衆議院

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第6号 平成16年3月30日(火曜日)

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平成十六年三月三十日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 小此木八郎君

   理事 岩屋  毅君 理事 小島 敏男君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 大石 尚子君 理事 長島 昭久君

   理事 細野 豪志君 理事 赤松 正雄君

      赤城 徳彦君    大前 繁雄君

      岡本 芳郎君    嘉数 知賢君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      左藤  章君    佐藤  錬君

      中谷  元君    林田  彪君

      古川 禎久君    山口 泰明君

      青木  愛君    大出  彰君

      川内 博史君    小林 憲司君

      西村 真悟君    前田 雄吉君

      松本 剛明君    笠  浩史君

      渡辺  周君    遠藤 乙彦君

      御法川信英君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  加藤由起夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 米村 敏朗君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   松谷有希雄君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  小林 誠一君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 孝義君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官)   天野 之弥君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)   薮中三十二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)   堂道 秀明君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  古田  肇君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)   佐々木宜彦君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    金子賢太郎君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  川崎 二郎君     左藤  章君

  山口 泰明君     岡本 芳郎君

  大出  彰君     笠  浩史君

  佐藤 公治君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     山口 泰明君

  左藤  章君     川崎 二郎君

  川内 博史君     佐藤 公治君

  笠  浩史君     大出  彰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件

 我が国の領土保全に関する件


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     ――――◇―――――

小此木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、我が国の領土保全に関する件について決議をいたしたいと存じます。

 本件につきましては、理事会等におきまして、各党間において御協議をいただいたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの案文がまとまりました。

 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。

    我が国の領土保全に関する件(案)

  去る三月二十四日に発生した中国人活動家による尖閣諸島魚釣島への不法上陸は、我が国の領土保全上誠に遺憾な事件である。

  尖閣諸島は、千八百八十五年以降、政府が沖縄県当局を通じ、再三にわたる現地調査を行い、単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいないことを慎重に確認の上、千八百九十五年一月十四日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行い、正式に我が国の領土に編入することとしたものである。同諸島は爾来歴史的に一貫して我が国の領土であり、サン・フランシスコ平和条約においても、南西諸島の一部として米国の施政下に置かれ、沖縄返還協定により我が国に施政権が返還された地域の中に含まれているものである。以上の経緯から、同諸島が我が国の固有の領土であることは、歴史的にも、国際法上からも、明白である。

  政府は、中国政府に対して、引き続き冷静な対応を求めるとともに、再び不法上陸を許すような事態を招かぬよう、関係省庁及び警察諸機関とのより一層緊密な連携を図り、周辺海域の警戒・警備に万全の対策をとるべきである。

  また、政府は、今般の事件を契機として、尖閣諸島のみならず、我が国が正当にその領有権を有している領土の保全に遺漏なきを期すため、外交的施策における努力を始めとする各般の施策をより一層強力に推進すべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

 お諮りいたします。

 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小此木委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川口外務大臣。

川口国務大臣 ただいま御決議のありました我が国の領土保全につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、鋭意努力してまいる所存でございます。

小此木委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小此木委員長 引き続き、国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官加藤由起夫君、警察庁長官官房審議官米村敏朗君、防衛庁防衛参事官松谷有希雄君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長小林誠一君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官天野之弥君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君、外務省経済協力局長古田肇君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君及び海上保安庁次長金子賢太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木毅君。

高木(毅)委員 自由民主党の高木毅でございます。国家の安全保障に関する質疑を行います。よろしくお願いいたします。

 まず、ただいま委員会決議がなされたところでございますけれども、尖閣諸島魚釣島への中国人七人の不法入国事件についてお尋ねをいたします。

 まさに決議文のとおり、我が国の領土保全上まことに遺憾な事件なわけでありますが、当初、不法入国者を逮捕して送検をするということも言われておりましたが、結局、強制送還という結果になりました。政府の、法治国家として法に基づいて冷静に対処するという方針に沿った解決だというふうに私は考えておりますが、一方では、取り調べは十分ではない、取り調べをもっとするべきだった、あるいはまた事なかれ主義だというような批判があるのも事実でございます。

 そこで、今回のこの事件の逮捕から送還に至るまでの経緯を、この委員会の場で国民に対して明らかにしていただきたいというふうに思います。

 また、なぜ今この時期に中国の活動家がこのような行動に出たと政府は考えているのか、あるいはまたその背景についてどのようにとらえているのか、質問をいたします。よろしくお願いいたします。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 本件につきましては、去る二十四日の早朝、尖閣諸島の魚釣島に中国人の活動家グループが上陸するという事案が発生したわけであります。これを受けまして、沖縄県警察では同日、海上保安庁の協力を得まして、所要の人員を現地に派遣をし、上陸をしておった中国人男性七人全員を出入国管理及び難民認定法違反の容疑で現行犯逮捕をし、二十五日午前中までに沖縄県下の那覇警察署ほか三署に留置をしたところであります。

 他方、警察といたしましては、昨今の外国人犯罪の増加等の情勢の中、不法滞在外国人につきましては速やかに強制退去させることが望ましいというふうに考えておりまして、したがいまして、それまでの捜査状況等を踏まえまして、法務当局と協議をいたしました結果、一般論といたしまして、本件のような場合では入管法六十五条に基づく引き渡しを妨げるものではない、こういう回答を得て、その結果、沖縄県警察におきましても、現地の検察及び入管当局とも協議をし、引き渡し手続をとったものであります。

 以上でございます。

高木(毅)委員 質問の後段の方の、なぜ今この時期というようなところにまだお答えがないと思いますが、よろしくお願いいたします。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の不法上陸でございますけれども、我々の承知しているところでは、一部の活動家等が尖閣諸島に対する領有権を主張し、そして尖閣諸島への渡航、上陸計画について宣伝を行い、あるいは支援を行っているということが中国の中で行われている、そしてこれがまた、インターネットの中でもさまざまにホームページを通じて呼びかけが行われている、そういうことは承知しております。

 しかし、これは、尖閣諸島が我が国固有の領土であるということは歴史的あるいは国際法上も全く疑いのないところでございまして、我が国は現にこれを有効に支配しているわけでございます。したがって、そうした活動家の動きというのが、いずれにせよ尖閣諸島についての我が国の立場に何ら影響を与えるものでないことは言うまでもございません。

高木(毅)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、この事件の再発防止に対する現在の警備態勢と今後の対策についてお尋ねをいたします。

 報道等によりますと、現在、十二隻の船が、あるいはまた航空機が監視、警備を行っているということが言われておりますけれども、現在とっている対応について御説明をしていただきたいと思いますし、そうはいうものの、いつまでも将来にわたってこれだけの厳重な警備というわけにもいかないのかというふうに思いますけれども、将来にわたっても、もちろん、しっかりやらなければならないわけです。その将来に向けての対策というものをどのように考えているか、この点についてお尋ねをいたします。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 尖閣諸島の警備につきましては、今回の事案発生にもかんがみまして、現在、勢力を増強いたしまして警戒監視をしているところでございます。

 先生御指摘の、将来どうするんだという点につきましてでございますが、今回の事案の状況をよく検証、分析しまして、事前の情報収集やより迅速な対応措置などにつきまして、警備、警戒のあり方全般について再点検をいたしまして、改善すべき点が明らかになり次第、速やかに改善を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

高木(毅)委員 次に、中国に対します日本の抗議というものについてでございますけれども、先ほど外務大臣の発言にもございましたけれども、毅然と厳重に抗議すべき事件であることは、これは言うまでもないわけでございます。

 これまでも政府はいろいろな発言をなさっておりますけれども、改めてこの委員会の場で、これまで政府はいかなる抗議をしてきたかということ、あるいはまた、今後さらにどのようにこうした抗議ということについて対応していくのか。不法入国そのものも当然でありますけれども、さらには、テレビ等で、中国の国民が日本の国旗を燃やす、あるいはまた足げにするというようなことも出ておりましたので、そうしたことについての日本政府の対応というものもお聞かせいただきたいと思いますし、特に外務大臣は、三日、四日、訪中するというようなことをお聞きいたしておりますので、ぜひともこの場では、外務大臣の決意のほどというのも改めてお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、三月二十四日、本件が起きまして直ちに活動を行いまして、午前、竹内外務事務次官が武大偉在京中国大使を招致いたしました。そして、その場で、尖閣諸島が我が国固有の領土であるという我が国の立場を改めて明らかにした上で、本件についての遺憾の意を表明し、厳重な抗議を行った次第でございます。

 さらに、二十四日の夜、二十五日の夜におきましても、武大偉中国大使が竹内次官を来訪した際に、竹内次官より、我が国の領土において違法行為が行われている、これは法律に従って処理されるというのがまさに法治国家として当然であるとして、逮捕された七名については国内法令に従って処理するということを説明したわけでございます。

 そしてまた、この遺憾な事態に対して、二十六日の夕刻、日中外相電話会談が行われた際に、川口大臣より、尖閣諸島に関する我が国の立場を述べ、そして、活動家七名の扱いについて、我が国の法令に基づいて処理されているということを説明し、類似の事案の再発防止を強く求めたところでございます。

 まさに我が国の領土において違法行為が行われているということ、これについて、法律に従って処理するということが何よりも大事なことでありまして、今回の上陸事件という遺憾な事態についても、国内法令に従って適切に処理されたということで承知しております。そして、今後とも中国側に対しては、類似の事案の再発防止を強く求めていくということは当然でございます。

 さらにまた、委員御指摘のとおり、この機会に、日章旗が焼かれるという非常に遺憾な事態がございました。これにつきましても、中国側に直ちにこのことについての遺憾の意を表明し、こうしたことが起こらないよう中国側において適切に対応するよう強く求めたところでございます。

 今後とも、そういうことで努力をしていきたいというふうに思っております。

川口国務大臣 けさほど議運で、来月の三日、四日の私の訪中について御了承をいただきましたので、今度の土曜日と日曜日、北京に行ってまいります。そして、その際には、今回のことにつきまして明確に我が国の立場について述べることを行ってまいります。我が国の立場というのは、もちろん領土問題についてもございますし、それから先ほど委員の御指摘になられた、国旗を焼いたことということも含みます。そして、再発防止について述べてきたいというふうに思っております。

 その上で、二国間の会談でございますし、日中関係ということでございます。未来志向型の日中関係ということをずっと我が国としては、そして中国もそうですが、述べてきているわけでございまして、そういった見地で将来の日中関係等々について議論をしてきたいというふうに思っております。

高木(毅)委員 二度とこういった事案が起きないように、しっかりと引き続き政府として対応していただきますことをお願い申し上げまして、この魚釣島の件につきましては、質問をこの辺にさせていただきます。

 次に、テロ対策についてお尋ねをいたします。これは前回の委員会でも出ていたわけでございますけれども、もう少しぜひお尋ねをしたいと思います。

 まず、新幹線の警備について、前回もございました。新幹線は、言うまでもなく、まさに日本の象徴というようなものですから、インパクトも非常に、テロの的としては、変な言い方ですけれども、まさにうってつけというふうに考えてもいいかと思いますし、多くの民間人が被害を受けるということは、これはもう明らかでありますから、非常に標的になりやすいというふうに私は考えております。

 現在も多くの警察官の方が乗り込んで、あるいはまた駅で警備をしていただいているというふうに言われておりますけれども、私は、毎週地元へ帰るのが東海道新幹線でございまして、毎週乗っているわけでありますけれども、言われるほど、余り警察の方の姿を拝見しないようにも思います。私は「ひかり」でございますから、もしかしたら「のぞみ」にいっぱい乗っているのかなというふうな思いもないわけではありませんけれども。

 果たして、どの程度の人員でこの対応をしているのかということをまずお聞きしたいと思いますし、私は、やはり新幹線という、先ほど来申し上げているとおり、まさにテロの対象に最もなりやすいものでありますから、さらにさらにこの新幹線に対するテロ対策、警備というものを深めるべきだというふうに思っております。今後、そのような仕組みを考えていらっしゃるのか、ぜひそのようにしていただきたいんでありますけれども、この点について御質問をいたします。よろしくお願いいたします。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 列車テロに対する対策ということでございますが、さきに発生いたしましたスペインのマドリッドにおける同時多発列車爆破テロ事件、これにつきましては、当初はETA、「バスク祖国と自由」という犯行の可能性があるというような見方が強かったわけでございますが、その後、イスラム過激派による犯行である可能性がある、むしろそちらの方が強いのではないかというような情報もございまして、私どもとしましても、重大な関心を持って、現在、海外の治安機関とも連携しながら、さらに情報収集に努めているというところでございます。

 ところで、私どもの方は、米国同時多発テロ事件以降、全国警察におきまして警戒警備を強化してきたところでありますけれども、特に鉄道施設等に対するテロの未然防止という点につきまして、こうした事案を踏まえまして、全国に対してさらに警戒警備を徹底するよう通達を発したところでございます。

 具体的には、機動隊員を運用いたします。あるいは、警備犬を活用して駅構内の巡回の強化、あるいは鉄道駅における警戒の強化ということでございます。また、鉄道警察隊員や機動隊員の運用による列車警乗の強化等、列車内における警戒の強化を行っております。他方、警察車両によるトンネル、橋梁等重要施設に対する巡回強化など、沿線や重要施設の警戒強化も行うとともに、自主警備体制の徹底ということ、あるいは関係情報及び不審情報の通報等、鉄道事業者に対する自主警備強化の要請を行い、事業者においても強力な協力をいただいているところであります。

 先生御指摘の新幹線につきましては、まさに高速で走行しておりまして、列車テロにつきましては、航空機のテロと違いまして、テロリスト側も極めてアクセスがしやすい、どこからでも入りやすいし、どこからでも出やすいということでございますし、他方、乗客を全員手荷物チェックをするとかということは、事実上不可能な状況でございます。ただいま申し上げましたとおり、警察としては、できる限り列車警乗その他等の要員、通常は鉄道警察隊員だけでございますけれども、機動隊員も動員をしてやっているところでございます。

 数はどれだけかということでございますが、必ずしもその数については明らかにしておりませんけれども、できるだけ頻度を高めるよう工夫を凝らしながらやっている。同時にまた、利用者の方にできるだけ不審な情報をいただけるよう、事業者等とも連携をしながら情報提供を呼びかけて、国民の協力を得ながら未然防止に努めてまいるということで、鋭意未然防止を図っているところであります。

 以上でございます。

高木(毅)委員 新幹線以外の電車等については次の質問で聞こうと思っていたんでありますけれども、少しお答えもいただきました。

 確かに、どの程度でという人員は明らかにできない、それはそれでいいんでありますけれども、私もさっき申し上げたとおり、やはり新幹線というのは、まさに日本の交通機関の象徴ですから、本当にねらうとしたらこれだと、私なら、変な質問ですけれども、私が仮にテロリストだったら新幹線をねらいます。だから、絶対に新幹線はそういう意味できっちりとやっていただきたいと思いますので、さらに人員をふやすなりいろいろな体制を組んで、しっかりとやっていただきたいということをもう一度申し述べておきたいというふうに思います。

 それから、さっきも言ったとおり、少しお答えもいただきましたけれども、新幹線以外の、特に地下鉄などの交通機関のテロ対策についても少しお話ししたいと思います。

 今もお話ございました自主警備というか、あるいはまたお客さんの協力というのが不可欠だという話でありまして、私も、普通の地下鉄だとか都内だとか走っている電車の警備というのは、本当にこれはもう限りがあると思います。どれだけやったって、それはもうできるものではありませんから。そうしたときに、やはり国民の、いわゆる乗客の自覚とか協力とか、そういったようなものが不可欠でありますし、逆に言うと、もうそれしかないのかなというふうにさえ思っております。

 最近よく、電車に乗りますと、いわゆる車内アナウンスで、不審な物、あるいはまた不審な人を見たらしっかりと通報していただきたいというのがあるわけでありますけれども、なかなか周りにそういった駅員の方あるいは警察官がいらっしゃらないという場合もあるでしょうし、それからやはり、本当にそうなんだろうかと何となく思っても、届けることがなかなかできないというのが普通の人間だろうというふうに思っております。

 さはさりとて、やはり乗客の協力を得ないと警備はできないということでありますから、ぜひ当局としても、その辺のことをしっかりと踏まえて、あるいはまたそういったことが盛んに行えるような体制を組んでいただきたいというふうに私はこの場でお願いをしたいんであります。

