衆議院

メインへスキップ



第9号 平成16年6月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成十六年六月十一日(金曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 小此木八郎君

   理事 岩屋  毅君 理事 高木  毅君

   理事 仲村 正治君 理事 大石 尚子君

   理事 長島 昭久君 理事 細野 豪志君

   理事 赤松 正雄君

      赤城 徳彦君    大前 繁雄君

      嘉数 知賢君    北村 誠吾君

      佐藤  錬君    寺田  稔君

      林田  彪君    古川 禎久君

      御法川信英君    山口 泰明君

      青木  愛君    小林 憲司君

      佐藤 公治君    津川 祥吾君

      西村 真悟君    前田 雄吉君

      松本 剛明君    遠藤 乙彦君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   内閣官房副長官      山崎 正昭君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        阿部 正俊君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    秋山  收君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  渡辺  周君     津川 祥吾君

同日

 辞任         補欠選任

  津川 祥吾君     渡辺  周君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小此木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田好平君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、外務省大臣官房参事官長嶺安政君及び外務省アジア大洋州局長薮中三十二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋毅でございます。

 いよいよ今国会、本委員会最後の一般質疑ということになりました。法案が一本しかなかった割には熱心に委員会を開催することができまして、大変いい勉強をさせていただいたと思っております。我が党の委員の皆さんはもとより、大石筆頭さん初め民主党の同僚委員の皆さんにも心から敬意を表したいと思いますし、また、特段のお計らいをいただいた小此木委員長に心から御礼を申し上げたいと思います。

 きょうは両大臣、どうもお疲れさまでございます。この間、いろいろなことが起こりましたので、一通りちょっと聞いておかなくてはいけないなということで、余り深追いする時間はないと思いますが、できるだけ簡潔な御答弁をいただければありがたいというふうに思っております。

 まず、さきの国連決議でございますけれども、国連決議一五四六が採択をされました。これに伴いまして、現在の駐留軍といいますか連合軍にかわりまして、今度は決議に基づいた多国籍軍が展開をされる、こういうことになったわけでございます。ただいまサミットが開催中でございますが、さきの日米首脳会談におきまして、小泉総理はいち早くブッシュ大統領に対しまして、自衛隊のこの多国籍軍への参加といいますか、駐留の継続といいますか、これを確約されたところでございます。

 これについては国内にもさまざまな議論がございます。民主党さんの方では、やはりそれには新法が必要なのではないか、こういう御指摘もあるようでございますし、我が党の中にも、手続的にはどうだったか、こういう御議論もございます。ただ、私は思うに、自衛隊のやる活動内容は変わらないわけでございますから、引き続き同じ任務を遂行していく、こういうことでございますから、問題はないのではないか、こう考えております。

 多国籍軍というと、国民の皆さんは、湾岸戦争のときの武力行使を前提にした多国籍軍、こういうちょっとおどろおどろしいイメージを抱かれるのではないかなと思いますが、今般の多国籍軍の任務はおのずからそれとは異なるものであろう、こう思っておるところでございます。

 民主党さんのお考えは、後ほど委員の方から御開陳があろうかと思いますので拝聴させていただきたい、こう思いますが、ただ、記憶するところによりますと、テロ特措法なんということで行かせるのはだめだ、しかし、しっかりとした国連決議があれば自衛隊を派遣することは容認できるのではないか、こういう御主張をされてこられたというふうに思いますので、そういう意味では、今までよりは、暫定政権もできて、新しい国連決議もできて、こういうことでございますから、状況としてはより改善をしてきておるのではないか、こう思っております。

 そこで、私どもが勝手に理解してもいけないわけでありまして、国民の皆さんがそのことをしっかり理解してもらわなくてはいけないわけですけれども、この多国籍軍に参加するのは問題がないとする理由について、新国連決議との関係あるいは特措法との関係でいかに説明をなさるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

川口国務大臣 国連の決議との関連ででございますけれども、これは、総理が先ほどシーアイランド・サミット後の記者会見をなさったわけですけれども、そこにおいて、多国籍軍が形成され、その中で日本としてできること、いわゆる人道復興支援を継続していく方向で検討していきたいと思うというふうに述べられたと承知をしております。この問題は、日本に帰国してから、与党初め皆さんと相談していきたい、日本としてどのようなふさわしい支援、協力ができるのか検討していきたいというふうに言われたと承知をいたしております。

 それで、我が国といたしましては、これは、新たな安保理決議のもとで国際社会がイラクに対して各種の支援を行うわけでございますから、そういうときに、イラクの暫定政権に歓迎をされる形で、自衛隊が引き続きイラク特措法に基づきまして自衛隊の派遣を継続するということが適切であるというふうに考えております。

 それで、政府といたしましては、このような考え方に基づきまして、総理の記者会見における発言を踏まえまして、自衛隊と多国籍軍との関係について、これは総理の帰国後に必要な検討を行うという考えでいるわけでございます。

岩屋委員 総理の帰国後にということですが、それもわからないではないんですけれども、特措法上、この多国籍軍への自衛隊の参加というのをどういうふうにクリアされるのか。

 私が想像するに、特措法には代表的な国連決議を明記しておる。及びこれに関連する国連決議に基づいて、こういう書きぶりがあったと思いますので、当然今回の一五四六もそれに該当するというような解釈といいますか、それに伴う作業を行う、こういうふうにお考えなのかなと思うんですけれども、その点について、決まっているのか決まっていないのか、聞かせてください。

川口国務大臣 自衛隊が今後どのような位置づけで活動していくのかということについては、先ほど申しましたように、今後検討して、政府として適切な判断を行うということでございます。

 それから、自衛隊がイラクで活動をする、これに当たっては、これは特措法の範囲内でやるということは当然のことでございます。そして、イラク特措法の要件として、イラク側の同意ということが書いてあるわけでございまして、それは適切な方法でイラク暫定政府の同意が確認をされる必要があるということでございますけれども、具体的な、どういうやり方でそれを行うかということについては、今の段階では確定的に何かを申し上げられるということではございません。

岩屋委員 まあ、これ以上聞いてもなかなか今は答えられないということだろうと思いますが、ただ私、思いますに、いやしくも日本の総理大臣が行って、ブッシュ大統領に対して自衛隊の駐留継続、多国籍軍の参加を約束した、こういうことでございますから、できるだけ早く総理帰国後にこれを国民に対してあるいは国民代表である国会に対してきちんと説明をする、法制上の問題についても整理をして説明するということをいち早くやっていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

 続きまして、日米首脳会談の中で、ジェンキンスさんの問題が触れられております。今般の小泉再訪朝につきましては、さまざまな議論、評価があるところでございますが、私は全般的に高く評価をしたい。ある意味、歴代の今までの総理であったら一度目も行けていなかったんじゃないか、そう思うときに、トップと話をしなければらちが明かない、こういう国を相手の交渉でございますから、総理のこの二度にわたる訪朝は評価をさせていただきたい、こう思っております。

 また、帰ってきて、家族会と総理との面談の光景というのは、正直非常にショッキングなものでございました。私は党の会議で、あの家族会の言動はいかがなものかという批判をさせていただいて、今にして思うと、ちょっと言葉が過ぎたかなと反省はしておりますが、言いたかったことは、政府と家族会と拉致議連とそれを支える国民がやはり気持ちをそろえ、足並みをそろえていくことが問題の解決にとって重要だということを申し上げたかったわけでございます。

 そこで、積み残しといいますか、国民の皆さんも心配しておりますジェンキンス氏のことでございます。

 ちょっとわからないのが、ブッシュ大統領みずからが、ジェンキンス氏には四つの罪があるということを言及されたそうでございますが、脱走兵であるという認識は私どもにもありますが、アメリカ側の認識をよく我々が知っておく必要があるという意味で、この四つの罪とおっしゃっているのは中身は何なのか、教えていただけますか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの日米首脳会談におきまして、ブッシュ大統領の方からは、曽我さんの夫であるジェンキンス氏の状況について、ジェンキンス氏に対し公訴が提起されているという説明がございました。それ以上に具体的な、罪状を挙げてということでのブッシュ大統領のお話ではございませんでした。

 他方、これまでのところ、国防省から聴取しましたいろいろな情報によりますと、その四つの罪といいますのは、まず脱走がございますけれども、その他、あと三つございまして、一つは脱走の教唆、他の軍の構成員に対して脱走の教唆をした、それから利敵行為をした、そしてまた不忠行為の勧奨をしたと。おのおの、統一軍法典に係る四つの罪状があるというふうに承知しております。

岩屋委員 そうすると、やはり米側の認識としては、ジェンキンスさんは言ってみればかなりの重罪に該当する、こういう認識を持っているということだろうと思うんですね。

 そうすると、今回の小泉再訪朝の際に、総理自身がジェンキンスさんに対して説得を試みておりますね。身の安全は保証するんだと、詳しい言葉は覚えておりませんが、おっしゃった。しかし、今のアメリカの認識というのを見る限りにおいては、総理はある意味では裏づけなくそういう説得を試みた、おっしゃったのかなという気がしないでもありません。

 ただ、急遽ジェンキンスさんとの会談が金総書記との会談の後に決まったということもあって、なかなか準備も行き届かなかったということもあったんだと思いますが、私は、外交ですから、当たって砕けろというアプローチも必要だと思いますが、しかし、期待値を高くし過ぎてかえって失望を買ってしまう、新たな混乱を生むということもあるわけでございますので、やはり外務省がもう少し丁寧に首脳外交を支えていただかなくちゃいかぬなと、これは指摘をし、お願いをしておきたいと思います。

 そこで、総理は、大統領とは今後ともこのジェンキンス氏の問題については連絡をとるとされたようでございますが、この問題、一体日本政府として、今後どのように取り組み、解決を図っていくおつもりなのか、方針をお聞かせいただければと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の日朝首脳会談、その後のジェンキンスさんあるいは曽我さんのお二人のお嬢様、三人とのやりとりでございますけれども、総理はまさに、曽我さん御一家が一緒に過ごせるようにと、一緒に暮らせるようにと、そういうことで自分は一生懸命努力したいんだということを言われたというのが事実関係でございます。

 そして、まさに今やっておりますことは、まずは第三国で、曽我さんの御意向も十分踏まえながら、第三国で御家族が一緒になって、そしてお話し合いができるような、そういう設定をできるだけ早く実現するということで今まず努力しておりますし、そうした中で、これから曽我さん御一家が幸せになれるような手段ということで、政府として一生懸命頑張っていきたい、努力していきたいというふうに思っております。

岩屋委員 曽我さん一家、どこで再会をしていただくかということについては、残念ながらちょっと政府内で混乱が見られたように思います。当初の北京案というのはなくなったように思いますが、ただ、この間のてんまつを見ておりますと、何も中国にいたずらに気を使う必要はありませんが、やはり余りおもしろくない展開だったのではないかな、やはり外務省としてはもうちょっと配慮がきいていてしかるべきではなかったかなと私は思っております。官邸や外務省のこういった問題に対するマネジメント能力というものが問われる、そういう事柄だと思いますので、十分にお気をつけていただきたいと思います。

 いずれにしても、今努力をされているという局長さんのお話でしたが、帰ってこられて、つまり訪朝が終わって、もうかなりの時間が経過をしておりますが、具体的にどこまで、もう場所を選定できるところまで来ているのかどうか、もう少し言えるところがあったら教えていただけますか。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、曽我さんの御意向を十分踏まえながら、現在しかるべき第三国について所要の調整を進めているというところでございまして、まだいろいろと、その関係でいいますと、当該第三国との関係その他ございますので、それ以上に詳しいことは現在明らかにするのは差し控えたいと思いますけれども、大事なことは、一日も早くそうしたことで第三国での御家族の再会が実現できるよう我々として努力していくことだというふうに思っております。

