いや、今の答弁は私もそうだと思いますけれども、私の質問に答えていないんです。
 着手になるというのは、だから、米国の空母は我が国と認めなくても着手になるんですよ、時と場合によっては。日本の国土、領域内が攻撃されなくても着手となるんです。そうじゃなくて、政府のさっきの答弁は、公海上にある米国空母そのものが我が国というふうに認定されることもあり得るよという御答弁がありましたから、どういう法の理屈で、そしてさらに長官は、先ほど詳しく、国というのは、領土と、国民がいる、そして統治権がある、その三つを、では公海上の米国の空母というのは、日本国民は中にいないですよね。日本の統治権もないのに、何でそれが我が国に認定され得るのか、その法理を聞いているんです。別に非難しているわけじゃなくて、その法理を聞いているんです、理屈を。
秋山政府特別補佐人 通常、米軍の軍艦が、我が国という狭い表現をしました場合に、我が国に該当することはないと思います。先ほどからの答弁も、我が国に対する急迫不正の侵害があったかどうかという場合における米国の軍艦に対する攻撃が、我が国に対する急迫不正の侵害に該当する場合があり得るという御答弁であったのではないかと私も理解しておりますけれども。
長妻委員 だから、法制局も今理解している法理がないということですね。今法制局が言われたのは、先ほどの石破長官と福田長官の答弁は、私の質問主意書でもこれは書いていますけれども、公海上にある日本を守りに来た米国空母、これも、このそのものが我が国と認定され得るという答弁じゃなかったんじゃないかという多分お話ですけれども、では、再度ちょっと石破長官に聞きます。
 だから、今、内閣法制局長官と見解が分かれているわけですけれども、石破長官に聞きますけれども、そうすると、日本を守りに来た公海上にある米国空母、これ自体が先ほどの定義で言っております我が国に含まれ得る、それは時と場合によりますよ、その説明は要りませんけれども、含まれないと一〇〇%断定できないわけですよね。それでよろしいんですね。
石破国務大臣 我が国に対する武力攻撃という評価を受ける行為は何なんだろうかということだと思うんですね。我が国とは何ぞやという議論もありますが、私は、法制局長官の答弁を聞いておって、そういうことかなと思うのですよ。我が国に対する武力攻撃という評価は何をもってなされるのかということ、つまり、我が国とは何なんだという議論をすることが委員の御関心かと思います。あわせて、我が国に対する武力攻撃とは何ぞや、どういう行為がそういうような評価を受けるのかという議論があってしかるべきだと私は思うのです。
 委員が御指摘のように、まさしく我が国を守るために行動をしている合衆国の航空母艦に対して攻撃が仕掛けられた、これをどのように評価するかということで考えるというやり方もあるのだなというふうに私は思っております。それはしかし、具体的にこの場合はどう、この場合はどうということの議論をここですることはなかなか難しいとは思いますが。
長妻委員 一〇〇%排除されないということですね。
石破国務大臣 それは、個々具体的な状況によります。
長妻委員 だから、そういうことだと思います。
 ちょっと時間もないので、本当はこのテーマをやりたいんですが、基本的に私の趣旨は、本当に抑制的に自衛権発動というのは考えていただきたいというのが趣旨であります。
 もう一点でありますが、日本人村の問題でございますけれども、そうすると、日本人村は先ほど、この表でいいますと上の方ですね、「「わが国」が他国領域の場合」、日本人村は他国にありますから。そうすると福田長官の御答弁は、1「わが国に対する急迫不正の侵害」これはあり得るよと、日本人村。二番目「1を排除するために他に適当な手段がない」、3「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」、この三つがあると自衛権が発動して、他国にある日本人村そのものが自衛権を発動する。日本国もそうですが、日本国の自衛権が発動するということになるわけですけれども、過去の政府答弁を見ますと、これは確認なんですが、これは、バツ、バツと私がつけておりますのは、勝手につけたわけではございませんで、過去の政府答弁を見てバツをつけたわけです。
 まず二番目、どの答弁かといいますと、平成六年の十一月八日の参議院内閣委員会、村田防衛局長答弁。外国の領域にある自衛隊が攻撃された場合、我が国に対する武力攻撃というのは組織的、計画的な武力攻撃であり、また自衛隊の保護は当該領域に対して施政権を持つ当該他国が当たるべきであって、他に適当な手段がないことに当たるとは言えないことから、こういうような状況下で憲法上自衛権の発動は許されない。
 つまり、他国の例えば日本人村であれば、その他国がまずいろいろな対処をするから、他に適当な手段がないと当たらない、だから憲法上自衛権の発動は許されない、バツと明確に言っているんですね、政府は。