 最近多くなったアナウンスにこたえて、いわゆる乗客からの通報、そういうものの数とか、最近やはり、こういったときになったからふえたとか、こういう事例があったとか、これもまた答えにくいと思いますけれども、実はこんな役に立った例があったんだというようなことがあるならば、ぜひこの場で少しそんなお話をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の地下鉄等の公共交通機関につきましても、これは対策としては新幹線に対する対策と基本的には同じでございまして、自主警備の実施を強くお願いいたしますとともに、私どもにおきましても、パトロールや警乗等を行っているという状況でございます。

 なお、不審者、不審物の通報につきましては、さきのスペインの鉄道爆破テロ事件以降、全国で十一件情報が私どもの方に寄せられているところであります。内容につきましては、車内に段ボールが置かれているがおかしいとか、あるいは車の座席の下に液体の入ったビニール袋が置かれたままであるとか、こういった具体的な通報をいただきまして、その都度警察官による確認等を行っておりますが、これらいずれも、事件として問題のあるものではなかったということでございます。引き続き、こういった情報が得られるということが極めて重要でございますので、事業者等とも協力をし合いながら、協力の呼びかけを鋭意強力に進めていきたいというふうに考えております。

 なお、この機会でございますけれども、こうした真摯な情報をいただく反面、実は爆破予告電話であるとか、そういったこれに類する通報も寄せられております。これらに対しましては、私ども警察といたしましても、現場で検索をするとか等々やっておりますが、そのほとんどは、すべていたずらと思われる事案も発生しているという状況でございまして、こういった悪質ないたずらにつきましては、場合によっては事件送致もするということも視野に入れながら対策をとる一方、なお、繰り返しになりますけれども、利用者等の皆さんに情報提供をいただけるよう呼びかけてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

高木(毅)委員 もう時間がなくなってきましたけれども、もう一点、テロ対策について、原発、これも前回委員会で出ましたが、要するに、海上保安庁やあるいはまた警察が守っている、しっかりやっていただいている、これはそれでいいんでありますけれども、私は地元に実は十五基の原発がございまして、できましたらやはり自衛隊の方もそれと一体となって警護していただきたいということ、これは深く言いませんけれども、述べておきたいと思います。

 きょうは、ちょっと違う視点で提案をしたいんでありますけれども、それはいわゆる原発のサイトだとかあるいはその周辺を明るく照らす、こういったことも私は大きな、テロを警備する対策の一つになるというふうに思います。

 今でも玄関へすっと入っていくときに、いわゆる原発のサイトの中へ入るときに、さっと明るくなるというようなことはあるようでありますけれども、そういったものじゃなくて、今言ったように、原発に山あるいは海というのはあるわけですから、そういったところも含めて、何かあったときにはぱっとそれが、野球のナイターのようなものと思っていただいたら結構かと思いますけれども、ぜひそんなようなこともやるのはいかがなものかなというふうに思っておりまして、ぜひ政府としてこういったようなことにも、事業者と一体となって進めていただきますことを、これはもうお答えは結構でございます、時間がございませんので。ぜひそんなような要望もさせていただきたいというふうに思います。

 それから、イラクの話もちょっとしたかったんでありますけれども、というのは、いよいよ五百六十人の陸自の方がサマワに入って本格的な復興支援をやっているわけでありますけれども、やはり、聞いておりますと、イラクの方では随分雇用というか日本の経済というものに期待するところが多いわけであります。その中で、今百五十人ほど現地の方を雇用しているというふうにも聞いておりますけれども、今度、国連開発計画というところと協力して、一日千五百人ほど雇おうというような計画もあるやに聞いておりますが、これは本当にすばらしいことだな、ぜひ実現をしていただきたいと思うんであります。

 そのことについて、政府の取り組み、あるいは具体的な計画ということについてお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。

古田政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども、十五億ドルの無償資金協力についてコミットしてきておるわけでございますが、これまでに、電力、教育、水、衛生、保健等の生活基盤の再建、治安の改善に重点を置いて八億五千万ドルほどの支援を実施決定いたしております。その過程で、御指摘のような雇用拡大効果にも十分配慮していくということでやらせていただいております。

 お話のありましたUNDPでございますが、一つは、昨年五月に実施を決定して、その後着実にやっておりますが、復興雇用計画、約六百万ドル、七億四千万円を使いまして、バグダッドにおいて、浄水場、下水処理場の修復、維持管理、学校の修復、瓦れき除去、ごみ収集等の作業をイラク人を雇用して実施するものでございまして、昨年夏からことしの一月末までに、一日当たり六百八十人の雇用拡大に寄与いたしております。

 さらに、先般発表させていただきましたが、新たなUNDP経由の復興雇用計画でございます。約十七億円、千五百数十万ドルでございますが、イラクの南部、北部におきまして、上下水道の復旧、ごみ収集、清掃等のプロジェクトを実施することによりまして、これらが本格化しますれば、一日当たり三千人以上、特にサマワを含むムサンナ県においても、少なくとも数百人の雇用拡大効果があるというふうに見込まれております。

 また、このほかに、国連の人間居住計画、UNハビタットを通じまして、学校再建事業、コミュニティー再建事業を行っておりますが、これにつきましても、学校整備あるいは生活インフラの整備を通じて、イラク全土で一日当たり二千人程度の雇用拡大を期待しているというところでございます。

高木(毅)委員 時間がなくなりましたんですが、外務大臣、ひとつ最後に拉致のことについてお願いをしたいと思います。

 実は、六カ国協議あるいはまた二国間の高官協議でやっていただいておりますけれども、なかなか進まないわけでありまして、地村さんは私の地元でもありまして、時間がないと。とにかく、子供がもう大きくなって、卒業だとか就職だとか結婚だとかいうときを控えているというようなことでありまして、ぜひ私は、この場で提案というか、お願いしたいんでありますけれども、ぜひ私は、外務大臣にこの際北朝鮮に行っていただいて、前進をしていただきたいなという思いがございますので、ぜひお願いをしたいと思います。できたら、一言でもお話しいただけたらと思います。

川口国務大臣 拉致の問題の解決につきましては、政府を挙げて引き続き全力を尽くしてまいりたいと思います。

 その中で、私が行くことというふうに御提案をいただきまして、これは政府全体として、一番いい方法を一番いいときにとっていくということであると思います。私が行くことによって問題が前進をする、あるいは解決の芽が見えるということであれば、私はいつでも行く用意がございます。ただ、今の時点では、まだそういう段階ではないかなという気がいたしておりますけれども、そういう段階であれば、私として行きたいというふうに考えております。

高木(毅)委員 終わります。ありがとうございました。

小此木委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 私も、安全保障に係る諸問題につきまして質問をさせていただきます。

 昨年の十二月十九日、閣議決定として「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」という文書が発表されたわけでございます。私は、日本の安全保障政策の中でも大変重要な文書、また重大な方針を策定したものと受けとめておりまして、この文書を中心に質疑をさせていただきたいと思っております。

 まず、この文書は、弾道ミサイル防衛、いわゆるBMDシステムの導入の決定を正式に表明したわけでありますけれども、これは大変長い議論があったことはもう皆様御承知のとおりでございます。レーガン大統領時代から、SDI構想と言われ、もう二十年を超す議論の歴史があるわけでございますが、まさか、そのころにおいて、日本にもこのシステムを導入するとは私も思ってもみなかったわけなんですけれども、現実問題、日本の近隣、特に北朝鮮において、核兵器開発疑惑あるいはまたノドン、テポドン等の発射実験あるいは配備等の問題で、現実を直視した場合には、やはり日本の安全保障において、そういった大量破壊兵器、特にミサイルの攻撃に対して抑止力に空白があるという重大な問題がやはり痛感されたということがこの発端であろうかと思っております。そういった中で、このシステムがいわば導入を決定されたわけでございます。この文書においても、このシステムは純粋に防御的なものである、専守防衛の枠の中のものであるということが強調されておりますけれども、そういったことで決断に至ったと説明があるわけであります。

 私も、それぞれいろいろな問題が当然あったわけで、特に三つの大きなテーマがあったと思っておりまして、一つは技術的な可能性の問題、命中精度の問題ですね。壮大なシステムを導入してもおもちゃじゃしようがないわけで、実際にこれが命中精度が十分高くて、現実に使えるものでなくてはならないということ。それから二つ目にコストの問題で、開発当初は膨大な費用が要ったわけで、とても日本でこんなことは導入にたえられないと思っておりましたが、その後のいわば研究開発の進展によって負担可能な現実的なレベルまでコストが下がってきたということも大事な要因だと思っております。さらに三つ目に戦略的安定性を害さないかどうかという問題、すなわち、このシステムを導入したことによって周辺国が軍拡競争に巻き込まれないか、それを惹起しないかといった問題があったわけでございますけれども、こういった問題点についてもきちっとした回答が得られた、そういう懸念はないということでこの導入になったと私も承知をしておりまして、このBMDシステム導入につきまして、私自身もこれは必要なものであるというふうに判断をしているわけでございます。

 そこで質問なんですが、現実にこのシステム、これから導入されていくわけですけれども、いわゆるイージス艦によるものと、それからパトリオットミサイル、二段階のシステムになっておりますが、これの導入、全面的に膨らますには時間がかかると思いますが、とりあえず段階的にこれが稼働可能な時期、これがいつなのか、そして全面的にシステムが稼働する時期がいつなのかという点につきまして、まず御説明いただきたいと思います。

石破国務大臣 先般お認めいただきました来年度予算におきまして、いよいよそれを進めていく、BMDシステムを導入していくということになります。これは先生よく御案内のとおりで、ウエポン、センサー、指揮統制システム、これがすべてそろいましてフル稼働というか、そういうようなことになります。

 これは注文したらすぐ届くなんぞというものではございませんで、どういうことになるかと申しますと、まず、PAC3の一個ユニットは平成十八年度末に配備をされるということになっております。その他のシステムは平成十九年度以降逐次配備されることになりまして、システム全体が配備できますのには少なくとも八年程度を要すると現在考えておるところでございます。抑止力という観点からもこれは急いでいかなければならないと思っておりますが、現在のところ申し上げられますのは、システム全体の配備には少なくとも八年程度かかるというふうに考えております。

遠藤(乙)委員 次の問題は、統合運用の問題だと思います。

 これはすなわち、いわゆるSM3、イージス艦のシステム、これは言うまでもなく海上自衛隊の問題である。他方、PAC3の方は、これは航空自衛隊の所管であるわけでありまして、この緊密な統合運用のシステムがなければワークしないということでありますので、この点、具体的にどのように統合運用を進めていくのか、これにつきましての御説明をお願いしたいと思います。

石破国務大臣 全く御指摘のとおりであります。SM3は海ということになりますし、PAC3は空ということですし、加えて、陸にも役割を担ってもらうということはあるのだろうと思っています、被害の極小化という意味においてでございますが。

 そうするとどういうことが考えられるかといいますと、あくまで一例でございますけれども、空自の航空総隊司令官をBMD任務部隊司令官といたしまして、海自のイージス艦を含みます護衛艦部隊、あるいはパトリオットシステムを運用します空自の高射部隊、あるいはセンサー及びバッジシステムを運用いたします空自の警戒管制部隊などの部隊を一元的に統制をさせる。航空総隊司令官にこのようなもの、ウエポン、センサーあるいは指揮通信というものを一元的に運用させるということが考えられると思っております。

 これは統合的に運用しませんとシステム自体が動きませんので、今のは一例でございますが、私は、こういう形が一つの例として、今後さらに一番いい運用というものを目指して統合の中で議論をされ、確立をされるというふうに思っております。

遠藤(乙)委員 次の問題点は、迎撃命令の問題だと思います。

 現実問題を考えますと、例えば北朝鮮からミサイルが発射されて我が国領土に到達するまでに七、八分から十分以内という非常に時間的制約の中で対応しなければならない。その間に探知し、着弾点を計算して迎撃するという、非常に時間との競争の中でのいわば軍事問題になるわけでございます。非常に難しい問題。他方、当然のことながら、シビリアンコントロールという厳にこれは貫かなければならない問題があるわけでございまして、このシビリアンコントロールの厳守ということと、それから、限られた時間の中で対応し、国民の生命財産を守るという非常に難しい問題でありますが、この点、どのような法的枠組みを含め、技術的にこれを解決していくのかということを聞きたいと思っております。

 例えば、報道によりますと、自由民主党の国防部会・防衛政策小委員会の提言原案によりますと、BMDにおける迎撃権限を防衛庁長官に委任することが盛り込まれたという報道を私は見たわけでありますけれども、この点も含めまして、政府としてどのようにこういった問題を考えているか、御説明をいただきたいと思います。

石破国務大臣 これは実は大問題でありまして、システムを運用する場合にどういう法的根拠を持って運用するかということはきちんと詰めておかなければいけません。そのときに、防衛出動という枠組みを使いましたときに、本当に七、八分で防衛出動の枠組みで対応できますかということがございます。飛んできたミサイルを撃ち落とすという行為は一体何なのだという議論がそもそもございまして、それが我が国に対して本当に明々白々武力攻撃である場合、あるいは衛星だと称してそんなものが飛来してくる場合、いろいろなケースがございます。それにどのように対応するかということをすべての場合にシミュレーションして、精緻に組み立てていかねばならないということになります。

 そうすると、防衛出動と今の枠組みでいった場合にどうなるか、あるいは新たな体系を起こしましてミサイル防衛出動みたいな概念をつくるとしたらどうなるのか、あるいは領空侵犯措置類似の法体系をつくるとなればどうなるのか、それぞれ検証してみなければならないことだと思っています。その際重要なのは、先生御指摘のように、文民統制あるいは議会の関与とのあり方をどうとるかということになってまいりますので、そこもあわせて考えなければいけないのだと思っております。

 どういう形が一番望ましいのかというのは、私は、文民統制ももちろん大事です、しかしながら、あわせて、国民の生命財産というものに被害があってはどうにもならないわけでありまして、そこの整合をどうとるかというお話なのだと思っております。どういう形がいいか、私どもも今政府全体で議論をしておるところでございますが、どうか、議会におきましても有益な御教授を賜ることができれば幸いに考えております。

遠藤(乙)委員 いろいろな選択肢について御説明いただいて、大変感謝をしたいと思います。私も大変この問題は重大な問題だと思っておりまして、ただ、一つの今後の課題は、ぜひそういった実効性のある対処方針を決めなくちゃいけないとともに、やはり国民、国際的にも十分に説明して、透明性を持たせて、こういうときは必ずこういうふうに対処します、あくまでも専守防衛の枠内ですということを国内的にも国際的にもきちっと説明することが、東アジアの安定にとって大変重要なポイントだと思いますので、その点も含めてきちっと議論をお願いしたいと思っております。

 続いて、日米間のBMDシステムの連携という問題なんですが、この十二月十九日の文書では、日本が独自に対処するというふうに書かれておりますが、多分これは、集団的自衛権の問題に入り込まないようにという配慮のもとでそういう表現になっていると思いますが、現実に、システムの効率を考えれば、やはり米国の早期警戒衛星等々、米国の構築したシステムとの連携を十分に図ることが効率的であることは言うまでもありませんし、現実問題、十分以内に対処するという中にあって、特に探知の面で、米国の早期警戒衛星の能力に頼らざるを得ない面があるのではないかと私も思っておりまして、こうなると、現実的には、必ず日米連携によるBMDシステムの運用という問題が出てくるだろうと私は思っております。

 そんな中で、たまたま、自衛隊の発射したミサイルが米国に向かって発射されたミサイルを撃つようなことになれば、これまた集団的自衛権に触れることになってしまいますけれども、そういった日米のBMDシステムの連携という問題とこの憲法上の問題、どのように整理され考えておられるか、この点につきましても御説明を得たいと思います。

石破国務大臣 先生御指摘のように、このBMDの議論を日本の中で本格的にし始めて十年ぐらいがたつのだろうと思っております。当初の段階で、早期警戒衛星というものがなければBMDシステムそのものが動かないのではないかという議論がございました。幾ら日本がBMDと申しましても、静止衛星たる早期警戒衛星からの情報がなければ、正確に撃つということは不可能ではないかというお話がありました。