岩屋委員 第一には曽我さん御一家のためでございますけれども、やはり、せっかく総理が再訪朝して、もう一回窓口があいたわけですから、こういう懸案をできるだけスピーディーに一つずつ前向きに片づけていくということによって、テンポアップをしていくということが僕は大事だと思いますので、引き続き御努力をいただきたいと思います。

 さて、この一連の日朝首脳会談、それからこの間の日米首脳会談、総理は金総書記と会った唯一の西側のリーダーとしてそのことをブッシュ大統領に報告された、あるいはサミットの全体会議でもこの北朝鮮の問題は議題に上がったでありましょう。この一連の流れというものが今後の北朝鮮の姿勢にどういう影響を与えるか、あるいは六カ国協議の行方にどういう影響を与えていくか、これについての外務省の見通しといいますか見解というのをちょっと教えていただきたいと思います。

川口国務大臣 この間総理がお会いになったことにつきましては、今回のシーアイランドの場で総理は、日米、日仏、日英それぞれ、あと日ロですね、お話をなさったときに、その状況あるいは金正日委員長がどういうことを考えているかということについてお話をなさったということであります。そして、議長声明にも取り上げられましたように、北朝鮮の問題については、拉致問題も含めて皆さんの御関心が非常にあったということでございまして、我々として、今後、六者会談、それからその前に作業部会、そしてその前に日米韓の協議というのもあると思いますけれども、そういった場でこの北朝鮮についてのメッセージということが、きちんと北朝鮮側として何らかの行動によって示してくるということが期待される、六者会談、作業部会でされるということを期待しているわけです。

 一連のことを通じて、総理は、北朝鮮とそして他の国々、六者の他の国々との間をつなぐための非常にいいコミュニケーションをなさったというふうに私は考えております。そういったことをベースに、北朝鮮がやはり国際社会の期待にこたえるように、我々としても、引き続きその動きを慫慂していかなければいけないというふうに思っています。

岩屋委員 それでは、次の問題に移りたいと思いますが、次は在韓米軍の削減についてでございます。

 さきに在韓米軍の削減というものが発表されました。これは、米軍全体のトランスフォーメーションの一環というか、アジアにおける第一弾、こういう感じがするわけでありますが、我々からするといささか唐突な感じもした、頭越しとは言わないまでも。これは、政府にどの程度事前にインフォメーションが入っていたのか、教えてください。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに在韓米軍の今回の再編成、これは我々として米軍のグローバルな軍事体制の見直しの一環であると理解しておりますが、この在韓米軍の再編成につきましては、我が国としても当然重大な関心を有しておりまして、これまでからもアメリカ、そして韓国とも意見交換をしてきておるわけでございます。

 そうした中で、アメリカから十分な説明も我々としても受けておりますけれども、基本的な考え方というのは、まさに、今の在韓米軍の能力は維持したままで、しかし適正な編成を行っていくということで、能力は一切落ちない、むしろ強化する形で行っていくんだ、そういうことで、アメリカも、もちろん韓国ともよく協議をしながら進めていくというふうに考えております。

岩屋委員 日米首脳会談でも、この米軍のトランスフォーメーションの問題が言及されたと聞いておりますけれども、その内容をちょっと教えていただけますか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 去る八日に行われました日米首脳会談におきましては、世界の中の日米同盟という考えのもとで、イラクの問題、北朝鮮、あるいはサミット全体の問題等、幅広く意見交換が行われました。

 その中で、今お尋ねの点でございますが、日米安保体制にかかわる問題ですが、小泉総理からは、沖縄の負担軽減及び抑止力の維持という観点が重要であると思うという点、それから米軍の兵力構成の見直しの問題については、よく事務的に協議させていきたいという点を述べられまして、これに対し、ブッシュ大統領からは、韓国の米軍の体制の見直しについては、小泉総理も御存じであろうが、米軍の能力は上がっており、兵力を削減しても抑止力は低下することはないという点、それから、引き続き緊密に連絡していきたいということを述べられるとともに、この地域における米国のコミットメントは引き続き強力であるということを強調されたというやりとりでございます。

岩屋委員 在韓米軍の削減というのは、朝鮮半島全体の安全保障はもとよりですが、ひいては、東アジア全体の安全保障体制に大きく影響を与える問題だろう、こう思います。ひいては、在日米軍のあり方について、あるいは、その一環としてのSACOの今後についても影響を与えていく重大な問題だと私は認識をしております。

 前から思うんですが、政府は、極めてセンシティブな問題ですから、なかなか前広に情報を出すわけにいかない。そこで大議論が起こって、できる話もできなくなっちゃいかぬ、こういう配慮をするのは当然だと思うんです。しかし、事柄の重要性にかんがみて、開示できる情報は開示をして、やはり、我が国の安全保障全体にかかわる大問題ですから、議論をできるものについてはきちんと国民注視の中で議論をした方が私はいいんじゃないかなと思うんです。委員会でもいろいろな質問が出ても、一切、トランスフォーメーションの話なんかしていない、聞いていない、存じません、こういうことで今まで来ているわけでありますが、もうちょっと開示すべき情報は開示した方がいいのではないかと思いますけれども、どうでしょう。

川口国務大臣 おっしゃるように、政府として、トランスフォーメーションのみならず、いろいろなことについて開示できる情報は開示をしていくという姿勢を持っていくということは、私は大変重要なことだというふうに思っております。

 それで、トランスフォーメーションですけれども、これについて政府として今までアメリカに対してお話をしているということは二つのこと、一つは抑止力、これが効果的に維持されるということが重要だということを言っているわけでございます。それからもう一つ、沖縄を含む施設・区域のある地元の地方公共団体、この御負担を軽減していくということが必要だということも言っているわけでございます。

 それで、個別具体的なことについて新聞に報道されているわけでございますけれども、そういったことが政府に対して提案をされたという事実は、これは繰り返し申し上げていますように、ございませんし、それから米軍として今の時点で、同盟国や友好国と緊密に協議はしてきていますけれども、トランスフォーメーションについて何らかの見通しがついているということでもないというふうに承知をいたしております。

 具体的な協議の内容について、これは米軍、アメリカとの関係もあって、あるいはその検討状況が、そもそも、先ほど申し上げたような見通しがついているということではないということから、申し上げるのは難しいという状況ではありますけれども、委員がおっしゃられましたように、情報の開示というのはできる限り心がけていきたいと考えております。

岩屋委員 そうお願いしておきたいと思います。

 ブッシュ大統領は、先ほど説明もありましたように、米軍の能力が上がっている、だから、今回の在韓米軍の削減も安全保障体制全体に対する影響はないんだ、こういう御説明だったと思いますが、だとするならば、それだけ高い能力を有する米軍でございますから、我が国における米軍基地の縮小ということにもつながっていく可能性は大いにあり得ると私は思っております。

 私は、日米安保というのは、我が国の外交、安保の基軸だ、今後ともと確信をしておりますが、ただ、基地の負担というものはできるだけ小さくしていった方がいい、こう思っておりまして、しかし、それがためには、我が方が、米軍の削減に伴う、それに見合うだけの役割をきちんと果たすということが前提でなければいけない、こう思っております。

 したがって、米軍のトランスフォーメーションの問題につきましては、我が方としては、在日米軍の削減を果たし、そして一方で、我が国の、具体的に言うと、自衛隊のこの地域における役割を拡大していく、こういう基本的な考え方を持ってこの米軍のトランスフォーメーションの問題に当たるべきではないか、こう思うのでございますけれども、いかがでしょうか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、大臣から、在日米軍の軍事体制の見直しに関係しまして、二つのポイントといいますか、在日米軍が有している抑止力、これが効果的に維持されるということが大事であるという点と、それから負担の軽減という、二つの点を強調しているという御答弁がございました。

 そういう中で、これは、ただいま委員御指摘ございましたように、日米のそれぞれのあり方ということがございます。これは、一昨年の十二月に開かれましたいわゆる2プラス2会合におきましても確認されておりますけれども、国際的な安全保障環境の変化を踏まえて、自衛隊、米軍を含めた両国の役割及び任務、兵力構成を含む安全保障面の課題に関する協議を強化してやっていくということの合意がございますので、そういう中で議論をしていくということになっています。

岩屋委員 とにかく、この問題は、余り受け身じゃなくて、我が方が一つの基本的な考え方を持って米軍のトランスフォーメーションの問題に積極的にかかわっていくというつもりで私はやっていただきたい、こう思います。

 時間がなくなりましたので、最後に、この委員会で、先般、参考人質疑がございまして、今後の防衛力のあり方検討についての議論も行われたところでございます。それについて最後にお伺いをしたいと思うんです。

 私、思いますに、次なる見直しにおいては、やはり、国民の皆さんの意識の変化というものをよく見詰めた上での見直しというのをやっていただきたいと思うんですね。つまり、新たな脅威に対してどう備えるか、あるいは、安全保障における我が国の自立といいますか、そういったものがにじみ出てくるような見直しでなければ、国民の皆さんの理解は得られにくいと思うんですね。これまでの延長線上で微調整をするということでは、今度はいかないのではないのか。ともすれば、基盤的防衛力というのは変わらないんだ、そんな、いじくろうと思ったってそれは大変なんだと。長官にしてみれば御苦労があって、陸がうるさい、空がうるさい、海がうるさい、いろいろあろうかと思いますが、微調整ということではなくて、明確に新しい方向に踏み込んでいく、こういうことであってもらいたい、こう願っているんですね。

 そのためには、ちょっと過激な議論になるかもしれませんが、ミサイル防衛のための装備はもちろん、それから敵基地攻撃能力というのを明確に持っていっていいのではないかな、私はこう思っておるんです。あるいは、陸海空の統合をより機動的に行うというためには、アメリカみたいな空母は要らないかもしれないが、これは、ミニ空母ぐらいのものがあった方が、抑止力をさらに強固にするということにつながっていくのではないか。テロ対策や、NBC兵器対応ももちろんでございますが、やはり明確にこの辺を打ち出してもらいたいと思っていますけれども、今なかなか言いにくいと思いますが、この段階での防衛庁の見解を聞かせてください。

石破国務大臣 おっしゃるとおりで、私は、焼き直しみたいなものをやっては絶対だめだと思っています。

 大綱は、五一大綱、〇七大綱と来まして、今、平成十六年、一六大綱と将来呼ばれるのかどうか知りませんが、その間に起こったことというのは、例えば九・一一というのがある、テポドンというのが飛んできました、不審船、工作船というものがありました。また、冒頭、委員が御議論なさいましたが、海外における自衛隊の活動というものがあります。

 要するに、情勢が激変したと言っていいんだろうと思っているんですね。十年前に今のようなことはだれも考えていない。〇七大綱はもちろん冷戦後の姿というものを見たものでしたが、今度の一六大綱というものは、この間に起こったことに的確にこたえるものでなければいけないのだろうと思っております。

 防衛力をつくりますときに、今、委員からも敵基地攻撃能力とかいろいろな御指摘がございました。従来の答弁を繰り返して恐縮ですが、それは自衛権行使三要件を満たした場合は憲法上全く許されないわけではないが、その能力を保持していない、今のところ、それを変えるという考え方はございません。

 ただし、防衛力というものをつくるときには、それが一体何のためのものなのかということがきちんと検証されなければいけないのだろうと思います。ただ、ずらっと並べて持っている、そういう話じゃなくて、戦車なら戦車、戦闘機なら戦闘機、潜水艦なら潜水艦、哨戒機なら哨戒機、それが何のためにあるのか、そして、それはどのような負担において持たれるべきものなのか、どこに置くのかというようなことが、アメリカのトランスフォーメーションともきちんと関連づけまして、きちんとわかるものでなくてはいかぬだろう。そしてまた、それがメッセージとしてちゃんと外国にも伝わるものでなければいけないし、納税者の御理解を得るものでもなければいかぬ。