 三番目といたしましては、他国で必要最小限の武力行使というのは、昭和六十年九月二十七日の質問主意書に対する政府の答弁書に書いてございます。何が書いてあるかというと、「武力行使の目的をもつて自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。」ということで、これはバツとバツになります。
 そこで再度お尋ねしますが、としますと、確かに福田長官は、日本人村とか在外公館、これは我が国になり得るとおっしゃられましたけれども、しかし憲法上は、自衛権の発動というのは、それによってこれは一〇〇%ないということでございますね。
石破国務大臣 先ほど、村田防衛局長の答弁をお引きになりました。ただ、村田さんの答弁を全部読んでみますと、法理論的にはそういうことはあり得るという今までの政府の見解も引用しているわけですね、同じ答弁の中で。だからそれは、先ほど来一〇〇%ということに随分とこだわっていらっしゃる、言い方が失礼かもしれませんが、ようですが、法理論上はそういうことはあり得るんだと思っています。
 実際どういうケースかというのは、先般の特別委員会でも筒井委員と議論したことですが、ではどういう場合なんだというのは非常に考えにくいことなんだろうとは思います。ただ、法理論上はあり得るということでございますし、これは委員御作成のこの図のマル、ペケ、ペケ、不可、こういうものでございますが、これは確認のために申し上げておきますが、私にいたしましても福田官房長官にいたしましても、1ですね、「わが国に対する急迫不正の侵害」とは何なのだという議論をしておるわけでありまして、我が国とは何かということについて議論をしておるわけではございません。これを全体の一つの要件としてとらえたときに、どのような評価がなされるかということでございます。
 ほかに適当な手段がないかどうか、それは、私どもの日本人村が所在しておる国でありますとか、あるいは自衛隊が展開をしております国でありますとか、そういう国がどういう状況なのかということによるわけでございまして、これも一〇〇%バツかといえば、それはそうは言えないのだろう。そして、必要最小限度かというのはまさしく相関関係で決まることでございますから、一〇〇対〇ということが常にあるわけではございませんので、これも完璧にバツということはいかがなものかというふうに思っているわけでございます。
長妻委員 法制局長官に今と同じお尋ねをしますけれども、法理的にはそうでよろしいのですか。
秋山政府特別補佐人 法理的には、今石破大臣からお答えしたとおりでございます。
長妻委員 そうすると、再度申し上げますけれども、他国にある、例えば日本人村等々でも、他に適当な手段がないということもあり得るし、必要最小限度の実力行使、そこに自衛隊が行ってそういう方々をお守りするというのも必要最小限の実力行使の範囲内になることもあり得る、ですから、他国領土の日本人村でも自衛権が発動することもあり得る、そういうことでよろしいですね。
秋山政府特別補佐人 お尋ねの、具体的な事例につきましての自衛権発動の三要件に関する判断、これは基本的に防衛政策に属する問題でありますので、私から個々具体的な見解を述べることは差し控えさせていただきたいと存じますが、憲法九条のもとでの自衛権発動でございますので、当然のことながら、その判断は十分慎重になされるべきものであると考えております。
長妻委員 随分法制局というのが物わかりがよくなったなという感慨がございますが。
 いずれにしましても、時間が参りましたが、私がこの質問をいたしましたのは、基本的には他国での自衛権の発動というのは非常に慎重に、それは十分石破長官も、石破長官はわかられていると思いますが、これはいろいろ長官はかわるわけでありますから、何年後、何年後、いろいろな、今我々の意識が変わってくるわけでありますから、それをこの議事録に今残ったと思いますので、ぜひ本当に抑制的に、かつ、私見を申し上げれば、我が国の領域内に限ったとしても、それはおそれ事態とか予測事態とか、あるいは自衛権の発動でも、我が国の領域内が実際に被害が出ない前から、これは着手という考え方で実際に自衛権が発動するということもできるわけであります。
 その意味では、そういう考え方もぜひ御検討というか、頭の中に入れていただいて、今我々はもう大丈夫、大丈夫というか、我々はよくわかっていると思うんですが、そうじゃなくて、十年後の国会議員がどうなっているか、二十年後どうなっているかということもありますので、ぜひそういう言動で議事録、記録に残していただきたいと思います。
 以上でございます。
     ――――◇―――――
田並委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 本日の委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に樋高剛君を指名いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.