 自来、議論がいろいろ進展をしてまいりまして、技術も進歩いたしまして、我々のシステムで、アメリカの情報がなくても自己完結的にこのシステムは運営できるということになりましたが、しかしながら、アメリカの早期警戒衛星の情報が有益である場合も当然ございます。その情報に基づいて、情報も加味をいたしまして、総合的にいろいろな判断をいたしまして、我が国を防衛するためにBMDシステムをワークさせるということは、集団的自衛権とは何の関係もある議論ではございません。その場合に、米国の情報に基づきまして撃ったといたしましても、集団的自衛権に抵触する問題ではないと考えます。

 他方、アメリカへ向かって飛んでいく、あるいは第三国に向かって飛んでいく、そういうミサイルを撃ち落とすということは、それは集団的自衛権ということになるのだと現在整理をいたしておるところでございます。

 したがいまして、我が国が導入いたしますBMDシステムは、先ほど申し上げましたように、あくまで我が国を防衛することを目的といたしておりまして、第三国の防衛のためにこのシステムを活用するということは、現在のところ全く考えておらないところでございます。

遠藤(乙)委員 では、次は防衛計画大綱の見直しの件に触れたいと思いますが、やはり十二月十九日の閣議決定の文書において、BMDシステムの導入を決めた上で、「将来の予測し難い情勢変化に備えるため、本格的な侵略事態に対処するための最も基盤的な部分は確保しつつも、我が国周辺地域の状況等を考慮し、」陸海空それぞれの在来型兵力、通常兵力と言ってもいいんでしょうけれども、それを削減する、「適切に規模の縮小等を図る。」ということを表明いたしておりますが、定性的な方向は明確になっているとしても、定量的にどうなのか、これも戦略上重要な問題です。

 単に定性的な方向だけでは戦略にはならないと思っておりまして、定量的に大体どれぐらい削減をしていくのかということも重要な要素であると思っておりまして、現時点での考えで結構なんですが、こういった陸海空の在来型兵力をどの程度の規模縮小していくのか、お考えを聞きたいと思います。

石破国務大臣 定性的なお話はいいのですが、定量的にどう考えるかということであります。

 それは、まさしく現大綱、今用いております大綱と今と何が違ったのかといえば、それは、一つは、非対称的脅威というもの、それはアクターにしても実際に行える対応にしてもそうですが、これが変わってきましたねということがある。それから、本格的な侵攻事態生起の可能性が低くなりましたねということがあります。そうした場合に、まさしく陸海空、いろいろなものがあります。在来的な、いわゆる通常型のという言い方は私は必ずしも正しいかどうか自信がありません、現在持っておりますようなものです。これをどのように削減していくかということは、本当にそれぞれが合理性を持った議論をしなきゃだめなんだろうと思っています。それは、何に、どのようなために、どのようなものを、どれだけ、どこに、どのようにして置くのかということについて、それぞれの検証がなければならないだろう。

 同時に、統合運用というものを考えたときに、それはどうなっていくのだということについて、潜水艦にしても、固定翼航空機にしても回転翼にしても、戦車にしても、あるいは船にいたしましても水上艦にいたしましても、そういうことを抜本的に考えていかなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。

 したがいまして、どれをどのようにということを今ここで申し上げるだけの状況にはございません、あわせまして厳しい財政事情ということもございます、そこら辺を全部勘案いたしまして、私は、一つのストーリーとしてきちんとしたものを確立しなければだめなのだというふうに現在認識しておるところでございます。

遠藤(乙)委員 今の問題と関連をしまして、本格的な侵略事態に備える、対処するための最も基盤的な部分を確保すると言っています。これも、今の議論の裏返しになるんだと思うんですけれども、この点につきましてもあわせてお考えを伺いたいと思います。

石破国務大臣 最も基盤的な部分とは何だと言われますと、閣議決定におきましては、我が国の存立を脅かす本格的な侵略事態への備えについても、我が国周辺の状況などを十分に見据えつつ、引き続き配意し、将来の不確実性に備えて所要の戦闘技量と高度の技術水準の維持を図るため、最も基盤的な部分を確保することが必要である、こういうふうに申し上げておるところでございます。

 その最も基盤的な部分って何でしょうかということについて、これも、定性的に言えますけれども、じゃ定量的に何なのだということは、やはりきちんと明らかにしておく必要はあるだろう。そこにおいて重要なのは、今までエキスパンドということが言われてきました。基盤的なものを持っていて、いざというときにエキスパンドするということであって、だから基盤的なのだという議論もされてきました。そうしますと、エキスパンド能力というものをどれだけ持っているのかということもあわせて検証しないと、相当に無責任な話になってしまうだろうと思っております。

 しかしながら、他方、では、弾道ミサイルとテロにさえ備えておけばいいのかといいますと、実は自衛隊は弾道ミサイルとテロに対する能力は万全でございましたが、従来型の脅威につきましては全くだめでございましたということになりますと、これは話にも何もならないわけでございまして、そこもあわせて議論をきちんとしなければいけない。

 まさしく、先生御指摘のように、定性的な話はいいのだけれども、これを定量的にはどのようにして、どのような裏づけによって確立をするかということが重要であると考えております。

遠藤(乙)委員 時間も限られております。最後に一問だけ御質問いたします。

 イラクに派遣されている自衛隊の方々のことなんですが、我々としては、何としても所期の目的を達成し、無事に帰ってもらいたいということで、今までは安全確保ということをさまざまな角度からいろいろな委員会で我が党の議員が質問してまいりましたが、きょうは、それに加えまして、健康管理の問題、心のケアの問題ということをぜひ提起したいと思っております。

 雪の北海道から灼熱のサマワへということで、大変な肉体的な負担といいますか、ストレスにさらされているものだろうと推察をしますし、また今回、特に女性隊員も十一名ですかね、参加をされておられまして、イスラム社会でいろいろな制約、文化的制約等の中でストレスを感じているだろうというふうに推察をしているわけで、そういった現地で任務を背負い活躍をしておられる自衛隊の方々の健康管理の問題それから心のケアの問題、ぜひともこれを重視して、皆さんが元気いっぱいに帰ってこられるような体制をとってもらいたい。

 ちょっとテレビを見ておりましたら、何か、給水車に冷房がついてない。これはちょっと確認をしておりませんので何とも言えませんが、そんな報道もあったようでございまして、やはりぜひ後方支援、そういった国の重要な任務を負って国際平和のために活躍をする自衛隊員の後方支援には遺漏なきを期して、本当にそういった活躍する人たちを見守って、健康管理の面、心のケアの面も含めて、最大の配慮をしていただきたいということをお願いしたいと思っておりまして、この点につきましての防衛庁長官の考え方をお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 今までのPKO派遣とは全く違う状況であります。また、インド洋とも違うと思っています。そういうことで、体験することというのは、PTSDとそのまま同じような状況が現出すると考えておるわけでは決してございませんけれども、自衛官たちが体験する状況というのは、少なくとも今まで我々が考えてきたものとは全く違う状況で活動しているということは事実でございます。

 したがいまして、メンタルヘルスケアということにつきまして、考えられる限りのことをやっております。カウンセラーに指定された者が派遣される隊員に対しての対応を行う、あるいは医官もそういうような知識を持っている、あるいは派遣される期間をどのようにするかということもございます。あわせまして、家族との連絡がきちんととれるということも重要なことであります。

 そういうようなことで、何しろ初めてのことでございますので、これで万全というわけではございません。常に家族の皆様方に対するケアも含めまして、行く自衛官たちができるだけベストな状況で任務が完遂できるように、私どもとしては努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 給水車に冷房がついていなかったかどうか、ちょっと私も今現在記憶がございませんが、かなりの車両について冷房の装備というものも新たに施しております。ただ、すべてがエアコンつきのカンファタブルな車ということには相ならないのかもしれません。

遠藤(乙)委員 隊員の安全確保、それから今申し上げました健康管理、心のケアを含めて最大の支援、配慮を重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

小此木委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内であります。

 きょう、私、安保委員会のメンバーではないんですけれども、この大変重要な委員会である安保委員会で、委員長そしてまた理事の先生方にお許しをいただいて、発言をさせていただく機会をいただいたことに感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 私は、SACOの最終報告等について質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、別な委員会で外務大臣にお尋ねをいたしまして、SACO最終報告の予定していたものと現在進んでいる計画については違いがある、変更がありますねということで確認をさせていただきましたらば、違いがある、違っているということの御答弁をいただきました。

 SACO最終報告は、平成八年の十二月、日米の四閣僚で確認をされたわけでありますが、これが、沖縄県あるいは名護市等の意向もあり、普天間代替施設の整備内容については変更があった。それを受けて、平成十四年の十二月に、2プラス2でこの普天間の移設、返還、そしてまた代替施設の整備内容に関して変更を確認しているということでございます。

 そうすると、一言で申し上げるならば、SACO最終報告というのは、普天間の移設、返還に係る部分については、その代替施設の整備内容について変更があったということでよろしいでしょうか。まず、確認をさせてください。

川口国務大臣 少し丁寧にお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、普天間飛行場の移設、返還問題につきましては、SACOの最終報告が出た後、海上ヘリポート案がとんざをした、そういったこと等の経緯がございました。それで、平成十一年の稲嶺知事による移設先の候補地の表明、そして岸本名護市長による受け入れ表明を受けまして、この年の末に政府として方針を閣議決定いたしたわけでございます。

 そして、その後、この閣議決定に基づきまして、沖縄県知事、名護市長等の地元の地方公共団体も参加をいたしました代替施設協議会が開かれ、そこで二年間にわたりまして協議を積み重ねてきたわけでございます。その結果といたしまして、平成十四年の七月になりまして、普天間飛行場の代替施設の基本計画が決定をした、こういう経緯があったわけでございます。

 そして、このような過程におきまして、稲嶺知事を初めとする地元の御要請を踏まえまして、当初の米軍専用ではなくて、軍民共用飛行場を念頭に置きまして整備を図るということとするなど、代替施設の具体的な整備内容について変更が生じたということは事実でございます。

 それで、他方で、辺野古沖における代替施設の整備による普天間飛行場の移設、返還が、普天間飛行場の重要な軍事的機能及び能力を維持しつつ、普天間飛行場を返還し、普天間飛行場に所在をする部隊、装備等を沖縄県における他の米軍施設・区域に移転をするというSACO最終報告の趣旨に合致をしているという点には、何らの変更もないということでございます。

 基本計画に基づいた代替施設の取り組み、これは沖縄県民の御負担を軽減するというSACOの最終報告の目的に沿ったものでございまして、SACOの最終報告の着実な実施に向けた努力であるというふうに考えているわけでございます。

 なお、一言つけ加えさせていただきますと、2プラス2、これがSACOの最終報告を承認いたしましたわけでございますけれども、それは平成八年だったわけですが、平成十四年の十月二十三日に開かれました普天間実施委員会の報告を受けまして、平成十四年の十二月に、基本計画の策定に際しましてSACOの最終報告の目的に沿って両政府が緊密な協議を行ったということを評価するとともに、基本計画に基づいて迅速に移設を進めるということを確認いたしているわけでございます。

 ちょっと長くなりまして、失礼いたしました。

川内委員 大変御丁寧な御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 一言で要約をさせていただくならば、SACO最終報告の目的あるいは趣旨の範囲の中において、普天間移設、返還に係る部分について、その代替施設の整備内容について変更があったということで、それではよろしいでしょうか。

川口国務大臣 普天間飛行場の代替施設の具体的な整備内容について変更が生じたということは事実でございますけれども、これがSACOの最終報告の趣旨に合致をしているという点は何らの変更もないということでございます。

川内委員 今の私のまとめでよろしいというお言葉をいただきました。

 それでは、SACO最終報告の目玉は普天間の移設、返還であるという過去の国会の答弁がございますけれども、それは現在でも、この普天間の移設、返還というのはSACO最終報告の目玉だという思いは変わっていらっしゃらないかということをお尋ねさせていただきます。

川口国務大臣 これは過去において、例えば当時の防衛庁長官の国会における御発言だと思いますけれども、そういった移設、返還であるという答弁があったということは承知をいたしております。

 それで、これの意味でございますけれども、これは、普天間飛行場の移設、返還がSACO最終報告の最も大きな課題の一つであるというふうに認識をしているということでございまして、現在においてもこの認識に変更はございません。

川内委員 SACO最終報告の目玉だという意味は、SACO最終報告の最も大きな課題であるということの意味であるということでございます。

 それでは、このSACO最終報告、平成八年十二月二日のペーパーは、私が外務省さんからいただいたペーパーは全部で十ページございます。この十ページのうち、後半の四ページがすべて普天間の移設、返還に係る部分になっております。そして、この部分は「SACO最終報告の不可分の一部をなすものである。」というふうに書いてございます。

 SACO最終報告の目玉が、あるいは最も大きな課題が普天間の移設、返還である、その移設、返還そしてまた代替施設の建設、その整備内容について変更があったということは前々からお認めになっていらっしゃるわけですが、SACO最終報告の最も大きな課題である普天間の部分について変更があった、整備内容について変更があったということは、私は、平成十四年の十二月の2プラス2でSACO最終報告の見直しをしたというふうに素直に言うべきではないかというふうに申し上げているんです。いや、見直しという言葉は絶対に使いませんということを外務省はおっしゃるんですけれども、素直に、見直した、あるいは変更したということをおっしゃられた方がいいのではないかと思いますが、ちょっと外務大臣の御所見をいただきたいというふうに思います。

川口国務大臣 まず最初に、私が先ほど申しましたのは、最も大きな課題の一つということを申し上げているので、最も大きな課題だというふうに申し上げているわけではございません。

 それから、既に申し上げましたように、代替施設、これの具体的な整備内容、これに変更が生じたということは事実であるということでございまして、その他方で、これも先ほど申しましたけれども、SACO最終報告の趣旨、それはすなわち、移設、返還が、普天間飛行場の重要な軍事的な機能及び能力を維持しながらこの飛行場を返還し、同飛行場に所在をする部隊、装備を沖縄県における他の米軍の施設・区域へ移転をするということですが、それには何らの変化もないということでございます。

 それで、米側との関係においても、先ほどこれも申し上げましたが、そもそも、平成八年に2プラス2が開かれたわけですけれども、平成十四年の十月に開かれた普天間実施委員会の報告を受けて、十四年の基本計画の策定に際しまして、SACO最終報告の目的に沿って両政府が緊密な協議を行ったことを評価するということを、米側の関係におきましてもこれを評価しているわけでして、そして、迅速にこの基本計画に基づいて移設を進めるということを確認しているということでございます。

 これは、基本計画、地元の地方公共団体も参加をしてずうっと二年間協議を積み重ねてきた、積み上げてきた、その結果策定をされたものであって、沖縄県民の御負担を軽くしていく、御負担を軽減するというSACOの最終報告の目的に沿ったものであるというふうに考えております。

 これをSACO最終報告が見直されたということでないというふうに申し上げていますのは、SACO最終報告の着実な実施という意味で、これは、まさに今申し上げたような具体的な整備内容の変更というのは趣旨に沿っているということで、この趣旨を踏まえているということでありますので、そのように申し上げているということでございます。

川内委員 SACO最終報告というのは、先ほど私が申し上げたように、具体的な整備内容を含めて、全部で十枚と申しましたけれども、紙をいただいています。そのうちの四枚が普天間の移設、返還並びに代替施設の整備内容にかかわる部分であり、これはSACO最終報告と不可分のものである、一体のものであるという注意書きがついている。

 そうすると、十ページのうち四ページの部分が全く新しいものに変わったということは、そんなに気になさらなくても、私も、もちろん外務大臣がおっしゃるように、SACOの趣旨とか目的とかいうものを否定しているわけではなくて、SACOの最終報告の目的と趣旨に沿う範囲でSACO最終報告は見直されたということを素直に言わなければいけないというふうに思うんですよ。

 だから、SACOの目的、趣旨に沿う形でSACO最終報告は見直された、この私の文章はいかがですか。

川口国務大臣 見直しではないというふうに申し上げていますのは、確かにその具体的な整備内容、そこに変更が、先ほど申し上げたような、これは恣意的に変更したということではなくて、沖縄の県民の方の、繰り返しませんが、御要望等がございまして、そして地元と協議を積み重ねて行ったということで、そのような形での具体的な整備内容についての変更というのがあったということは確かだけれども、SACOの目的としていることの趣旨、これには全くそのとおりであるわけでございまして、そういう意味でこれはその趣旨に合っている、したがってSACOの最終報告の見直しということではないというふうに申し上げているわけです。

川内委員 いや、ですから、私はSACO最終報告の見直しと言っているんではなくて、SACO最終報告の目的、趣旨に沿う中でSACO最終報告は見直されたという、ですから、目的と趣旨に沿う中でというまくら言葉をつけているわけです。