 そこにおいて、今、東電顧問の荒木先生を座長とする懇談会が総理のもとにつくられております。また、防衛庁におきましても数十回会議を重ねております。そして、この安全保障委員会においてさまざまな御議論をいただきまして、本当に、委員がおっしゃるような、国民の方々にとってきちんとしたメッセージを発するもの、中身はこれからさらに詳細に詰めてまいりたいと思います。

岩屋委員 しっかりやってください。

 終わります。

小此木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 最後に質問しようと思ったんですが、今、岩屋委員が私が質問しようと思った趣旨と重なった質問をされましたので、事の成り行き上、最初にお聞きしたいと思うんです。

 今、これからの新しい防衛計画大綱、これからの日本の防衛のあり方について、大臣が今おっしゃったように、数十回、防衛庁の中でもいろいろな議論をし、さまざまな場面でいろいろな議論が交わされているという話があったんですが、その辺のところでまだ具体的な形が見えてこないんでしょうけれども、私なんかが過去の日本の防衛のあり方というものを見るときに、かつての脅威対応型、非常にわかりやすいネーミングだなと。その後の基盤的防衛力整備、これもわかりやすいなと。その次に来るものはどういうネーミングにしようと。それはネーミング云々というのもあれですが、集約的にどういう形を、さっき岩屋委員からもありましたが、国民によくわかっていただくために、そういう努力は結構ささいなことであって重要だと思うんですが、ヒントになるようなことを言っていただければありがたいと思います。

石破国務大臣 これが一番難しいと思います。

 今までの考え方は、先ほど岩屋委員の御質問に対しまして、五一大綱、〇七大綱のお話をいたしました。それは正しかったんだろうと思うんですね。であらばこそ、日本は独立を保て、平和であり、国民の生命財産というものも脅かされることがなかった。その時代時代には正しかった基盤的防衛力構想というものであるということだった。脅威対応型という議論があって、我が国には実は脅威は存在しないのだ、こういうような言い方もしてまいりました。

 今の時代に合うものというのは一体何なんだ。つまり、基盤的防衛力、我が国の力の空白論というのがあるわけですが、特定の脅威を想定するよりも、我が国が力の空白となって不安定を招かないように、こういう構想であり、そしてまた、必要最小限度のものを持つんだ、事態に当たってはエキスパンドするんだというような議論でございました。それはそれなりに正しかったから、こうやって平和だったのだろうと思います。

 ところが、今の、主体にしても手段にしてもそうですが、非常に多様化した、非対称的になった、それをどのようにして考えるべきなのかということになってくるわけでありまして、キャッチフレーズ的に申し上げれば、よく言うことですが、存在する自衛隊から機能する自衛隊になろう、こういうことをよく言います。訓示なんかでも言いますし、世間の人もそうおっしゃることがあります。その前は、働く自衛隊になろうというキャッチフレーズがあって、それは幾ら何でも今まで働いていなかったみたいではないか、それは幾ら何でもひどいであろうというお話で、そのキャッチフレーズはもう消えました。私が言ったわけではありませんよ。

 では、存在する自衛隊から機能する自衛隊へというのをキャッチフレーズとしてあるとするならば、それが一つの考え方のヒントになるのかもしれないと思っています。しかしながら、基盤的防衛力構想というものも、それは何度も同じことを申し上げますが、よく考えられ、そして、その時代にマッチしたものであった。それをどうこれから考えていくべきなのか。それは、今までの検証をきちんとやることが必要だろうと思っています。

 岩屋委員にもお答えしましたが、ずらずらずらっと並べているだけではしようがないのであって、それが何のためにどれだけ必要なのか、そして、それをどこに置くのか、そして、それを統合という観点からどうするんだということをちゃんと検証しないとだめなんだと思っています。存在する自衛隊から機能する自衛隊にというのはそういうことを含むものであって、国際社会においてもそうですし、納税者に対してもそうですし、主権者に対してもそうですし、きちんとした説明ができるということが最も必要なことではないだろうかというふうに思います。

 もう一つは、抑止力とは何なのかということ、それはいろいろな種類の抑止力がありますが、今の時代における抑止力とは何なのか。そして、必ずしも従来の抑止力をもってしては抑止できない、例えば集団であるとか、死をも恐れないグループであるとか、そういうものがきかないような国家であるとか、従来の抑止論がきかないものに対してどのようなコンセプトを打ち出すべきなのか。

 もう一つは、弾道ミサイル防衛というのは、予算においてお認めをいただきましたが、我が国が拒否的抑止力というものを持つということになるのだろうと思っています。これは言葉の使い方を気をつけなければいけませんが、弾道ミサイル防衛能力のようなものを持つということをどういうふうに位置づけるべきなのか。そういう、〇七大綱では考えられていなかったいろいろなことをきちんと整理して、国会におけるいろいろな御論議も傾聴し、そして有識者懇の御意見もきちんと聞きながら、新しいコンセプトというものを目指してまいりたい。

 また、委員からこういうものでどうだろうかという御提案をいただければ、本当にありがたいことだと思っております。

赤松(正)委員 ありがとうございました。

 次に、先ほど岩屋委員が冒頭で述べられた件でございますが、総理がサミットで述べられた多国籍軍参加、そういうテーマにつきまして、残りの時間、質問をさせていただきたいと思います。

 思えば、十三年前ですか、湾岸戦争のとき、多国籍軍参加ということが大きなテーマになって、それこそ日本じゅう大騒ぎになったわけであります。あのとき、国際平和協力法ですか、当時の湾岸型多国籍軍に参加をしようという法律ができかけようとしたんですが、当時の野党の強い反対の前にそれが廃案になった。以降、国連平和維持活動、PKOに対する参加ということを私たちの所属する政党も一生懸命取り組んできたわけですが、思えば、これは適切な言い方かどうかわかりませんが、いい意味でも悪い意味でも回り道だったのかなと。十三年たって、もとのもくあみじゃありませんが、やはり最初のテーマ、多国籍軍参加ということが突きつけられてきたのかなと。

 去年の三月二十日の、今日のイラク事態の発端になった、私の言うところの第二次湾岸戦争の発端、あの当時、せんじ詰めれば、結局、十三年前、当時の時点では十二年前になりますか、突きつけられたテーマが、十二年ちょっとたって同じことが迫られたのかな、そういう気でいたのですが、結果はいわゆる有志連合という形に対しての今サマワで展開されている自衛隊の参加、このことの持つ意味の方が、ある意味で、今これからちょっと議論しようとしている多国籍軍参加よりも、もっと実質的には大きな意味があるのかなとも思ったりするんですね。

 それで、先ほどもお話ありましたけれども、一にかかって、多国籍軍という言葉の持つイメージというのは、私どもも多くの支持者の皆さんに説明する場合に、なかなかこれは容易じゃないなという、既にでき上がったイメージが先走りするということがありましてね。そういう点で、ここはしっかりと明確に、今までにある多国籍軍、それから、これから展開するであろう、そして日本が参加したいと総理がおっしゃっている多国籍軍、イラク型多国籍軍と言っていいのでしょうか、この辺の区別というものを明確にしておいた方がいい。

 そういう意味で、外務大臣に改めてといいますか整理してお答えいただきたいのですが、湾岸型多国籍軍と、今これから問題になろうとしているイラク型多国籍軍と、それからその間にある、今まで世界に展開をされてきた多国籍軍の幾つかの例を挙げて、それぞれの特性というか、それぞれの違いといいますか、それを手っ取り早く言っていただければありがたいと思います。

川口国務大臣 今委員が言われたポイントというのは、大変に重要なポイントだと私は思います。おっしゃるように、多国籍軍、一色ではないということだと思います。

 それで、湾岸戦争時の多国籍軍ですけれども、この目的と任務は、これは安保理決議六七八パラ二にありまして、加盟国に対して、イラクに対してクウェートからの即時無条件撤退を求めた決議六六〇を初めとする関連諸決議の実施及び同地域における国際の平和と安定を与える権限が与えられており、その活動にかんがみ、武力行使自体を目的、任務としていたということでございます。武力行使が目的、任務であったということです。

 それで、委員がおっしゃられましたように、近年になりまして、人道復興支援等を任務として規定する多国籍軍が活動するようになってきています。

 例えば、九九年、東ティモール、これは九九年の九月に採択をされましたけれども、東ティモールにおける多国籍軍の設立に関する安保理決議一二六四というのがございますが、これは、書き方といたしましては、可能な範囲で人道支援活動を円滑にすること等を任務とするという形で多国籍軍の設立を認めている、人道支援活動ということが明記されているわけでございます。

 今回の一五四六もそうですけれども、これはパラ十五ですが、ここにも人道復興支援ということが書いてございまして、加盟国、国際・地域機関に対し、安全と安定及び人道復興支援に関するイラク国民の必要性を満たすことを支援するために、多国籍軍に軍隊を含む支援を提供するよう要請するということを規定していまして、多国籍軍がその任務として、安全と安定と人道復興支援、これを目的とするということを意味する書き方になっているということでございます。

 そういう意味では、一五四六は、人道支援活動を含むという意味において東ティモールと共通したものを持っているということが言えると思います。

赤松(正)委員 そうすると、東ティモール型とイラク型というのは同じ、共通するとおっしゃいましたが、では、当時の東ティモールの多国籍軍には参加しなくて、どうして今度のイラクの多国籍軍には参加するんですか。

 つまり、私の認識では、東ティモールの多国籍軍と今回のイラクの多国籍軍は圧倒的に違うという認識を持っているんですが、その認識は違うんですか。

川口国務大臣 東ティモールについては、PKOとして参加をしているということでございます。

 それで、今回一五四六に基づいて多国籍軍として参加をするかどうか、これについては、これは今まで申し上げていますように、総理がお帰りになってから今後検討をしていくということであって、まだ決定をされたことではないということをちょっと念のために申し上げたいと思います。

赤松(正)委員 その辺はわかっているんですが、東ティモールから今回のイラクにおける歴史的経緯があるので、その間に先ほど言った有志連合の形での自衛隊の参加というのもあったりして、その辺の経緯の中で、私が政府答弁を助けて言っている場合じゃないのですけれども、まあ、こういう形になったんだろうなという気がいたします。

 そこで、きょうは法制局長官に来ていただいているので、非常にイメージとして、明確な、きちっとした感じじゃないのですが、法制局長官のお話、ここ一カ月以来、きのうあたりまでの御答弁を聞いていて、何となく直観的に、以前、湾岸戦争当時の法制局長官の発言と今の長官の発言に微妙な違いがあるのかなというのを直観的に感じたんです。その違いというのは、専ら武力行使を主とするというところと、それから人道復興支援という目的が入ったということにおける違いが、我々聞く人間の側として微妙な違いというものを想起させる起因になっているのかな。これに対する御感想を教えてほしいのが一つ。

 もう一つは、改めて聞くまでもないのですが、武力行使、そして武力行使との一体化、そして武器使用、このあたりの定義を手短にお願いしたいと思います。

秋山政府特別補佐人 前半の御質問でございますが、確かに、平成二年、三年ごろの多国籍軍についての考え方というのは、いわゆる湾岸多国籍軍、主としてといいますか、専ら軍事力をもって平和回復するというものを念頭に置いて考えてきたことは事実だろうと思います。

 他方、その後、いわゆる多国籍軍についてもいろいろな類型のもの、任務、目的のものがあり得るのではないか、編成についてもいろいろあり得るのではないかということを、観念的な議論として気がつきまして、その後の答弁においては、いろいろな類型に着目して、目的、任務、編成等の関係で我が国の関与のあり方は考えていくべきではないかというようなことを答えてまいりまして、まさに今回そういうものが現実化いたしましたので、そういう現実の変化に即応して、私どもも、より幅広い考え方でお答えするようにしているわけでございます。

 それから、御質問の後段の武力の行使等の用語でございますが、従来申し上げてきたことを繰り返して申し上げますと、憲法九条というのは国際紛争に関する規範でありますので、武力の行使は、基本的には、我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと考えてきております。

 それから、他国の武力の行使との一体化でございますが、これは、武力の行使を行っている他国の軍隊に対し、我が国が補給、輸送協力など、それ自体は直接武力の行使に該当しない活動を行う場合に、他の国が行う武力の行使への関与の密接性などから、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受けるということがあり得るという考え方でありまして、憲法九条の解釈として従前から政府として申し上げてきたものでございます。

 それから、武器の使用でございますが、これは、火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、または武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置をそのものの本来の用法に従って用いることをいうというふうに、一般的な言葉として説明してきているわけでございます。

赤松(正)委員 時間がないので、長官に最後にお聞きします。

 今回仮に、総理が帰ってこられて、この多国籍軍に参加するという形になった場合、要するに、今私たちが聞いている話では、今自衛隊がサマワでやっている行為をそのまま持続するんだ、したがって、現在のイラク特措法のこの法律そのままで、これを援用するというか、このもとで行くのである、こういう話で聞いているわけなんですが、ここでどうも、私どもも党内でいろいろ議論をしていると、これは新法をつくらないといけないのじゃないのかという話があったり意見があるわけですけれども、仮に新法を必要とするケースというのは、どういう場合だったら新法が必要になってくるんですか。

石破国務大臣 例えて言うと、今、医療あるいは給・浄水、そしてまた公共施設の補修等々やっています。それ以外のものをやろうとするならば、新しい任務がふえるとするならば、これは新法というものが要るだろうということになりましょう。

 あるいは、今非戦闘地域というような概念でやっております。これは憲法との関係で、一体化との議論の中で出てきたものでございますし、それは、考え方としていかなる場合でも維持をされなければいけないと思っておりますけれども、そこの考え方が変わるようなことが仮にあるとするなら、もちろん憲法九条をきちんと守るということを担保した上での話でございますけれども、そういう場合もあり得るだろう。

 ただ、この点につきましてはまだいろいろな検討をしていかねばなりませんが、私、従来からお答えをしておりますとおり、基本的に、新法ではなく、今のイラク特措法で派遣を継続するということが可能であり、適切ではないかというふうに考えております。

 長いお答えはいたしませんけれども、先ほど三つ挙げました、この三つのことに加えて、安全確保支援活動として空輸等々行っているわけですが、それをきちんと果たすということが必要なことであって、新法を設けて任務をふやすとか、そういうことを考えることは必ずしも適切ではないのではないか。そしてまた、非戦闘地域という概念、なかなかわかりにくいという御指摘をいただいておりますけれども、憲法九条の趣旨をきちんと守っていくためにもこの概念は必要なものだというふうに思っておるところでございます。

赤松(正)委員 ありがとうございました。

 最後に、外務大臣、多国籍軍のいわゆる指揮権の話でございますが、要するに指揮下に入らない、日本は多国籍軍が仮に形成されてそれに参加した場合でも、多国籍軍のリーダーの指揮のもとに入らないといった場合、そういう担保をどう取りつけるかということについて、日本国外務大臣としての姿勢、努力、どういうふうにしていこうと思っておられるのかを聞いて終わりにしたいと思います。

川口国務大臣 まず、今後それらについては検討をして、適切に判断をする必要がある問題であるというふうに考えております。

 我が国の自衛隊がイラクで活動する場合には、これはまさに憲法のもとで行わなければいけない、イラク特措法に基づいて行わなければいけないということでございます。逆に言えば、そういうことでなければできないということであるわけでして、具体的にどのようなかかわり合いを多国籍軍と持っていくかということは、今の時点でこうだということを申し上げられる段階ではまだない。ただ、イラク特措法の枠内で必ず行われるということはきちんと確保するということであると考えております。

赤松(正)委員 では、時間が来ました、終わります。ありがとうございました。

小此木委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 民主党の長島昭久です。

 今、赤松委員の方からお話がありました多国籍軍の問題、少し詰めてみたいというふうに思います。

 六月の十日付の新聞各紙は、「多国籍軍に参加」という見出し、これは産経新聞。それから、日経新聞は「自衛隊 首相踏み込む 多国籍軍参加を表明」、朝日新聞は「「協力」一気に「参加」」へ、こういう見出しが躍っているわけですけれども、また先ほど来お話を伺っていると、首相が帰ってこないとどういう形で参加するかというのは、形態はよくわからぬ、こういうお話なんです。

 首相は、ブッシュ大統領との首脳会談で、日本は新決議に基づき、来週、自衛隊派遣継続を決定する準備をしている、こういうふうにはっきりおっしゃっておりますし、きょうは、先ほど速報で見たんですけれども、多国籍軍が形成されると思うが、その中で日本としてできること、人道支援、復興支援を継続していく方向で検討したい、こういうふうに言っておるわけですね。

 特措法をつくる前のときもそうなんですけれども、特措法ができてみると、イラクの復興のためにお手伝いをしたい、そういう目的に第一条はなっているんですけれども、どうも首相のおっしゃり方が、対米協力の一環として自衛隊派遣を考えているような、そういう印象を与えるんですね。

 あのときも、去年ですが、五月に日米首脳会談がテキサスでされて、そのときに自衛隊の派遣をある意味で約束した、こう言われていますね。その後、特措法の議論があった。今回も、首相が国内の議論を全く吹っ飛ばして、みずから行かれて、そして大統領に対して自衛隊参加をある意味で約束する。

 これは、一つは、国内の議論も煮詰まらないまま首相がアメリカに対して公約をしている。これは、物事の進め方も私は大変問題だと思いますが、同時に、今やはりイラクの状況を考えると、アメリカに対するまさにイラクの国民の怨嗟というのが集中している、それで大変治安も乱れ、危険な状況に陥っているわけなんですけれども、そういう中にあって、対米、まさにアメリカに対する忠誠を尽くすというような文脈で自衛隊を派遣、つまりはサマワで活動している自衛隊をそのまま残す、そういう話をされる。

 これは、まず防衛庁長官に伺いたいんですけれども、自衛隊の安全確保という観点からいって、こういうアプローチというのは、防衛庁長官、自衛隊をお預かりになっておられる責任者としてどういう認識をされているか、伺いたいと思います。

石破国務大臣 総理がおっしゃいましたのは、今委員がまさしく正確に引用なさったとおりのことでございます。

 安全確保との観点からどうなのか、アメリカに対する怨嗟が高まっているが、その点についてもどうなのかということですが、私は、今回のイラク派遣の意義について、特措法の議論のときに四つのことを、これがすべて正しいかどうかは知りませんが、申し上げました。一つは我が国の国益の確保であり、そして二つ目は国際連合の責任ある一員として、あるいは国際社会の責任ある一員として国連の決議にきちんとこたえる、三つ目はイラク国民の要望、期待にきちんとこたえる、四つ目に日米の信頼関係というものをさらに高めるということを申し上げました。

 私たちは、先生が御指摘になるように、アメリカに対して忠誠を誓うがために自衛隊を派遣している、そういうものではございません。それは、統治評議会の方々やあるいはサマワの方々が、総理のところや外務大臣のところや私のところにいらっしゃって、本当に日本の活動には感謝をしている、評価をしている、我々は日本にもっといてもらいたいし、活動してもらいたいというふうに言っているわけであって、我々は何もアメリカに対する忠誠心とか義理立てとか、そのようなことで自衛隊を派遣しておるというふうには考えておりません。

 他方、しかし、アメリカが自由と民主主義をつくるためにイラクにおいて最大限の努力をしている、そういうときに、唯一の同盟国としてアメリカを持っている我が国が何もしなくていいのかといえば、私は決してそうだとは思わない。憲法の範囲内でできることをやりたいと思っております。

 そのことと安全確保ということは、これは別の問題でございまして、安全確保の義務というのは本当にきちんきちんと果たしていかねばならないし、事の当否は別として、先生のお言葉をかりれば怨嗟の感情がある、しかし、その中で、人道復興支援をきちんとやっていくためのいろいろな措置というものは、可能な限り、考えられる限りのものをとっております。そういうような感情があることを私は否定をしませんが、そういう中において自衛隊の安全というものはきちんと図られるようにしていく、そのために何の変わりもございません。

長島委員 それは長官のおっしゃるとおりだと思います。

 その上で、今回、国連決議一五四六ができました。新しい決議、全会一致、これは大変喜ばしいことだというふうに思いますが、その中に、統合された司令部、ユニファイドコマンドというのがはっきり書いてあります。統合された司令部のもとの多国籍軍である、これが一点。それから、イラクにおけるその多国籍軍が、イラクにおける安全及び安定に貢献するためにすべての必要な手段をとる権限を有する、つまりオール・ネセサリー・メジャーズ、こう書いてある。つまりは、もし治安がかなり悪くなってきたということになれば、ファルージャで行われたようなああいった都市包囲作戦みたいな、まさに武力行使も含むような掃討作戦にかかわっていく、こういうことでありますね。こういう多国籍軍であるということがまず前提。

 それと同時に、我が国の防衛庁の守屋事務次官は、六月三日、いわば守屋四原則というふうに私は呼びたいと思っているんですが、自衛隊を派遣する場合の四原則をおっしゃいました。これは時間もないので全部は言いませんが、四番目の原則、多国籍軍司令部の指揮下に入らない、こういう言い方をしているんです。

 国連決議では、統合された司令部のもとに多国籍軍が存在すると言っている。一方、日本の防衛庁は事務次官が、統一的な司令部の指揮下に入らない、こう言っている。この二つ、どうやって小泉首相がおっしゃったように両立をさせながら日本の自衛隊がサマワに残って多国籍軍の中の協力あるいは参加をしていくつもりなのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。これは防衛庁長官でも結構ですし、外務大臣でも結構です。

石破国務大臣 私どもの事務次官が申し述べましたのは、新聞が四条件とかいってお書きになりました。そういうことを事務次官は申し述べたものではございません。

 私も次官の記者会見をネットでずっと精査をしてみましたけれども、次官が申しましたのは、イラク特措法が認めている範囲内か。つまり、イラク人道復興支援特措法のもとに日本が外国で活動する場合には、一般に武力行使に当たらないこと、多国籍軍の行う活動の中に武力行使を伴わない活動があるかどうかということ、イラク特措法が認めている範囲内か、我が国は安保理決議一五一一に基づき多国籍軍の統合された司令部の指揮下にないということが確保されるなどが議論になるであろうということを述べたのであって、条件というものを言ったわけではないというふうに承知をいたしておるところでございます。現在、我々が一五一一に基づく司令部の指揮下にないということは事実でございまして、そういうことを申し述べたというふうに私としては承知をし、次官にも確認をしておるわけでございます。

 では、今後はどうなのだということになりますと、これは繰り返しの答弁で恐縮でございますが、総理からは委員が冒頭お述べになったような意向が表明をされた。多国籍軍との関係、指揮命令系統どうなるかということについてきちんとした検討を行い、日本政府としての方針を決定するということになろうかと思います。

長島委員 この指揮命令系統の問題というのは、一番この問題では重要だというふうに思います。

 そこで、法制局長官に伺いたいと思うんですけれども、たしか、これは平成二年の十月の衆議院の国連協力のための特別委員会で政府が整理をされていますね。これは国連軍への参加に対する問題ですけれども、基本的には、武力行使と一体化しないあるいは武力行使をしないということが日本国憲法上の要請ですから、これは多国籍軍であろうが国連軍であろうが同じスキームだというふうに理解をしておりますけれども、ここで「参加」と「協力」というふうに二つのカテゴリーで説明をしていますね。

 「参加」というのは、「当該「国連軍」の司令官の指揮下に入り、その一員として行動すること」。これについては、武力の行使を伴うものであれば自衛隊はだめだ、参加はできない、ただし、武力の行使を伴う任務を持った国連軍であったとしても、「協力」、つまりは「当該「国連軍」の組織の外にあって行う「参加」に至らない各種の支援」はできるんだ、こういう整理だったはずなんですけれども、数日来の国会御答弁をお伺いしておりますと、いやいや、任務が武力行使を伴わないものが入っていれば参加もいいんだ、つまりは指揮下に入ることもできるんだというようなニュアンスの御答弁に聞こえるんですが、もう一度簡潔に整理をしていただきたいと思います。