 では、逆の聞き方をすれば、SACO最終報告、平成八年の十二月二日のこの文書の中に示されている普天間の代替施設の整備内容というのは、SACO最終報告の一部ではないと外務大臣はおっしゃいますか。

川口国務大臣 当然に一部でございます。

川内委員 であれば、この整備内容に変更があったわけですから、具体的な代替施設の整備内容について変更があったということはお認めになられているわけですから、SACO最終報告の目的と趣旨に沿う範囲の中でSACO最終報告は見直された、あるいは変更されたという、この言葉を否定されるのはおかしいと思います。

川口国務大臣 逆に、委員がどうして見直されたという言葉にこだわっていらっしゃるのか、必ずしもはっきりいたしませんけれども、それはずうっと、繰り返しませんけれども、いろいろな経緯があったというわけでございます。

 もう一度、大事なことですから繰り返させていただきますけれども、まず、その経緯として、これは、普天間飛行場の移設、返還問題についてSACO最終報告が出された後、海上ヘリポート案がとんざをする等の経緯はございましたけれども、平成十一年の稲嶺知事の移設候補地の表明等々がございまして、それから名護市長の受け入れがあったわけでして、この年の末に政府の方針を閣議決定したということでございます。それで、地元の公共団体の方々、稲嶺知事ですとか名護市長が参加をした形での協議をずっと積み重ねていった、その結果として基本計画ができたわけでございます。

 そういった経緯、これは非常に大事な経緯であるわけでございまして、そしてまさに、その軍民共用飛行場を念頭に整備をするということは、稲嶺知事を初めとする地元の方の要請であったということでございます。

 そういう意味で、まさに、具体的な整備内容に変更が生じたということは事実でありますけれども、SACOの趣旨、これは、軍事機能及び能力を維持しながら県内の他のところに移す、施設・区域へ移転をするというこのSACOの最終報告の趣旨に合致をしているということは何ら変わっていない。何ら変わっていないということでございますので、私としてはそのように申し上げているわけです。

川内委員 だから、今外務大臣がいみじくもおっしゃったように、SACOの最終報告の趣旨には合致していると。SACOの最終報告の趣旨には合致しているけれども、SACOの最終報告どおりではないということなわけですから、私が申し上げているとおり、じゃ、てにをはをまた若干変えましょう。

 SACO最終報告の目的と趣旨の範囲の中で、SACO最終報告は普天間の代替施設に関する部分について見直された、あるいは変更があった、これではどうですか。

海老原政府参考人 私からちょっと事実関係を一つ御指摘させていただきたいと思いますけれども、これは、SACO最終報告は当然のことながら日米間の文書であるわけでございますけれども……(川内委員「文書じゃないでしょう」と呼ぶ)いや、この最終報告を承認したということですね。

 それで、これについては、先ほどからも大臣から御答弁申し上げていますけれども、二〇〇二年の十二月の日米安全保障協議委員会で、これについて、基本計画に基づいて移設を進めることを確認したとありますけれども、今言葉の問題をおっしゃっていますけれども、ここの共同発表の中で、ちょっと読ませていただきますと、「閣僚は、沖縄に関する特別行動委員会」これはSACOですが、これの「最終報告の実施に関する両政府のコミットメントを再確認した。」というふうにございまして……(川内委員「平成十四年ですね、それは」と呼ぶ)そうですね、二〇〇二年の十二月の共同発表でございますけれども。

 したがいまして、これは何も日本の政府だけではなくて、米国政府の認識も、これはあくまでもこの基本計画も含めてSACOの最終報告の実施というふうに観念をしているということで、それを見直しと言うかどうかというのは、若干言葉の問題もございますけれども、基本的には、日米両政府ともSACO最終報告の実施ということで、基本計画において、確かにSACO最終報告と比べまして、普天間につきましては、例えば軍民共用となったとか整備内容に変更があったのは先ほど大臣が申し上げたとおりでございますが、それはあくまでもSACO最終報告の実施という枠の中だということで日米両政府ともとらえているということでございます。

川内委員 いや、だから私もそれを全然否定していないじゃないですか。SACO最終報告の趣旨並びに目的に沿う中でSACO最終報告は見直されたんですねということを、先ほどから繰り返し繰り返し、くどくどと申し上げているわけで、言うならば、今読み上げられた「閣僚は、」以下の文章ですけれども、最終報告の実施に関する両政府のコミットメントを確認した、SACO最終報告の実施をしていこうという両政府の意思なりあるいは約束なりを確認したと。

 ただし、「閣僚は、普天間」、ただしが抜けていると思いますけれども、「閣僚は、普天間飛行場代替施設の基本計画策定に際して、」というようなことで、普天間については、ここから以下違うことが、SACO最終報告で平成八年に決めたものとは違うことをしますよということをここでまた最後に「確認した。」というふうに書くわけですから、これは、SACO最終報告の趣旨、目的に沿う中でSACO最終報告は見直されたということを言わなきゃ、それはそうですと言ってくれなきゃ議論にならないと思いますけれども。それは違いますと言われても。

海老原政府参考人 普天間飛行場の移設につきましては、今委員がおっしゃったとおり、ここに、今度は基本計画に従って実施していきますということがはっきり書いてあるわけです。

 私が申し上げたかったのは、そこも含めて、日米の間では、SACO最終報告の実施と。SACO最終報告を見直しこれを実施するとか、例えばそういう言い方ではなくて、SACO最終報告そのものの実施というふうにとらえて、それの枠の中で、普天間飛行場については、整備内容の一部に変更を加えた上で基本計画をつくって、これに基づいてやっていきましょうということを再確認した、認めたということを申し上げたかったわけで、あくまでも、普天間については当然変更があるわけで、それを改めてここで確認をしたわけでございますけれども、それも含めて、日米の間では、言葉の問題ですけれども、SACO最終報告の実施と。SACO最終報告を、例えば見直した上で実施するとかそういう言い方ではなくて、最終報告の実施という言葉でとらえているということを申し上げたかったわけでございます。

川内委員 言葉の問題とおっしゃるけれども、言葉が一番大事だと、石破長官もよく言葉の定義が大事だというふうに何かおっしゃっているのを私もテレビでよく拝見して、なるほど、そうだなと思ってきょうの質問に臨んでいるわけですけれども。

 SACO最終報告というのは、このいただいた十枚のペーパーで、これには具体的な整備内容が、普天間の代替施設について書かれている。これを最終報告という。これは、日米の四閣僚、一人はモンデール駐日大使ですけれども、サインもしている。サインがあるとかないとかは関係ないんだと外務省さんはおっしゃるけれども、とにかく、そういう、政治的には重い重い文書であるということだと思うんですね。

 その文書が、しかもこのペーパーの二割を占める部分が変更された、具体的な整備計画について変更されたというのは、それは、SACO最終報告の趣旨を遂行することがSACO最終報告なんだと言われれば、それは私も、なるほど、そうなのかなと思いますけれども、しかし、厳密な言葉を使えば、SACO最終報告の目的と趣旨に沿う中でSACO最終報告は平成十四年の十二月に2プラス2の日米四閣僚会合の中で見直しがあった、あるいは変更をされたというふうに素直に言わなければおかしいと思うんですけれどもね。苦しいでしょう。

海老原政府参考人 SACO最終報告の中で普天間飛行場の移設に関する部分が非常に重要な部分をなしていると、先ほど大臣からも最も重要な課題の一つだということでしたので、今委員がおっしゃったこと、前半については私は全く異議がございませんで、おっしゃるとおりだと思うんです。

 だからこそ、その重要な課題である普天間飛行場の移設について整備内容に変更があったということで、これは同じ日米安全保障協議委員会の場で、やはり日米の間でしっかりと確認をしておかなければいけないだろうということで、二〇〇二年の十二月の委員会で、ここまではっきりと共同発表で、基本計画に基づいてこれから迅速に進めていくということを再確認したということで、そこについては、我々全く認識を川内委員と同じにしているということだと思います。

 あと、言葉の問題だと。確かに言葉は大事なんですが、我々は、先ほど申し上げましたように、先生がおっしゃるような趣旨に沿った、いわば基本的な方針ですから、SACOの最終報告は。それに沿ったということであれば、それは言葉としては、最終報告の実施という言葉でとらえようということで、日米の間に相違がないということを申し上げたかったわけでございます。

川内委員 それでは、お認めいただけないんであれば、外務大臣とかあるいは防衛庁長官もそうだと思うんですが、所信の表明などで、あるいは国会の答弁などでも、SACO最終報告の着実な実施という言葉をよくお使いになられると思うんですけれども、私は、正確に、SACO最終報告の趣旨の着実な実施とか、あるいはSACO最終報告の普天間の移設、返還に係る部分を除くその他の確認された事項の着実な実施と、並びに平成十四年十二月の日米四閣僚により確認された普天間代替施設の建設とそれに伴う普天間の移設、返還の着実な実施というふうに、正確に所信表明などでもお言葉をお使いになるべきではないか。

 ただ単にSACO最終報告の着実な実施と言うのは、余りにもちょっと、いいかげんという言葉を使うと失礼かもしれませんが、余りにもざくっとした言い方で、何をどう実施するのかよくわからないということになると思うんですけれども、この辺はいかがですか。

川口国務大臣 まさに、この共同発表文にございますように、SACOの最終報告の実施に関する両政府のコミットメントをこのときに再確認しているということでございます。日本政府として、SACOの最終報告をきちんと着実に実施していくという立場であるわけでございまして、これを申し上げている、そういうことであるわけです。

川内委員 いや、ちょっと私の頭が悪いのかもしれないんですけれども、SACO最終報告というのは、この平成八年の十枚の紙で、普天間のことについて、「海上施設」と書いてあって、滑走路が千三百メートルとか施設の長さが千五百メートルとか、すごくいろいろなことが書いてございまして、工事の仕方まで三工法書いてあったりして、これがSACO最終報告だというふうに思うんですね、素直に考えれば。これがSACO最終報告で、これを着実に実施する。

 だけれども、今外務大臣あるいは局長がおっしゃられるのは、いや違うんだ、SACO最終報告の趣旨は着実に実施をするという意味なんだ、それが確認をされているんだという言い方をされているんですけれども、だったら、SACO最終報告の趣旨はと、趣旨とか目的とかいう言葉を入れなきゃ所信表明演説なんかもおかしなことになると思いませんか。SACO最終報告はこっちなんですから、こっちを実施すると言っていることになるんじゃないですか。

 だけれども、外務大臣は私がそう言うと、いや、それは平成十四年の十二月に日米四閣僚によって普天間の代替施設の部分については変更されているんだというお答えをされるんでしょうけれども、それであればなおさらのこと、そこを認めていらっしゃるんであれば、SACO最終報告の趣旨、目的に沿う中でSACO最終報告は平成十四年の十二月に見直された、変更されたということを認められたらどうかなと思いますけれども。

 私は、SACOの見直しを認めたからといって、ほら認めたとか、やあとか言うつもりは一切ないですよ。ほらみろとか言う気は全然ないですよ。ただ、言葉の使い方として、SACOの最終報告の趣旨、目的に沿う中でと、ちゃんと私も気を使って言っているわけですから、それは、なるほど、そうだなと言ってくださいよ。

海老原政府参考人 先ほどちょっと委員が、こういうふうに所信表明なんかでも言ったらどうかということをおっしゃいまして、ちょっと私全部覚えておりませんけれども、ただ、基本的には、SACO最終報告の着実な実施というふうに大臣がおっしゃるときに、その意味するところは、先ほど委員がおっしゃったこととほとんど変わらないんじゃないかと思います。

 SACO最終報告、特に普天間飛行場の移設に関しては、整備内容に一部変更があったということは事実でございますから、だからそこも含めた、それで、そこの変更の内容は、SACO最終報告のそもそもの趣旨というか基本的な骨幹というか方針というか、そういうものとは相入れないものではないというところもはっきりしておるわけでございますから、そういうところの変更部分も含めたSACOの最終報告の現在の形というものを着実に実施していくという趣旨であって、その辺は、もし、何か誤解が生じやすいということであれば、今後私どもの方でも気をつけていきたいというふうに思っております。

川内委員 今局長に、今までとはちょっと違う御答弁をいただいた。変更をされた現在のSACO最終報告の形というお言葉をお使いになられて、私もそれであれば、なるほど、そうだなというふうに思いますので、これからは、SACO最終報告ではなくて、変更を含むとおっしゃったんだ、整備内容の変更を含む現在のSACO最終報告の形という言葉をお使いいただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 こんなところでこんなに時間を使う予定は全くなかったんですが、次に、使用期限問題なんですけれども、きょう、瓦先生もお運びいただいておりまして、防衛庁長官時代に、普天間飛行場の代替施設の使用期限問題については、これは国内問題だという認識を、私も実は一部そういう認識を持っている部分もあるんですけれども、この使用期限について国内問題だというふうに当時の防衛庁長官がお示しになられたことについて、今でもその認識は変わっていないのかということをお尋ねさせていただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 瓦先生、今御在席でいらっしゃいますが、私どもの認識といたしましては、瓦長官の当時の御発言というのは、普天間飛行場代替施設使用期限の問題は米国とではなく専ら沖縄と調整すべき問題であるとの認識を示したものではなく、すなわち国際問題ではなく国内問題であるとの認識を示したものでもなく、普天間飛行場の移設、返還問題、さらには沖縄の基地問題について、日本政府として沖縄県及び地元地方公共団体とよく相談をしながら全力で取り組んでいく必要性があるということを述べたものであるというふうに承知をいたしております。

 このような考え方につきましては、瓦長官からも、同日の衆議院安全保障委員会において、沖縄の問題については我々が沖縄県民に対して理解を得るとの努力が十分であったかさらに考える旨、あるいは十五年使用期限問題については平成十一年十二月二十八日の閣議決定の線に沿ってその趣旨を訪米の際伝え、政府全体でこれらを重く受けとめて取り組んでいく旨述べておるところであります。

 すなわち、国内問題であって国際問題じゃありませんよというようなことを瓦長官は述べられたものではないというふうに私は認識をしておりますし、現在政府の立場も同一であります。

川内委員 結構でございます。

 続いて、石破防衛庁長官にお尋ねをさせていただきます。

 平成十六年二月二十六日、ことしの二月二十六日、衆議院の安全保障委員会、当委員会で、仲村先生からの質問に対して、ラムズフェルド長官が普天間基地をごらんになって、ともかく、先生がおっしゃいますように、こんな町の中に飛行場があるということは、これは住民にとっても、あるいは米軍にとっても危険なことである、早急に何とかしなければならないというような趣旨の発言があった、これはラムズフェルド長官の発言。これは報道で承知いたしております、しかしながら、ラムズフェルド長官がその後で、代替施設建設が進まないので、代替施設なしの返還ということも考えるようにというような、そういうような趣旨の御発言をなさったということは、私どもも聞いておりませんというふうに、この当委員会で石破防衛庁長官は発言をされております。

 これは、両方ともこの発言は報道での発言の紹介でありますけれども、前段については、ラムズフェルド長官がそういう御感想を述べられたということを報道で承知しているということでよいのか。後段については、報道でそういうことが報道されていることは知っているけれども、そういうような発言をしたということを確認していないということなのか。前段と後段とに分けて御答弁をいただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 先生の質問の御趣旨がちょっと正確には理解しかねるところがございまして、恐縮です。

 まず、二月二十六日に仲村先生からの御質問がございました。仲村先生の御質問は報道された内容に関する御質問であり、ラムズフェルド長官の発言に仲村先生が御言及になったというふうには認識をしておらないところでございます。

 私が申し上げたかったのは、そのように報道で、長官がこれはもう何とかしなければならないというふうに御発言になったということは承知をしておるわけでございます。その後の、代替施設を考えない返還ということにつきまして、報道があったかどうか、その点につきまして、今記憶が定かではございません。

 いずれにいたしましても、私ども政府といたしまして、そのようなことを米政府から、いかなるルートにおきましても、いかなる段階におきましても、具体的に聞いたことはないということでございます。

川内委員 質疑の時間が終了いたしましたので、残念ながらこれ以上質疑をすることができないんですけれども、残念です、終わります。

小此木委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 本日は、我が国と自衛隊を取り巻く諸情勢について、三点ほど伺いたいと思っております。まず初めにパレスチナ情勢について、そして二点目に鳥インフルエンザ対策、三点目に尖閣列島問題という三点の問題を伺わせていただきます。