秋山政府特別補佐人 従来から政府が申し述べております参加の意義につきましては、今委員がおっしゃったとおりでございまして、任務に武力行使を伴わないような多国籍軍というものがもしあるとすれば、それはその司令官の指揮に入って武力行使に関連のない業務を行うということは憲法上は問題ないと思います。

 それから、今の参加と協力の問題でございますが、これは国連軍についての中山外務大臣の平成二年の答弁で、多国籍軍についてもこれは憲法九条との関連での問題でございますので同じ原則が当てはまると申してきておりますが、「「協力」とは、「国連軍」に対する右の「参加」」、すなわち指揮のもとに入り、その一員として行動することを意味する、そういうような参加を含む広い概念である。要するに、協力というのは、一般的な言葉としての協力である。それで、「当該「国連軍」の組織の外にあって行う「参加」に至らない各種の支援をも含むと解される。」ということでございます。

 それで、このような参加でない広い意味の協力については、当該国連軍の目的、任務が武力行使を伴うものであってもすべて許されないわけではない、武力の行使をしない、それから一体化しないということが確保されていればそれは協力ができるんだということでございますので、ここの中山大臣がおっしゃった「協力」というのは、組織の外にあって行う参加に至らない各種の支援だけではございませんで、それ以外の、要するに参加に至らない各種の関与のことを総称して言っているわけでございます。

長島委員 余りわかりやすい御答弁だとは思わないんですが。

 私がこだわっているのは、これは私がというよりは国民の皆さん、多くの皆さんが大変心配されていると思うんですけれども、指揮のもとに入った場合に隊員の安全は大丈夫なのか、あるいは武力行使と一体化していかないのか、こういうところはやはり仕分けを憲法上しておかなきゃいけない、こういうふうに思うので申し上げているんです。

 私が今協力というふうに申し上げたのは、指揮のもとに入らなくても、今回のイラクにおけるいろいろな、多様なミッションの中で日本がやれることがあると思うんですね。先ほど来申し上げたように、総理大臣は多国籍軍、多国籍軍というふうにおっしゃっているわけですけれども。

 私、この新決議、これは外務省が出している抄訳というか、今何か仮訳しかないそうなんですけれども、ここを見ていて気がついたんですが、多国籍軍という言及ももちろんあるんですけれども、もう一つは、これはパラグラフ七、七段落のところで、国連イラク支援ミッション、これはUNAMI、ユナミと読むのでしょうか、イラク政府の要請に基づいてこの国連の支援ミッションが立ち上がる、この支援ミッションにも、「復興、開発及び人道支援の調整及び提供への貢献」、こう書いてあるんですね。これも加盟各国に対して呼びかけられているわけですね。

 ですから、何も多国籍軍という範疇に入らなくても、総理大臣が前からおっしゃって大好きな、人道復興支援、人道復興支援とおっしゃっていた、そこに自衛隊をこのUNAMIのもとで送る、そういう選択肢は政府として考えておられないのでしょうか。外務大臣、よろしくお願いします。

川口国務大臣 まず、政府として、自衛隊が今サマワで人道復興支援をやっているわけですけれども、そういった我が国の貢献を継続するということは適切であると考えているということです。

 その次に、じゃ、自衛隊の位置づけはどうなのかということ。特に、自衛隊と多国籍軍の関係はどういうふうに整理されるのかということについては、これは先ほど来申し上げていますように、いろいろな観点から政府として今後検討をし、適切に判断をしていくということでございます。

 いろいろな観点からと申し上げたのは、これも先ほど来申し上げていますけれども、例えば決議の内容ですとかサミットのメンバーの御発言とか各国との協議の内容とか、それから、多国籍軍との関係において申し上げれば、これは決議の内容あるいは多国籍軍の任務、目的、態様等々といったようなことであるということでございます。

長島委員 ぜひ、いろいろな選択肢を検討していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。

 もう時間がないので北朝鮮の問題に移りたいと思いますが、まず第一点は、拉致の問題であります。

 一点に絞りたいと思いますが、未帰還者、まだ帰還されていない十名の方の調査。これは、聞くところによると、白紙から調査をし直すということでよしとして首相は帰ってこられたようですが、そのとき家族会の皆さんが心配されたのは、期限はいつなんだろうか、いつになったらその調査結果が出てくるんだろうか、こういうことですが、外務省、その後北朝鮮側に期限を区切った、あるいは進捗状況についてどうなっているのか、そのアップデートをしていただきたいと思います。

川口国務大臣 この安否不明者十名の方々につきまして、おっしゃったように白紙に戻って徹底的に調査をするということを北朝鮮は言ったわけですけれども、日朝間では先般の総理の訪朝後も一定のやりとりを行っておりまして、その中で本件再調査についても、これを早くやるべきであるということについては北朝鮮に言ってきているということでございます。それで、今の時点で北朝鮮側から具体的な状況というのが示されるという状況にはなっていないということでございます。

 いずれにしても、この調査のプロセスで、我が国としては、必要に応じて日本側の参加者の参加というのを検討するということを考えております。先方の再調査と、それを我が方の独自の調査を突き合わせるということが必要で、そういうことをやって真相の解明をやっていく必要があるというふうに考えています。一日も早く真相の究明をしたいと思っています。

長島委員 今のお答えでもまだ不満足なんですね。

 進捗状況をお伺いしたんですけれども、ほぼゼロに近いというか、もう二、三週間たっていて、まだ、ここまで来ました、期限についてはこういう状況ですという説明ができないことに、やはりこれは命の問題ですから、さっき外務大臣、安否不明者という言い方をされましたけれども、私どもは未帰還者というふうに、わざと安否という、否の方はもう亡くなられたという前提ですから、ぜひ言葉遣いも適切な言葉遣いで今後御答弁いただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いします。

 そして、核の問題、これは包括的解決と言っているわけですから、拉致、核、ミサイル、これはワンパッケージで進めていかなければならないわけですけれども、これは八日のフィナンシャル・タイムズの一面トップ、首相はナイーブだ、こういうふうに書かれているんです。

 これはどういうことかというと、金正日総書記が朝鮮半島の非核化が最終目標だと言ったことについて、外国人記者クラブで、そういう方向に向かっている、こういう評価をされたことに対して、ナイーブだ、こう指摘されてしまっているわけですけれども、私は本当にそう思うんですね。彼らの言うとおりだと思うんです。

 なぜかというと、今回、核凍結というものが非核化への第一歩だ、そして凍結には検証が伴う、こういう発言を引き出したことに、ある意味で首相は、これで評価してほしい、こういう言い方をされているわけですけれども、実は、五月十二日から十四日に開かれた六者会合の作業部会の成果報告の中にも、ほとんど同じようなことが盛られているんですね。朝鮮半島の非核化が共通の目標であることが六者間で、つまり北朝鮮も含めた形で共通認識が得られた、それから核計画凍結の提案については、凍結が核廃棄という最終的な目標に向けた第一歩と位置づけられるべしということで、北朝鮮も含む六者で認識の一致が得られた。

 これは別に、首脳会談で総理が金正日総書記からある意味で新しい一つの成果を引き出したと言うには足りないものではないんでしょうか。外務大臣の評価をお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 まず、北朝鮮という体制の国で、金正日総書記の口から、第一歩であるということ、そして、それには国際的なベリフィケーション、それを伴う、検証を伴うものだと思っているということを引き出したことについては大きな意味があると考えております。

 それで、作業部会で確かに第一歩であると示唆されているということはそういうことですけれども、検証を伴う、それが第一歩だと金正日が言ったということの意味が一つあると思います。

 それからもう一つ、サミットにおいて、北朝鮮が考えていることと、それからほかの国々との間で、きちんと考えていることを伝え、そしてまた、それを国際社会が評価したことによって、金正日総書記が日本の果たしている役割を高く評価し、そしてそれに応じて今後行動をとっていくということを期待を我々としてみんなしているわけですから、そういうことのコミュニケーションを図る動きということを総理がなさったという意味は大きいと思っています。

長島委員 金正日総書記がみずからおっしゃったということで、それで事足れりというその姿勢自体が私はナイーブだ、こういうふうに申し上げているんです。

 というのは、そこでもし凍結とか検証という話が出たら、じゃ、何を凍結するのかということを詰めて帰ってくるのが一国の総理のされる対外交渉じゃないんでしょうか。つまりは、濃縮ウラン型の核開発もしていると言われている、あるいはプルトニウム型の核開発をしている、こういうことを、じゃ、一体、彼らは最後認めていないわけですけれども、濃縮ウラン型も今回の凍結に入るのかどうかとか、あるいは原子力の平和利用という問題はどうなのかと、これはやはり一つ一つ詰めていく必要がある。

 ミサイルの問題も実はそうなんですね。百七十五基もノドンミサイルが日本に対して脅威を与えているにもかかわらず、平壌宣言にも盛り込んだモラトリアムという一言をとってきたと小泉総理は記者会見でもおっしゃっておられましたけれども、しかし、これはもうまさに我々日本国に対する脅威そのものなんですから、その点はやはりきっちり詰めて、そしてモラトリアムだけじゃなくて、このノドンミサイルをどうしてくれるのかという問題も詰めて帰ってこられるのが私は総理の首脳会談の目的だというふうに思っておりますし、そもそもこの交渉に……

小此木委員長 長島委員、時間が超過しておりますので。

長島委員 はい。軍事専門家が一人も入っていないということが、私はこの問題に対する総理の無気力、無責任さがあらわれているというふうに言わざるを得ないということを指摘いたしまして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

小此木委員長 次に、大石尚子君。

大石委員 お許しをいただきました民主党の大石尚子でございます。

 大変世の中の情勢が目まぐるしく変わっております。その中で、日本のこれからの安全を保つためのその命となるのは、私は情報活動ではないかと認識いたしております。

 世界各国のあるいは国際間の正しい情報を的確に収集し、そして分析して、そして今起こっている事態あるいは起こり得る事態に関して速やかに対処していけるかどうか、これが勝負だろうと思っているのでございます。ですけれども、今実際に日本が置かれている状況を考えますと、心配が多うございます。

 例えば、日本近海の海洋資源とかあるいは地下資源、これは、国連の海洋法条約あるいは大陸棚条約から必ず日本の権益として守り抜けるものであるにもかかわらず、その対処がおくれていて、あるいは中国絡みの問題があったり、それが将来きちっと我が国の子々孫々のために確保できるのかどうか。これは、だれがそれが不成功に終わったときに責任をとるのか、そういうようなことも心配になってまいります。

 また、今、日本の船主が使っているコンテナ船、この船籍が日本にはない。よその国の船籍で、そして船員もほとんどが外国の人たち。そして、ある国からそのコンテナの中にテロリストが潜り込んで、そして日本の国に運ばれてきた。そうすると、そのまま上陸してしまうという危険性があるのではないか。

 しかし、そういうことに関して、じゃ、きちっと情報は収集されているのだろうか、そういうようなことを考えてまいりますと、その個々のことにお答えいただくという意味ではなくて、大変国民的な立場から心配になるのでございます。

 それからまた、ちょっとうれしい心配もございまして、国際貢献の問題、日本の国の自衛隊が、これは湾岸戦争の後のペルシャ湾の掃海に海上自衛隊が出ていって、それからPKOに参加して、そして日本の自衛隊の活動に対して、その現地の方たちはもちろんのこと、またそのPKOの活動に参加した各国の皆さんや、それから国連においても大変昨今高い評価がなされている。