 初めに、パレスチナ情勢でございますけれども、ハマスの精神的な指導者でありますヤシン師が殺害されまして、その後継者に、強硬派であるランティシ氏がなる。その一方で、アラファト氏の暗殺をも含め、自治政府、これに対してもそうですし、それからハマスの幹部のせん滅作戦という指令がイスラエル政府から出されているという状況の中で、我が国のイラクでの復興支援、これに対する影響について外務省がどう分析されているのか、伺いたいと思います。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 ハマスはイスラエルの占領に抵抗するパレスチナの組織でございまして、自爆テロ等その他の活動の直接の対象はイスラエルに向けられておりまして、自爆テロ等の活動は、イスラエル及び占領地に限定されております。

 他方、今度のヤシン師の殺害の結果、中東諸国全体におきましてイスラエルに対する反発が急速に強まっておりまして、今後、イスラエルがハマス幹部の掃討作戦を強行するなどの場合には、こうした反発が加速化されることが予想されます。

 また、ハマスのガザ地区指導者でありますランティシ氏は、ブッシュ大統領を、イスラエルと並んで、イスラムの敵と位置づけていることも留意する必要があると思っております。

 イラクの国内情勢について申せば、今のところ、ヤシン師殺害事件がイラク国内情勢に対して大きく影響しているという状況にはございません。しかし、先ほど申しましたような事情もございますので、今後のイスラエル、パレスチナの動向がイラク国内情勢に及ぼす影響については、注視していくことが必要だというふうに考えております。

 また、我が国のイラク人道復興支援の活動をスムーズに進めていくためにも、中東和平問題について、その解決のために全力を尽くす必要がございます。当事者に対する働きかけ、対パレスチナ支援を初めとしまして、我が国としても、最大限の努力を尽くしたいと考えております。

前田委員 では、防衛庁長官、同様に、パレスチナ情勢の緊迫化、これが我が国の自衛隊のイラク復興支援に与えます影響をどう分析されて、また、現地の自衛隊にどのようにそれに対しての御指示をなさっているのか、伺いたいと思います。

石破国務大臣 今、外務省からお答えがありましたとおりだと思っています。

 自爆テロというのは、現在のところ、イスラエルあるいはイスラエルの占領地内ということに限定をされておるわけでございます。ですから、その自爆テロなるものの影響が我々に対してあるということは、現在のところは非常に考えにくいということであります。そして、反イスラエル感情というものがそのままダイレクトに我々に伝わってくるかといえば、そういうような報告は受けておりませんし、そういう状況だとも思っておりません。

 しかしながら、この問題というのには極めて注意をしながら、現場の状況もきちんと把握をし、適切な指示を出すということには常に留意しておることでございまして、今回の事態を受けまして、さらにそこに重い配意をしていかねばならないと思っておる次第でございます。

前田委員 現地の自衛隊に対してはどんな御指示をなさったか、再びお願いします。

石破国務大臣 具体的な指示の内容を個別具体的に申し上げるということは、これは国会の答弁の場においていたさないことにいたしております。

 ただ、こういう事態を受けまして、よりいろいろな情報について、より正確な情報というものをより早く入手しなければいけないというふうに私自身は認識をしておるところでございます。

前田委員 私は、せんだってできました習志野にありますテロ対策部隊、テロ対策群ですか、そちらからもぜひイラクの自衛隊へ、これは警備という意味で行ってもらいたいような気持ちでおりますけれども、とにかく自衛隊員の命がかかっておりますので、これは本当に重ねて慎重にお願いしたいと思います。

 次に、鳥インフルエンザ、この対応に自衛隊が派遣されております。あわせて、自衛隊のNBCテロ対策、つまり、核・生物・化学兵器テロへの対応について伺いたいと思います。

 京都府船井郡の丹波町における鳥インフルエンザ、これに対して、今回は、自衛隊法八十三条に基づく災害派遣と、それから、二十四年ぶりということで、同百条にあります土木事業の、京都府からの委託ということでこの派遣が行われておりますが、自衛隊の活動を今考えますと、非常にもう多岐にわたっておりまして、本来の防衛出動、治安出動、機雷除去、海上警備行動、もちろん災害派遣もありますね。それから、サッカーのワールドカップ大会でブルーインパルスが曲技飛行をされたり、南極基地の観測に協力されたり、あるいは札幌の雪祭りに協力されたり、余りにも仕事が多岐にわたり過ぎている。これは、一つ一つがもちろん意味のあることではございますけれども、今、こうしたイラク支援のような国際協力業務がこれからますます重要になってくるときにおきまして、また国内においても、国民保護法制のことをこれから議論するに当たりましても、地方自治体とそれから自衛隊と、その役割分担の明白な規範、一つのルールをしっかりとお示しになる必要があるのではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それはおっしゃるとおりだと思っています。

 確かに、鳥インフルエンザに関して言えば、何に基づいて出るのだという議論を私どもでもいたしました。実際に、これは先生も御承知のことと存じますけれども、やはり民間であれば何日もかかるものが、自衛隊が出たことによって、皆徹夜で吹雪の中やったわけでございますけれども、極めて短期間に仕事ができたということで、地元からも非常に感謝をされておるわけでございます。その場合の根拠となりました法律は、先ほど先生が御指摘になったとおりであります。

 私どもが考えなければならないのは、自衛隊という公共財を使いますときに、これはむやみやたらに使えばいいというものではない、イラク派遣もそうでございますが、自衛隊でなければできないということが私は一つのルールなのだと思っております。今回の鳥にいたしましても、本当に自衛隊でなければできないのか、自衛隊でなければ所期の目的が達成されないのかということが一つのメルクマールだったと思っております。私どもは、繰り返しになりますが、こういうような自衛隊という国民の公共財を使いますときに、そのことはよく心していかねばならないことでございまして、この点は地方自治体にも御理解をいただきたいと思っております。

 なお、雪祭りについて申し上げれば、これは、私どもは広報という考え方をとっておるわけでございまして、必ずしも非代替性のみがメルクマールというわけではございません。南極観測でありますとか広報でありますとか、それぞれ条文上根拠を持って行っておることでございます。

前田委員 ともあれ、非常に多岐にわたっていることが明らかでございますので、ひとつ整理をする規範を私はしっかりと要求したいと思っております。

 また、この鳥インフルエンザは人には感染しないというものの、自衛隊員の皆さんの健康管理は一体どうなっていたのか。あるいは、この防疫業務に自衛隊が派遣されるに当たって、非常に貢献度が高かった。ということは、これは、私は自衛隊員の士気にもいい影響を与えたというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

松谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の鳥インフルエンザ、京都府丹波町で発生したものでございますが、府知事からの委託及び要請を受けまして、今先生おっしゃられたとおり、相当数の自衛隊員がその処理作業等を実施したわけでございます。

 これらの隊員の健康管理についてでございますけれども、一般的に、派遣される隊員につきましては派遣の前後に臨時の健康診断を行うこととしてございまして、今回の派遣に当たっても、臨時健康診断を実施したところでございます。

 御存じのとおり、高病原性鳥インフルエンザの感染防御につきましては、医療用のマスクあるいはゴーグル、それから頑丈なゴムの手袋、防護服、長靴等を着用する必要がございますが、今回の防疫作業を実施する隊員につきましても、これらの措置を行ったところでございます。

 また、防疫作業を実施する隊員につきましては、予防接種などを行うとともに、医官一名を同行させまして健康管理を行ったところでございます。

 また、今回はそういうことはなかったわけでございますが、仮に隊員がインフルエンザの症状を呈した場合等を想定いたしまして、自衛隊阪神病院による診療のバックアップ体制もあわせてとっておくなど、その健康管理には万全を尽くしたところでございます。

 これらの活動による隊員の士気に与えた影響でございますけれども、一般的に災害派遣のような国民生活に密着した分野において自衛隊が活躍するということは、隊員に対して、日ごろから国民生活に役立っているという誇りと生きがいを与えるものというふうに考えております。今回の鳥インフルエンザへの対応につきましても、困難な状況の中で各隊員がみずからの職務に全力で対処したわけでございますが、これらの活動に対して、地元の自治体あるいは住民からも、多数の自衛隊に対する感謝の声が伝えられたと聞いておるところでございまして、隊員の士気の向上にもつながったものと考えているところでございます。

前田委員 では、今度、自衛隊におけるNBC兵器、先ほど申し上げたように核・生物・化学兵器によるテロの対策の現状、これを伺いたいと思います。

 特に自衛隊における生物兵器によるテロの対応能力というのは、これは非常にどんどんと向上してきていると考えます。生物兵器の対処部隊であります部隊医学実験隊もありますし、東京の三宿には自衛隊中央病院の充実が今現在図られているわけであります。エボラ出血熱、ペスト等感染症対応の感染病室、これを五百床のベッドで持っている、緊急時には千床の病院になるということなものですから、中央はわかりました。では、地方で、この自衛隊におけるNBC兵器対応ということはいかがでございましょうか。

西川政府参考人 お答えいたします。

 NBCテロ対策ということでございますが、こういうものが発生いたしました場合に、まず一つは、その事態、これは往々にしてあろうかと思われますが、一般の警察力ではとてもじゃないが対応できない、治安維持をすることができないというような事態があろうかと思います。こういう場合は、当方におきましては治安出動という形で部隊の出動をいたしまして、自衛隊の方では警察機関と緊密に連絡して対処します。例えば、それによって、テロリストの発見、あるいは鎮圧、重要施設の警備、それから被害拡大の防止、こういうことを全面的にやっていくということになろうかと思います。

 ただ、事案の発生によりまして、こういう治安出動の要件を満たさないという場合もあろうかと思います。こういう場合は、一つ、官庁間協力と申しまして、かつてサリン等ございましたが、警察から依頼を受けて、警察の人員あるいは装備等の緊急輸送、あるいは化学防護器材等の貸与等を行う。そのほかにも、災害対策、そういう一つの大きな枠がございますので、これによって救助あるいは救援活動などを実施する。とりわけ、NBCのテロにありましては、自衛隊の化学防護隊、それと衛生部隊、これを中心として活動することになろうかと思います。

 先生今御指摘の生物兵器の絡みにつきまして、生物剤がまかれたという場合につきましては、生物剤につきましては特に一定の潜伏期間というのがございまして、被害が出るまでになかなかそういうテロがあったのかどうか判断できないというような極めて大きな特色がございます。そういう意味では、一義的には医療機関等による対応というのがメーンになるか、こういうふうに思いますが、こういう際の自衛隊の具体的な活動としては、消毒等の除染活動、あるいは患者等の搬送、あるいは医療といったような活動を実施することになろうかと思います。ただ、こういう活動を行うに当たりましても、事前の予防措置等、あるいは活動を行う隊員の二次被害の防止を十分にしていく、こういうことを考えております。

 なお、現在、そこの災害派遣という枠組みでございますが、即応態勢の強化という格好で、全国の部隊で常時二千七百名の規模での要員、部隊員をもちまして二十四時間体制で待機をしておりますが、このうち、特に十五の隊で化学防護隊というのがございますが、ここで約三十名は、毎日、何かあった場合のために対応するという格好でやっております。

 防衛庁といたしましては、引き続き対応に遺漏なきを期してまいりたいと思います。

 なお、先生御指摘の病院等の関係については、ちょっと、うちの松谷の方から回答させていただきます。

松谷政府参考人 補足して答弁申し上げます。

 生物剤の関係で、自衛隊中央病院につきましては、平成十九年度開院を予定してございます建てかえを今考えておりますが、これを契機に、天然痘のように特に感染力が強い疾病に対応した感染症病室等を整備することとしておるところでございます。

 他の自衛隊病院等につきましては、現時点ではまだかかる設備を有しておりませんけれども、いずれにいたしましても、我が国でいわゆる生物テロが発生した場合には、今申し上げましたが、一義的には当該地域に所在する医療機関が対応することが多いかと思いますけれども、自衛隊病院といたしましても、大規模な被害が発生した場合には、隊法第八十三条の災害派遣等の規定に基づきまして、自衛隊病院等のその能力の範囲内におきまして、医療活動などを積極的に行って対応してまいりたいと考えております。

前田委員 今、自衛隊のNBC対応はわかりましたけれども、私は、これはもう緊急展開の部隊を持つべきである、例えば、危機管理上、日本版FEMAのようなものはしっかりとこれから必要ではないかというふうに考えております。

 今、鳥インフルエンザのことに関していろいろ伺いましたけれども、いつまたこうした感染症関係の対応を迫られるかもしれません。しっかりした準備をお願いしたいと思っております。また、天然痘のワクチンは、アメリカは全国民分をきちっとそろえた、まだ我が国はそれには及ばないという点もありますので、こうした点は、省庁間の御連絡を密にしていただいて、ぜひ御対応いただきたいと思っております。

 次に、我が国の尖閣列島の中国人の不法入国問題ということに当たらせていただきたいと思っております。

 皆さん、これは初めに、法治国家として厳格な対応をされるということで小泉総理は言われましたけれども、しかしながら、いざふたをあけますと、二泊三日で帰してしまっている。金正男事件のときもそうでした。これは入管法自体に問題があるんではないかとも思いますけれども、実際には日本外交の敗北であると私は思っております。国旗が焼かれている姿を見て国民の皆さんはどう感じたのか。あるいは、強制送還されるときに、犯人がタラップを上っていくときに、Vサインをして上っていった。これを見て日本国民はどう思うんですか。私は、こうした中国に対する日本外交の敗北を絶対にこれ以降続けてはならない、そう思っております。

 そうして、皆さん、私は、一つ驚くべき事実がありました。これは、私も先ほどこれを見て驚いたことは、中国外交の中心人物である阿南中国大使がそのときに中国にいない。皆さん、阿南大使は、アジア大洋州地域大使会議ということで、何と、二十二日に本国に戻ってこられて、それから、二十二、二十三と関係国会議員に対するブリーフィングといって、ぐるぐる国会議員の周りを回っていまして、その日に事件が起きているんですよ。我が国の領土が侵されて、真っ先に中国政府に行かなきゃいけない人間が、どうしてのこのこ日本にいるんですか。川口大臣、どう思われますか。

逢沢副大臣 事実関係について改めて申し上げたいと思いますが、今委員御指摘のとおり、阿南中国大使は、アジア大洋州地域の大使会議出席のために、二十二日月曜日、先週の月曜日でございますが、日本に戻り、その週は日本に滞在をしておりました。二十七日土曜日に中国に帰任をされたわけでございます。

 二十四日水曜日の早朝、中国人活動家が尖閣諸島魚釣島に不法に上陸をした、その事案が発生をしたわけでございますけれども、日本の固有の領土、これはもう歴史的にも、また国際法上にも何ら疑いのない固有の領土につき不法な侵犯、入国があった。冷静に適切に、日本の法令によってこの事案は処理をされたものと私どもは承知をいたしているところであります。

前田委員 私は、阿南中国大使が、いわば職場放棄ですよ、この大事な事案があるときに、どうして中国にいないんですか。ちょうど事件が終わってから、これは二十六日金曜日の夕刻に本国に送還していますね、終わって、土曜日に帰っていっているんですよ。これは厳重に注意すべき事項だと思いますよ。瀋陽の事件のときもそう、中国大使は何の責任もとっていない。今回、職場放棄をしていて、どういうように大使に対して注意されますか、川口大臣。

川口国務大臣 二十五、二十六と大使会議がありまして、そこで出席をするということで、そのときは帰ってきておりました。日本に帰ってきてからそういうことがあったということでございます。

 それで、私からは、二十五日に会議がありまして、二十六日も会議だったんですけれども、早く帰るようにということの指示をいたしておりますが、二十六日の夕方、この事件がそういう形で、七人が帰国をするということになりましたので、それはその時点で早く帰るということが、実際、二十六日中に帰るということにはならなかったということだと思います。

前田委員 私は、この職場放棄に対してどう厳格に処罰するかという話を伺っているんです。私は、これは更迭に匹敵するゆゆしき事項だと思いますよ。職場にいないんです。領土が侵されて、中国政府に真っ先に抗議しなきゃいけない人間が中国にいなかったわけですから、どうされますか。私は更迭を求めますよ、阿南中国大使の。