 そうすると、今後どうなるかと申しますと、いろいろなところへ日本の自衛隊の協力要請が広がってくるのではないか。そうすると、私たち日本の国はそれに一々応ずるわけにはいかない。もちろん国益を踏まえて、そして、ここの国には、このオペレーションには参加させるのかさせないのか、そういうことを、これは政治的な判断で出すことが、まず派遣ありきということではなくて、しっかりと、これは日本のために出すとか、出しても余り無意味だから出さないとか、そういう選択が必要になってくるということがもう目に見えているのではないかと思うのです。

 それで、自衛隊の人たちの活動は、確かに日本の国の顔になってきております。それと同時に、日本の大変すぐれた人的資源であるということも確かだと思うのですが、その資源にはやはり限りがあるので、しっかりとここは選択していかなければいけない。そのときに、じゃ、要請を受けた、それから現地に調査に行って、出そうか出さないか考えようでは、これはもう遅いので、日常、しっかりと、これは外交上あるいは防衛上、情報を収集しておかなければいけないと思うのでございます。

 これは、世界各国の状況を収集するには、外務と防衛が車の両輪のごとくしっかりと補い合って、双方専門的お立場が違うわけですから、外務の専門家はその専門のお立場から外交の専門家として、それから防衛庁の自衛官は自衛官としての専門的な立場から、各国々の情報をしっかりと収集しておく必要があるのではないか。そうして、いざ要請を受けたときに、じゃ、納得して出す出さないというところの判断基準というものを常時から集めて、解析して、用意していく必要があるのではないか。

 そういうことを考えましたときに、これからのいわゆる国際情勢の中で、日本の情報活動というのが本当に大丈夫なのだろうか、対応し切れていけるのだろうか、そこら辺を大変心配に思っているのでございますけれども、まず両大臣の御見解を伺わせていただきたいと存じます。

川口国務大臣 外交と一言でそういう言葉を使いますけれども、我が国が我が国以外の国と対して国際関係をやっていく場合に、それから、そのベースになる我が国の内政面において我が国として適切な判断をしていくために、情報の収集活動というのは、私は、委員もおっしゃるように極めて重要、いかに重要かというのは言い尽くしても言い尽くせないぐらい重要であるというふうに私も思っております。

 それで、その情報を集めるという活動も、多元的にできるだけ広く集めるということも重要でありますし、それから同時に、その集めた情報を、我が国として政府が一体となってそれを分析し、我が国のさまざまな政策に反映をしていくという作業も重要であると思います。情報を収集するに当たっては、人も重要ですし、それから技術も重要であるというふうに思います。

 いずれにしても、これは日本国として貴重な情報ですから、それぞれの情報をお互いにシェアし合って、意思決定に役に立つように、一元的に議論ができるということが重要であると私は思っております。

石破国務大臣 委員の御指摘はそのとおりでありまして、昨年の末、閣議決定をした文書におきましても、自衛隊の新たな体制への転換に当たっては、高度の情報能力を追求するということが明記をされておるわけでございます。

 それで、明記をされたはいいんですけれども、これを一体どうやって実現していくのかということから考えますと、やはり多様な情報源というものを持たなければならぬだろう。多くの情報源、それはヒューミントの場合もあれば、シギントの場合もあれば、エリントの場合もございますが、多くの情報源を持ち、それをどのように分析、評価をするか、体制をきちんとつくっていかなきゃいかぬだろうと思っております。

 情報の多分九九・九%はもうどうでもいいような話なんですが、残った〇・〇一%を見つけるのが、これが大変なことであって、そのような体制には物すごい人員が要る。そして、きのうきょう、その職について突然できるものではありませんので、相当長い間訓練を積まねばならないということがございます。

 ですから、情報源の多様化、分析、評価体制の確立、そういうことで、情報というものを、先生おっしゃいますように、まさしくメーンに据えてやっていくという体制が必要なのだということで、あり方検討の中でも最も重要な要素の一つとして議論をさせていただいておるところでございます。

大石委員 ありがとうございます。

 防衛官としての、いわゆる専門家としての情報収集というのは、これはやはり衛星による画像解析なども、これはもう科学技術を駆使した大変大事なものかもしれませんですけれども、やはり情報というのは、現地に行って、そして人と人とのつながりの中からいろいろなものを集めてくる、信頼関係がなくては情報は得られない、そういう面の情報収集能力というものがこれからますます必要になってくる。今まで日本はそれが余り得意な分野ではなかったのではないかと思うくらいでございます。

 それで、例えば、大使館に防衛駐在官がおられます。その方たちは、その現地の国で、ほかの国からいらしている武官たちとの交流もできるでしょうし、また、その現地の武官、その国の武官との交流などもできる。そういう人脈をそこでつくれるかどうかということが、信頼関係を構築できるかどうかということが、情報収集には大変重要なこととなってくると思います。

 しかし、今、日本の大使館の中にいわゆる防衛駐在武官が配属されているところは限られておりますし、また、そういう武官同士のネットワークというものが、これが地球上津々浦々張りめぐらされていくということは、これは考えようによっては、そこに信頼関係が醸成されていくということは、言いかえれば、私たちの国の防衛に大変有効な間接的な防衛力となってくる。

 これは、私、PKOに我が国の自衛隊の人たちが参加して、どういう人間関係をつくり、どういう活動をしてきたかということを考えたときに、ああ、現地へ行ってPKOで活動するということが、現地の問題ではなくて、私たちの国を守ることにこうはね返って生きてくるんだなというような、そういう思いもございました。

 それからまた、あと、PKOの現地を歩いてみましたときに、もし、ここに、事前に専門家としての自衛官が現地調査をした上で、そして部隊を派遣することになっていたら、恐らくこういう展開はしなかったのではなかろうか、また別の展開ができたのではないか。それは、プロとしての事前の情報収集のチャンスがなかったために、隊員に苦労を多くかける、それから効率が悪くなる、こういうことを目の当たりに見てまいりまして、私は、常日ごろの情報収集活動、これは専門家としての情報収集活動、民間人にとっては何も問題のないようなことが、やはり自衛官としては、これはちょっと注意しておかなければならないということがあるわけでございますので、なるべく制服組を世界各地に派遣するチャンスというものをふやしていく必要があるのではないか。それが、かなり恒常的にネットを張っていくことができれば、そうすれば、これがいろんな面で生きてくるのではないか。

 そうすると、例えば、国連から、あそこの国の紛争に日本の自衛隊を参加させてほしいというような要請があったような場合にも、じゃ、自衛隊が行った場合、何ができるのかできないのか、そういうことは、現地の国をよく知っていれば、その国民の心情も含めてよく情報が握られていれば、的確に私たちも判断できる情報を提供していただけるだろうと思うのでございます。

 そういうことを考えましたときに、防衛庁長官は、所信にも言っていらっしゃいましたし、先ほども、存在する自衛隊から機能する自衛隊へとおっしゃっておられますけれども、これから自衛隊をどうもっともっと日本の国の安全を保つために機能させていくかということには、こういう情報活動を含めて取り組んでいく、そういう活用方法をもっと考えていく必要があるのではないか、それを利用して、国際貢献できる人材を日本の国の中に養成していくことにもなり得るのではないか、そういう考え方をいたしておりますので、防衛庁長官、御意見がございましたら伺わせていただきたいと思います。

石破国務大臣 これは基本的に、先生のおっしゃるとおりだと思っております。

 今私ども、先生にも御説明をあるいはしたかもしれませんが、三十六の在外公館に四十七名の防衛駐在官を出しております。これは、ではほかの国と比べてどうなんだという比較をやってみたことがあるんですが、さすがにアメリカは九十何カ国に出しておりますが、日本が今三十六の在外公館、兼轄も含めますと五十二カ国をカバーしているというふうに考えておりますが、大体ドイツと同じぐらいなのですね、どれぐらいの国に出しているかというのを考えましたときに。イギリス、フランスよりは少し落ちるけれども、大体ドイツが世界じゅうに張りめぐらしている武官制度、我々は駐在官と言っていますが、大体エリアからすればそんなようなものであって、決して遜色があるとは思っておりません。

 昨年のことだったと思いますけれども、これも外務省といろいろな協議をいたしておりますが、昨年の五月、当時の赤城防衛庁副長官と外務省の矢野副大臣との間で覚書の改定もいたしました。そのまま、防衛駐在官が発信した情報がダイレクトに防衛庁に来るという仕組みもつくりました。

 先生、いろいろな国へ行かれて防衛駐在官と接していただいていると思いますけれども、やはりそれぞれの国の日本大使の御理解というものが非常に重要だろうと思っております。私はいろいろな国へ行きましたが、本当に大使の理解のもとにいろいろな活動ができているというふうに思っています。

 この国をさらにふやしていくというのはなかなか難しい面はございますけれども、やはり情報収集しておくという意味において優先順位をよく考えまして、あと、人材にも、人材というのは人員という意味でございますが、人間にも限りがございます。だれが行ってもいいというものでもございませんので、そのあたりも考えながら、さらにこれを拡大するにはどうしたらいいのだろうか、優先順位をどう考えるべきか。そして、国際的にも機能する自衛隊となるために、おっしゃるとおり、情報の収集というのは極めて重要でございます。

 人間関係を築くことも重要です。最近、防衛駐在官を主人公にした小説というのが幾つかございますが、それを読むと、本当にこんな苦労をしているんだなということをつくづく思います。彼らを本当にさらに有効に活用していくために、先生の今の御意見も踏まえながら、庁内でよく検討してまいりたいと思っております。

大石委員 時間がなくなってまいりました。

 ただいま覚書のことをおっしゃいましたが、この覚書だと思います。その最後のところにこういうことが書いてあって、私はびっくりしたんですけれども、「防衛駐在官が起案するいわゆる防衛情報を、防衛庁に」、今長官がおっしゃったところでございます、「自動的かつ確実に伝達する。」こういう覚書があるということは、こういうことがなされにくかったというふうに思う。これはとんでもないことで、むしろ私は、この覚書をつくるのであれば、「防衛庁に自動的かつ確実に伝達する。」ではなく、防衛庁に同時に直接伝達する、これはもう同時に伝達することが今の時代ではできるわけでございますから。なお、防衛駐在官は、防衛情報に限り防衛庁のみに直接伝達することができる、これがあっても私は当然だろうと思っております。

 時間が参りました。今後とも、外務省の方も、ぜひ機能する外務省へこれからも御努力くださいますようにお願いいたします。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局長西田恒夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 まだ決まったわけではないでしょうが、恐らく今国会最後になる可能性も、少なくとも私の質疑は恐らく、多分最後だろうというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 先般、都内某所と言うと怪しげですけれども、別に怪しげでもないんですが、石破長官と御一緒することがあったときに、野党は批判をするのが仕事だからしっかりやっていただきたいとは言わなかったと思いますが、どんどんやっていただくのは結構だというお話であったというふうに思います。今の大石理事の御質問にもあったように、私ども一応、チェックをする、これが批判になるのかもしれませんが、提案と、両輪が仕事だと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 その意味で、私もきょうは最後でありますので、実は、これからの防衛力のあり方ということで、例えば、石破長官、残念ながら、どちらのせいとは申しませんが、行かれなかったシンガポールで、演説をされる予定でもあったんだろうというふうに思います。その原稿も拝見をいたしました。なかなかいろいろ示唆に富む考え方も入っているんではないかというふうに思ったんですが、どうしてもやはりその前にイラクの問題、続きでやらざるを得ないというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。

 岩屋理事の方からもお話がありました。私どももイラクの復興を、イラク戦争そのものについては、私ども、意見は与党の皆さんとは異にすると思いますが、こういう事態になった後の復興が必要であるということについては論をまたないところだということは我々も申し上げられると思います。そして、一般論としては、自衛隊が海外に出て手伝うということも、しっかり体制を整える、法律を整えるということが条件になると思いますけれども、私どもも積極的な平和創造も含めて将来は考えていきたいというふうに思っているということを申し上げてまいりたいと思います。