川口国務大臣 中国におきましては、実際に抗議をするということを臨時代理大使がきちんとやっております。それから東京においても、局長、次官、そして私ということをこちらでやっているわけでございまして、外務省全体としての仕事、抗議をしていく、この問題に適切に厳しく対応するということについては全く問題はなかったというふうに考えております。

前田委員 代理がいるから、代理がやったからいいという問題じゃありませんでしょう。やはり、その場にある人間がきちっとその職を全うするのが仕事でしょう。私は更迭に匹敵すべきことだと思いますよ。重ねて大臣、どうですか。

川口国務大臣 これにつきまして、大使の仕事、いろいろございます。二十五日の日に東京で会議をするということも非常に大事な会議でございまして、我々としても、中国との関係を東京でやっていくにつきまして、阿南大使がここにいたということは、プラスになった面もあったということだと思います。

 現地において、これは中国の外交部長も不在でありまして、実質的にも原田臨時代理大使が相手をするカウンターパートとの話であったということでもございまして、この問題に我が国政府としての対応全体を考えましたときに、これは問題はなかったというふうに考えております。

前田委員 向こうが代理だったからこっちも代理でいいやという、そういう考えの問題じゃないと思います。

 時間がありませんので、これはまた再び私は外務委員会でやらせていただこうと思っております。

 では、先に進めます。

 この尖閣列島の問題は、平成十五年の正月に、一元管理のために土地所有者から二千二百五十六万円で我が国政府が借り上げて以来、極めて悪質な中国人民族主義者によって尖閣への接近を図られて、悪質な例として、私は二つを挙げます。その一つ一つに対して外務省がどう対応されてきたのか、一つ一つの対応が甘かったから、また今回のような失敗を招いてしまった。

 まず、昨年の十月九日、中国人活動家のグループが漁船で領海に侵入した。この事件に対して、事後、外務省が中国政府にどう対応されたかを伺いたいと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の平成十五年十月九日の件でございますけれども、中国人の活動家十名が乗船した船が尖閣諸島へ向け出航したということ、これが情報としてございまして、そして実際にこの船は最終的に領海まで侵入いたしたというのが事実でございます。

 その間に、外交ルートを通じまして、まず、こうした尖閣列島へ向けて出航した船を引き返すようにということを申し入れいたしましたし、そしてまた、遺憾ながらこれが実際に領海に入ってきたということで、直ちに出ていくようにということを強く、我が方の立場、これはまさに尖閣諸島が我が国固有の領土である、その立場をきちんと言った上で、中国側に対し、直ちに出ていくように、そういうことでの外交チャネルでの抗議をしたということでございます。そしてまた、実際に、領海退去後も、我が方から中国外交部に、こうしたことが再発しないようにということをおのおの外交チャネルで申し入れたということでございます。

前田委員 では、二番目の悪質なケース。これは、本年の一月十五日、中国人活動家二十名が乗った抗議船二隻、午後六時四十一分領海侵入、海上保安庁巡視艇退去を命ずる、七時ごろ抗議船より投石を受けたので、我が海上保安庁の方から船首に向けて放水、中国側はその後、ネットで二名がけがと発表。

 このケースについて、外務省は事後、中国に対してどう対応されたのか。外交チャンネルで抗議したという程度で、そういう甘いことをやっているから今回のような事例を招いてしまったんではないですか。この一月十五日の事件について、事後、外務省はどう対応されたのか、伺いたいと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の件でございますけれども、これは平成十六年の一月十五日の件でございます。そして、これも、一月の十四日、こういう船がまさに尖閣諸島へ向けて出航したという情報を入手いたしました。そして、私どもの方から、出航後直ちに、尖閣諸島へ向けて航行することがないように、その指導を中国側に強く求める、その際には、先ほど申し上げましたように、私どもの基本的な領土に対する立場を明確にした上でそれを強く求めたわけでございます。そしてまた、領海入域直後においても同様に、私どもの方から中国側に対し、直ちにこの領海から出ていくようにと。

 そしてまた、今委員御指摘のように、その後どうしたかということでございますけれども、これについても、まさに、こうしたことがあったことは極めて遺憾であるという遺憾の表明と、そして、自後再発しないようにということでの先方への善処を求めたということがございますし、その際にも、繰り返し繰り返し、これはまさに、尖閣諸島というのは日本の固有の領土であるということを、何度も立場を明確にした上でそういう行動をとってきております。

前田委員 そういう口先だけのことをやっているから今回の事例を招いたんですよ。

 私は、もうこういうあいまいな実効支配というのは絶対やめて、明白な実効支配のために尖閣に警備隊を常駐すべきではないかというふうに思います。実際に、この土地の所有者の古賀家が前にかつおぶしの工場を尖閣に持っておられたということで、ここは人が住めるところである。まあ確かに、政府は、借用地であるという一つの制限はありますけれども、私は、ここに警備隊を置いて、明白な実効支配という形にすべきだと思いますけれども、内閣官房、いかがですか。

加藤政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほどの御答弁にもございましたように、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いございません。現に我が国はこれを有効に支配しておるところでございまして、現に所有者がおりまして、現に国が賃借しております。そして、今回の場合、我が国の法理に従って処理をいたしましたということで、我が国が同諸島を有効に支配していることを内外に示すことがまずはできたというふうに思っております。しかしながら、今般の事案が発生いたしましたことについては、大変遺憾なことであるというふうに思っております。

 再発防止対策等につきまして、まず今般の状況をよく検証して、御指摘の警戒警備のあり方、これにつきまして、関係省庁の連携も大事にしながら、その方策等について今再点検を進めているというところでございます。

前田委員 ぜひ、明確なる実効支配のために、私はここに警備隊を置いてほしい。陸は警察、海は海上保安庁という区分はあるかもしれませんけれども、ここは一つの国境であります。ですから、厳格な形で警備に当たっていただきたい、それを望みます。

 実際、口先だけでいろいろ外務省がやっているから今回の事件を招いたわけで、警察にちょっと伺いますけれども、尖閣には顕彰碑が建っている。この顕彰碑に中国領と傷がつけられたというふうに報道されておりますけれども、今現在どうなっているのか。あるいは、政治団体がつくった灯台が破損されたということも伺っていますが、この辺はどうでございましょうか。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の顕彰碑等の損壊の状況につきましては、沖縄県警察から、今御指摘の顕彰碑、あるいは尖閣神社と称するものにつきまして、傷つけられたりあるいは倒壊をしている、こういう状況の報告を受けております。しかしながら、今回逮捕した七名とこうした状況との結びつきにつきましては特定に至っていないということでありまして、私ども警察といたしましては、引き続き捜査を続けてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

前田委員 私は、この顕彰碑に中国領と傷をつけられた、これは事実かどうかというのを伺います。どうですか。

米村政府参考人 中国領土と中国語で書かれていることは事実であります。

前田委員 このように、この事案が発生した次の日に沖縄県警が行かれてちゃんと現地調査をされているということ、そこで中国領土と書かれているということです。実際、これはゆゆしきことだと思いますので、口先だけで、抗議したとか外交チャンネルで対応しているとか、そんなことじゃなくて、厳格にここを守ってほしい、これは国民の要望であると思います。

 そして、もう今や中国は、我が国の援助対象になるような、供与国になるような国ではありません。大国ですよ。だから、小泉総理が顔色をうかがって急遽変えるわけでしょう。法治国家で対応すると言っていて、二泊三日で帰しちゃうわけでしょう。私は、今、対中ODAを凍結すべきであると思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。

 これは、外務大臣、この週末に訪中されるということでございますけれども、私は、その席で、対中ODAを凍結すべきだ、日本の国会でそういう声が上がっているということをぜひ伝えていただきたい。どうですか、対中ODA凍結について。

川口国務大臣 中国に対するODAにつきましては、これは経済協力の中期計画というものをつくりまして、それに基づきまして今やっておりますが、内陸部、そして環境問題、環境問題が六割弱、残りは人材育成ということで、それ以外の案件というのはないという状況で今やっているわけでございます。そして、一件一件審査をしまして、中国に裨益するというのはもちろんですけれども、我が国に裨益する、我が国にとっても資するというプロジェクトを選んでいるというのが現状でございます。

 例えば、我が国の地方公共団体等で、中国の省といろいろな取り組みを一緒にやっている、そういう中で例えば環境問題あるいは人材育成ということをやっているプロジェクトがありまして、そういったプロジェクトも選ばれているということでございます。

 中国に対する円借についていろいろな御意見があるということは私どももよく承知をしていますし、中国もそれについてはよく認識をしていると思います。

 ただ、今の中国に対する援助というのはそういう形のものでございまして、中国がその結果として、環境面でも、あるいは人材育成、人材という面でも、国際的に開かれた、そして安定的に発展をしていく国になるということは、我が国にとって、我が国の国益に資するということであるというふうに考えております。そういう意味で、中国とは、未来志向型の関係を築いていく上に円借ということは重要な役割を果たしていると私どもは考えております。

前田委員 私は、対中ODAを凍結せよと言っているんですよ。ぜひ、日本の国会でこういう意見があったというふうに先方に伝えていただきたい。とにかく、外交チャンネルで今まで言ってきたからとか、そんなことで我が国の領土は守れませんよ。これから厳重なる思いで尖閣問題に当たっていただきたい、中国に対しても当たっていただきたい。

 それから、先ほど言いました阿南中国大使の件は、これから党に持ち帰りましてまた対応させていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

小此木委員長 次に、小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。本日、私は、我が国の安全保障の問題について質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、イラクへの自衛隊の派遣について、危険を伴う困難な任務を毎日黙々と遂行する派遣隊員に対して、私は敬意を表し、そしてまた任務の無事を願うものであります。

 今、アメリカの兵隊さんの中にも、多くストレスを感じて、非常に孤独な砂漠の地での勤務ですので、自殺をする方もいるということで、その数がふえているということです。日本の隊員の方の精神面のケアということも、これは一つ大変心配な点でございますが、その点に関しましては、御家族も大変楽しみに無事の帰還を待っていることと思いますので、そのことについてはどのような精神的なケアがされているか、もしよろしければ教えていただきたいです。

石破国務大臣 先ほど遠藤委員にもお答えをしたことで、重複をいたしましたらば恐縮でございます。

 メンタルヘルスケアというものを重視しておる、カウンセラーに指定された者が隊員の中にはおりまして、心の悩みに適切に対応しておるということでございます。あるいは医官も、その点についての識見を有した者を派遣いたしておるということであります。

 あとは、留守家族の皆さん方と、携帯電話、あるいは電子メール、テレビ電話等々によってお話ができるような、そういう態勢も整えておるわけでございまして、現場において、そしてまた留守家族の皆様方に対するケア、そして現場と留守家族の皆さん方との連絡、そういうようなことで、あらゆる面においてメンタルヘルスケアを考えてきてはおりますが、委員御指摘のように、アメリカ合衆国とは状況が違いますけれども、いずれにいたしましても、今までに体験したことがない状況というものをオペレーションとしてやっておるわけでございますから、常に検証し、改善を図っていきたいと思っております。

小林(憲)委員 これは、今長官のお言葉の中にもありましたが、大変過酷な状況の中を、私たち日本の国と、そして国民と、そして世界のために、今自衛隊が派遣をされることになりました。

 その中で、現状は、国際情勢も含めまして、先ほど前田委員の方からもお話がありましたが、パレスチナでは、過激派のハマスの精神的指導者のヤシン師がイスラエル軍に殺害されて、収拾不能の大混乱が中東で始まろうとしている。イスラエルは、ハマスはアルカイダみたいなものであり、ヤシン師殺害はビンラディン殺害と同じだ、こう述べて、殺害の正当性を主張しております。

 どうも、米国の事前了解がなかったんじゃないかなという話もちょっと出ていますけれども、ごめんなさい、これは通告していませんが、こういう状況に今アラブ諸国が、親パレスチナの欧州はもちろんのこと、米国からもイスラエルに非難の声が上がっておりますが、外務大臣、日本の政府としても、これもアメリカと同じ姿勢でイスラエルに対して非難の声を上げているんでしょうか、どうでしょうか。教えてください。

川口国務大臣 政府といたしましては、この事件が起こりました後、すぐに談話を出しております。これは起こった直後に出したんですけれども、その後、次の日に、事態のその後の推移を見て、さらに強いトーンの談話といいますか、ステートメントを行っております。

 それから、私は、昨日の時点で、昨日だったと思いますけれども、イスラエルの外務大臣と電話で話をしました。これは、事件が終わった直後に電話で話をしたいということを申し入れてございまして、たまたまイスラエルの外務大臣がアメリカに行ったりしまして、両方の時間が合わなくて昨日になったということですけれども、そこで、イスラエルの行動について、日本としてはこれは非難をするということを申しました。そして、やったことのその意味合い、影響、これに対して思いをいたさない、無謀な正当化できない行動であるということを言ったわけでございます。

 それに対して、イスラエルは、ハマスはテロを行っている、ヤシン師は、その精神的なリーダーということではなくて、これはまさにテロを企画している、プロットしている、そういう責任者といいますか、人物であるというようなことを言っておりました。

 いずれにしても、我が国としては、パレスチナサイドも同時に、過激な暴力をコントロールすることが重要であるというふうに思っておりまして、それも、先般、パレスチナに伝えております。これも電話会談で伝えております。

 また、アメリカに対しても、私は、コーリン・パウエル長官と話をしまして、アメリカがこの問題について、中東和平のためにはロードマップしかないわけですから、ここに向かっての関与を強めることが非常に大事であると思いますということも伝えております。

小林(憲)委員 それでは、日本の国は、独立国家として、自分たちの判断として、外務大臣がおっしゃるように、イスラエルを非難したということで理解して、決して、アメリカに追従して、アメリカが非難したら日本も非難するんだということではないということで私は理解させていただきました。

 それと、外務大臣、では、現状は、バルカン半島で、セルビアとコソボの民族紛争が再燃を始めて、NATOが急増派しているんですよ。パキスタンでは国民の六五%がビンラディンを支持しているんですよ。パキスタン政府は、米国と連携してビンラディンをパキスタン領内で拘束あるいは殺害をしようと、自国民やアフガニスタン国民にたくさんの犠牲者が出るということをいとわずに、大規模な軍事行動を行っているんです。

 このことに関して、アメリカの政府は、NATO域外での米国のキーパートナーだと称賛しているわけですけれども、このことについては、外務大臣はどう思われますか。そしてまた、長官も、もしよろしければおっしゃってください。

川口国務大臣 パキスタンにつきまして申し上げる前に、テロに対して世界で取り組んで対応していく、テロを減らさなければいけないということはみんなの思いであります。そして、それは我が国も大変重要なことだと思っておりますし、ビンラディンについては、これはパキスタンの六〇%が支持をしているかどうか存じませんけれども、ビンラディンについては、御案内のように、アフガニスタンにおいて我が国は、テロ特措法を通していただいて、自衛のためにアフガニスタンでテロと闘っている各国の軍隊、これを支持しているという行動をしているわけでございます。

 パキスタンは、そういった我が国との関係では、例えばカーン博士の核のネットワーク等の問題というのは存在をします。これは、パキスタンという国ぐるみのことではなくて、カーン博士個人のネットワークであるというふうに説明を受けているわけでございまして、これについては、我が国としては、情報を引き続き我が国に出すようにということは言っております。その上で、パキスタンの国は、テロとの闘い、世界で一緒に取り組んでいるテロとの闘いという意味では、非常に重要な役割を果たしている国であると私は考えます。

小此木委員長 石破長官にも答弁を求めますか。

小林(憲)委員 はい。お願いします。

石破国務大臣 基本的に外務大臣と同じ考えであります。

小林(憲)委員 それでは、韓国の今現状ですが、イラク派遣軍が、韓国は米国の要請による北部キルクークへの派遣を治安悪化を理由にキャンセルしました。また、派遣軍三千人の中の百七十三人が志願放棄をしています。そして、驚くべきことに、韓国はこのほど南北国境線にロシア製戦車を三十両配備することになり、韓国は軍事的にも米国から離れてユーラシア大陸の国になりつつあるわけであります。また、中国もフランスとの共同海軍軍事演習を行っておりまして、極東の米国一極支配が目に見えて変化をし始めているということが私が指摘したい点でございます。

 ですので、このことに関しまして、今までの方針で、外務大臣の方も、今も何の検討もせずに、このアジアの状況が変わりつつあるんですが、変わらずに日本はいくというのか、それとも、いや、いろいろと周りを見ながら、これから日本も、アメリカに対する態度をちょっとずつは変えていって、独立国家としてのしっかりとした姿を見せていくんだと、どちらでしょうか、お教えください、外務大臣。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、韓国でございますけれども、基本的に大きな韓国の安全保障政策ということでございますけれども、これは引き続き、米韓同盟を基礎にして、そしてこの地域の平和と安定のために韓国政府としても努力をしていくということでございます。例えば、北朝鮮の問題もございます。そうした中で、六カ国協議で私ども一緒にやってきておりますけれども、基本的には、この地域、そして特に朝鮮半島でございますけれども、を中心としたこの地域の平和と安定のためにお互いに協力していきたい。その中では、やはりアメリカとの協力関係というのを非常に重視しているということ、これは盧武鉉大統領御自身ももちろん再確認されておられるところでございます。

 今委員御指摘のとおり、もちろん世界は変わりつつございます。そうした中で、おのおのの国が、この地域の平和と安定にとって何が一番大事なことであるか、そういう戦略的な視点を持って、複眼的に考えていかなきゃいけない。もちろん、韓国の中でもいろいろな意見があることはございますけれども、基本は私は変わっていないというふうに思いますし、また日本も、当然、この地域の平和と安定、そしてみずからの安全のために、今までもみずからで判断してきているというふうに考えております。

小林(憲)委員 今戦略という言葉をお使いになりましたが、まさしく、テロそして武力攻撃だけが戦略ではございません。もう既に日本も、リップルウッドや新生銀行のように、大変、経済テロというもので日本が壊滅させられておりますし、一つの国を壊滅するためにはいろいろな手段があるわけです。

 そこで、アジアの経済を見てみますと、韓国経済も大変な不況と物価高にあえいでいます。台湾も、総統選挙の結果が接戦であったことから、野党側が大規模抗議行動を起こして、特に投票日直前の陳総統が撃たれたのは自作自演ではなかったかと疑惑まで呼んで、株価指数が七%暴落して、またフィリピンの通貨ペソも最安値を更新した。政治、外交、そしてまた経済、すべての面で、今まで頼っていたアメリカというものが頼りにならなくなって、アジアは今大きな変化のときを迎えていると思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。それでも今私たちのアジアは、今おっしゃったように、アメリカを頼って今までどおりやっていけばいいんだ、そういうふうに、占領国家でもない日本がそう思うんでしょうか、どうでしょうか。

川口国務大臣 経済の専門家でいらっしゃる委員の御質問でございますから、なかなかお答えをきちんと申し上げるのが難しいのでございますけれども、アジアの国もさまざまあると思います。例えば、アジアの中でも一段とずば抜けて大きい中国、この中国の経済は非常に健全に今伸びているわけでございます。我が国の例えば中国との貿易関係を見ますと、昨年一年間で我が国の輸出は実に四〇%ふえている、輸入も二〇%ぐらいふえているということで、相互依存関係がずっと深まっているという状況にあると思います。

 中国は人口が非常に大きいわけですから、大変に大きなアブソーバーである。しかも、沿岸地域は二億人ぐらいの非常に高所得の人たちがいて、大変にアジア全体の経済発展にも資していると思います。

 そういった形で、私は、必ずしもアジアが世界の中で非常に問題を抱えている地域というふうには思っておりませんで、むしろ、世界の中で、非常に多様であり、かつダイナミックに発展をし続けている地域であるというふうに位置づけております。

 我が国がそういった国々ときちんとした、経済面におきましても、あるいは外交面におきましてもいい関係を持っていくということは、我が国自身の安全そして繁栄ということに重要な要素であるということでございまして、昨年の十二月に、これはASEANの初めての域外における首脳会議というのも我が国において開きまして、そして今後においての我が国とASEANの関係も確認をしたわけです。

 それで、アメリカと独立してというふうにおっしゃいますけれども、我が国はれっきとした独立国であって、主体的にアメリカとの関係も選んでいるわけです。そして、その主体的に選んだ答え、これがアメリカと同盟関係を結ぶということであるわけでして、また、アジアと我が国の関係を見ても、日本とアメリカの関係が非常にきちんとしている、アメリカもアジアに関与をしているということが、アジアにとっても大きな安心感でもあり、同時に発展の契機でもあるというふうに考えております。

小林(憲)委員 今スペインの方も、テロの結果イラクから撤退する姿勢を明確にしておりますし、中米のホンジュラスも、スペインに続いて六月に撤退を決めています。そしてさらに、開戦当初から積極的に米国に協力したポーランドは、大量破壊兵器の件で米国にだまされたと言い始めて、早期撤退。そしてイタリアでも、首相は派兵継続を訴えて強気ですが、国民の六七%が派兵に反対です。そして、スペインの総選挙、それに続くフランスの地方選挙で左派が躍進してきていることから、欧州全体の政治情勢は今までの中道ないし中道右派から左へ急旋回をしておりまして、欧州と米国の断絶は決定的になる可能性があるんです。

 外務大臣、そうなったときに、ここで私は、時間が余りないのでポイントからいきますが、やはりしっかりとした集団的自衛権を持つ、自分たちの国の憲法を改正して、しっかりとこれからの日本の国の外交と防衛に対しての姿勢を持たないと、このような分裂が起こっている中で、一つの物差しもないまま、そしてまた憲法の改正もないまま、一つもこの危険な状態から進めない。

 そして、ミサイル防衛の話もちょっと質問をさせていただきますが、これはミサイル防衛をすれば、中国にお行きになって、中国、そしてまたロシアなんかも最近非常に干渉しているわけですけれども、それは冷戦時代のように、ミサイル防衛を日本が一緒になってやると言えば、これは中国やロシアに対する脅威でもあるわけですから、そのようにとったときに、では、おまえたち何でそれをやっているんだと言われたら、いや、私たち、ちょっとみんながやっていたのでやりましたよとか、いや、最近みんなやっていますよとか、それじゃ済まないわけでして、これは、私たち日本の国の未来と、そして日本の国の民族の魂がいつまでしっかりと続くかという、この地球存亡の中で、なきゃいけない外交の問題です。

 ですから、私が言いたいのは、そういう皆さんが撤退していく中で、イラクに対して自衛隊が協力するのも大変いいことです。そしてこれは、別に他の国のためにやっているわけじゃなくて日本の国のためにやっているわけですし、そして、その判断が、みんなが今こういうふうになっている中で変えようという意思があるかないかということだけが私の質問でして、いかがでしょうか、外務大臣。

川口国務大臣 世界をカバーして御質問をなさいましたので、ちょっとその事実関係の把握と、それからその論理の整理について、必ずしも私と同じでないところがおありになるということで、お答えをしにくいということでございますけれども、基本的に日本として考えていますのは、世界の中において日本の国益は何か、そして、それを現実化していくためにはどういう外交政策をとったらいいかということを常にその根っこのところに置いて、政策を考えているということでございます。

小林(憲)委員 では、今もう一つ私、中で質問しましたが、弾道ミサイル防衛についてですが、この中身についてはまた長官にお伺いしますが、外務大臣にこのことについて、先ほど私が言いましたように、これの脅威が感じられるところがあると思うんですが、その説明というのはもう既に、こういうことを今からやっていくよということは中国とかロシアにはされているんでしょうか、日本でも。

石破国務大臣 これは、外務省、外務大臣の方も言っていただいておりますが、私の方から、ロシアを訪問の際にも、中国を訪問しました際も、やるということは申し上げました。もちろん、国会で予算をお認めいただく前のことでございますから、予算をお認めいただいたとするならばという前提つきでございますが。それを何のためにやるのか、そして、軍拡というものを招くものにはならないのだ、なぜならばということも含めまして、相当に丁寧に説明をしたつもりでございます。

 これは、ロシアの場合には私が参り、向こうが来、そして、中国の場合には昨年の九月、私が参りということで、相当時間を割きましてこのことの説明はいたしております。

小林(憲)委員 それでは、弾道ミサイル防衛について中身をちょっとお伺いしたいんですけれども、今後我が国が対応しなければならない脅威の一つに弾道ミサイル攻撃の危険があるわけですが、北朝鮮は、過去において、九三年の春に日本海に向けてノドンらしきミサイルを発射、九八年には我が国の領空を飛び越えるような形のミサイルの発射。弾道ミサイルの開発は着実に継続されておりまして、さらに米国本土までも射程におさめるほどの長距離化を目指している、そう言っているわけですけれども、北朝鮮のノドンは射程が約一千三百キロメートル。ということは、既に我が国の大部分がその中に入るわけです。

 一方、核開発をめぐる北朝鮮の動向もこれまで頻繁に取りざたされておりますが、仮に、北朝鮮が核兵器の小型化に成功してノドンミサイルに核弾頭を搭載できるようになったら、我が国民の生命と財産に対する深刻な脅威となり得ます。

 このような驚異に直面している我が国としては、弾道ミサイル防衛は大変喫緊の課題であると考えますが、北朝鮮などからの弾道ミサイル攻撃に対して、現時点で自衛隊はどのような対応をすることになるのか、御説明ください。

石破国務大臣 先ほどもほかの委員にお答えをいたしましたように、BMDシステムが一通りのものがそろいますまでに八年間かかるというふうに認識をいたしております。これも注文したらすぐ届くものではないというのは、何度も申し上げておるとおりのことでございます。

 そういたしますと、それまでの間どうするのだということを考えましたときに、まず、外交的な努力というものは当然ございます。六者協議もございます。にもかかわりませずと言うべきか、脅威が高まってまいりました場合には、それはやはり、まず情報をきちんととるということでございましょう。それは、エリント、シギント、ヒューミント、全部そうでございます。そして、その対応というものを行えるような、まず情報の正確な把握というものを行う、そして、我々として、今、じゃ北朝鮮に対して、法的にはともかくとして、攻撃する能力を有するという選択をいたしておりませんので、それは合衆国の打撃力というもの、そのような本質といたしますところの抑止力というものがきちんとワークするべく、それはアメリカとの連携をさらに密にするということでございましょう。

 にもかかわらず、不幸にして発射をされたということになったとするならば、これは被害の極小化というものを考えていかなければなりません。

 そういうことだと思っておりまして、BMDができるまでは何ら打つ手がありませんなぞというような無責任なことを申し上げるつもりは私はございません。

小林(憲)委員 弾道ミサイルを迎撃するということは銃弾を銃弾で撃ち落とすようなもの、こう例えられているわけでございますが、これまでの技術をもってしては、一たん発射されたものを途中で撃ち落とすことは非常に困難であります。ミサイル防衛に関しては最も進んだ技術、兵器を持つ米軍をもってしても、これまで弾道ミサイル攻撃に対して有効に対処することができなかった。このことからも弾道ミサイル防衛の難しさが言えるわけですね。

 今おっしゃったとおり、予算を盛り込んでおりますね。防衛庁は、十六年度の予算にミサイル防衛関連予算が盛り込まれておりますが、これは非常に高いものなんですね。この高いものをそれに見合うだけの効果が得られるようにしていただきたいということですけれども、今、日米共同技術研究でそれをいろいろとされているそうですけれども、一度今の日米技術研究というものについて、どんな感じでどのようになっているのか、ちょっと教えていただきたいんですが。

石破国務大臣 先生、これはよくBバイCみたいな議論をする人がありますよね。費用対効果というものをきちんと検証しなきゃいかぬと言いますが、費用は、それは出るんですよ。一応、八千億円から一兆円とか。ところが、じゃ、効果って何だと言ったときに、これは極めて算出しにくいものではないだろうか。ミサイル防衛システムを持つことによって一番の効果は、抑止力がある。つまり、撃ったって撃ち落とされるんであれば、そんなもの撃ったってむだだということになって、抑止力は物すごいものになるわけです。

 あるいは、それが、私ども相当に高い精度を持っていると思っていますが、仮に、万が一撃たれたとしても撃ち落とせるということによって助かる人命、救われる財産というものを考えましたときに、私は、これが高いものだ、少なくともその八千億とか一兆は高いと聞こえるかもしれないけれども、費用対効果という概念を仮に用いた場合に、効果ははかり知れないものだと思っておりまして、私はそういう意味で、費用対効果に見合わないものだと思ったことはございません。

 お尋ねの日米共同研究についてでございますが、これは今回導入をいたしますBMDシステムとはまた別物でございます。現在、研究段階にございまして、ロケットモーターでありますとか、キネティック弾頭でありますとか、赤外線シーカーでありますとか、そういうものを研究いたしております。これはいろいろな段階に分かれてやっております、もし御下問があればまたお答えをいたしますが。それが、今のシステムではなくて、次の時代の、さらに弾道ミサイルの性能が向上いたしたとしてもそれに的確に対応できるということを目指しまして、今、日米で共同研究をいたしておるものでございます。

小林(憲)委員 我が国自身がミサイル防衛に乗り出したとした場合に必ず考えなければならないのが、やはり、陸海空三自衛隊の統合運用についてであると思います。イージス艦システムは海上自衛隊が独自に運用をして、PAC3システムは航空自衛隊だけが動かすということから、迫りくる弾道ミサイル攻撃の脅威から、一つ一つがあっても、それが総合的に機能していなければ何もならないのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。

石破国務大臣 まことにそのとおりでございます。これは、ですから、海自が海自でSM3を撃つ、空自が空自でパトリオットを撃つというようなことになっても、効果としては万全のものに相なりません。

 先ほども御答弁したかもしれませんが、例えて言えば、航空総隊司令官のもとに、海それから空のウエポンやあるいはセンサー、指揮統制システムを一本化するという考え方もございましょう。この弾道ミサイル防衛というものは、あるいは陸が登場するという場面も、被害の極小化等々についてあろうかと思っておりますけれども、統合運用なかりせばこの弾道ミサイル防衛というのは有効にワークしないものだという認識は強く持っております。

小林(憲)委員 諸外国を見ても、陸海空の各部隊の統合運用は時代の趨勢でありまして、また、二十一世紀の軍事趨勢の必然的要請であると私も思います。自衛隊においても、三自衛隊がそれぞれ独自に運用されて、必要に応じて統制を行うという旧態依然とした体制を脱却し、統合運用を基本とする新たな体制に移行すべきだ。そのためには、やはり今のような、現状の自衛隊というものは一体何であるかなんという議論があるような国では、予算もなかなか出さなかったり、そういう整備も、一台ずつ買ってお茶を濁すようなことになってしまっている。そして、それでは、来るべきときに何も用意できなくて、日本の国の未来はないということになりますので、どうか防衛庁の皆さん、そしてまた委員会の皆さんの力で、自民党の皆さんの中にもいろいろな考えがあると思いますが、民主党の中はかなりいろいろありますけれども、私は、集団的自衛権を認めて早く憲法改正をして日本の国のことを考えられるような、そんな状態ができるといいなと思っております。

 それで、そのような中で、私は、今のアメリカの情勢が、先ほど言いましたように大変、ナスダックは年初来安値をつけましたし、そもそもテロの危険だけで株価が暴落したのではなくて、日本の九〇年代と全く同じように、外務大臣、このバブルの崩壊で経済がどんどんおかしくなっているんです。他人が日本に来て銀行に投資してもうけているんですが、それはもう一部の人たちだけで、昨年は米国の七十三世帯に一世帯が自己破産をしております。政治もやることなすこと全部裏目に出ておりまして、国民の失望を買い、おまけに住宅金融専門機関のファニーメイの三兆円デリバティブ損失騒動や、日本の財務大臣が天文学的ドル買い介入の方針転換をにおわせる発言をしたものですから、相乗効果になって暴落に至ったということになっておりますね。

 それで、さらに、イラク開戦一周年にはニューヨークで十万人規模の戦争反対集会が開かれましたし、米陸軍の機関紙である星条旗新聞もイラク派遣米軍の士気は非常に低いと指摘しているわけです。

 ですから、そんな状態の中で、外務大臣、ぜひともお考えいただきたいのが、それでもまだ私たちはアメリカ、アメリカと言って、すべてのことを呪文のように唱えなければいけない日本の国なんでしょうか。それとも、今外務省は、外務大臣のもとでしっかりと自分たちの足で立って外交について考えてみえるんでしょうか、ぜひともお心をお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 外務省は、私のもとでしっかりと自分の足で立って、物事を主体的に判断いたしておりますけれども、その主体的な判断の結果として日米同盟ということは非常に重要な関係であるということが、私たちはそのように思っているわけでございます。