 ただ、今回のイラクについては、一つは、いろいろな支援の仕方があるだろうという意味で、私どもはNGOの話も申し上げてまいりました。この話には深く立ち入りいたしませんが、こういう状況だとNGOは大変難しいということも政府の方からお話も伺いましたが、先般の外務委員会で、私もはたで聞いていただけですけれども、ジャパン・プラットフォームの関係の方はそれなりのプロであるからというような評価も川口大臣の御発言の中にあったような気もいたします。そのような意味で、私たちも、しっかりそれぞれの機能を果たしていく中でいろいろな支援の仕方があるんじゃないかということをまず申し上げたいと思います。

 それから、イラク特措法で出すのがいいのかどうかということが私たちは一つの議論だろうというふうに思っております。民主党も、創憲ということで、憲法をしっかり見直すということまで踏み込んでまいりました。私は、選挙で、憲法の改正ですか、護憲ですか、どちらかに丸をつけよと言われたら、改正に実は丸をつけて立候補いたしまして、当選をさせていただいておるわけでありますが、そういう意味で、憲法まで含めて法制をきちっと整えて自衛隊を出されるという形、もしくは解釈も含めてとっていただけたらなという意味で、私どもは、特措法の戦闘地域、非戦闘地域の議論に入るということを避けていきたいとむしろ思っておったわけであります。

 そんな中で、今回、さらに多国籍軍に参加という話が言葉として出てまいりました。

 まず、先に法制局にお伺いをしたいというふうに思っております。

 今まで幾つかもう議論が出てまいりましたし、参議院の方でも何度か議論されておりますので、繰り返しは避けてまいりたいと思います。基本的に、武力行使と一体化しないこと、武力行使そのものはもちろんでありますが、一体化しないことが確保されることが必要だ、その範囲であれば憲法に触れないというのが解釈だというふうに理解をしたいというふうに思いますが、一つ確認をさせていただきたいのは、今の御答弁、きょうのこの委員会でもありましたし、これまでもありました。湾岸戦争のときの御答弁があって、そしてそのときは、武力行使を任務とする多国籍軍に参加することはできないのではないかという御答弁であったというふうに思います。しかし、新たな類型、さまざまな類型を考えると、これは武力行使と一体化しないことが確保されればできることもあるのではないか、多分こういうことだろうというふうに思います。

 新たなという言葉を長官としてはお使いにくいのかどうかわかりませんが、今まで少なくとも判断を示してこなかった分野について今回判断が示されたという理解になるんではないかというふうに思いますが、確認をさせていただきたいと思います。

秋山政府特別補佐人 細かい説明はもう省略いたしますが、要するに、定義された狭い意味の参加は、その多国籍軍の任務に武力行使を伴うものである場合には、それは問題であるというふうに従来申し上げてきたわけでございます。

 その意味は、そのように、司令官の指揮のもとに入って、その指令に従って武力行使に関連するような行動を行う場合には、我が国が武力の行使をしない、あるいは武力の行使と一体化しないというような前提を確保することは非常に難しいのではないかということで、そういうふうに申し上げてきたわけでございます。

 そのように、なぜ、狭い意味の参加をすることが、当該多国籍軍の目的、任務に武力の行使を伴うものがある場合に憲法上問題があるかというその理由を、今までそういうふうに考えてきたわけでございますが、それを述べたことはこの国会で初めてでございます。

 そのようなこととの関連で、そのような、要するに、指揮下に入らない、その結果、武力の行使をしないし、武力の行使との一体化もないということが確保できるような前提があれば、その多国籍軍の一員となると申しますか、それに加わること、これは憲法上の問題はないという点は、今回、考え方を変えたわけではございませんが、新しい事態に即して初めて申し上げたことでございます。

松本(剛)委員 その点を確認させていただいたら結構でございます。

 あえて申し上げれば、私は、戦いのあり方、戦いを何をもって戦いかというような問題はありますが、あり方の態様が大きく変わってきている、同時に国際協力のあり方というものも変わってきているということを考えれば、当然、そういった憲法との関係の考え方というのも新たなものが出てきてしかるべきだというふうに思います。

 長官においでをいただいて申しわけないんですが、ある意味では内閣がそれはしっかり代表して、政治家のスタンスできちっと、新しいものが出てきて、これはこう考えるというふうな見解をお示しいただくのが本来の姿ではないかなということを、私は一つ申し上げてまいりたいというふうに思います。

 関連をして、今の解釈の中で少し、法制局長官にもう一点だけお伺いをしたいと思いますが、今回、イラク特措法に基づいて、恐らくこれから活動を行うことになるだろうというふうに思っております。人道復興支援とそれから安全確保支援活動と二つあるわけであります。人道の方はいいとしまして、安全確保支援活動というのは、武力行使をする他国の軍隊なりの後方支援をするということになると思うんですね。これは、多国籍軍に参加する形でやられても、イラク特措法が憲法に触れないんだから、この解釈を詰めれば、私はならないというふうに思うんですけれども、それでよろしいですか。

秋山政府特別補佐人 いわゆる安全確保支援活動が武力の行使への後方支援に該当するかどうか、これは、その支援の対象となります安全確保活動、ほかの国が行っておりますものでございますが、それが、これまた概念の話ばかりでございますので省略いたしますが、従来申し上げてきました武力の行使に該当するかどうかで決まるわけでございますけれども、それへの後方支援ということになりますと、まさに今……(松本(剛)委員「特措法の範囲で結構です」と呼ぶ)特措法の範囲で行う場合には、我が国が主体的な活動として、補給、輸送など、それ自体、武力の行使に該当しない活動を行うものであると。これらの行動はいわゆる非戦闘地域に限って実施するなど、我が国が武力の行使と一体化することがないということを制度的に担保する仕組みをつくっているものでございます。

 したがいまして、この法律の運用において我が国が主体的にこのような規定を遵守し得ること、言いかえれば、この法律の適正な執行が確保されているということになりますれば、それは武力の行使と一体化しないということが確保されているということになろうと思います。

松本(剛)委員 とすると、湾岸戦争型多国籍軍という話がありましたが、あの武力の行使もありますが、その多国籍軍に対して、イラク特措法で定めるのと同じ範囲のことはあの時点でもできたということになるというのが論理的帰結でよろしいですか。

秋山政府特別補佐人 一般的に申し上げて、そのようなことであろうと思います。まさにそれと類似のものを制度化したのが、いわゆるテロ対策特措法になろうと思います。

松本(剛)委員 これは、平成十年のときの予算委員会での大森長官の答えですよね。素直に読むと、それもできないというふうに読めてもおかしくはない答弁をいただいているというふうに思うんです。読んでまいりますと、あのときの多国籍軍、これは湾岸危機のときですが、武力行使をそもそも目的とするものであった、したがいまして、その武力行使を目的としていわゆる多国籍軍の一員として参加するということは憲法上できないということは、従前答えているところでありますと。

 先ほど、狭い意味での参加という言葉をお使いになり始めているというのは、参加を多分区別して使おうとお考えになっているんだろうというふうに思いますので、そこはきちっと先手先手を打っておられるなと思いながら先ほどの答弁をお聞きいたしておるところなんですが、恐らく、平成十年というか、この前の段階は、武力行使を目的とする多国籍軍に参加という言葉をとられると、一体化するかしないかはさまざまな解釈があるけれども、その中で、やはり手前で線を引くとすればここで線を引くという解釈だったんだろう。

 これはもうこれ以上長官にお聞きしません。これはもう政治家がどこかで、こうなんだと変えるべき話だというふうに私は申し上げた、本来そうあるべき話だというふうに思っておりますので、こういう状況だということだけ明らかにさせていただいて、話を次に行きたいと思いますが、お話ありますか。

秋山政府特別補佐人 従来、ここの場でも先ほどからも論議されました中山外務大臣の答弁、平成二年、まさに湾岸多国籍軍を念頭に置いたものでございまして、それの中でも、武力行使と一体化しないような形態の支援、例えば組織の外において行うようなもの、それについては憲法上の問題が生ずることはないということで、その考え方自体は当時からずっと続いているものでございます。

松本(剛)委員 そこを、こちらから申し上げれば参加と協力という形でそのときは使い分けていて、多分、今回は狭い意味での参加と広い意味での参加という言葉の使い分けに変わるのかなと思いながら、これから解釈をお聞きしていこうというふうに思っておるんですが、もう解釈論はこのぐらいにさせていただきたいと思っております。

 安保理決議の解釈ということになると川口大臣にお聞きをしなければいけないんだろうというふうに思いますが、一五四六が定める多国籍軍というのは、一五一一の決議に基づいて創設された多国籍軍という理解でよろしいんですよね、九条かな。

川口国務大臣 一五四六における多国籍軍ですけれども、これは一五一一において言われている多国籍軍、これを具体的に確認したものであるというふうに思っています。

松本(剛)委員 そうすると、例えば現在のアメリカ軍は多国籍軍の一員であるという理解でよろしいんでしょうか、六月三十日までの、今の一五四六が発効する前の米軍という意味ですが。ちなみに、一五一一の最後、二十何項だったかな、多国籍軍を代表して米軍が安全保障理事会に報告するようにというふうな言葉もあるんですけれども。

西田政府参考人 お答えをいたします。

 一五四六で今度多国籍軍ができたわけでございますが、それに対して……(松本(剛)委員「一五一一の多国籍軍を確認したと大臣は言われました」と呼ぶ)さようでございます。

 一五四六のもとの多国籍軍ができて、例えばその役割あるいはその使命、何をするかということについては、今般、例えば人道復興支援というようなものが明示されておるわけでございますが……(松本(剛)委員「委員長、質問に答えていただきたい」と呼ぶ)ですから、今の時点の一五一一の要するに多国籍軍には当然米軍は入っていると。一五四六は、ただいま大臣がお答えしましたように、その一五一一に対する授権を再確認したものとして多国籍軍が一五四六でつくられているということでございます。しかし、具体的にできるその一五四六に引き続き米軍等が参加するかどうかというのは、今の時点では我々はわからないということでございます。

松本(剛)委員 西田局長、一五四六の最後をお読みになりましたでしょう。多国籍軍を代表して米軍が国連安全保障理事会に報告するようにと書いてあって、米軍が参加するかどうかわからないというお返事はちょっとおかしくないですか、そういうのはちょっと。

西田政府参考人 特定的な米軍ということであれば、そういうことだと思います。一般的に、他の軍隊も含めて……(松本(剛)委員「だから、米軍」と呼ぶ)では、済みません。では、訂正いたします。

松本(剛)委員 ぜひ誠意を持って、建設的な話をさせていただきたいというふうに思っております。

 私が申し上げたいのは、現在も多国籍軍がある、我が国は多国籍軍の外で支援を行っているという理解でよろしいんでしょうか。これは川口大臣にお聞きしたらいいんですか、官房、それとも長官、特措法の解釈。

川口国務大臣 我が国は我が国の指揮のもとで活動をしているということでございまして、統合された司令部の指揮のもとで活動しているということではないということです。

松本(剛)委員 言葉を少し、いろいろな報道が飛び交っておりますけれども、定義をしてきちっと使いたいなというふうに思っておるわけでして、多国籍軍に参加をするのではないかという報道がなされる、そうすると、一般には今は参加をしていないという認識で、少なくとも報道は、今度参加をするというふうに理解をしているからそういう報道になるんだろうというふうに思うんです。我々もそのことをこの委員会でも今まで、今度参加をするということで議論をやっている。

 現在、多国籍軍はあります、そして自衛隊は支援を行っている、この関係というのはどうなっているのか。入っているのか入っていないのか、参加しているのかしていないのか。あえてさっきの狭い意味、広い意味をお使いになるなら、それを使った上でもいいですから、一度説明をしていただきたい。

西田政府参考人 大臣の御答弁の繰り返しになりますが、御案内のように、自衛隊は、安保理一五一一に基づく多国籍軍の統合された司令部の指揮下にはないということでございまして、そのような意味におきまして、これまで、我が国の自衛隊を安保理決議一五一一に基づく多国籍軍の一員として位置づけたことはありません。