小林(憲)委員 ぜひとも、外交は一番大事なこれからの、私たちが情報を得て前に進む指針を見る基本となると思うんです。決して私は、今弱腰の外交をしているとか、そういうふうには思っておりませんが、どのようなときになっても、やはりすぐに安全保障の問題と直結するわけですし、幾らミサイル防衛の話を進めても、やはり外務省の方がしっかりとロシアや中国とのネゴシエーション、そしてまた長官もいろいろなところでの、説明をするというか、アカウンタビリティーといいますか、そういうのが求められてくると思うので、どうかぜひとも憲法改正に向けるためにも、そういうことをしっかりと一つずつやっていかなければいけないと私は思っております。

 それで、外務省さん、全然話は変わるんですが、北朝鮮の拉致問題なんですけれども、私は三十九歳なものですから余り詳しく知らないのでちょっと勉強したんですけれども、帰還事業というのが昔あったんですね。それで、北朝鮮の拉致問題、今いろいろな方が一生懸命やってみえますが、この帰還事業の取り組みなんですが、三十年前に行われた帰国者事業問題への取り組みについてでありますが、私の地元の愛知県におけるケースとして、実際に次のような具体的な事例がありました。

 愛知県在住のある女性で在日朝鮮人の二世なんですけれども、八十五歳になる母が危篤なので、今から三十年前の北朝鮮帰国事業で祖国へ帰った姉を日本に戻し、いま一度母と再会させたいと思い、朝鮮総連や日本の関係省庁にかけ合ったが一向にらちが明かず、マスコミに呼びかけたり、名古屋市栄町での街頭署名運動を行ったり、お姉さんの来日問題と帰国者事業問題の深刻さをアピールしました。

 その後、日本政府は世論に押され、入国ビザを発給しましたけれども、日本政府としては、できることはそこまでということで、肝心の北朝鮮は完全無視をしているということだそうでございます。

 拉致問題に真剣に取り組むということはもとより大切なことですけれども、この帰国者事業の問題、とりわけ美辞麗句につられて帰国したものの、現実の厳しさに対応できず、ひたすら望郷の念にさいなまれている人たちに、日本は今どんな手だて、外交努力を講じようとしているのでしょうか。

 現在こういう人たちはどのくらいおられるのか。昭和四十四年度厚生白書によると、日本赤十字社と朝鮮民主主義人民共和国赤十字社との間における在日朝鮮人の帰還に関する協定に基づき、百五十五回にわたり八万八千六百十一人が北朝鮮に帰ったとされております。北朝鮮ではこの人たちをどのように管理しているのでしょうか。判明している部分だけでも明らかにしていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる帰還事業により北朝鮮に渡った在日朝鮮人を初めとする方々の総数、これは九万三千人でございます。うち、日本人の配偶者が約千八百人おられたというふうに承知しております。

 そして、委員御承知のとおり、その後の北朝鮮の内部事情、非常に不明な部分が多うございます。したがって、これらの方々の現状について、これがどうなっているのか、断定的なことを申し上げるのは非常に難しい状況にございます。

 日本人、特に配偶者の方々の問題ということでは、政府がこれまで、これは重大な人道上の問題であるという認識に立って、北朝鮮側とも話をし、三回にわたっていわゆる故郷訪問を実施してまいりました。また、日本赤十字を通じた安否調査も実施してきておりまして、若干名の方の安否については連絡等々の伝達も行われているところでございます。

 現在でございますけれども、御承知のとおり、拉致問題をめぐる状況下で、日朝国交正常化交渉、一昨年十月ございました、そのときにもこの配偶者の問題については取り上げました。しかし、その後国交正常化交渉が再開されずに至っておりますので、故郷訪問も実現されないまま現在に至っているというのが現状でございます。

 そして、今委員御指摘の具体的な件につきましても、私どもとしても人道上の問題として同情を禁じ得ないというふうに感じておりまして、機会をとらえて、今後ともその来日の実現に向け、前向きな対応をとるよう北朝鮮側にも働きかけていきたいというふうに考えております。

小林(憲)委員 拉致事件は非常に、突然さらわれていって環境からすべて変えられてしまって、まさしくとんでもないことなんですけれども、この帰還事業につきましては、国も一端の責任があると私は思います。とにかく、まずは一人でも多くの方々を今救うということが拉致問題と同じように大事なことだと思いますし、過去の日本の歴史におけるいろいろなものを清算していく、そしてアジアが変わる、そんなときでありますから、私たち日本の国も、独自の国の強い姿勢を持ちながら日本人と日本の未来を考えていけるような、そんなことを水先案内する外務省であり、そしてまたこの国を守る防衛庁であっていただきたい、そう強く思っております。

 終わります。

小此木委員長 次に、御法川信英君。

御法川委員 最後でございます。十八分おつき合いいただきたいと思います。改革の御法川でございます。

 先に質問なされました五人の委員の質問も受けながら、若干の質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

 まずは、弾道ミサイルの件でございますけれども、導入のスケジュール等に関しては、高木先生の方の質問に対して、大体八年ぐらいかかるということで、具体的にはPACの方は平成十八年末、残りが平成十九年以降ということでございました。

 防衛庁長官、こういう話をしておりましたが、私はちょっとインターネットの方で、ロシアの方が、今そういうものを凌駕するミサイルの、超音速兵器というんでしょうか、そういうものの開発に成功した、あるいはしつつあるというような報道があったということでございました。これは直接、アメリカのスターウオーズとか戦略防衛構想、そういうものに対しての脅威ではないということもつけ加えてあったというふうにありますけれども、冷戦のときの相互確証破壊とは違った意味での、軍拡の可能性を持った技術開発というものがこれから始まるとすれば、日本はこれからどういうふうにそれに対応していこうとするのか、その辺の御所見をいただければと思います。

石破国務大臣 ロシアのミサイルディフェンスというのは、これはいろいろな説がありまして、先生御指摘のように、かつて冷戦期には、非常に荒っぽい話で、向こうから撃ってくる核ミサイルを、こっちも核ミサイル撃って、近くで爆発させて、死なばもろともみたいな話で、一遍に吹っ飛ばしちゃおうというような話がありました。さればこそ、ABM条約というのが出てきたわけであります。

 今先生御指摘の新しいロシアのミサイル防衛というのは、例えばS300とかS400とかそういうシリーズのことを指しているのかもしれません。このことにつきましては、イワノフ国防大臣が来ましたときも随分と議論はいたしました。二つの問題点があるんだろうと思っています。

 一つは、それが、ミサイル防衛システムを持つこと自体が軍拡につながるのだというのは一体どういう論理なのだということなのですね。日本がミサイル防衛システムを持つ、そうすると軍拡になる、では、それを凌駕するようなミサイルを開発する国は一体どこなんだ、我が国に対してそういうような意図を持って、それを凌駕するようなミサイルを開発する国はどこなんだ、まさかおたくじゃないでしょうね、こういう話になるわけでございまして、これはおかしな議論なんだと私は思っております。軍事技術が日々進歩し、いわゆるイタチごっこみたいなものであることはよく認識をしておりますので、私どもは共同研究も今合衆国と行っておるわけでございます。

 もう一点は、ミサイル防衛のシステムをどこと保有するのかということでございまして、日米二カ国間はよくないがもっと広いネットワークならよいとか、いろいろな御議論があることも承知をいたしております。

 しかしながら、私ども、ミサイル防衛システムを構築します際に、これはもう先生御案内のとおり、基本的にSM3またパトリオットで構成をしております以上、これは唯一の同盟国でありますアメリカ合衆国とまずミサイル防衛システムについてきちんとしたものをつくる、ほかの議論はそれから先の話でございまして、唯一専守防衛的なものを同盟国である合衆国とともに持つということは、我が国の防衛の観点からも極めて有意義であり、ほかの選択肢は今のところ考えにくいものだと思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 次に、サマワにおける自衛隊の活動についてちょっとお伺いをしたいと思いますけれども、これも二日、三日前の新聞の報道にあったことだったんですけれども、現地の住民の中で若干の不満が出てきているという報道が朝日新聞に載っておりまして、内容としては、活動の成果がなかなか住民の方に見えてこない、あるいは交流が少ないというような話がその新聞の記事にありました。

 私、実は、先般の東ティモールのUNMISETのシャルマ代表が来た際の質疑もさせていただきまして、そのときにちょっと下勉強をしたわけでございますけれども、その際、自衛隊の東ティモールにおける活動に対する評価ということをちょっと勉強させていただきましたが、非常に一般的に評価が高い。あそこで施設部隊がやってくださったことに関しては、非常に東ティモールもUNMISETの方も感謝しておるということで、これはセキュリタリアンという防衛庁の方の雑誌なんかにもいろいろ載っておりましたが、その中で、あえて自衛隊の施設部隊に対する苦言あるいは批判があるとすれば何だろうということがありましたが、そうしたら、各国から来ています将校が、プランニングに時間がかかり過ぎる、実行するのに時間がかかるという話をしておりました。これが多分、ほとんど唯一の苦言だったような気がしておりましたけれども、先ほど私が申し上げた新聞の内容とちょっと似通っているところがあるのかな。やはり、ちょっと現地における活動が見えにくい、あるいは遅いという批判というのは、やはり似たようなものが出てきているのかなと思っております。

 もちろん、東ティモールとイラクというのは全然状況も違うわけでございますし、同じような活動をしているわけでもございませんし、法的な根拠も全く違うわけでございますが、出てきている批判が一緒だということはちょっと不思議だなという感じもしますけれども、この辺についての御所見があれば伺いたいと思います。

石破国務大臣 東ティモールの場合も、緊急を要するものであれば、PKF司令部からの指図を受けた当日のうちに着手をしておるということでございまして、時間がかかり過ぎるということは私は当たらないのではないかなと思っております。

 問題はイラクでありまして、ただ、アッサマワという新聞をよく見てみますと、まだ仮訳の段階でございますが、最後にこう書いてあるんですね。サマワ市民は、日本人はすべてを時間どおりに行う魔法のつえを持っていると考えていたが、現在まで宿営地を準備するのに忙しい。魔法のつえは持っていないんですね。私、前、何かの答弁で、アラジンの魔法のランプはありませんのでと、こう申し上げたことがありますけれども。

 要するに、日本人とか自衛隊というのは魔法みたいなことをやるのではないかというようなことが喧伝をされておった。そうではなくて、我々としては、きちんとした準備をしないままにあれやこれややることの方がかえってよくない、自衛隊としては、きちんとした準備を行ってから本格的な活動に入る、しかしながら、今までも、宿営地が万全の状況ではない状況でも、できることというのはやってきておるわけでございます。

 これからそういうことは確実に目に見えてくるとは思っていますが、気をつけなければいけないのは、いつも申し上げますように、過大な期待、魔法のつえなんぞという過大な期待があって、それができないじゃないかという御不満が私どもが行います任務の安全遂行に支障を来すようなことにならないようにということは、よく考えていかねばならないことでございます。

 これは自衛隊だけですべてをやるわけではございませんので、外務省とも本当によく連携をとりながら、期待値と実現値の乖離というものはないように今後もやっていきたい。しかしながら、私どもとして、遅いとかそういうような御批判は受けることがない状況で隊員は任務を行っておると考えております。

御法川委員 今いみじくも長官がおっしゃられたように、地元の期待と結果の乖離というか、これがないようにぜひその辺の連絡をよくとっていただければと思います。

 もう一つ、イラクに関してでございますけれども、これは外務大臣の方だと思いますが、私は内政不干渉という問題についてちょっと触れさせていただきたいと思うんですが、国際社会の原則的な理解ということで内政不干渉ということが、今でも国連憲章の方にもありますし、基本的に、少なくとも国連加盟国各国はこれを認めている部分だと思いますけれども、今回のイラクに対する武力攻撃、これは大量破壊兵器を隠ぺいしているんではないかという疑い、そして、サダム・フセインという独裁者というかディクテーターが統治をしている非民主的な体制というものに対する民主的な国の攻撃というような理由が立つのかと思いますけれども、いずれにしても、内政を干渉しているのではないかなという見方もできるのではないかなと思います。

 結果として、今もうイラクはこういう状態になっておりますから、これの是非はともかくといたしまして、こういうことが前例として、今回のイラクというのは認められるというような理解をしてよいのでしょうか。外務大臣、御所見をいただければと思います。

川口国務大臣 内政不干渉という点からこの問題をごらんになっていらっしゃるというわけですけれども、私どもの見方というのはそういうことではございませんで、イラクに対しての武力行使、これにつきましては、国連の安保理の決議、これは第七章のもとの決議ですけれども、それに基づきまして、これはさまざまな経緯があって、細かくは申しませんけれども、その結果、基本的にはイラクが累次の安保理決議に重ねて違反をしたということが国際社会で決定をされたということで行われたということであるわけでございまして、したがって、国連憲章七章に基づく安保理決議に従って行われた英米の武力行使というのは、内政干渉というその原則に反するということではないということで我々は考えているわけでございます。

御法川委員 わかりました。ありがとうございました。

 あと、拉致問題についてお伺いをしたいと思いますが、今六カ国協議等、このトラックが核問題に関しては中心的な役割をしていると思いますけれども、その中でも、拉致問題の提起を日本がいたしまして、これについて六カ国の中でどうなるかということが一つ考えられますけれども、この枠組みの中で拉致問題を解決するのが一番だとお考えでしょうか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに拉致問題、これは日本と北朝鮮との関係でございます。そして、これについては、基本的には日朝の話し合いの中で解決をするというのが基本であろうというふうに思います。そういう意味で、日朝間での話し合い、日朝間での政府間協議を行い、そして速やかな解決を図るというのが基本的な立場でございます。

 他方、国際的にも、やはりこの問題についての解決を急ぐためには、国際的な支持、国際的な理解を得なきゃいけないということで、さまざまな努力をしていることもございます。

 また、六者協議でございますけれども、それは国際的な理解を得るということの一環としてもございますし、そしてまた、具体的な解決を図るためには、まさに北朝鮮の問題を現在六カ国の間で扱っているのは核の問題でございますけれども、核問題全体を解決していくためには包括的な解決が必要であろう。そういう意味で、日本としては、この核問題、ミサイル問題、そして拉致の問題の解決というのが絶対に包括的に必要である、そうした結果を経て、まさに国交正常化がなされれば経済協力も行えるということ、そういういわばロジックというか論理として、まさにそこでも訴えている、それで各国からの支持を得ているということでございます。

 全体として言えば、まず基本は日朝二国間での話し合いを通じて解決を図っていかなきゃいけませんけれども、その間にも、国際的な支持を引き続き得るよう努力をしていきたいというふうに思っております。

御法川委員 枠組みとしては、例えばARFですとか、ほかのいろんな多国間のフレームワークがあるわけですから、そういうところでもこの話はされていると思いますが、先ほど外務大臣、一番いい方法を一番いい時期に行うというのが一番いいだろうということですが、この拉致問題に関しましては、核問題、ミサイル問題同様でございますが、やはり時間との闘いという部分が一つ大きな部分だと思います。

 ロジックもわかりますけれども、これを具体的に成果のあるものにするために、何か具体的なスケジュールのようなものがもしあれば、我々に開帳できるスケジュールがあれば御提示を願えればと思います。

川口国務大臣 おっしゃるように、時間というのが非常に大事でございまして、人間どんどん年を重ねていきますので、子供たちも大きくなっていく、拉致の被害者の親もどんどん年をとっていくという状況であると思います。

 それで、その点につきまして、先般ピョンヤンで、田中外務審議官、薮中局長が行きまして話をいたしました。そして、これは二国間で引き続き話をしていきましょうということになっているわけでございます。大変に残念なことに、今の時点で、いつ次の話し合いが行われますということを申し上げられる段階になっていないわけでございますけれども、この次の会合の設定については、引き続き全力を尽くしていきたいというふうに考えております。

 そして、北朝鮮に対しては、今、残された家族の日本への帰国といいますか、日本に来るということと、それから真相究明、これについては申し入れをしているところでございますので、我々としては、これをきちんと追求していくということで考えております。

御法川委員 いろんな懸案があるわけでございますけれども、国会議員でない一般の方たちに、防衛問題あるいは外交問題等で、できるだけわかりやすい説明というか、政府側からのわかりやすい、例えば川口ドクトリンであるとか石破ドクトリンぐらいのものを出して、わかりやすい政策の提示の仕方をしてもいいのではないかなというふうに考えておりまして、これは私の私見でございますが、最後に一言申し上げさせていただきました。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五分散会


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