松本(剛)委員 多国籍軍の一員として位置づけることはないと。今度は、総理は、まだ検討ですけれども、多国籍軍の中でできることを検討したいとおっしゃったというふうに我々は理解していますけれども、その理解でよろしいですか。

川口国務大臣 検討をしたいというふうに言われたということです。

松本(剛)委員 そこで、今の状況と、中と外というのがどう違うのかということを一度きちっと示していただきたいというふうに思っておるんです。つまり、多国籍軍に参加という言葉がひとり歩きするというのは、具体的にどういうことなのか。多国籍軍に参加をして、ある日突然、その日から自衛隊が制服に、ここに我々も多国籍軍というバッジが入る、そういう話じゃないと思うんですよね。

 そこで、多国籍軍の中ということに、これから検討されると思いますけれども、中に入るということと現在の状況とでは何が違うのかということを教えていただきたいと思うんですが。

西田政府参考人 その点はまさに、今回の安保理決議にございます一五四六の多国籍軍の役割、編成というものを踏まえてこれからまさに検討するということでございますので、今の時点で具体的にその中、外ということについてどこが違ってくるのかということについても、確定的には申し上げられないというふうに思います。

松本(剛)委員 時間が限られているので誠意ある御答弁をとお願いをしたつもりであります。

 従来と変わらないということで、引き続き外から支援をするということであれば、それはそれで一つの御判断だと思います。しかし、多国籍軍の中でということを検討したいと。しかし、先ほどの答弁を全部整理していくと、多分統合された指揮の中には入らない、自衛隊は、継続して存在をするとしても。そういうふうに我々は先ほどの御答弁を、継続する限りは理解しております。

 先ほど、一五一一の段階でも統合された指揮の中に入っていないということだと川口大臣は答弁をされた。今度、多国籍軍の中でやるとしても、統合された指揮の中では入らないと言われた。何が変わってくるんですか。結局同じことだけれども、ブッシュ大統領に我々は中に入ると言っただけということですか。それは逆に、ブッシュ大統領にも失礼な話でしょう。何が変わってくるんですか。

西田政府参考人 御案内のように、自衛隊も国際的には外国の軍隊というような位置づけになろうと思いますが、それがイラクという外国にいわば駐留をいたしまして活動するということでは、当然のことながら、法的に幾つかの条件が必要になるということだと思います。

 それは国際法上もそうでございますし、イラク特措法にもそのような法的な構成要件というものが書かれていることは御案内のとおりでございまして、具体的には、イラクからの同意というものを取りつける、あるいは確認をするということなどが必要でございますし、それから、自衛隊員の方々の活動が円滑にかつ安全に行われるように、ある種の法的なアレンジメントというものをつくる必要があるということでございますので、そのような中の、たどり着ける中において、例えば多国籍軍の内、外と。その内、外の意味は必ずしもよくわかりませんけれども、その差が当然出てくるということであろうと思っております。

松本(剛)委員 もうこれ以上時間の、率直に申し上げて浪費といってもいい答弁をお聞きしているのは意味がないというふうに思います。

 多国籍軍に参加をするということを、少なくとも報道をされている。そして政府は、参加の報道は間違っているというふうなお話は聞いていない。総理は、多国籍軍の中でできることを検討したいとおっしゃった。今まで中でなかったからこそ、これから検討されるんだというふうに思います。

 ところが、今の政府の関係の方々の答弁を聞いていたら、中だろうが外だろうが何も変わらぬ、関係ないと。これじゃどうにもならないという話になってくるわけでありまして、多国籍軍に参加をするということで何が変わるのかということは、きちっと一度答弁を整理していただきたいというふうに思うわけであります。

 今までの指揮命令系統が変わるであるとか、今、法的地位というお話がありました。CPAの十七でしたかね、命令の関係。それにかえて多国籍軍という形で存在をしようということであるのかもしれません。しかし、これは多国籍軍が全体としてイラクの同意を得るということでその中に入る、もうその効果だけだという理解でいいわけですか。

西田政府参考人 どうも繰り返しになるようで恐縮でございますが……(松本(剛)委員「いや、その効果だけかどうか、もうイエスかノーかだけで」と呼ぶ)いや、そうではないと思いますが、それはただし、今私が申し上げましたのは、少なくともその一つの効果ではないかということで、それは明らかですから、その点を申し上げたということでございます。

松本(剛)委員 もうこれは十分やっているんですよ。それ以外の効果は、では何があるんですかという話に、結局もとへ戻ってきてしまうんですよ。答えはなかったんですよね。今はおっしゃれないのかもしれません。

 しかし、多国籍軍に参加という言葉がひとり歩きするということが、私は、非常に問題があって、きちっとやっていただく。多国籍軍に参加と我が国の人は思っていても、国際的には、いや、メンバーの端っこに同意のときだけ日本を加えてあるだけで、別に日本は本格的多国籍軍じゃないと思われているのだとしたら、これはまた内外で認識ギャップが出てくる話にもなってくるわけでありまして、さっき、参加も狭い意味、広い意味とお使いになるんですかとお聞きをしましたけれども、言葉を国民にやはりわかりやすくきちっと伝えていただかないと、自衛隊は何をしようとしているのか、どこで何がなされようとしているのかということが物すごく誤解を生むということをぜひ申し上げてまいりたいと思います。

 この後委員会がどういう形になるのかわかりませんが、もう一度、多国籍軍に参加をするということによって自衛隊にどんな効果が生じるのかということ、できれば政府の側からまとめて御答弁をいただきたいということで、理事会で御協議をいただけませんでしょうか。

小此木委員長 理事会で協議をいたします。

松本(剛)委員 お願いをいたします。

 さて、特措法で出すということは私どもは賛成をしかねるということを申し上げました。けさ、午前中の委員会で、政府の増田さんが前原議員に対して、一条、二条の解釈については大変、私から見ますと苦しい答弁をされておられたように思っております。相当、私どもは、イラク特措法で読むということは無理があるんじゃないかというふうに思ってお聞きをしておるんです。

 今回、人道復興支援が多国籍軍の任務に入ったというお話でありました。国連決議の十五というので読むという理解でよろしいんですか。十五だったかな。

西田政府参考人 お手元にございますパラの十五でございます。

松本(剛)委員 きのうの参議院と先ほどの御答弁と多分一緒だと思うんですが、私も英語を一点、余り実は得意ではないんですが、昨日の参議院の委員会で、この十五、加盟国、国際・地域機関に対しまして、安全と安定及び人権擁護支援に関するイラク国民の必要性を満たすことを支援するために、また、UNAMI、ユナミと読むんでしょうか、わかりませんが、その努力を支持するために、イラク政府との合意のとおり、多国籍軍に軍隊を含む支援を促進するよう要請するという規定だというふうにお聞きをしております。

 今申し上げたように、ちょっとつたない英語で、英語のもとを私も読んでみました。これはそういうふうに読むということでよろしいんでしょうか。少し英語に詳しい方、私、何人か当たってみたんですが、多国籍軍に対する支援、それからイラク国民に対する人道、安定、安全、復興のニーズを満たすということ、国連のUNAMIの努力を支援するということを加盟国に要請するというふうにも読めるというふうにお聞きをしましたが、これは局長ですか。

西田政府参考人 私たちの読み方というんでしょうか、理解は、当然のことながら、お配りをしている読み方でこれを読んでおりまして、これ以外の読み方をしているほかの国があるというふうには今の時点では承知をしておりません。(発言する者あり)いや、ですから、英語の点で申し上げているんですけれども。

松本(剛)委員 これはしかし、私、何人か英語に詳しい方、また、これも全くただの英語の先生ということではなくて、安全保障の仕事をされている方に何人かお聞きをしましたが、素直に読むと私が読んだ読み方になるんですよね。

 となると、つまり、人道復興支援は多国籍軍の任務に係るのか、加盟国の要請に係るのか。加盟国に人道復興支援を要請していて、その形が、それは多国籍軍、軍の形をとっている国もあれば、軍でない形をとっているものもあるかもしれません。

 今も、一四八三で加盟国に対して人道復興支援が要請され、我々はそれに基づいて出しているというのが政府の解釈でいらっしゃる。この一五四六の十五のパラも、素直な英語で読んだら、今までどおりの自衛隊を出していくということが可能なんだと思いますよ。なぜそれをとらずに、そういう形で読まれるのか。

西田政府参考人 英語の読み方に戻るのかもしれませんけれども、ここにございますように、メンバーステーツに対してリクエストをしておりますのは、まさにコントリビュート・アシスタンス・ツー・ザ・マルチナショナル・フォース、多国籍軍に対して、いわゆる部隊等々の形を含めて要するに支援をしてくださいということがまず基本的に書いてあるわけでございますね。

 それが、要するに多国籍軍の行っているいわゆるマンデートの一つとして、このようなヒューマニタリアン・アンド・リコンストラクション・アシスタンスというようなものも含まれているということで、このようなことが出てきますのは、例えば、別途パラの十というところがございまして、これで多国籍軍についてのいろいろな記述がございますが、その中におきまして、多国籍軍は、その任務を規定しているこの決議に添付されている書簡、具体的にはパウエル国務長官から安保理議長あての書簡でございますが、その中においても、多国籍軍の役割につきまして、多国籍軍は、イラク暫定政府に要請され、かつ、従前の安保理決議に従い、人道援助、民事支援及び救援復興援助の提供に必要に応じて参加する用意があるというふうに述べられておりますので、このことをもって、いわゆる多国籍軍の役割にこのような人道復興支援が加わったという理解でございます。

松本(剛)委員 時間がなくなりましたので、残念ですけれども、申し上げたように、多国籍軍が人道復興支援をすることを私は否定しているわけではありませんが、多国籍軍に入らないと人道復興支援ができないというふうには、この国連の内容を全部整理して読んでも読めないわけであります。

 唯一先ほどから残ったのは、地位協定の問題ぐらい、ぐらいと言ったら、これも大事な問題ですけれども、しかし、これはこれで、我が国が多国籍軍の一員となるのかならないのかという大変重要な問題を、地位協定が締結できないから多国籍軍に入るんだということだとすれば、大変おかしな格好になるというふうに思うわけでありますし、この解釈、英語の解釈はいろいろなあれがあるんだろうというふうに思いますので、私はあえて、とも読めるというふうにお聞きをいたしましたが、少なくとも、いろいろお聞きをした限りは、また、ほかの国はそう読んでいるかどうか知らないと言うけれども、英語を母国語とする国は多分これを訳したりしませんので、そういう話にはならないというふうに思うわけであります。

 官房副長官にもお出番をいただきたいと思ってあれを出しておりましたが、わざわざ御足労いただきましたが、この特措法で、私どもは、ぜひ新法をやはりつくるべきだということを申し上げてまいりました。これは法律的にも私どもは無理だと思っておりますが、先ほど、同じふるさとの赤松議員、新法の議論もあるんだという話をちょっとされておられました。政治的に、少なくとも、これだけ大きな形でイラクの状況が、やはり主権が移譲されて変わり、そして、ひょっとすると自衛隊の参加の態様も多国籍軍の一員になるかもしれないというふうに変わるんだとすれば、きちっと新たな法律で国会で信を問いながらお出しになるのが自衛隊のためでもないかというふうに思います。

 もう時間はないと思いますけれども、せっかくおいでいただいているので、特措法所管の山崎官房副長官に一言だけでもお話をいただいて、私の責務を果たしたいと思います。

小此木委員長 簡潔にお願いいたします。

山崎内閣官房副長官 いずれにいたしましても、今ほどの先生の御意見、総理がお帰りになりましてから、自衛隊と多国籍軍との関係等々につきまして、皆さんと議論をしながら決めていかなきゃならぬものだと思っております。

 以上です。

松本(剛)委員 ありがとうございました。

小此木委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.